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2000/05/25 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 経済・産業委員会 第18号
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2000/05/25 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 経済・産業委員会 第18号

#1
第147回国会 経済・産業委員会 第18号
平成十二年五月二十五日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十四日
    辞任         補欠選任   
     奥村 展三君     水野 誠一君
 五月二十五日
    辞任         補欠選任   
     藁科 滿治君     北澤 俊美君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         成瀬 守重君
    理 事
                加藤 紀文君
                畑   恵君
                円 より子君
                山下 芳生君
                梶原 敬義君
    委 員
                加納 時男君
                倉田 寛之君
                陣内 孝雄君
                須藤良太郎君
                保坂 三蔵君
                真鍋 賢二君
                足立 良平君
                今泉  昭君
                木俣 佳丈君
                藁科 滿治君
                加藤 修一君
                西山登紀子君
                水野 誠一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        塩入 武三君
   参考人
       財団法人地球環
       境戦略研究機関
       理事長      森嶌 昭夫君
       富士常葉大学長  徳山  明君
       西南学院大学教
       授        松田 時彦君
       電気事業連合会
       原子力開発対策
       委員会委員長   前田  肇君
       岐阜県瑞浪市長  高嶋 芳男君
       青森県六ケ所村
       長        橋本  寿君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)



    ─────────────
#2
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を開会いたします。
 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案を議題とし、本日は参考人から意見を聴取いたします。
 まず、午前は、財団法人地球環境戦略研究機関理事長森嶌昭夫君、富士常葉大学長徳山明君及び西南学院大学教授松田時彦君に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様から、森嶌参考人、徳山参考人、松田参考人の順にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、森嶌参考人からお願いいたします。森嶌参考人。
#3
○参考人(森嶌昭夫君) 御紹介いただきました森嶌でございます。本日は、参議院の経済・産業委員会の参考人としてお呼びいただきまして、大変光栄に存じております。
 それでは、早速意見を申し述べさせていただきます。
 申し上げるまでもないことですけれども、我が国は、一九六三年に原子力の発電を開始いたしまして、自来三十数年にわたって原子力発電を続けておりまして、現在、原子炉、原子力発電は五十一基に上っておりますが、現在、日本の発電量の約三八%が原子力発電によるものであります。
 こうした原子力発電の結果、ガラス固化体という、これはここで御説明している時間はございませんけれども、要するに再処理をした後ガラス固化体というものにいたしまして現在約一万二千本ぐらいがもう既に貯蔵されております。まだガラス固化体になっておりませんで、発電所等において冷却をしている、あるいは再処理のプロセスにあるというところでございまして、二〇三〇年までにはガラス固化体にしまして七万本ぐらいの高レベル放射性廃棄物が、ここで言う特定放射性廃棄物が出てくるであろうというふうに推測されているわけでございます。
 それではその処理をどうするかという点につきましては、我が国では、今回初めて法律が出た状況でございまして、全く現在までのところ深層地下の研究も含めて非常に立ちおくれておりまして、他の原子力発電の国に比べまして二十年から三十年おくれているというふうに言われているわけであります。
 しかしながら、他方で、御承知のような動燃の事故とかさまざまな事故があり、さらには昨年ジェー・シー・オーの事故などもございまして、国民の間には原子力に対する不信感、不安感というのが非常に高まっているところであります。
 現在、科学技術庁、科学技術庁というよりもむしろ原子力委員会で原子力の長期計画についての見直しなども行っているところでありますが、そこで最大の問題は、どのようにして国民の不安、不信を解消しつつ現在の原子力発電というものを、将来拡大するのか維持するのか縮小するのかはともかくとして、現実の問題として原子力発電がこれだけ重要な役割を占めているわけでございますので、どのようにして国民に対する理解を求めるかということが最大の関心事であります。
 この特定放射性廃棄物の処分につきましても、原子力委員会におきまして平成七年の九月に高レベル放射性廃棄物処分懇談会という、元学術会議会長の近藤次郎先生を座長といたしまして、私が座長代理を務めさせていただきましたが、そのさまざまな方々から成るグループによって、パブリック・アクセプタンスと申しましょうか、どのようにして国民に受け入れられるような形で最終処分の仕組みをつくっていくかという議論をいたしまして、途中で国民の意見を聞きましたりあるいはインターネットなどによって意見を徴するというようなことをした上で、平成十年の五月に基本的な考え方についての報告書を出しております。
 この報告書につきましては、先生方のお手元にあります参議院の調査室が御用意になりました参考資料の五十一ページ以下にございますので、詳細はそれをお読みいただきたいというふうに思います。
 そこでの議論の中心といいましょうか、どういうことをしなければならないかということについて、まず、これは非常に、これはと申しますのは、処分のプロセスというのは非常に長い期間かかることになります。そして、現在発電をしている原子力の使用済み燃料の処理でございますので、世代間の公平ということを考えますと、現時点で資金を積み立てていく、資金を確保するという必要がございます。
 それから、それと並んでこの処分を行う実施主体、これは高度に科学的、技術的なものでもありますので、その意味では技術的にもすぐれたものを持っていなければなりませんし、非常に長丁場の事業でございますので、実施主体の永続性という、長く続くということも考えなければなりません。その意味で、高い技術と透明性を持ってそして長続きをするという、そういう実施主体を設立する必要があるということでございます。
 そして、その最終処分の業務の遂行に当たりましては、まず第一に、安全の確保ということが最大の一つの条件でございます。そしてさらに、先ほど申しました国民の不安、不信ということにも配慮いたしますと、その業務の遂行に当たっては情報公開などの透明性を確保するということも非常に重要なことになります。
 そして、これらと並んで、やはり最終処分場を設置するに当たって、やはり地元にとってみますと場合によってはそれは迷惑施設と同じように考えられる可能性があるわけでありまして、立地地域との共生、これも単に金を配るということではなくて、その地域の自発性によって最終処分場という事業とその地域との共生を図っていくという、それをどのようにしてやっていくべきかということでございます。
 さらには、その処分地の選定に当たりまして、そのプロセスにおいて地元の意見が十分に組み入れられていく、透明なプロセスで選定をしていく必要があるということでございまして、以上のような事柄につきまして報告書は、どのように考えるべきか、どのようにすべきかということについて述べております。
 この報告書に基づきまして、さらに資源エネルギー庁において細部を検討いたしまして今回の法律案ができているのだというふうに思いますけれども、そこで、この法律案について申し上げます。
 まず、実施主体でございますが、ここでは原子力発電環境整備機構という名前になっておりまして、第五章三十四条以下に規定をされておりますが、この機構は通産大臣の厳しい監督のもとにありまして、さまざまなプロセスにおいて通産大臣の認可、許可等を必要としております。その意味で、国がこの事業に対して大きな責任を持っているということでございます。
 さらに、永続性の点につきましては、現時点でなかなか見えにくいということもあるのかと思いますけれども、七十一条で、この機構が解散するのは「別に法律で定める。」というようなことで、この法律からは送っておりますけれども、どのようにして永続性を維持するかということは重要なことでありますし、一部の業務ができなくなるあるいは業務ができなくなったというような場合に、その業務をどのようにしてだれが引き継ぐかということにつきましても、七十四条に「別に法律で定める。」ということでございます。その意味では、いろいろ将来のことにもわたって、差異もあるものですから多分この法律には盛り込まなかったのだろうと思いますけれども、一応、別に法律の定めによるという形で永続性ということに配慮していると思います。
 それから、資金でございますけれども、これは十一条以下に、原子炉の設置者から拠出金という形で毎年機構ごとに資金を徴収して、それを指定法人に預けて、そして事業を行う際にそこから引き出すという仕組みをとっております。
 以上、実施主体と資金につきましてはまさにこの法律の目玉でございまして、その意味では、先ほど申しました原子力委員会の懇談会がぜひやってくれということにつきましては法律の中に盛り込まれているというふうに思います。
 それでは、業務の運営についてでございますが、安全性につきましては、恐らくこれも技術的な理由だろうと思いますが、二十条において「別に法律で定めるところによる。」ということになっております。望むらくは、こういう実施主体やその選定プロセスなどを規定している法律において、同時に少なくとも安全性の骨格についてはあった方がよかったのではないかという気がしないではありませんけれども、これは単に先に譲ったり、省令とか政令に譲っているわけでありませんで、「法律で定める」ということでございますので、私の希望としては、ぜひ早急に技術的な問題を詰めて、安全性に関する法律をつくっていただきたい。そうでなければ、今回出ております法律案が画竜点睛を欠くということになるというふうに思っております。
 業務につきましてですけれども、業務につきましては、三条によって通産大臣が基本方針を定めるということになっておりまして、全体にどのようにして業務を行うかということでありますが、それには、三条の中には二項の三号で、選定に係る関係住民の理解を求めるということが、法律としてはやや異例ではありますけれども、恐らく懇談会の意向の上に立ってこういう規定があるのだろうと思いますが、同時に六号において国民の理解を求めるというふうになっております。
 人によっては、アメリカのように、こういう理解を求める求め方について詳細に法律の中に書き込むべきだという御意見もありますが、これはこの法律だけでなくて、これはむしろ先生方にお願いをしたいんですけれども、日本の法律というのは余り細かいことを書き込むという伝統はございませんで、現在でも内閣法制局に持っていくと、以前に比べればかなり詳細な規定が載るようになりましたけれども、アメリカのような規定を置くわけにはいかないと。結局は政省令に譲るということでございますので、一〇〇%満足したということではございませんけれども、関係住民の理解を得るとかあるいは国民の理解を得るように、そういう措置を基本方針の中に規定するというふうな規定が法律の中にあるということをもって、私は、ぜひ先生方からも御注意いただきたいし、それから政府においてもこれを、なぜこういう規定があるかということを十分お考えの上で進めていただきたいと思っております。
 それから、さらに基本方針に基づいて最終処分計画というものをつくります。先ほど申し忘れましたが、基本方針もこの最終処分計画もこれを公表するという形で透明性に配慮していると思います。
 そして、最終処分計画においては、都道府県とか市町村などの首長の意見を聞かなければならないということになっておりまして、この点でも地元といいましょうか、国が一方的に押しつけるという考え方ではないように思います。
 さらに、選定のプロセスにおいて具体的にはこれは機構が実施計画というものを五条でつくりまして、これに基づいて行うことになるわけですけれども、その運営方針の基本として六十条がございまして、ここにこれも今までの日本の法律としてはやや異例な書き方ではありますけれども、六十条で、「適切な情報の公開により業務の運営における透明性を確保するとともに、概要調査地区等及び最終処分施設の周辺の地域の住民等の理解と協力を得るよう努めなければならない。」ということになっております。
 これも日本の法律がまだ至らないところでありますけれども、権利義務関係というのは余りはっきりしませんけれども、少なくとも現在の水準の日本のこうしたたぐいの法律としては極めて、極めてと申しますか一歩も二歩も進めたものというふうに私は評価していますが、これでは足らないという御意見もあることは確かであります。
 そのようにして、住民の参加とかあるいは共生についての規定はここには置かれておりませんけれども、恐らく先ほど申しました地元等の理解を求めるための措置と、そういうところでこれは反映されていくのだろうというふうに私は希望しております。
 時間が参りましたので、現時点ではこういうことで意見を述べさせていただきましたが、総じて申しますと、私は、日本の現在の法律体系から見ますと、懇談会が申し上げたことを最大限盛っていただいたものというふうに思いますけれども、恐らくこれから五年、十年たちますとこういう条文では国民は納得しないことになるのではないかと思いますけれども、私は、現時点におきましてはこの法律をぜひお通しいただきたい。そういたしますと、実施主体と資金というのは少なくとも現時点で確立されるということになるかと思います。
 どうもありがとうございました。
#4
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
 次に、徳山参考人にお願いいたします。徳山参考人。
#5
○参考人(徳山明君) ただいま御紹介をいただきました徳山でございます。
 私は、現在、原子力委員会のバックエンド対策専門部会の委員を務めておりまして、そのまた前身の放射性廃棄物対策専門部会というのがありまして、その委員等もやってまいりまして、当法案の主題でありますところの高レベル放射性廃棄物の地層処分、この法案の名前では特定廃棄物の最終処分となっておりますが、そういう問題に約二十年携わってまいりました。
 この間、IAEAの会議がありまして、セーフティー・スタンダーズというのをつくっておりますが、そのセーフティー・プリンシプルズ・アンド・テクニカル・クライテリア・フォー・ジ・アンダーグラウンド・ディスポーザル・オブ・ハイレベル・ラジオアクティブ・ウエースト、これは国際的なスタンダードとしてつくっておりますが、その策定にも参画いたしております。
 私の専門は、地質学でも基礎的な部分でありますところの地質の営力論というようなことあるいは構造地質を専門としておりますが、そういうような極めて基礎的な学問分野の成果というものがこのたびのこの地層処分という事業の中でいわば中心的な役割を果たすということでありまして、それがまた次の世紀の人類の安全に貢献するということができるということは、大変に私どもとしては、いわば希有な例ではありますけれども、ある意味では非常に気持ちの高揚と緊張を感じているわけでございます。
 本日、このような機会を与えていただきました委員長を初め本委員会の委員の方々に、そういう意味で厚く御礼を申し上げます。
 もう一つ、本題に入る前に、本法案では、私どもとしては唐突に、さっき言いましたが、特定放射性廃棄物だとか最終処分という用語が使われているのでありますけれども、二十年来使用されてきた高レベル放射性廃棄物とか地層処分という言葉は全く使われずに一方的にそういう言葉にかわってしまっているという点にどうも何となく戸惑いを覚えます。
 私どものいろいろな学問の分野というものは、それぞれ昔からずっとやってきたところの成果とかそういうものをきちんと尊重するという原則がありますものですから、そういうものを踏襲するというのが常識でございます。したがって、今後いろんな意味で、これまでずっと地層処分であるとか高レベル放射性廃棄物と言っていたものが何かこういう法律用語でこんなふうになってしまいますと、何かある意味では混乱が生じることはないのかなという懸念を感ずるということを申し添えさせていただきます。
 さて、したがって、私の用意しました資料も、一ページ目のところには「最終処分(地層処分)」とやっておりますし、その下にあります図示したものは「高レベル放射性廃棄物」、「地層処分」と書いておりますので、その癖が出てしまいますことをあらかじめお許しいただきたいと思います。
 その最終処分あるいは地層処分ということの原則は、つまり地質媒体の中に埋めるという原則は、これは地質恒常性といういわば地質的にいえば非常に大きな原理ですけれども、そういうものにのっとっているわけであります。
 それはどういうことかといいますと、ここにありますように地下深部の地層というものは非常にずっとその中の条件、物理的な条件とか化学的な条件というのは非常に安定なもので、長期間にわたって永続的に恒常性が保たれるということが大原則になっております。したがって、ここにもありますように、例えば日本のいろんなところでいえば数百万年でありますとか一千万年ぐらい前のそのままの状態で、地下水の状態もそのままに残っているというわけであります。
 それからもう一つ、地層そのものの成り立ちといいますか岩石、これは珪酸塩鉱物というものからできているわけで、この珪酸塩鉱物そのものが非常に安定な変化しにくいものでありますから、したがってそれ自体非常に物理的にも化学的にも安全なものでありまして、金属化合物、例えば普通の鉱床なんかでいいますと、黄鉄鉱みたいなものがありますと、こういうものは地表の条件であればすぐに溶けてしまったり酸化するわけですけれども、地下の中にありますと、日本でも二億年とか三億年、あるいは例えばキースラーガーというふうにいうんですけれども、ドイツのランメルスベルクなんというところでは三億年、四億年という前の状態がそのままぴしっと保存されている。
 ですから、そういう意味で、特にこの高レベル放射性廃棄物、いわゆるハイレベルウエーストというものは金属のオーバーパックというものにくるんだ状態、金属の塊みたいなものでありまして、そういうものはしたがってそれを地層の中に埋めておけば非常に長期にわたり十分安全に隔離することができる、これが一つの原則でございます。
 そこで、しかし、それじゃどこでもいいかというと、それに対していろいろな、これはどうしてもここは避けておこうというような条件がございまして、それがここに書いてあります、特に大きいのが「地殻変動の要因」かなというふうに思うわけです。
 日本では、火山の活動とか地震の活動、活断層と申しますけれども、これは後ほど松田先生からのお話があると思いますが、そういうような活動が非常に活発であるということから、そういうところに埋めておいて大丈夫だろうかというような心配、懸念があるわけであります。そこで、そういうものの性質をきちんと調べて、そういう危ないところ、ここは避けようというところをきちんと調べていさえすれば、そこでなければ、つまりそういう条件を排除していけば残ったところは平気であると、こういうのが基本的な考え方でございます。
 それで、地震とか活断層の活動というようなものは、後ほど松田先生からもお話があると思いますが、長い間にわたって非常に限られた範囲でずっと起こっておりますから、そういうところを避ければ今後ともそういうことはない。
 火山・火成活動というものも、この地質学上では第四紀という百万年とかそのくらいの間はほとんど動いていない。その火山活動というものはどういうようにして起こるだろうという考え方があるわけで、その考え方からしますと、今後例えばこの地層処分というので言っておりますところの十万年であるとかそのくらいの間というものは十分火山の影響のないところというものを探すことができる、そういうことが述べられているわけでございます。
 それからもう一つは、地層の中にいろいろな意味で、例えば地震が起こったりすると揺れたりとかあるいは力がかかったりということがありますが、これは要するに変形作用と申しまして、金属のものがぎゅっと曲がってそれが壊れる、壊れなければいいわけでありますから、壊れるという条件とそれから周りの岩石がどういうふうにして壊れるかということの条件をあわせて考えますと、例えば断層のあるところから、周りに破砕帯というものがありますけれども、破砕帯というものを避けてやりさえすればこの辺の条件は十分に満足できるというようなことが考えられるわけであります。そういう意味で、日本の中でも十分にそういう安全な場所を確保することができるということが私どもの結論でございます。
 そういうものは、これは先ほどから森嶌参考人が申されておりましたが、日本は非常にこういうことでおくれをとっているじゃないかということを皆さんおっしゃいますけれども、しかしながら国際的にも、国際プロジェクトというものにこの二十年間ずっと参加しておりまして、実際にスイスでありますとかスウェーデンとかそういうところで研究もしておりまして、したがってそのレベルというものが決して私は外国よりおくれているというふうには思っておりません。特に日本の特別な事情というものがありますから、そういうことに関してはかなり詳しくわかっているというふうに考えております。
 そこで、そういうオーバーパックと申しますか、そういうものに埋めたものがどのくらい変形というものに耐えるか、こういう条件がきちんと化学的、物理的にわかっておれば、それに対して耐えられるような条件。ですから、例えば一番考えなきゃいけないのは、地下水というものの流れを通して放射性核種というのが漏れてくるんじゃないかということを考えるわけですが、それに対しては地下水の性質というものが普通に考えているような酸性または中性ではなくて、もっとアルカリ性のところであるとかそういう溶けにくい条件であるとか、あるいは日本の場合には、今まで私どもは数百メートル下と言っているんですが、それは地下水の流れの下ということを考えているわけです。今度これもまた唐突に三百メートルという数字が出ておりますけれども、三百メートル以下と言っていますから数百メートルは当然入るわけですからそれは構わないわけですけれども、そういうような地質的な条件というものをずっと考えていきますと、地層処分というものは十分可能だということが言えるわけです。
 その放射性核種というものは、どういうふうにして流れて地下水を伝わってずっと来て、それで仮に地表まで出てくると。その場合に非常に重要なのが時間間隔でありますから、その時間間隔というものは、これはこの移動の速度というものの関数になりますから、つまり距離が長ければ時間はうんとかかる。ですから、仮に漏れてずっと来たとしても、地表へ出たときには既に放射能の影響というものはなくなるというぐらいの時間がかかるという計算をするわけです。
 そういうわけで、今度はそのいわゆる安全性というものを考えるときには、実際に我々が見ている地層あるいは岩石というものをいろいろな条件を入れてシミュレーションして、それでその結果、今言いましたような例えば断層ができた、その割れ目をどういうふうに地下水が流れて通るだろうかとか、そういうようないろんな意味の計算をして、その結果いわゆる安全の基準と申しますか、そういうものをこれから考えるんですけれども、長時間の間十分に確保できる、そういう見通しが立ったということでございます。
 地質、この場合に要するにいわゆるいろんな条件がありますけれども、周りの岩盤の性質ということが一番大きな条件で、その中に今度はもう一つさっき言いました高レベル放射性廃棄物の媒体を包むところのオーバーパックとか、さらにまたその周りにあります粘土層の部分とかそういうものを含めて、これは人工バリアと申しますけれども、この地層処分のシステムというものはいわゆるオーバーオールセーフティー、多重安全性というものの概念で成り立っておりまして、もともとの地質媒体という安定性のあるというものにさらに人工的にきちんとしたものを考えてそこに埋めておこう、こういうものが地層処分あるいはここに言います最終処分というものの基本的な考え方でございます。
 とりあえず以上です。発言する機会をどうもありがとうございました。
#6
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
 次に、松田参考人にお願いいたします。松田参考人。
#7
○参考人(松田時彦君) 松田でございます。
 地層処分の安全問題を考える場合には、当然ですけれども地震の影響も考慮に入れなきゃならないわけです。私は、今日まで四十年ほど大学におりまして、その間、活断層から地震がどう起こるかということを調べてまいりましたので、きょうは直接な問題よりもそれを判断するときの地震とか断層についてのお話を主にしようと思っております。
 もう御存じのように、地震の原因というのは、岩盤の中にあります断層と呼ばれる弱面、弱い面に沿って急にその両側の岩盤がずれ動く、そのときの振動を感じたとき我々が地震と言っているわけです。大きな地震はそれが地下で非常に大規模に起こった場合であります。もちろん小さい場合もあります。
 お手元の資料に、ちょっと用意してまいりましたけれども、一枚目の左の方にちょっと模型みたいな絵がありますけれども、岩盤の中に大きな切れ目が入っています、震源断層ですが。これが非常に大きく大規模に地下で動きますと、地表まで届くことがございます。その岩盤のずれが地表までずらすということを地表で見ることができるわけであります。
 その地表の断層、今まで日本でもその図の右側にありますようにたくさんの例を持っておりますが、その現地を見ますと、行ってみますと、そのときにずれた、数メートルずれますけれども、その何倍も、何十メートル、何百メートル、何千メートルもそこにあったものがずれているんですね、前からあったものが。ということは、今回起こったその地震と同じことが過去にも繰り返し繰り返し起こったと考えざるを得ないわけです。過去に繰り返し起こったものはまた起こるだろう、突然きょうから将来に向かって気が変わってしまうということはないだろうということから、そういう断層はまだ生きているということで活断層と呼んで、将来のことを考えるときに考慮しているわけであります。
 その断層をよく調べてみますと、そういうものと地表の地震断層は、地表地震断層と言っていますけれども、共通した特徴があります。一つは、今言いましたように、繰り返し活動した証拠を持っているということ。それからもう一つは、今やっぱり申しましたけれども、小さな地震ではそういうことが地表まで届かない、岩盤のずれが地表まで届かない。だから、我々が活断層と言っているものは、地表で認識しているものは大地震の場合だけなんです。だから、小さい地震は私のような調査では漏れてしまいますが、逆に言うと、一番知りたい大地震だけが地表にちゃんと残して見えるようになっていてくれる、そういういい点もあるわけであります。
 とにかく、活断層というのは、その場所で大地震、具体的に言いますとマグニチュード七程度かそれ以上のが起こった場所の証拠であります。もう地震というのは何か揺れて終わって消えてしまうように思うかもしれませんけれども、そこに残っているわけです。ですから、それから過去のことを知り、将来のことを考えることができるというわけです。
 それで、それでは大地震を起こす活断層の分布がどういうふうになっているかというのがこの二ページ目、一枚目の右のページのところに主な活断層の分布があります。たくさんあるようでもあります。これは少しまとめてありますので、本当に主なものだけであります。
 次のページに、地域ごとに地質学的な特徴をもとに日本列島を分けてみますとこういうような分け方ができますが、その分けた地域ごとに断層の多いところを黒っぽく塗ってあります、活断層の多いところですね。それから、ほとんどないところもありまして、そういうところは白く塗ってあります。太平洋沿岸です。内陸では、近畿、中部、九州に非常に大きな地震の化石である、それで将来起こすかもしれない種である活断層の多いところ。少ないところがこんなぐあいです。日本じゅうどこへ行っても同じだなんということではありません。
 今申しましたように、断層の多いところは当然地震が多いはずですが、それではというので、最近百年間のいわゆる直下型地震、浅くて被害をつくるような、それでマグニチュード五以上、被害地震になるような、そういう地震の数をとったものがその右側に並べてあります。比較してごらんになるように、やっぱり活断層の多いところでそういう被害地震もたくさん起こっております。共通して太平洋の沿岸、北海道も東北地方も西南日本でも太平洋側の地域では直下型の地震も断層も非常に少ない、そういうことがあります。
 それから、それでは活断層の過去を調べた結果わかった地震の起こり方の大事な性質は、先ほどの一ページの右側に表にしてありますけれども、特に大事なことは、活断層は、言葉は活と書いてあるけれども、ふだんは全く異状を示しません。トンネルを掘って地下鉄を通しても何の異状もありませんが、動くときには動く。要するに、間欠的に起こす。しかも間欠的の間隔がほぼ一定している。周期的、周期性を持っている、その断層に関して。自分は千年間隔で動きますとか、五千年間隔ですとかという個性を持って周期的に動いております。具体的には、過去の起こり方から見ますと、それは非常に活発な断層でも千年に一度ぐらいです。本当にまれなことではありますが、そういう性質であります。
 したがって、予測をするとなりますと、今のような性質に基づいて予測がある程度可能であるわけです。
 特に、阪神・淡路のあの大地震のときに、そういう知識に基づいて専門家の間ではある程度予測をしていたわけです。あの場所でマグニチュード七ぐらいのものが、ただし数百年以内、来年かもしれないけれども数百年先かもしれないけれども、ほかの活断層に比べたらもう十分の一ぐらいにコンデンスした狭い期間に起こる可能性があるということを考えておりました。
 そういうことを政府が知りまして、本当に政府はそれに対応をいたしまして、地震調査研究推進本部を新たに強化してつくられて、それで本当に政府が専門家の予測を直接国民に発表するようになっております。
 その例が二ページ目の右のページにあります三つの断層について、この三つの断層はいずれもマグニチュード八程度のものがどこどこで今後、現在以後数百年以内に、来年かもしれないが数百年先かもしれないその期間に起こる可能性が高いという、そういう予測を政府がしているという、世界でも類のない本当に先進的なことをしてくださっているすばらしい日本だと私は思っております。
 そういうように思いますけれども、活断層を知れば将来の地震の場所がわかる、その分布の状態も今この程度はわかっている、規模も大きな地震の跡であるということでわかっている。時期は、残念ながら数百年に一度であるから、それ以上の細かい予測はできない。
 最後に、二枚目の左上に「問題点」とありますけれども、問題点というか今後わからせたいことは、今言いましたように、数百年という範囲で確実なことを申しておりますけれども、確実なことを数百年でなくて数十年にしたい。
 二番目は、地表で見つかる活断層はマグニチュード七程度の大地震の跡でして、それよりも小さな地震でも影響を与えるわけですから、我々の世界に。つまり、マグニチュード六とか五については地表に跡を残さないわけですから、地表を歩いている我々の観察では漏れております。ただし、そのすぐ下にある日本列島の地図で地震が多いところというのは、これはマグニチュード七じゃなくて、七も数少ない七を含んでいますけれども、マグニチュード五とか六の数を含めておりますので個々には言えませんけれども、やっぱり活断層があるところではマグニチュード五とか六というような大地震とか中地震が起こっている、起こる場所であるというふうに見ていただいてよろしいんです。
 それから三番目は、これが一番私が心配していることですけれども、岩盤中に、日本のような岩盤中には普通にたくさんの割れ目や小さな断層があります。よその国に行くと本当に割れ目、傷一つない岩盤が続いていますけれども、日本ではどうしても小さな割れ目や断層があります。それも実は動いた跡ですし、どうしても、いい場所だと思ってもその中にそういう割れ目が出てきますので、それがどの程度動くのか、いつ動くのか、動いたとしたらどのくらいの量動くのかということを知りたい。今までの感じでは動いたとしても数センチ程度であろうと思っておりますが、数メートルというとさっきの本当の活断層ですけれども、その程度に思っていますが、予測が困難である、必ずぶつかる小断層についての研究が十分ではない、そういうふうに思っています。
 以上でございます。
#8
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、御発言の際は、私の指名を受けてから御発言くださるようお願いいたします。また、質疑の時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#9
○加納時男君 加納時男でございます。
 きょうは、三人の参考人の先生方に非常に詳しく教えていただきまして、ありがとうございました。
 初めに、森嶌参考人にお伺いしたいと思います。
 先ほど森嶌先生がお話しなさった、引用されました平成十年五月二十九日付だったですか、高レベル廃棄物処分懇談会の「基本的考え方について」、これを読ませていただきました。きょうのお話と重ね合わせまして質問させていただきたいと思います。
 きょうも先生が冒頭にお話しされたように、処分懇では高レベル廃棄物に関する日本の立ちおくれ、欧米に対して、きょうもおっしゃっていましたけれども、十年ないし二十年おくれていると。おっしゃるとおりだと思います。特にそのポイントは、研究開発のおくれ、地下研の着手のおくれ、あるいは実施主体が日本ではまだできていない、処分費用の積み立てが日本では開始されていない、これを急げということを先生はおっしゃり、きょう先生も評価してくださったように、今回出された法案ではこれらを盛り込んでいるわけでございます。
 実はここでは、先ほど先生からは、主体についてあるいは実施主体の永続性について、国の担保のあり方あるいは資金の積み立てについて、これらについては評価するというお話をいただいたわけでございます。そうしますと、この今回の法案についての今後の課題でございますが、評価はいただいたんですが、課題としては先生は何がおありだとお考えでしょうか。
 先ほどのお話では、安全性に関する法律上の手当てがまだというお話がございましたが、これはまず枠組みをつくって、その後まだ実施まで時間がございますので、十分に安全性の基準を詰めて安全性に関する法律をつくるというのが、私、今自民党でございますが、自民党としてはそれで十分ではないか、時間も十分あると思っているのでございますが、それも含めて課題はどんなところに先生感じていらっしゃるか、伺いたいと思います。
#10
○参考人(森嶌昭夫君) ありがとうございました。お答えいたします。
 安全性の問題につきましては先ほど申し上げたとおりでございまして、私は、選定プロセスそれから地元との共生につきまして、これは先ほども申しましたが、地元住民の理解を求めるための措置というような形で書かれておりますので、これから基本方針あるいは最終処分計画、あるいはその下に多分つけられるであろう細部で展開されるだろうと思いますけれども、処分懇の立場から申しますと、こうした地元との共生、選定プロセスにおける地元民との意見の交流というようなことにつきまして、法律問題ではありませんけれども、ぜひ今後この運用に当たっては留意というよりもむしろそれを十分に進めていただきたいというふうに思っております。
#11
○加納時男君 ありがとうございました。
 実は、森嶌先生とは中央環境審議会でずっと御一緒させていただきまして、国民の合意形成のプロセスというものについては先生からも非常にたくさんの示唆をいただいておるわけでございます。
 先生は去年の四月ですか、「高レベル放射性廃棄物処分懇談会のメッセージ」という論文をたしかエネルギーレビューにお書きになったと思います。私は今でもよく覚えておりますけれども、あの中で今まさに先生のおっしゃった国民の理解が最大の問題であるということ、その合意形成のプロセスが非常に大事だということは私は全く同感でございます。
 そこでお伺いしたいんですが、その先生の論文の中で、リスク評価に関して原子力関係者、これは国と電力という御指摘がございましたが、原子力関係者と国民との間に共通の基盤がない、特に高レベル廃棄物の処分については認識ギャップが非常に大きいと。きょうのお話もこれをバックにお話しされたと思います。
 そこで、私がお伺いしたいのは、それでは共通の基盤づくりのために何が必要なんでしょうか、お教えいただきたいと思います。
#12
○参考人(森嶌昭夫君) なかなか難しい、今環境でもそうですけれども、なかなかそういう点が難しいのでありますけれども、私は、特に高レベルの場合には、非常に専門家の知識とそれから一般の我々が、私も含めて持っている常識というのはかなり違っております。今、徳山先生、松田先生のお話を聞いても、私には割合新しいことも多うございました。高レベル放射性廃棄物の委員会にいてもそうでございます。
 ですから、私は、やはり一種のインタープリター、むしろ専門家というよりも専門的な知識を持って国民の間でいろんな質問を受けることができる、あるいはある問題については一定の権限を持っている、これはフランスだとかカナダにそういう地元でのコーディネートをする担当者というのがおりまして、ある程度の権限を持っておりますし、その人のもとでPRなんかについての非常な見識を持った人がちゃんとくっついております。私も行って伺ったんですけれども、日本はどうも役所が情報を出せばそれで国民は理解するというふうなところがありますけれども、そうではなくて、もっときめ細かにそういう専門家を使ってやるというその場を持つということ。
 それから、むだな感じもしないでもないんですけれども、やはりいろんな例えば円卓会議のようなものを、むだというのは時間が非常にかかるという意味でありまして、非常に労力もかかって、そう目に見えないんですけれども、原子力行政についても円卓会議というのを原子力委員会だと思いますがやっておりますが、あれを通じてかなり国民の反応も変わってきているように思いますので、私はそういうことを、大変なことではありますけれども、ぜひ進めていっていただきたい。これは国もそうですし事業者もそうでありますけれども、ぜひお願いしたいと思っております。
#13
○加納時男君 今のお話、非常に御示唆いただいたような気がいたします。
 特に、高レベル廃棄物を初めとしてエネルギーとか環境問題というのは、確かに専門家の議論と一般国民、マン・オン・ザ・ストリートの認識との間に非常にギャップがある。先生のおっしゃるとおりだと思います。
 先生の御提案のいま一つのインタープリターというのは非常にはっとしたわけでありますが、実は我々国会議員というのも私はインタープリターではないかと思うんです。まさに専門的ないろんな行政機関でやっていることと国民の気持ち、理解度、こういった間に入ってこれを統合していく、統合というよりコーディネートしていく。そして、これは法律としてまとめていこう、これは国会で議論してそれを国民の方に知っていただこうというので、我々ももっともっと努力しなきゃいけないなと。きょうは、人に要求する前にまず我が身を省みたいということを先生から教わったような気がいたします。
 確かに、行政も情報を私は出していると思うんです。それから、これも環境問題を私ずっと先生と御一緒にやってきて痛感していることなんですが、企業だとか市民団体とかいろんなところでいろんな活動をやって情報を出しているんですけれども、伝わらないんです。どうして伝わらないのかなと思ったら、メディアを通して実は情報公開の結果を国民は得ているんじゃないか。つまり、役所が出した、それから国会で議論した、今も実はこれ公開されているはずなんですけれども、これが果たしてお茶の間で見られるかというと、これは国会テレビというようなものでとっていらっしゃる方は見られるわけですが、そうじゃない方はなかなか見られないわけです。どなたもが見られるような番組というのはかなり、国会の番組と言っちゃいけないですね、国会の審議の中でもごく限られた部分しか一般的なテレビ、メディアに乗らないといったことも実態だと思います。
 こういう高レベル廃棄物の処分といったような非常に国民に関係のあるものがもっともっと報じられるといいなと思って、きょうのような議論がまさにきょうの夕刊に載るようなことになるといいなと思っているのでございますが、これは我々も努力しなきゃいけないし、メディアの方にもそういうことをぜひ御理解いただきたいなと思っているわけでございます。
 私の質問は、こういうことでメディアというのはともかく現状では非常に大きな役割を果たしている。このメディアに対してどうやったならば、例えば環境問題とかそれからこういった高レベル廃棄物処分とか、国民にとって非常に関心の本来あるような事項の討議が伝わるだろうかといったその工夫ですね、その辺も先生の御示唆があればいただきたいと思うわけでございます。
 もう一つは、ホームページというのは私は非常に大きな役割を果たしていると思うんです。これは官庁もつくっていますし、我々議員もホームページを出していまして、結構アクセスが最近ですけれども大分来るようになりました。きょうのも私また自分のホームページに載せようと思っていますけれども、そういうようなことで、ホームページを通じてアクセスしていただく、こういったことも新しい芽かなと思います。
 どうやったならばそのギャップを埋められるインタープリターの役割が果たせるのか、その辺もうちょっと何かお考えがあったら教えていただきたいと思います。
#14
○参考人(森嶌昭夫君) メディア論の専門家では全くありませんのであれですが、私が環境行政などを通じて最近感じておりますことは、メディアの方にかなり問題がありはしないかと。
 つまり、従来、環境にしても多分原子力もそうだと思うんですけれども、専門の記者がいまして常にずっとフォローしているんですが、最近はメディアもかなり官僚化したなんというとあれですが、官僚化していまして、大体一人の記者が二、三年でかわっていくわけです。ですから、かなりある程度のところまで来たところでまた切れてしまうということですので、もしもメディアの方がそういう人事構成をとらざるを得ないということでしたら、やはり産業界でもあるいは行政でもあるいは国会などでも、例えば論説委員とかそういうところを通じて常に情報を流し、そして知識が蓄積されていくような交流、情報交換あるいは意見交換というのをやっていかないと。
 私は環境行政でやってみますと、何かやるたびに一から説明しなくちゃなりませんし、夜中に電話がかかってきて、これどうなっていますかと。そんなこと知っていて当然じゃないかと言うんですけれども、やはりメディアは取材の自由があると言って自分の方の無知を棚に上げてなんと言うとこれは舌禍事件になるかもしれませんが、やはりメディアのあり方もお考えいただきたいけれども、やはりメディアの現状を前提として、そういう意見を交流する場なりフォーラムといいましょうか、それをどういうふうにつくっていくかというのは日本にとって、この問題だけでなくて日本のすべての場にとって、消費者問題も含めて、これから国会の先生にぜひお考えいただきたいと思いますけれども、考えていかなきゃならない問題だというふうに思っております。
#15
○加納時男君 どうも先生ありがとうございました。
 時間が限られておりますので、徳山先生に一つだけ伺いたいと思います。
 先月だったですか、先生がお書きになられた「「原発ごみ」はどこへ」という、たしかそんなタイトルだったと思いますけれども、読ませていただきました。きょうのお話もそれを頭に置きながら伺ったところでございます。
 一点だけ伺いたいと思います。
 先生は地下水のことにも触れられたんですが、先生の御本の中でちょっと気になることがあったのは、地下水の中にチオバキルス・チオクシダンスとかフェロバキルス・フェロキシダンス、なかなか読めないんですけれども、といった細菌があると。この細菌が鉱物を溶かすのではないかということがあって、私ちょっとはっとしたんですけれども、私これ専門家じゃないので教えていただきたいんですが、こういったことは今回の地層処分に対して留意しなきゃいけないのかどうか、こういった微生物はどの辺にあるのか、日本の地下水では。その辺いかがでしょうか。
#16
○参考人(徳山明君) 実のことを申しますと、その問題については私も専門ではございませんで、この著書を書いた一人の人がそれを言い出したわけですが、微生物というものの影響はまだよくわかっていない面が非常に多いと思います。
 しかし、例えばスウェーデンにエスポというところがありますが、そこのあれに入りますと、そこはかなり塩水の強いところでありますけれども、そこへ行きますと何か非常に真っ黄色な割れ目に出ておりまして、それはバクテリアの作用である。ところが、そのバクテリアといいますか、その地下水は約十万年前の地下水であるということですから、十万年前のバクテリアが生きて、現在の条件でまたよみがえっているというわけです。
 そういう意味では、いろいろな意味でこれから微生物の働きというものにも十分に注意していかなきゃいけないと思っております。
 しかし、この問題はもちろんそれも含めて地下水全体の動きとしてどういうふうにやっていくかということを考えているわけでありまして、今先生がおっしゃったようなことも含めて今後の研究課題としてやっております。なかなか非常に難しい問題ではありますけれども。
#17
○加納時男君 ありがとうございました。
 松田先生にもお伺いしたいことがたくさんあるのでございますけれども、ちょっと同僚議員と時間を分担しておりますので私は御質問できないのをお許ししていただきたいと思います。
 委員長、ありがとうございました。終わらせていただきます。
#18
○円より子君 きょうは、お忙しい中お三方の参考人にはありがとうございました。
 私、民主党の円より子と申します。
 私ども民主党では、この法案の審議に先立ちまして六ケ所村の方に視察をさせていただき、向こうでいろいろ詳しくお話も聞いてまいりました。それから、民主党としては、専門家の方や関係者の方々をたびたび朝お呼びいたしまして勉強会も重ねてまいりまして、諸外国では既に二十年ほど前からこの高レベル放射性廃棄物の処分について処分実施主体の設置と資金確保が行われておりますのに、我が国では全く今まで具体的に行われてこなかったということで、とりあえず本当に実施主体と資金の積み立てというのは必要ではないかと。その枠組みをつくるというこの法案について一応修正をさせていただいて賛成という方向に今なっているんですが、しかしながら修正もまだ不十分でございますし、いろいろ懸念、不安というものが国民の間にあることを考えますと、その点についてきょうは質問させていただきたいと思っております。
 まず、関係者の間では十分な準備をしてこの法案をつくられた、長い年月もかけられたということも聞いておりますが、何といっても国民の側になかなかこういった問題が情報として行き届いていないこと。それから、やはり原子力に対するアレルギーというものが今までもありますし、ジェー・シー・オーの事故等も考えますと不安の大きいのは当然だと思うんです。
 それで、まず森嶌さんにお伺いしたいんですけれども、この法案そのものに「目的」のところに、「この法律は、発電に関する原子力の適正な利用に資するため、」云々とありまして、「発電に関する原子力に係る環境の整備を図り、もって国民経済の健全な発展と国民生活の安定に寄与することを目的とする。」というふうに書かれているんですが、不安を持っていらっしゃる国民の方々からいいますと、この法案の「目的」のところに、危険な高レベル放射性廃棄物を安全に処分し、国民の生命、安全を守るということが入っていたらいいんじゃないかとやはり思われる方が多いんですね。この点についてどう思われるか。
 また、先ほど国民の不安の解消には情報公開の透明性が本当に不可欠だと森嶌さんもおっしゃいましたし、今回の法律に関しても安全の確保、これからのさまざまな運営について安全の確保が最大の条件だとおっしゃっておりますが、例えばこの法案で情報公開の規定が十分なのか。処分懇談会の報告書よりやはり、先ほどもちょっとお話しなさっていましたが、大分後退しているように思われるんですが。
 細かい安全規制はともかくといたしまして、安全を担保するためのチェック体制の面ではどのように評価なさっているか、これからどうしようと思っていらっしゃるかについてちょっとお伺いしたいと思います。
#19
○参考人(森嶌昭夫君) 私も、ほかの役所等で立法のもとになる審議会、委員会で議論をしまして答申を出して、それを所轄の省庁が立法にまとめていく今までの幾つかの経験で、答申どおりに法律というのはならないものだというのは私の体験しているところであります。その意味では私は、内閣法制局とかがちがちしたと申したらあれですけれどもそういう制約のないところで、あるいは役所のいろんな権限との間での制約のないところで自由に議論をしているものと、それからいざ法律という形になって出てきたものとではどうしてもギャップがある。これはもうこの法律の問題というよりも、極端に申しますとすべての法律でそういうことがあるように思っております。
 そこで、まず最初のお尋ねの「目的」でありますけれども、これは典型的な業法的な書き方でありまして、「国民経済の健全な発展」というのもこれも一種の決まり言葉のようなものであります。おっしゃるように、国民の理解を得ようとすれば国民の安全に配慮するということが「目的」に入っていた方がよいのではないかという点では私はあった方がよいのではないかと思いますが、それがなければ法律としてディフェクトになるかどうかという点につきましては、私はそこまでも言えないかなと。中身がきっちりしていてもらえばということです。
 それから第二に、情報でありますけれども、これは処分懇でも書きましたけれども、一方で情報公開法の問題がございまして、国の全般的な情報公開の中でこの法律の情報公開も位置づけていくということであります。
 それでは、その情報公開法から外れるかもしれないあるいはそこで十分ではないかもしれないものについてどういうふうにこの法律に書き込むかということですけれども、これも法律家としてはやむを得ないかなと思うんですけれども、懇談会の情報の開示ということを書いた立場としてはもう少し、努めることにするでなくて、もうちょっと書いてもらってもいいという気がしないでもありませんけれども、法律家としては、やはりこの辺のところは、先ほども申しましたように今の日本の法律体系の全体の中で言える、限界かどうかは存じませんけれども、言えるところではないかと。
 そこで、国会で今までとは違ったことで、これでやればいいではないかということでイニシアチブをとって国会の方でお考えになられるのは私は別の問題だというふうに思っております。
#20
○円より子君 それでは、徳山さんにお伺いしたいんですが、先ほど加納委員からもお話のありました「「原発ごみ」はどこへ」というのを読ませていただきまして、ああなるほどなととてもおもしろかったんです。そういう中で、地球史的尺度から考えればもう一万年とかそういうのは大変短い時間だというお話もあって、いろいろ哲学的な思考に遊ばせていただいたんです。かといいまして、私たちから見たら、本当に百年も生きられるかどうかわからない程度の一人の人間から見ますと、一万年というのはまた想像できない時間でございまして、その間本当にこの地層処分で大丈夫なのかという点はやはり気になるわけです。
 フランスなどでは、地層の中に埋めても、それはあくまで貯蔵であってずっと監視を続けるというようなこともありますし、全く埋めてしまって本当に大丈夫なのかと。今の時点では、先生のも読みますと、消去法で考えれば地層処分というのが最善なのかもしれませんが、本当にこれで安全性が確保できるのか。また、よりよい技術の発達で処分方法が見つかれば方針をやはり変更した方がいいということもあるのか。
 それからもう一つ、これは昨年の一月七日、福井新聞に載ったもので、新聞の記事がすべて正しいとは言えないと思いますので、これについても少し先生の御意見を伺いたいんです。アメリカの科学者が発表なさったもので、「水に溶けにくいため地下での移動が少ないと考えられていたプルトニウムなど放射性元素は、地下水中の浮遊粒子に付着して比較的短期間に遠くまで運ばれることが分かった、」という発表がございまして、この比較的短期間もさっきの地球史的規模からいうと何年なのかちょっとわからないんですが、こういったことがありますと、やはり水に溶けないはずのプルトニウムが予想をはるかに上回る速さで地下を移動しているということで、やはり国民の間に不安と懸念があると思うんです。この点についてもぜひお伺いしたいと思います。
#21
○参考人(徳山明君) その時間の問題は、これは確かに現在の私どもの生活からすれば一万年、十万年というのはちょっと考えられない時間であることは間違いないと思います。
 しかしながら、これはいわゆるナチュラルアナログというのがありまして、これは欧米の諸国でもそうですけれども、よくありますように、例えばオクロというところにあるウラン鉱床が十億年かそのぐらい前にちょうど原子炉の中と同じような核分裂反応を示して、したがってアクチニドとかそういうものも全部出てきたんですが、十億年そのままの形できちんと中に保存されているとか、そういう実際に起きた事例でもってこういうことを説明していくという以外にはないのかなというふうに思います。
 同じような例でいいますと、日本では、これはサイクル機構のこの報告書にも書いてありますけれども、例えば東濃のところでウラン鉱床というのがあるんですが、それがいろいろ断層であるとか地震であるとか、そういうものをずっと過去から今まで受けてきたにもかかわらず、そういうウラン鉱床というのは全く動いていないというようなことで、そういう事例がいっぱい出てきております。ですから、そういう事例をたくさん重ねていろいろお話をするという以外にはないのかなと。
 先ほどのお話の安全性ということについての不安ということを皆さんおっしゃるわけで、それは当然でありますけれども、これは安全ということはこちらが口を酸っぱくして安全安全と言っても安心をしていただかなければこれはしようがないわけで、そういうことにつきましては、これは私もこの本の最後にこう書いておりますけれども、一つの例ですけれども、やはりいろいろな事柄が起こったらば、それに対して専門家がきちんとした形でこたえる。そういうことの対話の繰り返しとして安心というものを醸成していかなきゃいけないのではないかなと思います。
 それからもう一つの、プルトニウムが案外速く動くという話、それは私自身はその新聞記事を直接見ておりませんからどういうふうな意味でおっしゃっているかよくわかりませんが、一般的に申しまして、そういうプルトニウムでありますとかウランというものは、いわゆる原子番号の大きいものというのは分子の半径も大きいものですから、したがって普通のものに比べたら動きにくいというのが、普通にはそう言います。
 そしてもう一つ、ここの中で非常に重要なことは、オーバーパックという金属のものがあるんですが、その周りをベントナイトという粘土層で包むということになっております。この粘土層というのは非常におもしろい性質がありまして、水を吸いますとぶうっと膨れるわけです。水を吸うとぶうっと膨れて、ちょうど雲母みたいなものですけれども、その間が二十オングストロームぐらいの大きさにぶうっと膨れるんです。そうしますと、今申しました大型の元素とかそういうものもみんなその中へ入ってしまう。
 そういう自然界における特徴を利用してそれが漏れないようにしようという、それがいわゆる人工バリアの一つの概念でございます。それは実際に私も人形峠なんかのところの粘土鉱物とかそういうのをずっと調べておりますと、ウランなんかの入っている非常に大きなそれがちゃんとその中にきちっと閉じ込められております。ですから、そういうふうに地下水の流れがあって移動するということがあっても、それは周りの粘土層の中できちんと取り込むという、そういうメカニズムを考えております。
#22
○円より子君 松田先生にお伺いしたいんですが、日本では千八百カ所ぐらい活断層が、大きいものでしょうか、あるというふうに先生の御本に書いてあったように思うんですけれども、こういった地層処分ができるような安全な場所というのは活断層のないところがやはりいいということなのか、それとも余り活断層に関係なく安全な場所というのがあるんでしょうか、それについてお伺いいたします。
#23
○参考人(松田時彦君) 活断層がある場所はわかっておりますので、わざわざ活断層の真上に、技術的につくれるかどうか知りませんけれども、避けた方がいいと思います。
 先ほど申しましたように、活断層はない地域も、非常に少ない地域も、地域によっていろいろありますので、活断層と活断層の間というか、活断層のない地域でいい場所があるのではないかと思っております。どの程度の断層であれば安全につくれるかどうかというのはちょっとわかりませんけれども、相対的にいい場所はあると思っております。
#24
○円より子君 もう一度森嶌さんにお伺いしたいんですが、我が国では、限りあるウラン資源の有効利用ということで、放射性廃棄物の適切な処理また処分の観点から、使用済み燃料を再処理して得られたプルトニウムを再び利用する核燃料サイクル政策を推進しておりますけれども、世界的にはプルトニウムが余剰傾向にあって再処理という方法が最善かどうかということが言われておりますけれども、この核燃料サイクル政策についてはどのようなお考えをお持ちか、ちょっと伺わせてください。
#25
○参考人(森嶌昭夫君) 私は、例えばエネルギーで、経済とかそういう点について十分知悉しているわけではありませんけれども、我が国の場合にはウランも輸入しているわけでありまして、良質なウランがいつまで続くかというのがございます。それから石油も、これも探査すればするほどふえてくるので、私が学者になったころには二十年と言ったのが、いつの間にか今四十年とか六十年とか言っておりますが、ほかの資源が限りある状態でありましてウランも限りある状態でありますと、プルトニウムの核拡散という問題がありますし、それからそれとの関係で、我が国の核燃料サイクルという政策が外国に疑いの目を持って見られるという、その危険性もあります。
 しかし、そういう問題を一たんおいて、資源のサイクルという点から見れば、安全性ということはまずありますが、安全であるならば、私は、五十年、百年先のことを考えると、できるだけそういう仕組みをつくっておくべきではないかと。先ほど先生の御質問にありましたけれども、その過程でもっといい燃料が見つかるとか、あるいはもっと容易にエネルギーがウランなりほかのものから取り出せるということであれば、その段階で転換しなきゃいけないと思いますけれども、少なくとも現時点では国の安全という、資源の面での安全ということを考えればリサイクル政策というのは私は間違っていないのではないかと思います。
#26
○円より子君 どうも皆さんありがとうございました。
#27
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 三人の参考人の方、お忙しい中大変ありがとうございます。
 私は、まず最初に森嶌参考人にお伺いしたいわけでありますけれども、森嶌参考人は地球環境戦略研究所の理事長もお務めになっていらっしゃるということで、地球環境保全という視点から、原子力発電についてどのように評価されているかということについてお尋ねしたいわけです。
 今回の問題もそうでございますけれども、発電過程においては原子力はCO2は出さない、燃料をつくる過程においてはCO2は出すわけですけれども。あと、今回の放射性レベルの面についても、数万年を要するぐらいの高レベルの放射性廃棄物を出す。さらに温排水を考えていきますと、七度差の温度で、それを年間百万キロワットの発電所で考えていくならば二十億トンぐらい出されておる、その熱量は相当なものだと思うんです。そういった意味では地球を暖めているところもあるわけでありますし、そういった面を含めて、専門の立場からちょっとお考えをお聞きしたいと思います。
#28
○参考人(森嶌昭夫君) 先ほど加納先生の方からも御紹介がありましたけれども、私はずっと環境をやっておりまして、原子力は実は余り従来関係してこなかったわけでありますが、パブリック・アクセプタンスという観点からこの問題に入ることになりました。ところが、ほぼその直前ぐらいから、リオの後、気候変動の条約が入って、そしてCOP3で、京都会議でどういう削減目標をとるか、そしてそのためにどういう手段があるかという、その辺から環境の方からもこの問題に携わることになったわけです。
 私は、例えば新エネルギーあるいは自然エネルギーと言われるものについてはどんどん進めるべきだと思うんですけれども、しかし、現実性あるいはコストの面から見て、今直ちに原子力とかわるものではない。再び申し上げますけれども、原子力の安全性というものは今信頼されていないというところがありますので、この問題はともかくぜひきちっとやらなければいけないわけですが、仮に安全性ということだけを問題にいたし、それが解決されるという前提で、安全性があるということを前提として考えた場合に、現時点では客観的に見て原子力というものに頼らざるを得ない。これを拡大していくのがいいかどうかというのは、これはそれこそ国会で十分議論していただきたいと思うんですけれども、現実問題としてはそう簡単にほかのものへぱっとかえるわけにはいかないということであります。
 その意味では、私は法律家でありますので現実的でありますので、ここ十年ないし二十年というものは原子力の安全確保というのを前提としながら原子力を維持する。しかし、縮小していくか拡大するかというのは、これは国民と議論していかなければならない。
 御指摘の温排水なんかにつきましても、専門家に聞きますと、今割合むだに熱を使っているというふうに聞きますけれども、これを普通の発電エネルギーではなくて、例えば地域暖房とかそういうものとか、ほかの形で低い温度で使ったらいいのではないか、今割合そのまま捨てているということもございますので。
 そういう問題はいろいろあるとは思うんですけれども、大局的に見ますと、私は、国の資源エネルギー政策というのを国会でどうお考えになるか、それを議論していただきたいんです。しかし、その議論がどう動くにせよ、ともかく現実には私は原子力というものをすぐさま捨てるということはできないと思います。これは原子力を、これから原子炉をふやさないあるいは減らしていくという国でも、ドイツなんかでも当面三十年間は捨ててしまうということではありませんし、捨てようと決めた国でも、捨てるという方向はそうですけれども、すぐさま捨てられないという、これは現実の問題があります。
 私は原子力推進派でもありませんけれども、そう非現実的に原子力やめろと言うわけにはいかないということで、むしろマイナスのところをどうやってきちっと手当てをしながらより安全でより効率的なエネルギー源が出てくる方向を求めるほかないのではないかというふうに思っております。
#29
○加藤修一君 同じく森嶌参考人にお願いしたいんですけれども、安全規制について早く作成せよ、画竜点睛を欠くというお話がございました。
   〔委員長退席、理事加藤紀文君着席〕
 今回、私は、今の法律を出す前に安全規制に係る法律を先に出すべきである、それによって国民が理解できるならば理解していただいてという話になると思うんです。そういう安全規制に係る法律が先に出ないでこれが唐突に出てきているというところもなくはないと思っているわけなんですけれども、この両方本来は一緒に出てくればよいと思うんですけれども、この辺の法律の出し方あるいは仕組みに対してどのように見解をお持ちですか。
#30
○参考人(森嶌昭夫君) 少なくとも実施主体と資金の手当ては早急にしませんと二〇三〇年には間に合わないということがございます。それと同時に、今先生御指摘のように、安全といわば対になっていなければならないという意味では、望ましい形は両方が一緒に出てくるということでありますけれども、私の伺ったところでは、安全対策というのはいろいろな技術的なことが入ってまいりますので少しその整理に時間がかかる、あるいはもう少し実際の工事、事業は研究なども踏まえながらやっていくということになりますので、多分安全規制を、技術的な問題をクリアするには少し時間がかかるのだろうと思います。
 そこで、何回も言いますけれども、現実的な法律家としては、二つの法律ができるまで待つべきかということになりますと、むしろ少なくともスタートしなきゃならないものはスタートしなきゃならないと。しかし先ほど冒頭にも申しましたように、安全性というのはいわば車の両輪というよりはむしろある意味では一番重要なことでございますので、ぜひできるだけ速やかに安全規制については法律をつくっていただきたいということでございます。
#31
○加藤修一君 それでは、徳山参考人にお願いしたいんですけれども、今回の核燃料サイクル開発機構のいわゆる第二次取りまとめでございますけれども、それに対していろいろな評価がございます。例えばOECD・NEAのいわゆる専門家による国際レビュー、その中では、「他の国は概して、日本には構造的に安定とみなせるような場所はないという感覚を抱いており、安全な地層処分コンセプトの開発は、日本の計画にみられる特別のチャレンジである。」と。
 日本のある意味では特異性を言っているように私は受け取っているわけですけれども、地層処分の安全性は本当に確保されると考えているのかということなんです。いわゆる欧米でさまざま言われている安全規制とかあるいは地層処分の成果が必ずしもそのまま移転可能性を持っているかどうかということについては疑義があるのではないかと。そういった意味では、日本の特性をさらに生かした形でどういうふうにそれを取り込んでいくかというのが極めて重要ではないかなと思いますけれども、いずれにしても安全性については非常に十分な担保をとらなければいけないと考えていますので、その辺どうでしょうか。
#32
○参考人(徳山明君) 欧米と日本と同じような形でやれということを私ども申し上げているわけじゃなくて、違う形でやると言っておりまして、その一つの例が先ほど言いましたように数百メートルということなんです。
 例えばアメリカのユッカマウンテンあたりでは三百メートルぐらいのところを埋めるわけです。それはその下に地下水が流れるという形をとるわけです。私どもの方は地下水の下に置く、だから数百メートルという値を出しているわけです。これはそういう意味で、地下水流の性質であるとかそういうものは、日本の地質というものにマッチした物の考え方としてそういう考え方を出しております。
 それから、OECD・NEAの問題は、私は直接にその議論に参加したわけじゃございませんけれども、もちろん日本の地質というものは欧米の諸国に比べれば割合に断層が多かったり褶曲が多かったりということは確かにあります。しかしながら、それは比較的な問題でして、それを先ほどの円先生の御質問のように、人間の尺度というものにして考えてした場合にはそれはほとんど問題にならないぐらい、つまり日本のところでも一千万年とか五百万年というものはずっと安定に保たれているという証拠はいっぱいあるわけです。
 例えば、皆さん御存じと思いますけれども、いろんな普通の河川というものができて、普通のほとんどの河川は五百万年ぐらい前からできています。その五百万年前にできた地下水構造はそのままずっと残っておりますし、日本のほとんどの地形というのはそういう時期にできているんですが、要するにそのままずっと保たれているというのは日本でも同じなんです。
 それは、例えば変動帯とかそういう言葉が先走りしておりますから、変動帯はもちろんほかの国に比べれば変動の速度が大きいわけです。例えば日本と世界とどのくらい違うかといいますと、スカンジナビア半島なんかでいう非常に大きなゆっくりとした運動というものがありまして、そういうものと比べると日本の変動速度、日本でもゆっくりした上昇というのはあるんですけれども、それが約十倍の速さを持っているということになります。その十倍の速さというものは、地層処分という時間枠から考えますと全く問題にならないものだというふうに考えております。
#33
○加藤修一君 それでは、最後に松田参考人にお願いしたいんです。
 同じ第二次取りまとめに対してOECD・NEAの専門家による国際レビュー、その中においては、日本における活断層に関するデータベース、これは本質的に地表での観察である、つまり空中写真判読と地表踏査それから地震記録データに基づいている、そういう指摘をしているわけなんです。そういったことから、これらのアプローチは実際の活断層の数をかなり過小評価している可能性があると。そういった意味では、将来の十万年にわたって日本において個々の地域において断層活動の大部分を予想できるという考え方にいわゆる否定的な見解も示されている。
 この辺については、新たな活断層の発生の可能性ということについてどのようにお考えでしょうか。先ほども問題点として二点目、三点目についてお話しされておりましたけれども、以上について御見解をお示しいただければと思います。
#34
○参考人(松田時彦君) 新しい断層があらわれる可能性はほとんどないと思っていますが、最初におっしゃったように、我々の活断層調査が一〇〇%既に完全であるというふうには思っておりません。ただし、大きな顕著なものはよく見つかっておって、それは恐らく見落としはない、ほとんどないと言ってよろしいけれども、その他の余り活発でない活断層は今のような手段ですと見つけにくいものですから、今後もっと調査をすれば見つかる可能性があると思います。特に地域が限定されれば、それに集中して調査をすれば完璧になると思います。
#35
○加藤修一君 終了いたします。大変ありがとうございました。
#36
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。
 きょうは本当に参考人の皆さんありがとうございます。
 まず、最初に森嶌参考人にお伺いをしたいわけでございますが、先ほども同僚委員の方から御紹介がありましたが、森嶌参考人が九九年四月号のエネルギーレビューで「高レベル放射性廃棄物処分懇談会のメッセージ」ということで大変強調されておりますのは、国民の皆さんに対する情報公開の重要性だということを強調されていらっしゃいます。
 私も少し読ませていただいたわけですが、先生の御指摘の中で、特になぜ必要かという前段の展開の部分、「リスク評価の問題」というところで、原子力についてのリスク評価に関して進める側と国民の間の共通の基盤が非常に欠けているということを特別懸念されておられまして、さらに、廃棄物の処分については原子力発電の問題以上に国民の間に認識のギャップが非常に大きいと思われると。
 それは、廃棄物処分の技術や安全性に関する情報が原子力関係者や専門家以外に余り伝達されていないという事実から一つはきているということを指摘されながら、処分懇では議論ができるだけ開かれたものにするためにいろいろ工夫をしてきたということを述べられて、処分懇の報告の中では、とりわけ処分事業の各段階について住民の意見を十分に聞き反映させていくことが非常に重要だということで、自治体を通じてばかりではなくて、広く住民の参加する公聴会それから公開ヒアリングなどの方法も非常に大事だという報告のところがございますね。
 それで、住民の意見を聞く方法として「公聴会や公開ヒアリングなどの方法が考えられる。」と。この「など」の中には、最近では住民運動が非常に活発で住民投票などの方法がございますが、そういうものもこの議論の中で出されてきていて、「など」の中にはその住民投票なども含まれるというふうに理解をしていいかというのが一つです。
   〔理事加藤紀文君退席、委員長着席〕
 ところが、今審議されている法案では、参考人が御指摘されたような情報公開を組織的に保障する規定はございません。強いて言えば、第六十条に定める機構の業務運営について、適切な情報公開により地域住民等の理解と協力を得るよう努めなければならないという建前規定で済まされているわけです。
 こうした政府の立法対応についてどのような御感想をお持ちか、きちっと公聴会などをやりなさいというふうに法文上明記すべきという見解もありますが、先生のお考えはどうでしょうか。
#37
○参考人(森嶌昭夫君) 報告書を書くときには割合に、無責任とは申しませんけれども、いろんなケースを想定してではなくて、一定の方向性、基本的考え方を出すわけですが、今先生御指摘の例えば住民投票を考えるという場合に、そこにおける住民とはだれを指すのか。
 つまり、例えば何かをつくる場合でも、そこの敷地のある行政区域の住民を指すのか、それとももっと広く二つとか三つ離れていてもやるのか、それとも県というような単位でやるのかということになりますと、非常に住民投票をする場合の住民投票の住民のとらえ方というのがケースによっていろいろ変わり得ると思うんですね。
 それからもう一つは、住民投票をやった場合に、その法律上の効果はどうなるのかという問題があります。今、割合に住民投票をやっておられるところでは、条例に基づいてやっておられるところもありますし、それから事実上やってしまったというところもあります。
 そこで、もしも法律として考える場合には、住民投票の範囲であるとかあるいはその住民投票の効果とか、そういうことを考えなければならないという意味では、報告書で、私は住民投票もあってもいいと思っておりますけれども、ありとあらゆる手段で意見の交換あるいは意見の吸い上げというのをやるべきだということになります。住民投票もそうでありますが、公聴会というものも、これも法律事項にしますと、どういうふうにして公述人を選ぶのかとか、そして公聴会をだれが聞くのか、そして聞きっ放しなのかと言うと語弊がありますが、それをどういうふうに取り扱うのかということで、私は、現在の六十条が先ほど申しましたように努めるものとするというふうな形で出ておりますと、その意味では配慮していただいたというふうに思っております。私はもう少し強い形で決めることが望ましいと思いますけれども、そうしようと思いますと、今申しましたようなさまざまなケースを考えて、さまざまな法律上の要件、効果というのを考えていかなければなりませんので、そこで先ほど申しましたように今のところはこういうところかなと。
 しかし、この条文が出てきた趣旨を考えると、実際の運営に当たっては、ぜひともその都度、例えばどういうふうにして意見を聞くかというようなことについて機構でお考えになる、あるいは通産省でお考えになる、あるいは場合によっては地方自治体でお考えになるということでやっていただきたいとは思っております。
 なかなか法律でぎりぎりと書こうと思うと一筋縄ではいかない問題だというふうには思っております。
#38
○西山登紀子君 続きまして、森嶌参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど画竜点睛を欠くというお話がありました。私もその点は非常に大事な点だと思っております。
 この懇談会報告では、「実施主体は、確実に事業を推進する責任と安全に処分施設を管理する責任を負う。」と指摘しているんですけれども、法案の第二十条では「別に法律で定める」ということで、安全確保のための規制については現在のところ制定の見通しというのは明示されていないわけで、先ほど参考人はぜひ早急に必要だと言われましたけれども、その早急にというのは大体いつごろというふうにお考えでしょうか。
#39
○参考人(森嶌昭夫君) なかなか難しい御質問ですけれども、私は技術的な問題があると思いますのでよくわかりませんが、日本の有能なお役所をもってすれば、二年ぐらいあればその間にいろいろな技術的な委員会を開いて専門家の意見を聞いてということで、二年ぐらいあればそんなに無理ではないのじゃないかなと。
 そのころから実際に、まだ機構は二年ぐらいでは現実にはどんどん動くということではございませんので、ともかくそのぐらいに出せば、国民の方でもこれは一体どれぐらいのことをやるのか、あるいは御質問なんかがあればそれに対して意見の交換をするというようなことになるでしょうから、私は行政機構を考えるとまあ二年ぐらいかなという感じはいたしておりますけれども、お答えするのに大変難しい質問ではあります。
#40
○西山登紀子君 二年というお話がありましたけれども、実はこの五月十二日付の電気新聞には、電力業界は七月に主体を設立するための準備組織を設置して、十月には政府が許可をする方針にしていると報道がされている。
 これが事実とすれば、将来定められるでありましょう安全規制がクリアできる組織なのかどうかということの前に実施主体ができてしまう。まさに順序が私は全く逆だというふうに思うわけですが、こういう点については参考人はどのように、御感想で結構です。
#41
○参考人(森嶌昭夫君) まさに感想でしかありませんけれども、私は、今、安全規制という問題について法律できちっと決まっていないからといって、機構が仮に立ち上がっても全く安全を無視したような機構が立ち上がるとは思っておりませんし、地層処分の安全性ということはともかくとして、原子炉などの安全性はもう既にきちっとした法律もあることですので、私は、政策的にもあるいは政治的にも実際法律的にも、法律が別に決まらない以上は安全とは無関係、安全を無視した、考慮しない機構ができ上がるとは考えておりませんので、私は先ほど申しましたようにできるだけ早く安全規制の姿をあらわしてほしいと思いますけれども、機構が先にできたからといってけしからぬということには、私としてはそういう感想は持っておりません。少なくともそこでできた機構は、後から一年か二年たって安全規制ができた途端にどたばたするような機構だったら最初から立ち上がっていないと私は信じております。
#42
○西山登紀子君 続いて恐縮でございますが森嶌参考人にお願いします。
 懇談会報告のところで、処分事業と立地地域の共生の部分で、先ほども単にお金を配るだけではなくて共生を考えなきゃいけないという御説明があったんです。私読ませていただいて、ちょっとお聞きしたいんですが、処分場の「地域産業との共生のためには、立地に伴い地域産業が活性化され、処分場の施設を利用した、例えば、処分場の施設と連携した産業の育成が図られるような事業を考えることも重要である。また、処分事業の特性である長期性や広いスペースを活かして、地域の自然環境に合った持続可能な事業を考えることも重要である。」という御指摘をなさっているわけです。
 ちょっとほかの文献を見せていただいておりましたら、フランスなどでは、初期の五百年間ぐらいは人間がその処分地に接近する可能性を非常に下げる必要があると、こういうふうな指摘もあるんですけれども、ここの報告でおっしゃっていらっしゃる「産業」あるいは「事業」といったものは具体的にはどのようなものなんでしょうか。ちょっとイメージをわかすためにお話しをいただきたいなと思うんです。
#43
○参考人(森嶌昭夫君) 廃棄物の処分場でありますのでおのずからやはりいろいろな制約はあると思いますけれども、議論をしておりましたのは、せっかく地層処分の研究所をつくったりいろんな研究をするわけですから、一般の人に理解していただけるようなそういう、科学博物館とかあるいは体験的に処分のプロセスを見ることのできるようなもの、そこに地元の人にも入っていただくという例えば学習機関のようなものを考えております。
 この法律の中にもありますけれども、フランスで言っているのは、要するにそこに人がどかどかっと住んで、そこで下に処分場があるにもかかわらずボーリングをしたりするような、そういうことを避けるという趣旨じゃないかと思いますし、現にこの法律でも処分場のところにいろいろ、処分場の安全性とのかかわりで問題のあるようなものについてはチェック、排除するというアイデアが入っております。
#44
○西山登紀子君 それでは最後の一問で松田参考人にお伺いをしたいわけですけれども、核燃料サイクル機構の第二次取りまとめの結論は、火山や断層などの活動やその影響を受ける地域を除けば地層処分の適地があるというふうにしているわけです。先ほど先生も適地があるんじゃないかというふうにお答えをいただいたわけですけれども、やはり地震王国と言われるこの日本、大変私は懸念をぬぐい去ることができないわけです。
 先ほど先生の御説明の中にありました第五図ですね、「地方別推定される最大地震のマグニチュード」ということで第五図にこうずっとございます。これは日本列島が全部網羅されているわけですけれども、「M八級の大地震は中部近畿地方で起こる可能性がある(その他の地域では起こりそうもない)。」というふうに書いておられます。これは、マグニチュード六とか七とかというものはほかのところで起こる可能性があるんだと、逆に言えば。そうこの地図は見ていいんでしょうか。それが一つ。
 それから、私は出身は京都なんですけれども、北丹後地震のようなものは活断層のないところで起こっています、マグニチュード七以上の地震だったと思いますが。そういうことになりますと、活断層のないところでも大きな地震は起こる、こういうことなのではないかと思うんですが、御専門の立場でこの二つの点をお伺いしたいと思います。
#45
○参考人(松田時彦君) お答えします。
 先ほどの第五図に書いてありますマグニチュードの数字、大きさは最大でして、それより小さな地震はもちろん起こります。最大を押さえて、だから七と書いてあるところで八を想定して何か対策をしなくてもいいんじゃないかという最大を申しております。
 それから二番目の、活断層はないところでもと言って北丹後の例をおっしゃっていますけれども、活断層はあります。ただ、当時、もちろん調査はなかったし、それから結構わかりにくい断層なので、起こったから注意して見れば、あああるということで、起こる前に見つけるのはあるいは難しいこともあるかもしれませんけれども、決して活断層のないところで大地震が起こったのではありません。活断層が見つけにくかった、見つけてなかったところで起こったという例はこれからもあるかもしれませんけれども、その例だと思います。
#46
○西山登紀子君 ありがとうございます。
#47
○梶原敬義君 社民党の梶原です。
 大変御苦労さまです。十五分しか持ち時間がないものですから端的に聞きますが、この今議論されています法律というのは、急いでやろうとしているのは、実施主体をつくって、その実施主体に国民から電力料金に上乗せをした料金をいただいて、そして電力会社がそこに、実施主体に納入する、それを基金にして事業をやるということ、そこのところを急いでいるんだろうと思います。
 私は、森嶌先生の「高レベル放射性廃棄物処分懇談会のメッセージ」という論文を読ませていただきました。繰り返し先生が強調されているのは、いずれにしても、国民の理解を得る上で透明性の確保と情報の公開。きょうもお話がありました。また、原子力行政のすべての分野で国民との対話に向けた一層の努力が必要だということを言われております。その点については大変賛成でありますが、同僚議員からもお話があったように、やっぱり今度のこの法律の「目的」、第一条の中に、「発電に関する原子力の適正な利用に資するため、発電用原子炉の運転に伴って生じた使用済燃料の再処理後に生ずる特定放射性廃棄物の最終処分を計画的かつ確実に実施させるために必要な措置等を講ずることにより、」云々と。全く安全性の問題、これは「目的」の中に書かれていないんですね。もって安全性をまた確保し国民生活に寄与するとかなんとか、そういうようなものが前面に出てきていない。それは後だと。これは通産省がよく法律をつくるときにこういうやり方をするんです、大体国会を無視しているようなやり方。基本指針をつくって、基本指針というのはわからぬのです、我々には。何か項目だけ書いて、そしてそれはあとは政省令に任せてくれ、こういうことで、非常に我々の力量もあってこれは反省しなきゃならぬのですが。
 そこで、森嶌先生にお聞きしますが、この実施主体を議論するときに、アメリカとかフランスとかドイツは国が非常に関与して前面に出ていますね。もう申し上げませんが、前面に出ています。日本は認可法人。認可法人より上は特殊法人ですね、そして国が直。その点、日本のこのやり方は一歩政府が腰を引いたやり方になっているんですよね、責任回避できるように。懇談会の中でこの辺の議論というのはどういう議論をされたんでしょうか。
#48
○参考人(森嶌昭夫君) 機構の法律上のあり方について詳細な議論をしたわけではありませんが、国との関係では、国がいわば前面に出る、国が前面に出る、そして実施主体は機構であるという位置づけをしております。そしてその際に、じゃそういう国が責任を持って、そしてそれに対して具体的な実施を行う実施主体というのをどう位置づけるかということなんですが、これは従来の仕組みですと先生御指摘のように特殊法人でありますけれども、現在いろいろな機構改革の中で、新しい特殊法人というのはつくらないのかどうかわかりませんけれども、少なくともそういう政策はとっていない。そこで、だからといって公益法人のような形で一般の民法に基づくというわけにはいかないということで、こういう特別の形をつくったのだろうというふうに私は推測しておりますが、あくまでも懇談会での議論では、法人の形態はともかくとして、国が逃げてはいけないということは繰り返して議論をしておりました。
 ただし、国が実施そのものにかかわるよりは、国はもう前面に出るけれども、責任を負うけれども、しかしあくまでもそれは、実施をきちんとやるというそのいわば監督指導というそこへ徹すべきだということでありまして、この法律の書き方を見ますと至るところで通産大臣の認可とか許可とかいうのがありまして、これが実際の運用で機構から出てきたものをすぐ認可してしまうかどうか、これは保証の限りではありませんけれども、少なくとも仕組みとしては、きちっとこの仕組みを使えば懇談会が言うようなことを実現することは不可能ではないということは申し上げられるかと思います。
#49
○梶原敬義君 国が基本指針を決めたりあるいは基本計画を決めて、そして実施主体がそれによって実施をするという、こうなっているんですね。何事か起こったときにその責任は国にはないんだ、こういう形になるんですよね。その点は私は、行政改革で特殊法人をつくったりそういうことをしないということ、こんな大事な問題をそういうことで片づけるということは非常に不十分だと思っているんです。
 それでは、第一にお聞きしますが、地層処分地あたりがそう簡単に幾ら対話をしたからといって見つかるものではない。フランスの放射性廃棄物管理機構、ANDRAですね、このイブ・ルバルス総裁のことが五月二十三日朝日新聞に載っておりますが、進んでいるというフランスで大変な反対運動が起こっておりますね。これは、日本もそれは最終的には厳しい。そこで政府が腰を引いて、そして実施主体にやれ、やれと、こういうことで、このこと自体のやっぱり何というのか、根本的な深い認識というか議論というのが不足しているような気がしているんですが、いかがですか。
#50
○参考人(森嶌昭夫君) 私は通産大臣ではございませんので、私におっしゃられても困るわけですけれども、少なくとも懇談会としては国は腰を引くなということで、現在の法律でも国がきちっと責任を持っておやりになればできない仕組みではないということを申し上げたんですが、腰が引けているではないかというふうに私におっしゃられても、私としては責任を持ってお答えをするわけにはいかないので御容赦いただきたいと思います。
#51
○梶原敬義君 時間がだんだんなくなりまして、徳山先生にお尋ねしますが、東濃でサイクル機構が調査をされて、東濃以外もやっておられますね。そのときに、その地層の状況や何かというのは、幾つかの地域における地層の状況というのは、そういうデータあたりは見られたんでしょうか、専門家として。その何メーターか下かの地層にはどういう水の流れ方をしているとかどうかとかいう判断は、ある程度は、研究の段階でしょうが、理解されているんでしょうか。
#52
○参考人(徳山明君) 私自身もあの辺を調査しておりますから、東濃それから人形峠もしておりますし、自分の研究の課題として別のことですけれども調査しております。
 それから、地下水とかそういう問題については十分承知しておりますが、そういうことでしょうか。
#53
○梶原敬義君 研究データそのものはある程度は先生のところで手に入っているんですか、サイクル機構のは。
#54
○参考人(徳山明君) はい。
 それは、私自身が地下水とかそういう問題についてやったものと、それから、東濃のあそこは地科学センターというのがありますけれども、そこでやっているものとは多少それは違いがありますけれども、そこのデータを見せてほしいと言えば幾らでも見せてくれます。それは、データはみんな公開しておりますし、研究の結果もきちんと公開してあると思います。
#55
○梶原敬義君 公開しているんですか。
 それから、今この法律で言われているのは、地下二キロ、二キロの範囲ですね。二、二が四、四平方キロメーター。そうすると、その真上の地表に出ている部分というのは、これも二キロですね。そうすると、考え方とすれば、処分地の考え方は、その周辺というのは、それはまた二キロ、二キロじゃ地表では足らない、あとどのぐらい地表要ると見るんですか。
#56
○参考人(徳山明君) これは場所によって多分違うと思います。
 二キロなら二キロ、二キロで、すぐその上だけでもいいという考え方もありましょうし、それから、地下水の性質とかそういうことから考えてもっと広い方がいいという考え方もありますし、それは、今申しましたような例えば地下水の流れであるとか、あるいはそういう地層であるとか花崗岩の割れ目とか、そういういろいろな状況によって違うと思います。必ずしも二キロ、二キロというふうにぴしっとやってその上というわけではないと思います。
#57
○梶原敬義君 私は、常識的には、それは上は相当な広さがなければ、これは将来にわたって安心できないような問題が起こってくるのではないかなという気がしますけれどもね。
 それで、松田先生にお尋ねしますが、私は九州で別府に近いんですが、しょっちゅう地震があっているんですよね、最近、火山帯がありますから。この先生の資料の三ページ、いただきましたら、「断層分布密度」というのを見てびっくりしたんですけれども、真っ黒ですね。これを見ますと、東濃の方も、あっちの方も真っ黒なんですね。でしょう。
#58
○参考人(松田時彦君) そうです。
#59
○梶原敬義君 地層処分をする場合の適地というのは、断層帯がない方がいいということなんですね。──それは先生は専門ではないですよね。
 じゃ、お尋ねしますけれども、この九州と、NとKのところというのは、やっぱりこれは断層帯があり、なかなか難しい地域だという判断をしていいんですね。難しいというか心配のある、地震に。
#60
○参考人(松田時彦君) ほかの地域に比べたら、今挙げられた地域は断層が密にある。ただ、この図はその地域全体の平均ですので、ここの中でもたくさん集中しているところとすき間のようにあいているところとがございます。
 だから、この黒いところでもどうしてもつくらなければというのであれば、その中でよりよいところがあるわけですが、そうでなければなるべく断層や地震の少ない地域を選ばれたらいいと思いますが。
#61
○水野誠一君 御苦労さまでございます。私は参議院クラブの水野でございます。
 まず、森嶌先生に質問させていただきたいと思います。ほぼ質問、同僚議員からもう出尽くしておりまして、少し補足的な質問になろうかとも思います。
 私はこの高レベル放射性廃棄物処分懇談会の報告書を拝見させていただきまして、大変時間もかけて十分いろいろな視点から議論をされているということはよくわかりました。先ほど先生もちょっとおっしゃっていたんですが、しかしそれを法文にしたときに非常に抽象的な表現になってしまうと。とりわけその安全性の問題とか、あるいは先ほどから出ておりますが関係住民の理解、国民の理解というようなときに、もっとそれじゃどういう理解、どういう手法でその理解を深めていくのかというようなことはなかなかその法律の中には書き切れないと。こういう点も確かに私は日本の法律というのは非常に抽象的で、こういった特に国民への安全性の理解を高める場合は問題だなという感じは確かに同じ感想を持たせていただきました。
 そこでもう一つ、ちょっと違う視点から質問させていただきたいと思うんですが、その中でこの実施主体が今後運営をしていくときに、本当にこの懇談会で議論されたようなことが実現していくのかと。あるいはその責任問題ということからいけば、そういった国とは違うその実施主体が問題を起こしたとき、あるいは問題を起こしそうになったときに、この懇談会が持っているような機能が、あるいは監視機能がそれをチェックしていくような、そういう仕組みというのが私は必要なんじゃないかなと思うわけなんですが、その点について何か議論があったかどうか伺えればと思います。
#62
○参考人(森嶌昭夫君) 懇談会では今先生がおっしゃったようなことをかなり議論をいたしまして、多分その図は入っていないかもしれませんが、国と別に、文章としては入っておりますけれども、独立の第三者機関ということを申しておりまして、議論をしたときには、例えば通産省なら通産省という行政の中に置かれる一種の審議会のようなものになりますけれども、第三者機関として外部の識者などを入れて国がちゃんとやっているか、あるいは間接的にではありますけれども実施主体がきちっとしたことをやっているかということをチェックをして、それをこの場合には通産大臣を通じてアドバイスを与えていくということで、ちょっとここには、この資料にはございませんけれども、もとの資料にはあるんですが、終わりの方にフローチャートみたいなのがありまして、そこの一番左のところに出ております。
 これにつきましては、この法律になるときに、先ほども出てきたのと同じ問題ですけれども、今新しい審議会をつくるということはできない。そこで、審議会であれば法律の中に位置づけることができるけれども、審議会をつくることはできないということになると、事実上そういう措置をとることになろうというふうに私は説明を受けておりまして、私はその第三者機関が法律上どう位置づけられるかはともかくとして、通産大臣に対して常にチェックをし、そしてまた通産大臣を通じて実施主体のあり方それから地元との意見交換の仕方などについて監視もし、アドバイスもしていくという、そういうものを置く必要があるというふうに思っております。
 ただこの法律には、私の受けた説明では法律に載せるような審議会というのはもはや行政改革の上でできないので、それは落ちましたということを伺っております。
#63
○水野誠一君 まさにそこの点だと思うんですね。新たな審議会をつくれないけれどもやっぱりそういう機能は必要だというところで、私もそこのところが、一番実行力のあるそういった監視機構がどういうふうに機能していくのかというところが大変関心のあるところでございまして、そんなことであえて伺わせていただいたんです。
 もう一問森嶌先生に伺いたいんですが、先ほど徳山先生の方からこの法律の名前に出てくる特定放射性廃棄物ということ、これは懇談会の中でも議論されている言葉というのはすべて高レベル放射性廃棄物という言い方がされている、学問的にも高レベル放射性廃棄物というのが今まで一般的だったと思うんですが、この法律になっていつの間にか特定放射性廃棄物という言葉になってしまったと。その定義も非常に簡単に、「使用済燃料の再処理後に残存する物を固型化したもの」というような定義になっているんですが、なぜ高レベル放射性廃棄物という言葉がこういう言葉に変わっちゃったのかというのは、確かに私も最初いきなりこの言葉を見たときに素朴な疑問として感じたんですが、そういうのは何かあれでございましょうか、懇談会の中で議論された経緯というのはあるんでしょうか。
#64
○参考人(森嶌昭夫君) 全くございません。特定放射性廃棄物というのは私もこの法律で初めてお目にかかりました。ただ、法律のテクニカリティーの問題としては、高レベル放射性廃棄物ということになりますと日本ではガラス固化体に入れて処分をするという核燃料サイクルというのが前提になっていますけれども、必ずしも、アメリカなんかですと使用済み燃料をそのまま最終処分をするということもありまして、ワンススルーなんということを言っておりますが。ですから恐らく、これは私はドラフターではないのでわかりませんけれども、内閣法制局とか何かで、そういう高レベル放射性廃棄物の中で特に日本の政策が選択をしているものをあらわすので多分新しい言葉をつくられたんだろうと。
 そこで、先ほど徳山参考人の方はちゃんと今まで使ってきた言葉を使わないのはおかしいとおっしゃって、それは科学者の立場からおっしゃるとおっしゃるとおりですけれども、こういう法律をつくる立場からいうと何とかその広がりを限定をしたいと。そこで、「再処理後に残存する物を固型化したものをいう。」というので、使用済み燃料のそのままではないという、それをあらわしたいためにこういう新しい言葉をつくったのではないかと推測しておりますが、したがって我々の懇談会ではおよそそういうことは議論したことはございません。
#65
○水野誠一君 ありがとうございます。
 次に、徳山先生にお尋ねしたいと思うんですが、先生の先ほどちょっと御説明、最後の方にもあったんですが、ナチュラルアナログですか、ということの御説明がありました。ちょっと説明が十分理解できなかったんですが、もう少し御説明いただけますでしょうか。
#66
○参考人(徳山明君) このアナログというのは、もちろん類似の事項という、自然の現象で同じような事項が起きている、そういうことをもってそのあかしとしようということでございます。
 ですから、例えばさっきからいろいろ御質問があるように、数万年とか百万年というものを私どもが先を見ようといったって見えないわけですから、そうではなくて実際に地層の中で起こった現象というものをずっと解析していく。例えば今よくナチュラルアナログということで言われるのは、オクロというところのウラン鉱床がありまして、そのウラン鉱床というのが、中で日本なんかでいう原子炉の中と同じような核分裂反応が起こってしまったわけですね。それはちょうど原子炉と同じようなものですから、そうすると、同じような例えばプルトニウムであったりアクチニドとか、そういうものがいっぱい出てきますね。非常に放射能の強い物質もたくさん生まれます。そういうものがそのまま地層の中に全部閉じ込められたまま、それが十億年、二十億年という間ずっとそのままにある。そういうことからすれば、地層というものは本来そういうずっと保護しておく機能があるんでしょうと、そういうことを言っておるわけです。
 同じように、先ほどちょっと御質問もあった東濃地域の話といいますのは、東濃にもウラン鉱床というものがあります。そのウラン鉱床という中で、先ほど御質問があったように、松田先生もお答えのように、あの地域というのは活断層が非常にたくさんあるところでして、そういう意味でいうと、物すごくいわゆる振動を受けているし、それからかつその鉱床そのものが断層で切られています。断層があるということは、先ほどの松田先生のお話のように、そこで地震が起きたということです。そこで地震が起きてずれているにもかかわらず、ウランのウラン核種というものは全然外へ漏れていない。それは、地層というもののそういう保存性というものの性質があるからだ。これは、東濃のウラン鉱床の場合にはできたのが約一千万年前です。ですから、日本の場合には十億年前という地層はないんですから、十億年安全だと言うわけにいかないんですけれども、そういう意味で、同じようなウラン鉱床の例でいえば日本では東濃の例があります。それは実際に断層を受けているんですから、その直撃した、断層を直撃して物すごく揺れているけれども平気だという例です。
 それから、もう一つ申しましたのは、金属鉱床というのがありまして、これは日本でも、今はもう鉱山はなくなりましたけれども、そのずっと鉱山をやっている時分はそうですけれども、どこの国でも金属、例えば硫化鉄鉱とかそういうふうなものは、地表に置いておけばすぐ風化してだめになってしまう。ところが、地下の中にありますと、それは二億年も三億年も前にできたものですけれども、そのままの形で保存されている。日本の研究のもとになったドイツでありますところのランメルスベルクという鉱山がありますが、それはデボン紀という四億年か五億年前にできて、その地層がそのまま残っている。
 あるいは皆さん御存じと思います。化石というのがありますね。化石というのは炭酸カルシウムですから、普通に地表に置いておけばすぐ溶けてしまう。だけれども、地層の中にその化石がそのまま残っておりますね。それもそういうふうに周りのみんな地層というものが機能して保存していくという、そういう性質があると、そういうことを申し上げておるわけです。
#67
○水野誠一君 最後に松田先生に伺いたいと思います。
 先ほど来、活断層の話がいろいろ出てまいりまして、私も大変いろいろ勉強させていただいたんですが、一つ伺いたいのは、例えば十勝沖地震というのがございましたね。ああいったいわゆるそこに活断層が地表に必ずしもなくて、例えば海底のいわゆるプレートのずれというようなことで起きる地震というのがございますね。そういう場合というのは、例えばいわゆる地上にある活断層とは関係なく起きる地震という場合、これはどういうふうに解釈したらよろしいんでしょうか。例えば、海底プレートから起きてくる地震ですね。そういう場合というのは余り影響ないのでしょうか。
#68
○参考人(松田時彦君) 二つの点をお答えしますけれども、海底で起こる地震も海底の活断層が動いたものです。
 二番目は、それが海底でない近くの陸地の活断層を刺激して地震が起こることがあるだろうかという御質問でしょうか。
 統計的には、多少、例えば南海道地震が起こったその前後は内陸で地震の起こった数が多いとか、そういう波はありますけれども、個々の断層、海で起こるとそれに対応して内陸で一つ地震が起こるという、そういう対応はないと思いますけれども。
#69
○水野誠一君 終わります。
#70
○委員長(成瀬守重君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の皆様に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#71
○委員長(成瀬守重君) ただいまから経済・産業委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、藁科滿治君が委員を辞任され、その補欠として北澤俊美君が選任されました。
    ─────────────
#72
○委員長(成瀬守重君) 休憩前に引き続き、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案を議題といたします。
 午後は、電気事業連合会原子力開発対策委員会委員長前田肇君、岐阜県瑞浪市長高嶋芳男君及び青森県六ケ所村長橋本寿君に御出席いただいております。
 この際、参考人の皆様に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。ただいま議題となっております法律案につきまして、皆様から忌憚のない御意見を承りたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 本日の議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様から、前田参考人、高嶋参考人、橋本参考人の順にそれぞれ十五分程度御意見をお述べいただき、その後、委員の質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、参考人の御発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、前田参考人からお願いいたします。前田参考人。
#73
○参考人(前田肇君) ただいま御紹介いただきました電気事業連合会原子力開発対策委員会の委員長を務めております前田でございます。
 本日は、この法案に関しまして、私ども電気事業者の意見を述べる機会を与えていただきましてありがとうございます。早速述べさせていただきたいと思います。
 まず、高レベル放射性廃棄物の処分そのものについて述べる前に、原子力開発と原子燃料サイクル全体について私ども電気事業者の考えを簡単に述べさせていただきたいと思います。
 お手元に配付資料をお届けいたしておりますが、時間の関係もありますので一々その配付資料の説明はいたしませんが、適宜御参照いただきたいと思います。
 皆様御存じのとおり、日本はエネルギー資源が少ない国でありまして、ウランも含めますとエネルギー資源のおよそ九五%を輸入に頼っていることとなります。したがいまして、電力を確実にかつ十分に皆様にお送りするためには、長期的に安定したエネルギー源を確保することが最重要の課題になっていると思っております。
 原子力はその点、少量の燃料で莫大なエネルギーを生み出せること、燃料供給国が政治的に安定している国であること、また燃料を原子炉に一たん入れると数年間燃焼可能であり、そのものに備蓄機能が内在していると言えること等の特色を有しておりまして、最も安定したエネルギー源と考えられております。
 添付一にありますとおり、一九九八年度の電源別の発電電力量では原子力発電によるものが約三千三百億キロワットアワーとなっており、既に我が国における電力供給の三割強を占めております。さらに、原子力発電所の中で燃料として使われ取り出された使用済み燃料の中にも、添付二に示してありますとおり、燃料としてリサイクル利用、再利用できる物質、すなわち燃え残りのウランとプルトニウムが全体の約九七%含まれております。これらの再利用によりましてウラン資源の節約が可能となります。また、プルトニウムは、新たに生まれた燃料であり、準国産のエネルギー資源であると言えるかと思います。
 エネルギー資源の確保の重要性から見て、特に無資源国の日本においては、これら再利用できる物質を取り出すこと、すなわち使用済み燃料の再処理は必要であると考えております。
 私ども電気事業者は、これらのウラン、プルトニウムの再利用、リサイクルの体系を原子燃料サイクルと呼んでその完成、完結を目指しているところでございます。
 その概要は添付三にお示ししているところでありますが、この原子燃料サイクルは二十一世紀に向けて日本が目指すべき循環型社会の理念に沿うものであろうと考えております。この図の中で緑色で示しておりますのが原子燃料をリサイクルしている部分でございます。
 さて次に、本題の高レベル放射性廃棄物を中心とする放射性廃棄物処分についての国内外の状況について申し上げます。
 原子力は、先ほど申しましたように、資源のない我が国にとって貴重なエネルギー源でございますが、一方、通常の一般廃棄物、産業廃棄物に比べて、量的には添付四にもありますように四万分の一ぐらいの非常に少量ではありますものの、いわゆる厄介な放射性廃棄物を発生するという側面を持っております。したがいまして、放射性廃棄物を安全に処分する技術を確立することが原子力開発にとってぜひとも必要でありまして、国民の皆様方からもこの点強く要請されているところでございます。
 このうち、原子力発電所から発生する低レベル放射性廃棄物につきましては、一九八六年に原子炉等規制法の改正が行われ、現在、日本原燃株式会社が青森県六ケ所村にある低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて既に一九九二年より廃棄物の処分を行っております。
 一方、使用済み燃料の中でリサイクルできるものを取り出しました残りの約三%分の高レベル放射性廃棄物につきましては、その処分方策を確立することが原子力に残された最重要の課題となっております。諸外国を見ましても、添付五のとおり、ほとんどの先進国においては一九七〇年代から八〇年代にかけてこの処分のための実施主体が設立されており、また資金確保が開始されております。
 このように諸外国では、使用済み燃料を直接処分するかあるいは再処理するかにかかわらず、高レベル放射性廃棄物処分の制度化がかなり以前から行われ、着実に進められているところであります。
 このうち、米国、カナダのようにエネルギー資源の豊富な国では、原子力発電を行うが使用済み燃料は再処理せず直接処分するとの方針を採用しておりますが、その処分の方法としては、深い地層に人間環境から隔離した形で地層処分する方法を採用するのが共通の認識となっております。
 一方、フランスや我が国のように資源の少ない国では、使用済み燃料は再処理しリサイクルすることとしておりますが、その場合も、添付六にお示ししております方法により再処理後の高レベル放射性廃液をガラス固化し、安定な形として地層処分することを基本的な考え方としております。
 つまり、使用済み燃料を直接処分する場合でも、あるいは再処理しガラス固化体として処分する場合でも、いずれにおいても、添付七に示すとおり、深い地層に容器や粘土などの人工バリアと深地層の岩盤である天然バリアを組み合わせた地層処分方式を採用するのが国際的に共通した考え方と言えるかと思います。
 次に、日本における高レベル廃棄物処分に関する取り組みについて述べさせていただきます。
 先ほども申し上げましたとおり、無資源国である日本は、使用済み燃料を再処理しリサイクルすることを基本方針としておりますが、再処理につきましては、日本国内には茨城県東海村にある核燃料サイクル開発機構の小規模の再処理施設しかございませんので、商業用再処理施設として現在青森県六ケ所村で日本原燃株式会社が二〇〇五年の操業開始を目標に大型施設を建設中でございます。
 このため、原子力発電が開始されて以来これまでに発生した使用済み燃料につきましては、国内における本格的な商業用再処理施設が稼働を開始するまでの間、その多くがイギリス、フランスに送られ、そこで再処理が行われております。これら海外での再処理により分離されました高レベル放射性廃棄物は日本に返還されることになっており、既に一九九五年以来、二百七十二本のガラス固化体となった高レベル放射性廃棄物が日本に返還され、青森県六ケ所村において冷却のため貯蔵、保管されております。今後も海外から引き続き返還がされることになっております。また、核燃料サイクル開発機構で再処理されガラス固化されるものも一部ございます。
 さらに、原子力発電を現在行っている燃料の中においては、電気を生み出すごとに新たに高レベル放射性の廃棄物が生まれていると申せます。現在までの原子力発電に伴って発生した使用済み燃料をガラス固化体に換算いたしますと、添付八のとおり約一万二千六百本になります。これは今回の制度化に当たって費用積算の前提となった四万本のガラス固化体の約三分の一であり、処分の制度化が行われないままにこれだけの高レベル放射性廃棄物が発生していることになります。このため、原子燃料サイクル施設や原子力発電所を立地させていただいている地域の方々を初め、広く国民各層から、高レベル放射性廃棄物処分の道筋を早く明らかにするよう強く求められているところでございます。
 このような観点から、原子力発電や原子燃料サイクル事業を円滑に推進していくためにも、これら立地地域の方々を初めとする国民の皆様に対し、高レベル廃棄物処分のための道筋を明確にし、原子燃料サイクルの全体像を示すことが急務だと考えております。
 このため、一九九四年の国の原子力開発利用長期計画におきまして二〇〇〇年を目安にした制度化がうたわれ、この方針について、その後の原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会あるいは総合エネルギー調査会原子力部会において、より具体的な検討が行われてきております。
 これらの検討の結果示されたことは、三つの視点から早期の制度化を図るという方針でありまして、その第一は、処分事業が長期を要するという視点でございます。
 ガラス固化体は冷却のため三十年ないし五十年の間貯蔵、保管されることとなっており、これは一九九五年に開始されております。したがって、実際の処分はまだ大分先のことでありますが、しかしながら、添付九に示しましたように、高レベル放射性廃棄物処分の事業化に当たっては、立地と安全審査に二十数年、建設に約十年の計三十数年が最低必要なわけであります。このことから、今、制度化する必要があると言えます。
 第二の点は、処分費用の負担の公平という視点でございます。
 原子力発電が開始されたのは一九六六年でありまして、既に三十有余年を経過しておりますが、制度化が行われないまま今後も原子力発電を進めることは、処分費用を負担しないまま現世代が原子力発電の利益を享受することになります。これは将来の世代に処分費用の負担をより多くかけることとなりますので、世代間の公平の観点から見て大きな問題であると考えます。
 第三は、電気の利用者の負担の軽減という視点でございます。
 高レベル放射性廃棄物は、発電が行われてから再処理や長期にわたる冷却のための貯蔵、保管を経て、実際の処分が行われるまで長い期間がかかります。早期に制度化して、発電時に拠出された資金をこの期間に運用することで拠出額の総額を少なくでき、結果としてお客様の電気料金の負担を軽減することができると考えております。
 ちなみに、原子力発電電力量当たりの負担額は、添付十によれば、資金運用がない場合は一キロワットアワー当たり二十九銭ですが、年二%程度の実質金利で運用いたしますと一キロワットアワー当たり十四銭となります。原子力発電は全体の三七%を占めておりますので、実際に電気料金に反映されますのは一キロワットアワー当たり五銭程度、標準家庭で計算しますと、一カ月に十四円程度の御負担をいただくことになります。
 本法案の今国会上程につき時期尚早ではないかとの御意見もあるかもしれませんが、私ども電気事業者としては、遅過ぎたということはあっても決して早過ぎるということはないと考えており、早期の制度化は我々が長年待ち望んだことであります。
 さて、今まで処分の制度化の必要性を述べてまいりましたが、ここで、事業化に当たっての今後の課題と私ども電気事業者の取り組みについて四点ほど申し上げたいと思います。
 第一は、この高レベル放射性廃棄物の処分は超長期の事業であり、事業の継続性が重要であるという点であります。
 先ほどの資料にもありますように、この事業は処分地選定期間と操業期間を合わせて約百年という長期にわたる事業であります。こうした事業を民間だけで行うことは到底不可能であり、また、立地地域の住民の方を初めとして国民の皆様に処分事業に対する御理解と御安心をいただくためにも、国による法律上の裏づけが必要と考えます。
 今回の法案では、処分の実施主体として認可法人の形態が採用されております。この認可法人は、法律により設立の裏づけがあって、また解散が制限されるものであり、国の監督のもと、超長期の事業にかなう組織形態であると考えております。法案が成立しました暁には、私ども電気事業者が中心となって早急に実施主体である原子力発電環境整備機構の設立を図る所存でございます。
 第二の点は、事業化に当たっては公益性と効率性の調和が重要であるという点であります。
 事業化については法律により制度的枠組みが確立される一方、実施主体でありますこの機構は民間発意で設立されるものであり、民間活力の導入が可能であり、公益性と効率性の調和した形態と言えます。電気事業者としては、機構設立後も、この機構に対する人的・技術的支援、安全確保面での協力等を通じて、機構がその効率性を最大限に発揮できるよう、事業を適切に支えていく所存であります。
 第三は、巨額の事業資金を透明性のある形で確保することが重要であるという点であります。
 総合エネルギー調査会原子力部会における費用見積もりでは、四万本のガラス固化体の処分費用総額が約三兆円とされています。このように巨額でかつ極めて公益性の高い事業に使用される資金拠出の枠組みについて、今回の法案では、実施主体とは別の組織が資金管理を行うことにより、拠出された資金の管理について透明性を確保することになっております。電気事業者としては、発生者責任を負う者として、拠出金の全額を負担し、その納付を確実に行う所存であります。
 第四は、立地問題を解決していくことが高レベル放射性廃棄物処分に当たっての最大かつ最重要課題であるという点であります。
 本法案では、処分地選定については、合理的な選定基準に基づき、情報公開により、立地地域を初めとする国会の皆様の御理解を得ながら実施していくこととなっております。
 電気事業者としては、機構と協力して、高レベル放射性廃棄物処分を国民の方々に理解していただく活動を積極的に行い、原子力に対する国民の信頼を高めることに鋭意努力する考えでおります。
 特に、立地問題が最重要の課題であると認識し、電気事業者が今まで培ってまいりました立地活動の経験を活用して機構の立地選定活動に十分な支援を行うなど、高レベル放射性廃棄物の処分はみずからの課題でもあるとの認識のもと、不退転の決意を持って取り組む所存であります。
 最後になりますが、今回法案が成立しますと、長年、トイレなきマンションと言われ、国民の皆様に大変な御心配をおかけいたしておりましたこの高レベル放射性廃棄物処分問題の道筋が明らかになるわけであり、電気事業者といたしましても、大変喜ばしいことであると考えております。
 私どもは、この高レベル放射性廃棄物処分問題は電気事業を行っていく上でも最大の懸案事項と位置づけており、その発生に責任を負う者として、処分の事業化の実現に向けて最大限の努力を傾注する所存であります。
 今回の法案につきまして、十分な御審議の上、早期に制度化が図られるよう、御高配のほど、お願い申し上げる次第であります。
 以上でございます。
#74
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
 次に、高嶋参考人にお願いいたします。高嶋参考人。
#75
○参考人(高嶋芳男君) 私は、ただいま御紹介いただきました岐阜県の瑞浪市長を務めております高嶋芳男でございます。
 本日は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法案審議に際しまして、参議院の経済・産業委員会にて発言の機会をいただき、感謝を申し上げます。
 我が市は、核燃料サイクル開発機構が超深地層の事業を進められている地域であります。
 このたびの特定放射性廃棄物の最終処分に関する法案が上程されましたことはまことに喜ばしいことであり、十分審議される中で、一日も早く制定されることを期待しているところであります。
 私から言わせていただければ、原子力利用を始めるとき、この法律も制定されるべきであったと思っておりました。
 私は、平成七年の七月二十七日に市長に就任をいたしました。同年の八月十七日に、当時の動力炉・核燃料開発事業団から瑞浪市に、昭和五十五年に取得している十四ヘクタールの用地において超深地層研究所を設置、地下千メートルに至る地層科学研究を行いたいとの申し入れがありました。
 私は、現在でも五十一基の原子力発電所が稼働しており、総発電力量の三六%を原子力に依存している現状をかんがみ、原子力エネルギーに頼れば高レベル放射性廃棄物は発生するのであるから、最終処分の問題は避けて通れないことだと考えますし、現在でもガラス固化体にして一万二千六百本もあるわけですので、原子力発電による便益を受けている現世代の我々が廃棄物処分を行うことが責務であると思います。
 そんなわけで、市議会議員の皆さん、区長会等への事業概要説明を行いまして、八月三十一日には原子力局長より、超深地層研究所の施設に放射性廃棄物は持ち込ませないし、高レベル放射性廃棄物の処分場にするものではないとの回答を得まして、地元説明を行いました。
 しかし、動燃には処分場にする、しないに関して協定を結ぶ資格がないのではないか、科学技術庁の大臣から誓約書をもらってくるまでは協定書の締結は困る等々の意見が出てまいりました。
 九月十三日、浦野科学技術庁長官より、原子力局長名で回答したとおりであると重ねて御回答をいただきまして、九月十五日号の広報「みずなみ」に計画概要を掲載し、地元説明を行ってまいりました。
 十二月二十二日には市議会におきまして超深地層研究所計画に関する安全の確保のための決議があり、放射性廃棄物の持ち込みはいかなる場合も認めないし、最終処分場については一切受け入れないことを確認していただきました。
 そして、十二月二十八日に、原子力局長立ち会いのもとに、東濃地科学センターにおける地層科学研究に係る協定書の協定締結を岐阜県、瑞浪市、土岐市、動燃の四者にて取り交わしをいたしました。
 しかしながら、平成七年十二月八日の高速増殖炉「もんじゅ」におけるナトリウム漏れ事故を初めとする動力炉・核燃料開発事業団のたび重なる不祥事が発生してまいりました。
 また、東濃地科学センターが実施した研究所設置に伴う予備調査の空中物理探査及び電磁波を用いた地上における物理探査等で地域の住民に対し事前説明が十分になされなかった等の不手際もあり、事業団に対する不信感とが相まって不安が増大してまいりました。
 地元では、研究所の施設が将来処分場になるのではないかという不安が払拭されていないことに加えて、広域地下水流動研究調査をめぐって新たに同様な不安が生まれてまいりました。
 また、週刊現代に、「告発スクープ! 日本の真ん中に「核のゴミ捨て場」進行する」、「「死の灰」と恐れられている世界最悪の産業廃棄物を、岐阜県山中に秘かに埋めようとしているというのだ──。」というような記事が掲載されました。この中で、処分場が着々と進められているとの、あたかもこの地が処分場になるかのような記事を書かれ、まことに迷惑千万でありまして、弁護士を立てて厳重に抗議をいたしました。
 地元では、地盤が花崗岩質で安定しているから研究に適していると言うのなら、その地で得た研究成果を他の地域でそのまま適合するのは困難なことではないか、研究に適した場所がなし崩しに最終処分場になるのではないかと懸念され続けてまいりました。
 また、住民の間に研究所以外の地域が処分場になる等の不安が広がり、地元住民の不安、懸念を解消するために、お隣の土岐市長さんと連名にて梶原県知事にお願いし、国の見解を確認していただくよう要請をいたしました。
 平成十年の九月十八日に、竹山科学技術庁長官より、「当該区域を高レベル放射性廃棄物の処分地とするための研究が行われるものではありません。」、「地元が処分場を受け入れる意思がないことを表明されている状況においては、岐阜県内が高レベル放射性廃棄物の処分地になることはないものであることを確約します。」と回答をいただきました。
 平成十一年七月十一日には瑞浪市長選挙がありまして、研究所の建設は将来処分場につながるから絶対反対という一点を掲げてある方が立候補されました。私は、原子力エネルギーによって生活が支えられている現実を踏まえて、研究は大いに行うべきであり、研究に寄与することは私どもにとって役割分担と心得ている、最終処分場にはならないことは国から確約をいただいているから安心してください、私の故郷瑞浪を処分場には絶対いたしませんと訴えてきました。その結果、投票率六二・三五%で、私が一万四千八百四十三票、相手の方が四千七百六十八票という結果となりました。
 平成十二年一月二十八日、超深地層研究所建設地域で結成されています月吉区超深地層研究所対策委員会との懇談会におきましても、超深地層研究所は、当初から処分場、いわゆる核のごみ捨て場とセットであると懸念をしていました。また、当委員会では、本件発生以来、各種学術書の閲覧、専門家を交えた学習会、原子力施設の視察研修会などを重ね、処分場選定に対する疑惑は増幅するばかりで、払拭されることはなく今日に至ってまいりました。
 平成十年九月十八日付、科学技術庁長官から岐阜県知事あてに通知された廃棄物の処分場にしないとする回答書は、政治的意味はあるが法的拘束力のない竹山裕長官が判断した政策文書であると判断されています。二〇三〇年にはガラス固化体が約七万本を数えると見込まれ、トイレなきマンションの解決に当地区が選ばれるような危険性は当然避けなければなりません。
 従来からの地元の姿勢及び本日の懇談会における委員会の意見を十分に御賢察の上、処分場が当地区及びその周辺以外に確定するまで、超深地層研究所建設の凍結に特段の御尽力をくださいますよう申し入れますという申し入れ書を対策委員会から渡されました。
 超深地層研究所計画が本市にもたらされて以来、ことしの七月で丸五年を迎えようとしており、この間、科学技術庁、核燃料サイクル開発機構、岐阜県、関係する瑞浪市、土岐市が地元理解を得るために鋭意努力を重ねてまいりましたが、残念ながらいまだ地元の理解を得るに至っていないのが実情であります。
 私は研究あっての最終処分と考えておりますので、この法案の審議の過程において、省庁再編成以降も科学技術庁が岐阜県に約束していることは経済産業省に引き継ぎ、引き継いだ後も内容は変わるものではないこと、二つ目は、最終処分を進めていくためには、透明性を確保し、地元の理解と協力を得ることを第一と考え、地元の意に反して選定することはないこと、三つ目は、研究事業と最終処分事業とは明確に区分されるものであり、処分事業は本法律で定められている原子力発電環境整備機構が責任を持って行うものであり、核燃料サイクル開発機構が行うものではないこと、以上の三点を明確にしていただき、瑞浪市の超深地層研究所計画は安全でかつ重要な研究であると位置づけ、市民の抱いている処分場になるという不安を解消していただきたいと願っているところであります。
 そのことが特定放射性廃棄物の最終処分に関する事業促進につながると理解していますし、冒頭に申し上げましたように、高レベル放射性廃棄物処分対策という大事な問題がおくれていること自体が問題であると思っております。
 この事業を推進するには、何をおいても地元の理解なくしては不可能であることを十分認識していただくこと、処分事業を行うには安全の中で行われることが当然のことながら必要でありますので、ぜひとも早期に安全規制法を制定していただきたいと思っております。
 また、研究開発の推進はもとより、安全性、信頼性の確保を進めていただくことも重要だと思います。
 私の超深地層研究計画にかかわった経験から申し上げますと、原子力発電に反対している方も多数あること、特に弁護士、大学の教授の方で原発反対を唱えている方の影響力は非常に大きく強いものがあります。
 この法律制定の際に記者会見をされる場合には、国民にわかりやすく、正確に報道されることを願うものであります。今から思い起こしますと、超深地層計画の発表の折、NHKの報道があたかも瑞浪の地が放射性廃棄物の処分場になると思わせる内容であったことが市民に不安を募らせる原因にもなったと思っております。
 最終処分について国民の皆様に十分理解していただくよう努めていただきますとともに、事業に当たっては、特に立地については大変な困難が伴うと思われます。責任ある立場の方が地域に対して積極的に誠意を持って対応していただくことを願うものであります。
 また、この法律も重要でありますが、新エネルギーの開発についても国を挙げて取り組んでいただきたいと思っております。
 また、国民に対して省エネ、節電への啓蒙をしっかりやっていただきますようお願いをいたします。聞くところによりますと、全国の自動販売機の電力消費量は通常の原発三基分に当たると言われております。
 この法案が速やかに全党一致で可決、制定され、原子力エネルギーの負の遺産が一刻も早く解決されることを願って、私の意見を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#76
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
 次に、橋本参考人にお願いいたします。橋本参考人。
#77
○参考人(橋本寿君) 私は、ただいま御紹介いただきましたように、青森県六ケ所村で村長をしております橋本寿と申します。
 本日は、特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律案に対する委員会審議に際し発言の機会を賜り、まことに光栄に存じ、心から感謝を申し上げるところであります。
 また、平素、当村における原子燃料サイクル事業について特段の御理解と御指導、御支援を賜っておりますことにつきましても御礼を申し上げるものでございます。
 私は、二十六歳から政治の道を志し、村議五期、教育長二期、平成九年十二月から村長に就任させていただき、今日に至っております。未熟者でございますが、御指導を賜りながら、お願いを申し上げたい、このように思っておるところでございます。
 さて、せっかくの機会でございますので、六ケ所村の概要について少し述べさせていただきます。
 六ケ所村は下北半島のつけ根に位置し、南北三十三キロ、東西十四キロと細長く、約二百五十三平方キロメートルの面積に人口一万一千六百八十六人であります。平成十二年度の一般会計当初予算は七十二億八千万円で、歳入のうち村税は四十七億二千六百万円余りで六四・九%の比率を占め、青森県内六十七市町村唯一、普通地方交付税の不交付団体であります。
 村の基幹産業は根類野菜を中心とした農業と酪農、漁業でありますが、昭和四十四年五月、新全国総合開発計画の閣議決定を受けスタートしましたむつ小川原開発により大きな変貌を遂げてまいりました。
 当初計画された石油精製、石油化学、火力発電所及びその関連企業の立地を図る一大コンビナート構想は、日本の石油消費一週間分を備蓄しているむつ小川原石油備蓄基地は立地したものの、国内外の経済事情により期待された企業の立地が進まず、未来のエネルギーを支える原子燃料サイクル施設がこれにかわり立地をしています。また、財団法人環境科学技術研究所では、放射性物質及び放射線の環境への影響に関する調査研究等を行っております。さらには、次世代の科学技術に向けた工業大学の誘致や国際熱核融合実験炉ITER並びにRI放射線を利用する総合研究施設の誘致を視野に入れながら、国際的科学技術都市の形成を目指しているところであります。
 さて、我が六ケ所村は、昭和六十年四月に、施設の安全確保を第一義に、地域振興に寄与することを前提として、電気事業連合会の立ち会いのもと、原子燃料サイクル施設の立地基本協定が締結され、我が国総発電電力量の約三五%を占める、原子力発電を支える日本唯一の原子燃料サイクル施設の立地する村として今日に至っております。
 原子燃料サイクル施設の現状を御紹介申し上げますと、ウラン濃縮工場は平成四年から操業を開始し、現在一千五十トンの生産規模であり、最終的には一千五百トンの規模となる予定であります。また、低レベル放射性廃棄物埋設センターについても、平成四年から受け入れを始め、現在約十三万本の低レベル放射性廃棄物を受け入れており、さらに海外から返還される高レベル放射性廃棄物を一時貯蔵する高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターは、平成七年に初回の受け入れ後、五回の搬入により、現在二百七十二本のガラス固化体を受け入れ、一時貯蔵されております。
 加えて、原子燃料サイクル施設の最大の施設である再処理工場は、平成五年四月に工事が着工され、平成十七年七月に操業開始に向けて建設が進められております。再処理工場の一部である使用済み燃料受け入れ貯蔵施設については完成し、校正試験も終わり、本格搬入に向けた安全協定の手続が現在進められております。
 しかし、旧動燃事業団のアスファルト固化処理施設での火災爆発事故や東海村ジェー・シー・オー・ウラン加工工場での臨界事故等々、たび重なる事故等によって村民ひとしく原子力施設の安全性に対する不安や原子力行政への不信が高まっている昨今であり、まことに遺憾であり、憂慮すべき事態であると申し上げなければなりません。
 現在、村は青森県とともに日本原燃株式会社の六ケ所再処理工場の使用済み燃料受け入れ貯蔵施設に係る安全協定締結に向けた地区説明会を開催し、直接住民から意見聴取するなど作業を進めているところでありますが、万一事故が起こった場合の避難、退避のための道路に大きな不安があるなど、原子力の安全性や行政に対する住民の不信、不安を払拭するための安全規制の充実や防災道路の確保など、具体的な防災体制の確立が早急に求められており、私といたしましても、住民が安心して住めるよう国、日本原燃株式会社に対し安全確保の徹底を申し入れるとともに、災害に強い町づくりを進めていかなければならないと決意いたしているところであります。
 国においては、ジェー・シー・オー・ウラン加工工場の事故等を踏まえ、強化が図られた安全規制や原子力防災対策について実効性に責任を持って当たってほしいものと要望申し上げるところであります。
 二十一世紀を前にして、これからのエネルギーの安定供給問題や地球環境問題、ひいては原子力長期計画の動向などについて、私どもは大きな関心を持ってその推移に注目しているところでございます。
 私どもは、我が国のエネルギー政策、とりわけ原子燃料サイクル事業の進展に貢献しているものとひそかに自負しているところでありますが、果たして国民的な評価はどうでありましょうか。
 我が国のエネルギーを確保する観点から、今日的に原子力に依存せざるを得ない現状にあって、安易に原子力を進めることに反対したり、反対しないとしても、自分たちの住むところにだけは原子力施設が立地しては困るが、他の地域に立地することに関しては興味も関心もないというような考え方の人々が多いのではないかと思われてなりません。かかる観点から、原子力長期計画の検討会やエネルギー調査会において国民的議論を行い、また小中高校生の教育においてもエネルギー問題の重要性を盛り込むなど、より一層国民の理解を得るための具体的な政策を要望するものであります。
 さて、海外での再処理委託に伴い返還される高レベル放射性廃棄物の一時貯蔵施設については、平成六年十二月二十六日に事業者である日本原燃株式会社と安全協定を締結し、以来五回にわたって二百七十二本が返還されております。
 六ケ所村の施設はあくまでも、それぞれのガラス固化体について貯蔵管理センターに受け入れた日から三十年から五十年間一時貯蔵管理するものと協定に定めているにもかかわらず、なし崩しにそのまま最終処分地にされるのではないかという不安が住民の間に増大していることはどうしたものでしょうかと思うわけでありますが、それは、我が国のバックエンド対策、とりわけ高レベル放射性廃棄物処理事業への取り組みが諸外国に比べ十年ないし二十年余りおくれていると言われる現状を反映したものにほかならないと思うところであります。
 原子力に関しては、トイレなきマンションとやゆされ、そのため我が六ケ所村は核のごみ捨て場と言われるゆえんでありますが、果たしてそのようなべっ視したことでよいのでありましょうか。経済成長に伴う電力需要拡大により生じた副産物は国家、国民がもたらしたものであります。国民的合意は、国民一人一人がみずからのこととして等しくその負担を分担するということが基本でなければなりません。
 私どもは、国を信じ、国をよりどころとして国策に最大限の協力をしてまいっております。国の一貫した原子力政策が、原子力の将来に対する国民の信頼を確保し、進展するもとであるものと考えるところであります。
 高レベル廃棄物の最終処分に関しての所見ですが、平成七年四月に木村知事が科学技術庁長官との間において、知事の了解なくして青森県を最終処分地にできないし、しないことを文書をもって確約しており、さらに知事の要望によって、平成七年九月から原子力委員会のもとに高レベル放射性廃棄物処分懇談会が設置され、具体的な検討が開始されてきたものと認識しているところであります。私ども立地村としては、その確認事項が大変重いものであると認識しているところであります。十分尊重されるべきことと思っているところでもあります。
 私は昨年、担当課長を伴い、アメリカにおいて高レベル放射性廃棄物の処分候補地になっていて長年研究が行われているユッカマウンテンを視察する機会がございました。ユッカマウンテンは、西部劇に出てくるような大砂漠で、人影が見られない壮大な土地でありました。なるほどこの地なら候補地になり得るし、研究も進んで当たり前だという認識を持ったところであります。
 このたびの法案については、私ども立地村の立場としては、一刻も早く成立され、その法律に基づき早期に実施主体を設立し、その後の最終処分の検討が少しでも前倒しされるよう努力すること、あわせて研究、安全規制の検討に努めていくことを求めたいと思います。
 特に、国においては、国民にエネルギー問題における最終処分場の重要性を訴え、いたずらに立地を拒絶するのではなく、国民一人一人の問題として認識し、協力してもらえるよう努力していただきたいと思います。
 最後に、原子力の平和的な開発や利用が国策である以上、国、事業者がそれぞれの立場で責任を持って懸案事項の解決に向けて御努力いただきますことを強く要望申し上げ、私の意見とさせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#78
○委員長(成瀬守重君) どうもありがとうございました。
 以上で参考人の御意見の陳述は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 なお、御発言の際は、私の指名を受けてから御発言くださるようお願いいたします。また、質疑の時間が限られておりますので、簡潔に御答弁いただくようお願い申し上げます。
 それでは、質疑のある方は順次御発言願います。
#79
○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。三人の参考人の方、ありがとうございました。すぐに質問に入らせていただきます。
 まず、前田参考人に伺います。
 先ほど前田参考人は、原子燃料サイクルは日本が目指すべき循環型社会の理念に沿うものであるということをおっしゃいました。私も同感でございますが、さすれば、これは当然のことながら、ウラン、プルトニウムを使い捨てにするんじゃなくて、使用済み燃料をリサイクル利用していくということが大事だと思いますが、これの延長線上で考えますと、これは、プルトニウム・ウラン酸化燃料、いわゆるMOX燃料のプルサーマル、そしてFBR、高速増殖炉という路線を当然描くのではないかと思います。
 そこで参考人に伺います。
 実は、高速増殖炉原型炉の「もんじゅ」が停止して五年近くたっております。一昨日のこの委員会でもこの問題が取り上げられました。これについて参考人は、FBRの将来をどう考えられるのか、「もんじゅ」をどうすればよいと思うのか、今とまったままでございます、御意見を伺いたいと思います。
#80
○参考人(前田肇君) お答えいたします。
 今、議員おっしゃいましたとおり、日本におきましては、将来的に使用済み燃料を再処理したウラン、プルトニウムをリサイクルする、それも当面は軽水炉でのMOX燃料利用になりますが、やはり資源の有効利用という観点から考えますと、高速増殖炉を開発してそこでリサイクルするというのが最も望ましいわけでありまして、高速増殖炉が開発されれば、ウラン資源のいわゆる寿命といいますか量は飛躍的に延びることになります。
 したがって、現在、高速増殖炉につきまして、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故の後いろいろ議論はございましたけれども、原子力委員会の高速増殖炉懇談会におきましても、将来のエネルギーの化石燃料にかわるエネルギー源の有力な選択肢の一つだというふうに位置づけられておるわけでありまして、そういう形で研究開発が現在進められております。
 私もぜひともこの実現を願っているわけでありますが、そのためには、「もんじゅ」はやはりこの研究開発の中核であろうかと思います。もう既に炉として完成しておりまして、一部運転の経験もあるわけでございます。これをできるだけ早く、必要な安全対策を施した上で、再立ち上げ、運転をいたしまして、発電炉としての実績をきちんと確認する、実証する、そしてナトリウム利用の技術的な問題点を明らかにしながら改良を進めていく、こういった形でぜひ進めていく必要があろうかと、こう思います。
#81
○加納時男君 ありがとうございました。私も今の御意見を深く心に刻んで進めてまいりたいと思っております。
 二つ目の質問をさせていただきますが、先ほど参考人は、高レベル廃棄物は過去の発電によるガラス固化体が既に約一万三千本ぐらいあるという資料を出されました。二〇一五年までに発生するだろう四万本に比べますと、約三分の一を占めているということを指摘されておられます。それから、その後、処分費用については世代間の負担の公平が大事だとおっしゃっておられます。
 私の質問はこういうことであります。それでは、これから発生するものはわかったけれども、いわば過去分といいますか、既に発生している固化体、これの処分費用も当然必要なわけですけれども、この積み立てはどのようにお考えでしょうか。だれが負担するとお考えでしょうか。
#82
○参考人(前田肇君) 過去に既に発生している使用済み燃料をガラス固化したもの、これから将来発生するものをガラス固化したもの、いずれも処分としては恐らく同じ場所に同じ形で処分されます。したがいまして、処分するための単価といいますか費用はどちらも同じだと思われます。
 それで、今回の法制化によりまして私ども電気事業者がこのガラス固化体一体を処分するために必要になる費用を算定いたしまして、これをこれからの発電電力量に応じて積み立てていく、引き当てていく、こういうふうにいたしております。
 それで、これから発生するものは当然そういう形になるわけですけれども、過去分につきましても、約一万二千六百本分でございますから、この分をこれから十五年間にわたりまして同じような形で、同じ単価で電気の消費者の皆様方に御負担いただくということを考えております。単価といたしましては、これから発生します新規分は一キロワットアワー当たり約十四銭でございますが、過去分につきましては一キロワットアワー当たり約八銭という形で十五年間にわたって積み立てる、これによってすべての過去分の費用が引き当てられる、こういうことになると思っております。
#83
○加納時男君 ありがとうございました。
 それでは次の質問に入りたいと思いますけれども、先ほど前田さんは、高レベル廃棄物の処分事業は超長期の事業であるとおっしゃいました。重要な国家的プロジェクトであると言われました。これについて伺いたいのですが、それでは、国の役割に対してはどのような御期待というか御希望がおありでしょうか。そしてまたみずからの電力の経営者としての御覚悟はどうでしょうか、どういう覚悟で臨まれるでしょうか、伺いたいと思います。
#84
○参考人(前田肇君) 今お話がございましたように、超長期の事業であるということがやはりこの高レベルの処分の非常に大きな特徴かと思います。超長期の事業であるということは、やはりそれだけ国民の皆様方あるいはこれを受け入れていただく地域の皆様方にとっても、将来ずっとこの事業がきちんと続けられていくのか、きちんと管理されていくのかという点が一番心配なされるところだと思います。そういう意味で、長期の継続性というものを、これは民間が保障するのではなくて、国がきちんと制度としてこれを定めていただくということが非常に大事だ、それがないとやはり国民のあるいは地域の方の信頼、御理解は得られない、こういうふうに思っております。
 したがいまして、今回の法制度でも事業の継続性をきちんと認可法人という形で保障していただきまして、万一いろいろな条件等で事業の継続が困難になった場合の措置等も別途法律で定めるという形で措置していただいておりますので、こういう点で非常に御理解を得るのにこれはプラスになると、このように思っております。
 それからもう一つ非常に重要なことは、国民の理解を得ながら立地を進めていくということでございまして、そのためのいろいろな国民への広報活動、あるいは、先ほどもちょっと御意見ございましたけれども、教育等も含めましてエネルギー、原子力に対する理解を進めていく、これは、私ども電力もやりますが、やはり国の方でそういったところにぜひ力を入れていただきたい。
 それから、具体的な地点を選定するに際しまして地域の御理解を得る、あるいは地域との共生活動を計画していく、こういったことについてもぜひ事業主体とともに国、電力事業者が一緒になって進めていきたいと、こう思っております。
 電力事業者としての決意はと、こういうお尋ねでございますが、今申し上げましたように、電力事業者としてはやはり発生者の責任がございます。したがいまして、この事業主体をきちんと立ち上げまして、そして理解活動あるいは立地の選定活動、さらにはいろいろな技術面での支援、こういったことを幅広く、そして我々の本当の責任と考えてやっていきたいと、このように思っております。
#85
○加納時男君 ありがとうございました。
 先ほど橋本村長さんから、自分のところは嫌だよ、だけれどもほかならどこでもいいよという、ほかの地点については無関心といったことがあるとおっしゃいました。これは非常に重要な御指摘だと思います。現実に橋本村長さんのところは、四点セットと言っていますけれども、先ほどお話があった濃縮、それから再処理はこれ建設中でありますが、それから低レベルの廃棄物の処分、それから高レベルのガラス固化体の貯蔵という四つのプロジェクトをそれぞれ受け入れられた。そういう意味では、まさに自分のところでやっていらっしゃる責任のある方であります。
 それから瑞浪市長さんは、再選されたときにも原子力の平和利用の一環としての地下研究所、深地層の研究所は研究所として非常に重要だという御認識をはっきりおっしゃって、三対一ぐらいですか、大差でお勝ちになったという、まさに実績を持って責任を持ってやっていらっしゃる方のお話はどなたのお話よりも、さっきお話しになった、何もやっていない学者だとか何もやっていない文化人の話から見るとはるかに迫力を持って私には、ちょっと言い過ぎましたけれども、聞こえるわけでございます。そういうことで、その方々の御心配というのはまただれよりも説得力があると思います。
 そこで伺いたいと思いますけれども、現実にヤッカマウンテンをごらんになった橋本さんは、私も見てまいりました、こういったところでどういうところで苦労しているのか。実は、NIMBY、ノット・イン・マイ・バックヤード、つまり廃棄物の処分は大事だ、だけれども私の裏庭だけは嫌だと、ノット・イン・マイ・バックヤード、略してNIMBYと言っていますけれども、こういうようなことをよく高レベル廃棄物では言うのですが、現実にアメリカのニューメキシコ州のカールスバッドではWIPPという施設がありまして、軍事用のTRU廃棄物を現実にいらっしゃいといって受け入れたわけですね。それからまた、現にフィンランドのオルキルオトでは、これはこの廃棄物、まさに高レベル廃棄物を処分するということがもう事実上決まったわけであります。それも、地元の反対を押し切ったんじゃなくて、地元は歓迎をしたというのが事実でございます。
 そういうようなところで、三人の方に一言ずつ伺いたいと思うんですけれども、どのようにしたならばこういった成功物語といいますか、例えばフィンランドのオルキルオトであるとかそれからアメリカのカールスバッドであるとか、こういったような実際に受け入れて地元がそれで納得している、共生しているといいますか、所得もふえ、それから雇用もふえ、それから税収も入った。現実によく反対する方が危険だ危険だと言っていることは、リスクはある、だけれどもコントロールできるという確信のもとにやっていると思うんですが、この辺も一言ずつでもいただけたらと思います。
 最後に、前田参考人には、オルキルオト、恐らく詳しく御存じかと思いますけれども、御所感があれば今のようなことについてのお話を伺いたいと思います。
#86
○参考人(橋本寿君) 今非常に重要なことをお話しくださいまして、ありがとうございます。
 私どもは、地域振興を第一前提にこの事業受け入れをいたしております。この高レベルの最終処分に関しましても、やはり地域振興が数倍のものを擁するものと認識をいたしております。常にその地域振興がどのように推移をしていくかということをにらみながら物事を進めていかなければならない。
 それと、住民と一体となりまして理解の得られるまで話し合いを持つということが大切だと思います。もちろん、事業者に対しましてはPA活動、PR活動も必要でございます。そういうこともあわせて今後の対応をしていかなければならないだろうと、このように思っております。
#87
○参考人(高嶋芳男君) 大変難しい問題でございまして、私どもの市は研究所という申し入れをいただいたわけでございまして、その研究をしていただくということについてでも大変地元の皆さんから不安をいただいておるというのが現実でございます。まして最終処分ということになれば大変なことだろうと、私はそういうふうに理解をしております。
 ですから、地域振興だとか地域の利益につながるとかいうことよりか、もっと私は、地域の皆さんに御理解を得るということがいかに大切かと。また、これは大変難しい問題だというふうにしか私には思えません。
 先ほど先生は、私の選挙の結果をとらえて立派な成績だと言われたんですが、私に言わせますと、この問題を取り上げられただけであれだけとられたというのは私にとりましては心外でございまして、そういうふうにやっぱりとっていただきたいという思いであります。
#88
○参考人(前田肇君) これがいい、何といいますか、一番の特効薬だというものは恐らくないと思います。情報公開、地域振興、いろいろ言われます。今我々が何をやっているのか、これから何をしようとしているのか、そういったことをきちんと皆さんに御説明する、いわゆる透明性、こういうことが大事だろうと思います。
 特効薬はないわけでありますが、やはり地域とのかかわり、それぞれの地域の特性に応じまして、私ども電力事業者、日本じゅうすべての地域とそれぞれ古いおつき合いがございますので、そういった経験を生かしながら、具体的に機構と協力しながら進めていきたいと思っております。
 フィンランドの例をちょっとおっしゃいましたけれども、フィンランドのような小さな国でああいった処分事業が世界に先駆けて進んでいるということも、これは非常に熱心な電力会社が主になって進めているわけでございますけれども、処分サイトに会社を移して、その地域の人たちと一緒になってそこの場で生活をしながら進めていくという、こういう姿勢というものがやっぱり非常に大きいんじゃないかと、こう思います。
#89
○加納時男君 どうもありがとうございました。
 終わります。
#90
○円より子君 民主党の円より子でございます。
 本日は、お三方とも遠方からわざわざ参考人としておいでいただきまして、本当にありがとうございます。
 私ども民主党は、前回、六ケ所の方にも視察に行かせていただきまして、ありがとうございました。
 今回の法案の審議に当たりまして、国民の方々、またさまざまな方々からやはり不安とかいろんな懸念が出ておりまして、地方公聴会をぜひとも参議院では開きたいと思ったのですが、なかなか日程等の都合がつきませんで、今回、参考人質疑の中にお二人の首長さんに来ていただくことができました。
 地方公聴会がもし開かれていましたら、本当に瑞浪市や六ケ所の住民の方々の不安やいろんな思いを聞かせていただくことができたのになと思っておりますが、でも、きょうはお二人からの御意見も聞きまして、いかにこの法案が成立しても実際に立地を決めることは本当に大変なことなんだなと思いましたし、今まで、電気事業者のごみではなくて、すべての国民のごみと言うとおかしいですけれども、私たちが豊かな生活を享受するがゆえの出てくるものに対して、それを引き受けてくださって、またその研究のあれをしようとしてくださっている方々の住民の方やお二人の首長さんに本当に頭の下がる思いがしたんです。
 今回の法律をつくりましても、つくったからそれでよしというのではなくて、これからもっと本当にさまざまなところで安全やいろんなことを考えていかなきゃいけない。皆さん方も、それはもう前田さんも初め、お話しになっていることですが、情報公開の透明性ですとか、それから、先ほど高嶋さんがおっしゃったことが大変頭に残っているんですが、地元の振興のためというののバーターで引き受けるのではなくて、別の観点からしっかりと最終処分地の候補となるようなところに、やはりそれだけじゃなく、国民の皆さんに、これはどうしても必要で、またここにあってもこういう形でやるんだからという、その説得できる材料が地元の振興じゃないところで必要だとおっしゃった。
 そこで、例えば橋本さんのところでは、先ほど国民的議論を巻き起こすことがエネルギー政策全般についても、それから子供のころからの教育とか、災害に強い町づくりとか、御提言ありましたけれども、例えば、ちょっとこの法案のことで話をこの間見せていただいたことも含めてお聞きしますと、もし最終処分場が決まっても再処理工場には次から次へと使用済み核燃料が運ばれてガラス固化体が常駐することになるわけで、この原子力発電が今のところ三割をエネルギーの中で占めて、新エネルギーに対する予算も少ない中ではどんどんガラス固化体が常駐していくということになりますが、そのことについては住民の方や皆さんがどう思われているのか。
 それから、もし最終処分場の受け入れを拒否する自治体が相次ぐようなことがありました場合、いつまでも、さっきも心配だとおっしゃいましたが、六ケ所村にガラス固化体が三十年から五十年ではなくて、温度が下がってもその後もなおもしとどまるとしたら、どういうふうにそのときはしなきゃいけないとお考えなのか。もしありましたら聞かせていただきたいと思います。
#91
○参考人(橋本寿君) もう既に高レベルの固化体は我々の地域に入っております。これは皆さん御案内のとおりでございまして、どんどんこれから入ってくるわけでございますが、今先生御指摘のように、最終処分地が決定しないで、そのまま居残りになるようなことがあるんじゃないかという心配も我々も常にいたしております。
 その中で、今国会でこの法案を御審議いただいているということは、最終的に御決議をいただきまして、最終処分地の候補地が決定になるものと認識をいたしております。その中で二〇三〇年には我々が期待しているように最終処分地ができ上がるものという認識を持って、今我々が一時貯蔵に協力を申し上げているというようなことでございます。最終的に我々の青森県から一時貯蔵後に三十年ないし五十年後には高レベルが最終処分地の方に移るんだという認識を持って物事を行っております。
 今後どのようにして残るかということになると、そこまでの議論はまだ考えていないような状況でございまして、三十年から五十年後には必ず最終処分地が決定をいたしまして、最終処分地の方にガラス固化体が移動されるものということで認識を持っております。
#92
○円より子君 私どもは、この法案は、先ほど原子力事業を始めるときに定めるべきであったという御意見がありましたけれども、枠組みを決めるということで資金の積み立て、それから事業主体を決めるということは大変大事なことだと思っておりますが、原子力施設に限らず公共事業などにおいて最近は住民投票で自治体の長や地方議会とそれから住民との間で意見が対立することが、よくそういった現象が見られておりますが、もしそうした場合に、科学技術庁は首長を初めとする地元が核廃棄物の処分場を受け入れない意思を表明しているもとで処分地を建設することはないと以前に回答しているんですが、こういったことがあった場合は住民投票等をおやりになるおつもりか。それを、御自身のところじゃなくてもいいんですが、やった方がいいのかどうか。
 というのは、私ども、いろいろ大変だということで、首長等の意見を十分に尊重して行われなければならないというふうに修正をしたわけですが、その点についてどのように地元の住民の方々と意見調整をしていくべきとお考えか、ちょっと教えてください。
 お二人に。高嶋さんからお願いします。
#93
○参考人(高嶋芳男君) 住民投票という問題をお尋ねでございますが、私は住民投票というのは本当に慎重に考えていかないと、いろいろ問題が起きたときにすべて住民投票で決めるというのはいかがなものかと、私はそういうふうに思っております。
 ですから、いろんな諸条件にもよりましょうし、そのときの置かれておる立場、また条件もいろいろございます。ですから、この問題について地元の意向を聞くということなれば、これはある意味では住民投票ということも一つの方法かもわかりません。ですけれども、住民投票そのものということにつきましてはすべてのものに適用されるべきものでもないではないかという思いもございます。
#94
○参考人(橋本寿君) 実は、私、先般来、使用済み燃料の搬入に伴いまして安全協定の締結が今議題になっておりまして、住民の説明会を開催いたしておりまして、その中でこの住民投票のお話も住民の方から出されております。だが、住民投票というのは住民の意思の確認の手法でございまして、私といたしましては今のところその手法は考えていない状況にございます。
 また、かつて、前任者の時代にも住民投票のお話がございまして、議会に提案を申し上げましたら議会で否決をされた経緯がございまして、そのようなことがございましたので、今のところは私自身考えておりません。
#95
○円より子君 では、前田さんにお伺いしたいと思いますが、事業資金の問題なんですが、一応原子力発電の開始時から二〇一五年までの原子力発電量に対応するガラス固化体は四万本ぐらいになると。それを処分するとして資源エネルギー庁では約三兆円と見積もっているようなんですが、これで十分足りるのかどうか。もし見込み違いや不測の事故等で追加の費用が必要になったような場合は、それはどのように確保したらよいとお考えでしょうか。
#96
○参考人(前田肇君) 今おっしゃいましたように、この試算は資源エネルギー庁総合エネルギー調査会の原子力部会で日本の代表的な地層、結晶岩質と堆積岩質のケースにつきまして、最新の技術的知見を用いまして、設計仕様等いろいろ絞り込んで試算したものだと聞いておりまして、これは相当合理性のあるものだとは思っております。
 ただ、これから非常に長期にわたってこれを拠出して事業を進めていくわけでありまして、当然その間には原子力の開発とか運転状況もいろいろ実績が出てまいりましょうし、あるいはさらに技術開発を進めることによって設計を合理化してコストダウンが図れる余地もあろうかと思います。あるいは、具体的な地点が選ばれれば、その地点の地質特性に応じてまた見直しをする、そういったようなこともいろいろあるわけでございます。
 したがって、この三兆円という見積もりは適宜事業の進捗に合わせて見直しをしていく、そして必要とあれば、先ほども申し上げました一キロワットアワー当たり十四銭というようなその単価を見直していくということによって十分対応できるだろうと。足りなくなるという御懸念もおありでしょうけれども、むしろコストダウンできるという可能性も、両方あるんじゃないかと、このように思っております。
#97
○円より子君 それでは、将来、再処理のコストとかそれから高レベルの処分コストがさまざまな要因で高くなってきた、今のと関連するかもしれませんけれども、他電力との競争でもし不利だということになれば原子力から電力会社が撤退するなんということがあるのかどうか。それは全体のエネルギー政策にかかわることですけれども、先ほど申しましたように、例えば新エネルギーにかける予算というのは大変我が国は少ないと思われるんですけれども、今、石特会計で見ますと一・一%にすぎないわけです、エネルギーの供給の中では。
 そのリスク分散という観点からもっと新エネルギーに力を注いで、予算もふやした方がいいと思われるかどうか。その辺を含めて教えていただけますか。
#98
○参考人(前田肇君) 新エネルギーは環境対応その他で非常に重要なものだと思っておりますし、進める必要性は私も賛成でございますけれども、量的にあるいは安定性という面から、これはやはり補完的な役割であろうと思います。
 日本の経済社会を支えていく電気を供給する立場としましては、安定的に供給できるということが一番大事であり、かつ経済的に供給できるということ、これが非常に大事だと思っておりまして、その点原子力は燃料の確保という点で石油あるいはガス等に比べてずっと安定的でございますし、コストから考えましても、先日、原子力部会で試算が出ましたけれども、いろいろな前提条件があるにしましても、ほかの発電方法と比べて全然遜色はないということになっておるわけでございまして、そういった中で現在三七%を占めております原子力、私ども電気事業者としてはやはりこれを中核にして、そして適宜ほかの発電方法も組み合わせて、いわゆるベストミックスといいます形で進めていきたい、それによって電力供給の安定が図れるであろうと、こう思っております。
#99
○円より子君 では、高嶋さんにお伺いしたいんですが、先ほどちょっと途中になってしまいましたが、高嶋さんがおっしゃった地元の活性化というか、そういったもの以外のところできちんと説明をしなきゃいけないとおっしゃいました。
 今までさまざま地元で御苦労もなさってきたと思いますが、その御経験からどういった点が、今後この法案ができた後、立地候補地を決めるためにも必要だとお思いかどうか。政策との組み合わせも、もちろんそれから安全審査の基準づくり、そういったことも大事ですが、政策に対しても何かありましたら教えていただければと思います。
#100
○参考人(高嶋芳男君) 大変難しいことでございますけれども、私は、安全をきちっと説明し、皆さんが理解していただくということがやはり最終処分の立地条件の第一ではないかと、こういうふうに思います。
 私どものような研究所ということで現在始まっておるものでも大変不安が増大しておるわけですし、先ほど加納先生の御質問でちょっと言葉足らずのところがございましたけれども、処分場にはしないということで私も申し上げて選挙を戦ったわけですが、処分場になるという不安を訴えられてそのことだけで四千七百何票という票をおとりになったということは、国の方から間違いないというそういうある意味ではお墨つきをいただいていても皆さんが心配をされた結果こういうことになったと、私はそういうふうに理解をしておりますので、そういう意味におきまして、最終処分場の立地ということについては、安全だ、間違いないという確証をしっかりと皆さんに御説明する、そのことが一番大事なことではないかなと、私はそう思います。
 もう一点は、先ほど私の陳述の中でも申し上げましたけれども、きちっと国民の皆さんに情報をしっかり提供する、正確に提供するということが大事でありまして、最近のマスコミはどうもその辺のところが正確に伝えていただけないという思いが私はしております。
#101
○円より子君 今の質問でもし橋本さんの方にありましたら、追加をお願いいたします。
#102
○参考人(橋本寿君) 難しい質問でございますが、住民の理解を得るためにはあくまでも住民の側に立った政策を進めていかなければならないという認識を持っていかなければならないと思います。そのためにはやはり繰り返し立場を同じにして話し合いを持つことが必要じゃないでしょうか。その上できちっとした安全対策を講じていくというのが一番の課題だと思います。
#103
○円より子君 どうもありがとうございました。
#104
○加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。
 きょうは、参考人の方々、まことにありがとうございます。
 それでは、まず最初に前田参考人にお願いしたいわけであります。
 世界の核燃料サイクル政策の動向を見てまいりますと、核不拡散政策や経済性の理由、そういったことから使用済み燃料を再処理せず、いわゆる直接処分ですか、そういった方向に向かいつつあるように私は認識しております。特に、世界的な電力自由化の流れの中で再処理によるプルトニウム等の利用コストを考えますと、少なくとも直接処分も一つのオプションとして考えるべきだ、そういう意見がありますけれども、電気事業者の立場ではどのようにお考えでしょうか。
#105
○参考人(前田肇君) 今、世界では直接処分の方へ行きつつある、こういうお話でございましたけれども、各国のエネルギー政策というのは、御高承のとおり、それぞれの国の資源がどれだけあるかとか、あるいは地政学的にどういうところに位置しているかとか、あるいはその国の持っている技術力、経済力とかいろんなことから総合的に決められるものだと、こう思っております。
 日本の国は、再々申し上げていますように、資源がないということで原子力を開発して核燃料サイクル、いわゆる再処理してリサイクルをしていくということによってエネルギーを確保しようとしているわけでありまして、私はこういったことは今後とも日本の国策としてはやはり当然これは追求していくことだろうと思っております。
 電力事業者として自由化の中でコスト面から見て不利ではないかというお話がございましたけれども、先ほどもちょっと申し上げましたが、原子力部会で試算しましたコスト試算によりますと、再処理、リサイクルをいたしましても原子力発電はほかの発電方式と比べて全くコスト的に遜色がない、こういうような試算も出ておるわけでございまして、私どもは、これからもさらに長期的な電力供給の責任を果たすという観点からも、やはり再処理してリサイクルをしていくというのは続けていくべきだと、このように思っております。
#106
○加藤修一君 同じく前田参考人に質問なんですけれども、今リサイクルという話が出てまいりました。きょう配付された資料では、「原子燃料サイクルは、日本が目指すべき循環型社会の理念に沿うもの」であるというふうになってございますけれども、この意味はどういうふうに理解したらよろしいでしょうか。少し端的に手短に御説明をお願いしたいと思います。
#107
○参考人(前田肇君) いわゆるリサイクル社会というのは、これは最近はいろいろなところで言われていますが、家庭のごみでも生ごみ、燃えるごみ、燃えないごみ、リサイクルするごみ、いろいろと分別してこれを処理していくというのが基本的な方針になっているわけでして、使用済み燃料を再処理して、使えるものはこれをもう一度燃料として使います、使えないものはこれはきちんと安全な形に処理をして安全な形で処分をしていきますと。こういった使えるものはリサイクル、使えないものは安全に管理処分していく、こういうことを私は申し上げたかったわけでございます。
#108
○加藤修一君 循環型社会の理念というのは、手元に私は法律案を持ってきておりますけれども、基本原則という中には発生抑制、再使用、再生利用というのがありまして、最後に熱回収ということも加えて載っておりますけれども、これは原子力燃料を含めて廃棄物の関係ですね、発生抑制、リデュース、あるいは熱回収、これはどういうふうにお考えでしょうか。
#109
○参考人(前田肇君) 使用済み燃料というものの発生を抑制していくというのは、これは技術的には燃料の濃縮度を高めて運転期間を長くするということによって、同じ電力を発生するにも使う燃料の量を少なくするというようなことはもう既にいろいろ私どもも技術的に実行しております。
 それから、そうやって出てまいりました使用済み燃料からいわゆる廃棄物の分だけこれはガラス固化するわけですけれども、そのガラス固化の仕方等につきましても、これは日本ではまだ余り実績がございませんけれども、海外ではガラス固化体の量を減らすというようなこともいろいろ試みられておりまして、現実に相当程度昔に比べると減ってきております。
 そういった形で、廃棄物の量の発生抑制ということは今後とも努力をしていく必要があろうかと、こう思います。
#110
○加藤修一君 廃棄物の抑制ということについては、原子力は今対応できていないんじゃないか、将来的にもなかなか対応できる部分じゃないと思うんです。対応できるとするならば、きょうの新聞報道にもありますけれども、これは高速増殖炉の話でありますけれども、早期の商業化については自民党は必要性を否定しているという発表といいますか、これは自民党の中での議論ですね。これは要するに、プルサーマルの関係のリサイクルとかあるいは高速増殖炉のリサイクルという話になっていった場合、高速炉の方の関係について再処理も当然しなければいけないという話でありますけれども、こういったことをやめることそれ自体、あるいは抑制的に考えていくことそれ自体が、そういった意味でのいわゆる発生抑制、そういうことにつながってくる話ではないかと私は思いますけれども、この辺についてどういうお考え、御見解をお持ちですか。
#111
○参考人(前田肇君) 今自民党の方で議論がされていると伺いましたけれども、その議論の内容を私よく存じておりませんので少しあれかなと思いますけれども、いわゆるここで問題になっております高レベル廃棄物、あるいは発電所で運転に伴って出てまいります低レベル廃棄物、これはリサイクルをしてもしなくてもやはり出てくることは出てくるわけであります。
 したがって、出てくる絶対量を私どもはできるだけ減らそうと思っておりますし、それでも出てきた使用済み燃料のうち使えるものはリサイクルをする、もしそれを使わないでそのまま処分してしまいましたら、先ほどちょっと九七%とか三%とか申し上げましたけれども、要するに使用済み燃料そのものが全部廃棄物になっちゃうわけですね。それに対しまして、リサイクルをすることによって大部分は再度使えるというようなことにもなるわけでございますから、私は、再処理、リサイクルをするということは、発生量抑制といいますか、循環させるという理念からはこれは合致していることだと、こう思っております。
#112
○加藤修一君 ちょっとここは議論する場所でないものですから、別の機会にぜひその辺について議論したいと思います。
 ただ、きょうの新聞の報道によりますと、「今後の高速増殖炉開発について「商業化が急務ではなくなった」などとする中長期的な国のエネルギー政策全般の在り方を示す中間報告を発表した。」ということで、「自民党として増殖炉の早期商業化の必要性を否定したのは初めて。」と、そういう内容で、新聞報道でございますけれどもなっておりますことをあえて申し上げたいと思います。
 それで、高嶋参考人にお尋ねしたいわけでございますけれども、原子力長計の中ではいわゆる最終処分場の関係で、研究所の計画と処分場の計画は明確に区別する、こういうふうに書いてございます。先ほど来説明もございましたけれども、原子力長計は法律でなく計画、見通しである、社会的な状況により変更があり得るということでありますけれども、例えばこういうふうに言っている方がございます。
 原子力委員会の放射性廃棄物対策専門部会の生田部会長は、ただ将来的に研究のめどがついた後、地元の動向が変われば、話は変わるかもしれない、このように発言しておりますし、さらに、地下研究施設についてなんですけれども、これはどこでもよいからただつくればよいというわけでは決してない、少なくとも処分候補地層になり得ると思われる地層中につくられる必要がある、こういうふうに発言しているわけでありますけれども、これは聞きようによってはなかなかおとなしく聞いているわけにいかないと言う方もいらっしゃると思うんですけれども、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#113
○参考人(高嶋芳男君) 今、先生おっしゃいますように、そういうお話があるから困るわけでございまして、ですから私どもは決して放射性廃棄物を持ち込んだり処分場にはいたしませんと、そういう意思は私どもにはないということを表明しておるわけでございまして、そのかわり私どもは、原子力から発生いたします高レベルの放射性廃棄物について、最終処分を行うための地層研究をすることについては役割分担をさせていただきますが、最終処分を受ける私どもは考えはございませんということを強く訴えておるわけでございますので、ぜひ御理解をいただきたいと思います。
#114
○加藤修一君 それでは、橋本参考人にお伺いをしたいんですけれども、先ほどの陳述の中に、国の一貫した原子力政策が原子力の将来に対する国民の信頼を確保し、進展するもとであるものと考えるところでありますというふうに陳述がございました。
   〔委員長退席、理事加藤紀文君着席〕
 先ほど私は新聞報道を御紹介申し上げましたけれども、ある意味では、そういった面で原子力行政が一貫性じゃなくてやや変わり得る可能性が出てきたかなという判断も成り立つわけでありますけれども、こういった兆候を、ちょっと難しい質問かもしれませんが、答えにくければ答えなくてよろしいと思います。こういった傾向を歓迎いたしますか、それとも一貫性が崩れるということについてはちょっとおかしいんじゃないか、そういうふうにお思いになられますか、どうでしょうか。
#115
○参考人(橋本寿君) 一貫性と申し上げているのは、やはり安全を第一義に物事を考えていかなければならないという認識を前に申し述べてございます。そのためには、国は安全性に責任を持った形で一貫性を持ったとらえ方をしていただきたいということを申し上げておるわけでございます。
 恐らく今後の対応の中で、原子力長計の中でこれから安全性に関しては、まだまだ研究が進んでいく段階で確保できるような状況が出てくるやにも聞いておりますから、そういう面をとらえて、今後の対応がまた安全性を確立していくための要素になっていくのではないかなということで考えております。
#116
○加藤修一君 最後の質問になりますけれども、同じく橋本参考人にお尋ねしたいんですけれども、ユッカマウンテンに行かれたという話がございました。西部劇に出てくるような大砂漠で、人影が見られない壮大な土地でありました、なるほどこの地なら候補地になり得るし、研究も進んで当たり前だ、そういう認識をお持ちということを書いてございますけれども、なるほどと思ったのはどこと比較してなるほどと思ったんでしょうか。
#117
○参考人(橋本寿君) 非常に難しい質問でございまして、我が六ケ所村も非常に広大な土地でございますが、それ以上に広大な土地でございます。
 我々はその現状を見まして、高レベルという最終処分地にふさわしいところだなということを感じてまいりました。また、地層の中にも、トンネルの中にも入ってみました。まさにそのような状況でございまして、これから日本もこういう状況が出てくるのかなということを空想してまいりました。
 ありがとうございます。
#118
○加藤修一君 どうもありがとうございました。
#119
○西山登紀子君 日本共産党の西山登紀子でございます。きょうは参考人の皆さん、本当にお忙しいところ、ありがとうございます。
 まず最初に、高嶋参考人と橋本参考人のお二人にお伺いしたいわけですけれども、ジェー・シー・オーの臨界事故というのは、私も事故後、調査団の一員として現地にも参らせていただいたんですけれども、現地の村上村長は大変な苦労をなさいました。これまでの政府の原子力行政における安全対策のあり方に重大な反省を迫るものでございました。
 ジェー・シー・オーの臨界事故調査委員会の最終報告は、「原子力の「安全神話」や観念的な「絶対安全」という標語は捨てられなければならない。」というふうに述べていらっしゃるわけですけれども、核燃料サイクル関連施設が置かれている自治体の首長さんとして、このジェー・シー・オー事故とその後の経過にどんな御意見をお持ちなのか、まず最初にお伺いしたいと思います。
 高嶋参考人それから橋本参考人にお願いいたします。
#120
○参考人(高嶋芳男君) 今、先生御指摘のように、ジェー・シー・オーの事故というのは全く私どもでは考えられないような事故が起きたわけでございまして、その事故に至る経過というのは、こんなことがあっていいのかという思いのことでございまして、私は安全神話とはこれはイコールにするべきことではないではないか。
 当然、こういうすべてのものは安全であってほしいという思いがございますけれども、あのジェー・シー・オーの事故は作業の手順というのがとても常識では考えられないところで行われておるわけでございますので、もともとルールに従ってしっかりやっていただければそういうことにはなるべきものではない、こういうふうに思っておりますので、先生の安全神話が崩れたということとはちょっと意味合いが違うのではないか、私はそういうふうに思います。
#121
○参考人(橋本寿君) 実はジェー・シー・オーの事故が発生した時点で、私ども、ちょうど仙台の防衛施設局の方に陳情がございまして移動しておりました。仙台の駅に着いた途端に事故の報道がテレビに流れまして、びっくりいたしまして、臨界という言葉を聞いたときは何が何だかわからないような状況でした。
 原子力施設の立地村の長として非常に恥ずべきことなんですが、臨界という言葉すらわからなかった状況でございます。恐らく一般の住民が、今回の事故で臨界という言葉を初めて知った方がたくさんいらっしゃるんじゃないかなと思っております。
   〔理事加藤紀文君退席、委員長着席〕
 そういうことをとらえまして、我々は常に安全だ安全だという言葉を信頼してまいりましたが、安全の陰には事故があり得るんだ、リスクもあるんだということを一つの教訓にしてまいりたい、このように思っております。その上で、安全性をより確保していかなければならないという認識だけは事業者の方に持っていただきたいということを常に言っております。また、お願いをしております。
 以上であります。
#122
○西山登紀子君 私ども日本共産党は、今の政府の原発推進政策については大きく批判をしておりまして、見直しを求めている立場でございます。ですから、高レベルの放射性廃棄物にいたしましても、発生者責任でもってサイトの中に当面貯蔵し、そして安全な処理方法もきちっと科学的に現世代の責任においてやっていくべきだ、そういう方向を追求しないで、いきなりガラス固化体だ、最終処分だと、こういうやり方については問題があるという立場をとっております。
 六ケ所村の御苦労はよくわかりますが、橋本参考人にお伺いしたいんですけれども、これからガラス固化体として、非常に危険なものです、ガラス固化体が最終処分場ではないけれどもずっと中間貯蔵されてまいります。私も火曜日ですが質問したんですけれども、非常に高温であり、非常に高い放射能を持ったものを中間貯蔵しておくということ自体に科学的な実証がありません。ですから、住民にとってみますと、その健全性と安全性について非常に心配があるのは事実だと思います。村長さんとして、住民の不安を払拭するためにどんな努力をされているか、あるいはどのようにしようと思っているのか、その点。
#123
○参考人(橋本寿君) 先ほども申し上げましたが、常に住民との対話を重視しながら行政の運営をさせていただいております。また、現在も高レベルの放射性廃棄物が一時貯蔵されております。その施設を見ていただきたい、見た上で、皆さんがそれぞれ確認をした上で、安全なものか危ないものかの確認をしていただきたいということを常に申し上げております。私自身も何回となくこのサイトの中にも入らせていただきました。高レベルの貯蔵をしている上にも立たせてもらいました。そういうことを体験しながら、住民に対して安全性の確認をしながら訴えております。
 また、事業者に対しましても、事あるごとに情報をいち早く流していただくこと、いろんな面で住民が不安を抱いていたらそれに対して質問に答えるような形、また説明をするような形で安全の確保の努力をしていることを訴えていきなさいということを申し上げております。
 そういう観点の中からお互いが安全の確保をしているということだけは御理解をいただきたい、このように思います。
#124
○西山登紀子君 現状では、最終処分場をつくるということについてまだ国民的なコンセンサスがないと思います。ですから処分場の設置がなかなか進まないということもある。
 そういうときに、中間貯蔵という形がかなり長期に存在するという先ほどの同僚の質問がございましたけれども、その場合に、非常に高レベルの放射性廃棄物が村内にずっと蓄積をしていくということなんですけれども、先ほど参考人は、一時的に貯蔵している、二〇三〇年になったらそれは六ケ所からはなくなるというふうにお答えになったようなんですけれども、そういう御認識でしょうか。ガラス固化体は二〇一五年には四万本、二〇三〇年には七万本という見込みがあるんですが、二〇三〇年にガラス固化体が六ケ所村からなくなると、そういうふうに御認識ですか。
#125
○参考人(橋本寿君) 私どもの施設は、先ほども申し上げたように、現在、外国で再処理して保管され返還をされた高レベルの廃棄物を貯蔵してあり、あくまでも三千本を基準として、三千数百本だそうでございますが、それを基準として、それ以上のものは受け入れないという安全協定の中に協定案がございますから、そういう認識でとらえております。
#126
○西山登紀子君 どうもありがとうございました。
 それでは、高嶋参考人にお伺いをしたいと思うんですけれども、こちらの経過、ずっと詳しくお伺いいたしまして、今なおなかなか地元の理解は得られていないという御発言がございました。
 月吉地区に超深地層研究所が計画されているわけですけれども、やっぱり住民の皆さんは非常に心配で、どんなに協定があるとか国からこういうお墨つきをもらっているといっても、どうもやっぱり不安だというふうに思っていらっしゃるわけです。先ほど市長さんは、研究と処分とは明確に区分されるべきものだと、自分もそういうつもりで政策をやっているんだというお話があったんですが、これは国際的にそういう話が通用するのかということなんです、そういうお考えが。
 実は、九三年に、青森市で開かれました高レベル放射性廃棄物に関する国際フォーラムというものに私たちの者が参加いたしまして、ちょっと書いてきたメモがあります。それを見ますと、「日本における地層処分研究開発の現状と今後の方向」というパネルディスカッションの中で、パネリストとして参加したベルギーの原子力エネルギー訓練センター廃棄物処分課長のボンさんという方が、日本の研究についてこういう意見を言っていらっしゃるんです。社会的研究なのか技術的研究なのかあいまいだ。処分のサイトを特定しないで研究しても役に立たないと思うという意見があった。
 この意見について市長さんはどのように、感想で結構です。
#127
○参考人(高嶋芳男君) 私どもの立場といたしましては、初めから地層研究をやらせていただきたいと、こういう申し出でございますので、地層研究なら大いにやっていただいていいのではないかと、こういうふうに考えたわけでございまして、先生御指摘の地層処分を踏まえての研究だとかそういうことは毛頭考えておりませんので、ですから、研究と処分とは明確に区別して行うから研究だけはやらしていただきたいと、こういう申し入れを素直に受けておるというのが私どもの立場であります。
#128
○西山登紀子君 続いて高嶋参考人にお伺いしたいんですけれども、先ほど来、いろいろそういうふうに説明はしたり国からのお墨つきもあると言うけれども、住民の皆さんはやっぱり不安を払拭できないんだということをおっしゃいました。
 私は、なぜできないのかということについて、やはりジェー・シー・オーの事故などが起こったことの結果、国とかあるいは原子力関係の事業体に対する根本的な不信があるということもあると思いますが、もう一点、この法律の六十条に住民の合意を大前提にしなきゃいけないということが明記されていないんですね。そういうことについては市長の御意見はどうでしょうか。
#129
○参考人(高嶋芳男君) この中で、地元の市町村長の意見を尊重してしなければならないと、こういうふうに衆議院の方で修正が加えられたという話を伺っておりますが、そういう考えで、大臣の答弁の中にも、地元の考え方を無視して候補地の選定は行わないというふうに御発言をいただいておりますので、私は、そういうことについては御理解をいただいておる、こういうふうに思います。
 それで、私の思いますには、不安があるといいますのは、やはり最終処分地が決定していないから現在研究しておるところが処分場になってしまうのではないかということが不安の一番の問題だと、私はそういうふうに理解しております。
#130
○西山登紀子君 時間が来ましたので、お二人にお伺いしたいんですけれども、高嶋さんと橋本参考人です。
 いずれも法律が早く成立してほしいとおっしゃったわけですけれども、しかしそれぞれに最終処分地に我がふるさとをするのは反対だと、こういう御意見なんですけれども、この法律が成立した後の実効性についてはどのように今お考えでしょうか。手短にお二人のお考えを聞きたいと思います。
#131
○参考人(橋本寿君) 国が責任を持ってやるものだという認識を持っております。
#132
○参考人(高嶋芳男君) 私も、国が責任を持って一日も早く立地を決めていただきたい、そんな思いであります。
#133
○西山登紀子君 終わります。
#134
○梶原敬義君 社民党の梶原です。きょうは御苦労さまです。たくさんあるんですが、短い時間ですのでよろしくお願いをいたします。
 一つは、前田参考人に最初にお伺いしますが、参考人は関西電力の御出身でありますが、原子力発電環境整備機構、こういう事業主体をつくるということですが、皆さんの電力会社がこの機構の中にどのように関与をするのか。ただ拠出資金を出せばそれで終わりか、あるいは技術的な協力とかあるいは人的な協力とか、資本的な面とか、そういう点についてのお考えを聞かせていただきたいと思います。
 それから、この事業主体は認可法人でありまして、私はいつも言っているんですが、アメリカやフランスやドイツというのは、国が前面に出て最終的には国が責任をとるような形になっておるんですが、この法律では、基本方針は通産大臣がつくって、そして基本計画を立てて、それに基づいて実施主体が事業をやる、最終処分をやるということになっておりまして、この点については、これは何が起きるかわからない。例えば移送中に何が起きるか、あるいはもっと、将来のことですからこれはハイジャックされるかもしれない。これは一つの例ですが、そういうことに対する国の責任というのはなかなか前面に出ない。この機構で、事業主体で一体全体そこまでやれるものかどうなのか、それが二点であります。
 それから三点目に、拠出金、処分費用、これは参考人のいただきました資料によりますと、実質金利がゼロのときには二十九銭、二%が十四銭、三%が十一銭、四%が九銭と、金利が上がれば下がっている。何かさっきの話では、積み立てたお金の運用益、運用によりまして金利が高ければ下がるという、どうも私はこれぴんとこないんです。こういうことがあり得るかな、現実問題として。
 ということは、事業費の三兆円はそのままにしているんですね。ところが、金利が二パー、三パー、四パーとこう上がっていくたびに、この事業資金、設備費についても、それは当然それ以上にあるいは物がインフレになりますと上がるかもしれない。恐らくそういう状況になる。一方を固定して、一方金利でこう運用益が出た、その分を引いてどうも計算しているんじゃないか。
 この計算根拠というのは、先ほど資源エネルギー庁からいただきましたけれども、まだ中身は見ておりませんが、どうも計算方式がそういうことになっているんです。これは非常に矛盾していると思うんです。まず三兆固定をしている。この三兆自体が事業費ですから、設備費というのは当然どんどん上がってくる、金利が上がればそれ以上に上がってくるものだろう、そう考えるのが普通の常識じゃないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。
#135
○参考人(前田肇君) 三つ御質問いただきました。
 最初に、環境整備機構、いわゆる実施主体に対して電力の関与という点でございますが、この実施主体は法律に基づく認可法人という形でつくられるわけでございますけれども、これは民間発意で民間が主になってつくるということになっておりまして、当然民間という場合には我々電力事業者、いわゆる発生者責任を持っている電気事業者が主になってやっていくということでございます。
 それで、電気事業者が主になってこの実施主体をつくりまして、当然人材もそこへ派遣しますし、それから実施主体がやります技術開発とかいうことにもかかわりますけれども、やはり大きなことは、先ほども申し上げましたけれども、理解を得るためのいろいろな活動だとかあるいは地点の選定だとか、我々過去いろいろ発電所をつくってきた立地の経験もございますので、そういったことも含めてこの実施主体に協力をしていきたい、このように思っております。
 将来にわたりまして何が起こるかわからないではないかというお話がございました。確かに、それは将来のことを確定的には申し上げにくいわけでございますけれども、この法律に基づきましても、実施主体をつくりまして、そして概要調査地区というものを選んで、いろいろ文献調査をやり、ボーリング調査をやり、精密調査地区という形で絞り込んでいくわけでございまして、これは言いかえるとステップを踏みながらきちんと確認をしながら進めていくというわけであります。
 何らかの、地層の調査その他で、あるいは物の運搬その他でいろいろ条件的に悪いところが出てくれば、それは当然排除するわけでございますから、一足飛びに処分場をつくるわけじゃなくて、きちんと確認をしながらステップを踏みながら進めていくということでありまして、その点は我々も十分慎重にやっていきたいと思っております。
 経済情勢の急激な変動とか天災とかそういったことで事業主体が事業継続が困難になった場合のことにつきましては、これはまたこの法律で別途手当てが保障されておるわけでございます。
 それから、最後、三つ目、拠出金の件でございますけれども、三兆円と申しました。これは調査とか設計とかの段階でももちろんその費用は必要になるわけですけれども、やはり一番大きな支出は、二〇三五年ないし四五年ごろに処分を始める、そのための建設費用それから運用費用でございまして、これは要するに数十年先に必要となる費用です。その数十年先に、合計でその時点で三兆円だろう、こう試算しているわけでございまして、その三兆円分を今から積み立てるわけですから、これは別途資金管理団体にこの拠出金を預けて運用してもらうわけでして、そういった形で運用益を確保していけば、この運用益はほかの目的には使ってはならないということになっておるわけでございますから、これはその運用益もすべて将来足し込んで合計三兆円が手配できればいいということだと思います。
 インフレという話もございましたけれども、先ほど申し上げましたのは実質金利で申し上げておるわけでございまして、インフレがあればもちろん名目金利からインフレ率を引いた形と、実質金利が二%だったらこうこうと、こういうふうに御説明を申し上げました。
#136
○梶原敬義君 これは非常に重要なことでありまして、国民がひとしく知りたいのは、国民から拠出金というか、処理費用の積立分は徴収するんでしょう。その点いかがですか。電力料から。
#137
○参考人(前田肇君) 国民といいますか、電力のお客様、需要家様から電気料金の原価として出していただくと、こういうことでございます。
#138
○梶原敬義君 だから、そのときに普通の一般の人たちは、家庭は、ああ十四銭かと判断するのか、あるいはもっと、二十銭と判断するのか、これ大きな違いでありまして、そういう意味では、三兆固定をしてあとは利子運用で、高かったら、利子運用がうまくいったら安くなるというような形のものじゃなくて、やっぱり国民に対してこれはもっとしっかりした、十四銭、安いですよというような感覚を、毎月一キロワット当たり十四銭払えばいいんですよというような、そういう受けとめ方を大体一般国民はしがちなんですね。だから、ここのところは、三兆固定をして、あといい分だけ引いてということは矛盾があるんじゃないですかね。
#139
○参考人(前田肇君) 一キロワットアワー当たり十四銭を拠出していただきまして、それをその資金管理……
#140
○梶原敬義君 それはわかるんです。
#141
○参考人(前田肇君) はい。
 それで回していけば合計で仕上がっていくと三兆円になると、こういうことなんですけれども、そこの説明というもの、お金を出していただく方々に対する説明、これはもちろんきちんとやる必要があると思いますけれども、その資金の過不足が出るとかなんとかいうことはない、こう思っております。
#142
○梶原敬義君 これからまた政府の方にこれはどうせ聞かなきゃならないと思っているんですが、要するに一キロワット当たり十四銭払えばいいのかと、一般家庭が年間でいきますと百六十八円。そんな程度の話かという感覚を与えるのか、いやもっと大きいよという感覚を与えるのかといったら大きな違いですから、この点は素直にはいそうですかと言うわけにはなかなかいかないと思います。
 時間がもうすぐ来ておりますから、非常に残念ですが、次に高嶋参考人に。
 確かに知事とかあなたがとか、市長さんが科学技術庁長官、国とある程度、そういう反対する場合についてはこれは最終処分場にはしないと約束をしても、これは非常に長い話ですから、知事さんがかわり、市長さんがかわればまた方針がその都度変わる、変わってこの協定やり直しということもあり得る。そこのところはどうとらえておるんですか。
#143
○参考人(高嶋芳男君) 少なくとも瑞浪市民は処分場になることは望んでおりませんので、当然、この問題は重要な問題ですから、市長選挙においては一つの課題となりますので、そういう方の候補者を有権者が選択するとは思いません。
#144
○梶原敬義君 提案ですけれども、今、瑞浪市にかかわる土地というのは相当あるんじゃないかと思うんですね。私は、その土地を、市長さんの時代に瑞浪の関係する土地はちょっと無理してでもお買いになって、それでそこに今度研究が済んだ場合は何か新しい、ディズニーランドまでいかぬにしても、何か別な方向で、今研究にかかわっているような土地は非常に心配があるでしょうから、市の何かそういうような形でしておくと、これはもう本当に要らぬ心配になるわけですから、そんなことを考えられたらいかがでしょうか。これは提案です。
 それから、青森六ケ所村の橋本参考人、それから高嶋参考人の話を聞いておりまして、私はなるほどと、実感が持てるんです。
 というのは、この前も中間処理施設の議論をしたんです。当時、小渕さんが総理で、中曽根さんが科学技術庁長官で、それじゃ群馬県へ持っていけと言ったことがあるんですよね。これは冗談ですけれども。これは本当に、東京とか大阪とか大都市の周辺に原発はないんですよ、あるいは処理場も。再処理場は六ケ所村でしょう。だから、口では非常にきれいなことを言っておるが、やっぱり本当の国民のエゴというか、あるいは政治家のトップから、逃げていると思うんですよ。
 その点については、もっと国民的な合意をつくれ、つくれと言うけれども、言う人が一番先に率先しなきゃならないような、私は何よりも以前にそこが問題だと思うんですが、高嶋参考人と橋本参考人の御意見を承りたいと思います。
#145
○参考人(高嶋芳男君) まさに先生おっしゃるとおりでございまして、私の方も、研究だけは引き受けることによって役割分担をさせていただくということは、ある意味ではまさに御指摘のとおりだと思います。
 ですから、国民的合意を得る中で選定地を決めるというこれからの作業は本当に大変だろうということは思っておりますが、ですが、ぜひこの新しい法案を制定していただく中で、今度の実施主体が責任を持ってやっぱりやっていかないと、これは現状を考えますと、そうしなければならない時代が来ておるわけですから、そうあってほしい、そういうふうに思っております。
#146
○参考人(橋本寿君) 先ほども申し上げましたように、国民の一人一人がみずからの問題として分担をし合いながら負担をしていくということを考えていかなければならないということを提案を申し上げました。そういう意味からして、我々の地域のみならず日本全国の皆さんが電気の消費をしているわけでありますから、そういう認識を持っていただきたいということを私はお願いを申し上げたいと思っております。
#147
○水野誠一君 私は、参議院クラブの水野でございます。きょうは、本当にお忙しいところ、御苦労さまでございました。最後の質問者ということでございまして、各同僚委員からもいろいろな質問がもう既に出ておりますので、少し補足的に、また違う視点から伺ってみたいと思っています。
 まず、前田参考人に伺って、また、同じ質問での御感想をお二人からも伺えればと思うんです。
 先ほど西山委員も言われたことでもありますが、やっぱり絶対安全という原子力の安全神話というのがここのところさまざまな事故によって崩れてきている、これはどう公平に見ても否めない事実ではないかと思うんです。
 そういう中で、私は、深谷通産大臣に本会議と委員会とを通じて二度ほど、原子力発電政策の見直しというのは考えないのか、見直しをしないのかということを尋ねたところ、大臣は、いささかも見直すつもりはないというような発言がありました。ところが、昨年の十一月に原子力委員会では、原子力発電の是非をも含めた議論をこれからしていく、こんな発言もされているという中で、私はやっぱり、原子力の最終処理の問題というのは、これは確かに非常に喫緊の課題であることは間違いないわけでありますし、もう既にここまで原子力発電政策を進めてきた以上は最終処分の問題というのは避けては通れないことはもう十分承知をしております。
 しかし、それを前提としても、先ほどからも少し議論がありますけれども、再処理か直接処分かというような問題はさておいても、地層処分みたいなこと、これが本当に唯一の解決策なのかというようなことも含めて、どうもまだ拙速な決定といいますか、拙速な感というのは否めないんじゃないかなと、そんな感想も持っておりました。
 これは言ってみれば百年の計、さらにその影響ということを考えると一万年というサイクル、あるいは監視期間を考えても三百年というような非常に長期的な視点で考えなければいけない問題だけに、どうも余り拙速に決めていってはいけないんじゃないかなと、こういう感想を持っているわけであります。
 今回、この政府の法案によれば認可法人が事業主体となる。三兆円の資金というのは通産大臣の指定の特定法人が管理をするというような形。これは、先ほど前田参考人は言ってみれば資金運営の透明性というようなことでおっしゃっているわけですが、同時に、裏返してみると、どうも無責任な体制というものになりかねないんじゃないかなと。どうも認可法人とか指定法人というのは、私は悪く言えばぬえみたいな非常にあいまいな存在になりかねないということを危惧しております。
 じゃ、監視機関はどうなのかということで、先ほど午前中に森嶌参考人に、これは原子力委員会高レベル放射性廃棄物処分懇談会というのがあってそこから大変しっかりとしたレポートが出ているんですが、そこで監視機関みたいなことでどんな議論があったかというようなことをお尋ねした。これは必要だと、特にこういう認可法人に対してしっかり監視する機関は必要なんだけれども、それをまた審議会とかそういう形にすると、今の時代が行政改革の時代であって、新たなそういうものをつくるということはなかなか言えないというので非常にあいまいな言い方になっているということなんです。
 私は、これは相当しっかりとした、地域住民と国と専門監視機関とそれから電力事業者による監視機関というものをつくっていく必要があるんじゃないかな、そこのところに非常に重要なポイントがあるんじゃないか。本来ならば私は、最終処分というのは国か電力会社が独自でやるべきことだと思うんです。個人的な意見ですがそういう意見を持っている。
 そういう中で、ややもするとあいまいな認可法人というスタンスになったときに、私は、そういう意味でのしっかりとした監視機関というものを持っていかないと、まして住民の理解というものは得られないんじゃないかなというふうに感じますが、その点について前田参考人、それから高嶋参考人、橋本参考人、お三方の御見解を伺えればと思います。
#148
○参考人(前田肇君) 認可法人としてつくるこの機関、実施主体が無責任体制になるのではないかという危惧の念をおっしゃられたわけでございますけれども、これは法律に基づいてもちろんつくるわけでありまして、民間が主体になってもちろん設立して運営してまいりますけれども、法律上も、民間が主体の運営等につきましては国がこれはきちんと監督をしていく、こういうふうに書かれているかと思います。
 監視機関というお話もございましたけれども、監視機関というわけではございませんけれども、環境整備機構には評議員会というのがつくられることになっておりまして、ここは当然外部の方々、委員の方々が入られて、外部の目でもっていろいろ機構の運営状況をチェックし監督していくということになっているわけでございます。
 そういったこと、それからやはり機構の運営そのものについて、よく言われますけれども、いわゆる透明性をきちんと確保していくといいますか、やっている事業、やっている内容、そういったことをきちんと情報を発信しながら、皆さんの見えないところでやるのではなくて皆さんの見えるところできちんとやっていく、こういったことでそういった無責任体制というものは回避できる。もちろん我々としても無責任体制は絶対につくるつもりはありません、ないわけでございますから、そういうような対応で対処していこう、こう思っております。
#149
○参考人(高嶋芳男君) 私が思いますには、こんな大事な問題が無責任な体制の中で行われるようなことではとても国民の皆さんからは理解してもらえないだろう、こういうふうに思います。
 ですから、当然のことながら、情報公開はしっかりする中で、皆さんにしっかりと理解を得る体制でもって挑んでいただくということが第一条件でございますので、そういう意味におきまして、先生御指摘の監視機関とか安全の問題とかいろいろお話しされたわけですけれども、やはり国民が理解をし得るような体制でもってやっていただきたい、こういう思いです。
#150
○参考人(橋本寿君) 技術的なことにつきましては専門的な知見を有しておりませんのでコメントできませんが、少なくとも国策として位置づけをしていることであるとするならば国の責任の中で明確な責任体制をとるべきじゃないかなと、このように思います。
#151
○水野誠一君 ありがとうございました。
 基本的にもう今の御返事で私も結構だと思います。
 ともかくこれからやってみなければわからないことというのが余りにも多い。事実、地層処理の問題についても、これから地層研究ということをやろうという段階でありますし、しかもそれが本当に地下水の問題も含めてどういう影響が出てくるかというようなことは、もう百年とか千年、一万年というようなサイクルで考えなければいけないという、我々の今の決断が将来の我々の子孫に非常に大きな影響を及ぼす、そういう問題でもあるわけであります。
 先ほど来、高嶋市長が言われているような、研究はいい、しかし研究からすぐに処分ということにつながるということでは困るという、そういう御見解もわかりますし、またこの手の問題というのは、国策としての原子力発電の重要性というのは総論では理解をしてもそれぞれ各論になったときはなかなか納得、説得ができないということの中で、やはり今回の法案というのも十分なそういう意味での配慮、審議というものが必要だというふうに私も思っております。
 法案の賛否は別としまして、その辺はきょうの皆さんのお話の中から十分に理解をできました。
 一応私からの質問はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。
#152
○委員長(成瀬守重君) 以上をもちまして参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言御礼を申し上げます。
 本日は、御多忙のところ当委員会に御出席いただき、貴重な御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表して厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十分散会
ソース: 国立国会図書館
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