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1950/12/08 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会 第13号
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1950/12/08 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 地方行政委員会 第13号

#1
第009回国会 地方行政委員会 第13号
昭和二十五年十二月八日(金曜日)
   午後四時十五分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
地方公務員法案(内閣提出衆議院送
付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(岡本愛祐君) 地方行政委員会を開会いたします。
 地方公務員法案の本審査を行います。質疑を続行いたします。逐條審議を一般質問と並行して行います。第一章は逐條審議は終つております。第二章第六條の説明は一度済みましたが、六條、七條、八條、九條、御説明願います。
#3
○政府委員(藤井貞夫君) 第六條を一応御説明申上げましたのですが、改めて御説明を申上げます。
 第六條は任命権者に関する規定でございます。ここは地方公共団体の長、議会の議長等を列挙いたしたわけでありますが、これらの任命権の主体がどこにあるかということは、この法律自体で規定をいたすものではないのでありまして、それぞれの根拠法規、例えば地方団体の長については地方自治法、選挙管理委員会については、これも地方自治法にございます。教育委員会については教育委員会法というふうにそれぞれの根拠法規によつて任命権者が何びとであるかということはきまつて来ておるわけでありまして、本法はこれを受けてその任命権者はこの法律並びにこれに基く條例等に従つてそれぞれ職員の任命、休職、免職、懲戒等の権限を有するということを明らかにいたしたのであります。第二項は任命権者は今申上げました任命権者に属する権限の一部をその補助機関でありまする上級の地方公務員に一部を委任することができるという規定を設けたのであります。第七條は……。
#4
○相馬助治君 逐條的に言つたほうが能率的じやないですか。
#5
○委員長(岡本愛祐君) 関連していませんか。
#6
○吉川末次郎君 まあやりましよう。
#7
○委員長(岡本愛祐君) 三條くらいずつ、関連しているものはやつたらどうでしよう。
#8
○相馬助治君 ここは基本法で非常に大切でなんだな。だから皆さんの意見に任せますよ。一條ずつやつたほうが行つたり来たりしないで能率的でいいと思う。
#9
○委員長(岡本愛祐君) それでは一條ずつやりまして。政府委員の説明上関連とて必要と認める場合は二條か三條も一緒にやる、そういうことにいたします。(「異議なし」と呼ぶ者あり)それでは第六條御質疑を願います。
#10
○相馬助治君 この第六條の二項においてですね、「前項の任命権者は、同項に規定する権限の一部をその補助機関たる上級の地方公務員に委任することができる。」とこうありまするが、この上級の公務員というのは具体的にどんな範囲まで考えているかということが一つ、なお委任の範囲については、あらかじめ政府側としてはその制約について何か考えていることがあるかという点、二点を一つ……。
#11
○政府委員(藤井貞夫君) 今のお尋ねの第一点でありますが、これは相馬委員も御承知でありますように、現在例えば都道府県庁に勤務いたしておりまする雇員につきましてそれぞれの部長にその任命権を委任をさしているという実例がございます。又地方事務所勤務の職員の一部、特に雇員等につきましてはそれを一々本庁に持つて参りまして、事務を処理して参ることも非常に煩雑であり、又執務の迅速を期する次第でもございませんので、これを地方事務所長に委任をしておるというような事例があつたわけでございます。ここに権限の一部をその補助機関たる上級の地方公務員に委任するということにいたしましたのもそういう趣旨に外ならないわけでございます。ただこの上級、下級ということの区別は、これはその相対的な問題でございまして、どこまでを上級と言い、どこまでを下級と言うかということは個々の場合にこれを判定する外はないというふうに考えるのでありますが、大体私が今申上げましたようなことが実際問題としても行われておりましようし、将来もそういうことになるのではあるまいかというように考える次第であります。
 第二の御質疑の点でございますが、権限の一部ということでございまして、これは全部ではございませんので、その一部のものについてこれを委譲するわけでございまするからして、その一部をどの範囲に限定するかということにつきましては、別にこの法律でははつきりとした規定を設けてありません。任命権者がそれぞれ適当と認めるところに従つてこれを行わせることに相成ると考えるのでありますが、ただ考え方といたしましては、例えば免職、懲戒というような事柄に関しましては、これは重要な事項でありまするからして、相成るべくは任命権者が自己にこれを保有いたしまして、これを他の公務員に委任することは差控えたほうがいいのではあるまいかという考え方を持つております。
#12
○相馬助治君 今政府委員の答弁の中のその最後の條項が我々にとつては問題なわけであります。即ち懲罰的な規定というものについては任命権者がこれを最終的に保有してやつて委任はさせないという、こういうのが望ましいとあなたはおつしやつておる。その通りであります、ところが今の説明でもわかりまするように、その答弁そのものは例外としてそういうものも認める場合のあつたことを第一に肯定しております。それから任命権者が懲罰権そのものを保有したといたしましても、一体懲戒というような事例というものは、その具体的な内容については、例えば県庁の職員の場合には知事そのものはわからない、即ち懲罰に値いする公務員の属する局長なり課長にその事例を調べさせて、これを懲戒するための判断の資料とすることはもう明らかであります。そこで一体日本の公務員の制度を考えて見まするというと、何にもまして大切なことは、官僚制度そのものを民主化することでなくちやならない。ところが同じ地方公務員が上級である理由を以て任命権者からその権限の一部を委任されて、そういう下級官吏に対する懲罰というような権限まで執行するということに相成りまするというと、極めてこれは事は重大であると言わざるを得ない。と申しまする理由は、任命権者である知事は公選されてこれは常に民衆の意思というものを一応代表しておると見なければならない。ところがその任命権者によつて権限を委譲されてある上級地方公務員というものは、現実に地方公務員法によつてその試験を受け、任用されておるという意味合を以ちまして、いわばこれは同じものである。そういうふうに考えて参りますというと、現実の問題として下級職員というものは上級職員に対して、当然理由のあることも言い得ないという結果がこれで生ずることは理の当然である。そういう観点に立ちまするというと、本法の規定は極めて不適当であると思うのでありまするが、この際政府の所見を、特に大臣がいないから次官の口を通して明快に一つ納得の行くような御説明を承わりたい。
#13
○政府委員(小野哲君) お答え申上げます。相馬さんが言われますように、官僚制度の民主化を図つて行かなければならないことは私も同感でございます。ただ任命権者として当然に行い得る権限の行使につきまして、これが補助機関たる、只今御指摘になりましたような職員においてその権限の一部を行使するということにつきましては、極力これが公正に行われることを期待しなければならんことは申すまでもないととろでございまして、相馬さんの御意見は私も御尤もだと思うところでございます。ただ人事行政が事実実際問題として円滑に行われまするためには、任命権者の権限の一部が現在におきましても、藤井政府委員からも申上げましたようなやり方もいたしておるのでございまするが、今回この法律案で考えておりまするように、職員の保護の関係におきましては、人事委員会なり、或いは公平委員会の審査の途も開いておりますので、少くとも切捨御免的な人事行政の運営は今後は行われないものと私も確信をいたしておるような次第でございます。お説の点につきましては、これが運営につきましては十分に愼重な考慮を拂うべきことは全く御同感でございます。
#14
○相馬助治君 運用の妙を発揮することによつて法文の持つ矛盾をカバーするということができるということは、座談的なお茶呑み話ならば了解できますが、これは原案であつて、私ども国民の意思を代表して立法府に連らなる者としてはにわかに賛成できないのです。併し小野政務次官の極めて謙遜なる態度を以ての御答弁であつて、これ以上これに追打ちをかけることは武士たる私の快しとしないところなのであります。そこで私は一応それを認めます。あなたの答弁を認めるとします。その場合には一つこの三條を見て下さい。やはり私は官僚制度の民主化という意味からこれを一つの県の例に取りまするならば、知事は公選されております。それから副知事はいわゆる知事が推薦して議会の同意を得るということになつておりまするが、進んで部長、課長……係長とまでは言いませんけれども、部長、課長くらいまでは私は自由任用の制度をするのであるならば、先ほどの次官の答弁を納得するものなんです。それを第三條においては嚴格に規定しておる。こういうことに相成りまするというと、アメリカの官僚制度とは日本の官僚制度は根本的に違つております。これを縷々申述べることは暫らく差控えまするが、あなたの説から立論して参りまするというと、第三條は極めて矛盾しておると思うのでありますが、これについてはどうお考えでございますか。即ち今のような一般職と特別職の分け方を以てして現に地方自治の民主化が行われるという立場をとられまするか、それとも極めてむずかしいとお考えでありまするかどうか。この点お伺いしたいと存じます。
#15
○政府委員(小野哲君) お答えいたします。例えば県におきまして部長級、或いは部長をお話になりますように第三條の特別職に入れたらどうか、こういう意見も一部に聞いておるのでございます。又相馬さんの御意見も只今伺つておるのでございまするが、御承知のように相馬さんもお話がございましたように、知事等の地方団体の長が公選によつてその地位についておりまするし、いわば政策を掲げてその政策を実行するという建前で出ておるわけでございまするが、同時に地方行政の公正な運営を図つて行くというためには、どうしても行政の執行に当つての専門的な技術的な職員が必要である、かような意味合におきまして、一般職の制度が設けられることとになるわけで、従つて能率的に且つ又延長して、或いは継続して地方住民のためにサービスをして行くという建前をとつているわけでもございます。その場合に部長は勿論知事を補佐いたしまして、いわゆる知事の政策の実行に当つて十分に忠実にこれに協力してもらえるという建前をとつているのでございますが、その本質的な部門はやはり行政の執行の面を担当するいわば最高の機関である、こういう意味合におきまして、やはり行政執行についての専門的な技術的な立場において部長の地位を考えるほうが継続的な行政事務の遂行に妥当ではないか、かように考えられますので、現行の我が国の地方自治組織の制度から考えましてこの法律案におきましては、部長は特別職といたしませんで、一般の行政事務に携わる職の中に入れた次第でございます。
#16
○相馬助治君 一応小野次官の説明は御尤なのですが、これがアメリカの議会でアメリカの国務相のあなたが次官で、私がアメリカの上院議員でもありますと、この説はよくわかるのです。と申しまする理由は、アメリカの官吏というものは、本当に事務官吏であつて、そうして官吏そのものが民衆の中にとけこんでおる。逆に言えばその官吏を囲繞するところの地域社会というものが高度に民主化されておる。そういう国であつてこそ行政の専門家でありまする者は成るべくこれは一般職に入れて、政治活動の制限でも何でもやつて行くということは正しいのでございますけれども、一体日本の官僚、特に県庁あたりにおける部長、それから本省関係におけるところの高級官吏の今までのあり方というものを考えて見るというと、これは一目瞭然である。即ち公務員の中立性という美名の下に隠れて、政治が左に動こうが右に動こうが、民政党であろうが、政友会であろうが、そのときの権力の上にあぐらをかいて、好き放題の悪いことをしておつたのが今までの官僚であります。日本をしてかくもみじめならしめたのは軍閥だけじやない。いわゆる法科万能の日本の官僚制度です。そういうふうな一つの基本的な概念から考えて参りますというと、私はこの大條において説明した次官の答弁を是認するならば、第三條におけるところの一般職と特別職との区分けについて不満でありますし、又第三條の一般職と特別職との区分けというものを全然考え方を変えて、できるだけ特別職というものを拡げて行くならば、従つて関連して第六條についても賛意を表せる。こういう連関的な考え方を持つのでありますが、最終的に明確に伺いたいことは、この特別職、一般職の区分について考慮する必要があるとお考えであるかどうか。若しそれがないとするならば、この第六條の二項に関しておりますところの、上級公務員に対する権限の一部委任ということは極めて問題であろうと思うので、その問題を少しでも少くせしめるところの何らかの他の方法を考えておるか。いわゆる條例の制定というようなことですね。それを考えておるか。この二点についてしつこいようでありますが、改めて次官の妥当適切、而も私をして納得せしめる答弁をお願いします。(笑声)
#17
○政府委員(小野哲君) お答えいたします。特別職と一般職との区分をいたします場合に、恐らくそれぞれの立場において意見があるであろうと私も存じます。ただこの法律案におきましては、国家公務員法との比較検討もいたしたのでありますが、国家公務員法の建前よりも若干拡げることにいたしておりますのは御承知の通りかと思うのであります。特別職につきまして、これを更に拡げるというふうなことについての検討を加えるべきではないかというような御意見もあるようでございますが、大体今日のところでは、この程度の特別職をきめることによりまして、この地方公務員法案の適用の対象となる一般職の限界を明らかにすることが適当であろうとかように考えた次第でございます。任命権者の権限の一部を上級の地方職員にこれを委任するということについては、先ほど申しましたように、職員の人事に関することでありますので、これは努めて愼重な考慮を拂つて行かなければならないと存じまするが、今回の法律案で人事委員会制度も置かれることになりまして、人事行政の運営につきましては、適時意見を申述べることも、勧告することもできるような途も開かれておりますので、單に任命権者がその独善的な建前において、人事行政を運営するというふうなことにはなるまいかと、又これを防止することができるのではないかとかように考えておる次第でございます。特別職の関係につきましては、以上のような考え方を以ちまして、この法律案を立案して参つたような次第でございます。或いは不充分な点がございましたら、改めて御質問願いたいと思います。
#18
○相馬助治君 要約的に私が積極的に意見をこれについて申すならばむしろ千差万別の現在の地方自治の現実から推しまして、部長をどうする、課長をどうするということについては、この基本法で縛ることなく、その地方自治体の條例に委ねたほうがむしろこれはよいのではないか、こう考えるわけでありまして、その点については政府はどう考えておるか。
#19
○政府委員(小野哲君) これを実際運営して参ります場合におきましては、勿論御説のように地方公共団体の自主性を尊重して参ることになるのでございますが、その場合におきましては、恐らくこれが方法につきまして、條例で定めることになるであろうと考える次第であります。
#20
○吉川末次郎君 今の相馬さんの質問に関連してでありますが、第六條は前の第三條と相馬さんの質問におけるがごとく非常に関連性を持つておりますので、これに触れたことを多少質問したいと思いますが、やはり特別職と一般職との数の比率の問題でありますが、先般我々が公聽会を開きましたときに、千葉県の津田沼の町長である白鳥さんとおつしやる方が地方自治の市長の代表としてアメリカへ視察をして来られて、その経験、見聞からも言われたことでありますが、やはり今の相馬さんが言われた問題を取上げて報告したのであります。即ちこの法案によれば特別職の範囲があまりに狭少である。これでは自治体の首長が自己の経輪を行なつて行くという上において非常に拘束を受けてやつて行けないということを言つたのであります。私は聞いておりまして特にこの欄外にも私そのことを書き入れておるわけでありますが、非常に尤もな穏当な御意見であると思うのでありまして、これは非常に尊重して行かなければならないのではないかと思われるのであります。府県等におきまして、部長級の者までもこの一般職に入れているのでありますが、これはアメリカにおけるところの国家公務員法及びそれに準じた自治体のそうした考え方の歴史を是非知つて置く必要があるのでありまして、国家公務員法の審議に当りましては、小野政務次官も共にそれを審議いたしまするところの常任委員会の決算委員でありまして、非常にそのことにお互いに論議を盡したのでありますが、そのとき多少申上げたことで、或いは政務次官も多少記憶を願つているかと思うのでありますが、これはアメリカの制度を大体模倣しているのでありますが、アメリカでは御承知のごとく国家におきましても、即ち連邦、フエデラル・ガバメントにおいても、又地方の州、市その他の自治体におきましても選挙があつて、そしてアメリカでは二大政党であります。即ちデモクラツトとレパプリカンとありますが、その民主党及び共和党が選挙で勝ちますと、その勝ちましたところの政党が大体知事或いは市長その他の首長を出し、議会においても多数を占めますると直ちに人事行政を更新いたしまして、アメリカの書物の書いておるところによりますると、ともかくも小使の末に至るまで民主党が勝てば民主党の人事行政ですべて統一してしまう。今度は又その反対党の共和党が勝ちますると、又ころつと人の入れ替えをするというようなことが即ち民主主義である。即ちそれがデモクラシイであるというような誤つた考えがあつたのであります。そうして政党を中心といたしまして、その政党本位の人事行政から勝手なことを相当にいたしましたので、これがアメリカの政治史上におけるところの有名なるスポイルズ・システムという言葉で言われておりまして、日本ではこれを文官ぶん取制度などと翻訳いたしておりますが、政党が即ちオフイシヤルス、役人を全部ぶん取つてしまうところの制度であります。このスポイルズ・システムの弊害を除却するために、アメリカではこういう役人の選任ということには一定の枠を設けなければならんというところの運動が非常に起つて来たのであります。これは地方自治体におきましては、国よりも少し遅れたのでありますが、私の大体記憶いたしておりまするところは、十九世紀の終り頃からそういうことも各地方自治体において起つて参つたのであります。そのことを我々は日本と併せて対照して、非常に考えてこの法案に対処して行くということが必要なのであります。それでそうしたスポイルズ・システムというものの弊害が非常に起りまして、日本でも有名なニユーヨークのタマニー・ホール事件で、当時のフイラデルフイアその他の所にいろいろなそういう政党の腐敗事件が暴露したのでありますが、その根源の最も一つの大きなものは、即ちこのスポイルズ・システムである。即ち政党が皆役人をとつてしまうということであるというので、これに対する改良運動が非常に起りまして、そうしてこういう枠を作るという制度が起つて来たのであります。で役人の選任については必ず一つの特別な専門的な試験、スポイルス・サービス・エキザミネーシヨンをやる、或いはメリツト・システムをとるというようなことがだんだん行われて来たのであります。ところがこれを日本と併せて対照して考えて行く必要があると思うのでありますが、果してこれをやろうと言われたところのその筋においては、日本の今日までの役人の任用制度というものが、およそ地方自治体においてどのようになつておつたかということについての甚だ失礼でありまするが、そのとき言つたのでありますが、私十分なる御理解は非常に普遍化していなかつたのじやないかと実は考えているのであります。日本には御承知でもありますように、或いは山縣総理大臣のときでありましたか、第二次山縣内閣のときであると思いますが、やはりああいう藩閥政府薩、長、土の藩閥政府の政権の独占をして行くということが政治的なそれの中心思想であつたと思うのでありますが、即ち政党を排除するということを非常に言いまして、いわば中央政界におけるところのいろいろな重要なところの役人というようなものも、いわゆる文官高等試験というものを及第したところの主としてそれは帝国大学の法科の卒業生であつたのでありますが、そういう文官試験を及第した者でなければ役人になれないように藩閥政府がしてしまつたのであります。そうして今相馬君が言われましたように、その文官高等試験制度及び普通試験制度というような、いわばこれが規定しておりまするのと同じ考えのものでありますが、そういうものを中心といたしまして、今相馬君が非常に非難しましたところの、日本をかくのごとく敗戰に至らしめたところの一つの官僚のギルドというものが強固に日本の政界にでき上つてしまつたのであります。だから日本にはこんな国家公務員法というようなものが、或いは地方公務員法の制度というようなことを今日新らしくやいやい言いますまでもなく、もう山縣内閣のときから、明治三十何年だつたと思いますが、それ以来もう強固なるところの、強固過ぎて弊害百出いたしまして、日本を戦争に、こんなに負けさす原因になつたような公務員制度というものが日本にあつたのであります。即ちスポイルズ・システムの弊害を除却するものはもうエキストリームにあり過ぎるほど日本に存在しておつたということの歴史と併せて考えて行く必要があると思うのであります。でありまするから、ただそういうものを忘れてしまつて、何かこれが新らしい制度であるというような考えは非常に間違いなのでありまして、日本の官吏制度におきましては、役人制度においては、地方自治体、国、地方を問わず、むしろ過去におけるところの封建的な官僚ギルドの残滓というものをば如何に除却して行くかということが私は官吏制度の上におきまして、現段階において日本の民主化のために一番必要なことであるということを基本において私はこの法案に対して行かなければならんと考えておるのであります。そのように考えまするというと、私はあまりにこの強固なるところの、そうしたこの特別職の範囲の狭小、一般職の範囲が非常に広汎であるということは非常に検討を私はこの法案について要するところの問題であると思うのであります。それで今私は会議が開かれません間に、恐らくこの法案の起草者であると思いまするところの公務員課長の藤井君とも座談をいたしておつたのでありますが、藤井君はあなたはアメリカにおいての地方自治体及び国家において、この一般職と特別職との役人の数的比率がどれくらいになつているかということを調べて見ましたかと言つておつたのであります。座談の間のことをプライベートの話をここに申上げることは甚だよくないことでありますから私は愼しみますが、これをどこまで一つ自治庁のほうでお調べになつておるかということを一つお話を願いたいと思うのです。それで私は先ほどの白鳥君の意見が非常に私は尊重すべき意見だと思うのでありますが、特に私は今日は調べておりません。併しながら私三十年ほど前にニユーヨークにおりましたときに、ニユーヨークの市役所の市政組織のことを、日本の地方行政の専門雑誌に相当詳しく調べまして書いたことがあるのでありますが、そのとき書いた非常に古い記憶でありますけれども、その後又ニユーヨークの市憲章が変つたのでありますが、古い市憲章の時代でありますが、私の調べましたときもハーバート大学の市政学の教授モンローという人が書いたのでありますが、ニユーヨークの市政組織のことを書いておるのでありますが、表が載つておりまして、相当広範囲にまで上のデパートメントの各市長というものは市長が任意に任命する特別職の人が相当広い。今言うところの部長級のような人は相当広い。それからその数もさつき藤井君もざつと話しておつたが、アメリカでは大体普通職、一般職が一割で、三割ぐらいが特別職でありませんかと思いますがというようようなことを言つておりましたが、それは極めて重要なことだと思いますので、どれだけまでの正確なる数字的な調査をおしになつておるか、私はさつきの相馬さんのお話と同じように、又白鳥さんのお話と同じように少くとも部長のようなものはこれは府県におきましたならば、知事が任意に自由に任用することの途を開いて置いてやるのでなければいけない。浮き上つてしまつてこれは知事は何もできない。それから又過去におけるアメリカのどうしてこういう人事院制度というものが生れて来たかという、今のスポイルズシステム排除のために生れて来たところの歴史と相照応いたしまして、又日本の過去における官吏制度と相考えまして私は相当な数のやはり自由任用の途が開けていなければいけないと思うのでありますが、それについての御見解を改めて一つ大臣から伺えれば大臣から一つお伺いいたしたいし、又事務のほうでそれの数等についての、これは米国の制度の要するに模倣なんでありますから、どれだけ御調査になつておるかということを一つ御報告願います。
#21
○政府委員(鈴木俊一君) 只今吉川委員の我が国の歴史並びに米国等におきまする地方公務員制度の沿革現状等につきまして該博な御意見を伺つたのでございます。私どももそういう地方公務員制度の現在の何と申しますか、史的な立場、歴史的な立場というものはまさに吉川委員の御指摘になりましたような立場のあるものであると存じます。が、ただ最近の大統領制度と言いますか、こういう形の知事、市町村長と地方議会が相対立するかつこうで、而もその執行機関の長である者が直接住民によつて選挙せられると、こういう建前の下におきましてはやはり今アメリカにおいて非常に多かつたということで、いろいろ御引例になりましたいわゆるスポイルズ・システムがこれは好むと好まざるとにかかわらず相当強い程度に入つて来る可能性が相当あると存じまするし、若干そういう事例もすでに起つておるわけでございまして、過去の政党内閣等が盛んでありました時代におきましては、そういうようなことから官吏の身分保障というような意見が一面起つておつたわけでございますが、そういうような際の必要性というようなものより以上に、今日の段階におきましては、そのような官吏、或いは地方公務員の身分保障というようなものの必要性が生じて来るのではないかと思うのであります。ただその範囲を非常に広くとりまして、全く地方公務員の吏僚組織、或いは国家公務員の吏僚組織のお話のように全く動かないものになつてしまうということにつきましては、確かに問題の点が存すると思うのでございまするが、地方公務員法案におきましては現在国の公務員につきまして、大臣、政務次官が特別職でございまして、事務次官以下一般職という、かような仕組をとつておりまするのに対応いたしまして、地方におきましても知事、副知事或いは出納長といつたようなものを特別職といたし、市の場合には同様に助役、牧人役というようなものを特別職といたしまして、それ以下の部局長というようなものはやはりこれを一般職といたしまして、知事、市町村長の更迭にかかわらずその地位に安んじて行政に奉仕できると、かようなやはり建前をとりますることがいいのではないかと、殊に国家公務員法との権衡から考えまして、そういうようなかつこうに持つて行きますることが妥当ではないかと、かように考えた次第でございます。その数字の点につきましては、別の政府委員から申上げます。
#22
○政府委員(藤井貞夫君) 今の吉川委員からのお質疑でございますが、私たちのほうでもできるだけの資料を集めるように努力はいたしたのでございますが、何しろこういう情勢でございますので、完全な資料が得られませんでしたことを非常に遺憾に思つております。ただ現在持つておりまする資料によりますと、連邦職員につきましては、公務員法の適用を受ける一般職のパーセンテージが全連邦職員の約七三%ぐらいになつておるということを承知いたしておるのであります。アメリカの地方公務員につきましてどの程度が一般職であるかというようなパーセンテージは全体の統計的なものは私たち入手しておりません。これは吉川さんもよく御存じであられることと思うのでございますが、アメリカにおきましてはそれぞれの都市におきまして制度も違つております。従いまして一般職の範囲というものも広狭さまざまあることと考えております。或るところでは七〇%程度のところもございましようし、私的のことを申して甚だ恐縮でございますが、私たちこの間アメリカに行つて参りました際に見ました西部の諸都市、例えばサンフランシスコ等におきましては、このパーセンテージは非常に多い。即ち特別職の範囲というものが非常に少いというふうに承知をいたしたわけであつたのでありますが、なお我が国の地方公務員の場合におきまして、今申上げました連邦職員の七〇%に比較する数字と
 いたしましては、或いは妥当を欠くものがあるかというふうに考えるのでありますけれども、お手許に配付いたしました資料によつても明らかでございますように、地方公務員の中で一般職に属する者が約百三十万でございますが、それに対しまして特別職に属する者は約大十一万程度あるわけでございます。これは今申上げましたように、ただそのパーセンテージというものを比較する際に果して適当なものであるかということは確信がございませんのですが、大体そういう数字に相成つておるということを附加えて申上げます。
#23
○吉川末次郎君 引続いて申上げたいと思うのでありますが、アメリカの数のことについてお答えを頂き、又鈴木君からも御答弁があつたのでありますが、鈴木君の御答弁については先ほど申しましたように、意見が大分違うのでありまして、国家の官吏等について身分保障の問題が起つた云々というお話がありましたが、それはさつき申しましたように、山縣有朋が文官任用令を制定いたしましたと同じような官僚本位の、いわゆる官僚イデオロギーの上に立つてできたものでありまして、そういうものを鈴木君がここに引例されるということは、新憲法の下におきましては、あまり感心できないことじやないかということを申上げて置きたいと思うのであります。それから米国の各地方自治体におけるところの数についての資料を持たんというところのお話でありますが、これはこういうように東京市政調室会にロックエラー・フアンデーシヨンから最近のいろいろな地方政治に関するところの資料を非常にたくさん送つて来ておりますから、ああいうものをお調べになればよくわかると思うのであります。殊に数字的なことはアメリカン・ミニユシパル・イヤー・ブックという本がありますから、そういう本を一つお調べになればよくわかると思うのであります。又ニユーヨークだけのことにつきまして言うならば、ニユーヨークシテイのオーガニゼーシヨンについての最近のそうしたことが書いてありまして、表が付いております。その表を御覧になりますというと、そうしたニユーヨークの市の組織のデパートメントのヘツドが果して特別職であるか、一般職であるかというようなことも皆出ておりますから、一つ東京市政調査会にありますロツクフエラー財団からの寄贈の最近の米国の地方行政の書物をお調べになれば十分こういう資料ができるのじやないか。この資料は非常に我々必要なものでありますから、ただサイト・シーイングしておいでになりましたところのサンフランシスコだけぐらいの例を以て、どうぞ役人諸君がこの重大な問題をおきめになるところの唯一有力な資料としてお考えにならんようにお願い申上げて置きます。
#24
○相馬助治君 只今の藤井君の説明は連邦においては七三%までが一般職で、地方においてはもう少し下廻つておる即ち特別職の範囲が狭いというお話でサンフランシスコの例を挙げられたのですが、現にイリノイ州においては二万四千人の公務員のうち特別職が八千人ある。これをパーセンテージに現わしますと、三三に当る。従いましてサンフランシスコだけの引例を以て、これを帰納的に眺めて行くということは危險であるということを一応指摘して置くということは吉川委員と同断です。
 次に岡野国務大臣に承わりたいのですが、先ほどから私は議論しておりますことは、日本の現在の官僚制度のあり方から考えまして、国家公務員といわず、地方公務員といわず、最も今日なさねばならん焦眉の急は、一部の権力者の下僕であつた公務員を民衆の公僕たらしめなければならない。即ちマツカーサー書簡の示すところに従つて進めなければならん、こういう考え方かと思うのであります。そこで実業界出身の岡野国務大臣は、恐らく本相馬委員の説に賛成せられるであろうと思うのですが、今度の地方公務員法を見ますと、府県において部課長は一般職なのでございます。真に政策を掲げて民衆の意思を代表して首長になつた者が本当に立派な政治をなし、責任政治をなすためには、私は部課長というのは、一般任用の制度に待つことが妥当ではないか、こういうことを先ほど来申しておるのでありますが、この点に関しまして大臣の御答弁を承わりたい。その具体的な実例として極めて高度に民主化されておりますアメリカにおいてすら、先ほど来申しておりますようなパーセンテージで自由任用の途が極めて広汎に開かれておる。ところが日本において、この地方公務員法においてこの一般職の制限というものを拡げて、特別職というものを狭めるということは、何としても日本民主化のために腑に落ちない。ここにおいて特に実業界出身であり、日本官僚制度のまずさというものを身を以て体験しておるでありましよう岡野国務大臣の答弁をお願いいたしたい。
#25
○吉川末次郎君 議事進行……。先ほど岡野国務大臣にも御答弁を要求したのでありますが、御答弁がなかつたようでありますから、先ず私に対する御答弁をお願いして、次に相馬さんにお答えを願いたいと思います。
#26
○国務大臣(岡野清豪君) 吉川さんのお説は特別職の範囲を広くしたらどうかというお説、これも一応至極御尤もと私存じます。併し現段階におきましては、この程度にしたほうがいいのじやないかと思います。これと関連いたすと思うのでありますが、形式は関連しませんけれども、精神は関連すると思います。相馬さんの御説、これも至極御尤もなんです。私も実はつい最近まで実業界におりまして、そうして公僕になつて参りましていろいろ仕事をして見ますというと、その理想論を実現するのにはあまりにも今の仕事が煩雑過ぎるということだろうと思います。でございますから、先般も国家公務員の試験をされたようでございますが、そうしてその試験に局長とか次官とかいうものにパスされた方があるのですが、さてその人が一人や二人入つて実際の仕事ができるかどうかと申しますと、実際はできないのであります。現に私自身が実際に仕事ができていないのであります。
   〔「イエス」「ノー」と呼ぶ者あり〕
と申しますことは、結局長い間伝統的に非常に事務を煩雑にして来てしまつているところの今の政治、行政の情勢ですから、これも常識があるから出て行つて、そうして立派にやつてのけるということは至難の問題でございます。でございますから、私といたしましては、相馬さんの御説は至極御尤もで、その通りに行きたいという理想は持つております。理想は持つておりますけれども、今の事務をもう少し簡素化して、何でも常識でやつて行けるというような程度までに、一つ民度並びに一般の仕事を常識化して行く。こういうことになり……、両々相待つて行かなければならんと思いますが、その意味におきまして、まあ公務員法で規定しておりますのは、そういう一般の情勢から割出して、こういう公務員法を作つたと、こう御了承願いたいと存じます。
#27
○中田吉雄君 只今の両委員の質問に関連いたしまして、一般職と特別職を分けることの範囲についての御質問を重ねていたしたいと思います。只今吉川委員がアメリカにおける一般職と特別職とのできました歴史的な背景というようなものを十分申され、又相馬委員からも日本におきます官僚制度の生んだ弊害というものについての歴史的な反省をされましたので、理論的な問題については触れませんが、私地方政治を担当いたしました体験からこの一般職と特別職との区分が、特に特別職の範囲があまり狭過ぎるのではなかということについて御質問をいたしたいと思います。私の県は鳥取県でありますが、昭和二十二年に初めて知事が公選制度になりまして、高等文官の試験を合格しない或る官立大学、帝国大学ですか、それを出た人が開拓課長から立候補いたしまして、一躍知事に当選したわけであります。ところがその当時の部長は全部東京帝大を出まして、おれは在学中に高文をとつた俊秀であるというようなことで、知事が県民に公約いたしまして立候補した政策を展開しようといたしましても、全然これに対して協力をしなかつたわけであります。そこで知事がその部長全部を更迭いたしますのに殆んど二カ年間かかりまして、そして漸く自分が県民に公約してその支持によつて出たその政策を三年目から漸く実現したというような、まあ実際上の体験を持つわけであります。知事が如何に公約いたしましても、それを実行しようとする際におきまして、何と言つてもこのスタツフをブレーン・トラストを備えませんと、実際政策は展開できんと思うのであります。そういう点から行きまして、
   〔「その通り」と呼ぶ者あり〕
私は少くともこの都におきましては局長級、府県におきましては部長級程度まではこれは特別職の範囲にいたしまして、知事が掲げて立候補いたしました政策に十分協力するというような人を整えませんと、実際地方自治の進行は、私はできないと思うのであります。そういう点では、私はいろいろ選挙の活動の制限とか、いろいろなことを言われておりますが、それらに比較いたしまして劣らん重要な関係を持つと思うわけでありますが、政府といたしましては、この案を現在の地方自治の実態から考えて最善と思われるのでありましようか。その点について先ずお伺いしたいと思います。
#28
○政府委員(鈴木俊一君) 特別職の範囲を如何ように定めるかということでございますが、これに関しましては、先ほど来、吉川委員、相馬委員、又只今中田委員から御見解の表明があつたわけでありますが、政府といたしましては、府県の部長というような、いわば事務職の一番最高級に位いいたしまするものを特別職にするか、一般職にするかということにつきましては、いろいろ利害の研究をいたしたのでございます。併しながらやはりこの部長或いは局長というものの地位は行政運営の束ねをするものでございまして、結局政策といたしましては、知事なり或いは議会において決定をせられ、それを運行して行きまする中心の機関であることから、これを補佐する副知事、或いは市長を補佐する助役というようなものが知事なり、市長の更迭の際に、同時に更迭される。これは当然の儀でございますが、それ以下の一般行政職に従事いたしております者は、その地位が上級でありましてもそれが時の知事なり市町村長と共に更迭するということになりますと、行政の安定性というものを維持いたすことが困難でございまするし、又国の場合の制度との均衡ということをも考えまして、やはり特別職というものは任命権者が議会の同意を得て選ぶとか、或いは直接の公選によつて出て来るとかというようなものを主として考えまして、任命権者の意思によつてのみ任命せられる地位にありますものは、いわゆるこれは普通の事務職員とかように考えまして、こういうものは一般職にしたほうが適当ではないか、そういうような結論に到達した次第であります。
#29
○中田吉雄君 この一般職と特別職の区分につきましては、すでに国家公務員についても非常に特別職の範囲が狭きに過ぎるということがはつきり認められておるように了承しております。例えば先般更迭になりました森農林大臣がありますが、いろいろな関係からして吉田内閣の農政を展開しようといたしましても、例えば水産庁の長官が協力しない……。併しながら国家公務員法の規定によつてそれを更迭することができないというようなことで、喧嘩両成敗のような形で誠に哀れな退陣方をされたわけでありますが、(笑声)そのことは別にいたしまして、先に鈴木次長は知事が公約した政策というものは、知事と議会によつてこれを決定するということを申されまして、部課長以下は一般職であるのがいいというふうに申されましたが、実際知事が公約しました約束を政策化しますためには、決して知事や副知事だけではできるものではないわけでありまして、それを補佐するところの少くとも部長級の心からなる協力なくしてはそれはできないということは、実際地方自治の現実が物語ると思うのでありまして、私は都といたしましても少くとも国家公務員法との釣合というようなことでなしに、国家公務員法においてもすでにその弊害が認められておるわけでありますから、この際そういうふうにしたほうがいいではないかという所見を持つものでありますから、これは見解の相違で如何ともしがたいと思うのでありますが、その次にこの一般職と特別職の区分につきまして、先にちよつと触れられたようでありますが、出納、収人役というようなものが議会の承認を経て就任するという関係から特別職にされておりますが、私はこれは一般職にいたしまして出納収支について誤りのないようにするためにも、どうしてもこれは一般職にしたほうがいいと思うのでありますが、この点について御見解を伺いたいと思うわけであります。例えば地方自治法の二百三十二條の第二項でありますが、出納長、収人役は知事の命令があつても議会の議決した収支に副わなくては、それ以外の収支の支拂をしてはいけない。収支の決済をしてはいけないというふうに出納収支の責任の所在をはつきりしておるわけであります。そういうような点から考えましても、会計の、この紊乱を防ぎますためにおきましても、私はこれは当然一般職にいたしまして、ともすれば起きますところの会計上の不始末を防ぐ、或いは出納長や収人役の地位を安定せしめて防ぐということにしたほうがいいと思うのでありますが、これについてどうお考えですか。
#30
○政府委員(鈴木俊一君) 出納長を一般職にしたらどうかという御意見でございますが、この点につきましては、お話のように、出納長の職責というものは非常に現金出納に関係いたします。又他面租税の徴収ということに関しても責任を持つておるわけでございまして、非常に重要なポストでございます。こういう重要性があります半面、その職務自身は非常に何といいますか、形式的な面が多くあるわけでございます。そういう意味では確かに一般職にするということは理由のあることであろうと思います。何分現在の地方自治法におきまして、これをやはり副知事或いは助役と同じような立場において考えておりまして、議会の同意を得るというような建前にいたしておりますので、今後の問題としては十分研究して参りたいと存じますが、現在の段階といたしましては、そういうようなことから、いわば自動的にこの地方公務員法との関係におきましては一般職というような特別職というようなかつこうに相成つておるわけでございます。今後の問題としては、私どもも十分研究をして参りたいとかように考えております。
#31
○中田吉雄君 その点でありますが、これは結局第三條の第三項の一ですが、「就任について公選又は地方公共団体の議会の選挙、議決若しくは同意によることを必要とする職」というので十把ひとからげに條項に適用するから、余儀なくそういうふうになつたと思うのですが、「但し」というような規定でこれは私は速かに改めたほうがいいというふうに考えるわけでありますが、その点は次長の説明で了承いたすことにいたします。
 次に県会事務局の事務局長でありますが、これは参、衆両院の総長に匹敵するものであると思いますが、県会事務局が議員が十分議会活動のできるように資料を整えたりして誤りのない判断をさせるというようなために、事務局といたしましては中立性を保つという必要はありますが、何といつても議会から選ばれたこの都道府県の議長、或いは市町村会の議長の職を全うせしめるためには、どういたしましても私はこれを特別職にいたしまして、議長と一心同体でこの議会の運営に誤りのないようにするということが妥当だと思いますか、この規定によりますと、事務局長も一般職になつておりますが、これはどうなりますか。
#32
○政府委員(鈴木俊一君) 地方議会の事務局長を特別職にしたらどうかということでございますが、やはり事務局長といたしましては、議事運営の典例に明るい者でなければなりませんし、そういう事務局長自身が議長と共に政治的に行動をするというようなことでは、やはり議会運営の公正は期し得られませんので、やはりこれは性格的に申しまして一般職にいたすべきものだと存じまするが、選任の方法といたしましても、議長が任命権者としてこれを端的に選任いたすようにいたしております。特に議会の同意を得るとかいうような形をとつておりません。国会のように事務総長を選挙するというようなことでありませんので、そういう任命の形式から申しましても、やはりこれは一般職のほうが適当ではないかと考えております。
#33
○吉川末次郎君 先ほど来の鈴木君の答弁及び岡野大臣の答弁等におきまして、非常に重要なことが私は指摘されねばならんと考えるわけであります。それは鈴木君は私は個人的に非常に親愛の念を以ているところの優秀なる官僚でありますが、やはり昔風の官僚的な考え方がこの法案の制定、作成の中にも非常に入つているんじやないかと思うのでありまして、(笑声)なんということなしにこの一般職の範囲を広くして、そうして役人の身分を保障して置きたいということが非常に中心観念になつておる。ところが地方の自治体の政治におきましても、これは国の政治におけると同じように主義、政策の相違、主義の相違と言いますか、イデオロギーの相違というものがあるのでありますから、自由党と社会党とはこれは政治主義を異にするのであります。国政において異にすると同じように、地方の自治体におきましても、主義を異にする。ところが従来は日本の地方行政は内務省の官僚諸君が一〇〇%支配して来たものでありますから、地方自治体の政治が政党政治になつてはいかんとか、そういう間違つたことばかりを国民に教えて来たのでありますが、そんなことはあり得べからざることでありまして、ここに安井知事の弟さんもおいでになりますが、(笑声)例を東京都にとりますと、東京都は人口六百万、七百万、日本の人口の約一割、毎年使いますところの経費も、予算額は国の予算の殆んど一割或いはそれ以上くらいを毎年使つておるのであります。いわば大体においてヨーロツパの相当な国、オーストリーであるとか、或いは北欧の相当な国に対比するくらいの経費も使い、又それくらいの人口を持つておるところなのでありますから、そこで社会民主主義による政党もあれば、いわゆる保守主義によつて立つところの自由党があつて、同じ地方税のかけ方にしても、我々は勤労階級に安くかけようとするし、保守党のほうでは金持に安く税金をかけるようにしようというような(笑声)わけで、これは地方自治体にも意見の相違を来たして来るということは合理的なことなのであります。それと同じように今のことから演繹いたしまして、先にアメリカのスポイルズ・システムのことを申しましたが、スポイルズ・システムの当時におきましては、共和党が立てば地方自治体でも国の役人でも、小使の末まで共和党一色に塗り潰してしまうということは非常に間違いでありますが、併し全部間違いであるかというと、私は決してそうでないと思うのでありまして、やはり社会党が地方自治体の政権を握りましたときには、国の政権を握つたと同じようにその主義政策を実行するのに極めて容易であるような一つの役人組織を持たなければならんのであります。国においては吉田内閣ができまするならば社会党の閣僚はみな引退いたしまして、岡野さんのような銀行の頭取が今度は長官におなりになる(笑声)というようなことになるのでありますから、これは自由党の政策を行うことになつていらつしやる。今東京都の例をとりますと、ヨーロツパの中くらいの国に当るくらいの実力を持つているところの自治団体なのでありますから、少くとも東京都の大体閣僚に当ります程度のものはやはりこれは入れ替えをするのでなければ、自由党の政策も行われませんし、社会党が東京都の政権を握りましたときもこれはその政策を行なえないのであります。今鳥取県の例をお挙げになつてお話しになりましたが、全くその通りでありまして、実例を申しまするならば、北海道であります。北海道の長官は田中君という社会党の、北海道庁の係長をしておつた人間が、選挙で一躍して知事になつたのであります。そういたしますると、なんだこの間まで係長であつたやつが知事になつたというようなわけで、その言うことをなかなか聞かないような気持を持つのは、これは私は上層部の局長やなんかの一つの心理だろうと思います。非常に田中君もその点でいろんな蔭口を言われておるのを私は実際知つておりますが、そういうやりにくい場面になつて来るのであります。ところが官僚的なイデオロギーからいたしますと、あの係長のようなやつが長官に成り上つたというようなことが先に来るのでありますが、我々の立場からいたしますと、イデオロギーが必要なので、社会民主主義の北海道政が行われることは必要なのでありますから、如何に役人としての経歴が係長でありましても、私個人的にいつて田中君は非常に立派な人物だと思つておりますが、田中君を通じて社会党の道政が行われることが必要だということになつて来るのであります。でありますから、そういう点を考えまするというと、やはり本当にその行政が行われると、その主義に基くところの、社会党ならば社会党の行政、自由党ならば自由党の行政が社会党の政権に変つてできましたときには、それをひつくりかえして行われるような行政が行われることになります。そうするというと、これは府県を単位にして考えますならば、今北海道と東京都について申しましたように、やはり部局長くらいまではいわゆる政務官でなくてはどうしてもいけないのじやないか。現にそれは安井君の兄さんがやつておる東京都でありますが、東京都の労働局長には林武一君という、これは労働組合の闘士である、市会議員の経歴もありますが、これは学校経歴から申しますと、小学校もろくろく卒業していない人であります。非常に頭のいい聰明な労働者でありますが、これが現に東京都の労働局長をやりまして好評嘖々として立派に東京都の労働行政をやつておるのであります。ところがこの地方公務員法が制定されまするというと、私は林武一君なんかはどうなのでありますか。まあやめなくてもいいのか知りませんが、今後はそういう人を私は任用されないということになるのじやないかと思いますが、私はそれはやつぱりよくないと思う。もう一度一つ岡野さんからそれについての御意見を承わりたい。
#34
○國務大臣(岡野清豪君) お答え申上げます。吉川さんの御説も至極御尤もなのでございますが、私の体験から申しますというと、官僚というものは実に愛すべきだという感じを持つております(笑声)(「よくよく大物だからなんだ。普通の人間じや手に負えないのだ」と呼ぶ者あり)それはちよつとわかりませんが、私の感ずる限りにおいては、私は全く素人でございます。そうして自由党内閣の自治庁長官となつておりますが、恐らく社会党内閣のときにも、それから又連立内閣のときにもおられておつたスタツフでございましようが、私の関する限りにおいては実に忠実に私の言うことをよく聞いてくれるのであります。そうして私の経輪と申しますか、抱負と申しますか、考え方を実に忠実に取入れてくれるのであります。ですから先ほども中田さんからおつしやつたように、局長は協力しなかつたとか、何とかそういう例はございましようが、あちらにもこちらにも、不在部が全部ということでなくて、それは例外じやないかと思います。それからもう一つ考えますことは、地方はやはり人材がそうございませんから、長が変るたびに適当な人材を民間から取つて来るとか、よそから取つて来るとかということが今の段階においてはむずかしいのじやないかと思います。でございますから、まあ長に選挙されるようなお方ならば一つそれをなだめすかし、若しくは悪い言葉で言えばおだてて、そうして自分の経綸を行い、政治を行うのが……(発言する者多し)
#35
○小笠原二三男君 今の岡野大臣のお話は非常に重大で、同僚議員である吉川君、或いは相馬君、中田君の話を私は心底から賛成なんです。繰返して再三申すようで恐縮ですが、前戦争中の日本において、軍閥或いは官僚、こういうものが如何なる過誤を犯したかということは、先ほども御指摘の通りマ書簡で指摘されておるところであります。而もアメリカのような単なる事務官僚というようなものではなくて、日本の高級官僚は、得てして権力を背景として政治勢力の実体を握つておつたことは間違いないのであります。それで、一般公務員として政治的な中立性を保持させる。非常に結構だということでありますが、吉川先生のお話のように、やはり上級官僚は、その巻添えを喰つてただ單に縛られて、その日その日を安易に、卑屈な態度を以て一生を過さなければならない。単純労務的、或いは非企業の窓口事務に携わつておるようなものとは、全然本質的に違つておる部面があると私は思う。それを一般公務員の中に高級官僚まで包まれて、そうした自分の身分を保障され、そうして政治権力だけは使い、責任は負わなくてもよいというような体制になつておると思う。而もこの岡野大臣が先ほど言いましたように、社会党のときもよく仕えただろうが、私のときにもよく仕えて、愛すべきものが官僚だと言われましたが、それこそが、そういう中立性こそが高級官僚において恐るべきものなのです。戦争中軍閥に奉仕し、或いは又外国の例等を見てもわかるように、官僚は極右であろうが極左であろうがかまわない、権力にさえ繋がつて、そうして政治勢力の実体を把握さえしていればよいのである。私たちたまたま国議員になる前に中央の諸官庁に陳情もし、或いは要求もあつて出たことがたびたびあるのでありますが、法律案で出て来たものを論議しておる速記録で見ると、その実施の方法は、この金額はこういうふうに使うのだということがわかつておりながら、これは行政権の部面であるから、国会においては細分して、例えば各府県なら府県に義務教育費の半額国庫負担の金なら金というものも、はつきり渡すまで法律的に国会できめない。それをいいことにして、高級官僚は地方のそれに対していろいろ取捨選択をする、そうしていろいろな工作をしておつたということは、これは事実なんです。單に事務的でなくて、政策の実現をする上において、中枢に座つて手加減しておる権力者は官僚であつたことは間違いないのであります。而も現在地方の自治体の自治の確立ということを叫んでおるのでありますが、地方の県民は民間から選んだ、公選せられた知事よりも何とか中央官庁に繋がる官僚を知事に欲しい、或いは副知事に欲しいということをこの二、三カ年の実績に見て言うておるのであります。これは何を意味するか、このことは結局いわゆるその自治体の、民間の素人の知事そのものによつては中央折衝がまずい、従つて県財政等が窮迫する、従つて専門的な或いは東大の学閥、或いは官僚に繋がる者を持つて来て据えるほうが、そういう部面においてはスムースに行くということを、地方で言つているのが定説なんだ。こういうものをこそ打破しなければならんということを、マ書簡において私は強力に示唆されておるものと了解しておるのであります。(「その通り」と呼ぶ者あり)即ち旧弊の官僚制度を打破しなければならんということはここにあると思うのでありますから、過般鈴木政府委員にも、何故国家公務員法を修正し、地方公務員法を同時上程しなかつたかということを申上げて、即ちどの程度国家公務員法の欠陷を除去せられて進歩的な地方公務員制度を確立するのか、並行して比較検討しなければ我々は論議ができないということを主張したのでありますが、先ほどの吉川委員に対する答弁の中で、鈴木政府委員は、国家公務員法においてもそうなつておるがために、一般職、特別職の枠を拡大するということは如何かと思われる、その言葉の中にこれは私邪推しておるかも知れませんが、国家公務員の官僚制度温存以上に、国家公務員に繋がり、国家公務員の持つこの形体同様に、地方の官僚勢力まで結集して、そうして日本のこの民主主義国家の推進というものに、結果として逆行して行くのじやないか、又そういうことを或る一部の官僚において意識してやつているのではないかとさえ、私は考えるのであります。従つて私は端的に、断定的にまあお伺いするのでありますが、第一点はマ書簡で言う宿弊たる日本の官僚制度というものはどういう実体を指したものとお考えになつておられるか、把握しておられるか、この点実証を挙げて御説明を願つて置きたいと思うのであります。又第二にはこれはやわらかく申しますが、小野政務次官も官僚出身であり、そうして片足は戦争中にもふんまえておつた方であり、鈴木政府委員はその当時において若くして俊秀を謳われ、将来を期待された方であつて、そう悪いことをした方だとはさらさら信じておらないので、個人的に私はそういうことを聞くのではないのですが、当時のこの敗戰の実状に追込ませたその官僚制度の欠陷がそこにあつたというふうに皆さんは自己批判というとこれはいかんでしようから自他批判せられた点があられたならば(笑声)この際御所見を承わつて置きたい、以上二点。
#36
○政府委員(小野哲君) 一身上の問題にまで触れた御質問で誠に何と申しますか、身につまされる思がしたわけでございまするが、(笑出)官僚の経験あるものが官僚の自他批判をするということは誠にむずかしい御注文だと思います。政府委員といたしましてはできるだけ一般的な問題としてお答えするほうが適当だと思いますので、さような趣旨で御聞きとりを願いたいと思います。
#37
○小笠原二三男君 了解。
#38
○政府委員(小野哲君) 只今お話がございましたように、日本の官僚制度は種々なる歴史的な過程を経て今日に至つておるのでございますが、太平洋戦争の時期を一つの契機として、大きな展開をいたすに至つたということは御了解願えるかと思うのであります。勿論数十年に亘る官僚制度自体につきましてはその制度そのもの、或いはその運営についての批判が多分に行わるべき要素が含まれておるということは私も決して自認をしないというわけではございません。特に新憲法の制定に伴いまして新たなる公務員制度を樹立して行くということに相成りました今日、而もこの制度が樹立されまして数カ年の日子を経て参つておるのでございまするが、併しながらこれに対し批判の立場から申しますると必ずしも十分に運営されておらない点があろうかとも思うのであります。特に地方公務員制度につきましては現行の地方公務員法自体が小笠原さんのお立場から申さるるならば、或いは封建的な要素が多分にある、その根拠となつておりまする諸法令を見ましてもその匂が多分にあるわけでありますので、地方自治制度を確立して行きます場合においては、何と申しましても地方公務員制度の民主化と申しまするか、新らしい構想の下にこれを再建して行くということは私は必要であろうと思うのであります。種々なる功罪につきましての御批判はおありになろうかと思うのでありますけれども、日本の公務員制度が新らしく樹立されまして以来の公務員諸君のセンスなり或いは考え方というものはよほど変つて来ておるものと私の体験上認識ができると思うのでございまして、この点については皆様方の御批判によつて一層よい公務員制度が打ち立てられ、且つ運営されることを私も望んでおりまするし、及ばずながら御協力をいたしておるような次第でございます。
#39
○小笠原二三男君 これは確かに私言い過ぎでありまして、言いずらいことを強要した嫌いがありますから、只今の御答弁で了解いたしますが、民間出身の岡野大臣には第一問についてはよく把握せられる点があると思いますから、マ書簡で言われるいわゆる戦争中伝統的な日本の宿弊である官僚制度なるものはどういう点が宿弊であつたのであるか、この点明確に御答弁願いたい。このことが根幹となつて国家公務員法なり、地方公務員法なりが立案せられ実施せられるという建前でありますので、基本的な問題としてお伺いして置きたい。
#40
○国務大臣(岡野清豪君) お説につきまして、実はここで答弁申上げたのでありますが、マ書簡の本当の精神からこの地方公務員との繋がり又官僚制度の問題ということになりますと、大分問題が大きくなりますが、併し私はマ書簡そのものによりまして、今現に実行されておりますところの国家公務員法がそのまま幾らか変更されましたけれども、これは現実の法律の基礎でございますから、その点におきまして、私は先ず国家公務員法というものを現行の民主的にきめた法律によつてそれが改正されていないで、それがそのまま実行されておるという現実をとらえまして、その現実に大体歩調を合わすということが公務員法を作る建前になつておりますから、お説のようないろいろの御議論は私も同感の点もありますし、今後いろいろ展開して参ります態勢に、即ち国家公務員の改正並びに地方公務員の改正というような場合に、小笠原さんの御理想並びに御抱負というようなものがだんだんと実現して来ることだろうと考えまして、現実の段階におきましては国家公務員法というものを中心とし、それを建前にして、それに準じて地方公務員法を作つて行く、こういうふうに考えておりまして、その点においてマ書簡の解釈の仕方を御判断下さい。
#41
○小笠原二三男君 それは私の御質問申上げていることの、先の話をお伺いしたわけなんで、物差になる旧官僚制度の欠点というものが指摘される場合に、その欠点が又これに再現するであろうか否かということを私たちはこの法案によつて判断するのであります。
#42
○委員長(岡本愛祐君) ちよつと、今衆議院で本会議が始まつておりまして、地が公共団体の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律案が上程されております。それで採決になるそうで、今至急岡野国務大臣の出席を要望して来ておりますから、この際休憩にいたしまして、御質問は再開後に願いたい。如何でしよう。
#43
○小笠原二三男君 では同じ国会議員ですから、私たちも採決に臨む場合は今後休憩してやつて頂くようにお願いいたします。特に衆議院は絶対多数であつてお一人、二人は行かなくても……。
#44
○委員長(岡本愛祐君) 採決ではなく、その前に質疑があつて、大臣に質疑があるかも知れんということであります。
#45
○小笠原二三男君 ではさつき委員長の言つたことは違う。(「そうひつからむな」と呼ぶ者あり)……了解いたしました。
#46
○委員長(岡本愛祐君) それではこれで休憩いたします。七時から再開いたします。
   午後五時四十八分休憩
   ―――――・―――――
   午後七時二十二分開会
#47
○委員長(岡本愛祐君) 休憩前に引続き、委員会を開会いたします。
 御質疑をお願いいたします。
#48
○小笠原二三男君 大臣もお見えになりませんから保留して置きます。次に進行願います。
#49
○委員長(岡本愛祐君) 第七條を説明願います。
#50
○政府委員(藤井貞夫君) 第七條は人事委員会又は公平委員会の設置に関する規定でございます。第一項は都道府県と五大市並びに特別市、これは特別市はまだできておりませんのですが、これらの地方団体におきましては職員数も非常に多くございますし、ここらにこそ本法の目的でございまする新らしい公務員制度を確立する必要があるというふうに認められまするので、都道府県、五大市、特別市におきましては必置機関として條例で人事委員会を作るということにいたしたわけでございます。二項は五大市以外の市に関する規定でございまして、これらの市の中には相当大きな市も、又人口三万そここそというような市もあるわけでございまして、そういうところにすべて人事委員会を強制的に置かせるということも如何かと思われまするので、これらの市については人事委員会を単独で置くか、或いは他の市と共同して設置するか、又は他の公共団体の人事委員会、例えば都道府県の人事委員会等に委託してその事務を処理させるか、そのいずれをとるかはすべて当該市の自主的な判断に任せるということにいたしたわけであります。第三項は一項、二項によりまして、人事委員会を置いたり、或いは他の地方団体の人事委員会にその事務を処理させることをいたさない地方団体、即ち具体的には五大市以外の市の或るものと、それからすべての町村、これにつきましては人事委員会を置かないということに相成りまするので、人事委員会を置かない地方団体におきましてはこれに代る機関といたしまして、特に職員の身分保障ということを目的といたしまする準司法的な権能を行いまする公平委員会を必置機関として置かなければならないということにいたしたわけでございます。この場合におきましても、公平委員会の設置の方法は、人事委員会の設置の方法と歩調を合せまして、単独設置、共同設置或いは事務の委託処理、この三つの方法のいずれによるも差支えがないということの便法を開いておるわけであります。
#51
○委員長(岡本愛祐君) 御質問ございませんか。
#52
○小笠原二三男君 爾今説明を求められた場合に限つてその條章の説明をするということにいたしまして、進行するようにお取扱願いたいと思います。
#53
○委員長(岡本愛祐君) お諮りいたします。只今小笠原君から動議が出ましたが、各委員から説明を要求せられたもの以外は説明をしないで進行したいという動議が出ましたが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#54
○委員長(岡本愛祐君) そういうふうにいたします。
#55
○小笠原二三男君 七條についてどうしてこれを必置としたか、これが第一点。次に公述人のお話にもあつたのであるが、関係当事者並びに第三者の民主的な構成による機関と何故しなかつたのか。第三点としてすべての市或いは町村になぜ人事委員会を置くことにしなかつたのか。簡單に御答弁願います。
#56
○政府委員(鈴木俊一君) 人事委員会を都道府県、五大都市において必置といたしました理由は、これらの地方団体は、奈良県のような小さいところでも、その団体の機関の任命権者が任命いたしまするものは六千人の多きに及んでおりまするので、そういうような都道府県、五大都市にこれを必置機関にしたほうがよいと、かように考えたわけであります。それから第二点のお尋ねは、第三者の……どういうことでございましたでしようか。
#57
○小笠原二三男君 使用者、雇傭者、民間の第三者という意味であります。
#58
○政府委員(鈴木俊一君) これは今御指摘のような地方労働委員会等と同じような方式の構成をとることも一つの方式でありますが、民間私企業におきまする使用者と労働者との間の関係と異なりますので、そのような利益代表の方式の第三者を加えて裁定するという方式が不適当ではないと、かように考えたのでございます。それからすべての市町村に人事委員会をなぜ置くようにしないかという趣旨のお尋ねのようでございますが、これはそういうふうにいたしますことも一つの行き方ではありますが、職階制その他あまりに面倒でありまするものを小さな町村にまで及ぼしますることは適当でないと考えましたので、公平機能だけはこれを合理的に行うようにしようというので、公平委員会はすべて必置にしたわけでありますが、人事委員会はすべてそうするのは少し行き過ぎであるというように考えたのであります。
#59
○小笠原二三男君 第四点として、なぜ市に人事委員会を置くとしなかつたのか、お尋ねします。
#60
○政府委員(鈴木俊一君) 市は相当程度の職員はおることはおるのでありますが、大体一つの理想を持つて人事委員会並びにこの人事制度を運用いたしますのには職員数がおおむね千人程度人口二十万程度の市を基準にいたしまして、それ以上のものを考えるのが差当つて適当であろうというふうに考えましたので、それ以下の市等につきましてはその実情に応じて適宜決定せしめたいというような考え方から市全体としては任意にいたした次第であります。
#61
○相馬助治君 次に第八條に行つて八條の第一項の第七号をちよつと説明してもらいたい。
#62
○委員長(岡本愛祐君) 第八條に移ります。それでは第一項第七号の説明を願います。
#63
○政府委員(藤井貞夫君) 一項の七号の規定でありますが、これは職員の給與というものはそれぞれ條例で以て支給されることに相成るわけでありますが、又支給の細目に関しましては條例の規定に基きまして、或いは人事委員会が定めましたりすることがそれぞれ多くなつて参るのであります。この法律乃至これに基く條例、今申上げました給與條例等が職員の給與の基本的な規定になつて参るのでありますが、職員の給與がすべてこれらの規定に適合して行われるかどうかということは、職員の利益を保障いたしますと言いますか、職員の給與が適正に行われますことを保障いたしますために是非とも必要でございまするので、これを監理、或いは給與の支拂いが正当に行れておるかどうかいうことを適正ならしめるための監理措置というものを人事委員会の権限に属せしめたのであります。この監理の具体的な例を例えば申上げて見ますと、給與簿というようなものがこの制度が実施されまするとできて参りますと思いますが、その給與簿について果してそれが人事委員会等で定めまする要式に従つて適正に記載されておるか、或いは運用されておるかというようなことにつきまして、給與簿の検査をいたす。或いはその検査に従いまして若しも誤り等の点がございましたならば、これに関する規正の措置を講ずる等がこの第七号において規定をいたしておりまする趣旨でございます。
#64
○相馬助治君 そうしますと給與の支拂いを監理するということは、その実質的な効果を狙つてこの法律條例に適合して正しくその公務員に給與額というものが決定されて行くかという問題と、それからその決定された給與額が決定通りに現実にそのものの財布に命が入つて行くかどうかということも含めての監理である、かように了解して差支えありませんか。
#65
○政府委員(藤井貞夫君) 御説の通りに解釈いたします。
#66
○小笠原二三男君 この第八條においていろいろの規定を人事委員会が作るのでありまするが、その人事委員会の権限に属する事務と、その自治体の長或いは議会との連絡手続に関する規定というものはどちらのほうで作るのでしようか。これが第一点。第二点としては人事委員会が一定の権限を行使することについて、議決をしなければならんというようなことがあると思いますが、何ら議決するかしないか不明になつておつて明文化されておらないのですが、これはやはり議決を一々要するものと了解してよろしいか。次に第三点として後に出て来る申合等を誠実に履行しなければならないのでありますが、履行されないがため、或いはその他の紛争が生じた場合に人事委員会がこれを扱う規定が明記されておらないのですが、どなたかの御質問に対して鈴木政府委員は、そういう必要な関係もそうした場合あり得るというようなことを言つたように聞いたのでありますが、次の十一号までのどの号を適用して、そうした場合の措置をとるのであるか、明確にして頂きたい。
#67
○政府委員(鈴木俊一君) 人事委員会と地方団体の長の関係でございますが、これに関しましては長との間におきましては、長は御承知のように條例の提案権を持つております。それから予算の編成権を持つておりますが、そういう関係においては人事委員会が何らかこの地方公務員法案の中で條例を以て規定すべき事項になつておりますことについて、條例で規定してもらいたいという場合におきまして直接議会にその勧告をいたしますことも可能でありまする。長に対しては條例の原案を送付しまして、そしてこれを一つ提案してもらいたいということを要求し、長は又自己の権限に基きまして、これに必要があれば調整を加えて議会に提案するというような関係が一つあるわけでございます。それから更に予算の関係に関しましては、これは編成権、提案権が長に専属いたしておりますから、例えば給與に関する問題になつて参りますれば、やはり長に対する勧告をいたしまして、長がそれを予算の上に乗せて行く、こういう関係になつておるのでございます。その他の人事委員会が自己の権限に基いてやりますことにつきましては、何ら長と関係なく、独立機関としてこれを処理して行くことになるわけであります。それから第二点は、人事委員会がここに書いてありまする事務を処理する場合は、十一條の方式により議決を必ず必要とするか、こういうお尋ねでございますね。
#68
○小笠原二三男君 そうです。
#69
○政府委員(鈴木俊一君) ここに書いてありますのは、この十一條にございます方式によつて人事委員会は当然議決してやらなければならん。こういう建前であります。単独の委員長なり、なんなりが処理する本来的の権限はここにはないわけであります。
 それから職員団体と地方公共団体の当局の間に意思の合致がございました場合に、それを長が履行しないというようなときにはどうするかということにつきましては、先ほど原委員に対してお答えを申上げましたのですが、それは今の第八條で申しますると第九号であります。九頁の終から五行目のところの「職員の給與、勤務時間その他の勤務條件に関する措置の要求を審査し、及び必要な措置を執ること。」これの根拠になつておりまする條文は四十六條、四十七條、四十八條であります。この四十大條、四十七條、四十八條を集約して第八條の九号にこういうような規定を置いておるわけでございまして、履行しないような場合におきまして職員団体が四十六條以下の規定で人事委員会に審査請求をする、こういうことになるわけです。
#70
○小笠原二三男君 必要な措置というものの中にはどういう意味が含まれるのかお伺いします。
#71
○政府委員(藤井貞夫君) 必要な措置は第四十七條にあるわけでございますが、例えば給與の問題で申しますると、若し給與條例で人事委員会みずからがやるべきものとして委任される事項として予想せられるものがいろいろあるわけでありますが、例えば昇給の基準に関する細目を決定をいたしましたり、或いは勤務をしない場合における給與の減額規定というようなものを、給與條例に基いて人事委員会規則に委任をするというようなことがあつたと予想いたしますると、これらの権限は人事委員会に属するわけでございまするからして、若し措置の要求の審査をいたしました結果、おのずから、例えば勤務しない場合の給與の減額措置等について何らか改むべきことがあるならば、その権限に属するものといたしまして、その結果に基いて改正措置を講ずるというようなことが、その権限に属する事項についてみずから実行するというような場合の規定でございまするし、その他の事項に関しましてはそれぞれ当該事項に関し権限を有する地方団体の機関に対して必要な勧告をするということでございまするので、例えば給與ベースの引上げについて職員から申立てがあつた、適当な措置の要求があつた、いろいろ審査したあげく、やはり諸種の観点から見て給與引上げが適当であろうというような結論が出ました場合におきましては、例えば地方公共団体の長に対して、これについての所要の引上げの勧告、即ち給與條例の増額の規定を議会に提出することが望ましいというような勧告をすることがここに入つて参るわけであります。
#72
○小笠原二三男君 そうしますと、執行機関が與えられておる権限内において、その意見が合致したにもかかわらず紛争が起つた、こういう場合には人事委員会或いは公平委員会、これがそれについて或る意見を勧告することができる、こう了解していいのですか。
#73
○政府委員(藤井貞夫君) その通りでございます。
#74
○小笠原二三男君 それからもう一つお伺いしますが、四十六條、四十七條、四十八條を適用するんだというのですが、ここには「職員」とあつて、職員団体とは四十六條にはないのであります。そうして而も第八條において九号にも又そういうふうにあつて、職員団体というふうにはないのですが、これは原案よりも解釈が職員団体にまで適用されるというふうに拡大したのですか。
#75
○政府委員(鈴木俊一君) 御指摘のように職員団体としてはこの四十六條、四十七條、四十八條の規定を運用するわけには参らないのでございまするが、職員団体を構成しておりまする職員の立場においてこれらの條文によりまする審査の請求ができるわけでございまするから、職員団体と当局との間の申合せの履行についてこの規定を用いることができると、こういうわけでございます。
#76
○小笠原二三男君 そうしますと、この場合は職員団体としてこういう措置について何とかしてくれ、こういう要求ができる、そのまま事実として了解していいのですか、誰か個人名を以て代表しなければそういうことはできないということですか。
#77
○政府委員(鈴木俊一君) これは職員の全員の代表である職員がそういうことをやるといこうとでも結構でありまするし、個々の職員が一人々々やることでも結構でありまするし、それはこの四十八條におきまして「前二條の規定による要求及び審査の手続並びに審査の結果執るべき措置に関し必要な事項は、人事委員会規則又は公平委員会規則で定めなければならない。」こういうことになつております。その規則で適当に定めることになつております。
#78
○小笠原二三男君 そうしますとなぜそれを明文化して、申合せの不履行につき職員団体が、やわらかい言葉で言えば不満がある場合には人事委員会或いは公平委員会に適当なる措置がとらるべきことを要求することができるというふうに明文化しなかつたのですか。
#79
○政府委員(鈴木俊一君) そういうふうにいわゆる団体協約、従つてそういう協約事項が履行せられなかつた場合におきましては、これは地労委に持出して調停なり更に仲裁に進む、こういうような方式は労働法の体系でございまするが、これはやはり公務員の性格からして協約自体のそういう形における履行を迫るという方式はやはり適当でないというふうに考えておるのでございまして、要するに職員団体でありましようと、これに入つておりません個人の職員でありましようと、同じ立場において勤務條件に関する措置の要求ができる、こういう考え方で、この一つの規定で両方を同じようにいたしておるわけであります。
#80
○小笠原二三男君 私は仮定の上に立つて以上質問申上げておるので、我々の意見である団体協約或いは団体交渉、その契約の不履行、こういうような民法上のそれらまでひつくるめて言つておるのではなくて、政府案に副つて聞いておる。申合せと言おうが協約と言おうが、民法上の拘束も受けない、そうして人事委員会なり公平委員会なりが適正な判断を下してその結論を当事者に勧告するということは何ら職員の場合と変らない、同様のことを私は言つておるのです。それを「職員」とのみして職員団体としない点が、只今言つたように団体協約或いは民法上の契約不履行の告発ができるというふうに誤解されるようにお考えになつておられるようですが、そういう意味でなく私に申上げておるのであります。
#81
○政府委員(鈴木俊一君) いや、そういうふうには誤解をしたわけではございませんが、要するに職員団体と当局との間の意思の合致がありました場合に、それの履行をいたしまする方式として現在の労働法の体系のような形で調停、仲裁に持つて行く、こういうような方式があるわけでございまするが、そういう労働法の方式を、この全体の住民の奉仕者である地方公務員という性格からこれをとりますることは適当でないというふうに考えまして、そういう方式はとらなかつたわけであります。併しながら別個に勤務條件に関する措置の要求という一つの方式をとつて参りまして、この方式におきましては単に職員団体だけにそういう要求の権利を認めることでなくて、職員に対してもこれを認める、又この勤務條件に関する措置の要求としては、特に団体なるが故に認めるということではなくて、要するに地方公共団体に勤務しておる職員でございますから、その職員が自己の勤務條件に関して不平不満がありまする場合に、それを公正なる人事委員会において審査をして決定をしてもらう、こういう意味のものでございまして、特に職員団体についてだけの規定ではない。又職員団体であることを要件とするものではありませんので、そこでここでは単に職員と言つているわけでございまするが、結果におきましては、職員団体に対しても、先ほど来申上げまするように、この規定が実質的に適用になる、こういう意味であります。
#82
○小笠原二三男君 その鈴木政府委員の意見を前提として私は聞いておる。他に職員団体の構成その他をきめて、そうして或る利益を守つてやろうとしておりながら、ただ単に鈴木政府委員の言うような意味合における措置をするにしても、それを四十六條において職員、又は職員団体と両方に適用されるようにすることをしないで、職員というものを解釈のしようで団体もやれるのだというようなことにしたことが、私にはわからんと言うのです。
#83
○政府委員(鈴木俊一君) ここを職員団体というふうに頭からいたしまして、そうして今の履行がせられなかつた場合において、これを人事委員会に提訴するというような形をとりまするというと、やはりこれは今の労働法の体系と同じような体系になりまして、そういうような方式はやはり公務員の性格からして適当でない、こういうふうに考えたのであります。
#84
○小笠原二三男君 どうもそう言われるとますますこだわるのですが、鈴木政府委員こそ提訴などと労働法語を用いるからこんがらがつて来るので、私の言うのは、職員団体が適当な措置がとらるべきことを要求することができると、なぜ言わないのかと言うのです。
#85
○政府委員(鈴木俊一君) どうも、私が申上げておりますることは、小笠原委員は今の団体交渉……団体交渉と申しますのは私の失言であります、当局と職員団体の間の交渉に関する五十五條の規定と、四十六條乃至四十八條の規定とを直接に結び付けてお考えになりまするので、そういうような御疑問が生ずるのでございまするが、これはここにもございまするように、こちらの第八節の福祉及び利益の保護の中の一項として四十六條乃至四十八條の規定があるわけでございまするが、今の交渉の規定は第九節の職員団体に関する規定として別に設けておるのでございます。職員団体の、今の、当局との間の申合せの履行の方式としてのみ、この四十六條乃至四十八條を規定いたすならば、おつしやるように、ここに職員団体と書くのも意味があると思いますが、先ほどから申上げておりまするように、職員団体という見地から規定するのではなくて、要するに個々の職員を押えまして、個々の職員に対してこういうような勤務條件に関する措置の要求ができる。こういう権利を認めておるわけでございまするので、そういう法の建前からここには職員団体というのは入れないようにしておるわけであります。
#86
○小笠原二三男君 どうもどんどん進む気になつたのですが、そういうあいまいなことを言われるというと、あなたが一番最初に言うたことがめちやくちやになつてしまう。それは法の形式上あとにあろうが、前にあろうが、それは鈴木政府委員の言うこともわかりますけれども、実質上これを適用して、職員団体の紛争も扱えるのだということを御承認になつておられるのです。そうだとするならば一万おる職員の利益、勤務條件、給與に関することで申合せたことで紛争が起つた場合に、その代表者が適当な措置をとることも要求することができるんでしよう。だからその要求することができるという、その程度だけの建前でも、なぜ職員並びに職員団体は、としなかつたかと聞いているのです。私は労働関係その他のことを一切聞かない、例えば職員団体と入れないにしたところで、言葉では提訴になるか要求の措置になるか、要求になるか、それはわからんですけれども、人事委員会に証拠書類を持つて行つて、適当に何とか御判断の上勧告できるものならば、私の紛争を起した相手方に勧告して下さいということが言えるのでしよう。言えるのだとするならば、何もこだわる必要はない、わざわざ職員団体というのを入れないで、法解釈それだけでこれを応用するということが私にはわからんというのです。
#87
○政府委員(鈴木俊一君) その点はいろいろ申上げましたが、私の申上げましたことは、今小笠原さんの言われたことと少しも違つた意味はないのであります。履行をいたしまする一つの手段として四十六條乃至四十七條の規定を使用できるということは、これは前にも申上げましたし、只今もここで申上げるわけでありまして、この規定が職員団体の場合に実質的に使えないことはない、又使えるつもりであります。どうしてここに職員として、職員団体と入れなかつたか、こういう仰せでございますから、法の建前としては今申上げましたようなことになつておるということと、いま一つは職員団体
 というものを特にこの第九節に規定をいたしておりまして、その職員団体はどういうように書いてあるかと申しますれば、当局と交渉するための団体、こういう建前になつておるわけであります。その交渉をするための団体ということで、五十五條には更に交渉の具体的なことを書いておる、そうしてそれから後の問題につきましては、要するにこれを直ちに他の委員会に提訴するという形ではなく、職員団体に属しておるから特に有利であるという考え方ではないわけでありまして、その点はこの第五十五條の第三項にございまするように職員が云々と書いてございまするが、要するに職員団体に属しておる職員であつても、或いはそうでなくても皆一様に取扱つて行こうという建前から、この四十六條におきましては、ひとしく職員ということで押えておるのでございます。職員というのは、要するに職員団体を作つておりますならばその職員でございまするから、特に職員団体と規定いたしませんでも同じ結果になるわけであります。
#88
○小笠原二三男君 そういうことを言いますと何か職員団体として交渉し、申合せをし、紛争が起れば提訴する……、政府側のほうが一貫してそういうふうに考えて労働体系にはめてはいかん、はめてはいかん、別だ別だということで、意識的にただ單に自分の気持を静めるためにそういうふうにしたのではないかという邪推すら起るので、なぜあつさりと職員にも認め、職員団体にも認めることが悪いのか、私にはさつぱりわからん。これは意見になりますからあとは差控えますが、こういうところにこの法案の意図するものが奈辺にあるかということが窺われて誠に遺憾であるということを申上げざるを得ないのであります。終ります。
#89
○委員長(岡本愛祐君) 第八條までに対してほかに御質問ございませんか……。では第九條に移ります。
#90
○相馬助治君 第九條について二つ質問いたします。第一点は、これと丁度見合うような意味で、国家公務員法の第七條第二項に、人事官の退官後の任用の制限規定がございますね。それと同じようなものを人事委員会並びに公平委員会、特に人事委員会の委員に必要としないと考えられた理由は何であるかということを先ず伺いたい。第二点は、人事委員会又は公平委員会の委員を地方公共団体の長が選任する、こうありますけれども、それはその委員会の性格上、私は甚だ不当であると思うのです。なぜならば任命権者と職員との間の公平を図る委員会の委員というものが、一方的に任命権者の隷属機関となる虞れがあつて、これは地方公務員の保護機関としての存在価値が失われるのではないかと、こう思うのでありまするが、政府側の見解は如何であるか、この二点を御質問いたします。
#91
○政府委員(藤井貞夫君) 退官後、一年間の就職制限につきまして、国の人事官の場合については規定を設けておるのでありますが、地方の場合においてこれを設けませんでしたのは、第一にこの法律におきましてはあまり細目に亘りまする規定は成るべく書かない、その具体的な実施は地方団体に任して行くというような建前から、国の場合に規定をいたしておりまするものについても、あえてこれを規定しておらないというようなものもあるわけでございます。この條項もその一つであるわけでありまするし、更に第二の点といたしましては、各種の地方における機関もございますわけでありますが、その機関につきましてそのような退職後に亘る制限等をやつておるというような規定もございませんので、その調子を合せてというのが第二の理由であります。更に第三の理由は、ここに人事委員会の委員の資格要件として、大分むずかしいことを書いておるわけでございまするが、このような條項に当りまする人物が実際に得られるようにそれぞれ期待をされるわけでございまするけれども、地方に参りますると、そのような立派な人がたくさんおるとは限りません。従いまして、そういう人事委員の資格要件につきましては、制限規定を成るべくあまりやかましくないようにという配慮をいたしますことが、却つて人事委員会の委員といたしましても、適当な人物を得られるゆえんではあるまいかというふうに考えた次第でございます。
#92
○相馬助治君 第一点は了解、次の第二点ですがね。公共団体の長が一方的に任命すれば隷属機関になつてしまうのじやないかということです。
#93
○政府委員(藤井貞夫君) 第二の点でございまするが、これは長が任命はいたしまするけれども、それの條件といたしまして議会の同意を得るということに相成つております。これは少し理窟めきますが、国の場合と違いまして、国はいわゆる議院内閣制という制度をとつておりまするが、地方におきましては長も、議会も、それぞれの公選によつて選任されまする機関でございます。従いまして長が議会の同意を得て、広く一般住民の総意に基いて出て参りました議員を以て構成されまする議会の同意を得て選任をするということに相成るのでありまするからして、国の場合のように弊害も少いと思いまするし、又事実、議会の同意を得ることによつて適正な運営が図られて参るというように期待いたすわけであります。
#94
○相馬助治君 その第二の問題についての答えを承認するといたしますると、私はこの三人委員会というものの中の一人は少くとも地方公務員それ自体の中から選ばれた者を入れるべきではないかと、こう考えるのですが、このことが次に来る項目の十二項の常勤、又は非常勤とありまするから、この方面から見ても毫も差支えない。従つて一方的に地方公共団体の長が選任する弊を除くためにも、是非ともその中の一人はさつき言つたようなものを入れるべきではないかと思うが、その辺についての見解を特に次長から一つ。(笑声)
#95
○政府委員(鈴木俊一君) 只今御説明申上げましたような任命方式で任命をいたすわけでございまするが、その際に第九條の第二項にございますように、「人格が高潔で、地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があり、且つ、人事行政に関し識見を有する者」この條項に若しお話の人が該当いたしまするならば、これは長が議会の同意を得て任命する資格があるわけでございまして、若し理解のある長でございますれば、さような人を選ぶことであろうと考えております。
#96
○相馬助治君 その場合に地方公務員の身分を保有していてよろしいかどうかということが一つ。
#97
○政府委員(鈴木俊一君) それは第九項に「委員は、他の地方公務員の職を兼ねることができない」とこう書いてございます。
#98
○相馬助治君 そういうことは百も承知で聞いておるのです。こういうふうな規定があるから現実的にはその理解のある首長がいても現実的に任命したときは、すでに公務員でないわけです。そこに問題があるので、私は折角規定を設けてその中の一人は地方公務員それ自体の中から出すのが至当ではないかと、こう言つておるのですが、これについてもう一度見解を伺いたいと思います。
#99
○政府委員(鈴木俊一君) 先ほどお答え申上げますように、この人事委員会はやはり人事行政に関する専掌の機関でございまして、何と申しますか、利益代表というような観念がないわけでございまするので、特に現職の地方公務員から人を選ぶ、こういう建前ではないわけでございまするので、従つて先ほど申上げましたような例におきましては、当然に地方公務員と共に身分を失いまするけれども、実質的には若しそういうものを選ばれまするならば、地方公務員との繋がりが非常に大きくなることになるであろうと思います。
#100
○小笠原二三男君 今の話でもこの委員なんていうものは確かにこれは比較的人格が高潔が、比較的地方自治の本旨及び民主的で能率的な事務の処理に理解があるものでなければならないというのですが、これは日本にはちよいと見つからないのじやないかと思うくらいのことを、こういう立法の仕方でこういうそもそもいい人を選ぶんだなどということを公々然と掲げておるなどということは、私は如何かと思う次第でございまするが、まあこの点には触れませんが、前の條に戻りまして、私聞き忘れましたがこの第七項ですが、人事委員会並びに公平委員会は自分のお手盛りで規則を作つて、自分のお手盛りで審査をするという形式になつておるわけなんです。こう聞きますと外分国家公務員については人事院が人事院規則を作つて、そして審査しているから、それを適用したんだと言うかも知れませんが、地方のような小さな公共団体においては手続も国会などの法律などのように煩鎖ではないのだから、少くともこの審査の基準その他については或いはその手続等については規則によらず、條例を以て住民の批判に待つたものに則つてやつて行くというふうにしなかつたらいろいろなことが要求されて来る、煩鎖に堪えず、それを受付けなくてもいいような規則さえも作る可能性が十分あるわけなんです。こういう点は非民主的だと考えるが次長の御意見を伺いたい。
#101
○政府委員(鈴木俊一君) この人事委員会のいわば内部的な手続でございますので、このような独立の行政委員会の手続は大体自主的に各委員会にきめさせるというのが建前でございまするし、どういう場合にこれを受理するか受理しないかというようなことをきめるわけではないのでございますから、これはやはり人事委員会に自主的にきめさせることが適当ではないかとこう考えておるのであります。
#102
○小笠原二三男君 了解。
#103
○中田吉雄君 第九條につきまして二つの点で御質問いたしたいと思います。第二項に先ほど小笠原委員が指摘しましたように、人格が高潔でというような資格條件がありますが、これまでの公安委員会等の経緯に鑑みまして、果して第九條の第二項に該当するような人が現在の地方の人材の段階から、この設置される使命に応えるような人が果してあるかどうかという問題なのですが、私なんかがこの府県並びに人口五千以上の市街地的な町村に設置されました公安委員会の実際の運営を見まして、殆んどこれは僧侶とか或いは医師とかというような、社会的な情勢に疎い人が全部こういうものを運営いたしまして、殆んど警察官の専断を公安委員会というものでカモフラージユしているのが実体であります。これはもう覆い隠すことのできない現実だと私は思います。従つてこういうような委員会を作りましても、実際三人の委員というものは、これまでの公安委員会等の経緯に鑑みて、無力なものであつて、実際はこの人事委員会の下に作られたところの事務局並びに事務局長の専断というようなことになつて、この委員会の会議性のような形でカモフラージユされる。そういうような慮れがあるではないかと思う次第でありますが、この点についてどういう御見解をおとりであるかお尋ねいたしたいと思います。
 それから第場四項の「委員の選任については、そのうちの二人が、同一の政党に属する者となることとなつてはならない。」とこういうふうになつていまして、人事委員会の委員というものは政党に所属しておつてもいいという規定になつているのです。これは非常に私は重要な問題だと思うのです。地方の公務員に対しましては政治活動を制限するというよりか、殆んど禁止的な條項を作りながら、地方公務員の任命その他に関して重大な権限を持つところの委員が、政党に所属しておつてもいいという点は、非常に問題だと思います。特にこの国家公務員法の第五條の第三項におきましては、人事委員会につきまして非常にその政党所属の問題が厳しく規定されているわけであります。「任命の日以前五年間において、政党の役員、政治的顧問その他これらと同様な政治的影響力をもつ政党員であつた者又は任命の日以前五年間において、公選による国若しくは都道府県の公職の候補者となつた者は、人事院規則の定めるところにより、人事官となることができない。」というふうに、政党所属というものを完全に排除するような相当きつい規定があるのですが、私はむしろ政府の意図されているような公務員の政治活動その他の問題を考えましても、人事委員についてはむしろそういう政治活動について制限した規定をとつたらいいかと存じますが、この点について如何お考えになりますか。
#104
○政府委員(鈴木俊一君) 人事委員会の委員についてこのようなやかましい積極的な規定を置きますと、委員の選任が非常に困難になるのみならず、実際問題として事務局中心になつてうまく動かんのではないかというような御心配でございまするが、これは確かに行政委員会につきましての我が国の経験は非常に乏しくありまして、初めから非常に完全な姿で行くということは御指摘のように困難だと存じまするけれども、併し公安委員会と違いまして純然たる素人を以て充てる、従つて官歴のある者はこれを排除するというような公安委員会のような意味の制限を置いておりませんので、むしろ積極的にここに地方自治の本旨なり、能率的な事務処理に理解があり、人事行政に識見があると、こういうような要件が書いてありますので、これはむしろ長なり議会なりが委員を選びます場合の一つの判断基準になりまして、公安委員の場合よりはむしろ私は適切な委員の選任が行われるようになるのではないか。まあそういう趣旨でこういうふうに書いたわけでございます。
 それからこの同一の政党に属すると申しますか、政党員である者をそもそも委員に認めるのは怪しからんではないかというようなお尋ねでございまするが、これはやはり個人が如何なる政治的識見を持ち、如何なる政治的思想を持つかということは、これはおよそ自由でなければなりませんし、又如何なる政党に属するかということもこれ又自由でなければならんわけでございまして、これは一般公務員につきましても、その者がどの政党に属するかということは全く自由でございまして、ただ政治的に役員とか顧問とか、或いは政党の結成に参加するというような、政治性の濃厚なる政党の地位にある者はなることはいかんと、こういう意味で排除しておる次第でございまして、單に政党に属するというようなことはむしろ民主国家の国民としてはこれは当然なことでございますので、それをいかんというふうにいたしますことは、やはりこれは如何かと思うのでございまして、人事委員会の処理いたしますことは、それぞれ公正な手続が定めてあるわけでございますから、その如何なる政党に自己が所属いたしておりましようとも、いやしくも人事委員であります限りは、その職務執行についてはこれは公正でなければならんということについては、これは地方公務員法案全体の精神でありますから、人事委員が政党に属することを否定する理由はないと、かように考えております。
#105
○小笠原二三男君 それは少し的が外れておるので、政党員であつてはならんと、極端にそれだけ言うておるのでなくて、国家公務員法において政党人として相当の経歴を持つた者を排除しておる。排除してもなお且つ適当な人が見付かるのですから、排除したらいいのじやないかという意見があつたならば、その意見に対して反対の立論をして下さいという質問なんです。
#106
○政府委員(鈴木俊一君) 御尤もな御反問でありますが、国家公務員法の第五條にございまするように、御指摘のような任命の日前五年間も政党の役員となつていて、今日役員でない者も入つて来ることは適当でないということは全くその通りでございます。そのようなことも任命の際に考慮すべきであろうと存じますけれども、この点までも法律上の積極的な要件として、或いは消極的な要件として書き上げて行きますことはあまりにも強く当つて参りますので、この点は特に書き上げる必要はないと、かように考えたのであります。
#107
○小笠原二三男君 それならもう質問はしませんが、これは必ず地方の公務員制度に対して障害を與える根拠になる。二人あつてはいかんのですから、二人出る場合は、一人が離党すればよろしいのです。その期間中離党すればいい。だから或る一党の者が三人なら三人も出る。そうして形式上は離党するのです。そうして実質上は知事なり町長なり村長なりの選挙があるなら、選挙に非常に運動して、功労があつた者をいわゆるそういうものに入れる。これは各県知事選挙その他において功労のあつた者を出納長にし、或いは副知事にし、或いはさまざまの行政委員会の委員にしたという例は幾多あるのですから、実質はそういうものであつて、ただ形式上離党しておればいいというような問題が必ず起つて来るという意見を申上げて打切ります。
#108
○中田吉雄君 なおそれに関連しまして、そういうふうに人事委員会の委員につきましては、非常に寛大な政治活動の自由を與えたようなことになるんだから、そうして地方公務員に対して殆んど禁止的な適用をやる。これは非常に私は首尾一貫してないと思うんです。やはり私はこの国家公務員の人事院の規則にふさわしい、これと殆んど同じような規定をこの條項には規定すべきだと思う。そういうふうにこの人事の採用について影響を及ぼすところの、この人事委員会の委員については、過去にどのような政治活動をやつた党の幹部であろうが、そういうものに対しては制限を設けない。自由で非常に寛大な措置をやつてある。ところが地方公務員に対しては非常に峻嚴な方法をとるというのは、そういう点で首尾一貫していないと思うんですがね、これは。
#109
○政府委員(鈴木俊一君) いろいろ御意見でございまするが、人事委員につきましては、服務に関する地方公務員全体に適用されまする規定を全部準用いたしております。九條の第一項、第三章第六節の規定が、委員の服務に準用する。これは政治的行為の規律を初め、皆準用しております。その他試験につきましても公正にやらなければならんとか、不利益取扱の禁止とか、役所におきまして、委員の服務を公正に行うように規定といたしておりまして、それによつて、いやしくも、人事委員になりましたものは、その政党所属関係がどうありましようとも、公正にやるというのが当然の建前でありまするし、それが若しそう行われませんければ、これは彈劾その他の方法によつて行く、結局は先ほど小笠原さんの言われましたようなことは、その地方の住民の良識の水準を示すことになるわけでございまして、これはこれだけの問題ではない、全体のやはり外の行政委員についても同じような問題がございましようし、これは何としても全体の問題として考えて行かなければならんと考えております。
#110
○小笠原二三男君 その論理を押進めるなら、なぜ政治活動を制限するか、国民の批判に任せるということは最も民主的とも言いたくなる、だからあまりしやべらないで進みなさい。(「賛成賛成」「進行」を呼ぶ者あり)
#111
○委員長(岡本愛祐君) 十條ございませんか。それじや十一條。高橋君。
#112
○高橋進太郎君 十一條にこの委員は二人以上出席しなければ会議を開くことができないと、ありまして、その二項に、出席委員の過半数で決するとなつておりますが、二人出席して過半数ということになるのはどういうことになるんですか。(「この規定はおかしいんだ」と呼ぶ者あり)
#113
○政府委員(藤井貞夫君) 二人出席いたしました場合は、出席委員の過半数というのは二人であります。
#114
○相馬助治君 これは私は非常に判断に苦しんでいて自信がないんだが、当然これは理論的に言えば、たつた三人の、三人委員会なんだから三人出ろと、こう書くべきが至当だろうと思うのです。併し二人と書いて置くのは、全員出ろということにして置くというと、始終流会があるだろうと、こういう意味かと思うんですが、ただそれだけの理由ですか。
#115
○政府委員(藤井貞夫君) これは相当の事務内容も豊富でありまするし、始終業務もございますので、これが三人全員出席しなければ議事が開けないということは、流会になつて事務の差支えがあるという趣旨であります。
#116
○相馬助治君 従つて私が言いたいことは、事と次第によつては、全員の議決を待たなければならんというような規定を設ける必要はないんですかね。
#117
○政府委員(藤井貞夫君) 事の次第ということでありますが……。
#118
○相馬助治君 ちよつと待つて下さい。事の次第というのは、この人事委員会の規則をきめるとか、或いは重大なる、職員組合と当時者のトラブルの最終的審査をするとか、こういう場合です。
#119
○政府委員(藤井貞夫君) その点でございますが、第十一條の一項は、委員二人以上が出席しなければ会議を開くことができないというふうになつておりまして、二人以上が出なければいかんと、最低限度のこれは保障であります。従つて今相馬さんの言われたことは、第四項の議事規則ということできめて参れば適当な措置が講ぜられるのではないかと思います。
#120
○小笠原二三男君 それでもどうもおかしい。二人出て、そうして専門家の事務局長がそこに出て原案を出すわけです。そうすると人間ですからこれは我々教育委員会等で見ておる例なんですが、事務局長がどんどん言うその線に賛成するものと反対するものとが出て来る。而もそれは自分たちは委員である、お前は局長であるちよつと下におれということではなくて、対等に自由に発言するんです、たつた三人で。そうなるというと、これは結局どつちのものかがどつちかの意見に、まあまあそんならということになつてしまう場合が多いんです。そういう可能成が……で最低限度二人という団体は非常に民主的だ、三人でやるということを原則にし、二人を特例にするというほうが正しいと、私はそういうふうに考えるのであります。まあこれも意見聞いても駄目ですから終ります。
#121
○石川清一君 これは初めてこういうのを見るんですが、アメリカかどつかからか習つて来たんですか、日本にこういうのがあるんですか。
#122
○政府委員(鈴木俊一君) 三人のところを、会議の定足数を二人といたしますることは、これはまあ会議の原則から申しますれば、理論的にはかようになると思うのでございますが、アメリカの人事委員会等は三人制或いは五人制のところが多いようでございまするが、三人制のところでは全員制をとつておつたような経験もあるそうでございまするけれども、やはり先ほど来御指摘のありましたように、三人制にいたしますると、どうも不便が多く、人事委員会で処理いたしまする仕事のすべてが重要なものではないわけでございまして、そういうような一般原則といたしましては、やはり二人でもよろしい、結局二人の意思が合致すれば三人出ておりましたときでも議決できるわけでございますから、そこでまあそういうように考えて、このような制度の案をとつたわけでございます。
#123
○中田吉雄君 十一條の三項について人事委員会又は公平委員会の議事は、議事録として記録して置かなくてはならないという問題なんですが、人事委員会の決議というものは、属するところの公務員の進退その他昇給等について、非常に重大な関係があるわけですが、その議事録というものは速記者を置いて地方議会なんかでやるような嚴密な形の議事録を意味するものですか。或いはサマーライズした要約のようなものを以ての議事録ですか、その辺のところを一つ。これは或る地方の教育委員会にもこのような規定があつて、問題になつたことがあるんですが、この点についての御見解を。
#124
○政府委員(藤井貞夫君) この議事録は地方によりましては非常に嚴密にやることが必要であるというふうに委員会が決定いたしますれば、今御指摘のありましたような、議会においてやつておりまするような、そういう方式によることは勿論差支えがございません。又不利益処分の審査等重要な事項を処理いたしまする際には、そういう方式を特にとることが後々の便宜のためでもあろうというふうに考えますが、ここで議事録と言つておりますのは、そういうものはどういうものでなければならないというふうに窮屈にはいたしておりませんので、その人事委員会の決定するところに任せまして、今のような非常に詳細な嚴密なものを作るという方式もございます、或いはこれを要約いたしました方式によつてでも差支えがないが、いずれも当該人事委員会の判段に任せよう、こういう趣旨でございます。
#125
○小笠原二三男君 この点は希望でありますが、自治庁が協力或いは助言、指導をなされるようですが、これは明細なる議事録にするというふうに御指導願いたいと思いますが、私たちは只今実例として知つているのですが、各種の委員会は丁度あの公報にあるような委員会経過の記録というふうに何々については異議ないときまつたというような程度のものしか残して置かないのであります。従つてこういうことでは困るので、精細な議事録を作成するように御指導願いたいと希望いたします。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#126
○委員長(岡本愛祐君) 十一條、ほかにございませんか。十二條に移ります。
#127
○高橋進太郎君 十三條。
#128
○委員長(岡本愛祐君) 十三條に移ります。
#129
○高橋進太郎君 十三條に、この「社会的身分若しくは門地によつて」とありますが、昔のような華族制度でもあるときには門地があるが、これは今はどういうことが門地になるのですか。
#130
○政府委員(鈴木俊一君) これは憲法の実は條章をここに持つて参つたわけでございまして、華族制度がなくなりました今は殆んど意味がないわけでありますが、華族制度は廃止されましたけれども、その残滓が残ることは不適当であるというような意味でこの言葉を使つておるわけであります。
#131
○委員長(岡本愛祐君) 十四條に移ります。
#132
○小笠原二三男君 この「情勢適応の原則」というのは大変結構な近代的な立法趣旨ですが、情勢に適応しない場合には、人事委員会がそれに適応して措置をとらない場合にはどうなりますか。
#133
○政府委員(鈴木俊一君) この「情勢適応の原則」はここにございますように、地方公共団体は「随時、適当な措置を講じなければならない。」こういうことでございまして、人事委員会だけを押えているだけではなく、長も議会も、人事委員会もひつくるめまして、要するに情勢の変化に適応して、勤務條件をこれに合致するように随時適当な措置を講ぜよ。こういうことでございます。
#134
○小笠原二三男君 人事委員会が勧告し、或いは調査を報告する、それらに基いてやるのでなければ、今後は執行機関も、議会も、積極的に、給與等について例をとるならば、自主的にこれは物価が上つたから上げてやれというようなことはやらんのですか。基本的には人事委員会の発動がなければこれはうまくないわけであります。それで私は特に人事委員会がどういうことをするかということを聞いているのですが、それを質問すると、他の條章は一年に一回勧告するとか何とかということを言つているだけのことに終ると思うので、それもいけない、そういう答えを聞いているのではない。私は何か他から拘束され、義務付けられて当然そういう措置をとる、そういうことを実現しない場合に何らかの制裁規定があり、或いはそれが極端であるならばもつと大きな機関、中央その他においていわゆる助言、指導を強力にされるのであるかどうであるか、こういう点をお伺いしたい。
#135
○政府委員(鈴木俊一君) これは、十四條の規定は地方団体に対しまして随時適当なる措置を講ぜよということな規定されているのでありますが、これらの拘束を受けるのは地方団体自体であります。従つてこれを特に制裁をするという規定はないわけでございまして、その意味では結局これは一つの道義的規定になると思います。
#136
○小笠原二三男君 そうすると、道義的規定というのは地方財政法における強制して寄附をしてはならないというあの意味の道義的規定ですか
#137
○政府委員(鈴木俊一君) 地方財政法にそういう規定が改正して入つておりまするが、これは一つの別の問題でございますが、ここに書いてありまするのは、要するに訓示的規定と申しますか、精神的規定と申しますか、地方公共団体に対してそういうことを法律で要求しておるわけでございまして、この措置を講じなかつた場合に然らばどうなるかと申しましても、これはそれぞれの政治的の問題を起すということになるであろうと思います。ただ地方自治庁等におきまして例えば国家公務員についての給與ベースの改訂があつたというような場合におきましては、技術的助言と申しますか協力的助言と申しますか、そういうような意味におきましてそれぞれ地方に勧告をするようにいたしたいと思います。
#138
○小笠原二三男君 何故この点しつこくお伺いするかと申しますと、先ほど来職員団体その他の交渉或いは申合せ、それによる要求、この審査、勧告これらが非常にあいまいである。そうして又財政的にも十分な裏付をすることができないというような中央政府におけるやはり予算関係がある、こういう具体的な悪條件を持つておりながら、精神的な規定がここに掲げられておつて、それで地方公務員はいわゆる縛られながらも保護されるのだ、保障されるのだということはどうも納得が行かない。そこで論議しますと長いことになりますから略しますが、この十三條、十四條という基本原則的なこの條章の実現方については有効に行われることについては、もつと相当な規定が必要ではないかというふうに考えるのですが、この点は如何ですか。
#139
○政府委員(小野哲君) 小笠原さんが御心配になつておりますようなこれらの基準的な規定が円満に運用されるということにつきましては、地方公共団体自体の財政上の問題が伴うであろうということは私も思考する点であります。ただ地方財政の現状から言つて、必ずしも安全に軌道に乗つたとは言えない点もあろうかと思いますけれども、この制度が実施されました将来のことを考えますと、一面地方財政運営の点からも、だんだんと軌道に乗つて参るということが期待されまするし、又さようにしなければならないと考えて、おりますので、只今お話になりました御心配の点につきましては、できるだけの将来の措置を併せて考える必要があろう、かように考えておる次第であります。
#140
○委員長(岡本愛祐君) それでは十五條に入ります。
#141
○相馬助治君 十五條に入ります前に、ちよつと議事進行について……。
#142
○委員長(岡本愛祐君) 速記を止めて。
   〔速記中止〕
#143
○委員長(岡本愛祐君) それじや速記をつけて下さい。十五條御質問ございませんか。
#144
○相馬助治君 十五條に「受験成績、勤務成績」その下に「その他の能力」と、こうありますが、その他の能力とは、具体的に何か、誰がきめるか、又その実証は、どのようにして行うか、この三点。
#145
○政府委員(藤井貞夫君) これは簡單に申上げますが、(「簡單でいい」と呼ぶ者あり)例えば運転手でありますれば、運転手の免許状を持つておるかどうか、というような事柄であります。(「何も持つていない者はどうなるんだ」「そうじやないだろう、これは」「健康」「健康であるとか勤勉であるとか」と呼ぶ者あり)その点は実はそうではないのでありまして、二十條に競争試験の目的及び方法というのがございます。この競争試験におきましては、いろいろな方法で以ちましてその能力の検定をいたすわけでございますが、その能力を検定いたしまする方法といたしまして、二十條に書いてございまするようないろいろな方法があるわけでありまして、これで能力を実際は判定をするのであります。
#146
○小笠原二三男君 国家公務員では、次官、局長といえども一応の試験を受けたのですが、地方公務員については、現在の部課長については、その地位にある者はそのままですか、受験させるのですか。
#147
○政府委員(藤井貞夫君) 地方公務員法の建前におきましては、国のように現在在任いたしておりまする者を改めて試験をいたす建前をとつておりません。
#148
○委員長(岡本愛祐君) 十六條ありませんか。十七條へ行きます。
#149
○小笠原二三男君 十七條に昇任というところがありますが、国家公務員法七十二條ですかには、定期の勤務成績の評定というのがありまするが、地方公務員においては人事委員会の一般的な基準に任せてどんどん昇進させるのであるかどうか。
#150
○政府委員(藤井貞夫君) 昇進をどんどんさせるかどうかということでございますが、これは結局ここに書いてございまする昇任というのは、普通の場合は職階制が採用されました場合に、或る同一職種の中のいろいろ級別の重要性に基いて級別の基準ができて参ります。その下の基準から上の基準のところへ上るということでございます。
#151
○小笠原二三男君 職階制のほうの昇任ですね。
#152
○政府委員(藤井貞夫君) そうでございます。
#153
○委員長(岡本愛祐君) 十七條ありませんか。十八條へ移ります。
#154
○小笠原二三男君 これも国家公務員法四十大條との関連ですが、公開平等の原則というのはどこが建前になつて出ておりますか、この公務員法のほうでは。
#155
○政府委員(藤井貞夫君) これは十九條に「競争試験は、人事委員会の定める受験の資格を有するすべての国民に対し」とありまして、そこで公開平等の原則を謳つております。
#156
○委員長(岡本愛祐君) 十九條。
#157
○相馬助治君 第二項に極めてむずかしいことが書いてあるので、これはどういうことか一つ教えて頂きたいのだが、客観的、画一的要件を要求するということですね。この具体的な内容は何か。
#158
○政府委員(藤井貞夫君) 例えば警察職員を採用いたしまする際に、身長は五尺三寸以上でなければならない、体重は十五貫以上でなければならない、そういうようなこともこれに当てはまるわけです。
#159
○相馬助治君 この十九條のみにかかわつたことではないのですが、この際次官に一つ聞いて置きたいことは、どうも競争試験というのは、機械的に流れて、必ずしも人材を登用する結果になつていないということは、幾多の実例でもうわかつておると思うですね。それをやはり一つの工夫もなく競争試験をやるということが第一点。それから今までの官僚というか、今までの公務員の既得権の保護に忠実な本法から見て、こんなもので地方公務員制度自体の民主化が可能であるかどうか、これについて簡單でよろしいから見解を承わつて置きたい。
#160
○政府委員(小野哲君) 先ず第一の競争試験の問題でございますが、これは今回の任用の制度が、能力の実証に基くという点に鑑みまして、この制度は大体国家公務員の制度と相待つて適当ではないかと、かように考えておるのであります。第二点の現職の職員の既得権の保護に急ではないか、こういう御懸念のようでありますが、併し公務員制度を運用することについて、不安定な状態に置きますことは、却つて地方行政の公正な運営に支障を来す虞れがある、かような考えをも持つべきではないか、と私は思つておる次第でございます。
#161
○委員長(岡本愛祐君) 二十條。
#162
○相馬助治君 二十條の條文を読むにつけて、ここに思い出されますのは、先般行われた人事院の試験、あれほど天下の視聽を集め、悪口を言われた事柄は少い。ところがこの二十條の規定を見ると、前に行われた人事院の試験を再現する可能性が極めて多いと思うのですが、一体こんな條文で公正にして且つ実質的効果を挙げ得る自信を政府は持つておるのかどうか、見解を承わつて置きたい。(「体験者に体験を語らせればいいよ」と呼ぶ者あり)
#163
○政府委員(鈴木俊一君) 非常にむずかしいお尋ねでございますが、ここで書いておりますることは、要するに職務遂行の能力を有するかどうかを正確に判定するという目的の下に、方法としては筆記試験を行うということが一つ、更に口頭試問と身体検査、人物性行、教育程度、経歴、適性、知能、技能、一般的知識、専門的知識、適応性の判定の方法、こういう方法と、そうして又これらの方法を併せ用いる筆記試験と、こういうような判定の方法と、併用する三つの方法を考えておるのでございまして、それぞれの試験は職種の事情によりましていずれかの試験を用いるということでございます。これによつて所期の目的を達成し得るものと政府は考えております。
#164
○相馬助治君 人事院においては上野陽一さんのような、いわゆる心理学では今日はやや骨董品的な存在ではあるが、一応エキスパートであるという人を加えてやつているのであるが、随分ああいう人は批判を受けておる。ところが極く小さな地方自治体において、こういう條文があつてもうまい工合に到底参らん、そこで地方自治監督指導の任に当るところの自治庁においては、具体的にこのことをやる場合において、指導を計画しておるかどうか、この点を先ず無わつて置きたいと思います。
#165
○政府委員(鈴木俊一君) 職員の採用につきましては、人事委員会を置いておる地方団体では、今申上げましたような競争試験の方法を原則としておりますけれども、併し選考によるということは例外的に認めておるのであります。人事委員会を置いていないところでは、競争試験でも、選考試験でもどちらでもよろしいと、こういうふうにして彈力性を持たしておりますが、この競争試験の方法につきましては、地方自治庁といたしましては、技術的な受験については、是非いたしたいと考えております。
#166
○相馬助治君 了解。
#167
○小笠原二三男君 この競爭試験によつて任用するということは、マ書簡の一つの柱である。私これはいかんと申上げませんが、国家公務員が人事院で競爭試験を受けるというのと、同様の試験を地方において行うのかどうか、国家公務員の現在行なつているようなああいうことでない方法で行うのかどうか、簡單に、具体的でいいですからお伺いします。と申しますのは、若しもこれが地方の自由である、或いは国は国であると、こういうことは、これはおのおの独立しておるからいいという面もありますけれども、過去の高文試験というようなことと同様に、片方は国家試験を受けた者、片方は地方の小さなインチキな試験を受けた者、同じような程度でも片方のほうは偉くて、片方のほうは偉くないんだということで、官僚……又これは失礼しましたが、公務員制度に段階がついて来るというようなことがないかどうかということが心配されますので、それをお伺いすると共に、もう一点非常に簡單ですが、鈴木政府委員は丸をつける試験を受けられた方と思いますが、あれで大体よいとお考えになつておるか、お伺いしたいと思います。
#168
○政府委員(鈴木俊一君) 国の試験と大体同じような方式の試験を地方においてもとることになると思います。なお地方としては国の機関に委託をして試験をしてもよろしいし、大きな地方団体の機関に委託をして試験をしてもよろしい、こういうことにいたしております。それから私の所感を述べろということでございますが、いろいろの問題はございましたけれども、まああの試験は一応の何か効果があつたものと言わざるを得ないと考えております。
#169
○竹中七郎君 簡單でございますが……人事委員会ができますというと、自治庁におかれましては、やはり人事委員会の事務局長というものを呼ばれまして講習のようなことをやつて、そうして愼重に人事委員会規則とか、そういうものは、国家公務員法によりまする人事院と御相談になつておやりになるかどうか、これをちよつとお聞きします。
#170
○政府委員(小野哲君) お答え申上げますが、この制度を実施するに当りましては、竹中さんのお話のようにできるだけ事前に研修をするような方法も考え、又人事院から適切な技術的な相談にも乗つてもらうということにいたしたいと思つております。(「進行」と呼ぶ者あり)
#171
○委員長(岡本愛祐君) 二十一條に移ります。
#172
○相馬助治君 この二十一條の規定のようなものは、非常に進歩的な規定のようにも考えられるが、実際問題として試験に追われる。この生活体験を持つているものでないとこれはわからんのですが、私はみずからの経験において言うのですが、こういう規定を設けておりまするというと、公務員が試験及びその結果についての評価に追われて能率増進の目的とは反対に、その勤務の現実を低下させる結果が予想されると思うのです。従つてそういう危險性はないかどうか。この際政府の見解を承わつて置きたいと思います。
#173
○政府委員(鈴木俊一君) そういう点は極端に考えますと、ないとも申上げかねまするが、一面勤務成績の評定、或いは試験の場合に勤務成績の実証というようなことを基礎にいたしておりまするので、そういうようなものはやはり又試験も成績がよくないということになるわけでございまするから、両両相待つて結果的にはさほどの支障はないのではないかと思います。
#174
○相馬助治君 一体日本の官僚制度というものは、こういう法律案ができることによつていよいよその弊を深めるのです。即ち上級官僚は下級官僚に対して王者のことく君臨する結果がこういう法文によつて現実に生れて来る。そのような観点に立つて私はその能率増進とはまるきり逆なことになると、こう考えるのであつて、こういうものをここでとやかく規定して置かないで、この辺はむしろ緩くして置いて、そうして地方の自治体に任せて置いたほうがむしろ親心というものであると、こういうふうにも考えるが、これは如何ですか。いわゆるこういう法文は上級官僚権力温存法であり、(笑声)下級官僚圧迫法である、こういう意味でお尋ねしておるのです。
#175
○政府委員(小野哲君) 相馬さんの御意見も或いは御尤もな点もあるんではないかし思うのでありますが、若し任命権者がその独自の立場からやつて行くということになりますと、或いはさような御心配もあるかも知れませんが、別個の独立のかような委員会を設けて人事行政の運営を図つて行こうというわけでありますので、御心配のような弊害は除去されるのではないかとかように考えております。
#176
○委員長(岡本愛祐君) 第二十二條に移ります。
#177
○小笠原二三男君 二十三條の一項ですが、非常に小さいことをお聞きします。職員の任用を六カ月間仮任用するようなかつこうになりますが、不適当でお拂いであるとなる場合には労働基準法等で定めておるような何も、手当その他をやはり出すような措置で、こういうことを考えておるのか。何も出さないで突放すように、こういう法律を作るのかちよつとお伺いいたしたいと思います。
#178
○政府委員(藤井貞夫君) この点は競争試験によつて判定できませんでした実務処理能力を愼重に見て行くために設けられた規定でございます。従いましてこれにつきましては成るほどいわゆる分限規定というものの適用はないわけでございますが、今小笠原委員からお話のございましたような退職手当等に関する事項に関しましてはこれは勿論職員として勤務いたしましたことは事実でございますので、一般の給與、退職手当等については普通の職員と同様に取扱われることと思います。
#179
○相馬助治君 その一点は将来この職員組合と任命権者にトラブルが起きた場合において、その結果を審査する場合において重大なる一つの参考基準になると思うのであります。裁判所における場合の判例を意味するものと思うのです。従つてこの際次官は今の言葉を裏書きしてその通りだという発言をして速記に残して置いて下さい。そうでなかつたらそうでないと……。
#180
○政府委員(小野哲君) お答えいたします。只今藤井政府委員からお答えいたしました通りと私も解しております。
#181
○相馬助治君 よろしい。(笑声)
#182
○小笠原二三男君 第二十三條。
#183
○委員長(岡本愛祐君) 二十三條に移ります。
#184
○小笠原二三男君 人事委員会を置かれたところの任意な都市になぜ職階制を、それほど近代的なものだというならば数の多少にかかわらず適用することを躊躇したかという点であります。
#185
○政府委員(藤井貞夫君) この点は、実は職階制というのはいわゆる科学的な職務分析から出て参る非常にむずかしい実は制度なんであります。御承知のように、国の場合も法律はでき上りましたが、まだ完成の域には至つておらない状況でございます。従いましてこの本法で申しまするように意味における職階制というものは相当の職員数、従つて又人事委員会を置かれておるような地方公共団体においてのみこれを強制的に行わして行く、義務的に行わして行くということが実情に合つた方法であろうというふうに考えたのであります。併しながら本法にいわゆる職階制ではございませんけれども、人事委員会を置かない地方団体におきましても独自の考え方からそれ相当のいわゆる職務分類制度を実施して参りますることは別に本法で禁止する趣旨でないことは勿論でございます。
#186
○小笠原二三男君 次によく條例できめるとありますが、人事委員会の関係する部面を條例できめる場合には、この條例の提案権は誰にあるのであるか。
#187
○政府委員(藤井貞夫君) 條例はこれは一般原則に従いまして、地方公共団体の長及び議会の議員がこれを有するわけであります。但し本法におきまする條例というのは相当技術的な、人事的行政の方面から申しまして、高度の専門的な内容を有するものが多いというふうに予想せられまするので、この点につきましては折角人事委員会が置かれておりまするところでは、その意見を十分に反映せしめることが必要であると考えられまするので、これは第五條の二項におきまして人事委員会を置く地方公共団体におきましては、これらの條例を制定改廃しようとする場合におきましては議会において人事委員会の意見を聞かなければならないという規定を設けておる次第であります。
#188
○小笠原二三男君 そうすると、原則はやはり従来通り執行機関の長、これが先ず提案権がある。それで職階制のみに関しては、人事委員会の意見を聞くというので直接人事委員会に提案権はない、こう了解してよろしいのですか。
#189
○政府委員(藤井貞夫君) 本法に基いて制定いたしまする條例は、すべて先刻申上げましたように人事委員会を置く地方団体においては人事委員会の意見を聞かなければならんということになるわけでありまするが、提案権、いわゆる形式的な提案権は長と議員にあるわけであります。
#190
○小笠原二三男君 これは現在さまざまな……まあはつきり申上げますと、教育委員会などで問題になつておる通りなのです。教育委員会には條例の提案権がない。従つて教育委員会が決定した條例は知事のところへこれを出して欲しいと、まあ頼むわけです。ところが知事がこれを蹴るという場合がある。併し教育委員会は議会に対して随時出席しております。又それはここにあるような意見を言える場合はあるのです。併し私第一点として聞きたいのは、議会に提出する前に知事或いは五大市長に蹴られた場合どうするか、又知事、五大市長が変つた職階制に関する條例案を提案したならばどうするか。この点について技術的な問題ですが、お伺いいたします。
#191
○政府委員(藤井貞夫君) 専門的な人事行政機関でございまする人事委員会が愼重な検討を遂げて意見を申出、或いは勧告をいたしました場合におきましては、長としてはその内容を取入れまして、條例案を提出するということが期待されるわけでございますが、若しその点について理解のない長が若し仮にございまして、これが委員会の勧告等を無視するというような場合におきましては、そういう場合がないことを期待いたしますけれども、若しそのようなことが不幸にしてございますような場合におきまして、人事委員会は別個に第八條の第一項第三号につきまして條例の制定改廃に関して、議会及び長ということで、議会にもその意見を申出ることに相成つておりまするので、議会といたしましては、諸般の情勢を考慮いたしまして、長がこれを提出いたさない場合におきましては、議会が独自な判断で條例を制定することに相成ることが期待されると考えるのであります。
#192
○小笠原二三男君 ここは非常に問題が起る点だと思うのであります。県で申しますと、実際の給與等について扱うのは、人事委員会ができましようとも、県の人事課というのがそのまま残されておる仕事をするのだろうと思います。そうすると知事はそういう自分の機関を持つておるのですから、職務の分類その他でも独自な考えを以て企画させ、常に人事委員会の勧告或いは意見と対照する、そして財政的な部面等も考え、人員の節約等も考えて、いろいろなことをして、そうしてこの人事委員会と対立して條例を出すという場合がまま起る得るのじやないかと思う。独自に議会がこれを決定することができると申しましても、今問題になつていることですぐ類推できることは、国家公務員に関して人事院が政府、国会に勧告することが、未だ一度もその通へ履行されたことはない。而もこの給與体系その他においても、人事院が勧告しているにもかかわらず、政府のやはり機関が別個のものを作り国会に出している。これが丁度地方の議会における姿にもなるだろうということが当然予想されるのであります。そこでそういうことはないだろう、議会において意見をどしどし言えば公正な判断の下に條例を作つてくれるであろう、こういうお考えは、これは中らない点が多いのじやないか。国会のように二院制で、そうして参議院自由党のように公正な考え方を持つお方々が多数あつてもなかなか思うように行かないものが、一院制でもう絶対多数ということになつているような県会、或いは五大都市の議会等においてはですね。論議無用になる点が多いんです。これが実態なんです。どうしてそういう場合に、一般的に申上げる公務員のこうした部面の保護が期待されるのか。もう少し具体的な構想について次長御答弁願います。
#193
○政府委員(鈴木俊一君) 国の場合に比較いたしまして、御心配の点をお述べでございまするが、地方におきましてもそういうような問題は起るであろうと存じます。長といたしましては人事委員会の技術的な專門的な立場に立ちますところの勧告と、又長自体といたしましての財政上の問題、その他全体の振合いの問題等からいたしまして、人事委員会の勧告をそのまま受取れないというような事態が起るでございましよう。そういう場合には條例等につきまして、若干調整をいたしたものを議会に提案をするというようなことになると存じます。一方人事委員会はその專門的な技術的な意見を同時に議会にも提案をいたして勧告をすることになつておりまするから、議会におきましてこれは最終的にいずれが受入れられるかということがきまるわけでございまして、これは丁度国会か最終的に御決定に相成るのと同じようなことでございます。(「議事進行」と呼ぶ者あり)
#194
○小笠原二三男君 最後に一点。議会が公正な判断をして、理論的にこれは正しい、又公務員にはこういう給與体系を與えなくちやならんと、思いはいやたけにはやつても、知事のほう或いは市長のほうから財源かございませんと、従つてかくかくなことをいたしましたということを言われれば、それ以上のことを、いや、何から出せ、かにから出せというだけ強力にやり得ないのが地方の実態です。会において何千億という金がありながら今度の場合でも、たつた八億か九億の金さえあるならば、あの調整号俸表などというものは作らないで、そうしてやつて行けたものを、やはり財源的なことに籍口とて、ああいう政府案が出た。まして地方においてはですね。理論はどれほどよくつても財源がないということで振り切られるならば、知事のほうは権力的には強いのです、議会よりは……。こういう点は次長は全然おわかりにならないのでなくて、わかり過ぎておつても答弁されるのでありますから、私は念を押してもつと聞きたいという気持になつて来るのであります。真にこういうことか実現できるであろうとお考えならば、小笠原委員、心配するなと、一言でよいから言つて下さい。
#195
○政府委員(鈴木俊一君) これは結局においてその地方団体の住民、議会の、先ほど申した最終的決定に待つより仕方がないと思います。
#196
○相馬助治君 この辺で散会してはどうですか。(「賛成」と呼ぶ者あり)
#197
○委員長(岡本愛祐君) ちよつと速記を止めて下さい。
   〔速記中止〕’
#198
○委員長(岡本愛祐君) 速記を始めて下さい。
 それではお諮りいたします。相馬委員より本日はこの程度で散会の動議が出まして、小笠原委員の賛成もございましたので、本日はこの程度で散会いたします。
   午後九時十八分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     岡本 愛祐君
   理事
           堀  末治君
           吉川末次郎君
           竹中 七郎君
   委員
           石村 幸作君
           岩沢 忠恭君
           高橋進太郎君
           安井  謙君
          小笠原二三男君
           相馬 助治君
           中田 吉雄君
           西郷吉之助君
           鈴木 直人君
           石川 清一君
  国務大臣
   国 務 大 臣 岡野 清豪君
  政府委員
   地方自治政務次
   官       小野  哲君
   地方自治庁次長 鈴木 俊一君
   地方自治庁公務
   員課長     藤井 貞夫君
ソース: 国立国会図書館
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