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1950/12/06 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会 第10号
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1950/12/06 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会 第10号

#1
第009回国会 地方行政委員会 第10号
昭和二十五年十二月六日(水曜日)
   午前十一時二十一分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○地方公務員法案(内閣提出・衆議院
 送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) これより地方公務員法案について地方行政委員会の公聽会を開会いたします。
 公聽会の開会に当りまして一言御挨拶を申上げます。今期国会に政府より提出いたしました地方公務員法案はその第一條に書いてございますように、地方公共団体の人事機関並びに地方公務員の任用、給與、服務、福祉及び利益の保護等、人事行政に関する根本基準を確立するごとによりまして、地方公共団体の行政の民主的且つ能率的な運営を保障し、以て地方自治の本旨の実現に資することを目的とする極めて重要な内容を持つ法案であります。我が参議院の地方行政委員会におきましては、連日或いは單独に或いは他の関係委員会と連合いたしまして、本法案の審議を進めて参りましたが、この法案の重要性に鑑みまして、昨日及び本日の両日に亘りこの公聴会を開いて、本法案によつて直接影響を受けられる関係にあるかたがたの代表者、このような問題について学識経験を有しておられる諸氏、その他広く一般有志のかたがたからの意見を承りまして、当委員会の審議の重要な参考にいたしたいと存ずるのでございます。公述人のかたがたは、その公述によりまして国会の審議に協力して頂くお立場にあられるのでありますから、時間の許します限り忌憚ない御意見をお述べ願います。時間は大体十五分程度と御承知を願います。なお公述が終りました後に各委員から質問がございました節には、お答えをお願いいたします。本日は皆様御多忙の中を特にお差繰り御列席下さいましたことを、委員一同に代りまして厚く御礼申上げます。以上御挨拶を申上げます。
 それでは佐藤和三郎君お願いをいたします。佐藤君は全国市長会の理事でいらつしやいまして、宇都宮市長をいたされております。
#3
○公述人(佐藤和三郎君) それでは一応私の意見を申述べさして頂きたいと存じます。
 今回国会において御審議されております地方公務員法の問題でありまするが、これは私どもとしては原則的に賛成であります。国家公務員法と同様にそれは作られるべきであつたのではなかろうかというふうに実は考えておるわけであります。ただ一部の條項その他につきましては異論があるわけです。原則的にはこの法律案というものが成立することは地方公務員のためにも必要であろうというふうに考えております。ただ問題になりまするのは、職員の政治活動についての全面的禁止という二十六條でありましたか、さような條項があるようでありまするが、この点でありまするが、これは御承知の通り国家公務員と違いまして、国家公務員は御承知の通り国民全体の奉仕者であるという考えになるわけでありまするが、地方公務員は御承知の通り一局部の奉仕者であるという建前からするならば、一応禁止規定は、制限的な禁止でいいのじやなかろうかというようなことが考えられるわけであります。要するにその地域以外の政治活動というものはこれは現在下においてはその程度に限定して行くべきではなかろうか、勿論これは政治活動の自由ということはその通り当然今後理想的に進むべきではありますが、現段階におきましては多少の制限をここに設けて行つたらどうかということに私は考えるわけであります。従いまして、できまするならば地域的な、いわゆる地方公務員はその職務の地域の範囲外においては自由な政治活動ができるというようになつたら如何であろうかというように考えておるのであります。ただ問題は、これは間々今日まで例があつたわけでありますが、いわゆる極端に申しますと、病気欠勤届を正式に出しておつて選挙活動をしておるという例が間々見受けられたのであります。従いまして、いわゆる勤務時間中に関してはそれは勿論制限を加える。併しその場合において地域外であつて、而も勤務時間外であるというときは御考慮願いたいというふうに考えておるわけであります。政治活動の関係につきましては、その程度に要旨だけ申上げた次第であります。
 それから更に罷業権の禁止、これは当然であろうと私は思います。又団交権、或いは団協権と申しますかそういうものに対する緩和があつたらどうかということも考えますけれども一原案通りで十分運営が付くというふうに考えております。大体国の保障ももう十分に法案において示されるわけであります。それによつてそれ以上の団体交渉というようなことは結局は法制的その他の問題になろうかと思います。そういう問題については各地方といたしましても、十分この面の立場というものは、考慮されて現在されつつあるわけであります。あえてそれ以上の問題を論議する必要はないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
 それからもう一つ、いわゆる一般職員の問題につきましての問題でありますが、今度の法案を拝見いたしますと、小使とか、或いは衛生掃除夫とかいうようないわゆる單純労務も一般職員に入つているように拜見いたしたのであります。これらの單純労務者の関係につきましては、あえてそれほど制限しなくてもいいのではなかろうかというふうに考えるわけであります。従いまして、そういうものはいわゆる政治活動のできる職員の範囲内に置いたら如何であろうかというふうに考えるわけであります。
 大体大雑把な意見でありましたが、御質問等によりまして又お答え申上げたいと存じます。大体私の感じました点はその程度であります。
#4
○委員長(岡本愛祐君) どうも有難うございました。御質問はございませんか。どうぞ……。
#5
○竹中七郎君 今の選挙の制限の範囲ですが、その範囲が市町村程度でやるか、学区程度でやるか、或いは県單位でやるのか、この関係はどういうふうにお考えになつておりますか。
#6
○公述人(佐藤和三郎君) お答え申上げたいと存じますが、只今の職場と申しますか、結局県の吏員は県全体を地域とする奉仕者ということになると、他の県でなければ運動はできないという結果になろうかと思いますが、それをもう少し拡張いたしまして、いわゆる職場の勤務地域と申しますか、その程度でいいんじやないかということも考えるのであります。結局まあ県の地方事務所に勤めておると、その地方事務所の区域は禁止される。その他の地方事務所の管内においては差支えないのじやないかということも考えるわけです。ただその場合は、県庁の然らば本部におる、県庁にいるという場合におきましては、これは全般の関係になつて非常にむずかしい問題になるかも知れませんが、その関係はどういうふうに調整するか、ちよつと私もあれですが、むずかしいのじやないかと思います。
#7
○竹中七郎君 佐藤さんにお聞きしますが、実は一番問題になるのは中小学校の先生の選挙運動というのが非常に問題になつておりますが、この問題に対しまして学区制がいいのか或いは市町村制がいいか、どちらがいいか、この点はどういうふうにお考えになりますか。
#8
○公述人(佐藤和三郎君) それは、教員の関係はちよつとなかなかむずかしい問題でありまするが、これはやはり御承知の通り通学区域が大体よその県もきまつておるだろうとは存じますが、私どものほうの県でも通学区域というものが限定されておる。その区域以外のものは高等学校等には入れないということになりまするから、その通学区域に限定されればいいじやないか。通学区域以外のところには差支えないということでいいじやないか、かように考えております。
#9
○小笠原二三男君 それに関連してお伺いしますが、三十六條の政治活動の禁止或いは制限の條項中に、こうしてはならん、こうしてはならんということを決めたあとに、その他條例を以て如何ようにも制限乃至禁止ができるように法案がなつておる。まだ聞いてみませんけれども、政府の理由は、地方自治の特殊性とか多様性とかいうことを強調するあまり、條例に任せるというふうになつたのかどうか、まあ推測しておるわけでありますが、憲法上の基本的な選挙の権利を市町村の條例等で如何ようにでもできるのだと、こういう立法について如何お考えになるか。却つて市長なら市長、或いは市会なら市会が困り、或いは紛糾させられる、摩擦を生ずるというような場合も具体的にはあるのじやないか。私の意見としては憲法を成り立せておる基本的な主権住民の立場における選挙活動の権利なのですから、法律よりも下の立場に立つ條例で法律同様、或いは法律以上に自由な規定を設けるということは如何かという意見を持つているので、お伺いします。
#10
○公述人(佐藤和三郎君) 只今の御質疑に対しましてお答え申します。條例で定める政治的行為という規定がございますが、その通りでありまして、ただ問題は條例と申しましても、この法案の通過された場合になりますが、この法の趣旨に反するそれ以上出過ぎた條例というものはできないんじやないか。その範囲におけるまあ細目と申しますか、ということになりまして、それを逸脱した條例というものは、これは條例が法律違反になるということになるかと思います。又そういう範囲において條例が作られるものであるというふうに考えておりますので、御心配はないんじやないかというふうに一応考えております。
#11
○小笠原二三男君 そうなればいいのですが、関係法規としては公職選挙法という取締規定ができておるわけですね。そういうものと牴触し、或いはその関係法規から見て行過ぎたりするような條例等が或いは誰が発議してもいいですから出て、論争の種になつて、余り小さな行政区域の自治団体は困るのじやないか、こういうような考えで実はお聞きしたのですが……。
#12
○公述人(佐藤和三郎君) 御承知の通り條例は議会の議決を経なければならんことになるわけです。地方單独で出すわけにも参らんわけは皆さんも御承知の通りであります。従いまして現在の地方議会におきましても各派より出ておるわけであります。十分その点は従来行過ぎの條例も間々あつたようには知つておりますけれども、逐次その点は是正されつつありますことは、皆さんも御承知の通りであろうと思います。従いまして、多少行過ぎの條例等は今後やはり御検討を願うことになりまするけれども、今後改選期を控えまして、更に第二回の来年行われようとする地方議会の議員、ますます民主化されつつあるわけであります。その御心配は今のところ私としては差支えないではなかろうかというふうに考えておるのであります。
#13
○中田吉雄君 佐藤さんはいつ御当選ですか。
#14
○公述人(佐藤和三郎君) 私は昭和二十二年の八月十五日でございます。
#15
○中田吉雄君 そうしますと、佐藤さんが市長に当選されてから、衆議院の選挙、参議院選挙、教育委員の選挙等が実際数次に亘つて行われておるわけですが、あなたの市役所の公務員各位がですね、その三つの大きな選挙に際しまして、政治的な活動を制限しなくてはならんような、そうしなくては市役所の市政というものが推進できんような過失を犯したかどうかというような、実際具体的な三つの選挙を通じての御感想をお伺いしたい。
#16
○公述人(佐藤和三郎君) これはちよつとその前提を私も申上げないと……私のほうの空気を一応申上げて、只今の御質問にお答え申上げたいと思います。私が市長になりましたときには、非常に革新的と申しますか、そういうふうであつたわけです。私のほうの職員組合はさような関係がありまして、いわゆる勤務時間であろうと何であろうと、政治活動をやつておつたのです。そういう状況の下に選挙も行われておつたわけです。何回か行われておりましたが、そういうことは現に公僕観念を失墜するのではなかろうか。何回か注意いたしまして、現在は是正されつつあります。さようなことでありますので、問題は従来の一部の何といいますか、革新的なと申しますか、仕事の嫌いな理窟ばかり達者な者ですな。(笑声)そういうかたに大体まとめられて参つて来たということは甚だ遺憾であつたと私は思うのです。やはり皆の意見を聞き、而も自分の義務だけは完全に果して、而も先ほど申しましたようなことにおいて自分の立場を十分に果すということに逐次なりつつあるわけです。で、今のところ今年或いは昨年の選挙というものにつきましては、少しもトラブルは見られなかつたわけであります。
#17
○中田吉雄君 非常に参考になりましたが、そうしますと、今度の公務員法に出ておりますような極端な制限規定でなしにでも、勤務時間中とか、或いは勤務場所とか、或いは職権を利用してとかというような制限規定でも十分防止できるとはお思いになりませんか。
#18
○公述人(佐藤和三郎君) 先ほど私が申しました通り、そういうふうに多少の制限で運営が十分であろうという、かうに私は考えるわけです。
#19
○中田吉雄君 わかりました。
#20
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。……それでは次に移ります。河野益夫君。河野君は都市交通の代表であられます。
#21
○公述人(河野益夫君) 御紹介にあずかりました都市交通の河野益夫でございます。
 すでに皆さん御存じだと思いますが、都市交通は六大都市を初めとしまして、札幌、函館から南は九州の熊本、鹿児島に至ります間の地方公共団体が経営している交通でございます。これは昨日も我々と同じ立場に立つております公共団体に使用せられております職員として、自治労協のかた並びに日教組のかた、更に一般労務者としまして水道関係のかた、こういうかたが公述されたように承わつておるのでありますが、本日もあとで公述される東京都労連のかた、同じように地方公共団体に使用されております五つの組合の一つでございます。そこで私たちはこの地方公務員法に関しまして、基本的に共通した問題として、二つの大きな主張を従来やつて来たわけであります。一つは、政治活動の自由ということであり、他の一つは、労働基本権を確立する、こういう問題でございます。
 第一の政治活動の自由については、これは申すまでもなく憲法の認める基本的な権利でございまして、我々公務員といえども当然この政治活動の自由は與えらるべきである、私たちはかように考えておるわけであります。ところが法案の三十六條によりますと、この自由であるべき政治活動が殆んど禁止的な制限を受けておるわけでございます。昨日も自治労協のかた並びに日教組のかたがこの点に触れられたと思いますが、我々も都市交通といたしましては、同じ立場でこの禁止的な制限に対して私たちは反対せざるを得ないのでございます。
 次に労働基本権の確立という問題でございますが、これは私たちは基本的に公務員ではあつても、労働者であるという考え方を持つておるわけであります。その限りにおきまして、労働基本権としての団結権、団体交渉権、労働協約を締結する権利、こうした権利の確立をいたしたい、かように考えまして、この権利の確立の関係について、私たちは三つの姿で確立してもらいたいということを従来主張して来たのであります。先程申しました自治労協のかたとか、日教組のかたとか、或いは交通、水道のかた、或いは都労連のかた、こういうふうに仕事がいろいろと違つておるわけでありますけれども、先ず一般行政事務を担当しておる職員につきましては、地方公務員法の中で、こういつた権利を確立して頂きたい、教育職員につきましては、これは行政職員とは少しく性格が違つておるのでありまして、更に官公私立といろいろな形でことなつて来ております。而も教育に携つておるという点におきまして、一般行政職員とは相当な隔たりがあるわけでありますので、これらの点についても完全な労働基本権を確立して頂きたい。それからもう一つの形は、これは私たち都市交通職員全員もそうでありますが、水道とか或いはガス、電気、こういつた公営企業に勤めている者は勿論のこと、一番末端におります現業職員についてもこれは全然別個な法律で、地方公務員の枠外において労働基本権を確立すべきである、私たちはかように考えて来たわけであります。そこでこの法案を五十二條から以下の法案について見ますと、これは私たちの従来主張して来た点は、全然認められて来ていないわけなんです。僅かに附則の二十項につきまして、公営企業だけの職員は、身分取扱事項と組織、会計経理に関する法律と併せて別個な法律で律するまでは從前の通りにするということが謳われているだけでありまして、一般の職員並びに教育職員、或いは現業職員については、そういう点が全然触れられていないというふうに考えるのでありますが、この公企業職員の除外に対する点につきましては、後ほど都市交通という立場からいろいろと申述べたいと思いますが、それ以外の一般の行政職員、教育職員並びに現業職員について申しますと、殆んど国家公務員法をそのまま地方公務員法の中に持つて来て律した、いわば国家公務員法の模倣であるというふうな印象が非常に強いのであります。現存の国家公務員法は御存じの通り、二十三年の暮れの国会で、マ元帥の書簡によりまして、政令二百一号が出ましたが、それに基礎を置きまして改正されたものでありますが、当時のマ元帥の書簡が出た当時の情勢というものと、現在の情勢というものとの間に我々は非常に大きな差違の存することを認めているわけであります。私たちは当時の情勢を十分批判検討いたしまして、民主的労働組合の再建を企図いたしまして、御存じの通り本日只今の総評議会に、我々の民主的労組の見解を一致せしめまして、これを結集体として私たちは動いて来ているわけであります。堅実な歩調をとつていると我々は自信を持つている次第であります。それにもかかわらず、その情勢を全然考慮に入れずに、而も地方行政というものと、国の立場と多少のそこに差違があるというふうなことをも考慮に入れずに、殆んど国家公務員法をそのまま地方公務員法の中に持つて来て律しようとしている。こういう点につきまして、結局我々の從来言つて来ました労働基本権というものは殆んど確立されていない。こういう点につきまして私たちは反対の立場をとつているわけであります。具体的の條文について申上げるのが、一番いいわけでありますが、恐らくこの点は昨日の自治労協のかたなり、日教組のかたなりから具体的に御指摘願えたことと思いますので、私のほうといたしましては省略させて頂きまして、都市交通といたしまして少しく御意見を申上げたいと思うのであります。
 これは附則の二十項に関する問題でございまするが、極く一部に、公営企業等の職員も一般公務員と平等に取扱うべきだという、これは極く僅かの意見だと思いますが、そういう意見がありまして、先般衆議院で公聽会が行われましたときにも、そういう意見があつたように私たちは聞いているわけであります。そこでこれはこういう意見に対しては、私たちは絶対に先ほども申しました原則の立場から立ちまして、反対の立場をとつておりますので、この点について少しく申述べたいと思うのであります。
 私たちの本来の交通事業といいますのは、現在におきまして日本の交通事業を、担当しているのは、海の方は別といたしまして、陸上交通におきましては国鉄と私鉄と私の方の都市交通、この三つが現在の交通事業を担当しているのでありますが、私たちはこの交通事業をたとえ経営主体が地方公共団体であつても、この経営している交通事業は行政事務ではないというふうに私たちは考えているのであります。そのサービスを提供するという点においては国鉄のやつている交通事業、私鉄のやつている交通事業と何らその間に異りがない。ただ経営主体が地方公共団体であるというだけのことであつて、我々の働いております実態は住民に対してサービスを提供するという点においては殆んど異なりがない。而も例えば例を東京都にとつて見ますと、東京都の道路上には現在私鉄のバスと公営、都営のバスとが入り乱れて競争をしているわけでありますけれども、私鉄のバスの職員には労働基本権が與えられておる。制限付ではありますけれども、労調法によつて制限されておりますけれども、ストライキもできるようになつているわけであります。併し都営の職員には全然そういつた権利が與えられていないのです。それから又東京の中心部を通つております地下鉄の職員と大阪の中心部を通つている地下鉄の職員とを考えて見ますと、東京の地下鉄の職員には制限付ではありますけれども、罷業権がありますけれども、大阪の地下鉄の職員には全然そういうものは與えられていない。更にもう一つの例を申し上げますと、広島や福岡の市内を通つている電車がありますが、この広島、福岡の市内を通つている電車は罷業権まで持つている。ところが呉とか仙台の市内を走つている電車には一切そういつた権利が與えられていない。こういうふうに同じように住民に対する交通サービスというものをやつておりながら、而も労働の内容は全く同じであるにかかわらず労働権というものの相違が出て来ている。これはまあ只今私たちにつきましては政令二百一号がありまして、この政令二百一号によつてそういうことが禁止されている。こういう立場にありますので、私たちはこれは政令に関する限り止むを得ないものであるというふうには考えるのでありますが、この政令二百一号が国家公務員法の制定と同時に政令二百一号が廃止される、国家公務員については廃止される。又今度は地方公務員法の制定に関してその適用を受ける者については政令二百一号が廃止されるというふうに順次廃止されて行つておるわけでありますけれども、我々の場合そういつた国鉄、私鉄という関係から考えて見ました場合、政令二百一号が撤廃される場合、廃止される場合には当然国鉄や私鉄の諸君と同じような労働権が確立されるであろうということを確信している次第であります。そういうような意味におきまして、附則二十項の意義を私たちはそういう意味に了解しているわけでありますけれども、これに対して一本にして地方公務員としてくくるという意見もあつたので、この点一言我々の意見として申上げたいと思います。
 更に又経営者が同じ地方公共団体であるとは言いながら、御存じのように私たちの担当する経済は全然地方財政法によりまして別経済とされているわけであります。そうして一方が行政費関係の普通経済におきましては住民の地方税を主たる財源として賄われておりますが、我々のほうは地方税に全く関係のない独立採算的な運営体として国鉄や私鉄と同じようにその損益に対する企業責任というものが負わされているのです。こういつた点から言つても、私たちは地方公務員法で交通従業員或いは水道従業員、こういつたものを律するという点については、反対の態度をとつて来たわけでありますが、法案を見ますと、その点は一応将来の問題として残しておるわけでありますが、これは我々の確信している、その法律による労働権の確立ということか恐らく含まれているというふうに考えますので、その意味におきましては、我々はこの附則三十項に対して一応賛意を表したいと思うのであります。
 それからこれは果して次に公聽会が開かれるかどうかわかりませんが、我々の非常に関心を持つておる点について希望的條件を申上げて私の意見としたいと思うのでありますが、今まで見られなかつた地方公営企業の組織を変更する、或いは会計経理の制度を変更するというふうなことが附則二十項でそれを予定しておるような書き方がされておるわけであります。これは非常に重要な問題でございまして、私たちは戰後におきまして、労働組合といたしまして交通事業の目標というものを、荒廃した事業を復興させるということと、戰時目的のためにゆがめられた交通政策というものを民主化するという点に重点を置きまして、その立場から協力態勢を整えて来たわけであります。併しともかく今こういう段階にまで復興ができたところまで来ての問題といたしましては、どうしてこれから能率的な経営をして、真にサービス機関として住民の満足する機関にするということが現在取上げられている目標になつているわけであります。ところがこの法案の附則は、それを予定いたしたのでありませうか、公企業の組織、会計経理を変えるということを暗に示しておるわけであります。そこで私たちはそういつた現在の能率的経営という立場から眺めて来た場合におきまして、現在のような行政組織の枠内でこれを経営して行くということについては、もう限界点に達しておるということを従来痛感いたしまして、再三我々の意見を関係筋に申述べて来たわけであります。そこで現在の行政組織の枠内に行われております企業といたしましては、非常にいわゆるお役所仕事といいますか、非常に非能率でありまして、決して住民に納得を與えるような経営がなされていないのであります。そこで絶えず私鉄、国鉄と都市交通、そういつた三者が競争しておる所におきましては、都市交通は絶えず競争に負けておるというふうな現象も現れておるわけであります。そこで又最近こういつた点につきましては、いろいろな方面から地方公営企業のあり方についていろいろな重要な意見が提案されております。学識経験者は勿論、そういつた事務を担当しておる部局の人からも、いろいろな意見が述べられて来ておりますけれども、私たちは若し将来こういうふうな法案の附則に従つてそういう点に触れる法案が出る場合には、私たちは少くとも国鉄のような公共企業体をとることが真に住民に対する利益になるのだ、行政組織の枠内においてやつておつたのでは、決して能率化されるものでないということを私たち痛感しておりますので、こういう点に関しまして真に能率的運営をやるために、こういうような申述ぶる機会があるかどうかわかりませんので、こういつた点を一言希望條件として申上げまして、附則二十項によつて公営企業に対する特別措置をとることの妥当であるという点、それから一般的には甚だ抽象的ではありましたが、労働基本権の確立、政治活動の自由が確立されていないという点において一般的には反対である。こういう意見を申上げまして私の公述といたしたいと思います。
#22
○委員長(岡本愛祐君) 有難うございました。御質問願います。
#23
○竹中七郎君 ちよつと伺いますが、あなたはこの頃ずつと選挙をやられまして、都市交通として、いろいろ政党がありますが、その政党の支持というものはどこをやられたですか。
#24
○公述人(河野益夫君) 都市交通といたしましては社会党を支持いたしました。
#25
○竹中七郎君 次に伺いますが、地方公共団体の経営しておりまする交通事業それから私鉄、国鉄とこうありますが、そういたしますというと、あなたのほうは国鉄に近いほうに行きたいとこうおつしやいますのでございますか。
#26
○公述人(河野益夫君) 今の御質問は二通りあるように考えますが、一つは企業の形態を国鉄と同じようにするのかという御質問のようでもあり、又我々の労働関係を律する法律を国鉄と同じにするのかというふうな二つの御質問のように受取れるわけですが、先ず企業形態の問題といたしましては、私たちが先ほど申しましたように、この交通事業、公営の交通事業を能率的に経営するという点から見ました場合には、現在のような行政の枠内では駄目だ。これはやはり国鉄のように公共企業体に切替ることが一番能率的運営に望ましいのではないか。それから労働関係につきましては、国鉄と他の都市交通の事業とを考えてみますと、その公益性の程度といいますか、公共性の程度といいますか、その重要度は遙かに国鉄のほうが高いというふうに考えるわけです。更に地方的に見ました場合に、私鉄の公共性というものよりも遙かに我々のほうが少ない点があるのじやないかと、かように思うわけです。そういつた点から見まして、私たちはやはり国鉄、私鉄、こういつたものとの、国鉄通りでもなく、私鉄通りでもないというその中間的な労働関係の律し方というものが我々として考えられて来た従来の線だ、かように思います。
#27
○竹中七郎君 私鉄が東京都へ入つておると、あなたのほうは都電でやつておられる、こういうことになりますが、そこで片方は労働権を発揮しておるが、片方はない、こういうことにつきまして経済的に考えましても、一つは何といいますか、経済的に何とか確立せられると思つてサービスせられる、あなたのほうでは経済的には必ずしもそうあせらないでもいいという非常にハンディキヤツプがあるわけですね。そうしてまあ私鉄のほうでは、都電は都民のためによくサービスをするという確たるものがあるが、私鉄のほうは、私鉄がいろいろの困るというときには都のほうから我々の交通に入られては困るというような一つの拒否権というものがあるが、あなたのほうは絶対そういうことができないから、そこに差があつてもいいじやないかと我々考えますが、その点はまあ素人がやりますことですけれども、専門家のあなたはどうお考えになりますか。
#28
○公述人(河野益夫君) こういつた事業は、公営事業というのは大体独占的な傾向を持つておるようでありますが、私たちは能率的経営を主張するために、例えばこの地方公共団体がやつておる事業を、これを私鉄のように会社にして経営するのがいいということは全然我々としてはそういう考え方を持つていないわけです。で、やはりこれは住民に対するサービスという点に重点を置いた公的な経営でなければいけないということを我々感じておるわけです。その点から行きますと、例えば交通政策というもの自体が収益主義に立つておるか、或いは都民に対するサービスを中心に営利主義でない経営方針に立つておるかという点において私鉄の経営というものと我々の経営というものが非常に違うと思います。そこで国鉄のように公共企業体にした場合には、その能率的な経営ができると同時に、住民に対するサービスというものもいわゆる営利主義に走らないサービスができるのじやないか、こういう観点から、只今申上げました公共企業体の立場に立つてやる、こういうことを私ども主張しておるわけなんです。
#29
○竹中七郎君 まあ只今の例を引いて置きたいのですが、只今は都民のサービスのためにやつておるので、若しもあなたのところでストライキなんかをおやりになつたときには誰が一番困るかというと、都民ですね。都民が困るのだが、そういうことをやつていいか惡いかということはどういうふうにお考えになりますか。
#30
○公述人(河野益夫君) 私たちの申上げまするのは、ストライキ権を行使するという問題と、基本的にそういう権利を持つておるところの問題については我々は又別な考え方を持つておるわけでありまして、基本的には例えばアメリカなんかの話を聞きますと、その権利は認めているけれども、行使するということは別問題であると我々組合はそういうふうに考えておるわけでありまして、ストライキに対して都民が迷惑するという点につきましては、私鉄の場合には迷惑はかからないで都営の場合では都民に迷惑がかかるということにはならないのじやないか、その点は両者同じ道路の上に同じようにバスが通つておる場合には、それは私鉄がやつてもやはり都民に対する迷惑というものは同じようにかかつて来る。その点においてその取扱方というものは私鉄と同じように取扱われなければならないのじやないか。私はこういうふうに考えます。
#31
○竹中七郎君 私たちはそういうふうに考えんのですが、違うように考えますが、そうして今の行政権があるが、行使せんということを認めるならば法律なんか要らないので、皆義務とか権利でやればいいのでありますが、そこにいろいろ問題があるからこういう問題が起つて来ると思いますが、皆さんが行使権を持つておると、併しそこにいろいろなことをやらないで自分たちの交渉その他で、交渉なり或いは申合せなりこういうもので解決せられるということが一番いいので、あなたがたの首脳者のかたがたがいろいろそういうことをやらなかつたから、こういう法案が出て来たと逆に言うと、考えられますが、こんなことはないでしようかね。
#32
○公述人(河野益夫君) 私達は決して争議を好むものではないわけです。それでやはり労働組合の権利を確立して頂くと同時に、調停の制度、或いは裁定の制度、こういつたもので、或いは紛争の処理機関、こういつたもので紛争を処理して行きたいというのが我々の念願でありまして、どうしても解決できないというふうな場合には、我々の主張の正しさというものをやはり輿論に訴えるより仕方がないと思うわけでありますけれども、そこへ行くまでの我々の立場としては団結権、或いは労働協約の締結権、或いは調停、仲裁の制度、こういつた制度を是非とも一つお認め願いたい、かように考えるわけであります。
#33
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ありませんか……。それじや有難うございました。午前の人はそれではこれで終りまして、休憩いたします。午後一時十分から再開いたします。
   午後零時九分休憩
   ―――――・―――――
   午後一時五十二分開会
#34
○委員長(岡本愛祐君) これより公聽会を再開いたします。芝田長太郎君にお願いいたします。芝田君は神戸市従業員組合の執行委員長であられます。
#35
○公述人(芝田長太郎君) 私は只今御紹介にあずかりました神戸市従業員組合の委員長を務めております芝田であります。なお私は只今より意見を申上げますることは、まず大阪市従業員組合、大阪府土木従業員組合、この三つの組合の意見として申上げたいと、かように存じます。
 まず、一般職員から眺めたときに我我従業員といたしましては、勿論教育程度も低い、又法律的にも何んら明るくない。知能的には劣つている、そういう点がはつきり言えると思うのであります。それでまず我々はこの度の政府の原案による地公法に対しては全面的に反対したい、かように申上げたいのでありまするが、一応私が今から申上げまする意見を取入れて頂いて修正といいましようか、修正意見で以て申上げたいとかように存じます。
 まず私ども現業員の立場というものはどういうものであるか、この実態を率直に申上げたいとかように存じます。その種別を挙げて見ると、我々現業員の中におきまして、第一番に土木があります。土木というものはすべて道路の舗装、コンクリートをやつたり、又はアスフアルトを塗つたり、又はあらゆる復興方面についてまず肉体的に働いているのが土木の現状の姿であります。そこで第一番に清掃でありまして、清掃につきましてはまず皆さんも御承知か知れませんが、一応尾籠な話になりますが、あの人糞をたごといいまして、それに汲み込んで、そうして担つてトラックに担いで上げて、トラックに入れて行くという、そのたごの重さは十六貫あります。その重いものを担つたり汲み取つたりやつたりしているんです。又もう一方には下水を掃除したり、又大きな川の中を掃除したりするのが清掃の、つまり作業員と申しまして、これが現業の姿であります。続いて山林方面におきましては山の木を古いやつをぶち切りましたり、又は新らしい苗を植えたり、砂防工事をやつたり、且つ又ダムを造つたりする、そういう力の仕事であります。そうして次に我々の仲間でも区役所の使丁諸君は公文書を全逓の郵便配達のごとくあちらこちらに文書を交付して廻る。あらゆる書類を溜めて車に積んで、車を引きずりながら運搬しているというのが区役所使丁の現状であります。又学校の使丁にいたしてもその通り、区役所の使丁に似た仕事を種々やつております。かような観点に立ちまして、我々としては一般職員はすべて行政任命権がありますが、我我單純労務者につきましてはそういう任命権というものは全然ないわけであります。そこで先ず我々の上司におきましては、部課長、係長、その命令によつて我々は仕事を完全にやつて行くというのが実際の單純労務者の実態でございます。そこでまずこの度の地公法のこの政府原案によりますと、一応我々單純労務者を切離して別個に考えるという案が出ているのでありますが、先ず私はここで率直に申上げたいことは、一応我々のこの問題を公企業体に準じた、性格の変らない同じような公営企業体に似たような仕事をやつているのであります。そこで先ず政府の言われる通りここに切離して考えるということがどうも私は納得できない。と申しますのは、一応国家公務員法の現業員と、そうしてこの度地方公務員法の案を作つておられて、そこから單純労務者を引離して国家公務員法の現業員と関連さして別個に考えるというような言葉が入つているわけでありまするが、これは絵に描いた餅のごとく、我々はどうもこの点納得し難い。この場合においてどうかそれは一つ切離してやはり公営企業体と何ら性格の変つていない我々の現状でありますから、これはあくまでも地方公務員法より枠外に置いて頂きたいというのが我我の考え方であります。そこでまずこれを戰前当時から比べて見ますと、我我としては戰前当時は皆様も御承知の通り、軍閥、財閥の華やかなりし頃は、我々はただ命令せられて牛か馬のごとくただ黙々とうつむいて働いた、それが本当の戰前当時の実態でありましたが、このたび終戰後、先ず以て我々のポツダム宣言に伴いましてここに労働組合法というものを設けて頂いて、そのなかで先ず組合法に許されたる三原則、即ち団体交渉権又は協約権、罷業権この三つの獲得をいたしまして、私どもは終戦後或る一部の極左があつたのでありますが、我々はそういうことではなくして、あくまでも民主的に合法組合とし、且つ又合法的に正しく持つて行きたい、健全なる組合として組織を持ちたいというのが我々の信念であります。それで先ずどうしてもこの既得権をやはり従前通りに置いて頂くことが一番我々の念願するところであります。先ず以てこれを今の政府原案による、かような惡法を頭から植付けられた場合には、当然我々としても戰前のごとく、又より強く、より以上の奴隷に扱われる憂えもあると言わざるを得ないのであります。そこで私はあくまでもこの問題は別個に單純労務者として取扱つて頂きたいというのが私の望むところでありますから、どうか行政委員長初め各委員の先生方におかれましても、私の今申上げましたこの意見を十分に御配慮願いまして、どうか正しく御審議せられんことを切にお願いするわけであります。
 そこで先ずどうしてもこの法案を立法せねばならないというような観点に立つならば、先ず以て政令二百一号そのままの姿で別個に検討をせられ、それを置くならば政令二百一号のままで我々は続けて貰いたい、かように思うのが私のお願いであります。どうかよろしく皆さまにおかれましてもこの点を御推察下さいましてよろしくお願いいたします。一応公述人といたしまして私の意見を終わりたい、かように存じます。まだ申上げたいことがありますが、どうやら時間が制限せられるような状態でありますので、御質問によりましてお答え申上げたい。かように存じます。
#36
○委員長(岡本愛祐君) 有難うございました。御質疑を願います。
#37
○安井謙君 政令二百一号に比べまして、今度のはどういつた点がいかんというお考えですか。
#38
○公述人(芝田長太郎君) 今度の点は先ずどうしても私は現在の政府原案でやられた場合には、前に私が申上げましたように、これは戰前当時のやはり奴隸化されるのじやないかという思いが一つと、どうしても現在この法律を政府原案通りに立法せねばいけないという観点にある場合には、現在の二百一号のその政令によつて別個に切離すまで置いて頂きたいというのが私の今申上げたような状態であります。
#39
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。それでは有難うございました。
 次に河野平次君にお願いいたします。河野君は東京都労働組合連合会の委員長をしておられます。
#40
○公述人(河野平次君) 私は今御紹介を頂きました東京都労働組合連合会の委員長をやつております河野と申します。公述を申上げまする前に先ず私どもの団体構成の内容について御参考までに申上げて置きたいと思うのですが、私ども東京都労働組合連合会と申しますのは、東京都の職員のうち警察、消防を除いた全部の職員を以て構成いたしております。その單位労働組合といたしましては、公立学校の教職員が教員組合として存立しております。それから水道関係の従業員約三千名、それが水道従業員組合、それから都電、都バスの関係の組合が東京都市交通労働組合ということで一万一千ほどの組合員を擁しております。それを除く全部が東京都職員労働組合と申しまして、これが三万五千ほどの組合員を擁しております。この四つの職種別と申しますか、業種別と申しますか、そういう関係において單位組合がそれぞれ構成せられ、それが連合組織となつているのが東京都労働組合連合会ということに相成つているわけであります。
 そこで昨日から今日の公聽会において、昨日は教員組合代表のかたと水道従業員組合の代表のかたが、又更に自治労協と申しまして、先ほど申しました東京都でいうと、東京都職員労働組合の関係のかたが公述をせられました。本日は交通関係の河野さんが、更に又東京都の職員労働組合のうちの約三割五分を占めるいわゆる現業関係の立場から只今芝田さんが御意見を披瀝されました。そういうふうにいたしまして、私ども都労連のそれぞれの單組というものは、そういう形において殆んど全部それぞれの立場から御意見が述べられているのでありまして、従いまして私は私どものほうの組織がそういう関係でありますので、総合的な立場から一応意見を申述べ、更に若干各條章に亘つて希望を申述べたいと思うのであります。
 総論的にこれを申上げますと、私どもは一昨年七月二十二日にマッカーサー元帥の指示によりまして、同月末には政令二百一号ができた、続いて国家公務員法の改正となり、更に又国鉄、専売等に関しましてはいわゆる公企労法というものが制定され、これを実施せられるに及んだのでありますが、私どもは当時日本の労働運動が共産党の暴力革命の予行演習的な形において行われたあの不健全な運動というものに対しましては、私ども自身の立場からも強く排撃、指彈して参りました。そういうような情勢の中にあつて我々の立場から行くと、国家公務員法の改正の問題にいたしましても、或いは公企労法の問題にいたしましても、根本的には反対の態度をとつて参つたのであります。もとより地方公務員法の制定の問題につきましても、そういう立場から過去二年に亘つて反対の運動を続けて参りました。そういう意味から申しますと、今日この地方公務員法を制定されるということに対しましても、私どもは基本的には制定反対ということであります。なぜ制定反対かと申しますれば、これは贅言をする必要もなかろうかとも思いますが、要するに総括的に申上げますと、我々の労働基本権というものが根本から覆えされるという一点にあるわけであります。そういう立場から、我々はこういう法案の制定に対しては反対であるということでありますが、併し我々もその基本的な主張というものと、現実の我が国の情勢というものの間には不幸にして大きな懸隔のあることを認めざるを得ないのであります。そういう立場から申しまして、私どもはこういう労働者の基本権を奪おうとするがごとき惡法に対しては反対であるという基本線をあくまで堅持しつつ、そういう私どもの主張が実現されるまでの間における一つの次善策として、今日この地方公務員法案について、できるだけ我々の意見というものをこの中に織り込んで制定されなくてはならないと、こういう観点から意見を申上げたいと思うのであります。多くの私どもと同じような立場における諸君によつて発言されておりますように、何と申しましても、この法案の我々が特に指摘しなければならない点といたしまして、この団結権、それから団体交渉権、更に団体協約の締結権、これを根本から奪つているところの法第五十五條の問題がその一点であります。これによりますると、地方公共団体の当局と交渉することを妨げないという非常に微温的な規定になつております。そして而もそれが団体協約を締結する権利を含むものではないということを規定しているのでありますが、元来労働問題について、相手方と折衝するに当つて、対等の地位を認めず、而も調停された事項に対して何らのそれが履行するところの強い裏付もないような話合いが、幾ら回を重ねたところで本当に正しいものはその中から生まれようはずがないのであります。曾て政令三百一号が出る前におきましては、私ども東京都におきましても、当局との間に労働協約を締結いたしまして、それで職員の身分、給與その他の労働條件についてつまびらかに協定し、それを忠実に両者とも履行されて参つた。その相互契約の裏付といたしまして、一面においては産業平和を確保するという條文ももとよりあつたわけでありまして、私どもは一方において当局側に対してそういう従業員の身分、給與その他の條件に対して保障を與えしむると同時に、我々の果すべき責任も責任を持つて履行するという態度を以て今日に至つておるのであります。ところがあの政令二百一号が出るや、その政令によつてこういうことは一際消滅されたということを当局側から通告を受けました。併し法律上の立場からは仮にそうであつたとしても、現実に我が東京都においては、そういう立派な運用をして来たという事実に鑑みまして、法律の如何にかかわらず我が東京都においては従来通りの取扱いをして行こうということで、法律上における団体協約というものはもとより作ることはできませんけれども、事実上においてそういう取扱をして来ておるというのが現状であります。かくのごとくいたしまして、何も暴力的な、破壊的な労働運動を事とする団体を相手とする場合においては別といたしまして、少くとも真に堅実なる、まじめな建設的な運動を推し進めて行こう、その建設的な労働運動の中から職員全体の利益を確保して行こうという、こういう行き方こそが今日の日本にとつて最も重要なものでなければならないと私どもは確信しておるのであります。而も、多くの相手方、一部の反動的な資本家、或いは当事者の中には、そうでない便乘的な類の諸君もあろうかも知れませんけれども、大多数の当事者は、そういうまじめな考え方をもつて日本の再建に相携えて邁進しようとしておる現状におきまして、殊更にこのように労働者自身の基本権を剥奪して、何か一方的に押し付け行政を行わなければならないというがごとき、時代に逆行する方法を講ずるがごとき必要は毫末も私どもとしては認められないのであります。或いは言うかも知れません。この国家公務員法によつて、或いは地方公務員法によつて、職員の身分、給與、その他の條件を保障し、保護する目的を持つておるんだと、併しながら、私どもがここで強調いたしまするまでもなく、今までの事例に徴しましても明らかでありまするように、国家公務員に対しましては、去年の暮でしたか、人事院から七千八百七十七円のベース・アップの勧告が国会及び政府に対して行われました。又今年の八月九日にも、人事院から同じく八千五十八円のベース・アップの勧告が行われております。或いは又、国鉄におきましても調停、或いは仲裁委員会の裁定によつてそれぞれ問題の結論が出されております。而も国鉄の場合におきましては、公企労法第三十五條によつて、仲裁委員会の裁定に対しては、両当事者共に最終的なものとして、これに従わなければならんということを義務付けられております。然るにかかわらず、現状は果してどうでありましよう。国家におきましても、法律を守るごとにおいてみずから範を垂れなければならない政府におきまして、この二回に亘る人事院の給與ベース・アップの勧告に対しまして、果して今日、どういう態度をとつておるでありましよう。或いは又国鉄の仲裁委員会の裁定に対しまして、国鉄当局及び政府当局は果してどういう態度をとつておるでありましよう。こういうふうにいたしまして私どものこの労働基本権というものを、国家公務員法、或いは公企労法、地方公務員法によつて、それぞれ極度の制約を加えつつ、その代償として人事院を通じて、それらの職員の身分待遇、給與というようなものについて、保障し、保護するのだと言いつつ、半面においてかくのごとき行為をとつておるというのが今日の為政者の現状であります。こういう一方において手も足も出ないように縛り付けておいて、そうして当然行うべき約束をしておきながら、それを現実には行わない、こういうことでは如何に立派な法律を作つても全然死文に化してしまう、私どもは残念ながらこういうような本当に、我々にとつて将来信頼することのできないような幾多の事例を見せつけられているのであります。そういう観点から立ちますと、今度の地方公務員法等につきましても、非常に大きな懸念を持たざるを得ないのであります。而も国家公務員法の第二十八條には、給料の増減についてはそれぞれ人事院はその当事者に対して議会及びその長に対して勧告をしなければならないというように規定されているのでありますが、地方公務員法案におきましては勧告することができるということで、これは義務付けではない、したければするもいいし、したくなければしなくてもよいという結論になる。勧告をしなければならないという義務付けによつて勧告されたものに対する結果がどうであるかということについてさえ先ほど申上げた通りであるにもかかわらず、地方公務員法においては義務付けさえしていない、非常に微温的だと言わなければならないと思うのであります。そういう点から申しまして、私どもはやはり当局との間の交渉というものについては、これはあくまで対等の立場に立つて交渉する。そうしてその交渉する権利と、又交渉によつて成立したところのものを団体協約として文書によつてはつきりと履行する。それが両者共に忠実に履行する義務を持つものであるという形にして置かなければ、我々としては到底安心することはできない。こういう考えを持つがためにこの五十五條の点については我々の今申上げたような権利を強く挿入して貰わなければならんと思つているのであります。これは公企業関係、教員関係、單純労務関係、これらについてはあとで申上げますが、今申上げたのは一般行政職員の立場に対して申上げたことであるということを附加えて置きたいと思います。
 その次には、政治活動の極度の制限の問題でありますが、これも先ほど大阪の河野さんが言われましたように、我々の政治活動の自由というものは憲法によつて保障された当然の権利である。従いまして、我々地方公務員であることには間違いありません。けれどもその半面において労働者であることにも又聞違いありません。先般来まで日本に駐在されておつたイギリス代表パトリック・シヨウ氏が、自分はイギリスの役人であると同時にイギリスの一労働者である。従つて自分はイギリスの役人としての任務を果さなければならんことは勿論であるが、同時に又労働者としての権利を強調する権利があるということを言つたといわれておるのでありますが、私は誠に至言であると思うのであります。そういう観点から申しまして、私どもは公務員であつたといたしましても、我々に與うべき権利というものは当然與えられなければならない。もとより我々は政治活動の自由があるからと申しまして、その政治活動というものの実際の自由の行使に当りましては、大いに考えなければならない点が多々あることは申すまでもありません。例えば特定政党の利益のためにその公務員の地位を利用したり、或いは利用されたり、さようなことは嚴に戒められなければならないことは申上げるまでもありません。そういうことばかりでなく、公務員としてそれぞれ果すべき多くの義務があります。それらの義務は何もこういう画一的な法律によつて一々規定されますまでもなく、それぞれの地方庁或いは地方公共団体において、就業規則、又は服務規律というものが制定され、その中にそういう必要なことがこまごまと明記されておるのであります。そういう規定或いは條例によつて私どもの公務員としての義務づけは立派に行われて来ておるのでありまして、必ずしも事情が同一でない地方公共団体全体に対して画一的に律するということは不適当であろうかと思うのであります。
 その次には、先ほど申しました教職員、それから單純労務者、それから公企業関係のものに若干触れたいと思うのであります。この地方財政法第六條に規定する公企業体に対して、これを公企業体のそのほうの組織、或いはその他の関係と共に特別立法によつて、これらの公務員を律するようにしようということを附則二十項において規定されておりますことは、私どもこの條文に対しましては賛意を表します。ただこの点につきましては立法技術上或いは不可能なことかも知れませんですけれども、これが果していつどういう方法でやるんだということをはつきりと明記することが規定上できないとするならば、それを委員会において政府の言質を取る、取るばかりでなしに早急にこれが実現方に御盡力を煩わしたいと思うのであります。それから單純労務者の関係につきましては先程芝田君も申されました通り、これは東京都の関係におきましては交通、水道、教職員を除いたその他の公務員の三割五分を占めております。これらの職員が一般地方公務員法によつて律せられることの如何に矛盾であるかということについては、多くの人が前から縷々説明されたところでありますから、それを省略いたします。従いまして私どもの切なる要望を御了承頂きまして、そして第五十七條にあるこの條文を削除いたしまして、これを第三條の特別職扱いにして頂きたいということであります。そしてこれも早急にこれらの單純労務者諸君に適用する單独立法の措置を講じて頂くということであります。教職員の問題につきましても、これも教育業務という特殊な性質上から見まして、これも一般行政職員と同様の取扱をするということは、如何にも機械的でありまして、これは教職員に適用するに適切なる法律を新たに制定いたしまして、その法律を適用さるべきであるということを強く申上げたいと思うのであります。
 大体以上でありますが、ただこの教員の問題につきましては、この六月の参議院選挙以来何か教職員の政治的活動に対してとかく批判というよりも、私立どもの立場から率直な言葉でいうと、反動的ないろいろな意見が見受けられるのでありますが、これは誠に身勝手な反動的な意見だと私どもは思うので、そういう意味における特別立法であつたのではそれは何ら意味がないので、これもやはり公企業等に準ずる形においての特別立法措置というものが講ぜられなければならないということを特にお願いしたいと思うのであります。大変時間が超過いたしましたようですから、一応これで説明を終ります。
#41
○委員長(岡本愛祐君) 有難とうございました。御質問を願います。ございませんか……。
 それでは次に田中一郎君にお願いをいたします。田中君は東京大学の教授でいられます。
#42
○公述人(田中一郎君) 只今御紹介頂きました田中でございます。実は私はこの地方公務員法の立案の過程において、多少意見を述べる機会を持ちましたので、今ここにでき上りましたものの大綱につきましては、大体賛意を表するものであります。ただ法案になつて出て参りましたものを見まして、三、四いろいろの点で意見を持つておりますので、その点をここで申上げてみたいと存じます。
 先ず一般的な問題といたまして、地方自治法の附則に地方公務員法がもつと早く制定されることが約束されております。それが法律の規定に反して今日まで延び延びになつておりますことは、私は立法府の立場から申しましても非常に遺憾な点であろうと思います。地方公務員の現地の身分関係がかなり不明確な状態のままに長く放置されておりますことは非常に遺憾でありましで、この公務員法ができますことは、私は法律制度全体を確立する上から申しまして、非常に喜ばしいことと思います。ただこの法律には同時に考えられなければならない公共企業職員の身分取扱いに関する法律案でありますとか、その他若干関係法令もあろうと思いますが、それらの法令が同時に審議される運びに至りませんことは、これ又非常に遺憾だと思います。できるだけ早くそれらの法令が全部整備されまして、地方公務員の身分関係、法律上の地位というものが明確になりますことを希望いたします。
 次に、全体に関する問題といたしまして、この地方公務員法案では大体において国家公務員法に定められております内容を地方公務員に当てはめて、国が一律に、画一的に定めているという点がかなり広汎に亘るように思います。それらの点の中にはもう少し地方団体の自主性を尊重して、地方団体で自由に定めることができるという余地を残すことが地方自治の本旨に合するゆえんではないか。そういう意味で多少考慮に値する点があるのではなかろうかと思います。
 それから次に内容について申しますと、この地方公務員法では地方公務員の範囲をどこにとるかという点について、明確な規定を欠いております。国家公務員法では御承知の通り、およそ国の事務に従事し、国の給與を受ける者はすべて公務員であるという考え方をとり、そうしてその具体的な範囲は人事院がこれをきめるということにいたしました。私どもが考えて、国家公務員として国家公務員法の全面的な規制を受けることの決して適当とはいえないものまで国家公務員として全面的な法の統制を受けるということになつております。地方公務員の場合には大体地方公務員の範囲を一応予定しておいて、従来雇用契約的な関係に立つ者と考えられた者についても、すべて地方公務員としてこの法律を全面的に被せて行こうという考え方であろうと思いますが、その地方公務員の観念そのものをもう少し明確にする、そうしてその面から雇用契約的な関係に立つ者については、公務員外に置くという考え方が一つ成立つのではないかと、こう考えるのであります。併し国家公務員法の建前と地方公務員法の建前とが、そう食い違つて困るということでありますならば、この地方公務員法の定めております一般職と特別職との関係において、その特別職に加えるべき範囲をもつと広くとる。又地方の実情によつては、地方によつて特別職にすることができるという範囲を更に別に置くということも一つの立法方式ではないかと、こう考えます。国家公務員法でも、地方公務員法でも大体において任用によるものと雇用の関係に立つものとを区別しておるように思いますが、その雇用契約的な関係に立つものについては、仮に何か別の法律的な規制が必要であるといたしましても、この公務員法の定めております全面的なコントロールを加えて行く必要があるかどうかという点については非常に疑問に思います。先ほど單純労務者ということをおつしやつた方がありましたが、その意味での單純労務者が雇用契約的な関係に立つものということをお考えになつておりますといたしましたならば、第三條の第三項の六号というような限定した形でなく、もつと広く雇用契約的な関係に立つものについて、特別職としての扱いをしで行くというのが一つの行き方ではないか、こう考えます。
 次に内容の第二の問題といたしまして、人事機関として人事委員会、公平委員会という制度を設けておりますことは私も賛成であります。これによつて地方公務員の身分なり地位なり、待遇なりを保障して行こうという考え方は適当だと思いますが、併しこの人事機関が設けられまして、地方で果して十分にその使命を果すことができるかという点については、若干疑問を持たざるを得ないのです。地方におきましてはワンマンが認められるという場合がかなり多いように思います。そういう点を考えますと、これらの機関が一層明白に、それから独立して職務を行使することができるということを明確にされる必要があるのではなかろうか、こういう点を一つの点として指摘しておきたいと思います。
 それから内容の第三点といたしまして、この法律案の中には、任用の方法とか研修とかについていろいろ規定がされております。この地方団体の事務が今後いよいよ拡大強化され、地方団体の職員にいよいよ有能な人材が必要だという場合に、ここに挙げられておりますような任用の方法で、果して本当の意味での人材を登用することができるかという点になりますと、私は若干疑問なきを得ないのです。現在の国家公務員法におきまして、その任用制度、特にその試験制度が現在行われておりますが、その試験制度そのものには私は疑問を持つております。それと同じような試験制度が全般的に広く採用されるということにつきましては、私個人の意見としては賛成できないのであります。と同時にその任用に当りましては、国なり他の地方公共団体との間の協力関係というものが定められておりますが、一層その協力の関係を実際に推進して、広く地方公共団体の間で人事の交流もでき、又研修の上においても相互に協力できる態勢を作り、地方団体に入つた人がその地方団体だけで埋れてしまうということのないように、積極的な方策を講ずるということが、今後の地方団体に真の人材を取入れて行く上の必要な方法ではないかと、こう考えます。この法律の中にも恐らくそういう趣旨で規定が設けられておるだろうと思いますし、実際には運営の問題になろうと思いますが、個々の団体が個々の団体だけでそれをやろうとしてもなかなか実行できない。その協力の態勢が一層明確に法文の中に現われるということが望ましいのではないかと考えます。
 次に、第四の問題としまして、給與の関係とか、共済制度の関係とか、退職年金等の関係につきましても、法律上にそれを保障しようという意図を以ていろいろ規定が設けられております。これらの点につきましては、勿論地方の実際の事情によつていろいろ違います。違いますが、殊に共済制度とか、退職年金というような制度を、個々の市町村、府県はともかくといたしまして、個々の市町村で果して十分にその実を挙げることができるかという点になりますと、非常に疑問ではないかと思うのであります。むしろ各市町村が相協力し、相結合して、そういう制度を合理的に構成し運用するということで、初めてその目的を果し得るのではないか。そういろ点の考慮がまだこの法案では十分に果されていないのではないかということを感じます。給與の問題につきましては、勿論地方の実情によつて、非常に多くを必要とするところもありましようし、又必ずしもその必要のないところもあるだろうと思います。併し一般的にこの法案にとられております国家公務員、或いは他の地方団体の公務員との比較等を挙げておりますことは、これは一応止むを得ないといたしまして、その前提として私の考えますところでは、現在国家公務員に対して、地方公務員が当然低くかるべきだという考え方が中央官庁の方面に強いように思いますが、私の考えではむしろ逆で、中央の官庁にある人についてはいろいろほかの機会があり得る。地方ではこれからいよいよいよ人をたくさん採つて行かなければならないという場合には、むしろ人員は少くしても、給與の点においてはより一層よくするというくらいの頭で問題を考え、現在の給與制度を考えて行くということが必要だろうと思います。その点では、法案自体の問題ではありませんが、給與制度を考える場合の考え方として、地方公務員は国家公務員に比べて低くかるべきだという前提、或いはせいぜいそれに同格に持つて行くべきものだという考え方、これは訂正を要する一点ではないかと、こう考えます。
 次に、第五の問題といたしまして、公務員の政治活動の禁止につきましては、いろいろの御意見であろうと思います。併し私は、公務員が公務員として政治的中立性を保つて行くという見地からの政治活動の制限を受けなければならないということは、或る程度これは止むを得ないのではないかと、こう考えます。勿論教育公務員等については、当然特例が認められて然るべきだと思いますが、一般行政職員につきましては、その政治活動の制限が定められるということは、公務員の本質からいたしまして当然のことではないかと思います。併し、現在の国家公務員法が定めております政治活動の禁止、並びに特に人事院規則によつて定めております制限は強きに失する。これは公務員の政治活動を一切禁止するということになつておりますが、それは行過ぎであり、又人事院規則として果して憲法に適合するものであるかどうかという点について疑問を持たざるを得ないと思います。その点は、国家公務員法の公聽会のときにも申上げた点であります。
 それから地方公務員の労働基本権の問題でありますが、地方公務員は公務員であると同時に労働者であるという意味で労働基本権を主張される、これは一つの理窟ではありますが、私は、労働者であると同時に公務員である。公務員として全体への奉仕者であるという身分からして、当然にそれは制限を受けるということにならざるを得ないのではないか。併し、その制限をしつ放しで、その生活に対する保障が十分でないということは、公務員の公務員としての職務を十分に盡さしめるゆえんでもないということを考えます。その見地から、給與、待遇その他の点において十分にその公務員としての体面を維持し、その仕事を公正に行うことができるような措置を講じて行く必要がある、こういうふうに考えます。その措置がこの法律案の中には若干考慮されておりますが、それが果して十分であるかどうか。これは国家公務員法の公聽会の際にも申上げました。具体的にどういう措置がとられるべきかという点についてはなお十分の研究を要しますが、その点について立法当局におかれまして一段と考慮して頂きたいと、こう考えます。
 最後にもう一つ、国家公務員と地方公務員との関係につきまして、現在は地方公務員は地方公務員、国家公務員は国家公務員ということで立法されておりますが、私の考えといたしましては、国家公務員も地方公務員も、若し本当に適当な人を得、又地方的にのみ片寄らないで全国的な視野を持つた人が地方に入つて、地方の行政をやり得るというような態勢をとることが実質的には必要ではないか。そういう見地からいたしますと、例えば恩給制度とか、共済制度とか、退職年金制度とか、そういつたものとも関連いたしまして、相互の交流とか関連とかを法規の中に示すことも一つ考えらるべき点ではないかと、こういうふうに考えております。
 なおいろいろ問題があるかと思いますが、主な感じました点を申上げまして私の責を果したいと思います。
#43
○委員長(岡本愛祐君) どうも有難うございました。御質問をお願いいたします。
#44
○安井謙君 只今のお話で、任用関係者と雇用関係者とを区別して扱うほうが妥当であろうというお話があつたのですが、その場合、政治活動の問題と労働條件の問題があると思いますが、それはどちらのほうに重点を置いてお考えになりますか。
#45
○公述人(田中一郎君) 私の考えますところでは、どこまでを雇用の関係に立つものと見るかというところに問題があると思いますが、雇用上の関係に立つものについては、公務員法上の制約というものは全面的に排除してしまう。それは待遇の面でも個別的な契約の問題にし、又政治活動の制限等については初めから問題にしないという行き方で行くべきではないか。近頃のようにアルバイト学生まで公務員的に考えるという行き方は、何といつても行過ぎではないか。雇用的に一時の労務給付をして、それに対する対価を得るという関係に立つものを、一々公務員として縛つて行くということは行過ぎではないか、こういうふうに考えております。両方ともにその関係から外して考えていいのではないかと思います。
#46
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか……。それでは有難うございました。
 次に湯川精吉君にお願いします。湯川君は一般応募者であられます。神奈川県小田原市の方であります。
#47
○公述人(湯川精吉君) 只今紹介にあずかりました湯川です。私は法律など余りよくわからないし、ただ今度地方公務員法が制定されまして、自分の思つておることを若干述べさして頂きます。
 昭和二十三年国家公務員に対する国家公務員法が成立し、今回殆んど同じ内容の仕事に従事する地方公務員に対して地方公務員法が制定されたことは、当を得たことであり、遅きに過ぎる感があると思います。地方公務員法案を通読してみて、次に述べる事項を法案に十分考慮下されば賛成でありまして、一日も早く参議院を通過し、公布されんことを希望してやまないものであります。
  一、人事行政が専門的な知識であり、又公正に行われなければならないとすれば、どうしてもこれを専掌する機関が必要である。この人事行政のための機関が人事委員会であります。人事委員会を担当する人事委員に関しては、国家公務員法第三條第一項は、「この法律の完全な実施を確保し、その目的を達成するため人事院を設け、この法律実施の責に任ぜしめる。」と規定しているが、ここにいう「その目的」とは即ち法第一條第一項に明らかであるように、「国民に対し、公務の民主的且つ能率的な運営を保障する」ことにほかならない。従つて人事院の性格はこの目的を達成するに適切なものでなければならないのである。人事委員会の性格も人事院の性格と全く同じであると思います。人事委員会を共同、又は委託して設置せるときは、單独で設置せらるる人事委員会と対比して考えるとき、あらゆる分野における活動に相当の制限が加えられることは必至で、委員会としての所期の目的達成は困難になるだろうことが推察されるので、單独のものを公共団体の財政の許す範囲内でできるだけ多く作ることが望ましい。五大都市を人口二十万以上と読み替えた場合、全国では相当数の人事委員会が設置されるので大変望ましいことであるが、半面人口二十万以上の都市で人事委員会を設置するときは、莫大な財政上の支出を余儀なくされ、現在でさえも重税に苦しむ国民に更に重税を課する結果となるとのそしりを受ける虞れがあるが、人事委員会の組織をよく研究し、できるだけ簡素化すれば、現在の財政の範囲内で設置できるものと信ずるものであります。
 (イ)七條第一項「都道府県、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第百五十五條第二項の市及び特別市は、條例で人事委員会を置くものとする。」を「都道府県及び人口二十万以上の都市は、條例で人事委員会を置くものとする。」と改めること。
 (ロ)町村に設置される公平委員会は、現行の地方自治法による懲戒審査委員会に代り、公務員の不利益処分の審査のみ行うだけとなるが、給與その他公務員の身分保障に関する事項を地方議会に勧告できる権限を與えること。
 二、国家公務員法における一般職は、広い範囲に認めてあるが、地方公務員法では地方の実情に合うよう審議会の委員、顧問、消防、水防団員のいずれも特別職に入れたこと、即ち一般職の範囲が狹くなり特別職の範囲が広くなつたこと、その趣旨には賛成する者であるが、公務員は全体の奉仕者であつて一部の奉仕者でないという憲法上の原則がある以上、国家公務員法と地方公務員法の一般職と特別職の範囲に著しく相違あるは不可解と思われるのであるが、国家公務員法も地方公務員法に準拠して改正される意図ありや、なき場合は地方公務員の特別職の範囲を縮められることを望みます。
 三、地方公務員の政治活動について。政治活動については人事院規則によつて国家公務員に対して詳細に規定された主要点が殆んどそのまま條文にあり、地方公務員は個人としての選挙権の行使のほかに実際上政治活動は全くできないことになつている。この制限が道路建設や清掃作業に従事するいわゆる現業員のように、單に労力を提供するだけの地位の者にも、また全国で約四十万人と推定される地方教職員にもそのまま適用することは誤りであると思う。国家公務員と異り、寄附金等の募集に干與した場合以外には、政治活動を行なつた者に対する罰則がないから、政治活動制限が大幅に国家公務員に比べて緩和されたといつても、当人がそれが間接の原因になつて職を追われることになれば、実際上禁止であることに変りない。政党政派の利害を無視し、地方民の意思通り行政運営の任に当るべき行政職員は、その仕事の本質から言つて、その政治活動に或る程度の制限が加えられるのは当然なことである。そういう種類の行政職員の政治活動には或る程度の制限を認めるとしても、それ以外の者には政治活動制限を撤廃するか、或いは大幅に緩和することが妥当である。電気、ガス、水道、交通等の公営事業の職員については、別に特例法で規定することとなつたのは賛意を表する者であるが、仕事の性質から見て制限さるべきでない公営事業の職員や、現業員についてであるから、政治活動の制限を完全に撤廃した特例法であることを期待しています。これと同時にこれらの公営事業の従業員以外に道路建設や清掃作業の従業員のように行政運営の任にないいわゆる現業員の地位についても、公営事業の職員についての特例法に含まれることが望ましい。
 行政運営の任にない点から見れば、地方教員も行政職員と区別されて然るべきである。学校教育活動の面においては教育基本法その他教育者としての特殊の地位に伴う制約が他の公務員に比べて著しく加えられているのであるから、この教職員としての特殊の地位と、教員個人としての政治活動の自由とが区別されなければ、教職員としての生きる道はないと思います。而して地方教職員は道路建設や清掃作業の従業員とは全く異なるものであるから、教職員のみに対して別個の法律を設けるべきであります。併し各選挙の度ごとに見られる地方教員の一部の者の行過ぎによつて、国民から憤りを招くことが往々にあつたが、かかる行為に対してのみの特別の罰則を設け、その個人に対しては教育界から永久に追放すべき措置をとるべきであると思います。
 以上であります。
#48
○委員長(岡本愛祐君) 有難とうございました……。
 御質問ございませんか。
#49
○相馬助治君 湯川君に二、三点お尋ねいたしたいと思います。
 あなたの論をずつと聞いておりますと、單純労務者であるとか、地方公務員である教職員というのは特別職に入れる方がよろしい、こういうふうに、具体的内容としては先の公述人である都労連の委員長の河野さんと同様の具体的内容を聞いたのですけれども、その前に総括的におつしやつた話の中に、国家公務員法と見合つて法の建前から国家公務員法が改正にならないならば特別職をもつと狹めて、即ち特別職に入れるものをもつと少くせよ、こういう意思が発表せられておりまするが、どちらをあなたは最終的に主張されんとするものであるか、改めてお尋ねして置きたいと思います。
#50
○公述人(湯川精吉君) 私の述べた地方教職員の特別法というのは、特別職に入れるという意味ではないのです。別個な法律を作れというのです。
#51
○相馬助治君 それでなくてあなたの話した内容では、特別職を広くしなければならないようなお話なんです。
#52
○公述人(湯川精吉君) ですから、教職員のみに関しては特別法令を以て規定するわけです。
#53
○相馬助治君 それにしても特別職にしろ、特別單独立法にしろ、特別職と考えるような方向に行けというような具体的内容を述べているのです。あなたのお話ではそうですね。これは特別職の方がいいとおつしやつたのでしよう。乃至は特別立法の方がいいとおつしやつたのでしようね。
#54
○公述人(湯川精吉君) 特別立法です。
#55
○相馬助治君 特別立法がいいとおつしやつたのでしよう。ところが国家公務員法と地方公務員法とを対象すれば、この国家公務員法を直せないならば特別職の範囲を狹めろとおつしやつたのですね。そうおつしやつたのですね。
#56
○公述人(湯川精吉君) つまり大学の教授の場合は国家公務員法に入つておりますが、地方教員の場合は地方公務員であることは変りはありませんが、その地方公務員の中に入れないで、全然別個の身分を作れというのです。
#57
○相馬助治君 ちよつと意見が合わないのですが、湯川君よく聞いて下さい。あとの方は別にしまして、国家公務員と地方公務員とを見合つて見て、国家公務員法の條文が直すことができないならば、特別職の範囲を狹めよとおつしやつておるのですね。
#58
○公述人(湯川精吉君) そうであります。
#59
○相馬助治君 それは最終的にそういう御意思ですか。
#60
○公述人(湯川精吉君) いや、できればやはりそれに準じて改正されることがいいと思うのです。どうしてもできないという場合もあるわけですね。そういう場合には国家公務員も地方公務員もとにかく同じような仕事をしているのですから、その範囲をできるだけ同じにして貰いたい。
#61
○相馬助治君 私はそれが問題だと言うのです。あなたの最終意見としては、地方公務員法の立法に当つては、むしろこの国家公務員の持つ矛盾というものがいろいろの面で露呈されているから、国家公務員法を直せとあなたはおしやつたのですね。ところが直せないならば、法律をただ突き合わせるという意味から折角地方公務員法で拡がつたものまで惡いものに右にならへしろ。これは私はとんでもないことで、若しそういうふうにあなたが公述人として最後までおつしやるならば、議論をしなければならないのですが、御訂正の意思はございませんですか。
#62
○公述人(湯川精吉君) つまり地方の実状に合うよう……、人事委員会の委員、そういう者が特別職に入つておりますが、そういう者を削除したらいいだろうと思うのです。どうしてもいけないという場合には……。
#63
○相馬助治君 湯川君よく聞いてください。公務員法というものはこうある、地方公務員法というものが今度こうできた。あなたは特別職、一般職の概念を地方公務員法の方が枠が広がつてよろしい、こうおつしやつているのでせう。だから国家公務員法を直さなければならぬというのが第一ですね。
#64
○公述人(湯川精吉君) そうであります。
#65
○相馬助治君 そこははつきりしましたね。そうするとこれはあなたは直せ、こうおつしやつた。ところが直せないならば、むしろこれを合うように特別職の幅、範囲を狹めて、これを一緒にして置けというのですね。それは同感です、そういう論があるのですから。それは法律の建前から言うと地方公務員法も国家公務員法もぴしやつと合つているから、法律学者はえてしてそういうことを言うのです。併しあなたは一般公述人ですから、一般国民の意思を代表しているというので、私どもはその議論は看過できないのです。
#66
○公述人(湯川精吉君) ですから、つまり地方公務員法に準拠して国家公務員法を改正して下されば一番結構です。
#67
○相馬助治君 それはわかつております。
#68
○公述人(湯川精吉君) それがどうしてもできない場合もあるわけです。
#69
○相馬助治君 構わんでおいたらどうですか。そうして飽くまで国家公務員法を地方公務員法に近ずけるということが良心的な立法府の責任なんです。
#70
○公述人(湯川精吉君) そうして貰いたいのです。
#71
○相馬助治君 差当りは地方公務員の特別職を狭めてこれと見合え、こうおつしやつたことは御訂正なさいますね。
#72
○公述人(湯川精吉君) それは言い方が惡かつたと思います。要するにできれば国家公務員法も、地方公務員法に準拠して直して下さるのがいいと思うのです。
#73
○相馬助治君 わかりました。
 第二点は、教員というのはその職能その他から別であるから、これは特別職に入れるべきであり、むしろ進んで單独立法にこれは任せるべきだという御議論は、極めて私進歩的だと思つて敬意を表します。ところがあとで具体的に述べられた中に、一部教職員が選挙等に行過ぎをやつて、そうして世人の頻卑戚足を買つて、これをとつちめなければならぬ、私も同感です。併しこれは公職選挙法によつてとつちめるべきなんです。併し職員なるが故に頻卑戚足を買うという点であなたは言つているのだと思うのです。教員なるが故にああいう行動はおかしいという実例を私はおつしやつているのだと思いまするが、そういうふうな意味ですか。
#74
○公述人(湯川精吉君) ですから、特別法を設けて教職員に対しては全然政治活動の制限を撤廃した方がいいんです。撤廃するから教職員というものは相当教養のある者ですから、撤廃されたことをいいことにして行き過ぎのないように、各個人が選挙、その他の場合に愼しんで貰いたいと思うのです。
#75
○相馬助治君 わかりました。そうすると、行き過ぎの事例を二、三おつしやつてみて下さい。そうでないと議論にならない。例えばこんなことは行き過ぎであると……。
#76
○公述人(湯川精吉君) 例えば小田原方面で申しますと、学校の先生が自分の児童の自宅を訪問する、こういうことが往々にあるので、併しながらその選挙に立つている人の名前を直接に言うか言わないかはわかりませんが、そういう選挙のいよいよ迫つて来た場合において、非常に家庭訪問することが多くなつて来ています。私の近所では……。で考えてみますと、やはり最後にはそこに持つて行くのではないかと思います。事実そういうのかあります。
#77
○相馬助治君 その場合に家庭訪問をして選挙運動やつているのですか、やつていないのですか。
#78
○公述人(湯川精吉君) やつているのもあります。
#79
○相馬助治君 やつているのは、それはね、公職選挙法の戸別訪問という條項で罰せられるのですよ。私の聞きたいのは行き過ぎた教員に対して、特別に立法してこれに罰則を拵えて罰せとおつしやつているのがわからんのですよ。内容がわからないのではないのですよ。教員には政治活動を全部フリーにしておけという、これがあなたの前段の御議論です。それはほかと違うから全部フリーにしておけ、その次に今度は行き過ぎた者に対しては罰するようにしておけというならば、法の建前から言えばいい惡いではないですよ。私は賛成しているのではないのですが、むしろこういう制限をしなければならないという議論が生れて来るのです。従つて私はあなたの最終意思を聞いているのです。
#80
○公述人(湯川精吉君) つまり教員に対しては政治活動の制限を完全に撤廃する。
#81
○相馬助治君 わかつている。
#82
○公述人(湯川精吉君) 併し完全に撤廃されたことをいいことにして、教員としての立場を忘れて行き過ぎがあつてはならないと思うのです。それを言つているのです。
#83
○相馬助治君 そのときには立法して罰しろ、罰する方法を考えておけというのでしよう。
#84
○公述人(湯川精吉君) 私はどういう立法かわかりませんが、そういうことのないように條項も或る程度入れたほうがいいのじやないかと思います。
#85
○相馬助治君 私はわからなかつたのだと兜を脱がれると困るのですが、併し具体的にどういうことにしておけばよろしいのか、野放しに全部政治活動を自由に與えておいて、但し教職員の立場を忘れて行過ぎたものを罰する條項を書いて置く。そうすると多分こういうことにあなたの意思から言うとなるかと思うのですが、教職員が教職員であるみずからの権威を放擲して、その身分を忘れて行動を起したようなものは、行政上罰するというような條項でも入れればいいのでしようがね。そういう曖昧模糊なる條項というものは事実この立法府においては立法するわけに参らんですよ。そこで具体的にもうちよつと聞きたいということが一つ。それからあなたが真に主張することは、教職員には政治活動の自由を許せという方にウエイトがかかつておるのか、それともそれはそれだけれども、行過ぎのものは罰しろということを言うておるのか。実を言えば甚だ失礼だが首尾一貫しておらない。
#86
○公述人(湯川精吉君) 政治活動の制限は撤廃した方がいいのです。それに対して教員としての身分を忘れないようにやつて貰いたい。罰則を設けるということは言い過ぎかも知れませんが、教職員としての身分を忘れないでやつて貰いたいということをお願いしているわけです。
#87
○相馬助治君 どうも苦労をかけました。従つて教員に対しては政治活動の自由を許そう。そうして道義的に教職員はみずからの地位を忘れずに賢明なる行為をせよ、こういうお話ですね。
#88
○公述人(湯川精吉君) 今言つたのは特別に罰則を設けるというのは削除いたします。
#89
○相馬助治君 どうも有難う。
#90
○委員長(岡本愛祐君) ほかに御質問ございませんか。……どうも有難うございました。
 今日おいでを頂くはずであつた東京大学の助教授の宮原誠一君は病気のために発熱をして上れんという電話がありました。昨日おいでを頂くはずだつた辻清明君も電報が昨日参りまして、病気で行けない、そういう事情でございます。
#91
○相馬助治君 この際一言、連日に亘つて公述人のかたが貴重なる御意見をお聞かせ願えたことを有難く思うのですが、これは劈頭に委員長からもお話がありましたのですけれども、参議院においては本日は本会議が開かれ、而も重要なる委員会が開かれ、個人的な見解を申しては恐縮でありまするが、私なども決算委員会で重大なる証人喚問等が行われていたというようなわけで、誠に心ならずもこの委員の席に連なることを得なかつたのでありまして、これはどの委員にしても同じ事情でございます。従いまして委員長はこの事情を勘案されまして、昨日、本日に亘つてこの公述人のかたがたの貴重なる意見を我々はこの立法に十分反映せしめなければならない責任と同時に、この公述されたかたに対する一つの我々は義務を持つと考えておるのです。従いまして、特に速記のほうに連絡をされまして、全文を一日も早く我々の手許に渡るようにお手配を願いたいと思うのであります。不幸にして全文が渡らない場合におきましては、委員長又別個の方法をとりまして、特に論点となりましたことにつきまして、我々委員に資料として交付されんことをこの際要求しておきたいと思います。
#92
○委員長(岡本愛祐君) 承知いたしました。それではこれで閉会をいたします。公述人のかたがたにはお忙しいところをお差繰り下さいまして、長時間有難うございました。皆様がたの公述は、我々が法案を進めて行く上におきまして非常な参考になりました。誠に有難うございました。
 これを以て散会いたします。
   午後三時十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           堀  末治君
           竹中 七郎君
   委員
           石村 幸作君
           高橋進太郎君
           安井  謙君
          小笠原二三男君
           相馬 助治君
           中田 吉雄君
           西郷吉之助君
           石川 清一君
  公述人
   全国市長会理事
   宇都宮市長   佐藤和三郎君
   大阪市都市交通
   従業員     河野 益夫君
   神戸市従業員組
   合執行委員長  芝田長太郎君
   東京都労働組合
   連合会委員長  河野 平次君
   東京大学教授  田中 一郎君
   小田原郵便局員 湯川 精吉君
ソース: 国立国会図書館
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