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2000/04/25 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 交通・情報通信委員会 第13号
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2000/04/25 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 交通・情報通信委員会 第13号

#1
第147回国会 交通・情報通信委員会 第13号
平成十二年四月二十五日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任
     戸田 邦司君     奥村 展三君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任
     井上 美代君     筆坂 秀世君
     奥村 展三君     戸田 邦司君
 四月二十四日
    辞任         補欠選任
     筆坂 秀世君     大沢 辰美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         齋藤  勁君
    理 事
                景山俊太郎君
                釜本 邦茂君
                簗瀬  進君
                弘友 和夫君
                渕上 貞雄君
    委 員
                岩城 光英君
                加藤 紀文君
                鹿熊 安正君
                鈴木 政二君
                田中 直紀君
                野沢 太三君
                山内 俊夫君
                谷林 正昭君
                内藤 正光君
                吉田 之久君
                日笠 勝之君
                大沢 辰美君
                宮本 岳志君
                岩本 荘太君
                戸田 邦司君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   参考人
       東京都立大学大
       学院工学研究科
       助教授      秋山 哲男君
       株式会社ニッセ
       イ基礎研究所主
       任研究員     白石 真澄君
       日本大学理工学
       部教授      野村  歡君
       財団法人全国老
       人クラブ連合会
       副会長      見坊 和雄君
       社会福祉法人日
       本身体障害者団
       体連合会会長   松尾  榮君
       全国脊髄損傷者
       連合会会長    妻屋  明君
       東海旅客鉄道株
       式会社代表取締
       役社長      葛西 敬之君
       社団法人日本民
       営鉄道協会副会
       長        清水  仁君
       社団法人日本バ
       ス協会理事    佐々木雅雄君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○参考人の出席要求に関する件
○高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用し
 た移動の円滑化の促進に関する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(齋藤勁君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十一日、井上美代君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。
 また、昨二十四日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(齋藤勁君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案の審査のため、本日の委員会の参考人として、東京都立大学大学院工学研究科助教授秋山哲男君、株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員白石真澄君、日本大学理工学部教授野村歡君、財団法人全国老人クラブ連合会副会長見坊和雄君、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長松尾榮君、全国脊髄損傷者連合会会長妻屋明君、東海旅客鉄道株式会社代表取締役社長葛西敬之君、社団法人日本民営鉄道協会副会長清水仁君及び社団法人日本バス協会理事佐々木雅雄君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(齋藤勁君) 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案を議題といたします。
 東京都立大学大学院工学研究科助教授秋山哲男君、株式会社ニッセイ基礎研究所主任研究員白石真澄君及び日本大学理工学部教授野村歡君、以上三名の参考人の方々の御出席をいただき、御意見を拝聴し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中にもかかわらず本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、秋山参考人、白石参考人、野村参考人の順序でお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 また、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 なお、恐縮でございますが、時間が限られておりますので、なるべく簡潔に御発言いただければありがたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 それでは、まず秋山参考人からお願いいたします。秋山参考人。
#6
○参考人(秋山哲男君) 東京都立大学の秋山と申します。
 「交通バリアフリー法のコメント」ということで、きょうの日付で私のメモが皆さんに配付されていると思いますが、まず御確認をお願いいたします。一枚の紙です。これに基づいて発言させていただきたいと思います。
 最初に二点ほどありまして、交通バリアフリー法の位置づけを私自身が解釈した点と、それから二つ目は交通バリアフリー法を補うためにはどうしたらいいか、この二点について述べさせていただきたいと思います。
 第一点目の位置づけですけれども、(1)に書いてありますが、恐らく高齢者、障害者の交通の歴史に残る大きな出来事というふうに位置づけています。世界で法律を制定した国の恐らく五本の指に入るだろうと。
 皆さんが御存じのように、アメリカではADA、アメリカンズ・ウィズ・ディスアビリティーズ・アクトという法律がございまして、これは一九九〇年にできました。しかし、この前身が一九六四年ぐらいからひたひたと進んでまいりました。
 特に、一九七三年のリハビリテーション法というのがございまして、これは連邦から補助をいただいている交通事業に対して障害を持つ人を差別してはいけないという、その基本的なところが述べられたわけですけれども、これの延長上といいますか、ここの中にはメーンストリーム、いわゆるだれもが公共交通を使えるようにというそういった発想が展開されてきました。それは連邦が補助する事業のみに限っていたんですが、一九九〇年のADAについては、民もそれに含む、そしてかつ建築、情報などなどその他も含んで総合的な法律になったのがアメリカでございます。
 そして同時に、スペシャル・トランスポート・サービス、高齢者、障害者に組織的にドア・ツー・ドア・サービスをする、パラトランジットとアメリカで呼んでいますが、これもこの中に統合されています。そういった点で、米国の法律。
 それから、もう一つ注目したいのは英国の法律なんですが、英国は、一九七〇年代というのはどちらかというと障害者、高齢者専用の交通手段で頑張ろうというそういう流れが出てきました。そのために幾つかの法律ができてきまして、一九七七年にはミニバス法というもので、障害者、高齢者を送迎する場合には有料で送迎していい、ただし実費程度の料金を利用者から取っていいよというような、そういったものが出てきました。
 その当時、コミュニティーカースキームというのがあるんですけれども、これもそうなんですが、自家用車で送迎した場合も料金を取ってよろしいと。当時はソーシャルカースキームと、今はコミュニティーカースキームになりましたけれども、そういった七〇年代の歴史を経て、八〇年代にドア・ツー・ドアの実験を運輸省はやってきました。
 それで、八五年には、トランスポートアクト、この中に一番下の方に書いてあるんですけれども、トランスポートアクトによってイギリスは大々的に、ドア・ツー・ドア・サービスだけじゃ困るので、公共交通をかなり頑張っていこうと、そういう方向に大転換をしました。そして、一九八五年にはDPTACという、一番下のAですけれども、障害者の計画参加を保障するということを決めました。
 DPTACというのは障害者輸送諮問委員会で、これによって公共交通に対しての問題を検討するということがかなり大々的に行われてきまして、ただし、その中のメンバーは障害者が二分の一を占めると。メンバーの構成は大体十から二十人ですけれども、これが大きな力を発揮しまして、その後、一九九五年にDDA、DDAはディスアビリティーズ・ディスクリミネーション・アクトという法律ですが、一九九五年に既につくられてきています。これは、日本語訳はこの中に収録してありますけれども、(資料を示す)最近、一九九九年には車両などさまざまな部分が改定されて、より細かい詰めが行われたレポートが既に出されています。こういった形でイギリスは展開してきました。
 日本はそういう意味では、あとオーストラリアとスウェーデンも持っていますけれども、五番目に入ります。こういうことで、かなり頑張った国というふうに位置づけられると思います。
 二点目に、法律への期待は、バリアフリーを今後継続的にやるという意味がかなり重要だろうと思います。そういう意味では、継続的な修正をむしろ期待したいというふうに考えています。
 三点目は、日本はこの法律に限らず、運輸、建設では一九九〇年代ぐらいから徐々に努力してきたので、法律制定はその結果の一部だというふうに見ております。
 二つ目は、この法律の位置づけですけれども、私自身余り大きな期待はしていない。というのは、バリアフリー法は一種のアクセス法であってモビリティー法ではない。少なくとも、イギリスやアメリカはモビリティーを総合的にとらえているんですが、日本はアクセスにまだとどまっているということが考えられます。ということは、万能の法律ではないということを御認識いただきたい。
 その上で、これを補うためには、二番目に「交通バリアフリー法を補う」というふうに書いてございますけれども、(1)にSTサービスの方向をやはり将来的に示す必要があるだろう。これについては、運輸省とあるいは厚生省が責任を持って計画をつくる、そういう流れが必要だろうと。厚生省は病院を含む福祉・保健・医療系の送迎を体系的に整備するというのが特に重要です。
 英国ではアンビュランスサービスというのがありまして、そこでは既に病院の送迎だけに二百億円以上使っています。それはNHSトラスト、日本で言う厚生省公益法人、そういったところが担当してやっております。それから、福祉予算を安くするために、クロスセクターベネフィット、要するに交通を導入することで福祉予算を安くできる、こういったことも研究としてやられています。
 したがって、日本の場合には、英国はアンビュランス、アメリカもメディケードとかメディケアとか医療系の交通に相当お金を費やしています、カナダもそうですけれども、日本はここがほとんど乏しいという状態です。ただし、唯一在宅サービスセンターの高齢者の送迎は行っています。この辺は、厚生省は相当強化をやはり将来的にやっていただきたいなという部分です。
 それからBは、運輸省は、タクシーとかNPO、ノン・プロフィット・オーガニゼーションですけれども、非営利団体、ボランティアを含む総合的な整備、法律、仕組みの検討をやはりちょっとやるべきだろうというふうに思っています。英国のコミュニティーカースキームは必ずしも参考にならないかもしれませんけれども、何らかの方向がやはり求められるだろう。
 これが大きな一点目です。
 二点目について、バリアフリーというのは段差解消あるいは手すりをつけたりするだけでは問題が解決しません。ということは、必ず接遇とか機器が必要でございます。
 そのために、例えば一点目で、未整備、バリアフリーがまだできないときにはそれに対する機器とか介助が不可欠ですので、そういった計画も附帯的にやらないといけないだろう。あるいは、幾らバリアフリーができていても、大規模な空港だとか大規模な駅ですと、その移動に困りますので、電動カートだとかあるいは電動三輪などの導入がやっぱり不可欠だろう。それから、運輸事業者に対して、やはりバリアフリーができていてもどうしても手が届かない部分がたくさんございます、これに対しては接遇教育をしてちゃんと対応するというのが二点目でございます。
 三点目ですけれども、バリアフリーの計画についてですけれども、計画水準を上げるために、やはり市町村に任せているわけですけれども、市町村の行政職員の教育をかなりやらないといけないのだろうというふうに思います。
 その一例としては、コミュニティーバスが全国で普及しているんですが、市町村の自治体の人がコミュニティーバスについての計画論について熟知していないためにかなり間違った計画をやっている例が多いです。したがって、そういったことを考えるのも、バリアフリーのための人材が育っていないので育成をしてほしい。また、指定法人なんかでも、バリアフリーについてかなり詳しい人、専門家、むしろドクターだとかあるいはマスターを出た方々を養成していく必要もあるだろう。こういったところで、国家的なレベルの話とそれから地方レベルの話で、人材の強化をやっぱり一点目として挙げています。
 二点目は、複数施設の一体的計画にバリアフリー法はどこまで踏み込めるのか。ここについてはもう少し具体的に頑張らなくちゃいけないだろう。例えば鉄道駅の駅舎とそれから民間ビルではレベルが違いますので、おのずと階段が数段できてしまいます。こういったことをどういうふうにするのか。
 それから三つ目は、サービス水準のバリアの除去。簡単に言うと、ノンステップバスが走って、これでバリアがとられたかと思うと、必ずしもそうではない。例えば一日一便しかないようなサービス水準だったらないも同然です。これはある意味でサービス水準の欠如によりバリアフリーができていない例です。
 それから、エレベーターなどについても九時―五時でしかあかないとか、あるいは人を呼ばないと来ない、こういうものはある程度バリアでございますので、サービス水準をもうちょっと強化するためにいつでも使えるような検討ももう一方で必要だろう。
 最後に、四点目ですけれども、人権の保障と障害者参加です。
 カナダのカナダ・トランスポート・エージェンシーというところですけれども、カナダはADAのような法律をつくらずに人権法をつくって、人権を守るように交通裁判所をつくって、障害者を差別している場合にはこの交通裁判所に訴えることによってカナダではモビリティーを保障するというそういう方向を一方でとっています。もう一方で、政策と技術、その研究をきちっとして、それを全国展開していくというTDC、トランスポート・ディベロプメント・センター、そういったところもちゃんと位置づけられています。
 そういったことで、やはりモビリティーを守る方法をどうするかというところで、何も法律だけじゃなくて別の枠組みもあるんだということはカナダが示唆しています。
 二つ目は、先ほど申しましたDPTAC、障害を持つ人たちの計画参加を保障している英国、もちろんアメリカも類似したことをやっていますが、こういったことをかなりやる必要があるでしょうということが私が感じているところです。
 以上でございます。
#7
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 次に、白石参考人にお願いいたします。白石参考人。
#8
○参考人(白石真澄君) 皆様おはようございます。
 ニッセイ基礎研究所の白石真澄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 お手元に配付をさせていただきました資料をもとに私の意見を述べさせていただきたいと存じます。ございますでしょうか、二枚物です。
 まず初めに、本法案を拝見いたしまして、非常に評価できると考えられる点四つについてお話をさせていただきたいと思います。
 まず一点目は、鉄道駅やバスターミナルなどの旅客施設を中心として周辺地域を一体的に整備していくこと、さらに乗降客数が一定規模以上の駅の周辺を重点整備地区と定めていただいて、重点化と面的整備の考え方が盛り込まれた点でございます。
 公共交通機関をスムーズに利用していただくためには、単に旅客施設の単体整備だけではなく、また車両のみの整備ではなく、その周辺道路や駅前の広場をどう整備していくか、さらには道路標識や駐車車両の規制なども求められるため、総合的な整備が必要と考えられるからです。このために、四省庁を挙げての取り組みということはとても評価できる点ではないかなと思います。
 二点目は、法律の中で高齢者、身体障害者等が公共交通機関を安全にかつ利用しやすいものにすることが公共の福祉の増進に資するということをうたっていただいた点です。
 バリアフリー化によって便益を受けるのは、単に高齢者や身体障害者だけではございません。だれもが利用できる環境をつくることによって公共の福祉に資する、このような点が非常に評価できると思います。
 三点目は、主体と責任の明確化をしていただいた点でございます。
 国、市町村、交通事業者、国民が果たすべき役割を定めていただきました。国は基本的方向を定め、資金の確保を行う。また、運輸大臣が交通事業者に勧告措置や立入検査を行えるといったことを定めました。また、住民や利用者に最も近い市町村が計画策定を行う。さらには、交通事業者がバリアフリー化について義務を負うといった点、それぞれ各主体がなすべき点が明らかになりました。
 四点目は、こうした公共交通機関を中心とした町づくりが、我が国の人口減少社会にふさわしい都市づくりに寄与するという点でございます。
 我が国では、二〇〇七年以降人口減少社会を迎えます。少子高齢社会が今よりはるかに進むなど、人口構造の変化を経験してまいります。現在よりも高齢者がふえ、そして障害を持つ高齢者がふえるということは、車に依存できなくなってくるということを意味します。公共交通機関を利用しやすいように整備をしていく必要性が高まるということでございます。
 これまで車社会で外延化してしまった都市づくりから、中心市街地に人を呼び戻し、土地を有効活用していく時代に入ったというふうに考えられます。現在、この考え方に基づいて都市計画法の改正が行われておりますので、そういった意味合いからも非常にタイムリーな法律ではないかなと考えます。
 次に、今後の課題について意見を述べさせていただきます。
 この法案によって、新たに設けられる駅とか大規模な改造がなされる旅客施設は、例えば駅舎についてはエスカレーターやエレベーターが設置されることでしょう。また、新たにつくられる車両等におきましても、床の低いバスや、鉄道車両の中に車いすのスペースが確保されることになると思います。次第にふえていくと思います。
 しかし、一口に新設の駅というふうに申しましても、それが大都市にあるのか地方にあるのか、地理的条件でございます、町の中にあるのか町から離れたところにあるのか。そこを利用する利用者像や利用者数が大きく異なり、個別性が異なるという点に留意する必要があります。バリアフリー化に当たっては、画一的な整備ではなく、ぜひ旅客施設の立地する特性把握を行っていただき、地元のニーズに合った整備を検討していただきたいというふうに考えます。
 次に、本法案の中では既設駅は努力義務となっております。今後、財源的な制約や時間的な制約もございますから、すべてを一度にバリアフリーにしていくことは困難と考えられます。しかし、旅客施設の現状を把握し、交通事業者がみずからの状況を自己点検する。現在は無理でも、中長期的な改造目標、改造計画を明らかにしておくことが必要ではないかなと思います。
 三点目は、秋山先生もおっしゃいましたが、ソフトの提供です。
 公共交通事業者が適切な情報を提供することとか、職員の方々が必要なサービスを提供するための教育訓練が必要です。ハードの整備が未完全な場合、ソフトでカバーしていくことが非常に重要と考えられます。今後、既設の駅に関してはなかなか整備が進まないというふうに考えられますので、情報提供や人的サービスについてもぜひ力点を置いて御考慮いただきたいというふうに思います。
 四点目は、法案の中で国民の役割は協力ということが定められています。これをどのように定めていくかという点を具体的に明らかにしていくべきというふうに考えます。
 交通事業者の人員削減が進む中で、朝夕の混雑時ですとか、お昼の時間帯にでも介助をしてくださる方が見つけにくくなっております。そうした際に、周囲の一般の方々の声かけやちょっとした介助が障害を持つ方々や高齢者の不安を取り除くというふうに考えます。私たち一人一人がこういったことを自覚し、何ができるのか、そういった自覚を促すための方策についても考えていくべきではないかなと思います。
 五点目は、附帯決議に盛り込まれてございます個別輸送サービスです。
 これは、先ほど秋山先生からも御発言がございましたので、詳しく発言させていただくことは差し控えさせていただきたいと思いますが、この四月一日から介護保険がスタートいたしました。輸送サービスは介護保険の制度からは除外をされたサービスでございます。対象とはなっておりませんが、高齢者が自宅からデイサービスセンターなど福祉施設に通う場合、自治体の自主財源で在宅高齢者の保健福祉推進事業として助成が継続されることになっております。それ以外、個人が私的に利用する小旅行や駅までの送迎などについては、介護保険を機に高齢者の権利性が強まることが見込まれています。
 中小企業庁の調査によれば、二〇一〇年には民間の輸送サービスの市場規模は六十六億円とも言われております。事業者にとっては、一台当たりの実車率をどう高めていくか、車両購入費のコストをどう低減していくかというのが非常に大きな課題というふうに言われておりまして、利用実態についての詳細な検討が必要と思われます。最近では、情報化、ITによる配車システムの研究なども進んでいます。こういったスペシャル・トランスポート・サービスについても今後深い研究が必要ではないかなと思います。
 六点目は、知的障害者や精神障害者への配慮についてです。
 こういった方々についてはわかりやすい空間とか認知しやすいサインシステムなどが必要だと言われておりますが、まだまだ検討段階でございます。幸い、本法律の施行後五年を経過した後に検討を加えていただき、必要な措置を講じることが予定されていると聞いております。引き続いてこういった知的障害者や精神障害者の方々への配慮についても御検討をお願いしたいと思います。
 最後に、今後の期待に関しまして、国や都道府県、市町村、交通事業者の主体別に述べさせていただきたいと思います。
 まず、国や都道府県への期待です。
 バリアフリーという言葉については日常的に目にするようになりました。しかし、すべての国民が、バリアフリーはいまだに行政が関与すべきもの、バリアフリーは施設整備であるという考え方を持っておいでです。法案成立後は、バリアフリー社会とは何か、バリアフリーが多くの人にもたらす効果についてぜひ積極的なPRをお願いしたいと思います。とりわけ、小さい子供のころから、小中学校から教育の中で、すべての人が地域でともに生きる権利について、いつでもだれでも快適に移動できるサービスについての認識を深めていく必要があるのではないかなと思います。
 また、今後効果的な整備を進めていく上で、これまでのよい事例、例えばきょうの資料にもおつけいたしましたが、阪急伊丹駅などうまく進んだ例について広く知らしめていくことが重要ではないかなと思います。こうしたことにより、市町村が、また交通事業者の方々がどういう方向を目指すのかということが明らかになっていくというふうに考えます。
 私どもが昨年調査をいたしました四十七都道府県、十一政令指定都市の五十八地域のうち、福祉の町づくりを対象にした顕彰制度を持っているところが二十五地域ございました。こういった顕彰制度、コンクールなどを通して、ぜひよい事例を事業者や市町村の方に周知していただきたいというふうに思います。
 次に、財政措置、補助金や税制優遇についても引き続き継続的実施をお願いしたいというふうに思います。
 市町村に期待する点は四点でございます。
 重点整備地区を定める上では、どこから整備に手をつけるのか、どのような観点でその地区が選ばれたのかといった目標設定について、また、当初整備を行わない箇所については、いつの年次に整備を行うのかといった説明責任を負うべきと考えます。
 整備が終了した地域についてもぜひフォローアップをお願いしたい、利用者の使い勝手がどうであるかと。こうしたことを通して、次に整備を進める地域への反省材料に生かしていただきたいというふうに考えます。
 さらに、私は先日、駅のやさしさ評価の調査に参加をさせていただきました。同じ車いすの利用者の方でも、非常に個別性が強く、年齢や障害の状況、そして車いすの種類で求められる配慮が大きく異なっておりました。それぞれの方から貴重な御示唆を授けていただきました。ぜひ、市町村がバリアフリーの基本計画をつくる上では、先ほど秋山先生もおっしゃいましたが、こういった障害を持つ方々を含む広く市民の方の参加を募っていただきたいと思います。
 また、施設が幾ら整備が進んだとしても、情報公開が進まなければ、それはないに等しいと思います。最近、ボランティア団体や市民団体がバリアフリーマップの作成、インターネット上でのホームページの情報提供を始めております。市町村がこうした団体への助成活動を行い、供給者側の情報だけではなく、ぜひユーザー側の視点に立った情報提供ができるように御支援をお願いしたいと思います。
 最後に、交通事業者の方々にお願いをしたいと思います。
 人的なサービスに関しましては、交通事業のすべての人のモラルを維持し、質の高いサービスを提供していくことが基本ではないかなと思います。しかし、現状ではなかなか、現業に対して時間がとられる、人員不足ということで、マニュアルや教育訓練制度が整っていない。しかし、高齢者や障害を持つ方々の多くがこうした接遇サービスについて心理的ストレスを感じていることもまた現状です。
 交通エコロジー・モビリティ財団が調査した昨年度の調査では、交通事業者七十五のうち半数が接遇サービスを行っています。しかし、なかなか零細の事業者では、人的不足や情報不足もあって、教育マニュアルの整備ができない、現場での接遇の教育ができないという現状も訴えております。サービスの質を上げるため、人によるサービス格差をなくするためには、こうした教育研修、マニュアル整備がぜひとも必要だと思います。企業間連携による取り組みとか外部研修機関の活用等がございましたら、講師の確保やテキストの作成の手間の省力化などが考えられると思います。
 また、交通事業者の現場では、さまざまな利用者の方から御要望や御意見が寄せられているというふうに思います。こうしたクレームデータを見逃さずに、効果的な整備のために次の段階につなげていただけるようなクレームデータの蓄積、意見の活用をお願いしたいと思います。
 以上、雑駁ではございましたが、私の意見陳述を終了させていただきたいと存じます。
 ありがとうございました。
#9
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 次に、野村参考人にお願いいたします。野村参考人。
#10
○参考人(野村歡君) 日本大学の野村でございます。
 お手元に参考人意見表明としてA4の二枚つづりがあろうかと思います。これをごらんいただきたいと思います。
 発言趣旨からまいります。
 私は、東京オリンピックのころから、実は建築学をバックにいたしまして、高齢者、障害者の生活環境の整備という問題にかかわってまいりました。この中で、高齢者や障害者の交通問題というのは、施設整備、車両整備、法律制度、職員研修の四点が大変大きな問題であり、お互いにこれがかかわり合っているということを指摘してまいりました。
 実は、二番に書いてございます交通問題というのは、私の知るところ昭和四十七年だったと思いますが、川崎市内でバスの乗車拒否問題というのがございました。これに端を発しまして大変社会問題化したことがございます。しかし、施設整備の改良は遅々として進みませんでした。一方で、昭和五十二年に現在の八代英太先生が参議院の社会労働委員会で環境整備に関する質問を行いましたが、それの回答といいますか整備の内容は、わら半紙一枚半の本当のわずかなメモにすぎなかったというふうに記憶しております。
 その後、駅舎の整備が進められましたが、高齢者や障害者の利便性、安全性は向上しましたけれども、一方でエレベーターを設置したにもかかわらず、秋山先生からもお話がありましたように、管理面での制約が大きかったことから、必ずしもこれが十分に効果を発揮し得なかったといった点もございます。そういう意味から申しますと、今回の法律は大変画期的であり、この法案制定を高く評価したいというふうに思います。
 三番目に、法案制定を高く評価することは、もう少し細かく申し上げますと、移動が確保されることにより、高齢者や障害者の生活が大きく変えられるのではないかという点でございます。
 その後にはちょっと余計なことが書いてありますが、要するに、外国では乗り物といったような面でとらえますと、これはもう生活の保障ということではなくて趣味の世界に入ってきて、グライダーであるとかあるいは小型の飛行機だとか、こういうものも操縦できるような状況になっている。そういう意味では、私どもは第一歩として生活の保障を確保する、安定する、そしてこれが生活の質、私どもはクオリティー・オブ・ライフと言いますが、そういうものにだんだん高めていく可能性が秘められているのではないかということで評価をいたします。
 二ページ目に参ります。
 もう既にお話がございましたように、四省庁の連携による法案提案がされていること、また、ハートビル法では実は駅舎のことについては入っておりませんけれども、ここではそれをうまく補完をしているということ、さらにその次に、公共交通事業者云々ということは、先ほどのお話にもありましたように、それぞれの人たちが役割を持って、そして大変幅広くこの問題をとらえているということで、私は大いに評価をしたいと思います。
 そういう意味で、大きくとらえますと、国は精神規定、あるいは自治体は実体規定の中でこれを進めていく。そして、自治体はほとんどの都道府県で福祉の町づくり条例というのがあります。この条例の中で最低限の整備が決められるということですから、鉄道事業者はその自治体を超えた中である意味での共通的な整備マニュアルがつくられていくのではないかというふうに期待をしております。
 しかし、希望として、私はさらに次の点に留意をして政策を推進してほしいと思います。
 まず、一番大事なことは、ハードのバリアフリー化ではなくて、すなわちアクセスということではなくて、私どもの目的は高齢者や障害者が社会に参加できるということ、ここに実は目的があるのでありまして、ハードを整備するということは目的ではないというふうにとらえたいと思います。
 その実現のために、一つは、冒頭に申し上げましたハードとソフト、すなわち職員研修といったような人的な対応も含めてこれを進めてほしいということ。そして、最も身近であるバス、これをさらに整備をして進めてほしいということ。そして、車いす対応のエスカレーターもさることながら、もちろんこれは交通事業者としてはエスカレーターで大量の人を短時間で輸送するということですが、実は車いすを使っている皆さん方からはエスカレーターよりもエレベーターの方が大変便利であるというような意見もございます。その辺のバランスといいますか、整備をひとつ充実していただきたいというふうに思っております。
 また、この分野は大変技術の革新が行われておりまして、非常に今速く進んでいるわけです。そういう意味では、法律が保守的になることなく、常に新しい情報の把握に努めて対応できるような体制づくりというものもお考えいただけたらというふうに思います。
 それから、ここにはちょっと書いておりませんが、実は連続性ということで、これをできるだけ担保するような実効性のある整備をしてほしいということ。
 一例を申し上げますと、私はきょうは千代田線の地下鉄から出口一番というので乗ってまいりました。霞ケ関駅のエスカレーターはほとんど地上まで出てくるんですが、実はあちこちのエスカレーターというのは地上まではないんです。それのちょっと下までで、あとは必ず階段を上らなくちゃいけないということなんです。そういう意味で、ここはほとんどできているんですが、エスカレーターとエスカレーターの間に四、五段の段があるんです。そうすると、エスカレーターを使って車いすが通ろうと思っても通れないという問題。
 そういう意味で、整備というものはだれがどのように使うかということを常に意識して計画を練らないと、せっかくつくったものが実は何にも使えないというような状況があちこちで現実に起こっているわけです。そういう意味で、さらにきめの細かい整備をしていただきたいということでございます。
 今後の課題として、今までのお話にもございましたように事業に対する予算の裏づけ、もちろんその事業者自身の責務というものもございます、あるいは自治体の責務というものもございますが、一方でやはりそういうものがうまくいくような予算的な裏づけというものをお考えいただけたらというふうに思います。
 これは、私の知るところでは、平成十二年度から建設省の、そこに書いてございますように交通結節点改善事業の補助というものがあります。このことを見ますと、例えば昭和四十八年に厚生省が身体障害者福祉モデル都市制度事業というものをやりました。これは三年度にかかった事業でございますが、最終的には全国すべての都道府県にそのモデル都市が一つできたということでございます。そういう意味で、ここの重点整備地区におきましてもぜひ全国展開を図るような施策をお考えいただけたらというふうに思っております。
 その後に、これに合わせた関連事業の効率的運用ということでいろいろな事業が総合的に計画をされると。そうしたときに、そのそれぞれの事業のある意味ではラップをした部分、あるいは欠落した部分、そういうところをうまく精査いたしまして、むだのない計画を進めていただけたらというふうに思っております。
 さらに、これも事業に対する予算のことですが、新規車両の導入に対する補助ということで、やはりいろいろな整備をすることによって障害者、高齢者配慮をする車両というものは多少コストアップにつながるのではないかというふうに私は感じておりまして、そういうものに対する配慮をして、ある意味では思い切った配慮をしたものに対してより効率的な車両の購入ができるような政策誘導ということを考えていただきたいと思います。
 それから、附帯決議の重さということで、この間見せていただいたものについてはいろいろな附帯決議がされておりますが、この附帯決議というのはえてして看過されがちなんですが、実はここに大変大きな問題がある。これは前お二人の参考人からもお話がございましたが、すぐにこれを実行するような社会的情勢にないということは私は十分認識しておりますが、今後この問題について委員会や研究会を通じて継続的な研究、検討を行っていただきたいというふうに思います。
 例えばということで、ちょっと書き損じて恐縮ですが、障害者基本法というのは障害者を大変幅広くとらえていますが、この法律では身体障害者というふうに限られているということ、そして、この二十二条というものは、住宅であるとか公共構築物であるとかあるいは交通関係であるとか、こういうものの国と地方公共団体の責務というものが書かれておりますが、これをばねにしてさらに発展をしていただけたらというふうに思います。
 それからもう一点としては、いろいろ今までありますが、スペシャル・トランスポーテーション・システムというものの整備ということ。
 それから、下から二番目にございますが、事業者の職員に対する研修ということで、冒頭に申し上げました四つのポイントのうち三つは今回の法律で十分にカバーができているというふうに思いますが、この職員研修をどういうふうに進めていくか、これが実はこの法律の成否にかかっているのではないかというふうに私は思っております。
 そして一番最後には、この法律が制定された後、いわゆるアセスメントですね、前と後の環境整備がどのように行われて成果が出てきたか、そして高齢者、障害者の生活がどのように変わったかというような意味で評価を行ってほしい。その成果によっては、さらに新たな展開あるいは見直しをしていただきたいというのが私の意見でございます。
 どうもありがとうございました。
#11
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 これより参考人の方々に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○山内俊夫君 自民党の山内俊夫と申します。
 きょうは、三先生方、大変お忙しいところありがとうございます。
 大体この委員会はほとんど男ばかりでございまして、女性の白石先生、初めてこういう形で──大変失礼しました、基本的に男が多いものでございますから。
 時間が限られておりますから、できるだけバランスよく質問させていただこうと思いますけれども、えてしてひょっとしたら白石先生に集中するかもわからぬ、その点は御容赦のほどをお願いしたいと思います。
 きょう、お三方のいろいろ御報告または見識ある研究等の発表も今いただいたわけでございますが、私、今回のバリアフリー法、日本で初めてこういう形でバリアフリー法ができ上がってくるわけでございますけれども、例えばアメリカあたりは一九九〇年障害を持つアメリカ人に関する法律、略称ADA法ということも出されておりますし、先ほど秋山先生からもイギリスの事例も随分出されまして大変参考になったんですが、私は初めて日本としても本格的にようやく取り組みにかかったかな、もう既にスタートにかかったかなという理解をしておるんですが、大変まだまだ緒についたばかりで、十分な審議、また十分な中身ができ上がっていないと思いますけれども、今回の日本のこのバリアフリー法制定に関して、これだけはいいよと先生方が思われることをお一人ずつ手短にコメントいただけたらと思います。
 秋山先生からよろしくお願いします。
#13
○参考人(秋山哲男君) 一番重要なことは、予算措置等法律で明文化されたこと、これがよろしいかなと。今までは、エレベーター、エスカレーターというのは業界と障害者運動等、あるいは行政マンの裁量みたいなところで決まってきた、これが法律的に必ずやるという方向性が見えたことが最も重要なことだろうと思います。
 以上です。
#14
○参考人(白石真澄君) 白石でございます。
 私も、新設の駅に関しては義務化をされた、これが今後、地域の中で生活をしていく障害者や高齢者の方にとって地域を離れず乗りたいときにいつでも公共交通機関が利用できる、生活圏の拡大という意味で非常に大きな意義があるというふうに考えます。
#15
○参考人(野村歡君) 私は、四省庁の連携によって法案を総合的に見ているということを高く評価したいと思います。要するに、単なるアクセスということを乗り越えて非常に生活というものが安定をしてくるということを期待しております。
#16
○山内俊夫君 ありがとうございました。
 今、野村先生の方から四省庁連携という話が出てまいりました。大体、日本というのはセクショナリズムが大変強いところでございますから省庁連携というのは非常に弱いところなんですが、ぜひ先生がおっしゃっていただいたことを我々も肝に銘じて、連係プレーをやっていくということを十分注意していかなきゃいけないなと思っております。
 それで、実は私は四国の香川県なんです。県全体で人口百万なんです。一番大きな高松が三十三万、私は丸亀で、第二の都市といいながらも八万人なんです。比較的に都会ですと、地下鉄とか公共交通、軌道系の鉄道というのは非常に発達していますね。ですから、その結節点だけが比較的議論されております。駅に行けば大体二分から五分置きに便数がある。ですから、ほとんど車を持たなくても生活できる社会になっていますが、大体人口五万から十万の都市というのは過疎化が進んでおります。そして、公共交通鉄道機関というのはほとんど、ゼロとは言いませんけれどもゼロに近い状況である。ですから、バス路線というのは非常に我々は注目しているんです。
 ところがそのバス路線というのは、車社会でどんどん車が発達してきた関係で、バスの乗降客というのはもうどんどん大体昭和四十年代ぐらいから減ってまいりました、車の発達とともに反比例して減ってまいりました。ですから、路線廃止、特に今回需給調整の廃止ということで採算のとれない路線というのは随分廃止されかかっておりますので、私は今回、時間の関係で、バスだけに限ってちょっとお三方に質問させていただけたらと思うんです。
 秋山先生、先ほどコミュニティーバスの理解不足という点がございましたので、このあたりを少し詳しく説明をいただけたらと思いますし、どのようにしたらいいのかという示唆もいただけたらと思います。
#17
○参考人(秋山哲男君) 詳しくは、私が三月に書きました「バスはよみがえる」という日本評論社の本をお読みいただくということがよろしいと思うんですが、コミュニティーバスについて問題点というのは、例えば武蔵野でムーバスというのを限定的に運行しているんですけれども、埼玉でもどこの自治体でも、ほかの自治体を見に行ってそれをうちでやろうといってやっているんですね。
 問題点は、やはりサービス水準はある程度ルートと運賃とそれから運行頻度で大体決まってしまうんです。そのことが調査結果から明らかにわかってきた。コミュニティーバスを運行する以前の問題がありまして、バスの再生計画をちゃんと立てるべきである。そのところに、たまたま損益分岐点のところで今まで走っていないところをコミュニティーバスが走っているわけで、そこをどうするかという問題を先にとらえるんじゃなくて、総合的に町の人々のモビリティー計画をどうするかということを考えるべきである。
 バス以外でもさまざまな乗り物があります。例えば、バスのようなタクシー、バスタクシーと呼んでいますけれども、タクシーのようなバス、タクシーバス、そういうものが海外でもさまざま運行されていまして、バスとタクシーの間にさまざまな交通モードがある。障害を持つ人たちの対応についてもさまざまなものがある。
 今回の交通バリアフリー法では、先ほど私はアクセス法であってモビリティー法ではないというのは、こういった過疎地域に対してはほとんど交通バリアフリー法は無力なんですね。過疎地域ないしは人口三万から五万はせいぜい頑張って駅舎が何とかなる程度で、バスについての対策は別途やらないといけない。バスの規制緩和がありますので、規制緩和はやっぱり市町村がちゃんとモビリティー計画を立てないといけない。そのモビリティー計画は、バスでどこまでやるか、あるいはタクシーの乗り合いでどこまでやるか、さまざまな視点がございます。
 これについてお話ししますと大変長いものになりますので以上でとめておきますけれども、バス計画については相当頑張るべきであるというふうに私は思っております。
#18
○山内俊夫君 秋山先生、本当にありがとうございました。私も、このコミュニティーバスについてはもっともっと注目すべきであるし、その運行計画、またもう少し研究する必要があると思っております。
 それで、白石先生、先ほどの中で、特に市町村への期待というところで快適に使えるというテーマを少し出していただいたんですが、実は私のところも丸亀市のコミュニティーバスというのがありまして、これは二年前に始まったんです。それで、丸亀市は今、年間、平成九年度で十九万七千人、平成十年度が二十万五千人、大体一日平均五百六十名ぐらいのお客さんが利用されている。一回二百円という単価なんですね。二百円が高いか安いかは別にいたしまして、サービスからいえば私は高いと。社会のいろんな物価的なところからいくと安いなと思うんですが、安く感じさせるというのは私は快適にも通じるだろうと思うんです。
 今、秋山先生がおっしゃっていただいたように、便数を多くするということで、いつでも行けば乗れるということもバスの場合は可能になってくる。けれども、実はバスの利用者というのはほとんど五〇%以上はお年寄りなんです。そうしますと、バス停が非常に貧弱なんですね。このバス停の貧弱さというものはもう想像を絶するぐらい田舎ではひどいんです、冬場は風の吹きさらしに遭ったり雨が吹き込んできたりということで。
 これは私の提案なんですが、余り時間がないので手短に言いますが、私は丸亀市長に、六十五歳以上のお年寄りの人には五十万円の出資をしてもらいなさい、その出資金によってそういった快適性を十分充実させていくというやり方も一つの方法ではないかということで提案をさせていただいて、今、市の方は調べております。
 その路線系統は三系統ございますけれども、三系統の中に大体一万六千人の高齢者がいますから、一万六千人のうち五千人ぐらい出資していただければ、二十五億のお金が集まればその二十五億のお金で快適性をカバーしていくというようなこともできると思うんですが、そのあたり、先生の快適性ということに対して御意見をいただけたらと思うんです。
#19
○参考人(白石真澄君) 快適性というのはやはり人によってそれぞれ思いが違うと思いますけれども、私が感じますのは、まず安全な乗り物である、そして乗りたいときにいつでも来る、天候にかかわらず利用できる、かつ運賃が安い、車内が清潔である、乗りたい場所そしておりる場所についてきちっとした情報提供がなされる、こういったことではないかなというふうに思います。
#20
○山内俊夫君 ありがとうございました。
 そして、最後に野村先生にお聞きしたいんですが、今後の課題の中で事業に対する予算の裏づけという予算の部分が出てきました。
 確かに、アメリカの先ほどのADAの法律にしても余り補助金は出ないんですね、資本参加はできるけれども補助金は出ない。日本の場合は今回、事業全体の三分の一が国、三分の一が地方自治体、三分の一が事業者というような大体大きな枠組みができ上がっておりますけれども、私が先ほど言いましたように六十五歳以上のお年寄りが五十万を出資していただく制度が果たしてできるのかどうかとか、そういった利用者から出資をいただき、私はもう出資をいただいた方は全員無料でいい、年間無料パスを出す、ただし金利はつけませんよというやり方をしたらどうかということで今提案して研究はさせておりますけれども、PFIを使ったりとか特別投資、そういった特別投資がやれれば結構事業に対する予算というのは資金が集まってくるかと思うんですが、野村先生、いかがでしょうか。
#21
○参考人(野村歡君) 私は財政の専門家でもないし経済的な専門家でもございません。名案がございませんが、仮に五十万円あるいは三十万円払って本当によかったというふうに思わせることが実は大事であって、それは三十万円でも高いし五十万円でも安いということがあります。それはどういう事業をどういうふうにするかということが大変大きな問題ではないか。
 それで、私はいろいろな地方自治体、外国も見ておりますが、うまくやっているところは非常にアイデアを絞り出しているというか、非常にユニークな方法を生み出しているんです。そういうことで、先生のところでも何かユニークさというものを出して、本当に住民の皆さんに喜んでいただけるようなことが大事ではないかというふうに思っております。
#22
○山内俊夫君 いよいよ最後になりますけれども、質問というよりもバスに関して、私実は三年前にイギリスへ視察に行ってまいりました。そうしますと、ロンドンのあの二階建てのバスがかなり系統別に本当に市内くまなく動いておりますけれども、私が感心したのは、百メーター走っても次のバス停があるんです。そうかと思ったら、次は七百メーターか一キロ行かないとなかったり、時には、大体百戸から三百戸ぐらい固まっている団地があれば必ず中にロータリーがありますから、ロータリーの中までバスが回っていくというやり方をしています。
 それと、フランスだったと思うんですが、ちょっとお聞きすると、定時定刻で時刻は組んでいますけれども、例えば朝のラッシュ時が終わるとお年寄りの集まっているようなところまでバスを持っていく。ですから、そのときには、その目的地まで三十分かかるところがひょっとしたら四十分かかるかもわからない。でも、十時から三時ぐらいまでの間は、日中の時間帯は少し自由なバス、運転手と無線の連絡によって自由にお客さんのところへ持っていく。
 大体日本の交通というのは、乗りに来い、乗せてやるぞという思想が強かったものですから、その全く百八十度逆の発想でやられておりますので、そのあたりもまた先生方いろいろな角度から研究をいただいて、いろんなアイデアをちょうだいできたらと思う次第でございます。
 もう時間がなくなりましたので、回答の方は結構でございます、どうぞ今後ともよろしくお願いします。
 ありがとうございました。
#23
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭と申します。
 きょうは本当に御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
 最初に、質問をするに当たりまして先生の何か著書はないかなと思ったところ、「講座 高齢社会の技術」という、秋山先生が何人かの方と一緒になって、これからの高齢化社会、こういうものについて技術的な面から、そして精神的な面からお書きになっておいでになりました。
 この第六巻に「移動と交通」というのがございまして、私これの最初を読ませていただいたときに、ちょっと目からうろこではございませんが、非常にわかりやすく「はじめに」というところに書いておられます。
 高齢者、これは障害者と置きかえてもいいと思いますが、外出、いわゆるモビリティー問題がこれから非常に重要になってくる。それは、「地域とつながりをもって生活する場合、モビリティはなくてはならない要素である。外出しなければ医者にもかかれない、親戚や近所のつきあいもできない、買い物もできないなど、おそらく外出なしには生活そのものが成り立たない。つまり、外出は社会生活を支えるきわめて基本的な要素で、生存権あるいは生活権といってもよい。」、こういうことを書いておいでになります。
 私は、これまで法案の審議いろいろしてきましたけれども、また勉強もさせていただきましたが、口では権利だとか人権だとかという言葉を使ってまいりましたが、こういうふうにわかりやすく書かれているものを見まして、まさにそのとおりだと思います。
 先ほどまた、先生の方からは、今回の法案はモビリティー法ではないということをおっしゃいました。民主党といたしまして、もう一歩進んだ、一気にモビリティー法まで行けないかというところまで実は勉強させていただいたんですが、今のところはこの政府案で審議をさせていただいているわけでございます、一方では多くの評価をいただいたというふうに思いますが。
 三名の先生方にお聞きしたいのは、モビリティー法までに持っていくステップ、こういうものはどういう段階を踏んだらいいのか、ここらあたりを簡単にお聞かせいただきたいというふうに思います。
#24
○参考人(秋山哲男君) 今一番弱いのがスペシャル・トランスポート・サービスというふうに考えています。それから、日本のコミュニティーバスは英国のコミュニティーバスと全く異なるコミュニティーバス、日本独自の単なるバスの延長上のレベルが日本のコミュニティーバスで、イギリスのコミュニティーバスは地域のモビリティーを確保するためにボランティアでやっているレベルの話です。そういう意味で、バスよりタクシーの方向あるいは個別輸送の方向についてのまず第一ステップは、これに対して政府が一定の方向を出すべきだろうと思います。
 そのために、イギリス、アメリカ、カナダはいずれも福祉・保健・医療系のスペシャル・トランスポートが極めて充実しています。この点に関して日本がなぜ充実していないのか、これについて研究をこれからしようというそういう段階です。
 したがって、研究が進んでいなかったために、今回の法案もそうですけれども、進まないという部分がまずあるだろう。そういう意味では、具体的にスペシャル・トランスポートに対する国際比較と国内比較をきちっとやるべきだろうというのが一点あります。
 二点目としては、日本で今実態として動いているスペシャル・トランスポートが、どこをどのように押せばどういう形になるのか、あるいは業界としてやっている部分とのすみ分けをどうするか、このあたりを明快に一つの方向性をやはり運輸と厚生が一緒になってちゃんとやらないといけない時期だろう。そういう意味では、交通バリアフリー法の中で厚生省が抜けたのでモビリティーが抜けたんじゃないかというふうに思っています。ドア・ツー・ドアサービスというのは厚生省抜きに語れないんですね。
 それから、都心部あるいはさまざまな行き先でいろいろ移動の手段を出すことも大切ですけれども、野村先生が社会参加とおっしゃったんですが、高齢者の社会参加に対してイギリスの努力はやはり見事なものだろう。
 その一つの例ですけれども、エイジングコンサーンという団体といいますか、高齢者が都心に行ってそこで時間を過ごす、そういう場所がちゃんとつくられている。それから、都心部で買い物ができるように、本当に全天候型のショッピングセンターでは電動三輪を貸し出してボランティアでやることを自治体がかなり頑張って、二百二十カ所以上、ショップモビリティーと呼んでいますけれども、ただしこれはイギリスにしかない。日本にはほんのわずか出ている。でも、余り発展性がないだろうとは思うんです。それは外的条件が全く違うからということになります。そういう意味で、スペシャル・トランスポートについてのまず切り開きをやることが一点。
 それから二点目は、地方都市に関するモビリティー計画をやることが必要だろう。その場合には、自動車を含む自家用車をいかに、自家用車というのはマイカーですから、マイカーをアワカー、我々の車に変えていく。マイカーをアワカーに変えていくとか、あるいはタクシーを相乗りにしていくとか、さまざまな方策をもう少し明快にすべきだろう。
 したがって、都市部と地方部の両方のモビリティーを考える場合には、特にその二点を重点に考える必要があるだろう。これを補完すればかなりモビリティー法に近づくだろうというふうに思います。
 以上でございます。
#25
○参考人(白石真澄君) 秋山先生とは違った角度でお話をしたいと思います。
 地域の中で自由に買い物をしたり学んだり遊んだりする、そこに行くためにモビリティーを保障していくことができればどんなにかすばらしいと思うわけです。少し遠回りではございますが、そういった自由を保障していくためにはどう施設配置をしていくかということが前提にあると思います。
 当初申し上げましたように、人口減少社会が来ますと、介護効率を上げる上でも中心部に集まって住む、それが結果的に環境に優しい社会になるということでございますから、都市計画の中で交通をどう位置づけていくか、公共交通機関をどこを利用し、そこで不足する部分は、先ほど秋山先生がおっしゃったように個別輸送サービスで対応するのか、コミュニティーバスで対応するのかと。都市計画、施設計画とセットでなければモビリティーの確保はできないというふうに思います。
#26
○参考人(野村歡君) 私もちょっと違った視点でお話をいたします。
 私のメモの一ページ目の三番にその移動の問題が少し書いてありますが、実は移動というのは、一番身近なところ、原点はベッドでの寝返りというところから始まるというのが大体福祉関係者それから私ども研究者の原点でございます。それから、家の中を移動する、あるいは地域を移動する、あるいは駅まで移動する、それから鉄道、飛行機、宇宙船と、移動の方法によって、目的によって移動手段はいろいろと変わるわけですね。
 それで、今回のこの法律はどちらかというとバスということで、それ以上の交通機関を考えているわけですが、生活ということを本当に支えるためには、やはり我々がふだん使っている自転車の距離の部分というのはなかなか障害者や高齢者の人は移動しにくいんです。何かそういうきめの細かさの部分をきっちりと、すなわち家を一歩出てから道路を歩く、それからこういう交通機関、特に駅に至るまでの部分をきっちりと考えて詰めていくことが本当にその人の生活を支えることになる、それが多分モビリティーという問題につながってくるのではないかというのが私の考え方です。
#27
○谷林正昭君 ありがとうございました。
 まさに将来はそういうところまで考えていかなきゃならないと思いますし、先ほど四省庁の評価をされましたけれども、もう本当はここで厚生省が入って五省庁になれば一番よかったんじゃないかなというふうに私も思っております。
 そこで次に、これは法律に欠けているとは思いませんが、現実的な問題として視覚障害者の方々の非常に深刻な悩みを少しお話しさせていただいて、アイデアがあれば聞かせていただきたいというふうに思います。
 というのは、視覚障害者の方々が、駅のホームまでは何とか行ける、問題は、駅のホームでの混雑だとかいろんな状況の中で線路に転落をしてしまう、こういう事故が非常に多いというふうに視覚障害者の方々からお聞きいたしました。多い人では七回もそういう目に遭っている。五回の人、三回の人、非常に多い人たちがいて、百七名の方のアンケートを私はいただいたんです。
 こういう事故を何とか防ぎたいというふうに思いますし、こういう法律の審議をするときに考えなきゃならないのではないかなというふうに思いますので、秋山先生にはそこらあたりの技術的なお話があれば聞かせていただきたいと思いますし、あるいは先ほど白石先生からの心理面のバリアフリーというようなことにもかかわってくるんではないかな、あるいはバリアフリー社会の学校教育に対する取り組み方、こういうものにもかかわってくるんではないかなと思います。
 時間がございませんで恐縮でございますが、簡単にひとつ三名の先生方にお聞かせいただきたいというふうに思います。
#28
○参考人(秋山哲男君) 非常に難しい課題で、技術的な問題では、歩行者に対するITS技術を視覚障害者に、駅のホームに考えて、そういったことで適用する技術を開発することが一点として考えられます。二点目は、技術的には簡易ホームドアという考え方もありますが、これをやる場合には現在の鉄道の運行もかなり厳しくなったりいろいろの制約条件がございますので、これはかなり難しいレベルの話かなと、全部やるには。それが二点目です。三点目は、接遇なり人の介助によって頑張る。
 この三点の方式が考えられて、どれが一番よろしいかという問題ではなくて、トータルで問題を解いていった方がよろしいのかなというふうに思います。
 以上でございます。
#29
○参考人(白石真澄君) 私も、秋山先生がおっしゃいましたようにまずホームドア、さらには車両の連結部にパネルをつけて扉と混同しないようにするという点、それができないのであれば誘導ブロックをきちんと敷設していくという点でございます。
 教育においては、最近バリアフリーとか障害者を理解するための子供の絵本等もかなりいいものが出ております。そういったものを通じて、視覚障害者に対してどのように声かけをすればいいのか、どういうことをお手伝いでき得るのかということを広く社会の人が認識していく必要があると思います。
#30
○参考人(野村歡君) 視覚障害者のお話で、実は、こういう駅のホームの転落等視覚障害者の生活安全を研究されておられた、国立身体障害者リハビリテーションセンターの視覚障害者の研究室長がおられました。実はその方は都内のあるホームで転落をいたしまして亡くなりました。すなわち、専門家であっても実はそういう事故に見舞われるということです。
 何を言いたいかというと、実はいろいろなことをハードで考えても、やはり事故が起こるときには勘違いという、すなわち自分はよく熟知をしているんだけれどもたまたま勘違いをしているときにそういう事故に遭って亡くなるということが多いのです。
 ただ、この勘違いというのは我々の世界からなくせないものですから、そうしたらどうしたらいいかということは、先ほど秋山先生がおっしゃられた、あるいは白石さんがおっしゃったようなホームドアであるとかあるいは人的対応であるとか、これは非常に重要だと思いますが、私はもう一つ大事なことは、ホームから転落しても安全で避難ができるということ。
 例えば、ホームの下に逃げられるような場所、よく新幹線の駅を見ますと皆さん下から出てきますね、ああいう人が歩ける、あるいは電車が来たときに逃げられるようなスペースをつくっておくということで、まず命はかなり担保できるのではないか。そういうことを逆に視覚障害者の皆さんによく周知徹底をするということ。そういう意味で、私は人的対応ということを含めてお話をしたいと思います。
#31
○谷林正昭君 最後に、私の持ち時間はもう二分しかないので、STSについて簡単に、一言で言えばSTSをどうやったら日本に定着できるか。これは難しいと思いますけれども、ヒントを教えていただきたいと思います。
#32
○参考人(秋山哲男君) STSは既にかなり定着しているんですが、それが拡大するという意味でとらえるのならば、財政的措置と法律的措置の二点でございます。
#33
○参考人(白石真澄君) 私も、車両のコストの低減化を含めて財政的支援が非常に重要だと思います。
#34
○参考人(野村歡君) 余り適切な答えではありませんが、例えば、養護学校に通う子供たちがバスに乗っておられますね、あれは実は、余り大きな声で言えないんですが、文部省あるいは教育庁の管轄であって、あのバスは昼間は何もしていないと言ったら言い過ぎですが、ただとまっているんですね。そういうバスをやっぱりコミュニティーというものの中で、先ほどお話がありましたけれども、あるときは皆さんを運ぶ、あるときには高齢者、障害者を病院に、通学に使う、あるときにはそういうような形でと、要するに行政を乗り越えた形で効率的にそういうものを使う方策を考えていくということが私は非常に重要だと思っています。
#35
○谷林正昭君 終わります。
 ありがとうございました。
#36
○弘友和夫君 公明党・改革クラブの弘友でございます。
 三人の参考人の先生方には大変お忙しいところ、また貴重な御意見を聞かせていただきまして、ありがとうございます。
 三人の先生方は、今回の法律は非常にお三人とも評価をいただいていると、四省庁共管にもなって省庁間の垣根が取り払われた、そしてまた市町村が基本計画を立てることによって地域というものが見えてきているんじゃないかと。私もそういうふうに思っておりますけれども、ただ、この法案は第一歩だと皆さんおっしゃっておられる。私もそう思うんです。
 それで、先ほど来御意見のございましたアメリカのADA法では、障害者の方とか高齢者の方が社会に参加をしないということは国家の損失だというふうに書かれております。また、ある本では、スウェーデンの政府の高官の方が、身体障害者の方はもうハンディキャプトと呼ばないんだ、もしそう呼ばれるんだったらそれは政府の責任だと、こういうふうにも書かれております。
 この法案とアメリカのADA法なりのそういう法律と、考え方というか哲学がちょっと違うんじゃないかなというふうに思いますので、お三人の先生方にそこら辺のことについてまずお一人ずつお聞きしたい。今の法案で足りない考え方なり哲学というか、そういうものもあるのかということで、よろしくお願いいたします。
#37
○参考人(秋山哲男君) 非常に難しい質問で、簡単に言いますと、先ほど僕はモビリティー法ではないと言ったところがあるんですが、アメリカはモビリティー法をちゃんと含んでいるのではないか。アメリカの場合には、やはり一般の人と障害を持つ人、だれもが同じ土俵で戦えるというところにポイントがあるんだろう、そのために法案の整備が行われている。日本はまだそこまでは行っていない。いわゆる人権がかなり入っているということですね、この点がアメリカの場合のポイントだろうと思います。
 以上でございます。
#38
○参考人(白石真澄君) 私も、秋山先生がおっしゃいましたように、ADAの根底にある考え方というのは人権を守るということだと思います。さらに、すべての場所での障害を持つ人の差別を禁止するという包括的な法律であります。これが日本との大きな違いだと思います。
#39
○参考人(野村歡君) 私の研究の姿勢を端的に申し上げますと、高齢者、障害者に対するこういう法律の考え方、これは福祉ではない、日本は福祉でとらえていますけれども。すなわち、福祉というとらえ方をするとどうしても経済的なものに左右をされがちでありますが、私は基本的人権を守ると。そうすれば、経済的な要因に左右されることなく一番先にやらなければいけない問題であるというとらえ方をしております。
#40
○弘友和夫君 秋山参考人にお伺いしますけれども、参考人はユニバーサルデザインのことについて書かれているものがございますが、このユニバーサルデザインというのは社会をつくりかえる哲学だ、こうも言われている。日本ではこのユニバーサルデザインという考え方が今まで相当おくれているというかほとんどないというか、それは国民性なのか行政が悪いのか、いろいろございますけれども、そこら辺について必要性等も含めましてお聞きしたいと思います。
#41
○参考人(秋山哲男君) ユニバーサルデザインとバリアフリーデザインとよく引き合いに出されるんですけれども、確かにユニバーサルデザインは早々とアメリカ等で使われてきたということがあります。
 九〇年代から私も認識したんですが、私自身は今、都市のユニバーサルデザインとは何かというのを建設省の都市局の人と一生懸命勉強会をやっております。そこでの問題は、まず今まで個々にある法律をどうやって束ねていったらよろしいのか、その辺がかなりポイントとして感じています。
 それから、ユニバーサルデザインはプロセスでございますから、人の考え方をどのように変えていくかという、そういったことも考えております。
 それから、都市を、今まで我々は分散型でつくってきたものを、もう少しモビリティーがしやすい、公共交通が使いやすい都市空間としてコンパクトな都市をつくっていく。このためにやはり住民参加をかなりやっていかないといけないだろう。住民の合意が得られた結果としていい都市がつくられていく、そういったことをユニバーサルデザインではかなり考えていこうというふうに思っております。
 ただ、工業系あるいは建築系の方々が今ユニバーサルデザインは最先端を行っておりまして、シャンプーとかリンスのぎざぎざをというレベルの話から、都市にユニバーサルデザインをどう考えていったらいいか。簡単に申し上げますと、バリアフリーだけで考えると、今までは障害を持つ人がとにかく歩けないのでそこを歩けるようにしようとしてスロープをつくったんですが、これからは障害を持つ人もすべての人も一緒に使える道路空間をつくる。
 そのためには何をどのように考えていかなければならないか。段差をとにかく十二分の一から二十分の一に切り下げの勾配を考えてきたのが、ユニバーサルデザインだとそれはあくまで過渡的なレベルである、それをとにかくゼロ%に究極的に持っていくにはどうしたらいいかということを絶えず考えていく。だから、都市の更新の技術でユニバーサルデザインというのはあり得るんだろう、より快適に、よりみんなが歩きやすい、そういったところがユニバーサルデザインというふうに思っております。
#42
○弘友和夫君 白石参考人、タウンモビリティーの効果といいますか、これは建設省が平成八年度から実験を行って一定の効果があったと、こういうふうに聞いているんですけれども、今後の道づくりとか町づくり、地域の環境整備という意味で大いに波動を起こしていくんじゃないかなというふうに思っておりますが、商店街の活性化にもつながるというタウンモビリティーについて参考人のお考えをお聞きしたいと思います。
#43
○参考人(白石真澄君) タウンモビリティーにつきましては、九八年度から建設省が四地域で実施をいたしました。そこで、短期間ではございましたが一定の効果が認められまして、昨年度調査をしたところでも全国で数十地域このタウンモビリティーの取り組みをしております。
 これについては、商店街側そしてボランティア側そして市民側といろいろ負担せねばいけないコスト、人的パワーがあるわけでございますが、最終的には中心市街地ないし商店街に人を呼び込むことに成功している。三十平米程度のスペースがあって、そこに車いすや電動三輪を置けるようなスペースがあって、ほとんど事務職員を一人置くだけであとすべてボランティアで運営できる。割と簡便な仕掛けと申しますか、それで町の活性化が図れるということで今いろいろ各地で取り組みが行われております。
 具体的にその経済的効果については今どこも試算しておりませんので、今後検証が必要ではないかなというふうに思います。
#44
○参考人(秋山哲男君) ちょっと今の点で補足させていただきます。
 私は、なぜイギリスにショップモビリティー、日本語でタウンモビリティーと翻訳していますが、イギリスだけにあれだけ、二百二十以上もできてきたのか。これは一九七八年、ミルトンキーンズという大規模な長さ一キロになるショッピングセンター、その中に商店街がずっと並んでいる、一キロも歩くのは大変なので、そこで電動三輪を導入したというのが始まりなんですね。建設省でやられているのは、どうもショップモビリティーを導入しているんですが、まず送迎の足、スペシャル・トランスポートが全然ないところでやられている。
 それから、ソーシャルカースキーム、コミュニティーカースキームですけれども、自動車で相乗りして都心部に行くのに実費でお金を払ってもいいと法律で許されているんですね。ですから、自動車で送迎されている裕福な高齢者が結構そこには来ている。それから、ボランティアでやっているミニバスで送迎している部分もできている。
 そういう意味で、大規模なショッピングセンターが必要で、全天候型のショッピングセンターが必要であって、最もボランティアが発達しているイギリスのカムデンというところではこれから始めようと。それから、市町村が税金を使うのに、電動三輪だったら五十万ぐらいで、日本だと半額ぐらいなんですが、五十万円ぐらいで安いので制度的にやりやすいという点が二点。それから、ボランティアがかなりイギリスは土壌がある。こういったところで成り立っています。
 そういう意味で、日本で果たしてこれから頑張れるかというと、まずスペシャル・トランスポートがない、それから全天候型の商店街ではない、それから路線商店といっても狭い歩道の中で電動三輪がなかなか使いにくい。こういったことを考えたときに、かなり難航しますけれども、やる方向ではあるんですけれどもイギリスほど発達しないだろう。
 イギリスはショッピングセンターが千三百ぐらいあって、そのうち七百六十ぐらいはもう少し大き目の電動カートぐらいを走らせる空間になっています。そして、私が今回訪ねたのは、ミルトンキーンズとそれからマンチェスター、サットン、いずれの都市も大ショッピングセンターが結構あるんですね。そういったところで成り立っているということです。
 ですから視点を、計画者側の視点と利用者側、商店経営側の視点といろいろありますので、総合して考えていただきたい。現在の今までの日本の風潮は商店街側の視点で物を考えていますので、もう少しプランニング型に。
 それから、電動車いすについては、イギリスは支給制度が極めて限定されていますので、個人で買うには日本の二倍以上しますので、だから成り立つかもしれない。逆に、日本だと電動三輪を買ってしまうということで、そういう意味で成り立つ要素がなかなか厳しい条件にあるというところが私の感じです。
 以上です。
#45
○弘友和夫君 今のお話をお聞きしましたら、日本では四省庁だけじゃなくて、例えば通産省が商店街をどうしていくのかということにも関連して一緒にやっていくとか、先ほどの厚生省、個人の自動車で送り迎えをしたら今は介護でもその対象になっていないという現実がございます、道路運送法とかなんとかにひっかかって云々とかいう。だから、厚生省も通産省も入っていかないといけないわけですけれども、そうなってくると、反対に各市町村でどういう町づくりをしていくかという視点、そこから出発していろいろな省庁が入ってこないといけないというふうに思うんです。
 今回、この法案は第一歩ですけれども、現場からというか、市町村から出発しないといけないと思いますけれども、お三人の先生方のちょっと御意見をお聞きしたいと思います。
#46
○参考人(秋山哲男君) 市町村についてはアメリカのリバブルコミュニティーというものがかなり参考になると思うんですが、市町村よりそれ以前に住民が発動して、例えばある空き地を交通広場に変えたり、あるいはバス計画に、ホップ、スキップ、ジャンプという三つのタイプのバスをちゃんと計画するのに住民がかなり協力してたくさん乗るように計画をしているとか、そういったところがアメリカにはかなり出てきています。
 リバブルコミュニティーというのは、生き生きした都市をつくるために交通をどうやって住民で支えていくかというそういった発想が随分出てきていますので、このあたりをかなり参考にするとよろしいかなというふうに思います。
 以上でございます。
#47
○参考人(白石真澄君) 今交通に関する社会実験等が各地で始まっております。この社会実験というのは、一定の効果を明らかにしていく過程を通じて住民の意見を吸い上げ、今後町が目指すべき方向性の合意を得るためのプロセスです。市町村からスタートする、住民の一番声の近いところからこういった計画をつくっていくことが重要ではないかなと思いますが、その中では社会実験を通して合意形成をするということが有効ではないかなと思います。
#48
○参考人(野村歡君) お答えする前に、タウンモビリティーについての私の感想をちょっと申し上げてよろしいでしょうか。
 実は、東京では多摩ニュータウンにこれがございます。私ども、商店街の皆さんあるいは住民の皆さんにアンケートをしたところ、意外と住民の皆さんがよく御存じないということで、余り私どもの調査では利用率が高くなかったんです。
 実は、私どもの調査はそれだけでは終わりませんで、もう一方、巣鴨のとげぬき地蔵、そういうことをしていないというか、あの昔ながらの町は大変ある意味でにぎわいがある、その差は一体何だろうということに注目いたしました。あるいは、商店街の活性化という意味では東京近辺では足立区に東和町というのがありまして、ここの町会長さんは大変アイデアを豊富にお持ちになっている。そういう意味で、私はかなり、先ほどから申し上げているように、それぞれのアイデアといいますか、これが非常に重要だと思うんです。
 それにつなげて先ほどの市町村の町づくりというお話をいたしますが、建設省で、昭和六十年代の初めだったと思いますが、地域高齢者住宅計画というのをやりました。これは、それぞれの地域の特性、いわゆる気候、風土、人口あるいは世代構成、住宅規模・構造、そういうものを見ながら実は町づくりをする。大きく見るとかなり似通っているんですが、細かい部分でやっぱりそれぞれの地域の特性ということを読み込んだ計画をつくっているわけです。そういう意味で私は、おっしゃられたようにそれぞれの独自性というものを発揮できる可能性があると思います。
 ただ、ベースはやはり国の一つの方針があって、そして市町村のそれぞれの独自の計画であっても、本当は鉄道事業者として統一の考え方ができてくれば一番いいのかなというふうに思います。
#49
○弘友和夫君 終わります。
#50
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。
 本日は御出席をいただきましてまことにありがとうございます。
 早速質問をさせていただきます。
 我が党は、既に一九九三年の十月二十六日に参議院の運輸委員会において、当時の高崎裕子議員がこういう交通施設バリアフリー化のための法制化を要求いたしました。それ以来一貫して求めてまいりましたけれども、政府が今回いわゆるこのバリアフリー法を提出されたことを一歩前進だと、こう受けとめております。同時に、この法案をより一層よいものにしていきたいと、私どもも衆議院に続き参議院でも修正案の提案を予定しているところでございます。
 まず、そこでお伺いしたいんですけれども、法案の根本にかかわることとして、高齢者、障害者等すべての人の移動の自由をやはり権利として保障することが大切ではないかと思います。そして、障害者というふうに言った場合に、身体障害者だけでなく精神障害者あるいは知的障害者も当然含むものにすべきではないかと、そう思うわけです。その点で、この法案がまだ弱いのではなかろうかと考えておりますが、まず野村参考人にお伺いをしたい。
 野村参考人は、先ほど、基本的人権であるということもお述べになりました。また、移動は生活の原点であるということもお触れになりましたし、あるいは障害者基本法第二十二条にもお触れになっておられます。この移動の権利を基本的人権と位置づけるという点、また、知的、精神的障害者も含めるべきという点、いかがお考えでしょうか。
#51
○参考人(野村歡君) 御発言の趣旨は全く賛成でございます。
 ただし、技術的にこれを法案にどのように入れるかという、その具体的な記述がどこまでできるかという面で、私はまだ、私どもの責任ですが、研究が十分でないというふうに思っております。
 先ほど白石参考人から、例えばわかりやすい空間というのもございます。今のあちこちにできているターミナルビルといいますか、これはなかなか高齢者の人には規模が大きくなり過ぎたものでわかりにくいという点がございます。そういう意味で、わかりやすさ。
 それから、私どもが通常言っているのは、知的障害者の皆さんでも、例えば駅名を平仮名だったら読めるよと、それで実際に京浜急行のある駅では平仮名で表示をしているという事例もございます。
 ということで、できることからやっていくということは非常に重要なことですが、ただ、これを制度的にまとめるまでにちょっと申しわけないけれども私どもの研究が不十分であるということを反省したいと思います。
 趣旨はよくわかりました。
#52
○宮本岳志君 もちろん検討の必要なものというのはたくさんあると思うんですね。しかし、今日のおくれということを考えたときに、私たちは高らかに宣言をするといいますか、そういうことも含めて、やっぱり基本的にはすべて権利として保障していくという考えが非常に大事ではなかろうかと考えるわけです。
 先ほど秋山参考人もモビリティーのおくれということに触れられて、これはアメリカとの違いがやっぱり人権ということにあろうかという御指摘がございました。それで、もちろんそれを取り戻し、進めていく上で、やはりこの人権という考えをはっきりさせることが大切ではなかろうかと思うんですが、この点、秋山参考人、いかがでしょうか。
#53
○参考人(秋山哲男君) カナダとアメリカを対比して見たときに、カナダは八〇年前後ぐらいに人権法をつくっているんですね。逆にこういった交通バリアフリー法みたいな、ADAみたいのをつくろうとしたんですが、オンタリオ州でつくろうとしたんですが、それはやめたと。というのは、住民ともっとネゴシエーションをしてその中でやっていくのがカナダの姿勢だということで、人権法をベースとして人権の権利としてはちゃんと位置づけているんですが、交通についてはそういう形では展開しなかった。
 だから、バリアフリー法の中に人権法的な意味を入れるのがいいのか、別のところでちゃんと人権法を入れるのがいいのか、どっちがいいか私は今はわかりません。そういう意味では、なぜカナダのオンタリオ州ではやめたのかという原因を探りたいんですが、残念ながらちょっと行くチャンスがなくて今のところペンディングにしています。そういったところが私の現在の感想です。
#54
○宮本岳志君 次に、我が党は、個々の障害者にとって移動ができるかできないかというのは時には命にかかわる重大問題であり、新設や既設の区別や乗降客数の多少にかかわらず、すべての施設を対象にすべきではないかと考えています。だからといって、もちろん全部を一度にやれないわけで、優先順序をつけて取り組むのは当然です。しかし、優先順序をつけて取り組むにしても、最終的には区別なくすべてをやる、これが基本だと思うんです。
 この点について、野村参考人は、災害発生時の高齢者や障害者の避難誘導等の救援体制などにも問題意識をお持ちのようですし、基本的人権というふうにも先ほどお述べになりました。この点、区別なくすべてやって当然という考えについて、どういう御意見かということをお聞かせいただきたいと思います。
#55
○参考人(野村歡君) 生活環境の整備のゴールとしては、まさしくおっしゃられたとおりだというふうに私は認識しております。
 ただ、そこに行くまでの過程として、通常の状況で交通機関が運行されている、このときに余り問題はないんだけれども、非日常、すなわちアンユージュアルと私ども言っておりますが、例えばふだん三番線に着く電車が今度は隣のホームの五番線に出た、こういうときの情報キャッチというものは実は障害者の方は大変困っておられるんですね。そんなことも含めて、私どもは非日常時の問題をもっと意識をしたいというふうに思っております。
#56
○宮本岳志君 白石参考人も、先ほどの意見陳述の中で、一度には無理でも事業者の計画をぜひ自主的に持って進めてほしいというふうにお触れになりましたけれども、御意見はいかがでしょうか。
#57
○参考人(白石真澄君) 既設の駅をレベルにかかわらずすべてバリアフリー化というのは、財政上の問題から現時点では非常に難しい問題があるというふうに思います。しかし、各事業者の方が、どこにどういう問題があるのか、それは人的介助で賄えないものか、補うことができないのか、ここは使えないという情報提供をすることによって新設の駅に回っていくことはできないだろうかと、例えばハードでできない部分をほかの手段で実現していく方法もあると思います。
 そういった意味でも、ぜひ既設の駅の点検をし、中長期的な、今は無理であっても例えば十年後にここを改造したいという目標をつくっていただけるよう努力をお願いしたいと思います。
#58
○宮本岳志君 整備を進めていく上で、当事者の参加と意見の反映というのはかぎを握る問題だと思います。
 白石参考人は、「すべての人にやさしい交通をめざして」と題する対談で阪急伊丹駅を取り上げておられますし、さまざまなユーザー側の視点について触れておられます。また、本日の御意見でもこの点お触れになったように思います。
 また、秋山参考人はイギリスの例、二分の一の障害者委員の参加を規定したDPTACについて触れられました。
 この当事者参加という点、白石参考人、それから秋山参考人、いかがでしょうか。
#59
○参考人(秋山哲男君) やはりイギリスでは当事者参加を経過して十五年たっているわけですけれども、その間にさまざまなレポートが積み重なってきました。その結果としてイギリスの法律、制度がつくられてきたという経緯もございますし、当事者参加というのは、例えば行政マンが計画したところをもう少しきめ細かく一つの方向性を導くものだろうというふうに私は理解しています。したがって、当事者参加については、可能な限りというよりは、むしろ今後は重要な事項ですのでぜひやるべきだろうというふうに考えています。
 以上でございます。
#60
○参考人(白石真澄君) 私も、秋山先生がおっしゃいましたように当事者参加というのはぜひとも必要であると思います。しかし、いろいろ市町村で今行われている取り組みを拝見しますと、当事者の個別性が余りにも強く、意見がぶつかり合うことも多い、そういったところを調整できるようなコーディネーターの存在が必要ではないかなと思います。
 以上です。
#61
○宮本岳志君 済みません、じゃ野村参考人もあわせて、恐れ入ります。
#62
○参考人(野村歡君) 私は、当事者参加はもういわば当たり前ということで発言をいたしませんでした。
 東京都の福祉のまちづくり推進協議会でもその話が出ておりますが、これはもう文書の中に実は明文化をされております。私は、できる限りというよりかは、大きな建築物をやるときにはもう事前にこういうものをやっていく、ある程度進んでから意見を聞きましょうという話はよくあるんですが、実はベースのベースのところでこういう話をやっぱりやるべきではないかというふうに思っております。
#63
○宮本岳志君 次に、スペシャル・トランスポート・サービスについてお伺いします。
 交通機関や施設のバリアフリー化が進んでも、そこまでどのようにして行くのかということが問題だと思います。我が党はこのSTSについても早急な法制化を行うべきだと提案をさせていただいておるわけですけれども、まず秋山参考人は、「高齢者・障害者交通の新しい潮流」という論文でこの点に触れられて、特にこれがおくれているというふうにおっしゃっておりますし、本日もその点について触れられました。
 まず、このSTSの保障という点で、先ほど来の質問ともダブるかと思いますけれども、どうぞ御意見をお聞かせいただきたいと思います。
#64
○参考人(秋山哲男君) その前に、先ほどの障害者の参加についてちょっと補足が一つあります。
 いろいろの建築物あるいは駅舎、道路を改善していくときに、障害者の参加ということも大切ですけれども、もう少し大事な点は、障害者の意見や行政の意見をきちっと見渡せる、イギリスでは都市計画などにインスペクターという制度があるんですが、そういった人を育てることが一点、それから二つ目は、アクセスに対しての専門家が欠如していますので、アクセスアドバイザーの専門家を育てる、こういったことが決定的に欠けている。
 ですから、障害を持つ人の参加をさらに補強するためにはこういう二つぐらいのタイプの人が日本の中に相当いないと、実質的にずさんな計画とかずさんな実施があちこちでできてくるんじゃないかというふうに思います。
 それで、STSの保障ですけれども、先ほどお答えしたことばかりなんですが、やはり一般的なバスやタクシーというのがございまして、バスは特に徐々にスペシャル・トランスポートの方に近づいていっていますし、それからタクシーは逆にバスの方に近づいてきているし、かつスペシャル・トランスポート型に行っています。
 選択としては、ロンドン型のユニバーサルデザイン型のスロープつきタクシーというのも一つの案でありますし、それに、ロンドンではそういうものも運行していますし、運輸省のダイヤル・ア・ライドという運輸省バージョンのドア・ツー・ドア・サービスも運行しています。タクシーに乗るについてはそれの補助制度もちゃんとしています。そして、かつボランティアでやっているコミュニティートランスポートも存在し、それから病院の送迎にはアンビュランスも存在し、多面的にやっている。イギリスのロンドンの例だけでもそうですね。
 こういったところを日本で多面的にやるためにはどうしたらいいかということで、十月の二十日前後ぐらいにイギリスのアンビュランスサービスとコミュニティートランスポートの人を呼んで土木学会あるいは日本財団主催でセミナーを開いて、ぜひ厚生省の方々、あるいはさまざまな行政の方々に勉強していただきたいというふうに思っております。
#65
○宮本岳志君 野村参考人にも御意見を。
#66
○参考人(野村歡君) 大変恐縮ですが、私がこういう研究を始めたころ、もう三十五年ぐらい前になりますが、交通問題それから建築問題、雇用の問題、あらゆる方面で研究をしてまいりましたが、その後に秋山さんという大変優秀な方が出てまいりましたので、私はこのスペシャル・トランスポーテーション・システムはもう秋山さんにお任せをするという姿勢をとっております。
 大変恐縮ですが、答弁を控えさせていただきたいと思います。そんなに深く勉強をこの分野はしていないということでございます。恐縮でございます。
#67
○宮本岳志君 もう時間がないんですが、先ほど秋山参考人の御指摘で、都市はいいが、今回の法のスキームで地方については無力であるという御指摘もございました、私、非常に考えさせられたんですけれども。ですから、私どもはぜひこの法律をつくっていく上で地方の御意見をお伺いすべきではないかというふうにも考えております。
 その点、少し先ほどの陳述との関係で、地方に光が当たらないのではないかという御懸念についてお聞かせいただいて、質問を終わります。
#68
○参考人(秋山哲男君) バリアフリー法のかなりの目的が多分都市の交通機関を中心としていますので、地方の交通については、バスを含む、スペシャル・トランスポートを含む、あるいは自動車を含む新しい考え方を提案しないといけないだろう。
 というのは、規制緩和がバスがこれから起こりますので、バスをどういうふうに使っていくか、あるいは住民参加で地方の人がどれだけ自分たちがお金を負担していくか、このあたりをかなりひもといていかないと難しい領域になりますので、簡単に法律でアプローチすることはなかなか難しいだろうと。一定程度の実践を経た上で何らかの制度的な保障というのは必要だろうと思いますが、そのあたりが今回地方は光が当たらなかったというふうに考えております。
#69
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 本日は、三人の参考人の方、どうも御苦労さまでございます。
 まず、三名の方に御質問をしたいわけですが、やはり近代的な社会生活を送る上で衣食住プラス交通というのは大変私は重要な問題であるし、考えなければならない基本的な要素であろう、こういうふうに思います。
 今までの先生方の御意見を聞きながら思ったことでありますけれども、この法案はやっぱり交通にとっては一歩大きな前進ではないかというふうに思います。不十分さはなおお話の中からお伺いしてわかるわけでございますけれども、大きな一歩前進と。
 そこで、いわゆる今言われました生活権だとか人権だとかをどう具体的に保障し守っていくのか。言うならば、いつでもどこでもだれでも自由に移動できる権利の保障というものをどうしていくかということが最も重要ではないかというふうに思います。そのときに、我が国の憲法で一体どこら辺をよりどころにすればいいのかといえば、憲法十三条の幸福権の追求のところ、それから憲法二十二条の移動の自由、居住の自由のところ、そして二十五条の福祉の権利、幸福の追求というところあたりがやはりこの交通という問題を考えていく場合に憲法上の根拠になるのではないかというふうに実は思っているところです。
 私は、これから先の新しい時代における交通というものを考えていく場合に、法整備をやはりきちっとしておくべきではないか、したがって、一つは交通憲章というものも我が国はつくっていくべきではないか、こういうふうに思っています。その上に立って、やはりいつでもだれでもどこでも自由に移動できる保障というものを考えていく交通基本権というようなもの、交通基本法と言ってもいいと思いますけれども、そういうものをつくって、交通に対するといいましょうか、だれでもに対する移動の自由の保障ということをやはり考えていくべきではないか。
 環境には環境基本法、教育には教育基本法というのがあるように、交通においても交通憲章からさらに発展させて交通基本法というものを制定すべきではないかというふうに私ども考えているわけです。
 したがって、人権や生活権と同様に交通権に対する保障というものをどうしていくのか、三先生方、どうお考えなのかお伺いをしたいと思います。
#70
○参考人(秋山哲男君) フランスで交通権という法律をつくっていますけれども、やはり裏側に財政基盤を用意するというような部分がございます、九人以上の事業者は交通税を出しなさいと。やはり何らかの財政的基盤と一体化した形でやらないとうまく作動しないんじゃないだろうかという議論がございます。
 それで私自身は、もし交通権、いつでもどこでも自由に移動できるというのは、一定程度の都市の領域のこの中だったら自由に移動できるように保障しましょう、あるいはその外側については、全部は保障できないけれどもこの病院の送迎は保障しましょうとか、さらに外側に住んでいる人は、そこはサービスをしない地域ですよというような、そういう明確な土地利用との関係をつけておかないと、財政支出、税金がとんでもない額になるんじゃないかというふうに思っています。
 したがって、そのあたりの現実的な部分との相談の上、こういう法律をつくるというのでしたら話はわかると思います。
 以上でございます。
#71
○参考人(白石真澄君) 憲法の専門家ではございませんのでどこまでお答えできるか不確かでございますけれども、交通憲章ないし交通基本法をつくり、強制力を持った形、罰則をつけて人権を規定していくのか、それとも今進んでいるように緩やかな、交通バリアフリー法案という緩やかな精神規定で日本の社会の中にバリアフリーを浸透させ、さらに民間企業を活用した市場開拓、市場原理でバリアフリーを推し進めるのかという、この二つのシナリオがあるように思います。
 私は、日本の風土には後者の方が合っているのではないかなというふうに考えておりましたが、渕上委員がおっしゃる交通基本法と現在のバリアフリー法案の違いというのは、人権規定が盛り込まれているか否かの違いでございますか。何が違いますか。人権が盛り込まれているということでございますか。
#72
○渕上貞雄君 交通を考えていく場合に、言われましたようにアクセスの問題、モビリティーの問題、バリアフリーの問題と、それぞれありますね。しかし、やはり交通というものを、基本的な移動する権利ということをきちっと確立しておく、その上に立って今言われましたように予算上の裏づけだとかそういうものをきちっとやっていく、その基本になる法律というものをやはり我が国も制定する必要があるのではないか、こういうふうに考えるべきではないかと思うんですがいかがでしょうかと、こういう御質問なわけです。
#73
○参考人(白石真澄君) 最終目標はそういうところに置いてもいいのではないかなと思いますが、人権ということが日本の中ではいろいろ論じられておりますが、これを交通の面においてどのように具体的に進めていくのか、どこまでを保障していくのか。これは経済的な裏づけがなくてはなかなかできないことですし、一どきに強制力を持った交通基本法の制定までは行かないと思います。その段階的な措置として、やはり緩やかな精神規定と市場原理を活用したバリアフリー法で私は推し進めていくべきではないかなと思います。
#74
○参考人(野村歡君) 先生がおっしゃっておられる交通憲章あるいは交通基本法の具体的なイメージがまだ十分できていなくて大変恐縮ですが、例えば交通問題に関する理念の統一あるいは精神規定といいますか、そういうものであるとか、あるいは倫理の問題であるとか、そういうようなことは多分これから、交通問題全般にかかわる問題ですので、これは一つできる可能性は大いにあろうかと思います。
 ただ、私は、ずっと述べておりますように、基本的にはやはり地域で生活している障害者、高齢者の生活をどのように守るかということが原点でありまして、交通事業者側から見たものではなくて、やはり生活者の視点からこういう問題をとらえていただけたらというふうに思います。
#75
○渕上貞雄君 実は、三先生方が共通点として言われている中に、そこに働いている人たちの教育ということを非常に重点的に言われておられます。
 もちろん、施設の問題、車両の問題、法律的な問題、そして人的なそういう教育の問題があると思うんですが、恐らく今出されておる職員に対する教育の問題というのは、最も社会的な問題になっているからそういうふうに言われているのか、最も業者としてそこら辺をやらないからか。それはもちろん、無人駅がどんどんできているということになりますと、どんなに教育をしたところで無人駅には人がいないわけでございまして、ではそういう職員の教育の問題をどういうふうに我々は考えればいいのか。
 今日のように機械が進んで駅がだんだん無人化になっていく、そのときにどういうような教育というものをやればいいのかというようなことをどのようにお考えなのか、考え方を一つは聞かせていただきたいと思います。
 それと、バリアフリー法案の中でやはりもう少し検討しておかなければならないことは、事故のことをどういうふうに考えるかということをもう一度、施設だけではどうにもならない、事故を防ぐためにはいわゆる人的なものというのが大変必要になってくる。介助をすることについて、そこで事故が起きた場合の事故責任みたいなものも職員は問われているわけです。
 例えば、バスに乗っていただく、急ブレーキを踏む、車内事故が起きる。そうすると、今は乗務員が処罰をされているというようなことになってくる。そうすると、一方でそういうような事故に対する職員の責任みたいなものは、施設は十分あるけれども、そういう教育も受けた上でなおかつ事故が起きた場合の職員の扱いみたいなこともやはり私は考えておかなくてはならない問題ではないかというふうに思っているわけですが、そういう現場における教育の問題についてどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。
#76
○参考人(秋山哲男君) 私は、教育とは言わず接遇と申し上げているんですけれども、接遇というのは介助も含んでいるんですが、具体的に申し上げますと、障害を持つ方あるいは高齢者の方々に対して、その人を人間として尊厳を持って対応するというのが接遇の基本線です。したがって、このことをまず知っていただくというのが極めて重要でして、昨年アメリカに接遇を目的で調査に行ってまいりました。やはりADAができている国ですから、接遇についてもかなり頑張っているという形が見えてきました。
 したがって、ここでは、やはり無人化とか機械化があるところは別として、駅員が対応できる最大限のことは接遇教育できちっとやるべきだろうというふうに私自身は思っています。それは、あらゆる障害を持つ人に対して、あるいは高齢者に対してどう対応するかの技術的な部分と人間的な部分と両方ありますので、技術的な部分は介助ですけれども、介助も、こういうふうに介助するといいですよというのがありますので、それはちゃんとやるべきだろうと思います。それを知らないでいて対応すること自体がむしろ危険性が大きいと思いますし、あるいは人間関係も悪くなりますので、まずやるべきだろう。
 それから、事故については、例えば高齢者がバスの事故に遭うのは、運転手が接遇教育を受けていない部分と不可抗力の部分、やむを得ない場合と二つあると思うんです。
 受けていないために起こる事故もある程度あるだろう。それは具体的には、高齢者が一たんいすに座るんですけれども、その座ったのはちゃんと座っていないんです。もう一回立って座り直して位置を決める。そのちゃんと座っていない段階でバスを発進させたりすると事故につながります。こういったことで、もし接遇教育をちゃんとやっていればその事故は防げるはずだ。しかし、防げない事故も依然ございますので、防げない事故についてはまた別の対応ということになります。
 以上でございます。
#77
○参考人(白石真澄君) 無人駅が多くなったという御発言でございましたが、これは交通事業者の人件費削減の観点から申して仕方がないことではないかなというふうに思います。
 しかし、こういった無人駅等におきましても、緊急時、事故があったときにどうするかというセーフティーネットを張っておく、これが命の危険を伴うような大事故につながらない。だれか緊急通報できるような、例えば中央監視センターにつなぐことができる、そういったミニマム部分の手当てを交通事業者はしておくべきではないかなというふうに思います。
 今後、無人駅についてはどう手当てをしていくか。例えば人的なパワーをどう供給していくかということが問題でございますが、私は、これは何も交通事業者でなくてもいい、見守りの目があれば、例えば地元のボランティア団体の方でも一日そこに張りついていただく、こういった活用の方法があるのではないかなと思います。
 事故が起きた場合どうするか。これも、私の会社は生命保険会社でございますのでそういった観点からのお話もあるわけでございますが、不可避なものについては今ここで議論していても仕方がないと思いますが、やはり秋山先生がおっしゃったように接遇に関する教育訓練制度、そして何か起こったときの介助システム等について日ごろから教育訓練を施すことによって事故のリスクを最小限にとどめることができるのではないかなと思います。
 以上です。
#78
○参考人(野村歡君) 実際に社会で起こる問題として、よく事業者とのトラブルがございます。これの場合、しばしば障害者のくせにとか高齢者の存在でというような言葉が出てきて、それがいたく高齢者や障害者の皆さんを刺激するということもございます。
 そういう意味で、非常に基本的な接遇研修といいますか、こういうことも重要ですし、あるいは、大変申しわけないんですが、かつてこういう高齢者、障害者に対する配慮を会社の一つの親切運動にしようと言ったところ、組合からそれは労働過重であるといったような話が出てきたことも現実にございます。ということで、私はやはり何が重要なのかということを双方が十分に理解した上で考えていくべきことではないかと思います。
 それから、何か事故が起きたときの責任の問題ですが、私は今、日本の国ではやっぱり管理者責任というものがすごく拡大解釈をされているのではないかと。やはり本当に何が悪いのかということをきっちりやって、双方に責任があるときにはきっちりそれを見きわめていく必要があるのではないかというふうに思っております。
#79
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
 終わります。
#80
○委員長(齋藤勁君) 以上で秋山参考人、白石参考人及び野村参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#81
○委員長(齋藤勁君) ただいまから交通・情報通信委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案を議題といたします。
 財団法人全国老人クラブ連合会副会長見坊和雄君、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会会長松尾榮君及び全国脊髄損傷者連合会会長妻屋明君、以上三名の参考人の方々の御出席をいただき、御意見を拝聴し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席いただき、まことにありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を承りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、見坊参考人、松尾参考人、妻屋参考人の順序でお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 また、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 なお、恐縮でございますが、時間が限られておりますので、なるべく簡潔に御発言くださるようお願い申し上げます。
 それでは、まず見坊参考人からお願いいたします。見坊参考人。
#82
○参考人(見坊和雄君) 平素の大変高齢者に対する御配慮と御尽力並びにこのような貴重な機会をいただきまして厚く御礼申し上げます。
 それでは、座ったままで失礼いたします。
 きょうの意見につきましては、お手元に資料を差し上げてございます。薄い青色の封筒に入っておりまして、一つは交通バリアフリー法案に関する意見の要旨でございます。きょうはこの要点を申し上げさせていただきます。いま一つは、今まで関係機関に要望いたしましたものの一部でございますが、二枚とじのものでございます。要望書の写しを御参考に差し上げてあります。それから、私どもが取り組んでおります生活モニター活動報告の概要を記載いたしました機関誌「全老連」を差し上げてございます。
 それでは、意見要旨に従いまして要点のみ申し上げさせていただきます。
 まず、私ども高齢者といいましても、大半の現在の高齢者は戦前の大変貧しい生活を体験いたしまして、そして戦争を経験いたしました。戦後は荒廃の中から経済復興に努力いたしまして、今日、大変恵まれた、私ども想像もできないような豊かな今日の日本に生活しておりますことを大変幸せに存じておるものでございます。
 それにいたしましても、最近の少子化と高齢化、この中におきまして激増する高齢者、我々自身といったものがいかにあるべきかということが私どもにとりましてもやはり一番の課題でありまして、その目標といたしましては、自立と社会参加、これをキーワードにいたしまして努力をいたしております。自立は、日常生活における自立をまずすること、そしていま一つは、社会活動に自由に参加する、そうして二十一世紀社会の支え手になる、このことが私ども組織全体の大きな目標でございます。
 現在の人口動態につきましては申し上げる必要もございません。そこにちょっと書きましたが、特に後期高齢人口が激増するということを私どもも実感として持っております。高齢者高齢者といいましても大変に格差がありまして、六十五歳以上を高齢者といたしましても、大体百歳まで三十数年の年齢差があります、年代差があります。その間、心身の機能、経済力、生活力、非常に大きな格差がございます。そうして、高齢者のうち、要介護の問題が最近は大変大きな問題になっておりますが、八五%から九〇%は自立・健康型の元気高齢者でございます。しかし、八割は通院治療をいたしております。多病息災の自立生活をしながら、なおかつ社会生活に参加していきたいという意欲を持っております。
 私どもは、生活の上におきましてまず生活行動を広げていきたい、そうして新しい知識も吸収したいと思っておりますが、それにはそれだけの努力も必要であります。何といいましても家に閉じこもらないで外に出るということ、そのことが非常に重要であると思っております。
 その中で発生いたします事故は、特に歩行移動中に発生するものが非常に多いわけであります。活動場所との往復途上の事故、これは私ども老人クラブ保険の給付統計から見ましても約四割、これは消防庁の統計とほぼ一致いたします。道路上、公衆の場、駅、そうしたところにおける事故が非常に屋外においては多く見られるわけであります。
 交通、移動に関します私ども全体の取り組みといたしましては、まず最近のものとしましては、運輸省、建設省、総務庁、それぞれのいろんな懇談会、これに参画をさせていただきまして、私どもも勉強いたし、また各省の担当の方にもいろいろと要望してまいったところであります。
 同時に、高齢者自身といたしましては、公共交通機関・建物につきましてのモニター調査活動を全老連の女性委員会を中心といたしまして実施をいたしております。平成七年度から十年度、十一年度が特にこの委員会にも関係のあるテーマでございまして、千人、二千人から一万人の女性の会員あるいは男性の会員が協力いたしまして点検、調査活動を行いました。
 警察署とは、交通安全の学習、指導、点検活動を全国的にタイアップして取り組んでおりますので、いろんな経験をいたしておるわけであります。
 運輸省、建設省の懇談会に参加いたしましたが、私ども非常に熱心に真剣に取り組んでいただきましたことを今でも感謝申し上げておるところであります。
 今回の交通バリアフリー法案、この点につきましては、まず私どもは、先ほど申し上げましたとおり、高齢者の外出頻度、それと行動半径、これが頻度が多くなり行動半径が広がるということが私ども高齢社会活力のバロメーターでなかろうかということをお互いに話し合っているところでございます。
 実際には、高齢者は七十歳を過ぎますと三割程度の方々は閉じこもりの傾向に陥っていくということは私ども日常見聞しているところでございます。しかし、これを何とか外に出して、そして行動半径を広げるというためには、何といいましても交通の安全、そして道路の整備、ターミナルそのほかの整備等が重要でありまして、最近この点が非常に進んでまいりましたので、大変高齢者のグループといたしましての行動半径も広がってきているというふうに感じております。
 建物、ターミナル、道路が高層化し立体化し大型化する、こういう状況でありますが、また機械化、無人化といった設備のそういう自動化といったこと、この中には、場合によりましては高齢者にとってかえって困難、不自由な状況が出ておる場面もございます。
 交通バリアフリーの効果といたしまして私ども話し合っておりますのは、移動、交通の円滑、安全化、事故防止、これにまず役立つということと、自立と社会参加が促進される、そのことが健康保持増進に非常に寄与しておる、さらに社会経済効果も向上するということを話し合いまして、お互いにそうした方向で大いに見聞を広めるために外に出ることを勧めておるところでございます。
 二枚目の方に移りますが、今回の法案は私ども多年の高齢者、障害者の要望にこたえていただいているものでありまして、何とか早急な実現を期待いたしたい、また私どもも協力をいたしましてこれを広げていきたい、かように存じておるところでございますが、四省庁の連携のもとで共同提案されたことを私ども非常に評価いたしております。こういう形になるとは実は思っておりませんでした。縦割りの行政の横の連携というのは難しいと感じておりましたが、今回この点非常に高く評価いたしております。
 今後運用面で配慮を望みたい事項を以下四点ほど記載いたしました。ごらんいただきまして、以上で意見の概要とさせていただきます。
 ありがとうございました。
#83
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 次に、松尾参考人にお願いいたします。松尾参考人。
#84
○参考人(松尾榮君) 交通バリアフリー法案について参考人として意見を述べる機会を与えていただいて、大変ありがたく、感謝いたしております。
 以下具体的に申し述べます。
 まず、社会福祉法人日本身体障害者団体連合会ということでございますけれども、全国都道府県、政令指定都市及び日盲連、日聾連の六十一団体から成る全国の身体障害者団体連合会であります。全国各市町村まで支部があり、それぞれ活動いたしております。身体障害者手帳保持者約三百五十万人が対象であります。身体障害者の福祉増進、社会福祉の実現を目指して活動しており、第二種社会福祉事業を行っております。役員は、会長一名、副会長六名、理事二十二名、監事三名、評議員六十三名、事務局職員は八名でございます。
 二番目に書いておりますのは、バリアフリー法への期待でございます。
 これは多年の私どもの念願、要望でございますので、大変期待をいたしております。特に今回は、運輸省、建設省、警察庁、自治省提案であり、各省間のバリアのない提案でございます。それから、八代郵政大臣の誕生により首相官邸に車いす昇降機がついたことは、バリアフリーに大きなインパクトを与えたものと思っております。早期実現を期待いたしております。
 次に、現状はどうかという点で、写真により説明をさせていただきます。
 実は、三月二十一日に、佐賀の社会参加推進センターの役員九名で佐賀から静岡までJR、航空機を使って参りました。これには、肢体障害者、車いすの支部長、それから全盲の会長、知的障害者関係九名で参りました。
 これは、せっかくついたエスカレーターですけれども、たまたま車いすが乗ったら動かないんですね、これは全くノウハウの問題か何かの手違いでございますけれども。
 これは昇降機で、乗せていただいているものでございます。
 それから、これは新しいJRなんですけれども、ホームと段差があり過ぎて一人では上れない。しかも狭いものだから横から担ぎ上げることができない。前後ろからしなけりゃいかぬという実態でございます。
 これは車いすの会長さんですけれども、エスカレーターは一人で乗れるんですね。私どもびっくりしたんですけれども、大丈夫か、大丈夫だと。上り下り、エスカレーターは十分使えるということでございます。なお、この会長は、これで一人でどこでも行ける自信がついたということでございます。
 これは、一人で乗っている状況でございます。
 それから、これは東京駅のいわゆる地下道を通っていかにゃいかぬので、地下道の暗いところをずっと誘導していただいたという写真でございます。
 それから、これはちょっと写真が、目白周辺の状態を撮ったんですけれども、非常に自転車が多くてなかなか思うように出られない。しかも、町によっては歩道が全く目白の近くはございません。自動車が来たらもう全然車いすはどこかによけなければいかぬという実態でございます。
 そういうことで、問題点としてどこが問題かという点でございますけれども、今申し上げたほかに、例えば浜松町のモノレールからJRに乗りかえる場合、これはすぐモノレールからJRの方には参るわけにいきません。貿易センタービルのエレベーターで地下までおりまして、駅員さんの誘導で一たん外に出まして、それからJRの方に行く、そして昇降機で上がっていくという状態でございます。帰りは、エスカレーターだから乗れるということで会長があれしたんですけれども、やはり階段があって、駅員さんがたまたま一人で、ほかのお客さんに手伝ってもらって通行したというような状況でございます。
 それで、事前に連絡はしておっても、こういうことで、かぎがなくて担ぎ上げられたり、それからエスカレーターが動かなかったりということですから、ふだんなかなかそういう訓練といいますか、できていないものだから、慌ててかぎがどこにあったかわからぬと、そういう事態もございます。今後は、そういう点をひとつ十分情報で事前にわかっていただければ大変ありがたいんじゃないかというふうに考えております。
 それから、空港は時々リムジンバスで外におりる場合があります。これはやはり車いすとしては非常に難しいんじゃないか。
 それと、船舶は上らにゃいかぬものですからなかなか難しい。これは多年要望しているけれども、なかなか船会社というのはそういうふうなあれが難しいですね。そういうあれがございます。
 それから、新幹線関係で、前に建った新幹線のトイレはほとんど三段ぐらい上がって、しかも小をする場合はさらに上がらにゃいかぬ。これはやはり障害者にとってはバリアがちょっとあり過ぎるんじゃないかという気がいたします。
 それから、一般的に車いすの駐車場、いわゆる障害者専用にしていただいているんですけれども、一般の客が勝手にとめる。特にスーパーなんかはせっかくつくっていただいた駐車場もなかなか十分に使えないというような実態がございます。
 五番目に書いておりますのは、日身連や関係団体のこれまでの活動ということですけれども、私ども毎年全国大会をいたしております。今年は東京でございますけれども、約五千名以上、多いときは一万名参加をして、いろいろ決議をいたして運輸大臣に陳情いたしております。例えば、公共バスにはリフトつきまたは低床車両をということで義務化していただきたい。現在はリフトつきよりもむしろ低床バスという考え方でございます。それから、駅舎については身体障害者等だれもが使いやすい駅舎にひとつ設備を装備していただきたいということで、毎年要望をいたしております。
 また、地方の団体では、要望書を出し、エレベーターをつけたりエスカレーターを設置していただいたところもございます。やはり地方の団体、それぞれの団体の熱意が実現を見ているというのが実態でございます。
 それからもう一つは、これは私のところでやったんですけれども、調査をしてこういう福祉マップをつくる。「やさしいまちにでてみませんか」ということで、これは障害者自身が調査をいたしました。これは市長の特別なお計らいで百万ほど予算をつけていただいて、全部中身は写真入りで、どこどこはどういうあれがある、これはバリアがないというようなことも全部調査をして配っている。障害者自身に配付をしたということで、こういうことをやればかなり皆さんも認識していただくし、レストラン等にもこれを差し上げるんですね。そうすると、自分のところのレベルを見ていただいて、こうしなきゃいかぬなと。非常にいいあれじゃなかったかと思っております。
 あとは今後の課題ですけれども、私どもとしては車いすの障害者が自由に町に出られるように、そういう町並みにしていただきたい、こういう考えでございます。
 それから、従来は行政、会社、団体というような方向だったんですけれども、今後はやはり会社と団体または障害者との連携を十分やって、そこら辺をひとつ常に連携して研修などを行いたい、こういうふうに考えております。
 次に、日身連の研修会にも会社と共催してバリアフリーについての討議をするとか、それから市町村団体の組織強化を行っていく、そして市町村の理解と実行を促進したい、こういうふうに考えております。そのほか、全国各支部の研修会をブロックごとに行うということであります。
 最後に、この法案の早期実現をということでここに書いております。
 日身連は、障害者みずからが社会参加する意欲の動機づけにしたい、こういう調査をすることによってやはり社会参加をするんだという意欲が持てますし、また一般の人の理解も十分できるんじゃないかというふうに考えます。市町村の構想段階から参画し、バリアフリー化を実現して社会の一員としての責任を果たしたい、こういうふうに考えておりますので、ぜひとも早期実現をお願い申し上げます。
 終わります。
#85
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 次に、妻屋参考人にお願いいたします。妻屋参考人。
#86
○参考人(妻屋明君) 私どもは、これまで四十年間にわたってバリアフリーな社会環境を求めて運動してきました。その現在の運動の状況につきましては、お手元のパンフレット「トゥモロー」に示したとおりでございます。よろしくお願いいたします。
 四十年間もそういった社会環境の改善を求めてきたその理由といたしまして、私たちは常に申し上げていることは、交通事故だとか労働災害等で重度の障害を負って病院に入院しまして、血の出るようなリハビリを終えても、やがて心を弾ませて社会復帰をしたとしても、バリアフルな社会環境がございまして、なかなかリハビリでかち取った成果を社会で生かすことができないということから、これまで運動を続けてきたわけでございます。
 我々は、こんなに膨大な医療費と血の出るようなリハビリをしても社会でこれが活用できないということは非常に残念だと。残念どころじゃなくて、それは人の能力だとか尊厳を本当に無視されてきたというようなことで、これまで長い間運動を続けてきたわけでございます。
 今では、医療技術が進歩しまして、そして目覚ましい福祉機器の発展に伴いまして、どんなに重い障害を受けても、その受け入れる社会がそれ用にちゃんとできてありましたら、もう十分自立した社会生活ができるというふうに考えております。そういったことから、今回のバリアフリー法案は私たちも大きな期待を持っております。
 社会参加する上でまず第一に必要なことは、自由に公共交通機関が利用できるということがまず第一に必要なことです。そこから、通勤をして所得を得たり、それから社会活動ができるというわけでございます。そういった意味から、この法案には非常に大きな期待を持っております。そういった意味で評価ができると思います。
 しかしながら、この中で一部、私たちにとって非常に不満な点がございます。今回の法案では、車両につきましては今度新しくなったときにバリアフリーな車両にかえるとされております。車両につきましては一応耐用年数がございますから、何年たてば新しいバリアフリーなバスが来る、あるいは車両が来るということがはっきりめどが立ちますけれども、鉄道の駅舎等につきましては、一般的にどうでしょう、五十年あるいは百年でしか建てかえることはございませんので、いつになったらバリアフリーな駅舎になるんだろうというような疑念を私たちの仲間は持っております。そういった意味で非常に残念だと思っています。
 これをフォローするために、鉄道業者だとかそういった施設の持ち主は、現在のバリアフリーの状況、あるいはまた今後改善する計画等をいち早く私たちに情報を公開していただきたい。そのことによって、私たちは安心して、いついつまでに改善ができるんだというめどが立ちます。そうしたら私たちの社会生活ももっと快適になるんではないかというふうに考えております。
 もう一つは、幾ら法律ができたとしても、やはり国民の理解がなければバリアフリーな社会は実現しないと私は考えております。そういった意味で、広く国民に理解を求めるために、国でいろいろ啓発活動とかをやるということが法案にありますけれども、それはそれとして、私たちも、市民とあわせて障害者団体も率先して啓発活動に努める必要があるというふうに思います。
 そしてまたもう一つは、小学生あるいは中学生、高校生といった方々に、町づくりだとかバリアフリーだとかというような教育プログラムを組んで、その体験実習を踏まえた教育プログラムでバリアフリーな社会を実現させていきたいというふうに思っております。そのためには、我々が率先して、その先頭に立って啓発活動に努める必要があるというふうに考えております。そういうことによって、文字どおり心のバリアフリーが日本じゅうに広がっていくんではないかというような期待を持っております。
 以上、ちょっと早いですけれども、詳しいことは皆さんに資料をお配りしておりますので、お読みになったらわかると思いますけれども、私の意見としては大体その三点についてよろしくお願いいたしたいと思います。
 ありがとうございました。
#87
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#88
○岩城光英君 自由民主党の岩城光英と申します。
 きょうは、三人の参考人の皆様方にはわざわざ私どもの委員会までおいでいただきまして、体験を踏まえました貴重なお話をいただきましたことをまず感謝申し上げたいと存じます。さらに質疑を通しまして私どもにさらなる御教示を賜ればと思っております。
 それで、まず第一の質問ですが、時間も限られておりますので手短に申し上げますが、午前中も三人の参考人の先生方からいろいろお話を伺いました。そのときに我が党の山内委員からあった質問と同じ質問になって恐縮ですけれども、今度の法案で、皆様方のお立場から見てどういった点が一番重要あるいは大切だとお思いになっていらっしゃるのか、その辺から、これは三人の方それぞれお伺いしたいと思います。見坊さんからよろしくお願いいたします。
#89
○参考人(見坊和雄君) 今回の交通バリアフリー法案は、私どもいろんな意見を運輸省、建設省にも述べまして、バリアフリーといったこと、あるいはそれ以上のこともいろいろと希望として申し上げてあります。その内容はお手元の資料の中に入っておるわけでございますが、今回の交通バリアフリー法案は、エレベーター、エスカレーター、あるいはビル、建物、そうしたこと、並びにアクセスにつきましてもいろいろ配慮していただいておると思っております。
 これは一つの重点的な課題として法案に盛りまして、そしてそれをもとにして周辺、これは駅の周辺など、場合によっては公園整備まで配慮しておられます。つまり、周辺の地域環境に至りますまで配慮されて、そして特に努力目標としては、そうしたエスカレーター、エレベーターという非常に代表的なものでございますし、車いす、そうしたことの点が重点になっておりますが、私は周辺に広がるような方向をこの法案全体に織り込んでおると。
 意見の中には、私どもの中にももう少し単なる努力目標でなくて義務化したらという意見もないではありません。しかし、私どもはやっぱり国民と一緒になって、そしてこれを広げていく、そういう点で私ども高く評価しているわけでございます。
#90
○参考人(松尾榮君) 二点申し上げます。
 まず、四省庁の提案であって、各省庁間のバリアがない。実を言えば、厚生省が何で入っていないのかなというあれもするんですけれども、厚生省はそういう場所を持たないというようなこともあって入っていないと。しかし、我々のニーズは一番厚生省がつかんでいるから、本来なら厚生省もここに入っていただいた方が一番よかったんじゃないかという気がいたしますけれども、いずれにしましても、そういう各省庁間のバリアがないということは非常に高く評価をいたしております。
 それから、いわゆる市町村が主体になるという考え方ですので、これは高く評価していいんじゃないか。やはり障害者が身近におる市町村でやるというのが一番大事なことじゃないかと思っております。
 まだほかにございますけれども、以上二点、高く評価しておりますので、ぜひひとつ実現をお願いしたいと思います。
#91
○参考人(妻屋明君) 今回の法案で、これが施行されましても直ちに世の中が一変して変わるというふうなことは思っておりませんけれども、この法案ができることによって社会はそういう流れになっていきますので、その流れを私たちは大きく期待を持っているわけでございます。そういった意味では、この法案は画期的なことだというふうには思っております。
 ただ、一部不明朗な点がございますので、この辺の情報を今後は私たちに公表していただきたいというのがいつも考えていることでございます。
#92
○岩城光英君 今情報のお話もありましたけれども、実は午前中もいろいろ議論がございまして、今度の法案で施設的なもの、ハード的なものは具体的に進んでいくわけでありますが、問題はそれを支えるソフトの面、これも極めて大事ではないか、こんなふうに私は思っております。
 そこでまず、そのソフトの面でも、情報の提供といいますか、例えば駅にスロープができた、あるいはエスカレーターができる、エレベーターができる、また歩道に点字ブロックが、誘導ブロックが設置される、そういったことがありましても、それが皆様方にその情報が伝わらなければ何にもならないことであります。
 そういった意味でちょっとお伺いしたいんですが、今までは最寄りの駅でこういったことが改善されたということをどのようにして皆様方はお知りになられましたでしょうか。どなたでも結構でございますが、お願いいたします。
#93
○参考人(妻屋明君) これまでの情報は、一つは新聞です。地方版等で情報を得ることができます。それから、私たちの仲間内の情報です。それからもう一つは、特にバリアフリーのガイドブックをつくっている当事者団体の資料から、この駅は大丈夫だなというような情報を得てきたわけでございます。
 そういった意味では、公式に鉄道業者が率先して情報を出しているというふうには、私はちょっと知りません。
#94
○参考人(見坊和雄君) 私どもは、やはり駅で、改善されたところをよくチラシそのほか案内図などでかいておられるものを手にすることがございます。これはぜひお願いしたいなと思っております。
 特に、大型の駅はどこに何があるのかよくわからない、一生懸命探し回るという状況でございますが、何か見取り図、そうしたものが手にとれるようなものがありますと、どういう通路を行けばどういう設備に便利にアクセスできるかがわかりますので、これは非常にまだ数少ないんですが、一つはそうでございます。
 あとは、高齢者同士の口コミが何といってもやはり一番でございます。
 以上でございます。
#95
○参考人(松尾榮君) 佐賀の問題を申し上げてみますと、例えば駅にエスカレーターが今度つきました。これは私どもが要望しておったものですから、実現したというのは、衆議院の先生からもお話があったし、駅長さんからもそういう話があって、いついつやるというお話がございました。それから、新聞、テレビ等でもかなり出ますので、そういう面では情報は流れております。
 ただ、まだ末端のところが、そういう情報が今後やはりもっと、先生おっしゃるように、末端まで流すような方法を考えなきゃいかぬじゃないかという気がいたします。
#96
○岩城光英君 今おっしゃられました末端まで情報をどう流すかということはこれからの課題だと思っております。
 それと同時に、私もインターネットとかパソコンには疎いんですけれども、そういったものを高齢者の皆様方、それから障害者の皆様方がもっと気楽にお使いになれて、そして情報がより詳しく入るようなことも、これは国が挙げてそういう施策も進めていくべきではないかな、こんなふうに個人的には考えておりますが、こういったことにつきましては後ほどまたいろんな機会がありましたら御指導いただければと思っております。
 そこで、松尾参考人にお伺いいたしますが、先ほど写真も見せていただきました。とりわけその中で、放置自転車の問題、目白の近くだというお話でございましたが、これはどこの自治体でも非常に頭を痛めている問題なんですが、駐輪場がたとえあったにせよ、そこに置かないで身近な道路の上に置いたり、あるいはブロックの上に置いたりして皆様方に不便をおかけしている。こういったことがあろうかと思いますが、この点につきましてもうちょっと詳しくお話をいただければと思います。実際、こういったことでお困りになったとか、身近な例があればお教えいただければと思います。
#97
○参考人(松尾榮君) これは、駅周辺はもうかなり放置自転車が多いんですね。きょうも目白の駅から出てきましたけれども、もう駅の階段の手前は放置自転車がいっぱいあるんです。
 実際、目白は区の駐輪場はあるんです。非常に安い駐輪場はすぐそばにあるんです。あるけれどもそこに置いている。必ずしもけさ乗ってきて置いた自転車じゃないようなものもあるんですね。積み重ねてあるのもあるんです。だから、あれは放置自転車がかなりあるんじゃないか。そこら辺を整理してもらえばもっと通りやすい。一般の人も通りにくいような状態なんです。そこら辺が非常に難しい問題ですけれども、やはり放置されているものはある程度回収するような格好にするとか、車の駐車違反のときにレッカー車で持っていく、ああいう制度でもあればもっときれいになるんじゃないかと思うんですけれども、実際は車いすなんかではもう通れないような実態がございます。
 以上です。
#98
○岩城光英君 この問題につきましては、やはり自治体を支援する法整備とか、国の方ももっと本腰を入れて取り組まなければいけないと私も思っております。この辺につきましてもまたいろんなアドバイスをいただきたいと思っております。
 次に、妻屋参考人にお伺いさせていただきます。
 先ほどのお話の中で、これもソフト面に関連するわけでありますが、皆様方の団体が率先して啓発活動ですか、こういったことに取り組みながら、さらには中学生、高校生の体験学習を通した教育プログラム、こういったことの指摘をされましたが、極めて重要なことだと思っておりますので、具体的にこういうプランがあるんだとか、お考えのことがあればお聞かせをいただければと思います。
#99
○参考人(妻屋明君) このことは、プログラムを今現在立てていますけれども、最近つくったわけでございますけれども、東京へ修学旅行で来た、あるいはどこかへ修学旅行に行った、ただ修学旅行で物見遊山するだけではなくて、その修学旅行の中にバリアフリーあるいは町づくりの体験学習プログラムをつくって、障害者、車いすの人が先頭に立って五、六人のグループで一定のコースを回る。あるいは、二時間ぐらいのコースを回って、そのバリアフリーの状況を見聞する。あるいはバリアフルなところも見聞をするというようなプログラムを現在組んでおります。
 予定といたしましては、今度の秋の修学旅行シーズンにそれを実施しようというふうに考えております。現在のところは、新宿の二十コースをプログラムに組んでおります。
 一つは、新しい南口から高島屋あるいは御苑というようなコースで、最近の建物の中に入って、最近の建物はどのようにバリアフリーな構造になっているかということが本当に見てとれる。そして、例えば私が先頭に立った場合は私の車いすを押していただく、そのことによって車いすに乗っている人がどういう気持ちなのかということがわかるというようなプログラムでございます。そういったプログラムをこの秋にでもやろうと考えております。
#100
○岩城光英君 最後になろうかと思いますが、いろんな施設とかエスカレーター、エレベーターの話がありましたが、つくればいいというものじゃなく、それをどう快適に利用していただけるかということも極めて大事な問題だと思っておりまして、同時に事業者の職員の方の接遇といいますかサービスというか、皆様方に対応する姿勢も極めて大事だと思っておりますが、この辺につきまして何か御意見等がありましたらお願いしたいと存じます。どなたでも結構でございます。
#101
○参考人(松尾榮君) 先生の御質問は非常に大事なことで、先ほど申し上げましたようにせっかくつけたエスカレーターが動かない、それからキーがなかった。こういう点は、やはりふだんそういうことをよくしていただければ問題はないんじゃないかという気がいたします。
 それから、JR関係で、私この前東京から帰るとき、ローカルに乗りかえるときに、ローカルの放送がずっと以前の放送なんです。実際は八時四十分発であるのに、九時三分でホームは三番ホームというアナウンスをするんです。あれ、変わったのかなと。おりてみたら、一番ホームで八時四十分なんです。そこら辺はもう少し、テープに吹き込んでローカルはやるものですから、昔のまま、以前のままというようなことがございます。もう少しやはりお客さんとして接していただければと、非常に大事なことじゃないかと思います。
 以上です。
#102
○参考人(見坊和雄君) 最近は、お役所といわず駅員そのほか応対が非常によくなった点は、これは大変やはり行き届いた教育のおかげと思っております。
 ただ、最近の特に都市部におきます大型化しました建物にしましても駅舎にいたしましても、尋ねる相手が、駅員がいない、見当たらない、窓口がない、すべて無人化の方向に動いておりますので、非常にその点で困惑している。何か方法がないものかというふうに話し合っているところでございます。
#103
○岩城光英君 時間です。終わります。
 ありがとうございました。
#104
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。
 きょうはお忙しいところ、三人の参考人の皆様にはお越しいただきまして、本当にありがとうございます。
 私は、このバリアフリー法案、さらによりよいものにしていきたい、そういった思いで何点かにわたって質問させていただきたいと思います。
 まず第一点、三人の方にお伺いをさせていただきたいわけですが、今回の法案は、これからつくる駅舎だとか電車については義務として課しておりますが、ところが既設のものについては努力義務となっております。本当にこれで実効性が上がるんだろうかという疑問がないわけでもございません。
 そこで、三人の方にお伺いをさせていただきたいのは、今まで皆さん、事業者の方にそれぞれ改善要望を出されていたかと思いますが、それらの改善要望に対して公共交通事業者の皆さん方の対応はどうであったのか。わかりましたと言ってすぐ対応してくれるのか、なかなか聞き入れてくれないのか、もし具体例があればそれも交えてお答えしていただきたいと思います。
#105
○参考人(妻屋明君) これまでの対応と申し上げますと、最近になって本当になれっこになってしまいまして、言う方も言う方、聞く方も聞く方と、聞き流されてしまうというような状況がございます。そして、もう一歩踏み込んだら、やっと近々改善するんだというような情報が漏れ出てくるような状況でございます。そういったところから、今度あの駅は改善されるんだというような情報をいただくことになるわけですね。
 それ以外になかなか情報を出してくれない。年次計画等があるのかないのか、それをいち早く皆さんに出せばそんなに要求活動だとかということも過激にならなくて済むんではないかというふうに考えております。ちゃんと対応したらそんなにひどい運動もしなくて済むんではないかというのが私の感じでございます。
#106
○参考人(松尾榮君) 非常に難しい質問ですけれども、やはり私ども要望してすぐできるというのはなかなか難しいですね。
 例えば、簡単に佐賀なんかでリフトつきのタクシー、これは私どもが要望してあれしたら県からある程度金を出してやっていただけました。しかし、JR関係もエスカレーターを今度つけていただいたんですけれども、もう何年来の念願でやっとついた。だから、今回みたいに国の方も地方も金を出してやるというようなことになれば、ある程度の資金のめどが立てば十分お考えいただけるんじゃないでしょうか。その必要は十分わかるけれども、なかなか経営上難しいという回答が民間会社は多いですね。そういう実態でございます。
#107
○参考人(見坊和雄君) やはり私ども長い間のお役所とのおつき合いもありますが、要望したことが実現するまでには若干の時間がかかる。私ども何かなれてしまったような感じもいたしております。しかし、繰り返し要望いたしております。また、懇談の機会を持たせていただいております。
 ただ、国会に対する働きかけは、私ども、障害者の皆様に比較して非常におくれておったなという感じはいたしております。ただ、それぞれの窓口にお願いするというようなことでございましたが、今後はやはりこうした委員会に対する要望書の提出とかそのほか努力いたしたいと思っています。
 ただ、最近の駅舎の改善とか、特にバリアフリーはなるほど時間がかかり過ぎておるようでございますが、この二、三年、大変目につくようになりました。これは全国に動いております高齢者の間でも、あそこの駅にはこういうエレベーターができた、こういう設備があるとか、それが話になるようになりましたのはやはりこの三、四年じゃないかと思っております。ですから、これからに期待をいたしたいと思っておるところでございます。
#108
○内藤正光君 ありがとうございます。
 続きまして、皆さん御存じでしょうが、今回のバリアフリーの進め方なんですが、まず国が基本方針をつくる、そしてそれに基づいて市町村が基本構想というものをつくり上げる。その際、事前に公共交通事業者と協議を経た上で基本構想というものをつくり上げる。そこのプロセスには、法案には今回市民の声を聞き入れるというものが明示されていない。
 それに対して、大臣の答弁では、国がつくり上げる基本方針についてはパブリックコメント等で広く国民の声を受け入れるという一応の答弁がございました。ところが、その後の市町村がつくり上げる基本構想については、まだはっきりしたものができ上がっていない。私、考えますに、本当に市民の声を取り入れなきゃいけないのは、具体的なことを計画するこの市町村がつくり上げる基本構想の部分なんだろうと思います。
 そこで、これからどうやって声を聞き入れていく仕組みをつくるかという議論が始まっていくわけなんですが、私、個人的な考え方を言わせていただくならば、まさにここ、設計の段階からいろいろな方々に御参加いただいて、けんけんがくがくの議論をそれぞれの駅について重ねていくべきだと思います。そうであってこそ初めて本当に使いやすい駅舎が実現できるんだろうと思います。
 そこで、皆さん方三人のそれぞれ、もっとほかにこんなやり方があるよというんであればそれを教えていただきたいですし、どういう形で市民の声をくみ上げていったらいいのか、それについてお考えをお伺いさせていただきたいと思います。
#109
○参考人(松尾榮君) 先生、非常にいい御質問でありがたいと思っていますけれども、やはり設計段階から参画をするというのが私どもの日身連の考え方でございます。
 この前も建設産業新聞から取材を受けまして、設計段階から参画をするということで大きく載せていただきました。これは非常に大事なことだし、それから私ども団体は、それぞれの県、市町村の団体でも、どういうバリアがあるからこういうふうにしてくれということは申し上げておりますし、今建設省さんあたりでも道路を改善する場合には当事者団体の声を聞いていただくんですね。あるいは、ただ参加するだけじゃなくてどんどん発言をして、そのとおりやっていただくものですから、非常に効果があるんです。
 今後、やはり市町村でも障害者団体の声を、高齢者の声を聞いてそういうふうにやっていただくようなシステムにぜひしたいと思っております。私ども積極的に参加をしていきたいと思っております。
#110
○参考人(見坊和雄君) 今、松尾さんからお話があったとおりでございます。ぜひ構想段階で当事者、関係者を参画させていただきたい。素人なりにいろんな要望があります。それをぜひまず聞いていただいて、そうして構想を立て、計画にしていただきたい。参加よりは参画といったことにぜひ重点を置いていただきたいと思っております。
 なお、国としては、県、市町村に対しましてそういう方向をぜひ強く御指導いただきたいと思っております。法律にないから聞かなかった、あるいは形式的に聞いたというふうにおっしゃるところが意外に多いわけでありますので、この点は法律にはそういったことが余りはっきりしておりませんが、ぜひ行政指導をよろしくお願いしたいと思っております。
#111
○参考人(妻屋明君) 今先生おっしゃいましたプロセス、国から地方へおりるときのプロセス、ここの辺が一番問題になりまして、私が先ほど努力義務のことを不満であると申し上げたのはここの点でございます。国から地方におりたときに、努力義務ということになっていると地方の人は余り力を入れないというのはこれまでの実績だというふうに考えております。そういった意味で、国は一生懸命やるんですけれども地方はなかなかやらないというような状況で、地方の人は困っているというのが状況でございます。
 もう一つは、当事者団体あるいは当事者が設計段階から入るということはもちろんのことですけれども、しかしながらそういったことは、もはや国際的にもそれはもうこういうふうにつくる、バリアフリーなことはこういうふうにつくるということは常識のことになっていると私は思っています。その上で当事者団体が入るというのは必要だというふうには思っておりますけれども、一から我々に聞く必要は私はないと思っています。もう非常に情報が今入っているはずですから、それを見ていただけばすぐわかることですから、そういうことを思っております。
#112
○内藤正光君 次に、タクシーについてお伺いをさせていただきたいと思います。
 今回の法案は、対象とするのは鉄道とバスとあと町、タクシーが除外をされている。この点に関して、さきの衆議院の運輸委員会で運輸政策局長がこのように答弁をされております。公共大量輸送機関のバリアフリー化をこの法案は目指しているため、タクシーがこの法案の目指す体系になじむかどうか疑問であると。つまり、今回タクシーはこういった理由で除外をされているわけなんですが、私は、でもやはりタクシーまで含めてエンド・ツー・エンドのトランスポーテーションを確保してこそ初めて本当のバリアフリーが実現できるんではないかと思うんです。
 そこで、お伺いをさせていただきたいのは、皆さん方の日常生活の中でタクシーの持つ意味合い、タクシー移動が持つ意味合いについてお伺いをさせていただきたい。タクシーまで含めなくても別に問題がないというのであれば、それはそれで結構ですし、車いすでも本当に難なく乗れるタクシーをもっと普及させていただかないことにはなかなか外に出ていく気になれない、そういう回答でも何でも結構ですので、お答えいただけますでしょうか。
#113
○参考人(松尾榮君) 普通の車いすはタクシーに乗れるんですね、運転手の介護があるものですから。特に電動車いすとか重度の障害者というのはリフトつきのタクシーじゃないといかぬ。これは私ども団体が要望して、県がある程度金を出して会社に援助してそういうタクシーを走らせております。だから、法案に入る入らぬじゃなくて、我々の日常活動でそういうのは既にもうかなり実現しておりますので、現状はそういうことでいいんじゃないか。ただ、普通のタクシーよりリフトつきのタクシーというのは料金が高いんですね。そこら辺の問題はありますけれども、一応整備はされているというのが実態でございます。
#114
○参考人(見坊和雄君) 法律の内容としてタクシーを含めるかどうかというのは、私どもちょっと専門的な角度ではよくわからないわけでございますが、各都道府県あるいは市町村によりまして、かなりそうしたドア・ツー・ドアの交通機関、これはいろんな配慮がされて広がっておるように思いますので、それをさらに促進していただきたいと思っております。
 そうした点では、特に車両、電車、バスといったものはそこまで行かなければ乗れませんけれども、やはり病気でありますとかあるいは緊急の場合、どうしてもタクシーを呼ばなくちゃならぬ、またタクシーを利用したい人は非常に多うございます。
 そうした点で、今お話しのありましたような方向で私どもも働きかけをいたしますが、市町村、自治体に特にそうした配慮をお願いしたい。また、国としても、将来はそういう方向でこの法律内容そのほかも整備していただければと思っておるところでございます。
#115
○参考人(妻屋明君) 現在のタクシーについては、私たち車いす使用者としましては余り期待しておりません。これは車いすの人が乗れるようにはなっておりません。ただ、リフトバスが今出ておりますけれども、そういったことについては対象になるかと思いますけれども。
 公共交通機関とタクシーの関係につきましては、公共交通機関という意味は運賃が公共料金であるということです。安いということですね。タクシーはやっぱり特別なもので、タクシー料金を払わなきゃならないわけですから、これは我々障害者としてはなかなか出しにくいというのが現状だと思います。そういった意味で公共交通機関を期待しているわけでございます。
 一番いいのは、自分の家の近くのバス停にスロープバス、低床バス、あるいはノンステップバスが到着してくれれば、これで駅までつながるわけですね。そして、もしかしたら目的地までつながるかもわかりません。しかし、それがない間はそういったスペシャル・トランスポート、家の前まで来ていただいて目的地まで連れていっていただくというような交通機関は必要になると思いますけれども、しかし、それにしても、その料金についてはタクシー料金並みあるいはそれ以上になるかもわからないというところが今問題になっているところだというふうに思っております。つまり、経済的にやはり公共交通機関が必要であるということを言いたいと思います。
#116
○内藤正光君 どうもありがとうございました。
#117
○弘友和夫君 公明党・改革クラブの弘友和夫でございます。
 参考人の皆様には、大変お忙しい中、こうして御出席をいただきまして、また貴重な御意見も聞かせていただきまして、心より御礼を申し上げる次第でございます。また、今日のこの法案提出に至るまでそれぞれのお立場で運動をずっと展開してこられまして、その御労苦に対しまして敬意を表したいと思います。
 私ども公明党も、皆様方とも連携をとらせていただきながら、そしてまた我々の地方議員とも連携をとって、車道とか歩道の段差、また障害物の実態調査だとか通学路の総点検だとかさまざまな運動というか、福祉マップをつくったりということもやってきたわけでございます。
 先ほど岩城委員から、この法案の評価についてそれぞれの御意見をお聞きしたわけですけれども、同時にそれぞれの団体のお立場で、この法案を改正するとしたら、またこの法案に関係なくても、こういう部分がまだ日本の社会には足りないのだとか、それぞれのお立場は違うと思いますので、そういう御意見がございましたら、お聞かせいただければありがたいと思います。
#118
○参考人(妻屋明君) 先ほど申し上げましたように、一番理想な点は自宅から目的地まで車いすでも円滑に移動ができるということでございます。その一つも欠けることはできないということが必要だと思うんです。目的地まではすべてバリアフリーでなければならないというのが一番の理想の目的だというふうに言えるかと思います。
#119
○参考人(松尾榮君) 結局、先ほども申し上げましたように、計画段階から参画をするということと、それからこの法案の成立によって、私は国民の皆さんがかなり理解をしていただく、それから障害者自身が社会参加する意欲を持てるような格好になるのじゃないかというふうに大変期待をいたしております。まず、早く成立していただいて、そして国民みんなの責任としてこれを守っていくということが一番大事じゃないか、こういうふうに考えます。
#120
○参考人(見坊和雄君) 今直ちにこの法案の内容についていろいろ追加する要望などを申し上げることはちょっと差し控えておるわけでございます。まずやってみたい。これは、今回の法案は四省庁の共同提案、特に自治省が入っておられますので、私どもも協力いたしまして、これがどういうふうに内容が充実し広がっていくか、これは一、二、三年はぜひ見たい。そしてその上で、やはり実現の可能性のあるそうしたものを見直していただく、そのことが非常に大事ではなかろうか、こう思っておりますので、特に今直ちにここをということはちょっと思っておらないわけでございます。
#121
○弘友和夫君 今からこれは成立するわけでございますので、次のことというよりも、本当に長年の懸案であったバリアフリー法がこうしてかかっているということ自体が、私は本当に運動してこられた皆様、とにかくもう第一歩だという思いがおありだと思います。
 見坊参考人にお伺いしますけれども、「全老連」の十一月号に「公共交通機関における鉄道の券売機・バスに関するモニター活動」という報告書がありますけれども、券売機について七割の方が不自由さを感じているというふうな報告でございます。券売機は、ある人にとっては便利であっても逆に他の人にとっては大変不便だと、こういう典型例じゃないかというふうに思うわけですけれども、そうした機械化と同時に駅員の対応を残してほしいという要望等がございまして、今後の活動において交通ボランティアの活動というのが不可欠だと、こういうふうに思います。
 先ほどの御意見もございましたけれども、高齢者の外出頻度、行動半径というのは今から迎える高齢社会の大変な活力のバロメーターだということでもございますので、そういう交通ボランティアの必要性があるんじゃないかなと。それと同時に、老人クラブ連合会の方でも、例えばお元気な方がそういうボランティアとしてやっていただくとか、そういうことも考えられるんじゃないかと思いますけれども、御意見をお伺いしたいと思います。
#122
○参考人(見坊和雄君) 御指摘のとおりでございます。我々高齢者同士でまず助け合う、あるいはお互いいたわり合う、そのことを実践しなくちゃならぬと思っておりますし、場合によりましてはそういった交通ボランティアといった考え方もあろうかと存じます。
 ただ、私どもは、もう少し交通機関を利用される方々がお互い隣にいる人にいたわりの気持ちを持ってすぐに声をかける、あるいは券売機が使い方がわからなければ教えてあげる、そうしたことがもう少し広がればいいなと。これは駅によりましては、そうしたことを一部の利用者が行いますと周りの人がそれを見てまたまねをしていく、広がっていくということがありますので、そういう公衆のモラルの面が非常に大事じゃなかろうかと思っております。
 それから、無人化は、全体としては、やはり私どももそうですが、非常に便利でよろしゅうございます。ただし、不自由な人は非常に困惑してしまっている、聞く人がいないと。券売機はいろいろずっと壁に並んでおるんですが、あそこに途中、窓をあけていただいて、駅員にちょっと声をかけられるようにしていただければありがたいなと思っております。そうした点の御配慮がいただければいいのではなかろうかと思っておるわけでございます。
#123
○弘友和夫君 松尾参考人にお伺いをします。
 私も九州福岡でございまして、参考人の先ほどの御報告もございましたけれども、全国横断という大変精力的に回られているというお話もお伺いして、周りの方に大変勇気と希望を与えておられるというのをお聞きしているわけでございます。
 私の地元のJR小倉駅、会長ごらんになったかどうかあれですけれども、駅からバリアフリー化というのが大変進んでおるということなんですけれども、この間も私指摘したんですが、それだけまた全国的にも大変進んでおる小倉駅周辺のバリアフリー化なんですけれども、駅のエレベーターにはかぎがかかっているというようなことがございまして、実際に使われる方のそういう不自由さというのは、設備がこうなってきても、そういう部分がちょっとした運用だとかなんとかであると思うんですね。
 そういう部分を含めて、先ほどもちょっと御質問ありましたけれども、いろいろな構想の段階から皆様方と一緒になって、パブリックコメントというんですか、そういう一緒になってやっておけば、後でいろいろやらなくてもスムーズにいっている部分というのがあると思うんです。
 基本構想とかまた特定事業計画等について、今から取り入れていく場合に皆様方の意見をぜひ最初の段階からお聞きすることが必要なんじゃないかと思いますけれども、もう一度、そのことについて参考人の御意見がありましたら。
#124
○参考人(松尾榮君) 基本構想から障害者の意見を入れていただく、これは非常に大事なことだし、この前、建設産業新聞から取材に来たときにもそれを申し上げました。そうしたら、ある設計会社から、ふだんから日身連と交流を図りたい、研修会を一緒にやりたいということをおっしゃっていただいております。
 やはり障害者の意見に対して、尊重する価値があるというふうに御理解いただいたので、それを地方の行政にもそういう認識をさせるように、あの団体の意見を聞こうという機運になるように、それで聞いてやった方が経済的にもよかったというような格好にぜひなるようにしたいと思っております。
 これは、私も前に市会議員をしておったんですけれども、ある庁舎の前に障害者の駐車場をつくってやると。ありがたいことだったんです。そのために、障害者の駐車場にぶつからぬようにブロック塀を立てるとかなんとかいろいろ、もう健常者が、いわゆる建築家が全部設計するんですね。私が見たところ、これは何でこんなことが要るんだということで言って、全部取っ払ってマークだけで済むと。ただ、若干のかさ上げ、十センチくらいのかさ上げだけで済んだわけです。
 そういうところがあるものだから、やはり最初からそういうことをするのが非常に大事じゃないか。やはり私ども、私は障害者団体の責任として当然これはひとつ前向きにぶつかっていきたい、こういうふうに考えておりますので、よろしくお願いいたします。
#125
○弘友和夫君 どうもありがとうございます。
 妻屋参考人にお尋ねしますけれども、脊損の会の皆様方と私どももいろいろな御意見とか交換しながらやってきた。その中で、皆様方、特に不測の事態によって今の障害になられたという方が大変多いと、そういうことの先ほどもお話がありましたけれども、リハビリを一生懸命やって早期に社会復帰をしなければならないという方が特に多いようにお伺いしております。
 そういう社会復帰を急がざるを得ない皆様方にとって現在のバリアフリー化の状態というのはまだまだ厳しいものがある、このように思いますけれども、そうした社会復帰を拒む原因というのか、それはどこら辺に今の状況としてあるのかということを、会の要望等も含めまして、ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
#126
○参考人(妻屋明君) 一つは、今私も脊髄損傷で車いすに乗っておりますけれども、それ以前は皆さんと同じように普通の生活をしておりました。ある日突然、事故によってこういう体になるわけです。そして、治療期間あるいはリハビリ期間、療養期間を置いて社会に出ていくわけでございますけれども、現在は、医療制度がちょっと大変な事情になっているそうですけれども、これで約三カ月で社会に出ていかなければならないというような医療制度になっております。
 このことについては、私たちはいつも意見を申し上げているところですけれども、普通の人が人生百八十度変わった状況に置かれて三カ月で社会に出られるでしょうかというのが私たちの主張なのでございます。
 だから、もう少し精神的にも肉体的にもじっくりとリハビリを受けて、そして構えて、準備を整えてから社会に出たいというふうに願っているわけです。そうでないと、三カ月で社会に出ると再び家に閉じこもってしまうんですね。社会のバリアフリーであろうが何であろうが、そういうことは関係なしに、もうその以前の、精神的に閉じこもるわけでございます。この体では恥ずかしくて出ていけないというような状況でございます。だから、もう少しリハビリテーションを長く持っていただいて、肉体あるいは精神を鍛えてから社会に出していただきたいというふうに思っております。
 バリアフリーはその次の段階のことでございまして、その以前に精神的に立ち直れないというような状況をぜひ酌み取っていただきたいというふうに私たちは訴えているわけでございます。
#127
○弘友和夫君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#128
○大沢辰美君 参考人の皆さん、御苦労さまです。
 日本共産党の大沢辰美でございます。
 この法律がようやくつくられようとしているわけですが、この間本当に障害者団体の皆さん、また高齢者団体の皆さんが粘り強い運動をされた。そのことには心から敬意を表したいと思います。私たち日本共産党も、六年前国会で取り上げて以来、早くこの法案をつくりたいということで頑張ってきたところですが、これから御一緒にいい法律をつくり上げていくために皆さんの御意見を参考にさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 最初に、まず目的、理念の問題なんですけれども、法律の目的にもかかわることなんですけれども、障害者、高齢者にとって、今、見坊参考人もおっしゃいましたが、自立、社会参加は大きなテーマとなっているということを指摘されました。もちろん、障害者基本法でもまた高齢社会基法でも社会参加の確保が基本的理念としてうたわれていますね。
 私は、社会参加をする上で移動の自由と安全は絶対的に不可欠なものだと思っております。つまり、基本的権利とそれは等しいものと思っておりますが、その点について三人の皆さんの御意見をまずお聞きしたいと思います。
#129
○参考人(妻屋明君) この法案ができる以前、我々はいろいろ運動をしてまいりました中で、その当時は、車いすだから乗れないから乗せてくださいというほかに、そういうふうにつくっておかないと我々が行った場合にけがしますよ、そのときのためにそういう設備をつくってくださいというふうなお願いから入っていったようなものでして、それは、階段にしないでスロープにしてください、あるいはエレベーターにしてくださいということをお願いしたのは、まずその安全面から訴えたわけでございます。そうでないと、階段を担ぎ上げてホームに上がった場合に、担ぎ上げる途中におっことされてしまってけがをするということもございますから、そういった面でもエレベーターをつけてくださいというようなことを言っているわけです。
 そしてもう一つは、担ぐ方にとりましても、駅の職員が腰痛等の労災事故になってしまうわけでございます。そういうことは私たちの本望ではございませんので、そういうことも踏まえてここにエレベーターをつけてくださいというようなお願いをしてきたわけでございます。
#130
○参考人(見坊和雄君) ちょっとお尋ねの点に沿うのかどうかわかりませんが、戦後、特に終戦直後、まず児童福祉法、生活保護法、身体障害者福祉法が生まれたわけでございます。
 そうして、老人といいましても、当時六十歳以上は大体そう言われておったんですが、あたかも戦争犯罪人であるかのごとく疎外をされた、冷たく見られた。そして、かなりな地位の方も公職追放された。そういう時代。そのとき私は二十代後半でございました。そうした状況の中で、老人といったものがそれでは人としての権利、尊厳といったものがあるのかないのかということは当時かなり議論がございました。そして、児童福祉法がまず生まれたのは、やはり子供の権利と人権、その人格の育成が大事だと。それが戦争につながっていった点を反省してのことであったわけでございますが、老人は当時は全く問題にされなかった。老人福祉法が出たのは昭和三十八年でございます。
 しかし、疎外された高齢者が昭和二十一年に集まりまして、そして自然に新しい学習と自分たちで福祉を開拓しようというような、そういう動きが老人クラブとしてあったんですが、このテキストはイギリスから入ってきたわけでございます。そのイギリスからのテキストを入れたのは、現在の老人ホームの組織の中心になっている方々でございます。
 老人をただ老人ホームに閉じ込めておいていいのかという疑問から、イギリスではどうなっているのかということをイギリス大使館で勉強いたしまして、大使館から「老人クラブ」というテキストをもらった。そのテキストの一つに書いてありますのは、老人が長く地域、家庭に住めるようにして、そして社会に参加していくというためにはどうしたらいいか、それは彼らを家からクラブに引き出してくることだ、家に閉じこもっている老人を引き出してくることだと。そして最後に、老人ホームではなくて、引き出してきて行動させること。そのことが非常に共鳴を呼びまして、全国に広げたという段階でございます。
 このころから、既に私どもは一つの、そうした社会に参加することが当然のことであり、またそういう状況をつくらなくちゃならない、それを自分たちの努力としてやろうということが始まりであったわけでございます。
 今日、改めて権利でありますとかいろいろなことを言われておりますけれども、私ども高齢者自身としては、やはり自分たちの生活体験の中からそういうものを身につけてまいりましたし、場合によってはそのためにちょっと我慢し過ぎるところがあるのかもしれませんけれども、積極的にそうしたことを広げていきたい、それは当然のことと、こう思っておるわけでございます。
#131
○参考人(松尾榮君) 自立と社会参加というのは私ども障害者のテーマでございますし、今度の法案についてはもう十分これでいいんじゃないかというふうに考えております。
 また、安全面その他についても、十分私どもが参画することによって達成できるんじゃないかというふうに考えております。
#132
○大沢辰美君 本当に社会参加をいかに保障していくかというのは大事な根本的な中心課題であるということはもちろん私たちも強く思っているわけですけれども、基本理念として確固としたものが重要じゃないかなと思っているんです。そのために、移動の自由を権利として保障されなければならないな、それが社会参加の理念を打ち立てていくことになると思っております。
 その立場からもう一点お聞きしたいんですが、今度の法律の対象範囲が高齢者、身体障害者等となっています。知的障害者等の移動のニーズがはっきりわからないからということで除外されています。身体障害者と限定されていますが、なぜわざわざ知的障害者を除かなければならないのか。仮にすべての障害者を対象としたら何が問題が出てくるのかという点だと思うんですが、私は別に出てこないと思っているんです。私たちは、障害者、高齢者はもちろん、健常者も含めてすべての人が対象であって何ら支障はないと思っています。
 私は元看護婦をしておりましたので、障害者に優しい社会はすべての人間に優しい場所を与えていくということを学んできたわけですけれども、やはり移動のニーズがわからないというだけで私はこれを外すというのはやっぱりおかしいなと思っているんです。
 昨日も全国の知的障害者団体の役員さんの方にちょっとお話を聞かせていただきまして、法律の「身体」というのを削ってもらうだけで、「障害者」にしてくれたらいいなということを聞かせていただいたんですけれども、やはりこの法律では情報の提供、事業者による職員の教育という規定もございますし、知的障害者の皆さんはまさに情報と伝達に制約があるわけですから、職員の教育やら知的障害者の人たちも含めている対策だと思っておりますので、こうしたことから知的障害者の方も含めた障害者を対象にすべきと私はこの法律で思うんですが、お考えを三人の方にお聞きしたいと思います。
#133
○参考人(見坊和雄君) うかつにもちょっと読み方が、私も非常に拡大して読んでおりました。
 私ども高齢者、障害者等、妊産婦も入るという言葉も入っておりますが、かなりその中に入っているものというふうに私は理解しておったわけでございますが、知的障害者あるいは精神障害者、いろいろとありますけれども、そうした方々、あるいは子連れの方、虚弱の方もあります、そうした方々をもし除外するような、あるいは法律の対象ではないというふうになっておるのであれば、それはぜひ範囲を広げていただきたい。
 当然にすべてのそうした方々に人格があるわけでありますし、また当然に移動の自由、そうしたことがあるわけで、社会に参加する、そうしたことが果たせるようにぜひ法律の解釈としてはそういうふうにお願いしたい、こう思っております。
#134
○参考人(松尾榮君) 「高齢者、身体障害者等」となっておりますので、また知的、精神の場合にいわゆる移動の支障というのが余り目立たない、またそういうニーズもないかなと、現在はこの状態で十分配慮されるんじゃないか。知的障害者でも身体障害者と同じような重度の移動に不自由な場合は、その「身体障害者等」の中で当然考慮されていくものというふうに考えますので、特に情報面でそういう配慮を実際面でやれば十分じゃないかというふうに考えて、現状ではこの法案で私は十分じゃないかと思っております。
#135
○参考人(妻屋明君) その範囲のことなんですけれども、知的障害者あるいは精神障害者が文言としてないということでありますけれども、いずれにしましても、知的障害者、精神障害者ともに、これは私どもは自立を促進する、自立を支援する法律だというふうに考えておりまして、知的障害者であっても精神障害者であってもその方が自立しようとしている場合には、それは支援する必要が私はあると思います。しかしながら、自立ができないような状況であったらそれは支援する方法もございませんので、自立している精神障害者、あるいは知的障害者の方についてはこの範囲に含まれるというふうに考えておりますけれども。
#136
○大沢辰美君 もう一点お聞かせいただきたいんですが、先ほども質問がございましたけれども、計画段階、整備する段階での参画についてということで、私もこの整備に当たっての参画のシステムの、ここに記入がされていないということにとても残念だなと思っているんですが、私はやはりこれはぜひそういうシステムをつくっていただきたいと思っているんです。
 その例として、私の地元の阪急伊丹駅がよく例で出ているんですが、この前お伺いしてまいりまして、これは阪神大震災で壊れてしまったものですから、設計の段階から入ってくださったんです。ですから、障害者の方ももちろん、車いすの団体の皆さんも多くの皆さんが参加をしてくださっておりました。とてもすばらしいこれはシステムだなと思ったんです。阪急伊丹駅アメニティターミナル整備検討委員会というのをつくられて、二十回ぐらい会議を開いてくださって、本当に優しい駅にでき上がったなと思っているんです。
 こういう問題が各地域に、全国にできたらいいなと思っているんですが、やはり地域地域の実態がございますから、だからこそ私は地域地域でこういう整備検討委員会というんですか、地方自治体でつくられることが望ましいと思うんです。もちろん全国的な課題はやらないといけないんですが、そこからのことがやはり心配で仕方がないんです。
 先ほどもちょっと御意見聞かせていただいたんですが、改めてそういう実態ができているいい例があるということで、ぜひこのシステムのあり方についての御意見をお聞かせいただきたいと思います。三人の方にお願いします。
#137
○参考人(妻屋明君) そのシステムなんですけれども、いかがでしょう、私たち障害者団体、あるいは当事者側からそういうシステムに加わらないと言ったこれまでのためしはないというふうに思っております。私どもは、いつでも呼ばれれば参画できると思っておりますし、したいとも思っております。それをだれが決めるかということは、私たちの別なところで決められるわけですから、そこに我々は参加しておりませんから私たちは何とも申し上げようがございません。
 伊丹の駅については、私たちの仲間もその基本段階から参加されたというふうに聞いておりますけれども、そういった当事者、あるいは市民も交えて一緒につくった駅は、将来にわたって愛される駅になるというふうに私は思っております。しかしながら、勝手にだれかが、設計者がこういうふうにつくったという駅は、将来にわたって指を指されるような状況にあるというふうに現状でも思うわけでございます。事実、全く変なつくりをしている場所が多々見られますけれども、それは私たちは指を指して笑っております。こういうところには近寄らないようにしておるわけでございます。今そういう状況にあります。
#138
○参考人(松尾榮君) 市町村段階で計画から参画をする、これはやはり団体の信頼度にもかなりよるんですね。団体を呼んでいろいろ聞かにゃいかぬというふうにぜひなっていただかにゃいかぬし、私ども、そういうふうに各市町村団体まで全部そういう指導をしていきたい、積極的に参画をしなさいと。
 私のところで道路を、歩道を整備したんですけれども、建設省さんが、団体必ず参画してくださいと、一番に呼んでいただいて、意見を述べて、ちゃんとやりました。やはりすばらしい道路、歩道にしていただきました。同じ建設省でも、障害者団体にまず投げかけてやっていただくところと、行政にまずやっていただいて、行政が義務的にやっていただくというのとは大分意味合いが違いますので、そこら辺はやはり団体にもう少し責任を持たせる、意見を尊重していただくような方向になれば当然やっていけるんじゃないか。私どもは、社会参加する、一つの責任の一端を担うという意味でもぜひやらなければならないと思っております。
 以上でございます。
#139
○参考人(見坊和雄君) 今お話がありましたように、民間団体に呼びかけていただきましたらどの団体も喜んで参加すると思います。むしろそれを待っているというのが実態でございます。
 ただ、市町村によりましては、私どもちょっと考えておりますのは、余り八十歳以上の人は出すなとか、年齢制限、私は非常に問題があると思っているんですが、そういうことがありましたり、それから肩書きがない人は困ると。つまり、その市町村の老人クラブ連合会、これは何千人、一万人、二万人という組織になっていますが、その長を指名してくるということがあります。実際にその人が適任であるかどうかわかりません。むしろ、実際にその適任者は下におるんです。ですから、適任者を推薦してそれを指名していただくというふうにお願いしたい。そうでありませんと、名刺の裏に十も二十も肩書きが並んでおる会長がたくさんいるんですが、私はとてもそんなのが役に立つわけはない、こう思っているわけでございます。
 だから、交通は交通のベテランが必ずおります、多くの会員の中には、そういう行政の経験者もおりますし。そういう方を活用するようにお願いしたい、そういうことでぜひ参画をさせていただきたいと思っています。
#140
○大沢辰美君 ありがとうございました。
#141
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 参考人の方々、本日はどうも大変御苦労さまでございます。もう一時間以上になるわけでございまして、大変お疲れだと思いますが、大体もうしんがりの方に来ましたので、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。
 それぞれの団体で長い間運動をされたことにまず感謝を申し上げ、ようやく本日このような形で意見の陳述がされる、そして法案が成立するという運びになりました。これはやっぱり私どもにとっても一歩前進したのではないかというふうに評価をしているところでございますし、先ほど三人の方々からもそういう評価をいただきました。深く感謝を申し上げておきたいと思うのであります。
 やはり、鉄道、バスを利用していただいて、今何が不足しているのか、ここのところはこういうふうにしてほしい、具体的に利用された結果として何が不足しているかというのを、お三人の方々、二つずつぐらい挙げていただきたいと思います。
 また、利用して何を最も望むかということについて、言うなら先ほどの参考人の方々も職員の接遇サービスというのが非常に問題だというふうに言われまして、なるほどなとお話を聞いて思っていたところでございますから、具体的に皆さん方が何を今望むのか、サービスについて、お伺いしたいと思います。
#142
○参考人(妻屋明君) 二点ほど言えというわけですけれども、まず一つは、自宅の近くにバス停がございますけれども、そこにノンステップバスがやってこない、ここから始まります。では、駅までどうやって行くんだということになるわけでございます。たまたま駅まで行ったとしても一番頭が痛いのは、今職員の接遇のことを言っていましたけれども、接遇についてはかなり丁重になったというふうに私は思っております。しかしながら、その扱いについては決して丁重だとは思えないわけでございます。
 というのは、階段がありまして、では担ぎましょうと始まるわけです、四人ぐらいで。私はおみこしではございませんので、担がれてもしようがないわけです。これが一番憂うつなんです。これが一番そこへ行きたくない理由の一つなんです。今いろんな駅で、ターミナルで、立派なターミナルがございますけれども、それは点でしかなくて、線でつながっておかなければならないというところが一番難儀なところでございます。
#143
○参考人(松尾榮君) 二点ほど。
 まず、例えばJRとモノレールとか、そういう接点のアクセスが非常に大事じゃないか。これがやはり非常に欠けている、それぞれのところはかなり進んでおりますけれども。
 それから、例えば東京で新しい駅の方は上り下りエスカレーターは両方ついております。田舎に行くと片一方だけしかついていない、上りだけ。下りが必要なときには駅員さんを呼んできてかぎをあけてもらわなきゃいかぬ。そういう問題もありますので、アクセスのことが非常に大事じゃないか。
 それからもう一点は、先ほどから出ておりますが、こういうルートで行けるんだと情報をぴしっと出していただければ、インターネットその他で情報を出せば、どこに行きたいということでできるんじゃないか。今のところは、駅の方にお願いをして駅から駅にずっと連絡してやっていただいております。そこら辺をやはりぴしっとやっていくべきじゃないかと思っております。
 それから、ソフト面ということですけれども、やはり依然としてかぎのかかったエレベーターとかかぎのかかったトイレがございます。これはやはり日本人自体の問題、モラルの問題もありますけれども、ちょっとやはり問題じゃないか。佐賀でいろいろ研究会議をやったときに、駅長室の真ん前にトイレを持ってこい、かぎをかけぬでいいじゃないかという意見が出たんですけれども、私もやはりトイレはもう少し人の目立つところにつけるべきじゃないか、そうするとわざわざかぎをかけぬでもいいんじゃないかと。目白で新しく障害者のトイレをすぐみんなが見える前につくっていただいたんです。あれは非常にいいことじゃないかと思っております。
 以上でございます。
#144
○参考人(見坊和雄君) それぞれありましたので重複しないように申し上げますと、一つは、バス停留所の整備を何とかお願いしたいという声が非常に高いわけでございます。それから、都市部、特にターミナルそのほかでございますが、空港にいたしましても歩く距離が非常に長い。途中、座る場所がない。ベンチがない、いすがない。それから、荷物を持って歩くのに大変苦痛だ、しかし預ける場所もない。いろいろそうしたことが言われております。
 それから、都市部はバスや電車を利用するわけでございますけれども、問題は町村部、交通機関が少なくなって足がなくなってきた。この辺をどういうふうにすればいいのか。実際に地域におる高齢者は非常に困惑しておるという実態でございまして、何とかその声を国会に反映してもらいたいという要望が強く出ておるわけでございます。
#145
○渕上貞雄君 今までのお話の中で最も問題点は何かというのは、やはり情報というところが最も大事だと、こういうふうに言われておりますけれども、私どもも先日、羽田の京浜急行と空港の関係の視察をさせていただきました。そのときに思ったことは、言われたように、どこに障害者用のエレベーターがついているかという最初の表示がないですね。エレベーターのある近くまで行くと表示がついている。そういうことでございますから、私が当時考えたことは、どこかそういうエレベーターが設置してありますよという情報を駅で総合的にといいましょうか、皆さんがわかるように情報を出すべきではないかというふうに思うんです。
 ですから、情報が足りない、わからないという意味はわかるけれども、ではどの辺に、どういうところにそういうものを設置したらいいのかどうなのか。その場合、今は非常に絵文字というんでしょうか、トイレは男と女が立っていてとか、車いすの方はこういう車いすのマークがついているというような形になっておりますけれども、その点で私はあの絵文字というのは大変いいのではないか、こういうふうに思っているところでございますが、皆さん方の方でそういう要望だとか設置する箇所だとか、そういうことについて御意見があればお聞かせを願いたいと思います。
#146
○参考人(妻屋明君) これまでの運動の中で多少はそういう案内についての要望はいたしましたけれども、具体的な案は申し上げたことはなかったと思います。
 事実、大きな駅に行きますとまるでクイズのようになっておりまして、どういうふうに行けばそこへつながっているということは全くわからないわけです。そして、やっぱり職員をつかまえてどうやってと説明を受けて、それから出発ということになります。だから私はいつも思っているんですけれども、大きな駅には専用の案内の人を置くべきだというふうに考えております。
 そして、よく言われるんですけれども、駅を利用する場合は事前に連絡くださいと言っておりますけれども、事前に連絡をしてもその案内人がいないわけです。ちょっと待ってください、今呼んできますと始まるわけですから、これはお客さんに対して対応するあれではないと思いますね。だから、案内人という、大きな駅にはそういう人が必要ではないかというふうに常々思っております。それか、看板でちゃんと案内するかどちらかだというふうに思っております。
#147
○参考人(松尾榮君) 先生がおっしゃるように、駅の表示というのはやはり近くまで行かないとない。やはりメーンにどこどこというふうに書いていただければ大変ありがたいと思うんです。先生がおっしゃった絵文字等は非常にいいことじゃないかと思っております。
 都会の方は割といいですけれども、田舎の方になると全くそういうあれがございませんし、それから金融関係なんかは障害者のトイレというのは余り前面に出したがらないわけです。ああいう点はやはり今後もう少し考えていただかなきゃいかぬじゃないかというふうに考えます。
#148
○参考人(見坊和雄君) ぜひ絵文字、統一したわかりやすいものを普及していただきたいと思っております。
 それから、今のお二人からお話がありましたやはり大きな駅舎、そうしたところの北口に行けば便利なのか南口に行けば高齢者にとって便利なのか、障害者にとって車いすが着けやすいのか、そうしたことが事前にわかるようになればむだなことが少なくなるだろうと思っております。
 いろんな地図が発行されておりますが、空港などの点は割合よく普及しているんですが、もう少し駅の関係も案内図あるいは地図そのほかのあれにも場所を入れるとか、そういう不便な人のために便利なようにどういうアクセスがあるのか、そうしたことがもう少し入ってくるとありがたいと思っております。ぜひ案内図など、私も空港の関係はよく羽田とか成田へ行ったときに持ってきて利用しておるんですが、できれば大きな駅は特にそうした案内図を配布できるようにお願いしたいなと思っております。
#149
○渕上貞雄君 ありがとうございました。
 この法案については、もう衆議院でも審議をされまして、附帯決議もつけられておるようでありまして、本日、とりわけ皆さん方のお話の中を通じ、対象者の拡大の問題と目的と理念といいましょうか、もっと明確にすべきである、同時にあわせて、皆さん方の意見が反映できるような仕組みをちゃんとしなさいという御意見もございました。それに加えて予算の拡充という問題も出されたと思うのでありますけれども、なおこの法案が皆さん方から見て不足しているというところがございましたら、三人の参考人の方々、それぞれ御意見をいただきたいと思います。
#150
○参考人(見坊和雄君) 特に細かな点でこれ以上申し上げる点はございません。
 ただ、一つは、道路の整備といったことが非常に重要であると思っておりますのは、障害者の方もそうでございます、高齢者も自分の足としてマイカーの運転を必需品として利用いたしているわけでございます。
 私も今八十歳で、自動車の免許証を返納した方がいいなんて周りから言われるんですが、とんでもないことでございまして、マイカーで動けますので荷物を持って雨の日でも自分のうちから霞が関まで通ってくることができますし、国会へきょう参るのにも利用させていただきました。三年前にがんで胃袋を切ってしまいましたので、体力は激減でございまして、ちょっとしたことで荷物も苦痛でありますし、歩行が困難、こういう状況になっておるわけでございます。
 これから高齢者はますます、特に地方は自動車の利用が多くなると思います。今、九十歳以上でもかなり利用しております。そうした方々がアクセスできるような、そうした障害者と同様な何らかの配慮をお願いしたい。その辺が将来の一つの課題でなかろうか。自動車の免許を取り上げるよりは自由に自分の足で動けるように、そういう方向でぜひ将来この法案の内容を拡大充実していただきたい、こう思っております。
#151
○参考人(松尾榮君) 現在の法案で特に不足しているという点は今のところございません。私の方はこれで十分じゃないか、早く実現していただきたい。そして、障害者、高齢者が社会的責任としてこれをやはり積極的に推し進める必要がある、こういうふうに考えますので、よろしくお願いいたします。
#152
○参考人(妻屋明君) やはり先ほど申し上げましたように、いつ改善されるかというそういう情報をいち早く私たちに知らせていただきたい。また、全国の各駅の今のバリアフリーの状況を私たちに公開していただきたいという、その二点が必要だと思います。
 そしてもう一つは、先ほど申し上げましたように、これができたからといって即そういうバリアフリーな社会になるわけではございませんので、ぜひ啓発活動については、私たちも含めて国民全員が運動するように何か入れていただきたいというふうに思っております。
#153
○渕上貞雄君 終わります。
#154
○戸田邦司君 参議院クラブ、自由党の戸田邦司でございます。
 参考人の皆さん、本当に長時間お疲れさまです。また、常日ごろから大変熱心にこの問題と取り組んでおられるということで、心から敬意を表したいと思います。
 議論も大分進んでまいりましたので、私は二、三の点について皆さんにお伺いしたいと思います。
 まず第一の点ですが、皆さん移動されるときに、きょうはどこからどこへ行くと。そうすると、どこの駅を通ってどの階段を通って、それでどこにはエレベーターがあってということをお調べになられるだろうと思います。
 先ほどから羽田空港の話が出ておりましたが、羽田空港内のことを取り上げても、例えばボーディングブリッジじゃなくてバスに乗ってずっと行って、それでそこから普通の階段を上がる、こういうようなところがあったりして大変皆さんにとっては不便なことがおありじゃないかと思います。
 それから、先ほどから東京駅の話が出ておりましたが、東京駅などを見ましてもやっぱりまだまだというところがあると私は思っております。特に階段が多いんですね。新幹線に乗るにも、新幹線の改札を押して入ってまた階段がある。そういうようなことで、皆さんお出かけのときに一々そういうところを事前に全部チェックしてお出かけになられるんじゃないかと思います。
 先ほどから、どこがどういうふうに整備されたかの情報を提供していただくというような御要望がございましたが、私は、将来皆さんの努力も必要だろうと思います、交通機関の運営者の方々の努力も必要だろうと思いますが。そういった皆さんで御協力されて、そういう情報をインターネットで、どこからどこへ行くときにはどこがどうなっているか、こういうような情報を整理して提供するというようなことも一つ重要なことになってくるんじゃないかと思います。これをやりますと、各ルートの整備状況というか、そういったこともわかるわけですね。
 そういったことについて、皆さんのこれからの対応といいますか、御参考までに御意見をお伺いできればと思います。
#155
○参考人(妻屋明君) 私たち当事者団体の責務も大きいかとつくづく思っているところでございます。
 そういった中で、私どもは従来から、交通の情報ではございませんけれども、車いすで泊まれる宿泊施設のガイドブックをここ十数年の間つくっております。現在は第四巻目を、大沢先生は今お持ちで、ありがとうございます、持っていますけれども、そういったものを我々の零細な団体でつくって皆さんに情報を提供しているところでございます。
 それにしましても、それには相当の財政が必要でありまして、なかなか情報のガイドブックをつくるには大変なところがございます。しかし、我が団体は宿泊ガイドをつくったわけですけれども、ほかの団体では駅舎のガイドブックをつくっているところもございます。それは手で持てないぐらい重たい厚いものでございますけれども、そういうのも障害者団体がつくっております。
 これからもそういうアクセスについては順次ガイドブックをつくって、障害者の皆様に情報を提供しなきゃいけないということはもう重々わかっているつもりでございます。
#156
○参考人(松尾榮君) 先生おっしゃるインターネットでというのは非常に大事なことなんですね。午前中も私は郵政省の情報関係の研究会に出ていろいろ発言をしてきたんですが、郵政省、厚生省でもいろいろ情報関係については、特に交通関係のものも入れるということにしております。
 日身連でもインターネットで各支部に流れるようにという整備を数々やっておりますので、非常に大事なことだし、日身連本部が中心になって進めたいというふうに考えております。
#157
○参考人(見坊和雄君) 実際には、いろいろと事前にその駅の状況を頭に描きながら、また調べられることは調べたりして行くわけですが、やっぱり行ってみないとわからない。行って初めてまた迷ってみたり、ああこれでよかったと思ったり、非常に歩く距離が短くて済んだとか、エスカレーターのちょうど横におりたとか、そういうことが非常に多うございます。やはり現場の案内標識。あるいは先ほど交通ボランティアというお話もございました、だれか聞いてくれる人があって、教えてくれる人があってと、そのことをぜひお願いしたいと思っております。
 インターネットはこれから高齢者も非常に利用すると思います。現在のところまだ、私も使っておりますけれども、リーダー層が約五%使用しているという状況でございますが、これは急速に広がっていくだろう。それには、扱いやすい、わかりやすい、日本語で、場合によっては余り機能は多くなくてもいい、インターネットのぽんとボタンを押せばそれが出てくると、そういうふうなものがもう既に研究されておりますから、それが出てくれば非常に普及すると思います。そうすれば、どこの駅をということで、そこに図面を画面に出すことができるだろう。そしてまた、それをもとにして、場合によっては事前に駅に連絡するということも可能だと思いますので、ぜひその辺の促進方をお願いしたいと思っております。
#158
○戸田邦司君 次に、障害の重い方、軽い方あるいはお年寄りで運動に支障があるという方、いろいろおありだろうと思います。車いすの方々にとっても、まだまだこの法律ができてどこまでいけるのかなという感じがないわけではありませんが、軽度の障害の方々にとっても、駅の階段の勾配とか一つのステップの高さ、それから幅、こういったものがまちまちなんですね。もう少し工夫をしてもらえばもっとお年寄りの方も楽に移動できるんじゃないか。これは場所によっては手すりがあるかないかといったこともあると思います。特に、朝晩のラッシュ時などを考えますと、そういった人々にとってそういうような配慮がもう少し必要ではないかと私は常日ごろ思っております。
 こういった点については皆さん方はこれからどういうお取り組みになられるか、これは行政サイドあるいは事業者サイドでももっと考えてもらわなければならない問題の一つではないかと思いますが、御意見がおありでしたらお願いしたいと思います。
#159
○参考人(松尾榮君) 先生がおっしゃるとおり、軽度の障害者でも、特に東京は階段が多いんですね。私が宿から事務所に行って、きょうここなんかに出てきますと五百段は超すんです。そうすると、悪くない足もちょっとひざががくがくしまして、医者に診てもらって、これは少し使い過ぎとか運動のし過ぎと言われるぐらい東京は階段が多いんです。
 それから、先生がおっしゃったように、幅が違うんですね。幅の高いところに行くとがくっとくるんです、普通のところは問題ないんですけれども。そこら辺はやはり今後私どもの方で十分調査をして、この範囲にしていただきたいというのは私どもでやらなきゃいかぬのじゃないかと思っております。
 それから、ラッシュ時が大変困る、重度の障害者なんかは困るんです。これは前に建設省か何かの懇談会のときにも私は申し上げたのですけれども、ラッシュの対策はどうすればいいんですかと。ありませんと言うんですね。時間をずらしなさい。ただそれだけではちょっと困る。やはり時間に行かにゃいかぬときに、ラッシュのときはちょっと重度障害者は困るんじゃないかというお話もしたことがございますけれども、今のところラッシュに対する配慮というのは何かいい方法を考えなきゃいかぬのじゃないかというふうに考えております。
 以上です。
#160
○参考人(見坊和雄君) 先生のお話の階段の傾斜でありますとか幅とか、これによりましてかなり改善される面があると思います。すべてエスカレーター、エレベーターというわけにはいかないと思います。できるだけ歩いて利用できるところが使いやすいようになるということをぜひお願いしたいと思っております。その辺の工夫は十分できるのじゃないかと思います。
 それから、エスカレーターも、上りだからということでなくて、場合によっては、高齢者、障害者もそうでございましょう、足元の不自由な方はおりる階段の方が危険でございますので、ぜひエスカレーターは上下でつけていただきたい。手すりも左右につけていただきたい。上りやすい下りやすい階段というものがあれば、これは余りむだな経費をそんなどんどんかける必要もなくかなり改善されるんじゃないかと思っております。
#161
○戸田邦司君 お年寄りの方はやっぱり上るより下る方が恐ろしい、こう言っておられました。ですから、最近、東京駅の新幹線などは下りのエスカレーターもできて大変助かっていますというようなことを言っておられますが、そういった点も、上り下り同じ基数を整備するとか、そういったことが必要になるんじゃないかと思っております。
 それから、きょう車いすの方がたくさんお見えになっておられますが、車いすで移動される方に手をかしてくれる方々、ボランティアでとかあるいは駅の方とかいろいろ御意見が出ておりました。これは、ボランティアにしましても、なかなか皆さん協力してもらうには、そういうことがあるんだということを浸透させていく、認識していただく、時間がかかるところではないかと思っております。
 私、北欧に住んでいたことがありまして、北欧の町では一人で車いすでも町に出てきて普通に活動している人がたくさんいる。それは、駅あたりに行きますと大抵は緩やかなスロープになっておりますから、列車に乗るところまでは来られる。そうすると、列車が来ますとその周りにいる人が必ず手をかすんです。日本みたいに知らぬふりをしたり、そういう人は絶対いないんですね。そこまで社会的にそういうことの重要さということが認識されている。思いやりといった感情ともまた別なんです。そういう人がいたら必ず手をかすものだ、そういう認識になっている。
 そこまでいくにはなかなか大変だろうと思いますが、そういう点でこれからキャンペーンをして社会一般の皆さんに参画していただく、そういう助けてくれるような人々がたくさん出てくるように運動をしていかなければならないと思いますが、これらの点についてはどんなふうにお考えでしょうか。
#162
○参考人(見坊和雄君) 私、石神井に住んでおりまして、石神井公園駅なんですが、これただ呼びかけてもなかなか今先生お話しのように手をかさない。しかし、実際に実例を見せると非常にそれは普及してまいります。そうした点で、車いすの方がどういうふうに手をかせば便利なのか、あるいは階段を上がることができるのか、これは実際に何人かのボランティアがみんなの見ているところでやりますと、翌日には二倍三倍と見習ってくれる若者が非常にふえるということを経験として知りました。ぜひそういう方向で普及していきたいと思っております。
#163
○参考人(妻屋明君) これまでの一般市民の車いすに対する見方としましては、先生今おっしゃったように、率先して手伝ってくれる人、それから私たちが来ると逃げていく人、さまざまでございます。特に長い階段の下では大概の人は逃げていきます。その中でも、特に熱心な方は自分が率先してほかの人を誘ってくれる、そして四人対になって私を担ぎ上げてくれるというような場面がございました。
 そういう経験を踏まえて、先ほど申し上げましたように、小さいときからそういう教育、そういう考え方を持ってもらうために教育の中でそういったボランティア的な、あるいは車いすはこういうふうにして扱うんだというようなプログラムをぜひ教育の中へ入れていただきたい。私たちもそれに手をおかししますということで今後はやっていきたいというふうに考えております。
#164
○参考人(松尾榮君) 非常に大事なことで、やはり障害者みずからが声をかけてやるということが大事じゃないかと思っております。そして感謝する障害者、信頼される障害者を目指さなきゃいかぬ、してくれぬからということじゃなくて。
 それから、先ほどボランティア活動の問題が出ましたけれども、今障害者自身でできるボランティアがある。例えば、私も手話の会の会長なんですけれども、手話のリーダーというのは障害者がかなり入っております。それから、クリーン作戦といって空き缶拾いとか町の浄化をしようと。障害者みずからがやると、障害者がやっているからということでかなり一般の人も理解していただくし、障害者が来るならお茶ぐらい沸かしておくというようなことにもなりますので、やはり障害者自身の姿勢がかなり大事じゃないか、やはり感謝する障害者であってほしい、こういうふうに願っております。
 以上です。
#165
○戸田邦司君 ありがとうございました。
#166
○委員長(齋藤勁君) 以上で見坊参考人、松尾参考人及び妻屋参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 速記をとめてください。
   〔速記中止〕
#167
○委員長(齋藤勁君) 速記を起こしてください。
    ─────────────
#168
○委員長(齋藤勁君) 東海旅客鉄道株式会社代表取締役社長葛西敬之君、社団法人日本民営鉄道協会副会長清水仁君及び社団法人日本バス協会理事佐々木雅雄君、以上三名の参考人の方々の御出席をいただき、御意見を拝聴し、質疑を行います。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人の方々から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の審査の参考にいたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。
 それでは、本日の議事の進め方について申し上げます。
 まず、葛西参考人、清水参考人、佐々木参考人の順序でお一人十分程度御意見をお述べいただき、その後、各委員の質疑にお答えを願いたいと存じます。
 また、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 なお、恐縮でございますが、時間が限られておりますので、なるべく簡潔に御発言くださるようお願い申し上げます。
 それでは、まず葛西参考人からお願いいたします。葛西参考人。
#169
○参考人(葛西敬之君) 東海旅客鉄道株式会社の葛西でございます。
 本日は、バリアフリー法案の審議に当たりまして、私どもの考え方や取り組みを御説明申し上げる機会をちょうだいいたしまして、本当にありがとうございます。
 時間も限られておりますので、早速本題に入らせていただきます。
 私は、法案に賛成であるという立場でお話をさせていただきます。
 日本は既に高齢化社会に入っております。そして、バリアフリー化というのは鉄道事業者にとって極めて重要な課題であると認識をいたしております。これまでも、運輸省を初めとする関係各位の御指導のもとに着実にバリアフリー化については進めてまいりました。今後、できる限り速やかに望ましい水準に到達できるよう、一層の努力をしてまいるべきであると考えております。
 その意味で、今回バリアフリー法案が提出されましたことは、社会全体をバリアフリー化の方向に改善していくという立場から、国、地方自治体の位置づけが明確にされたこと、さらには関係者の協議や財政措置等の一定のルールのもとで着実に推進できる仕組みができたことにつきまして、駅等における対策の促進という観点から、私どもにとりましてはまことにありがたいことであると考えております。
 私どもの会社、JR東海でございますが、東京―大阪間の新幹線輸送と東海地区の在来線輸送を担っております。まずは、当社のこれまでのバリアフリー化に対する取り組みについて御説明を申し上げたいと存じます。
 まず、エレベーター、エスカレーターにつきましては、運輸省の整備指針として、一日の乗降人員が五千人以上、かつ段差五メートル以上の駅を設置対象とするということになっておりまして、この基準で見ますと、当社におきましては、全駅四百五駅ございますが、そのうちの二割強に当たる九十二駅が対象となるわけでございます。
 この九十二駅は、御利用いただくお客様の数で見ますと、会社全体のお客様の約九〇%をカバーしておりまして、ほとんどを占めるという形になります。東海道新幹線におきましては既に全駅にエレベーターあるいはエスカレーターが設置されておりますが、在来線も含めますと、この九十二駅のうち約四〇%に当たる三十六駅の整備が現在完了したという段階でございます。ちなみに、この三十六駅で会社全体のお客様の約六〇%をカバーする形になっております。
 ここまで進んできたわけでございますが、今後ともバリアフリー法案に基づきまして市町村の基本構想の策定等に全面的に協力をいたしまして、一層努力をしてまいりたいと考えております。
 さらに、これは別の項目になりますが、国鉄の分割・民営化時点で当社の在来線のすべての駅のホームは長距離・客車列車を基準とした設備になっておりまして、電車を前提とした首都圏の駅とは違いまして、車両の床面と段差がございました。当社といたしましては、この段差を解消するために、御利用状況を勘案しながら逐次ホームの扛上をやってまいりまして、現在九十二駅ベースで約八〇%まで対応が進んでおります。基本的には、これから二年以内にすべて対応を完了するという予定でございます。
 また、それ以外のことについて申し上げますと、先ほどの九十二駅という基準で見ますと、車いすの通路が九七%、障害者対応トイレが九〇%既に整備されております。スペースの不足ですとか物理的な困難によって設置が非常に困難な箇所を除きますと、この一、二年で一〇〇%まで進める計画になっております。それ以外の駅にもさらに進めてまいりたいと考えているところでございます。それから、近距離用券売機につきましては、目の御不自由な方に御利用いただけるよう、一〇〇%点字対応を完了いたしております。
 また、誘導・警告ブロック、ホーム端部の転落防止さくにつきましては、特に力を入れて整備を推進してまいりましたので、先ほどの九十二駅についてはもちろんでございますが、無人駅を含めた全駅について本年度中に整備を完了するという計画でございます。
 また、圧倒的に多くのお客様は新幹線のお客様でございますが、新幹線車両につきましては、国鉄時代に設計された二階建ての車両がまだ三分の一弱残っております。これを早急に最新の七〇〇系車両に取りかえをしてまいりましてフラット化をする計画でございまして、数年後にはすべてが段差のない車両にいたしたいと考えております。
 在来線の車両につきましても、JR東海が発足時に引き継いだ車両の大体三分の二を新しいJR後投入した新車に置きかえておりますが、それらにつきましては設計の段階からさまざまな配慮をしてまいります。また、耳の御不自由な方のために車内表示装置の設置など、可能な限り御不自由な方の御利用に配慮したサービスをしてまいりたいと考えております。
 以上のような取り組みを行ってまいったわけでございますが、二、三の意見を述べさせていただきます。
 当社におきましては、国、地方自治体の助成措置が実質的にスタートしたのは平成十一年度でございますが、この年の投資額で四十五億円の対策を講じました。それ以前の年に比べて約二倍の規模の整備になっております。本十二年度も、地方自治体が当社とともにバリアフリー化推進の意向を明らかにしていただいている駅につきましてすべて実施する計画で取り組んでおりまして、予算規模は十一年度と同じ四十五億円を考えております。
 今後とも着実にバリアフリー化を進めてまいりますためには、厳しい地方財政の状況は存じておるところでございますが、整備対象駅に対しては優先的に助成を振り向けていただくことをぜひお願い申し上げたいと思います。
 また、第二に、バリアフリー化は高齢化社会へ移行するために早急に進めなければならないわけでございます。そして、今回の法律に基づきまして地元市町村が基本構想を作成される段階で私どもは誠心誠意個別に協議をさせていただくわけでございますが、当社の駅も新しい駅から古い駅までございまして、地形あるいはスペース等の制約から、エレベーター、エスカレーター等を設置することが大変難しい、あるいは大変高額なお金のかかるようなところもございまして難しいケースもございます。そういう中で、できるだけ速やかに効率的にバリアフリー化を推進していくという観点から私たちは御意見を申し上げたいと存じておりますので、ぜひその面での御理解をお願いしたいというふうに存じ上げる次第でございます。
 最後に、JR東海の経営環境全般の問題について一言触れさせていただきます。
 国鉄の分割・民営化という枠組みの中で、東海道新幹線の持っている高い収益力というものが一つの種芋のような形になりました。本州三社の間で収益調整を行いまして全鉄道網を維持するというフレームをつくり上げたわけでございますが、その結果、東海道新幹線は、東北・上越、山陽新幹線の工事費のうち二兆円余りを肩がわりいたしております。それに見合う債務がJR東海の負担となっておりますので、JR東海の抱えている借金は年間収入の約五倍、五・五兆円という金額に及んでおりました。この五・五兆円というのは国内には例がございませんし、もちろん世界にも類例のない借金会社でございます。ということは、東海道新幹線のお客様は、東海道新幹線本来の経費に加えて二〇%に及ぶ政策的な運賃を負担していただいているという状況になっております。
 これを一刻も早く改善するために、長期債務を我々は毎年できるだけたくさん、できるだけ早く返そうということで取り組んでおりまして、この結果、この八年間で六千億余りを返済し圧縮することができましたが、まだ依然として四・九兆円という債務が平成十年度末段階で残っております。十一年度末段階でさらに千億ほど減らせる形にはなっております。
 こういうような厳しい条件がございますので、債務の返済をし、長期的に安定的な経営を確保する努力をしながら、安全安定輸送に対する万全の対策をとり、そしてバリアフリー化も進めていくという非常にファインアジャストメントの必要な立場で進めてまいる所存でございます。
 そういう意味で、財政的なインセンティブというものは我々にとって大変ありがたいことでございまして、ぜひ法案が成立の後は国、地方の財源の十分な確保をお願い申し上げまして、賛成の立場での意見陳述とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#170
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 次に、清水参考人にお願いいたします。清水参考人。
#171
○参考人(清水仁君) 日本民営鉄道協会の副会長を務めております東京急行電鉄の清水仁でございます。よろしくお願いいたします。
 本日は、バリアフリー法案の審議に当たりまして、私どもの取り組みを説明させていただく機会をちょうだいいたしましたこと、まことにありがとうございます。
 私ども民鉄事業者は、改めて申し上げるまでもなく、地域社会を支える基幹的な公共交通機関として重要な役割を担っているところであり、安全で快適な輸送サービスの提供を目指して日夜努力を続けているところであります。
 その中でも、従来特に力を入れて取り組んでまいりましたのが輸送力の増強による通勤通学時のラッシュ緩和対策でございます。
 大手民鉄におきましては、これまで数次にわたりまして輸送力増強等五カ年計画を策定し、毎年計画的に輸送力を増強してまいったところでありまして、昭和四十年当時には二三八%にも達しておりましたラッシュ時の混雑率が、平成十年度では大手民鉄十五社平均で一五八%にまで低下いたしました。整備目標とされております混雑率一五〇%、ただし東京圏については当面一八〇%の目標は一部を除き既に達成しているところでありまして、今後とも引き続き目標を達成すべく着実に取り組んでまいる所存でございます。
 一方、量的な輸送力整備と相まって快適な輸送サービスも大きなテーマでありまして、車両の冷房化や駅におけるエレベーター、エスカレーターの設置等、各般の取り組みを進めてきているところであります。その中でも、人に優しい鉄道を目指した利便性の向上が大きな課題であると考えております。
 鉄道利用におきます利便性の向上のために、例えば、駅において円滑な乗りかえを実現するため、駅施設を改良したり、あるいは各社共通の乗車カードを導入するなどとともに、駅員の教育訓練等、ハード面はもとよりソフト面の充実にも努めているところであります。とりわけ、バリアフリー化の推進につきましては、駅におけるエレベーターやエスカレーターの設置等に鋭意取り組んできているところでございます。
 私ども民鉄事業者は、このバリアフリー化の推進という課題につきましては、公共交通機関としての鉄道が二十一世紀においても引き続きその使命を果たすためにも不可欠なものとして位置づけ、それを推進しているところでございます。
 すなわち、今後の経済社会の変革に対応し、鉄道を高齢者や障害者等の移動制約者にとってさらに利用しやすいものとしていくことは、今後の公共交通機関としての存在意義であり使命であると考えておりまして、私どもはその使命を達成すべく今後とも精力的に取り組んでまいる所存でございます。
 このような時期に、国におかれましても、既にバリアフリー化を推進するための補助制度を創設されたほか、このたびこの法律案が提出され、さらに体系的、計画的に私どもの事業に援助をいただけるようになれば大変ありがたいことであると考えております。
 ここで、民鉄におきますバリアフリー化の状況について申し上げますと、大手民鉄では平成十一年度末で、運輸省から示されております設置基準の対象となる駅について見ますと、エレベーターについては対象駅の約三割、エスカレーターについては対象駅の五割強の駅に設置しているところでありますが、いまだ十分とは言えない状況にあると考えております。
 ただいま述べましたように、私ども民鉄事業者は、人に優しい鉄道を目指し、鉄道のバリアフリー化に取り組んでいく所存でありますが、私どもを取り巻く経営環境は、昨今の輸送需要の減少傾向等から極めて厳しいものがございます。
 大手民鉄におきましては、平成三年度までは輸送人員が毎年増加傾向で推移しておりましたが、平成四年度より八年連続して減少傾向でありまして、平成十年度における輸送人員は、ピークである平成三年度の九一%の水準まで低下しております。これは、人口の都市集中の停滞とか、あるいはバブル崩壊後の景気の低迷による出控えやリストラによる雇用調整などの影響もありましょうが、やはり少子化あるいは高齢化等による構造的な要因も大きく影響しているものと認識しております。
 このように、輸送人員が大幅に減少している状況から、人件費や減価償却費等の固定的な費用が大半を占める鉄道事業の経営は大きく圧迫されているのが実情でありまして、民鉄事業をめぐる昨今の経営環境は極めて厳しいものがございます。
 しかしながら、私どもはバリアフリー化の推進を二十一世紀に向けた使命と位置づけて取り組んでいるところでありまして、その決意は経営環境のいかんによって揺らぐことはありませんが、しかし同時に、民鉄業界を取り巻く経営環境が極めて厳しい状況にありますことも御理解賜りたいとお願いする次第でございます。
 以上のように、私ども民鉄事業者は従来ともバリアフリー化を推進し精力的に取り組んでいるところでありますが、私どものみの努力にはおのずと限界があります。バリアフリー化を推進するに際しまして、国、地方自治体を初めとする各方面の御支援が不可欠でありまして、私ども民鉄事業者として国、地方自治体等に要望したいことなどを以下に述べさせていただきたいと存じます。
 第一点は、所要の予算額の継続的な確保及び税制措置の拡充であります。
 バリアフリー法案に先立ち、平成十年度以降、国の予算や税制上の支援措置が整備拡充されましたことは、バリアフリー社会への推進に向けた非常に大きな第一ステップとしてまことに喜ばしいものと受けとめております。
 すなわち、バリアフリー化のための予算補助については、平成十年度の国の補正予算において五十億円の予算措置がとられ、また平成十二年度当初予算においても約八十億円の予算措置がなされるなど、従来とは比較にならない大幅な予算が計上されております。
 また、税制につきましても、平成十二年度の税制改正において、バリアフリー化のための駅の改良工事に係る施設についての固定資産税の軽減などの特例措置が設けられたところであり、バリアフリー化の推進に向けた施策として大いに勇気づけられるものであり、感謝している次第であります。
 バリアフリー化を今後とも計画的に推進するためには、国及び地方自治体の連携した一層の予算、税制措置の整備拡充をお願いするものでありまして、補助制度につきまして計画的な実施を図る観点から、予算額の拡充とあわせて必要な予算額が継続して確保されることをお願いするものでございます。
 また、現在の支援措置はエレベーター、エスカレーター等の設置に係る費用がその対象となっておりますが、エレベーターやエスカレーター等の増加に伴って、その更新費用や維持管理等の保守費用についても将来かなりの負担となることが懸念されているところでありまして、今後に向けましては、この点につきましても御配慮をお願いする次第でございます。
 次に、第二点は、駅周辺も含めた一体的なバリアフリー化の推進に当たっての地方自治体等の協力と支援についてでございます。
 既存の駅における改良工事となりますと、日常の業務を継続しながらの工事となりますので、エレベーター、エスカレーターを設置するだけでも大幅な工事費が必要となります。また、一部の駅の中には、その構造上、駅舎を建てかえなければエスカレーター、エレベーター等を設置することが極めて困難なところもございます。
 さらに、バリアフリー化のための施設を設置するスペースの確保の問題がございます。民鉄の駅は、もともとぎりぎりの用地しか有していないのが通例でありまして、エレベーターやエスカレーターを設置するためには、そのための用地やスペースを確保することから始めなければならないところが多いのです。しかしながら、既に開発の進んだ市街地の駅周辺におきましては、それはコストの問題にとどまらず、非常に困難な事情があることも容易に御理解いただけるものと思います。
 また、バリアフリー化の推進は、都市だけの問題ではなく、高齢化が進む地方においても重要な課題でありますが、地方民鉄の経営状態は極めて厳しいものがありますから、地方都市においては関係自治体のさらなる深いかかわりが不可欠であると考える次第であります。
 このため、鉄道駅におけるバリアフリー化の推進は、私ども鉄道事業者だけの取り組みでは不可能であり、地元自治体を中心とする関係者の御協力と積極的な御支援を特にお願いするものでございます。
 私どもとしましても、今回の法案に基づき、地元自治体を初めとする関係者と協力しつつ、また、国、地方自治体からの御支援を賜りつつ、可能な限りバリアフリー化の推進に努力する所存でございます。
 以上で私の公述を終わらせていただきます。
 本日は、貴重な機会をいただきまして、まことにありがとうございました。
#172
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 次に、佐々木参考人にお願いいたします。佐々木参考人。
#173
○参考人(佐々木雅雄君) 日本バス協会の理事を務めております西武バスの佐々木でございます。
 このたびは、いわゆる交通バリアフリー法案の審議に当たりまして、私どもバス事業者のバリアフリーに関する考え方を申し述べる機会を与えていただきまして、まことにありがとうございます。
 先生方御承知のとおり、乗り合いバス事業は輸送人員が一貫して減少する中で厳しい経営状況が続いておりますが、私どもバス事業者といたしましても、利用者の方々の日常生活を支える公共交通機関としての役割を果たすべくさまざまな努力を行ってまいりました。バス車両に関するバリアフリー化につきましても、二十一世紀には国民の四人に一人は高齢者になり、バスを利用される方々もますます高齢者の方々が中心になっていくという状況の中で、また身体障害者の方々の御利用の促進という面からも積極的に取り組んでいかなければならない課題であると考えております。
 バス車両のバリアフリー化につきましては、バリアフリーという言葉が使われるようになる以前から、バス事業者としても行政や自動車メーカーの方々と手を携えながら努力してまいりました。
 当初は、昭和五十年代の前半に、高齢者の方々を中心とした利用者の方々に乗りおりがしやすいバスということで、一般のバス車両よりも床の低いバスの導入を始めました。平成の時代に入りますと、通常二段である乗降口の階段を一段としたワンステップバスが開発されまして、より利用者の方々の乗りおりのしやすい形でのバスサービスが提供できるようになりました。その後、車いすの方にも乗りおりしやすいバスということで、リフトつきバス、さらにはより安価な低床のスロープつきバスが開発されまして導入が進んでいったところでございます。さらに平成八年には、我が国でも現在のスタイルのノンステップバスが開発され、導入が開始されました。
 このノンステップバスは、通常のバスと比べますと非常に高価なものでございますが、国で助成措置を新設されたこともあり、まだ全国の乗り合いバスの台数約六万台と比べるとわずかな台数ではございますが、着実に台数も増加してきております。昨年三月末のデータでございますが、リフトつきバス、スロープつきバス、ノンステップバスを合わせた全国の導入台数は約千七百台でして、うちノンステップバスは四百三十三台になります。
 このうち、私どもの西武バスも平成十年から導入を始めまして、台数は八台でございます。十一年度にはさらに二十三台を導入いたしましたので、現在の我が社のノンステップバスの導入台数は三十一台ということになっております。
 このように、私どももバス車両のバリアフリー化については最大限の努力をしてまいったところでございますが、このたびいわゆる交通バリアフリー法案を政府がおまとめになり御提出されておりますので、実際のバス事業の運営に携わっている立場から、また全国のバス事業者の仲間などの方々から伺っておりますお話なども含めまして、私どもとしての考え方を申し述べさせていただきたいと思います。
 初めに、車両のバリアフリー化に関する義務づけの内容でございます。
 私どもでも先ほど申し上げましたとおりノンステップバスの導入については積極的に進めているところでございますが、義務づけということになってまいりますといろいろと問題の点もございます。
 まず、車両の価格でございますが、通常のバス車両の価格は約千五百万円ほどいたしますが、ノンステップバスについては約二千三百万から二千五百万円ほどいたします。通常のバス車両の価格の約五割増しということになりまして、バス事業者の唯一不可欠な設備の価格が五割増しということでございますから、バス事業者にとっては大変な負担になるわけでございます。このため、私ども国や地元自治体に補助をお願いしながら何とか導入しているわけでございます。
 今後の高齢化社会をにらんで国も自治体も積極的に対応し、予算の増額などの措置を講じていただいていると考えておりますが、何分、国も自治体も財政状況の厳しい折でございますので、ノンステップバスを義務づけるということになってしまった場合、それに見合った補助をいただけるかどうかということはなかなか難しいのではないかと思います。
 また、ノンステップバスは、乗りおりが大変容易になりましたが、車内では段差やスロープができたりスペースや座席数が少なくなるなど、かえって高齢者や身体障害者の方々に御不便をおかけする場合や混雑時の対応上の問題の出てくる場合がございます。今のノンステップバスは初期のものよりはよいものとなっておりますが、もう少し改良を重ねていくことも必要であり、現時点の義務づけとしては、ワンステップバス並み以下の床高でスロープのついた車両という線が適当ではないかと考えております。
 なお、この点につきましては、現在、バス業界でも行政やメーカーとも協力しながらノンステップバスの仕様の標準化に取りかかっているところでございますので、安くて使い勝手のいいノンステップバスの一日も早い普及に向けて私どもとしても努力しているところでございます。
 さらに、バスは床が低くなればなるほど急な坂道や雪道などでは走りづらくなります。ワンステップバスくらいの床の高さですとそのような場合は限られていますが、ノンステップバスになってくると山間部などでは対応が難しい場合が多いのではないかと思います。
 このほか、運輸省の通達の改正によりまして、車いすの方々について介護人の同伴については一律には必要としないということになりましたが、スロープ板の出し入れや車いすスペースの御移動にどうしても時間がかかる場合もございますし、また道路の状況によってはノンステップバスを導入しても乗務員以外の人手をおかりしなければならない場合もございます。
 私どもも、公共交通事業者の責務として、乗務員教育を徹底し、適切な対応に努めてまいりたいと考えておりますが、やはり他の利用者の方々の御理解、御協力も必要でございますので、この交通バリアフリー法の制定をきっかけとして、車内のお客様などの御協力が積極的に得られるよう、国民の共助と社会的連帯の精神について積極的に啓発活動などを行っていただくとともに、関係閣僚会議なども設置されたと伺っておりますので、交通だけでなく各分野にわたるバリアフリーに関する国民的なコンセンサスの形成に努めていただくようお願いを申し上げる次第でございます。
 次に、バリアフリー化の進め方についてでございます。
 私どもがバス車両のバリアフリー化を進めていく場合には、高齢者の方々や身体障害者の方々の御利用の多い路線を優先的に計画的に整備していくことを考えております。
 しかしながら、バス事業者だけの取り組みだけでは効果が上がらないこともあります。すなわち、せっかくバリアフリー化されたバスを駅に乗り入れても、駅のバリアフリー化が行われていない、あるいはノンステップバスで直接あるいはスロープ板を利用して乗りおりのできるような歩道が整備されていない、あるいは違法駐車や違法駐輪がされているといった状況ですと、せっかくバス車両をバリアフリー化してもその投資がむだになってしまいます。また、道路の縁石の配置、交差点や歩道の構造など、ちょっとした手直しをするだけでも、あるいは積雪地においては除雪を優先的にしていただくなどの工夫をしていただくだけでもノンステップバスが走れるようになる場合がございます。
 これらの点について、鉄道事業者、道路管理者、警察といった方々にいろいろとお願いしなければならないことも多いのですが、私どもバス事業者におきましても、民間事業者としての投資計画に基づいて車両を整備していかなければならないのと同様、鉄道事業者の方々にもそれぞれの投資計画といったものがございますでしょうし、道路整備その他行政の取り組みにも優先順位等さまざまな事情がございますでしょうから、このあたりを地元自治体に旗を振っていただいて、うまく交通整理していかないとバリアフリー化について効果が半減してしまうのではないかと思っております。その点について今回の法案は御配慮いただいているものと承知しております。
 以上、私どもバス事業者のバリアフリーに関する考え方の一端を申し述べさせていただきました。
 私どもも、バリアフリー化につきましては公共交通の一翼を担うものといたしまして積極的に取り組んでいく所存でございますので、本日申し上げました事情につきましての御配慮をよろしくお願い申し上げます。
#174
○委員長(齋藤勁君) ありがとうございました。
 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#175
○鹿熊安正君 私は、自由民主党の鹿熊安正でございます。
 ただいまは、参考人の皆様におかれましては、それぞれの立場から貴重な御意見をお聞かせいただきまして、まことにありがとうございました。
 また、御意見の中で、葛西社長さんから新幹線のことに触れられましたが、どうかその新幹線のひとつ一日も早い達成に対して側面からの御協力を切にお願い申し上げたいと思います。
 そこで、私は初めに、この法案が高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案であり、バリアフリーの対象が高齢者、身体障害者に限られており、先ほど大沢委員よりもお尋ねされましたが、知的障害者に対する配慮が欠けているような気がしてなりません。機会があれば、政府、運輸省にぜひこのあたりを詳しくお聞きしたいものだと思っております。
 それでは、質問に入ります。
 まず、JR東海葛西社長さん、民営鉄道協会清水副会長さん、日本バス協会佐々木理事さんのお三方にそれぞれお聞かせを願いたいのでありますが、これまでに、いろいろな質疑の中でエレベーター、エスカレーター、トイレ及び施設内の通路など、施設面でのバリアフリー化についてるる御説明をいただいておりますが、高齢者、身体障害者、知的障害者の皆さんにとってスムーズな移動や安心できる施設は大変重要であることは言うまでもありませんが、機械化が進み、施設が近代化することによって、高齢者、障害者にとって特に必要な一般社会との触れ合いが少なくなるのではないでしょうか。
 そこで、JRグループとして、またそれぞれの会社として、協会として、触れ合いの最前線に立つ駅員さんや乗務員さん等に高齢者、障害者に対する配慮をどのように指導と教育をなされているのか、お三方に簡単に一言ずつお聞かせいただきたいと思います。
#176
○参考人(葛西敬之君) それでは、御質問にお答え申し上げます。
 私どもの主たるサービスである東海道新幹線につきましては、身体に障害のある方、御高齢の方が御利用になるケースがかなり多うございまして、駅の人間は、そういう場合にどのように対処すべきかということにつきましてはかなり経験を積んでおるように思います。私もたびたび利用しますが、そういう方々を駅員が一生懸命お助けしている姿を見て大変喜ばしく思うこともございます。
 あと、なかなかそういう機会のない駅もございますので、一般的に営業職の教育の中でこれまでも徹底を図ってはまいりましたが、まだまだ十分とは言いがたいところもございますので、今後一層の教育の徹底を図ってまいりたいと存じます。
#177
○参考人(清水仁君) 民鉄の関係につきまして、今の御質問にお答えしたいと思います。
 関係民鉄各社とも社員教育については非常に力を入れておりまして、特に身障者の方々をどのように駅で遇すればいいか、また車内でどういうふうな扱いをすればいいかにつきましては、入社時からそういう教育を各社徹底いたしておる次第であります。そのことにつきましては、いろいろな経験を積んだ上で、また入社何年後の教育というそういう節目の教育に当たっても、身障者の方々に対する接遇の仕方について各社それぞれカリキュラムを持って教育をいたしておるところであります。
 また、民鉄業界としてのまとまった広報パンフレットなどをつくっておりますけれども、その中にも身障者の方々に対するいろんな施設の設置について、あるいはそれらの方々の御要望について機会あるごとに広報をしております。特に、そういう施設のございます駅につきましてはそのような教育を徹底させているつもりでございます。
 以上でございます。
#178
○参考人(佐々木雅雄君) バス業界といたしましては、高齢者の方や身体障害者の方にできるだけ気持ちよく事故もなく安心して乗っていただくということを主眼に置きまして、事業者といたしましてもこのことは当然の責務だと考えております。したがいまして、バリアフリーに対応するために、高齢者などが御乗車する際の運転操作、さらには接遇教育を行っているところでございます。
 特に、乗降時の事故、車内人身事故を防止するため、着席及び安定した状態を確認してそれから発車するという、言うならばそういう点に特に気をつけておりますし、マイクを使用いたしまして適切な車内案内をいたしているところでございます。例えば、恐れ入りますがどなたか席をお譲りいただけませんかとか、あるいは右左折時におきましては、右に曲がります、御注意くださいというふうに、運転手が肉声で案内をするように教育をしているところでございます。
 しかしながら、この教育が十分過ぎるということはございませんので、今後もさらに充実強化を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
#179
○鹿熊安正君 いろいろ御配慮いただいておることをただいま承りまして、本当に御苦労さまでございます。
 しかし、先日、視聴覚障害者の皆様の「駅ホーム転落経験者百七人の声」を読ませていただきました。それによりますと、ホームドアもしくはホームゲートの設置と、何よりもホームで障害者に一声かけてくれる駅員さんをふやしてほしいとの要望が強くありました。
 安全を確保するために公共交通事業者として、旅客施設や車両等のバリアフリー化を推進する上で施設整備と一体的に必要不可欠な人員、すなわち介助人やあるいは移動ヘルパーなどをいかほど確保されておられるのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。
#180
○参考人(葛西敬之君) 先ほど御説明しましたが、要員の確保による手当てというのは、ただいまのような経営環境あるいは要員の確保状況の中ではなかなか難しゅうございます。
 したがいまして、私ども、一番原始的な方法ではございますが、例えば転落の防止さくは拠点駅だけでなく無人駅も含めた全駅に設置をいたしまして、少しでも安全にお乗りいただけるように設備的にバックアップをするという形で補強をいたしております。もちろん駅のホームで監視をしている要員はおりますけれども、これをふやしていくということはなかなか現状では困難であるということを御理解賜りたいと存じます。
#181
○参考人(清水仁君) 身障者のホームからの転落事故とか、その他もろもろの駅における事故の防止につきまして、新しい線、例えば営団地下鉄さんの新線建設におきましては、ワンマン運転をやると同時に、一方においてホームドアをしっかりと設置してそのような転落防止に努める、また誘導の点字ブロックなんかもしっかりつけるということがなされておるというふうに思います。
 ただ、従来、在来線につきましてはホームが非常に狭く、そのようなホームドアを設置する余裕がなく、また一方においてワンマン運転を実施するというようなケースもございます。そのようなときには、本当に転落防止のための点字ブロックをしっかりとつけて、それでそのような事故がないように十分な精いっぱいの努力をしてワンマン運転化を実施するというようなことをやっておる次第でありまして、一方において経営の合理化とそのような事故防止ということをぎりぎりの線で両立させる努力をしているつもりでございます。
 また、最近のいろんな例の中で、車両と車両のいわゆる連結部分がドアであるというふうに誤認されて転落する、そのような事故の発生もありまして、それは、その車両と車両の間のいわゆる連結部分に防護のためのドアをつけて、そのような誤認がないような改造もこれから新しい車両については設置するということにしておりまして、精いっぱいの努力をいたしておるということで御理解いただきたいと思います。
#182
○鹿熊安正君 いろいろ御配慮いただいておるように承りましたが、この上ともひとつ細心の御努力をよろしくお願い申し上げたいと思います。
 次の質問に移ります。
 私は、富山で雪国でありますが、積雪に対しての取り組みをお聞かせいただきたいと思います。
 雪が降ると健常者でさえも歩くのはままならないのに、高齢者、障害者の皆さんにとっては不便であり、危険きわまりないことなのであります。それで、私の富山県では、早くから総合計画の中で克雪、利雪、親雪に取り組み、消雪や除雪についてはかなり進んでいると思っております。地方においては、高齢者、障害者が利用する公共交通機関は、鉄道よりもバスの方の利用者が多いように見受けます。
 本法案ではバス新規購入に低床バスの導入を義務づけることとなっております。御承知のことと思いますが、昨年三月末で低床バスは全国に四百三十三台あると聞いておりますが、低床バスは通常のバスよりも八百万円から一千万円高いためか、まだまだ導入が思うように進んでいないのが現状ではないでしょうか。
 そこで、低床バスは床が低いため、雪道や急な坂道では走りにくいこと、あるいは山間部での対応が難しいことなどの問題があり、導入を義務づけることは無理なことだと思います。
 そこで、日本バス協会の佐々木理事にお尋ねいたしますが、雪国や山間部で対応ができるタイプのバスについてどのようなものをお考えになっておられるのか、もしありましたら御披露をお願いいたします。
#183
○参考人(佐々木雅雄君) ただいまの御質問の山間部や積雪地におきましての対応でございますけれども、ワンステップバス程度の床の高さがあれば走行が可能ではないかというふうに考えております。ワンステップバスにスロープ板を装備することになっておりますので、これを利用すれば車いすで乗車していただくことも可能だというふうに考えております。
 ただ、この場合でも、積雪地ではスロープ板が凍結して使えないとか、あるいは何よりも車道や歩道の除雪をしっかりしていただかないとできないということがあろうかというふうに思います。仮に積雪地におきましてノンステップバスを導入する場合は、特に除雪を優先的に行っていただくことが必要不可欠かというふうに考えております。
 東京ないしはその周辺地域で、ちょっと御推察をいただくために申し上げますと、バスが車道に出入りする場合に車庫から歩道まで切り下げて進入をいたしておるわけでございますけれども、ノンステップバスの場合でございますと、従来の切り下げではこれはほとんど出入りができません。したがいまして、車庫内から切り下げを行いまして、車道まで凹凸をなくする工事を行ってノンステップバスの導入を図っているという状況でございます。したがいまして、積雪地、山間地等におきましてはワンステップバス程度がせいぜいできる範囲ではないかというふうに考えております。
#184
○鹿熊安正君 バス事業者のみならず鉄道事業者の方々におかれても、よくプラットホームとかあるいは乗り物のステップが凍りついて、そこで乗り損ないしてひっくり返るというけが人も多々ありますね、そういったことの対策をこれからやっぱりお考えいただくこと、特に高齢者や障害者の雪対策を、具体的な考え方をひとつ今後検討していただきたい、かように思います。
 最後に、一般社会の人たちの心のバリアフリーが重要であると私は思いますので、その点を強く、私たちもひとつ心のバリアフリーということを心に秘めながら努力をしてまいらなきゃならぬということで私の質疑を終わります。
 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。
#185
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。
 三人の参考人の皆様には、本日はお忙しいところを私どもの委員会にお越しいただきまして本当にありがとうございます。
 さて、質問に先立ちまして、ちょっと一言申し上げさせていただきたいことがございます。
 冒頭皆様方から意見陳述を伺いました。資金的な理由ゆえなんでしょうが、どうもバリアフリー化に向けての何か後ろ向きな印象を受けたというのが正直なところでございます。
 しかし、考えてみますと、これから高齢化時代がますます進展をしていく。そんな中、バリアフリー化に向けた努力というのは、もはやほんの一部の方々への配慮じゃないんだ、多くの人たちへの配慮、結局は自分たちの利用客の増加につながる施策なんだ、そういった観点に立ってぜひこれからバリアフリー化に向けての努力を事業者としてもお続けいただきたい、そのことをまず申し上げさせていただきたいと思います。
 では、質問に入りますが、今までも、きょうここにお集まりいただいた事業者の皆様、バリアフリー化に向けていろいろさまざまな御努力をされてきたかと思います。私はこのことに対しては大変高く評価をさせていただきたいわけなんですが、しかし現時点、百点まで行っているかというと、エレベーターの設置率あるいはまたエスカレーターの設置率を見てみましてもまだまだそんな高い水準にはなっていない。
 また、個人的な経験も一つ申し上げさせていただきますと、私も子供ができまして、今までは普通に町中を歩き、普通に列車を使っていたんですが、子供をベビーカーに乗せて電車に乗ろうとしたら、いかに日本社会のインフラが未成熟であるかというのを痛感いたしました。町中を歩いてみても、歩道は狭い、段差はある、電柱はいろいろなところに立っている。駅に行っても階段は多い。ほとんどの駅で階段なんですね、エスカレーターもなく。それで、私こうやってベビーカーを持ち上げていったんですが、大の男でも結構大変ですから、これは女性だったら大変な労力で、もう外に出ることすら嫌になってしまうんじゃないかな、そんな経験をしたわけなんです。
 どうして余り進んでいないかといえば、先ほども申し上げましたように、最大の障害は資金的な問題なんだろうと思います。それを承知の上であえてお伺いしますが、そういった資金的な問題以外に、事業者の立場でお答えいただきたいわけなんですが、バリアフリー化の進展をもし妨げているものがあるとするならば、資金面以外で二番目、三番目の理由なんですが、それも参考までにお聞かせいただけますでしょうか。
#186
○参考人(葛西敬之君) ただいま先生の方から、バリアフリー化について私どもまだ積極性が十分でないという御指摘をいただきまして恐縮でございますが、私たちは、バリアフリー化というのは、まさに先生おっしゃるように特定の方の問題ではなくて、大宗を占めるお客様の問題だという認識で取り組んでまいる決意でございますし、そのつもりでございますので、よろしく御理解のほどをお願い申し上げます。
 そして、その障害は何かということなんですが、今鉄道の問題で、日本の鉄道のインフラは非常にバリアフリー化という観点から見ると不十分なところが多いという御指摘がございました。
 例えば、イギリスに行ってみますと、イギリスのプラットホームは低床になっておりまして、タクシーでも入れるようになっております。確かにそういう面だけを見ますとイギリスの方がいいようにも見えるんですが、ただ日本の場合は、世界の鉄道輸送の中で、日本人が日本国内で乗る鉄道の利用頻度並びに利用キロが世界の鉄道の半分以上を占めているというぐらい鉄道に依存している社会的交通システムになっております。その結果、新幹線だけでも一日に三十八万人の方がお乗りになります。
 こういう形の効率的輸送、一日に三百本の列車が走り三十八万人がお乗りになるという仕組みとバリアフリーを組み合わせるというところに私たちの抱えている難しさがございまして、やはりエスカレーターですとかエレベーターですとか、そういう設備をつくって対応していくという形をとるほかないように私は感じます。駅そのものを、車でも自由に乗り入れられる、しかも床面が同じになるようにするというような仕組みというのは、多分今の日本の交通システムの中ではなかなか難しいと思います。
 そういうことで、結論としては、やっぱりここに書いてありますような、法律の決めておりますようなところを一生懸命やっていきたいと考えております。
#187
○参考人(清水仁君) 今の葛西参考人のお話と趣旨はダブるかもしれませんけれども、私、先ほど最初に述べましたように、特に大手民鉄につきましては、今までの使命が輸送力増強、混雑緩和ということに重点があった。そればかりやってきたということではございませんけれども、それに重点投資をして混雑緩和をまず第一に図ってきたということが、一方においてその反動としてバリアフリー対策がおくれたということがあろうかと思います。
 その辺は、輸送力増強対策がある程度一段落といいますか、山を越えたという感じでございますので、それだからといってということを言うとまたちょっと語弊があるかもしれませんけれども、今後バリアフリー化については、鉄道事業者、こういう輸送機関を担当している公共交通機関として使命であるというふうに真剣に取り組んでまいりたいというふうに思うわけであります。
 ただ、多少個人的な感じを申し上げますと、先ほどベビーカーのお話がございましたけれども、我々の子育てのころはベビーカーなんというのはございませんで、乳母車であれしておった。ということでは、我々非常に古い考えかもしれませんけれども、エレベーター、エスカレーターは多少後回しになってきたというそういう感覚的なものがあろうかと思います。それは世代がかわりましたので、今後とも十分注力していきたいと思います。
#188
○参考人(佐々木雅雄君) バスの場合で資金以外ということになってまいりますと大変難しい問題でございますけれども、御案内のとおり、大都市の場合は道路事情が大体歩道がついているというのが多いわけでございますけれども、郊外を初めといたしまして、地方におきましては道路にまず歩道がないということもあります。
 例えば、バリアフリーの関係でいきますと、スロープ板つきのバスが今比較的ふえてきておりますけれども、これによって車椅子などが乗降できるわけでございます。ところが、歩道がございませんと、しかも片側一車線ということになりますと、どうしてもスロープ板というのは一メーターちょっとございますので、そしてそこに乗降するためのスペースをあけますと、少なくとも二メーターぐらい路肩から中へとまらないと乗降できないということもございます。どちらかといいますと、そういう道路事情等の関係もございましてスロープ板つきだとかリフトつきバスだとかそういうものがおくれてきたということはあろうかと思います。そういう事情で、どちらかといいますと低床式バスなどの導入が若干時間がかかってきたということが言えるのではないかというふうに思います。
 しかし、最近だんだんそういった面での整備ができ、駅周辺を中心として道路整備もでき、また、地方自治体等におきましてもそういう方々がお乗りになるような場所については待避所を設置するなどの措置もしていただいておりますので、だんだんこれから積極的な、前向きな対応をしていきたいというふうに考えているところでございます。
#189
○内藤正光君 ありがとうございます。
 続きまして二つ目の質問なんですが、御存じのように、今回の法案では、まず国が基本方針をつくって、そしてそれに基づいて市町村が基本構想をつくり上げる。市町村が基本構想をつくり上げるときは、事前に公共交通事業者の皆さんと話し合った上でつくるということなんですが、残念なことに今回の法案では、いわゆる一般の市民の方、身障者の方、高齢者の方々、こういった方々の声を聞き入れるということが明示をされていない。国がつくる基本方針については、大臣の答弁で広くパブリックコメントを求めるということになっているわけなんですが、ところが、それにしても基本構想についてはまだそういうような形が担保されていない。しかし私は、この基本構想というのはまさに駅そのものですから、町づくりそのものですから、そこにこそやっぱり市民の幅広い声を取り入れる必要があるんだろうと思うんです。
 そこで参考になるのが、バリアフリー化への取り組みがかなり進んだアメリカなんです。これは町づくりではないんですが、例えばある製品づくりにおいて、身障者の方々を採用して開発のプロセスに身障者の方々を組み入れる、身障者の立場で製品について問題点を指摘してもらう。でき上がった製品は、身障者の方だれもが使えるような、そんな人に優しい製品になるわけなんですが、このことによって、結果としてなんですが、よりよい製品が比較的安いコストででき上がるという効果を得ているんです。
 私は、今回市民の声をどういう形で聞き入れることになるかわかりませんが、いずれにしても、事業者の独自の取り組みとして、いろいろな新しい駅をつくる際にも、また新しい客車をつくる際にも、あるいはまた既存の駅を改造する場合にも積極的にこういった考え方をまねていっていただきたい、そのプロセスの中に身障者の声を反映していっていただけないか、そんなふうに思うわけなんですが、こういった考え方に対して参考人の皆様の御意見をちょうだいしたいと思います。
#190
○参考人(葛西敬之君) それでは、ただいま御指摘ございましたところについて私どもの対応方を二点お話し申し上げます。
 まず、そういう障害のある方々の御意見というものは、基本的には法律に基づく自治体、市町村との個別的な協議の中でそれが吸い上げられてくるというのが基本的な立場だろうというふうに私は理解をいたしております。
 それからもう一つの点で、私どもの会社にも障害を持った方が社員として入っておられますが、QC活動その他社員の活動などで最優秀賞をとるような活躍をしている者もおります。そういう人たちにさまざまな知恵を求めるというのは社内でもできることでございますから、十分検討していくことが可能だと思いますし、大変貴重な御指摘として受けとめさせていただきたいと存じます。
#191
○参考人(清水仁君) 今、葛西参考人の挙げられました二つの点、もちろん我々も努力したいと。
 それにもしつけ加えさせていただくとすれば、民鉄各社それぞれある程度モニター制度を採用しておると思います。何カ月、あるいは一年とかそういう単位で数十人の沿線の住民の方に鉄道事業のモニターになっていただいて、毎年メンバーをかえて繰り返していくというモニター制度をとっておるのが大部分だと思いますけれども、そのような中に積極的に身障者の方を入れて参加をしていただいてやっているかどうかは、それはないかと思いますけれども、今後そのようなモニター制度の中に身障者の方の御参加もいただいて、それで意見を積極的に酌み取って今後の運営の助けにしていくというような努力をしたいと思います。
#192
○参考人(佐々木雅雄君) ただいまの御質問でございますけれども、東京地区では、東京バス協会を窓口にいたしまして定期的に身体障害者団体の方々と実は話し合いをさせていただいておりまして、これを通じてできるだけ意見を取り入れるように努力をしているところでございます。
 当社独自におきましても、年に三回ほど営業エリア内のそういう身体障害者団体の代表の方と話し合いを進めておりまして、例えば、先ほど申しましたノンステップバスの導入などにつきましてはどの路線から導入するのが望ましいのかとか、そういった点についての具体的な協議もさせていただき、さらにそれが決まった段階では、その系統の沿線の方々の代表の方とも話し合いをさせていただいて具体策を詰めていくというようなやり方はしております。
 また、一般的に高齢者の方々との話し合いにつきましては、営業エリアを大体三区画ぐらいに私どもとしては分けまして、それで町内会とか自治会、商店街あるいは自治体の代表者の方々にお集まりいただきまして、懇談会を定期的に開いて御意見をちょうだいし、それを仕事の中に取り入れるように努力をしている、こういう状況でございます。
 以上でございます。
#193
○内藤正光君 ありがとうございました。
#194
○日笠勝之君 公明党・改革クラブの日笠勝之でございます。
 参考人のお三方の皆様におかれましては、公私多忙のところ、大変にありがとうございます。
 持ち時間がわずかでございますから、早速何点かお聞きしたいと思います。
 実は、午後一時からは福祉団体の参考人の方々から陳述をいただいたわけでございます。一時からの福祉関係の参考人の方々の御意見や御要望は、ちょうど交通事業者の皆様方への陳情、要望もたくさんございましたので、早速私がかわりにここで陳情、要望に対してどういうお考えを持っているかお聞きすれば早いんじゃないかな、もうあしたでも採決ができるんじゃないか、こう思っておりますので、大変恐縮ではございますけれども、お聞きをしたいと思います。
 まず、葛西社長さん、お願いを申し上げたいと思います。
 先ほど、御社の新幹線駅はエスカレーターは一〇〇%、オールついているとおっしゃられましたですね。
#195
○参考人(葛西敬之君) エスカレーターあるいはエレベーターということです。
#196
○日笠勝之君 私は、東海道新幹線は通るだけで、山陽新幹線に乗り継いで岡山でおりることが多いんですが、現状わかりませんのでお教え願いたいと思うんですが、先ほどの福祉団体の皆様も、いわゆる障害者の方、高齢者の方は上りより下りの方が非常に恐怖感を感ずるんだというふうなことでございまして、ぜひひとつ上下とものエスカレーターをお願いしたいという御要望がございました。
 恐らく、新幹線駅は大体三階建てでございます。一階から二階へ行くと二階に大体改札があって、そこからエスカレーターで行ってプラットホームがある。私が今まで新幹線の駅を利用している限りでは、いわゆる二階の改札を入ってから三階のプラットホームまでは上下あるところが多いんですが、問題は、一階、二階のいわゆる公共用広場といいましょうか施設、ここはどうも上りしかないような駅が多いと思うんですが、いかがなんでしょうか。
#197
○参考人(葛西敬之君) お答え申し上げます。
 新幹線は十六駅ございます。十六駅の全駅にエスカレーターは設置されております。総数が八十三基ございます。八十三基のうち、実は二十六基が下りに使われております。ただ、下りのエスカレーターのない駅が七つございます。これは、これまでエスカレーターそのものが開業当時ついておりませんでしたので、上りをつけ、これから下りをつけるという方向で、改善の方向で取り組んでまいりたいと思います。
 それから、新幹線の構造は、多くの場合、いわゆる地平からちょっと上がりまして、そこからエスカレーターが上がるという構造になっておりまして、三階建てになっているところは非常に少のうございます、東海道新幹線の場合ですね。新しくできたものの中には相当高いところのものもあるかもしれません。
 東海道新幹線については、その上り下りのエスカレーターを整備できれば、下りについての御要望にはおこたえできたような形になるかと思います。
 よろしくお願いします。
#198
○日笠勝之君 ぜひひとつお願いを申し上げたいと思います。
 それから、これは同じく身体障害者団体連合会の会長さんがおっしゃった中で、新幹線駅のトイレに階段があると。確かにありますね。通路から階段を上がってトイレがある、これが非常にバリアになっているんだと、こういうことですが、この辺の何か改良とかいうようなことをお考えなんでしょうか。日身連からの御要望なんです。
#199
○参考人(葛西敬之君) 実は、手洗いの対応につきましては相当程度進んでいるというふうに理解しておりますが、駅により、また非常に階段でもって上がりにくいというところがあるかどうかにつきましては、検討の上で、もしそういうことがあれば対処をさせていただきたいと思います。
#200
○日笠勝之君 ぜひこれも、御要望だそうでございますので、私の方からもお願い申し上げたいと思います。
 それから、葛西社長さんに最後にお聞きしたいのは、接遇といいましょうか、先ほどからのいろいろ参考人の方々のお話を聞くと、いわゆるハードばっかりで、ソフトですね、接遇、社員研修、こういうふうなことが非常に重要であるんだとおっしゃっておられました。私もそのとおりだと思います。
 例えば、大変失礼ですが、葛西社長さんは自分の駅舎の中を車いすとかアイマスクで実際歩かれたり通行されたことがございますか、御自身で。
#201
○参考人(葛西敬之君) 私は車いすで歩いたことはございません。
#202
○日笠勝之君 恐らく社員の研修もないんじゃないかなと思うんですが、やはりその立場立場でお考えというものが大きく変わるわけです。考え方が変わってくるわけです。ぜひひとつそういう意味で接遇の社員研修の中で、車いすだとかアイマスクをしてだれかに先導されて歩くとか、そういうふうないわゆる障害者の側に立って駅舎の中がどうなっているか、こういうのも取り入れたらいかがかなと。そのことが早いんじゃないかなと、接遇の社員教育に対して。
 これは、大変申しわけありません、清水社長さんにもあわせて、それから佐々木参考人にも、これは同じ交通事業者ということでございますから、いかがでしょうか、社員研修にそういうものを取り入れるということは。
#203
○参考人(葛西敬之君) 私どもの社員研修は、社員研修センターによるものと現場によるOJTと二つの形でなされておりまして、車いす等の介護のやり方等につきましてはその中で実物を使って教育はなされておると思います。
 ただ、すべての介護役に回る者が駅の中を車いすで移動したことがあるかどうかという点につきましては、恐らくそこまではやっていないのではないかという気もいたします。
 いずれにせよ、さらに徹底させていくという考え方でおりますので、今御示唆ありました点は十分参考にさせていただきたいと存じます。
#204
○参考人(清水仁君) 今先生のおっしゃられた、まず私自身車いすで移動したことはございませんし、また、当社の東急電鉄の社員教育ではまだそこまでやってはおりません。ほかの大手民鉄もそこまでやっているところはないと思います。
 今のお話を十分参考にさせていただいて、当社の社員教育の中にそれを織り込む、あるいは民営鉄道協会でそのことについてお話をするということで、そのような教育についての検討といいますか徹底をしていきたいと考えます。
#205
○参考人(佐々木雅雄君) バスの場合でございますと、例えばリフトつきバスが入りますと、そのリフトの操作ができませんとこれは実際運用できませんので、実施訓練はいたしております。同時にまた、スロープ板つきのバスの場合でも、営業所に入ってきますと、当該営業所の運転手にはそれぞれ全部実施訓練をいたします。したがって、そういう意味での訓練はいたしているわけでございます。
 ただ、教育の場ということになりますといろんなケースがございますので、私どもが行っております例で申し上げますと、一応従業員を十人単位の班別に組織をしておりまして、班長並びに副班長教育という形で教育をいたしまして、その班長が自分の班員に対する指導をしていくという対応をしております。日常業務の中で出てきました問題点を吸い上げまして、そしてその班で問題の処理をして訓練をするという対応の仕方をしておりますので、おおむね現場では御期待に沿うような対応ができているのではないかと思いますが、さらに努力していきたいと思います。
#206
○日笠勝之君 それから、全国老人クラブ連合会の方からは二つございました。これは、バスの方でまず申し上げますと、高齢者にとってバスが非常に身近な移動手段となっております。ところが、バスの運行回数が非常に少ない、何とかこれはならないかということが一つと、それからバス停をもう少し改良していただきたい、座るところもないというようなお話がありました。こういう声に対してどのように対応されたいというか、お考えがございますればお聞かせ願いたい。
 それからもう一つ、これは最後でございまして、お三方にお願いしたいのは、こういう御意見でございました、駅ごとの券売機の使い方が皆不統一で非常に使いづらい。ですから、例えばJRからモノレールに行って空港に行く場合もあるでしょう、それから民間鉄道に乗りかえる場合もあるでしょう、またバスに乗りかえる場合もあるでしょう。そのたびに券売機が皆ばらばらで、その使用状況がわからない、どうすればいいか、統一したらいかがか。こういうふうな御意見がありましたが、今後鉄道事業者の皆さんの方で券売機はひとつ、料金は当然違うわけですが、その使い方、例えばここにお金を入れるとどうなるとか、そういうのをお互いに協議し合って統一したものを例えばつくるとか、そういうふうなお考えはございませんか。
 以上、バスのことと全体のことでお願いしたいと思います。
#207
○参考人(佐々木雅雄君) バスの運行回数の少ないという点についてでございますけれども、大都市の場合でございますと、おおむね一日五、六十回なければバスとしての機能を発揮しないということもございますので、その辺のところをめどにして輸送力を確保する努力をしておりますけれども、郊外地区におきましては需要と供給とのバランスを見ながらやらざるを得ないということもございます。したがって、それに応じた輸送力を投入しておりますので、場所によっては極めて少ないということはあろうかと思います。
 ただ、採算の問題もございまして、バス事業につきましては、既に御案内と思いますけれども、現在は、例えば私どものところで申し上げますと、三五%の路線が黒字路線でございますけれども六五%は赤字路線でございますので、どうしても六五%につきましては積極的に輸送力を拡大するということは極めて難しいわけでございまして、したがって、地方自治体等とも話し合いをしながら、場合によってはコミュニティーバス等を運行するとかというような形で対応はさせていただいているつもりでございます。
 バス停につきましては、これはやすらぎバス停というのが昨年度、特に運輸省の方の補助金もございましたので、フードつきのいすを用意したやすらぎバス停という形で私どものところでもかなりの量を設置させていただきました。できるだけそういう方向で今後も努力していきたいということで取り組んでいるところでございます。
#208
○参考人(清水仁君) 券売機の使い方が非常に煩雑、複雑であるというお話、ごもっともであり、また事実そのような状況にあると反省いたします。
 ただ、相当数新しい券売機について点字を設置するなどの改良といいますか身障者対応が徐々にふえてきているということも事実であろうかと思いますけれども、まだ非常に不十分なところだというふうに認識いたしております。今後努力したいと思います。
 それから、一般的に乗車券が買いやすくなる、あるいは電車に乗りやすいということについてはカード化が今後進むと思います。今イオカードとか、あるいは将来ICカードで簡単に乗れる。これは頻繁に乗っていただくお客様のためでございますのでそれだけではもちろん不十分でありますけれども、そのような非常に利用しやすい、乗りやすいシステムの開発にも努力いたしておる次第でございます。
#209
○参考人(葛西敬之君) 御指摘された点は全く私どもも実感しているところでございます。
 したがいまして、いかに操作を単純にするか。これは、全体を統一するというのはなかなか仕組みの違いがございますのでできないまでも、操作を簡単にするということが大切だと思います。また、現在はさまざまな技術が進歩しておりまして過渡期でございますが、これは例えばだんだんICカード化に統一されていくというような動きが出てまいりますと、より簡単なものになっていくというふうに考えておりますし、不断の努力を続けてまいります。
#210
○日笠勝之君 ありがとうございました。
#211
○宮本岳志君 日本共産党の宮本岳志でございます。
 本日は、お忙しい中、大変ありがとうございます。
 まず一つお伺いしたいんですけれども、先ほどお三方からお話をお伺いいたしまして、口々に公共交通事業者としての責務ということのお話がございました。
 清水参考人は、バリアフリーというのは公共交通機関としての鉄道が二十一世紀に使命を果たすために不可欠なものであると、そういうふうにもおっしゃいましたし、経営環境によって揺らぐことのないものと受けとめているというふうにもおっしゃっていただいて、大変頭が下がる思いをした次第であります。
 また、佐々木参考人は、バス事業がなかなか大変だという経営環境にも触れながら、しかし公共交通事業者の責務として取り組んでいくという御決意もいただきました。
 これは言葉の問題かと思うんですけれども、そういうもとで葛西参考人の方から重要性ということはお口にされたと思うんですけれども、これはただ単なる言葉の問題だと思うんですけれども、責務、使命という思いに変わりはないと思うんですが、ひとつ一言御確認だけさせていただきたいと思います。
#212
○参考人(葛西敬之君) 私が申し上げたことも他の二人の参考人の方々がお話になったことも、同じ気持ちでございます。
#213
○宮本岳志君 ぜひそういう立場で頑張っていっていただきたいと思うんです。
 今回、新設の駅については義務化をされる、しかし既存施設については努力義務ということに法はなっているわけですね。こういうことでいいますと、既設の、つまり既存の施設についてはやはり鉄道事業者の皆さんの取り組みというのが非常に大きな重みを持ってくるんじゃないかと思っています。
 それで、午前中の参考人でニッセイ基礎研究所の白石さんは、既存駅の整備、努力義務の実効性ということに触れて、ぜひ事業者の努力を期待したいと、こうおっしゃっておりましたし、午後の参考人の全国脊髄損傷者連合会の妻屋さんは、既設が努力義務ということになっていることについて御不満を表明されておりました。車両はともかく、駅舎などの施設については五十年、百年という期間でしか建てかえないということになるので、いつまでたっても現状と変わらないのではないかという疑念を持たざるを得ないと、こういう御指摘もされていたわけです。
 これはぜひ皆さん方のところでの御努力ということをお伺いしたいんですけれども、葛西参考人と清水参考人に、既設についても、もちろん義務ということになっていないわけですけれども、努力はしていくという姿勢についてひとつお話しいただきたいと思います。
#214
○参考人(葛西敬之君) 先ほど冒頭の陳述で申し上げましたが、私どもはバリアフリー化、エレベーター、エスカレーター等の設置を初めとするものにつきましてこれまでも積極的に進めてまいっております。これはすべて既設のものについて敷設をしてきたものでございますし、今回法律が制定されまして、そして国、市町村、地方自治体の役割がはっきりしてくる中で、我々は一層その努力を強めてまいりたいと、こう考えております。
#215
○参考人(清水仁君) 民営鉄道協会加盟の各社全体を集計したデータがございませんので、私の会社のことを申し上げることで今の御質問に答えさせていただきたいと思うんですけれども、私ども今、私の会社東急電鉄各所で大規模改良工事をやっております。
 駅そのものをすっかり建てかえるというようなところ、これは新設ではなくて改良という範疇ではございますけれども、すっかり建てかえるようなところにつきましてはバリアフリー化をもう一〇〇%実施するということで進んでおりますし、その他既存の駅につきましてもできる限りバリアフリー化を促進するということを心がけておりまして、私の会社の数字でいきますと、今運輸省で決められております一日乗降五千人以上、段差五メートル以上といういわゆる基準駅につきましては、当社の駅の数が全部で百ございますけれども、乗降人員は五千人以下というのは一駅しかございませんで、ほかは全部五千人以上なんですが、ただ段差の五メートル以上というのをあれしますと百駅のうち基準駅が六十七になります。
 六十七の駅につきましてのエスカレーターの設置率がこの三月末で三〇%で、これは民鉄全体の平均の五〇%よりも相当下回っておるので、これは深く反省しているわけでありますけれども、今後の三カ年でこの三〇%を四五%まで引き上げるという目標で今社内の計画を立てております。
 同じくエレベーターにつきましては、三月末の設置率が二二%、これは民鉄全体の三一%よりもこれまた低いわけなんですけれども、これを三年後には三九%まで引き上げるという社内の計画をちゃんと持ちまして、もちろんこれは全部既存駅でございますが、既存駅につきましてそういう目標を持って設置に努力してまいる所存でございます。
#216
○宮本岳志君 次に、三人の方にそれぞれお伺いをしたいと思うんです。
 当事者参加の問題なんです。御承知のように肢体、視力、聴力、精神、知的など、さまざまな障害の種類によって対応や整備の仕方が異なると思うんです。それから、高齢者なども含めて、当事者でないと気づかない点も出てくるかと思います。せっかく整備をしても当事者にすれば役立たないとか、かえってバリアになる等々、起こりかねないと思うんです。
 この点で、午後の参考人でいらっしゃった日本身体障害者団体連合会の松尾会長は、市町村の構想段階からぜひ障害者団体の参画をお願いしたいということをおっしゃっておりましたし、高齢者団体も、一番の御要求はやはりぜひ参画したいと、一つ一つの駅の基本構想の段階から参画させていただきたいというのが強い御要望でありました。
 兵庫県の阪急伊丹駅の例もあるんですけれども、地域ごとに当事者参加を欠かさないで進める努力をしていただきたいと思うんですが、この点、それぞれ事業者の皆さん、いかがでしょうか。
#217
○参考人(葛西敬之君) 私どもの考え方を申し上げます。
 今回の法案におきましては、市町村、交通事業者等の役割が明確に定められております。私ども鉄道事業者としましては、地元の皆様の御意見を十分反映するという観点から、法令に定められたルールに従ってバリアフリーを進めていくということを基本にしてまいりたいと思います。
 市町村が基本構想を策定される際に市町村からの協議がなされますので、それに誠意を持って対応していくということをもって、また道路管理者の御意見を十分お聞きするということも含めまして、多くの方の気持ちを吸い上げていくというルールが定められているものというふうに理解をし、それに対して積極的に誠実に取り組んでいくつもりでございます。
#218
○参考人(清水仁君) 今の葛西参考人のお話と全く同意見でございまして、繰り返すあれもないかと思いますけれども、直接の身障者の方々からの意見の吸い上げは、まず地方自治体でまとめていただいて、それを私どもにぶつけていただくということで対応したいと思います。
 ただ、先ほどもモニター制度などでお話し申し上げましたように、ふだんの努力としては、身障者の方々の御意見、御要望などを吸い上げる努力は、これは別途にやっていきたいというふうに考えておりますし、今現在もそれをやっているつもりでございます。
 以上です。
#219
○参考人(佐々木雅雄君) ただいまのお話でございますが、地方自治体の方からのお声がかりの場合などにつきましては、私どもも積極的に参加をさせていただいて、御協力できるところは協力していくという形でやらせていただいております。
 なお、障害者団体等のことにつきましては、先ほども申し上げましたように、東京バス協会を窓口として定期的な会合を持っておりますし、それから私ども事業者としても、地域の団体の方々とお話をさせていただいて取り入れるようにいたしているところでございます。
#220
○宮本岳志君 やっぱり御意見を申し上げる段階では、既にもう設計も大枠全部決まっていてというようなことで、なかなか意を尽くさなかったというような声もきょう出されておりましたので、ぜひ早くそういうことが関係団体にも情報が行き渡るように御努力をいただきたいというふうに思います。
 バス協会の佐々木参考人にお伺いいたします。
 ノンステップバスについてなんですけれども、新たに導入する車両については低床バスということで言われておりますが、低床の中にはスロープつきとノンステップの区別がございます。それで、我々も実は実際にこの二つのバスに車いすで乗ってみましたけれども、やっぱりなかなか、ノンステップはいいんですけれども、スロープですと上がりにくいというような体験もして実感をいたしました。
 それで、バス事業はなかなか中小業者が多くて費用の面が大変だというのは重々よくわかっておるんですけれども、ぜひノンステップバスというものを努力していただきたいという思いを持っておりまして、ぜひ御決意を聞かせていただきたいと思います。
#221
○参考人(佐々木雅雄君) 先ほども申し上げましたように、ノンステップバスにつきましては通常のバスよりも大体五割方高いわけでございまして、バス事業者にとりましては唯一の設備投資の分野でございまして、この分野に五〇%高い車両を積極的に導入するということは大変な負担になりますので、この点につきましては国並びに地方自治体の御援助をぜひお願いしたい、かように考えているところでございます。
 なお、先ほども申し上げましたが、道路事情によりまして、山間地の坂道とかあるいは積雪地だとかあるいは踏切があるとか、そういうところにつきましてはノンステップバスの運行は非常に障害になりますので、ワンステップバス程度が普通できるのではないかというふうに思いますので、その点の御理解をいただきたいと思います。
#222
○宮本岳志君 葛西参考人と清水参考人にお伺いいたします。
 障害者の命に直接かかわる問題で、先ほど別の委員もお話ありましたが、視覚障害者のホームからの転落事故というのが本当に重大な問題になっております。それで、毎日のように転落をしているということも言われておりますし、幸いにして列車と接触しない場合には報道もされないですし、転落した本人にすれば非常に恐ろしい事態になっていると聞きました。
 それで、一部にはホームドアとかホームさくというものも始まっていると聞いておりますが、まずは先ほどの御回答でJR東海は防止さくを全駅に設置とおっしゃいましたが、これは新幹線の全駅という意味ですか、それともすべての在来線も含む全駅という意味ですか、いかがでしょうか。
#223
○参考人(葛西敬之君) 在来線も含む全駅でございます。
#224
○宮本岳志君 何年度からですか。
#225
○参考人(葛西敬之君) 正確に申しますと、四百五駅私どもの駅はございます。その中には二百駅を超える無人駅がございます。その無人駅も含めまして三百八十六駅、これは九五%ですが、既に完成いたしておりまして、今年度中に残りもすべて完成するという意味ですべて対応済みというふうに申し上げたところでございます。
#226
○宮本岳志君 同時に、やはりそれがすぐは難しいという現状も全体としてはあると、ホームドアとかホームさくというわけにいかないという。その際に、やっぱり駅員の配置を充実してほしいと、これは高齢者団体から非常に強い御要望が先ほど出されておりました。やっぱり人のいらっしゃる窓口で切符を買う、人がいらっしゃらないと本当に不安だというのが高齢者の率直な声なんですね。この点で、やっぱり駅員さんの配置ということ、これは経営環境もあるという御回答でしたけれども、ぜひどのようにお考えかという点。
 最後にもう一つ、これで終わりますけれども、私の地元の南海岸和田駅で、先ほどお話にあった車両連結部の転落事故というのが発生いたしました。これは幸いにして命は取りとめたんですが、大変重傷でございました。南海電鉄に私、お話伺いましたら、平成十一年、十二年度の二年間で先ほどお話のあった転落防止ほろを全車両につけると御回答いただいたんですね。
 この点で、車両連結部の転落防止ほろの設置についてどのような御計画かということもひとつお伺いしたいと思います。それで終わります。
#227
○参考人(葛西敬之君) 要員の配置についてでございますが、まず転落防止につきましては、現在駅には列車の運転をつかさどる人間が、これは有人駅の場合ですけれども、おります。そして列車のホームを監視いたしております。お客様の安全を見ております。それから、車掌はすべて発着に伴いましてホームにおけるお客様の安全を確認してドアの開閉を行い、運転係が発車合図をして出発するという形になっておりますので、転落を見落とすようなことはないようになっておりますし、また転落防止さく、それから点字ブロックは先ほど申し上げましたような状況でつけてございますので、我々としてはでき得る限りの努力をし、そして現実にそのような形でお亡くなりになるようなケースというのはない状況が続いているわけでございますので、この体制でさらに一層社員を、よく規律を高め一層完全な体制に近づけてまいりたいと思います。
#228
○参考人(清水仁君) 民営鉄道につきましては、JR東海さんと比べると非常におくれているようなことでございますけれども、ホームの転落防止さくにつきましては、先ほど申し上げた新しい新線の建設、それが特にワンマンで運転されるようなものにつきましては、地下鉄などでホームドアが完全に設置されているというようなケースはございますけれども、既存の線にホームドアを設置するということにつきましては、乗客の混雑度との兼ね合いで非常に困難な面、むしろ不可能に近いのであろうかと思います。ホームの拡幅もままならないというような状況の駅が多いかと思います。ですから、ラッシュ時にはホームに駅員を配置するなど、そのような努力を各社それぞれの状況に応じて対応しておるところであります。
 それから、転落の防止につきまして、車両と車両の間にほろというような、これも当然ついていると思います。また、ホームから連結部分に転落するというような事故の防止につきましては、防護板を車両につけるということで、そこが連結部分であるということがわかるようにそのような附属の設備を設置する、くっつける努力をしておる次第であります。
#229
○宮本岳志君 ありがとうございました。──まだですか。
#230
○委員長(齋藤勁君) 時間ですので、簡潔にではお願いいたします。
#231
○参考人(葛西敬之君) はい。
 先ほどお答えをしました中で、もしかすると誤解を招くようなことを申し上げたかと思いますので再度言わせていただきますが、防止さくはホーム両端の転落防止さくでございます。ということは、両端がわからなくて目の悪い方が落ちられる方が多いので、そこにさくとあれをつくっております。
 それから、車両につきましては、全車両貫通式になっておりますので、さっきお話しになった、扉をあけて連結部からおっこちるということはないと思います。
#232
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 本日は、大変お忙しい中、どうも御苦労さまでございました。
 まず、葛西参考人と清水参考人にお伺いをいたしますが、障害者の皆さんのみならず、高齢化社会に向かっていくということになれば、多くの利用者の方々が、駅を利用するに当たっての施設の整備だけではなくて、やはり人の対応、サービスというものを先ほどの参考人の方々の御意見を聞きますと望んでおるようでございまして、今日の鉄道産業は、労働集約型の産業から装置産業型へというふうに言われていますように、人間の労働の部分というものが多く機械に置きかえられております。したがいまして、人によるサービスというのがかなり求められているというふうに思います。改めて、人的なサービスについてどのように考えておられるのか、お伺いをしたい。
 同時にあわせて、今までお話を聞いていますと、結局人を配置するに当たって一定の基準がどうもあるように思います。例えば、一日五千人以上とかというようなことを考えますと、そういうような一日の駅の利用者数によって人を配置しているのか、一日の列車本数によって一定の基準で人を配置しておるのか。民鉄の場合は各社別いろんなことがあるかもしれませんけれども、JRの場合はどういうようになっておられるのか。駅に対する人の配置の仕方、わかればお聞かせ願いたいと思います。
#233
○参考人(葛西敬之君) 私どもの駅での要員の配置は、例えば窓口でございますと、かなり波動がございますから、何人ぐらいのお客様が一定のピークの時間に集中して来られるか、そういうお客様を長くお待たせするようなことのないように窓口の数を決め、そこに座っている社員の数が決まってくるということになりますし、それぞれ複雑多岐にわたる職種のものがございますが、それぞれ業務量に応じて最も適切な業務量の物差しではかって決めている。線路を直す人であれば、通過するトン数その他を参考にして作業量が決まり、作業量が決まって人間の配置が決まる、こういう形で適正要員を配置しております。
#234
○参考人(清水仁君) 身障者の方に対応した駅員の配置ということで、駅について特別に申し上げますと、その駅のそれぞれの乗降人員の量、それから列車の通過というか列車の本数、もちろんそのようなものが基準になって駅員の数が決まってきているわけでございます。
 大体、民鉄各社は一つの基準の駅を設けまして、その駅でその駅の周辺の駅を幾つか一括して管理するということで、うちの場合は駅長配置駅と称しておるんですけれども、一つの駅が周りの四つ、五つの駅を管理するというような体制で、その四つ、五つの駅をひっくるめて駅員の数が何人というような定員の決め方をしておるわけであります。
 その駅員の数の中で、それを流動的に一日の勤務時間の間で使うということで、ラッシュ時期につきましてはなるべくホームに出てホームの監視の人間をふやすとか、それから何かのイベントがありましたらそこの駅に重点的に駅員を配置するというふうなことで、流動的な対応ができるような駅員の配置をやっております。一番気をつけなければいけないのは、やはりラッシュ時の混雑時の安全でありまして、必ずラッシュ時にはホームに監視要員がいるというような体制で今やっております。
#235
○渕上貞雄君 それでは、佐々木参考人にお伺いいたしますが、交通バリアフリー法というのはただ単に乗り合いバスだけのバリアフリー法ではありませんで、移動の手段となっているものに最近高速バスがございます。同時にあわせて貸し切りバスがございます。バリアフリー化がそれらにもやはり求められていると私は思っています。
 今高速バスや貸し切りバスの車両を見ますと、ハイデッカーとかダブルデッカーだとか、非常に豪華なものになっていますが、そのようなバスの構造というものもやはりバリアフリー化していかなければならないと思うのでありますけれども、今後これらの車両についてどのようにお考えになっておるのか、お聞きしたいと思います。
#236
○参考人(佐々木雅雄君) ただいまの御質問の高速バスや貸し切りバスの対応でございますが、その特性といいますか、お客様と荷物を一緒に運ばなければならないという問題がございます。したがって、どうしても荷物用のスペースを多くとる必要も出てまいりますので、床下に荷物置き場を用意するとか、あるいは高速バスの場合でございますと予備運転士を配置することが多いわけでございますので、予備運転士の休憩室を床下に確保してございます。したがいまして、低床化するということは極めて難しいわけでございまして、ハイデッカー車にならざるを得ないのが現状でございます。
 しかし、これを車いす利用者の方々に御利用していただくということになりますと、いろいろ解決しなければならない問題が多いかというふうに思っております。したがいまして、車両構造的な面で検討いたしますとともに、運用面でどのような対応ができるのか、工夫すれば一人で乗ることができるかということにつきまして、これから具体的な方法について検討していきたいというふうに考えているところでございます。
 なお、貸し切りバスにつきましては、リフトつきといいますか、リフト装備した車もございますけれども、この車両は極めて高価でありますと同時に乗車人員が制限されることもございますので、このような問題も解決していくことが必要なのかなというふうに考えているところでございます。
#237
○渕上貞雄君 では、三人の方にお伺いいたしますけれども、バリアフリーが進むことによってこれまで以上に電車、バスの利用者がふえると思います。あってはならないことでありますけれども、不幸にして事故が発生をした、それらの対応についてお尋ねしたいと思うんですが、結果として施設の管理責任、それから事故の責任についてどのようにお考えなのか、お聞かせを願いたい。
 同時にあわせて、行政処分、同時に事故が発生した場合の社内の処分、こういうものが出てくると思うんです。ですから、こういうバリアフリーの法律をつくる、そしてバリアフリーをずっと進めていく、結果としてそういう事故が起きた場合の責任の所在というものが問題になってくる。その点、どのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#238
○参考人(葛西敬之君) 鉄道事業は、常に安全を守るという使命を持ちながら運営をいたしております。したがいまして、バリアフリー法にかかわらず、お客様がけがをされる、あるいは亡くなられるというようなことがあったときには、その民事、刑事の責任が必ず問題になるということを覚悟しながら、善管注意義務をもって、常に細心の注意をもって、安全を守るように設備も設計され、また人間も配置されております。それぞれの義務がそのように決まっております。
 したがいまして、決められたとおりきちっとすべてが行われれば危険なことが起こらないようになっておるのでありますが、人間のすることでありますから過失が起こるケースが全くないとは言えないということで、その場合には、今までのパターンと同じ形の延長線上で、責任というものについては我々はやっぱりさまざまな形で問われるものと覚悟いたしております。
 バリアフリー法ができて、障害者の方であればその面での例えば御利用なさる方の注意義務、それとお客様をお乗せする方の注意義務のバランスその他についても微妙な変化が出てくる可能性はあり得るものと考えております。
#239
○参考人(清水仁君) 非常に難しい御質問であるわけですけれども、一番のはっきりしている点は、今度の法律ができました場合に、それが我々が守るべき最低基準であるという認識のもとに、それはもう絶対に守ると。それに反するような場合には、やはり最高責任といいますか、経営責任をしょわなければいけないというふうに覚悟はいたしております。
 それから、今、葛西参考人のおっしゃいましたように善管義務というものを重要視しなければいけないと思います。ですから、最低限度はそれですけれども、それより以上にもちろん、社内のいろんな内規あるいは常識的に必要な施設を怠っていたかどうかについて、みずから判断してみずから責任をとるというようなことまであり得るかと思いますし、また社内におけるそういう責任ないし義務の徹底につきまして、今後とも徹底していきたいというふうに思います。
#240
○参考人(佐々木雅雄君) 私どもバス事業者は、安全輸送という問題を実は一番重要視しておりまして、すべての業務の中で最優先に取り組むという形で安全輸送の確保に努めているところでございます。
 先ほどの高齢者、車いす利用者等のバス利用に当たっての考え方でございますけれども、車両の乗降時やあるいは急停車のときなどに車内事故が起きる可能性が強いわけでございまして、したがいまして、日ごろから乗務員に対しましてこうしたときの安全に対する教育訓練ということを重点に取り組んでいるところでございます。
 また、事故発生時における応急処置、あるいは病院や営業所、関係者への緊急連絡などにつきましても、事故の対応についてのマニュアルを用意いたしまして教育訓練も行っているところでございます。また、今後高齢者、車いす利用者という方々の御利用が多くなってくると思いますので、当然のことではございますけれども、さらに訓練を徹底していきたいというふうに思っております。
 万一事故が起きた場合でございますけれども、従来も適切に対応するようにしてきているつもりではございますけれども、今後とも万全の措置を講じていきたいというふうに考えているところでございます。
 なお、車いす利用者の場合の事故につきましては、今までは自賠責保険あるいは任意保険で対応していたわけでございますけれども、さらに施設所有者賠償責任保険というのが新しくできましたので、これに加入を進めているという状況でございます。
 なお、事故の社内責任の問題につきましては、事故の種類によりまして対応させていただいているところでございます。
#241
○渕上貞雄君 移動の円滑化設備の整備を図るために補助金等の支援がありますけれども、鉄道、バス事業の経営を展望したときに、公共交通機関の社会的な責務とはいえ、経営にとってはかなりの負担になると思うのでありますが、その点についていかがお考えでしょうか。もし制度に対する御意見がありましたら、御意見をお伺いして、質問を終わります。
#242
○参考人(葛西敬之君) 今回、国並びに自治体の役割、並びに財政的な補助のルールが確立することによりまして、従来に比べまして我々としては格段と前進をするものというふうに理解をいたしております。これまでも進めてまいりましたが、一層これまで以上の努力でバリアフリー化を進めてまいりたいというふうに決意をいたしているところでございます。
#243
○参考人(清水仁君) 今度の法律ができますことによりまして、三分の一、三分の一、三分の一ですか、国、自治体、それから事業者というような負担の割合が大体ほぼ決められるというふうに伺っております。
 ただ、その負担のもとになります設置費用につきましては、千差万別といいますか、状況によって非常に異なるわけで、これはエレベーター、エスカレーターについて申し上げているわけですけれども、設置費用そのものはエレベーターが五千万、エスカレーターが大体三千万というのが平均というふうに言われておりますが、それを設置するための周辺の整備費用について相当膨大な費用が必要になるケースもございます。
 それから、もう一つお願いしたいことは、設置したはいいけれども、その維持管理費用につきましては事業者の負担ということになっているようでありまして、これはエスカレーターにつきましては今までの実績が大体年間一基百六、七十万ぐらい、それからエレベーターにつきましては九十万ぐらいの維持費用がかかっているということで、これがどんどん今後ふえていく傾向にあります。
 また、更新する場合にも、更新費用というのは更新時期を迎えますと費用がかかるわけで、金の問題ばかり申し上げて恐縮なんですけれども、その維持管理費用などにつきましても何らかの御配慮をいただければというふうに思うわけであります。よろしくお願いしたいと思います。
#244
○参考人(佐々木雅雄君) 現在の状況で申し上げますと、先ほども触れましたけれども、ノンステップバスの場合は通常のバスよりも五割増しというふうな価格でございますので、バス会社にとりましてはバス車両が唯一の設備投資といってもいいような負担になるわけでございますので、ノンステップバスにつきましては適正な助成をぜひお願い申し上げたいというふうに考えております。
 と同時に、仕様の標準化だとかあるいは安くて使い勝手のいいノンステップバスの開発に、早急に実現するように御配慮いただければ、これにまさるものはないと考えているところでございます。
 ただ、今回の法案の中にはワンステップバス程度以下ということでございますので、これにつきましては我々といたしましてもそれほど大きな負担でもございませんので、今後その方向について努力していきたいというふうに考えているところでございます。
#245
○戸田邦司君 参議院クラブに所属しております自由党の戸田でございます。
 議論も大分進んでまいりましたので、一点だけお伺いしたいと思います。
 先ほどのお話の中で、税制上の措置についての御意見もございました。こういった問題については、やはり短期間で進めていただくというようなことにもなりますので、できるだけ厚い措置をとるべきではないかと私は思っております。
 ただ、日本の租税特別措置法による税制上の措置というのはもう膨大なものがありまして、あれは何とか整理しないとならないと私自身は思っております。ですから、政策意図を持ったものについて一定期間そういう優遇措置を講じていく、これが税制上のこれからの扱いのあり方であろうかと思いますが、税制上の措置について御意見がございましたらお伺いしておきたいと思います。
#246
○参考人(葛西敬之君) 税制上の措置につきましては、私ども、整備をしていく上でできるだけ手厚いものをお願いしたいということで、具体的にはいろいろお願い申し上げていると思います。細部につきましてはそちらの方に譲りまして、ぜひ手厚いお手当てをお願いしたいと思います。
#247
○参考人(清水仁君) 税制上の措置につきましては、現在既に特別な措置、償却年数の短縮とかいろいろあるかと思います。ただ、償却年数の短縮、割り増し償却というのは、それだけ利益が出ていればできることでありまして、利益が出ていなければ割り増し償却制度というのは余り我々事業者にとって効果のない制度でありますので、できれば税制上の場合は税額控除的な手だてがあればというふうなあれをお願いしたいと思います。
#248
○参考人(佐々木雅雄君) バスの場合もいろいろと優遇措置をしていただいているわけでございますけれども、例えば重量税だとか自動車税とか、そういった面での負担があるわけでございますので、若干なりとも車を導入するについては負担増にもなりますので、ぜひそういう面についての御配慮をちょうだいできればありがたいというふうに思っておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
#249
○戸田邦司君 ありがとうございました。
#250
○委員長(齋藤勁君) 以上で葛西参考人、清水参考人及び佐々木参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々に一言お礼のごあいさつを申し上げます。
 参考人の方々には、長時間にわたり御出席をいただき、有益な御意見をお述べいただきましてまことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
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