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2000/04/17 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 共生社会に関する調査会 第6号
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2000/04/17 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 共生社会に関する調査会 第6号

#1
第147回国会 共生社会に関する調査会 第6号
平成十二年四月十七日(月曜日)
   午後二時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十日
    辞任         補欠選任
     福島 瑞穂君     三重野栄子君
 四月十二日
    辞任         補欠選任
     高橋 令則君     鶴保 庸介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    理 事
                有馬 朗人君
                南野知惠子君
                佐藤 雄平君
                大森 礼子君
                林  紀子君
                三重野栄子君
                堂本 暁子君
    委 員
                岩永 浩美君
                大島 慶久君
                末広まきこ君
                竹山  裕君
                仲道 俊哉君
                森下 博之君
                小川 敏夫君
                小宮山洋子君
                千葉 景子君
                福山 哲郎君
                松崎 俊久君
                渡辺 孝男君
                小池  晃君
                八田ひろ子君
   政務次官
       法務政務次官   山本 有二君
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       第三特別調査室
       長        大場 敏彦君
   政府参考人
       内閣総理大臣官
       房審議官     佐藤 正紀君
       警察庁長官官房
       審議官      上田 正文君
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省矯正局長  鶴田 六郎君
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事選任及び補欠選任の件
○共生社会に関する調査
 (男女等共生社会の構築に向けてのうち女性に
 対する暴力についての現状と課題に関する件)

    ─────────────
   〔理事南野知惠子君会長席に着く〕
#2
○理事(南野知惠子君) ただいまから共生社会に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、福島瑞穂君が委員を辞任され、その補欠として三重野栄子君が選任されました。
 また、去る十二日、高橋令則君が委員を辞任され、その補欠として鶴保庸介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○理事(南野知惠子君) 理事の選任及び補欠選任についてお諮りいたします。
 本調査会の理事割り当て会派の変更に伴い、一名の理事の選任を行うとともに、委員の異動に伴い現在一名欠員となっている理事の補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○理事(南野知惠子君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に三重野栄子君及び堂本暁子君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○理事(南野知惠子君) 共生社会に関する調査を議題とし、「男女等共生社会の構築に向けて」のうち、女性に対する暴力についての現状と課題に関する件について調査を行います。
 本日は、昨年六月、議長へ提出いたしました中間報告書における提言に関し、政府の対応、関連する施策の取り組み状況等について、警察庁、法務省及び厚生省から説明を聴取し、その後、質疑を行うことといたします。
 まず、警察庁より説明を聴取いたします。警察庁黒澤生活安全局長。
#6
○政府参考人(黒澤正和君) 警察庁でございますが、お手元に配付してございます資料の項目に基づきまして御説明申し上げます。
 警察は、女性が被害者となった犯罪につきましては従来から厳正に対処してきたところでございますが、昨年十二月に「女性・子どもを守る施策実施要綱」を制定いたしまして、女性が被害者となる犯罪を未然に防止するための対策を推進いたしますとともに、被害者に対する積極的な相談対応、被害回復への支援等を推進しているところでございます。
 以下、昨年七月に出されました本調査会の中間報告に対応いたしました警察の取り組みにつきまして御説明申し上げます。
 まず、被害者に対する支援体制の整備でございますが、被害者に対する支援体制の整備状況につきまして、その一でございますけれども、関係機関、団体等とのネットワークの確立でございます。
 全都道府県におきまして、警察のほか、地方検察庁、弁護士会、医師会、臨床心理士会、県、市の担当部や相談機関、民間被害者支援団体等により構成される被害者支援連絡協議会が設立されまして、相互の連携を強化しております。また、協議会のもとに性犯罪被害者対策分科会などを発足させるなど、特に性犯罪被害者や、夫から妻への暴力事案の被害者に対する支援や援助等に関しまして、これら関係機関が相互に連携を深め、一体となった被害者対策を推進できる体制の構築、拡大に努めてきておるところでございます。平成十一年十二月現在、この種の分科会でございますが、三十三都道府県警察本部及び一方面本部において構築をいたしております。
 さらに、個々の事件の被害者に対しまして、その具体的なニーズを把握しまして、よりきめ細かな支援を行うために、市町村、警察庁の管轄区域でございますが、市町村を単位とした地域レベルでのネットワークの構築を推進いたしております。
 また、事件発生時における迅速かつ適切な診断、治療及び証拠採取や女性の医師による診断等を行うための産婦人科医との連携強化に努めております。平成十一年十二月末現在、三十九府県警察本部及び二方面本部におきまして、産婦人科医師会等とのネットワークを構築いたしております。
 その二でございますが、女性に対する暴力に関する窓口の整備及び周知についてでございます。
 女性に対する暴力に関する相談につきましては、警察本部の総合相談、警察署の困り事相談で受け付けておりますほか、被害の潜在化を防止するため、被害女性が被害申告や相談を行いやすいよう、すべての都道府県警察本部に設置しました性犯罪被害一一〇番などの相談電話、あるいは女性相談交番、昨年末現在で四百二十八カ所になっておりますが……
#7
○理事(南野知惠子君) お座りになられて結構でございます。
#8
○政府参考人(黒澤正和君) 女性相談交番、そして鉄道警察隊における女性被害相談所、昨年暮れで八十カ所になっておりますが、そういったところにおきまして女性の警察官などが性犯罪等に係る被害に関する相談を受け付けております。
 また、これらの相談窓口について周知徹底を図るため、平成十一年に毎年九月十一日を警察相談の日に設定、広報に努めておりますほか、平成八年以降でございますが、毎年六月あるいは七月における警察庁の広報重点といたしまして性犯罪の根絶を掲げますとともに、この時期を性犯罪捜査強化月間に設定しまして、全国警察を挙げまして性犯罪捜査の強化及び被害者対策を推進いたしますとともに、性犯罪被害申告促進用ポスターの作成、性犯罪被害申告促進用広告の新聞、雑誌への掲載、テレビ、ラジオ等の各種メディアやインターネットを活用した広報、各種後援活動、性犯罪防止に関するイベント、キャンペーンの開催などによりまして広報活動を実施いたしております。
 その三は、被害者支援体制の整備についてでございます。
 各都道府県の警察本部に被害者対策の企画、総合調整等を担当する部門を設置しておりますほか、警察署には被害者支援に関する指導、調整、関係機関、団体等との連絡調整等を担当する被害者支援係を設置しまして被害者支援の推進に努めております。
 また、第一線において指定された警察職員が事件直後から被害者に寄り添い、被害者のニーズを踏まえた適切な被害者支援活動を実践するための指定被害者支援要員制度の運用を推進いたしております。
 さらに、被害者の精神的被害の回復を支援するため、部内における専門職員の配置や部外の専門家、精神科医やカウンセラーでございますが、こういった専門家の方々との連携によりましてカウンセリング体制の整備に努め、電話及び面接によるカウンセリングを実施いたしております。
 次、第二はドメスティック・バイオレンスへの対応でございます。
 その一でございますが、基本的対応要領の作成、徹底についてでございます。
 夫から妻、内縁関係を含めましてでございますが、夫から妻への暴力事案に対する警察の基本的な考え方といたしましては、一般事件と同様、従来から法に触れる行為があれば事件化を含めて厳正に対処することとしておりまして、その対応に当たりましては、夫婦間という特性をも考慮し、被害者の意思を十分尊重しつつ、一つ一つの事案に即した適切な対応に努めているところでございます。
 しかしながら、近時、女性に対する犯罪への的確な対応が社会的要請となっていることを踏まえまして、平成十一年の三月末でございますが、第一線の職員一人一人に至るまで基本的な考え方の徹底を図りますとともに、警察組織全体の意識改革を図り、認知いたしました際には両当事者から個別に事情聴取を行うなど、夫婦間という特性に配意しつつ、現場の状況等に応じまして被害者の救護、現行犯逮捕等の所要の措置をとることにより、被害者の納得のいく措置を的確に講じるよう全国警察に示達をしておるところでございます。
 その二でございますが、被害女性への支援の取り組みの推進でございます。
 刑罰法令に抵触しない、あるいは刑罰法令に抵触するものの被害女性に処罰意思がないなどの理由によりまして検挙措置を講ずることが困難な事案につきましても、被害女性の生命、身体の保護の観点から、事案に応じまして緊急時の警察への通報要領の教示等の防犯指導、婦人相談所などの関係機関への紹介等を行うほか、必要があると認められます場合には相談者宅への訪問、相手方からの事情聴取、相手方に対する指導、警告等の措置をとるよう平成十一年の十二月に示達をいたしております。
 その三は、対応体制の整備でございます。
 夫から妻への暴力事案等の女性に対する暴力に係る相談を受理し、検挙措置を講じることが困難な事案について、防犯指導、関係機関の紹介、相手方に対する指導、警告等の業務を行うものとして、主に女性警察職員を担当者とする女性に対する暴力対策係の各警察署への設置を進めるよう指示しているところであります。
 なお、平成十一年の夫から妻に対する犯罪でございますが、殺人、暴行、傷害、脅迫等の刑法犯六百四十四件を検挙いたしておりますが、これは前年に比べますと百三十二件、約二五%の増となっております。近年における夫から妻に対する犯罪の検挙状況の推移を見ますと、その年によりまして若干の高低がありますものの、平成七年以前は四百件台でございましたが、平成八年から平成十年は五百件台で推移し、平成十一年は六百四十四件と増加傾向にございます。
 三点目は、女性に対する暴力についての関係職員に対する教養についてであります。
 その一、性犯罪捜査等に従事する職員に対する教養についてでございます。
 警察では、性犯罪捜査等に従事する職員に対しまして、被害に遭った女性に対する適正的確な対応や、精神的被害が深刻な被害者に対するカウンセリングの技術を習得させるための専門的実務教養のほか、性犯罪捜査指導官を対象に性犯罪捜査、被害者対策等に関する実務教養を実施いたしております。
 また、各都道府県警察におきまして、性犯罪指定捜査員等、性犯罪捜査に従事する機会の多い女性警察官を対象に、専門的実務能力の向上を目的とした教養研修会を実施いたしておりますほかに、全国の性犯罪捜査指導官及び性犯罪捜査指導係の女性警察官を招致いたしまして全国会議も実施をいたしております。
 さらに、警察庁、各管区警察局におきまして、性犯罪捜査に従事する各都道府県警察の女性警察官や性犯罪捜査係員等を対象に、実際の事件や取扱事例研究を内容とする研修会を実施いたしております。
 その二は、夫から妻への暴力事案の認知時の措置などについての教養についてでございます。
 夫から妻に対する暴力の問題を正しく認識し公平な判断が行えるよう、各都道府県警察におきましては、それぞれの実情に応じまして組織全体の意識改革、認知時の措置、検挙措置等の基本的配意事項を盛り込んだ文書の示達や、基本的配意事項のポイントを一線の捜査員にわかりやすく示した資料の作成、配付を行いますとともに、各種研修カリキュラムへの取り込み、各警察署における巡回指導、各種会議における指示、こういったことなどによりまして第一線の隅々にまでその趣旨が浸透するよう指導の徹底に努めておるところでございます。
 以上で警察庁関係の説明を終わらさせていただきます。
#9
○理事(南野知惠子君) 次に、山本法務政務次官。
#10
○政務次官(山本有二君) それでは、女性に対する暴力の問題に関する法務省における取り組みを御説明申し上げます。
 まず第1に、犯罪被害者保護のための二法案の国会への提出を御説明申し上げます。
 1の刑事訴訟法及び検察審査会法の一部を改正する法律案の(1)、証人の負担軽減の@でございます。
 証人への付き添いとは、性犯罪の被害者等が証人として公判廷で証言する場合に覚える著しい不安または緊張を和らげるため、カウンセラーなどの適当な者を証人に付き添わせることができることとするものでございます。
 Aの証人の遮へい措置の導入とは、性犯罪の被害者等が被告人や傍聴人の面前で証言をするような場合に受ける強度の精神的負担を軽減するために、法廷におきまして証人と被告人または傍聴人との間につい立て等を置くなどの遮へい措置をとることができることとするものでございます。
 Bのビデオリンク方式の導入とは、性犯罪の被害者等が訴訟関係人や傍聴人のいる法廷で証言を求められることにより受ける強度の精神的苦痛を軽減するために、このような証人を法廷の外の別室に在室させ、テレビモニターを通じて証人尋問を行うことができることとするものでございます。
 次に、(2)の親告罪の告訴期間の撤廃についてでございます。
 強姦罪等の性犯罪の中には親告罪とされているものがございますが、本調査会の報告書でも指摘されておりますとおり、被害者は精神的ショックのため短期間では告訴をするかどうかの意思決定が困難な場合があるなど、告訴期間の制限が本来被害者保護のために親告罪とした趣旨を損なうことになりかねないことから、告訴期間の制限を撤廃するというものでございます。
 そして、(3)の被害者の意見陳述についてでございますが、被害に関する心情その他の被告事件に関する意見を公判廷で述べたいという被害者やその遺族の方の要望等にこたえ、これを制度化しようとするものでございます。
 最後に、(4)の検察審査会への審査申し立て権者の範囲の拡大等は、検察官の不起訴処分に対する検察審査会への審査申し立て権の範囲を被害者の遺族にも広げようとするものでございます。
 次に、2の犯罪被害者等の保護を図るための刑事手続に付随する措置に関する法律案には三つの措置が盛り込まれてございます。
 その(1)、公判手続の傍聴について御説明申し上げます。
 裁判は公開されておりだれでも傍聴できますが、傍聴希望者が多いために抽せんで傍聴券を発行する場合もございます。しかし、被害者やその遺族などにつきましては裁判の傍聴で一般の傍聴者と同列に取り扱うことが適当とは考えられませんので、被害者等の申し出があるときは、裁判長は申し出をした者が当該被告事件の公判手続を傍聴できるよう配慮しなければならない法的義務があることを明記するものでございます。
 次に、(2)の公判記録の閲覧及び謄写でございます。
 現行法上、被害者は、刑事裁判の係属中は公判記録を閲覧したり謄写(コピー)することが認められておりませんが、係属中の刑事裁判の記録につきましては、被害者などが民事訴訟を提起するためにその内容を知る必要がある場合などには、これを閲覧または謄写させることができることとするものでございます。
 最後に、(3)の民事上の争いについての刑事訴訟手続における和解でございます。
 これは、被告人と被害者等の間で犯罪から生じた損害等につきまして裁判外で示談ができた場合に、刑事の裁判所に申し立てれば、裁判所にその合意の内容を公判調書に記載してもらえ、民事の裁判で裁判上の和解ができたのと同じ効力、すなわち執行力を与えるという制度でございます。
 次に、第2の女性に対する暴力についての課題につきまして御説明申し上げます。
 1の女性に対する暴力につきましての調査研究についてでございますが、法務総合研究所におきましては、性犯罪を含めた犯罪の被害者等の被害実態や被害回復の状況を明らかにするとともに、被害者等の意識や刑事司法機関に対する要望を把握するため、平成十一年には被害者等に対するアンケート方式による調査を実施し、その結果の概要を平成十一年版犯罪白書に掲載いたしました。さらに、法務省では平成十二年二月に、暗数を含んだより正確な犯罪動向を把握するとともに、犯罪被害実態に関する国際比較を行うため第四回国際犯罪実態調査に参加する形で犯罪被害実態調査を実施し、その概要を公表しておりますが、その対象犯罪には、いわゆる痴漢やセクシュアルハラスメントを含んだ性的暴行も含まれております。
 2の暴力被害者に対する支援体制についてでございますが、検察庁におきましては、被害者等からの相談対応や法廷への被害者等の案内、付き添いなど、被害者を支援する業務を行う被害者支援員の配置を開始いたしました。また、被害者等から照会などを受け付けるための専用電話として「被害者ホットライン」の設置を進めております。また、当省の人権擁護機関では、女性に対する暴力、セクシュアルハラスメントなどの人権問題につきまして、全国の法務局、地方法務局におきまして女性の人権特設相談所を開設したり、「女性の人権ホットライン」という専用の電話相談窓口の設置を進めるなど、相談体制の強化を図っております。
 3の暴力被害者のためのシェルターのあり方についてでございます。
 収容の少ない婦人補導院を暴力被害者である女性のシェルターとして活用できないかという意見が出されておりますが、現在さまざまな角度から検討しているところでございまして、この暴力被害者の問題につきましては、専門的立場からの精神的な指導、援助を全国的、組織的に行っていく必要があると考えておるところでございます。
 4の女性に対する暴力についての関係職員の研修についてでございます。
 検察庁職員を初めとする刑事司法に携わる法務省職員につきまして、従来から職員の経験や能力等に応じて実施している各種研修等を通じて教育や啓発を行い、女性に対する暴力についての理解と認識を深めるように努めてきたところでございますが、今後も研修を一層充実させるなどして職員の教育と啓発に努めてまいりたいと考えております。
 5の女性に対する暴力についての予防、啓発についてでございます。
 幾つかの矯正施設におきまして、収容された性犯罪の加害者に対して、再犯予防の観点から面接などの個別指導や該当者をグループ編成して講話、集団討議等を実施することにより被害者の立場について考えさせる指導を行うとともに、性犯罪の加害者以外の者に対しましても異性観についての啓蒙的な指導を行っております。
 また、保護観察処遇におきましては、対象者の持つ問題性その他の特性を類型化して把握し、各類型ごとにその特性に焦点を定めた効率的な処遇を実施しておりまして、今後も引き続き再犯に至らないよう効果的な処遇の実施に努めてまいりたいと考えております。
 さらに、人権擁護機関におきましては、女性の人権を尊重することの重要性を広く国民に周知するために、全国各地で講演会や座談会を開催したり、啓発パンフレットを配布するあるいは各種イベントを実施するなどの啓発活動を行っております。
 また、毎年十二月四日から十日までの一週間を人権週間として集中的な啓発活動に取り組んでおりますが、同週間の強調事項の一つに「女性の地位を高めよう」を掲げ、女性の地位向上を訴えております。
 6のドメスティック・バイオレンスについての対応についてでございますが、検察当局におきましては、警察当局等第一次捜査機関との緊密な連携のもとに、この種事案につきましての捜査を徹底するなどして厳正に対応しております。また、検察官に対しては、この種事案について厳正かつ積極的な対応に努めるよう指示しているところでございます。
 また、民事裁判手続による救済手段といたしましては、暴力を受けている妻が、夫に対して妻への接近や妻の住居への立ち入りを禁止することを内容とする仮処分命令を申し立てることが考えられております。なお、仮処分命令を発令するにつきまして、妻が夫から暴力を振るわれるおそれが極めて強いなど、その必要性を明らかにすれば担保を立てなくても仮処分命令を得ることも可能ですし、債務者が立ち会うことのできる審尋の期日を経たのでは仮処分命令の目的を達成できないような場合には、これを経ないで迅速に仮処分命令を発令することができるようにもなっております。
 被害者女性がこうした仮処分命令の性格を理解した上で、ドメスティック・バイオレンスに対する救済手段として仮処分命令を一層活用することが期待されております。
 以上でございます。
#11
○理事(南野知惠子君) 次に、大野厚生政務次官。
#12
○政務次官(大野由利子君) 本日は、女性に対する暴力への取り組みにつきまして説明をさせていただく機会を与えていただきましたことに御礼を申し上げますとともに、皆様方の熱心な取り組みに対しましてこの機会をおかりいたしまして敬意を表します。
 暴力は、その対象の性別を問わず許されるべきものではありませんが、特に女性に対する暴力は、女性に恐怖と不安を与えるとともに自信を失わせ、女性の活動を抑制し、女性を男性に比べてさらに従属的な状況に追い込む重大な社会的、構造的問題であり、男女共同参画社会の実現を阻害するものです。
 この問題について厚生省では、婦人保護事業及び母子福祉事業において、暴力による被害を受けた女性からの相談に応じるとともに、必要があれば都道府県を越えて広域的な施設に受け入れたり、母子福祉施策を通じて自立支援を行うなどの取り組みを行っています。また、この調査会の提言を踏まえ、関係機関のネットワークの充実や支援策の強化を図っておりますので、本日は、こうした点について御説明いたします。
 資料は次の二点を配付しております。
 一つは、横長の資料でございますが、「「共生社会に関する調査報告」の提言事項に係る対応状況」と、もう一つは、縦長の「「女性に対する暴力の現状と課題」についての政府説明資料」でございます。
 この横長の「共生社会に関する調査報告」、これをもとに説明をさせていただきたいと思います。
 まず、提言事項の一番目ですが、女性に対する暴力についての調査研究への対応状況については、昨年度、総理府において暴力の実態やそれに対する人々の意識について、男女間における暴力に関する調査を行っており、厚生省を含む各省庁において協力を行ったところでございます。
 提言事項の二、暴力被害者に対する支援体制への対応状況については五点を掲げております。
 まず第一は、婦人相談所を中心に暴力被害女性支援ネットワークの構築に取り組んでおります。婦人相談所や婦人相談員が、警察庁が都道府県に設置した被害者支援連絡協議会に参加し、法務局または地方法務局を初めとする人権擁護機関と連携を図るよう関係省庁と調整の上、都道府県に指導をしているところです。
 第二が、都道府県を越えた広域的なネットワーク対策として広域措置を推進しています。平成十一年四月から婦人相談所の一時保護等について、都道府県内のみで解決できない問題の場合には、他の都道府県と連絡をとる広域措置を実施するよう通知したところです。
 また、母子生活支援施設においては、夫の暴力により母と子で家出をしている事例などで、婚姻の実態は失われているが、やむを得ない事情により離婚の届け出を行っていない場合についても保護を行ってきましたが、平成十一年四月から母子生活支援施設に対し、寝具、調理器具、日用品等の費用を支払う広域入所促進事業を創設し、着のみ着のままで夫の暴力から避難し、保護を必要とする母と子を、住まいから離れた施設による広域的な受け入れの促進を図ることとしたところであります。
 第三に、精神保健・ケア対策にも配慮した保護、援助を実施するため、婦人相談所に医師及び心理学的な判定員を置いて相談や保護に当たっております。
 さらに、暴力被害女性が施設に入所した場合の配慮として、婦人保護施設に精神科医を置くことができるようにしています。
 最後に、子育て支援短期利用事業における助成を充実いたしました。児童福祉施設等で一定期間、児童の保護、養育を行う子育て支援短期利用事業において、夫の暴力により母と子を緊急に保護する場合、児童分の費用の補助を行ってまいりましたが、平成十二年度からは母親の生活費相当分も助成することとしたところです。
 提言事項の第三ですが、暴力被害者のためのシェルターのあり方への対応状況について二点掲げております。
 第一に、婦人相談所、婦人保護施設において、売春を行うおそれのある女性だけではなく暴力被害を受けた女性の相談や保護を行うことを明確にするため、平成十一年四月に通知を出して都道府県に徹底したところです。
 第二に、総理府の男女共同参画審議会におきまして、暴力による被害者のためのシェルターのあり方も含めまして、関係省庁とともに総合的な対策の検討が行われているところです。
 提言事項の四は、女性に対する暴力についての関係職員の研修ですが、夫等からの暴力に対するテーマに重点を置いて、婦人相談所や婦人保護施設、婦人相談員や母子相談員に対して厚生省等が主催する研修を実施しております。
 提言事項の五は、女性に対する暴力についての予防、啓発への対応状況については、婦人保護事業の広報活動としてリーフレットや広報誌の配布、会議、講演会等の実施、巡回相談等を行っております。
 提言事項の六のドメスティック・バイオレンスについての対応の中の経済的自立支援策につきましては、母子福祉施策の充実について掲げております。母子家庭に対しては、児童扶養手当の支給のほか、母子家庭への就労支援、修学資金、就学支度資金などの母子寡婦福祉貸付金の活用、母子相談員による相談など、総合的な自立支援策を実施しています。平成十二年四月からは、母子寡婦福祉貸付金について、母子家庭の母等の就労確保促進の観点から、事業開始資金及び事業継続資金を無利子とするなど事業を充実してまいりました。また、子育て支援短期利用事業について、保育士等による事業実施や休日預かりを実施するなど事業を拡充いたしました。
 以上、簡単ではございますが、厚生省の取り組みについて説明をいたしました。
#13
○理事(南野知惠子君) 以上で説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#14
○森下博之君 まず、私は、総理府が行いましたドメスティック・バイオレンスの実態調査についてお伺いをいたしたいと思います。
 私たちは、子供のころから弱い者いじめはするな、女性をいじめるというようなことは男として恥ずべきことだということを言われ続けてまいりました。私も、おおむねその教えに従って生きてきたつもりであります。最近、平気で女性に暴力を振るうというようなことが行われるということは、男が弱くなったのかなという思いもいたすわけであります。ちょうど一年前にカナダの日本総領事が奥さんに暴力を振るった事件があったわけでありまして、まさにこんなことは言語道断のことだと思うわけであります。
 当調査会におきましても、暴力に対する実態調査というのが非常に不足しているという指摘もあったわけであります。総理府の調査報告が出たということでありますが、その概要、特に特徴的なことがあるとすれば、その点を簡潔に明らかに願いたいと思います。
#15
○政府参考人(佐藤正紀君) それでは、総理府で実施いたしました男女間における暴力に関する調査について御説明を申し上げます。
 この調査は、昨年の五月でございますが、男女共同参画審議会から「女性に対する暴力のない社会を目指して」という答申が出されましたが、この中で我が国における女性に対する暴力の実態、それからそれに対する人々の意識を把握するようにという御指摘を受けたことに基づきまして、総理府において実施したものでございます。
 全国レベルのものといたしましては初めての調査でございますが、昨年の九月から十月にかけまして調査をいたしまして、本年の二月に発表をいたしております。この調査は全国の二十歳以上の男女四千五百人を無作為に抽出いたしまして、御協力をお願いいたしました。御協力いただきまして回答をいただきましたのが三千四百五人ということで、有効回収率は七五・七%でございました。
 調査の項目といたしましては、大きく四つのテーマを取り上げておりますが、一つが夫婦間での暴力等、それからつきまとい行為、それから痴漢、性的行為の強要の四つを取り上げたところでございます。
 まず、夫婦間での暴行等につきましてでございますが、現在夫や妻がいる、あるいは過去に夫や妻がいたという方々について質問をしておりますが、この中で命の危険を感じるくらいの暴行を受けた経験があるとお答えになりましたのが女性では四・六%、男性にもこういう答えがございまして、〇・五%でございますが、ございました。
 それから、夫や妻から身体的な暴行を受けた経験がある方々に、被害についてだれかに相談したかというような質問をいたしておりますが、相談しなかったとお答えになった方が四〇%ほどおられました。相談をしたと答えた方々でありましても、その多くは家族とか友人、知人に相談したということで、公的な機関、警察とか人権擁護委員等でございますが、そういうところに相談したという方々はそれぞれ二%に満たないぐらいの数字であったという状況でございます。被害が潜在化をしているということが極めて明白に明らかになったかと思っております。
 そのほかに、つきまとい行為、いわゆるストーカーでございますが、これの被害を受けたという答えにつきましては女性では一三・六%の方がそういう経験があると。それから、男性でも四・八%の方が経験があるというふうに答えております。
 それから、女性に対しまして痴漢の被害の経験があるかとお聞きしましたところ、約半数、四八・七%の方があるとお答えになっておるところでございます。
 以上でございます。
#16
○森下博之君 今回の総理府の調査項目の中に「公的機関等の関与の必要性についての意識」という項目があるわけでありますが、今総理府の御説明の中にもあったわけでありますが、警察官あるいは公的機関に積極的に関与してもらいたい、解決に向けて関与をお願いしたいという回答が多く寄せられたということでありますが、今後そういった期待といいますかそういうものに警察当局あるいは厚生省はどのように対応していかれようとするのか、承りたいと思います。
#17
○政務次官(大野由利子君) 夫等から暴力を受けている女性については、その状況によっては緊急に施設に受け入れるなど保護を図る必要があることが明白でございます。
 このため、厚生省では、婦人相談所の一時保護所、婦人保護施設及び母子生活支援施設におきまして、必要に応じ都道府県を越えて広域的に受け入れる道を開いており、平成十二年度からは婦人相談所を中心に、福祉関係機関はもとより警察や司法機関を含めた関係機関との連携強化を図る暴力被害女子支援ネットワークの構築、また母子生活支援施設で受け入れる場合の運営費の充実など施策の充実を図っております。さらに、暴力による被害を受けた女性が母子家庭として生活することを余儀なくされる場合には、母子福祉施策を初めとする関係施策を通じてその自立を支援してまいりたいと思います。
 また、現在、女性に対する暴力の問題への取り組みについて総理府の男女共同参画審議会で総合的な検討が行われており、厚生省といたしましても関係省庁とともに検討に参加するとともに、その提言を受けて女性に対する暴力の問題への対策に全力を挙げて取り組んでまいりたいと思います。
#18
○政府参考人(上田正文君) 調査の結果を見ますと、委員の言われたとおり、夫から妻への暴力につきまして国民が警察や公的機関に寄せる期待は大変大きいと思っております。そして、これにこたえていくことが大変重要である、こういう認識をしております。
 警察としましては、事案の対応、被害の程度、被害者の処罰意識等を総合的に勘案しまして、刑罰法令に触れる事案につきましては厳正な検挙措置を講じるとともに、刑罰法令に触れない事案につきましても事案に応じた適切な自衛、対応策の教示、必要に応じた相手方への指導警告等の被害者の立場に立った適切な対応に取り組んでいるところであります。
 夫から暴力を受けている被害者のニーズは、生活上の支援や精神的ケアを初め極めて多岐にわたっていることから、議員御指摘のとおり、警察、司法、行政、医療、報道機関等の被害者の立場に関係する機関団体が相互に連携していくことが極めて重要であると考えております。
 こうした考えに基づきまして、警察のほか検察庁、知事部局、市の担当部あるいは弁護士会、医師会、臨床心理士会及び県や市の相談機関等による被害者支援連絡協議会がすべての都道府県で設立されているところであり、夫婦間暴力における被害者対策につきましてもこの連絡協議会を活用し、分科会、カウンセリング講習会の開催、被害者のニーズに対応した情報交換等を行っており、今後も一層の努力をしてまいりたいと考えております。
 以上です。
#19
○森下博之君 厚生省にお伺いをいたしたいんですが、私は当調査会の前回の質問の中で、婦人相談所を女性に対する暴力を取り扱う機関として法的根拠を与えるべきだということと、婦人相談所を売春防止法から切り離して女性に対する暴力の公的シェルターとして位置づけるべきだということを申し上げたと記憶しております。
 たしか厚生省は男女共同参画審議会の答申を待って考える、こういうことであったわけでありますが、当該審議会からの指摘があったわけでありますが、今後どういうふうに対処されようとしているのか、承ります。
#20
○政務次官(大野由利子君) 今、委員御指摘のように、共生社会調査会が昨年六月に出されました報告において、婦人相談所について、暴力被害者のためのシェルターとして「法改正を含め抜本的に検討する必要がある。」、このような提言をいただいたところでございます。
 政府といたしまして、これを踏まえながら、総理府の男女共同参画審議会において、女性に対する暴力の問題への対策について、法制面を含めどのような対策をとることができるか検討をいただいているところでございます。
 婦人相談所については、売春防止法に基づき、売春を行うおそれのある女子の保護更生の役割を担っており、厚生省といたしましては、売春の形態が多様化しております、潜在化もまたしておりますが、こういう中で引き続き売春防止について重要な役割を担うものと考えております。
 他方、男女共同参画審議会における検討において、女性に対する暴力の問題について新しい法的措置がとられることになるのであれば、婦人相談所は現に暴力被害を受けた女性の保護において大きな役割を果たしている、こういう現状もございますので、このような新しい役割を担うことも検討の対象となるもの、このように考えております。
 いずれにいたしましても、厚生省としては、男女共同参画審議会での審議を踏まえて、女性に対する暴力の問題について必要な役割を果たしてまいる所存でございます。
#21
○森下博之君 次に、ドメスティック・バイオレンスについてのこれまでの警察の対応についてお伺いをいたしたいわけであります。
 今御説明の中では厳正に対応しておる、こういう御説明があったわけでありますが、私なりの考えを申し上げますと、警察の対応というのはこれまで民事不介入の原則というのではなかったかというふうに、そういう感想を持っているわけであります。御説明にもありましたように、夫から妻への暴力事案の検挙件数がこの五年間増加傾向にあること、また平成十一年には六百四十四件ですか、一番多く、しかも殺人事件というのが毎年百件台で推移をしているやに承っておることであります。このことはまことに恐るべき事態ではないかと思うわけであります。この種の事案の処理は警察にとりましては大変困難な問題が多いと思いますし、また第一線の警察官は大変だろうと思うわけであります。
 ドメスティック・バイオレンスに関する立法の必要性については当調査会でも何度も議論をされたところでもあります。ドメスティック・バイオレンス防止法とも言うべき法制定が差し迫った時期に来ておるのではないかとも思うわけであります。内容的にも、警察官の逮捕の義務あるいは医療機関の警察への通報義務等を盛り込んだ法律の制定が必要であると考えますが、御見解を承りたいと思います。
#22
○政府参考人(上田正文君) 警察としましては、これまでも、夫婦間暴力に関しましても法に触れる行為につきましては現行法の枠内で厳正に対処をしてまいりました。今後とも、個別具体的な事案に即して被害者の意思を最大限尊重しながら最善の措置がとれるように努力をしたいと考えております。
 今お尋ねの新規立法の必要性についてでありますけれども、御指摘のような、例えば逮捕を義務づける、あるいは医療機関に対して警察への通報を義務づける、こういったふうな新規立法につきましては、被害者の意思の尊重との関係はどうなるのか、あるいは現行の法体系との整合性はどうなるのか、そういったいろいろな点について社会全体として慎重に議論されるべきものと考えております。
 以上です。
#23
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生の御指摘されました医療機関の通報の義務づけに関してでございますけれども、これにつきましていろいろな立法例を調べてみますと、例えば刑事訴訟法においては、公務員が職務に当たり犯罪があると思料するときは警察官等に告発することが義務づけられておるとか、また児童福祉法においては、すべての国民が、児童が心身ともに健やかに生まれ育成されるよう努める義務を負うということを踏まえまして、虐待を受けている児童を初め保護者に監護されることが不適当と認められる児童を発見した国民すべての者に対して児童相談所等へ通告することを義務づけている立法例がございます。
 このような立法例を参考にして考えてみますと、女性に対する暴力の問題については、立法措置が講じられている場合について、何らかの公的責任を負う者に対して通報などの義務を規定することが一つの論点だろうというふうに考えております。ただ、その場合におきましても、通報の責務を負う者の範囲及びどのような場合に通報の責務を負うのか、通報を受けて行われるべき対応の内容及び通報先などについて立法措置の趣旨に基づいて検討される必要があり、医療機関に責務を負わせることが適当かどうか、このような角度から総合的な検討が必要であるというふうに考えております。
#24
○森下博之君 法務省にお伺いをしたいわけでありますが、特に山本有二総括政務次官に承りたいと存じます。
 山本総括政務次官は、弁護士資格もお持ちでございますし、私ごとでございますが私の郷土の大先輩でありまして、高知県の輝ける希望の星と言われる議員さんであるわけであります。私も、こういう機会に先輩に質問できることを大変光栄に思っております。心して質問をさせていただきます。
 性犯罪の告訴期間の撤廃についてであります。
 今国会に法務省が提出をいたしております刑事訴訟法一部改正案は、親告罪のうち強制わいせつ、強姦、わいせつ目的等略取誘拐等の罪とその未遂罪につき行う告訴については、六カ月の告訴期間を撤廃しようということであろうかと思います。
 そこで、現行の告訴期間を六カ月に制限している趣旨を改めて承りたいと思いますし、次に強制わいせつ罪の性犯罪の告訴が犯人を知ったときからどのくらいの期間で実際なされておるであろうかということ、それから告訴期間の制限があるために告訴に踏み切れなかった事件数はどの程度推定できるか、もう一点、告訴期間の撤廃の意義についてお伺いをいたします。
 なお、告訴期間を撤廃するということでありますが、いつでも告訴ができると考えがちでありますが、刑訴法の二百五十条との兼ね合いがどうなるのかという点が疑問に思っておるところであります。その点、あわせてお聞かせをいただきたいと思います。
#25
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの中で、いわば事実関係に当たるようなことについて私からお答えいたします。
 まず、親告罪の告訴期間の制限が設けられている理由でございますが、御指摘のような犯罪につきましては、その性質にかんがみまして、刑罰権の発動を被害者などが処罰を求める場合に限るということにしているわけでございますが、その一方で、公訴の提起の可否を私人である被害者の方などにゆだねる状態が長く続くと手続の安定性が害されるということを避けようとする配慮であったりすると思われるわけでございます。
 次に、実際に告訴がなされているケースでどの程度の時期に告訴がなされているのかという点でございますが、法務省刑事局におきまして、検察庁が警察から送付などを受けて受理した事件につきまして、平成九年四月から平成十一年六月までの間に性犯罪の告訴がなされた事件について調査をいたしました。
 これは一カ月以内のものではなくて、一カ月を超えるものについて調査をしたわけでございますが、犯罪の被害を受けた日から一カ月を超えて告訴された事例が五百八件ございました。そのうち、六カ月以内に告訴をされている事例が三百九十五件で、六カ月を超えて告訴がされた件数は百十三件でした。この犯罪の被害を受けた日から六カ月を超えて告訴がされた百十三件のうち、犯人がわかったときから一カ月以内にされたものが九十八件、一カ月を超えて三カ月以内にされたものが七件、大半のものが犯人がわかった日から三カ月以内にされておりましたが、それを超えたものも五件ございました。
 なお、被害者が告訴期間内に告訴に踏み切れなかった事例がどの程度あるかということにつきましては、これはちょっと捜査機関としては、告訴がないものですからその実数を正確につかむことは極めて困難でございますが、昨年七月、現在国会に提出して御審議いただいている犯罪被害者保護関係の立法をする際に行いましたパブリックコメントを求めた結果によりますと、その意見の中ではやはりそういう例がかなりあるというふうな御指摘もありましたし、ことしになって実施いたしました犯罪被害実態調査によりますと、警察などに届けない事例というのも相当になるということからすると、御指摘のような場合も相当数あるのではないかと考えております。
 それから最後に、公訴時効の点でございますが、今回国会で御審議をいただいている犯罪被害者保護関連法案は、公訴時効の期間そのものを変えるものではございません。告訴期間の制限を廃止するということですので、公訴時効の期間内は告訴ができる、しかしながら公訴時効が完成した場合には、これはもはや刑罰権の対象になりませんので告訴ができないということになります。
 ちなみに、公訴時効の期間はどの程度かと申しますと、強姦罪で申し上げますと七年でございます。それから、強制わいせつ罪で申し上げますと五年でございます。
#26
○政務次官(山本有二君) まず初めに、郷土を同じくする委員から御激励をいただきましたことを厚く御礼申し上げます。
 次に、告訴期間を撤廃する意義につきましての御質問でございますが、性犯罪の被害者の精神面を保護するという観点から、従来この親告罪、告訴期間がございましたけれども、その精神面の保護という観点からしましても、特に最近は意思決定がなかなか困難であるという側面が顕著になってきたわけでございます。
 特に、告訴をいたしますと公表のおそれがありますし、そのことによって職場や知人に、二次的な精神的なダメージをみずからも負ってしまうというようなこともございます。さらには、マスコミの知るところにもなるということもございます。そして、相手との特別の関係が間々あり得るわけでございまして、特に職場や取引先、そういった人間関係についても多くの影響を与えるというような、告訴するにつきましてその告訴期間を置きますと、なかなかその期間内に意思決定をしてしまうということが困難でございます。そこで、このことにおいては法的安定性の意味で公訴時効の範囲内で告訴をすれば足りるというようにしたところでございます。
 以上でございます。
#27
○森下博之君 山本総括政務次官におかれましては、法の番人として日夜御奮闘されておられるわけでありまして、ひとつ次回は法務大臣を、その次に総理大臣を目指して引き続いて頑張っていただきますことを切にお願い申し上げる次第でございます。
 最後に、一点だけお伺いをさせていただきます。
 厚生省にお伺いをしたいわけでありますが、ドメスティック・バイオレンスについての一般の日本人の認識というのは、現状では非常に薄いと私も思うわけであります。今後、政府においては、テレビあるいはいろんな媒体を通じまして広報啓発活動を展開していく必要があると痛感をいたしております。
 昨年五月の男女共同参画審議会の「女性に対する暴力のない社会を目指して」という答申の中にもそのことが指摘をされておろうかと思うわけであります。社会の一人一人が女性に対する暴力が人権侵害であるということを十分認識することが一番重要なことと思うわけであります。
 この答申を踏まえて、今後どのようにして広報啓発活動を展開していこうとされておるのか、最後に質問をいたします。
#28
○政府参考人(炭谷茂君) 現在、婦人保護事業の広報啓発活動の事業につきましては、私ども、国庫補助金を計上しているわけでございます。今年度の予算で申し上げますと二千二百万円余りでございまして、補助率は二分の一の事業になっております。
 ただ、この啓発事業につきましても、先生御指摘のように、できるだけ効果的な広報啓発活動が行われるようそれぞれの都道府県においての御工夫ということをお願いしております。それぞれ例えばイラストを使ったり、または読みやすい内容というような形でいろいろと工夫しておりますので、私どもこれから広報啓発活動事業についてなお一層努力してまいりたいというふうに考えております。
#29
○森下博之君 終わります。
#30
○小川敏夫君 民主党・新緑風会の小川敏夫です。
 女性に対する暴力についてお尋ねするわけですが、何よりもこうした事案について第一線におりますのがやはり警察庁でございますので、きょうは特に警察庁だけに質問をさせていただきます。
 まず、警察庁における女性に対する暴力についての取り組みのあり方なんですが、例えば性犯罪ですと一般刑事事件を扱う部かな、ドメスティック・バイオレンスになるとこれは家庭や児童を扱う部署かな、つきまとい、ストーカーになるとこれは防犯を扱う部なのかなというふうに思って、どうも現場では担当部局が女性に対する暴力ということで一体化していないような感じも私は持っているんです。
 警察庁は女性に対する暴力について、取り組む部局のあり方といいますか取り組み体制ですか、これはどのように、統一的になされているのかあるいは行っていこうとしているのか、そこら辺の組織のあり方、体制のあり方について教えていただきたいんです。
#31
○政府参考人(上田正文君) 女性に対する暴力、これは警察で相談を受け付けまして、認知をして、そしてそれが事件になるかならないかの判断によっていろいろ事案が分かれてくるわけです。
 ですから、例えば一番現場に近いところではいわゆる地域警察、交番とか駐在とか、ここがまず認知をして、ここが駆けつける場合には地域警察が事件を処理したり、あるいは事件にならない場合には、先ほども申しましたけれどもいろいろな防犯指導、あるいは他の機関と連携をした支援をやる。そして、例えばさっき言いましたが、相談窓口も、本部の総合相談もありますし、警察署の困り事相談もあります。そういうところに被害者がやってこられてあるいは電話をしてこられて、いろいろお話をお聞きして、これが事件になるという話になりますと刑事課だとか、あるいは強姦等の事件になりますれば強行犯になりますから捜査一課だとか、そういうところが関係しておるということになります。それから、いわゆる軽犯的な、例えばストーカーと言われますけれども、適用する罪名によってその辺の課は分かれてくるということに今はなっております。
 ただ、一番大事なポイントは、一線署にお越しいただくそういう言うならば女性被害者に対してきちっとした対応をするということは大変大事でありますので、現在女性に対する暴力係というものを各署に配置するようにしております。ことしの四月十三日現在で全国一千二百六十五署中四百六十九署に人員で一千一名、女性職員うち五百二十二名を設けておりますし、それから女性の警察官を置きまして女性からの相談を受け付けやすくしてやる女性相談交番、これも四百二十八カ所を設けておりますし、それから痴漢等につきましては鉄道警察隊に女性被害相談所、これを八十カ所設置しております。
 それから、困り事相談につきましても、最近のいろんな事案にかんがみて、もっと国民の不安にしっかりと対応しろという趣旨で困り事相談の専従体制の強化の指示を先般いたしまして、これにつきましても既に相談専従員を全国四百十一警察署に配置をしてございます。
 以上のような状況でございます。
#32
○小川敏夫君 各都道府県所轄署のお話を今お伺いしましたけれども、大もとの警察庁そのものは女性に対する暴力というものをどこが統括して扱うんでしょうか。
#33
○政府参考人(上田正文君) 警察庁におきましては、私どもの生活安全局の生活安全企画課が全体的な施策の担当をする、一方で先ほども申しましたように事件になりますと、これは刑事局の捜査一課の方で事件の捜査の指導でありますとかあるいは指揮だとかそういうものに当たる、こういうふうに二つの部局がまたがるということになります。
#34
○小川敏夫君 そこで、二つの部局にまたがるということだけれども、余りそれぞれがばらばらであっては困るので、やはりそこのところを統括して、女性に対する暴力ということを政策的な意味でも統括して責任を持つというような体制をぜひつくっていただきたいんですが、そこのところは大丈夫なんでしょうか。
#35
○政府参考人(上田正文君) 今、委員がおっしゃいました女性に対する暴力に対するいわゆる政策といいますか、そういうものにつきましては基本的には生活安全局が主として責任を持ってやるという体制でございます。
#36
○小川敏夫君 では、次に行きますが、先ほどの説明の中でも、都道府県で各連絡協議会、このレジュメですと「被害者に対する支援体制の整備」の一番というところで、連絡協議会というものを開催するなどしているということで、ネットワークを確立しているという御説明をいただきました。
 それで、私はまず一つは、ネットワークの確立という中の例えば協議会を開いた参加者を見ますと、どうもお役所とかあるいは弁護士とかそうしたお立場にある方ばかりが多くて、そうではない、民間のボランティア団体とかあるいは、被害者をその場に呼ぶというのは難しいかもしれないけれども、そうした立場にある方とか、そういう純民間の声ももっと聞いて積極的に政策の中に取り入れるようなそういうネットワークを確立する必要があるんではないかと思うんですが、そこら辺の私の考え方についてはいかがでございましょうか。
#37
○政府参考人(上田正文君) こういう犯罪被害者のニーズ、先ほど委員も言われましたようにいろいろなニーズがありまして、基本的には今の例えば警察が中心になってつくっております被害者の支援連絡協議会、これは委員おっしゃるとおり、警察、検察庁、知事部局等の公的機関がその主たるメンバーではございます。
 ただ、例えば民間のシェルターとか、あるいは相談をしていただくようなそういう民間のボランティアの団体等についても参加をしていただいておりまして、例えば茨城県には水戸被害者援助センターというのがございまして、これは被害者の法廷付添サービス、それから東京都には被害者支援都民センターというこれもやはりボランティア団体でありまして、これは被害者の自助グループへの支援活動、こういうボランティア団体が全国に十三あります。これが全国被害者支援ネットワークというものを構成しておられて、これらの十三団体と各府県警察とが緊密に連携をとりながらやっているという状況もございます。
#38
○小川敏夫君 それで、そういう協議会、ネットワークづくりですが、これは具体的に成果は上がっているんだろうか。例えば連絡協議会ということに的を絞ってお尋ねしますが、具体的にどういう事項を協議しておるのか、そして協議したことが実際にどのように第一線で成果が上がっているのかということをちょっとお尋ねしたいんです。
 例えば、新潟県警で例の特別監察に行ったというようなその件に絡む不祥事がありましたけれども、あれなんかは、監察をした結果、職務のあり方を改善しなくちゃいけないというのが本来の監察の目的なんだけれども、例の新潟の監察の件では、監察に行ったこと自体が何かそれですべて目的を達したかのような、そんな監察のあり方だったわけでございます。
 そういった例をどうも間近に見ますと、この連絡協議会も本来のあり方としては、協議会を開催して、その成果を第一線に生かさなくてはいけないんだけれども、しかしおざなりの協議会ですと、協議会やって、その後懇親会やって、それですべて事足りて、あとの実際の業務の一線では何ら改善の点が見られないというようなことであっては困るわけでございます。
 そういった観点から、先ほどのように、どのような内容の協議を行って、それが実際に第一線にどのような成果となって反映されているのか、あるいは反映される見込みなのか、そこら辺をお聞かせいただければと思います。
#39
○政府参考人(上田正文君) 協議会というふうに言っておりますけれども、これは協議をする場ではなくて協議会という組織でありまして、そういう犯罪被害者のいろんな、例えば精神的ケアだとかあるいは自立だとか医療だとかそういういろんなニーズにこたえることができる、例えば職業紹介だとかあるいはカウンセリングだとかそういう力、技能を持った団体がございます。そういうものが集まってきて組織を結成する。これは県は県であります。それから、今各警察署の署単位にも同じようなそういう能力、技術のある人、あるいはグループによって警察署が中心になって同じような地域の協議会をつくりまして、そこで実際に事件が発生した場合に直ちにそのメンバーのところに連絡をして、そして支援活動をする、そういう協議会でございます。
 ですから、集まって話をして云々とか、そういうのとはちょっとイメージが違いまして、実際に働く協議会でございます。そういうものをつくっておる、また拡充しようとしておるということでございます。
#40
○小川敏夫君 こういう協議会の成果というものは、具体的な数字となって成果がすぐにわかるという性質のものではないですからなかなか難しいけれども、ぜひ成果が上がるようなそういう協議会のあり方に努めていただきたいと思います。
 それで、先ほどの説明の中で、市町村単位、つまり所轄署の単位でそうしたネットワークづくりに努めるというようなお話でしたが、努めるというと将来のことになるわけですが、これは所轄署単位、市町村単位ですか、現状ではどの程度のネットワークづくりができていて、またそれが近い将来にどのように展開されていくのかについてお聞かせください。
#41
○政府参考人(上田正文君) 署単位の被害者支援地域ネットワークにつきましては、四月一日現在で八百八組織が既にでき上がっております。全国の警察署は一千二百六十五でありますから、約七割の警察署で既にそういう協議会を地域単位でつくって動いておるという現状でございます。
 残りにつきましても、設置をさらに推進したい、こういうふうに考えております。
#42
○小川敏夫君 どうも今の警察署の、それが悪いというわけじゃないんですけれども、警察署の地域活動というのを見ますと、交通安全協会とか防犯協会とかどこでも同じパターンのものがあるだけというように私は個人的には感じておるんです。
 そういうあり方も必要だけれども、こうした被害者に対する問題、女性に対する暴力という問題になりますと、新しい発想も持って、やはり女性の意見も積極的に取り入れる。あるいは、先ほども言いましたように、お立場のある方だけではないような、そうしたボランティアだとかそういう意見も思い切って取り入れるということが必要だと、私はそう考えるんですが、そういう考えについてはどうでしょうか。
#43
○政府参考人(上田正文君) 被害の中には当然精神的被害がありますから、女性の立場、女性の気持ちがわかる人あるいはグループに参加をしていただいて、いろいろアドバイスされ、実際の支援をしていただくのは大変結構なことだと思います。そういう方向に向けても努力したいと思います。
#44
○小川敏夫君 被害者等に対して、産婦人科医師会とのネットワークの構築ということもお伺いしました。また、心理的な面からの援助といいますか対策も講じたいということでございましたが、これは大変に重要なことでして、ともすれば、やはり警察の捜査といいますと、犯人を検挙して、そして証拠固めをする。そうすると、被害者というのは証拠固めの一証拠物、一証拠資料だというようなところがあって、証拠となるような供述さえとれば、はいお気の毒でしたの一言で終わってしまうというような捜査のあり方もないわけじゃなかったようにも思うんです。
 そこら辺のところ具体的に、産婦人科の問題あるいは心理的な援助というような問題にこれまで私は必ずしも警察が十分に対応していたとは思わないんですが、そこら辺のところ、警察はやはり被害者に対する取り組みというものに最大限に配慮していただきたいと思っているんですが、そういう体制のあり方についてどう取り組んでおられるんでしょうか。
#45
○政府参考人(上田正文君) 特に女性が被害に遭うようないわゆる凶悪犯罪等にあっては、認知の時点から被害者を精神的に支援をすることが大変大事だというふうに思っております。そのために、冒頭局長からも御報告いたしましたように、被害者の支援係というものを、ことしの四月一日現在、四十三都道府県において七百九十三警察署に設置しております。
 これは何をするのかと申しますと、被害者の支援係は、例えばそういう性犯罪が発生しますとまず現場に臨場して、被害者と接触した段階から捜査の過程を、ずっとありますけれども、病院にもそれから実況見分にもいろんなところで常に一緒に動いて、被害者の精神的な支えになったり、あるいは家族との連絡をしたり、あるいは今後の捜査についての段取りを話したり、あるいは被害者の要望をいろいろ聞いたり、常に被害者のそばに同じ顔、同じ人がいる、しかもその人がいろいろ支えてくれるという、そういう仕組みによって被害者のケアをしていこう、こういうシステムでございまして、それがさっき言いましたように約八百警察署に既につくられておる、そしてこれからも設置をすべく努力をしたい、こういうふうに考えております。
#46
○小川敏夫君 では、次の質問に行きますが、ドメスティック・バイオレンスのことについてお尋ねしますが、このドメスティック・バイオレンスに関して積極的に取り組むということは大変によい方針だとは思うんですが、ただ、やはりこれは家庭とかそれに準ずるような関係の中で生ずる事案ですから、余りやる気になって逆にプライバシーの侵害になってもいけないという非常に難しい側面があると思うんです。それから、一概に刑事事件としてすぐに立件して捜査すればいいという問題でもないように思うんです。
 非常にデリケートな問題がありますと、基本的対応要領ですか、関係者のコンセンサスを得た対応要領、これをきちんとしっかり作成しておかないと、どちらに振れても、怠慢もいけないし、しかしやり過ぎてもいけないという問題が出てくるので、これはきちんとまとめなくてはいけないと思うんですが、この辺の対応要領というものは実際にできておるんでしょうか、あるいはどういう内容で作成していく方向でおられるのでしょうか。
#47
○政府参考人(上田正文君) 対応要領でありますけれども、今確かに委員が言われましたように千差万別でありまして、事案そのものが、単純に被害届が出たからといって検挙すればいいというものでは決してない。つまり、先ほども私御説明いたしましたけれども、被害者の意思を十分に尊重しながら、被害の程度や事案の態様を勘案して、一番いい処理の仕方を考えていかなくちゃならぬ、そういうたぐいのものであります。
 対応要領でございますけれども、これにつきましては去年の三月に警察庁から通達を出してありまして、とにかく現場に行った者は、例えば暴行等が現に続いていれば直ちに制止をする、そして被害者の救護をする。それから、状況によりますけれども、さらに被害が拡大をする、あるいは刃物等を持っておって重大な事態が生ずるおそれがあるという場合には直ちに逮捕等の措置もとる。いずれにしましても、事件化を前提にして仕事をする。
 それから、さっき言いましたように、家庭内の問題でありますから、どうしても特に夫の支配下に被害者が置かれているという場合が多いわけでありますから、被害者の本当の気持ちを確認するために、別々の場所で、場合によっては警察署まで来ていただいて、処罰意思、あるいはどうしてほしいのか、その辺について被害者の真意をきちっととる、そういうことをやれという指示を一線まで徹底しております。これが去年の三月でございます。
#48
○小川敏夫君 時期的に一致するかどうかは別にして、例えば桶川のストーカー事件、あれをドメスティック・バイオレンスと呼ぶかどうかは別にしまして、そうしたミニマムスタンダードですか、対応要領というものができても、果たして第一線まで徹底されているのかどうか。特に、これはまた上の方でつくっても、やはり実際に対応するのはまさに第一線におる現場の警察官ですから、よほど周知徹底あるいは教育というものを十分に行わなければならないと思うんですが、そこら辺の対応要領が今お伺いしただけではどうも余りにも概括的過ぎて、それほど個別の対応にある程度満遍なく対応できるような具体的なものでもないように思うんです。
 そのことも含めて、あるいは第一線の警察官が判断に迷って手が出せないというようなことのないように、そこら辺の対応要領をきちんとさらに詳細に作成して、第一線に徹底して教育させていただきたいと思っているんですが、そこら辺のところはいかがでしょうか。
#49
○政府参考人(上田正文君) 今私が申しましたのは、警察庁が各府県警察に指示をした中身なのでありますが、確かにこれでもってすべての事態に簡単に対応できるというようなものではないと思います。ただ、これは最低限やらなくちゃならないこと、あるいは最低限判断しなくちゃならない事項を示したものであります。
 各都道府県警察はそれを受けまして、さらに具体性を加味した教養、要するに研修ですね、これをパンフレットをつくったりしながら、警察のそういう教育でありますから、警察学校におけるいろいろな授業、そして県警察本部の担当者による各署の巡回指導、あるいは署における機会教養等の場で、いろいろさらに具体的に指示、指導をしておるところでございます。
 さらに努力をしたいと思っております。
#50
○小川敏夫君 最後に、婦人相談所、駆け込み寺といいますかシェルター、被害女性の保護施設があってしかるべきではないかということで、婦人相談所をどうするかという議論もあるわけですが、警察庁としては、こうした保護を必要とする女性の保護の体制についてこの先どのように取り組んでいかれるのでしょうか。特に、婦人相談所の活用等についての見解も含めてお聞かせいただければと思います。
#51
○政府参考人(上田正文君) 私、たまたま手元に昨年の四月から九月までの六カ月間のドメスティック・バイオレンス約一千五百件の処理状況というのを持っておるんですが、一千五百件、これは一応被害女性の分でありますけれども、そのうちシェルターを享受したのが三十六件あります。やはり、やってこられて、うちに帰れない、何とかしてほしいという、そういう切実な要望があります。
 それで、シェルターがあればそういうところを紹介して、そこで暫定、ある一定期間保護ができますので、そういう紹介ができるものが多ければ多いほど大変我々は助かる、こう思っております。
 そして、それがない場合には、とりあえず警察署なり、あるいはいわゆる普通のホテルとかそういうものを紹介して、緊急でありますから、ただしこれはそれに支給するお金はありませんので、もしホテル代がなければ立てかえ等のことをして対応しているという状況でございます。
 ですから、警察としては、そういう公的シェルターが多いほどよかろうかというふうには考えております。
 以上でございます。
#52
○小川敏夫君 終わります。
#53
○小池晃君 済みません、厚生省が来ていないんですけれども。
#54
○理事(南野知惠子君) 担当局がまだでございますか。
 では、しばらくお待ちください。
 速記をとめて。
   〔速記中止〕
#55
○理事(南野知惠子君) 速記を始めて。
#56
○小池晃君 質疑の順序を御配慮いただき、ありがとうございます。日本共産党の小池晃です。
 総理府が行った男女間における暴力に関する調査でも、夫婦間の暴力で命の危険を感じるほどの暴行を受けた女性は四・六%だと。単純に全国の夫婦数に当てはめると、被害者は百二十万人という大変な数になります。さらに、医師の治療が必要な暴力を受けた女性が四%。医師の治療の必要のない程度の暴力を受けた女性が一四・一%。ところが、こうした何らかの身体的暴力を受けた人のうち、それを公的機関に相談した人は四・五%しかいない。政府の取り組みはまだまだ不十分ではないかと思うんですが、そこで、まず最初に厚生省にお伺いをしたいと思います。
 婦人保護事業の現状についてであります。
 昨年の調査会でも、売春防止法を根拠とした現行の婦人保護事業でDVに対処するのは限界があるのじゃないかというふうに私は指摘をいたしました。昨年の数字では、婦人保護事業への相談件数のうち、売春するおそれのない者、すなわち売春防止法の対象外は約七八%ということだったんですが、直近の数は幾らでしょうか。
#57
○政府参考人(炭谷茂君) 婦人相談所または婦人相談所を来訪して相談された件数のうち、現に売春を行っておらず、売春歴もなく、売春を行うおそれもない者の相談件数の割合は、先生御指摘のように七七・九%という数字を昨年度は申し上げましたが、平成十年度、直近の数字では八〇・六%となっております。
#58
○小池晃君 さらに増加をして、とうとう八割を超えたわけであります。
 やはり、先ほども御議論ありましたが、売春防止法での対処というのは限界に来ているのではないだろうか。さらに、きょう配付された資料を見ますと、一時保護所の措置件数は昨年よりさらに増加して四千八百五十一件になっております。
 私、昨年の本調査会で、厚生省は一時保護所の定員枠を減らしていますが、措置件数や入所者がふえるもとで逆行ではないかというふうに指摘をいたしました。それに対して厚生省の答弁は、地方の施設は空き部屋があるので整理しているということだったわけです。ところが、今回の説明によれば、今後は広域使用を促進して、東京や大阪から暴力を逃れてきた女性を地方の施設でかくまっていくという方向だと。
 今年度の資料を見ると、一時保護所の入所定員は六百三十八人のまま、現状維持であります。婦人保護施設の方は十人の定員増。予算の執行額もふえている。明確に需要は高まっているということではないかと思うんですが、やはり質の高い業務も求められる中で、人員、施設とも拡充していくべきではないか、もっともっとふやすべきではないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#59
○政府参考人(炭谷茂君) 婦人相談所の、例えば一時保護所の定員に占める入所者の割合につきましては二五・五%、婦人保護施設につきましては四六・三%になっておりますので、全国的には両施設とも不足しているとは言いがたい状況であるわけでございます。
 しかしながら、大都市を抱えるところにおきましては地域的に不足しているという都道府県もございます。そのようなところについては、整備を計画している場合についてはそれらに対して適切に対応してまいりたいというふうに考えております。
#60
○小池晃君 地方はあいているというわけですけれども、広域対応していくということであれば、地方の分も含めてやはり十分つくっていくべきだと。東京都の女性相談センターを私調査したんですが、ここは利用率九八・一%で常にほぼ満員の状態だということであり、多くの待機者もいるということでありますから、拡充を積極的にしていく必要があるだろうというふうに思うわけです。
 次に、母子生活支援事業についてお聞きをしたいんですが、昨年、母子生活支援施設をDVの被害者のために広域使用することが正式に位置づけられました。洗面用具や布団などの支給が予算化されました。この広域入所促進事業の昨年度の実績がどうなっているか。また、この間DVによるこの事業の活用の増減について、数字があれば示していただきたいというふうに思います。
#61
○政府参考人(真野章君) 先生御案内のとおり、母子生活支援施設につきましては、従来から母子の状況に応じまして区域外に所在します施設への入所措置をとることが可能とされておりましたけれども、平成十年の六月に福祉事務所等の関係機関にその周知徹底を図ったところでございます。
 この広域措置の実施状況でございますが、これを受けまして平成十年の実績を昨年四月に調査いたしておりますけれども、一年間の総措置件数千八百三十九件のうち五百四十五件が夫等の暴力を理由として挙げておりまして、このうち二百三十一件が広域措置ということになっております。十一年度の実施状況については現在把握中でございます。
 なお、先生御指摘がございました広域緊急入所等を円滑化するための、施設に寝具、調理器具等を備えるための広域入所促進事業でございますが、十一年度に創設をいたしましたが、全国で六十二施設で実施されておりまして、今年度におきましてもその一層の普及を図っていきたいというふうに考えております。
#62
○小池晃君 DVによる母子生活支援施設の活用というのは今後も増加傾向になっていくだろう、さらに拡充が求められていくだろうというふうに思うわけです。問題にしたいのは、そうした受け入れを行う施設の数だけではなくて、中身がどうなっているか、どういう状態になっているかということであります。
 東京都社会福祉協議会あるいは千葉県社会福祉協議会がこの間行った母子寮入居者へのアンケート、これによりますと、母子寮に対する不満のトップは施設、建物ということなんですね。全国母子生活支援施設協議会が九六年に行った全国施設調査、これを見ましても、そうした不満の中身がリアルに報告されています。全国の母子寮では築二十年といった老朽施設もあると。ゴキブリやネズミが発生する、カビが生える、排水管が詰まる、こういう衛生面での問題点のほか、利用者の声として、大地震が起きたら建物が壊れてしまうのではないかと心配、こういう意見まであるわけです。
 さらに、居室の狭さも非常に大きな不満となっておりまして、これは居室の面積の問題もあるんですけれども、家族の人数や子供の年齢とか性別と無関係に一律に同じ部屋があてがわれるということに対する不満が大変大きいというんですね。母親と思春期の男の子が六畳一間に寝起きさせられる、こういう実例も報告されています。さらに、おふろ、トイレを共同で使用している施設では使用方法や使用時間にもかなり制限が加えられております。
 この全国母子生活支援施設協議会の調査によりますと、入居者が母子寮に望むことのトップは、これは断トツ八一%でプライバシーの確保となっているわけですね。居室の基準の拡大や、あるいはふろ場、トイレの個室化が推進されているというふうに聞いているんですが、非常に多くの施設が劣悪なまま放置されております。九八年度の全国調査でも、戸別トイレがついている施設が五四・八%、半分ちょっとですね。それから戸別浴室の施設が二七・二%という到達であります。
 DV被害者の受け入れ推進、これを図るのであれば、施設の数とともに中身も含めて改善が急務ではないかというふうに思っておるんですが、いかがでしょうか。
#63
○政府参考人(真野章君) 母子生活支援施設は、設置されました年代が古いということがございまして、先生御指摘のようなアンケートに出ておりますように、現在の居住水準から見ますと十分でないという状況が多いというのは私どもも認識をいたしておるつもりでございます。
 これまでも、従来一世帯一室という施設整備から、施設内の七割を二DK、三割を一DKとするというような基準の改善を行いますとか、また平成五年には浴室、トイレを居室内に整備するということで、現在では六十・四平米、居室一世帯当たり三十六・三平米ということで、私ども、現在、整備をしていただきます母子生活支援センターにつきましてはそれなりの水準になっているのではないかというふうに思っております。
 ただ、先ほど冒頭申し上げましたように、残念ながら母子生活支援施設につきましては、戦後すぐといいますか、かなり古くなっているというものが非常に多うございまして、私どもその施設整備につきましても、都道府県に対して、現状をよく調べて新しくつくり直すというような指導をいたしておるわけですが、昨今、大変都道府県の財政状況等も厳しいというようなことから、なかなか整備が進んでおりません。ただ、施設整備費の予算そのものは私ども都道府県からの要請があればいつでも対応できるような確保をいたしておりますので、今後ともその施設整備に努めていきたいというふうに思っております。
#64
○小池晃君 基準が改善されているということは承知しているわけでありまして、それが実際ほとんど拡大されていない、古い施設が残っているということであります。やはり最も困っている人にこういう政治の光を当てるべきだということをぜひここでは強調しておきたいというふうに思うんです。
 さらに、公的な施設のほかに、DV被害者を助けている民間シェルターの苦境についてであります。
 これはたびたびこの調査会でも議論されてまいりました。私が調査した大阪のあるシェルターでは、福祉事務所とか児童相談所などの公的機関からの保護依頼、これをたびたび引き受けているのに公的補助は一切ないんだ、一円もないんだということを言われていました。主要な財源はシェルターを支える会の会費と寄附金で、これが収入の七割を占めている。あとは大人一泊千五百円の利用料とバザーなどで賄っているということです。逃げ込んできた女性の将来の自立を考えると、千五百円の利用料を上げることはこれ以上はできないだろうと。常勤職員は三名、給与は十万円から十三万円。あとは三十人の無償のボランティアで運営をしている。夜間の駆け込みとか生活相談などで職員はしばしば深夜になるまで働いているが、残業手当などはもちろんないんだということでありました。
 こういう公的機関と共同するシェルターに対しては自治体が調査費などの形で一定の補助を行う例も出てきております。ぜひ公的補助の検討を、これは前回も議論したんですが、再度、私、求めたいと思うんですが、いかがでしょう。
#65
○政府参考人(炭谷茂君) いわゆる民間シェルターにつきましては、先生御指摘のように多様な役割を果たしているわけでございますが、その機能や実態はそれぞれさまざまであるというふうに聞いているわけでございます。
 このような民間シェルターに対する助成をすべきというお尋ねでございますけれども、現在、厚生省ではこのような一時保護、また緊急的な保護に対しましては、例えば、先ほど来議論になっておりますような婦人相談所、婦人保護施設というような公的施設で受け入れるという対応をしているところでございます。
 今後は、男女共同参画審議会において女性に対する暴力の問題についての総合的な検討が行われる中で、民間シェルターの果たすべき役割等についての議論が深められれば、その結論を踏まえまして検討を加えるべきであるというふうに考えております。
#66
○小池晃君 民間シェルターに対する考え方が前回の議論のときよりはちょっと変化したのかなというふうに受けとめております。ぜひこれは前向きに、公的シェルターでカバーできない多くの方々が民間シェルターによって救われているという実態があるわけですから、これは前向きに検討すべきだというふうに考えるものです。
 では、以下、警察庁と法務省に質問をしたいというふうに思います。
 まず警察庁なんですが、先ほども若干議論がありましたが、埼玉県の桶川事件の問題であります。
 これは、女性が被害者になる犯罪について従来から厳正に対処して、職員の啓発と被害者への相談活動の推進を図ってきたというふうにおっしゃるわけでありますが、現実には埼玉県の桶川事件、これはストーカー被害を受けた女子大生とその両親が六回にわたって警察に相談をしたけれども警察官が告訴を握りつぶしてしまった、ついに女子大生は殺されてしまったという事態になっているわけです。
 これは、埼玉県警におけるドメスティック・バイオレンスやストーカー犯罪に対する職員啓発というのは不十分だったのではないかというふうに私は思わざるを得ないんですが、この実態はどうなっていたのか御報告をお願いしたいと思います。
#67
○政府参考人(上田正文君) 埼玉県警察におきましては、夫から妻への暴力事案やいわゆるストーカー事案等、女性に対する暴力事案に関する教養につきましては、人権擁護の見地、あるいは犯罪の予防、取り締まりの見地及び被害者対策の見地から教養を実施しているものと承知をしております。
 具体的には、各級幹部による指示、教養を実施しているほか、警察本部による署職員に対しての巡回教養や、被害者対策、カウンセリング技術、性犯罪捜査等に従事する職員に対しての専門教養が行われていると承知をしております。
 しかしながら、桶川事案をめぐり捜査が大変に緩慢であった上に不適切な対応があったことはまことに遺憾でありまして、やはりこの原因は指示や教養が十分に浸透していなかったことだと思います。
 埼玉県警では、こうした反省に基づき、今後この種事案に対する適正な捜査に一層の努力をするとともに、四月一日付で県下三十七のすべての警察署に困り事総合相談室を設置し、専従の相談員を配置し、女性に対する暴力を初めとした各種の困り事相談に対しては親切かつ積極的に対応し、犯罪の未然防止活動を徹底するよう指示したとの報告を受けております。
 警察庁におきましても、困り事相談業務の強化や、この種事案の適正な処理に関する教養が継続的に行われるよう都道府県警察を指導してまいりたいと考えております。
 以上です。
#68
○小池晃君 法務省にお伺いしたいんですが、先週四月十三日に超党派の議員で学習会が行われまして、アメリカの検事や市民運動家からDV対策の生々しい報告を受けたわけであります。これまで本調査会でもアメリカのDV法がたびたび取り上げられて、既存の刑法との関係なども議論になってまいりました。
 前回、学習会での報告を受けてはっきりしたのは、アメリカの制度というのはともかく被害者救済を第一義に置いているということであります。被害者からの申し立てがあれば即座に裁判所の判断で保護命令を発して、加害者と引き離して被害者の安全を保障する、刑事訴訟による手続とか加害者を法的に罰するかどうかの決定などはその後に審議をするんだと。また、被害者の身柄を守るために警察官が十分に働かなかった場合は、それを訴追し処分するシステムも確立されているというふうに報告を受けました。
 緊急時に被害者救済をとにかく第一義に置いて、とにかくそのことで手を打って、そこからいろんな問題を処理していこうという考え方のシステムは、私は研究に値するのではないかというふうに思うんです。こういう方向をもっともっと研究するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#69
○政務次官(山本有二君) ドメスティック・バイオレンスや性的虐待などの女性に対する暴力は、被害者に深刻な肉体的、精神的苦痛を与える重大な人権侵害であり、法務省の人権擁護機関といたしましても従前より人権啓発活動や人権侵犯事件の調査処理等を通じてこの問題に取り組んでまいりましたが、近時深刻な事例が相次いでおり、この問題は緊要な課題であると認識しております。
 女性に対する暴力を含む人権侵害があった場合の被害者救済制度のあり方につきましては、現在法務省に設置されております人権擁護推進審議会におきまして調査審議がなされており、その結果も踏まえ、法務省といたしましてこの問題についてさらにどのような取り組みができるか検討してまいりたいと考えております。
 以上です。
#70
○小池晃君 いえ、私が聞きたいのは、そのDVの対応というときに、考え方として、とにかくその被害者の救済にまず第一義的な位置づけをして対応していくという考え方、これは検討に値するのではないかということの御意見をお伺いしたかったんですけれども、いかがでしょうか。
#71
○政務次官(山本有二君) 十分検討に値すると思います。
 先生御指摘の米国における保護命令、こういった制度も順次法務省として調査いたしまして今後の立法の資料にさせていただきたい、こう考えております。
#72
○小池晃君 終わります。
#73
○渡辺孝男君 公明党・改革クラブの渡辺孝男でございます。
 女性に対する暴力についての現状と課題に関する件に関しまして、まず私の方はドメスティック・バイオレンスに関しまして質問をさせていただきたいと思います。
 最初に、暴力被害女性支援ネットワークの構築の推進という観点でお聞きしたいと思います。
 夫等の暴力から逃げてくる女性の抱える問題は、精神的、身体的、経済的と広範多岐にわたっておりまして、一つの機関だけで解決できる問題ではないため、関連機関あるいは諸団体との密接な協力、連携が必要である。そういう意味で、暴力被害女性支援ネットワークというものの構築が急務であるということでございます。
 婦人相談所と医療、保健等の諸問題での連携としましては保健所等関連機関があるわけでありますけれども、経済的諸問題におきましては福祉事務所との連携、子供の諸問題では児童相談所との連携、暴力や違法行為に対しては警察との連携、あるいは離婚等の法的諸問題に関しては法務局人権擁護機関との連携などが迅速に有効的に行われることが求められているわけであります。
 そこで、日本において近年これらの暴力被害女性支援ネットワークの構築がどれほど進んできているのか、本日説明をいただきました警察庁、法務省、厚生省より客観的なデータを示していただきたい、そのように思うわけであります。
 例えば婦人相談所を例に挙げれば、関係諸機関、諸団体とのケースカンファレンスなどがどれぐらい増加してきて、それによって処理される件数がどれほどふえてきたか、そしてその結果、問題解決につながった件数がどれほど増加してきたか、あるいは解決に要した日数等が減少してきたか、そのような国民にわかりやすい客観的なデータというものを示していただければありがたいと思います。
 では、順次よろしく。
#74
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生が指摘されました暴力被害女性支援ネットワークにつきましては今年度から構築する予定で、各都道府県に対して既にお願いをしているところでございます。
 ただ、婦人相談所と関係機関との連携ということについては、このようなネットワークを持たなくても重要なことでございます。既に婦人相談所におきましては暴力被害を受けた女性からの相談が多岐にわたっておりますので、例えば福祉事務所、保健所、職業安定所、また公営住宅部局等の連携というものをとっているわけでございます。ただ、これらについてのきめの細かい統一的な統計はとっておりません。
 ただ、このような連携を示す客観的なデータといたしまして一つの御参考になると思いますのは、婦人相談所に来所した件数というものを分析いたしてみますと、例えば平成九年度の来所の相談件数六千九百二十一件のうち、福祉事務所を経由したものが約四分の一の二三・二%の千六百三件ございます。以下、警察関係が五・二%、法務省関係が、これは法務省関係というのは地方法務局などであろうと思いますけれども、三・四%となっております。
 また、平成十年度におきましては、総数八千二百四十三件のうち、福祉事務所がややふえまして二六・二%、警察関係が三・五%、法務省関係が二・一%、他の相談機関が三・五%というふうになっているわけでございます。
 今年度からスタートいたします暴力被害女性支援ネットワークを構築することによって、さらに関係機関との連携というものについて努力してまいりたいというふうに考えております。
#75
○政府参考人(上田正文君) 先ほども御説明申し上げましたけれども、警察では、犯罪被害者のニーズが大変多岐にわたっているというところから、これに的確に対応するために既に全都道府県警察においてまず県単位の犯罪被害者支援連絡協議会をつくっておりますし、また先ほども申しましたように、四月一日現在で八百八の地域、これは要するに署単位という意味でありますが、原則として署単位の地域の支援ネットワーク、協議会を既につくっております。
 さっき申しましたように、それぞれの事件によっていろいろなまさに多岐にわたる活動をしておりますので、残念ながら今委員がおっしゃったようなデータはございません。ただ、警察庁としては、関係機関との連携を強化していく上で有効であった手法、あるいは連携の結果適切な対処ができた、そういった好事例につきましては、各県警から報告を受けるとともに、他の県警が取り組みを進めていく上で参考となるように各種会議で紹介等をしております。
 今後とも、そういったふうな形で連携の好事例等について知識の共有化を図って、さらに各関係機関との連携の強化を推進してまいりたい、かように考えております。
#76
○政務次官(山本有二君) 女性に対する暴力は女性に対する重大な人権侵害であり人権擁護上到底看過することができないものであることから、法務省の人権擁護機関といたしましても、これまで積極的な広報啓発活動の展開や相談体制の充実強化に努めるとともに、具体的な人権侵犯事案につきましてはその調査、処理を通じて被害者の救済を図ってきたところでございます。
 法務省の人権擁護機関が平成十一年度中に取り扱った人権侵犯事件のうち、女性に対する暴力は受理が二千二百八十八件、処理が二千二百八十七件、ストーカーは受理が百三十九件、処理が百三十八件です。人権侵犯事件の調査、処理に当たりましては、婦人相談所等々、連携協力し被害者の救済を念頭に置いた対応をとるよう法務局等に指示しているところでございまして、法務省の人権擁護機関といたしましても、今後とも、ネットワークの強化に努めながら女性の人権擁護に対する取り組みをより一層充実させてまいりたいと考えておる次第でございます。
#77
○渡辺孝男君 先ほども話があったわけですけれども、いろんな機関をつくるということだけでは実効性が本当に上がっているのかどうかわからないということで、何らかの分析手段をもちまして、各年度本当に連携がよくなっているんだ、それによって効果的にDVに対する対応ができた、被害者に対しても本当に十分な対応ができたというような、こういう資料が出るように、国民にわかりやすい、あるいは世界に対して示せるような客観的なデータというものを集めていただいた方がよろしいのかなというふうに思うわけでありまして、その点努力していただきたい、そのように思います。
 では次に、これは厚生省にお聞きしたいと思うんです。
 先ほども御説明はあったんですが、より詳しくお聞きしたいんですけれども、婦人相談員に関しまして平成十年度で六百五十九人おる、婦人相談所の相談件数は五万三千三百七十四件と資料では報告されておりました。その中で、婦人相談所において実際に面談して相談になった件数というものはどのくらいあるのか、またその中で他の機関との連携を特に要した件数というのはどの程度あるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#78
○政府参考人(炭谷茂君) 婦人相談所へ来所されまして相談した件数につきましては、平成九年度は六千九百二十一件、平成十年度では八千二百四十三件となっております。
 また、相談に当たりまして他の機関との連携をして処理した件数についても、逐一統計はとっておりませんけれども、婦人相談所で一時保護を行った後の処理状況を申し上げますと、処理件数二千三百四十一件のうち、これは平成九年度でございますが、六・六%の百五十四件が福祉事務所へ対応をお願いし、他の都道府県への依頼が一・八%の四十二件、病院へ依頼しましたのが四・六%の百七件となっております。また、平成十年度につきましては、処理件数三千八十七件のうち、福祉事務所が九・二%の二百八十三件、他の都道府県が一・四%の四十三件、病院などが五・二%の百六十件となっております。
#79
○渡辺孝男君 諸問題の解決に当たりましては精神的な支援というものも非常に重要でありまして、専門的人材の確保に厚生省としても取り組んでいるということでございました。厚生省として、婦人相談所に専門的人材である心理判定員を配置するように努力されているということでありますけれども、この点どのように改善されているのか、大野政務次官からお聞きしたいと思います。
#80
○政務次官(大野由利子君) お尋ねの心理判定員でございますが、平成九年度が五十八人、平成十年度が六十人ということで、わずかではございますが増加をしている状況でございます。
 今後とも、暴力被害女性支援ネットワークを実質の具体的な相談に応じて、また多種多様な相談に応じてきちっと対応ができるように、関係機関との一層の連携が図られるように努力をしてまいりたいと思います。
#81
○渡辺孝男君 ありがとうございます。
 もう最後の質問になるんですけれども、実は私は山形の米沢というところにおるんですけれども、その中でDVと思われる事件がございました。一般のホテルの中で宿泊客がパートナーによって殺害されてしまったというようなショッキングな事件がございまして、やはりこのDVに対する対応というのは非常に大事だなというのを痛感したわけでございます。
 そこで、これは警察庁、法務省にお尋ねいたしますけれども、夫からの暴力事案の平成十一年度の検挙件数というものは、平成七年当時と比較しますと殺人事件はほぼ横ばい状況でありますけれども、暴行傷害事件は増加していると。これは、潜在的なものを含めて暴行傷害事件そのものの総数が増加しているためなのか、あるいはドメスティック・バイオレンスに対する国民の認識が深まって事件が顕在化するようになったためにふえてきたのか、その点、警察庁、法務省の見解をお聞きしたいと思います。
#82
○政府参考人(上田正文君) 今、委員が言われましたように、傷害全体の検挙の件数、これはこの五年間で一万五千件強でほぼ横ばいでございます。ただ、暗数の部分はわかりませんのであくまで検挙した件数でございます。その一方で、夫から妻に対する傷害の検挙件数は平成七年が二百三十九件であるのに対し、平成十一年は三百七十五件と増加の傾向にあります。
 この原因につきましては、正確な理由はわかりませんけれども、夫から妻への暴力事案についての社会の意識が高まってきたことがそのあらわれではないか、そういうふうに感じております。
 以上です。
#83
○政務次官(山本有二君) 法務省におきましては、犯罪被害に関する実態調査として、平成十一年に犯罪被害の実態、被害回復の状況、被害者の意識等を把握するために被害者等に対するアンケート方式による調査を実施し、さらに同十二年には警察に届けられていない暗数も含む犯罪被害実態調査を実施しております。
 このうち、平成十二年の犯罪被害実態調査の結果によりますと、二千二百十一人の回答者中、過去五年間に二名、約〇・一%が配偶者、パートナーから暴行、脅迫の被害を受けましたと回答がございます。しかし、いずれも警察に届け出ていない旨回答しております。しかし、これらの調査からは、お尋ねの点、すなわち被害女性の意識の変化でふえたのかどうかにつきましては、いずれも明確にはお答えしがたいところでございます。
#84
○渡辺孝男君 やはり、そういうDVによる暴行傷害事件の総数がふえているのか、あるいは国民の意識が高まってきて事件が顕在化するようになってふえてきているのか、これは大事な問題でございますのでよく分析していただいて、総数がふえているのであれば本当に一生懸命やらなきゃならないし、逆に総数は減っているんですけれどもドメスティック・バイオレンスに対する国民の意識が高まってきているというのであれば、そのドメスティック・バイオレンスの啓蒙をさらに進めていって、予防対策あるいは相談等をきちんとしていくという対策に焦点を当てればいいということになりますので、そこはやはりきちんと分析をしていただいて実態を把握していただきたい、そのように思うわけであります。
 これは別なあれになりますが、最後になるので少しお話しさせていただきますけれども、一九九五年の夫や恋人からの暴力調査研究報告書では、ドメスティック・バイオレンスを解決するために必要なことに対する回答で多くの方が指摘しておりました項目は、被害を受けた女性あるいは加害者へのカウンセリングの充実、シェルターなどの避難所の設置、公共の相談機関の充実などでありました。そのほかに、やはり家庭裁判所の適切な対応や、夫や恋人からの暴力を取り締まる法制度の整備を求める声も約半数上がっておりました。
 今後も、各省としましてはこれら国民の声に誠実に対応していただいて、DVの発生防止に一生懸命取り組んでいただきたい。私の地元でも本当に大変な事件が起きたということで、大変な騒ぎになったわけでありますけれども、そういう形での被害者をやはり一人でも少なくしていくということが非常に大事なことである、そのように思いますので、今後とも対応をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
#85
○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。
 この会が始まるに当たりまして、女性に対する暴力についてそれぞれ状況について御説明をいただきました。こんなに詳しくいろいろやっておられるのになぜいろんなことが起こるんだろうかと不思議に思うくらいでございます。
 今、四つの政党から現状も報告をされたわけですけれども、こういう状況はだんだん件数が多くなってきているわけですけれども、それぞれのところで一生懸命やっておられるにもかかわらずなぜ多くなっていくのか、ではそれはどうすればいいのかということで、今も渡辺議員の御質問に対してお答えになりましたんですが、それぞれに関しまして警察庁、法務省、厚生省、それぞれまた御検討いただいた結果でもいいし、こういうことをしたらいいのではないかということも含めましてお話しいただければと思います。
 まず警察庁からにします。
#86
○政府参考人(上田正文君) 各行政機関が努力をしたにもかかわらずなぜふえていくのか、どうすればよいのか、こういう御質問だと思います。
 警察として申しますと、先ほどもいろいろ御説明いたしましたけれども、国民が夫婦間暴力について気軽に相談できる、そういう体制をやはりきちっとつくって、そして相談に行っても気持ちよくいろんな話ができる。また、単に事件検挙だけではなくて、仮に被害者の意思として事件にはしないでうまくおさめてほしいというものについても、いろいろな支援が警察といろいろな機関、団体との連携によってできる、そういう仕組みづくりをさらに一層推進しまして、しかも、そういうふうにやっていますということをもっともっと社会にPRをして理解していただくということによってドメスティック・バイオレンスの数を減らすということができるのではないだろうか、こう考えております。
 以上であります。
#87
○政務次官(山本有二君) まず、犯罪に至る場合に対しましては、厳正に処断していくということによって将来の抑止を考えておる次第でございます。そして、人権擁護事案につきましては、適宜適切な処理を通じてまた鎮圧に努める。さらには、そこまで至らない、単に夫婦げんかというようなところでは社会的に啓発活動に努めていくというように考えておる次第でございます。
#88
○政府参考人(炭谷茂君) 厚生省といたしましては、これまでいわば売春防止法の機関で取り扱ってきたというところに一つの問題があるんじゃないかというふうに思っております。
 やはり私どもとしては、昨年四月にはっきりと売春防止法の対象でないような、いわば家庭内暴力で被害を受けている女子に対し、それをもって婦人相談所また婦人保護施設で取り扱うということを明確に出してきたわけでございます。
 ともすれば、私どもの福祉サイドの立場になりますと、このようなドメスティック・バイオレンスというのは自分たちの仕事じゃないんじゃないかというようなことを思っている福祉関係者も中にはいるんじゃないか、そういう方は少ないだろうと思うんですけれども。ですから、私どもの福祉サイドでは、例えば福祉事務所、民生委員その他たくさんの社会福祉協議会もございます。このような方々がドメスティック・バイオレンスもやはり福祉サイドとしてやるべきことがたくさんあるんだということをしっかりと認識していかなくちゃいけないんじゃないかというふうに思っております。
 この中において、先ほど来御議論になっておりますような、いろいろな民間のNPOの方々は大変立派な活動をされております。そういう方々も私ども福祉サイドと手を組んで一緒になってやっていく、いわば福祉サイドとして、ドメスティック・バイオレンスというのは自分たちの問題ではないということでは決してなくて、自分たちの問題である、福祉の問題でもあるんだということを正面からとらえまして対応していくということが必要ではないのかなというふうに思っております。
#89
○三重野栄子君 どうもありがとうございました。
 やはりそういうことがまだ十分でないためにということもありますし、そこまでいかなくても民間同士でやっていこうという希望の方々もあると思うんですけれども、それはそれなりとして、今民間とも協力していこうというお話もございましたが、それを積極的にするにはどこの省がどういうふうにやるんでしょうか。
 今、それぞれのところがもっと広げたいと思っておられるんですけれども、そういうのをもっと広げていかなければ知らない面もありますし、それから民間のシェルターの皆さんも随分困っておられる面もございます。そこらあたりを都合よくと言うと語弊がありますけれども、もっと有機的に連携しながらやれる方法というのはないものでしょうか。
#90
○理事(南野知惠子君) どなたにお尋ねでございましょうか。
#91
○三重野栄子君 一つ一ついかがでしょうか、今の順序で。
#92
○政府参考人(黒澤正和君) ただいま御指摘の点でございますけれども、やはりそれぞれの機関におきまして得手不得手の分野というのがあろうかと思います。それぞれの立場から得た情報を発信する、情報を関係機関でまさに有機的に共有化を図って連携していく。それぞれがそれぞれの立場で、やはり切り口が違いますと得られる情報、問題点というのは違うわけでございます。
 かような意味では、どこが中心になってと言われると、それぞれのケースに応じてそれぞれが中心となってと、抽象的にはそういうことになるのかもしれませんが、やはり関係機関が集まって、そしてまた、これは官民含めてでございますけれども、情報を共有化し、連携してこの問題に対処していく、そういうことが大事ではなかろうかと考えます。
#93
○政務次官(山本有二君) まず、ドメスティック・バイオレンスという暴力に至った現象面をとらえますと、法務、検察の仕事になると思いますけれども、原因面で考えてみますと、精神的なストレスだとかあるいは葛藤、そういうものが家庭の中で爆発するわけでありまして、それに対して法務、検察が何かするということになりますと、間々誤解やあるいは国家権力の横暴等々あり得る可能性もございます。そこは引かなきゃならぬと思いますが、その意味では政府全体として取り組むべき話でありまして、特に原因面におきましては、時に治療という観点も必要でありますし、若いころの教育ということもさらに必要でないかというように思いますので、政府全体として取り組むべき課題であろうというように考えております。
#94
○政務次官(大野由利子君) 法制面を含めまして女性に対する暴力への対応につきまして、現在、総理府の男女共同参画審議会において検討されているところでございますし、この検討結果を踏まえまして政府としてしっかり取り組んでいく課題であろうと、このように思っております。
#95
○三重野栄子君 ありがとうございました。
 何かこの共生社会の役割が出てきたようなお話でございまして、これから私どもも研究していかなくちゃならないことだと思っています。本当に縦割りの問題と、やはり総合的、有機的にやっていくというのは、これから重要だというふうに思います。
 それでは、少し個別に、もう私の時間は少ししかありませんけれども、法務省にお伺いいたします。
 日本人の男性と結婚していた外国人女性が夫からの暴力に耐えかねてシェルターに逃げ込む例が非常に多くなっているようでございますけれども、これらの女性は、夫と別れることがみずからの在留期間の問題に直結するものですから、事態が深刻になっている場合が少なくありません。特に、子供を抱えた外国人女性が暴力を振るった夫と離婚をし、不法滞在となったまま、言葉や文化的な問題を抱えながら何の公的援助も受けられなくなっているようなケースがややあるわけでございます。柔軟に対応する必要がないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#96
○政府参考人(町田幸雄君) お尋ねのような場合、通常の場合で考えますと、その女性の入管法上の在留資格は「日本人の配偶者等」というような形で日本におられるんだと思います。そういうことを前提にして御説明させていただきたいんですが、そういう場合、その方に子供さんがおられて日本人の実子がいるという前提でありますと、特に養育監護を必要とする日本人の実子を扶養するために本邦在留を希望する外国人の親につきましては、その親子関係、当該外国人が実子の親権者であること、現に実子を養育監護していることが確認できますれば在留資格を「定住者」という在留資格への変更を柔軟に許可するように、そういう方向で考えております。
 それから、そういう日本人の実子がいないような場合にはどうかということもあろうかと思いますが、そのような場合は、その方の在日のいきさつ、あるいは日本人との婚姻が実体を伴っていたものかどうかとかその期間がどのくらいであったかとか、あるいは生活の状況、そういったことを含む在留の状況等を総合的に考えまして在留資格の変更を認めるに足りる相当の理由があるかどうか、そこを検討することになるわけですが、その次第によりまして「定住者」とか、あるいはほかの適切な在留資格が認められる場合にはその在留資格への変更を許可するということになるわけですが、若干そういう実態面を見ないと、個別ケースの判断ということになろうかと思います。
#97
○三重野栄子君 離婚をしたらもとの外国人になったということになってはこの方は随分大変なことでございますから、よりよい方法をぜひ見出していただきたいと思いますし、私も具体的なことについては御相談させていただきたいというふうに思います。
 それから、警察庁にお伺いしたいんです。新潟の事件でも明らかになったんですけれども、通報がありますと現場に駆けつけるけれども、警察官自身がストーカーを行ってきたような不祥事も報道されておりますし、なかなか大変だと思います。
 それで、仮に出動しても、妻の通報に対して夫に痴話げんかだからお帰りくださいというふうに言われた場合には、具体的にはどういうふうになさっておられるでしょうか。
 それから、そういう問題は夜中に起こることでございますからいろいろ事故もあるかと思うんですけれども、いかが対応されているかちょっと伺います。
#98
○政府参考人(黒澤正和君) お尋ねの、例えば一一〇番通報がございまして臨場いたすわけでございますけれども、行きました際に暴力行為が今現に継続中である、そういった場合は、当然といえば当然ですけれども、直ちに制止をいたしますし、また、現場の状況などに応じまして、これはケースによっていろいろでございますけれども、被害者について救護を要する、もちろんそういう場合に救護をいたしますし、それから現行犯逮捕をしなければならない場合もあろうかと思います。いずれにしましても、ケース・バイ・ケースとしか言いようがないのかもしれませんけれども、所要の適正な措置を講ずることといたしておるわけでございます。
 また、経験則上、夫婦間の事案の場合にはどうしても、被害者が処罰意思を表明できない、あるいは日が変わるとまた変わってしまう、そういったケースもございます。ですから、行った場合に、警察に一一〇番して連絡してみたものの警察を呼んだ方が、いや、帰ってください帰ってくださいという場合もありますでしょうし、そういったところは大変、処罰意思を表明できないあるいは変わる、そういった問題もございます。また、その場だけではなくて、例えば別途改めて、日を改めて事情聴取をする、あるいは警察署等で場所を変えて、離してといいますか個別にいろんな話を聞くとか、被害者の心情に配慮した取り扱い、対応をしておるというのが現状でございます。
#99
○三重野栄子君 ありがとうございました。
 最後に、一点お願いします。
 厚生省にお願いしたいんですが、婦人相談所の機能を強化して頑張っていただいておりますけれども、私どもはその範囲内でうまくいかないところもあるかと思います。ですから、家庭内暴力防止法というような新しい法律をつくったらどうかなというふうに研究をしているのでございますけれども、やっぱりDVに対処するための何らかの新たな立法措置が早急に必要ではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#100
○政府参考人(炭谷茂君) これは、ただいま議論になっておりますように、現在総理府の男女共同参画審議会において御議論をされているところでございますので、その御議論を待たなければいけないんじゃないのかなというふうに思っております。その議論には私どもも参加させていただいているわけでございます。
 ただ、私ども厚生省の立場だけで申しますと、先ほど来御議論になっておりますように、福祉サイドだけでは不十分じゃないのかなと。やはりこれは、司法的な取り扱い、また警察的な関与も必要であろうかと思いますので、それらの総合的なアプローチが必要で、単に厚生省だけの守備範囲でやることについてはやはり不十分な法制になってしまうんじゃないのかな、政府全体として検討すべき課題ではないのかなというふうに思っております。
#101
○三重野栄子君 ありがとうございました。
 終わります。
#102
○堂本暁子君 参議院クラブの堂本暁子です。
 先ほどから皆様おっしゃっていますように、先日、エリザベス・シャイベルさんとおっしゃるマサチューセッツ州ノースウエスタン地区の首席検事の方と、それからスーザン・ローン首席検事補佐兼DV対策課長という二人のアメリカの検事さんが見えまして、本当に私は、一つの警察というかそういう考え方を覆されたような気がするんです。
 今まさに局長がお答えになったように、そのときにくるくる言うことが変わるし、夫婦だしというようなことをおっしゃいましたけれども、私がやはり一番感動したというか、さすがアメリカと思いましたのは、徹底的に被害者を守ることと、それから、その任に当たった警察官の職能と申しますか、それをきちっと保護しているということなんです。
 とにかく通報があった場合、その現場へ行って、その人が血を出していなくても、あざがなくても、夫が暴力を振るったと言ったらばとにかく警察官はそこにいなければいけない。それから、夫がもし家を飛び出した場合は、夫が逮捕されるまでその場を離れてはならないということが規定されている。その場を離れて、もし夫が戻ってきて実際に何か起こった場合、その警察官は訴追されるけれども、逆にその事件が無罪になった場合でも、その警察官は職務を遂行したということで、警察官を訴追することはできないというところまで決まっている。したがって、警察官は思い切ってその場で踏み込めるわけです。
 今まさに局長が、後になっていろいろ意見も変わるし、その場でも変わるしと。ですから、アメリカの場合も、直ちに妻が電話ででも、もう夫を罰することはやめてくださいということになれば取り下げる、白紙撤回してくれと言ったら取り下げるというようなことをするというところまで聞きまして、非常に驚きました。しかし、現場では完全に踏み込んで守り抜くわけなんです。
 私のここに最初にお願いした質問はもう先ほどからるる出ているので繰り返すことはしないでおこうと思いますが、日本では民事不介入ということでなかなかそこまでなさらない、またやれないんじゃないかというふうに思うんです。しかし、現実の問題としてはそういう現場が起こる。そうした場合には実際にどういう法律でどのように今の現行法で対応できるのか。アメリカのようにプロテクションオーダー、保護命令というのがきちんとできれば警察官も堂々とそれに対応できると思うんですが、現在はそういう法律が日本にない以上、警察官はちゅうちょしなければならないようなことが起こるんじゃないかと思うわけです。
 その点について、警察は具体的に法律ができるまでの間、どのようにして対応なさるおつもりなのか伺わせていただきたい。
#103
○政府参考人(黒澤正和君) 御案内のとおり、警察は個人の生命、身体、財産を守ることを責務としております。また、民事不介入の原則とよく言われるんですけれども、民事上の問題であるからといって警察がこれに関与してはならない、関与を禁止する法制度というのは実はないわけでございまして、今申し上げました責務の範囲内で民事に関与することができる、これは法制的にはそういうことになるわけでございます。
 したがいまして、家庭内のことでありましても罰則法令に触れる事案につきましては、これは厳正に対処するといいますか、刑事手続を進めればいいわけですが、刑事手続に触れない事案につきましても、やはり国民の生命、身体、財産を守る責務を持っておるわけですから、ケース・バイ・ケースでございますけれども、事案に応じた適切な自衛・対応策を、例えば被害者の方に教示する、あるいはバイオレンスを働いている相手方へ必要に応じて指導警告をする。被害者の立場に立ったそういった適切な対応に取り組んでいるところでございまして、罰則法令に触れない場合につきましても、今申し上げましたようなことを、国民の生命、身体、財産を守るという観点から、任意の世界ではございますけれども、対応いたしておるということでございます。
 お尋ねのプロテクションオーダー制度でございますけれども、そうした制度について検討いたしますことは、女性に対する暴力問題につきまして警察がどのような役割を担うべきものなのか、いろんな角度、観点から議論されるべき問題かと存じますが、海外における法制度の一つとして私どもも勉強材料、参考とさせていただきたいと考えておるところでございます。
#104
○堂本暁子君 私は、例えば今、局長おっしゃったようなことでも、やはりプロテクションオーダーがあるからアメリカだと相手が逮捕されるまでは、その場では、とにもかくにも少なくとも十日間逮捕して勾留するそうですけれども、その期間に妻の方も気が変わったりいろいろすると。しかし、そこまでなかなかできないと思うんです、現行犯逮捕ということが。今けがもしていない、あざもない、それでも逮捕するということは日本の法律でなかなかできないと思うんですけれども、やはりそういうことをとにかくその場でやると。逃げちゃったら逮捕するまで妻のそばを離れてはいけないなどというところまで日本はなかなかやっていないと思うんです。
 だから、二次的にもっと、何で警察を呼んだんだといってもっとひどい暴力に遭うということだって起こるわけでございまして、その辺のところはやはり相当発想を変えていただきたいというふうに思います。
 厚生省に、政務次官に伺いたいんですけれども、やはり同じようなことなんですが、この間お会いしたこれは日本の婦人相談員の方、やはりシェルターを三カ所追っかけて探し出してしまったと、夫が妻を。結局加害が相談員自体にかかってくる。これはやはり今の警察官の場合と同じなんですけれども、妻に対しての暴力が今度は相談員の方に来てしまう。大変危ない。だから、きちっとそういった国で夫が入れないようなシェルターがあるとか、それからアメリカの場合なんかそのようですが、絶対にばれないところに隠してしまう。日本の場合はみんなばれるわけです、どこにあるかわかっているから。
 だから、そういうような、完全に、やはりカウンセラーにしろそういうやる方たちが困るような、困るというか危害を加えられるようなことは避けた方がいい。やはり仕事をする方の人が思い切ってできないというのはとても困ることだと思っておりますが、いかがでしょうか。
#105
○政務次官(大野由利子君) 委員の御指摘のとおりではなかろうかと。安心してそれはきちっと女性の暴力からの保護に全力を挙げれるようにすべきではなかろうか、このように思っております。
#106
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 先ほど、私の法務省への質問はさんざんもう出てしまったので、その先を伺いたいと思いますが、山本政務次官、今、審議会で審議している途中なので結論を得てとおっしゃいましたけれども、二つ伺いたいと思うんです。一つは、いつごろをめどに結論を得ようとしていらっしゃるのか。なぜならば非常に緊急性があるからということなんです。
 果たして総数がふえたのか、それともこういうものが発覚し出したのかという御質問がありましたけれども、アメリカで起こったことは大体十年すると日本に上陸するとよく言われているんですが、私がマサチューセッツの資料を読んで非常に驚きましたのは、マサチューセッツ州では十三日に一人の割合で夫やパートナーから女性が殺された。これはもう大変なことで、結局連邦としても九四年にはバイオレンス・アゲンスト・ウイメン、女性に対する暴力防止法が国としてできて十六億ドルの予算がつく、十六億ドルというのは物すごいお金なので私もびっくりしました。そのほかにマサチューセッツは州としての予算があり、法律があり、それでプロテクションオーダーもあるわけです。そこへもってきてスタッフは百人、エリザベスさんの下にはいると。
 一番力を入れているのがやはり予防です。そして、その目的としては、犯罪の予防と安全のための情報提供ということで、仕事の八割ぐらいは、こういうことをしたら罰せられるんだということの宣伝をしているらしいんです。実際に一回逮捕された夫はそれっきり二度とドメスティック・バイオレンスをやらないケースもあるそうです。そういかないケースもあるそうです。
 私は、法務省にどうしてもこの際お願いしたいのは、先ほど厚生省も国全部としてとおっしゃいましたけれども、やっぱり十三日に一人という割合で亡くなるということは、もう一週間に一人ぐらいどころか数え切れないほどの方が暴力を受けている。これではやはりもうかなわない。さっき政務次官おっしゃったようにストレス、私もエリザベス・シャイベルさんに何が原因だとお思いになりますかと言ったら、経済的、社会的な現代のストレスとそれからあとはドラッグ、麻薬とアルコールだと、これが現代的な理由であるというふうにおっしゃいました。まさにそうだと思います。
 これが日本に上陸する前に私は予防策として国としてできるだけ早く対応していただきたいと思うのですが、そこに対しての政治家としての御答弁をぜひ最後に伺わせてください。
#107
○政務次官(山本有二君) 先ほどの回答の審議会の結論の時期の御質問ですが、平成十四年三月末までには回答させていただきたいというように考えております。
 そして、次の御質問であります。
 これは私の個人的な考え方としてお話しさせていただきますが、いわゆる保護命令の制度につきまして、これは米国の保護命令ですが、裁判所が家庭内暴力事件等において家族の構成員を保護するために出す命令であり、その違反に対しては裁判所侮辱罪という制裁措置が背後にあるということでございます。
 したがいまして、若干日本と制度的な意味で、裁判所侮辱罪等がないということからして、導入できるかどうかについては検討をこれからしていきたいと思いますが、ただ一つ、現行法体系の中で暴行罪という罪が既に日本の刑事法の中にはございます。これは違法な有形力の行使でありまして、あざもできなければ傷もできないという段階での措置ができるわけでございまして、その意味におきましては、むしろ被害者の方が強固な科罰意思、暴力に対する徹底した嫌悪感というものを終始一貫持っていただくことによって、私は家庭内暴力というものも被害者の立ち上がりから排除できる法的材料はあり得るというように考えるところでございます。
#108
○堂本暁子君 次官、そこはやはり女性、それは大変微妙な夫婦の間のことで、もう自分は被害者だとわめいていれば、それで離婚するというふうにわめけば簡単なんですね。
 それで、アメリカの場合も、実は離婚ということをしない限りは犯罪にならなかったのが何年かまでだったわけです。今は離婚を申し出なくてもそういう措置がすべてとられるようになった。それは結局、暴力さえなくなれば、子供がいたりなんかした場合やはり夫婦として継続して関係を続けていきたい場合があるわけですね。ですから、非常に揺れるわけです。
 ですけれども、何とかして暴力をどうやって排除していくかというところで、確かにこれは今までの犯罪と相当性格が違うと思います、家庭の中であったりして。ですので、その辺のところを、女性がそのときにはもうひどい目に遭ったと言っても、それから一日たったらやっぱり気が変わる。さっき局長もおっしゃった。そういうことが日本だろうがアメリカだろうが起こるような性格のものだ。しかも、なおかつこれをできるだけ、女の人が骨折したりあざだらけになる。たまたまきのう私が会った女性もひどい暴力に遭って、お子さんが五人もあるのに離婚したと。肋骨は二本折られたし、顔じゅういつももう、鼻は半分曲がりかけたと。酔っぱらって帰ってきて、大体意識不明のまま殴られて、そして翌朝目が覚めたときはほとんど覚えていない状態で照れくさそうだったと、こう言っていました。
 十年結婚しておられたわけですが、そういうようなケースの場合、その暴力さえ何とか抑えられればもっと離婚しなくて済んだかもしれない。その辺のところを考えますとやはり非常に微妙ではございますが、どうぞよろしくお願いをいたします。
 どうもありがとうございました。
 終わります。
#109
○理事(南野知惠子君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後四時三十三分散会
ソース: 国立国会図書館
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