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2000/05/16 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 交通・情報通信委員会 第17号
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2000/05/16 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 交通・情報通信委員会 第17号

#1
第147回国会 交通・情報通信委員会 第17号
平成十二年五月十六日(火曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任
     加藤 紀文君     井上 吉夫君
     笠井  亮君     筆坂 秀世君
     三重野栄子君     渕上 貞雄君
 五月十五日
    辞任         補欠選任
     井上 吉夫君     中曽根弘文君
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     筆坂 秀世君     大沢 辰美君
     岩本 荘太君     田名部匡省君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         齋藤  勁君
    理 事
                景山俊太郎君
                釜本 邦茂君
                簗瀬  進君
                渕上 貞雄君
    委 員
                岩城 光英君
                鹿熊 安正君
                鈴木 政二君
                田中 直紀君
                野沢 太三君
                山内 俊夫君
                谷林 正昭君
                内藤 正光君
                吉田 之久君
                日笠 勝之君
                大沢 辰美君
                宮本 岳志君
                岩本 荘太君
                戸田 邦司君
   国務大臣
       運輸大臣     二階 俊博君
   政務次官
       運輸政務次官   鈴木 政二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        舘野 忠男君
   政府参考人
       警察庁交通局長  坂東 自朗君
       総務庁行政管理
       局長       瀧上 信光君
       運輸省運輸政策
       局長       羽生 次郎君
       運輸省自動車交
       通局長      縄野 克彦君
       労働省労働基準
       局長       野寺 康幸君
       自治省財政局長  嶋津  昭君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法
 の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送
 付)

    ─────────────
#2
○委員長(齋藤勁君) ただいまから交通・情報通信委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十一日、笠井亮君、三重野栄子君及び加藤紀文君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君、渕上貞雄君及び井上吉夫君が選任されました。
 また、昨十五日、井上吉夫君が委員を辞任され、その補欠として中曽根弘文君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(齋藤勁君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(齋藤勁君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に渕上貞雄君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(齋藤勁君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁交通局長坂東自朗君、総務庁行政管理局長瀧上信光君、運輸省運輸政策局長羽生次郎君、運輸省自動車交通局長縄野克彦君、労働省労働基準局長野寺康幸君、自治省財政局長嶋津昭君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(齋藤勁君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(齋藤勁君) 道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○田中直紀君 自由民主党の田中直紀でございます。
 きょうは、道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案について質疑をさせていただきます。
 いわゆるバス事業の規制緩和、そしてまたタクシー、ハイヤー事業の規制緩和ということでございます。運輸省におかれましては、平成五年の規制緩和についての行政改革の推進という閣議決定に基づきまして、今日まで運輸事業につきましての規制緩和法案を成立して努力をされてきたわけでございます。今回の二法案の成立を図りますと、運輸省所管の事業につきましてはほぼ全面的に規制緩和の体制になる。こういうことでございまして、運輸大臣には、長年運輸行政に携わってこられたわけでございますし、平成六年には十一分野、いろいろな分野について緊急円高対策、こういうことで推進も図られたわけでございますし、平成八年には運輸ビッグバン、こういうことで今日を迎えております。
 長年取り組んできたところでありますし、また、規制緩和が図られております航空だとか鉄道につきましても、これから運輸省は政策官庁として再編を迎える中にあってますます運輸事業に的確な政策の遂行が求められるわけでありますし、今日を迎えましてその意義とそしてまた成果、あるいは現在抱えております環境、課題というものにつきまして大臣はどういうふうに考えておられますか、御質問させていただきたいと思います。
#9
○国務大臣(二階俊博君) 規制緩和の問題につきましては、ただいま田中委員からお述べになられたとおりでございますが、平成六年に行政改革委員会が法律に基づいて設置され、この当時は村山総理大臣、運輸大臣は亀井現自民党政調会長、いわゆる自社さ政権でのスタートでございました。
 その後、行政改革委員会のもとに規制緩和小委員会、座長に宮内オリックス社長が就任されるなどいたしまして、さらに平成八年の一月には橋本内閣におきまして今度は亀井善之運輸大臣のもとでこのことに取り組まれました。
 また、行政改革委員会の規制緩和の推進に関する意見ということをおまとめになりまして、運輸分野における需給調整規制の原則廃止、これが平成八年の十二月、運輸大臣は古賀現自民党国対委員長でございました。
 さらに、平成九年におきまして規制緩和推進三カ年計画、さらに平成十年に藤井孝男運輸大臣のもとで政府行政改革本部のもとに規制緩和小委員会の設置がなされ、これまた宮内義彦氏が委員長をお務めになりました。
 そして、平成十一年の四月、乗り合いバス、タクシーについて運輸政策審議会の答申、これは総理が小渕総理のころでございまして、運輸大臣が川崎二郎運輸大臣でございました。
 そのような経過に基づいて、今回、道路運送法及びタクシー業務適性化臨時措置法の一部を改正する法律案を御審議いただいておるわけであります。
 私は、運輸省、十年前に政務次官を務めさせていただいたことがあるわけでございますが、その当時は規制緩和について一番おくれているのは運輸省だということで各方面から随分おしかりを受けました。しかし、その当時、規制緩和という言葉はなかなか耳ざわりのいい言葉でありますが、運輸省はやはり安全の問題に対してこれまたどんどんと規制緩和をしていくだけでいいのか、これらに対しての対応をどうすべきかなどもありましたが、時代の流れといいますか、いろいろ運輸省が述べておりますと抵抗をしておるような感じに受け取られがちな状況でありました。
 そこで、二千十七ありました規制をできるだけ少なくしようということで当時から全省庁を挙げて取り組んでまいったところでございますが、ようやく今五百その規制を減らすことができました。したがいまして、約四分の一を減らしたわけでございまして、もとが少し多くありましただけに減らす方も今各省庁の中で一番たくさん減らしたという思いを持っておるわけでございます。
 運輸省では、従来より旅客の輸送サービスの向上を目的といたしまして規制緩和に前々から取り組んでまいったところでありますが、特に最近では、需給調整規制の原則廃止などにより、国内航空等を初めとする、先ほど田中委員からも御指摘ございましたが、運輸事業の各分野において経済活動の一層の活性化を図るなどの成果を上げているということにつきましては御承知のとおりであります。
 ただ、規制緩和施策の実施に当たっては、これに伴う、先ほども申し上げましたが安全の確保、あるいはまた消費者保護等の諸課題に的確に対応していくということも極めて重要であります。今後、このような視点を十分念頭に置いて、積極的に規制緩和について取り組んでまいりたいと考えておるものでございます。
#10
○田中直紀君 ますます運輸行政の中で消費者保護あるいは安全の確保につきまして重要な時期に来ておるというふうに思っております。
 今回の規制緩和につきましては、いわゆる経済的な規制の緩和ということが中心になってきているわけでありまして、大臣もお話しのように許認可の業務を減らしていくという中で自由市場の確立をしていくということだと思います。
 一方、御指摘のとおり社会的な規制、特に最近は予想もしなかった地下鉄日比谷線の事故もございました。あるいはバスジャックの事件もあったわけであります。大変これからバス事業あるいはタクシー事業につきましては国民の足ということで身近な交通機関であります。規制緩和の中で、経済的な規制緩和というものを段階的に漸進的に図っていくという中で国際競争力を持っていかなきゃいかぬということでありますが、一方で、やはり国民、消費者、生活者にとっては、私はもっともっと社会的な規制を、特に安全の規制というものをしっかりと国がやっていかなきゃいけないというふうに思っております。
 地下鉄の事故につきましても、安全基準はぎりぎりで守ってきた、こういうことでありますが、技術革新の中で地下鉄車両も軽量化をしていく、あるいは聞くところによりますと乗車のお客さんの乗り方によっては傾いて浮上して脱線事故を起こしてしまった。被害者の皆さん方は思いがけず大変な悲惨な状況と。
 こういうことで、私は安全基準というものをもっともっと社会的な規制でこれから取り組んでいただいて、そしてまた、国がやはり緊急なときには公共施設が国民にとって安心であるというような、そういうものを国が率先して取り組んでいただく。バリアフリー法案も通りましたけれども、一方交通事故というものはなかなかなくなっていかない。そういう人命を大事にしていく社会的な規制を運輸省も中心になって力を入れていただいて、そしてまたその安全基準を若干厳しくしたとしても、それに対して国が大いにバックアップしていく、こういう体制をこれから運輸省も考えていく時期ではないか、こういうふうに思いますけれども、いかがでいらっしゃいましょうか。
#11
○国務大臣(二階俊博君) 安全の問題は運輸行政の中における最も重要な課題であるということを私はしばしば申し上げてまいりました。しかし、たび重なるいろいろな事故に遭遇いたしまして、私たちは安全という問題につきましてより一層力を注いでまいらなくてはならないと新たに決意をいたしているところでございます。
 先般も、もっと寒いころでございましたが、北海道の礼文浜トンネルの落下現場にも参りまして、このようなことが起こったことについては我々関係者一同大いに反省をしなければならないが、その反省は一過性のものであってはならない、毎年毎年このトンネルが落下した日にJR北海道の幹部はこの地に集結して、またことしも自分たちの経営する範囲においては安全を確保するんだという決意を内外に示すというふうなことをやってもらいたいということも申し上げてまいりました。このほど、関係者が、そこに自然石を集めてそして安全の碑を建てよう、そして毎年みんなでここに集結して安全の誓いをしようというふうなことを自発的にやってくれるようになりました。
 私は、あらゆる地域におきまして安全の問題については常にそうしたことに対して二重三重、やり過ぎるというぐらい安全に対しては対応をしていかなくてはならないと思っておるものでございます。
 ただいま田中委員御指摘のように、経済的規制の緩和、社会的な規制の緩和等、当然これからの競争社会を巻き起こして消費者の皆さんの利便、または消費者の皆さんの利益に供するように努力をしていかなくてはならないことは当然でありますが、安全の問題に関しては単なる競争原理を導入するだけではなくて、国民の皆さんの命を守るということにつきましては格別の配慮を必要とするものだということをみずからに言い聞かせておるところでございます。
#12
○田中直紀君 大いに運輸省そしてまた大臣の傘下のもとに安全対策に力を入れていただきたいと思う次第でございます。
 規制緩和で先行いたしておりますトラック業界あるいは航空、鉄道業界につきまして、その成果あるいは課題について、バス事業、タクシー事業の問題に入る前に若干お伺いをしておきたいと思います。
 トラック運送業につきましては、十年前に物流二法が成立をいたしまして、今日は一番運輸事業の中では規制緩和、自由市場の体制になったところでございます。残念ながら、景気の不況が長引くということで過当競争というような状況が見受けられるわけでありますが、新規参入の促進は大変図られた、あるいはサービスも宅配便等を含めて非常に多様化してきたということは、当初の活性化ということについては成果が見受けられるわけでありますが、まだまだ業界におきましては今の景気の状況下において厳しい運営を迫られておる、こういう状況でございまして、こういう中にあって運輸省としてどう考えられておるかということをお伺いいたしたいと思います。
 それから、航空事業につきましては、御存じのとおり新規参入がございまして、国内の料金というものが自由化をされる中で大変リストラも大手三社進めてきておるところであります。しかし、この夏の航空業界の取り組みを見てみますと、確かにお客さんはこの夏季においては相当景気の動向の中で動きがあるわけでありますが、新幹線とお客さんを競争して、東京―大阪だとか近い路線を三社が一斉に価格を引き下げてお客を誘致していく、こういうことであります。国際線が大変厳しい中にあって、企業からいいますと当然国内の路線の採算を上げていかなきゃいかぬ、売り上げを上げていかなきゃいかぬ、こういうことでありますが、国際競争力をつけていくと言いながらも国内の運輸の中での綱引き、こういう状況が大変見受けられる。あるいはアウトソーシングで各社で非常に効率化を図っていくということがありますが、適切なアウトソーシングであるかどうか、これも安全性の面で非常に心配をされるわけでございます。
 規制緩和ということで経済的な市場は非常に活性化をしてきておるわけでありますが、まだまだこれから定着をしていくということも必要であると思いますし、トラック業界あるいは先行しております航空業界の現状について運輸省としてどう見ておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
#13
○政府参考人(羽生次郎君) お答えいたします。
 先生ただいま御指摘なさったように、トラックの場合ですと十年前規制緩和されたわけでございまして、一方航空は、改正航空法が施行されたのが本年二月でございます。したがいまして、かなりその両業界といいますか両事業においては差があるとは思います。
 まず、航空事業について申し上げますと、この改正航空法が施行される前、既に平成十年ごろから例のスカイマークエアラインズ等、これを逆に育成して、早くこの新規事業者の参入をしているところでございます。そして、ことし二月一日に航空法を施行いたしまして、路線設定、運賃設定の原則自由化を行ったところでございます。これによりまして、航空運賃の多様化は非常に進みまして、利用者利便の増進が現時点では図られているものと考えております。
 そして、問題点は何かということでございますが、まだ大きな問題点というものは出てまいっていないのではないか、規制緩和による直接的な影響の大きなデメリットは出ていないのではないかと考えておりますが、将来の問題としては、やはり地方路線の維持等におきまして問題が生じるおそれがございます。これは、事業者において分社化を図るなど路線に適した経営形態を採用する、あるいは国も地方空港において着陸料の引き下げ等を行うということで全国的なネットワークを維持してまいりたいと考えております。
 それから、トラック事業についてでございますが、十年前の規制緩和を機に、例えば時間指定宅配便などの新たな輸送サービスの創出や運送事業からロジスティック部門への新たな業務展開、さらに情報通信システムの積極的な導入による顧客サービスの向上など、大変創意工夫に富んだ事業展開がなされ活性化が進んできたものと考えております。しかしながら、先生も御指摘のように、最近の景気低迷で荷主の方から運賃割引の要請が非常に強まるなど、トラックをめぐる、その経営を取り巻く環境というのは厳しいものがございます。
 運輸省といたしましては、この市場メカニズムのもとでどのようにこのトラック分野での経営革新が行われるのか、これを見守ってまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、御指摘のように規制緩和、規制見直し後の状況において、安全の確保、それから環境への対応といった社会的規制の重要性というのは増してまいると考えておりますので、これらの分野については必要な施策を今後とも講じてまいる必要があると考えております。
 航空につきましては、先ほど申し上げましたようにまだ規制緩和して間もないところから、それほどの現在においては問題点は発生しておりません。
 それから、一方トラックにつきましては十年の歴史がございまして、この間、特に社会規制の分野で公害規制、NOxの問題あるいは安全規制についてむしろ強化を図っているというのが現状でございます。
    ─────────────
#14
○委員長(齋藤勁君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として大沢辰美君が選任されました。
    ─────────────
#15
○田中直紀君 規制緩和の中で現在の景気の動向というものが影響をしてきているということでありますし、各業界も大変苦労をしておるという状況でなかろうかと思います。
 そういう中で、バス事業の問題でありますけれども、本来、規制緩和をする場合には、事業がある程度成長してきておる、あるいは参入する企業にとっても魅力のある市場である、こういうことが必要であるというふうに言われております。
 諸外国でも、バス事業におきまして規制緩和をした中にあって、場所によってはなかなかサービスが向上してこない、こういうこともあるわけでありますが、我が国のバス事業につきましては、御存じのとおり貸し切りバスは先般規制緩和をされまして、それ以前から非常に参画する業者も多いわけでありますが、今回の規制緩和の乗り合いバスにつきましては、昭和四十三年に比べて現在は半減をしておるという輸送人員の実績が出てきておるわけでございます。
 したがいまして、このバス事業の規制緩和、一年の猶予期間があって検討をしていくわけでありますし、地域協議会ということで、市町村あるいは事業者、そしてまた関係者と生活路線の確保の準備をしていくということを経て規制緩和に入るわけでありますけれども、現状はなかなか大変な状況でありますし、生活路線の確保も大変な課題であるというふうに思いますが、その辺をどういうふうに運輸省としては考え、取り組まれるか、お伺いをいたしたいと思います。
#16
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 バス事業あるいはタクシー事業についても行ってまいりました需給調整規制といいますものは、供給輸送量、車両数が輸送需要を下回っている場合に新規参入や増車などを認める制度でございます。経済成長が続く中で需要が伸びている、増加している時代には安定的なサービスの提供に一定の役割を果たしてきたというふうに思っております。
 ただ逆に、先生の御指摘のように、近年需要が低迷する中で規制の見直しをする意義でございますけれども、私どもとしましては、右肩上がりでない中で需給調整を続けていることによりまして、逆に事業遂行能力とか意欲のある事業者の参入、事業拡大、そういうものが認められない、そういう結果になりまして、そういう意味では事業全体の活性化を阻害してきた面もあるのではないかというふうに考えております。
 そういうことで、需給調整規制を廃止いたしまして、いい意味での競争が行われまして積極的な事業展開によって需要を確保していく、そういうことを乗り合いバスとタクシーについて私どもとして期待をするということを考えたわけでございます。
 ただ、そういう中で、経営の規模あるいはそのエリア、路線、そういうものについて基本的には経営者の判断に一義的にゆだねるということでございますので、不採算路線、経営的になかなか合わないバス路線の維持、あるいはそれにかわる生活交通手段の確保についてどのように考えるかということにつきましては、この規制緩和とあわせて確保策を、地方公共団体の役割を含めて新たな枠組みというものを検討し、それとともにこの見直しを実施したいというふうに考えたわけでございます。
#17
○田中直紀君 バス事業あるいはタクシー事業ということで今回の法案になっておるわけでありますが、当面、バス事業について御質問をさせていただきたいと思います。
 今、地方バス路線の運行維持ということで配慮をしていただく、こういうお話がございました。今回の法律は当然運輸省所管ということで提案をしていただいているわけでありますが、地方の公共団体がこれから当然受け皿になっていく。生活路線は、やはり各市町村が中心になって地方協議会を設立して、この法律が施行されるまでに不便が起こらないようにと、こういうことでありますので、運輸省と自治省は、この生活路線を維持していくためにどの程度まで自治省が協力体制を組んでおるか、こういうことをまず確認をいたしたいと思っております。
 これから来年度の予算ということで、現在は八十八億程度の運輸省管轄の予算、あるいは自治省管轄のそれに見合う県あるいは市町村の予算を見ていただいているわけでありますが、いわゆるこれからの生活路線、年々四%程度輸送人員が減ってきておる。しかし、それが非常に継続して今日モータリゼーションの中で出てきているわけでありますから、今までの財政措置よりはこの法律によって高速バスあるいはその他の路線において新規参入等が図られるという成果は出てくると思いますが、一方でやはり生活路線をいかに維持していくか、自治省の方でどれだけしっかりとこの法律に従って対処していくのか、その辺を、自治省にお出かけいただいておりますが、お伺いをいたしたいと思います。
#18
○政府参考人(嶋津昭君) お答えいたします。
 従来から、地域交通の足の確保ということにつきましては地方団体も大変重要な問題として取り組んできたところでございます。
 今回の法律改正に際しましても、そういう面で運輸省と十分に事前の協議なりをさせていただいて、私どもとしての御意見も申し上げまして、法案の内容にもその趣旨を盛り込んでいただいているところでございます。
 生活路線の確保について、需給調整が緩和されるということに伴いまして、それをどうやって確保するかということにつきましては、今委員の御指摘ございましたように地方公共団体の役割というのは以前よりもより重要になってくると思います。私どもは、広域自治体としての都道府県が地域協議会というような場所で住民のあるいは地域の交通の確保ということにつきまして相当主体的な役割を担っていかなくてはいけないのではないか、特に、直接住民に対しますところの市町村の役割も重要だと思いますが、広域自治体としての都道府県の調整にも期待をしているところでございます。
 したがいまして、調整をするに際しまして、国それから都道府県、市町村、それぞれがそれぞれの役割分担に応じて財政負担をしていく必要もあるだろう、従来以上にその財政負担が重要なかぎになってくるなというふうなことは考えておりまして、それにふさわしい財政措置をこれからもよく運輸省とも協議をして講じてまいりたいというふうに考えております。
#19
○田中直紀君 今まで以上に財政措置が必要である、そういう認識のもとに取り組んでいただくということは大変心強い次第であると思っております。
 自治省が対処していただく前に、運輸省から御説明をいただいた手順というものでありますけれども、生活交通確保の基本的な考え方ということで、事業者の事業または路線の廃止等の届け出というものについては最低六カ月前にするということを伺っております。それを受けて地域協議会において検討をするということになるわけでありますが、バス路線の維持のための補助、あるいは行政バス等の運行、スクールバス、福祉バスの活用、こういうものをこの法案の施行までにしっかりと地方自治体と事業者が協議をする、こういう手順になっております。
 それを受けて国の役割あるいは地方の役割を決めていくということでありますが、国の役割というのは、自治省以前に、現在行われております運輸省が大変長年取り組んでいただいてきました生活交通路線の確保、これをこのスケジュール以前にどうするか。今までの財政措置というものは自治省と話をして現在の大体の枠を維持してきておるわけでありますが、やはり少し運輸省の方は急いでいただいて、今ある体制をどう維持していくのかということを早く自治省に示していただかないと、次の地方の役割というものが明確に見えてこない。そしてまた、地域においても各市町村においてもどう取り組んでいいのかということがいま一つはっきりしないというのが現状ではないかと思っておりますが、運輸省はどこまで具体的に煮詰められておりますか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
#20
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 具体的な生活交通の確保策でございますけれども、基本的には乗り合いバス事業者の自己努力のみでは路線の維持が困難な場合、そのような場合に次に申し上げますような枠組みで具体的な内容を確立したいということで、私どもあるいは自治省、関係地方公共団体と一緒になって検討しておるところでございます。
 具体的には、まず広域的なあるいは幹線的な路線につきましては、例えば市町村を越える、あるいは輸送量が一定以上である、そういう路線については、国が地方公共団体を通じて補助を実施し路線の維持を図りたいということが一つ。そうでない路線につきましては、地方公共団体が補助などを実施しまして路線あるいはサービスの維持を図るということにしたいと思います。この場合、いわゆる路線バス形式にこだわらずに、乗り合いタクシーでありますとかスクールバス、福祉バス等の行政バスの活用、そういうものも含めて生活交通手段としての最適な手段を確保していくことが適切ではないかというふうに思っております。
 具体的にその地域においてどのような対策が適切であり、地域がそれを選択するかということについて、お話が出ておりますような地域協議会、そういうことで関係者が協議をしてこれを決めていく、選択をしていくという制度をとりたいということでございます。
 私どもとしましては、具体的にどのような制度、システムをとるかということについては、この法案が成立した場合には早急に私どもの考え方を関係者にも示し、法律の施行前に、御指摘ありましたように施行前においても具体的な協議が地域において始められるようにしてまいりたいと思いますし、それに対応する私どもの支援、地方公共団体の財源確保策につきましても、なるべく早くそこを議論になるようにお示しをしたいというふうに思っております。
 そのようなことを通じて、改正法の施行前、あるいは施行後においても当然でございますが、地域において具体的な対策というものが逐次選択できるようにしてまいりたいというふうに思っております。
#21
○田中直紀君 法案が成立いたしましたら、各地方自治体あるいは市町村にこの内容につきましてぜひ理解を深め、そしてまた認識が深められるように御努力をいただきたいと思っております。
 きょうは時間的なものもありますので、十八日も時間をとっていただくようになっておりますので引き続きまた質問させていただきますが、一点だけ乗り合いバスで確認をしておきたいと思うんですが、都市部で、乗り合いバスであっても今スクールバスだとか福祉バスの活用、こういうことでいろいろこれから多様化を考えていくんだと、こういうお話でありますが、フリー乗降バスということで、高齢者対策ということで一部バス停の近くまでと、こういう表現になっておりますけれども、バス停に限らず乗ったりおりたりできる、こういうバスが運行され始めているということでありますが、乗り合いバスあるいは貸し切りバス、そしてまたスクールバス、福祉バスと用途はいろいろありますけれども、だんだん規制緩和になって、明確な乗り合いバスというものはどういう形であるんだと、こういうことがだんだん見えにくくなってきておる、あるいはそれの運行によって歩行者の安全が損なわれる、こういうような状況がありますので、当面フリー乗降バスというのは乗り合いバスとして認めているのか認めていないのか、その辺をしっかりと確認をしておきたいと思います。
 きょうは以上でございます。
#22
○政府参考人(縄野克彦君) 御指摘のように、乗り合いバスといいますものは、基本的に定まった路線と運行計画、そして原則としてバス停で乗降をするということとしておるのは御承知のとおりでございます。
 御指摘のフリー乗降といいますものは、どちらかといいますと交通量の少ない地方部におきまして、乗降の実態、利用者の利便という観点から実施をしているものでございます。
 ただ、今お話ございましたように、フリー乗降を実施した場合に安全性が大丈夫かどうか、それから他の交通の妨げになるおそれがないのかどうか、そういうことで、あらかじめ警察あるいは道路管理者と十分調整を行いまして実施をしているところでございます。
 加えまして、その実施に当たりまして利用者が逆に混乱を起こさないと。つまり、バス停、どこで待てばいいのかというようなこともありますので、混乱が生じないように十分周知を図った上で実施をしておりまして、今御指摘の点も十分今後とも気をつけてまいりたいというふうに思っております。
#23
○谷林正昭君 民主党・新緑風会の谷林正昭でございます。よろしくお願いします。
 まず、小渕前総理の御逝去、心からお悔やみと御冥福をお祈り申し上げます。また、御家族並びに関係者の皆様には重ねてお見舞いを申し上げたいというふうに思います。
 さて、今回の法案審議に当たりまして、私は議員になる前から実は運輸関係の仕事をしておりまして、この法律について非常に危うさを持っている法律だな、あるいは将来本当にこういう法律が出てくるのかな、そういうような心配をしながら実は現場で興味を持って運動してきました。それがいよいよ法案審議になり、たまたま私もこういう立場で議論をさせていただく、これも何かの縁かなというふうに思います。
 その前段に当たりまして、昨年の十一月十六日に大臣とタクシーの問題について基本的論議をさせていただきました。そのときのビデオをきょう質問するに当たりまして繰り返し見させていただきました。大臣の根底には、タクシーというのは公共事業、公共性を物すごく持った事業で、これはなくてはならない公共交通だ、しかしその一方では安全性というのが物すごく求められ、そしてそれを利用するお客様の立場に立った政策というのが非常に重要である、こういう基本で答弁されていたというふうに私は感じました。
 そういう意味に当たりまして、きょうの審議は、もしこの法律が成立した場合にどういうことが予測されるか、あるいはタクシー業界の特殊性、こういうものを浮き彫りにしながら、より安全で安心して利用できるタクシーにするために、こういうふうな観点できょうはタクシーに的を絞って質問させていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。
 最初に、このタクシー産業というのはまさに成長産業というふうに私は思いません。そういうところに、ましてや公共性の非常に強いところに需給調整を廃止する、こういう提案でありますので、その理由を簡潔にお聞かせいただきたいと思います。
#24
○国務大臣(二階俊博君) まず、谷林委員から今は亡き小渕前総理及びその御家族に対する温かいお言葉をいただきまして、私も当時の閣僚の一人といたしまして心から感謝を申し上げる次第であります。
 ただいまの御質問でございますが、需給調整規制は、供給輸送力、車両数が輸送需要を下回っている場合に新規参入や増車を認める制度であり、経済成長が続く中で輸送需要が右肩上がりに増加していた時代には安定的なサービスの提供に一定の役割を果たしてまいりました。
 しかしながら、近年のように輸送需要が低迷する中で需給調整規制を続けているということは、たびたび申し上げてまいりましたが、事業遂行の能力と意欲のある業者の参入や事業拡大が認められない、事業全体の活性化を阻害しているのではないか、そのようなことを考えるものであります。
 このため、需給調整規制を廃止しまして、業界内で適正な競争が行われ、経営努力を行う事業者がより積極的な事業展開ができるような制度をつくって、乗り合いバスとタクシーの事業の活性化及び将来の発展を期してまいりたいと考えるものであります。
#25
○谷林正昭君 いみじくも今大臣の方から、適正な競争の中からタクシー業界の活性化を図る、産業の活性化を図る、こういうような御答弁がございました。
 そうした場合に、今回改正案の第一条、法律の「目的」の中から、今大臣がいみじくもおっしゃいました公正な競争、大臣は適正な競争とおっしゃいましたけれども、「公正な競争を確保するとともに、道路運送に関する秩序を確立」、こういう言葉がこれまで入っておりました。ところが、残念ながら、今回の「目的」の中にはこの「公正な競争」あるいは「秩序」という言葉が欠落をしております。
 大変心配な部分が欠落をし、そして活性化だけを求めて市場原理を導入して、そしてそこに無理な競争を強いるというような法律になったら大変だと私は思います。したがいまして、この第一条「目的」の中から公正な競争の確保、そして秩序の確立、こういう言葉が消えたという、その理由をお聞かせいただきたいと思います。
#26
○国務大臣(二階俊博君) 今回の法案におきましては、需給調整規制を廃止することとし、事業者間の競争を促進することによって事業者の創意工夫を生かした多様なサービスが提供され、利用者利便の向上を図ることを目的としておるわけであります。
 このような制度改正の趣旨に対応して、道路運送法第一条の目的規定の一部を「道路運送事業の運営を適正かつ合理的なものとすることにより、道路運送の利用者の利益を保護する」と改正したものであります。
 これは、公正な競争の確保や道路運送に関する秩序の確立の観点を否定するものではなく、利用者保護に重点を置く趣旨を明らかにしたものであります。
#27
○谷林正昭君 今の大臣の答弁は非常に重要なところだというふうに思います。これから法案が成立をし、そしてこれを施行していくときに、現場でその答弁が物すごく重要になってくると思いますし、それに向けての省令の策定やあるいは現地の調査、現場の調査というものが大事になってくるのではないかなというふうに思います。
 その意味では、昨年の四月九日に出されました運政審答申の中に、「おわりに」という部分に、よく地域の実態を見きわめてこの答申を生かしてもらいたい、あるいは法律作成をしてもらいたい、こういう文言が入っております。
 今大臣がおっしゃったようなこととあわせて、この答申の精神が法律に生かされているのかどうか、それをずばりお聞かせいただきたいと思います。
#28
○国務大臣(二階俊博君) 今回の道路運送法等の改正案の取りまとめに際しまして、ただいま御指摘のありました運政審の場で、中央のみならず地方も含めて関係団体、労働組合等からヒアリングを重ねてまいりました。答申の素案及び法案の骨子案の段階で広く一般から意見を求めてきたところであります。
 私自身も全乗連等の関係の皆様からたびたび御意見を伺ってまいりましたが、それぞれ意見はあるものの、大筋において今回の改正案が極めて妥当である、できるだけ早く速やかにこの法案の成立を期待する、そういう声が私のもとに届いております。提出されたそのたくさんの意見を踏まえて、輸送の安全確保及び利用者保護の観点から必要な措置を今回の改正案に盛り込むこととしたところであります。
 このため、制度設計について実態をよく見きわめながら十分な協議、検討を進めるべきものという答申の精神は、ただいま谷林委員御指摘のとおり、これは十分生かされているものと考えておるものであります。
#29
○谷林正昭君 十分生かされている、そしてもう一つ突っ込んで言わせていただくならば、今後も生かしていきたい、こういうふうに受けとめさせていただきたいと思います。
 それでは、そのタクシー業界の特性というものを浮き彫りにして需給調整規制だとかあるいは緊急調整というような、あるいはその後の法文の中に入っていくわけでございますが、まず入っていくときに業界の特性を大臣にもう一遍認識していただきたいという意味で少し御質問させていただきます。
 まず、このタクシーという産業、これは公共交通機関としてなくてはならないというふうにおっしゃっておいでになります。もう一度大臣の口からこのタクシーの公共交通機関としての役割をお聞かせいただきたいと思います。
#30
○国務大臣(二階俊博君) タクシーは、御承知のとおり年間約二十五億人の人を運んでおります。また、今この日本国じゅうを走っておりますタクシーの数は約二十六万台とも言われております。したがいまして、簡単に申し上げますと一台のタクシーは年間一万人運んでおる、このようなことになろうと思います。したがいまして、公共交通機関としての役割、これは極めて重要な役割を担っていただいておるという認識を持っております。
 そして、しかも個別の利用者の需要に対応してきめの細かい運送サービスを提供するということが特徴でありまして、機動的、個別的な公共交通輸送機関である、このように認識をいたしております。近年の高齢社会の中で、車いすのまま乗車できるリフトつきの福祉タクシーや介護サービスをあわせて提供することのできる介護タクシーといったもののサービスが広がりを見せておりますが、今後も利用者の立場に立った多様なサービスを提供する機能を担うことが予測されるわけであります。
 また、流し営業が中心の大都市や車庫待ち営業が中心の地方部など、地域によって営業形態にもおのずから違いがあるわけでありますが、それぞれの地域の特性に応じたサービスの提供が工夫されていくものと考えておるわけであります。
 今後とも、タクシーは、ただいま委員がおっしゃいましたように公共交通機関として重要な役割を果たしていくものと考えております。
#31
○谷林正昭君 非常に重要な公共交通機関としての役割、おっしゃるとおりだというふうに思いますし、私はそのためにもお客さんの安全やそこに働く人たちの質の向上、それが公共交通機関として非常に質の高いサービス機関になるんではないかなというふうに思います。
 そこで、警察庁が出しております交通統計というのを見させていただきました。その中で、この産業のひとつ心配な指標が出ております。平成十一年版でございますが、その中でタクシーの事故が二万三千件、そしてタクシーの交通違反が五万件、これはタクシーが二十五万台という中から、割合でいきますと非常に心配をされる数字だというふうに私は思いますし、ずば抜けて営業車としては高い数字になっているんではないかなというふうに思います。
 そういう意味で、この法律改正で安全の確保あるいはお客様に対するサービスの向上に果たしてつながるのかどうか、こういうことを少し議論してみたいというふうに思います。
 先ほどおっしゃいましたように、まさに公共交通機関としてなくてはならない機関、産業、その中で安全の確保、サービスの向上、これが不可欠でありますので、この法律がその役に立つのかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
#32
○国務大臣(二階俊博君) 輸送の安全の確保や利用者の利便の確保は、需給調整規制廃止後においても重要な行政課題であります。事業の参入時や事後のチェックにおいても十分な措置を講ずる必要があると考えております。このため、事業参入時に運行の拠点となる営業所の設置あるいは運行管理体制の整備、運行管理者の選任計画等について十分審査をしてまいるつもりであります。参入後においても、法令違反等問題がある場合には指導、取り締まりを行うことによって是正をしてまいりたいと思っております。
 さらに、タクシーについては、運転者の賃金形態が基本的に歩合制であることなどの特性がありますので、供給過剰となると事故や利用者からの苦情が増加する傾向があります。そこで、著しい供給過剰となり輸送の安全や利用者利便の確保が困難となるおそれがある場合には、新規参入と増車を停止する緊急調整措置を発動することができることにしたわけであります。
 このほか、輸送の安全及び利用者利便を確保するための関係省令についても見直し等を行う所存であり、安全性及びサービスの質の向上の確保について、今後十分配慮してまいりたいと思っております。
#33
○谷林正昭君 質の向上に向けての見直し、あるいは省令の見直し、こういうことを今おっしゃいました。
 ここで、業界の実態を浮き彫りにする意味で、平成九年、平成十年に需給調整規制の緩和が実はされました。そのときに都心において、あるいは都心周辺、神奈川県においてその増車枠から見て非常に大きな申請が実はありました。その実態を少しお聞かせいただきたいと思います。
#34
○政府参考人(縄野克彦君) 今御指摘の平成九年度、十年度における増車枠でございますが、これは需給調整規制の運用というものを企業の判断というものの余地を広げようということで行ったものでございます。
 今御指摘の枠と実際の申請それから参入の数でございますけれども、平成九年度におきましては、東京、神奈川、千葉、埼玉の四都県の十一事業区域におきまして増車可能枠を四千三百三十台示したところでございますが、これに対しまして五千九百五十二台の申請がございました。結果的に四千百十二台の車両につきまして新規参入、増車を認めたところでございます。
 平成十年度は、同じ東京、神奈川、千葉、埼玉そして山梨の五都県におきまして、計十事業区域におきまして千三百十台の増車可能枠を示しました。これに対して六千九百二十三台の申請がございまして、結果的に千三百九十九台の車両につきまして新規参入、増車を認めたところでございます。
#35
○谷林正昭君 大臣、お聞きのとおり、わずかな増車枠の中にどんと申請が出る、こういうような状況なんです。
 なぜか。それは先ほど少しおっしゃいましたけれども、運転手の給料が歩合制で、働かせれば確実にピンはねして業者が、こういう言葉は失礼かもわかりませんけれども、経営者のところへ入っていく、こういうような体質も実はぬぐい切れません。その辺が私ちょっと心配なんです。
 それからもう一つ最近心配なことがありました。きょう、警察庁から来ていただいておりますけれども、先般テレビを見ておりましたら、大阪の方でしゃぶり屋という言葉が出てきまして、タクシー業界にそういう職業がある、こういうことを言っておりました。その辺の実態を実は警察庁の方からお聞かせいただきたいというふうに思います。
 大臣、よく聞いておいてください。
#36
○政府参考人(坂東自朗君) お答えいたします。
 私どもの方ではちゃぶり屋というように聞いておりますけれども、このちゃぶり屋というものでございますけれども、これはタクシー運転手仲間の呼び名のようでございまして、一部のタクシー運転手がグループ化いたしまして客待ちタクシーの駐車場所を占拠する、そしてグループ員相互で協力し合いまして客引きをしたりするなどの手段によりまして遠距離客をグループ間でひとり占めするタクシー運転手のことを言うというように承知しております。
 最近、大阪市内の歓楽街周辺のタクシー乗り場におきまして、この通称ちゃぶり屋と呼ばれるグループが近距離客の乗車を拒否するというような実態が認められましたことから、大阪府警察におきましては、この五月の九日に、道路運送法十三条違反の容疑でタクシー運転手四名を逮捕するとともに関係タクシー会社等の捜索を実施し、現在捜査中というものでございます。
#37
○谷林正昭君 お聞きのとおり、非常に危うい産業だということもおわかりになったというふうに思います。
 平成九年、十年で規制緩和をして増車を認める。交通違反、交通事故が大幅にふえる。そして一方では、そういう悪質な業者がグループを組んでまさに法律違反を起こす。それは、需給のバランスが崩れる、それが一番大きな原因だというふうには思いますけれども、今申し上げましたようなタクシー事業の特性、こういうものをどう受けとめられているのか、大臣にお尋ねいたします。
#38
○国務大臣(二階俊博君) タクシーにつきましては、御承知のとおり、車両価格が比較的一台当たり低廉で増車に伴う固定費が小さいこと、そして需給調整規制のもとでは歩合制賃金により増車を行えば事業者の収入も一定増加が見込めること、また増車が規制されている中で権利だけを得ておきたいというそういう経営者の志向もあって、事業者の増車要求というのが大変強いという特性があったわけであります。
 平成九年度及び十年度の需給調整規制の弾力化の際のタクシーの増車申請状況を見ましても、先ほどから御議論いただいておりますように、また現在の景気の低迷下における需要の動向とかけ離れた申請が行われたと承知をしております。
 需給調整規制を廃止した場合に、増車が必ず収入増につながるか、または増車の権利を得ておく必要はなくなるのではないかというような点については、事情も異なってくると考えております。
 このようなタクシーの特性を踏まえて、今回の法律改正においては緊急調整措置を導入することにしたものであります。
#39
○谷林正昭君 緊急調整措置につきましては後ほどまた議論をさせていただきますけれども、非常に危うい体質を持った産業ということは私は事実だというふうに思いますので、それを少しでも法律で解消していくというのが政策の役割、政治の役割だというふうに私は思います。
 そこで、もう一点例を挙げてその危うさを指摘させていただきますけれども、私の地元に、私は魚津市でございますが、魚津交通という会社がございます。そこの労働組合は、もう春闘しなくてもよくなった、こういうことを私に言いました。なぜか。それは、昨年の春闘で完全歩合制になってしまった、それも売り上げの四九%しか私たちの手取りにはならない、こういうふうに言いました。大変ですね、そのときは私はそれしか言えませんでした。
 また、一方富山市の大手のタクシー会社では、労働組合はいわゆる賃金体系をめぐって論争し、タクシー業界の中ではA型賃金、これは固定給を中心とした賃金体系、AB型賃金、これは固定給と歩合給を折半したようなやり方、これは運政審答申の資料にも出ておりますけれども、B型賃金、オール歩合というような、そういう体系があるんですが、そのA型賃金を守るために基本給を泣き泣き二万円下げてしまった。それはなぜか。家族の生活設計がある、そのためには一挙に固定給から歩合にできない。ところが、会社は競争しなきゃならぬのだから歩合にしてもらいたい、こう言ってくる。そういう中で泣き泣き固定給を二万円下げた。こういうような話を聞きました。
 それがいいのか悪いのかというのは後ほどまた議論をさせていただきますけれども、そういう賃金体系というのが切っても切り離せないタクシー産業における状況。
 この賃金体系、A型、B型、AB型というそういうものがあるということを御存じかどうかを含めて、この賃金体系をどうお思いになるか、お聞かせいただきたいと思います。
#40
○政府参考人(縄野克彦君) タクシーの賃金体系につきまして私どもの方から申し上げますと、やはり原価の、コストの八割が人件費ということで、極めて労働集約的な産業でございます。
 それから、事業活動の大半が少なくともこれまでは乗務員に任されております。今後それでいいかどうかという点はございますが、運転者の営業努力が運送収入に大きく影響するという特性があるわけでございまして、そういう観点から賃金制度が、今おっしゃられましたようなA、B、あるいはABという三種類の違いはございましても、歩合制が基本となっているというふうに私どもとしても承知をしております。
 そういうことで、その賃金制度の歩合制がとられているということにつきまして、基本的には労使といいますか、その雇用関係で決められるわけでございますし、累進歩合制でありますとかノルマを課すというような非常に安全を損ないやすいものは別といたしまして、私どもとしては歩合制が基本となっていることについてはどうこうということは申し上げる立場にございません。ただ、景気が低迷しまして需要がふえない、そういう中で一台当たりの収入が低下する、それによって運転者の賃金も低下するということが避けられない、そのような状況から、運転者の賃金についても厳しい状況にあるということは承知しているところでございます。
#41
○谷林正昭君 今局長の方から原価の八割が人件費、こうおっしゃいました。これまでの認可料金という観点からいけば、八割という何かの基礎があるというふうに思います。ところが、これは通告していないんですけれども、じゃ今四九%が運転手の手取りというのは、これはどうお思いになりますか。
#42
○政府参考人(縄野克彦君) 歩合制の基本的な歩合の内容につきまして、基本的にはその雇用関係の中で決められるものでございます。ただ、政府としましては、先ほど申し上げましたように、累進、収入が多ければ多いほどその歩合の比率が上がっていくようなもの、あるいはノルマを課すというものについては、安全を損なうおそれがあるということで好ましくないということを示しているわけでございますけれども、歩合の具体的な中身について、私どもとしましては基本的には雇用関係において決められるものというふうに判断をしておるところでございます。
#43
○谷林正昭君 議論すれば時間がなくなりますので指摘させていただきますけれども、認可料金の原価計算をするときは八割弱で人件費を計算する、そういうふうに認識させていただきます。そういったときに、四九%で従業員を黙らせる、そして認可料金をそのまま受け取る。非常に問題があるというふうに私は指摘させていただきますし、大臣、こういうお話を聞きまして、タクシー業界というのは市場原理が働いて、競争を自由にして活性化を求めるというのは本当に機能するかどうか、お考えを聞きたいと思います。
#44
○国務大臣(二階俊博君) タクシーにつきましては、車両価格が、先ほども申し上げましたが比較的低廉であるために増車に伴う固定経費が小さいことで、需給調整規制のもとでは歩合賃金のもとでの増車を行えば事業者が一定の収入の増加が見込める、そういうことから、増車が規制されている中で増車の権利だけをまず確保しておこう、こういう傾向にあった。そういう事業者の増車意欲が強いという特徴、これは委員も御承知のとおりであります。
 しかし、今日のような経済状況のもとで需要が低迷しておる場合において、事業者は売り上げを確保するため減車は余り考えず、むしろ増車を行う傾向にあるというのがタクシーの実態のようであります。需給調整規制を廃止した場合、以上の点については事情も異なってくると考えておりますが、タクシーについては通常の市場とは異なる特性を持っておるというふうに考えております。
 したがいまして、タクシーの特性を踏まえて、今回の法律改正におきましても緊急調整措置を導入することにしたわけでありますが、通常の市場原理というものの機能がどう果たされるかということでありますが、私どもも緊急調整措置の導入を活用して、できるだけ安定的な経営を図れるように、また労働者もそういう対応ができるように対処していきたいと思っております。
#45
○谷林正昭君 そこで、もう一点、タクシー業界を取り巻く特性といいますか、ちょっと弱ったなという話をさせていただきますが、これは通告した順番とちょっと違いますけれども、運転代行について少し角度を変えてお話をさせていただきたいと思います。
 今運転代行の現状はどうなっているか、これを一点お聞かせいただきたいと思います。
#46
○政府参考人(縄野克彦君) 運転代行につきましては、御承知のように現在規制のようなものは法的に存在しておりません。そういう意味で、詳細なデータというものが存在しませんけれども、私どもが少なくとも把握しているところでは、昨年九月一日現在の事業者数が約千六百、ドライバー、運転者数が二万四千人であるのではないかというふうに承知をしております。
#47
○谷林正昭君 なぜ、運転代行の話をさせていただくかといいますと、規制緩和に基づいて参入が自由になる、あるいは需給調整が外れる、そういったときに、運転代行をなさっている方々も非常に恐らく代行業務ということについて違法行為が、これまでもあったんですけれども、出てくるんではないかというふうに私は心配をしております。
 それは、白タク行為、代行、法律が何もないという中からタクシーにかわっての行為が今でも行われているというふうに聞きますけれども、そういう違法行為についてどういうふうに法規制をかけていくのか。かけなければならないというふうに私は思いますし、お客さんの安全あるいは使用している車の安全、こういうことを考えたときにはなくてはならない産業になりつつあります。飲酒運転を防止するというふうな非常に大きな効果を発揮していると思いますし、発揮すると思います。したがって、なくてはならない産業になっていくときに、ここに法律がないということになれば非常に安全が保たれない。
 したがって、この運転代行に対する法制化に向けた運輸省の考え方、そして警察庁の考え方、お聞かせいただきたいというふうに思います。
#48
○国務大臣(二階俊博君) 運転代行につきましては御指摘のとおりでありまして、私もタクシーに乗ってみて、タクシー業界としてあるいは運転手の方々にとって今問題点は何だろうかということを伺いますと、私は和歌山市での経験でございますが、私の身元を明かさずに運転手さんにいろいろ伺いました。
 そうしますと、運転代行についてきちっとしたことを政府はやってほしい、これがなければ我々の仕事は成り立たなくなってくるという大変強い御要望がありました。よく考えなきゃならぬということを私はその場でも感じたし、そのようなことを意見として当時申し上げたことを今思い起こすわけでございます。
 運転代行というのは、谷林委員も御指摘のとおり、業務が適正に行われれば飲酒運転の防止等で極めて交通安全に資するものであるということはある面で評価できるわけでありますが、タクシー類似行為が頻発しておるということにおいての問題があることは当然でありますから、警察庁とも御相談をしながら、次期通常国会に共同で法律案を提出できるように、今後一層努力をしてまいりたいと思っております。
#49
○政府参考人(坂東自朗君) お答えいたします。
 ただいま運輸大臣から御答弁があったとおりでございまして、運転代行につきましては、それが適法に行われれば、委員御指摘のとおり飲酒運転の防止に資するものというふうに考えているところでございます。
 したがいまして、今後、その実態把握をさらに行いまして、いわゆる白タク行為等の排除あるいは業務の適正な運営の確保、さらには運転代行に係る安全の確保、こういった措置につきまして平成十三年の通常国会に運輸省と共同で法律案を提出するよう検討を進めてまいりたい、このように考えております。
#50
○谷林正昭君 初めて法制化に向けた答弁が出された、見解が出されたというふうに私は思いますし、非常に重みのある大臣答弁だというふうに受けとめさせていただきますので、ぜひ法制化に向けてスピードを速めていただきたいなというふうにお願いをいたします。
 次に、具体的な法律の中身、とりわけ先ほど大臣から、伝家の宝刀はいつでも抜けるようにしたいと、いわゆる緊急調整措置を重要視した発言が続いておりますので、その中身について少し議論をさせていただきたいというふうに思います。
 緊急調整措置を行うときは、やはり何といっても市場調査あるいは実態調査、こういうものが不可欠だというふうに思います。現実はどうなっているか、これが調査なしでは刀は抜けない、こういうふうに思いますので、この調査をどのように行われるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#51
○政府参考人(縄野克彦君) 緊急調整措置の発動につきましては、今御指摘のように、輸送の安全、利用者の利便の確保が困難かどうか、その原因として著しい供給過剰状態にあるかどうか、そういうことについて実車率、実働率、クレームの件数、事故の件数、そういう指標を判断することにしたいというふうに考えております。それらにつきましては、地域ごとの実情に応じた絶対値、それからその経年変化というものを常に今御指摘のように把握をしておく必要がございます。
 そういうことで、私どもとしましても、私どもの出先、運輸局、陸運支局、それから事業者団体の協力を得まして、常にこのような指標の収集を行うことにしまして、運用を機動的かつ適切に行えるようにしたいというふうに考えております。
#52
○谷林正昭君 次に、それと関連して、問題は、いつ、どこで、だれが、どういう基準で発動するのかというのがポイントになります。そしてまた、その発動した期間、これが大きなポイントになってくるというふうに思います。一方、増車をストップするという考え方のこの緊急調整措置、これは私はぬるいんじゃないかなと。私は、そういう苦情やあるいは事故、こういうものがふえてきたときにはやはり減車を含めて調整すべきだというふうに思いますが、見解をお聞かせいただきたいと思います。
#53
○政府参考人(縄野克彦君) 緊急調整措置につきましては、私どもとしまして考えておりますことは、いわゆる権利を制限する規制でございます。その発動につきましては、私ども行政庁の裁量という範囲が、先ほど申し上げましたような指標に基づいて発動するわけではございますけれども、その範囲が広いというふうに考えております。
 そういう観点から、私どもとしましては、各地域ごとの指標を運輸局あるいは業界団体の協力を得て収集し、その発動につきましては運輸省の機関でございます運輸審議会に諮問をいたしまして、第三者を含めた公平かつ合理的な決定ということを私どもとして意図したいというふうに考えておりまして、運輸審議会の答申も経た上で国土交通大臣が行うことにしたいというふうに思っております。
 手順をもう一度申し上げますと、著しい供給過剰状態であるかどうかの判定というものを、実車走行キロ、実車率、実働率、一日一車当たりの売上高ということで絶対値、経年変化を把握する、その上で輸送の安全、利用者の利便の確保が困難かどうかということにつきまして、法令違反件数、クレームの件数等を判断する。そういうことにつきまして私どもとしての発動の案を運輸審議会に諮問し、それを国土交通大臣として発動するという順序になろうかというふうに考えております。
 それから、お尋ねのどのような期間についてやるかということにつきましては、これは緊急調整措置の目的とするそのような状態を改善するために行うわけでございますから、極めて短期的でもいけませんし、私どもとしましては、トラックの緊急措置は一年を超えない期間というふうにしておりますが、そんなことも念頭に置いてタクシーにつきましても期間を定めたいというふうに考えております。
 それから、地域でございますが、地域ごとの実情を十分勘案してやらなければならないということは先ほど申し上げたとおりでございまして、そのような事情が異なる地域をどのような単位で決めるかということについても、交通の実態等を含めて決めたいというふうに考えております。
 それから、減車を行わなければ効果がないのではないかという点でございますが、一般論を申し上げますと、基本的に事業を開始した場合に、その事業に必要な財産というものを減らすということは憲法で保障されております財産権の侵害に当たるというふうに私どもとしては考えておりまして、強制的に車を減らす、経営規模を縮小させるということについては慎重に考えなければならないのではないかと。この改正法案につきましてはそのような措置を講ずることは適当ではないというふうに私どもとしては考えたわけでございます。
 そういう意味で、私どもとしましては、著しい供給過剰によって具体的な弊害が出ているということにつきまして、最低限増車、新規参入をとめるということによって、あわせて違法な状態あるいは悪質な事業者の重点的な監査ということによりましてそのような状況の改善を図ることができるのではないかというふうに考えておるところでございます。
#54
○谷林正昭君 もう少し議論をしたいところでございますけれども、一点だけ私の考えを言わせていただきますけれども、権利、財産、いろいろございますが、この法律の目的が優先されると私は思います。それは、「公共の福祉を増進することを目的とする。」、こういう第一条。それは、交通事故がふえたりお客さんが迷惑をしたり、そうなってくるとこれが損なわれる。
 そういう理論からいきますと、やはり形だけの緊急調整措置ではなくて、悪質業者やあるいはクレームの多い業者、こういうところには毅然とした態度で減車をさせたり廃業に追い込む、追い込むというのはちょっと変な言い方ですけれども、許可をしない、こういうようなことが大事だというふうに思いますので、悪質業者を排除して事業の公平公正をどのようにこの緊急調整措置で担保していくか、この点についてお聞かせいただきたいというふうに思います。
#55
○政府参考人(縄野克彦君) 緊急調整措置を発動した場合に、緊急調整措置の措置の内容は、先ほど申し上げましたように新規許可あるいは増車を停止するということでございます。ただ、その発動にあわせまして、私どもとしましては、先ほども申し上げましたが、そのような発動に至った事態を改善するためには輸送の安全や利用者利便の確保に関する法令違反、そういうものを是正していくことが必要であるというふうに考えております。
 そういう意味で、緊急調整措置を発動した地域につきましては集中的に悪質事業者を重点的に監査を行うということによりまして、行政処分を厳しく行いまして事態の改善のために必要な措置を講じたいというふうに考えております。
#56
○谷林正昭君 私は、それが減車につながる、減車という位置づけをとってもいいんではないかなというふうに思います。
 そこで、仮に減車をする、あるいは行政処分をする、措置をとる、こういったときに、そのかわりにまた数をふやすというのは間違いではないかなというふうに私は思います。これは時間がございませんので後日また議論をさせていただきたいというふうに思います。
 次に、参入審査についてお尋ねをいたします。
 まず、参入自由ということになりますと審査が非常に厳格性を求められます。この審査の厳格化の担保をどういうふうにおとりになるのか、お聞かせいただきたいと思います。
#57
○政府参考人(縄野克彦君) 改正法案におきます参入の許可につきましては、私どもとしましては、先ほどから大臣からも申し上げておりますように、需給調整規制の見直しの後におきましても安全の確保あるいは利便の確保ということが非常に重要な課題であるということでございますので、許可に当たりましては以下に申し上げますような厳重な厳格な審査を行いたいというふうに考えております。
 一つは、運行の拠点となる営業所の設置、そこにおきます運行管理者の体制の整備、それから運行管理者の具体的な選任計画、後で申し上げますが、この運行管理者は国家試験を通った者ということにしてまいりたいというふうに思っております。それから、事業用自動車、車庫等の施設の確保状況、損害賠償能力、そういうものがあるかどうか。それから、事業者、経営者としての道路運送法を初めとする関連法令の知識が十分であるかどうか、それを遵守するかどうか。それから、経営の組織がこのような体制を支えるための組織になっているかどうか。それから、万一の場合に備えた財産的な基礎がどのようになっているかということについて十分審査をしたいというふうに考えております。
 具体的な審査基準につきましては、今後具体的に地域ごとに検討しまして、地方運輸局ごとに公示によって明らかにしたいというふうに考えております。
 これは、申し上げましたのは参入時における許可の要件でございますが、先ほど申し上げましたようにバスも、貸し切りバスもあわせまして、運行管理体制につきましては運行管理者の資質の向上、社内での発言権の増大ということも意図しまして、国家試験、今トラックでやっておりますが、国家試験に合格した者ということに規制をいい意味で強化することをこの法律の中で御提案させていただいているところでございます。
#58
○谷林正昭君 ぜひ厳格にやっていただきたいと思いますし、その基準の中には、当然労働安全衛生法にかかわる問題、あるいは旅客自動車事業運輸規則にかかわる内容、こういうものが包括されて審査されるというふうに認識をさせていただきたいというふうに思います。
 時間の都合もございますので、大臣に一点だけお尋ねいたしますが、この参入に当たって、暴力団関係者、暴力団という人たちの排除、これを明確にしておくべきだというふうに思いますので、御見解をお聞かせいただきたいと思います。
#59
○国務大臣(二階俊博君) 欠格事由としての暴力団排除を想定することについて、欠格事由に想定された場合一律に事業への参入が認められなくなることから、憲法上保障されている職業選択の自由の観点から慎重に判断することが必要だということを考えております。
 しかし、現状では暴力団がタクシーにおいて問題を発生させている事実を把握できていないことから、今回の法律改正には欠格事由に暴力団の排除条項を設けてはおりません。
 一方、一年以上の懲役または禁錮の刑に処せられた者は二年間は事業に参入できないことが現在の欠格事由に規定されており、今後この点の確認を関係行政機関と連携して徹底していく方針であります。
 いずれにしましても、需給調整規制の廃止後において、許可の審査の際には安全対策や法令遵守に関する資格要件を十分チェックするとともに、許可後においても、監査等を通じ、悪質事業者に対しては厳正な処分を行ってまいる方針であります。
#60
○谷林正昭君 ぜひ厳格な審査の対象にしていただきたいというふうに思います。
 きょうは労働省の方から来ていただいておりますので、ちょっと飛ばしまして労働省にお尋ねをいたします。
 労働省の自動車運転者の労働時間等の改善基準が大臣告示として出されております。この遵守状況を端的にお聞かせいただきたいと思います。
#61
○政府参考人(野寺康幸君) 自動車運転者の改善基準でございますけれども、新しい数字で平成十一年におきまして三百八十二のタクシー関係の事業場に入りました。その関係ですけれども、そのうち五八・九%、二百二十五の事業場で何らかの改善基準違反があったという状況でございました。
 主なものをとりあえず挙げますと、一日などの最大拘束時間に関する違反、これが百五十九事業場でございました。次に、一定期間におきます拘束時間の限度に違反する事業場、これが百七十四事業場でございます。三番目に、勤務と次の勤務との間におきます休憩時間、これに違反するものが五十六事業場でございます。主なものは以上でございます。
#62
○谷林正昭君 私は、この法律が成立いたしますと、ますます労働省の役割が一方では大事になってくる、こういうふうに思っております。とりわけ危うさの多いこの事業でありますから、きょうは時間がありませんから賃金だとか安全問題に残念ながら触れられませんけれども、労働省としてタクシーが規制緩和になったときに指導監督をどのように強めていくのか。私は、強めていかなかったらお客さんの安全や交通事故の撲滅だとかそういうことにつながらない、こういうふうに思いますので、労働省のそれこそこの法律に対する気持ちをお聞かせいただきたいというふうに思います。
#63
○政府参考人(野寺康幸君) 今先生もお触れになりました改善基準、これは谷林先生よく御存じであるわけでございますが、労使で話し合いをしまして、その労使のコンセンサスの上に成り立っているものでございます。労働基準法はすべての産業に適用されますけれども、その一般的な規制だけでは十分ではない部分につきましてこの改善基準によりまして監督指導を行う、こういう体制でございます。
 したがいまして、労使の合意に基づくわけですから、これはこの新しい法律が施行された後も、従来にも増しまして改善基準にのっとって十分行われているかどうか監督指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#64
○谷林正昭君 労使の問題もございますが、やはり公共の福祉を守る、そういう観点からいけば、私はもう少し強めて法制化、あるいはそれを検討すべきではないかなというふうに思います。
 ただ働く方だけを指導監督するのではなくて、その働く方が本当に公共の福祉を守れるのかどうかというそこが一番大きなこの法律のポイントになる、そういうふうに感じますので、この改善基準の法制化に向けて私は検討すべきだと思いますが、御見解をお聞かせいただきたいというふうに思います。
#65
○政府参考人(野寺康幸君) ただいま申し上げましたとおり、この改善基準というのは、すべての産業に適用される労働基準法ではなお立ち入った規制ができない部分、タクシーを含めました自動車運送業界のすべての部分につきまして、ほかの産業と違った特殊性のある部分につきまして、労使のコンセンサスを得ましてこういった基準を設けたわけでございます。逆に申しますと、これを法律という形に仮にいたしますと、ほかの産業とのアンバラという問題が生じてまいりますので、これはなかなか困難であろうというふうに思います。
 ただ、労使のコンセンサスを得られました改善基準でございますので、これに基づきまして、例えば違反があれば直すように労働基準監督官が勧告をするわけでございますので、そういった意味で、先ほど申しましたとおり、従来にも増しまして適切な監督指導を行ってまいりたいというふうに考えております。
#66
○谷林正昭君 そうしたら、一つお尋ねいたしますけれども、累進歩合制度についての禁止、これを勧告しております。今タクシー業界の中で累進歩合制度はないとお考えですか。
#67
○政府参考人(野寺康幸君) 若干調査が古いんですけれども、昭和五十九年の調査によりますと、累進歩合制を導入している企業が、大分前の四十三年に比べますと、これが四十三年の段階では一四・七%でございましたが、五十九年の段階で二・九%に減っております。
 こういった状況であるというふうに思っておりますが、御案内のとおり、この累進歩合制というものはかなり運転者にとって負担があるわけでございますので、先ほどの改善基準の中で累進歩合制度は基本的に廃止するという指導を行っているわけでございます。今後もこの方針に基づきまして指導を徹底してまいりたいというふうに考えております。
#68
○谷林正昭君 私は、平成九年、十年で規制が緩められ、非常に多くのタクシーがあふれ、そして今の現状があってきている、その中で交通事故やあるいは交通違反が大幅にタクシー産業の中でふえている。この実態を見たときには、そこに働く人たちが生活を守るためにやむを得ず交通違反をしているとは言いません。しかしながら、今の状況から考えると、累進歩合制度に追いまくられ、歩合給に追いまくられ、そしてそこにぎりぎりの生活を確保するために努力をされているというのが現実だというふうに私は思います。
 昭和四十三年や五十九年の統計ではなくて、私は、今すぐでも現場に監督に入っていただいて、この累進歩合制度をやっているところについては中止を求める、こういう強い指導を行うべきだというふうに指摘をさせていただきます。
 きょうは、安全問題と賃金問題を絡めながらもう少し深い論議をしたかったわけでございますが、時間がございません。丁寧な答弁をいただきました。次の機会に譲らせていただきます。
 日笠先輩から、きょうは気持ちだけでも短縮をせよということでございますので、一分間短縮させていただきまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#69
○日笠勝之君 公明党の日笠勝之でございます。
 まず、小渕前総理の御冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、御遺族、関係者の方々にお悔やみを申し上げる次第でございます。
 本日は二時半から御葬儀が青山葬儀所であるとお聞きしておりますが、小渕前内閣のときに国会へ提出をされました道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案を今審議しておるというえにしをかみしめながら何点か御質問を申し上げたいと存じます。
 まず第一点は、五月三日の西鉄のバス乗っ取り事件、いわゆるバスジャック事件でございます。
 まず、このバスジャック事件に対して、運輸省からバス事業者に対しまして対応をとるようにといういわゆる通知というんでしょうか要請というんでしょうか、出された、こういうことでございますが、具体的にどういうふうな今後段取りでこの問題について取り組まれようとしておるのか、まずお伺いしたいと思います。
#70
○政府参考人(縄野克彦君) 五月三日に起きましたバスジャック事件の全容の解明につきましては、警察当局あるいは今後その刑事手続におきまして解明されるところでございまして、まだ最終的な事件の解明が終わったわけではございませんので、私どもとしまして、私どもがとりあえずすべきことということで、五月八日に日本バス協会に対しまして、今回バスジャックが起きた場合に被害を受けた車両から迅速に外部に連絡手段、いわゆる通報をする手段がなかったのかどうか、どのような手段が考えられるか。それから、西鉄はマニュアルを持ち、乗務員にそれを徹底していたところでございますが、そのマニュアルの見直しが必要ないのかどうか。それから、他のバス事業者においてそれが徹底をされているかどうかということにつきまして、バス協会がとりあえず関係者の意見を聞きながら検討するように、私ども行政機関もそれに参画したいということを要請いたしました。
 たまたまでございますが、あす十七日、第一回の検討会議を開く予定にしておるところでございます。
#71
○日笠勝之君 バスジャック事件があって、これを他山の石として考えるに、いわゆる公共交通機関ということでタクシーもそうでございます。
 時間がありません。私の方からいただいた資料で申し上げますと、最近のタクシー強盗事件でございますが、これは東京都内でございますが、この数年間は累増しておるわけでございます。平成八年が十七件、平成九年が二十二件、平成十年が三十九件、平成十一年が六十六件でございます。全国的にも平成十年が九十四件、平成十一年が百三十二件、全国調査は平成九年以前はしていないということでございますが、この数年を見ますと東京都内も全国的にもタクシー強盗事件というものが累増しておるわけでございます。
 そこで、先ほどのバスジャックじゃございませんが、タクシー強盗事件への今後の対応も、これは局長、バスだけじゃなくてタクシーもやらなきゃいけないんじゃないかなと、こう思うのでございますが、警察庁の方からきょうおいででございますが、何か今後そういうふうなタクシーも踏まえた対応というものをお考えかどうか、御意見がございますればお伺いしたいと思います。
#72
○政府参考人(縄野克彦君) タクシーにつきましては、地域のタクシー協会を中心に強盗の防止といいますか抑止あるいは事後対応ということで対応マニュアルを策定しておりますし、運転者に対しましてそれに基づきましてその徹底、意識の確認をしておるところでございます。
 特にタクシーは、大都市におきましてはいわゆるタクシーのドライバー仲間が常に走っておるわけでございまして、そういう観点から、防犯灯によりまして車外にそれを知らせるというようなことを従来からやっておるところでございます。バスとは違った意味での対応も事業者あるいは地域によってとられているということと承知しております。
 私どもとしましても、関係機関と協力をしましてさらに意見を聞きまして、その防止策について業界団体とともに必要な検討なり措置を講じてまいりたいというふうに思っております。
#73
○政府参考人(坂東自朗君) お答えいたします。
 私ども警察庁におきましては、現在進めておりますITS、高度道路交通システム、このITSの一環といたしまして、交通事故を初めとする緊急事態が発生した場合におきまして速報できるようなシステムというものを現在研究開発してきているところでございます。これをHELPというように呼んでおりますけれども、交通事故を初めとする緊急事態が発生した場合におきましては、事故の衝撃を自動的に感知したり、あるいは簡単な手動操作によりまして車載機から緊急事態の発生とかあるいは現場位置等のデータというものを発信いたしまして、警察がこうした情報を自動受信するシステムでございます。
 警察におきましては、現在こういった緊急通報データが自動的に受信できますように各都道府県警察の通信指令室の機器整備を進めているところでございまして、本年の秋を目途にこの運用を開始する予定でございます。
#74
○日笠勝之君 後ほどちょっとお聞きしようと思っておりましたが、IT革命に関連してITS、その中でGPSを利用した緊急通報システムですか、ぜひ早期にこれが各車に設置できるようにいろんな支援を講じなきゃいけないと思います。私たちも一生懸命努力をいたしたいと思いますので、その点よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 がしかし、考えてみますと、タクシー強盗ということだけで考えますと、現金を授受しなければまず強盗はないんじゃないかな、こう思うんです。ということは、現在デビットカードなんという銀行カードや郵貯カードで決済できる、もちろんこれは有線じゃないのでなかなか決済できないかもしれませんが、今iモードで無線で銀行決済ができる時代でもございますから、そういう意味では現金を授受しなくてもタクシーに乗れるような、そういういわゆるまさにIT革命の先端もいろいろこれから実験をしなきゃいけないのかな、こういうように思っておりますから、それらも参考にしていただきながら、今後の対応をまずお願い申し上げたいと思います。
 さて、続きまして、何といいましても公共交通機関でございます。利用者からいろいろと要望、苦情、意見などなどがございまして、これは東京タクシー近代化センターにもいろんな苦情、要望などが寄せられておるわけでございます。
 利用者の利便を図り、ニーズに合った多様なサービスを行うということが大きな今後のタクシー業界の使命でもあろうかと思います。そこで、最近私が目を通しました新聞などの記事、投書などから一、二、それらの苦情また意見に対してどういうふうに対応されようとしておるか、お伺いをしたいと思います。
 そのまず第一は、禁煙車にしてほしい、こういう声が非常に投書なんかが多いようでございます。やっぱり妊産婦の方であるとか未成年の方であるとかこういう方々、特に禁煙中の方々なんかは、たまたま乗った車にたばこのにおいがぷんぷんするというようなことで、せめて公共交通機関の一環ならばこれは禁煙車にすべきではなかろうか。
 御存じのように、新幹線も禁煙車、喫煙車とありますが、私も毎週のようにふるさとへ帰っておりますが、大体禁煙車から埋まっていくようでございまして、長距離でございますから喫煙車があるわけでございますが、国内の飛行機もほとんど全部今禁煙エアプレーンということになっておるようでございます。
 そういうことから見まして、禁煙車ということにしてもらいたいという要望に対してどのように今対応されておられるのか、ぜひお聞きしたいと思います。
#75
○政府参考人(縄野克彦君) タクシーにつきましても、車両をあるいは一部の車両を禁煙とするという事業者、企業もございまして、その外部に表示をするというようなことも行われております。
 ただ、タクシーは基本的には乗り合いではございませんで、一人あるいは二、三人のお客様が、かたい言葉で言えば貸し切りによって車による運送を契約するわけでございます。旅客の喫煙が不特定多数の旅客に影響を及ぼすということはないというふうに考えておりますから、そういう意味で業規制あるいは行政的に喫煙を禁止する措置を講ずるということを求めてはおりません。
 そういう中で、禁煙の問題は非常に微妙でございますが、喫煙人口が現在のようにまだ存する中でタクシーを禁煙にするかどうかということにつきましては、事業者、企業の判断に任せてまいりたいというふうに考えております。
#76
○日笠勝之君 じゃなぜ、飛行機は禁煙で、乗り合いバスでも小さいバスもたくさんあるわけですから。ですから、そういう声があるということは、たくさん意見が来ているわけでしょう、そういう利用者の声を事業者の方は反映していかなきゃいかぬわけでしょう。だからそういう声が来ているということをおっしゃっていただいて、いろんなところで御相談をしていただき、我が社はこうすると。
 そういう場合の、じゃ掲示をどうするかということが問題なんですね。掲示をしなきゃいけません、このタクシーは禁煙車だと。だから、小さなこんな禁煙車じゃわかりませんですが、もっとドアのところのガラス窓に大きく禁煙車と書くようにするとか、何か一般の広告ばかりですね、そんなのじゃなくて、禁煙車と大きく見せるとか努力をさせるということ、それが運輸省に寄せられた声があれば当然それを伝えなきゃいかぬわけですね。そういう意味では、努力してもらいたいという要請でいきたいと思いますが、大臣、どうですか。そういうことぐらいちゃんと御要請はできるでしょう。
#77
○国務大臣(二階俊博君) 私は子供のころからたばこは一本も吸ったことはありませんので、禁煙の問題につきまして、今、日笠委員がおっしゃっていることを大変そのとおりだと聞いておりますが、しかしこれまたお互いの仲間の中にもたばこにつきまして格別な愛着を持っておられる方々もおりまして、前に国鉄の旧債務の問題を処理する際に、たばこから税金を取って、そして禁煙の場所をどんどんふやしていくということは一体これはどういうことだといって随分強いおしかりを伺ったこともございます。
 しかし、だんだんこのごろ禁煙についての御理解も深まってまいりました。今、日笠委員御指摘のように、禁煙車であるというマークを大きくつけることによって禁煙車に乗りたいと思う人がそのタクシーを選んで乗るというふうなことにもなりますから、これは今後営業上も十分考えられる問題だと思います。
 自動車、タクシー関係の皆様にお目にかかる機会には日笠委員の御主張を御紹介いたしまして、できるだけそのような方向に導くことができれば幸いだと思っております。
#78
○日笠勝之君 例えば配車で、電話などでタクシーを回してくれというときには、禁煙車ですかそれとも喫煙車ですかと聞けば、そこでまたなるほどということでわかるわけです。それがまたその企業の、あそこの会社はそういうことに非常に特化をして努力している、じゃあそこを使おうと、こういうことにもなるわけですから、ぜひひとつ。
 提案でございますから、あとはどのようにされるかはお任せいたしますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 それからもう一つ、交通局長、外国はどうなっているかという例もよく調べて、業者の方にも一つの例としてお示しをいただく。今度沖縄でサミットがあるんですが、G7はどうなっているかということぐらいは例えば調べておくとか、それを業者の方にこういうふうになっておりますよというようなことで努力をしていただくということもあわせてお願いを申し上げておきたいと思います。
 それから、時間がありません。苦情がどういうのが出ておるかというと、近距離の場合は非常にむっとしたような顔をして接客マナーが悪いとか、迂回走行はするわ、割り込み運転はするわというようなことで、いろんな苦情が近代化センターに寄せられておるようでございます。
 そこで、やはり気持ちよく私たち利用者は乗りたいわけでございますので、近代化センターがいろいろ指導員さんがやっておるようでございますが、モニター制であるとかチャレンジ査察、突然だれかが身分を明かさずに乗っていろいろそういうような状況を見る。先ほど運輸大臣は運転代行で乗っていろいろ聞かれましたね。できればああいうのを、運輸省の職員の方は全国に何万といるんですよ、何万という方が一年に三回ぐらいタクシーに乗って、問題があれば即それを業者に言うなり運輸省に集めるなりして、きちっとしたデータを一遍とってみたらどうですか。現場主義ですよ、これからは。私は海運をやっているからタクシーは知らぬというんじゃなくて、オールマイティー、少ない人数で何でもやる。率先して例えばやってみたら相当膨大な量が集まってきますよ。それをひとつ参考にしていただいて、こういう苦情がないような業界にしていくというのも運輸行政の一環だろうと思います。
 そういう意味で、チャレンジ査察とかモニター制をつくって、また運輸省の職員皆さんが率先してその役を買って出るというようなことをやられたらいかがかなと、これは提案でございますが、いかがでしょうか。
#79
○国務大臣(二階俊博君) 大変すばらしい御提案をいただきましてありがたく存じます。
 三万七千の運輸省の職員、常に安全を第一にすると同時に、運輸交通行政を通じて国民の皆さんが本当に喜んでいただけるような行政をすることが運輸省の職員の義務であると同時に誇りでもあると思うわけであります。御指摘の点につきまして、私ども十分御趣旨を生かしてまいりたいと思っております。よろしくお願いします。
#80
○日笠勝之君 次は、タクシー近代化センターの件について何点かお伺いしたいと思います。
 規制緩和が進めば業者間の競争も激しくなると想定されるわけでございます。そうなれば、利用者サービスがそれによって低下したのでは意味がないわけでございますね。そういうことから考えますと、近代化センターの本来的使命、業務というものはこれからさらに一層重いものがあるんではなかろうかなと、こういうふうにも思うわけでございます。
 そこでお伺いしたいのは、この業務の見直しを今検討していると、こういうふうにも伺っておりますが、どういう段取りでどういうことを検討しておられるのか、まずお伺いをしたいと思います。
#81
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 近代化センターにつきましては、東京と大阪にいわゆるタク臨法によって指定をされ、業務を行っているわけでございます。その業務の中で、一つはこの法案によりまして、既にドライバーの方、乗務員の方の需要から見て必要のなくなった負担金により行う業務、食堂の経営でありますとかそういうことについては廃止をするという業務としての見直しを根本的に御提案させていただいているところでございます。
 もう一点、近代化センターが行っておりますタクシーの乗降についての現場での、あるいは運転者に対する試験、登録、そういう業務についての内容についての見直しでございます。これらの点につきましても、センターの指導あるいはそういう業務がどのような効果を持っているのか、それからそのやり方が適切であるのかどうかということについてさまざまな観点からの御指摘がございます。
 そういうことで、私どもとしましてはセンターとともに、センターを支えておりますのは業界でございますので、関係業界の団体とともにセンターについての具体的な業務を一つ一つ点検し、必要な見直しを行ってまいりたいというふうに思っております。
#82
○日笠勝之君 日々新たじゃございませんが、どんな団体でもその業務について日々見直しをしていくということは当然なことでございます。この委員会も、いつも皆さんが言う言葉は日進月歩じゃなくて秒進分歩という中で、いつまでも固定した業務で続けるというのは時代の流れに逆らうわけでございますから、そういう意味では業務の見直しを検討するということは多いに結構だと思いますが、安全というこのキーワードだけはどんなに見直しても最後まで残らなきゃいけないわけでございますから、その点は重々御承知と思いますが、よろしくお願いをしたいと思います。
 そこで、この法律で指定地域が東京、大阪だけでございますが、きょうび、横浜だとか名古屋だとか大都市もあるわけですが、拡大をしようとか、またしなきゃいけないとか、そういうふうなお考えはあるんでしょうか。
#83
○政府参考人(縄野克彦君) このタクシー業務適正化、現在は臨時措置法でございますが、これを恒久化して特別措置法ということで措置を続けたいという御提案を申し上げているところでございます。
 この指定地域は、この法律に基づきます政令で行うことになります。その要件は、流し営業が中心であるという地域、それから乗客との間のトラブル、そういうものの発生が多いと、そういう観点からタクシー業務が必ずしも適正に行われているとは言いがたい地域を指定するということになっております。
 今御指摘のように、現在の指定は東京と大阪でございますが、この法律の見直しに際しまして、他の地域、例えば今お話ございました他の大都市、横浜あるいは名古屋、神戸というふうな大都市が順に考えられるわけでございますけれども、そのようなタクシー事業としての実態、それから問題点の発生状況、それからもう一点は、そのような状況の中で事業者団体の負担金に応じてこの業務をやるわけでございますので、関係者の意思、そういうものにつきましても私どもとしては十分お聞きをしまして、指定の是非、可否につきまして考えてまいりたいというふうに思っております。
#84
○日笠勝之君 では次に移らさせていただきたいと思います。
 この今回の法律案を読みますと、運行管理者の試験を義務づけるということになりました。トラックの場合はトラック協会が試験をやっているようですね。問題は、今後タクシー、バスもいろいろあるのでございましょうが、その指定の試験機関ですね、この受け皿といいましょうか、どういうことを考えておられるか、何かスキームといいましょうか、ぼやっとしたような構想があればお伺いをしたいと思います。
#85
○政府参考人(縄野克彦君) 運行管理者試験につきましては、平成元年の法律で、施行は平成二年でございますが、規制の見直しを行いましたトラックにつきまして、先ほど私質疑の中で申し上げましたように、運行管理体制を強化するという観点から国家試験制度を導入いたしました。国家試験を原則としておりますけれども、この国がやる試験事務を国にかわって行う能力があるものがあればこれを指定して試験事務を行わせるということにしてまいりました。
 トラックにつきましては全日本トラック協会を指定しまして試験を行わせてきたところでございますが、公益法人に国の業務をかわって行わせるという場合に、その公益法人が事業者団体である、その役員の構成等から見ていわゆる業界団体のようなものは適切ではないのではないかという指摘がありました。
 このトラック協会の問題とあわせて、さきの国会で成立いたしました貸し切りバス、それから今回もしこの法案が成立をしますれば、路線バスとタクシーも含めてすべての自動車運送事業についての運行管理者試験を、基本的にはこの法案での御提案は国が行うということにしてございますが、それにかわる機関というものが現にあるかどうか、新しく設立されるとすればどのような構成であれば私どもから見てその指定に足るものであるかどうか、今の時点では白紙でございますが、そのような機関の設立の可能性、指定の可能性について考えてまいりたいと思います。
 繰り返しますけれども、業界団体というようなものではないということが必要であると思いますので、そのようなものでない団体というものが設立されなければならないというふうに考えております。
#86
○日笠勝之君 行政改革の折柄でもございますから、その辺をよく十分承知の上でお考えいただきたいなと、こういうふうに要望を申し上げておきたいと思います。
 では最後に、タクシー、バス、公共交通機関と環境問題といいますか環境対策といいましょうか、この問題についてお伺いをして終わりたいと思います。
 埼玉県が、SPM、浮遊粒子状物質といういわゆる空中に浮く小さな目に見えるか見えないような物質、これがいわゆるアレルギーだとかぜんそくだとかいうようなことの原因にもなっているというようなことも言われておりまして、これを削減しようということで、二〇〇三年までにディーゼル車を規制してフィルター装着を義務づけるというのがきのうあたりの新聞、テレビで大きく報道されておりました。東京都は二〇〇六年と、こういうことでございます。
 バスもディーゼルエンジンが多いんじゃないかなと思いますし、ぜひひとつ、今後各都道府県がこういう規制を競ってやっていただくのは非常にいいことですが、やっぱり国としてこういう問題に対して一つの方針を出して、業界にいろいろの御要請もしなきゃいけないでしょう。また、それに対する予算上、税制上の措置も考えなきゃいけないでしょう。合わせわざで、大臣、どうでしょう、今後のバス、タクシーなどなどに対する環境対策という点でどういうことをお考えかということをお聞きして終わりたいと思います。
#87
○国務大臣(二階俊博君) バス及びタクシーにおける環境対策については、低公害車、低燃費車の導入の促進が重要な課題であると認識をいたしております。
 このような種類のバス及びタクシーの導入に対しましての補助、あるいはまた低公害車に関する優遇税制措置等を今日まで講じてきておるところでありますが、今後ともその普及のためにさらに積極的な対応を考えてまいりたいと思っております。
#88
○委員長(齋藤勁君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時七分休憩
     ─────・─────
   午後一時一分開会
#89
○委員長(齋藤勁君) ただいまから交通・情報通信委員会を再開いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 本日、岩本荘太君が委員を辞任され、その補欠として田名部匡省君が選任されました。
    ─────────────
#90
○委員長(齋藤勁君) 休憩前に引き続き、道路運送法及びタクシー業務適正化臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#91
○宮本岳志君 まず私は、小渕前首相の御逝去の報に接し、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 さて、本法案は、タクシーあるいは路線バスという国民の足にかかわる公共交通についての規制緩和であり、国民生活に極めて重大な影響を与えるものでございます。にもかかわらず、わずか二日、七時間などという審議時間での強行は絶対に許されない。我が党は断じて容認できないということをまず申し上げておきたいと思います。
 きょうはタクシーに絞って質問いたします。
 タクシーは、公共交通機関として極めて重要な役割を担っておりますけれども、現在極めて深刻な状況に追い込まれております。その最大の問題は、供給過剰に陥っていることです。
 そこで、供給過剰の問題についてお伺いしたい。
 衆議院では、同僚議員が、九三年十二月二十二日付で関東運輸局長名で出された「一般乗用旅客自動車運送事業の期間限定減車に関する取扱いについて」との通達を取り上げました。縄野自動車交通局長は、これについて、「供給過剰であるという認識のもとで行った」と答弁されましたが、間違いないですね。事実関係だけ。
#92
○政府参考人(縄野克彦君) そのように答弁を申し上げました。
#93
○宮本岳志君 それでは、その供給過剰の基準なんですけれども、運輸省は毎年需給動向の判断結果を公表、公示しておられます。それによりますと、まず一定の計算式に基づいて基準車両数、つまり適正と考えられる車両数を出し、その基準車両数を一・二倍したものを適用車両数とし、これと現状の台数である恒久車両数とを比較するというものでございます。
 つまり、この適用車両数を下回っていたら増車枠を認める、逆にこれを上回っていたら増車を認めないということでありますけれども、つまり、この適用車両数、すなわち基準車両数の一・二倍というものが供給過剰の判断基準になっているということだと思うんですが、これも間違いないですね。
#94
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 需給調整を行っていた中で、基本的にその事業の活性化のために事業規模をどのように決めるかということについて行政が一定の考え方に立って規制を行ってまいりました。
 私どもとしましては、今おっしゃられましたように、需給の動向、つまり需要の量、これは現状から見た推計でございますが、需要の想定とそれを実車率でありますとか実働率から割り戻した台数、それを基準台数として、それを基本に、それを超える場合には増車、新規参入を認めないという規制を行ってまいりました。
 そこで、平成九年に至りまして、先ほど来から御質疑が出ていますように、そのような行政が一定の需要を推定してその上で基準の台数を決めるというやり方に若干見直しを行いまして、経営者みずからが経営判断に基づいて経営規模を決めるという余地を広げてはどうかという判断から、そういう考え方のもとに、規制緩和計画に基づきまして基準車両数に一割あるいは二割を加えたものを適用車両数として、その枠の中で、実在車両数との差の中で新規参入、増車申請を認めることとしたわけでございます。
 お尋ねの適用車両数というのは、繰り返しますが、従来、需給の判断の基準となっておりました基準車両数に判断の余地を広げるために一割あるいは二割を上乗せした車両数のことであるということでございます。
#95
○宮本岳志君 基準車両数に一・二を掛けて、それを目安にそれを超えるような増車はしないということをしてこられた、これが需給調整になっていたわけですね。
 さて、そこで現在の各地のタクシーの状況を見てみたいんです。各地の運輸局のタクシーの地域需給動向というものが公表されておりますけれども、これも運輸省にお伺いいたします。
 平成十一年度の地域需給動向で基準車両数と現状の台数、恒久車両数をそれぞれ示していただきたい。まず一例として、鹿児島交通圏、それから私の地元である大阪市域交通圏、そして二階大臣の地元である和歌山の紀南交通圏、それぞれ示していただけますか。
#96
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 鹿児島交通圏につきましては、基準車両数が千百七十三両、それから現在恒久的に存します、恒久車両数と申しておりますが、これが千九百五十二両でございます。大阪市域交通圏につきましては、基準車両数が八千三十両、恒久車両数が一万三千百四十両。和歌山の紀南交通圏につきましては、基準車両数が二百十六両、恒久車両数が四百十二両ということになっております。
#97
○宮本岳志君 大阪市では基準車両数が八千三十台に対して現状は一万三千百四十台、五千百十台も多いわけです。二〇%増しどころか六六%、三倍も多い。あなた方の言う適用車両数、つまり基準の二割増しと比べてさえ三千五百四台も現状で既に多いわけですね。大臣の地元紀南ではもっとひどいです。基準二百十六台に対して四百十二台、実に一九一%に達しております。二割増しどころか二倍になっているわけです。
 これは局長、明白に過剰も過剰、著しい過剰ということじゃないですか。
#98
○政府参考人(縄野克彦君) 今の御指摘についてお答え申し上げますと、今の数字でいわゆる基準車両数に対して現在の恒久車両数がこれを超えているということは事実でございます。従来の需給調整規制を行ってきた中での基準車両数ということを超えてはおります。これは、従来の需給調整規制の中では過剰であるということで判断をしまして、増車あるいは新規参入を認めてこなかったわけでございます。
 このことが、この御質疑の中で私どもとして申し上げておりますけれども、この状況の中でなぜ私どもとして過剰であるという認識をしているのかどうかということと関係がありますので申し上げますが、やはり行政が一定の需要とそれに必要な台数、つまり供給量を想定して規制するということについて見直しを行う、過剰かどうかということの判断は行政ではなく一義的には経営者が行うということに規制の見直しをすべきではないかということで、私どもとして御提案をしておりますような改正案をお諮りしているところでございます。
#99
○宮本岳志君 大体、基準車両数というものをあなた方が定めてきて、その二〇%増のところで需給の調整をこれまでやってきた、それを超えたら過剰だという判断でやってきた。それがそもそも一六〇%も一九〇%もなっていて、それを過剰だと判断しない、事業者に任せると。そんなことではそれこそ運輸行政の責任が問われると私は思いますよ。
 それで、この中身で言いますと、一六六パーとか一九一パーとか、これがやっぱり著しい過剰でない、つまりそれを国が判断しないというようなことは私は本当に許されないと思うし、私ひとつ大臣に、少なくともこういう現状は好ましい状況だとお考えになるかどうか、ぜひ大臣の御判断をお聞かせいただきたいと思います。
#100
○国務大臣(二階俊博君) 現在のタクシーの状況は、まさに今日の経済情勢から判断しましても車の台数が確かに多いという判断をいたしております。
 したがいまして、今後の行政指導におきまして、業界の安定につきましても十分配慮をしてまいりたいというふうに考えております。
#101
○宮本岳志君 多いという認識はお持ちだという御答弁だと思うんですけれども、現状ですらこういう状況なのに、今回の規制緩和を行えば供給過剰の状態に一層拍車がかかることは明らかだと私は思います。
 ところが、運輸大臣は衆議院で、今後、規制緩和によって、経営者みずからの責任において、おのずから減車されるものは減車されていくと答弁されました。運輸省はこれまでも減車通達を出してまいりました。規制のもとで通達まで出しても実際減車というのはやらずにきたのに、経営者の自主的判断に任せて減車が進むという保証がどこにあるのか。これ大臣、ひとつお答えいただきたい。大臣、答えてください。
#102
○政府参考人(縄野克彦君) 最初に、お尋ねの減車の措置でございますけれども、需給調整を行っている中で減車というものは、事業者が一度減車を行うと増車を行うことが困難ではないかというふうに判断される中で、私どもが考える需給のバランスというものと現実の台数を調整するために行われたものと私どもとしては考えております。
 先ほどの大臣の答弁についてのお答えでございますけれども、衆議院でのお答えと重複をいたしますけれども、車両価格が比較的安いという中で、特にその中で需給調整を行っておりますと、増車を行えば事業者の収入も一定の増加が見込めるということで増車の意欲が事業者としては高い。それから、先ほどもお話が出ましたが、増車の規制をしております中で増車の権利だけは得ておきたいという志向もありまして、増車意欲が強いという特性は御指摘のとおりでございます。
 ただ、需要が低迷する中で、運転者の賃金も残念ながら低下傾向にございまして、運転者の確保も困難となりつつございます。そういうことをあわせ考えますと、規制を今回お諮りしておりますように見直した結果としまして、そのような状況の中で増車意欲がこれまでどおり強い、際限なく行われるということがあるのかどうかということについては別の見方があると思います。
#103
○宮本岳志君 つまり、運転手の賃金も下がって、食えなくなったら運転手が減って、車も自然と減るだろうと、そんな話じゃないですか。
 私は、実はあるタクシー労働者から手紙をいただきました。きょうはひとつ紹介をしたいと思って持ってまいりました。
  私は四十八歳のタクシー乗務員です。妻と小学生の息子が二人おります。
  私の昨年の年収は三百四十二万円でした。妻も働いておりますが、扶養の範囲内ということで、二人の収入を合わせても五百万円に届きません。
  私は仕事の日、朝九時に会社を出て、翌朝の四時くらいまでハンドルを握ります。そのあとの洗車や納金業務まで含めると一乗務で約二十時間働いていることになります。休憩が三時間認められていますが、ゆっくり休んでいると稼ぎになりませんので、体に悪いとは知りつつ、ついつい休憩時間を削って働いてしまいます。同僚の中には、食事のためのわずかな時間も惜しんで、パンをかじりながら走っている人もいます。
  私の会社では在職死亡が年間四十人前後も出ます。私は、深夜から早朝にかけて疲れきってリクライニング・シートを倒して一休みする時、ついウトウトとします。その時、このまま眠ってしまったら、もう目が覚めないのではないかという恐怖感に襲われます。
  東京のタクシー利用客は、この十年間で二割減っています。これはタクシーが二割増えたのと同じことを意味します。走っても走ってもお客さんがいません。それなのに、政府は、まだタクシーを増やすというのでしょうか。
  お願いです。タクシーの規制緩和をやめて下さい。今すぐやめて下さい。道路運送法を変えないで下さい。そうでないと、私は死んでしまいます。今でさえくたびれているこの体が、ほんとうにボロボロになってしまいます。お願いします。私を助けて下さい。
こういう手紙が届いているわけです。
 大臣、この切々たる訴えを聞いて胸が痛みませんか。大臣、いかがですか。
#104
○政府参考人(縄野克彦君) 大臣の御答弁の前に一言。
 私どもの提案しております事業規制の見直しの趣旨は、先ほどから申し上げておりますように、需給調整という規制をやめまして、需要に対してどのぐらいの経営規模、供給量を設定するかということにつきましては経営者の判断にゆだねる、行政的に規制をしないということでございます。
 台数をふやそうということでこの規制の見直しをやっているわけではないということが一点と、それでも著しく過剰になって安全あるいは利用者の利便を損なうような場合には、緊急調整措置ということで特別の措置をタクシーの特性にかんがみて講じていくという内容を御提案しているところでございます。
#105
○宮本岳志君 大臣、いかがですか。
#106
○国務大臣(二階俊博君) タクシーの乗務員の皆さんの収入の問題につきましては、今日のような供給過剰といいますか、半面はやはり景気の低迷、そういう状況の中で、確かにタクシーの需要というものも低迷していることは事実であります。
 しかし、それではこのままの状況をずっと維持して、今のお手紙にありますように規制緩和はもうやめてくださいということで、その御意見のままにずっと推移した場合に一体これはどうなるかということを考えますときに、私は、むしろ積極的にこれを自由競争の中に創意工夫を凝らして、これからは経営者の皆さんも運転手の皆さんも一緒になって、タクシーが世の中に大変利用しやすく便利な、しかもタクシー自身が頑張っておる、こういう姿がこの競争社会の中で出てくることが好ましいと思っております。
 既に議員も御承知のとおり、今までのようなタクシーではなくて、このごろはいろんな工夫がもたらされてまいりました。まだこの法律は通っておりませんが、この法律が成立した後には一層新しい分野で、例えば福祉の分野で活躍するタクシー、また介護の面でも活躍できるタクシー、また交通バリアフリーの時代に高齢者の皆さんやあるいはまた身体の御不自由な皆さんに対してタクシーがどのような役割を果たすか、こういうことを、労使のそうした関係だけではなくて、同じタクシー業で働く経営者も従業員の皆さんも一体になって新しい時代のタクシーの活躍の分野を見出していく努力、これが必要だと思います。
 かつてタクシーが、お客様の方が多くてタクシーの数が少ないというふうなときに、よく乗車拒否という問題が出たり、あるいはまた、遠くへ行く人はにこにこして乗せてもらえるが短い距離を乗る人に対してはもう本当に乗ったことが迷惑なような、それなら免許を返上してもうタクシー業をやめればいいじゃないかと言ってやりたいような場面だってしばしばここにおられる人はみんな経験しておると思うんです。そうした中で、ようやくここに労使双方お互いに工夫をして、こういう方向を編み出そうという努力をしておるわけであります。
 したがいまして、今のお手紙の方の御趣旨というものは全くわからないわけではありませんが、お互いにこれから利用者の皆さんにも喜んでいただける、経営者もまたそこに勤務される人たちも喜んでいただけるようなタクシー行政が行われるように運輸省としても配慮してまいりたいと思います。
#107
○宮本岳志君 果たしてそういうことなのかということを、ではこれから議論したいと思うんです。
 それでまず、これは運輸省に数だけ示していただきたいんですが、交通事故件数、タクシーが第一当事者となった分で結構ですので、九一年と九八年の件数、それから同じく九一年と九八年の実車走行キロ、それぞれどうなっておりますか。
#108
○政府参考人(縄野克彦君) お答え申し上げます。
 第一当事者になった事故件数は、九一年が一万六千五十四件、九八年が二万八百七十二件でございます。走行キロは、九一年が約百八億キロ、九八年が約七十九億キロでございます。
#109
○宮本岳志君 事故数は約五千件の増ですね、率で三〇%です。これは第一当事者分だけですから、実際に関係する事故はもっとある。さらに、九九年の事故件数は、午前中にも議論に出ました、二万三千、さらに二千件ふえております。一方で、実車走行距離は三十億キロ下がっているわけですから、これは大臣、実際に走っている距離が下がっているのに事故がふえているということは、供給過剰が事故の急上昇を引き起こしていると、これはお認めになりますね。
#110
○政府参考人(縄野克彦君) 私どもとしまして、供給過剰の結果事故が増加をしているということについての直接の因果関係があるというところまでの結論を得ておるところではございません。
 数字の事実は先ほど申し上げたとおりでございます。
#111
○宮本岳志君 走行キロが下がって車両台数は変わっていないんです。これは統計を見たらわかります。車は変わっていないです。余り走っていないのに事故がふえているということは、当然一台当たりの事故はふえているということですよ。また、走っていても事故が起こりやすくなっているということですよ。これが実際に供給過剰の中で起こっているということは明らかだと思います。
 そこで、これをどうするのかといえば、そこで出てくるのが緊急調整措置ということだと思いますので、これについてもお伺いしておきたい。
 第八条によるこの調整措置の発動基準ですね、著しい過剰、また輸送の安全、旅客の利便の確保が困難、これはどういう基準になっておりますか。端的に。
#112
○政府参考人(縄野克彦君) 著しい供給過剰状態かどうかの判定につきましては、実車走行キロ、実車率、実働率、一日一車当たりの売上高などがあると思います。その直近の絶対値、その経年変化が指標になると思っております。
 それから、輸送の安全、利用者の利便の確保が困難となっているかどうかということにつきましては、事故件数、法令違反件数、利用者からの苦情件数などが同じような指標となるというふうに考えております。
#113
○宮本岳志君 この発動基準について二つお伺いしたいというふうに思います。
 一つは、同じような法律で、貨物自動車運送事業法、ここでも緊急調整措置というのがございますけれども、これは事業者の経営状況の判断というのがその発動要件に加えられております。今回の場合にはこれが入るのかどうか。
 もう一つは、先ほど御紹介されました、供給が著しく過剰ということと、それから安全の確保や利用者の利便の確保が困難というこの二つはどういう関係になるのか。かつなのか、またはなのか。つまり、供給が著しく過剰であったとしても、安全の確保や利用者の利便の確保が困難と認められなければ緊急調整措置は発動しないのか。ここのところをはっきりお答えください。
#114
○政府参考人(縄野克彦君) トラックの緊急調整措置の発動要件についてのお尋ねでございますが、トラックにつきましては、御承知のように、運賃が荷主との交渉によって大口等の一定の割引の制度がございます。そういう中で、収受する運賃が供給過剰になった場合に低下をいたしまして、それが直接経営の状況に影響を与えるということで、トラックの経営状況を発動の要件としておるところでございます。
 タクシーにつきましては、基本的には運賃をどのように設定するかというのは、認可制のもとではございますけれども、利用客との間で値引き交渉が行われるということは通常ございませんで、先ほど申し上げましたようにタクシーの個々の車両ごとの実車走行キロあるいは売り上げ、そういうものを判断要素にした方がいいのではないかというふうに考えております。ただ、そのことは、お尋ねのようにタクシー会社の経営状況ともかかわりがあることは事実でございます。
 それから、著しい供給過剰状態と安全なり利用者の利便の要件というものはどういう関係かというお尋ねでございますが、私どもは、著しい過剰状態であり、かつ安全なり利用者の利便に問題が生じている場合というふうに考えております。
#115
○宮本岳志君 これは本当にひどいと思うんですね。貨物自動車運送事業法、これには事業者の困難ということについて規定をしております。それで、おおむね三分の一ないし二分の一の事業者が事業困難になったとき緊急調整措置を発動するとされているんですよ。
 それでも、実は私、議事録勉強してみたんですけれども、その議論のときに我が党は、みすみす二分の一、三分の一が倒れるまで発動しないのか、ひどいじゃないかと迫っております。しかし、今回の法改正ではそういうことすら盛り込まれていないということなんでしょう。
 大体、タクシー事業者というのは中小企業が圧倒的です。そして、あなた方が何度も答弁で言っているように、人件費が八割を占めるわけですね。だから、事業が困難に陥れば、直接労働者は路頭に迷うということになってまいります。これについてやはりきちっとした対策をとることは当然だと思います。
 そしてもう一つ、「かつ」というのも極めてひどい話だと。つまり、そもそも供給過剰ではないかと、一六〇%、一九〇%、現状でも過剰ではないかと指摘をしても、大臣は多過ぎるというふうにおっしゃいましたけれども、なかなかあなた方はお認めになろうとしなかった。しかも、そうやって著しい過剰になったとしても、今あなた方が言う安全の確保や利用者の利便に問題がないと判断すれば、これは出さないというんでしょう。余りにも高いハードル、これはもはや発動しないというのと同じことじゃないですか。
#116
○政府参考人(縄野克彦君) 先ほど申し上げましたように、道路運送法というものについて、事業者の経営状況が全く関係ないということではございませんが、基本的に、先ほどの質疑にもございましたように、私どもとしましては事業の発展によって利用者の利便というものを重点に考えたいということでございます。
 この緊急調整措置の発動要件について、この提案を申し上げますときにいろいろ議論をしましたけれども、タクシーの特性にかんがみ、かつ具体的に利用者に安全なり利便という観点から問題が生じたときに緊急調整措置を発動すべきだという結論に達したわけでございます。
 トラックにつきましては、先ほど申し上げましたように、収入の減ということによって経営困難になってトラック輸送事業者の存在が危うくなる、物流ができなくなる、そういう観点を判断基準としたものでございます。
#117
○宮本岳志君 非常にこれ高いハードルだと思うんですね。つまり、発動されないんじゃないかと。
 では、百歩譲って、供給過剰が本当に著しくなったと、そしてとうとうあなた方も安全の確保や利用者利便に問題があると判断した、ついにこれを発動するということになったら減車するんですか。
#118
○政府参考人(縄野克彦君) 緊急調整措置は、先ほどの要件に該当しました場合に、地域と期間を指定して、新たな参入の許可、それから増車を認めないということでございます。
 減車をやるかどうかにつきましては、財産権の侵害という観点から極めて慎重に判断すべきだというふうに考えまして、この緊急調整措置の対象にはしなかったところでございます。
#119
○宮本岳志君 おかしいんじゃないですか。
 では、あなた方は、今まで減車通達というものを何度も出してきたけれども、それは財産権を侵害するような通達、憲法上疑義のある通達を出してこられたということですか。
#120
○政府参考人(縄野克彦君) 先ほど申し上げましたが、需給調整措置を講じている中で、事業者から見ますと減車をすれば新たな増車が再びしにくくなるという判断が働くことを想定いたしまして、需給調整措置のもとでのやむを得ない判断として預かり減車というものをやったわけでございますが、需給調整措置を廃止いたしまして増車につきましても事業者の判断でできるということになった場合に、行政が減車というものについて介入をする必要がないのではないかというふうに考えております。
#121
○宮本岳志君 結局、今回の法改正でそういうこともできなくするということでしょう。だから、私たちは、こういうふうな規制緩和というものはやるべきでないということを言っているわけですよ。
 私は、あなた方の言う緊急調整措置というようなものは、火事が燃え広がるまで出動しない消防車だと思います。手のつけられないほど燃え広がったのを見届けてから出動して、しかも減車しないんですから、火を消さないということですよ。そんな措置を講じたからといって、何かタクシーの労働者やタクシー事業が守られるなんというのは全く保証がない、私そう思うんです。
 私ひとつ大臣に、先ほど事業者の困難ということも言いました、あるいはやっぱり安全ということもあるでしょうけれども、供給過剰ということが著しくなった場合にやはりこれは発動していくと、この点で本当に大臣発動するという、それは明言していただけますか。
#122
○国務大臣(二階俊博君) 輸送需要が低迷する中で運転者の賃金も低下の傾向にあり、近年では運転者の確保が困難となりつつあることから、需給調整規制が廃止された後の新しい制度においては、経営者みずからの判断において私は減車が行われるケースもふえてくるものと思っておりますが、今御質問のような状況、環境に立ち至った場合には、私たちは積極的にこの制度を活用してまいりたいと思っております。
#123
○宮本岳志君 終わります。
#124
○渕上貞雄君 社民党の渕上でございます。
 需給調整規制廃止はネットワーク網の崩壊につながるのではないか、その見解について大臣にお伺いいたしますが、道路運送法は、旅客自動車運送事業の適正な旅客運送の確立を通じて国民の公共の福祉を増進することを目的としております。
 今日の乗り合いバスは、事業者の努力と国、地方自治体の支援によって、バス交通としてのネットワーク網を維持して国民の移動に関する権利を保障してきたところです。しかし、今回の需給調整規制廃止は、これまで築き上げてきたネットワーク網の寸断が大変懸念されております。特に、これまで内部補助によって維持されてきた路線であっても、その維持が困難となるおそれがあります。それよりも何よりも、やはり路線廃止が加速されてネットワーク網が崩壊につながるのではないかと考えますが、いかがでございましょうか。
#125
○国務大臣(二階俊博君) 乗り合いバスの利用者数が輸送人員の減少等により厳しい状況である中で、これまでの需給調整規制を前提とした内部補助では赤字バス路線の維持は既に限界を超えておることは委員も御承知のとおりだと思います。
 このため、需給調整規制を廃止し、創意工夫によって経営努力を行う事業者が積極的に事業が展開できるように、また新たに事業に参入できるようにする制度であり、事業の活性化及び発展を私たちは期待をいたしておるところであります。
 一方、今、渕上委員御指摘のような維持が困難となる赤字路線でも、交通の利便のために、また生活交通のためにその路線の確保が必要な場合、重要な路線につきましては、その維持のために適切な措置を講じてまいりたいと思っております。
#126
○渕上貞雄君 次に、地方税財源の充実強化についての検討状況について自治省にお伺いをいたします。
 乗り合いバスの運行は、地域住民にとって最低限の公共交通手段であり、バス路線の休止、廃止は地域住民に、とりわけ交通弱者にとっては多大の影響を与えることになります。需給調整規制の廃止によって、特に地方部では路線の撤退が加速されることが予測されます。地域住民の生活にとって必要不可欠な公共交通機関である地方バス路線の確保は、国及び自治体にとって重要な責務でもあります。
 今回提出されております道路運送法の一部を改正する法律案では、法の改正とあわせて生活路線の維持に関する補助制度も大きく変わろうとしております。自動車交通部会の答申では、地方公共団体における生活交通の確保の取り組みのために必要とされる地方財源の充実については、これに見合った安定的な地方財源の手当てを関係行政機関と十分検討することが必要とされ、一般財源化され、交付税措置に変わっていくということが取りざたされております。
 自治省と運輸省の間ではどのような話し合いが行われているのか、どのような補助制度になり、どのような地方財政措置を講じようとしているのか、お伺いをいたします。
 また、国から財源移譲や交付税の加算のない一般財源では予算のツケ回しにしかなりませんし、きちっとした財源措置を講じるべきであると考えますが、地方の税財源の充実強化について、検討状況について明らかにされたい。
#127
○政府参考人(嶋津昭君) お答えいたします。
 今回の法改正の内容につきましても、運輸省と私ども、地方財政に関することということで十分に協議をさせていただいているところでございます。
 それから、今御指摘の、今後地方団体が地域交通について主体的に参画をしていく、そういう過程の中で、今までも国と地方で財政負担を分担してきているわけでございますけれども、より地方団体の役割というのが積極的なものであり重要なものになっていくというふうに考えておりますが、そういうことに対しても、当然、国と地方あるいは行政と民間といいますか、それぞれの役割分担を議論した上で地方財政についての財政措置も考えていくべきだろうというふうに思っております。
 したがいまして、平成十三年度の予算におきまして、国と運輸省におかれましてどういうふうな国の役割を担っていただけるのか、そういうものに見合って地方団体の方も国の補助の補助裏についても、あるいは地方団体が単独でやるものについても財政措置を講じていくことになろうかと思います。
 その際に、今御指摘の中で一般財源化がツケ回しにならないようにということでございますが、これはやはりそれぞれ国、地方の役割分担の変化に伴って財政措置が変わっていくというふうに考えておりますので、そういうツケ回し的な変化ではなくて、もう少し積極的な国、地方の役割分担を踏まえた財政措置を講じていくということで、これからも運輸省とよく協議をしてまいりたいと考えております。
#128
○渕上貞雄君 次に、所要額としての地方税財源の確保について再び自治省にお伺いをいたします。
 一般財源化された場合、かつて教材費が橋に化けると言われたことがありました。今後もどれだけ地方バスのために使われることになるのかわからないといった不安が実はあるわけでございまして、生活路線確保のための公的支援を迫られる自治体の多くが財政基盤の弱い団体であることもあり、地域住民の交通サービスの維持や交通ネットワークの確保のために支障がないよう、路線確保のための所要額をきちんとひとつ確保していただきたいと強く要望しておきたいと思うのでありますが、自治省、いかがでございましょうか。
#129
○政府参考人(嶋津昭君) 地域交通を考えます場合に、どうしても不採算な地域は、過疎地域あるいは中山間地あるいは山間地域ということになりますと、そういう地域は一般的に言いまして、財政力の弱い団体が多いわけでございます。今委員御指摘のように、そういう市町村は財政負担がなかなか難しい場合も出てくると思います。
 そこで、やはり地域協議会の今後のあり方としましては、広域自治体である都道府県が積極的な役割を担っていただく必要もあると思います。都道府県が市町村の財政負担等もよく考えた上で、国、それから都道府県、市町村の財政負担を組み立てていく必要があるのではないかと考えております。
#130
○渕上貞雄君 次に、路線確保のための公的支援の拡充について運輸省にお伺いをいたします。
 一方、国は広域的、幹線的なバス路線について地方公共団体に対して補助を実施する、そのことが予想されますが、答申では、ナショナルミニマムの観点から維持することが適切であると考えられる広域的、幹線的な輸送サービスについて支援するとなっております。ナショナルミニマムの確保とは、交通弱者がどこに生活をしていても最低限の公共交通のサービスの提供を受ける環境を整備することだと思います。したがって、自治体が生活路線に該当すると判断するときは、当該路線を国庫補助事業の対象として、国は都道府県、市町村と協調して路線確保のための公的支援の拡充に努めるべきではないかと思いますが、その見解をお伺いいたします。
#131
○政府参考人(縄野克彦君) 私どもとしましては、今お話がございましたように、国としては広域的、幹線的路線について自治体を通じて補助を実施し路線の維持を図りたいというふうに考えております。この広域的という概念、交通の実態でありますとか、それから幹線、輸送の量でありますとか輸送の距離でありますとか、そういう輸送の実態を十分私どもとして見きわめ、それを要件にして対象を決めてまいりたいというふうに思っておりますが、その際に地方公共団体の御意見、県、市町村の御意見を聞いて私どもとして決めるということは当然のことだというふうに考えております。
#132
○渕上貞雄君 次に、地域協議会のことについて自治省にお伺いをいたします。
 生活交通確保や公的補助の決定に重要な役割を果たす地域協議会の法的位置づけや利用者、労働者との関係は明らかでありません。地域協議会についての具体的な姿は運輸省が法成立後にガイドラインを示すと伺っております。自治体の判断や条例では、住民や利用者、労働者の参加を盛り込んだり、生活交通確保にとらわれず地域交通のあり方を協議する場として地方交通委員会的なものに改組するべきではないかと思うのでありますが、その可能性についていかがでございましょうか。自治省にお伺いいたします。
#133
○政府参考人(嶋津昭君) 地域協議会をどういうふうに構成していくかということは、これは恐らく都道府県が中心になってこれから考えていくことになると思います。国の出先機関あるいは市町村の代表、あるいは事業者の方、その他関係する方をどういうふうな形で参加していただければまたそこが実り多い議論ができるのかということにつきましては、地域の事情もあると思いますので、それぞれの地域が自主的に決めていくべきことだとは思いますけれども、その具体的なフレームワークとかそういうものをどうするかについてはまたよく運輸省とも今後協議をして、できるだけ地域の声が生かされて、今御指摘ございましたように住民の声を含めて生かされて、実りある議論が行われるような協議会にしていく必要があるというふうに考えております。
#134
○渕上貞雄君 十分に運輸省と協議をいただいて、実効あるものになるよう努力をしていただきたいと要望しておきたいと思います。
 次に、JRバスの財政的支援についてでありますが、国鉄分割・民営化以降十数年が経過をいたしまして、当時バスへの転換が図られて誕生した地方JRバスは、その後の経済的状況変化もあり、今日の運営は非常に困難となっております。
 JRバスへの経緯については私は十分理解をしているつもりでございますが、地域交通確保の観点から財政的な支援についてどのような検討がなされておるのか、お伺いをしておきたいと思います。
#135
○政府参考人(縄野克彦君) 現在のバスの補助制度は、赤字バス事業者への補助を行う自治体に対して国が補助を行う仕組みになっております。
 JRバスにつきましては、今お話ございましたように、国鉄の民営化の際の法律の審議、附帯決議に基づきましてJRに対する補助金の支出の制限に関する通達を出し、事実上JRに対する補助が不可能ということになっております。そういうことから、地方バスの補助制度の対象にはしておりません。
 今御指摘のように、JRのバスの運営、これは直接行っているもの、あるいは分社化をして行っているもの、分社化をする場合に分社をしたバス会社にどのような経営支援措置がなされているかというような各社の事情、そのような点についても私どもも十分把握をしておりますので、今回の制度見直しにつきまして、それぞれのJRの意向も含め自治省とよく御相談をしてまいりたいと思います。
#136
○渕上貞雄君 次に、運輸省にお伺いいたしますが、道運法の改正に伴って適正な需給、運賃水準の確保についてお伺いをいたします。
 先ほども同僚議員からの質問もあっておりましたけれども、運転者の労働条件の現状を抜本的に改善するには適正な需給や適正な運賃水準の確保が必要だと考えますが、運輸省は法改正に伴いどのような措置を講じられようとしておるのか、お尋ねをいたします。
#137
○政府参考人(縄野克彦君) 賃金を含みます労働条件は基本的には労使間での決定だとは思いますが、先ほどからお話になっておりますように、タクシーにつきましては人件費のウエートが非常に高いということから、運賃の面で例えばダンピング競争が起きますと、それが過労運転、ひいては安全確保の観点から問題があるというふうに考えております。そういう意味で、タクシーにつきましては、このダンピング競争を防止するという観点を中心といたしまして、運賃を引き続き認可制といたしました。そういう観点から、ダンピング競争となるような運賃については認可をしないということで防止をしてまいりたいというふうに思っております。
 それからもう一点は、著しい供給過剰によって安全あるいは利便を損なうこととなるような場合には、新規参入等を停止する緊急調整措置を導入することによりまして、私どもとしましては安全あるいは利便、ひいてはタクシーの適正な競争というものを維持してまいりたいと思いますし、そのほかにもこの法案の内容では、安全の確保、利用者利便の確保をするためのいろんな措置につきまして一定の強化を図っているというふうに考えております。
#138
○渕上貞雄君 次に、運輸省に引き続きお伺いしますが、法人の解散の削除は法の目的から逸脱をしていないか質問をいたします。
 現行法の第三十九条の「法人の解散」が削除されていますが、需給調整規制廃止の結果事業撤退が加速した場合、本法案の第一条「目的」にある利用者の利益を保護、公共の福祉を増進するという法の目的から逸脱すると考えますが、その見解についてまずお伺いします。
 また、特に条文化していないというのであれば、安易な経営判断を認めないという考え方を明確にする必要があると思いますが、いかがでございましょうか。
#139
○政府参考人(縄野克彦君) 法人の解散につきましては、需給調整規制を続けております場合には事業の継続義務が課せられておりますので、法人の解散につきましても事業の休廃止と同様の観点から運輸大臣の認可を受けなければ効力を発生しないということにしております。
 今回の改正案におきましては需給調整を廃止するという御提案をしておりますので、私どもとしましては、事業者の事業継続義務というものはなくなるということで、事業の休廃止につきましても、これは私どもの行政としての情報把握という観点から届け出を求めておりますが、法人の解散については認可というものは必要ないのではないかというふうに考えておるところでございます。
 それから、路線バスの休廃止につきましては六カ月前の事前届け出制としまして、関係地方公共団体の意見を聴取することによりまして生活交通の確保、旅客の利便の確保というものを図りたいというふうに考えておるところでございます。
#140
○渕上貞雄君 事業譲渡譲受を運輸審議会諮問事項とすることについてお伺いをいたします。
 第八十八条の二の「運輸審議会への諮問」について、第三十六条の第一項、第二項の事業の譲渡譲受、法人合併の認可事項については運輸審議会諮問事項から削除されておりますが、需給調整規制廃止後は、事業の効率化が進められる中でこれらの事項が労使間で大きな争点となることが予想されます。これらの項目が現行法同様に許認可事項として存続されるのであれば運輸審議会への諮問事項として存続させるべきだと考えますが、その見解についてお伺いをいたします。
#141
○政府参考人(縄野克彦君) 運輸審議会への諮問の趣旨でございますが、いわゆる需給調整規制のもとでの免許というものは行政の裁量の範囲の広いものではなかったかというふうに考えております。そういう意味で、第三者を含めたできるだけ公正かつ合理的な判断というものを求めるために諮問をしていたものであるというふうに考えております。
 今回、乗り合いバスそれからタクシーの参入につきましても需給調整規制を廃止いたしまして、いわゆる免許制ではなくて、一定の安全基準等を満たすものに対して参入を認める許可制ということになりますと、行政の幅は相対的に縮小、小さいものになるというふうに考えておりまして、参入規制の許可につきましても運輸審議会の諮問事項から外すこととしたものでございます。
 そういう観点から、免許に準じて事業の譲渡譲受、法人の合併等の認可を従来は運輸審議会の諮問事項にしてまいりましたが、同じような判断から運輸審議会の諮問事項からは削除したものでございます。
#142
○渕上貞雄君 終わります。
#143
○戸田邦司君 小渕総理でありますが、実は私に小渕家と非常に親しくしておられた知人もございまして、折に触れて親しくお話ししていただける機会がございました。今や帰らぬ人となられたわけですが、まことに残念なことであります。本日は告別式も予定されておりまして、大臣、御出席と聞いておりますので、時間の短縮につきましては可能な限り御協力申し上げたいと思います。
 まず第一点でありますが、本日は総務庁の行政管理局長においでいただいておりますが、景気低迷の中で経済構造改革の中心は何といっても規制緩和ということで、運輸関係は、これまで鉄道、航空あるいは海上運送、そういった部門において相当の規制緩和を進めてまいってきております。
 規制緩和について、成長分野だけ規制緩和すればいいじゃないかといった議論もありますが、やはりすべてを規制緩和するというのが前提だろうと思っております。特に参入規制につきましてはあらゆる事業法で参入規制を撤廃する、そういうような覚悟が必要ではなかったかと思っております。そういった点では、運輸関係について規制緩和がどんどん進んでいく、しかしほかのところが進んでいかないということになりますと、例えば運輸部門からほかの部門に参入していく、そういったことが難しいわけですから、やはりそこはバランスをとって全体を並行して進める、そういうことが大事ではないかと思っております。
 そういう観点から、総務庁で今後の規制緩和、あるいは今現実にそういった観点から見た場合の問題点などについてお伺いしたいと思います。
#144
○政府参考人(瀧上信光君) お答えいたします。
 政府としましての規制緩和は、我が国経済社会の抜本的な構造改革を進めていくために極めて重要な課題であるという認識のもとに、平成七年以降規制緩和推進三カ年計画を閣議決定しまして、この計画に基づきまして総合的に規制緩和の推進を図ってきております。そして、この三カ年計画は毎年ローリングしながら改定をしてきておりまして、規制緩和につきましての内外の各方面からの御意見、御要望、それから政府にあります規制改革委員会の見解等を踏まえまして、毎年計画で定められました規制緩和の措置内容の一層の具体化を推進するとともに、新しい規制緩和の項目の追加といったことを行って推進をしてきております。
 ちなみに、ことしの三月三十一日に再改定をしました規制緩和推進三カ年計画には、運輸関係のほか、情報通信、流通、金融、エネルギー関係の分野など十六分野一千二百六十八事項に上ります個別の規制緩和が盛り込まれているところでございます。
 そして、先ほどお触れになりました需給調整を初めとしますいろいろな事業の参入規制の見直しの問題につきましては、この三カ年計画の中で規制緩和の横断的な検討を見直し事項としまして、従来の規制緩和推進の経験をも踏まえまして、それぞれの行政分野を横断的に見直しましていろいろな参入規制の緩和あるいは撤廃、あとその国際的整合化といったものを推進してきているところでございます。
#145
○戸田邦司君 それでは次の問題ですが、先ほど運転代行の話が出ておりまして、私もハイタクあるいはバス、こういった分野の行政にかかわったことがありますが、運転代行だけはもう本当になかなか問題が解決しない。
 そういうようなことで、先ほど大臣から御答弁いただいておりますが、運転代行の規制法案を来年度の国会に提出するというようなことを考えておられるようですが、やはりタクシーとのバランスといいますか、旅客の安全、適切な運行管理、あるいは事故があった場合の補償、そういった面、いわゆる社会的規制についてはタクシーとのバランスも考えてそういった法案を考えられるのではないかと思っておりますが、それらの点も含めて運輸省と警察庁からお願いしたいと思います。
#146
○政府参考人(縄野克彦君) 運転代行につきましての問題点は、今御指摘のようにタクシー類似行為が行われているのではないかという点、それから、タクシーにつきまして道交法の自家用車に対する安全規制とは別に他人を運送するということにつきましての運行管理あるいは運転の資格、その他の安全規制が上乗せされているということ、それから今お話が出ました補償の能力、そういう観点で、タクシーと同様のサービスを行うということが実態であるとしますと、安全管理、補償能力について、タクシーのことも十分勘案しながら、私どもとしては安全確保策について求めていかなければならないと思いますが、今現在の実態、それからどのような事業者、企業によってどのような事業が行われているかということを十分把握をしまして、具体的にどのような措置を講じてもらうべきかということを警察庁と十分相談いたしまして法案を提出してまいりたいというふうに思っております。
#147
○政府参考人(坂東自朗君) お答えいたします。
 運転代行につきましては、それが適法に行われれば飲酒運転の防止に資するものというように考えるわけでございますけれども、中にはいわゆる白タク行為を行う者がいるというふうなこと、あるいは私どもの調査によりますと、従業員に占めるアルバイトの比率が非常に高いといったような状況も浮かびます。
 こういったことも勘案いたしまして、先ほど運輸省からも御答弁がございましたように、現行でも法令違反に対しては引き続き厳正に対処していくということでございますけれども、今後におきましては運輸省ともよく連携いたしまして、さらに運転代行の実態に関する調査等も行いまして、平成十三年の通常国会には運輸省とも共同でこの運転代行業に係る法律案というものを提出するよう検討しているところでございます。
#148
○戸田邦司君 白タクの取り締まりですが、これはお願いですから答弁は要りませんが、なかなか徹底しない面があります。ですから、やはりそういう点も時々一斉にやっていただくとか、そういうことをぜひ警察庁にもお願いしておきたいと思います。
 最後になりますが、大臣に一言お伺い申し上げたいと思います。
 大変難しい規制緩和であったかと思いますが、経営者あるいは組合の方々も含めてここまでコンセンサスをつくり上げてこられたことについては深い敬意を表したいと思いますが、これで競争が盛んになってサービスがよくなるという面もあるかと思いますが、一方で過剰競争といいますか、そういったこともあるかと思います。
 これからの業界をどのように思い描いておられるか、一言お願いしたいと思います。
#149
○国務大臣(二階俊博君) 答弁に先立ちまして、先ほど来、各党各委員の皆様から、小渕前総理の御逝去に対しまして心温まる哀悼の意を申し述べられました。心から感謝を申し上げると同時に、御遺族の皆様にこのことを私からもお伝え申し上げたいと思います。
 なおまた、齋藤委員長を初め、各理事、委員の皆様の御配慮によりまして、小渕前総理の御葬儀に際しまして格別のお計らいをちょうだいしましたことに、これまた感謝を申し上げる次第であります。
 ただいま戸田委員から、みずからタクシー、バス関係の需給調整の問題等、これは運輸省の長い長い間の歴史のようなものでございまして、それに携わってこられた戸田委員から適切な御意見の開陳がございました。
 私ども、この問題につきましては、正直大変思い悩むことの多い問題でございました。そして一方、私たちが精いっぱいの法案を考えてみましても、内外からは運輸省は手ぬるいのではないかというふうなことの御指摘を受ける。当委員会におきましては、例えば衆参両院におきましてもいろいろな御審議の中で、この時期規制緩和をするとは一体何事かという趣旨のおしかりも受けてまいりました。
 しかし、私ども何としても、公共交通機関の一環としてタクシー、バスの役割というものは極めて大きいわけでありますから、この業界がさらに活性化し、そこに従事される従業員の皆様もこの業に携わったことに大いに誇りを持って、そしてまた将来に展望が開けるような、そういう業界にしていかなくちゃならない。
 ですから、私も前に記者会見の席で業の安定も考えていかなくてはならないということを一言申し上げましたら、早速新聞等でもいろいろ御批判を受けたことがございますが、私は今も信念として、規制緩和は規制緩和でありますが、同時にそのことが業界の安定につながり、発展につながり、そこにお勤めになる、そこに働く労働者の皆さんも将来にやはり明るさを持って、それぞれ御家族もみんな持っていらっしゃるわけですから、そうした方々のためにもお互いにそうしたことが安定してこそ、初めて乗客が明るい顔をした運転手さんに明るい会話をしながらその車に乗せていただいて目的地に達することができるわけであります。
 今まで無言のタクシーというのにたくさんお乗りになった経験があると思います。車に乗ったことが悪かったのではないか、それでは途中で乗りかえようかと思うことさえしばらくあったわけでございます。そして、例えばおつりなんかの場合でも、外国ではもうちゃんとチップの制度もだんだん定着している、そういうことをお互いに経験してきた者として、もうおつりは結構ですよと言いたいところでも、余りサービスが悪ければ最後の十円までやっぱり持って帰ってこなければ気が済まない。そういうことではなくて、やはり乗っている人も乗せてもらっている人あるいはその経営者も含めて、関係者がみんなお互いに相手の立場に思いやりを持ちながら、二十六億人の人たちを運んでいただいているこのタクシー業界の発展に、私どもはこれからも十分この法律が成立させていただいた後も配慮をしてまいりたいと思っておりますので、どうぞ委員会の各位におかれましては一層の御支援や御指導をちょうだいいたしたい、このように思っております。
#150
○委員長(齋藤勁君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後二時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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