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2000/05/18 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 農林水産委員会 第13号
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2000/05/18 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 農林水産委員会 第13号

#1
第147回国会 農林水産委員会 第13号
平成十二年五月十八日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十六日
    辞任         補欠選任
     岸  宏一君     竹山  裕君
     中川 義雄君     清水嘉与子君
     森下 博之君     阿部 正俊君
     大沢 辰美君     筆坂 秀世君
     須藤美也子君     市田 忠義君
 五月十七日
    辞任         補欠選任
     阿部 正俊君     森下 博之君
     清水嘉与子君     中川 義雄君
     竹山  裕君     岸  宏一君
     市田 忠義君     須藤美也子君
 五月十八日
    辞任         補欠選任
     佐藤 昭郎君     久野 恒一君
     羽田雄一郎君     木俣 佳丈君
     筆坂 秀世君     井上 美代君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         若林 正俊君
    理 事
                岩永 浩美君
                亀谷 博昭君
                小林  元君
                須藤美也子君
                谷本  巍君
    委 員
                金田 勝年君
                岸  宏一君
                久野 恒一君
                鶴保 庸介君
                中川 義雄君
                三浦 一水君
                森下 博之君
                木俣 佳丈君
                藤井 俊男君
                峰崎 直樹君
                渡辺 孝男君
                井上 美代君
                石井 一二君
   国務大臣
       農林水産大臣   玉沢徳一郎君
   政務次官
       農林水産政務次
       官        金田 勝年君
   政府特別補佐人
       公正取引委員会
       委員長      根來 泰周君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山田 榮司君
   政府参考人
       農林水産省畜産
       局長       樋口 久俊君
       農林水産省食品
       流通局長     福島啓史郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
○政府参考人の出席要求に関する件
○加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を
 改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(若林正俊君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十六日、大沢辰美君が委員を辞任され、その補欠として筆坂秀世君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(若林正俊君) 理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(若林正俊君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に須藤美也子君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(若林正俊君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に農林水産省畜産局長樋口久俊君及び同食品流通局長福島啓史郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(若林正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(若林正俊君) 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○中川義雄君 自民党の中川義雄であります。
 きょうは加工乳の問題を質問するつもりで用意しておりましたが、突如として北海道で、しかも私の生まれたすぐそばで口蹄疫ウイルスが発見されたという大きな事件がございまして、とりあえず先にその問題から質問をさせていただきたいと思っております。
 三月二十五日だったと思いますが、宮崎県でこのウイルスが発見されたというニュースで我々も大変びっくりしたわけであります。九十数年来、日本にはもうないと思われたものが日本で発見されたということで、畜産業界そのものが恐れおののいたというような感じでありました。しかし、正直な話を申しますと、宮崎県だったものですから、北海道のような畜産王国とも言われている地域では何となく遠くの話だと、こう思っていたのも事実なんです。しかし、それが北海道、しかも出たところは十勝のど真ん中でございまして、一番酪農畜産の盛んなところであります。御承知のように、出たところの半径十キロ以内に約二万頭の牛が飼われているというような地域でございますから、これはまさに大変な驚きであったわけです。
 十一日に発見されて、十三日にこれが疑似感染ではなくて真性感染だという判断をされたその日にちょうど私自身もその地域に行っておりましたが、それは大変な騒ぎでありました。しかも、発見された農家が牛を七百五頭飼育しているというような大変大きな農家であったものですから、例えば処分一つ考えてももう途方もない大きな問題であります。私自身も、これは大変だ、取り扱いを間違うと、御承知のように北海道の場合、四割以上を酪農畜産が生産額を占めていますから、これで大変なことになると北海道全体が大きな問題になるということで、今日まで事態を見てまいりましたわけです。
 しかし、たしか今月の初めごろに宮崎の問題は大体解決して、もうこれ以上累は及ばないという安全宣言みたいなものが出されて間もない事態でありましたものが、結果を見ましたら、どうも、あれだけ農林省ばかりじゃなくて国を挙げて感染ルートを探っていたにもかかわらず、感染ルートがはっきりしないままで終結して、そして北海道へ飛んだわけですから、まずこの感染ルートに私は大きな注目をしなければならないということで、私自身もいろいろと勉強をさせていただきました。
 まずはっきりしたことは、これは発表されておりますが、今回宮崎で発見されたウイルスと北海道で発見されたウイルスは全く同一のものである。染色体の並び方その他から見て全く同列のものであるということが発表されておりますが、これまでいわゆる口蹄疫ウイルスというのは世界じゅうで何種類ぐらい発見されたのか。そして、今回日本の二つの地区で発見されたウイルスは同一のものであるが、これと同一または類似したウイルスが日本以外でどこでいつ発見された、そういう事実があるのかないのか、まずその点を明らかにしていただきたいと思います。
#9
○政府参考人(樋口久俊君) 口蹄疫のウイルスについてお答えを申し上げます。
 口蹄疫のウイルスは、血清学的に大きく七種類に分けられると言われておりまして、その中で、やや細かくて恐縮ですが、A、O、Cとかいろんな型の名前がついておりますけれども、今回分離をされましたウイルスはO型という分類に仕分けをされるということになっております。
 また、世界各地で分離されましたウイルスは、お話ございましたように遺伝子の塩基配列によってさらに細かく分類整理がされておりまして、現在六十種といいますか六十以上のサブタイプといいますか、そういうものがあると言われているところでございます。
 今回我が国で分離をされました口蹄疫のウイルスは、これまでアジアの地域で分離をされたウイルスと類似の塩基の配列を持っていると言われておりますけれども、完全には一致をいたしておりませんで、一つのサブタイプといいますかそういうものに分離をされまして、命名もO―JPN二〇〇〇と命名されているということで、お話ございましたが、ほかのものとは違うタイプに扱われているということでございます。
#10
○中川義雄君 アジアのどこかの地域で全く同一種類のものが発見されたということになると、これはある程度感染ルートを解明するためには、点と点がわかりますから、その点と点との間にどういうキャリアが動いたのか、例えばえさだとか稲わらだとかそういうものが動いたのかということからある程度逆推できるわけですけれども、今のお話では類似のものがある、七種類ぐらいに多く分けたうちのOタイプであって、それはアジアに多いということになるから、これははっきりした地点は出すことはできないが、何となくアジアから入ってきた可能性があるというふうに類推できると思うんです。
 そういうことで、今回のは、私自身全く素人ですからいろんな書物を読んでみますと、このウイルスはあるとき若干変化していく、常に変化していくんだということを考えますと、アジアのOタイプのものが日本へ入ってくるまでの間にある程度構造的に変化して日本型の新たな種類になったというふうに類推してよろしいと思うんです。そうすると、アジアと宮崎県、宮崎県と十勝、またはアジアと宮崎県、アジアと十勝との間でキャリアが動いた、そのウイルスを持ったものが移動したというふうに類推しなければなりません。
 しかし、これも農林省の発表を聞きますと、これまでいろいろと精査してきたが、宮崎県のものと今回の北海道のものとではウイルスは同じだがキャリアには共通性がないんだと。稲わらだとかえさだとか人の接触だとか、もちろん二千キロも離れていますから、人の接触でそれが感染したなんということになったらその間に日本じゅうにばらまくことになりますからそんなことは考えられません。空気感染も考えられません。そうすると、まず宮崎と十勝を直接結ぶルートというものは考えなくてもいいんですね。ちょっとその点だけ確認させていただきたいと思います。
#11
○政府参考人(樋口久俊君) お話ございましたように、宮崎の口蹄疫とそれから今回北海道で発生しました口蹄疫の間で、私どもが得ております情報といいますか材料といいますかからいたしますと、ウイルスが共通ということが現在つかんでおります情報でございまして、これ以外に両者の関係を示す情報は得られておりません。
 当然、原因究明に向けていろいろ情報の収集、分析に取り組んでいかないといけないと思いますが、お話ございましたので、あえてそういう関係に言及するといたしますと、輸入された粗飼料というものが共通をいたしておりますので、これがかかわっている可能性を念頭に置いて対応しないといけないんじゃないかなというふうに考えているところでございます。
#12
○中川義雄君 今、局長さんがお答えになったことで、私はもう一回ちゃんと確認しなければならないのは、宮崎の当該農家、当該地域でもアジアからの輸入粗飼料などを使っていた。そして、この当該農家もアジアからの輸入粗飼料を使っている。しかし、よく調べてみたら全く違うもので、ルートも違うものだということがわかったわけです。
 そうするとますます混乱してきて、そこで予想される恐ろしいことは、まだ国内のどこかの地域にこれが入ってくる可能性があると類推もされるわけです。そうすると、これは畜産業界ばかりじゃなくて、何となく薄気味の悪い、どこかで解消したと思ってもまたどこかに発生する可能性があるということになれば、せっかくの今回の二つの貴重な例が、感染ルートを解明するための手段としてはかえって難しくなってきたと考えられます。
 しかし、何としても感染ルートだけは断たなければ将来大変なことになってしまうから、断つためにも感染ルートの解明というのが必要であります。そしてまた、輸入飼料その他を何ぼ押さえても、これは港の数の多さ、流通の複雑さその他を考えますと簡単には解決できないものではないかと思うんです。
 そういうことで、まずは感染ルートを解明するために、今回十勝で発見されたものも宮崎とある程度の類似性を考えて検体を集めた、四百何個かから集めた検体の一つがあらわれたんですが、この検体はこれまで調べた検体だけでいいのかどうか、もっと検体を広げて十分な調査をした方がいいのか。これはまだ農林省としては検討中かもしれませんけれども、その点についての見通しがあれば、そしてまた感染ルートを解明するために今後はどんなやり方をするのかも含めて局長の見解をお伺いしたいと思います。
#13
○政府参考人(樋口久俊君) 原因究明のためにいろんな調査をやるわけでございますが、宮崎でやりました事例で若干御紹介いたしますと、やり方でございますが、まず発生農場と導入されました導入元といいますか、そういうところとの関係が一つございます。それから近隣のものがどうなっているか、それから給与されているえさがどうなっているか、そういういわば疫学的な調査から着手をするわけでございます。たまたま今回の北海道で確認をされましたものも、宮崎に関連して輸入粗飼料を輸入しているところを調査して、その調査対象の中からこれが確認されたということでございます。
 北海道につきましても、本別町で確認されました農家で、先ほどお話ししましたようにまずは疫学的な調査から着手をしていって、その中で得られた情報に基づいて、例えば宮崎でありましたように全国を対象に、またその対象範囲をきちっと整理をしながら検査、確認をしていくという作業が考えられるというところでございます。
 今着手していますのは、まずは疫学的な部分、とりあえず本別町の畜産農家と何らかのかかわりがあるところを中心に、そこから広げていくという調査を行っているところでございまして、その調査の過程でわかりました材料に基づきまして必要な検査は当然やらないといけないと思っております。
#14
○中川義雄君 そういう点で、北海道庁なども重大な関心を持って当該農家が輸入粗飼料をどこからどうやって購入したかということを非常に解明しているんです。
 それで、聞いた話なんですけれども、何せ農家が動揺しているものですからなかなか話したがらないというような中で、それでも相当粘り強く現地の組合長さんだとか周りの人たちの協力も得てある程度聞いたんだそうです。しかし、それでも本当のことを言うとわからない部分がまだあると。これもまた困った話なんです。
 共通して言えることは、苫小牧から入っているということであります。苫小牧港から陸揚げされて入っている。ところが、御承知のように、宮崎で起きたときに、日本じゅうにいろんな粗飼料が入ってくるものですから、我が党の部会などでも問題になって、たしかあれは横浜港だったと思いますけれども、横浜港できちっとした施設のあるところだけで窓口を一本化して、そこで入れる場合は完全に薫蒸その他をして安全であることを確かめてから入れる、そういう処置をとったと言われているんですが、それはいつごろから横浜港だけにしたのか、それがもしわかっていたらちょっと教えていただきたい。
 というのは、これもなかなか難しいんですけれども、一つの稲わらだけは日にちがはっきりしたんです。平成十一年十二月三日に苫小牧へ入った品物であるということがわかったそうであります。しかし、もう一つのある種のもの、これは聞くところによりますとサトウキビの葉っぱなどをインドネシアあたりのサトウキビ産地で集めてきて、それを輸入しているんだそうですが、それについてはちょっとわからない。ルートをたどっていっても、苫小牧港に入ったことは間違いないんですけれども、道庁が調べてもいつごろ入ったかということさえ解明されていないということなものですから、これはこれとしまして、全国にあるいろんな港ではなくて横浜港だけを陸揚げ港に指定したのはいつからかだけは明らかにしていただきたいと思います。
#15
○政府参考人(樋口久俊君) お話ございましたように、輸入粗飼料、特に稲わら、麦わらを中心にその可能性を否定できないという心証を持っていたわけでございまして、三月三十日以降、口蹄疫の清浄国以外から参ります稲わら等に対しまして、家畜防疫官が検査をする、それで必要な消毒等を実施するということをしたわけでございます。
 お話ありましたように、すべての港にそういう施設はございませんので、横浜港というのは代表的な事例としてお話があったわけでございまして、現在、我が国では三つの港にそういう施設がございますので、そこで所要の措置をとるということにしておりまして、三月三十日以降入ってきたものについてはそういう措置がとられております。
 なお、それ以前にも当然参っておりますので、それについては飼料とか敷料には使わないようにということで全国の関係の皆さんに通知をしたところでございます。
#16
○中川義雄君 関係の皆さんに通知したのはわかるんですけれども、それが実効性があるものかどうかということが、今回私も調査してみて、複雑な流通系統の中に、特に畜産というのは畜産そのものの流通形態も系統ばかりじゃなくていわゆる民間の流通も非常にあって、その民間の流通と、またいろんな資金やえさでもいろいろ絡み合っているというのが実態のようでした。私も調べて初めてわかったんですが。
 ですから、そういうことを通知してそれが完全に実施されるようにこれは何とかしっかりしたやり方をしていただきたい、これはここで言っても仕方がありませんけれども、要望であります。
 次に、私も行ってびっくりしたんですけれども、法律に基づいて七百五頭を完全に処分してしまわなければならない。これは七百キロからある牛でありますから、それを七百五頭処分するといったら大変なことでなかったか。
 最初、私はすぐ家畜保健所の所長さんに電話をかけて、どうやってやるんですかと言ったら、まず獣医師の協力を得て何とか法に基づいてやりたいという決意だけはあるが、大変ですという話なんです。
 ところが、十三日に現地に行ったら、農協の組合長も参事も町長も参ったのは、これは獣医さんの問題でない、特に牧夫、牛を扱う人、牛の扱いになれた人を集めることが大変だと。というのは、牛舎にいて牛も異常に気がついて非常に興奮している。それを一頭一頭なだめながら所定の場所まで持っていくだけで大変だと。牛を扱いなれた人でなければならない。しかし、これは集めてもみんな嫌がって、というのは当然なんです。牧夫というのは、牛を扱っている人たちというのは殺すために扱っているのではないんです。大事に大事に育てて、そして乳を生んでもらったり商品として出すだけ、そういう仕事しかしたことのない人です。
 ちょうど行ったときには雨が降っておりました。そぼ降る雨の中で、四メートル幅の四メートルの深さの堀を掘って何十メートルと続けるんです。それを四本、五本並べぬと七百数頭というのは処分できないんだそうです。しかも、睡眠薬か何かを注射して眠らせてやるんだそうですけれども、移動している最中にそれが突然生き返ってくる。それはもう恐ろしい地獄を見るような作業であると。当然だと思うんです。それで、なかなかこれは大変で一日や二日ですぐやれというふうに命令されてもできないということです。
 私自身も、これは大変だということで、ちょうど十勝の音更町には昔の国の管理した家畜改良センターというかなり大きな施設があって、今は特殊法人になりましたが、それは農林省の指導でそこにいる牧夫、家畜を扱いなれた国家公務員の方々がいますから、その人を派遣していただきたいと。それから、新得という町には道立の畜産試験場がありますから、道庁にもすぐ頼んで、そこから牛になれた人を派遣していただけないだろうか、これは命令していただきたいと。そうでないと、なかなか処分するのは大変なんです。
 しかし、大変なのは当該農家でありまして、降ってわいたような被害であります。しかもすぐ七百五頭を処分しなさいと。そして、国がある程度補償することになっていますが、原価の八割です、法律に基づいて補償されるのは。二割は農家のそのまま被害になるんです。
 しかも、現行の法律では処分する費用の二分の一は農家が負担せぬとならない。これだけ被害を受けてショックを受けているときに、すぐ処分する、費用は農家に二分の一持てという現行制度なんです。これは町長さんが、そんなことを農家は知らない、だからおまえのところ二分の一負担しろなどと言えない、当然。だから、今は町が責任を持って費用を出してやっているんだという話なんです。
 そこで、何とかこういう制度に温かい行政、国、道、町村も、ただ町村だけの責任にしないで何かの形で援助すべきではないかと思いますが、現行法律ではどうなりますか、局長。
#17
○政府参考人(樋口久俊君) 現在の仕組みについて御説明を申し上げます。
 口蹄疫の患畜とか疑似患畜が発生しましたときにその処分をしないといけないということになるわけでございますが、その処分等にかかります費用につきましては、家畜伝染病予防法という法律に、いろんな経費ごとに国と地方公共団体、それからお話ございました家畜の所有者との間で負担割合が事細かに明文で規定をされております。
 お話ございました埋却の経費につきましては、二分の一を国が交付するということで、残りの二分の一については家畜所有者の負担になるということに規定の上ではされております。ただ、その軽減を図るという観点から、この措置が地域における蔓延防止のための措置の一環であるということもございますので、地方自治体からも支援をしていただくということがあれば大変それは望ましいことではないかと考えております。
#18
○中川義雄君 要するに、今回の問題は酪農家だとか畜産農家の責任でないと思うんです、これは。全く被害者だと思うんです、その人は。しかも、これはいつつくった法律か知りませんが、相当昔の法律だと思うんです。口蹄疫なんというのはもう九十年も何十年も出たことがないわけですから。
 ですから、昔は牛を個人で飼ってもせいぜい五頭だとか十頭だと思うんです。今、十勝では個人でも一番多いのは五、六千頭飼っている農家もあるんです。五、六千頭、個人農家で。もしそんなところへ波及して五、六千頭を農家に全部処分しろ、その費用を二分の一負担しろ、八割の原価しか補償しないとなったら、これはもう首をつらぬとならないような状態だと思うんです。
 だから、現行の制度に合わない法制度だと思うんです、個人に二分の一負担を強いるなんというのは。しかも、それは公益のためなんです。個人のためにやるんじゃないんです。当該農家には何にもならない話です、全部ゼロになってしまうわけですから。ゼロにして犠牲を払って、周りに伝染しないようにする処置のために個人が負担する制度というのは、私はいい制度ではない、もっと言うと悪法だと、それはもう何十年も前ですからね。
 ですから、これは大臣の責任においてこの法の内容だけは改正していただくことを当面やっていただきたいし、当該農家に対する費用負担の軽減、ある地域の町だけに負担させないでやるという意味で、これは法律でそうなっていますから簡単にはできないことかもしれませんけれども、大臣の決意次第によっては費用の分散だとか何かできると思いますので、その点、大臣の御決意を伺いたいと思います。
#19
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今、委員からいろいろと御指摘をいただいたわけでございますが、現行制度のもとにおきまして今対応をいたしておるわけでございます。
 それで、今回得られた経験をもとにしまして、今後における侵入防止のための措置、発生時の防疫体制、原因究明のための調査等について現行制度を見直す必要があるのではないかと考えておるところでございます。
 現時点ではまだ口蹄疫の終息を見ておりませんので具体的には申し上げられる段階ではありませんが、今般の口蹄疫の発生とその後の経緯を踏まえて、国、県、団体、生産者など、それぞれの課題等を整理することといたしております。その結果、必要があれば次の通常国会までに家畜伝染病予防法改正案を提出できるよう検討していきたいと考えておるところでございます。
#20
○中川義雄君 次回の国会までという決意はわかるんですけれども、大臣、確認だけさせてください。個人負担という制度だけは、これだけは大臣の責任で、そんなものは次に提案するときはなくするということだけ一言入れていただきたいと思います。
#21
○国務大臣(玉沢徳一郎君) これは法律の趣旨もそうでございますけれども、殺処分をされましたものに対しましては国が補償することになっております。しかし、埋却をするということについては国が二分の一ということになっておるわけですが、生産者が二分の一という趣旨は、これはやはり原因者負担という考えがあるわけでございます。
 それを、二分の一すべてを農家に、生産者に負担させるかどうかということについては、これはやはり制度上の考え方をもとにしまして今後ちょっと検討させていただきたい、このように思います。
#22
○中川義雄君 大臣、ちょっとくどいようですけれども、原因者負担というのは、何か隣にいらっしゃる公務員の皆さん方が何か原因者と、まるで当該農家が原因者で悪いような、そんなものではないと思うんです。
 この口蹄疫という問題、しかも外国から入ってきたことだけは、もう九十年、百年と出ていなかったわけですから外国から入ってきたことだけは間違いない事実なんです。外国から入ってきた原因を解明できない中で、まるで原因者みたいなことを、大臣、これはとても私は地元へ行ってそんなことは言えないですよ、口が裂けても、国会議員として。ここにいらっしゃる皆さん方、全部同じだと思うんです。
 ですから、立法機関にいる国会議員はだれもこれに反対はしませんから、あとは大臣の決意で法案をつくるかつくらないかだけですから、これはもう隣近所と相談しないで、大臣、やるんだという一言を。
#23
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 確かに委員のおっしゃるところもよくわかります。
 しかし、全額すべて国が負担する、こういうことになると、これは病気を起こしても全額負担だと、こういう趣旨になるわけでございますから、やはりこれはきちっと今後もこういうことを起こさないという趣旨を込めてお互いがそれに対応する、こういう趣旨もございまして、法律の中におきましては埋却処分の問題については半額という形になっておるわけでありますけれども、その法律の趣旨というものも私は決して無にしてはならぬと思うわけでございまして、すべて全額ということについては私は賛成しかねる、こう思います。
 しかし、負担のあり方については検討をする必要はあるかと思います。
#24
○中川義雄君 ちょっと時間がなくなるので、これは我々国会議員も重大な関心を持って、委員長、この問題については処理していただきたい。
 これは中身によりますよ、本当にその農家が何か手を抜いたことによって発症したものと口蹄疫とを何もかも同じにして、これは発生者責任を追及するんだと。私はこの場合、何も国だけで全部持ちなさいということじゃなくて、これは地方公共団体だとか生産者団体だとかみんなが、しかも一番大きな問題はこれを広げちゃいけないという精神が一番大きいんですよ、処分するというのは。ですから物すごく公益的な事業なんですよ。そのことも考えて善処していきたい、こう思っております。これは国会議員の責務でもあると考えておりますから、その点だけはよろしくお願いしたいと思う。
 それからもう一つ、先ほども冒頭言いましたが、北海道では農業粗生産額で一兆一千億ぐらいになります。これは北海道の経済にとっては大変な大きなウエートを占めているわけです。そのうち酪農、畜産業が北海道は四千六百億円を占めております。ですから、四二%ぐらい占めているわけですから、大変な大きなウエートであります。
 今、北海道の酪農家も農家も二つの面から心配しているんです。一つは、風評被害によって需要が減少して、有名な十勝牛の返品があったとか牛乳まで返品があったとかという、これはもう全部風評被害。人には全然影響を与えないものであるにもかかわらず、そう言われていてもそうなってきているわけです。しかし、この風評被害がなかなかおさまらないんです。風評被害がおさまらない要因はたくさんあると思うんです。
 ところが、私は今回、もう時間がないから明らかにしますが、びっくりしたのは、農水省も厚生省もこれは人には絶対感染しない、大丈夫ですといって通達その他を出してくれているんです。ありがたいんですが、これがさっぱりきかないんです。
 なぜかというと、辞典を調べてみた、主な大きな辞典、日本を代表するような辞典。「人間に感染する」、これは小学館の辞典であります。それから日本国語大辞典も「人間に感染する」。それから大辞泉も「人間に感染する」。三省堂の大辞林、これも有名なものですが、「人間に感染する」と書いてある。それから岩波の広辞苑も「人にも感染する」とある。それから世界大百科事典も「ヒトにも感染する」となっている。感染しないと書いているのは二例だけであります、二例だけ。この二例というのは全くの専門書でして、獣医さんしか読まないようなものにはさすがに感染しないとある。
 一般庶民は、口蹄疫が出たとなったら、大臣、通達なんか見ませんよ。農林省、厚生省の通達なんか全然見ない。あれ、口蹄疫って一体何だろうかといって百科事典か辞典を開くわけです。辞典を開いたらみんな人間に感染するというんですから、これでは何ぼ風評被害を阻止しようとしたってできっこないんです。これは数が違う。
 一般の人は、やっぱりこれだけの立派な辞典に書いてあれば、それを信じるのは当然だと思うんです。これをこのまま放置しておいたというのは、宮崎で起きてから今日までこの問題を放置しておいたというのは、私個人が気がついている問題を放置しておいた、これは重大だといって大臣が記者会見でもして、こんな辞典の状態になっていることが大変だというようなことを記者会見してニュースで発表する以外に当面これを阻止することはできないと思うんですが、もう時間がありませんからこれが最後の質問になりますが、大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#25
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 私は、記者会見に際しましては、口蹄疫は人間に感染することはないということを明示しておるわけであります。風評被害の対策につきましては、関係者に対しまして正確な情報を提供することが最も重要であると考えております。
 人間に感染するかしないか、今の辞典の書き方は簡単に感染するような書き方であるわけでありますから、やはりこういうことについては正確な情報をそれぞれのところにしっかりと送って、記述を直してもらうというようなことも当然なすべきことではないか、こう思います。
 また、今まで宮崎県等に生じたわけでございますけれども、そういう場合におきましても、口蹄疫の発生に際しましては、生産者及び生産者団体に通知を発出し、現在流通している食肉、牛乳等については安全性に問題がないことから、風評被害が生じないよう、生産、流通関係者及び消費者等に周知を図るとともに、みずから風評被害を引き起こすことのないよう注意を喚起してやってきたところでございまして、北海道においても全く同じような措置をとっておるところでございます。
    ─────────────
#26
○委員長(若林正俊君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、羽田雄一郎君が委員を辞任され、その補欠として木俣佳丈君が選任されました。
    ─────────────
#27
○藤井俊男君 民主党・新緑風会の藤井俊男でございます。
 まず、私は北海道庁発注の農業土木事業をめぐる入札談合事件でお聞きしてまいりたいと思います。
 きょうはお忙しい中、根來公正取引委員会委員長にもお越しいただきましてまことにありがとうございます。
 公正取引委員会は、十五日、道内の土木・測量設計会社二百九十七社に対しまして独占禁止法違反で排除勧告をしたということが大きく報道されているところでございます。これについて、まず事実関係についてお聞かせを賜りたいと思います。
#28
○政府特別補佐人(根來泰周君) ただいまお尋ねの件でございますが、昨年の十月二十日と十二月二十一日の両日にわたりまして、私ども委員会が上川支庁関係の問題のところに立入検査をいたしまして、先ほどお話がありましたことしの五月十五日、建設業者二百三名及び測量業者九十四名らが共同して、上川支庁が指名競争入札等の方法により発注する農業土木工事及びこれに伴う測量設計業務について受注予定者を決定し、受注予定者が受注できるようにしていた行為が認められたということで、お話しのように、これらの行為は独占禁止法第三条不当な取引制限の禁止、俗に言う談合でございますが、の規定に違反するものとして勧告をいたしたところでございます。
#29
○藤井俊男君 ただいま報告を承ったわけでありますけれども、今回の談合事件は二百九十七社を排除勧告したということで、官主導の組織的な談合を認定したということで、極めて異例だということで前代未聞であると思います。
 私は初めて聞く言葉でございますけれども、この官製談合、大きく報道されておるわけでございますけれども、この意味合いはどういうふうに受けとめればよろしいんでしょうか。
#30
○政府特別補佐人(根來泰周君) 先ほどのお話ではございませんが、官製談合というのは字引に載っていないと思いますけれども、これは一つのマスコミ用語といいますか、そういうものでございまして、その内容は、発注者が国または地方団体である場合に、発注者の意向を受けましてその入札者あるいは入札予定者が発注者の意向に沿うように行動して、ただいま申しました第三条違反の行為を犯しているものを俗に官製談合、こういうふうに言っているのだと私どもは理解しております。
#31
○藤井俊男君 官製談合というのはマスコミ用語であるということでありますが、まさにこれは政官業、三位一体の談合事件であるととらえていいのかなと私は思っておりますが、北海道庁談合事件で、有力な国会議員や道議会議員に対して、ただいまも委員長からもありましたけれども、支援状況を配慮した中での談合、こういう中で、一部には、親密度一覧表を作成して、これに基づいて結局受注調整をしたことが公正取引委員会の調査で明らかになったと報道もございますので、この口ききリストみたいなものも大きく報道されているんですけれども、これらの関係については事実はどうなのか、これもあわせて承りたいと思います。
#32
○政府特別補佐人(根來泰周君) せっかくのお尋ねでございますけれども、どういう資料が私どもの手元にあるかということは従来から外部には秘匿しているところでございます。さらに進みまして、こういう談合について、もちろんおっしゃるようにけしからぬ話でございますけれども、横からいろいろ陳情があったということが仮にありましても、この独占禁止法違反案件について、その要件外といいますか関心外の話でございますので、私ども、その辺について公の席で申し上げることはできないのでございます。そういう点は、ひとつ十分御了解いただきたいと思います。
#33
○藤井俊男君 これは地元の方々が、国会議員さん初め、そしてまた道議会議員さんが非常にこの農業土木について関心を持たれていたものと思いますが、大きく報道されておるには、元の北海道開発庁長官あるいは農林大臣をやった方も含まれている、こういうことになっているわけでございまして、私はこの点非常に重視をいたしております。受注希望者の親密度や業者ごとの年間落札予定額が書かれていたとも大きく報道されているわけでありますが、この辺については公正取引委員会は事実関係も掌握しておるんですか。
#34
○政府特別補佐人(根來泰周君) ただいまお話のありました件でございますけれども、どういう仕組みでどんな取引制限を行ったか、いわゆる談合を行ったかということは十分解明しているわけでございます。
 一つは、発注者側、これは地方団体側でございますけれども、各事業者ごとの年間受注目標額を設定し、この目標額をおおむね達成できるようにするために、入札前に受注業者に関する意向が業界団体の幹部職員を経由して入札参加業者に示されまして、その意向に基づいて入札予定者が決められていたということで物事が進んでいたわけでございます。
 これはすなわち独占禁止法の第三条の不当な取引制限に当たるということで勧告したわけでございます。ただ、これにまつわるいろいろの、平たく言うと陳情行為とかあるいはいろいろのお願い行為があるいはあったやもしれませんけれども、この第三条の事件について解明するのはただいま申し上げたことで十分でございますので、その十分な点だけ我々は調査して勧告をしたわけでございます。
#35
○藤井俊男君 改善を文書で要請したということでありますが、これは文書要請ということで報道されておるわけでございますが、この辺については事実ですか。
#36
○政府特別補佐人(根來泰周君) 談合行為といいますか、これは一般的に申しますと、民間の場合もありますし、国または地方公共団体の場合もあるわけでございます。
 一つは、最近は非常にそういう発注団体、発注者が自覚していただきまして、いろいろ問題があると私どもに通報していただけるという一つの範疇がございます。それからもう一つは、もう少し発注側が注意してくれればこういう談合が未然に防げたのにというような事案がございます。今度はさらに進んで、今回のように発注者側がいろいろの仕組みをつくって、それを入札予定者に提示して、入札予定者が自分の利益にかなうということでそれに乗っかって入札するというような形があるわけでございます。
 最後に申し上げた件は、むしろ発注者側が、汚い言葉を使うとけしからぬという話でございまして、この場合、特定のお役所を挙げて恐縮ですけれども、北海道庁側がこういう形の仕組みをつくるということはまことに遺憾であるということで、私ども北海道庁の方に、今後こういうことのないように十分配慮してくれという要請書を出しております。そのほかの事業者団体にも一部出しておりますけれども、主として北海道庁側にそういう要請書を出しております。
#37
○藤井俊男君 ただいま委員長からもお話ありましたけれども、非常に公正取引委員会がこの談合事件について重視をして大変な取り組みをしたわけでありますが、そういった中で、「問えぬ発注者の責任 独禁法に限界」ということでも大きく報道されているところでございます。
 発注者に対する文書要請ということになりますと、法的な拘束力がなく、実質的にはお願いベースだと。公正取引委員会の委員長さんも、ここにコメントが出ているんですが、根來委員長も「今年一月、記者の質問を受けて要請行為について触れ、「どれだけ実効性があるか……。こっちが気休めにやっているような話だ」と自ちょう気味に語った。」と、こういうことでことしの一月に記者の質問に委員長さんが答えられているわけでございます。
 この辺について、どうも意味深長は理解いたすところでございますけれども、「問えぬ発注者の責任」ということになりますと、独禁法の限界がありはしないかということで私も懸念をいたすところでありますが、道庁は談合を主導する黒幕でずっといろいろな形で裏付けるものがあるわけですけれども、責任の追及がどうもいまいちだということも言えると思うんです。
 これらについて、金額的に見ますと、もう三年半ぐらいになりますけれども、談合総額が六百十億円に達していると、非常に膨大な金額であるわけでございますけれども、そういった中での独禁法に対する限界、この辺のコメントについて委員長から所見を伺いたいと思います。
#38
○政府特別補佐人(根來泰周君) 今回の具体的な案件に即して申しますと、今回は勧告を受けた業者も非常に多い。これは勧告を応諾するかどうかというのはまだ作業が残っておるわけでございますが、多いということ。あるいは北海道庁が主導的にこの談合の旗振りをしておったということで、北海道庁の方も大変恐縮されまして、私どもが要請文を出す前から、二度とこういうことをしないということで知事名義でも文書をいただいておりますし、また知事の記者会見でもそういうことを繰り返して申されているわけでございまして、私どもの要請書は決して空振りだったとは思っていないわけでございます。これは具体的な事案に即した感触でございます。
 一般的に申しますと、こういう発注者に対して処分をするということは今の法律は予定していないところであります。といいますのは、各要件を見ましても、「事業者は」とか「事業者団体は」というふうに主語が決まっておりますので、発注者は事業者でもないし事業者団体でもないわけでございますので、これに対して独占禁止法の処分は及ばないということになっているのでございます。
 しかし、発注者がこういう談合に関与しているときには、私どもも法律ではそういうふうに白地になっているから見過ごすというわけにいきませんので、これは要請書ということで、これはお願いベースというとそういうことになりますけれども、二度とこういうことを起こさないように監督を十分してちょうだいよということで要請書を出しているわけでございます。
 しかし、この要請書はある意味では空振りに終わることもあるわけでございますので、今後こういう発注者に対してどういうふうに法律上の規定をきっちりしていくかということは、これはなかなか難しい問題でございますが、その検討は私どもに課せられた大きな問題であろうと思います。
 ただ、刑事事件になりますと、これは個々の人間が幇助犯あるいは教唆犯ということで刑事事件の対象になるわけでございまして、そういう刑事事件として幇助犯あるいは教唆犯ということで取り上げられて処罰を受けた事例は、多くはございませんが、過去に事例としてはございます。
#39
○藤井俊男君 今回の事件を振り返りますと、やっぱり独禁法の関係で限界という声もございますので、法改正に向けた検討も必要なのかなと、こんな気もいたすわけでございますけれども、せめてこの六百十億円に対する課徴金については課せるわけですね。この辺について。
#40
○政府特別補佐人(根來泰周君) 先ほど申しましたように、本件は勧告をした段階でございまして、この勧告について当事者に異議がなければ応諾ということに相なります。応諾になりますと、私どもの方はその応諾どおりの審決をするわけでございますが、そういう審決が終わった後で課徴金という問題が起こってまいります。もちろん課徴金はすべての業者にかかるというわけではなくて、例えば課徴金額が五十万円以下の場合は課さないというようにいろいろございますけれども、基本的には委員が御指摘ありましたように課徴金の納付命令を出す、こういうことに相なります。
#41
○藤井俊男君 そこで、私は、一連の事件につきまして、これは国の補助事業をめぐる問題だと受けとめておるところであります。農政不信にこのことはつながるのではないかと思います。
 農業基本法を策定されて、大臣がいつもおっしゃっているように、農業の多面的機能ということで大上段で取り組んでおりますけれども、そういったものを発揮させるためにも、国民の理解と協力のもとに農政を発展させるという矢先です、この辺について大臣はどう受けとめますか。
#42
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今回の公正取引委員会が北海道に対しましてとった措置、このような事態は農業農村整備事業の補助事業にかかわる予算の適正な執行の観点から極めて遺憾であると存じます。
 このため、農林水産省としましては、補助金を交付する立場から、十五日、構造改善局長より北海道副知事に対して遺憾の意を伝えるとともに、改善措置についての早急な報告を求めたところであります。
 なお、農林水産省としましては、排除勧告がなされた業者に対し、工事請負契約指名停止等措置要領に基づき、北海道における直轄事業について指名停止を行うこととなります。そうした措置を通じまして改善をしていく、こういう考えであります。
#43
○藤井俊男君 先日も農産園芸局の調査官が、出向者でしたけれども逮捕されるという事件がありましたので、この関係についてはぜひ実態を把握して万全な措置をひとつお願いしたいと要望させていただきたいと思います。
 次に、公正取引委員会の委員長がおいでになっておりますので、私は、先日の四月十八日、ちょうど一カ月前になりますけれども、水産庁をめぐる船舶燃料の入札談合事件を取り上げさせていただきましたけれども、この談合事件についてのその後の取り組みをちょっとお聞かせ賜ればと思うんですが。
#44
○政府特別補佐人(根來泰周君) 前にお尋ねございましたときに御報告しましたように、どういう事件をやっているかということは基本的には申し上げないことになっておりますけれども、既に新聞で報道されておりますので、私どもはその報道を否定するわけではございません。そのとおりだということでございます。
 それを前提としてお答えいたしますと、まだ一カ月でございますから、なかなか調査が完成といいますか終わりに近づいていないんではないかというふうに私は観測しております。いずれにせよ、こういう談合事件というのは当事者の協力とかいろいろ、刑事事件のように裁判所の令状を持っていって逮捕してくるというように簡単にまいりませんので、なかなか時間がかかるということをひとつ十分御了解いただきたい、こういうふうに思います。
#45
○藤井俊男君 終結はいつになるかちょっとあれですが、先般は中間報告ということで私は承ったわけでありますけれども、こういう事件がいっぱいあるということで先般の私の質疑の中でも委員長は述べておりますけれども、ぜひこれらの関係についても、公正取引委員会は各地でいろんな形で取り組みをいたしておりますので、目を光らせて委員長さんを中心に頑張っていただければと思います。要望にかえさせていただきます。
 それでは、委員長さん、忙しいようですから結構でございます。どうもありがとうございました。
 先ほど中川先生から今大きな問題となっております口蹄疫の関係で質問がございましたけれども、特に中川先生は地元ということで非常に熱のこもったお話をされまして、胸が痛むと、こういうことも私は感じます。
 そこで、感染ルートを非常に訴えておりましたけれども、それを断つことが必要だということでやっておりましたけれども、私は違う視点からこの口蹄疫について見たいと思っております。
 これは、宮崎県で三月に発生しまして、これについてはお話がありましたように終息をしたということをお聞きしていたわけでございますけれども、先日大臣から、五月十六日、これら北海道における発生事件ということで報告を承ったところでございます。
 その報告の中で、感染経路がわからない、不明だということが一番気がかりになっております。中川先生からも監視の関係に非常に触れられまして、局長からも調査、そしてまた情報をもとにやっておるということで、輸入粗飼料の関係に触れられております。私は、こういう中で監視体制を強化していくことがまず求められるのかなと、こういうことでお聞きをいたしておったわけであります。
 監視体制について一つはどうなのか、あるいは従来の防疫体制で本当によいのか、この辺に非常に疑問を持つものであります。
 お話にもありましたけれども、輸入量が非常に今ふえております。そういう中で、ウイルスの話がございました、稲わらの問題もありましたけれども、私は、人の関係、検疫官の実態はどうなんだろうと、もう少し検疫官を畜産の関係等については充実をして、リストラの関係もありますけれども、行革の関係もありますけれども、やはりふやすところ、きちっと守るところ、これらについては充実させていく、これが必要かなと、こんな気を持つものでございます。
 私は、やっぱり広い意味でそういう防疫体制をもっと充実して見直していく必要があるのではないかと思いますので、この辺について大臣の率直なお考えがあればお聞かせ賜りたいと思います。
#46
○国務大臣(玉沢徳一郎君) まず、感染経路がわからないじゃないかという委員の御意見でありますけれども、今感染経路について調査しているわけであります。
 では、どういうところを調査しているかをあえて申し上げますが、宮崎県で発生した口蹄疫の発生原因及び感染経路を解明するために、これまで家畜の導入元農場、近接地の農場、人や車の交流があった農場等について重点的に臨床検査及び血清学的検査を行いましたほか、分離されたウイルスと近隣諸国で確認されているウイルスの近縁性の分析、またそれに関連して口蹄疫汚染国からの粗飼料との関連の分析などを行ってきたところであります。
 他方、今般北海道で発生した口蹄疫につきましては、検出されたウイルスの遺伝子の断片が宮崎県で分離されたウイルスのものと同一であるとの結果が得られました。現在までのところ、これ以外に宮崎県での発生と北海道での発生との関係を示す情報は得られておりませんが、今後とも原因究明に向けた情報の収集、分析に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。これまで得られている調査結果からあえて言及しますならば、輸入された粗飼料による可能性を念頭に置いて対応しているところであります。
 なお、委員がおっしゃられました防疫体制を強化しろということにつきましては、人員その他については今までも増員してきているところでありますけれども、今後、鋭意その点についても十分留意して対応してまいりたいと考えております。
#47
○藤井俊男君 この問題は私どもも重視をしておりますけれども、世界の中でアジア諸国、韓国、香港、モンゴル、我が国としても同時期に発生をしているということで、国際的な視点に立って、やはりもっと世界に目を向けて、今国際化時代ですから、私はそれらに目を向けながら、補償よりもむしろ発生させない、先ほど補償の関係を中川先生は触れられましたけれども、視点を変えて私は物を見ましたけれども、発生させないことが必要だと思いますので、この辺の関係でぜひ防疫体制の充実を、今、大臣からも述べられておりますので、ひとつよろしくお願いを申し上げたいと思います。
#48
○政務次官(金田勝年君) 委員のただいまの御指摘の中で、水際での努力といいますか、これが大事だというお話があったわけですけれども、もちろんそうした家畜伝染病予防法に基づくさまざまな措置、そして、そうした悪性の伝染病の侵入防止を図るという、水際におきます侵入防止の徹底という点につきましては、農林水産省もこれまで最大限の努力を注いできたところです。
 ちなみに、御質問にありました検疫官の数、ふえてきているのかどうかという御指摘が先ほどあったと思いますので、その点について補足させていただきます。
 平成十二年四月現在、家畜防疫官の数は二百六十五人ということになっておりまして、約十年間で六十名程度ふやしてきている現状にあります。
 以上です。
#49
○藤井俊男君 ありがとうございます。
 次に、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案についてちょっとお伺いしたいと思います。
 私は、改正に当たっての基本的な考え方及び加工原料乳生産の補給金制度の見直しの目的は何なのか、大臣にお伺いしたいと思います。
#50
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 加工原料乳の生産者補給金制度は今まで大きな役割を果たしてきたと思います。生産者とメーカーとの間において、どちらもこれが成り立つような形で制度を維持し、そして、今日の酪農及び乳製品、牛乳産業の発展に大きく役割を果たしてきた、こういうふうに評価しておるわけでございます。
 しかしながら、加工原料乳生産者補給金制度の仕組みは、市場評価にかかわらず加工原料乳及び乳製品について一定水準の価格及び手取りが実現されるものであることから、生産者及び乳業者の自発的な改善努力が促進されにくいものとなっております。
 このような状況を踏まえ、消費者、乳業者等のニーズがそれぞれ生産者に伝達され、需要動向に応じた加工原料乳及び乳製品の生産が促進されるよう生産者補給金制度を見直すこととしたところでございます。
#51
○藤井俊男君 そうしますと、この暫定措置法、これまで昭和四十年に制定をされて三十五年たつわけでございますけれども、幾多のいろんな変遷があって今日に至っていると思うんです。大いに評価している面が大臣から今述べられましたけれども、この制度見直し後において、加工乳生産者が再生産可能な手取り額が確保されるのかどうか、この辺をちょっと私は考えるわけでございますが、いかがなものでしょう。
#52
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 新たな制度のもとにおきましては、保証価格から基準取引価格を差し引いて補給金単価を求める方式を廃止し、生産者に市場の情報が的確に伝達されるよう市場実勢を反映した加工原料乳の価格形成を実現するとともに、加工原料乳の再生産を確保する観点から、毎年度決定される一定の単価による生産者補給金を交付することとしております。
 また、加工原料乳の取引価格は、新制度では指定生乳生産者団体と乳業メーカーとの交渉により決定されることとなりますが、生産者にとって対等な立場で価格交渉ができるよう、生乳の需給調整の強化、指定生乳生産者団体の広域化等の条件整備を推進することとしており、新たな生産者補給金の交付と相まって生産者の手取りは確保できるものと考えております。
#53
○藤井俊男君 生産者の手取り額が確保されるということであるならばそれにこしたことはないわけでございます。
 そこで、今回もこの法律の改正が暫定措置法になっているわけであります。私は、この前の大豆なたねのときも暫定措置法ということはあり得るのかと、三十五年も四十年も続いて、また暫定、これからもずっと続くのはいかがなものかということで、私は恒久法ぐらいにいったらどうだろうと、こういうことも述べましたけれども、暫定措置法とする理由を、これは大変恐縮ですがもう一度この場で、今回もこれですから、お聞かせを賜りたいと思います。
#54
○国務大臣(玉沢徳一郎君) これは我が国の農業を考えていただければわかると思いますけれども、いわゆる国内的な保護が必要でなくなって外国と十分競争できるような段階になるまでは暫定的と、こういうふうにお考えをいただければいいと思うんです。
 したがいまして、三十数年たっておりますけれども、まだその十分な措置はできないと。しかし、国家百年の計ということもあるわけですから、これは三十年だって暫定は暫定だと、こういうお考えでいいと思います。何も恒久的なものでなければならぬということじゃないと私は思いますよ。多面的機能というのはそういうことなんですから。多面的機能というのはそれぞれの国々に与えられたハンディをどうやって対応してやっていくかと。
 大きい声を出しているから心配していますけれども、要するに全部が同じ条件で競争できればそれにこしたことはないわけですけれども、競争できない場合におきまして、農業の果たしている役割というのはただ生産ばかりではなくして、国土の保全とか食料の安全保障というような観点から必要だということを言った場合におきましては、それぞれの措置をとって継続的な農業が展開できるような措置をとるということは当然のことじゃないかと。それを暫定と言って何が悪いか、こういうことです。
#55
○藤井俊男君 いや、大臣、私は大きい声であれでしたけれども、大臣の熱意はわかるんです。私は大臣の熱意はわかるんですが、素朴な疑問を感ずるものですからお聞きしたということで受けとめてください。そういうことでよろしくお願いします。
 もう一つ牛乳・乳製品の消費拡大でちょっとお聞きしたいと思うんですが、牛乳製品の表示はやっぱり私は適正に行って国産生乳の需要拡大をぜひ図るべきだろうと思っております。
 特に牛乳の関係、いつも私はここへ来て思うんですが、私もきょう水を飲ませていただいております。牛乳と水で水の方が高いということを言う人もいるんですよ。これはやっぱり生産者から見ればばかげた話だということで、私も先日新聞の記事を見て、「まちの声むらの声」で、「家庭でもっと牛乳の利用を」ということで、「「天然水」と同じ値段で安売りされるのは悲しいものだ。」ということで言われておりますので、ぜひこの辺も牛乳を広めていく、これが消費拡大に必要だろうと思うんです。
 委員長、時間がないですからあれですが、牛乳、私きょう持ってきてみたんです、北海道のこの牛乳、この牛乳ということを使うのは生乳の五〇%ということをいっているんですが、たまには農林水産委員会で牛乳をみんなに出して、ああなるほど農林水産委員会は牛乳を促進しているなと。水を促進しているといえばそうかもしれませんけれども、私は、これは水入りということもありますのでもう時間の関係でやめますけれども、いずれにしても、こういう牛乳のもう少し消費拡大に向けて取り組む、これだけ聞いて終わりにします。
#56
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 極めて重要なことだと思います。
 私は、牛乳のこれからの消費の拡大といいますのは、牛乳そのものを飲むということを大いに宣伝していくということも大事でありますが、同時にやはり付加価値をつけて、水よりも高い加工品、こういうようなものもつくっていくということが大事じゃないかと思います。
 例えば、日本人の六割ぐらいはピロリ菌というものを胃の中に持っておって、胃痛の原因等になるそうでございますが、そういうものに対してヨーグルトが発明されまして、そして今特許申請がなされているそうでございますが、そういうようなものが本当に普及していけばこれはもう健康にもいいし消費拡大にもプラスになると、こういうことでございますから、新しいやはり食品を開発していきながら消費拡大をやっていくと。また、牛乳はどんなに健康にいいかということも大いに宣伝をして消費拡大をやっていくということは極めて重要なことだと考えております。
#57
○藤井俊男君 終わります。
#58
○渡辺孝男君 先ほど中川委員それから藤井委員の方からお話がありましたけれども、私も北海道の口蹄疫についてまず質問させていただきます。
 宮崎県の宮崎市と高岡町で患畜と診断されました肉用牛より分離されました口蹄疫ウイルスは、いずれもアジア地域で分離されましたウイルスと近縁のウイルスでありまして、O―JPN二〇〇〇であることが判明しましたけれども、今回五月十一日に新たに疑似患畜と診断されました北海道本別町の肉用牛から分離されたウイルスもやはり同じ株であったというふうに聞いております。それによって疑似患畜でなくて患畜となったということであります。
 九州と北海道に同種の株の口蹄疫が検出されたことを受けて、今回の国内の口蹄疫発生の原因それから伝染経路について、今までも御答弁ありましたけれども、現段階でどのように考えているのか、玉沢農林水産大臣にお伺いしたいと思います。
#59
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 北海道の発生農場の飼養牛から検出されました口蹄疫ウイルスの断片について分析をしましたところ、その塩基配列は、宮崎県で分離されたウイルスのものと同一であるとの結果を得ております。
 現在までのところ、これ以外に宮崎県での発生と北海道での発生との関係を示す情報は得られておりませんが、今後とも原因究明に向けた情報の収集、分析に鋭意取り組んでまいりたいと考えております。
 これまで得られている調査結果からあえて言及をしますならば、輸入された粗飼料による可能性を念頭に置いて対応しているところでございます。
#60
○渡辺孝男君 なかなか感染ルートの解明というのは難しいと思うんですけれども、今後、日本においては非常に重要な伝染病になってきたということでありますので、その取り組みを一生懸命やっていただきたいと思います。
 次に、今年の四月に発表されました農水省の口蹄疫の発生に伴う対策等についての中で、家畜伝染病予防制度の見直し検討とありますけれども、農水省としましてはどのような見直しを行っていく方針なのか、金田政務次官にお伺いしたいと思います。
#61
○政務次官(金田勝年君) 家畜伝染病予防法の見直しについての御質問でございます。
 今回の口蹄疫の発生に伴いまして、関係者は現行制度の枠組みを中心にできるだけの対応をこれまでしてきたところは申し上げるまでもないわけでございますが、今回得られた経験等を勘案いたしますと、今後における侵入防止のための措置、それから発生時の防疫体制、そしてまた原因究明のための調査等につきまして、現行制度を見直す必要があるのではないかというふうに考えている点もあるわけであります。
 現時点では、まだ口蹄疫の終息を見ていないということもございますから、具体的には申し上げられる段階ではありませんけれども、今般の口蹄疫の発生とその後の経緯を踏まえまして、国そして県、団体そして生産者など、それぞれの課題等を整理することとしておるわけであります。
 その結果、必要があれば、その必要のある内容について、次の通常国会までに家畜伝染病予防法改正案という形で提出できるように、今後検討していきたい、このように考えているわけであります。
#62
○渡辺孝男君 先ほどの発生源の農家の方の負担の問題等、百年前とは違った状況もございますので、よく検討していただきたいと思います。
 次に、先ほどの同対策では、輸入の稲わらそれから麦わら及び乾牧草について当分の間動物検疫の対象としておりますけれども、この検疫体制が十分なのかどうか、先ほども質問にございました。また、この当分の間というのはどの程度の期間を想定しているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#63
○政府参考人(樋口久俊君) 今般我が国で発生をしました口蹄疫につきましては、輸入をされました稲わら、麦わらあるいは乾草が原因である可能性を完全に否定し得ない、むしろ、先ほども大臣からも御答弁がございましたけれども、その可能性を念頭に置きながらいろんな対応をしているところでございますが、恐らく先生の御質問されたのは、三月末に私どもが当分の間これを検疫対象にするという措置を内外に発表しましたので、その当分の間はいつまでであろうかという御質問ではなかろうかということを前提にお答えを申し上げます。
 冒頭お話をしましたように、輸出国で加熱等の適切な措置がとられて口蹄疫のウイルスが殺されているということが考えられる稲わら等を除きまして検査をする。逆に言うと、検査をしなければならない可能性が消えてしまわない限りは対象にするということでございますので、現在配置をしております検査官による検疫は、輸入された稲わら等が口蹄疫の発生原因であることが逆に否定をされるということがない限りは継続する必要があるんじゃないかと思っているところでございます。
#64
○渡辺孝男君 また、同対策の方では、万一の蔓延防止のため、ワクチンの追加備蓄、全部で四百万ドーズを発注したというふうに書かれておりましたけれども、これはどこに発注しておるのか、またこのワクチン量というのは家畜何頭分相当に当たるのか、このぐらいの量で十分なのかどうか、これをちょっとお聞きしたいと思います。
#65
○政府参考人(樋口久俊君) 既に先生御承知だと思いますけれども、国際的には、口蹄疫のような伝染病が発生しましたときは、その撲滅につきましては、現在の技術といいますか、情報の伝達あるいは診断技術が大変高度化をいたしておりますので、そういうことを背景に、とにかく早く摘発して淘汰をする、ワクチンは使用せずに蔓延防止をするということが第一の課題とされております。
 逆に言いますと、ワクチンを使用しましたならば清浄国に回復するのに大変な時間と労力を要するということになりますので、私どももできるだけ早期に清浄化を目指すということを基本にしておりますので、使用するということは万々一というふうに考えております。
 ただし、お話しございましたように、さはさりながらそういう事態を頭の中には置いていないといけないということでございまして、宮崎県における口蹄疫が発生しました際に、万々一ということで、九州全域に飼われております牛それから豚、これを合わせますと約四百万頭分ぐらいは備蓄をしておかないといけないんではないかということで、その時点では二十万頭分しか所有をいたしておりませんでしたので、オランダ、ドイツ、フランス等に交渉といいますか発注をしまして購入して準備をいたしました。
 ただ、宮崎の場合は使用しないでそのまま保有をいたしております。北海道の場合も、当然、先ほど御説明をしましたように万々一の場合でございますけれども、現在飼養されている頭数が百八十万頭というふうに私ども掌握をいたしておりますので、現在所有をいたしておりますワクチンでも頭数でいいますと十分可能ではないかというふうに思っています。
 なお、くどくて申しわけございませんが、これはできるだけ使いたくないということが前提で対応をしているところでございます。
#66
○渡辺孝男君 やはり人間の場合と家畜の場合で周辺に与える対応が違うということで、とにかく患畜あるいは疑似患畜はきちんと処分するというような対応が第一というふうなお答えだったと思うんですけれども、ワクチンについて、我々もよくわからなかったものですからどの程度の備蓄をしておけばより以上の万全な体制なのかということでお聞きしたわけであります。
 今後、先ほども北海道での口蹄疫発生に関しまして、やはり一番問題になるのは風評被害の発生の防止ということでございまして、多少ともそういう懸念のされることがあったというような先ほど中川委員の方からお話もありましたけれども、この風評被害の発生防止のために現在どのような対応を農水省としては行っているのか、お聞きしたいと思います。
#67
○政務次官(金田勝年君) 風評被害を予防するというのは、関係者に対しまして正確な情報を提供するということが非常に重要なポイントになるわけでありまして、先ほど中川委員から、北海道の口蹄疫の発生に伴います風評被害の予防について、広辞苑の記述まで御指摘いただいてあったわけです。
 農林水産省といたしましては、北海道の口蹄疫の発生以降、記者発表のたびに口蹄疫は人に感染することはない旨を明示してきたわけであります。また、五月十二日付で生産者そして生産者団体に通知を発出いたしまして、現在流通しております食肉、牛乳等につきましては安全性に問題がないことから、風評被害が生じないように生産、流通関係者及び消費者等に周知を図りますとともに、みずから風評被害を引き起こすことのないように注意を喚起しているところであります。さらに、五月十六日でございますが、厚生省と共同で、生産、流通関係団体を招集いたしまして、最新の情報提供、安全性の周知及び円滑な流通の確保を要請したところであります。
 今後とも、厚生省そして北海道を初め関係者と連携をしながら、さまざまな機会をとらえて、流通しております畜産物の安全性についての情報提供と円滑な取引の指導に努めてまいりたい、このように考えておる次第であります。
#68
○渡辺孝男君 公明党としましても、五月十三日、北海道本部の伊藤口蹄疫対策本部長並びに丸谷佳織衆議院議員らによる現地調査を行ったところでありますけれども、大臣が述べておりましたように、蔓延防止に最大の努力を払い、畜産経営等が円滑にできるように万全の対策を講じてまいりたい、そのように大臣は述べられたわけでありますけれども、これから、これは本当にあってはならないことでありますけれども、他の地域での発生防止も含めまして最大の努力をお願いしたい、そのように訴えたいと思います。
 では、本題の加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案について質問させていただきたいと思います。
 最初に、現行法による不足払い制度は、加工原料乳の生産者である酪農民の再生産とそれから所得を確保し、乳業メーカーにおいてはその利潤を保証するものであったわけであります。これによって我が国の酪農はかなり発展してきたわけであります。
 そこで、日本の酪農経営の現在の状況、国際的にどのような水準にあるのか、日本、EU、米国、豪州等の一戸当たりの飼養頭数あるいは一頭当たりの年間乳量について、直近のデータを示していただきたいと思います。
#69
○政府参考人(樋口久俊君) それでは、外国と比較しました飼養規模等について御説明を申し上げます。
 お話ございましたように、我が国の酪農は、経営者の皆さんあるいは関係者の皆さん大変御努力をしていただきまして、極めて短い時間で著しい発展と構造変化を遂げまして、我が国農業の基幹的部門に成長してきております。
 これによりまして、我が国の酪農経営の一戸当たりの飼養の規模を比較してみますと、これは成畜でございますけれども、全国では三十六頭、北海道で五十三・六頭ということになっております。これはオーストラリアでございますと百四十八頭ほど、それから米国では七十八頭ほどということでございますので、ここまでの水準にはなかなか及ばないのでございますが、EUの平均規模が二十四頭でございますので、これを上回った水準になっているということで、そこまで拡大をしてきているということでございます。
 また、お話ございました一頭当たりの乳量で見ますと、家畜改良が進んでおりますし、また皆さんの御努力で飼養管理技術の向上が着実に進んでおりまして、米国の七千七百九十八キログラム、これは一年でございますけれども、これに次ぐ高い水準の七千二百三十八キロという水準が達成をされております。これにより、一戸当たりの生乳の生産量は二百六十一トンということになっておりまして、EUの平均の百三十六トンを大きく上回った水準になっているということでございます。
#70
○渡辺孝男君 今のお答えにありましたように、日本では現在EUをも凌駕する水準まで規模が拡大してきたということでありますけれども、その点で、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、現行法の不足払い制度が果たしてきたこれまでの政策効果についてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#71
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 加工原料乳のいわゆる不足払い制度につきましては、昭和四十一年の制度発足以降、飲用乳に比べて不利な加工原料乳の生産者に対し一定水準の手取りを保証すること等を通じまして、我が国酪農が零細な構造から脱却し、大きな発展を遂げるに当たり重要な役割を果たしてきたと考えております。
 しかしながら、この仕組みにつきましては、市場評価にかかわらず、加工原料乳の生産者に一定水準の手取りが確保されます結果、生産者に販売価格の動向が伝わらず、生産者、生産者団体の生産販売努力が促進されにくいものとなっているとの問題が顕在化しております。
 このような状況を踏まえまして、需要の動向に応じた加工原料乳の生産を促進するため、市場評価が生産者手取りに反映されるよう、新たな生産者補給金制度に移行することとしたところでございます。
#72
○渡辺孝男君 これまでの制度でもかなり政策効果はあったけれども、今度新しい時代に入ってまたさらなる発展を期すために改正が必要だったというようなお話と承りました。
 次に、金田政務次官にお伺いしたいんですけれども、この改正法案に対しまして、酪農家が現在漸減しているあるいは生乳の生産量も最近ちょっと少なくなっているというような状況のもとで、北海道や都府県の生産者あるいは農業協同組合、あるいはまた乳業メーカー等がどのような反応を示しているのか。皆、賛成してやりましょうというような状況にあるのかどうか、その点、お伺いしたいと思います。
#73
○政務次官(金田勝年君) 今回の制度改正に当たりましては、昨年の三月でございましたが、新たな酪農・乳業対策大綱を策定したわけでありまして、これは生産者あるいは酪農・乳業関係者の意見を聞きながらこの大綱を策定いたしております。
 さらに、昨年の十二月、具体的な法律改正の内容につきまして、生産者あるいは乳業者の立場を代表する方々、そしてまた学識経験者の参加を得て、乳製品・加工原料乳制度等検討委員会制度部会におきまして具体的な法律内容を議論、御検討いただき、その結果、今回の制度改正に至ったわけでございます。
 実際にいろいろと御意見その後も聞いておる状況の中で、今回の制度改正によりまして、生産者あるいは農協等の生産者団体にとりましては、創意工夫を生かした生産販売努力の促進による所得水準の向上が期待できる。そしてまた、乳業メーカーにとりましては、製造コストの低減努力等によります合理的な価格での乳製品の販売促進ができるというふうなことが期待されるところでございまして、生産者、そして酪農・乳業関係者の十分な理解と賛同を得ているものと私どもは考えている次第であります。
 今後、本改正法案を成立させていただきました暁には、関係者に対しまして制度の改正の趣旨についてさらに一層の周知と理解を図ってまいりたい、こういうふうに考えている次第であります。
#74
○渡辺孝男君 やはり一生懸命に酪農に取り組んでいる農家の方々が今後の経営状況が不安に陥らないようにしっかり取り組んでいただきたい、そのように思うわけであります。
 これは大臣の方にお伺いしたいんですけれども、今回の法改正で、現在、牛乳それから乳製品の自給率七一%でありますけれども、この向上を現在私どもは目指しているわけでありますけれども、この改正によってより一層の自給率向上につながっていくんだというふうに思っているわけでございますけれども、大臣の方の見解をお伺いしたいと思います。
#75
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今回の加工原料乳法の改正は、まず需要動向に応じた加工原料乳の生産が促進されるよう生産者補給金制度を見直すこととしたところでございます。したがいまして、やはり生産者の課題、また流通製造段階での改善、そうしたところを一つ一つ改善しながら、需要者の動向等にも十分留意して、そして生産したものが多く消費されるよう図ってまいりますならば自給率の向上に十分役立つ、こういうふうに考えているところでございます。
#76
○渡辺孝男君 時間の関係で最後の質問になると思うんですけれども、今回の食料・農業・農村基本計画では、平成二十二年度の牛乳・乳製品の望ましい食料消費の姿を一千三百十八万トン、それから生産努力目標を九百九十三万トン、そして自給率目標を七五%としております。
 しかし、自給率の長期にわたる低下傾向の中で自給率目標七五%を達成するためにはさらに二割ぐらいの生産コストの低減が必要とされている、そのような見解を述べる方もおられるわけであります。農林水産大臣としましては、今後、今回の法改正を含めましてどのような取り組みをされていくのか、大臣より答弁を求めます。
#77
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 目標は、委員のおっしゃられましたように、九百九十三万トン、七五%としたところでございますが、現在は七一%、八百五十万トンでございます。
 今後、生産努力等いたしまして、コスト面での問題の解消が必要であると考えておりまして、このためには、自給飼料生産の推進や放牧の活用、飼料給与技術の向上、効率化、未利用資源の活用等による飼料費の低減、また飼養規模の拡大や省力的な飼料管理方式の導入等を通じた飼料管理の合理化による生産性の向上、さらに家畜改良、個体管理の徹底等、生産、経営管理技術の高度化による一頭当たりの乳量の向上等を推進していきたいと考えておるところでございます。
 なおまた、先ほど申し上げましたように、生産面での努力と同時に、流通あるいは加工産業等の改善も相まって、この目標を達成していきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#78
○渡辺孝男君 ありがとうございました。
    ─────────────
#79
○委員長(若林正俊君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、佐藤昭郎君及び筆坂秀世君が委員を辞任され、その補欠として久野恒一君及び井上美代君が選任されました。
    ─────────────
#80
○須藤美也子君 先ほど来、北海道の口蹄疫について質問がされたわけですけれども、私は前回の委員会で宮崎の口蹄疫について質問をいたしました。宮崎の口蹄疫は安全宣言ということで大変よかったと思ったんですけれども、一転して北海道で口蹄疫が発生したと。るる現場の北海道の方からの、議員からの切実な問題が出されて、大変胸の痛む思いをして聞いていたわけですが、まずここでも台湾産稲わらなど輸入粗飼料を使っており、宮崎同様、感染源の一つとして疑われているわけです。
 農水省は今回、中国、韓国、北朝鮮、台湾の口蹄疫非清浄国などのわらなどを検疫の対象にし、ホルマリン消毒の防疫措置をとることにしたわけですね。ただし、中国の稲わらは十分な加熱処理がされているとして対象にしておりません。台湾については温風吹きつけという処理がされているかどうかにかかわらず防疫の対象にしたわけです。事実上輸入は難しくなったわけですね。
 そこで、お聞きいたしますけれども、台湾産稲わらについては台湾での処理が口蹄疫発生防止上効果が十分でない、こう判断したからこうした防疫措置をとったのではないのか。畜産局長に質問いたします。
#81
○政府参考人(樋口久俊君) 台湾と中国の稲わら等についての防疫措置についてのお答えでございますが、同じような形での加熱処理はいたしますけれども、一番の違いは、中国の施設につきましては私どもの職員が参って確認をいたしております。したがいまして、その確認をさらにこちらへ到着しまして今度はさらに農林省の職員が確認をするという手法がとれまして、これは安全性が確認できるだろうということで、そういう手続のものにつきましては輸入を認めるといいますか、輸入がされる、これは先生御承知のとおりでございます。
 台湾につきましては、私どもの職員が行っておりませんので、とにかくできるだけ安全性を確保したいということでございますので、それはとめているということで、決して危ないとか危なくないというのが前提に立って、こっちはとめてあっちはセーフだというようなことにしているということではございません。
#82
○須藤美也子君 しかし、万が一の不安があるから今回こういう防疫体制をとったわけですよね。
 九七年の口蹄疫が大発生した台湾からもこういう不安があるもとで輸入が行われてきたわけですね。統計を見ますと、口蹄疫発生の九七年以前には輸入約二十万トンのうち半分が台湾から輸入されております。それが口蹄疫発生でしばらくゼロになりましたね。ところが、九七年に発生して、九八年の十月から輸入が再開されております。その後またウナギ登りにふえて、九九年には約九万トンになっていますね。
 こういう点で、去年の十一月から北朝鮮、中国を抜いて最大の輸出先に返り咲いたわけですけれども、大臣にお尋ねいたしますが、防疫対象にせざるを得ない不十分な処理しかしていない台湾稲わらの輸入が復活、こんなにふえてきたのは、国の口蹄疫侵入を防止する意識や体制に緩みが生じていたからとは思われませんか。
#83
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 思いません。
#84
○須藤美也子君 きっぱりおっしゃいましたね。
 それでは、九七年四月三日の家畜伝染病予防法改正の当委員会では、「台湾において豚の口蹄疫が発生し、深刻な事態になっていることに対処して、日本国内への侵入防止と国内における防疫体制の整備に万全を期すること。」、こういう附帯決議を行いました。本来であれば、稲わらの自給はその時点からやるべきではなかったんでしょうか。ところが、その次の年の十月にはもう輸入が再開され、九九年には口蹄疫発生以前の輸入量に戻ってしまった。私は、農水省に緩みがあった、しかも附帯決議を厳しく受けとめておられなかった、こういうふうに言わざるを得ないんです。
 また再び大臣にお尋ねいたします。
 九十二年間も国内に発生していない口蹄疫は外国から入ってきた、こういうものであることをだれも否定できないと思うんです。外国からの侵入を阻止する防疫は国の責任であります。国の仕事という認識はこれは間違いないですね、防疫に対して。
#85
○国務大臣(玉沢徳一郎君) これは、国が万全の措置をとることは当然のことでございます。
#86
○須藤美也子君 それでは、そういう立場で考えているのであれば、先ほどそういうことはありませんと言い切ったことに私は非常に矛盾を感じております。
 そういう点で、今、北海道では移動制限で、制限区域にとどまらず、かなり広範な周辺区域の畜産農家が被害に遭っている、先ほど中川議員がおっしゃったとおりであります。出荷できないため収入が途絶え、えさ代も余分にかかる。
 このような被害について、本来、口蹄疫を侵入させない防疫の責務を持ち、その上、原因であると疑われている、否定できない稲わらの輸入を口蹄疫発生国から再開、急増させてきた責任の点からも、先ほど要請が出されました。国の責任でこうした被害に対する万全な補償、これは当然、国が行うべきであると思いますが、その点いかがですか。
#87
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今までとってきた措置でございますけれども、宮崎県の口蹄疫発生に係る対策としましては、畜産経営が円滑に継続できますよう、家畜市場再開後における価格低下の影響を緩和するための価格安定対策を初め、一定期間出荷ができないことに伴う畜産経営の影響緩和対策、畜産物の安全性のPR等の消費対策、被害を最小限にとどめるための蔓延防止対策、韓国、台湾等からの輸入が停止された稲わらの安定供給対策を講じたところでありまして、これにより、総合的な対策を措置しているものと考えるところでございます。
 口蹄疫の蔓延を防止するということにつきましては、一定の移動規制等を行い、さらにはまた稲わらその他につきましても輸入を行わないようにしたわけでありまして、各般の措置をとってきたところでございます。
#88
○須藤美也子君 それでは、具体的にちょっと。
 先ほど中川議員もおっしゃいましたけれども、私は宮崎の経験というのは非常に貴重な経験だったと思うんです。あのときは、補償金とか、あるいはいろいろな対策をおとりになっていただいたわけですね。ここでは、えさ代の立てかえ払いとか、あるいは粗飼料の確保を図る、さらに価格補てんを行う、またおっしゃいました感染経路の解明をできるだけ早くきちんとやる。これは一生懸命やられていると思いますけれども、それをやっていただく。
 このことについて具体的な要請があるわけですから、国は地元の要請にこたえて万全な体制で万全な補償を支援する、そういう姿勢をとっていただきたいと思うんですけれども、いかがですか。それはそんなに難しくないことだと思うんですけれども、答弁をお願いしたいと思います。
#89
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 宮崎県でとってきた今までの措置は当然のことでございますが、北海道の口蹄疫発生に対する支援措置につきましても、今までとってきたことを基本に、関係者等の御意見をお聞きした上で、畜産経営が円滑に継続できますよう万全を期してまいりたいと考えております。
#90
○須藤美也子君 北海道の被害者の、先ほどおっしゃいました具体的に七百頭も自分が飼育してきた牛を殺さなければならない気持ち、それを聞いて私は胸が痛みました。大臣も恐らく胸を痛めていると思います。そういう被害者の立場に立ってぜひともその声を聞いていただきたい、万全な措置をとっていただきたい、そういうことを重ねてお願いいたしまして、法案に移らせていただきたいと思います。
 日本共産党は、三月に、これも北海道の根室市、浜中町、鶴居村、こういうところに調査に行きました。この中で、農協組合長や酪農生産者の皆さんに今回の制度変更に対する声を聞いてまいりました。どこでも、今後、乳価がどうなるか不安だ、釧路・根室地域は酪農が基幹産業、酪農が衰退したら地域が滅んでしまう、こういう深刻な声が寄せられたわけです。また、農協組合長さんからは、今回は初めての大きな制度変更だ、それにもかかわらず私たち現地の農協の意見を求められることもなかった、こう訴えております。
 ここは非常に私は重要だと思うんですが、北海道は酪農の大部分を生産しているところなわけです。ここの農協組合長さんのこういう意見を聞いて、加工原料乳の不足払い制度見直しについて生産者の理解は得られていない、こう言わざるを得ない、こういうふうに思ったんです。
 そこで、大臣は、こうした生産現場のこのような切々たる訴えをどのように受けとめておられるのか、その点どうでしょうか。
#91
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今回の制度改正に当たって生産者の意見を聞いていないんじゃないかと、こういう御指摘でございますけれども、この制度を検討するに当たりましては、生産者や酪農・乳業関係者の意見を十分聞きまして、新たな酪農・乳業対策大綱を策定し、さらに具体的な法律改正の内容につきましては、生産者や乳業者の立場を代表する方々及び学識経験者の参加を得まして、乳製品・加工原料乳制度等検討委員会制度部会において十分御検討をいただいてきたところでございます。
#92
○須藤美也子君 大臣が聞いたところの生産者はどういう方々かわかりませんけれども、現場でやっている方々がこういうことを言っている。こういう点はやっぱり真摯に受けとめる必要があるのではないか、こういうふうに思います。
 そこで、時間が限られておりますので法案の内容にちょっと触れさせていただきますが、法案は目的で、「酪農及びその関連産業の健全な発達を促進」と述べております。第十一条二項では、補給金単価は、生産条件、需給事情、経済事情を考慮し、生乳の再生産を確保することを旨として定める、こうしています。
 しかし、加工原料乳の保証価格、基準取引価格を政府が決める不足払い制度を廃止し市場原理にゆだねたなら、加工原料乳の価格が下落することは、既に生産者団体と乳業メーカーとの間で相対取引が行われている飲用乳の価格が下がり続けていることを見ても明らかだと思います。
 酪農の健全な発達や再生産の確保どころか、酪農の崩壊を招きかねない制度改正になるのではないかと私は大変心配しているんです。そういう点で大臣のお考えはいかがですか。
#93
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 今までも、生乳等の価格決定に当たりましては、生産者とメーカーとの間に交渉が行われまして、確かに若干下がるところもあったわけでございますけれども、しかし私は、今回の制度は、生産者側も体制を整えて交渉力を高める、こういう努力がなされておるわけでございまして、各県ごとに行われてきた価格交渉でございますけれども、もっと広域的な立場で進めていく、こういうことであればかなりの力が出てくるものと考えるのでありまして、そういうことを通じまして、私は適正な価格が決定されていくと考えるわけでございまして、決してマイナスの面ばかりではないと、こう考えております。
#94
○須藤美也子君 つまり、今まで生産保証価格あるいは取引価格、これを政府が決めていたわけですね。その政府が決定したその間の不足払い分をこれまで補給金として出していたわけですね。その価格決定から政府は手を引くわけです。そして、相対取引で行うわけです。市場原理にゆだねると。そういうことが実際どういうような状況を招くかということは、既にほかの農産物の現状を見ればわかると思うんです。
 そこで、もうちょっと深めてみたいと思うんですが、補給金単価、それから、先ほどそういうメリットもある、下がるばかりではない、そういうようなことをおっしゃいましたけれども、補給金が上がる保証は私はほとんどないと思うんです。
 十一条二項の補給金単価は、まず生産条件とあります。これは、この間もあの基本計画の中で論議になりましたけれども、生乳の場合、これは二割コストを下げる、削減する、今も下がっているわけです。需給事情はどうでしょうか。輸入の増大です。経済事情は今不況で深刻です。雇用不安が続いております。いずれも補給金単価を引き上げる条件はない。この十一条二項に基づいて単価をこういう形で決めるのであれば、引き上げるという状況はないと見なくちゃならない。
 そこで、政府が不足払い制度として生産者補給金の予算をこれまでどれだけ措置してきたのか、これを見れば明らかだと思うんです。一九八〇年前後、四百八十億円あったんです。ところが、今年度は約二百六十億円と大幅に減少しています。不足払い制度を廃止すれば一層この予算は削減される、そういうことになりませんか。
#95
○政府参考人(樋口久俊君) お答えいたします。
 ややテクニカルなお答えになって恐縮なんですが、予算は前年度に編成をして要求するということになりますことから、当然、翌年度の水準を想定して要求するという仕組みになっておりませんで、前年の実績といいますか、それを前提に計算して要求いたしておるところでございます。
 したがいまして、例えばお話ございました十二年度について申し上げますと、二百五十六億円となっておりますが、これは十一年度の実績を、何といいますか、こういう言い方が適当かどうかわかりませんが、仮に要求をしているわけでございまして、例えば本年決まりました十二年度の補給金の単価等は、当然、法律の規定によりまして、その後、例えば本年でございますと三月に決定をされたということでございます。
#96
○須藤美也子君 現実に予算が減ってきているわけです。そういうことを見ても、補給金単価がこれから上がるというそういう見通しはそう単純にはいかない、私はこういうふうに考えております。
 牛乳・乳製品の総消費量は米の消費量を追い越す水準にまで高まっているわけですね。これは大臣もお認めだと思うんです。酪農は基幹的産業として日本農業の一翼を担うほどになってきている。しかし、酪農家の負債総額は全国平均で千四百万円、北海道は三千百四十万円まで増加しています。酪農家の減少が生産量に大きな影響を与えている、こういうふうに考えざるを得ません。
 そこで、お尋ねいたしますけれども、九六年の第三次酪農及び肉用牛生産の近代化を図るための基本方針、これでは二〇〇五年度の生乳生産量を一千十万トンにしております。ところが、この四月に発表された基本方針は二〇一〇年、これから十年後、基本計画の中にもはっきり示されているわけですが、九百九十三万トンになっています。目標を下げた理由はなんですか。
#97
○政府参考人(樋口久俊君) これは、下げたということは必ずしも私ども正確ではないと思っておりますが、今回見通しをつくりますときに、基準になります年からいろいろな趨勢線を引いたりその後の事情を勘案していくということになるわけでございまして、数字的には、お話ございましたように、前回の数字と今回の数字は異なっているのは事実でございます。その間、いろんな畜産環境問題など、あるいは一頭の乳量が変化するとかいろんな事情がございます。
 典型的に申し上げますと、一頭当たりの乳量は増加をいたしておりますが、畜産環境問題や、特に最近話題になっておりますゆとりある畜産経営を実現しないといけないのではないかという視点から、飼養頭数がやや減少するという見込みをしました結果、十七年度を目標にしました一千十万トンから二十二年の目標については一・七%の減少になったということでございます。
#98
○須藤美也子君 九六年第三次基本方針以来、生産量は減少を続けているわけです。
 それは、ゆとりある酪農家をつくるためにやったのではないと思うんです。これはあらゆる指標の中に出ていますよね。酪農家がもう負債を抱えてこれ以上やっていけない、後継者もいない、あるいは高齢化が続いている、こういう状況の中でもう生産能力を失っている、生産意欲を失っている、こういう状況の中で生産量が減少し続けている。そういう点で九三年の八百五十五万トンを出発点に第三次計画をしておるわけですが、その出発点からも四万トンも下回っています。
 そこで、加工原料乳の農家手取りの保証価格を下げ続けてきたことによって、今申し上げましたように負債の増大、生産量の減少ですよ。それなのに今度の法案は、市場原理の導入で価格が一層下がるのは、これは私は必至だと思うんです。政府のこのような酪農政策を続けていくならば、酪農家はさらに離農に追い込まれ、日本の酪農そのものが崩壊に向かうことになるのではないか。これは先ほど申し上げましたけれども、そういう心配を、懸念を大臣は抱いていないのでしょうか。
#99
○国務大臣(玉沢徳一郎君) まず、生産におきましては需要動向も見なきゃいかぬと思うんです。
 ですから、生産面だけ考えて減少するということだけを強調されておるわけでありますけれども、やはり需要を喚起して需要が拡大していきますならば、それに応じて生産も伸びるということも事実であるわけでありますから、価格交渉等におきましても、需要が拡大して供給がなかなかそれに応じられないというような場合におきましては価格も上がることも想定いたしておるわけでありますから、したがいましてすべてマイナスの面だけを強調するのではなくして、もっと積極的な観点から見ていく必要があるのではないか、こういう考えでございます。
#100
○須藤美也子君 私はマイナスのことを言っているんじゃないです。これから日本の酪農をどう発展させていくのか、意欲を持った生産をどのように進めていくのか、これが農政のあり方だと思うんです。そういう点で、私は政府のこのような農政というか方針ですか、今回の法案改正、こういったものをやっぱり変えるべきだと思うんです。
 それから、需要との関係とおっしゃいましたけれども、需要はふえているんです。そういう点から市場原理にゆだねるのではなくて、農業の基幹部門にふさわしい価格の支援を行ってこそ自給率が向上するのではないか、こういうことを私の方から強く申し上げて、時間になりましたので、終わります。
#101
○谷本巍君 初めに、有機畜産について伺いたいと思いますが、その前に、昨年、JAS法改正の際に本委員会が行いました附帯決議のうちの第四項の有機食品表示問題の具体的実施について伺いたいと存じます。
 本委員会があのときに附帯決議を行いましたものは、前文で、「本法の運用に当たっては、次の事項の実現について万全を期すべきである。」と、こう述べておりまして、そしてその第四項では、「有機食品の表示については、有機農家と消費者の間において信頼関係が保持されている有機農産物の流通実態に特に配慮すること。」と、こう述べておるのであります。いわゆる提携関係における有機農業生産というものを指してのことであります。
 この点について農林水産省は具体的にどう特別な配慮をしたか、伺いたいのです。
#102
○政府参考人(福島啓史郎君) お答えいたします。
 今度の改正JAS法では、有機農産物の格付がなされていない農林水産物につきましては、有機農産物という表示が、あるいはこれと紛らわしい表示をしてはならないというふうにされたわけでございます。
 これとの関連で、いわゆる産消提携という形で実際に用いられておりますニュースレターとかあるいはパンフレット等、そういった情報提供の中で具体的にどのような行為が表示規制の対象となるのか明確にしてほしいという要望が産消提携の関係者からも出ておるわけでございます。
 このために、改正JAS法の附帯決議の趣旨を尊重いたしまして、産消提携の関係者からの照会に答える形で、産消提携の実態を踏まえまして規制の対象となる情報提供活動の内容を明確に示したわけでございまして、さらにこの点を施行通達等におきましても示すこととしているわけでございます。こうした措置は、改正JAS法の附帯決議の四項に言います産消提携に特に配慮するという趣旨を尊重したものであるというふうに考えております。
 今後、改正JAS法に基づきます有機食品の検査、認証、それから表示制度の運用に当たりましては、産消提携の実態あるいは動向を十分に注視しまして、必要な場合には産消提携に特に配慮するという附帯決議の趣旨を十分尊重いたしまして、さらなる対応を検討してまいりたいというふうに考えております。
#103
○谷本巍君 局長、看板等による案内であるとかニュースレターの発行だとかパンフレットの配布などは、もともとこれはJAS法の規制対象外の行為なんですよ。それをもって附帯決議の趣旨を尊重したと言えるかどうかということについてはこれはかなり議論のあるところであります。
 附帯決議が言っていますのは、改正JAS法の規制対象となる登録認定機関による認定と表示について、生産者、消費者の強い信頼関係が形成されているものについては特別な配慮を求めてのことであります。これはコーデックスとの関係からしても何ら問題はありません。むしろ、コーデックスの精神に沿うものであります、私が言っていることは。答弁であなたが言われたさらなる対応の検討ということに当たっては、今申し上げた点を十分に酌み取って御検討いただきたいと思うのだが、いかがでしょうか。
#104
○政府参考人(福島啓史郎君) 規制の対象とならない情報提供といたしまして、新聞、雑誌あるいはインターネット等の媒体におきます有機農産物を取り扱っている等の説明、あるいはチラシ、パンフレット、ニュースレター、あるいは看板、それから次週に提供されます物品の注文案内チラシにおきましてどれが有機であるかどうか、あるいは注文書上におきます有機の記載など、先生今御指摘のございました点も含めまして、さらに実態を十分考慮いたしまして、附帯決議の趣旨を尊重して、さらなる対応を検討してまいりたいというふうに思っております。
#105
○谷本巍君 ありがとうございました。
 続いて、有機畜産基準づくりの対応について伺いたいと存じます。
 ことしの五月、コーデックスの会議が開かれ、有機畜産の基準の検討が行われております。コーデックスが基準を採択しますというと、これがそのまま国際基準とされてしまう場合が多いのであります。コーデックスが検討しているものの中を見てみますというと、有機飼料一〇〇%を原則とするなど、日本から見るとかなり問題点が多いのであります。
 これらの問題点も含めて政府はどのように対処しておられるか、簡潔に承りたい。
#106
○政府参考人(樋口久俊君) 有機畜産物のガイドラインにつきましてですが、コーデックス委員会、お話のように、先般一応終了したわけでございますけれども、この有機食品の生産、加工、表示及び流通に関するガイドラインの一環としてこれは九七年の四月から検討が行われてきておりまして、私ども何点か意見といいますか修正案を提案させていただきました。
 お話ございましたように、原則としてすべて有機飼料というようなことはやや厳しいということもございまして、これにつきまして一定の場合には例えば八五%とすることができるというような規定があったわけでございますけれども、それにしてもその期限が、世界一律で何年までということになってしまうというような規定でございましたものですから、私どもとしてはやはり各国の生産条件が異なることにもうちょっと配慮した方がいいんじゃないかというような意見を申し上げまして、ちょうどお話ございました有機飼料の部分につきましては、具体的な期限は各国が決めるということでどうだということで、この点の主張は現在一応認められたものと我々は理解をしております。
 いずれにしましても、全体の案が来年の七月に検討、採択が行われるということになっておりますので、私どもとしては今お話があったことを踏まえながらいろんな検討をしないといけないかなと思っております。
#107
○谷本巍君 農林省は二年ほど前から有機畜産の勉強会を始めていると伺っておりますけれども、それは基準づくりではないと承っております。
 ウルグアイ・ラウンドはあれは完全な後手でありました。さっきの有機農産物の有機基準づくりもこれも後手でありました。今度はその点、先手といいましょうか、おくればせながら対応しようとしている積極さは評価いたしますが、何といいましても国内における有機畜産基準づくり、これを早めていかなきゃなりません。日本有機農研を初めとして有機農業・有機畜産関係団体がかなりあるわけでありますから、そういう人たちも含めた検討の場を早急につくるべきではないかと思うのだが、いかがでしょうか。
#108
○政府参考人(樋口久俊君) お話ございましたように、有機食品、これまではどちらかというと野菜等の農産物を中心に検討されてきておりましたけれども、やはり私どもも、畜産物についても最近のいろんな内外の関心が高まっていることを背景に、いろいろ検討する必要があろうかということで、平成九年十月に、これは農林省ではございませんが、中央畜産会の中で、畜産に関する生産者団体あるいは加工流通団体等々を中心として有機畜産の検討委員会を開催してきておりまして、まだ検討は続いております。これは恐らく今おっしゃった検討会のことではなかろうかと思っております。
 ただ、その中で、今回、コーデックス委員会の一定の方針がわかったわけでございますので、私どもとしてはこれの検討を継続するというよりは、もう少し広目に関係者を集めて、次のステップといいますか、次の段階に向けて、例えば生産、流通、消費段階の皆さんも入れて検討した方がよかろうかということになっておりますが、いずれにしても前の検討会の仕切りも間もなくされますので、それを踏まえまして、なるべく早く新たな検討会を開催して検討を深めてまいりたいなと、そういうふうに考えておるところでございます。
#109
○谷本巍君 その点は強くお願いをしておきます。
 有機畜産問題の最後に、大臣に見解を承りたいのです。
 今も申し上げましたように、基準づくりを急がなきゃならぬということと同時に、その振興策を確立するということも急がなければなりません。昨年、JAS法改正の際に、この委員会の附帯決議の第一項では次のように述べております。「有機農業の健全な発展を図るため、地域の実情を踏まえた振興施策等を早急に確立すること。」と言っております。
 大臣、制度面、予算面にわたって有機畜産振興施策の確立を急ぐべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
#110
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 有機畜産につきましては、有機農業の一環として、昨年のJAS法の一部改正における国会の附帯決議も踏まえまして、家畜排せつ物の適正な処理や堆肥の流通の推進など有機性資源の有効利用を図りますとともに、地域の実態に応じた生産条件の整備等の振興対策を講じているところでございます。
 今後、関係者による検討会の御意見や生産実態等も十分踏まえて、有機畜産の振興策についてさらに検討を深め、その確立に努めてまいりたいと考えております。
#111
○谷本巍君 大変慎重な答弁をいただきましたが、今度は大臣、メモによらないで答弁をしていただきたいんですけれども。
 法案の問題に入らせていただきます。
 伺いたいのは、改正案の言う「相当部分」とは何なのかということであります。
 改正案は、加工原料乳について、「生産される生乳の相当部分が加工原料乳であると認められる地域における生乳の再生産を確保」と、こう言っております。ここで言う「相当部分」とは何なのかということでありまして、現行法では五〇%以上と言われてまいりました。
 北海道の生乳生産における加工乳が占める割合は平成九年で五三・四%であります。十年で五二・九%であります。十一年で五一・四%であります。この減り方でいきますというと、間もなく五〇%を割る状態に入りはしないかということが懸念されます。割った場合にはどうなるのか。助成金を出す根拠がなくなっていきはしないのか。そこのところの問題があるのでありますが、大臣、どうお考えでしょうか。
#112
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 委員の言われますとおり、この改正法案第十一条第二項に言う「相当部分」につきましては、改正前の第十一条第一項第一号に同様の趣旨の規定が置かれておりまして、この規定ではこれまで五〇%を上回る割合と解してきたところであり、実際には飲用比率が一定期間を平均して五〇%を上回った場合には加工原料乳地域から除外するという取り扱いをしてきたところであります。
 しかし、直ちにそれを行ったというわけではございません。岩手県の場合は五年引き続きやっておるところでございます。したがいまして、今後、仮に単年で北海道の加工比率が五〇%を下回ったとしましても、直ちに生産者補給金制度の存在自体が問題となるものではないと考えております。
 本制度の存否をめぐる取り扱いにつきましては、飲用仕向けの定着状況等、北海道の生乳をめぐる需給動向、生産構造等を十分見きわめながら慎重に判断する必要があると考えております。
#113
○谷本巍君 そうしますと、結論的に言いますというと、五〇%を切ったからといってこの制度が直ちになくなることでもないし、そこのところがきちんとまた論議をしながらやっていくという点も含まれておると、こういうことですね。
#114
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 当然でございます。
 五〇%というと真ん中を切るということでございますが、豆腐を完全に半分に切る、こういうようなことはしないで、やはり現実に即して今後の生産体制というようなものもちゃんと考えながらやっている、柔軟な対応をしていくということが大事かと思います。
#115
○谷本巍君 大臣はさっき、暫定法などと言ったって国際競争力ができるまではちゃんと暫定できちんとやっていくんだときちっと言われておるわけでありますから、そこのところはしかと制度問題のところもお願いをしておきます。
 次に伺いたいのは需給適正化の問題であります。
 現在、脱脂粉乳は逼迫、バターは過剰、新制度移行で米と同じような状況になりはしないかというのが生産者の不安であります。需給をどう適正にしていくかということは大きな課題になるわけでありまして、それには適正かつ公正な在庫状況の把握が不可欠であります。
 ところが、これまでの例で見てみますというと、不足したから輸入をする、輸入をしてみたら過剰であったというような状況というのはたびたび実はありました。的確な在庫調査がされているのかという声も当時ありました。そういう不信を一掃するためにも、輸入と放出事業に携わる畜産振興事業団に調査権を与えてきちっとした調査ができるような、いわゆる調査の透明化といいましょうか、それをひとつやってはどうなのかというふうに考えるのですが、この点いかがでしょうか。
#116
○政府参考人(樋口久俊君) 先生既に御承知のとおり、農畜産業振興事業団は、事業団法に基づきまして指定乳製品等の在庫調査、それから牛乳・乳製品の消費動向調査等の調査そのものの権能は有しております。これらの調査は、農林省も行っております乳製品の在庫、それから大口需要者価格の調査を補完するものとして、お話ございましたように、需給の安定とか制度の的確な運営に不可欠であると私どもは考えて、それは評価をしております。
 したがいまして、どうやってちゃんと調査が行われるかということが大事でございまして、今後とも、お話ございましたようなことを踏まえて、必要に応じてその内容をどういう調査をやるか、そういう見直しは検討しなきゃいかぬ、そういうふうに思っておるところでございます。
#117
○谷本巍君 そうしますと、もう一度伺いますが、必要に応じて調査内容の見直しもやるといった意味の御発言があったわけでありますけれども、それについては、今、私が提起しました調査権の付与といったようなものまでも一つの論議の対象に置きながら考えていくということなんですか。それは別だとおっしゃるんですか。
#118
○政府参考人(樋口久俊君) 権能はもう既に有しているものですから、本当にどういう調査が行われるか、実際運用がちゃんといくかどうか、むしろ私どもはそっちが主眼じゃないかと思っておりまして、そこのところをチェックしたいなと思っておりまして、権限をどういうふうに広げていくかというところは、まだ現在のところそこまでは視野には入れていないということでございます。
#119
○谷本巍君 はい、わかりました。
 きょうは時間がありませんので、そこはまた後日に譲りますが、最後にもう一つ伺いたいことがございます。
 それは、生産費調査にかかわる問題であります。
 家族労働の評価問題、とりわけ女性労働の評価についてはこれまでもいろいろと注文を申し上げてまいりました。今回は制度がえに伴い見直しを必要とする点が出てきているのではないかと思いまして、一つだけ注文申し上げたいのであります。
 それは、現行生産費は御存じのように圃場生産費主義をとっております。価格算定の際にはその点は若干の弾力を加えながらやってきていることは私も承知しております。今回、制度が変わりまして市場実勢を反映した価格制度ということになってまいりますというと、これまで以上に販売コストがかかる場合が生じてまいります。生産者が負担する販売費用や管理費が加わってくるなというふうに感じられる点が少なくないのであります。したがいまして、流通コストを含めた生産費調査といいましょうか、これが必要になってきているのではないか。この点いかがでしょうか。
#120
○政府参考人(樋口久俊君) これも今、先生お話ございましたように御承知のとおりでございまして、現行の保証価格の算定、その場合に、生産費調査の結果を基礎としまして、この上に集送乳の経費、それから販売手数料、企画管理労働費を加算して推定生産費というものを出しております。
 新たな補給金単価の算定をします場合にも、算定方式、そういうやり方自体は変わりますけれども、材料として使います推定生産費あるいは乳量の出し方、推定生産費、乳量の変動率を乗ずるという方式を考えておりますが、その内容の推定生産費自体は変えるということは私どもとしては今念頭にないわけでございまして、それらの品目が上がりました場合、例えば今お話のありましたように、コストとして上昇した場合にはその動向は当然、推定生産費の方で反映されてくる、こういうことになろうかと思っております。
#121
○谷本巍君 ありがとうございました。
#122
○委員長(若林正俊君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#123
○須藤美也子君 私は、日本共産党を代表して、加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案に対し反対討論を行います。
 本法案は、加工原料乳の不足払い制度と指定乳製品の価格安定制度という畜産物の価格支持制度を廃止し、加工原料乳と指定乳製品の価格を市場原理にゆだねるものであります。両制度とも不十分とはいえ、生乳再生産の確保や酪農経営の安定、乳製品の価格安定などに一定の役割を果たしてきました。価格支持制度を廃止することは、危機にある酪農にさらに打撃を与え、法案の目的である「酪農及びその関連産業の健全な発達を促進し、併せて国民の食生活の改善に資すること」とは相入れないものであることは明らかであります。
 日本の酪農の現状は規模拡大と乳価の引き下げで危機的状況にあります。旧基本法のもとで畜産は選択的拡大作物として規模拡大政策がとられ、現在も続けられています。乳用牛飼養頭数は酪農先進国のEU諸国の平均を上回っています。
 一方、加工原料乳の農家手取りとなる保証価格は最高時の一キロ九十円七銭から毎年下がり続け、今年度は一キロ七十二円十三銭となっています。これは二十五年前の水準であります。
 乳価下落の大きな要因は、政府が補給交付金の予算を削減し続けてきたことにあります。一九八〇年前後の最高時にはおよそ四百八十億円でしたが、今年度は約二百六十億円まで削減されています。規模拡大と乳価の下落によって、酪農家の負債額は全国平均で一千四百万円、北海道は三千百四十万円まで増加し、経営不振と将来展望をなくしての離農が後を絶たず、一九九一年には六万戸あった酪農家が九九年度には三万五千戸まで激減しています。
 このような現状を見れば、価格支持制度を廃止し、加工原料乳と指定乳製品の価格を市場原理にゆだねるのではなく、制度の充実こそ求められております。
 以上の点から、本法案には賛成することができないことを申し上げ、反対討論を終わります。
#124
○委員長(若林正俊君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#125
○委員長(若林正俊君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、小林君から発言を求められておりますので、これを許します。小林元君。
#126
○小林元君 私は、ただいま可決されました加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、社会民主党・護憲連合及び二院クラブ・自由連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    加工原料乳生産者補給金等暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、食料・農業・農村基本計画の達成に向けて、我が国の酪農・乳業の健全で持続的な発展、牛乳・乳製品の国内生産の拡大と自給率の向上及び安定的な供給の確保を図るため、本法の施行に当たり、次の事項の実現に万全を期すべきである。
 一 新たな生産者補給金制度の運用に当たっては、生産者が意欲とゆとりを持って生産に取り組めるよう、再生産の確保を図ることを旨として、その経営の安定と所得の確保に十分配慮すること。
 二 加工原料乳価格の低落が経営に及ぼす影響を緩和するための措置の導入に当たっては、生産者の所得の安定に資するよう、その仕組みと運用に十分配慮するとともに、適宜必要な見直し・改善を図ること。
 三 国内における乳製品の需給と価格の安定を図るため、農畜産業振興事業団による外国産乳製品の輸入・放出及び乳業者等が行う調整保管について、透明性を確保しつつ、適時・的確に行われるよう措置すること。
 四 生産者団体による自主的な生乳の計画生産の効果的な実施に資する需給調整体制の整備及び生乳の価格交渉の条件整備が図られるよう、指定生乳生産者団体の広域化の推進及び機能の強化を支援すること。
 五 乳製品取引及び加工原料乳等の生乳取引について、透明性の高い公正かつ適正な価格形成を推進すること。
 六 国産牛乳・乳製品の消費の一層の拡大を図るため、その優れた機能や商品に関する情報を的確に消費者に提供するとともに、表示の適正化を推進すること。
   特に、需要の増加が見込まれるナチュラルチーズ、生クリーム等について、国内生産の総合的な振興を図るとともに、地域の実情を踏まえた有機畜産の振興策等を早期に検討し、確立すること。
 七 国際化に対応して、悪性伝染性疾病の侵入及びそのまん延を防止するため、検疫体制の充実・強化を図ること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#127
○委員長(若林正俊君) ただいま小林君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#128
○委員長(若林正俊君) 多数と認めます。よって、小林君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、玉沢農林水産大臣から発言を求められておりますので、これを許します。玉沢農林水産大臣。
#129
○国務大臣(玉沢徳一郎君) ただいまは法案を可決いただき、ありがとうございました。
 附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、今後、最善の努力をいたしてまいります。
#130
○委員長(若林正俊君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#131
○委員長(若林正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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