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1950/12/05 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会 第8号
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1950/12/05 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会 第8号

#1
第009回国会 地方行政委員会 第8号
昭和二十五年十二月五日(火曜日)
   午前十一時十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方公務員法案(内閣提出衆議院送
 付)
  ―――――――――――――
#2
○理事(堀末治君) それではこれから地方公務員法案に関する公聴会を開催いたします。公聽会の開会に当りまして一言御挨拶を申上げます。
 今期國会に政府から提出いたしました地方公務員法案は、その第一條に謳われておりますように、地方公共団体の人事機関、地方公務員の任用、給與、服務規律及び利益の保護等人事行政に関する根本基準を確立することによりまして、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を保障し、以て地方自治の本旨の実現に資することを目的とする極めて重要な内容を持つ法案であります。我が参議院地方行政委員会におきましては、連日或いは單独に、或いは他の関係委員会と連合して本法案の審議を進めて参つたのでありますが、この法案の重要性に鑑みまして本日、明日の両日に亘りこの公聽会を開いて、本法案によつて直接影響を受けられる関係にある方々の代表者、このような問題について学識経験を有せられる諸氏、その他広く一般有志の方々から御意見を承わりまして、当委員会の審議の重要なる参考にいたしたいと序ずるのであります。公述人の方方におかれましては、その公述によりまして國会の審議に協力して頂く立場にあらせられるのでありますから、時間の許す限り忌憚のない御意見のお述べを願いたいと存じます。なお、公述が終つたあとにおきまして各委員から質問がございました節はお答えのほどをお願い申上げます。本日は皆様御多忙の中を特に御出席下さいまして誠に有難うございました。委員一同に代りまして厚く御礼を申上げます。以上簡單ながら御挨拶を申上げます。
 それでは第一番に伊能芳雄君。
#3
○公述人(伊能芳雄君) 私只今御紹介を頂きました群馬県知事の伊能でございますが、この機会に誠に恐縮でありますが、一言委員各位にお礼を申上げさして頂きたいと思います。先般来年末総與並びにベース・アップに関しまする平衡交付金の問題につきましては、委員各位の並々ならん御配慮を頂きまして、知事を代表いたしまして心からお礼を申上げる次第であります。
 さて今回御提案になつておりまする地方公務員法の問題、これは地方自治団体の組織運営を確立いたしました地方自治法が施行されましてから、すでに三年半有余になつており、又一面國家公務員は國家公務員法ができて、これによつて律せられておるのでありますが、地方自治体におきまする運営の衝に当るべき立場に立つ公務員のよるべきあり方というようなものの立法がなかつたことは私ども一抹の寂しさを覚えておつたのでありますが、今回これが提案されましたことは、このこと自体私ども歓迎しておる次第であります。
 そこでこの内容につきまして申上げますならば、只今いろいろ問題の多い政治活動の制限の問題、或いは争議行為の禁止の問題、或いは団体協約の否定の問題、このような問題につきましては住民全体の奉仕者であるべき公務員の本質、並びに性格という点から考え、又マッカーサー書簡の趣旨にも鑑みまして、概ね現在の法案を私どもは支持いたすものであります。
   〔理事堀末治君退席、委員長着席〕
ただ人事機関におきましては、私どもといたしましては非常な問題を持つているのでありまして、今日の都直府県というような割合狭小な、そうして経済的にも地理的にも或いは社会的にも独立性を持つていない、こうした今日の都道府県に関するこの法案の意図するような厖大な人事機関というものが果していろいろな点で必要であり、或いは堪えられるかどうかという点があるのであります。
 先ず第一には財政的な問題であります。こういう厖大な機関を抱えて行けるかどうか、この点は勿論平衡交衝金の問題と至大な関係を持つのでありますが、恐らくこれを、この機関を持つことによつてこの法案によるようなものを持つには一県におきまして数百万円の費用を持たなければならない、こう考えられるのであります。でありますから、全國的には何億かになると思うのでありまして、従来の行き方から見ますというと、こういう法律ができてこの法律に対する裏付をすべき平衡交付金はいつも見ない。これで今皆さんに御心配頂いているような平衡交付金の問題がしばしば起つて政府と折衝しなければならないように追込まれているのでありまして、いつもこういう立法がありますときに平衡交付金のほうがきまつてしまつてから、この法律ができて、この問題はどうするのだといつてやると、前の平衡交付金の中に入つているのだと逃げられてしまうという我々は苦い経験をしばしば誉めさせられているのでありまして、この点からこういうような大きな機関については大いに考えさせられるものがあるのであります。恐らくこれができますというと、これは研修は当然止むを得ないといたしまして、先ずできまするのは委員長の全國会議、箱根でやつたり、或いは熱海でやつたりする全國会議になつてしまう。事務局長会議、そのほかにブロックの委員長会議、ブロックの事務局長会議、そして我々は非常に無駄をしている。しているというが、我々からいたしますればこういう委員というものに対してそういうことを抑える方法がない。そこで勢いそういうことをやられても無駄遣いすると言われても、私どものほうから財政的の立場からそんなに使つては困るということで内容まで立入ることはできない。この点は十分各位の御配慮を願いたい点であります。
 第二には大体私どもの小さい県では数千の職員なんであります。数千の職員にこういうようない厖大な組織が果して必要であるかどうか。勿論この法案の中に共同してやる場合があり、或いはほかの機関に委託する場合があります。恐らく委託する問題はそういう例えば土木関係の職員、技術職員については建設省のほうに委託するとか、衛生関係の職員につきましては厚生省に委託するとかいろいろ解決の問題はあると思いますが、一般的に言えば共同してやるということは県が二、三合わさつてやるということは実際問題としてなかなか困難でありますいこういう立場からいたしまして自然県單位のものになり勝ちだと思うのでありまして、県單位であるとすれば僅か数千の職員のためにこういう厖大な機関が要るかどうか。
 第三には地方庁では只今非常に人物難に悩んでいるのであります。中央政府から任命のときは何と申しましても優秀な職員が次々と入れ代つて相当見解の広い、眼界の広い人が来ておつたのでありますが、だんだん障壁築かれて参りまして、優秀な人物はいにくくなつているのであります。その上にこういう機関によりまして更に、枠ができるということになりますと、我々が優秀なる人物を得ることに一層困難を感ずる立場になつて来るという問題があるのであります。
 もう一つは四番目にはこういう機関ができることによりまして任命権者の部内統一というものがどうしても困難になつて来と思うのでありまして、このことはやがて能率でも至大な関係を持つて来ると考えられるのであります。こういうようなことを勘案いたしましてこの機関に関しましては大幅に再検討いたしまして、存置しなければならないとするならば小規模に、成るべく費用のかからない小規模のものにし、而も部内統制上の関係から言いまするならば事務権限の範囲を縮小して存置させる、そうでなければそれぞれの県で自由に、任意にさして貰いたい、こういう希望を持つものであります、いずれにいたしましても、存置する限りにおきましては、財政的の措置は是非お願いしなければならないと考える次第であります。
 以北全体的に申上げたのでありますが、以下少しく細かい問題になりますが、御審議の御参考に願うことといたしまして数項申上げて見たいと思います。
 先ず第三條の特別職の中に出納長、副出納長、收入役というものが当然入るのであります。これらの立場にある人は任命の過程におきましては知事から独立させるという意味で議会の同意を得るという手続は結構でありますが、その服務におきましてはやはりむしろそういうような会計出納というような仕事をする人は厳格な服務に服するほうが適当であると考えるのであります。これが丁度人事委員は特別職にありながら第九條第十項によりますというと特別なる分限及び懲戒に服するようになつていると同じように、こういうような出納長、副出納長、或いは收入役というような立場にある人はそういう服務上の関係におきましては一般職並にすべきが適当あると考えるのであります。
 次に人事委員会の設置の問題が第七條以下に掲げられておりますが、先ほど申上げましたように、できればこれは任意的なものにして貰いたいと思うのであります。それでなければ人事委員会の性格を人事行政に関する一般基準の調査、立案機関といたしまして具体的事項については任命権者の諮問に応じて意見を具申するという程度の機関にして頂きたいと思うのであります。従いましてこの細かい問題になりますが、第八條の六号に「職階制に関する計画を立案し、及び実施」ということがありますが、この実施の面は任命権春のほうに讓つて頂きたい。それから第八條の九号及び十号の末尾には「必要な措置を執ること。」ということがありますが、これは必要な措置をとることを勧告することというふうに修正して頂きたい。十七條の三項、四項に人事委員会の行う職員の採用及び昇任に関する試験及び選考は、資格條件の確認付與にとどめて頂きまして、採用は任命権者の自由として頂きたい。次に十八條の二項に「任命候補者名簿がなく」とあるのを更にこれを広く解しまして任用候補者が仮にあつてもその記載された者の数が人事委員会の提示すべき志望者の数より少い場合を含まして頂きたいと思うのであります。つまり任用候補者名簿がない場合もそうでありますが、あつてもその予定数、登載すべき数に達しない場合におきましての場合も拡げて考えて頂きたい。次には第五十條の二項にその処分を承認し、修正し、又は取り消しとあるわけですが、このところもやはりその処分承認し、修正し、又は取り消すべきことを勧告し、と勧告するということに願いたいのであります。それからこれは極く細かいことでありますが、第九條の十項に、この規定は少し誤解を受ける慮れがあるのでございます、というのは「委員の服務に準用する。」と書いてありますが、服務は第五節に規定してありますから、そういう第三章、第六節は分限及び懲戒の問題でありますから、むしろこれは、はつきりさせるためには、第九條十項は、委員の分限及び懲戒については第三章第六節の規定を準用するというふうに、はつきりさせる必要があると思います。
 次に第三十六條、第五号は、政治行動に関する重要な基本的人権でありますので、三十六條、第五号というのは條例に讓つてあるのでありますが、これは全國的に恐らくそういうことは考えられない。これはいろいろな規定ができるのはあまり感心できません。この問題は基本的人権の問題でもございますので、條例に讓らないほうが適当である。かように考えるのであります。次に第五十二條及び第五十五條には、職員団体と当局者との交渉問題が扱われておりますが、当局と交渉しとあるのでありますが、その当局というのは一体どの辺を当局というのか、極端に言えば知事一人なのか、或いはその補助機関を入れるのか、はつきりしないのでありまして、同時に相手方なる議員団体におきましては、職員団体の構成員の制限がないのであります。制限がないから一体どの辺までが職員団体に入つていいのか、はつきりしない。そこでこの交渉する相手と両方の相手方同士が、自家撞着に陷る虞れがあるのでありますから、ここに当局という意義をはつきりさせることと同時に、職員団体の構成員には、こういうものは入つていけないという制限が当然あるべきだと思うのであります。これは当然法律によつてきめなければならないことでありまして、そういうことを條例に譲るのは適当でないと思うのであります。
 次に職員団体の專従職員についての規定について何ら触れておりません。これはやはり條例に譲る意味かも知れませんが、こういう基本的な問題は、基本の條文だけでも本法の中に当然入れるべきである、かように考える次第であります。以上大体私の考えている点を申上げた次第であります。
#4
○委員長(岡本愛祐君) 有難うございました、只今の伊能芳雄君の口述に御質問、ございませんか。
#5
○相馬助治君 只今の伊能さんのお話について二、三の点を質疑いたしたいと思います。先ずあなたには一つの仮定の問題に立ちまして、この人事委員会は県が共同して持つくらいにせよというようなお話ですが、本委員の質問に対して、地方自治庁の見解は明らかになつております。即ち県はおよそ三十万人以上の人口を有する市は必置機関であると言明しております。従いまして、この問題に関する限りは、県並びに二十万以上の都市は必置機関であるという政府の意図が明らかなのであります。で、そういう場合には、財政的裏付が必要であるという御意見につきましての質問に対しましては、現政府は財政的裏付をする意思のないことをはつきり表明しております。そういう前提に立つて私はあなたが仮定の問題としてされたので、私はそういう前提に立つて次の質問を発します。
 先ず第一に地方公務員が、本法案ができまするというと、政治活動の抑制を初めとして種々なる面において制限をされます。そうしてその制限をされまするが故に、一方人事委員会というものの設置を認めて、給與の勧告であるとか、勤務その他について措置の要求を審査し、その必要な措置をとる権限を與えているわけであります。そういたしますと、あなたの御意見を総合的に見ますれば、人事委員会は必要でない、而も必要であるとして置くかれた場合においても、はつきりと第八條の九号、十條の末尾に、「必要な措置を執る。」とあるのを、執ることを勧告するというふうに、いわゆる権限を縮小せしめなければならない。こう申しておりまするから、議論を変えて、あなたが言うておりまする人事委員会の存在というものを否定するならば、基本的問題としては、現段階においては、こういうような地方公務員法案というような、地方公務員を抑制する法律を必要としないと、こういうふうにも聞きとれるのでありますが、この点に関しましては、どういうふうにお考えでございますか。即ち現段階に照らしていろいろな面政治活動や何かを抑制して置けばよろしいのであつて、給與やその他については知事なり市長なりが適当にやつてやるのであると、こういう見解であるかどうか。この点を一つお聞かせ願つて置きたいと思います。
#6
○公述人(伊能芳雄君) 只今のそういう問題は、置く場合においては、当然最小限度に入れなくちやならない問題だと考えておるのであります。置くかなくもいいという場合には、当然市長なり、市町村長なり、知事が、そういうようなことはやつて行けると、こういう確信の下に考えているわけであります。なお、只今、前段私の言うことが仮定だとお話にありましたが、條文の中に共同してやれということがはつきり出ておるのですから、解釈の問題じやないと思うのですが、如何ですか、共同してやる場合ですね。
#7
○相馬助治君 地方自治を指導する任務にある地方自治庁としては、あとで專門員からこういう紙を貰つて頂くといいですが、こういう費用の点や、構成の点については、大体のモデルを示しておる。それでお聞きしたのです。もう一点お願いします。現在の非常に脆弱なる地方財政の面におきまして、財政的な措置、即ち公務員の給與の問題等につきまして、何か政府が強力にバツク・アップする組織を必要とするお考えであるかどうか。いわゆるこのままでは地方公共団体に任せられているわけです、地方公務員の給與の上げたり下げたりは、それで、上げたり下げたりの具体的内容でなくて、財政的措置として、はつきり見てくれるということを本法案にも、一つ基本法として、一項目入れるというようなことを御希望であるかどうか突き離しているわけですね、財政的に、政府では地方が公共団体の実情に応じて適当にやれと、こう言つておるわけです。
#8
○公述人(伊能芳雄君) その問題は、全く先ほど私一番初めに申上げましたように、いつも法律ができて、町も地方団体の負担に帰するような法律を拵えて置いて、その負担については何ら考えないという片手落の立法に対しては、いつも非常な不満を持つておるものでありまして、できればその法律ごとにそういう問題を入れて頂きたいということを私共は希望するわけであります。
#9
○相馬助治君 分りました。有難うございました。終りです。
#10
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか。それでは有難うございます。
#11
○委員長(岡本愛祐君) 次に蝋山政道君にお願いいたします。
#12
○公述人(蝋山政道君) 時間の都合がございまして、私が先に公述の機会を與えられましたことを感謝いたします。地方公務員法の問題は、國家公務員法の問題と同一のでありまして、当然速かに制定せられるべきものと私は考えるのであります。併しながらこの問題の特殊性を十分に勘案いたしますると共に、國家公務員法の制定以来その経験に鑑みますると共に、時勢の変化ということも当然考慮しなければならないと思います。そういう観点からすでに國家公務員法によつて樹立されております原則は、そのまま地方公務員の本法案にも織込まれておるのでありまするが、以上申しました観点から二、三の点について卑見を申上げて議員諸賢の参考に供したいと思います。
 第一の点は國家公務員法と本案との相違は地方団体というものが國家と違いまして非常に数が多いということであります。と同時に、その実情はそれぞれ特殊性を持つております。その行政能力・財政等の点につきまして甚だしい相違があるということを考えなければならないと思います。然るに本案におきましては、これを條例で解決する方策をとつておりまするけれども、その点について果して地方公務員法がその実情をどれだけ勘案するかという点について明瞭に把握できない点があるのであります。二つ三つその具体的な例を考えて見ますというと、一方これは後の問題にもなりますが、職員団体の問題がありますが、職員団体はその団体の構成におきまして他の地方公共団体の職員団体とも事実上連合することが許されるのでありまして、恐らく全國的な組織になるかと思います。この職員団体の機能につきましては後に問題にしたいと思いますけれども、一応そのような全國的組織ができまするに反しまして、地方公共団体それ自体はばらばらの存在であります。これは少くとも人事の面につきまして相当困難な事態が発生するのではないかということを予想するのであります。従いまして本法案におきましては人事委員会について、各地方団体の設置せられました人事委員会がお互いに協定するというようなことも認められておるのでありますけれども、地方公共団体それ自身が、單に人事委員会だけでなしに、地方公共団体自体がこの問題について、即ち人事の問題についてお互いに協力し、協定するという必要があるのであります。これは單に職員団体の発達を予想するというばかりではありません。研修の面につきましてもそうであります。今・前公述人の点にもありましたが、研修のことにつきましては、その技術的な内容ばかりではありません。財政的の問題が非常に重要なんであります。これにつきましては、各地方団体が是非とも協定して、その問題を解決するように進めなければ研修の事実は上らないと思います。これは米國等におきましても各州内において、各地方団体がリーグを形成しているのであります。そういうような措置を講ずる必要があると思います。即ち地方団体がばらばらな存在であつてはこのような問題は解決できないから、單に人事委員会だけでなしに、公共団体自体が協定し、連絡する方法を講ずる必要があるということが、第一に私の申上げたい点であります。
 第二の問題は、三十六條の政治的行為制限の問題でありまするが、この問題はすでに國家公務員法において問題になつた点でありまするが、併し地方団体の特殊性と、又國家公務員法の経験並びにその後の時勢の変遷によりまして、一つこの法案におきましては政治的行為の制限をできるだけ少くするということが必要ではないかと思うのであります。即ちその理由は、何と申しましても法律は遵守されなければその効果がないものであります。これは言うを待たない点であろうと思います。然るにこの法案の趣旨といたしておりまする政治的行為の制限ということは、一応尤もでありまして、極めて正当であると思いまするけれども、これが一般公務員に及ぼします影響というものは、不当に自分たちの基本的人権を制限しているものではないかという印象を與えていると思うのであります。これは國家公務員法につきましても同様の経験をしたわけであります。そこで、できるだけ地方公共団体の特殊性に鑑みまして、その制限の範囲を狭めることが可能であるならば、その可能な範囲内において制限を少くするという趣旨をとるべきではないかと思います。そこでその範囲の問題につきましては、特に選挙権の問題であります。即ち政治的行為としては選挙運動に関する行為、三十六條の一項目でありますが、選挙権という問題は、政治的権利として最も重要な権利であります。従つて公務員といえども、その趣旨に反しない限り、その選挙権を認められるべきだと思います。併しどの範囲でこの制限を設けるかということが非常にむずかしいと思いますが、私の考えるところでは、その公務員の勤務しておりまする地方団体が、その一部分であるところの選挙区についての選挙活動というものは、それは除外せられるべきでありまするけれども、それ以外の点につきましてはその活動は、その行為は認められるべきものである。そういうふうに特に選挙権並びに選挙運動につきましての自由をできるだけ制限しないような趣旨をとるべきではないかと、こう考えておるのであります。問題はその範囲の問題でありますが、私はそのように解決すれば解決することができるのではないかと、こう考えております。これを機械的に、その勤務範囲を、勤務の段階だけに限りますというと、問題は甚だ複雑になりまするけれども、選挙区がそれぞれ違つておりますので、その選挙区單位で問題を解決すれば、一応筋の通つた解決ができるのではないか、こう考えております。
 第三の問題として指摘したいと思いまするのは、職員団体の活動に関する問題でありますが、職員団体を單位団体として認め、その相互の連合体を認めましたことは非常に画期的な進歩的な規定であると私は考えるのであります。日本の職員団体の過去の実績に比べましても、その單位団体というものがはつきりしておらない。徒らにこれが厖大な組織のようでありますけれども、内容が必ずしも充実しておらなかつたという点において問題があつたかと思いまするので、この地方公務員法の趣旨のことく、單位団体というものをしつかり認め、その連合体を発達せしめるという方法は結構であろうと思うのであります。そこで問題は、団体ができますれば当然団体交渉権というものを認めることは理論の命ずるところであろうと思います。併しながら団体交渉権というものを國家及び公共団体に認めるということは理論上非常に困難であります。何故ならば、國家及び公共団体は、先にも問題になりましたように、当局が公共団体それ自身ではないのであります。公共団体の背後には住民があります。又それを代表しておりまするところの議会があります。そういうものを経ずしていわゆる当局というものだけで交渉し、その交渉が拘束せられるということは、これは不当でございまして、その意味で団体交渉権というものを認めることはいささか理論上においても困難があると思います。併し事実上交渉し、その交渉した結果両者の、当局と団体とが合意が成立したという場合においてこれを尊重するということは極めて当然なことでございます。又、そういう方法によつてのみ人事行政の円滑なる運用ができるのであります。従つてこれに何らかの効果を與えるということは当然なことではないかと思います。本法案五十五條の規定は單に申合せというような極めて曖昧模糊たる文字を使つておりまするが、これははつきりと協定といたすべきものではないかと思います。併しながらその協定ということの効果の問題は、これは先ほど申しましたように、これを法律的に問題にするということではなしに、運用上それについて誠意を持つて当局者も協定の範囲内においてその実現を図り、これが人事委員会を経て実行に移されるというふうにすべきものではないかと思います。但し争いが生じたときにどうするか。協定は成立しておるが、協定の解釈について争いを生じた場合に裁定機関の必要がないかという議論は、一応考えて見なければならない点ではないかと思います。私は裁定機関の必要ありと考えます。いやしくも協定というものが尊重せられる限り、争いを生じたときにそれを裁決する方法がないということは甚だ欠陷があると思うのであります。然らばその裁定機関をどこにするかという場合につきましては、私は幸いに本案は人事委員会若しくは公平委員会というものを設けておるのでありますから、人事委員会、又は公平委員会がその裁定機関になるべきであろうと思います。その修正は極めて容易ではないかと思うのであります。
 以上三点につきまして申上げたのでありますが、最後に一言申上げたいと思いますことは、本案のごときものは立法の問題は極めてやさしいのであります。併し問題はむしろこの人事行政というものの運用が非常にむずかしいと思うのでありまして、運用上幾多の予想し得ないような問題が発生すると思うのであります。今我々が予想しております問題以上の困難な事態が生ずるのではないかと思いますので、運用について十分の注意をする必要があるということは立法に際しましてあらかじめ注意を促して置くということは立法府として当然の措置ではないか、その点について議員諸公の御賢察をお願いしたいと思うのであります。以上であります。
#13
○委員長(岡本愛祐君) どうも有難うございました。ちよつとお待ち下さい。蝋山政道君の公述に御質問ございませんか。
#14
○安井謙君 今伺いました政治活動の地域的な制限ということですが、政治活動を禁止した動機は私の推測するところでは二つあると思う。
 一つは政党が行政機関の公務員に対する影響を排除するために、もう一つは何と言いましても日本なんかでは公務員と言いますが、役人が民間に與える影響が非常に強いという二つの面からであります。今先生がおつしやいました地域外の活動はいいじやないかとおつしやいます御意見は、むしろ行政官が民間に與える影響を考慮した場合にはそれで結構だと思うのでございます。政党の影響力が行政機構の末端まで及ぶということは非常に疑問があるという意味からは、その地域外の活動については相当考慮せられる必要があるのじやないかと私は考えるのであります。その点を一つと、いま一つ、人事委員会がこの紛糾の場合は裁定に立つたらよかろうとの御説でございます。人事委員会の性格は調査とか、勧告いつた一種の指導、調査機関であります。これを本来裁定をさせるような機関に精神は置かれてないように思うのでございますが、その場合に人事委員会がそういつた紛糾に乗り出すのは実際としていいかどうかについていま一度御意見を伺いたいと思います。
#15
○公述人(蝋山政道君) 只今の最初の御質問は三十六條の規定のすべてを修正しろというのではないのであります。單に選挙権の行使だけについてのみ私は申上げたのでありまするから、この本案の政治活動制限の趣旨は、政党の影響ということをも考慮しておるとおつしやいますけれども、その他については本案の通りでありまして、何ら異なるところはないのであります。ただ選挙のそういう活動についてのみ先ほど申しましたような範囲内においてその制限は排除すべきではないか、こういうふうに私は考えておりますから、非常な修正ではなく、その御趣旨の点についてそう大した違いはないと思うのであります。
 それから第二の人事委員会が協定の紛争につきまして、解決につきまして裁定することは人事委員会の趣旨に反しないかと申しまするが、人事委員会というものが設けられました趣旨は、單に企画及びその企画を実施する面のほかにやはり司法的な裁決というものについての機能を持つておるものと私は承知しております。それが故に何らかの独立性を持つた機関を設けたのではないかと思うのであります。ところで問題になりますのは、その当局と職員団体との間に結ばれましたところの申合せ、即ちこの場合修正として協定という意見を申しましたが、そのような種類の問題についての紛争に介入することがどうかというような具体的な問題点ではないかと思うのであります。私は勿論本條も予想しておらない問題でありまして、人事委員会はそのようなことにタツチする必要はないというのが本案の趣旨でありますけれども、若し仮にそのような協定に関する裁定機関をどこに設けるかということになりますというと非常に困難が生ずるのであります。即ちこれを裁判所に持つて行く、或いはそれの独立の裁定機関を設けるというようなことになりましては、これはますます庁内の或いは団体内の実情に疎いところの第三者が入るということになりまして、公正、或いは期し得られるかも知れませんが、実情に疎いということは避けられないと思います。然るに人事委員会は相当内部の実情についてはよく知つているのであります。殊にその問題は、当然直接に職員団体その他から要求があつたような場合においては、それを審査し、又これに対して措置を講ずる義務を持つているのでありますから、仮りにその中間に協定という段階を経たものでありましても、当然人事委員会としてはそれを処理し得る権能があると私は考える。又同時に義務があると思います。ただその権能をこの法案は予想しておりませんから規定しておらないだけのことであり、若し協定というところに裁決機関が必要があるという見解があれば、それを人事委員会に持つて行くことはそれは不当ではない、こう考えております。
#16
○安井謙君 その裁定の機関は、例えば議会に持つて行くというようなお考えは出ませんか。
#17
○公述人(蝋山政道君) 議会は成るほど地方住民の代表機関として、又一般地方団体の條例その他の立法機関として、非常に権能の高い機関でありますから、そういう問題について処置し得る権能というか能力は十分持つていると思います。併しその能力の性質から考えまして、果して具体的な賃金の問題とか、俸給の問題とか、或いは勤務條件の問題とかいうような專門的な具体的な事項を裁決するにつきまして果して適当であるかどうかは私は疑うのであります。そこでやはり見様によりましては、その場合は人事委員会こそ地方議会の延長として、或いは地方議会の趣旨を十分に酌んだところの独立の機関としてむしろこれを利用すべきではないかと思うのであります。
#18
○吉川末次郎君 蝋山さんは、公務員に対する行政として、國家は一つであるが地方自治体は非常に沢山の数があるので人事行政の面において各自治体が一つの共同的な団体を作つて、共通的なこといろいろきめるべきであるというお話の趣旨があつたと思うのでありますが、そしてその例としてアメリカではリーグが作られているというお話でありましたが、それは蝋山さんも御承知のことだろうと思うのでありますが、アメリカのリーグ、例えばアメリカン・ナシヨナル・ミユニシパル・リーグというものが古くからありまして、機関雑誌も発行しておつて、日本へも来ておりますが、それと同じようなものは日本にもすでに古くからあるわけでありまして、例えば都市におきましてはそのアメリカのミユニシパル・リーグを模倣いたしたと思うのでありますが、都市連盟という機関がありまして、殊に参議院ではその団体を重視いたしまして、いつも大会が開かれるときには議員の中から祝辞演説を述べに行つて、それに列席することになつておりまして、委員長その他もこの間名古屋に行きまして、その都市連盟の会に出たわけであります。都市連盟は、都市連盟という機関雑誌を月刊で発行しておりまして、私も頼まれて原稿を書いたことがありますが、私はたしか蝋山さんもお書きになつておつたことがあると思うのであります。その前身は御承知のように東京市政調査会、日比谷の市政会館でありますが、東京市政調査会に本部が置かれておりまして、前名は全國都市問題会議という名で向うに事務局があつて、相当な予算を各都市が出しまして、これを経営いたしているのであります。それから町村にも御承知のように全國町村会というものがありまして、立派なビルディングを持ち、相当な経費を使いまするところの予算によつて経営されておりまして、それも機関紙も出ているかと思うのでありますが、そういうアメリカのミユニシパル・リーグに当るような地方自治団体のリーグは日本にもすでにあるわけなんでありますが、そういう地方団体の共同連盟のような既存のものは、然らば蝋山さんが言われているものと違うものなのか。又それでいいものであるならば、それを具体的にどういうように現在やつていることを利用するように仕向けたらいいのであるか。例えば私は自治団体のリーグといいましても、都市と農村とはいろいろ事情も違い、行政の内容も違いまするし、それを担当いたしますところの吏員の素質においてもいろいろ違うものがなければならんと思いますが、蝋山さんの見られることは、例えば都市なら都市のリーグ、現在の都市連盟というようなものを更に強化するというようなことで、仮に大阪市なら大阪市で成る一定の人事行政上の公務員として経歴を有する者が、他の都市、例えば神戸とか横浜、京都というようなところに行つたときに、その経歴をオフイシヤリーに認めて、そうしてクラシフイケーシヨンの中に入れるとか何とかいうことを意味しておられるのじやないかと思いますが、果してそうなのかどうか、ともかく蝋山さんがお言いになつたものは、大体において現在すでにあるわけなんでありますから、それをどういうように御趣旨に副うて強化し、或いは改造して行く
 のがいいのであるがというようなことについての具体的な一つの意見をこの機会にお示し願いたいと思います。
#19
○公述人(蝋山政道君) 私の申上げました根本の動機は、地方自治体がいろいろ違つておりまする條件の下に存在しておりまするので、このままの推移を持つていたしますならば非常にいい地方団体ができると共に又非常に惡い地方団体ができまして破竹状態はますます進展するのではないかという憂えを持つているのであります。財政的に平衡資金の措置もそれを防止するために設けられているでありましようし、又本案にも規定されておりまするように、地方自治庁のような中央機関がいろいろ技術的援助を與えるというようなこともありますけれども、なかなか以てそのような状態では日本の非常に沢山の地方団体ができるだけ根本的にその目的を達成するような最底條件すら保持するということができないような趨勢になるのではないかということを非常に虞れているのであります。これが私の根本の動機なのであります。そこでそれをどういうふうにして防止するかということは、これは従来ですと内務省というような公権的な監督機関がありましてやつておりましたから結構でありますが、これはもはやもう昔の夢でありまして、そういうことに返ることは地方自治の本旨から申しましてもできないことであります。そうなるというと、これはどうしても地方団体相互の間において自己のお互いの目的を達成する努力をするほかはないと私は考えるのであります。そのためにはどうしても地方団体相互間にリーグということを設けて行く必要があるのではないか。それは必ずしも一般的にそういうものを設けろということではございません。むしろ特定の重要な問題から個々にそのリーグを設けて行くべきではないかというのが私の考えなんであります。
 さて御指摘のように今までそういうような団体が日本にあるじやないか、成るほどあるのでありますが、これは大変私は遺憾に思つておるのであります。これらの団体の性格というものは殆んど陳情団体に過ぎないのであります。地方団体それ自体の問題をお互いに研究し、お互いに協力して解決するというようなことよりも、中央に向つて、或いは政府に向つて、或いは國会に向つて徒らに陳情することに狂奔し没頭しておるように我々に見えるのでありまして、そのような点は甚だ私はよくない、それだけは困るという考えを持つておりますので、むしろ成る程度まで法律的の基礎を持つた地方的リーグというようなものができ、すべて法律の範囲内においてそれが公約活動ができるような、そういうリーグを設くべしということを私は考えておるのであります。いろいろ団体はかにあります。例えば研究団体、調査団体というものはあります。これは結構であります。これは従来の通りで結構でありまして、今までの問題の通りそれぞれ進めて行つて結構ではないかと思つておりますが、併し知事会とか、或いは市長会とか、町村会といつたようなものは今少しくこういうような具体的問題についてお互いに相互において研究し、相互において協力すると、そういうような機関に発達すべきものではないか、それには一般的に知事会、或いは市長会を法律上の団体にせよというのではありませんが、先ず特定の問題について地方団体それ自体の間において協力する途が講ぜられまするならば、知事会なり、市長会なり、或いは町村会がその実体として働らくものではないかというふうに考えておるのであります。既存の団体は勿論私も承知しておりますが、あれだけを以てしては不十分であるのみならず、その性格の点においても今後一変する必要があるのではないかというふうに考えておるのであります。お答えになりますかどうか分りませんが、以上申上げます。
#20
○吉川末次郎君 蝋山さんのお答えによりますと、各地方自治団体に非常に優劣が起つて来るということを非常に憂えておられるのでありまして、これはいわゆる地方分権主義というものから解釈の仕方によつてそいうところに行く傾向が非常に私はあるだろうと思うのであります。ところが地方自治団体間におけるところの優劣というものは結局これは経済力の問題でありまして、都市と農村とを比べるならば、資本主義経済の下においては当然に都市がプロスベラスになつて経済力、財政力の豊富になることは資本主義経済からのいわゆる農産物鋏状価格差によつて当然起つて来るものでありまするし、又これは同じ町村、同じ都市におきましても経済力の優劣が起つて来る。これは経済の問題に帰するだろうと思うのであります。それで一つところのリーグというものは私が言いましたような横断的な、全國的な町村、或いは全國的な都市を全部網羅したというようなものでなくして、むしろこのローカルな、或いはレージヨナルな一地方だけの、附近町村或いは附近都市というようなものがリーグを作るというようなことを意味しておるというようにも解釈されるのであります。それも私は十分考えられることと思うのです。例えば附近の……、伊能君なら伊能君の統治下にあります……、統治下というとおかしいですが、いわゆる治めております群馬県において附近の農村が集まつて、そうして一つの公営事業――パブリツク・ユーテイリテイの事業を経営する。バスならバスの事業を経営する、或いは一つの共同的農村計画を考えるというようなことも、十分これは将来地方行政上考えられて行くべきことだと思いますが、そういうことを意味しておいでになるというのか、或いは全國的な利益を意味しておいでになるのか。それから又現在あるところのそういう横断的、全國的自治団体の共同団体のしている仕事が陳情であるとか何とかいうようなことが多くて、御趣旨のようなものに必ずしも副わないということも十分私も認めますが、然らば折角あつて、立派なビルデイングなども持つている各自治団体が、その予算の中からパブリツク・エクスペンヌを割いてそれに充てているのでありますから、そこで何とか一つ特定の法律というようなものを作つて、それに一定のオフイシアルな権限を現在のものに與えるようにして、御趣旨に副うようにしたほうがよいのかというようなことをもう少しお答え願いたい。それで前の問題の、ローカルな或いはレージヨナルな地方的な団体のリーグでありますならば、前の地方制度にもあつたと思うのであります。現在の地方制度にも今はつきり覚えていませんが、大体そういうものが規定されておると思うのであります。即ち一種の町村の共同団体、即ちツヴエツク・フエルバントであります。丁度昔の大ベルリンを構成していたところのシヤーロツテンベルグであるとか、ベルリンでありますとか、多くの都市や自治団体が一つのツヴエツク・フエルバントを作つて、そうして行こうというようなものを意味しておいでになるか、そういう点についてもう少しはつきりとお考えを願いたい。
#21
○公述人(蝋山政道君) 第一に特定の目的であるということと、第二に恐らく地方的なものになるだろうと思います。即ち特定のものであれば、全國的なものもあり得ると思いますけれども、事実上多くの場合地方的即ちローカル、若しくはレージヨナルなものになるのではなかろうか。そのほうが実情にあつておると思います。併しいずれにしても特定の目的について、例えば人事行政について一定のリーグを結ぶということが私の念願なのであり、又狙いであります。そういう行き方をするほうがこの本案のごとき具体的な問題で各地方団体が悩む場合があると思う。それをどういうふうにするかということについてのお互いの協力を実現する方法なのでありまして、一般に連盟といつたような言葉で予想されるようなものではない。特定の問題を中心にする。そうしてそれが全國的になるか、地方的になるかは自然の成行きに任すべきではなかろうか、こういうふうに考えております。例えば研修のような問題を地方の団体がそれぞれやるということは事実上不可能であるのみならず、実際上効果が現われません。それを地方々々殊にレージヨナルな、例えば東京都が隣接の府県と協力いたしまして、それぞれの設備を供與するとか、或いは委託されるとか、いろいろの形で以て協力すべき性質のものではないかと思う。それらは自然発生的に運用の問題として任せてはおるのでしようが、むしろこれは法律でその点を明らかにしたほうがよいのでないかというように考えておるのであります。
#22
○吉川末次郎君 それが今の法律の中にそうした地方自治団体の目的に対する協力が……。
#23
○公述人(蝋山政道君) その点についてちよつと……、今指摘になりました一種の自治体の組合関係の問題、これは自治法で規定しておりますフエルバントの方法でありますが、私はこれとは少しく観念を異にするのであります。これは一つの自治体であり、協力はありますが、そこに新らしい一つの自治体ができるのであります。限定された自治体ではありますが、むしろリーグは或る特定な機能について協力するのでありまして、行政自体は個々の地方団体がやるのであります。例えば人事行政はそれぞれの団体がやつておるわけなんでありまして、併し人事行政についてリーグができますれば、ただそこでお互いに協力するだけでありますから、組合町村、組合自治体の問題とは観念上も実際上も違うだろうと思います。
#24
○相馬助治君 只今のお話で、第五十五條二項に関して「当該地方公共団体の当局と書面による申合せを」云々ということについて非常に曖昧な規定である、これは協定とし、同時に紛争が起きたときには裁定機関を設けるべきではなかろうかというお説は私も至極同感でありまして、従いまして先生はこの論旨に立たれまして、このことを裏返しに申しますと、本法案は、地方公務員法の原案は、職員の福祉及び利益の保護規定が極めて不明確である。で、総括的に言つて不十分である。別な言葉で言うならば、抑制する面だけが強く、保護する面が足りないというところの片手落の、片ちんばな法案である、かように聞き取つたのでありますが、さように了解してよろしうございましようか。
#25
○公述人(蝋山政道君) 必ずしもそういう含みを持つて申上げたわけではありません。人事行政の問題は運用上非常に多くの問題が残されておるのでありまして、法律でどれだけの箇條を設けるか、或いは條例その他に任されるかということだけではこの法案が職員の福祉、厚生等について甚だ閑却いたしておるというようには申されないと思います。そのような考えは少しもありません。ただ人事行政において一番大事なポイントは、職員が納得するということであります。納得するという場合におきまして、どうしてもその意思が或る程度当局若しくは人事委員会に通ずるということが必要なわけでありまして、結果において同じことでありましても、自分たちの主張したことが通るということがこれは大事なことであり、その意味におきまして、この法案が、五十五條の趣旨が大変進歩的であると考えます。ただこれが実際上運用されますときに、申合せというようなことでは、一体どれだけの効果があるのであろうかというような疑いを生じまするし、又それが実際紛争が生じたときに、裁決する方法が残されていないのでは、法案として不備ではなかろうか、こう考えますので、それについて裁決の機関を設けたほうがよろしいということであります。御指摘のような含みは少しも持つておりません。これは別の問題であります。
#26
○相馬助治君 その件につきましては五十五條の精神がこの法案の規定においては十分その趣旨が達せられないであろう、そういう意味のお言葉であるということを了解いたします。又私が申したことは別な問題であるというお話でありますが、この本法案をずつと通読いたしまして、先生が学者的な立場からやや職員の福祉及び利益の保護規定の面において未だ検討を要する面があるではないかという点がお気付きであろうかどうか、お気付きであるとするならば、どんな点をこの際規定すべきであるかということを、突然で恐縮でございますが、極めて概括的にでも結構でございますから、お示し願いたいと存じます。
#27
○公述人(蝋山政道君) 折角私に対しそのような問題について意見の開陳を許して頂くことは大変恐縮なんでありまして、この一般の福祉の問題につきましては、これを個々の権利の問題として、或いは義務の問題として規定することよりも私はやはりこれを運用に任すべきではないかということと、それからすでに他の法律におきまして、労働基準法の問題を初めといたしまして、できるだけ他の法律の適用を排除しないようにして、この趣旨に合致するものは、できるだけこの地方公務員法の趣旨に反しないものは他の法律を適用すべきものであると考えますので、その辺でこの点を解決したいと思いますので、この福祉問題をここで十分に取入れていないかも知れません。その点は私は的確には申しませんが、併しそのことは必ずしも法案の不備ではないと思います。
#28
○相馬助治君 分りました。
#29
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんが……時間がすでに過ぎましたが、今村彰君の緊急用務のためにこれを済ませたいということですから許したいと思います。今村彰君は日本教職員組合の代表として御列席になりました。日本教職員組合の中央執行副委員長であられます。
#30
○公述人(今村彰君) 本委員会に公述できることを、我々五十万教職員の意向を反映できることを非常に喜ぶものであります。時間の関係もありますので、簡潔に我々の意見を申上げたいと思います。
 第一に、この地方公務員法案を政府が今國会に提案いたしまするまでのその経過における政府の方針に対し、私は概括的な反対意見を申上げたいのであります。現在の政府の一般的な政策を検討いたしますると、この地方公務員法も誠に妥当な法律案と思います。即ち政府の本法律案に臨む態度といたしましては、すでに出されました國家公務員法を最も科学的な公務員制度として、これを金科五條として地方公務員法案にもその原則、並びに殆んど全部をこの中に活かして行く、そうして我々の地方公務員の身分を保障し、安定させるのである。こういうようなことを申しておりまするが、果して政府はこの地方公務員法案において現在の情勢に立つて妥当な法律を作り、我々公務員、一般大衆のために果して妥当な身分を保障するという考えがあるだろうかということに関しましては、我々としては殆んどそういうことが見当らないのであります。御承知のように、政府はこの法律案を作るに当つて、今申しました國家公務員法を全く移行しておるのでありまするが、國家公務員法が一九四八年の七月のマツカーサー書簡によりましてでき上つたわけであります。当時の労働情勢というものは、これがそれから三年前の一九四五年の終戰当時、その秋に、当時の総理大臣であつた幣原さんに、マツカーサー元帥から日本民主化に関する五原則が書簡によつて寄せられて、そのほかに政府は労働組合の結成を促進して日本の民主化を図らなければならない。こういうふうに積極的なところの指示が出されたのであります。爾来日本の労働組合というものは非常なる発達を示しましたけれども、この間において運営その他において欠陷なしとしないのであります。私どもも率直に幾多の欠陷のあつたことを認めます。その結果三年を経て、一九四八年の七月にマ書簡によつて一応労働組合の欠陷を排除するように、そうしてより健全化するように指示されたわけであります。以来我々労働組合はここ三年間に健全な日本の労働運動、それを作り上げるために孜々として努力して参つたのであります。従つて三年前に一般住民が我々労働組合口に対する批判、誹謗というものは今日の段階においては大いに変つておるということは私が確信を持つて言えると思うのであります。ところが三年前の当時の情勢と今日の情勢と何ら区別することなく、より強化しておるというのが現在の政府の考え方であります。私どもは現段階においてはあの國家公務員法がどさくさにでき上り、そうして現段階においては積極的に政府は國家公務員法を改正すべき段階に来ておるというのが一般的輿論であるにもかかわらず、何らこれを改正することなく、地方公務員法案を國家公務員法と同様に、より以上にこれを強化しようとしておるわけであります。こういう政府の政策というものに対しましては、我々は全面的に反対せざるを得ないのであります。
 飜つてその政府の考え方に基いて提出されましたこの法律案も、又我々が政府当局から聞くところによれば速かに成立させなければならない。原案の通りに速かに成立させなければならない。國会の審議も我々の聞いておるところにおいては、非常に重要な法案であるにもかかわらず、この臨時國会でどうしても打上げなければならないというようなことを申しておりまするが、これは私どもは包み隠すことなく、政府諸君の意図というものは四月、五月の選挙というものにこの実施期日を間に合せるのであるということが私は否めない肚の底だと思うのであります。これでは國会におけるところの審議も現在の日本の住民の意向を反映して十分に検討する機会が外れるのではないか、こういう点に関しましては本参議院があの衆議院の圧倒的な数を擁しておりまする政府與党、それに対してこの参議院に二院制度の本質から申しましても、十分なる審議を私どもは期待するわけであります。
 なおこの内容を見ますというと、私がその主要なる点について四つの点から反対しなければなりません。その第一は先ほど申しましたように、この法律は國家公務員法の矛盾を何ら解決することなくそのまま移行しておる点であります。いろいろな業種態の異なるところのあらゆる職場の諸君を一括して地方公務員法で律する、こういう点を國家公務員法において顕著にこの矛盾が今日経験として立証されておるにもかかわらず、地方公務員法におきましても一把からげて全部地方公務員法によつて律しようとしておる。例を挙げて申しまするならば、私ども教職員に関しましても、これを他の行政手段乃至は補助者的な性格の職員と別個の性格を持つておるのであります。又行政部門を担当するものでないということは明々白々であります。かようなものを一緒に包含いたしましてこの法律を規定しておりまするから、たとえて申しますると我々地方教職員、市町村立教職員は、我々の身分は市町村に属するわけであります。ところが第五十五條に規定してありまするのによると、交渉の場合において我々職員が当局と交渉するというその当局は、当然身分のある市町村になるということになるのであります。ところが議員の各位が御承知のように、現在地方教職員についての人事、給與、任免その他一切監督も含めてこれが教育委員会、主として現在は都道府県に設置されておりまするが、この教育委員会がすべての権限を持つておるのであります。ところが我々が当局と交渉するといつた場合に市町村の役場の吏員諸君と同じように、何ら権限を持つていない町村当局と交渉しなければならない、何たる不合理な法律であるか、全くこれが今申しましたように一把からげて、この法律で律しておる。そうして労働三法の適用を排除する、何が何でもそういうふうにして行くんだというこの法律はあまり投網を拡げ過ぎた結果、どうしてもこれは解決できないところの矛盾を持つておるのであります。
 第二には我々労働組合としての労働基本権の問題でありまするが、この法律案によると三十七條、五十五條、五十八條等に規定をしておりまするが、労働組合として、或いは政府のいう本法律案における職員団体と申しましても、先の公述人も申しておりましたが、当然団体交渉権というものは認めらるべき筋合いであります。ところが団体交渉権もこれを否定して、單に陳情的な性格を持つているということは、これは間違いない事実であります、と申しますのは、これは先ほど蝋山さんが非常に進歩的であると申しておりまするが、何ら進歩的でない。なぜかと申しますると、この中に書いてある五十五條の「当局と交渉することができる。」ということがありまするが、その交渉はどんな交渉であるかということを一つ各委員は政府の提案者諸君に聞いて頂きたいと思うのであります。こういうごまかしをしておりまするが、御承知のように政令二百一号によつて罷業権を裏付とする団体交渉権は否定されましたが、そのときの政府の解釈声明の中にはつきりと何としてあるかというと、この交渉は対等の立場に立たない交渉である、こういうような解釈声明を出しておるのであります。これが今日の政府の考え方でありまして、この交渉というものは何ら先ほどの意見のような筋合のものでなくて、單に陳情、こういうような内容を含んでおることは明々白々でございます。若しそれを政府の諸君が違うというならば、なぜに団体交渉、或いは対等の立場に立つ交渉ということを明確に謳わないのか。その対等の立場に立たないと曾て政府が声明しておきながら、なおそれは今日もその一貫した方針を打消したためしがないが、我々はこの立案過程において政府当局、岡野國務相その他と交渉をいたしましたが、この点は曖昧でありまして、こういう点からも、又団体協約の面に関しましても、政府は当初協定と言い、今日申合せと言う。協定と申合せとはどこが違うのかということを私共は政府諸君に聞きたいくらいです。あえてそういう言葉を一日にして変えたということは、政府が如何に我々に対して労働組合の正当な交渉、或いは協約というような労働組合の権利を飽くまでこれを抑えて行こう、可能な限り抑えようという一環の精神の現われである。我々が関係方面とこの間において交渉を持ちましたが、政府が関係方面に提出いたしました飜訳文は、協定のときも、申合せのときも同一の言葉を使つておる、それを勝手に変えているという考え方に、政府の一環した労働政策が出ていると見なければなりません。
 第三に三十六條の政治活動の問題でございまするが、これは政府がしばしば申しておりまするように、本法律案の最も政治的な中心眼目であると我我は見ております。この政治活動の制限ということを申しておりまするが、これを制限というならばどれだけ残されておるか、私は政府諸君にこれを捨い上げて聞いて見たい。この一項から五項までは全面的な政治活動の禁止と言わなくて何であるか、これを制限、若干の制限などという言葉を使うならば、何と何の自由が残されておるか、知つておる方があれば私たちは教わりたいくらいです。而も政府はこの政泊活動の禁止をするに当つて、我々地方公務員の身分を保障するということを申しておりまするが、若し我々教職員に例をとつて申しまするならば、教育基本法第八條において政治的な教育を強調されております我々教職員が、一般市民としての政治的な経験、或いは社会におけるところの一般市民としての経験をそれを排除せられ、そうして身分の保障があるのだというならば、まさしく監獄の囚人こそが我々の模範とすべき境遇だと思うのです。こういうような政治的な意見を何ら述べることなく、本人の不平、不満を平和的な民主的な手段によつて我々の問題を解決して行こうとする。このことを抑えるならば、これは明らかにフアツシズムの擡頭を意味する以外に私は何ものでもないと思う。我々教職員組合は過去においてこの政治活動の行為に関しましては決して安全でなかつたということは、私が責任者の一人として率直に申上げます。私共はそのために絶えず自己批判をいたしまして、この欠陷を改善するように努力いたしております。併しながらこの欠陷は改善せらるべき欠陥であつて、何ら本質的な機能の喪失ではない。この改善せらるべき欠陷を長い期間において國民の相互批判によつて作り上げるこそ、如何なる全体主義にも立ち向い得る民主主義のでき上りと確信ずるのです。民主主義の確立をして、そうして全体主義と戰う。こういうことを我々は今日日本國氏として念願するならば、憲法に規定してあるところの政治的自由、言論の自由ということは何ものにも代え難い民主主義の基盤であります。これを封圧することは明らかに全体主義に移行するところのこれは素地を作りつつあると見なければなりません。かように政治活動に関しましては、我々は全面的に政府のこの考え方に対しては非常な怒りを以て反対しなければならないのであります。第四に本法律は政府も申しておりまするように、地方公務員の身分保護法として作るのだ、こういうことが一応の重要な提案の理由になつておりますが、各委員の方々がこの法律案を今日まで御検討されておりますように、保護法たるの本質は誠に少く、形式的であり、そうして制限規定のみが「ねばならない」というふうに非常に多くあります。なおこれ対するところの罰則も非常に過電な罰則を附しております。かような地方公務員の身分を保護するという本旨を棚上げいたしまして、全く制限し抑圧しようとするようなこういう法律内容に対しても反対しなければなりません。例えば人事委員会の問題、公平委員会の問題を取止げて見ましても、議員各位は直もにこれに気が付くと思うのであります。それは人事委員会、公平委員会は第三者的な性格を持つべきものであるにもかかわらず、一方的に自治団体長の選任するところのメンバーが三人揃うのであります。かようなことで我々雇傭されておるところの地方公務員の不平不満、或いはそれを雇傭しておるところの自治団体長の労働基準法違反でめるとか、その他非常な不合理をこれを解決するところの第三者機関が、当局の任命した者がずらりと三人おつたのでは、果してこれが第三言機関としての中立的立場を堅持し得るかどうかということは明々白々であります。御承知のように人事院が中央にできておりますが、もは人事院においてすら政府の圧力に屈伏して、我々の聞くところにおきましても、第八臨時國会において一週間を出ずして大蔵当局と同様の言明を浅井総裁がしたと聞いております。中央において國民の注視の真ん中にある人事院にしてかくのことし。いわんや市町村或いは県に持たれるこの人事委員が自治団体長の任命するものを以て占めるならば、この将来というものは、これは当局の第二下請機関となるということは、私共は予想するに難くないのであります。かように以上内容の点について大まかに申上げましたが、これらの点を以てしても、政府原案通りに対しましては私共は絶対に反対しなければなりません。
 最後に私は結論といたしましてただこの地方公務員法案に対する反対に終始することなく現実的に國会の我々日本國民を代表する議員各位の良識を信じまして、今日の置かれておる情勢の中において最大限にこの法律を改善して貰いたいという三つの提案をした終のであります。
 その三つの修正提案と申しまするのは、第一は先ほど申しました政治活動の制限を、この政府原案を憲法並びに現在の法規に照らしまして妥当な線まで緩和すべきである。緩和というよりも保障するように積極的にして頂きたいと思うのであります。その私どもの考えておりまする政治活動の制限に関しましては、これを全面的に廃止上というのではありません。私どもは原則といたしまして勤務時間、の施設内、並びに地位の利用、こういう三つの原則の上に立つて政治活動が制限さるべきであつて、他の如何なる理由を以てしても、先ほど申上げました、真に長い目で國民相亙の批判の上に立つて民主主義を発達させようとするならば、一般市民としての活動を封殺することに対しては絶対に我々は民主主義を守る立場から反対です。
 第三に団体交渉の問題でありまするが、私どもがこの団体交渉権、団体協約権ということについては勿論労働三法の適用を主張するのでありまするけれども、現在置かれておるところの情勢から申しまして、私どもは形式的な名目に囚われません。併しながらこの法律案に規定してあるところの交渉というものは当局の一方的な拒否によつて交渉が不成立に終るというようなことを防止し、並びに交渉の結果成立した文書協定は必ず履行しなければならない。若し履行しない場合には、人事委員会の権限を強化して紛争処理機関としての性格を與え、当局に対し不履行の場合はこれを審査裁定して、これを実施せしめるという内容を持つたところの平等の立場に立つ交渉だけは明確にこの際打出して頂きたいのであります。同時にこの交渉の提案と同様に、我々といたしましてはその交渉を妥当ならしめ、その紛争を解決し、その協定を不履行の際に裁定を下すべき人事委員会の構成に関しましては、これは我々労働組合の推薦する者一名、並びに当局及び第三者というふうに中立機関としての機能を十分に果し得る構成にして貰いたいのであります。
 第三点としては、先ほど申しました人事委員会の構成並びに権能としては、第三者的な機関としてふさわしい構成にし、その機能又仲裁裁定をなし
 得るところの機能を與えて頂きたい、こういうふうに考えるのであります。
 以上三つの提案をいたしましたが、私ども教職員組合はくれぐれも議員各位にお願い申上げたいのは、現在我々といたしましては、過去のことを決して私どもだけがよかつたということではなくて、お互いに皆さんの指導と國民諸君の批判によつて改善されるべき、その欠陥を直しつ日本の民主主義を発達させるべきであつて、こういう人事院の勧告はベース・アップにいたしましても何ら実施しない。政府のそういつたような当局の不誠意こそが今日追及されるべきものであつて、我我に対するこうした一方的な法律を以て基本的な権利を封殺することは、決して私は現に職にある教職員、公務員の利益とか何とか、そういうことじやなくて、日本の民族の将来のために、どうかこの参議院の各委員の先生方は、衆議院のこの圧到的勢力を持つ政府の行過ぎを是正するようにお願いしたいと思うわけであります。
 以上教職員組合の本法案に対する一般的批判と反対理由並びに主なる修正提案の公述を終ります。
#31
○委員長(岡本愛祐君) 有難うございました。御質問ありませんか。……別にございませんようですから、休憩にいたします。一時四十五分から開会いたします。
   午後零時四十五分休憩
   ―――――・―――――
   午後二時十一分開会
#32
○委員長(岡本愛祐君) これより休憩前に引続き、公聽会を再開いたします。
 知事代表の伊能芳雄君から先ほどの口述について訂正をしたいところがあるからということですから許したいと存じます。伊能君議席からどうぞ。
#33
○公述人(伊能芳雄君) 先ほど私の口述並びに相馬委員に対してお答えした中でちよつと誤解しておる点がありますので、この機会に訂正さして頂きたいと思います。
 それは県の人事委員会が共同してやれるようなふうに申上げましたが、これは市の場合にそういう場合があることと、県の場合には專門的な智識、資材、資料、その他便宜供與の蒐集のために他の団体と協定を結ぶことができるという場合と、試験又は選考の場合に他の県と共同してやれる。いわゆるこういう問題があつたのと少し混同して申上げましたのは訂正したいと思います。
#34
○委員長(岡本愛祐君) それでは白鳥義三郎君お願いいたします
 白鳥君は町村長代表として御出席を願いました。全國町村会の会長、津田沿の町長であります。
#35
○公述人(白鳥義三郎君) 只今御紹介にあずかりました白鳥義三郎であります。
 今回政府の御提出の地方公務員法がこちらで御審議なされますについて町村長の代表として意見を申述べろという機会を與えて頂きましたことを厚く御礼申上げます。
 ただ誠に遺憾なことには今回の議題になつております地方公務員法は私たち町村の立場といたしますとあまりに大きな関連を持つておりません。従つて私の町村長としての体験を通じてこの点をこういうふうに改めて頂きたいとか、是非これをこういうふうに直して頂きたいとかいうようなことを申上げることができませんので、極く概括的なことだけを申上げて責を果したいと考えておるのであります。御承知の通り、町村の吏員は非常に待遇も惡いし、又その地位も低いし、何とか地方行政の発展を図るためには町村吏員の地位の向上を図るため私たち常日頃念願しておるのでございますが、例えば研修機関の設置にいたしましても、或いは又吏員の福利増進の点に関しましてもいろいろ共同してやらなければならないような仕事が沢山あるのでございますが、それを始めますときの基本の法律がございませんために着手に非常に困難しておるような実情にございます。それが今回の法律によりまして基準を御設定願うことになり、私たちが十分そういつたことについて今後努力して行けることになりましたことは私たちにとりまして非常に幸いだと考えておる次第でございます。いろいろと御意見もございましようが、是非一刻も早く本法案を御通過願いまするよう心からお願い申上げる次第でございます。ただ一つ私これはまあどうかなあと思う点がございますので、是非その点皆様方の御研究をお願いしたいと存じまして一点についてのみ意見を申述べさして頂きたいと思います。
 それは第三條の規定でございますが、その第三條の規定によりますと、地方公務員を特別職と一般職とに分けてございまして、一般職のほうはこの法律によるのだからというのでございますが特別職があまり狭過ぎるのじやないかという懸念が十分されるのでございます。私たち公選されたものが役場なり、或いは市役所なり、或いは県庁なんかに入りましてもそれだけでは仕事ができないのでございます。勿論副知事も、或いはその他の職も議会の同意を得て任命することができますが、この法案が通過されますと私たち当然の責任のある者が自由に任用し得る範囲というものが極めて少くなつてしまうのであります。祕書だけは置けるようになつているようでございますが、ただ單に祕書一人や二人置いてそうして自分の考えておることを強力に推進して行くということは到底できないのでございまして、この点何とか御勘考して頂きたいとしみじみと考えておる次第でございます。日本の勿論この地方公務員法も國家公務員法に準拠して立案されたものと考えておりますが、その國家公務員法におきましても御承知の通りに、次官とか、或いは局長とかいうようなものまでも一々三角や丸をつけた試験を受けなければならないということは実におかしなことじやないか。こういつた制度はおかしなことじやないかと考えるのでありますが、主管の大臣が自分の最も信頼し得る、手足になつて働いて貰う、一心同体となる、そういつたものを任命ができなくて、人事院のほうからの推薦によつて三人のうちから一人を選ぶという制度で、果して円滑な行政ができるか、能率的にそして又強力に住民に公約した仕事が果してやり得るかどうかということは、相当疑問の余地があるんじやないかと考えるのでございます。で、私勿論諸外國の例等誠に疎い者でございますが、最近アメリカの地方行政の視察に参りまして、アメリカの一、二の州の実例も承わつて参つたのでございますが、例えばイリノイ州のごときでは州政府の雇傭している公務員が二万四千人ある。そのうちに州知事が自由に任免し得る者が八千人ある。こういうことでございます。或いは又教職員におきましても一年ごとに契約を結んでいるのだ。そしてその契約が切れれば又そこで新たに雇傭契約をし直さなければならない。そこで教育委員会のほうで適当に取捨することができる。そういう制度になる。或いは又シアトルの市長の話によりますと、シヤトルの市では局長に相当すべ
 き職は全部市長が自由に任免している。この人たちと一晩会食いたしましたときにも、そこに列席しました者を全部指さして、これは俺らと一心同体となつて停がやめればみんなやめるんだ。結局俺の意図するところを強力に押してくれる人だと言つておりましたが、そういつた制度でなければ、恐らくは地方自治行政の上におきましても公選市長が住民と公約いたしました政策を強力に推進めて行くことはできないんじやないかというふうに考える次第でございます。
  なおもう一つそれに附加えて申上げて置きたいと思いますことは、日本の公務員の職がアメリカの公務員よりもよほど政治色を加味しているんじやないかというような点でございます。一般公務員は当然事務官でなければならんのでございますけれども、日本ではそれが事務的な分野ばかりでなしに政治的な分野等も相当加味して取扱つているというようなことも考えますと、これをただ單なる事務官として一般職を極めて広く取つて置くということが果して妥当であるかどうかということも考えなければならないんじやないか、少くとも市長がすぐに自分の手足として使う者は当然市長の自由の任免権内に置いて然るべきものじやないか。少くとも特別職を如何ように限界をつけるかということはその自治体自治体にお任せあつて然るべきじやないかというふうに考えられるのでございます。どうかそういつた点についてとくと御賢察を賜わりますようお願い申上げる次第でございます。誠に些細な点でございますけれども、以上私自分の職責を通じまして考えましたことを率直に申上げまして、皆様方の御賢察をお願い申上げる次第でございます。
#36
○中田吉雄君 アメリカを視察されて……一般職と特別職の数とパーセントを言われたのですが、あれをもう一遍……。
#37
○公述人(白鳥義三郎君) これは御承知の通りに、各州でそれぞれ違つているかも知れませんが、私たちが参りましたイリノイ州の実例でございますが、イリノイ州の職員が二万四千人あるということでございます。そのうち八千人が知事が自由に任免し得る人だというふうに承わつて参りました。
#38
○小笠原二三男君 町村の団体で職員の不利益処分その他を防止するために公平委員会を置くことができ、又は共同でやる、こういうような点について町長或いは村長さんの立場としてですね事務上煩鎖であるのかないのか、或いは又補助機関として公平委員会に事務員を置くようになつておりますが、そういう費用等の問題をどういうようにお考えになつているか。それからこれはやはりこの法のことく單独に或いは共同で或いは委託してというような場合、上級の機関に委託するというような問題は例えば村長がやつたことについてその異議を県の人事委員会に委託している場合には、県の人事委員会が扱うというようなことについて不都合を生じないかどうか、そういうような点についてお気付きの点がありましたならお答え願いたいと思います。
#39
○公述人(白鳥義三郎君) 只今の公平委員会の組織でございますが、私これは個人として今まで考えておりましたのでは府県單位にそういつた委員会を設けたいということを考えております。従つて府県單位にそういう委員会を設けられるといたしますと、各町村で象担すべき費用というものはそう多くつかないのじやないかというような気がいたします。これを一つそのこと県の人事委員会に付託したらどうかということも当然考えられることでございますが、私ども町村長の立場といたしますと、お説の通りに県の人事委員会に付託するということは是非差控えたいものだというふうに考えているのでございます。
#40
○委員長(岡本愛祐君) 外に御質問ございませんか……、それでは有難うございました。
  ―――――――――――――
#41
○委員長(岡本愛祐君) 次に浅羽富造君。浅羽君は全國自治団体労働組合協議会の代表でありまして、副中央執行委員長をされております。
#42
○公述人(浅羽富造君) 只今御紹介を頂きました浅羽であります。この地方行政委員会におきまして公述人としてその意見を発表する機関を與えられましたことを深くお礼を申上げます。御承知のように、全國自治団体労働組合と申しますのは地方公務員法に最も関係の深い都道府県庁、市役所、町村役場の組合でございますが、現政府が提案をいたしております地方公務員法案につきまして先ず結論的に申上げますと、これに対して多くの反対の意見を有するものであります。以下その理由を申上げたいと思います。
 先ず第一点は、現在の國家公務員法とその内容におきまして殆んど同一の内容が規定されておるという点であります。何故然らば國家公務員法とその内容を殆んど同一にする点に対して反対であるかと申上げますと、先ず第一点は、國家公務員法の制定されました当時と現在とにおける情勢の変化であります。即ち終戰後におきまして我が國の労働組合が急速に七百万の組織を作り上げましたけれども、その組織というものは、いわゆる鬪いによつて勝ち取つたという組織でなくして、いわば終戰後における上から與えられた組織であつたのでございますが、そういつた点がいわゆる共産党フラク侵入の好個の温床であり、従いまして終戰後における労働運動というものが、いわゆる極左コースの破壊戰術に多く煩わされたことは御承知の通りでございます。この情勢に対処して國家公務員法の改正についての、マ元帥書簡が発せられ、國家公務員法が改正されたのでございますが、その後におきまして、御承知のように、いわゆる民主的労働組合と共産派の組合との間において激しい闘争の結果、今や日本の労働組合はいわゆる民主的労働組合において完全にその主導権を取つたのであります。このことは自治体におきまするところの都道府県市町村の組合におきましてももとより同一でございまして、我々全國自治団体労組協議会といたしましてもすでに二十万の組織を持ち、完全に地方自治体労組におけるところの主導権を確立したのでございます。かくのごとき情勢の変化を無視いたしまして國家公務員法とその内容を同一にする法案を出されたことに対しましては極めて反対であり、遺憾の意を表せざるを得ないのでございます。國家公務員法におきましても、もとよりこの情勢に対処する措置がとらるべきであると思いますが、更に地方公務員法におきまして國家公務員法と更に違つた角度から同一に規定されてはならないという第二の理由を申上げたいと思います。それは等しく公務員といいましても國家公務員は、御承知のように非常に政治的な性格を持つております。即も地方公務員は國家公務員のようにポリテイカルな性格が極めて薄うございまして、いわゆるいわばサービス・セソターのような性格を持つております。それだけではなしに、極めて行政的な色彩も薄いのでありまして、たとえて申上げますと、汲取人夫があり、塵集めがおり、生れますと産院があり、金がなくなれば質屋があり、病気になれば病院、診療所があり、死ねば隠坊がある。更に競輪、競馬があり、交通、水道があり、あらゆる事業と現業を持つているのでございます。そういう現業を行うために事務があるという面が極めて多いのでございます。従いまして國家公務員のように政治的色彩が比較いたしまして極めて少いというのが第二の理由でございます。かかる意味からいたしまして、その内容において國家公務員法と殆んど内容が同一であるという点に対しまして、反対の意見を有するものであります。
 次に今回の十一月十七日閣議決定によりまするところの政府原案に対しまして、具体的な反対理由を二、三申上げたいと思います。先ず第一点は団体交渉権の問題でございますが、我々は団体交渉権と言いましても、いわゆる罷業、怠業等の脅威を裏付けとするところの団体交渉権ではなくして、いわゆる平和的団体交渉権は地方公務員に対しても当然認めらるべきであるという主張を続けて参つたわけでございますが、原案におきまして、団体がその代表者を通じて交渉することができるということになつてはおりますが、そこで問題になりますのは、五十五條の第二項でございますが、団体交渉の結果、文書による申合せを結ぶことができるということになつておりますが、この点につきましては、先ほど蝋山氏も言われましたように、書面による協定ということにしなければ、あまりにも意味が弱いというように考えます点が第一点、並びにこの場合における書面による協定が法令、條例、地方公共団体の規則及び地方公共団体の機関の定める規程にてい触してはならないということに相成つておりますが、我々といたしましては、法令は止むを得ないといたしましても、條例によりまして、細かく規定されまして、それに牴触してはならないということに相成りますと、団体交渉といいましても、その範囲が極めて狭まるのでございます。併しながら民主主義の原則である議会を尊重するという建前から、條例までに牴触してはならないということにつきましては、止むを得ないとして承服するものでございます。併しながら規則及び地方公共団体の機関の定める規程ということに相成りますと、これは議会の参與なくして、地方自治体の理事者が、一方的に規定し得るものでございまするが故に、かくては団体交渉の範囲に属することをも服務規律その他の名目において細かく規定いたされますならば、団体交渉の範囲が事実上皆無になることも予想されるのでございまして、この点は少くとも規則以下は削除願いたいと考えるものでございます。
 次に人事委員会の問題でございますが、先ほど蝋山氏も言われましたように、我々といたしましては、地方公共団体におきますところの紛争を、できる限り避けて行きたいと考えます。その場合に団体交渉のまとまらない場合、或いは協定の不履行があつて紛争が起るような場合に、これを仲裁し、裁定するところの機関が、当然持たれなければならないと考えます。御承知のように、地方公務員法が制定されますと、今までありましたところの地労委、或いは中労委に対する提訴権がなくなりますので、従つてこれに代るところの仲裁裁定の機関を当然必要とするものでございますが、その場合に、人事委員会にそうした仲裁裁定の権限を明確に規定して頂かなければならないと考えるわけであります。なおその人事委員の任命につきましては、公正な立場から仲裁裁定を行うものでありまするが故に、理事者の一方的な任命によるのではなくして、両者が納得した者を地方議会にかけまして、地方議会の決定によつて任命するという形式をとつて頂きたいと考えるものであります。
 なお罰則につきましては、政府がしばしば言明いたしておりまするように、本地方公務員法は地方公務員を保議するものであると言いながら、あらゆる点において保護の規定が少くして、拘束規定が極めて多いのでございますが、罰則におきましても体刑その他の罰を規定いたしております。併しこれは法体系の上からいたしましても、若し体刑、その他のものを必要とするならば、それは刑法の規定に譲るべきであり、地方公務員法におきましては、行政処分の点にとどむべきが正当であろうと考えるものであります。
 最後に三十六條の政治活動の問題でありますが、これによりますと、先ほど日教組の今村副委員長も言われましたように、殆んど全部が禁止される姿でありまして、どこに政治活動の自由があるかと言いたいのでありまして、殆んど全部が禁止されております。このことは我々の重大なる関心を有するところでございまして、我々地方公務員といたしましては、もとより憲法の建前の上に立つて言論、集会、出版の自由は当然認めらるべきでありますが、併しながら公務員として一定の制約のあることは止むを得ないと考えております。併しながらここまで嚴格に禁止されてしまいますと、いわゆる選挙の際におきましても、自由な意思の発表は全然できないことに相成ります。我々といたしましては職務上の命令に対しましては、忠実にこれに従うものであり、従いまして勤務中におけるところの政治活動は、如何なる名目たるとを問わず、これを禁止されて結構であると考えておりますし、更に又、その地位や職権を利用しての政治活動は、禁止さるべきであると考えております。併しながら一たび勤務を終りまして、一市民として、或いは村民として帰りました場合に、その地位を利用せず、一個人としての意思の発表は当然認めらるべきであると考えるものでありまして、若しそれをすら否定されることに相成りますならば、民主主義の原則であるところの議会政治を否認する立場が、公務員から起らないということを、果して誰が保証できようかと考えるのでありまして、将来日本の民主的再建に重大なる障害を横たえるものであると考えるわけであります。
 かかる意味からいたしまして、政治活動の自由は、以上申上げました制限の上に立つと当然認めらるべきだと考えるものであります。
 最後に敗戰後におきますところの日本國民に課せられたところの絶対的な要請は、日本の再建と民主化であることは申すまでもないのでございまして、この点について労働職員組合に属するものであると、或いは如何なる地位にあるものとを問わす、國民ひとしく日本の民主的再建に向つて、それをどうして行くかということを真剣に考えなければならない立場にございまするので、我々といたしましても組合の立場には立つてはおりまするけれども、併しその殻にのみ囚われるものではなくして、我々の意見は如何にして國民が、この敗戰後の日本を再建し、民主化して行くかということに、一歩高い立場から真剣に考えまして、以上申上げました意見を取りまとめたわけでございます。従いまして決して自分の立場のみに囚われた意見でないということを率直に申上げますと共に、衆議院におきましてはいわゆる党議によりましてそのことの是非はむしろ第二としても多数を以て押切ろうとする空気が過去においても見られましたし、現在においても私は率直にこのことがないということは言えないと考えております。誠に遺憾ではございますが、さように考えざるを得ないのでございます。併しながら二院制度の本質からいたしまして参議院におきましては党議というよりも如何なるものが正しいかというというところに重点を置いて御審議頂くことが二院制度の本質であり、そのことを又我々といたしまして
 は参議院に対しまして深い期待を持つておるのでございます。従いましてかかる立場から私たちといたしましても決して今までの共産派の諸君が言うがごとく自己の立場のみに囚われたるイデオロギーによつてことを判断するがごときことはなく、ただ日本の再建と民主化の立場からこの地方公務員法案をどう制定することが日本の将来のために正しいかという立場から若干の意見を申述べました次第でございます。どうかそういう立場から委員各位におかれましては公正なる立場から公明正大に御判断頂きまして、本法案の審議に対しまして愼重に御審議頂きまして、その正しい結論を導き出して頂きますように甚だ僭越ではございますが、お願い申上げまして口述を終りたいと思います。
#43
○委員長(岡本愛祐君) 只今の浅羽君の口述に御質問ございませんか……。じや、有難うございました。
  ―――――――――――――
#44
○委員長(岡本愛祐君) 次に坂本喜一君にお願いいたします。一般応募者の方であります。
#45
○公述人(坂本喜一君) 只今御紹介にあずかりました坂本でございます。本日地方行政委員会におきまして地方公務員法の公述人に選ばれましたことを非常に感謝いたします。私は実は一般の応募者ということになつております
 るが、水道関係に関係しておるものでございます。従いまして私は全般的に地方公務員法に対して御意見を申上げると共に、水道人としての意見も重ねて申上げたいと思います。
 先ず私は結論から本政府原案に対して反対を表明いたします。その基本的な理由といたしまして、第一点、我々公務員と広く呼ばれておりますけれども、公務員といえども一個の労働者であるという点におきましては、一応全体の奉仕者、こういう性格もございまするけれども、労働者という点においては変りはございません。そういう点におきまして基本的には地方公務員法にはいわゆる労働三法が適用されるべきものであるというふうに考えます。従いましてこの点に関してはこの原案には恐らくそういうことが保障されておらないという点から反対いたしたい。これが第一点。
 次に政治活動の自由の面でございますが、これはやはり公務員は全体の奉仕者であると同時に、一個の市民であり、村民である。こういう点からいたしまして、憲法の保障するところの自由を不当に侵害するという面が生ずる。かかる意味におきまして少くとも政治活動を制限いたしますならば、そのいわゆる全体の奉仕者として勤務する時間内に限られるべきものであるというふうに考えるわけであります。
 それからもう一つの理由といたしましては大体終戰前の日本國におきましてはいわゆる明治時代から「よらしむべし、知らしむべからず」、という精神に基いて民をこれ愚昧なるものというような観念から政治が行われて来ておつたわけであります。併しながら終戰後におきまして民主主義の原則が確立されました以上、よろしく知らして、而して國民が納得した上に立つて政治を行うべきである。こういう点におきまして地方公務員の我々は少くとも一般住民の先頭に立ちまして地方の民主化のために闘つて来ておる。そういう表現がまずければ、地方の民主化のために貢献をして来ておるというふうに私は考えるものであります。そういう意味におきましてこの地方公務員に不当に政治活動の制限をいたしますならば、再び過去のように政治的には非常に低下したところの、一般市民、一般村民が又逆戻りするという傾向から反対をするという意味でございます。
 次に地方公務員の任免、給與その他勤務條件等に関しましては、これを法律を以て画一的に縛るということについてはまさに地方自治権の侵害である。而もそれに対して先ほども前の公述人の方が言われましたけれども、何らそういうことを規制しながら、一方において財政的な裏付をしない。こういう実情からいたしまして、二つの意味からこれは地方自治権の重大な侵害であるということを断ぜざるを得ないわけであります。
 更に具体的に申上げますならば、一般行政事務の職員については完全なる団結権、いわゆる団体交渉権、団体協約締結権等を保障すべきである、そういうふうに考えます。これは飽くまで対等な立場に立つてなされるべきものである。更に公営企業の関係の職員については、当然民間の企業と同一なるものについては單独立法によつて完全な労働三法の適用を保証すべきものであるというふうに考えます。それからいわゆる本法案におきましては地方財政法第六條によりまして交通、電気、ガス、水道等の公営企業につきましては本法案を適用しないということになつておりまして、この原案に対しては賛成をいたしまするが、更にそれに準じましてその他清掃とか、土木、建築、或いは屠殺場、そういうようないわゆる現業の部面につきましても当然これに準拠して措置さるべきものであるというふうに考えます。それからこれらの理由につきましては同時に申上げましたけれども、何故こういうことを申上げますかと言いますと、地方公共団体は先ほどの浅羽公述人が申しました通り行政庁というよりも、むしろいわゆるサービス・センターとしての色彩が強い。従つて窓口事務等を通じまして直接住民と繋がりがある。而も各都道府県それぞれの特殊性を持つておるという点でございます。それから団体交渉権を與えなければならないということは先ほども申しましたように封建的ないわゆる役所に逆行して行くということがございまして、現に私は昨年の九月に一般地方団体におきまして行政整理が行われましたけれども、これら以外に一般地方公務員の職員が非常に何といいますか、自分の正しい意見も発表しない、ただ上司の顔色を窺つてのみ事を運んでおるというような傾向が漸次強くなつて来ておるということを知つております。そういう関係上やはり人格を認められて、対等な立場による団体交渉権を與えるということは、役所の民主化の基本であるばかりでなく、まさに憲法の擁護の立場からいつても、当然のことであるというふうに考えるものでございます。更に水道、交通、電気、ガス等の公営企業の立場に立つて申上げますと、これら企業はいわゆる独立採算制をとつておりまして、何ら税金に関係のある企業ではございません。そういう関係上当然これは民間の企業と同じであるわけでありまして、従つて完全なる労働三法の適用ということは先ほども申上げましたけれども、更に考えますと、我々は政令二〇一号以前におきましては、労働関係調整法によりまして、いわゆる冷却期関というものがありまして、罷業を行う場合においても、或る一定の期間が経たなければできなかつたわけであります。これは公共事業としての性格上私も当然だと思うわけでありまして、こういう点についての相当程度の制限、そういうことについては大して反対はいたしませんが、全然これらの基本的な権利を抹殺するという点については反対いたすものでございます。従いまして今後起案されるであろうと思われまする、これら地方公営企業関係の労働法におきましても、当然これらの基本的な権利をお認めになるように私は希望いたすものでございます。大体統括的に申上げまして、そのほか各條項に亘つて意見もございますが、基本的な問題を一応申上げまして、私の口述を終りたいと存じます。
#46
○委員委(岡本愛祐君) 有難うございました。御質問ございませんか。……辻清明君はおいでになる予定でありましたが、未だに見えません。どういう御都合かちよつと分りませんが、今朝おいでになるという御返事があつたのですが……、それでは今日の予定はこれで終りまして、閉会いたしたいと思います。それでは閉会いたします。
   午後二時五十三分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           堀  末治君
           吉川末次郎君
   委員
           石村 幸作君
           岩沢 忠恭君
           高橋進太郎君
           安井  謙君
          小笠原二三男君
           相馬 助治君
           中田 吉雄君
           岩木 哲夫君
           石川 清一君
  公述人
   群馬県知事   伊能 芳雄君
   評  論  家 蝋山 政道君
   日本教職員組合
   中央執行副委員
   長       今村  彰君
   全國町村会会長
   津田沼町長   白鳥義三郎君
   全國自治団体労
   働組合協議会副
  中央執行委員長  浅羽 富造君
           坂本 喜一君
ソース: 国立国会図書館
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