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2000/04/19 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
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2000/04/19 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号

#1
第147回国会 国民生活・経済に関する調査会 第6号
平成十二年四月十九日(水曜日)
   午後二時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月五日
    辞任         補欠選任
     入澤  肇君     戸田 邦司君
 四月十九日
    辞任         補欠選任
     山本  保君     益田 洋介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         久保  亘君
    理 事
                中原  爽君
                服部三男雄君
                海野  徹君
                沢 たまき君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
                松岡滿壽男君
    委 員
                斉藤 滋宣君
                田中 直紀君
                長谷川道郎君
                日出 英輔君
                真鍋 賢二君
                松村 龍二君
                吉村剛太郎君
                勝木 健司君
                谷林 正昭君
                堀  利和君
                但馬 久美君
                益田 洋介君
                西山登紀子君
                大渕 絹子君
                戸田 邦司君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        白石 勝美君
   参考人
       中央大学法学部
       教授       広岡 守穂君
       株式会社ポピン
       ズコーポレーシ
       ョン代表取締役  中村 紀子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事選任の件
○国民生活・経済に関する調査
 (「少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成
 に関する件」のうち、育児支援、育児の経済的
 負担軽減の在り方等について)

    ─────────────
#2
○会長(久保亘君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る五日、入澤肇君が委員を辞任され、その補欠として戸田邦司君が選任されました。
 また、本日、山本保君が委員を辞任され、その補欠として益田洋介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(久保亘君) 理事の選任についてお諮りいたします。
 本調査会の理事割り当て会派の変更に伴い、一名の理事の選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、会長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○会長(久保亘君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に松岡滿壽男君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○会長(久保亘君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成に関する件のうち、育児支援、育児の経済的負担軽減の在り方等について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、中央大学法学部教授広岡守穂君及び株式会社ポピンズコーポレーション代表取締役中村紀子君に御出席いただき、御意見を承ることといたします。
 この際、広岡参考人及び中村参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成に関する件のうち、育児支援、育児の経済的負担軽減の在り方等について忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず広岡参考人、中村参考人の順にお一人三十分程度で御意見をお述べいただきました後、九十分程度各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。
 質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 また、時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、広岡参考人からお願いいたします。
#6
○参考人(広岡守穂君) 広岡守穂と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
 きょう、私の意見を徴する機会をお与えくださいまして、本当にありがたく思っております。与えられたテーマにつきまして、私なりに意見を申し上げます。
 これからの時代は、私は子供を預けて育てる時代ではないかというふうに考えております。預けて育てるといいましても、何か保育所だのほかの人だのにぽんと預けてしまって、親は夜帰ってくるときに子供を引き取るだけと、そういうことを考えておるのではありません。いろいろな大人に子供が触れるあるいは友達に触れるという、そういう機会をたくさんつくって、そしてその中で子供がすくすくと育っていくという、そういうことを考えているわけでございます。親自身が伸び伸びと自己実現を果たしていくと申しますか、生きていくというためにも、また子供がすくすく育っていくためにも、私は子供を預けて育てる時代ではないかなというふうに思うわけであります。
 幾つかの経験からそういうことを考えるに至った根拠といいますか、申し上げたいと思うんですが、ついこの間も新聞にこんなことが出ておりました。
 デパートで食事をしておったら、隣の小さなお子さんがうっかりしてコップをひっくり返して水をこぼされた。すると、その水がそでにひっかかったんだそうであります。それを見てお母さんがとっさに、あら僕が悪いんじゃないよねというふうに言ったというのであります。
 考えて見ますると、こういう場合にはお母さんが厳しく子供に、まあ何てことをするのと言ってしかって、それでそのときに、水をかけられた方のおじさんなりおばさんなりが、僕が悪いんじゃないもんね、僕が不注意なんじゃないんだもんねと、こういうのが社会全体で子供が育てられるときの一つのしつけであろうかと思うのですけれども、おじさん、おばさんに、僕が悪いんではないんだよねという声をかける機会をふさいでしまって、そして子供が社会の中で自分は受け入れられて育つんだという安心感を得るということを何となくふさいでしまっているというのが現状の子育てにしばしば見られることではないかと思います。
 ちょっと極端なケースでありますが、私の経験からしましても、子供が一人目、二人目、三人目くらいまでは、どうも親は自分の子供しか見えないという傾向が強いと思います。
 私は、実は子供が五人おるのでありますけれども、運動会へ行きましても、文化祭へ行きましても、お遊戯会に行きましても、いつも自分の子供しか見ていないという感じでありました。それが、五人目の子供が中学校の一年生のときの運動会へ行きまして、それでいつその子が駆けっこで走ったのか気がつきませんでした。気がつかなくて初めて、ああ自分もちゃんとした親になったなという感じがしたのであります。
 子供が舞台のそでで踊っていると、それだけで、何でうちの子は端っこなんですかというふうにしてかみつく親が少なくありません時代ですし、真ん中で踊っている子に、君はよかったねと言って励ましてあげられるような、そういう親に親自身もまた育っていかなければいけない時代であります。かといって、こういうことを申すと、いつも最近の若いお母さんやお父さんはおかしいというふうな話になりがちなのでありますけれども、私はそうは思っておりません。ここが非常に大事なところだと思います。
 私は、実は学生結婚をいたしました。学生結婚をして、そして間もなく長男が誕生したわけであります。私は、子供が生まれて、そして連れ合いが赤ん坊とずっと二十四時間一緒にいるのを見ておりまして、かわいい赤ちゃんと一緒におれるのだからこんなに幸せなことはないのだというくらいにしか最初は思っておりませんでした。しかし、一年置いて二人目の子供が生まれたあたりから連れ合いはしばしばこぼすようになったわけであります。ずっと子供と二十四時間一緒だ、そしてトイレへ行くときも、姿が見えなくなるとたちまち赤ん坊は泣き出すものだから扉をあけて用を足しているんだ、そういうことをしきりにこぼすようになったわけであります。
 こういうとき、父親といいますか、夫の方は、多くの男性がそうではないかと思うんですが、大変だろうなと思います。大変だろうなと思い、じゃ何をしようかというときに、それじゃ家族全体で今度の休みにファミリーレストランへでも行って食事をして、そして帰ってこよう、するといい気晴らしになるだろう、そしてそれからまた一生懸命子育てに励むことができるだろうというくらいに思っているわけであります。いわゆる家庭サービスの発想です。
 ところが、何年かたってその当時を振り返ったときに、あのころは楽しかったね、いつも家族で全体で行ってと申しましたら、連れ合いは大変憤慨したような顔をしまして、そうと言ったわけであります。あれがとても大変だったと彼女は言いました。何だかんだ言って、結局おしめをかえたりミルクを飲ませたりするのは私の役目だと。じゃどうすればよかったのと聞きまして、返ってきた答えにびっくり仰天いたしました。あなたが子供を預かってくれて、半日でも二時間でもいいから私を一人にしてほしかったと言うのであります。母性本能とか、それから子供と一緒にいて女性は幸せだ、お母さんは何も問題がないとかとしばしば我々は思うわけでありますが、いざ子供を育てているときの、ずっと二十四時間子供と一緒にいなければいけないというプレッシャーがいかに重いかというのをそろそろやはり気がついていかなければいけない時代だと思います。
 そして何よりも、昔と違いまして核家族です。家庭を持つと、結婚いたしますと、親とは別居して、そして郊外に移り住むといったような生活のスタイルでありますので、多くの、とりわけ出産直後の小さなお子さんを育てていらっしゃる若いお母さんたちが、今私が申し上げたような経験をし、そして子育てに大変つらい思いをされておるわけであります。
 もうちょっと経験を述べさせていただきます。
 やがて三人目の子供が生まれて一年ほどたってから、連れ合いはしばしば学校へ通ったり、それから司法試験の勉強を始めると言ったり、いろんなことにチャレンジをするようになりました。ことごとく挫折をするわけであります。全部三日坊主でした。あるとき英語会話の勉強をすると言って、五人目の子供が生まれたぐらいのときだったんですが、チャレンジをいたしまして、それで私はうっかりからかったわけでございます。また三日坊主が始まったぞ、司法試験も三日坊主だった、経理士も三日坊主だった、何でもかんでも三日坊主だった、今度も三日坊主だろうと。すると連れ合いはぼろぼろと涙を流しまして、その日は一言も口をきいてくれませんでした。
 そのときに痛切に感じたのでありますけれども、我々は、子育てをサポートするということだけが大切なのではない、子育て中の女性はこういうことをしていて将来私はどうなるんだろうかという不安を非常に深く持っておりますので、むしろその人の自分育てを支える、サポートするという発想が極めて重要なのだと思いました。
 個人的なことばっかり申し上げて本当に恐縮ですが、実は十年前に「男だって子育て」という本を書きまして、その後しばしば男女平等の集まりですとか、それから子育ての講座ですとかに呼ばれることがございます。そして、今私が申し上げたような経験を申し上げますと、時々涙ぐまれる方とか、それから深くうなずかれる方がたくさんいらっしゃるのであります。子育てを支援するということは、同時にその人の自分育てをサポートするということであらなければならないのではないかというふうに思うわけであります。
 したがいまして、例えば育児支援をする、あるいは育児の経済的負担軽減といったときに、子育てはとても大変なんだから、児童手当といいますか、それにかかわる費用を、直接その方たちにお金を出せばよいという考え方は、私はちょっと筋が違うのではないかと考えております。
 連れ合いが言うのでありますけれども、例えば幼稚園に子供が上がるとそういったお金をいただくわけでありますけれども、彼女はこう申しておりました。そういうお金をもらうよりも、物を書くことが好きだったものですから、例えば物を書くチャンスを与えられた方が自分にとってはどんなによかったかしれないということをしばしば申しております。自分育てを支えるという発想が子育て支援の中では不可欠であるということをここでは強調したいと思います。
 子育ての不安をいろいろと考えてみますと、やはりそういうことを考えますと、自分育て、自己実現でありまするけれども、自己実現を支えるという面では、何よりもかによりも大切なのは安心して働きながら子育てをすることができる。自己実現は多かれ少なかれ仕事を持つということと大きく深く絡んでおりますので、安心して働きながら子育てをすることをバックアップしていく、そういうシステムが大変重要であるというふうに思うわけであります。
 加えて、子供の数が減っておりますし、そもそも今の若いお父さん、お母さんたちが、兄弟がたくさんおりませんとか、小さな子に触れた経験がありませんので、上手に子育てができるかどうか大変強い不安を感じているのが実情であります。母親が負担を一人で背負い込んでいるとストレスが大変重くなり、とりわけそれをよくあらわしておりますのが児童虐待であります。
 児童虐待、よく新聞ざたなんかにもなりますけれども、若い御両親の場合が圧倒的に多い。そして、我々、児童虐待なんというのを聞くと、最近のお母さんは子供のことをろくに見なくなったからなんというふうに短絡的な発想をしがちなんでありますけれども、児童虐待に傾きがちな方は実は専業で子育てに専念されている方の方が多いというふうに伺っております。連れ合いもまた、児童虐待などがニュースになるごとに、そういえば子育て中に私もそれにすれすれのような経験があったというふうに申します。このあたりのところをよく考えておく必要があるのではないかと思います。
 子供は小さいときにお父さん、お母さんから離されますとよく寂しいというようなことを申しまして、そして子供のためを思うと少なくとも三歳まではお母さんが子供と一緒にいるのが大事だなんと申しますけれども、何でもかんでも子供が寂しかったら、それじゃ寂しい思いをさせなければよいというものではございません。やはり子供には試練が必要であります。安定した人間関係の中で祝福されて育つとともに、同時に彼は寂しさを我慢したり、欲しいものを我慢したりする試練が必要であります。
 そして、そういう面で考えますと、こういうことをしてはだめだとか、ちょっと我慢をしなさいとかいう試練を与えるのは一体だれなのか。今は親だけではなくて、むしろ保育所の保育士さんとか幼稚園の先生とか地域の方とか、あるいはベビーシッターの方とか、そういう方が小さな子供さんのしつけに御両親のしつけをさらにサポートする形でかかわっていき、かつて日本の地域が持っていたような大勢の大人が子供さんの育つのを見ていくという、そういう役目を新しい形で再建していく必要があるのではないでしょうか。
 加えて、子供を囲む社会環境がやはり大変大きな不安を呼び起こす原因にもなっております。少年犯罪が多発したり、いわゆる切れる現象ですとか家庭内暴力ですとかいろんな問題がございます。そういう面でいうと、教育をきちっと整備していくということが子育てを支援していくことのやはり大事な柱になるということも忘れてはならないというふうに思うわけであります。
 少し今申しましたことをもうちょっと別の角度から整理をいたしますと、こういうふうになるのではないかと思います。
 現代人は大変に自己実現的になっております。極めて自己実現的になっております。職業や社会活動、職業的活動ばかりではないと思いますけれども、ボランティアですとかさまざまな社会活動を通じて自分の人生の充実を追求していくというのが、これは男であれ女であれかかわりなく現代人の極めて重要な基本的な価値観になっております。そして、我々は、その自己実現の欲求というものを常に健全な状態に保ち、それを刺激し、またそれを満足させておくような社会システムを必要としておると思います。
 かつては、第二次大戦後あるいは明治維新以後の日本の社会は貧しかったですから、したがって物質的欠乏から解放される豊かな社会をこしらえるという目的がございました。今我々は豊かな社会をつくることに成功いたしました、とりあえずは成功いたしました。このとき、なお一層の活力ある産業の活動をつくり出していく勤勉さですとか創造力ですとかの源泉になりまするものは、一人一人の個人が心の中に持っておる自己実現の欲求ではないでしょうか。
 そして、そういう意味で申しますと、もっと豊かになりたいとか、ぜいたくをしたいとかといったようなそういう欲求に個人の行動が支えられている時代ではなく、真に豊かな社会といいますものは、社会の発展をもたらす原動力がむしろ自己実現をしていこうとするひたむきな努力に、そこに求められるようなそういう時代であろうかと思います。
 そして、そう考えますと、我々の今の日本の社会が一つ持っている大きな欠陥は、女性の自己実現に対して社会全体が比較的冷淡だということであります。
 適正な、何と申しますか、受験勉強がああいうゆがんだ競争ではなくて、人々が伸び伸びと自己実現的な価値を追求していく、その自由な努力が社会の発展につながっていく、そういう社会システムを考えまするときに、我々は男性も女性も性にかかわりなく、一人一人が自分の自己実現の道を追求していくチャンスを与えられるようなそういう社会をつくっていく責務があると思います。すなわち、ジェンダーフリーの社会をつくる責務があると考えるわけであります。
 かと申しまして、自己実現の裏には功利主義と申しますか、ベンサムが申しましたような、人間は快楽を最大にし苦痛を最小にするようにして行動するといった側面があります。現代人はそういう面で、自己実現的になればなるほどまた裏側では功利主義的になっております。それはひいては、我が子さえよければ、自分さえよければ、自分の子供しか見えない、自分しかわからないといった面になりがちであり、何か問題が起こると学校の責任にしたり、社会全体の責任にしたり、自分の責任を省みないという傾向がこれまた裏側につきまとうわけでございます。
 私は、正義や公正やリーダーシップを重んじる道徳観念をきちっと内面化していくということが今ほど重要な時代はないと思います。
 そういう面でいいますと、若いお父さんやお母さんだけが子供のしつけにかかわっていくというあり方にはやはり限界があるのでありまして、地域やあるいは先ほど申しました保育士さんとか幼稚園の先生方とかベビーシッターの方とか、そういった方が、子供を社会全体の宝としてとらえ、お互いに手を取り合って子供の教育にかかわっていく、子供を育てる、子育てにかかわっていくという、そういう意味で子供を預けて育てる社会的合意というものをつくっていく必要があるのではないかなというふうに思っております。
 この中で特に強調したいのは、NPOですとかそういう新しい地域の動きでございます。地域の子育て力を回復していくというのが今ほど問われている時代はないのではないでしょうか。
 少子化を見てまいりますと、今地域の子供の数が、一小学校区当たりで考えてみますと、一九五五年には大人二千二百人で十五歳未満の子供は千百人でございました。大人二人に子供一人がおったのであります。今は、一九九五年、四十年後には大人四千三百人に子供八百二十人、五人に一人という状況になっております。本来ならば地域の子育て力が一層強くなってもよいと思われまするのに、にもかかわらず、むしろ地域は子供の成長に対してますます無関心になっているかのように感じるのであります。
 この場合に、我々が考えなければいけないのは、町内会ですとかそういう隣保組織的なものではなくて、例えば二十四時間の子供電話相談のNPOの活動が起こるですとか、女性問題で言えば民間のシェルターの活動が起こっていくとか、児童虐待防止のNPOの活動が起こるとか、そういった何と申しますか、新しい形態の地域活動が盛んになっていくことであろうかと思うわけであります。
 以上のことを考えてみますと、そういったことが可能であるためにも、つまり働く人々が地域でNPO的な活動に取り組むといったことが可能であるためにも、我々はやはり働き過ぎの社会を少し切りかえていく必要があるのではないかと思います。産業の活力というものは必要であります、不可欠だと思いますが、しかしその産業の活力は、男が家庭をほうりっ放しにして朝から晩まで会社で働き、その分女性が家庭の中にいて朝から晩までこれまた子供の面倒を見るといったようなものではないはずであります。
 労働時間が短くなり、男性も女性も自己実現的に働くことができ、そして地域でもまたもう一つの顔を持ち、さまざまなNPO活動に同時にかかわることができる。一人の人間が二足のわらじも三足のわらじも履くことができ、そして多くの大人がそのうちの一足のわらじを地域の子供たちにかかわるというところに持つことができる、そういう社会をつくっていかなければいけないと思います。育児支援と申しますと、私は結局こういったことに尽きるのではないかというふうに思うわけであります。
 三十分、せっかく時間を与えていただきましたのに、三十分では話し切れないと思いまして猛烈な駆け足で話をしましたらもう終わってしまいました。とりあえず一応このあたりのところで締めたいと思いますが、最後に一言だけ申し上げます。
 育児の経済的負担を軽減するということは、私は個々の家庭にお金を出すといったようなこととはちょっと筋が違うのではないかというのをもう一回強調しておきたいと思います。
 第二次世界大戦後、フランスで少子化が非常に甚だしくなったときに、フランス政府はたしかかなり大きな額のそういう手当を支給し、そしてそのことが女性の生き方を変えてしまった、大きな影響を与えてしまった。それで、さまざまな風刺の芝居だのそれから小説だのが書かれたやに伺っております。
 我々は女性も男性も自己実現的に生きる、そしてそれが二十一世紀の社会の活力の最大の源泉であるということ、このことを視野に置きまして、経済的負担の軽減というのは、むしろ、例えば地域の保育とかそれからあるいはベビーシッターとかあるいはNPO活動とか、そういったものに補助を出す方が正当な筋ではないかというふうに考えておる次第でございます。
 以上でございます。
#7
○会長(久保亘君) ありがとうございました。
 次に、中村参考人にお願いいたします。
#8
○参考人(中村紀子君) ポピンズコーポレーションの中村でございます。
 本日は、国民生活・経済に関する調査会で発言の機会をお与えいただきまして、ありがとうございました。
 まず、私どものポピンズコーポレーションがどういった業務をしているかを簡単に御説明させていただきます。
 まず、十三年前にベビーシッターの会社としてスタートいたしまして、働く女性の育児支援というところで、現在は働く女性の育児から介護支援までということで、トータルファミリーサービスを業務としております。
 ベビーシッターサービスの方は、法人会員とそれから個人会員というものが中心でございます。特に個人の場合には月間約二万件オーダーをいただいております。それから法人会員の方は、今から約五、六年前に警視庁さんが法人という形で私どものベビーシッターサービスを取り入れられまして、これは都内におられる四万四千人のお巡りさんの中に約八千人の婦警さんがおられますが、この方々が早朝あるいは夜間あるいは本当に深夜、そういったところに緊急事態が発生いたしますと出ていかなければいけない、そのときにどうしてもやはり保育所だけでは対応できないということで、そういった場面で私どものサービスを御利用いただいております。
 皆様方のお手元にどういった内容のところとサービスが行われているかというのは一覧表として絵がかいてございますので、お時間がありましたら後ほどごらんいただければと思います。
 それともう一つは、ベビーシッターサービスだけではなくて、昨今非常に多くなってまいりましたのが、保育所、託児所というものを全国で展開しております。この展開の業態に関しましては今いろいろな形が出てまいりました。一つは、民間企業の、私どもですけれども、国、自治体から補助金をいただきながらする保育所、それから病院の中で看護婦さんとかお医者様のためにする病院内保育所、あるいは労働省がやっております事業所内保育所、これの運営を委託して企業の中で保育所をやる。あるいは公共施設、例えば空港であるとか大阪ドームであるとか、あるいは、議会があるときにその議会を傍聴される子連れの方々のために議会のあいているお部屋のところでそういう託児室をする、そういった場合の託児室であるとか、いわゆる人が集まるところでの託児室というようなものもしております。
 今まで民間企業という立場でいろいろ働く女性のベビーシッターサービスをしておりまして、いろいろ感じてきたことがございます。それは、国がいわゆる育児支援という形で、特に保育所を中心として支援をしてまいりました。認可保育所には約一兆五千億円の税金が支払われているというふうに聞いておりますけれども、全国に現在認可保育所というのが二万二千三百三十四カ所ございます。この約五八%が公立保育所、そして残りの四二%が社会福祉法人がやっている私立保育園という形になりますが、民間企業はどんなに保育水準の高いものをしたとしても認可保育所はできないという規制がございました。
 これがどうもおかしいんじゃないかということで今までいろいろと、私どももなぜ設置主体が民間企業であるだけで認可保育所ができないんだろうかという疑問を投げかけておりましたが、やはり社会全体が今規制緩和の方向に流れておりまして、いよいよ保育という部分にも規制緩和が、やっと解かれました。それが今月です。四月一日から認可保育所の中にも民間企業の参入を許すという形が厚生省の方から出てまいりました。
 ガイドラインを先日拝見させていただきましたが、一言で、残念ながら、窓口は開かれたけれども、とてもこれでは民間企業が出れないなというような、まだ非常に規制が強い内容になっております。
 そこで今回、私どもの方でこの場をかりて育児の経済的負担の軽減のあり方についてを、一つは国と自治体の経済的軽減のあり方という側面と、それから、現在ベビーシッター等々を使っていらっしゃる利用者側にとっての経済的負担の軽減、この二つに分けてお話をさせていただきたいと思います。
 まず一つ、国とか自治体が今保育支援という形でやっている費用、これが国全体で今どのくらいあるか、多分どこの省もどこの部門も把握していないというふうに感じております。それで、まず、規制緩和になりましたが、先ほど言いましたように民間企業はまだまだここに参入できそうな気配が余りありません。ただ、そうは言っていても、現在全国で約四万人の待機児童がいて、東京都だけでも、これは昨年十月の計算ですが、約一万二千二百人の待機児童がいると。これを今どういうふうに解消していこうとしているか。まず一番最初に政策として出てきているのが、現在ある認可保育所の定員数をふやしていくということです。
 まず最初に、私が育児の経済的負担の軽減で一つ、現在ある認可保育所の中の公立保育所、この公立保育所を民営化として促進していく、いわゆる公設民営の形ができないだろうかということです。この理由は、今、東京都の中でゼロ歳児のお子様を一人公立保育所の中で定員をふやすとします。その場合に、国あるいは自治体の補助金が月五十万円その保育所に支払われます。これは普通の一般の利用者には公開されていない数字です。ということは、公立保育園に一人定員をふやすということで月五十万、年間六百万、これでたった一人の定員しかふやせない。これが果たして公費の妥当な支援の仕方なんだろうかという疑問があります。
 私どもは、例えば横浜市から認定をいただいて横浜型保育室という形で今運営をさせていただいておりますが、これは若干の市からの補助をいただいてしておりますが、ここでは今言った五十万円の三分の一で朝の七時半から夜の十一時までお預かりができる。しかも、個々に対応した保育水準、いわゆる保育所の最低基準にのっとった形で保育ができている。
 こういうものを見比べたときに、これから公立保育所というものがこのまま存続するよりも、やはり統廃合をしていって、公立は公立なりの役割をもう一度見直して、例えばスペシャルニーズ、非常に民間では対応できないような方々のお子様をお預かりする、あるいは二十四時間保育をする、あるいは、例えば障害児、自閉症児といったそういった方々の対応の施策を含めて実験的にいろいろやっていただく、あるいは島とか過疎地でやっていただく、そういった部分での公立の役割はあると思いますが、通常はこれからはやはり公設民営の形を進めるべきではないかという感じがいたします。
 特に公設民営です。昨年は大阪の堺市が三十六ある公立保育所を全部民間に移行していきました。残念ながら、民間に移行するという意味は社会福祉法人のみを称していまして、企業はそこに参入を今許されていません。本当の意味で規制緩和になっていないなという感じがいたします。ここはぜひ御議論をいただきたいところです。
 そして、まず一つは、国とか自治体の限られた経費を有効に活用していく意味においては、公立保育所の民営化ということを申し上げました。次に申し上げたいのは、今、世界の中でやはりドイツと同じように日本は一・三という少子化になっています。この少子化を抱えて、今経済がだんだんやや上向きかげんというふうに言われておりますが、日本が世界に誇れるものに今何があるだろうかと考えてみます。そのときに、かつては経済、技術と言われていました。でも、今このときに世界に誇る子育て支援をつくるというのも一つあるんじゃないかというふうに考えています。日本はそれができる力があるんじゃないか。
 そのときに、残念ながら、今の日本の社会保障制度を見てみますと、社会保障というのは国民がすべからく最低限の生活ができ得るような保障をしていくこと、そして高齢者、今までこの国を支え守ってきた人たちに対して安心して暮らせるような保障をすること、そして次代を担う子供たちに対してきちっと担っていただくだけの社会として支援をしていく、この二つの意味が社会保障の中に込められていると思いますが、今の日本の社会保障費の八九%がすべて老人向けです。医療費、年金といった項目で八九%が高齢者向けに入っている。では、次代を担う子供のためにこの社会保障費がどういう形で使われているかというと、三・六%、いわゆる児童手当のみです。こういう形が果たして本当に正しいあり方なんだろうかというのも一つあると思います。
 次に、世界に誇る子育て支援システムの基本的な考え方ですが、ここで申し上げたいのは、もうそろそろ国の貴重な財源を施設というハードだけに流していくというやり方を変えた方がいいんじゃないかというふうに思います。
 保育所には何兆円というふうに流れています。日本は特に得意なんですね、こういうハードのものに出していくこと。ところが、その保育所に預けられない人、条件が満たされていない、そこを使えない人は、自分で税金を払いつつ違うベビーシッターを使ったりあるいは認可外の保育所を使ったりしています。そういう人たちは、税金を払っていても国からの支援を受けてなくて全額個人負担になっているわけです。これはどう見てもやはり公的負担が公平に国民に行き渡っているとはなかなか思いにくい。
 ということで、第一に私が新システムの中で求めていきたいと思うのは、施設中心の補助のあり方から直接利用者個人に向かっての補助のあり方、これは何もお金をばらまくということではありません。保育バウチャーという言葉がありますけれども、この保育バウチャーは、今のインターネットの時代ですと、ポイント数をその方に与えて、あなたが使えるポイントは何点と、それを社会の中にあるどういった保育サービスを自由に選んでいただいても最低限のポイントが使えますと。今は保育所だけが税金がたくさん入っていますから安い保育料で使えていますけれども、それを公平にしていきたいと。それを保育バウチャーというふうな言い方で今後ぜひ研究をしていただきたいというふうに考えております。
 そのためには、ではその財源はどうするのという話ですが、これは一度、今国が子育て支援という中で使われている財源を見直すこと。
 例えば社会保障費の中の児童手当が三千九百九十五億円あるというふうに伺っています。ところが、それ以外に子育てにかかわっているお金は、税金の中で特別控除という形で、これは何兆なんでしょうか、あると思います。実は、これは大蔵省、いろんなところを調べましたが、数字が出てきませんでした。そして、企業が個人に出している家族手当、これは月一万八千五百円というのが平均らしいですけれども、これが国全体として、企業全体として何千億のお金が今使われているか。それから、保育の一般の会計、国、自治体合わせて一兆五千億円ぐらいあります。それから、特別会計の中で企業が出している児童手当拠出金というのがございます。それから、雇用保険の中からも出ています。こういったものが合わせられると、今何兆のお金が一体この国の中でさまざまな名前のもとにばらまかれているか。
 しかし、それを出している方も受け取っている国民も全然それを意識していないんですね。非常にむだがあるのではないかと思います。一度それをきちっと見て、そして先ほど申し上げた個人に直接それが行き渡るようなシステムがつくれないかというのが私の考え方です。
 二番目に、もう一つは、産みたい人が産めるような環境をつくるということです。やはり、不妊症で子供が欲しいのにできないという方々が今多くいらっしゃいますけれども、産みたいのに産めないということをなぜ国がサポートしないのか、とてもこれは不思議です。やはり、不妊症の治療で百万円、二百万円というお金がかかると言われていますが、この辺が医療費の控除になるか医療保険の対象になるか、もしくは所得の中から控除されるかといった、そういう具体的な政策も必要ではないかというふうに思います。
 そして三点目ですが、やはり、先ほど広岡先生がおっしゃったように、地域の中でいろいろな方々がこの子育て支援に入ってこれる仕組みをつくること、その一番最大の必要性は私は高齢者の子育て支援の参加だと思っています。
 現在、私どもは全国に二十カ所ほど保育所、託児所をやっておりますが、これから五十歳代以上の高齢者の方々に積極的に私どもの施設の中に入っていただこうと思っております。それから、ベビーシッターの中にも、現在、ゼロ歳、一歳、二歳、三歳まで御利用の方が一番多いんですが、ゼロ歳児、一歳児を持っていらっしゃるお母様は、四十歳代以上のベビーシッターさんに来てくださいという御要望が強いんです。それは、やはり核家族の中で自分の育児の不安、あるいは沐浴の仕方、調乳の仕方、さまざまなことが、言ってみれば保育を、ベビーシッターに見てもらうということよりも、自分の精神的な支えとしてこのベビーシッターを今求めてきています。
 ということで、高齢者の子育て支援の仕組みをつくるということは、地域の中にあるさまざまな保育所、幼稚園、あるいは学童の一次預かり、ベビーシッター、保育ママ、こういったところに高齢者の方々のぜひ知恵と経験を出していただきたい。
 ただし、この方々にどういうふうな財源をもって参加していただくかということが一つポイントだと思いますが、私は、やはり五十歳以上の方々が、これから年金がどうなるかわかりませんが、最低の基礎年金、五万円か六万円はあると思いますが、それだけでは生活できない高齢者が出てきます。そういう方々に、雇用保険の中から、こういう子育て支援に入っていただいた場合に、週三回から四回ぐらい参加していただいて五、六万円ぐらいの収入になるようなそういった財源をつける、もしくは児童手当拠出金をそっち側の方に回すといったような形で、地域の中で子育て支援の財源の使い方をもう一回考えるべきではないかと。
 高齢者が育児に参加するというのはとてもすばらしいメリットがあります。一つはしつけです。今、若いお母様たちは本当にできていない。私どもは月間二万件オーダーをいただいて各家庭の中に入っていっておりますけれども、本当にしつけができていないところがたくさんあります。ところが、こういう戦前生まれの方々が今持っていらっしゃるきちっとした道徳観あるいはしつけ、これを私は今のお子様たちに伝えていただきたい。それから社会性を伝えていただきたい。そして、さらに言うならば、日本の文化の伝承です。絵本を読んで聞かせたりお話をしたり、そういったところで文化の伝承をしていっていただきたい。また、高齢者にとっては、豊富な時間と愛情を提供していただいて、また生きがいにつながっていくと、こういったシステムをぜひつくっていただきたい。
 そのためには、現在あるいろんなまた規制緩和が必要になります。保育所の中には保育士の資格を持っている人以外はスタッフとして雇ってはいけないというふうな最低基準がありますが、なぜそれが今必要なのか。六歳までお子様を預かる保育園でなぜ幼稚園の先生が入ってはいけないのか。どうして小学校の資格を持った人が入っちゃいけないのか。なぜ教育学、心理学のドクターコース、マスターコースを持ったようなレベルの高い方が入ってきてはいけないのか。とてもこれは不自然だと思います。いろいろな方がやっぱり入ってお子様たちを見るべきではないかと思います。
 そして、最後になりますけれども、外国人労働者ということに対してやはり今から検討すべきときが来ているんではないかと思います。
 先日、テレビで、タイでは高齢者介護の専門家を養成して、香港とか中国に輸出していると。人を輸出という言い方は適当ではないと思いますが、派遣をしているというふうな言い方がございました。例えば、日本にいる在日大使館のいろいろな方々は、フィリピンとか中国から看護婦あるいはナニーという保育者の資格を持った方々をその大使館経由で採用して、そして日本の中の家庭でそういう方々を日本人を雇うよりも低い値段で利用できているんです。そういう方々がもっともっと各家庭の中に家事支援も含めて入ってこれるような、そういうふうな規制緩和はできないんだろうかということが一つあります。
 そして、そのベビーシッターということについて、私どもが今ベビーシッターをやっている中で現状というものがどうなっているかお話をさせていただきたいと思いますが、今、週に二、三回使うのが平均値です。そして、一回大体三時間お使いになっているんです。月額利用料金は平均で五万円以内。六〇%ぐらいの方がこういう形でベビーシッターを御利用されています。これは全国ベビーシッター協会の昨年度の実態調査の中で出てきております。そして、ベビーシッターだけを利用している方はその中で四二%ぐらい、保育園との併用あるいは幼稚園との併用というのがおのおの三六%、二〇%という形であります。
 こういった方々が今一番不満に感じているのは、利用者の不満ということでベビーシッター協会で聞きましたところ、料金が高い、これが五〇・四%、半分以上の方がそうおっしゃっています。確かに、保育所だけでお子様が対応できるのであればそれでやっていきたいのに、六時で終わってしまう、七時で終わってしまう。そうなりますと、やはり延長、そこの部分にベビーシッターを使わざるを得ない。
 働いているお母様たちとそれから専業主婦のお母様たちと、今ベビーシッターを使っている利用の割合というのはどうかといいますと、大体五対五です。そして、働いていらっしゃるお母様のベビーシッターを利用する理由というのが、一番が保育所の送迎。二番目が土日です。保育所があいていない土日に勤務する方、そういうところが使いたい。そして、三番目が病後児です。病気で、風邪を引いた、インフルエンザになった、そういったときに保育所が見てくれない、そういったときに使う、これが三番目の理由です。
 では、専業主婦がベビーシッターを使うときの理由は何か。育児ストレスからの解消です。解放されたい、一日のうち二時間でも三時間でもいいから一人だけの時間が欲しい、そういうふうにしてお使いになります。それから、緊急の冠婚葬祭のときに隣近所で預かってくれない、だから見てほしい、こういったところが専業主婦の方々が使っていく理由です。
 やはりこのベビーシッターの利用、例えば全国ベースで、今月額五万円ぐらいが六〇%と申し上げましたけれども、ポピンズサービスの場合には若干それよりも平均値が高くなっておりまして、働く女性が月間使う利用料は八万六千円、専業主婦の方が使う月間の利用額が八万一千円、これは大変な額だと私は思っております。これをすべて自己負担で今払わなければいけない。ほとんど入ったお給料の三分の二は出ていく、こういう形になるわけです。でも、仕事をやめたくない、続けたいということで頑張っているわけです。
 特に、先ほど法人会員と申し上げましたが、警視庁を初めとしていろんな法人さんがあります。これはどういうことかというと、利用料金を法人が少し負担をしていることになるんですが、その負担をしていただいた会社あるいは団体の職員さんは、先ほど言った通常の働く女性が八万かかっているとすると、四万円、半分で平均値が終わっています。ということは、大体約半分を法人企業さんが個別に持ってくださっているということなんです。
 そういうことから含めますと、もしこれから大きな意味での新システムを開発する前に暫定的に子育て支援という形で公平な支援をしていこうと考えた場合に、例えばこういったベビーシッターの利用料に関して経済的な負担の軽減ができるのかできないのか。例えば、もしできるとすれば、方法としては二つあると思います。
 一つは、認可に準じた保育サービスをしているベビーシッター、あるいはそういったところに関しては消費税を非課税にすること。今、消費税を取っていない、消費税が例外になっているのは学校法人それから社会福祉法人の保育園です。学校法人の入学金あるいは授業料という、こういうところには非課税になっています。そして、社会福祉法人がしている保育園の保育料、これも消費税が要りません。であれば、全国ベビーシッター協会で今在宅保育サービス割引券という公費が少し入っておりますが、そういう認められて保育水準の高いところのベビーシッターサービスを使ったらば消費税を免税にするとか、それも一案である。
 そしてもう一つは、それが消費税全体を変えることで大変難しいということであれば、子育て減税ということで、ベビーシッター料金を一年の最後の、年末に所得の軽減措置をしていく、所得控除をする、そういったあたりも必要かなというふうに考えております。
 一応、あとまだ五分ぐらいあるのかもしれませんが、私も広岡先生と同じように一気にポイントだけをお話ししてしまいましたので、ちょっと御理解が難しかったかと思いますけれども、二〇〇一年には労働省と厚生省が一緒になって厚生労働省という形になるというふうにお聞きしておりますが、厚生省、労働省、文部省、すべてお子様の子育てにかかわっている部門が縦割り行政ではなくて、本当の意味でゼロ歳から十六歳までの義務教育の子供たちにどうあるべきかという子育ての新システム、世界に誇れるシステム、しかもそれが直接利用者個人に対して公平に行き渡るような新しいシステムというものを今こそつくり上げていくべきではないかなというふうに感じております。
 スウェーデンでは、子供が道路で転んだときにうわっと泣いて最初に叫ぶ言葉が、ママと叫ぶお子様とパパと叫ぶお子様が五〇対五〇だと聞いております。日本は多分九九%ママとしか言わない、そのぐらいに父親の子育て参画がまだまだ未熟で、広岡先生のような方が早くもっと出てほしいというふうに思いますけれども、やはり子供たちがパパとママを同じ認識で心の中に持つような、そういう環境と、それから本当に社会として高齢者が次代を担う子供たちに参画して支援していける仕組み、こういったものをつくっていきたい、そういうふうに考えております。
 どうもありがとうございました。
#9
○会長(久保亘君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後四時三十分ごろまでをめどとさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#10
○益田洋介君 公明党の益田洋介でございます。
 きょうは、両参考人の方、御多用の中お出ましくださいまして大変にありがとうございます。
 私はまず、広岡先生に非常に興味深いお話を伺いまして、御質問させていただきたいんですが、この預けて育てるという考え方は基本的に賛成でございます。
 私は、子供が四人、昔は四人いました、今は三人ですけれども、かなり小さいころから外国で生活をさせました。そういう関係で、特に上の男の子については幼稚園のころからイギリスの学校に行っておりまして、日本人学校はございますが、ずっと現地の学校に入れて育てました。特に、中学校からは五年制の全寮制のパブリックスクールに入れておりました。これは自宅から遠くて通えないからという物理的な理由じゃございませんで、やはり私も基本的に小さいうちから他人の飯を食うというか、共同生活を自分自身で体験するという、そういう必要性というものを痛感しておりましたので、結果的には悪いことではございませんでした。子供はやはり寮の大人の寮長さんだとか寮で働いていらっしゃるおじさん、おばさんたちと会話をします。心の交流もあったし、また同級生とずっと月曜日から金曜日まで寮生活をして週末に帰ってくるということで。
 二番目は女の子でしたけれども、その子も同じように生活を、同じような環境に入れまして、月曜日から金曜まで、それは女子中学の寮生活をさせて、週末は非常に家の中がにぎやかになって、そんなことでございました。
 日本に今帰ってきておりますが、私の仕事の関係で家族も帰ってきたわけでございますけれども、教育の環境としては人間性を自然のうちといいますか自分自身の対応によって育てるというふうな結果を生じたのではないかというふうに、そういう意味では企図したものは結実したのではないかという印象を持っておりまして、中高一貫教育ということももちろん一つのテーマだと思いますけれども、寮生活をするということは非常に大事だなと思っております。
 できれば、先生がおっしゃるように、そういった環境が日本の国内の場合は余り整っておりませんけれども、考えて、隣にいらっしゃる但馬先生も寮生活を宝塚の音楽学校でされていたと思いますけれども、そうしたさまざまな形での公立学校、私立学校、まず私立学校だと思いますけれども、教育施設の拡充といいますか、そういったものを日本の場合もこれから広く取り入れていくことを検討すべきだなというふうに考えております。
 それからもう一点、広岡先生、「男だって子育て」という本を、まだ私、実は恥ずかしい話ですが、きょう初めて耳にいたしましたので、読ませていただこうと思いますけれども、私は子育てをしたというふうな認識は私自身ございませんし、家族のだれもそういうふうに思っていないかもしれません。まして、かなり仕事の面では、先ほど先生が指摘されておりましたけれども、ほとんど朝早くから夜遅くまで外へ出て仕事をしていたという生活でございました。
 ただ、今お話を伺いながら考えてみましたら、例えば一番下の女の子が、小学校五年生でございますけれども、この子が自転車の補助車を外せるようになった、自転車の練習をするときに私が教えて、手をとって一緒に後ろから荷台を押さえて走り回って、それで補助車を外せるようになったということもありましたし、それから受験のときは算数は三人とも結局私が教えたわけで、それで余り結果がよくなかったのかもしれませんけれども、そういう面では何らかの形で、定型的じゃないんですけれども、子育てに参画をしていたのかなという印象がございます。
 それからもう一つ、これもイギリスでの経験なんですけれども、かなりPTAの会合には男性も女性も、親御さんですけれども、そろって参加するという現象がございまして、日本はまだまだお父さんが参画するというのが少ないような印象でございます。それで、要するに子供の教育とか生活の姿勢について学校の先生と父親もやはり意見交換をする。そういったのは、アメリカの場合はよくわかりませんけれども、自分自身でイギリスで子育てをした、たまたまそういう時期だったんでしょうけれども、印象に残っておりまして、それがひいては子供に対する家庭での教育にやはり影響してきたという、物の考え方、父親が子供の家庭教育というものに対してどういうふうな配慮をしたらいいのかということは、やっぱりそういう先生との話し合いを通じてわかったような気がしますので、男女共同参画社会ということを先ほど広岡先生おっしゃいましたけれども、そういう面でもやはり日本の男性ももっともっと子育ての場に積極的に参画すべきじゃないかというふうに思っております。
 それから、中村先生、非常にこれも私、ベビーシッターというのはイギリスの場合はかなり一般的に来ていただいたりしております。外国人労働者の規制緩和というのは物すごくこれは賛成で、ぜひともやはり一日も早くすべきじゃないか。メリットというのはやはり双方にあると思いますので、どういう形でこれを実現させていけばいいのか、その道筋はちょっと今のところ、今現在私の頭の中に浮かびませんけれども、やはりこれは立法府の仕事ではないかというふうに思います。
 それから、高齢者の子育て支援の参加ということも非常に興味深くお話を拝聴させていただきましたけれども、中でも文化の伝承というところが非常に私は共感を覚えました。
 今、国際化が進んでいる、グローバライゼーションが進んでいると言っていますけれども、外国に出て仕事をして生活していますと、まず、例えば語学力が身についたとしても全く国際人と呼ぶにはふさわしくないのではないか。
 語学ができることはもちろんですけれども、やはり自国の文化、特に歴史ですね、自国の歴史を外国人に対して話してあげることができる。自分自身の考え方を、自国の文化、芸術、美術、文学その他について、例えば端的な例を申し上げますと、浮世絵についてのあるいは陶磁器についての、古伊万里ですか、そういうものについてもやはり知っている人が外国人の中でもかなりふえてきていますので話してあげる。それに対して自分の見解を述べられるような、そういうしつけというのが今の日本人の家庭の中で果たしてあるのだろうか。そういった意味では、もうお父さん、お母さんは忙しい、お父さん、お母さんが知らない世代が多くなっているのかもしれませんけれども、先生の御意見に私は非常に賛成で、そうした文化の伝承という意味からもぜひとも高齢者の方に参加をしていただくべきであろうと。
 それで、税制面でのメリットを与えなさい、優遇措置を与えなさいと。これもやはり立法府の問題でございまして、消費税について論及をされておりましたが、消費税減税、これもやはり真剣に考えていかなきゃいけないことだと思います。
 全体的に今我が国としては財源が逼迫している状態ですので、そのバランスをとるために例えばぜいたく税というような形で、欧米の諸国の中では学用品なんかは消費税をかけないでいるというような、それから一定限度の要するにぜいたく品、自家用車ですとか高価な家具ですとか、そういうものについての税率を上げるとか、税制はバランスの問題ですから、そういった面でやはり真剣に考えていって、消費税減税、こういった特定の部門については、もうやめろということなのでやめますけれども、やはり私どもも真剣に直面して議論をしていきたいと思います。
 本当にありがとうございました。
#11
○参考人(広岡守穂君) 父親のやはり育児参加がこれからは大変大事だし、日本は比較的そういうところが欠けているのかなという感じがいたします。
 男性は大体子供を育てていくときにここまでやればいいと思って自分で線を引っ張っていますが、女性の側からすると、どうせやるならここまでやってほしいというのがかなりありますよね、いいとこ取りと言ったりします。例えば、私はおしめもちゃんと取りかえますというお父さんが、横でお母さんが首を振っていて、お母さんの方に話を聞くと、いや取りかえてくれることは取りかえてくれるんだけれども、おしっこのときだけだ、中身がうんちだとわかると慌てて閉じてそれで私を呼ぶんだなんということを言ったりします。
 もっと全面的に家事だの育児だの男性もかかわって、そして母親だけじゃなくて父親もまた子供を育てていく、一人前の人間に成長していくのをバックアップしていくという、まずそこのところがそもそも日本の場合にはちょっと弱いのではないかなというふうに思います。
 そして、両親だけではやっぱりだめなのであって、両親はどうしても自分の子供しか見えませんので、私もそうでありましたけれども、やはりいろんな大人の目が子供たちに降り注ぎ、そしてそこに社会人として行動していくことの規範とか価値観とか、あるいはリーダーシップとか、そういったものを身につけていかなければいけないというふうに痛感しています。
#12
○参考人(中村紀子君) 今、益田さんのお話の中でイギリスのお話が何回か出てまいりまして、大変親近感を得ながら聞かせていただいたんですが、実は私も、自分の娘は、六年生日本で終わった後中学一年からイギリスのボーディングスクール、寮生活に送りまして、大学までずっとあちらの、イギリスで寮生活をさせてきた経験がございます。
 そういった中で、やはりその寮生活の中で、いわゆる自由の中の規律ということを非常に重んじている国であるのかもしれませんが、先生とか上級生に対するマナーであるとか食事の作法、それからきちっとしただれかに物を頼むときの頼み方、あるいはいけないことをしたときの謝り方、そういったことが非常に、家庭で本来はしつけられるべきことがボーディングスクール、寮生活の中ではきちっと教えられていく。しかも、やはり自立した個人というもの、自分の意見を、きちっとした言葉を限られた時間の中に相手にわかるように説明する、こういうふうな日本では最も不得意としているコミュニケーション術というものがイギリスにおいてはきちっとしつけの中に組み込まれているということで、私はやはりこの辺が、どんどん日本の中にこういう考え方が入ってきてほしいというふうに感じました。
 特に、イギリスの場合には一七%の消費税になっていますから、大変日本と比べて一七%というのは高いわけですね。ところが、やはり免税になっている部分というのは、一般の方々が使う食料品、これは免税です。それから、子供の児童書、本もこれも免税です。そして、乳幼児製品、要するに赤ちゃんが生まれたときにそろえなきゃいけないいろんなものは、これも免税になっています。
 ですから、今後日本がもし消費税を上げるという議論が出てきた場合には、こういうふうな、先ほどの益田先生のお話のように、項目別に分けて考えるということも必要じゃないかと思います。
 以上です。
#13
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 中村参考人にお尋ねしようと思いますが、現在介護保険が出発をしておりまして、介護保険にかかわるホームヘルパーの業務ということが今いろいろ問題になっているわけでありますが、昨年、総務庁から厚生省に対しまして、ホームヘルパーの業務について、医療にかかわる問題をきちっとホームヘルパーが行える医療的な範囲というものについて整理をしなさいという勧告が出ておりまして、この三月までにその内容を整理するということでございましたが、まだ実際には整理ができていないという状況のようであります。
 それで、ポピンズコーポレーションにおかれましても、ホームヘルパー二級の養成をおやりでございますが、そのほかにシルバーサービスもやっておられるということであります。こういった介護あるいは保育にかかわりまして医療に関係のあるような業務的な問題がいろいろ出てまいりますと、前にいただきました資料で、保育にかかわりましてお子様のアレルギーの問題、そういう問題が起こったという記事も拝見をいたしております。こういう意味で、具体的な例として、ホームヘルパーあるいはベビーシッター、こういった方々が保育あるいは介護にかかわって医療的な問題ということについてどういうふうにこれから考えていったらいいかということの御意見を伺いたいというふうに思います。
#14
○参考人(中村紀子君) 中原先生の御質問にお答えいたします。
 まず、実は、ホームヘルパーの方の医療行為についてということも問題だと思いますが、具体的にベビーシッターの医療行為についてというのが現在大変問題が大きくございます。
 なぜならば、今ベビーシッターを利用される方の中で、お子様が病気になったときに、どうしても熱が高いときに、三日間は会社を休めるんだけれども、だんだん回復期になってきている、だけれども、例えば水ぼうそうの場合にはまだぽちぽち出ているわけですね、そういう姿で保育所に連れてきてもらっては困るということで、大体一週間とか休まざるを得ない場合があります。
 ところが、仕事上休めないということで、その予後を私どもでベビーシッターが見る場合がございますが、そのときに、病院からいただいている薬をお母様が飲ませるのはいいけれども、ベビーシッターが飲ませるのはだめと。看護婦ならいいけれどもということで、これは医療行為になるということでできないんですね。だけれども、現実として、一日お預かりしているベビーシッターが薬の投与ができないということ、果たして本当に医療行為に当たるんだろうか、もうちょっと何らかの規制緩和をしていただかないと、現実にお母様もお子様も私どもも困ってしまうということがございます。
 それで、やはりゼロ歳児で一年間平均十日間いろいろお熱を出したり等々で休むと言われていますが、特に保育園では、熱が七度五分になりますと保育園から会社に電話があって、引き取りにいらっしゃいということになりますが、そのときにも、座薬を使ってお熱を急に下げない、お家に連れていってくださいとお母様からの御指示で、御自宅に入れて座薬を使ってくださいというふうにお母様から言われたとしても、やはりこれはできない。
 ですから、お母様であればここまではできることが、ベビーシッターではやはりそれが医療行為ということでできなくなるということがありますので、ぜひこの辺は日本医師会と、規制緩和という中になるんでしょうか、お話し合いを進めていただきたいところです。
 それから、ホームヘルパーの方も、実際にいろいろ医療や何かしていらっしゃるところに私どものホームヘルパー二級を送ることができますけれども、看護婦さん以外はそれをやってはいけないというようなことがありまして、実際にそれじゃ看護婦さんの手が今のホームヘルパーの十七万人あるいは何十万人と同じほどに手があるのかといいますと、これはもう極めて難しい話です。となると、御利用者も、家族の方がおられなくてヘルパーが行っているときにそれができない、看護婦さんのそれを待たなければいけない、これも極めて現実性がない話でして、そのあたりもやはり医師会とのお話し合いでしょうか、進めていただければというふうに思っております。
#15
○中原爽君 ありがとうございました。
#16
○堀利和君 お二人の参考人どうもお忙しいところありがとうございました。
 きょうは、子育てにおける経済的負担というテーマでもあるんですが、お二人の方はそういう意味では、人的なといいますか、そういう観点でのお話というふうになると思うんですね。
 ただ、私自身大分迷ってもおりまして、あるいは考えてもおりまして、御意見を伺いたいと思うんですが、サービスといいますか公的な支援としては現金給付型と現物給付型という形があろうと思うんですね。私はもう今後どんどん現物給付型になっていくべきというふうに福祉関係のサービスは見ているんですが、大変今デリケートな課題でもあります。
 私、民主党の議員でして、党内でもあるべき論を議論しているんですが、児童手当の問題について、当然子育てにおける家庭の経済的負担の軽減ということでそれなりに大変有効性はあるんですが、私はそれ以上にむしろ現物給付へ力を入れた方がいいのではないかと。これは全く私個人の考え方でして、政党の問題での議論ではないんですけれども、個人レベルでの考え方はそうなんですね。
 そういう意味で、特に人的サービスの問題、中村先生も言われたように、箱型から人的サービスということも言われましたけれども、そういう点での箱型、人的サービスも含めて児童手当の問題をどんなふうにお考えなのか、少し横にそれたようなお話になるかもしれませんけれども、ひとつお聞かせ願いたいというように思います。
 それから二つ目は、広岡先生のお話を聞いていまして非常に同感するところがたくさんございます。実は私ごとなんですが、共働きでまだ娘が小さいときに、夜うちの連れ合いが、お酒を飲む席というのは余り好きじゃないんですが、一時間ちょっとぐらい夜、私が当然小さいまだ赤ん坊と留守番しながら、一時間か一時間ちょっとぐらい一人で近所のおすし屋さんに行って、帰ってきて非常に喜ぶんですね。私が思った以上に非常に喜ぶんでこちらも驚いたんですが、そういうやはり解放感といいますか精神的な負担の、一時的にしろなくなる、軽減するというような、そういう意味で、広岡先生のお話を聞いて、もっともだなといいますか、私自身もそんな実感したわけです。
 そこで、これまでの共同体型の社会から都市型、核家族型ということで、家族、家庭なり地域なり大分ここさま変わりしてきたんですが、そういうような形態はあるにしても、先ほどのお話のように、現代人は自己実現型になってきている、特に女性の場合にはそこをやはり重んじなきゃならぬという話もごもっともだと思うんですね。その際に、子育ての支援、そして自己実現という観点からしますと、例えば往々にして公的な子育て支援ですと、やはりそれは極めて、所得制限も含めて支援に対する限度というのは非常に狭く限られて条件も厳しいわけですね。
 そういう意味では、自己実現型、いい意味で親子そして夫と妻が楽しいゆとりを持った関係で家庭を過ごす一つの自己実現というのは重要だと思いますけれども、そういう意味での支援という場合に、これはやはり公的な行政的な配慮というのはなかなか望めないと思うんですけれども、この辺における経済的な負担というものをどうお考えか。夫と妻の中でそこら辺がうまく自己実現型の家庭生活として家族を運営できればいいんですが、やはりより望むとなればその辺の外部からの支援、それは今申し上げたように公的な支援というふうにはなりにくい側面がありますけれども、その辺をどのようにお考えかをお聞きしたいと思います。
 中村先生には、お年寄りが子育てに当然かかわるべきというお話、私も特に最近感じているのは、少子高齢社会という場合に、少子社会と高齢社会が何か切り離されてしまっているように思うんですね。つまり、高齢社会、高齢対策といいますと、年金、医療、介護がすべてなんですね。子育ては、もちろんこれは保育対策が、保育所等の対策がありますけれども、その制度におけるものだけではなくて、少子社会と言われる子育てに対してお年寄りがどうかかわるのか、むしろかかわるべきかという、高齢社会の中の子育てというのが最近特に私なりのテーマとしてかかわってきているんですけれども、そのことをお聞きしながら、全く私もそのとおりだと思うんですね。
 そこで、二つお伺いしたいんですけれども、ホームヘルプサービスなどの在宅サービスの場合は、これは今やもう当然だれもが認めるところの必要なサービスなんですが、まだまだいわゆるベビーシッターといいますと、何かそういう公的な支援の枠組みよりも少しぜいたくなのかなというまだ国民の意識があるんではないんだろうかと思うんですね。
 そういう意味では、介護におけるサービスでは、いつでもどこでも必要なときにというキャッチフレーズが厚生省にもあるんですが、こういうベビーシッター、人的サービスについてはなかなかそこはないんですよね。まさに箱型、保育所型、児童館、児童センターとかそういう形なんですが、この辺の違いといいますか、今後ベビーシッターなどを含めて人的サービスを進める上でどんなふうにそこをある意味で理解を深めていくような働きかけをしたらいいのかなということをひとつお聞きしたいと思います。
 もう一つは、保育所では当然いわゆる専門家として保育士が保育に当たるわけでございます。私もいろんな方が保育なり教育にかかわるべきだと思いますし、言われたように、保育士という資格を持った方ではなくてさまざまな方がやるべきというときに、先ほどのお話とつなげて考えますと、お年寄りがある意味で保育といいますか子育てにかかわった場合に、完全に市民レベルといいますか、ある種NPOでもいいと思いますが、この辺ではかなり自由なんですが、これをある程度安定したサービスに持っていこうとした場合、特に保育所などそうなんですが、公がかかわればかかわるほど資格というものがやっぱり問題化されてくるんです。
 ホームヘルプサービスも、以前はかなり人手不足もあって緩やかな条件でホームヘルプサービスをやっていたんですが、当然あるべき姿としてもきちっと勉強していただきたいということもあって、三級、二級、一級とかさまざまに介護福祉士等の資格化が進むわけなんですが、そうなった場合のお年寄りが子育てに参画していく過程でその辺のところをどんなふうに考えたらいいのかなということをお伺いしたいと思います。
#17
○参考人(中村紀子君) それじゃ、本来でしたらちょっと反対かもしれませんが、私の方からお答えさせていただきます。
 まず、児童手当についての考え方ですけれども、これは私個人の考えですけれども、今の児童手当の考え方というのは一般のサラリーマン世帯が受けられていない手当というふうに思うんです。これはやはり所得制限があったり、今回公明党さんの御努力でかなり延びた形で支給されるというふうに伺っておりますが、ただ実際に第一子で五千円、第二子五千円、第三子で一万円もらってこれが一体何になるのか、この議論はあちらこちらであったと思いますけれども、ないよりはいいかもしれませんが、これがイコール出生率のアップにつながるかというとこれは疑問ではないかと思います。
 もし本当にするのであれば、十六歳未満まで大型児童手当という形で一人月十万円上げますよぐらいの大盤振る舞いをしていただくとこれは大型児童手当という形になると思いますが、その際にはいろいろな財源をあちこちから持ってきて取捨選択しなければいけないんじゃなかろうかと思います。
 次に、高齢者の子育て参加についてですけれども、イギリスとか欧米諸国に毎年ちょっと視察で行っておりますけれども、そのときに非常にいいモデルというのが、近隣のデイサービス、高齢者の集まるところと保育所が併設されているというのが幾つか見られるようになっています。
 私は、やはり今これから保育所を新たにつくるとか、デイサービスセンターが今東京でも足りないという話がありますけれども、小学校の空き室あるいは高校のあいている教室、いろんなところに高齢者が一時的に集まるデイサービスと保育所、託児所というものを併設していって、自然にその中で融合ができるような、そういう仕組みというのも一つ考えられるというふうに思います。
 それから、保育所に保育士の資格を持っている人以外は今一切入れない形になっておりますけれども、これを例えば、四分の三以上が保育士の資格を持つ必要があって、あとの四分の一はその園の自主性に任せるというぐらいの規制緩和をしていただければ、そこの中に特に資格を持っていない高齢者の方でも社会性とか人柄がよければ入っていただけるわけであります。
 もう一つ参考になるのは、今、東京都の江戸川区の中で保育ママさんという、家庭福祉員というのを使っています。江戸川区は御承知のとおり東京の中でも保育園でゼロ歳児は一切扱っていない、一歳児以上しか扱っていないんです。じゃゼロ歳児を持っているお母さんたちはどうするのといったときに、すべてこれは保育ママさんで、言ってみれば年齢的にはかなり高い方が多いと聞いておりますが、今二百八十名ほどおられるようですが、その家庭の中でお子様を、ゼロ歳児を二人ほど見ていらっしゃると。
 この方々は実は保育士の資格がないんです、無資格者です。ただ、その無資格者に対して家庭福祉員として東京都が認定している何十時間かの研修がありまして、それは私どもポピンズコーポレーションも今ベビーシッターの教育を半年間でやっておりますが、ほぼ大体内容は似ておりますが、そういったものを受けていただいて、そうすれば保育ママとしてお子様を預かれるという形があります。
 ですから、地域の中で高齢者にこれから子育て支援にかかわってきていただくために、今ベビーシッターとして行っている研修を、早ければ三日間程度で大丈夫だと思いますけれども、そういったものを受けてもらった後現場に入っていただいて、アシスタント的な形で入っていただき、継続して月に一回ぐらいずつ保育技術を高める研修を行っていく、それでかなり参画していただけるんじゃないかというふうに思っております。
 それから、最後の質問ですけれども、ベビーシッターがやはりなかなか一般の方々というよりも特別な方向けのサービスというふうな認識がまだ高いということについてですけれども、現在ベビーシッターを使っていらっしゃる方々の理由というのが、働いている方は保育所の送迎、それからお子様が病気のとき、土日出勤のときとさっき申し上げました。それから、専業主婦の方が、いわゆる育児ストレスからの解放であったり、あるいは冠婚葬祭に急に出なきゃいけないといったときに預かってもらえないので頼むというところが多いと言いました。
 一体、こういう理由でベビーシッターを使うことがぜいたくなのかどうかという議論が一つ必要だと思うんです。今、社会として子育てを支援しようと、先ほど広岡先生の中でも二十四時間子育てをしているお母さんたちが非常に精神的に追い込まれている、それを週に一回もしくは二、三回自分だけの二、三時間を他人に任せる、ベビーシッターに任せて自分の自己充実、ストレス解放を図るということが、果たしてそのときに使うベビーシッターがぜいたくなのかどうなのか、そういう観点から見た場合は私は決してそうではないだろうというふうに思います。
 こういうところに公的補助が入っていれば例えば一時間五百円とか四百円で使えるところを、今は大体ベビーシッターの平均値が一時間千五百円ですから、これが使える方は余りおられない、だから使える人はぜいたくのごく一部の人だというふうな考え方になってしまうと思うんです。その辺が今後議論の余地があるんではないかと思います。
#18
○参考人(広岡守穂君) 児童手当の問題でありますけれども、私、低所得層の方に余り長い期間でない期間にそれを給付する、現金で給付するということについてはある程度は必要であろうかというふうに思っておりますけれども、基本的には現物給付であるべきだというふうに考えております。何でも金を出せばいいというものではないのでありまして、これからの二十一世紀に日本の産業社会がいかにして活力を持つかということを考えてみますと、激しい国際競争に勝ち、伍していくためには、まずやはりすぐれた人材が十分にしっかりと働くことができ、同時に彼のあるいは彼女の家庭生活が十分に満足できるものであるということが必要であろうかと思います。優秀な人材は男も女も半分半分おるわけでありますから、そういう方たちに思う存分まず力を振るっていただくような、そういう仕組みを考えるべきである。
 そうしますと、現金給付をしてそれで何かの形で利用してくださいというのでは、これは十分に女性の能力を社会的に活用してもらうということには必ずしもつながっていかないだろうというふうに思います。でありますので、現物給付の方がいいのではないかなというふうに考えています。
 もう一つ、共同体型から都市型、核家族型へというので第二点の御質問がございましたが、申しわけございません、何か先生方のお話を伺っているうちにどんな御質問だったかわからなくなってしまいました。
 それに関連して、ちょっと先ほど言い忘れたことをついでですから申し上げておきますと、NHKの放送文化研究所というところが一九七三年から日本人の意識という調査をやっております。大変おもしろい調査です。一九九八年に行われた調査の結果がことしNHKブックスになって出ておりまして、これを見ますと、一番強調されておるのが女性の生き方に対する考え方が非常に変わったということであります。これは本全体で一番強調されておることだと思います。一九七三年の時点、二十五年前の時点で、結婚した女性が職業を持ち続けることについてはどう考えるかという質問について、一番大勢答えたのが育児優先、結婚して子供が産まれるまでは職業を持った方がよい、そういうのでありまして、四二%の方がそういう答えをしていました。結婚して子供が産まれてもできるだけ職業を持ち続けた方がいいという、仕事と家庭の両立というのを支持した方は二〇%だったんです。これがこの二十五年間で猛烈に変わりまして、今や最も多くの方、ほぼ半分の方、四六%の方が両立ということを支持されるわけであります。そして、家庭に専念する、結婚したらとにかく家庭を守ることに専念した方がよいという考えの人は、二十五年前の三五%から今や一三%であります。
 これは、私は、基本的に日本の社会の活力、経済的なその他の活力を維持するために大変重要な流れであって、このことをやっぱり一番大切にしなきゃいけないと思うんです。
 学生時代といいますか、二十数年前に我々が子供を育てていたときに、連れ合いは実はパートに出ることも何もありませんでした。大変貧乏な生活だったんですけれども、彼女はどうも仕事に出ることと子供と一緒にいることとをはかりにかけて、そしてただ単にお金を稼ぐだけだったらば子供と一緒にいたいという気持ちが、二十五年も前の話ですから、強かったのであります。
 私はこう考えています。単にお金を稼ぐためだけに仕事をするというふうな意味合いで女性が働くということをとらえてはいけないと思います。むしろ、人生の中で欠かすことのできない生きがいといいますか、それを提供するものとして仕事を考えなければいけませんし、でありまするならば、その人が望むそしてその人の適性なり能力なりを最もよく生かすことができるような仕事が供給されなければいけないわけです。
 そうでなかったら、はかりにかけて、では私はやっぱり子育てに専念することを選ぶわというようなことになりかねないし、そしてそうなった場合に果たしてそれがいいことかどうかというと、先ほど言いましたが、非常に女性にかかる、女性一人が子供を見ているという状態が都市型ではとりわけ強くなっていきますので、やはりまずいと思うんです。ちょっと関連してデータを申し上げておきます。
#19
○沢たまき君 公明党の沢たまきでございます。
 広岡先生と中村先生、きょうはお忙しいところありがとうございました。
 広岡先生にちょっと伺いたいんですが、広岡先生のお考えは女性にとってとてもありがたい御意見で、きっとこれからの若い男性はもっともっと先生と同じような考えをお持ちになって、子育ては男もする、こういう感覚の御夫婦がふえてくればいいなと思っております。
 実は、私のせがれは先生より十歳下でございますが、半々やっております。先生と同じようにしっかりと子供を育てておりまして、私の孫はママよりパパの方がいいと言っていますから、先生のお説のとおりにうちのせがれはやっているようでございますが、母から見るとちょっと悔しい思いをしてもいます。
 一つちょっと伺いたいんですが、私どもの公明党は児童手当を一生懸命やってまいりました。先生のお説の中で、児童手当というものよりももっと公共のものの方がいいという御意見をお述べになりましたけれども、児童手当は、中村先生ももっと、十万とおっしゃいましたけれども、いろいろなことで私たちも頑張っているんですけれども、児童手当を一人五千円上げるから、一万円上げるから産みなさいと、そういう意味で児童手当を公明党がやっているわけではございませんのですが、全く必要ないとお思いなのか、そして、それよりもほかの方がいいとおっしゃっていたので、具体的には公共施設とおっしゃいますとどういうものをおっしゃっているのか教えていただきたいこと。
 それから、中村先生には大変、いろんな新聞、雑誌で先生のことを拝見いたしまして、すばらしいなと思っております。高齢者の子育て、今ちょっとデイサービスと一緒にやったらどうか、併設しているのもあるんだと。ですけれども、私もデイサービスなどをちょっと見てみますと、お元気なお年寄りというよりもやはり車いすでいらしている方が多いので、どうなのかなというのがあります。
 もう一つは、退職なさったけれどもまだお元気な、小学校の先生をやっていらした方だとか、それから保育園の保母さんをやっていらした方だとか、そういう方々もどうお考えなのか。
 もう一つ、私ども若いころよく洋画を見たときには、夜映画に行くとかあるいはパーティーに行くというお父さん、お母さんがベビーシッターを頼むとほとんどカレッジの学生がベビーシッターで来てくれる、そういう洋画がありまして、そういう制度というか、学生がバイトで夕方から御両親がパーティーから帰ってくるまでうちでお子さんを見ているという、そういうのはどのようにお考えか。今、日本では大変難しいかもしれませんけれども、資格がないとだめなのかもしれませんけれども、そのくらいになるとおっしゃるとおり安い、一時間千円程度で預かっていただけるのかなという気がしたんですが、そこら辺はどうかなと。
 この二点をちょっと伺わせていただきたいと思います。
#20
○参考人(広岡守穂君) 沢先生がおっしゃった点につきましては、私は、全くなしでいいというふうに申し上げたのではなくて、比較的所得の低い層に比較的短期間はあった方がいいだろうと思っております。それ以上余り長期間にというのはどうかなという気がしております。むしろ、先ほどのバウチャー制のように、サプライサイドというんでしょうか、マンパワーの方にお金が流れるような形の方が望ましいのではないかなと思っております。
 公明党が大変頑張られて今度のことを実現されたということはよくよく承知しておりますが、私は、社会できちっと働き喜びを持って働いていく。そして、人間はやっぱりお金の問題ではありませんので、宗教にしてもそうだと思いますけれども、お金で生きていくわけではなくて、自分の生きがいというものをやはり人間は求めます。そのときに、生きがいを持って社会の中で役割を果たしていくことができるというためには、私は、国家は余りお金を使うべきではないという、そういう考え方をしているものです。
#21
○参考人(中村紀子君) それでは、沢たまき議員にお答えさせていただきます。
 まず、デイサービスと保育所との併設はどうだろうかという私の考え方についてですけれども、実はイギリスにエミリージャクソンハウスというのがありまして、これは車いすの方々の言ってみれば老人ホーム、デイサービスのようなところと、その一階に保育所が併設されているんです。
 ここで何が非常にいい効果が出てきたかといいますと、高齢者は、老人ホームとかそういうところに通うときに生きるということを失いつつあって、そこはもう最後の自分の場である、死にに来た場所だというふうな考え方をされている高齢者が多かったそうです。そこに保育所を併設することによって、やっぱりビビッドに子供たちの声とか、それからその施設では、一日のうち三時のおやつの時間に高齢者と子供たちの合体の場面があるんですが、それは車いすの高齢者がぐるっと囲む中に子供たちが入ってきて、子供たちとピアノに合わせてお遊戯をしたりいろんなゲームをするんです。
 そうすると、高齢者が自然に子供たちに合わせて手を動かしたり体を動かしたりして非常に運動になってきた、強制的じゃない形の運動になってきた。それが終わった後、子供たちが、ねえおじいちゃん、おばあちゃんと言って一緒に絵をかいたりして、おじいちゃんとおばあちゃんの車いすの前に大きな画用紙を置いて二人で合作をしていった。そのときに、おばあちゃん、おじいちゃんが子供たちに昔はねと言ってお話をしながら一つの作品をつくり上げていく、そういうことで高齢者がだんだんそこが生きる場所に変わってきた。子供たちはおうちに帰ると忙しいパパとママはねえ、ねえ、ねえと言ってもゆっくり話を聞いてくれないんだけれども、そこの場ではもう自分が話したいだけおじいちゃん、おばあちゃんに語りかけることができるということで、双方にとってよかったというふうなことが言われています。
 ですから、私がデイサービスと保育サービスを一緒にというふうに考えたのは、デイサービスに来られる高齢者の方々が保育に当たるという意味ではなくて、その相互の文化の伝承というようなところではいいんじゃないかと。
 それからもう一つ、育児支援としての高齢者は、先ほどおっしゃられた看護婦とか保育士とかそういう資格をお持ちになったり、あるいは自分で子育てを経験されてきたというような方々が、五十、六十、七十でも健康であれば一定の研修を受けていただいた上で入っていく、そういう考え方です。
 そして次に、アメリカのベビーシッターさんは学生さんで、夜そういうふうに気軽く各家庭に行ってお世話をして、料金も安いということは事実です。
 ただ、これは私がこのポピンズコーポレーションを始めるときに、アメリカ型のベビーシッターを目指すか、実はイギリスにナニーというプロフェッショナルの保育者がいますけれども、こちら型を目指すか、非常に迷いました。そのときの結論として、アメリカ型のベビーシッターは目指さない、イギリスのプロとしてのナニーの形を日本の中に導入したいと思いました。
 その理由は、当時アメリカの中でも、ベビーシッターさんが例えばドラッグというか薬を子供の食事の中に入れ込んで子供に食べさせてその子供の体調がおかしくなったとか、あるいは夜ベビーシッターさんに預けているはずなのに、そのベビーシッターがボーイフレンドを連れ込んで全然子供を見ていなかったとか、いろんな事件が出てきたんです。
 それで、やはりアメリカの中にも安かろう悪かろうで案じる人と、やっぱり子供はきちっとしたプロに見させたいという人と二つに分かれてきました。そういう現実があります。
 日本の学生たちを安いからではベビーシッターにといった場合に、やはりそういったきちっとした本人の研修とか、あるいはその人となりを見きわめた上でしないと、結局犠牲になるのは子供じゃないかというふうに思います。
 以上です。
#22
○沢たまき君 ありがとうございました。
#23
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。お二人の参考人の先生、きょうはありがとうございます。
 まず、広岡先生にお伺いしたいと思いますけれども、若い方の意識も含めてこの間の歴史的な流れを大変詳しくお話しいただきました。特に、上手に子育てができるかどうか若い両親は強い不安を抱いている。この点では、やはり子供を産むかどうかということも含めて大変心配になっているということを、私もこの間働いている女性の皆さんから直接お話を伺ったところです。
 この点で、私も振り返ってみますと、子供を出産するときからとても一人ではそういうことはできなくて、助産婦さんを初め、また家族や、また私の高齢の父も含めて兄弟、いろんな方の手助けがあって出産から始まってその後の子育てができてきたのではないかというふうに思っているんですが、私も子供の出産を契機にお母さんたちとサークルをつくったりしまして、出産や育児のサークルなども取り組んで、お産の施設をつくるということまでかつてやったことがございます。
 それで、NPOの役割のことについて最後に触れていらしたんですが、この問題で育児支援の点での何か今後の方向と、それからその上でぶつかっている問題や克服しなくてはいけない問題があれば伺いたいと思います。
 それから、中村先生にはベビーシッターのお話を伺いたいと思うんですが、私もベビーシッターに今もお世話になっております。下の子供が一歳のときからお世話になっております。もちろん、保育園や学童保育と兼ねながらということなんですが。
 それで、一つは、やはり親にとっては質をどういうふうにつくっていただくかというのがあると思うんです。先生も今おっしゃったように安かろう悪かろうではなくて、本当に子供を安心して預けることのできる質をどういうふうにつくっていくのか。
 この点では非常にベビーシッターサービスへの需要が高まっているというふうに思うんですけれども、先ほど御紹介のあった全国ベビーシッター協会の中でも、質を高く評価しているというアンケート結果の一方で、質にばらつきがあるという不満の声もございますよね。そういう点では、質の向上のための十分な研修制度の導入などを含めてどんなことがこれから必要になってくるのかということを伺いたいと思うんです。
 これは質問ではないんですが、公的保育園含めて私ちょっと先生とは考えが違いまして、ベビーシッター制度もそれから集団の保育の制度もやはり質をきちっと上げていく、そういう点での必要な財政措置はそれぞれきちっとやっていく必要があるんじゃないかなというふうに思うので、その点は申し上げておきたいと思うんです。
 それから、質問の二つ目なんですが、その上で、このベビーシッター協会の中でも料金が高いということが出ておりますね。それで、先ほど厚生省の始めたのですか、何という名前でしたでしょう……
#24
○参考人(中村紀子君) 在宅保育サービス割引券ですか。
#25
○畑野君枝君 そうですね、割引券制度。これが一枚につき千五百円の割引が受けられるということで、これを利用しているという方からもお話を伺いました。
 それで、こういう財政的な支援を進めていくという点で、御要望など含めてあれば伺いたいというふうに思います。
 消費税の問題は私も本当に同感で、私たちとしては全体消費税も減税して、なくしていく方向がいいんじゃないかと思うんですが、特にこういう子育てにかかわる問題では、中村先生がおっしゃったようにすぐ取り組んでいく方向が必要ではないかというふうに思っております。
 以上の点で伺います。
#26
○参考人(広岡守穂君) 欧米諸国でよくファミリーポリシー、家族政策と言うと思うんですが、家族政策はいろんな政策のセットがありますけれども、どういう政策をとると合計特殊出生率が上がっていくかというと、これはさっぱりわからないわけです。
 私は、基本的には世帯単位ではなくて個人単位に切りかえていって、例えば第三号被保険者とか配偶者控除とかといったものをやはり小さくしていく方がいいのではないかなというふうに考えています。家庭内暴力とか離婚とかという問題を見てみても、どうもやはり世帯単位であるということの持っている問題性がかなり大きくなってきているんじゃないかなという感じがするんです。お金よりルールという面が今は強いんじゃないでしょうか。選択的夫婦別姓にするとかどうとかというああいう問題も含めて、お金よりルールを変えていくことが大事ではなかろうかと思っています。
 少子高齢社会の問題というのは、基本的に女性問題という側面が非常に強いと思うんですけれども、例えば何かの仕事で業務を委託する、あるいは工事とかそういうことを発注するというときに、例えばついこの間まで、総合評価方式が導入される以前までは価格によって競争入札が行われたわけですよね。価格一本やりという面が強かったわけであります。
 そういうときに、例えば業者さんが同じ価格で入札をしてきた場合に、一方はISO14001の認証を取得していて、もう片方は認証を取得していなかった。私はこんな場合、もう今の世の中だと文句なしに認証を取得している、環境問題にちゃんと取り組んでいる企業さんの方に仕事を与えるのが国全体として、国はよりよい方向へ社会を持っていく責任を持っているわけですから、いいのではないかと思うんです。
 同じようなことが、例えばちゃんと女性問題に関してきちっとした取り組みをやっている企業とそうじゃない企業とが同じ価格で入札をしてきた場合、これは当然女性問題に取り組んでいる企業の方に落札をするべきであろうかと思います。
 そういうルールを変えていくというのは、例えばILO九十四号条約で公正労働条件の、あれは日本はまだ批准しておらぬかと思うんですけれども、ああいうことも含めて少しルールを変えていけば、つまり競争のルールを変えていけば、相当に日本の社会を変えることができるので、何だかんだでお金を出して、それでもってほころびを手当てしていくような、そのやり方は私はいかがなものかという感じがしています。全然だめという意味ではありませんけれども、いま少しルールを考えていく必要があって、世の中の考え方自体を変えていくということが非常に重要なんではないでしょうか。
 お尋ねのNPOの件でございますが、私は地域でNPOの活動が盛んになっていくということが、かつて日本が持っていた地域のよさ、お互いに隣同士声をかけ合い、夕方になると縁台を出して、それでへぼな将棋を指して、隣で夫婦げんかをしているとちゃんとしっかり内容が聞き取れて、あそこのうちではこんな問題でけんかしておるわなんという、プライバシーがないといえばそれまでですけれども、だけれどもある種の人間のつながり、それを地域のNPO活動がいろんな形で盛んになることによって回復することができるだろう、別の形で回復できるだろう。それが直接的に子育て支援があるとかないとかというよりもはるかに重要な問題なんだというふうに私は思っています。
 なぜならば、例えば数年前に公園デビューという言葉が出ましたよね。びっくり仰天ですよ。何で子供の友達を見つけるために公園まで行って一々デビューしなきゃいけないのか。
 でも、今考えてみると、それだけの理由はあるわけです。かつては一つのアパートに同じくらいの年の子が必ず何人かいたのに、今は一つのアパートに同じくらいの年の子は一人しかいないとか、友達を探すのに随分時間がかかるとかいう、こんな状態ですから、随分昔とは違うわけであります。そういうときに、地域に大人がいて、おじさんは君のことを見ているよとちょっと声をかけてあげられるような、それが何よりの子育て支援なんじゃないでしょうかね。
 子育て支援だけとってみると、何か、やれどんな仕組みをつくってどんなお金を出してみたいな話にどうしてもなりがちかと思うんですが、私は新しい世代を産み育て、つくっていくというのは、これは我々社会全体のトータルの問題であって、仕組みとかなんとかということよりもうちょっと違って、地域で果たしてちゃんと大人同士が信頼感を持って言葉をかけるような人間関係ができているかどうかという話だと思います。
 そして、その面でいうと、今やはり一番期待される大きな活動というのはNPOだと思うんです。NPOあるいはコミュニティービジネスだと思います。NPOやコミュニティービジネスというのは地域の中での人間関係をもう一回活動を通じてあるいは仕事を通じて再構築していくという側面がありますから。
 私はNPO活動をいろんな面で調査もし、それから自分もかかわってもきたんですけれども、福祉の分野だけにかかわらず、国際交流ですとか町づくりですとかいろんな面でNPOが広がっていくことによって、もう一回自分が子供を産んだときに、自分たちが子供を持ったときにこの子は地域の中で育っていって社会全体としてちゃんと育ててくれるんだ、だから自分たちも安心できるんだという、その信頼感をつくることが大事だと思います。
 そんなふうに考えておるんです。
#27
○参考人(中村紀子君) それでは、畑野先生の御質問にお答えさせていただきます。
 まず、ベビーシッターの質の確保というお話でしたけれども、これはもう当然一番最初にそれは、全国ベビーシッター協会でも、これ平成元年にできたときにベビーシッターの質をいかに高めようかということで協会が設立されておりまして、今新人研修というものとそれから現任研修とこの二つのコースをもって協会としてやっております。全国で新人研修と現任研修を合わせて十三カ所でやっているんですけれども、実はベビーシッター協会として悲願というふうにお伝えした方がいいのかもしれませんが、ベビーシッターという資格をつくりたいというふうに考えております。
 保育士とか幼稚園の先生とかあるんですが、ベビーシッターも一つのプロであるということを利用者の方々にもきちっとアピールできて、なおかつベビーシッターになる方にそれなりの自覚と責任を植えつけるためには、きちっとした研修制度に基づいたベビーシッターの資格が必要であろうということで、できればこの辺を近日中にといいますかつくり上げていきたい、ぜひその辺の後押しをしていただければありがたいというふうに考えております。
 それから、在宅保育サービス割引券という厚生省がベビーシッターを使っている方に一日一枚千五百円の割引券を出しております。これは予算でいいますと総額で四億円ぐらいがついているんですけれども、実はこの割引券の使い方については非常に使い勝手が悪いという声が利用者から頻繁に寄せられています。
 それは例えば、財源が限られておりますので、この財源は児童手当拠出金の方から出ているんです。ということは、企業が出したお金が企業の職員さんの方に戻っていくという形で、いわゆる厚生年金を払っている人しかこれは使えないんです。ところが、例えばNTTとか何万人規模の女性がいる会社もあるいは十人や十五人ぐらいの規模の会社も一律この割引券は千二百枚しか購入できない。これがまず最大の問題でして、大手企業になればなるほどそのたった千二百枚をどのように社員に配ったらいいかということで、もう要らないというふうになってしまっています。ですから、まずこれがやはり、企業が大きければ大きいだけ児童手当拠出金は出しているわけですから、その比率にあわせて出すとか、もう少し検討のしようがあるだろうと。
 それからもう一つは、割引券が使える場所が自宅に限る。要するに自宅に限るということなんですが、例えばベビーシッターが、遅くまでやっている託児所というところに子供を預けるのでそこで見ていてほしい、そのときにこのベビーシッターの割引券を使いたいというときに、その方の自宅でないとだめだという制限がついています。これもやはり現実問題としては余り合っていないというところなんです。
 それから、三番目利用者から多いのが、お子様が病気になったときにベビーシッターをやはり一日使ってしまうということがあるんです。そうなりますと、千五百円で考えましても八時間、九時間といいますと一万幾らですね。そのときに一日千五百円ではなくて、自分が持っている、確保している割引券をそのときに集中して四枚なり五枚なり自由裁量に任せて使わせてもらえないかと。それもできないということでその辺が今ちょっと問題になっています。
 先ほど広岡先生のお話の中にISOという言葉がありました。実はポピンズサービスは全国で初めてベビーシッターサービスとそれから保育所の運営、高齢者介護においてISO九〇〇一を昨年取得しております。これはもう企業努力としては大変な努力をしながらこの国際規格をいただいたんです。いただいたらいただきっ放しでいいのかといいますと、半年に一回監査が入りますから、きちっとそういうふうな内部がなっているかどうかを調査されるんです。このいただいたISOが全く日本の社会の中、特に福祉の中ではだれもそれを、要するに認定していただけない、まだ認知度がないんでしょうか。
 例えば病院で保育所を入札させるといったときに、いろんな業者さんが来ますが、このISOの品質、国際規格を持っているということが何のポイントにもならない、いわゆる一円でも安く出したところに保育所をさせると。これは非常にふがいない感じがいたします。
 建設省が公共事業の受注、入札条件にすべてのゼネコンにISO九〇〇〇を義務づけたというぐらいにサービスの品質あるいは会社のありようというものを規定したものでありながら、福祉の分野では全くどなたも、何それという感じで認知度がないものですから、これから民間企業が保育所に参入するときに、そこの企業の保育のサービスの品質がいいか悪いかは、このISOを取っているか取っていないかは、世界水準ですから大きな第三者評価機関になるはずなんですね。
 ですから、その辺も今後認知度が高まっていっていただければ大変うれしいし、また今保育所ではこのISO九〇〇〇を取る動きが出てきております。既に幼稚園では、京都で先月このISO九〇〇一を取得して、お預かりしているお子様がお預かりしている間にどういう教育効果が出てきたかということをきちっとした判断基準でお母様方に御提示する、そういう基準を取った。今保育所でもこれを取ることが三カ所ぐらい動きがあると聞いています。
 以上です。
#28
○畑野君枝君 ありがとうございました。
#29
○田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。きょうは大変有意義なお話をいただきましてありがとうございます。
 私からは中村先生が添付資料で提示されております保育所の設置条件、あるいは小規模保育所、不動産貸与、待機児童数が大変ふえてきておる、こういうことで厚生省が出していると。中身も私はきょう初めてよく見させていただいたということで、これが実務的にまた大変いいところとそれから足りないというような、これは都市部も地方もいろいろあると思うんですけれども、どんな状況かということをちょっとお伺いいたしたいと思います。
 確かに、私も地方で企業に関係いたしておりますが、広岡先生が言われておるように、男女共同参画社会になって労働省から、労働集約型の企業でありますから余り女性、ガイドさんは採用しておりましたけれども、もっと女性を採用しろと、こういう時代の流れでありますから、運転手さんも女性にする、事務も女性を採用すると。大変優秀な、そういう面では男性からとったらなかなか、非常にやってくれる女性が入ってくるわけでありますが。
 これを考えてみると、将来晩婚化になるし、結婚をすぐしてやめるのかどうなのかなというようなことからいえば、傾向はもう確かに少子化の状況に来ておる、働きながら両立をしていく、こういう時代だなということは深刻に考えざるを得ないな、保育所も将来はつくっていかなきゃいかぬかなと、こういうことは認識をいたしております。
 保育所の方はそういうことで病院とか駅前だとかにどんどんできてくるんですけれども、支援センターですね。ただ、企業としてそういうところへ頼れるのかどうか、独自に地域としてこれをつくっていかなきゃいかぬかと。これは具体的なこれからの一つの、企業がどの程度負担していかなきゃいかぬか、こういう時点に来ているんではないかということでございます。
 それで、広岡先生には、しかしいろいろな私の経験からいうと、やはり子供は預けるというよりは育てるということが私は根本ではないかと、預けていける可能性があることは大事だというふうに思いますけれども。
 特に、この間私は、たまたまでありますが、狂言師の、代々日本の文化、伝統を育ててきておるという方に招待されましたけれども、三歳から知らないうちに狂言をどんどん仕込まれて、大人になったら自分が独立をして、狂言のみならず社会で自信を持って自分の行動ができるというようなものを一つでもいいですから身につけたことが今日の大人としての自信になっておると、こういうことでありますから、どこかで私は、子育ての中で、早く、どんどん子育てをしてもらって、そして終わったら社会に女性が出てもらうという、その期間まで、自分が資格を得なきゃいかぬかもしれませんが。
 ですから、時代はどんどん女性が働くという時代になってきておりますが、基本は、私は家庭で育てるということを国が定着できるようにしていくことが大事ではないかと、そんな感じを持っておるんですが、先生はいかがでしょうか、二点をお願い申し上げたいと思います。
#30
○参考人(中村紀子君) それでは、保育所の現状といいますか、今どういう状況かということですけれども、二万二千三百三十四カ所で公立と私立保育所がそれぞれ五八%と四二%であったんですが、実は公立は毎年約五十カ園ほどが統廃合今されてきているんですね。そこで約百八十万人のお子様たちを今お預けになって保母さんたちが見ていらっしゃるわけです。
 今回、規制緩和になりまして企業が認可保育所に参入できるという表向きの窓口は開かれたんですが、そこで、それを見越して昨年から、JR東日本さんの、今、会長になられました当時の松田社長が、JR東日本の駅前で保育所をやっていきたい、できればそれを規制緩和を受けてなるべく認可保育所という形で地域の中で貢献していきたいというお話がございました。
 それで、第一号としてことしの四月一日、今月ですけれども、オープンする保育所としてポピンズコーポレーションを選んでいただきまして、JRさんの横浜の小机という駅の本当に線路際ですけれども、そこの用地のところに新たに保育所をつくりまして、そしてそこの運営をポピンズに任せていただくということで、四月一日にオープンしたばかりです。
 実は、今回のガイドラインが出まして、これを認可保育所に一体持っていけるんだろうかというふうな、中身を見ましたときに非常に厳しい状態があります。今回のガイドラインの中で、企業が参入するときにはまず一千万円預金で積みなさいと。それから家賃、私どもは、JRさんが建物その他をつくってくださいましたので家賃を毎月お支払いしながら今やっておりますが、その家賃の十二カ月分、これも預金で積みなさいと。それから、ビルとかそういう建物を借りますと敷金というものが出ます。その敷金の額というのは結構大きいんですけれども、その敷金も出さなければいけない。そして次に内装費、それを保育所仕様にするためには通常三十坪ぐらいのところで一千五百万とか二千万かかるんですが、そういった内装費も全部企業が持ちなさいと。そして、そこまでやってそれで、ただし一年間はやった実績を見てからじゃないと参入させるかどうかはわからないというようなことでして、とりあえず保育所をするために数千万円のお金を一カ所当たり確保しないとできないということがまず条件になっています。
 それで、通常の認可保育所というのは家賃をほとんど払っていません。これは、例えば社会福祉法人は、お寺さんの敷地内に土地があるからここで保育所をしたいというと、そこに建物を建てると、国、市町村、県から建物の四分の三が、お金がぼんとおりてくるわけですね。それでスタートできるわけです。そして、中の改装費から何からすべてこれは施設整備費という形で補助金が出てくる。
 ただ、民間企業が場所を借りてそこに建物を建てたときには一切施設費は出しませんというのが今の規定です。そして内装費も出しませんということで、これは、入り口だけはあけてくれたけれども、相当大きな団体のプレッシャーがあって、いわゆる余りすぐ入れないようにしてほしいということでしかないんじゃないかなと思えるぐらいです。
 私どもとしては、では家賃はどこから出るんでしょうか、いただく運営費の中から出していいんでしょうかと言うと、それは民改費という人件費の四%ですか、そこの分まではよろしいと。ただ、その金額でやったにいたしましても多分家賃の三分の一程度しか出ていかない。そうすると、その家賃分はどうしたらいいんでしょうということをお聞きしますと、それは自治体から出してもらったらどうでしょうかとか、あるいは企業が寄附されたらどうでしょうかとか、そういう感覚なんですね。ですから、ちょっとまだ、大手の企業さんがこれから出ていきたいという気持ちが大変あったんですけれども、とても、今のところはまだ様子見という状況になっています。
 せっかくJR東日本さんがそういう形で、地域のためにということで場所を提供したり、あるいはJR西日本さん、阪急電鉄さん、電鉄さん関係が非常に今大きな動きをしております。ただ、それでもやっぱり家賃がどこからも出てこないと企業は入っていけませんし、それから内装にかかわる経費も一切企業だからということで出てこないということであると、とてもその辺のリスクが大きいと判断せざるを得ない状況です。
 以上です。
#31
○参考人(広岡守穂君) 子供を預けるより育てるのが根本とおっしゃいまして、まさしくそのとおりだと思います。でありますので、基本的に子供は家庭で育てる、それはもうもちろんのことで、そういうことを私、異議を唱えているわけではございません。
 ただ、若い御両親の子育てのあり方、それから御自分たち自身が感じていらっしゃる不安。さらには、例えば小学校の担任の先生方が小学校一年生を担任するのを非常に敬遠される。どうしてかというと、いろいろあるわけですね。給食のときに、一緒に御飯を食べるときの御飯の食べ方を教えるだの、机にちゃんと座って先生の話を聞くという、そこのところからなかなか大変なわけです。つまり、概して申し上げれば家庭の教育力がやはり随分といいますか、いささか昔に比べたら落ちていると言わざるを得ないんだと思うんです。
 それを考えたときに、やはり親は、子供はかわいいですけれども、ついついこれだけ豊かな社会ですからどうもやっぱり甘やかすというんでしょうか、そういう面があって、そういうことがないためにも、また親が親として成長していくためにも、やはり地域のほかの大人が子育てにかかわっていく。そしてこの場合、経済上は親がサービスを購入すると、こういうことになるわけですけれども、しかし単にサービスを購入するというのではなくて、やはり学校の先生に勉強を教えてもらう、育ててもらうというのと同じような意味合いで地域のほかの大人の人たちに自分の子供の子育てにかかわってもらう。私が預けて育てるというふうに申し上げたのはそういう趣旨でございます。
 ただ一点、先生のおっしゃったことで、これはちょっと意見が違うところがございまして、それは、女性はとりあえず子育てをし、そして子育てが終わったら社会に出たらどうかというふうにおっしゃいましたが、もし私の理解が違っておらなければちょっとそれは違うのではないかなと思うのでございます。
 子育て中に職業のキャリアが中断される、そのときにもう一回再就職をするというときに、先ほど申しましたが、単にお金を稼ぐのではなくて、やはりどうせ働くならば自分が社会的に意義があるとか、自分の適性だの望みだの願望だの、そういうものを満たすことができるような仕事につきたいというのが、これがやはり人間の大切な気持ちです。この自己実現の気持ちに対してきちっとチャンスを与えていくことが、私がやはり強調したいのは、これが日本の産業の競争力を維持していくために一番重要なことではないかと思うんですよ。
 そういう面でいいますと、子育て中もやはり職業的なキャリアを継続してもらいたい、そしてそのことによって重要な働き手として、社会の担い手として、経済の担い手として、女性を単に取りかえのきく周辺的な労働力として活用するというのではなくて、先生の会社でもやはりおっしゃっておられましたけれども、重要な基幹的な労働力として、大きな可能性のある労働力として社会で働いてもらうためには、私は子育て中も女性が継続して仕事をするような仕組みになっておく方がよい。そのためには、男も育児休業をとって別に罰は当たらないだろう、こう思っております。
#32
○海野徹君 両参考人、きょうはありがとうございました。民主党の海野であります。
 広岡先生に二点ほどお伺いしたいんですが、家庭の教育力が落ちているということがある。では、一体どの部分が落ちているのかなとつらつら思うのはやはりしつけかなと。しつけというのは身を美しくと書きますから、その身を美しくという質のしつけを親が要するにできない。
 これは私が結婚式でよく招かれて話を新郎、新婦にするんですけれども、それは、皆様方健康体でしょうからお子さんが生まれると思います。子供が一歳になったとき、父親として一歳の父親になれるのか、あるいは母親として一歳の母親になれるのか、そのことは念頭に置いて生活してくださいという話をするんです。
 それには距離感というのが必要だと思うんです、子供と向き合う。距離感をではどうやって保つんだというのは、とにかくある意味では、ひたすら耐えてごらんなさい、待ってごらんなさいという話をするんです。それがないと、やっぱり父親として一歳の父親、二歳の父親、あるいは母親としては一歳の母親、二歳の母親とはなれないと思うんです。それがないと教育力というのはついていかないと思うんです、家庭の教育力。その辺について先生のお考えをお聞きしたいなということが一つ。
 だから、具体的に家庭の教育力をもう一度再生するために、私は、ある意味では国語力というのか、日本語をもう少しきちっと教える必要があるんではないか、学校教育の中で。
 例えば、理動という言葉がない感動という言葉があると私はよく言うんですが、人間は感じて動くんです、理屈で動かないんです。だから、どうしてもデジタル社会とかコンピューター社会になると理動ばっかりが前面に出てくるんですよね。そんなことはあり得ないんです。
 例えばそんなことを含めて、日本語をもっときちっと教える必要があるんではないかなと思います。その辺についてお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 もう一点は、これは若い二十代の人たちと話をすると、今一番おもしろいなと思っているのがコーヒーのボスの宣伝なんです、あるいはセガ・エンタープライゼスの湯川専務のあの宣伝が非常におもしろいと。なぜおもしろいのと言ったら、自虐性があると言うんです。こういう自虐性のあるメッセージについて非常に彼らは関心を持って、それが受けているんですね。
 その層が父親になり、母親になるといったときの、あるいは父親になるのか母親になるのか、そういう機会を持とうとしないのかもしれませんが、した後の子供ってどうなるのだろうなという思いがあるんです。
 先生は御本の中でいろいろ、心象風景とか「「豊かさ」のパラドックス」なんというのを書いていらっしゃるから、その辺のそういうコマーシャルからの自虐性のあるメッセージに対して大変おもしろがっている若者たちが果たして結婚するのか、結婚したら子育てをどういうふうに彼らはしていくのか。その辺を、ある意味では先生なりのイメージとしてお答えいただければありがたいと思います。
 以上です。
#33
○参考人(広岡守穂君) どういう教育力が落ちているのか、距離感が必要ではないかというお話でございまして、まさしくそうだと思います。自分の子供を子供全体の中で見ていくといいますか、例えばこんなことを経験いたしました。
 ある子の、五人いますから何番目だか忘れてしまいましたが、ある子の学級で父母面談のときに、先生がクラスのことを一生懸命お話しされていたときに、ある親の方が、なるべく早く個別面談にしてくれというようなことをおっしゃいました。その方も事情がおありだったんでしょうけれども、子供を社会全体の中で見ていくという発想がやっぱり欠けておるな、乏しくなっておるなという気がいたします。距離感というのはそういうことかと思います。全く賛成でございます。
 国語力のこともお話しになられましたが、コミュニケーションの力をつけていくという面ではやはり同様のことを感じております。親になる前のもうちょっと前の世代と私は例えば学生としてゼミなんかでつき合っておるわけですけれども、最近のゼミの学生とのつき合いの中で非常におもしろいなと思ったことがございます。それは、ワークショップ形式でゼミを進行しますと学生が非常に喜ぶんです。
 一度、劇団のプロデューサーの方、俳優でありかつプロデューサーであるという方に来ていただきまして、俳優さんのけいこみたいなことをワークショップでたまたまやったことがあったんですが、そのとき非常に顔を上気させて、すばらしかったと言ったのが大変印象に残りました。
 何か感動したり自分の思いを相手に伝えたり、体で表現したりするようなことがちょっとやっぱり今は弱まってきているのかなと思うんです。それは、受験勉強に一生懸命優秀な若者たちが取り組んできて、一番かなめの中高生の時期に学校の行事をサボって勉強するとか、家事も手伝わずに夜食をお母さんが持ってきてくれて勉強しているとか、こういう様子で育ってきた若者が、将来の社会、経済、政治、国家を担う、そういう人材たり得るだろうかとやっぱり思うわけですね。ちゃんとしたリーダーシップを持つ人間がやはり必要であるとしますならば、学校行事はサボったわ、夜食は親につくってもらったわという子がリーダーシップをとるというのは、私はやはり余り望ましい姿ではないのではないかなと思います。
 そういう広い意味で国語力と申しますか、コミュニケーションの能力をつくるということが大事だと思います。これはひとり親ができることではないと思います。親の力というのはある意味では大変限界があるものでございまして、その親に何かすべてを預けてしまっているような面があるとすれば、そこは大きな問題だと思います。
 自虐性のある宣伝を好む若い人の傾向をどう思うかという御発言もございましたけれども、一言で言って、きちっとしたリーダーシップを持ち、自分のことを自分でちゃんとし、社会、公共の事柄に対して温かいまなざしと関心を持っている人間を育てていく。そのためには、親はほかの大人たちとの協力の中で自分の子供を育てていくのだという気持ちを持たなければいけませんし、そういう気持ちを親が持つためにはどうすればいいかということを我々は考えなければいけない。そして、それがいわば非常に根本的な意味で子育て支援になるのだというふうに思います。
#34
○参考人(中村紀子君) 今のおっしゃるとおりです。非常にしつけの部分というのが欠けているというのはもう痛切に感じておりまして、特にこれから民間企業が認可保育所に入っていくときに、今まで公立保育所あるいは通常の社会福祉法人がやっていた保育所と同じやり方をするのであれば全く意味がないと私は感じております。やはり私どものような民間企業が入っていくことのよさというものがなければいけない。そのよさというものは、やはり今の保育ニーズというのが多様化しております。その中で家庭のしつけという部分が非常に低下している。それを今までの保育園は、それは家庭でやることでしょうといって切ってしまっていたんですね。保育園では集団保育ということに一点力を注いでいた。
 でも、私どもはそうは思いません。やはり社会の子として、これからの日本の次代を担う子として、保育園であろうが家庭であろうが、その子が二十になったときに恥ずかしくない自立した大人になるために今我々は何をすべきかと、そういう視点で保育がもうゼロ歳のときから始まっていなければいけないというふうに考えております。そのためには、今の保育士さんという方々が専門学校を出て二十そこそこで保育園に入って、社会の常識あるいは国際社会が今どう動いているか、そういうことに余り関心をお持ちにならずに、ただ子供と遊んでいるだけという形でずっと来るということも一つの問題。
 これが先ほど言った保育所のいわゆる採用が保育士だけであっていいのかということにつながっていくんですが、こういったところを民間企業が入ることによって、言ってみれば、保育士自体がもっと大人になり、もっと自立して、もっと世界を見ながら、もっと日本の今抱えている問題をどう分析して、今の小さい子供たちに何を教えていくかということが認識できるような保育士に対する教育も必要じゃないかというふうに思っております。
 それから、民間企業が入っていくときに、多様なサービスの中で、その一つとしては、ネットで会社と保育所を結んでいく。いわゆるお父さん、お母さんたちが、日中十一時間預けられている保育所で子供がどのように保育されているのか、全くこれを知ることができずに六年間来ちゃうわけですね。
 ですから、こういうインターネットが進んできましたから、私どももちょっと実験をしておりますけれども、保育所のプレールームをインターネットのカメラで押さえて、それが各会社のオフィスからインターネットを通じてその場面を見ることができる。必要とあれば、お昼時間にお母様が保育所の保母とお話しすることもできますし、お子様と会話することもできる。となると、父親が通常、保育場面の中にもう少し、忙しいお父さんであってもインターネットを通じてお子様方あるいは保育者と話ができる、コミュニケーションができるんじゃないかと思っております。
 それと、本当にこれからの認可保育所がお子様だけに向かっての保育所でいいのかというものは疑問を感じています。やはりこれは地域の子育て支援センターという名前がついているのであれば、母親向けのいろいろなサポートシステムがこの保育所の中にあっていいのではないか。
 例えば、あるところでは、これは外国の例ですけれども、高校を中退したお母さんたちに対して、高校を卒業するだけのその部分をあいている空き室で、一方では子供を保育してもらいながら、もう一つの空き部屋ではお母様たちに対するそういう勉強ができる授業の形を出していたり、あるいはお子様が小学校に入ったら、社会に出たいのであれば国家資格が取れるような勉強ができる、そういうことを空き部屋、そこで行っていたり、あるいは片親、あるいは虐待を受けているお子様たちのそういったことに対するカウンセリングルームであるとか、非常にそういう画一的な今までの保育から、本当に地域の中の子育て支援というのは、母親の現状に目を向けていかなければこれからは存続し得ないんじゃないかという感じがいたします。
 以上です。
#35
○会長(久保亘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 両参考人におかれては、お忙しい中、本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時二十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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