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2000/03/21 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会公聴会 第1号
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2000/03/21 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会公聴会 第1号

#1
第147回国会 国民福祉委員会公聴会 第1号
平成十二年三月二十一日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任   
     野間  赳君     中島 啓雄君
     水島  裕君     斉藤 滋宣君
     森田 次夫君     森下 博之君
     伊藤 基隆君     佐藤 泰介君
     石田 美栄君     柳田  稔君
     松崎 俊久君     浅尾慶一郎君
     須藤美也子君     井上 美代君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                久野 恒一君
                斉藤 滋宣君
                中島 啓雄君
                南野知惠子君
                森下 博之君
                浅尾慶一郎君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   公述人
       上智大学法学部
       教授       堀  勝洋君
       日本経営者団体
       連盟常務理事   成瀬 健生君
       一橋大学経済研
       究所教授     高山 憲之君
       年金実務センタ
       ー代表      公文 昭夫君
       武蔵大学社会学
       部助教授     国広 陽子君
       税理士
       女と男が平等に
       働くための制度
       改革をすすめる
       会代表      山崎 久民君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四
 十五回国会内閣提出、第百四十六回国会衆議院
 送付)(継続案件)
〇年金資金運用基金法案(第百四十五回国会内閣
 提出、第百四十六回国会衆議院送付)(継続案
 件)
〇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会公聴会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十七日、伊藤基隆君、石田美栄君、須藤美也子君、松崎俊久君、水島裕君、森田次夫君及び野間赳君が委員を辞任され、その補欠として佐藤泰介君、柳田稔君、井上美代君、浅尾慶一郎君、斉藤滋宣君、森下博之君及び中島啓雄君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 本日は、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案につきまして、六名の公述人の方々から御意見を伺います。
 御出席いただいております公述人は、上智大学法学部教授堀勝洋君、日本経営者団体連盟常務理事成瀬健生君、一橋大学経済研究所教授高山憲之君、年金実務センター代表公文昭夫君、武蔵大学社会学部助教授国広陽子君、税理士・女と男が平等に働くための制度改革をすすめる会代表山崎久民君、以上の方々でございます。
 この際、公述人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 皆様には、御多忙中のところ御出席いただき、まことにありがとうございました。
 三法案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を拝聴し、審査の参考にいたしたいと存じます。よろしくお願いいたします。
 次に、会議の進め方について申し上げます。
 まず、お一人十分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えをいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び公述人の答弁とも発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず堀公述人から御意見をお述べいただきます。堀公述人。
#4
○公述人(堀勝洋君) それでは、早速私の意見を申し上げたいと思います。
 お手元に三枚紙のレジュメが配られていると思いますので、それに即して申し上げたいと思います。
 結論から申し上げますと、この法案には基本的に賛成であります。その意味で、一日も早い成立を望んでおります。
 現在、年金制度にとっての最大の問題は年金不安であるというふうに思います。したがって、現在なすべき最大の課題は、年金制度を将来的にも揺るぎのないものとして、国民の老後の生活を確実に保障できるようにすることであるというふうに思います。年金制度を含む社会保障制度は、本来、国民の生活不安を解消し生活を安定させるものであるのに、その制度自体に不安感が持たれていることほど矛盾したことはないのではないかというふうに思います。
 年金不安の内容でございますが、これは御承知のように、将来年金がもらえなくなるのではないかとか、あるいは今払っている保険料に見合う年金がもらえないのではないかということであるわけです。国民の不安は、将来の急激な高齢化によって年金財政が破綻するのではないかということを国民が肌で感じているからではないかというふうに思います。
 この国民の不安はある程度当たっているというふうに考えておりまして、その理由ですけれども、現在の年金制度は給付水準の点で肥満体質である、それから支給開始年齢がいまだに六十歳であるということなどから、将来の急激な高齢化に耐えられる制度にはなっていないというふうに考えております。
 この法案は、以上述べました問題点の緩和を図り、将来においても保険料を負担可能なものとして年金制度を安定化させようとするものであって、国民の年金不安を解消するための正しい方向を目指していると考えております。
 この法案は、支給開始年齢の段階的引き上げ、厚生年金の給付水準の五%引き下げ、ボーナスからの保険料の徴収、大学生に対する保険料猶予制度の導入、六十歳代後半の在職者からの保険料徴収と在職老齢年金制度の導入などを行うものでありまして、これらの措置には賛成をしたいというふうに考えております。
 しかしながら、既裁定年金の賃金スライドの廃止の措置には疑問を持っておりまして、やはり就労世代の生活水準が向上した場合には、その分を年金額にも反映させるべきではないかというふうに考えております。現行制度の問題は給付水準が高過ぎるのであって、スライドの仕組みに問題があるわけではないというふうに考えております。したがって、賃金スライドを維持し、この維持に要する分給付水準を引き下げるという措置の方が望ましかったのではないかと考えております。
 次に、基礎年金に対する公費負担率を現在の三分の一から二分の一に引き上げるというのは、第一に保険料を負担可能な水準まで引き下げるという点、第二に国民年金第一号被保険者の制度未加入、保険料未納問題を緩和するであろうという点で賛成したいというふうに思っております。したがって、一日も早く財源問題を解決して、引き上げを実現すべきではないかというふうに考えております。
 ただし、基礎年金の財源を全額公費負担にする社会扶助方式化、いわゆる税方式化は、多くのメリットを持つ社会保険方式を廃止するものであって、反対であります。と申しますのは、社会保険方式は幾つかの点ですぐれている。そこに四点ほど掲げてあります。
 第一ですが、社会扶助方式というのは、貧しい高齢者を救済するという趣旨であると考えておりますけれども、それに対して社会保険方式は、障害とか死亡といったリスク、あるいは老後に備えて保険料を拠出するという自助の精神を制度化するものであるというふうに考えられるからです。
 第二に、社会保険方式では、保険料拠出の見返りに権利として年金を受けることができるという点。
 第三に、社会保険方式では、保険料という独自の財源を確保でき、しかも保険料は国民の生活に直接役に立つということから、保険料の徴収あるいは引き上げに国民の合意を得やすいというふうに考えるからであります。
 第四に、社会扶助方式では、特に現在の財政、経済の状況のもとでは、すべての負担を赤字国債という形で将来に負担を先送りするおそれが大きいわけですけれども、社会保険方式では、その制度内で財政収支の均衡を図らなければならないということから、そのおそれが少ないということであります。
 基礎年金だけではなくて、高齢者の医療とか介護について社会扶助方式化する、すなわち消費税を財源として消費税を福祉目的税化する、そういう提案がなされておりますけれども、以下のような疑問があって、私は必ずしも賛成できないというふうに考えております。
 第一ですが、消費税率を引き上げますと、再び消費需要を低下させて景気を後退させるのではないか。第二に、年金財源を保険料から消費税に転換すると、企業の負担を減らして、その分国民の負担をふやすのではないかという点。第三に、我が国の今後の最大の課題である財政再建の財源をどうするのか。私は、財政再建の切り札は消費税しかないのではないか、消費税を福祉目的税にするとその財源はなくなるのではないか、ここを一番心配しておるところでございます。
 なお、いわゆる税方式化、社会扶助方式化を提案すること自体が、保険料を納めなくても将来に年金がもらえるようになると国民に思わせて、その結果、制度未加入あるいは保険料未納を増加させる可能性があるということに注意する必要があると思います。
 それから次に、現在、国民年金も厚生年金も保険料の引き上げが凍結されておりますけれども、このような措置は必要な負担を先送りし、保険料負担の世代間格差を一層広げるものであるというふうに考えております。また、年金財政を不安定化させて国民の年金不安を増幅しかねないというふうに思います。一日も早く基礎年金の公費負担率を引き上げて、保険料引き上げの凍結措置を解除すべきであるというふうに思っております。
 このほか、今回改正で積み残された問題、すなわち厚生年金基金制度の改革であるとか女性の年金の見直し等についても今後速やかに検討して、年金制度が公平かつ安定したものとなるよう一段と努力することが必要であるというふうに思います。
 ただし、年金財政の危機を国民に訴えて制度改正を図るという手法は、かえって国民の年金不安を招いているという面があるのではないか。私は、今回の改正が実現すれば、二十一世紀初頭までの制度維持は可能であるというふうに考えておりますので、今述べましたような手法というのは当分控えて年金制度の安定を図るべきではないかというふうに考えております。
 最後になりますけれども、厚生年金を廃止、民営化すべきだという意見がありますけれども、これこそ年金不信を招く最大の提案ではないかというふうに考えております。
 サラリーマンにとって従前賃金にある程度見合った年金は必要不可欠であります。また、賃金額に応じた保険料を払った以上、賃金額にある程度応じた年金を受け取れるはずだとサラリーマンは考えているというふうに思います。厚生年金を完全に廃止して民営化すれば、スライドを行うのが困難になるとともに、多くの中小企業のサラリーマンが基礎年金だけで暮らさざるを得なくなるという事態になります。今回改正によっても年金財政の安定を図るのが困難であるというのなら、厚生年金の廃止、民営化という国民の不信を招く方法ではなくて、国民の合意を得て給付水準を見直すことによって対応すべきではないかというふうに考えております。また、民営化の提案というのは積立方式の私的年金が望ましいということでありますけれども、そういうことであるならば、厚生年金基金制度を抜本的に改革して、その普及を図るという方法によるべきではないかというふうに考えております。
 以上でございます。
#5
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、成瀬公述人にお願いいたします。成瀬公述人。
#6
○公述人(成瀬健生君) 日経連の成瀬でございます。
 基本的にこの法案に賛成の立場から、特に一日も早くないしは一刻も早く成立をさせていただきたいという立場から御意見を申し上げたいと思います。
 私どもが今の状況の中で念頭に置かなければならない大きな幾つかの問題がございますが、日本の年金制度、基本的には外国とそう遜色ない水準になってきている中で、現在、少子高齢化の急速な進行がございます。年齢構成は大きく変わってきておるわけでございます。
 さらに、我が国の経済はバブル崩壊後の低迷から抜け出しておりません。今後抜け出したといたしましても、成熟化した経済でございますので、経済成長がそう大きなものになってくるというふうには一般的に考えられないのではないかと思います。
 また、国際的に大競争時代のもとで、国際競争にさらされる企業といたしましても、負担の大きいコストの増大というふうなものは大変国際競争上の問題もあるということでございまして、できるだけ効率的なスリムなものにしていく必要があるのではないかと思っておるわけでございます。
 現在の社会保障の負担を見てまいりますと、厚生年金、健康保険、雇用保険、労災保険、今度介護保険も始まりますが、その中で厚生年金の負担は突出して大きいものでございます。
 日経連はかねてから、国民負担率を五〇ないし四〇%以下、これはかつての土光臨調のときの数字を倣っているものでございますが、その程度に抑制し、自助と共助と公助のバランスのある中福祉中負担の実現が最もよろしいのではないかと考えてまいっておるところでございます。
 そして、公的年金につきましては、現行の年金給付水準を維持したままでは将来の保険料率が高くなり過ぎるという状況を考慮いたしまして、その点も含め、月収の二〇%を超える年金料負担は到底耐えがたいのではないか、したがって給付水準の見直しは避けられないと主張してきております。
 日経連は、公的年金の改革に関しまして平成十年の九月に提言を行い、その中で、基礎年金部分についてはこれを全額税方式とし、現行の保険料負担を目的間接税財源とする点、それから、二階の報酬比例部分を積立方式に転換するということを提言してまいりました。
 企業年金に関しましても、同年五月に提言をいたしまして、抜本改革、自己責任のもとでの労使合意による柔軟な制度設計、ぜひそうしたものが必要だと。そして、税制の中立性の確保、さらに確定拠出型年金制度の創設などをお願いしてまいったわけであります。
 年金制度を支える幾つかの重要な基盤が大きな転換点を迎えておる状況の中で、負担と給付のバランスを図って長期安定的に持続できる年金、このために抜本的な改革を行うべきであると認識しております。
 以上が総論でございますが、各論に入らせていただきます。
 まず、厚生年金の報酬比例部分の五%適正化の問題でございます。
 日経連は、先ほど申し上げましたように、厚生年金の保険料率を月収の二〇%以下にすべきだと、目指しておるわけでございますが、その達成のためには一階と二階を組み合わせた水準を、二、三十年かけてでございましょうか、現在の二、三割程度削減する必要がある。そのうち、一階部分の給付水準は、基礎的費用を賄う水準として、移行時は現行水準程度とする。したがって、二階の報酬比例部分につきましてはかなり大幅な水準の訂正が行われなければならない、中長期的に見てでございますが、考えておりまして、改正法案における五%適正化というのはこの方向に沿ったものだというふうに考えております。
   〔委員長退席、理事山崎正昭君着席〕
 次に、スライドについてでございますが、基礎年金、厚生年金の額について、法案では六十五歳以降原則として賃金スライドを行わない、物価スライドにとどめるとなっております。この措置は、現役世代と受給世代の負担と給付のバランスをとるための措置であり、やむを得ないというふうに考えております。
 第三は、報酬比例部分の支給開始年齢の引き上げでございます。
 改正案では十三年後の平成二十五年から、女性はその五年後から、報酬比例部分の支給開始年齢を段階的に六十五歳に引き上げることとなっておりますが、現行制度での世代間の負担と給付のアンバランスを是正する必要があること、今後も少子化が続きまして、平均寿命がさらに延びる見込みのあること、これは予想外に進む可能性もありそうな気配でございます、元気な高齢者が多くなっていることなどの点も踏まえまして、今回の法案のような支給開始年齢の引き上げは必要だと考えております。
 第四に、六十歳代後半の在職老齢年金の導入についてでございますが、賃金や報酬が高い者に年金が満額支給されるということにつきまして現役世代の理解が得にくいということであれば、やむを得ない措置であるかなと考えておるところでございます。
 このように、日経連としましては、今回の改正法案の重要な改正点について基本的に賛成でありますが、幾つかの問題点もあると認識をいたしております。
 まず、国民年金についての半額免除制度の導入と学生に対する保険料納付特例の創設でありますが、この措置は一歩前進であるとは思いますが、これによって国民年金の空洞化問題の抜本的な解決策になるとは考えられません。できれば、一階基礎年金については現在の保険料負担部分を目的間接税を導入した全額税方式、それが根本的な解決策ではないかと考えておりますし、そういたしますれば、働く女性から指摘されている専業主婦の問題も解決されるのではないかと思います。
 育児休業期間中の厚生年金保険料の事業主負担の免除についてでありますが、これはかねてから我々がお願いを申し上げているところでございます。
 また、改正法案では、平成十五年から総報酬制の導入ということになっておりますが、総報酬制には日経連は反対の立場をとらせていただいております。
 賞与は必ずしも安定財源ではないわけでございまして、総報酬制を導入いたしますと、そうした点から、優良企業とそうでないところの格差の拡大でございますとか、または退職金制度を今賞与に上乗せして前払いしようというふうな動きがございますが、こういうふうな動きに非常な混乱を起こすことが考えられるからでございます。
 また、厚生年金基金などの企業年金についてでございますけれども、巨額の積み立て不足に悩む企業が多くなっております。さらに、国際会計基準の導入等で積み立て不足額のバランスシートへの計上などが言われておりまして、大変深刻な問題となっております。
 そんなことも含めまして、日経連といたしましては厚生年金基金の代行部分の国への返上をお願いするというふうなことをしておるわけでございまして、さらにそれによって厚生年金基金から適格年金への移行でございますとか、そうした比較的柔軟な、税の中立性も含めた措置をとっていただければというふうに考えているところでございます。
 同様に、確定拠出年金法案につきましては、ぜひ早期に成立をお願い申し上げたいというふうに思っておるところでございます。
   〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕
 もう一つ、厚生年金基金に関する当面の諸課題でございますけれども、厚生年金の保険料率一七・三五%の凍結の中で免除保険料率と最低準備金の凍結が行われているわけでございますけれども、厚生年金基金の財政が悪化していく中で、この解除後に一体どうするかという問題をぜひ示していただきたいというふうに厚生省にはお願いしなければならないと思っているところでございます。
 また、資産運用や事業運営の規制緩和については賛成でございますし、さらに、大変重要な点でございますが、上場株式の現物拠出につきましても積み立て不足に対応する大変重要な手段だと思っておりますので、ぜひよろしくお願いを申し上げたいというふうに考えております。
 以上、申し上げましたが、基本的に私どもはこの改正に賛成でございまして、今回の改正法案を通常国会において一刻も早く可決、成立させて、今申し上げました一階の国庫負担二分の一という第一のステップ、これを引き上げていただきまして、さらにできるだけ早い段階で全額税方式への転換も視野に入れていただきまして、一日も早いあるいは一刻も早い成立をお願い申し上げたいと思います。
 御清聴ありがとうございました。
#7
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、高山公述人にお願いいたします。高山公述人。
#8
○公述人(高山憲之君) 一橋大学の高山でございます。本日は公述人として意見を陳述する機会をお与えくださり、大変光栄に存じます。
 以下、四点に絞りまして意見を申し上げます。
 一番目、高齢者をめぐる雇用環境は依然として厳しく、今後とも好転する見通しは立っていないということでございます。
 男性六十歳代前半層の雇用環境は、有効求人倍率あるいは就職率等の指標で見ましても、殊のほか厳しい状況が続いております。この点は日本経済が絶頂期であったバブルの時期においても実は大差がなかったわけでございます。
 定年を六十五歳に引き上げるという案がございますけれども、それは他方で組織の新陳代謝をおくらせ、青壮年層のやる気をそぐばかりか、女性や若者の雇用を抑制しかねません。
 受給開始年齢を六十五歳へ引き上げますと、六十歳代前半層の雇用環境は一層悪化するおそれが強く、またたとえ働き続けることができましても、彼らの収入は低下するおそれが強いと思います。雇用環境悪化ということは、在職老齢年金、実はこれは事実上企業に対する雇用補助金としての機能がございますが、この機能が弱まるわけでございまして、その結果労働力需要が減退してしまうということです。他方で、供給圧力が高まる中で雇用状況、雇用環境が悪化するということでございます。
 なお、厚生省が示した財政収支見通しによりますと、報酬比例部分の受給開始年齢を六十五歳へ引き上げることに伴う男性六十歳代前半層の雇用増は、二〇二五年時点において二、三%、絶対数で約五万人前後にすぎないことが示されておりまして、支給開始年齢を引き上げても雇用促進ということにはつながらないということを厚生省みずからが認めているような結果になっているということをぜひ御理解いただきたいと思います。
 二番目、総給付費を抑制する際には、まずだれに譲ってもらうかということを議論する必要があると存じます。
 年金給付を調整する際にはまず隗より始めよという考え方を重視せざるを得ません。これは民間企業の場合、経営状況が苦しくなりますとまず役員の賞与をカットする、あるいは役員の数を減らす、そういうようなことをした上で、ボーナスについて少しカットをしたり、あるいは月給も下げざるを得ない、場合によっては希望退職者を募るというようなことをやるわけでございます。
 年金の総給付費を抑制するということは、今の法律の中に規定されているものの一部を少なくする、当然個々の当事者で言えばだれかの年金が減るということを意味するわけでございます。そのときに一体だれの年金を減らすかということでございます。今回、その点の議論が実は必ずしも十分でないのではないかというふうに私は思っております。
 例えば、こういう問題を議論する年金審議会の委員の年金額は将来どれだけ減るんだ、あるいはこれをしかけた年金局長さんの年金はどれだけ減るんだということでございますけれども、その点余り減らないような格好になっているのではないかというふうに私自身は危惧しているわけでございます。
 実は、受給開始年齢の引き上げということをやりますと、六十五歳まで職をつなごうとしてもそれが不可能な人、あるいは職にありつけたとしても低賃金を甘受せざるを得ない人、あるいは四十年以上働き続け、くたびれてしまった人、こういう人たちは六十歳から繰り上げ減額ということにならざるを得ないんですが、結果的にその人たちの年金水準が引き下げられます。他方、六十五歳まで働き口に困らない人には全く痛みが伴わない形なんですね。これはまず隗より始めよという原則に合っているのかどうかということであります。
 あるいは、この問題を最終的に結論を出すことになる国会議員の先生方、皆さんは国会議員互助年金という制度がございますけれども、この制度を将来どうなさるおつもりなのかということでございます。国会議員みずからが自分の年金を減らします、国民の皆さんも御協力くださいという形で問題提起がなされているのかということでございます。この点はいずれ国民の審判が下る話ではないかというふうに私自身は思っております。
 それから、受給開始年齢を引き上げるということの対案として、モデル年金を受給するために必要となる拠出年数を延長するという考え方がございます。現在、その拠出年数は四十年というふうになっておりますが、これを四十五年に延長するという形にいたしますと、結果的に高学歴の総じて月給が高く年金月額も高い人にまず給付を譲ってもらうということになります。
 ちなみに、モデル年金受給のための拠出年数、フランスは四十年でございます。ドイツが四十五年、イギリス、オランダは何と四十九年でございます。なお、フランスは現在この四十年を四十二・五年に延ばすことを検討中でございます。
 厚生年金への加入年齢は学歴によって随分と違っております。高卒の場合は十八歳からでございます。大学院卒は三十歳直前でございまして、最大で十歳以上も開きがございます。要するに、入り口が大分違っているということなんですね。ところが、出口である年金の受給開始年齢を六十にするとか六十五にする、なぜ一律に定める必要があるのかということであります。入り口は大分違っている、出口だけ一緒にしなきゃいけない理由がよくわからないということなんですね。
 三番目の問題に移ります。
 これからは年金受給者にも多少の譲歩をお願いする必要があるということでございます。
 現役で働いている人の数は一九九八年から減り始めました。二十一世紀においても恒常的に減り続けることが予想されております。これは少子化の影響でございます。年収がこの間に上昇するというふうに予想される人たちは、実は今や少数派ではないかというふうに危惧されております。多数派はよくて横ばい、むしろ年収低下になるおそれのある人たちが多いのではないかということがございます。結果として、賃金支払い総額がもう余り伸びていかないということになるのではないかということでございます。
 そうした中で、三十歳から四十九歳層は再分配所得の出し手となってみずからの所得を減らしているのが今日の姿でございます。最近における六十歳以上高齢者の再分配後所得は五十歳未満の年齢階層のそれより高いということがいろいろな統計データによって示されております。お手元の二枚目に参考資料をつけてございます。図一に示されているとおりでございます。
 社会保険料負担は国税負担を既に上回っている。これは実は驚きをもって迎えられる事実でございます。公租公課の中では年金保険料負担が突出して重いということでございます。これも同じようにお手元の資料、図二と図三に示したとおりでございます。
 これからは年をとっても社会保障制度に応分に貢献し続ける必要があるのではないかという点でございます。
 日本の現在の高齢者、これは戦中戦後の苦しみを耐えてきた人でございまして、彼らの献身と努力によって今日の豊かさがもたらされたというふうに考えております。彼らが子供や孫のためにみずからを犠牲にすることを惜しまなかった、こういうことが今日の繁栄につながっているというふうに私自身は考えております。
 ところが、現在彼らがその子供や孫のためにと言っていた子供や孫、これは今、不況のあらしの中でボーナスをカットされ、月給をカットされ、雇用リストラの対象となっております。現在の年金受給者、自分たちの子供や孫がどうなっているかということは、実は身近に感じております。知らないわけはございません。ぜひ選挙区へお帰りになって高齢者の皆さんに子供や孫の状況についてお話をなさっていただきたいということでございます。
 私は、今の高齢者は決してグリーディーな人たちだとは思っておりません。子供や孫のために犠牲を惜しまなかった人たちでございます。高貴な心を今もって失っていないと思います。その直観に訴えて多少の譲歩をお願いする必要があるのではないかというふうに考えます。世代間対立を避ける方法は実はこれしかないのではないかというふうに考えている次第でございます。
 四番目、六十歳繰り上げ受給の年金減額率、現在四二%でございますが、これを二五%以下としても保険数理的には中立的だと言い得るということでございまして、これはお手元の表一をごらんになっていただければわかると思いますけれども、基本的には割引率、予定利率だとか物価上昇率等に依存します、あるいは死亡率がどの程度改善するかというようなことによってこの割引率は異なるわけですけれども、最近、厚生年金基金の場合、予定利率を三%前後に設定しているケースが多いわけであります。仮に予定利率三%としますと、この六十歳繰り上げ受給に伴う減額率二五%としても一向におかしくない、中立的だと言い得るということでございます。
 それから、減額率は一歳単位ではなくて一カ月単位で定める必要があるということを最後に申し上げたいと思います。
 以上でございます。
#9
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、公文公述人にお願いいたします。公文公述人。
#10
○公述人(公文昭夫君) 御紹介いただきました公文でございます。
 最初にお話し申し上げたいのは、今回出されている年金改革関連三法案初め公務員関係の共済組合の一部改正案、すべて基本的に反対であるという立場で意見を若干申し上げてみたいと思います。
 私、中央公聴会の公述人ということで出席させていただいているわけですけれども、この公聴会でこれから意見をとにかく十分間お話し申し上げるわけですが、数日前から、本日は公聴会が終わったらこの法案、一気呵成に可決、成立というふうな話がもう既にマスコミを通じて流れています。出口が決まっているのにここに来てしゃべるなんということは全くピエロのようなものじゃないかなというふうに思っておりますけれども、しかし、ピエロにならないように、ぜひこれからの審議、徹底して行っていただきたいということを初めにお願いしておきたいと思います。
 特に国民の声を聞くということを具体的に実施しようと思うならば、中央公聴会だけではなくて、きめの細かい地方の公聴会等も開いて、十分に国民の声を聞くという姿勢を貫いていただくことを最初にお願いしたいと思います。
 そこで、私今度の三法案について、いずれも、国民生活、国民生活の実態や国民生活感情からいっても到底賛成できるものではないということを申し上げましたが、特にその中でも、今回の法案の中で最も重大な問題が欠落しているのではないか、そのことを中心的にお話を申し上げてみたいと思います。
 委員の専門家の皆さん方はもう十分御承知のことで、お目通しをいただいているかと思いましたけれども、改めてここに幾つかの資料を差し上げておりますので、ぜひ御参考に供していただければというふうに思います。
 大変重要な問題というのは何かということなんですけれども、これはもう皆さん御承知のとおり、年金制度の空洞化の問題です。特に、御承知のとおり、国民年金、基礎年金、特に被保険者でいうと第一号被保険者が中心になると思いますけれども、これらの方々の中から極めて深刻な、そして重大な制度の空洞化が発生をしている。これはもう既にマスコミなども十数年前から指摘をしていることなんですけれども、この年金制度の国民年金の部分というのは、もう御承知のとおり、日本の公的年金制度の土台であって、家でいうならばもう一階建ての部分ですから、この一階建ての部分が崩壊をするということになれば、二階建ての部分を幾らいじくろうと年金制度の将来はないということはもうわかり切った話だと思います。
 ここに、ごく最近、一月二十一日ですけれども、政府の主要官庁である社会保険庁が発表をした平成十年度社会保険事業概要というのがあります。この事業概要の中で大変重大な問題が幾つか指摘をされていると思います。
 特にこの年金制度の空洞化の問題に絞って申し上げるならば、皆さんも御承知のとおり、年々、保険料が高くて払えない、生活が苦しいという状態が進行しているということが、一つ具体的な数字としては免除率の上昇ということにあらわれていると思います。このペラ一枚の資料でも書いておりますように、免除率は、平成六年度の一六・八から、十年度の新しい数字によりますと一九・九というふうに、既にこの五年間で三ポイントも上昇をしています。
 特に重大なことは、免除者の中で、生活が苦しくてぜひ免除をしてもらわなければならないということで申請免除を受けておる方々の数がふえているということが大変重要じゃないかというふうに思います。人数で見ましても、既に三百九十九万八千人という大変な数に上っております。前年度に比較しますと四十万人もふえている。前回改正時の九四年度が三百九万人ということですから、五年間で九十万人この免除者がふえているということは極めて深刻な事態ではないかというふうに思います。
 次に問題になってくるのは、未納者、滞納者と言われている人たちの増加です。未納者の現状を示しているのがこの図でもおわかりいただけるように検認率なんですけれども、九八年度は七六・六、前年度から三ポイント下がっている。つまり、検認率の七六・六は御承知のとおり保険料を払った人の率でございますから、したがって払えなかった人あるいは払わなかった人は二三・四%ということになります。そうしますと、国民年金の一号被保険者が九八年度で二千四十三万人ということになっておりますから、その二三・四%ということになりますと、実に四百七十八万人という方が払っていないあるいは払えないという状態に置かれているということが明らかです。同様の計算で前年度の未納者数を計算してみますと約三百九十二万人ということになりますから、一年間で約八十万人近く未納者、滞納者がふえている。
 この事業概要では、未納者の増加について、「当該年度において未納となった保険料は、その後時効にかかるまでの二年間に徴収されることとなる。」なんということを言っていますけれども、こんな保証は全くないんであって、全くとぼけたコメントではないかというふうに思っております。
 ここに、東京土建という左官屋さんあるいは大工さんたちの、建設産業で働いている人たちの公的年金加入の実態を明らかにした調査がございます。これはぜひ国民の生活実態の一つとしてごらんいただきたいと思います。
 この生活実態調査は、約五千人の方、五千五百七十四人の方に配付をして四千八百六十三人の方からお答えが返ってきておりますけれども、これを見ますと、全体として、国民年金にも厚生年金にも加入していないという方々が三〇%を占めているという実態があります。三人に一人は国民年金にも厚生年金にも入っていないということです。
 この理由について、右側に未加入の理由あるいは、これは未加入の中には未納者、滞納者も含まれているというふうに思われますけれども、この方々の理由を聞きますと、掛金が高くて払えないという経済的な理由を挙げた方々が三七%、これは複数回答で、単純に平均してみますと五〇%を超えるという実態があるわけなんですが、公的年金に対する不信感から、もうこんなものに入っていても仕方がないということで加入をしない、あるいは保険料を滞納しているという方が六三%にも達しているということになっております。
 言うまでもないことなんですが、このまま推移をすれば大量の無年金者が発生するということは間違いありません。こうした深刻な現実を放置したまま、雇用実態からかけ離れた支給開始年齢を延ばすだとか、あるいは賃金スライドを凍結するとか、報酬比例部分の年金額を下げるなどといった制度の後退を強要することは、ますます国民の不安を広げ、こういった現実の矛盾を拡大する結果にしかならないというふうに思います。
 その結論として申し上げますと、国民の負託を受けた国会がまずやらなければならないことは、この重大な制度の空洞化にストップをかけることだと思います。既に全与野党が一致して決めている基礎年金の国庫負担割合三分の一を二分の一にすること、それを今すぐやるということが私は重要だと思います。
 この状況を見てみますと、これから五年後にやる、でも、その五年後になって政権がかわっていたらやらないかもしれないなどということでは、今現実にぶつかっている制度空洞化に歯どめをかけるなどということはできないと思っております。この点はぜひこれからの議論の中で徹底的な審議をしていただいて、正しい一定の方向をお出しいただければ幸いだと思います。
 最後に一言申し上げておきたいと思いますが、財源の問題は常に問題になっております。私は、財源はあると思います。問題は使い方だと思っております。
 現に、今の年金には、この資料の中にもありますように、黒字の累積とも言える積立金が二百十七兆円というふうに出されております。資金運用部を通して財投に使われている積立金は百八十兆円とも言われていますけれども、年金総支出額の五・五年分というのは御承知のとおりの実態です。欧米諸国と比べて異常に高いということはマスコミの多くも指摘しています。財政方式を欧米並みに改めて、凍結した積立金を段階的、計画的に年金財源に振り向けるということは十分に可能なことだと思っております。
 こうした本質的な議論も含めて、ぜひこれからも十分な御議論が交わされることを期待するものです。会期末までにまだ二、三カ月あるわけですから、十分に議論をして、国民の声を聞いて、納得のいく法改正をしていただくことを最後にお願いいたしまして、公述を終わります。
#11
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、国広公述人にお願いいたします。国広公述人。
#12
○公述人(国広陽子君) 国広です。
 私は、今回の改正を審議する厚生省の年金審議会のメンバーでもありましたので、この間の改正についての論議というのに参加していたわけですけれども、ちょっと振り返ってみたいと思って、きのう資料を出して振り返りました。そして、今回出ている改正案と、最初に論点整理というのが審議会でされたんですけれども、それとの乖離というものにやはり愕然とせざるを得なかった面があります。
 皆さん御存じだと思いますけれども、年金審議会というのには今女性が三人ですが、その前の時点で、私が委員に入れていただいたときは一人しかいない時期もありました。
 九七年十二月五日に、今から二年半前に発表された「論点整理」での女性と年金ということについては、「制度改正に係る総括的事項」としてこのようなことが整理されました。
 少子高齢化、経済低成長、女性の社会進出など経済社会状況の変化に対応して、年金制度全体を見直す必要がある。この場合、高齢者をめぐる経済状況や個人の人生設計の多様化、家族や就業の形態の変化、男女共同参画を目指した取り組みなどを踏まえた視点に立って制度の見直しを行っていくことが必要になっているのではないかというふうに論点が整理されたわけです。
 そして、今回の改正を論議する過程の中で、昨年男女共同参画社会基本法というのが成立しているわけです。
 ですから、今回の改正というのは、男女共同参画社会を目指した中でどのように取り組まれるかということについて私は審議会の中でも意見を言いましたし、個人としてもそのように考えて期待してきたわけです。
 実態が女性にとって非常に厳しい年金になっているということは皆さん十分に御存じだと思います。特に厚生年金です。国民年金一号被保険者の場合は保険の負担料は男性だから、女性だからという差はないわけですけれども、厚生年金の場合は男性の受け取る老齢年金の女性は半分の金額しか受け取っていないという現状があります。ですから、そのような中で、男女の格差の中で今回の改正が行われれば、女性はまたより厳しい状況に置かれる女性が多いということはおわかりだと思います。
 そして、そういう論点整理はなされたんですけれども、今回の改正案では、女性と年金にかかわるさまざまな課題、女性の年金が低いこととか、離婚の場合、特に比較的高い年齢で男女が離婚する場合、厚生年金は収入の高い男性のものになるわけですので、その妻である特に職業を持っていなかったような女性の場合は基礎年金しかない。それから、職業を持っていた女性であるとしても、非常に収入が低い場合が多いので、老後が不安になるという問題があるわけです。
 そのことも今度の改正には組み込まれなかったし、それからパートタイムで働く女性というのが非常に多くて、パートタイマーには厚生年金が適用されていない場合が多いわけですけれども、その問題も今回先送りになって、恐らくこの委員会でもいろいろ御議論があったかと思いますが、女性と年金のそうしたさまざまな問題については検討会を設けて、これから改正案が通った後議論されるというふうに位置づけられているようです。
 しかし、この問題は本当に私たちにとっては真剣なすぐに何とかよい方向にしてほしい問題で、それは必ずしも女性一般というだけではなくて、私個人としても非常に経験の中から感じてきたことです。
 ちょっと私の例で、非常に卑近な例なんですけれども、私がどんなふうに年金制度の中にいたかということを御紹介したいと思います。
 特に三号被保険者の問題などについて議論をすると、男性の方の中からは、そういうことはとてもいい条件で働いているエリート女性、特に大学の先生のようなそういう人が言うことであって、空理空論であるとかエゴイズムであるというようなことさえ御意見の中にはあります。
 でも、私は今御紹介を受けましたように大学の教員ではありますけれども、大学の教員になったのはたった二年前でして、それまで年金審議会の委員になったときもパートタイマーでした。そのとき非常勤講師という立場だったんですけれども、非常勤講師の期間、五、六年期間はあったと思いますが、年収は二百万円になったことはありません。
 これは、審議会で配られた資料があるんですけれども、女性のパートタイム労働者の年収なんですけれども、一つの山が九十六万から百八万のところ、百三万の壁という税の問題のところにありまして、もう一つの山は百八十万から百九十二万のところにあります。パートタイマーとして多くの女性が働く場合、時給が大体平均八百五十円ですから、そして週五日、六時間ぐらい働いて年収はこの程度に行かないんです。百万程度なんです。そして、それを私の場合は超えていたわけですけれども、大学の非常勤講師、そういう形をやっていましても二百万には行かないんです。二年前に大学に勤めましたので、ラッキーなことに、これは非常に珍しい例だと思うんですけれども、そうしましたら年収が途端に非常に多くなりました。非常に多くなって、男性並みというんでしょうか、そういうのになりました。
 実際には、夫を持つ妻、配偶者のいる女性雇用者の年収分布というのは驚くことに、これも審議会で配られた資料なんですけれども、五十万から九十九万のところに三二・二%がいるという状況です。こういう状況を抱えて私は審議会に出席していましたので、女性と年金とかパートタイマーの年金というものがきちんと改正の中に組み込まれないということに非常にがっかりしましたし、ずっと疎外感を覚えていました。
 しかし、その原因は、女性と年金において、パートタイムの問題とか離婚の際の分割の問題とか、女性の年金自体が非常に低い問題というのは重要であるということは厚生省もある程度は認識していると思うんです、当然のことながら。そして、こういう貴重な資料が出されているんですが、やはり委員の多くが男性なんですけれども、関心をそんなに深く持たれないんだろうと思うんです。そういう問題があると思います。
 男女共同参画社会を目指していく日本の年金のあり方というのは、やはり雇用の男女格差ということに非常に敏感に、それをなくすような方向でそして特に男女の老後生活への安心、これをなくすような方向で取り組まなければ姿勢として間違っていると思います。先送りするような年金の審議のあり方とか、それから審議会の構成のあり方すべてがこの男女共同参画社会基本法を成立させた日本の二十一世紀社会の展望と矛盾しているというふうに感じました。
 こういうことを今さら申し上げる必要もないのかとは思うんですけれども、私自身は、いわゆる女性のM字型就労、つまり子供を産むまではフルタイムで働いて、子供を育てる期間専業主婦と言われる無職の状況になって、そして子供を育てた後はパートタイムで働いて、そして例外的に男性と同じ収入を得るようになったということですけれども。ほとんどの私の友人たちは大学を優秀な成績で出てもパートタイマーとして年収百万前後のところで働いている。こういう社会そのものの矛盾というものをなくすような方向で、すべてにわたって大きく制度改革を、税制もそれから労働に関することもすべて見直すようなことをしなければいけないと思います。
 残念なことにそのことが今回この法案には盛り込まれていないということで、ぜひ議員の皆さんがこの問題についてしっかりと議論なさっていただきたいというふうに思います。
#13
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、山崎公述人にお願いいたします。山崎公述人。
#14
○公述人(山崎久民君) 山崎です。私は基本的に反対の立場から申し上げたいと思います。
 私は、年金の専門家でも学者でもありませんけれども、現場でいろいろ仕事をしておりまして、そこから感じたことを申し上げたいと思います。
 税理士という日々の仕事の中で、女性たちが就労調整をしている実態を現場でずっと見てまいりました。その原因が税金の配偶者控除、配偶者特別控除、それから年金制度、それに給料の配偶者手当にあるということもよく承知しております。私はこれらを総称して就労調整を引き起こす三点セットというふうに呼んでおりますけれども、女性の経済的自立を阻み、男女平等社会の実現の大きな壁になっております。女性が結婚したがらない、結婚しても子供を持ちたがらない、出生率の大幅減少といったことにもつながっていると思います。
 こうした制度をこのまま認めていくことに大変疑問を持ちまして、同じような問題意識を持つ人たちと、NGO、女と男が平等に働くための制度改革をすすめる会を一九九三年に立ち上げることになりました。すすめる会では、独自にシンポジウムを開催したり、本を出版、また会員が講演会や学習会の講師を引き受け日本全国を歩きました。恐らくその回数は優に三百回を超していると思われます。年金、税金等のジェンダー視点から見た問題点がかなり一般的に認識されるようになってきたのは、私たちの活動が大きく寄与したというふうに自負しております。
 そうした仕事を通して、また活動の中で見えてきたこと、考えてきたことを二点ばかりお話ししたいと思います。
 一点目は、自営業者等が加入している国民年金制度と給与所得者が加入している厚生年金等の制度間格差が大き過ぎることへの疑問です。二点目は、女性にとって夫が自営業者か給与所得者かによって取り扱いが異なることへの疑問です。
 まず一点目についてですが、国民年金加入者である一号被保険者と、厚生年金等の加入者である二号被保険者との違いをごく単純化して資料にまとめておきましたので、それをごらんいただきたいと思います。その基本的な違いといいますのは、年金という総枠の量の違いとでも言えるのではないかと思います。一号被保険者は国民年金のみですが、二号被保険者は国民年金を基礎年金としてその上に比例報酬部分という二階建てがあります。それゆえに保険料の額、年金の額に格差が生じているということになっています。
 私自身は実は一号被保険者になるんです。国民年金加入が四十年間で年金の受給額は約六万七千円です。私の場合、六十歳まで国民年金保険料を払ったとしても三十年ちょっとですので、恐らく年金額は五万円前後にしかならないと思っています。仮に四十年間払ったとしても六万七千円ですから、これは生活保護費より少ない金額で到底安心して老後が送れる年金額ではありません。老後を当てにできないのだからと国民年金には加入せず、私的年金や貯金で老後の生活設計を立てている自営業者はかなりいると思われます。
 ところで、日本の社会は経済構造、労働構造が急激に変化しつつあります。終身雇用のサラリーマン中心社会が崩れてさまざまな働き方が出現してきています。一生涯サラリーマンという人たちももちろんいるでしょうけれども、一方で起業し事業者になる人たちも大幅にふえてくるものと思われます。こうした人たちにとっては、働き方が変化するだけではなく、年金も税金も大きく取り扱いが変わります。
 年金制度で具体的に言いますと、比較的恵まれた二号被保険者から、老後を余り期待のできない一号被保険者に変わることを意味します。働き方の違いにより老後保障が大きく違う現行の制度がこのままでよいとは到底思えません。終身雇用のサラリーマン中心の制度そのものを抜本的に見直す必要があると考えています。
 厚生年金等の受給額等を改定することが今回の主たる改正点となっていますが、そのことは大変重要なことで、財政面からも緊急課題であることは十分承知しておりますけれども、将来あるべき全体像がちっとも見えてこないということで、不信感、不安感が増してくるのではないかと思います。
 基礎年金をいずれは税金でという議論があるわけですが、現行の制度がこのままでありますと、私たち一号被保険者にとっては、これは年金保険制度ではなくなるということを意味しています。つまり、生活保護のような別種の福祉となることなので、これは制度の根幹を揺るがす大改正であるということです。直接影響をこうむる一号被保険者を中心に十分な議論がされるべきだと思います。税金で負担することで直接自分の懐から出さなくなるのだからそれでいいだろうというのでは、余りに単純で乱暴な議論だと思います。
 二点目は、国民年金と厚生年金等の制度間格差にリンクした専業主婦やパートで働く主婦の問題です。これも資料に二つほど列挙しておきましたが、主婦にとって夫が一号被保険者か二号被保険者かによって年金の取り扱いが違っています。
 第三号被保険者が保険料を負担すべきかどうかという議論の際に、収入のない者から徴収するのはいかがなものかという考え方が出されていますが、同じようなケースである自営業者の無収入である妻のケースは忘れられています。離婚の場合の年金分割や遺族年金等の議論でも、これは二号被保険者に該当することで、そもそも自営業者の妻は収入があろうがなかろうが保険料を負担し、離婚しても死別しても原則自分の国民年金を受給されるだけです。年金分割や遺族年金の解決いかんでは一号被保険者である女性たちとの格差を以前にも増して広げることになってしまい、これでは女性間同士の対立に拍車をかける結果になるのではないかと思います。そうした意味で、女性の年金に関しても問題になっている部分だけを切り取って議論することに限界を感じています。
 こうしたことを考えますと、どのような働き方、どのような立場で老後を安心して暮らせるかということを考えて制度を模索すべきではないかと思います。その上で、ここからは改正できるというタイムスケジュールを設定していくことを望みます。私なりにそうした視点から幾つか提案をさせていただきたいと思います。
 まず、年金は年金保険制度であるということを確認をしたいということです。保険料を払うということで年金受給と直接リンクする方が受給の権利意識も持ちやすいしわかりやすいということで、そういうふうに考えます。
 次に、厚生年金等の制度は廃止して国民年金に一本化すること、これによって自動的に世帯単位から個人単位の制度に切りかわることになります。現行の年金水準は生活保護費より低いので、これはまずいということで、実際に一人世帯の生活費十六万五千円ぐらいのところ、これを基準に七割前後まで引き上げる。現在の物価水準では最低十万円、最高でも十五万円ぐらいかなというふうに思っています。よく自営業者については所得の捕捉ができないという意見も聞きますが、収入のある自営業者は必ず確定申告をしておりますので、それにリンクさせて保険料を取ることを考えたらいいのではないかと思います。
 国民年金は強制加入ですから、これを一本化することによって自動的に二十になりますと加入することになりますから、随分事務も簡素化できるのではないかと思います。事業主は、こうしますとここの部分の半額負担がなくなりますので、別途に人件費あるいは従業員の数とか適当な基準を設けて保険料を負担し、直接財政に組み込むということもぜひ必要になると思います。
 それ以上に年金を準備したい人の場合は、自己責任で私的年金から自分で選んで加入する。主婦の場合も贈与税の非課税範囲を上手に利用して加入することが可能になってくると思います。
 学者でも専門家でもない、現実面を無視した提案だと思う方もおられるかもしれませんけれども、逆に、私は現場でいろいろな格差を見てきたことを踏まえてこのような方法を考えてみました。
 最後に、年金制度を根幹的に問い直すこと、そこへ向けての改正の具体的可能性を探りながらタイムスケジュールを設定していくべきだということをもう一度強調したいと思います。そして、そのために、今まで審議会等のメンバーに入ることのなかった自営業者と、それから主婦も加わっての委員会をぜひ発足させていただきたいと思います。
 以上です。
#15
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 以上で公述人の方々の御意見の陳述は終わりました。
 それでは、これより公述人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#16
○久野恒一君 自由民主党の久野恒一でございます。本日は、公述人の各先生方大変お忙しい中御出席賜り、また貴重なる御示唆をいただきまして、本当にありがとうございました。以下、座らせていただいて質疑をさせていただきたいと思います。
 まず年金問題に入る前に、恐縮ではございますけれども、自己紹介をさせていただきたいと思います。
 私は職業は医師でございます。五十四歳まで現役で働いておりました。約五百五十床ほどベッドを運営しております。内訳といたしましては、一般病床約二百床、それから療養型病床群、いわゆる介護力強化病院、介護の手厚い病院、これが百床、それから老健施設、老人保健施設でございますけれども、これを百床、それと社会福祉法人として五十床ずつ三カ所、障害者の施設が多いのでございますけれども、百五十床持っております。こういうところでもって自分で運営してみていろいろな矛盾点を見出したわけでございます。
 その意味では医療、福祉のことは十分わかっておるのでございますが、年金のことは全く素人でございまして、そういう意味では本日の公述人の先生方に本当に貴重なる御示唆をいただきました。これから質問に移らせていただくわけでございますけれども、まずその前に、あと十日ほどでもって介護保険制度がスタートいたします。私から見ますと、この制度はいろいろな点で国民には余り有利な制度ではないのではないかなと思っております。これを言ってしまったならば自民党ではなくなっちゃいますので、自民党の立場でもってはそう言わせていただくわけでございます。
 しかし、今さらこれを悪いからといって直すわけにはまいりません。現場の人がとてもではないけれども十日前に直されたのでは困ってしまうわけでございます。そこで、納得しなければしないなりに今後直していくという姿勢を持ってまずスタートしてみて、それで悪い点を順次直していこうではないか、私はそう思っているわけでございます。
 この介護保険制度をスタートさせる前に医療供給体制を先にスタートさせなかったのが国民の皆様方の不信を招く一つの原因であったと私は思っております。すなわち、今の病院には急性と慢性がともに入っております。平成九年に新看護体制がしかれたんです。ちょっと話が脱線して申しわけございません。新看護体制がしかれたときに二対一から十対一まで〇・五刻みに細かくやられたんです。看護婦の数に合わせまして高いところは高い料金、低いところは低い料金に設定されたんです。そのときに病院は出来高払い制というものを温存させてしまった。このときこそ医療供給体制を整理しておけばこういう間違いはなかったんではないか、私はそう思っております。
 すなわち、三対一以上は急性ですよ、胃の手術ができなければ急性病院ではありません、慢性病院ですよと、こういうふうに単純に分けてしまえば医療供給体制というのは整理ができたんじゃないか。二対一のところに何カ月も入院すれば、これは看護料が高いですから高い料金になってしまいます。低いところは低いなりに、長くいても料金が低く設定されておりますのでそれは問題ないわけでございます。そこで今、三対一だとか四対一だとか言っていますけれども、三対一に決まったようでございます、急性病院は。
 そういう意味で、このような介護保険の範囲でどのくらいの医療供給体制を整理すれば今三十兆と言われている医療費がどのくらい整理できるかといいますと、私は自分なりに計算して三十兆のうち十兆円は、三〇%以上は節約できたんではないかなと思っております。そういたしますと、改めて介護保険というものを取らなくても済んだ、四兆二千億というのは取らなくても済んだ、私はそう思っております。介護保険を先にやって、後から医療供給体制をやって、そして年金を途中でもって挟み込んでくる、こういう状態でございますので、私といたしましては何が何だかわからない体制であるな、そういうふうに思っております。
 そこでもって率直なことをさらけ出してしまいましたけれども、本音の部分でもって公述人の方々にお聞きするわけでございます。
 要するに、年金、医療、福祉、介護、これからは健康も入ってくると思いますけれども、そういうものを一緒の土壌でもってディスカッションしていかないと私は大変な間違いを起こすんではないかと、そういうわけでございます。少なくとも年金だけを取り出して、高いの低いの、公平にするの女性の問題はどうの、それから結婚したらどうしちゃうか、そういうことを言っているんではなくて、一つの土壌の上で医療、福祉、年金、それから介護、これからは健康というものを考えていかなければならない時代に来ていると、私はそう思うわけでございます。
 そういう意味で、非常に今は一つ一つを取り上げてディスカッションしていますから、国民の皆様方にはわかりにくい状態にあろうかと思います。長くなってしまいましたけれども、今回の年金法改正案は総合的に検討していった方がよろしいんではないか、国民の皆様方にはわかりやすいんではないか。それには財源の確保が必要でございます。
 ここに厚生省が発表している資料がございます。一番安い特別養護老人ホームに入るにしても月に三十三万一千円かかるんです。これは四、五万あるいは六万七千円でもって入れるなんというものではとてもございません。医療費の保険もございますから何とかなるとは思いますけれども、老健施設でも三十五万、それから療養型病床群という三つの施設がございますけれども、これだって四十四万二千円かかるんです。とても年金なんかでは追いつかない。それは五百万、六百万取っている年金受給者はいいと思いますけれども、そういう意味で先生方にお教え願いたい、そういうふうに思います。
 質問に入ります。
 公文公述人にちょっとお尋ねいたしますけれども、空洞化の問題を指摘されたわけでございます。そして、年金ばかりではなく社会保障の問題にも言及されたと思います。そういう意味を含めまして財源の問題をどのように取り扱っていったらよろしいのか、ちょっとお教え願いたいと思います。
#17
○公述人(公文昭夫君) 財源の問題についてお話がございました。
 その最も基本的な理念として、医療、福祉、そして介護まで含めた、もちろん社会福祉関連法案もことし、今国会で出ていますので、総合的に議論をして最もよりよい方向を導き出していくという考え方には賛成だということを最初に申し上げておきたいと思うんです。
 当然のことですけれども、財源問題ですが、御指摘のとおり、今の年金では今度新しくスタートをする介護保険サービスの最高重度の五の一割の一部負担金が到底払えない金額でしかない。これはもう明らかに大きな矛盾であって、そういう意味では、例えばかつて医療制度は全額無料の医療制度というのが、高齢者の老人医療の無料化ということで国の法律として実現していましたし、それから介護サービスについても、現在社会福祉の老人福祉法を通じて比較的低廉で、そして現実に合った措置制度を通じてやられているわけなんですけれども、それが今度はそうでなくなってくる。
 つまり、一つは、財源問題を議論するんだったら、今までになぜそういう高齢者の生活実態に合わせて医療制度の無料化を守り、そして介護制度についても現行の措置制度の内容を充実させていくということで対処してこなかったのかということをまず一つ私としては感じているというのがポイントです。
 それからもう一点は、当然国の債務というのが非常に大きな債務になっているという経済・財政危機というのは十分わかっておりますけれども、しかしその問題についての解決は別個の問題としても、年金制度に限って見ます限りは世界でも有数の財源というのを日本の年金制度は持っているということですから、問題は、その年金の積立金が中心ですけれども、その積立金をどう有効に年金財源に活用していくかということさえ上手に工夫をすれば十分にやっていける、そういうふうに考えているということだけ申し上げておきます。
#18
○久野恒一君 確かに、年金の余っている分が二百兆とも言われております。そういうものを有効に活用していく。しかも、先ほど言った数字は一割負担の中に五万八千円、食事負担は別だということでございますので、何とか回っていくのではないかなと、どうもありがとうございました。
 次に、国広公述人にお尋ね申し上げます。
 先ほど男女共同参画型社会のことについて触れられました。年金制度全体を見直す必要があるのではないか、厚生年金も含めて一本化にと。山崎公述人もおっしゃっておられました。そういう意味で、女性の年金問題をより男性と平等にしていくためにはどういうふうな方法があるのか、ちょっと教えていただきたいと思います。
#19
○公述人(国広陽子君) 余りにもいろいろあり過ぎるんですけれども、給与格差、賃金格差という問題がまずあると思います。つまり、今は、報酬比例部分というものについて言えば賃金格差がそのままある程度反映されてなっているわけです。それから、女性が働いている期間というのが比較的短い場合は、当然その保障を得ている期間の短さが年金の低さになります。ですから、女性で働きたい人は、安心して長く働けるということを考えていくことが一つ必要だと思うんです。それは、だから年金制度の方のいじり方ではない方ですね、ベースの方です。それから、もちろん賃金格差をなくしていくということが必要です。
 それだけではなくて、もしそれがなかなか変わらないという、なかなか日本では男女の賃金格差が埋まっていかないのだということであれば、年金制度の方でその格差をなくすような工夫をしなければいけないと思うんです。
 その一つとしては、所得再配分機能をもっと持たせるということはあり得ると思います。それは今基礎年金と言っている部分をもっと、先ほど山崎さんの方からも提案がありましたけれども、生活保護のレベルよりも上げていくというような形ですね。
 それからもう一つは、非常に格差が出てしまうことの原因の一つに、男女不平等な職場という問題もありますけれども、教育のレベルから給与の高いような職業に女性がつくような教育を積極的にしていないということがあります。今、例えば短大とか定員割れを起こすようなところが出てきていますけれども、いまだに女性は人文系、男性がどちらかといえば理工系という形、社会科学系というふうな形で、雇用の場でより活躍しやすいように動機づけられてこなかったという面もあるので、教育の場も変えていかなければいけないと思います。
 それからもう一つが、専業主婦になるのが女の子の幸せですよというふうに誘導してしまうような年金制度もまずいというふうに思っています。つまり、専業主婦は、年金もそうですし、介護保険の第二号被保険者もそうですけれども、収入がない専業主婦は負担しなくていいよという形になっています。健康保険もそうです。それは一見いいように見えるんですけれども、先ほど言ったように、そこから出ていってパートタイマーになっても、一番多くてもせいぜい百八十万程度というような体系の中に入っていくわけですから、年金の格差は埋まらないわけですね。
 というようなこと、いろいろありますけれども。
#20
○久野恒一君 ありがとうございます。
#21
○委員長(狩野安君) 久野恒一君、時間です。
#22
○久野恒一君 時間でございます。
 では、最後に一言だけ、今回の年金法改正案に賛成の堀公述人に、一言私も賛成の立場でもって発言しなくちゃならないもので、この場に至って年金を先延ばしすると、そうなるとどういう弊害があるのか、ひとつお教え願いたいと思います。
#23
○公述人(堀勝洋君) 年金のみにとどまらず、給付を行って、それから負担を先送りする、そういう施策が最近行われているわけですが、そうするとなると基本的には将来の保険料率は上がる、それから税率も上がっていく、そういうことで将来の世代が困る、この改正をしなければそういうことになると思います。
#24
○久野恒一君 ありがとうございました。
 終わります。
#25
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 きょうは、公述人の皆様方にはお忙しいところ、しかも突然日程が決まってお願いをしまして、本当に御迷惑をおかけしました。ありがとうございました。
 では、私も座って質問をさせていただきます。
 最初に、ちょっと感想も含めて申し上げますが、最後に山崎公述人からお話があったこと、私もそのとおりだろうと思います。今ここにかかっている年金法案は、要するにサラリーマンの年金をどうするかという話であって、国民皆年金と名乗っている年金全体についてほとんど抜本的あるいは根本的な問題がないと、私はここが一番問題だと思うんです。
 実は、私は基礎年金の税方式論者であるんです。民主党も、党としてもそういう考え方であるわけなんですが、さっき山崎公述人の中でそれは生活保護みたいになるというお話がありました。堀公述人もそういうふうなことを先ほど申されましたが、それはそれとして、国民年金に一本化していくという場合に、今の基礎年金の一番の問題は月一万三千三百円という定額の保険料なんです。これほどひどい逆進性はないわけであって、収入にかかわらず、所得にかかわらずこういう保険料を取るという方式自体が問題だと思うんです。
 そうすると、もし保険料を払う方式だとすると保険料はどうなるのか。所得比例にするのか、そうすると低所得者はどうするのか。スウェーデンでようやくことしあたりから踏み出す大改革の方向がありますね。これは、サラリーマンも自営業者もない、出した保険料に見合って年金をもらうという、そういう方向に一本化されるという御意見ですか。
#26
○公述人(山崎久民君) 私は、一律定額負担というのにもやはり反対です。それで、所得にやはりスライドした保険料を納付する、一本化するんであればそういう方法に改定すべきかなというふうに思っています。
 ですから、所得にスライドして保険料を払い、受け取る年金も所得にスライドした部分を受け取る。ただ、その保険料の負担と受け取る年金額の間には所得再分配機能を入れる。ですから、収入のない人も一定額は負担する。ですけれども、その最低の基礎年金額はもっと引き上げる。収入のある人は保険料を余分に払うと同時に、多少多目の年金を受け取るというふうに、余り大きくない幅で設けるべきではないかというふうに考えています。
#27
○今井澄君 わかりました。
 ただ、その場合もう一つ、年金と生活保護を結びつけることは基本的に私は賛成しておりません。というのは、年金だけで生活を保障するとなると膨大な財源が要ると思うんです。今、国民年金は月一万三千三百円払って、月六万七千円を受け取る。これでは生活できないからということになれば、平均の保険料が物すごく上がるわけです。そこまでできるのかということになってくるわけですから、私は生活保護とはちょっと結びつけない方がいいんじゃないかと思うんです。
 そうなりますと、今、平均して一万三千三百円払って、満額でもわずか六万七千円が受け取る年金だとすると、報酬比例だとすると、低所得の人はそれよりも安く何千円とかで済むけれども、所得の高い人はもっと何万円払わなければならなくなると思うんですが、そういう形でよろしいんでしょうか。
#28
○公述人(山崎久民君) 私は、厚生年金等を廃止してというふうに言っておりますので、今まで払っていた保険料の範囲では払えるはずだと思います。
 それから、全体として、企業も、今いかに負担を下げるという意味ではありませんので、そこを半分に相当する部分、もしくはもう少し上乗せした部分を企業が負担する、そこも変わっておりません。ですから、負担の割合が少し変わってくるかもしれませんけれども、基本的に今の数字からそれほど動くことはないんではないかと思っています。
#29
○今井澄君 いろいろと意見ばかり述べてあれですけれども、私も理想的にはスウェーデン型というのが、私も医者をやっていた時代、ずっと国民健康保険の関係をやってきたことがあって、どうもサラリーマンの年金ばかりしか議論しないことに非常に違和感を持っておりますので、そういう意味では職業に関係なくそういう形でいくスウェーデン型、日本では神野先生や金子先生が提案されている型、非常に魅力的だとは思います。
 それはそれとして、しかし現実の移行の問題があるわけで、しかも今の法案はサラリーマンの年金を中心として議論されているんですが、先ほど高山公述人の方から支給開始年齢六十五歳ということについての大変な問題点が指摘されました。これは、先生の御著書でも私読ませていただいたんですが、支給開始年齢を上げるんではなくて、むしろ満額もらえる加入期間を延ばしたらどうかというのは、これは思いつかなかったといいますか、非常に斬新なアイデアというか、欧米ではあるというお話ですから目新しいことではないんでしょうけれども、やっぱり非常に大事なことだと思うんです。
 私も実は昨年の暮れで六十になりまして、年金をもらう年になったんですが、まだまだ働けると思いますし、私を働かせてくれるところは幾らでもあると思うので、いまだに年金のことはそんなに気になりません。しかし、働きたくても働けない人、あるいはもう本当に長年働いてくたびれた方にとって、その方が年金がもらえないということは非常に問題だと思います。
 先ほど先生御提起の、国会議員はどうするんだと。私たちも、参議院も恐らく議員数を減らすでしょうし、そうすると旧国鉄と同じ年金制度になるんじゃないか、将来もらえないんじゃないか、場合によっては参議院は廃止になるんじゃないか、今のままでは要らなくなるんじゃないかというふうなことも思っておりますが、それはそれとしまして、やはり長い間働けて、官僚の皆様は天下り天下りで随分高給を取る、こういう人たちの年金を減らすことを考えるというのは非常におもしろいことだと思います。
 そこで、しかしそうはいっても私どもは、世界の趨勢は六十五歳なんだ、ほとんどの国がフランスを除けば六十五歳だ、六十七の国だってあるじゃないか、日本だって当然六十五だよと、こういうことが厚生省の説明でも出され、常識として言われていると思うんです。そうすると、そういう国では高齢者は一体どうやって暮らしておられるんでしょうか。特にヨーロッパでは失業率も高いと聞きますし、その点お知らせください。
#30
○公述人(高山憲之君) おっしゃるように、主要国の支給開始年齢は、本則は六十五歳とか、将来もっと六十七歳に向けて調整するとか、そういう国が少なくございません。ただ、ではそういう国で、六十五歳まで現役社会にしようかとか、あるいは六十七歳まで現役だというふうな形で政府が施策を打っているかというと、これはまた別なんです。
 主要国を見ますと、平均退職年齢は六十歳から六十二歳、ある国によればもう五十代の後半というのがむしろ普遍的なんです。そうした中で、支給開始年齢はおくらせるけれども、早くから年金を受け取る人が結果的に多数派になるんですけれども、この人たちの年金は繰り上げ減額という形で減らすということなんです。ですから、表向きは支給開始年齢の引き上げなんですけれども、実態は早くから年金をもらう人たちの年金を下げるということと同じなんです。年金水準を下げるということと同じなんです。
 ですから、こういう人たちの年金を引き下げていいのかどうかということがどこの国でも議論の対象になるわけです。減額率をどうするかとか、そういうことが大問題に事実上なっているわけです。
#31
○今井澄君 ありがとうございました。
 今の減額率のお話ですが、ドイツなどはむしろ繰り上げてもらうのが有利になるように減額率は非常に低くしてあるわけですが、あれはたしか若い人たちに職場を譲って早期引退をしてもらうという政策だとも聞いているんですけれども、その辺で、日本はむしろペナルティー的に四二%、早まってもらうことはけしからぬと、できるだけ早まってもらわないようにしているわけです。
 それから、雇用保険、いわゆる失業保険ですけれども、定年の人の失業保険は今まで三百日もらえたのを今度は百八十日に短縮するわけです。そうすると、定年で職がないという人が失業保険で食いつなぎながら年金まで何とかかんとか頑張っていくというのもむしろ道が閉ざされる、こういう改正案が今国会に出ているわけです。
 この辺、雇用と年金との接続の問題について、先ほど成瀬公述人は六十五歳が必要と言われたわけですが、経営の立場からこれは本当に雇用と年金可能なのか、六十五歳現役時代に可能なのか、特に二〇二五年までに、その辺との関係ではどうお考えでしょうか。
#32
○公述人(成瀬健生君) 大変今火急の問題となっております点を御質問いただきまして、お答えの大変難しいところでございますけれども、六十五歳は年金保険の立場から絶対に必要であると考えておるわけであります。ただ、六十五歳までの雇用の延長の問題との組み合わせをどうするかということでございます。
 もう一つ今御質問がございました失業保険、雇用保険の問題でございますが、雇用保険の問題から先にお答えさせていただきますと、雇用保険はいわゆる雇用についてのリスクに保険を支払うという趣旨でございまして、定年というのはリスクではない、こういう立場で、本来三十年、四十年前から計画しておくべきものであった。それであればリスクではないので対処策が講じられているはずであるというところから減額をさせていただいた、これは労使合意でということでございますけれども。
 しかし、雇用保険で年金を補てんするというのは筋はちょっと違うと思いまして、やはり雇用の問題と年金の接続をどう考えるかということだろうと思います。これは今企業が積極的に努力をいたしております。
 もちろん、いわゆる定年制を無条件でどんどん延ばしていくということにつきましては、高齢化の中で労働力の質、能力というものも含めて企業としてはちょっと無理だろうと考えておりまして、一定の年齢で定年を決めた上で再雇用をすべきではないか。
 ただ、再雇用につきましては、やはり本人と企業の相談の上でもってどういう仕事に幾らの給料でつくかということは改めて決め直していただいて、そしてその合意できる範囲でもって仕事を続けていただくという形で、できれば六十五まで、さらにその後働く方もいらっしゃるかもしれませんけれども、そういう実際面での雇用の延長、これを本人と企業合意の上で続けていくという方向が最も適しているのではないかと思っておりまして、今、繊維とか電機の企業でその方向に労使が動きつつあるわけでございまして、こういう方向をしっかり育てなければいけないと考えております。
 ありがとうございました。
#33
○今井澄君 その点について堀公述人にもお伺いしたいんですが、堀公述人は先ほど支給開始年齢が満六十であるのはよくないということだったわけですが、その雇用との接続、本当に雇用率が上がるんだろうかということ、それからそれとの関係では減額率をどうお考えか、お答えいただきたい。
#34
○公述人(堀勝洋君) 基本的に日本の労働者あるいは特に高齢者は、できる限り長く働きたい、そういう声があるわけです。そういった中で六十歳から満額の年金を支給するというのは、これは社会的にもう引退しろ、そういうことを強制しているのではないかというふうなお考え。鶏が先か卵が先かという議論があるわけですが、雇用との接続の面で、雇用が六十五歳まで確保された後で年金の支給開始年齢を上げる、こういう考えもあるわけですけれども、そういうことではいつまでたっても雇用が確保されないのではないか。むしろ年金の支給開始年齢を年数をかけて目標を示して引き上げることによって雇用確保を図っていく、そっちの方が私は妥当ではないか。幸いにして経営者側もこういったことに賛成しているわけで、極めて望ましい。
 問題は、雇用の量があるかどうか、そういうことと、それから労働の供給の問題だと思うんですが、労働の供給では二〇〇七年ですか八年ですか、人口は減っていく、そういうことで供給が減る。この分を何らかで補う。これは助成という声もありますけれども、もちろん高齢者も働いてもらう、そういった形である程度可能。
 ただ、問題は経済成長率がどうなるか。経済成長によっては雇用がない、少ない、そういうこともあり得るわけで、そこは政策的な努力をしていく必要があるんではないかというふうに思っております。
#35
○今井澄君 実は、世界各国、先ほどの支給開始年齢とかその他のことで調べてみると、今度この改正案にももちろん盛り込まれていないし、これは年金審議会でどう議論されたのか、ほとんどこの委員会でも議論されていないことなんですけれども、年金をもらえる資格、受給要件が何年でできるかというのが日本は飛び抜けて長い。世界の国とは全く違ったあれです。一番長くてイギリスの十一年掛ければということですが、あとは税方式でやっているところなんかは三年その国に住んでいれば国籍に関係なく上げますよというふうなことになっているんです。
 けさの読売新聞を見ても、失業中、医療保険は掛けたいけれども年金の方は休んでもいいかという質問に対して、いろいろ計算して、そんなことをすると、あなた、もらえなくなっちゃうよ、二十五年掛けなきゃだめなんだからねということが書いてありました。私も実は、先ほど申し上げましたように、六十になったら年金をもらえるというのでいろいろ通算してもらったら、二十六年なんですね。医者というのもパートが多いんです。ですから、パートをやっている間はほとんど年金を掛けていないらしいんです。うっかり私の場合も年金をあと一、二年のところでもらえる資格がなくなる。これだけ一生懸命働いてきてももらえないわけです。
 そうすると、この問題について日本は異常なんじゃないだろうかと、受給要件。この辺について高山公述人それから堀公述人、いかがお考えでしょうか。
#36
○公述人(高山憲之君) 日本人の標準的な働き方を想定して、当初二十年とか二十五年という条件がセットされたと思います。ただ、おっしゃるように日本人の働き方は大分変わってまいりました。世界から見ても、二十五年という長さが問題ではないかという理解は広まっているというふうに私自身は考えておりますので、ここは今後の検討課題になっているというふうに理解をしております。
#37
○公述人(堀勝洋君) 老齢年金の受給資格期間の問題につきましては、私はおっしゃるように長いと思います。むしろ、こういうふうに長くすることが無年金者をもたらしている。どれくらいか量はわかりませんけれども、その要因になっているんではないかというふうに思う。したがって、私個人としても短縮すべきである。
 それから、今井議員も出席された平成七年の社会保障制度審議会の勧告でもこの短縮をうたっております。
 それから、先ほど質問でお答えできなかった減額率の問題をちょっとお答えしてよろしいでしょうか。
 繰り上げ受給の場合の減額率、これは現在四三%、高過ぎると思います。したがって、私は年金数理的に適正な率にすべきであると。年金数理的に適正なというのは、何歳からもらおうと生涯もらう年金額が同じであると、そういうもの。多分、ドイツの減額率が低くしてあるのは支給開始年齢を引き上げるための政治的な妥協ではないかと私は思う。私はそういう道はとるべきではないと思います。というのは、かえってそれは引退を誘発しかねないということです。
#38
○今井澄君 さて、先ほども山崎公述人の御発言についてもちょっと触れましたけれども、やっぱり二階部分をある程度スリム化するのはやむを得ないんでしょうけれども、全体の構造を改革すること抜きにとにかく額を下げますよ、支給開始は先延ばししますよと、このことが一番の不信感をもたらしている原因だと思いますし、そういう意味でもまた国民全体に関係ある基礎部分、これが空洞化しているということも非常に問題だと思うんです。それは先ほど公文公述人も言われたように、私は最大の問題は基礎年金をどういうふうにしっかりさせるかだと思うんです。
 ただ、私は空洞化というのは決して基礎年金の崩壊を意味するものじゃないと。別に未加入者が出ても未納者が出たってこの制度が崩壊するわけじゃなくて制度は続くんですけれども、国民皆年金という建前がどんどん崩れていっているということに問題があると思うんです。
 そこで、この空洞化を何とかしなければならないというのはもう皆さん方共通の認識だったと思いますが、堀公述人と成瀬公述人は全く逆の見解をお示しだったと思うんです。
 堀公述人は幾つかの手でこれから改善できる、成瀬公述人は多少のことをやっても全くこれは解決にならぬというふうにお聞きしたんですが、それぞれその理由と見通し。そして、特に空洞化の原因として、先ほども公文公述人が資料を示されましたけれども、大きい理由は二つなんですね。不信感と、それから高いということだと思うんですけれども、それについて御意見をそれぞれ伺えればと思います。
#39
○公述人(堀勝洋君) まず最初に、空洞化という言葉、これは崩壊でない、私は全く同意見です。
 空洞化というのは非常に誇張されたもので、三分の一が保険料を納めていないと言っているんですが、基礎年金というのは第一号、第三号を含めて国民全体で支えている制度。それは、第一号被保険者の二千万人を分母にするのではなくて七千万人という全被保険者を分母にする。それから、分子の中には保険料の未納と制度未加入のほかに免除も含めているんですが、免除という制度は、国民皆年金の中で低所得者、無所得者がいる、それに対して必要不可欠な制度である、これは制度が認めているわけですから分子から除いて計算する必要がある。そうすると、制度未加入それから保険料未納というのは国民の五%であります。これは実際に六十五歳以上の人の年金をもらっている率を見ますと、国民の九五%がもらっているわけです。三分の一が将来国民年金をもらえないというわけでは決してないということをしっかり認識しておく。
 それから、納めていない人が将来ずっと納めないかというとそうではないわけです。例えば、二十歳代では勉強しているとき、あるいはフリーターのとき、それがずっと生涯そうではないわけで、生涯の一時期保険料未納であっても年金には結びつく、したがってそういう意味で空洞化というのは言い過ぎであるというふうに私は思う。
 確かに、第一号被保険者の多くが保険料を払っていないという問題は非常に大きな問題で、これは行政が努力をすべきであるということは言うまでもないわけですが、今回の改正案でそれに対するある程度の制度改正が盛り込まれている。それは何かというと、基礎年金に対する国庫負担率を三分の一から二分の一に引き上げる、それから大学生に対する保険料の猶予の……
#40
○今井澄君 ちょっと時間の関係があるので。
#41
○公述人(堀勝洋君) はい。
 そういったことで、私はかなり改善できるのではないかと思います。
#42
○公述人(成瀬健生君) 空洞化という言葉がどうかは別といたしまして、未納者というのは恐らく社会現象的に見ると今後ふえていくんじゃないかという感じがいたします。減ることは多分ないだろう。そうしますと、これを取ろうと思いますと取るコストの方が高くなってしまうという可能性が十分考えられますので、私どもは無理だろうと申し上げているわけであります。
#43
○今井澄君 税方式というと、堀公述人は社会扶助方式と言われましたし山崎公述人は生活保護と言われましたけれども、これはもう戦後五十年、社会保障、福祉のシステムは変わってきているので、目的税であれば負担と給付の関係がはっきりしますので、私は、そういう方式が十分成り立ち得る。
 今、成瀬公述人が言われたように、コストの面が全然違うんですね。今、とにかく保険料の一割以上も事務費がかかるなんというこんなばかげた制度のままで、しかも一号被保険者の中の三分の一、サラリーマンは強制的に取られちゃうんですからそれを分母にするというのは私はおかしいと思うので、やっぱりこれは非常に問題だというふうに思っております。
 ところで、成瀬公述人にお尋ねしたいんですが、これを目的間接税、いわゆる消費税でやった場合には、これは企業、今事業主は基礎年金の分も労使折半で負担しているわけです。それが全然要らなくなると恐らくこの額が現在で三兆円ぐらい浮くだろうということなんですけれども、国際競争力が厳しいのはわかりますが、長い歴史の中でこういう社会保障制度は労使でつくり上げてきたものなんです。そうしますと、目的間接税になった場合に事業主負担として軽くなる三兆円はどこか別途社会的責任として負担するというお考えをお持ちでしょうか。
#44
○公述人(成瀬健生君) その点は、その実現の段階で労使にお任せいただければ日本の労使は誤りない決定をするのではないかと考えております。
#45
○今井澄君 公文公述人にお伺いをしたいのですが、基礎年金が一番大事だと言われたわけですが、先ほど財源の問題で年金積立金、確かにこの積立金をどう使うかということは実は私は非常に大事だと思うんです。
 二〇五〇年まで今厚生省は計画を立てていますけれども、二〇五〇年の予測を立てること自身がおかしいので、そういう計算をやるよりはもっと確実に短期でやるべきだと思いますのであれなんですが、例えば基礎年金を税でやっていく場合、そういうことをお考えでしょうか、あるいは税でやるという場合はどういうふうな財源をお考えか、ちょっとお考えがありましたら。
#46
○公述人(公文昭夫君) 恐らく余り野党の皆さん方の御意見と私は変わらないと思っているんですが、基本的には一般財源で税金を使うとしても賄っていくという方針を僕は貫くべきだと思っております。
 当然、基礎年金を全額国庫負担にするということはできるだけ急いでやるべきであって、先ほど空洞化は大したことはないというようなお話もありましたけれども、私は、決してそうではなくて、相当深刻に受けとめていただく必要があるんじゃないかというふうに思っています。
 したがって、第三号被保険者の問題だとかあるいは二十歳以上の学生の処遇等も含めて、こういったものも一挙に解決していくために、ベストと言えるかどうかは別として、やっぱり最もベターな方法だろうというふうに考えています。
 財源は十分に賄っていくだけの余裕がありますし、これから日本経済そのものが一定の再建の軌道に乗るということになればその部分でも社会保険の部分というのを残すわけですから、財源の充当にはいささかの障害もないというふうに考えています。
#47
○今井澄君 国広公述人にお伺いしたいんですが、少なくとも三号被保険者問題と税方式の問題については関連すると思うんですが、いかがお考えでしょうか。
#48
○公述人(国広陽子君) 今の公文公述人の御意見やほかの方々、野党の皆さんも、それから経営者の代表の方なんかは税方式にすれば三号問題は解決するというおっしゃり方なんですが、先ほど申し上げたように、三号問題というのは決して三号被保険者に負担をしてもらうというだけにはとどまらずに、女性の人生といいますか、ライフスタイルとかライフコースと年金がかかわっていて、年金が女性のスタイルをある程度誘導するだけでなく、女性の低賃金や勤務年数が短いということが日本の大企業中心、男性中心社会というものとも結びついているということですので、単純に税金にしたらば三号が解決するという言い方は私はしたくないんです。
 三号が負担しないという問題については解決するかもしれませんが、日本の女性と男性の人生の、生涯賃金であるとか生涯年金であるとか、それから生活の仕方の格差というもの、あるいは性別分業は解決しないと思っております。
#49
○今井澄君 もうあと一分足らずになりましたが、最後に堀公述人にお尋ねしたいんです。
 最後のところで、前回五つの選択肢を示したようなやり方はかえって不安を招いたということから今後やるべきではないというふうに受け取られるような御発言というか記述があるんですが、私はあそこで間違っていたのはあの五つしか出さなかったからだと思うんです。基礎年金まで含んだ選択肢を出してやらなかったことが私は間違いだと思っているので、あれは情報公開のやり方の間違いだと思うんですが、その辺を堀公述人は、情報公開を余り徹底的にやると不安を招くからよくない、こうお考えでしょうか。
#50
○公述人(堀勝洋君) 私が申し上げているのは、五つの選択肢を出したことが不安を招いたということではなくて、年金制度の危機を宣伝した、そういうことであって、情報公開自体は大いにやるべきだと思います。
#51
○今井澄君 どうもありがとうございました。
#52
○山本保君 公明党・改革クラブの山本保でございます。
 私の方は時間が短いものですから、全員の方にはちょっと伺うことができません。お許しください。
 最初に、高山公述人にちょっとお伺いいたします。
 先生のお書きになったレジュメの中で、終わりの方でございますが、現在の日本の高齢者は大変頑張ってこられたし、それは子や孫のために頑張ってこられたんだから、今となってはある程度その気持ちにお願いしたらどうかという温かい表現になっておりますけれども、具体的には先生、例えばどんなような方法が今よろしいかというふうなお考えがございますでしょうか。
#53
○公述人(高山憲之君) これは、個別個別に痛みを伴う話をお願いするわけですから、十分な審議、議論を尽くした上でないとだめだと思いますけれども、候補として考えられるものは幾つかあると思います。
 年金で申し上げますと、相当高い給付を夫婦共働きの人だともらっている計算です、月額で四十万とか五十万。こういう年金を本当にスライドする必要があるのかという議論はぜひなさっていただきたいと思うんです。あるいは、六十五歳を過ぎますと公的年金から税を差っ引かれるというケースがほとんどなくなっちゃうんです。六十五歳までは年金から源泉徴収で所得税を払うというケースはあるんですけれども、六十五歳を過ぎますと、同じ年金受給者であるにもかかわらず、今までは税金を払っていたにもかかわらず、六十五歳を超えた途端に税を払わなくていいですよという制度になっているんです。これは公的年金等控除だとか老年者控除がついてそういう形になっているんです。そういう形でいいのかどうかということをぜひ議論なさっていただきたい。
 あるいは、先ほど来申し上げておりますけれども、現役で働く人の数は減っていく、あるいは月給はどうも今後総体として余りふえていきそうにないというところで、今までのように現役の人たちに何でもかんでも負担をお願いするという形ができなくなりつつあるわけです。高齢者も社会保障を支えるために何らかの財源的な支援というものを、すべての人が一律にではなくて応分にできないかということなんです。
 私は、一つの財源としてやはり消費税というものを考えざるを得ないのではないか。社会保険料、特に年金保険料はもう高齢者は負担しておりません。そういうものを一部消費税に切りかえるということのお願いができないかどうか。
 医療の方で申し上げますと、窓口の負担について従来よりもっと負担していただけないかどうかとか、あるいはみずから保険料を拠出することができないかどうかというような話。あるいは介護についても全く高齢者の医療と同じような議論ができると思います。
 今高齢者で介護施設に入っている人あるいは病院に入院している人は、年金をもらいながら生活費相当分を実は医療給付や介護給付の中で事実上二重取りになっているんです。この調整を本当にしなくていいのかということなんです。
 私は、高齢者に最初から大変な負担をお願いするということは無理だと思いますけれども、今ある中で目に余るというふうに多数派の人たちが考えるものについて、高齢者に譲ってもらう議論をぜひなさっていただきたいというふうに思っております。
#54
○山本保君 ありがとうございます。
 私どもの党も、そういうところは確かに問題じゃないかと私個人は思っておりまして、確かに今のお話ですと、例えば所得制限でありますとか税制上の問題でありますとか、または実際上の負担の、その方に応じたというようなものが、どうしてもこういう大きな制度のときにはそういう話にならずに、一律何%でやりますとか何歳からというような議論になっているということで、ただ、私どもも、去年十月から与党になりましたので、この際、まずこの議論は通り抜けた上で、これからきちんと全体の中でそういうもう少し細かなところに目の配られたものがいいのかなと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。ありがとうございます。
 次に、成瀬公述人にお聞きしたいんですが、先ほど今井委員からもちょっとお話が出たことではあるんですが、申しわけございません、同じことになるかもしれません。
 といいますのは、やはりこれまで日本の場合、会社と従業員というのは非常に一体的にというのが、明治以降なのか戦前なのか、いろいろありますけれども、しかし実際につくられてきた。こういう制度の中で、きょうもお話にもございましたけれども、税方式で、堀公述人の中にも企業の責任を放棄というか、そういう言い方じゃございませんけれども、そういう論点も出されておったと思うんですけれども、この辺についてもう少し詳しく御見解をお聞きしたいと思っております。
#55
○公述人(成瀬健生君) 基礎年金につきましては、労使関係で考えない制度に切りかえた方が最終的にはいいのかなという感じでございます。
 これは、経済情勢その他国際環境も含めての情勢の変化の中で、高齢化も含めて、そうした判断をしたわけであります。もちろん、労使関係できちんとやっていかなきゃならない部分というのは、二階建ての部分が当然ございますし、さらに今後、ぜひお願いしたいわけでありますが、確定拠出型年金というふうなものが導入されれば、そういうところで労使でもって考えるところは十分にできてくるだろうと思っておるわけでございます。
#56
○山本保君 そうしますと、例えば確定拠出型というのは本当に政策日程に上がっているかと思うんですけれども、今のお話ですと、例えば日本型の経済構造、特に企業の構造とか、年功賃金型であるとか終身雇用型であるとか、いろいろ変わってきておりますけれども、例えばそういう社会経済構造、特に企業構造などが大きく変わった段階においてこういうふうなものと理解してよろしいのか、それとも先行的に年金制度の方をまず先に変えてしまってというふうな論なのか、その辺はいかがでございますか。
#57
○公述人(成瀬健生君) 一階部分につきましては早期にやらないと間に合わないのではないかという感じがいたしておりまして、できるだけ早い制度改正が必要であろうと思います。
 二階につきましても早い方がよろしいわけでございますけれども、おっしゃるような御質問のような意味で申し上げますと、いずれにしても早期に、一刻も早くという時期になっているのではないかと考えております。
#58
○山本保君 それでは堀公述人に、まず今と同じことについてお聞きしたいわけです。
 堀先生のところには企業の責任というふうなことをたしか書かれてあったかと思うのでございますけれども、その辺について私今ちょっと議論させていただいたわけですが、どのようにお考えでございましょうか。
#59
○公述人(堀勝洋君) これは政府の試算によりますと、基礎年金を全額消費税で賄うことにすると、企業の負担が三兆五千億円減る。これは年々でございますから、その分どうするか。その分は当然のことながら消費税という形で増税になる。消費税はだれが負担するか。企業も若干は負担すると思いますが、基本的には国民全体が負担するということになるわけで、そこは本当にそれでいいのか。
 今ちょっと議員の方からお話がありましたように、基本的に医療とか老後の保障というのは労使が、会社と労働者が負担してやっていく、こういう仕組みがある中で、税金という国家からの給付にするというのが本当にいいのかどうか、そういうふうに疑問に思っております。
#60
○山本保君 それでは、堀公述人にもう一つだけちょっとお伺いします。
 先の話になると思いますが、先ほど議論が少しあった、雇用問題ということがあったわけです。私も雇用問題というのは非常に重要だと思うわけです。また、厚生大臣も国会で社会保障の根幹が年金制度だというふうによく言われます。私も、福祉をやっていた立場からいえばまさにそうだと思うんですけれども、これからの社会というのは、それだけではなくて雇用の問題が出てきた。
 私はもともと教育をやってきたものですから、お年寄りの生きがいであるとか、生活を、暮らしを保障するというときに、こういう年金、福祉、医療というだけではなくて、雇用だけでもなくて、教育でありますとか、またNPOなどの社会貢献活動でありますとか、さまざまな生き方をもっと多様に保障するような制度をつくらないと、年金財政だけでは無理ではないかなというようなことをいつも私は話しているんですが、突然で申しわけございませんが、何かその辺に御示唆をいただければと思うんですが。
#61
○公述人(堀勝洋君) 私はおっしゃるとおりだと思います。
 ただ、生きがいとかそういったものは基本的には個人の問題で、政府のやるのはその枠組みづくりというのか基盤づくりだと思います。そういう基盤づくりをして、高齢者が健康で生きがいを持って暮らしていく社会を築くのが私は理想だと。
 それから、もう一点ちょっとつけ加えますと、きょうの日経新聞の「経済教室」欄に宮沢健一先生が書いておられたんですが、雇用という面で、従来の土木というか公共事業よりも福祉の方が雇用をふやす、そういう効果が大きいということがありましたので、介護保険とかその他障害者福祉とか、そういったものを増強して雇用の面でも役に立たせるということが大事だと思います。
#62
○山本保君 ありがとうございました。
 私もやっぱり福祉というのは社会的な、経済的な投資であるというふうにもっときちんと言っていただきたいなといつも思っているものですから。
 どうもありがとうございます。以上で終わります。
#63
○委員長(狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後零時四十五分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十六分開会
#64
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会公聴会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案について、公述人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#65
○井上美代君 きょうは公述人の皆様方、いろいろと御意見をいただきましてありがとうございます。座って質問させていただきます。
 たくさんのまだ問題点がありまして、いろいろ御質問したいのですけれども、時間を持っておりませんで、皆様方に御質問ができないことを申しわけないと思っております。
 私は、日本共産党の井上美代でございます。私、公文先生にまず質問をいたします。
 先ほど資料を見せていただいたのですけれども、東京土建の例が具体的に出されておりました。そして、厚生年金にも加入していない人が三〇%というのが出ておりました。特に二十歳から二十四歳の若い人たちの二人に一人が加入をしていないというそういう表を出しておられてお話がありましたけれども、やはりここには未納や未加入となる背景というのが恐らくあるのではないかというふうに思いますけれども、そこを一つお聞きしたいというふうに思います。
 もう一つ、厚生年金の特別会計なんですけれども、この二〇〇〇年の予算を見ますと、国庫負担を含めて保険料の収入が二十四兆七千億円ということでふえていないんですね。これはやはり失業などで加入者が三千三百七十五万人減ったということですけれども、保険料算定のもとになる月収がやはり伸び悩んでいるためだというふうに思いますが、今もう本当に長引く不況の中で、国民の生活が大変になってきている中で今の不安があるというふうに思いますので、そういう影響とのかかわりがどうなのかというところをぜひ聞かせていただきたいと思います。
#66
○公述人(公文昭夫君) 今の委員の御指摘なんですけれども、未納だとか未加入の理由についてはもう既に厚生省自身が、五年ぐらい前になるでしょうか、社会保険庁で九五年度、九六年度の被保険者実態調査というのが出されているわけなんですけれども、この社会保険庁の平成八年度の国民年金被保険者実態調査を見てみますと、未納になっている方々、つまり滞納者の最も主な理由では、保険料が高くて経済的に払うのが困難という人が全体の五五・四%を占めている、当てにならないからという不信感による未納者が二〇・八%、これはもう厚生省自身がそういう数字を既に五年前に出しているわけです。
 それからさらに、未加入の理由を見てみますと、加入したくないと答えた人が五三・八%、過半数を占めているわけなんですが、その内訳を見ますと、保険料が高くて経済的に困難というふうに答えている人が約五人に一人います。一八・四%ということになっていますけれども、政治への不信、不安を主張する人も十人に一人ということです。
 ですから、先ほど御指摘になった二十歳から二十四歳までの若い組合員の過半数が加入をしていない、あるいは未納しているという背景は、やはり今の年金はさっぱり当てにならないということだと思うんです。先ほど今井委員の方からも御指摘がありましたように、四十年以上掛けてしかも一カ月六万七千円程度の年金では、ばからしくてやっていられないという気持ちが若い人たちの間に広がっているということは明らかだというふうに思います。
 もう一つ、具体的な事例で追加をしておきたいと思いますけれども、昨年の六月から八月の二カ月間にわたって、京都の小売業、中小業者の皆さん方の、特に女性が中心になった実態調査というのが発表されています。業者婦人の暮らし、営業、老後の実態調査という資料なんですけれども、これを見ますと、調査対象者の約八〇%が毎年売り上げが減っているというふうに答えておりまして、そのうち二九・六%、約三〇%の人たちですが、毎月赤字で苦しいというふうに答えています。その結果が、先ほど申し上げました年金の空洞化へ連動しているというふうに思います。
 国民年金の掛金を平均して払っている業者についての答えを見ますと、五四・四%の方しか保険料を払っていない。残りの四五・六%のうち二一・八%の人は申請免除を実際受けているというふうに答えていますし、滞納者も約七%いらっしゃる。合わせて約三割が滞納または免除者というのが実態だというふうに言われております。ですから、生活苦がそのまま率直に未加入あるいは滞納の中心になっている理由だということは明らかだろうと思います。
 特に、これから後、介護保険がスタートして保険料を取られるということになったり、あるいは今国会でも医療保険の改正問題が議論されることになっておりますけれども、その負担増はますますこういった現実を加速させるのではないかというふうに思っております。
#67
○井上美代君 先ほどから女性の年金の問題も出されているんですけれども、やはり私も質問をさせていただきながら、女性の年金が半分だということについては、これは本当に改善されなければいけないというふうに思いますし、またパートが非常にふえてきたりアルバイトがふえたりして、不安定雇用が女性の間でもふえております。
 そういうことで、今、自営業の京都の話をしてくださいましたけれども、女性の問題、それから自営業のところでの問題というのも非常に重要だと思っております。特に、基礎年金の問題はどうしても確立をしていく、定着させていく、安心できるような内容にしていく、このことが重要であるというふうに思います。
 私は、公文公述人が公述の中で、基礎年金が全額国庫負担になれば第三号被保険者の問題や二十歳以上の学生の処遇もおのずから解消できる、こういうふうに述べられましたね。そこのところが非常に重要な部分じゃないかというふうに思っているんです。全額国庫負担は従来から論議されてきたというふうに私は記憶をしているんですけれども、まだ改革は先送りされたままです。
 これはどうしてかというところをやはり明らかにして、私はちょっと歴史もたどりながら今日考えてみなきゃいけないんじゃないかというふうに思っているんですけれども、ぜひ公述人の意見を聞かせていただきたいです。
#68
○公述人(公文昭夫君) 女性の基本的権利という面で考えますと、これは年金だけで片がつくほど生易しい問題じゃないということは明らかだと思います。その中でも、やっぱり第三号被保険者問題、今、井上委員が御指摘になったことを考えますと、もともと収入がないあるいはほとんどゼロに近い収入しかないという家庭の主婦だとか、あるいは二十歳を超えた学生から、超えても就職できない若者たちを含めて保険料徴収の対象にしているという制度上の問題が、まず一番基本的な問題としてあるだろうと思うんです。
 したがって、先ほども申し上げましたけれども、幸い国会で、前回の改定時に基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一に拡大するということが全与野党一致で決まっているわけですから、とりあえずそれでブレーキをかけて、基礎年金の崩壊へ向けての流れにブレーキをかけて、そして全額国庫負担に持っていくということは、もう基本的な課題であろう。
 しかも、それでまずは第三号被保険者の中にある矛盾や、二十歳以上の学生から保険料を徴収するという矛盾に歯どめをかける。そこから後どういうふうに、女性の年金格差その他もろもろの問題があると思いますので、それは一つ一つやっぱり解決をしていくという方向で対処していいんじゃないかというふうに思っております。
 そのこととあわせて、今歴史的な経過というお話がありましたが、とにかく年金制度の中に経済の好不況、あるいは生活が苦しくなったりするという事態が生まれた場合に、保険料ということで年金の基本的な権利を全国民に与えることはなかなか難しいという議論は、もう一九五〇年代からあったわけでして、特に昭和二十五年、五〇年の社会保障制度審議会の勧告の中では、日本の年金制度の改革に当たって、無拠出の年金と拠出制の年金を組み合わせて、年金が一人ももらえないという事態が起きないようにすべきだという意見を勧告として提唱しているというのは、皆さん御承知のとおりなんです。
 それは六二年の勧告でも再度強調されて、そして具体的には七七年の建議の中で、全額国庫負担の基本年金と、その上に二階建ての部分として保険料を中心にした社会保険の年金を上乗せする、そういう二階建て構想までが提起をされていた。
 いずれも、五〇年勧告の段階での無拠出年金をきちっと組み込めという考え方というのは、当時のアメリカ占領軍の考え方と、それから朝鮮戦争という大きな出来事のためにつぶされて、六二年、七七年の勧告については、いわゆる国庫負担をいかにして減らすかという基本路線に基づいた大蔵、厚生両方の高級官僚と、当時の政権のもとでオール一〇〇%社会保険方式で基礎年金にするんだということでつぶされた。
 そういう経過がありますので、この辺の制度論についてやっぱりもう一度きちっと議論をし直すということが大事じゃないかというふうに思っています。
#69
○井上美代君 私は、もう一つこの委員会でもさらに審議していかなきゃいけない問題として、積立金の問題があると思うんです。この問題については衆議院ではかなり審議がされておりましたけれども、あの衆議院の論議を受けた問題がこの参議院で解明されていかなければいけないというふうに思っているんですけれども、やはり五・五年分もの莫大な積立金がある。この積立金が財政投融資に使われていますけれども、国民の目からは全く見えないし、どういうふうに一体使われているのか。
 このたびの法案では自主運用というふうに言っておりますが、どのような問題があるのかということがこれまでも全く明らかになっていないんですね。だから、そういう意味でも、まず積立金のどういう運用なのか、どういう問題なのかということをぜひ公述人に聞きたいというふうに思います。
 それからもう一つ、これは国会の審議の中で明らかになったわけなんですけれども、年金の法案が改正されますと、お金が少しずつ浮いてくるんですね。それが二〇二五年には十一兆円という給付カットがあるということが国会答弁の中で明らかになって、試算されております。
 私は、これは大変なことだというふうに思っているんですけれども、先ほどからも積立金をどういうふうに使って、そして国民が犠牲にならない、そういうことができないかということが出されているわけなんですけれども、私はこの積立金の活用によっては国民負担を減らすことはできるというふうに思うんです。
 そういうことで公述人にお聞きしたいんですけれども、特に年金の法案改正との関係で積立金についてどのようにお考えになっているのかというのを聞きたいと思います。
#70
○委員長(狩野安君) どなたにですか。
#71
○井上美代君 公文さんに聞きたいです。
#72
○公述人(公文昭夫君) 委員の皆さん方にとっては釈迦に説法なので運営については一言でなかなか言えないということもありまして、詳しくは申し上げずに、できれば問題点だけに絞って申し上げてみたいと思います。
 御承知のとおり、この積立金を財政投融資で使っていくという考え方は、昭和二十八年に国の法律として決定をされて以降ですからもう既に五十年という長い期間を経過しているわけなんです。これは、問題点として言いますと、要するに郵便貯金や簡易保険と一緒に資金運用部に集中をして、そこで第二の公共事業としか言いようがないような財政投融資計画が毎年国家予算の半分ぐらいずつ組まれていろいろと使われているということは皆さん御承知のとおりなんです。
 問題になってくるのは、例えばこれは大蔵省の財政統計月報なんかを見ても、融資先というのが公にされているところでも五十九ぐらいありますけれども、ほとんど一〇〇%に近い部分が全部高級官僚の天下りの指定席ということになっています。しかも、五十九だけに限らないで、例えば日本道路公団なんかを見ますと業務委託会社が六十八社もある、それから首都高速道路公団などは八十ぐらいの関連企業があるというようなことで大変なすそ野になっておりまして、そういうところへ全部年金の積立金の中から投融資されているということですから、これはもうやっぱり諸外国では余り例を見ない異常な事態としか私は言いようがないだろうと思っています。
 しかも、積立金が、先ほど先生が御指摘になったように五・五年分。それに対して、これは皆さん御承知のとおり、ドイツ一カ月分、イギリス二カ月分、フランスなんかも数カ月分ということになっていますから、まさにこれはもう世界でも唯一の財政方式としか言いようがないんじゃないかというふうに思っています。
 ですから、私はやっぱりこの財政方式は、年金のために集めたお金は年金のためだけに使うという原則に立ち戻るべきだろうと。そのことによって二百十七兆円という現在の積立金、大蔵省の資金運用部へは百八十兆円ぐらいが行っていると思うんですが、それを直ちに凍結して、そしてそれを段階的、計画的に年金財源に振り向けるという措置をやはりとるべきだろう。その基本的な考え方というものを改めないまま自主運用に持っていったところで利権が分散されるだけであって、何の解決にもならないということも一言つけ加えておきたいと思います。
#73
○井上美代君 女性の問題で、特に私は質問の中でも出しているんですけれども、就労希望者というのが八百万人もいて、その人たちが就職できないと。そして、この人たちの仕事が本当にあるならば保険料というのが支え手としてやっていけるんだということを申し上げたんです。やはり今回は出ておりませんけれども、女性が男性の半分しか年金がないと、そして、同じ命を支えて頑張っていくということになるわけですから、今のままでは本当にどうしようもないというふうに思います。
 私は今、基礎年金が非常に重要だというふうに思っているわけですけれども、これをやはり一日も早く確立しなきゃいけないというふうに思います。そして、女性の年金問題も私たちが知恵を絞ってやっていかなきゃいけないというふうに思いますけれども、専業主婦の場合には夫の所属している年金組合から保険金が出されている、こういう問題がありますが、一方で自営業等については本当にお金がなくて保険金も出せないという状況にあるということ。これについてどのようにお考えになるのか、国広公述人とそして山崎公述人に、時間がたくさんありませんけれども、お願いします。
#74
○公述人(国広陽子君) 三号被保険者の年金の負担のことですけれども、例えば育児期間にはその期間は払わないでいいような形にするというようなことは行われている国があります。厚生省の方の資料にも、育児期間の取り扱いですね、皆さんのところにある資料の百二十三ページにありますけれども、そんなような形で負担できる第三号、つまり選んで自分は職業にはつきたくない、働かないんだというような人からは負担していただくことが基本だと思います。
 ただし、第三号被保険者と今言われている百三十万円以下のパートで働いているような方々については、また違うことを考えなければいけないと思います。
 女性の保険料を、働いていない人だから負担できないという負担の論理というのがよく言われるわけです。私も専業主婦の期間がありましたけれども、それは働く能力がないのでも働く気がないのでもなくて、働けない状況というものがあるということで、そちらを解決しつつ第三号というものはやはりなくしていくべき、できるだけとにかく縮小していくべきだというふうに思っています。
#75
○公述人(山崎久民君) 基本的には国広公述人と同じ考えです。
 ただ、一号被保険者の無収入の妻と第三号被保険者の間には画然と格差があるわけです、第一号の妻は保険料を納めないといけないということがありますので。ただ、これを税金にすることで解決するということには私は反対です。ですから、とりあえず保険料の負担は収入のない人にとってはもう少し考慮するということを取り入れて、保険料を払う方向で検討すべきではないかというふうに思っています。
#76
○井上美代君 質問を終わります。
 ありがとうございました。
#77
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず、国広公述人にお尋ねします。
 私もこの女性の年金の問題というのが社会保障制度のあり方の基本にかかわる問題と考えているんですが、いつも周辺に置かれていていつも先送りの点では大変私はこれは大きな問題だと思っております。
 そこで、私も十五分しか質問の時間がございませんから、端的に質問します。
 特に女性の年金における不公平の問題というのは、これはやっぱりなかなか男性ではわかりにくい、女性の方が非常に実感とか体験をします。そういう意味で、国広公述人が見聞きしている世代間の不公平、それから世代内の不公平などの具体的な例を話していただきたい。それから、基礎年金の税方式への転換についてはどういうふうに考えられるかということ。
 そして、一緒に山崎公述人には、いろいろお聞きしていますけれども、今回の改正だってこの中で今やれることがあるじゃないかということについてお考えがあればお示しいただきたいと思います。
 その場合に、お話は、さっきのは国民年金一本にすべきだというのでちょっと違うんですが、パートタイマーとか非正規労働者の被用者の年金の権利を得る、そういう保険者にするということについてはどのようにお考えになるか、この二点お願いします。
#78
○公述人(国広陽子君) それでは、本当に身近で見聞きしている世代内の不公平というのについて少し具体例をお話ししたいと思います。
 全く私の例なんですが、まず、私は先ほど申し上げましたように専業主婦というかフルタイムで働いておりましたが、子供が小さいときにいろいろなことがありまして職を一たんやめたんです。ですけれども、私はやめるときに一時金というんですか、脱退金はもらいませんでした、三十歳のときでしたけれども。それをもらってしまうと加入期間が短くなってしまって、次に就職しても年金期間を満たさないということになるような女性がたくさんいます。ですから、同じようにM字型就労で二回目もう一回働いても年金がもらえない人がいるということ。
 それからさらに、私は再就職したんですけれども、パートでしか就職できませんでしたので、百三十万円以下のところにまずいたわけですね。そして、そのときは夫の、ですから第三号被保険者だったわけです。その後、百三十万円を超えます。これは月十万円以上になると大体超える形になります。月十万円というのは比較的パートで超えやすい金額ですので、そこで就労調整が行われるわけです。私は超えたとき、超えるといっても百三十万から途端に三百万、四百万になるわけではありませんから、百四十万とかいう時期があるわけですね。そのときに私は、一万三千三百円払って今までと同じ基礎年金をもらう、基礎年金しかもらえない、そういう立場に立つわけです。そして、近所の専業主婦というか、無職で比較的楽そうに暮らしている人を見ると、何で私は働いているのにこうなるのかと、つまり働くことに対するインセンティブが非常に低くなります。それだったら、百三十万円以下でそこそこ働いておくのがまあいいかなということになるわけです。
 このことの不公平というのは、実際に四十歳ぐらいになったときには非常にはっきりすると思います。しかも、よく言われます、つまり共働きでも片働きでも世帯収入が同じなら負担は同じだという説がありますが、それは四十代、五十代ぐらいになりますと、例えば夫と妻が三十万の所得と二十万で合計五十万という世帯と片働きで五十万という世帯は公平ではないんです。
 なぜかというと、妻は大体パートで働くんです。そうすると六十万の収入になりますね、片働きプラスパートの主婦の世帯は。だから、そこの人は五十万分しか言ってみれば負担しないわけです、保険料を。そして、共働きはもし六十万になっていれば六十万分の負担をするということになっていますので、理論上は何かいいように思えるんですけれども、私の見聞きしている範囲ではそうはなっていないというようなことがあります。
 そのほかにもたくさん具体例はあるんですが、こういった具体例というのは女性たちは生活の中で見聞きしておりますから、三号問題についても、非常に問題であるということを自分の問題としても周囲の女性の問題としても理解しやすいんですが、男性の場合、妻のことになりますので、非常にわかっていらっしゃらない方が多いのではないかなと思います。
 それから税金化の問題ですが、つまりこういった細かい問題というのは、実は女性のライフスタイルの誘導に非常にかかわっているわけですが、それが税金化によって全部解決するとは思えないんです。ですから、税金化ということを実施するのは非常に時間と手間といろいろな検討が必要だと思うんですけれども、それをもし目標にするのであれば、それまでの経過的な期間には三号問題を解消するような何らかのことをする必要があると思います。そのことが二十一世紀の日本の男も女も働きやすいような社会にするためには不可欠だというふうに考えております。
 以上です。
#79
○公述人(山崎久民君) 一つだけ簡単に申し上げます。
 今の厚生年金の加入の条件、年収百三十万円というのを非常に低い水準まで下げるということをまずとりあえずやってみたらどうでしょうか。
 もう一つは、済みません、ちょっと失念してしまったんですが……
#80
○清水澄子君 今やれること。
#81
○公述人(山崎久民君) それは今、百三十万円……
#82
○清水澄子君 今言ったのね。
 だから、パートタイマー、非正規労働者が保険料を納めるようにするにはどうすべきか、それも同じね。
#83
○公述人(山崎久民君) はい、今の答えですね。
#84
○清水澄子君 わかりました。
 公文公述人、今、井上議員に説明がありましたけれども、もう少し年金財政方式はどうあるべきかという中で積立金というものを、この問題で保険料を引き下げられるんじゃないかと思うんですが、使い方によって、その点ではどういうふうに考えていらっしゃいますか。
#85
○公述人(公文昭夫君) 今の清水先生の御指摘なんですが、資料として出してありますが、私は基本的に二つ問題があるような気がします。
 これだけ莫大な積立金がなぜいわゆる累積として計上されているか。その背景に、この資料の三で「共済年金各制度の財政状況」というのを入れてありますが、ごらんいただければわかるように、確実に収入よりも支出の方が各年度で見ますと十兆円前後の黒字が出るような、そういう財政方式がもうこの戦後五十数年間一貫して組まれてきたということであって、だから、これは世界でも一つしかないという、一つかどうかはわかりませんが、極めてまれなケースということだけは間違いないのであって、この財政方式をやはりどう変えるかというのが一つ。
 そして、二つ目には、先ほどから言われているように、基礎年金の部分を全部税方式または全額国庫負担ということに切りかえれば、当然のことですけれどもサラリーマンの保険料というのは極端に言いますと半分にできるわけです。それから、国民年金で今高過ぎるという一万三千三百円も恐らくゼロになるわけですから、これはゼロになるのがいいかどうかは別として、一号被保険者、自営業者の皆さん方も、先ほど国広先生ですかおっしゃっておられたような二階建ての部分については保険料を使って二階建ての部分を乗せるということで、自営業者の皆さん方も二階建ての、これは保険料を下げた上で組み合わせていけばすべての国民の年金が、完全じゃないけれども、比較的平等に近い方向へ一歩前進できるというふうに思っています。
#86
○清水澄子君 高山公述人にお伺いしたいんです。
 先ほど受給開始年齢を六十五歳に引き上げるという点では外国の四十五年とかとてもおもしろいと思ったんですが、書いていらっしゃる本の中にも、六十五歳に引き上げるというのはいわば最後の切り札だ、その前にしておかなければならないことが幾つもあるとおっしゃっているので、どういうことをおっしゃっているのか。幾つもあるというのを話していただきたいと同時に、もう一つは、厚生年金の保険料はピーク時でも現行水準に抑えられる、まだ給付適正化の方策があるとおっしゃっていますね、それについてちょっとお話しください。
#87
○公述人(高山憲之君) いずれにしても、将来、今のままでいくと負担が重過ぎるのではないかということになっておりまして、そこは多数派の人たちが合意するところだというふうに私は判断するんです。
 そうすると、将来の給付をどこかで切らなきゃ負担は減らないわけです。その場合に、物事には順番があるのではないでしょうかというのが私の問題認識なんですね。今回のように、二階の水準を五%下げるとか、あるいは支給開始年齢を二階部分も含めて完全に六十五歳にするとかいう形になっておりますけれども、それが本当に最初にやらなきゃいけないことなのかどうかということを申し上げたいわけです。
 私がここで主張したかったのは、入り口が全然人によって違うじゃないかということなのです。学歴によって違うと思うんです。なぜ出口だけ一つに線を引いちゃうんだということなんですね。それは、やはり今の日本の雇用の実態にも合っていないというふうに私は思うわけです。しかも、給付を削るという場合に、相対的に高い年金をもらう可能性のある人にまず譲ってもらうということの方策の方がいいのではないか。それも、支給開始年齢をなぜ今やらなきゃいけないかというところに衝突する問題なんです。ですから、先にもっとやらなきゃいけないことの中の一つは、やはり拠出年数をもっと長くするということです。
 それから、これは意見が分かれますけれども、高過ぎる給付についてスライドをとめても、一般的なスライドはちゃんとやりますよということを言っておけばそんなに怒られる話ではないのではないか、高い年金のスライドをとめてどうしていけないのだというふうに私自身は個人的に思います。あるいは、夫婦で共働きで高過ぎる年金をもらっている人は私はやっぱりいると思うんです。こういう人たちの年金をどうするかとか、やはり先に給付を切り詰めるときの話で幾つかあるはずなんです。
 どうも、今回支給開始年齢を上げても余り雇用がついてこないような形に結果的になっているような試算を厚生省は前提にして議論をしているようなんですが、結果的に言うと、六十歳から減額繰り上げする人たちの年金が減ることによって財政収支の改善を見込む形になっているわけです。こういうことでいいのかどうかというところが問題だというふうに考えているということなんです。
#88
○清水澄子君 それでは、堀公述人と成瀬公述人お二人に、女性の年金権についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせください。
#89
○公述人(堀勝洋君) この問題は非常に複雑で、説明すると時間がかかります。
 簡単に申し上げますと、日本は今過渡期にありまして、かつての夫婦片働きから夫婦共働きへ移行過程にある。片働きの場合には、夫が働いて夫の年金で夫婦で暮らす、そういう社会。夫婦共働きというのは、夫婦とも働いて夫婦とも年金をもらって暮らす。その過渡期にありますので、片働き世帯の女性が千二百万人もいる、こういった中で、そういう所得がない人の年金をどう保障するか。現在は第三号という形で保障しているわけなので、これは私は不可欠だと思います。
 将来、共働きがスウェーデンみたいになれば、第三号を廃止して個人個人の年金という形はあり得ても、今その過渡期なので、そこまで移行するのは無理だというふうに思います。
#90
○公述人(成瀬健生君) この制度につきましては、従来の制度の成り立ちの過程で継ぎはぎ継ぎはぎで積み上げてきた結果が今のようになっているので、これを合理的にばらしてうまく設計しかえるということは、今の状況を前提とする限りかなり難しい仕事で、だれかが損をしてだれかが得をするというような議論が必ず出てくるだろうと思います。
 そうした意味で、思い切ってニューディールといいますかやりかえるというふうな形で考えてみますと、やはり一階の基礎年金につきましては税方式に将来持っていくことによって皆さんが平等に、高齢者も一緒に負担することになりますので、皆さんが広く薄く負担をして、そして公平に分配される、受け取るというふうなことに可能性が出てくる、こう思って日経連はその辺を主張しているところでございます。
#91
○入澤肇君 私は、基礎年金と報酬比例部分の年金とは区別して考えるべきだという立場に立って、今まで出ていなかった質問について若干やりたいと思います。
 一つは、厚生年金基金代行制度、これの廃止論があちこちで出ております。今まではかなり企業にとって有利だった。ところが、新会計基準への移行だとか、あるいは超低金利政策のもとで非常にメリットが少なくなったとか、いろんなことが言われているんですけれども、この厚生年金基金の代行制度を廃止することについて、まず理論的にはどういうふうなことが考えられるかということを高山先生にお伺いし、それから企業の立場からどうかということを成瀬公述人にお伺いしたいと思います。
#92
○公述人(高山憲之君) 入澤先生がおっしゃったように、私は、基本的には現在の代行制度は矛盾が大きくて、いずれかの時点で抜本的な見直しということを迫られているというふうに考えております。方向としては、私は代行制度は廃止するしかないというふうに思っております。
 これは、賦課方式で運営している公的年金と、純粋積み立てでやらざるを得ない企業の企業年金、厚生年金基金という原理が全く違うものを同じ土俵でやろうとすることの無理だというふうに思っております。企業、労使関係者がこぞってこの代行の返上、廃止を求めておりますので、そちらの方向に持っていくしかないというふうに思っております。
 ただ、では代行の返上を具体的にどうやるかとなると、これは今あるものを変えるわけですから、いろいろ手続を踏んでやらざるを得ない。そこに難しさを伴うわけですけれども、基本的には、今各個別基金で預かっている積立金の一部、これは代行分を含んでいるんですが、これをどういう形で厚生年金本体に移換していくかということになると思います。
 今、代行をやめ基金を解散した場合には非常にきつい制約がついておりまして、基本的には五・五%で運用することを仮定して、それで積み上がった積立金を返してくださいということになっているんですが、これはほとんど不可能な要請なんです。それらのためになかなか基金廃止もできないし解散もできないというところもあるわけでして、ここをまず直すことが先決だと思います。
 私は、今資金運用部に預けている預託金利で回したという仮定で代行相当分の積立金を計算すればいいというふうに考えておりますが。
#93
○公述人(成瀬健生君) 企業の立場からということでございますけれども、基本的には、今、高山先生がおっしゃられたことと極めて共通点が多いと思います。
 日経連、主張の中でも言っておりますように、一階部分につきましては将来含めて税方式の方向、それから二階部分につきましては積立方式でかなり幅を圧縮していくという考え方を出しておるわけでございまして、やはりもともとよって来るその財源のゆえんが違うものになっていくわけでございます。
 かつて高度成長期に大変金利も高うございましてというふうなお話もあるわけでございますけれども、年金というのは今後三十年、四十年、五十年という問題でございますので、そういうことを考えますと、やはりこうした原理の違うものはぜひ別に分けていただきたい。
 その場合に、私ども一応どういうふうにお返しするかということも考えておりますのですが、お返しする場合は厚生年金そのものに返させていただく。それから、お返しする場合には最低責任準備金ではどうかというふうなことも含めまして、また運用がいろんな形になっておりますので、それを放出した場合にいろんな金融市場に混乱が起こるというふうなことも考えられますので、それにつきましては例えば現物も認めるとか、余りそうしたものの運用でマーケットが動かないように配慮をしながらというふうな点もぜひ御配慮いただきながら、こんなふうにしなきゃいけないのじゃないか、こんなふうに考えております。
#94
○入澤肇君 次に、山崎公述人にお伺いしたいんです。
 実は、きょういただいた資料で、国民年金と厚生年金の本人負担額、国民年金一万三千三百円、保険料ですね、これはよくわかっているんですけれども、厚生年金等加入者の負担額が六千六百五十円というのは、実はこの委員会で厚生省に確認したんですけれども、はっきりした回答はなかったんです。給付と負担ということを言うのであれば、厚生年金の保険料一七・三五%、そのうちどの部分が基礎年金の部分なのかということを明示すべきじゃないかという質問をしましたら、検討しますという回答はあったんですけれども、何%かという回答はなかったんです。
 そこで、この六千六百五十円というのはどういう計算をされたのかお聞きしたいんです。
#95
○公述人(山崎久民君) これは、今おっしゃるとおりで、私が現場にいて非常にわかりやすい単純化した数字を出してしまったんですが、つまり自営業者は基本的に一万三千三百円、これを全額、全額というのはちょっと語弊がありますが、負担するわけです。それで、二号被保険者の場合は比例報酬部分を含めまして労使折半になっているわけです。ですから、確実にこの金額ということは、これは多分、学者の先生などから言わせるとこういう計算の仕方はとんでもないと言うだろうと思うんですが、私のように実際のお金が幾らなのかという計算だと、おおむねこういう数字になるだろう。つまり、あとの六千六百五十円は事業主が負担している。ですから、本人は基本的には半分という意味でこの数字を出しました。
#96
○入澤肇君 次に、実は今回の年金三法を改正されますと、その次に共済年金四法、これも一緒に改正されるはずなんですけれども、その次のステップとして厚生年金と共済年金の統合という問題が出てくる。これはぜひ早くやってくれという希望が強いわけです。
 これに対して、要するに、私、高山先生と堀先生にお聞きしたいんですけれども、共済年金と厚生年金の統合についてどのような考え方を持っているか、どのような点をクリアすれば実現するかということについて、理論的な話で結構なので一つずつお伺いしたいんです。
#97
○公述人(高山憲之君) 今回の法案が成立した後の緊急課題は、とりあえず農林年金と私学共済をどうするかということだというふうに考えております。
 国家公務員グループは国家公務員グループで再編の方向を検討する旨既に閣議決定してございますが、農林年金と私学共済をどうするかということについての議論はまだそこの段階でははっきりしておりませんでした。
 ただ、農林年金で申し上げますと、組織再編の中で農協の組合員が一〇%減るというような話になっているわけでありまして、別に年金、それは農協の組織としてそう決めたわけですけれども、それが結果的に年金には非常に大変つらい形ではね返ってきているということですね。これは年金制度そのものの自助努力とは関係ない世界で、農協の再編というのは経営の合理化等の中で決められたわけです。かつての農協というか農林年金の組合員であった人が、一部民営化だとかいう形で実は厚生年金に一部移っているわけです。そうした中で、農林年金だけで単独でやっていってくださいという話がなかなか通らなくなってきたということだと思うんです。賦課方式の年金は基本的には大集団をつくって助け合いをするということですので、私は農林年金あるいは私学共済も含めて厚生年金と統合するということは本来の方向であろうというふうに思っております。
 ただ、国家公務員グループをどうするかは、過去いろいろないきさつがあって、関係者の了解はなかなか得られませんでした。とりあえず公務員グループだけで財布を一つにするような方向をとりあえず追求するのが先ではないかなというふうに思っております。その後でどうするかという順番ではないかというふうに思っています。
#98
○公述人(堀勝洋君) かつては共済組合、共済年金というのは職域年金的な、恩給を引き継ぐような色彩があったと思うんですが、現在では一階部分も二階部分も厚生年金とほぼ同じ、若干違うところがありますが、同じ。要するに、公的年金だ。それと、三階部分の職域年金と分けたわけですから、分けて分立させておく理由はないと思います。
 むしろ、負担の面で不公平が出ている。私学共済については保険料一三・何%ですか、国家公務員は一七・何%、そういうふうに負担の面で不公平が生じていますので、私はいずれ四共済とも厚生年金に統合すべきではないか。三階部分につきまして、職域年金につきましては厚生年金基金をつくるなど別途考えていく。これは従来のNTTとかJRの方式がありますので、それも参考に統合していくべきだと思います。
#99
○入澤肇君 もう一つ、先ほどから積立金が五・五年分ある。これは私も質問の中で申し上げたことがあるんですけれども、一方で、厚生年金につきまして、厚生省では積立金、本来積み立ててあるべき責任準備金的な、責任準備金という概念はないんですけれども、責任準備金的な積み立て不足が相当ある。一つの計算によると九百十兆円。これはさっきこの数字でいいのかと確認したら、昔はそういう数字があったけれども今はもう少し低くなっていますという答えがあったのでこの九百十兆円にこだわらないんですが、この積み立て不足というのは将来にある意味では転嫁された負担ですね。将来の保険料で払うか、あるいはそれで払えなければ保険料の引き上げで賄われる。いわば加入者の受給権が現在の積み立てている資産で保障されておらない。将来、国が強制的に保険料を徴収できるということで担保されている性格のものだ。
 これも二つに分けて、過去期間に対応した給付のうち、既に積み立てられている積立金では足りなくて将来の保険料により賄おうとする部分、それから将来期間に対応した給付のうち、現行の一七・三五%では足りなくて将来保険料率を引き上げて賄おうとする部分、二つに分けられるというんですけれども、この巨額な九百十兆円、今二つに分けましたけれども、前者は四百九十兆円、後者が四百二十兆円という試算もあるわけです。
 これに対してどのようなお考え方を持っているかというのを高山先生、ちょっと教えていただけませんか。
#100
○公述人(高山憲之君) これは過去に約束した給付のうち現在積み立てられていない部分を計算したものなんですが、じゃほかのケースでちょっと話をしてみたいと思うんです。
 今、例えば子供一人ここで産みました、それで二十歳前後までお金がどのぐらいかかるかというと、一人、年に例えば百万かかるとしたら二十歳までで二千万ぐらいかかるわけです。その金を未積み立ての債務と言うかということだと思うんですね、未積み立ての債務と言うか。子供が今一人ここで生まれました、二十歳まで育てるのに二千万円かかります、それは未積み立ての債務というふうに言えばそれはそのとおりなんですけれども、それがないからじゃ大変だ大変だと言うかということなんですね。
 我々は、高齢者の生活の基礎的な部分を支えるために公的年金というものを用意しました。基本的には賦課方式でやりますという合意をしてきたわけです。あるいはそれしかなかったわけですね。そうした中で、たまたま計算したらこういう金額が出てきました。これは世代と世代という助け合いのもとで賄っていきましょうという形になっているわけです。
 ただ、この債務が大き過ぎるかどうかということは別途検討をすべきでありまして、これは過去に約束したものなんですけれども、過去にさかのぼって減らすという方法はないのかどうかとか、あるいは財源について保険料を上げていくという形でいいのかどうかとかいろいろその後検討すべきことはあると思うんですが、未積み立ての債務があるということ自体が、これは世代と世代の助け合いの中ではもうやむを得ないことで、子供を産んだ途端に二千万円の借金があるぞと言っておどして、おまえはそれを積み立てていないじゃないかと言うかという問題と基本的には同じ問題だと私は思っているんです。
#101
○入澤肇君 非常にわかりやすい御説明ありがとうございました。
 年金は、こういうふうに数理計算上の極めて難しい問題と、それから先ほど現に受け取るか受け取らないかというので、女性と年金の問題とかあるいは在職年金の要するに繰り上げ繰り下げの問題、減額率の問題、いろんなことがありますけれども、私は総体として今回の改正を一歩進めて、次にまた早急に基本的な事項について見直しを始めることが現実的なあるいは建設的な案じゃないかなというふうな考え方を持っています。
 大変ありがとうございました。
#102
○堂本暁子君 きょうはお忙しい中、ありがとうございました。
 私はずっとこの間女性の問題からこの年金の制度を見てまいりました。というのは、非常に本質的なところが、やはり女性の問題、人口の半分が女性なんですけれども、その女性の中で例えば今の三号と言われる妻という立場にある女性たちと、それからいわゆる一号と言われる女性たちとの間で非常に不公平と申しますか、必ずしも収入が多い人が保険料をたくさん出すというようなことではなくて、男性の場合にはある程度比例しているんですが、女性の場合には全くそこが比例していない。どんなに一千万、二千万の収入のある夫の妻でも免除されている。先ほど免除を申請した人がふえているというふうなお話も公文先生からございまして、そのことを考えてもなお非常にそこにはそこの申請しなければならない人と女性たちとの間にもまた矛盾があるんじゃないかなというふうに改めて思った次第です。
 それで、女性の問題を問題にするということは、何も女だから、あるいは女性の立場だけを考えてではなくて、年金制度全体のありようというものがやはりそこに象徴されているのではないか。だから、女性だけではなくて、例えば障害者、学生あるいはそれぞれ違う立場にいる方たち、それからあるいは職場が違う立場の働き方、給与所得者なのか自営業なのか、作家なのかあるいはまた全然違ったいろんな職種である場合に、それぞれそのことで年金の額が変わってくるというのは非常に不公正なんではないかというふうに思います。
 今井先生もおっしゃったように、ドクターをしていらしても二十六年しかないとおっしゃる。私も実はゆうべ山崎さんの御本を読んでいたらはたと大損害をしたことに気がついたんですね。六十になってから、私は国会議員をやっていましたから、会社に勤めていたときの年金を取らなかったわけです。かといって、それを延期するという手続もとらなかった。したがって、もしその手続をとれば大変生涯高い年金がいただけたかもしれないんですが、そのチャンスを逸してしまったということに気がついたんですけれども、そういったこともこんな年金の審議をしている最中に初めて気がつくような問題で、実際にはなかなかそこのところを一般の方が御存じないということも多いんじゃないかというような気がいたします。
 山崎先生に全体的な女性の年金の問題をお話しいただいたので、続いて一つ質問させていただきたいんですが、それは、女性の年金の問題を解決するのにまず長期的なビジョンが必要なのではないかという気がいたします。
 私はずっと、離婚のときに不公平がある、離婚のときにぜひ分割をした方がいいということを言い続けてきたんですが、考えてみたらば、厚生年金の妻の場合には確かにそのことがそう言えるわけですね。ところが、そうじゃない場合には必ずしもそうならない。というと、そこに相当、実際に個々の単位で保険料を払っている自営業の妻は一体どうなのかとか、いろいろ考えると難しい問題があります。
 今申し上げたような形での不公正をなくすための長期的な、それから抜本的な改正についてはどのようなビジョンを、そういった女性の不公平さをなくすためにはしたらいいか。特に、離婚の場合なんかの分割の問題についてはどのようにお考えか、伺わせていただけるでしょうか。
#103
○公述人(山崎久民君) 今の質問に答えるのは本当に悩ましくて、現実、どちらをとるとどちらが余り利益をこうむらないという問題があって、確かに今の離婚それから遺産分割、年金分割の話は、夫が第二号被保険者の場合は確かに通用する問題です。ですけれども、一号被保険者を夫に持った場合には自分の国民年金だけになりますので、そういったことは一切配慮がないということになるわけです。それじゃ、その一切配慮のない方にそろえればいいのかと詰め寄られますと、それはどうなのかなと、私も大変悶々とするわけです。
 それで、しかも女の人たちが、今の日本の社会構造が完全に男も女もペイドワークの世界で働くようなことになっておりませんから、そうした過渡期の中で、弱い立場の女の人たちにどう保護あるいはそこまでの間どういうふうにしていけばいいかというのは、本当に一言では答えられない問題かなと思います。
 ただ、年金制度というところと、それからやはりそうした女の人たちをバックアップする制度とは、ごちゃごちゃにしてしまうと何か余計解決が難しいんではないかなということも考えます。ということで、長期的には私は国民年金に一本化してというふうに言っているんですが、じゃ、それまでの間女性たちをどうするかということで、やはり二号被保険者を夫に持った場合のことを配慮するんであれば、ぜひ一号被保険者の無収入の妻についてはどうなるのかということもあわせて考えて何らかの制度を導入していただく、そういうことであれば多少やむを得ないかなという気はいたします。ただ、今のところ、私もこれでいけるというような具体的な方法は見つからないでいます。
#104
○堂本暁子君 続いてもう一つ伺いたいのは、これも、公文先生からは中小企業の雇用者にというお話があったんですが、中小企業以下の企業というのがまたあるんじゃないかと思うんですが、零細企業についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。山崎さんにお願いいたします。
#105
○公述人(山崎久民君) 自営業者が一号被保険者というふうに単純に区分けをしてしまっているんですが、実は私のクライアントの中の半分以上は零細企業です、それから個人事業主になるんですが、その零細事業の有限会社であったり株式会社だったりするんですが、そこの人たちが厚生年金に加入していないところというのは結構多いんです。
 その人たちはどうなるかといいますと、事業主も含めて従業員は全部一号被保険者になるんですね。なぜそうなるかといいますと、零細企業だということで労使折半の負担になっているその使用者側の方の保険料が払えないという事情があります。
 社会保険庁の方では少し前まではその勧誘を非常に勧めておりましたけれども、最近は事業主が保険料を支払わないということも大変ふえてきて、ほとんど今、入りなさいという積極的な勧めはありません。ですから、そういう人たちは全部一号被保険者になってくると。
 ですから、今の年金改正がやはり比較的恵まれた企業並びにそこの従業員中心の制度になっているなというところは私は現場で大変感じております。
 その零細の企業で働いている従業員もしくはそこの事業主も含めてですけれども、やはりそこの、将来安心のできる年金制度という枠の外におりまして、そういう人たちはやはり自分で何とか老後を設計しなければならないと。多分確信的な未加入者になっているんではないかなという気もいたします。
 ということで、やはりそういう人たちも含めて、年金制度全体が、どういう立場の人も、それからどういう働き方をしても同じような年金が受け取れるような、そういう制度をやはりビジョンとしてまず描くべきではないかというふうに考えています。
#106
○堂本暁子君 高山先生は審議会の委員でもいらっしゃるわけですけれども、今の問題、私もずっとそこに焦点を当ててきたんですが、やはりあくまでも大企業のしかも厚生年金の制度に入っている、私もその一人でしたが、そういう人間にとっては今度の改正は焦点を、灯を当てている。
 しかし、一号と、それから例えば今の零細企業のように勤め人ではあるけれども厚生年金に加盟していない人たちにとっては、私は、非常に問題のある改正なんじゃないかというふうに思っています。
 今井先生は比較的一号の人たちに焦点を当てていらした。私の方は女性の方に焦点を当ててきたんですが、先生は、実際に大企業のそれこそもう役員ちょっと前の一千万、一千五百万ぐらい収入のある人の妻は全く免除されていて、一銭も保険料を払わない、しかも非常に高額な年金が遺族年金という形で死ぬまでもらえる。一方、そういった零細企業あるいはその一号の方たちは全く制度的に救われない、今そういう仕組みになっているんですね。そのことをどのようにお考えでしょうか。
#107
○公述人(高山憲之君) 私は、国民年金制度発足時に非常な無理をしたことが今日に至っても依然として解消されていないということだと思います。
 やはり基本的に所得水準が相対的に低い人たちだけを集めて国民年金グループを非サラリーマンという形でつくったことの無理、しかも定額保険料で発足させざるを得なかったという問題が今もって解決されていないわけです。
 私は、国民皆年金ということが国民の本当に願うところであるとすれば、やはり抜本的にもうその一階の構造を変えざるを得ないんではないかと。
 基本的には税方式化ということを申し上げたいんですけれども、これは、今の保険料というのはある意味ではもう目的税そのものなんです。それは、今の国民年金の保険料というのは年金以外に使っていないわけです。目的税というのも使途を限定する話なんです。要は、税の徴収ベースをどうするかということだけなんですね。
 私は、もう今のような御時世では消費支出への切りかえということを申し上げざるを得ない段階に入ってきたんではないか。そうすれば、一号、二号、三号の区別がなくなるわけですよ、もう。一号、二号、三号の区別がなくなってしまうと。
 おっしゃるように、大企業の重役の奥さんも、生活すれば物を買うわけでして、消費税を払うわけです。形式的には今は保険料は納付しなくてもいいということになっているんですが、財源を切りかえて消費税にかえればしかるべき形の負担をすることになるわけです。定額保険料が高くて払えないとか、そういう人についてのケアが消費支出に応じてできるということですので、私は、財源をもう切りかえる段階に入ったのではないかと思います。
 一階をそういうふうに整理すれば、慌てて年金保険料、従来の保険料を上げなくてもいい。私の予想では、ある程度給付の整理をすれば、ピーク時においても保険料負担は従来の保険料を上げなくても済むという形でおさまるということなんですね。ですから、そういう意味でいう財源切りかえというのは今まさに重要なテーマだというふうに思っております。
#108
○堂本暁子君 三号被保険者の問題、この委員会でも大変クローズアップされたんですけれども、厚生省は五月に入ったら直ちに女性の問題に取りかかると。堀先生もきょう女性の問題のようなものが残ったというふうに認識していらっしゃるわけです。
 そうしますと、先生が今おっしゃったのは非常に抜本的な改正、一号、二号、三号、全部一緒にするという改正、その改正まで三号被保険者の問題はさわらない方がいいのか、それまでの間女性だけのことで何かやった方がいいのか、複雑にし過ぎてかえってわかりにくくするのか、それともその抜本的な改正をできるだけ早い時期にやって、そういった女性だけじゃないですね、もっと違う、今の零細企業の方なんかはまさに一番私は谷に落ちたところだと思いますが、そういったところの不公正をなくすためにはどっちの道をとるか。
 女性だけのを変えるか、それともできるだけ早く抜本的改正をやる方がいいのか、そこのところはどうお考えでしょうか。
#109
○公述人(高山憲之君) 抜本改正を急いだ方がいいと思いますが、これも関係者の合意に達するのがなかなか容易ではないと思います。それで、その間どうするかという問題だと思うんですけれども、私は女性についてはまだ改正する余地が結構あると思います、女性の年金自体。
 例えば、所得分割を認めるとか、離婚時の取り扱いだとか、いろいろな面で今の問題をクリアすることはその気になればすぐできる話ではないかというふうに思っておりますので、本当は財源切りかえが望ましいと思っているけれども、すぐできることも女性についてはあるというふうに考えております。
#110
○委員長(狩野安君) 時間です。
#111
○堂本暁子君 では最後ですけれども、所得分割はあくまでも厚生年金の被保険者ですね。その場合、今の零細の方とか一号被保険者の妻の場合は何か工夫する余地はおありでしょうか。
#112
○公述人(高山憲之君) 保険方式にこだわる限り、ある意味では今の問題点を突破することは不可能だというふうに私は思っております。
#113
○堂本暁子君 ありがとうございました。
#114
○西川きよし君 西川でございます。よろしくお願い申し上げます。
 いろいろな角度から御質問が出たわけですけれども、いよいよ介護保険もスタートいたします。介護保険のお話をいたしますと、またお年寄りの方はいろいろなことを西川さんということでお話もお伺いいたします。この公的年金になりますと、若い方の意識というものが希薄でなかなか難しいんですけれども、まずこの若い方の耳を傾けるのにはどういった仕組みが必要かという部分からまずお伺いしたいと思うんですけれども、国広公述人と山崎公述人にお伺いしたいと思います。
#115
○公述人(国広陽子君) 前回、改正の前に学生へのアンケートというのを厚生省がなさったときに、ただアンケートをするのではなくて、その前に簡単なレクチャーみたいな、年金制度の仕組みを説明した上でアンケートをなさったんですね。それで、そうしたというふうに伺ってアンケートの結果を見ると、有識者の意見とそんなに変わらないような、ある程度誘導的ではあるかもしれないんですが。要するに、制度について全く知らない、関心がない、私自身学生時代そうでしたから。
 もう少し中学や高校で老後、遠いことですけれども、一体なぜおじいちゃん、おばあちゃんは生活できているんだろうか、あるいはお父さんの老後はどういうふうになっているんだろうか、そして自分はどうなのかというような観点から、老後の経済生活について年金ということと絡めて何か授業、課外授業ですか、そういったものをしてみてはどうかなというふうに思います。
 まず、その問題に気がつくのと仕組みを知ることが、若い人たちの議論の出発点になると思います。
#116
○公述人(山崎久民君) 私も似たような考え方なんですが、実は日教組とか教職員組合に招かれることもあるものですから、具体的に今提案をしております。
 一つは、中学の卒業時、それから高校の卒業時、それから大学の卒業時、それと成人式、この四つの機会でレクチャーをする。これは年金制度に限らず、今クレジットの問題とかいろいろありますから、社会に出た場合の必要な知識を必ずレクチャーする。そういう機会を少なくとも今の四回設ければ、どこか必ず一回は出席することになりますし、何か複数回数聞くことができると思います。そこで正確な知識をともかく若い人たちにする。その上でやっていくとかなり変わっていくんではないか。
 それで、非常に損すると思っている人がおりますので、そのあたりも、国の補助金が出ている限りは絶対に得なはずですから、そういった現実的な損得の話も含めてぜひやったらいいというふうに思っています。
#117
○西川きよし君 ありがとうございました。
 こうして質問をさせていただいている私自身も福祉とか慰問とかいうものに出会って三十三年ぐらいになるんですけれども、今回の質問でもいろいろそういう立場から、矯正施設というんでしょうか、そういう刑務所と言われるようなところに収容されている皆さん方、また拘置所で生活しておられる皆さん方の年金というものについても今回質問をさせていただいたんです。
 そこで次は、無年金障害者の問題です。本日もたくさんの方々が要望書を持って会館の方にもお訪ねいただいたんですけれども、今までの国会審議を通じまして政府側からは、問いに対しては、制度に入っていない方、保険料を納めていない方、こういった方に年金を支給するということは制度の根幹に触れる問題であって、年金制度の中で何らかの対応をすることはなかなか難しいということでございます。この二つの問題も女性お二人にお伺いしたいんですけれども、国広さんと山崎さんに。
#118
○公述人(国広陽子君) その問題、本当に私の方にもいろいろなお手紙とかいただきまして、胸を痛めていることです。
 年金制度は、制度の理屈というのによって、それに外れる人はと言うんですけれども、例外的なものを幾つもつくっているわけです。例えば学生は収入がないけれども負担させていたわけですね、今回の改正案で違うようになりますけれども。そんなことがあるにもかかわらず、その点に関しては絶対に譲れないというふうにしていることについては私もどうかなと思います。
 ただ、現実にはこれから年金に加入する学生、二十からちゃんと入るようになれば、保険料を納められない場合は猶予されるという形になればそういう問題は減っていくとは思うんですけれども、その方々に十分な社会保障が年金以外のものから出ていない限りは有効な手だてを打つべきだと思うんです。
 先ほどから積立金の話とか出ています。何かそういうものは使えないだろうかといろいろ考えてはいますけれども、具体的なことはまだ自分ではわかっていません。
#119
○公述人(山崎久民君) 私は税金の世界で非常に臨機応変なところで仕事をしているものですから、法律があると絶対だめだという考え方が大体基本的に理解ができません。
 それで、要するに年金制度の本質は、一体どういう人たちの保険事故にフィットするのかということを考えて、その目的にかなったものであればそこを保護するというのが私は制度の根幹ではないかと思うんですが、どうも日本の制度というのは締め出す方が基準になっているようで、私にはそこはよく理解できません。
#120
○西川きよし君 ありがとうございました。
 私の質問は七分までで、今二問お伺いいたしました。今度は一分ずつぐらいですけれども、皆さん方にお答えをいただこうと思います。長い間の質問ですけれども。
 負担のあり方というものがなかなか出てきません。高齢社会を考えるとき、あるいは公的年金制度を考えるときに、その時代の高齢者の問題はもちろん大切なことではありますけれども、その世代を支えるという、つまり現役世代の立場に立つという視点が僕は大変大切なことであると思いますし、またこれから大変重要であると思います。そういう意味では、年金のみならず社会保障全体の負担というべきものもしっかり考えていかなければいけないんですが。
 特に、高齢化のピーク時に活力を維持するためにこの負担、どのような姿が一番望ましいのか。大変難しい質問ですけれども、今後の現役世代の負担のあり方、堀公述人の方からお一人ずつ、一分強ですが、どうぞよろしくお願いいたします。
#121
○公述人(堀勝洋君) 大変難しい問題で、いろいろ論ずべき点があるんですが、一言だけ言いますと、これからの高齢化社会はできるだけ負担をする階層をふやしていく。高齢者も年金受給に入るのではなくて、できるだけ長く働いて現役になる。それから、女性も働きたい方、要するに働ける条件がないために働けないので、そういう条件を整備して働いてもらってその負担をする、そういうことが必要ではないかと思います。
#122
○公述人(成瀬健生君) 負担の底を広くするということは大変大切だろうと思います。それと日経連が主張しておりますのは、自助を中心にコミュニティー等の共助、それから公の公助、これを組み合わせることによってベストバランスの中福祉中負担の国づくり、これが基本ではないかと考えております。
#123
○公述人(高山憲之君) 現役世代は数が減っていきます。それから賃金の総額で見ますと、ふえていきそうもありません。そういう意味で、従来のように現役だけに負担してもらうという仕組みはもう維持不可能です。ですから、年輩の人も含めて国民全体で負担をする仕組みに変えざるを得ないというふうに思っております。
#124
○公述人(公文昭夫君) これは原則を申し上げますと、やっぱり国の制度である以上は一番だれが責任を負わなければいけないかといえば、もう言うまでもないことなんですが、国ができるだけの負担を、最大限の負担をするというのが第一順位であって、第二順位は大多数のサラリーマンを雇用している企業主が大きな負担をするということ、そしてできるだけ一般のサラリーマンや自営業者の皆さん方の負担は少なく抑えるというのを原則にして組み立てるべきだと。
 年金は、御承知のとおり、年金だけで見たって厚生年金の国庫負担というのは全体の八%しかやっていないわけですから、とてもじゃないが国家的な年金制度として国が責任を負っているとは言いがたい。その中には我々の税金も入っているわけですから、正当な税金の使い方をしてほしいというふうに思っています。
#125
○公述人(国広陽子君) 今までいろいろおっしゃられたことは多様ですけれども、結局助け合っていくような精神を持って、公的にそして私的にもお互いに支え合うような負担をしていかなければいけないんですが、お金ということだけで考えないで物それからワーク、支払われない仕事とか、やはりそういう形で支え合いをすることをもっと重視しなければいけないと思います。年金というとどうしてもお金のことだけ考えがちですけれども、そう思っております。
#126
○公述人(山崎久民君) まず、公正で安心な年金だということを周知徹底する、不信感をなくすということ、納得できればみんなでやはり助け合える中で保険料を負担していく、そういう方法がいいと思っています。
#127
○西川きよし君 七分まで僕は時間がございますので、一分強おしゃべりいただければとお願いをいたしましたが、随分皆さん方、もう三十秒平均くらいで速いテンポでお答えをいただきましたので、それではもう一問つけ加えさせていただきたいんですけれども、今回はよくお母さん方から、働いていない学生の息子がおる、西川さん、二人も学校へ行っているんです、これは大変な負担ですということで、今回新たにこういう内容が提出されたわけですけれども、これに対して高山先生そして公文先生、お答えいただきたいと思います。
#128
○公述人(高山憲之君) 学生から年金保険料を取っているのは日本だけしかありません。これは異常な制度だったと思います。今回の改正はそういう意味では、私はまともな方向への修正だったというふうに思っております。
#129
○公述人(公文昭夫君) 原則的な考え方としては、今、高山先生がおっしゃったことと同じ意見ですけれども、ただ今度の改正についてはいろいろとまだ問題が残っているんじゃないかと思います。延長されることによって、すべての学生が該当するならいいんですけれども、部分的な改善にしかなっていないという点では、かえって結果として悪くなるんじゃないかという心配も多少ありますので、その辺はぜひ御議論いただければ幸いだというふうに思っています。
#130
○西川きよし君 それでは、この問題につきまして堀公述人、引き続きこの内容で御質問したいと思います。
#131
○公述人(堀勝洋君) 所得のない学生に保険料を課すというのはそもそも制度としてはおかしかったというふうに思います。したがって、今回の改正で保険料を猶予するというのは正しいことであるというふうに思います。
#132
○西川きよし君 まだ二分残っております。
 引き続き、本当に住宅ローンみたいな形というのですか、こういう随分長いスパンでということになったんですけれども、最後はやっぱり女性軍に締めていただきたいと思います。国広公述人と山崎公述人にそれこそ一分ずつですけれども、お願いいたします。
#133
○公述人(国広陽子君) 住宅ローンのように長いというのは四十年という意味ですか。
#134
○西川きよし君 今の学生さんの問題ですけれども。
#135
○公述人(国広陽子君) 学生の問題、私も学生の子供を二人今持っていまして、納めていましたけれども、ただ学生だけではなくて、卒業しても就職できないという状況もまた生じているわけです。ですから、学歴が高くなったということに関して今回のこれだけでいいのか。それから、学生がすぐに大学を出たからといって就職できないという状況をどういうふうに考えればいいのかということをまたさらに考えなければいけないなというふうに思っています。
 非常に余り楽観できない状況ですから、すべてに関して、今までいろいろなことを推計するときに比較的よい、何とかなるだろう的な推計が多かったように思うんですけれども、私は全体的にむしろもっと悲観的なことを前提にして論じていく方がいいのではないかと最近思っております。
#136
○公述人(山崎久民君) 収入のない者から取るということで、なぜ学生が払うようになったのかと大変私はあのとき不思議に思いました。
 今、国広公述人も、卒業した後も収入のないということは現実に起こると思います。そのあたりは減免措置をとるということと組み合わせながらやっぱり解決していくしかないのかなということが一つです。
 あと、学生のこともそうなんですが、農業者年金についてもそうなんですが、将来もう絶対におかしくなるとわかり切ったことがどうして制度として出てくるのかというのは大変不思議に思っております。それを最後にちょっと言わせていただきました。
#137
○西川きよし君 ありがとうございました。
#138
○委員長(狩野安君) 以上で公述人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、公述人の方々に一言お礼を申し上げます。
 公述人の方々には、長時間にわたり有益な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。拝聴いたしました御意見は本委員会の審査に十分反映してまいりたいと存じます。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 これをもって公聴会を散会いたします。
   午後二時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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