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2000/07/31 第149回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第149回国会 本会議 第2号
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2000/07/31 第149回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第149回国会 本会議 第2号

#1
第149回国会 本会議 第2号
平成十二年七月三十一日(月曜日)
    ―――――――――――――
 議事日程 第二号
  平成十二年七月三十一日
    午後一時開議
  一 国務大臣の演説に対する質疑
    ―――――――――――――
○本日の会議に付した案件
 永年在職の議員村岡兼造君に対し、院議をもって功労を表彰することとし、表彰文は議長に一任するの件(議長発議)
 国務大臣の演説に対する質疑
    午後一時三分開議
#2
○議長(綿貫民輔君) これより会議を開きます。
     ――――◇―――――
 永年在職議員の表彰の件
#3
○議長(綿貫民輔君) お諮りいたします。
 本院議員として在職二十五年に達せられました村岡兼造君に対し、先例により、院議をもってその功労を表彰いたしたいと存じます。
 表彰文は議長に一任されたいと存じます。これに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(綿貫民輔君) 御異議なしと認めます。よって、そのとおり決まりました。
 表彰文を朗読いたします。
 議員村岡兼造君は衆議院議員に当選すること九回在職二十五年に及び常に憲政のために尽くし民意の伸張に努められた
 よって衆議院は君が永年の功労を多とし特に院議をもってこれを表彰する
    〔拍手〕
 この贈呈方は議長において取り計らいます。
    ―――――――――――――
#5
○議長(綿貫民輔君) この際、村岡兼造君から発言を求められております。これを許します。村岡兼造君。
    〔村岡兼造君登壇〕
#6
○村岡兼造君 ただいま、院議をもちまして在職二十五年の表彰を賜りました。議会に身を置く者として、この上ない光栄であり、感激でいっぱいであります。
 この栄誉に浴することができましたのも、ひとえに先輩、同僚議員各位、郷土秋田の皆様、さらに友人、多くの方々の御指導、御支援のたまものであり、ここに衷心より厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 私は、昭和四十七年十二月の第三十三回総選挙に県議会議員から立候補して、議席を得ることができました。
 当時、外交では、米ソ二大国の冷戦時代、日中国交回復、オイルショック等の変革期であり、国内にあっては、国土の均衡ある発展、格差是正、社会資本の整備等が重要な政策課題でありました。
 以来今日まで、政治活動は三十数年の長きになりますが、その間、二度目の総選挙で落選し、自分自身を見詰め直す、苦しいながらも貴重な経験もいたしました。
 それでも、皆様の温かい支えにより捲土重来を果たし、その後、建設委員長、党国会対策委員長、郵政大臣、運輸大臣、内閣官房長官、党幹事長代理等の要職を務めさせていただきました。
 私は、二十五年の国会活動を通じて常に心にとめてきたことは、「事をなすには一利あれば一害あり」という考え方であります。いかに立派な政策や制度を推進しようとしても、完璧なものなどあり得ず、そこには弊害も出てまいります。そこで、できるだけそのよい面を引き出し、害を最小限とすることが政治家がなすべきことであるという考えで政治活動をしてまいりました。
 私は、国会においては、長い期間、国会対策関係の仕事を担当いたしましたが、まさに与野党対立の激突の時代であり、困難な国会運営をたびたび経験をいたしました。
 国会対策委員長として、混乱する国会を収拾するため、野党の意見に対し、信義を尽くし、誠心誠意耳を傾けることを心がけ、約束は必ず守ることを誓って、何回も各党を訪問し、各党の御理解を得て解決したこともたびたびでありました。
 大変厳しい仕事でありましたが、過ぎ去ってみると不思議に懐かしい思いがいたします。議場内には当時の与野党の関係者もおられますが、皆様の御配慮、御協力に心から感謝を申し上げます。(拍手)
 沖縄サミットも終わり、二十一世紀を直前に控え、いよいよ省庁再編、国会改革等新たな制度が実施されます。
 景気は緩やかに回復に向かっているとはいえ、細心の注意が必要であります。少子高齢化の時代、年金、介護、医療等の国民の不安をどう解決するか、安全保障、教育改革、青少年犯罪防止、各種制度改革など全面的な見直しが必要であり、同時に迅速かつ国民にわかりやすい的確な政策が求められております。
 まさに政治家が日本のかじ取りを主導し、国民の理解を得て政策を実行しなければなりません。そのためには、政治家はみずからの発言に責任を持ち、諸改革を実行し、新しい時代を切り開いていく勇気と決断が必要であります。
 私は、本日の栄誉を機会に心を新たにし、誠意を持って政治課題に取り組むことをお誓いし、御礼といたします。(拍手)
     ――――◇―――――
 国務大臣の演説に対する質疑
#7
○議長(綿貫民輔君) これより国務大臣の演説に対する質疑に入ります。鳩山由紀夫君。
    〔鳩山由紀夫君登壇〕
#8
○鳩山由紀夫君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、私の所信の一端と、主として総理に対して質問をいたします。
 初めに、有珠山の噴火や伊豆諸島地震で被災され、不安な毎日を送られた方々、送っておられる方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。また、特に被災によってお亡くなりになられた方の御冥福を心からお祈りをいたします。
 私は、こうした大規模災害における生活の困難や事業の中断から生じた問題については、個人補償を含めて手厚い支援策を実施することが極めて重要だと主張し、政府にも申し入れてまいりました。公共投資は、本来こうした緊急性の高いところに最優先して配分されるべきものであります。政府としても、むだな予算は削減をし、真に必要なところに思い切った措置をとられますよう、改めて強く要請をいたします。(拍手)
 さきの総選挙において、民主党は政権交代を求めて戦ってまいりました。残念ながら、その目的を果たすことはできませんでしたが、与党三党の議席は大きく減り、森内閣に対して厳しい評価が下されました。これは、国民の自公保連立政権に対する拒絶の意思表明であるとともに、総理自身が発言をふらふらさせて言いわけをし、果ては、あたかもマスコミが悪いかのような暴言まで繰り返したことへの当然の帰結と言えるでありましょう。
 そもそも選挙というものは、相対峙する政党が国民の前に堂々と公約を示して、その審判を問うものでなければなりません。民主党は、経済の活性化と財政再建の両立、むだな公共事業の大胆な見直しと削減、課税最低限の見直しなど、痛みを伴う改革を掲げてこの選挙に臨んでまいりました。特に公共事業問題においては、国民的な関心を呼んでいる中海の干拓や吉野川可動堰の事業及び計画の中止などを具体的に提案してまいったのであります。
 選挙とは、このように国民との約束を明確にして審判を受けるものであります。にもかかわらず、政府・与党は、選挙の際には甘い言葉ばかりささやいて、支持する者には予算をばらまくと言わんばかりの姿勢を示し、国民にとって厳しい話は一切触れぬまま、国民の歓心を買おうとしてきたのであります。そして、選挙が終わるや否や、税制調査会などを通じて増税をにおわせ、あたかも公共事業の見直しをやるかのようなポーズをとり始め、予備費についても慌ててその内容を修正するといった一貫性のなさを見せているのであります。
 森総理、そして自民党の皆さん、あなた方はいいかげんに気づくべきだ、このようなやり方こそ、政治に対する国民不信を増大させ、政治家の言葉ほど当てにならず人を欺くものはないという世間常識を生み出してしまっていることを。
 私は、まず最初に、久世公堯前金融再生委員長の利益授受問題及び辞任についてお尋ねせねばなりません。
 金融再生委員長の久世公堯議員が、九五年までの約七年間、三菱信託銀行から利益供与を受けていたという事実が発覚しました。その規模は、事務所の提供、顧問料などを合わせて二億三千万だと言われています。事務所には、企業から事務局長や事務員の派遣も受けており、事務局長は、自民党の部会などに出入りをし、金融制度や土地対策、都市開発に関係した情報を集めていたと伝えられております。
 これほどの問題に対して、自民党の幹部が、過去のことだ、済んだ話だ、法的問題はないなどと開き直る姿は、まさに非常識きわまりないものだと言わざるを得ませんでした。しかし、当然のことながら、国民の批判は厳しく、ついに辞任に追い込まれたのであります。
 そこで、伺わせていただきたい。
 まず、総理は、久世氏の閣僚就任決定時に、官邸において、この問題を指摘する投書を受けて事実関係を調べ、当人から事情聴取まで行った上で判断したと伝えられています。どのような事実を調べられたのか、また、いかなる理由をもって問題はないと判断されたのか、伺います。
 特に、久世氏は、企業などからの利益提供を政治資金収支報告書で報告する義務を怠るという違法行為を行い、かつ、三菱信託の顧問として、農水政務次官を務めていた間にも顧問料を受け、明確な兼職禁止違反を犯しています。総理はそのような事実を承知しておられたのか、あわせて伺います。
 しかも、あたかも突然発覚をし、辞任の理由となったかのようにスクープされたマンション大手の大京からの資金提供についても、既に知っていたのではありませんか。あわせてお答え願います。
 次に、世論にさらされた上での久世金融再生委員長辞任劇についてであります。
 大臣になる人物としてあるまじき不正行為を次々と行っておきながら、一億や二億の金で文句を言われる筋合いはないとばかりの態度を見せた久世氏及び久世氏の行動を弁護した自民党要人たちの余りの常識外れのセンスに、国民は改めて憤りを感じています。まさに、世間の感覚とはずれた自民党的体質が象徴的ににじみ出た一幕であったと言わざるを得ません。
 久世氏はまた、辞任の理由を、国民に対するおわびと不正についての反省からではなく、専ら永田町への配慮と国会審議への影響を考慮してのものだと述べたのであります。ここに政治家としての誠実さは一切見られないのであります。こんなモラルも誠実さも感じられない人物を閣僚に任じた根拠はどこにあったのですか。もともと久世氏は、私は金融の素人と言い放ち、そごうに対する債権放棄もあくまで正しかったと言い張るなど、完全にミスキャストであったはずです。
 したがって、総理は、辞任の申し入れを受理するのではなく、率先して解任すべきものでありました。それを行わず、あたかも健康上の理由で退任する場合と変わらない扱いとしたことは、森総理御自身、責任感覚が麻痺しているのではないですか。
 さらに申し上げたい。
 大京からの久世氏への利益供与は、参議院比例区での名簿順位を上げるために使われたではありませんか。まさに自民党は、業界・団体との金銭的癒着の程度でつくられている政党であることを天下に公表したことになります。こんな政党に、皆さん、日本の未来を託すことは断じてできません。
 ここで、後任の相沢金融再生委員長にお尋ねします。
 前任者である久世氏の辞任理由となった特定の金融機関からの利益提供について、とりわけ金融行政の責任者としてどう思われるでしょうか。また、仮にも、相沢新委員長におかれては、これまでに金融機関から受けた利益提供について、みずから公表し、透明性を保つことをお約束されるでしょうか。
 そもそも、このような事実を知らされておきながら、派閥均衡を意識し過ぎて、みずからリーダーシップを発揮することもなく、ずるずると久世氏を閣僚に登用した森総理の政治責任は極めて重いと考えます。総理としてどう責任をとる用意がおありか、ぜひお示し願いたいのであります。
 次に、さきに開催されました九州・沖縄サミットについて質問いたします。
 七五年にスタートいたしましたサミットが、回を重ねるたびに、政治家同士の腹を割った討議の場から各国の官僚のおぜん立てに乗った儀式へと堕してしまったことは、残念ながら事実として認めなければなりません。そして、そのように形骸化の進むサミットの中でも、今回のサミットは、内容のなさでは歴史に残るものであったと私は思います。
 私は、今回のサミットに協力をされた九州、沖縄の皆さん方の御努力に水を差すつもりはありません。ただ、サミットに八百十五億円と、ドイツやイギリスにおけるサミットの百倍もの費用をかけ、海外のマスコミからは宴会サミットとやゆされた上に、議長は官僚のつくった作文を読み、雑談には熱中されたと酷評されてしまっています。
 議長として、我が国の総理がサミットでリーダーシップを発揮できずに終始したことは極めて残念なことでありました。リーダー同士が、NMDや中台関係など本質的な、しかし意見の合わない議題は避けてしまうのであっては、何のためのサミットでありましょうか。サミット本来の姿に立ち返るのでなければ、サミットなど要りません。
 このような内外の評価を得た実情を、議長役を務めた総理としてどのように受けとめておられるのか、所感を伺います。
 日本の昨年度の経済成長率は年率〇・五%でした。これは、サミット参加国中最低であり、他の七カ国の平均二・八%に比べて著しく見劣りがします。日本は世界経済のお荷物になっていると言ってもよいでしょう。この点、サミットで本当に議論されるべきは日本問題であったのです。だからこそ、サミット直前の党首会談において、私は、来るサミットを構造改革路線に転換することを世界に表明する場とすべきことを申し上げたのですが、総理は私の助言を聞き入れませんでした。日本は、経済運営をばらまき財政路線から構造改革路線に転換し、それを世界にアピールする絶好のチャンスを逃したのではないかと思います。総理の所見を伺いたい。
 次に、朝鮮半島情勢に関連して総理に質問いたします。
 先月、南北首脳会談が行われ、また、先般のASEAN地域フォーラムに北朝鮮が参加するなど、大きな変化の兆しが見えています。また、去る二十六日にはバンコクで初の日朝外相会談が行われました。河野外相は米の追加支援を検討すると表明し、また、森総理は、北朝鮮に対する補償問題についても当然やらないといけないと発言されました。
 しかし、このような宥和的な発言の一方で、日本側は、ピョンヤンに対しミサイル問題や領海侵犯問題に関して主張すべき原則をあいまいにしてしまいました。まるで、韓国その他関係国の積極的外交攻勢を傍観し、バスに乗りおくれそうになったからと慌てて柔軟なポーズをとっただけに見えます。このような、戦略なき、国益なき、場当たり外交では、相手に足元を見透かされるのが落ちでありましょう。
 北朝鮮の肯定的な変化を奨励し、我が国及び広く北東アジアの安全保障環境を改善するために、日本が経済的オプションを含めた外交的駆け引きを展開することが重要です。しかし、その大前提として、対北朝鮮外交における日本の国益とは何かを明確に掌握し、それを北朝鮮や関係国、国際社会に主張するのでなければなりません。日本の安全保障体制を確実なものとしておくことも重要不可欠であります。
 総理に改めて質問をいたします。
 北朝鮮に対する食糧追加支援や将来生ずるでありましょう賠償問題について、同国のミサイル開発配備問題や拉致問題との関連にも触れながら、日本政府としての原則的な考え方を伺いたい。
 次に、IT革命に関連して質問いたします。
 総理が所信表明の中で触れているIT革命は、どうも、構造改革という苦い薬をIT革命にすべてすりかえ、政権浮揚の道具に使われているようにしか見えません。一体、総理は日本の非常にお寒いIT環境の現実を認識しておられるのでしょうか。
 サミットで、デジタルデバイド対策に百五十億ドル、他の参加国からは断られ、日本政府が単独拠出することを表明して得意がっている場合ではありません。南北のデジタルデバイド対策も確かに重要ですが、我々が肝に銘ずるべき別のデジタルデバイドが存在することを総理は国民に強く訴えるべきでありましょう。それは、欧米諸国や韓国、シンガポールなどと日本の格差であり、国内においても、大都市圏と地方の格差であります。
 例えば、米国におけるインターネット利用料金は月額四、五千円程度であるのに対し、日本では、大都市圏でさえ八千円から一万円程度です。地方に至っては数万円以上というところも珍しくありません。
 総理がもしIT重視を本当に打ち出すのであるのならば、会議や博覧会で体裁を繕うのではなく、具体的かつスピーディーに規制改革を行い、思い切ったインフラ整備に乗り出すことが最も重要であります。
 総理に、日本のインターネット料金を、いつまでに、どの水準まで、どのような施策によって引き下げていくおつもりであるのか、質問いたします。NTT法改正や通信分野における競争促進をどのように実現していこうとされるのか、あわせてお答え願います。
 政府が、一時的ではあれ、債権放棄というやり方で、税金を使って一民間企業であるそごうを救済しようとしたことについて、国民の怒りは頂点に達しました。
 まじめに働いてきたが不幸にも経営に失敗した中小企業や個人は何ら顧みられることもないのに、なぜ、大企業だという理由だけで、一民間企業であるそごうが税金で救済されるのか。常識では考えられないほど巨額の報酬を得ていたそごうの経営者や株主の責任はろくに問われてもいないのに、なぜ国民にそごう救済のツケが回されるのか。国民のそのような疑問に対し総理はどのようにお答えになるのか、明快に御答弁願います。(拍手)
 連立与党は、国民の強い反発を目の当たりにして、政府が一度決定した債権放棄策を撤回しましたが、一たんは政府がそごう救済を決定したことは動かしがたい事実でございます。この間、総理の声は全く聞こえてきませんでしたが、果たして総理はどんなリーダーシップを発揮したのでしょうか。そもそも、総理は今でも金融再生委員会の決定は正しかったと考えているのでしょうか。
 そごう向け貸出債権を国が買い戻さざるを得ない根拠となった瑕疵担保特約について、民主党は、かねてからその違法性を指摘し、特約の撤回を強く主張してまいりました。自民党の野中幹事長は、金融再生法に譲渡後の債権の二次損失対策の規定がなかったことが瑕疵担保特約を結ばざるを得なかった原因だと述べられましたが、これは全くの偽りであります。そもそも、金融再生法の趣旨に従って問題債権を速やかに不良債権として処理していれば、二次損失を心配することもなかったはずであります。
 どんなに性能のよい車をつくっても、ドライバーがルールを無視した運転をすれば、クラッシュは避けられません。法の趣旨に反し、国民に問題先送りのツケを押しつける瑕疵担保特約は直ちに破棄すべきであり、そのための交渉を行うべきであります。これは日債銀についても同様であります。総理にその意思があるかどうか、お尋ねをいたします。
 さきの総選挙において、民主党は、公共事業を食い物にする自民党の体質を厳しく批判し、多くの国民の御理解をいただきました。自民党が都市部で惨敗したのもこのためであります。とりわけ都市部の方々は、税金のむだ遣いを助長する利益誘導政治という自民党のあしき体質そのものを問題視しているのであります。
 しかし、政府・与党は、本来は予見しがたい予算の不足に充てるべき公共事業予備費五千億円を明らかに選挙目当てのばらまきとして利用するなど、改革の意思は全く見えないのであります。総理として、このようなばらまきを今後も続けるつもりなのか、ぜひ所見を伺います。
 また、自民党は、総選挙において、公共事業予備費だけでなく補正予算までもほのめかし、ゼネコン業界への利益誘導を約束したと言われています。総理として、今年度も補正予算を組む考えはあるのか、組むとすれば、その規模はどのくらいで、どういう内容になるのか、お答えを願います。
 自民党の利益誘導ばらまき政治の結果、我が国の借金は六百四十五兆円という途方もない金額にまで積み上がりました。今回、補正予算を組むとすれば、その額はさらに積み上がることになります。しかも、借金はふえても、GDPは縮小するありさまであります。もはや財政破綻は明らかではありませんか。速やかに、むだな公共事業を初めとする徹底的な歳出構造の改革を行い、厳格な財政規律を確立し、財政健全化への道筋を示さねばなりません。総理にそのような覚悟がおありかどうか、お尋ねをします。
 中尾元建設大臣が、建設大臣在任中に建設業者からわいろを受け取り、公共工事の受注増のために便宜を図ったとして、受託収賄容疑で東京地方検察庁に逮捕されました。公共事業を食い物にする政府、与党一体の利権構造を背景とした今回の建設省汚職事件は、職務権限があいまいなために現行法では罪に問われない可能性のある与党政治家による構造汚職の氷山の一角にすぎません。イトマン事件や石橋産業事件の許永中被告によって二十億円もの政界工作資金が与党の有力な政治家に流れた疑惑や、自民党の亀井政調会長が、建設大臣当時、建設業界から三千万円の献金を受けていた問題なども浮上しており、徹底的な真相究明を行うべきであります。いかがでしょうか。
 カレル・ヴァン・ウォルフレン氏は、日本の政治に詳しい外国人の目には、日本列島の至るところに見られる全く不必要な公共工事は、主として自民党に政権を維持させるために存在していると映っていると、厳しい指摘をしているではありませんか。
 このような問題を断ち切るためにも、民主党が他の野党とともに提案している国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案を、今国会中に成立させるべきであります。これは、議員が公共事業や許認可などに絡み、依頼を受け、その地位を利用して役所に口ききをし、見返りを受け取る行為を処罰する法案です。与党内には、あっせんの規制の範囲を公共事業の入札などに絞るべきだとの意見もあるようでありますが、問題は公共事業の入札だけではありません。逮捕者を出した自民党こそ立法化を率先すべきであり、問題の先送りや規制の骨抜きを考えるなど言語道断であります。
 今国会中にあっせん利得収賄罪を制定する意思がおありか、総理及び扇建設大臣、続総務庁長官の三名にお尋ねをいたします。
 以上に述べたすべての事業において、総理の政治的リーダーシップが見えません。このことが問題を一層深刻なものにしています。日本は今、歴史の転換点を迎えて、すべての分野で構造改革を断行していくたくましいリーダーシップが求められています。一国の総理がみずからの指導力を発揮して構造改革にチャレンジする勇気と行動力を欠くことは、国民生活と日本国の将来をますます危ういものとし、政治に対する不信はいよいよ強まるに違いありません。
 率直に申し上げて、総理の所信表明演説には心に響くものがありませんでした。それは、他人の作文を読み上げるような演説であったということばかりではなく、構造改革に挑む毅然たる姿勢がみじんも見受けられなかったからであり、自民党政治そのものが制度疲労のきわみに来ており、既得権に縛られて、政権政党としての高い誇りを持って前進するという気概が全く欠如しているからであります。
 構造改革とは一体何でありましょうか。それは、政官業の癒着を断ち切り、不正については厳しく対処するという政治の質そのものの変革なくしてはなし得ないものであります。その覚悟を持たないまま政権を担えば、予備費の取り崩しや久世不正問題、そごう債権放棄やあっせん利得収賄処罰法への対応の乱れなどの場合のように、時々の課題に直面しては一貫性のない場当たり的な政治を繰り返すことになります。あなた方は、さきの総選挙において示された国民の厳しい声に押されて、ただ右往左往するばかりではありませんか。
 民主党は、総選挙を受けて、国民の皆さんに約束した公約を着実に実現するよう邁進する覚悟です。時代が求める構造改革を断行する政党として、勇気を持って前進してまいります。
 民主党は、国民と日本国にとって今何が必要なのかを真摯に考え行動する政党として、みずからを鍛錬し、必ずや政権交代を実現することをここに改めて表明をし、私の代表質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#9
○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、鳩山議員から、さきの総選挙に関しての御指摘がございました。
 自公保三党は、政権の枠組みを明示して選挙に臨み、絶対安定過半数の議席を得ることができ、国民の皆様から連立政権に対する信任をいただいたものと受けとめております。しかし、一方では厳しい評価があるのも事実でありまして、これに謙虚に耳を傾け、その要請にこたえてまいりたいと思います。
 私は、選挙においても、国民の皆様に対し、景気回復に万全を期すとともに、日本新生のために必要な改革を大胆に断行することを訴えてまいりました。国民の皆様からいただいた信任にこたえるため、全力を挙げて国政に取り組んでまいりたいと思います。
 久世氏の任命についてのお尋ねがございました。
 三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、金融再生委員長に任命するに当たって、過去の報道で指摘された点につき調査を行いましたが、既にきちんとされているという過去の問題であり、現在は問題がないとの説明があり、そのように承知したものであります。大京関連の問題については、任命時においては必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上の問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 新内閣の発足に当たりまして、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣を任命いたしたところでありますが、結果として辞任をせざるを得ないような大臣を任命したということは、まことに残念なことであり、遺憾であると考えております。また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣として、これらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことによって、その責任を果たしていきたいと考えております。
 収支報告書の報告義務についてのお尋ねがありました。
 ただいまお答えをしたとおりであり、繰り返しになりますが、三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、既にきちんとされている過去の問題であり、現在は問題がないとの説明であり、そのように承知をしたものであります。また、大京関連の問題については、任命時においては必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上の問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 農水政務次官を務めていた際の兼職の問題については、任命時には必ずしも承知しているところではありませんでした。久世氏は、当時の農水大臣にみずから御相談され、お許しを得た上のものであったと述べられておりますが、いずれにせよ、厳格な運用を求めた兼職禁止の申し合わせの趣旨にかんがみれば、やはり兼職したことは必ずしも適切ではなかったと考えております。
 久世氏を任命した理由についてお尋ねがありました。
 新内閣の発足に当たりましては、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣を任命いたしたところであります。結果としては辞任をせざるを得ないような大臣を任命したということは、まことに残念なことであり、遺憾であると考えており、また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 次に、辞任に至った理由については、久世氏は、内外政の諸課題に内閣が全力で取り組むべきこの時期に、個人に関することがいささかでも金融行政に誤解を与え、その妨げになることは絶対に避けたいとのお考えから、みずから辞表を提出されたと承知いたしております。私としては、久世氏の御判断を重く受けとめ、金融再生委員長をおやめになることはやむを得ないと考え、辞表を受理いたしました。
 次に、任命権者の責任についてのお尋ねでありますが、先ほども申し上げましたように、新内閣の発足に当たっては、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣を任命いたしたところでありますが、結果として辞任をせざるを得ないような大臣を任命したということは、まことに残念であり、遺憾であると考えております。国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣としては、これらに一致結束をして全力を挙げて取り組んでいくことにより、その責任を果たしていきたいと考えております。
 サミットの評価についての厳しい御意見がございました。
 二十世紀最後の節目の年に行われたサミットとして、世界の直面するさまざまな課題に対しG8がいかに取り組み、また、二十一世紀を平和と希望の世紀にするために何をなすべきか、首脳間で活発で実り多い意見交換を行いました。その議論の結果、沖縄IT憲章や朝鮮半島情勢についての特別声明、G8コミュニケ等を発表いたしました。
 私は、議長としてリーダーシップを発揮するとともに、首脳の議論の取りまとめに努めましたが、御指摘とは逆に、沖縄から明るく力強いメッセージを出すことができた、非常に内容の濃いサミットであると考えております。(拍手)
 鳩山党首から、雑談に終始したという御指摘がございますが、セッションの中をごらんになったわけではないわけでありますし、世評、マスコミ等を恐らく採用されたものだと思いますが、私に対する厳しい批判はあっても私はあえて受けとめますが、雑談は一人でできるものではありません。ともに一緒に語り合ったG8の首脳たちに対して、健全な野党第一党の党首として、御発言はいささか失礼に当たると私は思います。
 サミットで日本経済が話し合われるべきであったとの御意見がありました。
 まず、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかな改善を続けています。ただし、雇用面や個人消費等はなお厳しい状況を脱しておりません。今般、公共事業等予備費の使用を決定したところですが、引き続き景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくよう全力を挙げつつ、我が国経済の動向等を注意深く見ながら、適切に対応してまいります。また、経済構造改革に迅速かつ大胆に取り組んでまいります。
 このような我が国経済運営の基本的考え方については、サミットにおいて私から各国首脳にも報告し、評価をいただいております。
 なお、財政構造改革については、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 対北朝鮮政策についてのお尋ねでありますが、政府の基本方針は、韓米と緊密な連携のもとに、北東アジアの平和と安定に資する形で、第二次大戦後の不正常な関係を正すことです。この方針は終始一貫しており、場当たり外交との御指摘は当たりません。
 御指摘の賠償問題とは、財産及び請求権の問題と考えられますが、これについては国交正常化交渉の中で真剣に議論していく考えであります。
 また、ミサイルや拉致容疑の問題については、まさに正常化交渉その他の対話の場で、解決に向けて粘り強く取り組んでいく方針であります。
 食糧支援については、一般論としては、種々の要素を総合的に勘案しつつ検討すべき問題でございますが、現時点では、これを行う方針を固めたわけではありません。
 インターネット料金の引き下げと、NTT法改正や通信分野における競争促進についてのお尋ねがありましたが、まず、インターネット料金の引き下げについては、政府といたしましても、IT革命を推進していく上で喫緊の課題として取り組んでいるところであり、具体的には、事業者間の競争を促進する環境整備を行い、早期に、一般家庭で支払い可能なインターネット向けの低廉な定額制料金の実現を図りたいと考えております。
 次に、NTTの問題を含む電気通信分野における競争政策のあり方については、最近の電気通信事業を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、IT革命を推進していく上においてその原動力となる電気通信分野における公正競争の推進等を図っていくことが極めて重要であると考えており、こうした観点から、電気通信審議会において今審議を進めていただいております。
 経営者や株主の責任の問題を含むいわゆるそごう問題についてのお尋ねでありますが、そごうの自主的経営判断により民事再生法の適用申請がなされたところであり、今後、こうした法的処理の枠組みの中で経営者や株主の責任も明らかにされていくものと考えております。
 なお、本問題は、経営責任の明確化や意思決定過程の透明性に十分配慮し、国民の理解を求めることの重要性を示したものとして重く受けとめております。今回の問題を教訓に、企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認められるべきではないとの認識のもとに、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 いわゆるそごう問題にかかわる私の対応についてのお尋ねがございました。
 本問題については、国民の皆様からの御批判もあり、また、与党との関係などにおいて説明不足の感も否めなかったので、私としては、亀井政調会長に検討をお願いいたしました。その後、亀井政調会長のアドバイスもあり、そごうは、近時における同社を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、また、モラルハザードに対する世の中の厳しい批判も考慮の上、自主的な経営判断として再建計画を断念し、七月十二日、東京地方裁判所に民事再生法の適用を申請したものと承知をいたしております。
 なお、金融再生委員会は、当時の状況において苦渋の判断を行われたものと考えております。
 瑕疵担保特約についてのお尋ねでありますが、瑕疵担保条項は、現行金融再生法の枠の中で、長銀及び日債銀の速やかな譲渡や国民負担抑制の観点から、民商法の法理を用い、交渉の過程で盛り込まれたものであります。仮にこの瑕疵担保条項がなければ、譲渡候補先が見出せず、国民負担が相当程度増加することが見込まれることから、やむを得ないというものであるというのが金融再生委員会の判断であったと考えております。
 財政再建についてのお尋ねがありました。
 財政についても、その効率化、質的改善が必要なことは言うまでもありません。そのために、私は、十三年度予算編成において、新世紀のスタートにふさわしい予算編成を行うべく、日本新生特別枠を創設するとともに、公共事業全体を抜本的に見直し、省庁統合等による施策の融合化と効率化を進めてまいる所存であります。そして、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れた財政構造改革に取り組んでまいる決意であります。
 公共事業等予備費についての御指摘がありました。
 公共事業等予備費については、景気の下支えに万全を期すため、今般使用を決定したところであります。内容についても、日本新生プランの四分野にも重点的な配分がなされており、ばらまきという御批判は当たらないものと考えております。
 また、十三年度予算編成についても、日本新生特別枠の創設を行うとともに、公共事業全体を抜本的に見直し、省庁統合等による施策の融合化と効率化を進めることとしておりまして、財政の効率化と質的改善に取り組んでまいりたいと思います。
 補正予算についてのお尋ねがありました。
 我が国経済は、これまでの政策運営の効果により、明るい兆しが見え始めてまいりました。政府といたしましては、今般使用を決定いたしました公共事業等予備費を含め、経済の運営に万全を期した十二年度予算の執行などを通じ、景気を自律的回復軌道に乗せていくように全力を尽くしてまいります。補正予算については、例えば四―六月期のQEなど今後の経済の推移をよく見て、必要があれば適時適切に対処してまいりたいと考えております。
 多額の国債発行が長期金利の上昇を招かないかとのお尋ねがありました。
 補正予算については、先ほど申し上げましたとおり、今後の経済の推移をよく見て、必要があれば適時適切な対処をしてまいりたいと考えておりまして、仮に補正予算を編成するといたしましても、補正予算がどの程度の国債の発行を伴うのか、さらにはそれが長期金利にどのような影響を及ぼすかについては、現時点でお答えすることが困難であります。
 中尾元建設大臣の逮捕に関連してのお尋ねがありましたが、私自身、今回の事件については大変遺憾に思っております。
 国民の税金によって賄われる公共事業の執行については厳正に行わなければならないのは当然であり、かりそめにも国民の疑惑を招くようなことがあってはならないということは言うまでもありません。また、政治家の倫理が強く求められている中で、まず一人一人の政治家がみずからの襟を正していくことが大前提であると考えております。本件につきましては、司直の手にゆだねられておりますが、私としても、徹底的な捜査により真相究明が行われるべきものと考えており、重大な関心を持って見守ってまいりたいと考えております。
 また、野党が共同で提出しているいわゆるあっせん利得罪法案についての御質問をいただきました。
 政治倫理の一層の確立を図るための法的措置につきましては、与党三党間においてもプロジェクトチームが発足し、法制化に向けた協議が行われているところでありまして、私としては、各党各会派の間において十分な御議論をいただくことが基本であると考えております。政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣扇千景君登壇〕
#10
○国務大臣(扇千景君) 鳩山代表の御質問に対しまして私からお答えさせていただく部分は、建設大臣としてどうかということもございますけれども、建設大臣としては、中尾元建設大臣が収賄罪で逮捕されたということに関しましては、本当に私どもとしては残念であり、大変遺憾に存じているところでございます。
 また、今、保守党の党首としても、皆さんがお出しになっている法案に対してどう思うかという御質問もございました。
 あっせん利得収賄罪に対しましての法案も、私も、大変、今の時期としては、皆さん方がお出しになったことに、一つの見識だとは存じておりますけれども、私ども、保守党といたしましても、かつて、皆さん方御存じのとおり、入札干渉罪という法案を出したことも既に経験しております。そういう意味では、今私どもは保守党として、皆さん方とともに、かつて自由党で法案を出したことも御存じのとおりですけれども、今私どもは与党三党として、かつての入札干渉罪を、保守党としても、これを基礎にして与党三党で皆さん方とよく相談し、今法案化を急ぎ、秋の臨時国会にはこれを提出して、これを皆さんとともに論議していただきたいと存じております。
 私どもは、今の、建設大臣としてのこともございますけれども、建設省と今の収賄罪事件と関係がどこにあるのかということは、すべて皆さん方に情報公開をしている段階でございますので、皆さん方にも少なくともこれを御了承いただきたいと思います。
 また、秋の法案に関しましては、与党三党として提出します法案に関しては、ぜひ皆さん方にこれをお示しし、国民の政治に対する信頼の回復に努めてまいりたいと存じております。(拍手)
    〔国務大臣続訓弘君登壇〕
#11
○国務大臣(続訓弘君) 鳩山議員の代表質問にお答え申し上げます。
 私に対する御質問は、今国会中にあっせん利得収賄罪を制定する意思があるかどうかのお尋ねでございました。
 政治腐敗の根絶は私ども公明党の原点であり、これに対し断固厳しく対応すべきことは今さら申し上げるまでもございません。政治が襟を正す意味でももちろん対応し、実効性ある内容にすべきであり、公明党がかつて皆様方と御一緒に提出した法案につきましてもさらに検討する必要があると考えております。
 早急に結論を出し立法化ができるよう、与党三党の政治浄化に関するプロジェクトチームでも協議中と伺っており、私としては検討結果を見守りたいと存じます。(拍手)
    〔国務大臣相沢英之君登壇〕
#12
○国務大臣(相沢英之君) 久世前大臣と特定の金融機関との関係についての御質問がございましたが、御指摘の件に関しましては、前大臣は、内外の諸課題に内閣が全力で取り組むべきこの時期に、個人に関することがいささかでもその妨げになることは絶対に避けたいとのお考えから、みずから辞表を提出されたと聞いております。
 私といたしましては、市場及び国民から信頼される金融行政の確立に全力で取り組む所存でございます。
 それから、私に対しましては、金融機関から受けた利益提供の公表に関するお尋ねでございますが、政治資金等につきましては、政治資金規正法や国会議員の資産等の公開等に関する法律に基づき、適正に報告、公表をいたしておりますし、今後とも適切に対処してまいる所存でございます。(拍手)
    ―――――――――――――
#13
○議長(綿貫民輔君) 小里貞利君。
    〔小里貞利君登壇〕
#14
○小里貞利君 私は、自由民主党を代表して、森総理大臣の所信表明演説に対し質問いたします。
 まず、有珠山及び伊豆諸島周辺における災害に際し、被害を受けられた皆様や今なお不安な日々を過ごしておられる皆様に対しまして、心からお見舞いを申し上げます。
 さて、私どもの日本は今、歴史的大きな節目にあります。
 国や地方の財政赤字、少子高齢化や国際的大競争の時代にあって、果たして自分たちの国がこれからどうなるのか、自分たちの社会が、子供たちが、老後がどうなるのか、極めて不透明な中で、言い知れぬ不安感を国民が抱いているのが現状であります。その不安感が財布のひもを締めさせ、景気低迷の大きな要因となっております。
 国を取り巻くこれらの問題にいかに対応して、たくましい新世紀日本を開くか、その指針を国民に明確に示すことが、今日の政治の最大の責務であります。
 来年一月、国の行政は一府二十二省庁から一府十二省庁へと大きな改善を遂げます。
 さらに、政治、財政、経済、教育、福祉等、各分野にわたる改革を力強く断行して、国際社会のリーダーとして、誇り高い日本を築かなければなりません。そして、すべての国民が夢と自信を持って生涯安心できる社会に向けて、いよいよ勝負のときだと考えます。
 志半ばにして無念の殉職を遂げられた小渕前総理の後を受けて、この難局に真正面から取り組んでおられる森総理の真摯な政治姿勢を高く評価申し上げるとともに、総理が新時代への改革の道を力強く進まれることを確信しつつ、時間の関係上、テーマを絞って個別の質問に入らせていただきます。
 まず、そごう問題について質問いたします。
 政府においては、金融再生法に定める費用を最小限に抑える原則に照らして、債権放棄を受け入れざるを得なかったのでありますが、税金で一民間企業を救済すべきではないなどの批判が高まり、そごうの売り上げが激減するなど、債権放棄による事業再建は困難となり、我が党からの要請により、そごうが債権放棄要請を撤回して民事再生法による自主再建を決断したのであります。
 今後予想される一般企業の債権放棄については、預金保険機構はこれに応じないことを明らかにするとともに、金融機関の責任を明確にすべきだと思います。
 また、長銀譲渡の際の瑕疵担保条項が今回の核心でありましたが、法制上の問題はなかったのでありましょうか。
 さらに、今回の法的処理について、プロセスがより透明になったことを国民は評価しているのであり、一方、これにより国民負担がふえる可能性のあることを含め、今後とも、政府は国民に対し、より一層説明責任を果たしていく必要があると思います。総理のお考えをお聞かせください。
 あわせて、先ほど森総理から釈明がありましたが、時あたかも重要な任務の途次、金融再生委員長のこのたびの交代は、まことに遺憾であり、この際、秋霜の反省とともに総理の御意見を重ねて承りたいと存じます。
 次に、景気対策について質問いたします。
 我が国経済は、政府・与党挙げての各般の政策努力の結果もあって、自律的回復に向けた動きが徐々に強まってきておりますが、いまだ楽観できる状況にはありません。
 こうした中、二十一世紀における我が国経済の新たな発展の道を切り開いていくことが重要であり、現在、情報通信分野などを中心に芽生えつつある新たな産業発展の芽を大きく育て、新たな産業と雇用の創出を図ることが、我が国経済社会を覆う停滞感を払拭し、自律的な発展を実現するために不可欠であります。
 公需から民需へのバトンタッチを円滑に行い、景気を本格的な回復軌道に乗せていくため、今後の経済運営に総理がどのように臨まれるのか、お伺いいたします。
 次は、財政問題について伺いたいと思います。
 経済を本格的な回復軌道に乗せることが現下の最優先課題であることは当然でありますが、一方で、我が国の財政が大変厳しい状況にあることは、改めて申し上げるまでもありません。
 我が国財政への内外の信任を回復し、子供たちに豊かな社会を引き継いでいくことが我々の責務であり、我が国の将来のあるべき姿を見据え、国民が安心して新たな発展を担っていけるような仕組みを構築していくことが不可欠であります。
 そのためには、公共事業予算の配分について、要らざるを切り必要なものをやるとの確固たる信念のもと、これを大胆に見直すことを初めとする予算システムの改革、国と地方の関係、税制のあり方、社会保障制度のあり方などを含め、単なる財政再建ではなく、二十一世紀における我が国経済社会を支える財政システムの再構築、すなわち字義どおりの財政構造改革を実現しなければならないと考えます。総理の取り組み姿勢をお伺い申し上げます。
 次に、情報通信技術革命への対応について伺います。
 総理は、早々に戦略本部などの枠組みをつくられたわけでありますが、まず、国家戦略において、国民にとって自分たちの生活がどう変わるのか、企業にとってどのようなスケジュールで制度が整っていくのかという点を明確にするべきであります。
 また、情報通信技術革命の寵児が生まれる一方で、これを活用できず取り残されてしまう人々が生まれないよう、全国民が恩恵を享受できるような社会を実現することが肝要であります。中小企業や地方の方々に対し、総理はどういうメッセージを発していかれるお考えか。高齢者や身障者の方々には、パソコン一つでもなかなか親しみが持てないという声もよく耳にいたします。小さいころからの情報化教育も強く求められます。
 この分野では、総理自身が指導力を発揮され、教育面を含めた総合的かつ画期的な対応策を構築していくことを求めたいと思います。総理の御決意をお聞かせ願います。
 次に、少年犯罪対策及び教育についてお尋ねいたします。
 昨年三月十日には、少年法等の一部を改正する法律案が国会に提出されましたが、衆議院の解散により審議未了、廃案となりました。少年犯罪の被害者の御家族や御遺族の方々に対し、国会は怠慢のそしりを免れません。一日も早く少年法の改正を行うべきだと考えます。
 私が深く憂慮するのは、少年による凶悪な事件が多発していることに加えて、親が自分の欲望や利益のために我が子の命を奪うといった、にわかには信じられないような事件が相次いでいる現状であります。心の荒廃は子供たちだけの問題ではなく、大人社会全体のゆがみを映す鏡であると言っても過言ではないと思います。我が国と世界の将来を担う子供たちを健やかに教育することは、大人全体の後世に対する崇高な責務であります。
 そこで、すべての教育の出発点であり基本となるのは家庭教育ですが、政府としても、家庭教育に対する支援を積極的に行っていくべきであると考えます。あわせて、家庭と地域と学校がいかに連携して子供たちの育成を図っていくか、いま一度見直すべき時期にあると思います。さらに、子供たちの心に届く道徳教育を展開するとともに、倫理、徳育の規範が明確になるよう、教育基本法を見直す必要があると考えます。
 以上、少年犯罪対策及び教育について、総理の御所見をお聞かせいただきます。
 次に、沖縄サミットについてお尋ねいたします。
 世界じゅうの人々が二〇〇〇年という節目の年に開催されるサミットに期待を持って見守る中、世界の一層の繁栄と心の安寧、そして世界の安定に向けてG8首脳間で熱の入った議論がなされ、その実現に向けて確かなメッセージを沖縄から世界へ発信できたと評価をいたします。
 特に、沖縄で開催されたサミットの意義は、二十一世紀こそ戦争のない平和と共存の世紀にしたいという沖縄の思いを世界に訴えることだったと思いますが、サミットの成果について、議長を務められた総理に再度お伺いいたします。
 最後に、中央省庁改革についてであります。
 我が党が、橋本、小渕、森内閣と引き継ぎながら着実に進めてきた改革であり、いよいよ来年一月六日に実現します。これは、明治以来の政府の仕組みを初めて抜本的に改革するものであり、内閣機能の強化等政治主導を初め、国の役所を一府十二省庁に再編し、我が国の将来を見据えた二十一世紀型の行政システムへの転換を果断に行う歴史的な大改革であります。
 新省庁体制への移行をいよいよ半年後に控え、かつてこの改革に皆様とともに必死にかかわった一員として、深い感慨を覚えます。
 改めて、実行段階に入った中央省庁改革に取り組む森総理の御決意をお伺いいたします。
 終わりに、明治初期における廃藩置県、職業選択の自由、学制公布等々の一連の改革は、単に維新国家の体裁を整えるということだけでなく、あすの日本のあるべき姿を見据えて、新たな国家、社会をつくり上げるという時代の大変革でありました。その中には士族特権の剥奪など、情において忍びがたいものがありましたが、変革の先にある明るい未来を信じて、明治の先達はこれらの改革を果敢に実行していったのであります。
 西郷隆盛遺訓にある、万民の涙苦を自分の涙苦とし、万民の歓楽を自分の歓楽とする政治の無私の精神と、犠牲を乗り越えて必要な施策を断行する勇気は、今の時代こそ必要であります。(拍手)
 二十一世紀の日本はいかにあるべきか、国家百年の計を誤ることのないよう、その針路を明確に国民に示し、なすべき改革をしっかりと実行することが、国民の将来への展望を開き、心豊かな活力に満ちた国民生活につながると信じます。
 私ども一体となって、森政権を支え、ともに政治の責任を果たしてまいりますことを確認しつつ、質問を終えます。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#15
○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、小里議員から、国を取り巻く数々の課題に対応するための指針を示すことが政治の最大の役割であり、そして、今こそ各分野にわたる改革を力強く断行し、すべての国民が夢と自信を持って生涯安心できる社会に向けた勝負のときであるとの御指摘がございました。
 私自身まさにそのような思いで、総理に就任以来、二十一世紀に向けて、日本新生に全力で取り組む決意であると申し上げてまいりました。
 日本新生とは、我が国経済社会全体の構造改革であります。
 新生日本の建設にはさまざまな困難や痛みを伴いますが、私は、国民の皆様と痛みを分かち合い、国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条に、全身全霊を込めて国政に取り組んでいく決意であります。
 いわゆるそごう問題についてのお尋ねでありますが、本問題は、経営責任の明確化や意思決定過程の透明性に十分配慮し国民の理解を求めることの重要性を示したものとして、重く受けとめております。
 今回の問題を教訓に、企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認めるべきではないとの認識のもとに、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 また、瑕疵担保条項につきましては、現行法の枠組みのもとで、速やかな譲渡や国民負担抑制の観点から、民商法の法理を用いて設けられたものであります。
 このたびの金融再生委員長の交代についてのお尋ねがありました。
 新内閣の発足に当たりましては、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣を任命いたしたところでございますが、結果として辞任せざるを得ないような大臣を任命したということは、まことに残念であり、そして遺憾であると考えておりまして、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣として、これらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことによって、その責任を果たしてまいりたいと考えております。
 今後の経済運営についてのお尋ねでありますが、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかな改善を続けております。ただし、雇用面や個人消費などはなお厳しい状況を脱しておりません。
 今般、公共事業等予備費の使用を決定したところでありますが、引き続き、景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくように全力を挙げつつ、我が国経済の動向等を注意深く見ながら適切に対応してまいります。
 また、経済構造改革には、迅速かつ大胆に取り組んでまいります。
 財政の構造改革についてのお尋ねがありました。
 財政についても、その効率化、質的改善が必要なことは言うまでもありません。そのため、私は、十三年度予算編成におきまして、新世紀のスタートにふさわしい予算編成を行うべく、日本新生特別枠を創設するとともに、公共事業全体を抜本的に見直し、省庁統合等による施策の融合化と効率化を進めてまいりたい、このように考えております。
 そして、明るい兆しの見えてまいりました我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて財政構造改革に取り組んでまいる決意であります。
 IT革命についてのお尋ねでありますが、IT革命は、新生経済の起爆剤であるとともに、社会生活そのものを大きく、しかも短期間に変えるものと考えております。IT革命の恩恵を、中小企業や地方の方々はもとより、子供からお年寄りまで享受できるような日本型IT社会を実現するため、IT戦略会議での御議論を踏まえつつ、私自身リーダーシップを発揮し、変革への果敢な挑戦とそのスピードを大切にして取り組んでまいりたいと考えております。
 日本独自のIT国家戦略の策定に当たりましては、実施スケジュールを明確にいたしまして、ITにより国民生活がどのように変わるのかを国民の皆さんの前にお示しいたしたいと考えております。御指摘のとおり、幅広い視野に立った画期的なIT政策の構築が必要であると私自身も考えております。
 教育面での対応については、情報教育を充実するとともに、コンピューターの整備、インターネットの利用促進及び教員研修の実施等を柱とするミレニアムプロジェクトの推進など、教育の情報化を強力に推進してまいります。
 小里議員より、少年法の改正を行うべきだとの御提案とともに、少年犯罪対策についてのお尋ねがありました。
 この問題につきましては、家庭、学校、地域、関係機関等が協力して、社会が一丸となって取り組んでいくことが必要だと考えております。
 現在、重大な非行の前兆段階での的確な対応に努め、悪質な少年犯罪に対しては厳正に対処しているところでありますが、政府といたしましても、少年法の改正も含めて、早急にその防止策の検討を進め、国民的な合意を得ながら適切な対策を講じてまいりたいと考えております。
 教育問題についてのお尋ねでありますが、御指摘のとおり、大人全体の責務として、家庭、地域、学校が連携協力して子供たちの教育に取り組むことが重要であり、政府としては、すべての教育の出発点である家庭教育の支援や道徳教育の充実に努めてまいりたいと存じます。
 また、教育基本法については、制定以来半世紀を経ており、抜本的に見直す必要があると考えております。今後、教育改革国民会議において幅広い議論をさらに深めていただきたいと考えております。
 サミットの成果についてお尋ねがありました。
 G8首脳は、沖縄の地で活発で実りの多い議論を行い、その成果は沖縄から世界に向けて明るく力強い平和へのメッセージとして発表されました。
 特に、二十一世紀の繁栄のかぎを握るITにつき沖縄憲章がまとめられ、国際社会が進むべき道を示され、また、東アジアの安全保障上重要な朝鮮半島情勢につき特別声明が出されたことは、まことに意義深いことであります。
 また、二十一世紀に向け、非G8との連携を強化するとの観点から、サミットに先立ち、開発途上国を代表とする機関、グループの責任ある立場にある国々や国際機関の代表等との会合の機会を設け、非常に意義深い意見交換を行うことができました。
 故小渕前総理は、万感の思いを込めて沖縄開催を決定されました。沖縄県の方々は、G8首脳を大変温かく迎えてくださり、各国首脳は沖縄の温かいもてなしの心に触れ、沖縄の豊かな文化や歴史を目にすることができました。このように沖縄を世界に発信したことが、さまざまな形で沖縄の一層の発展につながる契機となることを期待いたしております。
 中央省庁等改革に取り組む決意についてのお尋ねでありますが、来年一月六日から実施される本改革は、二十一世紀の我が国にふさわしい行政システムを構築する歴史的な改革であり、これからが、新たな形にしっかりと魂を入れていく正念場であります。
 国民のニーズに合った省庁横断的な政策立案や行政運営の実現、情報公開の推進、行政サービスの向上、行政のスリム化等により、改革のメリットが国民にとって確かなものとなるように全力を尽くしていく決意であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#16
○議長(綿貫民輔君) 水島広子君。
    〔水島広子君登壇〕
#17
○水島広子君 私は、民主党・無所属クラブを代表して、森総理の所信表明演説に対し質問いたします。
 初めに、有珠山や伊豆諸島における噴火、地震により亡くなられた方の御冥福をお祈りするとともに、被災者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。
 今の日本の社会において子供の問題がかなり深刻であるということは、私も総理と同じ見解を持っております。私は、精神科医として、問題行動を起こす子供たちを数多く治療してきた経験から、日本の将来に非常な危機感を感じております。それが、精神科医である私が政治家を目指した最大の動機でもありました。少年犯罪についても、加害者に対する更生システムを専門化し徹底すると同時に、被害者のケアを充実するといった課題に目を向けずに、少年法を改正することで安易に厳罰化を図ろうとするような政治の姿勢には大きな危惧を抱いております。(拍手)
 総理は、所信表明演説の中で教育の新生について述べておられました。しかし、その具体的内容を見ると、余りにも形式的、表面的なことばかりに思え、今子供たちの教育の場に最も必要とされている視点が欠けているように思えてなりません。精神科医として現場で子供たちや親たちと向き合ってきた私の目には、総理のおっしゃるような教育改革で問題が解決できるとはとても思えません。
 総理は、なぜいじめの問題が解決されないばかりか、年々悪質化していると思われますか。
 いじめというのは、自分と違う他人の存在を受け入れることができない結果起こるものです。人間の多様性を認められない排他的な行動とも言えます。いじめの問題を根本的に解決するには、人間の多様性を尊重して、自分も他人も大切にできる子供を育てる教育が不可欠です。教育勅語の復活を期待するような発言や、問題を起こした子供たちに便所掃除をさせろと発言されたことなどを考えますと、また、今回の所信演説を聞いても、どうも総理は単一の価値観を押しつけようとしている気がしてなりません。
 教育基本法の見直しにしても、本来、他者との触れ合いを通して自発的に育てるはずの奉仕の精神や道徳心といったものを法改正によって一方的に押しつけようとするのであれば、逆効果となり、取り返しがつかないことになると思います。押しつけるのではなく話し合って考えさせるのが教育だと思いますが、総理のお考えはいかがでしょうか。
 自分と異なる他人を尊重できる子供に育てるには、まずは大人社会を多様性が認められるような社会にしていかなければならないと思います。今の日本社会は単一の価値観の押しつけに満ちあふれています。その代表的な例が、結婚したら夫婦は同じ名字にしなければならないとする民法の規定であります。
 夫婦のこと、子供たちのことは基本的にそれぞれの家庭で責任を持って決めていくべきことです。ある夫婦にとって一番よい方法が別の夫婦にとっても一番よいとは限りません。自分たちにとって不本意な方法を強いられた結果、心が不健康になって子供を虐待してしまう、そんな親や子供たちを治療してきた経験から、私は、家族のあり方を一つの枠にはめ込もうとする法律は弊害の方が大きいと思います。
 私自身も夫とは別の名字を名乗っています。そして、通称使用している私の夫が、自分の名字を守るために、必要なときに離婚届を提出し、数日後に用事が済んだらまた婚姻届を提出するという、ペーパー上の離婚、再婚手続を行っております。このことが、先日三度の離婚歴があるなどと報道されて騒ぎになりました。たとえ書類上のこととはいえ、離婚届という手段を選ばなければならないことは、円満な家庭生活を営んでいる者として極めて不本意なことであります。役所の手間もかかります。一方では、同じ名字の夫婦であっても完全に崩壊している家庭もあるわけで、名字が同じか否かということと家庭の円満とは何の関係もないということは、夫婦別姓を認めている諸外国のデータからも明らかであります。
 民法の改正は、別姓夫婦の利益のためだけではなく、あらゆる人々が他人の価値観を尊重しながら生きていくという、人間としての基本的な考え方の確立につながるものだと思います。国民の同意が得られていないなどという理由で今までも見送られてきたようですが、多様な価値観を尊重できる社会づくりのために、まずは率先して法改正するのが政治の役割だと思います。
 夫婦は皆同じ名字にするというのは、明治維新に西洋のまねをして導入された制度であり、日本独自の伝統とは何ら関係がありません。また、先進諸国のうち、現在でも選択的夫婦別姓を認めていないのは日本だけであります。男女共同参画社会の実現を所信表明演説でもうたわれた総理は、希望する夫婦には夫婦別姓を認めるよう民法を直ちに改正することについて、どのようにお考えでしょうか、お尋ねいたします。
 今の民法には、もう一つ重大な欠陥があります。それは、非嫡出子、つまり法律上結婚していない母親から生まれた子供に対する差別を明文化したものだということです。どういう事情で生まれてきた子供であっても、子供には何の罪もありません。当事者である大人たちがとらなければならない責任と子供に対する処遇とは、全く別の次元の問題として法律上も区別すべきです。
 非嫡出子は、法律上相続のときに差別を受けるだけではなく、普通に社会生活を送る上でも、就職や結婚の際に差別を受けています。そうした、ある立場の子供に対する生まれながらの差別を正当化するような大人社会のあり方が、いじめなどの根本的な原因になっているのではないでしょうか。非嫡出子の差別をやめるように直ちに民法を改正することについて、森総理のお考えを伺いたいと思います。
 総理御自身も触れられている大人社会のあり方ですが、これが子供たちに大きな影響を与えるのは事実だと思います。子供たちは大人のまねをして成長します。大人社会のモラルがこれほど低下した今の日本で、子供たちのモラルだけが高まったら、むしろおかしなことだと思います。
 モラルの低下の一つの例として、子供の目に触れるテレビや雑誌、ゲームなどの影響も無視できません。だれでも簡単に目にするメディアに暴力や性暴力がはんらんし、町じゅうに売春情報があふれているというのが今の大人の社会です。子供たちを批判する前に、総理御自身も含めて、私たち大人がまず反省すべきではないでしょうか。(拍手)
 子供たちの問題行動とメディアによる有害情報の関係を指摘する専門家はたくさんいます。仮に犯罪に直結しなくても、幼いころから有害情報に当たり前のように触れることが子供たちの精神面の発育に及ぼす影響は無視できません。諸外国でも進められているように、子供たちを有害な情報から守る法律を日本でも早急につくる必要があると思います。
 これはもちろん、国家による検閲というような形をとるべきではありません。例えば、子供にとって有害な情報であるか否かを親が判断して選べるようなシステム、また、町中でも子供が有害情報に触れるのを防ぐような社会的なバリアをつくるなど、地域社会の大人たちが子供たちを守るようなシステムをつくるべきだと思います。子供を有害情報から守るための立法の必要性について、森総理はいかがお考えでしょうか。
 私は、精神科医としての経験の中から、人生の質を決めるものはコミュニケーション能力であると思っています。自分の意見を言い、相手の意見を聞き、お互いに納得のできる結論まで話し合える能力、それが人生のあらゆる場面で必要とされる能力であり、相手への思いやりや社会のルールを学ぶために必要とされる能力であり、また、国際社会の中で日本人に特に欠けている能力でもあります。
 私は、教育改革もコミュニケーションを重視したものであるべきだと思います。また、日本じゅうのだれもが注目している国会という場こそ、よいコミュニケーションの見本を子供たちに示すべき場だと思っています。
 しかし、最近の国会運営を見て、民主主義とは話し合いよりも多数決で押し切ることだという誤った理解をしている人たちがふえているように思います。言論の府としての国会の威信を取り戻し、子供たちにコミュニケーションの見本を示せるように、ぜひ私たち野党と十分な話し合いをして、途中で切れたりせずに、お互いに納得のできる結論に達するまでの辛抱強さを見せていただきたいと希望いたします。
 民主主義とは、少数意見をいかに尊重できるか、そのためにコミュニケーションを尽くすことだと思います。まずは党首討論を毎週行うことで総理みずから模範を示されるべきだと思いますし、あわせて、各大臣についても同様な場を設けるべきだと思いますが、総理のお考えをお願いいたします。
 次に、子供の医療について質問させていただきます。
 今、日本の小児科医療は危機に瀕しております。患者数が少ない、大人の医療と比べてもうからない、手間がかかるなどという理由で、小児科医の数が減り、医療の質の低下、小児科医のますますの激務につながっています。小児科救急の不備のために命を落とした不幸な子供の例も多数報道されています。また、心を病む子供に対しては、大人を中心とした医療体系では対応し切れません。
 小児の医療は、国の将来を担う貴重な人材を社会全体で守るという発想で行わなければいけないと思います。国が特別な予算枠を確保し良質な医療を提供すること、また、数少ない小児科医を効率的に活用するためにも、各都道府県に子供病院をつくり、人材を集中させ、包括的、専門的な子供医療ができるように国としても取り組むべきだと思いますが、いかがでしょうか。
 現行のように各都道府県の自助努力に任せていると、いまだに全国で十九都道府県にしか子供の総合医療施設がありません。そして予算不足を理由に、いつまでたっても達成されないと思います。これらの問題はかなり緊急性があると思われますが、総理並びに厚生大臣のお考えをお聞かせください。
 最後に、私は、選挙で当選した六月二十五日からの任期であるのに、六月分の歳費が満額いただけたことに驚きました。なぜ働いていない二十四日分に国民の税金が支払われるのか、何か正当な理由があるのでしょうか。永田町の常識は国民の非常識と言われていますが、永田町は日本の縮図だと思います。まずは永田町から日本のモラルを直していくためにも、歳費を日割り支給にするように直ちに法律を改めるべきだと思います。この点での総理の御意見をお願いして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#18
○内閣総理大臣(森喜朗君) 初めて当選をされて、率直な御意見を発せられたわけでありますが、感銘深く拝聴いたしました。
 いじめについてのお尋ねでありますが、いじめ問題を解決するためには、弱い者をいじめることは人間として絶対に許されないとの認識のもと、奉仕活動や自然体験活動などを通じて、子供たちに、命を大切にし、他人を思いやる心など、基本的な倫理観をはぐくむことが重要であると考えております。学力だけに偏ることなく、個性豊かで、体育、徳育、知育のバランスのとれた全人教育を推進してまいりたいと考えております。
 教育基本法についてのお尋ねでありますが、教育基本法は、制定以来半世紀を経ております。抜本的に見直す必要があると考えております。
 今後、教育改革国民会議において、例えば我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を進めていただきたいと考えております。
 民法改正についてのお尋ねがありました。
 まず、これは法律的には選択的夫婦別氏制度と言います。
 この導入についてのお話でありますが、これは婚姻制度や家族のあり方とも関連する重要な問題でありまして、国民や関係各方面の意見が現在分かれている状況にありますので、国民各層の御意見を幅広く聞き、また、各方面における議論の推移も踏まえながら、適切に対処していく必要があるのではないかと考えております。
 また、嫡出でない子の法定相続分等についてでありますが、民法上、嫡出でない子と嫡出である子の相続分に差異が設けられている点の解消につきましても、選択的夫婦別氏の問題と同様に、国民や関係各方面の意見が分かれている状況にありますので、国民各界各層の御意見をこれも幅広く聞くなどいたしまして、適切に対処していく必要があると考えております。
 テレビや雑誌、ゲームなどの青少年を取り巻く環境について、暴力や性犯罪がはんらんしており、青少年にとって大きな問題であるとの御指摘でありますが、これらの問題は、申すまでもなく大人社会の責任であります。青少年を取り巻く社会環境の改善のため、社会が一体となった取り組みを進めることが極めて重要であると考えております。
 また、子供たちを有害情報から守るための法律の早急な制定を促す御意見をいただきました。
 私は、かねてから、少年非行対策は与野党対立案件にあらずと考えておりますが、御指摘の点については、まさに議員と意見を一にするものであります。しかしながら、この種法律の制定につきましては、青少年をめぐる環境の浄化の基本的なあり方や表現の自由とのかかわりなど、国民的な合意の形成が必要であると考えられ、関係方面の幅広い議論を重ねていきたいと考えております。
 国会における議論のあり方についての御質問がありました。
 私は、多数決の原則とともに、よりよい結論を導き出すために議員同士が討論を重ねることは議会政治の真髄と言えるものであると考えております。積極的に議論を闘わせることは、最終的には多数決で決するにせよ、国民の前に争点を明らかにし、国民の政治への関心を高めるために重要なことであると考えます。
 お尋ねの党首討論のあり方などの国会の運営に関する問題につきましては、国会において御議論をいただきたいと考えます。
 小児医療についてのお尋ねでありますが、医療は、安心して子供を産み、健やかに育てる基礎になるものとして重要と認識しております。このため、小児専門の救急医療体制の整備、診療報酬における小児医療の適切な評価、小児医療施設の整備の補助などを行っているところでありますが、今後とも適切な対応をしていきたいと考えております。
 国会議員の歳費の日割り支給についてのお尋ねでありますが、国会議員は国民の代表者であり、どのようなあり方がそれにふさわしいかとの観点から国会で御議論をいただく問題であると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
    〔国務大臣津島雄二君登壇〕
#19
○国務大臣(津島雄二君) 水島議員の小児医療についての御質問に対しましては、総理から、安心して子供を産み、健やかに育てる基礎として小児医療の充実は極めて重要であるという御答弁がございました。
 私から若干補足させていただきますと、こうした認識に立ちまして、厚生省といたしましては、小児・周産期の医療のナショナルセンターとして、国立成育医療センターを平成十三年度までに整備するということ、それから、新エンゼルプランに小児専門の救急医療体制を全国的に整備することを盛り込むということ、平成十二年度の診療報酬改定におきまして、小児入院管理料、入院基本料に対する乳幼児加算の新設などを行った、こういう支援を行ってまいりました。
 また、各都道府県におかれても、国と連携し、地域の小児総合医療施設を整備しつつあると承知しておりますし、水島議員御指摘のとおりであります。国としても、この場合、小児の診療棟や専門病院など小児医療施設の整備の補助を行うことといたしております。
 さらに、二十一世紀に向けた母子保健分野の国民運動計画であります健やか親子21を本年じゅうを目途に策定したいと考えており、現在検討委員会において検討しているところでありますが、その中で、小児医療のより具体的な確保策について検討してまいりたいと考えております。
 水島議員の御指摘に対して数々共感できる点がございますので、これからも厚生行政に御協力、御助言を賜りますようによろしくお願い申し上げます。
    ―――――――――――――
#20
○議長(綿貫民輔君) 神崎武法君。
    〔神崎武法君登壇〕
#21
○神崎武法君 私は、公明党を代表し、森内閣総理大臣の所信表明演説に関し、総理に御所見をお伺いいたします。(拍手)
 以下、焦点を絞ってお伺いいたします。
 最初に、突然の火山噴火とそれに次ぐ地震の頻発に加え、台風の襲来などによって被災されております有珠山と伊豆諸島の住民の皆様に心からお見舞いを申し上げます。
 公明党は、被災者救援のための街頭募金だけではなく、政府に公共事業予備費の活用を強く要請し、緊急及び復旧対策として二百億円の留保分を含む合計約九百億円を確保することができました。
 しかし、有珠山に関しては、約二百世帯の集団移転は避けられないと見られ、三宅島については、全島の四分の一を覆う甚大な降灰被害、東京二十三区などへ避難している約七百人の島への復帰問題、さらには、三宅島及び新島、神津島、式根島での地震災害に対する復旧対策など、むしろ困難な課題が残されております。
 観測、予防対策は当然のことながら、被災された方々が心から安心できるよう、万全かつスピーディーな措置をとられることを要望しますが、総理の決意をお伺いいたします。
 今回のサミットは、故小渕前総理の強い政治決断によって、初めて福岡、宮崎、沖縄の地で開催されました。クリントン米国大統領が本土復帰後初めて沖縄を訪問し、また、G8首脳及び各国のマスコミが、沖縄県民との直接交流によって、沖縄の歴史、文化、基地の実態を肌で理解されたことは、まことに意義深いものでありました。まさに平和のメッセージが沖縄から世界に向けて発信されたサミットであったと確信をいたします。
 さて、沖縄県民の希望は、第一に米軍基地の整理縮小問題の具体的推進であり、第二に普天間基地の移設後の新しい基地の十五年使用期限問題の実現であります。そして第三は、米兵による事件、事故の再発防止問題であります。これらの問題について、総理はどのような対応をお考えか、お伺いいたします。
 また、総理の提唱によりまして、非G8各国や国際機関、NGO等との対話が行われ、G8首脳から高い評価を受けられました。このような試みは今後とも継続していくべきであると考えますが、総理のお考えをお伺いいたします。
 次に、あっせん利得罪の法制化について、総理のお考えをお伺いいたします。
 先月三十日には、建設省発注工事の指名競争入札の選定をめぐり、中堅ゼネコンからわいろを受け取ったとして、中尾元建設大臣が受託収賄罪の容疑で逮捕されました。事件が起こるたびに再発防止が叫ばれますが、政治家による収賄事件は一向に後を絶たない状況であります。昨日は、久世金融再生委員長が、多額の資金提供などを受けていた問題で辞職をいたしております。
 国民の怒りは、批判の声を上げるというよりも、政治を無視するまでになっており、今こそ、国民の政治不信、政党不信を抜本的に解消するため、政治が襟を正し、具体的に目に見える形で対処することが強く求められているのであります。
 我が党は、昨年五月にあっせん利得罪に関する法案を共同で提出いたしましたが、この際、与党三党でさらに実効性のある法案をつくり上げ、かつ、秋の臨時国会でこれを成立させるべきであると考えます。総理のお考えをお示しいただきたいと思います。
 次に、そごう問題に関連してお伺いいたします。
 いわゆるそごうの債権放棄の問題に関しては、公明党は、預金保険機構がそごうグループ向け債権を放棄する旨を決定したときから、基本的なスタンスとして、民間企業に血税を投入するということは慎重にならなければならないという立場に立ち、借り主であるそごう百貨店の経営者の責任追及など処理の透明化を図るなど、国民の納得のいく対応策を検討していくべきであると主張してまいりました。
 結果として、世論の強い批判や与党内の雰囲気を踏まえ、そごうが自主的な判断に基づいて、債権放棄を取り下げ民事再生法に基づく法的処理による再建策を選択されたことは、銀行と企業のモラルハザードを防止するという観点からも、極めて賢明な判断であったと考えます。
 私は、今般の問題を教訓に、預金保険機構は、債権処理に係る厳密なルールを確立し、同種の債権放棄要請があった場合には、原則として応じるべきではないと考えます。このため、金融機関の破綻処理の原則として、費用最小原則などに加え、借り手の株主及び経営者の責任を明確にし、モラルハザードを防止するという原則を、法改正も含め、検討したらどうかと考えます。総理の御所見を伺いたいと思います。
 次に、我が国のIT社会に対する基本的な取り組みについて、特に重要と認識する問題に絞って総理にお伺いいたします。
 公明党はこれまで、携帯電話の自由化などの規制改革や千三百五十万人に上る通信料金引き下げの署名運動など、党の総力を挙げて取り組んでまいりました。
 そこで具体的に、通信料金については、一般的なインターネット料金は、米国などの事例を踏まえても、通信料、プロバイダー料込みで当面三千円から四千円程度、そして我が国が名実ともに情報先進国になるためには、最終的に二千円から三千円台水準がインフラとして不可欠と考えております。
 この通信料金の引き下げ問題は、IT革命の成否を占う最大の隘路であり、また決め手でもあります。総理は、通信料金の水準について具体的にいかがお考えでしょうか。また、その実現のためにどう取り組まれるおつもりでしょうか。ぜひとも明言をお願いいたします。
 次に、NTTは通信インフラとしての側面と私企業としての側面の両面を持つ企業体であり、そうしたNTTグループの独占力が強化されると、通信・放送市場において、競争による料金の引き下げや使いやすい多様なサービスの実現を国民が享受できないなど、かえって弊害が拡大されることが懸念されます。IT革命の推進のために、通信・放送分野の構造改革及び規制緩和はとりわけ重要であります。
 私は、競争政策の観点から、独占禁止法の適用強化が妥当だと考えておりますし、また、通信と放送の融合に向けた既存の通信・放送法制度の見直しを図る場合には、競争政策の観点を盛り込むべきだと考えております。
 総理は六月に、NTTの政府保有株の早期売却や、NTT法の改正を含めた完全民営化の実現が必要であり、通信行政の基本である電気通信事業法と放送法の一体化を図り、通信と放送の融合に対応すべきであるという趣旨の発言をされました。この総理の御見解は非常に適切であり、重要と考え、強く支持するものであります。当然、この方針で今後の規制改革を推進されると理解いたしますが、この際、改めて確認をいたします。
 また、政府部内で規制改革のための一括法が検討されていると聞いています。こうした総理の方針に沿った内容を盛り込むものと理解していますが、いかがお考えでしょうか。具体的にお伺いいたします。
 最後に、公共事業改革についてお伺いいたします。
 現在、公共事業については、国民初め、与党内でもさまざまな角度から改革論が出ていますが、私は、以下の四つの観点から、公共事業を大胆に見直すべきだと提案をいたします。
 その第一は、公共事業の地方への補助金を今後五年間程度をかけて段階的に廃止することを検討し、その財源を地方に移譲して、地方の単独事業とすべきであります。
 今年度予算で国の公共事業費九兆四千億円のうち、地方への国庫補助金は五兆九千億円に達しますが、補助事業は地方自治をゆがめ、特色ある地域づくりを妨げています。事業の必要性、優先順位を最も知っているのは地方の自治体であり、各省のコントロールを排し、地域の実情に応じた公共事業を進めるために、改革は勇気を持って断行されるべきであります。(拍手)
 二点目は、行政評価法を次期通常国会で成立させるべきであるということであります。
 公共事業については、事前、実施途中、事後の各時点で事業評価を数量的に行い、公表した上で、実施途中の事業であっても、当初設定した政策目的に適合しなくなったときは原則的に中止させるなど、徹底した改革が必要であります。
 三点目は、公共事業の情報公開のために電子政府化を推進すべきであるということであります。
 特に、大規模な公共事業について、目的、内容、事業額と財源などの情報を、だれでも、いつでもインターネット上からアクセスできるようにすべきであります。
 四点目は、国民生活に密着した生活整備事業こそ二十一世紀の公共事業と位置づけられるべきであるということであります。
 ごみ問題や道路渋滞、長時間通勤、凶悪犯罪の多発、防災対策のおくれなどの抜本的な解決を求められており、明年は生活新生に明確な第一歩をスタートさせるべきだと考えます。
 以上の四点につきまして、総理の見解を求め、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#22
○内閣総理大臣(森喜朗君) 有珠山、伊豆諸島の災害対策についてお尋ねがありました。
 まずもって、神津島の地震により亡くなられました方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、不安で不自由な生活を余儀なくされている方々に対し、心からお見舞いを申し上げます。
 まず、有珠山の災害につきましては、私自身、神崎代表、扇党首とともに現地を視察し、被災者の方々や地元自治体の方々から御意見や御要望をお聞きしたところであります。
 政府としましては、これまで、公共事業等予備費を活用し、早期の災害復旧に努めるとともに、被災者の皆様の生活再建等も講じてきたところであります。
 今後、地元自治体がまとめられる復興計画について、国としてできる限りの支援をしてまいりたいと思います。
 伊豆諸島の災害につきましては、引き続き監視活動を注意深く続け、住民の方々の安全確保に万全を期するとともに、速やかな復旧、復興に向けて、地元自治体と密接に連携を図りながら、政府を挙げて全力で取り組んでまいります。
 沖縄の米軍基地問題についてのお尋ねがありました。
 在日米軍施設・区域が集中することによる沖縄の問題につきましては、先般の日米首脳会談の際、私からクリントン大統領に対し、在日米軍基地の集中する沖縄県民の方々の御負担は極めて大きく、引き続き日米で協力してSACO最終報告の着実な実施を図り、沖縄の人々の気持ちにこたえていきたいという旨を申し上げましたほか、その他の機会におきましても、沖縄の人々に対する気持ちを大事にお持ちをいただきたい、沖縄県民の多年の希望につき、自分も努力するが、大統領もぜひ一緒に努力してほしいと申し上げました。
 これらに対し、大統領も、沖縄県民の方々の御負担を理解し、その軽減のために、SACO最終報告の着実な実施に協力していく旨の応答がございました。
 政府としては、このような今回の日米首脳会談の結果をも踏まえ、今後とも、米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、SACO最終報告の着実な実施に取り組み、沖縄県民の方々の御負担の軽減に努めてまいる考えであります。
 普天間飛行場の移設に関するお尋ねでありますが、代替施設の使用期限の問題につきましては、政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長からの要請がなされたことを重く受けとめまして、これを閣僚レベルで米国政府関係者に対して取り上げてきたほか、先般の沖縄における日米首脳会談におきましても、私からクリントン大統領に対し取り上げたところでございます。
 政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき米国政府と協議していく考えであり、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
 米兵による事件に関するお尋ねでありますが、本件につきましては、今月十日から米軍による綱紀粛正策が実施されているところでありますが、先般の日米首脳会談において、私から、遺憾な事件の再発防止のため、綱紀粛正を徹底し、両首脳で協力して、沖縄の人々の気持ちにこたえていきたい旨申し上げました。これに対し、クリントン大統領から、沖縄県民の気持ちを踏まえた上で、強い遺憾の意を表されたところであります。
 政府としては、このような事件が繰り返されることのないように、引き続き、米側において綱紀粛正が徹底されるよう促していく考えであります。
 今回のサミットに際しての非G8諸国やNGO等との対話についてのお尋ねがありました。
 我が国は、二十一世紀に向け、G8と非G8諸国やNGO等との連携を強化するとの観点から、初めての試みとして、サミット直前に東京で開発途上国の首脳や国際機関の代表と直接対話する機会を設け、また、沖縄ではNGOとの対話の機会も設けました。
 御指摘のとおり、G8各国首脳からは、今後のサミットのあり方を考える上でこのような試みは大変貴重なものであったとして、高い評価をいただきました。我が国としては、今後ともこうした努力を強化していくべきであると考えておりまして、この点については各国首脳との認識が一致いたしております。
 議員から、政治倫理の一層の確立を図るための法的措置について御質問をいただきました。
 この問題につきましては、与党三党間においてプロジェクトチームが発足し、法制化に向けた協議が行われているところであり、議員同様、私としても、十分に議論がなされ、ぜひともまとめていただきたいと考えております。政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
 金融再生法の改正についてのお尋ねでありますが、現在与党において真剣な議論が行われ、公明党からそのような御提案をいただいていることは承知いたしており、まずは連立与党の中で十分な御議論が行われるものと考えております。
 いずれにせよ、御指摘の預金保険機構による債権放棄につきましては、安易に認められるべきではないというのは当然であるとの認識のもとに、慎重の上にも慎重に対処していく必要があると考えております。
 通信料金の水準及び引き下げ実現のための取り組みについてのお尋ねでありますが、我が国の通信料金は、競争原理の導入や規制緩和の促進によって低廉化してきておりますが、IT革命を推進させるためには、通信料金水準のより一層の引き下げが極めて重要な政策課題であると認識をしております。
 このため、私としては、インターネット時代に対応した事業者間の競争政策を強力に推進していきたいと考えております。
 NTTのあり方と、通信と放送の融合への対応についてのお尋ねがありました。
 まず、NTTの政府保有株の扱いやNTTのあり方については、最近の電気通信事業を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、我が国の喫緊の課題となっているIT革命を推進していく上において、その原動力となる電気通信分野における公正競争の推進等を図っていくことが極めて重要であります。
 こうした観点から、御指摘のようなNTT株式の政府保有義務の問題を含むNTTのあり方についても、電気通信審議会において幅広い観点から御指摘いただく予定であります。
 次に、通信と放送の融合への対応については、情報通信の高度化に伴い、インターネットのホームページのような通信と放送の中間的なサービスや、通信、放送双方に利用できる端末が登場するなど、いわゆる通信と放送の融合と呼ばれる事象が事実として進んでおりまして、その実態を踏まえた法制度を整えることが重要であると認識をいたしております。
 通信・放送分野における規制改革のための一括法についてのお尋ねでありますが、先ほども申し上げましたように、NTTのあり方や通信と放送の融合については、各界の有識者を集め、課題と対応方策について、現在の法制度のあり方も含め、幅広く検討しているところであります。
 政府としては、このような電気通信審議会等における検討結果を踏まえ、NTTのあり方や融合問題に適切に対処し、IT革命の推進に向けて、通信・放送分野の規制改革に取り組んでまいります。
 公共事業にかかわる補助金のあり方についてのお尋ねでありますが、国と地方が適切な役割分担のもとに協調、協力して事業を進めることが必要であるとの観点から、公共事業につきましては、第二次地方分権推進計画等に沿って、国と地方の役割分担の明確化、国の役割の重点化を図るべく、統合補助金の創設を初め、各般の取り組みを行っているところでございます。今後とも、地方分権推進計画等を踏まえて、補助金等の一層の整理合理化に努めてまいりたいと考えております。
 行政評価と公共事業の事業評価についてのお尋ねでありますが、行政評価につきましては、御指摘のとおり、行政の透明性、効率性、有効性をより高めるため、政策の効果を適正に評価する仕組みの構築が重要な課題であります。
 このため、平成十三年一月の中央省庁等改革に合わせ、政策評価制度を新たに導入してまいります。さらに、政策評価制度の法制化に向けて検討を急いでまいる所存であります。
 公共事業につきましては、新規事業採択時の評価を行うとともに、実施中の事業についても再評価を実施して、必要に応じ、事業の中止、休止等を行うこととしているところであります。平成十二年度予算におきましても、新たに四十七事業の中止、休止等を行っております。
 さらに、事後評価につきましても試行に着手したところでありまして、今後とも、これらの改善を図りながら、より一層的確に事業の評価を実施し、公共事業の効率性、透明性の向上に努めてまいります。
 大規模な公共事業の情報をインターネットでアクセスできるようにすべきというお尋ねがありました。
 議員御指摘のように、国民の皆様のニーズを十分に見きわめ、真に必要な公共事業を実施していくためにも、インターネット等を通じて情報公開を進めていくことは有効な手段と考えます。現在も、大規模な公共事業の情報については、インターネット上でその一部について公表しているところでありますが、さらに、事業の効果など情報内容の充実を図るとともに、アクセスしやすい提供方法とするなどの工夫に努めてまいります。
 次に、国民生活に密着した公共事業に重点化すべきとの御意見がございました。
 公共事業の内容については、これまでも、生活関連等重点化枠を設けるとともに、国民生活の向上の面から緊急かつ優先的に取り組むべき課題への重点化を図るなど、国民生活の向上に取り組んでまいりました。
 来年度の予算におきましても、引き続き国民生活の向上に努め、ごみ問題や交通問題、防災対策、少子高齢化社会対応等、我が国が抱える諸課題に対応し、新世紀にふさわしい国民生活の実現を図ってまいります。(拍手)
    ―――――――――――――
    〔議長退席、副議長着席〕
#23
○副議長(渡部恒三君) 山岡賢次君。
    〔山岡賢次君登壇〕
#24
○山岡賢次君 自由党の山岡賢次でございます。
 質問に先立ち、有珠山噴火や伊豆諸島の地震により被災されました方々に対して心よりお見舞いを申し上げるとともに、政府に対して引き続き万全の措置を講ずるよう強く求めるものであります。
 自由党を代表して、森総理大臣の所信表明演説並びにサミット報告に対して質問をいたします。
 一言で言えば、この所信表明演説は、リーダーとしての将来のビジョンを欠き、ただ個別の懸案を並べ立てただけで、総理としての資質を疑わせるものであります。(拍手)
 他のことに先立ちまして、辞任された久世公堯金融再生委員長の問題について、まず森総理にお伺いをいたします。
 三菱信託銀行は、平成十一年に三千億円の公的資本の注入を受けております。資本注入を受けた銀行から利益供与を受けていたにもかかわらず、金融再生委員長に就任させたことは言語道断であります。しかし、総理は二十八日に、基本的に何ら問題はないと述べておられます。自民党的体質がしみ込んだようなこの総理の感覚こそが問題なのであります。
 そもそも、宗教法人、マンション業者等、候補者の関係団体からの多数の資金や名簿の提供を受けなければ参議院比例区選挙に立候補できない、こういうところに自民党の政治腐敗体質の根本原因があると言わなければなりません。久世金融再生委員長が辞任されればいいという問題ではありません。任命権者である総理の責任には重大なものがあると言えます。
 また、後任の相沢英之金融再生委員長を初め全閣僚に同様の利益供与が行われていないかどうか、徹底的に調査して、早急に国民の前に明らかにすることが、総理がまずおとりになるべき責任であると考えます。総理の御答弁をお願いいたします。
 それでは、政治姿勢についてお伺いをいたします。
 さきの総選挙で、与党三党は、三百三十一議席から二百六十九議席へと大きく議席を減らしました。連立政権が国民から信任されたとは到底言えない状況の中で、特別国会は首班指名と内閣改造を行っただけで、野党の求める所信表明演説や予算委員会での集中審議を拒否したまま、開会式のその日に特別国会を終了させるという、国民に対して極めて不誠実な対応をとったのであります。
 森内閣には、民意を厳粛に受けとめ、反省して出直そうという姿勢も、また、新内閣が二十一世紀に向けてどのようなかじをとっていくのか、その理念も意気込みも感じることができませんでした。
 来年一月の中央省庁再編という課題は、強い政治のリーダーシップがあって初めて可能になるものであります。自由党が強く主張して小渕前総理が受け入れられた、これまでの官僚優位を思い切って政治主導に変えようという仕組みの見直しに当たり、中央省庁再編に取り組む本格政権をつくるべきであったと考えますが、今の内閣に官僚優位の体制を覆すだけの力量があるとお考えか、総理の率直な御答弁をいただきたいのであります。
 本年四月、小渕内閣の総辞職によって、自自公連立政権は自然解消されました。その後成立した自公保連立政権は、安全保障政策、地方分権政策、また消費税の福祉目的税化など自自公三党合意をそのまま継承するとしていますが、これはすべて、自民、公明両党が自由党に対して実現不可能だと明言した政策であります。実現できない、あるいはやる気がない政策を合意と称しているのは、自公保が単なる数合わせにすぎないことを如実に示しております。
 また、自自公三党合意では、経済運営について、平成十二年度は景気刺激型予算とし、十三年度以降は、民需主導の自律的成長軌道に復帰したことを確認するまで、景気、財政中立型予算とすることを合意しておりました。ところが、総選挙が終わった途端、政府・与党の首脳から財政再建最優先路線への回帰を思わせる発言が相次いでおります。国民負担増による財政再建を目指そうとしているのか、今後の経済財政運営について明らかにしていただきたいのであります。
 総理は所信表明で、日本新生プランの実現を訴えられました。しかし、その演説にも、総理の政治理念と改革に向けた意欲は全く伝わってまいりません。財政首脳会議、産業新生会議、IT戦略会議、教育改革国民会議と、改革の方策はすべて会議にゆだねる手法をとり、目先の来年度予算に新鮮味を出そうとして、日本新生特別枠あるいは都市新生枠の新設などを打ち上げる姿勢は、結局のところ、予算編成におけるばらまき体質を露呈させただけであります。
 森総理が総選挙中に打ち出した公約である中高一貫教育の推進、中央省庁外局の地方移転などの構想についても、本質の考え方のないままに検討課題にとどまっていることを見ても、森内閣は、政権維持そのものを目的とした問題先送り内閣、いや、改革後戻り内閣にほかならないと言わざるを得ません。
 今、日本は国家的な危機にあります。
 今までの政治は、すべてお役人任せでした。これが、構造改革が進まないこと、そして日本に志、目標がなくなってしまっていることにつながっており、今日の日本の停滞の最大の原因となっているのであります。
 日本は、戦後一貫して経済発展を国家目標に掲げ、それに専念してきました。その間、政権を担当してきた自民党に代表される戦後政治は、経済発展による利益の配分に終始してきたのであります。日本が経済大国となったにもかかわらず、政治はそれにかわる新たな目標を国民に提示できず、いまだに旧来の利益配分システムの維持にきゅうきゅうとしているのが現実であります。
 また、戦後政治が置き去りにしてきた教育や地域共同体の崩壊は、少年犯罪の凶悪化に象徴されるように、もはや社会経済の根幹を揺るがすまでになっております。日本経済の再生は、グローバル化に対応し得る人材の育成と構造改革なしには不可能であるにもかかわらず、いまだに手つかずの状態であります。
 少子高齢化が進む将来を展望すれば、社会保険方式から消費税方式への転換なしには、基礎的社会保障制度の崩壊は目に見えております。
 さらに、アジアでは依然として政治、軍事、経済面の不安定要素が多く、国内では大規模災害が相次いでおります。これ以上、安全保障、危機管理等の体制確立を放置し続けるならば、二十一世紀の日本は存立そのものが危うくなるのであります。
 私たち自由党は、これらの戦後政治に決別をいたします。戦後政治を代表する自民党は、今のままでは歴史的役割を終え、新しい時代を担うことなどできないのであります。(拍手)
 自由党は、新しい二十一世紀に向かって、自由で創造性あふれる自立国家を日本の新しい国家目標に掲げます。それによって、方向性を失い、混迷のふちをさまよっている日本を立て直し、二十一世紀の平和と繁栄の基礎を築き上げてまいります。
 それは、日本の心と誇りを取り戻し、官僚の支配から解き放たれた、自由で公平な開かれた社会を築き上げることです。そして、自立した個人の集合体としての自立国家日本を目指します。これが我々自由党の主張する日本一新であります。
 政治の仕組みとしては、自由主義思想に基づく議会制民主主義の定着を意味しております。また、経済の面では、これこそが経済の構造改革そのものであり、規制社会からの脱却なくして日本経済の真の再建はありません。森総理に御所見があればお伺いをいたします。
 以下、当面する政策課題について、総理の御所見をお伺いしてまいります。
 そごう問題についてであります。
 総理、日本は議院内閣制の国です。政府・与党は一体であり、与党は政府の責任者であります。たとえ金融再生委員会といえども例外ではなく、まして委員長は与党自民党の国務大臣であります。本来、政府の決定を与党が批判したり覆したりすることはあってはならないのであります。
 金融再生委員会は、一度は債権放棄による私的整理を決定いたしました。自民党の亀井政調会長は、最大与党の政策責任者として、債権放棄による私的整理を一たんは承知していたはずであります。その決定を、野党、国民の批判に恐れをなして、亀井政調会長みずからが簡単に覆してしまったのであります。
 政府・与党の対応は、まさに支離滅裂であります。このようなことが行われては、国内外の経済界は、今後、同様の事例に対してどのように対処すべきか当惑することになり、自民党政治は、やはりルールに基づく行政ではなく、一私企業に対して恣意的に介入する、極めて不透明、不明朗な手法であると感ずるに違いありません。旧来の体質が全然改まっていないことが改めて明らかになったのであります。
 そもそも、民主、公明、自由の三党が共同提案した金融再生法原案は、破綻金融機関を清算するための法律でありましたが、自民党は、野党案丸のみと称して巧妙に修正を行い、破綻金融機関を救済できる法律に変えてしまいました。
 私ども自由党は、破綻金融機関は救済すべきではない、清算するべきである、破綻金融機関を救済してしまえば、その借り手は、健全であろうと不健全であろうと、規模の大小にかかわらず、すべて救済するということになってしまうと主張をして、金融再生法案の修正案に反対をいたしました。今日のそごう問題は、自由党が二年前に指摘していたとおりの事態になっているのであります。
 瑕疵担保特約という、債権の価値が下がった方が得をする、つまり借り手が倒産をした方が新生銀行にとっては利益になるという、世にもまれな契約を結んで無理やり長銀を譲渡した以上、今度は国が債権の買い取りを要請されるに違いありません。
 森総理にお伺いをいたします。
 自民党の野中幹事長は、金融再生法の改正に言及をしておりますが、今さら金融再生法のどこをどのように直せば国民負担が解消されるのでしょうか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
 国が債権を買い取ってしまえば、債権者が国である以上、今後は、借り手に対する債権放棄による私的整理はあり得ず、すべて法的に整理をせざるを得ないのではないでしょうか。債権放棄方式が復活することはあるのでしょうか。現在、瑕疵担保特約によって新生銀行から買い戻しを依頼されている債権の金額は幾らなんでしょうか。また、資産査定時にそごうと同じ要注意先債権であったものを含めて、今後、買い戻しによって国民の負担になると予想される債権の額は幾らあるのでしょうか。
 また、金融再生委員会は、日債銀の譲渡を一カ月延期いたしました。譲渡契約は既に結ばれておりますが、契約内容、特に瑕疵担保条項を変更することはあるのでしょうか。また、譲渡契約が御破算になったときには、日債銀はどのように処理するおつもりなのでしょう。国民の前に明らかにしていただきたいのであります。
 次に、中尾栄一元建設大臣の受託収賄事件についてであります。
 肥大化した省庁の権限、財源に群がる政官業癒着の利権構造が全然改まっていないことが、またもや明らかになりました。中尾事件は、自民党が長年にわたって築いてきた利益誘導政治そのものであります。まじめに努力した人よりも、政治家や役人に陳情したり、裏で手を回し働きかけた人が得をする陳情政治、陳情行政にこそ問題があります。この構造を改めない限り、政治家、官僚にまつわる不祥事は今後も後を絶つわけがありません。
 我々自由党は、フリー、フェア、オープン、すなわち自立した個人がみずからの責任において自由に活動ができる透明度の高い社会をつくることを主張しております。つまり、陳情政治や利権政治の温床となっている今日の裁量行政の仕組みを土台からつくりかえることであります。
 行政改革の本質は、規制の大幅な撤廃にほかなりません。同時に、縮小した権限を地方に移譲し、国、地方を通じて効率的で簡素な政府を実現することであります。公から民間へ、中央から地方への考え方を基本にして、権限、財源の縮小と移譲を図り、効率的な政府を実現することであります。これによって初めて、従来の事前指導型の裁量行政から事後チェック型のルール行政への移行が可能になります。
 公共事業に関して言えば、具体的には、国の個別事業補助金は廃止をして、一括交付金として地方自治体に交付をし、真に必要な事業が地域の実情に応じて効率よく行われるようにすること、そして、公の入札に政治家が関与することを厳罰をもって禁止する入札干渉罪の制定であります。森総理に御所見があればお伺いをいたします。
 次に、九州・沖縄サミットの報告に関連してお伺いいたします。
 議長を務めた森総理は、首脳宣言採択後の記者会見で、二十一世紀を迎えるにふさわしいサミットとすることができたと総括されたと聞いておりますが、何をもってそのように総括をされたのか、耳を疑わざるを得ません。
 また、森総理の所信表明演説でのサミット報告は、本当の議論のポイント、問題点を何ら示しておりません。
 第二次世界大戦最後の激戦地である沖縄を選んだ故小渕前総理が、沖縄サミットを、二十世紀から二十一世紀への節目となる年に、戦後五十年の経過を反省し、二十一世紀を展望する平和サミットとしたいと準備をし、その時と舞台を整えたにもかかわらず、平和に対する歴史感覚を持った深い政治的討議を議長国としてリードしたとは到底言えるものではないのであります。
 安全保障なくして平和なし、抑止なくして対話なしと言われますが、平和と安定に向けての協調と将来像を政治主導で各国が分かち合うことが何よりも重要だったはずであります。しかし、その内容には失望せざるを得ません。
 日米首脳会談では、政府間の交渉に期待する沖縄県民の目の前で行われたにもかかわらず、沖縄米軍基地の縮小、撤去について、従来の方針が確認されただけで、何の進展もありませんでした。不退転の決意を持って米国政府との折衝に臨み、県民の声にこたえる方途を米国との間に見出すのが日本政府の責務だったのではないでしょうか。
 朝鮮半島問題を議題としながら、北朝鮮のミサイルや拉致問題がいかに日本国民にとって重要なのかを理解させることもしませんでした。また、陰の主役は中国と言われながら、中国、台湾問題は議題にさえせず、核兵器廃絶に向けた議論も行われることもなく、特にNMD、全米ミサイル防衛問題では、事前に各国の意見の対立があるのを知りながら、何の具体的前進のための努力もありませんでした。
 経済問題についても同様であります。
 世界貿易機関、WTOの次期貿易交渉についても先送り、途上国の重債務救済についても具体的な進展なし、遺伝子組み換え食品の安全性についても事実上先送り、人間の全遺伝情報、ヒトゲノムも妥協的表現でお茶を濁す結果となったのであります。政府が交渉の目玉と位置づけていたITについては、憲章の形で指針が示されたものの、具体的取り組みはすべてこれからで、はっきりしているのは、来年のイタリア・ジェノバ・サミットまでに具体的な方策の検討結果を報告することだけであります。
 サミット議長国としてこのような対応しかとれなかったのは、我が国自身に明確な外交、安全保障政策の理念、方針がないからにほかなりません。政治が主導すべきサミットを、森総理のサミット終了後の記者会見の態度が明瞭に示しているように、官僚の原稿を棒読みするだけの官僚サミットとしてしまった責任は大きいと言わなければなりません。(拍手)
 以下、外交、安全保障問題についての政府の見解を具体的にただしてまいります。
 沖縄基地問題についてお伺いいたします。
 稲嶺沖縄県知事が米軍普天間基地の県内移設の条件とした十五年の使用期限や民間との共用化について、安全保障政策の見地から、これを政府としてはどのように認識して、米国とどのように話し合っていこうとされているのか、総理の明確なお考えをお示しいただきたいのであります。
 次に、北朝鮮問題についてお伺いいたします。
 北朝鮮との間には、弾道ミサイル問題や日本人拉致問題など、我が国の安全と主権にかかわる重要問題が依然として何の進展もないままに放置されております。先日の日朝外相会談でもこの問題を具体的に指摘しなかったと言われておりますが、北朝鮮に誤ったメッセージを伝えるおそれがあります。サミットの結果を受けて、これらの問題に対する政府方針に変更があるのか、国交正常化に際して、米支援の前提として、問題解決に当たって毅然たる姿勢を貫くのか、総理の御見解をお尋ねいたします。
 次に、ロシア関係についてお伺いいたします。
 九月三日からロシアのプーチン大統領が訪日され、平和条約交渉が話し合われるということになりますが、サミット終了後の森総理とプーチン大統領との会談で、最大のテーマとなる北方領土問題の解決を含む日ロ平和条約交渉について、私たちは慎重に一貫して着実に前へ進む必要があると述べ、平成九年のクラスノヤルスク合意で目標として定められている年内締結の先送りを強くにじませたと言われております。また、自民党の野中幹事長は、北方領土問題の解決を前提とせずに日ロ平和条約交渉を進めるべきとの考えを示したと報ぜられております。
 これらは、ここ数年前進を続けてきた両国関係を後退させ、我が国の基本方針を変更させるものであります。森総理の御意見をお伺いいたして、私の質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#25
○内閣総理大臣(森喜朗君) 久世氏を任命した責任についてのお尋ねでありますが、新内閣の発足に当たっては、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣任命をいたしたところでありますが、結果としては辞任せざるを得ないような大臣を任命したということは、まことに残念であり、遺憾であります。また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣として、これらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことによって、その責任を果たしていきたいと考えております。
 全閣僚に対して、利益供与が行われていないか調査せよとの御指摘がございましたが、私は、現内閣の閣僚は違法な利益供与を受けたことはないと信じております。
 中央省庁改革に取り組む政治のリーダーシップについて御質問がありました。
 来年一月の中央省庁改革は、二十一世紀の我が国にふさわしい行政システムを構築する歴史的な改革であります。国民のニーズに合った省庁横断的な政策立案や行政運営の実現など、改革のメリットが国民にとって確かなものとなるよう、私自身、強力にリーダーシップを発揮していきたいと考えております。
 私の提唱する日本新生とは、二十一世紀に向けた我が国の経済社会全体の構造改革であります。その実現には政治のリーダーシップが不可欠であり、この内閣では、私みずからリーダーシップを発揮するとともに、全閣僚が一丸となって各省庁を強力に指導してまいりたいと考えております。
 自公保三党の政策についてのお尋ねがありました。
 自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党による連立政権は、それまでの連立政権の多くの成果を踏まえ、政策の継続性を念頭に置きつつ、日本経済の新生と大胆な構造改革に挑戦し、国民の負託にこたえていこうとするものであります。また、今後の経済財政運営につきましては、引き続き景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくように全力を尽くしてまいります。
 目指すべき国家像と経済構造改革についてのお尋ねがありました。
 私は、この内閣を日本新生内閣と位置づけ、日本新生プランを具体化し、大胆かつ細心にその実現を図り、二十一世紀の日本の国づくりとして、安心して夢を持って暮らせる国家、心の豊かな美しい国家、世界から信頼される国家を目指していきたいと考えております。経済構造改革の面におきましては、個人の自由と自己責任が基本的な行動原理となり、競争の中で多くの人々が夢に挑戦し、その中から新しい創造性が生まれるべきだと考えております。
 そのような経済社会の形成を目指し、規制緩和の推進と大胆な構造改革に取り組んでまいります。
 御指摘の金融再生法の改正問題についてのお尋ねがありました。
 本件につきましては、現在与党において真剣な検討が進められているものと承知しており、政府としては、その議論の帰趨を見守ってまいりたいと考えております。
 企業が破綻した場合の処理方法については、まずは当該企業の経営判断によるものでありますが、いずれにせよ、預金保険機構による債権放棄については安易に認められるべきではないのは当然であるとの認識のもとに、慎重の上にも慎重に対処していく必要があると考えております。
 新生銀行から引き取りを求められている債権の金額についてのお尋ねでありますが、現在、長銀譲渡契約書における瑕疵担保条項に基づき預金保険機構が新生銀行から引き取りを求められている債権は、約千九百七十六億円のそごうグループ向けの債権のみであると承知をしております。
 また、今後買い戻しによって国民の負担になると予想される債権の額についてのお尋ねでありますが、将来預金保険機構が取得する債権がどの程度出てくるかは、今後の新生銀行の債務者の状況等により異なってくることから、予断をもって申し上げることはできないことを御理解いただきたいと考えます。
 日債銀の譲渡問題についてのお尋ねですが、日債銀の譲渡については、特別公的管理銀行に係る譲渡の仕組み、とりわけ瑕疵担保条項をめぐる現下の各方面からの御意見、譲渡予定先のソフトバンクグループの意向を踏まえ、今国会における御議論や国民の意見に十分耳を傾けるとともに、その理解を深めていただくために、一カ月譲渡予定日を延長する決定がされたところでありまして、十分な説明が行われ、議論が尽くされることを期待いたしております。
 公共事業と入札干渉罪についてのお尋ねがありました。
 公共事業に係る個別補助金等のあり方につきましては、第二次地方分権推進計画を踏まえ、平成十二年度において、適切な目的を付し、具体的な事業箇所等について地方公共団体が主体的に定めることなどを内容とする統合補助金を創設するなど、積極的に見直しを図っているところであります。
 なお、公共事業の効率的、効果的な事業の実施に当たっては、各地域における整備水準や費用対効果等を踏まえ、全国的に個別の事業ごとに審査し、計画的に実施していく必要があります。こうした観点から、すべての公共事業について地方公共団体に財源を一括交付し、その使途を地方に任せることにつきましては、問題があると考えております。
 また、入札干渉罪を導入すべきとの御提言をいただきました。
 政治倫理の確立を図るための法的措置につきましては、野党が共同して法案を提出され、また、与党三党間においても法制化に向けた協議が行われているところであり、私としては、各党各会派において十分に御議論をいただき、ぜひとも結論を出していただきたいと考えております。政府としましては、その結果を踏まえ、適切に処理してまいりたいと考えております。
 沖縄の米軍基地問題についてのお尋ねがありました。
 在日米軍施設・区域が集中することによる沖縄の問題については、先般、二十二日でありますが、日米首脳会談の際、私からクリントン大統領に対し、在日米軍基地の集中する沖縄県民の方々の御負担は極めて大きく、引き続き日米で協力してSACO最終報告の着実な実施を図り、沖縄の人々の気持ちにこたえていきたい旨を申し上げましたほか、その他の機会におきましても、沖縄の人々に対する気持ちを大事にお持ちいただきたい、沖縄県民の多年の希望につき、自分も努力するが、大統領もぜひ一緒に協力してほしい旨を申し上げました。
 これらに対し、大統領も沖縄県民の方々の御負担を理解し、その軽減のためにSACO最終報告の着実な実施に協力していく旨の応答があったところであります。
 政府としては、このような今回の日米首脳会談の結果をも踏まえ、今後とも、米軍施設・区域の整理、統合、縮小につきましては、SACO最終報告の着実な実施に取り組み、沖縄県民の方々の御負担の軽減に努めてまいる所存であります。
 普天間飛行場の移設に関するお尋ねがありました。
 代替施設の使用期限の問題につきましては、政府としては、昨年末の閣議決定にありますとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、これを閣僚レベルで米国政府関係者に対して取り上げてきたほか、先般の沖縄における日米首脳会談におきましても、私からクリントン大統領に対し取り上げてきたところであります。
 政府としては、昨年末の閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき米国政府と協議していく考えであり、あわせて、国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねていきたいと考えております。
 また、代替施設につきましては軍民共用空港を念頭に整備を図ることといたしており、政府としては、民間部分のあり方について沖縄県及び地元地方公共団体の意見も十分拝聴しながら、昨年末の閣議決定にあるとおり、米側とも緊密に協議しつつ、SACO最終報告における普天間飛行場の移設に伴う機能及び民間飛行場としての機能の双方の確保を図ってまいりたいと考えております。
 北朝鮮についてのお尋ねでありますが、二十六日、史上初の日朝外相会談が行われ、その結果、八月下旬に国交正常化交渉本会談を開催することになりました。政府としましては、これまでどおり、韓米両国との緊密な連携のもと、国交正常化交渉に粘り強く取り組んでいく考えです。
 同時に、そのような機会をとらえ、議員御指摘の問題も含めて、日朝間の諸懸案の解決に向けて全力を傾ける考えであります。
 日ロ平和条約交渉についてのお尋ねでありますが、沖縄での会談において、プーチン大統領からは問題の難しさについての発言がありました。私からは、難しい問題についても率直に話し合いを進めていくべきであり、我々の間で全面的な話し合いを行うことが重要である旨を指摘いたしました。そして、九月の日ロ首脳会談では、平和条約問題も含め、両国関係全体について率直かつ信頼関係に基づいた議論を行うことで一致した次第であり、私としても、北方領土問題を解決して平和条約を締結するという一貫した方針のもとで全力を尽くしてまいる所存であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#26
○副議長(渡部恒三君) 不破哲三君。
    〔不破哲三君登壇〕
#27
○不破哲三君 私は、日本共産党を代表し、最近の幾つかの問題に絞って森首相に質問いたします。
 まず、久世金融再生委員長の辞任の問題です。
 これは、辞任を承認しただけで済むことではありません。今回疑惑として問題になった諸点は、首相が事前に知っていたと聞きます。それなら、三菱信託銀行の利益供与の問題一つをとっても、特定の銀行と多年にわたって疑惑ある関係を持っていた人物をあえて金融問題の責任者の位置に据えた首相の任命責任は特別に重大であります。今までいろいろ弁明がありましたが、他の人がどう説明したかではなく、首相自身がどう考えて行動したかを経過的に説明願いたいと思います。
 第一に、首相は、任命の時点で疑惑にかかわる事実を具体的にどこまで知っていたかという点であります。第二に、その事実を知りながら、この人物がこの地位に適切だとなぜ判断したのかという問題であります。第三に、昨日は一転して久世氏の辞任を承認したわけだが、任命権者として、久世氏を任命したことの誤りを認めるのかという点であります。最後に、こういう人物をこの地位に据えたことについて、首相自身の任命責任を今どう考えているのか、またその責任をどう果たすつもりなのか、伺いたいと思います。(拍手)
 次に、そごうの問題であります。
 そごうの債権の買い取りを金融再生委員会が決定したとき、国民の間には怒りの声が沸き起こりました。その声の本質は、民間の一百貨店の経営の不始末に対し国民の税金を九百七十億円もつぎ込むことへの疑問であり、怒りでありました。
 当時、ある大学教授が、新聞に、「異議あり! このままでは資本主義がおかしくなる」という論説を書き、資本主義社会では絶対許されないことだとして、次のように述べていました。「阪神大震災の時に、多くのマンションが崩壊したが、住宅ローンを組んでようやくマイホームを持った人に対しても、借金の棒引きはされなかった。天災で住む場所を失った人たちのローンですら免除されなかったのに、でたらめな経営で悪化した会社に対する債権が棒引きされるというのは、どうみてもおかしい。正直者がばかを見る世の中になってしまったという印象です。」
 私は、この文章は、国民の怒りと疑問をそのまま代弁した批判だったと思います。
 政府は、国民の怒りの声を恐れて、その後にわかに方針を変更、そごうの経営者を口説いて、民事再生法による処理に方式を切りかえましたが、一企業の失敗に国民の税金をつぎ込むということには何の変わりもありません。しかも、つぎ込まれる税金の額は、今度の方式だともっとふえて、千二百億円を超えることは確実だと見られています。
 私がまず首相に聞きたいのは、この事態に対する根本的な考え方であります。民間企業である一百貨店が、自分自身の放漫な経営によって失敗し、破綻したというのに、その穴埋めに国民の税金をつぎ込むという大義名分は一体どこにあるのかという問題であります。
 そごうが融資を受けた銀行の一つに長期信用銀行があり、その銀行が一時国有化されたからだといっても、それは国民を納得させる理由にはなり得ません。この間に、中小企業の倒産は、昨年を例にとると、一年間で一万五千百三十五件、負債の総額は八兆六百四十億円にも上っています。その中で、そごうの破綻だけを特別扱いして、ここに国民の税金をつぎ込むなど、許されるはずがないではありませんか。
 次に、今回の直接の税金投入への引き金となった瑕疵担保特約について聞きたいと思います。
 金融再生委員会は、アメリカの投資グループに旧長銀を売り渡す際、相手側に都合のよい条件をいろいろとつけた上、新生銀行が引き継いだ債権の中に不良債権化する部分が出てきたら預金保険機構が買い戻す、つまり、国民の税金で買い戻すという特約を結びました。これが瑕疵担保特約であります。この特約があるから、新生銀行が融資関係を引き継いだ企業の経営が悪化すれば、それが百貨店であろうが他の分野の企業であろうが、国民の税金のつぎ込みに道が開かれることになります。
 この瑕疵担保特約は、私は、言語道断の契約だと思います。国民の税金をこんな横暴な勝手なやり方で使うことは、政府にゆだねられた権限を踏み越えたものであります。
 そこで聞きたい。あなた方は、一体、どういう根拠、どういう権限に基づいてこのような特約を結んだのですか。そして、この特約を結んだことについて、政府としての正当な行為だったと今でも考えているのですか。
 瑕疵担保特約が適用されるのはそごうだけではありません。旧長銀から融資関係を引き継いだ企業が経営悪化という事態を迎えるならば、国民の税金で債権を買い戻すことが再び問題になります。瑕疵担保特約の対象になる企業、つまり、新生銀行が旧長銀から融資関係を引き継いだ企業がどの範囲に上るのか、企業数や債権の総額など、その全貌を国会と国民に公表することを政府に求めたいのであります。(拍手)
 さらに、日本債券信用銀行の売り渡しについても、同じ内容の瑕疵担保特約が問題になっています。その話はどこまで進んでいるのか、今でも、この特約を結んだまま譲渡するつもりなのか、政府の見解を伺いたい。
 さらに、今起こっているのは、いわゆるモラルハザード、経済秩序の文字どおりの道義的崩壊の問題であります。どんな経済的失敗をしても最後には国民の税金で穴埋めがされる、こんなことの横行を許したら信頼ある経済社会など成り立ちませんが、そごう問題は、この風潮の危険な広がりを示しています。瑕疵担保特約を極めて安易に結んだというのも、どうせ最後は税金という許しがたい前提があったからではありませんか。
 このような風潮が横行し始めた根本が一昨年からの銀行支援策にあることを、今正面から見る必要があります。
 当時、焦点になったのは、金融業界の危機をだれの負担で解決するかという問題でした。私たち日本共産党は、諸外国の事例や戦前の日本の金融恐慌の事例も示しながら、銀行の不始末は銀行業界全体の負担で解決するというルールを守るべきことを最後まで主張しました。しかし、自民党も他の野党も、国民の税金を投入する仕組みをつくることを主張し、結局その線で金融再生法その他の立法が行われ、破綻銀行を一時国有化して国が丸抱えにする仕掛けや、銀行支援のための六十兆円、これは後に七十兆円に拡大しましたが、こういう枠組みがつくられました。
 このとき大義名分とされたのは、預金者保護であり金融システムの安定でした。しかし、銀行の不始末の穴埋めに国民の税金を使うという仕組みが一たんつくられたら、それは預金者保護などの言い分を超えてどこまでも広がり、ついにはそごうのような、破綻した銀行から金を借りている民間企業の不始末にも税金を平気でつぎ込むようになってきたのであります。今、そこに歯どめをかけることを真剣に考えるべきではありませんか。
 最後は国民の税金でという危険な風潮の根を絶つためには、今こそ問題の原点に立ち返り、公的資金の投入の仕掛けを凍結し、結果として新たな税金の投入となるようなことは一切行わないこと、既に投入した公的資金についても、最終的には銀行業界全体が負担すること、すなわち、銀行の不始末は銀行業界の負担で解決するという本来のルールに立ち戻る方向で金融秩序の立て直しを図るべきときだと考えます。政府にこのことの検討を求めるとともに、この機会に、銀行業界に対しても、経済社会の道義的な崩壊を食いとめるための真剣な検討を求めたいのであります。
 次は、中尾元建設大臣の収賄、汚職事件の問題です。
 この事件は一九九六年に起きました。金丸元副首相のゼネコン収賄疑惑が発覚したのが一九九三年でした。政府・自民党がその反省をしきりに強調しているさなかに、問題の建設業界との関係でこの収賄事件が起きたのであります。しかも、わいろの受け渡しに建設省の大臣室まで使われていること、若築建設との宴席には建設省の高級官僚や自民党のいわゆる大物政治家たちがしばしば同席していることなど、これまでに報じられてきただけでも、この汚職疑惑は極めて深刻で重大な内容を持っています。現在、政府の責任者であると同時に自民党の総裁の任にある者として、どういう考えでこの事件に臨んでいるかを森首相に伺いたいのであります。
 その上で、今後の対応の問題に進みます。
 まず、事件は検察の究明の対象に今なっていますが、検察が追及する刑事的犯罪の問題と政治的、道義的責任の問題とは別個の問題であります。検察が入っているからということで、政治的な全容の解明をなおざりにしがちな空気が一部にありますが、これでは政治の責任を果たせません。一体ここで何が起こったのか、建設省及び自民党の他の政治家のかかわり合いを含め、事件の全容を明らかにし、政治的、道義的な責任を明確にする政府及び自民党の責任は大きいと言わなければなりません。決意を持ってまず真相の解明に当たることを首相に求めるものであります。
 次に、こういう収賄、汚職事件を防止するためにも、野党が一致して提案しているあっせん利得罪の処罰法案の成立が急務であります。これは複雑な法律ではありません。政府・与党に収賄行為を根絶する意思があるならば、すぐにもこの国会で成立させることのできる法律であります。政府・与党が今、問題先送りの態度をとっているのは、残念のきわみであります。首相としての見解を伺いたいのであります。
 また、あっせん利得罪の制定は緊急の問題でありますが、これは、汚職、腐敗の全体からいえば、部分的な対応策です。汚職事件が起きるたびに政府は反省の弁を述べるが、汚職、腐敗は一掃されない、こういう状態が何十年も繰り返されてきました。汚職、腐敗の根絶のためには、やはりその大もととなっている企業・団体の政治献金そのものの禁止が必要であり、そこに今こそ足を踏み出すべきではありませんか。
 我が党は、この国会に引き続き企業・団体献金禁止法案を提出しましたが、この問題についての首相の見解を求めるものであります。
 さらに、公共事業をめぐる汚い裏取引などをなくすためには、汚職防止の立法と同時に、公共事業の制度そのものの改革が何よりも重要であります。
 まず、どこの事業に予算をつけるかのいわゆる箇所づけや、建設業者の選定を初め、公共事業予算の執行過程をガラス張りの公開されたものにし、政治家の不当な介入の余地のない仕組みを確立することであります。
 より根本的な問題は、事業の内容の問題です。日本の大型公共事業には、第一、事業の目的が定かでない、第二、初めから採算が度外視されている、第三、環境破壊の危険があるなど、最初から重大な欠陥が指摘されながら、毎年予算をつぎ込み続けているという欠陥事業が少なくありません。
 この点で、ヨーロッパやアメリカでは既に当たり前になっている住民、市民も参加する事業評価制度、これが日本にないということは重大な欠陥であります。早急にヨーロッパ、アメリカ並みの事業評価制度を確立し、今後着手する公共事業はもちろん現在進行中の事業についても、一定規模以上、例えば規模十億円以上の大型事業については必ずこの制度に基づく総点検を早急に行うことを提案したいのであります。
 この事業評価制度では、第一に、事業の必要性、採算性がどうか、環境への影響がどうか、この三つの角度から十分な吟味を行うこと、第二に、事業が始まってからではなく、計画、事前、事後の諸段階にわたる評価、特に計画段階での評価、点検を重視すること、第三に、住民、市民の参加を制度的に保障すること、この三点が特に重要であります。
 この改革は、公共事業の重点を国民生活優先の生活型の事業に大きく移していく上でも、むだな大型開発をなくして財政再建に道を開いていく上でも、建設的な役割を果たすはずであります。首相の見解を伺いたいと思います。
 次に、消費税の問題です。
 私は、四月十一日、あなたが首相に就任して直後の代表質問で、財政再建の問題に関連して、「国民全体、特に低所得者に大きな被害を与える消費税増税を視野に入れているのかどうか」について、首相の考えをただしました。そのときのあなたの答弁は、財政再建の中身は現時点で具体的に申し上げる状況にない、消費税のことは今後国民的な議論によって検討さるべき課題と考えると言うにとどまりました。
 それから既に三カ月であります。財政再建の問題は、これ以上の先延ばしを許さないところにまで来ています。税制の見直しについては、政府税調が先日、中期答申を発表しました。そこには、時期を決めてはいないものの、消費税増税が今後具体化すべき大きな方向として打ち出されており、国民の間に大きな不安を引き起こしています。
 それは、消費税が、国民の消費を直撃する生活課税であると同時に、生計費非課税の原則を無視して、低所得者からも高額所得者からも同じ税率で税を取り立てる、いわば弱い者いじめの税制だからであります。しかも、中期答申もある程度認めざるを得なくなったように、今日本の社会では、所得の低い者と高い者との間の格差の広がりが大きな問題になりつつあります。こういうときに消費税の増税が企てられたら、それが国民生活に深刻な被害を与えることは明瞭であります。
 今回の中期答申には税率引き上げの目標は明記していませんが、加藤会長は、まず一〇%への引き上げを目標とする旨、これまでに何度となく発言してきました。これを今年度の数字に当てはめてみると、消費税の総額は地方税分を合わせて二十五兆円となり、所得税の十八兆七千億円、法人税の九兆九千億円を大きく上回ることになります。これは弱い者いじめの税金が我が国の税制の最大の柱になることであって、一般庶民、特に弱い立場の低所得者にとっては我慢のできない事態になることは明瞭であります。
 首相は、所信表明でも、税制を含む財政構造改革に触れました。消費税増税をその構造改革の視野に入れているのかどうか、改めて伺いたいのであります。
 また、我が党は、国民生活を守る見地から、消費税という税制には反対の立場をとっており、今後、財政再建の進行の中で、その税率を引き下げ、さらに言えば、廃止に向かっていくことを段階的に進むよう提案してきました。
 今消費税の問題で緊急に必要なことは、多くの国民の切実な要求となっている食料品非課税の実施を決断することであります。これは、個人消費へのてこ入れという景気対策上の要望とも合致をするものであります。
 首相に、当面の緊急策として、消費税の食料非課税の実施への決断を求めたいのであります。
 次に、沖縄サミットの問題であります。
 私は、七月十八日の党首会談で、沖縄サミットについて、米軍基地の縮小、返還への転機となるような取り組みを首相に求めました。米軍基地が世界でも例がない形で集中し、県民が日々その被害にさらされている沖縄をわざわざサミットの会場に選んだ以上、沖縄県民もそこで基地問題がどう扱われるかをかたずをのんで見守ったことと思います。サミットの前の日、二万七千人の人間の鎖が広大な嘉手納基地を包囲した情景は、沖縄県民の心をあらわしたものとして、世界のマスコミが大きく注目しました。
 しかし、報道される限り、また国会でのあなたの報告を聞く限り、沖縄の基地問題への本気の取り組みは全く欠けていたと言わざるを得ません。聞こえてきたのは、沖縄県民に向かって米軍基地の重要性を強調するクリントン大統領の言葉だけでした。
 あなたは、サミットが平和のメッセージの発信の場になったと報告しました。それなら、伺いたい。サミットは基地の重圧に悩む沖縄県民にどのようなメッセージを発信したのか。二十世紀の最後の年に沖縄でサミットを開き、沖縄に基地を置いている国の大統領を迎える以上、二十一世紀には基地問題を解決するこういう道筋が開かれる、その第一歩として政府はこれこれの問題に取り組むなど、沖縄の悲願にこたえるメッセージの発信の場となるよう努力を尽くすのが日本政府の何よりの責務だったのではありませんか。
 さらに、沖縄で今論議の熱い焦点となっているのは、名護市での新たな基地建設の問題であります。私たちは、移転という名目であろうと、沖縄に新たな米軍基地を建設すること、特に最新鋭の前線基地を建設することには一貫して反対してきました。あなた方は基地建設を推進する態度をとってきましたが、自民党が推薦した県知事が、一昨年の選挙で県民に公約したのは、十五年たったら返還するという条件で基地を受け入れる、こういうことでした。この公約は、当然、知事をその条件で推薦したあなた方自身の公約であります。
 政府には、この公約を実現するために、アメリカ政府と正面から交渉する義務があります。残念ながら、これまで日米間では交渉らしい交渉が行われず、そのことに沖縄現地からは大きな批判が上がってきました。そのさなかでのサミットであります。首相はクリントン大統領との間で、この問題でどういう交渉をしたのか、はっきり伺いたい。
 大事なことは、使用期限十五年ということは、基地建設を受け入れるかどうかの前提にかかわる問題であって、建設した後で交渉すればよいという問題ではないということです。党首会談でも述べましたが、この条件が成立しないまま基地建設に着手することがあってはなりません。十五年期限を受け入れないというアメリカ側の態度が既に明らかになっている以上、基地建設そのものを直ちに放棄するのが当然ではありませんか。見解を伺います。
 なお、サミットについては、そこでのお金の使い方について国際的に大きな批判が上がっていることに、政府は耳を傾けるべきであります。沖縄サミットにかかった総費用は、総理府の集計によると八百十四億円に上るといいます。イギリスのマスコミでは、ドイツやイギリスで開かれた最近のサミット、例えば昨年のケルン・サミットでは費用約七億円、一昨年のバーミンガム・サミットでは費用約十一億円、これらと比較しながら、その八十倍から百倍にも当たる、ぜいたくで無神経な運営だったと一斉に批判の声を上げています。中には、この八百億円があれば貧困国の千二百万人の子供を学校に入れることができた、こういう指摘もあります。
 実際、サミットで議題になった世界の貧困国の問題だけでなく、我が日本の不況に苦しむ国民の生活の実態に照らしても、いささかの浪費も許されないはずの国の財政の実態に照らしても、今回のサミットの開き方は、日本の政府の見識を問われるものになったと言わなければなりません。サミットの主宰者である森首相の見解を伺いたいのであります。
 いよいよ二十一世紀は目前に迫りました。世紀が転換する節目とは、過去の慣行に惰性的にとらわれることなく、政治が本来あるべき姿を目指して、大胆な改革に挑戦するところにあります。私は、今幾つかの問題を取り上げましたが、国民が主人公という結党以来の立場を踏まえて、日本の政治と経済の改革のために引き続き努力する日本共産党の決意を述べて、質問を終わるものであります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#28
○内閣総理大臣(森喜朗君) 冒頭、久世氏の任命についてのお尋ねをいただきました。
 まず事実認識についてでありますが、三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、金融再生委員長に任命するに当たって、過去の報道で指摘された点につき調査を行いましたが、既にきちんとされている過去の問題であり、現在は問題がないとの説明であり、そのように承知したものであります。大京関連の問題につきましては、任命時においては必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上の問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 次に、久世氏を任命した理由と辞任に至ったことをどう考えるかについてでありますが、新内閣の発足に当たっては、日本新生プランの実現のために適材適所の観点から大臣を任命いたしたところです。結果として辞任をせざるを得ない大臣を任命したということは、まことに残念であり、遺憾であると考えており、また、深く反省するとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 任命権者としての責任については、今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣として、これらに一致結束をして全力を挙げて取り組んでいくことにより、その責任を果たしてまいりたいと考えております。
 そごう問題についての考え方についてのお尋ねがございました。
 いわゆるそごう問題は、そごうの自主的経営判断により民事再生法の適用申請がなされたところであり、今後、こうした法的処理の枠組みの中で経営者や株主の責任も明らかにされていくものと考えております。
 なお、いわゆるそごう問題は、経営責任の明確化や意思決定過程の透明性に十分配慮し国民の理解を求めることの重要性を示したものとして、重く受けとめております。
 今回の問題を教訓に、企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認められるべきでないとの認識のもと、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 瑕疵担保特約についてのお尋ねでありますが、瑕疵担保条項は、現行金融再生法の枠の中で、長銀の速やかな譲渡や国民的負担抑制の観点から、民商法の法理を用い、交渉の過程で盛り込まれたものであります。仮に瑕疵担保条項がなければ、譲渡候補先が見出せず、国民負担が相当程度増加することが見込まれたことから、やむを得ないものであるというのが金融再生委員会の判断であると考えております。
 瑕疵担保特約の対象になる企業についてのお尋ねでありますが、瑕疵担保特約に基づき将来預金保険機構が取得する債権がどの程度出てくるかは、今後の新生銀行の債務者の状況等により異なってくることから、予断を持って申し上げることができないことを御理解いただきたいと考えております。
 なお、本年二月末を基準日とする予備的な貸借対照表においては、瑕疵担保特約の対象となり得る貸出金の総額は約七兆九千億円、当該事業先は約四千四百と承知をいたしております。
 日債銀の譲渡問題についてのお尋ねですが、六月三十日に最終譲渡契約書が締結され、その中には瑕疵担保条項が含まれております。
 瑕疵担保特約については、これをめぐる現下の各方面からの御意見、譲渡予定先のソフトバンクグループの意向を踏まえ、今国会における御議論や国民の意見に十分耳を傾けるとともに、その理解を深めていただくために、一カ月譲渡予定日を延長する決定がされたところでありまして、十分な説明が行われ、議論が尽くされることを期待いたしております。
 破綻金融機関の処理スキームについてのお尋ねですが、金融システムは、しばしば経済の動脈に例えられるとおり経済の基盤をなすものであり、その安定は我が国経済が景気回復軌道に復帰するためには必要不可欠なものでありまして、また、預金者等を全額保護するとの観点から、金融機関の破綻処理について公的資金での対応をお願いしているところであります。
 中尾元建設大臣の逮捕に関連してお尋ねがありましたが、私自身、今回の事件については大変遺憾に思っております。国民の税金によって賄われる公共事業の執行については厳正に行わなければならないのは当然であり、かりそめにも国民の疑惑を招くようなことがあってはならないということは言うまでもありません。また、政治家の倫理が強く求められている中で、まず一人一人の政治家がみずからの襟を正していくことが大前提であると考えております。
 本件につきましては司直の手にゆだねられておりますが、私としても、徹底的な捜査により真相究明が行われるべきものと考えており、重大な関心を持って見守ってまいりたいと考えております。
 野党が共同して提出しているあっせん利得罪の法案について御質問をいただきました。
 私としては、かかる法制については、その目的について吟味した上で、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪の構成要件を明確にする必要があると考えており、少なくともこの点につき十分に論議する必要があるものと考えます。
 繰り返しになりますが、この問題については、まずは各党各会派の間において十分に御議論いただくことが基本であり、政府としましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 企業・団体献金の禁止について御質問がありました。
 私は、政治資金制度は政党本位、政策本位の政治を目指すという政治改革の理念に沿ったものであるべきと考えており、こうした政治改革の理念を踏まえ、既に今年から政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されたところであります。一方で、政党に対する企業・団体献金につきましては、最高裁の判例でも、企業は憲法上の政治活動の自由の一環として政治資金の寄附の自由を持つことは認められており、これをおよそ悪と決めつける論拠は乏しいと考えております。
 政治資金のあり方については、各党各会派で御議論いただく問題でありますが、私としては、政治資金は民主主義に必要なコストであり、何よりも国民の疑惑を招かないよう政治資金の透明性の確保が大切であると考えております。
 公共事業予算の執行過程の透明化についてお尋ねがありました。
 これまでも、箇所づけについてはすべての事業で新規採択時の評価を行い、予算成立後速やかに公表するとともに、建設業者の選定に関しましては、一般競争入札方式の導入、入札結果等の公表等入札、契約制度の改革を進め、その透明性の向上に努めてきたところであります。今後とも、予算執行過程のより一層の透明性の向上に努めてまいります。
 公共事業評価制度の確立についてのお尋ねがありましたが、既に新規事業採択時の評価や実施中の事業について再評価を実施し、必要に応じ事業の中止、休止等を行っており、また事業評価の試行にも着手いたしております。評価の実施に当たりましては、環境の視点も含めて実施するとともに、評価結果等の国民への公表も行っているところでありまして、引き続き事業評価制度の確立に努めてまいります。
 財政構造改革に関連して、消費税のあり方についてお尋ねがありました。
 財政構造改革については、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 消費税を含む今後の税制のあり方については、公平、中立、簡素といった租税の基本原則等に基づきながら、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題でありますが、いずれにしても、歳出面のむだはないか等について十分見直しを行うなど、国民の理解を得ることなしに増税を行うことは適切でないと考えております。
 サミットでの沖縄県民へのメッセージのお尋ねがありました。
 小渕前総理が万感の思いを込めて決定された九州・沖縄サミットでは、沖縄の力、二十一世紀に向けての明るく力強い平和へのメッセージを発信することができたと考えております。
 なお、沖縄の米軍施設・区域に関する問題につきましては、サミットという多数国間の場では議論されませんでしたが、日米首脳会談においてSACO最終報告の着実な実施に取り組むことで一致したことに加え、その他の機会においても、私からクリントン大統領に対し、沖縄の人々に対する気持ちを大事にお持ちいただきたい、沖縄県民の多年の希望につき、自分も努力するが、大統領もぜひ一緒に努力してほしいと申し上げたところであります。
 政府としては、こうしたことも踏まえ、今後とも沖縄県民の方々の御負担の軽減に努めてまいる考えであります。
 普天間飛行場の移設に関するお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談の際、普天間飛行場の代替施設に関する使用期限の問題については、私より、既に貴国政府との話し合いの中で数回にわたり取り上げてきたところであり、今後、国際情勢の変化に対応して、同飛行場の代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき貴国政府と協議していくこととしたい、我が国としては国際情勢の肯定的変化のための外交努力を積み重ねていく考えであり、右についても貴国と協力をしていきたいと述べました。
 これに対し、クリントン大統領からは、在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成等の軍事態勢については、SACOの最終報告及び一九九六年の日米安保共同宣言を踏まえ、日本側と緊密に協議をしていきたいという旨の言及があったところであります。
 これを踏まえ、政府としては、今後とも昨年末の閣議決定に従い、適切に対処してまいる考えであります。
 九州・沖縄サミットの開催経費についてのお尋ねがありました。
 今回のサミットは、我が国にとって初めての地方開催となり、かつ、首脳会合、外相会合及び蔵相会合もそれぞれ別の場所で行われたために、通信インフラや道路等関連施設の整備費、警護費用、準備段階を含めた移動の費用等が必要となったこともあり、このような予算額となったものであります。
 特に、首脳会談の行われた沖縄については、サミット開催に伴う各種インフラの整備に加え、サミット開催に伴い、沖縄が内外にアピールされ大きな関心を集めたことは、今後の沖縄の産業、経済界にはかり知れないプラスの影響を与えるものと考えます。
 なお、一部報道で伝えられる過去のサミットの経費については、その額にどのような費目が含まれているか等、その積算根拠が不明であり、また、それぞれの開催地によって既存のインフラの整備状況も異なるわけであり、単純に比較することは適当ではありません。(拍手)
    ―――――――――――――
#29
○副議長(渡部恒三君) 土井たか子君。
    〔土井たか子君登壇〕
#30
○土井たか子君 私は、社会民主党・市民連合を代表いたしまして、森内閣総理大臣の所信表明演説に対して質問をいたします。
 森総理大臣の所信表明演説を聞いておりまして、私は、ここに森内閣の姿が正直に示されていると感じました。内容も具体性もないうつろな言葉の連続。その上あきれたことに、今最も議論すべき金融再生法見直しについての具体的言及もなければ、元建設大臣の逮捕についてもわずか一言触れておられるだけでございます。新生という言葉がちりばめられていますが、一体どこに、どんな新味があるというのでしょうか。ここに示されているのは、森内閣の自信のなさであり、未来への展望を切り開く構想力の欠如と無気力以外の何物でもありません。(拍手)
 森総理は、今度の総選挙で自民、公明、保守三党は絶対安定多数を得た、だから国民から連立政権への信任を得たのだと胸を張って言われました。驚きであります。自民党だけで三十四、連立三党全体では六十五議席も減らし、しかも、四割そこそこの得票率で六割の議席を得るという小選挙区制度のゆがみを通してなお、この数字なのです。どこをどう見たら国民の信任を得たなどと言えるのでしょうか。国民はこの連立政権を、また森政権を拒否したと考えるのが自然ではないでしょうか。
 選挙前の森政権は、小渕居抜き政権と言われました。選挙を経て、今回の内閣は、自民党の派閥均衡、順送り内閣、滞貨一掃内閣、このようにさえ言われております。森総理は、選挙による国民の審判に対して何の反省もなく、何の決断もせずに組閣されたのではありませんか。国民は大いに失望しております。
 私たち社会民主党は、少数党にとってより不利な比例区定数二十議席削減という暴挙の後の選挙において、平和と福祉を高く掲げ、女性と若者たちを前面に押し立てて議席を伸ばしました。
 森総理、与党は確かに今は数が多いでしょう。しかし、少数党を侮ってはなりません。なぜなら、あなた方があらわしているのは、既得権にしがみつく立場の停滞と衰退にすぎないからです。私たちがあらわしているのは、変革と可能性です。あなたたちは過去であり、私たちは未来であります。
 それが証拠に、私たちの周辺の動きをごらんなさい。半世紀にわたって厳しく対峙し続けてきた国に首脳みずから足を運び、相手側首脳としっかり握手と抱擁を交わした韓国。また、半世紀ぶりに平和裏に政権を交代させた台湾。勇気と変革の若々しいエネルギーが東アジアに満ちあふれております。変革を担ったのは、かつていずれの地域においても少数派として抑圧されていた人々でありました。
 南北朝鮮首脳会談の実施以後、ASEAN地域フォーラムなどに朝鮮民主主義人民共和国は積極的にかかわってきています。そして、日朝外相会談が初めて行われたことを積極的に評価したいと思います。南北朝鮮が対話し、交渉を進めている今、残るのは日朝国交の正常化が重要であります。韓国もアメリカもそれを望んでおります。
 平和と協力へ向かう東アジアのこのとうとうたる流れをともにつくっていけるのか、それとも旧来の冷戦の思考に凝り固まってこの流れにさお差すのか。日本が問われているのは、まさにこの選択であります。森総理は、朝鮮民主主義人民共和国にこれからどう対処されるおつもりですか。お伺いいたします。
 さて、森総理大臣は冒頭、九州・沖縄サミットで成果を上げたと報告されております。確かに、世界の首脳をお客として華やかに迎え、期間中何事もなく終了したという意味では成功であったかもしれません。しかし、既に諸外国のメディアからは、日本は議論の場としてのサミットを余りにお祭りやイベントにし過ぎたという強い批判が出ています。開催費用の巨額さを取り上げて反道徳的と非難する声さえあるのは、先ほどもここで問題になっておりました。
 中でも、森総理が事前に協議してみずから高い評価を受けたと述べておられた世界のNGOは、どう評価しているでしょうか。沖縄サミットの主要テーマでもございました重債務国の救済を目指す世界的なNGOジュビリー二〇〇〇、このジュビリー二〇〇〇は、サミット終了後記者会見をして、債務救済の約束が実行されなかったとして、史上最低のサミットだった、開催はむだだったとまで酷評しています。
 このような批判を、森総理はどう受けとめておられるでしょうか。なぜ債務救済について議長森総理はイニシアチブをとれなかったのか、伺いたいと思います。
 今回のサミットで最も見事にみずからの意思を発信したのは、開催地沖縄の人々でした。サミット直前には、二万七千人もの人々が嘉手納基地を取り囲み、米軍基地ノーの意思をはっきりと表明しました。海外のメディアからの関心も高く、基地の重圧からくる苦しみやそれに抗議する沖縄の姿を世界じゅうに訴え、アジアに今なぜこれだけの基地が必要なのか疑問視する声も上がり始めました。
 しかし、日本の森総理は、そんな中で、例えば普天間基地移転について、沖縄の保守層を含めた最低限の要求である十五年使用期限問題すら日米首脳会談で持ち出されませんでした。森総理は、沖縄サミットで一体何を発信しようとされていたのか、その意図と意欲を疑う声が現地沖縄で上がっております。
 総理、なぜ普天間移設の問題について一言も触れられなかったのでしょうか。お聞かせください。
 私は、この際、何のためにこの臨時国会が開かれたのかに関連し、緊急の課題として、政治家のあっせん利得行為にかかわる問題について伺います。
 中尾元建設大臣が在任中の受託収賄容疑で逮捕されたのに引き続いて、久世金融再生委員長に対する三菱信託銀行からの利益供与問題が明らかになりました。久世委員長は昨日辞任されましたが、それで問題は終わりません。
 ロッキード事件からリクルート事件、金丸事件など、現在に至るまで、地位、権限を利用した政治家のお金をめぐる腐敗事件は後を絶ちません。
 九〇年代の政治改革も、もとはといえば、この政治腐敗根絶の課題こそが出発であったわけです。しかし、事件の対象となった政治家は、受け取ったお金は政治献金であってわいろではないと抗弁するのが常でした。そして、既にあるあっせん収賄罪も、成立の要件が難しく、ほとんど立件されないままでした。こうした法のすき間をどう埋めて、政治家と金の不透明な関係をどう断ち切るかが、一貫して国民から求められてきたのです。
 社民党は、九七年、佐藤孝行議員の入閣問題をきっかけにして、自民党、さきがけとの閣外協力の条件に、あっせん利得罪を提起しました。これは、政治家がその地位を利用して役所、役人に口をきき、見返りに献金を受け取ること自体を禁じた、いわば法のすき間を埋めようとするものでした。
 ところが、自民党は、形だけは法制定に賛成するふりをしながら、政治資金規正法に従って届け出れば処罰しないといった、法に抜け穴をつくることに血眼になり、ついに社民党はこの問題をきっかけに閣外協力からも離脱したのであります。
 そのときの自民党の総務会長が、森総理、あなたでした。自民党内の取りまとめの責任者であった森総理は、最後までこの問題に積極姿勢をとられませんでした。
 当時、自民党の有力者から、あっせん行為は政治そのものという声が出て、唖然とさせられたものでありますが、今回も、同じ自民党有力者が、あっせん収賄罪があるではないかと言われ、話を十年も前に引き戻すようなことを平然と述べておられます。森総理、このまま政治倫理の問題を軽視し、法のすき間をいつまでも放置しておくおつもりでしょうか。
 あっせん利得罪について、野党は共同して既に法案を提出しておりますし、与党においても、公明党は積極姿勢です。
 問題は、自民党です。総理の決断です。自民党総務会長時代と同じように、次の国会、次の国会と法案の提出を延ばしていけば、そのうち国民の皆さんは忘れてしまってくださるだろうとたかをくくっておられるんでしょうか。トカゲのしっぽ切りのように、大臣をかえれば問題が解決するわけではないんです。この構造的な腐敗を根絶せずして、何が政治改革でしょうか。今がチャンスです。私たち社民党は、会期を延長してもこの法案を成立させるべきだと強く要求します。
 「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」憲法十五条が決めています。少しでも国民の不信を取り除こうと考えるなら、政治家みずからがみずからを律する法制定にもう少しまじめに、積極的になってしかるべきではないんでしょうか。総理のお考えをお聞きします。
 続いて、一兆九千億円の負債を抱え、民事再生法の申請を行ったそごう問題について伺います。
 総理は所信表明の中で、この問題をめぐって、経営責任の明確化や意思決定過程の透明性、あるいは国民の理解を求めることの重要性を述べられています。つまり、瑕疵担保責任条項や今回の金融再生委員会の処理の仕方には何ら問題はなかった、しかし、公的資金で私企業救済と見た世論が大反発して、話がひっくり返ってしまった、問題は国民の理解だと言われているようであります。
 事実、宮澤大蔵大臣も、七月十七日の大蔵委員会で、社民党議員の質問に答えられて、システムをシステムどおりに動かそうとしたのに、思わない反応が国民に出たと答弁されております。
 しかし、九七年の時点で、そごうは既に四千五百億円以上の債務超過であったことがわかっています。にもかかわらず金融監督庁が適格債権と判断されたことは、今でもなぞ中のなぞであります。そごうはそれから三年も、ワンマン経営者の指揮下、方向転換もせずに突き進み、今日の破綻を迎えたのです。また、旧長銀である新生銀行の債権をなぜ国が、つまりは国民が引き受けなければならないのか、国民は理解できず、割り切れない思いを抱いたのだと思います。
 ここで、話は先ほどのあっせん利得罪にもかかわってきます。こうした痛みを伴う処理を行うには、それを行う機関、人間に対する国民の信頼が絶対に必要だということです。もし、この過程に特定個人や団体、企業がその利益を図って介入しているのではないかと国民に一たび疑われたならば、そのとき、処理はできない、ひっくり返ってしまうということです。政治家を含む公務員の公正さ、透明性がいかに大切か、それが今回の教訓ではないでしょうか。
 そして、この処理に至るプロセスのわかりにくさはどうでしょうか。問題の所在をきちんと明示し、正確な情報を開示することの必要性を痛感します。
 そごうが民事再生法の適用を申請した後、一斉に株価が下がりました。巨額の債務を抱え処理を待つばかりのゼネコンの名が幾つも取りざたされております。真実を隠し一たび国民の信頼を失えばいかに破局的な事態に至ってしまうか、政治はこの教訓を厳しく自覚すべきだと思います。
 総理に伺います。
 今回のそごうの処理はどこが誤っていたんでしょうか。金融再生法の仕組みでしょうか。仕組みは正しかったが、適用の仕方を誤ったのでしょうか。それとも、国民の理解が誤っていたのでしょうか。国民に対する迅速で的確な情報の開示と説明はなぜなされなかったのでしょうか。
 さらに総理に伺います。
 特定の銀行から長年にわたって便宜を供与されていた人物が、金融再生委員長という最も厳しく公正さの問われる職務に昨日まで携わっておられました。国民の金融再生委員会への信頼が損なわれること甚だしいものがあります。
 しかも、総理は、組閣の前からその事実を知っておられたという。なぜ軽々しくこのような人事を行われたのか。内閣の任命権者としての資格を疑わせるに十分であります。
 さらに、辞任が行われるまで、総理は、報道を通じて、問題はないと言い続けられていたのが伝えられております。問題がないならなぜ辞任されたのか。
 総理、あなたの識見と指導力が問われていると言わざるを得ません。内閣を率いているのは総理ですか、それとも自民党の各派閥の長なんですか。
 次に、総理が最も力こぶを入れておられると言われている教育について伺います。
 今、教育、学校、子供の問題について心配をしていない人々はいないと思います。まさに全国民的な課題と言ってよいでしょう。
 しかし、教育基本法の抜本的な改正がいきなり飛び出してくることには首をかしげざるを得ません。むしろ、教育基本法改正や少年法改正の論議に深く踏み込むことによって問題は放置されてしまうと思えてなりません。上から命の大切さを説くよりも、子供たちの生き、学ぶ環境を整える方がよほど問題の解決につながるでしょう。法を変えて、どうして学級崩壊がとまるのでしょうか。
 子供たちの荒れるのも、クラスの崩壊も、暴力も、子供たちが人間として尊重されていないところから始まっているように私には思えます。自分自身の命と人生を何よりも尊重され、大切に思える子供は、他人の命と人生も尊重し、大切にするものです。町が子供を愛せば、子供たちは町を自然に愛します。国が子供たちを大切にすれば、子供たちは何を言わなくとも国を大切にするでしょう。(拍手)
 奉仕活動を学校で強制するなど、無意味どころか反発を呼んで逆効果であろうと私は思います。ボランティアとは、まず自発性を基本とするものです。ボランティアの強制など、言葉の矛盾であるばかりでなく、ようやく日本にも育ちつつある若者たちの本来のボランティア精神をも押し殺してしまうことになるでしょう。今さら滅私奉公など、お断りであります。
 総理、あなたは所信表明で、教育基本法を抜本的に見直す必要を言われました。教育基本法の何をどのようになさろうと考えておられるのですか。
 教育基本法の改正を提起しようとしている教育改革国民会議についてもお尋ねいたします。
 この会議は、小渕前総理の私的諮問機関として発足したはずです。小渕前首相が人選をされたと聞きますが、私たちには、一体だれが、どんな資格で、どんな権限を持って参加しておられるのか、皆目わかりません。恣意的に選ばれた人々の思いつきによって、最も公的な問題である教育がさらに混乱させられるなどということは許されるべきではありません。
 今の教育論議のどこに子供たち自身の声は反映しますか。日本も批准した子どもの権利条約には、子供の意見表明権が明記されています。現場の教師たち、父母たちの意見はどこに代表されているのでしょう。
 教育の問題は、次の世代をどう私たちが育てていくかという問題であります。きめ細かく、人手もかけ、お金も愛情もかけてこそ子供は育つ。基本は、単純なことをいかに誠実に行うかだと私は思います。
 そうして、最大の問題は、自分自身を律する法すら満足につくれない政治家や国会に、果たして教育を云々する資格があるのか、国民の納得を得ることができるのかということではないかと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 時あたかも二〇〇一年度予算の概算要求の始まるときであり、この二十一世紀最初の予算の内容や予算編成のあり方を大胆に改革すべき千載一遇のときでもあります。
 森政権が政治主導を強調されるのであれば、生活再建予算を組んで、財政再建元年として国債依存度引き下げの展望を示されるべきでありましょう。その第一歩として、国債発行額はことし以下の水準とすることを私の方から提唱して、総理の明確な御判断を求めて、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#31
○内閣総理大臣(森喜朗君) 土井議員の御質問にお答えする前に、大変恐縮でございますが、不破議員の御質問の中で、答弁が漏れておりましたので、お答えいたします。
 当面の緊急策としての消費税の食料品非課税の実施は考えておりません。
 冒頭、土井議員から、さきの総選挙の結果と、私の政治姿勢についての御指摘がございました。
 このたびの総選挙では、自公保三党は政権の枠組みを明示して選挙に臨み、絶対安定過半数の議席を得ることができ、国民の皆様から連立政権に対する信任をいただいたものと受けとめております。しかし、一方で国民の皆様の厳しい評価があるのも事実であり、これに謙虚に耳を傾け、その要請にこたえてまいりたいと思います。
 私の目指す日本新生は、我が国経済社会全体の構造改革であります。新生日本の建設にはさまざまな困難や痛みも伴いますが、私は、国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条として、解決を先送りせずに課題に取り組み、答えを出していくことで国民の皆様の負託にこたえていく覚悟であります。
 南北朝鮮政策についてのお尋ねがありました。
 歴史的な南北首脳会談の開催を初めとして、朝鮮半島をめぐり前向きな動きが見られますが、先般のG8首脳会合におきましても、私のイニシアチブによって、このように好ましい流れを積極的に後押しするG8首脳の力強いメッセージを特別声明として発出いたしました。
 また、こうした流れの中で、先般、史上初の日朝外相会談が行われ、八月下旬に国交正常化交渉を開催することになりましたが、我が国政府としては、日朝関係の進展によって、北東アジアにおける新時代の到来に向け、北東アジア地域の平和と安定の一翼を積極的に担っていく考えであります。
 重債務貧困国の債務問題につきましては、今次サミットでは、事前に行った途上国首脳及びNGOとの対話をも踏まえ、最重要課題とされていたケルン・サミットでの合意の迅速かつ効果的な実施に向けた取り組みを強化することで合意することができました。さらに、我が国の積極的イニシアチブのもと、非ODA債務の一〇〇%削減や、紛争下の債務国への対応などに関する新たな合意もなされており、債務問題について一層の前進があったと考えております。
 普天間飛行場の移設に関するお尋ねがありました。
 先般の日米首脳会談の際、普天間飛行場の移設につきましては、私から、今後貴国と協力しつつ基本計画の策定を進めたい、代替施設に関する使用期限の要請については既に貴国政府との話し合いの中で数回にわたり取り上げたところであり、今後国際情勢の変化に対応して、同飛行場の代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき貴国政府と協議していくこととしたい、我が国としては、国際情勢の肯定的変化のための外交努力を積み重ねていく考えであり、右についても貴国と協力をしていきたいと述べました。
 これに対して、クリントン大統領からは、在沖縄米軍を含む在日米軍の兵力構成等の軍事態勢については、SACOの最終報告及び一九九六年の日米安保共同宣言を踏まえ、日本側と緊密に協議をしていきたいという旨の言及があったところであります。
 これを踏まえ、政府としては、今後とも、昨年末の閣議決定に従って適切に対処してまいる考えであります。
 政治倫理の一層の確立を図るための法的措置について、積極的になるべきとの御指摘がありました。
 本件に関しては、与党三党間においても法制化に向けたプロジェクトチームが発足したところであり、また、自民党においては、平成十年四月、国会議員の政治倫理の確立に関する法律案要綱をまとめた経緯もあり、我が党が積極的でないという指摘は当たらないものと考えます。
 繰り返しになりますが、あっせん利得罪の法制化に当たっては、その目的について吟味した上で、解釈次第で適用範囲が変わることのないよう犯罪の構成要件を明確にする必要があり、少なくともこの点につき十分に論議する必要があるものと考えます。
 いずれにせよ、この問題については、まずは各党各会派の間において十分に御議論いただくことが基本であり、政府としては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。
 いわゆるそごう問題についてのお尋ねですが、本問題については、金融再生委員会において、国民負担を最小化し、社会的混乱をできる限り回避するとの観点から、債権放棄を受け入れるという苦渋の決断を下されたものと承知をいたしております。しかしながら、国民からの御批判もあり、また、与党との関係などにおいては説明不足の感も否めなかったので、私としては、亀井政調会長に検討をお願いしたものであります。
 その後、亀井政調会長のアドバイスもあり、そごうは、近時における同社を取り巻く環境の大きな変化を踏まえ、また、モラルハザードに対する世の中の厳しい批判も考慮の上、自主的な経営判断として、再建計画を断念し、民事再生法の適用を申請したものと承知しております。
 本問題は、経営責任の明確化や意思決定過程の透明性に十分配慮し、国民の理解を求めることの重要性を示したものとして重く受けとめております。
 今回の問題を教訓に、企業の再建はあくまでも自己責任が原則であり、公的資金を用いた破綻処理の過程で債権放棄は安易に認められるべきでないとの認識のもと、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 瑕疵担保特約につきましては、現行金融再生法の枠内で、長銀の速やかな譲渡や国民負担抑制の観点から、民商法の法理を用い、交渉の過程で盛り込まれたものであります。仮にこの瑕疵担保条項がなければ、譲渡候補先が見出せず、国民負担が相当程度増加することが見込まれることから、やむを得ないものであるというのが金融再生委員会の判断であったと考えております。
 国民に対する情報開示と説明についてお尋ねがございました。
 いわゆるそごう問題につきましては、金融再生委員会におきまして、当時の谷垣委員長による記者会見を行う等国民の理解を得られるようさまざまな努力をされたと承知をいたしております。しかしながら、本問題の内容が瑕疵担保責任等専門的かつ技術的な問題にわたり説明が非常に難しかったこともあり、結果として国民に対する説明責任を十分果たしていないのではないかといった御批判をいただいたものと考えております。今回の問題を教訓に、関係各方面や国民に十分な説明をしつつ、適切な対応を図っていかなければならないと考えております。
 久世氏の問題についてお尋ねをいただきました。
 まず、事実認識の問題ですが、三菱信託銀行関連及び霊友会関連の問題については、金融再生委員長に任命するに当たって、過去の報道で指摘された点につき調査を行いましたが、既にきちんとされている過去の問題であり、現在は問題がないとの説明であり、そのように承知をしたものであります。大京関連の問題については、任命時においては必ずしも十分に承知していたわけではありませんでしたが、その後、久世氏本人は、大京関連の資金については久世氏個人に支払われたものではなく、政治資金規正法上問題ではないと御説明されていると承知をいたしております。
 次に、久世氏を任命した理由と辞任に至ったことをどう考えるかについてでありますが、新内閣の発足に当たっては、日本新生プランの実現のため適材適所の観点から大臣を任命いたしたところであります。結果としては辞任せざるを得ないような大臣を任命したということは、まことに残念であり、遺憾であると考えております。また、このことに関しましては深く反省をいたすとともに、国民の皆様に率直におわびを申し上げたいと思います。
 次に、辞任に至った理由については、久世氏は、内外政の諸課題に内閣が全力で取り組むべきこの時期に、個人に関することがいささかでも金融行政に誤解を与え、その妨げになることは絶対に避けたいとのお考えから、みずから辞表を提出されたと承知をいたしております。私としては、久世氏の御判断を重く受けとめ、金融再生委員長をおやめになることはやむを得ないと考え、辞表を受理いたしました。
 また、内閣を率いていく指導力がないのではないかとの御指摘でありますが、今後、金融システムの安定化、我が国経済を自律的回復軌道に乗せていく諸施策、そして日本新生プランの実現など、現在取り組んでいる諸課題に対し、内閣として、これらに一致結束して全力を挙げて取り組んでいくことにより、その責任を果たしていきたいと考えております。
 教育基本法についてのお尋ねでありますが、教育基本法は制定以来半世紀を経ております。抜本的に見直す必要があると考えております。
 今後、教育国民会議において、例えば、我が国の文化や伝統を尊重する気持ちを養う観点や生涯学習時代を迎える観点、あるいは教育において家庭や地域が果たすべき役割といった観点を初め、さまざまな観点から幅広く議論を深めていただき、命を大切にし、他人を思いやる心など、創造性豊かな立派な人間をはぐくむ教育を推進してまいりたいと考えております。
 教育国民会議の人選についてのお尋ねですが、この会議の設置は、そもそも教育改革とは何ぞやという原点に立ち返って戦後教育について総点検するとともに、現在の教育の問題がなぜ起こっているかを含め、分析、検討していただき、新しい二十一世紀の教育百年の計を策定していただくという観点から有識者の参集をお願いし、開催されることとなったものであります。
 こうした趣旨にかんがみ、教育改革国民会議には、現場の教育者やPTAなどの教育関係者のみならず、経済界、マスコミ、文化、学術界、外国人など、広く各界の方々が参集されております。
 政治家に教育を議論する資格があるのかとのお尋ねでありますが、教育の現状を考えるとき、私は、政治家であるか否かを問わず、我々大人の責務として教育改革に取り組む必要があると思います。私としては、二十一世紀を担う子供たちに、日本人として持つべき豊かな心、倫理観、道徳心をはぐくむ教育を重視し、何よりも命を大切にする心、思いやりの心、奉仕の精神、日本の文化、伝統を尊重する気持ち、国や地域を愛する気持ちを育てることが重要であり、最も大切なことは全人教育であると考えております。
 また、教育改革国民会議においては、教育改革の原点から考えるために、広く各界の有識者の方々から二十一世紀の教育のあり方について御議論いただくとともに、その過程において国民の意見を酌み取るように努めているところでもございます。
 財政再建についてのお尋ねがありました。
 財政についても、その効率化、質的改善が必要なことは言うまでもありません。そのため、私は、十三年度予算編成において、新世紀のスタートにふさわしい予算編成を行うべく日本新生特別枠を創設するとともに、公共事業全体を抜本的に見直して省庁統合等による融合化と効率化を進めてまいる所存であります。
 そして、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国の経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて財政構造改革に取り組んでまいる決意であります。(拍手)
    ―――――――――――――
#32
○副議長(渡部恒三君) 野田毅君。
    〔野田毅君登壇〕
#33
○野田毅君 私は、保守党を代表して、森総理の所信表明に関し質問をいたします。
 質問に先立ち、有珠山や伊豆諸島における噴火、地震により長期間にわたり不安な毎日と不自由な生活を強いられている皆さんに、心よりお見舞いを申し上げます。また、現地の自治体を初め、関係者の方々の御労苦をねぎらいたいと思います。
 さて、九州・沖縄サミットが先日無事終わりました。森総理を初め、関係者の皆様には大変御苦労さまでした。
 今回のサミットはさまざまな成果がありましたが、特筆すべきは、米国の大統領として本土復帰以来初めて沖縄を訪問したクリントン大統領が、沖縄県民に対して直接語りかけ、米軍基地について理解を求めつつも、基地縮小の努力を約束したことであり、大変有意義であったと思います。
 時間の制約上、経済問題に絞って伺います。
 私たち与党三党は、今回の総選挙において、経済をまず自律的回復軌道に確実に乗せる、その上で財政再建に本格的に取り組むことを公約し、国民の支持を得ました。したがって、森内閣は公約を忠実に実行する責任があります。
 しかし、最近、経済回復のめどが立ったから、九月のGDPの速報値を見て、補正予算を組むかどうかだけでなく、経済政策そのものを見直そうという雰囲気がつくられつつあることに、私は懸念を覚えます。下手をすると、また過去の失敗を繰り返すのではないかと心配です。
 バブル崩壊後の日本経済は、深刻なバランスシート問題と、そこからくる金融システム問題、さらに、多岐にわたる構造改革問題を抱えてきました。バランスシート問題については、いまだに克服したという段階には至らず、まさに今、最後の山を迎えているのが現状ではありませんか。
 そごうの問題も、かねてから先送りを指摘されてきた流通、ゼネコンの不良債権についての最終処理の一環としての問題であります。金融機関の抱えるこれらの業界に対する債権は膨大であり、この問題の処理の仕方いかんによっては、金融機関に甚大な影響を与えることになります。
 そごう問題の処理が、債権放棄という私的な処理による再建ではなく、民事再生法による透明度の高い法的処理の道を選ぶことになったことは、国民の公平感、あえて言うなら社会正義とプリンシプルを優先したわけであり、政治的、社会的には国民感情に沿った選択であったと思います。
 しかし、反面、連鎖倒産や失業、残りの債権回収や中小金融機関への影響など、処理コストははるかに大きくなることも事実であります。さらに、今回のそごうの問題は、これに続く流通、ゼネコン初め同様のケースの先例となるだけに、日本経済全体にも影響は避けられないでしょう。
 このような状況に対処するに、避けるべきは論議の迷走であり、必要なことは政策の一貫性であります。株価の動きは市場の警告と受けとめるべきです。金融機関の関係者も、いたずらに処理を先延ばしするのではなく、あえて公的資本注入の追加要請をしてでも、一刻も早く不良債権の処理を急ぐべきであります。また、政府の方も、金融機関に対して不良債権の早期処理を強力に指導すべきであります。早く処理する方が、結果としてコストは安くつくのです。総理の見解を求めます。
 経済再建のためのもう一つの課題、経済の構造改革問題についてでありますが、この重要性と方向性については、総理が所信表明で言及しておられるので重複を避けます。
 留意すべき大事なことは、構造改革についても、その進行中は、バランスシート問題と同じく、短期的にはデフレ的効果を伴うということです。したがって、日本経済再建にとって致命的に大切な構造改革とバランスシート問題を乗り越え、これを成功させるには、同時に、財政、金融両面からの一体的な政策的バックアップが必要だということであります。小渕内閣以来、まさにこのような認識のもとで政策を進めた結果、経済が立ち直りつつあるのが今日の姿であります。
 今が一番大事な正念場であります。今日の危機的な財政状況を考えれば、予算の効率化、重点化を徹底することはもちろんのこと、税制、社会保障、公共事業、地方税財政など、財政構造の抜本的改革を早期になし遂げなければならないことは当然であります。しかし、今大切なことは、経済再建と財政再建の二兎を追うのではなく、経済再建を優先する政策と力強いそのメッセージを改めて明確にすることではないですか。総理の見解を求めます。
 最後に、野党提出のあっせん利得罪について一言申し述べます。
 結論から言えば、これは危険な内容を含んでいることを指摘しなければなりません。それは、第一に、口ききの範囲が余りに広く、個別の企業だけでなく、おおよそ地域や団体その他からの陳情処理のほとんどが該当することになること、第二に、利得が不当かどうかの基準があいまいであることなどなど、捜査当局の恣意と裁量の余地が極めて大きく、一たん成立すれば、権力側が強過ぎる武器を持つことになるのではないでしょうか。
 公共事業などの受注に関する口ききを禁止するというのであれば、二年前の国会で私たちが提案した入札干渉罪法案の方が効果的だと思います。これは、対象を公の入札に絞り、国、地方を問わず、政治家は入札に関して一切の関与を禁止、それによって、業界や企業は政治家を利用してビジネスをするやり方ではなく、自己努力によるフェアな競争をすること、これによって、正々堂々、公明正大な政治の実現と業界の健全な発展を目指したものであります。
 いずれにせよ、この問題は党利党略的な立場から扱うことは慎むべきであります。保守党としては、与党三党で協議をし、秋の臨時国会提出を目指して作業を進め、国民の政治に対する信頼回復に努めたいと思います。
 この問題についての総理の見解を伺って、質問を終わります。(拍手)
    〔内閣総理大臣森喜朗君登壇〕
#34
○内閣総理大臣(森喜朗君) 金融機関の不良債権問題への対応についてのお尋ねでありますが、金融システムは経済全体のいわば動脈であり、我が国経済の再生と活性化のためには、不良債権問題を早期に解決し、金融機能の安定及び早期健全化を図ることが不可欠であります。
 政府といたしましては、金融機能早期健全化法に基づく資本増強制度を積極的に活用することも念頭に置いて、今後とも、各金融機関において不良債権処理が適切に行われ、経営の健全性が確保されるよう、万全を期してまいりたいと思います。
 経済再建と財政再建の二兎を追うのではなく、経済再建を優先すべきではないかとのお尋ねでございますが、政府・与党が大胆かつ迅速に取り組んできた広範な政策の効果もあり、我が国経済は緩やかな改善を続けています。ただし、雇用面や個人消費など、なお厳しい状況を脱しておりません。
 今般、公共事業等予備費の使用を決定したところでありますが、引き続き景気回復に軸足を置いた経済財政運営を行い、景気を自律的回復軌道に乗せていくよう全力を挙げつつ、我が国経済の動向等を注意深く見ながら適切に対応してまいります。また、経済構造改革に迅速かつ大胆に取り組んでまいります。
 財政構造改革については、明るい兆しの見えてきた我が国の景気回復を一層確かなものとした上で、財政面にとどまらず、二十一世紀の我が国経済社会のあるべき姿を展望し、税制や社会保障のあり方、中央と地方との関係まで視野に入れて取り組んでまいります。
 野田議員より、政治倫理の一層の確立を図るための法的措置に向けた決意について、野党提出のあっせん利得罪について触れられた上で、御質問をいただきました。
 私といたしましては、この問題については、まず何よりも政治家一人一人の自覚が大切であると考えますが、法制化の検討に当たっては、議員同様、党利党略的な立場から扱うことなく、十分に議論がなされることが肝要であると考えます。
 いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、与党三党間においてプロジェクトチームが発足し、法制化に向けた協議が行われているところであり、私としては、ぜひともまとめていただきたく、そのためにも各党各会派において幅広く熱心な御議論が行われることを期待いたしております。政府といたしましては、その結果を踏まえ、適切に対処してまいりたいと考えております。(拍手)
#35
○副議長(渡部恒三君) これにて国務大臣の演説に対する質疑は終了いたしました。
     ――――◇―――――
#36
○副議長(渡部恒三君) 本日は、これにて散会いたします。
    午後五時二十七分散会
     ――――◇―――――
 出席国務大臣
        内閣総理大臣  森  喜朗君
        法務大臣    保岡 興治君
        外務大臣    河野 洋平君
        大蔵大臣    宮澤 喜一君
        文部大臣    大島 理森君
        厚生大臣    津島 雄二君
        農林水産大臣  谷  洋一君
        通商産業大臣  平沼 赳夫君
        運輸大臣    森田  一君
        郵政大臣    平林 鴻三君
        労働大臣    吉川 芳男君
        建設大臣    扇  千景君
        自治大臣    西田  司君
        国務大臣    相沢 英之君
        国務大臣    川口 順子君
        国務大臣    堺屋 太一君
        国務大臣    続  訓弘君
        国務大臣    虎島 和夫君
        国務大臣    中川 秀直君
 出席政府特別補佐人
        内閣法制局長官 津野  修君
ソース: 国立国会図書館
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