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2000/05/08 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第5号
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2000/05/08 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第5号

#1
第147回国会 金融問題及び経済活性化に関する特別委員会 第5号
平成十二年五月八日(月曜日)
   午後零時三十一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二日
    辞任         補欠選任
     勝木 健司君     松崎 俊久君
 五月八日
    辞任         補欠選任
     吉川 春子君     畑野 君枝君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         真鍋 賢二君
    理 事
                河本 英典君
                須藤良太郎君
                溝手 顕正君
                山崎  力君
                小川 敏夫君
                直嶋 正行君
                日笠 勝之君
                笠井  亮君
                山本 正和君
    委 員
                市川 一朗君
                岩城 光英君
                上杉 光弘君
                景山俊太郎君
                木村  仁君
                佐々木知子君
                鈴木 正孝君
                世耕 弘成君
                中川 義雄君
                中島 眞人君
                日出 英輔君
                星野 朋市君
                松村 龍二君
                森田 次夫君
                山内 俊夫君
                浅尾慶一郎君
                海野  徹君
                川橋 幸子君
                齋藤  勁君
                櫻井  充君
                羽田雄一郎君
                松崎 俊久君
                峰崎 直樹君
                簗瀬  進君
                浜田卓二郎君
                益田 洋介君
                森本 晃司君
                池田 幹幸君
                小池  晃君
                畑野 君枝君
                吉川 春子君
                大脇 雅子君
                田名部匡省君
                西川きよし君
   国務大臣
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       国務大臣
       (金融再生委員
       会委員長)    谷垣 禎一君
   政務次官
       大蔵政務次官   林  芳正君
       金融再生政務次
       官        村井  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       金融再生委員会
       事務局長     森  昭治君
       金融監督庁検査
       部長       五味 廣文君
       金融監督庁監督
       部長       乾  文男君
       大蔵大臣官房総
       務審議官     原口 恒和君
       大蔵省金融企画
       局長       福田  誠君
       中小企業庁長官  岩田 満泰君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
   参考人
       預金保険機構理
       事長       松田  昇君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○預金保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に
 関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)



    ─────────────
#2
○委員長(真鍋賢二君) ただいまから金融問題及び経済活性化に関する特別委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二日、勝木健司君が委員を辞任され、その補欠として松崎俊久君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(真鍋賢二君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁検査部長五味廣文君、金融監督庁監督部長乾文男君、大蔵大臣官房総務審議官原口恒和君、大蔵省金融企画局長福田誠君、中小企業庁長官岩田満泰君及び労働省職業安定局長渡邊信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(真鍋賢二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として預金保険機構理事長松田昇君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 また、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る五月十日午後一時三十分に、東京大学大学院法学政治学研究科教授・金融審議会委員神田秀樹君、社団法人生命保険協会会長森田富治郎君、21世紀政策研究所理事長田中直毅君及び中央大学経済学部教授米田貢君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#7
○委員長(真鍋賢二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#8
○委員長(真鍋賢二君) 預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、前回に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 金融システムがまだ安定していないということでペイオフが延期されようかということで法案が提出されているわけですが、まず基本的なことをちょっとお伺いしたいんですけれども、金融システムというのは一体何を指すのか、まずこの点について教えていただきたいと思います。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) 金融システムと申しますと、申し上げるまでもないことでありますが、金融取引及び金融活動全体を総称して金融システムと申しますと思いますが、その中で中核を担う銀行等の金融機関の金融取引あるいは金融活動は、その中でも金融秩序の維持あるいは預金者の保護、金融の円滑といったようなことを実現して国民経済及び国民生活に奉仕をする、そのための役割を行う、こういうことであろうと、ごくありきたりなことでございますが、そう考えております。
#11
○櫻井充君 つまり、資金が必要なところに資金がきちんとした形で供給されていくという、そういうシステムと考えてよろしいんでしょうか。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) 本来必要なところに必要な資金が供給される状態であれば、システムとしては円滑に機能をしていると申してもよろしいと思います。
#13
○櫻井充君 現状ではまだ金融システムはそうすると安定化していない状態だというふうに考えてよろしいわけですね。
#14
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の我が国の状況において金融システムが円滑に働いていると言えるかどうかはいろいろ議論のあるところだと思います。他方で、しかし、歴史を振り返りあるいは将来を展望して、このときこそ金融システムがまことに立派に動いていた、あるいはいるという状況がどういうときに来るのか。そこはなかなか難しい話でありますが、今の状況は、日本の金融システムはまことに立派に動いているとは恐らくおっしゃる方は少ないのじゃないかと思います。
#15
○櫻井充君 済みません、大臣の御見解をお伺いさせていただきたいんですが、大臣としてはどうお考えなんでしょうか。
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま申しましたのは私の考えでございます。
#17
○櫻井充君 そうしますと、金融システムが安定していないという原因はどこにあるというふうに大臣はお考えなんでしょうか。
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 今の我が国でなぜ金融システムが安定して完全に動いていないか言ってみろというお話ですが、例えば、その中心は銀行でございますけれども、銀行は政府から多額の公的な資金の注入を受けた状況におるわけでございます。これを一つとりましても、これはまことに正常なことでございません。
 それから、恐らくこれは我が国だけに限らないかと思いますが、これから将来を展望しますと、銀行を中心にした金融機関というものは世界的に大きな変化の時期にあると申さざるを得ない。これはかつてないほどの大きな変化であろうと思いますから、そのことを一つとりましても大変に、これであれこれ安定していると申せないと思いますし、正直を申して人的にも、過去何年間かでいろいろスキャンダル絡みのこともございまして、たくさんの幹部職員が職を去る、あるいはかわるといったようなことも随分ございました。若返りと言ってもいいのかもしれませんが、そういうこともございましたし、また、さきに申しましたことも関係いたしますが、マージャー・アンド・アクイジションというようなことがありますと、どういう新しい陣立てで新しい金融機関が動くかというようなことも、かなりの部分はこれからのことにかかっておりますし、また、リストラクチャリングがございますから相当の人員の削減もなければならないということで、恐らく将来への展開を控えてでもございますけれども、やはりこれで安定しているという状況とはなかなか申しにくい。
 悪いことばかりとは申しませんけれども、しかし、かなりの部分は過去を引きずった部分であります。将来に対応する部分もあろうと存じますけれども、いずれにしても安定とは申しがたいと思います。
#19
○櫻井充君 今、大臣が銀行が金融システムの中核をなすんだというふうにお話しされました。今金融システムがまだ安定していないということ自体は、銀行の経営というんでしょうか、そこがまだ安定していないんだというふうに考えてよろしいんでしょうか。
#20
○国務大臣(宮澤喜一君) そう申さなければならないと思います。
#21
○櫻井充君 そうしますと、そこの中で金融システムの中核をなすべき銀行の、もう一つ基本的なことをお伺いしたいんですが、銀行の本来果たさなければいけない役割というのは一体何なんでしょうか。
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) 銀行法の第一条、御存じでもございますけれども、「この法律は、銀行の業務の公共性にかんがみ、信用を維持し、預金者等の保護を確保するとともに金融の円滑を図るため、銀行の業務の健全かつ適切な運営を期し、もつて国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と書いてございますとおり、やはり一般から預金を受け入れ、あるいは個人、法人に対して必要な資金を供給する、それによって経済活動の中枢を占める資金仲介機能を誤りなく行う。これが教科書的な最もベーシックな機能であると思いますが、これから、先ほども申し上げかけましたが、世界的な変動を見ますと、確かに基本のコンセプトはこうでありましょうけれども、それがどこでどのようなところまで展開するのかということは、今からなかなか予見しがたいような将来を持っておるのではないかというふうに思います。しかし、基本的にはこの三つであろうと思います。
#23
○櫻井充君 それでは、その銀行法に定めています銀行の公共性というふうなものは一体何を指すんでしょうか。何を指して公共性と言うんでしょうか。
#24
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、私も十分に申し上げられないかもしれませんが、そもそも預金者の金を預かるということ、人のものを預かるということに伴う公共性が当然あると思いますし、それから預かったものは少なくとも元本を毀損してはならないということもあろうと思います。
 同時に、しかし銀行が貸し出しを個人及び企業にするということは、貨幣経済において国民経済の非常に中心的な部分でございますから、この機能を行うということ自身がやはり一つの公共性を持っておるのではないかと考えることができると思います。
#25
○櫻井充君 つまり、国民経済が円滑に行われるために、お金を預かり、そして必要なところに融資するというふうなことが公共性という意味でよろしいんですか。
#26
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段に申しましたように、預金を預かるということ自身がやっぱり一つの公共的な機能であると思いますし、恐らくはその預かった預金に約束した程度の利子をつける、あるいは元本を毀損しないで、しないでだけでは十分ではないんだと。仮に毀損するようなことがあれば、それは預金者の負託にこたえないことになりますから、そういう意味での公共性というものもそれに加えてあるというふうに思います。
#27
○櫻井充君 今のは中心は預金者の側から見たときの公共性ということになります。しかしながら、資金を円滑に融通するというか融資していくというふうなことからすれば、借り手側の公共性といいますか、借り手側に対して銀行がどう働いていくのかというそこの公共性というふうなものはどうお考えなんでしょうか。
#28
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しましたように、貨幣経済においては貨幣というものが国民経済のやはり血の流れでございますから、それを担っている銀行というものはその血行が停滞しないように機能しなければならないという、それも公共性だと申してよろしいと思います。
#29
○櫻井充君 そうすると、血行が停滞しないようにというふうに今おっしゃいましたが、血行が停滞しているからこそ金融システムが安定化していないというふうに考えていいんだろうというふうに思います。
 もう一度、くどいかもしれませんが、血行が停滞しているのは、これは銀行の問題なんでしょうか、それとももちろん銀行だけではなくて融資を受ける企業の問題でもあるんでしょうか。
#30
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、そうおっしゃれば国民経済全体の問題であると申し上げなければなりませんが、しかし、仕事のトレーガーが銀行でございますから、たまたまそれが銀行のと、こう皆さんがお考えになるのだと思います。
#31
○櫻井充君 そうしますと、銀行が資金を円滑に供給していないという原因の一つとして、今金融監督庁が銀行に健全度だけを求めているんじゃないかと。つまり、自己資本比率だけを、今銀行のランキングをつけますと、資本金であるとか、健全度の指標なのかもしれませんが自己資本比率だけではかられてきている。銀行が、公共性というのであれば、市場を見て運営してくれればいいわけですが、残念ながらお上の方だけを見ながら銀行が運営されているという点に大きな問題点があるんじゃないかというふうに思いますが、その点に関して金融監督庁はいかがお考えでございましょうか。
#32
○政務次官(村井仁君) ただいま大蔵大臣から、金融あるいは銀行の果たす役割につきまして公共性という観点からいろいろお話がございましたが、私どもといたしましては、金融機関の健全性を確保するということがやはり金融機関の機能をきちんと果たしていただくためにも大切だと思っておりまして、さような意味で、市場規律と自己責任の原則というものを徹底していくという観点から監督を行っているわけでございまして、そのために金融機関がいわゆる貸し手としての役割を十分に果たせないというようなことにはなっていない。私どもは、そういうことではなくて、やはり借り手の実態というもの、借り手のやろうとする例えばプロジェクトなどもよく見て、そして適切なリスクをとるようにということをよく金融機関にも言っているところでございまして、ただいま御指摘のような状況にはないと思っております。
#33
○櫻井充君 今、リスクをとるようにというお話がございました。ここで言うリスクというのは一体何を指すんでしょうか。
#34
○政務次官(村井仁君) 端的に申しまして、貸した金が返ってこない可能性もあるわけでございます。ですから、その場合には当然少し高い金利を取るとかいうようなことも必要でございましょうし、もちろん今までのスタイルでございましたら担保をとるというような形でやってきたんでしょうが、担保の場合でしたら大体リスクが比較的少ないはずだったんですが、現実問題としましては、土地が意外に低下するというような形で、結果的に金融機関の体力が非常に落ちてしまったということは御案内のとおりであります。
 現在、私どもリスクと言っておりますのは、本来でございましたら、それはいわゆるリスクマネーと申しましょうか、株式でございますとかそういったような形で投資が行われるような性質のものが一方にありましょうが、一方で金融機関も、預金を受け入れてそれを貸すわけでありますから、もちろんそこにおのずから限度はありますけれども、しかしプロジェクトの性格などを見て、単に担保などに頼るだけではなくて金を貸す、そういう姿勢をとってほしいということを私ども慫慂しているところでございます。そういう意味でのリスクでございます。
#35
○櫻井充君 私も、まさしくおっしゃるとおりだと思うんです。
 これまで、担保だけをとれば、あとは保証人をとりさえすればそれでリスクから回避できるというか、そういう状況だったのかなというふうに思います。これからは、これまでの実績ということだけではなくて、今後どういうことをやっていこうという意図があって、その計画書とかを見て融資していくのが本来の姿だろうというふうに思っています。
 今、指導されているところだというふうなお話なんですが、これは指導というか、これからされるのかどうかわかりませんが、そのような銀行に変わっていってほしいというふうに行政側はお考えなんでしょうから、その旨、どのような形で指導なり、徹底というとこれは市場介入になってしまうから難しいのかもしれませんが、どのようなスキームをお持ちなのか、その点について教えていただきたいと思います。
#36
○政務次官(村井仁君) 私はただいま慫慂という言葉を使ったつもりでございまして、あくまでそれは金融機関の経営判断の問題でございますから、金融機関を指導するというような意味合いの気持ちは私ども金融監督庁としてはございません。そうではなくて、金融機関がそのような経営姿勢をとっていってほしい、それによりまして経済活動、国民経済の全体の活動に必要な資金が安定的に供給され、そして金融機能の円滑化が図られる、そういう状態を期待したい、そういうことでございます。
#37
○櫻井充君 そうすると、それは市場に任せるということになるのかもしれませんけれども、果たしてそれで銀行が変わっていくことができるのかどうかというのが一つの疑問です。
 それともう一つは、現在でも、一時よりは下火になったかもしれませんけれども、商工ローンの問題がございます。日本の金融の中で金利の差が余りにあり過ぎると思うんです。銀行での貸し出している金利と、その後その中間ぐらいの、一〇%か二〇%ぐらいの間の金利で貸し出してくれる、融資してくれるところがなくて、いきなり商工ローンの業者になってしまう、このことが本当に悲惨な結果を招いているかと思うんです。
 この辺のことに関して、今後何か指導していくとか、もう少し金利でリスクをとるようにとか、そういうことは行政側がもう少しきちんと働きかけていかないと、将来的には、おっしゃるとおり長い目で見れば変わっていくのかもしれませんが、早急に変えていく必要があるんじゃないかなというふうにも思うんですが、その点についていかがでしょうか。
#38
○政府参考人(乾文男君) 先ほど来総括政務次官からもお答え申し上げましたけれども、金融機関、銀行の本来の仕事というのは、貸し出しを受ける相手方のリスクを適切に管理しながら、それに応じたリターンを受けるということでございます。リスクの大きいところからたくさんの金利を受けるということでございまして、そうした中で現在の銀行から信用組合に至るいわゆる預金取扱金融機関というものが一定の役割を果たしているわけでございます。ただ、それを、民間の金融機関がリスクをとれる限度を超えたリスクを持っていらっしゃる借り手というのがいらっしゃるわけでございまして、その場合には信用補完ということが必要になってくるわけでございまして、例えば信用保証協会の特別保証制度でございますとかあるいは政府関係金融機関による融資というものも必要になってくるというふうなことでございます。
 そういう中で、先ほど御指摘のありましたいわゆる商工ローンの借り手の方がどのような位置づけのリスクにある方なのか、これは私どもも必ずしもわからないわけでありますけれども、他方で、これは議員立法でございますけれども貸金業法という業法があって、そこで貸金業者が三万軒いらっしゃるという中で、貸金業者は貸金業者なりに自分たちのリスクをとっている。民間の金融機関がリスクをとれないところに対して、高いリターンということでもってそれなりのリスクをとりながら貸しているのが貸金業者だということでございますけれども、ただ、その中で、この国会で御指摘ございましたように、非常に高い金利を取るとか暴力的な行為であるとか、そういうものはやってはならないということでもって監督当局としては厳正な対応をとっているわけでございます。
 ただ、貸金業者の存在そのものを否定するということではないんだろうと。そうした中で、全体としての日本の金融というものがすみ分けのようなものができているのかなというふうに考えているわけでございます。
#39
○櫻井充君 すみ分けが今できているとおっしゃったのかなというふうに思いますが、私が心配するのは、僕らは医者の感覚ですぐ申し上げて大変申しわけないんですが、人の体を治療しているときに、銀行がいわば心臓に当たるんだろうと思います。
 昔、心不全の治療をするときはどういう治療をしたかというと、心臓を守って頭を守ってと、そこに血液を回すような形にしました、末梢の血管は全部締めて。そうすると血圧は一応上がるんです。その結果どうなるかといいますと、心臓は保護されて、さあ心臓が元気になったといったときに、手足が腐って動けなくなるような方もいらっしゃるんです。
 まさしく今同じ状況にあるんじゃないだろうか。健全度だけを心臓に求めて、つぶれそうな企業にお金を貸してくれと言っているわけでも何でもなくて、健全な借り手が本当に保護されてきているのかどうか、そこに大きな問題があるんじゃないか。血行が再開されたときに、ほかの臓器が保護されていなければ、人の体は、生命は保持されるかもしれないけれども普通の生活に戻れないということになるわけです。
 今、日本の経済というのはまさしく同じような状況にあって、貸し出しをかなりの形で締めてきている。自己資本比率というのは我々の指標からすれば血圧であって、その自己資本比率だけを維持しようとしているがゆえに末梢である中小企業がかなり苦しんでいる状況にあるんじゃないかというふうに思っています。そういう意味で、本当に金融の円滑化が図られているのかどうかということを再度お伺いしたいんです。
 それからもう一つは、中小企業の貸出枠がたしか二兆九千億あったかと思います。上半期で二〇%だったか三〇%程度しかその部分を満たしていなかったのにもかかわらず、三月を過ぎた時点であっという間に一〇〇%を超えています。私が聞いた話では、三月三十一日に銀行の方から中小企業に、四月の三日まで金を借りてくれ、あと三日たったら返してもらっていいんだと言って、実際数字だけを繕っているという、そういう銀行もあるんだというふうに聞いておりますが、その辺に関してはいかがでございましょうか。
#40
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、先生が御専門の人体と対比されながらお話をされたのは、私も確かにそういう面があると思うんです。先ほど宮澤大蔵大臣が答弁されましたように、自己資本比率といいますか、そういうものが非常に低くて、国から公的資金で注入しなければなかなか回っていかないような状況である。それから、バブルがはじけた後の不良債権もたくさんあった。それを何とか整理しなければ、金融が先ほどおっしゃっていたようないろいろな公共的な機能も果たせないということで、自己資本比率も高めろ、そしてそういう中で不良債権も処理をしてくれということでやってきたわけです。
 大きな目で見れば、そのことが結局金融の仲介機能も高めていく、美しく言えばそのとおりですが、前にも御答弁申し上げて、いわば二兎を追っているようなところがあるわけです。それで、それは大きな目的からいえば一致するけれども、実際に追求している過程では確かにそれが相矛盾することはある。そのためにいろいろな信用保証枠であるとかあるいは国の金融機関であるとか、いろんなものを利用しながらやってきているわけですけれども、確かに今おっしゃったような必要なところに十分行っていない面がないとはこれは言えない、まだ努力が必要なんだろう、こういうふうに思っております。
 それと、今、中小企業に対する資金の貸し付け、資本注入した十五行のお話の関連だったと思います。それで、これは何度も御答弁をいたしておりますけれども、昨年の三月からことしの三月、一年間に三兆円中小企業向けの貸し出しをふやすということで、私たちもそれをぜひやってほしいということを事あるごとに大手十五行を中心として言ってきたわけでございます。
 その結果、この間衆議院の予算委員会で、暫定値でございますけれども、全銀協の会長が報告されたような結果が出てまいりました。それで、そろそろそういう数字について、金融機関の内部で決算期に向けていろいろな形での整理が進んでくるだろうから、私たちも、そのあり方というものをヒアリングしながら精査していけそうな時期にだんだんなってきた、こういうふうに思っておりますので、今委員の御指摘のようなことがあったのかどうか。ポイントは、きちっとした資金需要があるところに回っているのかどうか、資金ニーズがあるのかどうかということになるんだろうと思いますが、私どももそういうことをこれから調べてきちっと対応してまいりたい、こう思っております。
#41
○櫻井充君 できれば月別の融資ですね、月ごとの融資を、どうなっていたのか、その点について後で結構でございますので教えていただきたいというふうに思います。つまり、三月に急激にふえてきていないかどうか、二月までと三月と全然違っていないかどうかということについてだけ、できれば教えていただきたいと思います。
#42
○政務次官(村井仁君) 大変恐縮でございますが、再生法に基づきますただいま委員御指摘の資本注入行の中小企業向け貸し付けの額でございますが、これは九月期、三月期の末でそれぞれ計算をするということになっておりまして、月別というのは技術的にとれない性格がございます。
 そういう意味で、いろいろ私どもも研究してみましたが、結局のところ日銀で出しております統計以外ないということでございまして、私ども金融監督庁といたしましては、フォローアップといたしましていわゆる定性的なヒアリングというのをやっているということを重ね重ね申し上げておりますのもそういう事情があるからでございます。
#43
○櫻井充君 それは本当にそんなものなのでしょうか。技術的に無理なら、技術的に可能にしていただきたいと思いますが、それは無理なんでしょうか。
#44
○政務次官(村井仁君) 私どもとしましては、金融機関の体力をきちんと強めてまいりますためには、いわゆる不良債権の処理というものをこれもきっちりやってもらわなきゃいかぬわけでございます。
 それで、そういうものを処理しました分を差っ引きました分、これをきちんと計算して出してもらうということにいたしておりますためにこれは結局期末でないと出ないということでございまして、中小企業向け貸し付けであっても、それが本来生きた金の部分がどれだけあるかということが期末でなければ出ないわけでございまして、そのために、月別にそれを出そうとしますと毎月どれだけ不良債権の償却をしたのかというのを一々とらなきゃならないわけでございまして、これは私は実際問題としまして会計処理上非常に難しい話になるんだろうと思っております。
#45
○櫻井充君 済みません、ちょっと私、金融業界に明るくないのでもう少し詳しく教えていただきたいんですが、その不良債権の処理というのと中小企業に貸し出すというのとどういう関係があるんですか。
#46
○政務次官(村井仁君) そもそも、ちょっと私がお答えするのが適当かどうか問題がございますけれども、いわゆる公的資金の投入に際しまして、貴重な国民の税金をこのような形で金融機関の体力強化ということのために使わせていただくわけでございますが、同時に、それによりまして金融機関が中小企業に対して円滑に資金を供給できるようにする、こういう眼目といいますかそういう観点があったわけでございまして、そこで金融再生委員会におきまして、中小企業に対する金融の目標というものをそれぞれの公的資金を注入される金融機関が目標として示すことを求めたわけでございます。それをそれぞれ期末において確認するということで、そしてまたそれを公表するということでいわゆるパブリックプレッシャーをかけていく、こういう手法をとったということでございます。
#47
○櫻井充君 金融機関にこうやって貸出枠を設定しているということは、きちんとした形で融資しなさいということですよね。その点についてはいいわけですよね。きちんとした形で融資してくださいと、健全な借り手に対してきちんと融資してくださいということですよね。
 そうすると、本当にきちんと融資されているかされていないか、先ほど言いましたが、三月三十一日に金を貸し出して四月三日に回収してくるようなそういう貸し出しをしてくれと言っているわけではないわけですよね。貸出枠をつくっているというのは健全な借り手にきちんと貸しなさいということですよね。それが行われているかどうかをきちんとチェックしなきゃいけないじゃないですか。私たちは貸し出しの枠をつくりました、あとはそれは九月期、三月期じゃないとできませんという話はおかしな話じゃないですか。
#48
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
 先生、今貸出枠と申されましたけれども、早期健全化法で法律上求めておりますのは、資本注入を受けた金融機関は経営健全化計画できちっと中小企業向け貸し出しは増加させなさいということを言っておりまして、増加することが要件でございます。それに基づきまして、昨年の三月期に十五行につきましてどれくらい増加させますかということを求めたところ、先ほど再生委員長が御答弁されましたように、一年間で十五行合計で三兆円増加させますということを計画の上で示されたわけでございます。
 先生が今問題にされています月別はどうなのか、期末しかなぜ出ないのかということにつきまして、やや技術的でございますが簡単な例で申しますと、中小企業向け貸し出しを例えばある銀行が一年間で百伸ばした、しかし、同時に中小向け貸し出しの中で不良債権について三十直接償却をしたという場合は、単なる貸出残高ベースでいきますと、その銀行は百伸ばしたのではなくて七十しか伸びないことになるわけです。
 そういうことを、七十しか伸びないというふうにしてしまいますと、銀行は積極的な不良債権処理をちゅうちょするようになります。それは今の時代、不良債権は積極的に処理しなさいという方針と矛盾いたしますので、一つの約束事といたしまして、ある銀行が一年間に中小企業向け貸し出しを百増加させ、一方において三十直接償却した場合に、七十になったということじゃなくて、三十は期末に足し戻してやはり百増加させたということにいたしましょうというのが約束事でございます。
 そういう直接償却というのは九月の中間決算期と三月の期末に起こるものでございまして、通常、各月ごとにはそういうことは余り起こりにくい。そうなりますと、やはりそういう不良債権処理の足し戻しというのは九月期と三月期の決算期に起こりますので、中小企業向け貸し出しがどれくらい実勢ベースとしてふえているかというのをお示しするときに期末ベースでとっている次第でございます。
#49
○櫻井充君 じゃ、半歩譲って、不良債権の処理が先だとおっしゃるのであれば、不良債権はどのぐらい処理されているんですか、あと幾ら残っているんでしょうか。
#50
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
 昨年三月期の資本注入十五行ベースで申し上げさせていただきます。
 昨年の三月期の十五行ベースの不良債権処理予定額、今後一年間の予定額というものが約二兆円ぐらいであったと思います。それが昨年の九月期で既に二兆円不良債権処理をしてしまいました。そして、昨年の九月に修正を十五行が出しまして、それでことしの三月、通期で一体どれくらい不良債権を処理するかという見通しを当再生委員会が出させましたところ、二兆七千億という数字が出てきております。
 現在三月期の決算が閉じられてまだ数字が出てきておりませんけれども、昨年九月期では十五行合計で不良債権の処理額は昨年の四月からことしの三月までで二兆七千億という見積もりが示されております。
#51
○櫻井充君 いや、私は、まず総額幾らまだ残っているのかということもお聞きしたわけであって、二兆七千億、それは目標よりは大きいかもしれませんが、自分たちで目標を立ててそれをクリアしましたからいいというものではないんだろうと思います。
 あと幾らほど残っているのか、教えていただきたいと思います。
#52
○政府参考人(乾文男君) 不良債権の額を把握する方法といたしまして、リスク管理債権というものがあるわけでございますけれども、リスク管理債権の額は直近、十一年九月末で主要行で見まして十九・二兆円ということで、ほぼ十一年三月末から横ばいとなっております。
 ただ、この額は一定の客観的な基準によりまして出したものでございまして、全般的な評価というのを申し上げますと、昨年の大手十五行等に対する資本注入のときに、昨年三月期に約十兆円の不良債権の償却を行っていることから、いわゆるバブル期からの残っている不良債権の処理というのは一段落をした、不良債権の処理は十分な進展が見られたという評価をしているわけでございます。
 ただ、企業に貸しております債権の額につきましては、地価の下落あるいは景況の動向等によりまして今後とも一定割合の状況でふえていくことは予想されるわけでございまして、それにつきましては金融機関は毎年度の業務純益の中で必要な対応をしていくことが期待されているわけでございまして、先ほど来中小企業貸し出しのところで再生委員会事務局長が申しました償却というものも、基本的にはそうした年々の償却の中で、債権放棄でございますとか直接償却とか、そういうものが行われているというふうに御理解をいただければと思います。
#53
○櫻井充君 済みませんが、不良債権がどの程度の額になったら金融システムは安定した、つまり中核として働く銀行として、銀行の本来の目的を果たせるような、不良債権の額ですが、どの程度になればいいというふうにお考えなんでしょうか。
#54
○政府参考人(乾文男君) 全国銀行は、平成四年度以降だけで見まして不良債権の処理、これは不良債権の処理の中にいろいろなカテゴリーがございまして、先ほど申しました貸出金の償却、直接償却もございますし、それから共同債権買取機構への売却というものもございますし、あるいはバルクセールで処分するというのもございます。それからさらに、現在まだそういう状態にはなっていないけれどもということで、貸倒引当金を積むという方法もございます。
 そうした広い意味での不良債権に対する対応ということでもって、平成四年度以降の累計で主要行で見まして約五十一兆円の償却ないしは貸倒引当金の積み増しということをやってきているわけでございまして、その結果、先ほど申し上げましたように、監督庁、再生委員会といたしましては、バブル期からの不良債権の処理というのは十分な進展が見られたと、ただ、今後年々の景況の悪化等に伴う処理は毎年やっていく必要があるというふうにお答えしているところでございます。(「そんなこと聞いてないよ」と呼ぶ者あり)
#55
○櫻井充君 そうなんです。そういうことは聞いていないんですよ。今までどれだけやってきたかということじゃなくて、今後どういうふうになったら金融システムというのは本当に安定するのか。
 これでペイオフを一年延ばしましたということになっていますよね。金融システムが安定していないから一年延ばしたんでしょう。先ほどからお伺いしていたら、金融システムの中核は銀行だと言っているわけです。銀行の体力強化ができなければ金融システムは安定しないわけじゃないですか。一体いつになったら金融システムの中核である銀行が健全になるんですか。お答えいただきたいと思います。
#56
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、政府参考人から答弁をいたさせましたように、今のは主として主要行の話をしていたと思います。そういうところの不良債権処理は、まだ完璧と言っていいかどうかわかりませんが、先ほど申し上げた数字のようにおおむね峠は越えたんではないか。もちろん、今後とも、地価の下落であるとかそれぞれの企業側の、借り手の業績によりまして不良債権は累次発生してくるものですが、おおむね峠は越えたと思っております。
 むしろ、不安定なところがあると申しますのは、一年ペイオフを延期したことの関係もございますけれども、一部の中小と申しますか、あるいは地域金融機関というようなところに必ずしも十分今まで国の調査が及んでいないところがありまして、そこらをどうしていくのかという問題があるんだろうと思います。大体私はそのように認識いたしております。
#57
○櫻井充君 済みませんが、大臣のお考えとしては、大手行はもう安定したんだというふうにお考えなんですね。
#58
○国務大臣(谷垣禎一君) 不良債権処理という点では山は越したなと思っております。
 ただ、もちろんこういう中で競争が激化してまいりますから、不良債権処理がおおむね済んだということだけで新しいいろいろな競争環境に対応できるものがすべて整ってきたかどうか、これはこれからの工夫なり努力というものが必要な分野ではないかと思っております。
#59
○櫻井充君 おおむね終わったとおっしゃいました。じゃ、どのぐらいであれば完全に終わったというふうに考えられるんですか。先ほど十九・二兆円でしたね、今あるというふうなお話ですが、これでおおむね終わったということであったとすれば、どのぐらいであればいいというふうに大臣としてお考えなんでしょうか。
#60
○国務大臣(谷垣禎一君) やや感覚的な御答弁になるかもしれませんが、まあ、八合目ぐらいまで来ているんじゃないかなと、こう思っております。
#61
○櫻井充君 どの程度になればと聞いているのであって、今が八合目かどうかということではなくて、どの程度になればまあ金融監督庁としては納得できる額だというふうにお考えなんでしょうか。目標です。
#62
○政務次官(村井仁君) 先ほど政府参考人からもお答えした一部で申し上げていることでございますけれども、やっぱりこういう経済全体の状況でございますから、いわゆる不良債権というものは現在時点でも新たに発生するということは当然あるわけでございます。そういう意味で、数字の上でどのくらいの金額まで行ったら安定したと言えるかということは、ちょっとこれはお答えしにくいことではないかと思っております。
 ただ、既往のものにつきまして先ほど政府参考人からお答えしましたような程度まで片づけることができた、それでおおむね今大臣がお話になりましたように峠を越えたと、こういう認識をいわゆる大手行につきましては私ども持っているということでございます。
#63
○櫻井充君 それは額じゃないんですか。要するに、分類もあるかもしれませんけれども、どの分類のものがどれだけ処理されたから八合目まで達したというふうに言えるんじゃないんですか。何の根拠もなしに八合目までと、それは余りにいいかげんでしょう。何らかの根拠があるから八合目ですよね。何なんでしょう、その根拠は。──いや、だって大臣がお答えになったんじゃないですか、八合目というのは。
#64
○国務大臣(谷垣禎一君) 計数ですから。
#65
○政府参考人(乾文男君) 先ほどリスク管理債権が十九兆あると申し上げましたけれども、これに対しまして担保を徴しているものが相当程度ございます。それから、それ以外に、いわゆる貸倒引当金を積んでいるというもので、貸倒引当金だけとりましても、十一年九月末の貸倒引当金で全国銀行で約九・六兆円の貸倒引当金の状況というふうになってございまして、貸倒引当金あるいは持っている担保等を総合的に勘案いたしまして、主要行につきましては不良債権の処理、十分な進展が見られているというふうに申し上げているところでございます。
#66
○櫻井充君 なぜそんなことをしつこく聞いているかと言いますと、宮澤大蔵大臣も実は衆議院の大蔵委員会で、不良債権の処理は早期にやるべきだったと、金融ビッグバンを迎える前にやった方がよかったですねというふうに宮澤大蔵大臣は答弁されているわけですよ。ですから、どこまできちんとやれているんですかと。やればよかったですねというのは、それは過去の話じゃなくて、現在も不良債権があるわけですから、ですからそれをどこまで早期に不良債権をなくすように努力するかですよね。そうでなければ、もしかすると前の佐々波委員会のときと同じように、公的資金は入れたけれども破産するような銀行がまた出てくるかもしれないわけですよね。
 谷垣大臣は、おっしゃっておりましたけれども、前にどういう形で処理したら一番安く済んだんだろうと言ったときに、恐らく合併した場合に一番公的資金の注入額が少なくて済んだんじゃないかというお話もされておりました。不良債権が多ければ、今度は合併しようにも合併もできないでしょうし、つまり今後この先、公的資金をこれ以上使わないとかいうことを考えてくれば、不良債権の処理をもっと一生懸命やるべきだというふうに私は思うんですね。その点に関してはいかがでございましょうか。
#67
○国務大臣(谷垣禎一君) 不良債権の処理を一生懸命やれというのは私もそのとおりだと思います。
 それで、かなりこの面では先ほどから答弁を政府参考人もしておりますけれども、引き当てをどのぐらい積むかということも目標を定めましてやってきまして、バランスシートから落としたものもかなりある。数字を申し上げたと思いますが。
 それで、私の先ほど峠を越したかあるいは八合目というのが余り明確でないとおっしゃいましたけれども、なかなかここは答えにくいところでございまして、完璧ということはそれは言えないと思います。完璧になったなんてことはまだ言えないと思います。ただ、これからも地価の下落や何かが出てくるわけでございまして、それは引き続き努力をしなければならないけれども、通常の本当の状態になってきたと言うには少しまだ間があるかなと。こういう非常に感覚的な表現で恐縮ですけれども、再度同じようなことで恐縮ですけれども、答弁させていただきたいと思います。
#68
○櫻井充君 ちょっとこの件に関してもう一つお伺いしたいことがあるのですが、長銀とか日債銀が破綻いたしました。経営者側は、破綻した前年度に株主総会において株主に対してどのような財務状況であるというふうに説明したのでしょうか。
 つまり、コーポレートガバナンスというか、そういう形で企業の活動をきちんとチェックできていればこういうことというのはある程度防げるんじゃないかというふうにも思います。そういう意味でどのような説明があったのか教えていただければと思います。
#69
○政務次官(村井仁君) 長銀、日債銀の破綻の際でございますけれども、その破綻の前年度の株主総会におきましてでございますが、破綻する以前の十年六月の定時株主総会におきまして、両行とも取締役会での決議を踏まえました議案内容を記載した招集通知でございますが、これを株主あてに発出いたしまして、監査法人による監査を経て作成された貸借対照表、損益計算書等を報告するとともに、長銀については利益処分計算書案の承認、それから日債銀につきましては損失処理計算書案の承認等に係る議決が行われたものと、このように私どもは承知しております。
 そういう意味で、株主総会において長銀、日債銀の経営者が株主に対してどのような財政状況であるという説明をしたかということにつきましては、私どもといたしまして金融監督庁の立場ではちょっとコメントする立場にはないわけでございます。さらに申しますと、長銀、日債銀につきましては現在証券取引法違反事件ということで公判中でございまして、さような意味で決算の内容等につきましてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。
#70
○櫻井充君 そうしますと、その株主というのは何を判断して株主になれるのですか。つまり、そのときにきちんとした財政状況、どういう財政状況であったとかそういうふうな報告はあったわけですか。それはたまたまこういう委員会の場では話ができないということなんでしょうか。そうでないとすると、株主は何を判断してそこの株を買ったらいいのかというのがわからないわけですよね。
 それから、その企業に対しての経営改善というのを当然のことながら求めていくことができるわけですよね。その辺のチェックの機能が全く働かないことになるような気がするのですが、いかがでしょうか。
#71
○政務次官(村井仁君) ただいまのお話は、当時の長銀、日債銀の取締役が株主に対する十分な責任を果たしていなかったと、こういう御指摘であって、制度の問題としては、やっぱり私どもは、当時の長銀、日債銀がやりましたこと、そして当時の金融監督のチェック体制というもとでは、大変残念なことでございますが、やむを得なかったことではないかと思っております。
#72
○櫻井充君 わかりました。
 それじゃ制度のことについてもう一つお伺いいたしますが、株式会社は経営者が株主に対しての責任を負っているわけですけれども、大手生保の場合は相互会社ですけれども、この場合の経営者というのはだれに対して責任を負って経営することになるんでしょうか。
#73
○政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。
 大手の生保の場合は相互会社ということでございますので、もう委員御存じのとおりでございますけれども、保険の契約者が相互会社のいわゆる社員として会社の事業運営に参加することになっておりますので、取締役会は、これは保険業法の五十一条でございますが、社員総代会ということで、そこで選任をされる。そういう手続を経て選任された取締役が、社員である保険契約者に対して責任を負うというふうになっておるわけでございます。今の保険業法によりますと、より多くの社員の、社員というのは保険契約者でございますが、意見を取締役会に、社員総代会で選ばれるということがそもそもあるわけですが、それ以外に直接反映させていくということで、社員単独による代表訴訟の提起権、それから取締役の違法行為差しとめ請求権などに関する規定がございまして、こういうことによって社員が経営チェックを実効性を持ってやっていくというふうになっております。
#74
○櫻井充君 そうしますと、相互会社というのは、契約者、いわばその社員に対して利益を上げるように経営の努力をしていかなければいけないということでよろしいのでございましょうか。
#75
○政務次官(林芳正君) 相互会社でございますから、利益を上げるというのも当然でございましょうけれども、今申し上げましたように、社員は同時にその保険の契約者でありますから、そういった観点でも両方含んで今のようなチェックシステムで監視をするということだろうと思います。
#76
○櫻井充君 そこで、これは住友生命に対しての訴状なんですが、相互会社が政治献金をしていると。どの程度かといいますと、ある生保の場合には、平成七年度に国民政治協会に二千百七十万、改革国民会議に七百八十万、平成八年度が一千四百九十万、平成九年度が一千三百二十万、平成十年度が一千四十七万円です。もう一つの生命保険会社は、九五年に国民政治協会に三千四百十万円、改革国民会議に一千二百三十万、九六年は国民政治協会に一千八百万、九七年は同じく一千八百万、九八年は一千七百九十五万というふうに献金しているわけです。
 こういう相互会社が政治献金を行っていくということは、これは一般的に認められることなんでしょうか。
#77
○政務次官(村井仁君) 相互会社といいましてもやはり経済社会の一員でございますので、法律の認める範囲内におきまして政治資金を提供するといいますか政治資金を出すということは特段排除される話ではないだろうと思っております。
#78
○櫻井充君 しかし本来であれば、例えば今話をしたところは、二つで約二千万人の契約者がいます。二千万人の社員がいる。私もその中の一人です。そうしますと、ある偏ったところに献金を行っているわけであって、二千万人の人が全員同じところを支持しているというわけではないんだと思うんですね。
 こういうふうなものがどこの形で決定されるのかわかりませんが、つまりチェック機能が十分に働かないような会社というのは非常に問題じゃないだろうか。こういう会社がもし破綻した際に、公的資金を入れなきゃいけなくなるかもしれない。このような経営をしているところに果たして我々の税金を入れることが許されることなのか。その点について教えていただきたいと思います。
#79
○政務次官(村井仁君) あくまで政治献金の問題につきましては、これは株式会社と同様、個々の会社の経営判断の問題でございますので直接のお答えになるかどうかわかりませんが、私どもといたしましては、私ども金融監督庁という立場で理解しておりますところでは、政治資金規正法等の法令に基づきまして取締役会での決定等社内の手続を経た上で行われる、そしてそれに対します契約者の意見、チェックというものは総代会を通じて反映されている、そういうことであると理解をしておるところでございます。
#80
○櫻井充君 総代会というのは、会社の人が適当にと言ったら怒られますが、自分の都合のいいように選んでいる会だというふうに私は聞いております。これはまた訴えている方々もそれはお調べになりまして、自分が契約者であるから自分も総代会に出たいと言ったら、一見の方にはお断りしたいといって断られたということもお伺いしております。つまり、システムとしては契約者の意見なんというのは反映できないようになっているんです。
 これはシステム上の問題だというふうに言われるかもしれませんが、経営という点で考えたときに、今後公的資金を入れなければいけないかもしれないようなそういう会社であったとすれば、変な言い方かもしれませんが、むだなお金はなるだけ使わないようにしなきゃいけないんじゃないかというふうに思います。これがむだなお金でないとなると、いわゆるわいろになってしまうかもしれないわけです。いかがでしょうか。
#81
○政務次官(村井仁君) 結局、契約者に対する、相互会社という形でございましょうか、保険会社の責任というのはできるだけ多くの配当をするということになるんだろうと思うのでございますけれども、それはその経営実績等を踏まえまして個々の保険会社の経営判断に基づいて総代会の決議を経て法令にのっとって行われていると、このように私どもは理解しているわけでございます。
 さらに、私ども把握している限りでは、承知しております限りでは、保険会社の行っております政治資金の、何といいましょうか、政治献金といいましょうか政治資金の供与と申しましょうか、これは年々減少しているという傾向にあるとは承知しております。
#82
○櫻井充君 年々減少しているからいいというものとは全然違うんじゃないかと思うんです。
 例えば、こういう会社だから、では私は契約をやめましょう、社員をやめますというふうに簡単にいければいいわけですが、そこで契約を取りやめると多大な損失をこうむることになるんです。例えば、私は三十代のときに入りましたが、今になってやめて新しいところに入ると、掛金もふえるしかなり損をさせられるわけです。株式会社だとどうかといえば、そこはある意味でいったら自己責任ですから、株を売却してそこで完結することができるはずですね。そういう意味合いでいうと、相互会社と株式会社というのは非常に大きく違うんじゃないか。
 再度お伺いしたいんですが、こういう中で、ある一つの、二つでしたが、ある特定の団体にだけ、ここ三年間はある特定の団体です、ある特定の団体にだけ寄附するのはおかしくないですか。
#83
○政務次官(村井仁君) そのあたりは、まず相互会社の経営責任を担っておる取締役会、それからチェックをいたします総代会の御判断の問題だろうというふうに私は思うわけでございます。
 それから、総代会につきまして、総代会のメンバーの選定の仕方につきましても御付言がございましたけれども、これもある意味では一種の社員自治的な世界でございまして、そういう意味では、こういうふうに総代はできるだけ公平に社員の意思、意見を反映できるように選べというような趣旨の定めはございますけれども、それを超えてどのような形にするかということは、これはもう一度申し上げますが、一種の社員自治の世界であるということもございまして、私ども監督当局として、今委員御指摘でございますけれども、ちょっとどのようにそこをチェックしていったらいいのか、非常に難しい問題だという感じを申し上げるしかないと思います。
#84
○櫻井充君 すっきりしないんですが、監督官庁としてどう考えていくかということになるんだと思うんです。つまり、会社員の思想、信条とか、そういうことを尊重していくとなれば、どの政党を支持するかとか、どういうスタンスで考えていくかとか、そういうことを考えていったら、ある一つのところだけ支持していくということが果たして許されるのかどうかということです。
 それと、もう一つですが、何回も言いますが、今後こういう生保が破綻した場合にはこれは公的資金が注入されるわけですね。そこは間違いないですね。
#85
○政務次官(村井仁君) 公的資金の注入につきましては、そのときにそれだけの必要があるかどうかという判断の問題でございますから、そういう仮定の問題につきましてちょっとコメントするのはいかがかと思いますけれども、いずれにいたしましても、相互会社が政治献金を行いますことはあくまでこれは経営判断の問題でございまして、私ども金融監督庁といたしましては、それぞれの金融機関、あるいはこの場合でしたら保険会社の経営の健全性を確認する、そういう観点から見ているところでございまして、政治資金という観点からは必ずしもこれは私どもがウオッチする立場ではないんだろうと思っております。
#86
○櫻井充君 健全性というふうに今おっしゃいました。まあ一千万程度だったら微々たる額なのかもしれません。もしそういうふうなことで健全度を失うというふうに考えられるような場合にはどうなるんですか。
#87
○政務次官(村井仁君) 何とも、具体的なことではございませんし、お答えに苦しむ問題でございます。
#88
○櫻井充君 済みません、もうちょっと基本的なことをお伺いしたいんですが、生命保険会社というのは今の社会においてどういう存在なんでしょうか。
#89
○政務次官(村井仁君) 生命保険会社は、まず第一に、生命保険ということでございますから、死亡とかあるいは老後の生活の安定とかいうことが一つの目的でございまして、契約者に対しましてそのような保障を与える、これが一つだと思います。と同時に、そういう形で契約者からお預かりをいたしました金をできるだけ安全に、またできるだけ有利に運用をして、そして適切な配当をする、これがもう一つの仕事でございましょう。もう一つは、機関投資家として産業社会、経済社会、日本の経済社会にしかるべき資金の、何といいましょうか、流通を図る、そういう役割も果たしている存在だと思っております。
#90
○櫻井充君 済みませんが、そういうところに保険料を払って、今の答弁のところに何か今我々がお金を払っておると。それをふやしてくれたりとかいう話みたいですが、そういうところに保険料を払って我々はなぜ税制上優遇されなきゃいけないんですか。確定申告等をするときに、年末調整でも結構ですが、生保に契約していた際に、なぜ税制の優遇措置を受けられるんですか。
#91
○政務次官(林芳正君) お答え申し上げます。
 御通告をいただいておればもう少し正確に御答弁できるかもしれませんが、急なお尋ねでございますので。
 今、村井総括政務次官からお話がありましたような重要な目的を果たしておるわけでございまして、そういった意味で公益性にかんがみて所得控除、たしか五万円だったと思いますけれども、それを講じておるということだと思います。
#92
○櫻井充君 通告がないとおっしゃいますが、私はヒアリングに来た方にこういうことはお話ししております。そのときに、いわゆる社会保障なんですよということを非公式には教えていただきました。しかし、社会保障というのは果たしてそういう生命保険会社にお願いしなきゃいけないことなのかどうかということにもかかわってくると思うんです。つまり、倒産するかもしれない、しかも自分の信条と合わないようなことをやっているところにお金を預けなきゃいけないかどうかということです。
 これからはもう自己責任だといって、年金だと四〇一kになるのかどうかわかりませんが、要するに自己責任だとすれば自分でためていってもいいわけです。自分でもしためたとしたらどうなるんでしょうか、優遇税制は逆に受けられないじゃないですか。なぜそのギャップがあるんですか。
#93
○政務次官(林芳正君) お聞きに行った方からよく聞いておりませんで、失礼いたしました。
 確定拠出型年金におきましても、今委員がまさに御指摘になったように、一階建て、二階建て、三階建ての部分で、社会保障の本当に国がやる一階建て、二階建ての上に、三階建てで個人年金というところでこれは補完をするという意味で、この確定拠出型年金は今回の国会では間に合わないそうでございますが、しかしながらこれは税制の優遇措置をつけて国としてもある一定の支援をしていこうということでありますから、生命保険におきましても、それと類似の目的でもって生命保険に入る方の後押しをするという意味でこういう控除が設けられているというふうに理解をしておるところでございます。
#94
○櫻井充君 これは生命保険に入る方の後押しなんですか、生命保険会社の後押しなんですか。
#95
○政務次官(林芳正君) なかなか難しい御質問でございますが、生命保険に入るということは、もちろん保険者と契約者と両方いてその契約が成立して初めて入れるわけでございますので、どちらか一方ということではなくて、入る人の所得税控除ということで、間接的には保険会社の方にもそのインセンティブが働くということではないかと思います。
#96
○櫻井充君 済みません、ちょっと時間がないので最後に。
 今、説明という言葉がございましたが、金融商品の販売等に関する法律案が参議院は通りました。今回、生保の場合に責任準備金の九〇%を保護するというふうにうたっているわけですが、その責任準備金の九〇%の保護というのは、今後金融商品の販売等の法律案が通ったところで説明責任が出てくるわけです、こういう商品ですと。その場合に具体的にどのように顧客に説明されるのか教えていただきたいと思います。
#97
○政府参考人(福田誠君) ただいま国会で御審議いただいております金融商品販売に関する法律についてのお尋ねでございますのでお答えいたしますが、この法案におきましては、一般的な大多数の顧客にとりましてリスクを理解することができる程度の定型的な内容の説明義務を業者に課すこととしておりますが、今後登場する新商品も含めまして多様な金融商品に柔軟に対応する必要がございますし、それから形式要件のみを満たしていれば説明をしたとみなせる性質のものではございませんので、説明内容とか説明方法につきまして具体的な規定は法令上は置いてございません。
 御指摘のとおり、生命保険契約者保護機構制度は、本法案に規定しております販売業者自身の業務、財産の状況変化を原因とする元本欠損のおそれ等の関連で申し上げれば、説明を要する重要事項というふうに考えられますが、その具体的な説明内容につきましては、今申し上げましたように、本法案の趣旨を踏まえましてそれぞれの業界で具体的に検討されていくものと考えております。
#98
○櫻井充君 要するに、よくわからなかったのでここを教えていただきたかったんです、本当の話は。
 時間になりましたので、今後また質問させていただきたいと思います。
#99
○海野徹君 民主党・新緑風会の海野徹であります。
 お時間をいただきまして若干質問させていただきますが、大変多岐にわたる質問であります。両大臣、あるいは政務次官に御答弁いただきたいなと思います。おおよその見解をお伺いするということでありまして、政府参考人の答弁はいただく機会がないかと思いますが、あらかじめ申し述べさせていただきたいと思います。
 同僚の櫻井議員からお話がありました銀行の公共性の問題であります。
 公共性というものを持ち出しますと、経営者の責任判断、銀行の経営者の経営責任の判断基準が非常に不明確になるんではないかなと、昨今私はそういう印象を持っております。
 これはアダム・スミスにまでさかのぼるわけなんですが、公共性という概念は、ある意味では企業家によってたびたび乱用されてきた、産業保護の口実として使われてきたんではないかと言われております。私も、昨今の現状を見ますと、ややもするとその説に納得せざるを得ないというような状況があるわけなんです。金融システム全体の維持というのが、これは公共性だと思います。それによって、個別の金融機関の破綻をある意味では正当化するということがあっては決してならない、これはもう両大臣、御認識は一緒だと思うんです。だから、ある意味では公共性があるがゆえに経営者の責任というのは極めて厳しく認識されるべきだなと思いますが、その点についての御見解をお伺いします。
#100
○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりと思います。
#101
○国務大臣(谷垣禎一君) 私もそのように思います。
#102
○海野徹君 ありがとうございます。
 それでは、今確認させていただいて、経営者の責任というのをより厳しく追及すべきだと思いますが、今の状況、果たして公的資金を注入した銀行について経営責任というのは極めて明確な形でとられておりますでしょうか。その辺についての認識をお伺いします。
#103
○国務大臣(谷垣禎一君) これは、公的資金といいましても、受けた公的資金の性格によって違うと思うんです。破綻した銀行で特別公的管理に入った長銀あるいは日債銀のようなものは、穴埋めに莫大な公的資金を使っているわけでありますけれども、これらの旧経営陣に対しては、民事、刑事の両責任というものをやはり厳格に追及していく必要があろうかと思います。
 他方、健全行であるけれども、そこに資本注入をして体力をつけてもらいたいと。私正確にちょっと題名を忘れましたけれども、金融再生委員会で資本注入をいたしますときにガイドラインをつくりまして、そのレベルによって幾つか分けて、その責任の追及の仕方も分けたわけでございます。健全な場合、あるいは著しい過少資本行の場合どうかと。そういうので責任の程度もまたおのずから違ってくるんではないか、こう思っております。
#104
○海野徹君 今、谷垣大臣からいろんな経営責任のとり方があって、民事、刑事の問題があるというお話でありました。
 私が冒頭で基本的な見解をお伺いしたいと話をさせていただいたわけなんですが、どうも経営責任をとっていないというのが一般的な印象なんです。やっぱり銀行の公共性というのは、金融社会主義、そんなふうにやゆされるように、ある意味では大蔵省の護送船団方式と表裏一体的に使われてきたんではないか。だから、つぶせない。要するに、銀行というのはもうつぶせない公共性とは、銀行不倒神話とイコールじゃないかなという思いがあります。健全行であるんだったら公的資金を注入する必要はないというふうに一般的にはとっているんです。何で健全行で公的資金を注入するんだと。だから、ある意味では、さまざまなそういった公共性という概念のもとに銀行経営に経営のゆがみを今生んでいるのではないか、非常に非効率な経営を生んでいるのではないか、そんなふうに私はどうも感ぜざるを得ないんですが、再度御答弁をお願いします。
#105
○国務大臣(谷垣禎一君) 二年前の金融国会でいろいろ御議論をいただいたわけですが、あの当時の状況を考えてみますと、やはり日本の金融機関全体として不良債権をたくさん抱えていた、これはバブルの処理、先送りという言葉がいいのか悪いのかわかりませんが、先送りをしたことによってだんだん傷が重くなっていったということもあろうかと思います。
 それから、自己資本比率のようなものも、いわゆる日本の場合は株価等の開示でティア2というものを重視していた、重視していたというかそれを利用していたということもあったと思いますが、株価の下落もありまして、全体として自己資本がやはり過少になったことが日本の金融システム全体を揺るがしたことだろうと思います。
 ですから、そこに資本を注入してできるだけ健全なものに持っていこうという方向で全体の対策を立てたわけでございまして、その入れていく中にもやはりいろいろなものがあったということを先ほど申し上げたわけでございます。
#106
○海野徹君 この辺、基本的な認識でありまして、もっと議論をさせていただきたいわけなんですが、後ほどまた別な角度からお話はさせていただくわけなんですが。
 先ほど谷垣大臣から不良債権の処理は八合目まで達したというお話があったんですが、私たちの認識、あるいは現場でいろんなことをお聞きしますと、そうでもない、かなりまだまだ不良債権は発生するのではないか、それで国民負担はふえるだろうというのが、ある意味じゃ金融アナリストと言われる方々のお話なんですね。私も直接話を聞いて、あるいは地元の金融機関とも話をしても、やっぱりそう認識は甘くないなというふうなことを思っていることをお話しさせていただいて、次の質問をさせていただきたいと思います。
 朝銀の問題であります。朝銀系信用組合の問題でありますが、公的資金が約一兆円ほど今度の再編に伴って投入されるんではないかなというような観測が非常にあります。それについては大変私は慎重にすべきだという見解を持っております。その見解をもとに、二、三御質問をさせていただきたいわけなんです。
 朝銀愛知の事件があります。大変これはゆゆしき事件であります。請願も出ておりますし、あるいはいろんな記事で政務次官も御案内かと思うんですが、朝銀の副理事長が十七億五千万円横領したと。五億円は総連に送った、残りは北朝鮮に送金したというふうに述べているんですよね。いろんな経緯からこの方の人事権というのは総連にあったということも明らかになっておりまして、どう考えても、この方の個人的な行為じゃないだろうな、総連の総意、意思だろうなというようなことが考えられる。極めて自然なことなんですが。
 果たして、じゃ各県にある朝銀、独立した経営体なんですか。独立した個別な金融機関なんでしょうか。確かに許可はそれぞれの各自治体から受けておりますが、どうもこういう例を見ますとそうとは考えられないんですが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。
#107
○政務次官(村井仁君) まず一点でございますが、後の方のお話からでございますが、朝銀の人事がいろいろな意味で一体的に運用されているような例もあって、これが独立であるかどうかという意味での御質問でございます。
 私どもの立場からいたしますと、法律的に信用組合の役員の選出につきまして、中小企業等協同組合法三十五条及び五十五条の規定によりまして、総会または総代会における選挙または指名推選等によって行うということが決められているわけでございますが、各信用組合とも役員についてはこのような手続に基づいて就任していると、こんなふうに承知しておりまして、そういう意味では、各朝銀信用組合は原則としてそれぞれの都道府県の認可によって設立され、別個の法人格を有しており、独立した経営内容、経営方針を有していると、このように認識しているところでございます。
 それから、朝銀愛知の問題につきましてお触れがございましたけれども、これにつきましては、私ども、報道がありますことは承知しておりますけれども、本件は個別の金融機関とその取引先との間の一種の民事上の裁判に関する問題でございますので、金融監督庁としてちょっとコメントできる立場にはございません。
 ただ、ここで明確に申し上げておかなければなりませんのは、一般論でございますけれども、国会の場等でただいま海野委員御指摘のような形で御指摘を受けました場合、私どもはこの内容を十分検討いたしまして、必要に応じまして事実関係等につきましてヒアリング調査等を行うこととしているところでございまして、問題がございますれば、これは法令にのっとりまして厳正適切に対処していく所存でございます。そのことだけ申し上げさせていただきます。
#108
○海野徹君 厳正に対処するということですが、大変私はそのお言葉を重く受けとめておりますが、一体じゃないかなという認識がどうも抜け切らないんですよね、私の方から。
 いろんな例があると思うんです。平成十一年五月十四日、九つのそれぞれの各個別の朝銀が、朝銀北東、朝銀中部、朝銀西、そして同じ平成十一年五月二十一日に、四つの朝銀が朝銀関東、それぞれに破綻処理されて再編されているんです。同じ日ですよ。一斉にやられているんです。
 そういうことがあり、あるいは、朝銀関東の理事長というのは、いわゆるバブル期に朝銀東京の常務理事だった、あるいは融資部長だった。あるいは、朝銀北東の理事長も同じようなポジションにいたんです。
 もう一つは、朝銀関東、これは受け皿機関。それぞれ再編されたときの個別の機関、朝銀の機関数の方が多いんですが、圧倒的に預金量とか、預貸率が一〇〇%を超えているかどうかわかりませんが、その辺はまだ調べてありませんが、そういう貸し出しを含めて圧倒的に多いんですね。小さいところが大きいところを救うような形で受け皿ができているんです。
 こういうことを見ると、どう考えても一体としか考えられないんです。その辺はどうなんでしょうか。
#109
○政務次官(村井仁君) 私どもといたしましては、朝銀問題につきましていろいろ国会でも御議論をちょうだいしているところでございまして、ただいま海野委員御指摘の点は、私どもも衆議院でも御指摘を受けている点でもございますし、十分心して調査をいたしたいと思っておりますけれども、しかしながら、形式といいましょうか、法令上の、何といいましょうか処理という観点からは、それぞれ別個の機関として設立がされているという一つの事実がございます。私どもといたしましては、その事実を重く、まずはその前提として対応をせざるを得ないわけでございます。
 しかしながら、先ほど申しましたように、それが全く事実と違うとかいうようなことになりました場合には、それが明確になりました場合には、これはもちろんきちんと対応しなければならない問題だと思っております。
#110
○海野徹君 余りこの問題を何回も何回も質問したくはないんですけれども、逮捕者が出ていないんですね、朝銀大阪の問題。これ朝銀大阪の問題、調べれば調べるほど非常に不思議な処理がされているんですよ。それはもう政務次官よく御案内だと思う。逮捕者が出ていない。今まで信用組合はそれぞれ逮捕者が出ているんですよね、木津信用組合、大阪信用組合。この点については、我が党の上田清司代議士が以前質問していますから、きちっと調査してみますよという話がありました。もう大分時間がたっていますから、その辺について御調査は終わっているかと思うんですが。
 朝銀はそもそも在日本朝鮮信用組合というところが一体的に経営指導をしているとみずから認めているんですね。そういうこともあり、だから一体であるし、逮捕者が出ていないという、非常に不思議だし、同じ民族系でも韓国系の商銀は逮捕者が出ているんですよ。どうしてそういう差別というか区別が出てくるんですか。
 それで、これはまた調査していただきたいんですが、朝銀青森が五億八千万、朝銀宮城が五億五千万、これは簿外債務の。これは新聞報道されています。これで経営真相委員会、経営責任調査委員会を発足されましたよね。あるいは朝銀東京の場合は責任解明委員会、これも春日寛弁護士をトップにして、こういう委員会もある。当然報告を受けていらっしゃると思う。法的にきちっと精査されたらそれなりの結論は出るはずなんですね。どうでしょうか、この辺について。
#111
○政務次官(村井仁君) 朝銀大阪の問題でございますが、これにつきましてまずお答えをさせていただきます。
   〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕
 信用組合の監督につきましては、ことしの四月、国に移管されるまで都道府県知事に機関委任されていたことは御案内のとおりでございます。個別の信用組合の経営問題に対する具体的な対応につきましては都道府県が行ってきたわけでございますが、金融システム全体の安定性の維持という問題もございますので、当局、当時大蔵省でございますが、都道府県と緊密な連絡をとりながら、協力体制をとって対応したところでございます。
 朝銀大阪につきましては、朝銀大阪の破綻が公表された際、これは平成九年の五月でございますけれども、大阪府から、朝銀近畿への事業譲渡を行うと、このような報告を受けたところでございます。その後、大阪府が九年八月三十一日を基準日として行った検査によりますと、総資産が五千二百四十六億でございまして、そのうち回収不能または無価値と判断される資産が二千五百五十一億円ございまして、残りが回収可能と判断される資産であったと、このように私ども承知しております。
 ただ、この問題につきまして、委員からなぜ商銀の方では逮捕者があって朝銀の方では逮捕者がないのかということでございますけれども、これにつきましては、申しわけございませんが金融監督庁の立場からはちょっとお答えをする立場にございません。警察当局の御判断の問題ではないかと思っております。
 それから、その他、今新聞報道を引いて御指摘のございました問題につきましては、また私どもも十分、ただいま言及のございましたことでございますので、調査を進めさせていただきたいと思っております。
#112
○海野徹君 それでは、調査してお答えをしていただけるはずなんですが、これ以上御質問するのも、また機会を改めたいなと思いますが、最後に一つだけ。
 金融整理管財人を置けませんですか。これは譲渡先が決まってない場合でも置かれたケースがあるんですね。三重県信用組合があるんです。だからこの再編、そして公的資金注入というようなそういうシナリオがあるとしたら、金融整理管財人を置いてきちっと精査すべきだと。そうすれば、今政務次官がおっしゃったようなことがすべて公開されるんじゃないかなと思いますが、その点どうでしょうか。
#113
○国務大臣(谷垣禎一君) 朝銀大阪に金融整理管財人を……
#114
○海野徹君 いえ、大臣、そうじゃない。
#115
○国務大臣(谷垣禎一君) 朝銀大阪ではなく。
#116
○海野徹君 これからです。
#117
○国務大臣(谷垣禎一君) これからですか。これからは、個別の破綻処理の問題になりますから、それについてはどうするかということをお答えするのは差し控えさせていただきたいと思いますが、いずれにせよ、金融再生委員会において適格性の認定をしなければならないと、こういうことになりましたときは、法令に基づいて厳正に対応しなければならないと思っております。
#118
○海野徹君 置くことはできるわけですね。そういう御見解でよろしいですね。──いや、大臣に聞いているんですよ。置くことはできるんですか。できるはずですよ。
#119
○国務大臣(谷垣禎一君) 個別の案件にはお答えしないという前提のもとで、一般論として、置くことはもちろん可能でございます。
#120
○海野徹君 わかりました。またこの問題については同僚議員から御質問があると思いますから、私は次の問題に移らせていただきたいと思います。
 大蔵大臣にお伺いさせていただきたいんですが、金融問題の処理の前提というのは、やはり先ほど言いましたように、透明で公正、迅速な処理、これが一つあります。国際標準に準拠した処理、これが二つ目。三つ目は、明確な責任追及。こういう三つの目的がある。これが欠けるとモラルハザードが深刻になりますねというようなことが我々予想されるわけです、モラルハザード。金融問題の処理の方法です。
 確かに金融市場というのはマクロ的には総額百兆円のセーフティーネットを用意しました。これは、銀行の資本注入が七十兆円ですから、特別信用保証協会が三十兆円。こういった意味ではある意味では安定化した。
 先ほどいろんな議論がありました。ただ、私は、根本的な不良債権処理というのはまだまだ要するに未解決じゃないかな、そんな認識を持っております。むしろ、余り責任を伴わない公的資金が流入してモラルハザードが発生しているんではないかなという懸念を私は思っているわけなんですが、大臣としてはその辺はいかがお考えですか。御認識をお伺いしたいと思います。
#121
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほども櫻井委員が谷垣委員長に対して、日本の金融機関はどのぐらい健全なんだというお尋ねをしておられまして、私にはもうこの年ですから資格がないんですが、谷垣さんでしたら、私はどのぐらい健康ですかとお医者さんに聞かれたら困られるだろうと思うんです、それは。どのぐらいあなたは健康だとなかなかおっしゃれないように、日本の金融機関がどれぐらい健全になっているかとおっしゃったら、これはなかなか簡単にお答えできないんですが、私はしかしやっぱり、さっきもそうお尋ねがあったし、今の海野委員のお尋ねもそうですが、いっときに比べたら、それは八合目と申し上げていいかどうか知りませんが、まあ心配なことは過ぎたなと。
 それはどの金融機関をとるかにもよりますですね。仮に信用組合なんといえば、これから検査を始めるんですから、それとマネーセンターバンクは一緒にならないだろうと思いますが、普通、いわば銀行はどのぐらい大丈夫かといったら、一番もう危ないところは過ぎて、まあ大丈夫と申し上げていいし、国際的にもそう思われていると申し上げていいと思うんです。
 ただ、先ほど谷垣委員長も言われましたが、今でも新しく不良債務が発生しているわけでございますから、日本経済が大変もうぐあいがよくなった、もう過去のものを引きずっていませんと言うのにはやっぱり時間がかかりますと思いますから。それは何がしかのものは引きずっている。しかし、機関そのものの存立を危うくするような程度の不良債権を背負っておるとは思わない。そういう意味で、完全健康体とは申しませんが、過去に比べれば、もう集中管理室にいるようなことはもうございません。それは大丈夫だろうと思います。
#122
○海野徹君 大臣と若干私の質問とかみ合わないのかもしれませんが、モラルハザードが発生しているという状況がどうも私は今感じられるんです。
 景気回復を優先します、ある意味で政策的に一つの方向性をとるという、飽くなきものを求めていく、これは要するに政策論としては理解できるんです。しかしながら、景気回復がモラルより重いということは私は否定したいわけです。おわかりになりますか。
 だから、これは要するに金融問題の処理を申請主義にしたということにモラルハザードの根源がおありではないですかと。私はあると思うんです。あると思うから、今現在あるいは一服感が出ているような状況が金融界に蔓延しているんじゃないかなと思うんですが、その点についてどうでしょうか。
#123
○国務大臣(宮澤喜一君) もう一遍、おっしゃることを私が理解していないかもしれませんけれども、恐らく金融機関の側からすれば、非常な不良債権を持っていて国からもいろんな意味で援助をしてもらった、これはもう確かでございます。自分たちも努力をしてリストラクチャリングをやりつつある。しかし、そのときになるべく中小企業への融資を多くしろと、こう言われるわけです。
 そうしますと、恐らく金融機関の側は、中小企業融資に全部悪いものがあるという意味じゃございませんが、そういうものには間々いろいろ問題のあることがございますから、本当ならば、自分の完全に危ない部分を全部切ってしまおうとすればやっぱり中小企業にちょっと向かわざるを得ないというところが私は正直言ったらあるんだろうと思います。しかし、そうは言わせないよ、あなた方も随分わがままをしたんだし間違いもしたんだからと言われますから、やっぱり中小企業の部分はふやしていかなきゃならないなと。そこのところは私は恐らくかなりつらいところがあると思います、立場を変えて言えば。
 しかし、そうは言わせられないわけですから、やっぱりそこは今、一つは金融秩序維持のために政府からもそういう支援を受けなければならない、同時に、しかし中小企業、貸出先も非常な苦境にあえいでいるわけですから、それに対してもできるだけのことはしなきゃならないという二つの目的を負わざるを得ないということが、今、海野委員のおっしゃるような問題としてあるかもしれません。
#124
○海野徹君 では、谷垣委員長にお伺いします。
 同じような質問なんですが、経済危機がここまで長期化している。お金は出した、お金はある、しかしながらなかなか景気は回復してこないという状況が今ございますね。景気回復を優先させてきたんです。モラルより重いというような信仰でやってきたんじゃないかなという懸念を私はしているわけです。それが要するに金融健全化、公的資金を注入する場合、申請主義にしたということに問題があったんではないかなと。
 普通は、問題銀行を認定して、その銀行の経営権を掌握して、旧経営陣の経営責任を徹底的に追及しながらリストラを実行する、それでもお金が足りない場合はお金を入れるという手順じゃないんですか。そうすればモラルハザードはなかったはずなんです。それが我が国では、当局がみずから乗り出して生かす銀行と殺す銀行を峻別してきちっとやっちゃうのではなくて、とにかく申請してくるまで待っていた、申請しやすいような条件にしていったということが、今日まだ構造改革につながらなくて、長期的不況で、お金があるにもかかわらず景気が回復しないという根源でもあるし、モラルハザードを生んだ基本的な原因じゃないかなと私は思っているんです。
 その辺について、谷垣大臣の御見解をお伺いしたい。
#125
○国務大臣(谷垣禎一君) 適切にお答えできるかどうかわからないんですが、こういう公的資金を使うような手法をとる場合に、モラルハザードが生じるのではないかというのはやはり当初からあった懸念であることは間違いがありません。
 それで、今、海野委員のおっしゃったことは、モラルよりも景気回復を重視したのではないかとおっしゃったわけですが、やはり二年前、もう三年前になりますか、の当時のことを思い浮かべますと、私の個人の気持ちを申し上げてはいけないんですが、言うなればなりふり構わずというような気持ちが私の気持ちの中にあったことも事実だと思います。
 その結果、ある程度、まあ当時に比べると、先ほど宮澤大蔵大臣は集中管理室とおっしゃいましたけれども、集中管理室を出ることができて、ある程度ゆとりができて、言うなれば衣食足って礼節を知ると申しますけれども、少しその問題も議論をする何というか、ある意味での局面に来たのかもしれない、こういう気はいたしております。
 ただ、それが申請主義がその原因だったのではないかというふうにおっしゃられますと、やはり今の日本の企業組織ということを前提としますと、またここで先ほど冒頭の委員の御議論の公共性がどうだということに返ってくるのかもしれませんけれども、なかなか全部申請を飛び越えて、要するに当局の権力と申しますか、でやってしまうということは、なかなか仕組みの問題として難しかったのではなかろうかなと、こういうふうに思っております。
 委員の問題意識にうまく正面から答えられているかどうかはわかりませんが、そんなふうに感じております。
#126
○海野徹君 それでは少し個別のことからお伺いさせていただきたいなと思いますが、なぜ資本注入行に無配という状況を求めなかったんですか、配当しないという状況を求めなかったんでしょうか。
 非常にこの辺について、やはりモラルハザードがある意味では市民権を得てしまった状況に、私はこれも遠因があるんではないかなと思うんですよ。やはり経営責任として、社外流出をとめるということになれば配当はしない、経営体力をつけるために、配当をしないということは極めて当然のことじゃないかなと。しかも、今度は、ある意味ではいろんなところから債権放棄の圧力がこれからますますかかってくる。それを非常にしやすいような状況をつくってしまったんじゃないか、経営者に。欧米の銀行というのはギブアップというのは絶対やらないんですね。その点についてどうでしょうか。
#127
○国務大臣(宮澤喜一君) それはあのころのことにさかのぼりますので私から申し上げる方がいいかと思って立ちましたが、結局、あのときにともかく公的資金の導入を第一回にしようということから事は始まったわけですが、その考え方としまして、ジャパン・プレミアムが外国に生まれたりしまして、これは日本の金融システムが危ないということでございましたので、政府が実際上呼びかけまして、最初の各行に資本導入をいたしました。それによって国際的な水準あるいは国内的な水準を確保するとともに、預金者に対しまして政府がバックアップしているということを示したわけでございます。
 ただそのときに、そうではあるけれどもこれはペナルティーではないということは、いろいろ議論の末にやっぱり一つはっきりしておかなければならない。罰せられる状況があるとすれば、それはいろいろ刑事事件とかそういうことは別にいたしまして、経営が明らかにもう破綻をしそうである、その経営責任といったようなことを問うているわけではない。ペナルティーではないということをはっきりさせますと、無配にしろということは市場経済の原則からいえばこれは一種のペナルティーでございますから、どうもそれは適当なことではないというふうにまず基本的には考えました。
 しかし、次の段階で、資本注入をいたしましたときに、これは谷垣委員長の方の分野になるのだと思いますが、いろいろ改善計画を求めなければならないということは、当然多くの銀行については、すべてかもしれません、あったわけでございます。
 その改善計画の中で、なるべく社外流出ということは常識を持って考えてもらいたい、いけないと言っているのではないが、今までと同じでございますといったようなことが言える状況なのかどうかということは考えてもらいたいということは、たしかあのときに監督庁が一つ一つの銀行についていろいろ経営改善を話されたときに条件としてつけられたことの一つだというふうに承知しております。
 ですから、経営者として、こういう資本注入を受けるような立場で、のほほんとして今までと同じことではいけませんよということについて、いろいろ申した中の一つにその問題は私はあったのだと思いますが、資本注入そのものを考えましたときに、その条件として無配と考えることはどうも適当なことでないと、あのときにそういう判断をいたしたように記憶しております。
#128
○海野徹君 大蔵大臣のその当時を振り返ってのお話、理解できないわけではないんですけれども、ただ、それは余りにも現実としてモラルを低下させたという結果を私は今生んでいるんではないかと思います。
 私は、常々、当たり前のことが当たり前にできる、これは極めて成熟した社会でないとできないのかなという思いでおります。貸したお金は回収する、借りたお金は返す、約束は守る、商習慣上これはもう最低のモラルだと思う。それが果たせないということは、日本全体の経済活動に非常にダメージを与えますから、今の景気が回復しない、ある意味では経済を萎縮させている原因になっているんじゃないか。そういった意味で、日本はまだ未成熟社会なのかなという印象を持ってしまうわけなんです。
 欧米の銀行というのは債権放棄はしません。デット・エクイティー・スワップ、これはぎりぎりまで言わない。デットリリース、これをやるということなんです。なぜこういうような状況を日本の銀行の経営者に求めていかないんでしょうか。その辺について御答弁いただければありがたいんですが。
#129
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、さらに続けさせていただくならば、公的な資金の導入をいたしておりますけれども、これはグラントとして差し上げたわけではないので、当然政府はこれが返ってくることを期待しておりますし、またそういうお話になっているわけでございますから、確かにそれは大きなヘルプにはなったと思いますけれども、経営者として株主に対する責任をあなたはいっときは放てきしなさいということを言わなければならない状態ではない、そういう状況にあったわけではないというふうに考えているわけです。
#130
○海野徹君 それでは、また別な質問をさせていただきますが、常々いろいろなところでオーバーバンキングという言葉が出てきます。これも解消されていないんではないか、そんな認識を持っております。地銀の公的資金の申請に向けた動きがとまっちゃったという報道もあります。これはペイオフの延期で金融機関がリストラや再編を先送りする、そんな状況じゃないかという解説もされておりました。
 その点について、金融再生、再編あるいは健全化のための努力というのが、ある意味では猶予期間、モラトリアム期間を得てそれがとまってしまったんではないかなというような印象はどうなんでしょうか、それは私の印象としては間違っているんでしょうか。
#131
○国務大臣(宮澤喜一君) これも一年延期でございますので、便宜私の意見を申し上げますけれども、先ほど海野委員が言われました、何となく銀行というのはまだよくなる方向に行っていないんではないかという御感想、それから、いま一年延ばしたのでちょっとここで気の緩みが生まれたんではないかと。仮にそういうことで申し上げておきますが、どうも私どものあるいは私の観察とは違うように思います。
 一年延期の功罪につきましては、もう何度も御議論がありましたりお答え申し上げましたので申し上げませんけれども、今我が国の金融機関というのはかなりせっぱ詰まった状態にあって、そして一年延期されようとされまいと、とにかくどうやったら将来生きられるかということは、まさに生きる死ぬの問題でございますから大変に真剣で、むしろ、一種のパニック状態とは申しませんがそれに近い緊張状態にある、そのことに私は概して変わりないのではないか。
 もちろん、地方銀行の中に、昔からの地方銀行、旧来の地方銀行、かなりいいところもございますから、これなんかは気分的に余裕を持っているところが何ぼかあるように思いますけれども、それも言ってみればお互いに幾つか数えられるかぐらいなことでございますから、全体としてはやはり異常な緊張状態が続いておるのではないか。
 これは私の方の見方で、あるいは海野委員の方のごらんになり方も、そういうこともあるのかもしれませんが、私にはそういうふうに思えております。
#132
○海野徹君 それでは、公的資金を注入した銀行、株価が今どうなっておりますか、その当時と比べて。私の方で言いますと、すべてこれは下がっています。どういうようなことを市場が我々に伝えているということなんですか、銀行に対して。
#133
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、もとに返るようですけれども、やっぱり世界どこへ行ってでもひとつ大いに戦ってみようなんという、そういうものだとは市場はやっぱり見ておりませんですね。いっとき大変だったが、ようやくこれでやれるようになりましたと。しかし、金融界にしろ証券界にしろ、いっとき世界で、殊に金融界は十のうち九つまで持っていたなんということとはまるで違いますので、そこまで買っているわけではない。正直のところ、まだ法人税を払っている銀行がマネーセンターバンクスの中に幾つもないわけでございますから、それだけのものをやっぱり過去のものを引きずっている。それは市場が見ておるんだと思います。
#134
○海野徹君 やっぱり収益力を高める努力を徹底してやる必要があるんではないか。過剰流動性というか、お金がたくさんありますから、それが株に流れて株価が上がりましたよね。含み益が多くなって若干余裕が出てきて、余裕が出てきたら、本当だったらせっぱ詰まってやらなくちゃならないことをまあいいやというような状況に今なっているんじゃないかな、そんな感じがしてしようがないんです。
 本当だったら、勝っているところと負けているところ、きちっと二極化、本来だったら潜在的にしているはずなんです。だけれども、全部それを一緒くたに何となく問題先送りして今まだまだ来ちゃっているんではないか。その辺が株価として市場は見ているものですから、健全化すべきだ、経営体力強化すべきだ、にもかかわらずそうはなっていないということを、これは株価というのは期待値ですから、期待値がマイナスということは大変なことだと私は思うんですが、どうなんでしょうか。
#135
○国務大臣(宮澤喜一君) うそではないと思います。それは、都知事がああいう税金をやったときに、冗談じゃありません、私どもはこれだけ法人税払っていますと言えないわけですから、たくさんの銀行は。ですから、そういう引きずったものがどうしてもあります。
 ですから、それは市場が見ているということはおっしゃるとおりだとは思います。決して石原さんがやられたことをいいと申し上げたんではないんですけれども、そういう部分はあります。
#136
○海野徹君 それでは、大臣の個人的な御見解で結構なんですが、これからそういう銀行に対してどういうような指導をされていくんですか、あるいはどういうことを期待しておりますか、自助努力として。
#137
○国務大臣(宮澤喜一君) これは谷垣大臣のお仕事ですから個人的にとおっしゃったんだと思いますが、海野委員のおっしゃることに反して、各行まだまだの状況ではあるけれども、決してこれでいいとは思っていません。決してこれでいいとは思っていない。
   〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
今みたいなことを言われて、それはまことに残念だと思っておられるに違いないし、さあしかし二十一世紀というものに向かって、今までの銀行はもう今までの銀行じゃないだろうということをどなたも思っていらっしゃいますから。どこと一緒になるかということが今まで大変でございましたね。それは一応形はできたけれども、どういう一緒になり方をするか、それからどういうふうに新しいものに生まれ変わるかというのは大変なことで、それはだれもぼやぼやはしておられないようです、一生懸命しなきゃならないと思っておられるわけですから。それは、そういう方々の自助努力というものがもう間違いなく二十一世紀に向かって始まっているというふうに私は思うのでございます。
 また、これから外国からの働き、外国との関係というのはこれはますますわからない分野でございますから、そこはよく私今申せませんけれども、国内だけ見ましてもそれは大変なやっぱり緊張状態が続いているというふうに思っております。
#138
○海野徹君 谷垣委員長にも同趣旨の質問をさせていただきたいわけなんですが、その前に、私も七年半ほど金融の世界におったわけなんですが、企画の部門にいなかったものですからなかなか詳細にわたっては勉強してこなかったものですから、こうやって立つとき、もっと勉強しておけばよかったかなという思いがあるわけなんですけれども。
 金融機関の一員として私もやっていたものですから、よく質問を受けるわけなんです。何でこんなに公的負担が、我々の税金が投入されなくちゃいけないのか、非常に素朴な疑問。
 技術論としてはお話しするんです、技術論としてはお話しするんですが、どうも納得していただけない。私の表現力がいけないのかどうかわかりませんが、まだまだ今回のペイオフの問題についても納得していただけないんです。借り手保護じゃないか、本当だったら退場してもらいたい、退場すべきだった、そのためにこの制度があったんじゃないのか、特例だったんだろう。特例ってじゃ一体何なんだ、特例ってそんな簡単に一年も二年も延期していくのか、あるいは拡張解釈されていくのかということなんですね。借り手保護、債権も放棄していく、公的資金をそんなところに入れていかれる、一体我々の税金はどれだけこれから負担がふえていくんだろうというような素朴な疑問があるんです。これは中小企業の経営者と話していると、これ、毎月昼食会をやっているものですから、常に聞かれる質問なんですね。
 それで、交付国債、合計で預金保険機構へ十三兆円になってきましたよね。ほとんど今年度中にそれが消化されるんじゃないかという話もあります。その辺の見通しも含めて、先ほど大蔵大臣に御質問させていただいた点について御答弁いただきたいと思います。
#139
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、委員がおっしゃった素朴な疑問に対して、なかなか委員御自身も金融の世界に身を置かれながらうまく説明できないんだとおっしゃったのは、実は私も、今般の都知事のああいう課税を打ち出されましたときに、都知事は税をお取り上げになろうと、私の方はそこに公的資金を入れる方でございますから、これはなかなか私も評判悪いなと思いながら流れを見ていたわけでございますが、まだまだその辺の説明の努力も足らないのかな、こう思っております。
 しかし他方、やはり今度は金融機関が破綻をして、そこの健全で一生懸命やっている、銀行から資金を融通を受けていた方たちが非常に苦しんでいるようなことを見ますと、やっぱりこれはああなるとこうだなという気持ちもございまして、もう少しその説明を我々も熱心にやっていかなければならないな、こう思っているわけでございます。
 それで、これから日本の金融機関をどう持っていくつもりかといいますのは、実は私どもの役所、金融再生委員会、金融監督庁、これができましたときは、市場を重視して透明なルールでやっていくと、こういうことで出発したことは間違いありませんし、そのことが現在においても基本的に間違っているとは私は思っているわけではございません。ただ、今までの行政指導型といいますか、いわゆる護送船団というものを過去において多用してきたことがございましたから、どちらかというと事後型の行政に徹するんだというような気持ちも役所の中にございまして、事後でやっていこうというような気持ちが強かったことも当初は事実だろうと思います。
 それで、現在もかつてのような行政指導を多用する手法に持っていけばよいと思っているわけではありませんけれども、しかし、行政としてもどっちの方向に持っていくかというような見取り図というようなものを絶えず頭に置きながら物事を考えて対応していくということがやっぱり必要なのかなということを感ずるわけでございます。
 そういう反省と申しますか前提のもとで申しますと、先ほど宮澤大蔵大臣がおっしゃいましたように、大きなマネーセンターバンクのようなものにつきましては、それぞれ再編の動きができてきておりますし危機感も非常にございますから、まだ十分というふうに私は思っているわけではありませんけれども、それぞれの機関がほかの機関にない自分の特殊性というものをどういうところに求めようかというようなことをそれぞれ知恵を絞っていただいて頑張っていただくということではなかろうかと思います。
 他方、地域金融機関、さらに協同組織の金融機関になりますと、まだ協同組織は我々も十分に実態が把握できていないところが率直に言ってあるわけでございますけれども、これから許された期間の中できちっと検査もし、健全化させていかなければいけませんけれども、なかなか地域の金融機関、先ほど委員は少し緩んだのではないかという表現をたしか使われたと思いますが、それぞれの金融機関の企業文化と申しますか、それぞれ顧客との関係あるいは労働環境、いろんなものがあって、さあ再編をしていこうかといっても、かけ声はかけられても実際にやっていくとなかなか難しい問題があるなと、今そういう、仕事をやりながら感じているわけでございます。
 ところが、やはりこういうふうに競争が厳しくなってきておりますと、システム投資だって、これはもう地域金融機関といえどもシステム投資というのは膨大なものになっていくでございましょうし、こういう中ですぐれた金融商品をどう開発していくかというようなこと、地域の金融機関もそういうことを避けて通れないことになっているわけでございますから、やはり私はそういう中から再編というものは不可避なものになってきているというふうに思うわけでございまして、私どもとしては、それのお手伝いする手法というのは、早期のモニタリングやなんかもございますが、結局私ども法案で与えていただいている資本注入の手法というものがあるわけでございますから、できるだけ許された期間にこれを活用していただきたいと思っておりますし、私たちもその努力を惜しまずにやりたい、こんなふうに思っているわけでございます。
#140
○海野徹君 あれはわかりませんか、交付国債の消化状況。──後ほどそれはお答えいただきたいと思いますが、そういういろんな認識、多分谷垣委員長と私、同じだと思うんです、再編しなくちゃいけない、収益力を上げなくちゃいけない。
 これは最近私読ませていただいた本で、マッキンゼー社の方ですが、川本さんの「銀行収益革命」という本があります。こんなにも銀行というのはもうかっていない構造なのか、その遠因は何なのかということまで分析されておりましたから、なるほどなと思ったわけなんです。というのは、金融機関といっても私は保険会社の方にいたものですから、銀行の中身の状況は非常に参考にさせていただいたわけなんです。
 どう考えてもやはりペイオフを一年延期するというような政策的な整合性のなさ、先ほど景気を追うんだったら二兎を追わずに一兎を追うということで景気だけを追う、それによってモラルはうっちゃっちゃったと、私はそう言いましたけれども、ある意味ではだから、ペイオフだったらペイオフはもう解禁するんだということでやっていかないと、それはやっぱりモラルの低下につながっていくし、努力の進捗状況の低下につながっていくのではないかなと私は思うんですよ。いろんな制度は整ってきているはずなんです。制度をきちっと透明化させて私は使っていくという必要があると思うんです。
 その点、状況の認識が私はある意味では先ほど言いました委員長と非常に同様の部分がありますから、余計にその分ペイオフの延期というのはこれはモラルハザードだな、これを生んでしまうなという思いがあるんですが、どうなんでしょう。
#141
○国務大臣(谷垣禎一君) これはたびたび宮澤大蔵大臣が御答弁なさっておられますように、やはり一部の金融機関について我々も十分実態を把握していなかった。今まで都道府県がもちろんやっておられなかったわけじゃなく、都道府県自体もいろいろな状況の把握は努めておられたと思いますが、我々としてさらにそれをきちっと詰めて、一年を延期したということでございますけれども、その期間内にきちっと処理をしなければならぬ、こう思っております。
#142
○海野徹君 先ほどのあれわかりませんか。
#143
○国務大臣(谷垣禎一君) 交付国債四兆七千九百一億円、これが平成十一年度末の交付国債の償還累計額でございます。
#144
○海野徹君 十三兆円に増額されましたよね。だから、それがほとんど今年度中に使われてしまうのではないかなといういろんなあれがあるんですが、その辺をお聞かせいただきたい。そういう不良債権の処理という非常に圧力、要請が強いんじゃないか。
#145
○国務大臣(谷垣禎一君) その点は、これも宮澤大蔵大臣がいろんなところで御答弁になっておりますが、十分余裕がある額であると思っております。
 我々として、これから使用していかなければならない額は、いわゆる日債銀の三兆余のお金と、あと破綻金融機関が幾つもございますけれども、これはそんなに規模の大きなものでございませんし、今現在ちょっと額はなかなか正確には申し上げられません。と申しますのは、ペイオフのコスト内で小さな金融機関の場合には処理できるものがかなりあろうかと思いますし、またこれから資産劣化でふえていく部分もあると思いますが、そういうことを勘案しましても、今の十三兆の枠内で十分処理ができる、こういうふうに思っております。
#146
○海野徹君 なかなか時間がなくて用意した質問をすべてできませんでまことに残念なんですが、金融再生委員長、預金保険法の改正の中で、附帯決議ですから、要するに皆さん方の提案じゃありませんから御答弁しにくいのかもしれませんが、ちょっと御見解だけお伺いしたいと思うんです。
 これは預金保険法改正の附帯決議です。ペイオフ一年延期に伴い、政府に対し適切な検査に基づく的確な監督指導を行う体制を整備し、より強固な金融システムの構築を図ることを要請、これ前段にあります。後段が、時価会計の具体的な運用では、中小企業への金融の円滑の重要性を考え、金融機関の規模、特性に沿った対応を行うことというふうにあるんです。
 金融機関の整理淘汰による金融再生の早期完了を求める前段とは矛盾しているという指摘があるんです。これは中小金融機関に手心じゃないかというようなことも指摘されているんですが、この辺の背景とか見解を御答弁いただければ。これは議員側で附帯決議したものですから、皆様方の方で、いやおれたちには関係ないよということにはならないと思いますけれども、その辺御見解をお伺いしたいと思います。
#147
○政務次官(村井仁君) ただいまの海野委員の御指摘、預金保険法等の一部を改正する法律案が衆議院の大蔵委員会で通過いたしますときに附帯決議として付せられたものでございまして、「時価会計の具体的な運用に当たっては、中小企業に対する金融の円滑の重要性にかんがみ、金融機関の規模・特性に応じた対応を行うこと。」と、確かに書いてございます。
 私ども、これはやはり政府側の立場といたしまして、院で御決議になりましたことについてとやかく申すのは、私はかたがた大蔵委員ではございますけれども、やっぱりちょっと遠慮させていただくべきことだとは思いますが、若干経緯を申し上げさせていただきますと、金融商品につきましての時価会計につきましては、平成十一年一月に出されました企業会計審議会の報告におきまして、平成十二年四月以後開始する事業年度から適用する、このように決められておりまして、商法においても所要の改正が行われた経緯がございます。
 金融機関につきましては、その保有する金融商品に関しまして、ことしの四月から開始する事業年度、つまり平成十二年度から時価会計が適用されることになります。一方、この附帯決議では、一部の中小金融機関等で実は公認会計士が入っていないところがあるわけでございます。そういうところにつきまして、時価会計による会計処理について理解が十分でないままに必要以上に保守的な対応を行った場合に、中小企業に対する金融の円滑に影響があるのではないか、こういうような懸念がいろいろ背景にあった、こんなふうに聞いておるところでございます。
 この点につきまして、日本公認会計士協会は、附帯決議を受けたという形でございますが、信金、信組等との間で時価会計等の会計処理の具体的、実践的な対応につきまして勉強の場を設ける、こういうようなことを検討していると聞いておるところでございます。
 金融監督庁といたしましては、この動きを踏まえまして、全国信用金庫協会や全国信用組合中央協会に対しまして、公認会計士協会が設けることを検討している勉強の場を積極的に利用して十分な意思疎通を図って、時価会計等の会計処理の具体的な対応について傘下の信金、信組の理解を深めるように求めているところでございまして、金融機関が時価会計による会計処理について理解が十分でないままに必要以上に保守的な対応が行われることのないように留意してまいりたい、こんなふうに考えておるところでございます。
#148
○海野徹君 お答えにくいかと思いました。あえて質問させていただいたわけですが、また後ほど同僚の議員から質問があるかと思います。
 もう時間がありませんから、大蔵大臣、これ最後の質問になるかもしれません。ゼロ金利のことで若干御質問させていただきたいなと思うんです。
 昨年二月にゼロ金利を発動したときの日米の金利差というのは三百ベーシスポイントだったんです。今それが六百ベーシスポイントに広がっております。日本の金利を上げるという状況は、ある意味では三百から六百と倍になりましたから余地は出てきたと思うんです。アメリカは景気を鎮静化するために金利を上げる、また上げるだろうという観測もされています。日本の場合、その三百から六百ベーシスポイントに上がったときの、倍に上がっているのですから日本も上げるという環境にはある意味では物理的には出てきたのではないかなと思いますが、その点大臣はどうお考えでしょうか。
#149
○国務大臣(宮澤喜一君) これは大蔵大臣でなく日銀総裁からお話があってしかるべきことだと思いますが、確かに昨年の夏から五回上げましたのでそうなりました。また上がるかもしれないと言われておるわけでございます。ですから、アメリカの金利差との関係では海野委員がおっしゃいますように天井は確かに高くなった、こういうことでございますが、日銀のお立場として四月十日に、四月十日であったと思いますが、政策委員会の皆さんの会合があったときに、やっぱり今としてはゼロ金利はそのまま継続すると言っておられて、総裁が市場との、マーケットとの対話ということで将来に向かっての可能性は言われましたけれども、その後のG7の会合では、ワシントンでは、総裁は原則に立ち返って四月十日の決定をそのまま言われただけでございました。その場では将来のことを何も言われませんでした。
 もちろん、マーケットとのコミュニケーションということで、あの四月十日の直後に言われたことは何がしかの意味で総裁の将来に向かっての気持ちを一部伝えられたのかもしれませんけれども、その後、御承知のようにちょっと全く違ったような出来事でございました。ダウの中身の入れかえがございまして、そして日経二百二十五種の継続性というものがちょっといっとき切れたような形になりましたことが、不幸にしてニューヨークの株式のいっときの暴落とすぐに後へつないだものですから、ちょっとそういうふうにマーケットの不安がまた生まれたりいたしました。
 そういうことも、直接関係がない話題ながら、環境の大きな変化でもありましたために、ここのところちょっとそういうことも総裁は余り口にむしろされないようなふうで、もうしばらくゼロ金利を続けていきたい、こういうのが今の中央銀行の基本方針だと承知をいたしております。
#150
○海野徹君 いろいろ御質問させていただきたいことが多岐にわたってあったわけなんですが、時間が参りましたものですから、これで終了させていただきます。
 ありがとうございました。
#151
○森本晃司君 公明党の森本晃司でございます。
 連休明けで、両大臣初め総括次官、早速我が国の抱えている金融問題にお取り組みいただきまして大変御苦労さまでございます。中でも宮澤大臣、きのう、おとついとADBの総会でチェンマイへ行っていただいておりまして、もうお帰りいただくなりこうした委員会の場で、いろいろとお疲れもあろうかと思いますが、お取り組みいただいておりますこと、大変御苦労さまですと申し上げたいと思います。
 ちょっと通告はしていなかったんですが、アジアの中における日本の位置、そして日本の抱えている金融問題等々含めまして、大変やっぱりアジア諸国の方からも注目を受けている中での総会ではなかったかと思います。
 お帰りいただいて初めて国会の中に大臣御出席いただいているわけでございます。せっかくでございますので、多大の成果を上げていただいたかと思いますし、また同時に我が国の抱えている課題もありましょうし、また同時に我が国の果たさなければならない役割もあるかと思います。その点についての所感を大臣の方からお伺いしたいと思います。
#152
○国務大臣(宮澤喜一君) 関心をお持ちいただきまして感謝を申し上げます。
 毎年この時期に、アジアのアジ銀総会がございますときに日本の大蔵大臣が参ることになっておりまして、昨年も参りましたけれども、御承知のようにこの一年間でアジアの状況はかなり改善をいたしまして、インドネシアを含めまして今やポジティブなプラス成長に転じつつあるというのが背景でございましたので、今回のアジ銀総会の背景は、従来のようにどうやって危機を脱出するかというよりはどうやってこの危機を将来の成長につなげるかという議論の方が、大変にポジティブな議論が多かったということが特色でございます。
 その中で、アジ銀当局としては、今回のこういう危機を契機にして、アジア全体における貧困の撲滅と申しますか貧困問題に正面から当たって、そして危機後の新しい展開に備えようという大変強い意欲を総裁が示しておられまして、各国ともそれに賛成をいたしまして、我が国はいち早くそのためのファンドを提供するということを申し入れたりもいたしております。
 したがいまして、会議そのものは、その問題とやはりインフォメーションテクノロジーをどうやってこれから我々がこの地域で使っていくかといったようなことが大きな総会の議論であった。昨年に比べますといわば明るい雰囲気が総会を形づけていたということが申し上げることができると思います。
 それからもう一つ、別途にいわゆるASEANの国と我が国、韓国、中国でASEANプラス3の蔵相会議というものが、首脳会議がマニラで昨年開かれましたのに続いて蔵相会議というものが今回開かれたわけでございますが、その中で、我々の間でより緊密な金融関係というものを確認していこうではないかという問題がございまして、これには各国、我が国も一つの役割を担いまして、しばらく、何カ月かの準備があったわけでございますが、結局中国を含めまして我々外側のプラス3の三カ国とそれからASEANの国とみんなで、従来一部に存在しておりますスワップ協定であるとかあるいはレポ協定であるとか、リパーチェシング協定であるとかいうものを今後我々の間で拡大することによって、お互いに何かあったときにも助け合う、こういうことをしようではないかという、まあ会議がチェンマイでありましたものですからチェンマイ・イニシアチブという名で呼ぶことにいたしまして、そういう協定を結ぶことができました。
 これによりまして、万一過去のような金融危機がございますようなときには、我々がいち早くお互いの間でスワップなりリパーチェシングなりの協定の発動をすることによって、それだけで全部片づくことでないにしましても、IMFなりなんなりの支援を求めるにしても、とりあえずの我々のそういう防衛体制ができる、また防衛体制ができるということは攻める側にとっては非常に警戒すべき状況でございますから、それによっていわば我々のそういう危険をさらに防ぐことができるではないかという、そのようなチェンマイ・イニシアチブが生まれましたことはかなりの成果であったというふうに感じております。
 各国の間で、我が国も一九九七年以来かなり大きな、三百億ドル程度のいろんな意味での支援をしてまいりました。その結果についても自然の評価があったものと思われまして、このたびは各国の間で大変な歓迎の中にこの協定ができ上がったと。
 この二つが大体の成果でございます。
#153
○森本晃司君 我が国の果たす役割についてはもう大臣が一番よく御承知のことかと思っておりますし、またさきの金融国会のときも国会がきちんと機能してそして早く手が打てたということで世界恐慌を、ある意味で金融恐慌を免れることができたということが評価されている部分もあります。アジアの皆さんもアジアの中における日本の役割というのに多大の期待を寄せておりますので、大臣におかれては、何かと御多端のときではございますけれども、今日本が一番大事なときを迎えている、金融を安定させ景気を回復させることが一番かと思いますので、これからもどうぞお取り組みのほどをよろしくお願い申し上げる次第でございます。
 ところで、私は今党の中小企業本部長をやっておりまして、アジアあるいは世界への大事な日本の役割がありますが、同時に日本国内にまた目を転じてみますと、中小企業の皆さんの抱えている課題、これはまだまだ多くあると思う。こういった問題を一つ一つ、景気回復のめどはたったというものの、やはり克服していかなければ、本当に景気回復が軌道に乗ったということは言えないのではないかということを実感している次第でございます。
 きょうは、地域経済と信用金庫さらにまた信用組合の果たす役割、さらにまた中小企業の皆さんのいろんな意見が今私のところに寄せられておりますが、その中の私のところへ最近寄せられました一つの手紙を御披露しながらいろいろと両大臣に御意見を伺ってみたい、このように思っておるところでございます。
 信用金庫、信用組合等の中小金融機関、これが地域経済に大きな役割を今日まで果たしてまいりましたし、今もまた地域の経済に役割と、地域の中小企業の皆さんと密接なる関係を持っているということが言えます。しかしながら、バブル経済が崩壊した後に、いろいろ合併や事業譲渡が行われまして数を多く減らしているわけでございます。例えば、平成三年三月末から本年三月末までの間に、信用金庫は六十三金庫、それから信用組合は百十五組合が姿を消している。
 信用金庫、信用組合といった地域密着型の金融機関が合併、再編によって姿を消していくと、地元経済に大きな影響を与えると考えられますが、これらについて、再編についての大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#154
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、森本委員がおっしゃいましたように、信用組合あるいは信用金庫、中小企業あるいは個人を対象とする専門金融機関として、小さいものであってもそれぞれの地域経済の中ではもうかえがたい役割を果たしている、ひいては日本全体の経済にも多大な貢献をしているということだろうと思います。
 今、森本先生は党の方で中小企業問題の責任者をなさっているということでありますが、私の地元の京都もあるいは森本先生の御出身の奈良も中小企業の多いところで、信用組合、信用金庫というのが相当大きな役割を、相当というか極めて大きな役割を果たしていると言っていいのではないかと思います。
 そういうところですから、今は森本先生のおっしゃったように、いろいろ統合を繰り返したりあるいは事業の承継をしたりして数が淘汰されていく、減っていくということに関しては、私の地元でも、今までは自分の町の金融機関だったからげた履きで理事長のところにも行けたけれども、統合してしまったら何か敷居が高くなって今までのようにかゆいところに手の届くようなことではなくなったと、こういう苦情も私自身も聞かないわけではないんです。
 それで、統合とか再編というのは基本的にはそれぞれの信用組合、信用金庫がそれぞれの経営判断としてなさることだと思いますけれども、最近そのように数が減っている背景の中には、やはり競争が激しくなって、それぞれの経営基盤を拡大していくためには何らかの再編成を模索せざるを得ないという面がございますし、それからまた、あるいは破綻したようなものに対する救済機関として破綻したものを吸収しながらやっていくと、そういう形で数が減っているということがあるんだろうと思います。
 私どもとしては、やはりそういう形で競争の中で耐えていただく体力はつけていただかなきゃなりませんし、そういう効率化の中で貸し出し余力というのも出てくるんだろうと思います。ひいて言えば、経営の体力のないところで安い金利で貸せるはずもありませんから、合併、統合に関してはいろんな見方があると思いますが、今の中で、そういうそれぞれの御判断で体力を高めてより良質なサービスを提供していこうという方向に向かっておられるとすると、それは私は期待をしたいなと、こういうふうに思っているわけでございます。
#155
○森本晃司君 今、大臣おっしゃっていただいたように、合併とか再編という形、そのことによってそれぞれの金庫やあるいは信組がサービスも向上しあるいはより健全な経営になっていくということについては、私も十分理解ができるし、また場合によってはその方が望ましいと言えるかもわからない。
 そこで、そういった金融機関が原点である中小企業経営者やあるいは個人に対するより身近なサービスを徹底してやっぱりやっていただかなきゃならないと思うんです。ところが、まだ合併や再編の場合はいいわけでございますけれども、破綻した場合、こうなりますとちょっと話は変わってくるのではないかと思うんです。
 預金保護という形でいろいろと行われていくということはこれは当然のことではありますが、それまでいろいろと密着な関係を持ってよりよき取引関係であった借り手、これが今度は、破綻したことによって次の受け皿が決まるまでの間大変な苦しい思いをしなければなりません。中小企業の皆さんの場合は、ほぼ日々決済をされているということがございます。そういったことを考えると、この問題に対して破綻した場合に中小企業に与える影響は物すごく大きいなと思うんですね。
 谷垣大臣と私とはもう地続きでございまして、京都、奈良、それぞれ古き都のところで住まいしておるわけでございますが、奈良からすぐ来たところの京田辺地域とかああいったところで京都になるわけでございますが、ことしの一月に二つの大きな信金が、京都みやこ信金と南京都信金が破綻いたしました。大臣もこのことについては京都のことでございますから恐らく一番心を砕いていただいているのではないか、そのように思っております。幸い、中信へ事業譲渡されることになって、そして受け皿ができたということは大変私もそれはそれでよかったなと思うわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この規模が大きかっただけに、受け皿があったのはよかったんですが、破綻金庫の規模、しかも地域的に同じような地域でございますから、いろいろと中小企業の皆さんの中にも不安が起きています。
 御承知のように、京都府や京都市がこの一月からすぐに対策本部を設け、また協議会を持ってこれに対応してこられたと思うんです。大変、府や市も尽力されました。同時に、ことしの一月、桝本市長から国に対する緊急要請が出ているわけでございます。
 一部を読み上げますと、「基本的には、預金者保護及び信用秩序維持の観点から行われたものと受け止めておりますが、特に、これらの信用金庫の営業地域を取り巻く状況は、西陣織をはじめとする和装・繊維産業の低迷、大規模工場の大幅縮小等をはじめとして、」、これは後にもまた申し上げさせていただきたいと思うんですが、日産車体が事実上の工場閉鎖を行った、そういった地域でもございます。「たいへん厳しいものがあり、今後、中小企業の経営や雇用への影響をはじめ、地域経済社会において様々な課題が生じるのではないかと懸念しております。」「国におかれましては、信用秩序の維持と併せて、地域経済社会の安定にも十分御配慮の上、円滑に事業譲渡が進められるよう、」ということと、さらに、「二つの信用金庫の取引先中小企業に対する融資の継続や、職員の雇用確保に最大限の努力を行うよう、」という要望書が出されております。
 それぞれの地元の地方公共団体からいろんな要請がなされていると思いますが、破綻金庫の借り手に対する保護についてどのように考えておられるか、お尋ね申し上げます。
#156
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、森本委員がおっしゃいました二つの信用金庫は、中選挙区時代私はそこを選挙区にいたしておりまして、親しい方がたくさんおられますので、私自身も実はいろんなことを聞いておりまして、森本委員が御心配をされて取り上げていただいたことは私も大変ありがたいことだなと、こう思っているわけでございます。
 それで、一月に二つの信用金庫が預金保険機構からの資金援助を前提として受け皿となる信用金庫に事業を譲渡することを公表して、関係者が今鋭意取り組んでいるということでございます。大変これが今おっしゃいましたように地域経済に与える影響というのは大きいことを私自身も実感しているんですが、この例に限りませんけれども、直ちにある信用金庫が受け皿として名乗りを上げた、そういう意味での事業譲渡等の合意に達して、このことは預金者保護あるいは信用秩序維持の観点からもすぐにこういう受け皿が見つかったということはよかったことだなと。今後も、倒産があってほしいと思っているわけではありませんけれども、何か起こった場合にはやっぱりすぐにその受け皿を見つけるということがまず第一だなと、このように思うわけでございます。
 それから、事業譲渡までの間においては、破綻した金庫においてまずその財産の保全を図っていただかなければならないわけですが、同時に、引き続き地域金融機関としての役割を果たしていただくということも必要なんだろうと思うんですね。ですから、一般的には、日々の与信等の審査を中立的な立場から行っていただくように弁護士や公認会計士などを中心とした業務監査委員会というものを設けて、その中でこの審査を通じて善意かつ健全な借り手に対する融資への配慮も行っていただいている。この二つの金融機関でもこういう業務監査委員会をつくっていただいてやっていただいているんだと、こういうふうに思っているわけでございます。
 それからもう一つは、そうやって破綻した金融機関の中では業務監査委員会でできるだけその辺のことを配慮してやっていただくということだろうと思いますが、受け皿金融機関が事業譲渡などの際に引き継ぐ貸付債権等、これは関係者間で協議が行われてそして決定されていくわけでありますが、実際の運用において、おのおのの地域における資金の円滑な供給といった観点から地域の実情に応じた運用がなされていると一般論としては申し上げることができると思うんですが、これはやはり金融機関が倒産いたしますと決して一般論として適切な運用だけれども何も傷がないというわけには残念ながらそれはいかないことも事実で、一生懸命やっていただいているんですが、そういう問題が起こってくるだろうと思います。
 私どもとしても、借り手の保護という問題は、受け皿金融機関あるいは今の業務監査委員会だけに任しておくというわけにもまいりませんので、この場合も、具体的には近畿財務局が当たりますが、必要に応じて既に地元銀行協会などを通じて民間金融機関に協力を求めておりますし、また破綻した金庫の規模などによって地方公共団体に対して制度融資の配慮とかあるいは信用保証協会による対応などをお願いしておりますし、それから政府系金融機関に対しても適切な対応をしていただくよう私たちとしても強く要請をしている、こういうことでございます。
#157
○森本晃司君 何分、中小企業向け資金が円滑に供給されることが一番必要であろうかと思います。
 業務監査委員会のもとにある、やはりなかなかそこが受け皿が決まらないことには云々とか、これは当然また監査委員会としての役割がありますから、現状としてはスムーズにいっていないんではないかということを実感するわけです。借り手側の中小、むしろ零細の皆さんから見ると、それは行っていないという感じがします。
 こういうときこそ政府系金融機関の出番だと思うんだけれども、どうも政府系金融機関が、今大臣からも金融機関にお願いしているところでございますとお答えがありましたが、その金融機関もまた何となくしゃきっとしていない部分があるんではないかと思うんです。
 中小企業庁はきょうはお見えいただいていますか。こういう場合は、具体的にこういう例が起きてきているわけでございまして、どう対応していくのか、中小企業庁の方から答弁願います。
#158
○政府参考人(岩田満泰君) お答え申し上げます。
 京都みやこ信金と南京都信用金庫の事業譲渡に関係をすることでございますが、譲渡の基本合意ができました後、一月の十七日に京都府内の政府系中小企業金融機関の支店及び京都信用保証協会に対しまして相談窓口の設置を指示いたしました。自来、今日まで相談の受付をいたしておるところでございます。また、あわせまして、政府系の金融機関に、この二信金のケースのように金融機関との取引状況が変化をいたしまして資金繰りに支障を来すおそれのある中小企業を対象といたします金融環境変化対応特別貸付制度を設けておりまして、この貸付制度を活用いたしましてもろもろの資金需要に対応させていただいているというところでございます。
 相談窓口開設後、四月の末までの二信金の事業譲渡に伴う政府系金融機関、三機関でございますが、におきます融資承諾実績は二百十七件、二十三億八千五百万円となっておるところでございます。
#159
○森本晃司君 中小企業庁に寄せられたものはそういう形で報告として上がっておりますが、事実、四月末に私のところに寄せられた手紙をちょっと読ませていただきたいと思いますが、これをひとつ、実際にそのようになっているのかよく考えていかなければならない。その事業の経営内容にもいろいろよることであるということはそれは私もよく承知しておりますが、ちょっと読ませていただきます。経営者の肌で感じて自分が実感している内容ですから、必ずしも一〇〇%数字とかいろんなことで合っているとは限りませんが、感じておられるそのもの、今中小企業の経営者はこんなことを感じておられるんだなということを知っていただきたいと思うんです。
 「又ボーナスが云々という季節になりました。」「私」、婦人の方で、奥さんでございますが、五十七歳と書いてあります。父平成十年死亡、主人平成十一年七月亡くなられた。ある電機メーカーの協力工場をやっておられる。そこで、その奥さんの弟さんが代表者となっておられます。
 一生懸命頑張っておりますが、「つくづく、理不尽を感じながら仕事をしています。社員十三人、パートさん二十二人のごく小さな会社なのです。一月にメインバンクの京都みやこ信用金庫が破綻して、京都中央信用金庫に経営譲渡されていることになっているそうですが、我が社の融資を引き継いでくれるというめどもなく、この先どうなるものか不安だけがどんどん膨れ上がって来ます。みやこ信用金庫が破綻する前から、貸し渋りが厳しく、政府が金融機関に公的資金を導入されたといっても、まったくわれわれのところには恩恵はやってまいりません。今日もボーナスのニュースが流れました。昨年よりは若干増えるとか」。
 あとちょっとこの辺は、公務員が国が大借金を受けているのにボーナスがあるのは云々ということが書いてございまして、いろいろと率直な思いを書いておられるのでちょっとここは控えさせていただきますが、国に借金があってもボーナスは出ると。
 しかし、「私たち中小企業の経営者なんてボーナスなんて何年ももらったことはないし、無い人もいっぱいいるのに。どこか間違っているのではないか。大企業優先の社会・大銀行優先の社会、私たち弱者は安い工賃で、それも毎年毎年合理化、値下げを強制され何もせず中間でマージンを取って高い値段で売っている、許せないシステムです。私達の会社だって給料を上げてあげないといけないし、その他材料費も値上がっている。このままだと借金・借金で借金もできない状態です。銀行の貸し渋りも改善されていないしこつこつ貯めたお金も全部吐き出して、全く夢の無いこの頃です。」。
 あとはまた申し上げますが、ちょっと別の意見が書かれておりまして、最後の方にこういうことが書かれております。
 「保証枠の拡大とかいろいろ言われていますが、わが社のようにメインの信用金庫が破綻して業務監査委員会の元に置かれている融資先は苦しい中自分で克服するしかないのでしょうか。どこへ行ったら聞いてもらえるのか、有効な打開策を教えていただけるのか全く分かりません。」「庶民が苦しんでいると言う事を理論や観念で理解することなく具体的な施策、支援をお願い致します。」。
 こういうお手紙が四月末に私のところへ直接寄せられました。中小企業の経営者の皆さんの、これは一つの例ではありますけれども、本当につらい思いを率直に私に書いていただいて、私もこれを読ませていただいてその責任を痛感しています。
 ひとつぜひ中小企業庁も国の金融機関もこういったことに対して具体的にどうするのかということにやはり手を施していただきたいと思っておるところでございますし、私もまた何とかこういう人たちの声をきっちりと届け、反映させていきたいと思っていますし、また後ほど具体的な例もこの委員会ではなしに別のところでお話をさせていただきたいと思いますが、大臣いかがでございましょうか、こういうお手紙を披露させていただきましたが。
#160
○国務大臣(谷垣禎一君) 実は、私も今、森本委員がお読み上げになった手紙と極めてよく似た内容の手紙をいただいておりまして、私ども行政をやっておりますと個別の案件までなかなかできないものでございますから、ふがいないといいますか大変もう隔靴掻痒のいら立たしい思いを感ずることも事実でございます。
 そういう思いをやっぱりきちっと受けとめてやっていかなきゃならないなということを今改めて感じている次第でございます。
#161
○森本晃司君 中小企業庁も一生懸命やっていただいていると思うんですが、現実にこういう問題があります。個々のケースですからなかなかそこまではいかないと思いますが、今、谷垣大臣が同様の手紙をもらって自分もつらい思いをしておるとおっしゃっていただきました。
 私も全く谷垣大臣と同じような思いでおりますが、中小企業庁、ひとつどういう思いでいられるかお答えいただきたいと思います。
#162
○政府参考人(岩田満泰君) 先ほど御説明いたしました特別貸付制度を設け、あるいは信用保証協会につきましても、京都につきましては今年度の特別保証制度の政府からの資金の配分につきましてもこの二信金の破綻問題に配慮をしたような形での配分をさせていただいているところでございますけれども、あわせまして、私ども再三にわたりまして、この年度末にももろもろの御相談に対して親身な対応をするようにということでございます。
 ただいま御紹介のありました件の詳細は承知をいたしませんけれども、もしそのケースの方々がまだ政府系の金融機関あるいは保証協会に御相談に行かれていないのであれば御相談をしていただき、もちろん先生も御指摘になられましたように、最終的には金融審査としてのその経営の内容がどうであるかということは残らざるを得ませんけれども、しかしながらその中で親身な相談に乗り、できるだけ前向きに対応ができるようにという指導をいたしておるところでございますので、そういうことで引き続き対応させていただきたいと存じます。
#163
○森本晃司君 ことしの二月に我が党で中小企業全国実態調査というのを行いました。地方議員や党員の皆さん中心に、二万二千二百二十四社、現場に行ってその声をいろいろと聞いてまいりました。
 その資料はもう総理にもお届けをさせていただいたところでございますが、その中でやっぱり出てきているのが銀行の貸し渋りの問題でございます。中小企業の皆さんが非常に苦しい中で必死に頑張っているわけでございますけれども、相変わらず貸し渋りがあります。
 我が党の実態調査で、資金繰りに関しては「普通である」と「余裕がある」と答えた企業が約四七%であります。これは、いろいろと特別保証制度の枠を広げたということの効果が一つは上がってきた、十兆プラスした大きな効果であったかなと、このようには思っておりますが、一方において資金繰りが「苦しい」と答えた企業が五二%を占めていまして、特別保証制度が実施されなかったら私はもっと深刻な問題になっていたのではないかなと思うんです。
 企業主の声も直接聞いてまいりまして、一例を挙げさせていただきますと、「銀行が貸し渋りを行っている現状だと思う」、「何回も窓口に行ったが不親切」、「銀行の貸し渋りは依然として続いている」、「銀行の中小企業に対する貸し渋りはひどい」、「銀行の貸し渋りには目に余るものがある」等々、随分寄せられておるところでございます。
 これら銀行の貸し渋りについてどのように考えておられるか、またこれを改善していかなければなりませんが、その決意もおっしゃっていただきたいと思います。
#164
○政務次官(村井仁君) 森本委員、公明党の中小企業対策本部長として大変立派な調査をおやりになられまして、私どももこれを早速いろいろな意味で参考にさせていただきました。
 貸し渋り問題につきましては、私どももこれは、政府におきまして今まで、お話のございました信用保証協会等の信用補完制度の拡充でございますとか、あるいは早期健全化法に基づく資本増強制度の創設等とか、あるいは政府系の金融機関によります中小・中堅企業に対する融資制度の拡充などいろいろやっているわけでございますが、そのほかに金融監督庁といたしましても、これまで金融機関のトップを集めまして意見交換の場などのいろんな機会を使いまして貸し渋り防止の要請などの措置を行ってきたところでございまして、特に年末あるいは年度末の資金需要期を控えまして、昨年十二月でございますが、金融再生委員長から民間金融機関の代表に対しまして円滑な資金供給を要請するというようなことをやったりいたしております。
 私どもといたしましては、金融機関が融資態度を必要以上に萎縮させたり、あるいは健全な中小企業に対しまして必要な資金供給が円滑に行われないというようなそういう事態を避けるために、金融機関の融資動向につきましては十分注視してまいりたいし、また検査に当たりましても、貸付先の業態というようなものも十分注視しながらその融資をしていくように、検査の際にもよく注意深く見てまいりたいと思っておるわけでございます。
 私どもの肝心なところは金融機関の健全性の確保でございまして、例えば先ほど来お話のございました地域密着型の協同金融機関というようなものになりますと、その地元の事情を実によく知っているわけでございますね。ですから、例えば借り手の個人資産でございますとかそういうものまで把握して総合的な判断をして貸すわけでございますから、決して担保とか、そういうものだけでやっているわけではない。そういうことも認識しておりまして、検査で、単に数字のみで金融機関の検査をやるというようなことを慎むようにいたしておるところでございます。
#165
○森本晃司君 時間が参りましたので答弁は結構でございますが、先ほどの手紙の中の一部をまた読ませていただいて、経営者の皆さんがこういう思いでおられるということを報告させてもらいます。手紙の中にこういうことも書いてありました。
 「例のそごう百貨店の件です。一箇所を閉鎖するから借金を棒引き、債務放棄をしてくれ、七千億もの借金を放棄するという銀行もあるとか。その銀行も国から不良債権を放棄すると言う事で公的資金をただ同然でもらっているから出きるのか、自分の腹が痛まないから出きるのか。こんな事が許されて社会の底辺で、日本の経済・大企業の不況時のクッションとして置かれてきた我々中小零細企業には何の手だても無いのか…。」。
 中小零細企業、庶民の皆さんの声であることをお聞きとめいただきたいと思います。
 なお、労働省、お見えいただきましたが、時間がなくなりましたので、どうぞ、雇用の問題、不安が大変起きていますし、日産車体と同じ地域でございますので、しっかりとまた雇用対策をやっていただくようお願いして、質問を終わります。
    ─────────────
#166
○委員長(真鍋賢二君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、吉川春子君が委員を辞任され、その補欠として畑野君枝君が選任されました。
    ─────────────
#167
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 預金保険法改正案のシステミックリスクへの対応についてお聞きをしたいというふうに思います。
 この法案では、システミックリスクに対して、金融危機対応会議の議に基づいて、資本の増強、ペイオフコストを超えた特別資金援助、特別危機管理銀行、こういった特例措置をとることができるというふうになっております。このシステミックリスクというのは一体どういう事態なのか。この問題、大変重要だというふうに考えるわけです。
 そこで、宮澤大蔵大臣にお聞きをしたいんですが、大臣は、四月二十六日の当委員会で笠井理事の質問に対して、この法案で言っているシステミックリスクというのは、これは長銀や日債銀、こういった九八年来のこの数年間の金融機関をめぐる事態はこれに該当するのかどうかということが問題になりまして、こう答弁されています。
 たまたまこの何年間かで公的資金の導入なんかいたしましたから、何かその続きのことではないかという連想を持たれる方が多いと思いますけれども、そういう意味ではない。この何年間かの場合が大変な危機でございましたけれども、いわゆる取りつけみたいな状態がわっと起こったということではなかったように思いますから、それに対する緊急的な措置がその日のうちに必要だといったような、最近で申せば昭和二年のような状況がこれに似ていると。
 すなわち、これは確認なんですが、この間の長銀や日債銀のような事態はこの法案で言っているシステミックリスクには該当しないということなんですね。これは確認をしたいと思うんです。
#168
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう趣旨の答弁を申し上げておるわけですけれども、的確にそう申し上げたわけではなかったんです。
 最近ああいうことがございましたから、一九九七年以来、ああいうのがしょっちゅうこれからもあるんじゃないか、そのときにこれを使うんじゃないかと、そういうふうに最近の方はおとりになるかもしれませんけれども、この百二条で言っていることは、これはごらんになりますように、そうしょっちゅうぽつぽつあることではなくて、例えば最近でいえば昭和二年のような、ああいうことを御想像いただいた方が事実に近いんではないかと、こういうふうに申し上げました。
 一九九七年以来起こったことも、これもまさに大変なシステミックリスクであったわけでございますし、また一部では銀行に人が並んだということもあったわけでございますから、的確にそれがここに想定している事態でないと申し上げたわけではなかったんですが、たまたまこの間あったことでございますから、そういうことがしょっちゅうあるのかなという御理解でございましたら、それは私どもはそう考えていないということを申し上げようとしたわけでございます。
#169
○小池晃君 非常にあいまいなんですが、もう一度確認したいと思うんです。
 大臣は、はっきり最近の事態は当てはまらないというふうに言われているんですよ。もう一回議事録の別の場所を見てみると、どう言っているかというと、この何年間かという意味でしたら、こういう金融危機に対する非常的な措置を用いずに立法と予算措置によって解決してまいりましたから、こういうことをこの法律で言っておるというふうに私は思いませんと。これは明確じゃないですか。
 要するに、今回の法律で規定をしておるこのシステミックリスクというのは、この間の、この数年間のような事態じゃないんだ、もっと昭和二年のような事態ということを想定しておるんだ、だから該当しないんだということをはっきり言われていると思うんですが、いかがですか。
#170
○国務大臣(宮澤喜一君) 文章をそうお読みになったかもしれませんが、私が申し上げようとしていることは、仮に、これは仮にということになりますが、この百二条のような法制が現にありまして、そして一九九七年のような事態が起こったときにこれを援用するかどうかというようなことは、全く仮定の問題でございますから、何ともそれは申し上げられない。しかし、補正予算も組んだほどの事態であって、これは容易ならぬ事態であったことは間違いございません。
 申し上げたいことは、それがたまたま三年前であったものですから、しょっちゅうしょっちゅうこういうのがあって、それでこれを使うのかと、こう世間の方がお思いになっておられるとすれば、それはそうではないんですと、そう申し上げようとしたんです。
#171
○小池晃君 私は、法案の問題を言っているんじゃないんです、大臣の御答弁のことを言っているんです。
 これは明確ですよ。これを援用するかどうかははっきりわからないとおっしゃったけれども、はっきり援用できないと言っているんです。
 もう一度読みますよ。この何年間かという意味でしたら、こういう金融危機に対する非常的な措置を用いずに立法と予算措置によって解決してまいりましたから、こういうことをこの法律で言っておるというふうに私は思いませんと。明確じゃないですか。今度の法律で言っていることは、これは最近何年間かの金融危機に適用されるものじゃないんだと、はっきりそう言っています。そのことを確認したいんです。
#172
○国務大臣(宮澤喜一君) そうおとりになるんならそうおとりになってもいいんですが、私の申し上げようとしたことは、的確にはそうではないんですと。そうしょっちゅう起こることではないんで、例えて言えば昭和二年みたいなものが例じゃないですかと申し上げたんですが、何かの御都合でそういうふうに思うとおっしゃれば、それは私はそう申し上げていないと言うだけなんです。
#173
○小池晃君 この答弁は明確です。どうおとりになるか判断の余地があるような答弁じゃないですよ。これは明確にこう言っているじゃないですか。要するに、今までのこの数年間のは、立法措置、予算措置によって解決できた、非常的措置を用いずにやったと、こういうことをこの法律で言っておるというふうに私は思いませんと言っているんですよ。
 これは、解釈の余地なく明確に大蔵大臣は今度の法案の想定しているシステミックリスクというのはこの数年間の事態ではないんだというふうにおっしゃっていると、これはもう主観的ではなくだれが見たってそういう答弁です、これは。
 システミックリスクというのは一体何かということについてこういうあいまいな答弁の解釈を、一回された答弁を、いや、そうではなかったんだというようなことを言われるのであれば、これは重大な問題ですよ。これは本当にシステミックリスクということで大変な財政措置をとったりする可能性も開かれるわけですから、そのことについてこんなあいまいなことでいいんですか。これじゃ議論できないと思いますよ。これははっきりさせていただきたいというふうに思います。
#174
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、そうおっしゃるんならそうでもいいんですが、最近の措置というのは、しかし、これだけ大きな財政とこれだけの法律を使ったんですから、これはもうそうしょっちゅうあることじゃございません。残念ながらこの法律はありませんでしたから、この場合かこの場合でないかとおっしゃっても、それはきちんとお答えはできないんですけれども、こういう法律がございましたらあの昭和のようなときにはこれで対応できたろうと、こう申し上げているのでして。
 恐らく御質問の真意は、システミックリスクというものをもう少しちゃんと定義してみろと、こうおっしゃるための御質問だと思うんですが、なかなかそれはうまく定義できません。そこで、ここで一、二、三号というものを設けて例示をしているわけでありまして、総理大臣が会議まで開いてやるんですし、国会にも御報告するんですから、そうしょっちゅうこういうことがあることではない。
 最近の事件は、しかしあれだけ予算も補正もし、法律もつくり、国会でも何十時間と御審議のあった事態ですから、これも生易しいものでなかったことは確かでありまして、ただそのときにこの法律はなかったということでございます。
#175
○小池晃君 私は、しょっちゅうあるかどうかという、そういう議論をしているんじゃないんですよ。システミックリスクの定義を議論しているわけでもないんです。ここで言うシステミックリスクというのが、この数年間これだけ大変な問題になったわけでしょう。そういう事態に適用されるのかどうかというのはこれは大変重要な問題じゃないですか。そのことをめぐって大臣の答弁が、明確に前回は、これは適用されないんだというふうにおっしゃった。ところが、今それを覆す。そういうことでいいのかというふうに私は申し上げているんです。どうですか。
#176
○国務大臣(宮澤喜一君) そういいかげんなことを申し上げたつもりはなかったので、この法律がなかったから適用できなかったというのは事実です。
#177
○小池晃君 なかったから適用できなかったかどうかということを言っているんじゃないんです。大臣の答弁ですよ。ここで言っている、この法律で言っているシステミックリスクというのは、この数年間の金融危機に対応するようなやり方ではないんだと、この法律で言っておるのは別の問題なんだというふうにはっきりおっしゃっているんです。
 じゃ、もしこの法律があれば、長銀や日債銀の事態も実はシステミックリスクとして認定されて、こういう非常的な措置が発動される可能性があるんだというふうにおっしゃるんですか。これは大臣の答弁にかかわって言っているんですから。
#178
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから、この法律はなかったんですから、どうもお答えのしようがないんですね。どう申し上げればよろしいんでしょうか。法律はなかったんで適用のしようがなかったんですが。
#179
○小池晃君 なかったから答えられないというふうにおっしゃるんですが、大臣の答弁は、この数年間という意味でしたら、こういうことをこの法律で言っているふうには思いませんというふうにはっきり言われているんですよね。
 さらに言えば、もし法律があれば適用されたかもしれないというふうにおっしゃるのであれば、長銀や日債銀の事態は非常的な措置を用いずに解決できたというふうにはっきりおっしゃっているんですよ、前回。もう一度言いますよ、この何年間かという意味でしたら、こういう金融危機に対する非常的な措置を用いずに、これは今度つくろうとしているもののことですよね、こういうものを用いずに立法と予算措置によって解決してまいりましたと。解決できたと言うのであれば、あなた方の理屈でいってもこのシステミックリスクに対する恒久措置は必要ないということになるんじゃないですか。それともこの部分も訂正されるんですか。そういう意味じゃなかったとおっしゃるんですか。
#180
○国務大臣(宮澤喜一君) その最後のところがおかしいものですから、それで、なかったので何とも申せませんと言っているだけなんです。
#181
○小池晃君 そんなこと言っていないです、答弁では。
#182
○委員長(真鍋賢二君) 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#183
○委員長(真鍋賢二君) 速記を起こしてください。
#184
○小池晃君 それじゃ、ちょっと別の角度から聞きます。
 谷垣金融再生委員長はこうおっしゃっているんです、はっきり。三月二十九日の衆議院大蔵委員会。「長銀であるとか、日債銀であるとか、あるいは北海道拓殖銀行、この数年間の間に経験したようなケースは、これは恐らくシステミックリスクであるという判断をして対処していくことになるのだろうと思うのです。もしあのときに今度の法の仕組みがあれば、多分そういう判断であったろうと思います。」、こういう趣旨で宮澤大蔵大臣もよろしいんですか。
#185
○国務大臣(宮澤喜一君) これは谷垣大臣の御答弁で結構です。
#186
○小池晃君 これは非常に重大な問題だと私は思います。前回の答弁はどう読んでもこれは長銀や日債銀の事態というのは該当しないんだと。最近の例、最近というのはすごいですけれども、最近の例でいえば昭和二年だと大臣は明確におっしゃったんですよ。今事実上これは撤回された、違う、これは間違っていたんだというふうに私はおっしゃったんだというふうに受けとめます。これは重大な問題だと思います。こういうシステミックリスクかどうかということの認定が非常にあいまいで、恣意的な解釈の余地があり得る問題だということを私は示すものだと。
 さらに言えば、この法案で言うシステミックリスクなるものが一昨年来の金融危機のような事態を想定している、ああいうものでも適用するということであれば、この数年間あれほど国民的な議論を行って大混乱の中でいわば押し切った、これを今度は総理大臣を初めごく一部の人々だけで決めてしまう仕組みができるわけで、国会には事後報告だと。こんなあり方が果たして許されるのかということになるんじゃないですか。これはどうですか。
#187
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知のように、我が国の憲法には緊急事態というものについての定めがほとんどありません。戦前は御承知のように緊急勅令もございましたから、昭和のときにはそういう対応をしているわけですけれども、憲法にそういう規定があるのがいいか、ないのがいいかというのは御議論があると思いますけれども、我が国の場合には、恐らく過去の経験にかんがみてそういう規定を置かなかったのだと思います、それは一つの見識と思いますが。しかし、それはそれとして、金融なんかについてこういう問題が起こり得るわけですから、この立法の際に、こういういわば金融危機に対応するための措置というものを置くことは私は有意義だと考えています。
 こういうことがあれば、もしそういうことが万一起こりましたら、しょっちゅう起こることではありませんけれども、金融危機対応会議で議論をして、そして総理大臣が決めて、その結果は国会に報告をするということであれば、長い時間を要せずに対応ができることは明らかでございますから、緊急勅令というようなものを持っていない今の段階で短期間でクイックな非常に早い処置をしようとすれば、そのための根拠法を置いておくということは用心としては私はしかるべきことであろうというふうに思っていまして、それがただ、しょっちゅうそういうことがあるということでもしとらえる方があったら、それはこの百二条の趣旨とするところではございませんということを申し上げているわけです。
#188
○小池晃君 このシステミックリスクがどういう事態に当たるのかということで、これだけ短期間で答弁が変わるぐらいの問題ですから、しょっちゅうないんだと言われたってにわかに信用しがたい、これは十分しょっちゅうあり得ると思いますよ、私は。
 たとえ、百歩譲って、しょっちゅうあることじゃないんだと。しょっちゅうあることじゃないんだというふうにおっしゃるけれども、しょっちゅうあることじゃないんだということ、何十年に一度しかないんだと、もしそういうふうにおっしゃるのであれば、何で税金投入の仕組みまで組み込む必要があるんですか。だって十分過ぎるほどの時間があるわけでしょう。何十年に一度、しょっちゅうあるわけじゃないというのであれば、銀行業界に時間をかけて準備させればいいじゃないですか。何でわざわざ金融機関の負担だけでは賄えない場合のことまで想定をして御親切に税金投入の道まであけておく必要があるんですか。どうですか、これは。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) ですから昭和二年のことを申し上げたわけですよ。ああいうことが、しょっちゅうあるはずはないのが、やっぱりあったんですから。それだけのことです。
#190
○小池晃君 昭和二年の金融恐慌というのは、これは流動性の危機でしょう。これはセーフティーネットのなかった、預金保険機構のなかった時代の流動性の危機ですよ。これは日銀特融で乗り切っているわけじゃないですか。全然違う話ですよ。
 私が聞いているのは、私が言っているのは、何十年に一度しかないようなものに、わざわざちゃんと規定しているわけじゃないですか。金融危機対応勘定、例外的措置の財源として事後的に金融機関から負担金を集めるんだと、また金融機関の負担だけでは我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあるときは財政措置を講ずる、税金投入すると。何でこういう仕組みにする必要があるんですか。事後的に集めるんじゃなくて、ちゃんと金融機関に、そんなに無理をせずに何十年後だったら十分準備ができるんじゃないですか。もし万が一そういう事態が起こったら、何十年かかって責任とらせればいいじゃないですか。そういうことなんじゃないですか。
#191
○国務大臣(宮澤喜一君) ほとんど法律の趣旨がおわかりになっていないと思うんですね。そういうことが起こったときにパニックをどうやって防ぐかということが問題なんですよ。
#192
○政務次官(林芳正君) 細かい規定でございますので、私から答弁させていただきます。
 新しくできます金融危機対応勘定、これは一義的には金融機関から、まさに今、小池委員がおっしゃっているように、金融機関からの事後的な負担金で賄うことになっておりまして、それでも足らない分が生じた場合に公的な資金を投入するということでございます。
 それから、先ほどから何十年に一回ということでございますが、いつ起こるかわからないわけでございまして、五十年後に起こるということではなくて来年起こるかもしれないし、それが二十年後かもしれないということであろうかというふうに思っておるところでございまして、そういうことが金融におきましてもいわゆる危機管理ということではないかというふうに考えておるところでございます。
#193
○小池晃君 金融危機というのが流動性の危機、昭和二年の金融恐慌のような流動性の危機を想定されているのであれば、それは日銀特融で乗り切っていくことができたわけですね、かつても。流動性の危機はそれは日銀特融でどうにでもなるんですというような趣旨の答弁を衆議院で大蔵大臣はされています。
 今回何のためにこういう制度をつくろうとしているのかというのが全く不明確である。何十年後に備えるというのであれば、それまでに十分責任準備金を積んでおくことは可能であるし、万が一足りなければ後から返済すればいい話だと。結局、しょっちゅうないことなんだというふうにごまかしながら、実はどういう事態で起こるのかということについても極めてあいまいな、答弁が百八十度変わるようなあいまいな規定になっている。
 さらに、実際そういう事態が起これば、金融機関に対する税金投入を含む救済の仕組みを、内閣総理大臣を初め五名の、たった五人の金融危機対応会議で決めてしまう。非常にあいまいな規定であり、恣意的な解釈が可能であり、さらにそこに税金投入までできるシステムをつくっている。本当に自動的な銀行救済システム、自動税金投入装置というふうに言えるような代物だということがはっきりしたんじゃないだろうかというふうに思います。
 引き続いて、信金、信組の問題についてお聞きをしたいと思うんですが……
#194
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のお話の結論は、そういうふうに何十年に一遍ぐらいの危機なら今から銀行や何かがみんなが積んでおけと、こういう結論であるとすると、それはやっぱりそこまでなかなか、その何十年の危機というのに毎日毎日備えるわけにはいきませんから、やっぱりそのときにはそういう対応をしなきゃならないんじゃないかというのも私どもの考えていることでございますけれども、御見解としてそれは毎日から積んでおけばいいというのであれば、それは一つの御意見として伺っておきますけれども、私どもはそれはなかなか現実的でないというふうに思うわけです。
#195
○小池晃君 前もって積むかどうか、起こってから後で責任をとらせるかどうか。いずれにしても、何十年に一回しか起こらないような事態であれば銀行業界に責任をとらせる仕組みにすればいいじゃないか、何でわざわざ税金投入の道をあける必要があるんだというふうに私は申し上げているんです。
 信金、信組の問題についてお聞きをしたいと思うんですが、私、昨年七月九日の当委員会で信用金庫、信用組合の整理統合が地域経済に与える影響について質問をしました。そのことに関連してお聞きをしたいというふうに思います。
 昨年の委員会で、私は、信金、信組が破綻した場合に、その破綻処理に当たって救済合併や事業譲渡などが行われる際に中小企業の借り手保護の仕組みが不備ではないか、この点をただしました。すなわち、ブリッジバンクや特別公的管理銀行に引き継ぐ際、この際の金融再生法における資産判定では、五千万円未満の債務者については、元利の支払いが行われている限り、これは受け皿に引き渡すということになっております。ところが、預金保険法上の一般資金援助の対象の場合にはそういう仕組みがない、このことについて質問をいたしました。
 当時の柳沢金融再生委員長は、「そういう仕組み、対応する仕組みがないということは御指摘のとおりでありますので、これはもう少し何とか知恵が絞れないかということで、少しお時間をいただいて検討させていただきたいと思います。」、こう答弁されました。
 時間は十分あったはずだと思うんですが、検討の結果どうなったのか、御説明いただきたいと思います。
#196
○国務大臣(谷垣禎一君) 一般に、預金保険法に基づいて資金援助に係る営業譲渡などに際しては、破綻金融機関とそれから救済金融機関、受け皿との協議によって資産の振り分けが行われるわけです。
 それで、国会での今おっしゃった御議論なども踏まえまして、金融再生委員会が資金援助に係る適格性の認定を行う場合、借り手の保護の状況も踏まえつつ審査を行うことといたしました。
#197
○小池晃君 そんなことは前から決まっていることなんですよ。資金援助の適格性の認定の際に地域経済の円滑な運営に資するよう考慮するということは、もう私が質問する前からできている仕組みなんです。それだけでは不十分だから必要なんじゃないですかというふうにお聞きしたのに、全く検討もされていない、一年近く前に問題点を認めておきながら。柳沢大臣はこれは問題点があるとお認めになったわけです。それなのにまともに検討もしていない。本当にあきれた話だというふうに私は思います。
 あなた方は善意の借り手保護に十分配慮しているというふうにおっしゃるんですが、その実態は一体どうか。先ほど取り上げられました京都の事態、京都みやこ信用金庫と南京都信用金庫が破綻をして京都中央信用金庫に事業譲渡が行われることになった。これは先ほど大臣、受け皿が見つかってよかったというようなことをおっしゃっていましたが、そんな状況じゃないんですよ。この営業譲渡に当たって融資の制限や一括返済の要求などが続出しているんです。地域経済に大変な影響を与えています。
 例えば、京都市伏見区の自動車塗装業者、これはダイハツから仕事を請け負っている優良企業、優良業者です。ところが、これまで九百万円まで可能とされていた手形割引の枠がいきなりみやこ信金側から五百万円に減らされた。そのためにダイハツからもらった手形を換金できず窮地に立たされているという話を聞きました。
 それからまた、京田辺市の建築石材業者ですが、これは経営に赤字はあっても大手企業から数多くの仕事を受注する技術力を持った企業だということです。みやこ信金から自宅、土地を抵当に融資を受けていたが、これまで返済がおくれたことは一度もなかった。それが二千万円の一括返済。できなければRCC送り。大手デパートから受注した仕事さえこれは資金がないということで断らざるを得ないと。
 こういう事態について京都の商工団体が近畿財務局に要請を行っています。当局も本来あってはならないことというふうに回答をされているんです。
 これはあなた方にしても、信金、信組の破綻処理というのはこの間の中心課題だったはずです。結局今度の仕組みの提案の中に、この信金、信組の破綻処理の中で地域の中小企業をどう守るか、こういう仕組みが何も考えられていないとしたら、これは大問題だというふうに思うんです。善意の借り手を保護されている、そうおっしゃるけれども、実態を見ると多くの零細企業が切り捨てられ放置されているではないか、そう考えるんですが、このままでよいというふうにお考えになりますか。
#198
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど森本委員にも御答弁を申し上げましたが、まずやはり受け皿金融機関が早期に見つかることというのが大事なことだと思います。
 それから次に、先ほど申し上げたことの繰り返しでございますが、引き続き資産を保全して、そして健全な借り手に融資を行っていくという機能を続けていただかなきゃなりませんから、それは業務監査委員会でしたかでやっていただく。そして、受け皿金融機関が仕分けをするわけでありますが、受け皿金融機関と破綻金融機関の間で振り分けを行うわけでありますけれども、できるだけやはり地域の実情に配慮して議論をしていただくということになると思いますが、これもなかなか、委員も御指摘のとおりでございます、金融機関が破綻いたしますとやはりなかなか全部を救うというのは正直言って難しい場合がある、非常に苦しんでいるところでございます。
 そこを、先ほど申し上げましたように、私どもとしても、銀行協会そのほかの団体にも御協力をお願い申し上げ、あるいは信用保証協会、政府系金融機関、こういうところにもいろいろお願いをして何とか乗り切ってまいりたい、このように思っております。
#199
○小池晃君 引き続き融資を行えるように配慮をしてもらっていると。
 本年四月四日の経済・産業委員会では、金融再生委員会の森事務局長も、譲渡に当たって債務者区分の中で正常先、こういうところが確実に受け皿の方に行っているかどうか、こういうことも頭に置きながら審査をやっていると。さらに、たとえRCC送りになったとしても一方的に回収するわけじゃないんだということで、手形の書きかえとかあるいは期限が来た借り入れの乗りかえにも応じている場合もあると。こういうふうに答弁されているんですね。
 しかし、今おっしゃってきたような方針とは全く正反対の要請を預金保険機構が行っていたということが明らかになったわけです。
 資料を配付していただきたいというふうに思います。
   〔資料配付〕
#200
○小池晃君 今配付いたします資料は、預金保険機構名で二年前に出された文書であります。これ、最近でも使われています。最近の破綻でも、破綻金融機関の業務監査委員会から預金保険機構の方針としてこの文書が示されております。実際、これに基づいて破綻金融機関の業務が行われている。
 この中で、預金保険機構は破綻金融機関に対して、正常先債務者にすら貸し渋り、貸しはがしを要求しているんですね。まさに驚くべき内容であります。
 「正常先」というところを見ていただきたい。この文書は、そもそも正常先が受け皿に譲渡されない場合もあるという前提に立っている。これも大問題なんですけれども、その譲渡が決まるまでは「原則、貸出残高は既往実績内」、一年か半年の実績内だと。「回収確実性をより適切に確保、貸出し最終期限は営業譲渡予定日まで」と、非常に厳しい条件であります。
 先ほど私が紹介した京都の例というのは、まさにこういう方針が忠実に実行されているわけですね。京都の伏見の例では、この「貸出残高は既往実績内」という方針がそのまま実行されている。正常先債権にも「回収確実性をより適切に確保、」ということは、割り引く手形に条件をつけるとか追担保を求めるということであります。その上、「貸出し最終期限は営業譲渡予定日まで」ということになれば、営業譲渡を超える借りかえは認めない、そうなれば残る債務は一括返済だと。京田辺市の例というのは、まさにこの方針によって二千万円の一括弁済が迫られている例であります。
 さらに二枚目を見ると、RCC送りの分も、書きかえは明確なねらいがある場合に限り一年が限度となっておりまして、「断固たる回収を進める。」という表現もあります。
 この文書を渡されたときに、口頭の説明では、ここで言う「新規貸出し原則不可。」というのは割引も一切認めないのが原則、一年程度の書きかえを認めるというのは手形給付のロールオーバーは認めないという意味だという説明を受けたそうであります。先ほどからの説明とは全く相反するような中身を指導しているんじゃないですか。
 地域の中小零細企業が手形割引の突然の縮小によって資金繰りのめどが立たなくなった、仕入れ資金を調達できないので注文を断った、こういう事態はまさにこの要請文書に基づいて行われているんじゃないか。問題は、正常先債務者に対してまでやられているわけですから、それ以下の要注意先に対してはもっと厳しいものになる。
 預金保険機構の松田理事長、おいでだと思うんですが、こういう文書で指導されている、これは認められますか。
#201
○参考人(松田昇君) お答えをいたします。
 先生御指摘の「融資の実務運営についての要請」という文書は、間違いなく預金保険機構から破綻した金融機関の業務監査委員会等に要請として、提案として、お願いとして渡した文書でございます。
 先ほど来、先生の申されていることでございますけれども、この中身は、これは破綻をいたしまして次に、これは預保法の世界では、預保法で処理いたします場合には受け皿が決まっておりますけれども、それまでに渡す間に数カ月ないし一年ぐらいの期間がございます。その間に資産の切り分けをして、次に、その資産を切り分けしたものに従って引き受け金融機関に引き取ってもらうのはそちらにお渡しをする、それからRCCに行くと決まった不良債権はRCCに渡すことになる。
 しかし、それを、営業期間終了までの間その破綻金融機関の経営者は経営を継続しているわけでございますから、そこで野放図なことをされて結果的に公的資金がたくさん出るというようなことは避けなければいけないわけでございます。
 したがいまして、破綻した金融機関が出ましたときには、監督当局から業務改善命令というのが出まして、それに基づきまして業務監査委員会という破綻した金融機関の経営をチェックする機能を持つ委員会が設けられます。その委員会に対して、破綻した金融機関が新たなリスクを負うような新規の貸し出し、しかも資産を劣化させるような貸し出し、税金の投入が多くなるようなあるいは保険料の投入が多くなるような貸し出しはやめてくださいねと、そういう思いを込めて、これは預金保険機構からのお願い、要請ということで監査委員会に渡したものでございます。
 したがいまして、経営自体の決定は、融資の決定は当該破綻金融機関の経営者が業務監査委員会の御意見を聞きながら行う、こういうことでございまして、拘束性は持っておりません。
#202
○小池晃君 とんでもない話ですよ。要請なんだ、拘束性はないんだというふうに言うけれども、預金保険機構という名前でこういう要請文が業務監査委員会に出されてきたらば、これはやはり破綻金融機関の側はこれに忠実に従わなきゃいけないんじゃないかというふうにとらえるのはもうこれは当然のことだと思うんですよ。
 これをもとに、実際に京都の例もまさにこれが活用されて切り捨てられているわけじゃないですか。こういう活用のされ方をしていることを、これは認めるんですね。これをよしとするんですか。
#203
○参考人(松田昇君) 預金保険機構の立場というのは、破綻のスキームが決まりまして、そのスキームと法令に従って再生委員会の適格性の審査を経た上で、預金者を保護するために幾ら資金を提供したらいいのか、それからRCCとして引き継ぐ不良債権を幾ら引き取って幾ら回収したらいいのか、それを本筋とする機構でございます。そういう立場から申しますと、この営業期間、破綻をしてから営業譲渡をするまでの期間、できるだけ公的資金の投入が少なくて済むように十分御警戒くださいという意味で差し上げてある要請文でございます。意味はそれだけのことでございます。
#204
○小池晃君 正常先とされていても中にはそうでないところもあるんだ、そういうことをチェックしていくんだというふうにおっしゃいますが、これを読むと、譲渡先が一〇〇%で買い取ることを確認するまでは切り捨て続けるという中身ですよ。全く趣旨が違うというふうに思います。
 今まで政府は一貫して個々の取引に介入できないんだ、当事者間の話し合いでやるんだ、できるだけ地域経済に悪影響を与えないように、できるだけ貸し渋りなんか招かないように努力をしているんだというふうにおっしゃってきたけれども、現実には、こういう要請といいながら事実上の指導の文書を出して、正常先の借り手まで場合によっては切り捨てろ、RCCに送られることになったらとにかく短期回収がすべてに優先だと。中小企業の債務者にしてみれば、メーンバンクが破綻をして暗やみに投げ込まれている、そういうときにさらに追い打ちをかけるような打ち切りや制限を行う、正常先すら例外ではないという中身であります。
 こんなやり方は私は借り手保護とは全く反する方針ではないかと思うんです。金融再生委員長にお伺いしたいんですけれども、こういう預金保険機構の要請文書、正常先債権すら融資を打ち切る、RCCに送られたら回収一本やり。まさに、借り手保護、こういうものを投げ捨てるものじゃないかと思うんですが、こういうやり方をお認めになりますか。
#205
○国務大臣(谷垣禎一君) 預金保険機構のお立場としては合理性があるものと思っております。
#206
○小池晃君 大変あきれた話だというふうに思います、預金保険機構としては合理性を認めると。金融再生委員会としても、預金保険機構がこういう方針で要請文書を出すということをよしとするわけですね。
#207
○国務大臣(谷垣禎一君) 預金保険機構としては合理性があると思っていると御答弁したとおりでございます。
#208
○小池晃君 私は、金融再生委員会としてこういうやり方を認めるのかというふうに申し上げているんです。
#209
○国務大臣(谷垣禎一君) 預金保険機構がこうされることはそれは私は合理性があると、こういうふうに申し上げているわけでございます。
#210
○小池晃君 明確な御答弁がないわけですけれども、これは本当にまさに、合理性は認めるというだけで、金融再生委員会としてはそれは認めるということですね。じゃ、これが、預金保険機構がこういう文書を出すということは合理性があるというふうにお認めになるということであります。こういう指導をしておいて地域経済に先ほどから答弁あるように配慮しているというのは、本当によく言えたものだというふうに私は思います。
 信金、信組の破綻で正常先の債権であっても譲渡先から融資が保証されなくなったと。これはどうなるか。中小企業は商工ローンに頼るあるいは消費者金融に頼るしかなくなるじゃないですか。正常先債務者の債権まで切り捨てるような指導は、これは直ちにやめるべきだ。
 これは、それまでに切り分けをしていくんだということじゃないですよ。よく読んでいただきたい。譲渡先が一〇〇%で買い取ることを確認する、それが条件なんですよ。それまでは徹底的な制限を加えていくという中身ですよ。これは全然、先ほど私が指摘をいたしました森事務局長の答弁、正常先債権は引き継ぐというような方針とは全く反する中身だというふうに私は思います。
 金融機関の破綻に当たって、改めて私申し上げたいんですが、中小企業の債権がきちんと受け皿に引き継がれる、地域経済に配慮をしてきちっと善意の借り手が保護される、そういう仕組みをつくる。一方でこんな指導をしながら、実態がどんどん切り捨ての方向に向かうのは、私はこんな指導をしていたら当然そういう事態になると思います。こういう指導は一切やめて、きちっと中小企業の借り手保護を貫くシステムを私はつくるべきだ。善良な借り手保護のシステムを改めて責任を持って、昨年の委員会で指摘したように、そして柳沢再生委員長は検討するとおっしゃったわけですから、私これは検討する必要はあるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか、大臣。
#211
○国務大臣(谷垣禎一君) 先ほど御答弁いたしましたように、委員の御議論、柳沢大臣の御答弁、そういった議論を踏まえまして、適格性の認定をするときには資産の振り分けというようなことを、今までは金融再生委員会にかかってまいります適格性の認定のフォーマットにそういう項目はございませんでしたけれども、その後そういうものを設けて、適格性の認定のときには判断に供することといたしております。
#212
○参考人(松田昇君) 委員御指摘の正常先の、文書に書いてありますイのところでございますけれども、これはいささか誤解があるといけないので申し上げますが、「譲渡先が一〇〇%で買取ることを確認した上で、」と、この意味は、譲渡先がその正常債権を簿価どおり買い取りますよと、いい貸し先だということをお認めになって、それで引き取るということを決めた後は短期の資金でも長期の資金でもどんどん貸してもいいではありませんか、認めますよ、制約は設けませんと、こういう借り手保護の精神がここにあるわけでございます。
#213
○小池晃君 今、大臣が答弁されましたけれども、適格性の認定ということで対処するんだというふうにおっしゃいますけれども、これはもう法律事項で規定されていることでありまして、それは既にやられている。それだけでは不十分だからこそ私はシステムが必要だということをこの間申し上げているので、ぜひそういうことも検討する必要が、こういう事態を踏まえれば、これは極めて重要な課題になってきているということを申し上げたい。
 その上で、今後の問題なんですが、今後さらに信金、信組に対する金融検査が新しい金融検査マニュアルによって行われていけば、大企業と中小企業の債権、債務が同じ基準で資産査定をされていったら、切り捨てにさらに一層拍車がかかることは私は明らかではないだろうか。
 ある中小企業の経営者はこう言っています。マニュアルでは五年間で赤字を解消するめどを示せなければ要注意先にすると言うけれども、政府がいつ景気回復するかも示せないのに赤字解消のめどなど示せるわけがないと。そもそも銀行に相手にされない赤字企業だからこそ信金に加入し、出資金も出して、そして融資も受けているんだと、こうおっしゃっているんですね。大銀行と取引できる大企業と中小企業が同じ基準で資産査定をされたら浮かばれないというふうにこの方はおっしゃっていました。これは私もっともな話だというふうに思うんです。
 今の新しい金融検査マニュアルですけれども、このリスクのとり方というのは大企業を対象としたものであり、このままこれを中小企業に当てはめてそういうことをやっていけば中小企業はどんどん切り捨てられていく、そういう結末は目に見えているというふうに思うんですが、そういうふうにはお思いになりませんか、大臣。
#214
○国務大臣(谷垣禎一君) 信用リスクの判断の仕方というものが大きな金融機関と小さな金融機関で違っていていいとは私は思っておりません。
 ただ、委員がおっしゃるように、金融検査マニュアルにおきましても、銀行、信用金庫あるいは信用組合を初めすべての預金等受け入れ金融機関を対象としているわけでありますけれども、金融検査マニュアルにおいて、「適用にあたっては、金融機関の規模や特性を十分踏まえ、機械的・画一的な運用に陥らないよう配慮する必要がある。」と、こういうふうに明記しております。
 それで、具体的には、このマニュアルにおきまして、各金融機関においてマニュアルの字義どおりの対応がなされていない場合であっても、業務の健全性及び適切性の観点から見て、金融機関の行っている対応が合理的なものであり、金融機関の規模や特性に応じた十分なものであると認められるのであれば、不適切とするものではないと。これは大きな金融機関、メガバンクみたいのと違いまして、地域の金融機関がそれぞれ具体的に見ながらやっているような場合のことを言っているわけですね。
 それから、金融検査マニュアルにもう一つ、償却引き当ての前提となる債務者区分の検証においても、中小零細企業等について当該企業の財務諸表には必ずしも直接的には反映されない技術力、販売力、成長性、代表者等の収入状況や資産内容等を総合的に勘案し、当該企業の経営実態を踏まえて判断するものとしていると、こういうところがございまして、中小零細企業を主な対象として融資業務等を行っている協同組織金融機関による地域金融の実態に配慮して、こういうあたりを活用していただけば実態に配慮したものができる、こういう仕組みになっております。
#215
○小池晃君 この金融検査マニュアルに今大臣が言われたような中身が書かれていることは私も十分承知をしております。
 しかし、一般的にここで書かれているように、機械的・画一的に適用するな、してはならない、経営実態を踏まえて判断するんだと、こういうことだけでいいんだろうかということなんですよ。こういうことでは問題が解決していないのが現実じゃないでしょうかと私は申し上げたいわけです。やはり機械的・画一的に適用するなと言うだけじゃなくて、中小企業には中小企業のやはり独自の基準というのがあるべきだし、そういうことをつくらなければ、機械的に画一的に対応するなと言っても結局切り捨てになってしまうんじゃないですか。その懸念を私は申し上げているんです。
 実際、大阪の例を紹介したいんですが、大阪は不動信金の破綻の問題があります。この例を紹介したいと思います。
 これはある製造業者なんですけれども、ここも毎年経常黒字を出している有力企業だそうであります。信金側も正常債権ということでずっと扱ってきたところなんですね。ところが、ここは破綻後に監督庁がこの新しいマニュアルに基づいて清算検査をやったと。そうしたらどうなったかというと、不良在庫とか機械の償却度合い、こういったものが非常に細かく査定をされた。要するに、機械的・画一的に適用しないということで、じっくり実情に見合って細かく査定をしてしまったんですね。そうしたら要注意に振り分けられてしまったという声が上がっています。
 信金の現場からは、我々が相手にしている企業の七割、八割が赤字企業だ、黒字企業でも償却のおくれなどはこれはもう当たり前のことなんだと、中小零細企業の中では。こういう新検査マニュアルに基づく検査をやったならば、信金が相手にしているような企業は九割近くがこれは要注意になってしまうという声が上げられております。
 大臣がおっしゃったように、あるいはこの金融検査マニュアルの中に何度も何度もしつこく書かれていますけれども、機械的に適用するなと、こう言うだけでは私は全く不十分なんじゃないかなと、やはり中小企業の実態を具体的にどう判断するのかという独自の基準が必要なんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#216
○政務次官(村井仁君) 検査に当たりまして、私どもの基本的な態度はただいま大臣からお話があったとおりでございますけれども、私どもは、金融機関の大小によりまして、別に、何といいましょうか、例えば償却引き当てやあるいは資産査定等々の信用リスクに備えるいろいろな対応でございますけれども、これは基本的に違いがあるわけではない。そこを私どもの金融検査で見るわけでございますが、ただ、実際に査定をいたしますときの、何といいましょうか、相手先の状態、これは今大臣がお話しのようにきちんとその状況を見ていくわけでございますね。
 そこで、そのあたりのところをよく吟味しますために、私ども金融検査マニュアルに基づく検査につきまして、検査官等に対しましてこの趣旨を十分に徹底をしますとともに、それからまた、金融機関の判断とそれから検査官の判断とがずれが生ずるような場合もあります。そういう場合にいろいろな調整を行うようなシステムも用意をしておるところでございまして、今委員御指摘のような問題が起こらないように細心の注意を払って検査を進める体制を整えているところでございます。
#217
○小池晃君 細心の注意だけではだめだと私申し上げているんですよ。そういうこと、口約束やあいまいなことではだめなんだと。金融機関の側が大きいか小さいかによってスタンダードが違うということはあってはならない、そういうことは意味はわかるんですが、借り手の側に着目した査定の仕方には違いがあるだろうというふうに私は申し上げているんです。
 実際、五味検査部長も三月二十三日の日経金融紙上で、借り手が中小である場合とそうでない上場企業では債務者区分の検証の仕方が違うというふうに述べておられるんですね。だとすれば、どう違うのかということを明確にしなければ、逆にむしろこれは裁量行政になるんじゃないですか。あるいは越智前大臣の手心発言のようなことが、ここをあいまいにしておけば起こるんですよ。
 だからこそ私は、中小企業のやはりリスクの把握の仕方については明確な基準を、中小企業の実情に見合ったものをつくる必要があるんじゃないかと申し上げているんです。
 これは重要な政策問題ですから、ぜひ大臣に御答弁をいただきたい。
#218
○国務大臣(谷垣禎一君) 総括政務次官から答弁いたしましたことの繰り返しになってしまうかもしれませんが、信用リスクのとり方というもの、そしてそれにどう引き当てなどを行っていくかということは、私はこれは大小で違いがあってはならないんだろうと思うんですね。これはまた先ほどの繰り返しでございます。
 そこで、今貸し付けている相手先の見方ですね、ここのところがどうなんだ、地域の実情に即してやらなければいけないのではないか、そのために別の基準をきちっと考えたらどうなのかと、こういう御指摘でございますよね。
 ただ、その点は、先ほども読み上げましたけれども、必ずしも財務諸表等にあらわれない技術力とか販売力とかあるいは成長性とか代表者の財産状況とか資産内容、こういうものが、多分総合的に勘案するということに結局なるんだと思うんですね。そのことは既にこのマニュアルにも書き込んでいることでございまして、このマニュアルで私は十分対応が可能だと思うんです。
 ですから、先ほど政務次官が御答弁申し上げましたように、実際やります場合に検査官等の研修等の機会で十分この趣旨を徹底していくということでやってまいりたい、こういうふうに思っております。
#219
○委員長(真鍋賢二君) 小池君、時間が来ております。
#220
○小池晃君 借り手が中小企業だろうが大企業だろうが同じ物差しで評価を行っていたら、中小企業はもうこれは全滅するしかないですよ。果てしのない貸し渋り、貸しはがし競争を預金保険機構自体が奨励しているようなものですから、こういう金融行政は私根本から改める必要があるということを申し上げて、質問を終わります。
#221
○大脇雅子君 保険業法の改正について質問をする前に、今私が心を痛めているケースについて、一件お尋ねをしたいと思います。
 それはお年寄りの年金などを担保にして行われる融資でございます。
 一九九九年の六月三十日に、クレジット・サラ金対策協議会の事務局が年金担保融資の実態調査のアンケートをいたしました。一九九九年六月三日から六月三十日にかけて九十七件の被害のケースが寄せられております。
 本来、年金というものは担保にすることができないということで、例えば国民年金法によりますと、その二十四条で「給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。ただし、年金給付を受ける権利を別に法律で定めるところにより担保に供する場合及び老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分により差し押える場合は、この限りでない。」というふうに規定されております。この特別の法律による場合というのは、年金福祉事業団から融資を受けるいわゆる年金担保融資を指しているのであります。
 しかし、現在、やみ金融で年金を担保に融資をしている事例が九十七件寄せられた。その具体的な内容を見てみますと、ほとんどの場合、年金の振り込み口座を業者に新設させられて、通帳と印鑑を取り上げられているという事例であります。
 七十代のひとり住まいの女性の場合は、市内の無登録業者に年金担保をとられ、暴力的な取り立ても受けていた。弁護士の法律相談で、受任弁護士が通知を出しても本人を追いかけるので、結局、証書の再発行手続をして解決した。
 またさらに、年金を全部取られて、生活費として毎月二万円渡されるだけで、生活全般をむしろその債権者がコントロールしていた例もあります。
 それから、借金を返済させるために老人を貸金業者へ連れていって年金担保で借り入れて、自分の生活費とその借金返済のため充ててきた。
 これは年金だけではなくて原爆のいわゆる健康管理手当とかあるいは児童扶養手当にも及んでおります。
 児童扶養手当の場合は、母子家庭で、振り込まれると、銀行口座のキャッシュカードを強制的に業者が預かって、期日が来ると返済金としてそこから引き落とすという事例が報告されております。
 本来こういったことは全くの違法でありますが、そうした事例が多発しているということについて金融監督庁はどのような認識をお持ちか、お尋ねをいたします。
#222
○政府参考人(乾文男君) ただいま先生御指摘になりましたように、国民年金法等におきまして年金等の受給権を担保とすることは禁じられているところでございます。
 その後、私どもの貸金業法の方の話になるわけでございますけれども、実は、貸金業法のところには法律上その点についての禁止あるいは罰則ということはないわけでございますけれども、監督当局は監督に当たりましての指針といたしまして私どもで事務ガイドラインというのを設けております。
 その際に、契約を締結するに際しては印鑑、預貯金通帳、キャッシュカード、運転免許証あるいは健康保険証、年金受給証等の債務者の社会生活に必要な証明書等を徴求するというふうなことをやってはいないかということを監督当局は業者を監督する際に十分見るということになっているわけでありまして、現在、貸金業者というのは三万ございまして、ほとんど都道府県の管轄でございますけれども、財務局あるいは都道府県におきましてそうしたガイドラインに沿ってこれまで対応してきたところでございます。
 先ほど去年の六月の調査についての御指摘がございましたけれども、この問題につきまして平成七年ごろから関西方面についてそういうことが行われているという報道がございましたことから、大阪府におきまして特に平成八年三月ごろからそうしたことを十分念頭に置いた業者の指導を行ってこられたということも承知しておりますし、また大阪府以外の当局も先ほど申しましたガイドラインに基づき指導を行っているというふうに承知しているところでございます。
#223
○大脇雅子君 貸金業法に禁止はないといいましても、ほとんどの場合、借用証書などを見ますと利息は年率三七・九六あるいは日歩十・四〇銭ということですから、ほとんど四〇%すれすれ、三九・何%のぎりぎりのところを貸しているわけであります。
 厚生省の年金担保融資の返済の場合に、全額返済ということがあって、現在は年金の一・五倍まで借りられるんですけれども、返済途中に収入がなくなって生活が苦しくなるというのを防ぐのがねらいで、新規融資の場合から全額返済から半額返済まで選択制を認めるというシステムが導入されて、むしろ償還予定表を利用者に送付するサービスを開始したという形ですらあるわけです。
 これはこの間「サンデープロジェクト」でも報道されておりまして、貸金業者が年金担保に融資しますという看板を堂々と出していて、そして業者の発言によりますと、銀行もどこも相手にしないお年寄りを我々が困った人を助けているんだというような発言をしているということでありまして、結局最終的にはほとんど貧困の底に陥れられ、あるいは相続人が全然知らなくて亡くなってから初めて発見されたという事例もあるわけです。
 私は、金融監督庁に、それは都道府県の業者とはいいますが、これはもう法律で譲渡の禁止、差し押さえの禁止、担保の禁止というのは明白に決まっているわけですから、やはりきちっと取り締まりをしていただかないと、これは人権の問題ではないかというふうに思いますし、違法な事実を放任するということになりますので、金融監督庁としては今後この問題についてどのように対処されるおつもりか、お尋ねをしたいと思います。
#224
○政府参考人(乾文男君) 先ほど年金担保のことだけお答えいたしましたけれども、貸金業者の行為が利息制限法あるいは出資法の上限金利を超えている、あるいは貸金業法の取り立て規制、暴力的な取り立てを行ってはならない等に触れております場合には、これは当然警察当局の対応というものが行われるべきものというふうに考えているわけでございます。
 今の年金担保の点につきましては、国民年金法では確かに禁じられているわけでございますけれども、罰則がありませんことから、なかなか難しい問題でございます。さらに、それに加えまして、この四月一日から地方分権推進法の施行に伴いまして、都道府県の貸金業者に係る事務が都道府県の自治事務に移行いたしておりまして、国から指示とかそういうのをすることができなくなったという問題がございます。
 私どもは、さはさりながら、都道府県からいろいろな御相談がありました場合には、こうした法令上の問題点、都道府県も十分にわかっておられるわけでありますけれども、そうした法令上の問題点、また国会でこういう御指摘がありましたことも十分お伝えして、都道府県当局におきまして適切な対応を行われるよう要請してまいりたいというふうに思っております。
#225
○大脇雅子君 それは、暴力行為に触れている場合には取り締まるのが当たり前でありますが、私は基本的な年金受給権とか、原爆の、三万一千円なんですよね、その人たちの健康管理手当とか、母子家庭に支給される児童扶養手当、児童手当それ自身が被害に遭っているところを、自治事務だということで国がほうっておいていいのかということであります。
 これは大臣にぜひ実態調査をして通達あるいは通達ができない場合は何らかの指摘をするなりして違法行為を取り締まるということが当たり前のことではないかと思うんですが、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
#226
○政務次官(村井仁君) ただいま政府参考人から御説明をしたところでございますけれども、国民年金法等では禁止をしておりましても罰則がない、それで一方貸金業規制法の方ではその辺の手当てがない、こういう状態でございまして、私ども金融監督庁の立場では、執行官庁でございますので現行法令の適切な運用、執行を行うということはこれはもう当然でございますけれども、それを超えましてそこで規制すること、規制といいましょうか、何らかの処分をすることが権限として与えられていないということにつきまして処分をするのはどうもいかがなことか、ある意味では立法政策について申し上げるということになりますので、これはちょっとお答えを差し控えさせていただきたいと存じます。(「悪徳業者を取り締まれ」と呼ぶ者あり)
#227
○大脇雅子君 今指摘があるように業者それ自身を取り締まるとか、あるいは立法政策について金融監督庁の、大臣は法律家でもありますから、あるべき方向について御意見を伺いたいと思います。
#228
○国務大臣(谷垣禎一君) これを担当しておりますのは金融監督庁でございますが、金融監督庁というのは、先ほど政務次官から御答弁申し上げましたように執行官庁でございまして、執行官庁として与えられている権限は残念ながら先ほど御答弁したことしかない。そうすると、それを超えて、今の措置が適正なものであるかどうか、こういうことになるかと思うんですが、その点は立法府で、適正なものであるかどうかというような御意見は差し控えたい、こう思っております。
#229
○大脇雅子君 そういうお答えであるとすれば、まさにこれは立法政策の問題で、我々国会における法案の提案権をしてその法の穴を埋めるしかないということであるということで、我々としては皆さん方とともにこの点をぜひ対応させていただきたいというふうに思います。
 ただ、こういう実態調査というのも権限はないんですか。やはり地方自治体しかないんですか。
#230
○政務次官(村井仁君) 結局のところ、都道府県が直接貸金業者を一応自治事務として見ているということでございますので、私どもといたしましては都道府県から話を聞くというような、本当にまだるっこしい話でございますけれども、そういう形で進めるしかないということでございまして、しかしながら、こういう御指摘でございますから、それなりの私どもも努力はさせていただきたいと思っております。
#231
○大脇雅子君 ぜひ実態を聞かれましてきちっとした対応を、やはり金融監督庁としてもでき得る限りぎりぎりの対応をしていただきたいと思うわけであります。
 さて、それでは保険業法についてお尋ねをしますが、まず、第一火災に対する金融監督庁の業務停止命令が五月一日に出されました。このことについて御質問したいんですが、これは損害保険業界第一号の業務停止命令が出されたということであります。保険会社の健全性基準であるソルベンシーマージン比率が三月期はマイナス一六〇%という見通しとなっています。
 昨年五月から集中検査を行われていたわけですし、一月より第一火災に対する検査を実施されていたということですが、全く経営改善計画や個別措置なしに業務停止命令が出たという点について、金融監督庁は事前にどのようにこの問題を把握しておられたのか、お尋ねをいたします。
#232
○政府参考人(乾文男君) ただいま御指摘のように、第一火災に対しまして五月一日に保険業法第二百四十一条に基づく業務停止の命令を行ったわけでございます。その後、同日午後、保険契約者の保護に万全を期すために、保険管理人による業務及び財産の管理を命ずる処分を行うとともに保険管理人の選任を行ったところでございます。
 なお、当社の財務がこのように厳しい状況にあるということは、ことしの一月から私どもの金融監督庁検査部が入っておりました立入検査によりまして初めて判明したものでございまして、それ以前の段階、例えば昨年三月期の決算におきまして当社が公表しておりましたソルベンシーマージン比率は三三〇%ということで、早期是正措置の発動の条件でございます二〇〇%を上回っておりましたことから、早期是正措置は発動されていなかったところでございます。
 私どもといたしましては、今回立入検査の結果が出ましたのが四月十日でございまして、その時点でこの状況を把握し、当社に通知いたしまして必要な対応を求めていたわけでございますけれども、当社は、今後の資本の充実に向けての方策を早期に得ることが困難であるとして、この五月一日の未明に当庁に対しまして業務の継続の断念を申し出てきたということでございます。
#233
○大脇雅子君 ソルベンシーマージンが三三〇%ということを信用しておられたわけですか。なぜそれが三月期にマイナスの一六〇というようなことになって、相手が業務停止をしたいというのでああそうですかというようなことになるんですか。
#234
○政府参考人(乾文男君) 私ども監督庁は保険会社に限りませず銀行につきましても適切な監督を行っているわけでございますけれども、この早期是正措置の発動の前提となりますものは、基本的にこの場合でございましたら保険会社が適切な資産査定に基づく自己査定を行うということが前提になっているわけでございます。そして、それを監査法人が適法な意見をつけて要するにかけ、それを総代会で承認してもらっているということでございます。
 ただ、私どもはそれに満足しているということではございませんで、したがいまして、まさに今回、ことしの一月から検査に入りまして、約三カ月間の検査を経て四月にこのような状況を把握して、それで今回のような業務停止命令に至ったということでございます。
#235
○大脇雅子君 四月十日に再建報告を出すようにとして要求されたわけですよね。それがどうして五月一日に業務停止命令になるんですか。その間どういういきさつがあったんですか。
#236
○政府参考人(乾文男君) ちょっと舌足らずでございましたけれども、検査に入りました対象は、これは一月に入っておりますから、直近の決算でございます平成十一年の三月期の決算を対象にやっているわけでございます。平成十一年三月期の決算を対象にしまして、例えばBS、PLを見ましたところ非常に厳しい状況を把握されたというわけでございます。
 ことしの四月十日に検査結果の通知を検査部からいたしますとともに、私ども監督部におきまして、この検査結果を踏まえて、しからば平成十二年三月期、まさに今の直近の時点でございますけれども、平成十二年三月期にどのようになっているのかということを報告を求めたわけでございます。その報告を求めましたところ、四月の二十四日になりまして平成十二年三月期も四百八十八億の債務超過になるという数字が出てきたものでございますから、その間若干のデュープロセスの期間を経て五月一日未明に業務停止命令を発動したということでございます。
#237
○大脇雅子君 ともかく立入検査の権能もあり、モニタリングを充実するという義務も負われている金融監督庁が、全く早期是正措置を働かせることができずに事ここに至ったということについて、金融監督庁、大臣、どのように思われるんでしょうか。
#238
○政務次官(村井仁君) 私どもといたしまして、この第一火災のケースと申しますのは、ただいま政府参考人からるる経緯を申しましたようなことで、会社が当初表示しておりました情報と実態とが非常に乖離しているということが検査の結果明確になり、そしてそれの是正方につきましていろいろ指示をいたしましてもきちんとした回答が結果的に返ってこなかった。そして、最後には業務継続ができないという決定を会社自体がいたしたということでございまして、私どもとしましては、一月の検査に入りました時点からは少なくとも私どもとして最善の努力をしたものと思っておるところでございます。
#239
○大脇雅子君 こうしたことが起こる根本的な背景には、いわゆる損保、生保に通底する逆ざや問題があると思われます。銀行の次は生保の破綻だというようなこともあり、バブル期に高過ぎる予定利率で商品を大量販売したツケが回ってきたということがあります。
 今現在、生保業界は深刻な販売不振と高水準の解約というのに見舞われていて、解約失効高が新規契約高を上回るということであります。逆ざやのいわば累積は十兆一千三百十四億円、平成四年から平成十年、になっているわけでありまして、平成二年から平成十年の間で約二倍の逆ざやが年々増加してきている、全く解消されていないということで、一体全体どのようにこれを受けとめておられるのかということと、それからこの逆ざやを解消するために商工ローンや町金融などへ生保や損保からどれくらいの融資がなされているか、実態についてお尋ねをいたします。
#240
○政務次官(村井仁君) 時間の関係もございます、端的にお答えさせていただきます。
 平成十一年三月期で生保各社二十七社におきまして合計一兆六千四百億円の逆ざや額、こういうようなことになっておるわけでございますが、各社とも経営の効率化の推進あるいは自己資本の充実、それから経営基盤の強化、それから資産構成の組みかえでございますね、こういったことをやりまして経営の健全性の確保のために一層の努力を重ねている、このように承知しているところでございます。
 それからもう一つ、商工ローンへのお話がございましたけれども、貸金業者への貸し付け、このような形で私どもが把握している限りで申しますと、平成十一年三月末で、貸金業者でございます、これは商工ローンということではなくてリースとかいろいろ入っておりますが、貸金業者に対しまして五兆二千億円、貸し付けに占める比率が九・七%、こんなようなところでございます。
#241
○大脇雅子君 時間が参りましたので、中途ですがこれで終わらせていただきます。
#242
○田名部匡省君 それでは、二十五分ですのでできるだけ時間を延長しないように頑張りますので、よろしくお願いしたいと思います。
   〔委員長退席、理事須藤良太郎君着席〕
 率直に申し上げて、金融機関でも保険会社でもそうなんですけれども、株式会社である。どうも契約者保護、数が多いからこれを何とか公的資金を導入してという気持ちはわからぬではないんですけれども、どうもいま一つ私の胸にぴんと打つものがないんですね。株式会社をこれだけ国民の税金を投入して助けなきゃならぬのかな、じゃどの程度ならばほかのものでも倒産するときに助けるんだろうという気持ちがありまして、数が多いから何とか預金者を保護しなきゃいかぬという気持ちはわかりつつも、国民から見れば、大きな会社もたくさん倒産しています。そういうときに、自分たちも今まで税金を負担して、そして長銀でも日債銀でも助けていながら、自分の会社が倒れるとそういうものはないというのが率直な国民の私は感じだろうと思うんですね。そこのところの気持ちをまずお聞かせいただきたいと思います。
#243
○国務大臣(谷垣禎一君) 田名部委員の御疑念は極めて率直な国民の中にある考え方ではないかと思います。これに明快に疑問が氷解したというふうにお答えすることはなかなか難しくて苦しんでおるんですが。
 例えば三年前、北海道拓殖銀行が北海道で手を上げたときに、私はあのとき宮澤大臣の下で大蔵省で政務次官をしながらその後の処理を、地元の方々のいろいろな御要請も聞いたりしたことがあるんですが、北海道全体が極めてあの事件によって底割れしたようになっていったというのを記憶いたしております。
 ですから、そういう意味での金融機関の、先ほども御議論がございましたけれども、公共性。一種の動脈みたいなものではないか。そのことをどうやってうまく説明ができるかというとなかなかうまく説明できないんですが、やはりそういうことが基本にあるんだろうと思っております。
 それと同時に、これはある程度道半ばのところもあるわけでございますが、やはり責任追及を同時に行っていくということがなければ、公的資金は突っ込みますよ、あとはいいかげんでよろしいですよということではやっぱり御理解をいただけないんだろうなと、こういうふうに思っておりまして、なかなか短い時間で的確に説明はできませんが、こんなところでよろしくお願いします。
#244
○田名部匡省君 そうだろうと思うんですね。公共性がある。だとすれば、経営者というのは本当にもっとしっかりしなきゃいかぬのですよね。それが何となくずるずるずるずるいっちゃって、そして長銀、日債銀は国民一人に六万円も負担をさせるというのなんか見ておると、経営責任というのを徹底的に追及しなきゃいかぬなという気がしてなりません。
 オーバーバンキングと言われて、これは何人かの方々から質問があったと思いますが、バブルのときに比べて一体多いんだろうか少ないんだろうか。私の青森県だけを見ると、市内だけでやっている信用金庫は成績がいいんですよ。ところが、合併なんかして、津軽の方の信用金庫とか組合とか下北の信用組合というのは、リンゴと米がだめになればもうがくんとおかしくなる。地域の実情もあるんですね。多い少ないというのは簡単に言えないにしても、いずれにしてもこんな不況になると大変だろうと思うんですが、そういうことを全国的に一律にできる問題でもないしなと思うものですから、どうお考えになっているかお伺いしたいと思います。
#245
○国務大臣(谷垣禎一君) オーバーバンキングという議論があることは確かでございます。それで、今、田名部先生がおっしゃったように、しかしながら銀行の数が多いか少ないかというのは、もう地域によって著しく違います。うまくすみ分けができて適切な規模になっているところも、数になっているところも既にあると思いますし、やっぱりここは多いなと思うところもございます。
 ただ、今の行政手法で申しますと、当局が君のところはこっちとこっちと合併しなさいというようなことは避けて、当事者でやはり考えていただきたい、こういう姿勢をとっておりますので、私からは多い少ないと言うことは控えさせていただきたいと思っておりますが、それぞれのところで適切な経営判断を行って、どうやって競争力を高めるか、どうやってこういう厳しい時代に生き残っていくかということをお考えいただき、その上で我々が持っている手法でお手伝いをしたい、こう思っております。
#246
○田名部匡省君 二年前に立法化した現在のこの再生法、健全化法の評価なんですけれども、私は長銀、日債銀の受け皿金融機関を探すのに随分苦労されて、何か随分安く買われたなということをマスコミを通じていろんな人に言われるんですよ。こんなに、随分安く、国民が随分負担した割にはということを言われるんです。
 国費の投入がやっぱり大き過ぎたのかなという気持ちと、本当に救済した方がよかったのかなと。代表質問でも渡辺美智雄先生や橋本龍太郎先生が、もうつぶれるところがあってもしようがないんだ、つぶれるところはつぶせという荒っぽい話を私は当時聞いてびっくりしたんですけれども、本当にそうした方がむしろ国民の負担が少なかったのかどうなのかなという気がして、ここのところはわかりませんので教えていただきたいと思うんです。
#247
○国務大臣(谷垣禎一君) 極めてお答えしにくい御質問なんでございますが、当時の議論として、やはりソフトランディング論とハードランディング論というのがあったと思うんです。それで、ソフトランディング論というのでいけば、やはり合併をさせて資本注入でもして、何とか生き延びさせた方がいいぞという議論があったと思います。
 それで確かに、これ表面上と言っていいのかどうかわかりませんが、表面上の要した費用はそれの方が安かったろうと私今でも思っております。ただ、そうした場合に、よっぽど果断な経営者でない限り、長い間の宿痾と申しますか、そういうものをえぐり出すことができたかどうかというと、これまた問題があったんだろう、こういうふうに思うんですね。
 ハードランディング論でいって、ばんとこれだけの銀行をほとんどセーフティーネットもできてない状況で倒したときのことを考えますと、これはやっぱり今考えましても肌にアワを生ずるような思いがいたしまして、なかなかこれはとりにくいんじゃなかろうかなと、こういう中で、あの当時の国会の御議論で今のような枠組みをつくっていただいた。
 それで随分、結局買いたたかれたのではないかという田名部先生の御質問はまことに私としてはつらい質問でございますけれども、これもいろんな御意見があるのは、この当委員会でもいろんな御意見がございました。しかし、これも私は、娘一人に婿何人もあるというような状況では必ずしもなかったと。そういう中で入札をしていただいて、いろいろ検討してここに落ちついたということでございまして、なかなかこれは何が一番最善の道であったのかというのは、我々としてはこの枠組みの中で全力を尽くしたつもりでございますけれども、なかなかお答えするのが難しい話だなと、率直に言ってそう思っております。
#248
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、谷垣大臣が言われたとおりに思いますが、田名部委員からお尋ねがなければ、なかなかこういうことについてお答えを申し上げにくい経緯でもございました。大変に大きな金がかかりましたし、国民的にもなかなか国民が十分納得しておられるようでもございません、説明は十分ございますけれども。
 ですから、結局、これだけの大変高い授業料を払って、そして日本の金融秩序なり企業の経営者というのが、本当に新しい時代に即応する体制を結果としてとることができたということで初めてこの授業料を払った価値があるというような思いが私どもしておるわけでございます。
#249
○田名部匡省君 この後の問題でもずっと、これはたくさん用意してきたんですが、私は日本的な考え方だと思うんですね、何とか助けてやりたいというこの気持ちというのは。でも、世の中やっぱりルールというものをあらかじめきちっと決めておって、そのルールどおりにいかないとなると、これから信用組合なんか調べて、どのぐらいあると想定しているかわかりませんけれども、そんなことをやってどんどんどんどん出てきたら、これはもう際限ない話になる。ですから、ルールをきちっと決めて、そのルールのとおりやっぱりやっていくということが大事なのでないかな、なってからルールづくりするのではなくて、という気がいたしますので、こんな話を申し上げたわけであります。
 次に、ペイオフの延期のことなんですが、これは宮澤大蔵大臣も谷垣委員長も、皆さん大体延期すべきでないというお考えを持っておったと思うんです。ところが、ここへ来て、亀井政調会長が声高にがんがんうなってから随分変わったなという気がするんです。
 これは延期論に立てば預金者に混乱が生ずるし、特に中小金融機関から大手の金融機関に流れるとか。私は青森県の事情を多少わかっているんですが、ちゃんとやっている信用金庫があるわけですね。そうすると、信用金庫も信用組合も一緒にされると、今度は自分たちが困るという思いがあるんです。いいところは困るし、だめなところは助かるという問題がある。反対論に立てば、国際公約を破ることになって我が国の金融機関の信用が失墜するという、それぞれの話があるわけですが、本当にそうなのかどうか検証が必要だろうと思うんです。これも、私も一概にどっちがいいのかなと思うことは多いんです。
 これについても、またお答えいただきたいと思います。
#250
○国務大臣(宮澤喜一君) 昨年の暮れに与党各党が協議をしたことが確かにおっしゃるようにございまして、結局、選択の問題であったのだろうと。
 それは、信用金庫はよろしゅうございますけれども、信用組合が全国三百近く、これは今まで国が検査をしておりませんから、ただでさえ年間に二十ぐらいはなくなってしまったり合併したりしておりますが、今残ったものもそうでございました。
 それで、この四月から国の検査になりますので、この際国が検査をして、国の金融機関として、何といいますか、国が直接検査をしている金融機関として金融システムの中に入ってもらうか、あるいは地域の存在としてそれは別のものとして考えるかということであったように思います。どちらかといえば、新進気鋭の人はもうそれはほっておけと。それから、多少、中以上の殊に地域のことにお詳しい方は、いや、ここはやっぱり検査をしてでも信用組合を一緒に進んでいこうじゃないかという御意見であったようです。
 いずれにしても、そうしますと一年では足りなかった、リタイアするにしても改組するにしても支援するにしても、それではちょっと一年では足りなかったものでございますから、いろいろ考えましたが、結果として、これで信用組合もいわば国の検査を受け、落ちこぼれはどうしてもございますと思いますけれども、毎年ございますから、それでも残ったものには場合によっては支援もして一緒に歩いていこうと、こういう決断をいたしました。
 両方の選択があったと思いますが、私はこれで国際的な信用を傷つけたとかなんとかいうことは事実問題としては起こっていないように思います。
#251
○田名部匡省君 モラルハザードのこともありますし、経営者に緊張感がなくなることは確かなんです。
   〔理事須藤良太郎君退席、委員長着席〕
 私はあの住専国会のときも質問させていただきましたが、一カ月も銀行に入って監査するわけです。私は、やめた方がいい、むしろ頭取に失敗したら銀行つぶすよと、この一言の方がもっと効くんだろうというあのとき話をしたんです。
 いずれにしても、預金者に対して今度どれだけPRしたのかな、このことについて。いろいろ話を聞いてみますと、パンフレットつくって家庭訪問して説明をした、一千万以上の人たちにも説明に歩いておりますと。ただ、余りよくない金融機関というのは経費がかかるものですから逆にやらないんです。こんなパンフレットをつくって人を一軒一軒歩かせてPRするなんというのはなかなかやらない。
 それから、総代の皆さん方がおるんですけれども、しっかりした総代さんもおりますけれども、ややもすると、なってくれというようなものでなって、本当に総代さんが役割を果たしているか。むしろ、総代さんも、おかしな会社があるんだけれどもまあ頼むよと言われると、総代さんの言うことを聞いて金を貸して倒産しちゃったとか、そんな話ばかり聞くものですから、一年延期するだけで本当に問題が解決するんだろうかという気もするんです。これも、また一年たってみて、もう一年ということはあるんですか、ないんですか。
#252
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、金融監督庁あるいは財務局も大変に手をそろえて検査をきちんとやって、実際上は六月ころになるかもしれません、書類等の関係でございますので。もう一年ありましたらそれで十分でございます。それ以上延期する理由がございません。
#253
○田名部匡省君 そこで、なかなかこういうことは聞いてもお答えしにくいと思うんですが、さっき申し上げたように、信用金庫も信用組合も全部延期したということで、私はこうして見ていると、いいところも大丈夫かなというふうに思われているんではなかろうかな、あるいは全部おかしいのかなという、そういう不安が身近なところで多いんです。
 預金している一千万以下の人というのは大体八割ぐらいだと。二割は一千万以上です。金額でいけば八〇%が一千万以上の人、二割ぐらいが一千万以下だという話なんか聞くんですけれども、それであれば、八割が一千万以下なら何もそんなに無理しなくてもよかったのではないかなと、こんなふうにも実は思うんですね。
 この辺について、どうなんでしょう。一千万以下がこういう地方の銀行、信用金庫とかそういうところが八割もいるんであれば、何かやり方があったんでなかったのかなという気がしてならぬですけれども、どうでしょうか。
#254
○国務大臣(宮澤喜一君) 再度申し上げますけれども、実は信用金庫については余り心配をしておりませんで、多少はございますかもしれませんが、信用組合の方でございまして、一千万円までの人が一割、二割ではない、もっとそれより上は少ないそうでございますが、それにしても、今まで検査のない状況でこのままつぶれるものはつぶれろというようなことでいいのか、せっかく国も検査をするのだから、場合によって資金援助をするものは資金援助をして、金融機関として、田名部さんのおっしゃるように、地方ではなかなかいろんな存在でございますし、いろいろまた出来事もあることでもありますから、この際きちんとしてやっていただく方が全体としていいかどうかという、そこらあたりの選択の問題でございましたので。いずれにしても、もう一年のことでございますから、いつまでもということではございません。
#255
○田名部匡省君 私は血も涙もないようなことは余り好きな方ではないのです。ただ、中身によってはやっぱり助けてあげた方がいい、一生懸命やっているけれどもそういう事情があったのならというのと、でたらめやっておかしくなったというのと一緒というのは、どうもここは釈然としないんですね。経営者がしっかりしておれば、努力しても報いられないのもありますよ、そういうところは助けるが、そうでない、でたらめやっているのまで一緒になってやる必要があるのかなという思いがあるからこんなことを申し上げました。
 次に、預金保険料についてですが、どうも我が国は金融機関に対して少し甘いんじゃないかな。アメリカなんかを見ると、結構保険料率というのは高くやっているようなんですけれども、その辺についてはどうでしょうか。
#256
○政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。
 アメリカなどに比べてちょっと保険料が安いのではないかという御指摘でございましたが、今平成七年度までの七倍に委員も御承知のように引き上げて、特別保険料と一般保険料ということで取っております。そのときのいろんな破綻処理コストの見込額ですとか、それから今委員がおっしゃったように、銀行に対してどれぐらいの負担になるかとかいうことを考えるときに、アメリカの金融機関の預金保険料の負担のピークが九一年でございました。今は大変に下がっておりますけれども、九一年には大体八%。これは料率ではございませんで、負担割合ということで、業務純益等を分母にして保険料を分子にした割合でございますが、アメリカは九一年度で八・三二%、料率にして〇・二一五でございましたけれども、この料率の方を見ますとかなり高いようでございますが、やはり八%程度の負担であったということでございます。
 なお、それに比べまして今の保険料率の負担割合を出しますと、平成八年度で五・七二でございまして、大所の銀行は低いわけでございますが、今委員まさにおっしゃったように、小さいところはかなり八を超えるところまでいっておりまして、そういう意味では、そういう数式を使いますと大体同じような程度になっておるということでございます。
#257
○田名部匡省君 時間がありませんから最後にさせていただきますけれども、今回の改正で債務超過前に破綻処理をできるようにするということがあるようですが、何といっても、私は前の委員長の発言のように手加減とか過去の大蔵行政のような裁量はあってはならない。
 そこで、アメリカなんかは、検査官というんですかを常駐させている、そして常に状況を把握すると。これは人が大量に必要なんでしょうから無理かなと思うところもあるんですけれども、しかし何かそういう対策をとりながら財務局が財務内容を調査して生かせるような方法をとることはできないだろうか。経営責任を重視して、さっき言ったように、この報告をしっかりさせた方がいいんで、私は、もう大蔵省や日銀の監査なんかやめて、本当に責任を持たす、そのぐらいのことの方が、むしろそういう人たちを置いて自己責任でやらせた方がいいかなという感じがします。これについてのお考えを伺って、終わりたいと思います。
#258
○国務大臣(宮澤喜一君) 基本的にもうその方向にならざるを得ないと思いますし、今回も、こういう政府の人員縮減の折ではありますけれども、金融監督庁等々の検査体制等はかなり増強しておりまして、また全体その方向にいかなければならないと考えています。
#259
○田名部匡省君 ありがとうございました。
#260
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 本日は、今回の特例措置と国民の負担の関係についてお伺いをさせていただきたいと思います。
 先日、年金改革の法改正が行われました。その中で審議におきましても、もう皆さん御承知のとおりですけれども、与野党間大変もめました。その上の成立でございました。私は与党ではございませんが賛成をさせていただいた次第ですけれども、この場合なんかは負担のあり方について意見が大きく分かれたわけでございます。しかし、給付面においてはだれしもがそれを受けるわけですから、双方いろいろ、私は最終的にはいつも一人で判断をしなければいけないわけですけれども、賛成をさせていただいた次第です。与党でもないのになぜ西川君は賛成するんだというようなおしかりの声もたくさん実は正直申し上げまして受けました。そして、自分なりにいろいろと説明をさせていただきまして、理解を得られた方々もたくさんいらっしゃいました。
 しかし、この今回のようなケースでございますけれども、国民の理解を得るというのは大変難しい問題であるというふうに私自身思いますし、皆さんも思っていらっしゃると思いますし、朝からの質問もそうであります。今回のこの措置と国民の負担の関係、これを十分理解をしていただかないと、本当に皆さん方、僕の周囲の方々もそうですけれども、納得がいかないというお話をたくさんお伺いします。
 まず、谷垣委員長に国民の負担額という点についてお伺いをしたいと思うんですけれども、預金保険機構、既に交付をされている七兆円のうち、長銀などの破綻処理のために四兆八千億円の国民負担がこれはもう確定しておるわけです。そして今後、少なくとも日債銀の処理のために約三兆円、そして日債銀以外の既に破綻をしていて処理が行われていない三十以上の金融機関の処理をするためにどれぐらいの金額がかかるのでしょうかというところを素朴な疑問でお伺いをしたい。本日の冒頭、櫻井先生もそういった質問をされたと思うんですけれども、同じお答えになるかどうか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。
#261
○国務大臣(谷垣禎一君) 今後どれだけ破綻金融機関にコストが、公的資金が要るのかと、こういうことでございますが、破綻金融機関、破綻したときのその債権債務の状況というのは、ほっておくとどんどん悪くなっていくということが一方にございます。それからもう一つ、先ほどからの御議論のように、小さな金融機関ですと一千万以下の預金者というものがかなり多いわけでございますので、これはいわゆる預金保険料をいただいている中で、ペイオフコスト内で処理できて、いわゆる公的負担につながらないというものもありまして、その数値が確定できているわけではありませんので確たるその数値を今申し上げることは難しいのでございます。
 そういう前提であらあら申し上げますと、今、西川委員がおっしゃいましたように、日債銀についてはおおむね三兆二千億、そのほかに三十八金融機関破綻が公表されているわけでありますが、これが破綻時の債務超過額というのが一兆五千億ほどございます。それで、これが先ほど申し上げたように、ほっておけばもう少し悪くなるという可能性がある。それから同時に、この中の相当な部分が預金保険の枠内で賄われるのでという面が両方あって、このおおよそ一兆五千億という額はそういう意味で確たる数字として申し上げるわけにはまいらないと思っておりますが、一応そういうことでございます。
#262
○西川きよし君 そこで、今度は大蔵大臣にお伺いをしたいと思います。
 今回、特例業務勘定には政府保証借り入れの赤字約三兆五千億円、これらを返済しますと約十三兆円すべてが国民の負担となる可能性が高いのではないかなと、こう思うわけです。金融再生法第三条は、金融機関の破綻処理の原則として、金融機関の破綻処理に係る費用は最小とするようにということでございますけれども、この十三兆円、見たこともないようなお金ですけれども、ここでは本当にこの数字で麻痺してしまうんですけれども、赤ちゃんからお年寄りまで国民一人当たり十万円以上、四人家族で四十万円以上ということになるわけです。こういった負担を国民が負担をするわけですけれども、これまでに、今日現在、こういった負担でどういったことが守られてきたのかということをお伺いしたいと思います。
#263
○国務大臣(宮澤喜一君) それはよく御存じでもいらっしゃいましょうけれども、政府が国民に対して預金は全部政府が保証いたしますというお約束をいたしております。それは数年前から、あと二年ほどでございます。金融債もその中へ入っております。したがいまして、逆説的に申しますと、一種の安全保障措置が国民に対しては働いておりますから、どこの銀行が危ないとかいっても国民は自分はちっとも心配ない、自分の預金は政府が一〇〇%守っておりますから。そうでございますね、そういうことのコストでございます。
 仮にこれ何もございませんでしたら、みんな預金がなくなってしまって大騒ぎになる。あるいは、金融債を持っていらっしゃる、それが全部政府が保証をしておりまして、銀行がつぶれまして新しい銀行ができますと、そこへ政府の持ち分というか保証分の金を何兆円といって渡しておるわけでございますから、それによって預金者なり金融債を持っている人たちの危険が全くない。
 したがいまして、ちょっと逆説的に申し上げますけれども、この二年あたり、国会で銀行をつぶせばいいんだと、とはおっしゃいませんでしたが、そういう御議論がずっとあったときに、それで預金者の預金が飛んでしまうんでしたら、とてもあんなことでは世の中は済みません。預金者は、おれは、自分は大丈夫なんだと。ですから、議員の皆さんも心配なくそういうことを言っていらっしゃいました。それはそういう効果を上げたわけですけれども、そのコストが一番大きいということでございます。
 十三兆なんて金はそう簡単に出る金じゃございません。ですから、ある意味で、谷垣委員長がかつて、それはそうせずに銀行を合併しておけばその義務は銀行に残っておりますから政府の仕事ではない、その方が国民の負担は少なかったかもしれないという御議論は確かにそれはあるのだと思いますが、一番やはり大きな部分は、国民の預金がなくならずにそのまま残っておるという、それが税金によって担保されている部分と、こういうことであろうと思います。
#264
○西川きよし君 御丁寧にわかりやすく御答弁いただきまして、本当にありがとうございます。でも、そこに不公平だとか医療や年金や福祉やという、日々の暮らしの中でのその疑問、ですから私も素朴に今御質問させていただいたわけですけれども、御丁寧に御答弁いただいてありがとうございます。ただ、疑問が解けたわけではありませんけれども、この国は金持ちなのか貧しいのかということが本当にわからなくなってまいります。
 そこで、先日も預金保険について大蔵政務次官にも広報のことで御質問をさせていただいたわけですけれども、一方、この金融機関の破綻処理の資金援助額なんですけれども、この場合は預金保険機構の運営委員会において決定されます。それで、決定内容だけが簡単な理事長談話としてインターネット等々でも報道されているわけですけれども、公表されてもいます。でも、国民にとって十三兆円というのは本当に先ほども申し上げましたが大きい。個々の資金援助額の決定理由をもう少し我々にわかりやすく教えていただけたらなというふうに思います。
 例えば、資金援助額を決定していく運営委員会の議事録を公表していただくというようなことは難しいことなんでしょうか。その決定過程を透明性の高いものにしていただきたい、本当にそう思うわけですけれども、大蔵大臣と松田預金保険機構理事長のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
#265
○国務大臣(宮澤喜一君) 理事長がお答えいただくことの方が正確と思いますが、預金保険機構は、第一回の公的資金の導入のときでございましたけれども、簡単なサマリーをお出しになりまして、それから後、委員が皆さん御協議なさって、何年でございましたか、何年になったらこれは全部公表すると、そういう決定をしておられたと記憶しておりますが、理事長の方が正確におっしゃいますので。
#266
○参考人(松田昇君) お答えをいたします。
 委員御指摘の運営委員会その他当機構の公的な性格から申しますと、それをできるだけディスクロージャーするという重要性は全く私も同感でございます。したがいまして、できる限りその広報についての手だては尽くしてまいりました。
 一つは、先生御指摘のインターネットによるホームページで、できるだけ素早くあらゆる情報について載せていこうという試みが一つございます。そのほかに、運営委員会が開かれました後、原則として私が記者会見をやっておりまして、スキーム図その他記者に全部渡しまして、できるだけ詳細な説明をいたしております。また、それをやらないような場合には、報道機関に理事長談話を何らかの形で渡しまして質問を受けるということをいたしておりますし、英語と和文の預金保険機構の年報を出しておりまして、それにそれまでの処理の対応なり金額なりというものを詳細に広報するように努めてまいりました。
 ただ、今例示されました運営委員会の議事録の問題は、その中身が一部信用秩序に波及するおそれとか、あるいは委員の方はいろいろな出身の方がおられますけれども、発言の自由を確保するという意味とか、いろいろなことがございまして、なお慎重な検討が必要だろうということで検討を続けておりまして、しかし、それはさりながら、広報活動については万全を尽くしていきたいと、このように思っております。
#267
○西川きよし君 ありがとうございました。
 私もいろいろと自問自答しながらの質問の部分もあるんですけれども、先日の予算委員会で医療費控除のおむつ代の取り扱いについて大臣にも御質問をさせていただきました。政務次官にももちろん質問させていただきました。わずか数千円のことですけれども、寝たきりのお年寄りをお連れして病院へ行ってと、医療費控除、いろいろと一緒に行かなければいけない。これが日々の暮らしの先ほども申しましたやりくりということでございますけれども。
 例えば、金融債を主力商品とする長期信用銀行ですけれども、預金保険料はほかの銀行に比べまして非常に低くなっているわけですけれども、この場合なんかは、正式に預金保険の対象とされてからではなくても、私自身は、事実上保護されているわけですから、今からでも預金の保険料を負担してもいいのではないかなというふうに考えるわけです。
 この点について大蔵大臣に御答弁をいただいて、私の本日の最後の質問にさせていただきたいと思います。
#268
○国務大臣(宮澤喜一君) 国民の預金について政府が保護をする、一〇〇%保証するということは法律に元来あるわけでございますけれども、その中に金融債が含まれているか含まれていないかということにつきまして、多少法律上の疑念がございました。それにつきましては、私の前任者でいらっしゃいましたたしか三塚大蔵大臣の時代かと思いますが、そういう疑念が世間に出まして、やや不安な状況になりましたので、これは金融債も当然含むものであるということを言われまして、その問題は解消いたしました、世間では。また、皮肉なことに、該当した金融機関が二つその金融債の発行機関であったということがございましたが、それはしたがって平穏に済んだわけでございます。
 ただ、恐らく残りました問題は、そういう金融機関は保険機構に保険料を払っていないではないかという問題は結局そのまま残ったと申しますか、二つの金融機関が結局そういう終えんを遂げられましたものですから、やや理論的に結末しないままに終わったという、そう申し上げることになるんだと思いますが、ただ、したがいまして西川委員の御提起になられました問題は、実は問題として答えが出ずに終わったと申し上げるべきかと思います。問題を御提起になられました意味は私は十分に了解をいたします。
#269
○西川きよし君 ありがとうございました。
#270
○星野朋市君 まず、金融監督庁にお伺いをいたします。
 この連休中に千葉興業銀行が突如として自己資本ゼロになりまして、これは富士銀行が救済をしたわけですけれども、このいきさつについてお伺いをいたしたい。
#271
○政務次官(村井仁君) 個別の金融機関の経営内容に関することでございまして、当局としてコメントすることは差し控えたいと存じますが、千葉興業銀行は、不良債権処理が大幅に増加したということ等によりまして十二年三月期決算における自己資本比率が〇・四%台に低下し、銀行法施行規則に規定する第二区分の二等に該当することになったため、四月二十八日、これは引用でございますが、金融監督庁から早期是正措置として「自己資本の充実に係る計画の提出及び実行を」命ぜられたと発表したものと承知しております。
 これは、あえてこのような言い方を申し上げますのは、私どもとしては、私どもの方から申し上げるのではなくて千葉興業銀行がそのように発表したということでしかこういう形では表現できないということを申し上げているわけでございます。
 と同時に、千葉興業銀行は、富士銀行との提携のもとで営業力の強化、ローコスト経営の徹底、リスク管理力の強化等を柱とする経営改善策を実施するとともに、こうした経営改善策を前提に富士銀行を引受先とする二百五十億円の増資を実施しまして自己資本比率を四%台に回復させ、富士銀行の持ち分法連結会社、これは具体的には二〇%から五〇%未満の持ち分比率を持つ会社でございます、五〇%以上になりますとこれはすべて連結されるわけでございますが、このあたり御案内のとおりでございますが、この富士銀行の持ち分法連結会社となることに加えて、公的資金による資本増強を申請する予定であるということを発表しておると承知しております。
 私どもといたしましては、こうした業務及び資本の再構築が千葉興業銀行の経営の安定と収益力の強化につながるということと考えておりまして、これを評価するとともに、同行の今後の努力に期待してまいりたいと存じます。
#272
○星野朋市君 これはむしろ救済された方ですから、だから大体わかっていることは全部言ってもいいんじゃないですか。そして、公的資金の注入がもし行われるとすれば、これは自己資本比率は九%ぐらいになるはずなんですね。
 ただ、問題なのは、要するに都市型の第二地銀的なものは、今までも五行ありますけれども、破綻した理由というのがみんなございまして、東京相和のときも、私はあの銀行の増資というのは迂回融資であったんじゃないかということを申し上げました。これは記録にも残っておりますけれども、今捜査の段階に入ってまさしくそれが明らかになってきておる。こういうような実態もありますし、千葉興業銀行はそれほど悪くはなかったはずなんです。だから、富士銀の系列で救われたんですけれども、やはりそれが急にゼロになったということは、不良債権の処理ということがあったということならば、その前の検査段階ではどうだったのかということが問題になると思うんですが、いかがですか。
#273
○政府参考人(五味廣文君) 金融監督庁になりましてから、千葉興業銀行に対する検査は、本年の一月十九日に立入検査を開始し、三月二十七日に検査を終了、検査結果の通知を四月二十七日に行っております。
 検査結果の詳細については、破綻をした金融機関というわけではございませんので、公表は差し控えさせていただきます。
#274
○星野朋市君 なかなかはっきりさせないところがまだ当局の古い体質だと思います。
 それでは、問題を変えまして、先ほど大脇委員から御質問がありました第一火災海上の問題についてお伺いをいたします。
 これは、全く偶然といいますか、こういう議論をしている間に、損害保険会社でありながら相互会社であったということなんですね。これがまた偶然と言っていいか。それで、これは資料を見ますと、保険料の収入では最下位という十七位ですけれども、総資産は八位、それで平成十年度は十七億も利益を出しているわけですよ。だれが見たって、これを見ると粉飾決算をやっているなということがわかるんですが、金融監督庁、ことし調べて粉飾決算の実情というのをつかまれたと思うんですが、いかがですか。
#275
○政務次官(村井仁君) 第一火災につきましては、これは積立型の保険を主力商品としているということは星野委員よく御存じのところでございまして、近年の低金利のもとでいわゆる逆ざやを生じるなどの厳しい財務状況にあったわけでございまして、ことしの一月、金融監督庁の立入検査によりまして、貸付金や有価証券等に係る多額の償却引き当て不足がわかったわけでございます。
 その結果、財務状況は平成十二年三月末で貸借対照表で大幅な債務超過になるということがはっきりし、それから保険金支払い能力を示す指標でございますソルベンシーマージン比率でございますが、これも大幅なマイナスになる。大変厳しい状況になった。そこで、独力での事業継続が困難だということで、このような保険業の継続を断念するという決議をしたという経緯でございます。
#276
○星野朋市君 私の質問に答えていないんですよ。私は粉飾決算の事実があったのかと聞いているんです。
#277
○政府参考人(五味廣文君) ただいま政務次官から御答弁申し上げましたような結果でございましたけれども、原因は、当社の自己査定が正確に行われていなかったこと、また償却引き当て基準が妥当性に欠けていたこと、また有価証券や金銭の信託について適切な会計処理が行われていなかったこと、こういった原因で多額の追加償却引き当ての必要が生じたということでございますが、今回の検査におきましては、法令に違反する粉飾決算が行われていたかどうかについては把握しておりません。立入検査は犯罪捜査のために認められた権限ではございません。保険業法にそう書いてございます。証拠が出てまいりませんでしたので、私どもは把握できませんでした。
#278
○星野朋市君 では、私が申し上げます。飛ばしが行われていたはずなんです。それはつかんでいませんか。
#279
○政府参考人(五味廣文君) ただいま御説明を申し上げましたうち、有価証券や金銭の信託について適切な会計処理が行われていなかったという部分がございますが、このうちの重要な要素は、公認会計士協会が昨年の十一月に発表いたしました「飛ばし類似金融商品等の取引の取扱い」、これについての中で記述をされております飛ばし類似商品、これの購入に係るものがあったということでございます。この点は検査で把握をしております。
#280
○星野朋市君 それはですから最初からはっきりそういうふうに言えばいいんであって、追及されて後でつけ加えることのないように検査というものをしっかりしていただきたい、こういうふうに思います。
 金融監督庁関係の最後になるんですけれども、谷垣大臣に、これは財政・金融委員会で申し上げました例のそごうの問題でございます。
 きょうはちょっと別の角度からそれを申し上げますけれども、この前はそごうが金融機関に対して六千三百九十億の棒引きをしてくれと、こういうふうな頼み方をしておる。さらに、西洋環境開発、これは西友系のあれですけれども、これが三千億。もうそれだけでほぼ一兆円になるじゃないか。ただし、そごうの方が質が悪いんですね。その中に、日債銀に対して八十億円、これがある。谷垣大臣はもちろんそれはお断りになっているはずなんですが、そういう事実がある。それから、問題は、日本長期信用銀行に対して九百七十億円、これは興銀に次ぐ第二位の棒引き金額ですけれども、この要請があるということは事実ですか。
#281
○国務大臣(谷垣禎一君) まず、個別の要請をしているかどうかというのは、私たち必ずしも承知しておりません。
 それから、一般論で申し上げますと、この前も御答弁したことでありますが、債権放棄の要請があるというのは、契約条項に言う瑕疵に当たるわけですから、ですから当然あとは二割減価したかどうかという判断になってまいりまして、これは一般論でございますが、ただ債権の価値というのはどれだけ担保で覆われているかによって変わってまいりますから、担保でうんと覆われている場合には二割減らない場合があるということ、これはこの前の繰り返しになろうかと思います。
 それから、特別公的管理の銀行については、この前も御答弁申し上げたとおりでございますが、特別公的管理下にある銀行が債権放棄に応ずるというのは、これは原則としてなじまぬだろうと私は思っておりまして、今までもそういう例はございませんけれども、特別公的管理下の銀行についてそういう要請があった場合には、これはなじまぬということで対処をしなきゃいかぬのではないか、こう思っているわけであります。
 それから、かつて特別公的管理下にあって今民間の銀行として再スタートしている、これも個別のことは申し上げないと言いながら一つしかないわけでございますけれども、これは基本的にはそこの経営者の経営判断でございますけれども、ただ、あそこは資本注入行で、あそこはと、個別のことは申し上げないと言いながら、資本注入行が債権放棄をする場合には、これもこの前の繰り返しになるかもしれませんが、三つ要件を資本注入の場合の基準に記しておりまして、一つは、そのことが全体の債権回収の中で合理性があるかどうか、それから第二番目として、債権放棄を求める側の経営責任を十分問い得るかどうか、それから第三点、その社会的影響、この三点を勘案してやってくれということをガイドラインの中に書き込んでございまして、経営健全化計画の中で皆資本注入行はそのことを書いてきておりますので、その前提の中で行動していただかなければならぬということでございます。
#282
○星野朋市君 一言お断りをいたしておきますけれども、日債銀の八十億であるとかそれから長期信用銀行の九百七十億というものはきょう初めて私が明らかにした数字でございまして、前回そういうことは申し上げておりません。それだけお断りしておきます。
 あと、私は主として生命保険業の改革について御質問をいたしますけれども、今度の法律の改正というのは三点に絞られると思うんです。その一つは保険相互会社の株式会社化ということと、それから保険会社にかかわる倒産法制の整備であるということと、三番目はいわゆるそれの財源対策であると、この三つに簡略化されると思うんですが、いかがでございますか。
#283
○政務次官(林芳正君) 委員御指摘のとおり、三点が主な内容でございます。三点目は保護機構の財源措置ということでございます。
#284
○星野朋市君 まず、その株式会社化の問題でございますけれども、日本に生命保険会社は現在四十七社あると思いますけれども、その四十七社のうち、株式会社である会社とそれから相互会社である会社と、その割合ですね、何社が相互会社であって何社が株式会社であるか、それをお答えください。
#285
○政務次官(林芳正君) 委員御指摘のように今四十七社ございまして、株式会社が二十九社、それから相互会社が十四社、それから外国会社が四社ということでございます。
#286
○星野朋市君 ところが、保険収入の割合とか総資産の割合は相互会社が全体のほぼ八割、そのぐらいの割合を占めていると思いますが、それで間違いございませんか。
#287
○政務次官(林芳正君) 答弁書には約九割と書いてございますので、大体委員がおっしゃったとおりかなと思っております。
#288
○星野朋市君 それは八割から九割の間だと思いますがね。
 ところが、今これによって話題となっておるいわゆる株式会社化ということに関して、私は、その具体例で言うと、太陽生命と大同生命の合併、合併といいますか、多分これは持ち株会社をつくってその傘下にこの二社が入ると。両方ともソルベンシーマージン率も約九〇〇%ぐらい、かなり内容のいい中堅生保なんです。こういうことができる。それから、財閥系の生保は、これは金融系列の再編によってどう変わるかわかりませんけれども、これもかなり可能になる。ところが、日生とか第一生命みたいに今の契約社員が一千万名、日本生命に至っては千四百万名、こういうところが果たして膨大な費用をかけて株式会社化できるのかという疑念がありますけれども、いかがでございますか。
#289
○政務次官(林芳正君) 今、委員が御指摘になった株式会社に余り数多くならないんではないかということでございますが、これはもうあくまでも個社の経営戦略や経営判断で行われるということでございますので、我々の方で大体この法案が通ると何社くらいになるのかなどというのはなかなか申し上げにくいことでございますが、現在表明しておりますのは、委員が今御指摘になった大同生命と太陽生命、株式会社化を表明しておる相互会社でございますが、これ以外に、ちょっと斜めの関係かもしれませんが、資本提携ということでアメリカのエトナ社と平和生命、これはエトナ社が平和生命の株式を取得する場合でございます。それから、日本団体生命とアクサですとか、クレアモントと大正生命、そういうところも出ておるようでございますし、それから、諸外国を見ますと、有名なアメリカのプルーデンシャルですとかカナダのサン・ライフ、オーストラリアのAMP、これはいずれも業界一位だそうでございますけれども、こういうところで株式会社化をしたり、それからそういう計画を表明したりという例があるので、一概に大きいからできないか、それはもう各社の御判断ということに最終的にはなるのではないかと考えております。
#290
○星野朋市君 やはり法律をつくる以上、どのぐらいの年月をターゲットにしているかということを、だから永遠にできなくてもいいということではないと思うんですが、そこら辺はいかがですか。
#291
○政務次官(林芳正君) 今回の御審議をお願いしておりますこの法案は、特にサンセットというのがございませんで、預保の方の今まであったようなこの何年かのうちにということではございませんけれども、今申し上げましたように、個社の経営戦略、経営判断ということになるわけでございますが、我々といたしましては、こうやって条件を整備することによりまして、条件の面で我が国の保険業界の足を引っ張るということはないようにしていこうというふうに考えておるところでございます。
#292
○星野朋市君 それでは、時間も余りございませんので、財源対策のうち、今度のいわゆる政府保証を恒久化するという措置と、それから新たに追加する生保自体の拠出金一千億と、それから政府の四千六百億、これについて関連してお尋ねをいたしますけれども、前回この法律が通ったときに、根拠が大体その前に破綻をした日産生命の二千三百億、この程度の生保が二社ぐらいつぶれても大丈夫だろうという形でもって四千六百億といういわゆる金額が出たんだと思うんです。これは確たる根拠というのはたしかないはずなんですがね。
 ところが、この四千六百億について、私はその当時、銀行への公的資金の注入があるんだから、生保はもっとこれ自分自身の拠出金も高くし、それから政府保証も入れろ、さもないとと言って間もなく東邦生命がいっちゃったわけですよ。東邦生命だけで三千七百億ですからね、大体もう四千六百億のうち大部分を使い切っちゃうと。まだ日産生命の二千三百億もその前の基金として払い切っていない。この前決めた四千六百億、まだ積み立て始めてたった二年なんですね。
 それで、こういう制度が行われたのは結構なんですけれども、やっぱりこれもやや遅きに失したかなと思いますが、いかがですか。
#293
○政務次官(林芳正君) 委員が御指摘のように、委員がそういうふうな御質問をされておられたのを私もたしか委員として聞いておった記憶を今手繰っておりましたが、確かに、そういう意味で今回は三点セットでお願いをいたしまして、この保護機構に財源措置をやると同時に、更生特例法ということで、なるべくこの保護機構へ来ないうちに何とかしようということをセットでお願いしておるわけでございます。
 そして、財源の規模につきましては、委員の御指摘があったところでございますが、この東邦生命、委員がおっしゃったような金額が入り用になりますから、それを使った後で、もともとあったところまでは最低限戻しておこうというのが今回の考え方でございます。
#294
○星野朋市君 そうすると、この拠出をする生保の負担ということになりますと、最大手は日生だということはいろんな意味からわかるんですが、最大の負担をする日生が今のところで一年間にどのくらい負担しますか。
#295
○政務次官(林芳正君) 今、委員が御指摘になりました日生は業界第一位でございまして、負担額は、法令上、収入保険料の額に委員御承知のように一定の料率を掛けた額と、それから責任準備金の方に一定の料率を掛けてこれを足すということでございます。
 一番多いところで年間約百億、二位が第一生命でございますが、ここが六十六億ということで、生保上位五社で大体二百八十八億で、これが全体の六三%の負担になっておるところでございます。
#296
○星野朋市君 日生はもっと多くないですか、日生は。
#297
○政府参考人(福田誠君) ちょっと補足させていただきます。
 今の百億円というのは本来の数字でございます。それ以外に今御指摘の日産生命分が約五十億円ございます。合わせて百五十億円でございます。
#298
○星野朋市君 それでは、一番少ない会社は年間どのくらいですか。
#299
○政府参考人(福田誠君) 本則上、一番小さなところが百五十万円、それから日産生命分で一番小さいところが約二十四万円ということでございます。
#300
○星野朋市君 諸般の事情がございますので、きょうの質問はこれで終わらせていただきます。
#301
○委員長(真鍋賢二君) 両案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後五時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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