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2000/08/04 第149回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第149回国会 外務委員会 第1号
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2000/08/04 第149回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第149回国会 外務委員会 第1号

#1
第149回国会 外務委員会 第1号
本国会召集日(平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 中野 寛成君
   理事 小島 敏男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君
   理事 伊藤 英成君 理事 玄葉光一郎君
   理事 赤松 正雄君 理事 土田 龍司君
      浅野 勝人君    伊藤 公介君
      池田 行彦君    嘉数 知賢君
      川崎 二郎君    河野 太郎君
      高村 正彦君    下地 幹郎君
      中本 太衛君    中山 太郎君
      牧野 隆守君    川内 博史君
      木下  厚君    首藤 信彦君
      細野 豪志君    前田 雄吉君
      丸谷 佳織君    藤井 裕久君
      赤嶺 政賢君    日森 文尋君
      柿澤 弘治君
平成十二年八月四日(金曜日)
    午前九時開議
 出席委員
   委員長 中野 寛成君
   理事 小島 敏男君 理事 塩崎 恭久君
   理事 鈴木 宗男君 理事 原田 義昭君
   理事 伊藤 英成君 理事 玄葉光一郎君
   理事 赤松 正雄君 理事 土田 龍司君
      浅野 勝人君    伊藤 公介君
      池田 行彦君    嘉数 知賢君
      川崎 二郎君    河野 太郎君
      高村 正彦君    下地 幹郎君
      中本 太衛君    牧野 隆守君
     吉田六左エ門君    木下  厚君
      首藤 信彦君    細野 豪志君
      前田 雄吉君    丸谷 佳織君
      藤井 裕久君    赤嶺 政賢君
      今川 正美君    日森 文尋君
      柿澤 弘治君
    …………………………………
   外務大臣         河野 洋平君
   防衛政務次官       仲村 正治君
   外務政務次官       浅野 勝人君
   政府参考人
   (環境庁大気保全局長)  廣瀬  省君
   外務委員会専門員     黒川 祐次君
    ―――――――――――――
委員の異動
八月四日
 辞任         補欠選任
  中山 太郎君    吉田六左エ門君
  日森 文尋君     今川 正美君
同日
 辞任         補欠選任
 吉田六左エ門君     中山 太郎君
  今川 正美君     日森 文尋君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国際情勢に関する件

    午前九時開議
     ――――◇―――――
#2
○中野委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 国際情勢に関する事項について研究調査し、我が国外交政策の樹立に資するため、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中国政調査を行うため、議長に対し、承認を求めることといたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○中野委員長 次に、国際情勢に関する件について調査を進めます。
 この際、外務大臣より発言を求められておりますので、これを許します。外務大臣河野洋平さん。
#5
○河野国務大臣 外務委員会の開会に当たりまして、最近の国際情勢について申し述べさせていただきます。
 外務大臣に再び任命されましてから、本日でちょうど一カ月が経過をいたしました。このごく短い間にも、九州・沖縄サミットが開催され、また、その後、私は、ASEANプラス3外相会議、ASEAN地域フォーラム及びASEAN拡大外相会議に出席し、さらにこの機会をとらえて、史上初の日朝外相会談を初め、参加各国の外相と会談を行うなど、活発な外交の展開に努力してまいりました。
 特に、先般開催されました九州・沖縄サミットにおきましては、首脳、外相、蔵相のそれぞれが活発で実りの多い意見交換を行い、その議論の成果は、二十一世紀に向けた沖縄から世界へのメッセージとして発信されました。二十一世紀の繁栄のかぎを握ると考えられる情報技術につき沖縄憲章がまとめられたこと、東アジアの安全保障上重要な朝鮮半島情勢につき特別声明が出されたことは、特に意義深かったと考えます。
 この機会をおかりして、このサミットを支えていただき、またサミットのために訪日された各国政府の方々やマスコミの方々を温かくもてなしていただいた地元九州及び沖縄の方々並びに本委員会委員の皆様を初め関係の方々に、改めて心より御礼申し上げます。
 我が国としては、このような九州・沖縄サミットの成果を踏まえまして、引き続き、日米関係を基軸としつつ、我が国の位置するアジア太平洋地域の二十一世紀が平和で繁栄したものとなるよう、全力を尽くしてまいります。このため、韓国、中国、ロシアなど近隣諸国との関係の強化を引き続き我が国外交の柱として取り組んでまいります。
 特に、歴史的な南北首脳会談が行われるなど新たな胎動が見られる朝鮮半島情勢については、北東アジアにおける緊張緩和につながるよう、全力を尽くす考えであります。
 北朝鮮との関係については、先般、バンコクにおいて日朝外相会談を行いました。その結果、共同発表が発出され、新たな善隣友好関係を樹立するために互いにあらゆる努力を払う旨、そしてその一環として日朝間の諸問題を適切に解決するため誠意を持って取り組むことにつき、意見の一致を見ました。また、国交正常化交渉を八月二十一日から二十五日まで東京で開催することとなりました。
 政府としては、北東アジアの平和と安定に資するような形で、第二次世界大戦後の不正常な関係を正すよう努めるとの方針のもと、国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えであります。同時に、ミサイルや拉致問題などの諸懸案の解決に向けて全力を傾ける考えであります。
 また、ロシアとの関係では、九月にプーチン大統領の公式訪問が予定されております。この際、平和条約を初め、日ロ関係全体について、日ロ関係の戦略的重要性を踏まえ、率直かつ信頼関係に基づいた議論を行っていく考えであります。
 また、十月には中国の朱鎔基総理が訪日されます。日中友好協力パートナーシップのさらなる飛躍を目指し、具体的な協力を進めていきたいと思います。その準備や直面する懸案についての協議などのため、私も今月末に訪中する予定をいたしております。
 また、森総理が今月中旬訪問される南西アジア諸国との関係につきましては、友好協力関係の強化に努めていくとともに、インド、パキスタンに対する核不拡散上の進展を粘り強く働きかけてまいります。
 このような二国間の取り組みに加え、国連改革の実現など、新しい世紀にふさわしい国際社会の体制の構築に向け努力することが重要であります。九月には国連でミレニアムサミット及びミレニアム総会が予定されておりますが、九州・沖縄サミットで得られた成果を踏まえ、安保理改革を含む国連改革の議論が前進するよう、一層の努力を払っていく考えであります。
 二十一世紀まで、残すところ五カ月となりました。二十一世紀を私たちの子供たちが胸を張って幸せに生きられる時代とするためには、国民の皆様とともに外交を展開していかなければなりません。この点、本委員会での御議論が極めて重要であり、中野委員長を初め委員の皆様の御指導と御協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#6
○中野委員長 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として、委員土田龍司さんの質疑に際し、環境庁大気保全局長廣瀬省さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○中野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#8
○中野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木宗男さん。
#9
○鈴木(宗)委員 限られた時間ですから、簡潔に質問したいと思いますが、河野大臣、杉原千畝さんという方を御存じかと思います。
 私は、七月の三十日、岐阜の八百津町にお招きをいただきました。それは、杉原千畝さんの生誕百年祭の記念式典であります。
 あれは平成三年の十月三日でしたけれども、私は、たまたま外務政務次官として、リトアニアと五十一年ぶりの外交関係の回復、いわゆる国交を開くということで、政府特使として行くことになりました。リトアニアといえば杉原千畝さんだと思ってそれなりに勉強しておりましたら、杉原千畝さんは、訓令違反で外務省を去らなければいけない、その後外務省と一切関係を絶ってしまった、家族は何となく外務省に対していい気持ちを持っていないということを知りました。
 特に、奥さんの「六千人の命のビザ」というのは感動を受ける本であったと思うのですね。そこで、私は、行く前に解決しようと思って、十月の三日に飯倉公館に御家族を呼んで、外務省として正式に謝罪をし、四十四年ぶりに名誉回復をしたのであります。
 しかし、最近またとみに、この杉原さんの外交官としての人道的な決断はすばらしいものであったと内外から多くの称賛の声が聞かれたのであります。
 そこで、ことしは杉原さんの生誕百年であるということも一つの節目として、私は、ぜひとも外務省で、杉原さんに対する顕彰といいますか、すばらしい外交官がいたんだということを誇りに思うためにも、あるいはこれからの若い外交官に責任を持ってもらう意味でも、何がしかの位置づけをした方がいい、こう思っているのですけれども、河野大臣、どうお考えでしょうか。
#10
○河野国務大臣 鈴木議員御指摘のとおり、杉原さんは外交官として、もう多くの人が知っている、ナチスの迫害のもとに命を失いかけているユダヤ人の人たちのために、本当にみずからの命をかけてでもこれを守って仕事をやり抜いた、そういう意味で、日本国内はおろか国際的に非常に高い評価を受けておられる方でございます。
 私は、今世界各地に日本の外交官はたくさん出ておりますけれども、そうした人たちにも杉原さんのこうした行為というものが伝えられて、その心の中に残ってほしいという気持ちは私も鈴木議員と同じように持っておりますので、何かできることがあれば外務省としていたしたいと思います。
 今御指摘をいただきました、生誕百年ということで、まだ具体的な準備を実はいたしておりませんが、きょうの御質問を機に、外務省として早急に方法を考えたい。例えば顕彰のためのプレートを掲げるとか、何か少なくとも後に残るものをいたしたい、こう考えております。
 また具体的に何かお知恵があれば、御指導いただきたいと思います。
#11
○鈴木(宗)委員 今の大臣の、何か顕彰したい、残るものをつくりたいということを私は多とします。
 そこで、日本とリトアニアが五十一年ぶりに外交関係が樹立されたのが十月十日でありますから、一つのけじめといいますか、日にちとしては、この外交関係が樹立された、特にこのリトアニアにはスギハラ通りという通りもあるんですね、そういった意味で、ぜひとも十月十日までに私はやってもらいたい、こう思いますが、いかがでしょうか。
#12
○河野国務大臣 御指摘を踏まえて、十月十日をめどに努力したいと思います。
#13
○鈴木(宗)委員 ぜひとも、私からも杉原さんの奥様初め関係者にお伝えしますけれども、外務省からもそのことを連絡いただきたい、こう思っております。
 さて、最近、日ロ関係についていろいろな報道がなされております。報道をされることはいいことでありますけれども、これはテレビ、新聞、それぞればらばらでありますから、私はここで、外務省としての一つの基本的なスタンスをお尋ねしたいと思うんです。
 私は、この日ロ平和条約交渉というのは何の前提もなく交渉すべきだ、こう思っているんです。というのは、東京宣言に基づいて領土問題を含め平和条約を締結するということは一つの約束として流れてきておりまして、この十年間の日ロ関係というのは、外務大臣レベルの会合から最高首脳レベルの会合から、間断なく行われておって、とてもいい状況だと思っているんです。何がしかの前提をつけると、進むものも進まないと私は思っているんです。
 そういった意味で、さきの野中我が党幹事長の発言は極めて新しい発想であるし、あのぐらい懐を深く持って当たった方が私はいいと思っているんですね。それをもって、野中発言は後退だとか領土問題切り離しだとか、いや中間条約だとかというさまざまな話が出ていますけれども、私は、野中幹事長の言っている判断の方が今の日ロ関係にとっては大事だ、こう思っているんです。現実的な対応をする、前提条件なしに交渉する、それがロシアもよかった、日本もよかったという結果につながると思っているんですね。
 この点、外務大臣はいかがお考えでしょうか。
#14
○河野国務大臣 九月の三日にプーチン大統領が日本を訪問されるわけで、この九月三日、四日、恐らくこの二日間にわたって首脳会議が行われる可能性が非常に強いと思います。この二日間の首脳会議で双方首脳があらゆる問題について議論をする。そして、先般沖縄でもそうでございましたけれども、難しい問題も避けては通らない、難しい問題であってもお互いに正面から議論しようというお話がございました。率直に、誠実に話し合うということがお二人の合意であるというふうに、私はそばで陪席をして感じておるところでございます。
 恐らくその議論の中には、さまざまな問題あるいはあらゆる問題が議論をされるわけでございますから、そのあらゆる問題の議論をするときに、何かを予見してといいますか、何かを想定して席に着くということではなくて、もう両首脳が率直に話し合うということが一番大事だというふうに、今の鈴木議員のお話がそういう意味だとすれば、私は一つのお考えだというふうに思います。
 外務省としては、これまで東京宣言というものを前提にしてといいますか、東京宣言というものを踏まえて日ロの交渉はやっていくということで日ロ両国間の合意ができておりますから、我々としてはそうしたことを踏まえて交渉に臨んでほしいと思いますし、これは総理の頭の中にもそうしたことはおありだと思いますし、日ロ双方の方々には、東京宣言というものがあるねということは、これはもう言うまでもなく頭に入っておられるというふうに思います。
 そういうことを前提にといいますか、そういうことを踏まえて両首脳が率直に誠意を持って話し合っていただくということが何より大事。そして、その話し合うためには、ロシアにはロシアでいろいろなアイデアが出たり提案が出たりしているわけですから、日本国内にあっても、いろいろなアイデアがあったりはいろいろな提案があって、そういうことが話し合いの中の材料になってみたりということは、私はあっていいんじゃないかというふうに思っております。
#15
○鈴木(宗)委員 大臣、今の大臣の答弁からして、野中幹事長の発言は見識ある発言である、また与党の実力政治家としての発言としては重く受けとめるという理解でよろしいですか。
#16
○河野国務大臣 これは、政治家として一つのお考えというふうに私どもは伺っております。それが与党の幹事長であるという職責上も大変重いものだとは思いますけれども、私は、日本の国内には、与党にも野党にもいろいろな御意見がきっとあるのだろうというふうに思っておりまして、そうした国民的な期待値というものがどこにあるかということを考える必要があるのだろうというふうに考えております。
 あくまでも、交渉に臨むに当たって、総理の頭の中にいろいろな整理があることが大事だと思います。
#17
○鈴木(宗)委員 私がなぜこの野中発言にこだわるかといいますと、いろいろな思惑で書いているペンもあればテレビもあるものですから、はっきりしておいた方がいいと思っているんですね。同時に、それは、政府・与党一体で日本は動いていますよということを明確に示さなくてはいけないと思っているんです。一部報道では、この野中発言に対して、いやこれは切り離しだとか、年内の平和条約締結は困難だとかと好き勝手言っているものですから、その点、私は確認したかった点です。
 もう一度言いますけれども、原則論だけでは事は進みません。原則論を言って進んでおったならば、五十五年かかっていないはずなんです。この点、外交というのは日本の主張だけでは通らない、相手があるということ。お互い、相手が歩み寄って、そこで初めてよかったよかったという結果ができなければ、まとまるものもまとまらないでありますから、この点、私は、原則論にとらわれておっては事が進まない、そういった意味では野中発言というのは一石を投じたものだ、こんなふうに思っています。
 同時に、ロシアも野中発言に対しては好意的にとっていますね。このインタファクスなんかの話を聞きますと、注目に値すると言っているんです。
 私も一貫してロシアをやってきたものですが、共産ソ連のとき、私はつき合いをしなかった男です。自由と民主の国ロシアになって、この十年間、私は、青年交流で七百人来ていますけれども、七百人全部会っています。ことしでも、ネムツォフ元第一副首相だとかキリエンコ元首相、あるいはザドルノフ大蔵大臣、日ロ議連の会長だとか、ジューコフ予算委員長等、たくさん来ていますが、すべての人に私は会いながらも、平和条約の締結ということでは問題ないんです。あとはどういう切り口から行くかというのが私は大事でないか。
 そういった意味では、私は、原則にこだわらないで、この点、胸襟を開いて前提条件なしにやっていくというのが極めて大事だ、そういった意味では今の河野大臣の発言を了としたい、こう思っております。
 そこで大臣、例えば外務事務次官が、これは八月一日の新聞報道ですけれども、平和条約締結交渉「年内見送り容認」「交渉継続を示唆」なんというこの大きな記事があるんです。これなんかも、私はロシア側にも間違ったメッセージを与えると思うんです、日本は本当に熱心なのかどうかと。この点、こういった外務省の中での空気なのかどうか、最高責任者である外務大臣にお尋ねしたいと思います。
#18
○河野国務大臣 外務省の事務次官の記者懇談が一部だけを取り上げられて見出しになったということは大変不幸なことでございまして、私は、本人からも、あるいは記者懇のメモも全部読んでみましたが、必ずしもそういうことが彼の真意ではない。これは、何としてもこの二〇〇〇年に締結するように努力をしなければならないということを彼が言っているわけでございまして、その真意をもう少し明確にメッセージとして出すべきであったというふうに私は思いますが、この点は、これから外務省が努力をする過程において理解してもらえるのではないかというふうに考えております。
#19
○鈴木(宗)委員 ぜひとも、外務省も一つだ、同時に政府・与党も一つだ、さらに国民世論もあるという方向に向けてのさらなる努力をお願いしたい、こう思っているのです。
 私は、少なくともエリツィンさんとの間では橋本・エリツィン・プランがあった、さらには小渕・エリツィン・プランもできて、青年交流だとか島への自由訪問だとか、これは大変歴史的な決定事項があったと思っているのですね。そういった意味では、今度はプーチンさんの時代です。プーチンさんは若い。五年、十年はもつという戦略も私は考えるべきだと思うんです。そういった意味では、さらに最高首脳同士の信頼関係の構築も必要だと思いますね。
 同時に、私はプーチンさんを見た限り、四月の四日に私はクレムリンで一時間、総理特使としてプーチンさんと会談して、非常にハートのある、心のある人だと思いましたね。言えば響くというか、全く世間で言われているプーチンさんとは違うし、沖縄に来て、あの具志川で子供と柔道をやって、投げて投げられるなんというしぐさを見ても、私は非常に心のある人だと思っているのです。そういった意味で、私は、きちっと胸襟を開いて話し合えば、また道は開けるのじゃないかと思うんです。
 去年の九月、APECがありましたけれども、APECでは首相として来て、そのときもお会いしてお話ししていますけれども、大統領になってからのプーチンさんは、やはりちょっとまた格が違うなというぐらい風格も出てきたし、非常にさわやかな感じも持っているし、今回の沖縄サミットでも、クリントンさんと並んで評価の高かったのはプーチンさんだ、またそのぐらいのパフォーマンスもできる人でありますから、ぜひともここは戦略を練って対応してもらいたい、こう思うんです。
 そこで、橋本・エリツィン・プランがあった。小渕・エリツィン・プランもあった。私は、さらにこれから大事なことは、森・プーチン・プランといいますか共同行動計画、こういったものをしっかりと明示してやっていった方がさらに日ロ関係の信頼醸成にもつながるし、ロシア国民が、日本はいい国だ、日本は約束を守る国だ、ちゃんと実績を持ってきていますねと、やはりロシアはロシアの世論をこっちに引きつけなければいけないわけでありますから、そういった意味で、私は、アクションプログラム、ジョイントプログラムでもいいですね、そういったものをつくるべきだ、こう思っておりますけれども、いかがでしょうか。
#20
○河野国務大臣 これはこれから議論がなされるわけですが、私どもとしても、何らかの森・プーチン・アクションプログラムといいますか、森・プーチン・ジョイントプログラムといいますか、そういったものができてくることはいいことだと思っています。
 これからどういう会合がどういう形で行われるかということがまだはっきり決まっておりませんので、ここで具体的に申し上げることはできませんけれども、一つの目標として、森、プーチン、お二人の合意で何かができるということは私は望ましいことだというふうに思っております。
 鈴木議員がいろいろお話しになりまして、野中提案というものが一つの有力な政治家による有力な提案だということを私も申し上げたわけでございますが、これはまた報道上混乱があるといけませんから、もう少し申し上げさせていただきますが、日ロ間でこれから両首脳が交渉をされるときには、あらゆる分野にわたって率直に話し合っていただく、そして難しい問題も避けて通らずに話し合っていただきたい。そして、申し上げるまでもなく、これまで橋本さん、小渕さんがエリツィンさんとともに積み上げてきたさまざまな宣言とか声明とかというもの、これもやはり一つの頭の中で整理された上での話し合いがなされることが大事だというふうに私は申し上げているということだけはぜひ御理解をいただきたいと思います。
#21
○鈴木(宗)委員 アクションプログラムに対して、今外務大臣から一つの示唆だ、こういう受けとめ方をしてもらいましたので、ぜひとも大臣、私は、日本国民もロシアを理解する、ロシアの国民も日本を理解するというためには、やはりわかりやすい方法が必要だと思うんです。そういった意味での橋本・エリツィン・プランあるいは小渕・エリツィン・プランというのは生きてきたと思っています。
 ですから、もう一度確認しますけれども、私は、森・プーチン・ジョイントアクションプログラム、共同行動計画、こういったものをつくられた方が間違いなく日ロのためになる、こう思いますけれども、さらにお答えをいただきたいと思います。
#22
○河野国務大臣 私はそういう下地がだんだんできてきているのだろうと思います。あのサンクトペテルブルクで行われました森・プーチン、これは最初の会談でございますが、あれは六時間でしたか七時間でしたか、二人で大変長い時間を過ごしてさまざまな話し合いをなさって、そこで総理から日ロ関係というものは戦略的関係でこれは非常に重要なものだということも言われておりますし、幅広い経済協力もやっていく必要があるぞということも言っておられますし、平和条約の締結についても言及をしておられるわけでございまして、こうした大きな課題を同時並行的に前進をさせていこうという気持ちは二人の間ではほぼできてきているというふうに思っております。
 そして、こうした話し合いの中で、当然のことながら、これはもう委員が繰り返し御指摘のとおり、日ロ間には、繰り返し申し上げて恐縮ですが、東京宣言というものがあって、この東京宣言の中身までとやかく今ここで申し上げるつもりはありませんけれども、そこには四島の帰属を解決して平和条約を締結するという考え方が述べられているわけでございますから、そうしたことがやはり両国首脳の頭の中にはきちんと入っているというふうに私どもも考えて、あとは両国首脳に率直に話し合っていただきたい、こう思っております。
#23
○鈴木(宗)委員 時間ですから終わりますけれども、どうぞ河野大臣、河野大臣も小渕前総理から指名を受けて外務大臣として今継続しておりますが、小渕総理が元気のいいときの最後の言葉が、おれは日ロ平和条約をやるということ、沖縄サミットも自分の手でやるという思いをぜひともしっかり受けとめて、二十世紀中に起きた問題は二十世紀中に解決するという裂帛の気合いを持って対応していただきたい、このことを強くお願いをしておきます。
#24
○中野委員長 次に、赤松正雄さん。
#25
○赤松(正)委員 公明党の赤松正雄でございます。
 サミット、一連の会議、外務大臣、大変に御苦労さまでございました。私は、きょうは、中国の問題あるいは北朝鮮の問題につきまして若干御質問をさせていただきます。
 先ほど外務大臣の冒頭の報告の中で、例えば「十月には中国の朱鎔基総理が訪日されます。日中友好協力パートナーシップのさらなる飛躍を目指し、具体的な協力を進めていきたい」、こういう文章特有の非常に当たりさわりのないことが書かれている。もう少し何かおやっと思うようなことを書いていただきたいなという気がするのですが。
 いずれにしましても、この対中国の関係でいいますと、例えば七月二十七日に中国の海洋調査船が、大洋一号というそうですけれども、日本の排他的経済水域から出ていった、入ったから出ていったのでしょうけれども、そういう動きがあった。あるいは、それより前にもそういう同種類の海洋調査船の動きがあったという報道がありました。同時に、河野外務大臣もこうした動きに対して中国に抗議をされた、こんなふうに聞いておりますけれども、その際の中国の側の反応はどうであったのかということについて、まずお聞きしたいと思います。
#26
○河野国務大臣 私は、現在、日中関係はおおむねいい方向にあるというふうに思っておりますが、しかし、一部非常に懸念すべき部分もあると思っているのです。
 その懸念すべき幾つかの部分のうちの一つは、今議員が御指摘になりましたこうした艦船の動き、つまり我が国周辺を中国艦船が動き回る、それもただ単に走り回るというのではなくて、調査活動が行われている、こういうことについては我々としては非常に問題意識を持っております。
 したがって、私は、中国外交部長に対しまして、とにかく両国の友好関係を深めていこうというこの時期に、どうも理解しがたいこうした行動はやめてもらいたい、直ちにやめてもらいたいし、それから、その意図について説明ができるものなら説明してもらいたいということを申し上げているわけですが、中国側としては、どうもこれは外交部では直ちに説明し切れないような感じも、これは私の感じでございますけれども、受け取りました。もしそうであるなら、もう一度よく中国国内で調査をするなり話し合って、協議をして説明してほしいということをこの間は言ったわけでございます。
 中国の外交部長としては、いろいろ話をなさるけれども、それは、水域が画定していない部分を走っているときには両国が話し合ってどこまでがどうかという話し合いをしましょうというようなことを言いますから、いや、そういうことと全然違うんだ、これはもう明らかに我が国の排他的経済水域の中を走っておる、こういうことについてはもうそういうレベルの問題ではないのだということを繰り返し先方に言いまして、先方からはそれ以上の的確な返事がございませんでした。
 これは、私は引き続き中国とは話し合っていかなきゃならぬと思っておりまして、今月末に訪中をいたしますので、そのときにはかなり重要な話し合いのテーマだというふうに考えております。
#27
○赤松(正)委員 ぜひこの月末の訪中の際、今そういうふうに繰り返し続けて言うとおっしゃいましたけれども、言うべきはきちっと言っていただきたい、そんなふうに思います。
 こうした中国の動き、さらに違う角度でいきますと、例えば一般的に言われていることでは、沿岸海軍から外洋海軍化を目指すんではないのかとか、さまざまなことが指摘されております。特に、先ほど出されましたことしの防衛白書では、そうした中国の最近の動きについて強く警戒感をにじませる表現で書かれておりますけれども、今外務大臣からは、外交当局の方は全般的に中国全体の意思としての明確な表現がなかったというお話でございましたけれども、中国の意図を防衛庁としてはどういうふうにとらえているのか、まず防衛政務次官にお聞きしたいと思います。
#28
○仲村政務次官 お答え申し上げます。
 防衛庁が平素から実施する警戒、監視において中国の海洋調査船が広い海域で認められ、その一部ではケーブルを曳航するなどが確認されております。このため、防衛庁としても、御指摘のとおり、ことしの防衛白書において、日本領海を含む日本近海における中国の海洋調査船の活動に言及し、その活動が海洋調査と見られるとの分析を示しているところであります。同時にまた、中国の海洋調査船の個別の活動目的やその相互関係について、視認情報から確たることを申し上げるのは困難であります。
 防衛庁としても、中国の海洋調査船の動向に今後とも注目をしてまいりたい、このように考えているところでございます。
#29
○赤松(正)委員 今のようなことは引き続き十分な注意を持ってしていかなくてはいけないと思いますが、やはり日本と中国との関係、私は別に中国を特に否定的にとらえたり、あるいは最近の動きを誇大にどうこう言うつもりはありませんけれども、日中関係の真の意味の発展というものを願う上においては、やはり的確にそういったことが見えるときにはきちっと言っていかなくちゃいけない、そんなふうに思います。
 そういう流れの中で、やはり日本と中国の関係を見たときに一番大事なポイントは、防衛当局相互のいわゆる直接対話、信頼醸成措置、CBMというふうに言われておりますけれども、こういう日中間の信頼感を高めていくそういうシステムというものが非常に重要だと思いますけれども、この日中防衛交流の現状について説明していただきたいと思います。
#30
○仲村政務次官 お答えいたします。
 自衛隊と中国軍との交流状況についてでありますが、一九九八年に大臣の相互訪問が実現をいたしております。そして、同年二月の防衛首脳会談では、両国間の防衛交流の促進について合意をいたしております。さらに、同年五月の会談では、今後の防衛交流の進め方に関し、大臣レベルの対話の継続的実施、そしてまた参謀総長の訪日及び自後早期の統幕議長の訪中、三番目に次官級協議の実施、四番目に分野別、軍種別に交流の積極的推進、五番目に艦艇相互訪問の実現に向けた事務的調整の実施等を突き合わせているところでございます。
#31
○赤松(正)委員 この日中間の信頼醸成措置は非常に大事なポイントでありますから、さらに具体的に前進するようにお願いしたいと思います。
 そこで、今回のサミットの中で、昨日、一昨日の予算委員会でも若干でありましたけれども取り上げられたり、あるいは本会議でも取り上げられましたけれども、いわゆるアメリカのNMD、また、日本をめぐってはBMD、あるいはTMDと言ってもいいかと思いますけれども、そういう弾道ミサイルの問題について、先ほど話題にもなっておりましたロシアのプーチン大統領が、沖縄に来る前に中国やあるいは北朝鮮における各国との相互訪問の対話の中で、そういうアメリカのNMDに対する批判、あるいはまた日本をめぐるTMDに対する批判というものを展開して沖縄へやってきた。沖縄では直接的にそういうことは取り上げられなかったようでありますけれども、報道を通じて私たちが知っている限りにおいては、中ロの関係においても、あるいは後で申し上げますが、北朝鮮との関係の中においても、そういういわゆるアジアにおける例えばBMD、TMDの配置ということについて、かなり強い警告を発している。
 こういうことを踏まえて、河野外務大臣は、今回のことだけではなくて、今アメリカと日本の間でBMDについては共同の技術研究が開始されたという段階でありますけれども、そういうことに対して中国がしきりにそういうさまざまな角度で日本に攻撃をしてくるというか批判をしてくるということに対してどういうふうに考えておられるか、この点についてお聞きしたいと思います。ロシアではなくて、中国の反応ということです。
#32
○河野国務大臣 中国もやはり大変関心を持ってこの問題を見ております。
 私は、このBMDの問題の基本的な考え方は、とにかく弾道ミサイルが存在するあるいは拡散する、そういう状況の中でどうやって身を守るかということについての議論もまたしなきゃいけない。しかし、それは、議員が日ごろからおっしゃっておられるように、そういうことが軍拡を引き起こしてしまうのではないか、つまり、塀をどんどんお互いに高くすることによって問題がより深刻になってしまうということもあると思いますけれども、しかし、議員も御承知のとおり、BMDは今もお話しになりましたようにまだ調査研究の段階でございまして、技術的にこれが一体どういうことになるかということについてもまだめどが立っているわけではございません。しかし、一方で、我が国の防衛といいますか、そうした問題については、やはりでき得る一番安全度の高い方法というものも追求しておく必要はあるというのが我々の立場でございます。
 したがって、この問題がどうなるかということはまだまだ時間がかかる問題でございますから、その間に日中双方で今お話しのように信頼醸成がもっと進んでいく、あるいはARFのような場を使って信頼醸成措置がもっと広い範囲でできていくということの追求が我々外務省としては重要だというふうに考えているわけです。ARFでは、例えば防衛白書をお互いに公開しようとか、現在の防衛能力についてももっと公開していこうとか、さまざまな提案をし、それについて検討が加えられているわけでございまして、これがどの程度の正確さといいますか、信憑性の高い情報公開が行われるかということにも問題はありますけれども、そうしたことを追求するということが実は信頼醸成措置であり、外交による安全保障だというふうに私どもは考えているわけです。
 ただ一方で、外交による安全保障だけにすべてを託すというわけにいかない以上は、我が国の防衛というものについて可能な方法を追求するということもまた当然というふうに思っております。
#33
○赤松(正)委員 外交にはさまざまな側面がありますので、硬軟さまざまな角度からの交渉が大事であろう、これはよくわかります。
 そういう中で、私はやはり最近気になるのは、これは一つの特殊な見方かもしれませんけれども、中国における日本のいわゆる経済協力、ODAに対して、中国全体がそれをいわば正確な形で把握していない、やはりその辺の部分が非常にいびつなものがあって受けとめられているというふうな報道に接するときに、非常に残念に思うわけであります。
 今、対中ODAの見直しというふうなことが一部で言われておりますが、一方で、外務省はそうではない行動をとろうとされているというふうなことも聞いておりますが、こういう対中ODA見直し論ということについてどういうふうに今考えておられるか。
#34
○河野国務大臣 今これも議員がまさにおっしゃったように、ODAの心というものを中国側にも理解してほしいし、そしてまた、我々は国民の皆様にもそれをよく説明して理解をしていただく必要があるんだと思います。我が国は我が国として、なぜODAを中国のみならず世界の貧困国に対して実施しているかということについて、国民の皆さんの理解をいただかなきゃなりませんし、中国の皆さんには、なぜ日本がODAを中国に対してこれだけの額を実施しているかということについて理解をしてもらいたい。
 これは、前回、日中の外相会議をやりましたときに、私は中国側に対して、中国側に問題がある、少なくともこうしたことに対して中国国民に、日本からどれだけのODAが実施されているかということを説明して、中国国民が、そこから先は少し言い過ぎであることを承知の上で、日本に対してやはりありがとうという気持ちを持ってもらいたいものだということを申し上げたことがございますけれども、そういう気持ちを私は今でも持っております。
 しかし、それにしても、中国に対するODAはこのままでいいかという気持ちも私自身ございます。それから、外務省の毎年毎年行っております国別援助計画の作成というものを少しずつやってまいりまして、もうそろそろ中国に対してこれをやる時期だなと私は思ったものですから、対中ODAの検討委員会というものをつくって、学識経験者といいますか、その道の十分な見識をお持ちの方々にお集まりをいただいて、対中ODAについて御議論をいただいているところでございます。
 ただ一方、議員もお気づきだと思いますが、最近、そういう見直しをやっているにもかかわらず、対中特別借款というものが発表をされて、相当巨額な中国に対する特別借款というものをやるという記事が新聞に出ました。これは、昨年来からこの借款につきましては、プロジェクトについて検討を加えておりまして、これは西安の方でございますけれども、西安の飛行場の整備といいますか充実のために借款をもらいたいという話で、こうしたことは、プロジェクトを検討した結果、いいじゃないかということもございまして、これは借款として供与するということになったわけでございまして、対中ODAとは少し性格を異にしている、これはよく議員御承知のとおりでございます。
 ODAにつきましては、前段申し上げたとおりです。
#35
○赤松(正)委員 今の点、非常に大事なポイントであると思いますので、日本のODAのありようということについて、特に中国に対しては、よくその意図、趣旨がわかるようにいろいろな角度からやっていきたい、そんなふうに思います。
 中国の問題について最後に一つ確認をしておきたいというか、ぜひお考えをお聞かせ願いたいのは、中国は日本にさまざまな角度で注文をつけてまいります。例えば台湾との関係でいいますと、李登輝前総統、私は二度ほど直接お会いして李登輝さんといろいろお話をしたことがございますけれども、あの人が総統をしておったときに日本に来るということに対して、いろいろな角度から妨害があったというか、受け入れないでほしいというようなことがあったということはそれなりに理解ができるわけですが、今、総統をやめられて前総統という立場になられた、そして国民党ではない今の陳水扁総統が誕生した。こういう状況の中で、例えば、ことしの秋、李登輝前総統が実は松本に来るという意思を持っておられて、全く政治色がないかといったらそうではないわけですが、第一義的には学術レベルの会合、アジア・オープン・フォーラムにぜひ参加したい、こう李登輝さんはおっしゃっております。
 これについて、従前、河野外務大臣は、李登輝総統時代の日本訪日に対して余り肯定的ではありませんでしたが、今それに対してどう思われるか。それとも、もし同じだとおっしゃるなら、どういう条件があったときに李登輝訪日を認められるのか。その辺についてお聞かせ願いたいと思います。
#36
○河野国務大臣 李登輝氏が訪日を希望しておられるという記事は新聞で読んで知っております。しかし、現時点ではまだ査証申請等具体的な動きがあるとは聞いておりません。
 御指摘のとおり、李登輝氏は、三月に与党国民党の主席をおやめになりまして、五月には総統職を交代されたということは事実であると思います。つまり、いわゆる一私人となられたということもおっしゃるとおりだと思います。この一私人となられた李登輝氏について我が国がどういう対応をするかということは、これからもし査証の申請等具体的な動きがあればよく考えてみなければならないことだというふうに思っております。
 現時点では、一私人になられた、ああ、そうですかというほど簡単ではないというふうに思っているわけです。それは何と申しましても、李登輝氏の持っている力といいますか影響力といいますか、そういうものが非常に強いことはだれもがよく承知しております。しかし、そうはいっても、それは正式の肩書の上で言われること、動かれることではないわけでございますから、仮に発言をされる、あるいは行動をされるとしても、それはあくまで私人ではないかという議論も当然あると私は思っておりまして、従来とは違った考え方を持つのは当然だろうと思っております。しかし、だからといって、それではいいんですねと言われると、今ここで、ええ、そうですと言うほど簡単でないということだけは、もう十分御承知のことだと思いますけれども、申し上げざるを得ません。
 それから、さっきちょっと私、御答弁で西安の飛行場と申しましたけれども、あれは西安咸陽空港の拡張で、しかも、円借款ではございますけれども、いわゆる特別の円借款だということを申し上げたことで、誤解がないように訂正させていただきます。
#37
○赤松(正)委員 時間が来ましたので、終わります。
#38
○中野委員長 次に、伊藤英成さん。
#39
○伊藤(英)委員 民主党の伊藤英成でございます。
 まず最初に、朝鮮半島の問題について伺います。
 まず最初に、最近の南北首脳会談やら、あるいは北朝鮮の各国との関係改善の話やら、先般は外務大臣も北朝鮮の外務大臣と会談もされたりというようなことがありました。それで、最近のそうした状況はこれからの日朝交渉にどういうふうに影響していくのか、どんな感じを持っていらっしゃいますか。
#40
○河野国務大臣 南北首脳会談というものは、まことに大きな出来事でございました。史上初のというほど簡単なことではなくて、もっともっと大きな出来事だったというふうに私は思います。あれだけ長い間の対立といいますか分裂をしていた、あるいは時に憎しみを持っておられたかもしれない二人の首脳が、ああしてそうしたものを全部飛び越えて握手をしてにこやかに話し合われたというあのテレビの画像は、私どもは大変にショックでございました。
 昨年秋ごろから外務委員会でもいろいろ御議論がありましたように、朝鮮民主主義人民共和国の外交活動というものはかなり活発になってきて、これは随分変わってきたな、この変わり方は一体何が理由だろうかということについても議論をさせていただいたことがございますけれども、その非常に活発になってきた動きの成果、結果というのでしょうか。あるいはまた、一方で韓国の金大中大統領の長年にわたる包容政策というものがついに信頼をかち得たということがその結果でしょうか。あるいは、日米韓三国の政策調整なんというものも多少それをバックアップするのに役立っていたかもしれませんが、いろいろなことが一つになって、あの本当に大変な出来事が我々の目の前に展開したわけです。
 この大変大きな出来事は、やはり朝鮮民主主義人民共和国の外交態度といいますか外交姿勢というものを相当変えてきているというふうに思います。カナダとも、あるいはフィリピンともオーストラリアとも次々と外交関係を樹立するということを横で見ながら、これはやはり大きな変化だな、この変化というものは我々もまた傍観するわけにはいかないな、我々もまた、こういう朝鮮民主主義人民共和国の動きというものをきちっと確認をしてとらえて、やるべきことはきちっとやらなければいけない、そんな気持ちを持っております。
#41
○伊藤(英)委員 先般、七月二十七日に外務大臣がバンコクで記者の方々に話をされたようなんです。北朝鮮の米支援の問題につきまして、国際機関から要請があれば、拉致問題やミサイル問題など日朝間の懸案から切り離しをして実施をする可能性について言われたようなんですが、この米追加支援の問題といわゆる拉致疑惑問題との関係をどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#42
○河野国務大臣 先般、バンコクで先方外務大臣と会談をしました直後、同行の記者諸君と話し合ったときのことを指しておられると思いますが、あの当時、記者諸君から受けました質問は、会談で米支援の話が先方から出たか、あなたは支援についてどういう対応をするのか、こういう御質問でございましたから、二十分間の外相会談で米支援の話は一言も出なかった、これはもう全く米のコの字も出ていないわけで、先方から一切そういうことは出ておりません、それから、私どもも少なくとも今この時点で米支援については全く考えておりませんということを返事したわけでございます。
 ただ、そのときに申しましたのは、食糧支援というものは、どのくらい飢餓に悩んでおられるか、危機的状況かということは今我々からは見えないんです、我々からも見えない、先方からも会談でそういう話がなければ、それは何にも検討する立場ではないでしょうと。ですから、それがもっと透明になる、こんなにひどいんだということが見えてくるとかいうことがあれば、そして、目に見えて大変な事態だということが我々の目の前に見えてくれば、それは人道的なこととして我々は考えるかもしれないけれども、今は見えていないんです、何にも見えないのですから、それはできませんという話をした。
 その文脈の中で、国際機関が何か言う、これはかなり客観性がありますねと。その客観性というものが一つの、何といいますか、透明度、我々からは直接見えないけれども、本人が言うのではない、国際機関という第三者機関が客観的な評価として言うというのは、一つの国際的な説得力にはなるでしょうねと申し上げたのであって、それ以上のことを申し上げているわけではないのです。
 それで、特にそのときに、何かその他の問題と、ちょっと言葉は正確には忘れましたけれども、何かと絡めて云々というような意味であるとすれば、何かこうしたからこうするよというものでもないでしょうと。先方が何かしたからこっちが何かするという性格のものではなくて、もっと客観性があって、明らかに食糧を支援しなければならないような状況というものを我々が見なければ、それはそういうものではないのじゃないかなということを申し上げたのであって、もう一度整理して申し上げれば、あくまでも、先方からは外務大臣の口を通じて支援の話はありませんでした。我が方も少なくとも今この時点で米支援のことを検討はしておりませんというのが私の気持ちでございます。
#43
○伊藤(英)委員 私が質問いたしましたのは、今の、例えば食糧支援に対する必要度についての透明性があればということなんでしょうが、もしもそれがあった場合に、拉致疑惑との関係ではどういうふうに食糧支援問題を考えるのですかと申し上げているのです。
#44
○河野国務大臣 これは、外相会談の折に、善隣友好のために努力をいたしましょう、二人でできる限りの努力をしよう、その一環として日朝間にある諸問題の解決も適切にやろうということを共同文書で署名をしているわけです。その日朝間の諸問題の中には当然今お話しの問題が入っているわけでございまして、それはそれとして全力を挙げて努力をしたいと私どもは考えております。
 きょうここで申し上げるとすれば、総合的な判断で考えるという以外には申し上げようがございません。
#45
○伊藤(英)委員 この間、七月二十八日だったと思いますが、朝鮮赤十字が最近、二人の日本人行方不明者を確認した云々というのがあります。この二人という話は、これまで日本がいわゆる拉致された疑いがあるということでの七件十名とは無関係の人だ、こういう話ですね。
 この七件十名とは無関係な人というのは一体何人ぐらいいて、それで、そのうちの例えば二人が確認されたということなんでしょうか。政府としてはどういうふうに認識されていますか。
#46
○河野国務大臣 今回回答がございました二人は、日本赤十字社より、それぞれ一九七〇年及び一九九七年に依頼をした二件であったと承知をいたしておりますが、これらの方々の詳細な情報については、御本人及び御家族のプライバシーに配慮する観点から、これ以上のことはお答えを差し控えさせていただきます。
 ただ、一般論として申し上げれば、日本赤十字社より朝鮮赤十字会に対して行われている安否調査の大多数は、一九五九年から始まった北朝鮮への帰還事業によって北朝鮮に渡り、その後何らかの事情により連絡がとれなくなった方々に関し、我が国在住の家族より日本赤十字社に対して安否調査の依頼がなされたものと承知しております。
 また、我が国政府が提起している七件十名以外の行方不明者がほかにもいるかというお尋ねでございますが、日本赤十字社から朝鮮赤十字会に対しましては、従来より随時赤十字間における通常の安否調査依頼が行われており、一九九〇年以降に限っても、その数は四十五件に上っていると承知をいたしております。
#47
○伊藤(英)委員 例えば、今のお話だと、一九九〇年以降四十五名と言われた……(河野国務大臣「四十五件」と呼ぶ)四十五件。では、何名くらいなんですか。
#48
○河野国務大臣 少なくとも四十五人以上と思います。
#49
○伊藤(英)委員 今のは、私はやや無責任ではないかと思うのです。人一人の命云々という問題を考えているときに、安否調査をお願いしているんでしょう。要請しているんですよね。安否調査を要請していて、四十五件といったときに、人数が何人かもわからないのですか。
#50
○河野国務大臣 人数は把握しておりますが、プライバシーの問題等もございますので、正確に申し上げることはお許しをいただきたいという意味でございます。
#51
○伊藤(英)委員 人数を聞いているんですよ。人数がプライバシーにどういうふうに関係するんですか。
#52
○河野国務大臣 失礼しました。数字がございました。
 一九九〇年以降に依頼をした数は四十五名でございます。
#53
○伊藤(英)委員 今、四十五件、あるいは本当は四十五名以上だとか、それで今改めて四十五名ですと。私から見ますと、こうした問題について外務省は真剣に考えていないんじゃないかと私は思うのですね。そうでなければ、今のような質問に対して、明確に四十五名なら四十五名と答えるはずだと私は思うのですよ。この人道問題について、余りにも無責任ではないか。
#54
○河野国務大臣 もしそういうふうにおとりいただくと、まことに私の答弁がふできであったと反省をいたしますが、こうした調査は、調査対象が我が家の家族がという調査の依頼もございますので、つまり家族が一人であるか二人であるかという問題がないわけではないということでございまして、私は、四十五件、それは少なくとも四十五名以上だろうということを申し上げたのでございます。
 つまり、先方で結婚をしておられる、あるいは子供ができておられるかもしれない、そういうこともあるわけでございますから、私はそういうことも含めて申し上げたわけでございまして、調査依頼は四十五件四十五名の調査依頼が出ているということでございますので、どうぞ、答弁の不適切があればお許しをいただきたいと思います。
#55
○伊藤(英)委員 私は、本件について今答弁されている話は、不適切があればお許しいただきたいということのようですが、まず私の印象からいえば、外務省は、あるいは外務大臣は、この重大なる人道問題について、ああ真剣にやっていないなという印象を抱きました。
 それから、時間も余り残されていないのでさらに伺いますが、今度、南北首脳会談とかあるいは南北の閣僚会談等が行われました。そして、そういうような話の延長線上で考えたときに、北朝鮮の例えば社会資本整備だとか、あるいは京義線の連結の話等が出ておりまして、そのときに、報道されるのですと、日本に対してもかなりの資金の要請があるような報道がされたりいたします。
 この要請があったらどういうふうにするのでしょうか。そして、もしもそういうことがあった場合には、いわゆる過去の清算問題等とはどういう関係を持つことになるのでしょうか。
#56
○河野国務大臣 京義線の接続といいますか連結といいますか、そうした問題が話し合われているということは報道で承知をいたしております。
 まだ私どもに、そのために例えば投資をしろとか資金援助をしろとか、そういったような要請は全くございません。まだこの時点ではそこまで話がきっと進んでいないのではないかというふうに思います。今は、話し合いが行われ、これからさまざまな計画が練られるという状況でございましょうから、そうした問題について我が方に今直ちに提案がある、あるいは要請があるというふうには思っておりませんし、現実にまだそうしたことは来ておりません。
 それがいつごろそういうことになっていくか。意外にテンポが速いかもしれませんけれども、それにしても、いつごろそういう具体的な議論になるかということは、注意深く見ていたいと思っております。
#57
○伊藤(英)委員 北朝鮮のアジア開発銀行への加入というような問題についてはどう考えますか。
#58
○河野国務大臣 これは、一般論からいって、北朝鮮がさまざまな国際機関に参加して国際社会に発言をされるということについては、我々は基本的にそれは前向きにとらえたいと思っておりますが、今お話しのアジア開銀その他、つまり融資その他を伴う部分については、これはやはり慎重に考えなければならないだろうと今の時点では思っております。
#59
○伊藤(英)委員 ロシア問題で、先ほど鈴木委員が言われたことに関連してお伺いするのですけれども、野中幹事長のいわゆる領土問題解決を前提としない平和条約締結の提案といいましょうか、そうした考え方について伺うのですが、この領土問題を前提としない平和条約、あるいは領土問題を抜きにした平和条約の締結という意味は一体あるのかどうかということ。
 それから、例えば今私の手元にありますのは、かつて宮澤外務大臣が予算委員会でこの問題について、こういうのがあるのですね。「グロムイコ外相から、わが国とソ連との間に友好親善条約なるものをつくってはどうかという提案がございました。それに対して私は、」宮澤さんが、「ソ連との間にはまだ法律的に、つまり条約上平和という状態がつくられていない、現実に領土問題が残っておるわけでございます。したがって、そういう平和という状態が創設されないのに、それに先んじて友好親善条約をつくるというようなわけにはまいらない、」ということを述べております。今日までもそういう形で取り組んできていると私は思うんですね。
 この野中さんの問題について、改めて外務大臣に、これからどういうふうにするのか、ああいうふうな提案を受けてどういうふうにしようとするのか。そして、目の前に日ロ首脳会談が行われるのですが、この問題についてどういう姿勢で取り組むんですか。
#60
○河野国務大臣 野中幹事長の御発言も、東京宣言というものを十分御承知の上で、それを踏まえて御発言をしておられるというふうに承知をしております。
 先ほども御答弁を申し上げましたように、これまで私どもは、クラスノヤルスク合意であるとか東京宣言であるとか、そうしたものはエリツィンさんからプーチンさんに引き継がれている、引き継いでおられますねということを繰り返し先方にも確認をし、先方もそうですということで今日までやってきたという経緯がございます。
 私は、やはりこの東京宣言というものを踏まえて森総理には首脳会談に臨んでいただきたいと思いますけれども、そうしたことを踏まえながらも、さまざまなアイデアがあったり、つまり、最終結論を生み出すまでにいろいろな提案があったりアイデアが出たり、いろいろな話題があったりということは、こうした首脳会談その他ではあることだと思っておりますので、そんなこともあれやこれや考えておられる幹事長の御発言というふうに私は思っているわけでございます。
 先ほども申しましたように、東京宣言というのは、領土問題を解決して平和条約という基本的な考え方があるわけでございますから、そうしたことを総理は頭の中に入れて首脳会談に臨んで、首脳会談に臨んでは、率直にあるいは誠実に、誠意を持って難しい問題も避けずに話し合う。その話し合いは、大いにいろいろなアイデアを、あるいはいろいろな提案について語られることは、私は結構じゃないかというふうに思っております。
#61
○伊藤(英)委員 時間がないから、一言だけ言わせていただきます。
 領土問題を入れない平和条約締結というのはないんですね。結論だけで結構です。
#62
○河野国務大臣 そう思います。
#63
○伊藤(英)委員 ありがとうございました。
#64
○中野委員長 次に、玄葉光一郎さん。
#65
○玄葉委員 玄葉光一郎です。
 きょうは、朝鮮半島情勢の質問をさせていただきたいと思いますが、その前に、時間があったらと思っておりましたけれども、鈴木委員や伊藤委員の議論を聞いて、また河野外務大臣の答弁を聞いて、ロシアの問題についてよくわからないから、冒頭、ロシアの問題に一言触れさせていただきたいと思います。
 というのは、これまでの一連の発言、政府と与党が一体化していない弊害が出ているのか、それとも逃げに入るための役割分担をしているのか、よくわからない。別の聞き方を改めてしたいと思いますけれども、先ほどから出ているクラスノヤルスクの合意、つまりは二〇〇〇年までに領土問題を解決して平和友好条約を実現する、これは実現できますか。
#66
○河野国務大臣 実現するために最大の努力をいたすわけでございますが、実現するかと言われれば、それは先方もあることでございますから、私一人でできますという御答弁をすることは適当でないかと思います。
 しかし、私どもとしては、そうした合意を踏まえて全力を挙げるというふうにお答えするのが今我々の役目だと思っております。
#67
○玄葉委員 そうすると、改めて確認をしたいと思いますけれども、先ほど鈴木委員が質問をされたいわば野中発言というのは、恐らく領土も含めて前提条件なしに交渉をするということに真意があって、それを踏まえて、重きを置いて外務大臣は活動すべきではないか、そういう趣旨の発言だったと思います。同時に、伊藤委員の質問に対する答弁については、領土の問題の解決なくして平和友好条約の締結はあり得ない、こう答えておられるわけでありますけれども、一体どちらなんでありましょう。
#68
○河野国務大臣 繰り返して申し上げますが、東京宣言というものがあって、その東京宣言というものを十分に踏まえてさまざまな御発言があるというふうに私は理解しておりますから、矛盾、そごはないというふうに思っております。
#69
○玄葉委員 外務委員会なんかでこのロシアの議論をしてきた者の一人として、やはりかなり苦しい立場に追い込まれているなというふうに感じます。
 一言で言えば、このクラスノヤルスクの合意というのは、いわばエリツィン一人にかけた外交だった、私はそう思う。あるいは小渕さん、というより、本来は橋本元総理の一つの政治決断だったんだろう。エリツィン一人にかける実験であり、挑戦であったのではないか、私はそう思う。その挑戦をしたことそれ自体を批判したいとは思いません。ただ、エリツィンさんが挫折をした時点で、やはりこの実験あるいはこの挑戦そのものは少なくとも一種の失敗に終わったのではないか、私はそう考えております。
 その上で、その失敗した実験を次に生かすしか方法はないんであろう、そう考えたときに、その方法というのは必ずしも、改めて申し上げますけれども、領土の問題を棚上げすることではないのではないかということが私の考えであります。改めて聞くことはいたしませんけれども、外務大臣は、領土の問題の解決なしに平和友好条約の締結はあり得ない、そういうふうに答弁をされましたから、それを私たちへの答弁というふうに受けとめたいと思います。
 次に、南北首脳会談を受けての北朝鮮に対しての日本外交ということであります。
 先ほど大臣がおっしゃいましたが、私も総選挙のときに、あの南北のトップ同士が握手をし、同時に離散家族が涙を流すシーンをテレビで見ました。いろいろなことを感じました。例えば、当たり前のことではありますけれども、やはり首脳同士が会うことというのは大切だということも感じた。また同時に、金正日という人が、少なくとも画像を通じて幾つかのことがわかったような気がしました。それは、もしかしたら非常に異常なあるいは無能な男ではないか、そう専門家からも評価されがちであった金正日という人が、なかなかできる男だなという感じを少なくともテレビの画面を通じては感じた。別の言い方をすれば、ディールできるというか、取引ができる男かもしれないというふうにも感じた。私は、あのトップ会談はさまざまな評価があり得ると思います。また同時に、非常に冷静に分析しなきゃいけないと思いますけれども、金正日という人物像がより明らかになったという点だけでも非常に意義が大きいのではないかというふうに思っています。
 改めて、河野外務大臣はこの首脳会談をどう受けとめ、同時に、対北朝鮮に対する日本外交がこの首脳会談を受けて、その基本姿勢は変化していくのか変化していかないのか、基本的に変わらないのか、その点を伺いたいと思います。
#70
○河野国務大臣 南北首脳会談で私が一番印象深かったのは、金大中大統領という人物が、もう二十年、いやそれ以上前から包容政策という政策を主張し続けて、時にその政策を主張するがゆえに容共派ととられて身柄を拘束される、あるいは死刑の宣告まで受けるという大変な状況であったにもかかわらず、その主張を変えずに、その主張を理解させるために繰り返し努力をされた、その成果が実ってこういうことになったということについては、私は何か一番、変な言い方ですけれども、胸にじんとくるものがございました。
 しかも、年齢的にはかなり上の金大中大統領がみずから飛行機で先方へ出かけていって、そしてああした首脳会談をやり遂げる。そこには、形式とかなんとかということを超えた、どうしてもこれをやり遂げたい、やり遂げなきゃならぬという強い意思というものがあるというふうに私には思えたのでございます。それと同時に、やはり民族の統一というものがどれだけ強い希望であったかということを、町の人たちの、韓国の人たちの声で感じたわけでございます。
 朝鮮民主主義人民共和国側のことについては、今議員もおっしゃったように、これまで我々はほとんど何も知らなくて、直接自分で見たわけでもなければ直接自分で知ったわけでもないにもかかわらず、いろいろなことを頭の中に描いていた。それが、テレビの画面を通して、自分の描いていたものと違ったなということは相当あったと思いますけれども、それはそれとして、我々が何度も話し合ってきた人たちの努力というものがああした形で、まずその第一歩が、スタートが切られたということについては、私は大きな感銘を受けたのでございます。
 私、今議員がおっしゃったのですが、この南北首脳会談は大変大きな幕あけであったというふうに思います。しかし、それはあくまでまだ幕あけなんですね。何一つ事態が変わったわけではないと思うのです。例えば安全保障の問題にしても何にしても、何も変わっているわけではない。ですから、その幕あけは大いに喜び、これを歓迎し、そしてこの緊張緩和への動きを我々はできる限りサポートしていかなければなりませんけれども、何かあたかももう既に変わってしまった、もう完全に我々が思っていたような状況になったというふうに思うことは、これはどうだろうかという気持ちも一方でしておりまして、歓迎をしながらも、できるだけ我々は我々としてやるべきことをしっかりやっていかなければならぬというふうに思っております。
#71
○玄葉委員 金大中さんの話を大分されましたけれども、それは全く同感でありまして、金大中さんという指導者の役割、もっと言えば、政権交代をして外交政策の見事な転換ができたということも今回の政策がいわば成功した一つの要因だったろうなというふうに思います。
 今までさまざまな大臣から対北朝鮮に対する政策を聞いてきました。例えば対話と抑止、そして日米韓との連携という話であるとか、あるいは緊張緩和に資するような形で不正常な関係を正していくとか、そういうことを聞いてきたわけでありますが、これは変わらないというふうに理解をしてよろしいのですね。イエスかノーかで結構です。
#72
○河野国務大臣 今申し上げたように、これまでどおり我々は日米韓の政策協調というものを続けていくべきだと考えております。しかし、朝鮮民主主義人民共和国との話し合いは従来よりも積極的に進めていくということができると私は思っております。
 先般、バンコクで外相会談を行いましたけれども、この外相会談も一回ぽっきりではなくて、引き続き行うチャンスがあれば外相会談は行っていきたいと思っています。
#73
○玄葉委員 私も今までの基本的な姿勢というのは変えるべきじゃないというふうに個人的には思っております。ただ、日米韓の連携といっても、それぞれの政策の優先順位がこのトップ会談を受けて変わってくる可能性が強いと思いますから、そういう意味ではかなり大変な局面もあり得るだろうなというふうに思います。ですから、かなり緊密な連携が必要だ、北朝鮮にくさびを打ち込まれないような連携が必要だというふうに思います。
 同時に、先ほど、日朝間の対話を進めるんだという話がありましたけれども、まさにディールできそうな男金正日と、では具体的にどういう対話をするのだということにこれからある意味ではなっていくのかもしれません。そういう意味では原則を譲るべきではないのだろうというふうに私は思います。
 ただ同時に、金正日という人物がわかってきた、また北朝鮮がいわば外交上の変化をもたらしてきているという点からすると、何らかのメッセージは伝えていいのだろうというふうに、個人的な考えとして思う。例えば、先ほど、こういうものに対してこういうものという、そういう考え方はいかがかという話もありましたけれども、あなた方がこういう譲歩をするのだったらこういうものの用意があるというメッセージはむしろ伝えていいのだろう、また伝えるべきではないかというふうに私は考えています。
 ただ一方、メッセージを伝えることは行っていいのですけれども、拉致や核やミサイルについて何の譲歩もないままこちらから例えば食糧援助をするということも、これは一方で避けなきゃいけないのだろうというふうに私自身は思っています。まさにメッセージとして伝えるところでとどめることが今大切なことではないか。
 そういう意味では、先ほど伊藤委員からも話がありましたけれども、拉致とは限りませんけれども、拉致であろうと核であろうとミサイルであろうと、何らかの譲歩があれば食糧援助の検討、実施ということは行っていいのだろうと思いますけれども、何の譲歩もなく、河野外務大臣が少なくとも誤解をされるような発言をされるということは、私は避けるべきではないかと思っています。
 先ほど、自分の真意は人道援助云々という話がありましたけれども、人道援助であっても、では本当に外務大臣は、あるいは日本の政府は、相手方の前向きな対応を何も期待せずに人道援助するのですか。そういうことを考えると、私はあの発言はいただけない、少なくともそういう誤解を与えた発言はいただけない、そう思いますけれども、外務大臣、改めてお聞かせいただきたいと思います。
#74
○河野国務大臣 これはくれぐれも誤解をされませんようにお願いをいたしますが、人道援助というものは何かの交換条件でするものでしょうか。そういうものを人道援助というのでしょうか。そこはやはり言葉の使い方は考えなければならぬのじゃないでしょうか。人道援助というものは、自分に何のあれがなくても、そこでもし人が死ぬとなればもう本当に飛び込んで人を救う、そんな気持ちを大きくしていったようなものではないかというふうに思うのです。
 しかし、私はこれはぜひ誤解しないでいただきたい。それは、今度の北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国との我々のやりとりでそんなことを考えているわけではございませんから、そこは誤解をしないでいただきたいのですが、本当に一般論として、人道援助、人道援助と気楽に言うけれども、その人道援助をしたのだからおまえもこういうことをしろというふうに交換条件でやる援助を人道援助といっていいかどうかということについては、私はやはり相当問題があるのじゃないかというふうに思っているのです。それは一般論として、この問題、朝鮮民主主義人民共和国と我々の今の状態とは関係ないことで私申し上げたので、そこはぜひ誤解のないようにお願いをしたいと思います。
 そこで、私は、先ほど申し上げましたように、現在の時点では先方からもそういう依頼もないし、我々がこの目で見てもそういう状況が見えるわけでもないという状況の中で、今、米支援を考えるというようなことは考えておりませんというのが私の答弁でございます。
#75
○玄葉委員 大臣は何を言っているのかという感じが正直いたしました。対北朝鮮の話で人道援助の話をしているわけであります。
 では、今まで、人道援助、人道援助といって実際に対北朝鮮に対しては食糧援助したわけですよね。対北朝鮮の外交を考える上で、この人道援助で前向きな対応を引き出そう、そう考えたことは一切なかった、そういうことですか。
#76
○河野国務大臣 ですから、私は誤解のないようにと繰り返し申し上げたわけでございまして、ぜひ誤解のないようにお願いをしたいと思いますが、我々は世界各地に人道的な援助を現実にしております。また、朝鮮民主主義人民共和国にも米支援をWFPに対してしたという事実がございます。
 これは、先ほども申しましたように、国際機関から、こういう状況でありますよ、日本からも支援をしてくださいよというような要請があって、それを受けてしているわけでございまして、私は、それを議員がおっしゃるようにあからさまに取引だという形でするかと言われると、そういうことではなくて、もう少し総合的な判断とでもいいましょうか、そうしたことで考えているというふうにぜひお聞き取りをいただきたいと思うのです。
#77
○玄葉委員 もう時間が終了したということでありますので、終わります。
 ただ、ロシアの問題もそうだったのですけれども、チャンスが来たら一気呵成に攻めるというのは一つの鉄則だと思いますが、慌ててはいけないというふうに思います。今回の食糧援助の話というのは、慌てているように見えたことは、少なくとも私に見えたことは事実でありますので、そういう誤解をされる発言はなさらないようにしていただきたいと思います。
 以上です。
#78
○中野委員長 次に、首藤信彦さん。
#79
○首藤委員 民主党の首藤信彦です。
 まず最初に、サミットの成果について御質問いたしたいと思います。
 今回の沖縄サミットの主要なテーマは、地域紛争や予防外交、また小型武器の制限やコントロールといったことであったということは、サミットの直前にアジアのNGOをたくさん招聘して開かれた国際問題研究所のシンポジウムや、あるいは日本が国連で専門家パネルの議長を務める小型武器問題の会合が開かれたことによっても明らかだと思います。
 私は、個人として長年、予防外交、紛争予防のNGO代表として紛争地の平和再建や民主化に取り組んできたものであります。河野外務大臣は、以前から、伝統的な政府の外交チャンネルだけではなく、市民の外交や超党派的な議員外交、そしてNGOの活動に関しても深い理解を示されていたことは、大変高く評価するものであります。
 しかるに、今回のサミットにおいて、小型武器分野及びこれからの国際社会の平和と安定のために欠くことのできないNGOとの連携において、一体どのような成果を上げられたのか、質問したいと思います。
 この小型武器こそが、地域紛争を激化し、長期化させている最大の要素であり、いわゆるDDR、紛争地における武装解除、動員解除、兵員の社会復帰、これこそが紛争解決のかなめであり、また、この分野こそ、平和憲法と武器輸出三原則を持つ日本のイニシアチブを発揮する分野であった。その分野であるにもかかわらず、沖縄サミットではどうしてそのイニシアチブを発揮することができなかったのか。
 確かに、最終宣言の中にはこの文言も盛り込まれています。しかし、それはあくまでもダイヤモンドの不正取引、これはいわゆるウオーエコノミー、戦争経済と言われる要素なんです。確かにそれは重要です。しかし、それはあくまでもシエラレオネやコンゴの一部の地域的な問題であり、小型武器のような世界全体にとって緊急かつ深刻な問題と比較にはならない。
 そのような状況において、どうして小型武器問題に関して日本が積極的なイニシアチブを発揮することができなかったか。日本がこのようにこれまでさまざまな貢献を行い、多数の人を派遣し、さまざまな議長を日本から出してきているのにもかかわらず、どうしてこの問題に関してイニシアチブを発揮することができなかったのか、外務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#80
○河野国務大臣 議員がかねてからNGOを指導して、あるいはNGOの一員となって大変な御努力をなさっておられるということは、我々もよく承知をいたしております。NGOはさまざまなプロジェクトに取り組んでおられるわけでございますが、とりわけ紛争予防についてのNGOの活躍というものは、我々は非常に高く評価をしております。
 今回の宮崎の外相会議あるいは沖縄の首脳会議双方におきまして、紛争予防の議論はございました。ございましたというよりは、沖縄の首脳会議は、宮崎の外相会議の議論を持ち込んでそれを承認していただくというような形でございましたので、主として宮崎の外相会議でこの紛争予防の問題については時間をかけて議論をしたわけでございます。
 議論はさまざまな分野に及びました。この紛争予防は、ちょっと答弁が長くなって恐縮でございますが、もう議員もよく御承知のとおり、随分長い経過がございまして、前回のサミットあるいは昨年十二月のベルリンにおきます外相会議、それぞれ、紛争予防の問題について議論をしております。
 私もこの議論に参加をしておりましたが、紛争予防というものは縦軸、横軸、両方あって、例えば縦軸でいえば、できることなら未然に防ぐことが一番いい、始まったときにはできるだけ早期消火が必要だ、起こってしまったときにはどうするか、最後は復興計画をどうするかというような縦軸もございます。また、横軸でいえば、地域の問題もあるし、あるいは今議員がおっしゃったように、ダイヤモンドの問題もあればいろいろなものがあるということでございましたが、今回は、五つの問題について集中的に議論をいたしました。その第一が小型武器の問題であったわけでございます。
 この小型武器の問題は、議員が今お話しのとおり、日本から堂之脇さんという議論のまとめ役を出して、堂之脇さんによって相当議論を引っ張ってきておりますし、それから、何といっても、武器輸出をしないという立場の日本がイニシアチブをとって進むということは当然のことだと私どもも思っておりますから、この問題には集中的に我々としては取りかかっております。カンボジアにも調査団を出したこともございます。
 そうした議論を踏まえて、紛争予防について五つの問題を議長コミュニケ、議長声明の中に織り込んだわけでございますが、私は、今議員がおっしゃるように、日本が全くイニシアチブをとらなかったじゃないかということはなかった。宮崎の議論だけではなくて、これまでも、日本がイニシアチブをとって、小型武器の制限、つまり紛争地には小型武器の輸出は一切しないというような制限を加えるという議論をまとめてきたのは日本でございますから、私は、その点は胸を張っておっしゃっていただいていいと思っております。
 さらに、これから具体的にこの作業を進めるという状況になるわけでございますから、具体的に進めるときに我々がどういう作業ができるかということについては、これはまたNGOの皆さんを初めとしていろいろとお力をおかしいただいたり、あるいは政府としても、何をやることが一番いいかということについてまた議論をし、実行をしていきたい。もちろん資金的な援助もあると思いますし、そうしたことをやっていきたいと思っております。
#81
○首藤委員 サミットに関しては本当に多くのテーマがあるのですが、その中から幾つか取り上げていきたいと思います。
 その中で一つの重要なテーマとしては、焦眉の急となってきた国連改革のテーマが挙げられています。これは森首相の所信表明演説の中でも取り上げられた重要テーマであるということは、私たちはみんなよく知っているところであります。
 さて、一体、この国連改革に日本はどれだけ真剣に取り組んできたか、どれだけの具体案を出してきたのかということに関しては、叫ばれるような国連改革、国連改革という声明とは裏腹に、本当に具体案が具体的に進められたということは余りなかったのではないか、そういうふうに考えているわけです。
 例えば、これはニューヨークだけの問題ではなく、国連はさまざまな機関を世界じゅうに持っています。そういった全体的なものを改革していかなければ国連の全体的なシステムは改革されていかない。
 では、果たして日本ではどうでしょうか。日本における主要な国連機関は一体何であるか、外務大臣はどのように認識しておられますか。
#82
○河野国務大臣 私ごとで大変恐縮でございますが、初めて国会議員になって取り組んだ問題が、東京と申しますか日本に国連大学を誘致する問題に私は取り組みまして、カナダを相手に大変な誘致合戦を繰り広げたことを覚えております。その国連大学がなかなかうまく離陸しないということで、私も、一時はどうしようかと大変悩んだこともございますが、おかげさまで本部ができ上がり、いいスタッフがだんだんそろってきて、少しずつではありますけれども仕事も始まっているということを聞いて、喜んでおります。
 そういう経過がございますので、あるいはおしかりをいただくかもわかりませんが、私は、やはり東京では国連大学というのは非常に重要な国連機関だと思っております。
#83
○首藤委員 外相の今の御答弁にもございましたけれども、私は、長年国連大学を外から見て、また内部でさまざまなプロジェクトに関係して、この国連大学の使い方が十分ではない。国連大学というのが、青山の目抜き通りにありながら、私たち国民の目にも余り触れることなく、国民に開かれることもなく、またアジアに対して開かれることもなく、非常に限定的なものしか行われていないことに関して、非常な不満を感じています。
 ですから、もちろん安保理の改革もさまざまな国連システムの改革もありますが、まず、私たちの足元から見直そうではありませんか。その意味において、ぜひ、国連大学の抜本的な改革、そして、日本にある私たちの財産である国連大学が日本そしてアジアの平和と安定に資するように、抜本的な対策をお願いしたいと思います。
 この問題に関してはまた別な機会で取り上げさせていただきますが、時間の制約上、次の問題に触れさせていただきます。
 それは、サミットでも問題となりました重債務国への取り組みであります。
 この問題に関しては、いわゆるHIPCプログラムというのがございまして、これに対してさまざまな取り組みが行われ、ジュビリー二〇〇〇のように、全面的に放棄すべきだという民間の考え方もあります。しかし、これはある面において、私たち国民の税金から払われてくるODA、その債権が一方的に放棄されているということも考えられなくはない。この問題に関してはどのような国民的合意があるのか、この問題に関して外務省の御意見をお伺いいたしたいと思います。
#84
○河野国務大臣 大変難しい問題でございまして、両側からの強い議論がございます。
 できるだけ早く債権を全部放棄しなければいかぬという御議論と、今議員がおっしゃるように、それはタックスペイヤーに対して少し無責任ではないかという御議論と、両側の御議論があることを私どもも承知いたしております。しかし、押しなべて、先進国の議論は、重債務国に対する債権を切り捨てるということ、そういう方向になっております。
 ただ、私どもも大変残念なことは、重債務国の中では、借金が返せない理由の一つに、内乱があったり周辺国とのいろいろな小競り合いがあったりして、そういうことに金が非常にかかってしまって結局債務が返済できないというような事態もあるわけでございます。
 そういうところの債務をそのままばさっと切れば問題は解決するのかというと、それはまたそういうわけにはいかない部分もございまして、この辺のところにつきましては、重債務国に対して、いわば再建計画とでも申しましょうか、そうした計画をきちんと立ててほしい、それ以外にも幾つかの条件をクリアしてほしい、そういう幾つかの条件を出して、それをクリアしたところについて債務を切り捨てていくというような議論に今なっているということでございます。
#85
○首藤委員 私は、この問題を取り上げたのは、重債務国の典型的な例として挙げられているアフリカ諸国が、次々と東京から大使館を閉鎖させて撤退している事実にあります。
 外交関係が存立しなければ、その国を救うことはさらに難しくなります。今までの外交的な枠組みの中では、こうした閉鎖されていく大使館を救うというのは非常に難しかった。しかし、これからは、重債務国への債権放棄だけではなく、重債務国が本当に求めている、例えば日本における大使館の維持とか、そうしたさまざまな問題に関してきちっと正面から取り組み、決して一般的な西欧社会中心の債権放棄の大合唱だけではなく、本当にアフリカの声が反映されるような、そういうシステムに変えていっていただきたい。きょうは、その意見だけを私は述べさせていただきます。
 時間がないので、最後に、防衛関係の問題に関して質問させていただきたいと思います。
 皆さんは、八月二十七日にMEDEX、メデックスという訓練が行われるのを、まあ御存じないかもしれません。これは新聞紙上で何度も取り上げられたものでありますが、相模原の補給廠において、有事を想定し、野戦病院の設置訓練が行われます。これは、多少なりとも軍事問題、安全保障問題に関係した者からすると、本当に驚嘆すべき演習であります。この演習において想定されているベッドの数は五百四床であります。私は先日、軍事専門家に五百四床の野戦病院の設置は何を意味するか、電話をしました。彼は電話の中で絶句した。それぐらい五百四床の野戦病院というのは巨大な野戦病院であります。
 皆さんも御存じのとおり、このような野戦病院が日本で計画されたのは、ベトナム戦争以来初めてのこととなります。ベトナム戦争時のやり先支援比率、すなわち、戦闘部隊と支援部隊の比率を一対三とすると、一体五百四床の野戦病院というものは何万人の地上兵力における地上戦闘を想定しているのか、専門的な立場から、防衛庁長官はおられないので、防衛次官にお聞きしたいと思います。
#86
○仲村政務次官 御指摘の米軍の衛生野外演習、MEDEX二〇〇〇の訓練内容は、米軍の公表によりますと、太平洋地区における緊急事態、災害及び人道的救援活動を支援する野戦病院の運用の訓練及び評価を支援するものであると承知をいたしております。
 お話しの周辺事態とは、周辺事態安全確保法第一条において、「そのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれのある事態等我が国周辺の地域における我が国の平和及び安全に重要な影響を与える事態」と定義されていますので、本件訓練が周辺事態を想定した訓練かどうかは承知いたしておりません。
#87
○首藤委員 これは防衛庁においては当然御存じだと思いますが、どんなに小規模なものでも、軍事演習というのはそれなりの目的を持っています。しかし、このような今まで類のないような大規模な演習、それにはそれなりの意図があると思います。
 これだけの巨額のお金を使ってやる演習の意図は一体どこにあるのか。一、具体的な脅威が感じられる。二、新ガイドラインができたので、これを一度デモンストレーションをして、そしてこういうことに関してパブリックアクセプタンスといいますか、住民をなれさせる意味を持っている。三、それ以外。この三つの観点のうち、どれに相当すると次官はお考えでしょうか。防衛次官、お願いします。
#88
○仲村政務次官 相模総合補給廠は、これまで物資の保管、補給等の兵たん活動のため使用されているものであります。また、本件訓練について、現時点で把握しているところによれば、米軍の通常の活動の一環として、同補給廠内に保管されている医療テント及び医療物資等を用いて医療活動を想定した訓練を行うものであることから、特段の問題はないと考えているところであります。
#89
○首藤委員 もう一度次官に手短にお願いしたいと思うのですが、先ほどの質問の中の五百四床のベッドは何万人の戦闘員の戦闘規模に相当するか、これだけ簡単にお答え願いたいと思います。
#90
○仲村政務次官 この件については、具体的に承知をいたしておりません。
#91
○首藤委員 これは非常に重要なもので、ぜひ検討していただきたいと思います。そんなことは、軍事専門家なら、どの係数を掛ければいいか、平均的な負傷率を掛ければすぐ計算できることです。これはぜひ、今後大きな問題に発展すると思うので、防衛庁内においても真剣に研究していただきたいと思います。
 最後に、外務大臣に御意見をいただきたいと思います。もう時間もありませんので、手短にお願いしたいと思います。
 この補給廠というのはあくまでもデポとして登録されています。そして、そのように自治体も存じております。それが非常時、緊急時には野戦病院になるという意図が隠されていたということも、これまでのアメリカの情報公開から明らかになってきています。しかし、それが現実化していくことに一歩踏み出していることに関して、外務省としてはどのようにお考えか。例えばこの件に関して、これだけの大々的な演習が行われることに関して、どれだけの情報がもたらされ、果たして事前通告はなされているのか、この点に関して外務大臣の答弁をお願いいたします。
#92
○河野国務大臣 今防衛庁から御答弁がありましたように、通常の演習だというふうに私どもは承知をしているわけでございまして、今回の演習につきましても、特別に事前の協議などはなされていないというふうに承知をいたしております。
 当然のことながら、外務省といたしましては、こうした訓練というものは訓練であって、実際にそういうことにならないように外交的努力をするということが何より重要だと考えております。
#93
○首藤委員 時間なのでこれで終わりたいと思いますが、この問題というのは非常に深刻な問題だと思います。これから問題となってくるPKF論議においても、コンバッタント、要するに戦闘部隊を派遣するかどうかということがPKFの中でも一番重要な問題となってきます。そのコンバッタント、戦闘部隊ということに直結するこの野戦病院の設置に対する訓練、これはその問題論議に対しても深刻な影響を与えると言わざるを得ません。ドイツにおいても、この戦闘部隊、地上部隊を派遣するかどうかがPKF論議の最大の論点となりました。
 その意味で、この八月に行われるこの演習に関しても、私たちもそれを監視し、これが一体どのような方向に向かっていくかも検討していきたいと思います。また、外務省、防衛庁においても、この問題がいたずらにアジアにおける脅威を増幅させることのないように、挑発行為になっていかないように、この問題に関しての慎重な対応を望みたいと思います。
 以上をもって私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#94
○中野委員長 次に、細野豪志さん。
#95
○細野委員 民主党の細野豪志と申します。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、私は、今回委員会に初めて出席いたしまして、正直なところ、これだけ閑散としたものだとは思いませんでした。朝早いということもあるかと思うのですけれども、国民の側から見ると、やはり委員会というのは政策の中身を議論するところなわけでして、よく最近、議員の委員会出席率が数字であらわれるものですから、一瞬は皆さん来られるようですけれども、やはりそこは自戒の念も含めて、きちっと委員会には参加するということを徹底すべきではないか。一番初めしかこれは言えないことだと思いますので、申し上げさせていただきます。
 それでは、時間もありませんので、本題に入らせていただきます。
 私が質問させていただきたいのはサミットのことなんですけれども、今回のサミットについては、森総理の所信表明演説、また先ほどの外務大臣のお話を伺いますと、成功であったということでございます。ただ一方で、海外のマスコミなどからは、八百十五億円も使った宴会サミットだというような批判もされているところでございます。
 私は、サミットの意義自体は否定しませんし、それが沖縄で行われたことによって警備などで非常に大きなお金がかかったということは承知はしておるのですけれども、果たして、それだけのお金をかけて本当の意味で国民にアピールするものがあったのかどうか、世界にアピールする有意義なものであったかどうかというところに関しては、大きな疑問を感じております。
 サミットはよく政治ショーという形で言われるわけですけれども、このショーという意味合いは、各国の総理が集まって会談するということだけではなくて、当然そこから発せられるメッセージが世界に伝わって世界の政治を動かすという点にあるというふうに考えます。
    〔委員長退席、玄葉委員長代理着席〕
 私ごとで恐縮ですけれども、私自身は一九七一年生まれ、沖縄返還が一九七二年ですので、当然のごとく、沖縄の戦争中の悲しい歴史も知りませんし、気がついたときにはもう沖縄は日本であった。その意味において、極めて皆さんとは異なる世代に属するわけです。ただ、私のような世代がもう生活を営み、私は結婚もしておりまして、多くの我々と同世代は、子供もいて、実際に子供にその歴史も語り継いでいかなきゃならない。その意味合いにおいて、果たして沖縄で開催されたサミットが何であったのかということは、私自身、ちょっと考え直していきたいというふうに思っております。
 沖縄を二十世紀最後のサミットに小渕元総理が選ばれたわけですけれども、沖縄の歴史に注目するのだということをおっしゃっておりました。小渕元総理の意向としては、やはり平和に対するメッセージ、何らかのアピールをしていきたいという思いがあったのではないかと思います。歴史的に見ても、二十世紀は戦争の世紀というふうに言われてまいりました。その戦争の世紀の最後に行われた沖縄のサミットで、仮に何らかの平和的なメッセージ、二十世紀の過ちを繰り返さない、二十一世紀に向かって平和な社会をつくるのだ、世界をつくるのだ、このメッセージが発せられれば、極めて今回のサミットの意義は大きかったし、歴史にも大きな偉業を残すことになったと私は考えます。
 そこで、河野外務大臣にお伺いしたいのは、これは政府の一答弁者という立場を超えて、多大な外交経験を持たれる政治家として、今回のサミットの意義をどうとらえられているか、また、私が申し上げたような平和のメッセージ、それに対してどういう思いを持たれるかということを伺いたいと思います。
#96
○河野国務大臣 沖縄サミットの意義についてお尋ねでございますが、私は、沖縄サミットと一言で言いますけれども、今回沖縄でサミットが行われたということは、そのサミットで世界の首脳が集まって、有益な議論が行われて、いいメッセージが出たということについて、出たか出ないかを含めてですけれども、評価されるということは、これは一つあると思います。
 それから、それはただ単にサミットの問題だけではなくて、あの沖縄の地に世界の首脳が集まったという、これはもう、仮にサミットというものの議論が平凡な議論であったとしても、そこに多くの首脳が集まって、こういう歴史があったのだなということを知ってくださるということがあれば、それはそれで一つの意義といいますか意味があったのだろうと思います。
 もっと言えば、沖縄を訪問された首脳の方々の感想の中に、やはり文化の多様性に対する驚きみたいなものもあったのですね。こういう文化、歴史とか伝統とかというものがこういうところにこういう形であるのだということについての理解、つまり、それはアジアに対する理解でもあるし、日本に対する理解、新しい発見でもあったと思うのですが、それはそれでまた意味があったと思うのです。
 私は、サミットにおいでをいただくために各国の首脳を歴訪いたしましたけれども、その首脳の方々の中で沖縄を知っておられた方はほとんどおられません。フランスのシラク大統領だけが、ああ沖縄、おれは行ったことがあるよとおっしゃいましたが、それ以外の首脳はほとんど沖縄に対する知識がございませんでした。日本といえば東京あるいは大阪、京都、こういう感じであった。そして、世界の首脳が沖縄という地域があるということを認識された。しかも、首脳が訪問されるということは、首脳一人ではなくて多くのマスコミも連れてこられるわけですから、そうした人たちに対して沖縄というものの歴史とか文化とかそういうものを知らせたということも意味があると考えていいと思うのです。
 また一方で、何といってもあれだけの米軍基地が沖縄に存在する、日本にある米軍基地の七五%が沖縄にあるという状況を、小渕総理はどういうふうにしてこの沖縄県民の皆さんの負担にこたえるかということをずっと考えておられたと思うのですね。そうした米軍基地の負担、あるいはさらには、県民所得からいっても日本で最も低い方に位置する沖縄の県民所得を考えれば、何とかして沖縄が例えば経済的にも浮上する方法はないものだろうか、あるいはこれだけの負担に耐えておられる沖縄県民に報いる方法はないものだろうか、さまざまな角度から考えて沖縄にサミットの会場を決められたのだというふうに思うのです。それは一つ一つ私はやはり大変意味のあることだと思いました。
 と同時に、沖縄で行われたサミットの議論も、私はさっき、仮にこの議論が平凡なものであってもなんて失礼なことを言いましたけれども、首脳が集まられて行われた議論というものは、やはり二十一世紀を目指すさまざまな問題にチャレンジしようという先進国の方向性というものを示す議論として評価されていいものだというふうに、これは多少我田引水でございますけれども、私はそう考えております。
#97
○細野委員 沖縄に首脳が集まってそこで沖縄のことを知っていただけた、また、その沖縄の市民がそこから平和のメッセージをあらゆる形で出していったということの意義はやはり大きくあると思います。その意味で沖縄でやった意義を私は否定するものではありません。
 ただ、サミットの最大の成果というのは、やはりそこからどういうメッセージが発せられるか、サミットの首脳がどういうメッセージを発するかというところにあると思うのですね。その観点からすると、今回なぜ沖縄だったのか、これだけのお金をかけてなぜ沖縄だったのかということに関しては、私はやはり正直疑問を感じております。
 それは、私自身がもう既に沖縄に対するちょっと特殊な思いというものをなくした世代であるから逆に内容を求めるというところがあるのかもしれないのですけれども、沖縄の方も含めて、メッセージの中に沖縄からこれが出たのだという部分がなかったということに関しては、私は正直不満があるということを申し上げておきます。
 もう一つ、同じく意義についてなんですけれども、アジアからの声を反映させるのだという意欲を小渕元総理はお持ちでした。それが大きな選定の理由にもなったということをおっしゃっておられます。この点に関して、アジアからのメッセージを本当に今回発することができたのかどうか、どのようにお考えでしょうか。
#98
○河野国務大臣 沖縄サミットの最後に発出されたコミュニケの中身について申し上げると少し時間が長くなりますから、コミュニケについては一つ一つ申し上げません。しかし、コミュニケの中にあったITにかかわる沖縄憲章でありますとか、あるいは朝鮮半島に対する特別声明でございますとか、それらはいずれも沖縄の地で発せられたものということで、私は十分評価していただけるものだと思います。
 それから、沖縄の平和の礎を訪れたクリントン大統領がサミット直後に、キャンプ・デービッドでまだ中東和平交渉が続いているわけですから、キャンプ・デービッドへ飛んで帰られて、そしてキャンプ・デービッドで議論をしている中東の人たちに、自分は沖縄へ行ってきた、平和の礎というものがあって、ここには勝者も敗者もない、死んだ人はみんなあそこに祭ってこういうことになっているのだという沖縄の話などもされたそうです。これは私はオルブライトさんから聞きましたけれども、そういうことは、クリントンさんにも相当強烈な印象をやはり沖縄が与えたというふうに私は思っております。これは一つの例でございます。帰られた首脳はそれぞれ沖縄の印象を持って帰られたというふうに私は思っております。
 それから、アジアの声がどう反映されたかというお尋ねでございますけれども、私どもはできるだけアジアの声を反映させたい、これは小渕さんの強い御要請でございましたから、我々もその小渕さんのお気持ちを体して、亡くなられた後もアジアの各国の首脳に会って、沖縄サミットに一体期待するものは何か、どういうことを述べてもらいたいかというようなことを聞いて歩いたこともございますし、それから宮崎の外相会議の際にも、沖縄のサミットの折にも、ASEANの代表でありますタイのチュアンさんでありますとかタイの外相を呼んで会議に参加していただいたということもございます。これは例のG77あるいはNAMの代表の方々にも御同席をいただいておりますが、せんだってASEANに参りましたときに、今度ASEANの議長をされましたタイの外務大臣もASEANの席で、日本は我々の意見を聞いてくれた、ASEANの気持ちがわかってくれた、我々を認めてその議論の前に参加させてくれたということを大変高く評価しておられた。これは一つの形式に対する評価でもあったと思いますし、そこで述べられた外相の意見なども、今度の宮崎の外相会議の最後の取りまとめの中にはかなり取り入れられておりますので、アジアの声は私は私なりに反映をさせたというふうに思っております。
    〔玄葉委員長代理退席、委員長着席〕
#99
○細野委員 アジアの声をということで、確かにタイの方が来られたり、また、事前にASEANを訪問されたというようなことは、私も承知しております。
 ただ、アジアの中には当然中国、韓国も含まれるわけでして、特に、今回中国はサミットに参加するのではないかという憶測も出ていた中で、結局それはかないませんでした。それは、さまざまな国際情勢の中でやむを得ない面はあったのかもしれないですけれども、中国の声というのは果たして反映されたかというと、非常に怪しい。特に、中国はむしろそれは避けたいわけですけれども、中台問題も含めて今回扱われなかったという問題がやはりあると思います。
 同じ問題は、やはり韓国についても、南北朝鮮の議論があった中でということでありますけれども、日本として意見聴取する機会が設けられていたのであれば、また違う展開はあり得たかなと思うのですが、いかがでしょうか。
#100
○河野国務大臣 韓国とは、実は極めて緊密に連絡をとり合っておりました。そして、私は、宮崎の外相会議の直後に宮崎から直接ソウルへ行って、韓国側に宮崎の外相会談の説明もすると同時に、さらに何か韓国側から御要請がありますかということまで聞いておりまして、韓国側は非常にそうしたことを多としておられますので、私は、韓国側にこの問題についての御不満は全くないと思います。
 中国についても、私ども、中国の意見もよく聞きました。これは、繰り返し何回も聞いたと申し上げていいと思います。
 中国が参加をしなかったのは残念だったという考えもあると思います。あると思いますが、これはむしろ中国側の御判断で、先進国の首脳会議には自分たちは参加しない方針なのだ、自分たちはむしろどちらかといえば途上国側の代表といいますか、途上国側に立っていろいろ意見を述べてきたし、そういう立場だと自分は考えているので、先進国の首脳会議というものに我々が参加するということは考えていないという意味のことを言われたと承知しております。
 と同時に、この先進国の首脳会議は、何といいますか、自由主義、民主主義、市場経済というようなものを前提として発展をした先進国の首脳が集まっている会議でございまして、そうしたところにどういう形でどういう人たちが参加することがいいかどうかということについては、首脳会議のメンバーの中にもいろいろ御意見があるわけで、私どもは、アジアで開かれる会議であるだけに、できるだけ参加されるものならされることも一つの方法ではないかと考えたこともございますけれども、なかなかそれはそう簡単にいかなかったという事情がございます。
 参加問題についてはそうでございますけれども、そこで議論すべき問題については中国側からの意見も聞いておりますし、こうした議題でこれから議論をしますよということも先方には十分説明はいたしております。
#101
○細野委員 中国の参加の問題については、ロシアの参加があって、一応先進経済という部分の枠は外されたわけですので、やがては私は必ず訪れるものだと思います。七年に一回しか日本では行われないという現実の中で、正直、今回が日本にとっても大きなチャンスだったのではないかという思いがございましたので、そういう質問をさせていただきました。
 時間もございませんので、IT憲章について一つお伺いしたいと思います。
 冒頭での外務大臣の御発言の中でも出ておりましたけれども、今回のサミットの最大の成果はIT憲章だと言われております。私自身、IT関係のいろいろなことを扱ってきた一人の人間としましては、正直言いまして、非常に総花的であり、かつ、課題について羅列しただけで何ら解決策が示されていないという不満を持っております。
 これのポイントについてもお伺いしたいのですが、きょうはそれはサミットの限界というところでとどめまして、唯一その中で見るべきものがあるとすれば、私はやはりデジタルデバイドの解消についてのものなのではないかというふうに考えております。
 これに関しては、声明が出されただけではなくて、日本としては五年間で百五十億ドルですか、非常に巨大なお金を拠出するということを宣言いたしました。一・五兆円という、ほかの国がついてこなかったという悲しい現実があるわけですけれども、果たしてそれが本当に効果があるのかどうかというところは、しっかり考えていく必要があると思います。
 八百億円というお金がサミットに出されて、それが大きな批判をされている中で、実は隠れたところに日本は一・五兆円、円換算すると約一・五兆円になるかと思うのですけれども、この一・五兆円は、日本のODA予算が一兆円ちょっとですので、年間のODAの予算の大体三〇%近い、そういう部分が流れるということに関して、それをどの程度具体化して、どこの国に対してどういう支出をしていくのかというのはどれぐらい詰められているのか。この説明責任は外務省にはかなり強くあるのではないかと考えるのですが、いかがでしょうか。
#102
○河野国務大臣 議員が今御自身でおっしゃるように、ITについて関心度は非常に高くて、我が国もそうですけれども、これからの国際社会全体がやはりITに向かって流れていくだろうと思うのですね。IT社会といいますか、ITを中心とした経済、あるいは政治、あるいは社会、どの分野にもITが大きな役割を果たすようになってくる。もうこの流れはとめようがない、どんどんそっちへ流れていくということに私はなるだろうと思うのです。
 ですから、IT革命といっても、ITを促進することも必要かもしれませんけれども、私は、これはもうむしろほうっておいたってどんどん流れていくだろう。もちろん、開発途上国の中には、端末をどうするかとか何をどうするかという問題はあると思いますけれども、大きな流れはもうそういうふうに流れていくだろう。
 そこで、問題は、デジタルオポチュニティーとデジタルデバイド、二つを考えている。まずは、デジタルオポチュニティーというものがあるんだよ、だからこれに流されることは怖いことじゃないんだ、これを上手に使うことが大事だよということを言うと同時に、現実にあるデジタルデバイドをどうやって溝を埋めていくかということが大事だというのが議論であったわけで、そのデジタルデバイドに百五十億を日本は出しますよということを申し上げた。
 それで、五年間で百五十億、それは何に出すか、どこに出すかという議論でございますけれども、私どもは、一つは人づくりといいますか、とにかくITを使って行政もやるようになるだろう、あるいは経済もITが駆使されるようになるだろう。そういうときに、そういうものを十分理解した、そういうことを指導できるような人をまずつくるということが大事ではないか。その人づくり、人材育成のために我々はできるだけサポートをいたしますということが一つ。
 それからもう一つは、やはりそれぞれの国には、IT全盛時代になったときに法律上問題が起こる部分もたくさんあるだろう。その法律をどういうふうに直していくことがいいかということなどについてもアドバイスができるような体制を我々はつくらなければいけないでしょう。
 そういったようなこと、つまり、本来こうした問題についてはどんどんと民間主導で進んでいく、そういう状況の中で、それを補完する役割として政府は何か仕事をするべきだということを考えて、その補完的な役割を果たすという意味で私どもは考えているわけです。
 それで、お尋ねのように、では、どこの国にどういうふうなお金を出す計画があるのかと言われれば、そこまでまだ、これはとにかく、我々もこれだけ出しますよと。他の先進国も出してくる可能性もあるわけですから、そうしたものをひっくるめてどのくらいになるか、ちょっと今私にはよくわかりませんが、我々の気持ちとしては、恐らく、アジアを中心にこのデジタルデバイドの問題解決のために我々は応援をしていくということになるのだろうと思っております。
#103
○細野委員 もう時間もございませんので、一・五兆円の根拠がないというのが正直なところでして、それは本当にできるだけ早く固めてディスクローズしていただきたいということが一つ。
 最後に一つだけ。
 日本の場合は、とにかくネットワークの部分であるとかコンテンツの部分であるとかルールメーキングの部分で負けているわけですね。世界的な流れの中で今おくれをとっている日本だけが支出してアジアのデジタルのレベルが上がったとしても、本当に日本にその利益が上がってくるかどうかというのは非常に怪しいと私は考えています。
 したがいまして、お金を出すと同時に、世界的なルールメーキングの場にしっかり日本が発言していく、特にWTOの場が重要だと思うのですけれども、それを特にやっていただきたいということ。
 正直言いまして、森総理大臣のIT音痴というのが私は気になるところでして、本当にあの方にできるのかどうかという部分があると思うのですが、私は、今政治のイニシアチブがここで必要とされているということを最後に申し上げまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
#104
○中野委員長 次に、土田龍司さん。
#105
○土田委員 サミットの話はもう随分出ておりますので、一つだけ聞いておきたいのです。
 クリントン大統領は一番遅く来て一番早く帰ってしまったわけでございますけれども、どうも私から見ていますと、感じとしてアメリカになめられているのじゃないか、そういう感じがするのです。スケジュールはすべて優先順位でございますので、クリントン大統領は沖縄サミットの優先順位を後回しにしたのじゃないかという印象を私は持っております。外務大臣はどういうふうにお考えでございますか。
#106
○河野国務大臣 議員御承知のとおり、クリントン大統領は、当時、キャンプ・デービッドで中東和平交渉に取り組んでおられたわけでございまして、そういう中でも、沖縄サミットはどんなことがあっても行きます、おくれずに行きますということを繰り返し連絡をしてこられました。
 私は、中東和平というのも歴史的に極めて重要な大きな問題でございますが、一方、長い間準備を重ねてきたサミットでございますから、これも軽視してもらっては困るなと思っておりましたけれども、クリントン大統領の方から、沖縄について、必ず行きます、これを軽視するようなことはございませんということを言われておりまして、予定の時間よりは少しおくれましたけれども、サミットの行事については最初から最後まで完璧に務められました。私は、それは大変な努力だったと思います。
 私も沖縄の飛行場でクリントン大統領をお迎えしましたけれども、アメリカから大統領専用機で全く給油もせずに直行して沖縄に来られて、飛行機をおりるや否やヘリコプターに乗りかえられてそのまま平和の礎に行って演説をするという大変な強行軍でございましたけれども、予定の日程は完璧にこなされております。
#107
○土田委員 今回のサミットが沖縄で開催されたことは、G8の首脳には沖縄が基地の島であるという印象が伝わったと思っております。しかしながら、七月二十二日に行われた日米首脳会談では、沖縄県民が期待していた米軍基地の縮小問題、これについては具体的な話が出てこなかったわけです。特に、普天間の代替基地の十五年期限問題に関しては、アメリカは全く譲歩する余地を見せていないわけでございますけれども、今後、歩み寄りの余地は残されているのでしょうか。あるいはまた、SACOの合意後、既に三年経過しているわけでございますが、進捗状況はほとんどよくありません。何らかの施策が必要な時期に来ているのじゃないかというふうに私は思っているのですが、これについてお答え願います。
#108
○河野国務大臣 日米首脳会談におきましては、さまざまな議論について森総理との間にお話がございました。もちろん、その中には普天間の問題も話題になったことは当然のことでございます。さらに、今お尋ねのSACOの問題についても話題になっております。
 普天間飛行場の移設問題につきましては、森総理より、代替施設に関する使用期限の要請については既に米国政府との間の話し合いの中で数回にわたって取り上げてきたところであり、今後、国際情勢の変化に対応して、同飛行場の代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成などの軍事態勢につき米国政府と協議していくこととしたい、我が国としては、国際情勢の肯定的変化のための外交努力を積み重ねていく考えであって、右についても米国と協力をしていきたい、こういったような森総理からの御発言があったと承知をいたしております。
 これに対しましてクリントン大統領からは、在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成などの軍事態勢については、SACOの最終報告及び一九九六年の日米安保共同宣言を踏まえて日本側と緊密に協議をしていきたいというお話がございました。
 これを踏まえて政府としては、今後とも昨年末の閣議決定に従って適切に対処してまいりたいと思っております。
#109
○土田委員 次に、朝鮮半島の安全保障問題なんですが、これも何回も出ておりますけれども、ロシアのプーチン大統領のサミットの発言は、米国のNMD計画をめぐって日米に対してロシア、中国、朝鮮という構造を構築しよう、そういうふうに考えられるわけです。このような構造が東アジアの平和と安定にとって大きな障害になるのではないかと私は思っております。
 こうしたNMD論議が既に日米間で共同技術研究が始まっているTMD構想へ波及するとすれば、北朝鮮カードを持っているロシア、中国とは決定的に対立することになる。我が国は、TMDを配備すれば米国との関係は緊密化するわけですが、結果的に我が国の外交を縛ってしまうことになる。そうなる前に、我が国のTMDに対する立場を、ロシア、中国、朝鮮のみならず、国際社会に向けて明確に、説明といいましょうか、はっきりさせる必要があると思っているのです。これについて政府の見解をお尋ねしたいと思います。
#110
○河野国務大臣 プーチン大統領は、今回のサミットに参加をされる前に、今議員御指摘のように、北朝鮮その他を歴訪した後沖縄に来られたわけでございます。
 余談で申しわけありませんが、サミットに参加された首脳の方々を横で私も見ておりまして、最も緊張して用意万端、準備万端整えてこられたのはプーチンさんだなと。これは、プーチンさんはいわゆる国際会議に初めてデビューされるわけですから、ある意味では大変構えてこられた、そういう印象を私は持ちました。
 それはそれとして、いずれにせよ北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国なり中国なりとロシアとの関係は、かねてから十分話し合いのできる関係でございますから、そうしたことを話し合いをされた上で来られたわけですが、安全保障問題につきましては、私は、やはりそれぞれが相当前広に注意深く発言をし、作業をみんなするわけです。ロシアにせよ中国にせよ北朝鮮にせよ、安全保障問題といえば、相当注意深くあらかじめの議論をし、発言をしておく。我々も我々で、ぎりぎりのところで言うのではなくて、できるだけ安全を確保するために用心深く発言をし、作業をするわけでございまして、お互いがそういう発言をし合いながらも、話し合いというものがその間に持たれて安全保障というものはつくられていくものだというふうに私は考えております。
 今TMD、私どもBMDと言っておりますけれども、TMDについてお尋ねでございますが、この問題については、先ほどもどなたかに御答弁を申し上げましたが、まだ日米で調査研究をしようという段階でございます。まだまだこれはあくまでも調査研究の段階でございまして、これが技術的にどういうことになるか、あるいは国際情勢の上でどういうことになるか、安全保障の上でどういうことになるかというようなことをすべて考えなければなりません。その前提としての調査研究が今始まった段階でございますから、そこはそういう段階だというふうにぜひ御理解をいただきたい。
 と同時に、我々は、やはり自国の安全保障の問題でございますから、これはもうないがしろにするわけにはいかないわけでございますから、できるだけ安全度の高い方法、なおかつ国際社会との協調といいますか、そういうことができる方法というものを追求していかなければならないというふうに思っているところでございます。
#111
○土田委員 わかりました。
 政府は、これまで米国の本土防衛に関しまして、NMDは米ロ二国間の問題だとずっと言ってきたわけですね。配備が決定をしていないのに見解を出せないということをおっしゃってきたわけですが、八月一日の参議院本会議で森総理は、我が国としても理解しているというふうに姿勢の転換をされました。どういった背景からこういった転換になってきたのか、これについて御説明を願いたいと思うのですが。
#112
○河野国務大臣 結論的に申し上げれば、我が国がこの問題について何らかの考え方の変更を行ったということではございません。御承知のとおり、NMDはあくまでアメリカの安全保障の問題でございますから、アメリカが国際社会の中で大陸弾道弾その他運搬手段等が拡散してきているということに対する不安というものを持っているということであれば、こうした問題についてアメリカがいろいろ考えるのも当然といえば当然と言えるのじゃないかということに理解を示したというだけであって、それ以上のものではございません。したがって、従来の考え方を変更したものではございません。
#113
○土田委員 次に、在日米軍が保管するPCBのことでちょっとお尋ねしたいのです。
 在日米軍が保管している四百四十トンのPCB含有物質の処理についてでございますけれども、七月一日付の各新聞報道では、衆議院外務委員会において、日本国内に残るPCB廃棄物は二十トンと説明をしておりました。これを百五十トンに訂正したわけでございますが、訂正した事実関係を詳しく御説明を願いたいと思います。
#114
○河野国務大臣 まことに申しわけなく思っておりますが、確かに私は、相模総合補給廠に保管されているPCB廃棄物の残されたものは二十トンであるということを国会で答弁いたしました。しかし、その後、アメリカ側が調査をいたしまして、アメリカ側から、実は、よくよくよく調べてみたら二十トンではなくて百五十トンあったということを報告してきたのでございます。
 もう少し正確に申し上げますと、米軍施設・区域のPCB廃棄物につきましては、国民及び地方自治体の関心も踏まえまして、アメリカ側に対して情報提供を求めてきた結果、六月三十日に、相模総合補給廠に保管されているPCB廃棄物の量などを公表した。相模総合補給廠に保管されているPCB廃棄物の量については、それまでも累次の機会に米側に照会しておりましたが、当初の段階では情報が必ずしも正確かつ十分ではなく、その後米側において改めて確認した結果、同補給廠に保管されているPCB廃棄物の量は約百五十トンである旨説明があり、直ちにこれを公表したものでございます。
#115
○土田委員 わかりました。
 このPCBの廃棄物は年末までに二百四十五トンにふえていくわけですね。この処理方法についてなんですが、五月十三日に横浜港から運び出したのと同じように国外に持っていくのか、それとも、米国が言っておりますように、我が国の中でそういった施設の建設を考えているのか、この辺はどうでしょうか。
#116
○河野国務大臣 これが実はなかなか難しい問題でございまして、PCBの廃棄物の問題は、一般論として申し上げれば、米軍がこうした廃棄物を国外に持ち出すといいますか、国外に持ち出すということは輸出するということになるわけでございますが、本件廃棄物を国外に輸出しようとする場合には、バーゼル条約との関係などの検討を行うことが必要となってくるわけでございますが、政府としては、アメリカ側との間で引き続きこの問題について話し合っていかなければならないと考えております。もちろん、一方、関係省庁とも相談をしつつ、適切に対処してまいりたいと考えているところでございます。
#117
○土田委員 ちょっと時間がなくなってしまったので、少し神奈川県の問題をお尋ねしなきゃならないんですが、神環保のダイオキシンの問題でございます。
 五月末までに三つの炉すべてにバグフィルターの取りつけが終わったわけですね。四月十八日の衆議院の安保委員会でバグフィルターが設置されると数十分の一から十分の一ぐらいの数値に低減されるというふうに言っておったわけですが、この三月十一日から今年度末までの予定で日米共同で行っております環境モニターのバグフィルターの効果、調査結果、これについてお答えください。
#118
○廣瀬政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のとおり、業者側は神奈川県の施設改善勧告に沿って既にバグフィルターの設置工事を完了させております。今後、バグフィルターが適正に運用されれば、ダイオキシンの排出が大幅に削減されることが見込まれております。
 なお、先生おっしゃいましたように、三月より行っている日米共同モニタリングの調査結果については、米国側と共同でデータを精査の上、取りまとめるということになっておりまして、現在、サンプルの分析、そしてデータの精査、集計を行っております。そういうことで、まだはっきりと申し上げられる状況にはございません。と申しますのは、また米軍側との話し合いになりますが、前に行いました、平成十一年の七月に日米で共同調査を行っております、この調査期間が七月七日から九月一日ということ、そして南風の吹く状況ということもございます。そういうことを踏まえますと、今後、調査の結果をある程度長い期間をとって評価するということになるかもしれません。
 そういうことで、今後とも誠心誠意、日米でこの科学的データについての分析を続けて、しっかりした形での公表をしてまいりたいというふうに思っております。
#119
○土田委員 細かいことなんですが、神奈川県の地元の問題なものですから。煙突の問題です。
 米国側が高い煙突をつくってほしいというふうに求めているわけですが、神環保はこれについては対応に難色を示しておるわけですね。これについては、米軍の軍人や軍属や家族の問題もありますけれども、周辺住民の、いわゆる日本人の健康を考えた場合は当然必要であるわけです。これについて一刻も早く解決をしなきゃならないわけですが、思いやり予算を使うわけにいかないのですけれども、政府の予算として、国の費用で早くやるべきだと思うんですが、最後にお答えください。
#120
○仲村政務次官 ただいま御指摘の株式会社エンバイロテック、旧神環保は、神奈川県の改善勧告に従って、ダイオキシン類等の有害物質を低減させるバグフィルターの設置を完了しているものと承知をいたしております。
 バグフィルターが適正に運用されれば、ダイオキシン類等が健康に害を及ぼさないレベルまで削減されることと見込まれておりますが、バグフィルター設置が完了した後においても、焼却施設と米軍住宅の位置の高低差等によりまして、焼却炉からの排煙が風向きによっては米軍家族住宅に直接吹きつけるという事態があり得ることから、国の経費負担で高煙突化に取り組むこととするものであります。なお、このため、平成十二年度予算に所要の予算約十一億円を計上しているものであります。
 本問題につきましては、米軍家族住宅地区に居住する米軍要員及びその家族、並びに同飛行場内で働く日本人従業員や周辺住民の健康にかかわる深刻な問題であることから、本年三月十日の閣議後、官房長官、防衛庁長官、環境庁長官、外務大臣及び厚生大臣の関係閣僚が今後もなお一層一致協力して努力していくことを確認するなど、政府全体として取り組んでいるところであります。
 当庁としても、早急な問題解決のため、最大限努力を行う考えであります。
#121
○土田委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。
#122
○中野委員長 次に、赤嶺政賢さん。
#123
○赤嶺委員 日本共産党の赤嶺政賢です。
 大分時間がずれ込んでしまいましたが、私も、沖縄サミットについて、特に沖縄県出身の衆議院議員という立場もありますので、質問をしていきたいと思います。
 森総理は本会議で、「沖縄の力、二十一世紀に向けての明るく力強い平和へのメッセージを発信することができた」と評価をしておられます。私は、また別の立場から、七月二十日には嘉手納基地包囲の人間の鎖にも参加をしてまいりましたが、沖縄県民がサミットの機会にかけた最大の願いは、米軍基地の問題であったと思うんです。
 この点で言えば、例えば沖縄の地元紙は、七月二十三日の琉球新報の社説では、アジア最大の米軍基地がある沖縄で行われた歴史的な日米首脳会談だが、これは首脳会談の問題について言われているわけですけれども、新しい世紀へ展望を切り開くメッセージではなく、基地固定化の懸念が増幅される結果となった、沖縄で首脳会談を開いたらかえって基地の固定化につながるような話し合いをしている、このように言っているわけですね。
 それから、沖縄タイムスは、同じ日なんですが、基地問題で際立ったのは、日本政府のどっちつかずの態度である、こういうぐあいに述べておられるわけです。政府のとった態度を厳しく批判しているわけですが、私もこの批判が当たっていると思います。
 この点について、外務大臣、特にサミットで沖縄の米軍基地問題についてこれらの批判が起きている、これについての外務大臣の見解をお願いしたいと思います。
#124
○河野国務大臣 御案内のとおり、サミットは、特定の国、二国間問題について議論をするということにはなっておりませんので、二十一世紀に向けて国際社会全体の問題について議論をするというふうに議題設定その他が整理されておりますから、私は、サミットの議論の中で基地問題が議論をされた、あるいは議論が少なかったということは、それによってサミットがだめだったという御批判は当たらないのではないかと思います。
 問題は、それよりも、先ほど申し上げましたように、沖縄にあれだけの先進国の首脳が見えたわけですから、その首脳の方々に沖縄の基地がどういうふうに見られたか、あるいはそうした首脳が沖縄の現状というものにどういう関心を寄せられたかというお話であるとすれば、それはまた別のことだと思います。サミットについてそういう期待をし、そういう議論をし、サミットをやったら固定化することになったという議論は、いささか的外れの議論ではないかというふうに私は思います。
 先進国の首脳の中で、例えばクリントン大統領が平和の礎で演説をされた、沖縄県民に直接呼びかけられた演説、あの演説の後に、沖縄の自治体の長の方々あるいは沖縄の県民、市民の方々の何人かの方のコメントが、これまた今お話しの新聞の記事に出ておりましたけれども、そうした記事の中ではやはり評価する声もあった。アメリカ大統領が来られて現実を見てくれたことはよかった、あるいは大統領のスピーチというものは我々はいいスピーチだったというふうに聞きましたということを言っておられる方もあるわけで、私は、サミットでの議論と、サミットに参加された先進国の首脳の方々の関心度、あるいはどういう感触を持って帰られたかということは、やはり分けて考えないと、あのサミットは基地問題をやるためのサミットではなかったわけだということをぜひ御理解いただきたいと思うのでございます。
#125
○赤嶺委員 外務大臣、私はサミットの機会にかけた沖縄県民の要求だと言ったんですよ。サミットで何が話し合われたか、多国間協議で沖縄の米軍基地問題を話し合わなかったじゃないか、こういうことを聞いているわけじゃないんですね。サミットの機会に沖縄県民は米軍基地問題の解決についてやはりきちんと取り組んでほしかった、そういうことを先ほど主張したわけです。
 例えば、サミットでは海外のメディアだけで三十二カ国一千人のメディアが沖縄を取材しているんですけれども、このメディアが世界に発信した中身というのは、本当に沖縄県民の気持ちにぴったりのものが大変多いんですね。
 これは七月二十二日の毎日新聞に紹介されていたわけですけれども、CBSは、画面で住宅地の上空を飛ぶ米軍の戦闘機と人間の鎖の映像を映して、反基地の行動は東アジアで起こっている反米感情の波だという米軍関係者の声を伝えているわけです。
 それから、ドイツのARDTV、シェーラー記者の談話が載っておりましたが、ドイツにも米軍基地はあるが、こんな狭い場所に集中していないと大変驚いておられるわけです。
 それから、イギリスのフィナンシャル・タイムズ紙のエンゲルハルト記者は、沖縄はまるでアメリカの植民地だという感想を述べておられるわけですね。これは毎日新聞に紹介されている中身です。
 世界のメディアは沖縄の実情を非常にリアルにとらえて世界に発信をいたしました。しかし、あなた方は、日米首脳会談やあるいは森総理大臣のいろいろな発言を通しても、これらの米軍基地の深刻な現状について何ら発信しようとしなかった、そのことを私は厳しく批判しているわけですけれども、いかがでしょうか。
#126
○河野国務大臣 私は、沖縄からさまざまなメディアがさまざまなニュースを発信されたということ自体大変結構なことだと思います。それはやはり、沖縄でサミットが開かれたことのその機会にそれだけ多くのマスコミの方々が沖縄を訪問されたわけですから、沖縄でサミットを開いたということの意義というものはそこにも一つあらわれているというふうにぜひ御理解をいただきたいと思います。
 しかし、残念ながら、やはりメディアの見方は必ずしもすべてではないということもあるのではないでしょうか。今御披露いただいたメディアの沖縄紹介の中に、沖縄がさながら米軍の植民地のように見えたというような紹介は、恐らく沖縄の方々から見れば、随分失礼な紹介だな、あるいは事実と反することを紹介されたものだなとお思いになったのではないのでしょうか。もっと沖縄というものは、私から申し上げれば、立派な歴史とか文化とかというものも一方である。確かに戦争のあの悲惨な経験もなさった。そして現実に基地があれだけ多く集中しているという事実もある。それは私は認めます。認めますけれども、一方で、沖縄の人たちが持っているあの自立、自主の強い気持ち、決意というものは、決して植民地だなどと見られるということに対しては納得をなさらないのではないかというふうに私は思います。
 繰り返して申し上げますが、さまざまなメディアが沖縄を見、沖縄から発信されて、そして世界の人たちが日本の沖縄というものを知ったということについては、私は、以前に比べればはるかにいいことであったのではないかというふうに思います。
#127
○赤嶺委員 私は全く逆です。沖縄に生まれ、そして沖縄に育ち、沖縄でサミットを迎えて、世界のメディアが沖縄にやってきて沖縄はまるでアメリカの植民地だと言った。私たち沖縄県民の気持ちをよく伝えてくれた、こういう気持ちでいっぱいであります。
 七月二十日に嘉手納基地包囲の人間の鎖が行われました。この人間の鎖は、企画の段階から、サミットの期間中にやろうかだとか、あるいはサミット前は大変警備が厳しくて一体成功するだろうか、そういうようないろいろな議論を重ねて七月二十日に人間の鎖をやりましたけれども、本当に予想以上の沖縄県民が集まってまいりました。それは、日本政府が沖縄でサミットをやっても米軍基地問題の深刻な現状について取り上げようとしない、であるならば、沖縄県民みずからが世界に発信しようではないかといって取り組んだのがあの人間の鎖なんですね。あれは一部の人たちの基地反対の行動ではないのです。
 外務大臣もお読みだとは思いますが、その人間の鎖についてどう評価するかということで地元の新聞がアンケートをとりましたら、人間の鎖で沖縄の心が世界にアピールできたと答えた県民は八〇・二%に上っているというわけですね。ああいうことをやってほしかった。沖縄県民は米軍基地に苦しめられている、そのことを世界に伝えてほしかった、これが県民の心であるわけです。
 ところが、皆さんがやったのは、例えば、先ほどから出ているように、クリントン大統領の平和の礎での演説がありました。クリントン大統領は、沖縄の米軍基地は死活的に重要であったということしか言わなかったのですね。これからも大事だという、基地の矛盾について解決の展望を示すどころか、死活的な重要性しか説かなかったわけです。
 それから、日米首脳会談が行われて、スタインバーグ報道官はこの日米首脳会談の模様について伝えているわけですが、沖縄において森首相が強調し、大統領も繰り返し述べたのは、米国が果たす肯定的な役割とこの地域における米軍のプレゼンスの重要性ということだった、このように発表しているわけです。日米首脳会談では沖縄基地の重要性しか話さなかった、こう言っているわけですね。
 そこで、私聞きたいのですけれども、皆さん、米軍基地、特に普天間基地の移設について、十五年の期限をつけて移設するということには、私たち日本共産党はそうであっても反対であります。しかし、同時に、稲嶺知事が十五年として持ち出してきた背景には、沖縄の基地の現状は過酷である、受け入れるにしても十五年の使用期限は必要であるという立場から持ち出してきている性格の問題でもあり、選挙の公約でもあり、皆さんはその稲嶺知事を支持したわけです。ところが、今進んでいる事態というのは、その十五年の使用期限さえ明確にしないまま、普天間基地の移設について基本計画の設定に移ろうとしている、こういう事態が起きていると思うのですね。
 一体、十五年の使用期限について、今度の日米首脳会談、沖縄で開かれたこの首脳会談で本当にきちんと約束したのかどうか。約束しないまま、普天間基地の代替地、新しい基地建設に移ろうとしているのではないか、このように考えますが、いかがですか。
#128
○河野国務大臣 アメリカ大統領の平和の礎の演説は、議員がおっしゃるような部分だけを述べられているわけではございません。アメリカの大統領は、自分は沖縄県民がどういう気持ちを持っておるかということをよくわかっています、よく理解をしておりますということを言っているのであって、今議員がおっしゃったことだけを言ったのではないということを、まず最初に申し上げておきたいと思うのです。
 これはそう長いものではありませんけれども、その中の一部だけを取り出してこういう演説はよくないというふうにおっしゃるのは甚だ不適当だと私は思うものですから、一部を申し上げたわけでございます。
 それから、十五年という問題についても、共産党はもう当初から十五年だろうが何年だろうがだめだということをおっしゃっておられるということを、私は非常に残念に思っております。今、我々は何とかして建設的な協議を積み重ねたいと考えているわけでございまして、先般の日米首脳会談におきましても、森総理よりクリントン大統領に対しまして、普天間の移設について、この問題について取り上げているわけでございます。私どもとしては、閣議決定がございますから、その閣議決定の線に沿って努力をしているところでございます。
#129
○赤嶺委員 もうまとめますけれども、十五年の問題について言葉にさえ出して言わなかったあなた方から、日本共産党の立場についてあれこれ言われるようなことは全くないと思うのですね。まずあなた方が守る姿勢を見せなければ、私たち日本共産党の見解についてあれこれ言う立場にはないということを申し上げます。
 同時に、一九九五年に少女暴行事件が起こりました。それで、今の十五年問題とかかわって、あるいは皆さん方が進めようとしているSACO合意とかかわって、沖縄ではどんなふうに見られているかといいますと、こういうSACO合意だとか十五年の使用期限というのは、九五年の危機を回避する緊急措置として見るべきで、実効性からすると、日米関係に仕掛けられた時限爆弾の爆発時間を設定し直した程度の意味しかない、このように言っているわけですね。これは七月二十日の琉球新報の編集局長の主張です。つまり、あなた方が今沖縄でやっているのは、沖縄県民の基地への怒りの時限爆弾の爆発時間を先延ばしする程度のことしかやっていないという評価を受けているのです。
 この評価を受けている中での十五年使用期限ですから、アメリカはもう十五年使用期限について全く、あなた方の弱腰の対応について、守れないことははっきり言っているわけですから、この際、守れない以上、普天間基地の移設は行わないということを強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。
#130
○中野委員長 次に、今川正美さん。
#131
○今川委員 社会民主党・市民連合の今川正美でございます。
 当初の予定ですと十二時五分までということでありますが、若干時間をいただきたいと思います。
 私にとりましては本日が初めての質問ということもございますし、九州では先ほどの沖縄に次ぎまして米軍基地を抱える佐世保に住んでおりますので、この三十年余り、外交、防衛問題にはひとしきり深い関心を抱いてまいりました。本来ですと、ぜひ河野外務大臣から日本の外交に関する基本方針を伺うところでありますけれども、時間の関係もございますので、前置きを一言だけやって、三点ほど伺いたいと思います。
 一つは、これまでの何らかの脅威を想定した上で軍事同盟で歯どめをかけるようないわゆる脅威対処型から、これからの我が国の外交、防衛は、いわゆる信頼醸成、信頼の構築を基礎にしたいわば対話と協調型の新しい安全保障という考え方に、あるいはそういうシステムの方に大きく転換をしていくことが必要ではないかというふうに思うわけであります。
 そういうことを前提にしまして、一つは朝鮮半島と日本の問題でございます。
 これは提案なんでありますが、今度の衆議院選挙の投票日、六月二十五日は、くしくも朝鮮戦争が勃発をした日であったはずであります。ちょうど五十年目にして、先ほど外務大臣もおっしゃったように、まさに歴史的、画期的な南北の首脳会談が行われた。ここを大きく踏まえまして、同時に、日本と朝鮮民主主義人民共和国、いわゆる日朝間の外相会談まで行われたわけでありますから、九月に予定をされております国連のミレニアムサミットあるいはミレニアム総会、この場に、今伝えられるところによりますと、朝鮮の側からは事実上のナンバーツーと言われます金永南さん、最高人民会議常任委員長さんがお見えになるのではないかということも聞かれるわけでありますが、外務大臣、ぜひこの場で、今度は日本と朝鮮の事実上の首脳会談の実現をやっていただけないものか、外務大臣として森総理にぜひお口添えをいただきたい。
 もしこうしたことを通して日朝間の国交正常化が成れば、日ソの国交回復のときの鳩山元総理、それから日中国交回復のときの田中角栄元総理、これに次ぐ日朝国交回復の森総理ということで、まさしく戦後の日本の政治史に残る総理大臣になるのではないか、そういう期待もするわけであります。この日朝問題に関しては、九月の国連ミレニアムサミットの場で、ぜひ日朝間の事実上の首脳会談の実現を働きかけていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#132
○河野国務大臣 今川議員からの御提言は十分注意深く伺いました。
 この問題は、韓国の金大中大統領から森総理あてに、南北首脳会談の後、首脳会談の報告、説明のための、たしか電話だったと思いますが、電話でお話がございまして、そのときのやりとりの中で金大中大統領は、こうした問題はなるべくトップ同士が話をすることによって問題が解決されるのだ、事務的にやっていてもなかなか解決が難しいことも多いよ、だからなるべくトップが会うということが大事で、どうやってトップが会うかということをよく考えた方がいいという意味のアドバイスがございました。
 総理は、それを聞いておられまして、非常にその部分に関心をお持ちでございます。総理自身、チャンスがあれば首脳会談ということも頭の中にはお持ちだろうと思います。
 しかし、問題は、そういうチャンスがそんなに早く来るかどうかということについては、これはなかなかそう簡単ではないかもしれません。確かに、九月のミレニアムサミットには、私もこの間、朝鮮民主主義人民共和国の外務大臣にどなたが参加されますかというふうに伺ったところ、金永南氏が行くと思います、こういうお話でございました。
 しかし、そこですぱっと会うだけの周辺の環境が成熟してくるかどうかということについては、私はそういうことをさせたくなくてガードをしようというのでは全くございませんが、やはり、これはある程度の状況の成熟度といいますか、そこで会ったときにはどういう問題で最終的な判断をするかというぐらいのところまでは絞れてきていないと、なかなかそう簡単にはいかないかもしれないというふうに思っておるわけです。
 しかし、今まさに議員がおっしゃいましたように、国連の場などというものは廊下ですれ違うかもしれません、どこでどうなるかということはわからない場合もあるわけでございますから。しかし、今議員がお話しのような趣旨であれば、それは廊下ですれ違いざまに立ち話というのではなくて、やはりちゃんとアジェンダに従って整理された場所で議論をするということであるとすれば、私が見る限り、そこまでいくかなという感じでございます。
 しかし、いずれにしても、その九月の国連のミレニアムサミット前に、八月には日朝国交正常化交渉が東京で行われるわけでございますから、その交渉の結果がどこまでいくかということも、まだ実は全くわかっておりません。いろいろな状況というものを判断しなければならないと思います。しかし、トップが会うことが大事だという御提案、御提言については、私は注意深くお伺いをいたしました。
#133
○今川委員 次に、二点目でありますが、基地問題であります。
 これは御承知のように、ちょうど十年前、一九九〇年に当時のアメリカのチェイニー国防長官のいわゆる東アジア戦略報告の中では、当時アジアに展開する十三万数千人の米軍部隊を大幅に十年かけて本国に撤収する、そういう計画がございました。それが実現されていれば、ことしじゅうには在日米軍基地が大きく削減をされていただろうというふうに思うわけでありますが、残念ながら、これは五年前のナイ・レポートを中心としてそこでとまってしまいました。
 私は、昨年十一月、アメリカのカリフォルニア州の基地視察に行ってまいりましたが、アメリカでは、大ざっぱに言いますと、この十年間に基地を閉鎖する法律を制定して、過去四ラウンドにわたって米本国の基地を閉鎖をしたり縮小したりしておりまして、結果的には、約五百カ所あった米国内の基地が少なくとも百五十カ所は閉鎖をされたり縮小されたりしているというふうに伺っております。つまり、ある意味で冷戦が終わってから十年、平和の配当をそういう形で実現をしているわけでありますが、それに比べますと、残念ながら、我が日本の在日米軍基地は固定化されてみたり、あるいは私の住む佐世保にエアクッション型の揚陸艇、LCACの新しい基地を隣町の西海町に十五年がかりでつくるという計画がございます。これは、新たな基地の拡大と言わざるを得ないわけです。
 私が申し上げたいことは、少なくともアメリカ本国並みに、この我が日本の在日米軍基地も計画的に合理的に縮小したり集約をしたりすることがぜひ必要だと思うのでありますが、その前提条件としては、外務省や防衛庁、あるいは防衛施設庁のところかもしれませんけれども、北は三沢から南は沖縄まで、在日米軍基地の実情、実態の検証だとか点検だとかを日本政府として行ってきたことがあるのかどうか、そこをお伺いしたいと思います。これがない限り、日米でさらに交渉を詰めていくといっても、アメリカの言いなりにならざるを得ないのじゃないでしょうか。そこのところをお伺いしたいと思います。
#134
○河野国務大臣 議員がおっしゃいます調査というものが何を指すかということが余り定かでないので、御答弁も大変抽象的かつ難しくなって恐縮でございますが、今、議員のお話を私なりに受けとめるとすれば、米軍基地の、この基地の役割があるかどうかということについて調べたか、そういう意味だというふうに受けとめさせていただくとすれば、そうした調査をしたことはございません。
 そして、米軍のプレゼンスというものは、やはり日本周辺の、日本の平和と安全というものについて極めて重要だという状況というものは、今も現実に変わっていないという認識を日米双方それぞれが持っておりますし、アメリカは、日米安保条約によってそうしたことを考えているというふうに思います。
#135
○今川委員 きょうは時間がございませんので、また機会を改めてぜひもっと具体的に御質問もいたしたいと思うんです。
 最後に、いよいよ広島、長崎原爆の慰霊日を直前に控えておりますが、この点に関しまして、核の軍縮に関して、先般森総理は、新たな核軍縮決議案の準備があるというふうな趣旨のことを御発言なさっておりますけれども、その具体的な中身に関してぜひ御説明をいただきたいことと、私は、この北東アジア地域に、我が党の土井党首も提唱していますように、非核地帯の設置構想をより具体的に進めるために、ぜひ外務省としても努力をいただきたいということ。それからいま一つは、昨日の新聞にも出ておりますが、アメリカやロシアが行っている臨界前の実験に対しては、やはりきちっとした日本政府としての抗議の意思表示をしていただきたい。そうでない限りCTBT体制が崩れ去ってしまうのではないかという懸念がありますので、以上の点について外務大臣の御見解を伺います。
#136
○河野国務大臣 国連におきます決議を提出いたしましたのは今から七年ほど前でございましょうか、私どもがいわゆる究極的核廃絶という決議を国連に提出をいたしました。
 思えば、あのときは国連で決議案を日本が出したということがそもそも初めてでございまして、さらに、国連の場で、究極的であれ何であれ、核廃絶という言葉が国連の本会議場で採択をされたということは初めてのことでございました。私は、あのときのことを決して忘れないのでございます。
 しかし、その後いろいろな状況がございまして、最近では、NPTの運用検討会議におきます決議は、究極的という言葉をとって核廃絶という言葉を使うというようなところなどが出てきているわけで、森総理が本会議でおっしゃったのは、恐らくそうしたことを踏まえて何かを考えなきゃならぬなと思っておられることであろうと思います。
 それから、非核地帯構想というのは、大変私どもにとりましても野心的な構想であることは間違いございません。しかし、これを現実に行うということになれば、やはり核保有国がそれに対してどういう対応をするかということを考えないわけにはまいりません。つまり、そのことを考えずに非核地帯というものはできるわけではないわけでございますから、こうしたことを考えてみなければならないと思います。
 未臨界の問題は、確かに、この未臨界実験というものがいわゆる核実験をやらないという約束に反しているのではないかという考え方はあると私は思っております。しかし、核実験をやめようというあのルールをつくりましたときには、あのルールには未臨界というものは実は抜けておりまして、あのルールどおりいけばこれは抜けているよ、これまでは禁止されていないよと言われると、これは我々としてけしからぬというところまでいかない状況にあるということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
#137
○中野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時十四分散会

ソース: 国立国会図書館
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