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2000/05/10 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第4号
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2000/05/10 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第4号

#1
第147回国会 行財政改革・税制等に関する特別委員会 第4号
平成十二年五月十日(水曜日)
   午前十時十七分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月九日
    辞任         補欠選任
     山下 栄一君     荒木 清寛君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         陣内 孝雄君
    理 事
                大島 慶久君
                谷川 秀善君
                三浦 一水君
                吉村剛太郎君
                佐藤 泰介君
                藤井 俊男君
                森本 晃司君
                富樫 練三君
               日下部禧代子君
    委 員
                阿南 一成君
                入澤  肇君
                岩瀬 良三君
                岩永 浩美君
                海老原義彦君
                大野つや子君
                片山虎之助君
                亀井 郁夫君
                亀谷 博昭君
                久野 恒一君
                佐藤 昭郎君
                田浦  直君
                中島 啓雄君
                畑   恵君
                水島  裕君
                脇  雅史君
                伊藤 基隆君
                石田 美栄君
                今井  澄君
                江田 五月君
                小川 勝也君
                木俣 佳丈君
                谷林 正昭君
                内藤 正光君
                福山 哲郎君
                荒木 清寛君
                魚住裕一郎君
                海野 義孝君
                林  紀子君
                吉岡 吉典君
                吉川 春子君
                谷本  巍君
                戸田 邦司君
                石井 一二君
   国務大臣
       自治大臣     保利 耕輔君
       国務大臣
       (総務庁長官)  続  訓弘君
   政務次官
       自治政務次官   平林 鴻三君
       総務政務次官   持永 和見君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
       常任委員会専門
       員        入内島 修君
   政府参考人
       地方分権推進委
       員会事務局長   保坂 榮次君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○地方分権推進法の一部を改正する法律案(内閣
 提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(陣内孝雄君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨九日、山下栄一君が委員を辞任され、その補欠として荒木清寛君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(陣内孝雄君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 地方分権推進法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に地方分権推進委員会事務局長保坂榮次君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(陣内孝雄君) 地方分権推進法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。
 本日、私の持ち時間は十五分とのことでありますので、早速地方分権推進法の一部改正案について質疑をさせていただきます。
 我が国における明治維新、それから戦後改革に次ぐ第三の改革としての地方分権が、平成五年六月の両院における決議に始まり、平成七年五月の地方分権推進法の成立を踏まえて、平成七年七月、推進委員会が設置をされました。そうして、その推進委員会の勧告に基づいて政府による推進計画が作成されたのであります。そして、さらにその推進計画に基づいて平成十一年七月に地方分権一括法の制定を見たところであります。そうして、約九カ月間の準備期間を経て平成十二年四月一日から地方分権一括法が施行され、地方分権は一応その結実を見たところであります。この間の関係者の方々の並々ならぬ御努力に敬意を表したいと思います。
 さて、地方分権推進法は御承知のように本年七月までの時限立法であります。何らかの法的手続をしなければこの法律は失効をしてしまいます。そこで、今回のこの一年延長の法案が提出されたのでありますが、昨年の分権一括法の審議の際にポスト分権法をどうするのかという議論がなされております。
 そのときに、小渕前総理の答弁では、五年の時限立法にしたのは、一定の期限を設定して計画的かつ集中的に取り組むことが肝要であり、推進委員会の活動は指針の勧告と計画の実施状況の監視機能を有しており、存置期間まではそれを見守るべきであり、期限後の体制はその時点での状況を踏まえて判断すべきであろうと答えております。
 一方、推進委員会の諸井委員長は、権限移譲をもっと進めた方がいいし、必置規制の緩和、補助金問題、税財源問題などたくさんの問題が残っていると思う、いろいろな面でまだ地方分権は不十分であることはそのとおりである、今後の問題について国民の皆さん、結局は国会がどう考えるかであると答えております。
 こうした経緯を踏まえたときに、今回のこの一年延長という一部改正法がどういう意味を有しているのか、まずお尋ねをしなければならないと思います。なぜ一年なのか、その間に推進委員会にはどういうことを検討してもらおうとしているのか、単に後は推進法に基づく実施状況を静かに監視してもらえばいいというのか、そしてそれらのためには一年で足りるのか、とりあえず一年延長してまたその時点で考えるということなのか、それとも一年後にはポスト推進委員会を改めて発足させるということなのかどうか。これらの将来展望を含めて総務庁長官に御答弁をお願いすべく質問通告をしておったのでありますが、事前レクで理解をいたしました。時間の都合上、恐縮でございますが、割愛をさせていただきます。
 次に、今回の法改正の中身でありますが、主要な部分は、五年の期限が終わる地方分権推進法の期限を一年延長して六年にするということであろうかと思います。それと同時に、推進法の第十一条一項の「勧告等の尊重等」の規定を削除することとしておられます。この規定は、「内閣総理大臣は、前条の勧告又は意見を受けたときは、これを尊重しなければならない。」と、いわゆる審議会の勧告、答申、意見等の尊重規定であります。これを削除するというのは、もう地方分権推進委員会からの意見などは尊重しないというように受け取れないこともないのでありますが、その点について一応確認をしておこうと思います。
 およそ政府が設置するこの種の審議会は、政府がお願いをして有識者の方々にお集まりいただいて、時間をかけてすばらしい意見を集約していただき、その後の行政に反映をさせるものであり、本来、尊重規定がなくても政府が尊重すべきは理の当然であろうかと私は思うのであります。
 政府は、昨年成立した中央省庁等改革関係法施行法において、各省庁に設置されていたこの種の審議会の根拠法の、審議会の意見を聴し、かつその意見を尊重しなければならないという規定を、審議会の意見を聞かなければならないと改正をいたしております。これは、政策決定責任者を明確にするという各省等設置法の整理の際に、言わずもがなの規定を整理したものと理解をいたしております。今回のこの推進法の改正もそれらとの整合性をとるということであろうかと思いますが、念のため総務庁長官に確認の意味で質問通告をいたしておりましたが、この点も確認できましたので、時間の都合上割愛をさせていただきます。総務庁長官にせっかく御準備をいただきましたことに心から感謝を申し上げる次第であります。
 次に、分権に伴う税財源の強化拡充についてお伺いをいたします。
 昨年の地方分権一括法の審議の際にもこの点については大変議論がありました。委員会での討論でも、財源の裏づけのないこの分権一括法はミスマッチの法案だ、車にエンジンがないのも同然だ、地方分権に値しない欠陥法案だなどなど多くの質疑者から指摘をされております。地方団体からしてみれば、権限が与えられてもその裏づけとなる財源措置がなされていないのは大変困るという悲鳴にも似た声も上がっておりました。
 これに対する政府の答弁は、小渕前総理は、経済情勢の推移や税制の抜本的改革を見きわめつつ総合的に検討していくべきだと答弁をされております。宮澤大蔵大臣は、年二%成長が続くような我が国経済が正常になったときに財政の根本改革をしなければならない、国と地方で税目のやりとりをすることにならざるを得ないと答え、今はできないが将来経済情勢が好転すれば必ず税収の国と地方の配分変更を実行すると約束をしていると承知をいたしております。
 そこで、平林自治総括政務次官にお伺いをいたします。
 平林次官は自治省出身、知事経験者で、地方財政の専門家でもありまするので、あえて御見解を賜りたいと思うのであります。
 それは、東京都の銀行業等に対する外形標準課税についてであります。きょうは時間も限られておりますので、単刀直入に何点か私が疑問に感じておることにお答えをいただき、いずれ機会を見て地方行政・警察委員会等々でじっくりと御指導賜りたいと思っております。
 今回の新税構想は、事前に漏れるとつぶされかねないので一部のメンバーにより密室で検討を行ったとされております。小骨一本抜かせないとの報道にも接しました。一部の人間が密室で構想を練って突然公表し、大衆を扇動して味方につけ、勢いに乗じて畳みかけるように短期間で決めてしまうといったアンフェアで非民主的な手法は、まさに大衆迎合主義、ポピュリズム以外の何物でもないと考えるのであります。本件は、法的な手続面からも憲法三十一条のデュープロセスに照らし問題があるのではないかと私は考えます。また、憲法第十四条に言う租税公平主義という税の基本原則にも反するのではないかと考えております。
 平成十二年二月九日のニューヨーク・タイムズには、ニューヨーク市で同様の計画が導入されたならば、ニューヨークに本拠を構える大手銀行は税金とともに去っていくであろうと報道をしております。また、二月十六日のファイナンシャル・タイムズには、恣意的な税制は日本におけるビジネスのリスクを高めるとも報道をされております。
 私は、今回のように制度や政策が一地方団体の意向によって恣意的かつ突然に変更されることは他の先進国では例を見ない現象であり、海外から東京のみならず日本全体が行政リスクの高い国と見られるとするならば、国際社会における我が国の地位にも影響を及ぼすものではないかと考えるところであります。
 このような東京都の奇襲まがいの手法は決して褒められたものではありませんが、しかし、その投じた一石が地方財政の自治の確立の議論にもつながるというのであれば、その部分に限っては評価をし得るものではないかと考えております。
 しかし、今回の新税構想が発表された直後の二月二十一日、自治大臣は都知事と会談し、その場で懸念や問題点を示した意見書を手渡したとの報道に接しました。その意見書の中には、所得による課税の均衡を失しないか、特定業界だけに課税して不公平ではないか、都が先行して実施するのは適当か、他の自治体への影響をどう考えるのか、政府の景気回復等や金融安定化策と矛盾をしないか、納税者となる銀行側に必要な説明を十分にしたのかの六項目であったと承知をいたしております。
 私は、自治大臣が指摘をされた懸念や問題点はまさに正鵠を得たものであり、都知事がそれを聞き入れなかったことには強い不快感を抱いておるところであります。同時に、今回の新税は現行の地方税法にも抵触する部分があるのではないかと私個人は疑念を抱いておるところであります。
 ところで、我が国金融界は、現在金融ビッグバンの最終コーナーに差しかかっております。金融ビッグバンは、一九九六年十一月、当時の橋本総理によって提唱され、フリー、自由、フェア、公正、グローバル、国際化の三つの原則に基づき、我が国金融市場を国際的な基準に合った自由で公正な市場に再生し、二〇〇一年までに再びニューヨークやロンドン並みの金融市場にまで地位を高めることを目標として、これまで着々と改革が進められてきておるところであります。
 私は、官民が一体となって東京金融市場を二十一世紀に向けて国際的に見ても魅力と競争力あふれる市場に変貌させていく必死の取り組みを行っているさなかに、今回のような新税が導入されることは国策に逆行するものであり、とても看過できるものではないと大いに疑問を感じておるところであります。
 そして私は、今回の新税が直接的には銀行のコストアップを招き、最終的には多くの国民、預金者や借り手等の利用者に転嫁されることを恐れるものであります。借り手にとって取引銀行の変更は容易なことではありません。とりわけ弱い立場の中小企業等の借入金利の引き上げは、せっかく回復しかかった景気に水をかけるものであろうかと思うのであります。
 私は、東京市場のメジャープレーヤーである大手銀行をねらい撃ちするような今回の外形標準課税の導入は、金融ビッグバンのもとでニューヨークやロンドン並みの国際金融市場にまで地位を高めることを目指す東京金融市場の円滑な発展をも阻害する危険があると危惧するものであります。
 時間の都合で一方的に私の考え方を申し上げましたが、自治省出身、知事経験者で地方財政の専門家でもある平林総括政務次官の御感想、御指導を賜って、簡単でございますが私の質問を終わらせていただきます。
#7
○政務次官(平林鴻三君) 阿南委員から、東京都の特定のといいますか、一部の銀行に対する外形標準課税の問題につきまして、国内外のいろんな影響を指摘された御意見を伺いました。各方面からいろんな意見があることは私どももよく承知をいたしておるところでございます。
 政府といたしましては、二月二十二日の閣議で、閣議口頭了解として東京都案に対する考え方を取りまとめて、東京都に対して慎重な対応を求めたといういきさつがございます。二月二十一日には、自治大臣と東京都知事が会談をいたしました際に、大臣から、納税者である銀行側に理解を得るべく必要な説明がなされているか等の懸念や問題点を指摘いたしたところでございます。
 閣議口頭了解において示した考え方につきましては今も変わりはございません。ございませんが、東京都の方では都議会において審議をされ、東京都がみずからの責任において判断をいたしたものでございまして、これを直ちに違法と断ずることはできないものと私どもは考えております。
 自治省といたしましては、今後の問題でございますけれども、全国知事会からの要望もいただいておるところであり、あくまでも政府の税制調査会等におきましてこれまで議論をされてきた方向に沿って、すべての都道府県において幅広い業種を対象に薄く広く負担を求める本来の外形標準課税が望ましいと考えておりまして、こうした仕組みができるだけ早期に導入できるよう、具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。
 以上でございます。
#8
○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。
 地方分権推進法は五年間の時限立法でありますけれども、まず地方分権の委員会の関係で私はお聞きしたいと思います。
 平成七年七月に地方分権推進委員会が発足しまして、以後、一次勧告から平成十年十一月に五次勧告までなされたわけでありますが、その後も地方分権を推進するための関係法律の整備を図る中で、平成十一年七月八日、この法律が成立したわけであります。
 地方分権一括法が本年四月に施行されまして、わずか三カ月後の七月に地方分権推進法が失効することになると地方分権推進委員会の監視活動が十分できないと提案説明しておりますけれども、これまでの委員会の、法案成立以降、昨年の七月八日以降、この会議の状況と取り組みについて、まずお聞かせを賜りたいと思います。
#9
○国務大臣(続訓弘君) 藤井委員の御質問にお答え申し上げます。
 昨年七月に地方分権一括法が成立して以降、委員会におきましては、これまでのところ十五回にわたる会議を開催するとともに、地方分権推進講演会を全国各地で四回実施していると承知しております。
 会議におきましては、地方分権一括法に関連する政省令、告示や法定受託事務の処理基準が適切なものとなっているかどうかに関する審議を行うとともに、農地法等の個別法にかかわる事項や国庫補助負担金の整理合理化などの措置状況のヒアリングを行うなどにより、地方分権推進計画に基づく施策の実施状況について監視活動を行っていると伺っております。
 また、地方分権推進講演会におきましては、地方分権に対する地方公共団体の取り組みを推進するとともに、地域住民の理解と参画を促進するため、分権型社会の意義を積極的にPRするなどの活動を行っていると承知しております。
#10
○藤井俊男君 そもそも委員会の任務、役割でございますけれども、どういうことなのか、ちょっと私は疑問を持っております。
 それは、分権委員会の任務、役割については延長後も変更をしないとしておりますけれども、ここで言う監視とは何を指しておるのか。今、総務庁長官から、実施状況の監視活動をしてきたという報告を承っておるという旨ございましたけれども、この辺について大臣はどう位置づけておりますか。
#11
○国務大臣(続訓弘君) 御案内のとおり、分権委員会におきましては、政府が作成いたしました地方分権推進計画について、計画に基づく施策の実施状況の監視を行っているということを伺っております。
 地方分権一括法につきましては、計画に示された内容を法制上具体化するものでございますけれども、分権委員会におきましては、一括法の内容が計画にのっとったものとなっているかどうかの監視も行っていると承知しております。
 また、一括法成立に伴って改正されることとなった政省令について、その改正の内容が計画の趣旨に沿ったものとなっているかどうかについての監視を行っている、このように承知しております。
#12
○藤井俊男君 そうしますと、大臣、地方分権一括法の実施状況の監視ということで、直接の任務に当たられてはいないけれども、実施状況というよりも、その計画状況の、この辺の関係の監視ということに一年間当たっていくと、こういうことで理解していいんですか。
#13
○国務大臣(続訓弘君) 今、委員御指摘の監視の問題もありますし、残された課題の議論も行われるものと承知しております。
#14
○藤井俊男君 そこで、ここで言う一年延長する理由として、引き続き検討を要する課題もあることが挙げられておりますが、この引き続き検討を要する課題とは何かであります。
 私は、地方分権を推進するに当たっては、市町村がよくなれば県も国もよくなるというこれまで持論を持っておりました。特に総務庁長官も東京都の副知事さんを長くやられたわけですから、その辺の御理解はあろうかと思うんですが、今日、地方の時代を迎えた中で、権限、財源、人間のこの三つの柱を確立しなければその達成はできないことと私は思っております。
 この間の地方議員の経験から私は見ておるんですけれども、そこでこれまで考えてきたのは、最大の課題は財源の問題であると私は思いますけれども、いかがでしょうか。
#15
○国務大臣(続訓弘君) 今、藤井議員の御質問もございましたし、先ほど阿南委員の御質問の中にございました、諸井委員長が御指摘されました課題の重要な部分は財源配分の問題だと、そのことにつきまして大蔵大臣の答弁を引用しながら阿南委員がおっしゃいましたけれども、いずれにいたしましても、今、藤井議員が御指摘のように、地方の自主権を本当に一括法の趣旨のとおりに施行、実施するためには何といっても財源の問題を解決しなければならない、このように私も認識しております。
#16
○藤井俊男君 それでは、このたびの一年間の延長によりまして、地方分権推進委員会に税を含めて財源問題についてさらに検討してもらい、一定の結論を見出すことを考えておるのかどうか。この辺については自治大臣の方にお聞きしたいと思うんですが、いかがですか。
#17
○国務大臣(保利耕輔君) ただいま総務庁長官から御答弁がございましたように、今後検討すべき課題というのはいろいろあるわけでございますが、特に財源配分を考えます場合にはどういう権限をさらに移譲していくかということもきちんと考えなければいけない、極めて大きな問題が残っていると私は認識をいたしております。
 それに見合う財源配分ということになりますと、これは税制調査会の議論もあわせて検討していかなければならないわけでございますけれども、この一年間延長した中で集中的に御議論をいただいて、そして適切な方策を見出していただくというのが延長後の地方分権推進委員会に課せられた仕事ではないか、そのように認識をいたしております。
#18
○藤井俊男君 財源を含めまして税財源の問題が今後の最大の検討課題であるとするなら、今、大臣からも税制調査会で集中的に議論していく旨もお話しされておりますけれども、私は、一年の延長では短過ぎるんではないかと思うんです。その課題の大きさから見れば、一年ではなく三年なりやはりもっと五年ぐらい延長すべきではないかという考えを私は持っておるんですけれども、一年だけで大丈夫なのかどうか。再度の延長はないんですか。ちょっとこの辺についてお聞きしたいと思います。総務庁長官、どうですか。
#19
○国務大臣(続訓弘君) 先ほど阿南委員の御質問の中に小渕前総理のお言葉がございました。地方分権一括法を提案するに際して、要するに退路を断つ、五年間で集中的に審議をしていただいて結論をいただく、そのための五年間の時限立法だと、こういうお話が前総理の答弁の中であった、こういうことが先ほど述べられました。まさに私は、そういう意味で待ったなしの議論をしていただく、そのための時限が五年間だったと存じます。
 したがって、今それでは足らない、現に足らなかったじゃないか、今回の一年の延長に対しても、今、自治大臣からも御答弁がございましたように財源配分の問題は大変重要な問題である、だとするならば一年間では難しいんじゃないかという御議論、全くそのとおりだと存じますけれども、いずれにいたしましても、私どもとしては一年間で議論を尽くし一定の結論を出していただく、そういう趣旨で一年間の延長をお願いしている、こういうことで御理解を賜りたいと存じます。
#20
○藤井俊男君 総務庁長官の、提案者から見た場合、それは理解いたすところでありますが、自治大臣からお聞きしますと、非常にこの問題、税制問題が重要な中で、集中的に議論していくという形の中で私の先ほど質問いたしました関係についてはどうとらえておるのか、お答えを賜れば幸いです。
#21
○国務大臣(保利耕輔君) 総務庁長官からお答えのように、やはり時限を切って、そしてきちんとした結論を得るように努力をしていただくというのが私どもの基本的な考えでありまして、時間がやや短いではないかという御指摘は私どもも理解するところでございますけれども、一応のゴールをつくって、そこで十分に議論をしていただいて詰めていただくということを期待いたしております。
#22
○藤井俊男君 先ほどもお話ししましたが、分権推進に当たって、私は、権限、財源、人間の面から見た場合、分権一括法の法律が、四百七十五本の法律ですけれども、誕生しまして、権限の移行をまず国から県、県から市町村へ、この辺の移行の関係は着実に移行されてきたのかどうか、この辺についてはどうですか。お聞きしたいと思います。
#23
○国務大臣(保利耕輔君) 御指摘の権限、財源、人間、三ゲンというお話、大変私も興味深く伺っておりますし、非常に重要な御指摘だと思います。
 今度施行されました地方分権一括法におきましては、森林法を初め三十五の個別の法律を改正いたしまして、国の権限を都道府県あるいはその都道府県の権限を市町村に移譲したところでございます。さらに、あわせまして地方自治法を改正いたしまして、二十万以上の都市に対して権限をまとめて移譲いたします特例市制度をつくっておりまして、現在五十九ほど二十万以上の都市がございますが、そのうち三十一の市が特例市への移行を希望しているというようなことであります。事務処理の特例制度についても、すべての都道府県において条例の制定や改正が行われましてその活用が図られるなど、権限移譲の動きは着実に進展しているものと認識をしておりますが、今後とも、さらなる権限移譲を含め地方分権の一層の推進に私どもとしても積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
#24
○藤井俊男君 積極的に取り組んでいく姿勢が示されておりますけれども、地方はこの間の分権推進に当たって、受け皿づくり、そしてまた実施に向けた取り組みに大変な苦労をされたとお聞きいたしております。
 そこに来ましてこの四月から介護保険が導入をされて、地方はそれ以上に四苦八苦の状況もあったとお聞きをいたしておりますけれども、財源の問題、権限から私は財源で先ほども触れましたけれども、財源については国、地方を合わせて六百四十五兆ということで、また地方でも百八十四兆円も借入金が残っておるということで非常に財源不足が続いておりまして、自治体は財政の健全化に向けて徹底した行財政改革に取り組んでおるわけであります。
 財政基盤の確立が望まれておりますので、この辺について自治体を運営するための税財源の分権改革が必要と私は思っておりますが、そこで、この財源について、現段階として自治大臣としてはどういうふうにとらえて、またこの地方自治体を見ているのか、この辺ちょっとお聞かせを賜りたいと思うんです。
#25
○国務大臣(保利耕輔君) 地方自治を行ってまいります場合の財源の確保というのは非常に大事でありますが、御承知のように安定的な財源としては固定資産税がございまして、これは景気の変動にかかわりなく、そう大きな変動なく入って安定的な収入財源になっておる。
 しかし、一方の法人事業税につきましては、非常に景気に左右をされまして大きく変動する。大きな変動がある財源によって仕事をするというのは非常に難しさがございますので、そこへ外形標準課税を導入して安定的な税源にしていこうという動きがある。東京都がそれについて先行しておやりになったわけでございますが、全国知事会からも、これは安定的な財源にするために全国一律の外形標準課税を考えてもらいたいということで、目下政府税制調査会において真剣に御論議をいただいておりまして、私の方からもこの御要請をいたしております。
 そういう安定的な財源を確保するということ、さらにまた、今度地方分権一括法で認められました法定外目的税というようなものを活用して財源を確保するというような形で税源をできるだけ安定的に確保していく、しかも、それは偏在性が少なくて、さらに安定性を持った財源の構築でなければならないということであります。
 しかし、遠い将来、遠い将来ということはありませんが、できるだけ早い方がいいかもしれませんけれども、もっと抜本的な税制の改正が必要ではないか。もう少し国から地方へ基本的な移譲、財源移譲をすべきではないかという御議論もございまして、これは税制調査会の中におきましても、私どもからもお願いをし、また財政当局ともいろいろ協議を重ねていかなければならない事項である、このように認識をいたしております。
 このようにして、安定的な財源を地方に回していくということに努力をしていくことが私どもの役割である、このように認識をいたしております。
#26
○藤井俊男君 強い決意が示されておりますけれども、先般の地方分権の推進を図るための関係法律の整備についても、附帯決議で参議院の場でも財源の問題で地方を通ずる税体系を抜本的に検討してほしいということを言っております。また、衆議院の場でもそのような形でこの地方税財源の充実確保に向けた附帯決議もなされておりますので、ぜひ地方においてこの税財源確保に向けて抜本的な改革、これが強く求められておりますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。
 以上で、時間でございますので終わります。
 ありがとうございました。
#27
○佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介でございます。
 私は、まず法案から少し離れるかと思いますけれども、地方分権推進法の一部を改正する法律案に関連して質問させていただく前に、この連休を挟んで社会的にも衝撃的な少年による犯行が続いて発生しました。この問題について少し伺わせていただきたいと思います。
 私も二十年余の教員生活をしてきた者として、少年が人の命の重さを認識できず、多くの人を傷つけ死に至らしめた事実に大きな衝撃を受けています。なぜ、子供たちが私たちの理解を超えた生命を軽視する行動をするのか。ここにも、家庭や学校、地域社会で子供を育てる過程で今日私たちが気づかなかった要素が現代社会にあるのではないか、このように思っております。
 私は、人の命を大切にする教育として人権教育、もちろん学校教育だけでなく、生涯にわたる学習を通しての人権教育、啓発が必要ではないかと考えております。折しも、ことしは人権教育のための国連十年の折り返しの一年で、今後どのように取り組みを進めていくか、国全体としても大切な時期にある、このように思っております。
 そこでまず、この事件に関して、人権問題にもかかわってこられた総務庁長官の率直な所見をお聞かせいただければと、このように思う次第です。
#28
○国務大臣(続訓弘君) 佐藤委員は、長年教育に携わってこられました。そういう思いから、今少年犯罪をめぐる問題に対しての御質問があったと存じます。
 今回の事件に対しまして、亡くなられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、負傷された方々の一日も早い全快をまずお祈り申し上げます。
 そこで、青少年行政を所管する私としては、少年非行一般が深刻化していることを重く受けとめるべきだと考えております。この少年非行の深刻化は、社会の基本的なルールについての認識の希薄化といった社会風潮や少年を取り巻く環境の悪化等、広範な要因が相互に絡み合った問題であると存じます。
 この問題につきましては、昨年七月に出された青少年問題審議会の答申等を踏まえ、家庭、学校、地域社会等が協力して社会が一丸となって取り組んでいくことが必要との認識のもとに、関係省庁と連携して社会全体の取り組みの促進に努めてまいりたいと考えております。
 このため、私といたしましては、今週中に関係省庁の局長クラスで構成されている青少年対策推進会議を開催し、深刻化する少年非行にどのように対処するか協議するよう事務当局へ指示したところでございます。
#29
○佐藤泰介君 今、長官の答弁にもございましたように、すぐこういう事件が起きると、どこに責任があって、生育歴がどうでというような報道に終始されることを私は非常に残念に思っております。今言われたように、かなり複合的な要因あるいは社会変化あるいは大人たちの責任、政治の責任もあるかとも私は思っております。
 そうした意味で、今直ちにその対策に向けての会議を招集されるということと同時に、事件に対する対処と、それからこれからの青少年の健全な育成に向けて両面からの取り組みが非常に必要ではないか、このように思っております。
 私は、だれもが自由に安心して地域でともに暮らせる社会をつくっていくためには、先ほど人間関係が希薄になったというようなお話もございましたけれども、人権抑圧や人権侵害を引き起こすさまざまな無理解な偏見、差別意識という土壌を改革し、多様な文化や価値観の共存を認め、お互いの違いを理解し人権を尊重する、まさに二十一世紀に向けて人権文化を創造していくことが極めて重要だ、このように考えております。
 そのため、今回の事件で問題となっている、人の命を大切にすることに限って言いますと、これまでの人権教育、啓発の取り組みについてまだまだ不十分であると私自身も反省しております。
 そのことについて、人権に対する行政を担ってこられた総務庁として、省庁再編に際し、人権行政を総合調整、企画推進していくための部局、例えば人権行政推進局的なものをこれからの中央省庁再編の中で内閣府もしくは総務庁に設置するようなお考えはお持ちになってみえないのかどうか、長官にお尋ねをしたい、このように思います。
#30
○国務大臣(続訓弘君) 今、佐藤委員御指摘のように、人権教育、啓発に関する施策の推進が政府全体として取り組むべき重要な課題であるということは、まさに御指摘のとおりでございます。その推進に当たりましては、中央省庁等改革基本法及び法務省設置法に基づき、人権啓発を所掌することとなる法務省を初め関係行政機関が十分に協力していくべきものであり、既に国会で御議決いただいたこれらの法律に基づき法務省が所掌することを御理解賜りたいと存じます。
#31
○佐藤泰介君 私は、今の答弁で法務省の人権擁護局のことを指してお話しなされたのかというふうに思いますけれども、人権侵害に対する機関だと、私はそのように思います。もっと広範な人権教育、啓発、人権救済だけではなくて広範な人権啓発に取り組みを強化していかなければ、やはり二十一世紀人権文化といってもなかなかおぼつかないのではないか。
 例えば、人権教育のための国連十年推進本部、これは本部長は内閣総理大臣、そして各省庁が協力をして人権教育、啓発に取り組んではいるんですけれども、国際的にも人権後進国とも言われる部分もあります。そして、内閣総理大臣を本部長とする重要な位置づけであるにもかかわらず、その体制とか予算は極めて限られたもので、国内計画に関して責任を持って実施していくものとはなり得ていないと言わざるを得ないというふうに思います。
 したがって、既存の機関ではなくて新たな機関を設けて早急に、そうした対処ではなくて、これからの防止といいますか、これからの子供たちの健全育成に向けてそうした部分での予算とか人員の補給を行う体制、そんなものを考えていくと、今各省庁に人権問題がまたがっているものを、総理大臣が本部長となる推進本部の事務局的なものとしてのそうした総合的な人権行政推進局のようなものが私は必要であろう、そういうものを設置しないとなかなか縦割りの中で連携がうまくいかないんではないかとつくづく思っているわけです。
 今、大臣は法務省の人権擁護局のことを言われましたけれども、この擁護局自体も私はむしろ、人権救済問題ですから、法務省の中よりは外へ出して、外局にして独立機関にした方がいいんではないか、こんな考えを持っている者として、同じような答弁になるかもしれませんが、そうしたことを検討していただく余地はないのか、そのことについて再度伺わせてください。
#32
○国務大臣(続訓弘君) 今、佐藤委員から縦割り行政云々という御指摘がございました。確かに今までは各省がそれぞれ少しずつ権限を持って、そして今のような問題に対処をしていたわけでございますけれども、今回、省庁再編の目玉は何かといえば、そういう縦割り行政の弊害を除去して、例えば今、人権問題であるとするならば法務省に一括をすると。そして、従来は人権の擁護の問題だけであったけれども、救済の問題も、そしてまた啓発の問題も教育の問題も総合的に法務省が所管をすると。それで、同時に各省に対して意見を求める、あるいは総合調整を働かせる、そういう役割分担が今回新たにでき上がりました。
 そういう意味では、佐藤委員の御質問の趣旨に沿うような行政がこれから行われる。それは今の問題だけでございません。すべての問題に対してそういう調整権が発動できるような、そういう仕組みに今回の省庁再編の中で考えたということでございます。
 また、予算の問題に対しても、そういう意味では魂を入れるということでございますので、御理解を賜りたいと存じます。
#33
○佐藤泰介君 大分前にも同じような答弁をお聞きしたような、長官からではございませんけれども、ほかの委員会でも同じような答弁をいただいたように思います。が、なかなか改まってきていない。それを今強い決意で縦割り行政から集中をさせて、予算も集中をさせて、その弊害が出ないようにという決意をお述べになりましたので、きょうはこれ以上この問題についてお聞きすることを避けますけれども、ぜひ、ばらんばらんになっている人権教育とか啓発の問題をもう少し集中的に扱えるような部局の設置の必要が生じればさらに検討を加えていただきたい、私はそのことをこれからも要望してまいりたい、このように思っておりますので、よろしくお願いします。
 次に、地方分権推進に関して、政策評価について総務庁長官に質問をさせていただきたいと思います。
 総務庁の行政監察は、会計検査院の会計検査と並ぶ国の行政監査制度の二本柱でありますが、これまでの政策評価能力については不十分であったと私は思っております。
 このことは、平成九年の行政改革委員会最終意見でも、行政監察は、行政監視機能としては一定の役割を果たしているが、行政に課せられた説明責任の高度化により、より高度の政策評価機能としては不十分だと指摘されています。
 これを受けて、平成十一年一月に中央省庁等改革に係る大綱を作成し、各府省に政策評価専門の部門を設け、新設する総務省に府省横断的な政策評価等を担うほか、現行の行政監察機能を引き継ぐこと、これらの実施体制として行政監察局を行政評価、監視機能を担う部局として改編することを挙げています。
 ここで十分に政策評価を行う条件として、私は人員や専門能力、予算あるいは権限の付与の仕方が大変重要になってくるであろうと思います。かつ時間を要するものと見なくてはならないと思いますが、これらについて具体的にどのように考えておられるか、説明をしていただきたいと思います。
#34
○国務大臣(続訓弘君) 佐藤委員御指摘のように、今回の省庁改革の目玉は何といっても情報公開を徹底するということ、主権者である国民の皆様に徹底的な情報公開をして批判を仰ぐということが一つ。
 それとあわせまして、税金の重みをやはり十分知る必要がある。そして、効率的な予算を編成する必要がある。そのためには、何といっても今御指摘のような政策評価が十分になされなければならない。それは、着手の段階、そして着手後の段階、そしてさらには完成後の段階等々でしっかりした政策評価をやり、その政策評価の過程も、先ほど申し上げましたように国民の皆様にディスクロージャーする、全部公開をする、こういう仕組みが一応でき上がりました。
 それで、今御指摘もございましたように、各省庁がそれぞれの政策に対して評価できるような仕組みが各省庁に設けられましたけれども、あわせて総務省に、今回総務省には、それぞれの省庁が評価されるものをさらに客観性を高めるために総務省が総合調整をするという、そういう仕組みがございました。その仕組みの中で、今まで以上のやはり努力といいますか、これをやって国民の皆様の御期待にこたえる必要がある。
 そのためには、それでは人員はどうなるのか、予算はどうなるのかという御質問でございますけれども、現在百六十一名の職員がこれに従事しておりますけれども、これを何年か計画で二百人にふやすという計画も我々の中で議論しておりますし、さらには予算の問題に対してもちゃんとした予算をお願いしたい。例えば、来年一月六日に組織が新しくつくられますけれども、それに対する三カ月分の予算として七千万円を既に組んでございます。したがいまして、来年は、平成十三年度は丸々一年分でございますので、今御指摘のような事案にかなうような人員と予算をちゃんと組んで、そして御期待に沿えるような仕事をさせていただきたい、このように思います。
#35
○佐藤泰介君 大変な力を入れた取り組みという御答弁がございましたけれども、私は行政監察と政策評価とはかなり違った手法になろうと思いますし、相当な助走期間も必要であろうと思いますし、今話がありましたようにコスト、費用、人員、時間、相当こうしたものに配慮していかなければなかなか効果を上げていくことができないのではないかということを危惧いたしておりますが、いずれしても、どのような権限が付与されるかということも大きな課題であろうというふうに思います。と同時に、明確な評価ルールとシステムの策定が必要であろう。さらには、あわせて有識者による第三者のチェックも必要なんではないかというふうに思います。
 このことを申し上げて、時間がそろそろ来ましたので、こうした政策評価の問題も含めて、これからの地方分権を推進していく場合に、こうした政策評価の問題は避けて通れない課題だと私は思います。今後、これらの問題に一層強力に取り組まれ、地方分権を推進していかなければならない重要な時期だと私は考えております。
 これらの問題を解決しつつ、地方分権推進に向けた長官の決意をお伺いして、私の質問を終わります。
#36
○国務大臣(続訓弘君) 今、佐藤委員からいろいろと御示唆に富む御発言をいただきました。私どもとしては、それを真摯に受けとめて、地方分権の推進に大いに意を用いたい、このように思います。御指導のほどをお願い申し上げます。
#37
○佐藤泰介君 ありがとうございました。
#38
○富樫練三君 日本共産党の富樫練三でございます。
 分権推進法改正案について何点か伺いたいと思っております。
 まず第一には、推進委員会と政府の関係の問題について最初に伺っておきたいと思います。
 九六年の三月に中間報告が出されました。同じ年の十二月に第一次勧告、さらに九八年には第五次勧告が出されたわけでありますけれども、この一連の経過の中で中間報告の内容と、それから一次から五次までの勧告の内容、ここに大きな変化があるということが従来から指摘されていたわけでありますけれども、その違いというのは、中間報告では機関委任事務制度の廃止や、あるいは必置規制、国庫補助負担金の改革、地方に対する税財源の拡充の確保などについて、ある意味では中間報告は大変積極的に地方自治権を拡充する、こういう立場を鮮明にされていたというふうに思います。その内容は、大変格調高いものだったというふうに言われております。
 ところが、その後、第一次勧告を作成する前のあたりから、分権推進委員会はその審議方法を大きく転換させることになった、こう言われております。それは、勧告をするに当たって政府の側から見れば勧告内容は実行可能なものであること、したがって各省庁と合意した事項のみについて勧告するということにならざるを得なかった、こういうふうに表現もされているわけなんです。
 そこで伺いますけれども、中間報告とその後の勧告の違いについて、きょうは自治大臣及び推進委員会事務局長さんにおいでいただいていると思いますけれども、その中間報告と勧告の違いについてどのような認識をお持ちなのか、この点について大臣及び事務局長に伺います。
#39
○政府参考人(保坂榮次君) お答えいたします。
 地方分権推進委員会は、今、先生がおっしゃいましたように、これまで五次にわたる勧告を内閣総理大臣に提出いたしましたが、これらの勧告は、明治以来の中央集権型行政システムを変革し分権型社会を築くという究極の目的には一朝一夕に達成できるものではなく、まずはその道筋をつけることが大切であるという認識に立ちまして、政府の作成する地方分権推進計画に着実に具体化され実施に移されるよう、現実的で実現可能な内容となるようにしたものでございます。
 一方、平成八年三月二十九日の中間報告は、委員会のその時点における基本姿勢と検討方向を明らかにしたものでございまして、広く各界各層の理解などを求める趣旨のものでありました。委員会の最終結論を提示したものではなかったものでございます。
 委員会といたしましては、この中間報告を調査審議の踏み台にいたしまして、地方分権推進に関する委員会の基本姿勢を維持しながら関係各界との意見調整に努めまして、具体的な指針の勧告に向けて精力的に調査審議を進め、勧告を取りまとめたものでございます。
#40
○国務大臣(保利耕輔君) 今御指摘の点でございますけれども、基本的な考え方、方針というものは、私は変更があったとは認識をいたしておりません。
 なお、中間報告というのは、今も御答弁ありましたように、その後の調査審議の、これは原文のままですが、踏み台とするために広く各界各層の意見を求めるために提示した文書である、そのように理解をいたしておりまして、理念等を高らかにうたったという形のトーンになっております。
 私といたしましては、地方分権推進委員会の勧告などの活動は、我が国の中央集権行政システムを根本から変革して、地方分権を推進するための具体的指針の全体像を示したものであると思いまして、高く評価をいたしているところであります。
#41
○富樫練三君 中間報告では、大変格調高く理想を掲げたというか、ある意味では憲法で定められた地方自治権について、真正面から取り組むというか、それを実現しようという意図があったというふうに、私も中間報告を読んでそういうふうに理解をしているわけですけれども、さまざまな問題点はあるとしても、基本はそういうことであったろうと。
 ところが、各省庁との合意事項のみを勧告する、こういう中身にする、現実的なものにすると、先ほど答弁ありましたけれども、そういうことによって自治権の拡充という点について大きく結果としては後退したんじゃないかということが言われているわけなんですね。
 推進委員会の議論の中身よりも政府の方針の方が優先される、こういう結果になったのではないかと思うんですけれども、例えば機関委任事務制度、これは廃止はするんだけれども、法定受託事務として国の関与は大きく残す、地方の税財源拡充に関しては、事実上これは実行はしないというか、第五次までの勧告とその後の一括法では、税財源の移譲については実現はしないと、こういうことですね。これは、推進委員会が本来掲げた課題は結局のところ中途半端になってしまった、こういうことだったと思うんです。したがって、課題は引き続き残された、こういうことだと思うんです。
 私は、ここで分権推進委員会を引き続き設置して一年間延長するという場合に、二つどうしても必要な条件があるだろうというふうに思うんです。一つは、推進委員会の中での自由な審議、これをしっかり保障するということですね。各省庁から、これはだめだあれはだめだ、こういう勧告を出されちゃ困ると、こういうことではなくて、自由な討議と自由な勧告、これをできるようにするということ。もう一つは、政府の側から推進委員会の結論や勧告の中身にあらかじめ枠をはめないということが必要だと思うんです。枠をはめなかったのは中間報告なんです。ところが、第一次勧告から第五次勧告までは政府の側が逆に枠をはめたんですよね。その結果、中途半端なものになったわけです。
 ですから、こういう最低二つの条件が必要だというふうに思いますけれども、自治大臣と事務局長の見解を伺っておきたいと思います。
#42
○政府参考人(保坂榮次君) お答えいたします。
 地方分権推進委員会は、自由な活発な討議をしていただくという雰囲気のもとでこれまで引き続きやってきております。また、政府の方から、これについて具体的にこうしてくださいというようなことにつきましては、これまで私どもにつきまして、この点についてはこうだとかというような点についてはございませんでした。
#43
○国務大臣(保利耕輔君) 私も就任後諸井委員長とお会いをいたしましていろいろお話を伺わさせていただきました。極めて自由闊達な議論をいたしておりますと、また政府からいろいろ意見を聞きますが、やはり推進委員会は推進委員会としての独自性のもとに仕事をしていきたいということでございまして、おっしゃいますようないろいろな枠はめみたいなことがきつく行われたというふうには私は理解をいたしておりません。
#44
○富樫練三君 きつく行われたかどうかというのは、それは認識の差はあるだろうと思いますけれども、最初から実は推進委員でありました委員の方々はいろんな場所でいろんな発言をしているんですね。既にこういう厚い本も発行されておりますし、どういう経過だったかということも出されておりますし、調査室のこういう資料も出されているわけなんですけれども、共通しているのは、第一次勧告をするに当たって、先ほど審議のあり方を変えたというふうに言いましたけれども、幾つかのグループに分かれて、そのグループが各省庁と協議を重ねて、その結果合意に達したものを勧告にすると、こういうふうになったわけですね、その進め方の問題として。その中で実はどんどん枠がはめられていく。合意に達しなければこれは勧告にはならないわけです。
 ですから、税財源の移譲の問題というのも、そういう中で結局のところは日の目を見ないで、第五次勧告までの間あるいは法制化の段階ではこれはできなかったと、こういうことだったと思うんです。
 したがって、私が言ったその二つの条件、枠をはめないこと、自由な討議ができること、これはしっかり諸井委員長さんの方にも事務局長の方から伝えていただきたいし、自治大臣もそういう立場で臨んでいただきたいというふうに思います。
 その上で私は、実際の問題として、ひとつ権限の移譲の問題について伺っておきたいと思います。
 従来ありました機関委任事務五百六十一事務のうち、引き続き地方が行うという事務が五百三十、そのうち法定受託事務として国が権限を持つ、これが二百七十五、結果として四〇%はいわゆる法定受託事務、国が一定の権限を持つと、こういうものとして残されたわけなんです。私は、この二百七十五の法定受託事務に関して、当初推進委員会の方は、八割は地方に権限を移譲して二割程度は残るかもしれないと、こういう方向だったのが、それが、八対二が六対四になって、結局法定受託事務はふえたわけなんですね、二割だったのが四割になったわけですから。
 そういう点で、改めてこの二百七十五の法定受託事務について洗い直してみて、地方に対する権限移譲を改めて行うべきだというふうに思いますけれども、自治大臣の見解を伺っておきたいと思います。
#45
○国務大臣(保利耕輔君) 政治はある意味で現実のものでありますから、いろいろな意見を聴取しながら一つの文章をつくっていくということは、これは現実の問題としてあり得ることだ、私はそう思います。
 それで、今後の問題でありますが、法定受託事務を自治事務の方へ移していくことが可能かどうかということでありますが、これは議論の要るところでございますけれども、社会情勢の変化等その他に応じましてその区分の見直しが行われ得るもの、見直されることがあり得るというふうに私は理解をしておりまして、そのことをまた推進委員会の方にもお願いをしなきゃならぬと。それはよく検討の上ということになろうかと思いますが、私はこれは、自治事務の方へ移行させるということは検討すべき事項だと思っております。
#46
○富樫練三君 ぜひそこは積極的に進めていただきたいと思います。
 その上で、自治省の分権に対する考え方というか、自治省が現実にやっていることとの関係で幾つか伺っておきたいと思います。
 一つは、地方行革に対して自治省がああしなさい、こうしなさいということを余りにも強力に干渉し過ぎるという傾向が従来あったけれども、この分権を推進するという一括法が通った後もやっぱり同じように行われているんじゃないかという点についてなんです。
 推進法の第二条基本理念のところでは、「地方公共団体の自主性及び自立性を高め、個性豊かで活力に満ちた地域社会の実現を図る」というふうに規定されているわけなんですね。ところが、実際には地方行革の押しつけが行われているというふうに思います。特に福祉とか教育とか生活環境問題、こういう点に関して、もちろん国として国民的な全国的な最低水準、これを維持するという国の責任はありますよ、福祉についても、教育についても。これは必要なわけですけれども、ところが、それを超えてさまざまな干渉、意見が出されている。
 一つは、国庫負担金や補助金あるいは交付税などの制度を通じてむしろ政策誘導しているという傾向が一つです。
 もう一つは、通知、今度は通達というのはなくなったはずですから通知ということなんだと思うんですけれども、そういうものが次から次に出されている。特に定員管理の問題や人件費に関する行政指導、これについては、例えばアルバイトにしたりパートにしたりせざるを得ないような人員削減を求めたり、あるいは福祉や何かでは民間委託にするとか民間に移譲するとか、今大変問題になっているのは、介護保険を通じて、ホームヘルパーさんが今までは公が責任を負っていたのが今度は民間の事業者に全部渡すということで、公は責任を負わないようにして公の方は縮小するというふうな格好です。こういうことも行われている。
 ここに通達がたくさんあります。自治省の事務次官通達から課長の通達から、それから事務の合理化というか縮小のための具体的な手だて、これをやるようにという通達がたくさん出ているわけなんですけれども、私は、これは分権を推進するという立場とは逆行するものだというふうに思うんです。ですから、こういうのは直ちに私はやめるべきだというふうに思いますけれども、大臣、どうですか。
#47
○国務大臣(保利耕輔君) 地方の行革その他地方分権に絡みますいろいろな仕事につきましては、地方自治体が自主的そしてまた主体的に取り組んでいくということが求められているところだと、私はそのように理解をいたしております。
 なお、いろいろな形で指針等を示しておりますけれども、地方分権推進委員会におきましても、「国は、地方公共団体における行政改革大綱の改定・実施が円滑かつ確実に行われるよう、新たな指針を策定する。」というようなことがございまして、そうしたものを策定して地方公共団体にお示しをしているところでございますし、また地方自治法の二百四十五条第一項で規定をしております技術的な助言、勧告、これはむしろやらなければならないということで、そういった面から技術的な助言、勧告をいたしておるというのが現状でございます。
 しかし、御指摘のような干渉ということは決してしてはならぬ、やはり勧告にとどめるべきもの、助言にとどめるべきもの、このように理解をいたしております。
#48
○富樫練三君 干渉はしていない、助言だと、こういうことのようなんだけれども、そこは非常に微妙なところで、事実上は行政指導という形で干渉にわたる部分まで含めて私はやられているというふうに思います。
 例えば、それとの関連でいつも自主的な市町村合併と、こう言うんですね。法律にもそうなっています。自主的なというのは頭に必ずついているんです。ところが、ちっとも自主的な市町村合併ということにはなっていない事実があるのではないかというふうに思います。
 これは分権一括法の中で市町村合併に対する法律も改定されたわけなんですけれども、実際は国から強力な合併の働きかけが特に都道府県を通じて市町村に行われる、都道府県に合併の計画を立てさせる、こういうことをやらせていますよね。それで、自治省に対して、これは決まってはいないんだけれども事実上自治省にちゃんと報告が来る、義務づけるというか。どう見ても自主的なものとは思えない、そういうものだと思うんです。
 ここに、これは自治省の資料ですけれども、合併の推進についての要綱作成状況という全国の都道府県の一覧表があります。これ、自治省がつくった資料なんです。こうやって発表するわけですよ。
 そうしますと、これが発表されると、うちの県はどうだ、うちの県はまだおくれているとかどこそこは進んでいるとか、こうなるわけです。これを全部やりますと、どこだってこれはそれなりのプレッシャーにはなるということです。こうやって、まだあなたのところは計画は出ていませんねと、これが発表されれば無言のうちにそういうことになるわけです。
 こうやって事実上合併を促進する。これは自主的な合併とは言えないんです。しかも、これには合併のパターンを事細かく書いてあって、こういうパターンでやったらいかがですかと。それが先ほど大臣の言った中身なんだろうと思うんです、指針を示すと。指針を示して、その中から選択してどれでいくのか選んでくれみたいな話になっているわけですよ、実際には。
 ですから、そういう点ではこれは明らかな都道府県の行政と市町村の行政に対する自治省からの干渉だというふうに言わざるを得ないと思うんです。こういうことも私は直ちにやめるべきだというふうに思いますけれども、いかがですか。
#49
○国務大臣(保利耕輔君) 御指摘の市町村合併の推進についての要綱で知事さん方にケーススタディーとしてお願いをいたしております。
 市町村合併というのは、頭の中で描いたということよりも、むしろ現実的な姿がどういうものであろうか、それをやはり地方自治体の方からお示しをいただく方がよろしいのではないかというような観点から、ひとつ勉強してみていただきたいんですがということでお願いをしているのがこのものであります。
 今お示しをいただいたのでは、ことしの末、遅くとも本年度内には大体出そろう形になっておりますが、これは各都道府県、それぞれ取り組んでいただいておりまして、市町村合併が現下の状況からいって必要だという観点に立って、現実的な姿を描いてみようということで作業をしていただいているわけでございまして、決して私どもから押しつけてそういうものをつくれ、こう言っているわけではございませんので、その辺は御理解をいただきたいと思います。
#50
○富樫練三君 時間が来ましたので最後にしますけれども、私は、きょうの議論の中で、一つはやっぱり権限をもっと移譲するべきだと。その権限の移譲と、もう一つの大きな柱になっているのが財源の移譲ということだと思うんです。
 ところが、これは全然行われていないということですから、これを一年間延長するということであれば、その中で確実に財源の移譲についての方針を明確にするということが今度の課せられた課題だというふうに思いますので、これは大臣の方からむしろ推進委員会の方に改めて積極的にそういう立場で働きかけるということも要請するということが必要だというふうに思いますので、大臣の最後の見解を聞いて、質問を終わります。
#51
○国務大臣(保利耕輔君) 自治大臣の立場から申しますれば、当然そのことは要請していかなければならないということは私自身が考えていることでございますので、よく頭に入れて対処したいと思います。
#52
○富樫練三君 終わります。
#53
○日下部禧代子君 社会民主党・護憲連合の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 百四十五国会で成立いたしました地方分権一括法がいよいよ本年四月一日から施行されております。しかしながら、今回の改革というのはスタートにすぎないというのが共通の認識でございます。
 そこで、地方分権推進委員会の大変な御努力にこたえるためにも、早急にセカンドステップ、第二歩のスタートを踏み出さなければならないと思いますが、国として計画を当然お持ちのことと思いますが、次なる地方分権改革のプログラムをまずお示しいただきたいと存じます。
#54
○国務大臣(続訓弘君) 日下部委員の御質問にお答えする前に、実は森総理が百四十七国会の所信表明をされました。その中で、地方分権の問題について触れておられます。政府におきましても、地方分権の推進や来年一月の中央省庁再編の実施を通じて行政改革を徹底的に推進するという方針が述べられました。
 御質問にもございましたように、一括法が四月一日から施行されまして、まず最初の第一歩をしるしたわけでございますけれども、不断の努力を森総理も誓っておられますし、我々自身も、今御指摘のようにそれは第一歩であるという認識のもとに地方分権の推進に努力をしてまいりたい、このように考えております。
#55
○日下部禧代子君 私は、プログラムをお示しいただきたいと申し上げました。御決意のほどは今伺いました。プログラムのことについて。
#56
○国務大臣(続訓弘君) 地方分権推進のプログラムにつきましては、今回の一年間の延長の中で委員会が精力的に議論を進めていただけるものだと、このように私どもは期待を申し上げているわけであります。
#57
○日下部禧代子君 推進委員会は推進委員会のお仕事をこれからやっていただくわけでございますけれども、第五次までの勧告を受けた形、その先のことは、やはり諸井委員長もおっしゃっておりましたが政治の出番であるということでございます。したがいまして、やはり政治の方が何をやるかというその意欲を示す、それは言葉だけではなく具体的なプログラムを示すことによって政府の意欲というものが形になってくるということだろうというふうに思います。
 その点に関しまして、ちょっと今のお言葉は、私にとりましてなかなか満足できるものではございません。そのことを申し添えておきます。
 さて、これから検討しなければならない最大の課題は、皆様が御指摘になる国と地方の税財源の見直しでございます。
 地方分権一括法案の審議の際に、私の代表質問に対しまして宮澤大蔵大臣が、我が国の経済が年率二%の成長軌道に乗ったときに税財源の移譲について検討するというお答えをしてくださいました。その税財源の移譲についてこのような前提あるいは条件というのを設けるのは、地方分権推進法第六条に定める政府の責務に反するものではないかというふうに思うわけでございます。ちなみに、地方分権推進法の第六条というのは「国は、地方公共団体が事務及び事業を自主的かつ自立的に執行できるよう、国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保を図るものとする。」というふうに定めております。
 国の御見解をいただきとうございます。
#58
○国務大臣(続訓弘君) 日下部委員はかつて政府の一員でもございました。したがって、今、宮澤大蔵大臣の御答弁を引用されましたけれども、具体的な地方分権に関する税財源の配分こそ地方分権推進の重要な役割だということはみんな承知をしておりますけれども、しからば税財源の配分に対してどういう具体的な決断が現時点でできるのかといえば、宮澤大蔵大臣がお示しされましたように、ある程度日本の経済が成長軌道に乗り、そしてまた、それがコンスタントにそういう持続的な経済成長が遂げられているという状況を踏まえないと国と地方との税財源の配分は難しかろうということの率直な御意見ではないかと存じます。
 同時に、先ほど自治大臣も御答弁ございましたように、何といってもこの税財源の配分こそ地方分権推進の大きな重要な要素である、そういうお互いに認識を持ちながら、しからば具体的にどうそれを具体化するかということについては、諸井委員会も実は結論が出ませんでしたけれども、いずれにいたしましても、この一年間の中でどういう御議論が真摯にしていただけるものか、あるいは真摯にしていただきたい、そして一定の方向でも出していただきたいというのが私どもの期待でもございますし願いでもございます。
#59
○日下部禧代子君 今回の地方分権改革というのは国の自治体への関与の縮小、廃止ということが主たる目的でございます。しかし、関与の縮小あるいは廃止ということについて、通達、通知による関与を極力縮小、廃止するというレベルに今回の改革はとどまっているようにも思われるわけでございます。
 ということは、法律、法令、省令、告示などの法令レベルにおける国の縛りというのはほとんど手をつけられていない状態だと言ってもいいのではないかと思うんです。条例の決定権とか自治立法権などの自治権というのは、法令で細かく決められてしまいますと、当然それは縛られてしまうということなんです。ですから、国の法令を大綱化するということが本来の改革を全うすることにつながるだろうというふうに思うわけでございます。
 そこで、国の関与の縮小あるいは廃止という点で問題になるのは、補助金による国の誘導ということでございます。推進委員会は第二次勧告におきまして、現在の補助金等を負担金的なもの、それから奨励補助金的なものとに明確に区別して、奨励的補助金については整理合理化の方法を考えるべきであるという勧告をしております。
 そこで、今その補助金の整理合理化についてどのような進捗状況なのか、そしてまた御見解を承りたいと存じます。
#60
○国務大臣(保利耕輔君) 補助金と負担金でございますけれども、負担金の方は御指摘のとおり法定されている国の持つべき費用でございますので、これは性格が非常にはっきりしております。それから、補助金の方は非常に種類が多うございまして、また金額も大きい。したがって、そこをよく整理して統合できるものか、あるいは負担金の方に直せるものなのか、いろいろな議論がこれから分権推進委員会の中でも行われるだろうと思っております。
 おっしゃることを考えますれば、補助金の方の整理というのを一遍きちんとやらなきゃいかぬ。相当な時間がかかると思いますが、これはぜひやっていただきたい、このように思っております。そして、地方自治の実効を上げるためにそうしたものはできるだけ地方に移していくということを自治省としては希望いたしておりますし、またそういうふうにやっていかなければならないと思っております。
 なお、先ほど御指摘のございました地方分権推進法の第六条、この規定は非常に含みがございまして、「国と地方公共団体との役割分担に応じた地方税財源の充実確保」、したがって、役割分担ということを明確にしないと地方税財源というものの配分も明確になってこないということがこの中には含まれていると思っておりますので、そういった点を明確にしていただくことも推進委員会にお願いをしなければならないことだ、このように思っております。
#61
○日下部禧代子君 今までのお答えをいただきますと、非常にこれから推進委員会のお役目、大変なことだなというふうに思います。でも、すべて推進委員会にというのではなく、やはり国としてあるいは行政ができることというのはきちんとやっていかなければならないということを私つくづく感じたわけでございます。
 特にこの補助金の問題というのは、かつてシャウプ勧告が求めたのが補助金を全廃するという、そして平衡交付金に一元化するということでございました。いわゆる特定補助金の一般補助金化ということを勧告したんですね。ところが、これは実現していない。今回の改革が未完である、分権化が未完であるというゆえんの一つの問題でもあるというふうに思うわけでございます。
 ですから、地方自治体の歳出の自由、それと同時に歳入の自由があってこそ初めて真の分権化が行われる、そのことを申し添えまして質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#62
○委員長(陣内孝雄君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 地方分権推進法の一部を改正する法律案に賛成の方の起立を願います。
   〔賛成者起立〕
#63
○委員長(陣内孝雄君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#64
○委員長(陣内孝雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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