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2000/08/04 第149回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第149回国会 法務委員会 第1号
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2000/08/04 第149回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第149回国会 法務委員会 第1号

#1
第149回国会 法務委員会 第1号
本国会召集日(平成十二年七月二十八日)(金曜日)(午前零時現在)における本委員は、次のとおりである。
   委員長 長勢 甚遠君
   理事 太田 誠一君 理事 杉浦 正健君
   理事 山本 有二君 理事 横内 正明君
   理事 枝野 幸男君 理事 日野 市朗君
   理事 漆原 良夫君 理事 藤島 正之君
      岩屋  毅君    加藤 紘一君
      河村 建夫君    後藤田正純君
      左藤  章君    笹川  堯君
      武部  勤君    平沢 勝栄君
      森岡 正宏君    渡辺 喜美君
      佐々木秀典君    野田 佳彦君
      肥田美代子君    平岡 秀夫君
      山内  功君    山花 郁夫君
      上田  勇君    木島日出夫君
      保坂 展人君    上川 陽子君
      土屋 品子君
平成十二年八月四日(金曜日)委員長の指名で、次のとおり小委員及び小委員長を選任した。
 司法制度改革審議会に関する小委員
      太田 誠一君    笹川  堯君
      杉浦 正健君    武部  勤君
      山本 有二君    横内 正明君
      枝野 幸男君    佐々木秀典君
      日野 市朗君    漆原 良夫君
      藤島 正之君    木島日出夫君
      保坂 展人君    上川 陽子君
 司法制度改革審議会に関する小委員長
                太田 誠一君
平成十二年八月四日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 長勢 甚遠君
   理事 太田 誠一君 理事 杉浦 正健君
   理事 山本 有二君 理事 横内 正明君
   理事 枝野 幸男君 理事 日野 市朗君
   理事 漆原 良夫君 理事 藤島 正之君
      岩屋  毅君    加藤 紘一君
      河村 建夫君    後藤田正純君
      左藤  章君    笹川  堯君
      武部  勤君    平沢 勝栄君
      森岡 正宏君    渡辺 喜美君
      佐々木秀典君    野田 佳彦君
      肥田美代子君    平岡 秀夫君
      山内  功君    山花 郁夫君
      上田  勇君    木島日出夫君
      保坂 展人君    上川 陽子君
      土屋 品子君
    …………………………………
   法務大臣         保岡 興治君
   法務政務次官       上田  勇君
   最高裁判所事務総局総務局
   長            中山 隆夫君
   最高裁判所事務総局民事局
   長
   兼最高裁判所事務総局行政
   局長           千葉 勝美君
   最高裁判所事務総局刑事局
   長            白木  勇君
   政府参考人
   (警察庁長官官房総務審議
   官)           吉村 博人君
   政府参考人
   (警察庁長官官房審議官) 岡田  薫君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    林  則清君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君
   政府参考人
   (法務大臣官房司法法制調
   査部長)         房村 精一君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    細川  清君
   政府参考人
   (法務省刑事局長)    古田 佑紀君
   政府参考人
   (法務省矯正局長)    鶴田 六郎君
   政府参考人
   (法務省入国管理局長)  町田 幸雄君
   政府参考人
   (運輸省自動車交通局技術
   安全部長)        宮嵜 拓郎君
   政府参考人
   (運輸省航海訓練所次長) 安本 博通君
   政府参考人
   (消防庁次長)      細野 光弘君
   法務委員会専門員     井上 隆久君
    ―――――――――――――
八月四日
 犯罪捜査のための通信傍受法の廃止に関する請願(岩國哲人君紹介)(第二二号)
 同(大森猛君紹介)(第二三号)
 同(木島日出夫君紹介)(第二四号)
 同(穀田恵二君紹介)(第二五号)
 同(佐々木憲昭君紹介)(第二六号)
 同(志位和夫君紹介)(第二七号)
 同(瀬古由起子君紹介)(第二八号)
 同(不破哲三君紹介)(第二九号)
 同(細川律夫君紹介)(第三〇号)
 同(松本善明君紹介)(第三一号)
 同(吉井英勝君紹介)(第三二号)
 同(菅直人君紹介)(第四〇号)
 同(北川れん子君紹介)(第四一号)
 同(葉山峻君紹介)(第四二号)
 同(水島広子君紹介)(第四三号)
 同(大出彰君紹介)(第八六号)
 同(辻元清美君紹介)(第八七号)
 同(家西悟君紹介)(第九一号)
 同(石井一君紹介)(第九二号)
 同(大出彰君紹介)(第九三号)
 同(河村たかし君紹介)(第九四号)
 同(武正公一君紹介)(第九五号)
 同(春名直章君紹介)(第九六号)
 同(日野市朗君紹介)(第九七号)
 同(松崎公昭君紹介)(第九八号)
 同(三井辨雄君紹介)(第九九号)
 選択的夫婦別姓の導入など民法改正に関する請願(北川れん子君紹介)(第九〇号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 国政調査承認要求に関する件
 小委員会設置に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 小委員会における政府参考人出頭要求に関する件
 小委員会における参考人出頭要求に関する件
 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件

    午前九時三十分開議
     ――――◇―――――
#2
○長勢委員長 これより会議を開きます。
 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。
 裁判所の司法行政に関する事項
 法務行政及び検察行政に関する事項
 国内治安に関する事項
 人権擁護に関する事項
以上の各事項につきまして、本会期中調査をいたしたいと存じます。
 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#4
○長勢委員長 次に、小委員会設置の件についてお諮りいたします。
 司法制度改革審議会の審議状況についての報告を求めるため小委員十四名よりなる司法制度改革審議会に関する小委員会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 小委員及び小委員長は、追って指名の上、公報をもってお知らせいたします。
 なお、小委員及び小委員長の辞任の許可並びに補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次に、小委員会において参考人及び政府参考人の出席を求める必要が生じました場合には、その出席を求めることとし、また、最高裁判所から出席説明の要求がありましたならば、これを承認することとし、これらの取り扱いにつきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
     ――――◇―――――
#9
○長勢委員長 裁判所の司法行政、法務行政及び検察行政、国内治安、人権擁護に関する件について調査を進めます。
 この際、保岡法務大臣から発言を求められておりますので、これを許します。保岡法務大臣。
#10
○保岡国務大臣 長勢委員長を初め委員の皆様方には、平素から法務行政の運営につきまして格別の御支援をいただき、厚く御礼を申し上げます。
 改めて申すまでもなく、法務行政の基本的な使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全を通して国民生活の安定、向上を図ることであり、この使命を果たすことは、国民が安全にかつ安心して暮らせる平穏な社会を築くために欠くことができないところであります。今、社会は、二十一世紀を間近にし、大きな変革期にありますが、この時代に、法務行政が国民のニーズに的確にこたえ、その使命をよりよく果たすためには、改めて国民の視点に立って必要な改革を進めていくことが求められています。
 私は、こうした認識のもとに、急激に変化していく時代の要請を踏まえつつ、国民の期待にこたえられる法務行政の実現に全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 さて、当面の重要施策について申し述べますと、第一は、司法制度改革であります。
 司法は、近代国家の基本である法の支配を現実のものとする役割を担う、国民生活にとって極めて重要な基盤となるべきものでありますが、社会の急激な変化、とりわけ事後監視・救済型への転換の中で、司法の役割はより一層重要なものになると考えられ、来るべき新たな時代に向けて、司法機能の充実強化を図っていくことが不可欠となっております。
 司法制度改革は、本内閣が課題として掲げる日本新生に向けての取り組みの大きな柱であり、私としては、司法制度を所管する法務省の責任者として、内閣に設置された司法制度改革審議会の審議に最大限協力をしてまいるとともに、時代の変化に即応し、国民のニーズにこたえられる司法制度を速やかに実現できるよう、司法の機能の質的、量的な拡充に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 第二は、民事、刑事の基本法の見直しについてであります。
 まず、民事法の整備につきましては、現下の最大の課題である経済構造改革を支える一環として、倒産法制の全面的な見直しがあります。その第一として、昨年、民事再生法が成立し、新たな再建型手続が構築されましたが、昨今の厳しい経済情勢にかんがみ、さらに、サラリーマンや小規模事業主などの個人債務者についての再生手続及び経済活動の国際化に対応するための国際倒産法制を整備する必要があるため、次期国会には、これらの関係法案を提出したいと考えております。
 他方、刑事法の分野においては、特に少年による凶悪犯罪が社会の耳目を集めている状況であり、極めて憂慮すべき事態であります。少年非行対策につきましては、社会を挙げて取り組んでいく必要がある重要な課題であると認識しており、当委員会における少年非行対策に関する決議を初めとする幅広い御議論や御意見を踏まえつつ、そのあり方について早急に検討してまいりたいと考えております。
 第三は、治安の確保及び法秩序の維持についてであります。
 最近における我が国の犯罪情勢を見ますと、刑法犯の認知件数が増加傾向にあり、とりわけ組織的犯罪は、平穏な市民生活に対して看過しがたい脅威を及ぼしていることが見逃せません。
 このような情勢を踏まえ、いわゆる組織的犯罪対策三法等の適正かつ効果的な運用を図るとともに、さきの九州・沖縄サミットのコミュニケでも確認されたように、国連国際組織犯罪条約等の本年中の採択を目指して今後ともG8各国と協力するなど、犯罪に対する国際社会の取り組みに引き続き貢献し、我が国の治安を脅かす各種犯罪に対して引き続き厳正に対処し、法秩序の維持に万全を期してまいりたいと考えております。
 また、無差別大量殺人行為を行った団体の規制に関する法律に基づき、三年間の観察処分に付されているオウム真理教に対しましては、公安調査庁において、本年二月以降、教団施設への立入検査の実施等を行っておりますが、同教団は、依然として麻原彰晃こと松本智津夫を絶対とする教義を維持しつつ活動を活発化させており、今後も、その活動実態を明らかにすべく、鋭意調査、分析を行ってまいりたいと考えております。
 第四は、人権擁護行政の今後のあり方についてであります。
 これにつきましては、人権擁護推進審議会において、平成九年以来熱心な審議がなされておりますが、昨年七月にいただいた、人権啓発を総合的かつ効果的に推進するための諸施策についての提言を最大限尊重し、人権啓発に関する施策の一層の充実を図り、国民に人権尊重の思想が広く浸透していくように努めてまいるとともに、今後、同審議会において審議が行われている、人権が侵害された場合における被害者救済制度のあり方等についての調査審議の結果も踏まえ、人権の世紀と言われる二十一世紀にふさわしい被害者救済制度の確立のための具体的施策を策定してまいりたいと考えております。
 第五は、出入国管理行政の充実強化についてであります。
 出入国管理行政が果たすべき役割は、国際化の著しい進展に伴い、ますます大きくなっておりますが、私は、この三月に策定された第二次出入国管理基本計画を踏まえ、我が国社会が必要とする外国人労働者の円滑な受け入れ、研修・技能実習制度の整備拡充、学術、文化、青少年交流の推進などを行ってまいりたいと考えております。
 他方、我が国には、約二十五万人の不法残留者に加え、集団密航等により潜在する不法入国者も存在し、そのほとんどが不法就労活動に従事しているものと推定されるほか、これらの者の一部によって引き起こされる犯罪も増加するなど、我が国社会にさまざまな悪影響が及んでいることから、今後とも入管体制の強化は不可欠であり、これら不法滞在外国人については、関係省庁と密接な連携により、積極的な取り締まりを推進し、その着実な減少を図っていく所存であります。
 このほか、犯罪者の矯正処遇における少年を含めた個々の被収容者の特性、犯罪傾向に応じた適切な処遇や計画的かつ効果的な矯正教育の推進、外国人受刑者の円滑な社会復帰等を目的とする受刑者移送制度の実施に必要な国内法整備のための準備作業、保護司活動の充実強化と更生保護施設の基盤整備などによる保護観察の一層の充実強化、コンピューターネットワークにより登記情報を提供する制度及び商業登記に基づく電子認証制度の運用などのIT社会の基盤整備を図るための施策の推進、国等が関与する訴訟の迅速化の実現及び情報公開法の施行に伴う関係訴訟への対応を含めた訟務事務の強化、民事法律扶助法の制定を受けての法律扶助制度の一層の整備の検討などが当面の大きな課題であります。
 このように、法務行政には取り組むべき課題が山積しておりますが、我が国の社会の変革、とりわけ規制緩和を含めた行政改革が進む中にあって、司法を代表とする社会的なセーフティーネットの重要性を忘れてはならないことを最後に強調したいのであります。安全で公正な法秩序を維持するための検察を初めとし、この分野で多くを担う法務行政においては、情報技術などによる事務の効率化を行うべきことは当然ではありますが、最後によるべきところは人であり、各種業務における人的体制の充実にはとりわけ力を入れてまいりたいと考えております。
 この課題の多い時期に当たり、委員長を初め委員の皆様の一層の御理解と御指導を賜りまして、法務大臣としての重責を果たしていくことが私の使命と考えております。上田総括政務次官とともに全力を尽くす所存でございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)
    ―――――――――――――
#11
○長勢委員長 この際、お諮りいたします。
 各件調査のため、本日、政府参考人として警察庁長官官房総務審議官吉村博人君、警察庁長官官房審議官岡田薫君、警察庁刑事局長林則清君、警察庁交通局長坂東自朗君、法務大臣官房司法法制調査部長房村精一君、法務省民事局長細川清君、法務省刑事局長古田佑紀君、法務省矯正局長鶴田六郎君、法務省入国管理局長町田幸雄君、運輸省自動車交通局技術安全部長宮嵜拓郎君、運輸省航海訓練所次長安本博通君、消防庁次長細野光弘君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#13
○長勢委員長 次に、お諮りいたします。
 本日、最高裁判所中山総務局長、千葉民事局長兼行政局長、白木刑事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#14
○長勢委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#15
○長勢委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森岡正宏君。
#16
○森岡委員 私は、自由民主党の森岡正宏でございます。先ごろの総選挙が終わりまして、私は初当選をさせていただいたわけでございますが、初めての法務委員会でトップバッターで質問をさせていただく御栄誉をいただきまして、本当にありがとうございます。今の保岡大臣のごあいさつを受けまして、二、三の質問をさせていただきたいと思います。
 最近の社会情勢を見ますと、国民生活の公平と安全を脅かす問題や事件が頻発しているように思います。例えば、今大臣は民事再生法についてお触れになりましたが、そごう問題は、どうして放漫経営をやったそごうが借金を税金のお金で棒引きしてもらえるのか、私たちまじめにローンを返済している者がいるのに、そんな理不尽なことがまかり通って許されるのか、そういう公平さが損なわれそうになった一例でございました。また、保険金に絡んで、和歌山の毒入りカレー事件、埼玉の殺人未遂事件、私の地元奈良の、母親が実の子供を殺害しようとした事件などがございましたし、頻発するストーカー事件、外国人による犯罪が急増していることも見過ごせないことでございます。さらには、少年による凶悪犯罪が多発していることは、今も大臣がお述べになったとおりでございます。
 どうしてこんな社会になってしまったのか、このような事件の背景は何なのか。社会構造の変化、教育問題などが挙げられると思いますが、中でも、私は、戦後日本の地域や家庭における犯罪抑止力、教育力の低下、利己的な権利主張によって規範意識が低下しているところに大きな原因があるように考えます。
 これらの対策として、家庭、学校、地域が一体となって子育てと取り組んでいく仕組みをつくること、かつての日本人が持っていた高い倫理観を取り戻す施策などが重要であると考えておりますが、とりわけ法務省は社会の安全を担う立場の行政機関でありますから、重い責任と国民の期待がかかっていると存じます。そのための法整備と適正な法執行が必要であります。
 そこで、まず、大臣に少年法の問題についてお尋ねをしたいと思います。
 私は、最近の凶悪かつ重大な犯罪が、少年の中でも年齢の低い、十四歳、十五歳といった、いわゆる年少少年によっても行われている点は深刻に受けとめなければならないと思います。しかも、少年の中には、十六歳になるまでは刑事罰が科されることはないんだ、それを逆手にとって犯罪に及ぶ者もいると伺っております。
 私は、今の少年法は、戦後間もない昭和二十三、四年のころ、日本全体が貧しい中、ひもじい思いをしながらかっぱらいや万引きをやった、そうした子供たちを保護し更生するために、これを主眼としてできた法律だと理解しているわけでございまして、五十年を経過した今、社会の変化に応じてやはり変えていく必要があるんじゃないか、そんなふうに思います。
 六月の総選挙でも、私は少年法の改正を訴え続けてまいりました。特に子供を持つお母さんたちの多くが共鳴をしてくださいました。十四歳や十五歳であっても悪いことをした少年は重い罰が科せられるのだという社会にしないと、国民の安全や安心は保たれないと思うわけでございます。
 さきの通常国会においては、残念ながら政府提出による少年法改正案は廃案となりました。しかしながら、この問題は国民の間でも極めて関心の高い問題であり、我々政治家が真摯に取り組まなければならないと思います。年齢問題を含めた少年法改正をすべきであると考えますが、この点について法務大臣の所見を伺いたいと思います。
#17
○保岡国務大臣 委員が質問の前提としていろいろ述べられました御感想、御意見、私も非常に共感を覚える点が多々ありました。そしてまた、今少年法に触れて年齢区分のあり方をお取り上げになりましたが、委員御指摘のように、これが国民の重大な関心事になっておるわけでありまして、私も、選挙中に、いろいろな方に少年法をめぐるいろいろな御意見を聞く機会が大変多くありました。
 ただ、この問題については、刑事司法全般において少年をいかに取り扱うべきか、成長期にある少年でございますから、そういった特性をどうとらえるかという基本的な考え方にかかわるもので、いろいろな議論があるわけでございます。
 そういう議論を踏まえながら、法務省としても重要な課題と受けとめて早急に検討する。これは与党でも、さきの通常国会で廃案になった少年法改正案というものをどうするか、それから、新たに加えるべき点はないかなど、早急に協議して次期国会には提案を議員立法でしたいという御意向も漏れ聞いているところでございます。政府としても、こういった与党の動きを踏まえていろいろと協議をして、国民から、そういう少年法があればいいなと評価の得られるようないい少年法を目指してまいりたいと思っております。
#18
○森岡委員 また、さきに廃案になりました少年法の改正案の中には、いわゆる山形マット死事件を初めといたしまして、少年審判の真相解明機能が問題とされる事件が相次いで起こりました。少年審判における事実認定手続のあり方が問われるようになったことから国会に提出されたものだと理解しているわけでございます。
 私も、少年審判において事実が正しく認定されることは、非行のない少年を誤って処分することがないようにという観点からはもちろんのこと、非行のある少年に対して適切な保護処分を施し、その健全な育成を図るという観点からも、最も基本的な事項であると思うのです。
 また、世間の中には、少年は少年審判において自分に都合のよいことだけを述べて、それを前提として処分が下されているのではないかといった疑いを持つ向きもございます。事実を正しく認定し、今申し上げたような不信をなくすためにも、検察官が弁護士たる付添人とともに少年審判の事実認定手続に関与すべきではないかと私も考えておりますが、この点についての法務大臣の見解をお伺いしたいと思います。
#19
○保岡国務大臣 現行法上、少年審判には検察官の関与がないわけで、事実の真相解明が本当に的確に行われるかということが疑問視されるように最近特になってきております。
 おっしゃるように、山形マット事件、少年審判における事実認定と、同じ事件でありながら逆送になった共犯の少年が刑事裁判で認定を受けた事実とが全く違うというようなこともあって、やはり事実認定の手続を一層適正化するということによって、おっしゃるように、少年審判における事実認定手続に対する被害者を初めとする国民の信頼というものを確保する必要があることと同時に、証拠の収集、吟味においていろいろな多角的な視点を確保するとともに、裁判官と少年側との対立状況を回避させながら審理していくという措置も必要であるという見地から、御指摘があったとおり、廃案となった少年法改正法案におきましては、一定の事件については少年審判に検察官を関与させるとともに、その場合には弁護士である付添人が関与した審理を導入するということにいたしておりました。
 昨今の少年非行の状況にかんがみてみますと、この法案が目的としておりましたところはなお一層重要なテーマになってきていると思います。先ほど申し上げたように、早急な対応を進めていかなければならないと考えておるところでございます。
#20
○森岡委員 大変心強く感じたわけでございます。
 次に、私は、入管局長にお尋ねをしたいと思います。
 けさの朝刊を見ておりますと、ことし六月までの上半期で刑法犯が戦後初めて百万件を超えたというようなことが書いてありましたし、この中で外国人による組織犯罪がふえているということにも言及されていたわけでございます。
 国際化、グローバル化の著しい進展の中で、我が国を訪れる外国人もますます増加する状況にあると思いますが、最近十年ほどの間にどういう推移になっているのか、それを教えていただきたい。そしてもう一つ、不法滞在者の推移と現状、不法滞在者、不法残留者とも言うと思いますが、不法入国者と不法滞在者、どんな数字になっているのか、これを教えていただきたい。そして、それに対して、摘発体制がどうなっているのか、入国審査官と入国警備官はどれぐらい配置されているのか、それを含めてお答えをいただきたいと思います。
#21
○町田政府参考人 お答えいたします。
 外国人の入国者は、入国管理局が創設された昭和二十五年には年間二万人にも達しませんでしたが、その後、我が国の経済発展に伴いまして非常に増加しておりまして、平成元年には約三百万人となりました。さらに、昨年、平成十一年には約五百万人と急増しておりまして、過去最高を記録いたしております。
 このように外国人の入国者が急増いたしているわけでございますが、次に、委員のお尋ねの不法滞在者の現状と推移ということでございます。
 私どもで言っている不法残留者というのは、入管の手続を経て入ってきている者でございますが、平成十二年の一月一日現在で、私ども、約二十五万二千人に達するというぐあいに考えております。過去最も多かったのが平成五年の五月一日現在で約三十万人近くあったわけですが、それから見ますと約五万人ぐらい減少いたしておりますが、依然として高どまり状態でございます。
 そして、この不法残留者のほかに、船で密航してくる、密入国者といいましょうか、そういった者が相当数おります。私どもの当局で摘発した者の中にいる不法残留者と不法入国者数から推計いたしますと約三万人ぐらいいるかなというぐあいに思われます。そういったものを考えますと、不法滞在者は全体で約三十万人近いというぐあいに考えていいのかなと思います。
 そのように非常に多いわけでありまして、特に問題だと思うのは、先ほど委員がけさの新聞報道を引用されましたが、その不法滞在外国人の一部がグループ化して組織的で悪質な犯罪を行って、そして我が国社会の安全にますます大きな脅威になっている、そういう問題だと考えております。
 それで、私どもは、この不法滞在者に対してどのようなことをしているかといいますと、平成十一年中に約五万人ぐらいの不法滞在者に退去強制手続をとっておりまして、努力いたしているわけですが、先ほど申しましたように、まだまだ非常に多いということでございます。
 次に、委員からお尋ねのありました、そういう不法滞在者の摘発体制がどうなっているのかという御下問であります。
 私どもは、不法滞在外国人が我が国社会に与える影響の重大さにかんがみまして、これに的確に対応する必要があると考えておりまして、全国の入管局を挙げてブローカー組織等の介在する悪質事案を重点とした優先的な摘発を行うとともに、全国の地方入国管理局における一斉摘発、または不法滞在者の集中している首都圏や近畿、東海地方における集中摘発を実施する等の努力をしているところであります。
 しかしながら、約三十万人近い膨大な数の不法滞在者に対して、その違反調査、摘発、収容、護送、送還というような業務に従事する入国警備官は全国で九百九十八名しかおりません。そのために、一般国民や関係機関などから不法滞在外国人に対して寄せられるいろいろな情報提供にも十分に対応し切れていないというような、まことに残念な状況になっております。
 このような状況ではありますが、私どもとしては精いっぱい努力して、関係機関とも密接な協力を得ながら摘発に努めてまいりたいと考えております。
 なお、委員お尋ねの入国審査官数でございますが、これは全国で千百九十六人になっております。
 以上でございます。
#22
○森岡委員 時間が参りましたので終わりますが、人手が足りないからやめるというわけにいかないのが法務省の仕事であると思います。安全、安心の社会を保つために、これからも一層の御努力をお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#23
○長勢委員長 山内功君。
#24
○山内(功)委員 民主党の山内功でございます。
 まず、名古屋刑務所で千九百名全員の受刑者リストが流出したことについてお聞きしたいと思います。
 リストが所内の工場の刑務官のもとから出所の際のチェックにもひっかからずに持ち出されて、暴力団関係者ら複数の人の手に渡ったということは前代未聞の不祥事だと思いますが、どうでしょうか、大臣。
#25
○保岡国務大臣 お尋ねの事件は、矯正施設の被収容者の刑の執行に関する個人情報が外部に流出したものでございまして、まことに遺憾千万でございまして、重大に受けとめております。
#26
○山内(功)委員 このような不祥事がなぜ起こったのか。主に流出ルートのことに絞ってで結構ですが、まず、一昨日、記者からの取材を受けられてから今の時間までに判明した点について、できるだけ明らかにしていただきたいと思います。
#27
○保岡国務大臣 現在、流出しました一覧表、そういったものの保管管理状況や、これが外部に流出した経緯、施設のチェック体制などについて、矯正局保安課長を現地に赴かせまして徹底的な調査をいたしております。
 現時点においては、まだ御指摘の流出経路などが明らかでないために、問題点の所在等についてさらに調査を進めていく必要があると考えておりますが、少なくとも一覧表の保管管理に問題があったということだけは事実でございますので、昨日、矯正局長から全国の行刑施設長すべてに、個々の被収容者に関する資料、情報の管理や物品の検査体制等について再点検して、被収容者の個人情報が外部に流出することがないよう必要な対策をとるように指示させたところでございますが、さらに、現在行っている調査の結果を踏まえて、必要な改善策を順次策定し、個人情報の流出防止に万全を期したいと考えております。
#28
○山内(功)委員 管理状況については後ほど聞こうと思っていたんですが、きのうからきょうにかけて新聞報道がございますよね。その関係で二、三点お聞きします。
 このリストは、四月十九日に作成して四月二十日に刑務官に渡したものであるという報道がありますが、これは事実でしょうか、どうでしょうか。
#29
○保岡国務大臣 その点は今調査中で、まだ確定的な事実認定には至っておりません。
#30
○山内(功)委員 そうすると、このような報道がなされたということは、刑務所側のどなたかがお話しにならなければわからないことではないんですか。
#31
○保岡国務大臣 どういうふうにしてこの取材にあるような事実が報道されたか、そのニュースソースがどの辺にあるのかということについては、私としては今承知できる立場ではございませんので、それも含めていろいろな角度から調査を徹底するということで対応してまいりたいと思います。
#32
○山内(功)委員 それから、四つの工場の担当者が廃棄忘れをしていたという報道がございますが、これについてはどのように事実確認をしておられますか。
#33
○保岡国務大臣 まことに遺憾ながら、今、調査した結果によって、四十三あります工場の中で五つにおいて、四つと言われましたが五つですね、ファイルの中に破棄すべき書類が残留していた事実を確認しておりますので、この点については十分その原因などもきわめて、二度とそういうことが起こらないような対応について全力を尽くすことは先ほど申し上げたとおりでございます。
#34
○山内(功)委員 受刑者リストを廃棄し忘れて、かつリストを紛失したと自分の方から言ってこられた刑務官はおられないんですか。
#35
○保岡国務大臣 そのようなことは今のところ聞いておりません。
#36
○山内(功)委員 受刑者リストを渡したら当日廃棄すること、あるいは速やかにシュレッダーにかけること、そういうような内規あるいは管理規則はなかったんでしょうか。
#37
○保岡国務大臣 一般的に規定はあるかと存じますが、具体的に破棄する内容の内規が明文であるわけではありませんけれども、口頭でその点は徹底していた、そういうふうに伺っております。
#38
○山内(功)委員 そうすると、そういうリストについて廃棄するあるいは処分する、そういうような指導は、今まで矯正局から全国の各刑務所あるいは刑務所長にはなされなかったと聞いていいんでしょうか。
#39
○保岡国務大臣 今もお答え申し上げたとおり、目的の終わった、そういった種類の資料は破棄するように、口頭においてきちっと、指示というんでしょうか、そういう取り扱いについてしっかりと行うように対応していたと存じております。
#40
○山内(功)委員 それは、名古屋刑務所について口頭でそういう指示をしていたということはお聞きしましたが、全国の刑務所で、刑務所長が各担当者にすぐ廃棄しろ、そういうような指導というか、そういう一般的な基準というのはなかったんでしょうかというお尋ねをしているんです。
#41
○保岡国務大臣 今申し上げたように、具体的な破棄を指示する規則というものは、指示そのものを規定する明文の内規はないのですが、口頭ですることになっております。恐らくそれは通常励行されているものでございますが、その徹底が今回欠けていたということなどがあるやにも思われますから、その辺は十分調査をして、事実に基づいて適切な対応をしていきたいと存じます。
 なお、本省から、そのような指示あるいは内規を下部の矯正施設に流したということはありません。
#42
○山内(功)委員 そうしますと、今まで各刑務官がそういうリストを紛失したとかあるいは廃棄しましたとか、そういうような事後報告を受ける内規もなかったということなんでしょうか。
#43
○保岡国務大臣 なかったということでございます。
#44
○山内(功)委員 先日来の予算委員会でも争点になっておりますけれども、警視庁のOBが経営する信用調査会社に警視庁内部の人が犯歴情報を流出していたという事件も判明しております。体を拘束できるという権限を持つ権力機構がプライバシーの保護について極めてむとんちゃくだと思われるんですが、警視庁あるいは法務行政からこういうデータが出回るということについての法務大臣の認識はどうでしょうか。
#45
○保岡国務大臣 冒頭に申し上げましたとおり、矯正関係業務のみならず、法務行政、業務の中では、秘匿すべき重要な個人情報というものを持つ機会が多い役所でございますから、その点については厳に、それが流出することのないように、厳正に対処していくべきものと考えておりますし、今回の事案については重大に受けとめて、しっかりした調査をして、改善対策、二度とこういうことが起こらないようにする措置に全力を尽くしたいと存じます。
#46
○山内(功)委員 リストの取り扱いについて、そういう内規あるいは規則的なものを書面として作成する考えはあるんでしょうか。
#47
○保岡国務大臣 今ここで私がそのことについて具体的に答えるのはちょっと早計かとも存じますが、調査の結果によって、その防止策については万全の対応をいたしたいと存じます。その中でそういうことも検討したいと存じます。
#48
○山内(功)委員 最後に、受刑者リストが持ち出されるということは、法務行政の根幹というか信頼性を全くゆるがせにする事件だと思っております。徹底的な原因究明と再発の防止策を早急に取りまとめて、この法務委員会と私の方に報告していただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#49
○保岡国務大臣 今委員の御指摘の、法務省あるいは法務行政の信頼に関する大変ゆゆしき問題だと思っておりますので、厳しく対応して、その結果については、委員御指摘のとおりに対応したいと存じます。
#50
○山内(功)委員 では、次の質問に移らせていただきます。
 私は国会に来る前から素朴な疑問が一つありまして、それは、企業には民事再生の手続があるのに、なぜ個人とか零細な個人商店の皆様方についてはそういう光が当てられていないのか、私は大変大きな疑問を感じておりました。そういう方々にとっては、任意整理、破産あるいは夜逃げ、そのような手段しかないわけです。ですから、法律的に、お金は、借りたものは返したい、だけれども全額は無理だ、そう思っている方々にとって、今法案化が進んでおりますミニ再生法ですか、ミニ再生法の問題については非常に期待をしている一人でございます。
 あえて指摘したいのですが、法務省としては、この法案の作成の対応について遅過ぎたのではないでしょうか。
#51
○保岡国務大臣 委員が御指摘のとおり、経済的破綻に陥った個人債務者についての再建型の倒産手続を整備するということは非常に重要な社会的なテーマでもあると思います。
 法務省としては、民事訴訟法の全面改正作業が終了した直後の平成八年十月から倒産法制の全面的な見直し作業に着手しました。当時は、五年間で行うということで、すべてを五年後に提案できるように作業を進める予定にいたしておりましたけれども、現下の経済情勢の厳しさ、これは一昨々年からの金融破綻に始まる大変な不況や経済停滞、金融の安定を欠く結果、非常に経済が厳しい立場に立った、そういう状況を踏まえて、立法作業を前倒ししまして、一つ一つ、逐次、成案を得たものから提案するという姿勢に転じまして、昨年の秋の臨時国会に、主として企業を対象とする新たな再建型倒産手続である民事再生法案を提出いたしました。五年後ということからすれば、二年半前倒しをして鋭意努力した結果であります。
 そして、この法案が成立した直後から引き続き、緊急の課題である個人債務者の再生のための手続について、先ほど申し上げたように、他の課題と切り離して優先的に鋭意検討を進めてきたものでございますが、次の国会にはこれを提案できるようにしたいと思って今全力を尽くしているところでございます。
#52
○山内(功)委員 個人の破産件数が、平成三年には二万三千人ぐらいでした。それが次第にふえまして、平成十一年にはとうとう十二万人を超える数にまでなっております。そもそも、倒産法制という四つも五つもある大きな重要法案を一括で改正しようとしたことに無理があったのではないんですか。
#53
○保岡国務大臣 和議法という再生型の倒産手続の基本法を改正するということで、やはり法務省としても、また成案を、諮問して審議していただく法制審議会においても、基本法なるがゆえに、慎重で、拙速にならないようにということも頭に置いて、従来の法制の期間からして適当と思われる期間を想定したんだと思いますが、私自身はかねてから、企業法制は、倒産法制も含めて、あるいはこういった個人債務者の再生型の倒産手続の法制にしても、時代の変化とスピードについていく法の整備が絶対に必要だと。特に、こういう大きな時代が転換していくときは社会構造も大きく変わるし、国際化というような地球規模の変化もあるわけでございますので、そういった変化やスピードに対応できる立法が必要だと存じておりまして、今回我々が努力した点は、そういう点で、適切な前倒しだったと考えております。
#54
○山内(功)委員 私は、日本経済がやはりこれから再生していくためには、個人一人一人が元気になることがまず前提だと思っております。少なくとも、破産にしようかあるいはどうしようか迷っている方々にとって、この再生法を早く審議の場に上げていただきまして、早急な立法化を、充実した法律を制定したいと思っておりますので、大臣もよろしくお願いしたいと思います。
 次に、司法改革の問題についてお伺いします。
 大臣は、先ほどのごあいさつの中で、司法改革の部分について触れておられます。第一の問題点として挙げておられますので、積極的な司法改革を大臣も望んでおられると思いますが、そのとおり承知しておいてよろしいでしょうか。
#55
○保岡国務大臣 司法の機能の質的、量的な拡充を中心とする時代の変化あるいは国民のニーズを受けた司法改革というものは、今まで以上に司法が重要性を増してきている、二十一世紀の元気な日本、個人の権利がしっかり守られる、あるいはより成熟した社会を実現する、そういった基盤となるものとして行政にかわって大きな役割を果たしていかなきゃならぬ、そういう二十一世紀の社会、経済の重要な土台になるべき司法の改革については、三権の一つの改革でもありますし、お互いに知恵と工夫を尽くして全力を挙げていいものを築いていきたいと存じております。
 なお、政府において司法改革審議会が設置されまして、鋭意検討をしてくださっております。そういう議論なども踏まえて、また国会の御協力も得て、いい司法の改革の実現に努力したいと思っているところでございます。
#56
○山内(功)委員 大臣のごあいさつの中で、時代の変化に即応し、国民のニーズにこたえられる司法を速やかに実現したい、そういうくだりがございますが、今の司法制度の中で、時代の変化に即応していない、あるいは国民のニーズにこたえられていないというような部分はどこら辺にあるのか、大臣の考えを聞きたいと思います。
#57
○保岡国務大臣 今私申し上げましたとおり、一番根幹は、やはり司法を担う人、法曹の人口の拡充強化、質、量の強化ということが一番の大きな課題だと思っております。
 そういう観点を踏まえて、トータルプランとして、司法制度全体を構築するための戦略政策をぜひ得ていかなければならないと存じます。例えば、先ほどから申し上げているように、事後チェック・救済型の社会になりますと、どうしても行政にかわって社会の法秩序や社会や経済の基盤を司法が担う結果になりますから、行政がスリム化、効率化であるのに対して、やはり司法は質、量とも強化だということが一つの基本になると思います。
 それはどういう結果にあらわれておるかといいますと、裁判が遅いとか、わかりにくいとか、弁護士に思うようにアクセスできないとか、それから専門、先端分野において、そういった観点を非常に踏まえた裁判や国民へのサービスが不足しているとか、また、国際化に対応して、特許とかいろいろな電子取引とか、あるいはコンピューターの分野においていろいろ取引が行われるときのトラブルをどうするか、あるいはまたそういったサイバー、ハイテク分野における犯罪に対してどう対応するかなど、国際的な連携も含めて、新しい時代の司法のニーズというのは大変大きなものになってきておると思います。
 先ほど来質問がありました、入管を初め人権の問題、あるいは情報公開法に伴う訟務の質の強化とか量の拡大に対応する体制とか、とにかく司法あるいは司法に関連する法務の体制については質、量とも強化するということが一つの基本になっておりまして、行革の中で司法というものがいろいろスリム化、効率化するような大勢に今なっておるのですが、私としては、いずれ国会の了解や審議会の審議の結果なども踏まえて、やはり、行政における行革の憲法があるように、司法におけるその体制をしっかりと得ていくための憲法があってしかるべきだと個人的には考えておるところでございます。
 これからの司法改革の中で、そういう点については全力を尽くして努力したいと考えております。
#58
○山内(功)委員 質、量の問題で、例えば法律扶助に対して国庫負担がもっと増額できないかと私は思っております。イギリスでは一千百四十六億、フランスでは百八十二億、ドイツでは三百六十三億の国庫負担があります。ところが、日本では多少ふえたとはいえまだ三十億程度だと思いますが、どう考えておられますでしょうか。
#59
○保岡国務大臣 法律扶助制度の充実強化、改善ということは非常に大事なテーマだと思います。まことに委員御指摘のとおりのような状況にありますので、そういった点で後進国にならないように司法改革の重要なテーマになってしかるべきだ、この点については各方面でもそういう御意見が非常に出ておりますが、司法改革審議会においても論点項目の中に入っていると存じます。
#60
○山内(功)委員 例えば質的な改革の部分でいいますと、国民の権利擁護の最後のとりでである裁判所の皆さん方、多様な経験を積んだ、市民社会の常識、非常識をよく知ったというか、健全な常識に裏打ちされた裁判官がこれからますます必要になっていくと思いますが、それを担保する制度の改革が必要になるのではないでしょうか。
#61
○保岡国務大臣 委員の御指摘のとおりだと思います。
#62
○山内(功)委員 これで質問を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
#63
○長勢委員長 山花郁夫君。
#64
○山花委員 民主党の山花郁夫でございます。
 まず、本日は八月四日でありますけれども、これから約十日ほど経過いたしますと八月十五日から、いわゆる盗聴法と呼ばれておりますが、通信傍受法というものが施行されるという予定になっているわけであります。
 この法律についてなんですけれども、八月二日にいろいろと、かなり詳細な訓令であるとか通達が出されているようでありまして、準備作業も進行しているのかなという印象は受けているのですけれども、この法律に係るこうした訓令や通達は、言い方は失礼かもしれませんが机の上だけでつくれるものでありますが、通信傍受に当たってはさまざまな物的な諸設備も必要になってくるものと思われます。そして、この予算は本年度の予算から支出されるということになっていたはずでありますから、そういたしますと、八月十五日施行ということについてなんですが、準備期間としてはかなり短期間であったのではないかと考えられるわけであります。
 この点について、法務大臣だけではなくということになるかもしれません、法務あるいは警察の方から、どの程度の準備態勢になっているのかということについて御報告をお願いしたいと思います。
#65
○保岡国務大臣 警察庁の方でも対応しておられるところでございますけれども、これについてはまた後ほどお答えをいただくことになると存じますが、検察庁における通信傍受の適正な実施や傍受記録の適正な取り扱いに関する法務省の大臣訓令などは八月の二日に発出いたしまして、検察官や検察事務官に周知させたところでございます。
 今後、厳正かつ適正な法の執行を行ってまいりたいと考えておりますが、通信傍受の要件あるいは手続の厳格な対応とか、こういったことについては委員の御指摘のように通信傍受の機器にいろいろな工夫がされるところでございまして、その点については上田政務次官からお答えをしていただきたいと存じます。
#66
○上田政務次官 今委員が御指摘になりましたように、今大臣から御答弁がありました、二日に発出されました法務大臣の訓令においていろいろな要件等については規定されているわけでありますけれども、その訓令の中におきましても、今回、通信傍受を行うに当たっては、法務大臣が指定をした機器を使用するということが定められているところでございます。
 今回のこの法制定に当たりましては、各方面からのいろいろな御意見も踏まえまして、傍受した通信内容はすべて記録するということになっているわけでありますが、それが可能となるような機器を今般配備を予定しているところでございます。
 具体的には、記録媒体が挿入された状態でなければ傍受を行うことができないというような機能、あるいは傍受した通信はすべて記録される機能等を盛り込む仕様ということになっておりますし、さらにこの機器は、捜査官が傍受している間は、その通信が記録されているか否かにつきましてパソコンの画面に表示する機能も備えておるものとなっております。傍受した通信が記録されているか否かにつきましては、立会人によりましてパソコンの画面でチェックが受けられるというようなことになっております。このような仕組みによりまして、通信のすべてを記録することを定める法の規定を十分に担保されるものだというふうに考えておるところでございます。
 その他体制整備につきましても、今後鋭意努力をしていきたいというふうに考えておりますので、どうかよろしくお願いをいたします。
#67
○岡田政府参考人 警察庁でございますけれども、若干重複がございましたら御容赦いただきたいと存じますけれども、委員御質問のように、通信傍受法が近々施行されます。その施行に当たりまして、法の適正な運用のために、昨年の国会での御論議等を踏まえまして、これまで警察庁といたしましては、国家公安委員会規則の制定作業、あるいは通信傍受のための機器の整備、あるいは通信事業者との意見交換などを行ってきたところでございます。
 なお、詳細は、必要でございましたらまた後ほど。
#68
○山花委員 法の条項について、少し今のお答えに関連して質問をさせていただきたいと思います。
 法の十九条によりますと、「傍受をした通信については、すべて、録音その他通信の性質に応じた適切な方法により記録媒体に記録しなければならない。」とあります。そしてまた、二項には、「傍受の実施を中断し又は終了するときは、その時に使用している記録媒体に対する記録を終了しなければならない。」とあるわけであります。
 この十九条によりますと、このことからしますと、例えば傍受の対象とならないような会話であるということが傍受中に判明したにもかかわらず、例えば司法警察員がその記録を終了することなく、この機材についてはどういうものか、見たわけではないのでちょっとよくわかりませんけれども、仮に録音と表現させていただきますけれども、その録音を停止した状態でさらに今までの会話を傍受し続けるということは、十九条によると違法であるということになると思うのです。
 ちょっと確認をしたいのですけれども、今機材のところについて少し御説明がありましたけれども、その機材がどういうものかということとあわせて、普通の機材であれば、例えば録音を切った状態で傍受を続けるということも可能であると思いますし、こうした違法なことが可能な機材にならないものであるのかどうかということについて確認をしたいと思います。十九条によればそういった行為は違法であるということは間違いないのですけれども、それを担保するような形での整備がなされることができるのかどうかということであります。
#69
○上田政務次官 今委員が御指摘になりました規定に従いまして捜査官が運用するということは当然のことでありますが、同時に、先ほどちょっと御説明をいたしましたけれども、それを確実に担保するための機器、機材も使用することにしているところでございます。
 ちょっと重複になって恐縮な面もありますが、今回の、今配備を予定しております傍受用の機器につきましては、記録媒体が挿入された状態でなければ傍受ができないというような機能を備えておりますし、また傍受した通信はすべて記録されるというような機能等も盛り込むというような仕様になっております。
 また、こうした通信の傍受が適正に行われているということを確認する立会人がいるわけでありますが、その立会人も、その通信が記録されているかどうか、したがいまして機械の中に記録媒体が挿入されているかどうかということについて、パソコンの画面を通じましてそれを見ることができるというような機能を備えておりますので、立会人も適正に行われているかどうかをその場で判断できるような機能も備えているところでございます。
 このように、もちろん法律あるいは規則にのっとって運用するということと同時に、そういうようなハードの面でもそれを担保するための機能を備えているものを今回配備を予定しておるところでございますので、そうしたことに万全を期していきたいというふうに考えております。御理解よろしくお願いいたします。
#70
○山花委員 八月二日に法務省の刑事局長から出された通達について確認をしたいところがございます。
 これは、新聞等でも報道されたところでありますけれども、法第十五条に関してというところについてですが、医師、弁護士その他の者との通信については、刑事訴訟法百五条の押収拒否権と同じ趣旨によって通信の傍受はしないということになっているわけでありますが、報道機関について、これはいろいろさきの国会でも議論があったところだと認識しております。この点について、極めて限定的ではありますけれども、通信の傍受をする機会というものが出てきているわけであります。これは民事訴訟法と刑事訴訟法のところで証言拒否の条項について必ずしも整合性がなかったりであるとか、これは国会の問題なのかもしれませんが、そういうところもあるのでありますけれども、報道機関について極めて例外的とはいえこうした通信傍受の余地を認めたということについて、マスコミの側からは少しこの点についての危惧をする声が出ているのでありますが、この点についての御認識はいかがなものでしょうか。
#71
○古田政府参考人 報道機関が関係します通信に関する傍受の問題につきましては、昨年の法務委員会における審議におきましていろいろ議論がなされたことは委員御指摘のとおりでございます。今回私たちの方で発出いたしました通達は、そのときの委員会で御説明申し上げたところに従って策定したものでございます。
 具体的に申し上げますと、まず、報道機関が使用している通信、電話とかそういうもの、それは非常に特殊な、報道機関自体が共犯になっているような、そういう大変特殊な場合でなければこれは行わない。これはそのとおりでございまして、したがいまして、これは原則として行わない。
 次に、報道機関からたまたまかかってきた電話の場合にどうするのか。これにつきましては、それが報道機関からの取材のための電話であるというようなことがわかりますれば、これは直ちに傍受を中止するということにしておるわけでございます。ただ、それが判明するまでの間に、犯罪の実行に関連する通信、例えば具体的には犯人の真相の告白みたいなものが行われた、その後に報道機関による取材の電話だということが事後的に判明した、そういう場合には、これは例外的に傍受を続けさせていただく、これが先ほど申し上げました傍受法審議の際の御説明でございますけれども、そういうことにのっとって策定したものでございます。
#72
○山花委員 時間の関係もございますので、余り細かな質問はこれ以上は差し控えさせていただきますけれども、非常に私たちが危惧を抱いていますのは、通信傍受法、あるいはいわゆる盗聴法と呼ばれるものでありますけれども、通信傍受に当たっては司法警察職員を関与させるというか、実施の主体となってくるわけであります。言ってみれば、通信の秘密というものは原則として憲法上保障されたものでありますし、また通信の傍受ということについては、これもいろいろ議論があったところでありますけれども、プライバシーへの侵入を一定の場合とはいえ許容する、そういった内容の法律であるという意味で、極めて危険性の高い法律であるというのが私の認識であります。
 このように、法は、通信傍受、盗聴ということを司法警察職員が実施するということになっているんですけれども、果たして警察にこういうことを任せてよいのかという思いがあるわけでございます。
 先ほど山内委員の方からも質問がございましたが、警察はここのところ不祥事というものが大変多く続いているわけであります。こうした警察の不祥事が連続しているにもかかわらず、こういった法律を八月十五日から施行しようとしているわけでありますけれども、先ほどの山内委員の質問とも多少重複するところになるかもしれませんが、こうした警察の不祥事が続いているということに対しまして、法務大臣の所見を伺いたいと思います。
#73
○保岡国務大臣 警察の不祥事が続いたことは非常に大きな問題で、やはり国民から信頼される警察というものがいかに重要であるかということは、その後、この問題を受けていろいろ警察のあり方を論議されてまいりました警察刷新会議などでも明らかにしているところでございます。
 それはそうなんですが、通信傍受法というのは、もう委員も十分御承知だとは存じますけれども、組織的な犯罪が非常に国際的な広がりを持って国内に重大な脅威になってきている、国内でもその点については、いろいろな組織的な犯罪が、凶悪、重大なものが頻発したというような経緯もございまして、こういった状況にかんがみれば、これに適切に対処するためには、やはり捜査機関に武器というものが必要であって、社会を守り、国民の安全と権利を守るためには、こういった捜査手段というものは必要不可欠な法整備だと存じます。
 なお、通信傍受の適正確保のためには、法律上、今いろいろ質疑の中にもありましたように、厳格な要件、手続を設けるなどして種々の措置をとっておりますし、先ほどお話ししたように、大臣訓令などをもってして厳格適正な執行に努めてまいりたいと考えております。そういうことで、警察においても、また当然法律の定めるところに従って厳正適切な運用を行ってくれるものと期待をいたしております。
#74
○山花委員 厳正適切な運用ということでありますけれども、先ほどの山内委員からは刑務所からのデータ流出の話が質問で出ておりまして、そのことと関連いたしまして警察犯歴のデータ流出の事件についても触れられていたかと思いますが、犯歴データの流出については、ことしの五月九日に警視庁の警部補が処分されるという事件があったりであるとか、これは八月一日の朝日新聞の夕刊に報道されていたことでありますけれども、先ほど山内委員の質問だったかと思いますが、警察のOBが社長の興信所に犯歴データを流すというような、こういった事件も起きているわけであります。
 神奈川県警や新潟県警の捜査の不手際等の不祥事とは質的に異なって、こういった犯歴データのリストの中には、犯歴のほか、免許番号であるとか、免許に記された住所であるとか本籍、あるいは風俗営業法の届け出内容などが記されていたということが報じられているわけでありますけれども、これはまさに国民、あるいは前科のある方かもしれませんけれども、こういった人たちのプライバシーに属する事柄であります。こういったプライバシーに属する事柄に対して、警察が余りにも無神経ではないかということを示すような事件が起きている。こういった時期にあえて通信傍受法を施行しなければいけないということに対しては、私は非常に危惧の念を抱くわけであります。
 私たち民主党としては、この通信傍受法についてはもう一度再考をお願いしたいということを申し上げまして、時間でございますので、次の質問に移らせていただきます。
 さきの森内閣総理大臣の所信表明演説の中には、「女性も男性も喜びと責任を分かち合える男女共同参画社会の実現に向けて、引き続き努力してまいります。」というくだりがあったわけでございますが、本日、保岡法務大臣のごあいさつの中には男女共同参画という言葉は出てきておりません。もちろん、内閣を構成するメンバーとしては違う意見をお持ちだとは考えませんけれども、この点について、男女共同参画社会の実現について、その所信を一言いただきたいと思います。
#75
○保岡国務大臣 今委員が御指摘のように、国際婦人年のいろいろな行動計画を初め、国際的にも国内的にも、男女共同参画型社会を目指す理念を目指していろいろの施策がとられていっているところでございます。
 森内閣としても、所信表明にありましたとおり、こういった趣旨、理念をできるだけ新しい日本に反映させるべく努力をしていくことになると存じます。
#76
○山花委員 こういった男女共同参画社会の実現ということに向けて一つ重要なテーマとなるものが、多くの論点があるかと思いますけれども、一つの大きなテーマというものが民法の改正ということであると私は認識しております。
 そこでまず、その中で幾つか論点があるわけでございますけれども、夫婦の氏について別の氏を設けるという内容を、私たち民主党の方で、さきの国会で、衆議院の方で提出しているわけであります。
 その前提として、まず、ある最高裁の判例なのですけれども、これは昭和六十三年の二月十六日に最高裁で判決が述べられたものです。どういう事件かと申しますと、NHKがあるテレビのニュース番組で、在日朝鮮人である人の氏名を、朝鮮語読みを知っていながらあえて日本語の読み方をしたということで、日本語読みをされた方が損害賠償を請求したという事件、民事の事件であります。こうした事件の中で、最高裁判所は氏名というものを、氏名は人が個人として尊重される基礎であり、その個人の人格の象徴であって、人格権の一内容を構成するということを述べているわけでありますけれども、この最高裁判所の考え方に対して、法務大臣はいかにお考えでしょうか。
#77
○保岡国務大臣 御指摘の最高裁判例は、氏名は人格権の一内容を構成するものというべきであるとした上で、一般に、人は、他人からその氏名を正確に呼称されることについて、不法行為法上の保護を受け得る人格的な利益を有する旨を判示したものと承知しております。
 法務大臣として個々の判例について所感を述べる立場ではないんですけれども、個人的に言えば、時代が進んで、こういう判決が出てきたことの意義については十分心にとめておるつもりでございます。
#78
○山花委員 話を民法改正の話に戻しますが、平成八年の二月に法制審議会の民法部会において民法の一部を改正する法律案の要綱案というものが法務大臣に答申されております。にもかかわらず、議員立法の形で議論があったことはかつてあるのでありますけれども、閣法の形では今まで出てきていないのであります。これについては、なぜこうなっているのでしょうか。
#79
○保岡国務大臣 選択的夫婦別氏制度の導入について言えば、なお国民各層や関係各方面にさまざまな議論がありまして、国民の意見が大きく分かれている状況にあるものと認識しております。
 例えば、この問題に関する平成八年の総理府による世論調査の結果では、選択的夫婦別氏制度の導入に賛成の意見が三二・五%、反対の意見が三九・八%、通称の使用を認めるべきとする意見が二二・五%となっております。
 また、地方自治法第九十九条第二項の規定に基づいて地方議会から提出される意見書ですが、これは選択的夫婦別氏制度に関するものが多々ございますが、現時点までに法務省に提出された意見のうち、導入に積極的な意見が五十三件、慎重ないし消極の意見が三百八十八件となっております。
 このように、この問題については、先ほども申し上げたとおり、国民の意見は大きく分かれていることがうかがわれるわけでございますが、民法は基本法でございます。法務省といたしましては、特に御指摘のような問題のように、社会や家族のあり方など国民生活に重要な影響を及ぼす事柄については、大方の国民の理解を得ることができるような状況で法改正を行うのが相当であると考えています。
 したがって、この問題については、国民各層で御議論が深まることを期待したいと考えておりますし、関係各方面における御議論の動向も見守りながら適切な対応をしていきたい、そういう姿勢で今日まで参っております。
#80
○山花委員 夫婦別氏の問題でありますけれども、法改正が今問題となっているのは、夫婦別氏を強制するというものではもちろんないわけであります。別氏を望む人は別氏を、あるいは同氏を望む人は同氏をという、こういった選択的な夫婦別氏制度、一般的には選択的夫婦別姓制度と呼ばれておりますけれども、これは、あくまでも選択の幅を広げようとしている、要するにチャンネルを一つふやそうとしているにすぎないわけでありまして、家族の問題がどうであるとか、そのような大きな問題にならないのではないかというのが私の認識であります。そしてまた、国民からのアンケート等で、世論調査等で意見が分かれているということでございましたが、この点についてむしろ注目すべきは、三割近くの人が賛成しているということではないでしょうか。
 先ほど法務大臣は、ちょっと論点は違うのですが、人権の擁護ということについて非常に重要であるというごあいさつがありました。人権というのは、やや大上段に構えた議論かもしれませんけれども、国民の多数が反対しても守られていかなければいけない。仮に、法律、ここは国会でありますが、国会で多数で議決をしたとしても、人権の方が優先するという場合には裁判所で憲法違反だという判断が下ることもあるわけであります。
 そうであるとすると、あくまでも選択的ということであって、別氏を強制するということではないわけでありますから、この点についてぜひ積極的に検討をしていただきたいと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
#81
○保岡国務大臣 選択的夫婦別氏制度というのですから、選択制になっていて、強制するものでないことは当然でございますけれども、先ほどからお話ししたように、社会や家族のあり方に重要な影響を及ぼす非常に大切な制度でございますから、やはり国民の多数が賛成するというような状況は大切にするのが国会としても政府としてもしかるべき対応ではないかと思うのでございますけれども、ただ、法務省としては、これまで法制審議会の答申をわかりやすく解説したパンフレットを作成して配布したり、答申の内容を広く国民に公開したほか、世論調査の結果なども公開するなど、できるだけこの問題の正確な情報を国民に伝える努力はいたしてきているところでございます。
#82
○山花委員 もう一点、民法で大きなテーマとなっておりますのが、非嫡出子の相続分の差別ということについてであると思います。この点について、一九九三年の十一月、国連の規約人権委員会が、いわゆる国際人権B規約に適合しないということを申しまして、政府に対して、差別を撤廃するように改善勧告を出しているわけであります。
 この点につきましては、夫婦別氏の問題以上に、これは国内で家族の問題があるからという御意見もあるかもしれません。非嫡出子の相続分の差別については、これも確かに、非嫡出子について嫡出子と同じように相続分を取り扱うということについて国民各層に意見が分かれているのは確かでありましょう。しかし、国際人権B規約に適合しないということで改善勧告が出されているわけであります。そして、夫婦別氏の問題以前に、非嫡出子の点については民法の改正ということが議論の俎上に上がっていたはずでありますけれども、今日に至るまでこのことが改正されていない。このことについて御努力の用意はあるのかどうかということにつきまして、最後に質問をさせていただきたいと思います。
#83
○保岡国務大臣 この問題についてそういった勧告があることは承知しておりますが、先ほど申し上げたように、社会や家族のあり方に非常に重要な影響を及ぼす、しかも、それについてはかなり国民にこだわりがあるというようなこういうテーマについては、勧告があっても、やはり国内の状況に応じて立法していくということが私は大切だと存じております。
 そういった意味で、この問題についても、平成八年の総理府の世論調査の結果では、賛成の意見が二五%、反対の意見が三八・七%、どちらとも言えないとするものが三〇・八%となっておりまして、特に女性の方に反対が強いという傾向も見えております。
 こういったことなども踏まえて、やはり政府としては、その辺の世論の動向などをしっかり踏まえながら、また慎重に見守りながら対応していきたいと存じます。
#84
○山花委員 最後に一言。この問題について国民的議論を起こすためにも、ぜひ国会の方で民法の改正について審議をいただくことをお願い申し上げまして、私からの質問を終了させていただきます。
#85
○長勢委員長 漆原良夫君。
#86
○漆原委員 公明党の漆原でございます。
 保岡法務大臣、そして上田総括政務次官、御就任まことにおめでとうございました。第二次森内閣の中で、私は、この二人が一番ぴったりはまった人事だなというふうに感じておりまして、存分な御活躍を期待しております。
 そこで、私の方からはあっせん利得罪についてお尋ねしたいんですが、六月三十日に、建設省発注工事の指名競争入札の選定をめぐって、中尾元建設大臣が中堅ゼネコンからわいろを受け取ったとして受託収賄罪の容疑で逮捕されております。元建設大臣の逮捕という事態は、私ども国会議員にとっても、また国民にとっても大きな衝撃で、また不幸な事態であると思っております。
 また、先月の三十日には、久世金融再生委員長が、銀行だとか不動産会社から億単位という我々庶民感覚と違った、全くかけ離れた額の資金提供を受けていたということで辞任をされているわけでございます。
 このような国会議員と企業等の間のお金にまつわる事件とか不祥事を背景にして、あっせん利得罪の法制化を求める声が今全国にほうはいとして沸き上がっているという状況でございます。保岡新法務大臣におかれましては、この声がお耳に至らなかったのか、今回の所信のごあいさつには一言も触れられておらないということをまことに残念に思っているところでございます。
 新聞報道によりますと、中尾元建設大臣は数千万というわいろを大臣室で業者から受け取った、こんなふうに報道されておりますが、まさに言語道断のきわみだろうと思っております。特定の企業の利益のために国会議員が地位を利用して口をきいて、その代償として報酬をもらって私腹を肥やすという、時代劇に出てくるような悪代官と悪徳商人の構図ですね、これが二十世紀の今行われているということでございます。事件が起きるたびに再発防止が叫ばれておりますけれども、一向に政治家の贈収賄事件は後を絶たない、こういう現状でございます。
 公明党の神崎代表は、さきの代表質問で、あっせん利得罪の法制化について次のように述べました。「国民の怒りは、批判の声を上げるというよりも、政治を無視するまでになっており、今こそ、国民の政治不信、政党不信を抜本的に解消するため、政治が襟を正し、具体的に目に見える形で対処することが強く求められているのであります。」「この際、与党三党でさらに実効性のある法案をつくり上げ、かつ、秋の臨時国会でこれを成立させるべきであると考えます。」こういう質問をされております。
 さらに、八月三日付のきのうの読売新聞では、森総理が記者団に対しまして、あっせん利得罪の対象について、秘書だけじゃなくて国会議員、地方議員も含めて検討したらいいんじゃないかというふうな大変積極的な発言をされた旨の報道がなされております。
 そこで、法務大臣にお尋ねしたいのですが、私は、この問題については、国民の政治不信とか政党不信を抜本的に解消するために、政府そして与党が率先してあっせん利得罪の法制化を進めるべきであると考えておるわけでございますけれども、法務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。
#87
○保岡国務大臣 元建設大臣の中尾氏が、御案内のとおりの被疑事実で逮捕されたり公判請求をされたことについては、また再逮捕などがあったことについては、私としても、あるまじきことということで、委員御指摘のとおり遺憾のきわみで、大変残念に存じております。
 そこで、こういった腐敗行為の防止策でございますが、一義的には、やはり政治家個人が心するべきことが大事だと思います。そして、二義的には、やはりこの点については選挙その他国民の批判というものが政治を変えていくという点が大きな要素を持っていると思います。それと、さらに法的措置をとるとすれば、今委員御指摘のようなあっせん利得罪等の立法をすること等であろうと思います。
 先ほど委員が所信表明になかったと言われたのでございますが、この問題はどちらかというと政治活動、政治家の行為を律するものでございますので、我々政府としては、まずは各党各会派の間において十分に御議論をいただくことが大切である、我々としては、それを踏まえて対応を適切にしたいと存じておるところでございます。
 そこで、神崎代表の御提案にあるように、与党として、今鋭意次の国会を目指して立法の努力をしておられるというふうに承っております。政府としても、それを踏まえた上で対応したいと存じます。
 なお、やはりこういう刑事法規をつくる際には、確かに国民の批判は強い、我々も遺憾のきわみではあるけれども、しかし、やはり刑事法規というものは構成要件が明確で、権力が恣意的にこれを運用することがないようにきちっとした明確な要件の定め方等の配慮が必要かと思います。これは刑事法制の根幹にかかわることでございますので、やはりそういう点の留意が必要かと存じております。
 総理の御発言については、一つの見識であると私も存じておるところでございます。
#88
○漆原委員 あっせん利得罪の法制化につきましては、野党四党が七月五日付で、国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案ということで共同提案をされているところでございます。
 私は、提案者の皆様にはまことに申しわけないのでございますけれども、感想を述べさせていただければ、このままの法律案、野党案が成立しても、非常に概念があいまいでありますし、実効性に欠けるのではないのかなという懸念を持っておるところでございます。野党の皆さんからは、今国会でぜひこれを成立させろ、あるいは与党は腰が引けているというふうな批判がなされておるわけでございますが、しかし、法務委員会の野党の先生方は法律家出身の方が非常に多いわけでございまして、本当にこの法案そのもので実効性があると考えておられるのか、私はそれも疑問に思っておるところでございます。
 先ほど大臣がおっしゃったように、あいまいな構成要件は、単に法律の実効性を欠くというだけではなくて、捜査当局の恣意を許してかえって無用の混乱を招くということになると思っております。私は、構成要件を明確にして実効性のある法律をつくり上げて、秋の国会ではぜひともこれを成立させたい、こう考えております。
 この野党案にはいろいろ問題点がありますが、一点だけ指摘をさせていただきたいと思います。
 同案では、構成要件の中で「国会議員が、特定の者に不当に利益を得させる目的で」というふうに規定があります。この不当性というのが要件になっておるわけでございます。したがって、この不当性が判断をされて立証されなければ国会議員の地位利用収賄罪は成立しない、こうなります。違法だとか不正であれば、裁判所は法律に照らして明確にこれを判断することができるわけでございますが、妥当だとか不当だとかという概念は、そのよって立つ立場によって異なる相対的な概念でございます。
 例えば、国会議員のあっせん行為によって何らかの利益を得た特定の者がいたとします。多くの場合は、利益を得た人は妥当だというふうに主張するでしょうし、利益を得られなかった者は不当だというふうに主張することになります。裁判所は何を基準に不当の判断をすることになるのでしょうか。
 野党案は、この「不当」という文言をどのように解釈しようとしているのか不明でございますが、もし「不当」という言葉に不正の意味を持たせようというのであれば、現在の刑法第百九十七条の四所定のあっせん収賄罪と同趣旨の規定となりますし、またこの「不当」に余り意味を持たせないんであれば、おおよそ利益を得た特定の者すべてということになって、対象者が無制限に広がるということになると思います。
 この点につきましては、後日提案者の皆さんに詳しくお尋ねしたいと思っておりますが、ここで局長にお尋ねします。
 一般論で結構でございますけれども、そもそも刑罰法規における構成要件の明確性ということについてはどのようにあるべきなのか、お聞きしたいと思います。
#89
○古田政府参考人 先ほど大臣からも既に若干申し上げたとおりでございますけれども、一般的に、ある犯罪、罰則を設ける場合には、その構成要件、つまり何が犯罪に当たるかということがあいまいで不明確ということになりますと、結局、その適用を受けることとなります国民の皆様に対して、何が処罰される行為であるかということを告知する働きというのが十分果たされないということになります。一方で、そういうような構成要件でございますと、その運用においてもいろいろな判断が入ってくるわけで、国等の機関の主観的判断にゆだねられて、恣意に流れてしまうおそれもなしとしない。
 そういうふうないろいろな大きな問題が生じますことから、一般的に、刑罰法規におきましては、犯罪の構成要件が明確であるということが必要であると考えられていると承知しております。
#90
○漆原委員 次の質問に移ります。
 法曹一元について最後にお尋ねしたいんですが、保岡法務大臣は司法改革に熱心に取り組んでこられて、大いに評価しております。
 法曹一元という問題は、昭和三十九年八月の臨司意見書以来、法曹界において大きな課題となっております。現在、司法制度改革審議会においても議論されていると聞いておりますが、現在の状況で一足飛びに、一遍に法曹一元を実現することは非常に難しいだろう、弁護士の実態、裁判所の実態から見て難しいだろうと私は思っております。
 そこで、その一里塚というふうに私はいつも言っているんですが、一里塚として、今は裁判官は、判事補は十年たつと補が取れて判事になるわけでございます。そこで御提案申し上げたいんですが、私は、補が取れて判事になる条件として、三年ないし五年の弁護士実務を要件とするというふうにされたらどうなのかな。五年か十年、裁判実務を一生懸命やられて、それから判事になられる。その場合に、そこから弁護士を三年から五年間ぐらい、いろいろな弁護士事務所、渉外事務所もあれば、一般の事務所もあれば、企業関係の事務所もあり、いろいろな事務所に行かれて経験を積まれて、その上で初めて判事になる。こういうふうな制度をぜひとも構築していただければ、一つの法曹一元の一里塚になるんじゃないかなというふうに、また、これならば実現可能じゃないかなというふうに思っておるんですが、大臣の御所見を承って私の質問にしたいと思います。
#91
○保岡国務大臣 漆原委員が御指摘のように、法曹一元の理念ということは、これはもう裁判官が幅広い視野と高い見識を備えて、また社会常識もきちっと持っておられる方が裁判に当たるということであって、この臨司のときの意見書も、そういった理念を踏まえた上で、十二項目のいろいろなそれを実現するための条件を整理して提示しました。非常に戦略的で、法曹一元の理念を実現するのに精緻な、きちっとした提案になっておる、今でも通用するすばらしい内容の意見書である、私はそういうふうに承知しております。
 ただ、その法曹一元の理念を実現するプロセスは、やはり現実的、具体的に対応していくことが肝要でありまして、司法というものは社会を守る最後のとりでということで、二十一世紀の日本のある姿を支えていくという意味でも非常に重要なものであるということは先ほどもお話を申し上げたとおりでございまして、所信表明にも申し上げてきた中心の私の考え方でございます。
 そういうことを考えると、やはり、判事補にある間に弁護士事務所を長期に研修させたり、あるいは外国やその他社会一般のいろいろなところに研修に出向かせるということは大切なことだと存じます。そういうものをどういう条件というのか、判事補時代の過ごし方の基準にするのかは、また今後、司法改革審等の御議論なども踏まえて、法曹一元へ向かってみんなが努力していくプロセスで考案していければよいと思うのでございます。
 なお、弁護士任官制度がなかなか思うように進んでいない、こういったことについても、判事の処遇を含めて、あるいは身分のあり方を含めて、いろいろどうしたら弁護士任官制度がもっと進むのか、こういったことの工夫も具体的な努力にまたれるのではないかと存じております。
#92
○漆原委員 以上で終わります。ありがとうございました。
#93
○長勢委員長 藤島正之君。
#94
○藤島委員 自由党の藤島正之でございます。よろしくお願いします。
 まず初めに、法務大臣に、近時の司法制度改革について議論されているわけですけれども、この点についてお伺いしたいと思います。
 先ほど同僚議員の方から、現在の制度で不都合または時代に合わないものはどういうものがあるかという点について、かなり数多く挙げられたわけですが、その中で特に重点とするものがあれば、絞ってちょっとお答えいただきたいと思うんですけれども。
#95
○保岡国務大臣 先ほど来、冒頭でもごあいさつ申し上げたとおりでございますが、二十一世紀の我が国の国際社会においては、社会が複雑化してきている、多様化している、しかも、国際化などに加えて、規制緩和などの改革によって事前規制型から事後チェック型に移行するなど、社会のさまざまな変化に伴って司法の役割はより一層重要なものになると考えられます。したがって、司法機能を充実強化し、国民が身近に利用することができて、社会の法的ニーズに的確にこたえることのできるような司法制度に改革していく必要があると考えております。
 法務省は、昨年十二月八日に開催された司法制度改革審議会において、司法制度の現状と改革の課題について意見の表明を行いました。その主な柱は、国民がより利用しやすい司法制度の実現、刑事司法制度のあり方、それから、二十一世紀の司法を担う人材の養成等を柱とする検討課題を指摘したところでございます。特に、検察を初めとする司法の基盤の充実を図ること、新しい時代に求められる資質、能力を備えた法曹の養成、刑事裁判の迅速化、新たな捜査手法、国際化への対応など、課題の重要性を強調いたしました。
 これらの事項は、司法制度改革審議会においても、昨年十二月に公表された論点整理において論点項目として取り上げられて、現在具体的な審議が進められているところでございます。
 法務省としては、司法制度を所管する省庁として、司法制度改革審議会の審議に最大限協力をするとともに、その審議状況も踏まえて積極的に適切な方策を講じて、来るべき新しい時代の要請にしっかりとこたえるようにしたいと存じております。
#96
○藤島委員 ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 ところで、法務大臣は七月十四日に日弁連の出している提言というのを御存じでしょうか。
#97
○保岡国務大臣 今ここで具体的に詳細を覚えておるわけではありませんが、一読させていただいたところでございます。
#98
○藤島委員 この中で、刑事司法改革でございますけれども、国費による被疑者弁護制度の実現、自白中心主義の刑事司法システムの改革、身体拘束手続の適正化あるいは証拠開示の法制化、公判の充実化、こういったことが指摘されております。
 その中で、最後の方に、陪審制の導入と刑事司法改革というところがありまして、刑事司法に陪審制が導入されればこれらの改革、提言の大半は実現できる、こういうふうに言っておるわけですが、この陪審制について法務大臣はどのようにお考えでしょうか。
#99
○保岡国務大臣 日本弁護士連合会が、委員御指摘のように、ことしの七月十四日に提出された提言の中で、陪審制の導入と刑事司法の改革について触れられているところでございますけれども、陪審制についてはいろいろな議論がございます。
 陪審制の導入については、そのような制度による裁判に対する国民の信頼が果たして得られるかどうかということ、あるいはその確保の手だてが尽くせるかどうか、あるいは陪審員としての責務を負うことについての国民の負担あるいは理解、こういったものなど、種々の観点から慎重に検討しなければならないと考えております。
 なお、陪審制の導入の当否につきましては、司法制度改革審議会においても、平成十一年十二月二十一日公表の論点整理において論点項目の一つとして取り上げられているところでございますが、同審議会においても広く国民的見地に立って充実した審議がなされるよう、法務省としても最大限の協力をしてまいりたいと思います。
#100
○藤島委員 先ほど読み上げました日弁連の提言ですけれども、十分に参考にしていただきたいと思います。
 次に、先ほども質問がございましたけれども、名古屋刑務所のデータ流出についてでございます。
 先ほど法務大臣は、大変重大に受けとめて原因をしっかり調査する、こういうふうにおっしゃっておりました。国民、マスコミを初め、できるだけ早い結果を知りたい、こう思うわけでありますけれども、この調査の結果の発表につきましては十分に慎重にやっていただいた方がよろしいんじゃないかと思います。
 と申しますのは、近年、各省でいろいろなことがありまして、その省で調査しては発表する、そうするとまた新しい事実が出てきまして、また追加で調査を行う。こういうことでありますと、一般の役所は捜査権限のない中でいろいろやるわけですけれども、法務省の所管になるわけでありますので、調査結果を公表して、新しい事実が出てまた追加調査をする、こういうことになりますと、非常に信頼性が問題になりますので、そこはひとつ慎重にやっていただきたい、これはお願いをしておきます。
 それから、三番目がオウムの事件でございますけれども、これは刑事局長で結構なんですけれども、これまで関係の裁判で結論が出たものと出ないもの、これは大きく数にしましてどのようになっているか、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#101
○古田政府参考人 お尋ねのオウム真理教関係者による一連の事件につきましては、公判請求をされた実際の人間の数、事件というよりは人間の数でございますが、これで御説明いたしますと、百八十九名が公判請求をされております。そのうち、昨日までの時点で第一審判決が既になされている被告人は百八十一人、まだ第一審判決に至っていない被告人が八人でございます。
 なお、既に第一審判決がなされている被告人百八十一人のうち、判決が既に確定している者が百六十二人、それから上告審、つまり最高裁判所に係属中であります者が五人、控訴審係属中である者が十三人、控訴するか否かまだ態度が明らかになっていない者が一人、こういうことになっております。
#102
○藤島委員 主犯の松本被告はどのみち極刑になることが避けられないだろう、こう想像されるわけですけれども、被害者のお気持ちとかいろいろ考えますと、国民の御意見なんかを聞いてみますと、ともかくできるだけ早く結論を出すべきだという意見が大勢なわけですね。そういうことを考えますと、主犯の松本被告の第一審の結論が大体いつごろ得られるのか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
#103
○古田政府参考人 委員御指摘のとおり、この事件につきましても、検察官としてはできるだけ迅速な判決が得られるように努力しているところでございます。
 ところで、その状況でございますが、松本智津夫につきましては松本サリン事件など合計十七の事件について公訴が提起されており、平成八年四月から平成十二年七月までの約四年三カ月の間に、百六十五回にわたって公判が開かれております。現在、検察官が立証を行っておりますが、弁護人が検察官申請の証人あるいは提出証拠等に対しまして非常に詳細な吟味と申しますか、例えば証人であれば反対尋問を行うなどをしております上、公判開廷のペースが月三、四回程度にとどまっております。
 こうした状況のもとで、現在では、十七事件のうち五事件についてはまだ検察官の立証に入ることができない状態になっております。また、検察官の立証が終わった後、弁護人による反対立証もあるいは考えられるものと承知している次第でございます。
 裁判の性格上、今後の公判の具体的な見通し、いつ終わるかとか、そういうことについて申し上げるのは大変難しいところでございますけれども、仮に今後も同様のペースで進みますと、第一審判決の宣告までにはさらに数年を要するのではないかと思われるところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、検察におきましてはできる限り審理の迅速を図るよう努力をしているところでございます。
#104
○藤島委員 今、一審の結論が得られるまで数年、こういうお話があったんですが、数年といっても非常に幅があるわけでありまして、二、三年なのか十年に近い数年なのか、その辺はどうなんでしょうか。
#105
○古田政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、公判がいつ終わり、判決に至るかということについては、さまざまな要素がありますので、まことに恐縮でございますが、具体的に何年ということを申し上げることはなかなか困難でございます。
#106
○藤島委員 それでは、できるだけ早くというのが国民の要望だと思いますので、その線に沿ってひとつ頑張っていただきたい、こう要望しておきます。
 次に、法務行政全般でございますけれども、やはり法務行政というのは絶対不可欠な行政がいっぱいあるわけでありまして、その中で、社会の変化とともにニーズがどんどん変わっていっている。先ほどちょっと議論がありましたように、入管業務なんというのはどんどんふえているわけですね。
 一方、さりながら国の定員はそうふやすわけにはいかぬという要請があるわけで、そうすると、どうしても法務行政全般の中でやりくりせにゃいかぬということになりますと、やはり人手をたくさん食っている登記行政みたいな部分、こういう部分は相当工夫してかからないと、今までと同じようなやり方でおったんじゃ人は減らないということだと思うんですね。
 したがって、この辺、コンピューター化するとか、いろいろやる必要があると思うんですけれども、その辺法務省はどういうふうに考えておるんでしょうか。
#107
○細川政府参考人 登記は国土と法人の管理の中心でございまして、そういう意味では、社会的なあるいは経済的な中心的な基盤的な制度でございます。
 とりわけ登記の審査業務につきましては、登記官が独立した権限に基づいて、民法、不動産登記法あるいは商法、商業登記法等に基づいて、その要件を審査して行う行政処分でございます。ですから、この部分は委託することは難しいんですが、そうでない部分、例えば登記簿の謄抄本の作成とか、コンピューターによる証明書の作成、あるいは登記の相談、そういった部分には公権力による判断という要素がございませんので、また権限の行使の中立性を疑わせるものという問題はないということであれば、それは外部委託はできますし、従来も可能な限りしていたわけでございます。また、議員御指摘のように、従来から、コンピューター化を進めるとか、あるいは登記所の整理、統廃合をするということによってスリム化を図ってまいりました。
 ですから、私どもといたしましては、できるところは御指摘のように努力してまいりたい、このように考えておるところでございます。
#108
○藤島委員 できるだけ努力をしていただいて、本当に必要で、どんどんふえている分野が国民に不便をかけないように、ぜひお願いしたいと思います。
 次に、少年法の問題でございますけれども、これは、我が自由党は、検事の関与と弁護士の立ち会いを認め、裁判官の合議制によって決すべきであるという点、それから、少年の定義を十八歳未満とし、刑事処分対象年齢を引き下げる、こういうふうに従来から申し上げておりますので、この点を申し上げておきたいと思います。
 最後に、最高裁判所にちょっとお尋ねしたいと思いますが、今国民の間では、裁判が非常に長引いているというか遅くなっている、こういう批判があるわけでございますけれども、この辺は、実態的に見て数字ではどういうふうになっているのか、お答えいただきたいと思います。
#109
○千葉最高裁判所長官代理者 平成十年に施行されました新しい民事訴訟法によりまして、争いのポイントを絞って審理をする、争点整理をする、絞られた争点についてできるだけ一回の期日で複数の証人を調べる集中証拠調べ、こういったものが制度化されまして、これによりまして、非常に密度の高い審理が定着しつつございます。
 昨年の地裁の第一審通常民事事件の平均審理期間は九・二カ月というふうになっております。これは諸外国と比べまして、大陸法系のドイツなどよりはちょっと長い、フランスと同じぐらい。ただ、アメリカやイギリスなどと比べますと、我が国の民事裁判は数カ月から数十カ月短くなっている、こういう状況でございます。
#110
○藤島委員 今の数字でいきますと、そんなにおくれているという感じはないんですけれども、ただ、実際問題として、大型事案とか知的財産関係の事案というのはかなりおくれているというふうに私は耳にしておるんですけれども、その辺はどうでしょうか。
#111
○千葉最高裁判所長官代理者 委員御指摘のとおりでございまして、大型の事件とか、それから専門的な知識経験を有する医療過誤とか建築関係、知的財産関係事件、この点についてはまだまだ迅速化を図る必要がある、長期未済事件が非常に多い類型の事件であるというように考えております。
 この点につきまして、我々も迅速処理に努めたいと考えております。
#112
○藤島委員 ぜひ改善を進めていただきたいと思います。
 それから最後に、裁判官の養成、人的な養成の問題ですけれども、裁判官といえども余りテクノクラートになり過ぎちゃってもいかぬわけでありまして、やはり社会の実態をよく知っていただいた上で裁判をしていただく、これがやはり国民の立場から見て大変重要なことだと思うんですね。
 現在、民間ないし検察との人事交流、あるいは弁護士との交流といいますか、そういったのはどういうふうにやっておるかちょっと教えていただきたい、こう思います。
#113
○中山最高裁判所長官代理者 お答えいたします。
 社会の変化の著しい今日、裁判官には、今御指摘のとおり、これまで以上に世の中のさまざまな動きに対応し得る柔軟な姿勢あるいは感性、幅広い視野と複眼的な思考力、こういったものが求められてきております。
 このような能力を身につけてもらうということで、最高裁の方では、若手裁判官を中心に、一定期間、外の世界を経験し、裁判官以外の仕事も経験させるという研修に力を注いでまいりました。
 具体的に申し上げますと、判事補を製造業、製造販売業あるいは銀行といった民間企業に長期間派遣し、あるいは若手の判事補を民間企業や報道機関、マスコミ研修と言っておりますけれども、そこに短期間派遣するなどしております。
 また、民間企業研修と同様の趣旨で、行政官庁にも長期間研修させておりますほか、海外留学にも力を入れており、在外研究員として、英、米、独、仏、加の各国の大学院や裁判所にも派遣しております。
 また、各種の国際会議や海外の裁判所にも出しておりますほか、判事補をアタッシェとして在外公館において勤務させたりもしているところであり、今御指摘の視点もさらに踏まえて、このような裁判官研修制度の一層の充実に努めてまいりたいと考えております。
#114
○藤島委員 ぜひ前向きに、引き続き進めていただきたいと思います。
 終わります。
#115
○保岡国務大臣 先ほど森岡議員の冒頭の質疑の際に、私、山形マット死事件について、逆送になって、何か刑事裁判との関係で事実の乖離が出てきたという趣旨のことをちょっと言ったような気がしまして、それは、同じ少年審判の手続の中で、抗告をした上訴審の判断と不処分にしたという家庭裁判所の審判との事実が乖離したということでございますので、訂正させていただきたいと思います。
#116
○長勢委員長 木島日出夫君。
#117
○木島委員 日本共産党の木島日出夫でございます。
 新法務大臣の所信をお聞きいたしました。今回の臨時国会は、さきの総選挙の直後の六月三十日に中尾元建設大臣が受託収賄罪で逮捕、起訴される、そういう重大な状況の中で開かれております。検察当局が、受託収賄事件に関して厳正な捜査を遂げて、いかなる巨悪も許さないと断固たる立場を貫くとともに、政治と国会の場においても、この問題を司法・検察当局任せにしないで、政治に対する国民の信頼を回復させるために、全容の徹底解明と、このような事件の再発を防止するための仕組みの創設、私どもは国会議員の地位利用収賄罪を提案しているんですが、その制定を急がなければならぬと思います。
 しかし、同僚委員からも指摘がありましたが、先ほどの大臣のあいさつには中尾問題についても一言も触れられていない、まことに遺憾であります。法務大臣としての毅然とした態度の表明があってしかるべきだったのではないかと考えます。
 簡潔で結構でありますが、これらの一連の問題についての法務大臣の所信を改めて問いたいと思います。
#118
○保岡国務大臣 法の秩序の維持、あるいはそのための刑罰の厳格、適正な実現ということが、委員御指摘のように、社会の健全な発展のために、また国民の平穏な、安全な社会の実現のために必要であるということで、今検察がいろいろ対応しております問題についても同様、きちっとした対応がされるものと信頼をいたしているところでございます。
#119
○木島委員 野党四党は、さきの特別国会におきまして、国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案を提出いたしました。私自身、提案者の一人であります。先ほど公明党の同僚委員から、この法案に対して、構成要件があいまいではないかということで、一点、「不当に」という言葉が使われているという問題の指摘がありました。大臣からも、刑事法をつくるときには構成要件のあいまいさはあってはならぬという趣旨の御答弁もありました。この問題で時間を使いたくありませんので一言だけ述べておきますが、全くそれは、それこそ不当な言いがかりだと思わざるを得ません。
 日本の刑法の中には、そういう趣旨の言葉はもう使われております。刑法第百六十六条第一項、第二項、公記号偽造、不正使用等の罪であります。「公務所の記号を不正に使用し、又は偽造した公務所の記号を使用した者も、前項と同様とする。」要するに印章偽造。それから、百六十七条の私印偽造、不正使用もそうです。二項、「他人の印章若しくは署名を不正に使用し、又は偽造した印章若しくは署名を使用した者も、前項と同様とする。」
 要するに、「不正に使用し、」これは不当に使用しと概念的にはそれほど変わらないので、明治以来の一貫した日本の刑法体系の中には不当にとか不正に、そういう言葉はあるわけでありまして、「不当に」という言葉も決して構成要件があいまいだなどというそしりを与えられるような文言ではないということを指摘だけはしておきたいと思います。
 そもそも、全く同じ文言の法案を、解散前の国会におきまして公明党の皆さん方が民主党や自由党の皆さんとつくって提出しているわけですよ。何ら文言は変わっていないんですよ。それを今日に及んでさきのような言い方をするというのは、それこそ、私はあえて言いますが、不当な言いがかりだと思うわけであります。
 そもそもこの法案が、特に与党自民党の反対で議院運営委員会に差しおかれたままになっておる。当法務委員会にも、また倫理選挙特別委員会にも付託されもしないで、たなざらしの状況がいまだに続いている。まことにもってのほかだと思うわけであります。堂々と衆議院本会議での趣旨説明もする、各党代表質問もする、そして関連特別委員会に付託をして、堂々とこの臨時国会の中で法案の審議をして速やかにその成立を期するということが、本当に私は、中尾元建設大臣の受託収賄罪での起訴、逮捕という重大な事態を前にして今国会議員がとるべき態度ではないかということを指摘だけして、次の問題に入らせていただきます。
 中尾元建設大臣の受託収賄事件のキーマンとも言われる人物に許永中がおります。イトマン事件の被告人として裁判中の人物であります。法務・検察当局だけではなく裁判所にとっても重大な問題は、中尾元建設大臣にかかわる一連の収賄事件、さらに贈賄側の石橋産業、若築建設を許永中が食い物にしたという一連のいわゆる石橋産業事件、詐欺事件、これが許被告の保釈中に犯罪行為が行われていたということであります。
 許被告人が六億円の保釈金、半額は弁護人の保証だということのようでございますが、六億円の保釈金で保釈となったのが九三年十二月二十一日であります。許被告人がソウル市内の病院から失踪して大阪地裁での公判を欠席し、ために保釈が取り消されたのが九七年十月二十一日であります。この間、何と三年十カ月という長時間が経過しております。中尾元建設大臣にかかわる受託収賄事件は、この最中の九六年の出来事であります。法務当局も裁判所当局も、この事態を極めて深刻なものとして重く受けとめなければならないと私は思います。法務大臣と最高裁判所当局の所見を伺っておきたいと思います。
#120
○白木最高裁判所長官代理者 委員御指摘のようなことがあったようでございまして、その点につきましては報道等で裁判官もよく承知をいたしているものと思います。
 保釈の判断というのは大変難しい判断を迫られるものでございますが、各裁判官、こういったことも十分勉強をして、今後の実務に生かされるものと考えます。
#121
○保岡国務大臣 私も、その一連の御指摘の事実については報道等で承知はしております。しかしながら、個別の保釈案件について、法務大臣が一つ一つの決定について意見を申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#122
○木島委員 これは個別案件で意見を差し控えるなんという問題じゃないんですよ。イトマン事件という戦後最大規模の経済事犯の被告人、まさに法務省の検察当局が刑事訴追をしている。そして、その裁判中、保釈申請が出て保釈が出た。その保釈中に、まさに許永中は石橋産業、若築建設などを食い物にするために動き、そして、その流れの中で一部の金が中尾元建設大臣にも流れていった。それが今まさに元建設大臣の受託収賄事件として起訴までされるに至っているわけでしょう。保釈中にそういう刑事事件が起きている、まことに重大ではないかという指摘をしたわけでありますが、法務大臣がさきの程度の答弁しかしてくれませんから、次の質問に移ります。
 私の調査によりますと、許被告人は三年十カ月の保釈中に、これは住居制限つきの保釈だったと思うのですが、三十四回にわたる旅行の許可を申請し、裁判所から許可を受けているようであります。何とそのうち二十八回は海外への旅行の許可だったとお聞きしております。回数自体も驚くべきことでありますが、二十八回が海外への旅行許可だ。本当に私は驚き入った次第であります。事実でしょうか。海外はどこの国へ何回だったのか、御答弁いただきたい。
#123
○白木最高裁判所長官代理者 お尋ねの被告人につきましては、保釈の条件として、三日以上の旅行をする場合には事前に裁判所の許可を受けることとされていたようでございます。
 その条件に従って許可を求められまして、裁判所が旅行の許可決定をいたしました回数は平成六年から九年までの間に三十四回で、実際に旅行をしましたのは二十一回のようでございます。そのうち海外旅行の許可決定の回数は、委員、二十八回と仰せになったように思いますが、実際に海外旅行をいたしましたのは十五回のようでございます。渡航先はほとんどが韓国のようでございまして、それ以外が若干のようでございます。
#124
○木島委員 では、ちょっと具体的に数字だけ確認しておきましょうか。
 韓国には二十一回でしょうか。マレーシアには三回、マレーシア、フランス、イギリス込みで一回、マカオ、香港込みで一回、ベトナム一回、中国一回。もちろん、その中には実行したものと実行しないものがあるのは承知しております。そんな数字でしょうか。
#125
○白木最高裁判所長官代理者 許可されたものの内容としては、委員仰せのとおりでございます。
#126
○木島委員 保釈中の三日を超える移動については裁判所の許可というのが条件だったようですが、旅行許可は、被告人から裁判所に対して行き先を明示した許可申請が出され、これに対して裁判所によって判断がされるものと承知をしております。その際、検察官に対する意見を求める、いわゆる求意見が出される場合とそれを出さない場合とが実務上あるとお聞きしております。
 三十四回の許可決定のうち求意見が出されたのは何件だったのでしょうか。それに対して検察の意見、しかるべく、相当あるいは不相当、そういう意見がつくのだと思うのですが、それぞれ何件だったのか、回数について法務当局から御答弁願います。
#127
○古田政府参考人 ただいまの、求意見があった数は何回かというお尋ねについては、詳細な資料を持ち合わせておりませんが、求意見があった場合にどういうふうな意見をつけるかにつきましては、個別の意見の内容はこれはちょっとお答えを差し控えたいと存じます。
 ただ、お尋ねの件につきましては、検察官としては、基本的な対応方針として、海外旅行の許可をすることには反対の立場をとっていたものと承知しております。
#128
○木島委員 そうすると、一件一件聞いているわけじゃないんで、包括的に聞いているんで、今の答弁ですと、基本的には検察としては不相当の意見をつけていたというふうにうかがえるわけでありますが、学者やその他から、住居制限つきの保釈中の刑事被告人に対しては、一般論として、海外への旅行については認めるべきではないんではないかという意見も厳しく出されております。特に、韓国のように、現在はどうでしょうか、犯罪人引き渡し協定を結んでいない国への渡航については、万一の場合、逃亡したときには犯罪人引き渡しを請求する権利が日本国としてはないわけでありますから、これは原則的にそういう国への渡航は許すべきではないという意見とか、もっと厳しい意見もあります。
 これらの意見についての、これは最高裁当局の一般論としての御見解、法務当局としての一般的な御見解を伺っておきたいと思います。
#129
○白木最高裁判所長官代理者 一般論ということでございますが、どういう場合に海外渡航の許可をするかとかいうような問題についての判断は、非常にいろいろな事情を勘案して決定するわけでございまして、先ほども申し上げましたが、裁判官としては、被告人の人権の問題それから裁判への影響といったような問題、さまざまなことを勘案して決定をしているわけで、大変難しい判断を迫られるものであることを御理解いただきたいと思います。
#130
○古田政府参考人 一般論として申し上げますれば、個別の事情に応じて、逃亡の可能性の有無等も十分考慮しながら御判断がなされるものと考えております。
#131
○木島委員 より重大な問題は、保釈が大阪地裁によって取り消された九七年十月二十一日から東京都内で収監された九九年十一月五日まで、丸二年以上もの長期間に及んで許永中の身柄を勾引できなかったことであります。
 刑事訴訟法九十八条によれば、収監は検察官の指揮によって行うとされております。保釈が取り消された刑事被告人の収監は検察官が行わなければならない、検察の責任であります。なぜこんなに長期間にわたって許被告人を収監できなかったのか、厳しい反省の弁も含めて、法務当局の見解をお聞きしたいと思うんです。
#132
○古田政府参考人 保釈取り消しの裁判の執行はもちろん検察官が行うべきことでございまして、検察官といたしましては、当時、許被告の所在捜査につきまして、これは大変一生懸命努力をしてやったわけでございます。その具体的内容を個別に申し上げることは、これは御容赦いただきたいわけでございますが、韓国当局にも協力を依頼するとかそういうようなことをいたしまして、その所在を把握するために必要な手段を尽くしてきたものでございます。
 残念ながら、その所在発見に至るまで、今御指摘のような長期間かかってしまったというのは事実でございますけれども、検察庁としては可能な限り所在の把握に努めたということは御理解いただきたいと存じます。
#133
○木島委員 許永中が保釈を取り消され収監されるまでの間、保釈逃亡中の被告人、これはいわゆるイトマン事件での刑事事件の犯人なわけであります。この被告人たる許永中をかくまったり逃亡を手助けしたりした者は、これは刑法百三条の犯人蔵匿・隠避罪に該当し、二年以下の懲役になるものと思います。
 許永中被告人の保釈取り消し後の逃亡に関与した者でこの罪で起訴された者は現在まで何人いるのでしょうか。その結果はどんな状況になっておるんでしょうか。どんな方法で逃亡に関与したのか、起訴事実となった事件の中から類型的に挙げていただければ幸いであります。
#134
○古田政府参考人 許永中の逃亡を手助けした者については、現在まで合計十二名の者に対して犯人隠避、犯人蔵匿等の罪により公判請求がなされていると承知しております。
 それで、まず、どういうふうな形の手助けといいますか、関与が類型的にあるのかということでございますが、かなり多いケースが、偽名を用いてホテルなどに泊まることができるように手配をしたというふうなケースが大変多うございます。それから、そのほかのケースといたしましては、例えばクレジットカードを貸与するなどというような形態のものもございます。これは、クレジットカードを使用させることによっていろいろな支払いとかそういうものを容易にさせるということになるわけでございます。大体、典型的には偽名で宿泊させるというふうなケースが最も多かったというふうに御理解いただければ結構だと思います。
 その処分結果といいますか、裁判結果でございますが、必ずしもただいま全部把握をしておりませんが、既に一審判決が出て、有罪が言い渡されているものもございます。また、公判中のものもございます。
#135
○木島委員 十二名の者が逃亡に関与したということで、犯人蔵匿、隠避の罪で起訴されている、一部判決まで至っているということでありますが、その関与の方法の中で、逃亡中の生活資金の援助あるいはいろいろ活動資金の援助、要するに、金の援助で犯人の蔵匿、隠避に協力、加担した、そういう趣旨の類型の事件というのは摘発されておりますか。
#136
○古田政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、クレジットカードを貸与するというのはその一つの形態でございます。そのほかに、賃貸借契約に必要なお金を振り込んだというふうなケースもございます。
#137
○木島委員 検察当局は、その貸与されたクレジットカードでどのくらいの金が現に許永中によって引き出されたのか、そんなところまで具体的につかんだ上で公判請求している、そう聞いてよろしいのですか。
#138
○古田政府参考人 必ずしも現時点で詳細把握しておりませんが、ホテル代の支払いとかそういうものについて、クレジットカードを貸与して利用させているというケースが多いように承知しております。
#139
○木島委員 起訴した部分については私の方で調べることが可能でありますから、調べましたところ、犯人蔵匿、隠避の件で立件されたものの内容、時期的なものを調べ上げてみますと、保釈取り消し後収監されるまで、先ほど丸二年と私言いましたが、その二年のうち、九八年十一月から九九年十一月収監されるまでの足取りにかかわる犯人蔵匿、隠避というのはずっと出てきているんですが、その前、逃げ出してしまった九七年十月二十一日から九八年十一月上旬までといいますか、最初の一年間については、全く犯人蔵匿、隠避の方から追及することができない状況になっているのです。許永中の足取りが全くつかめないのですね。見えないのです。そこはどうなっていますか、検察、法務省は。
#140
○古田政府参考人 具体的なケースでどういう事情があったかということについてはお答えを差し控えたいと存じますが、いずれにいたしましても、捜査当局におきましては、犯人隠避、蔵匿等の嫌疑が認められるものがあれば、それについては厳正に対応した結果がこういうことになっているものと承知しております。
#141
○木島委員 許永中の逃亡資金に関して、二〇〇〇年、本年三月十六日付週刊新潮が重大な記事を掲載しております。
 亀井静香代議士の高橋志郎秘書が、昨年上映されました「あの、夏の日」、この映画の作成に関与していた。そして、その映画の作成のためのスポンサー料の一部が許永中の逃亡資金になっていたのではないかという疑惑がこの週刊誌によって指摘されているわけであります。その具体的な中身として、警視庁が押収した書類の中に、この映画作成のスポンサーとして振り出されたはずの、福岡の化粧品会社が振り出した一億八千万円分の約束手形のコピーがあった。この約束手形の本物分が映画を作成した担当者に渡っていなかったということも明らかに指摘されているのですね。
 これはまことにゆゆしい重大な事実だと思うのです。もしこの事実が真実であったとしたら、これは断定はできませんが、刑法百三条の犯人蔵匿罪の容疑が推認されるんじゃないか。これを放置するわけにはいかぬのじゃないかと思います。法務・検察当局は、これを重大な問題として、難しい言葉では捜査の端緒として見ておりますでしょうか、どうでしょうか。
#142
○古田政府参考人 個別具体的なケースで、どのようなことで犯罪の嫌疑を認めて捜査をするかは、その具体的な事情での法と証拠に照らした捜査機関の判断でございますので、答弁を差し控えたいと存じますが、いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたとおり、検察当局は警察当局とも十分連携をとって、犯罪の嫌疑が認められるような事実があれば厳正に対応したものと承知しております。
#143
○木島委員 一点聞いておきますが、この週刊新潮の記事にかかわって、名前を出された政治家あるいはその秘書から、名誉毀損等の罪で、誣告の容疑で、告訴が検察当局に出ておりますか。あるいは警察に出ているか、お聞きしておりますか。その点だけはきちっと伺っておきたいと思います。
#144
○古田政府参考人 私どもとしては承知しておりません。告訴なり、そういうものが出ているかどうかという点については承知していないということでございます。
#145
○木島委員 時間ですから終わりますが、許永中が保釈中に重大な刑事事犯を犯した。その事犯の中には、一国の建設大臣、現職の建設大臣の収賄事件にもかかわる事件を起こした。そして保釈が取り消された後も、検察の責任でありながら二年間も収監できずに放置されていた。先ほど大臣は、所信の中で、法秩序の維持を基本的に重要な使命として述べられました。まさにそのとおりなんです。だからこの問題はゆゆしいんです。軍資金がどうなったのか、逃亡中の生活資金がだれからどのように調達されたのか、決定的な問題です。
 法務・検察当局におかれましては、その辺のところを徹底的に捜査して全容を解明されることを期待します。仮に、その先に重大な人物がいたとしても、いささかも揺るぐことなく、正義のために、秩序の維持のために奮闘されることを期待いたしまして、私は、この質問を終わらせていただきます。
#146
○長勢委員長 保坂展人君。
#147
○保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 保岡法務大臣、上田法務政務次官、御就任おめでとうございます。保岡大臣は私の先輩に当たりますので、ぜひ頑張っていただきたいと思いを込めて、きょうは命の問題に絞って御意見を伺っていきたいと思います。
 まず死刑制度の問題、法務委員会でたびたび議論したのですが、きょうは、ちょっと時間を次のテーマに割きたいということもありまして、少し絞った議論だけさせていただきたいと思います。
 矯正局長、いらっしゃっていますね。昨年仮出獄をされた無期の受刑者の数及び平均服役期間についてお尋ねをいたします。
#148
○鶴田政府参考人 お答えいたします。
 平成十一年に無期懲役受刑者で仮出獄した人員は九名ですが、その平均服役期間は二十一年四月です。
#149
○保坂委員 それでは、法務大臣と政務次官に端的に伺います。
 今お聞きになったように、無期ということで、二十一年ということで仮出獄される。被害者あるいは国民の処罰感情というのがあります。オウムの関連事件でも、無期の判決そして死刑の判決とあるわけですけれども、やはり死刑と無期の落差について、これは相当あるのではないだろうか。この落差について、例えば刑法二十八条の十年を経過した後仮出獄をというくだりを、場合によったら見直し、削除するなりして、実際的に、二十年ではなく三十年であるとか三十五年であるとか、そういう部分の刑期ということを考えてもいい時期に来ているのではないだろうか、こう思うんですが、この点に関してのみ御見解を承りたいと思います。
#150
○保岡国務大臣 無期懲役の受刑者が相当の期間服役していることは今答弁があったとおりでございますけれども、この仮釈放期間を長期化することについては、仮釈放制度は個々の受刑者の改善更生状況などに応じて適正に運用されるべきでありますから、仮釈放が法によって選択の幅を狭められるということは頭に置かなければならないし、仮釈放までの受刑者の処遇が著しく困難になるということもあるわけです。そういったこともありますので、やはり慎重な検討が必要だと思っております。
#151
○上田政務次官 最近の報道等で、死刑と無期懲役の判決の落差というのは、今保坂さんがおっしゃったことについていろいろと議論を呼んでいて、特に厳罰化を求めるような世論がそこを原因としてあるというような事実があるのではないかということは私も承知しておりまして、今、具体的には、終身刑の創設であるとか、刑法二十八条の、一部の報道等によると、場合によっては十年を過ぎると何かすぐ釈放になってきているというようなことが感情的に許せないというような、そういう世論があるわけであります。
 こうしたことについては、私もそういう認識のもとでいろいろと勉強はさせていただいておりますけれども、今保岡大臣からもいろいろと問題点等の指摘もございましたし、また、無期懲役といっても実際には、先ほど答弁があったように、平均でありますけれども二十一年という相当長期にわたって収監されるというようなことを考えますと、いろいろな角度からこの問題についてはもう少し慎重に勉強していかなければいけないことではないのかなというふうに思います。
 また、こういうふうに長期にわたって収監されているということが極めて大変な苦痛であるというようなことも考えると、いろいろな要素を含めて考えなければいけないことであって、早急に結論の出ることは難しい話ではないのかなというふうに考えております。
#152
○保坂委員 昨年、法務委員会でヨーロッパ、特にドイツとフランスでこの死刑の話をいたしましたが、ヨーロッパの法務委員会の皆様と交流をした際に、死刑の執行は日本はしていないんですね、制度はあってもしていないんですねと問われて、いや、そうではないんだという議論をいたしました。フランスでも、フランスの死刑が廃止をされていった経過についていろいろ、予審判事のお話などを聞きました。
 国際的には死刑の廃止というのが潮流になっていることは御存じのとおり。私も死刑廃止議員連盟のメンバーとして今後国会での議論をしていきたいと思いますが、しかし、これはひとつ、今指摘した点も含めて活発な議論を、これから政府の側としても取り組んでいただきたいと思いますし、いただいた答弁書によると、法務大臣及び法務総括政務次官も、場合によってはこの記録を精査して、本当にその執行が適切かどうかを確認されるということなんで、これは十分に、慎重に慎重にこの点を、これだけの世論が、世論調査では確かに死刑の存置が多いんですけれども、これを細かく見ていくと、二十一年と死刑という落差についてやはり問題点が含まれているだろうということを指摘させていただいて、次のテーマに移りたいと思います。
 お配りいただいた資料が、新聞記事があると思いますけれども、まず、この改造RV車によって三十二歳の、これは運輸省初めての女性教官として、十年ほど前に大変注目をされて、十年活躍されていた方がこのような形状の車に巻き込まれて亡くなってしまったという事故です。この写真をごらんになると歴然としているんですけれども、タイヤが直径一メートル、車高が二・六五メートル、運転者の目線が地上から二・二五メートルということで、前二メートルはもう全く見えない状態で、左側も一メートル離れないとバイクのヘルメットも見えないだろうというような車です。
 運輸省にお尋ねしますが、このような車は車検をパスするんでしょうか、端的にお答えいただきたいと思います。
#153
○宮嵜政府参考人 この自動車でございますけれども、自動車につきましては、検査を行う際に安全基準というのを設けておりまして、その安全基準に適合しているかどうかということで私ども検査を行っております。調べてみましたが、若干幾つかの点で、例えばヘッドランプの高さが高いとか、あるいは車高が高くなっておって手続がとられていないという点はございますが、この車は検査で合格をしております。
#154
○保坂委員 もしこれが検査を合格するのだとしたら、やはり安全の基準である道路運送車両の保安基準に問題があるのではないか。つまり、これは、三輪車に乗っている子供がいたり、背中の曲がった老人が、本当に小さく、つえをついて歩いていたりというのは全く見えないわけですね。車庫がある以上生活道路にも当然侵入するわけで、こういうことをやはり見直すという努力を始めていらっしゃるかどうか、これも明確に答弁いただきたいと思います。
#155
○宮嵜政府参考人 今回のこの事故、大変痛ましい事故だというふうに私ども思っております。今まで過去に、平成二年、やはり同じようにRV車の死角で小さいお子さんが亡くなったというような事故もございまして、私ども、歩行者保護というのは非常に重要なテーマだと思っております。歩行者それから二輪車を含みまして全体で四五%の死者を占めておりますので、これは、まず事故を防止するという観点と、それから、ぶつかった場合にも被害を軽減する、こういう観点から対策を進めなければならない、そういう気持ちで、今具体的な対策をとりつつございます。
#156
○保坂委員 命というのは、一般的な命というのはなくて、常に個別具体的、この藤原裕喜子さんは三十二歳で亡くなられてしまったわけですけれども、改めて交通事故の起こり方、そしてその後の捜査のあり方などに触れてお話を聞いていきたいと思うんです。
 時間がありませんで、短くて恐縮なんですが、航海訓練所次長さんに来ていただいていると思うんですが、この藤原さんがどんなお仕事をされて、道半ばで亡くなったことで職場にどんな影を落としているのか、短くですが、ちょっとお答えいただきたいと思います。
#157
○安本政府参考人 私は、藤原さんが帆船日本丸の実習生当時、同船の航海科専任教官として実習の指導に当たるとともに、藤原さんの入省後は、同じ船で勤務をしたという経験から答弁をさせていただきます。
 藤原裕喜子さんは、平成元年九月、東京商船大学乗船実習科を修了すると同時に、航海訓練所に初の女性航海士として入所されました。その後、練習船青雲丸を初め各船に歴乗をされております。平成十年の十月、海王丸の二等航海士として乗船勤務になりました。そのところ、昨年九月二十日夕刻、同船から自宅に戻る途次、かかる不慮の事故に遭遇された次第です。
 藤原さんは、持ち前の強い責任感と明るい性格に加えまして、学生時代柔道部ではぐくまれた粘り強さで実習指導を行い、実習生からは絶大な信頼を得ておりました。また、日ごろの自己研さんのかいあって、昨年四月には航海訓練所助教授に昇任され、彼女の今後の活躍を、航海訓練所職員のみならず、同窓生全員が期待しているところでありました。
 さらに、日ごろ彼女は、夢は帆船のキャプテンになることだと申しておりました。また、ことし米国のニューヨークなどで開催されました帆船フェスティバルに海王丸で参加することを楽しみにしておりました。切実に思い出されます。
 同じ職場で一緒に仕事をした者として、将来有望な藤原さんが三十二歳という若さでこのような事故に遭い、逝去されたことはまことに残念であります。ここに心から御冥福をお祈りするものでございます。
#158
○保坂委員 どうもありがとうございました。
 けさほど連絡がありまして、この委員会のやりとりを傍聴席で御両親が見守っておられますので、彼女の冥福を私の方も祈りたいと思います。
 時間がだんだんなくなってきているので、端的に、警察の方、その後にどういう処置がされたのかということにちょっと絞って、私が事実を言いますので、できればそれを確認する、最低限、なるべく短い時間で答弁をお願いしたいのです。
 事故発生後、藤原さんは目黒消防署の救急隊によって小倉病院に搬送され、医師が死亡を車の中で判定をして、そして警察署に、玉川署でしょうか、この方に遺体を運ぶというふうな、そういう経過だったのでしょうか。
#159
○坂東政府参考人 委員御指摘のとおりでございます。
#160
○保坂委員 消防庁に伺いたいのですが、医師が死亡を判定したときに救急車が搬送するというようなことはよくあることなんでしょうか。そしてまた、この場合は、警察署に救急隊が到着をしてすぐ帰られたのでしょうか。その辺の事実、わかっていたらお答えいただきたいと思います。
#161
○細野政府参考人 救急業務につきましては、一般的に医療機関に傷病者を搬送するわけでございますが、搬送しました傷病者を医師に引き継ぐという時点で救急業務は終了するわけでございます。ただしかし、今回の事故のように、医療機関に収容する前にお医者さんが死亡を確認される、こういう場合もあるわけでございまして、そういう場合につきましては、原因が今回のような交通事故のような場合で、警察官から御依頼があったというようなときには、警察に引き継ぐために警察署に搬送するということがあり得るというふうに承知をいたしております。したがいまして、救急業務としては、その時点でいわば終了したという格好で報告を受けております。
#162
○保坂委員 それでは、警察庁の方にまた伺いますが、九時に藤原さんの御家庭に連絡をとって、御両親は九時三十五分ごろに玉川署に到着をされ、そして、被害者相談係の警部補が応対をされた。ここからが問題なんですけれども、やはりすぐに対面をしたいというお気持ちが御両親はあったようですけれども、それがかなわなかったというふうにおっしゃっています。対面をしたのは次の日になってから、随分長いこと警察署の中で待たざるを得なかった、こういうふうにおっしゃっているのですが、これはどういう事情だったのか。対面をしたのは何時だったのか。よろしくお願いします。
#163
○坂東政府参考人 御遺族の方が御遺体と対面された時間は、私ども、警視庁からの報告によりますと、事故発生当日の二十三時三十分というように承知しております。
#164
○保坂委員 けさも確かめたんですが、御記憶があって、警察署を出る直前に対面をされたそうですね。十分か十五分対面をして、そして警察署を出るときに車で帰られた、そのときに午前一時を回っていた、こういうふうに三人の方が証言をされているのですね。
 本当にその十一時半が正確だったのか、それと、なぜそのような長い時間対面がかなわなかったのか、ここを、率直な事情があればあるで、お話しいただきたいと思います。
#165
○坂東政府参考人 まず、御対面された時間でございますけれども、先ほども御答弁いたしましたように、二十三時三十分というように聞いておりますが、委員御指摘のように、御両親等が警察署を退出されましたのは、翌日の朝一時三十分ごろというように聞いています。
 それで、なぜ御遺族と御遺体との対面が二十三時三十分ごろになったかということでございますけれども、委員御指摘のように、被害者の御両親が警察署に到着したのが、事故当日の二十一時三十五分ごろというふうに聞いております。その後、警察官が御両親に被害者の方の運転免許証とヘルメットを提示いたしまして、本人のものと間違いないということで確認したところでございますが、その際、御遺体との対面を警察の方から申し向けたところ、御両親は、近くに被害者の方のお姉さんがいるので一緒に対面したいといったようなことから、お姉さんの到着を待つこととしたということでございまして、被害者のお姉さんが警察署に到着したのが二十二時ごろということのようでございます。
 他方、二十二時三十五分ごろに加害者の両親が警察署に到着したということのようでございまして、加害者の両親が遺族の方に謝罪したいというふうに申し出たことから、御遺族にその旨をお伝えして、面会していただいたということのようでございます。
 そして、先ほど申しましたように、二十三時三十分ごろに御遺族が御遺体と対面したということでございますが、なお、この対面の前後、これは担当者が前か後か記憶が定かでないということでございますけれども、この対面の前後に、御遺族に対して担当者の方から事故の概要等を説明した、このように警視庁から報告を受けているところでございます。
#166
○保坂委員 そういう報告を受けられているのなら、その報告は間違っていますね。
 一つ確認をしたのですが、お姉さんが玉川署に着いたのは九時二十分から三十分の間なんです。御両親が玉川署に行ったら、もう既にお姉さんはおられた。そこのところが違っている。どうしてそういうふうな違いが、いろいろ細かくメモをとっていたわけじゃないだろうと思いますけれども、それは違うのですね。
 それで、本人の身元を確認するということは、まず第一にしなければいけないことじゃないでしょうか。例えば、そのときに写真などを撮っていたということはありますか。撮っていたとしたら、何枚ぐらいの写真を撮ったのか。
#167
○坂東政府参考人 写真の点はちょっと確認をしておりませんけれども、本件の身元確認につきましては、第一次的には被害者の方が所持していた運転免許証で確認したというように報告を受けております。
#168
○保坂委員 それでは、さらに伺いますが、娘さんが亡くなった、突然の事故ですよね。そして、対面をしたいというのは当然です。そして対面をした後、どういうふうな経過だったんだろうか、警察の方に運ばれた病院と消防署の所在を教えてくれという求めがあったのですが、何か教えてもらえなかったそうですね。これを教えてくれたのは検察官だそうです。検察官が写真を見せてくれたそうです。それは警察官が撮った写真。いかがですか。やはりそういう写真は撮っておられたのですね。
#169
○坂東政府参考人 先ほども御答弁いたしましたように、写真の件については、現在のところ確認をしておりません。
#170
○保坂委員 そうすると、長い時間、ヘルメットと免許証を見せてそれで本人確認するよりは、やはり対面をなるべく早く実現するのが筋だと思います。そういうところはやはり今後のことでもあります。しかも、亡くなった藤原さんは、御両親が帰られた後も警察署内にそのまま置かれていたんですね。そして翌日の午後ようやく、監察医の到着を待って自宅に戻るという経過をたどったようですけれども、本当に命の尊厳を考えていったときに、遺族のお気持ちをもう少し配慮するべきじゃなかったかというふうに思いますが、いかがですか。
#171
○坂東政府参考人 私ども警察といたしましては、これまでも被害者側の立場に立った被害者対策というものを推進してきているところでございますが、委員御指摘のような観点も踏まえまして、今後とも御遺族の心情に十分に配慮した捜査を推進してまいるように各都道府県警察を指導してまいりたい、このように考えております。
#172
○保坂委員 この件については本当に細かくいろいろ確かめたいことがあるんですが、時間がもう制約されていますので、次に、先ほど来他の委員からも出ていましたけれども、いわゆる通信傍受法、盗聴法が施行されるわけです。
 きょうは林局長にどうしても来ていただいてお答えいただきたかったのは、例の犯歴データの問題、これは警視庁から出ています。二十三年間警視庁に勤務していて、去年荏原署の巡査部長を最後に退職された作家の黒木さんという方が夕刊紙でコメントしているんです。予算委員会できのう辻元委員もそれを示したんですけれども、その犯歴データのコピーの中にアルファベットの記号があった、Aは犯歴だ、Bは指名手配、Cは盗品、Lは免許、Sは補導歴、Mは家出人、Zは暴力団構成員というような警察の内部の符牒があって、これはほぼ間違いないというふうに、警察に勤務していた作家である彼はそういうふうに思うと。しかも、最後にFという記号もあって、これはいわゆる思想調査ファイルだというふうな話もこのコメントであるわけですね。
 局長、どうでしょうか。私は何回も、いわゆるデータが漏えいする問題を問いただしてきましたけれども、今回は相当大がかりなようですね。そして、こういうことがある以上は、やはりここのところを洗いざらい、警察が警察を調べるということも場合によったらというか、まさにそういう必要性が出てきている事案ではないかと思いますし、こういう興信所、調査会社が警察のOBだからといって手をこまねいて、明らかに警察の信用が失墜をする。こういうことを全部の警察官がやっているわけじゃないだろうと思うんですね。そのコメントの中にもあるけれども、大半の人たちはまじめにやっているというふうに言っていますよ。一部のそういうよからぬ、おかしな人たちによって全部が信用がなくなるというゆゆしき事態。これはやはり徹底した捜査によって、調査じゃないと思います、捜査によってはっきり解明していただきたいと思いますが、いかがですか。
#173
○林政府参考人 先生御指摘の、興信所が犯罪経歴等を入手してデータの一部を漏えいしておるのではないかということが大変大きな問題になっておるのは事実でございまして、現在警視庁においては、事実関係が一体どんなものだったんだろうということを調査しておるということでございまして、この全容を早急に解明した上、先生御指摘のように、刑事事件として処断すべきような事実があるならば厳正に対処してまいりたいと思いますし、それからまた、一般に、御指摘がありましたけれども、相手がOBであろうが何であろうが、いわゆる法に触れるような情報漏えい等の事案があれば、これは、今までもそうしておりますが、徹底的に厳正に対処していくという方針でございます。
#174
○保坂委員 この問題でもう足かけ四年にわたって議論してきた刑事局長、法務省の古田さんに改めて伺いたいんですけれども、やはりこの問題がポイントだったんですね。
 去年の、あれだけこの国会を揺るがせた、通信傍受法をめぐった与野党の論戦あるいは不正常な事態。これは何かといえば、警察が捜査上知り得た情報を万が一にも外に漏らすようなことがないのかということを我々野党は問題にした。そのときに林局長も、そんなことはもうありません、信じてください。信じられないのは偏狭だという御批判も受けましたよ。
 しかし、事ここに至っては、やはり電話だとか犯歴だとか、場合によっては思想調査に至るまでこういう会社に流れているというような事態、ここを全部うみを出さないでどうしてこの施行ができるのか。ここのところ、どういうふうに起案者としても思っておられるのか。これは深刻ですよ。はっきりこれを全部洗い流してから施行したって遅くないのです。それでも問題点はあると思いますけれども、まず最低限の条件として、徹底的に、こういうことが二度とないように、これは政府を挙げてやるべきだと思いますが、いかがですか。
#175
○古田政府参考人 お尋ねの点、これは私どもとしても、通信の秘密に関する内容を含むものでございますから、傍受の結果いろいろ知ることとなったデータについては、普通の捜査情報とは全く違った、非常にいわば神経質な取り扱いを、もう法律の中でそれを徹底することを考えたわけでございます。
 今委員御指摘のような犯歴データとか、こういうものは実はもともと蓄積されるものでございます。それは事務処理上必要でございますから。それに反しまして、この通信傍受によって知り得たもの、犯罪の実行に関連する通信を含まないようなものにつきましては、これはおよそ残してはいけない、もともと蓄積を全く予定していないどころか、それをしてはいけないということにしているわけです。その一方で、捜査、立証に使う分、これはどうしても必要ですから、これはこれでもちろんきちんと保管をするんだけれども、それがみだりに流れないように、保管のシステムとかそういうものはきっちりつくっていただく。そういうことで、委員の御指摘のような御懸念も踏まえまして、起案者というふうにおっしゃっていただいたわけですけれども、立案に参画した者としては、このデータの取り扱いについては本当に細心の注意を払って法案を作成したというつもりでございます。
 もちろん、実際にそれがきちっと守られるということが、これは当然必要なわけですが、そのあたりのことにつきましては、私は、やはり警察御当局においても、そこまで神経質につくった法案だということは十分これは承知しておられると思います。それで、それに向けて万全の体制をとっていただけるものと信じております。
 また、一方、法務大臣の所信表明にもございましたけれども、今犯罪情勢はかなり悪くなってきており、組織犯罪と呼ばれるようなものも相当ふえてきていることもこれは実態でございます。一たん悪くなった治安というものは、これを回復するというのは非常に大変なことだということは先進国の例を見ればよく御理解いただけると思うわけです。そういう中で、かなり制限的な形でこういう武器を捜査機関にお願いしたいということで通していただいたものでございますので、保坂委員の御懸念は御懸念としてもう十分理解はいたしているところではございますが、やはり施行をこの際すべきだろうと私は考えております。
#176
○保坂委員 大変御丁寧に答弁していただいたのでもう持ち時間がなくなってしまったんですが、大臣に、犯罪被害者、交通事故も含めて被害者の立場を本当に守り切る、そのために不断の努力を今後も続けていただきたいという決意だけ伺って、おしまいにします。
#177
○保岡国務大臣 捜査に当たりましては、被害者やその遺族の方々のお立場とか心情には十分に配慮することが重要だと思いますので、その点については、委員が御指摘になった趣旨を踏まえて今後きちっと対応していきたいと思います。
#178
○保坂委員 ありがとうございました。終わります。
#179
○長勢委員長 上川陽子君。
#180
○上川委員 二十一世紀クラブの上川陽子でございます。今回の選挙で静岡の一区から初当選ということで、法務委員会に所属をさせていただいての初質問ということでございますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 保岡法務大臣、そして上田総括政務次官の御就任おめでとうございます。本日の大臣のごあいさつの中で、とりわけ二十一世紀の日本の社会においてはセーフティーネットとしての司法がいかに重要であるかという点について強調されておりました。国民一人一人が安心して暮らせる社会基盤をつくるために、新しい時代に見合った法務行政の実現に向けて確固たるリーダーシップをぜひとも発揮していただきたくお願いを申し上げます。
 法務行政の中でも、とりわけ少年の非行対策には多くの国民が関心を寄せています。私自身、子供を産み、育ててまいりました母親として、凶悪な犯罪が起こるたびごとにいつも感じることでございますが、そうした犯罪は私たちの身の回り、いつでもどこでも起こり得る、そして我が子にも及び得るということでございます。そういう意味で、日々強い不安を感じている母親が大変多いというのも事実でございます。
 最近の少年を取り巻く凶悪事件は、日本の社会の病理現象というふうに言えると思います。個々の事件につきましては、徹底的な原因究明と凶悪事件発生防止に向けた対応策が必要であることは言うまでもございませんが、そうした対応策を検討するに当たりましては、教育や児童福祉、精神医療など、さまざまな分野からの知恵を寄せ集めることが求められております。大臣にも、ぜひとも関係省庁との連絡を密にしていただきまして、総合的な観点から問題解決に当たっていただきたくお願いを申し上げます。
 そこで、今回大変時間が短いものですから、少年法に絞って御質問をさせていただきます。
 まず第一に、少年による凶悪な事件が後を絶たない状況の中で、大臣は、少年たちの非行問題を挙げ、社会を挙げて取り組むべき課題とされ、その対策を早急に検討していく旨述べられました。
 最近の少年犯罪は、山形マット死事件のような集団によるもの、また、神戸の児童殺害事件のようないわゆる切れた状態での単独犯罪などに特徴があると言われています。大臣は、そうした少年犯罪の根本的な原因はどこにあるとお考えでしょうか。また、法務行政面からの対応策として、まず何から取り組むべきとお考えなのか、所見をお聞かせください。
#181
○保岡国務大臣 委員が御指摘のように、私も、今度の選挙を通じて有権者の皆様から随分と少年の凶悪事件、非行事件の低年齢化などを懸念する声を、肌でもう痛いほど感ずるような意見をたくさんいただきました。同じような思いにあるんじゃないかと思います。
 お尋ねの少年非行については、家庭とか学校とか社会環境など多くの要因が重なっておって、関連するいろいろ複雑な要素が絡み合っている、そういうようなものである上に、個々の事案について、また特性も事情もあると思うのです。一概に申し上げるのも困難ですけれども、ただ、最近の少年の特質の特徴としては、規範意識が低下している、悪いことをやっても処罰を受けないんだというような、甘えたというか、あるいは物を簡単に考えるとか、そういう傾向があるし、また、対人関係の希薄化というのが非常に顕著で、このことは大問題だと思います。抑止力の不足、短絡的な行動傾向などが指摘もされている。
 これらもその一因として指摘されるところでございますけれども、私は、根本的には、やはり教育もそうでありますし、家庭も学校もそうでありますが、みんなで全体でこの問題をどうするかということをやっていかないと、少年非行の犯罪の処罰という点だけではカバーできない。それも一つの重要な要素であるけれども、こういった総合的な対応が必要であるということ、国民みんなが努力しなければならないものであるということは、委員の御指摘のとおりだと思っております。
 少年非行問題については、少年の健全育成を推進するとともに、悪質な少年犯罪に対処するための方策として、事実認定の手続の一層の適正化や被害者に対する配慮とともに、いわゆる年齢問題等もありますが、これらについてもいろいろ意見のございますところですから、重要な課題として早急に検討し、与党の中でも少年法改正について次の国会で提案を議員立法でするという動きも聞いておりますので、与党の協議を踏まえながら、ともに政府・与党一体となって対応をきちっとしていけるように努力したい。要は、国民がいい少年法ができたと思ってもらえるような内容をつくることにあると思っております。
#182
○上川委員 今規範意識の低下ということでおっしゃられたわけでありますが、そういう意味では、制度そのものを厳しくするというだけでは物の解決にはならないということでありますので、ぜひとも法務大臣としても、この規範をつくる、法律をつくるという観点の上でも、いろいろな視点の議論を十分に踏まえた上で、それが私たち国民にも目に見えるような形でぜひともお取り組みいただけたらというふうに思っております。
 次に、諸外国の少年法を比較してみますと、原則的には保護主義というものを前提としておりますけれども、刑事手続、処分のあり方については少なからぬ違いが見られるというところでございます。日本の場合には、どちらかというと保護主義が優先されるということで、刑事手続、刑事処分については、その適用年齢の点で見ても諸外国よりも高い年齢に設定されているというところでありますが、大臣としては、その基本理念として、現行の少年法の保護優先主義をこれまでどおり進めていくつもりなのか、それとも、刑事手続、処分の面で現行よりも厳しい理念をもって設定しようというお考えなのか、その点につきましてお聞かせいただければと思います。
#183
○保岡国務大臣 少年の教育や更生を大切に考える立場は今後とも基本的に維持していかなければならないと考えておりますが、他方、近時、少年による凶悪、重大な事件が発生していることなどを契機に、いわゆる少年法のあり方が国民の重大な関心になって、先ほどお話ししたとおり、国民がいろいろ懸念する要素が大きいという認識でおります。
 現行少年法は、少年の健全育成を目的として、個々の事案、当該少年の特性に応じて少年院送致や保護観察等の保護処分を行うとともに、一定の少年については事件を検察官に送致して刑事処分を行うことができることといたしております。このような刑事処分にする範囲の問題も含めて、少年法のあり方については、刑事司法全般において少年をいかに扱うべきであるかという基本的な考え方にかかわるものでございますから、委員御指摘のように、いろいろな角度から、また国民の納得する結論を得るように十分検討してまいりたいと思っております。
#184
○上川委員 そうした状況なんですが、就任以来、大臣は、少年法の適用年齢の引き下げということにつきましても幾たびか御発言をなさっていらっしゃったというふうに伺っております。
 現在、少年法の適用年齢の引き下げということにつきましては三つの視点というのがあるということでございまして、そうした適用年齢の引き下げということにつきまして、少年たちの凶悪犯罪を抑止するという上でどのような効果があるというふうにお感じになっていらっしゃるのか。また、先ほど申しましたとおり、三つの適用年齢の引き下げというものが議論されているということでございますが、その点につきまして、大臣のお考えをぜひともお聞かせいただきたいと思います。
#185
○保岡国務大臣 犯罪の発生には種々の要因が絡むものであって、年齢区分を引き下げることによって現実にどの程度の犯罪が抑止されるかということについては、一概には申し上げることが困難だと思います。
 しかし、例えば刑事処分に付されないということから自己の行動について安易に考えることがあれば、刑事処分可能年齢を引き下げることは規範意識の向上による非行の防止に寄与することになろうとは思います。
 御指摘のように、近時、少年司法における年齢区分のあり方が国民の重大な関心事となっていることは十分認識しておりますが、この問題については、先ほど申し上げたように、刑事司法全般において、成長過程にある若年者をどう取り扱うべきかという基本的な考え方にかかわるものでございますから、それについても種々論議があるところですので、この論議も踏まえながら、重要な課題として取り組んで、先ほど申し上げたように、与党が次の国会で立法化しようとしている動きに適切に対応してまいりたいと存じております。
#186
○上川委員 十四、十五、十六あたりの年齢というのは、子供の成長の中でも本当に一番体としても精神的な面でも変化の激しい、非常に揺れている年齢であります。そういう面で、年齢の引き下げということにつきましては、本当にいろいろな観点から慎重に慎重に議論をしていかざるを得ないというテーマだと思っておりますので、そういう意味で、長い時間をかけて、そして広い国民の議論になるように、ぜひとも御検討いただきたいというふうに思います。
 そういう中で、さきの国会で、本委員会の中で少年非行対策に関する決議というものが行われまして、その第二項で、審判手続において犯罪被害者等の立場を尊重する制度を確立すること、さらに被害者救済のための抜本的措置を検討するという項目が決議されております。
 大臣はごあいさつの中で、この決議も踏まえた上で少年非行対策についても早急に検討する旨御発言されておりますが、被害者及び家族の知る権利ということにつきまして、もう一度お考えをお聞かせください。
#187
○保岡国務大臣 少年事件においても被害者やその御家族が事件の内容などを知りたいという希望を持たれることは、十分理解できるところでございます。
 他方、少年審判手続は、少年の健全育成を期して、非行のある少年に対して保護処分を行うことを目的とするものでございまして、被害者及びその御家族に対して少年事件に関する情報を提供することについては、こういった少年法の目的である少年の健全育成ということも踏まえ、少年審判が非公開とされていることとの調和も考えていかなければならないと思います。したがって、情報をどう公開するか、その範囲、方法などに関してもよく慎重に検討する必要があると思います。
 なお、さきの国会において廃案となった少年法改正法案には、少年審判の結果などを家庭裁判所から被害者に通知する制度を盛り込んでおりました。このような制度は必要なものと考えております。したがって、次の少年法の改正の際には、そういう趣旨の内容などが盛り込まれることを期待いたしております。
#188
○上川委員 被害者の立場の尊重ということと、それから抜本的な被害者の救済措置、こういう面ではどのような法制化ということについてお考えでしょうか。
#189
○保岡国務大臣 被害者の救済については、刑事事件一般について被害者に対してどう対応するべきかという問題と、全体の問題だと存じますが、その点についてはいろいろと今までも対応を政府として努力してまいりましたが、さらに人権擁護推進審議会において、いろいろな点で国民の人権が侵害された場合の被害者の救済のあり方については今後さらに検討して答えを求めていくということで、今熱心に御審議をいただいております。
 そういった被害者救済制度については、これからもなお一層重要な課題として取り組んで、適切に対応してまいりたいと思います。
#190
○上川委員 今御発言の中で、先回出された少年法改正案は廃案になりましたけれども、次回の国会に向けて議員立法等の形でという形の御発言がございましたけれども、法務省としては、先回の少年法の改正案と同じものが次回にも出されるという形での認識でよろしいんでしょうか。
#191
○保岡国務大臣 前国会で廃案になりました少年法改正案は、事実の認定の適正化を一層進めるということと、今申し上げた被害者に配慮する措置を盛り込んでおります。こういった改正が目的としたことについては、その意義はますます高まっていると思っておりますので、できるだけ早い機会に再度国会における審議を願えるように、先ほど申し上げたように我々としても努力してまいりたいと思っております。
#192
○上川委員 時間が参りましたので、これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
#193
○長勢委員長 次回は、来る九日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時五十七分散会

ソース: 国立国会図書館
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