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2000/04/13 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 経済・産業委員会 第10号
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2000/04/13 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 経済・産業委員会 第10号

#1
第147回国会 経済・産業委員会 第10号
平成十二年四月十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月四日
    辞任         補欠選任   
     山下 栄一君     続  訓弘君
 四月十二日
    辞任         補欠選任   
     陣内 孝雄君     脇  雅史君
     木俣 佳丈君     内藤 正光君
     続  訓弘君     山下 栄一君
 四月十三日
    辞任         補欠選任   
     内藤 正光君     木俣 佳丈君
     藁科 滿治君     前川 忠夫君
     山下 芳生君     吉川 春子君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         成瀬 守重君
    理 事
                馳   浩君
                畑   恵君
                円 より子君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                須藤良太郎君
                保坂 三蔵君
                真鍋 賢二君
                脇  雅史君
                足立 良平君
                今泉  昭君
                木俣 佳丈君
                内藤 正光君
                前川 忠夫君
                藁科 滿治君
                加藤 修一君
                山下 栄一君
                西山登紀子君
                吉川 春子君
                水野 誠一君
   国務大臣
       通商産業大臣   深谷 隆司君
   政務次官
       大蔵政務次官   林  芳正君
       文部政務次官   小此木八郎君
       通商産業政務次
       官        細田 博之君
       通商産業政務次
       官        茂木 敏充君
       郵政政務次官   前田  正君
       自治政務次官   橘 康太郎君
       科学技術政務次
       官        斉藤 鉄夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   政府参考人
       内閣審議官    南木  通君
       人事官      市川 惇信君
       人事院事務総局
       職員局長     中橋 芳弘君
       総務庁人事局長  中川 良一君
       科学技術庁科学
       技術政策局長   青江  茂君
       大蔵大臣官房審
       議官       福田  進君
       大蔵省主計局次
       長        寺澤 辰麿君
       大蔵省主計局次
       長        藤井 秀人君
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部省高等教育
       局長       佐々木正峰君
       文部省学術国際
       局長       工藤 智規君
       通商産業省産業
       政策局長     村田 成二君
       通商産業省基礎
       産業局長     岡本  巖君
       工業技術院長   梶村 皓二君
       特許庁長官    近藤 隆彦君
       中小企業庁長官  岩田 満泰君
       自治省行政局長  中川 浩明君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○産業技術力強化法案(内閣提出、衆議院送付)



    ─────────────
#2
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、陣内孝雄君及び木俣佳丈君が委員を辞任され、その補欠として脇雅史君及び内藤正光君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(成瀬守重君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 産業技術力強化法案の審査のため、本日の委員会に政府参考人として内閣審議官南木通君、人事官市川惇信君、人事院事務総局職員局長中橋芳弘君、総務庁人事局長中川良一君、科学技術庁科学技術政策局長青江茂君、大蔵大臣官房審議官福田進君、大蔵省主計局次長寺澤辰麿君、同藤井秀人君、文部大臣官房長小野元之君、文部省高等教育局長佐々木正峰君、同学術国際局長工藤智規君、通商産業省産業政策局長村田成二君、同基礎産業局長岡本巖君、工業技術院長梶村皓二君、特許庁長官近藤隆彦君、中小企業庁長官岩田満泰君及び自治省行政局長中川浩明君の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(成瀬守重君) 産業技術力強化法案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○馳浩君 おはようございます。
 森新政権のもとでの初めての経済・産業委員会でありますし、深谷通産大臣におかれましては再任ということで、おめでとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。
 そこで、産業技術力強化法案につきまして質疑をさせていただきますけれども、まず冒頭に、いろいろ資料を読ませていただきましたが、日本の国際競争力が一九九二年には世界第一位であったのが、昨年、一九九九年には各分野総合した上で十六位まで転落をしてしまったという悲しい現実がありまして、これを踏まえて、今後二十一世紀に向けて我が国が奈落の底へ落ちていくのか、あるいはここで踏ん張って、産学連携の本法案をばねといたしまして新たな道を日本が、産業界が目指していく、それも大学のいわゆる研究活力を活用して世界に向かっていくのか、この分かれ目になってくると思います。
 その点で、まず通産大臣に、再任された決意とともに、この法案に基づいて、アメリカが今トップランナーである、しかるに日本はちょっとおくれぎみである、この現状を踏まえた上でこの法案に寄せる決意といったものをお伝えいただきたいと思います。
#7
○国務大臣(深谷隆司君) おはようございます。
 日本がかつては技術力の面でもあるいはその他生産技術の面でも大変すぐれていた、そして世界から先行していたという状態にあったことはそのとおりでありますが、その後、いろんな角度から他の国々がスピードを増して、いつの間にかおくれをとっているという状態にあることはそのとおりでございます。
 アメリカでは一九八〇年代以降、競争力強化を明確な政策目標に掲げて、そして産学官連携の強化あるいは戦略的な取り組みというものを行いまして、それが今日のようなまことに優位な状態になったというのは歩みの中から必然だったと思います。
 そういう意味では、我が国が産官学の協力体制を一日も早く構築して、さらに追いかけ縮めていく努力をしていかなければならないことは当然のことであります。そういう意味では、産業競争力強化とか産業技術力の強化、これらの法案を早く適切に施行することによって日本もアメリカに負けないような技術革新を行っていかなければならないと思います。
 そういう意味では、本法案はこれからの日本が新しく飛躍するためのまことに大きな原動力になっていくべき法案ではないか、そういうふうに考えておりまして、皆様の御協議をいただいて早くこれを仕上げまして、具体的に産業界でこれが活用されて日本の産業全体の前進につながるようにぜひさせていただきたいと考えています。
#8
○政務次官(細田博之君) 今、馳委員がおっしゃいましたように、日本がだんだん地位が低下してきているのではないか、どういう認識であるかという御趣旨もございましたので、その点についてお答え申し上げますが、スイスにございます研究機関のIMD、国際経営開発研究所が分析したところによりますと、日本の競争力の総合評価は九二年までは数年にわたり世界一でございましたけれども、その後アメリカに抜かれたのみならず、九九年においては全体で各国別に並べますと十六位に低下したという分析をもらっております。
 また、日本の経営者へのアンケートをいたしましたところ、現在、技術分野におきまして日本が優位である、相当優位であるというのは情報家電ぐらいでございまして、少々優位が製造技術と電子・光学材料、あとたくさんの同等というものが並んでおりまして、もうアメリカの方が相当優位であると言われておりますのは情報通信分野、そして生物システム、バイオテクノロジー分野あるいは輸送技術分野というふうに、非常に数多くのものが米国優位になって、日本が劣後したというふうに認識しておるという憂慮すべき分析となっております。
#9
○馳浩君 この法律案の柱でありますが、大学、国公立大学のあるいは研究機関の教官が民間の企業の役員と兼業できるという、これが一つの柱になっているんですが、なぜこういうふうな判断をするに至ったのかという背景を通産省に御説明いただきたいと思います。
#10
○政府参考人(村田成二君) そもそもにおきましては、ただいま大臣、総括政務次官から御説明ございましたように、やはり我が国の産業技術力、そういったものが相対的に低下してきている、しかも競争相手でありますアメリカを初めとする主要国におきましては、その産業競争力というもの、産業技術力というものを強化するために、長年にわたって産官学の連携の強化ということに心血を注いできているわけでございます。
 したがいまして、日本といたしましても、現状を踏まえますと、やはり産官学のそれぞれ持てる資源というものを総合的に統合化いたしまして、競争力を強化していくという方策をとる必要があるというのが基本的な認識でございます。その場合に、御案内のように産官学の連携強化につきましては、従来からTLOへの支援、あるいは国家公務員法百四条というのがございますけれども、そのもとで大学の教官等が役員以外の地位を兼業するというようなことを認めるという順次手を打ってきたわけでございます。
 ただ、今御質問にございましたように、さらに踏み込んでなぜ役員兼業まで認めるかということでございますけれども、特定のやはり研究開発成果の事業化ということになりますと、これは企業経営にとりまして相当のリスクがございます。したがいまして、経営上非常に重要な意思決定事項になるわけでございます。通常の場合には、取締役会等の議決を経て、これが採択されるかされないかというのが決まるということになるわけでございます。それからまた、その事業が採択された後、円滑かつ適切に事業化に向けて進められるかどうかという点につきましては、さらに技術の専門性というものが非常に高いがゆえに、その研究成果につきまして非常によくわかっている人、これが常にプロセスにおいても監督し指揮をとるということが必要となってくるわけでございます。
 したがいまして、こういった観点から、産学官の連携の実を上げる、それで企業化にしっかり結びつけていくというためには、意思決定それからその後の事業化におきまして、専門家たる教官がみずからタッチできるということにした方がいい。諸外国におきまして、特にアメリカなんかにおきましても、御案内のようにみずから企業を起こす、あるいはこういった形で役員として参画するということが幅広く行われている、その結果として事業化が非常に進んでいるという実態にもございます。そういった観点で、今回この方策というものを取り入れたわけでございます。
#11
○馳浩君 法案についての総合的な話でありますが、産学官の連携という、何を連携するのか。まさしく人と物と金という三つの観点から見れば、人材の連携とお金、これは恐らく研究費等のお金の連携、物というふうに大きく考えれば、あるいは施設設備、あるいはいわゆる知的財産権と言われるような特許とか著作権とか、そういったものをいかに大学で研究してそれを民間企業に十分にフィードバックしてお互いに発展していくことができるか。
 特に、私は思うんですけれども、国公立大学あるいは研究機関というのは、国の金をたくさんつぎ込んで優秀な研究者あるいは学生を育てているわけでありまして、そこで研究した成果を日本の産業に還元するというのは、一つの私は国公立大学あるいは研究機関の務めでもあるというふうに思っておりますので、これはやはり率先してやっていただきたい。通産省だけが旗を振るのではなくて、文部省それから科学技術庁、こういう所管官庁の連携も十分な連携が必要であると思いますので、その点を私は指摘をしておきたいと思います。
 そこで、私も資料から拝見いたしましたが、一九九〇年代の理科系のノーベル賞の受賞者は五十六人おります。そのうちアメリカの特許料収入の多い上位五校だけで十七名も占めております。また、カリフォルニア州立大学、スタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学等産学連携の熱心な大学は基礎研究でも大きな成果を上げております。
 こういう観点からも、通産省としてもより一層の連携を進めていただきたい。世界のトップランナーを走るアメリカがこういう成果を上げている、ノーベル賞学者も出している、基礎研究も大学等において十分に成果を上げているということを考えれば、私は、日本の人材というものも鍛えれば鍛えるほど、活用すれば活用するほど成果を上げるものと信じておりますが、この点についての通産省としての認識をお伺いしたいと思います。
#12
○国務大臣(深谷隆司君) 恐らく馳委員の指摘されたい点は、例えば応用研究というもの、あるいは産学の連携によって学者が事業化の問題を熱心に考えてしまうと、いわゆる基礎的分野でおくれをとっていくのではないかという、そういうお考えがもとにあるのではないだろうかというふうに思います。
 しかし、今も御指摘ありましたようなアメリカなどの例をとってみましても、産学官の連携で応用研究等を前進させた、成果を上げた大学は、一方において基礎的な研究においても成果を上げているという形はしばしば見られるわけでございます。情報通信だとかバイオなどの先端分野では、一つの技術革新が短期間のうちに新しい産業を生み出すというような状態になっておりまして、こういう技術革新をめぐる流れの中で、研究開発の現場が当然のことながら基礎的な研究も活発になっていくという、そういう形になっていくわけでありまして、そういう意味では、我が国は基礎的研究が産業に生かされるという、こういう新しい流れの中から両面において成果が上がっていくようになっていくのではないかと考えます。
#13
○馳浩君 では、具体的に教官と企業の役員の兼業問題の根幹的な問題について質問をさせていただきます。
 大学の本来の職務とは何かという問題です。この点について、役員の兼業、すなわち産学連携は大学の本来の職務とは異なるという意見もあります。しかし、欧米では大学は教育研究活動を通じて社会に貢献すべきものという見解が確立されております。そして、民間企業で自分の研究成果を実用化することはまさに社会貢献の一環としてむしろ肯定さえされております。
 この点から、私は、役員の兼業、すなわち研究成果の企業への移転は大学の教官のれっきとした本来的職務と考えます。また、こう考えることは、日本の置かれた現在の世界情勢を考えれば必須であり、国民の求める研究者像に合致していると確信をしております。したがって、役員兼業は大学内の調整をクリアすれば基本的に自由であり、大学の職務を休職してでも行えるものと考えます。そして、懸念されるような民間企業との癒着があれば、それはその時点において厳しく処罰すればよいと思います。こう考えてこそ喫緊の課題である規制緩和の趣旨にも合致すると思います。
 しかし、この問題について、人事院は大変厳しい人事院規則を定め、勤務時間外勤務を原則とする考えだと聞いております。これでは役員兼業は大学の教官の本来の職務ではないと考えていると言わざるを得ません。この点を強く疑問に思います。人事院には日本の置かれた状況への危機意識が足りないのではないかと思います。
 この点について人事院はどうお考えでしょうか。
#14
○政府参考人(市川惇信君) 人事院といたしましても、この大学教官等の役員兼業問題は、経済の発展、国民生活の向上等社会的貢献が大きいことでございまして、社会的要請が強いことを十分に認識いたしております。
 しかしながら、アメリカの主要な州立大学等がいわゆるパブリックコーポレーション、公共法人という設置形態をとっているのに比べまして、我が国の国立大学は国の機関であり、そこに勤務する人は国家公務員と、こう位置づけられております。国家公務員は憲法十五条によりまして全体の奉仕者でございまして、その公益性というものが前提となってくるわけでございます。こう考えますと、国家公務員としての公益性と営利企業の役員として勤務することとの、それはある種の私益を含むわけでございますが、その調整ということが問題になってまいります。
 政府におきましては、人事院も参画いたしまして、政府全体といたしまして、国内各方面、公法学者を含めまして有識者の御意見を伺いながら幅広く検討してきたところでございます。その結果、大学教官等がその研究成果を活用する事業を実施する企業の役員を兼業する場合には、国家公務員法の体系のもとで百三条の規定に基づいて人事院の承認により兼業の道を開くとしたわけでございます。
 国家公務員法百三条の規定に基づきまして承認するに当たりましては、その承認の基準や手続を人事院規則で定めることになりますけれども、承認基準につきましては、まず、役員兼業が当該大学教官等の研究成果を事業化する目的であること、大学教官の職務と兼業先企業との間に契約、物品調達等々の特別な利害関係がないこと、職務の公正な執行が確保できること、三番目といたしまして大学教官等としての職務の遂行に支障がないことという、この三点を織り込むこととしておりまして、産業技術力強化法の趣旨を踏まえながら、これを明確にお示しするとともに、可能な限り簡素な手続といたしまして、この法律の実効が損なわれないようにしてまいりたいと考えております。
 なお、御指摘のように勤務時間外という形といたしましたけれども、大学教官につきましては、任命権者の勤務時間の割り振りが可能でございますし、また国立試験研究機関の研究職に関しましては極めて柔軟なフレックスタイムというものが現在適用されておりますので、これらを活用することによりまして役員兼務が支障なく進められる状況にあるものと理解をいたしております。
 なお、ベンチャー企業を立ち上げるときなど、一定期間、民間企業の役員の業務に主として従事する必要が出てくるかと思いますが、その場合には、大学教官等の身分を保有したままでその職務に従事しない、企業の役員の業務に専念できる休職制度を設けたいとしておりまして、これにより一層制度の実効性が上がるものと考えております。
 以上申し上げましたように、人事院といたしましても、御指摘のような日本の置かれました状況について十分認識をいたしておりまして、その線に沿って役員兼業問題は扱っていきたいと思っております。
#15
○馳浩君 何か私の次の質問を先取りしたような答弁までいただいて。
 これは、委員の皆さん方も法案を勉強されておわかりのように、産学の連携を本格化させるといっても二段階あるんです。今おっしゃったように、研究成果を事業化する場合に限ってという、まずここで限定があって、その次に人事院の承認に基づいてという二段目の縛りもかかっている。
 つまり、私が冒頭概論的な形で申し上げたように、国の金で大学の研究者が一生懸命研究成果を上げた、それを民間企業に、一民間企業のためだけではなくて、日本の産業技術力を強化させる、国際競争力を高めるためには必要なんですと通産大臣が言っているんです。にもかかわらず、何か人事院のいま一つ、いや憲法でこうでございますからとか国家公務員法でこうでございますからという話は何かもどかしい気が私はするんです。
 そこで、ちょっと細かく指摘をさせていただきますけれども、万が一今回の法案の成立によりましても役員の兼業規制緩和、こういう問題に実効性が上がらないのであれば、大学等の研究職にある教育公務員については国家公務員法を改正してでも実効性が上がるようにすべきと私は考えますが、この点について所管官庁の総務庁と運用を担われる人事院のお考えを伺いたいと思います。
 今、人事院から踏み込んだ答弁もありました。実は、きのうの四月十二日の夕刊、産経新聞に既に報道されておりますが、「公務員兼業に休職制度 人事院、来月にも導入」。この法案を先取りしたような、きょうこの委員会で質疑するのをわかっていてきのうの夕刊に出たような気もいたします。
 具体的に書かれておりますけれども、例えば、これは人事院にお伺いしたいんですが、休職制度の弾力的な基準の設定、弾力的な運用、具体的には休職期間の二年以上の長期制、これは大体民間企業の役員は二年という任期が大体普通でありますからそれを踏まえてのものだと思いますけれども、あるいは休職期間中の給与の補てんなども含めて認めていく方向なのかどうか、具体論まで踏み込んでお伺いいたしますが、いかがでしょうか。
 まず総務庁から。総務庁と人事院の答弁を求めます。
#16
○政府参考人(中川良一君) まず総務庁の方からお答え申し上げます。
 先ほど人事院の方からもお答えございましたが、国立大学教官の民間企業役員兼業問題につきましては、産学連携の促進ということと国家公務員の全体の奉仕者性との調和が図られることが必要ということは私どももそう考えておりまして、この観点からこの法律案では役員兼業の公益性を明確にしたというふうに理解をいたしております。
 先ほど人事院の方からお答えありましたとおり、この法律案を踏まえまして国立大学教官が民間企業の役員として兼業するために必要な要件、手続等について具体的に検討が行われると承知しておりますけれども、総務庁といたしましては、お尋ねの点につきましては、まずはこの法律案に基づく新しい仕組みのもとで十分な実効性が確保されることが必要ではないかと考えている次第でございます。
#17
○政府参考人(市川惇信君) 御質問にございました、まず国家公務員法を改正してでも実効が上がるようにすべきではないかという点についてお答えを申し上げます。
 先ほどもちょっと触れさせていただきましたけれども、米国等におきます州立大学はいろいろな設置形態を持っておりまして、例えば純粋な法人の形のもの、それからパブリックコーポレーション、公共法人と申しましょうか、あるいは州の機関というふうになっているものもございます。それに比較いたしまして、日本の国立大学というのは国の機関であり、国家公務員という形になっております。
 国家公務員ということで、国家公務員法の体系をいじりますと、それは大学教官等だけにかかわる部分に限りませんでして、国家公務員体系全体に影響するところとなります。もちろん、国家公務員法に手をつけることもございますけれども、よりこの趣旨を徹底いたしますためには、国立大学の設置形態、あるいはそのもとにおきます職員の身分あるいは勤務形態、それについて十分な検討をすることが有効ではないか、こう考えております。
 二番目の御質問の休職の問題に関してでございますけれども、連絡会議におきまして、一定期間非常に役員の業務が忙しい場合にはそれに専念できるために休職を導入するということが対応方針として出ております。
 人事院といたしましても、これを受けまして、役員兼業休職の他の休職等との整合性、あるいは手続、要件等について現在検討をいたしているところでございます。
#18
○馳浩君 検討ということでありますが、企業とあるいは現場の大学、国研の研究職の皆さん方の実態にあわせて前向きな検討を加えていただきますことをお願い申し上げます。
 と同時に、私問題点として申し上げたのは、大学のあるいは国研の研究員の皆さん方と普通の、普通のと言っては失礼ですが、ほかの国家公務員の皆さん方と同じような規定で考えるのはいかがなものかという問題提起なんです。
 これは通産大臣に感想も伺いたいと思うんですけれども、やっぱりそれは研究者はどこに所属していようとも私は国の宝だと思うんです。ましてや、国公立大学、国研で研究に臨んでおられる方々の研究成果をいかに我が国として活用するか、それをできるようにしようというのがこの法案の趣旨であることを考えれば、一律に今現在規定している国家公務員法自体に無理が生じてくるのではないかという私の指摘なんです。
 これは大臣、答弁は求めませんが、こういう問題点を強く通産省の方からも、この法律の規定、国家公務員法の改正まで将来的には必要なのではないかという問題意識を私は持つべきだと思います。
 こういう指摘をさせていただいて次の質問に、通産大臣、もしお考えがあればぜひお願いいたします。
#19
○国務大臣(深谷隆司君) 国家公務員であるという身分、立場というのは、これはそれが維持される限りは国民の信頼を常に求められていくわけでありますから、一定の基準がないと私企業に対する癒着その他もろもろ起こってまいりますから、そういう意味では、最低限第三者機関たる人事院に公務員としての基本的な性格を念頭に置いて常に審査の対象にしておく、管理の体制にしておくということは私は当然だろうと思うんですが、しかしそのことが、せっかくの研究者が研究対象を我が国の産業に生かそうとするときの阻害になってはいけませんから、そこは、ただいまお話がありましたような休業問題その他もろもろの面できちっとした担保をつけていくということはとても大事なことだろうと思います。
 いずれにいたしましても、国家公務員たる学者のあるいは教授の研究成果を我が国の産業に生かすという大変大事なことでございますので、どうやったら生かせられるかという、むしろそこに着目しながら、しかし国家公務員の立場だけは最小限確保しなければ国民の理解は得られないという前提に立ってそれぞれの話し合いを進めながら、効果のあるような形をつくっていくことが大事だというふうに考えます。
#20
○馳浩君 これは本当に質問ではなく感想なんですが、現場の研究職の先生方が自分がやっている研究あるいは自分が抱えているインターンとか大学院生、学生、みんなでつくり上げたものが本当に実用化されるという、ひとつ国も認めて今回の法律でなされていくようになるという、この現場の意欲というものは大変期待感も大きいし、国民の期待も大きいですし、日本の産業界としても期待の大きいことだと思うんです。それができる限りなされるような方向を導くことが私は政策としての誘導の必要性だと思いますので、今ちょっとしつこく申し上げたということであります。
 次の質問に移ります。
 技術開発予算についての御質問を申し上げます。
 技術開発プロジェクトの推進のためには、関係省庁がその垣根を越えて連携関係を保つ政策調整を行う場をつくるなどの具体的対応が必要な時期に来ていると思いますが、通産省の考えをお聞きしたいと思います。
 あわせて、省庁再編で新設される総合科学技術会議がこのような政策調整を果たすべきものと考えますが、どうでしょうか、御説明ください。
#21
○政務次官(細田博之君) 馳委員御指摘のとおり、各省庁が強固な連携体制を構築するということは、非常にプロジェクトの効率的かつ効果的な推進を図る上で重要なことであります。
 特に、情報化、高齢化、環境対応の三分野におきます技術革新を中心とした産学官共同プロジェクト、いわゆるミレニアムプロジェクトにつきましては、内閣の内政審議室を中心にいたしまして、関係省庁との密接な連携のもとで万全の体制で取り組む決意でありますし、昨年度の補正予算においても今年度の予算編成においても、非常に有効にワークしたわけでございます。
 例えば、バイオテクノロジー関係の予算は、通産省、科学技術庁、文部省、厚生省、農水省、さまざまな関係があるわけでございますが、それぞれ調整をし、考え方を整理して枠組みを組み上げてきたという実績も一例として申し上げたいと思います。
 また、後段の御質問の総合科学技術会議がそのような政策調整を果たすべきものと考えるがどうかということについてでございますが、総合科学技術会議は、国政上重要な具体的事項に関する企画立案及び総合調整を行う内閣府におきまして、総合科学技術政策を審議するために新設されるわけでございますが、具体的な任務としましては、総理大臣の諮問に応じまして、基本的な政策、重要事項について調査審議を行って、内閣総理大臣等に対して意見を述べることもできるということになっております。
 この科学技術会議につきましては特に、各省庁の縦割りの弊害もこれまでございますので、そういったものを打破しつつ、総合的な機能を発揮する必要があると考えておりますし、通産省といたしましても、これらと一体になりながら体制を確立いたしてまいりたいと思っております。
#22
○馳浩君 最後に、ちょっと質問を時間がないのでまとめてさせていただきますが、大蔵省と文部省にお伺いいたします。
 技術開発予算の単年度主義の問題について、まず伺います。
 今回の法案は、民間からの国公立大学への資金受け入れ円滑化措置が盛り込まれており、高く評価できます。しかしながら、国の予算による技術開発については、依然として単年度主義が適用されております。これでは年度末までに無理に支出を完了しようとする態度が改まらず、かえってむだ遣いを勧めているようなものです。
 アメリカにおいては、研究開発予算は複数年度で使用可能であり、状況に応じ前倒しや後ろ倒しが可能な予算となっており、五年計画等で予算を執行しております。この点をぜひ日本でも導入すべきではないのか、大蔵省に伺います。あわせて、少なくとも技術開発予算は複数年度にわたる予算の一括手当てを認めるべきと考えておりますが、いかがでしょうか。
 次に、文部省にお伺いいたします。
 我が国の大学は、独創的で有能な人には悪平等な環境となっており、研究がしにくい状況ではないかと私は思います。というのも、国立大学への研究費予算は、主に研究者がきちんと研究計画を立てて審査をパスした場合にしか配分されない科研費とは別に、教官数や学生数の頭割りで決まる積算校費のうちの教官数の頭割りで決まる教官当たり積算校費があるからです。ただ在任するだけで配分されるこの教官当たり積算校費は、その意味では悪平等的要素があり、改革されるべきだと考えます。
 この点文部省は、今年度予算からこれを学生当たり積算校費とともに改革し、前年度千五百七十六億円あった教官当たり積算校費を今年度は三百四十一億円に減少させております。非常に評価できる改革と考えます。しかし、減少分は、あくまで積算校費の枠内であり、枠内で新設した大学分の中に移しかえただけであります。しかも、この大学分がどういう基準で配分されるかは明らかにされておりません。つまり、教官数の頭割り的に使われる可能性もあるわけです。これでは見せかけだけの改革に終わってしまいます。
 そこで、この大学分を本当にやる気のある研究者に重点的に予算配分するような制度に改善すべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。具体的には、この大学分そのものを科研費に移し、なおかつ既得権益化しつつある日本学術振興会担当枠ではない文部省担当枠にして行うべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。
 これが最後の質問です。
#23
○政府参考人(藤井秀人君) お答え申し上げます。
 今、先生御指摘のとおり、アメリカにおきましては、歳出予算法によりまして付与された予算権限、バジェットオーソリティーということでございますが、これは基本的には当該年度に限り有効でございますけれども、場合によって複数年度にわたって有効とされるということ、これを承知しております。
 他方、日本におきましては、憲法第八十五条の規定によりまして、支出権限あるいは債務負担権限、これは国会の議決により付与することとされております。と同時に、第八十六条におきまして、国会の議決の方式といたしまして、毎会計年度の予算の方式によるべきものとされていることは御案内のとおりでございます。
 この予算の単年度主義でございますけれども、これにつきましては、御指摘の問題を初めとしましていろいろな御議論があるわけですけれども、国会の予算に対します毎会計年度ごとの審議を確保するということによりまして、もって財政民主主義を図るという観点から極めて重要な意義を有しているというように私どもは理解をいたしております。
 この単年度主義のもとではございますけれども、各年度の御指摘の技術開発予算につきましては、中長期的な開発計画等も視野に入れながら所要の予算措置を行っているところでございますし、また執行面におきましても、予算の繰り越し等の制度、これを活用し、適切な対応に努めてきたところでございます。
 さらに十二年度予算で申し上げますと、新しい産業を生み出す大胆な技術革新を推進するため、いわゆるミレニアムプロジェクトということでございますが、これに対しましては、特段の予算配分を行いますとともに、同プロジェクトにおきましては、明確な実現目標の設定あるいは複数年度にわたる実施のための年次計画等の明示というような新たな試みというものを積極的に取り入れているところでございます。
 今後とも、技術開発予算の円滑な執行等のために必要な工夫というものにつきましては、なお一層十分配慮してまいりたいというように考えております。
#24
○政府参考人(佐々木正峰君) 御指摘のように、教育研究の質的向上を図っていくためには、大学間あるいは大学内部においてお互いに切磋琢磨する、そういう競争的な環境をつくっていくことが極めて大切であるというふうに思っております。
 そこで、教官当積算校費でございますが、この経費は各教官が教育研究を実施する上で最低限必要な経費として措置しているものでございますし、また大学における研究は各教官の自由濶達な意思に基づいて幅広く行われるべきものでございます。そういった観点に立ちまして、教官当積算校費などにつきましては、教官数等により一律に積算をしてきたところでございます。
 ただ、この経費の学内における実際の配分につきましては、本来各大学の判断に基づいて各教官の教育研究の実態等に応じて配分ができるものでございますが、実際のところは積算単価に応じた配分になっているのが実情でございます。こういった指摘が強いわけでございます。
 それを踏まえまして、御指摘がございましたように、平成十二年度から、教官当積算校費と学生当積算校費を教育研究基盤校費に統合するとともに、積算内訳を教官数に応じた教官数積算分、学生数に応じた学生数積算分、それと大学の規模に応じた大学分に改めたところでございます。このような積算方法の導入を契機に、各大学において主体的な判断に基づいて大学分などを効果的に配分することによって、例えば新たな学問分野であるとか新しい教育研究方法に柔軟に対応できるようにするとともに、学内での競争的な環境の創出にも資する、そういった効果を期待しているところでございます。
 いずれにいたしましても、教育研究基盤校費は、国立大学において日常的な教育研究活動を実施するに当たり必要となる実験材料、備品の購入費、あるいは光熱水料等を包括的に措置するという性格を有しているものでございますので、これらの基盤的な経費については研究者個人に対する科学研究費等の競争的経費とは別途確実に今後とも措置していくことが必要であるというふうに考えておるわけでございますが、教育研究基盤校費の具体の今後の配分につきましては、今回の改善の趣旨を踏まえながら今後慎重に検討し、適切な対応をしてまいりたいと考えているところでございます。
#25
○馳浩君 終わります。
#26
○畑恵君 自由民主党の畑恵でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 若干時間が短縮されておりますものですから、政府参考人の方々におかれましては簡潔にお答えいただけると大変ありがたいと思います。何とぞよろしくお願いいたします。
 さて、本法案でございますけれども、産学官連携の推進のために通産省が各関連官庁の領域にまである意味で踏み込むといいましょうか、今までの縦割りを乗り越えて本質的な問題に深く切り込んだ大変意欲的な法案であると高く評価させていただいております。
 そこで、条文の方もよく読ませていただいたんですけれども、まず国公立大学における民間からの資金の受け入れ及び使用の円滑化措置、こちらについて伺ってまいりたいと思います。
 条文を読みますと、第十三条に「国以外の者から提供されるこれらの研究に係る資金の受入れ及び使用を円滑に行うための措置を講じなければならない。」と、これしか書かれていないわけですね。どういう措置が具体的に行われるのか、まず大臣の方からお願いいたします。
#27
○国務大臣(深谷隆司君) 現在、国立学校あるいは公立学校は、産官学連携のため民間から受け入れる受託研究、共同研究などの研究資金、実際に出しているわけでありますが、その場合に国や地方公共団体の会計を通して管理されるということのために有効にこれを使うことがなかなかできないという、そういう大きな問題がありました。産業界とか学界から、事務手続が煩雑だ、複雑だ、研究以外にそのために時間が割かれて仕方がないと、あるいは研究費の費目が指定されているということで大変使いづらいという問題点が指摘されました。
 そこで、本法案では、この問題を全面的に解決させようということで法律をつくるわけでありますが、第十三条で、今御指摘のように、国と地方公共団体は「資金の受入れ及び使用を円滑に行うための措置を講じなければならない。」と、こう書いていますが、これは法律でありますからそう書いておりまして、これが成立をいたしますと、例えば国立学校については大蔵省が、公立学校については自治省が、それぞれ通達や省令の改正などを行いまして予算の運用制度を改めるということで既に合意をしているわけでございます。
 ですから、法律でまず基本的なものを定めて、これに基づいて大蔵省、自治省が通達、省令でただいま委員が御心配されているようなことのないような形で持っていくということになっております。
 もっと具体的に言いますと、例えば細かい予算費目の区分を撤廃して、費目区分にとらわれずに資金を使用できるようにすること。二つは、民間と大学の間での複数年度にわたる契約の締結を可能として、複数年度分の資金を一括で受け入れて、受け入れの翌年度以降もこれを使用することが可能になるというような、年度区分にとらわれない資金の使用ができるというようなこと等でございます。
#28
○畑恵君 大変御丁寧に説明していただいて、ありがとうございます。
 受託研究資金ですとか共同研究資金というのは、民間からの任意の拠出金であるにもかかわらずこれまで予算管理の原則が適用されて、その受け入れや使用が、今大臣御説明いただきましたように、費目区分ですとか年度区分というもので縛られていたわけです。
 政府のアンケート調査結果を私拝見したんですけれども、民間企業が国と共同研究を行う際の問題点として、実に五〇%近い企業がこの費目指定ですとか単年度予算というのをそのボトルネックだと指摘しています。ということで、今回大臣おっしゃっていただきましたように、この二つの費目指定、単年度予算というボトルネックが取り除かれるというのは非常に画期的でありますし、効果的なことだと思います。
 そこで、執行官庁であります文部省と自治省の方にきょうはおいでいただいておりますけれども、それぞれこの費目区分、年度区分に縛られない予算執行をいつから開始するのか、まずお答え願えますでしょうか。
#29
○政府参考人(工藤智規君) せっかく先生方にも応援いただいてこの法案を御審議いただいているわけでございまして、私ども財政当局とも御相談いたしまして、この平成十二年度から実施すべく各大学等に周知を図っているところでございます。
#30
○政府参考人(中川浩明君) 委託研究や共同研究など民間資金を使用して行います研究の経費につきましては、今回負担金補助及び交付金の節区分によりまして一括計上することを可能とすることといたしまして、資金の円滑な使用に道を開くことといたしたところでございます。委託研究、共同研究契約につきましては、複数年度にわたります契約を締結することも可能でございますし、また基金の設置によりまして年度区分を越えて複数年度にわたって必要な歳出を確保することも可能でございます。
 この法案が成立をいたしますれば、自治省といたしまして、これらの事項につきまして直ちに地方公共団体に対しまして周知徹底を図ることによりまして、本年度中からも地方公共団体におきまして委託研究、受託研究、共同研究につきまして弾力的な予算執行が行われるものと承知をいたしているところでございます。
#31
○畑恵君 ありがとうございます。
 両省とも、この法案が法律として成立すれば、本年度から、平成十二年度から執行するということでよろしゅうございますよね。
 そうしますと、あわせて確認をさせていただきたいんですけれども、現在、毎年度末に次年度の予算執行に関する手続として閣議決定がなされて、そこでいわゆる目細の設定というのが義務づけられています。そうした中で、大蔵省通達において設定すべき目としてこれまで産学連携等研究費というのが指定されていたわけですよね。当然、ことし以降の閣議決定の規定に基づく大蔵省通達においては、この産学連携等研究費というのは目細を廃止することになると思うんですけれども、廃止するというその認識でよろしいのかどうか。
 また、こうした円滑化措置について、文部省は各国立大学に対してその決定内容を文書で周知するということだと思うんですけれども、この文書通知というのも、本年度から執行するわけですから、これからすぐ行うのか、もう行う段取りができているのかと思っておるんですけれども、この点はどうなっているんでしょうか。
 大蔵省、文部省の現場、どうでしょうか。
#32
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答えを申し上げます。
 去る三月二十四日に閣議決定されました「平成十二年度予算執行に関する手続等について」に基づきまして、国立学校特別会計の目、産学連携等研究費につきましては、大蔵大臣の目の細分の規定から削除いたしております。
#33
○政府参考人(工藤智規君) ただいま大蔵省の方からお答えがありましたように、既に三月二十四日の大蔵大臣からの御通知を私どもの方でいただいてございまして、これに基づきまして各大学にこの年度当初から目細を廃止した前提での柔軟な執行ができますように通知を発してございますし、諸会議での周知も図ってございます。
 また、本法案が成立いたしますと、さらに具体的な取り扱い等を含めてさらなる周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
#34
○畑恵君 文部省はもう既に通知を発出されている、出されているということですね。わかりました。
 今細々と伺って積み上げてまいりましたけれども、これだけお話を伺ってきたのでありますから、実際に民間と大学が契約する段、資金を受け入れて使用する段、これで研究者の方々、学校の先生方というのは、資金というのを費目区分ですとか年度区分にこだわらずに使えるんだなと私は認識したいと思うんですけれども、ところが現場の先生方と話しますと、いやそれでもちょっと私たち不安なんですという現場からの声が、私ども事務所へ何件かお尋ねがあるんですね、本当にできるんでしょうかと。
 そこで、こうした不安を払拭するために再度確認をさせていただくんですけれども、いずれにせよ、今年度予算から国公立大学に関する委託研究と共同研究については、国公立大学の先生方は、研究目的であれば費目区分にとらわれることなく民間から提供される資金を自由に使用することができるんでしょうか。また、同じく年度区分についても、それにとらわれることなく国公立大学が民間から複数年度分の資金をまとめて受け入れて、その年度だけでなく、受け入れの翌年度以降もその資金を先生方が自由に使用できるんでしょうか。
 まず、大蔵省に伺って、それぞれまた文部省、自治省とお答えをいただきたいと思います。
#35
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。
 国立学校の受託研究や共同研究などの産学連携等研究につきましては、御指摘のように財源が民間からの任意の拠出金でございますが、この行われている研究が公務上の研究として位置づけられておるわけでございまして、予算上は歳出に計上され、その支出については国会の議決を経て執行されるということにつきましては変わりございません。
 ただ、従来は、各受託研究なり共同研究の使用使途につきまして、例えば、目受託研究謝金、目受託研究費、目受託研究旅費といったような区分をしておりました。それを、平成十年度にその使途区分を目で区分いたしますと旅費が足りなくなった場合に流用する場合に手続が要るというようなことから非常にその円滑な執行ができないという御議論がございましたので、平成十二年度に一本の目にいたしまして、目産学連携等研究費を設けまして、その目の中では弾力的にできる、大蔵大臣の流用の承認なしに主務大臣限りでできるという形にしたわけでございます。
 さらに、その中では、目の細分をつくって一応執行を適正に行うということにされていたわけでございますが、具体的には目の細分を年度中に決めるのではなくて、年度を三回ぐらいに分けまして、執行状況を見ながら決めていくというような形、それから目の細分の中でも三〇%以内の流用であればもう当然承認を得たものとして自由にやるというような形で弾力化を図っていたわけでございます。
 今回の措置は、その目の細分をそもそも当初から設定しないということで、研究活動がより弾力的に実施できるようにしたものでございまして、決算におきまして研究実績を踏まえた使途区分を明確にしていただくということにしたわけでございます。
#36
○政府参考人(工藤智規君) 先生は、現場で果たしてこういう趣旨がうまく伝わっているかどうかという御心配だろうと思いますけれども、私どもも、その大学の先生方、あるいは職員の方も含めて大学の現場での受け付けの認識を改めていただくということと、それから外部から受託研究等でお申し出がある相手方にも周知を図る必要がございます。
 今回の法案の提出を機に、私どもも財政当局と相談いたしまして、先ほど御答弁ございましたように、この目の目細を廃止することについて事実上関係省庁間では御了解いただきましたので、既に実は三月十三日で、予告と申しましょうか、各大学の長等に対しまして予告をいたし……
#37
○畑恵君 お答えの途中なんですが、ちょっと質問の趣旨と違うお答えがありまして、申しわけございません、私の質問の仕方が違っていたんだと思いますので、大蔵省の方も含めてもう一度言わせていただくと、要するに現場からは、確かに大蔵省通達において目細が廃止されたと。でも実際には、例えば民間と大学間の契約形態でありますとかあるいは資金の受け入れやその使用方法などに関して当然さまざまな運用というのがあって、これを細々改めていかないと、結局そこまで担保されないと、事実上は現場で、今回こうやってできますと言われている自由な年度区分ですとか費目区分にとらわれないそういう活用方法というのが、現場では運用を改めないとできないんじゃないかと。だから、ぜひ、そこのところも改めます、必ず現場で資金が自由に使えるようにしますということをもう一度確認いただきたいんだという声をいただいていたので、要するに、現場で本当にできるように、すべてのことを、運用も改めていくんですねということを伺いたかったものですから、そのお答えをもう一度済みませんがいただけますでしょうか。
#38
○政府参考人(工藤智規君) 先ほど答弁の途中でございましたけれども、まさに周知徹底を図りながら、現場でのいろんな従来の慣行等ございますので、それを、ただ目細を廃止しました、それで終わりじゃございませんで、全体の取り扱いも含めて割とかみ砕いて御説明し、周知徹底を図る必要がございます。
 そのため、先ほど申しましたように、あらかじめこういうことを予定しておるという御通知をまず三月の中ごろに発してございまして、その後三月二十四日に正式に目細が廃止されましたものでございますから、それを受けてまた事務レベルで、部課長あるいは学校長、さらには部課長と、もう都合これまでに四回ほどの通知を発しているところでございます。さらに、諸会議等を通じまして今後周知徹底を図ってまいりたいと思っております。
#39
○政府参考人(中川浩明君) 地方公共団体におきます予算執行は、申し上げるまでもございませんが、地方公共団体の責任で行われるべきものでございますが、今回の法律が成立いたしますれば、この十三条の趣旨を地方公共団体の公立大学等の現場を含めまして十分周知徹底することによりまして、その理解を深めることによって受託研究及び共同研究につきましての弾力的な予算執行は十分可能になると我々としては考えております。
#40
○政府参考人(寺澤辰麿君) 先ほど御答弁をしたつもりでございますが、先生の御指摘の趣旨がいわゆる大学の先生が自由に何でもできるという趣旨であれば、そうではございませんで、先ほど申し上げましたように、これは公務上の研究として位置づけられているわけでございまして、委託者と受託者の双務契約に基づいて、こういう研究をしてくださいということで、それを大学の先生の研究の中で、通常の研究活動以外に支障なくできるという前提の中で行われているという意味では制約がある。
 先生がおっしゃっている自由にというのは、恐らく大学に寄附金をいただいた場合には自由にできるということではないかと思います。
#41
○畑恵君 申しわけありません、私の言葉が足らなくて。自由にというのは決してそういう意味ではございませんで、費目区分や年度区分にとらわれず、現場においてきちんと費目区分にとらわれず資金が活用できるという意味での自由にという意味でございます。現場でできるんですね。
#42
○政府参考人(寺澤辰麿君) 費目区分につきましては、先ほど申し上げましたように、目細を事前に設定する必要がございませんので、研究の目的の範囲内で使っていただくことができます。
 ただ、年度区分につきましては、先ほど申し上げましたように、公務上の研究として位置づけられておりますので、予算の歳出、受託研究費、ここで言いますと産学連携等研究費という歳出として行うわけでございますから、その歳出につきましては予算の制約を受けるということでございます。
#43
○畑恵君 ちょっと時間が迫っておりますので、ともかく、せっかくの法律でございますので、その趣旨を尊重していただきたいと思いますので、実際のまた現場からの声をフィードバックしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 では、変わりまして、先ほど馳議員の方からかなり突っ込んだ質問もありましたが、民間企業役員への教官の兼業規制の緩和という話について若干伺いたいと思います。
 既に休職制度というのは導入ということで新聞にも大きく報じられましたので、これは一歩前進ということで高く評価させていただきたいと思うんですが、やはりこれも、現場のベンチャー企業を起こしたい、いろいろな発明、発見を自分自身も持っているしという、そういう教官の方ですとか研究員の方々とお話をすると、休職制度ができるのはありがたいんだけれども、やはり兼業でありますので、これは、今人事院の方が考えていらっしゃる時間外のみということで兼業を認めるというのでは、実際にベンチャー企業を起こして社長業を行うということはその状況では難しい。
 例えば、休職をするとどういうことになるかというと、それはそのまま結局国公立大学であるとか研究所を現実にやめてしまう人が非常に多くなる、あるいはその逆でベンチャーの方を退くことになるということで、結果的には、あるその休職制度の期間が終わった時点でどちらかを選ばなければいけなくなって、産学連携というのが途絶えるわけです。
 今回の法律の趣旨を尊重して、目的を損なうことなくという先ほど御答弁がありましたので、本当にそうであれば、この法律というのは産学連携を緊密にして、そして産業技術力を強化するためでございますので、私としては、例えば米国の州立大学というのは時間内でも兼業が二〇%は認められていて、要するに週五日のうち一日はベンチャーのために従事できる。こういう基盤があったればこそ、例えばシリコンバレーのSUN、太陽のサンとスタンフォード・ユニバーシティー・ネットワークの頭文字をとってSUNと書きますけれども、本当に企業と大学というのが一体になって国を発展させている、こういう好循環が生まれてきていると思うんです。それを踏まえて、ぜひ兼業時間の問題についてももう一歩御考慮をいただきたいと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#44
○政府参考人(市川惇信君) 御質問の中でアメリカの州立大学の兼業時間について御言及がございましたので、それからまずお答えをさせていただきたいと思います。
 先ほどの馳議員への私のお答えの中で設置形態の違いに言及させていただきましたけれども、その設置形態の違いが具体的にこの兼業問題についてどういう形であらわれているかと申しますと、次のようなことになってまいります。
 すなわち、ア・パブリック・コーポレーション、公共法人という形になっております州立大学の場合には、そこにおける州の公務員はボード・オブ・リージェント、理事会のメンバーだけでございまして、それ以外の教職員といいますものはボード・オブ・リージェントによって雇われている、契約によって雇われているという形になります。したがいまして、そこにおきます身分は大学職員でありまして、州の公務員ではないわけでございます。
 そして、そこにおける勤務の態様と申しますのは、その理事会において定めておりますこの法人としての定款とか、あるいはいわゆる学則に基づいて契約によって決まってきております。契約の一つといたしまして学外活動、これは役員兼業も含めてでございますけれども、着目いたしますと、これもまた非常に多様なものがございます。
 議員御指摘のように、例えば週一日が二〇%に相当するというのもございますし、例えばカンザス・ステート・ユニバーシティーのように月に二日というところもございます。さらにはカリフォルニア大学のように、いわゆる教育と大学業務のためにオフィスにいなければならないというオフィスアワーを決めまして、それ以外は自由であるというような決め方をいたしているところもございます。こういう多様性のあるところでございますが、重要なことは、そういう勤務態様に依存して、それに関連して給与を含む処遇が契約によって決まっているというところでございます。
 これに対しまして日本の場合には、御案内のように国家公務員でございまして、全体に対する奉仕者としてフルタイムで勤務するということが前提になっておりまして、それを前提として給与を含めた処遇というものが法定主義によって定まっております。そういたしますと、その中でフルタイムの中からある部分を兼業時間としてくくり出すことは非常に難しいことになってまいります。この事情を御理解いただくと大変ありがたいと思います。
 そして、先ほども申しましたように、大学教官の場合には勤務時間の割り振り、それから試験研究機関の教職員の場合には非常に柔軟なフレックスタイムがございますので、それを的確に運用していただければこの兼業の実は十分上がるものというふうに理解をいたしております。
#45
○畑恵君 懇切丁寧な御説明をありがとうございました。
 結局、先ほどのお話にもありました国家公務員法自体をやはり踏み込んで改正していかないと、なかなかここでは水かけ論になってしまうと思いますけれども、法律というのを形骸化させないためにも、私どもも力を尽くしますので、関係省庁の方々にはぜひ御協力をいただいて魂の入った法律になるように今後とも御努力をいただきたいと思います。
 最後に一問だけさせていただきます。
 本法案は、国公立大学への資金の流れというのは先ほど細かく伺いましたけれども確かに改善されまして多様な形というのが認められたわけですけれども、私立大学の中にも国立大学にまさるとも劣らない研究成果を上げている大学があると認識しております。
 私が説明するまでもなく、政府が負担する研究費につきましても国立と私立というのは非常に大きな格差がありますし、また税制についても非常にその処遇に対して大きな違いがある。このあたりで官尊民卑はやめて、官民大学挙げて日本の産業技術力強化に当たられるよう予算措置や税制を改めるべきだと思いますけれども、大蔵省、時間が七分までなんですけれども、もしできれば文部省の方にもお答えをいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。
#46
○政府参考人(寺澤辰麿君) お答え申し上げます。
 国立大学と私立大学におきます教官一人当たりの研究費につきましては、政府負担分ではなくて全体の総額での一人当たりの研究費は大体同じレベルになっていると私ども認識しております。
 ただ、政府負担額が違うのではないかという御趣旨であれば、それはその一人当たりの研究費の中に一般的に人件費が含まれておりますので、設置主体が国立大学と私立大学とでは人件費をだれが負担するかということで政府負担割合が違ってくるということではないかと思います。
 いずれにいたしましても、大学におきます研究開発の振興につきましては、競争と評価を通じて適切な資源配分が行われる必要があるということで、私どもは競争的研究環境の整備の必要性が繰り返し指摘されていることを踏まえて財源を配分することとしておりまして、研究者一人当たりの研究費を同一に措置するということではなくて、国公私立全体を通じまして質の高いすぐれた研究に財源が充てられるようにしていきたいと考えております。
#47
○政府参考人(工藤智規君) 我が国における学術研究をより盛んにするためには、国公私を問わずすぐれた研究者がすぐれた研究業績を上げていただくのが大切でございまして、私どもそのためのサポートに力を入れているところでございます。
 そのため、研究資金では特に競争的な研究資金としての科研費の充実を中心に毎年努力しているところでございますが、それに加えまして私立大学につきましては、私学助成のほかに私立大学学術研究高度化推進事業等を推進しておりまして、中でも平成十二年度予算においては新たに、バイオテクノロジーの分野におきますすぐれた私立大学とベンチャー企業等との産学共同研究を推進するためのバイオベンチャー研究開発拠点整備事業、これはトータルで二十四億余りでございますけれども、そういう制度の創設なども含めまして、すぐれた研究の推進を支援しているところでございます。
 今後とも一層の充実に努めてまいりたいと存じております。
#48
○畑恵君 終わります。
#49
○山下芳生君 法案に先立ちまして、有珠山の噴火に伴う中小企業災害対策について伺いたいと思います。
 中小企業庁の調査によりますと、四月九日現在、虻田町、壮瞥町、伊達市の商工業者二千二十二事業者のうち、旅館業、小売業等七百四十九事業者が事業を休止して避難をされております。売り上げの減少それから製造停止など、収入の道が既に閉ざされているわけであります。昨日一部避難が解除されましたから、これがどうなるかということはまだ私も詳細は承知しておりませんが、かなりの事業者の方がそういう事態に置かれているわけです。
 先日、深谷大臣は現地を視察されまして会見もされております。通産省としてどのような対策をとり、またとるおつもりなのか、説明をいただきたいと思います。
#50
○国務大臣(深谷隆司君) 有珠山の災害対策につきましては、被災した中小企業者に対する円滑な資金供給というのが非常に大事であるというふうに考えまして、三月三十日付で政府系中小企業金融機関において災害復旧貸し付けを適用するとともに、これらの機関の北海道内の各支店、北海道信用保証協会及び各支所に特別相談窓口というのを設置いたしまして、そこに御相談があれば対応できるような、そういう指示を出しまして、私が参りました時点でも二百七十件以上の相談が既に窓口に寄せられているという状況でございました。
 私が参りましたのは九日でございますが、伊達市それから豊浦町を訪問いたしまして、直接現地の商工業者の皆さんとの会合も開きましてさまざまな御注文や御意見も承ってまいりました。
 その際、現地では、例えば政府系中小企業金融機関であるとかあるいは信用保証協会の現地の責任者に対して、もっともっと窓口で親切な対応をしてほしい、あるいは貸し出し及び保証における審査を早目早目にできるようにしてほしい、あるいは個別中小企業の実情に応じた弾力的な対応を指示してもらいたい、こういう声が非常に強くございました。これにつきましては、私どもとしても積極的にそのような指示を出したところであります。
 なお、通産省といたしましては、これに加えての措置といたしまして、次の三つの点をその場で発表させていただきました。
 すなわち、伊達市、虻田町、壮瞥町に事業所を持っていて売り上げ減少等の影響を受けている中小企業者に対しては、信用保証の別枠化を図ります。限度額は全体には倍になるわけでございます。
 それから第二は、政府系中小企業金融機関において、被害中小企業者に対する既往の貸付金及び災害復旧貸付金について、借り入れた方のお申し出によって元金据置期間中の利子の支払いを一年間猶予することができるようにする。
 三番目には、中小公庫等の代理貸し付けを促進するために、災害復旧貸し付けを受ける被害中小企業者について、代理店の保証責任割合、普通は八割でございますが、それを六割に引き下げるということ等を発表いたしたところでございます。
 なお、ただいまの一番目に申し上げましたいわゆる別枠化ということについては、今二倍にすると申し上げました。具体的に言いますと、普通保証で二億円が四億円になるとか、無担保保証で五千万円が一億円になる、無担保無保証人保証は一千万が二千万になる、そういう措置であります。
#51
○山下芳生君 現地に早速行かれて直接中小企業の要望を聞かれたというのは私も大事なことだと思います。
 同日、私たち日本共産党の調査団も第二次の調査団を現地に送りまして、いろいろ御要望を聞いてまいりました。避難している業者の方は、有珠山の噴火というのは繰り返し起こっておりますから、大体三十年周期で起こるだろうということを想定されて対応してきたわけですけれども、事業計画も立てられて。ところが今回、二十三年で改めてまた噴火活動が起こっちゃったので計画が狂っちゃったと。前の借金が残ったまま、また新たな借金を抱えなければならないという非常に苦しい胸のうちを語ってくださいました。
 そこで、私はやはり金融問題が大事だと思いますので、幾つか具体的に御提案させていただきたいんですが、一つは、政府系金融機関においていろいろ弾力的な対応ということがされるであろうと思うんですが、民間の金融機関に対しても同様の措置をする必要があるのではないかと思うんです。
 例えばある印刷業の方は、噴火の前に製品をつくった、しかし、噴火しましたから持ち出しもできずに納品ができなくなった。にもかかわらず、やはり銀行からのいろんな請求はされるし、返金も自動的に口座から引き落とされていっていたという状況を訴えていただきました。
 やはり貸出金の返済猶予を地元の民間の金融機関に対してもこれは中小企業を所管する通産大臣から強く要請するべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#52
○国務大臣(深谷隆司君) 民間金融機関に対しましては、金融監督庁からも、災害関係の融資、貸出金の返済猶予、預金の払い戻し等について適切な金融上の措置を講ずるように要請が既になされていると思っておりますが、私の方からも一層その旨をよく伝えて指示をしたいと思います。
#53
○山下芳生君 それからもう一点ですが、先ほど大臣は信用保証額の別枠化ということを既に実行するということもお述べになりましたけれども、これは大事なことなんですが、その際、いろんな要件を緩和するということが非常に大事だと思います。担保でありますとか保証人の要件であります。これが緩和されませんと、枠だけ広がってもなかなかこういう非常事態ですから十分な効果が発揮されないおそれがあります。その点、いかがでしょうか。
#54
○国務大臣(深谷隆司君) この点につきましても、三月三十日に担保徴求の弾力化ということについては指示をいたしました。改めて私どもから、九日に参りました現地においても、各機関にそのような指示を与えたところでございます。
 円滑な資金供給に向けての取り組みがそれぞれなされていくものと思っております。
#55
○山下芳生君 もう一つですが、無利子融資の問題であります。
 四月十一日の大臣の記者会見で検討されるということをお述べになっております。実は、阪神・淡路大震災のときには兵庫県がこういう制度をつくりまして、当初三年間は実質無利子で、これは県の方が利子補給を行うというスキームをつくったわけですが、やられました。これは非常に大事なことだと思います。そもそも自然災害ですから事業者の方には全く責任がございません。ですから、その間しかし必要な資金が生じた場合に利子を支払わなければならないということだとこれはなかなか借りにくい。しかも、なぜだという思いも強いと思います。これは非常に大事なことですから、阪神でもやりましたので、今回の有珠山の災害についても同様の措置がとられるようにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#56
○国務大臣(深谷隆司君) 九日に私が参りましたときにも、地元の商工業者からこの無利子融資についての非常に強い要望が出されました。
 御案内のように、今お話のあったような雲仙・普賢岳、阪神・淡路の災害のときに地方交付税の措置などを活用いたしまして地方自治体が基金をつくって、特に被害の著しい中小企業者に対しましては政府系金融機関に対する個人借入金利を全額補てんするということで、その中小企業にとっては結果的には無利子となったというケースがあります。
 今回、無利子融資について私は検討すべきだということを既に発表しているわけでありますが、過去の災害におけるこうした対策との整合性ということを考えながら、大蔵省、自治省等の関係省庁だとか地方自治体における十分な調整が必要でありますので、現地の要望として重く受けとめて全力を挙げて努力したいというふうに考えます。
#57
○山下芳生君 私、火山噴火災害というのは一つの特徴があると思うんです。やはり長期化せざるを得ない。いつまで噴火が続くのか、いつ終わるのかというのはこれはなかなかはっきり予測できません。その点では、阪神・淡路大震災も多大な被害が出ましたけれども、あの一撃の後どう立て直すのかということが課題になりました。豪雨災害も同じような性格がありますが、噴火災害の場合はそうはいかない。かなり長期化、長くつき合っていかなければならないということになるわけですから。したがって、本当にいろいろ枠をつくる、制度をつくる際もそういうことを踏まえて使いやすいものにしなければだめだ、金利の問題もしかり、要件の問題もしかりでありますから。
 先ほどこれまでの過去の災害との整合性ということをおっしゃいましたけれども、私は、こういう噴火災害の特殊性を踏まえて、過去の制度にとらわれずに、やはり現場の事業者が実際に困っていることにどうこたえるのかということを優先させて検討するように所管の大臣として努力いただきたいと思いますが、この点最後に一言お願いします。
#58
○国務大臣(深谷隆司君) 実は、この間参りましたときに各金融機関、これは政府系も民間も含めてですが、相談の状況を聞いてみて、あわせてまとまった話はどのぐらいかということを聞きましたんですが、非常に少のうございます。といいますのは、まだ、今度は一部解除になりましたけれども、自分の店、自分の旅館に、現場に行くこともできないという状態でありましたので、さてどのような形で事業を再開するのかとか進めるかということについて皆目わかっていないという状態があったからでございます。
 これからだんだんに、自分のそれらの事業の状況を具体的に見ながらどう新しく出直すかということについて見えてまいりますと、当然この融資関係についての話は一気にふえていくだろうと思います。そういうような状態のときまでに、までにというかそれはそんな長い期間じゃありませんが、できるだけただいま委員が言われたような判断の上で対応をきちんと準備していくということは大変必要なことだと思っておりますので、私どもとしましては、ただいま申し上げたような通産省を中心として所管官庁にきちっと話を進めていくように一層努力したいと思います。
#59
○山下芳生君 我々も現地と連絡をとりながら、また政府関係行政省庁と連携をとりながら、本当に万全の体制が実現できるよう努力をしたいと思います。
 それでは法案の方に入りたいと思います。
 まず、大前提となりますけれども、産業技術力とは一体何ぞやと、わかったようなわかりにくい概念ですので、それについてまず説明をいただきたいと思います。
#60
○政府参考人(村田成二君) 委員も既にごらんいただいているかと思いますが、法律案の第二条ではこの法律上の定義を書いてございます。産業活動において利用される技術に関する研究及び開発を行う能力、それからその研究開発成果の企業化を行う能力、こういうふうに定義いたしているわけでございます。したがいまして、産業において利用されます技術の研究ないし開発がございますれば、基礎的なものから応用段階のものまで、それからまた研究開発能力だけではなくてその成果を企業化する能力、ここも含めて考えているわけでございます。
 ただ、政策論として見た場合に、少し違う観点から申し上げますと、御案内のように、かつて産業技術ということになりますと主として生産工程の改善技術ないしは管理技術、さらにはまた製品それ自体につきましても特に日本の場合その製品をどう改良してどういうふうな市場価値をつくり出していくかといういわばいわゆる改良技術、こういったものが中心であったわけでございますけれども、昨今に至りまして、やはりその製品自体のオリジナルな部分についてのイノベーション、すなわちプロダクトイノベーションと言われていますが、そういったもの、あるいは機能それ自体が自己開発、自己発展していくような、情報あるいはバイオといったような、そういった研究開発から市場価値まで非常に短いかつ時間的にも速いそういった技術ないしは研究、そういったものまで非常に大きく変質してきているわけでございます。
 ある意味でこういった事態になりますと、産業だけではなしに大学を含めた研究機関、さらには政府の政策資源というものも含めての大きな広がりの中で産業技術というものをとらえていく必要があるというふうに私ども考えておる次第でございます。
#61
○山下芳生君 そこで、法案の一つの大きな問題点だと思いますが、国立大学の教官等の役員兼業、これについて聞きたいと思います。
 まず人事院にお伺いをしますが、今までこの大学教員等の民間企業の役員兼業を原則禁止してきた理由はなぜでしょうか。
#62
○政府参考人(市川惇信君) お答え申し上げます。
 国立大学及び国立試験研究機関、これは国の機関として設置されておりまして、そこに勤務しております職員は公務員として規定されております。
 我が国におきましては、憲法十五条によりまして「公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」と。この十五条を受けてつくられております国家公務員法といいます体系におきましては、この憲法に規定されております基本的な公務員の性格を具体化するために、国家公務員に対してまず身分保障を行った上で、政治的行為の制限、争議行為の禁止並びに営利企業の役員兼業規制等の服務規制をかけているところでございます。
 すなわち、まとめて申しますと、公務員の全体の奉仕者としての立場と、それからあくまでも営利を追求するという営利企業の役員としてその管理運営の責任をとるというその二つの立場といいますものは、基本的に相入れないものであるというふうに認識されております。これが国家公務員法で申しますと、百三条第一項の営利企業の役員、顧問あるいは評議員を兼ねてはならないし、みずから営んでもならないということにつながっているかと思います。これを立法者の意思として受けとめまして人事院は運営してまいったわけでございまして、百三条第三項によります人事院の承認もそういう意味で極めて限定的に適用してきたところでございます。
#63
○山下芳生君 憲法十五条、全体の奉仕者ということから来ているんだということであります。そして、この全体の奉仕者と営利企業の役員というのは相入れないであろうというのがこれまでの立場でした。非常に大事なことだと思うんです。
 人事院の五十年史を私も読ませていただきましたけれども、十年ごとにこの役員との兼業問題等がいかに大事なものなのかということをずっといろんな癒着だとか汚職腐敗事件等を例に挙げながら、やはりこれまでは一例もないんだということをお書きになっております。
 そういう大事な基準というものを今回緩和するということにするわけですが、もうまとまって答弁されますと議論になりませんので、私もこの連絡会議の議論を、ペーパーをいただきましたけれども、そういう重要なこれまでの基準だったにもかかわらずそれを緩和する上で、必要性それから公益性という両面から検討されているというふうに私は理解しているんですが、まず必要性からどのようにこれは解釈をされているのか。これは通産省から聞きましょう。
#64
○政務次官(細田博之君) 先ほどの御質問にもお答えいたしましたように、我が国の昨今、数年間の技術力というものが大変落ちてまいりまして、特に米国との格差が大きく開いてまいりました。そして、学問の領域、つまり基礎科学の領域から応用科学への領域がうまく連携をいたしませんといけないにもかかわらず、アメリカはそこを非常にうまく連携いたしまして、さらに企業化の、いわば三段階あるわけでございますが、そこの連携が極めてうまくいったのは、やはり基礎、応用の学問をやる学者の方々が産業と連携をうまくやってきたと。
 日本の場合は、非常に長期の伝統によりまして国公立のいわば国家公務員がそういう学問の世界に非常に長じておられるわけでございますので、しかしこれが象牙の塔にこもってどうしても実際の応用あるいは企業化技術につながらないという欠点が表に出てきて今日のような大変大きな格差につながったということから、今までの考え方をやはり変えていかなければならない。
 全体の奉仕者という場合、日本国全体あるいは世界の技術への貢献ということを考えた場合に、より広い角度から考えなければならないのであって、それが企業との関係という意味で一部の奉仕者であるように今までは扱ってきましたけれども、そうではないケースが多々あると。これが全体のために公務員の方にも貢献していただける場面があるというふうに認識をしておるということが基本的な必要性の議論でございます。
#65
○山下芳生君 私はその議論では納得できないんですよ。アメリカの産学協同が進んでいるというのは私も認めます。産学協同が大事だということは私もそのとおりだと思うんですが、それだったら今だっていろんな形で共同研究とか委託研究はやられていますよ。それから既に、大学の教官等が研究開発、技術指導を目的として営利企業の役員以外の業務に従事すること、これについては現在でも許可されております。ところが、なぜその上、役員等の兼業にまで道を開かなければならないのか。これはどういうことなんでしょうか。
#66
○国務大臣(深谷隆司君) 今、細田総括政務次官が、産学協同で技術を生かしていかなければ国際競争力で劣ってしまう、現実に劣っているわけでありますが、こういう時代の要請に応じて我が国がさらに技術力を伸ばしていくためには産学連携が非常に大事であるということを申し上げたのでありますが、それはいわば背景でございます。
 今、委員が御指摘のように、今までも、例えばTLOその他でこういう大学の研究に関しての、それを事業に生かすというようなやり方というのはございました。おっしゃるとおり、企業の役員にはなりませんが、それ以外の地位を兼業するということは現実にあったわけであります。
 しかし、今日の具体的な実態を考えてみますと、特定の研究開発成果ということを事業化しようということになれば、当然でありますが、企業経営の重要な意思決定ということに相なります。それには取締役会の議を経て決定をしていくということになってまいりますと、その技術の専門性は高うございますから、これらの研究成果を熟知している教官がみずから役員としてその意思決定過程に参画するということの必要性が生じてまいります。今日のそういうような状況の中で、国立大学の教官等にこうしたことが可能になるような、そういう改正を行おうとしているところであります。
#67
○山下芳生君 今の御説明も私はちょっと矛盾があるんじゃないかなと思うんですよね。
 つまり、意思決定過程に参加をする必要があるということなんですが、そうなりますと、大学の研究成果を事業化する、企業化するかどうかを意思決定する際に、既にその決定過程の中に大学の教員が役員として参加をしていなければならないわけですよね。そうすると、法律でうたっている先ほど人事院の方から説明がありました縛りというのは、その研究成果を事業化するという目的に限るということになったときに兼業を認めるということだと思うんです。そうじゃないと、もう線が引けないと。それはおかしいんじゃないですか。
 決定過程に入って議論した結果、やめておこうということになることだってあると思うんですよ。それは役員になるということと成果を企業化するということはイコールじゃない。そこはどう解釈したらいいんでしょうか。
#68
○国務大臣(深谷隆司君) 大学における研究の成果を事業化させるという、そこの円滑化を進めるために今回の改正を行うわけでありまして、当然のことながら、その教官が研究した成果というものを事業化しようというときに既に企業との話、了解、その進め方についてのいろんな議論がなされているはずでございまして、具体的に事業化という道が開ける大前提のもとで兼業という形に流れていくんだろうと思います。
#69
○山下芳生君 ということは、意思決定過程じゃなくて、決定された後ということですか。
#70
○国務大臣(深谷隆司君) これは具体的にその企業とあるいはそれを事業化しようとする学者との個々の関係でありますから、どちらが先とは言いがたいところがありますけれども、研究の成果が事業化されて国家のために役立つんだという前提ですべてが進んでいくとすれば、受け入れる企業側も当然合意の上で迎え入れるということであり、その場合に、企業でありますから当然取締役会も開いていかなきゃならないし、最終的な決定はその役員会でなされて具体化が進んでいくという、そういう道筋になっていくと思います。
#71
○山下芳生君 人事院に伺いますが、人事院が承認する時期というのはいつなんですか、決定されてからですか、決定される前ですか。
#72
○政府参考人(市川惇信君) 人事院が百三条三項により承認をいたします場合は、所轄庁の長からの申請に基づいてなされます。したがいまして、その所轄庁の長のお手元で申請をなさるという、そういう状況が実現した後ということになります。
#73
○山下芳生君 それは、所轄庁というのは通産省ですか。
#74
○政府参考人(市川惇信君) 大学等に関しましては文部省、それから国立試験研究機関等でございますとそれを所轄していらっしゃいます省庁、たくさんあるかと思います。
#75
○山下芳生君 そうすると、その申請の内容で企業の役員と兼業するということのプロセスが僕は大事だと思うんですが、その研究成果を間違いなく企業が事業化するということになっていなくても、これは人事院としては申請がされればオーケーと、許可するということですか。
#76
○政府参考人(市川惇信君) 連絡会議におきまして、事業化を進める研究成果といいますものが本人のものであること、それから役員となって行う職務といいますものが主としてそれにかかわるものであることということが前提となっておりますので、人事院といたしましては、その要件が満たされている、ほかには癒着を防ぐための幾つかの要件もございますけれども、それを判定することになるかと思います。
#77
○山下芳生君 そうしますと、どうもこれまでの役員以外の兼業との関係が、私はこれなかなか微妙で非常に理解しにくいんですよね。
 そうすると、事業化されるかどうかまだ決まっていないけれども、それを決める意思決定のところから参加をさせるということになりますと、これまでの研究成果を本当に事業化するかどうかということについてはまだあいまいなまま、しかしそれでもオーケーというふうになって、私はさっき人事院から説明のあった全体の奉仕者ということとの関係がどうなるのかなということを少し疑問に思うわけです。
 次に進みます。
 もう一つ、公益性ということなんですが、先ほど政務次官がおっしゃいましたけれども、なぜこれが公益性になるのか、もう少し突っ込んでお述べいただけますか。
#78
○政府参考人(村田成二君) 先生先ほど御指摘になられましたけれども、本件につきましては、実は昨年関係省庁におきまして連絡会議をつくりまして種々な観点から検討してきたわけでございます。その検討結果といたしまして、今の御質問の公益性に関しまして一定の判断はしたわけでございますが、大きく分けて三点あるわけでございます。
 第一点は、国立大学等々から産業界への技術移転。こういったものが国立大学等にとどまっていないできちっと事業化、製品化される、あるいは実用化される、こういうこと自体が国民全体としてその利益というものを享受し得る事態になる、ひいては国家全体の発展にも資する。こういった点で、まず第一点、公益性が認められるということでございます。
 それからまた、第二点は、国立大学の教官等は、一般の公務員と異なりまして、特定の専門分野につきまして非常に深い知見を有しているわけでございまして、こういった教官等が、ある意味で社会におきます希少な知の公共財といいましょうか、そういった観点から大学の教育研究ないしは研究所の教育研究にとどまらないで広く社会全体に知の公共財としての機能を拡大する。具体的には、産学連携あるいは今申し上げました事業化等々を通じましてこういった知の公共財としての機能を拡大していくということ自体が非常に大きな公益的な意味がある。これが第二点でございます。
 それから、第三点は、逆に今度、兼業先の企業等々におきましての諸活動を通じていろいろ新しい知見を得ることができるわけでございますが、こういった知見を逆に公務の方あるいは研究開発の方に還元させることができる。本来の教育あるいは研究活動、それに対しましてそういった面から大きな刺激を与えることができる、ないしは新たな価値を付与することができる。こういったこと自体も非常に公益的な意味があるだろう。
 この三点でございます。
#79
○山下芳生君 一点目の事業化、製品化されることが国民全体が利益を享受するということなんですが、これはどんな研究成果だってある意味ではそういう性格を持っているわけでして、何も国民に役立たない研究をやっているような大学の教官はいないと思います。全部そういう性格を持っているわけですから、そんなことになりますと、何の基準もなしに無制限に役員兼業に道が開かれるんじゃないかと思うんですが、そういう心配はないんでしょうか。
#80
○政務次官(細田博之君) この法案によりまして道を開くといいましても、通常、現在大学や研究所において非常に地道なかつ広範な基礎研究が行われておるわけですね。そういった分野の大半はそこにとどまるわけでございますが、どうしても先端の分野、特に今アメリカなどで力を入れているようなバイオテクノロジーとか情報技術とかそういう分野におきましては、基礎もしっかりしたそして応用研究もやっている人の知見をかりなければその企業化、事業化にスムーズに移行できないような分野がございまして、したがって、そういった分野において初めて企業から見てそのような研究者を必要としますし、また研究者もそういったことに貢献をできるということでございますから、何でもかんでもこういうものが兼業ができれば学者がこぞって民間の取締役になって悠々と何か暮らしていけるようなイメージを持っておられるとすれば、それはそうではないわけでございます。
 したがいまして、先ほども議論がありましたように、民間の方からも必要な技術研究をしている人が企業化に当たっても本当に役に立つという場合にのみやるわけでございますから、もしもその過程において、一たん取締役に任命した後でも、その事業化はやめようということになれば直ちにこれは兼業することから外れるということになるという考え方でやっておるわけでございますから、非常に局地的な、局部的なこと、しかも公益性のある大事な分野に適用されるんだというふうに御理解いただきたいと思います。
#81
○山下芳生君 私は、今の話を聞いていまして、そういうことをやるのは企業の努力だと、本来そうじゃないかと思うんですよ。何で事業化、製品化する際に大学の研究の当事者をわざわざ役員として招かなければ事業化、企業化できないのかと。
 第一そういうことを、まずどういう研究成果が各大学にあって、どういう成果を企業として事業化しようかということを調査して決定するのは、やはりこれは企業の役割ですよ。いろんな企業がそういうことをやってお互い競争しながら取り込んでいけば、一つの企業だけではなくて、よりいい製品ができていくということだってあり得る。
 この間、NHKの番組を見ていましたら、VHSとベータの戦争というタイトルでしたけれども、ある意味後発だったVHSの研究開発者が自分たちでつくった技術を各企業に無料で公開して、それぞれ切磋琢磨してさらに付加価値を高めて、より国民に便利なものとして練り上げていったということが描かれていましたけれども、私は、そうなってこそ初めて大学の研究成果というのがより国民全体の利益に供されるという性格を持つと思うんです。一企業のために行って、そこで狭い中でやるというのが決して私は全体の利益になるとは思わない。
 それからもう一つ。企業にとって、やっぱりそういう大学の研究成果にもっと注目するように努力をさせることも政府としては必要だと思うんです。
 東北大学の総長をされた西澤潤一先生が、御自身がいろいろ研究されて学会で論文として発表されたときに、発表してもなかなか日本の企業は注目しない、最先端に目ざといのはアメリカの企業だということを嘆いておられます。
 SITという技術を発表したときも、まずわざわざやってきたのはアメリカのゼネラルエレクトリック社だったと。光ファイバーを発表したときにも、アメリカのベル伝送研究所の部長だったと。日本の企業は、そういう一生懸命大学の先生が発表したものを見向きもしないで、日本の大学というのは役に立つ研究はしていないということで、アメリカの大学と一生懸命やるけれども、日本には余り関心持たずに、逆にアメリカの企業がそうやってわざわざ来ている。
 そういうことを放置しておいて、私は、大学の研究成果を事業化する、企業化する企業の能力というのはつかないと思うんですよ。そこのところをもっと努力させないで、とにかく役員兼業を認めましょうというんだったら、余計こういう企業を甘やかすことにはなっても、事業化、企業化の能力、技術力が高まるというふうには私は思えないんですが、この点はいかがでしょう。
 大臣、どうですか。
#82
○政府参考人(村田成二君) 実は、私どものみならず産業界、それから大学関係者、それから各省、関係の深い人間が集まりまして、国家産業技術戦略検討会というのを昨年来ずっと開いております。
 これは、参加されている大学の先生方は、各国立大学の中から選ばれてきた学長クラス、それから私立大学の学長も入っておりますが、そこでのいろんな議論を通じましての共通認識といたしましては、だれが悪いということではなくて、やはり産官学それぞれがきちっと今の状況を危機的にとらえた上で、どういう形でそれぞれがどういう役割を果たすべきかというのをきちんと考える必要がある、こういうことであったわけでございます。
 例えば、政府について申し上げますと、硬直性あるいは縦割り行政の弊害の打破というのが求められますし、それから産業界におきましては、今先生がまさしく御指摘になられました自分の企業だけ、自分の企業の戦略、これは大事なことなんですが、それが行き過ぎますと自前主義ということになりますから、そういった自前主義ではもううまくいかない、したがってそれをどう打破するか。
 これは御案内のように、アメリカの一九八〇年代半ばのヤング・レポートでも、この自前主義、企業の自前主義というのが実は企業の選択と集中を妨げている、いろんな問題があるということは指摘されておるわけですが、やはり同様の認識が出てきております。それから、大学自身につきましては、非常にある意味でシステム的に硬直性が強い、強まっている。
 この三つの弊害をそれぞれどう打破していくかということが大事なポイントだというふうに指摘されているわけでございまして、もちろん、産業界、企業の分野におきましてそれぞれが戦略性を持って努力するということは、引き続き私は、日本の経済界、産業界では非常に厳しい競争のもとそれぞれの企業が努めていると思いますし、かなり成果も上がっていると思いますが、もちろんそれだけではなくて、最近の冒頭ちょっとお答え申し上げました技術の大きな流れの変化の中で、それからまた国際競争力の相対的な変化の中で今申し上げましたようなことが指摘されているわけでございます。
#83
○政務次官(細田博之君) ちょっと補足いたしますが、アメリカなどの、これはもちろん国家公務員かどうかという問題は別にいたしまして、研究者の事業化に対する努力のあり方の一つとして典型的な例は、週に一日は自分で自分の時間を使って企業の活動をやってよろしいと。そうすると、学者がベンチャーキャピタルに話しかけて、自分はこういうことを企業化したいんだが、お金も集めたい、事業をしたい、協力者は集まって会社を設立してやりましょうというようなことで、そして学者の持つ能力をフルに生かして新しい企業化に取り組むという例もございますし、それから既存の大企業が、これはすばらしい技術であるからぜひその学者の意見を取り入れ、その知見を利用して、お金は自分の方で大いに出すからそれを事業化しようではないかという、一緒にいわばジョイントで企業化を進める、そういうケースもあるわけでございます。
 おっしゃるように、企業が怠けてただ学者を手元に置いていくような姿というのは考えられないわけでございまして、我々の想定しているのはあくまでもピンポイントでそれぞれの事業化ができる、そういう見通しを持った技術についてのお話をしておるわけでございます。
#84
○山下芳生君 もう一つ、別の角度から聞きたいと思います。学問の自由との関係であります。
 大学の研究教育機能というのは、やはりどこからも独立してどういう研究をやるのか自由でなければならない。これは長い戦前からの負の教訓を踏まえた、日本だけではなくて世界共通の概念だと思います。ところが、こういう学問の自由というものがこの役員兼業との関係でちゃんと守られるのかどうかということを私は心配するわけであります。
 実際、例えば役員兼業ですから、これはその事業化に対して大学の教員も兼業した以上は責任を持たなければならない、経営責任を問われることになります。そうすると、うまくいくときには余り矛盾はないかもしれませんが、うまくいかないことだって大いにあるでしょう。そうすると、経営責任を問われてくる。何とかうまくいくようにしたい、そのときにその教官にとって一番知恵を出すためのサポート体制になるのは私は自分の大学の研究室だと思うんです。そういうおそれがあると思うんです。
 実際、大学の各研究室で何を研究しているのかというと、学生が自分でやりたいというテーマを持ってやられる場合もあるでしょうけれども、大体は教授の指示で研究室全体の研究テーマは決まっていくわけです。そうすると、兼業した企業の事業化がうまくいかなければいかないほど、研究室のスタッフを使って何とかならへんかということに動員されていく危険性がある。そうすると、私は、全体の奉仕者どころか、一企業の利益のために教授だけじゃなくて大学の研究室丸ごと奉仕させられる危険性があると思うんですが、この点はいかがでしょうか。
#85
○政務次官(細田博之君) 企業化に当たりまして非常に時間を要し、その研究者が本来の大学における研究活動や教育活動、これは一定の時間があればできるということは先ほど人事院の方からもおっしゃったわけでございますが、それを超えてやるような実態がもしあれば、これはこの趣旨に合致いたしません。そういった場合には、本来、休職をして専ら役員の方で活動をしていただき、その活動が一年なら一年で、あるいは二年なら二年でめどが立ったときに復職してもらうというふうに整理をしようということを話しておるわけでございますので、そのようなことは生じないようにするという前提でございます。
#86
○山下芳生君 しかし、そういう前提だとおっしゃっても、産学協同の先進でありますアメリカでいろんなことが起こっております。
 これは日経新聞だと思いますけれども、「産学連携の先進国である米国では、大学の研究に企業が介入することによるトラブルが目立っているという。特に研究者が企業秘密の保護を義務付けられることへの懸念が出ている。」という記事がありました。
 例えば、カナダのある教授が製薬会社から企業秘密の保護という契約に違反したという理由で訴えられた。この会社が開発した遺伝性血液病向けの新薬が、効き目がない上に毒性があると医学雑誌に発表したことが契約違反だと訴えられた。あるいはまた、別の教授ですけれども、これはアメリカですが、甲状腺病の安価な薬、後発品が有名な甲状腺の治療薬と同じ程度に効くという研究をアメリカの医学協会誌に掲載するのに七年もかかった。非常にすばらしい研究成果なんだけれども七年間発表できなかった。なぜならば、この先発の薬を持っている企業との契約で許可なしに研究データを公表しないという文書にサインしていたからだと。こういう例が企業との共同研究が進むにつれて広がっている。科学者同士の自由で迅速な情報交換が困難になっているということが指摘をされております。先ほど言った、七年間たって公開できたのはなぜかといいますと、その企業がほかの企業に買収されてしまったから、それでようやく公表できるようになったと。
 そうしますと、私は、これは学問の全人類的な視野に立った発展という点から見て、そういう制約を研究者が受ける弊害が既にアメリカで指摘されているわけです。心配ないとおっしゃるんですけれども、そういう企業秘密が研究の足かせになるということだってこれは生じる可能性があると思うんですが、いかがでしょうか。
 大臣、いかがですか。
#87
○政府参考人(工藤智規君) 先生御指摘の学問の自由というのは、研究者が自由闊達にそれぞれの創意工夫に基づいて真理を探求するということの大事さを淵源とするわけでございますが、それに基づいて御案内のとおり大学の自治ということも定められているわけでございます。
 本法案に基づく新たな兼業制度を開くに当たりましては、これからどういう運用基準にするか人事院規則等で定められるわけでございますけれども、いずれにしても、透明性の確保あるいは本来の職務をおろそかにしないということは当然のことでございますし、大学人同士の学内でのいろいろな審査過程において、それが適当かどうか、しかも実際に兼業した後についても、それぞれの自主規制としてどうであるかという御判断は当然いただくべきものと思っているわけでございます。
 しかも、本法案の六条でごらんいただいておりますように、大学は、「人材の育成並びに研究及びその成果の普及に自主的かつ積極的に努めるもの」とされているほかに、「国及び地方公共団体は、産業技術力の強化に関する施策で大学に係るものを策定し、及びこれを実施するに当たっては、研究者の自主性の尊重その他の大学における研究の特性に配慮しなければならない。」ということをうたっているわけでございます。
 今さら申すまでもなく、産学連携の推進に際しまして大学の主体性あるいは研究者の自主性が尊重されるべきことは当然のことでございますし、しかも大学人として、あるいは研究者としてそれぞれの良心に恥じることのない運用あるいは行動をされることを私どもは期待しているわけでございます。
#88
○山下芳生君 期待するだけでは私は非常に危険だと思うんです、役員としての経営責任がこれは問われることになるわけですから。そうすると、やはりそこに自分の能力を全力投入せざるを得ない、うまくいかなかったら責任を問われるわけですからね。そうなっていくんじゃないか。そこがこれまでの役員ではない兼業、あるいは共同研究、委託研究との決定的な違いなんです。
 私も国立大学の工学部の先生何人かにお話を聞きました。これまでの産学共同研究等であれば、そこは大学の側の、教授の側の何といいますか独立性、企業からの独立性というのは担保されている。お互い同じテーマを寄附を受けながらやってその成果を返すんだけれども、もちろんそれは公開される。それを事業化するか企業化するかというのはその企業の判断であり企業の責任だと。そこは一線が引かれていた。
 ところが、今度は事業化、企業化にまで役員として責任を負うわけですから、これは同じ人がやるわけですから、独立性、自主性を尊重しなければならないといったって、それは二重人格じゃないとできない状況に私はなってくると思うんです。本当に、安易にその一線を取っ払ってしまうということは、大学の自由な研究、学問の自由という点で私は非常な危惧を持っているということを言わざるを得ないと思っています。
 最後に、あとの時間で幾つか、私は本来の産業技術力を強化するという視点に立つならばもっとやらなければならないことはたくさんあると思うんです。その一つは、やはり大学の研究条件の向上だと思います。
 そこで、文部省に伺いますが、今から十年ほど前になりますけれども、大学財政懇談会、これは、当時の東大総長の有馬さんなど八人の大学関係を代表される方々が連名で高等教育費充実についての要望というものをお出しになっております。「昭和五〇年代の後半以降行財政改革の影響を受けて日本の高等教育、とりわけ大学の教育研究環境が施設・設備・研究費を中心にして劣悪化し、すぐれた人材が大学に残らなくなりつつある状況に対して、きわめて深い憂慮の念を抱いております。」。こういうことが大学を代表される八人の連名で出されるというのは異例なことでありました。
 もう十年ほど前ですが、その後こういう憂慮の念というのは払拭されているんでしょうか。
#89
○政府参考人(工藤智規君) 今御指摘のような案件については、ちょうどマスコミ各紙、いろんな媒体を通じまして、特に国立大学を中心にする大学の研究環境の劣悪な状況につきまして当時キャンペーンが張られまして、東大総長であられた有馬先生が中心になりながら今のようなアピールを出されたと承知してございます。
 その後、私ども、国公私を通じまして大学の研究条件の改善のために尽くしているわけでございますけれども、御案内のとおりの国の財政事情の中で果たしてぴかぴかに抜本的にいったかとなりますと、何分じくじたるものがございます。
 ただ、当時の各大学の関係者の御要請に対応いたしまして、国会の御審議もお願いしまして、国立学校の場合に国立学校特別会計があるわけでございますけれども、国立学校所管の土地を売却した場合に、それを財源として特別の施設整備事業が行えるような制度改革を行ったりしているところでございます。残念ながら、その後地価が下がったりなどいたしまして、保有地の売却が思うように進まないとかというのがございますけれども、そういう改善措置を講じ、かつ財政事情が厳しい中ではございますけれども、研究資金等の確保に年々努力をしながら今日に至っているわけでございます。
 今後とも、状況は厳しゅうございますけれども、最大限の努力を続けてまいりたいと思っております。
#90
○山下芳生君 ちょっと具体的に伺いたいんですが、去年の十月に日本学術会議がそれでもやっぱり大変だという勧告をお出しになっています。「我が国の大学等における研究環境の改善について」という勧告であります。
 この中で、研究活動を発展させる上で最大の阻害要因として指摘されているのは、スペースの不足であります。私も見せていただきますと、本当に今の国立大学の研究をされている部屋というのが余りにも手狭になり過ぎている、老朽化しているということを感じました。
 科学技術基本計画ではこの点では改善されるという目標があると思いますが、その目標と現在の到達点、お話しいただけますか。
#91
○政府参考人(工藤智規君) 平成八年を初年度といたします科学技術基本計画が十二年度までの五カ年で進んできているわけでございますが、その中での問題提起としまして、国立大学の施設整備について要改築面積が千二百万平米ほどある中で、その改善が求められてきたわけでございます。
 ただ、残念ながら、これまで私ども八年度から十二年度までの五カ年での国立大学の施設整備の事業量でございますが、五カ年で事業費総額一兆円余を投入いたしまして、事業量総額としては三百万平米の改善をしているわけでございますけれども、まだまだ必ずしも十分大学の御要望に対応し切れていない状況にございます。
 なお、ちなみに、国立学校全体で保有しております建物面積は二千二百七十万平方メートルでございまして、そのうち建築後二十年以上たちまして一般的な改修等が必要な面積というのが現段階で八百六十万平方メートル残されているわけでございます。
 今後とも、この改善、特に老朽、狭隘な研究環境の改善につきましては最大限の努力が必要と認識してございます。
#92
○山下芳生君 もう五カ年計画の最終年度になったわけですから、大変なおくれがあるわけで、こういうところを放置しておいて、最先端のすぐ事業化、企業化できるところだけどう企業に移転するかばかり考えていたら、これは長い目で見て日本の産業技術力というのは大変心細いものにならざるを得ないということを指摘して、時間が参りましたので終わります。
#93
○委員長(成瀬守重君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午後零時三分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#94
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、産業技術力強化法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#95
○今泉昭君 民主党・新緑風会の今泉でございます。大臣には連日御苦労さまでございます。
 大変資源の乏しい我が国のような国がとにかく世界の大国に伍して生き延びていくためには、これは何としても産業競争力を強めていくということが大変重要なことであろうということは国民のだれしもが考えていることだろうと思いますし、今回出されましたこの産業技術力強化法の考え方は、我々としてもこれは大賛成でございます。そういう立場に立ちまして、この問題が抱えているいろいろな疑念あるいは問題点について少しお尋ねを申し上げたい、かように考えている次第でございます。
 実は、私ども議員立法という形で昨年の三月にものづくり基本法というものを各党の御協力によりまして成立させていただきました。私どもは、産業競争力をつけるということには三つの柱が必要だろうというふうな考え方を持っておりました。
 一つは、今回出されましたように、産業技術の先端を行く高度な技術を開発していくという一つの柱。それからもう一つは、これを下から支えていくところの基盤技術である物づくりという産業をいかに強化していくかということ。そしてもう一つは、先端技術と基盤技術を結びつけるエンジニアリング技術というもの。この三つをいかに調和のとれた形で結びつけていくかが産業競争力をつけるために不可欠の条件だろうというふうに考えていたわけでございます。
 そういう意味で、ものづくり基本法を立ち上げていた際に私どもが考えていたのは、その三年ぐらい前でございましたか、科学技術基本法というのが成立いたしました。私は、当初この科学技術基本法というものは大変不勉強で、後からこれでよかったのかなと思う点が多々あるわけでございます。この精神は、どちらかといえば産業技術力をつけていくという意味合いのものではなくして、もっと高度な意味での先端科学、先端技術というものを世界平和にどう役立てていくかとか人類のためにどう役立てていくかという大変高度な理念に立った法律でございまして、産業競争力強化という意味合いが大変薄かったというふうに考えているわけでございます。
 そういう意味で、今回の法案をずっと検証させていただきますと、不十分と言ったら大変失礼かもしれませんけれども、この法案は、ややもすれば産業技術力強化という意味での、科学技術基本法と同じような意味での基本法的な意味合いを大変持っている法案だなという気がしてならないわけでございます。
 例えば、特に前半の十二条までの部分を見てみますと、第三条においては、「産業技術力が」「我が国産業の持続的な発展を図るための基盤であることにかんがみ、」「国、地方公共団体、大学及び事業者の相互の密接な連携の下に、創造性のある研究及び開発を行うとともに、その成果の企業化を行う能力を強化する」というふうに、明らかに産業技術力の強化ということをうたっている基本理念が明記されているわけです。そして、四条から十二条にかけましては、具体的にこれをどうやっていくかということが盛られているわけでありまして、どちらかといえば私は大変基本法的な意味合いを含めているものだなという印象を受けるわけであります。
 そういう意味で、この法案を策定するに当たりまして、先にできていた科学技術基本法とこの産業技術力強化法との関係を通産の方ではどのように考えていかれたか、この点についてまずお聞きをしたいと思うわけであります。
#96
○政府参考人(村田成二君) 先生まさしく今御指摘いただきましたように、科学技術基本法は、非常に高い視点からオーバーオールに、しかも非常に長期の我が国の先行きをにらんでの本当に基本となるべき法制だと思っております。
 ただ、科学技術の中には御案内のようにいろんな技術分野が多々あるわけでございますし、それぞれがまた果たすべき役割というもの、それを実現するための方策というのはまたそれぞれあるんだろうというふうに思っております。
 今回、産業技術の関係につきまして法案を用意させていただきましたけれども、ある意味でまさしくおっしゃいました科学技術基本法的な、しかしより範囲の狭まった産業競争力という観点からする一つ基本的な性格の部分と、それからただいま申し上げましたその目的を達成するための具体的な手段の部分と、この二つを組み合わせたという形になっておりまして、全体の理念としましては科学技術基本法のあくまでも中で、しかもその大きな大目的、科学技術基本法で目指しております大目的を達成する一つのまた分野として位置づけているつもりでございます。
#97
○今泉昭君 そうしますと、この法案を作成する際には、さきにつくりましたものづくり基本法との関係につきましてはどのように考えていらっしゃいますか。
#98
○国務大臣(深谷隆司君) ものづくり基本法の作成に当たりまして今泉委員が非常に活躍されたことを承知しておりますので、この件に関しては私からお答え申し上げることにいたします。
 このたびの法案というのは、もう今お話がありましたように、我が国の産業技術力を強化しませんと、特にアメリカとの差というのは歴然としたものがありまして、このような状態では我が国の産業は立ち行けないというそんな背景の中で、つまり大学等で研究開発している事柄を事業に生かしていこう、そのために円滑な状況が生み出せるようなそういう考え方を立てていこうというのがそもそものスタートでありまして、基本理念をまず明確にし、国、自治体、大学、事業者の各主体の責務とか施策の基本的な事項を定め、政府として総合的にこれらの産業技術を向上させる仕事に取り組んでいこうということでございます。
 我が国の産業技術力の強化のためには、単に先端技術だけでなくて、いわゆる原点ともいうべき物づくり、例えば鋳造、研磨、溶接、メッキ、いろんな物づくり技術というのが我が国においてはずっと活用されていたものでありますから、これらをさらに利用しながら技術全体の向上を図っていこうと。そういう意味では本法案の目的にかなうことがものづくり基本法だと、そういう認識を持っておりまして、これを一体化させて、我が国の物づくり基盤技術の向上とそれらの政策と相まって産業技術全体を向上させていこう、そのために努力をしていこうということでありまして、両法の連携をきちっととっていくということは私どもの大きな課題であると考えています。
#99
○今泉昭君 我が国の産業競争力を強化するために、通産行政を中心としまして次々といろいろな法案をつくられてきて努力をされていることはよく承知しております。例えば、昨年の国会におきまして産業活力再生特別措置法などをつくられまして、その実現のために努力をされているということは重々承知をしているわけであります。
 そういう意味で、私どもがちょっと危惧するのは、何か問題点が浮上すると、その都度これに対応する法律が次々と出てくるという形の傾向がややもすれば私どもの印象として受けるわけでございます。そういう意味を考えてみますと、もう少し我が国全体として産業競争力のための総合的な戦略構想というものができていなきゃいけないんじゃないかということをしみじみといつも感じているわけであります。
 もうこれは言うまでもないことでございますけれども、小渕前総理大臣のもとに産業競争力会議というものができましていろいろな論議をされているということを承知しております。これは有名になっているヤング・レポートを一つの参考にしながら、そこで一つの具申を受けながら具体的にそういうものをつくっていこうという構想があったのではないだろうかと思うわけでございますが、当然今度は森新首相にこれは引き継がれていくものというふうに判断をしております。
 そういう意味で、私どもの期待としては、この産業技術力強化法が、むしろ基本法的な意味のものをもう少し大きくごそっとつくってもらって、そしてそれを実施するための具体的な基本計画というものが練られていくということが望ましいなというふうに思っていたわけでございます。
 そういうことを考えてみますと、首相のもとにできているこの産業競争力会議の活用というのは、今後も同じような形で活用されていくというふうに通産の方では理解をされているわけでございますか。
#100
○政務次官(細田博之君) おっしゃるとおりでございまして、この法案の取りまとめに当たりましても、通産大臣が議事進行を務めます産業競争力会議の場における意見聴取あるいは国家産業技術戦略の立案等を通じまして、現時点で問題となっている課題を摘出し、まとめたものでございます。
 時の変遷とか産業技術に対する要請の変化とか、そういうものは当然ございますので、今後ともこの産業競争力会議の場等を通じまして戦略を練ってまいりたいと思っております。
#101
○今泉昭君 この法案の一つの大きな目玉は、いかにして我が国における知的資産を活用していくかというところに焦点が当てられているだろうというふうに私ども認識をしております。大変結構なことでありまして、当然やっていかなければならないわけであります。
 特に、午前中に畑議員が質問をされた官民の研究体制の円滑化という意味で、委託研究をどのようにスムーズにやっていくかという問題はまさにその問題点を取り上げた施策の一つだろうと思うわけでありますけれども、確かに私どもがいろいろと現場の先生方やらあるいは現場の民間の企業の皆さん方に聞きましても、これまでの我が国は知的資産というものを十分に活用できるような状態ができていなかったことは事実だろうと思います。
 これはもう資料としていろいろ出されているから数字をここにあらわす必要はないと思いますけれども、民間企業がとにかく我が国の国公立大学に研究委託をする気持ちがなえてしまうような条件がたくさんあったということは事実でございます。したがいまして、我が国の民間企業が委託先を海外に求めていくというような傾向は、我が国の実は官民協力体制というものをどちらかといえば余り重要なポイントに置いていなかったという結果になってきたことも事実であります。
 特に、私どもが産業界から聞いてみますと、産業界の研究委託というのは、こういうすばらしいICをつくりたい、このICをとにかく三年ぐらいのあるいは五年ぐらいの期間で開発するために一億出すからこれでやってくれよという形で、結果をまず提示して研究委託をするというのが産業界としては一番やりやすい方法であるわけであります。アメリカの大学院なんかはそれを簡単にそのままで引き受けてくれるけれども、我が国の場合は、畑議員も提示されたように、会計の処理法が単年度主義であるとかあるいは資金の使用が項目主義に限定をされていて自由自在に使えない。そういうところから我が国の潤沢な研究資金がどんどん海外に流れていくというようなところ、これがまさしくもう我が国の産業競争力の格差を拡大していったということがこれまでの姿であっただろうと思うわけであります。
 そういう意味で、私どもとしましては、もう一度確認する意味でこの問題についての各省庁の対応をお聞きしておきたいと思うわけであります。
 この法案の第十三条にありますように、特に民間の委託研究の資金の受け入れの円滑化措置について述べられておりますけれども、これらにつきましては、通産だけの問題ではなくして、各省庁の協力と理解、そして迅速な対応が必要なわけでありまして、そういう意味で、まず大蔵の方からお聞きをしておきたいと思います。
 先ほどの質疑によりますと、今年度、十二年度からこの円滑化の具体的な措置を行えるようなことをやっていくということを明言されていたようでございますが、これは間違いございませんか。
#102
○政務次官(林芳正君) お答えいたします。
 お答えする前に、今泉委員が、まだ私たちが入って間もないころ自民党の政策審議会に来られまして、ものづくり法案の御説明をいただいて以来ずっとこの問題に取り組んでこられたということで、改めて敬意を表したいと思います。
 その上で、今のお話でございましたが、午前中の御質疑にもあったようでございますけれども、二つのことを申し上げているのではないかと思います。
 一つは、この目をさらに、従来の閣議決定で目の細というのがございまして、目を一つにしたんですが、せっかく一つにしたものをまた細に分けて三つにしていたが、これをこの四月一日から目の細というのを外したということがまず一点でございます。
 それからこれは、小此木文部政務次官もおられますが、複数年度に及ぶ場合の取り扱いについても複数年度にまたがって契約をすることができるようになったというふうに聞いておるわけでございまして、この二つについて措置をとったということでございます。
#103
○今泉昭君 その際に、例えば民間の企業が大学に委託研究をする場合に、寄附金という形でやるのと、研究委託という形での協力を資金を提供しながらやるのというものの取り扱いが違うというふうに聞いているわけです。
 というのは、研究委託をする場合は、国公立大学である場合は国の一つの事業を行うということで、財政的には一回入れられちゃうわけですね。ところが寄附金の場合は、それとは違って、完全に別個の例えば学長預かりという形での資金運用ができるというような制度ができているというふうに思うわけですが、我々の一般的な考え方からいうと、国の事業だからといって一回国の会計の中に入れてしまうようなやり方は、これはもう事務的な手続の煩瑣というのは大変なことだと思うんです。
 そういう意味で、別個の取り扱いができるということは考えたことはございませんか、寄附金と同じような形で。
#104
○政務次官(細田博之君) おっしゃる問題点がこれまではございまして、寄附金については元来大学長に委任をいたしましてその使い方等は任せておったわけでございますけれども、共同研究、委託研究等におきましては委員のおっしゃいますような制約がこれまではございました。その制約を今回取り除こうということで関係各省と合意を見たところでございます。
#105
○今泉昭君 今回の資金受け入れ円滑化措置というのは、そういたしますと、そこの辺まで踏み込んだ措置ではないということだと判断いたします。
 したがいまして、第一段階としてはこれはやむを得ないといたしましても、これですべてが終わってしまったということではなくして、今後もっと自由にこれが活用できるように今後の検討をぜひしていただきたいというふうに思うわけでありまして、十二年度からは先ほど言われましたような形の措置をとられるということは確認していただきましたからわかりました。
 続いて、自治省の方からお見えになっていると思うんですけれども、同じようにこれは国立大学でない公立学校においても当然この制約を今まで受けていたわけでございまして、その点についての対応は国立大学と同じように考えてやっていかれているのか、改めてひとつ。
#106
○政務次官(橘康太郎君) お答えいたします。
 議員御指摘のとおり、国立大学におきましては、委託の場合はちょっと問題がありました、寄附の方は割かしスムーズにやっておりましたけれども。公立学校、つまり地方自治体が管理する学校につきましては、寄附も委託の方も非常にぐあいの悪い状況になっておりましたけれども、今回の法律が通りますれば、議員おっしゃるように非常に国立大学並みに使いやすい方向に向けて通知をいたします。やることを前提として通知をいたしますので、その点御理解を賜りたいと思います。
#107
○今泉昭君 これを取り扱う現場というのは結局文部省になるわけでございまして、特に私どもが苦情を受けるのは、それぞれの大学のこの予算を扱うのは事務局長ですか、窓口になるのは、頭がかたくてまあとにかくどうしようもないということをいつも苦情として受けるわけであります。
 ですから、仮にこういう円滑化の措置がとられたとするならば、その徹底をもうこれは早急にやっていただきたい、それこそ全国から集めて、こうだよということを説明してもらうように。そうじゃないと、一片の恐らく通達だろうと思うわけでありまして、それだけではなかなか動いていかないというのが現実の姿でございますので、文部省としてはどうでしょう、この点についてどのように考えていらっしゃいますか。
#108
○政務次官(小此木八郎君) 先ほどからお話が出ておりますように、こちらから言う受託研究費等の受け入れ、使用に関してでありますが、先ほどお話がありましたように、言ってみれば単年度主義から今回からは希望があるところであれば複数年度にわたる契約を行うこととするということですとか、あるいは研究費の使い道の変更に一定の手続を要し非常に複雑な面倒なという観点からでありましょうが、こういうことも研究計画の変更に柔軟に対応できるようにこれは努める。
 そのようなことを踏まえて、企業等が複数年度にわたる研究を希望する場合にはそういう契約を行えるということと、具体的に複雑な手続が緩和されるように各国立大学等に対する周知は文部省も現在も責任を持ってやる決意でおりますし、特に具体的には平成十二年度の予算の当初から執行できるよう、各国立大学等に対し制度の改善の概要を文書により現在も周知しているところであります。また、具体的な取り扱いについての通知を近日中に発出するとともに、各種会議等も通じ周知徹底を図ることにぜひ力を入れたいというふうに思っております。
#109
○今泉昭君 よくわかりました。ぜひひとつお願いをしたいと思います。
 この際、もう一つ今後の問題としてぜひ検討していただきたいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、今度の措置も決して委託をする側からすると使い勝手が十二分にいいとは言えないと思うわけであります、特に寄附金と比べてみますと。そういう意味で、寄附金扱いのような自由なあり方を今後の検討材料としてぜひ各省庁に検討していただければありがたいと思いますし、後ほどまた国の予算との関係でも申し上げたいと思いますが、その点の検討をお願いしておきたいと思います。
 さて、この知的財産というもの、知的資産というものを活用するためには、私は大学だけの問題では済まないと思うわけです。
 学者によりますと、一九八〇年代までは国際競争力のベースは高等学校の卒業者の資質の競争の段階だった、しかしこの高度情報化社会、IT革命によって、今や大学卒の人材をどのように活用していくかというものの競争の時代であって、その格差が今の日米の技術力格差に出ているんじゃないかと言う方もいらっしゃいます、学者の中で。
 しかし、私はそう思わないわけであります。大学を出て産業界につくあるいは研究をする方のやはりベースにあるのは、初等教育、中等教育というものがなくてあり得るはずはないと実は信じているわけであります。
 そういう意味で、我が国の将来の産業競争力をさらに中長期的な立場で強化していくためには、初等中等教育のあり方というものをもう少し根本的に見直してみる必要があるんじゃないだろうかというふうに感じている者の一人でございます。
 そういう意味でいろいろと調べてみますと、例えば小学校から高等学校までの日本の普通教育を見たときに、まず技術開発であるとか研究開発だとかいうものにつながる技術科という関係の科目、これが中学校だけにしか我が国の場合は存在をしていないわけです。諸外国を見てみますと、もう小学校時代からこれらのカリキュラムを取り上げているという現状にございます。したがいまして、根本的にこれは小学校時代からそういうカリキュラムになじませていくという教育を積み重ねていかなきゃならないのではないだろうかというふうに一つは考えているわけであります。
 また、中学校の授業時間の中で技術教育の実は占める割合を比較してみますと、諸外国、先進諸国は大体六%ぐらいあるわけでございますが、我が国の場合は三%程度しかないわけであります。ここにおいても既に優秀な大学卒業者を育てるための前段の教育の場で差が出てきているということを私どもは感ずるわけでありまして、そういう意味で文部省として初等中等教育のあり方を根本的に見直していくという気持ちはないかどうか、お伺いしたいと思います。
#110
○政務次官(小此木八郎君) 現在の学校の教育においては、生徒の発達段階に応じてそれぞれのみずからの創意を生かし、実際の作業を通して物づくりそのものへの関心を深めていこうということが私は念頭にあろうというふうに思っておりまして、それがまた非常に大切なことであるということも感じております。
 現在のところ、学校においては、例えば今おっしゃいましたように、小学校では図画工作、中学になると美術、技術・家庭、こういったもので物をつくる楽しさ等を教えているつもりでありますが、委員のおっしゃいましたように、もっと早い時期にそういうことをやるべきだということも、私もこれは関心を寄せていることの一つといたしまして、今は委員のおっしゃったことを検討させていただくという答えをさせていただきます。
 物づくりに関する学習の実施に当たっては、例えば地域の企業の技術者を学校に招いたりあるいは生徒たちが職場を見学する、こういうような体験的な活動の積極的な推進も現在図っているところでございまして、特に新しい学習指導要領においても、今度は総合的な学習の時間というものが創設をされますが、この中で物づくりなどの体験的な学習を積極的に展開することとして、今後とも、その物づくりという意味合いについて意識の中に深めてまいりたいというふうに思っております。
#111
○今泉昭君 もう一つ問題点として指摘したいのは、我が国の例えば高等学校卒業生あるいは大学の卒業生が企業に就職をいたします。そうすると、大変最近は簡単にやめてしまう傾向があるわけであります。現在のような大変な就職難の時代にはなかなかやめないだろうと思っていたら大間違いでありまして、こういうような厳しい就職難においても二、三カ月でぽっぽっとやめてしまう、離職学生が大変多いわけです。
 これは何を意味するかというふうにいたしますと、要するに学生時代から自分の職業適性能力というものに関する教育を受けていない、こういうことにあるんじゃないかと思うわけであります。我が国の教育の中心は何だかんだといいましても進学、いかにしていい大学にいい学校に進学をしていくかという進学中心の教育指導がなされているわけでありまして、みずからの人生の大半をゆだねる職業にどのようにみずからの資質を適合していくか、そこの中で自分の能力をいかに生かしていくかという形の教育が非常に少ないのではないだろうかと思うわけです。
 先ほど次官が言われましたように、現場のいろんな実態に接触してそれを身につけていくというインターンシップであるとか、いろいろな形での体験学習とでも申しましょうか、そういうものをもっともっとふやしていくということが大変重要なことではないだろうか。そういう積み重ねが結局は我が国の最高の知的資産の集まりである大学というものの力を産業競争力の意味で強めていくのではないだろうかというふうに考えているわけでございまして、この点についてはいかがでございましょうか。
#112
○政務次官(小此木八郎君) 委員が言われますように、高卒の就職した人の中で三年以内に離職する者の割合はこれまで三八%から四八%ぐらいの間で推移して、こういった関係のものがここ数年で増加をしている傾向にありまして、この要因としては、求人が少ない中で希望職種に就職できなかったことですとか、あるいは小規模な企業への就職が増加をしていること、あるいは自分の適職について十分考えないまま就職する傾向などが指摘されているところでございます。
 このため文部省は、生徒が主体的な職業選択の能力や高い職業意識を身につけることができるよう、先ほどお話ししましたが、高校生においてもインターンシップの機会を確保するために、労働省、通商産業省等の関係省庁から成るインターンシップの推進の連絡会議の設置、あるいは教育界、産業界の関係者が一堂に会したインターンシップ推進全国フォーラムの開催などのインターンシップ総合推進事業を進めているところでございます。
 先ほどは高校でなくて特に初等中等教育が非常に大事だということをおっしゃいましたが、文部省も、例えばある商店街にお願いをいたしまして、これは小学生あるいは中学生の場合ですが、商店街の中のいろいろなお店がありますが、例えばパン屋さんでその子を預かってもらって、もちろん希望する小学生がパン屋さんに行って、今の子供たちは言ってみればパンは買って食べることしか知らないけれども、どうやってパンができていくのか、あるいはそのパンを自分でつくってみて、どうしたらお客さんに買ってもらえるのか、買ってもらうときにお金をいただいておつりをお返しする、そしてその中で初めて味わったことのない感謝というものが本当の意味でわかったというようなことが間接的ではありますが私のところにも届いておりまして、こういった体験ができる環境というものを私たちも先ほどから申し上げているようにどんどんふやしていくことはこれから必要であるというふうに考えております。
#113
○今泉昭君 ものづくり基本法をつくるときにも、我が国の各省庁の縦割り行政のいろいろな弊害をいかにしてクリアしていくか、各省庁の協力体制をいかに強化をしながら日本全体として産業競争力をいかに強くしていくかということに実は工夫を凝らしたわけでございます。
 そういう意味でこの問題は、文部省だけの問題ではなくして、我が国の産業競争力を強めるという意味でも大変重要なことでございますから、そういう意味で各省庁がぜひ垣根を越えてこれらの問題について協力をし合っていただくことをお願いしておきたいと思います。
 続きまして、国の技術開発予算制度について少しお聞きをしたいと思うわけであります。
 この法律によりまして民間からの資金受け入れが円滑化されることは、先ほどからのお話でも私も確信をいたしました。これが現実の姿として実施されることを強く要望しているわけでございますが、国の予算による技術開発については、依然として実は予算の複数年度にわたる一括手当てというものは、これは許されていないわけですね。大蔵政務次官、そうですね。どうでしょうか。国の技術開発予算に関しては、民間からのものとは違って、これは許されていないわけですね。どうでしょうか。
#114
○政務次官(林芳正君) お答え申し上げます。
 国のそもそもの予算の方のお尋ねでございまして、いわゆる財政法におきます予算の単年度主義ということのお尋ねだと思いますが、これにおきましては憲法の規定がございまして、もう御存じのとおりだと思いますが、内閣は毎会計年度の予算を作成し国会に提出してその審議を受け議決を経なければならない、この原則がございますことはもう委員御承知のとおりでございます。
 実は私も委員のときにはこれを何遍も質問をしたことがあったわけでございますけれども、要するに、財政民主主義ということで、一年という単年度主義にいたしまして、将来の国会の意思を先に拘束をしてしまうということがどうかという非常に高度な憲法上の問題があるということからこういう原則があるというふうに理解をしておるところでございまして、したがいまして各年度の技術開発予算についても、中長期的な開発計画いろいろあるわけでございまして、こういうのを視野に入れながら予算措置を行っておるところでございます。
 また、執行面につきましても、予算の繰り越しという制度もございまして、そういうことをやっておりまして、後でお尋ねがあるかもしれませんが、今回も前総理が決定されましたミレニアムプロジェクトというのもこういうような趣意に沿いまして特段の予算配分を行っておるところでございますけれども、明確な実現目標の設定や複数年度にわたる実施のための年次計画等の明示というような点で非常に新しい試みも取り入れておるところでございます。
#115
○今泉昭君 確かにお答えいただきましたように、実はこの件につきましては我が党の同僚である木俣議員からさきの本会議におきまして質問をしているわけでございまして、これに対して宮澤大蔵大臣が答弁をされているわけです。この答弁の中では、研究開発予算制度の改善については「御指摘の趣旨は私も基本的に賛成でございます。」と、こういうふうに明確に答えられております。
 実は、ミレニアムプロジェクトにおきましては、単年度ではなくて、何年かの間にどのくらいの所要の予算を必要とするかということを踏まえていろいろと計画を、実現目標を設定しているということもあわせて言われているわけでございますが、これは憲法の規定上今すぐなくすということは大変難しいという枠組みの中で、こういう努力をされようと、ミレニアムプロジェクトにおいてはこういう一つの実施方法に穴をあけていこう、こういう意気込みがあるわけでございます。
 そういうことであるとするならば、例えば、特に我が国の場合の技術開発に関しましては、我が国の産業競争力を強める意味でも大変重要な今喫緊の課題の一つであるわけでございまして、我が国の科学技術の発展のために重点的な施策の一つとして、科学技術分野においてこのことをミレニアムプロジェクトと同じような形で実現を一つ一つしていこうという前向きな気持ちをお持ちであるかどうか、大蔵省にお尋ねしたいと思います。
#116
○政務次官(林芳正君) 今お尋ねがあった点でございまして、まさに大臣が木俣先生にお答えをしておるとおりでございまして、非常に重要なものでございまして、今委員がおっしゃったことは、既にミレニアムプロジェクトにもかなり技術開発ということは入っておるわけでございまして、かなり絞った形で入っておりますから、科学技術予算全体につきましても、科学技術基本計画というのもできておるようでございますし、そういうものを踏まえてやはり絞って重点的にやっていく。
 一方、先ほど申し上げましたような、委員もまさに今なぞらえましたような制約のもとで、いろんな知恵を出していくということは我々も一生懸命やってまいらなければならないと、こういうふうに考えておるところでございます。
#117
○今泉昭君 それでは、次の質問に移らせていただきます。もう時間がございませんので、もう一、二問程度になると思いますけれども。
 新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOでございますが、実はこの産業技術力強化法案におきましても、大学教官への研究助成制度の創設であるとか民間の応用技術開発への補助制度の導入などでNEDOを通じた助成金の交付を行うことになっているはずでございます。
 NEDOは産業技術の研究開発に平成十一年度で九百億円もの予算を実は計上していたということがございます。このNEDOの実は仕事というのが年々拡大をしていっているわけでございますが、このNEDOを通じて大量の予算を投じてきた研究開発事業というものがどのような成果を上げているのか、もし具体的にこういう一つの成果が上がっているよということが明らかであるならば、ちょっと紹介をしていただきたいと思います。
#118
○政務次官(細田博之君) ただいま今泉委員がおっしゃいましたように、NEDOは新エネルギーの開発に関して非常に多くの予算をつけてかつ成果を上げておるわけでございます。
 例えば、環境問題に対応するための太陽電池の技術開発では、低コストかつ大面積の太陽電池の製造技術を開発し、実際にその成果の一部を活用した新型太陽電池が生産されております。また、高度情報化社会において必要となる大容量の記憶媒体を開発するため、次世代の光ディスクの開発などに取り組んでおりまして、このような研究開発により今後の新市場の創出が期待されております。これは一例でございますけれども、最先端の技術研究をやっておるわけでございます。
   〔委員長退席、理事馳浩君着席〕
 さらに詳しくと申しますと、たくさんございますので、資料もございますので後ほど差し上げたいと思いますが、例えばそのほかにも、リサイクルに適した機能性薄膜の新規製造法と着色ガラスへの応用に関する研究開発ですとか、超音速輸送機推進システムの開発ですとか、あるいは遺伝子発現比較解析装置の開発ですとか、さまざまな研究開発を行って成果を上げているところでございます。
#119
○今泉昭君 そういう成果が着々と上がっているということは大いに結構なことでございまして、さらに大きな成果が出るように私どもは期待をしているわけでございますが、何せこのNEDOに対するいろいろな委託事業というんですか仕事の範囲が大変ふえているわけでありまして、それに伴いまして予算を使うのも大変多くなってきているわけであります。
 そういう意味で、このいろいろなプロジェクトをする際の資金配分というものをどう行っていくか、これは大変重要なことだろうと思うのであります。そういう意味で、これを内部で資金配分を行うのではなくして、この資金配分について内部ではなくて外部にその基準を設定してもらうとか審査をしてもらうということが大変重要な時期になってきつつあるのではないだろうかと思うんですが、この点についての御見解をちょっと聞かせていただきたい。
#120
○政務次官(細田博之君) 委員おっしゃいますように、そのことは大変大事でございます。NEDOの研究開発案件の採択に当たりましては、原則として一般に広く公募する方式を採用しております。また、その審査に当たりましては、大学、産業界の専門家などから成る中立的な外部審査委員会を設置いたしまして、公正かつ透明な審査を確保すべく努めているところであります。
 今後とも、官民癒着といったようなことを言われないように、研究開発案件の採択に当たりましては、外部評価をより積極的に活用することによりまして、公正かつ透明な審査に基づき研究開発テーマが採択されるように努めてまいる所存でございます。
#121
○今泉昭君 内閣からとそれから科学技術庁からも来ていただきまして、質問を用意していたわけでございますが、私に与えられた時間が過ぎてしまいましたので、大変申しわけありませんけれどもきょうは勘弁していただきます。
 同僚議員とかわります。
#122
○内藤正光君 民主党・新緑風会の内藤正光でございます。引き続き質問をさせていただきたいと思います。
 まず、我が国の現状について振り返ってみますと、技術水準はアメリカ、特にアメリカに大きなおくれをとり、IMDの総合評価では十六位といったような、国際的な競争力も大きく後退をしているわけでございます。
 なぜそうなってしまったのかと私なりに考えてみますと、我が国、日本は今まで他国から技術だとか製品を輸入して、そしてそれに改良を加えていく。つまり、よりよいものをより安くといったいわゆるプロセスイノベーションに大変な力点を置いてきた。
 ところが、最近私たちを取り巻くあるいはまた日本を取り巻く環境が大きく変わってきている。例えば、代表的なものでいえばバイオテクノロジーといったような、そういった新しい分野が大きく飛躍をしてきているわけでございますが、こういった分野では、いかに早く他国に先駆けて基本特許を押さえるか、これが勝負になってきていると。もっと端的なことを言うならば、二番手以降はもうけがかなり一番手に比べると少なくなっていってしまう。これが一つの大きな変化。
   〔理事馳浩君退席、委員長着席〕
 そしてまた、さらには製品個々のサイクルが年を追うごとに短くなってきていると。
 私が調べたところによりますと、十年前は、平均してなんですが、製品の平均寿命、つまり市場に出回っている寿命ということですが、売り物になる寿命ということなんですが、およそ十年前は十一・一年ぐらいだった。これが五年前になりますと、八・九年、二年縮まっていると。そして現在はどれぐらいかといいますと、八・一年。つまり、年を追うごとに市場に出回るようなそんな寿命が、製品サイクルがどんどん短くなってきている。
 こういったことを考えあわせますと、もうプロセスイノベーション、品質改良を通じてもうけを得ようということがなかなか難しくなってきているというふうに思います。
 私は、今後日本も、プロセスイノベーションも当然大事なんですが、それに加えて、新しい技術を生み出すような、新しい製品を生み出すようなプロダクトイノベーション、こういったものにも軸足を移していかなきゃいけない。
 これを実際に証明してきたのがアメリカだろうと思います。最近、アメリカは本当に目覚ましいほどに発展を遂げているわけなんですが、なぜそうなったのかといえば、大学から産業界へのダイナミックな技術移転が行われた。そしてそのことに加えて、事業化への取り組みもどんどん進めていった。早い話、プロダクトイノベーションを産と学が連携し合ってどんどん強化をしていった、進めていった。だからこそ、アメリカの経済は目覚ましいほどに発展を遂げていった。
 これのきっかけとなったのが何なのか。それは私は一九八〇年に成立をしたバイ・ドール法だったと思います。そして、このバイ・ドール法、名前から明らかなように民主党のバーチ・バイ議員とそして共和党のロバート・ドールさんが超党派でこの法案を成立させて、そして今日アメリカ経済の回復を実現させた。
 私は、これに見習って、そして日本の置かれた現下の厳しい状況を憂えながら、本法律案をより実効性のあるものにしていかなければならない、そういった立場で幾つか質問させていただきたいと思います。
 それで、質問なんですが、我が国の産業技術力を強化させるための一連の施策についてまず簡単に振り返ってみたいと思います。九八年のTLO法、そして九九年の日本版バイ・ドール条項、そして今回の法律案でございますが、私は、TLOがホップ・ステップ・ジャンプでいえばホップ、第一弾、そして日本版バイ・ドール条項がステップ、そして今回の法案がジャンプ、つまり第三弾というか完結編とも言うべきものなんだろうと思います。
 この今回の第三弾、ホップ、ステップ、ジャンプのこの今回の法案をより実効あらしめるためには、やはりまず第一弾のTLO法と第二弾の日本版バイ・ドール条項の実効性についてまず振り返ってそして調べてみることに私は大きな意味があると思いますので、まずTLOとそしてバイ・ドール条項について、それぞれ数点にわたって質問をさせていただきたいと思います。
 まず、通産大臣にお伺いをさせていただきたいと思います。これはTLOではないんですが、アメリカのベンチャーキャピタル、以前テレビでも見たりまた実際私は書籍等を通じていろいろ調べたんですが、ベンチャーキャピタルには博士号を取ったような人たちが大勢社員として雇われていて、専門的な知識、そういったものを持った人たちが絶えず大学だとか研究機関のいろいろな成果をウオッチをしている。そして事業化になりそうなものがあったらそれを、積極的に大学の先生のところまでアプローチをかけて、事業化をしてみませんかというふうにプッシュするわけなんです。大学の先生だけでは事業化に向けて何もほかはわからないと思いますから、じゃほかの経営に関するいろんなことはお手伝いしましょうということでいろいろもう手助けしてあげるわけなんです。私はTLOもやはり絶えず大学等の研究成果を積極的にウオッチし、そして発掘していくような姿勢が必要なんだろうと思います。
 そこで、お伺いしたいのは、今幾つか日本にもTLOというのは設立されているかと思いますが、そういった体制が本当に整備されているのかどうか、お伺いをしたいと思います。
#123
○国務大臣(深谷隆司君) 御案内のように、我が国のTLOは全国で今十の技術移転機関というので承認をしているところでございます。
 今御指摘のありましたように、アメリカでは博士号を持ったような人たちが大学の研究成果を踏まえて積極的にさらに新たなものをつくり出していこう、生み出していこうということで努力をしているようでありますが、まだ残念ながら日本の場合にはそこまで行っていないというふうに言わざるを得ないと思います。
 ただ、これから技術を周知した専門家が常に大学の研究現場を訪問して新たな技術のいろいろな開発に努力していくということはもう当然のことでありまして、その意味では、あらかじめ企業のニーズを踏まえた人々がその効果を一層高めていくような工夫などもしていかなければならないというふうに思います。
 通産省といたしましては、特許流通の専門家を派遣する特許流通アドバイザー派遣事業を活用して技術移転機関の活動を現在は支援しております。現在は十七人の専門家が技術移転機関に派遣されております。私どもは、こうした支援措置も十二分に活用しながら、それぞれの技術移転機関の努力で具体的な成果の移転ができるように、大いにひとつ諸外国の例も見習いながら努力をしていきたいと思います。
#124
○内藤正光君 ということは、現状努力はしているけれども、現状がまだ百点とは言えない。さらに、私が先ほど申し上げたような方向に向かって通産省としても努力をしていくというような決意だというふうに理解してよろしいですね。
#125
○国務大臣(深谷隆司君) おっしゃるとおりでありまして、積極的に今委員の御指摘のような方向で努力をしていきたいと思います。
#126
○内藤正光君 平成十年の科学技術庁の調査が私の手元にあるんですが、これはどういう調査かといいますと、一項目なんですが、民間企業が大学だとか国立研究所等の研究成果を入手しようとした際の問題点は何か、そういった調査でございますが、五八・三%もの回答者が利用しやすい形で情報が公開されていないだとか、あるいはまた四三・九%もの方が研究情報の発信源が不明だとか、研究所のいろいろなその成果を見ようと思ったらいろいろ問題点があるということを不満として掲げられております。私はこれは大学の成果の事業化を進めるためには大変大きな問題なんだろうと思います。これを改善していくのもTLOの役割ではないのかなと私は思うんですが、具体的な対応はとってきているのかどうか、お尋ねしたいと思います。
#127
○政務次官(茂木敏充君) 内藤委員御指摘のとおり、科学技術庁の調査によりますと、大学の研究成果の情報を入手する際の問題点として、利用しやすい形で情報が公開されていない、それから研究情報の発信源が不明、これがいずれも非常に高くて、それ以下は十数%でありますから、御指摘のとおりであります。
 さて、そこの中におきまして、大学の研究成果を扱っていきますこのTLOも、ホームページであったりとか会報等さまざまな手段によりまして研究情報の提供を行っております。しかし、これが単に論文を丸写ししたりとか表題だけであったりとか、項目、テーマ等を紹介するだけでは意味がありませんので、まさに委員御指摘のとおり使い勝手のいい情報にしていく。そのために、専門家が発明者と相談をしつつ、技術内容をしっかりとそしゃくをいたしまして、企業が利用しやすい形でまとめ直して提供する等の工夫を行っているところであります。また、個別の技術相談にも応じております。さらに、大学の研究者によります例えば講演会であったりとか研究者との交流会のように、企業と研究者が直接触れ合う場を設定したり、大学との共同研究のあっせん活動を行うなど、企業にとって大学の敷居の高さをできるだけ低くしていく、こういった活動をTLOにおきましても展開をいたしているところであります。
#128
○内藤正光君 次に、TLO同士の連携についてお尋ねをしたいと思います。
 御存じだろうとは思いますが、アメリカにはAUTM、どういう意味かといいますと、アソシエーション・オブ・ユニバーシティー・テクノロジー・マネジャーズという組織が二十五年前、七四年ですか設立をされまして、技術移転活動に関する情報提供を初め、年次総会の開催だとか、あるいは技術移転マニュアルの作成、あるいはさらには人材の育成等々の活動をしております。こういったことを通じてTLO同士の連携を深めているということです。
 なぜそういうことをやっているのかというと、TLOというのは大学にくくりつけの組織ですから、このまま放置しておくとやはりどうしても縦割りになってしまう。相乗効果が生まれなくなってしまう。その相乗効果をつくり上げるためにこういった組織、AUTMが設立をされたわけなんです。
 翻って我が国はどうかといえば、二年前に法案が通過をして、まだ早いのかなという意見もあるかと思いますが、日本は一日も早くアメリカに技術力の面で追いついて、そしてさらにはまたリードをしていく気合いでいかなきゃいけない、やはり私はそんなにゆっくりはしていられないんだろうと思います。そういった意味で、我が国においてもこういったTLO間の連携を図るようなそんな組織を一日も早く設立すべきではないかと思いますが、大臣のお考えをお伺いさせていただきます。
#129
○国務大臣(深谷隆司君) アメリカでは一九七四年にそれぞれ個々の会員たちが横の連絡をとって、いわばTLO連合体といったような組織をこしらえたのであります。大学技術管理者協会、AUTMでございます。この設立以降、技術移転活動についての情報の交換であるとかあるいは研修などが実施されて活動全体が活性化したという、そういう評価が得られております。
 日本の場合でも、当然でありますが、研究成果の活用の促進を図るためには、TLOが個々に蓄積しているような、そういう技術だとかノウハウに関する情報の交換、あるいは互いに補完し合うということが非常に大事でございまして、これは委員御指摘の点私は全く同感であります。
 そこで我が国といたしましては、これらのアメリカの状況などを参考にしながら、連携組織の設立に向けて本年の一月から技術移転機関関係者を中心とした検討が既に始められておりますので、できる限り早い期間にこの連合体といいましょうか、横のつながりの会を発足させていきたいと考えます。
#130
○内藤正光君 本年の一月から検討が始まり、それでできる限り早く設立ということで、ではその方向でひとつよろしくお願いをいたします。
 では、続きまして、日本版のバイ・ドール条項について一点お伺いをさせていただきます。
 このバイ・ドール条項、国の資金によって行われる委託研究開発から生まれる知的所有権、財産権、これらが一〇〇%受託者に帰属できる、正確に言えば産業活力再生特別措置法三十条でこうあるわけです、「その特許権等を受託者から譲り受けないことができる。」と。あくまでできるということであって、最終的な判断はそれぞれ所管の大臣の判断にゆだねられるわけでございます。
 省庁といえば、通産あり、郵政あり、科技庁あり、文部省ありといろいろあるわけですが、そこで各省庁のこの取り組みの濃淡についてちょっと知りたいと思っておりましてお尋ねするわけなんですが、各省庁、通産から始まり郵政、科技そして文部、この順でお願いをしたいわけなんですが、このバイ・ドール条項の適用についての判断基準をお尋ねしたい。そしてさらに、既に適用しているような事例があれば、その件数と契約総額についてお答えいただきたいと思います。
#131
○政務次官(茂木敏充君) 前段の部分も含めて総括的にまずお答え申し上げたいと思うんですが、委員冒頭お話しいただきましたように、アメリカで一九八〇年にバイ・ドール法ができた。バイオの分野での御指摘もございましたけれども、例えばバイオの分野で申し上げますと、基礎研究と応用、実用化というのはかなり隣接をしてきておりまして、特許をとっていく、こういうことが企業戦略上からも大変重要になってくる。こんな意味も含めまして、日本におきましても九九年に日本版のバイ・ドール条項を盛り込みました産業活力再生特別措置法、これをつくらせていただいたわけであります。
 そして、この産業活力再生特別措置法は昨年の十月に施行されたわけでありますが、通産省といたしましては、原則として当省からの委託研究すべてに日本版バイ・ドール条項を適用しております。本年二月末日現在で総額二千百五十億円、契約件数で九百六十六件の適用実績を上げているところであります。
 これが特許の面でどこまで行っているかといいますと、通産省関係で申し上げますと、日本版バイ・ドール規定を適用した研究開発から既に特許出願された件数が本年の四月十一日現在で百四件ございます。このような成果、実績を上げているところでございます。
 通産省といたしましても、本制度の重要性にかんがみまして、今後ともその着実な実施に努めてまいりたいと思っております。
#132
○政務次官(前田正君) 先生御指摘の郵政省でございますが、本条項は企業などでの研究開発とかあるいはその実用化を活性化させまして、新たな製品だとかサービスの提供につながるものといった効果をもたらすものでございまして、特に我が情報通信分野につきましては経済や社会に与える影響が非常に大きいことから、積極的にその適用を考えておるところでございます。
 そして、判断基準ということでございますが、私どもその判断基準はやはり法に規定する条件を受託者が受け入れる限り原則的に適用してまいりたいと考えております。
 そして、適用実績についてでございますけれども、民間企業を対象とした委託費による研究開発はありませんで、したがって適用できるものはございませんでした。なお、今後該当するものがありましたら、積極的に適用してまいりたいと考えております。
 また、国が資金を提供して委託研究開発を行っている法人への適用実績でございますが、郵政省所管の認可法人として通信放送機構というものがございます。通信放送機構は通信放送分野の先導的な研究開発を行いまして、基礎研究から応用研究への橋渡しを行っておるところでございます。この機構への適用については関係省庁と調整を進めてきておるところでございまして、整い次第適用していきたいと考えております。
 郵政省としても、この日本版バイ・ドール条項についての効果が上がるように今後とも努力をしてまいりたいと考えております。
 以上です。
#133
○政務次官(斉藤鉄夫君) 科学技術庁に計上されております委託費のうち、産学官の研究開発を促進するための制度として科学技術振興調整費がございます。この科学技術振興調整費におきましては、参加研究機関のポテンシャルを最大限に引き出すとの観点に立って、既にこのバイ・ドール条項の法律の適用のために規定類をすべて変更を行い終えたところでございます。ただし、本法は平成十一年度途中に施行されたものであるため、現時点においては受託者が特許権等を保有することになった実績はまだございません。
 また、基準でございますが、受託者からの申し出によりまして個々別々に検討するということになっております。
#134
○政務次官(小此木八郎君) 内藤委員の御質問に関連する文部省関係の委託研究といたしましては、未来開拓学術研究推進事業というものがありますが、今後同法律を適用するかどうかについては、この事業が国民の知的資産を蓄積するためのものであるという趣旨を十分に踏まえる必要がありまして、現在同事業を実施する日本学術振興会と今後の取り扱いを慎重に検討しておるところでございます。
 なお、その際の判断基準といたしましては、その一つとしまして知的資産の形成を図るという事業本来の性格や目的、二つといたしまして他省庁の類似の委託研究事業との整合性等が判断要素となるものと考えられます。
#135
○内藤正光君 科技の斉藤政務次官にお尋ねしたいんですが、受託者の申し出に基づいて個々に判断をするということなんですが、だれが見ても明らかな何か判断基準というのはないんですか、用意されていないんですか。
#136
○政務次官(斉藤鉄夫君) 科学技術庁の場合、国立研究所がございますけれども、非常に基礎的な研究が多うございます。そういう意味で、すべての研究に一律的に適用できる、そういう基準というのは今のところ明文化されたものはございません。
 しかし、このバイ・ドール規定の適用がこれからどんどんふえるように積極的に一つ一つの案件を見ていく、こういうことになっております。
#137
○内藤正光君 小此木政務次官にお尋ねしますが、慎重に進めるということなんですが、聞いてみますと通産、郵政はもう既にいろいろ取り組みを進めているということなんですが、もう現段階で慎重に検討を進めるという段階ではないのかなという気がするんですが、判断基準にしても何にしても。ちょっと取り組みが遅いんじゃないかなという気がしてならないんですが、いかがですか。
#138
○政務次官(小此木八郎君) 私自身も、今検討を進めている中でそういったことも深く判断をしながら、また別の機会にお答えさせていただきたいと思います。
#139
○内藤正光君 では、私もまた間を置いて、差しかえでこの委員会でこの問題を取り上げさせていただきます。あしたとかあさってとか言いませんが、何カ月間か間を置いてまた取り組み状況についてお伺いをさせていただきます。そのときには、ちゃんとこういうふうな取り組みができているという具体的なものをお答えいただければと思いますが、斉藤政務次官に小此木政務次官、よろしいでしょうか。
#140
○政務次官(斉藤鉄夫君) 科技庁としてもこのバイ・ドール規定の実績が上がるように積極的に取り組んでまいります。
#141
○政務次官(小此木八郎君) 積極的に取りかかることについては私どもも力を入れていきたいと思います。
#142
○内藤正光君 これで郵政並びに科技につきましては終わりました。どうも御苦労さまでございます。
 では続きまして、今回の法案について質問をさせていただきます。
 まず、兼業規定についてお尋ねしたいと思います。
 私、これいろいろ質問させていただこうと思ったんですが、もう既に自民党同僚議員の方から出てしまったんですが、しかし私もあるいはまた民主党・新緑風会としても大変これは興味を持って、関心を持って取り組んできたことでありますので、重複にはなりますが再度お伺いをさせていただきます。
 兼業のための休職は認めるという、もう決定したというふうな理解でよろしいですか。
#143
○政府参考人(市川惇信君) 今回の役員兼業に関しましては、例えばベンチャー企業を立ち上げるときなど極めて一定の期間多忙であることが考えられるわけでございまして、そのようなときに、本務である大学教官あるいは研究職の任務を一時免除いたしまして兼業している業務に専心するという機会をつくることが連絡会議において決まっておりますので、人事院といたしましては、その方向に向けまして、今、他の休職との整合性あるいは休職の要件、手続等を検討しているところでございます。
#144
○内藤正光君 その休職の期間についてどれぐらいを考えていらっしゃるのでしょうか。
#145
○政府参考人(市川惇信君) まず三年を限度といたしまして所轄の長の許可が出て、したがってそれに従いまして人事院も判断することになるかと思います。
 ただ、三年を超えて休職が必要な場合におきましては、その特別な事情について人事院が判断をいたしましてさらに延長することもあるということでございます。
#146
○内藤正光君 各個別の事例については人事院が独自で審査をする、調査をするということなんですが、この審査に要する時間とか何かはあるんですか。
#147
○政府参考人(市川惇信君) 休職に関しましては所轄の長からの御申請があるわけでございまして、したがいまして、それを受けまして人事院として判断をするわけでございますが、個々の事例によりましてその長さはいろいろになるかと思いますけれども、所轄庁からの御申請が書類的あるいは内容的に整備されておりますときにはかなり短い期間において判断できる、こう考えております。
#148
○内藤正光君 そのことについてはまたちょっと後から具体的にいろいろお伺いをさせていただきたいんですが、続きまして、役員兼業と非役員兼業についてお伺いをさせていただきたいんです。
 アメリカの州立大学について見ますと、もともと歴史的に産業大学から発展をしてきたということもございまして、兼業制限に関しては両者にはアメリカの大学については差異が見当たらない。ついでに言えば、ともに二割まで兼業への時間を割くということも許されているわけなんですが、それはちょっと今回はさておき、ところが、じゃ日本ではどうなっているのか。
 非役員兼業について言えば、国家公務員法第百四条でいろいろこのことが述べられているんですが、まず内閣総理大臣、実質的には総務庁と文部大臣の許可が必要だと。ところが、非役員兼業については審査も比較的スムーズだというふうに聞いております。当然その辺のことも調べていらっしゃるでしょうからお伺いしますが、この非役員兼業について年間どれぐらいの事例があるのか御存じなのか。
 あるいはまた、これは事前に通告しておりませんのでもしわかったらで結構なんですが、申請から許可までの平均的な期間を御存じでしょうか。もしわかったら答えてください。
#149
○政府参考人(市川惇信君) 文部省の把握しております数字につきましては、私どもは現在のところ手元の資料としてはございませんので、また……
#150
○内藤正光君 わからなかったら結構です。
 私もきょう調べました。そうしたら、平成十年の実績なんですが、何と年間三万九千五百十二件の事例がある。そして、基本的にはそれらの事例、総務庁と文部省とが審査するとは言いつつも、大半の事例については各省庁にゆだねられている、文部省なり各省庁に。一部分、ハイクラスなものについてだけは総務庁が審査をする。総務庁が手がけたものはこの三万九千件のうち百七十四件だということなんですが、この百七十四件に関しての総務庁の審査期間は二週間だということなんです。
 小此木政務次官にお伺いしますが、非役員兼業に関して文部省の審査期間はどれぐらいでしょうか。
#151
○政務次官(小此木八郎君) 大学内部でおおむね二週間から一カ月程度、あるいは文部省、総務庁についておおむね三週間から一カ月程度ということを聞いております。
#152
○内藤正光君 ということは、両省合わせても一カ月そこそこということになろうかと思いますが、一方、営利企業の役員兼業、今回がまさにそれにかかわる法案なんですが、これは国家公務員法百三条に規定されている。百三条では原則禁止となっている。ところが、例外的に自分の研究成果を事業化するときに限って認めるということになっているわけなんですが、今回の場合はちょっと審査の手順が違っていまして、総務庁ではなくて文部大臣の申し出に基づき人事院で承認をするということになっている。総務庁ではなくて人事院になっている。
 そこで、私はお尋ねしたいのは、先ほど明らかになったように、非役員の兼業については審査は大体一カ月そこそこだということなんですが、これを踏まえて、私は今回の法案の趣旨にかんがみて役員兼業についても柔軟に対応すべきと考えますが、人事院のお考え、御所見をお尋ねします。
#153
○政府参考人(市川惇信君) 今回の役員兼業に関しましては、先生御指摘のように、百三条三項によって行われますので、人事院の承認を得るという形になっております。
 その承認の基準等、手続等というのは、これは人事院が承認いたしますものですから、人事院規則で定めることになっております。その中で、承認の基準に相当するところを申し上げますと、第一が今先生がおっしゃいましたような本人の研究成果の事業化、二番目といたしましては、大学教官等の職務とそれからその営利企業における関係でございますけれども、そこに契約とか物品調達などの特別な関係がないこと、三番目といたしまして、これは当然のことでございますが、大学教官としての職務の遂行に支障を来さないことという、この三つが並んでおりまして、これに基づいて人事院は判断をすることになるかと思います。
 一方、御指摘のありました百四条に基づきます承認でございますが、これは御指摘のように総務庁が所管しておりますけれども、それも大体視点といたしましては三つの視点がございまして、二番目の視点、すなわち兼業先と特別な関係がないという点、それから三番目といたしまして、大学教官の職務に支障がないというその点については事実上同じでございまして、異なるところは一番目のところでございます。
 百四条の場合には、研究開発とかあるいは研究開発にかかわる技術指導さらには教育指導などという形でその兼業に一定の公益性が存在する場合に承認する、こういうことになっております。それに対しまして、役員兼業の場合の第一番目というのは、その先生があるいはその研究者がみずからの研究成果として出てきたものを事業化する、こういうことになっております。したがいまして、そこにずれがあることが御理解いただけると思います。
 すなわち、ある意味では役員兼業の方が狭くなっております。それは、百四条の場合には技術開発、研究開発というふうに広い形でございますけれども、百三条の場合には本人の研究成果という形で狭くなっております。
 一方において、また広くなっているところがございます。それは、百四条の場合には研究開発あるいは技術指導でございまして、営業にわたることは許されておりません。ところが、百三条の場合には、これは役員でございますから、その営利企業の経営に対しての意思決定ができる立場にございます。そこのところは広くなっております。そういう出入りがございますので、そこのところの判断すべき基準及びその判断にかかる時間は若干違ってくることになるかと思います。
 しかしながら、人事院といたしましては、所轄の庁から、すなわち大学であれば文部省から、国立試験研究機関であればそれを所轄なさっている省庁の長から御申請があった後は可及的早く、恐らく、これはやってみないとわからない部分がかなりございますのですが、少なくとも一カ月以内にはできるものかというふうに考えております。
#154
○内藤正光君 人事院の審査については、今やってみなければわからないということなんですが、一カ月ぐらいでやると。
 そこで、さらにちょっと違った角度からお伺いしたいんです。これは人事院と文部省にお伺いをさせていただきたいんですが、この審査に関してそれぞれ何をチェックするのか。具体的な内容はちょっと時間もないのでお答えいただかなくて結構なんですが、両者の間でそのチェック事項についての整理はついているんでしょうか、つまり重複なきよう。
 それぞれ、どちらからでも、両方お願いします。
#155
○政府参考人(市川惇信君) 承認の基準といたしまして、先ほど申し上げました三つの視点がございます。そのうち、申請いたしました大学教官等を直接所轄なさっている例えば大学とか試験研究機関でないと正確なことが把握できないものがございます。例えば、それが本人の御発明であるかどうかとか、あるいは兼業先と大学の業務との間に特別な関係があるかどうか、そこに関しましては大学等の御判断並びに所轄官庁の御判断を受けまして私どもとしては判断するという形になりますので、人事院といたしましてはそういう意味の総合的な判断をいたしまして、そういう個別の点といいますものが所轄庁及びその下の大学等の御判断になるかと思います。
#156
○政務次官(小此木八郎君) 現在、人事院では、職務専念義務の確保ですとか、あるいは職務の公正性の確保、あるいは公務の信用の確保などの観点から、その承認基準を人事院規則において定めることとしており、そのための検討を進めているところでありまして、規則制定後の具体的な手続といたしましては、まず私たち文部省において、教官の勤務時間や職務を管理監督している各大学からの申請を踏まえて、教官が行うこととしている兼業が人事院規則に定める承認基準に照らしてこれが妥当であるか事前に審査をして人事院に申し出を行うこととなります。それを踏まえ、人事院が当該兼業を認められるかどうかを判断するということになりまして、いずれにせよ、適正かつ迅速な審査を行いながらも、時間がかかり過ぎることのないようには努めてまいりたいと思います。
#157
○内藤正光君 時間も大分迫ってきましたので手短にお願いしたいんですが、まず両者の間でこの辺の整合性を図るべく協議の場が持たれたかどうかというのが一点。
 そしてもう一点は、先ほど人事院は審議期間は一カ月とおっしゃいましたが、文部省は大体今回の場合どれぐらいだというふうに想定されているのか、お尋ねします。
#158
○政府参考人(市川惇信君) 二つの点で文部省との間で調整しながら進めております。
 一つは承認基準でございまして、人事院といたしましては、その基準が先ほど申しましたような形で整合的かどうかということを設定いたしまして、それに対しまして文部省を含め各省庁の御意見を賜りながら調整するという形でやっております。
 それから、その具体的な進め方に関しましても、それを実体化する上で調整をさせていただいております。
#159
○政務次官(小此木八郎君) 政府といたしましては、これからも緊密に連携をとってまいりたいと思いますし、あるいは期間の話をいたしまして、先ほど私がお答えを申し上げましたが、一カ月程度と委員おっしゃいましたけれども、あくまでも今私がお答えをした、大学内部、文部省、総務庁の時間帯を参考にしながら、これは迅速に行ってまいりたいということですから、明確にこの期間を言うことはできませんけれども、迅速にこれは対応してまいりたいということでお答えをさせていただきたいと思います。
#160
○内藤正光君 私は、今回は学内の調査、そして文部省の審査、そして人事院の審査ということがあるんですが、大学の先生にとってはやっぱり最初の申請から許可がおりるまでのこの期間が大事なんですね。これが余りにも長いと、今回の法案の趣旨が生かされないばかりか、それぞれ企業側も後ろ向きになってしまう、産学連携に。大学の先生も、こんなに時間がかかるんだったら、面倒くさいものだったらということで後ろ向きになってしまう。私はそういうことがあってはならないんだろうと思います。
 ですから、私は、両者が緊密な連携をとり合って、お互い重複なきよう審査項目についても話し合い、そして、いいかげんにせよということじゃないんです、ちゃんと審査すべきことはしっかり審査しながらも、重複がなきようしっかりと話し合いの場を設ける。そして、エンド・ツー・エンドのこの審査期間、私は長くとも一カ月半とか、これぐらいにおさめられるようにしていただかなければ、あるいは長くても二カ月。三カ月も四カ月もかかっていちゃこれだめだと思うんですよね。
 そういった協議の場を持っていただきたいんですが、両方から前向きな答弁をいただきたいんですが。
#161
○政府参考人(市川惇信君) 審査の迅速化にかかわりましては、私は二つの点が重要であると考えております。
 一つは、人事院が定めます承認の基準というものを極めて明確にいたしまして、大学等における御判断あるいは所轄の省庁等における御判断が短時間にできるような形にしていくということがまず重要かと思います。そうした上で、少なくとも人事院といたしましては審査の手続を簡単にいたしまして、先ほどの意味で、明確な承認基準の上でなされました各大学等及び所轄庁での御判断、これを尊重いたしまして進めてまいりたい、こういうふうに考えております。当然、その過程におきまして所轄の官庁との間で調整をすることは申すまでもございません。
#162
○政務次官(小此木八郎君) 文部省といたしましても、やっぱり大学というものに責任ある立場から、審査というものは適正にしていかなければならないというふうに思いますが、先ほどからも議論がありますように、その審査の公正さといいますか、あるいは迅速さ、スピードアップということにつきましては、人事院とも連携を密にしながら、今後とも前向きに検討をさせていただきたい、こういうふうに思っております。
#163
○内藤正光君 この件につきましても、またしばらく間を置きまして、いろいろその検討結果なりをお尋ねさせていただきたいと思います。
 続きまして、特許権についてお尋ねをしたいと思うんですが、今回の法案を効果あらしめるためにはやはり大学から積極的に特許権が取得されなければならないということなんです。ところが、日米の大学の特許出願数を比較してみますと、九七年ベースなんですが、アメリカの大学が三千六百四十四件のところ、日本は格段に少なくて百七件。恐らく、いや日本の大学は八割のケースについては個人に帰属するから少ないんだとおっしゃるかもしれませんが、それにしてもこの百七件と三千六百四十四件、差があり過ぎるわけなんです。
 ところが、日本全体で特許の出願数を見てみますと、日本もそんなにアメリカに大きくおくれをとるようなことにはなっていないんです。そんな中、日本とアメリカの大学のこの差というのは異常と言わざるを得ないんですが、何でこんな差がついてしまっているのか。この原因についての文部省の分析と、そしてそれに対する何か具体的な対応をお考えでしたらば、ちょっと端的に数分でお答えいただきたいんですが。
#164
○政務次官(小此木八郎君) 委員がおっしゃいましたように、大学における研究成果による発明は年々増加しておりますが、今おっしゃった数字とともに、国立大学についていえば、平成十年度で一千五十九件になっております。ただ、国立大学では、教官個人にインセンティブを与えるため、特許は原則個人有としており、実態としても約八割が個人に帰属しておるのが今のおっしゃった点でございますが、国が承継しているものは約二割、少なく感じられるものと思われます。これら個人有のものは企業に譲渡されるなどして実際にはかなりのものが活用されているものと推測をしております。
 もとより、大学等における研究成果が特許などの形で広く社会に還元され、活用されることは極めて重要なことと認識をしているところでもあります。このため、従来からさまざまな条件整備に努めており、特許化や社会での活用を促進するため、科学技術庁所管の科学技術振興事業団を通じて特許の取得と事業化を図っているほか、一昨年に成立したいわゆるTLO法に基づき、大学教員の研究成果の特許化や企業への移転を行うTLOの設立を支援しており、これまでに十機関が設立され、各地で次々に活動が開始されているところでもあります。このほか、国公私立大学教職員の特許マインドを涵養するためのセミナーを開催するとともに、国立大学教員のTLOの役員兼業にも道を開いたところでもあります。
 また、ただいま御審議いただいている産業技術力強化法案で特許料等の軽減措置、TLOに対する国立大学等の施設の無償使用措置、こういったことが盛り込まれているところでありまして、今後とも関係省庁と協力しながら大学教員の特許取得やその実用化の支援に努めてまいりたいと考えます。
#165
○内藤正光君 時間もありませんが、あと二問質問させていただきたいと思っておりますので、文部省そして通産省ですが、お願いをいたします。
 まず、小此木政務次官にお尋ねをしたいと思うんですが、TLO、バイ・ドール、そして今回の法案と、これらの目指すところは、やはり一つには産業競争力の強化というのがあるんですが、それに加えて、やはり大学そのものも活性化させるという理由があるわけなんです。
 そこで、大学の所管官庁である文部省に大学の将来ビジョンについてお尋ねしたいわけなんですが、その前にアメリカの大学についてちょっと見てみますと、大学の持つ知的財産権から上がる資金をかなり大学の運営資金としているんですね。例えば、具体的に例を挙げますと、スタンフォード大学、これは私立なんですが、収入が年間十七億ドルのうち何と四〇%もの収入が委託研究から上がっていると。サンノゼ州立大学については二・六億ドルの収入のうち一二%もの収入が実は委託研究から上がっていると。
 私は、こういった大学と社会のニーズとが結びついて、これが結果としては大学の活性化につながっていくものだと思うんです。対して、その運営資金の大半を国からの補助だとかそういったものにいつまでも頼っているようじゃ、日本の大学はいつまでたっても活性化しないんだろうと思うんです。
 そこでちょっとお尋ねしたいんですが、まだ今独立行政法人についてもいろいろ議論されているかと思うんですが、今回の一連のTLO、バイ・ドール、そして産業技術力強化法案、成立したらの話なんですが、こういった一連の施策を踏まえて大学の将来像をどのように考えているのか、お答えいただけますでしょうか。
#166
○政務次官(小此木八郎君) もとより大学というのは教育研究という機能のほか、各種の社会貢献という重要な役割を持っているということは認識をしておりまして、その中でここでも議論がされている産学連携というものは、大学がその研究成果を社会全体に還元する有効なシステムであり、大学に対する国民の理解と支援を得るという観点からも重要であるというふうに考えます。
 今後、各大学が産学連携の推進を含め、世界的水準の教育研究の展開を目指して不断の向上を図り、切磋琢磨し合いながらそれぞれが個性が輝く大学として一層発展していくことが望ましいと考えております。
 文部省といたしましても、今後ともそのための諸制度の改善、充実や関係予算の拡充など環境整備に努めてまいりたいと思います。
#167
○内藤正光君 本当はもうちょっとそれについては深く掘り下げて聞いてみたいんですが、時間もありません。
 最後に、通産大臣にお尋ねをさせていただきたいと思います。私は個人的には本法案の一日も早い施行が我が国の産業競争力の再生につながるものだと思っております。そういった認識のもと、深谷通産大臣にお尋ねをさせていただきますが、御存じのように株主総会は六月下旬にその多くは開催をされるわけなんです。仮に、きょう成立してあしたの本会議で成立したとしても、いろいろな事務的な手続を考えますと、日程的にはかなり厳しいものがあるんだろうと私は思います。
 そこで、もしこの六月下旬の株主総会を逃したら、もしこの法案の成立を踏まえていろいろ大学から役員に先生を迎えようと考えているような企業があったとしても、今回の株主総会を逃してしまうと来年の株主総会になってしまうわけなんですが、私は現下の日本の置かれた状況を考えてみますと、そんな悠長なことは言っていられないと。やっぱり何としてもことしの六月末の株主総会にかけて早速これを実行あらしめなきゃいけないと思っているわけなんです。
 そこで、通産大臣のリーダーシップをお願いしたいわけなんです。もしきょう成立したらの話なんですが、そしてあすの本会議で成立したらの話なんですが、ことしの六月末の株主総会に間に合うようにいろいろな諸般の手続を進めていただきたいと思いますが、大臣の決意をお尋ねさせていただきたいと思います。
#168
○国務大臣(深谷隆司君) 内藤委員の熱心な御要望については大変大事なものとして受けとめさせていただきます。
 我が国の研究者、研究資金の多くが国立大学あるいは国立研究所に集まっている現状を見ますと、我が国の競争力の強化にとってとにかく一刻も早い役員兼業といったような規制緩和が必要なことだというふうに考えます。
 私としては、この法律の施行について、もちろん今おっしゃったように本法案を国会で成立させていただくということが大前提でございますけれども、成立をいたしましたら間髪を入れず諸手続がどんどん進んで大幅な短縮ができるようにひとつ頑張ってみたいというふうに思います。
 相当タイトでございまして、例えばこれを連休前にはやらなきゃならぬということになれば、人事院の承認期限は五月中旬ぐらい、役員候補者の指名は同じ五月中旬、株主総会招集通知の印刷、そこに名前を入れるものですから、これらの期限、あるいは株主総会が六月と考えると、それまでに全部間に合わすということになってまいります。
 そうなると、余り具体的なことを発表するわけにいきませんが、質疑、採択をしていただき、本会議で議了していただき、関係政令、事務次官等の会議を行い、その関係政令を閣議で決定し、産業技術力強化法及び関係政令の公布そして施行と、ここまでを少なくとも四月のそんなに遅くならぬうちまでにやらなきゃいかぬですから、これは相当な腕っ節の強いやり方でいかないとできないかと思いますが、全力を挙げて頑張ってみたいと思っていますから、どうぞ御協力をお願いします。
#169
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 私は、四月四日、前回の委員会におきまして有珠山の問題について質疑をいたしております。そのときに大臣にもお聞きいたしました。大臣の決意といたしましては、今後とも地元の被害の状況を踏まえながら追加的な支援策について引き続き検討してまいりたいという御答弁をいただいてございます。早速、四月九日に通産大臣は北海道の方に行っていただき、追加的な政策についても御発表なされたということを聞いておりまして、そういった意味では非常に地元にいる私にとりましても心から感謝を申し上げたいと思います。
 それで、前回、中小企業指導法の関係でございますけれども、それの補足的な質問についてさせていただきたいと思います。私もワンストップサービスの関係については何とか成功してほしいというふうに思っておりまして、そういった視点から前回に重ねて質問をしたいと思っております。
 その指導法の改正や、あるいは新事業創出促進法の改正ですか、そういった面から考えていきますと、地域中小企業支援や地域産業支援、こういったものは都道府県の中小企業支援センターあるいは地域プラットフォームの制度、そういったものが中核になって行うことになったというふうに私は理解しているわけです。そして、その地域プラットフォームの中心的な支援窓口を都道府県等中小企業支援センターとするケースも相当程度想定される、そういうふうに伺っているわけであります。
 もともと違う概念であるにもかかわらず、機能的には相当程度重複する部分がある、そういった両制度であるというふうに私は理解しておりますけれども、ただ企業の使い勝手の観点からも、やはりむだを省く観点からも、そういった意味では重複する部分についてはなるべく補っていくということは非常に私はいいと思っておるわけであります。今後、こうした支援機関を通じて技術開発あるいは公的支援がスムーズにと期待するわけであります。
 ただ一方で、一つには当該都道府県や関係支援機関の意欲や能力、そういった面にばらつきが予想されるということも考えられますし、あるいは中小企業の多様なニーズに応じた支援が、ナショナルセンター、都道府県センターあるいは地域支援センター、そのネットワークによる役割分担、またその連携という、理屈どおりに果たしていくかどうかということを非常に私も心配しているわけです。現実的に迅速、円滑に行うことができるか、そういった面での懸念も多少あるんではないかなと思いますし、それから都道府県によっては受益者負担を強調する余りに利用にちゅうちょする企業がふえるのではないか、そういった懸念もあるように私は伺っているところでございます。それで、支援センターがある意味で受け身の姿勢に終始すると、いわゆるすぐれた技術シーズ、そういったものが発掘されないという懸念も生じるわけであります。
 そこで、質問でありますけれども、今後これらの支援スキームの実際の運用において、前回も部分的に質問したわけでございますけれども、所期の目的を達成するためのいわゆるレビューやモニタリング、そういったものが必要と考えているわけでありますけれども、その辺についてどういう御見解をお持ちか。また、その人材については広く民間からの活用も考えているようでありますし、ただ、組織運営、そういった面におけるレビュー、モニタリングに関しましてもやはり民間セクターの活用による外部評価、監視機関の設置、いわゆるピアレビュー方式、そういったものの採用あるいは拡充、そういったものが必要ではないかというふうに考えているわけでありますけれども、この辺についての御見解を大臣にお伺いしたい、そのように思います。
#170
○国務大臣(深谷隆司君) まず、加藤委員の御心配のように、有珠山の噴火で苦労しておられる方々の現状を思いますと私ども心が痛みますけれども、刻々と移り変わる現地の情報をしっかりと受けとめて、加藤委員が御心配なさっておられるような諸問題に関して適切、迅速に答えを出していけるように通産省としても全力を挙げていきたいというふうに思っております。
 それから、都道府県等中小企業支援センター、これはいよいよこれから始めるわけでありますけれども、おっしゃるとおり当初は試行錯誤も繰り返していくのではないかと心配をいたします。
 そこで、ぜひその体制を整備していくために適切な評価及び見通しを立てるということが大変大事だと思います。そのために、センターに相談においでになった方々には常にその経過及びその結果についてのできる限り何らかの評価を出していただくような、最初にプリントをお渡しするといったようなことをやってみたり、あるいは第三者的な評価委員会等を設けてそこで評価報告をしてもらうとか、あるいは適切な形で評価の得られた状況に関しては、支援を受けた中小企業の了解を求めることはもちろんでありますけれども、インターネットなどを活用して他の中小企業者に支援内容などの情報提供などをして一層活用が図られるような、そういう努力をしっかりやっていきたいと思います。
#171
○加藤修一君 今、御答弁の中にインターネットを活用するというお話があったわけですけれども、いわゆるワンストップサービスをしていくためにはそういった活用も一層円滑に積極的にやっていかなければいけないというふうに私も理解しております。
 ただ、相談とか支援とか、そういった面について地域の特性というのが当然あると思います。産業の特性、ビジネス展開の特性というのがあると思いますので、そういった特性を踏まえた上でのインターネットのシステムというか、私が言わんとしていることは、相談、支援に関しての検索エンジンというもの、こういったものをやはり、ボタンをちょっと押すだけで使い勝手のいい、そういうシステムがあってしかるべきではないかなと思いますけれども、この辺についてどのようにお考えでしょうか。
#172
○国務大臣(深谷隆司君) ナショナルセンター、それから都道府県センター及び地域支援センターと、三つの層をうまくインターネットで結びながらあらゆる相談事務がワンストップサービスでできるような、そういう形をつくり上げたいというので、ただいま既に実施している地域も含めて努力をしている最中でございます。
 今インターネットを利用してのボタン一つで云々という話については、それぞれの場所に例えば支援センターでいうとコーディネーターを置いて、その場所で必要な問題についてのボタンを押しますとノウハウが全部蓄積されていてそれが画面に映ってくるという、そんなシステムを描いているわけでございます。例えば、洗濯屋さんを始めたいがどうしたらいいかとボタンを押すと、手続からあるいは資金の活用からいろんなものが出てくる。こういうようなノウハウの蓄積されていく資料というのは日ごとにますます数多くなっていくと思いますから、時を経ていくに従ってかなり充実したものになっていくのではないかというふうにも思われます。
 そういう点に留意しながら、大いにあらゆるノウハウがインプットされてワンストップサービスが可能な状態になるように努力していきたいと考えます。
#173
○加藤修一君 このセンターについて前回も質問したわけでありますけれども、あえて重ねて質問するわけですけれども、日本版SCOREに関連して、いわゆる国内の退職者の活用組織あるいはNPO、こういった面についての実態調査をするべきだといった質問に対して、たしか答弁は公募して登録するという話でありましたけれども、これはインターネットなんかをも含めて、あるいはその実態的な調査ということも含めてぜひやってみるべきだと思っておりますけれども、この辺についてはさらに進んだ見解がおありでしょうか。
#174
○政府参考人(岩田満泰君) 御指摘のように、経験の豊かな退職者の方々の知見を、あるいはそうした経験に基づく専門的な知見というものを生かすということは大変意義のあることだと考えております。私ども、都道府県支援センターの一つの事業として、退職者、退職経営者などの方々による無料相談、あるいは専門家としての派遣といったような事業に退職経営者の方々に御活躍をいただきたいと思っております。
 こうした方々をどう動員するかということでございますけれども、都道府県支援センターにおきまして、新聞あるいはインターネットなどを使いまして広く地域の方々に呼びかけをいたしましてこれを公募し、それを登録することによってデータベース化し、それを御紹介する際に役立てると、このような作業をしていきたいと考えております。
#175
○加藤修一君 わかりました。
 それで、先ほど中小企業センターの活動と成果についての評価システムの話を申し上げましたけれども、いわゆる通産省の予算の中身について、今までNEDOの関係について評価システム云々の件についても聞いてまいりましたけれども、通産省全体について、いわゆる予算を伴う研究開発の評価システムについて、先ほども申し上げましたけれども、ピアレビューの方式等を含めてどのようにお考えかということについてどうでしょうか。
#176
○国務大臣(深谷隆司君) 通産省におきましては、通商産業省技術評価指針というのを定め、委託費、補助金等による研究開発プロジェクト及び傘下の国立研究所の評価を外部有識者の知見を活用しながら現在実施しているところでございます。
 研究開発プロジェクトの評価については、選定のための事前の評価、終了直後に達成度を判断する最終評価というものを行っています。さらに、長期にわたるプロジェクトについては中間段階で達成度の評価というのを行い、今後の研究開発の方向性についての提言を行う中間評価というのを実施しております。また、一部のプロジェクトについては、研究成果の波及効果を測定する追跡評価というのも行っています。
 これから、さらに厳正で透明性の高い評価を行うために、技術評価においては外部評価者を積極的に活用してまいりたいと考えています。そして、複数のプロジェクトの相対的な評価とか研究開発制度自体の評価などを新たに実施するなど、評価体制を一層強化したいと思っております。
#177
○加藤修一君 それでは、今回の法案の関係でつくられております参考資料でございますけれども、その四十七ページに「「国家産業技術戦略」の概要」ということがありまして、「キャッチアップ型からフロンティア創造型への技術革新システムの改革」という、いわゆるフロンティア型技術革新システムの構築ということなんですけれども、これまでこういったフロンティア型の件がなかなか実現できなかった理由というのはそれなりに私はあると思うんですけれども、この辺については通産省はどういうふうに分析して認識して評価しているか、その辺についてどうでしょうか。
   〔委員長退席、理事馳浩君着席〕
#178
○政府参考人(村田成二君) 今委員御指摘になられましたように、それからまた産業技術の戦略的な検討会議におきましてもおっしゃられたようなことが指摘されているわけでございます。
 これは歴史的にやむを得なかった面もあるかと私ども思っておりますけれども、やはり先進諸国に伍して世界市場で日本製品を売っていく、そして一億人を超える国民、これをきちっと生活水準を上げつついい生活を確保していく、こういうことのためには、やはり先行している欧米諸国から基本技術を導入いたしまして、それをベースにいろんな改良を加えていく、それで国際競争力をつくり出していくと、こんなことをやらざるを得なかったと思います。
 しかも、そういったプロセスイノベーションとでもいいましょうか、そういったことが、一言で申し上げれば日本の社会、日本人の特性というものにぴたっと合ってしまった、合っていたがゆえにこれだけの競争力を獲得するに至ったと、こういうことだと思います。しかし、この成功が逆に日本にある意味で、言葉は悪うございますが油断といいますか、そういった足踏み状態をもたらしたというふうに思っております。
 御案内のようにアメリカの場合、一九八〇年代初頭ぐらいから順次、日本になぜ負けているのか、アメリカの世界市場における後退というのはどういう原因でもたらされているのか、それに対してどうやったらいいのかと、いろんな検討を加え工夫を重ねてきたわけでございます。そういったアメリカが努力している間に日本はある意味でその成功を享受する、ある意味の足踏み状態をずっと続けていく、こういうことだろうと思います。
 そうこうしておりますうちに、もう一方におきましてやはり技術の性格が大きく変わってきたと思います。御案内のような情報通信あるいはバイオテクノロジー、こういった先端分野におきましては、やはり一つの技術革新が短期間のうちに新しい産業をすぐ生み出してくる、こういうふうな非常に今までの技術開発、技術革新と違った形の形態が出てきているわけでございまして、そういったところに対する取り組みも日本はおくれてしまった、こういうことだろうと思います。
 具体的に、それじゃどういう点でおくれたのかという点でございますけれども、一つは、よく言われておりますように、やはりこういった先端的な技術革新の基点としましての大学あるいは試験研究機関と産業界との間の連携というのは非常に疎遠になっていた、不十分であった。しかも、今まで生産技術の開発ということで成功してまいりましたし品質改良ということで成功してまいりましたから、生産の現場と大学との間の距離というのはそういうことによっても非常に離れていた、距離があった、こういう点が第一点かと思います。
 それから第二点は、したがいまして人材の育成というのもそういった今までの既存の流れの中で行われてきた。ある意味で、新しい技術体系に即応できるような創造的な人材の育成という点において、先ほど御指摘ございましたけれども、小中学教育から始まっての教育プロセスが対応できていなかったということは指摘できようかと思います。
   〔理事馳浩君退席、委員長着席〕
 それから三つ目は、新しい技術形態といいますのは、ある意味で自己革新的な、機能をどんどんつくり出していくような技術開発が多いわけでございますけれども、そういう場合には、やはりいろんなベンチャー企業を含めてのある意味で今までの大企業とは違った形の当事者がどんどんそれに取り組んでいくということによって、その国の全体の技術レベルが上がっていくと。そういった意味合いにおきまして、ベンチャー等々の輩出ができにくい環境、大企業中心の、それからまたある意味で確固たる系列が形成されてくるというような産業体系の社会が続いてきた、こういった点が大ざっぱに申し上げると指摘できるのかと、こう思っております。
#179
○加藤修一君 それは国家産業技術戦略の中の四つの達成目標と、それにダブるような内容の御答弁であったかなと思います。
 それで、フロンティアの開拓には基礎研究との連携が非常に私は欠かせないと思うんです。こうした分野としては、医療の関係、化学、通信、燃料エネルギー、そういった分野が考えられるわけですけれども、この辺についての特許は極めて少ないように考えられます。その原因の最大のものは規制の問題ということも考えられなくはないと思いますけれども、このフロンティア開拓における規制緩和の重要性についてはどのような認識をされているでしょうか。
#180
○政務次官(茂木敏充君) 例えば、アメリカが九〇年代に入って急速かつ非常に長期的な経済成長を遂げている、この根底にありますのが八〇年代の当初からの徹底した規制緩和にある、こんなふうにも言われておりまして、規制緩和を推進いたしますことは、御指摘いただきました例えば情報通信、医療などの分野における新規産業の創出、またそこから新しい技術が出てくる等々、我が国の経済構造改革を推進する上で不可欠である、このような認識を持っているわけであります。
 これまでも、例えば電気通信の分野での規制緩和によりまして携帯電話の加入者数が五千六百万を超える、こういう急増をしまして新規市場が拡大をし国民経済上重要な恩恵がもたらされる、こういう成果も上がっているわけでございます。
 政府といたしましては、先月、規制緩和推進三カ年計画を再改定いたしまして電子商取引の基盤づくりや医療情報の広告規制の見直しなどを今行っているところでございまして、新規産業の創出に資するような規制緩和に今後とも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
#181
○加藤修一君 国家産業技術戦略の中には、先ほど私ちょっと触れましたけれども、四つの達成目標のほかに三つの打破ということが書かれてございまして、極めて刺激的な言葉であるように思いますけれども、一点目としては政府における硬直性・縦割り行政の弊害の打破ということがございます。二点目は産業界における自前主義の打破である。三点目が大学のシステムの硬直性の打破。
 今回の法案にかかわってくるような部分があるわけでありますけれども、第一点目の政府における硬直性あるいは縦割り行政の弊害の打破という、こういった文言が書かれていることについては非常に歓迎はしたいと私は思っているわけですけれども、この辺、大臣はどのように御理解、御認識していらっしゃるでしょうか。
#182
○国務大臣(深谷隆司君) 近年、技術の創造それから市場化のスピード、これが急激な勢いで進んでいるわけでございます。ですから、こういう研究開発というのも政府としては相当迅速かつ柔軟な対応をしていかなければならないというふうに考えます。
 このような状況のもとで考えてまいりますと、国家産業技術戦略といたしましては、いわゆる今までのような、例えば政府の研究開発プロジェクトが一たん開始されると途中で見直しがなかなかされないという硬直性、あるいは複数の省庁で相互の連絡も連携もなかなかとれないというような非効率性、そういうようなことではなりませんので、まずこれらをとにかく克服して縦割り行政の弊害をなくしながら対応していくということがとても大事なことだと考えました。
 これらの考え方についてはおのおのの分野からそれぞれ指摘されてきたことではありますが、そういうような指摘の声を踏まえて、プロジェクトの硬直性を打破するために、研究開発の適切な評価体制を構築する、あるいは評価の結果を場合によっては打ち切りということも視野の中に入れながら研究開発プロジェクトの見直しに反映させていくといったような、そういう弾力的な運用というのは行われていかなければならぬと、こう考えます。
 また、縦割り行政の弊害を打破するために、これは総理の主導のもとに昨年ミレニアムプロジェクトを起こしたわけでありますが、これらも、複数省庁にまたがりまして連絡をよくとり合いながら、施策の調整も図りつつ、そのプロジェクトの成果を実現させていこうとするものであります。これからもそういう取り組み方が必要なことと考えて、そういう意味でここに書いてありますようなそれぞれの決意あるいは打破すべき目標を掲げたわけでございます。
#183
○加藤修一君 私も全く同感でございます。
 それで、今ミレニアムプロジェクトの話が出てまいりましたけれども、人材育成の面についても当然大切でございますけれども、政府が経済活性化に向けて情報通信それから高齢者介護、環境問題を中心としていわゆる人材育成策を協議する二十一世紀人材育成会議、これを四月中に設けるというふうに報道されているわけでありますけれども、こうした人材育成について産学連携、特に中小企業と大学との産学連携や、あるいは中小企業支援サービスを担う人材育成、先ほど申し上げましたけれどもNPOの存在、こういったことについても当然十分な議論をしていく必要があると思いますけれども、この辺について御見解をお願いしたいと思います。
#184
○政府参考人(村田成二君) 委員御指摘のように、産学連携を進めるに当たりまして人材の育成あるいはその人材相互間の切磋琢磨のシステム、非常に大事だと思っております。ただ、御指摘の二十一世紀人材育成会議は、私どもも必ずしも正確に承知しておりませんが、多分労働省におきまして現在検討中の構想であろうかと思います。趣旨としましては、多分でございますけれども、産業構造の変化に伴います雇用のミスマッチを解消するということと、二十一世紀に先ほど委員が御指摘になられた重要課題に必要とされる人材をどう確保していくかということで人材教育のあり方を検討する、こういうことが御趣旨かと思います。
 御指摘の中小企業との関係、その他産業技術の強化に必要な人材の育成の場としましていろんなケースが考えられます。それからまた、既に私どもといたしましても、例えば技術者教育プログラムの外部認定制度、アクレディテーションシステムの支援などなど、いろいろこういった面からの対策も講じてきておりますけれども、いずれにしましても、関係各省御指摘の場を含めましてできる限りの協力関係を築きながら人材育成に当たってまいりたい、かように考えております。
#185
○加藤修一君 国家産業技術戦略の関係でありますけれども、さっと見た感じでありますけれども、いわゆる中小企業の重点あるいは中小企業を重視するという観点が乏しいのではないかなという感じがするわけであります。これは産業競争力会議で提案された中身であるわけでありますから、ある意味では中小企業以外が中心になっているのかなと、そういうとらえ方をしているわけであります。中小企業の関連の基本法の件でも答弁の中では中小企業が極めて重要だ重要だというふうな答弁を何回も聞いておるわけでありますけれども、どうも中小企業の位置づけをもっと明確にこういった中でもする必要があるのではないかなと思っているわけですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#186
○国務大臣(深谷隆司君) 産業技術力強化にとって中小企業が重要であるということはもう申し上げるまでもありません。このような認識のもとで、国家産業技術戦略でも、新たな技術革新システムの中では新技術実用化への橋渡し役として中小・ベンチャー企業の果たす役割は極めて大きいとまず位置づけをいたしております。
 同戦略の中では、中小企業技術革新制度、SBIRのような国の研究開発への中小・ベンチャー企業の参加促進、研究開発型中小企業に対する特許料の軽減など、中小企業の研究開発を促すための具体的な施策の提言がなされております。
 私どもとしては、今後同戦略での提言を実現させるために中小企業の技術基盤の強化に向けて全力を尽くす所存でございます。
#187
○加藤修一君 それでは、大学と中小企業との連携における環境整備の関係でございますけれども、連携をしていく上での問題点として、技術力不足や資金不足、そういった課題を挙げる企業も多いわけでありますけれども、大学からの情報不足とか、あるいは手続が不明であるとか、あるいは敷居が高い、そういった連携にかかわるような極めて重要な問題がアンケート調査にも出ているわけであります。こういった面についての環境整備、これは必要だというふうに中小企業の方々もおっしゃっているわけですけれども、この辺についてはどのような対応を今後考える予定でしょうか。
#188
○政府参考人(岩田満泰君) 私ども通産省といたしまして、従来から中小企業の技術力の向上ということで、中小企業と大学との共同研究あるいは都道府県の公設試験研究機関が中心となって大学の御協力も得ながら中小企業のために行う研究開発、そういったような研究開発事業に対する支援を行ってまいりました。
 この種の事業につきましては引き続き充実をさせていきたいと考えておるところでございますが、ただいま先生の御質問の環境整備という関係につきましては、私ども公設の試験研究機関を中核といたしまして大学と中小企業を結びつけるための情報通信ネットワークを整備したいと思っています。
 やや具体的に言葉をかえて申し上げますと、いろいろな大学あるいは研究機関におきます技術課題の解決事例というようなものをデータベース化いたしまして、そうしたものを情報ネットワークによってその内容を照会ができるような仕組みをつくりたいと思っています。仮称ではございますが、現在のところテクノナレッジネットワークというような呼称を与えたいというふうに考えておりますが、この内容には、技術課題の解決事例のところに研究者そのものの名前と申しましょうかそういうものも登録されるということで、研究人材のデータベースであると同時に具体的な技術課題の解決事例を示すというようなことにもなるということで、そのような形で中小企業と大学あるいは公設試験研究機関あるいは国立の研究機関、そういうような研究者との連携関係を促進するための一つのインフラとして活用していきたいと考えております。
#189
○加藤修一君 それはよくわかるんですけれども、情報ネットワークだけじゃなくして、例えば大学に望むこととして、気軽に相談に応じてほしいとかあるいは積極的に情報を提供してほしいという点を挙げる企業が多い。これはもう中小企業ばかりでなくて大企業もそういう言い方をしているわけです。特にこれまで連携の機会が極めて少なかった中小企業、非常に大学については敷居の高い存在であったと思えるわけでありますけれども、いわゆる出会いの場をふやすような中小企業との連携強化、これを第一に考える施策の展開も私は必要ではないかと思いますけれども、この辺についてはどうお考えでしょうか。フェース・ツー・フェースでそういう場をつくり上げるということですけれども。
#190
○政府参考人(岩田満泰君) フェース・ツー・フェースの出会いの場の御質問でございますが、私どもこれまで、平成八年度から全国の大学との共同によりまして、各地で中小企業と大学の研究者の間の研究開発交流会というような事業をいたしております。
 具体的に申しますと、大学のすぐれた研究成果に関する情報を研究者の側からプレゼンテーションをしていただく、あるいはパネル展示、試作品展示をする、意見交換をするというような形のフェース・ツー・フェースの出会いの場を実施しております。平成十一年度で申しますと、九回以上、計九つの大学で十回のこうした交流会を開催いたしておりまして、このような形で技術面からのシーズを事業化しようとする中小企業との間の橋渡しの場とし、出会いの場として考えたいと思っておるわけでございます。
 先ほど申し上げました情報ネットワークの関係は、出会いの場と申しましても物理的なフェース・ツー・フェースにさらに加えて、情報のネットワークとしての出会いの場というふうなものを新たに今回の支援センター整備等の事業等の一環として進めていきたいと考えているものでございます。
#191
○加藤修一君 中小企業総合事業団に設けられるいわゆるナショナル支援センターの関係とか、あるいは先ほどから申し上げています都道府県等中小企業支援センター、それと大学やTLOとの連携、こういった面については前回たしか大学との連携ということは余り強調されなかったし、そういうことも出てこなかったわけでありますけれども、大学、TLO、この辺の連携についてはどういうふうにお考えですか。
#192
○政府参考人(岩田満泰君) 今回、ナショナルセンター、都道府県センター、ローカルセンターというような三つの段階における支援センターを整備するわけでございますが、これに当たりまして、民間事業者の活用ということを行いつつでございますが、大学、TLOとの連携というものは当然に必要なことであるというふうに考えております。都道府県等中小企業支援センターは、こうした大学等々あるいはTLOを含めましたものの活用の窓口になるものとして私ども考えております。
 先ほどテクノナレッジネットワークと申し上げましたが、こうした技術知識のネットワークを構築することによりまして、こうした支援センターにおいて技術課題の解決のための具体的な方法あるいは研究者へのアプローチ、そういうものを積極的に促進できるようにしたいということでございまして、支援センターそのものは中小企業の技術課題に対する情報の提供あるいはTLO、公設試との仲介というような役割をして、その背後にあるテクノナレッジネットワークがいわばそれをバックアップするサブシステムとして構築するというような関係でこれを活用していきたいと考えておるところでございます。
#193
○加藤修一君 それでは、日本版のSBIR、これが導入されているわけでありますけれども、いわゆる予算規模は日本で百十億円、アメリカでは一千三百億円、そういった意味では大きな格差があるわけであります。一概に比較はできないわけでありますけれども、やはり科学技術振興予算、こういった面での重点化が必要ではないかなと思います。
 例えば、何でもアメリカの例を出せばいいという話じゃないわけですけれども、アメリカにおいては、十一の連邦政府機関に対し外部に発注する研究開発の一定の割合を中小企業に配分する義務を課するものということで、SBIRに対して相当気を入れてやっているように聞いているわけであります。
 我が国におきましても、昨年私が質問した答弁の中では九省庁で関係省庁連絡会議を設置して特定補助金等に関するいろんな議論を行っているというふうに聞いているわけですけれども、この辺についてもう少し進んだ状態であると私は理解しておりますけれども、この辺についての御見解、状況というものをお示しいただきたいと思います。
#194
○国務大臣(深谷隆司君) 中小企業技術革新制度、SBIR、これは平成十一年度の予算で百十億円、科学技術庁、厚生省、農林水産省、通産省及び郵政省の五省庁で合計四十の特定補助金等を指定したわけでございます。また、昨年十二月に成立しました第二次補正予算につきましては、科学技術庁、通産省及び郵政省の三省庁が合計十六の特定補助金等を指定いたしたところでございます。
 平成十二年度については、現在関係省庁との協議をいたしている過程でございますからまだ結論は出ておりませんけれども、関係省庁に働きかけを行って、特定補助金等の数をふやすとともに、支出目標がこの百十億円を上回るように努力をいたしておるところでございます。
 また、中小企業にとって使いやすい制度にするということは大変大事なことでありますので、後に続く中小企業の参考となるような、成果事例の公表であるとか、またインターネットを通じた情報提供などを行うように、制度の充実強化に努めてまいりたいと思っております。
#195
○加藤修一君 五省庁という話だったんですけれども、これは見通しとしてはさらに拡大していくという理解でいるわけですけれども、直近ではどういう省庁が入ってくる予定になるんでしょうか。
#196
○国務大臣(深谷隆司君) 平成十一年度においては、科学技術庁、厚生省、農林水産省、通産省及び郵政省の五省庁の参加でございました。今後は、このほかに建設省あるいは運輸省、文部省、労働省の合計九省庁がメンバーとなりまして、これが昨年四月に設置したSBIR関係省庁連絡会議でございます。
 私どもは、この会議の開催時などにSBIRへの参加をさらに呼びかけていきたいと考えているところです。
#197
○加藤修一君 それでは次に、潜在する技術力の普及策と支援ということなんですけれども、国の産業技術力強化には、やる気のあるベンチャーや一部の優秀な企業への支援、そういったものだけじゃなくて、やはり中小零細、そういったものを含めた意味で今後ともそういった企業について一度フォローしていく、そして埋もれた潜在能力、技術を発掘し、そういう行動をしていくことが必要であると私は考えているわけであります。
 なぜそういうふうに考えたかといいますと、我が国にはまだまだ磨けば光る技術、先進性、汎用性のある技術を有する企業がたくさん存在している。ただし、PR不足、あるいは技術を社会化するというか社会にいかに普及促進するかといったインフラが不足しているというか、あるいは企業それ自体に力がないという面もあって、なかなか社会の中に展開されていけない。そういった意味では、埋もれているケースが非常に多いのではないかと思います。
 先日の中小企業指導法改正や一連の企業制度改革によって、いわゆる中小企業政策や産業支援はやる気のあるベンチャー企業や革新的な企業に重点化することになった。これはこれでよろしいと思いますけれども、これだけでは、国全体としての産業競争力を強化しあるいは底上げを強力に行っていく、そういった意味ではまだまだ私は足りないのではないかと思います。
 そういった点で今までの中身をちょっと検討してまいりますと、既存の企業支援策あるいは産学官連携の促進策、そういうものを見てまいりますと、企業側からのニーズや要求、提案を待っていて措置が講じられている、そういったところが強調されているような感じがするわけなんですけれども、やはり官や公の方から働きかけるもの、そういったものがちょっと私は少ないようなイメージを受けているわけなんです。
 そこで、商工会とか商工会議所の経営指導員等を活用したいわゆる企業技術の地道な発掘、あるいはインターネットの活用によるそれら埋もれた企業の技術の紹介、データベース化の推進、これを行っていく必要があるのではないか。そういったためには、目きき役の養成、研修の強化、すなわち公的な評価システムを導入していく、あるいは補助金などの財政支援の必要があるというふうに考えているわけなんですけれども、こういった隠れた技術とか隠されている技術をいかに発掘するか、そういった点を含めて公的な評価システムの中にどうつなげていくか、その辺のところについてちょっと見解をお示しいただきたいと思います。
#198
○政府参考人(梶村皓二君) 委員御指摘の、民間に存在します革新的技術を実用化する、そしてそれの応用研究開発を補助する制度というのがまさに本法案において行うことでございまして、本制度で研究開発案件をここに持ってくるに当たりましては、適切な評価でございますが、技術評価のみならず、いかに実用化に持っていけるかという評価を事前の評価としてその仕組みを活用することとしておりまして、技術的専門性を踏まえた適切な評価によってこれらを進めてまいりたい、かように考えております。
#199
○加藤修一君 以前に私の質問に対して深谷大臣が新しいツールだということで、これはちょっと隠れた技術とはまた違う話でありますけれども、エネルギー使用料金表示器の紹介をしていただいたわけでありますけれども、きょうは逆に私が環境とかエネルギー分野、そういった面である意味では隠れている技術だなと私なんかは理解しているわけなんですけれども、それについてちょっと触れたいと思います。
 G8環境サミットが大津で開催されました。そして、そこでも地球環境国際議員連盟、GLOBEでございますけれども、その世界大会も大津で開かれまして、そのとき問題になったのは、一つは地球温暖化の関係でございます。気候変動の件でございますけれども、それを防止していくためには技術開発がかなり強化されなければいけない。そういった意味で、燃料電池の話もありましたけれども、要するに地球温暖化防止策としてベストプラクティスをどうするか、この点については一層の拡充が必要であるわけでありますけれども、そういった点から考えていった場合に、いろいろなところで議論した中で、こういう隠れた技術をどういうふうにベストプラクティスの中に入れていくかということも一つの考え方であるわけです。
 例えば、省エネルギーの観点から最近非常に脚光を浴びつつあるという理解でいるわけですけれども、磁力回転装置、永久磁石を使ってあるいは電磁石と組み合わせた形で、これが世界の五十一カ国の特許を得ている。それがなかなか社会化できないという、別の構造的な理由もあるようでありますけれども、我が国はようやく昨年の八月二十日に特許がおりたということでございます。
 これは円盤状に永久磁石を一定間隔で配列し、円盤の外側に配置した電磁石に微小な電気を流すことで回転させる方法である。それで、永久磁石と電磁石が近づいた瞬間だけパルス状に電気を流す。ですから、常に一定電力を流す従来のモーターよりはるかに電力が少なくて済むということになるわけです。したがって、かなりの節約を得ることができるということなんです。
 これがなかなか、日本の特許がアメリカに比べて十数年おくれたという話でありますけれども、こういった隠れている技術、しかも環境に優しい、NOxが出るわけでない、SOxが出るわけでない、そういう非常に優秀な技術があるけれども、なかなか表に出てこない、そういう話でございます、第一点目は。
 それから二つ目に紹介したいのは、電気の貯蔵がどういうふうに今後なされるかということは極めて大きな課題でありますけれども、有機物利用による超電導材がある。いわゆる電気の貯蔵が従来の貯蔵するものよりは画期的に効率がいいという話のものであります。これはREPSというものであります。名前がリチャージャブル・エネルギー・パワー・ソース、それを略してREPSというふうに言っているようでありますけれども、充電可能な電源装置ということで、非常に小さいものではありますけれども、電気容量で三千ファラドとか三千六百ファラドとか、しかもそれが普通の蓄電池を充電させようとすると何時間もかかるわけですけれども、これはかなり短い時間で充電させることができる。しかも、それはかなり効率のいい超電導であるというふうに聞いているわけであります。
 それから三点目は、太陽光エネルギー集光装置ということで、これは近畿で有名な話でございますけれども、太陽光集光レンズ。このレンズというのは、太陽光の収束性を高める独自の集光方程式を用い、太陽光を一点集光する同心円二重リング形状のレンズである。光の透過率が高いアクリル樹脂製で、直径三十五センチのレンズでも集光点の温度は何と二千三百度ぐらいまで高められるということなんですけれども、こういった自然のエネルギーをうまく活用したエネルギー供給システムというのがこういった形で実際に世の中にある。
 それから四番目としては、マイクロ波プラズマ処理による発電システムということなんですけれども、これは京都でございますけれども、マイクロ波を照射して数十度から二千度まで発熱する特殊発熱体、いわゆるマイクロ波発熱体、そういったものと、マイクロ波を照射して普通の大気中で約八千度Cの超高温のプラズマを発生させるいわゆるプラズマバーナーに関するものであるわけであります。
 端的に申し上げまして、従来のものでありますと、いわゆるニクロム線を使ったりなんかするケースでありますけれども、電気抵抗発熱体ではせいぜい耐えられて千度でありますし、高温は難しい、配線も必要であるし、あるいは高いところや入り組んだ構造のところ、そういったところでは配線しにくい。そういった意味では非常に使いにくいわけでありますけれども、このマイクロ波による発熱体、そういったものを使っていくならば非常に効果的にやっていくこともできるわけでありますし、それからNOxやSOxも発生しない、あるいは電気配線も不要である、約二千度Cまで発熱する。
 そういった今まで我々が聞いたこともない技術のものでありますけれども、こういったものについてどういうふうに対処していくかということが極めて私は重要であるように思います。そういった意味では、隠れている技術がなかなか社会に出てこない、そういったことから隠れている技術というふうに言ってもいいわけでありますけれども、こういったものをいかに発掘させていくか、社会にどんどん供給していくようなシステムをつくり上げていくか、これは極めて私は重要に思うわけであります。
 この特定なものについてどうこうということについて答弁をいただきたいとは思いませんが、そういった隠れた技術についてどういった形で今後うまく発掘するかということについてどのようにお考えか、その辺について見解を示していただきたいと思います。
#200
○政府参考人(梶村皓二君) 先生御指摘のような革新的な民間に存在する技術につきまして、この新しい法案において通していただきますことによって実用化を目指した形を表にあらわしていくことができるかと思いますが、こういう制度があることをいろいろな形を通してPRしてまいりまして、先ほど来御議論いただいております道を通して広めてまいりたい。そして、この制度が発足いたしますればこれにぜひ応募していただきまして、技術的な評価並びに実用化の評価ということを通して、よいものであれば採択してまいりたい、かように思っております。
#201
○加藤修一君 ぜひそういった形になるように強く期待をしたいと思います。
 それで、先ほどミレニアムプロジェクトの関係の話が出てまいりましたけれども、重点的な予算配分を行って、いわゆる経済新生特別枠、そういった中で合計一千二百億円以上の予算を確保したということであります。
 先ほどの質問と重なる部分がございますけれども、どうしても政府の技術開発を今までの件を検討してまいりますと類似のプロジェクトが非常に多い。例えば、GISについてもそうですし、それから環境の脆弱性指標ということで油の流出事故に際してそれにどういうふうに対処するかといった場合につくられる環境脆弱の指標の関係のプロジェクトについても、環境庁がやっている、あるいは運輸省がやっている、そのほかの省もやっているということで、似たような事業を別々のところでやっているということで、そういった意味では連携がとれているようで連携がとれていない。そういった意味では、いわゆる縦割り行政のことが言われるわけでありますけれども、そういった意味でなかなか中途段階で成果が認められない事業が打ち切られずにずっと続いてきたりなんかする場合もありますし、あるいは漫然と継続されていたりする場合も多い。こういった問題はやはり解決しなければいけないわけでありますけれども、ミレニアムプロジェクトのいわゆる縁の下の力持ちであると私は考えておりますけれども、通産省としてもこういった部分についてどういうふうにお考えかということでお願いいたします。
#202
○国務大臣(深谷隆司君) いわゆるミレニアムプロジェクトというのは、昨年、緊要性の高い情報化、高齢化それから環境対応、この三つにおける分野の技術革新を中心にしてこれを推進していこうということになったわけでございます。
 これらのプロジェクトを成功させる道筋のためには、今御指摘がありましたように、関係者間の密接な連絡を図るということがとても大事でございまして、プロジェクトの進捗状態について適切な評価を行っていくということを重要視しなければならぬと思います。このために各プロジェクトごとに関係省庁連絡会議というのを設けておりまして、内閣の主導のもとで相互の密接な連携を図ることとしております。また、有識者等から構成される各プロジェクトの評価、助言を行う会議を設けまして、当初の目標と実際とがどんなふうなぐあいになっているかということを毎年評価していこう、そしてその評価の結果を事業の継続の判断に反映させるということにいたしておるわけであります。
 ミレニアムプロジェクトの推進に当たっては、このような制度上の工夫を凝らしていくということで、これからも特に格段の配慮が必要だろうというふうに思います。通産省といたしましては、関係省庁間の密接な連携と適切な事業評価の実が上がるように、ミレニアムプロジェクトが本当の意味で成功していくように今後も全力を尽くしたいと考えています。
#203
○加藤修一君 我が国の産業技術力を強化するという意味では、単なるアメリカの物まねではいけないわけでありまして、日本の強み、そういったところを伸ばしていくことを当然考えなければいけない。
 日本の技術は単純に改良技術だけが強いという話ではないわけでありまして、例えばバイオの分野で一般的には日本は米国より非常に弱いと言われておりますけれども、北海道に北海道バイオインダストリーというベンチャー企業がございまして、北海道産の植物、ヒレハリソウという植物でありますけれども、それから消臭剤を開発するなどしておりまして、独自の技術で市場開拓を行っている会社でございます。これは地元企業経営者のいわゆる異業種交流会と北海道東海大学の工学部の西村先生の協力で設立された会社でございます。
 西村先生は東海大学でいわゆる植物のにおい成分ですか、そういったものの研究をずっとやってこられまして、従来からこういう考え方を持っていたと。すなわち、大学の研究成果がなかなか社会に還元されない、そういうふうに思っていたところがそういったことをやるきっかけになっているわけでありますけれども、こういう大学の研究成果がベンチャー企業の設立を通して社会に還元される、そういった意味では非常にいい例の一つかなというふうに考えているわけであります。この北海道バイオインダストリーという会社に西村教授が役員として参加しているということでありますけれども、そしてその中で大学の研究成果が円滑に事業化されているというケースになっているわけであります。
 ただ、兼業ができたというのはやはり私立大学であったからであります。もしこれが国立大学とかあるいは公立大学ですか、そういったところで働いている場合にはなかなかそういうわけにはいかないというふうに考えられるわけです。
 そこで、質問なんですけれども、いわゆる国立あるいは公立大学の教官がベンチャー企業に兼業することが可能になる、それが今回の法律の中身の一つであります。そういった意味で非常に大きな一歩になっていると考えておりますけれども、実際の運用に当たって手続が煩雑であったりあるいは基準が厳しい、そうした場合せっかく規制緩和と言いながらも結果的には無意味でなかなか法律どおりにならない、実態がそうならない、そういうことが考えられるわけであります。
 やはり私は、承認の要件は明確にすべきでありますし、手続も簡素でわかりやすいものにする、そういった必要性があるというふうに考えておりますけれども、通産省としてはこの辺のルールをどういうふうにお考えか、そういうふうに思います。
#204
○政務次官(茂木敏充君) 加藤委員御指摘のように、本法案の一つの目玉であります兼業制度でありますけれども、実際に利用しやすいものとなっている、これが根本といいますか不可欠であるわけであります。このような観点から通産省といたしましては、ルールを制定いたします人事院に対しまして極力簡素な手続と透明、明確な基準を設定していただくよう要請しているところであります。
 具体的に申し上げますと、まず承認の要件が具体的で明確になっていること、これが重要であると思っております。次に、申請書の様式でありますが、できるだけわかりやすく明らかにしておいて、申請書そのものも三、四枚ぐらいのものと、こんなふうに考えております。さらに、提出書類につきましては、必要なものを最小限とし、これを明確にしておく、こういうことをお願いしているところでございます。
#205
○加藤修一君 時間が参りましたので、これで終わります。
    ─────────────
#206
○委員長(成瀬守重君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、内藤正光君及び藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君及び前川忠夫君が選任されました。
    ─────────────
#207
○梶原敬義君 今日は情報通信産業革命と言われますが、振り返ってみますと、そんな時代の中に今我々は置かれておるんではないかと思います。こうした大きな時代の流れの中で、我が国の産業が国際競争力におくれをとるんではないか、そういう心配がありまして、そういう点では私もこの法案については答弁次第で衆議院では反対したんですが賛成をしよう、このように思っております。よろしくお願いをしたいと思います。
 質問の第一は、今般提出をされました産業技術力強化法案につきましていろいろ目を通しました。大分わかりにくい法案でありますが、歓迎すべき面と心配する面、すなわち憲法第十五条あるいは国家公務員法の理念、こことの兼ね合い、整合性、こういうところに非常に心配な面が共存しておりまして、もろ刃の剣的なところがあるように思えてなりません。
 この法律をどのようにこれから成立した後運用していくかという問題が残ってくるんだろうと思いますが、法律の運用に当たっての通産大臣の御見解を最初にお伺いしたいと思います。
#208
○国務大臣(深谷隆司君) 梶原委員の答弁次第では賛成をするというお話を重く受けとめて、誠実にお答えしていきたいというふうに思います。
 何回も話が出ましたけれども、我が国の技術水準というのは、技術力の低下による競争力の低下という点で今非常に懸念されている状態にございます。今までは、我が国としてはコストの低下であるとか品質の改善を進める技術というのが非常に達者でございまして、それが日本の産業をある意味では支えてきたのでありますが、二十一世紀を迎えるに当たりまして、とてもそれでは力不足でありまして、創造的な技術開発を可能にするような形というものをどうしても早急に構築していく必要が生じてまいりました。
 今回私どもが提出しております産業技術力強化法案というのは、こういうような課題に対しまして各研究主体の活性化と連携強化のための基盤整備を図ろうとするものでございまして、私は、我が国のこういう危機的な状況から考えれば、本法の制定は不可欠なものであるというふうに考えております。
 ただ、梶原委員が御指摘なさいますように、例えば我々がこの法案で目指す産学官の連携というものが仮にも官民癒着といったような批判を招くようなことがあっては決してなりませんので、ここは十分な配慮が必要と考えておりまして、そういう意味で、兼業規制緩和については、国家公務員法に基づいて兼業を認めるかどうかを独立の第三者機関たる人事院の判断にかからしめるというような配慮をいたしたわけでございます。
 私といたしましては、御指摘のような心配な面が顕在化しないように配慮しながら、この法律が制定されました後は、正しい進め方、施行に努めていきたいと考えております。
#209
○梶原敬義君 産業技術力の競争力の低下の心配というのは、確かに今言われることもあると思いますが、変わった形で少し私は文部省もおられますから提起をしてみたいと思います。
 私の高等学校の同級生で友人が今東京工業大学の学長をしております、内藤さんというんですが。彼とも電話で話をしたんですが、彼が「通産ジャーナル」に産学連携について少し書いておるんです。
 そこで彼は、特許とか産学連携がこうして強まることについては研究者にとっては非常にいいことだと、特許料も安くなるし。特許を出したくても特許を出すお金がなくて企業に応援してもらう、そうすると特許が折半になる、あるいはさらに企業側が有利にとっていくようなことも少し書いておりますが。彼は、三十ぐらい今特許を持っているそうなんですが、そういう産学連携のよさだけでは済まされないぞと、こう言っているんです。それは大学側の問題だと、こう言っているんです。
 簡単に少しピックアップして読んでみますと、「産学連携を推し進めていくうえに、次のようなことを指摘しておきたいと思います。まず一つ目は大学プロパーの問題ですが、大学の先生の特許が同時に学術論文になるものは問題ないのですが、そうでなく、特許としては大変なものであっても論文になりにくいものがどのように大学のなかで評価されるのであろうかということです。これまでのところ、大学の先生の評価は、私の知る限り主に学術論文のみで行われてきたと思います。今後特許をどのように評価していけばよいのか早急に決めることが必要ではないでしょうか」と。これが第一。
 第二に、「アメリカの事例でもベンチャービジネスの種になった発想は、若い大学院の学生から出ているケースがしばしばであることであります。修士ではやはり少し無理で、ドクターコースの学生が中心のように思えます。」。
 少し中を抜きます。
 言っていることは、「現在の大学には、戦力になる若い研究者は非常に少ないということです。アメリカのように若者が大学院の博士課程に数多く在学するような社会にする努力がないと、やや心配です。なぜ博士の学生が増えなかったかについては、種々議論がされていますが、一言でいうと、社会がこれまでその必要を重要視してこなかったからであると思えます。」。
 このように書いておりますが、古今東西、発明とかそういう非常に大きな事業をやった人というのは、音楽家もそうなんですけれども、若いときなんですね。ある程度、二十代から三十代、若いとき。だからその辺のことを彼は言おうとしているんですが、この辺についてちょっと、これは通告しておりませんでしたが、文部省の局長がおいでですが、感ずるところがあったら教えてください。
#210
○政府参考人(工藤智規君) 今御紹介いただいた大学サイドでの問題点ということで申し上げますと、一つは、大学の先生方の評価というのがややもすれば従来研究至上主義といいましょうか、大学の役割としまして教育と研究さらには社会貢献という役割があるわけでございますけれども、ややもすれば論文の多寡でございますとか研究至上主義で評価された嫌いがございました。
 それについては大学審議会あるいは学術審議会等でいろいろ御議論いただきまして、やはり大学の教官本来の職務に照らして評価すべきじゃないか。つまり、研究のほかに高等教育という意味での大学教育にいかに熱心に取り組んでおられるかという点、さらには、最近私どもの方でも取り扱いを変えたのでございますけれども、今の知的所有権といいましょうか特許等でいかに社会貢献をしているかという点を研究業績の上に加えていただく、それを科研費の審査に当たって審査材料とするということも含めた、幅広い多元的な評価の方向に今進みつつあるわけでございます。
 もう一つは、大学というのはやはり、基礎研究の基礎研究たるゆえんでございますけれども、あくまでも研究者個々人が未知なるものへの果てしない挑戦という意欲と創意工夫が必要な部分でございます。そのためには、やはり意欲が減退しないように、あるいは少なくとも自分のなし遂げられた部分を若手の方々に継承していただくように常に若手の方々への新陳代謝が必要な部分がございます。それは教官、スタッフとしての新陳代謝だけではございませんで、今お話がありました大学院生も含めた優秀な方々が大学を魅力あるところと感じていただき、それを私ども文部省だけでなくて関係者一同がバックアップをしていろいろな支援体制を組んでいく、そういうある程度それぞれの大学が特色を生かして個性が輝く研究教育環境がつくれますように私どもも努力しているところでございます。
 まだまだ至らない点がございますけれども、今後とも最大限の努力を続けてまいりたいと思っております。
#211
○梶原敬義君 重ねて言いますと、彼が最初に特許をとったのは大学を出て五年ぐらいしてとっているんですよね。それから次々に、今三十ぐらい。もっと申請はしたらしいんですけれども。やっぱりそのくらいの年代から。
 日本の研究室の構成というのは通常、彼の論文では、教授、助教授または講師、助手で、これに加えて大学生と大学院生の学生で教室が成り立っているわけです。言いたいのは、その中間というか、博士号の課程の人が中に、そこらが一番大事なところらしいですが、そこが日本の場合は弱いと言うんですね。
 こういう点は、こういう法律をつくって技術力を強化しよう、移転しようとしても、やっぱりこの基本的なところが弱いのでは私はどこか先でどうもおかしかったと抜けたところが出るんではないかと思うんですよ。
 ちょっともう一度、そこだけで。
#212
○政府参考人(工藤智規君) 平成八年から始まっております科学技術基本計画というのがこの十二年までで第一期の五カ年計画を終えるわけでございますが、これを始めるに当たりまして各省を通じまして、いわゆるポスドク一万人計画というのをその大きな柱にしてございます。これは、これから研究者に育たれる若い方々、大学院を修了された方がメーンではございますけれども、大学院博士課程の在学者も含めて、ある程度自分の出身の研究室を離れて武者修行の機会を与えながら、独自に自立して自由な研究をしていただこうというチャンスを与えるための拡充策でございます。
 おかげさまで順調にその数は達成いたしまして、一万人を超えているわけでございますが、こういうことも含めて、若手の研究者の方々がある程度自由に研究をする場を拡充していくというのは大切なことでございまして、今後とも、まだまだ足りない部分もございますので、その拡充に努めてまいりたいと思っております。
#213
○梶原敬義君 また関係するところが後で出れば引き続いてやらせていただきたいと思います。
 この法律は、いろいろありますが、やっぱり一番大事なところは十三条と十四条、具体的にいきますと、ここのところが一番大事なような気がいたします。
 そこで、この二つについて質問をいたしますが、まず十三条です。資金の受け入れの円滑化の措置についてお伺いをしたいと思います。
 この法律の中には、国は、「国以外の者から提供されるこれらの研究に係る資金の受入れ及び使用を円滑に行うための措置を講じなければならない。」、「必要な措置」とか「措置」が次々出てきまして、どういうことなのかなかなかわかりにくいんです、本当は。「措置」とはどういうような措置なのか、具体的に姿を述べていただきたいと思うんです。
#214
○政府参考人(工藤智規君) 大学における研究費で、特に外からの資金を投入して受託研究等が行われているわけでございますが、これまでその受け入れ及び使用に当たりまして私どもできるだけの弾力化を図ってきているところでございますけれども、それでも研究者の間からは、複数年度にわたる契約がなかなかできないとか、あるいは先ほど来も御議論がございましたけれども、ある程度費目間といいましょうか、旅費がちょっと足りなくなったのでほかの使い方をする予定だったお金を回したいと思っても、ちょっとそれが手続が必要であるとかいう不自由さを指摘されていたところでございます。
 今回、こうした点を踏まえまして、受託研究費等の受け入れとその使用の円滑を図るために、今の御質問の「措置」ということで申し上げますと、一つには、企業等が複数年度にわたって研究の実施を希望する場合に、複数年度にわたる契約が行えるようにしましょうということが一つございます。さらには、研究計画の変更に柔軟に対応できますように、研究費の使途区分を廃止いたしまして、研究の需要に応じた弾力的な経費使用ができるようにしようということでございます。
#215
○梶原敬義君 だから、委託契約とかあるいは共同研究でお金が入る場合に、まず大学の会計に入って、そのお金が次は文部省に行くんですか、文部省から国庫へ入って、一応文部省に返ってと。その資金の流れはどういうような管理をするのか。全部言いますと、お金の使途なんかはどこで仕切っていくのか、明細とかそういう経理処理は一体どこでやるのか。ちょっとそういう一連の流れについて教えてください。
#216
○政府参考人(工藤智規君) 国立大学の場合は、国の機関でございますので、歳入及び歳出に当たりまして、支出官あるいは収入官等の文部大臣にかわって作業を行う担当官がおります。したがいまして、受託研究等のお申し出につきましては、個々の大学に行っていただきますと、そこの担当官が受け付けることによりまして国庫に入る仕組みが整ってございます。
 それから、お金の移動は、そこの大学から文部省あるいは大蔵省にわざわざ行くわけではございませんで、当該大学で歳入に入れて、それを国庫を預かります日銀等にお預けして管理するというのが通常でございます。いずれにしても、入りましたお金については研究者の需要に応じまして大学で支出等を行うわけでございますが、その経理について、先ほど申したように、ある程度年度をまたがっても支出できるようにしよう、あるいは費目間の区別なくある程度研究の必要に応じて弾力的に使えるようにしようということでございます。
 そうは言っても、一応国でお預かりするお金でございますので、大学内部での監査でございますとか、あるいは会計検査院によります監査でございますとか、適正にその支出がなされますように十分気をつけながら大事に使わせていただくことになっているわけでございます。
#217
○梶原敬義君 だから、そういう研究者に任されるわけですか、そのお金の使い道は。それとも大学の学長が管理をするのか。どっちになるんですか。
#218
○政府参考人(工藤智規君) お金の管理は文部大臣あるいは学長にかわりまして事務局の方で行いますけれども、どういう設備を買う、いつどこに旅行するというのは研究者の自由に任せることになろうかと思います。
#219
○梶原敬義君 そうすると、会計検査というのは御承知のように全体の何%、九%だったかな、だから何年に一回しか会計検査は入れないんです。毎年入れるわけじゃないんです。そうすると、こういう法律が出てお金がどんどん入ってきて、その資金の自主管理をきちっとやるところは一体どこなんですか。
#220
○政府参考人(工藤智規君) 通常、各大学の事務局に経理部というのがございまして、そこでは予算あるいは経費の執行担当のほかに監査を担当する者もおりますので、学内監査というのは毎年通常行っている体制になっているわけでございます。
#221
○梶原敬義君 次に、同じようなことですが、兼業規制緩和のことですが、第十四条においては、国は、国立大学等の研究者がその研究成果を活用する事業を実施する会社等の役員の職を兼ねることが重要な意義を有することに配慮しつつ、当該事業者に対する支援に必要な措置を講じなければならないと。この必要な措置とは一体どういうことですか。これは大臣、この文章を読んでもなかなかわかりにくいでしょう。私、何回読んでもぴんとこないんですけれども。それは要らぬことでしたが、どうぞ。
#222
○政務次官(茂木敏充君) これまでも国立大学等の研究成果を活用する事業、それをやっております民間企業に対します支援措置というのを行っております。例えば、最近でいいますと、TLOに対します産業基盤整備基金を通じた助成金の措置など、こういった形で企業が大学の研究成果を利用するために、それがスムーズに行われるような措置というのを行っているわけでありますが、今回の場合は、特に国立大学の先生などがその会社の役員の職を兼ねることに重要な意義がある、こういう点に配慮しまして人的側面での援助措置を講ずる、このことに重点を置いております。
 御指摘をいただきました具体的な措置がどうであるかということでありますが、研究成果の事業化を企画する民間企業への役員の兼業につきまして、国家公務員法第百三条に基づいてこれを認めることといたしたわけであります。承認のための基準は人事院規則で定め、兼業を認めるか否か、これにつきましては人事院が審査を行うこととなるわけでございます。
#223
○梶原敬義君 この法律の中で、第十四条の「会社その他の団体の役員、顧問若しくは評議員の職を兼ねることが当該研究成果の事業者への移転の促進にとって重要な意義を有することに配慮し」ということで、会社並びに団体の役員、顧問もしくは評議員になれるというわけですね、公務員が。
 その場合に報酬は私はおのずから限度があるべきではないかと思うんですが、通産省はどうもそういう考えでないようですが、人事院はどのように思っておりますか。
#224
○政府参考人(市川惇信君) 兼業の承認に当たりましては、人事院が承認の基準及び手続を定めて所轄庁の申し出に基づき承認するわけでございます。当然、今御指摘の兼業先におきましてどれだけの報酬を受けるかということも、その承認の基準あるいは手続の中で明記されることになるわけでございます。
 現在のところ、その報酬の限度額については何らの制限を設けないということにしております。それにかわりまして、兼業の報告をいただきまして、それを国会、内閣に人事院から報告するということによりまして透明性、公開性を確保し、それによっておのずからその報酬額というものが適正な範囲におさまってくるというふうに、こう認識をいたしております。
#225
○梶原敬義君 ちょっと、そういう場合にどういうことが出てくるのかなというのが、それでおさまってしまうのかなというのが非常に心配なんですね。
 特にこれは医薬品なんかで、これがもし当たったら大変だというような研究成果があって、その人あたりの場合だったらそんなに安い報酬で話がつくわけではないと思うんですよ。そういう場合、問題にならないのかどうなのか、議論しなかったのかどうなのか。
#226
○政府参考人(市川惇信君) 今の御質問にお答えする前に、ちょっと先ほどの回答に間違いがございましたので、訂正させていただきます。
 国会、内閣に報告と申し上げましたけれども、これは国民に対して公開するということでございます。申しわけございませんでした。
 ただいまの御質問でございますけれども、規制緩和の実をできるだけ上げるということが一番基本にございます。すなわち、役員を兼業することが当該研究者の研究成果を事業化することに有効であるという観点に立って、それに対して国として適正な支援をしようという、そういう発想でございますので、できるだけ円滑かつ有効にそのことが進むことが必要になってまいります。
 現在の時点におきまして、報酬等に上限を設けるということよりは、むしろそれを国民に公開いたしまして、全体としてのフィードバックの中でおのずからおさまるところへおさまっていくということが適当であるというふうに私どもとして結論したわけでございます。
#227
○梶原敬義君 私は民間企業で働いておったんですけれども、世間の常識は、民間企業の大企業でもそうですが、どこか系列会社に行きますね。行ったときには平社員が、今度は子会社へ行くときは重役で行きますね。そのときに、もとの会社にいた場合と出向した場合と給料並びに報酬に差があるわけです。そういうときに民間の場合どうしているかといったら、多い方を選択するんです、多い方を。それが社会の常識なんです。あなた、笑っているけれども、普通常識なんですよ。
 この場合、やっぱりちょっと考えた方がいいと思うんですよ。今はこれはこれでいっているからあれだけれどもね。それは年収一千万の人がどこかの会社の役員を兼ねた場合に、さっき言ったような例の場合だったら五千万どころじゃないかもしれない。社会はそういうことは許さないんじゃないの、そういうような極端な場合は。しかし、極端な場合もあり得る、これから出てくる問題だと思うんですね。
#228
○政府参考人(市川惇信君) 今御指摘のように、報酬に関しましては非常に多様性のあるものになるかと思います。非常に高い報酬を用意できるような研究成果、事業化の企業もあるかもしれませんし、状況によりますと、その研究成果を事業化するために立ち上げましたベンチャー企業等におきましては、資金等の節約のためにそうでない比較的低い報酬というものしか用意できない場合があるかと思います。
 そのときに、例えばベンチャー企業の場合には、大学教官あるいは研究所の研究者だけが参画しているわけではございませんでして、民間からもそこへ参画することになります。そういたしますと、そこで公務から兼業した者だけが、例えば公務の方が給与が高いということになりますとその補てんをする、あるいは今度は逆に民間企業の報酬が公務で想像されるよりもはるかに高いときにそれを削減するというようなことは民間とのバランスを著しく欠くということになるかと思いますので、それはその場の、ある意味の市場性といいましょうか、落ちつく先というもので調整を図るのがよろしいんではないかと考えております。
#229
○梶原敬義君 あなたはもう常識がないんだ、それは、社会の。
 その人はまた大学に帰れる、あるいは国の機関に帰れるという保証がついているんですよね。それがない場合は私は青天井でいいと思うんだ。その人はまたもとのところに帰れる、何年かしたら。保証されているんです。その場合に、むやみやたらに幾らでもいいというような話になってはまずいんではないか、このように思います。
 この法律において今変えると言ったってそれはなかなかあれでしょうが、人事院のあり方、あるいはこれからこういうことが進んでいく流れの中で、やっぱりあり方というのは硬直しないで、もう少し社会の一般の常識が通用できるようなあり方の方が長続きするんじゃないですか。
#230
○政務次官(細田博之君) 私ども通産省といたしましては、その問題は非常に長くかつ激しく議論をした問題でございまして、人事院さんは若干今こうやって御答弁いただくのもお気の毒なんですが、その点をどういうふうにバランスをとればいいかということで御議論をいただきました。
 我々は、さまざまな、例えば医学関係の方でも新しい薬の治験をするときにいろいろな不祥事が出ておったり、事実上いろいろなことが行われておるということもございます。それから、学者の研究の中には実際に産業として起こす場合に非常に大きな価値を持つものもございます。そのときに著しく制約をすること自体が、欧米等の実態と比べて著しく乖離をし過ぎておるために我が国の最近の研究の実用化の面での制約要因となって、これが大きなハンディキャップとして桎梏となったという認識でございましたので、私どもも人事院さんにも極めて強力にお願いして、このような形にしてほしいと。しかし、これはあくまでも透明性を確保しなければならないから、それだけの価値があって、その企業もそれだけのお金を払って、そして研究も立派にやってもらう。事業化をやめれば引っ込んでもらう。そういうことでお願いした経緯がございますので、その点も御理解をいただきたいと思います。
#231
○梶原敬義君 なかなか理屈で理解せいと言っても私はぴんと、何年か先にこれは出てくる話ですからね、そう簡単に理解はできないんです。まあいいです。
 それから、勤務時間というか、要するに役員兼業の仕事の時間、時間というかどういうような形の勤務になるのか。大学にも行きながら民間企業にも行くという、これ何回も答弁をさっきから聞いているんですが、もう一歩ちょっとわからないところがあるんですが。
#232
○政府参考人(市川惇信君) 委員御案内のように、国家公務員でございますから全体に対する奉仕者となっております。それを受けまして、公務員の服務の根本基準といたしまして職務を全力を振るって達成するということになっております。それはいわゆる職務専念義務といたしまして公務員として達成すべき任務を誠実に行うということになりまして、それを受けまして勤務時間というものが定まっているわけでございます。さらに言いますならば、その勤務時間並びに勤務の態様によりまして給与を含めます公務員の処遇の体系というものができ上がっているわけでございます。
 したがいまして、役員兼業をするといたしましても、いわゆる勤務時間の外の仕事と理解をする以外にないわけでございます。
 ただ、念のため申し上げますと、人事院といたしましては、勤務の態様につきましては既にかなりの規制緩和と申しましょうかあるいは弾力化を図ってきておりまして、国立大学の教官に関しましては任命権者の割り振りによりまして勤務時間を左右することができますし、それから国立試験研究機関の研究職におきましては極めて柔軟な勤務の態様がとれるようになっておりますので、実態といたしまして役員兼業の仕事といいますものを本務と調和して遂行することが可能であると考えております。
 なおそれでも、例えばベンチャー企業の立ち上げのごとく一定期間役員の仕事に専念する必要が生じたときには、それを可能とするような兼業休職というようなものを現在検討中でございます。
#233
○梶原敬義君 例えば兼業役員の任期、これは例えば普通の場合会社では二年とか三年とか役員の任期というのは決めますよね。これは兼業をするということになったときに恐らく大学で相談をし、文部省に相談して、人事院に相談して、この契約は三年なら三年とか二年とか、こうやりますね。そうすると、途中で早く目的を達した場合というのは打ち切ったり、あるいは長引いたりする、そこらのことについてはどのようにお考えですか。
#234
○政府参考人(市川惇信君) 途中で目的を達した場合には、この強化法案の中におきます役員兼業というものの公益性がそれで終了したわけでございますから、そこで兼業承認が終了するということになります。
 また、さらにその任期が過ぎまして延長を必要とするときには、その延長自体につきまして公益性を担保しつつ、承認の基準を満たしておりますならば延長することもあり得るということでございまして、あくまでも必要な役員兼業のもとでそれが承認されるということでございます。
#235
○梶原敬義君 何か時間が早く来まして、大臣、最後に、どうもこれは大企業は資金力に任せてこういう兼業とかあるいは委託研究とかどんどん進められるんじゃないか、中小企業は取り残されていくのではないかという心配があるんです。その点について大臣の決意を、いや、そうはさせないということをお聞きして終わりたいと思います。
#236
○国務大臣(深谷隆司君) この産学官の協力の技術革新というのは、大きい企業だけではありませんで、むしろ中小企業こそこれらの産学官の協力の中で技術的に開発されていくということが非常に大事なことだというふうに思います。そのために、このたびの法律を制定いたした後も、例えば大学の施設を使うに当たっての便利性とか、あるいは税制上あるいは予算上の対応も含めて、中小企業がこの恩恵に浴して技術革新が少しでも進んでいくように十分な配慮をしていきたいと考えます。
#237
○梶原敬義君 終わります。
#238
○水野誠一君 参議院クラブの水野でございます。
 今回の産業技術力強化法案では、その制定目的として、米国などに比べた産業技術力の低下懸念、それ以外に次のようなことが説明されているわけです。「国際競争力の激化と産業構造の変化の中で、これまで我が国が得意としてきたコスト低下、品質改善を進める技術革新(プロセス・イノベーション)だけではもはや対応できず、新事業・新市場を創出するための技術革新(プロダクト・イノベーション)を可能とするような技術開発体制を構築することが急務。」と、こういうふうに書かれているわけであります。
 私も全くこのとおりだと思うのでありますが、この新事業、新市場を創出する必要性という点については、以前にも質問させていただいたビジネスモデル特許というものが近年登場してきた背景とも通ずるものがあると思いますし、また日本の特許出願数を見たときに、基礎特許取得数というものが非常に少ない、そしてむしろ応用特許にほとんど特化されているというふうなことを考えても、私は、このいわゆるプロセスイノベーションからプロダクトイノベーションへというその背景は、そういうことからも言えるのかなという感じもいたします。
 そしてまた、これもかねがね日本の教育問題ということでも言われるところでありますし、私の持論でもありますけれども、日本は知識教育としてはもう超一流の国である、にもかかわらず知恵をどういうふうに生んでいったらいいかというその知恵の教育という意味では、日本の教育制度というのはちょっとまだまだ課題があるんじゃないかというような点にもこれは恐らく通底してくる課題かなと思うわけであります。
 そこで、まず法案の制定目的であるプロセスイノベーションからプロダクトイノベーションへの移行ということについて、これはなぜこういう意識に通産省のお考えが到達したのかということと同時に、プロダクトイノベーションがなぜ日本では弱かったのかと私なりの考えを今御披露させていただきましたけれども、ぜひ通産大臣からもそこの認識を伺えればと思います。
#239
○国務大臣(深谷隆司君) 水野委員がお考えの趣旨も含めて御質問がございましたが、ほとんど私どもと同じ考え方でございます。
 我が国が高度経済成長を遂げたその背景をずっと考えてみますと、やはり生産工程の技術改良とかあるいは世界の国々が開発したものをさらに知恵を出して改良を加えていくといったような、まさにプロセスイノベーションが中心でございました。だけれども、その分野も今や欧米先進国に追随されているという、そんな感じでございます。差別化・高付加価値競争においても非常に厳しい挑戦を実際に受けています。
 一方、将来の市場拡大について考えてみますと、情報通信とかバイオとかいう分野でありますが、この分野は技術革新のスピードが猛烈であって片時も油断ができない、新技術、新商品をみずからの手で次々と生み出していかなければもはや市場での競争優位を維持することはできないという、そういう現実でございます。
 そこで、我が国の経済を持続的に発展させていこうということになれば、今までのプロセスイノベーションももちろん重要でありますからこれは大事に考えますけれども、新しいものを生み出す技術革新、いわゆるプロダクトイノベーションを図っていくというシステムが非常に重要になってくると思います。まさに今日までの日本の経済の歩み、そして二十一世紀に向けての世界各国との比較の中における何が必要かという立場に立って考えると、今日ほど技術革新、そしてそのための産学官の協調、協力が必要だという認識で今回の法律案の提出となったわけです。
#240
○水野誠一君 次に、今回最も話題となっております国立大学などの教官の兼業規制緩和について幾つか確認をしたいと思います。
 これはもう既に皆さん御指摘のように、昨年十一月の閣議了解で国立大学教官等が民間企業の役員を兼務することについて道を開く旨が盛り込まれてようやく法案の姿になったと解釈をしているわけですが、そのときのきっかけが一橋大学の中谷巌先生の問題だった。しかし、考えてみると、あの中谷問題が出てこないとこういった法案の改正ということにつながらなかったのかなと。そういう意味では中谷先生のあの案件というのが果たした意味というのは大変大きかったなとも思うんですが、ああいう問題がなくてもやっぱり積極的に時代の要請としてこれは当然考えなければいけない課題でもあったわけでありまして、私は、今回のこういった規制緩和については積極的に取り組むべきだ、そう考えております。
 アメリカでは、国立大学の教授などが当然成長企業の役員を兼ねたりベンチャーを起こしたり成功する例が頻繁にあること、先ほど来、畑委員などからも事例が出されておりましたが、これは御存じのとおりであります。先ほど来人事院の御説明にもあるように、片方ではすべて公務員は全体の奉仕者であるという憲法の趣旨、そして国家公務員法の私企業からの隔離などといった原則があることから、今回の措置をまとめる過程には相当いろいろな議論があった。これも先ほど来いろいろ御説明を伺って、さもありなん、かように感じた次第でございます。
 さて、兼業規制の緩和については、国家公務員法百三条第三項に基づいて、所轄庁の長の申し出により人事院の承認を得た場合に限り役員兼業を認めることとし、産業技術力強化法案はその意義を明確化する機能を持つものとされたわけであります。その結果、実際に民間企業の役員兼業を希望する大学教員などがしなければならない手続がどうも煩雑になるのではないかという指摘も片方ではあるわけでございまして、再度という感じになるんですが、この点を改めて確認させていただきたいと思います。
 つまり、国立大学の教官であれば、先ほど来御説明を聞いていると、大学、そして所轄庁の長である文部大臣、そして人事院の承認という三つのステップを踏んでいかなければいけない、こういう御説明があったわけですが、これではやっぱりどう考えてみても手続が余りにも煩雑になって時間がかかり過ぎるんじゃないか。今こういう時代、まさに技術革新というのはドッグイヤーで進む。今までの時間観念の一年がちょうど今までの七年に匹敵するぐらいのスピードで技術革新も進むと言われている今日に、どうもこれでは非常に煩雑であり、また時間もかかる、せっかく導入された仕組みが生かされにくいのではないかという指摘、これは私の友人や大学あるいは研究に携わっている人たちの声としてこんなことも聞いております。
 法案の趣旨に照らして手続は極力シンプルに迅速に行われるべきだ、これは当然の議論でありますし、また今いろいろ文部省あるいは人事院ともに御検討いただいているんではないかなと思うわけですが、この点についてもう一度確認をさせていただきたい。
 文部省には、大学などにどういうふうに今回の措置を周知徹底されているのか、それから手続の円滑化を促していらっしゃるのかというような問題。それから特に、意外と大学の中にはよく言われる学閥といったような非常に保守的なバリアも存在するんではないかと思うんですが、そうすると、かなり許可判断の基準に大学による格差というのが出てくるんじゃないかなと。そんな点についてもどんなふうにお考えになっているか、その点について文部省と人事院にお尋ねしたいと思います。
#241
○政府参考人(小野元之君) 各大学では教官からの兼業申請に基づきまして文部大臣に申請の申し出を行うわけでございますけれども、今御指摘にございましたように、今回、規制緩和の一つとしてこの制度ができるということもございますし、私どもといたしましては、大学と十分連携を図りながら、もちろんその教官の職務遂行に影響があるかどうかということは当該大学で御判断いただく必要があるわけでございますけれども、そういった判断を尊重しながら、文部省、大学一体になってできる限り迅速かつシンプルなシステムでやってまいりたいというふうに考えております。
 なお一方、適正な審査が必要だということも当然のことでございますので、適正な審査が図れるだけの最低限の申し出書といいますか書類は整える必要があると思いますけれども、いずれにいたしましても、今回の制度の趣旨に合致いたしますように、速やかな形で申請が行われ、それが承認されるよう、いたずらに時間がかからないような努力をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。
#242
○政府参考人(市川惇信君) ただいま委員からお話がございましたように、この役員兼業といいますものは、全体の奉仕者ということもありまして国家公務員法の体系のもとで行われることになっておりますので、百三条三項によります所属の監督庁の長から人事院へ申請があり、それを承認するという、そのところというのはどうしても残しておかなければならない話でございます。
 実態として考えますと、職員本人が所属機関である大学、国立試験研究機関等に申請をし、そこから所轄庁の長のところへ行くという筋道を通ると思いますけれども、人事院が所轄庁からの申請を受けますときの基準及び手続というものをこの趣旨が実現するようにできるだけ明確かつ簡素なものにしておくとすれば、恐らく所轄庁から所属機関、さらに本人に行くその過程もそのことが影響が及ぶであろうというふうに考えております。
 具体的に申しますと、所属の機関あるいは所轄庁でなければ判断できないような事項につきましてはそこで責任を持って御判断をいただき、人事院といたしましてはそれらを見まして総括的な判断をするというふうに進めていきたいと思っております。
#243
○水野誠一君 いずれにしても、この制度が有効に活用されるということは大事でありまして、ひとつなるべくシンプルに、なおかつ基準が各大学によって差ができるようなことがないように、できるだけこれから運用上の御配慮をいただくべきじゃないかなと、かように思います。
 それから、これまで国家公務員法の職務専念義務というのがあるために、国立大学などで教官が民間企業の職務を兼任することが全くできなかったのかなと思いまして調べてみると、百四条規定に基づいて許可を得た場合には企業の技術コンサルティングなどの任に当たることは可能だったということを勉強させていただきました。これは国立大学における兼業許可件数などでは年間三万件程度があるようだということでございます。
 そこでお尋ねをしたいんですが、今回の規制緩和措置は民間企業の役員になることに道を開いているわけでありますが、これまで役員となれなかったことによる不都合、これがどんなものがあったのか。それからまた、今回役員になることによって道が開けるもの、これはどんなことに期待をされるのか、この点について通産省にお尋ねしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#244
○政務次官(細田博之君) これまで非役員の場合にはいろいろな形で認められていたということは御指摘のとおりでございますし、昨年あたりからその範囲もできるだけ広くということで拡大の努力をしてきたわけでございます。
 しかしながら、特定の研究開発成果の事業化につきましては、やはり企業経営の重要意思決定事項でありまして、取締役会の議を経て決定されるわけでございまして、その事業化が円滑かつ適切に行われますためには、その技術の専門性が高いがゆえに、当該研究成果を熟知する教官みずからが役員としてその意思決定過程に参画することの必要性が認められるわけでございまして、それが可能になりますように、国家公務員法百三条に基づき、企業の役員を兼職できるようにすることが必要と判断したものであります。
 それはいわゆる大企業との関係でそこの中に役員になるということももちろんあり得ますけれども、一緒に新しいベンチャーを設立してそこの役員として活躍願うという場もかなり広く認められるのではないかと。このようなケースが非常にアメリカなどでは多いものですから、そういったことも参考にしておるわけでございます。
#245
○水野誠一君 これは通告していない質問なのでちょっと恐縮なんですけれども、中谷先生の場合はソニーの社外役員というポジションでありましたが、これはいわゆる社外役員ではない常勤役員ということも視野に入れておられるのでしょうか、その点はいかがなんでしょうか。
#246
○政府参考人(市川惇信君) 今回のものは国家公務員法の条項で申しますと百三条でございますので、百三条におきます役員、顧問、評議員といいますものは、委員御指摘の常勤のものまで含まれるというふうに認識しております。
#247
○水野誠一君 それからもう一つ伺いたいのは、外国企業でもいいのか、あるいは外資系企業、恐らく外資系企業はこれは日本に籍を置く企業でありますから問題ないと思うんですが、日本に基盤を置かない例えばシリコンバレーにあるアメリカの企業からこういう要請があった場合、これはいかがなんでしょうか。
#248
○政府参考人(市川惇信君) 産業技術力強化法のもとにおきまして役員を兼業しながら研究成果を移転することについて国として適切な支援をするということでございますので、そのことが満たされている限りにおきまして、日本の企業と申しましょうか、そういうものに限定されるものではないというふうに考えております。
#249
○政務次官(細田博之君) 本来、産業技術力強化法という目的もございますので、やはり我が国の中でせっかく国家公務員として研究を重ねてきた人に国内にできるだけ大きな波及効果をもたらしていただくということが趣旨でございますので、そういった場合はほとんど念頭に私どもとしては置いていないわけでございますので、今後の要検討課題だと思います。
#250
○水野誠一君 私は、今の点は意外と重要なテーマかなと思っているんです。法律的には今人事院からお答えがあったように海外の企業でも問題はないと、しかし片方では国内の競争力を強化するためなので原則は日本企業だということであります。
 これは後でちょっと特許の点についても触れさせていただくんですけれども、ただ、とはいいながら、この間もGLOBEという環境問題についての国際議員連盟の世界大会が大津でございまして、そこでも燃料電池の技術開発の話を日本国内のメーカー、そしてカナダのバラード社というメーカー、そういうところ双方がパネラーとなっていろいろお話を聞いたんですけれども、こういう問題とか、後で触れますヒトゲノムの特許問題とか、こういう研究になると企業の国籍というのが果たして意味を持つのかというような問題もあると思うんです。
 ですから、私は、もちろん今細田次官からお話があった点というのはよくわかりますが、片方ではこれからまたもっと違う視野での議論も必要になるのかな、そんな感想を持っております。
 それから、これも確認でございますけれども、株式保有、ストックオプション、これも当然民間企業役員を兼職するに当たっては可能と、こういう理解でよろしゅうございましょうか。
#251
○政府参考人(市川惇信君) 報酬といたしまして兼業先の企業の株式等をストックオプションという形で受けることに関しましては、今回の役員兼業に関連しての制限は設けておりません。
 ただし、それらを報酬として受け取った場合におきましてはそれを全部報告していただきまして、先ほど申しましたように、これを国民に対して公表するという過程を通じまして兼業状況を透明にしたい、こういうふうに考えております。
#252
○水野誠一君 ありがとうございました。
 次に、これも先ほど来話題になっております公務の勤務時間外の活動を原則とするという今回の措置について少し伺うとともに意見を述べさせていただきたいと思うんですが、私は、どうも今回のこの勤務時間外という規定についてはいささか現状、この現代の今の状況から見て柔軟性に欠けるのではないかな、こういう懸念を持っております。
 まさに、申し上げるまでもなく、インターネットなどを使って仕事のいわゆるワークスタイルはますます多様化をしていくということもありますし、机に向かったり外回りをしたり会議に出席したりということばかりが仕事であるとは到底言えない。そういう時代にこういった時間の概念による線引きをしていくということは、これからの、ましてこういった研究をされている方に対して余りなじまないんじゃないかな、そういう感じが率直なところするんです。
 これはなかなか難しい議論が今までもあったというふうにも聞いておりますが、改めて人事院の見解、それから今後この問題についてはそういった議論を踏まえて見直していく余地があるのかどうか、その点についてお尋ねしたいと思います。
#253
○政府参考人(市川惇信君) 繰り返すことになりますけれども、全体に対する奉仕者であって、職務専念義務があって、その職務専念義務というものが勤務時間で規定されるという、その文脈のもとでは、現在ここで議論していただいておりますような形、すなわち勤務時間外という姿しか出てこないわけでございます。
 しかしながら、御指摘のように、職務を遂行するということが勤務時間だけではかれるのかどうかということは、殊に大学における教育研究あるいは試験研究機関における研究については出てまいります。そのような状況について、職務を遂行したということを別の形で考えられるかどうかということは今後私どもといたしまして十分検討すべき課題だと思っております。それがいわゆる国民に御理解をいただき御認知をいただいたときには、それを受けましてここの部分というものは将来変わる可能性もないわけではないと、こんなふうに思っております。
#254
○水野誠一君 またさらに、先ほど来これも議論になっておりますけれども、一定期間休職の制度、これもいろいろな問題を私ははらんでいると思います。
 これはもう既にいろいろ御指摘がほかの委員からありましたので余りここで繰り返してお尋ねすることはいたしませんが、特に休職できる期間や手続などについてやっぱりあるイメージを明確にしておかないとなかなかこれは現実と乖離した制度になってしまう危険性もあるのではないかな、そんな感じもするわけです。
 そこで、これも通告していなかった質問なんですが、私はやっぱりこの制度を考えていったときに、独立行政法人化する、つまり国立大学を独立行政法人化するという今文部省が抱えておられる大きなテーマがあるわけですが、これとの関連というのは非常に大きな重要な問題を持っているんじゃないかなと。
 私の理解では、国立大学が独立行政法人化すれば今議論されているような国家公務員の義務としてこういう縛りがあるというような制約の部分というのがかなり解決することになるのか、こういう点が一つでございます。それと同時に、今文部省でこの独立行政法人化というのがどれくらいまで議論が進んでいるのかという点、簡潔で結構でございますが、お答えをいただければと思います。
#255
○政府参考人(小野元之君) 国立大学の独立行政法人の問題につきましては、昨年九月に有馬文部大臣の方からそういった行革の一環で検討するということを表明して以来、現在検討をしておるところでございます。
 仮に国立大学が独立行政法人になった場合、それも実は公務員型と非公務員型とでそれぞれ違うと思うわけでございますけれども、基本的には私ども独法化の検討に当たりましては公務員型というものをひとつ念頭に置いておるわけでございます。
 そういう意味で今後の課題にはなるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、先ほど人事院からも御答弁ございましたけれども、大学の教官は研究という意味で通常の公務員とは若干勤務の形態が違っております。もちろん勤務時間の割り振りの変更等によりましてかなり柔軟な対応もできるわけでございますので、今回のこの役員兼業につきましても、そういった点を十分勘案しながら対応してまいりたいというふうに考えているところでございます。
#256
○政府参考人(市川惇信君) ただいま文部省の方から御説明がございましたように、独立行政法人は特定独立行政法人すなわち公務員型と、それから特定のつかない非公務員型がございます。非公務員型の場合は、委員御指摘のようにこういう枠組みから外れてくることになります。しかし、特定型の場合には、国家公務員法の体系のもとにございます一般職公務員でございますので、この枠の中におさまってくる話だと思います。ただ、服務規程等が通常の場合とやや異なってまいりますので、そういうことに対する配慮、対処というものが必要になってくるかと思います。
#257
○水野誠一君 ありがとうございました。
 最近、いろいろ報道なんかを読んでいても、日本の企業に、産学協同の重要性を認めながらも、国内の煩雑な制度を嫌って欧米の大学に研究委託をする動きがふえている、こんな話も聞くところでございます。
 産業競争力会議の会議録にも、例えば味の素社長の江頭さんの発言として、「国公立大学へ年間百件以上研究委託しているが、運用細則等の問題で寄付の形をとっており、これだと成果が返ってこない。米国の大学へは委託でき、成果も返ってくるため、研究を海外に持っていってしまう傾向にある。」、こういった指摘がございますし、また九八年に経団連が会員企業二百八十社に行った調査では、日本企業が日本の大学に委託している研究費は一社当たり三千百万円だったのに対して、アメリカの大学に対しては四千二百万円に達していたと。平均値ですから何とも申し上げられませんが、ここで一千万ぐらいの格差があるという話もございます。
 こうした現象というのは本当なのか。企業が何をどこに研究委託するかということは企業秘密も多い世界でありますので正確な数字はないかもしれませんが、こういう現象、これを通産省としてはどうとらえられるかということと、もう一つ、大学への委託研究費等の弾力運用が今回の法案の柱の一つだと伺っておりますが、江頭さんが指摘するような現象が今回この法案によって改善に向かうと、これも先ほど来幾つか関連する質問もございましたのでもう簡単で結構でございますが、お答えいただければと思います。
#258
○政務次官(茂木敏充君) 委員から御指摘いただきました傾向は事実であると考えております。
 実態について簡単に申し上げますと、ここ五年間ぐらいで我が国の企業が海外の大学それから日本の大学に拠出をいたしました研究開発費、これを比較してみますと、まず海外の大学であったりとか研究機関に拠出したものは一九九四年で七百九十五億円だったのに対しまして、九八年にはほぼ倍に近い千四百三十三億円になっておりまして、六百三十八億円の急増を示しております。
 一方で、我が国の企業が日本の大学へ拠出した額がどうであるかを見てみますと、同じ九四年から九八年でありますが、九四年が六百三十八億円であったのに対しまして、九八年は八百十五億円となっておりまして、その増加額は百七十八億円ということで、海外の方と比べると随分少ない、こういう形であります。
 この原因についてでありますが、委員からも御指摘いただきましたように、産業界や学界の声を聞いてみますと、日本の場合、手続が非常に複雑なために研究以外に時間がかかってしまう、さらに研究費の費目が指定されており、また単年度の予算のために使いづらい等の問題点がたびたび指摘をされているところでございます。
 これに対しまして、この法律案におきましては第十三条におきまして、国と地方公共団体は、「資金の受入れ及び使用を円滑に行うための措置を講じなければならない。」、この旨を定めておりまして、これに基づきまして細かい予算費目の区分を撤廃いたします。そして、費目区分にとらわれずに資金を使用できるようにする。そしてもう一つ、民間と大学の間で複数年度にわたる契約の締結を可能といたしまして、また複数年度分の資金を一括して受け入れまして翌年の繰り越しもできるようにする、このような制度を創設いたします。これによりまして手続上の問題は全面的に解決される、このように考えております。
#259
○水野誠一君 ありがとうございました。
 続いて特許政策との関連について伺いたいと思います。
 本法案では、特許取得のインセンティブを高めるために、大学や大学教官に対する特許料の軽減措置、いわゆるアカデミックディスカウントをするということが盛り込まれておりまして、これは通常特許の取得、維持には数百万円金がかかるというふうに聞いておりますので、この軽減措置は大変発明意欲旺盛な研究者には朗報だと理解をしております。
 さてところで、大学などの研究者が特許の取得可能な発明をした場合において、その特許権はどこに帰属するのか、これは非常に素朴な疑問があるわけであります。それについて確認をしたいと思います。
 伺うところによると、特許権については現状でも八割から九割が研究者個人に帰属しているとも聞いておりますが、国からの委託研究の場合、それから今度の法案でもそれが強化されますけれども企業との共同研究などの場合を含めてどういうルールになっているのか、この点について、文部省に伺ったらよろしいのかな、この御説明をいただければと思います。
#260
○政府参考人(工藤智規君) 御指摘のように、国立大学の教官の発明につきましてはいろいろ御議論ございまして、昭和五十二年の学術審議会の答申を受けまして変えたのでございますが、それまでと違いましてできるだけ教官個人にインセンティブを与えるような仕掛けにしようということで、国の施設を使ってやるわけでございますけれども、国が承継するのではなくてできるだけ教官個人にやるような仕切りにしてございます。
 具体的に申しますと、国が特別のお金を出しまして応用開発を目的とするような研究課題のもとに行ったような場合については国に帰属いたしますけれども、そうでない場合については教官個人に帰属するというので、現実には約八割ぐらいが個人有という仕切りになってございます。
 また、個人有の特許というのは譲渡できますので、個人で抱えておられる方もいらっしゃいますけれども、多くは企業に譲渡されるなどして活用されていると推測しているところでございます。
 また、御質問にございました国や企業等からの委託を受けて行う受託研究でございますけれども、これにつきましては原則として特許の帰属は国にしてございます。ただし、一部、企業等に対しては譲渡できるような仕組みになってございます。
 また、国と民間企業等が共同で研究した場合についてでございますが、企業等との共同研究については国と企業との共有という形での整理になってございます。
#261
○水野誠一君 伺うところによると、特許庁は九八年から国立の研究機関や大学が保有する国有特許の使用料を自由化したと伺っております。それによって、従来はその特許を応用した製品の売上金額の数%というところに固定されていた特許使用料を、特許の利用価値に応じて大学などの研究者が民間企業と交渉して使用料を決められるようになったと、かように聞いております。
 九八年にこの改正が行われてから余り時間がたっておりませんので、どの程度成果が上がっているか、おわかりになるかどうかわかりませんけれども、こういったものが研究者の士気向上にどれくらい寄与したものなのか、おわかりになればお答えいただきたいと思います。
#262
○政府参考人(近藤隆彦君) 国有特許の使用料の自由化の点でございますけれども、今先生おっしゃいましたとおり、できるだけこういった国の研究機関ないしは大学の研究成果の民間に対しての移転を円滑にしようという観点から、平成九年の経済構造変革の行動計画、閣議決定に基づきまして、具体的な措置としまして特許庁が平成十年に特許権等契約ガイドラインといったものを制定しまして、この国有特許の円滑な移転というものの制度を見直しております。
 従来は特許権の売り上げの二%から四%の実施料というので一定の縛りがあったわけでございますけれども、この措置によりまして全く自由化しまして自由に交渉で決めていいというふうにしておりますし、また支払い方法も、当初に一括して支払おうがあるいは出来高払い的に支払おうが、契約者の実態に応じました自由な契約にしていいというふうにしております。
 おっしゃいますとおり、平成十年でございますのでまだそう多分件数は多くございませんけれども、この結果、実は実施料率が一〇%を超えたものも散見されておりますので、だんだんインセンティブとしての機能が出てきたものというふうに考えております。
 この実施料の金額に見合いまして研究者当人に還元されます補償金も上がってまいりますので、自分の発明をできるだけ特許にしよう、それを移転しようという、こういったインセンティブがこれからも一層働くのではないかというふうに期待しておる状況でございます。
#263
○水野誠一君 ありがとうございました。
 次に、産学共同プロジェクトの一つの例として遺伝子特許についてちょっとお話を伺いたいと思います。
 最近、セレラ・ジェノミクス社というアメリカの企業が大変話題になっている。これは、遺伝子情報ゲノム解読の分野で約三十億あるという塩基配列データの九九%、これは遺伝子の基本単位のでございますが、この九九%を突きとめたとされて、日米欧政府の国際ヒトゲノム計画をある意味で追い抜いて、現在世界最先端を行くとされている企業でございます。
 NIH、米国立衛生研究所の元研究員だったクレーグ・ベンターさんという方が設立したまさにベンチャー企業でありまして、彼は役員兼業をしているわけではありませんが、元国立研究所の研究員だった人がその技術を生かして成功しつつある例としては非常におもしろい、わかりやすい例かなと、かように思います。こうした先端分野で第二、第三のセレラ社のような企業が日本でも生まれてくることを大いに期待したいと思うわけであります。
 さて、通産省は、二〇一〇年時点でこのバイオ分野の市場規模を二十五兆円と見込んでいると伺っております。ここ数年は関連予算規模も大幅な伸びを果たしているようでありますが、今後のバイオ政策においてはどういった点に重点が置かれるのか、この点について伺いたいと思います。
 それからまた、セレラ社がヒトゲノムをほぼ解読したことを公表した後、米英首脳がゲノム解読データを開放すべきだと。つまり、こういったのは民間企業一社が特許として独占すべきではないという共同声明を発表した。遺伝子の特許は認められないという理解が一時広まったわけでありますが、そうかと思うと、今月の五日にはクリントン大統領がゲノム解読に絡んだ特許取得を擁護する趣旨の発言をする。さらにその翌日六日にはセレラのベンター会長が基礎データ部分については無償公開を約束するなど、この分野については目まぐるしい情勢変化が行われている。その中、小渕前総理が、遺伝子の特許問題については沖縄サミットで取り上げてもいいくらいの問題だ、こういった発言もされたと聞いております。
 日本企業でも既にこういったゲノム関連の特許申請に動いているはずでありますが、この遺伝子特許をめぐる問題について、もし通産省として何らかのスタンスが定まっていればぜひこの点についても伺わせていただきたいと思います。
#264
○政府参考人(岡本巖君) 先生御指摘のアメリカのセレラによるヒトの全ゲノムの解析というのがほぼ終了したというふうに報じられておりまして、このことに示されておりますように、国際的にゲノム解析の競争というのはますます熾烈化をしてきてもおります。
 これは、今お話にありましたように、私ども従来二〇一〇年の市場規模を十兆ということで見ておりましたが、昨年、バイオ産業人会議での議論を踏まえまして、産業界の人たち自身も二〇一〇年の市場規模は二十五兆ということで、情報通信と並んで二十一世紀のリーディングインダストリーの一つになるということで大きな期待が寄せられているわけです。バイオインダストリーというのは、先生御案内のように、遺伝子の機能の解析、それからそれに基づきまして特許を取得する、押さえるということが産業の消長を決するかぎになってくる、そういう特色を持っております。
 そういう競争に打ち勝っていくためには、私ども、我が国としても国を挙げて取り組みを進めていく必要があるということで、昨年一月、当時の通産大臣から、文部省、科学技術庁、厚生省、農水省、五省庁でこれからのバイオのテクノロジーを産業化ということで大きく進めていくための基本方針というのを五人の大臣でお決めをいただきました。さらに同年七月には、それをより具体化した基本戦略というものを策定いたしました。その戦略に基づいて、役所はもちろんでございますが、大学、国研、産業界相携えて連係プレーで一連の取り組みを今進めてまいっているところでございます。
 この基本戦略の中でまず真っ先に取り組むべきこととしまして位置づけられておりますのが、ゲノムの解析を加速化するということでございます。これまでのところ、日本が欧米に比べてややおくれているというところは否めなかったわけでございますが、日本としては我が国の強みを生かした攻め方をこの分野でやっていこうということによって、そのことによって欧米を現状では急速に追い上げつつあるところでございます。
 例えて申しますと、ヒトゲノムの解析ということにつきまして、セレラを初めとするアメリカは、三十億個と言われている塩基対のすべてを粗っぽく片っ端から読んでいくという形でゲノムの解読を進めてまいってきているわけですが、私ども日本は、全体の中の五%が有用な遺伝子の部分でございますので、その部分だけにターゲットを絞って、その部分を端から端まできれいに読むという完全長cDNAの解析技術というものをベースにして、非常に効率的にゲノムの解読、さらにはその後の機能の解析ということにめどをつける作業を約二年前から急速に進めてまいっております。
 お尋ねの中にありました特許というのは、ゲノムの構造、塩基配列を読んだだけでは特許は認められないということに、これは日本もアメリカもヨーロッパも三極の特許庁の間でそういう共通認識になっておりまして、決め手は機能なり有用性というものをアイデンティファイするというところまでいかに早く進むかということでございます。
 小渕総理の主導のもとで始められましたミレニアムプロジェクトの大事な一環として、まさにこの遺伝子の構造解析はもとよりでございましたが、その次のステージとしての機能解析というのを急ごうということで、今大いに関係者総力を挙げて進めているところでございます。さらに、これにとどまりませんで、再生医療とかそういったこともあわせて現在進めつつあるところでございます。
#265
○水野誠一君 大変わかりやすく御説明をいただいて、ありがとうございました。
 特にこの日本独自の強みを生かした研究をさらに進められるということ、これは大変重要なことだと思いますし、今回の産業技術力強化法というもの自体がそこの推進にも役立つということを私は大いに期待させていただきたいと思っております。
 最後に、きょう各委員からいろいろな御質問も出、また大臣自身御答弁をいただいたわけですが、特にこの競争力会議では通産大臣が議事進行役を務められてきたということもございますので、きょうの全体の議論も踏まえて、最後に一言大臣から今後の取り組み姿勢についてもう一度確認をさせていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
#266
○国務大臣(深谷隆司君) 産学官がそれぞれの研究成果を社会に還元していくということが最も重要なことでありまして、その道筋をどうやってつくり上げていくかということがこれからの最大の課題と心得ています。
 大学や研究所の研究成果については、その成果が事業化する、製品化される、そこで初めて国民全体が利益を受けるということに相なるわけでございます。そこで、産学官がお互いにそれぞれ創造的な研究活動を活性化させるのみならず、産学官の連携を密にする、互いの成果を利用しながらこれを事業化につなげていく、そういう道筋をこれから開いていくことが一番大事だというふうに思います。
 こういう考え方のもとで、通産省といたしましては、大学の技術移転機関の整備、産学官協同研究の推進、あるいは今般の法律に盛り込まれました国公立大学教官等の役員兼業規制緩和等の措置によって産学官の連携推進に努めてまいりたいというふうに思っています。
 同じことを繰り返しますが、産官学の、あるいは産学官の研究成果の社会への還元を促進するためにこうした各般の措置をしっかり充実していくということが大事でありますので、そのような努力を懸命にしてまいりたいと考えます。
#267
○水野誠一君 終わります。
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#268
○委員長(成瀬守重君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、山下芳生君が委員を辞任され、その補欠として吉川春子君が選任されました。
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#269
○委員長(成瀬守重君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#270
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、産業技術力強化法案に対する反対討論を行います。
 反対理由の第一は、本法案が、大学等の教育研究を営利を目的とした特定企業に奉仕させ、事業化が可能な産業技術に係る部分に集中的に特典を与えるため、大学の自治と学術研究の自由で健全な発展をゆがめることになるからです。
 今、国立大学等の人員削減、研究施設や設備の貧困が大学本来の教育研究機関としての存立そのものを危うくすると社会問題となっています。とりわけ、基礎研究全体に対する支援がなおざりにされているもとで、産業技術力強化という観点からの評価と予算の重点化が行われれば、大学等の教育研究をゆがめ、長期的には基礎科学と技術の発展をむしろ後退させるものとなります。
 第二に、大学等の研究者が営利企業の役員を兼ねることは、「すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。」という憲法第十五条の規定、及び公務員の営利企業の役員等の兼業を禁止している国家公務員法の原則をなし崩しにするものだからです。
 大学等の研究者である特定の公務員が、特定の営利企業の役員となることは、公務の公正という点でも、研究者と民間企業との癒着の温床の拡大につながるという点でも、国民の信頼を得られるものではありません。
 最後に、産業技術力強化というのであれば、大学の研究現場の劣悪化を早急に改善するための予算の抜本的強化を図ること、さらに産業技術力の空洞化を招いている大企業のリストラ、人減らしを規制し、中小企業の技術力強化の支援こそ優先すべきであることを指摘して、反対討論といたします。
#271
○委員長(成瀬守重君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 産業技術力強化法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#272
○委員長(成瀬守重君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#273
○委員長(成瀬守重君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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