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2000/05/29 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 議院運営委員会 第31号
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2000/05/29 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 議院運営委員会 第31号

#1
第147回国会 議院運営委員会 第31号
平成十二年五月二十九日(月曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十六日
    辞任         補欠選任
     笹野 貞子君     江田 五月君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任
     江田 五月君     笹野 貞子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         西田 吉宏君
    理 事
                阿部 正俊君
                上野 公成君
                常田 享詳君
                今泉  昭君
                輿石  東君
                山下 栄一君
                吉川 春子君
                大渕 絹子君
                松岡滿壽男君
    委 員
                加藤 紀文君
                鶴保 庸介君
                中川 義雄君
                仲道 俊哉君
                森下 博之君
                森田 次夫君
                森山  裕君
                山下 善彦君
                江田 五月君
                内藤 正光君
                藤井 俊男君
                円 より子君
                沢 たまき君
                高野 博師君
                林  紀子君
        ─────
       議長       斎藤 十朗君
       副議長      菅野 久光君
        ─────
   事務局側
       事務総長     堀川 久士君
       事務次長     貝田 泰雄君
       議事部長     石堂 武昭君
       委員部長     川村 良典君
       記録部長     山口 俊史君
       警務部長     阿部 隆洋君
       庶務部長     和田  征君
       管理部長     姫井 紀雄君
       国際部長     中村 雄二君
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   参考人
       弁護士      濱田 弘幸君
       立教大学法学部教
       授        新藤 宗幸君
       帝京大学法学部教
       授        土本 武司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律
 案(第百四十五回国会千葉景子君外四名発議)
 (継続案件)
○本会議における平成十年度決算の概要について
 の大蔵大臣の報告及びこれに対する質疑に関す
 る件
○本日の本会議の議事に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(西田吉宏君) ただいまから議院運営委員会を開会いたします。
 まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。
 国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として弁護士濱田弘幸君、立教大学法学部教授新藤宗幸君、帝京大学法学部教授土本武司君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(西田吉宏君) 国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案を議題といたします。
 本日は、ただいまの三名の参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。
 参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 参考人におかれましては、御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 議題であります法律案につきましては、忌憚のない御意見をお伺いし、本案の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いを申し上げます。
 議事の進め方について申し上げます。
 まず、濱田参考人、新藤参考人、土本参考人の順序でそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えを願います。
 なお、本日は、意見、質疑及び答弁とも着席のままで結構でございます。
 それでは、これより御意見をお述べ願います。
 まず、濱田参考人からお願いをいたします。濱田参考人。
#5
○参考人(濱田弘幸君) 参考人の濱田でございます。
 ただいまから国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案に関する私の意見を申し上げます。
 まず、本法案の提案理由の説明にもありましたように、国会議員は、主権者である国民から国政に関する厳粛な信託を受け、高度な倫理観、正義感に基づき職務を遂行すべき責務があることについては言うまでもないところでございます。その一方で、一部の国会議員の不祥事件が報道されるたびに国民から厳しい批判を受けていることもまた事実であります。
 したがいまして、国会議員の職務遂行の公正さに対する国民の疑惑や不信を招くような行為を防止しまして、国会議員や国政に対する国民の信頼を保持するために何らかの方策を講ずる必要があることについては異論のないところでございます。
 国民の信頼を確保するために、従来からも公職選挙法の改正、政治資金規正法の改正など種々の措置が行われてきたところであります。しかしながら、国政に対する国民の信頼は必ずしも十分なものとは言えないものと考えております。
 そして今回、国会議員の倫理観を確立し、そのための方策の一つとして本法案が提案されたものと考えております。しかし、本来の目的であります国会議員の倫理観の確立と国会議員や国政に対する国民の信頼を保持するために、賄賂罪の一類型を定めることにより対処しようとする姿勢にはにわかに賛同することはできないのであります。
 さらに、本法案には、国会議員が本来遂行すべき活動をむしろ制約してしまう問題をはらんでいることを指摘しなければならないのであります。
 国政に対する国民の信頼を保持するために国会議員の倫理観の高揚と確立を図ろうとするのであれば、国民一人一人が政治家もみずから襟を正してきたなと容易に理解できるような、よりきめ細かい倫理条項を盛り込んだ規定を設けた上で国会議員倫理法のようなものを提案されるのがよいと考えております。
 例えば、○○共済というような名称で詐欺事件を行ったとして有罪判決を受けたある国会議員の方が依然としてその地位を剥奪されないでいることに対して、国民は大きな不信を抱いております。国民の不信は、当該国会議員に対してのみでなく、当該国会議員の地位を残したままにしている議会そのものに向けられているのであります。
 両議院は、それぞれ院内の秩序を乱した議員に対しては除名を含む懲罰を議決する権限を憲法上与えられております。それなのに、多くの国民をだまし多額の被害を与えたとされる人が議員でいることができるのか、一般国民は議会に対し大きな不信を抱いております。
 一般職の国家公務員を対象とした国家公務員倫理法が先般施行されまして、国家公務員は私生活に至るまで厳しい制約を課せられることになりました。各省庁とも決意を新たにしてこれに対処していると聞いております。
 他方、国会議員に対しましては、昭和六十年に政治倫理綱領、行為規範、参議院政治倫理審査会規程が制定されていることについては承知しております。しかし、その内容は抽象的なものでありまして、行為規範も、企業や団体の役員についていることの届け出あるいは報酬の届け出など行為類型は極めて限定的であります。
 国民の信頼を確保するためには、議員としてみずからを律しなければならない行為を網羅した法律を制定して、これに違反する行為を行った者に対し、両議院が迅速かつ適切な措置を講ずることができるようにすることこそ不可欠であろうと考えております。
 本法を制定しようとしても、国民の信頼を回復させることにはにわかには結びつかないのではないかと考えます。
 次に、本法案の問題点について述べることにいたします。
 本法案は、前述のとおり、賄賂罪の一類型を定めたものにすぎないものでありますから、刑法体系の中で、刑法の一部改正として、刑法第二十五章、汚職の罪の中で同章に規定された他の罪の構成要件と対比して吟味し、厳密な構成要件の検討がなされるべきであろうと考えます。
 本法第一条の規定を見るとき、それぞれの用語は極めて漠然としており、解釈いかんによっては広範囲の議員活動を制約するおそれがございます。
 まず、本条に言う「賄賂」の概念は、これは当然、刑法における賄賂と同一に解釈すべきでありましょうから、社会的儀礼の範囲を超えた有形無形の一切の利益を言うものであり、金銭や財物の授受のみでなく種々の役務、つまりサービスの提供も賄賂に含まれることになります。
 政治家にとって特に問題となるのは、後援会に加入してもらって会費を納付してもらうことや、政治団体に政治資金規正法による政治献金を受けること、あるいは支援者から役務の提供を受けること、こういうことも条件次第では賄賂と認定されることになります。
 次に、「特定の者」という用語につきましてはどうも刑法典には見当たらないのでありますが、類似の言葉といたしましては「第三者」という言葉が存在しております。
 例えば、刑法第百九十七条の二、第三者供賄の罪に規定されているように、「公務員又は仲裁人が、その職務に関し、請託を受けて、第三者に賄賂を供与させ、」云々というところの「第三者」、あるいは刑法第二百四十七条、背任の罪に規定されておりますように、「他人のためにその事務を処理する者が、自己若しくは第三者の利益を図り」云々などでございます。
 ここに言う法案の「特定の者」と、今申し上げました刑法百九十七条の二に規定された「第三者」とは、私なりに解釈すればほぼ同一の概念であろうと考えております。
 そうしますと、ここに言う「特定の者」とは、法人であると自然人であるとを問わず、また法人格がなくとも団体として特定できるものであればすべて含まれるものと解せられます。つまり、地方公共団体も宗教法人も学校法人も、業界団体やその連合体も、労働組合やその連合体も、あるいは官庁の外郭団体等も「特定の者」の概念から除外すべき理由は見当たらないのであります。
 次に、「不当に利益を得させる目的」も刑法典の中には見当たりません。刑法第二百四十七条における第三者の利益を図る目的の概念よりも広いのか狭いのか、それとも同一なのか、その点は必ずしも明らかではございません。一般的には、何が不当な利益で何が正当な利益と言えるのかも明確でないのであります。
 例えば、従来随意契約によっていたものを競争入札制度に改め、指名入札業者の範囲を大幅に緩和した場合に、新しく入札に参加した業者、この業者にとっては不当な利益を得たことにならないのだろうか、あるいは労働組合の主張する政策の実現によって傘下組合員の処遇の改善が図られた場合に、労働組合の不当な利益と言えないかとか、そういった問題が出てきます。もし入札業者や労働組合やそれらの幹部から後援会費や政治献金を受け取った場合、本法に触れる場合が生じないかという疑念が出てくるのであります。
 さらに、「その地位を利用して」の用語の意味も明確ではございません。国会議員としての本会議や委員会における質疑や国政調査権による調査行為のみならず、国会議員であることを背景とした陳情行為など、あらゆる活動が含まれる趣旨であると解されます。
 そして、国会議員が、これらの団体から特定の政策の実現の要請を受け、これらの団体の幹部と意見を交換し、我が国の発展のために、あるいは国民の人権の擁護のために必要と考えて国の政策官庁や上級地方公共団体に働きかけをするあらゆる行為は、他の公務員にその職務に関する行為をさせるようにあっせんするというこの規定の条項に当てはまることになると考えられます。
 つまり、特定の政策の実現に向けて国会議員として奔走し、政策が実現した場合に、その政策が特定の団体に利益を得させることになれば、当該団体から金銭を授受したり役務の提供を受けたりすること、そういうことが本法に違反し、処罰を受ける危険性を生じる結果になります。
 本法案のような賄賂罪の一類型を規定するに当たっては、刑法体系の中で慎重な議論がなされるべきでありまして、本法案は、必ずしも国政に対する国民の信頼の確保には結びつかず、むしろ国会議員が陳情や政治献金を受けることに過度に慎重になり、国会議員の政治活動が萎縮し、積極的な政策実現のための議員の職務の遂行に支障を来すおそれが生ずる可能性があると考えております。
 以上の理由から、私としては本法案に反対するものであります。
 以上でございます。
#6
○委員長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 次に、新藤参考人にお願いをいたします。新藤参考人。
#7
○参考人(新藤宗幸君) 私は、お二人の参考人の先生のように法律学の専門家ではございません。政治学並びに行政学を専攻しているものでありまして、そういう観点から今回の法案について私の所見を述べさせていただきたい、そう思っております。
 いろいろな取りざたもされておりますが、衆議院選挙が近々実施されるようであります。この選挙で最も問われることは、主権者たる国民への政治の信義の問題ではないでしょうか。この政治的信義の問題には幾つかの次元があるように思います。
 一つは、政権の枠組みに関する言葉と言動の軽さに派生する問題です。
 一九九〇年代の日本は連立政権の時代と言われております。なるほど、九三年の七党一会派による連立政権、九四年六月の自民・社会、現社民・さきがけによる連立政権、そして九九年一月の自民・自由の連立、さらに十月の自民・公明・自由の連立が示すように連立政権が続いております。しかし、九四年の三党連立、九九年一月の二党連立、九九年十月の三党連立は、それぞれ九三年総選挙並びに九六年総選挙時点に立ち返ってみればすぐわかるように、相互に打倒の対象とした政党間の連立です。にもかかわらず、連立政権スタート後も改めて国民の信を問う選挙は行われず政治・政策運営がなされてきております。
 七月には沖縄サミットが開催されますが、先進国の中でこれほど簡単に打倒の対象とした政党が連立政権を組む国が一体どこにあるでしょうか。これでは国民の多くは、残念ながら政治家の語る言葉を信用することができなくなってしまうわけであります。
 第二の次元は、政策判断についての体系のなさです。
 例えば、昨年の百四十五通常国会が典型ですが、多くの重要法案が一挙に可決されました。しかし、そこには政権与党の議員行動を見ても体系性があるでしょうか。ガイドライン関連法、通信傍受法と地方分権一括法、情報公開法が同一議員によって賛成票が投じられていることをいかに考えるべきであるのでしょうか。
 私は、ことしの二月に岩波書店から出版した「選挙しかない政治家・選挙もしない国民」とのタイトルの本の中で、これは政治的分裂症だと書きました。全くもって理解に苦しむ行動であり、個々の有権者は一体何が議員の政治的信条であるのかを疑いのまなざしをもって見ていると言わざるを得ないわけであります。
 第三の次元は、個々の選挙区における政治家の行動です。
 昨年の秋からことしの連休にかけまして、私は、山梨の仕事場に向かう途中で議員後援会の旗を掲げたバスツアーと何度も行き交っております。つい先日も、具体的選挙区名は伏せますが、立候補予定者の行動をウオッチする機会がございました。まさに握手とよろしくの連呼でしかありません。有権者宅を一軒一軒支持者とともに訪ね、熱っぽく自己の信条と所属政党の政策を訴えるイギリスの国会議員とは対極にあると言わざるを得ないわけであります。結局のところ、政治的スキャンダルとしてマスコミをにぎわせるかどうかはともかく、大小さまざまな世話やき行動が政治家の行動の基底を形づくっていると言えます。
 私ども政治学研究者は、政治家は二つの後援会を持っていると今まで述べてまいりました。一つは言うまでもなく選挙区の地元後援会であり、もう一つは資金後援会です。この二つのいずれにおいても世話やきが行われ、集金と集票活動が行われていると記してきたわけであります。
 ですから、私自身が経験していることですが、自民党の某最高幹部の事務所から電話がかかってくる、そして学生の卒業単位を与えてやってほしい、こういうお電話があります。学生を呼び出して聞いてみれば、その親が地元後援会の幹部であるという、こういうことであります。このようなことから始まりまして、道路交通法違反もみ消しの依頼、さらにはリクルートスキャンダル、佐川急便スキャンダル、巨額脱税事件まで起こると言えます。
 そして、この問題は単に議員個人のスキャンダルが問われているのではなくて、世話やきの対象範囲が限定されているだけに、一種の密室性を持ち、社会的には内と外の関係がつくられ、大部分の外の人間がますます政治家への不信感を強めてしまうところに病理の深刻さがあると言えるのではないでしょうか。
 さて、政治的信義の問題を三つの次元において見てまいりました。実は、第一、第二の政治の信義問題は、議員の行動がしょせん第三の次元に規定されているからこそ起きるのではないでしょうか。政治の世界で政権の枠組みと公約、政策の体系性などが真剣に議論されないのではないか。それはまさに第三の理由によるのではないでしょうか。
 現実の政治家として、政治活動にかかわるために顔の見える自分の支持者をつくり、ふやしておきたいとする心情は理解できないわけではございません。ただし、国民の側にも反省すべきことが多々あるのですが、この心情論理が陳情を許しているのであり、さらにはそれを引き受ける際に、合法性と非合法性の判断基準を政治家の目から曇らせてしまうのではないでしょうか。
 本来、政治は政治権力の争奪をめぐる戦いであると同時に、可能性を探る知の芸術でもあります。言いかえれば、個々の市民の苦しみや悲しみ、地域社会のみならずグローバルな社会に生じている問題状況を生活者との接点を深めつつ問題の核心をつかみ、それを体系化して、言葉と言葉の戦いをもって政治権力を維持し、あるいは奪い取るものです。
 したがって、この原点に立脚できるならば、非合法的世話やきに対する罰則など不必要であります。政治家個々人が政治にかかわる人間としての責任倫理を確立すれば済むことです。しかし、残念なことに、単に不心得な政治家としての資質に欠ける者がいるということではなくて、陳情をめぐる政治風土が政治家の責任倫理を希薄にしてしまっているわけです。
 この意味で言うと、上程されている国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律案は、必要悪であるとしても、陳情政治、世話やき政治を求める政治風土に変化をもたらす可能性があると言えます。
 もともと日本は政治家を大切にしない社会とも言われます。陳情の処理活動に議員としての時間の実に多くをとられ、その処理のために金がかかる。しかも、それを無視すれば当選はおぼつかない。この実態を内々苦々しく思っている議員の方も私は多いのではないかと思っております。政治家を大切にしない原因と結果が国民と政治家のどちらにあるのかは容易に判断しがたいのですが、政治家である議員の方からイニシアチブをとって、議員のモラルコードともいうべき法律を制定すべきであると考えます。
 従来の受託収賄罪では職務権限問題がネックとなってきました。したがって、大臣、政務次官等の行政府内のポジションを得ていない限り、なかなか職務権限を明確にすることが不可能です。しかし、厳密な法律解釈はともかく、憲法四十一条は「国会は、国権の最高機関」と定めているのであり、国会議員は、広くとらえるならば国政全般に職務権限を有していると見ることができます。したがって、国会議員みずからが職務権限事項に固執せずに法案を成立させるならば、まさにそれは国会史上画期的なことと言えるのではないでしょうか。逆に言えば、法案に消極的ないし否定的対応をするならば、国民の間に広がっている不信感を一段と深めてしまうことにもなりかねません。
 しかも、来年一月の中央省庁等機構改革の実施によって、いわゆる政治的任命職の範囲は拡大し、またそのポジションに就任する機会も今日以上に議員に広がることになります。こうした政治と行政の関係変化と、そこにおける政治家への国民の不信感を払拭しておくためにも、法律案の成立はぜひとも必要であると申し上げたいと思います。
 もちろん、この法案の提案理由にあるような政治倫理の確立には、この法案のみでは不十分であります。政治資金規正法の言う政治資金報告書の形式や管理形態を改めて、政治活動と政治資金の関係の情報公開を明確にする必要があります。政党助成法に言う政党助成金は言うまでもなく税金であり、一般的公金支出と同様に厳格な会計検査と情報公開を必要としているはずであります。さらにまた、公職選挙法を改めて、より自由な選挙活動を立候補者ができるようにするとともに、有権者の活動に対する規制も緩めるべきではないでしょうか。
 私は、日本の政治と行政について発言を重ねてまいりましたが、日本の政治の不幸は、政治家の皆さんの口をついて出る高尚な将来ビジョンと政治家の日常行動との乖離にあると言えます。そして、そのことを多くの国民が知ってしまっているところにあるのではないでしょうか。この乖離を埋め合わせるためにも、そしてまた国政を預かる皆さんが、国政さらにはグローバルな社会における日本の生き方の追求に専念できる体制がつくられねばならないはずであります。それをだれがつくるのかとなれば、現に国政を預かっている皆さんに第一義的に責任があると言わざるを得ないわけであります。
 以上の観点から、私はこの法案の早期の成立を望むものでございます。
 以上です。
#8
○委員長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 次に、土本参考人にお願いをいたします。土本参考人。
#9
○参考人(土本武司君) 土本であります。
 まず、国会がみずからを縛ることになるようなこういう法案を御審議されているということに対しまして敬意を表するものであります。成立させる方向で御検討くださることを望むものであります。
 私は、検事としまして実務経験を経た上で、今は学界で法律学、特に刑事法のあり方を考えている者の一人といたしまして、本法案につきまして専ら法律的見地から検討を加えてみたいと思います。
 まず第一に、本法における地位利用収賄罪の法的性格ないしは保護法益をどう考えるかという点であります。
 本法案の地位利用収賄罪と類似したものが刑法のあっせん収賄罪でございますが、これは昭和三十三年に新設されたのでありますけれども、実はこのあっせん収賄罪は、古く昭和十六年から新設すべく検討が重ねられたのに、なかなか可決、成立まで行かなかった。非常に難産の上でようやく生まれ出たというものでありますが、その昭和十六年の国会審議のとき、このあっせん収賄罪の法的性格ないし保護法益につきまして、法案提出者である政府側の説明が十分でなかったために関係議員を納得せしめることができず、それが立法化されなかった一つの理由であったと聞き及んでいるのであります。それだけに、本法案につきましても、まずもってこの点を十分審議する必要があろうかと思われます。
 恐らく、この法案の構成要件からいたしますと、公務の廉潔性の保持という点または政治倫理の確保、このいずれかであろうかと思われます。
 賄賂罪の保護法益については、一般にゲルマン法に由来しますところの公務の純粋性かローマ法に由来するところの公務の不可買収性にあるとされているのでありますが、もし本法案における地位利用収賄罪の法的性格というものが公務の廉潔性の保持にあるんだとするならば、刑法の賄賂罪、とりわけあっせん収賄罪の特別法ないし補充法という性格を持つことになります。もしそれに対しまして、本罪の法益が政治倫理の確保にあるというなら、公職選挙法ないし政治資金規正法と同一の基盤の法に属するということになります。かつてこの法案に関係しました民主党案では、たしか表題自体が刑法の一部改正法案ということになっておりましたので、そういうお考え方であるならば明らかに前者に属するということになります。
 しかしながら、本法案を拝見いたしますると、提案説明におきましては、「この法律案は、政治倫理の一層の確立を目指し、政治に対する国民の信頼を回復するため、国会議員がその地位を利用して収賄等を行う行為を処罰しようとするものであります。」というように、かなり政治倫理の確立という点が強調されております。次に、この主体が国会議員に限られております。次に、刑法の改正ではなく独立立法として審議されようとしております。こういうことからいたしますと、どうも政治倫理の確保という点を重視した法案であるように思われる。
 つまり、日本の政治風土、民主政治における政治家の活動のあり方を考えますると、国会議員もいわゆる公職選挙法によって選任されたところの政治的公務員としまして公務の廉潔性ということが要求されることは当然といたしましても、他方で政治活動の自由が阻害されることのないようにしなければならない。つまり、公務の廉潔性という要請と政治活動の自由という二つの要請がぶつかり合うことになるので、そこの調和をどこに求めるかという問題になるわけでありますが、その際、公務の廉潔性が政治公務員に要求されるとしましても、その限度は、選挙時の廉潔性というのは公職選挙法の買収罪で保持される程度のものを法は期待しているのである、選挙後の廉潔性というのは刑法の収賄罪で保持される程度のもので満足すべきものと法は期待していると言えるのではないかという考え方が一つある。
 そして、その一方では、しかし政界の汚職が何回摘発されても百年河清を待つごとく後を絶たない。その根底は政治倫理の低下にある。とりわけ、顔をきかせて口をきいてやり口きき料を取るというやり方、これが我が国の政界の倫理性を低からしめている。法治国家にあっては法が最高であるべきであるのに、日本ではしばしば要職にある政治家の顔が法よりも優越するという状況にある、これを何とか正さなければいけない、こういう認識が出てまいります。
 かれこれ考えますと、結局本法案の保護法益あるいは性質というのは、政治倫理の確保と職務の廉潔性という両面を持ちつつ、その主たるものは政治倫理の確保であって、職務の廉潔性というのは従たる法益としてとらえるのが相当であるように思われます。
 そういたしますと、本法の題名が「国会議員の地位利用収賄等の処罰に関する法律」というのは必ずしも適切ではない、かつての自民党案のように、「国会議員の政治倫理の確立に関する法律」といった方がより適切ではなかろうかと思われます。
 第二に、この罪の主体についてであります。
 法案上は国会議員に限定されております。国会議員が積極的に自律機能を働かせましてほかの模範としようとする姿勢はもとより多とされるところでございますが、地方議員にもあっせん行為をして利得を得るということがあるのであり、現に先ほど申しました昭和三十三年に刑法のあっせん収賄罪が新設されて以来、あれは大変要件が厳しいので、もともとざる法と言われたんですけれども、実際上も検挙事例が非常に少ない。その少ない中でも、十数件ある中でも国政レベルのものは、過日また話題となりました衆議院議員中村喜四郎氏のいわゆるゼネコン事件が一件あるのみでありまして、ほかはすべて地方政治のレベルのものばかりなのであります。
 しかも、かつてのさきがけや社民党案では、地方公共団体の議会の議員さらには首長、つまりは公職選挙法によって選ばれる政治公務員はすべてこれの主体たり得る者という案になっておったのでありますが、そういう方向への転換の方がいいのではないか。法というのは一般的・抽象的な規範であります。特別の事情がない限り、規制の必要のある対象はすべて規制対象に組み込むべきであります。
 第三に目的でありますが、「特定の者に不当に利益を得させる目的で」という要件になっているのでありますが、これは問題なのではないでしょうか。この要件というのは、恐らくは正当な政治活動を不当に制限することのないようにするためのものでありましょうけれども、まずここで「不当に」という概念は極めて抽象的で明確ではありません。
 かつてさきがけは特別の利益というものを要件とする案を出しておられたのでありますが、「不当に」というのは、特別な、ではありませんから、一般には得られない利益を特別に得させる目的であっても不当とは言えない場合が出てまいります。
 例えば、融資において、金利は高くないけれども金融引き締め期間内に融資を認めてもらう、公共事業において、工事代金は格別高くないけれども建設工事を請け負わせてもらうということなどは不当とは言えないことになりましょうと思われます。
 しかも、目的規定ですから、行為者において不当であることの認識がこの罪の成立上必要であります。何が不当で何が不当でないかが客観的にはっきりしない上に、仮にそれがはっきり決められたとしましても、行為者に不当性の認識がありませんとこの目的がないことになって処罰ができなくなってくるわけであります。
 この罪というのは、要はあっせん、つまり口をきくということは違法ではない、しかしその報酬をもらうということに違法性があるというものとしてとらえますならば、刑法のあっせん収賄罪よりも広く浅く処罰の網をかぶせるというところに意味があるわけですので、こういう目的規定といった主観的要件を加えますと、実際の運用面ではまさに骨抜き、ざる法になってしまうという危険があるのであります。
 次に、第四に「その地位を利用して」という要件でありますが、この要件は恐らく通常の収賄罪に必要な職務権限が本罪では必要としないかわりに、本罪では地位利用が必要とするということによってあっせんの方法を限定しようとしたのでありましょう。しかしながら、この地位利用という概念は甚だこれまた明確を欠くのでありまして、解釈運用上恣意を挟む余地が少なくなく、広くも狭くも解せられるというおそれが出てまいるのであります。
 議員が他の公務員に対して持っている影響力の有無とか程度は個々の議員によって千差万別でありまして、必ずしもその地位だけによるものではない。そうすると、地位の利用とその他の影響力の利用とをどう区別するのか、あるいは議員が弁護士だとか会計士だとか会社の顧問を兼ねている場合、そういう兼職の立場で官公庁と交渉するのも地位の利用になるのかなど問題が多いわけであります。
 実は、あっせん収賄罪立法当時、まさにこの地位利用という要件を入れるかどうかが問題となったのでありますが、今申したような問題性があるということから結局入れないことにしたわけであります。一たん死んだものを合理的な理由もないのに生き返らせる必要性はないのではないかと思われます。
 時間がありませんので、あと結論だけ申します。
 第五に、第三者供賄についてでありますが、本法は第三者供賄も処罰対象にしております。しかしながら、昭和三十三年の刑法改正の際に衆参両院の法務委員会におきまして、それぞれ「将来第三者供賄の処罰について検討すべきである。」という附帯決議をなさっているのであります。それと本法にいきなり第三者供賄を入れることとの整合性はどうお考えになるのでありましょうか。さきに既に国会において義務づけられている、義務と言っていいかどうかあれですが、附帯決議がある以上、その方の処理を考えるべきではなかろうかと思われます。
 以上であります。
#10
○委員長(西田吉宏君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々の意見陳述は終了いたしました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言を願います。
#11
○阿部正俊君 自由民主党の阿部正俊でございます。
 三人の参考人の方に、十五分という短い時間でございますので十分なことはできませんが、お尋ね申し上げますので簡潔にお答えをお願いしたいというふうに思います。
 まず、先ほど新藤参考人から、いわば政治のあり方、連立あるいは政党間の議員の移動というふうなことなどについて国民の不信感というふうな視点からさまざまな御意見、御主張がございましたけれども、この場はあくまでも刑罰としてのあっせん収賄罪の審議でございます。したがって、政治論議の場ではございませんので、私は、新藤参考人の御主張は御主張としながらも、私どもこれからの政治活動をするに当たって、私たちの行動とそれから国民との距離感といいましょうか、本当の政治というものからすると、刑罰という形で問題を解決することができるのかどうかというようなことで、慎重に考えていかなきゃいかぬのじゃないかという点で御質問を申し上げたいというふうに思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 最初に土本参考人にお伺いいたしますが、確かに、いわば視点が二つあるように分析されておられました。刑罰という形で問題を解決する方法と、あとは倫理というふうな視点と両面があるというふうな分析でございまして、そうしますと、収賄罪の処罰に関する法律、題名からしてもそういうふうなことが果たして適当なのかというふうな点で、むしろ倫理確立法というふうな点で物を考えるのも適当ではないかという御指摘がありました。
 簡潔にお尋ねいたしますが、私はやはり結論からいいますと、刑罰ということで対処するということは大変いろんな危険を、副作用を持つわけでございます。
 前回の三十三年のあっせん収賄罪の制定のときの大臣の答弁だとか、あるいは附帯決議だとかということが触れられましたけれども、私も調べてみましたけれども、いろいろ議論されておりますが、そういった危険性を冒してまで刑罰という形で問題をとらえることが果たして本当にそういう危険性はないのかということですね。一方で倫理の確立ということではまだまだ不十分な点があるのかなという気がいたしますけれども、そこはやはり分けて考えなきゃいかぬなというふうな気がするわけですが、その点のことでもう一回刑罰という形でぜひしなきゃならぬことなのかどうなのかが一つ。
 あと同時に、こうした公務員全体あるいは公務に当たる者として廉潔性というものは要求されるわけでございますが、特に国会議員だけを対象にして刑罰という形で対処しようというふうな法律の例が、諸外国あるいはほかの民主主義国であるのかないのか、簡潔にお答えいただければというふうに思います。お願いします。
#12
○委員長(西田吉宏君) 冒頭に申し上げますけれども、委員長の方から参考人の皆さんにお願いをしておきます。
 限られた時間でおのおの御質問がありますから、どうぞひとつ簡潔に御意見をいただきますことを委員長から、整理をしながら、お願いを申し上げておきたいと思います。
#13
○参考人(土本武司君) 例えばイギリスにおきまして、例の腐敗行為防止法というのが一八〇〇年代にできました。実は、それまでイギリスは日本を上回る汚れた政治が横行した。そこで、それに対応するに当たりまして、時の与党のリーダーが中心となってこの腐敗行為防止法というのが可決、成立された。その中身というのは目の玉が飛び出るほど厳しいものであった。その厳しい内容というのは、もとより当選議員は当選資格を失うという政治的な制裁が加えられるとともに、別途やはり刑罰はあったのでございますね。
#14
○阿部正俊君 国会議員だけを対象にしたものがあるのかということを、ちょっとぜひ結論的にお願いします。
#15
○参考人(土本武司君) よその国の関係ではそれはないと思います。国会議員だけのものはないと思います。大体、こういう規定を置いているもの自体を知りません。恐らく、先進諸国ではもはやそこは卒業しているんじゃないかと思われますね。
#16
○阿部正俊君 わかりました。
 土本参考人なり濱田参考人からも申し述べられましたけれども、今回の処罰規定は非常に広がりというのか、あいまい性に非常に富んだ、あいまいな概念が非常に広がったものだということは言わざるを得ないんじゃないかなというふうに思います。
 あっせん収賄罪にあるような請託という行為がないとか、それから不正な行為を行わせるということではなくて、結果的に相手が、相手といいましょうかあっせんした先が、公務員なりが、正当な行為であったとしても、この意図が何か観念的に主観的に不当な行為が目的であれば対象になってしまうというふうなことですね。
 ある意味では非常に怖いといいましょうか、場合によっては、土本参考人はむしろまだ不十分だというふうな視点からあえて申されましたけれども、私から言わせれば、あえて申し上げますと、むしろ検察なり警察なりの認定いかんによって対象になったりならなかったりというふうな法は大変恐ろしいなというか危険だなというか、政治活動というのは、やはりそういう国民の声を政治に生かしていくというのも大事な仕事でございますので、その一環の中でさまざまな御要望なり御要請なりをできるだけ正当な政治の中に生かしていこうというふうに動かれるというのが生きた政治の原点だろうと思うのでございますけれども、それを縛りはせぬかというふうなことでございます。その辺を新藤参考人と濱田参考人にお聞きしたいと思うんです。
 あわせまして、不正な行為じゃなくて正当な行為であること、しかもその目的が不当な利益を得させることを目的という、非常に当と不当というのが、土本参考人も例に挙げましたように必ずしも明確じゃないわけですね。例えば、十カ所の予算を予定したとき十五カ所が来たときに、その十カ所の中に入れてもらったといいましょうか、結果的に入る入らないは別なんです、入れようと思っていろいろ説明をしたということも不当なことをする目的でというふうになりはせぬかというふうな心配もあるわけですけれども、その辺の点について、濱田参考人と土本参考人に一言ずつちょっとお願い申し上げたいと思います。
#17
○参考人(濱田弘幸君) ただいまの御質問について簡単にお答え申し上げますと、先ほど土本先生の方から昭和三十三年の刑法の一部改正、あっせん収賄罪の規定を設けるときについての御説明がありましたけれども、その際にも、あっせん収賄罪等の規定の実施に当たっては、政府は検察権、警察権の乱用を厳に戒め、政治活動を阻止しあるいは労働運動を抑圧することのないように留意しというような附帯決議をしております。これは、衆議院でも参議院でもしております。
 そういう当時のあっせん収賄についてもそれくらい乱用の危険性を危惧しておられたわけでございますが、本件に至っては、対象の行為が不正な行為を公務員にして行わせるという概念が外れております。違法な行為をすることに限らないあらゆる行為が対象となっている関係で極めて広く適用される、あいまいな概念で適用される、そういう危険をはらんでおると考えております。
#18
○参考人(土本武司君) 「職務に関する行為をさせ若しくはさせないように」というのは、御指摘のとおり形容詞が何も入っていませんから、正当な職務を行ってもこれに当たるということになります。そのかわり、目的の方で「不当に」と、「不当に利益を得させる目的」という、そちらの方で絞り込んでいるわけですよね。
 だけれども、私は、そういう主観的な要件で明確でない不当とか正当とかという概念を入れるのはよくない。そもそも、この法律をつくるなら、それは口をきいてやって口きき料を取ることが悪いんだという精神に基づく法律なんですから、そういう単純な条文にすべきではないかと思っています。
#19
○阿部正俊君 わかりました。
 今お話がございましたように、昭和三十三年にあっせん収賄罪が制定されましたときの国会論議の中で、大臣答弁等の、土本参考人から触れられましたけれども、それをちょっと読んでみますと、例えば地位利用という、当時のあっせん収賄については入れなかったのでございますけれども、今回は入っていますけれども、これについては「公務員があっせんに際して、その地位を利用することを犯罪の成立要件としなかったのでありますが、この点は、地位の利用という必ずしも明確でない概念を避け、犯罪の成否が裁判官や捜査官の主観によって左右されるのを防ぐ趣旨をも含んでおります。」というふうに国会で大臣が答弁しております。
 あわせまして、「あっせんの事前に請託が行われることを要件」としたのでございますが、「要件とすることによって対象の明確化をはかり、また、あっせん贈収賄罪の特質にかんがみ、実費等を除いた報酬だけが賄賂となることを明らかにいたしました。」と、こんなことでかなり限定的に書いているわけでございますが、限定した結果がどうなのかという議論はさまざまあろうかと思いますけれども、これはむしろ、倫理の問題はあっても刑罰という形での一定の限界というものの証左ではないかなというふうに思うわけでございますので、あえて紹介申し上げた次第でございます。
 それで、結論でございますが、私ども、先ほど申し上げましたように、日常的に有権者のみに限らずいろんな方々からいろんな形でいろんな御意見をお聞きしながら正当な政治をやろうというふうに思っているわけでございます。そのときに、そうした方々との接触ないしはさまざまな御要望等をお聞きしながら公正な行政の実現ということも私らの正当な政治活動の一環であろうというふうに思っておりますが、これがどうも今までの簡単な条文でのあっせん収賄罪というふうなことで出てまいりますと、変な話ですけれども、いつもお世話になってあるいはいつも意見交換なんかしていて、しかも場合によっては後援会の会員になってもらったりあるいは資金管理団体にお金を若干でも入れてもらったりしている方の話は慎重にお聞きして、むしろ関係のない方々からのときには非常に微に入り細にわたり聞いて役所に積極的に話をするというふうな、人情とは逆の政治活動というのが求められてしまうようなことになりはせぬかなというふうに思っちゃうんですよね。でないと危なくてしようがないんです、正直申し上げまして。それじゃ、やっぱり生きた政治というのをむしろ殺してしまうんじゃないかというふうに思えてなりません。
 この点で、土本参考人なり濱田参考人なりに、そうしたふうにならないように、もし仮にこの法律が実現しましたときにどういう政治活動が可能なのか。あるいは、日本なりの政治活動の特徴があると思いますが、そういう中でそれを実現していくためにいい方法があればちょっと教えていただきたいなというふうに思いますけれども、いかがでございましょうか。
 濱田、土本両参考人にお伺い申し上げます。
#20
○参考人(濱田弘幸君) 私といたしましては、やはり捜査機関の力をかりて刑罰に頼るというのではなくて、もっと議員の先生方が自分たちで、自分たちの国会の中でできる倫理法を確立されてそれに従って行動していただいて、どうしても院内の規律を守らないという形でそれに従わない人に対しては懲罰委員会の方まで付託していただくとか、そういう方法で院内で処理していただくのがやはり一番よかろうかと考えております。
#21
○参考人(土本武司君) 自律性が最も要請されるところの問題ではありましょう。しかれども、百年河清を待っても清くならなければ、やっぱり他律規範としての法が動くのもやむを得ないことかと思われます。
#22
○阿部正俊君 時間も参りましたので以上で終わりますが、最後に委員の皆さん方あるいは参考人の皆さん方にも御要望といいましょうか、申し上げておきたいと思うのでございます。
 やはり私ども政治家としても、倫理の確立あるいはそうした公正な政治、行政実現のために意を尽くしていかなきゃいかぬ、当然のことではございますけれども。私はどうも、刑罰ということで物を処していき、政治活動をどんどん狭めていくようなことを考えることによって、本当に生き生きとした民主政治というのが実現できるのかなというふうに思わざるを得ません。この法律案を読ませていただきまして、改めてそういった認識を深くいたしました。
 そういうことで、やっぱり私どもは個別の利得、いわばある行為とそれから利益というものが直結するようなことを実現するわけではございませんし、あくまでも国全体のことを考えての公正さということを担保していこうとすること、それに必要な国民全体の奉仕者といいましょうか、を考えた行政というのをやらなきゃならぬのは当然のことでございますが、個別の行為を……
#23
○委員長(西田吉宏君) 阿部君、時間が参りましたので、結論を急いでください。
#24
○阿部正俊君 結論を申し上げますと、そうしたふうな距離感をかえってとらせてしまうような結果を招くような、言ってみれば角を矯めて牛を殺すようなことになりはせぬかというふうな危惧の念を強く持ちましたので、あえて皆さん方のお考えの御参考に申し上げておきたいと思っております。
 以上でございます。終わります。
 ありがとうございました。
#25
○内藤正光君 おはようございます。民主党・新緑風会の内藤正光でございます。
 まず最初におわびを申し上げなければならないのは、私、他の委員会で質疑に立っておりましてちょうど重なってしまっておりまして、意見陳述を聞かないままに御質問させていただくわけでございます。ただ、事前にお三方のいろいろなお考えは資料等でいろいろ研究をさせていただきました。その上で質問をさせていただきたいと思います。
 まず、日本の政治の現状をどうお考えになられているのか、どう憂えていらっしゃるのかについてお伺いをさせていただきたいわけなんですが、言うまでもなく、日本の政治、一言で言うならば利益誘導型政治、あるいはまた連日のように政治家の金銭にまつわる不祥事等々が新聞あるいはテレビをにぎわしているわけでございますが、こういったことの積み重ねによって国民の政治あるいは政治家への信頼はまさに地に落ちた、失墜してしまっている危機的な状況にあるのではないかなと思うわけでございます。
 そこで、新藤参考人そして土本参考人、両参考人にお伺いをさせていただきたいわけでございますが、日本のこういった政治の現状をどうごらんになっているのか、そしてこういった現状を変えるにはどうすべきとお考えになられているのか、大所高所からの御意見をいただきたいと思います。
#26
○参考人(新藤宗幸君) 先ほど申し上げましたように、私は、今の日本の政治で最も大きな問題は、有権者が政治家の語る言葉を信用しなくなっている、そういう政治の信義が問われているところに最も大きな問題があるのではないだろうか、そのように思っております。
 ですから、それがいろんな形でもってあらわれてくるわけで、利益誘導型でそれがスキャンダルにつながることもあれば、先ほども申し上げましたが、政治の一貫性、政策の一貫性が存在していない、あるいは連立政権の組み方が、ついきのうまでお互いに相手を倒すと言っていたのがいつの間にやら手を結んでいる。これは全く普通の国民には、普通のレベルで私は申し上げますが、理解不可能な話だと思うんです。そういうことを正すことが、きょうの皆様方のみならず、政治の世界で動かれる方の責任ではないだろうか、私は、そのように思います。
 そして、先ほどの話と若干関係させて申し上げますが、政治活動を刑罰で縛るために法律はつくられるべきではなくて、実は皆様方に心の中でいろんな悪い思惑を持って近寄ってくる人間を近寄らせない、そのためにこの法案が必要なんだ、そういうふうにお考えになってこの法案審議をされるべきではないでしょうか。
 以上です。
#27
○参考人(土本武司君) 戦後何回も重なりました選挙におきまして、選挙違反事犯の中で絶えず多いのが買収事犯であります。何回やってもなお買収事犯が減少するどころかふえているということは、いかに我が国の政治が汚れているかということを象徴的にあらわすものであろうかと思われます。
 そういう状況下にありましては、先ほど出ましたイギリスのやり方を参考にいたしまして一罰百戒、目の玉が飛び出るような他律規制もこの際必要ではないかと思われます。その一つとして、公職選挙法上、連座制の規定が非常に厳しいものになりまして、これが非常な効果を発揮しているように思うので、それと歩調を合わせたところの本法などが検討されていいのではないかと思います。
#28
○内藤正光君 ありがとうございます。
 そこで、法案そのものに入っていくわけなんですが、先ほども議論がありましたが、昭和三十三年に刑法が改正をされて百九十七条の四項としてあっせん収賄罪が加わったわけでございます。しかし、実際にこの刑法百九十七条四項のあっせん収賄罪が、事国会議員の犯罪の立件にどれほど役立ってきたかといえば、残念なことにほとんど無力であったと言わざるを得ないわけでございます。
 土本参考人の意見陳述の中では、例えば地位利用だとかいう概念が甚だ不明確ではないかとかいう陳述をされたということなんですが、では現行の刑法が有力かというとそうでもない。
 そこで、土本参考人にお尋ねをさせていただきますが、なぜ現在の刑法百九十七条四項のあっせん収賄罪では国会議員の立件が困難をきわめるのか、教えていただけますでしょうか。
#29
○参考人(土本武司君) それはあっせん収賄罪の構成要件が極めて厳しいものになっているからですね。
 そもそもあっせんの要件として、職務上不正な行為をさせ、または相当の行為をさせないという場合だけ、そういう内容を持ったあっせんだけがこのあっせん収賄罪になるということになっておりますから、これにこの要件が適用になるようなものは非常に少ないということで、おっしゃるとおり、これまでこのあっせん収賄罪で国会議員が摘発の対象になったのはたった一件、例の件でございますね、だけなのでございます。
 したがって、本法でみずからを正そうとするなら要件を厳しいものをつけてはいけないんですよね。なるべくシンプルなものにしなければいけない。その点、「その職務に関する行為をさせ若しくはさせないように」という程度にしてしまって、違法だとか正当だとかというものを外したのは適当だと思うんです。
 ところが、そのかわりに主観的要件として「不当に利益を得させる目的」をつけてありますので、この「不当」で縛られてしまいますね。不当でないものであるならばこれに当たらないということになりますので、こちらの方もこういう目的規定をつけない方がいいのではないかと思うのでございます。
 確かに、お話がありましたように、国会議員が行政官庁のパイプ役をやるということはむしろ一つの重要な議員としての使命、職責であるかもしれない。しかし、それによって口をきいてやって口きき料を取るというところに問題があるわけですから、あるとするなら、そういうよくないところを法律の上で構成要件に組み込むことをもって足るとすべきではないでしょうかということですね。
#30
○内藤正光君 ありがとうございます。
 続きまして、新藤参考人にお伺いをさせていただきます。
 先ほどの質問と重複する部分もあろうかと思いますが、現行のあっせん収賄罪にどういう問題があるのかというものを踏まえてお伺いをさせていただきたいわけですが、国会議員の不正を暴くにはあっせん収賄罪はどうあらねばならないのか、どうあるべきか、お考えをお尋ねさせていただきます。
#31
○参考人(新藤宗幸君) 今、土本先生からもお話がございましたけれども、私は別に専門家ではないのですが、現行刑法のもとでのあっせん収賄罪という形では政治家の行動を律する話というか、先ほど申し上げましたが、政治家に悪さをさせようと悪巧みを持って寄ってくる人間を律することは私は不可能だと思います。むしろ、より広く、それとは別に条文として、立法作業で条文をどのようにつくるかというのは、これはこれでその条文の作成にかかわる方たちの知恵をかりねばならないとは思いますが、いわば広く網をかぶせる、そういう法律を皆様方がおつくりになる、それが必要だと私は思います。
 ですから、先ほども触れましたが、すごい市民的感覚で考えれば、国権の最高機関を構成される方はまさに国権に対して職務権限があるのですよ、広く市民的感覚でいえば。だから、刑法で言うあっせん収賄罪とは別に、そういう薄く広い網をかぶせて、そして政治家に近寄ってこない防波堤をつくる、そういう法律として、条文等の修正は行うにしても、制定されるべきではないかと思っております。
#32
○内藤正光君 ありがとうございます。
 ひとつ端的にお答えいただければと思うんですが、先ほどの質問にもあったんですが、下手にこの法案を立法化してしまうと、政治家の政治家としての政治活動に足かせがはめられてしまうのではないかというような指摘もございました。
 ここで問題になってくるのがあっせんと政治活動の違いですが、一言で言うとどういうふうになるんでしょうか、新藤参考人。
#33
○参考人(新藤宗幸君) 違法性あるいは非合法性と合法性についての内面的規範を確立しているかどうかなのではないですか。
 つまり、いろんなお願い事があり、選挙民あるいは選挙区の人間以外の人間とさまざまな接触の機会を持ち、そこからそれを政策にあるいは国政運営に反映させるというのは最低限の話なのですが、問題は、そのときにああしてくれこうしてくれという話がいろいろあろうかと思うんです。そのことが合法的なことなのか非合法的なことなのかということに対する判断基準を持つかどうかが二つの分かれ目だと私は思っております。
#34
○内藤正光君 ありがとうございます。
 これは最後の質問になろうかと思いますが、今回の私どもが提出した法案の特徴を幾つか振り返ってみますと、例えば、請託の有無はどうかといえば不要となっている、目的の有無についても、先ほどから何度も議論があったように、不正だとか違法ではなくて、あくまで不当に利益を得させる目的というようになっていること、職務行為については国会議員の地位を利用ということになっている、これは昭和十六年の帝国議会の議論でも甚だこの概念が不明確ではないかということで退けられた経緯があろうかと思いますが、これらの大きな特徴を今回の法案は持っている。
 確かに、おっしゃるように厳し過ぎる一面もあろうかと思うんですが、しかし今の政治の現状を振り返ってみますと、利益誘導型政治だとか口きき政治だとか、こういったものがまかり通っているわけです。こういったものに毅然とノーと言って、そして失われた政治への信頼を回復するためにはやはりこれぐらいのことをしなきゃいけない、これぐらいの立法化を進めていかなければならないという思いで私どもは提出をさせていただいたわけなんですが、この法案をどのように評価されているのか、新藤参考人にお尋ねをさせていただきます。
#35
○参考人(新藤宗幸君) 細かな条文上の問題はともかくとして、国会議員の皆さんが内発的にこのような法律を制定するということは日本の国会史上画期的なことなのではないでしょうか、そのように思っております。
#36
○内藤正光君 しかし、残念なことにこの法案、この参考人質疑で終わってしまうんです。これ以上委員会質疑が行われるかというと、行われず、ましてや本会議採決も行われない。
 私は、これだけ画期的な法案だからこそ本会議にかけて、反対なら反対でいいんです、票を投じればいいんです。私は、国民の前に、各党あるいはまた各議員の姿勢を明らかにするのが本筋ではないかと思うんです。(「まだ決まってないだろう、何言っているんだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者あり)
 私は、このことを一言申し上げまして、私の質問を終えさせていただきます。
#37
○山下栄一君 公明党・改革クラブの山下でございます。
 今、最後の方で内藤さんから、法案の行方がもう既に決まってしまっているような御発言がございましたけれども、これは理事会でまだ検討もされていない。大変重要な課題であるという認識は共通であるわけでございまして、勝手にそういう判断をされるのは非常に不本意であると思いますので、参考人の方も誤解されないようにお願いしたいというふうに思っています、まだどう扱っていくかということは決まっておりませんので。
 先ほど新藤参考人のお話、私も同感のところがあったわけでございますけれども、日本の政治風土の不幸は、政治家がビジョンを語っているところと日常行動、日常の振る舞い、乖離が激し過ぎるというお話がございました。
 私もこちらに来させていただいて八年近くなりますけれども、要するにパフォーマンスといいますか、が非常に鍛えられていくというか、そういうパフォーマンスにたければたけるほど中身がなくなってくるということはあってはならないというふうに感じておるわけです。
 これは単に政治の問題だけではなくて、先ほど責任倫理というお言葉もございましたが、言っていることとやっていることが違うということは非常にこの世の中を不安定にしていくと。さまざまな青少年問題、今大変大きな問題になっておりますけれども、大人が言っていることとやっていることが違う、ルールをつくりながらルールをみずから破るという、そういうことが倫理、道徳にとって最も不幸なことであるというふうに感じております。
 特に、地位のある責任のある立場、総理大臣もそうでしょうし国会議員もそうである、大学の教授もそうであるし弁護士もそうである、医者もそうだ。その影響力は激し過ぎると。これが一番今の世の中で問題になっていることであろうというふうに、今自分自身感じておるわけです。
 これは、子供に対する大人のあり方、道徳教育というのは口で言っているだけでは、注入をしていくというか教化していくというか、そういう時代ではないと。言っていることとやっていることができるだけ一致するように貫くこと、特に地位のある人間はそれを求められるということ、これが今一番大きな課題であるというふうに感じております。
 それで、話がそれてしまいますけれども、特に司法制度改革も、裁判官は一般市民と接すると公平な感覚が薄れていくという、そういうことも今まで言われてきた、それが問題なんだと。だれのための裁判官なのか、市民のための裁判官ではないのかということが司法制度改革で一番問題になってきておるわけです。
 政治家の場合も、先ほどもお話が何遍も出ていますが、政治活動のあり方、ビジョンを語り、政策を語る。その政策はどこから来ているんだ。現場に根づかないそんな政策は国民から遊離する。そのためには、現場第一主義だ、市民との対話を欠かせてはならないと。陳情という言葉もありましたし口ききという言葉もありましたけれども、さまざまな形の問題、訴え、これをじかに聞いていくこと、そのことが政治家に物すごく求められる時代であるというふうに思うわけです。
 市民生活、生活者と政治家は遊離してはならないと。これは、だから非常に大きな課題であるわけですけれども、その接する中でさまざまな問題も出てくると。これはまさに、政治家そのものの倫理観にかかわってくるというふうに思うわけですけれども、この法律によって、今提案された法律によって政治活動が制限されてはならないという話もございました。現場へのかかわりをちゅうちょさせるようなそんな法律であってはならないと自身も思っておるわけですけれども、こういう問題についての新藤参考人、またお二人の参考人のお考えをお聞きしたいというように思います。
#38
○参考人(新藤宗幸君) 政治家が、これは国政のみならず自治体の政治でも同じでありますが、政治にかかわる人々がさまざまな有権者、いろんな市民、住民の方々と遊離してならないのは当然な話だと思います。
 ですから、先ほども申し上げましたけれども、それぞれの人間が生活者として、あるいは経済人として等々、職業人として持っている悩みであるとかあるいは悲しみであるとかあるいは問題状況であるとかということを、皆様方がまさにフェース・ツー・フェースできちんとおつかみになることは当然の話だと思います。
 そのことをやることと、この法律ができると仮にしたときにそういう接触がしがたくなる、あるいはそれをちゅうちょしてしまうというふうなことが出るのではないかというふうにお考えになることが私には理解の範囲を超える話でございます。
 つまり、いろいろな方々と接触をする、そしてそれぞれのお考えを聞き取る。今の政治のどこを修正すればそうしたものが直っていくのか、そのような観点から接触するはずでありまして、それならば、これがあろうがなかろうが、そういう活動が停滞する、消極的になるはずがない。
 むしろ、そうではなくて、何かの御要望を聞いて、それが公的に実現する話なのかあるいはプライベート間で実現できる話なのか、ともかくいわゆる世話やきでもって票を伸ばそうと考えれば、この手のものができればちゅうちょされ消極的になるということになるかもしれませんが、それは本来、そちらがそうなるからこの法案に消極的だというのは本末転倒なお話であろうと、私はそのように思います。
#39
○参考人(濱田弘幸君) この法律では、目的はかかっておりますけれども、現在のあっせん収賄のような請託を受けてという要件が全くないわけでございます。
 したがいまして、一定の業界とか団体とかそういうものに対して大きな政策を打とうという場合、どこかでその団体なんかに利益が入ってくる、これが不当かどうかというのは非常にまた問題をはらんでおりますけれども。したがって、そういう個々の陳情ではなくて、大きい政策を実現させるようなそういう行為に至るまで、後からまた政治資金があった、実は後援会に入ったと、こうなってきたときに、この法律の網はかぶってこないかなという心配はしております。
 そういう意味では、やはりもう少しこれはよく整備しないと、このままこれを成立させるようなことがあっては、結果的にはやはり政治家の皆さんの活動に何らかのためらいを生じさせるような事態というものが往々にして出てくると思います。
 それから、法律というのはでき上がりますとひとり歩きいたします。当初の立法の趣旨はどうあれ、時代が変わってきますと、どんどん文言に従って解釈されていきます。そこをよくお考えいただかないといけないんだろうと考えております。
 以上でございます。
#40
○参考人(土本武司君) この問題は、確かに究極において倫理の問題であります。
 ただ、その倫理の問題は、倫理の世界に任せていいものと倫理を超えて法の世界に取り込んで法的制裁を加えなきゃいけないものと両方あるわけで、これまでの日本の政治の実態からするならば、これは法の世界に取り込むべき性質のものではないかということであります。
 そこで、口をきいてやる、あっせんをしてやるという行為、それはもちろん適法でありまして、それをこの法律はとがめようとしているわけではないと思われます。その点があるいは新藤先生とちょっと見解が違うかもしれませんが、口をきくこと自体は違法だと言っているわけじゃない、ただ、それに対して報酬を受けるということに違法性があるんだというのがこの法案のねらいではないかと思われます。
 政治というのは全体のために行われるべきものであります。それが、あっせんをしてやった特定の人のために行うという色彩が報酬を得ることによってどうしても出てまいりますので、それを規制しようというものではないかと思われます。
#41
○山下栄一君 もう一つ聞きますが、いいですか。
#42
○委員長(西田吉宏君) もう一分ほどあります、簡潔に。
#43
○山下栄一君 土本参考人にお聞きいたしますけれども、先ほどこの刑罰の対象となるのは国会議員だけだ、では広げたらどうか、地方議員、首長。秘書についての今回の交通違反もみ消し事件というのは、まさに事務所そのものといいますか、議員事務所そのものだったと思うんですね。だから、議員と秘書は一体であるということは、もうこれは一般市民がそう感じていると思うんですけれども、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
#44
○参考人(土本武司君) 確かに秘書、その中でも公設秘書はお国から給料をもらっているんでしょうか。そうだとすれば、今回の事件にあらわれましたように、これを本法の犯罪主体に入れないと抜けるおそれが出てまいります。
 差し当たり私は、公職選挙法で選任される国会議員、地方議員それから地方の首長、ここまでは絶対に入れるべきではないかと思われますが、公設秘書につきましても、それに準じて検討を要することであろうかと思われます。
#45
○吉川春子君 日本共産党の吉川春子でございます。
 政治家、特に国会議員の不祥事が相次ぎ、国民の間に強い不満があるということは当然のことだと思います。私たちはこの法案の提案者ではありませんので、法案の内容について率直に伺っていきたいと思います。
 憲法三十一条を引くまでもなく、刑法である以上、構成要件の厳密性というものが非常に要求されるということは当然のことであると思います。
 まず濱田参考人にお伺いいたしますけれども、「特定の者」というのは刑法百九十七条の二とか二百四十七条の「第三者」と同義語だというふうにおっしゃって、政治活動の自由が制約されるおそれがあるというふうに指摘をされました。その事例として、労働組合員の処遇の改善を行わせて、その後、後援会費等をもらえば本法に触れるおそれがあるんじゃないかと、こういう御指摘だったと思います。
 私たちは、団体からの政治献金、これをもらうこと自体がやっぱり政治家としては慎むべきではないかという立場に立っているわけですけれども、参考人にお伺いしますが、団体献金を禁止すれば、少なくとも参考人の本法案に対する懸念の一つは解消するのではないでしょうか。いかがですか。
#46
○参考人(濱田弘幸君) お答えいたします。
 団体そのものであればいいんですけれども、団体の幹部が個人的にまた献金するとなれば、実は同じ結果になると思います。やはりそういうものは当然絡んでくると思います。そういう意味では、この「特定の者」という概念は非常に広いものでありますから、必ずしも団体献金を禁止すればそれで済むというわけにはいかないと思います。
#47
○吉川春子君 次に土本参考人にお伺いしたいんですけれども、法益の問題を詳しくおっしゃいました。
 法益については、あっせんの対象となる他の公務員の職務の構成、それとも国会議員の職務の構成かどうかというような問題もあると思うんですけれども、賄賂罪よりも政治倫理の確立の方にウエートがこの法案はあるんだ、だから賄賂罪とはいささか異なるというふうにおっしゃられたわけなんですけれども、しかし、これは刑法ですよね。処罰法だから、倫理法ではないわけなので、やっぱり人を罰するとなると構成要件の厳密性というのは当然要求されると思うんですけれども、今いろいろお話を伺っていて、構成要件についてかなりあいまいな点があるなという指摘は、これはある意味では当たっているのではないかと私も思うんですけれども、構成要件のあいまい性ということについてはどう思いますか。この法案に賛成のお立場からどう思われますか。
#48
○参考人(土本武司君) したがいまして、政治倫理の確保に重点を置いた法案だと理解しますと、これは刑法の補充法ではなくして、公職選挙法あるいは政治資金規正法の世界、そこの範囲に入る同じ土俵のものではないかと思うんです。
 もちろん公職選挙法、政治資金規正法も必要な罰則は置いておりますので、倫理の問題でも非常に倫理性が強く、法の力をかりなきゃならないものはやはり罰則というもので間接強制をするというのはほかの分野でもあり得るわけで、私はこの法案というのはそういうものではないか。もし賄賂罪だと言うなら、恐らく現在あるあっせん収賄罪の類型に入る一つの特殊なあっせん収賄罪という位置づけになるでありましょう。
 それなら、なぜ刑法を改正して刑法の改正ということで行わないのか。現に、かつてのある党は、刑法の一部改正法案としてこの問題を提案しようとされていたはずであります。そうではなくて、これはやはり政治倫理、公職選挙法あるいは政治資金規正法と同じ世界のものとして、しかし非常に重要性があるから罰則で処理しようというものではないかと思われます。
 構成要件といたしましては、前に申し上げましたが、いたずらに主観的要件を入れますと一方で正当なものまで入ってしまう危険、つまりは捜査官の恣意によって確かに検挙されてはいけないものまでされてしまう危険性も出てまいります。しかも、この法案の大もとのねらいからするならば、何も不当性とか正当性とかといったものを目的規定に持ってくる必要はないじゃないかということであります。
 それから、地位利用というのも、既にあっせん収賄罪の立法審議の際に、この不明確性からしてこれを入れるのは適当でないとされて外されたんですから、それをまた復活させるというのは不明確なものが明確になったのであろうか。なったような議論は聞いたことがありませんので、これも外すべきではないかということでございます。
#49
○吉川春子君 もう一問、土本参考人にお伺いしますが、本法の賄賂の概念、本法のというか、賄賂の概念が非常にあいまいになるのではないか、こういう批判に対してはどのようにお答えになりますか。
#50
○参考人(土本武司君) その御意見に賛成であります。
 賄賂という言葉自体が、これは職務行為の対価としての利益を指すのが通常の用い方であります。職務行為というのは収賄公務員自身の職務を意味するわけでございます。ところが、この法案の主体である国会議員というのは自分の職務に関しての報酬を得るわけのものではありません。
 加えて、先ほど来申し上げている政治倫理の保持、公務の廉潔性とか公正性というよりは政治倫理の確保という点に主眼があるんだとするならば、賄賂という言葉を使うこと自体が必ずしも適切ではないんではないか。これは財産上の利益とかいうようなものにした方がいいんではなかろうかと思われます。ただし、利益をさらに限定して金銭、有価証券といったものにまで限定するのは不適当かと思われます。
#51
○吉川春子君 主体についてなんですけれども、先ほども国会議員のみを主体にしなくてもいいのではないかという御指摘もありました。
 これは濱田、土本両参考人に端的にお伺いいたしますけれども、法益ということとの関係でいえば主体を国会議員に限る必要はないのではないか、もし主体を限らないとすると、またかなり概念があいまいになるというジレンマがありますけれども、ともかく主体を国会議員に限る必要は必ずしもないのではないかという、そういう指摘に対してはどのように答えられますでしょうか。
#52
○参考人(濱田弘幸君) 先ほど土本先生の方からも御指摘ありました。これが政治倫理を目的とするものであれば、法益はむしろそちらに重点が置かれるようになって、公職選挙法あるいは政治資金規正法とのセットの法律の類型に入るのじゃないかと。一方、この罰則を重点としたものでいくならば、これは刑法の一部改正の方に回るのではないかという御指摘がありましたが、私はどう見ても、この法律の規定の形式からいいまして刑法の一部をなすもの、まさにあっせん収賄罪のさらに特別法だという感じがしております。
 そういう意味では、国会議員に絞る必要は毛頭ないのであって、それは政治的公務員に広く平等に適用されるべきものであろうと。また、この内容をつくるべきだとは私は申していないんですが、さっきから。だけれども、こういうものがもし必要があれば、やはり刑法の一部改正として広く政治的公務員についてはこういうことが必要ですよと、一般の公務員とは違った類型のものを改めて検討してやるべきであろうと。政治倫理の観点を中心にやっていけば、私は、こういう刑罰でなくてもっと別なもので何か処置していくのが妥当であろうということは先ほど来申し上げております。
 以上です。
#53
○参考人(土本武司君) 国会議員特有の問題なら主体を国会議員に限定することに合理性があろうかと思いますが、この内容、あっせんして賄賂、利益を得るということはむしろ地方議員の方が実例からしても多いのであります。ですから、国会議員が模範を示すという意味ではいいかもしれませんが、法というのは、いやしくも国会で制定される法律は、一般的・抽象的規範として対象に盛り込むべきものはすべて盛り込むべきであるのが法であろうかと思われますので、少なくとも公職選挙法で選任される政治的公務員はすべてこの主体になり得るとするのが筋であろうかと思われます。
#54
○吉川春子君 終わります。
#55
○大渕絹子君 社会民主党の大渕絹子でございます。
 三参考人の皆さんには本当に御苦労さまでございます。
 まず、この法案が出されてきた経過でございますけれども、相次ぐ政治家の不祥事が起こってまいりまして、私たちは、政治家みずからがどうやったら襟を正していくことができるかということを検討いたしました。そして、突き詰めて、あっせん収賄罪、これを確立することによって政治家の倫理も確立をすること、そして政官財の癒着の構造を断ち切るということ、そして刑法のあっせん収賄罪のすき間、いわゆる請託を受けてというところの要件で立件が難しいということがあったわけでございますので、そこを埋めるという観点からこの法案をつくらなければならないということを提案してまいりました。それとあわせて、企業・団体献金の禁止も必要だということで、この二本、政治腐敗を防止するためには必要であるということで国会に提案をしたところでございます。
 濱田参考人は、この法律では政治活動を著しく萎縮させてしまうので反対だと言われましたけれども、それでは、今まで政治家が起こしてきたさまざまな腐敗事件をやめさせるための極めて必要な法律というのがあっせん収賄罪では適用ができないという条項になっていますけれども、これをより罰せられるようなことにするためにはどういう方法があるかとお考えでしょうか。この法律がだめならばほかにもっとよいものがありますでしょうか。
#56
○参考人(濱田弘幸君) お答えいたします。
 私といたしましては、そういうふうなすぐ刑罰に持っていこうという発想がまず何か正しくないんじゃないかと考えるわけです。もっと自律的な、自分たちの議員の資格の剥奪まで含めた皆さんの中でできる懲罰、そっちに関する法律を先に、倫理法のようなものをつくっていく方がいいのではないか、その方が国民ももっと納得していただけるんじゃないだろうかと。
 たまたま旧の事例の、これは捜査権が発動して、そして捜査機関がこれを起訴しないとまとまらないものですよね。仮にこういう法律をつくっても、適用されるのはまた将来何年に一件とかそういうものになるかもしれません。むしろ、本当に悪い人が、悪い人がというか、何か悪いと倫理的に認められる人がこの法律を適用されるならいいんですけれども、何かの関係で不用意に適用されるような人が生じたり、そういうアンバランスということもやっぱり考えていかなきゃいけないんじゃないかと。だから、真に倫理的なものを求めるのであれば、もっとそちらを目的としたそのものの法律を制定していっていただければと私は考えております。
 特に現在、一般職の国家公務員には国家公務員倫理法ができまして、自分たちの審査会をやって細かいこともいろんな規制が出ておりますね。ところが、国会議員の行為規範とか倫理綱領とか見ましても、漠としたものであって非常に抽象的なものです。実際に審査会もありますけれども、それがどういうふうに機能しているのかも十分ではない。そういう今まである制度をもっと充実させてもっと機能させて、そして自分たちが自分たちみずからを律するというか、そういう捜査機関に頼らないで自分たち自身で律する、そういうことを考えていただければ国民は納得していくんじゃないかと、こう考えております。
#57
○大渕絹子君 申されることはよくわかるわけでございます。国会議員というのは一般の人たちよりも倫理は強く求められるというのは私たちみずからが十分わかっておる中で、しかしその中でも腐敗の事件が後を絶たないという状況でございまして、ここはやっぱりきっぱりとあっせん利得罪というものをつくって罰していく以外にないというのが私たちの出した結論でございます。
 その中から導き出されてきたのがこの法案だということでございまして、社民党は、先ほど土本参考人もおっしゃいましたけれども、国会議員に限定することは全くおかしいということで、地方議員とかあるいは首長も対象にして、地方政界にもきちっとメスを入れていかない限りここはうまく機能しないということも言ってまいりました。それから、処罰の対象となる事務についても、構成要件を明確にして「処分又は契約に関する事務」というふうに整理をしているわけでございますけれども、法案をつくっていく過程の中でいろいろ調整をしなければならなくて現法案になっていったわけでございます。
 そこで、先ほどから土本参考人がおっしゃっておりますけれども、第一条の「特定の者に不当に利益を得させる目的でその地位を利用して」、この「不当に」と「その地位を利用して」というところの文言が非常にあいまいであるということでございますけれども、土本参考人、それではこの「不当に」を取ることだけでよろしいのか、あるいは何かが必要なのか。
 それから、「その地位を利用して」というところを、社民党案では「権限に基づく当該事務に対する影響力を利用して、」というふうになっているわけですけれども、先生はここのところをどういうふうにしたらよろしいとお考えでしょうか。具体的に教えていただきたいと思います。
#58
○参考人(土本武司君) 「不当に」というのは削除するのがいいかと思います。それから、「その地位を利用して」は削除、「影響力を利用して」の方がベターであると思います。
#59
○大渕絹子君 ありがとうございました。
 新藤参考人にお伺いをいたします。
 私は、受託収賄罪が確定した人が国会議員として国会の中をまだ濶歩していらっしゃる姿を見たり、あるいは刑務所に収監された人が国会議員の籍を除籍できない今の状況というのは非常に不幸だというふうに思うんですね。そして、参議院でも懲罰にしたらどうかというようなことも私自身主張したことがあるわけですけれども、今の懲罰の規定ではなかなかそれを当てることができないというふうになっているというんですが、この懲罰の規定についてどうしたら排除できるか、そしてもう罪が決定した人に対して懲罰の規定を当てはめることができるようにするにはどうしたらいいと思いますでしょうか。
#60
○参考人(新藤宗幸君) なかなか難しい問題だと思います。つまり、先ほどこういう罰則規定をつくるのではなくて皆様方内部での基準といいますか内部のモラルコードでもって対処せよというお話もございますが、しかし今のような政党政治の構造の中では、かえってそこにゆだねればあることないこと政争の具にされるという可能性もないわけでは決してなくて、非常に難しい問題だと。
 ただし、受託収賄罪等で最終的に刑が確定した場合には自動的に国会議員としての職が解任される規定は盛り込むべきではないでしょうか。それから、確定していないものについてはもう本人の話に任すという以外私はないと思う。つまり、あとはまさに選挙でもって審判される。前者の場合においても今度の選挙で審判すればいいだけの話でありまして、その程度の能力は国民の方は持っているのではないでしょうか。ただし、刑の確定については自動的に失職するという規定を設けるべきではないでしょうか、そう思います。
#61
○大渕絹子君 それでは最後に、この法案ができた場合、政治家の倫理が少しは確立をされるとお考えになるか、端的に三人の参考人にお伺いをしたいと思います。
#62
○委員長(西田吉宏君) それでは、三人さんに質問ですから、時間の関係上、端的にどうぞ御意見をお述べください。
#63
○参考人(濱田弘幸君) 少しはとおっしゃったんですけれども、とりようによるといいますか、こういうものができたからもっと倫理観を高揚しなければいけないと受けとめられるのか、もう既に自分はこういうことと関係ない、こういう問題は関係ないんだから別に今までを改める必要はない、こう御認識されるかはそれぞれの先生方の御認識ではないか、こういうふうに考えております。
#64
○大渕絹子君 立候補できなくなりますよね。
#65
○参考人(新藤宗幸君) 先ほども冒頭で申し上げましたが、政治家を本来の意味で大切にするという心得が国民の間に非常に希薄である。したがって、こういうものをつくれば自分の好きな政治家の先生はひょっとしたら刑務所に行かなければならなくなってしまう。そういう意味からいえば、そういう悪巧みを考えている人間を遠ざけるという意味で本来の政治家の活動を実現するそういう一つの手段に私はなると思っております。
#66
○参考人(土本武司君) 刑罰法令の制定というのは、法令が制定されること自体で一般予防、抑止効果があるとされております。これは既に立証されているところですから、それなりの意味はあろうかと思います。
 しかしながら、法が生まれましてもそれが実際に使われないということになりますと、だんだんその効果が落ちてまいります。「検挙にまさる防犯なし」という言葉がございますが、つまり検挙もされず処罰もされないようでは法は絵にかいたもちということになります。したがいまして、立法当時から、絵にかいたもちにならないように実際に使えるような要件づくりをしておく必要があろうかと思われます。
#67
○大渕絹子君 ありがとうございました。
#68
○松岡滿壽男君 三人の参考人の皆様方、御苦労さまでございます。参議院クラブの松岡滿壽男です。
 せんだっても私は予算委員会で話をしたんですけれども、四百五十年前にザビエルが日本に来たときに本国に送った書簡の中に、他のアジア民族と違って、非常に教育水準も高いし、恥を知り、そして名誉を重んじる国民だと。だから、殿様に怒られる前にまず自分の名誉を重んじて腹を切る、切腹という話が出てきておるわけです。
 今の我が国の状況を見ると、確かに新藤参考人がおっしゃったように、政治状況一つとってみてもさまざまな悩ましい問題を引きずったままここに来ております。そして、かつて考えられなかった、児童虐待に対してどう対処するかとか、ストーカーに対してどう対処するかとか、今までの日本では考えられなかったことに対処していかなきゃいかぬ。本来、最も倫理を要求される国民の代表であるべき国会議員についてもさまざまな犯罪を過去引きずってきている、これは政官業の一つの仕組みの中から出てきている問題でもあるわけですけれども、それに対して国会議員としてみずから何らかの厳しい対処をしなきゃいかぬというところからこのあっせん利得の問題が出てきておるわけです。
 三人の参考人の皆様方にお考えをお伺いしたいと思うんですが、まず今までの法律は、かなり日本は性善説に立った法律、刑罰だと思うんですね。ところが、全く異なる民族になりつつあると、残念ながら。それは政治家もその枠から出ていないと私は思うんですね。そういう角度から見て、諸先生方がどのように今の日本の状況に対して新しい対応が迫られているかどうかということについてのお考えと、特に濱田参考人には、倫理だけでいいんじゃないかというようなお話ですけれども、それで国民に対して説明できる状況では私は背景としてはないと思うんですが、その点についてのお考えをお伺いしたいというふうに思います。
#69
○参考人(土本武司君) 賛成であります。
 やはり事態を直視するならば、法の力によって事を処すべき問題であろうかと思われます。
#70
○参考人(濱田弘幸君) 私自身は、先ほどから申しておりますように、やはり先生方、議員のことについては議員の中でみずから律するという姿勢が国民に見えてこない、これが一番の不満だと思うんですね。だから、まず議会の中でできること、こういうことをしますという宣言でも早く国民に見せていただきたい。法律ができても適用されるのは何年先になるかわからないわけです。だから、罰則に余り頼り過ぎないようにということでございます。
#71
○参考人(新藤宗幸君) 性善説とおっしゃいましたけれども、政治家を律する一群の法体系が性善説に立っていて、市民を律する法体系の方は性悪説に立っているのではないかと私は率直に申し上げます。例えば死刑論議を見てもそういう要素を感じるわけですね。
 ただしかし、基本的に言えば性善説に立って物を考えることは私は正しいと思う。その上で、ですからこそ、こういうものは発動されないのにこしたことはないわけですが、現に国会に議席を得て、そして国政の場で活動されている皆さんがまさに、この条文は手直しをするにしても、みずから内発的にこの手の法律をつくるべきである、そのように思っております。
#72
○松岡滿壽男君 利益誘導とか口ききとか、これは大きな仕組みの中での結果であって、だから、要するに今の日本の仕組み自体がもう今の日本の現状に合わなくなってきている部分があるんじゃないかと思うんですね。長いことやはり官主導でずっと来ております。それで、その中からこういう仕組みが出てきている。
 先ほど来お話がありましたような陳情の問題なんかも、私、この前予算委員会で小渕さんに随分いろいろ言ったんですよ。相変わらず何千人と集めて、私も市長を経験しておる男ですけれども、そういうことで何億円という金が出ていく。しかし、それは一種の刷り込みで、国が上で地方が下だよと。しかし、地方分権一括法が成立してもなおかつそういうものが延々と続いておる。実は、その中からこういうものが出てきているわけです。
 そうすると、地方分権一括法が成立した後の方向性として、例えばこのまま行ったら日本は財政再建その他で大変なことになってくる。そうすると、効率的な仕組みをつくっていくということになると、今までの都道府県制度は廃して、やっぱり道州制を導入するとか市町村合併を進めていくとかいう形で、あれはどなたでしたか、立教大学の教授が、そういう形になると二十兆円ぐらいの節減になるということを主張されておられる方がおられます。斎藤精一郎さんですか、二十兆円。そういう議論も出ております。
 アメリカあたりは、御存じのように非常に日本と違って、官尊民卑じゃなくて民間の方々のチェックというものが官と政治家に対して非常に厳しく行われていますね。
 そういう仕組みをむしろ周囲からつくり上げていかないと、いつまでたっても結果としてその仕組みの中から出てきているこの現象に対して、これは当面厳しく対処すべきだとは思いますけれども、これからの日本全体のあるべき姿として、今申し上げたような、思い切って日本の仕組みの中で国会の調査機能を充実して、官に頼らずにそちらを中心にやっていくという仕組みにつくり変えるとか、あるいは今の国と地方との力関係を思い切ってやり変えていくということについてのお考えが、それぞれお三人の先生方おありでございましたら、参考までにひとつ御意見をお聞かせいただきたいということでございます。
#73
○参考人(新藤宗幸君) おっしゃることは全く賛成でありまして、要するに明治近代化あるいは戦後直後と言ってもいいかもしれませんが、近代化のために営々として築き上げてきた制度というのは、私はもうことごとく機能麻痺に陥っている、そう思います。
 ですから、確かにこういう地位利用云々という話でみずから律する法案をつくることももちろん必要ですが、こういうことが機能しない、そういう例えば分権の問題、徹底した分権法を制定するということが必要なことはおっしゃるとおりだと思います。あるいは経済的な規制をきちんと緩和するということも重要なんじゃないでしょうか。
 ですから、昨年成立しました分権一括法では、まだまだ関与の緩和、もちろん戦後の歴史に照らしてみれば非常に大きい画期的なことなんですけれども、しかし関与の緩和であって権限の移譲ではない、そうした次に進むべき方向があろうかと思うんです。
 ですから、いろんな全体的な制度を改め、官と民といいますか、官を縮小するということが基本的には政治にかかわる人間を、まさに本当の意味の政治活動に徹する最も本来の道、そうであろうと私は思っております。
#74
○参考人(濱田弘幸君) 規制の緩和とか地方の分権の徹底とか、そういう基本的なものについて推し進めることによって、政治が近代化して国民からもっと見通しのできる政治になるということについては当然必要だと考えております。
 以上です。
#75
○参考人(土本武司君) 地方と国との関係など抜本的な問題を私には語る資格がありませんが、お話の中の当面は厳しくということに関して一言だけ言わせていただきますと、政治倫理あるいは政治浄化という問題につきましては、将来的には理想としては公職選挙法上の罰則も政治資金規正法上の罰則も全部撤廃できるような事態になるのが理想かと思います。いわんやきょう審議しているこういう条文なんというものはない方がいいわけなのであります。しかれども、現実を直視しますならば、将来なくすことを前提にした一つのプロセスとして現時点ではより厳しいものをつくっておく、そこから出発があるんだという認識を持つべきかと思います。
#76
○松岡滿壽男君 ありがとうございました。
 終わります。
#77
○委員長(西田吉宏君) 予定した時間が参りましたので、質疑はこの程度といたします。
 参考人の方々へ一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。本委員会を代表して、厚くお礼を申し上げます。
 ありがとうございました。(拍手)
 暫時休憩をいたします。
   午前十一時五十七分休憩
     ─────・─────
   午後零時四十一分開会
#78
○委員長(西田吉宏君) ただいまから議院運営委員会を再開いたします。
 まず、本会議における平成十年度決算の概要についての大蔵大臣の報告及びこれに対する質疑に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、理事会において協議いたしました結果、平成十年度決算の概要について宮澤大蔵大臣から報告を聴取するとともに、これに対し、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、日本共産党及び社会民主党・護憲連合おのおの一人十分の質疑を順次行うことに意見が一致をいたしました。
 理事会申し合わせのとおり決定することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#79
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
    ─────────────
#80
○委員長(西田吉宏君) 次に、本日の本会議の議事に関する件を議題といたします。
 事務総長の説明を求めます。
#81
○事務総長(堀川久士君) 御説明申し上げます。
 本日の議事は、最初に、日程第一 国務大臣の報告に関する件(平成十年度決算の概要について)でございます。宮澤大蔵大臣から報告があり、これに対し、川橋幸子君、海野義孝君、阿部幸代君、福島瑞穂君の順にそれぞれ質疑を行います。
 次に、日程第二及び本日委員会議了の浄化槽法改正案を日程に追加して一括して議題とすることを異議の有無をもってお諮りいたします。異議がないと決しますと、国民福祉委員長が報告されます。採決は、二回に分けて行います。
 次に、本日委員会議了の電波法改正案の緊急上程でございます。まず、本案を日程に追加して議題とすることを異議の有無をもってお諮りいたします。異議がないと決しますと、交通・情報通信委員長が報告された後、採決いたします。
 なお、本日の議案の採決は、いずれも押しボタン式投票をもって行います。
 以上をもちまして本日の議事を終了いたします。その所要時間は約一時間三十五分の見込みでございます。
#82
○委員長(西田吉宏君) ただいまの事務総長説明のとおり、本日の本会議の議事を進めることに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#83
○委員長(西田吉宏君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。
 暫時休憩をいたします。
   午後零時四十三分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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