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1950/12/06 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 本会議 第7号
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1950/12/06 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 本会議 第7号

#1
第009回国会 本会議 第7号
昭和二十五年十二月六日(水曜日)
   午前十時三十二分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第七号
  昭和二十五年十二月六日
   午前十時開議
 第一 未復員者給與法の一部を改正する法律案(内村清次君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 旅館業法の一部を改正する法律案(山下義信君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第三 松江国際文化観光都市建設法案(衆議院提出)(委員長報告)
 第四 漁業用海岸局を開設運用する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会に対する水産業協同組合法の適用の特例に関する法律案(衆議院提出)(委員長報告)
 第五 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第六 判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第七 国民金融公庫法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第八 塩田等災害復旧事業費補助法案(内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
 第九 公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(第七回国会内閣提出、衆議院送付)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(三木治朗君) これより本日の会議を開きます。
   〔永井純一郎君発言の許可を求む〕
#4
○副議長(三木治朗君) 永井純一郎君。
#5
○永井純一郎君 私はこの際、米価設定に関する基本方針について緊急質問をすることの動議を提出いたします。
#6
○高橋道男君 只今の永井君の動議に賛成いたします。
#7
○副議長(三木治朗君) 永井君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶあり〕
#8
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。永井純一郎君。
   〔永井純一郎君登壇「拍手〕
#9
○永井純一郎君 今次のこの第九臨時国会を我々は救農臨時国会といたしまして要求いたしたのでありまするが、目下農村と農民にとりまして最も重大な関心事であるところの米価が最終決定の段階に立ち至つておりまするので、ここに私は米価設定の基本的な問題につきまして、緊急に総理、農林、安本、大蔵の各大臣に対しまして質問をして、その所見を明らかにしたいと思うのであります。
 終戰以来のあの食糧不足からの社会或いは経済の混乱は夢のように去りまして、今日の農村は、麦等の配給辞退の問題、或いは主食の統制撤廃の問題等のさ中にありまして、重大なる岐路に立たされているのでありまするが、今全国の農家は右往左往全く昏迷の中にある状態であります。即ち主食の統制解除後には農業恐慌が来ると言つて農家はおびえております。従来のごとく米麦作農業、主穀農業では、到底生活ができない。何か金儲けのできる有利作物はないかと血眼になつておりまするのが今日までの農村の実情であつたのであります。ところが今日まで何ら農業食糧政策において基本的な方策というものを持つておらなかつた政府が、突如といたしまして主食の一割増産を提唱し始めたのであります。ところで農民はそれではこれをどういうふうに受取つておるかと申しますると、朝鮮事変が勃発したから、又低米価によるところの米の供出強化を食うに違いないと言つて、頭から疑つておるのが今日の実相であります。かくのごとく政府が行なつてきました低米価政策は農民の頭の中に固くこびりついているのであります。即ち真に政府が食糧増産をしようというのなら、先ず第一に農民の納得行く米価政策を農民の眼の前に示さなければならないと思うのであります。ところが政府部内におきましては、この重要なる米価問題につきまして、関係閣僚連中がてんでんばらばらのことを軽卒に放言いたしているのであります。農業の問題をこのように軽視する態度の窺える間は、増産の実を挙げるということは到底夢にも期待できないと私は思うのであります。即ちこの米価問題について、池田蔵相は国際価格に鞘寄せするのだと言い、廣川農相は価格パリテイ方式を中心に行くのだと言われるのであります。又一方周東安本長官は所得パリテイで行くのだといつたような調子であります。これが一度や二度のことであるならばまだしもでありますが、汽車に乗る度にいい気持におなりになるのか知りませんが、この信念も自信もないところの放言を、世間では廊下とんびならぬ汽車とんびだと言つておりまするが、(拍手)これには国民特に農民は呆れ返つてものが言えないという状態から、今日ではその無思慮なる又無責任なるこの態度に怒りをさえ感じているのであります。(拍手)このような方々が今日の政府の中心であるようでありますから、国民分けて農民が政府に対しまして不信任の態度を顯著に昨今現わして来ているのは誠に当然と思われるのであります。即ち農村の人々が前の森農相に対しまして、農業を知るも農政を知らざるものという批判を加えておつたようでありまするが、その後釜にお坐りになりました現在の廣川農相に対しては、先般来の本会議場におきまする不まじめな御答弁や農業諸政策の行詰り等から見まして、農業も知らざれば又農政をも知らざるものとの酷評を受けはしないかということを私は廣川農相のために心配をいたしておるのでありまするが、(拍手)以て廣川農相は如何となされるか。若しそれ農政について今日の政府が確信ありとなされるならば、以下私がいたしまする質問に対しまして、この議場を通じて全国農民に、はつきりと御答弁を願いたいと思うのであります。
 即ちその第一点は、米価を決定するに当り、生産者と消費者の代表から構成されておりまする最も民主的な機関である今日の米価審議会の決定した事項は、忠実にこれを守り実行すべきものと思う。従つて政府は去る十二月一日揉みに揉んだあげく、政府原案の五千五百二十九円案は否決されまして、我が日本社会党が主張し続けて参りました五千八百円案が見事可決されるに至つたのでありまするが、政府はこの米価審議会が決定した五千八百円を実施するかどうかというこのことにつきまして、農林大臣、大蔵大臣の両大臣から全農民に向つて、ここに、はつきり御答弁を願いたいと思うのであります。(拍手)
 次に第二点は、今回の米価審議会開催の経緯に鑑みてみまするに、政府はすつかり予算に組み込んでしまつて又関係筋とも相談をしてしまつて、五千五百二十九円案がどうにもならないという程に固まつておるという感じを與えて置いて、その上で米価審議会に諮つて押し付けようとした、この事実は、どう考えて見ましても、農民や消費者の大衆を踏みつけにした非民主的なやり方と言わざるを得ないと思うのであります。そこで、政府は将来に亙つて、この米価審議会の審議を尊重する意思があるのかどうか。この問題は、今次国会開催の劈頭におきまして国会の審議権を無視いたしましたあの電力再編成に関するポ政令公布の態度と本質的に一連の繋がりを持つところの、民主政治確立上重大なる基本的な問題であると思うのであります。(「同感」と呼ぶ者あり、拍手)そこで、この問題については総理大臣から特に明確に所信を述べられたいと思うのであります。尚、将来この米価審議会が法律に基いて米価に関する審議をなし、且つこれが決定をするという性格を持たせることが私は適当であると思うのでありますが、農相は如何ようにお考えになりまするか。尚又この外に米価審議会は、消費者価格の据置に関する件及び供出代金の支拂遅延に対しまして、政府契約の支拂遅延防止に関する法律に基く利子支拂の点等について建議をいたしておるのでありまするが、これに対する所見を併せて農相から明らかにされたいのであります。
 次に第三点といたしまして最も重要なることは、政府は米価設定の基本方針を果してお持ちになつておるのかどうかという点であります。今次の米価設定に至る経緯を見ても分りまするように、政府は二十六年度予算編成当初におきまして、特に池田蔵相のごときは、ただ單に財政のやりくりのみの單純な考え方から、農村にとりましては死活の重大問題である主食統制撤廃と表裏をなすところの輸入食糧補給金の全廃を夢みておられたようでありまするが、これは思慮がなさ過ぎると言うより、むしろその乱暴さに国民はひとしく驚きまして、(拍手)到底今日の政府に政治を任しては置けないという不安を国民は抱いたのでありまするが、果せるかな一銀行家であるところのドツジ氏によつて、農業食糧には全く素人と思われるドツジ氏によりまして、御親切にもその無謀なるを指摘されまして、(笑声、拍手)ここにお集まりの三大臣を初め政府は大いに慌てたというあの醜態振りは、(拍手)国民の目からは到底見るに堪えない程のものがあつたのであります。(拍手)又新聞紙上に種々発表されましたところの米価の数字を見てみまするに、いわゆる政治米価と言われました五千二百八十円案が出たかと思うと、その次には補給金を二百五十億代に削減するための五千四百円案が出て参つたのであります。最後に又補給金を二百三十一億に削るための五千五百二十九円案を米価審議会に提案して参りました。即ち政府は一体米価設定の基礎を何に置こうとするのであるか。單に財政の辻褄を合せるやりくりのみに置こうとするのか。若しそうであるとするならば、この方針に繋がるものは当然に主食統制撤廃への道であり、即ち自由党が企図すると伝えられておる来年六月を期しまして主食の統制解除を断行するという線に繋がるものでありまするが、それならば一体その統制解除後、農村と農業をどうしようと言うのであるか。(拍手)思いますに、統制解除後には、政府が今日までとり来たりましたデフレ政策の重圧下に最もその被害を蒙むつて困窮を今日極めておる農村と農民は、我がかわいい娘までも金に換えなければならない状態にある農村と農民は、必らずや出来秋の安いとき手放す窮迫販売に追込まれることは必然であると思うのであります。(拍手)従つて値上りによる莫大な利益というものは、すべて大手筋、中間商人によつて占められるという危險があると思われます。ために、一方消費者勤労大衆が高い食糧を買わされるに至りまして、従つて物価の高騰を来たしてますます困難をするという危險が十分にあるにも拘わらず、敢えてこれをなそうとするのみでありまして、これらの生産農家と消費者を適正に保護しようとする何らの調整方策も持つておるようには思われないのであるが、果して然らば、今日困窮を極めておる農民と消費者大衆を、今日このままの姿で自由経済の中に無責任に放り出そうという方向に遮二無二進んでおるということにならざるを得ないと考えるものであります。このような行き先に大きな危險を作つて置きまして、單に財政やりくりの見地から出て来た無責任な米価を以ちまして、これが高米価であると説明するごときは、羊頭を掲げて狗肉を売るも甚だしいと言わなければなりません。(拍手)我々農民が主張する米価はそういう行先に落し穴を設けたような危險があるようなものではなく、而うしてただ差当り今日だけの目前のことをごまかして行こうというようなものではなくして、農家の生産費を償うと共に、更には農民の所得が非農業部門の所得と均衡のとれた形で考えられ、そして再生産がよりよくなされ、増産を促すといつたごときものを主張しておるのでありますが、一体政府は米価設定の基本方針をどう考えておられるのか。これは先にも申上げましたように、重要な三大臣がばらばらの考えをお持ちであつたようでありまするが、この問題について農林、安本、大蔵各大臣は、具体的に米価算定の基本方針について、その所信をそれぞれここで明らかにして頂きたいと思うのであります。次に第四点として併せてお尋ねをいたしたいと思うのでありまするが、政府は、今日大蔵省の所管となつておりまするところの予算編成権を経済安定本部或いは内閣に移して、予算局といつたごときものを設置する考えはないかということであります。即ちこのことは、産業、経済、金融等の全般に亘る高く広い見地から合理的に予算を編成し、物事を考えるということでありまして、今日それが最も望ましいということはすでに常識となつておるように私には考えられるのであります。このことは、今後の米価の問題、或いは農業を初めその他の諸産業の発達を期する上からいたしましても、大変適切なことであると私は考えるのでありまするが、この点、この方をも兼務しておられますところの廣川長官から御所見を承わりたいと思うのであります。
 要しまするに、今日の政府に対する全国全農民が不平とし且つ腹立たしくさえ思つておりまするところは、終戰以来今日まで祖国復興のために汗水を流して懸命に働き続け、供米と重税の堪え難きを忍んで参りまして今日まで来たのに、更に今後一層ひどく自分たち農民を国民経済の中で不当に犠牲的地位を強いようとするのかということに対する不満であります。政府が目下着々とりつつありまするところの資本主義的経済再建方式の踏台により一層しようとするのであるかという怒りであります。ここのところをよく考えられまして、各大臣は十分に御答弁を願いたいと存ずる次第であります。以上で私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(廣川弘禪君) お答え申上げます。社会党が救農国会を要求されたことは私よく承知いたしておるのでありますが、この救農といい、興農といい、基本はやはり農民所得を増すことが第一條件であるのでありまして、本国会におきまして米価を上げることについてお諮りいたしておることも、ここにあるのであります。ただここで第一点におきまして、只今の御質問の第一点におきましてのお問いでありまするが、米価を決定するに当りまして、我々池田君、周東君等において意見が相違したということでありますが、いろいろ議論をいたしておる最中においては、いろいろな観点から議論をするのが当然でありまするが、党を同じうしておる我々といたしましては、最後は一致いたすのであります。それによりまして最後にまとまつたのが米価審議会に出した案であるのであります。で、ここで私たちの農林省といたしましては、最初より生産費を基底といたしまする米価を決定いたしたのでありますが、この生産費を基底といたしまする米価において最終的に現われた数字は、期せずして現在の米価審議会に出した価格とほぼ一致いたしておるのであります。これが五千五百四十円かの最終の数字が出たのであります。又池田君がいわゆる国際鞘寄せと言つたあの当時の言葉から出ておる数字も、やはりその点の方向に至つておるのであります。さような我々の気持が周東君の所でまとまりまして、パリテイ方式の中に一つのアルフアを加えまして、米価審議会に現われた数字となつておるのであります。これにつきまして、米価決定の基本方針をどこに置くかということでありますが、今年米価審議会に臨みました後におきましては、我々はもつと広く生産費の調査をいたしまして、かなり広く深くこの生産費の問題を掘り下げまして、これを基底として米価を決定するような方向に進みたいと相談いたしておるようなわけであります。
 それから米価審議会を尊重しないかという話でありますが、我々といたしましては、飽くまでこれを尊重する考えでおるのであります。ただ今度の米価決定につきましては、米価の……私たちが米価審議会に臨む態度につきましては、一応審議会に臨む態度といたしまして或る種のものを持つて参らなければなりませんので、特に又予算とも関連いたすので、或る案を作るために非常に時期が遅れたことは非常に残念でありまするが、併し今度の答申案も非常にむずかしい答申でありまして、農民のいわゆる生産費は上げろ、又消費者には据え置けというむずかしい答申でありまするので、愼重に只今これを尊重するために考慮いたしておるのであります。それから農民に対して、農業政策が一貫しなくて昏迷いたしておるというお話でありまするが、我々といたしましては、飽くまでも農民の生産意欲を起すために、米価を初めとして、これから農産物の生産を上げ、而も又一割増産を通し、その生産によつて収益を得たことによつて、農家の経済の安定を図る方向で行つておるのであります。又今度統制方式を多少緩和いたしまして自由の方向に進むのでありますが、これについては、我々といたしましては万般の方策を講じまして、決して昏迷に陷らせないように注意をいたしてやつて行く考えでおるのであります。で、出来秋に買い叩かれるという心配でありまするが、これは農協等を通じまして、農協の関係系統から資金等も十分融通いたしまして、買い叩かれないように十分農民を保護いたす考えでおるのであります。
 それから農業と他産業との所得比について、農村を顧みないということでありますが、我々といたしましては、他産業に負けないように、農村の所得を増すように十分考えておるのでありまして、今度いやしくも我々といたしましては、低米価でなく、今までより米価が上つたことは事実であるのでありまして、この所得によつて再生産を振い起させるように我々といたしてはしたい考えでおるのであります。(拍手、「再生産はできやせんよ」「予算局の問題はどうした」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(池田勇人君) 米価決定の基本方針は廣川農林大臣が答えた通りであります。而して私が従来主食の国際価格への鞘寄せということは、これはできるだけ早い機会に実現しなければならんと考えております。これは好むと好まざるとにかかわらず、日本の経済が世界の経済に結び付いたときには鞘寄されるのが当然であるのであります。而して小麦におきましては、大体小麦協定の参加国の七十ドル近くに相成つたのであります。米につきましては、これが国民生計費に及ぼす影響が非常に重大でありまするので、徐々に鞘寄せせられつつあることは御承知の通りであります。今大体朝鮮米は百四十ドル、即ち石当り七千六百円でございます。ビルマ、シヤム米は大体六千五、六百円とお考えになつていいと思います。而して今回の米価は御承知の通り五千五百三十八円、私が昨年から言つておつた米価に来たのであります。而して来年は、只今のところ一九五のパリテイを基準にいたしてやりますと、六千百五、六円になるのであります。これはだんだんいわゆる朝鮮米の七千五、六百円、外米の六千五、六百円へ近寄りつつあります。私は重ねて申上げまするが、一挙に国際価格に鞘寄せすると言つたのじやありません。理想としてできるだけ早い機会に国際価格に鞘寄せすることが農村対策の根本であると考えて申上げておつたのであります。(拍手)
#12
○副議長(三木治朗君) 農林大臣より答弁の補足がある趣きでありますから、廣川農林大臣に発言を許します。
   〔国務大臣廣川弘禪君登壇〕
#13
○国務大臣(廣川弘禪君) 答弁を補足いたします。私の管理いたしておりまする所において研究いたしておりまする行政機構の問題でありまするが、大蔵省内にある予算局の問題でありまするが、これにつきましては行政審議会その他のおいていろいろな意見があるのでありまして、予算局の機構を或いは内閣に持つて行けといい、或いは又安本と一緒にしろといい、いろいろな意見がございまするが、いろいろな案を土台といたしまして、目下愼重に研究中でございます。(拍手)
   〔国務大臣周東英雄君登壇〕
#14
○国務大臣(周東英雄君) お答えいたします。永井君いろいろ御研究で、御発表傾聽いたしますが、結論においてはいささか所見を異にするのであります。
 第一の問題について、今度の決定に関して関係各省いろいろ意見が違つたではないかということについては、先程御答弁がありましたから附加えませんが、むしろあなたがお話になつたより以上に、我々は米価について従来の無理に低くされておつた点について、如何にして合理的に理由付けられる範囲において米価を上げるか、決定するかということについて苦労したということは、国民の前にはつきり言わなければならんのであります。(拍手)それを殊更にいろいろお話になる点は十分にお考えを願いたいと思います。池田君が考えた国際価格の問題にいたしましても、これは何とかして日本の現在における米価の決定について、国際価格と連繋を持たせることによつて上げることができないかということの考慮の一点であります。併し小麦と違つて国際商品的の性質の少い米について、すぐにそのまま持つて行くことについては如何かという点についていろいろ研究した。又生産費計算については、御承知の通り理想的には私どもは最も正しいと思います。併し今あなたは恐らく御承知と思いますけれども、今の方式において、例えば審議会に出て参りました案にいたしましても、百六十何戸の農家を取つつかまえて、その生産費を計算して、一番高い面だけを平均して出すということが、果して合理的妥当性があるかということが問題であります。又その中へ取入れた労働生産費、農業労働の評価の問題であります。この点につきまして、農家の労働生産費というものは、労賃というものは、低目に評価されては非常に困る。これを如何に評価するかということは我々も苦心した点であります。併し一面において議論して、工業生産費と工業労賃をとられて、その八三%をとるということも一つの考え方かも知れません。これは敬意を表して研究の対象にしましたが、今年生産費計算としておとりになりました農林省三千戸近くの計算におきましては二百二十円であります。現実の支拂われた労賃の計算が二百二十円であります。それを工業生産費の八三%をとつて三百八十幾らをとれということはどうであろうかということが、真の研究の対象になつたわけであります。そういう差から来る問題でありまして、その点については、私たち研究の結果は、農林省で考えられておつた三千戸近くの生産費全体の中庸生産費をとつて見ると、大体に先ほど農林大臣の言われるような価格になつて来たわけであります。私どもは生産費計算というものは正しい一つの行き方であるけれども、今日五百六十万戸の農家の生産費、それから日本の国情においての大小の経営規模、北から南に流るる土地の生産力、気候というものに影響されるものに対して、もつとできれば一万戸、本当に希望すれば十一万戸ぐらいとつて、そうして如何にして中庸生産費をとるかということを考えることが最も私は正しいと思います。併し今の形でいろいろスタンドプンクトが違い、いろいろ制度、形態、方式が違うものがばらばらに出たものでのお考えをしておるということについて私たちは考えたいとは思つておる。従つて私どもはそういう観点に立つてネクスト・ベターとして今日止むを得ずパリテイ方式をとつた。併しながらそのパリテイ方式をとるにいたしましても、過去における農家が受取つた所得は失わせたくないという、まだ未熟ではありますが、パリテイの一部を加えつつ、一五%の過去における各種奨励金の平均を加えるということまで考慮しておるということは、はつきり私は農家に知つて頂きたいと思う。これだけの努力をいたしつつ、一歩々々米価を合理的に高く持つて行くということについて努力しておるということは、あなたも認めて頂きたいと思います。
 次に米価審議会の尊重問題であります。これは廣川君のおつしやつた通りであります。併しそこにも今申上げましたように、合理的で且つ可能なる問題について私どもはでき得る限り尊重いたしたいと思いますが、先ほど廣川君も申しましたように、生産者価格は去年よりも約千二、三百円引上げ、消費者価格は去年通りに置けと、こういうことは少しあこぎじやないかと私は思います。これをやることにつきまして財政上の考慮としては、恐らく数百億円、五百億円以上の金を出さなければならん。別途あなたがたの御主張によつて今日まで努力してもまだ足らぬ。税金を負けろということであります。税金をうんと負けろという要求と、別途二重価格制でもとるような恰好の意味のお説が両立するかどうかということは、今日の日本の財政経済の状況をお考え願いたいと思います。(拍手)私は農村のためを思い、且つ食糧政策としては、消費者、国民全体のために考えなければならんということは同感であります。その間においてやはり日本が現下置かれたる国情と財政の問題とを併せて、合理的にして且つ可能なる価格決定をいたしたいと思つて、先頃決められた答申に対しては愼重に考えて最後の決定をいたしたいと思います。
 それから米価決定が遅れたによつて支拂が遅れるから、遅延防止法を適用する意思があるかということでありますが、まだ債務者遅滞にはなつておりません。契約といたしましては、価格決定は将来残しつつ売買契約をいたし、一部を受入れておりますから、決定の際に支拂うことが約束になつておりまするので、いわゆる法律上の債務者遅滞になつておりませんから、あの法の適用をする意思はありません。
 それから補給金の撤廃についていろいろ価格と見合いとによつて上げたり下げたりしているのは不統一ではないかという御指摘であります。生産者価格決定ということと外国食糧の輸入補給金というものは大体において関係ございません。そういうことで上げたり下げたりしたことはございません。どこまでもパリテイ方式を基本として一八二の指数に即して価格を決める。来年においては一九五のパリテイを基礎として決めるつもりであります。(拍手)
#15
○副議長(三木治朗君) 内閣総理大臣は他日出席の際答弁される趣きであります。
     ―――――・―――――
   〔柏木庫治君発言の許可を求む〕
#16
○副議長(三木治朗君) 柏木庫治君。
#17
○柏木庫治君 私はこの際、食糧増産及び傷痍軍人の待遇に関して緊急質問するの動議を提出いたします。
#18
○江田三郎君 只今の動議に賛成いたします。
#19
○副議長(三木治朗君) 柏木君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。柏木庫治君。
   〔柏木庫治君登壇、拍手〕
#21
○柏木庫治君 朝鮮の動乱が起りまして、二十万トン輸入されると承わつておつた米の輸入も気遣われる状態であります。私たちは貧弱た食糧に長い間塗炭の苦しみを嘗めて参りましたので、ああした苦しみを再び国民は嘗めるだけの勇気がない。又嘗めさしてはいけない。こう考えます上から、食糧増産について一年前からいろいろ頭を悩ましたのであります。曾て兵庫の三木町中吉川附近の秋のみのりの中に全然腐つておるものを沢山見まして、私は稻の成育についていろいろ心を悩まして参りました。ところが本年新潟県に「いもち」病が発生いたしまして、廣川農相も御覧になつたと思うのでありますが、中央にされた報告によりますと、二十一万七千三百八十石、金額にすれば十一億二千三十七万円でありますが、この二十一万石余は甲斐半ヶ国の一ヶ年間の米の生産量であります。私どもが今東京で配給を受けておる米の量からいたしますと、五十万市民に一ヶ年間配給する量であります。又長野県だけでありましても七万二千三百二十石、三億七千五百五十四万円でありますが、これとて十八万市民に一ヶ年間米を配給する量であります。それが「いもち」病と虫とのために煙となつて消えたのでありますが、同僚片柳君がこのことについて質問をいたしました。そのときの農林当局の驚くべき幼稚な対策に対して、私はこの質問演説をなさざるを得なくなつたのであります。一万一千町村の稻の作付面積は凡そ三百万町歩でありますが、一台の噴霧器で十五町歩を撒布することができるといたしますならば二十万台が必要であります。仮に昨年度二十四年度「いもち」病発生の地域に対する所要のものでも五万台は必要であります。私はこの際、農相に申上げたいことは、今の前質問者にも農事に素人というお言葉がありましたが、素人には足らなさと素晴らしさがあります。多くは足らなさでありますが、たまに素晴らしさがある。それは丁度フオードが自動車の前の風除けの板ガラスを專門家に作らせましたら、やつぱり従来の経験を基礎といたしまして丸いのを、円管を切つて板にするのでありますから、どうしてもうまく行かない。それをやれと技術家、專門家に申しましたが、その連中はフオードを笑つた。ところがフオードは全然素人にこれを委嘱いたしましたら、全然変つた角度から完成されて今日の板ガラスが生れて参つたのでありますが、廣川農相の農相に就任しましたときに危いと思いましたけれども、陽性な一面に又叡智を持たれておりますから、丁度フオードの板ガラスをやつた工合に素晴らしいかと思いましたら、実のところ素人の足らなさを暴露しているが、これは今までのところであります。(拍手)元来ボルドー液はフランスの「ぶどう」園で泥棒除けのために塗つて見たらそれが増産の素晴らしき肥料であつた。本年新潟県の北蒲原郡は「いもち」病のために随分苦しんだのでありますが、この蒲原郡の旭村において苗代のときから八回撒布いたしました、旭村だけは周囲が全部「いもち」病のために全滅いたしましても少しも被害のなかつた事実を、而も平素より増産されておつた事実を農相御存じのことと思うのであります。私は害虫駆除とか「いもち」病予防とかいう意味でなくて、増産、あの撒布が肥料であるという観念に農相の頭を変えて頂きますならば、必ずや二億六千万円くらいのものでその設備をいたしましても、たとえて申しますと、靜岡に火災が起つた、東京からポンプを出す、行つて見たら火はすでに止んでしまつて後片付けの邪魔になつた、それと丁度同じように、今の二億六千万円くらいの計画では、病虫害の後を追つかけて手数料をとつただけで間に合わない。ないよりも増しでありますが、決して増産の目的を達成することはできんと思うのであります。私の手許にある資料からいたしますと、早期ボルドー液の撒布は一反歩に二斗九升四合の増産であります。しない所より増産であります。三百万町歩でありますならば八百八十二万石即ち一割五分の増産でありまして、薬代は僅かに一反二百円くらいでありますから、一反歩で千三百ほどの農家においては利益があるのであります。併し農家は今のところ予防と考えでおりますし、又農民の手許にお金がないので、知りつつ設備ができないのでありますから、この際、幸いにして立派な手腕を持ち、肚もでき、押しむ強い池田さんが蔵相でおられますし、明期濶達な廣川さんの農相と絡み合せて、政府みずからが国民全体の食糧増産確保のために、本年直ちに三百万町歩全部やるだけの設備が不可能であるならば、せめて三ヶ年にこれを完成するだけの増産に熱意があるか否か。蔵相はこの早期撒布を未だ肥料と考えてないのかという点についてお尋ねをいたしたいのであります。
 それから海産物についてでありますが、陸上の農産物は一ヶ年で七百億円以上の收穫をしておるのでありますが、海産物は二百五十億円あります。私は日本の手で日本の食糧を賄うことに進みます以上、本当に平和を愛し、文化を愛し、自由民主主義国に肚の底からなろうとする今日は、二、三の例外は別といたしまして、日本国民を愛する意味において今の漁区を可能なだけ拡げて頂きたい。今一つは、旧領土であつて、曾て日本が漁業基地として使つておつたあの基地を再び使わして貰いたい。これが可能でありますならば、直ちに海産物は二百五十億の二、三割は増産ができると思いますので、これは農業問題でもありましようが、総理大臣、外務大臣である吉田首相に一段と骨折りをして頂きたい。
 それから文化平和国家の今日の我が国に、傷痍軍人たちがあの悲惨な風をいたしまして、三人があちらこちらと組をして更生資金の名において金を集めておる姿は如何にも悲惨であり、平和の文化国家にあり得ない姿と思われるのでありますが、ああいう姿が街頭に現われない美しい国を作る意味において、厚生大臣のこれに対する処置、ふさわしい処置をとつて頂きたい。これが私の廣川農相、総理大臣及び厚生大臣に対するお尋ねであります。廣川農相が幸いにしてまじめに一割増産を考え、国民の食生活を守ろうとする熱意がありますならば、これは池田蔵相の御加勢がなければならんと思いますので、敢えて池田蔵相に聞いて頂いたのであります。
 これを以て私の質問を終ります。(拍手)
   〔国務大臣廣川弘禪君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(廣川弘禪君) お答え申上げます。
 食糧増産の上におきまして、病虫害に対する対策は重要な問題であることはお説の通りであります。昨年におきまする岡山の災害、又本年の新潟におきまするこの病虫害の災害等も私よく承知しておりまするが、これはあなたが只今お話の通りであります。よく現地で拜見いたして参つておるのであります。それで本年度におきましても、これに付する対策といたしまして費用を要求たして、予算の上にも載つておる筈であります。又来年度におきましても、我々増産のために三ヶ年計画、四ヶ年計画、五ヶ年計画といろいろ持つておりますが、この三ヶ年間にこれを充実するために、我々といたしましては予算を請求いたしておるのでありますが、なかなか国の財政上そうは行きませんので、幸いに今日は大蔵大臣が聞いておりますから、後で大蔵大臣からも御意見があると思いますが、非常に重要なことを言つて頂きまして、我々要求いたしておる者にとつては非常に嬉しい便りであります。(笑声)これは大体我々の肚といたしましては、四億円程度、来年度予算に入れて、これを基底といたしまして、地方の農業協同組合その他を動員いたしまして、万全を期して行きたいと考えておるようなわけであります。
 それから次の食糧増産の一環といたしまして、又、外貨獲得の一つの大きな役割をなしておりまする海産物の増産の点についてでありますが、これは只今お話の通り、我々といたしましては、その筋に十分誠意を以て懇請いたしておる次第でございます。ただここで今までマツカーサー・ラインの内から外に対して多少いろいろなトラブルがありますから、さようなことのないようにいたしまして、日本の全漁民が信用されるようにいたしたいと思いまして、その方面の監視隊を来年度におきましては作り、十分監視いたしまして、諸外国に不安を與えないようにいたす考えで、その予算も請求いたしておるような次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣池田勇人君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(池田勇人君) 農業関係の予算殊に農産物増産に要しまする経費につきましては、私は来年度におきまして、文教、厚生と同様に最重点を置いて考えておるのであります。いずれ来国会におきましては、廣川農政の全貌が予算に出ることと思います。今暫らくお待ちを願いたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣黒川武雄君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(黒川武雄君) お答えいたします。
 町々に見えます白衣の姿につきましては御同感……私も心を打たれるものがございます。政府といたしましても従来種々その援護につきましては努力をして参つておるのでございますが、只今の現下の日本の情勢におきまして、特別に一般の国民と区別をいたしましてその施策を施すことは困難な事情にございます。併しながら幸い身体障害者福祉法が先般制定されましたので、今後は一般の身体障害者とともどもに十分の保護をいたして参りたいと思うのでございます。柏木議員のお気持は私も十分御同感でございますので、将来とも極力その援護、保護のために努力したいと思います。(拍手)
#25
○副議長(三木治朗君) 吉田内閣総理大臣の答弁は他日に留保されました。
     ―――――・―――――
#26
○副議長(三木治朗君) 日程第一、未復員者給與法の一部を改正する法律案(内村清次君外十八名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。
 本案につきましては内村清次君外十八名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#27
○副議長(三木治朗君) 御異議ないものと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。内村清次君。
   〔内村清次君登壇、拍手〕
#28
○内村清次君 只今議題となりました未復員者給與法の一部を改正する法律案につきまして、発議者を代表いたしまして簡單に提案の趣旨を説明申上げます。
 未復員者給與法は、未復員者を対象といたしまして必要なる給與を行い得まするように、昭和二十二年十二月に制定公布せられたものでございます。その後、主といたしまして経済事情の変化に応ずるために六回の改正を経て現在に及んだのでありまするが、この六回の改正のうち五回は参議院がイニシアテイブをとりまして、議員提案の法律案として提出いたしまして、成立公布せられました経緯を有する法律でございます。今回又前例の通りに本院から議員提案の法律案といたしまして提出いたした次第でございまするが、未復員者給與法の規定いたしますところによりますれば、一、未復員者に対する俸給、二、その扶養親族に対する扶養手当、三、引揚時における必要の旅費、四、遺骨埋葬費、五、遺骨の引取費、六、復員した患者に対する療養費、以上の六種類の給與を行うことになつておるのであります。在外同胞引揚に関する特別委員会におきましては、第八回国会及びその後の休会中における審議並びに実地調査によりまして得ました結果、今回の改正におきましては、未復員者の俸給、遺骨の埋葬費、遺骨の引取経費の三点につきまして未復員者給與法を改正して、現在の事態に即応するようにいずれも増額することが最も緊要適切であるとの結論に到達いたしまして、本改正案を提出するに至つたのであります。
 改正の第一点でありまするが、未復員者の俸給は現行法においては月額僅か三百円となつておるのでありまして、終戰後五ヶ年を海外に過しつつありますところの未復員者に対する俸給としては誠に問題にならぬ少額であります。一般公務員と完全に同一視するわけには参らぬといたしましても、六千三百円ベースから更に今回増額せられようといたしておりますところのその俸給と比較いたしましたならば、実に雲泥の相違と申さなければならないのであります。かような観点から、財源とも勘案いたしまして、本改正案の通りに月額千円ということにいたしたのであります。
 次に遺骨埋葬費は現在一柱につき一千五百円となつているのでありまして、これは俗に申します葬式代でありますが、千五百円では如何なる僻地におきましても到底葬儀を営む費用を償うわけには参りません。このために遺族の中には敢えて遺骨の引取りをも行わないという向きもあるというような実情にありますので、これを三千円に改めたいというのが改正案の趣旨であります。
 尚、遺族が遺骨を引取るための旅費として現行千七百円と相成つておりますが、これを二千二百円に改正しようといたしますことは、先般行われました公務員の出張旅費規程の改正とその趣旨を同一にいたしているのであります。
 今回の改正は以上の三点に盡きるのでありますが、私共もこれを以て十分なりといたしているものではありません。去る十一月二十八日にも全国の留守家族の代表約三十名が在外同胞引揚問題に関する特別委員会に陳情のため参られまして、いろいろと事情をお聞きいたしたのでございますが、朝鮮動乱及びこれに伴います引揚の困難化、なかんずく中共地区におきましては、すでに引揚の準備を終つた残留者が各種の事情のため引揚を阻まれていられます現状が、留守家族をしていよいよ憂慮を深からしめつつあるばかりでなく、その上、経済的にも全く行き詰つております実情が全委員の胸を強く打つたのであります。申すまでもありませんが、今回の改正によりましても留守家族等を十分に満足せしめ得るものでは決してありませんが、先にも申しましたように、本改正案の裏付けとなりまするところの財源の問題も顧慮いたしまして、今回の改正では以上申上げました程度でとどまらなくてはならなかつたような次第でございます。
 更にこの未復員者給與法は元の軍人軍属もその対象としているのでありますが、本法の規定が改正されますと、特別未帰還者給與法の規定によりまして、中共地区等に残留いたしております一般邦人にも自動的に均霑いたしますことも、特に附加えて申上げて置きたいと思います。
 未復員者給與法及び特別未帰還者給與法の実施の面でございますが、本法の適用の対象やその他の点につきまして必ずしも十分でない点もございます。併しこれらの点につきましては更に特別委員会といたしまして努力を続けまして、これら法律の精神を実施上に十分に生かしたいと存じている次第でございます。
 以上簡單でございまするが、未復員者給與法の一部を改正する法律案の趣旨の説明を終ります。何とぞ御審議の上、御賛成の程を要望いたします。(拍手)
#29
○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がありますので、発言を許します。高橋進太郎君。
   〔高橋進太郎君登壇、拍手〕
#30
○高橋進太郎君 私は只今議題となりました未復員者給與法の一部を改正する法律案に対しまして賛成の意を述べんとするものであります。
 戰後五ヶ年を経過いたしておりまする今日、荷、帰り得ざる人々の身の上に思いを走らすとき、誠に涙禁じ得ざるものがありますと同時に、これらの人々の身寄りの方々、即ち帰らざる夫を待ち、父を思い、或いは子を思う親たちの心情を考えますときに、国民の一人といたしまして衷心より御同情を禁じ得ざるものがあるのであります。従つてせめても未だ帰らざる方々の給與その他に関し、でき得る限り温かな措置を考えることこそ、国内にある私たち国民に課せられたる責務であると考えるものであります。然るに御承知のように、未復員者給與法は、元来、終戰後引続き外地に残留を余儀なくせられました人々が当時尚数十万もあるという状況におきまして、昭和二十二年末制定せられました法律でありまして、この法律により未復員者は一般の公務員に準じて諸般の給與が受けられるようになつたのであります。その後数回に亘つて改正せられましたが、現行規定におきましては、俸給に例をとりましても、月額僅かに三百円という誠に実情に副わないことになつているのであります。このことは提案理由の説明にもありました通りでございますが、このような不合理を幾分なりとも是正しようというのが今回の改正の精神でありまして、衷心から賛成の意を表するものであります。
 而してこの改正案の要点は、俸給、遺骨引取経費、遺骨埋葬費等が増額された点であります。勿論これらの増額も現在の物価事情から見ますればまだまだ十分でないことは、これを認むるものでございまするが、財源等の関係からこの程度で我慢をして、一日も早く本法律案の成立を図ることが最も必要であるという事情も又諒といたさなければならぬと存ずるものであります。よつて私共は近き将来におきましてこれらの不満の点を更に改正されますことを予期いたしまして、本法律案に賛成をいたす次第であります。(拍手)
 尚この法律の実施につきまして一言希望を附加えたいと存じます。それは、復員いたしました患者のうち、国立病院が有料となるに際しまして、僅少の恩給を受けたために、その後この法律ができたにも拘わらず、本法に規定する療養の恩典に浴し得ないで、自費を以て今日尚療養を続ける人が相当数あるということであります。更に未復員者で、その両親があるにも拘わらず、これが法定の扶養親族でないために、扶養手当も他の給與も受け得られないという状態の人々があるのでございます。これら扶養手当を受け得られない両親に、少くとも本人の俸給だけなりとも支給することとし、幾分でも未復者各位の心に副い、御両親の生活を助けるような方法もあろうかとも存ずるものであります。このようなこの法律実施上の盲点とも申すような点は、法律の運用によつて是正し得ることと存じますので、これらの点は、私共は常に留守家族の方々や復員患者の方々にお会いする度に強く感じさせられている点でございますので、この法律の立法精神から見ましても、運用について是非考えねばならぬ点であると確信いたすものであります。
 以上政府に対して法律施行上の是正を強く要望いたしまして、本案に賛成するものでございます。(拍手)
#31
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#32
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#33
○副議長(三木治朗君) 日程第二、旅館業法の一部を改正する法律案(山下義信君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。
 本案につきましては山下義信君外十四名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#34
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。山下義信君。
   〔山下義信君登壇、拍手〕
#35
○山下義信君 只今議題となりました旅館業法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由を説明いたします。
 現行旅館業法は、旅館業の経営が公衆衛生の見地から支障なく行われることを目的とするものでございますが、最近の社会情勢から考えますとき、單に公衆衛生の見地からの取締のみでは、道徳的社会秩序を乱すがごとき業態の生ずる虞れが多分にあり、又これを防止することができないのでございます。即ち旅館の業態がその附近の社会人心に逆行し、道義的安全感を脅かすような虞れのある場合に、これを行政措置によりまして防止し得る法律的根拠を欠いておるのでございます。
 そこで旅館業法は、單に公衆衛生の見地からのみならず、公衆道徳の見地からも旅館に対しまして必要な取締を行い、その経営を真に公共の福祉に適合させることを目的とするものにする必要がございますので、本法の目的につきまして、さような改正をしたのでございます。而して本法の目的の改正に従いまして、営業の許可に関しましても、公衆道徳の見地からの適否をも考慮検討せらるべきことは当然でございます。即ち従来都道府県知事は、旅館営業の施設の設置場所又は構造、設備等が公衆衛生上不適当であると認めるときは許可を與えないことができるのでございますが、今回これを公衆道徳上即ち道徳的社会秩序の上から不適当と認めまするときも許可を與えないことができるように改正いたしまして、正当の理由なくして社会の希望を無視し、その道義的安全感を脅かすがごとき虞れのある旅館経営がなされようとするときは、これを未然に防止し得るの途を開こうとするものでございます。尚、従来この許可に関しましては、許可、不許可のいずれかの措置をとらねばならなかつたのでございますが、今回新たに條件付許可制を認めまして、公衆衛生又は公衆道徳の保持のために必要な條件を附して許可を與えることができるようにしたのであります。又すでに旅館を経営する者が爾後において営業の態様又は施設の変更をしたために、その営業が附近の状況に照して、公衆衛生上又は公衆道徳上不適当となつた場合には、都道府県知事が営業者に対して、公衆衛生又は公衆道徳保持のために必要な命令をすることができるようにしまして、営業者の責任に帰すべき事情変化により右のごとき事態が生じたとき、これを改善防止し得る行政措置の途を開いたのであります。
 以上が改正の主要な点でありますが、右の改正に伴いまして、附随的條文の整理をいたしました。即ち当該吏員の立入検査、営業の許可の取消、営業の停止処分等の條項において、それぞれ必要な改正をいたしたのであります。
 以上が旅館業法の一部を改正しようとする理由でありますが、何とぞよろしく御審議の上、御可決賜わりますよう希望いたします。(拍手)
#36
○副議長(三木治朗君) 本案に対し討論の通告がございます。発言を許します。加藤シヅエ君。
   〔加藤シヅエ君登壇、拍手〕
#37
○加藤シヅエ君 私は今回の改正案が旅館業の粛正に一声を進める点において賛意を表するものであります。
 営業の自由は、公共の福祉をそこなわない範囲においてのみ認められることは申すまでもございません。従つて営業が公衆道徳に反するような経営方法によつて行われる場合に、これが制限を受けるということは当然のことでございます。昭和二十三年旅館業法の制定に当つて、旅館業に対する法律の干渉は、宿泊者に対する衛生と社会生活に対する公衆衛生の面から最小限度にとどめらるることとなつたのでございます。で、これは旅館業経営者の良識ある公衆道徳が法律によつて干渉されるまでもなく十分に発揮されるであろうことを前提としていたからでございます。旅館業本来の姿は、宿泊設備の提供によつて、明日の活動に必要な十分の休養を與えることにあるのでございますから、公衆道徳に反するような経営が行われることは、社会生活の良識からは予想する必要がないと考えられたからであります。然るに遺憾なことは、今日までの実績はこの前提を覆す数々の事例を起して参りました。旅館業経営の名の下に、時にはそれが料理店と変らざる宴席の提供となり、時には又連れ込み專門の性道徳頽廃の温床ともなり、更にそれが集団経営形態をとつては、周辺における家庭生活の平穏を破り、教育環境を撹乱するような場合さえ生ずるに至つたのでございます。去る九月、東京都下、池上に起つた歓楽街設置の問題のことを、この旅館営業に名をかりて脱法的売春行為の巣窟が学校に程近き住宅地域に出現しようといたしましたが、幸い地元の方々の熱心な反対運動は、広く輿論を喚起し、その支持を得て、国会におきましても二日間に亘る公聽会を開いて、事柄の真相を調査いたし、遂に業者の自粛によつて問題は解決されようとしております。併し旅館営業がその本来の営業目的以外に流用されようとする危險は、この池上問題の解決を以て終つたわけではなく、例えば高田馬場に大規模な温泉歓楽街の計画がなされたごとく、その例は少くありません。殊に特殊飲食店の設置を企図する業者が、これを表面に出すことによつて風俗営業取締法の取締を受けることを回避せんがために、この旅館営業の看板をかりて法網を潜ろうとする慮れがたびたび見られるのでございます。池上歓楽街設置計画の場合も、最初十四軒をカフエー又は特殊飲食店の名目で出願して置きながら、中途で誰かの入れ智慧によつて、その中の六軒を旅館業の名目に書き換えて反対空気を押し切らんと試みた事実のごとき、まさに危險な実例として挙げることができるのであります。で、善良な普通の人が旅館に求めるものは、歓楽ではなくして十分な休養であり、靜かな安眠であります。いやしくも旅館業という名を掲げるからには、この條件を満足させるものでなければならないと考えます。私は今日旅館業の経営について抜本的なメスを加えることによつて、正しい旅館のみが存続することを願つておるものでございます。
 今日道義の頽廃が社会のあらゆる面に見られることは遺憾千万でありますが、一部の旅館がその正しいあり方から逸脱して、傍若無人、男女間の性道徳を乱す道場を提供しているかの観あるのは、文化国家としてあるまじきことでございます。年若き者と言わず年配の人々と言わず、自由の穿き違いは至る所で善良な社会の慣習を破壊し、旧刑法における姦通罪の廃止を恰かも姦通の公認と勘違いしているのではないかと疑われるごとき行為が一部の旅館を利して行われている現状は、まさに植民地的風景への堕落と言わざるを得ません。(拍手)欧米において文化と社会秩序を誇る国々においては、旅行者はみずからの信用を保持するために、必ずその土地において信用あるホテルに宿泊いたさなくてはなりません。土地で信用ある旅館とは、善良な風俗を乱すいわゆる連れ込みを断わることを原則としていることは周知のことでございます。今日の旅館経営が重税によつて苦しめられるために止むを得ず邪道に走ることのあることも想像されますし、又正当の夫婦や婚約者が住宅難に悩まされて連れ込みのごとく誤解される等、同情すべき半面がないでもありませんが、善良な公衆道徳、性道徳の確立のためには、旅館は衛生の面でも経営の面でも清潔でなければなりません。
 この改正案は、そういう意味において、すべての旅館業のあり方を正しい姿に変える徹底したものではなく、周囲の環境から公衆道徳上許し得ないものを排除するだけのものである点においては、いささか生ぬるさを覚えるのではございますが、この改正案が動機となりまして、旅館業経営者みずからの粛正運動が盛り上ることを期待いたし、本案を支持し、皆様の御賛同をお願いするものでございます。(拍手)
#38
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#39
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。(拍手)
     ―――――・―――――
#40
○副議長(三木治朗君) 日程第三、松江国際文化観光都市建設法案(衆議院提出)を議題といたします。
 先ず委員長の報告を求めます。建設委員長小林英三君。
   〔小林英三君登壇、拍手〕
#41
○小林英三君 只今議題となりましたる松江国際文化観光都市建設法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本法案は、松江市が明媚な風光と我が国の歴史文化上多くの文化財を有し、又、文豪小泉八雲の文筆等を通じまして世界的に著明であることに鑑みまして、同市を国際文化観光都市といたしまして建設せんとするものでございます。法案の内容は、すでに本院の議決を経ましたる諸都市の特別建設法と大同小異でありますが、委員会は提案理由を聽取いたしまして、提案考及び関係当局と種々質疑応答を重ねて審議をいたした次第であります。
 提案者の提案理由といたしましては、第一に、松江市がその近郊に亘りまして、風光明媚、人情淳朴、観光都市といたしまして優れておること、第二に、出雲が我が国古代文化の発祥地といたしまして史蹟名勝の類に富んでおりますこと、第三に、文豪の筆によつて松江市が世界的に名を知られておること、第四に、近代都市としても、山陰の交通の要衝を占め、この地方の政治、教育の中心であると同時に、各種の資源に富んでおること、第五は観光地帶として全国的配置の点において適当であることが挙げられたのでありますが、尚、本年は小泉八雲生誕百年に当りまして、各種記念事業、進んではハーン大学設置等のいろいろの企画のためにも本法制定を要望する旨の説明があつたのでございます。これに対しましては、本法の対象とする松江市の区域、この種特別建設法と国の補助、特に戰災復興との関連、松江市にある国の普通財産、又、全国的に見て適当な都市を選ぶためにも、一般立法の必要の有無等について質疑応答がありました。委員会といたしましては休憩中の懇談会におきまして十分意見の交換をいたしましたが、再開後、質疑を打切りまして、討論を省略して直ちに採決に入る旨の動議があり、これに賛成がございまして、採決の結果は、全会一致を以て提案通り可決確定すべきものと決定いたしました次第でございます。
 右御報告申上げます。(拍手)
#42
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#43
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#44
○副議長(三木治朗君) 日程第四、漁業用海岸局を開設運用する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会に対する水産業協同組合法の適用の特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。水産委員会理事千田正君。
   〔千田正君登壇、拍手〕
#45
○千田正君 只今上程いたされました漁業用海岸局を開設運用する漁業協同組合及び漁業協同組合連合会に対する水産業協同組合法の適用の特例に関する法律案につきまして、水産委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 我が国の漁業無線は、船舶局及び海岸局の数が全日本無線局数の過半数を占めるという優位にあるのでありますが、従来、漁業用海岸局は主として漁業協同組合及び同連合会が開設運用して我が国水産業の振興発展に多大の貢献をして参つたのでありますが、第七国会において電波法が制定され、それに伴う諸規定の実施によりまして、十二月三十一日以降においては従来通りの運営管理ができなくなりますので、衆議院並びに参議院の水産委員会においてはかねてよりこれが対策を種々調査研究いたして参りました結果、漁業用海岸局の開設運営に関して、水産業協同組合法の適用の特例法を設けることにより、従来同様の開設運営ができて、電波法の趣旨にも合致し、水産業の発展にも十分寄與することができるという結論を得たのであります。よつて、この立法は衆参両院水産委員会の協議により、衆議院水産委員会の発議で立法することとなり、衆議院においてはこれを可決して本院に送付されたのであります。
 その内容を簡単に主な点を申上げます。第一点は、無線設備を有する漁船を使用して漁業を営む法人、或いは船舶局を有する漁船を使用して漁業を営む者を以て主として構成される社団は、その規模に制限を受けることなく、漁業協同組合又は連合会の組合員又は会員の資格を有するものとみなすことができるようにする点であります。第二点は、前述のごとく、法人及び社団が無差別に漁業協同組合或いは同連合会に加入することによる零細漁民への圧迫を排除している点であります。即ちこれらの団体加入は飽くまでも漁業無線に関してのみであるということにして、無線事業と他の一般事業とは経理を区分し、財源を制限することにし、或いは一般事業の利用を制限する外、出資口数においても一口を超えることができないと規定しておるのであります。本委員会におきましては慎重審議いたしまして、討論採決の結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。
 右御報告申上げます。(拍手)
#46
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#47
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて本案は可決せられました。
     ―――――・―――――
#48
○副議長(三木治朗君) この際、日程第五、第六を後に廻したいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#49
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
     ―――――・―――――
#50
○副議長(三木治朗君) 日程第七、国民金融公庫法の一部を改正する法律案、日程第八、塩田等災害復旧事業費補助法案、(いずれも内閣提出、衆議院送付)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#51
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。大蔵委員会理事大矢半次郎君。
   〔大矢半次郎君登壇、拍手〕
#52
○大矢半次郎君 只今上程せられました国民金融公庫法の一部を改正する法律案の委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。最近の金融事情におきましては、国民大衆が生業資金として一般金融機関から融通を受けることは極めて困難な状態でありまして、従つて国民金融公庫に対する資金需要は甚だ多く、本年十月末までに普通小口貸付三十三億一千万円、更正資金九億五千万円の貸付を行い、本年度増資分十二億円も八月末までに貸付を終り、九月以降は僅かに回收金を貸付けているに過ぎない状態でありますので、昭和二十五年度一般会計補正予算に国民金融公庫に対する政府出資金十億円を計上し、公庫の現資本金三十億円を四十億円に増加することとし、これに必要な法律の改正を行いまして、増大する小口生業資金の需要に対処しようとするものであります。
 委員会の審議に当りましては、委員諸君より熱心なる質疑があり、政府よりも又懇切な説明がありましたが、その詳細は速記録により御承知願いたいと存じます。
 かくて質疑を終了し、討論に入り、木村禧八郎委員より、一、公庫の資本金を百五十億円とし、政府は財政事情の許す限り速かに予算措置を講ずること、一、予算の拘束を受けず貸出又は預金部等から借入金ができるようにすること、一、従たる事務所増設の制限を撤廃すること、等の趣旨による修正案を提出する予定であつたが、時日もなく、又政府においても右の趣旨をできるだけ実現するよう研究中とのことであるから、公庫の中小企業金融に占める重要性に鑑みまして、更に貸出限度の引上げ、貸出利率の引下げ等について政府の善処を要望して、原案に賛成するとの意見が述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案通り可決すべきものと決定した次第であります。
 次に塩田等災害復旧事業費補助法案の委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 本案は、生活必需品である塩の重要性に鑑みまして、塩の生産用施設に災害が生じた場合、その復旧事業に要する費用については従来予算措置により補助が行われていたのでありますが、今回これを法制化して、塩田及び濃縮施設にかかる災害復旧事業についてはその事業費の十分の五、塩田防災施設にかかる災害復旧事業についてはその事業費の十分の六・五の比率によつて算出された金額の範囲内で、日本専売公社が補助金を交付し得ることとし、これによりまして塩の生産を確保すると共に、塩の専売事業の健全なる運営を図ろうとするものであります。
 委員会の審議に当りましては、委員諸君より熱心なる質疑と政府より懇切なる説明がなされたのでありますが、その詳細は速記録によつて御承知を願いたいと思います。
 かくて質疑を終了し、討論に入り、杉山昌作委員より賛成意見を述べられ、採決の結果、全会一致を以て原案の通り可決すべきものと決定いたした次第であります。
 右御報告申上げます。(拍手)
#53
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#54
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#55
○副議長(三木治朗君) 日程第九、公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件(第七回国会内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。運輸委員長植竹春彦君。
   〔植竹春彦君登壇、拍手〕
#56
○植竹春彦君 只今上程になりました公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き国会の議決を求めるの件について、委員会における審議の経過並びに結果を御報告申上げます。
 日本国有鉄道と国鉄労働組合との賃金問題に関する紛争につきましては、昨年十二月二日第一次仲裁裁定が行われたのでありますが、この裁定では、賃金ベースの改訂は差当り行わず、少くとも経理上の都合により職員が受けた待遇切下げの是正を行うことを主眼にしたものでありましたが、その後、この是正はその一部分が実施されたに過ぎませんで、且つ賃金値上げも期待できないので、国鉄労働組合といたしましては更に調停申請をいたした結果、ここに第二次の裁定が行われたのであります。第二次裁定におきましては、第一点として、昭和二十五年四月以降基準賃金を平均八千二百円に達せしめること、第二点といたしまして、前回の裁定に指摘した待遇切下げ補填について適切なる処置をなし、実質的賃金の充実を図ることを主眼にいたしておるのであります。本件は、去る第七国会におきまして、四月二十五日予備審査として運輸委員会に付託になりましたので、労働委員会と連合審査を行い、関係者を証人としてこの間の事情を聽取し、慎重審議を進めたのでありましたが、日本国有鉄道の財政上、資金上の見通しが付かなかつたために、継続審査をいたしまして、本国会に及んだのであります。本国会におきましても数回委員会を開き、質疑応答を重ねまして、裁定実施につき、財政上、資金上可能なりや否やについて検討を加えたのであります。然るに昭和二十五年度国鉄の補正予算におきましては、来年一月より三月までの賃金のベース・アツプにつきましては、その資金として十四億円余を、又その他の人件費として十七億五千万円余、合計約三十二億月余を計上しておりましたが、これでは裁定の実施には不十分と認めまして、当委員会としては、昭和二十五年度は総額四十九億円余を支出可能なる金額と認めたというのが本件審議の経過の大要であります。
 かくて討論に入りましたところ、高田委員より発言があり、公共企業体仲裁委員会の裁定については、委員会は当初より全員賛成して来たけれども、政府は昭和二十五年度補正予算に約三十二億円余を計上していたが、検討か加えました結果、四十九億円余を裁定の履行に使用できることが分つたので、本件について、公共企業体仲裁委員会の裁定即ち昭和二十五年三月十五日仲裁裁定第三号については、昭和二十五年度において四十九億五千百八十一万三千円を限度としてこれを承認し、残金はこれを承認しないという主旨の議決をせられたき旨の意見の開陳がありました。続いて内村委員よりは、高田委員の動議に対して、残余の支拂については、昭和二十六年度以降において国鉄に資金上余裕を生じたときは、国鉄はこれが支拂を実施すべきこと、並びに実質的賃金の充実を図ることを主眼とする裁定第二項の実施は当然なさるべきであるとの希望條件で、不本意ながら賛成する旨の意見の開陳があり、次いで鈴木委員より、本裁定の時期がたまたま全官公労の年末手当の問題と時を同じうするに至つたため、国会の本問題の取扱が年末手当と混同してしまつたことを遺憾とし、且つ本動議の字句の解釈につきまして今後研究すベきものがあるから、不本意であるが、併し年末緊急を要する給與であるが故に、今日としては本動議に賛成する旨の発言がありました。尚、小酒井委員よりも、裁定の処理は直ちにこれを実施すべきであるとの要望があつて、本動議に賛成の旨の意見の開陳があり、又岡田、山縣両委員よりそれぞれ高田委員の動議に対しまして賛成意見の開陳があつたのであります。
 以上で討論を終結し、育ちに採決に入りましたところ、全会一致を以ちまして、公共企業体仲裁委員会の裁定(昭和二十五年三月十五日裁定第三号)については、昭和二十五年度において四十九億五千百八十一万三千円を限度としてこれを承認し、残余はこれを承認しないとすべきものと議決いたしました。
 尚、詳細は速記録を御覧願うことにいたしまして、以上御報告申上げました。(拍手)
#57
○副議長(三木治朗君) 本件に対し討論の通告がございます。順次発言を許します。菊川孝夫君。
   〔菊川孝夫君登壇、拍手〕
#58
○菊川孝夫君 私は日本社会党を代表して、只今議題となりました公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き、国会の議決を求めるの件につきまして、條件を附して賛成する意見を申述べます。と申しますのは、本件の主体をなすものは、今更申上げるまでもなく、昭和二十五年三月十五日仲裁裁定第三号でありまして、その骨子は二つの項目から成つております。一つは、昭和二十五年四月以降は、基準賃金を平均八千二百円に達せしめることであり、その二は、昭和二十五年度において、基準外賃金、現物給與、福利施設その他の給與等の切下げられたものを回復して、実質賃金の充実を図ることであります。
 この裁定を受けた日本国有鉄道総裁は、早速、運輸大臣に対して、第一項実施に要する経費六十七億九千万円、第二項実施に要する経費として四十億八千万円、計百八億七千万円を昭和二十五年度において支出でき得るよう予算的処置を申請したことは運輸委員会で明らかにされました。そこで只今議題となつております通り四十九億五千百八十一万三千円を限度とする支出が承認されましたといたしましても、僅か約四五%を実施し得るのみであります。かくては政府がたびたび言明した裁定尊重ということは單なる口頭禪に過ぎなかつたと言わざるを得ません。むしろ裁定を蹂躙するものであると言うほうが適当であると思います。従いまして、私は国の一般的財政状態及び国鉄の経理内容その他諸般の情勢からして、止むを得ず昭和二十五年度は四十九億五千百八十一万三千円を限度として承認し、残余についてはこれを承認しないけれども、二十六年度以降については何ら拘束するものではないという理解の下に本案に賛成したいと存じます。
 その理由は、この文章を素直に読めば当然そう解釈されるし、より以上に裁定の持つ常識的な意義からしても、法律的に考えても、そうなければならないと思うのであります。私はこの際、先ず仲裁裁定の常識的と申しますか、社会通念に基いた意義をはつきりさせて置く必要を痛感するのであります。そもそも仲裁制度は米英等の民主主義諸国の間に発達したものであります。これらの諸国では、労資間の紛争を平和的に解決し、産業の平和を維持し、その民主化を促進する手段として、仲裁制度は労資双方によつて極めて紳士的且つ常識的に尊重されていることは申上げるまでもありません。これは彼らの民主主義の原理に基く社会生活の理念を形成する要素の一つであるスポーツマン・シツプから出発したものと考えられます。彼らは仲裁委員をスポーツにおけるアンパイヤであるとしております。如何なるスポーツにあつても、アンパイヤの判定に対して一部服従して一部不服従といつたようなことでは、そのスポーツは成り立たないことは明らかであります。従いまして、米英等では、労働組合も資本家も、一旦仲裁委員の裁定が下つた場合には、たとえ主観的に不利であろうと、潔く服することによつて、産業平和を維持し、その発展に寄與しているのであります。
 我が国の民主主義は米英をモデルとしていることは申すまでもないことであり、労働組合運動についてもこのことが要請されていることは当然であります。国鉄労働組合はこの要請に答えて行動し、仲裁委員会に裁定を申請するに当つても、その結果は如何なるものであつても服従する決意を持つておつたことは疑う余地のないところであります、然るに只今国会が裁定の四五%を実施して残余は切捨ててしまうといたしましたとすれば、民主主義を護るべき国会が民主主義の原理に悖る重大な過失を犯すことになると思うのであり、又、国鉄裁定の一〇〇%実施を回避して、吉田内閣はスポーツ的に見ますと、恰かも昨年日本のプロ野球で相手方の選手を殴打して問題を起して出場停止処分を受けた某監督に当ると言つても過言ではないと思うのであります。六ヶ月ぐらいの出場停止の価値が私は十分あると思うのであります。(拍手)
 次に法律論からいたしましても、公労法第十六條の規定は、仲裁裁定についての国会の審議権は、飽くまでも予算上の問題に限定しているのは明らかであつて、裁定の適否、内容については審議権がないと思うのであります。(拍手)若しそれを行わんとするならば当然法律の改正を先行しなければなりません。よつて予算も決つておらず、営業成績もどうなるか明確でない今日、二十六年度以降も不可能であるとして残余の承認をしないことは、越権であると信じます。第二に、公労法のどの條項を見ましても裁定の効力の消滅の規定がありません。ただ十七條に違反いたしまして同盟罷業だとか怠業その他の行為をやつた場合には、第十八條によつて公労法によつて有するところの一切の権利を失うことになつておりますが、この十七條違反か否かは国会において決めるべき性質のものではありません。又一般法の時効を適用することについても疑義がある問題であると思うのであります。従つて国会は、單なる議決のみによつて、裁定の全部は勿論、一部といえども切捨てる権限を持つていないと思います。(「然り然り」と呼ぶ者あり)第三に、公労法第十六條を読んで見まするとはつきりいたしまするように、法規裁量で、自由裁量の余地がないことは疑問の余地がありません。又付議する猶予日数まで極めて限定してあるのは、その速かなる実施を要請している立法精神を端的に現わしています。然るに今日まで九ヶ月間も議決し得なかつたのは、これが実施に伴うところの予算を附けて付議しなかつたためであり、予算編成権を持つておるところの政府の責任であります。これは政府として、年末には一時金を要求する労働攻勢が起るであろう情勢を察知して、裁定の一部実施で以て対処しようとした狡猾な労働政策であると思います。かくのごとく政治が法律に優先する印象を與える政策を是正するのが本院の重大なる任務であることを明確にしなければならぬと思うのであります。(拍手)実施を遷延した上で五五%を切捨てようとするがごときことは、見逃し得ないところであり、條理上許されないところであります。第四点といたしまして、仲裁委員会は、憲法第二十八條によつて保障されておりますところの国鉄労働者の団体行動権を公共性の故を以て制限するところの反対給付として、法律を以て設置された公的な機関であります。従つて仲裁委員会の裁定を切捨てることは、憲法上の問題にまで発展することを銘記する必要があろうかと存じます。
 次に民主的労働慣行を樹立しようと委員一同が努力しつつある現段階におきまして、総理大臣が委嘱したところの仲裁委員会の裁定を、労働組合が黙つて服従しているに拘わらず政府が服従しないという結果になるところの残余の切捨ては、将来に悪例を残すと言わなければなりません。
 以上の観点から、私は本院の使命に鑑みまして、残余以下を削除して議決するのが正しいと信ずるものでありまするが、今や第九臨時国会も終末に近く、それをいたすことによつて両院議決の相違問題に発展して、四十九億五千百八十一万三千円の支出さえ不可能になるようなことがあつたといたしましたならば、年末を控えて裁定実施の一日も早からんことを渇望している国鉄職員にこれ以上の犠牲を強要する結果を招来下ることを憂慮いたしまするが故に、極めて不満足でありまするが、敢えて以上申上げました諸点を前提とする考え方の上に立ちまして、本議案に賛成するものであります。(拍手)
#59
○副議長(三木治朗君) 針木清一君。
   〔鈴木清一君登壇、拍手〕
#60
○鈴木清一君 私は労働者農民党を代表いたしまして、只今議題になつておりまする公共企業体労働関係法第十六條第二項の規定に基き国会の議決を求めるの件につきまして、誠に不満ではございまするが賛成をいたします。ではその不満である理由を三、四申上げまして、若しでき得べくば今後参議院の皆さん方が幾分なりとも御参考に願えれば、誠に望ましい次第であると思うわけであります。
 社会党を代表して申されました菊川君も端なくも指摘されておりまするように、今回この裁定を国会に審議を求めて参りましたのは、すでに第七国会であります。而も裁定の出たのが三月でございます。それにも拘わらず年末まで持つて来て、殊更にこれを国会の議題として出そうとした真意、国会に扱わせようとした真意につきまして、私は少くとも立法権に対する政治的意味を含んでの措置であると考えざるを得ないが、最近政府がとりつつありまするところの労働行政の中に、多分にこうしたことが含まれつつあることをどうかお知り置き願いたい。緊急を要する年末手当に、すでに既得権として立法機関で決定し、而も裁定を下されて、国鉄従事員が持つ既得権に対しまするこの裁定を、殊更に三月に決定し、第七国会、第八国会ですでに十分の期間があるにも拘わらず、今日までこれを持ち続けまして、漸く四十九億の資金が出たからやるのだというような態度が少くとも最近現われつつありますところに、政府の労働行政が、如何に権力を利用して、弱い労働者をいつも追い込んでのみ有利な立場に立つて解決して行こうという一つの政策、この端的な現われであるということを我々は明らかにしなければならない。(「その通り」と呼ぶ者あり)従つて私は、敢えて組合諸君並びに全労働者は、この権力を横暴にして扱うところの現政府に対する憤懣を、より以上強く持たれんことを希望する。例えば四十九億の資金が、公社にいたしましても何故今日でなければ出なかつたのか。私はこの四十九億の資金を出すために、果して政府に一般会計から繰入れて呉れということを言つたでありましようか。言つておりません。七月に開かれておつた国会においてこの処置が付かずいたしまして、ここでたまたま四十九億の金が出たと言つて、資金上でき得るから十六條二項によつて国会の議決を求めるというような措置をとりましたことは、明らかに公務員にやらなければならなかつた手当と同一視して、既得権であるところの裁定を年末手当とをすり換えた悪質な政治的陰謀であると私は申上げることができると思うのであります。(拍手)
 次に、私は議案の内容の中におきまして、本件は、本院において「公共企業体仲裁委員会の裁定(昭和二十五年三月十五日仲裁裁定第三号)については昭和二十五年度において四十九億五千百八十一万三千円を限度としてこれを承認し、残余はこれを承認しない」という字句があるのでありまするが、これを素直に常識的に読んでも、明らかに昭和二十五年度においては四十九億五千百八十一万円となるのでありまして、残余について云々、これを承認しないという字句は、前段の字句をよく解釈するときにおきましては、むしろこの字句は余分な字句であるということがはつきり浮んで来ることをお分りになられると思う。従つて先程菊川氏が申しましたように、私も少くともこの條文は取消すというばかりでなく、二十六年度以後においても、曾て参議院がこの案件に対しまして議決いたしました国鉄公社において余剩金が出たときには必ず支拂うべきであるという全院一致における議決をいたしましたあの意思に悖つておるならば、少くとも参議院の議員の皆様方はそれを尊重する意味におきまして、残余はこれを承認しないという字句を抜くべきであり、必ずしも抜くばかりでなくして、二十六年度以後において若し公社において資金の余裕を見ることができ得たならば直ちに支拂うべきであるということさえ附加して議決したいことを私は希望するものであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)残念ながらこの点につきまして、日なくして審議を十分に遂げることができ得ず、今後の議題となると思いまするが、どうか皆様方におきましては、この解釈を御理解下されんことをお願いするわけであります。いろいろと申上げたい條件もあるのでありまするが、すでに菊川氏より十分述べられておりまする点に対しまして、私共は全面賛成しておる立場から、特に今申上げました二つの條件を附加いたしまして、労働者農民党は尚、今後に公社において資金が出た場合には、少くとも十六條二項の国会に議決を求め承認を得なくても、公社においてみずから支拂うべしということを、尚、今後機会があつたなら、参議院の曾て諮つた議案の趣旨に副つて皆様方が御同意して決議されんことを希望いたしまして、緊急を要しまする年末の手当でございまするので、不満ではありまするが賛成いたします。(拍手)
#61
○副議長(三木治朗君) これにて討論の通告者の発言は全部終了いたしました。討論は終局したものと認めます。
 これより本件の採決をいたします。委員長の報告は、公共企業体仲裁委員会の裁定(昭和二十五年三月十五日仲裁裁定第三号)については、昭和二十五年度において四十九億五千百八十一万三千円を限度としてこれを承認し、残余はこれを承認しないとすべきものと議決したとの報告でございます。委員長報告の通り決することに賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#62
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本件は全会一致を以て委員長報告の通り議決せられました。
     ―――――・―――――
#63
○副議長(三木治朗君) この際、日程に追加して、昨日委員長から報告書が提出されました芦屋国際文化住宅都市建設法案、松山国際観光温泉文化都市建設法案、(いずれも衆議院提出)、以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。先ず委員長の報告を求めます。建設委員長小林英三君。
   〔小林英三君登壇、拍手〕
#65
○小林英三君 只今議題となりましたる芦屋国際文化住宅都市建設法案及び松山国際観光温泉文化都市建設法案につきまして、建設委員会における審議の経過並びに結果を一括御報告申上げます。
 この両法案の内容は、先程御報告申上げました松江国際文化観光都市建設法案と揆を一にしておりまして、芦屋、松江の両市の有しまする気候、風光、及び松山地方の優秀なる温泉と共に、文化上にも恵まれました立地條件に鑑みまして、更にこれを発揚せしめるために、両市の特別建設法を制定せんとするにあるのであります。
 御承知のごとく芦屋市は、気候、風光に惠まれまして、京阪神地方におきまする交通至便の地であるばかりでなしに、健康且つ文化的住宅地に必要なる各種の施設と計画を有しておりまして、一方、松山市は、古来有数なる温泉地帶を有し、国宝松山城を初めといたしまして多くの観光資源に富み、瀬戸内海国立公園の拡張予定にも入れられておりまして、文化的伝統にも惠まれておりますることが挙げられておるのであります。
 両案の委員会におきまする質疑応答の大要を申上げますると、先程の松江市特別建設に関しまする法案の場合と大体同様でございまして、国の普通財産の処理、国の助成の振合い等に集中せられまして、同時に又、全国的且つ総合的観点から考えまして、この種特別法に対しては、将来基準的な一般的な立法措置を講ずることの必要性につきましても、可なり強調せられた次第でございます。
 かくいたしまして、討論を省略いたしまして、直ちに採決に入る旨の発議があり、これに賛成がございまして、採決の結果は、全会一致、提案通り可決すべきものと決定いたした次第でございます。
 以上御報告申上げます。(拍手)
#66
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔起立者多数〕
#67
○副議長(三木治朗君) 過半数と認めます。よつて両案は可決せられました。
 議事の都合により本日はこれにて延会いたしたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#68
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。次会の議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十九分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、米価設定に関する基本方針に関
  する緊急質問
 一、食糧の増産及び傷痍軍人の待遇
  に関する緊急質問
 一、日程第一 未復員者給與法の一
  部を改正する法律案
 一、日程第二 旅館業法の一部を改
  正する法律案
 一、日程第三 松江国際文化観光都
  市建設法案
 一、日程第四漁業用海岸局を開設
  運用する漁業協同組合及び漁業協
  同組合連合会に対する水産業協同
  組合法の適用の特例に関する法律案
 一、日程第七 国民金融公庫法の一
  部を改正する法律案
 一、日程第八 塩田等災害復旧事業
  費補助法案
 一、日程第九 公共企業体労働関係
  法第十六條第二項の規定に基き、
  国会の議決を求めるの件
 一、芦屋国際文化住宅都市建設法案
 一、松山国際観光温泉文化都市建設
  法案
ソース: 国立国会図書館
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