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2000/03/16 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 農林水産委員会 第4号
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2000/03/16 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 農林水産委員会 第4号

#1
第147回国会 農林水産委員会 第4号
平成十二年三月十六日(木曜日)
   午後一時五分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十六日
    辞任         補欠選任
     峰崎 直樹君     谷林 正昭君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         若林 正俊君
    理 事
                岩永 浩美君
                亀谷 博昭君
                小林  元君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
    委 員
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                佐藤 昭郎君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                郡司  彰君
                谷林 正昭君
                羽田雄一郎君
                藤井 俊男君
                渡辺 孝男君
                大沢 辰美君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   玉沢徳一郎君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        金田 勝年君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産大臣官
       房審議官     川村秀三郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○農林水産に関する調査
 (畜産物等の価格安定等に関する件)
 (畜産物価格等に関する決議の件)
○農業に関する技術の研究開発の促進に関する特
 別措置法を廃止する法律案(内閣提出)
    ─────────────
#2
○委員長(若林正俊君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、峰崎直樹君が委員を辞任され、その補欠として谷林正昭君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(若林正俊君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 農林水産に関する調査のため、本日の委員会に農林水産大臣官房審議官川村秀三郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(若林正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(若林正俊君) 農林水産に関する調査のうち、畜産物等の価格安定等に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○中川義雄君 きょう実は、最初五十分ぐらいの時間を割り当てられておったのですけれども、他の委員会との関係で三十分ということになったものですから、通告した項目のうち大事なものをピックアップしていきますので、順不同になると思いますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 最初に、今ちょうど酪農部会で乳価の諮問をしている最中だと思いますが、その辺から最初に聞いていきたいと思います。
 現行の保証乳価制度というのは、昭和四十一年から始まりまして、ことしで終わって、来年からは新しい制度に移換する、こう聞いているわけであります。これまでは生産費等で乳価の総体を想定して、それから基準取引価格を差し引いたものを不足払い、補給金として政府が保障するという、そういうメカニズムになっていたわけですが、来年からは政府が一定の交付金を生産者に交付して、そして乳価は市場のメカニズムで決まった乳価で流通に乗る。ですから、生産者の手取りは流通乳価と、そして新しい交付金を足したものが手取りになるということに変わっていくわけであります。
 そういうわけで、来年から移行する、この四十一年から長いシステムで決定されたものを新しいシステムに変える、ことしはその一里塚みたいな大切な年でありまして、大臣としてはその点、どういうような配慮をしながら諮問案を策定したのか、その点だけちょっとお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(玉沢徳一郎君) まず、今までの加工原料乳制度は価格を安定的に維持してきた、こういう点で評価できるかと思うわけでございます。新しい制度に変わるに当たりましては、新しい制度におきましても安定的な価格が維持できるようにしていくという配慮が必要なのではないか、こう思うわけでございまして、今回の諮問案におきましては、価格の算定要素をいろいろ当たりまして、価格そのものは若干下がっておりますけれども農家の手取りはふえるように、そういう配慮をいたしたところでございます。
 それから、さらにはまた環境対策、ふん尿対策等におきましても、できるだけ農家の要望にこたえた積極的な対応をしていかなければならない、こういう点も考えておるところでございます。
#8
○中川義雄君 今、大臣が苦労していろいろ所得を保障するために、酪農家が将来に向かって再生産可能な形をつくっていくために価格とは別ないろんな施策をした。そういう点では、例えば土地利用型酪農推進事業だとか、また環境整備事業だとかヘルパー事業、それにことしは特に生クリームの問題で大変配慮していただいて、酪農家の皆さん方も何となくほっとしているというのが実態でありまして、私もそういう点では皆さん方の、特に大臣の努力に対して心から敬意を表する次第であります。
 ただ問題は、来年からの問題がどうなるかという心配があるわけであります。
 第一は、これは審議官に聞きますが、試算してみたんですが、今農林省が持っている新しい資料で手短にやったものですから四十一年までさかのぼれませんでした。
 昭和五十二年から平成九年までの間に、生産費を決める大きなウエートであるのは労務費と飼料費なわけであります。労務費が昭和五十二年から平成九年の間に実に二・三九倍になっているんです。労賃は大変上がっているわけですね。それに対して飼料は〇・八八倍、十数年間で〇・八八倍ですから比較的安定的に推移しているわけです。そしてまた、保証乳価も〇・八四倍という形ですから、何となく飼料と非常にフィットしたような形で、飼料の値下がりがそのまま保証乳価の値下がりになってきております。
 労務費が高騰したのに余り上がっていないというその最大の理由は、私の見解では、これは私の考え方です、この間生産者が大変努力して、昭和五十二年ごろ、私が道会議員に出るちょっと前ですから、そのころは平均の一頭当たりの搾る乳の年間の量というのは五千キロぐらいと言われていた。五千キロで優秀だと言われていたのが、今は平均で八千キロを超えて、優秀な酪農家は一万キロも搾るというような大変な生産性向上。これは日本農業の中でこのぐらい頑張った部門はそうないと思われるぐらい頑張った結果、労賃がこれだけ上がって物価も上がっている中で保証乳価は非常に安定的に推移したというのは、酪農家のそういう大きな大きな努力がそこにあった、こう思うわけであります。
 今の数字について、審議官、農林省の数字を使ったつもりですが間違った数字だったら困るので、いかがでしょうか、今の数字。
#9
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、中川先生は五十二年当時の数字と平成九年の数字を恐らく比較されたと思いますが、五十二年の労働費一時間当たりは七百二十九円三十銭でございました。これに対しまして、平成九年は千七百四十二円……
#10
○中川義雄君 そういうのじゃなくて、時間がないから簡潔に。
#11
○政府参考人(川村秀三郎君) わかりました。
 言われたとおりでございます。
#12
○中川義雄君 私も数字を言おうと思ったんですけれども、言っていると時間を食ってしまいますから、その倍率がそうであればそれで結構なんです。
 ここで言いたいのは、なぜこのことを言っているかというと、当時は欧米の先進的な酪農地帯と日本の酪農では一頭当たりの乳量は生産性で大変な格差があった、それに追いつけ追いつこうという努力で今日まで来て、今は世界でトップクラスの頭当たりの乳量を確保するような状態になったわけです。そういうときに、来年からは価格は市場のメカニズムによって決まる、あと政府が関与できるのは交付金とそれから大臣が今言われたいろんな諸施策だけであります。
 その点で一番心配しているのは、これまでは基準乳価という形でメーカーに売る価格はある程度政府が想定し関与しながらやってきましたが、自由になってくる。その場合、乳価が下がったり、労賃は上がっていくが御承知のように乳価が下がって農家の手取りが下がったりすると、所得で都市の労働者と酪農家で大変な開差ができたりすると困ると。乳価が暴落したようなときにはあらかじめことしのようなことを対策としてやっていくが、これまではそれで十分保障できたんですけれども、乳価は生き物ですからどういうふうに変わるかわかりません。
 乳価が暴落して農家の手取りが、所得が減ってしまったときに、その場合の安全弁みたいなものは今から考えておかぬとならないと思いますが、大臣、その点について何か工夫がありましたらお示しいただきたいと思います。
#13
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 暴落した場合の対策いかん、こういうことでございますが、あらかじめ生産者による価格変動に備えるための積立金を造成することとしております。国としてもこれに対して一定の拠出を行う、こういうことで今検討しているところでございます。
#14
○中川義雄君 この制度が唯一の頼りになると思いますので、そういう不測の事態に対して十分配慮していただきたいと思っているわけであります。
#15
○国務大臣(玉沢徳一郎君) わかりました。
#16
○中川義雄君 次に、新基本法のもとに新たな酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針というものが試算として農林省の方から出されております。その中では、主たる農業従事者の年間労働時間は最高でも二千時間ぐらいにしておこう、そうしないと労働条件で農民と都市の労働者との間に大きな格差ができてしまう、そういう一応の指標を出されたんです。私もそれは非常に大切なことだと思っている、基本法の精神でやっていくときに。
 ところが、審議官にちょっとお聞きしますが、酪農家の平均の労働時間は聞くところによると、私たちはきちっとした統計数字は持っていませんが、三千時間を超すような、そして休日も時間外も全くないような過酷な労働条件の中でやっているというのが酪農の実態だと。このような非常に過酷な労働条件を緩和する施策として、これは政務次官に聞いた方がいいのか、政務次官でも審議官でも結構ですからお答えいただきたいと思います。
#17
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、数字の御指摘がございましたが、これは北海道と内地ではかなり違うわけでございますが、確かに規模が大きい層におきましては三千時間を超える実態もございます。
 これにつきましては、極めて重要な課題と思っておりまして、その労働時間を、できるだけゆとりある経営にしていくということでいろんな施策を推進していきたいということでございます。例えば、効率的な飼養管理方式の導入を推進いたしますとかヘルパーでございますとか、あるいはコントラクター、こういった支援組織を普及していく、あるいは定着していくということも考えてございます。
 そういうことで、酪肉近に示す予定でございます二千時間という目標に向かって邁進していきたい、こういうことでございます。
#18
○中川義雄君 これは政務次官に聞きたいと思うんですけれども、酪農・乳業対策大綱において、十二年度の乳価の算定において環境整備加算、ヘルパー加算というのは今まで乳価にべたづけしていたわけですが、これを外して、政策としてしっかりしたものをくみ上げていくというふうに聞いていたんですが、今回それをどのような形で出されたのかお示しいただきたいと思います。
#19
○政務次官(金田勝年君) ただいま委員御指摘の酪農・乳業対策大綱のお話でございますが、この中で十二年度の乳価の算定におきまして、環境整備加算、ヘルパー加算への転換を図るということでございますが、この環境整備加算、ヘルパー加算につきましては、新たな酪農・乳業対策大綱におきまして、畜産環境の整備あるいは酪農ヘルパーの利用促進という所期の目的を効果的に達成し得る施策への転換を図るということにされておるところであるわけであります。
 具体的には、環境整備加算につきましては、飼料作物作付面積をふやす生産者へのインセンティブとして、今年度より実施しております土地利用型酪農推進事業を拡充していくこと、そしてまたヘルパー加算につきましては、酪農ヘルパーの利用促進のために、ヘルパー利用農家に対しまして、ヘルパーの利用日数に応じて利用料金の一部助成を行うということを新たに検討しているというところであるわけであります。
#20
○中川義雄君 ちょっと審議官にお伺いしたいんですけれども、きょう、今審議会に答申を求めている案で、生産費を算出する基礎として、五人以上の北海道の製造業の時間当たりの単価を一応根拠として出していると思いますが、今回はそれを幾らに見ているでしょうか、一時間当たりの単価を。
#21
○政府参考人(川村秀三郎君) 今回の乳価算定に当たりまして、単価といたしましては千七百六十八円二十五銭という単価を基礎にしてございます。
#22
○中川義雄君 これは審議官にお聞きしたいんですけれども、実はここに農林水産省札幌統計情報事務所が出した北海道の酪農経営の分析という、かなり酪農経営の分析をしたものがあるんですが、それによりますと、平成十一年における酪農家の所得を時間当たりに割ってみますと千四百十円と出ているんです。生産費では千七百七十数円と見たんですが、都市の労働者にとりますと、賃金はすべてが所得と言ってもいいわけであります。酪農家は、千七百六十何円の経費としてそれだけは見たかもしれないけれども、結果として酪農家の時間当たりの所得は千四百十円と出ているわけです。
 しかも、三千時間を超すような過酷な労働時間。時間当たりで見ますと千四百十円。しかし、全体の所得にしますと都市並みと大体変わりないというようなことを言う人がいるんです。それは何かというと、三千時間も働いているわけですから。都市の労働者はその間千六百時間とか、まあ二千時間以下であることだけは間違いないわけですから、そのことによって、だから過酷な労働に耐えてやって初めて都市並みの所得を得ているというのが酪農の実態なんですね。
 来年から制度を変えていく中で、この乖離をどんな形で一年間検討して、都市並みの時間当たりの所得に近づける方策を考えていくべきだと私は思うんです。ここで今その具体的なことを大臣に聞くのは酷な話でして、結果としてこうなっていますから、審議官、それを一年かかって研究して、新しい制度の中に入れる努力をすると。もし審議官がそれに対してきちっとしたことを言えなかったら大臣としてこれに対してどういう指示をするか、その点についてももし大臣からもあればお聞かせいただきたい。ですから、まず審議官から事務的に聞かせていただきたいと思います。
#23
○政府参考人(川村秀三郎君) ただいま委員の方から労賃の関係での御指摘がございました。
 確かに、酪農部門ということでの労賃の統計もございまして、それは乳量といいますか乳価だけの数字ではなくて、あわせて育成をやっておられるとか、そういうことも込みの数字であると聞いておりますけれども、そういう実態にあるということは十分認識をいたしまして、今後の政策運営に当たりまして、いかに的確な対応ができるかということは十分勉強してまいりたいと思っております。
#24
○中川義雄君 もし大臣からあれば。
#25
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 新しい制度に移行するに当たりまして、できるだけ不安がないように、不安のある要素があればそれに対してどう対処するかということを一つ一つ解決、また検討しながらこれに当たっていきたい、このように考えております。
#26
○中川義雄君 審議官、お聞きしますが、聞きますと、今時間当たりの労務費としての費用の積算根拠は五人以上の製造業の時間当たりの単価だと。これには経営者の賃金が入っていますか。普通、企業というのは経営者と使われている労働者と二つあるわけですから、経営者の賃金が入っているかどうか。
 というのは、酪農というのは、経営者という一面も労働者としての一面も非常に多く持っていると同時に、すべて責任を持って計画を立て、厳しい情勢の中でやっていくという酪農家。しかも、規模からいっても今では飼育頭数百五十頭ぐらいが普通になってきて、欧米の一流の酪農家と対等にやっている中で、その酪農家の評価を、経営者としての側面を見るか見ないかということは大切なんですけれども、この毎勤統計の中には経営者の分が入っているかどうか、その点だけを教えていただきたいと思います。
#27
○政府参考人(川村秀三郎君) 私どもは、保証乳価の算定に当たりまして評価がえをしているわけでございますが、その原データといたしましては、略称毎勤統計というデータを使ってございます。このデータの中には、常勤役員の報酬等は入ってございますが、トップの社長といいますか、その給与は入ってございません。
 つけ加えて申し上げますと、そういう経営者としての立場というものは、私どもは企画管理労働というそういう労働を別途、圃場とは別に算定をいたしまして算入するという手法をとっておるところでございます。
#28
○中川義雄君 審議官、申しわけありませんが、あなた間違えているんです、毎勤統計の性格を知らないから。経営者の賃金も入っているんですよ。例えば、部長というのは役員であって、役員報酬と部長としての給与と両方もらっているんです。毎勤統計に出てくるのはその部長としての給与だけで、役員としての報酬は出てこないんです。いいですか。
 ですから、ここが大事なところで、酪農家を経営者として見たら、普通の一般の企業の平役員で結構ですから、のもらっている報酬部分をどうやって酪農家にも見るか。そうしないと、なぜ私がそのことを心配するかというと、今、後継者がいなくて困っているんです。それはなぜ一番困るかというと、都市の労働条件と酪農家の労働条件と比較して、優秀な酪農家ほど後継者を、できればこんなつらい仕事をさせないで都市の労働者にさせたいというのが、かなり優秀な人でもそう思うというのは、都市の労働者と酪農や一般の農民との格差がそこにあるからであります。
 これからは、交付金と市場のメカニズムにある程度の政策的な配慮を、その政策的な配慮に酪農家の苦労というものをいかにして配慮するか、経営者としての側面をどう見ていくか、労働時間の三千時間を二千時間でも十分やっていけるというような酪農経営をどうするかということが基本になければならないと思いますが、その点ではちょっと審議官の考え方とずれがあると思いますが、もう一回、私の言っていることでここが間違いだと、あったら指摘してください、私も訂正しますから。ありますか。
#29
○政府参考人(川村秀三郎君) 私の承知しております限りでは、役員報酬まで含めて入っているというふうに聞いておりましたけれども、再度調べてまいりたいと思います。
#30
○中川義雄君 それでは、ちょっと視点を変えて見てみますが、基本法に基づいて今基本計画で新しく一番大変な作業をしているのは自給率をどう見るかということであります。当面十年間、平成二十二年までで四五、五ポイントぐらい上げるという自給率の向上を見たわけですが、その中で、牛乳・乳製品の自給率の考え方、そしてその間の需要と国内生産の推移をどう見て、そしてそれを確保するための課題をどうとらえているか、この点についてもしありましたらお示しいただきたいと思います。
#31
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 食料・農業・農村基本計画におきまして、平成二十二年度の牛乳・乳製品の食料自給率目標につきましては七五%としたところであります。この中で、牛乳・乳製品の消費については、趨勢をベースに、適正な栄養バランスの実現や、食べ残し廃棄の減少等を踏まえて、望ましい食料消費の姿として千三百十八万トンとしたところであります。他方、生乳の国内生産につきましては、品質、生産性の向上等、関係者が取り組むべき課題が解決された場合に到達可能な水準である生産努力目標として九百九十三万トンとしているところであります。
#32
○中川義雄君 畜産も酪農もどうしても日本の土地条件からいって耕地面積が比較的少ない。ですから、安いえさを海外に依存するという傾向が非常に強い、それが自給率を低めていることは間違いない事実なんです。ですから、国産での飼料の自給率の向上というのは農政の重大な課題になると思いますが、その点はこの基本計画ではどうとらえているでしょうか。
#33
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 自給飼料の増産を図るということは食料自給率の向上上必要不可欠な課題であると認識をいたしております。
 このため、飼料増産推進計画を策定いたしまして、転作田等既耕地の活用による飼料作物の作付拡大、さらには飼料生産の共同化や受託組織の育成、また日本型放牧の普及、定着、単収の向上、土地利用高度化等の技術普及等の各般にわたり施策を講じてまいりまして、飼料の増産に向けて努力をする、こういう考えであります。
#34
○中川義雄君 もう時間がありませんから最後になります。
 環境対策、これは酪農家にとって命にかかわっているんです。今でも鹿児島の漁師さんか何かから訴訟でも起こされたら、すぐやめなければならないぐらい急を要しているわけです。法律をつくって五年間でそれを拡充して、農家には罰則規定までという厳しいものです。
 それで、その対策としてリース制度、非常に喜ばれている百五十億という金額なんですが、北海道の場合それが五十億配分されております。それでやってみますと十年かかるというんです。ですから、今この制度を、大臣、どんなことがあっても倍額にするか何かしないと、法律でつくっても対策費が足りないのでは話になりませんので、その辺の決意だけ伺って終わりたいと思います。
#35
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今、委員が言われましたように、現在の状況でいけば十年かかるというのが北海道の現状であるということを踏まえまして、百五十億に対しましてこれをもっとふやしていくということをまずここで表明したいと思います。何とか五年間でできるような予算措置もこれからしてまいりたい、こう考えております。
#36
○中川義雄君 ありがとうございます。よろしく。
 以上で終わります。
#37
○羽田雄一郎君 民主党・新緑風会の羽田雄一郎でございます。
 今回は、畜産物の価格安定等について議題となっておりますが、昨年秋の補欠選挙によって参議院議員になり、国会で初めての質問でもございますので、畜産・酪農問題を中心に、若干幅広く、玉沢大臣ほか皆様に御所見をお伺いしたいと思います。よろしくお願い申し上げます。
 今回の畜産物の価格安定は、今後の農政の指針となる食料・農業・農村基本法制定後初の価格決定となります。すなわち、今回の価格決定というのは単に年度の価格を決定するというのではなく、今後の畜産・酪農政策のあり方、政策の具体化の第一歩として位置づけられていると言えます。まさに、二十一世紀に向けて畜産農家が将来展望と意欲を持って営農に取り組んでいくためにも極めて重要な意味を持っていると考えます。
 そこで、今回の畜産価格等、特に本日答申が出るようでございますが、乳価についても踏まえた上で、基本的なスタンスをお示しいただければと思います。
#38
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 委員のお話のように、我が国の畜産は国民生活に欠かせない食肉や牛乳・乳製品等の安定供給という基本的な使命に加え、地域社会の活力維持、国土や自然環境の保全等、多様かつ重要な役割を果たしておると考えます。したがいまして、今回の価格決定等におきましても、単に価格を決定するというだけではなくして、価格の決定と同時にまた畜産振興を図るための諸施策もあわせて決定していくというところが大事であると思います。
 諮問案におきましては、価格の諸要素を取り入れた結果、価格そのものは下がることになっておりますけれども、いろいろな政策を考え合わせ、農家の手取りは前よりも上がるように配慮しておるところでございます。
 また、先ほどお話をさせていただきましたように、ヘルパーの支援対策であるとかあるいは環境対策であるとか、こうした関連の施策もあわせて行うことによりまして畜産の振興、酪農の振興に力を入れてまいりたい、このように考えております。
#39
○羽田雄一郎君 次に、基本計画においては、各品目ごとに重量ベースの自給率目標が示されており、牛乳・乳製品については平成九年度に七一%であるものを七五%にまで引き上げるとされています。重量ベースで見ると七割を超える自給率があるわけですが、我が国の畜産、酪農は輸入飼料に多くを頼っているのが現状であり、カロリーベースで見ると、牛乳・乳製品の自給率はわずか三割にすぎないとされています。
 基本計画においては、飼料自給率を現行の二五%から平成二十二年度には三五%まで引き上げることが目標と示されています。その体制のためには、今後、相当の国産飼料の増産及び利用が必要となってまいりますが、畜産・酪農経営において、輸入飼料を使う理由は、その方が経営全体としてのコストが安いからであり、今後、国産飼料の利用を増進していくためには自給飼料基盤を拡大した上、コストが節約できるという条件をつくる必要があると考えますが、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
#40
○政府参考人(川村秀三郎君) 飼料自給率の向上のための対策についてのお尋ねでございます。
 飼料自給率の向上というのは、先ほど大臣も御答弁されましたけれども、我が国の食料自給率の向上といった観点からも非常に重要でございます。また、生産コストを低減していくとかあるいは経営の安定化を図る、また最近問題になっております家畜ふん尿の適切な処理ということでは、草地等へ還元することによって環境問題にも適切に対応できるということがございます。そういうことで、飼料増産を図るということは極めて重要な課題でございます。
 この飼料増産を図る方策でございますが、一つはやはり面的な拡大をしなくてはならないということで、耕地の有効利用、このためには転作田を活用しますとか、あるいは耕作放棄地、不作付地といったようなものを活用していくということで、まず面的な拡大を図りたいというのが一点ございます。
 それから、生産のやり方につきましては、畜産農家も高齢化等がございまして労力不足ということもございますので、共同化あるいは受託組織の育成といったことも行いまして、その不足を補いたいというのが二点目でございます。
 また、三点目といたしましては、我が国特有の中山間地というのがございます。棚田を活用するとか、あるいはいろんな土地条件、自然条件を生かした日本型放牧といったものも伸ばしていきたいということを考えておりますし、技術の格差も、非常に高いところと低いところでは単収に三倍の差もあるといったような差がございますので、そういう技術を高位平準化するということでもかなり効果を上げていくというふうに見込んでおりまして、そういった基本的な方向に沿って力を注いでまいりたいと考えております。
#41
○羽田雄一郎君 今、少し述べられましたが、現在、中山間地等における耕作放棄地や林地等の利用促進のため、いわゆる放牧型経営の育成も重要な課題となっていると思います。今年度から中山間地域に対する直接支払い制度が開始されるわけでありますが、畜産の振興と多面的機能の維持発揮といった観点から、日本型放牧技術の確立と普及を図るとともに、その経営育成のために支援していくことが必要であると考えますが、政府のお考えをお聞かせ願えればと思います。
#42
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、私が項目的に申し上げました日本型放牧について、やや詳しく述べさせていただきたいと思います。
 我が国の土地条件、非常に中山間地等困難なところもありますが、放牧ということに関しましては適地という考え方もできるわけでございます。そういうことで、中山間地の耕作放棄地等の畜産的活用を図るということはこれまた非常に日本的な放牧のあり方ではないかということでございまして、そういうものを一つの手法として位置づけたいということでございます。
 もっと具体的に申し上げますと、公共事業によりまして野草地とか高木林地の整備改良を行いますとか、あるいは牛自体に整地をさせる蹄耕法という手法がございますが、こういったものを用いまして低コストな草地を造成していく、あるいは草地管理技術ということでの現地指導を行っていくというようなことも実施する必要があろうというふうに考えておるところでございます。
#43
○国務大臣(玉沢徳一郎君) これは非常に大事なことだと思います。中山間地域におきましては今過疎状態が進行しておりまして、耕作放棄地等があります。したがいまして、今回の基本法の中におきましては、中山間地域に対する直接支払い制度を行いまして、そして農地の放棄地がないように図るというのが第一点であります。
 それから、同時に、中山間地域におきましてはかなり多くの放牧地等がございます。あえて申し上げますならば、私の岩手県等は夏山冬里方式というのがございまして、日本短角というのがここで放牧をされておるわけでございます。農繁期のときに一番手のかからない飼育ができるわけでございますのでこれが非常に普及しておるわけでございます。
 やはり牛にとりましても濃厚飼料をたくさん食べるよりは粗飼料を食べて、牧草を食べる、これが健康にも非常にいい、こう考えるわけでございます。公共牧場等の使用につきましてもできるだけこれを普及させていくということが、中山間地域を有効に使用し、さらにはまた中山間地域において過疎の問題等を解決するためにも大事なことだと考えるわけでございますので、これを推進していくという方針を出しておるわけでございます。
#44
○羽田雄一郎君 丁寧にお答えいただきまして、ありがとうございます。
 次に、各畜種に共通して極めて深刻な問題となっている畜産環境対策についてお伺いいたします。
 昨年の常会で成立した家畜排せつ物の管理の適正化及び利用の促進に関する法律が昨年十一月に施行されました。これに伴い、畜産農家は五年の猶予期間の後、家畜ふん尿の野積みや素掘りが禁止されるなど、管理基準に従って家畜排せつ物を管理しなければならない義務が生じることになりました。
 私は、畜産農家も業として営んでいる以上、環境への配慮が求められるのは当然のことであろうと思いますし、畜産農家の間にも、畜産排せつ物の管理について環境保全に配慮しなければならないという認識を持つものが大多数であると思います。また、農業の持つ公益的機能を重視し、環境負荷を抑えていくことは、新たな基本法で示されている基本理念の一つである持続可能な農業生産に合致し、適切な施策を講じていく必要があると考えます。
 しかし、昨今の畜産酪農経営をめぐる厳しい情勢をかんがみると、急に五年間の猶予を与えるからその間に管理基準に即した施設の整備をしろと、さらに守らなければ罰則もあるとされても、ただでさえ収益性の低下で脱落する農家が相次いでいるにもかかわらず、補助金があるとはいえ利益を生まない環境施設にお金を回すことは難しいことから、畜産農家の廃業を促進しかねないという懸念もされています。そのような結果となっては、畜産業の健全な発展という法の目的からも外れることになります。
 ある試算によると、五十頭規模の酪農家でゼロから環境対策を進めた場合、一千百万円程度の新規投資が必要であり、さらに尿を処理放出するためには数倍の投資が必要ともされています。こうした中で、法律の施行に伴い、メーカーが施設のセールスで農村地域に大分入り込んでおり、中には必要以上に高い施設を勧めているケースもあると聞いております。
 そこで、現状に混乱が生じないよう都道府県においても早急に計画を策定するとともに、管理基準で示された施設整備を行うためにどの程度の投資が必要になるのか、周知等を図っていくことが必要であると考えます。
 家畜排せつ物の処理保管施設を整備するために、十二年度予算においても、法施行等を受けて制度資金による低利融資、税制上の特例措置、リース事業等の措置が講じられているようですが、環境保全対策に取り組むインセンティブを補助や融資等できめ細かく設定していく必要があると考えております。
 五年間という限られた期間内に施設の整備を行うという厳しい制度を創設したにもかかわらず、助成策が十分でないようにも感じられますが、こうした措置で猶予期間とされている今後五年間で施設整備を行うのに十分であると考えているのか、お伺いしたいと思います。
#45
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、先生の方から御指摘がありましたように、家畜排せつ物の問題は非常に我が畜産行政にとりまして重要な課題でございます。そういうことで、ハード、ソフト、いろんな観点から施策をきめ細かく対応していく必要があろうかと考えております。
 ハード面での整備ということは、法律に基づきまして五年間の期間に非常に緊急性を要します野積み、素掘りといった不適切な管理の解消を図るということでいろいろ進めておるところでございます。このための助成措置としましては、個別に対応される場合、また共同で対応される場合等に対応いたしまして、各種補助も用意してございますし、またリース事業等も用意してございます。また金融措置等も用意してあるということでございますが、地域の実情が非常に違いますので、それに応じたきめ細かな対応が必要と考えております。
 また、先生から御指摘のありましたように、どちらかというとメーカーとかの主導型で行われておりますので、適切な選択ができるように我々としても情報の収集、提供ということには万全を尽くしたいと思っております。
 また、環境アドバイザーといったようなことの養成も考えておりまして、できるだけ低コストでいいものができるような体制というものをフォローアップしていきたいということを考えております。
#46
○羽田雄一郎君 ぜひそのフォローアップ、よろしくお願い申し上げます。
 次に、牛乳の消費拡大に関してお伺いいたします。
 消費の拡大のためには、消費者の適切な商品選択に資するためにも適切な表示が求められており、十一年十二月に牛乳表示の見直しが行われています。本来、生乳のみを原料とする製品だけ牛乳という商品名の使用を認めるのが筋のような気もしますが、検討の結果、原料の五〇%以上が生乳である製品という条件で最終的に合意をしたと聞いております。また、生乳使用割合の表示については、現時点では義務化が困難であることから、表示する者の責任においてできることと明確化したにとどまっています。
 この点については一歩前進とも考えられますが、消費者に食品の組成をわかりやすく説明し、商品の特質を正確に理解し得るようにすることが商品品質表示において最低限考慮されるべきと考えると、依然として牛乳表示の不明瞭さを残すことになっているのではないかと考えます。生乳の利用拡大と消費者への適切な情報提供という点を考えると、今後ともその表示のあり方については検討すべきと考えますが、見解をお伺いしたいと思います。
#47
○政府参考人(川村秀三郎君) 牛乳の表示の問題について御指摘がございました。
 御指摘のとおり、昨年十二月二十二日に飲用乳の表示に関する公正競争規約が変更になりまして、商品名の表示の改善、それから原材料名の表示の適正化ということで一歩前進したと思ってございます。
 今御指摘の中にもございましたとおり、加工乳とか白物の乳飲料については生乳の使用量が五〇%を超える場合にのみ牛乳という表示を認めるということでございます。それからまた、使用した原材料が明確にわかるような表示をするようにということもあわせて決定をしたわけでございます。
 そういう消費者への的確な情報、そしてまた生乳を使ったものが非常においしい、風味もいいということであれば、これは非常にまた消費拡大にもつながるのではないかということで、関係業界も歓迎をしているところでございます。
 ただ、まだまださらに検討が必要と思っておりますのは、先生も御指摘がございましたように、生乳の使用割合を表示するということは任意の表示になっておりまして、まだ進んでおりません。我々としては、任意とは言いましても、ぜひこれを実行してもらいたいということで、表示することに伴い、かかります経費等の助成とかいろいろ推進を図っているところでございます。
 今後とも、消費者への的確な情報の提供ということは重要な課題でございますので、我々もさらなる改善を目指して検討を進めていきたいと思っております。
#48
○羽田雄一郎君 次に、年齢別の牛乳消費量を見ると、男女ともに年齢が十六歳を超えると牛乳消費量が急に落ち込んでいます。これについては、学校給食が中学で終わることも関連しているのかとも考えられますが、この原因についてどのように見ているのか。また、消費拡大のためにこうした需要の落ち込みが大きい年齢層に重点を置いて知識の普及等消費拡大を図っていく必要があると考えますが、見解をお伺いいたします。
#49
○政府参考人(川村秀三郎君) 牛乳の消費の年齢別の動向でございますが、まさに先生が御指摘のとおりでございまして、男子では十三から十五歳まで、いわゆる中学生までは三百二十四ミリリットル飲んでございますが、その後の十六歳から十九歳までは二百三十ということで三分の二になってしまう。また、女子でも同じく二百三十八ミリリットルから百五十七ミリリットルということで、激減をいたします。
 これは、いろいろ原因はあろうかと思いますが、最近はいろんな飲料、ニアウオーターとかお茶系の飲料とか、そういうものが出ておりまして、かなりファッションとしてとられているということもございまして、牛乳を飲むことが余り格好いいことではないというような若者の意識があるということがございます。
 そういうことで、やはり我々としては年齢別にターゲットを絞った消費拡大も必要ではないかということでございまして、若い世代に人気のあるタレント等を起用いたしまして、飲むポーズ等を印象づけるといったようなテレビ宣伝等もやってございます。これをやりましたら、懸賞広告という形をとったんですけれども、非常に予想外の大反響があったというふうに聞いておりますし、やはりそういうことを続けなくちゃいけないなと思っております。そういう努力を引き続き続けてまいりたいと思います。
#50
○羽田雄一郎君 ぜひ続けていただきたいと思います。
 次に、我が国の生乳生産は、酪農家戸数が継続的に減少しているのにもかかわらず、一戸当たりの飼養頭数規模が順調に拡大することにより順調に増加を続けてきましたが、近年、特に都府県において、すべての階層で規模縮小の動きが出てきて、一戸当たり平均頭数の増加が非常に緩慢なものとなっています。
 その結果、酪農家戸数の減少を相殺することができなくなって、都府県の生乳生産量は減少に転じております。北海道における増産においてもこれを補い切れず、我が国全体の生乳生産が減少局面を迎えていると思います。
 最近の生乳生産量の減少局面への移行は、基本的には後継者確保において優等生と思われてきた酪農においても、経営主の高齢化と後継者が確保できない事態が深刻な影響をもたらし始めたと考えられます。このままこの状況が続くと、基本計画で示された生産努力目標の達成は極めて困難であると言わざるを得ません。
 こうした状況に対応するためにも、意欲ある担い手を確保していく必要がありますが、現在のような不況下でもその確保は難しく、例えばこれは畜産、酪農に限りませんが、大学農学関係学部卒業者のうち農林水産業に就職した者はわずか三%にすぎません。
 このように畜産、酪農が敬遠される理由の一つとして、過重労働の問題が挙げられます。特に、酪農家は休日もとれず、朝早くから夜遅くまで働いて、さらに先行きが見えない酪農情勢への不安があるようでは、若い人からは敬遠されてしまいます。
 そうした意味から、ゆとりある畜産・酪農経営を実現するためにも、経営支援組織である酪農ヘルパーの育成は不可欠であります。酪農ヘルパーを一定の地域ごとにネットワーク化し、一定の雇用吸収効果を持たせるとともに、酪農ヘルパー要員については、後継者不在の酪農家の経営継承者あるいは新規就農者の予備軍として期待できることから、経営管理能力の向上に資する教育研究システムの導入等についても考えていく必要があると思います。こうした点を踏まえて、酪農ヘルパーの育成に対する農林省の見解をお伺いいたします。
#51
○政府参考人(川村秀三郎君) 後継者の問題、非常に重要でございます。
 酪農経営は、他の農業部門に比べますと比較的後継者はいる方でございますが、それでもやはり今後の将来像を考えますと、いかに後継者を確保していくか、また円滑な経営継承をしていくかということは極めて重要な課題でございます。
 また、酪農の場合はかなり施設投資を要しますので、それをいかに円滑に継承していくかということで、昨年、私どもの畜産局におきまして日本型継承システムということの検討もいたしまして報告もいただいておりまして、十二年度予算についてもその実行に向けて一歩を踏み出したところでございます。
 また、そのほかにも、委員の今御指摘にございましたヘルパーを後継につなげていくということは既に各地でも実例がございまして、ヘルパーで入られた方がやがてその地域に定着をされて後継者として育っていくという事例も数多くございます。そういうものについても、非常に重要なファクターだと思っておりますので、支援措置等、あるいはその円滑な就農というものに支援をしてまいりたいというふうに考えております。
#52
○羽田雄一郎君 私は、後継者の確保のためには、昨日、一昨日、岩永委員また谷本委員が言われたように、幼稚園、保育園、小中学校においてきちんと教育していく必要があると考えており、またそれが消費の拡大にもつながると考えております。近年、飽食の時代と言われる中で子供たちが農畜産業に触れる機会は減っており、牛がどのように飼われているのか、作物がどのように育っているのか知らない子供が多いのではないかと考えております。
 そこで、学校教育において農畜産業の体験をカリキュラムに盛り込み、農畜産業の楽しさと厳しさを知ることで農業への理解を深めてもらうとともに、給食等を通じて食べ物を粗末にせずに大事に扱う大切さを実感してもらい、ひいてはそれが農業をやってみたいと思う人をふやしていくことになるのではないかと考えます。
 そこで、子供たちの教育において農畜産業の体験を積極的に進めていくのに対して、本日はぜひ玉沢大臣の認識をお聞かせ願えればと考えております。
#53
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 委員の言われるとおり、農業体験学習は、将来を担う子供さんたちが農業に対する正しい理解をし、さらにはまた将来農林水産業を担っていく、こういうことにつながっていくということで極めて大事である、こう考えるわけであります。
 したがいまして、この問題は政府全体として取り組む必要があると考えておりまして、文部省と連携しまして、小中学生の農業体験学習圃場の設置や農業体験学習に協力できる指導者の紹介等について都道府県への支援を実施しているところであります。実際には、全国の中学校では三割学習しておる、小学校では七割の学校が体験学習をしておる、こういう数字が出てきております。今後もこれを拡大しまして、できるだけ農林水産業に親しむような国民を育成するよう一生懸命取り組んでまいりたいと考えております。
#54
○羽田雄一郎君 ぜひ農林水産省が中心となって先頭を切って、文部省、また保育園などにも働きかけていただきたいものですから厚生省等にも働きかけをしていただいて進めていただければと考えておりますので、よろしくお願い申し上げます。
 今後、農業の持続的な発展を図っていくために、現在従事している人が夢を持って営農に取り組み、若い人にはぜひやってみたいと思われる魅力あるものとしていく必要があると強く訴え、早足でやってしまいましたので早く終わりますが、これで質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#55
○渡辺孝男君 公明党の渡辺孝男でございます。
 畜産物等の価格安定等に関して質問をさせていただきたいと思います。
 先ほどから論議がありますけれども、畜産環境対策と酪農ヘルパー充実に関しましてまず質問させていただきたいと思います。
 平成十一年十一月よりいわゆる家畜排せつ物管理法が施行されましたが、本施行前と施行後の畜産家のふん尿処理負担の増減について伺いたいと思います。川村審議官、よろしくお願いします。
#56
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、委員から御質問がございましたとおり、家畜排せつ物法につきましては昨年の十一月一日から施行をいたしたところでございまして、排せつ物についての管理基準等につきまして国の基本方針を定めて公表いたしました。この管理基準につきましては、野積み、素掘り等を解消するための必要最小限の基準ということで定められております。
 例えば、防水シート等を利用いたしまして簡易な方法による対応も可能といったようなことで、畜産農家の負担の軽減ということでは配慮をいたしております。また、適用期限につきましても、施設整備に一定の猶予期間を設けまして、五年間は猶予をされているところでございます。現在は、都道府県におきまして、国の基本方針を受けましていかに地域での施設整備を進めていくかという目標を定めているところでございます。
 今後、確かに農家にとりましてはこういった環境面での投資というものは必要なわけでございますが、我々としましてできるだけ負担の軽減を図るということで、補助事業でありますとか金融でありますとか、あるいはリース、税制面でもいろんな支援をしていきたいということで、地域の実情に応じた施設の計画的な整備が図られるよう努力をしてまいりたいということでございます。
#57
○渡辺孝男君 畜産家の方でいろいろ堆肥舎をつくってこのぐらい負担がふえたとか、そういう声、情報はまだお集めになられていないということでしょうか。
#58
○政府参考人(川村秀三郎君) 今回、酪肉近という基本方針を改定いたしますが、その中では標準的なコストがどの程度になるかという試算もしてございます。また、各地域からどの程度の費用が今かかっておるかということも徴集をしてございまして、今、酪農の場合でまず申し上げますと、飼養頭数が五十頭、これは経産牛の搾乳牛のベースでいきますと三十五頭規模でございまして、やや大規模でございますが、ここで五百万円から七百五十万円程度の投資が必要であると。それから、肉用牛の場合はややふん尿の処理が容易でございますので、飼養頭数二十頭規模でいきますと百六十万円から二百二十万円程度。ただ、養豚の場合はし尿がかなり大量に出ますので費用がかなりいきますが、八百頭規模で五百七十万円から七百四十万円程度のコストがかかるのではないかというふうに見込んでございます。
 ただ、先ほど言いましたように、防水シート等を活用いたしますと、物によっては三分の二とかあるいはもっと安いというものも当然あるわけでございます。
#59
○渡辺孝男君 今お聞きしまして、やはり大変な負担がかかるということでありまして、畜産家の方にとっては大変な思いをしているんではないかなと、そのように思っております。
 畜産環境問題の早期解決のためには、畜産生産者の負担軽減のために国が支援をしていくということが大事なわけでありますけれども、ふん尿処理対策予算の充実に関しまして、政府の基本方針をお伺いしたいと思います。大臣の方に。
#60
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 家畜排せつ物につきましては、畜産環境の保全や資源の有効利用の観点から、これを適切に処理し堆肥として農地に還元することを基本としてその利用を一層推進していく必要があると考えております。
 このため、従来から、補助事業により堆肥センター等の施設整備を促進するとともに、堆肥の広域流通を図るため、成分分析や堆肥散布機等に対する助成を行ってきたところでありまして、平成十二年度におきましては約八十七億円用意しておるところであります。また、補助つきリース事業につきましても平成十一年度において予算枠の大幅な拡大を図ったところであります。これは百五十億円であります。
 今後とも、これらの取り組みを通じまして畜産環境対策を積極的に推進してまいりたいと考えております。
#61
○渡辺孝男君 二分の一のリース事業については希望される方も多いということでありまして、この総額については拡大していただきたい、そのように思います。
 次に、酪農ヘルパーについてお伺いしてみますけれども、酪農ヘルパーの利用状況と酪農家の費用負担の現状、並びに酪農ヘルパーによって労働軽減がどのぐらいなされているのか、その点に関しましてお伺いしたいと思います。
#62
○政府参考人(川村秀三郎君) 酪農ヘルパーにつきましては着実に普及をしてございます。平成十年度で申し上げますと、一万六千戸の酪農家がこれを利用しておりまして、定期的な休日の確保のために一年当たり十三日利用をしてございます。一月に一日以上ということでございます。また利用料金につきましては、平均的な規模であります搾乳牛三十頭によりますと、これはヘルパー二人がセットになりますが、一日当たり二万四千円というのが標準的な費用でございます。
 酪農経営というのは、動物を相手にいたしまして、朝夕の搾乳作業ということが毎日続くわけでございます。そういうことで非常に労働時間が、先ほども御質疑にありましたように非常に長時間ということでございます。
 今後、後継者を呼び寄せるためにもゆとりある経営ということが非常に重要でございますので、酪農ヘルパーをさらに利用拡大いたしまして、家族がそろって休日が楽しめるとか労働軽減が図られるといったような効果が期待できますので、ぜひこれも頑張っていきたいということでございます。
#63
○渡辺孝男君 次に、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、これまで乳価に織り込んでおりました環境整備・ヘルパー加算、一円三銭ですけれども、これは昨年決定されました新たな酪農・乳業対策大綱に沿いまして今後乳価から外されることになりますけれども、環境に優しい畜産業の振興や労働条件の改善のためには、本加算にかわる新たな効果的な施策が必要であると考えます。この点に関しまして、政府の今後の方針をお伺いしたいと思います。
#64
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 具体的に申し上げますと、環境整備加算につきましては、飼料作物の作付面積をふやすインセンティブとして今年度より実施しております土地利用型酪農推進事業を拡充しまして、またヘルパー加算につきましては、酪農ヘルパーの利用促進のため、ヘルパー利用農家に対し、ヘルパーの利用日数に応じて利用料金の一部助成を行うことを検討いたしているところであります。
#65
○渡辺孝男君 今まであった環境整備・ヘルパー加算というのは大事なものでありましたので、これからもこの趣旨に沿った政府の支援というものをしていただきたい、そのように思います。
 連立三党の合意を受けまして、小渕総理は二〇〇〇年度を循環型社会元年ということでとらえていただきましたけれども、この畜産環境問題もこれに直結する課題でございますので、しっかり取り組んでいただきたい、そのように思います。
 次に、二〇〇〇年度の加工原料乳価格の保証乳価算定に関してお伺いしたいと思います。
 農水省は、加工原料乳の保証価格算定の基礎になる現在の生乳生産費やその中の飼料価格、ぬれ子の価格あるいは労働費の現状をどのように分析しましてこの算定に反映しようとしているのか、その点をお伺いしたいと思います。
#66
○政府参考人(川村秀三郎君) 私ども保証乳価の算定に当たりましては、統計情報部で行っております生産費調査の結果をもとに評価がえ、あるいは物価修正等を行いまして算定をしてございます。
 と申しますのは、生産費は、その前年の八月までの前一年間のデータでございますので、十二年度の価格を決めるに当たりましては、できるだけ直近の物価等を用いて修正をする、また、えさにつきましては、四月以降も動向がはっきりしておればそれも織り込んで算定をするというのがルールでございます。
 まず、えさの価格につきましては、昨年の生産費が終わった後も、十月から千百円、そしてまたことしの一月からは八百円ということで千九百円の値下げが行われております。ただ、この四月からは、為替の動向また穀物相場の状況等を踏まえまして値上げが行われます。ただ、飼料価格につきましては安定制度をつくっておりまして、これからの補てんが行われまして、農家の実質的な負担というものはさほど上昇はいたしません。六百円弱でございます。そういうことで総体としては低下をしたということでございまして、その価格は引き下げといいますか下の、下方の方へきいたということはございます。
 また、子牛価格等につきましても同様でございまして、最近時点までの価格の動向、これは副産物でございますので、価格が上昇いたしますと価格を引き下げる方向に働きますけれども、これも昨年の八月以降上昇をいたしましたので、引き下げの方にきいたということになります。
 ただ、労賃につきましては経済情勢が非常にまだ回復がなかなか思うようにいっておりませんので下がっております。それを反映して、これまでの通常のやり方では非常に大幅に下がったわけでございますが、先ほど来御議論にありますように、非常に酪農の労働というのは大変だということもございまして、非常に評価がえ等でも配慮してございます。今回も激変緩和ということでの配慮を行って算定を行ったという次第でございます。
#67
○渡辺孝男君 今もお話ありましたけれども、飼料価格については四月以降上がってくるんじゃないかという大方の見込みでありまして、こういうところも十分に配慮して、生産者が不利益をこうむらないようなそういう価格決定をしていただきたいと思うんですけれども、この点、大臣にもう一度確認していただきたいんですけれども、飼料価格等がこれから上がってしまう、そういうことも含めて、加工原乳の保証価格を決めていただきたいということであります。
#68
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 当然、現時点ばかりでなくして、四月以降の価格変動等も十分織り込んで決定をするということが大事であります。また同時に、飼料が高騰したりそうした場合におきましても、対策を講ずるように制度としてはございますので、そういうこともできるだけ使いながら、もしそういう事態になった場合には農家に迷惑がかからないようにやってまいりたい、こう考えています。
#69
○渡辺孝男君 加工原料乳は二〇〇一年から新たな補給金制度に移行する方針となっておりますけれども、畜産生産業の担い手の確保あるいは育成のためには、やはり中長期的な経営安定の展望が開かれていることが大変重要でありまして、生産者が不安感やあるいは失望感を持たずに経営ができるように政府の最大の努力をお願いしたいと思います。
 ありがとうございました。以上で終わります。
#70
○大沢辰美君 日本共産党の大沢辰美でございます。
 私は、朝、午前中ですけれども、審議会が開催されておる中で、その会場へ行ってまいりました。そして、本当に酪農家の皆さんが北海道を中心として全国から、審議の中に大臣が諮問された内容を本当に私たち改善してほしいというそういう要望を持っていかれたところに私も同席をさせていただいて、多くの農家の方の意見を聞かせていただきました。その声を直接また大臣の方に私はきょう述べながら質問をさせていただきたいと思います。
 本当に今日の畜産酪農業については、皆さんの質問の中でも明らかになりましたけれども、やはり基幹的な産業として私は日本農業の一翼を担っていると思うんですね。ですから、牛乳・乳製品の消費量が非常に大きくなってきていることも事実です。でも、やはり九一年の牛乳自由化、牛肉の自由化以後になるわけですけれども、やはり酪農農家の経営は非常に厳しくなっているということもはっきり数字であらわれています。
 午前中の衆議院の私どもの中林議員も明らかにいたしましたけれども、一戸当たりの酪農の皆さんの負債額がこの八年間で見ましても三百十七万円ふえているわけですね。肥育農家の方たちも九百九十九万円増加しています。養豚農家の方は八百四十五万円も増加している、これが実態なんですね。戸数についても、やはり十年前と比べたら半減しているというのが現状です。自給率についても、今述べられた方がありますけれども、八五年度とこの九八年度を比較すると、肉類では八一%から五五%に下がってしまっている、牛乳・乳製品も八五%から七一%に減少している。ですから、本当にこの分野でも国民の食料自給率が確保できなくなっているというのが実態だと思うんです。
 この経営危機の原因は、政府が進めてきた多額の設備投資を伴う規模拡大もあります。そして大きな問題としてはやはり牛肉の自由化、それが畜産物の大量輸入となって畜産物の価格の引き下げとなってきていると思うんです。ですから、その転換こそが今求められると思うんです。
 でも、政府は、これまでの政府の転換どころか、新たな酪農・乳業対策大綱に基づいて加工原料乳、そして乳製品の分野に市場原理の導入をするとして、これまでの価格支持制度を改悪しようとしています。市場原理の導入が実施されれば、私は、乳価は大量輸入のもとで本当にとめどなく下落をするのではないかと、ですから畜産農家に取り返しのつかない打撃を与えると思うんですが、どうでしょうか。
#71
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 委員からいろいろと農民の皆様からの声を聞いての御不安の点について御指摘がございました。確かに、今までは加工原料乳価格は安定的に一応推移してきたのが、需要と消費の関係で決まっていく、そういう場合におきましては不安定な状況になるんじゃないか、こういう御指摘でございます。
 そこで、申し上げたいと思いますけれども、新たな制度のもとにおきましては、乳製品、加工原料乳の価格が市場実勢を反映した形で形成される制度に移行することとしておりますが、乳製品価格については、適切な国境措置や調整保管の適切な実施等によりまして価格は安定的に推移するものと考えております、まず第一点。
 また、加工原料乳価格については、乳製品価格が安定的に推移するものと考えられること、広域指定生乳生産者団体のもとでより効果的な生乳の計画生産や広域需給調整が行われることなどから、御懸念のような事態になることは想定しにくいものと考えております。
 なお、不測の需給変動等による加工原料乳価格の低落の際には、生産者の皆様からの拠出と国の助成とによる生産者積立金により一定率を補てんする仕組みを創設することといたしておりまして、これにより酪農経営に対する影響を緩和することといたしているところであります。
#72
○大沢辰美君 安定すると考えている、そういう御答弁ですけれども、これまでの九九年度の加工原料乳の保証価格は、御存じのように七十三円三十六銭で、最高時よりおよそ二〇%引き下げられているわけです。飲用乳の乳価も九九年度はキロ九十三円三銭で、二十年前に比較してもおよそ二〇%下がっているわけです。ですから、本日、大臣が保証価格七十三円三十六銭から七十二円十三銭の引き下げの諮問をされたわけですけれども、こういう連続的な価格引き下げが今生産者に所得を保障することができないという状態になっているわけです。
 先ほどからのお話の中にも、本当に早くから遅く深夜まで搾乳作業に追われて、健康を害して頑張って、だけれども離農せざるを得ないという事態は本当にお話しされた内容のとおりなんです。私も酪農家の中でも女性の皆さんとお話をさせていただいて、点滴しながら自分は働き続けていると。ヘルパーさんの話、ちょっと後で質問したいと思うんですけれども、ヘルパーを雇うにも一日二万四千円といったら出せないんだと。本当に切実な話を聞いて、私自身とても身を切られる思いをしたんです。
 この価格の中に環境・ヘルパーの加算も一円三銭加算というけれども、これはもう乳価の一部なんだ、だから一銭たりとも引き下げられるわけにはいかないんだ、死活問題だということで、切々と訴えられたきょうの要望者の皆さんの声でもあります。だけれども、政府は今申し上げましたように、来年から加工原料乳価を市場原理にゆだねる、指定乳製品の価格安定帯の制度を廃止しようとしている。安定するというけれども、今までの状態を見ていたら、現状を見ていたら、それが農家の皆さんには率直に受け取ることができないというのが現状だということを私は述べているわけです。
 だから、今やるべきことは、私は市場原理にゆだねるのでなくて、再生産を保障する保証価格の充実こそ求められると思うんですが、大臣、繰り返しになりますが、もう一度お尋ねします。
#73
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 十一年度の保証価格は委員がおっしゃられたとおり七十三円三十六銭でありましたが、本年度につきましては価格に含まれている環境・ヘルパー加算分、一円三銭を価格から外し、別途支出することになりました。これはつまり環境対策とヘルパー対策というのは価格の中から分離して対応すべきである、こういう趣旨でございます。
 したがいまして、十二年度保証価格を算定する保証価格の基本となる価格は七十二円三十三銭となりますが、ルールに基づきまして算定をした結果、二十銭引き下げの七十二円十三銭となります。しかし、一方で五十四銭、環境ヘルパー対策及び生クリーム対策に上積みをすることといたしておるわけでございますので、農家手取りは保証価格引き下げ分の二十銭を引きましても三十四銭増加することになるわけでございます。
 こういうように、下げたことは確かでございますけれども、関連の対策等を充実する、こういう趣旨で環境対策またヘルパー対策等充実をしていく、こういうことで政策の展開を図っていくという考えであります。
#74
○大沢辰美君 加算を別途やっているから乳価の単価には影響はないという答弁ですけれども、何度も申し上げますけれども、加算を加えて再生産を今までやってきたという実態の中で本当に大変だという実態をもう一度述べまして、乳価の単価というのは一円たりとも、一銭たりとも引き下げることは農家に対しては大きな打撃になるということをもう一度指摘しまして、今酪農家の皆さんが抱えている負債の問題について、次にお尋ねしたいと思います。
 負債金額については先ほど述べさせていただきましたけれども、やはり全国平均と北海道の負担平均とはもう随分違うわけです。北海道の負担の平均というのは三千百四十万円と統計上出ているわけですが、これは平均であって、一億円負担を抱えて頑張っている人たちもいらっしゃいます。それは本当に大規模化の中で苦労に苦労を重ねて築いてこられたんだと思います。
 負債対策として、きょうも要望の中で帯広の方がこういうふうに言っておりました。大家畜経営活性化資金特別融通助成事業、この制度がやられて、借りかえをやって低利に資金を切りかえて頑張ろうとしている農家の方もいらっしゃる。だけれども、借りかえをしたけれども支払いに今行き詰まっているという人もいる。今十二年度まででこの制度はもう一応打ち切りというんですか、制度期間になっている。これの延長を認めてほしい、一年先ですけれども今からお願いをしてほしい、そういう実態を言われていました。そして、経営活性化計画を出さないと、これは制度が利用できないことになっているんですが、やはりもっと借りやすい方法を、改善してほしいという要望も出されておりました。
 実態を調査していただいて、本当に多額の負債を抱えている人たちが少しでも改善できるような対策を考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
#75
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、先生のお話にありました大家畜経営活性化資金、これは低利の資金に借りかえをするという資金でございます。一時は非常にこの件数も多うございました。しかし、最近ではその件数も安定して、また金額も年々平均化してございます。ピークに比べますとそういうことで比較的落ちついてきているのかなということはございます。
 今御指摘のありましたように、この制度は平成五年度から始まりまして平成十二年度までの措置ということでございます。十三年度以降のこれをどうするかということは、最終年度が来年度でございますので、その状況等もよく見ながら検討をすべきものというふうに考えてございます。
#76
○大沢辰美君 融資枠の半分しか利用されていないという実態を私も調べてわかったんですけれども、やはり利用しにくい内容がそこにある、計画を出さないといけないということは当然ですけれども、あるということも踏まえて、抜本的な改善を求めていきたいと思います。
 もう一点お聞きしたいと思いますが、先ほどからも質問がございました家畜のふん尿処理の問題です。
 これはもう皆さんが深刻な事態を訴えられておりますので、御存じのとおりだと思いますけれども、やはり家畜ふん尿は本当に堆肥化して地域環境に返していくのが本来の姿であるということを私たちもぜひ推進していかなければならないと思っています。でも、家畜排せつ物処理法が成立して、五年以内のふん尿処理施設の整備が求められている中で、今農家の人たちが負債に苦しんでいる中でまた負債をしなければやれないという実態をまず調べていただいて、対応を考えていただきたい。
 大臣は、改善をしてやりたいという答弁も先ほどありましたけれども、やはり一番大きな希望は環境整備のリース事業なんですよね。これは百五十億円出されているわけですけれども、この前、根室地区の皆さんの話も聞かせていただいたんですが、その管区で、担当の酪農地域で希望者を募ったら百五十戸あったと。それを全部申請したいけれども、予算の配分は十戸分しかないと言われるわけです。だったら、単純計算しても十年以上かかるじゃないですか。
   〔委員長退席、理事亀谷博昭君着席〕
 だから、国が法律をつくったんだから、やっぱり責任を持って五年間で完全に実施できる方策を考えていかないと、私は今の状態だったら困難だと思います。そのやれる対策ですね、もちろん予算の裏づけになりますが、まずお尋ねいたします。
#77
○政府参考人(川村秀三郎君) 今、家畜排せつ物の処理の問題が提起をされておりますが、これは非常にいろんな各般の施策をやらないといけないと思います。
   〔理事亀谷博昭君退席、委員長着席〕
 今、先生が例示として挙げられましたこの二分の一の補助つきリース、これも非常に大好評でございまして、これの拡充等の検討はしなくてはいけないと思いますが、これのみならず、私どもは共同でやる場合のいろんな補助事業でありますとか、あるいは低利の融資制度等も用意してございますし、いろんなものを活用して対応に当たる必要があろうかと思っております。このリース事業のみで対応ということでは決してございませんので、その点は御理解をいただきたいと思います。
#78
○大沢辰美君 当然リース事業だけでやれるはずがありません。皆さん本当に何億という予算をかけて頑張っていらっしゃる姿をもう実態でつかんでいらっしゃると思います。
 私はきょう本当に、午前中に北海道の酪農の方のお話を聞かせていただいて胸が詰まったんですけれども、やはり自分のところでやろうと思ったら今三千万円はかかるとはっきり見積もりをして言われているんですよ。ということは、今までも負債を抱えているし、これでまたかかるとなればやはり離農せざるを得ないという実態が生まれているんですよということを言われまして、簡易的なシートでもよいとかおっしゃるけれども、機械を使わないといけないわけだからそれはできない、だから大変なんだということをおっしゃっていましたから、その実態を本当に把握していただいて、これ以上酪農家をこのふん尿処理の問題で減少させるようなことがあってはならないと思うんです。
 そこで、大臣、五年間でやると言われたわけですが、もう一度その辺の決意とやれる対策を示していただきたいと思います。
#79
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 先ほども申し上げたわけでございますが、例えば、一番要望のあるリース事業等につきましては今後予算をふやすことも検討しますと、こう申し上げました。
 また、五年間という年限を切っておるわけでございますけれども、しかし、よく実態を見まして、できるだけ受け入れられやすいような条件等も考えて、そしてまず五年間でできるだけやってみるということが大事であると思います。
#80
○大沢辰美君 その決意を、農家の皆さんが、ああやってくれるんだなと、不安を抱かないような状況をまずつくり上げていただきたいと思います。
 それで、今やっていらっしゃる方ですね、堆肥センターをつくるのに、私が見させていただいた立派な施設は約四億五千万ぐらいかけてつくっておられました方もあります。町が経営していらっしゃる、それから組合が経営していらっしゃる、さまざまありました。その中で実態、運営実態。私がお訪ねした農家の方は、昨年は三百万円の赤字、運営費ですね、一昨年は六百万円の赤字を出したと。そういう集計を今決算をされているのを聞きまして、今やっている人たちがこういう苦労をしている中で、次にやろうと思ったら、不安でやはり私は二の足を踏むと思うんです。
 全国的な実態、それぞれ違うと思いますけれども、運営実態をつかんで、この運営費の対策も私は考えるべきじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#81
○政府参考人(川村秀三郎君) 堆肥センターでございますが、その機能といたしまして、良質の堆肥の生産を行うと、これによりまして土づくりが非常にうまくいくということで大きな役割を果たしているわけでございます。そのセンターの経営の状況というのは、我々調べておりますが、黒字あるいは収支均衡しているという経営もございますが、今御指摘のとおり赤字の経営も存在しているというのは事実でございます。
 ただ、この堆肥センターの運営状況というのを子細に見ますと、堆肥の成分分析でございますとか散布サービスといったような機能を果たしているというものは非常に少のうございまして、まだ全体の二割程度でございます。そういうことで、先ほど言いました堆肥センターの機能というものを十全に果たしているかというところではややまだ言いがたいなというのが実態でございます。
 そういうことで、良質のものを低コストで供給するという面におきましてなかなか耕種農家のニーズに対応できていないということも一つの経営問題の原因になっているのかということでございます。
 そういうことで、その堆肥センターの機能を強化すると、耕種農家等に喜ばれるようなサービスができるようなものにしていくということが非常に大事であろうということで、今申し上げましたような機能が弱い状況にございますので、堆肥の成分分析でありますとか、堆肥の散布、これは非常になかなか個々の農家がやるのは手間がかかりますので、そういうサービスがよくできるようにするといったようなことでの対応策ということで、そういう面については対策を非常に講じているところでございます。
 ただ、個々の経営赤字ということについて国がその運営費を面倒見るということはなかなか難しい問題があろうかと思っております。
#82
○谷本巍君 質問通告をいたしましたものの八割方はもう終わっておりますので、残り二割のところで質問させていただきたいと存じます。
 初めに伺いたいのは、新制度移行で南北戦争を防いでいくことが引き続きできるのかどうなのかということを中心にしながら、大臣に所見を承りたいと思います。
 大臣も御存じのように、日本の酪農を守る上で不足払いが果たしてまいりました役割というのは、北海道と都道府県の南北戦争を起きないようにしながらバランスのとれた乳業発展という点では大きな政策効果があったわけであります。
 さて、それでは新制度に移ってからどうなるのか、これについてはいろいろな議論があります。加工原料乳が下がり、飲用乳価との格差が広がったら、これは南北戦争が起こりますよといった指摘もあります。そういう場合には飲用乳価も下がるから心配するなという言い方もあります。両方下がっちゃったら、これは自給率が下がっちゃいます。非常に難しいんです。
 そのとき、それじゃ規模拡大でもってやれるかということになってまいりますというと、多分大臣の地域もそうだろうと思いますけれども、以前の後継者は規模拡大でおやじを乗り越える、そういう若い者が多かった。このごろは変わりましたね。いわゆる適正規模論ですよ。少々収入が下がってもとにかくバランスのとれた暮らしをしたいという若者が圧倒的になってきているという状況変化がございます。
 そんな点を踏まえまして、今度の制度がえで果たして南北戦争を起こさないで済むのかどうなのか、自給率の維持はできるのかどうなのか、その辺のところについての大臣の所見を承りたいのです。
#83
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 新しい制度下におきましても、引き続き加工原料乳の不利を補正するための生産者補給金を交付し、加工原料乳地域における生乳の再生産を確保することとしておりまして、一方、都府県におきましても広域指定生乳生産者団体のもとでより効果的な計画生産、広域需給調整等が行われることから、加工原料乳を初め生乳の価格と需給の安定が図られるものと考えておるところでございまして、今までそれぞれ仕分けができてきた、そういうところでお互いにその点を十分理解しながらやってまいりますならば、南北戦争にまで発展することはないものと考えております。
#84
○谷本巍君 それと、大臣、もう一つ、これは後で御答弁いただきますけれども、どうもこの新制度でいきますというと、生産の集中化というのが特に制度の関係で急ピッチで僕は進むんじゃないかというような気がしているんです。そうなってまいりますと、価格形成にとって非常に不利な条件が生まれてくるなという気がしてならぬのでありますが、その点は後ほどの質問の後で大臣の御所見を伺いたいんです。
 続いて伺いたいと思いますのは、ふん尿処理の問題であります。
 最も希望が多いのは補助つきリース事業であります。大臣が先ほど五年でやれるよう予算確保への決意を示されました。これで現場の不安の一つは解消できるだろうという気がするんです。あと幾つかの問題点があります。その幾つかの問題点は、直接的には事務局がやる仕事でありますから川村さんに伺いたいと思うのでありますけれども、配分の仕方、これはちょっと問題だというふうに私は思うんです。
 といいますのは、先ほど中川先生から北海道の話が出ましたから北海道の例で申し上げますと、聞いてみますというと、圧倒的に法人、協業優先なんです。個人には回ってこないんです。こういう地区が多いですよ。例えば網走で申し上げますというと、大きいところで三カ所やった、二億円です。隣の佐呂間ではどうかというと、百八十戸中三十戸申し込んだが、九戸が対象になった。そのうちの一戸の農家に私は会いました。この方はこう言った、削られ削られて希望どおりにはいきませんでしたけれども、それでも私は当たったからよかった、こういうお話でありました。この辺のところが不安材料になっております。
 効率性からいいますと大きいところがやるということになるのが普通なのかもしれませんけれども、酪農家全体から見るとバランスのとれたところをやってほしいんです、大きいところだけじゃなくて小さいところも含めて。これが酪農家が持っている不安を解消していく上でも非常に大きなことでありますので、この点ひとつお願いしておきたいのだが、いかがでしょうか。
#85
○政府参考人(川村秀三郎君) この補助つきリースの予算配分の考え方でございます。私ども、都道府県への予算の配分を行うに当たりましては、当該都道府県の畜産農家の戸数でありますとか、家畜の飼養頭数あるいは苦情の発生件数、それから当面特に問題であります野積み、素掘りの件数でありますとか、そういうものを考慮いたしまして、配分をいたしております。
 また、各都道府県におきましては、私ども、特段の指示ということではなく、都道府県独自の御判断で配分をしていただいておるところでございます。
 ただ、一般論として申し上げますと、今回の排せつ物問題が起こった契機といいますのは、まさに水質の汚染の問題でありますとか、混住化によりまして近隣とのトラブルが非常に発生しやすくなっておるということで、まさに畜産の健全な発展という意味で緊急な手当てを要するということでの発端でございましたので、そういう点に割と配慮が行われているということはあるかもしれません。
#86
○谷本巍君 これをもう少し突っ込んで申し上げますと、跡取りのいない農家はそういう立派なもの、大きいものをつくられちゃったのを見ちゃって、もうがっかりしているんですよ。それでは逃げ出す人たちがふえますよという話は多いですよ。じゃ、跡取りのある農家はどうかというと、先ほど申し上げたとおりでしょう。やっぱり跡取りの方は体質が変わっています、酪農についての考え方が。そうでなくとも、新制度に移ったら乳価が下がりはしないかという不安感が現地にはあるんです。そういう状況の中にこのふん尿処理の問題が出てきたわけですから、それだけ現地の不安感を少なくするように努めていただきたいということを重ねてひとつお願い申し上げておきたいと存じます。
 それからもう一つ大きな問題は、農家負担がどうなるのかということであります。この辺の点についても大きいところはやっておりますから、大きいところはわかっているんですよ。順番が回ってこない小さいところの皆さんは、あれをやったらどのぐらいの負担になるんでしょうというような不安感があります。でありますから、その辺のところについても、どの程度の規模のものについては大体こんな見当だぐらいの話というのはやっぱり事前に出していただけますというと、これはやっぱり現地がもっと安心感を持った取り組みができるようになると思うのです。その辺のところもお願いをしておきたいのだが、いかがでしょう。
#87
○政府参考人(川村秀三郎君) ただいま御指摘いただきました点は非常に重要な点だと我々も認識してございます。
 まさに適正な規模で適正な予算ででき上がるということが非常に肝心でございまして、過大な装備をいたしますと、またこれが経営を圧迫するという結果にもなりかねませんので、そういう意味で我々としましてもできるだけ情報の収集に努めまして、こういう規模であればこの程度の標準的な処理コストである、この程度の設備が要るというようなガイドライン的なものを早急にまとめまして、指導していきたいということが一点ございます。
 また、農家の皆様も業者主導型で対応するということではなくて、数社から見積もりをとって、どこが一番すぐれておるかということのよく比較考量をしていただいて取っかかっていただくとか、そういうことも含めて、いろいろメーカーにもお願いをしてございますし、指導される立場の都道府県、市町村それから農協といったところにもお願いをしているところでございます。
#88
○谷本巍君 それから、ふん尿処理でもう一つやっぱり難しいのは、畜産主産地というのと耕種農業地帯というのが分離されちゃって非常に距離があるというところの問題なんです。
 この点について役所が考えられておられるいろいろ事業というか対策がありますが、そのことはさておいて、もう一つこの際御検討を願いたいと思うのは、ふん尿処理と関連して、ふん尿を資源として生かすやり方をひとつ考えていただきたい。
 例えば、宮崎県で言いますというと、鶏ふん利用の発電計画が軌道に乗ろうとしております。それからまた、京都の一部地域でありますけれども、酪農のふん尿とおからなどでメタンを発生させてガス化していくというようなことで燃料をつくり出すという取り組みが行われているわけであります。
 こうした取り組みをこれから積極的に進めるべきだと私は思います。それについてはいろいろな助成の問題等々も伴ってくるでありましょうけれども、これはひとつ畜産局でも御検討いただきたい、そう思うのですが、いかがでしょうか。
#89
○政府参考人(川村秀三郎君) ふん尿問題の処理につきましては、いみじくも御指摘がございましたとおり、発生量と需要量とのアンバランスというものがございます。特に、南九州とかいう畜産地帯におきましてアンバランスがございます。
 今、先生からも御指摘がございましたように、宮崎県におきまして鶏ふんを発電に使うという試みがなされて、今、着々と進行中でございます。これにつきまして、我々もちゃんと関与をして一緒にやっておるということでございますので、こういう方向も一つの有効な手法であろうというふうに認識をしておりまして、今後の発展方策というものがいかなるものがあるかということはよく勉強させていただきたいと思います。
#90
○谷本巍君 ありがとうございました。
 それから、乳業合理化問題について伺いたいと存じます。
 酪農近代化方針によりますというと、牛乳・乳製品工場の一大合理化を進めようとしております。乳製品の工場は現在五十五でありますが、平成二十二年には六、七割減らしていくと。飲用乳工場は現状三百五十でありますけれども、これは実に七、八割減らしていくといった計画が示されております。また、もう一つの問題としてはHACCP手法の普及を掲げており、現状、飲用工場に占める割合は四五%でありますが、七割以上にふやしていくといった計画が出されております。
 これを見まして、川村さん、私は消費者運動と対立関係が出てきやしないかということを直感的に思いました。といいますのは、牛乳を経済の産物としてとらえるのか、食物としてとらえるのか、ここのところが私は非常に大事だと思うんです。食物としてとらえますと、それは細菌と細菌数の問題があります。それからまた、牛乳は生き物ですから、生産と消費の距離が短い方がいい、距離が長ければ長いほど牛乳にストレスが起こるといったような問題指摘等々がございます。御存じのように、欧米のオーガニックミルクにしましても生産と消費の距離をどう縮めるかということが大きな課題だというふうに言われているところであります。
 そういう状況の中で、日本の牛乳をめぐる消費者運動を見てみますというと、一つは殺菌、細菌数の問題でも低温殺菌です。それからもう一つは、生産と消費をできるだけ直結していくということでこれまで取り組みが進んでまいりました。一方、HACCP手法が導入されてきますというとどういうことになるのか。これが導入されますというと、資本力のない中小はもちません。地場と結びついた中小メーカー退治ということに結びつきはしないのか、こういう問題が出てまいります。そうなりますと、消費者運動と逆行的状況が生まれはしないのかという心配が出てまいります。
 何といいましても、大臣も言いましたように、基本計画を進める基本は何なのかというと、国民参加型で自給率を引き上げていくということなんです。それだけに、生産と消費ということを結びつけていく上で果たしてこの近代化計画なるものはどうなのかという心配があるのだが、どうお考えになっておるのでしょうか。
#91
○政府参考人(川村秀三郎君) 今の御指摘でございますが、私どもの考え方はすべての乳工場等につきまして一律にこれを適用するという考えではございません。これも日量二トン以上の工場ということで限らせていただいております。
 これは、先生が今おっしゃいましたように、規模が小さくても地産地消、あるいはいろんなさまざまな特色のある付加価値の高い製品をつくっていらっしゃる乳工場、こういうものは確かに地場に根づいてあり得ると思いますし、そういうことはまたさらに進展を図っていただきたいという願いがございます。
 ただ、全国流通とかそういう広域、これはまた非常に合理化が必要でございます。外国との競争という意味でも、そういうところはより合理化の効果を、実効を上げないといけない規模がございます。そういうところについて、我が方として特に合理化の行政対象として目標をつくっておる、こういうことで御理解いただきたいと思います。決してすべてを否定しているわけではございません。
#92
○谷本巍君 メーカーの世界で果たしてそういう平和共存というのが可能なのかどうかという疑問が私にはあるんです。
 HACCP問題でもう一つ申し上げますと、例えば私がお話を伺っておるのは鶏の場合でありますけれども、その方はこう言っておりました。殺虫剤、抗菌剤、消毒剤、抗生物質、まだいっぱいあります、そういう化学物質で徹底消毒をやります。したがって、卵にしましても肉にしましても確かに無菌ではあるが薬剤汚染がひどいと。これがHACCPの生産の実態です。酪農の場合も似たような状況というのがあるのではないか。
 それだけじゃなくて、HACCP手法に移っていきますというと小さいのはつぶれます。でっかいのに集中していきます。これはもう鶏の例で極めて明確であります。生産の方は大型化し、そして工場の方もどうやら大型化しそうだというようなことになったら、これは私はえらいことになっていくんじゃないかと思うんです。つまり、生産の大量生産化、工業生産化、そして行き着く先は食の画一化、工業化というようなことになってきやしないのかというふうに心配するのでありますが、そういう心配はありませんか。
#93
○政府参考人(川村秀三郎君) HACCP手法の問題につきましては、両方の意見があると思います。私どもが掲げました目標については七割ということで、食品であるのでこれは低過ぎるのではないかという御意見がある一方で、今、先生が御指摘のような御意見も確かにあるわけでございます。
 我々としましては、中小規模階層におきましてはこのHACCP手法がすべてではなくて、技術的、コスト的にこの手法によらない衛生管理ということも十分可能かなということも考慮に入れたところでございます。
#94
○谷本巍君 もう時間がなくなりましたから問題点だけ申し上げますが、もう一つの問題としては、無菌化というものは子供を育てる上で丈夫な子供になりません、これがやっぱりお母さん方の経験から割り出された主張なんです。
 そういう問題もあるということをもう一つ申し上げながら、大臣、今聞いていただきましたように、いろいろ問題があります。だから、そういう問題も十分検討願いたいというぐあいに思うんですが、いかがでしょうか。
#95
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 委員の御指摘をいただいた点も十分考えながら、やはりこの近代化の方向については進めていくということが大事だと思います。
#96
○谷本巍君 終わります。
#97
○委員長(若林正俊君) 本件に対する質疑はこの程度といたします。
 小林君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。小林元君。
#98
○小林元君 私は、自由民主党・自由国民会議、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、日本共産党、社会民主党・護憲連合、自由党及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による畜産物価格等に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    畜産物価格等に関する決議(案)
  我が国農業の基幹部門である畜産業は、畜産物の輸入の増大、担い手の減少、高齢化の進行、畜産環境問題の深刻化等極めて厳しい状況にある。
  よって政府は、こうした情勢を踏まえ、平成十二年度畜産物価格の決定及び食料・農業・農村基本計画において、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 我が国畜産業の健全で持続的な発展を期するため、生産者等の創意工夫と自主性をいかし、ゆとりある生産性の高い経営を実現するための総合的な施策を講ずるとともに、消費者のニーズに即した安全で良質な畜産物を安定的に供給するための体制を整備すること。
 二 加工原料乳保証価格については、酪農家が、意欲と誇りを持って安心して営農に取り組めるよう、生乳の再生産の確保を図ることを旨として決定すること。
   また、加工原料乳限度数量については、生乳の生産事情、牛乳・乳製品の需給動向を踏まえて適正に決定すること。
 三 牛肉・豚肉の安定価格及び肉用子牛の保証基準価格等については、再生産の確保を図ることを旨として、生産の実態に十分配慮し、畜産農家の経営の安定に資するよう適正に決定すること。
 四 飼料自給率の向上等を計画的に図るため、自給飼料基盤の強化、生産性・品質の向上、飼料生産の組織化・外部化の推進、日本型放牧の推進等を図るとともに、配合飼料価格安定制度についてその適切な運用を図ること。
 五 地域と経営の実態に応じた家畜排せつ物処理施設の計画的整備が進められるよう畜産環境リース事業の拡充等の支援策を強化するとともに、耕種農業との連携強化によるたい肥利用の促進や生ごみ等地域資源との一体的な処理を図るなど有機性資源の循環的利用を推進すること。
 六 ゆとりある畜産業の実現とその安定的発展に資するため、経営継承対策、負債対策等畜産経営に対する支援措置を講ずるとともに、ヘルパー及びコントラクターの積極的活用等を推進すること。
 七 畜産物の生産・流通過程における衛生管理対策が円滑に運営できるよう措置するとともに、食肉処理施設及び乳業施設の再編整備について地域の実態等を勘案して行うこと。
   また、豚コレラの危機管理体制の確立や新興感染症の水際における防疫対策の推進を図るなど総合的な家畜衛生対策を充実・強化すること。
 八 学校給食への活用等国産畜産物の消費拡大対策を強化するとともに、生クリームやナチュラルチーズ等を含め国内畜産物の生産振興を図るほか、消費者の適切な商品選択に資するよう表示の適正化を推進すること。
   また、バター在庫の縮減のため、各般の施策を講じるとともに、現在チーズとして輸入されているいわゆるハイファット・クリームチーズの関税分類の見直しについて国際的な同意が得られるよう努めること。
 九 WTO農業交渉に当たっては、食料安全保障、農業の多面的機能等についての我が国の主張を堅持し、適切な国境措置と国内支持政策の確保に努めること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#99
○委員長(若林正俊君) ただいま小林君から提出されました決議案を議題とし、採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#100
○委員長(若林正俊君) 全会一致と認めます。よって、小林君提出の決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、玉沢農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。玉沢農林水産大臣。
#101
○国務大臣(玉沢徳一郎君) ただいまの御決議につきましては、その趣旨に従いまして、最近の畜産をめぐる情勢を踏まえつつ、十分検討してまいる所存でございます。
    ─────────────
#102
○委員長(若林正俊君) 次に、農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法を廃止する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。玉沢農林水産大臣。
#103
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法を廃止する法律案につきまして、その提案の理由及び内容を御説明申し上げます。
 農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法は、緊急かつ計画的に行う必要のある農業技術の研究開発を促進するため、生物系特定産業技術研究推進機構の業務に関する特例措置を講じ、もって農業技術の向上を通じて、効率的かつ安定的な農業経営の育成等を図ることを目的として、平成七年に制定されたものであります。
 これまで、この法律に基づき、生物系特定産業技術研究推進機構は、民間の研究開発能力を活用して、生産現場に直結した農業技術の研究開発を推進してまいりましたが、これらの研究開発については、本年度中に所期の成果が得られる見通しとなっております。
 この法律は、平成十二年三月三十一日までに廃止するものとされている時限法であり、また、以上のような研究開発の実施状況にかんがみれば、この法律を規定どおり廃止することが必要と考えられます。
 このため、農業に関する技術の研究開発の促進に関する特別措置法を平成十二年三月三十一日をもって廃止するとともに、この法律の廃止に伴う生物系特定産業技術研究推進機構の業務等に関する経過措置を定めることとし、本法律案を提出した次第であります。
 以上がこの法律案の提案の理由及び内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。
#104
○委員長(若林正俊君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時八分散会
ソース: 国立国会図書館
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