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1950/12/07 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 本会議 第8号
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1950/12/07 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 本会議 第8号

#1
第009回国会 本会議 第8号
昭和二十五年十二月七日(木曜日)
   午前十一時四分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
 議事日程 第八号
  昭和二十五年十二月七日
   午前十時開議
 第一 興農政策推進に関する決議案(赤澤與仁君外二十九名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第二 地方財政の緊急対策に関する決議案(岡本愛祐君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)
 第三 訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第四 判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出)(委員長報告)
 第五 毒物及び劇物取締法案(内閣提出)(委員長報告)
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○副議長(三木治朗君) 諸般の報告は朗読を省略いたします。
     ―――――・―――――
#3
○副議長(三木治朗君) これより本日の会議を開きます。
   〔千田正君発言の許可を求む〕
#4
○副議長(三木治朗君) 千田正君。
#5
○千田正君 私はこの際、在外公館等借入金支拂に関して緊急質問をすることの動議を提出いたします。
#6
○須藤五郎君 只今の千田議員の動議に賛成いたします。
#7
○副議長(三木治朗君) 千田君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。千田正君。
   〔千田正君登壇、拍手〕
#9
○千田正君 終戰以来五ケ年を経まして、未だ多数の戰争の犠牲者が平常の国民生活に復帰し得ないことは、講和を前に控えまして誠に遺憾に堪えない次第でございます。このうち引揚者問題に対しては、政府がいろいろ促進問題或いは国内対策等、種々施策を講じておることは了解できまするけれども、そのうちに、特にすでに政府が言明し、その整備を立法化したのにもかかわらず、未だに実現を見ないのは、この在外公館等借入金に関する問題であります。今やこの問題をめぐつて、或いは自殺をする者、或いは領事、公使を告訴する者等がほうぼうにおいて惹起されて参りまして、引揚者はまさに憤懣の極に達しておるのであります。この不幸なる引揚者に代りまして、敢えてここに吉田総理大臣兼外務大臣と池田大蔵大臣に質問するゆえんのものは、政府の怠慢からこの問題の解決が遅れて、政府に対するところの不信の声が測り知れざるところの事態に追い込まれるような虞れがあるから、私がここに緊急質問に立つたわけであります。
 そもそも在外公館等の借入金は、私の説明を待つまでもなく、外地において終戰の当時着のみ着のままの悲惨なる姿を以て奥地から陸続として引揚げて来たところの我々の同胞に対し、在外公館は何らの施す術もなかつたのであります。時の吉田外務大臣の訓令に基きまして、居留民より内地に帰還後支拂をするという約束の下に救済資金を居留民から集めまして、辛うじて引揚事務を進捗することができ得たのであります。その件数におきましては概数二十一万を越えておりまして、金額においては数十億の多額に達する推定することができるのであります。リユツクサツク一つで帰つて来たこの引揚者が、満足なる政府の施策のできない今日において、せめてもの政府に対して貸したところのこの金だけは返して貰えるものと思つて、政府に対して要求しておるのは理の当然であるのであります。在外公館等借入金は在外資産とは別個のものでありまして、政府が居留民から借入れたところの飽くまでもこれは借入金であるということを十分に御承知願いたいと思うのであります。参議院は、第一国会以来、政府に対して幾たびかその善処方を通達し、政府も又漸く昭和二十五年六月一日、在外公館等借入金整理準備審査会法なる法律を以て、この二十六年の一月から漸く審査事務を開始したのでありまするが、その件数におきましては、請求書受理件数は二十一万件あります。このうち確認できるものとして大体調査できそうなものが大よそ十三万八千五百五十三件、又一切の審査事務が完了いたしまして確認証を発給し得るものが僅かに一万九千件、あとのものは今後の審査に待つより外ないというような情ない状態なのであります。約一ケ年を費しまして僅かに二割にも達しないようなこの審査状況でありまするというと、いつまで経つたならばこの問題が解決できるのか。審査に従事するところの職員は勿論懸命に努力しつつあるのでありまするけれども、僅か八十名内外の職員を以てしては、二十数万件という厖大なるこの件数を片付けるということは容易ならざることなのであります。一方、引揚者は今日でも速かに返済されるものであるとして、一日千秋の思いで待つておるのでありまするが、吉田首相兼外務大臣は、責任を以て、早速完了のために、この外務省の省内にありますところの審査事務の機構改革或いは増員をしまして、一日も早く支拂の準備を完了されんことをお願いするのでありまするが、首相は、拡充する或いは増員するというような御意向があるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。又いつ頃完了の見込が立つのか、二十五年度におきましては約一千万円のこの準備審査会のための予算を組んでおりますが、こんな状態ではとても十年たつてもこの問題は完了しない。二十六年におきましては増額して二十六年中においてこれが完了する程の予算を計上しておるかどうか、この点をお伺いしたいのであります。
 第二に、すでに審査済みの確認証はいつ頃発給できるのか、その発給に基いて直ちに大蔵省は予算を作つて、そうしてこの権利に対して政府が義務を履行するのがいつなのか、この点を首並びに大蔵大臣にお伺いしたいものであります。
 次に大蔵大臣にお伺いいたしますのは、大蔵当局はこの在外公館借入金の問題に対しましては、ややもすれば為替レートが十分にわからない、或いは在外資産との関係がどうのというような言い逃れをして、今日まで荏苒として日を送つているのでありまするが、この為替レートなどというものは、すでに当時の吉田外務大臣の訓令に基いて、外地におつたところの領事或いは公使その他は、それぞれその訓令に基いてレートが決定しておる筈であります。にも拘わらず、このレートが決定しておらないというような言い逃れを今日までやつているということは、これは誠に不誠実である。私共は引揚者のためを思つて考えた場合には、五年或いは三年前にこの借入金が支拂われておられたならば何ら問題はないわけであります。外地における為替レートを云々するならば、国内におけるところの金の価値というものを引揚者は云々しなければならない。三年前の一万円と今日支拂われるところの一万円とは、価値において相当の開きがある。そういうことも考慮しなければならない筈であるのに拘わらず、荏苒として外地の為替レートがどうとかこうとかと言うて延ばされるということは、誠に理不盡であると私は考えざるを得ないのであります。もう一つは、そういう問題についての証明は幾らでもでき得る筈でありますので、一日も早くこの問題を解決するよう大蔵省は誠意を以つてこの解決に乗り出して貰いたい。大蔵大臣としましては果してその誠意があるかどうか。この点をお伺いいたします。
 第二には、在外公館等借入金整理準備審査会の現在の状態では、先程申上げました通りなかなか進捗しない。外務大臣は、この審査会に対するところの機構拡充或いは増員の計画の下に、予算を計上した場合には、一日も早くこの審査会の事務の進捗のための予算を決定して、そうして来年中にもこの問題は解決するように予算を組むだけの意思があるかどうか。この点と、速かにこの引揚者に対するところの在外公館の借入金は支拂うべきものであると思うが、大蔵大臣はどう思うか。この点をお伺いいたすのであります。当然政府が責任をとるべき措置を怠るというのは、誠に我々国民の代表として、而も参議院は何回となくこの問題に対して政府に通達しておるにも拘わらず、すでに五年を経た今日、未だに政府の借入金が国民の手に返されないということは、我々国会としましては、当然政府の責任を追究せざるを得ないのであります。首相並びに大蔵大臣は一日も速かにその責任を果すことを国民に約束されるよう、明快なる御答弁をお願いする次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。在外公館の借入金の性質につきましては今お話のあつた通りであります。何分、当時在留民引揚が急を要するために、在外公館においてもそれだけの準備もなかつたりしまして、在留民から借上げて、それによつてとにかく在留民の引揚を完了することができたのであります。故にこの借入金に対して政府として成るべく速かに返還するということは当然のことであり、政府としても決してこの問題をなおざりにいたしておつたわけではないのでありますが、御指摘の通り何分件数が多いということと、それから又今お話の為替関係とかいろいろな厄介な問題があるために、公正を期する場合には自然措置が遅れるというのが実情であり、外務省としても法律に従いまして審査会を設けて審査をいたしておるのでありまするが、残念なことには、今申したような事情があるために、とにかく未だに結末が付いておりませんが、方針としては無論成るべく速かに返すつもりであります。又手続の不十分或いは人員等の手不足のために清算が遅れたといたしますならば、勿論その欠陷を補うことについては、決して、うつちやらかして置く考えはございません。尚、詳細については係官から申述べますが、併し私といたしましては、今申した通りこの問題は、政府としては当時の事情を考えて見ても、成るべく速かに返還すべきであるということは同意見でありますから、その線に従つて善処いたすつもりでおります。
 尚、この際、答弁を留保いたしました御質問に対してお答えをいたして置きます。
 永井議員から、米価決定に当つて米価審議会の答申を尊重するかというお尋ねであつたそうでありまするが、米価決定の場合には米価審議会の答申を尊重するのは勿論であります。ただ、この場合において、消費者とか或いは生産者とか或いは一般国民の経済全局から考えて見て、愼重に審議いたさなければならぬことも御承知を願いたいと思います。
 柏木議員からの、漁区をできるだけ拡張して貰いたい、曾て日本が漁業基地として使つておつた基地を再び使わして貰いたいものであるという御質問であつたそうでありますが、無論、政府はこの漁区拡張については従来できるだけの努力をいたしており、又司令部においても同様この問題を考えておつて呉れまして、昨年の五月でありますか、従来の制限区域を南に向つて相当大なる拡張をいたしたのであります。又今後においても日本の漁区の制限を成るべく撤廃するか拡張したいという考えを持つて、司令部も努力いたして呉れておりますようでございますから、御希望に副い得る事態が必ず近くできる……近くかどうか分りませんが、とにかく多少の拡張或いは又撤廃というようなこと、これは講和條約ができれば勿論のことでありますが、政府といたしましても努力いたします。又司令部としても相当協力いたして呉れております事情を申上げて置きます。(拍手)
   〔政府委員草葉隆圓君登壇、拍手〕
#11
○政府委員(草葉隆圓君) 只今千田君の御質問の中で、外務省関係のことにつきましてお答え申上げます。
 在外公館借入金の問題につきましてはお話の通りであります。又只今総理から御答弁申上げた通りでございますが、昨年の六月一日に在外公館等借入金整理準備審査会法が公布されまして、昨年の暮、十二月の二十日にこれが施行令を実施いたしました。併しこれだけでは借入金提供者の請求の期間が不十分ということで、本年の三月更に一部改正をいたしまして、本年の五月十八日までに請求書を提出するということに相成りました次第でございます。その後、出ました請求の総数は、只今お話になりましたように、約二十一万件余りに達しておる状態でございます。併しこれも只今のお話がありましたが、事務的に区分いたしますと、一応大体該当件数は十三四万ではないかと考えられます。で、この法律に基きまして外務省の中に審査会を早速設置いたしまして、大蔵、外務関係者、及び一般民間の関係者を以ちまして委員を委嘱任命いたしまして、更に幹事十八名を設けまして毎周一回ずつ審査をいたしておる次第でございます。現在までに大体二万五千八百件程の審査が終了いたしました。全地区約七百地区ほどに及んでおりますが、そのうちで約九十地区ほどは完了いたしたのであります。パーセンテージから申しますとお話の通り誠にまだ少いのでございまするが、(「何が完了したか」と呼ぶ者あり)併し一つの地区が完了いたしますと、それに関連しておりまする地区内の件数はずつと解決いたしまするので、今後この進捗は今以上に早くなつて来るという見込を持つておるのであります。ただ何分にも御承知のように終戰直後のあのような状態の中で借り上げられました借入金でございますから、これが借入の主体なり、或いは形式なり、その方法なり、或いは條件等が誠に千差万別でありまして、資料収集等につきましても困難を来たしておりますものが沢山あるような次第でございます。併し只今申上げましたように鋭意これを努力いたしまして、殊に一日も早く速かに完了をすべき性質を持つておりますものでございますから、十分努力をして御期待に副うように努める所存でございます。近く大体二万件足らずの確認証、或いは不確認の通知書を発送する手筈にできておりますので、その方法をとつて参りたいと存じております。
 ただいつ頃までにこれが全部完了するかという見通しの問題でございますが、只今申上げましたような事務の内容でございまして、一日も早く完了したいと存じておりますが、尚、未引揚者もある次第でございまして、未引揚者が引揚げていらつしやいました場合には、一年以内にこれの書類を提出してその権利を主張することに相成つておりますので、完了というのはその後でないとできないとも存じますが、現在手許に出ておりますものにつきましては成るべく早く完了したいと存じております。
 以上でございます。(拍手)
   〔政府委員西川甚五郎君登壇〕
#12
○政府委員(西川甚五郎君) 千田議員のおつしやいましたこの借入金につきましては、大蔵省といたしましても、この引揚者の困難な状態をよく存じ上げていますから、一日も早く見通しを付けてお支拂いをいたしたいと存じておる次第であります。併しながらこれは相当支拂に際しましては財政上の影響もございまするし、又この具体案といたしましても、又この支拂に際しまして、先程千田議員からおつしやいました換算率の問題も、簡単なようでございまするが、実際に当つて見ますると相当むずかしいという点がございまして、又この在外資産の帰趨の問題、その場合にどうしたらいいかという見通し、これらを勘案いたしまして、何とか一日も早く見通しを付けて、そうして引揚者の今日困つておる方々の援助の一端に持つて行きたいと大蔵省は考えておる次第でございます。尚この審査会の予算につきましては、只今二十六年度の予算を編成いたしておりまするが、関係省とよく連絡いたしまして、審査会の運営につきましては十分にやりたいと存じておる次第でございます。(拍手)
     ―――――・―――――
   〔細川嘉六君発言の許可を求む〕
#13
○副議長(三木治朗君) 細川嘉六君。
#14
○細川嘉六君 私はこの際、原子爆彈の使用等に関して緊急質問することの動議を提出いたします。
#15
○佐々木良作君 只今の細川君の動議に賛成します。
#16
○副議長(三木治朗君) 細川君の動議に御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#17
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発言を許します。細川嘉六君。
   〔細川嘉六君登壇、拍手〕
#18
○細川嘉六君 私は時局重大なるがだめに、日本共産党を代表いたして、総理大臣吉田茂君に対し原爆使用に関する質問をいたします。
 トルーマン大統領が必要に応じ朝鮮において原爆を使用するかも知れないと述べたという報道は、全世界の人心に恐怖と不安とを與えました。諸君すでに御承知の通り、外電は英国労働党議員百名が、アトリー首相に対し、原爆が朝鮮に使用される場合、英国軍隊は撤退すべきであるという主張をなしたと伝え、同首相は同じく原爆使用に驚いたフランス国のプレヴアン首相と急遽協議の上、アメリカに飛び、現在トルーマン大統領と協議中であると伝えられております。世界は正に現在第二次大戰以後の最大な危機に立ち至つております。如何に考えましても、戰争に原爆を使用し、人間の大量殺戮をなすことは、明らかに許すことのできない人間社会に対する大犯罪であります。(拍手)無論、原爆はアメリカの独占ではなくなつており、若しアメリカの側から使用されるとすれば、その勢いの赴くところ、止むを得ず、これに対抗して原爆を以ての反撃は起らないとも限りません。今日の原爆の破壊力は我々の想像も付かないものであつて、当初にこれを使用した政府は、如何なる理由にせよ、人間社会に対する大犯罪者であります。(「そうだ」と呼ぶ者あり)すでに権威ある原子学者も、一定の條件の下では、原爆によつて地球は一瞬にして毒ガスに蔽われ、一瞬にして地球上の生物を死滅させることができると警告しております。原爆による戰争ば、まさに人間社会を崩壊させ、破滅に陷れるものであつて人間の歴史百万年に亘る努力積成した文明と文化とに対する六冒涜であり、人間の理性と人道との否認であります。それが故に、ソ連は、終戰以来今日に至るまで終始一貫戰争における爆彈の使用禁止を主張し、一日も早くこれがための実行力のある国際協定の実現されることに努力し、この努力は、原爆、更に水爆を持つておる今日に至つても継続されておることも周知の通りであります。世界の諸国民も又、国籍、人種、思想、信仰の差別を超え、この使用に反対していることは、これを最初に使用する政府を犯罪者とみなすというストツグホルム・アツピールに、すでに六億を超える人々が積極的に投票している事実によつて実証されております。アメリカにおいても、彈圧に抗し、すでに二百五十万人の人が投票しており、日本においても六百方人を超え、一千万人に達せんとしております。而もこの世界投票が日に月に増大してやまないのであります。それにも拘わらず、朝鮮に原爆が投下され、幾十、幾百万の人が大量殺戮されるという危險がここに起つております。而もこの場合、我が国のこのための軍事墓地とならないとは限らない。従つて原爆の危險を招かないとも限らない。全く人ごとではありません。更にトルーマン大統領は、いわゆる国連軍が満州に侵入する場合、日本人軍隊が使用されるかも知れないと述べたと報道されております。かくのごとき立場に我々が置かれるということは、ポツダム宣言を受諾し、無條件降伏した我々日本人に、何の理由があつてなされるものでありますか。無條件降伏と日本占領は国内における軍国主義の根絶と民主主義の徹底とを根本目的としておるものであつて、それ以外のものではありません。日本が原爆の基地となり、日本人軍隊がアジア大陸に侵入させられる場合、朝鮮人、中国人のみならず、帝国主義に反対し、民族の独立と自由と民主化とのために戰つている厖大なアジア諸民族の持つ日本人に対する不信と怨恨とを一層激成することは必定であります。切つても切れないアジア諸民族との関係をかくまで悪化させねばならないという事由はどこにありますか。全く不可解千万であります。広島、長崎において世界最初に原爆を投下され、一瞬にして二十万或いは四十万という同胞が殺された。我々日本人は、今こそ世界平和と人道とのために世界に向つて絶対に原爆の使用は禁止さるべきであるということを宣言するに、あり余る程の人道的資格を持つているのではありませんか。(拍手)更に又━━━━━━━原爆の使用を口外しなければならなくなつた現情勢は只事ではありません。━━━澎湃として全アジアに興起しておる民族独立運動を武力を以て征服し、すでに余りにも長く持続された帝国主義支配を更に暴力を以て持続しようとすることは、全く時代錯誤であることを示しております。この運動は日露戰役以来約五十年に亘り、殊に第一次世界大戰以来ますます拡大強化発展して来たものであります。この争うべからざる嚴然たる大事実を無視するところ、世界にその強大を誇る如何なる国の政府といえども、その墓穴を掘ることとならざるを得ません。殷鑑遠からず、それは戰前日本支配階級の大陸政策にあります。蒋介石政権を支援した━━━━政府の政策にあります。ここに総理大臣吉田君に猛反省を求めなければなりません。(笑声)現内閣の国連協力は、中国は乱れておる、これはアジアの危險であるという総理大臣吉田君の方針に従つておることは明らかであります。この方針は又単独講和を促進する目的から出ておることも明らかであります。だが、アメリカ政府が原爆の使用を国外しなければならぬ現実の情勢は、吉田内閣にとつても、その見方、その方針の全く誤まつておることを教えておる。吉田君は総理大臣として、戰前の諸内閣も同じく大陸における諸民族の民主的発展という重大事実を認めようとしなかつたがために、取り返しの付かない失敗を招き、日本人民を史上空前のこの災厄に陷れた恐ろしい事実を深く深く顧みられたい。講和條約の達成されない今日、国連協力の義理もなければ、我が国土を原爆の基地とされ、日本人軍隊を作り、大陸諸民族を攻撃する手先とする義理もないではありませんか。そうしてまで外国政府の歓心を買う必要がどこにありますか。よく御覧なさい。(笑声)我が国内には、あり余らないにしはも、どうかこうかやつて行ける資源もあれば、政治の基礎が人民のためであれば、働き抜く多数な人間の力も湧き立つことも保証付きであります。七十歳を超えられた吉田君、(笑声)大悟一番、原爆の危險に立つておる我々国民のために、人間世界の正義と人道という広大なる立場に立ち、原爆使用の反対を世界に宣言し、世界平和と進歩との大道を確保する世界的な努力に参加協力する決意を明示することはできませんか。現内閣の最高唯一の責任者としての吉田君の所信を国民大衆の前にどうぞ明らかにして下さい。(拍手)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(吉田茂君) お答えをいたします。
 原子爆弾に関するトルーマン大統領の談話なるものが如何なるものであるか、私は原文を見ないからお答えができないのであります。たとえ原文を見たとしたところが、アメリカ大統領の談話についてのかれこれの批評は私は差控えます。(拍手、「答弁にならん」と呼ぶ者あり)
   〔細川嘉六君発言の許可を求む〕
#20
○副議長(三木治朗君) 何ですか。
#21
○細川嘉六君 再質問をいたしたいと思います。
#22
○副議長(三木治朗君) まだ五分ばかり残つておりますからその範囲で……。
   〔細川嘉六君登壇、拍手〕
#23
○細川嘉六君 只今の(「頑張れ」「やり直せ」「もうよし」と呼ぶ者あり)私の質問に対して、吉田君の御返答は、私は満足することはできません。何が故に総理大臣として、外務大臣として、この世界人道にとつての大問題である原爆使用に対して意見が言われたいのでありますか。(「そうだ」と呼ぶ者あり)如何なる国際條約に我々縛られておるか。人道上の大観点に立つて卒直にものを言うことはできる筈である。(「その通り」と呼ぶ者あり)先日も衆議院の委員会において、吉田君は外務大臣としてこれに対して意見は述べられぬと言いました。これは何事でありますか。我々は占領下にある。併しながらこの人道的立場に立つて、ものを言えないということはない筈であります。(「そうだ」「その通り」と呼ぶ者あり)朝鮮の国防大臣は、原爆をどうか朝鮮で使つて下さいという全く恐れ入つたことを述べていることは、新聞において皆さん御存じであります。(「人類の敵だ」と呼ぶ者あり)吉田君がこの問題について何も言えないということは、李承晩だとか、蒋介石だとか、こういう人たちの運命を迫るというその肚を持つておるということになりはしませんか。(「暴論を吐くな」「暴論じやない」と呼ぶ者あり)我々はこういうことをさせたくない。日本国民をこういう政治の下に置きたくない。(「その通り」と呼ぶ者あり)堂々としてこの大問題についで国民に訴え、世界に訴えるということができぬ筈があるか。(「そうだ」「その通り」「総理の考えはどうなのか」「答弁無用」「新聞のことを聞いているのじやない」と呼ぶ者あり)
   〔国務大臣吉田茂君登壇、拍手〕
#24
○国務大臣(吉田茂君) 答弁は前言の通りであります。(拍手)
     ―――――・―――――
#25
○副議長(三木治朗君) 日程第一、興農政策推進に関する決議案(赤澤與仁君外二十九名発議)委員会審査省略要求事件)を議題といたします。
 本決議案につきましては赤澤與仁君外二十九名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発言者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#26
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。赤澤與仁君。
   〔赤澤與仁君登壇、拍手〕
#27
○赤澤與仁君 只今上程せられました興農政策推進に関しまする決議案の提出案理由の説明を簡單に申し上げます。先ず決議案を朗読いたします。
   興農政策推進に関する決議
  農業がわが国民経済の基盤たることは何人も疑ひを容れぬところである。従つてこれが振興を図ることはわが国経済自立上極めて肝要であるばかりでなく、国民経済の推移にも即応し、国内食糧にいささかの不安をなからしむるために、その増産確保を期することは特に必要であつて、先に政府が食糧の一割増産をしよきしたのも、ここに基因したことと思はれる。
  しかるに、政府施策の現状は、食糧増産を可能且つ容易ならしめるためにはなほ甚だ不十分であつて、農業部門における災害復旧は勿論、積極的な農業生産力増強施策において速急その充実を図るべきことが極めて多い。ことに、第七回国会において焦眉の急務として本院の決議した「農業金融の疏通並びに農業協同組合の育成強化」に付て未だにわれわれの首肯し得べき成果を見るに至らず、且つ又、第八回国会後になされた「救農国会」の早期召集要求に対しても、これに応える措置が見られないことは、誠に遺憾である。政府はよろしく以上の点に鑑み速やかに農業の振興について万全の措置を講ずべきである。
  右決議する。
 農村及び農民の窮状見るに忍びず、我々同志相図りまして、第五回国会において食糧増産確保に関する決議案を、又第七回国会におきまして農村金融の疏通並びに農業協同組合の育成強化に関する決議案を提出し、幸い各位の御賛同を得たのでありますが、二回に亘る決議にも拘わりませず、政府当局の誠意に見るべきものがなく、今日に立ち至つておりますことは、少くとも院議を無視するも甚だしいと申さねばなりません。(拍手)我々はここに重ねて興農政策推進に関する決議案を提案せねばならない政府の態度に対しまして、遺憾の意を表せざるを得ないのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり、拍手)
 申すまでもなく、我が国経済の樹立を図るためには、国内食糧の自給度を高め、天然資源に乏しい国といたしまして、諸工業の原材料を輸入に抑ぐべく、食糧輸入を減ずるにあることは論を待たないところでありまして、国内食糧にいささかの不安もこれをなからしむるために、日本農業の脆弱な特殊性の中にその増産確保を期さなければなりません。そのためには農家自身の創意と努力に期待するところ大なるものがあるのであります。これにも増して十分にして且つ必要なところの諸施策が国家の手によりまして速かに講じられなければならないのであります。然るに政府の施策は、これを農民に遂行せしめますためには余りにも不十分であると申さねばなりません。即ち農業は私企業なる命題の下に自己の創意と危險負担において経営がなさるべきもので、国家の保護助長政策に依存すべきではないとして、従来の数多くの奨励助成政策が打切られ、今日に及んでおるのであります。現状を以ていたしますれば、増産はおろか農業生産は減退の一路を迫るのではなかろうかと深く憂うるものであります。繁栄せる今日のアメリカ農業におきましても、他に幾多の事由があつたでありましようが、戰前ニユーデイールの政策の保護助長があずかつて力があつたことは見逃せない事実であります。
 即ち農民をしてこの国家の要請でありまする増産確保を遂行せしめますためには、金融、災害、生産手段等に、国家の財政力をバツクといたしました諸施策が、農民の創意と努力と相待つて、速かに且つ十分に探られなければならないことであります。救農臨時国会召集の要求がなされたことも、よつて来たるゆえんはここにあつたのであります。漸くにして開かれました本臨時国会は、興農に値する政策は病虫害防除施設を除いて見るべきものはなく、興農を口にいたしました政府に期待するところが大でありましただけに、一抹の淋しさを感じますと共に、甚だ遺憾に存ずる次第であります。農林委員会におきましては、十二月四日「農林漁業金融特別会計に関する申入」「農業共済組合聯合会事業不足金整理に関する申入」「農作物防疫緊急対策に関する申入」などを政府に対していたしておる次第であります。又第七回国会におきまして農業金融の疏通と農協の育成強化の決議に対しまして、その推移を見てみますれば、農業金融につきましては、需要額百五十億に対しまして、僅かに六十億の資金を特別会計で融資する構想が練られておるようではありまするが、これは問題が解決されたのではなく、多くの問題を将来に持ち越し、日暮れて尚未だ道遠しの感なきを得ません。更に農業生産を合理化いたし、その能率を上げるためには、農民の結集体でありまする農協の育成強化が不可欠の問題であるにも拘わりませず、これに対しましては何らの措置が講ぜられず、ただ国、地方を通じて検査員の増員を以て終つておるのであります。今日農村におきましては、米価の問題、農業再生産、殊に積雪寒冷地の生産高揚の問題、土地改良並びに災害復旧の問題、供出制度の在り方の問題、農産物支持価格の問題、農協育成の問題、農村金融の問題等々、これら数多くの一連の問題の解決なくして食糧増産の確保は期し得られないところでありまして、これが方途に関しましては、本議場におきまして、又農林委員会におきまして、同僚各位と政府当局との間の質疑応答によりまして、問題の所在点はほぼ明確になつておるのでありまして、政府に対し速かに農村振興のために強力なる施策の樹立実行に強く要求するものであります。
 政府が念願とする主食統制撤廃にいたしましても、政府の努力すべきことは統制撤廃を可能ならしめる客観的状態の醸成にあるのでありまして、その醸成は取りも直さず農民への食糧増産確保の政策でなければなりません。ここに我々をして四たびもかくのごとき決議を繰返す必要の生じないように、特に廣川農林大臣に切望いたしまして、提案理由の説明といたします。(拍手)
#28
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#29
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#30
○副議長(三木治朗君) 日程第二、地方財政の緊急対策に関する決議案(岡本愛祐君外十四名発議)(委員会審査省略要求事件)を議題といたします。
 本決議案につきましては岡本愛祐君外十四名より委員会審査省略の要求書が提出されております。発議者要求の通り委員会審査を省略し、直ちに本決議案の審議に入ることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#31
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。よつてこれより発議者に対し趣旨説明の発言を許します。岡本愛祐君。
   〔岡本愛祐君登壇、拍手〕
#32
○岡本愛祐君 只今議題となりました地方財政の緊急対策に関する決議案につきまして、発議者たる地方行政委員会に所属する委員全員を代表いたしまして提案理由の説明を申上げます。
 先ず決議案の案文を朗読いたします。
   地方財政の緊急対策に関する決議
  地方財政委員会委員長は地方財政委員会設置法第十三條の規定に基き十一月二十五日及び十二月二日附地方財源追加増額に関する意見書を国会に提出し、地方財政の現況にかんがみ昭和二十五年度において地方財政平衡交付金八十八億一千二百万円の増加交付方を要望して来た。
  さきに政府は地方税法、地方財政平衡交付金法等により地方財政制度に画期的の改革を加え、地方財政を充実強化し、民主政治の基盤たる地方自治の確立を図つた。
  然るに政府は昭和二十五年度補正予算案において僅かに平衡交付金三十五億円の増額を計上するに過ぎない。
  かくて地方財政委員会委員長の意見書に述べるが如く地方財政の円滑な運営に重大な支障をきたし地方自治の危機を招来するものと認める。
  よつて政府は速やかに地方財政平衡交付金の再度の増額、地方債発行額の大幅の増加その他適当の財政措置を講じもつて地方財政の窮乏を救済すべきである。
  右決議する。
 以上であります。
 地方財政を確立いたしますことは、地方自治を確立する第一の條件であり、地方自治の確立なくしては真の意味における民主政治の完成を望み得ないことは、我々一同が確信いたしておるところであります。国会におけるあらゆる審議は、ひとえに我が国における民主主義、民主政治の完成を目標にいたしておるのであり、この意味において地方自治を推進することは国会政治について重大な前提となるものと思うのであります。
 かくて私どもは地方財政の諸問題については特に重大な関心を寄せざるを得ないのでありますが、昭和二十五年度補正予算に関連いたしまして、ここに本決議案を提出いたしまして、政府を鞭撻し、その反省を要望するに至りましたことを誠に遺憾とするものであります。
 従来地方自治と称するも地方自治の実体はなく、地方財政と称するも実は国の財政の附属物に過ぎなかつたのが、我が国における明治以降の実情でありました。新らしい地方制度によりまして、この事情は大いに改められることになりました。けれども、過去の伝統は直ちに完全にぬぐい去ることはできません。又戰時中の国家財政中心の諸制度或いは諸候件も未だにその伝統を引いて、地方財政に暗い影を投げかけているのが現実の姿であります。国と地方とは相互いに協力協同いたしまして、ここに初めて完全な国政を期待し得るものでありますから、この二つのものが対立抗争するような事態は最も望ましからぬことであり、このような事態に至ることのないように、政府も地方公共団体も極力戒しめることが必要であります。
 政府は先に新地方税法、地方財政平衡交付金法、昭和二十五年度における災害復旧事業費国庫負担の特例に関する法律等を国会に提出いたし、本年度よりその実施を見まして、着々地方自治の確立を図りつつあると言つておるのであります。ところが昭和二十五年度補正予算措置については、右法律の本旨に反し、地方財政の実情を顧みない態度の窺われることは誠に遺憾であります。よつて我々の所属いたしまする地方行政委員会におきましては、すでに去る十月二十五日、全会一致を以ちまして地方財政緊急対策に関する要望事項を議決し、地方財政の緊念財政需要の増加に対しまして、政府が右法律の趣旨に副い、速かに地方財政平衡交付金、国庫補助金、起債、融資の増額、その他適当の財源措置を講じまして、以て地方自治の確立を期すべきことを強く政府に要望したのであります。
 而して内閣総理大臣の所轄の下にあります地方財政委員会の委員長は、地方財政委員会設置法第十三條の規定に基き、十一月二十五日及び十二月二日附を以て、内閣及び国会に対し、地方財源追加増額に関する意見書を提出いたしまして、地方財政の現況に鑑み、昭和二十五年度において地方財政平衡交付金八十八億一千二百万円の増加交母方を要望して来たのであります。即ち、地方財政委員会の計算によりますと、昭和二十五年度地方財政の需要は合計三百二十三億八千万円の追加増額を必要とすることになつているのでありまして、その内訳の主なものは、経常的経費として、地方公務員の給與ベース改訂による増加四十三億八百万円、年末手当支給に要する経費四十五億二千八百万円、教育職員級別格付基準改訂による増加四億九千百万円、政府補正予算に伴う増加十八億八千万円、平衡交付金決定後法令の改正等による財政需要の増加額十五億九千六百万円、右合計百二十八億三百万円、臨時的経費として、災害復旧公共事業費、災害関係單独事業費、失業対策事業費等の増加額計百九十五億七千七百万円、総合計三百二十三億八千万円の増額を必要とするというのであります。
 これらの増加額の財源措置として、地方財政委員会におきましては、経常的経費の性質を有する部分合計百二十八億三百万円につきましては、既定経費の節約により約四十億円を捻出すると共に、平衡交付金の増額八十八億円の増加交付方を要望しているのであります。尚、臨時的経費の増加分百九十五億円につきましては、地方債の発行額の増加により措置することを適当とする旨の意見を提出しております。然るに御承知の通り政府が補正予算案に計上いたしました地方財政平衡交付金は僅かに三十五億円に過ぎないのであります。政府の見解では、その残りは地方公共団体側の冗費の節約と雑収入等、既定の歳入増で処理することができる、又処理ができなければ事業の繰延べをせよというにあるようであります。
 政府が地方財政に余裕があるという根拠の第一は、国庫の歳出は最近毎年度減少しているのに引替え、地方財政は膨脹している、これは地方の財政のやり方が悪いからであるというのでありますが、これは誤解であります。国庫予算の減少しているのは、債務償還費とか、価格調整費とか、一般の行政に関係のない経費で、インフレ時代の特異の経費が経済の安定するに伴い減少するのによるもので、それを除外した国の歳出、一般行政費は却つて増加しているのであります。又国の予算に対する地方予算の比率が最近のように大きくなるのは適当ではないという政府側の見解でありますが、戰前において、軍事費を除いた国の予算に対し、地方の予算は同額以上であつたのであります。而も地方自治が強化され、新たに六・三制とか、自治体警察、自治体消防等の費用が地方に増加することでありますから、当然比率は地方費のほうが国費よりも多くなつて然るべきであります。
 第二、政府の見解では、地方団体の経費には無駄即ち冗費が多い、即ち職員数が多く、給與が高く、宴会が多くて接待費が濫費され、地方吏員や議員の陳情旅行が多くて、旅費の支出に無駄があるというのであります。この点につきましては我々地方行政委員会におきまして大いに検討いたしました。確かに政府の指摘するがごとき事例も若干はあるのでありまして、かかる冗費は勿論それが少額であつても是認されないのであります。地方公共団体は深く自粛いたしました、節約の余地のある限り支出を緊縮すべきであります。而してこの点につきまして、地方側は緊急対策として、二十五年度において約四十億円の経費節約を予定しているのであります。旅費、接待費の激増は、速かに地方側の自粛に待たなければならないのはもとよりでありますが、実は主として中央官庁の許可、認可、補助金交付、物資、資金の割当等の事務が増加したために、中央官庁への交渉陳情の必要上地方側の上京が増加し、又中央官庁職員の地方視察調査が激増し、饗応を要したことに原因するところが多いのであります。又地方職員の数が多きに過ぎるとの非難、高給であるとする政府側の見解は、盾の一画、例外的なものを見たのでありまして、全体といたしましては誤まりであります。地方自治体は、法令その他中央官庁の指示に基く義務的或いは半強制的な職員の増加に悩んでいるのが実情であります。又給與は国の職員に比して概して低く、若干上廻る例外的の場合はそれ相当の理由があるのであります。要するに地方財政にそれ程大きな冗費があるものではありません。又地方税法の成立が遅れたこと、税額が急に上げられたこと等も、地方財政を窮乏に陷れた原因になつております。尚、政府側の見解によりますと、平衡交付金を増加することは地方財政の国庫への依存性を高めるものであるから、地方はみずからこれを賄うべきであるとする見解があります。併し平衡交付金は單に国庫が恩惠的に地方団体に交付するものではありません。元来地方税と並んで地方独自の財源であつて、ただ地方みずから徴收する代りに国の手で徴收して、地方公共団体の間のでこぼこを調整するものであります。
 以上私共は、所属する地方行政委員会におきまして、地方財政委員会、地方自治片側は勿論、池田大蔵大臣、大蔵省の主計局長等の出席をも求め質疑いたしました。又大蔵省及び地方財政委員会双方から幾多の資料の提出を求めまして検討したのでありますが、地方財政の緊急財政需要約三百二十四億円に対し、平衡交付金の増加は僅かに三十五億円で、地方財政の冗費の節約と雑收入の増加とで以て措置することは到底不可能であるとの結論に到達いたしたのでございます。
 かくのごとくであれば、地方財政委員会委員長の意見書に述ぶるがごとく、地方財政の円滑なる運営に重大なる支障を来たし、地方自治の危機を招来するものと認めます。地方財政委員会の意見書は、それはそのまま地方自治体の血の叫びであると考えてよいと存じます。恐らく皆様方のお手許にもいろいろな方面から地方自治体の悲痛な訴えが通じられていることと存じます。私共の所属する地方行政委員会には、その陳情書が積んで山をなしているのでございます。この故に、政府が速かに地方財政平衡交付金の再度の増額、地方債発行額の大幅の増加、その他適当の財政措置を講じ、以て地方財政の窮乏を救済すべきことをここに強く要望するものであります。
 以上本決議案の提案の理由を申述べ、本決議に対し各位の御賛同をお願い申上げる次第であります。(拍手)
#33
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本決議案の採決をいたします。本決議案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#34
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本決議案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#35
○副議長(三木治朗君) この際、日程第三、訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案、日程第四、判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案、(いずれも内閣提出)以上両案を一括して議題とすることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#36
○副議長(三木治朗君) 御異議ないと認めます。
 先ず委員長の報告を求めます。法務委員会理事宮城タマヨ君。
   〔宮城タマヨ君登壇、拍手〕
#37
○宮城タマヨ君 只今上程されました訴訟費用等臨時措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会における審議の経過並びに結果について御報告申上げます。
 先ず本法案の趣旨につきまして簡單に御説明いたします。御承知の通り現在一般公務員の恩給につきましては、昭和二十五年法律第百八十四号の恩給法等の一部を改正する法律によりまして、昭和二十五年一月分以降は、その給與事由の生じた時期を問わず、六千三百七円ベースに基く恩給額が支給されているのでございます。ところで裁判所の執行吏につきましては、その職務の特殊性により、一般公務員とは異なり、手数料制度をとつております関係上、その恩給は訴訟費用等臨時措置法によりまして、その手数料に対する国庫補助基準額を俸給額とみなして恩給年額を算定することになつております。この基準額は政令によつて定めることになつております。昭和二十五年政令第二十八号によりまして、この基準額は六千三百七円ベースによる七号一千円に引上げられ、昭和二十四年一月一日に遡及して適用されることになり、その当然の結果として、同日以後給與事由の生じた執行吏は六千三百七円ベースによる恩給額を支拂いされているのでございます。併しながら昭和二十三年十二月三十一日以前に給與事由の生じた執行吏の恩給は従来のままに据え置かれており、一般公務員と比べまして甚だしく均衡を失しているわけでございます。それで、これらの者に対しましても、昭和二十五年一月分以降七万一千円を俸給年額とみなして算出した恩給を支給しようというのが本法案の趣旨でございます。
 この改正によりまして、執行吏も一般公務員と同様、給與事由の生じた時期に関係なく、昭和二十五年一月分以降は一律に六千三百七円ベースによる恩給を支給されることになる次第でございます。
 委員会の審議に当りましては、各委員より特に熱心な質疑が行われたのでございますが、その詳細は速記録によりまして御了承願うことにいたしたいと思います。委員会におきましては、討論は省略いたしまして採決いたしました結果、全会一致を以て可決すべきものと決定いたした次第でございます。
 以上簡單ながら御報告申上げます。
 次に判事補の職権の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、委員会の審議の経過並びに結果について御報告いたします。
 この法律は判事補の職権の特例と裁判官の任命資格の特例とを定めたものでございますが、先ず本改正の要点は、第一に、旧裁判所構成法による判事又は検事たる資格を有する者が、特許庁の審判長、審判官等、又は電波監理委員会に置かれる審理官の職にあつたときに、その在職年数を最高裁判所の裁判官以下の各級裁判官の任命資格について裁判所法が定めております年数に通算するについて、法務府事務官の在職年数と同じに見るようにすること、第二に、裁判所法による司法修習生を終えた者が、前に申しました職の外、衆議院若しくは参議院の法務委員会に勤務する常任委員会專門員、同調査員又は衆議院若しくは参議院の法制局参事の職にあつたときに、その在職年数を前同様裁判官の任命資格に関する法定年数に通算するようにすることでございます。第三は、旧裁判所構成法による判事又は検事たる資格を有する考及び裁判所法による司法修習生の修習を終えた者が、前に申しました各種の職にあつたときに、その在職年数を、この法律の特例によりまして、当分の間、判事と同じ職権を行い得る判事補として指名されるに必要な年数に通算するについて、法務府事務官の在職年数と同じに見るようにすることでございます。
 以上申しました各職は、その職務内容がいずれも準司法的乃至法律專門的なものでございますので、その在職年数を法務府事務官の在職年数と同様に通算することは相当のことと存ずるのでございまして、これによりまして、裁判官に任命できる者の範囲及び判事と同じ職権を行い得る判事補として指名できる者の範囲を拡げて、以て裁判官の充実に資すると共に、裁判官とこれらの職との間の人事の交流をより円滑にならしめようとするものでございます。
 委員会におきましては愼重に審議いたし、討論は省略の上採決いたしましたところ、全会一致を以て可決すべきものと決定いたしました。
 右御報告申上げます。(拍手)
#38
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより両案の採決をいたします。両案全部を問題に供します。両案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#39
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて両案は全会一致を以て可決せられました。
     ―――――・―――――
#40
○副議長(三木治朗君) 日程第五、毒物及び劇物取締法案(内閣提出)を議題といたします。先ず委員長の報告を求めます。厚生委員長山下義信君。
   〔山下義信君登壇、拍手〕
#41
○山下義信君 只今議題となりました毒物及び劇物取締法案につきまして、厚生委員会における審査の経過並びに結果の大要を御報告申上げます。
 青酸カリのような毒性の強いもの、苛性ソーダのごとき劇性の強いものに対しまする取締方法といたしましては、現行法に毒物劇物営業取締法というのがあるのでございますが、現行法におきましては、それらの業者の資格等につきましては、單なる届出或いは都道府県の知事の許可があれば販売ができるという程度でございまして、又貯蔵、陳列等の取扱につきましても基準がありませず、又取締の対象が單に営業者のみでございまして、営業者でない取扱者等は法の対象外に置かれてありますので、従いましてこれらの毒物劇物が、工場、事業場等から横流れになりまする弊害があり、或いは兇悪犯罪の手段に用いられる等の弊害がございますので、今回新たに毒物及び劇物取締法を制定いたしまして、現行法の欠陥を補いまして、以てこれらの取締を完全にいたそう、こういう趣旨で政府提案の理由に述べられてあるわけでございます。従いましてこの法案におきましては、すべて製造業者、輸入業者、販売業者に登録制をとりまして、製造業者、輸入業者には厚生大臣に都道府県知事を経まして登録させるようにいたします。又販売業者は直接都道府県知事に届出をいたしまして、その登録を受ける、こういうことに相成つております。登録につきましては、手数料といたしまして、厚生大臣の登録を受けまする者は千円、都道府県知事の登録を受けまする者は五百円という手数料を納付させます。又これらの営業者以外の者に対しまする販売及び授與等につきましては、法の第十四條等を以ちまして制限を加えます。又十八歳以下の少年でありますとか或いは欠格者等につきましては、これらの毒物劇物を交付してはならぬというような禁止條項も法の第十五條に設けまして、又製造、輸入、販売、貯蔵、混入、容器、被包、表示等に基準を設けまして、その取扱い方を定めたのでございます、特に毒性の甚だしい四エチル鉛等につきましては、別に政令でそれらの取扱基準を設けることに相成つております。
 尚この法案によりまして、これらの営業者は事業管理人というものを置きまして、毒物劇物の取扱に関する実務を管理させることに相成つておるのでございます。尚これらの取締を嚴重に励行いたしますために、毒物劇物の監視員はそれらの営業者の営業所その他に立入検査をすることのできるように相成つておるのでございまして、これらの本法の規定に違反いたしました者は、処分といたしまして、その登録を取消すことができるように相成つております。尚これらの規定に違反いたしました者につきましては、それぞれ罰則が設けられてございまして、或いは法の第二十四條におきましては三年以下の懲役、五万円以下の罰金、或いは軽きに従いまし法第二十五條におきまして五千円以下の罰金等の処罰を受けることに相成つております。且つ又法人その他のものにおきましても両罰規定を設けておる次第でございます。本法案は公布の日から即時施行をいたしたい、こういうことに相成つておるのでございます。但し経過規定といたしましては、一ケ年間を限りまして現在の業者は登録を受けておるものと一応認めて行く、こういうことに相成つております。管理人等の資格等につきましても又それぞれ経過規定を設けられてございます。関連いたしまして厚生省設置法の一部につきましても改正をいたそう、こういうわけでございます。
 これらの毒物及び劇物の種類に関しましては、別表の第一号、第二号に、それぞれ第一号におきましては十一種類、第二号におきましては五十三種類を掲げてあるわけでございまして、尚この別表以外に、厚生大臣が必要と認めました場合におきまして、或いは政令等におきまして、更に追加指定することのできるように相成つておるのでございます。尚、本法案の実施に関しましては別段の新らしい予算を要しない、こういうことでございまして、以上が政府の提案理由の大要でございます。
 厚生委員会におきましては愼重に審議を重ねて参つたのでございますが、詳細は速記録で御覧を願いたいと思いますが、そのうち一二重要なる質疑応答を御紹介申上げますと、深川委員から、本法案は凶悪犯罪を防止するという一つの目的があるが、單にこの提案された原案によつては防犯上についてはいささか不備であるというように思われる、もつと嚴重な、或いは警察の証明がなければ営業者以外はこれを買取ることができないというような規定を設けてはどうか。これに対しましては、政府から十分その点は運用上省令等を以て考慮する、かような答弁がありました。尚、藤森委員からは、現行法におきましては、営業者はいずれも都道府県知事の許可を受ければいいようになつておるが、改めて厚生大臣に登録しなければならないというような、中央にこれらの手続を持つて来るということは、それぞれ地方に仕事が委讓されておる方向の今日において逆行ではないかという質疑があつたのでございますが、併しながら実際に製造業者やその他の営業者が数府県に亙つております実情に鑑みまして、厚生大臣に登録せしめることが適当である、且つ又それらの対象は数の少いことであるから、一括して厚生大臣に登録させることが適当であると、かような政府の答弁でございました。尚且つ一委員からいたしまして、事業管理人という專門家を、即ち薬剤姉でありますとか、或いは応用化学の勉強をしたとかいつたような毒物劇物に対しまして知識のあります者を、それぞれの事業場におきましては事業管理人として置かなければならない、それらにこれに関するところの実務を盡くやらせることになつておる、ところが本法の規定に違反しましたときには処罰を受ける、この処罰は誰が受けるかということになりますと、登録を受けた業者自体が受けるということになりまして、事業管理人と業者の登録を受けましたものとの間の関係はどうするかという点の質疑があつたのでございますが、この全責任は登録を受けました営業者自体にあるわけでございますので、処罰の対象は当然業者にあるわけでございますが、尚、事業管理人の責任等につきましても今後十分政府当局はそれらについて考究をいたす、かような答弁でございました。
 かくいたしまして質疑を終了いたしまして、討論に移りました結果、格別な発言もございませず、採決に入りましたるところ、全会一致を以ちまして、本法案は可決決定すべきものと確定をいたしました次第でございます。
 以上簡単でございまするが御報告申上げます。(拍手)
#42
○副議長(三木治朗君) 別に御発言もなければ、これより本案の採決をいたします。本案全部を問題に供します。本案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#43
○副議長(三木治朗君) 総員起立と認めます。よつて本案は全会一致を以て可決せられました。
 本日の議事日程はこれにて終了いたしました。次会は明日午前十時より開会いたします。議事日程は決定次第公報を以て御通知いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時三十一分散会
     ―――――・―――――
○本日の会議に付した事件
 一、在外公館等借入金の支拂に関す
  る緊急質問
 一、原子爆彈の使用等に関する緊急
  質問
 一、日程第一 興農政策推進に関す
  る決議案
 一、日程第二 地方財政の緊急対策
  に関する決議案
 一、日程第三 訴訟費用等臨時措置
  法の一部を改正する法律の一部を
  改正する法律案
 一、日程第四 判事補の職権の特例
  等に関する法律の一部を改正する
  法律案
 一、日程第五 毒物及び劇物取締法
  案
ソース: 国立国会図書館
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