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2000/04/24 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民生活・経済に関する調査会 第7号
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2000/04/24 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民生活・経済に関する調査会 第7号

#1
第147回国会 国民生活・経済に関する調査会 第7号
平成十二年四月二十四日(月曜日)
   午後一時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     益田 洋介君     山本  保君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     西山登紀子君     吉川 春子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    会 長         久保  亘君
    理 事
                中原  爽君
                服部三男雄君
                海野  徹君
                沢 たまき君
                畑野 君枝君
               日下部禧代子君
                松岡滿壽男君
    委 員
                斉藤 滋宣君
                長谷川道郎君
                日出 英輔君
                真鍋 賢二君
                松村 龍二君
                吉村剛太郎君
                谷林 正昭君
                堀  利和君
                簗瀬  進君
                但馬 久美君
                山本  保君
                吉川 春子君
                大渕 絹子君
                戸田 邦司君
   事務局側
       第二特別調査室
       長        白石 勝美君
   参考人
       日本経営者団体
       連盟常務理事   成瀬 健生君
       日本労働組合総
       連合会男女平等
       局長       猿渡由紀子君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○国民生活・経済に関する調査
 (「少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成
 に関する件」のうち、経済界並びに労働界の少
 子化問題に対する考え方等について)

    ─────────────
#2
○会長(久保亘君) ただいまから国民生活・経済に関する調査会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十日、益田洋介君が委員を辞任され、その補欠として山本保君が選任されました。
 また、本日、西山登紀子君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○会長(久保亘君) 国民生活・経済に関する調査を議題とし、少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成に関する件のうち、経済界並びに労働界の少子化問題に対する考え方等について参考人から意見を聴取いたします。
 本日は、お手元に配付の参考人名簿のとおり、日本経営者団体連盟常務理事成瀬健生君及び日本労働組合総連合会男女平等局長猿渡由紀子君に御出席いただき、御意見を承ることといたします。
 この際、成瀬参考人及び猿渡参考人に一言ごあいさつを申し上げます。
 両参考人におかれましては、御多忙のところ本調査会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。
 本日は、本調査会が現在調査を進めております少子化への対応と生涯能力発揮社会の形成に関する件のうち、経済界並びに労働界の少子化問題に対する考え方等について忌憚のない御意見をお聞かせいただき、調査の参考にさせていただきたいと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。
 議事の進め方でございますが、まず成瀬参考人、猿渡参考人の順にお一人三十分程度で御意見をお述べいただきました後、二時間程度各委員からの質疑にお答えいただく方法で進めてまいりたいと存じます。
 質疑につきましては、あらかじめ質疑者を定めず、自由に質疑を行っていただきたいと存じます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 また、時間が限られておりますので、質疑、答弁とも簡潔に行っていただくようよろしくお願いいたします。
 なお、参考人からの意見陳述、各委員からの質疑及びこれに対する答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、成瀬参考人からお願いいたします。
#4
○参考人(成瀬健生君) 日経連の成瀬でございます。
 本日は参議院国民生活・経済に関する調査会でこのような日経連の意見をお聞きいただく場を与えていただきまして、大変ありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、座らせていただきまして、日経連の意見を申し述べさせていただきたいと思います。
 日経連は、かねてから少子化問題につきましては大変重大な関心を持っております。これが具体的に報告書として出されましたのが、お手元にお配りしてございます平成十年一月の「少子化問題についての提言」でございます。
 これは、当時、少子化問題懇談会というのを日経連が組織をいたしておりまして、東芝の相談役でいらした渡里杉一郎さんが懇談会の委員長としておまとめいただいたものでございます。これがベースになりまして、その後も日経連としましては少子化問題についての発言を種々の場で行っているところでございます。
 そこで、この「少子化問題についての提言」でございますが、ちょっとおめくりいただきまして、最初の「はじめに」のところでは、例の一・五七ショックの問題から説き起こしておるわけでございます。そして、次のページでございますが、見開きの「「少子化問題についての提言」の概要」というのがございます。これが全体のまとめでございますが、特にこの中で重要なところは、七ページからになりますけれども、「少子化問題についての提言」というところでございます。
 本文の方を見ていただいた方がよろしいかと思いますので、七ページをごらんいただければと思います。
 最初に、「少子化問題への基本的スタンス」というところがございますが、その真ん中より少し下のところに「このような観点から、」というところがございます。「国としても、そしてまた企業としても環境整備のための取組みを強めるとともに、個々人としても、とくに男性において意識改革を進めることが、真の男女共同参画社会の形成につながっていく」、こういうふうな考え方の基本スタンスが述べられております。
 そして、政府に対するお願いも含めまして具体的な項目を挙げておりますものでございます。平成十年の段階でございますから、その後、実現に進んだものもございますわけでありますが、最初に、内閣に少子化問題総合対策推進本部を設置していただきたいというふうな指摘がございます。これは形は違いますけれども、具体化の方向で進めていただいているというふうに理解をいたしておるところでございます。
 八ページに参りまして、二つ目の項目でございますが、「子育て支援のための環境整備」。エンゼルプランから新エンゼルプランへという動きの中でございますが、特に日経連の方で常に強調をさせていただいておりますのは保育所の充実の問題でございまして、ここでは、ページの上から四行目からでございますが、「保育所サービスの拡充にあたっては、延長保育、一時的保育、乳児保育など利用者ニーズの多様化に効率的に対応するため、保育所の設置・運営基準などの規制緩和」云々というふうなことがございます。その後にまた、幼稚園と保育所の施設の共用化を進めるなど、協力体制といいますか、幼保一元化と言われておりますが、そうしたものをお進めいただきたいというふうなことが指摘してございます。
 特に日経連が強力に推進の発言をいたしておりますのは、大都市におきましては、企業内保育につきましては通勤事情から大変限界がございまして、いわゆる駅型保育所と申しますか駅前保育所と申しますか、通勤の途上、最寄りの駅で子供を保育施設に預け、そして電車に乗るというふうな形が大都市では適しているのではないかというふうな駅型保育所の提言はかつてから繰り返し行っているところでございます。
 その次の項目は、「子育て費用の軽減」で、子育て減税の問題でございます。
 ただし、これにつきましては児童手当の問題がございまして、基本的には経済的な支援という意味では共通の問題として理解できるわけでございますが、後ほど申し上げますように、日経連は児童手当の問題につきましては多少の意見を持っているところでございます。
 また、「教育費負担の軽減」も大変重要な事柄であると思っておりまして、八ページの一番下からでございますが、九ページの上の二行目のところを見ていただきますと、「このため、学生の自立、自己責任意識の涵養の観点からも、学生に対する奨学金制度を整備、充実するなど」必要だということが書いてございます。
 これにつきましてはさらに発展しまして、税制問題ではこうした奨学金の基金などに寄附をした場合の税制の問題などにも間接的には日経連としては触れているところでございます。
 さらに、土地・住宅環境がさらによくなれば少子化にもいい効果があるだろうというふうな立場でございまして、ここでは定期借地権制度のさらなる普及充実、それから定期借家権制度の導入の検討とございますが、これはもう既に行われているところでございます。こうした点も含めまして、住宅環境をよくすることによって少子化対策ということにも大きく役立つというふうな考え方を持っております。
 その次の「性別役割分業意識の改革」の問題は、連合のお考えとも、いろいろ論議をした上でつい先ごろ共同アピールも出したところでございますが、日経連といたしましても、この点は、この項目の二行目にございますように、「今後、固定的な男女の役割分業意識の見直しや地域社会による子育て支援体制の整備などを通じて、」ということでございまして、男女の役割分担意識の見直し、それから地域がやっぱり重要な役割を果たすのではないか、こういうふうな考え方を強く持っているところでございます。
 その下では、特に男性においては、国際的にも育児に参画する時間が短いというふうな統計も出ております。
 また、企業におきましては、特に女性の活用につながる育児と就労の両立のための雇用環境の整備、それから男性が家事、育児に参加する家庭責任の共同分担、こうした問題につきまして提言をしているところでございます。
 また、この問題、企業における人事管理の問題にかかわりまして「日本的雇用慣行への対応」というところがございますが、これはかなり従来の制度を改めていかなければならない点があるという点は認識をいたしておりまして、企業も現実に大きくその方向に踏み出しているところが多いように見受けております。
 十ページの真ん中より少し下、@からCが書いてございますけれども、その後これをさらに発展させたポイントで連合との共同アピールにも盛られているところでございますけれども、まず@では、女性の積極的な活用と雇用環境の整備、労使の話し合いによる出産・育児休暇制度の拡充、結婚退職・出産退職の慣行、こういうものがまだあるところもあるという話もございまして、こうしたものの見直しなども触れておるところでございます。
 また、Aでございますが、男性の家事、育児への参加、それに役立つような勤務・処遇形態の見直し、労働時間の柔軟化というふうなものも含めて、という指摘がございます。
 Bは、異動、配置転換、転勤制度などにつきましては、できるだけ企業としては家族事情への配慮もするというふうな指摘もございます。
 さらにCとしましては、出産・子育て後の職場復帰への支援、研修の充実等でございますが、そうしたことが不利にならないような研修、それから職場復帰時における処遇の見直し、こうしたことも必要ではなかろうかというふうに考えておるところでございます。
 十一ページに「外国人労働者問題」がございまして、この点につきましては、ここの報告書では、この文章の下の三行目でございますが、日経連としては、既に一九九三年五月、この外国人問題に対する委員会をつくりまして報告をしたところでございますが、これは基本的には政府の考えていただいております技能、技術のある者については受け入れを積極的にするけれども、単純労働力についてはやはり問題があるという指摘に沿ったものでございますが、これにつきましてこれを踏まえた検討が必要という立場になっておりますが、最近、多少状況が変わってきた中で、もう少し積極的に外国人労働者問題を考えてもいいのではないかという議論も現在内部でなされておるところでございます。
 こうした具体的な対策につきまして、ここで盛り込んだものを発展させまして毎年いろんなところで述べているわけでございますが、最近のものでございますと、色刷りの「平成十二年版 労働問題研究委員会報告」というのがございます。
 これをごらんいただきますと、二十六ページ、七ページでございますが、特に企業の立場、経営者の論議の中では、「中長期の労働力供給を見据えた対応を」というふうな項目の中に入っておりますけれども、今後労働力供給がどんどん細ってくるというふうな状況の中で一体どう考えていくかということも含めまして、この二十六ページの一番下の最後のところでございますが、「女性の就業機会の拡大と活用である。」と書いてございまして、「企業をあげて、職場と家庭の両立に一層真剣に取り組むべきであり、出産・育児を支援・尊重する環境づくりに政府・自治体の努力を望む。とりわけ当面の子育て支援施策として、保育所サービスの拡充(延長保育、ゼロ歳児保育、休日保育など)や保育事業への民間企業の参入を急ぐべきである。」云々というふうな表現があるところでございます。
 また、下から二行目に、「第三に、外国人の活用」ということが書いてございまして、二十九ページの二行目からでございますが、最近の日経連の論議がいささか書いてございます。「さらに、より根本的には、有効な対策が打たれないまま、少子化が急速に進み、人口の減少が避けられないとすると、わが国の将来は、日本人だけでは維持できなくなるという問題が生ずる。」というふうな指摘をしまして、在留資格それから技能実習制度などの拡大、また移民という問題も含めて検討に早期に取り組む必要があるというふうな指摘をさせていただいているところでございます。
 こうしたものが最近具体的に日経連といたしまして発表している意見でございますが、その背後にございます事情などにつきましても、「少子化問題について」という私、成瀬の名前を入れましたレジュメがございますが、これに沿いまして、日経連で行われております論議なども含めまして、結論が出ていないものもございますのですが、論議の中身なども踏まえましてちょっと触れてまいりたいと思います。
 まず第一でございますが、少子化問題につきましては国の運営上最大の問題だという認識が大変強うございます。と申しますのは、人口が減少する中で経済が順調に成長するというのは大変難しいのではないかという御意見が強うございます。
 例えて言いますとこんなことでございます。これは半分うわさなのかもしれませんが、アメリカは三億近い人口になっておりますが、近い将来四億になってもいいというふうな意見がアメリカにはあるそうでございます。一方、日本は百年たちますと今の人口が半分の六千七百万人になるというふうなこともございまして、どちらに例えば工場をつくるかというと、どうしてもアメリカに工場をつくるというふうな選択をするというふうな意見も経営者の中にはあるわけでございます。そういう点も踏まえつつ、経済が順調に成長しにくくなる、生産設備がどちらかというと人口増加をするところへ脱出していくような可能性も起こる。
 さらに、社会保障の面で言いますと、サポートする方とされる方の割合が非常に悪化してまいりまして、成り立つことが難しくなるし、また負担の重い若者の勤労意欲等を含めたモラールダウンというふうなものが起こる。いろいろな論議がされているところでございます。
 そんな状況の中で、二つ目でございますが、「日本人だけでやれるのか、外国人を入れるか」というところでございますが、やはり日本人が積極的に努力をするというふうな問題提起の方が先であろうということではもちろんございますのですが、したがって外国人論議を先にすべきではないという意見が強いわけでございますけれども、どこまで日本人が努力できるかということをよく徹底して問いかけて、できることをやっていくべきだ。そのためには、政府主導で意識改革をやっぱりしなければならない、少子化対策というのは国民全体のためになるという目標を鮮明にやはりしていくべきではなかろうかというふうな議論をいたしておるところでございます。
 三番目でございますけれども、もう人口問題というのは、今子供が生まれましても給料を稼ぎ税金を払うようになるのは二十年後になるわけでございまして、できるだけ早くやらないと間に合わないというふうな面もございます。そして、そのためにできるだけ早く国民全体が、出生率が下がるということは大変なことなので、やはり出生率が向上する、これが日本としては大変いいことなんだというふうな意識ができないかな、そういうことについての積極的な啓蒙と教育というふうな意見もございます。
 これは大変に実は論議のあるところでございまして、環境整備ということはよく言われるわけでございますが、環境整備、環境整備ともう随分長い間言ってまいりましたが、環境整備が事態の改善にどのくらい効果があるかということはまだはっきりいたしておらないものでございますから、中には環境整備だけにとどまらずにやはり積極的な啓蒙、教育というふうなものも進めなければならないのではないかという意見もないわけではございません。
 物の例えでございますが、水を飲みたくない馬を川のほとりに連れていくことはできても水を飲ませることはできない、こんな例えがよくございますけれども、そうした点で何か積極的な啓蒙と教育というふうなものが必要ではないかという意見もございます。
 しかし、同時に環境条件の整備は大事でございますので、3のBにございますように、結婚と育児の両立、生活上のリスクを、子供を産むことがリスクというのはちょっと問題なのかもしれませんが、生活上のそうした負担を最小限にするような状況をどうつくるかということで、日経連も保育所の問題でございますとか男女共同参画社会の問題でございますとか、具体的な提言をしているところでございます。
 それから、3のCのところでございますが、家庭科というのがございますけれども、家庭科でボタンのつけ方とか御飯の炊き方とかいろいろ教えるようでございますが、やはり家庭科というのは、家庭というものが社会の最小単位で最も大事な人間形成の場だというふうな家庭の大事さ、積極的に家庭をつくることの重要性というふうなものがうまく教えられているんだろうかというふうな意見もございまして、やはり家庭科であったら家庭というものの重要さを教える、こんなことが基本だというふうな意見も出たりしておるところでございます。
 四番目でございますが、それでは「産業界は何をするか」。日経連といたしましては、企業の人事管理その他で提言をいろいろしておるところでございますが、産業界として本当にやらなければならないと思いますことは、まずは雇用の安定だろうと思います。雇用の安定がやはり一番社会の安心感といいますか、これを生み出すベースになるというふうに考えておりまして、雇用されて所得を得て暮らすというのが最もすぐれた国民所得の分配のあり方ではないかということで、雇用は最も大事であるというふうに考えております。
 そして、そのためには企業が努力して新しい売れるものをつくるといいますか、需要を創出するようなものを積極的につくりまして、そして生産と消費の活発化を何とか早く促し、そして経済成長に少しでもつなげていくという、こうした努力を産業界としては積極的に行っていく。そうした将来への見通しが開けてくる中で明るい展望が開ければ、心理的に出生率も上がってくるのではないか、こんな考え方も強く持っているところでございます。
 そして、「誰が意識改革を先導するか」ということでございます。これはあらゆる日本人がみんなで努力しなきゃならないということではないかと思うわけでありますが、やはりぜひ主導権を握り、意識改革を先導していただく役割としては、政府の総合的な企画の中で、日本のあすを健全なものにするために、人口減少を食いとめるようなことを何かいろんな形でもっていわば総合企画をやっていただく、あらゆる手段の動員というふうなことが必要ではなかろうかと思っておりまして、政府にやはり頼らなければならないところは大変大きいのではないか。
 それともう一つは、その次に書いてございますように、環境整備、子供を産み育てるための環境整備ということは大変大事ではございまして、もちろんそれがなければいけないわけでございますけれども、環境整備にプラスして日本経済社会というのが安定的に発展し、経済も成長し、また社会保障もそれなりにきちんと維持できる、次代を担う若い人たちがきちんと仕事をする、雇用の場も確保されるというふうな安定的な経済と社会の発展、こういうふうなものに対する責任意識を国民全体が持たなければならないのではないか。こういうことにつきましては、これはもちろん政府の主導によるものだと思いますけれども、やはり幼いときからの教育というのが大変大事ではないかなというふうに考えるわけでございます。
 中身につきましては、いろいろ問題もあるところでございますけれども、我々日本人が今後とも安定的に社会を維持し、発展させていくことができるためには、それなりのやはり人口維持というふうなことも含めて基本的なものが必要ではなかろうかという考えの中からこうした環境整備プラス何かそうした国民の意思というふうなものの醸成が必要になってきた、そういう時期にもう既に差しかかってきているのではなかろうか、こんなふうに考えている次第でございます。
 多少時間が余りましたけれども、ここで終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
#5
○会長(久保亘君) ありがとうございました。
 次に、猿渡参考人にお願いいたします。
#6
○参考人(猿渡由紀子君) 連合の猿渡でございます。本日は、少子化問題に関して意見を述べる機会を与えていただきまして大変ありがとうございました。
 少子化問題につきましては、九八年十二月の少子化への対応を考える有識者会議の提言を実行するために、政府においては少子化対策推進関係閣僚会議、民間では少子化への対応を推進する国民会議で取り組みを推進しております。連合は、有識者会議及び国民会議に積極的に参加してきております。また、四月二十日には、日経連と少子化問題についての共同アピールを発表したところでございます。
 少子化の要因については、既にさまざまな統計数値によって分析されていますが、本日の意見陳述に当たっては、男女が仕事と家庭を両立させる環境整備について、労働組合の立場から、女性がいかに働きにくく、子育てに悩んでいるのかなどを中心に述べさせていただきます。
 まず、今の社会状況について申し上げます。
 一点目は、固定的役割分業意識と行動が根強い社会であること。したがって、家事、育児の負担は女性に重くのしかかっています。男は仕事、女は家庭というシステムは、高度経済成長から七〇年代前半までは企業にとって効率的、合理的であったことは否定しません。しかし、企業への従属意識が、欧米諸国にはまれな単身赴任を容認し、極端には過労死までするような働き方によってストレス社会、家庭、地域の機能低下を招いたこと。家庭を捨てなければならない企業論理はもはや通用しないのではないでしょうか。
 二点目は、婚外子に対し差別と偏見が根強く、婚外子を認めない社会であること。
 三点目は、少子社会であるのに子供への虐待が増加していること。また、学校でのいじめ、暴力が深刻になっています。さらに経済不況のもとで、労働者の首切りを実行するために職場でいじめが蔓延しており、自殺する中高年が急増しています。子供社会は大人社会の縮図であります。
 四点目は、いつまでも親に寄生している大人の子供、それを容認する親など、自立できない親子の問題があります。
 五点目は、離婚が増加傾向にあり、子供がいる家庭の離婚もふえています。
 六点目は、女性に対する暴力が顕在化してきています。このことは、男女平等参画社会の実現を阻害する重大な問題ととらえています。
 このような社会にあって、子供を産もうと思うのでしょうか。子供が健やかに育つのでしょうか。大人として反省しなければならない問題が多いのではないでしょうか。
 では、少子化への対応とはどのようなことでしょうか。
 今日の問題は、出生率が短期間に大幅に低下していることに大きな特徴があります。このように急速であることに対し、従来の社会構造が対応し切れなくなっており、結果として産み育てたいと願う人が産めないこと、また少子化社会でありながら子供が大切にされていないこと、児童虐待が増加の一途をたどっていることは、その典型ではないでしょうか。
 したがって、少子化への対応策としては、産み育てたいと願う人が安心して産むことができ、ゆとりを持って子育てができる環境整備を図ることであります。同時に、子供が大切にされ、健やかに伸び伸びと育つような社会をつくるために、子育てを社会全体で支援する国民的合意を確立していく必要があります。また、性別役割分業を前提とした社会システムを変える必要があります。
 次に、少子化に対する連合の基本的考え方について述べたいと思います。
 連合では、現在、少子化問題への対応策を検討しています。検討に当たり確認すべき事項を二点提起しています。一点目として、結婚や出産は当事者の選択であり、国や行政が介入すべきではないことを基本にする。二点目として、子の育児、養育の責任は第一義的には保護者にあり、その保護者が安心して育てられる条件や子供が健やかに育つ環境の整備が社会の責任であることです。したがって、少子化への対応は、保護者の子育てへの環境整備、子供が健やかに育つ社会づくりであります。このことを再度強調しておきたいと思います。
 レジュメの五では、女性雇用労働者の現状を挙げています。
 ことし二月に発表された労働省の雇用均等政策研究会報告及び九九年度の労働力調査等による女性雇用労働者の実情について申し上げます。
 雇用労働者に占める女性の割合は約四割となっています。そのうち四五%はパートタイム労働など非正規労働者となっています。
 我が国の女性の労働力率は、欧米諸国とは異なり、M字カーブを描いています。このM字型の谷は、七五年には二十五から二十九歳であったのが、晩婚化を背景に三十から三十四歳に移動しています。カーブ全体も上方にシフトをしてきています。
 女性雇用労働者の六割弱は有配偶者であり、子供のいる世帯においても母親のうち半数以上が就業者であります。
 また、勤続年数は延びてきており、高学歴化が進んでいます。
 賃金格差については、九八年の賃金構造基本統計調査による所定内賃金の比較では、男性一〇〇対女性六三・九となっています。しかし、この数字は労務コストの比較であり、これをもってして格差とは言えません。
 また、結婚、出産または育児を理由とした退職は減少傾向にあります。ただし、出産または育児を理由とした退職はそれほど変化してはいません。
 一方、仕事と家事関連時間の合計を見ると、共働きであっても絶対的に妻が長くなっています。連合の女性の労働・生活時間調査によると、共働きで平日の家事・育児・介護時間は、妻三時間十分、夫三十四分となっており、当時、夫の時間は他の調査と比較しても長いと言われています。総理府の社会生活基本調査では、夫二十三分、妻四時間四十五分となっており、このような実態は現在も大きく変化していません。男性の家事、育児等の負担が少ない背景には、労働時間の長さや職場優先の企業風土や、長く職場にいることが評価されるような職場の雰囲気、働き方の問題があると思われます。
 次に、最近の連合調査について簡単に御報告いたします。お手元に資料を配付させていただきましたので、御参照ください。
 まず、このピンクの改正均等法施行に関する調査ですが、昨年四月に施行された改正均等法への労働組合の対応と、雇用における男女の均等取り扱いの進展状況などを把握することを目的に昨年十月に実施いたしました。
 男女の均等取り扱いについては、全体としては「問題がない」との回答が大多数であるものの、「補助的業務への配置は女性のみ対象」、「役職への昇進は女性には機会がない」、「一定の職場への配置は男性のみ対象」などの問題点が指摘されています。
 調査の中で、仕事と家庭生活の両立にかかわる課題については、五十八ページを御参照いただきますと、「結婚・出産後も働き続ける女性」は三分の二の組合が「増える」と回答しており、連合が改正を求めている家族的責任を持つ男女労働者への両立支援法に盛り込むべき項目を見ますと、約六割が「転勤命令発令は家庭事情を配慮する」となっています。また、「要介護者の申出で時間外労働を免除」は四七%、「介護のための短時間勤務の請求権を設ける」は四五・四%、「深夜業免除対象を小学生までに延長」が四四・五%と上位を占めています。
 育児関連では、「深夜業の免除対象者について、未就学の子から小学生までの子を持つ労働者に範囲を広げる」が四四・五%、「育児のための短時間勤務の請求権を設ける」は四三・一%、「短時間勤務取得期間を子の一歳到達までを一歳以上に延長する」が三八%となっています。
 次に、子供の看護休暇に関する調査について申し上げます。冊子は五月初旬にでき上がりますので、本日はファクスでお送りをさせていただいております。
 連合はこれまでの育児休業法制定運動の中で、子供が病気になったり予防注射や乳幼児健診などを受ける日について、子供看護休暇として年に一定の日数を与える制度を要求してきましたが、育児・介護休業法にはその制度が盛り込まれずに今日に至っています。この調査は、保育所へ預けている子供が年に何日病気し、その結果その両親が子供を看護するために何日就労できなかったかの実態を把握し、育児・介護休業法の改正を実現させる上での基礎資料とするために実施をしました。
 調査結果からわかったことは、病気、けが、予防注射、定期健診で保育園を休園する日数は平均で十六・三日でした。ただし、ゼロ歳児、一歳児の休園日数がそれぞれ二十・四日あるいは二十四・三日というふうに書かれていますが、入園当初の各年齢クラスの休園日数、総計で二十六・九日となっています。これをもカバーできる日数としてはおよそ二十日程度であること。また、子供の看護等のために母親、父親の二人合わせた年休取得と欠勤日数は年十四・九日であることから、現実には子供の病気等の際には祖父母等他の助けをかりてしのいでいること。これらは本来、年休や祖父母の助けによることなく、ILO百五十六号条約、百六十五号勧告での規定にのっとり休暇として労働者に付与されるべきと言えるのではないでしょうか。
 連合は、現在検討中ですが、子供看護休暇については、「小学校卒業までの子を養育する男女労働者が請求した場合、子ども一人について年十日を取得できる」としていますが、このことについて回答者の大半が賛成し、何らかの所得保障が必要と考えていることがこの調査結果からわかりました。
 自由記入欄を見ますと、「子どもが病気で保育園に預けられないとき通常、誰が看護してたか」の問いには、「長期の場合は離れている親に飛行機で来てもらい看護を頼んで出勤した」、「鹿児島の母に来てもらい旅費などを出していた」など、祖父母の協力なしでは無理な実態が出ています。「子どもの看護のために休めますか」に対する記入は、「お休みをもらうのに十分以上の説得が必要です」との声があり、また、「子どもの看護のために休めない理由」に対する記入は、「夫は単身赴任で不在のため休むのは無理」、「仕事の予定に変更がきかない」、「仕事の量が多く休める余裕がない」、「代わってもらうわけにはいかない」などが書かれていました。
 「その他書き込み」を見ますと、休みづらい雰囲気の職場状況や、制度ができても周囲の理解が得られるのかや、必要な人がとれる環境づくりが大事であるなどの声がありました。また、有期雇用者もとれるようにするなど、百九十五件の書き込みがありました。
 その中には信じられないような書き込みもありました。それは、「二歳頃までは、本当によく病気をし職場の上司の理解もなく「仕事を辞めてしまえ」とか「子供を殺してしまえ」と何度いわれたことか。二番目の子を思うとき、あの時のことを思い出すとしんどくて、とても次の子を生む気になれません」、「肩身の狭い思いをせずに、休暇のとれる職場環境が欲しい。そのようになったら、第二子が欲しい」など、切実な訴えが多く書かれていました。
 以上の調査からもわかるように、働く女性が増加しており、今後も増加が見込まれているにもかかわらず、職場は子育てをしながら働き続ける女性には優しくありません。今後、労働力人口が減少し、経済社会に大きな影響を及ぼすことが懸念されるとするならば、企業も子供を持つ労働者が働きやすい環境整備に努力すべきではないでしょうか。
 レジュメの六でございます。
 男女が仕事と家庭を両立させるための環境整備について、職場及び社会的な環境整備について申し上げます。
 まず、職場での環境づくりとして一点目に求められることは、年休の完全取得、残業削減を通して年間千八百時間の実現を図ること、とりわけ子育てをするためには一日の労働時間を重視すること。
 東京都王子労政事務所の育児・子育てと就労に関する意識・実態調査を見ると、「子育てと労働時間等との関係で困っていること」として、@自分や配偶者や家族が休暇をとれないこと、A配偶者、家族、自分の勤務時間が長いこと、B配偶者の残業が多いことを挙げています。
 二点目は、育児休業制度を取得しやすい職場の雰囲気づくりです。
 制度はあってもとりにくい状況があることはさまざまな調査でも指摘されています。先ほどの王子労政事務所の調査によれば、勤務先に望むこととして、第一位が職場の仲間の理解と支援、第二位が上司の理解を挙げています。
 三点目は、男性の育児休業取得促進です。休業を取得したことによる昇進、昇格での不利益の禁止や、所得保障として休業前賃金の六〇%を保障することです。
 四点目として、短時間勤務制度の義務化です。育児については小学校卒業までとすること。
 五点目は、小学校卒業までの子がいる労働者に深夜業、時間外・休日労働を免除すること。
 六点目は、子供看護休暇を制度化すること。
 七点目は、転勤命令は家庭事情を配慮すること。
 八点目は、企業人、管理職の意識改革を図ることです。男女平等参画社会を展望するとき、男性中心の雇用管理を変えていかなければならないとともに、性別役割分業意識と行動を変えていくことが重要です。
 続いて、社会的な条件整備として、一点目に、多様な保育ニーズにこたえる飛躍的な拡充が喫緊の課題となっています。
 男女労働者が子供を持って仕事と家庭を両立させるためには、保育所を中心とする子育て支援策の充実は欠かすことはできません。
 厚生省は、保育所への待機児童数が九九年四月時点で、都市部を中心に三万二千二百二十五人となっていることを発表しました。また、緊急保育対策五カ年事業は九九年で計画が終了したが、乳児保育や一時保育、延長保育など目標に達しておりません。
 こうした状況の中で、九九年度の保育所関連予算とは別に、雇用対策を中心とする五千四百二十九億円の第一次補正予算で、少子化対策臨時特例交付金として二千億円が決定されました。この交付金の目的は、少子化の呼び水として、地域における少子化対策の一層の普及促進を図るとともに、雇用就業機会の創出に資することとし、待機児の解消を一番に掲げています。事業費の内容としては、保育所に対する施設・設備整備など保育関連が六三%を占めています。厚生省への第一回申請分では、チャイルドシートの購入が三百市町村あり、この業界は特需景気に沸いていると言えます。
 本日、黄色のこの冊子をお配りさせていただいております。
 連合は、この少子化対策臨時特例交付金の使途に関する地方自治体調査を実施いたしました。連合は、この交付金が多様な保育ニーズに沿った保育所等の事業の拡充に向けて有効に使われるべきと考え、何に使用されるかについての調査をし、各地域における保育所、学童保育所拡充の今後の取り組みに活用していくことを目的として調査をしました。保育関連が七七・六%を占めていました。
 その内容を見ますと、乳幼児や保育室の増改築も含まれていましたが、待機児の解消や低年齢児の受け入れ枠をふやすことなどのための整備などには余り使われていませんでした。また、待機児の解消が最大の目的とするなら、全国的なばらまきではなく、待機児の多い自治体に集中的に交付金を投入すべきではないかと思います。
 使途内容を見ますと、雨漏りやドアの修理、トイレの改修、シャワーの設置、チャイルドシート、プール、エアコン、すのこ、草刈り機等々、さまざまな備品の購入がありました。また、家族の肖像画展や写真展、作文コンクールや結婚対策お見合いツアーなど、少子化と名がつけば何でもありきでした。目的の一つであった雇用の創出では、アンケートに記載されていたものを足し上げたところ、千百四十八人でありました。
 二点目は、新エンゼルプランの確実な実行です。九九年度終了のエンゼルプランの未達成事業を確実に達成させることです。達成率は、新聞報道によりますと、低年齢児受け入れ枠の拡大では九七%、一時保育、地域子育て支援センターが各五〇%、乳幼児健康支援一時預かり九〇%、延長保育がおよそ七一%などとなっておりました。
 三点目は、保育料の軽減です。保育料と家賃でおよそ一人分の賃金が消えていく状況があります。連合の職員三人に保育料を聞きましたところ、全員三歳未満児でしたが、六万一千円、四万五千円、五万五千円となっていました。
 四点目は、学童保育の拡充です。働く親にとって学童保育は小学生の放課後延長保育であり、学童保育に入れるかどうかは安心して働けるかどうかを左右しかねません。低学年の子供たちが安全で充実した生活を送れるように、放課後と学校休業日の生活を守る学童保育は働く親にとって必要不可欠のものです。
 連合は、児童館や学校の空き教室等を利用して、地域の実情に応じて工夫をし、時間の延長、対象年齢を小学校六年生までにすることを求めています。全国学童保育連絡協議会調査によると、公立小学校に対する学童保育の設置率は四二・一%となっています。
 五点目に、児童手当法改正の問題点です。今回の改正は、支給年齢を現行三歳未満から義務教育就学前までに延長しましたが、この財源を、昨年実施した恒久的減税の年少扶養控除を廃止することによって賄われます。ゼロ歳から三歳児未満の子供のいる世帯は現在手当が支給されていますので、年少扶養控除を廃止すれば負担増となり、三歳児から義務教育就学前は新たに支給されますが、子供の数、支給金額により異なりますので増減はわかりません。小学生から十六歳未満は負担増となります。
 少子化対策の柱と位置づけた児童手当ですが、小中学生を扶養する中・低所得層の税負担をふやすことは少子化対策に逆行するものです。拡充についても不十分です。今後、支給年齢、支給額、財源構成、所得制限、税制等他制度との関連など基本論議を行う必要があります。
 六点目は、妊娠初期から産後までの支援策の拡充として、健康診査、保健指導の公費負担と育児一時金を四十万円に引き上げることです。
 七点目は、税制や社会保障制度の改革です。昨年六月施行の男女共同参画社会基本法四条では、「社会における制度又は慣行についての配慮」を基本理念の一つとして掲げています。国会審議では、税制や年金について基本法の理念に照らして検討すべきものであれば、個別法も男女共同参画社会の視点を入れて検討されていくものだと答弁しています。
 最後に、今まで申し述べてきましたように、男女が仕事と家庭の両立を図るためにはさまざまな施策の拡充と環境整備の充実、とりわけ総実労働時間の短縮とニーズに沿った保育所等の拡充が急がれます。また、女性と男性の固定的な役割分業を前提とした制度、慣行を男女平等の視点に立った社会に変えていくことが少子化への対応として重要と考えています。
 男女平等参画社会の実現を目指し、連合は一層の取り組みを強めることを申し述べて、終わりといたします。
 ありがとうございました。
#7
○会長(久保亘君) ありがとうございました。
 以上で参考人の意見陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑は午後四時ごろまでをめどとさせていただきます。質疑を希望される方は、挙手の上、会長の指名を待って質疑を行うようお願いいたします。
 それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。
#8
○中原爽君 自民党の中原でございます。
 成瀬参考人にお尋ねをしようと思いますが、御提示いただいております日経連の御提言につきまして、その中の「少子化への対応」という項目の中に、子育て減税、それから教育費の負担軽減、もう一つ土地・住宅費負担の軽減と。これは制度と税制とにかかわる問題であろうかと思いますが、現在、衆議院の予算委員会では贈与税の税制にかかわります議論が行われておりまして、贈与の限度額六十万円を大幅に増額をいたしまして、かなりな額、これは一千万とも言われておるわけでありますけれども、こういった形の、いわば減税であるしあるいは経済的な負担の軽減であるというような議論が行われております。したがって、お出しいただいた提言のパンフレットは平成十年一月のものでございますので、大分こういった環境も変わっております。
 したがって、贈与税の限度額を変えようかということについて、日経連としてはどのようなお考えをお持ちか伺ってみたいというふうに思います。
 それからもう一つ、猿渡参考人にお尋ねをいたしますが、お出しいただいたレジュメの四番、「連合の三つの基本的考え方」の真ん中の丸印でありますが、「人口置換水準(二・〇八)をめざすものではないこと、」というふうに書かれております。すなわち、合計特殊出生率が二・〇八という数字は、現在の総人口の一億二千万を維持するためには二・〇八が必要だと、こういうことであろうかと思いますが、それを目指すものではないということですと、一億二千万人を維持しなくてもいいというふうに受け取られるわけでありますので、連合としては、今後の日本の総人口がどのぐらいであったらいいのか、あるいはその目標といいますか、期待される総人口とそれに伴う労働人口の関係はどのようにお考えなのか、このところをお尋ねしたいと思います。
 以上でございます。
#9
○参考人(成瀬健生君) 御質問のございました贈与税の点につきましては、大変新しいニュースでございまして、まだ日経連の内部で十分な論議はいたしておりません。
 ただ、私の今までの経験から申し上げますと、確かに、家庭の中で現実的には親から子ないしは祖父母から孫へという所得移転が実質的に行われるようなケースも多々あるわけでございまして、そういうふうなものがある程度制限された中で行われているということが、例えば子供の住宅建設とかいうふうなものに対して、多少、障害と言ってはなんでございますけれども、促進要因ではないというふうな面もあるかと思います。
 そうした意味で、贈与についてのそうした場合のある程度の緩和というふうなものが認められますれば、恐らく現在の景気につきましても刺激効果があるように考えられますし、それから、当然親として子供にそれだけのことができるわけでございますから、将来の出生率への影響というふうなことも考えられるかと思うわけでございまして、大変おもしろい案が出てきたな、意味のある案が出てきたなというふうに受け取っておる次第でございます。
#10
○参考人(猿渡由紀子君) ただいまの今後の総人口あるいは労働人口がどれくらいかということを御質問かと思いますが、連合としてどのくらいがいいのかというような具体的に数値を挙げて検討をしているということはございません。
 ただ、先ほども申し上げましたように、結婚や出産はあくまでも当事者の選択でございます。したがいまして、国や行政が介入すべきものではないということを先ほども申し上げています。
 ただ、連合としては、先ほども申し上げましたとおり、子供が健やかに育つための、育てられるための環境整備、そのことをしっかりとやる、そのことを整備するという、そういうことでございます。
#11
○日出英輔君 自由民主党の日出でございます。
 きょうはお二人の参考人から大変有意義なお話を伺いました。ありがとうございました。
 若干、御質問をいたしたいわけであります。
 まず最初に、成瀬さんに伺いたいのでございますが、ちょっと表現がもし荒々しく聞こえたらお許しいただきたいのでございますが、少子化問題についての提言なり成瀬さんのお書きになりましたレジュメは、私はそのとおりだと思っておりますが、ただ、日経連としてのお立場ということからすると、少し物足りないというとなんでございますけれども、そういう感じが少しするわけであります。ちょっと言葉を選ばずに申し上げているわけでありますが、私は何か一般論過ぎるという感じがしておりまして、先ほどのレジュメで、例えば成瀬さんのお書きになりました「産業界は何をするか」というのを一般論でお答えになっているような気がいたします。
 そこで、伺いたいのでございますが、一つは、連合と日経連との共同アピールで、二枚目に、労使の取り組みのところで五項目書いてございます。こういったことについてもう少し具体的に、日経連としてそれぞれの産業界にこの話の具体化ということで働きかけるといったことを今後お考えになっているのかどうかというのが第一点でございます。
 それから第二点は、外国人労働者の問題でございますが、ちょっとこれを見たのでございますが、私はいろんな問題があると思いますが、現に外国人労働者に頼っている分野がございます。したがいまして、これについては、何か臭い物にふたをするというのではなくて、きちんとした処遇なりきちんとした待遇ということを考えませんとどうしてもうまくいかなくなるという、あるいは陰の世界にしてしまうということが大変気になりますので、私はこれをきちっと受けとめた方がいいと思います。
 もう少し荒っぽく言えば、外国人というものをもう少し受け入れることによって日本の社会がもう少し開かれた形になって、やっぱり活力を取り戻すという意味では私はかなり必要なものではないか。もちろん限度もあると思いますが、ややもすれば非常に閉鎖的な社会と言われている日本社会の中でこれが一つの大きな刺激剤になるのではないかという私は積極的な評価も少ししているのでございますが、もう少し先ほどのお話に続けてコメントしていただければありがたいと思います。
 それから、猿渡参考人に伺いたいのでございますが、先ほど二点、成瀬参考人に伺いました。この共同アピールの一から五までの提言について、具体的な今後さらに進める考えはないのかどうかということ、それから、外国人労働者についてもう少し積極的に評価できるのかどうかというあたりを伺ったんですが、この二つについて、猿渡参考人からも何か御所見がございましたら伺いたいと思います。
#12
○参考人(成瀬健生君) 最初の問題でございます連合との共同アピールの一から五でございますが、この文書の一番最後の行でございます、「日経連と連合は、以上の認識の下に、それぞれの立場から取組みを進める。」というふうに書いてございまして、もちろん共同でやるべきこともたくさんございますけれども、それぞれの立場からやっぱり進めるべきものは進めようという形でこんなふうなことが書いてあるわけございます。
 日経連といたしましても、会員企業を含めまして、日本の企業のこうしたものへの積極的な適用ということは一生懸命PRをいたしておるわけでございます。出生率の問題の大事なことは企業もよくわかっておりますものでございますから、私ども自身の春の労使交渉に係るいろいろな働き方についての提言でございますとか、また、私ども全国に四十七の都道府県に経営者協会を持っておりますが、そういうところでの専門の勉強会、このアピールにつきましても、またこうした少子化問題に対する提言というふうなものでございましても、発表されますと大体それぞれの地域の経営者協会などで勉強会をいたします。そういうところでできるだけ多くの企業の方にPRをしていく、これが私どものいわば組合用語で言いますとオルグ活動でございまして、できるだけ日経連のスタッフも含めてそういうところに巡回、回りながら勉強会を経営者の方と一緒にやる、シンポジウムをやったり、場合によっては地域の連合の方と一緒にやったりというふうなこともいたしておりまして、そういう点はできるだけ徹底を図る努力はいたしてまいりたいと思っております。
 ただ、どうしても企業の中には、大変今不況の中でコスト高の経営をしておるものでございますから、コストのかかることはなかなか嫌がる面もないわけではございません。しかし、日経連の立場からいいますと、特に労使関係が専門でございますので、こうしたことによって労使関係が柔軟で良好なものになれば、それは必ず長い目で見て経営にプラスになるというふうな形の考え方も一生懸命PRをいたしておりまして、地域の経営者の方々とひざを交えてというふうな会をできるだけ多く持ちたいというふうに考えておる次第でございます。
 それから、外国人につきましては、去年になりましてからかなり日経連としてはトーンが変わってまいりました。まだ具体的な提言にまで至っておりませんけれども、少なくとも外国人、日本人だけでなくて外国人も役に立っていただくというふうなことを積極的に検討する必要がある時代に入ったと。
 例えば技能実習制度なんかにつきましても延長の問題が出ておりますが、これは基本的には賛成でございますし、また介護の人員が不足というふうな面も言われておりまして、もしそうであるならば、これは技術、技能のある者というふうな形でアジアから人を入れるというふうなことも考えられるのではないか、こういう点につきましても基本的には意識としては賛成の意識を持っておる次第でございます。
 ただ、外国人を入れます場合に、極めて秩序立って入れないといろいろな問題が起こるというマイナスの面も意識しておりまして、この点が、外国人を活用していくという場合にこの問題があるなということにつきましては十分な配慮をしつつ、どういうふうな形でやれば最もスムーズに進むだろうかというふうな点の議論を今からしよう、こんなふうなところになっているわけでございます。
 ちょっとまだ具体的にそこまで進んでおりませんので、その程度のことで、今後検討をますます進めていくということを申し上げておきたいと思います。
 以上でございます。
#13
○参考人(猿渡由紀子君) 先ほどの共同アピールでございますが、先ほど日経連の方からもお話がございましたように、それぞれの立場から取り組みを進めていくということでございまして、先ほど私の意見の中でも申しましたように、男女平等参画社会の実現を目指して連合は一層の取り組みを進めるということにしております。
 また、外国人労働者の問題につきましては、ただいま検討中でございますので具体的に申し上げられません。
 以上です。
#14
○日下部禧代子君 きょうはお二人の参考人、大変貴重な御意見をありがとうございました。
 それではまず、成瀬参考人にお尋ねいたしますが、連合とそれから日経連と両者でお出しになっております共同アピールの中で、「男女とも取得しやすい出産・育児休業の拡充」というのがございますね。この育児休業、特に男性の育児休業というのはもうほとんどまれであるというのが現状だろうというふうに思うわけでございますが、育児休業を取得するようになる男性、特に男性の方から考えまして、そのためには私はノーワーク・ノーペイという原則ではなく、やはり生活保障ということがきちんとされて初めて男性も育児休業をとるということになってくる、非常に大きなこれはインセンティブになるのではないかというふうに思うわけでございますが、この点についてのお考えをまずお聞きしたいと思います。
 それから、フレキシブルな、つまりフレックスタイムといいますか、そのような勤務体制というのは非常にもう言われて久しいのでございますが、なかなかまたこれも実現というところになりますと、そう日本で普及しているとは思えないわけでございます。
 これは、特に北欧なんかにおきますと、夫婦、子供から見ますと両親の出勤の時間それから帰ってくる時間というのがかなりずれますから、そして労働時間が少なくなりますから、したがって子供をひとりぼっちにするという時間も少なくなる。そして、それに保育所というのが連携いたしまして、かなり子供を産み育てやすい環境というのができると思うんですが、どういうところでこのフレックスタイムというのが日本ではなかなか言われているにもかかわらず実行に移されないのかという、その辺の課題といいましょうか、問題点というのがございましたらお教えいただきたいなというふうに思います。
 それから三点目でございますが、今、外国人労働者についてお触れになりましたけれども、介護の分野というふうに一つ例をお出しくださいましたが、もし外国人労働者というのを導入するとしたならば、どのような分野を介護以外にお考えになっているのでしょうか。いわゆる三Kと言われているような、単純労働というような分野において外国人労働者というものを経済界はお考えになっているのでしょうか、それとももう少し違った分野もあるのかどうか、その辺のところをお伺いしたいと思います。
 それから、意識改革ということにもつながると思うのでございますが、年休の問題でございます。
 これは、他の先進国と比べますと日本では年休の消化率というのが非常に高いとは言えないですね。これは成瀬参考人は海外の御経験もおありになるので、その点のところは私よりもよく御存じかもわかりませんけれども、他の先進国の方だと年休をとらなきゃならないと、半ばとることに、取得することに強迫観念を抱いているような、そういう日常の会話をよく私は耳にするわけでございますが、年休に関しまして成瀬さん御自身の御意見も含めまして、日本の実情、そしてどうあるべきかということも含めてお伺いできればというふうに思います。
 それから、猿渡さんには、今私が成瀬参考人に御質問申し上げましたことも含めましてでございますが、なかなか育児休業、これは女性も含めてやはり取得しているという割合は他の先進国に比べると低いと思うんですが、いわゆる生活保障ということがきちっとなされていれば、つまり有給ですね、少なくとも八〇%ぐらい、給与の八〇%か七〇%というものが確保できればもう少しふえるのではないかと私なんかは思うのですが、その辺のところが一番大きなネックになっているような気がするんですが、その点についてどうお考えになりますかということが一つ。
 それから、フレックスタイムというのがなかなか実施されないのは、現場から見てどういうところが問題あるというふうにお考えになっていらっしゃいましょうかということでございます。
 それから三点目は、意識改革ということでございますが、企業の管理職に女性の割合がまだ低うございます。しかしながら、労働組合の幹部というのも何か女性の割合は低いような気がするわけでございますが、この辺の意識改革というのはどのように取り組んでいらっしゃるのかということについてお伺いしたいと思います。
 よろしくお願いいたします。
#15
○参考人(成瀬健生君) 育児休業についての所得保障の問題でございますが、今度の雇用保険法の改正で四割という数字が出てまいっておりまして、成立いたしますれば来年の四月からと、こういうことになるわけでございます。
 私ども経営者サイドといたしましては、ちょっと四割は高いんじゃないかという意見もあったわけでございまして、先ほどの八割というお考えには大分足りないのでございますけれども、その点は四割までということで今度の討議の中では連合とまとめさせていただいた、労働省の中に入ってまとめさせていただいた、こういうことでございまして、それなりの効果があればいいなという気持ちもしないではございませんが、何せ雇用保険そのものが大変な財政状況でございますので、それほど負担をふやせないということもございまして、かなり厳しい線の中でこの分は幾らかでもふやしたというのが実情でございますので、また御理解もいただければというふうに思うわけでございます。
 それから、フレックスタイムでございますが、フレックスタイムそれから変形労働時間、裁量労働など労働時間の弾力化というのはいろんな方法がございまして、それぞれ職種や業種などによって適用できたりできなかったりというふうなこともあるわけでございますが、一時言われておりました、何か朝みんな来て顔を合わせて、夕方みんな一緒に帰らないと仕事にならないというふうな状況というのはかなり薄れてきたように感じております。
 そうでなくても、例えば人数分だけいすや机がなくても必要に応じて事務所に来て、そして連絡をきちんとして、あとは外で仕事をするというふうなことで考えている会社も出てきておりますし、また必ずしも出勤しなくても、在宅勤務制度でございますとかサテライトオフィスとか、最近はSOHOなどもございますが、いろいろな形の労働態様が出てまいりまして、日本人も、そうしたみんな一緒に顔を合わせてみんな一緒でないとうまく仕事ができないというところから少しずつ変わってきているような感じがいたします。
 そういう意味では、特に日経連は、ホワイトカラーなどにつきましては、裁量労働で自分の仕事が終わるまできちんと仕事をすれば早かろうが遅かろうがいいではないかと、こういう裁量労働制なども広範にホワイトカラーに導入したらどうかというふうなことも主張しておりますが、これは連合とたまたま一致しない面もございまして、今論議中のところでございます。
 それから三つ目の外国人の分野でございますが、先ほど介護労働については例を挙げさせていただきました。今の日本の制度のもとでは、技術、技能を持った者につきまして比較的容易に導入することができますものでございますから、介護労働の場合は技術、技能を持っているということでありますればと私ども考えているわけでございます。いわゆる三Kの場合には、技術、技能のない単純労働者ということになるわけでございまして、私どもの今までの勉強の中では、フランスとかドイツなどで、一時ヨーロッパで三K労働者を入れた時期がございまして、大変後から禍根を残すというふうな話も伺っておりまして、そういう入れ方は、日本人はいい仕事をして外国人に三Kをやってもらうということでいいのかという意見は経営者の中にもたくさんございます。
 基本的には、従来その線で考えてきたところでございまして、三K労働は外国人に任せるという考え方はすべきでない。やはり内国民待遇をするのが当然ではないかというのが基本的な考え方でございまして、そうした中で、外国人労働力をいかにどういうふうにうまく活用できるかという点を早急に検討しようということで、去年から検討を始めているというところでございます。
 たまたまその中で今一番問題になっております介護の話が具体的に出てきたという状況でございまして、それ以上まだ余り進展をいたしておりません。ただ、技能実習制度の延長も一つのこれは、日本に来て勉強をし、技能をつけ、それから実習で実際に、今までは二年まででございますけれども、働いて帰るということでございますが、三年に延長するというふうなことも含めまして、こうした日本の技能、技術が途上国に役立つというふうなことであれば、これは大変結構ではないか。日本の経営者としましても教えがいもありますし、また実際に仕事をしてもらえるということで役にも立ってもらえる、こんなことの積極的な拡充は望んでいるところでございます。
 それから年休の問題でございますが、正直申し上げまして、大変私どもも頭を悩ませる問題でございます。
 春の労使交渉のときに、いわゆる賃金や何かの要求と同時に、労働時間短縮でございますとか、それから政策制度関係の要求として年休の完全消化というふうなことが出てまいります。私どもも、その際には、年休というのはもう制度上与えたといいますか差し上げたものでございますから、一〇〇%おとりいただいても何も異論はできないわけでございまして、おとりいただければおとりいただいて我々としては何も申し上げませんと言っておるわけでございますが、統計を見ますとどうも五十数%でほとんど上がっていないというふうなことがございます。
 この理由はいろいろ取りざたされておりますけれども、予備としてとっておくとかというふうなことが言われておりますが、私どもは、最近の若い方、三十歳代前半ぐらいまでの方でございましょうか、こういう方々の行動原則を見ておりますと、年休の消化はほとんどきちんとやりますね。二十日間は次の年に持ち越せるわけでございます。それ以上持ち越すと持ち越せなくなってしまうので、持ち越せなくなる部分については必ずとるというふうな方が非常に多くなっているように思います。ですから、統計で消化率が少ないのはどうしても、高齢者も一緒でございますので、高齢者はなかなかまだとらない方もいらっしゃるもので、そんなことになっているのではないかと考えておりますが、若い方がふえるに従ってだんだん変わってくるのかなという感じもしますが、若い方が年とってくるととらなくなるのかなという感じもしないでもございませんで、ちょっとまだよくわからない面もございますが、差し上げたものですからおとりいただいて、それで私どもは何も申し上げることはございませんと言っております。
#16
○参考人(猿渡由紀子君) 先ほどの育児休業でございますけれども、連合としてはおおむね八割から九割ぐらい制度としては導入をされています。しかし、実際にとったかと言いますと、それはもう少し低い値になっているところでございます。やはり雇用保険給付者の労働省の発表、九八年度ですが、それを見ますと、七万一千四百十三人がとっております。女性は七万一千二百三十人、男性が百八十三人と、ほとんどが女性でございます。男性は〇・三%というふうになっております。
 最近リストラ等々で人も少なくなっています、仕事量もふえて密度も大変濃くなっています。そうしますと、やはり人に迷惑をかける、代替措置がなかなか導入というのがなりませんので、大変人に迷惑をかける等々でとりづらいということがあるかなというふうに思います。
 それと保障ですが、先ほど八〇%ということで、今、日経連の方からも今度の雇用保険の改正で四〇%となっております。連合としても六〇%を掲げておりますけれども、今回四〇%になりますと、それと社会保険の負担分を含めればおおむね、はっきりと言えませんが、五〇%は超えているというふうに理解しております。ですから、もう少しふえませんと、とりわけ男性が取得をするためには所得保障というのが何よりも必要ではないか。そして、やはり男性がとるということの職場の意識といいますか、大体性別役割分業意識から考えますと、男性がとるということでは職場にはさまざまないろいろと雰囲気あるいはこんなことでとるのかみたいなこともあろうかと思います。そしてまた、昇進、昇格にも響いてくる。そういうことがあろうかと思いますので、それで男性がとりにくいということはあるかと思います。
 それとフレックスタイムの問題点ということでございますけれども、確かに今回の育児休業法の中で、選択肢として、勤務時間の短縮等の措置の中で、一歳に満たない子を養育する労働者の中で短時間勤務の制度であるとかフレックスであるとか所定外労働をさせない制度とかさまざまな制度を選択することになっています。ですから、このさまざまなそういう制度を幾つも選択すればそれはそれでいいことなんですけれども、やはり一律に導入というのは難しいということがあろうかと思います。
 それと最後に、労働組合の意識改革という参画の話でございますが、連合としては連合のうち二六・四%が女性でございます。しかし、それは九九年の数字でございまして、例えば執行部に入るといいますか三役に入るといいますか、その参画は女性の役員は七・一%ぐらいです。連合本部としては一〇%にはなりましたけれども、まだ七・一%という、そういう数字になります。これは九一年に十年間で一五%を目指して取り組みを進めてまいりました。しかし、この十年たった結果が七・一%です。そして、それはことしの九月までに計画が終わりますので、十月から新たにまた第二次の計画を予定しています。しかし、きょうも会議をしておりまして、どうしようかということをこれから検討し、ことし中にその計画書をまとめて来年からその数値に沿って全国で取り組みを進めていきたいということでございますが、やはりリストラ等々で組合員も減り、組合員が減りますと執行委員も減る、そして執行委員の中に女性をというのはなかなか至難のことでございまして、それでも計画を掲げつつ、女性の参画推進に向かって努力をしてまいりたいというふうに思っております。
#17
○日下部禧代子君 ありがとうございました。
#18
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 きょうは、お二人の参考人の皆様、ありがとうございます。
 それでは、まず初めに成瀬参考人にお伺いをしたいと思います。
 おもちゃ会社のバンダイが、子供の誕生のたびに百万円を差し上げるということを始めたということで、少子化ではおもちゃも大変だということで、そんな企業努力があるというお話も伺いました。
 特に日経連としてはこの少子化の問題について既に提言も出しておられまして、私も読ませていただきました。
 私は、率直に申し上げますと、日経連自身もこの少子化をつくっている当事者ではないかというふうに思っておりまして、やはりここを変えようというふうに努力をされているというふうに思うんです。特に少子化の要因になっている一つが日本の異常な長時間労働、特にこの中でもずっと論議されているのが、男性の異常な働き方を変える必要があるのではないかということが出されております。先ほど御紹介いただいた少子化問題についての提言の中でも率直に申し上げておられますよね、長時間勤務、頻繁な配置転換などの日本的雇用慣行が家庭での男女の役割分業を前提にしたやり方ではないかと、ここを見直さなくてはいけないというふうにおっしゃって、私もそのとおりだというふうに思うんです。
 同時に、雇用慣行を見直す上で一つ終身雇用制度をなくせばいいのではないかということで、何か雇用の流動化が解決方向だというような意見もあるんですが、私はむしろ先ほど成瀬さんがおっしゃったように雇用の安定が今本当に大事だということだというふうに思うんです。それで、例えばある労働組合の方からは、不安定雇用が進むと逆にサービス残業がふえている、会社に貢献する姿勢を示さなくてはいけないので、そういうサービス残業がふえているという声も出ているんですね。
 それで、伺いたい一点は、そういう雇用の安定という点でどのように日経連として経営者の皆さんがこれから進めていこうとされているのかということと、それから二つ目に、長時間労働を変えていくということを連合との共同のアピールでも出されております、残業の抑制など労働時間短縮ということですね。これは経営者としての努力を進めながら、これを進めていくという点ではいろいろな苦労があると思うんですが、一社ではなかなかできないというふうに思うんです。それは日経連としてもどういうふうに長時間労働を切りかえて時間短縮していくか。特に私はサービス残業の問題、これをもっときちっと会社の側としてサービス残業をさせないと、そういうことが必要ではないかと思うんですが、その長時間労働を切りかえるという点が二つ目に伺いたい点でございます。
 それから三つ目に、保育の問題が出されております。
 私は、例えば四時半ぐらいに保育園が終わってしまうというのは大体九時から五時という働く労働者の実態から合わないと思うんですが、逆に夜間延々と夜中までやっているということが子供の生活にとってどうなのかという点では保育の専門家の方からはいろいろな御意見があるところなんですね。
 ですから、やはり昼間の八時間働いて、そしてその前後は休養や子育てにきちっと対応できるような、対応というんですか、やはり子供を中心に置いた保育を進めていくという点で、大人の都合に合わせない、そういう点では経営者自身もそこに目配りをしていく必要があるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
 それから次に、猿渡参考人にお伺いしたいと思います。
 労働組合でもなかなか女性の幹部は大変だというお話も今ございましたけれども、職場において男女共同参画の推進というのがどのような状況かというのを伺いたいと思います。
 社会保障・人口問題研究所の調査で出産と就業についての調査が出ているんですけれども、第一子出産前に仕事についていた人は既婚女性の半分なんだけれども、出産に当たって仕事をやめた人は七三%に上っている。最も働き続けたのは農林漁業の七四%で、次に多いのが自営業の七割近いのだが、最も低い継続率を示したのは事務職の二〇%だということなんですね。それで、官公庁の公務員はそれでも五〇%だけれども、最も低いのが一千人以上の大規模企業で一四%しか継続をしていないということで、大企業に勤めていた者は今なお出産を機にやめていく者が少なくないという調査も出ているんです。
 それで、そういう点では本当に、男性の働き方も変えるけれども、女性も仕事をしながら子育てできるという状況を進める上で苦労されている点や、経営者側にもおっしゃりたいことがあれば伺いたいのが一点でございます。
 それから二つ目に、私もこの間、国家公務員の労働組合の女性の皆さんとお話ししたんですが、やはりネックになるのが例えば転勤。例えば、転勤先でも保育園があるかどうかわからないという問題や、それから昇格の問題ですね。そういう問題もいろいろございます。もう最初から女性は当てにされないで、あなたは転勤は無理でしょうねということで、そういう声もかからないというようなお話も伺っております。
 この間、全労連の方に聞いたら、やはり保育園問題でも子供の状況から女性の働き方が見えてくる、そして男性の働き方も見えてくるという話があったんですね。例えば、今、どんどん保育の時間を長くしてほしいという声があるんだけれども、ある女性からは、保育園の閉まる時間が七時になると残業時間は七時まで延ばされます、だから余り長くしないでくださいという声もあるというんです。
 ですから、先ほど成瀬さんにも伺いましたが、猿渡さんにもお伺いしたいのは、どういう保育時間や保育体制が子供にとっていいのか、また、そういう点から見て労働者の働く条件というのはどういうふうに変えていったらいいのかというのを伺いたいと思います。
 最後に、三つ目ですけれども、子供看護休暇についての調査を大変興味を持って読ませていただきました。本当に子供がいる間は、いつ保育園から電話がかかってくるかもう冷や冷やし、いつ仕事が首になるか冷や冷やしているという方の声をたくさん聞くわけです。そういう点では、国会の中でも産休制度ということをきちっと上げて休めるというふうにしたわけですが、やはり休暇制度としてきちっとあるということがとりやすくなる大前提だというふうに思います。特にこれを進めていく上でここのところを変えないといけないということがございましたら教えていただきたいと思います。
 以上です。
#19
○参考人(成瀬健生君) まず第一点の雇用維持でございますが、伝統的に日本の経営者は雇用維持には大変熱心だと私ども理解をいたしております。このような経済状況ですと、恐らくヨーロッパですと失業率は一〇%を超えているんじゃないかなと思うわけでございますが、五に行くか行かないかで済んでいるという一方で、二百数十万人とか三百万人とか言われる余剰労働力を企業は何とか抱えて努力をしているというふうなことも推計値が出ておるわけでございます。これは経済白書でございましたですか。
 そんな形で、経営者といたしましては、できるだけ多少余剰、余分であっても雇用を確保するということも、これは伝統的に大変熱心にやって、一生懸命やっているわけでございまして、それだけに生産性が低いとか能率が上がらないとかというふうなことを逆に言われたり、コスト高だというふうなことを言われたりするわけでございますが、あえて日本の経営者は雇用に最大の注意を払っているというのが実態だろうと思います。
 日経連も雇用を特に産業界の中で担当する団体として大変この点につきましては常に気を使っておりまして、昨年来もそうでございますけれども、これも連合と共同で百万人雇用創出計画とか、それぞれまた連合も日経連も独自にもやっておりますが、そうした雇用創出計画。それから、できるだけ人減らしをしない。これもマスコミに報道されたことでございますが、日経連の奥田会長が、首を切る経営者は腹を切れといったふうなことが書いてございましたが、そうした発言、マスコミ記事に象徴されますように、雇用の維持については気を使うわけでございます。
 また、今問題になっております新卒でございます。これも確かに就職率がよくございません。これにつきましても、昨年より二度にわたりまして、一人でもいいから各会社、余計に新卒を採ってくれというふうな通達を全国の傘下の経営者協会を通じて企業に回すというふうなこともやっております。こうしたことの積み重ね、さらに、今、高齢者の雇用も問題になっておりまして、六十から六十四歳をどうするかということにつきましては、電機とか繊維とかかなり進んでいるところもございますが、今後積極的に労使の間で話し合って、できるだけ納得のいく形でもって雇用延長ができるようにというふうなことも取り組んでいるところでございます。
 こういうことを積み重ねまして、やっぱり失業というのは一番社会不安を与えるものでございますので、これを低く抑える努力はずっとしてまいりたいというふうに考えております。
 それから、長時間労働につきましてですが、もちろん長過ぎる残業というふうなことをしていただくのはよろしゅうございませんし、またサービス残業というのも、企業としては本心から言えばしてもらいたくないというんでしょうか、してほしいというのではないと私は考えております。ただ、ホワイトカラーの方などは大変お仕事に熱心で、特に管理職などは残業という概念がもともとない、勤務時間が決まっていないのが管理職でございますので、ついつい仕事が片づくまでやるというふうなことでございますとか、働く側の意識と一生懸命やるという意識と、その一生懸命さが逆にそんな形でもってちょっと労働時間が長くなるという面もあるかと思います。しかし、これはある意味では日本人の働き好きといいますか、働き中毒と昔言われましたが、そうした気質にもよる面もあるかと思います。
 日経連は、その点、残業につきましてはこんなふうに考えております。欧米では、人件費の調節というのは雇用で行います。人を切ります。それで人件費が高いのを抑えます。日本の場合は人を切りませんものですから、賃金を下げなきゃならないわけです。ところが、賃金は下がりません。そこで、多少忙しいときは残業をしていただく、忙しくなくなったら残業を減らしていただく。ですから、残業は全然ないというのが理想だといたしますと、今度はそれでも人が余ったときに人を切らなきゃならないというふうなことになりますので、多少やっぱり残業が、忙しいときにはあるということも場合によっては認められるべきではなかろうか。そして、残業というものと、それから労使交渉で、これも大変難しい話でございますが、賞与などを多少弾力的にするというふうなことで、雇用を減らさなくても済むような、雇用安定を一歩着実に進める、こういう形が基本的な日経連の考え方でございます。
 したがって、余り長い残業というのは確かによろしくないわけでございますし、それは減らしていかなきゃならないと思っておりますけれども、残業ゼロというのはちょっとかえって難しいかなと、雇用調節の方に重きが行ってしまうおそれがあると、こんな点も考えておるところでございます。
 それから、先ほどの保育の夜までという話でございますが、これはその人の働き方の中でのケース・バイ・ケースだと考えております。私どもの傘下の経営者協会でも幾つかの企業とその地域の幾つかの保育施設でもって多角的な関係を結びまして、そしてうまくバランスをとった、企業のニーズと保育所の受け入れ体制とを組み合わせてできるだけうまくいくようにというふうな多角的な契約をしているというふうなケースもございます。
 そういうふうなことも含めて、仕事、確かに九時から五時までという方もいらっしゃるかと思いますけれども、場合によっては多少夕方仕事をされるという方もおられますし、そういうものに合わせて、できれば多少そういう弾力性のある、保育施設と企業の多角的な関係みたいなものも含めて考えていくべきかなと思いますけれども、先ほどお話ございましたように、保育所の方が遅くまでやっているということになりますと遅くまでやれと言われるというようなことは、私どもとしましてもそういう経営者はちょっとまずいんではないかなと思うわけでございますので、それは会社の方できっちりそういう残業時間というのはできるだけ減らしていくということで考えていくべきだろうと考えております。
#20
○参考人(猿渡由紀子君) 先ほど経営者側に言いたいことはというようなことをお尋ねでございましたけれども、私どもで九六年の六月に女性総合職退職者追跡調査というのをいたしております。これは、民間企業に総合職として入って、しかも三年から四年ぐらいでやめてしまったという方たちの調査です。
 これは、新聞各紙で応募をいただきまして百十五名の方から御返事をいただいたという大変小さな調査でございますが、ここにあらわれておりますのは、男性と同じといっても体力面で差を感じた、それから子供を産むのはあきらめざるを得ない、健康に対する不安が大きかった、健康はあきらめざるを得ないという、そういう回答がございました。
 そして、総合職という女性というのを一般の女性に置きかえても同じだと思うんですけれども、男性上司の対応が不適切、総合職ですから、一般職とのあつれきがある、それから取引先が男性中心でやりづらい、このような指摘があったということです。そして、企業が女性を総合職で採用しても生かし切れていない、そういうことが言えるのかなというふうに思います。
 そして、男女が平等に働ける人事管理と慣行をつくり上げていかなければいけないのではないか、そして男女ともに一番大きいのが残業時間の削減、それが必要である。現在の男性を中心とした働き方の中に女性が入って男性と全く合わせる働き方というのは、それでは女性の方に無理が出てくるのは避けられないだろうと、そういうような調査がございました。
 調査では、三分の二ほどが処遇や仕事面で不利に扱われたというふうなことがございました。やはり退職した理由の一番大きいことでは、仕事に将来性がなかったという、そういうようなことがございました。
 その総合職の調査でございますけれども、女性ということに一般的に置きかえてもそれは通じるのではないかというふうに思っています。
 それと、転勤についてでございますが、先ほども申し上げたと思いますが、転勤命令というのは家庭事情をぜひ配慮していただきたい、せめて小学生を持つ家庭に経営の側も配慮をしていただきたいなというふうに思っています。
 それから、保育体制でございますけれども、先ほど先生がおっしゃった、子供の立場に立ってということは全く同感でございます。しかし、流通業では大変女性が多くなっているという、そういう現実もございます。そういう人たちのニーズということであれば、それはニーズとしてはございます。ただ、私が思いますには、その人は今何が一番大事なのかなということを考えるべきではないかな、今子供が一番大事であれば子供のことを考えるべき。ただ、女性が再就職をしますと、ほとんど年齢制限、あるいは一度職員をやめますとなかなかもうパート、限られてしまっています。ですから、そういうことを考えますと難しいかなとも思うんですが、やはりニーズがあることは間違いのないことでございまして、あとはその人の価値観といいますか働き方、生き方、子供を含めたそういう家族のあり方等々をきちっと考えるべきではないかというふうに思っています。
 それから、看護休暇でございますけれども、先ほども看護休暇の調査について申し上げました。一人目の子供が入園当初登園できなかったのは、総計としても二十六・九日ございます。ましてや、ゼロ歳児では二十九・八日ですね。それから、一歳児は二十八・三日というように大変多いです。
 ぜひこの制度を導入したいということで、育児・介護休業法が現在ございますけれども、その改正に向けて、適当な時期に見直しを図るというような条文もございますので、ぜひこの看護休暇の制度を取り入れたい、その育児・介護休業法の中に入れて改正を図り、拡充を図っていきたいというふうに思っています。
#21
○畑野君枝君 ありがとうございました。
#22
○戸田邦司君 基本的に三点ほどお話しいただければと思います。
 実は、私は仕事で三年半ほど北欧に住んでいたことがありまして、北欧社会、日本と全く違っているところがあるわけですが、ああいう社会を見てきた経験も入れてお話しさせていただきたいと思います。
 まず第一点ですが、今、畑野委員からも指摘がありました労働時間の問題です。
 それで、この労働時間ですが、やっぱりヨーロッパ先進国に比べますと日本はまだまだ労働時間が多いということは言えると思います。特に、統計上上ってくる労働時間、それとそれから残業をどう扱っているかというような点を考えますと、まだ非常に格差がある。格差があるからなくせという話をするつもりはありません。労働時間が多いということが、結局、家族が一緒に過ごす時間が少なくなる、それが少子化のそもそもの原因ではないかと私は思っております。
 私が住んでおりましたのはノルウェーという国ですが、人口四百二十五万、それで人口は減っておりません、微増している。そういうようなところですが、一体どういったことになっているかといいますと、残業をするかしないかというのは、これは命令で残業をさせるわけにはいきませんで、前もって予告しておいて、それで本人の承諾を得て残業をさせる。それで、残業時間に対する割り増し料金というのは、これは非常に率が高くて、恐らく日本の割り増し率の倍以上だと思います。しかも、その割り増しした分の給与に対しては分離課税で高額の税がかかるということを考えますと、ばかばかしくて残業する人はいないといったところが実態じゃないかと思います。
 あの国で残業をやっているのは、シップブローカー、これはニューヨークとロンドン、東京のマーケットをにらんで二十四時間働いている、それに金融関係、それに経営者。それ以外はもうほとんど残業しない。そういう習慣になっておりますから、ヨーロッパは全体にそうですが、官庁街を夕方五時過ぎて歩きますとほとんど電灯がついていない。そういったことが正常だと思われているわけです。ですから、過労死などというのは、これはもう本当に先進国としてはまことに恥ずかしい出来事ではないかと思われます。
 そういったことで、年間の有給休暇も、夏季、夏の休暇ですが、継続して二週間与えなければならないということになっておりますから、二週間は完全に休む。通常の人ですと、そのほかにイースターに一週間、クリスマスに一週間、合計四週間は休む。そういうようなことになっている社会から見ますと、日本の労働時間というのはまことに異常ではないかと思っております。家族で週何回一緒に夕食を食べられるかということを考えれば、これははっきりとしていると思います。
 それから、先ほど日下部委員の方からフレックスタイムの話がありました。これもまことに見事でありまして、各社ともフレックスタイムをやっておりますね。どういうやり方をしているかというと、コアタイムが九時から三時まで六時間、それに午前七時から午後五時まで、これが勤務時間になっております。ですから、皆さん朝早く出てきて、午前七時に出てきて午後三時に帰る人が非常に多いんです。そういったことで、朝どちらかが子供を育児所に預ければ、もう一方が夕方連れて帰る。こういうことが実に普通に行われている、常識化しているといいますか、そういった国柄であります。
 ですから、そういったフレックスタイムも含めて、成瀬参考人と猿渡参考人にお伺いしたいと思います。特に、猿渡参考人は先ほどフレックスタイムについて、なかなかこれは一概にできないというようなことを言っておられましたが、これはむしろ労働者側が熱心に働きかけていくべき問題ではないかと思っております。
 それから、第二点の問題ですが、ワークシェアリングの問題です。
 先ほど成瀬参考人からもお話がありましたが、不況になってくると残業がふえる。これは現に、景気が悪くなって、それで残業がふえているというところがある、リストラして残業がふえるということだろうと思いますが、残業がふえてきているというようなことを言っておられましたが、ワークシェアリングを考えた場合にどこが障害になっているのか。私は恐らく、社会保険料の企業負担、これが一番大きな要因ではないかと思っております。
 であるからこそ、私は自由党ですが、自由党は基礎的な社会保障について、保険料ではなくて、消費税で賄えばそういった問題も解決できるではないかということを申し上げておりますが、ワークシェアリングが進まない原因については成瀬参考人はどういうふうにお考えになっておられるか。これは女性が社会進出する場合に非常に重要な論点になると思っております。
 それから、第三点ですが、既に皆さんからもお話がありましたが、外国人労働者の問題です。
 先ほど成瀬参考人の方からは、日本に研修に来ているそういう人たちを活用していくと。これはまことに結構なことだと思います。ただ、この外国人労働者を使っていきたいということは、こっちが勝手にえり好んで使うということはだんだん不可能になっていく、そういった場合に、質の高い労働者だけではなく、そうでない人たちも認めていかないとならないようなことになっていくんじゃないかと思います。
 ですから、人手が足りなくなったら外国人労働者を使ってその問題を解決しようというのは、私は日本の経営者のおごりではないかとさえ思っております。もし外国人労働者をお使いになられるなら、その人たちが社会に定着した場合にどういうことが起こるか、どういう問題があるかというようなこともきちっと考えて進めていただきたいと思います。
 ノルウェーでも難民を相当受け入れました。これが社会層として非常に等質の社会の中にもう一つ、言うなれば非常に貧しい階層をつくってしまったというようなことで、今非常に外国人の受け入れについては慎重になっております。私自身はあそこで労働許可といいますか、そういうものを得ておりますが、外国人の労働者を入れることに慎重になっている原因は、そういった社会的な問題まで含めて検討しないとならないという点にあるのではないかと思いますが、特にこの点について成瀬参考人の方からお話をお伺いしておきたいと思います。
 以上です。
#23
○参考人(成瀬健生君) 最初のフレックスタイムの問題でございますが、フレックスタイムを導入しやすい、しにくいというのは職場によって随分種類が違いまして、しやすい職場ではそうした柔軟化の動きというのはかなり出てきているのかなというふうに思っております。
 先ほどもちょっと申し上げましたが、何かみんな一緒にいなければだめみたいなそういう雰囲気というのは少しずつ日本でも少なくなってきたのかな、コアタイムに顔を合わせればそれで十分連絡はとれるし、そのほか今電子メディアもかなりありましていつでも情報をとれるような状況になっておりますものですから、だんだんメンタリティーが変わり、そしてこうしたことの活用がふえていく。ただ、一緒にどうしてもみんなが仕事をしなきゃならない職場という、製造工程とかいろいろございますので、こういうところはやっぱりだめかなというふうに考えておるわけでありますが、時間とともにという面も多いのではないかと思います。
 それから、ワークシェアリングでございますが、おっしゃられました社会保険料の企業負担の問題、これは確かにヨーロッパでは大変問題になっておりまして、おっしゃるような問題は多いと思います。
 ただ、日経連と連合の中で論議をしております中で、その前にもう一つ問題になる点がございます。
 ことしの春の労使交渉の中でも、私どもの奥田会長とそれから連合の鷲尾会長がパネルをやりまして、時間当たり賃金で計算していいんじゃないか、時間給概念の導入というのもいいだろうというふうなお話、双方それぞれあったわけでございます。
 ワークシェアリングというのは、例えば八時間労働を七時間にして、それで一時間余った分を七人分集めて七時間の一人分の労働をつくる、雇用をつくる、こういうことになるわけでございますが、その際、私どもが主張しておりますのは、八時間の労働を七時間にしたならば賃金も申しわけないけれども八分の七にしてくださいと。そうしませんと、残った一時間に賃金がくっついていないので、これを新しく出せと言いましたならば、どうせワークシェアリングをするようなときは企業はもう大変な時期でございますので、とても余計出せる状況ではない。それだったらやはり一時間短くした分、賃金は残念ながら我慢してくれと申し上げるわけですが、しかし、休業補償だって〇・六出るんだからというふうなことを言われますと、ワークシェアリングは進まなくなってしまうというふうな面がございます。
 今のは原則論でございまして、これはそれぞれの企業によって状況が違いますものですから、企業の労使で十分話し合っていただいて、どこまでできるかというところをお決めいただかないと難しいのかなということでございまして、まだ多少労使の意識が食い違うような面がございますので、余り現実に進まないのではないかなというふうに考えております。
 それから、外国人労働力の問題でございますが、確かにヨーロッパの経験を見まして、外国人労働力を入れたということが後から定住の問題なども含めまして大変な負担になり、ドイツなどもお金をつけてトルコの方々をトルコにお帰ししたというふうないきさつもあったことも聞いておるわけでございますけれども、後々の問題を考えなきゃならないと思いますし、ヨーロッパの方々からは文化的に同調しやすいようなグループでないと難しいというふうな話を、ヨーロッパの場合でしたらキリスト教でございましょうか、そんなふうな話も聞いたりするわけでございます。
 そうした意味では、歴史と伝統のあるそれぞれの国民でございますから、難しい問題があるということは十分承知をいたしつつ、どんな議論ができるかというふうな範囲で考えていかざるを得ないと思っております。
 まさに、かつてはアジアの国は皆さん日本に労働力を出したいというお話もあったわけですが、今は直接おっしゃるのはフィリピンなどでございまして、あとのところは、マレーシアなんかにしましても人手不足になってまいりまして、もうとても外国へなんか出せないというふうな状況もあるわけでありまして、まさに向こうの国の御都合で考えなきゃならない、こういう面が多いかと思いますので、その点はよく心得ておきたいと思っております。
#24
○参考人(猿渡由紀子君) まず、フレックスタイムの導入について、労働側が働くべきではないかというお尋ねかと思います。
 現在、導入が進んでいる業者もあります。しかし、なかなか一律にはいかない企業事情というのもあろうかと思います。本日資料を持ち合わせておりませんので具体的には申しかねる部分がございますので、御容赦いただきたいというふうに思います。
 それから、ワークシェアリングでございますが、連合は雇用の推進のための仕事の分かち合いというふうにしております。したがいまして、雇用の分かち合いということを重視しておりますので、決して賃金の分かち合いではないという、そういうことで御理解をいただきたいと思います。
 以上でございます。
#25
○松村龍二君 もう各委員からお話が出ているかと思いますが、外国人と少子化、移民の問題でございます。
 私は、福井県の出身なんですが、国会議員になる前に県の方から、東京で識者を求めましてふるさと大使というふうなことで、福井県は人口が八十万しかいない、これを百万にしたいというふうな話題が提供され、あるいは福井県というのは余り日本じゅうの人が知らないから何とか有名になるにはどうすればいいかと、こういうテーマが出たわけでございます。それで、お話を聞いていますと、人口をふやしたいというんですが、福井県以外の人が入ってくるということは嫌だと、こう言うわけですね。福井県の中だけでふやしたいと、こういう難しい話です。
 しかし、私もいろんなところで勤務したことがあるんですが、埼玉県一つとってみると、埼玉県の自然的な人口というのは二百万しかいないんですね。ところが、戦後いろんな事情がありましてほかの県の人が移り住んで埼玉に住むようになったということから、これが四百五十万。六百五十万の人口がいるわけです。したがいまして、人口が少なくなるといったときに、よそから入ってくることを嫌がっていては話にも何にもならない、こういうふうにも思うんです。
 そういうことを一つ前提にいたしまして、私の今申しました福井県では、繊維産業が非常に厳しい状況の中でやっております。人件費がどうしても高いと。今ニット製品が二十億枚日本に入ってくると、一人が十八枚ずつ買わないと輸入したものが消化できない、こういうような中で日本の産業がやっているわけです。そういうことで、どうしても人件費が安くないといけない、外国人の労働力に頼らないといけないということです。
 先ほど、成瀬参考人から二年を三年にするということで好ましいということでしたけれども、現場の声は現在三年になるのを五年にしてほしいと。研修は二年、それからその後さらに実地で磨くのを三年にしてほしい、五年にしてほしいと、こういうことです。
 これを入国管理局に申しますと、二年を三年にするだけならどうにか本国へ帰ってくれるけれども、五年にするとどうしても家族を呼んだり、あるいは日本で伴侶を、配偶者を得て土着してしまうということで、三年までが限度で、五年にするということは一つの移民政策の変更になるので、どうしてもこれだけは法務省だけでは踏み切ることができない。結局、だれも踏み切ることができないということでやっていると思うんですね。
 それから、先般来、お嫁さんの来手が農村においてないというふうな話があって、その中ではいかにフィリピン人等の女性に嫁に来てもらうという努力をしているというような話も当調査会でもあったわけです。また昨今、外国人による犯罪、石原慎太郎の発言もあるわけですけれども、やはり正当な移民政策がなくして外国人を締め出していると、入ってきた外国人がああいう覚せい剤の販売とかそういうことをやって日本にいないといかぬと。そういう意味では、移民政策を一歩踏み込めばそんな問題もいろいろ解決することになるんじゃないか。
 しかし、先ほど来、成瀬参考人から、ドイツにおきますいろんな過去の問題、ヨーロッパの問題等の御指摘もあるわけで、その辺は日経連が判断する話でもないかと思いますが、やはり少子化の問題、あるいは労働力の問題といったときに、移民政策を思い切って踏み出すということも今申しました観点からは必要ではないかというふうに思いますが、御高見を承りたいと思います。
 また、労働界の方からも、猿渡参考人の方からもこれに関して何か御意見を賜ることができればありがたいと思います。
#26
○参考人(成瀬健生君) 外国人の導入について思い切ってやる必要があるのではないかという御指摘をいただきました。
 確かに、時期的には、そういうことによって日本の経済社会再活性化ということも考えなければならない時期だという認識も強く持っておりまして、多少、最近日経連も違った、前向きな発言をするような状況になってきているわけでございます。
 労働力の導入だけではございませんで、労働力につきましても、例えばアメリカなどは、特にインド人に限って何万人システムエンジニアの移住をふやすとかというふうな話があったりするわけですが、一時こうした動きというのは、頭脳流出というんですか、ブレーンドレーンというふうな言葉で、一番優秀なところを高い金を出してとっていくのはけしからぬというふうな意見まで途上国から出たりしまして、そのときによっていろいろな論議が出てまいるわけでございまして、やっぱりかなり慎重でなきゃならないかなと思うわけであります。
 一方、時々、皆様方も御承知のことだろうと思うわけでありますが、中国経由アメリカ行きなんという飛行機に乗りますと、養子縁組の子供を連れて帰るアメリカ人が大勢乗っておられる飛行機なんかがございましたりするわけですけれども、これも一つの方法かもしれませんし、戦前の日本でございますと南米に移住したというふうなこともございます。単に労働力の導入というだけではなくていろんなことが、可能性が今まで取り込まれてきた歴史もあるとしますれば、そういうものを多角的に検討してみる必要があるだろうというふうなことで、少し広い検討をしていきたいというふうに考えておりまして、また次第に勉強をしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
#27
○参考人(猿渡由紀子君) 外国人労働者の賃金について申し上げたいと思います。
 現在、教育実習のときには最低賃金の三分の二程度の賃金ということが全国的に問題ではないかというふうに連合として方々から聞くという、そのことについて問題意識といいますか、いかがなものかという、そういう声が上がってきているという、そういう認識を持っています。
 以上です。
#28
○堀利和君 民主党の堀利和でございます。
 本日はお二方の参考人、どうも本当にありがとうございます。大分議論も尽くされてまいりまして、私は簡単に質問させていただきます。
 子を産む産まないというのは当然当事者、本人が決めることでありますし、それ以上に国というものが直接関与すべきではないというのは当然だと思います。そうはいいましても、この少子化というのは大変やっぱり深刻な問題でもあるわけですね。少子化スパイラルといいますか、そんなふうなところに入り込んでしまったかのようにさえ思えて、本当に出生率を上げていくといいますか、社会政策といいますか、環境づくりを含めて、どうも打つ手が見えないというのがまた非常に心配なところだと思います。
 そこで、当然、男女の働き方、あるいは子育ての問題は、家庭は家庭として夫と妻の夫婦の話し合いで意識改革というのはすべきところもあるんですが、あるいはまた学校教育等でも行われるべきなんですが、お二方にお伺いしたいのは、会社、職場という共通のところでその辺の意識改革ということについてどんなふうな働きかけをしていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
 それから二つ目は、成瀬参考人にお伺いしたいと思いますけれども、いろいろな制度、政策というのは当然御提案された中でも大変進めなきゃいけない多くの課題があろうかと思います。これは国なり行政に対して負わせるべきといいますか実現すべき課題であるわけですが、企業の、事業者の側として、現行制度、政策の中でどのような自助努力といいますかがなされているのか。つまり、広く言えば少子化対策であり、働いている方々がいかに育児休業等がとりやすいような環境も含めて、どのような形で企業としての少子化対策としての自助努力があるのか、この辺、もしお考えがあればお伺いしたいと思います。
 それから三点目は、企業、事業主にとっての社会保障に対する負担というのが、これは企業間の競争あり、ますます国際競争ということを考えれば大変問題は難しいんですが、育児休業中の本人の社会保険料は免除されていることに加えて、今回事業主の側も免除される方向でありまして、なかなか社会保障、保険料を含めた負担というものがどうあるべきかというのは難しいと思うんですが、今回、児童手当の拡大の中でも、四歳から六歳までのところはすべて公費で行われるわけなんですが、そういう意味での、特に少子化対策をめぐっての関係での社会保障といいますかということについて、どんなふうに日経連としてはお考えなのか、お伺いしたいと思います。
#29
○参考人(成瀬健生君) 最初の問題でございます企業、職場でもって一体どういう意識改革をしているかということでございますが、これにつきましては、それぞれの企業はいろんな形で取り組んでおりますが、日経連といたしましては、こうした少子化問題の提言でございますとか、また連合と一緒にアピールを出すというふうなことで、企業の経営者の方々、それから労働者の方々共通に意識を喚起するというふうな努力を積み重ねておる次第でございます。こういうものをまたベースにしまして、全国展開で、私ども全国組織でございますので、いろんなところでシンポジウムとか勉強会とか活動を続けてまいりたいというふうに思っております。
 それから二つ目でございますが、自助努力でございます。
 これは、やはりいかに企業の中で子育てと仕事が両立するような体制を築くかということでございます。これは、連合との共同アピールの中で五項目なども掲げておりますけれども、できるだけその辺、働きやすく、子育てもしながら働けるような職場をつくろうという努力は一生懸命自助努力としていたしているところでございます。また、日経連はこども未来財団と協力をいたしまして、こども未来財団の活動に積極的に協力をさせていただいて、実績が上がっているかどうかはなかなか判定のつかないところでございますけれども、駅前保育所の建設でございますとか、いろんなことに知恵をかしたり努力をしたりというふうなこともしておるのが現実でございます。それなりの自助努力もしてまいらなきゃならないと思っているところでございます。
 それから、御質問のございました児童手当の問題でございますが、今までの児童手当は日経連は反対だという意思表示をしておったことは皆様御承知のとおりかと思いますけれども、全体の金額の中で約七割が経営者負担ということで、経営者だけで負担する問題でもないだろうということで、このまま拡充されてしまっては経営者の負担が大変だと、こんなこともございまして、従来のような方式での児童手当の拡充では経営者側としてはどうも賛成できかねるというふうなことを申し上げたわけでございます。
 しかし、そちらの方向ではございませんで、全く新しい発想のもとで行われてきているわけでございまして、これについては特に日経連はどうこうというふうなことは申し上げておりません。
#30
○参考人(猿渡由紀子君) 先ほどの一点目の意識改革でございますけれども、男性の意識を変えるというのは大変難しゅうございます。やはり意識を変えるということよりも、社会システムを変えていかなければなかなか変わっていかない。現在の男性中心の雇用管理を、男女平等の立場に立って、仕事と家庭が両立できるようなそういう働き方ができるようにしていかなければいけないというふうには思っています。
 それと、男女共同参画社会基本法ができまして、連合としては平等参画と言っておりますけれども、さまざまなセミナー等を開催いたしまして、男女がともに平等参画できるようなそういう社会になるようなセミナー等を行って啓発に努めているところでございます。
 それと、児童手当につきましては先ほども申し上げたかと思いますけれども、年少扶養控除を廃止したことによって大変負担増が多くなっている家庭というのがございます。このことについてはやはり少子化対策としては逆行するものではないかということを考えております。今後、基本的な課題につきまして、あり方の議論を進めてまいりたいというふうに思っています。
 以上です。
#31
○松岡滿壽男君 お二人の参考人さん、御苦労さまでございます。参議院クラブの松岡滿壽男です。
 せんだって、私ども、山口、広島の視察に行きまして、そのときに広大の原田学長さんが、やっぱり三歳児までの教育が非常に大事だと、三つ子の魂百まで、胎教も大事だということを話をされました。どうせ子供が減っていくわけですから、質のいい子供を残していかなきゃいかぬという思いで、たまたまその後、岩男壽美子参考人なんかも来られて、この話をしましたら、それはもう三歳児神話だ、要するに女性を家庭にとどめるということなんですよ、胎教その他についても医学的根拠はないというお話でした。
 これはどっちが本当なんだろうかなと。非常にわからないんですね。もし、本当に三歳までの教育が非常に大事だとか、原田学長が言われるように、それから学校に上がっても小学校三年までの教育が一番大事だということであれば、それに重点を置いた政策を我々はとっていかなきゃいかぬと思うんですが、この問題についてのお二人のお考えをひとつ伺いたいと思います。
 それから、二つ目は、当調査会で山田参考人がパラサイトシングルの話をされました。一千万人、要するに家庭から職場に通っておる、それでぬくぬくとして結婚しないと。それは世界的に見て、どこの国でもやはり就職すれば親から離れて生活をしていると。しかし、日本の特異なこれは現象だと。
 そうすると、この一千万人が結婚すると大変な景気対策にもこれはなるということで、この調査会でもいろんな議論が出て、いや独身税を取ったら、それはとんでもない話だとか、そういう経過も実はあるわけですが、これなんかについて、職場ではやっぱり一定の評価というんですか、そういうパラサイトシングル族がこういう特色のある存在だというような認識があるのか、あるいはそれを上司として積極的に結婚させようという努力が職場では意図的にあるのかどうなのか、この辺のお考えを伺いたいと思います。
 それから三つ目が、本調査会でも昨年スウェーデンとそれからフランスとドイツ、それぞれ行きまして、それぞれの少子化対策の取り組みを聞きました。
 フランスは一九三三年からもう七十年近く延々と少子化対策をやってきているわけです。しかし、結果的にはやはり、フランスの女性の国会議員さんが最後に言っていたんですけれども、いわゆる先進諸国といいましょうか、豊かになるとどうしても男女ともに人間はエゴイストになるということを言っておられました。なかなかどこも、いろんな角度からの取り組みをしても結果的にはうまくいかぬだろうと。スウェーデンあたりは、もうはっきり外国人の移民に頼るということを言っていました。
 連合と日経連の取り組みを見ても、この共同アピールにはその問題は全然もちろん出しておられませんが、日経連さんの方は、先ほどの説明ですと、移民としての受け入れも含めて、外国人にとって魅力的な雇用機会と生活環境の整備に向けてさまざまな検討、準備に早急に取り組む必要があるという認識をしておられますね。これはある面では私は正しい認識だろうと思いますが、連合の方は、この問題については、この共同アピールのときにどのようなお互いの意見交換があったのか、またこういう移民対策を先々私はもう考えざるを得ない状況に日本は必ず追い詰められるだろうと思っておるんですけれども、それについての御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#32
○参考人(成瀬健生君) 三歳児までというのと三年生までというのは私もずぶの素人で全然わかりませんけれども、何歳までということは別といたしまして、やっぱり教育は大事ではないかなというふうに思っております。
 ちょっと余計なことまで言わせていただきますと、中教審で生きる力という言葉が使われて大変広く用いられるようになったわけでありますが、私、あのときつくづく考えましたのは、生きる力というのは本人だけだろうかと。やっぱり人類としての生きる力といいますか、人口の再生産も含めた生きる力、こういうふうなところまであの生きる力という言葉には入っているのかなというふうなことも何となく考えたわけでございますけれども、そうした意味で、やっぱり教育の場でどういう人間を育てるかということは大変大事なような気がいたします。専門家はゼロ歳児とか三歳児とか、そうしたことをおっしゃる方は確かに私ども聞いておりますが、よくわかりませんので、その点についてはお答えできないということでございます。
 それから、パラサイトシングルでございますが、企業としては、パラサイトシングルに対して特に企業の中で何かやっているという例を実は余り聞きません。本当はやった方がいいのではないかなと思うわけでございますが、昔は上司が、おまえもうそろそろいいじゃないかとか結婚をしろとか、おれが世話するとか言ったんですが、極端に今はそういうことを上司も友達も言わなくなっておりまして、全部本人任せで全くタッチをしないという雰囲気が非常に強くなってきております。
 私の経験などでいいますと、やっぱり言えば、いやその気はあると言うわけでありますが、あるの、それじゃまあ自分でやればと言っていますと、やりませんですね。何回も何回も言いますと、やっぱり本人もその気にならなきゃいかぬのかなと。実はこれは私の息子も含めての話でございますけれども、そういうのはやはりしつこく言う。
 やるつもりはあるよと言ったりアンケートに答えたりする人はいると思いますが、そういうのは私の感じでは、私も英語を物にしようと思っていますと言って何年たっても英語ができるようにならないというのと同じような面が多分にあるのかななんという感じもいたしまして、やっぱり昔はそうだったわけですが、周りがかえっていろいろ言うからそういう雰囲気になるというふうな面もあるのかなと。それでしたら、おっしゃられるように、企業でも上役やなんかが少しそういうことを、嫌われてもいいから面倒を見るというふうなことも必要なのかななんて、今改めて思い直させていただいた次第でございます。
#33
○参考人(猿渡由紀子君) 三歳児神話でございますけれども、合理的な理由がないということを申し上げたいというふうに思っています。これは、かえって母子が小さな部屋の中で暮らしていますと、孤立感、不安感から児童虐待の方向に、ケースに走るという、そういうようなケースも見受けられるということが新聞等で報道されていることがございます。したがいまして、三歳児神話というのは時間ではなくて密度であろうというふうに思っているところでございます。
 それから、パラサイトシングルの問題ですが、今、日経連さんがおっしゃったように、このことについて職場等で話し合われたとか議論になったということは聞いていません。基本的には本人の自由であろうというふうに思っています。
 それから、移民についての日経連さんとの共同アピールでございますが、議論にはなったようです。しかし、お互いに深く議論をまだしていないということから今回取り除かれたというふうに聞いています。
 以上です。
#34
○会長(久保亘君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 両参考人には、お忙しい中、本調査会に御出席をいただき、まことにありがとうございました。
 本日お述べいただきました貴重な御意見は今後の調査の参考にさせていただきます。本調査会を代表して厚く御礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十二分散会
ソース: 国立国会図書館
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