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2000/03/14 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 労働・社会政策委員会 第2号
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2000/03/14 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 労働・社会政策委員会 第2号

#1
第147回国会 労働・社会政策委員会 第2号
平成十二年三月十四日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任
     直嶋 正行君     佐藤 泰介君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                大島 慶久君
                大野つや子君
                小山 孝雄君
                川橋 幸子君
                長谷川 清君
    委 員
                上杉 光弘君
                斉藤 滋宣君
                常田 享詳君
                佐藤 泰介君
                笹野 貞子君
                高嶋 良充君
                但馬 久美君
                浜四津敏子君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                鶴保 庸介君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       労働大臣     牧野 隆守君
   政務次官
       労働政務次官   長勢 甚遠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   政府参考人
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
       国税庁課税部長  河上 信彦君
       文部省高等教育
       局長       佐々木正峰君
       中小企業庁長官  岩田 満泰君
       労働大臣官房政
       策調査部長    松崎  朗君
       労働省労働基準
       局長       野寺 康幸君
       労働省労働基準
       局安全衛生部長  下田 智久君
       労働省女性局長  藤井 龍子君
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
       労働省職業能力
       開発局長     日比  徹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○労働問題及び社会政策に関する調査
 (労働行政の基本施策に関する件)

    ─────────────
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、直嶋正行君が委員を辞任され、その補欠として佐藤泰介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(吉岡吉典君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 労働問題及び社会政策に関する調査のため、本日の委員会に法務省入国管理局長町田幸雄君、国税庁課税部長河上信彦君、文部省高等教育局長佐々木正峰君、中小企業庁長官岩田満泰君、労働大臣官房政策調査部長松崎朗君、労働省労働基準局長野寺康幸君、労働省労働基準局安全衛生部長下田智久君、労働省女性局長藤井龍子君、労働省職業安定局長渡邊信君及び労働省職業能力開発局長日比徹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(吉岡吉典君) 労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○小山孝雄君 自由民主党の小山孝雄でございます。
 きょうは、大臣、総括政務次官、それから政府参考人に、所信の中にございましたが、安全文化の創造ということを大臣述べられましたわけでございますが、この安全ということについて質問をさせていただきます。
 我が国は、安全と水はただだとかつて言われました。外国を回ってみましても、治安のよさ、女性が一人で外出もできる非常に数少ない国の一つであると私は思います。しかし、最近はどうもそうもいかなくなってまいりました。先般の中目黒駅におきます地下鉄の事件、一瞬にして五人の命が失われました。そしてまた、三十数名の重軽傷者が今治療に当たっておられるということで、大変ゆゆしいことでございます。安全だと思っていた地下鉄に乗っていた途端に対向車線から電車が飛び込んでくるなどという、これは今まで考えられなかったことでございます。亡くなられた方々の御遺族に心からお悔やみを申し上げる次第でございます。そしてまた、けがをなさった皆さんが一日も早く回復されるよう願ってやまない次第でございます。
 そしてまた、当然勤労者の方につきましてはいわゆる労災補償という問題がこれから起こってくると思いますが、当然のことではございますが、出てまいりましたら、どうぞ速やかな対応、対処をお願いしたいということをまず申し上げて、質問に入らせていただきます。
 最初は総括政務次官にお願いを申し上げます。
 この安全の問題、これは電車のみならず新幹線トンネルのコンクリの塊が落ちてくるとか、あるいは病院でリンゲル液と消毒液を間違って注射されて亡くなってしまうとか、本当にあちこちでこの安全という問題を考えさせる事件が相次いでおります。あるいは、国民生活の安全を守る警察官の不祥事の多発ということもこれまた今までになかったことであろうと思います。
 そして、昨年の十月でございましたか、ジェー・シー・オーの放射能漏れ事故なども私どものこれまで考えられなかったことであります。このジェー・シー・オーの事故なんかにつきましても、安全教育のほんのはしりだけでも従業員にちゃんとしていればあの事故は起こらなかったはずでございまして、ジェー・シー・オー事故のその後につきまして、安全衛生管理体制あるいは安全衛生教育、設備面での不備などについて現在どのような対処がなされているのか、お聞かせをいただきます。
#7
○政務次官(長勢甚遠君) 御指摘のとおり、安全に対するなれというものがこの社会に少し起きているのではないかということが心配されるわけでございまして、労働面におきましても、御指摘のようなジェー・シー・オーの大事故というものが起きておるわけで、こういうことを踏まえてこれまで以上に安全に対する認識を強化してもらわなきゃならない、こういう体制をつくっていかなければならないと認識をしております。
 お話がありましたように、安全衛生管理体制を強化していく必要がありますので、労働省といたしましても、労働安全衛生マネジメントシステムの普及促進に努めるとか、あるいは効果的な安全教育の実施体制を整備していくとか、さらに、ヒューマンエラーに関する調査研究を実施して設備の改善等にも努めるとかなどの対策を充実いたしまして、安全文化の創造に向けて今後とも全力を挙げてまいりたい、このように考えております。
#8
○小山孝雄君 大きな災害の陰には、これは報道もされませんけれども、労働災害がたくさんあるわけでございます。かつては六、七千の死亡災害事故がありました。労働安全行政、そしてまた関係者の皆さんの御努力によりまして次第に減ってきておるわけでございますが、たしか平成十年には史上初めて死亡事故が二千人を割った、こういうことがあったと記憶いたしておりますが、昨年、平成十一年になりましょうか、私が承知しているのは十年でございますが、十一年度の発生状況はどうでありましょうか。
 そして、やっぱり依然として、かつてもそうでありましたが、建設業における死亡事故が一番多いわけでございますが、その辺もお聞かせをいただきます。また以前のように二千人を上回るようなことにはなりはしまいかと心配をいたしておるわけですが、これは政府参考人、基準局長か安衛部長、お願いをいたします。
#9
○政府参考人(野寺康幸君) お尋ねの数字でございますが、平成十一年度につきましては現在まだ速報値という段階でございます。しかしながら、その速報値の中で全産業における死亡者数は千九百二十四人、うち建設業が七百六十八人ということになっておりまして、前年を約六十人現在上回っている状況にございます。若干危惧されるところでございます。
#10
○小山孝雄君 死亡災害事故、今千九百二十四人、これは直近の数字でこれからまたふえることになるんでしょうが、その中でいわゆる安衛法違反というものはどれくらい今掌握しておりますか。
#11
○政府参考人(野寺康幸君) 平成十一年度の中で安衛法違反、大体六割強という数字でございます。特に例えば建設業について申しますと、現時点までに三百七十五件が報告されておりまして、そのうち二百四十五件が何らかの意味で安衛法に違反しているといったような状況でございます。
#12
○小山孝雄君 そうすると、それ以外の件は違反がないということになるわけでございますが、私、ここに労働安全衛生関係法令集というのを持ってきておりますが、非常に分厚いものでございます。安全衛生法本体は百二十二条、政令が二十五条、そして安全衛生法規則というのが六百七十八条ございます。こんな分厚い安衛法及び関係法、規則等々ありましても、どうして災害というのがなくならないのかなと。災害から見て本当に必要な規制がなされているんだろうか、あるいは規制しなくてもいいものを規制したりしているのではないのかな、これは総括政務次官にお願いいたしますが、そんな気がしてしようがないんですね。規則だけでも七百近くのものがある。そのあたり、政務次官どうお考えでありましょうか。
#13
○政務次官(長勢甚遠君) 労働安全衛生にかかわる規制については、今お話しのとおり時代の流れもありますので、見直しをしていかなければならない、こういう考えで今までも進めてまいりました。
 要らない規制もあるんじゃないかという御意見もあるところではございますが、もちろんそういう見直しもいたしますけれども、新たな災害等も起きておりますので、それに合わせた規制の仕方というものをやっていかなければならない、こう思っております。特に建設関連においては、御指摘のように大変、災害もまだまだ減っていないわけでございますので、その強化に努めてきたところでございます。
 例えば、昭和五十五年には、法改正をいたしまして、計画段階での建設工事の安全性の確保のために建設工事計画を労働大臣に届けさせる、また労働大臣が審査をするという制度を創設いたしましたし、平成四年には、中小規模の建設現場における安全衛生管理体制を強化するために店社安全衛生管理者を選任させるということもいたしました。また、平成八年には、御案内のように長野県で大規模な土石流災害による労働災害が生じましたので、それまではこれについての規則を設けておりませんでしたけれども、土石流による労働災害防止のための労働安全衛生規則の改正も行いました。さらに、平成十年、来島大橋での架設けたの落下災害というものが起きました。大変な事故でございましたが、これに対応いたしましてジャッキ式つり上げ機械関係の労働安全衛生規則の改正を行う等々、時宜に応じて進めておるところでございます。
#14
○小山孝雄君 今、総括政務次官、安衛法及び規則等の改正も視野に入れているというお話がありましたが、どのあたりを改めなきゃならないという認識を持っていらっしゃいますか。何条とかこの規則とかまで具体的にならなくても結構ですが、どのあたりが今の現状に合わなくなってきていると認識なさっているでしょうか。
#15
○政務次官(長勢甚遠君) 細部のことまで十分把握をしておるわけではございませんけれども、従来余り考えられなかったような、つまり想定をしなかったような事故が起きておりますので、こういう問題にはすぐに対応していかなきゃならないと思いますし、また作業工程あるいは作業機械等々新たな観点のものも出ておりますので、これに迅速に対応する規則の整備というものをきちんとやっていかなければならないのではないか、このように思っております。
#16
○小山孝雄君 政府参考人、何か総括政務次官の答弁に補足することがあればお願いいたします。
#17
○政府参考人(野寺康幸君) 今総括の方から御答弁申し上げたとおりでございますけれども、若干基本的な流れで申しますと、従来、法違反があった場合にあるいは規則違反があった場合に取り締まるといういわば事後対策的な面が若干あったかと思うんですけれども、今総括の方からお話ございましたように、次々と新しい工事方法等出てまいります。予防という観点をもうちょっと強調した規則づくり、あるいはさらに予防だけではなかなかうまくいかないものもございますが、労使の、使用者側の特に自主的な安全に対する取り組みといったようなものを促進するような方向というものは今後ぜひ必要になってくるんじゃないかと思っております。
#18
○小山孝雄君 今の総括政務次官のお考え、そしてまた基準局長のお考え、特に事故を未然に防ぐということの観点からの再検討と法改正、規則等の改正と法令の改正ということは大変大事な点だと思います。どうぞ速やかに、適切にお進めをいただきたいと要望申し上げる次第でございます。
 こんなことを申し上げるのは、実は私も政務次官としてやらせていただきまして、各地の建設現場、地下も含めまして地上何十階、各地見させてもらいました。大変高いところへ上って作業をするのは怖いんだろうなと。私なんかはかなり高所恐怖症の気がありますので、震えながら仮設の現場を歩きました。ここじゃ、やっぱりうっかりすればそれはもう、そのうっかりが一瞬にして死につながるなと。また、命を失わないまでも、もう障害者となる危険は十分にこれありということで見させていただいたところであります。
 政府参考人にお尋ねしますが、この死亡事故の中で一番多い建設現場、その中でも事故別の平成十一年度の件数をちょっと手元にあれば発表してください。特に墜落、転落、あるいは物が飛んでくる、飛来、落下、物が落ちてくる。それから、昨年の暮れだったでしょうか、工事現場の近くを歩いている方のところに工事現場で使っていたペンチのようなものが落ちてきて、頭に突き刺さって何の関係もない方が即死したという事件もありました。それから、崩壊、倒壊。こういった事件別の件数とその全体の死亡事故の割合等についてちょっと明らかにしていただきたいと思います。
#19
○政府参考人(下田智久君) 平成十一年におきます建設業の死亡者は七百六十八名ということで先ほど局長からお答えを申し上げました。
 原因別に眺めてまいりますと、一番多かったのは墜落、転落ということでございまして、そのうち三百十九名、四二%ということになっております。次に多いのが交通事故ということで八十九件、その次が挟まれ、巻き込まれというものが八十八件ということで、おのおの約一二%ということになっております。その次の四番目といたしまして崩壊、倒壊ということでございまして七十六件、およそ一〇%ということでございます。その次が激突されということで五十三件。先生御指摘の飛来、落下は第六位ということで四十二件ということでございました。
#20
○小山孝雄君 今のような数字が明らかになったわけですが、やはり一番多いのが墜落、転落。
 仮設の工事現場、仮設の構造のところをずっと視察に歩いておりますと、ちょうどこの腰の下あたりに手すりがあるという、これで大丈夫かなと実は思いました。そして、現場の方に聞いてみると、法律なのか規則なのか、法令で七十五センチというのが決められているんですよということです。七十五センチとは一体何だと、それは。七十五センチというと私でもこれは、私は、中肉とは申しませんけれども中背ですが、決して大きい方じゃございませんけれども、それでも百六十六センチあります。身長が極めて高くなっておりまして、もう昭和三十年代から見れば、恐らく今は十センチ以上は背丈が高いはずです。七十五センチというのは随分昔の取り決めである。
 そうすると、それは現状に合わせた改正をしておかないと、七十五センチと法令で決まっているんだから手すりは七十五センチでいいんだということになったのではやっぱり墜落事故は防げないだろう、転落事故も防げないだろう、こう思った次第です。
 そしてまた、物が落っこちてくるというのも、誤って落とすということもあるんでしょうが、足場の間が何センチかあけてよろしいということになっている。何であんなものぴちゃっと、あけないできっちりとふさぎなさいということになっていないのか。それともう一つは、そこまで法令で規制する必要があるんだろうかという気もいたしました。どうしても日本人は遵法精神が強い国民でありますので、法令で三センチあけていいよ、四センチあけていいよ、足場板の間をそれだけあけていいよと言えば、それはそのまま、あけたままつくる。七十五センチの高さの手すりでいいよと書いていれば、背丈が伸びたんだけれどもなと思いながらも七十五センチの手すりで工事を進めてしまう。
 こういうことで、やはり現状に合って絶えず柔軟に対応していく。本当に細かいところが大きな事故を招いているという気がいたしたわけでございます。政務次官、どう思われますか、今の。
#21
○政務次官(長勢甚遠君) 小山先生、先輩政務次官として本当にこの問題に現地を見聞されて御苦労いただいたことに敬意を表しておりますが、それに基づく今の御指摘はまことにそのとおりだと思います。
 規則だけで決めればいいというものではございませんけれども、また作業効率その他の観点から今の規則そのものにもいろんな御意見もあるところであります。しかし、高所からの墜落というのは大変な事故につながることは明らかでございますから、今お話のあったような身体状況の変化とか、またこういう状況の変化等に合わせた改善措置を早急に検討すべきものと思います。
 ただ同時に、何か指導では七十五センチを九十センチぐらいのところで指導しておるようでありますけれども、余り高いところに決めると今度は間からすとんと落ちられても困るわけですし、規則を守るのはもちろんでございますけれども、それだけではなくて、現場の監督の方々、働く方々それぞれにみずからの安全のことを十分考えた措置を講ぜられるように指導もしていかなきゃならないと思いますし、そういう認識を持ってもらうように強力に指導を進めてまいりたい、このように思っております。
#22
○小山孝雄君 どうぞよろしくお願いを申し上げます。
 人間はうっかりしたり、集中して何時間も人の話は聞けないもので、きょうはまだ十時半前でありますから皆さんも耳を傾けてくださっておりますが、私などもそうですが、一日ぶっ通しの委員会ではもう数時間、一時間以上いたしますとうろちょろうろちょろ電話をかけに行ったり、用事があるから電話をかけに行くのでありますが、そんなものであります。本当に集中するというのは難しいことであります。
 しかし、本当にそうしたうっかりが命を失うんだということ、大けがをするんだということ、そのあたりを考えて、ぜひ規制の内容を現場の実態あるいは技術の進歩等々に合った内容にしていただきますよう要請をする次第でございます。
 これも政務次官にお尋ねをいたしますが、十二年度の労災補償対策の概算予算、これは何ぼになっておりましょうか。また、建設業における労災防止対策にかかわる予算は幾らでございましょうか。
 私は、死亡災害事故そして労災というものは防ごうと思ったら防げるし、これは人災だ、大半は。本当に不可抗力のこともあろうかと思いますけれども、先ほど発表いただいた転落、墜落、飛来、落下、崩壊、倒壊、挟まれ、巻き込まれ事故等々は十分それで相当の数が防げると思うわけでございます。人が、自分が働く、天分として働くその場所で命を落としたりあるいは大けがをしたりということは本当にこれは悲しいことでございます。
 先ほど来お話承っておりますが、予算面からの検証をちょっとお願いを申し上げます。
#23
○政府参考人(野寺康幸君) 大まかな数字でお許し願いたいと思うんですけれども、労働災害防止対策全体で十二年度の要求、百三億でございます。さらに、その中で特に建設業に絞りました予算というのは約十九億ということになっております。
#24
○小山孝雄君 けがをなさって、あるいは亡くなられて、その補償、遺族への補償、あるいはけがの治療に当たる補償、あるいは月々の労災補償をずっと続けられるわけでございますが、これはたしか一兆円を超えておるわけで、莫大な金でございます。労働省の施設に労災ケアセンター、ここも何カ所か見させていただきましたけれども、まさに家族ではとても介護し切れない、もうそこでずっと一生を終えてもらうしかない、ついの住みかといいますか、そういうところにもたくさんの方が入っているわけでありまして、その費用は莫大なものがございます。
 やはり労災補償に使う莫大な費用の何分の一かでもいわゆる予防に費やすべきだと考えるわけであります。そのあたりの予算の組み方に関して、政務次官、いかがでございましょうか。
#25
○政務次官(長勢甚遠君) 予算の内容の詳細を十分今手元にございませんで御説明ができなくて申しわけございませんが、労災の防止ということが、今申されましたような予算の効率的な執行という面だけではなくて、本来人命にかかわる大変大事な事業でございますから、現在の予算規模で十分なのかどうかも含めて万全を期すような予算体制というものをさらに進めていかなければならない、こういう意気込みでこれからも頑張ってまいりたいと思います。
#26
○小山孝雄君 大臣にお尋ねをいたします。
 大臣は通産省の御出身であり、中小企業の問題についても大変造詣が深いわけでございますけれども、この災害の大部分がこれは中小企業の現場で発生しているということは御承知のことだと思います。そして、その中小企業というのは多くは下請でありまして、安全対策が不十分である場合が多々ある。その原因といたしましては、法令が十分徹底していない、あるいは安全についても、意欲がありましても技術や資金面で十分でないということなどもあります。特に、今日のように仕事の量が減っている、不況だ、こうなると、どうしてもそういうところにしわ寄せが来る。いわゆるゼネコンはそういうところをぎゅっぎゅっ搾っていく。それにこたえるためには安全なんというものは二の次、三の次になりやすい面があるわけでございます。
 したがって、弱い立場の中小企業に対しまして安全面での支援というものをこれから強化する必要があるんじゃないかと私は考えるわけであります。そして、特に建設業におきましては、死亡災害の半数近くは先ほど見ましたように墜落災害。こうした災害を防止するためには現場で足場など安全な仮設物を使用させることが最も重要だと、こう考えるわけであります。あるいは木造建築現場での足場先行工法については既に助成がなされていると聞いておりますが、中小企業におきますこのような設備の普及徹底についてもっと支援していいんじゃないのかなとこう思うわけであります。
 労働災害を少しでも少なくする、そのために重点的に一番たくさん事故が起こるところに焦点を絞って対策を進めたら私はぐんと減る。五人の命が失われたあの地下鉄の脱線事故で本当に全国民が大きな心配をする。自分の乗っている電車はどうか大騒ぎをする。しかし、毎年毎年ちょっとしたことで数百名の命が働く場所で失われていることを解決するためにも重点的な施策というものをするべきじゃないかなというふうに考えますが、大臣のお考えを伺いまして、質問を終わります。
#27
○国務大臣(牧野隆守君) 先生御承知のとおり、中小企業関係の事故発生率が実は増大をいたしております。特に建設業で非常に多いんですが、私も選挙区を回っておりまして、やはり土木建築関係のところへ行きますと、もう朝からちゃんとスローガンを唱え、経営者がじゅんじゅんと事故を起こさないようにと、こういう実情を見ておりまして、従業員ともども最大の努力をしているなということは、私、肌で感じているわけです。
 平成十年度を初年度とする第九次労働災害防止計画におきましては、特に中小企業における安全衛生の確保を重点課題といたしております。そして、安全衛生教育等の実施費用の援助あるいは安全衛生専門家等による指導など、小規模事業集団の安全衛生活動に対して必要な支援を行うとともに、個別の事業場に対しても専門家による安全衛生診断を行っているところであります。
 先ほどから先生特に建設業について多いという御指摘がおありですが、中小規模の事業者が多い各種の専門工事業者、十以上に分かれているわけでありますが、こういう専門工事業者だとか、あるいは木造家屋建設工事業者あるいは地場の中小総合工事業者の自主的な安全衛生活動の支援のため、安全衛生専門家等による事業主に対する指導等について引き続き努めている次第でございまして、今後とも、第九次労働災害防止計画、特に中小企業について配慮をいたしておるわけでありまして、さらに努力をいたしたいと、こう考えております。
#28
○斉藤滋宣君 おはようございます。
 小山委員に引き続きまして質問させていただきます。自由民主党の斉藤滋宣でございます。
 まず最初にお聞きいたしますけれども、いろいろ政府では中期の経済計画そしてまた単年度の経済見通し等を発表しているわけでありますけれども、その中に完全失業率ですとか雇用創出効果等が試算されているわけでありますけれども、このような計画策定時にこういう試算を出すに当たって労働省はどのようなかかわり方をしているのか、まずお聞きしたいと思います。
#29
○政府参考人(松崎朗君) 政府の経済見通しにおきますこの完全失業率の見通しにつきましては、雇用構造でございますとか産業構造の変化また景気の動向等を踏まえまして、当省と協議の上、経済企画庁において作成したものを閣議決定している、こういうふうな手続を踏んでおります。
 その結果としまして、来年度におきましては、経済新生対策の効果を初め、また来年度の施策、そういったものを推進することによりまして、今年度に比べまして〇・二ポイント改善し、四・五%程度になるというふうに見通したところでございます。
#30
○斉藤滋宣君 積極的にかかわっていると承知してよろしいでしょうか。
 そこでちょっと質問したいんですけれども、例えば平成七年十二月一日閣議決定されました構造改革のための経済社会計画が出されました。
 その中では、平成八年から十二年度の期間において実質経済成長率三%程度と見込んでおるわけでありますけれども、その中で成長期待分野の市場規模約二百八十六兆円、そして雇用創出効果約四百二十一万人と試算されています。完全失業率に関しても、平成十二年度、最終年度で二・七五%、この計画の非常に特徴的だと思うんですけれども、構造改革をしなければ今の社会、大分時代が変わってきたから、これからの計画の中で、これは何も雇用分野だけではなくして構造改革ということが一つのテーマになっておりまして、構造改革がなされなければ三・七五%ぐらいの失業率になるという、そういう試算がなされているわけであります。現実に今年度の経済見通しの中では完全失業率四・五%。
 まず最初にお聞きしますけれども、最初の平成七年のときに閣議決定された経済社会計画の中で十二年度は二・七五%の完全失業率が見込まれる、構造改革がなされなければ一%上がって三・七五とこう読んでいたわけですけれども、この数字については私、今年度の四・五%との完全失業率の見込みというその間に非常に乖離を感じるわけです。この数字に対しては労働省はどのようにお考えになっていますでしょうか。
#31
○政府参考人(松崎朗君) 先生御指摘の構造改革のための経済社会計画、これは五年計画でございましたけれども、このときは構造改革がうまくいけば三%程度の実質経済成長を見込んでおる、それを前提にしまして二〇〇〇年度に二・七五%の失業率ということを見込んでおったわけでございます。また一方で、括弧書きでございましたけれども、構造改革がうまくいかない場合にはこの経済成長率も一カ四分の三%程度になり、失業率も御指摘のように三・七五%程度というふうに悪化するというふうな見込みを出しておりました。
 現実には、もう御案内のように、この三%の成長率が達成できませんで、かなり低く今年度におきましても〇・六%を見込んでおるという状況でございまして、こういった経済成長が低くなってしまったといったことから現在の失業率四・七%といった数字になっております。
 この四・七%という直近の数字、そういったものを前提にしながら、先ほど申し上げました経済新生対策でございますとか来年度の施策、そういったものを積極的に推進することにより何とか改善できるものを見込んで四・五%というふうには推定したところでございます。
#32
○斉藤滋宣君 私も不勉強でありますけれども、経済成長率と完全失業率の関係というものは少し勉強させていただきました。オーカン係数の中で見ていくのも承知しておりますし、完全失業率が一%減少した場合、〇・七%の経済成長の押し上げ効果があるというあの労働省の報告も聞いております。
 私が気になるのは、確かに経済成長率と完全失業率の関係というのは十二分に承知しておりますけれども、この中で三%を達成できなかったから目標とした完全失業率が達成できないんだという認識なのか。私は、この計画の中でいわゆる構造改革が行われたらば一%下がる、逆に言えばされなければ一%上がるというこの数値について言えば、労働行政の中で、ただ単に経済成長があるということで完全失業率が下がるということではなくして、やはり今までの労働行政の中における構造改革というものをひとつやることによってこの完全失業率を下げることができるんだというのがこの計画だと思うんです。ですから、私が言いたいのは、この計画の時点での数字が達成できるできないということよりも、この数字が達成できなかった、なぜ達成できなかったのか。
 それからもう一つは、構造改革が進めば一%の完全失業率が下がる、そういう数値を出しておるわけですから、労働省としてこの構造改革がきちっと行われたのかどうなのか、そこの精査、検証というものを、この数字を出した責任、これは経企庁も政府全体の責任であることは当然に承知しておりますけれども、この労働行政を担う、これだけ厳しい雇用環境にあるときに、労働省がそういう数字に対して自分たちもかかわってきたのであれば責任を持ってなぜこういう数字が達成できなかったのか。
 一つは、経済成長率が見込まれたとおり達成できなかったということがある。だけれども、このときには、構造改革が進まなければ一%失業率が上がるということは構造改革が進めば一%下がると言っているわけですから、であれば、労働省として構造改革にどういうことに取り組んできて、どこが達成できなかったから今回の今年度の経済見通しに言う四・五%という数字を見込み数字として出すのか。そこの検証がなければ、私は新たな対策もとれないだろうし、新たな完全失業率の見通しというのが出てこないんではないかと思うわけです。
 この平成七年度における経済社会計画におけるこの数字に対するそういう検証というのはなされているんでしょうか。
#33
○政府参考人(松崎朗君) 完璧にはしておらないのが種々ございますけれども、ただこの場合に従来の考え方でいいますと、労働市場の関係、需要と供給ございまして、需要側の方の一番大きなものは経済成長率ということになっております。そういったことに引きずられた面も若干あるかと思いますけれども、ただ、構造改革が進んだ場合に、確かに構造改革が進んだときに、それにうまくマッチして労働力移動というものが円滑に行われるということが前提かと思っております。
 確かに、労働行政の中で、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、従来雇用の安定ということを重点に置きまして、苦しいときにしっかり抱えてよくなるまで待ってくれといった施策はかなり重点を置いてやってまいりました。
 そういったことで、この構造改革、大きな転換へ向けて、労働力の移動というものについて今後きちんとやらなくてはいけないといったことで、ここ一、二年は、特に労働力移動といった面、構造改革に合った格好で円滑な労働移動というものを支援するといった方向へ検証の結果向かっているというふうに申し上げたいと思います。
#34
○斉藤滋宣君 私、それはおかしいと思うんですよ。
 確かにおっしゃるとおり、いろんな改革を行って、その効果としてこういうことがあらわれると失業率が下がる。それはもう理屈はわかるんですよ。でも、少なくとも政府が閣議決定をして、経済社会計画というのを国民に打ち出して、その中で構造改革が進まなければ一%失業率は上がるということをはっきりと明示しているときに、構造改革が行われて雇用の流動が進めばこういうぐあいになりますというのはおかしな議論で、だったらうたわなきゃいいんであって、でも、少なくともその経済計画をつくったときには、構造改革に対する計画も当然こういうところを改革していこうという具体的な政策も盛り込んでありますよね。
 ですから、そういうことをきちっとやったらば完全失業率がこのように下がるんだということをうたっておきながら、それが実際に行ったときに雇用の流動化が行われなかったからというのではなくして、僕は、その前提として構造改革が行われたか行われないかの検証がまずあって、その効果としてそういう雇用の流動化が進まなかったとかという議論は承知しますけれども、でも、その構造改革をやったかやらないかの精査をしないでおいて、それで雇用失業率達成できませんでしたという議論はちょっとおかしいんではないのかなという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
#35
○政務次官(長勢甚遠君) 御指摘の見方はそのとおりだと思います。
 今回、平成七年の経済計画、そのとおりにならなかったというのはまことに残念でございますが、今政府参考人からお話しいたしましたように、景気不況が長引いたというようなこと、またそういう事情の中で構造改革も予想どおりには進めていなかったという事情にあったことがこういう結果になっておるということだと思います。
 そういう中で、当然、完全失業率についても目標値として掲げておるわけでございますから、これは労働省としてそれを実行できるように十分努力をしていかなきゃならないと同時に、構造改革についても、政府全体としての中に労働行政として要請をしなきゃならぬことはしなきゃなりませんし、また検証をしなきゃならないことはしなきゃならぬということはおっしゃるとおりだと思っております。
 ただ、この構造改革そのものを労働省だけで云々ということはなかなか難しい事情にあったことも事実でございますが、今後そういう観点を含めて労働行政の一層の発展に努力をしてまいりたい、このように思います。
#36
○斉藤滋宣君 今、総括政務次官のお話のあったとおり、私自身、正直申し上げまして、この完全失業率を達成できなかったことを問題にするとか、そういう気持ちは全くございません。今答弁の中にもありましたけれども、やはり少なくとも国民に対する責任として、こういう数字をうたった以上はこれの数字に対する責任があるということは、まず御認識同じだと思うんですけれども、そこから始まって、なぜこの数字が達成できなかったかという検証を、それぞれの今までのこの計画だけではなくして、今までいろんな計画をつくってきていると思うんです。その時点その時点で、目標年度に達したときにその数字が達成できない。じゃ、なぜ達成できなかったのか。
 それは一つには、先ほど来話しているように、経済成長率が思ったように高まらなかったということは大きな原因でありますけれども、でも、少なくともこの七年度における経済社会計画のときには、構造改革というのを一つのテーマに上げて、その大きな柱にやってきた。であれば、経済成長率だけではなくして、ほかの分野で、労働行政の中でもっとこういうことをやったら完全失業率の改善に寄与することはできたんではなかろうか。また、この場合には構造改革ということをうたっているわけですから、構造改革のどこが進まなかったから完全失業率を下げることができなかったのか。そこの検証というものを、やはり計画を立てた目標年度の結果が出た段階できちっと私はやっていく必要があるだろう。それを検証することによって初めて、次の世代に、例えばことしでも来年でも再来年でも、じゃ完全失業率をどういう政策をとることによって下げていこう、その政策反映にできると思うんですね。
 ですから、私が言いたいのは、この数字を達成できなかったことについて労働省の責任云々ということではなくして、この数字が達成できなかったときに、何が原因でこれは達成できなかったのか。であれば、この次の計画の中にどのように政策反映させていったら少しでも完全失業率を下げるための方策がとれるのか。これが私は労働省の責任だと思いますし、少なくともこの計画策定時に経企庁との協議の中でそういう形で加わって、積極的にこの数値を出すための努力をしてきているわけですから、そういう努力、結果が出た段階における責任を私は問うのではなくして、その結果に対する検証、そこのところが一番大事だと思うんですが、いかがでしょうか。
#37
○国務大臣(牧野隆守君) 非常に大切なポイントをつかれた先生の御質疑でございまして、今回の四・五%完全失業率と、こういう目標が立てられたわけでありますが、私どもとしましては、産業構造の変化というのはこれは国際競争力を維持するために、確保するためにどうしても国際情勢を見ますと産業としてはやらなければならない方向でございます。
 したがって、こういう産業構造の変化に労働政策としてはどう対処すべきかと。失業率だけの問題を論議しますと、私は最低限経済成長率は二%は欲しい。しかし、それは現在の情勢下で可能かと。政府の資金投入も必要でございます。特に、財投資金の投入についてはこれ以上ふやしてはどうかというようないろんな意見もありますし、片方で企業がどういうように構造変化に対応していくかという企業自身の受けとめ方もございますし、いろんなデータを検討した結果、ことしは一%の成長率、失業率を四・五という目標を掲げて最大の努力をしよう、こういうことに相なったわけでありまして、私自身、ことしはやむを得ないなと。何とかことし中に景気回復の芽を出して、来年は我々としてはしかるべき要求をしなきゃいけない。私自身は、雇用政策については当然政府の財政政策、金融政策あるいは産業政策と一体にならなければいけない。また、その中に入っていって、雇用確保という、雇用の安定という面から我々はもっと主張しなければいけない、実は私自身はそう考えているわけです。
 したがいまして、これからも、予算を御審議今いただいているわけでありますが、具体的にどうするか。そうすると、どうしても中高年齢の失業者に対する手当てをきちっとしなきゃいけない、雇用を継続していただきたい。片方で、若年労働者の技能問題、これを持っていただかなければ企業サイドとのミスマッチがどうしても埋まらぬわけでございまして、今それに全力を投球しているというのが実情でございます。
 気持ちとしては、また労働省としては、完全失業率の目標として三・何%がいいのか。昔みたいに二・何%というのはこれはなかなか無理じゃないか。若い方々がどんどん会社をおやめになるわけですから、そしてみずから選びたい、こういう状況で、その間における失業者というのは相当数実は見込まれるわけでございまして、したがって、単に下げるということだけではなかなか難しい。やっぱりいい状態というのは三・何%ぐらいかなと。それに近づくようにいろんな施策を、細かいものも含めまして、地道ではありますけれども、それに最大の努力をさせていただいて、雇用の安定、雇用の確保を図りたい、こういうように考えております。
#38
○斉藤滋宣君 これから質問しようとしているところの核心まで答弁いただきまして、ありがとうございます。
 私は、先ほど来言うように、労働省がそれぞれの施策に対してどういう効果があってどういう効果がなかったか、だから新たな政策をやろうということで絶えずそういう検証はやっているというのはもう当然のことだと思いますし、そういったことをさらなる次の政策に反映させているということも承知しておりますけれども、こういう中期的な経済計画だとかそういう中で数字を盛り込んで発表した以上は、やっぱりそれに対する検証もきちっとやって、そしてその次の計画の中に生かしていくということをぜひともやっていただきたいということを要望しておきます。
 そこでもう一つお聞きしたいのは、第九次の雇用対策基本計画が出されていますけれども、この中に完全失業率の目標数値といいますか、これは盛り込まれているでしょうか。
#39
○政府参考人(松崎朗君) 第九次の雇対基本計画におきましては、一九九九年から二十一世紀初頭の十年間程度ということで、二〇一〇年度を最終年度として想定しておりまして、二〇一〇年におきます完全失業率を三%台後半から四%台前半ということに置き、さらにこれを下げるべく努力をするというふうな書き方をしております。
#40
○斉藤滋宣君 私、不勉強かもしれませんけれども、これは本文に入っていますでしょうか。
#41
○政府参考人(松崎朗君) ちょっと今手元にございませんけれども、本文にはなくて説明の中ではないかと思っております。
#42
○斉藤滋宣君 私が見たのは「参考」というところにありまして、それはそれでいいんですけれども、今お話のあったとおり三%台後半、四%台前半というのは平成十一年七月八日に閣議決定された経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針の中に書かれている数字ですよね。
 私が思うのは、労働省が経企庁とこれからの経済見通しを勘案した上で、そういう完全失業率の目標数値というものを一緒に精査してこういう数字を目標に頑張りたいというのであれば、やはり労働省の一番根幹であるこういう雇用対策基本計画の本文の中にきちっと盛り込んで、労働行政の中で責任を持ってこういう数字を達成させるために努力していくのだという姿勢も大事だと思うんです。
 だから、本当の根本である基本計画の中に、そういう本文の中に数字がなくて、いわゆる経済見通しの中にそういう数字が出てくる。そうすると、決してそんなことではないと思うんですけれども、労働省の姿勢として、その数字を達成するために一生懸命努力していく、そのためにはこういう政策をやっていく、もうあらん限りの、今大変国民の中においては、それは経済対策は一つの柱であるかもしれないけれども、もう一方の柱は表裏一体の関係でありますから、雇用対策に対する関心が非常に高いときですから、こういう九次の基本計画の中にもうはっきりと政府としてはこの程度の完全失業率を目指して頑張るんだとうたっているわけですから、本文の中にそういうのを盛り込んで、だから労働行政としてはこういう対策をとりながらこの数字を達成するために頑張っていくんだという姿勢を見せることが国民の皆さんに対する労働省の責任ではないのかという気がするんですけれども、いかがでしょうか。
#43
○政府参考人(松崎朗君) これは雇対基本計画でございますけれども、十年間という長期を想定しておりますこと、またその想定も十年一昔と言われるように長いものですから、御案内のように三%後半から四%前半というように幅を持たせておりますように、なかなかそのすべてについて明確な目標数値というものははっきり申し上げて自信がないといいますか、なかなか厳しいことだと思います。
 また、この数字自体もいろいろとり方がございますけれども、数字よりもやはり中身といいますか、質的な面での雇用対策といったものを重視するという点から、数字よりも中身ということで雇対計画をまとめさせていただきました。
#44
○斉藤滋宣君 私は、そういう経済計画の中で数字が上がっているんですから、労働省のいわゆる基本計画なわけですから、その中にきちっとうたって、これはもうおしかりを受けるかもしれませんけれども、経済成長率も当たったことがないわけですから、ほとんど当たらないで来ているわけですから、完全失業率も当たらないとは言いませんけれども、でもやっぱり労働行政を担う、これだけ国民の関心の高い政策を担っている労働省としての気構えとしてそういう経済の基本計画の中に数字をうたっているわけですから、それをきちっと労働省も責任をとって、責任をとってという言い方はあれですが、経企庁とのやりとりの中でそういう数字を出しているわけですから、その数字が当たる当たらないということよりも、その数字を出すことによって、その数字に向かって労働行政をこういうぐあいに強力に進めていくんだという姿勢を見せることの方が私は大事だと思うんですけれども、答弁は結構でございます。
 とにかく、大変こういう厳しい雇用環境の中で、決して私は労働省がその対策を怠っているとかそれから政策に不備があるということは一切言う気もありませんし、もう大変努力されていることは本当にありがたいと思っております。でも、せっかくその努力を成果あるものにするためには、やはりそれぞれの段階における検証をきちっとやって、そこにおいて何が足りなくて、じゃ今後どういう政策を盛り込んでいくことによって今のこの大変悪化している雇用環境を改善することができるのかというふうに持っていく必要があると思いましたので、あえて今質問させていただきました。
 それで、次に質問を移らさせていただきたいと思いますけれども、国際経営開発研究所というところが作成している資料の中に日本の世界競争力という統計があります。この総合ランキングを見てみますと、日本は九五年に世界四位でありましたけれども、九九年には十六位まで落ち込んでいます。
 これは、たしか四十六カ国だったと思いますけれども、その分野別のランキングを見てみますと、もう時間ありませんので、はしょりますけれども、ちょっと気になるのは、大体みんな日本のそういう競争力が世界から見て劣ってきて、八分野あるわけですけれども、大概八分野落ちてきております。九八年が一番ああいう不景気の中でしたから一番落ち込んで、九九年若干持ち直しているところがあるんですが、科学技術力というものが二位という順位をずっと保っていますが、あとは大体下に位置している状況であります。
 その中で、人材が、今まではどちらかというと世界に冠たる日本の労働力の質だとかすごく人材の質が高いということを評価されてきておったはずでありますけれども、それがだんだんと下がってまいりまして、九五年の人材の分野一位から九九年には十三位まで落ち込んでいるんです。全体を見ても世界第二位の経済大国として競争力がこんなに低いのかと思うわけでありますけれども、特に人材の落ち込みということに対しては余りにもこの四年間の間に評価が下がっていることに大変私は危惧を覚えるものですけれども、労働省はこの評価というものをどのようにお考えになるでしょうか。
#45
○政府参考人(日比徹君) ただいま先生から御指摘ございました、いわゆるIMDの世界競争力ランキングでございます。これについて実は詳細は承知しておらないんですが、私ども現在把握している限りで申し上げますと、委員からもお話がございましたように八つの要素、そのうちの一つの要素、これが英語ではピープルという言い方になっております。これが人材というふうに言われておるもの、それがこれに当たろうかと思っております。
 それで、実はこのピープル、人材というものにつきましてはさらに詳細な要素が決まっておりまして、人口特性、労働力特性、雇用、失業、さらには教育構造、生活の質などといった項目がございまして、それをまたさらに細分化した項目といたしまして、例えば六十五歳以上人口比率、失業率、それから教育に対する公共支出、それから生活関連では持ち家率などという四十数項目の詳細な項目を総合的に評価してランキングを決めるということでございます。
 したがいまして、御指摘のように、九四、五年から現在の九九年に至るまで、いわゆる人材ということの項目でランキングが下がった事情、詳細については把握しておりませんけれども、あえて推測いたしますと、高齢者の割合が高まったこと、あるいは失業率が上昇したことなどが大きく影響したのではないかと推測いたしておるところでございます。
#46
○斉藤滋宣君 今の局長の答弁、決して異を唱える気もありませんし、確かにそういう要素だろうとは思うんですが、私は、先ほど大臣からも御答弁いただきましたし、予算委員会で総括からも御答弁いただいたんですけれども、私が大変危惧するのは、確かに今局長がおっしゃった四十数項目にわたるいろんな要素を加味してのこの低下ということであろうと思うんですが、最近の労働者の質ということを考えてみますと、若年労働者の質が非常に私は悪くなっているんではないか、悪いという言い方は悪いんですが、低下してきているんではないかということを危惧するわけです。
 この間も予算委員会で指摘しましたけれども、特に、少子高齢化になってきて、二〇〇五年から労働力人口が減っていく、そういう時期に来ているにもかかわらず、働かない、パラサイト族といいますか、親に寄生して親から小遣いをもらって働かない、そういう未就職者組が大分ふえてきていますし、働いておってもフリーターという形で働いてみたり。
 ですから私は、労働行政が、先ほど来言うように、決して十二分とは言わないにしても、そういう対策を十二分とは言わないまでもかなりの力を入れてやってきていることは評価しておりますから、これはある意味では学校教育だとか家庭教育だとか社会教育の分野における、そういう若年者の労働ということに対する考え方が大きく変わりつつある。
 そういう中で、そういう子供たちに働くということはどういうことなのか、生きていくということはどういうことなのか、そういう教育分野でのもっと子供たちにする質を高めていかないと、この若年労働者というのはなかなか、今いろんな対策をとって、例えば就職ができない子供たちにもいろんな政策をとったりインターンシップ制度をとったり、いろんなことをやっているけれども、やはり根本的な基本的な部分の質の向上ということをやらないと、人材の枯渇ということが私は技能部門であろうと事務職部門であろうと非常に心配をしているわけであります。
 もっと労働行政側とそういう教育分野側と真摯に話し合う機会を多くして、何が労働サイドでもって求める人材像なのか、また教育分野ではどういうことをやってもらいたい、求めるものは何なのかというところをもっと積極的に働きかけをする、アプローチする、そして若年労働者の労働力の質を高めていくということを今ここでやっていかなければ、これから先十年、二十年後、大変な時代を迎えるのではないかと危惧するものですが、もう時間がありませんのでこれでやめますけれども、いかがでしょうか。
#47
○国務大臣(牧野隆守君) 私どもも先生が御懸念なさっておられる同じような懸念を実は持っております。若い人々は、会社をやめた、自分は自由にしたいと。しかし、調査によりますと、すべての人が自分は三十過ぎたらどうしようか、やはりきちっとした働きどころを見つけなければならない、こういう意識を持っていることも事実でございまして、そういう点でミスギャップをどうやって埋めるか。
 そこで、一つ、例えば専修学校。非常に若い方々が希望して、こういう技能を求めよう、ソフトウエア関係をぜひ勉強したい、あるいは外国との関係で語学を一生懸命勉強したい、こういう若い方々が非常に多いわけで、彼らのそのような気持ちを尊重しながら我々としてはそれを支えていく。もちろん文部省といろんな連携をとらなきゃいけませんが、労働省として今差し当たり何ができるか、こういうことで、技術研修あるいは技能向上等々について知恵を絞りましてベストを尽くさせていただきたいな、こういう状況でございます。
#48
○斉藤滋宣君 どうもありがとうございました。
#49
○長谷川清君 民主党の長谷川でございます。
 私の時間からはそろそろだらけてくる時間でございますから、小山さんの説によりますと、もう一人減り二人減りということを覚悟の上で、最初に大臣にお伺いします。
 今もちょうど質疑の中で答弁されておりました若年層という若い人たちの悩み、また学卒の新卒、こういうところについても国民生活選好度調査が行われておりまして、その中に反映されておりますことも、まことにこれは不安定で不満たらたらで問題が多い、こういうふうに感じられます。
 新規学卒の今まだ就職が未定であるという状態は今日まで過去最悪でございまして、大学生でも九万人余がまだ決まっていない、短大卒も七万人以上、高校卒も七万人以上、合わせて二十四万人ぐらいがまだ就職が決まっていない、こういう報告にもなっております。
 また、今も話題になりましたフリーターという問題も、もともとフリーター、非常に不安定でございます。その不安定な中でも、いろいろとこの調査によりますと、フリーターの実態調査では、決まり切ったような規則があちこちあるようなものについては余り自分は従事したくないといったようなそういう態度の人もいますし、あるいはまたそれと反対に、将来ともに、今はフリーターをやっているけれども、やがては正社員になりたいという希望を持っている人もおりますし、そういうような人たちが全体の三分の一ぐらいを占めているという報告になっております。かと思いますと、それとは全くまた逆に、今現在は保障がなくて大変将来に不安を感じていてという人がふえておる。
 こういう人々にやはり我々がアドバイスをしたり手助けをしたりできるというそういうファクターについて、労働省として、大臣としてこの辺のところを具体的にどのように今後やろうとしているか、その辺をまずお伺いしておきたいと思います。
#50
○国務大臣(牧野隆守君) 非常に心配でしようがないんですが、まず新卒の就職内定の問題でありますが、従来ですと、例えば高校生でいうと九五%から九六%、このような結果が出ておるわけでありますが、現在はまだ七九・九%、こういう状況でございまして、今いろんな説明会等をやって、私どもとしては何とか九〇%までは就職が決まるようにということで努力をいたしております。しかし、それでもなお去年等と比較しますと五%ダウンということでございます。
 その上に、先生も今御指摘になりましたが、中卒の方は三年以内に七割の人が勤め口をかえてしまう。高卒の方の場合は約五割、半分の方が会社をやめる。大卒の方はちょっと少ないんですが、それにしても三割の方が働き場所をかえてしまう。
 こういうデータを見ますと、若年者の方々には勤労生活に対する不満が非常に多いということ、職業に対する知識や認識が不十分なまま職業選択を行い、結果として仕事が自分に合っていないと後悔する若年者特有の傾向が実は見られるわけであります。また、フリーターと総称されておりまして、定職につこうと準備中の者と就職意欲そのものが希薄な者等が混在いたしておりまして、一概に評価することは困難でございますが、若年者が各自の資質にふさわしい職業経験を積むことなく長期間不安定な就業状況にあるということは、これは決して望ましいものではありません。
 希望する若年者に対して安定した雇用の機会を提供していくのは私どもの務めでございまして、そういう点で、例えば学生職業センターだとかあるいはインターンシップ等、在学中の早い段階から職業意識啓発を行う等、何とか若い方々が働こうという意識を持っていただくようにただいま諸般の施策を一生懸命やっているという実情でございます。
#51
○長谷川清君 若者に対する就職環境というものは今十分だと思えませんので、十分に、今のお答えにもそういう感じというのは出ておりますから、それを具体的に環境を整備していただけるように強く求めておきます。
 それでは、長勢政務次官にお伺いをしますけれども、リストラの抑制というものと再就職を支援していくというこの関係について幾つかこれから具体的にお聞きをしていきます。
 今、中高年の人たちに一つは照準を当てて、離転職をしていくような人々、ところがそれはなかなか求める側と就職しようとする側とのミスマッチが非常に大きく存在していて、そこのところを何とか教育その他でつなごうという感じにしておるわけでございますけれども、割と中高年に対するそういう職業能力等々の施策については一応兆しが出ておりますけれども、若年層についても同様にこれが必要なのではないか。つまり、能力の開発や適正な、いわゆるミスマッチをつないでいけるような、求人側が求めるような能力をきちんと備えていけるようなそういうファクターに、つまり高齢者においてもまた若年者においてもと、こういう気がするのでございますけれども、そういう点についていかがでしょうか。
#52
○政務次官(長勢甚遠君) 若年者につきましてもミスマッチの問題が起きておるという実情もあることは、先ほど来お話のあったとおりだと思っております。
 その際、まず求人側の必要とする能力を持っておるのか持っていないのかという問題と、また、求人の状況に応じたような求職者、つまり若い方々の職業意識というか方向がその職業に向かっているかどうかという二つの面があると思いますが、これから若い方々の職業意識というものも労働市場を踏まえてよく考えていただかなきゃならぬということがより大きく社会全体として取り組まなければならない課題ではないかと思っております。
 あわせて、当然、能力を付与してさしあげて早く就職につながるようにすることが労働行政の一つの大きな課題でございますので、今年も高卒者の方々に対してパソコンの講習をするとか、できる限り就職に結びつきやすいような能力開発に努めてきたところでございます。
 また、今後も、どうしても就職ができない学卒者等に対して民間訓練施設等も活用した職業講習等々も実施をしていく、こういう方針で今考えておるところでございますし、また、なるべく社会の実情に応じた、求人者の実態に応じた能力開発が行われるように職業能力開発施設の拡充に努めるとともに、民間等においても長期の訓練が行われるように在職者訓練の実現にも努力してまいっておる、この方向をさらに進めてまいりたい、このように思っております。
#53
○長谷川清君 離職をした人々に対して労働省が一生懸命対策を打つ、そのところは十分に必要なんですけれども、まずは、今もちょっと後半で答弁の中にもございましたが、民間の中、企業の中における能力開発、こういうものも非常に大事であると。従来型の企業の中における能力開発というのは、その企業の中で役立つ人の教育をする、大体がそういう世界で企業は能力開発をする。これもまた大事なんですけれども、それに加えまして、企業の中の同じ能力開発の対策を打つ場合でも、外に出ていく人にも役立つような、内外にそういう能力を備え得るような教育、これから必要なのはそういう分野、それをあわせて全体の企業の中におけるできるだけ失業を防いでいくための企業としての教育であり、企業としての責務でもある、そういう視点がだんだん今高まってきていると思うんですが、その点についていかがでしょうか。
#54
○政務次官(長勢甚遠君) 社会全体、企業全体が今先生御指摘のような方向で進むことは大変望ましいことだと思います。特に、今は中高年齢者の方々が大変厳しい状況でございますし、今後六十五歳まで雇用が確保されるようにしていかなきゃならない。そのために当然、定年退職者等が再就職がしやすいように事業主の方々にも御努力をいただくということが、今回高齢者雇用促進法の改正案を提案させていただいていますが、その柱としておるところでもあります。
 これをさらに在職中の若い方々まで含めて、企業内だけではなくて、今後の職業生涯にわたる訓練の企業の援助をさらに強化していくということがより今後の方向としては望ましいのだろうと思いますけれども、なかなかそこまで、企業の責任というところまでは至っていないというのが現状だと思います。
 できる限り、個々の労働者の方々がそういう訓練を受けられる場合に企業に援助してもらうという方向での有給訓練休暇制度を設けるとか、あるいはそういう方々に対して国としても受けやすいよう援助をするということにとどまっている段階だと思いますが、これからいよいよ労働移動も激しくなるという事態を考えますと、そういう面でのさらなる検討というものも必要になっているのではないか、このように思っております。
#55
○長谷川清君 これは経済白書にも報告が出ておりますけれども、潜在失業者、言うならば失業予備軍、これがもう二百二十八万人も今いますね。こういうところをきちんと、今言う民間の自立という視点から、これが失業にどんどん流れていかないように、ここのところにきちんと今言ったような対策がこれからも引かれていかなければならないし、労働省としてもそこに啓蒙をしていかなければならぬと私は思うんです。
 例えば一つの、新聞にも出ております。ある会社においては、自分の会社の中で役立つ教育だけではなく、さらに自分の会社からよそに、よその仕事をしたい、今はやりの情報通信とかそういう技術も身につけたい、そうやって自分が求めた場合はこれを一年間有給でその研修に当たらすことができる、そういう方法を既にとっているんですね。新聞に大きく評価されています。また、出向する場合にも、一年間有給で出向してみて、その仕事が自分に合うと思って行ってみたけれども、一年やってみて適合しなければ復職してもよろしい、もとに帰っていいんです、原職に。
 こういう環境というものをつくる。そこには必ずリスクも伴っていますが、この会社では事前協議で労使がきちんと協議してこのシステムを確立しているわけです。ある会社というのは、これは私の会社の東電ですけれども、だから宣伝しているわけではないが、これはみずからが、自分から求めたものを対象にするんですから、会社の方から肩たたきして出ていけというのとはわけが違います。
 ですから、どんどん失業がふえる。政府が今やっていることは、あらゆる法律が全部それを後押しする、たくさん失業者を出せばたくさん税金で面倒を見る、お金をそこに保護する、こういう失業促進の政策が相次いで進んでいます。ふえた失業に対して一生懸命労働省が後追いで手当てをしている。これはどこか間違っているところがないかどうか。
 また、こういう例がある。これはできるだけ水平展開して、企業のいわゆる自立という問題とそれから責任、今は責任までは言えないという話がありましたけれども、そこへとつながっていく、結果として。今なすべきをなす者こそ偉大だと言われます。企業は今何をしなきゃいかぬのか。そういう視点について、今のこういう例をどう思うか。また、それをだからどうしようとするのか、その辺についてお伺いします。
#56
○政務次官(長勢甚遠君) 在職者の能力開発について企業がどういう立場というか支援ができるかという御指摘でございまして、今お話しいただきました東京電力におきます転職支援制度という制度は、三十歳以上の若年者をも対象にして希望者を支援するという制度であります。労使協議に基づいて通じて導入されたと聞いておりますが、大変すばらしい制度だと私は評価をしたいと思います。
 従来、在職者の訓練は、企業の中での能力向上という観点からのものに加えて、自己啓発の意欲をさらに進めてもらう、個人の自己啓発意欲を促進することについて企業も支援をしてもらうという意味で、従来から有給教育訓練休暇制度というものの助成という制度を労働省もとってきておりますが、実を言って余り活用はされていない現状にあると思っております。
 しかし、今問題になっているのは、それ以上に転職をも視野に置いた問題について企業も援助していくことが社会全体として、また雇用政策を進める上で有効であり有意義ではないかという観点からのこの制度についての評価だと思います。これについては、先ほども御答弁申し上げましたように、そこまでまだ政策が進んでいないのが現状でございますが、民間において、労使においてこういう取り組みも進んでおることでございますから、こういうことに公的な支援を行うことがどういう形でやることがいいか、これは重要な検討課題として受けとめてまいりたい、このように思っております。
#57
○長谷川清君 これはできるだけ雇用という問題、そして失業という問題、お年寄りやあるいは若い者にかかわらず、その失業の数がふえるということ、こういうことにつきましてはそれぞれが自立をして予防医学的にどんどん、出てきたものに対しての対処、これは大事ですけれども、それだけでは後追いでございますから、いわゆるちゃんとできるところはできるように自立型にしていく。そういう結果、失業の数が健全に減っていくというように、ミスマッチがなくなるようにみんなで協力し合うということが大事だと思います。
 そこで一つ提案があるんですけれども、それとは違いますが、職業能力の開発という点についてそれぞれ地域差もございます。それぞれの地域には地場産業としてのいろいろの、そこの地域に合った技術というものを習得したいというそういうものがたくさんあります。したがって、地域人材育成総合センターといったようなものを逐次でき得るところから立ち上げていったらどうか、これが一点の提案であります。
 もう一つとしましては、職業訓練の内容の検討をする委員会、今言うように、本当に自分が求めるものを教えてほしい、自分が花屋を開きたいというのなら、花屋はどのようにしていけば営業していけるのか、ラーメン屋を開きたいという人がいるなら、それのノウハウはといったように、少し鋳型にはまったようなものではなくて、多種多様なこの世の中に、人に貢献するものすべて職業になるのですから、人に役立つもの、それを職業化していく、そういうものについてもう少しくこれは訓練の内容の検討委員会というものを設置して、公労使でそれを編成して、もう少しくみんなが求めているニーズというものにマッチングさせる内容にしていく。
 地域における、そしてまたそういう内容における、この二つのことを専門にやれる委員会を設置したらどうか、この点についていかがですか。
#58
○政務次官(長勢甚遠君) 先生の御提案はそのとおりだと我々も受けとめております。地域においてその産業特性や事情に応じた能力開発を推進していくということを進めるために、産学官協同してこの地域人材育成総合センターというものを設置して、地域に応じた教育訓練を推進するということをさらに進めてまいりたいと思っておりますし、また、その中で、その実施に当たって地域のニーズに応じた訓練内容というものを充足していくことが一番肝要でございますので、その内容について御提案のような地域人材育成推進協議会というものを開催して、その地域の労働力需給のミスマッチの解消に十分役立つような能力開発が行えるように推進をしてまいる方針でおります。
#59
○長谷川清君 そのことはひとつ切にお願いをしておきたいと思います。
 では、大臣にお伺いしますけれども、雇用対策をいろいろ打ちますけれども、その実効性という点についてなかなかこれは芳しい実績が上がっていないと思われます。例えて言えば、これも新聞に出ておりますが、助成金の制度の問題、これは目標を二年間で十五万人雇用をふやすという。そのために九百億を基金として、それでやってみましたところが、申請は五百三十三件、支給は百八件、人数にして百三十三人。二年間で十五万人の雇用を期待した。ところが、五カ月でもって百三十三人、こういう問題がある。
 あるいは特別奨励金の問題、これは非自発的な失業者に対して、それを採用すればそこの事業主に三十万円支給するというものです。これも、沖縄は対象が七千人いる、その中で三十三人、近畿ブロックではブロック全体で五百八十八名という数字になっております。
 また、緊急地域雇用特別交付金という点についても、一千九百億円、これは公共団体に交付をしております。地方自治体の臨時雇用についても使用しております。これが二〇〇一年の末までに約二十九万人の雇用創出を予定しておりましたが、本年三月の今現在、六万人でございます。二十九万人対六万人。ことごとくなぜこういうずれが、計画と実績にずれが生ずるんですか。
#60
○国務大臣(牧野隆守君) 労働省としましては、現在の非常に厳しい雇用情勢に対しましていろんな措置を実は考え、実行いたしているわけでありますが、今先生御指摘のとおり、例えば新規・成長分野雇用創出特別奨励金、あるいは緊急雇用創出特別奨励金等は、実はまだ昨年の八月から始めて三年計画で実施しようとしているわけでありまして、十二分に関係の皆さんがこういう制度を熟知しておられないということもあろうかと思いますが、こういう情勢にかかわらず御利用にならないという点については、どこに問題点があるかという点を現在チェック中でございます。
 例えば、前倒しにしなきゃいけないとか、要するに失業者の中でも非自発的失業者でなければならないとか、実はこの制度の運用につきましていろんな条件が重なっておるものですから、そういう点も現在チェックいたしております。しかし、まだ十二分にこれらの制度を御承知ないという状況にもありますので、ただいまPRといいますか、ぜひこういう制度がありますから御利用くださいよと、安定所等を通じて皆さんにいろいろ説明をしているという状況でございます。
 例えば、新分野に進出する、これは六人以下の方々に対して一年間給与の半分を補てんするという制度ですが、これは非常に評判がよろしゅうございまして、着々と利用者の方がふえておりまして、例えばこの制度では七万人の雇用がほぼ確保される、このような見通しができておりまして、この制度は成功したな、よかったな、こういう状況でございます。
 それぞれの制度で、今先生おっしゃったように必ずしも十二分に利用されていないという点もございますので、こういう点は十二分に、御指摘のように、さらに制度それ自身につきましても、これでいいか、条件を大いに緩和しなきゃいけないか等々検討させていただきたい、こう考えております。
#61
○長谷川清君 これもプラン・ドゥー・シーでプラン・ドゥーまで、この間に非常にずれが大きいわけですから、今大臣言われるように、評価の結果を検討する、システムを検討する何かプラン・ドゥー・シーのシーの世界、このチェックのところをきちんとやって次に生かしていただくというように、うまくそれが回転していけるように、プラン・ドゥー・シー、プラン・ドゥー・シーで、というありようをひとつ求めておきたいと思います。
 時間がどんどんたってしまっておりますので、簡単に答えられるようなものにひとつ切りかえたいと思います。
 ことしの一月に連合と日経連が懇談会を開きまして、労使で費用を分担して、研修設備だとか保養所を利用して、自分たちで共同して雇用創出のための新技術の研究とかあるいは研さんとか、そういうものをやっていこうというふうに合意されておりますが、大臣、私はこれはいいことだと思います。そして、ぜひ大臣にも後押しをしていただきたい、支援をしていただきたい、こう思いますが、一言簡単に。
#62
○国務大臣(牧野隆守君) 昨年の十一月、私から日経連の会長と連合の会長にお会いさせていただいて、責任を持って雇用の安定を図っていただきたいとお願いいたしましたところ、両者協議していただきまして、雇用安定宣言を出していただきました。
 現在の春闘等におきましても、こういう考え方でそれぞれ協議しておられる、こういうように聞いておりまして、ぜひ労使協議して責任を持って雇用の安定を図っていただきたい、強く私の方からも要望させていただいている次第です。
#63
○長谷川清君 だんだん時間も迫ってきておりますから、私は、労働大臣は通産の官僚のころから非常に企業の責任ということを、言葉だけではなくてそういう持論をお持ちになっていて、かなり頑張っていらっしゃった、そしてまた、衆議院におけるいろいろの質問に対する答弁の中でも私は非常に期待をしておりますし、したがって大臣と残された時間をともにしたいんですけれども、まずは、我が国における雇用の問題についての国家戦略。私は、第九次の雇用対策基本計画という労働省が持っておりますこれも、大体骨張ったところは見せていただきましたけれども、結論からいくと、今現在私は、そういう雇用に対する国家戦略はないと思っておりますが、大臣の見解を伺います。
#64
○国務大臣(牧野隆守君) 先生の非常に厳しい御批判でございますが、政府は昨年八月、今後十年程度の雇用対策の方向を示すということで、第九次の雇用対策計画を策定いたしました。
 この基本計画は、雇用の動向や中長期的な雇用政策の目標、政策手段など、雇用対策の基本的事項を示すものでございまして、御批判はございますが、雇用に関する私どものビジョン、こういうように考えております。
#65
○長谷川清君 私は、どこが欠けているかといいますと、一番問題なのは雇用という問題、これを国家も経営も、それから働く者も、労使も、すべてが雇用という問題、これを守るんだということを大前提に、そういう中における政府の、特に労働省の役割は、雇用というものを法律の面できちんと設定すること、そしてあとは、ミクロのあらゆることは労使で協議させる。そういうことのためには、陸続とこれまで一九九七年ぐらいから以降、独禁法の改正を二回やりました。その後、商法の改正もやりました。こういうものは全部いわゆるリストラを促進するものです。
 大臣はリストラをどう考えますか。私は、リストラクチャリングというのは、企業の再構築ということがリストラの基本です。それがリストラといえばすぐに首切りと、こういうふうにつながった現状に、まず現状認識としてそうなってないよというのならそれをおっしゃっていただきたいし、現状がそうなっているというのならそれを認めた上での御意見を聞きたい。
#66
○国務大臣(牧野隆守君) 現在のリストラは、御承知のとおり、設備過剰という面からも言われておりますし、あるいは債務が非常に多大だと言われておる。ところが、過剰雇用だということで、これも三つ同じように並んで措置されているのが現実の姿でございます。
 私は、設備は償却すればいいじゃないか、廃棄すればいいじゃないですかと。お金の面倒は、別の金融政策その他でお金のことについては対処しようと思えばそれはできないことはない。しかし、人間だけはこれと同様に取り扱っていただいては困る。人間財産でありますから。そういう気持ちから、リストラというのは、特に雇用に関しては最小限にされなければならない。こういう意味から、先ほど申しましたように、日経連、連合に対しましても、企業の社会的責任ということを力強く私は要請させていただいている次第であります。
 これも先生御承知のとおり、リストラにはいろんな手段がございますが、例えば超勤の問題だとか、あるいはワークシェアリングの問題だとか、いろんなことが今論議されているわけですが、十二分にこの論議を早急に詰めていただきたい。私どもとしては、そういう労使両者の話し合いを見ながら、労働省としてはどのような支え方ができるか、こういう形で進めていきたいと、こう考えております。
#67
○長谷川清君 今は大きな意味で、今もお答えの中にありましたように、確かに今グローバル化して、それでリストラが起こっていますが、具体的な市場で見れば、これは労働市場、それから金融の市場もあるでしょうね。それからサービス分野の市場もあるでしょう。
 いずれにしても、この市場という中では、労働は、ほかのお金とは違って人がかかわっていますから、これは並べて見るべきものではない、比較するべきではないと私は思いますが、今逆にEUの方では、ちょうど一九六〇年から七〇年ころのあの第一次オイルショックや構造不況が起こったとき、あのころの日本を参考にして今はこの雇用に対する法律をきちっと持っていますね。事前協議も確立しています。
 あの当時我が国は、例えば鉄に不況が起これば八幡製鉄や神戸製鋼はどうしたか。まず人を減らすんじゃなくて、その人材に先ほど言ったようにいろいろ教育をし、みんなで集まって、一番難しい鉄橋から始まりましたね、それまで存在しなかった鉄橋をつくる。人は、今までの社員はみんなそっちへ向かっている。厚い鉄板を薄くする。韓国が追いついてくるから、すぐにそれに模様を入れる技術を開発する。あるいは、水上の石油基地を。今までやっていなかったような事業へと、新たな技術を身につけながら、従業員と一緒になってやっている。
 これは単に鉄ばかりではないと思います。例えば第二精工の時計、我々が子供のころはもう何十万の宝物でしたよ。それが今や何千円の時計になりますから、第二精工は。これもまた、一人も首を切ることなく、みんなで創意工夫して、何をつくって生き延びるかということで、今やもう時計は二〇%しかつくっていませんね。コンピューターがついている大きなおもちゃや何か、赤子から大人までが楽しめるそういったようなものへと、八〇%はほかのものへ転身しているわけですね。西川布団店もそうですね。布団だけつくっているわけじゃなくて、今や寝具産業として、みんなこれは。
 当時のリストラというのは、言うならば企業の体質を自分たちで自力でどう変えていくかという、それをEUはちゃんと見ていて、一回向こうは失敗したんですよ、それでブレアになってから、法律を変えていこうと。日本の今の国としてのとらえ方は、どんどんとアメリカナイズされていくこのグローバルな、余りにもアメリカ的になり過ぎてもいけないし、さりとて今までのような我が国の年功序列的なそういうものに甘んじ過ぎてもいけない。というところから、いろいろの知恵を働かせて、今や逆転していますね。
 そういう意味において、我が国におけるここ数年を翻って見ますると、独禁法が二回改正されました。そのことによって、子会社の団体交渉、これは親会社が子会社をどんどんつくれることになりましたから、すると親会社は子会社の労使関係で何も口が出せない、応諾の義務をなくしていますから。今までは、親会社が十の力を持っているとすれば、そこで交渉してやっていたことが、子会社になると半分以下ですから、あらゆる意味においてそれだけ条件が下がってしまいます。そういうケースがずっと一九九七年、九八年と続きました。それから一九九九年の七月になって商法の改正が行われて、株式交換制度の法制化がされて、持ち株会社がさらにこれの移行を促進していったわけですから、そういうところがどんどん逆にふえていったわけです。一九九九年の八月には、これは産業活力再生法というのが新法でできましたね。これもリストラ促進策です。
 こういうことの結果、そして今回、本年度の商法改正で企業分割が出てこようとしておりますね。それでこれは、今回のはこれから法審議するんですけれども、労働者の保護という点についてはほとんどない。ましてや、従来の営業譲渡については従来の判例どおりの範囲内でやるんだと、こういうふうになっているわけです。ここら辺のところについて、ずっと流れはどんどん首を切る、また切りやすくしている。
 これは、ついこの間やめられた大臣が講演会の中で言っていることです。これは金融企業を全部集めたところでの講演会ですよ。
 営業譲渡をとるか、合併をとるかといいますと、最近はもう皆さん、生き残りが苦しいものですから、里親になる方も営業譲渡しか受けないんですよ。営業譲渡と合併はどこが違うかというと、合併は支店まで受け取るんです。人まで受け取るんです。営業譲渡というのは預金と債権しか受け取らないから、あとは残った行員をどうするんだと、こういう話になりまして、そこだけは僕のところへ持ち込まれても、人のあっせんまでは、やりようがないものですよ。そこで、そこの二百名をどこかへ入れろと言われても、やりようがなくて、そのことは労働省の話だよということになるんです。
 ついこの間まで大臣をされていた方の生の、私は、これは越智さんがだめだと言っているわけじゃないんです。越智さん個人がおかしいと言っているんではなくて、営業譲渡という法律は、だれが考えてもこうなんです。お金の譲渡はするけれども、人の譲渡はしないよということです。ですから、どういうことが法律上できるのか。あの人は首を切りたいと思う人は全部そこに集め込んで、これは譲渡しない、それで終わりにしちゃう。つまり、最後にまとめて首を切ってしまう。これは経営者の皆さんを集めて大臣がこう言っているんです。恐らく皆さんもそう言って、いわゆる一番いい方法は何なんだろうと、企業組織を改編する場合、いろいろ相談、知恵を働かせて皆さんにあっせんしている。
 でございますから、そういう視点について、同じ営業譲渡でもヨーロッパはどういうふうになっているか。第四条の第一項で、企業譲渡はそれ自体では譲渡人または譲受人による解雇の根拠にはならないと規定している。つまり、企業譲渡を理由とする解雇は禁止されているわけです。
 加えまして、第四条の第二項では、企業譲渡に伴う労働条件の不利益変更のために雇用関係が終了する場合には、実質的に解雇とみなすとしている。これは、企業譲渡に伴う労働条件の不利益変更までが実質的には禁止をされている、第四条第二項で。
 第五条では、被用者代表、これはつまり組合代表です、の地位と機能がそのまま移転される、それが保障されているわけです。委員長であれば委員長で行く、名前も機能もそのまま。
 第六条、これは二つあります。企業譲渡について、譲渡が実施される前の適当な時期に被用者代表、いわゆる組合の代表に情報提供をしなければならない。これは事前協議のことを言っています。また、被用者との関係の措置については被用者代表と合意に達する目的を持って協議しなければならない。つまり、合意することを目的で協議の義務を負わせているわけです。つまり、抜き打ちの発表なんということはもう当然、それどころか事前協議をしなさいということをここで規定づけています。
 しかも、今回第六条に四項が追加をされまして、第六条四項では、その企業譲渡が親会社の決定で行われた場合でも適用され、その場合、親会社が子会社に情報を提供してくれなかったからその子会社の被用者代表に情報提供や協議ができなかったという言いわけは認められない。つまりこれは、事前協議について会社は親と子を使い分けてはいけません、親と子の間にいろいろと連絡の不備があったからといったことは理由になりませんよと。そういう言いわけは認められない、そこまで追加されております。
 これほど明確に、つまり国という単位によって、今ヨーロッパ全体でこれが普及している。
 我が国は一体どうなのか。これでいわゆる十カ年計画を私も読みましたが、一番大事なところが抜けてしまっている。国が今やらなきゃいけないことは、国は法律の分野できちっと、このとおりじゃなくてもいいから雇用というものがいかに大事であるかという前提に立った法律をまず国がやる。その上に立って四の五のあらゆるものは全部労使に任せていく。そうすれば、先ほど例に挙げたように、我が国の労使、それぞれの知恵を持っているし、実績もあります。EUが見習ったぐらいですから。今はそれがまるで逆転をしちゃっている。
 こういう点について、いろいろ言いましたけれども、ひとつ意のあるところを大臣の口から簡単にお願いしたいと思います。
#68
○国務大臣(牧野隆守君) まず最初、EUの既得権指令についてでございますが、この指令においては、企業譲渡等に伴い雇用を継続されるのは原則となっております。ただし、経済的、組織的な理由による解雇は認められております。また、EU諸国では、一般的に解雇そのものは禁止されておらず、金銭的な補償がなされるのが通例となっている、このように聞いております。
 一方、我が国におきましては、既に判例に基づき、整理解雇につきましては、御承知のとおり四要件を満たさない限り解雇は認められておりません。また、雇用関係につきまして、合併の場合は包括承継により例外なく承継されることになっており、また営業譲渡の場合には譲渡会社と譲り受け会社の間の合意に加え、さらに本人の同意により承継されることとなっております。
 さらに、今回御審議をいただいております会社分割につきましては、当然承継を原則としながら、一定の範囲の労働者に異議申し立てを認めることとする内容、このような法案を御審議いただくことになっております。
#69
○長谷川清君 したがいまして、異議を申し立てるとかそういったようなことは枝葉の問題なんです。ある意味では当然という分野です。
 時間の関係でこれ以上の議論は避けたいと思いますが、統合であれ、あるいはそれが営業譲渡であれ、今後出てくる今の分割であれ、いずれの場合でありましても大前提にありますのは、国家的な雇用に対する責任、いわゆる戦略、そういう点がきちっと、労働者を保護していくという、そこにまず企業がある、そして労働組合員、働く人がいる、株主がいる、この三者。しかし、株主というのはフロートしていますから、常時話し合えるのは労と使ですから、労と使が事前にまず、私は企業の構造転換のための再編、あらゆることはとうといことであり、必要なんです。それは否定しておらないんです。すべての犠牲の上に成り立つようなことはいかぬと言っているわけです。それは景気にも役立たないし、景気の足を引っ張る。失業ですね。だから永遠に景気は回復しないと思うんです。
 幾つか私も質問を時間の関係で残しておりますけれども、これは次の機会にするといたしまして、最後に、いろいろとありますけれども、ぜひひとつ大臣に、今までずっと我々が使っておりますのは、人材は材料の材で人材と言っていますね。ぜひこれは人に財産の財というふうに人材を、ぜひ労働省が真っ先にこれからのありとあらゆる文章にこれを切りかえてもらえないか。そして、これからのありようというものは、今までの一つ一つの法律や今の流れ、とにかくリストラの名のもとにどんどん首を切っちゃう。それを労働省が後追いでどんどこただやっている。だから、効果はプラン・ドゥー・シーのプランニングのとおりにはいかない。したがって、いいことなしということでございますから、いろんな意味でひとつ、材料扱いにしないで、人は財産なり、人財に改めていただきたいことをぜひひとつ、これは要求とか要望ではなくて、ひたすらお願いです。ぜひ実行していただきたいんです。一言。
#70
○国務大臣(牧野隆守君) 先生の御意見、私と同じことを考えておられたなということで、敬意を表させていただきます。
 実は、人間材料というのはおかしいじゃないかと、この政府の答弁その他でも財産の財と書こうじゃないかということで、事務当局に随分強要したんですよ。しかし、まだずっと日本じゅうが、人間材料の人材ということが通っておりますから、どうでしょうかねというクエスチョンマークの返事が返ってきたわけですが、私の気持ちは、人間財産、磨けば光る、使えば減ってしまう施設とは違うと、こういう気持ちで、先生から非常にすばらしい御提言がございまして、私も拳々服膺させていただきます。
#71
○長谷川清君 ぜひやってください。お願いします。
 終わります。
#72
○委員長(吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時一分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十三分開会
#73
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、労働問題及び社会政策に関する調査を議題とし、労働行政の基本施策に関する件について質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#74
○川橋幸子君 民主党・新緑風会の川橋幸子でございます。よろしくお願い申し上げます。
 私の持ち時間、三十分でございますけれども、久方ぶりに、労働行政の中でも女性の労働、働く女性の問題について伺わせていただきたいと思います。
 まず、新しい千年紀を迎えたわけでございますけれども、ことしは女性差別撤廃条約が発効しましてちょうど二十年がたつところでございます。昨年は日本でも男女共同参画社会基本法が成立いたしまして、ことしはニューヨークで国連の二〇〇〇年会議が開催される、こういう大変節目の年でございます。去年の四月は改正雇用機会均等法等が施行されたわけでございます。
 二十世紀を振り返りまして、といいますか、女性の問題は二十世紀の後半になってから、特に女子差別撤廃条約の我が国の批准、これが日本の、男女共同参画政策とこのごろ申すようになりましたけれども、そうした成果が進んできた、非常に後になって記憶が強調されるようなこういう節目の年ではないかと思います。
 そこで、大臣に、雇用の分野におきます男女平等についての日本の成果というものをまとめてお尋ねさせていただきたいと思います。
#75
○国務大臣(牧野隆守君) 条約が成立し、雇用ベースに我が国におきましても雇用機会均等法の改正が行われると。女性の皆さんが社会に参加されるということはこれは非常にすばらしいことでございまして、あらゆる面におきまして、悪いところは直し、ぜひ促進されなければならない、このように考えております。
 御承知のとおり、我が国におきましても、女性雇用者数の増加、職域の拡大など、女性の職場進出が進んでおります。特に平成十一年四月より、募集、採用、配置、昇進など雇用管理のあらゆる面における女性に対する差別の禁止等を内容とする改正均等法が施行されました。企業の関心は高まり、大企業を中心に法に沿った男女均等な雇用管理への取り組みが進められております。
 具体的には、募集における男女均等取り扱いについて顕著な改善が見られるとともに、これまで女性が少なかった外勤営業職への女性の配置等の職域拡大や、女性の管理職への登用について積極的な取り組みを行っている企業がふえつつございます。
 労働省としては、引き続き法の周知度が低い零細中小企業を中心にして均等法の周知徹底を図るとともに、法違反に対しては厳正な是正指導を行うなどにより、雇用の分野における男女均等の実現に最大の努力を傾注いたしたい、こう考えております。
#76
○川橋幸子君 労働省も御努力いただいているわけでございますが、ここに「国際女性」という、これは雑誌といいますか機関誌でございます。私にとっても先輩、もちろん労働省の皆様にとっても先輩である赤松良子さん、赤松良子元文部大臣でございますけれども、女子差別撤廃条約のモニターをいたします均等委員会、セダウと片仮名文字でそのように略称いたしますけれども、その委員である赤松良子さんが、「女性差別撤廃条約採択二十周年に想う」という、こんな巻頭言をこの雑誌に書いているわけでございます。
 最近委員会に出席したとき、雇用機会均等法が改正されて、そして男女共同参画社会基本法ができて、日本の女性の民間のエンパワーメントも進んできて、久しぶりに委員会に出席しまして「発言は空虚なものにならないですんだ。」、むなしいものにならなくて済んだと評価はしていらっしゃるのでございますけれども、その評価の仕方が少し控え目でいらっしゃるようでございます。そして、評価しながらも、「勿論、「男女の固定的役割分担意識に基づく伝統という名の偏見や慣習が、日本の社会に根強く存在している」ことを指摘しないわけにいかなかった。」、セダウでこんな発言をなさったということをこの巻頭言で書いていらっしゃるわけでございます。
 さて、大臣の今通常国会の所信を拝見いたしますと、この女性に関する部分は「男女均等取扱いが徹底されるよう取り組んでまいります。」、これ数えましたら二十五字でございました。それから、「パートタイム労働対策を推進してまいります。」、これ二十字でございました。
 私は、この節目の年に、もう少し女性の問題、日本は努力はしていて過去に比べれば成果が上がっている、これは確かでございますけれども、このグローバリゼーションの中で、先進諸国を問わず開発途上国までを含めましても、もう一つ男女共同参画の問題につきましては特に雇用の分野で頑張っていただきたい、こんな気持ちを持つものでございます。
 さて、大臣もおっしゃったように、さまざま制度上の枠組みは整ったわけでございます。しかし、実態を見ますと、なかなかそう、先ほど赤松良子さんの巻頭言、御紹介いたしましたけれども、評価はするけれども、私もまだもうちょっと何とか努力し、改善できないものだろうかというそんな気持ちがすごくするわけでございます。
 そこで、局長にお尋ねしたいのでございますが、雇用の分野における男女の均等といいますのは、労働条件面では男女賃金格差がどのように縮小したのだろうか。それから、役職への配置、昇進も今度は努力義務から差別することが禁止というそういう規定に変わったわけでございますけれども、そうした昇進の面での男女格差は縮小しているんだろうか、実態面でお尋ねしたいと思います。どうぞまとめて簡潔にお答えいただければありがたいと思います。
#77
○政府参考人(藤井龍子君) まず男女の賃金格差のことでございますが、労働省の賃金構造基本統計調査によりまして一般労働者の所定内給与額で見てみますと、平成十年には男性が三十三万六千四百円、女性が二十一万四千九百円となっておりますので、女性の賃金は男性の賃金の六三・九%という水準でございます。この比率は、昭和六十年、雇用機会均等法施行前年でございますが、この時点では五九・六%ということでございまして、長期的に見ますと年々縮小傾向にあると申し上げてよろしいと思います。
 それから、管理職への登用の状況でございますが、これも労働省の女性雇用管理基本調査の平成十年の結果で見てみますと、係長相当職に占める女性の割合が七・八%、課長相当職で二・四%、部長相当職で一・二%となっております、いずれも民間企業が対象でございますが。この割合は係長相当職では着実に上昇していると申し上げてよろしいかと存じますが、課長、部長相当職では残念ながら伸び悩みの傾向が見られるという状況でございます。
#78
○川橋幸子君 今、局長がお答えのとおりなんです。フルタイムの労働者の所定内給与、一時間当たりで比較すると格差がどのぐらいかというのが差別がどのぐらいあるかのそういう統計的な指標になるわけでございますけれども、フルタイムの労働者の男女賃金格差というのは、長期的には五九・何%から現在六四・七%まで徐々に鋭意縮小しているわけでございます。
 しかし、諸外国もやっぱり縮小しているわけでございます。ILOのイヤーブックの数字を労働省からちょうだいしておりますけれども、意外に韓国、かつては日本に比べると非常に格差が大きい、女性の地位は日本よりは困難な状況にあるというふうに言われていた韓国が現在日本に追いつきつつあります。ちょうど均等法が成立した年、日本が五九・六であるのが、韓国がちょうど一〇ポイント以上下の四七・八、これが今六二・一というふうに格差が縮小しまして日本に追いつきつつある。
 それから、諸外国の場合は、大体先進国の場合は男女賃金格差というのは七割あるいは八割、場合によっては、オーストラリアの数字をちょうだいしていますが、男性の九割まで女性の賃金が接近してきているというわけでございます。
 どうして日本の場合は、日本の国内で見れば長期的には縮小しているんだけれども、諸外国の改善に追いつかないのかというようなことをいろいろ考えるわけでございますけれども、ここに一つ、日本の女性の場合はパートタイム雇用が非常にふえているわけでございます。このごろリストラとか失業とか非常に暗い話がある中で、パートタイム雇用者の伸びは割合着実というんでしょうか、正社員が減ってパート等多様な形態の人たちがふえているわけでございます。
 フルタイムの労働者とパートタイムの労働者、この賃金、女性の中での賃金格差を見てみますとこれはむしろ拡大ぎみでございます。フルタイム労働者にとっては均等法の成果というものがいい影響を与えたのでしょうか。一方において、パートタイムの労働者の賃金はなかなか伸びないという問題がございます。ちなみにパートと一般の女性の場合の格差でございますが、一九八五年では七三・〇であったものが、現在は五ポイントぐらい下がりまして六八・四という状況になってきております。
 結局、日本の場合はどうも、明白な格差というか明白な差別、明らかな差別というものは減少したけれども、パート等のそういう多様な労働形態の場合には、隠れた格差といいましょうか、隠れた差別というものが増加しているんではないか、こんなふうに思うわけでございます。いかがでしょうか、局長にお尋ねします。
#79
○政府参考人(藤井龍子君) 先ほどお答えいたしましたとおり、女性労働者数が年々増加してきておりますし、就業分野も拡大する、それから勤続年数も伸びてきているという中で、賃金格差も年々縮小してきておりますし、係長級の管理職も割合がふえてきているということでございますので、私どもとしては女性の働く環境というのは年々改善をしてきていると申し上げてよろしいかと思っておるわけでございますが、しかしながら、先生ただいま御指摘のとおり課長や部長クラスでの管理職が若干伸び悩んでおるというようなこととか、女子学生の就職の際、いろいろまだまだ問題が指摘されておるというような状況もあるのも事実でございます。
 したがいまして、私どもとしては、均等法の趣旨の徹底というのに一段と力を入れてまいりたいと思っておりますし、さらに改正均等法に新しく盛り込まれましたポジティブアクションに関する規定というのがございます。これに基づきまして、実質的な男女の雇用均等というものが一日も早く我が国の企業で実現できるようにということで、現在ポジティブアクション、全国的に強力に取り組んでいるというところでございます。
#80
○川橋幸子君 男性正社員の年収というのは、毎勤の月額を十二倍すると大体五百四十万ぐらいの年収が統計上は出てまいります。それに対してパートの方々の年収というのは、税制上の措置があることから大体百万円ぐらいのところに収れんしてしまうわけでございます。ですから、それは比較対照の労働者が違うということは当然踏まえた上なんでございますけれども、男性正社員、パート女子を比べると、男性正社員の二割ぐらいにしか年収ではならない。
 結局、パート就労の方々、パートと象徴的に申し上げますけれども、そのほかにも派遣労働の方、契約社員の方、さまざまな多様な形態があろうかと思いますが、その方々の年収もそのあたりに収れんすることが多いとすると、どうも赤松良子さんがいわく、日本も改善はしてきているんだけれども、なお性別役割分担意識が強固に残っていて、家計の行動というのも補助的、それから社会全体の中でも雇用管理のシステムの中にフルタイムが主たる家計の維持者であり、パートタイムが雇用管理上も補助的に扱われる、それが実態。制度上の問題ではなくて、実態の問題のような感じがいたします。
 そこで、今局長のおっしゃったポジティブアクションなんでございますけれども、ポジティブアクションは改正雇用均等法の中の一つの目玉ではございましたが、均等法二十条に書かれておりますポジティブアクションというのは、事業主の任意にゆだねられていて、努力義務ですらないわけですね。国が雇用管理上の配慮をするということが書かれているわけでございます。
 このところポジティブアクションの実態がどの程度実施されているのか、労働省の研究会がつくられたガイドラインとかワークシートがどの程度普及しているのか、このあたりが判然としませんが、むしろ新聞記事に出てくるのは、マツダなどの外資系企業で思い切った女性の登用が行われて大変皆さん生き生きとしておられると、こんなことがニュースでは出てくるわけでございます。
 事実上の平等を目指していくというのがポジティブアクションだとすると、事業主の任意にゆだねられているこのポジティブアクションの規定というのは非常に実効性が乏しい。それから先ほどのパートとフルタイムの差、これが格差が非常に大きくなっていることを考えますと、事実上の改善措置というのはむしろ雇用形態の改善までも含んだ着実な改善措置というものが必要ではないかと思いますが、この辺はどのように取り組まれていかれるのでしょうか。
#81
○政府参考人(藤井龍子君) ポジティブアクションにつきましては、改正雇用機会均等法、昨年の四月一日から施行されて、この中で昇進昇格等、雇用管理のすべての段階で女性に対する差別が禁止されている、それが施行されたということを踏まえまして、自主的に企業の方々に取り組んでいただくというのが今の我が国の実態からして現実的ではないかというようなことで、改正均等法の先ほど御紹介いただいたような形の規定になっていると思っております。
 ただ、これは大変私どもとしては実質的な均等を実現するためには重要な手段といいますか施策であると位置づけてございますので、さまざまな機会、さまざまな手法を使いまして、企業の方々に自主的に一日も早く積極的にポジティブアクション、女性を採用していないところには多く採用していただく、また管理職に登用されていないところには能力開発等の措置を講じて管理職への登用を進めていただくというようなことで、施策といいますか、いろんな事業主に対する援助を行わせていただいているわけでございます。そういう形で、私どもとしては、実質的な平等というものを我が国社会経済の中に早く実現していただくということが必要と考えているところでございます。
 それから、さまざまな雇用形態という問題、これにつきましては、例えばパートタイム労働というのを今例でお挙げになっておられますけれども、パートタイム労働につきましては、労働者にとってもまた企業にとっても、それが自由に選択できる、必要に応じ適宜選択できる良好な就業機会というものにする必要があるという基本的な考え方に基づきまして、さまざまな雇用管理改善措置というものをパート労働法及びそれに基づくパート労働指針に基づきまして事業主の方に進めていただくよう事業を展開あるいは指導をさせていただいているところでございます。そういう事業を展開する中で、パート労働というものが良好な就業機会として我が国の社会経済にきっちり位置づけられるように努力をこれからも重ねてまいりたいと考えているところでございます。
#82
○川橋幸子君 あらゆる機会をとらえて、さまざまな手法を駆使して、日本の現実に合わせて何とか事業主の方々にそうした改善措置を講じてもらうように働きかけていく。これはもちろんそうしていただきたいと思うし、そうしなければいけないと思うんですが、それだけではむしろ足りないんじゃないかという、諸外国の男女格差、あるいは諸外国における指標を見るとそのように思うわけでございます。
 これ質問には書いておきませんでしたけれども、大臣、ちょっと午後眠いかもわかりませんけれども、先日、目の覚めるようなEUの女性の委員、雇用担当の方、アンナさん、姓の方をちょっと忘れました。彼女に大臣もお会いになられたと思います。ディアマントプルさんとおっしゃるんでしたね、お会いになられたと思います。そして、EUの中では、八〇年代以降、雇用の柔軟性、それだけではなくて安定というこの二つ、柔軟性と安定、この両立を図るような指令をさまざま各国に出してきた、日本においてもそういう努力が必要ではないかと、こんなことをおっしゃっておられました。
 特にお尋ねいたしませんので、記憶だけを呼び覚ませていただければありがたいと思うんですが、結局、規制緩和の中でもセーフティーネット、安定とか安全とか、この部分が今、日本には非常に必要な時期になっていると。
 それで、まさにこの女性の労働の問題というのは、女性だけの問題ではございませんで、労働市場の中で働く人々が生き生きと御自分の人生観に沿いまして働き方を選ぶ。その一方で、やっぱりその安定性の確保ということに意を用いなければいけない、こういう日本の労働市場、労働経済の課題が今ここにあるんではないかと思います。
 諸外国の中では、非典型労働といいましょうか非正規雇用といいましょうか、そういうものに対して均等原則あるいは時間比例原則というものをヨーロッパ大陸諸国は持つことが多いですし、イギリスにはそういうものはない、英米系にはないと言われますけれども、イギリスの場合は間接性差別の禁止、パートタイムというのは性中立的であるようでございますけれども、実社会に適用した場合にはやはり女性がつく場合が非常に多いというところから、間接性差別の禁止を持ってまいりまして、その賃金、労働条件については時間比例であることを確保すると、こんな試みがあるわけでございます。
 こういうことを考えますと、日本でもパートタイム労働というのは、今の女性だけではなく男性をも含めた労働市場の中のセーフティーネットとして法改正を急ぐべきではないか、こういう時期に来ている。パートタイム労働者の賃金、労働条件、そこの底支えをすることがむしろ消費も上昇させるでしょうし、安心感をもたらすことからいい影響を与えるんじゃないかと、このように思います。いかがでしょうか。
 男女共同参画社会基本法というものはできまして、これが労働行政には関係のない法律ではないと私は思います。雇用機会均等法があるんだからあれは後追いでできた一般的な基本法ですよということではない。むしろ、前文には、官房長官のおっしゃった言葉がそのまま前文になりまして、二十一世紀における我が国の最重要課題というふうに前文でも宣言してくださった。こういう時期でパートタイム労働法の改正を急ぐべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。まず局長に伺って、それから一言大臣に伺いたいと思います。
#83
○政府参考人(藤井龍子君) 昨年、男女共同参画社会基本法ができましたわけでございますが、これは男女共同参画社会形成ということについての基本的な理念をうたっておるまさに基本法であると考えてございます。
 したがいまして、雇用の分野における男女共同参画というのも、この男女共同参画基本法に基づいて私どもは幅広く推進していかなければならないと考えておるわけでございまして、川橋先生先ほどおっしゃいましたように、均等法が十数年前に先にできていて後でできたのではないかと、そういう考えは全くございません。男女共同参画基本法が基本法、理念法であり、それの雇用の場における実現、それを実現する個別法といいますか、それの一つが男女雇用機会均等法であるという考えでございます。したがいまして、男女雇用機会均等法につきましても、男女共同参画基本法の理念、精神というものを十分踏まえて、その施行、周知徹底に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 パート労働法につきましては、平成十年二月に女性少年問題審議会から「短時間労働対策の在り方について」という基本的な建議というのが出されてございます。これに基づきまして、労働条件明示等につきましては、先ごろ労働基準法を改正いたしまして、その明示の幅というものも広げさせていただいているわけでございます。それも含めまして、パート労働指針を見直しまして、新しいパート労働指針というのを昨年の四月一日から適用し、これの周知徹底、またこれに基づく指導を今力を入れておるところでございます。
 また、均衡を図る、パート労働法の第三条に、パート労働者の労働条件等については、通常労働者との均衡を考慮して決めるように努めなければいけないという条文があるわけでございますが、これに基づく措置につきましても、この建議の中で、行政として労使が自主的に取り組みやすいようもっと情報提供をやるべきであるという御指摘がございましたので、これを受けまして、ただいま研究会で情報提供に必要な報告書をまとめていただいておるという状況でございます。
 今、その研究会、最終段階を迎えて調整をいただいているというところでございますので、先ほど申し上げましたように、新しいパート労働指針の周知徹底、さらには間もなくまとまると思われますこういう研究会の報告書等々をもとにしながら、パート労働対策、一層推進をしてまいりたいと考えておるところでございます。
#84
○川橋幸子君 大臣に最後に所信を伺いたいと思いますが、その前に今の局長の話を受けまして申し上げたいと思いますのは、EUの話あるいは諸外国、先進諸国の話、先ほど申し上げました、雇用の柔軟性の一方で安定というものを大事にするということが一点。どういうふうに大事にするかといえば、パートタイマー、派遣労働等の非典型労働であっても、均等待遇原則あるいは時間比例のバランスのとれた労働条件、ここがかぎなわけでございますね。
 それで、今局長のお話ですと、平成十年二月の建議に基づいて日本でもその検討を全くやっていないわけではない、行政の情報提供という非常に弱い、よく言えばやわらかいやり方でございますけれども、労使がそれをどうやってフルタイム、パートタイマーの間の労働条件の均衡を考慮する、その物差しについて研究する会を設けてあげたということなんですね。ですけれども、十年から始まってもう二年たつんですよ。
 最終段階の詰めとおっしゃいましたけれども、ぜひ大臣、最終段階、もう待ったなし、やはりこの点についてしっかりとした手を打っていただいて、雇用の規制緩和の半面のセーフティーネットをしっかりして整えていただきたい。近々大臣の陣頭指揮でこの研究会の報告書を早くおまとめいただいて、パートタイム労働の改正に近づけていただきたいと思います。
 では、最後、大臣お願いいたします。
#85
○国務大臣(牧野隆守君) 先ほどお答えさせていただきましたが、私は、女性が社会参加するということは本当にすばらしいことだと。これは私の確信でございまして、労働大臣就任と同時に、パートタイマーの中で女性の方が非常に多うございますし、しかも年々増加しているという現状、しかし労働条件は大丈夫なんですかと。例えば時間給という問題をもうちょっとはっきりできないんだろうか、いろんな都合で短時間しかお勤めできないんだけれども、しかし一時間当たりの給与というのは均衡という面から同じであっていいんじゃないでしょうかと。あるいは、税金との関係で百万円前後以上は余りお給与をもらっても税制上よくない、こういう点をもうちょっと改革できないかと、いろんなことを実は事務当局にお伺いいたしました。
 そこで、事務当局もよくその辺の実情は承知いたしておりまして、今局長から御説明いたしました、例えば均衡の問題については研究会をつくって、これらの問題点について検討して、近いうちに返事が出てくるという状況になっております。こういうことで実はその返事を待っておりまして、もしその中身が私が今申し上げるような気持ちから不適当なものであれば、これはもっと別の方法で解決する等の方法はないだろうか、こういうことをお願いしようと、こういうように思っている次第でありまして、いずれにしても、気持ちよく働いていただくというのは今後の日本の雇用関係で非常に大きい問題だ、こういうように考えております。
#86
○浜四津敏子君 公明党の浜四津敏子でございます。
 初めに、中小企業対策及び雇用対策についてお伺いいたします。
 私たち公明党は、大胆な政策を実行して我が国の深刻な経済危機を乗り越えるためには政治の安定と改革のリーダーシップが必要と、こういう思いから昨年十月に連立政権に加わりました。今、与党三党結束して総力を挙げて経済新生と景気回復に取り組んでいるところであります。
 昨年十一月の第二次補正予算における大胆な経済新生対策を初め、十二年度予算案などの財政による積極的な景気下支えなどを進めることによりまして、景気は着実に回復基調に向かっていると確信しております。少なくとも一昨年来、日本の金融破綻及び経済破綻が世界恐慌の引き金を引くと深刻に危惧されていた事態はともかく回避し、また克服して、緩やかな改善への流れをつくってまいりました。
 昨日、堺屋経済企画庁長官も、景気は全体として回復基調で〇・六%は達成される可能性が高い、こう発言されております。景気回復にはあらゆる施策を総合的に進めねばなりませんが、中でも中小企業対策というのは、そこで働く多くの方々の雇用の確保という視点からも大変に大事であります。公明党が不況にあえぐ中小零細企業への金融機関の貸し渋り対策に重点的に取り組んできたのもそのためであります。
 それによりまして、信用保証協会が債務保証する中小企業安定化特別保証制度の保証枠を十兆円追加し、三十兆に拡大されました。また、取扱期間も一年間延長ということになりました。この特別保証制度の実現による効果を先般日本商工会議所が報告いたしました。それによりますと、七千件の倒産が未然に防止され、六万人の雇用の維持に役立った、大変大きな効果があったということであります。つまり、この政策は中小企業支援策及び雇用対策として大きな結果を出した、こういう報告でございます。
 この特別保証枠十兆円の追加について、ばらまきだという批判がありますが、この保証枠十兆円の追加措置の政策効果について、また日本商工会議所の先ほどの報告について、どうお考えになり、またどう評価されるでしょうか。
 中小企業庁長官及び労働省としての評価をお伺いしたいと思います。
#87
○政府参考人(岩田満泰君) 特別保証制度でございますが、一昨年来の未曾有の信用収縮に対する臨時異例の措置といたしまして創設された制度でございます。
 制度発足から三月十日までの段階で、保証承諾の実績が百十九万件、二十兆二千億円という大変多くの中小企業の方々に御利用をいただいております。日本商工会議所が発表いたしました調査にもございますように、これによりまして倒産の回避、あるいはその結果として雇用の維持というような役割を果たしたと存じております。
 加えまして、本制度は、中小企業の資金需要に対しまして財政資金を効率的に活用して多額の信用創造を図るという政策にもなっております。その意味で、政策の実効性あるいは効率性という意味におきまして、セーフティーネットとしての役割を十全に果たしてきたのではないかと思います。
 また、今お触れになりましたように、平成十二年度末までこの制度を一年間延長いたしたわけでございますが、さきの臨時国会におきまして補正予算が通過をし、その財政的な措置もされました結果、これは現実に動き出しております。既に、ただいま申し上げましたように、二月末をもちまして前段階の二十兆円の枠を消化いたしましたので、現在は新たに追加をいたしました十兆円の枠が順次中小企業者によって活用されている、こういう状態であると存じております。
#88
○政務次官(長勢甚遠君) 中小企業金融安定化特別保証制度の趣旨、また中小企業対策としての位置づけは、今中小企業庁の方から御答弁のあったとおりでございます。
 今、中小零細企業には大変未曾有の危機にあるわけでございまして、その経営が安定をするというか倒産を免れるということは当然雇用の安定に役立つわけでございまして、そういう意味で、私どもとしても極めて必要な政策であると考えております。特に中小零細企業、今、産業構造が変わる、企業組織も変わる中で、運転資金等の不足等から大変な事情にあるわけで、そのことがそこにお勤めの方々の不安につながっておるわけでございます。ぜひ、この制度が活用されて雇用の下支え効果を十分に発揮するように期待をするものでございます。
#89
○浜四津敏子君 次に、新卒者の就職の見通しと男女雇用機会均等法についてお伺いいたします。
 男女雇用機会均等法第四条に基づく男女雇用機会均等対策基本方針がことし六月を目途に策定されることになっております。
 一九八六年に男女雇用機会均等法が施行されて以来、女性の職場進出は確実に進んでまいりました。数字を見る限りではそれなりの成果を上げておりますが、しかし、必ずしも実態は順調ではないと私は思います。全国を回りましてさまざまな方からお話を聞く機会がありますが、その実情は大変厳しいものがあります。
 また、先日はテレビである企業の新卒予定者の就職説明会の様子が放映されておりました。担当の方が、当社では短大生は採用対象にしていませんと、こうアナウンスいたしまして、該当する女子短大生が退席する様子が映されておりました。短大卒というだけでこの若い女性たちが門前払いにされていた、それを見まして本当にかわいそうな思いがいたしました。近年の不況の影響もありまして、特に女性は男性よりも厳しい状況にあります。
 大臣も、これら新卒者の大変に厳しい就職状況につきましては御苦労されておられることとは思いますけれども、この年度末における最終的な就職決定の見通し、どのように見ておられるのか、これは政務次官にお伺いいたします。
#90
○政務次官(長勢甚遠君) 今年三月卒業予定の方々の就職内定状況は大変厳しいということは我々も極めて深刻なものとして受けとめてまいりました。
 年末からことしにかけまして、我々も最大限の努力を払わなければならないということで、例年以上に、この一、二月は急ピッチで内定が進んだというふうに成果があったと思っておりますけれども、それでもなお、二月一日現在では大学新卒者については八割程度、短大新卒者については六割程度、高校新卒者については八割ということでございまして、年末に比べまして昨年との格差は相当縮まった段階ではございますが、まだ大変厳しい状況でございます。最終的に例年どおり九割以上の内定率の達成を目指してさらに努力をしたいと思っております。
 このために、従来、求人開拓なり面接会の開催等々、例年にも増して何倍もの数をこなしてまいりましたし、また高校生に対するパソコン講習等の就職がしやすいような援助も行ってまいったところでございます。
 この後、大車輪をかけて頑張ってまいりますが、なお未就職の方が四月を越えて出るということも想定されますが、その場合には、その方々が職業能力を身につけて早く就職に結びつくように講習等の枠も予算上確保いたしまして努力をしてまいりたい、このように思っております。
#91
○浜四津敏子君 ところで、ある方の御意見によりますと、二十一世紀に活力ある社会となるために雇用の場で必要な条件が三つあると、こういうお話をしてくださいました。
 その三つというのは、一つ目がジェンダーフリー、採用や配置、昇進などで性による差別をなくすことである。二つ目がエージフリー、年齢による差別をなくすことである。また、三つ目が学歴フリー、例えば大学卒のみ採用とか、あるいは大卒は昇進できるけれども高校卒は昇進できないとか、こういう学歴で差をつけない。この三つの条件をクリアできるところが最終的には生き残れる、こういう御意見を伺わせていただきました。
 大変興味ある御意見だなというふうに拝聴いたしましたが、ひとつ大臣のこの御意見についての御感想をお聞かせいただければと思います。
#92
○国務大臣(牧野隆守君) 今、先生がおっしゃるとおり、ジェンダーフリー、エージフリー、学歴フリー、本当にすばらしいことでございまして、こういう目的に向かって私どもとしては全力を挙げなければならないと思います。
 働く人がその能力を本当に十分に発揮できる、このような状態が一番すばらしいわけでございまして、性や年齢、学歴でなくて個人の能力に着目した雇用管理、これが行われるようにあらゆる施策を総動員させていただきたい、こう考えております。
#93
○浜四津敏子君 また、現実には、女性が企業に採用されても、配置や昇進などでは男女格差は開いたままのところが大半が現状でございます。実際に九八年度の場合、役職全体に占める女性比率は、部長相当職一・二%、課長二・四%、係長七・八%であります。ILOの統計では、全管理職中の女性比率は、アメリカの場合は四三・八%、ドイツの場合は二七・〇%。これに比べまして日本の企業における女性登用が大幅におくれているのは明らかでございます。
 幹部候補の総合職か、あるいは事務を担う一般職か、職種区分を設けて採用するコース別雇用管理制度というのは均等法の目玉として導入され、女性登用のきっかけになる、こういうふうに言われてまいりました。しかし、その後、制度の運用で男女異なる取り扱いがなされている事例が依然として見受けられておりまして、その見直しが迫られております。
 このような現状をどう理解され、またどう対処されるのか、これも政務次官にお伺いいたします。
#94
○政務次官(長勢甚遠君) コース別雇用管理制度は、今御指摘のように、労働者を意欲、能力、適性等によって評価をし、処遇するシステムの一形態として導入してきたものでありますが、これがお話しのように女性登用の契機となることが期待され、またそういう効果もあったと思いますけれども、一方でその運用においては男女異なる取り扱いがなされたり、例えば総合職のほとんどを男性が占めてしまうというようなことがあったり、事実上の男女別の雇用管理としてしか機能していないということも残念ながら見られるというのが実態であろうと思っております。
 このため、本年二月に取りまとめられました雇用均等政策研究会報告におきましても、「真の均等法の趣旨の実現という観点から、望ましいあり方についての指針等を示すことは必要」であるという指摘もされたところでございまして、これを受けまして、従来の「コース別雇用管理の望ましいあり方」という通達につきまして必要な見直しを行い、男女均等な雇用管理の実現に向けて企業への周知徹底を図っていくということに努力してまいる、こういう所存でおります。
#95
○浜四津敏子君 次に、女性起業家及び高齢者起業家支援対策と雇用確保についてお伺いいたします。
 我が国経済の活性化のためには、女性や高齢者などを含む多様な事業者による活発な開業が行われることも大変大事なことであります。女性が生活者としての視点や発想で新たな事業やサービスを提供することが社会のニーズと合致し、ベンチャービジネスとして成功する事例も数多く見受けられております。
 アメリカでは、女性が経営者であったり所有している企業は数年前の約一・四倍、全米企業の四割近くに達しております。しかし、我が国では、女性の起業への意欲は高いものの、肝心の資金調達やあるいはマネジメント専門技術の不足、また情報データ不足などで困難に直面しているケースが多いのが現状でございます。
 そこで、まず最初に女性局長に、このような現状についてどのような御見解を持っておられるのかお伺いいたします。
#96
○政府参考人(藤井龍子君) 起業、業を起こすということでございますが、これは女性がその能力を発揮しやすい働き方の一つであると私どもは評価をしておるところございますし、また同時に雇用増加という点でも効果のあるものと考えているわけでございます。
 したがいまして、私ども女性局といたしましても、この女性の起業家を支援するということは大変重要な課題であると考えております。そのため、私どもは既にそういう女性の方のための起業マニュアルを作成して配付いたしましたり、あるいは女性起業家支援コンサルティングといったような事業を実施しておるところでございます。
 さらに、大変重要な課題でございますので、一月に芝に開館をいたしまして、働く女性の拠点施設という位置づけにさせていただいております女性と仕事の未来館、ここにおきまして女性起業家支援セミナーあるいは女性起業家の交流会というところで情報交換、意見交換をしていただく。さらには、今先生御指摘のような資金調達の方法とか起業のノウハウ、どういう分野で起業が有望であるかといったような情報提供、あるいは税とかマネジメント等についての相談事業というものも実施しているところでございます。
 今後とも、女性起業というのは米国の例に見るまでもなく大変重要なことだと考えておりますので、この事業の推進には一層力を注いでまいりたいと考えているところでございます。
#97
○浜四津敏子君 今、局長のお話にありました女性起業家に対する公的資金による貸付制度についてお伺いいたします。
 私たち公明党はこれらの整備を一貫して主張してまいりましたが、幸いなことに昨年の四月一日からその趣旨の女性起業家支援のための貸付制度もスタートいたしました。女性の起業家がさまざまな分野に進出すれば、それに伴いまして雇用の創出にも連動してまいります。
 しかし、この貸付制度がつくられてはおりますけれども、この制度のPR不足のためかどうかわかりませんが、利用者がまだ少ないように聞いております。貸付実績を見ますと、昨年の四月からことしの一月までの十カ月間で国民金融公庫からの貸付件数は千十六件、総額五十八億四千百万円であります。アメリカの事例から考えますと、日本でも今後もっと起業を目指す女性もふえてくることが十分予測されます。
 この女性起業家の増加は、先ほども申し上げましたが、雇用の増加にもなると考えます。雇用対策という視点からもこれは非常に重要な制度であると思っておりますが、現在どう支援し、また今後どういう取り組みをされるのか。特に、知られていないためになかなか利用の件数が少ないといった事態も踏まえまして、どう取り組まれるのかをお伺いいたします。
#98
○政府参考人(岩田満泰君) 御指摘の、女性、高齢者の起業を進めていただくということは極めて重要な課題でございまして、ただいま先生御指摘いただきましたような特別貸付制度を国民金融公庫と中小企業金融公庫に設けて実施してきております。
 この運用の中で一つ問題点が指摘をされておりまして、女性が起業のためにお金を借りる場合に、その担保の徴求がなかなか一つのネックになっているという点がございまして、実はさきの臨時国会で予算手当てをいただきまして、その結果として、現在は担保徴求を五割まで免除ができるという仕組みにいたしました。そのような形で、担保徴求を免除する形で利用しやすくしていただくということを考えております。
 とりわけ、私どもこれまで見ておりますと、女性起業家に関連して言えば、若いといいましょうか子育てを終えられたお母さんが、例えば企業組合のようなものをつくって若いお母さんの支援をするとか、あるいは介護のお仕事をされる。
 もう一つは、私どもが特に今後のお話として注目しておりますのは、いろいろと空洞化の進む商店街の再活性化という面で、女性の目と申しますか能力というのが実は大変即戦力になっているという実態がございます。
 これは、もうかねてから女性のパート労働者というのが実は常用の労働者よりも店づくりにむしろ貢献をしているケースがあるというのが従来から見られた一つの傾向であったわけでありますが、現実問題として商店街の再活性化に女性が大変活躍をされ、それによって商店街が、まさに消費者と申しましょうか消費者の目で店づくりが進められるということが大変よくなっている。そのような形で空き店舗と言われるようなものが埋められていくというような、あるいは消費者の、生活者のニーズにマッチしたような町づくりが行われるというような意味で、女性の持たれる能力というのは大変期待がされる部分が多いというふうに私ども見ております。
 その意味で、中小企業庁の施策としてはとりあえずは金融面でございますが、ただ金融面はかなり実態をお聞きいたしておりますと、まだまだ残念ながら女性であるというために不利な立場に置かれているケースが多いようでございまして、今申されました制度、普及、PRに努めたいと存じますし、今回制度の改善も図らせていただきましたので、ぜひ幅広く御活用を願いたい、こう考えております。
#99
○浜四津敏子君 同じく高齢者の起業家への貸付実績でございますが、これは昨年の四月からことし一月までの十カ月間で、これも国民金融公庫からの貸付件数わずか三百四十九件と伺っております。総額は二十億三千万円。この制度のPR、またさらには通産省、労働省の連携によるバックアップ体制を整備して対応すべきだと考えますが、これについてもどう取り組まれるか、御見解をお伺いいたします。
#100
○政府参考人(岩田満泰君) 高齢者の関係も、実は私どもの金融制度、特別貸付制度としては一つの枠の中におさめられておりまして、ただいま御説明申し上げましたように、担保徴求の面とそれから金利の面で改善をするというようなこととをさせていただいております。
 そのような形でまたPRにも引き続き努めまして、私ども中小企業政策としていろいろな形で全国的に創業対策、起業対策と申しましょうか、そういうものもあわせて展開を始めておるところでございまして、そういう施策とあわせまして、そうした女性、高齢者による起業の促進というものにも努めていきたいと考えております。
#101
○政府参考人(渡邊信君) ただいま御質問のありました高齢者の起業の支援ですが、労働省では中小企業庁と共管の法律であります中小企業労働力確保法に基づいて事業の立ち上げの支援をしておりますけれども、現在、日本では事業を起こす方の平均年齢がまだかなり高くて、大体四十歳ぐらいではないかと思います。ということで、高齢者の方もかなり新しく事業を起こして活躍しておられるわけでありまして、十分この制度を利用していただきたいと思っております。
 なお、第二次補正予算におきましては、高齢者の方が、六十歳以上の方が三人以上共同で出資をして事業を起こすというときにその初期投資に対しまして助成をする制度を認めていただいておりまして、三分の二で上限を五百万というふうにしております。来年度の予算にも、十八億、三百件ぐらいの予算を計上しているところでありまして、よろしく御審議を賜りたいと考えております。
#102
○浜四津敏子君 次に、ミレニアムプロジェクトと高齢者雇用についてお伺いいたします。
 連立政権のミレニアムプロジェクトとして三つのテーマ、情報化と高齢化と環境対応の研究開発に取り組むことになっております。労働省としては、高齢者が年齢にかかわりなく働き続けることのできる職場の創造に関する調査研究のための予算を五億円確保されております。
 高齢化が進むにつれて、五十歳から六十四歳の高齢生産年齢人口が増加し続けております。また、六十五歳以上の高齢者の中にも社会参加を希望する方がたくさんおられます。働くことは高齢者の生きがいや健康の維持、また社会の活性化という視点からも大変に重要であります。
 事実、ある国民健康保険団体連合会の調査によりますと、シルバー人材センター会員になって働く高齢者の医療費は、同一市町村の同年齢の高齢者の平均医療費の五八・二%という結果が出ております。要するに、元気に働く高齢者は平均的な高齢者よりも医療費負担がおよそ四〇%も少ないということであります。
 また、高齢者の雇用は、ひとり高齢者のためだけでなく、社会保険料を負担する側の人口を増大させて、保険給付を受ける側の人口を抑制することにもなります。
 私たちは六十歳代現役社会を目指すべきだというふうに基本的に考えておりますが、そのような観点からも高齢者の雇用拡大のための具体的で効果的な対策を講じることが急務であります。
 しかし、現実には企業側が必要としているのは一般的には若い労働者で、高齢労働者との間に必然的にミスマッチが生じることになります。そのため、どうしても国の的確な誘導政策が必要となってまいります。
 労働大臣、どのような具体的な誘導策をとられ、そして高齢者の雇用確保をされるのか、お伺いいたします。
#103
○国務大臣(牧野隆守君) 今、先生は、高齢化に対する対処方針、また中年の皆さんのミスマッチの問題、また若年労働者と、幅広くお触れになったわけですが、大体三つに分けて考えています。
 まず、若年労働者の方々は、結構会社へお勤めになってもすぐおやめになるというような傾向もあるわけですが、いずれにしましても、ミスマッチをなくするためには、研修システムを抜本的に拡大して、若年の方々がやはり中年のときにはもうしっかり落ちついた職業についていなきゃならないと、不安感を持っておるわけですから、こういう形のところへ、例えば具体的に申し上げますと職業学校をさらに利用させていただくと。研修コース、よく実情を聞いて、今大体八千五百コースぐらいあるわけですが、一万以上に伸ばして、例えばソフトエンジニアになりたい、あるいは語学をきちっとしなきゃいけない、若い人の要求するそういうコースの拡大と申しますか、技能習得の拡大に最重点を置かせていただきたい。
 それから中高年者につきましては、いろんな形で会社をやめさせる場合もありますし、勧奨退職というものもありますし、やはり引き続き継続して雇用していただくというためには、既に御承知かと思いますが、これらに対する助成金をきちっと制度的に確立いたしております。
 さらに一つの形態として、四十五歳以上のまだ本当に働き盛りの方々にも継続して雇用していただくために、企業主に対する助成金と、特に高年齢層の方は、先ほど申しましたとおり、女性の社会進出と同じように、高年者の方が生きがいを感じて働いていただく、これが大きな目標でございまして、そういう形でそれぞれの層に応じて対策を講じていきたいと、こう思っております。
#104
○浜四津敏子君 また一方で、六十歳で定年になれば仕事から離れたいという人もおられます。そして、その後地域のボランティアやあるいはNPOで活動したいという方々も現実にはおられます。また他方で、働きなれた職場で働き続けたいという方々もたくさんおられます。
 こういう高齢者の方々、多様な就業ニーズがあるわけでございますけれども、その多様なニーズに的確に対応できるために労働省としてはどのような具体的な施策を考えておられるのか。これは政務次官にお伺いいたします。
#105
○政務次官(長勢甚遠君) 高齢化に伴う就業機会の拡大ということがこれからの高齢化社会において大変大事な問題でございます。
 労働省としては、今高齢法の改正案も提案をさせていただいておりますが、定年延長、継続雇用を含めて六十五歳までの継続雇用達成に重点を置くとともに、今先生お話しのとおり、六十歳代前半層以降、必ずしも雇用という形ではなくていろんな形で社会に参加をしたいという方がおられるわけでございます。
 そういう中で、特に就業を通じて社会参加をしたい、生きがいを求めたいという方々のために、シルバー人材センターの制度の普及発展に今まで努力してまいりました。今日、平成十一年度において八百六団体に助成を行っておりますし、会員数も五十万を超えるという状況でございます。
 今後ともその機能の強化を図っていくことが極めて大事でありますし、また大変好評でもありますので、今回の改正におきましても、シルバー人材センターの取り扱う就業の範囲について、ニーズの多様化に的確に対応できるように、一日当たりの就業時間が相当程度短ければ継続して就業できるようにすることとして、多様なニーズに応じた就業機会を確保するように努めることといたしたい、このように思っております。
#106
○浜四津敏子君 次に、産業構造改革転換への対応についてお伺いいたします。
 先般、日本経済新聞社が集計した上場企業の二〇〇〇年三月期の業績予想では、期間のもうけを示す経常利益は前期に比べ一〇・七%ふえる見通しとのことであります。大変明るい見通しで喜ばしいことではあります。また、円高や製品価格の下落などで売上高は減少しておりますが、コストの削減、またIT投資の拡大、そしてアジア市場の復調などがプラスに働いて三年ぶりの増益だということでございます。消費の低迷が足かせになってはおりますが、このまま推移すれば、IT投資の盛り上がりなどで来年、二〇〇一年三月期も増益になる見通しとも言われております。
 ただ、一方で気になる点もございまして、ジョブレスリカバリーと言われるように、二十一世紀を展望したときに、IT投資はさらに加速度的に拡大していくものと思われますし、またアジア経済も着実に回復し、またさらに拡大していくことと思われます。また、グローバル化が進むこうした世界に対応していくために必然的に雇用の流動化も起こってくる。これが現実でございます。IT革命を含めましてこうした産業構造転換への対応をどうされるのか、政務次官にお伺いいたします。
#107
○政務次官(長勢甚遠君) 情報通信産業を中心にして今後景気が回復をし、また雇用が増加をしていくということを我々は大いに期待しておるわけでございますし、労働政策としてはその分野に円滑に労働移動が進むように努めていかなければならない、このように思っております。
 そういうことでございますので、情報通信分野を初めとする新規・成長分野、つまり今後雇用の拡大が期待される分野につきまして、緊急雇用対策に基づいて、昨年八月に新規・成長分野雇用創出特別奨励金制度を創設して、当該分野の事業主が前倒し雇用を行った場合には奨励措置を講ずるなど、積極的な雇用の創出に努めておるところでございます。
 また、こうした取り組みに加えまして、平成十二年度からは、新規・成長分野の雇用機会の創出と円滑な労働移動を図るため、新たに新規・成長分野雇用創出トータルプロジェクトを実施することといたしておるわけであります。
 具体的には、新規・成長分野での人材の確保や円滑な労働移動を促進するための創業や事業展開等に係る雇用管理相談や、求人求職情報の提供、職業紹介の実施などのサービスを行う新規・成長分野人材サービスセンターを設置するとか、また、そういう分野への円滑な労働移動を促進するために、新規・成長分野の事業主が新たに労働者を雇い入れるに際して、そのための移転や教育訓練にかかる費用を事業主が負担した場合には、その費用の一部を負担する新規・成長分野就職促進給付金制度を創設する。また、新規・成長分野に係る職業訓練の重点的実施を図る等のトータルプロジェクトをこれから実施しよう、このように思っております。
 こういうことを通じて、円滑に雇用機会が創出され、労働移動が行われるようにしていきたいと思っております。
#108
○浜四津敏子君 ところで、アメリカではこの九年間、好景気の記録更新を続けております。これは九年前の経済政策の正しい選択によると、先般クリントン大統領がそのように発言しておられましたが、アメリカの好景気の要因を分析した調査リポートを日銀が先般まとめました。
 その調査リポートによりますと、一九九〇年代後半にアメリカの経済成長が高まった要因の約半分はIT投資だったという、その可能性があるということであります。九五年から九八年の平均成長率三・八%のうち、IT投資など技術進歩による押し上げ要因は一・八%もあったと試算しております。このIT投資をめぐる日本の課題につきましては、大胆な構造改革など、資本と労働力の有効活用を進めて、生産性向上につながる環境整備が必要だと指摘しております。
 IT革命ではアメリカに五、六年も日本はおくれているというふうに言われておりますが、このIT投資を主軸にした総合的な施策が欠かせないものと思っております。中でも、その技術、ノウハウをマスターした人材の育成が急がれる。これには産官学の連携も非常に大事だと考えます。
 そこで、政務次官にこの調査リポートについての御見解、そして今後の取り組みについてお伺いいたします。
#109
○政務次官(長勢甚遠君) 恐縮ですが、調査リポート自体は余り今十分承知をいたしておりませんけれども、ITに関する人材の確保というか養成ということが重大な課題であるということは先生御指摘のとおりでありますし、我々もそういう考え方で、能力開発等について情報通信分野に重点を置いた施策を進めておるところでございます。
 具体的には、在職者に対する職業訓練九万二千人、離職者に対する職業訓練一万三千人を大体この情報通信分野の面で養成をしようということで計画をしておるわけでございます。また、高度な知識、技能の向上を図るために、通産省とも連携をいたしまして、地域ソフトウエアセンターを設けておりますとともに、コンピューターカレッジにおきまして情報処理技能者の養成を行っております。また、労働者が自発的にこういう分野で能力開発ができますように、職業訓練給付の指定をこういう分野に重点的に講座指定を行って、自主的な能力開発が行われるようにその施策も進めておるわけでございます。
 今後とも情報関連分野の人材養成に重点を置いた能力開発に取り組んでまいりたい、このように考えております。
#110
○浜四津敏子君 ところで、いよいよ来月一日から介護保険制度がスタートいたします。ここ数年間、全国各地を回りまして、介護関連の施設の視察、あるいは関連の業者、あるいは全国自治体、準備状況などを見てまいりました。また、御意見も伺ってまいりました。各分野、さまざまな課題を抱えて、大変御苦労をされてこられました。この介護保険制度は、ならし運転をしながら、これからも一つずつ改善を続けていかなくてはいけないと思っております。
 先週、実は東京都内で、社団法人シルバーサービス振興会、こういうところが主催いたしましたシルバーサービス展、これが開かれておりまして、見てまいりました。そこでは創意工夫を生かした民間業者の多くの、またより質の高いシルバーサービスあるいは商品、これが展示してありました。これは日本最大規模の展示会だと言われております。大変民間活力というのは本当にすばらしいものだなということを実感いたしました。福祉分野が新産業分野として多くの雇用を創出しつつある、その現状の一端を見る思いがいたしました。
 また、この展示会場の一角では、こうしたシルバーサービス企業への就職、それから転職情報コーナー及び就職セミナーが行われておりました。実際に幾つかの資料をいただいてまいりましたが、例えばある福祉サービス会社の求人票を見ますと、ケアマネジャー求人数四十名、看護婦三十名、介護福祉士三十名、ホームヘルパー五百名、この求人をしておりました。
 これから本格的な高齢社会に十分に対応するためには、こうした新産業の発展、そしてまたこれに関連するマンパワーが相当数必要になってまいります。
 労働大臣、最後に、この新規雇用の開拓に具体的にどのように取り組まれるのか、お伺いいたします。
#111
○国務大臣(牧野隆守君) 先生今御指摘のとおり、介護を中心とする福祉分野、先ほど御議論のありましたIT関係の分野、この二つが雇用関係から見ましても一番大きい分野でございまして、現実にお隣のアメリカの景気発展と雇用の関係を見ますと、ここが非常に大きい分野でございまして、私どもも横に実例を見ておるわけですから、その方向に進んで何ら間違いはないと。
 そういうことから、我が省としても、介護に関して積極的に雇用が確保されるように、そういう見地から、単に普通の営利法人といいますか、株式組織の法人でなくても、NPO等を含めてあらゆる組織がこの分野に入ってきてよろしゅうございますよ、逆に入ってきてくださいと。こういう場合に六人まで、何十人とは申し上げられませんが、六人までお雇いいただいたときには一年間賃金の二分の一を補助させていただいて、スタートダッシュをつけてその活動の基礎を確立してほしい。それからもう一つは、ホームヘルパー二級、三級等の養成講習を広げて、能力開発の推進をさせていただきたい。
 差し当たりこの二つの制度で私どもとしては雇用促進という立場から介護に取り組んでいきたい、こう考えています。
#112
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 今、女性労働者の中では、この不況の中、午前中からの論議もありましたように、リストラ解雇の不安、パート、派遣など低賃金、不安定雇用の広がり、ますます拡大する男女の賃金格差、労働基準法の改悪により男性と同じ長時間過密労働が強いられて、健康や母性の破壊で過労死さえ襲ってくる。在職死亡、異常出産が後を絶たない状況にあります。
 そういう中で、労働行政への女性労働者の期待というのは大きいものがあります。大臣は所信表明の中で、「女性が能力を十分に発揮できる雇用環境を整備するため、職場における男女均等取り扱いが徹底されるよう取り組んでまいります。」というふうにおっしゃいました。活字に直しますと五十七文字でございますが、これは本当に重いものにある、こういうふうに私は思います。
 この均等法の実効性の確保として労働省も強調されております機会均等調停委員会について伺います。
 九九年四月一日から改正をされ、どのように改善をされたのかお示しください。
#113
○政府参考人(藤井龍子君) 雇用機会均等法におきましては、雇用の分野における男女の均等取り扱いに関しまして事業主と女性労働者との間に個別紛争が生じた際に、司法上の救済を求めると時間がかかるとか、経済的にも大きな負担がかかるということもございますので、紛争を迅速かつ円満に解決するための仕組みといたしまして、中立公平な学識経験者による調停制度というものを設けているところでございます。
 この調停制度につきましては、平成九年の男女雇用機会均等法の改正によりまして、調停制度が有効に機能するよう、紛争の当事者の一方からの申請のみでも調停が開始できるようにされたところでございます。改正前は双方の同意がなければ調停が開始できないということになっておったわけでございますが、これを紛争の当事者の一方からの申請のみで開始できるようにしたところでございます。これは昨年の四月一日から施行されてございます。
 また、あわせまして、事業主に比べるとどうしても弱い立場にございます労働者を保護するということ、また、調停制度の円滑な運用のためには労働者の方々にとって利用しやすい制度となる必要があるということにかんがみまして、労働者の方々が調停を申請したということを理由として不利益取り扱いをすることを事業主に禁止した、こういう規定を新たに設けたところでございます。
 こういう二つの改正によりまして調停制度は労働者の方々にとって利用しやすくなったものと考えているところでございます。
#114
○八田ひろ子君 働く人にとって使いやすくなったという御説明がありまして、この均等法の改正点のポイントの前提であります第六条では、今まで差別の是正が努力義務だったのが差別禁止という規定になったということで、申し立てによって不利益な取り扱いをしてはならない、禁止規定、こういうのがあったのだと承知しております。
 使いやすくなって約一年になりますけれども、この間、この調停委員会に申請件数それから開始件数、これはどのようなぐあいでございましょうか。
#115
○政府参考人(藤井龍子君) 昨年の四月一日以降の調停の申請件数は、現在までのところで三十一件でございます。調停を開始した件数は、うち二十七件でございます。
#116
○八田ひろ子君 それらは幾つの女性少年室で扱われていたか、都道府県でもよろしいですし、室の数でも結構です。
#117
○政府参考人(藤井龍子君) この調停制度といいますのは、差別を受けたという労働者の方々が救済を求めるというか紛争の援助を申し出られるというものでございますので、多くの場合は継続した雇用関係の中でこういう提起をされる場合が多うございますので、やはり非常に問題の処理には慎重に、特にプライバシーの保護には大変慎重に対応する必要があるかと存じております。
 したがいまして、先ほどお答えいたしましたように、総計では何件かということはお答えはしてございますが、どこの女性少年室にそういう申請があったかということにつきましては、まことに申しわけございませんが、今申し上げたような事情で明らかにすることは差し控えさせていただきたいと存じます。
#118
○八田ひろ子君 それはおかしいんじゃないですか。私は、調停のあった中身がどういう案件があったかを教えてくださいとお尋ねしているのではありません。先ほど局長がおっしゃったように、弱い立場の労働者を保護するために利用しやすい制度に改善をした。改善をすれば当然効果があったのかなと私は思いますので、それではどれぐらいで、それが一体どれぐらいの都道府県に広がって利用しやすくなったのかと伺ったんですけれども、その都道府県の数か、あるいは女性少年室の数で結構でございますので、その数字をお答えください。
#119
○政府参考人(藤井龍子君) 先ほど申し上げたような大変プライバシーにかかわる問題で、調停がスムーズにいって紛争が円滑に解決されるようにというのがこの制度の本来の趣旨でございますので、総計で三十一件ということでかなりの方々には、大変多くの方々が申請なさったなということは御理解いただき、また、利用しやすくなったなという御認識はいただけるんじゃないかと私は思っておるところでございますが、先生がおっしゃられるのもごもっともでございますので、今見ましたら四都道府県ということでございますので、お答えをさせていただきたいと思います。
#120
○八田ひろ子君 使いやすくなった、利用しやすい制度ということで大変期待が高まっていると思うんですが、実際には四つの都道府県に調停申請が提出をされたということですね。
 新聞などの報道によりますと、開始件数、先ほど二十七件と言われたんですけれども、そのうち二十五件というのは日本航空の女性客室乗務員の昇格差別の事件だというふうに聞いておりますので、そうしますと残りは二件、二社というんですか、要するに全国で改正均等法以降調停に申請されたのは三つの会社にかかわってこの申請を受けられたというふうに理解してよろしいんでしょうか。
#121
○政府参考人(藤井龍子君) 私どもは、先ほども申し上げましたように、三十一件の内訳等については公表は差し控えさせていただいているところでございますが、先生が今御質問なさったことはあえて否定はいたしません。数合わせでいきましたらそういうことになるかと存じます。
#122
○八田ひろ子君 算数の計算によるとそうなるということですね。開始件数は日本航空を除けば二件で、これでは結局、調停委員会に申請されたのが、使いやすい、働く人にとって本当に門戸を開いたというのでは効果が上がっているのかなというふうには思います。なぜそうなっているのかというのが私は非常に大きな問題だと思うんです。そこで、実際に調停が終了をしました日本航空の例で手続の問題を伺いたいと思います。
 この日本航空の女性客室乗務員の方二十五人が労働省の東京女性少年室に、均等法六条違反である女性であるがゆえの昇格差別の是正を求めて調停を申し立て、それの調停案が出たというのが新聞報道でありました。申し立てた女性の皆さんは勤続年数が二十四年から三十年で全員が三職級のキャビンコーディネーターで、同期入社の男性は病気休職者などの例外を除いて勤続二十一年目までには四職級のキャビンスーパーバイザーに昇格しているので、仕事の内容は全く同じなのに、このような不当な昇格差別の結果、賃金面でも不当に低い扱いになっているので、昇格の差別是正を求めて申請されたということで、これ、よくわかりませんので私ここにパネルを持ってきました。(図表掲示)
 日本航空の皆さんの訴えで、これは七五年入社で、二十五人の方というのは実際には七五年だけでなくてばらつきがあるんですけれども、このように赤いのが女性です。七五年に入社された八七%は女性で一三%が男性で、同じ仕事をやっているんですけれども、一番下ですが、男性で一番遅い昇格の方、入社十六年が九六%であるんだけれども、女性は〇%である。これは七五年入社で、個々の皆さんについてこういうふうに女性であるがゆえに同じ仕事をしていても昇格差別があるんだと、こういう訴えをなされたわけです。
 私はこの中身を今から質問するんじゃないんですけれども、こういう訴えがあったこの調停の手続について伺います。この日航の調停の申請日、申請受理日、調停開始決定日はどうなっているでしょうか。
#123
○政府参考人(藤井龍子君) 先ほど来繰り返し申し上げておりますように、個別の事案につきましては、プライバシー保護といったような観点から、私どもの方から調停の申請日とか調停開始日を含めまして公表をすることは差し控えているものでございますので、差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、ただ、これは申請者の方々が公表なさっておられますので、新聞等で既に明らかになっている事実でございます。
 私がその新聞報道をもとにお答えすることは差し支えないかと存じますので、あえてお答えをさせていただきますが、調停申請日は平成十一年四月一日、それから、そのとき二十五人の方が申請されましたが、うち二人が取り下げられ、その後また別の方が二人申請されております。その後ほど申請された方の申請日は六月十七日となっております。調停受理日は、最初の方々につきましては四月十六日、それから後のお二人の方については六月二十一日、そして調停開始日は両方あわせて七月二十九日ということになっております。
#124
○八田ひろ子君 四月一日に申請書を出されて、それで調停開始決定まで四カ月かかっているというのがあるんですけれども、開始の前に、申請から受理までに、四月一日に出されたものが受理決定は四月十六日ですね。どうしてそれが申請するだけでこんなに時間がかかるのか、所定の記述があればすぐに受理されるというふうに思うんではないか。私、この解釈便覧を見せていただいても、ここにひな形が書いてありますね。こういうので出すと少なくとも受理はされるんじゃないかと思うんですけれども、これはなぜ二週間かかるんですか。
#125
○政府参考人(藤井龍子君) 受理につきましては、管轄の問題というのがございまして、どこの女性少年室の調停委員会で処理をするかという問題がございます。原則として申請労働者が雇用されている事業場の所在地の女性少年室が管轄するということになっておるわけでございますが、今回の事案につきましては、二十五人の方々の雇用される事業場が必ずしも一都道府県ではなかったように聞いてございます。したがいまして、そこのところでいろいろ管轄を判断するのに受理までに時間がかかったと承知しているところでございます。
#126
○八田ひろ子君 それ、普通のお仕事でなくて、最近ベストセラーになった小説で「沈まぬ太陽」というのがありますね。あの中に客室乗務員、パーサーとチーフパーサーというのが出てきて、それが今問題になっているものなんです。飛行機に乗っていらっしゃる。それで勤務地というか中心になっているのは成田空港と羽田空港なわけなんです。ですから、こんな二週間もいろいろと書類が必要だというふうにとても思えないんです。
 受理から開始決定までは三カ月半もかかっている、これはどうしてですか。
#127
○政府参考人(藤井龍子君) 管轄につきましては結局、実質的に雇用管理の権限のある事業場ということで一カ所にまとめたというわけでございますが、それで受理をいたしまして、それから、均等法第十三条で「調停の委任」と言ってございますが、都道府県女性少年室は、調停の申請があった場合、当該紛争の解決のために必要があると認めるときは、機会均等調停委員会に調停を行わせるものとするということになってございます。
 この必要と認めるときということにつきましては、私どもで解釈通達で明らかにしておりますのは、申請が当該紛争に係る事業主の措置が行われた日から一年を経過した紛争に係るものでないとき、それから申請に係る紛争が既に司法的救済または他の行政的救済に係属していないというようなこととか、あるいは申請に係る紛争が集団的な労使紛争に絡んだものではない、または申請が当該申請に係る紛争以外の事項についての集団的な労使紛争を有利に導くこと等を目的としたものであると認められないとき、こういう場合に必要があると認めて調停委員会に調停を委任するということになってございます。つまり、調停の開始を決定するということになってございますので、今申し上げたようなことにつきまして、申請者が二十五人いらっしゃる、大変多くの方々が申請されているというようなことで、やはりその方々から今申し上げたようなことについての事情聴取なりなんなりというのは必要でございましたこと、それから申請をされた方々の業務の性格上、日程調整というのがなかなか難しいところもあったということで、七月二十九日に調停開始を決定するということになったと承知しているところでございます。
#128
○八田ひろ子君 何人も、二十五人もいたから時間がかかったというふうにおっしゃるんですけれども、それでは、先ほどおっしゃったこの間三件あって、もう一件調停が済んでいるのがあるんですけれども、それはお一人だったので早いんでしょうか。
#129
○政府参考人(藤井龍子君) 雇用機会均等法の調停制度というのは、事業主と労働者個人との個別の労使紛争の処理制度でございますので、あくまでも事業主さんと個別の労働者の方々の間の紛争が一件ということになりますので、二十五人いらっしゃいますと二十五件の紛争の処理ということになるわけでございます。お一人の申請ですと一件ということになるわけでございますので、どうしてもそこにかかる時間といいますか、そういうのには差が出るのではないかと思っております。
#130
○八田ひろ子君 私が伺ったのは、それならお一人一件という方の、もう一つありますよね、調停が終わっているところ、そこの申請日とか申請受理日、調停開始決定日をお示しいただいて、このように早いということをお示しください。
#131
○政府参考人(藤井龍子君) 何度も申し上げるようで申しわけございませんが、個別の事案につきましては、それぞれの申請者の方々等々のプライバシーの問題もございますので、申請日等についてお答えするのは差し控えさせていただきたいと存じます。
#132
○八田ひろ子君 迅速かつ簡便な手続で利用しやすい制度だとおっしゃるので、迅速でかつ簡便だったら何日かかるのか、余りにも長いじゃないかと私は思うんです。大臣、どう思われますか。
#133
○国務大臣(牧野隆守君) 当然のことながら、紛争でございますから、調停に当たりましてはいろんな事情をお伺いすると思いますが、いずれにしても迅速になされなければならないことは当然であります。
 今、もちろんプライバシーについて尊重すべきは当然でありますが、本当になぜ開始まで三カ月半かかったか……
#134
○八田ひろ子君 四カ月です。
#135
○国務大臣(牧野隆守君) 四カ月ですか。それだけの理由が調停委員サイドにあったのかどうなのか。当然私どもとしては、必要な時間であればやむを得ないし、それが終わったら、利害関係人が調停を待っておられるわけですから、直ちに調停を開始すべきだと、こう思います。
#136
○八田ひろ子君 本当にそうなんですよね。私はまだこれ質問の入り口を聞いているだけなんですけれども、調停に入るまでにこんなに時間がかかっているというのが私は問題だと思う。大臣と一緒の思いです。
 この日本航空の件では、調停が始まる前に東京女性少年室長が何とおっしゃったか。会社が紛争と認識していなければそれは紛争でない、よって調停は不開始との発言があったそうなんです。私、このいただいた便覧を見ますと、紛争とは「女性労働者と事業主との間で主張が一致せず、対立している状態をいうものであること。」。これ労働省女性局の監修のものです。だったらこれは紛争ですよね、一方が訴えているわけですから。ところが、女性少年室長は、会社が紛争と認識していなければそれは紛争ではない。
 これは改正前はそういうことがあるかもしれませんよ。しかし、均等法を改正した趣旨は、先ほど局長がお答えになったように、一方の申し立てでこれは申し立てることができるというんです。だから、こういう発言はあってはならないと私は思うんですけれども、局長、どうですか。
#137
○政府参考人(藤井龍子君) 同じ本でございますが、この四十一ページに、紛争とは「女性労働者と事業主との間で主張が一致せず、対立している状態をいう」ということでございますので、そういうことで、正確には私もその室長がどう言ったか存じませんが、そういう趣旨のこの解釈通達に基づいて申し上げたのではないかと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、先ほど申し上げましたように、調停を開始するに当たりましてはやはり種々調べなければいけないということもございますので、七月二十九日に調停開始ということになったということでございます。
 ただ、迅速、簡便な紛争解決の処理制度ということでございますので、当然迅速を旨として運用といいますか、施行はしていくべきものと考えているところでございます。
#138
○八田ひろ子君 私が今読みましたでしょう。会社が紛争と認識していなければそれは紛争ではないというふうに女性少年室長がおっしゃるということは、ここに書いてあることと反対じゃないですか。こんなことあってはならないんじゃないんですか。専門家が訴えてきたか弱い女性に対して言うべき言葉ではないというふうに私は思うんです。
 大体入り口までたどり着くのに四カ月もかかるというのが私は大臣がおっしゃったように本当におかしいと思います。四カ月たってやっと調停が開始された、七月二十九日ですね。そうしまして、二十五人の申請人の方々は、あくまでさっき局長が言われたように個別審査だということで審査をされるわけですが、大体何度、どれぐらいそれぞれの申請人の事情を聴取されたんでしょうか、一人当たりです。
#139
○政府参考人(藤井龍子君) 何度も申し上げるようで恐縮でございますが、調停の内容等につきましては、私の方からお答えするのは差し控えさせていただきたいと思います。
#140
○八田ひろ子君 中身を私は聞いているんじゃなくて、制度です。この枠組みがどうなっているのか。本当にこれが法改正にきちんと合っているのかどうかをどうしても私は聞きたいんです。
 調停が開始されるまでに四カ月もかかった。調停が開始されてから七カ月もかかった。その間、申請人はそれぞれの思いを述べるのにたった一回、三十分しか聞いてもらえなかったんです。これに対して何がわかるのかと本当に思うんです。
 それじゃ、事業主に対しては何度、個々の申請人の問題についてどれぐらい調停をされたんでしょうか。
#141
○政府参考人(藤井龍子君) 調停は、調停開始後につきましては、それぞれの機会均等調停委員会におきましてそれぞれの御判断により必要な手続、事情聴取、意見聴取等が行われるものでございますので、私どもの方からあえていろいろ申し上げることは本当に差し控えさせていただきたいと思うわけでございますが、お答えできる範囲でお答えさせていただきますと、本案に係ります調停会議でございますが、これにつきましては、申請者でございます女性労働者の方々からの事情聴取及び意見聴取を八回実施されております。それから、一方の当事者でございます事業主につきましては四回、事情聴取、意見聴取を行っておられます。それを踏まえまして、その後、委員だけの御協議等々、数回行われておるという状況であったと聞いております。
#142
○八田ひろ子君 ありがとうございます。
 そうなんですよね、八回と事業主が四回。ところが、そのそれぞれの申請者というのはお一人については一回三十分程度しか訴えることができなかったということがこれ非常に問題なんですが、その中でどういうことをお聞きになったかというのが非常に問題なんです。
 調停の中で労働者に聞かれた内容、事実認定というふうにされているんですけれども、この聴取状況なんですが、産休と生理休暇の問題も聞かれたんですけれども、これは事実でしょうか。
#143
○政府参考人(藤井龍子君) 調停の中におきましてどういう事情聴取を行われたかということは、先ほどから申し上げておりますように、私どもの方からお答えするような性格のものではないかと存じますので、お答えは差し控えさせていただきたいと存じます。
#144
○八田ひろ子君 ここに文書があります。これは事務方の方から委員と労働省の方にお配りください。(資料配付)
 これは文書でもって東京機会均等調停委員会からそれぞれの申請人に出されたもので、その中に「聴取事項」というのがあります。ここで「病休、産休、育児休業、生理休暇等の休暇の取得状況について。」と、こういうのがありますけれども、私、ちょっと局長に伺いたいんですけれども、こういうのをとりますと男女差別の理由になるんでしょうか。労働基準法には労働者の権利として規定をされて、それによって差別を受けないのは当然と私は思います。とりわけ、例えば育児休業法に基づく指針では不利益取り扱い禁止とかは明文化されていますよね。これは当然差別を受けないというふうに認識してよろしいんでしょうか。
#145
○政府参考人(藤井龍子君) 産休等につきましては労働基準法で不利益取り扱いの禁止の規定がございますし、育児休業につきましても、育児休業法で育児休業をとったことを理由とする解雇を禁止しているというようなことでございますので、基本的にはこういう法律上認められた休暇権といいますか休業権を行使する、そのゆえをもって不利益な取り扱いというのはなされないといいうのが望ましい形かと考えております。
#146
○八田ひろ子君 本当に当然なんですよね。
 ところが、当然の権利にもかかわらず、その当然の権利を守る立場の調停委員さんであると私は思うんですけれども、何とおっしゃったか。女性が急に仕事ローテーションに穴をあけると会社としても困るという傾向があるのではないかと。これはなぜこういうふうに聞くのかというふうに申請人が尋ね、抗議をしたんです。そうしたらそういうふうに言われるんです。こういう認識が実際には出された調停の勧告案にもにじみ出ています。
 勧告案にはどうなっているかというと、会社側の指導、育成を受け入れ、会社の制度、方針に沿った職務遂行実績を上げる努力を行うこと、こういうふうに結論が出されておるんですけれども、生休とか、産休は無論そうなんですけれども、日航においては当然のことながら女性労働者が多いものですから仕事ローテーションの中に予定に組み込まれている、そういう会社なんです。会社もこれを差別にはしないというふうに少なくとも言っているのに、なぜこういう発言があるのか。こういう行為というのは、調停委員としては不適格だと私は思うんです。不見識だと思いますが、どうでしょう。
#147
○政府参考人(藤井龍子君) 私どもは、調停の内容といいますか、調停会議でどういう御発言なりなんなり、あるいはどういう事情聴取が行われたか一切関知してございませんので、今の御質問にお答えするような筋合いのものじゃないかというようなことでございますが、こういう今お配りいただいたペーパーを拝見いたしますと、「病休、産休、育児休業、生理休暇等の休暇の取得状況について。」ということで広く休暇の取得状況をお聞きになられているようでございますが、これはある意味では、先ほど、こういうのをとったからといって不利益な取り扱いが行われるというのは望ましくないという考え方に基づいて、仮にこういうのをとられたから差別といいますか何らかの措置が行われたのではないかというような問題意識もあってこういうようなこともお聞きになったというふうにも推測できるのではないかと、今このペーパーを見ながら思っておるところでございます。
#148
○八田ひろ子君 このペーパーを見ての御感想をいただきました。
 一般的にそういうふうにとれるかもしれません。しかし、私このペーパーをお配りするときに言いました。このペーパーについて申請人が抗議したときに調停委員が何とおっしゃったか。女性が急に仕事ローテーションに穴をあけると会社としても困るという傾向があるのではないか、だからこれを調査するんだというふうにおっしゃいました。ですけれども、育児休業にしましたら、産休でもそうですけれども、これは急に穴をあけるという中身とは全く違うじゃありませんか。しかも、会社の方は、女性が多い職場ですから当然にこれはローテーションに組み込んでいるんですよ。それをなぜこういう認識でこういう行為を行ったのか、私はそれが本当に問題だと思うんです。それはどういうふうにお考えですか。
#149
○政府参考人(藤井龍子君) 私どもでは、先ほどから申し上げておりますように、調停というのは調停委員の方々の御判断によりどういう形で持っていったら紛争解決につながるかということを一生懸命考えながらお進めいただいているものと承知してございますので、その調停の内容につきましていろいろ言及することは差し控えさせていただきたいと存じます。
#150
○八田ひろ子君 産休や生理休暇の取得状況について調査をして、それらの休暇をとると会社が困ると言うんですよ。こういう調停委員は女性の権利を守れますか、大臣。大臣がこれ選任されているんですよ。この任命責任というのはどういうふうに思われますか。
#151
○国務大臣(牧野隆守君) 今、先生の御質疑、女性局長の先生の御質疑に対するお答えを静かに拝聴いたしておりまして、調停委員の方々は、やはり訴えがあるわけですから、その人の立場に立って、会社はどうなんだ、あなたは会社の態度をどう思っているかということを当然聞くべきですし、また会社に対してはどうなっているのかと。ただいまの、会社、穴をあけるんじゃないかという御説明がございましたが、それを調停を依頼した乗務員の方々が会社は明らかに穴をあけるのはけしからぬと言っているということでもし質問されたのであれば、それは会社はけしからぬじゃないか、今おっしゃったように産休については当然ローテーションがあるべきじゃないかと。
 いずれにしても、そういう客観的な事実を調停委員が調査はされまして、所定の時間内にきちっと調査をされて、そして調停に入ると決断したときには調停に入る。そういう点で、先ほどの四カ月、五カ月云々という時間が果たして適正な時間であったかどうかという点は当然問題になると思っています。私自身は、迅速に処理されるべきである、こういう考え方に基づきまして、調停委員についても聞くべき、時間がかかる場合はこれはやむを得ないと思いますが、きちんと実情を把握して、そして結論の方向を見出して調停に入るべきだと、このように考えております。
#152
○八田ひろ子君 調停についてはそのとおりです。
 私がお伺いしたいのは、このような不見識な質問をして、長く長く長くかかってもその中身というのが働く人の立場に立っていないという怒りを呼ぶような調停委員を任命されるのは、労働大臣が任命をされておるんですよ、それぞれの婦人少年室のところの調停委員会に三名ずつ労働大臣が任命されているんです。その任命されたこの委員が、私はもう不見識きわまると思うんです。この調停委員長はこの件に関して、会社に対して申立人らが昇格できない具体的な理由について問いただしたり、資料を求めていないとか、さっき言ったみたいに、この産休とか生休について、これをとったら穴をあけて会社が困るんじゃないか、会社は困らないというシステムがあるのに困るんじゃないかというふうに申立人に言うとか、これは調停以前の問題なんです。そういうのを労働大臣の名前で任命している。任命権者は労働大臣ですから、その任命責任を私は問うというふうに質問しているんです。どうですか。
#153
○国務大臣(牧野隆守君) 法律上、労働大臣が任命することになっております。当然、大臣は良識ある方々に調停委員をお願いする、こういうことで任命させていただいているのだろうと思います。
 今、先生の御指摘、この日本航空関係の調停委員はいつ任命されたか私知りませんが、少なくとも今後そういう点も、先生の御意見はよくわかりますので、十二分に注意して今後の任命に当たらせていただきたい、こう思っています。
#154
○八田ひろ子君 そうですね。少なくとも今後こういう立場で事情聴取をこういう項目についてしない、こういう不見識な委員は任命しない、そういう御答弁ですね。
 大臣に聞いているんですけれども、局長に聞いていません。任命権者は大臣です。
#155
○国務大臣(牧野隆守君) 任命権者であります大臣の立場としては、公正無私、良識ある方に調停委員になっていただく、こういう形で任命させていただきたいと思います。
#156
○八田ひろ子君 労働組合や弁護士会の推薦を求めるなど、民主的な手続で女性労働者の救済機関にふさわしい見識ある委員が適正に選出される方向に改善をされないと、牧野労働大臣が今決意されても、そういうシステムになっていないということを皆さんは大変怒りに思っておられるんですね。
 今度の問題というのは、私本当に残念ですが、改正均等法のもとで実質初めて行われたこの東京機会均等調停委員会の結果なんです。職場における女性に対する差別から救済されない内容であったという、こういう中身も問題なんですけれども、制度にも運用にも問題があるということが大きな不満と怒りになっている。
 ですから、大臣、聞いておってくださいね、この勧告案というのは、申請した女性労働者によってきのう受諾の拒否をされたんですよ。改正均等法に期待をかけて、男女均等取り扱いを求めて、勇気を奮って調停にかけた女性たちのこの意見を労働省はしっかりと受けとめていただきたい。真摯に受けとめて、均等法の実効性を担保できるように速やかに改善することを強く求めて、私の質問を終わります。
#157
○委員長(吉岡吉典君) 答弁を求めますか。
#158
○八田ひろ子君 いいです。
#159
○大脇雅子君 私は、武生における中国人実習生問題について、さきに平成十一年十一月十八日の委員会で御質問をいたしましたが、さらにその後について御質問したいと思います。
 十一年の十一月十八日の本委員会においてさまざまな問題を提起いたしまして、入管当局、所轄労働基準監督署長の実習生へのさまざまな調査、勧告をお願いいたしました。その後、中国人の実習生を受け入れている武生コンフィクソンの青木理事長から、不満足ながらも謝罪を引き出し、労働基準法違反の是正が行われて、希望者に対する滞在延長の措置が認められたと伺っております。そして、本人に引き渡されていなかった天引きの貯金通帳が本人に引き渡されたり、残業手当の違法な算定基礎が改善されたりというふうに一応報告を受けたんですが、しかし最近になって、こうした人権問題がかえって奥深くやみの中に潜り込んで深刻な問題になっているという情報を入手いたしましたので、まずこの点からお伺いをしたいと思います。
 どのように改善されたのか、その改善点をちょっとまとめてお尋ねをしたいと思いますが、労基署の是正、それから入管の方の措置などを伺いたいと思います。
#160
○国務大臣(牧野隆守君) 御指摘の事案につきましては、武生コンフィクソン協同組合及びその傘下の技能実習生を受け入れている全十二社に対しまして、所轄の監督署において監督指導を実施し、第一に労働条件の書面による明示、労働基準法第十五条に基づくものであります。二番目、労使による賃金控除協定のない管理費の控除、これは労働基準法第二十四条にかかわるものであります。三番目、時間外労働に係る割り増し賃金の支払い、労働基準法第三十七条に基づくもの、これらにつきまして是正を図った、こういうように報告を受けております。
#161
○大脇雅子君 私は、最近聞きますと、相変わらず深夜十一時までの残業が行われている、そして残業手当も相変わらず四百円という労働基準法違反の事案、事態が続き、それがもう残業が長期化するために実質は一時間当たり二百円とか三百円ということになっているという現地からの訴えがございますので、さらに基準監督署としてはこれを徹底して調査していただきたいと思います。
 それからもう一つ、管理費名目で実は二万三千円控除されて、これは賃金からさらに控除されて、そしてこれは中国側の送り出し機関の方へ渡されているというようなことも相変わらず続いているというふうに聞いておりますので、これももう一度監督をしていただきたいと思います。
 さらに問題は、これは会社名目で預金がされていて、本人が勝手に使えないような形で天引き貯金がなされていたということですが、これは前回の質問のときに、現在指導中のような御見解でしたが、これはどんなふうになっているでしょうか。
#162
○国務大臣(牧野隆守君) 中国側送出機関の管理費といたしまして、労使による賃金控除協定、これがございませんので、技能実習生の賃金から毎月二万三千円が控除されまして、日本側受け入れ団体である武生コンフィクソン協同組合から中国側送出機関に支払われていたと、このように聞いております。
 これは明らかに労働基準法第二十四条の賃金の全額支払いに違反するものでございまして、その是正を指示いたし、現在、技能実習生の賃金からの控除は行われず、技能実習生が直接中国側に支払っていると、こういうように承知いたしております。
#163
○大脇雅子君 天引き貯金についてはどうでしょうか、貯金の天引き問題について。
#164
○国務大臣(牧野隆守君) きちっと、先ほど御返事しましたとおり、労働基準法違反があるかどうかと調査いたしまして、是正を命令いたしたわけでありまして、もしそれが実施していないということであれば、監督機関として厳重に対処いたしたいと思います。
#165
○大脇雅子君 管理費名目で勝手に会社が天引きをしていたということは違反で、今度任意に中国人実習生からこれを中国側に渡しているということも、これは本当に任意なのかどうかということだと思います。決してこれは任意ではなくて、強制的であり、かえって日本側のそうした労働基準局の監督を逆手にとった私は強制のような実態を持っているんではないかと思います。
 それで、新たに、問題が起きた人たちからさらにもう次の期の実習生というのが来たんですが、その説明会で、今度は個人の貯金を会社側の役員もしている中国側の女性の名前で貯金をさせるというような形で、さらにやみに潜った形でその給料から差し引くぞという説明を受けたというようなこともありますので、これは中国の人の名前というのが、本当に私は、脱法的に使うことによって今まで以上に悪質な形になっているんじゃないかということを憂えるわけですので、そこは、脱法的な状況があるかないかということも含めて、労働基準監督署のさらなる監督をぜひお願いしたい。
 本人が使用できない天引き貯金、そして本人のものということが確認が困難になるような形での天引き貯金、これは人権問題だと思いますね。この点についてよく御留意の上、さらなる監督を重ねてお願いしたいというふうに思います。
#166
○国務大臣(牧野隆守君) 私どもといたしましては、労働基準法に違反することは許されません。もしこういう事実が認められる場合には、再度先ほど申しましたとおり調査をいたしまして、厳重に対処いたしたい、こう考えております。
#167
○大脇雅子君 よろしくお願いします。
 そして、一番問題なのは、中国人の実習生の人たちが山の中の奥深くにその宿舎を設定されて、外界との通行が全くできない、こちらからも訪ねることができないといういわば非常にタコ部屋的な状況にあるということが、これはもう人権侵害じゃないかという訴えが来ているわけです。私は、これは法的な問題として、そこにしか住むことができないというような状況で収容されているとすれば、それはたとえマンションだと言おうと貸借の居室だと言おうと、私は寄宿舎の規定が適用されるんではないかというふうに思うわけです。
 これは我が国が労働基準法で事業附属寄宿舎については寄宿舎の自治ということを明記して、附属寄宿舎規程というものをつくって、いわゆる今までのあの封建的な労使関係、女工哀史の根源をなくしたという歴史があるんですが、再びここでそういうような状況が私はあるのではないかと非常に胸が痛むわけでありまして、どうかこの宿舎についても一度監督をお願いしたいというふうに思います。御意見いかがでしょうか。
#168
○国務大臣(牧野隆守君) この技能実習生が働いておられる工場並びに宿舎が住宅地から離れているということは承知いたしておりますが、私は福井県出身なものですから、あの辺の山の中にあるのか、どの辺にあるのかと見れば、これは適当か不適当かということは、地の者でありますからその辺は常識的に判断できると思います。
 しかし、それが直ちに労働基準法違反と言えるかどうかということとは別問題でございまして、考え直すべきところがあると判断されればそのような勧告ぐらいは、事実上勧告ぐらいはきちっとしていいのではないかなと、こう思っています。
#169
○大脇雅子君 ぜひ一度実態を御調査いただきたいと思います。
 それから、法務省の入管局にお尋ねしたいんですが、さまざまに天引きがあり、中間管理費の控除があり、いろいろありまして、入管でそういう人たちを受け入れるときに重要な契約書というものを提示させるわけですが、まあ実際上の契約書は何通か、これは私も外国人の問題をやっておりますと、例えば英語学校の教師も、入国管理局に提示する契約書は二十五万というふうになっているのに、実際はその事業者との間で二十万の支給になっているとか、そういうケースはよく扱ったことがあるんですが、この件に関しては四通さまざまな契約書があるというようなこともうわさされているんです、私もまだ現実に見たことありませんけれども。
 そういう場合、私は、この中国人実習生の問題だけではなくて、ベトナムからもインドネシアからもタイ等からも来ているわけですから、この研修制度、実習制度というものが、我が国と相手各国との間のいわば未来を結ぶ一つの制度として本当にいい意味で機能しているのかどうかということを非常に危惧するわけです。ぜひこうした問題の実態調査を全国的に行っていただきまして、この制度のそれを踏まえた見直しをお願いしたいと思うんですが、いかがでございましょうか。
#170
○政府参考人(町田幸雄君) 研修、技能実習につきましては、私ども現在策定中の第二次出入国管理基本計画におきまして、研修・技能実習制度の適正かつ円滑な推進と一層の充実を図ることを今後の大きな課題といたしております。
 その運営につきましては、今委員御指摘のような問題が発生した際、私どもも詳細に調査をいたしており、また各地方入管局の行います出入国管理行政関係意見聴取会等、いろいろな機会を使って実情の把握に努めております。
 また、先日もある幾つかの農業関係の団体の方々のお話も伺いましたところでございますが、そうしたいろいろな実情を踏まえまして、現在、研修、技能実習のあり方について私どもなりに将来のあり方をさらに細かく検討しているところでございます。
#171
○大脇雅子君 ぜひ全国的な実態調査をしていただきたいと思うわけです。
 そうしますと、その作業は大体どのくらいのタイムラグをめどに御検討中なのでございましょうか。
#172
○政府参考人(町田幸雄君) 今私どもの内部の検討をしているところでございまして、ある程度のものができましたらそれを例えば労働省を含めましてほかの関係機関とも協議をいたさなければならないと思っておりますので、今どのくらいと言われても簡単には言えないと思っております。もう少し時間がかかるかと思います。
#173
○大脇雅子君 できるだけ早期に、日々人権の侵害が起きているというおそれもありますので、お願いをいたしたいと思います。
 次は、大蔵省にちょっとお願いをしたいんですが、全然別の問題になります。
 派遣労働についてでございますが、派遣スタッフの中では、賃金全体の中に勤務先までの交通費の実費分が含まれて支給されている。その場合に、交通費というのは実際の所得ではないにもかかわらず、それに所得税が源泉徴収されているという例があるようでございます。
 賃金と通勤手当に係る所得税の取り扱いに関する原則というのはどうなっているのでしょうか。そして、契約を締結する際に派遣スタッフが必要とする通勤手当分実費がどのように処理されていれば所得税の非課税扱いとなるかということについて御示唆をいただきたいと思います。
#174
○政府参考人(河上信彦君) 国税庁の方からお答えさせていただきたいと思います。
 所得税法におきまして、給与所得者が通勤に必要な交通機関等を利用するために支出する費用に充てるものといたしまして、通常の給与に加算して受けます通勤手当で、それで一般の通勤者に通常必要と認められるもの、これにつきましては非課税とされているところでございます。
 お尋ねの第二点目、御質問の派遣スタッフの通勤手当についてでございますけれども、派遣スタッフと派遣業者との間の契約におきまして、給与の額と通勤手当の額、これが明確に区分されている場合には通勤手当は通常の給与に加算して支払われることになるというふうに理解できるところでございますので、所定の非課税限度額を超えない限り非課税という扱いになろうかと存じます。
#175
○大脇雅子君 この点が何か非常に派遣元と派遣スタッフとの間の賃金の支払い状況において不明確なところがあって、実際上所得税が非課税になるべきはずのところを所得税が源泉徴収されているというような状況があるので、この点については労働省の方としても、契約締結についてさまざまなマニュアル等を出されるときに留意していただきたいということを申し上げたいと思います。
 次は、新卒派遣というものについてお尋ねをいたします。
 昨年の十二月一日に施行されました改正労働者派遣法というのを受けまして、例えばパソナとかテンプスタッフなどの大手派遣元事業者は、試用期間における使用者責任を肩がわりして若干の研修を施した上で、成績優秀な派遣スタッフの中から正規雇用者を登用していくというような形で新卒を派遣で採用していくという状況がふえていると言われています。これからの社会人として未来を支える若い人たちに対して、労働の出発点でこのような雇用不安と格差を是正させるような不安定雇用労働者を創出していくということは、改正派遣法の趣旨を私は逸脱するのではないか、さらにまた、このような雇用慣行というのは日本の将来に対して非常に大きな問題を投げかけているのではないかというふうに思いますけれども、労働大臣はいかがお考えでしょうか。
#176
○国務大臣(牧野隆守君) 労働省としましては、若年者が適切な職業選択を行えるよう、インターンシップ導入促進等支援事業、こういう制度をとりまして、若年者が適切な職業選択を行うために選ぶ手段はどれか一つに限定しなければならないものではなくて、新卒派遣も含め、さまざまな手段により若年者の職業選択が適切に行われ、その雇用の安定が図られるということは大きい目で見て必要なのかなと、こう考えております。
 そこで、新規学卒者を派遣元事業主が雇用し一定の教育訓練を施した上で派遣先に派遣するいわゆる新卒派遣、これは必要な教育訓練が派遣元事業者によって行われている新卒者を即戦力として活用したいという派遣先のニーズとともに、企業で派遣労働者として一定期間働く経験を通じ就職先を的確に選びたいとする新卒者のニーズにも合致するものと、こう考えておりまして、改正労働者派遣法、これ自身の趣旨に真っ向から反対するものだというふうには考えておりません。
 そして、一方、卒業後一般の常用労働者として就職することを希望する学生に対する、他方、私どもは就職支援対策についても万全を期させている、こういう状況でございます。
#177
○大脇雅子君 そうしますと、新卒派遣を活用する企業が新卒者の能力や適性等を判断するという必要性という動機からすれば、現在労働省が打ち出しておられるインターンシップ制度の活用を進めるということで私は十分ではないかと。むしろ、そうした企業のニーズというのは、インターンシップ制度の活用でやるべきではないか。というのは、新卒派遣スタッフが増加するということは労働条件の切り下げに拍車をかけることであり、現在、派遣法の施行以来、派遣スタッフとして働いてきた労働者、とりわけ女性スタッフの場合の時間当たり賃金がもう二、三割下がっているというふうな実態調査もあります。
 私は、だからここで二点お伺いしたいんですが、インターンシップ制度の実態というのは一体どうなっているんでしょうか。文部省と労働省にお尋ねをしたいと思います。そして、将来これはどのように進めていこうと考えておられるのかお尋ねします。
#178
○政府参考人(佐々木正峰君) インターンシップは、教育内容、方法の改善充実に資するとともに、自主性や創造性のある人材を育成し、高い職業観を涵養する等の観点から大きな意義を持っているというふうに考えております。そこで文部省におきましては、平成十二年度予算案においてもインターンシップを実施する大学等に対する財政的支援やインターンシップの一層の推進を図るための調査研究などを行うこととしているところでございます。
 平成十年度にインターンシップを授業科目として位置づけ実施している大学等でございますが、大学が百四十三校、短期大学が五十七校、高等専門学校が三十九校でございます。平成十一年度以降においても着実な増加が見込まれるところでございますが、文部省としてはさらなる充実が必要であると考えておりまして、引き続き労働省等関係省庁と連携を図りながらインターンシップの積極的な推進に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#179
○国務大臣(牧野隆守君) この制度につきましては、学生の職業意識の啓発や適切な職業選択に資することから、労働省においてはその導入促進のために体験実習講座を実施いたしております。本年度においてはさらに高校生を対象としたジュニア・インターンシップを試行的に実施いたしております。この制度につきましては、今申しましたとおり、未就職卒業者の就職の促進を図るための有給インターンシップ制度と同様の趣旨で、新規学卒者等の就職の促進に努力をいたしております。第二次補正予算では求人開拓や就職面接会等の経費を計上いたした次第であります。
#180
○大脇雅子君 そうすると、インターンシップ制度の活用は大体何%ぐらい大学やその他今言われたところ、高専とかで採用しているんでしょうか。
#181
○政府参考人(佐々木正峰君) 平成十年度のデータでございますが、インターンシップを授業科目として位置づけて実施している大学は全体の二三・七%、短期大学が一〇・三%、高等専門学校が六二・九%でございます。
#182
○大脇雅子君 やっぱり私は学生の立場に立てばインターンシップ制度をますます活用をしていくという形で、新卒派遣という制度というのはできる限り抑制されるべきだというふうに思います。
 現在、派遣スタッフとして賃金がずっと低下しているという現状については、労働省としてはどのように把握しておられるのでしょうか。
#183
○国務大臣(牧野隆守君) 新卒派遣が労働条件に与える影響につきましては、現時点では新卒派遣の規模が就職希望者の規模に比べましてまだまだ非常に小さい状況にございます。例えばことし三月の大卒の就職希望者は約三十六万人おられるわけでありますが、これに対し、大手三社の新卒派遣対象者は今のところ千三百人ぐらいと、こういうような状況から、今後どのように変化するかは、実は派遣業の進展は相当見込まれるわけでありますが、ただいまのところ新卒者の労働条件全体に影響を与えているということはない、こういうように判断いたしております。
#184
○大脇雅子君 数としては少ないけれども、私は、先ほど大臣が言われたように、これは改正派遣法の趣旨を逸脱するものではないというふうに言われたことが非常に気がかりであります。やはりそういうことのないように、私は若い人がそうした新卒派遣という形で就職していくということに対してはインターンシップ制度を活用していくということを、文部省と連携をとりながらやっていただくということが必要であろうと思います。
 そして、派遣労働者の労働条件が今切り下げられているということについてはどうでしょうか。
#185
○国務大臣(牧野隆守君) 先ほど申しましたとおり、まだ影響がないという御説明をいたしましたが、平成十二年度に改正労働者派遣法施行後の労働者派遣事業の動向についてタイムリーに実態調査をいたしたい、こう考えておりまして、この中で先生御心配になります新卒派遣の現実的な動向についてしっかり把握させていただき、対処すべきところは対処しなきゃいけないと、こう考えております。
#186
○大脇雅子君 ありがとうございました。
#187
○鶴保庸介君 自由党の鶴保庸介でございます。
 きょうは幾つかの重複する質問もあるかと思いますが、まず冒頭に、現下の雇用失業情勢に対する対応ぶり、労働省も必死になって一生懸命やっておられるというところからお聞きをしていきたいんですが、労働省が進める雇用対策は緊急性を求められているということもあり、いたし方ないという点もあるのかもしれませんけれども、どちらかといえば景気の変動に左右をされる、場当たり的といった言葉はちょっときついかもしれませんが、そういう感がぬぐえない。大臣も所信において、中長期的には情報化や国際化の進展、さらには急速な少子高齢化など、我が国経済社会は二十一世紀に向けて大きな転換点を迎えておると発言をされました。労働市場も大きな変化が見込まれるということを踏まえた上で、労働省は将来を見据えて、国民の雇用不安を払拭するために中長期的視点に立った労働政策が今こそ求められているんではないかというふうな気がいたします。その辺について所感をお聞きしたいと思います。
#188
○国務大臣(牧野隆守君) 議員御指摘のとおりでございまして、中長期的に今後の十年間はどういうふうに変わるのであろうかと。急速な少子高齢化の進展などにより労働力人口が減少し、それが現実になるということが一つ。他方、経済社会自体のグローバリゼーションあるいは規制改革、情報化や技術革新等の一層の進展によりまして産業構造が大きく変化することもこれは間違いない状況だろうと、こう考えられるわけでありまして、従前と違いまして労働市場が質的に非常に大きく変化する、これを見据えた上での我々としては雇用対策、当然、当面の失業者が非常に多うございますから、これに対する対策はもちろんでありますが、中長期的にどういうように対処していくかということをきちっと私どもは見定めまして、これに対する対策をとらなければいけないなと。
 こういう見地から、例えばいろんな調査を見ますと、特に情報関係ではもう三十歳以下の方だけに来てほしいというような状況にございまして、こういう方々については情報通信技術についての認識を十分に深めるような教育なりあるいは技能習得をしていただかなきゃならない。こういう方向で私どもとしてはいろんな研修コース等々も考えまして、これに対応するような方向でいかせていただきたい。
 それからもう一つは、女性の皆さんが積極的に社会に参加される、これは何回も申し上げておりますとおりすばらしいことでございまして、労働力が減るということがもう予期されるわけでありますから、女性の方々が社会参加できるようなそういう基盤づくりについて、今もいろんな努力をいたしておりますが、これをきちっとしなきゃいけないということ。
 当然、高齢化の問題を考えますと、六十歳以上、特に六十五歳以上の方につきましても、本当に働くことについて生きがいを持てるような対策を講じなきゃならないだろうと。
 中間の、力いっぱい働いていただける三十歳から四十五歳、五十歳までの方の労働力はそれほど変化しないという見通しでございますので、現在の諸施策で、特に研修等にも励んでいただいて、現在働いておられる方の、先ほども申しました人材と申しますか、人間財産に磨きをかけさせていただきたい。
 大きい形で言いますと、そのような形で労働省の雇用政策を組み立て、進めさせていただきたい、こう考えております。
#189
○鶴保庸介君 ありがとうございます。
 幾つかの施策、その中で今雇用施策についてのお話が主だったように思うんですが、その一方で、高失業率の現在ではございますけれども、どうしても避けられない問題、労働力不足の問題がございます。
 統計によりますと、二〇一〇年にはピーク時から百二十万人ほど労働力が減少するというような統計があるそうでございますが、こうした労働力不足への対応について労働省はどのように考えておられるか、所感をお述べいただきたいと思います。
#190
○政務次官(長勢甚遠君) お話しのとおり、労働省の推計によりますと、労働力人口は二〇〇五年をピークにして減少に転ずる、二〇一〇年には、特に対策を講じないということで自然に推移をすれば、ピーク時から百二十万人の減少になるのではないか、また一方で、高齢者の継続雇用制度の充実などの政策努力を十分にやって雇用環境を整備すれば、労働力人口は二十五万人程度の減少という程度で進むのではないかというような推計をしておるところでございます。
 今後十年間、労働力人口が減るという状況でございますので、高齢者、女性等がより活躍できるような雇用環境の整備、省力化、効率化、雇用管理の改善等を進めていくということが我が国の産業社会を支える上で大変重要であると、このように考えております。
#191
○鶴保庸介君 今、女性と高齢者というふうなお話をいただきました。
 そこで、もう一つきょうはテーマを決めて議論をしていきたいんですが、外国人の労働者の問題でございます。
 労働力不足への対応として、大きな三つと言っていいんではないでしょうか、女性、高齢者、それから外国人という大きな三つの柱の一つ、外国人の労働者の受け入れについて各界各層の方がいろいろ議論をされておられますが、労働省としては正式にどういう基本的考え方をお持ちでしょうか。
#192
○政務次官(長勢甚遠君) 外国人労働者の問題につきましては、政府としてはいわゆる専門的、技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れを推進するという方針でございます。一方また、いわゆる単純労働者の受け入れにつきましては、国内で雇用機会が不足しておる高齢者等への圧迫が考えられる、また外国人労働者が日本人労働者がつきたがらない職種に集中する等の労働市場の二重構造化が生ずる、あるいは景気変動に伴い失業問題が生じやすくなる、さらに外国人労働者の定住化に伴い教育、医療、住宅等のいわゆる社会的コストが増大するというようなことから、今後十分慎重に対応することが不可欠であるという方針で今臨んでおるところでございます。
 労働力不足の大ざっぱな推計は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、労働力不足といっても、量の問題もございますし、産業、職種等の質の問題もございますし、こういう中で日本の生活、産業というものをどういう方々に、つまり我々の国民の中で対応していく努力を進めることも踏まえてこの問題には慎重に対処していくべき問題だろうと思っております。
#193
○鶴保庸介君 慎重に対応ということはすなわち消極的なのかなと、その辺がちょっとわかりにくいのでありますが、堺屋経済企画庁長官も大臣就任前の論考の中で、もうそろそろ議論すべきときが来ているんではないかというようなお話がございました。また、法務省の方でも第二次出入国管理基本計画というものをまとめたそうでありますが、その中で幾つかの分野で外国人労働者の受け入れの範囲を拡大するというような方向を提言されておられるし、その中で特に介護労働への外国人労働者の受け入れなどというものも入っておりますが、この辺について労働省としてはどうお考えをお持ちでしょうか。
#194
○政務次官(長勢甚遠君) 今、先生がお話しのように、外国人労働者、特に単純労務者の受け入れについていろいろ御議論があることは承知をいたしておりますし、今後の推移の中で検討すべき課題であるということは承知をしておるところでございます。
 ただ、先ほど申し上げましたように、日本の経済社会、これを本当に我々の国民で対応できるのかできないのかということについて、その気持ちを持って十分な努力をした上で慎重に対応すべき問題ではないか、安易にただ人が少ないからというだけでやっていいかどうかということはもう少し検討すべき問題ではないかなと私は考えております。
#195
○鶴保庸介君 では、外国人労働者に対する危惧といいますか、先ほど失業率の問題もちょっと話に上りましたけれども、不法就労者も含めて、危惧といいますか、そういう問題点というようなものを、労働省が慎重に対応する根拠になっておると言ったらあれですけれども、その辺について何か所見があればちょっとお述べをいただきたいんです。
#196
○政府参考人(渡邊信君) 外国人によります不法就労の実情等について少し御説明をさせていただきますと、平成十一年七月現在の数字ですけれども、約二十六万八千人の外国人が我が国に入国し、その後不法に残留しております。この方たちの大部分は何らかの就労に従事しておるというふうに推定をされます。
 平成十年に摘発されました不法就労者は約四万一千人ということになっておりまして、その内訳は韓国や中国、フィリピン等のアジア諸国からの入国者が多い、就労内容は、男性は主に建設作業員あるいは製造業の生産工程等に従事する者が多くなっておりますし、女性はホステス等の接客業が多い、こういったふうな状況でございます。
 なかなか正確な実情というのは把握しにくいわけでありますが、ビザが切れてもなお日本に不法に残留し、そしてそういった方の大部分の方は何らかの仕事に日本でついているのじゃないかというふうに推計をしております。
#197
○鶴保庸介君 では、こうした外国人労働者、不法就労の場合はこれ統計がとりにくいのでありましょうが、労働者の方々の労働災害といいますか労働条件のようなものの状況、それからその防止策みたいなものについてお伺いをしたいと思います。
#198
○政府参考人(野寺康幸君) まず、労働災害の実情の方でございますけれども、死傷病者、つまり死亡された方及び休業四日以上の方がこれに当たるわけでございますけれども、その両者の合計、大体最近三年間で千名前後で推移しております。例えば、平成十年におきましては九百五十九人、その中で死亡された方が十八人でございます。業種別に御参考までに申し上げますと、製造業で七百三十人、七六%強でございます。次いで建設業が九十一人、大体一〇%弱、こういった状況でございます。
 対策の方でございますが、例えば平成五年に外国人の雇用・労働条件に関する指針といったようなものをつくってございますが、これに基づきまして、外国語によります雇い入れ時の安全教育、またそのテキストの配付、それを活用した事業主に対する指導、さらには同じく平成五年度から外国人を雇用する中小企業事業主に対しまして労働安全コンサルタントといったような形の安全診断を実施いたしております。平成八年は外国人労働者に対します安全面の技能講習を実施しておりますが、今後ともこういった方策を充実いたしまして、労働災害の防止に努めてまいりたいと思っております。
#199
○鶴保庸介君 それでは、その数は日本人に比べて圧倒的に多いものなのか、またその技能研修がこれだけ効果を示しているというようなことがもしあれば、ちょっとお話をいただければと思うんです。
#200
○政府参考人(野寺康幸君) なかなか就業の立体的な構造を細かに比較することができないので、数字面だけで多い少ないと言うのはミスリーディングになる可能性がありますのでコメントを差し控えさせていただきますが、講習等の実績につきましては申し上げることができます。
 例えば、先ほどちょっと触れました安全衛生診断事業といったようなものは、例えば平成十年度で八百十一事業所、十一年度では八百十七事業所についてやっておりますし、また安全関係の講習につきましては、平成五年以降毎年三、四職種程度、例えば平成十年ではフォークリフトをスペイン語でやっておりますし、例えば玉掛けもスペイン語、それから高所におきます作業につきましてポルトガル語の講習を実施いたしたりしております。
#201
○鶴保庸介君 外国人に対する研修制度というのはさまざま労働省が努力されておられるということがよくわかりましたが、先ほど大脇委員の方からもお話がございました技能実習制度についてのお話をちょっとお伺いしておきたいんですが、現行の五十五種類を拡大して、農業関係の職種でありますとか水産加工食品、製造業関係職種を対象とする、拡大をしていくというふうに聞いております。開発途上国の経済発展を担う人づくりというような観点からもその拡大をもっともっと推進していくべきではないか、そのように思うわけでありますが、労働省の方針なり所感なりをお述べいただければと思います。
#202
○政務次官(長勢甚遠君) お説のとおり、技能実習制度は開発途上国の経済発展を担う人づくりに対する協力、いわゆる国際協力の観点で実施しておるものでございます。
 現在、平成十年には約一万三千人が技能実習制度を受けておるわけでございまして、国別では中国約七千七百人、インドネシア約四千百人という状況でございまして、ますますこれを必要に応じてふやしていかなければならないと思っておるわけであります。
 職種につきましても、当初の十七職種から現在五十五職種まで来ておりますけれども、農業関係を中心にして、諸外国でその分野での産業の拡大のために必要であるという状況がありましたので、今回、きょう付でございますが、四職種追加をいたしたところでございます。
 今後とも、外国の人づくりに役に立つという国際協力の観点で、必要な職種については我が国で可能な限り協力していくべきものと思っております。
#203
○鶴保庸介君 また後ほどちょっとこの関連を聞くかもしれませんが、先へ進ませていただきたいと思います。
 新聞報道によりますと、アイルランドでは労働力不足を補うために今後六年間に人口の約五・五%にも相当する二十万人を海外から呼び寄せるという政策が始まっておるというふうに聞きました。アイルランドは未曾有の好景気であるという事情も作用しているらしいのでありますが、既に在外のアイルランド系の人々が週に四百人ペースで母国へ帰ってきていると言うんですね。
 日本においてこういう状況がすぐに今成り立つとは思いませんけれども、ここで聞いておきたいのは、日本国内で日系人といいますかそういった方々の雇用状況、状態を聞いておきたいと思うんです。
#204
○政府参考人(渡邊信君) 日系人につきましては、我が国の就労について特に制限がございませんので、かなりの方が現在日本で働いておられます。平成九年で約二十三万四千人、平成十年では若干減少しましたが約二十二万一千人の日系人の方が日本で就労しておられます。
 ただ、先ほど申しましたように、特に日本人と就労について差があるわけではありませんので、現在の雇用失業状況というのはこの日系人の方についても大変厳しいものがあろうかというふうに思います。東京と名古屋にこういった日系人の方の職業紹介を専門に扱う機関を一カ所ずつ設置しておりますが、そこの数字で見てみますと、平成十年度におきましては前年度と比べて新規求人が七〇%減少しておりますし、本年度に入りましても前年度を下回る水準で推移しているということから推計いたしますと、この方たちにとりましても現在は相当厳しい状況でないかと思っております。
#205
○鶴保庸介君 大変厳しい状況だという話でありますが、いわゆるその厳しい状況の内容でありますけれども、日系人でいうと、合法的に就労されておられる方はともかくとしても、特に不法就労者の場合、工員だとか建設作業員だとかあるいはその他の労務作業員が圧倒的に多いというふうに聞いております。また、労働災害の発生状況を見ても、これ先ほどの、数字で状況をどう評価されるかと聞いたらコメントを差し控えたいという話でございましたから、悪いと私はようここで言えないのでありますが、製造業、建設業がほとんどであることからしても、余りいい状況に置かれているのではないというふうなことであると思います。
 人手不足感があるいわゆる三Kの職種に、受け入れを認めていない外国人労働者が流れているというような状況も今あろうと思います。特に、人手不足感のある三K職種には、若年者が職務内容を十分に理解せずにイメージ重視の職業選択を行っていたりとか、これらの産業、職業が敬遠される状況にあります。そこでまた、これらの産業や職業の労働力不足の対応として高齢者、女性を活用するというふうにしても、体力的問題もあるんではないか、また別の切り口からいいますと、いわゆる三K職種を彼らに依存しながら非合法の立場に置いていくことは、またこれ逆に犯罪へと彼らを追いやってしまうんじゃないかというような指摘もあります。
 以上のことから、いわゆる単純労働者の受け入れについて、もう現実に認めているというか、単純労働者が多く入ってきているというふうにちまたでは言われておりますし、現実に見聞きするわけでありますが、これを認めざるを得ない環境も近いのかなというふうな気もしないでもない。慎重に対応されるというお話でございましたけれども、そういう状況を一方的に単純に認めることになると、多大な外国人労働者が流入して大変な問題が起きてしまう、治安でありますとか教育の問題、あるいは住宅等、日本の経済社会と国民生活に大きな影響を及ぼすということも当然のことであります。
 そこで、労働省においても、関係省庁と連携をして外国人労働者の受け入れの問題について本格的な検討に入るべき時期に来ているのではないかというふうに思われますが、大臣、いかがお考えでしょうか。
#206
○国務大臣(牧野隆守君) 御承知のとおり、現在失業率は四・七%という最高の状況にございます。こういう方々に仕事についていただくということは、私どもにとりましては当面の最高の任務でありまして、観念的には外人労務者を受け入れるということはわかりますが、本当に関係省庁と本格的な検討に入るべき時期だとは思っておりません。
 なお、中期的に二〇〇五年から労働力が減少するということが言われておりますが、実は中核である労働力というのは減少していない。大体現状でずっと推移する。変化がありますのは、若年労働者が四百万人近く減るということ、それから中高年齢者が三百八十万人ふえるということ、このアンバランスは十二分に検討すべきことでありますが、中核となって働いていただく人の数はほとんど現状維持である。こういう見地から、こういう方々に力いっぱい働いていただくということで、当分の間、特に単純な外人労務者の方々に期待しなければ日本の労働市場が困るというようなことはないのではないか、こういうように考えております。
#207
○鶴保庸介君 そうしますと、先ほど来申し上げておりますが、この三K職業に従事をされながら非合法のまま置いておけば、それがすなわち犯罪あるいは治安の問題に影響を及ぼしておるという問題についてどうお考えになっておられるのか。先ほどの言われた答弁の中と話がちょっと食い違ってくるんじゃないかなと思うんですが、積極的に外国人労働者を合法的に受け入れるということに対して、大臣、どうお考えですか。今お話は、私聞き間違えたのかもわかりませんが、もう一度お伺いしたいと思うんです。
#208
○国務大臣(牧野隆守君) 政府の基本方針は、平成十一年、昨年七月決定いたしておりまして、経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針、これに基づく第九次雇用対策基本計画というのが決定されております。ここでは、我が国の経済社会の活性化や一層の国際化を図る観点から、専門的、技術的分野の外人労務者の受け入れについてはこれは積極的に推進することにいたしております。しかし、単純労働者の問題につきましては、先ほど総括政務次官が答弁しましたように、実はいろんな問題があるわけでありまして、これらの問題がクリアできない限り、単純に外人労務者を入れなきゃならない、このようには考えておりません。
 それよりも、先ほど申しましたとおり、要するに雇用の確保、完全失業率をいかに下げるか、当分の間はこれに全力を挙げることによって特別支障はないのではないか、こういうように考えております。
#209
○鶴保庸介君 わかりました。高知識、高技能労働者については積極的に推進をするというお言葉であります。それを踏まえて先ほどの話に戻りたいんですが、技能実習制度なんという制度をこれから弾力的に、もっともっと積極的に活用されていかれるという労働省の方針もございました。
 そこで、私この点をどうしても聞いておきたかったなと思うのは、関係省庁と連携をしてこの外国人労働者を受け入れていかれるということであります。当委員会でも何度か議題に上った話でありますが、こういう技能実習制度を含め、外務省のODAの予算なども視野に入れながら労働政策を組み立てていくようなお考えがありやなしや、その辺の努力があるかどうかというあたりもぜひ聞いておきたいんです。
#210
○政務次官(長勢甚遠君) 研修・技能実習制度は、日本の労働力不足の問題とは直接関係のない国際協力の観点を基本として実施をしておるものでありますので、その面での協力は今後とも関係省庁とも議論しながらやっていかなきゃならないと思っておる次第でございます。
 先ほど来申し上げておりますのは、今大臣からも御答弁をいたしましたけれども、日本の労働力不足と大まかには言っておるわけでございますが、例えば青少年の方々の職業意識がどうなるのか、あるいはそれでいいのか、またいわゆる三Kの問題もおっしゃられましたけれども、それは我々の国、我々でやっていくという努力を安易に放棄してということでいいのかといったことも、外国人の方々が入ってこられたことに伴う社会的コストとかという問題とは別途、やっぱり日本の国のありようとして十分に慎重に考えて覚悟して判断をしていくべきことだろうと私は思っておる次第でございます。
#211
○鶴保庸介君 外務省との連携というあたりはどうでしょう、技能実習が特に経済協力というような面であるというふうなお話をされましたので。
#212
○政務次官(長勢甚遠君) 当然外務省もいろいろ御意見がございますから、技能実習制度につきましては、その要望を踏まえて対応ができる、一応技能実習をしますときには技能の検定とかいろんな手だても必要でございますから、そういう状況も踏まえながら十分連携をとって進めたいと思います。
#213
○鶴保庸介君 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。
#214
○委員長(吉岡吉典君) 本件に対する質疑はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。
   午後四時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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