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2000/04/20 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 労働・社会政策委員会 第7号
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2000/04/20 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 労働・社会政策委員会 第7号

#1
第147回国会 労働・社会政策委員会 第7号
平成十二年四月二十日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                大島 慶久君
                大野つや子君
                小山 孝雄君
                川橋 幸子君
                長谷川 清君
    委 員
                上杉 光弘君
                斉藤 滋宣君
                常田 享詳君
                溝手 顕正君
                笹野 貞子君
                高嶋 良充君
                直嶋 正行君
                但馬 久美君
                浜四津敏子君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       労働大臣     牧野 隆守君
   政務次官
       労働政務次官   長勢 甚遠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   政府参考人
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)
○参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に労働省職業安定局長渡邊信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(吉岡吉典君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○長谷川清君 民主党・新緑風会の長谷川です。
 冒頭、斉藤先生、順番を急遽変えていただきまして本当に申しわけございません。長勢政務次官が、きのうの夕方ですね、決まりましたのが、衆議院の方の決算行政監視委員会にずっと私の時間帯の間ほとんど向こうへとられるというようなことがゆうべございまして、朝理事会でお願いをしてみたところ、快く順番を入れかえていただいて、まことに感謝にたえません。
 それでは、まず、一括いたしまして二つの法案審議をすることになりましたが、私はきょうは持ち時間一時間三十分でございますが、主に雇用保険の方に軸足を置きまして、一部時間が許せば高齢の方の雇用問題に入らせていただく。次回には高齢の方のエキスパートの我が方の本当にエースがいらっしゃいますから、高嶋さんだとか。あるいは女性に絡むような問題等々につきましては、それから総括問題については後に私どもの女王が控えておりますから、きょうは私は前座のようなものでございます。一時間半の間にはもう皆さん飽きて出入りをする方もたくさんいらっしゃると思いますが、御自由で結構でございますから、お三方だけはひとつぜひお願いしたいと思います。
 私は、この雇用保険にいたしましても高齢化、特にこの保険の問題は非常にせつない議論でございまして、私どもは部会の中では賛成ということで取り組んでおりますけれども、賛成にもいろいろございまして、万々歳ということではございません。それどころか、本当にここまで最悪の状況に落ち込んでしまうような状況に追い込まれてしまったという政府の責任は非常に大きいと思いますし、今後の問題もございます。
 したがいまして、特にそういうこれまでのありようにつきまして、なぜここまで激変的な措置をとらざるを得なかったのか。本来言いますと、保険というものの性格や意味づけというものは常にフロートして、我が国は自由主義経済をとっておりますからには当然経済はフロートいたします。これまでもそうでした。第一次オイルショックや第二次オイルショックや、その後には繊維の構造不況や、その後には鉄や自動車、造船、ハードな部分の構造不況、あるいはしょっぱなの円高、初めて経験するようなものをたくさん波をかぶってきたんです。それがその都度その都度こうやって上げたり下げたりするようでは保険という意味がなくなり、そして人々はそこに不満が残り、そしてそれが不信につながる、不信感ばかりになってしまう。年金もしかりであると思います。
 そういう意味において、この雇用保険という問題は、もう既に、御承知のように四十九年の段階で、三事業としてただ保険のお金を出しますよというだけではないはずでございまして、失業の予防や能力の開発の向上等々、そういう問題を予防的にしていこうという重大な三事業をここでやる、今日はそこまで発展してきているわけでございます。そういう視点に対しまして、文句たらたらいろいろ言いますが、それについて一つ一つ私の納得のいくような御答弁をいただきたいなと思う次第でございます。
 それでは最初に、いわゆる今回のこういう見直しをせざるを得ないところまで来たこの背景、そういうものについて、政府は本当にやむを得なかったのか、それらについて責任はどのように感じているのかという点をお聞きしたいと思いますし、国庫負担率を原則に戻すだけではなくて、さらに可能な限りこれを引き上げる努力というものを行うべきではなかったのか、また今回すべきではないのか、こう思いますが、そういう点について政府はどのようにお考えになっているか。そういう背景と経緯と、それから国庫負担というものに対する見方につきまして、これは大臣からお答えいただきたい。
#6
○国務大臣(牧野隆守君) ただいま長谷川先生御指摘のとおり、非常に経済が流動化いたしておりまして、現行の雇用保険法におきましてはどうしても制度でありますから画一的なところがございまして、既に御承知のとおり、単年度で一兆数千億円の赤字を計上する、こういう状況にあるわけであります。差し当たり現在のストックでこれらに対処いたしておりますが、本年度におきましてはそれがもう枯渇するという状況でございまして、雇用安定の面から抜本的にこれらを改革しなきゃならない、こういう状況にあること、先生の今御指摘のとおりでございます。
 したがいまして、今回の改正は、こうした構造的変化を見据えながら、雇用保険が今後とも雇用にかかわるセーフティーネットの中核、そのような中心的な立場に立って安定的かつ十分な役割を果たしていくという観点から、関係審議会におきましても公労使三者の合意のもとに、現在暫定的に引き下げられている国庫負担率を本来の二五%に戻すとともに、労使の負担についても見直しを行う、こういう趣旨のもとに改正案を提案させていただいた次第でございます。先生御指摘のとおり、極めて流動的でございまして、まだこれから先行きこの流動化ということは否定できない、こういう状況にあるわけでございまして、そういう点も含めまして改正案に盛り込み、御審議をいただいていると。
 気持ちは先生御指摘のとおりセーフティーネットとして万全を期すと、こういうことで努力をいたしており、さらに貴重な御意見をちょうだいすることができればと、こう念願をいたしております。
#7
○長谷川清君 気持ちは同じですが、結果が違っているということでございます。
 政務次官いらっしゃるうちに二、三質問をいたしますが、一つは、雇用対策の効果、幾つかやりました、この二年間に四回ぐらいやっております、その効果というものについてどういうふうにお考えになっているか。例えて言えば、緊急雇用創出特別奨励金を出しました、新規・成長分野雇用創出特別奨励金も出しました、こういったものが十分に活用されていないのではないかという指摘がございます。これについてどのように考えていらっしゃるのか。
 それから、雇用対策に現場の意見というものを取り入れてきたかということ。取り入れていないのではないか。そういう点につきまして、二点まずお聞きをいたします。
#8
○政務次官(長勢甚遠君) 政府といたしましては、雇用状況、年々悪化してきた経過もございまして、その都度十分な政策を講じようということで、先生御案内のとおり累次にわたる雇用対策を講じてまいった次第でございまして、それなりに雇用情勢に一定の下支え効果を上げてきたとは考えておる次第でございます。
 一方で、今御指摘のように、緊急雇用創出特別奨励金でございますとかあるいは新規・成長分野雇用創出特別奨励金等につきまして、十分な活用がされなかったんではないかという点については、現実に活用が若干少ないという点は否めないところでございます。
 これにつきましても、我々としては、その周知徹底に努める等々、また現場のいろいろな御意見も聞きながらその活用に努めてまいったところでございますけれども、いかんせん、企業における雇用意欲というものもまだまだ十分でないという点もありましたし、そういう点では大変遺憾というか残念に思っております。
 ただ、最近、ここに来まして、情報通信の分野ですとか介護関連分野等におきまして求人も相当大幅に増加をしつつある状況でございますし、こういう求人が確実にこれらの助成金を活用して就職に迅速に結びつくように工夫をしていかなきゃならぬ、このように思っております。
 そのためにも、ミスマッチの原因等々も十分究明をし、手続等直せる点があればその改善に努めて活用を図ってまいりたいと思っております。
#9
○長谷川清君 それなりの効果もあった、一部なかなか到達できないものもあったとおっしゃっております。
 確かに、おっしゃるとおり、九八年四月二十四日には総合経済対策、緊急雇用開発プログラムを出しました。また、九八年十一月十六日には緊急経済対策で雇用活性化総合プランを出し、また九九年六月十一日には緊急雇用対策及び産業競争力の強化対策と、どんどんその後にも出しております。
 これらの中で、例えて言えば、新規・成長分野で雇用の創出がどのぐらい図られるかという点について、その効果は十五万、こう見積もっております。また、緊急地域雇用創出特別交付金を出すことによって三十万人の雇用の拡大を見込んでおります。また、基金の額は六百億円、緊急雇用創出特別基金、これで二十万人分。それぞれに数字は出ております。
 ところが、この数字というのはどちらかといいますと、これは後にもGDPの推移状況をお伺いいたしますけれども、政府がやったのは、公共投資や減税などによるGDPの増加分、雇用の弾性値を掛けてマクロ的な数字を引き出して、そしてここに乗っけている。机の上で弾性値でやっているんです。だから効果などは上がりっこないんですね。
 一方において、ここにも出ておりますが、日経連と連合が共同して同じ百万人雇用というものを表題として総理あてに提案をしております。こちらの方の百万人は、同じ百万人を創出しようとする計画のこの違い。こちらの方を見ますると、確かに細かく、大きく分けまして、介護・福祉関係、都市防災、近郊林や公園や河川敷保全の関係、住宅関係、教育関係、それぞれに分けて、四十二万人、三十七万人、十一万人、十万人とそれぞれはじいております。
 そのはじいた根拠は、具体的にはいろいろ、まず二番目の都市防災等に関する部分について言えば、全国で見積面積は八百四十五万ヘクタール、一ヘクタール当たり工数で大体十人ぐらいを単位にして、それを年間稼働日数二百三十日と設定をしている。具体的にはじき出して、その人数が三十六万七千四百人。住宅関係においても、稼働日数、そしてその総面積、一坪当たりの所要工数、具体的なものから全部六万人とか五万人とか、細かく現実的に今のオープンスペースを頭に置いて実行可能な計画にしておるわけでしょう。
 総理にあてたこういう提案、労働大臣あるいは労働省として机の上で弾性値ではじき出す、これと比較をしたことがあるんでしょうか。こういう提案は全くどこにも見当たらない。
 過日の本会議におきまして、私の尊敬する川橋先生が森総理にも、「百万人の雇用創出、七十万人の雇用就業機会の増大など、それらが文字どおり効果を上げていれば事態はもっと改善されているはずでございます。」。女性だから言葉遣いが非常に丁寧でございます。「かけ声倒れの雇用対策であり、深刻な雇用失業情勢についての認識に真剣さが感じられません。」と。全く私も同感であります。
 これに対して森総理の答弁は、「現下の雇用失業情勢については、」「二月の完全失業率が過去最高水準となるなど、依然として厳しい状況にあるものと認識いたしております。」と。これは、あるものをただそう認識しているという。「こうした厳しい雇用失業情勢を改善するため、今後とも、政府全体で緊急雇用対策や経済新生対策等を」、さっきあなた方がやった作業、冒頭私が何年何月にこういうのが出ている、これを指しているわけです。これをさらに「積極的に推進することにより、雇用の創出・安定が図れるように取り組んでまいりたいと思います。」と。
 全く従来型の、ここで本当に、今答弁がありましたように、すべてに有効な政策を打ってきた、その効果はこれだけ一つずつについて上がっておりますと確信を持っていい、我々も納得できるなら、総理答弁は正しい。しかし、総理自身の答弁は、従来型の認識の、実効の上がっていない、そういう結果にあるものをさらに積極的にやろうというんですから、やめてほしい。積極的にやればやるほどリストラが進んで、首切りが進んで失業がふえるということになるんです。どうですか。
#10
○政務次官(長勢甚遠君) かけ声倒れになっておるだけではなかったのかとか、積算がマクロ的なものではなかったのかという御指摘でございます。
 我々としても、厳しい情勢に何とか対処したいということで積算もし、予算も計上してきたわけでございますが、今、日経連あるいは連合の具体的な政策内容についてもお話がございました。我々としても、当然、こういうことをやればこれだけの雇用があり得るということは前提ではございますけれども、それを実行するためには産業政策その他の裏づけがあってこそできる、それを踏まえて雇用の創出効果をより効果的に発揮させると。また、そのための財政支出も必要でございますから、それらを総合的に考えて、我々としては、先ほどおっしゃられましたように、十五万人ですとかあるいは二十万人ですとかという数字を積算して、その効果が上がるようにしたい、こういうことで政策を進めてまいりました。
 しかし、残念ながら、環境の状況も思うとおりにはいかなかった部分もございましたし、また制度的にも若干の問題があったかもしれません。周知徹底にもおくれがあったかもしれません。この点は今後反省すべき点でございますし、何よりもかけ声倒れにならないように、雇用を重点にした産業政策もこれから十分考えていかなきゃならないと思いますし、また制度の内容についても、より実態に合った直接雇用に結びつくようなあり方というものをさらに検討していかなければならないと思っておる次第でございます。
 いずれにいたしましても、労使のいろんな御意見もあるわけでございますから、今までもその方々の御意見等十分すり合わせをし、御意見も拝聴しながら進めてまいりましたが、有益な御意見は十分我々も取り入れていくという姿勢で頑張ってまいりたいと思います。
#11
○長谷川清君 政府も悪気があってやっていることではないはずでございますからそれは認めているのでございますけれども、政府のとったそういう措置というものが、現実には予期しない方向にそれが展開するということがあるということをよく肝に銘じていただきたい。企業は安易な雇用調整に、そのためにそういう政策によって動いていきます。それが一番安易です。それがリストライコール失業、首切りということになっていくのでございますから、そういうさらなる雇用失業情勢を悪化させていって、それがこの保険自体の、雇用を創出せんがための施策、そこが不十分でまたおくれたり、あるいは小出しにしたり、何回も何回もやらなければその効果が上がらない、やってもやっても上がらない。こういうありようから、これが結局は保険財政を悪化させていく、雇用保険を。そうですね。そういう循環になっておりますことを、大臣、その点についてどのようにお考えでしょうか。
#12
○国務大臣(牧野隆守君) ただいま政務次官から答弁させていただきましたが、現在の失業状況を考えますと、いかに失業保険の給付を含めましてさらに三事業が一緒になってワークすべきであるということで、今、具体的内容、なぜワークしなかったか等々を検討いたしておりまして、早急に結論を出さなければならない、こういうように考えております。
 単に、政府の財政投融資、税制等々、全体の景気の浮揚に政府は一生懸命になっておりますが、それによって雇用が具体的にどのように確保されるか、こういうことになりますと、まだそこに十二分の連携がなされていなかったのではないか、このような危惧もいたしておりまして、今先生御指摘のように、同じ気持ちで再検討をさせていただいて、現在の非常に高い失業率に対処しなきゃならない、こう考えております。
#13
○長谷川清君 大臣の答弁も政務次官の答弁も、私聞いておりまして、気持ちは同じだというところは本当にありがたいんですが、事実、今の動きをそのまま延長していきますと私は釈然としないし、今のこの雇用保険法、そしてこれから議論いたします、もう僕は百歩譲って、今までのいろいろなことがありますが、この制度がこれから改正されていくんですから、その中の細かいところの運用、あるいは基準の認定等々については、せめて本当に困っている人に照準を当てた、私はこういう状況の中で、これは国会の中ですから、一省庁の問題とか一政治家の問題や政党の問題じゃない。すべては本当に今困り果てている、失業して大変な思いをしている人、今は失業していないけれどもやがていつそうなるか、そのときでも安全ですよというのがこの制度なんですね。時代時代によって上がったり下がったりする、特に中長期にわたって給付が上がったり下がったりするということは保険の意味がないんです。年金しかりです。健保しかりです。必ずそうなるとは限らないけれども、そこにどれだけ努力をしたか、知恵を出したか、そういうところが大事なのではないかと私は思います。
 その点について、国民の責任でもない、事業者だけの責任でもない。これはやはり政府の責任と言わざるを得ませんし、ではどこどこの省庁の何のたろべえ、何々大臣、そういう属人性の問題じゃありません。ですから、私はだれも憎んでおりませんし、本当にしかしせつない話です。そういう意味において、ぜひこれらの保険という問題については将来というものを見、中長期の視点というものをよく見て、そして今後対応していかなければならぬ、こう思うわけでございます。
 そこで、質問いたしますが、平成元年以降の年ベースのGDPの推移状況、これは政府参考人でも結構でございます。それから、失業者の数、それからまた失業率、これをひとつ数字で年度別に簡単で結構ですから事務的にお示しをください。
#14
○政府参考人(渡邊信君) まずGDPでございますけれども、これはちょっと区切りが平成元年度からというふうに手元の資料、きっちりなっておりませんので、昭和六十二年から平成三年度まで、経済成長率は年率の平均で四・八%ということでございます。平成四年から平成十年、この年率平均は一・一%ということになっております。また、完全失業者数でございますけれども、平成元年が百四十二万人ということになっておりましたが、以降百三十四万人、百三十六万人というようなことでございまして、平成十年で二百七十九万人、平成十一年で三百十七万人というふうになっております。
 失業率が、平成元年が二・三%でしたが、平成十年に四・一%ということで、初めて四%台に乗りました。平成十一年が四・七%というふうなことになっております。
#15
○長谷川清君 それでは、今大体、失業の方でいきますと、一九六〇年からずっと見て七五年まで、七五年にやっと百万人の声を聞いているんですね。それまでの約二十年間は五十万人、六十万人、七十万人、それを超えたところはなかった。それ以降、また約二十年の間に、二十年かけて二百十万人に一九九五年になった。二十年、二十年で、百台になり、二百台になり、そして五年で今三百台を超えて三百万人以上。一番新しい数字では失業率では四・九という状況になっております。若干、GDPの方はそれを追いかける感じで悪化の一途をたどっております。いずれにしても、このGDP、そして失業率、そしてこの保険の収支の悪化。保険の収支の悪化が多少おくれて後へ後へと、しかし確実に。
 したがいまして、経済情勢の悪化や雇用失業情勢の悪化や雇用保険収支の悪化というトリレンマというか、この三つの状況は三Kとでもいうように相関連しながら同一方向に向かって悪化しているということがそこでもわかると思います。本会議の中で大脇先生の方から激変緩和措置をということが問われましたが、考えておりません、総理はそう答えておりました。
 こういう状況というとき、ずっとこれを、一年が五年、十年、二十年、三十年、四十年とずっとつないで見たときのそういう状況と、神経というものがあるなら、最悪でも今こうせざるを得ない、ならばここで国庫負担というものが、こういう状況にかんがみて、あるいは一般会計からという考え方というものが当然あってよかったのではないかと思いますが、そういう点について、現実的には検討経緯の中でそれらの部分は、なぜこれは国庫の負担の部分についてのみはアッパーなのか。
 もう一つ聞きましょう。じゃしからば、この国庫の推移状況について、これも事務的で結構です。
#16
○政府参考人(渡邊信君) 平成元年度からの国庫負担の推移について申し上げますと、平成元年度は国庫負担率が原則どおりの二五%、四分の一ということでございまして、このときの国庫負担額は二千三百億円。これに対する給付費が九千八百億円でございました。平成四年度と五年度には、完全失業率も二%台というふうなことであり、また積立金も四兆七千億円というふうな状況になっておりまして、雇用保険料率とともに国庫負担率の引き下げが行われまして、平成四年度には二二・五%、二千六百億、平成五年度には二〇%、五分の一で二千八百億というふうな状況になりまして、平成十年度には国家財政の状況等を踏まえました財政改革という中で国庫負担率は一四%に引き下げられまして、そのときの国庫負担額は三千百億円ということでございました。
 今年度、平成十二年度予算におきましては、国庫負担額は一四%の三千四百億を見込んでおります。
#17
○長谷川清君 一四%に今までの半分もがくんと落とした理由は何ですか。
#18
○政府参考人(渡邊信君) ただいま少し触れたところでございますが、もともと積立金がかつては累増しておりまして、そういったことを背景に労使の負担と同時に国庫負担率も下げられてきたわけでありますが、平成十年度、大変政府の財政が厳しいということを背景にいたしまして一四%に引き下げが行われましたが、なお、このときには雇用保険にもかなりのまだ余裕金、積立金がございまして、そういったことを踏まえて雇用保険についても国庫負担率を一四%に下げるというふうな措置がとられたところであります。
#19
○長谷川清君 積立金の残金というのはそうポイントじゃないんです。収支が悪化しているかいないか。一般の家庭でもそうでしょう。月十万しか入らなきゃ十万の生活をするんですよ。それが十五万に実際上支出がなっていけば赤信号でしょう。
 赤字になっているのは、平成六年から既に赤字に転じて、三けたがだんだん四けたになり五けたになって、急激に十一年から十二年度がくんと上がって、やっと今ここで。これだけ大変になったから、もうしようがない、給付は下げて保険を上げる。それはだれでもできることなんです。そのために労働省は要らないんです。問題なのは、収支が赤字になってきたときに、クシャンとくしゃみが出れば風邪ではないかと注意する。収支が問題なんです。保険の制度の意味というものがわかっていれば当然そういう感覚になるはずだが、いいときならば残金があるから下げちゃう、倍も下げちゃう。なくなったら今回のようにばあんと。それではどこに知恵が働き、どこにその制度の意味を保持しようとする努力が働いているのかと言いたくなる。
 一番大変なのは国民の皆さんです。現状からいきますと、やはり私は、お答えを聞きましても、これは三事業の収支の状況を見ましても、同一状況の流れで赤字になっていますね。給付だけじゃない。でございますから、この辺のところはまた後にも触れるつもりでおります。
 何かその点についてもし言いたいことがあればお聞きしますが。
#20
○国務大臣(牧野隆守君) 私どもも先生と同じような気持ちで非常に心配をいたしておりまして、何分ストックが非常に大きかったものですから、片方の財政状況等も勘案して、公労使三者の意見を十二分に踏まえましてこのような決定が今までなされてきたわけでございます。いずれにしましても、ストックがもう枯渇すると予想される、こういう状況になりましたので、早急に御意見を賜ってこのような措置を講じさせていただいた次第でありまして、必要とされる方々に基本的には御心配をかけないセーフティーネットのあり方については、経済情勢が刻々変化いたしますから、これらに対応してしかるべき措置をとらなければならないのは当然でございます。
 いずれにしても、セーフティーネットとして御心配をかけさせてはいけない、これを基本に措置してきた次第でございます。
#21
○長谷川清君 平成十一年三月十五日の委員会で、平成十一年といえば既に赤字に転じて四、五年たった時期でございます。その時期に山崎力さんが質問しております。質問は、雇用保険の問題を一点だけお尋ねいたします、いろいろ収支状況が非常に悪くなって、単年度の収支で赤字が出ていると。保険料の見直し等をどうするんだという報道もありました。そういう中で、一言で言えば、おい大丈夫かい、どうなるんだという問題があるわけですけれども、その点についてお考えを伺います。
 当時の甘利労働大臣が答えています。正直、今検討しているかと問われれば、今は検討しておりません、指示も出しておりません。担当の事務方もこの検討にはまだ入っておりません。私としては、劇的な変更をしなくてもいいように、なるべく早くこういう情勢から立ち直ってもらいたいと思うのでありますけれども、きょうの時点ではまだそういう意思はございません。こう答えています。
 つまり、ある日突然危機が来るんじゃないんですね。さっきから申し上げるように、六年からずっと収支の赤字が、これが赤字に転じたときに心しておれば。それから四、五年たった十一年の当時の担当大臣は、一切今のところは何も考えておりませんという明確な答弁になっています。恐らくその段階でも認識が全くなかったと思います。
 この辺、現大臣としての、今日これをどうお考えになりますか。
#22
○国務大臣(牧野隆守君) 雇用保険制度の見直しにつきましては、昨年三月の段階では、平成十年四月からの緊急雇用開発プログラムを初め累次にわたって雇用対策を実施し、雇用失業情勢の改善に全力で取り組んでいたところでありまして、そのとき積立金もなお十分の余裕もあった、こういう判断から前大臣はいまだ検討に入っていないとの答弁をなさったのではないかなと、このように実は推察させていただいております。
 しかしながら、その後、平成十年度の決算で約九千六百億円の単年度赤字が計上されました。財政悪化が急速に進展したことが明らかになってまいりましたので、昨年六月からは中央職業安定審議会において本格的な見直しに着手いたしまして、今般の給付と負担の両面にわたる見通しが必要である、このような結論に至ったものでございます。
#23
○長谷川清君 平成六年の十一月に総務庁が行いました雇用保険事業の運営に関する行政監察結果とこれに基づく勧告が出ております。その勧告では、平成六年といいますとちょうど赤字に転じた年です。大した赤字じゃございませんでした。そのときでもこのように指摘をしております。「雇用保険財政の中期的見通しの作成」について、「労働省は、失業給付に係る保険財政の健全な運営に資する観点から、今回の制度改正に伴い必要となる失業給付に係る積立金累計と徴収保険料の推移等保険財政の中期的な見通しについて必要な推計作業を行い、その結果を国民に分かりやすい形で公表していく必要がある。」と総務庁は勧告しております。
 労働省はそれに対してどういう結果と報告をしたんでしょうか。
#24
○政務次官(長勢甚遠君) 平成六年の御指摘の勧告を受けまして、労働省といたしましては、当時、雇用失業情勢が引き続き予断を許さない状況にあったという点等も踏まえまして、今後の見込みを推計するにはいましばらく様子を見る必要がある、今後そういう状況を見て検討したいということで回答申し上げ、両省一致をしてその方向で進めてきたところでございます。
#25
○長谷川清君 確かに平成六年といえば、さっきの甘利大臣は、十一年にああいう発言をしているんですね。その四、五年前にこういう勧告がちゃんと出ているわけです。そして、労働省のこれに対するその後の改善措置状況という、この措置について報告が出ております。「平成六年度から単年度収支で赤字となっており、七年度予算以降大幅な積立金の取崩しも予想されている」、「対象者数の今後の見込みを推計するにはいましばらく様子をみる必要があること等から、今後これらの見通しと実績値の状況を踏まえつつ必要な推計作業を行うことを検討したい。」。行うことを検討したいということは、検討したか検討しなかったかということがあるでしょう。これが労働省の、平成六年に対して二年後、平成八年にこの報告を出していますね。そして今日につながってきておるわけです。
 私は、いろいろ言いたいことはたくさんあるんですけれども、過去ばかりをほじくろうと思って言っているんじゃなくて、これはやはりこのようになってしまった、だれかがどこかで本当に本気になって、こういうことは余り好ましくないな、そして今後二度とこのような激変的な、苦しくなったら給付を下げて取る方を上げりゃという、これでは非常に悲しむ人が大勢おります。ですから、二度とこういうことにならないようにという思いで、ここまで積立金の底が追い込まれてしまって、非常にせつないというのが私の実感でございまして、これからについてはそういう、百歩譲ってというよりはせめて、だから大脇先生が言ったような激変緩和の、今からでも遅くないし、まだ何かそこにもう少しくみんなの傷をいやしてあげる余地はないのか、そういうふうに思うわけでございます。
 それから、さっきもあったように、これと関連しておりますあらゆるいろんな、今景気問題が大変でございますから、景気対策という名のもとにおける今までの従来型の、従来の構造が転換しないところにお金をただつぎ込む、そしてどんどんたくさん首を切ったところほどたくさんお金で支援できるというこの循環を、やはりよく民間の意見も、さっき紹介したようないわゆる経済団体も労働界も、連合が一致してやろうという気持ちになっている、そういう提案をこれからもよく組み込んで、全部とは言わぬけれども、もう少しく効果的なものに全部つなげていきませんと非常にこれは大変だなという思いが強いわけでございます。
 そういう点について、ひとつぜひ中期的な見通しというもので、これまでの経緯というものを、そして大臣がおっしゃるような一番大事な、これだけが社会的なセーフティーネットに失業者にとってみればなっているわけでございますから、そこの本当の意味というものを中期的立場とそれから年次年次の、そして必ずこれは公開もしていく、そういう部分について大臣ひとつ約束をしていただきましょうか。
#26
○国務大臣(牧野隆守君) 私自身着任以来非常に気にしておりましたのは、やっぱり雇用政策の面から、政府の全体の財政政策、金融政策あるいは産業政策、税制政策に対して労働省から物を積極的に申すべきだ、このように考えておりまして、そのような方向にどういう形で実行できるかということをただいま検討中でございます。
 差し当たり今先生御指摘のような失業状況でございまして、中央職業安定審議会、そこで公労使三者の皆さんの御意見をまとめていただきまして、今度の改正案によりまして制度の安定的な運営が確保されるものと、こう私自身は考えており、今後とも雇用保険の安定的運営の確保に万全を期するとともに、雇用失業情勢の変化に機動的に対応した雇用対策の実施を積極的に進めていかなければならない、このように考えており、また具体的にそのような検討を事務当局に命じているところでございます。
#27
○長谷川清君 今後に向かって強くお願いをしておきたいと思います。
 それでは政務次官にお伺いしますが、現在は二月の失業率が四・九、男性で五・一、大変でございますが、この今提案されている制度の場合には財政的には大体どのぐらいの失業率に持ちこたえられるのか、読んでおるのか、お尋ねします。
#28
○政務次官(長勢甚遠君) お示しいたしておりますとおり、今回の改正によりまして求職者給付の重点化等を行った上で国庫負担率を二五%、保険料率を千分の十二に引き上げるということにいたしておるわけでございますが、これは失業率を四%台半ばと想定したものでございます。先生御指摘のような状況もございますし、当面は大変厳しい雇用失業情勢が続くということも視野に置いておく必要があるわけでございますが、保険料率につきましては、弾力条項等も設けておりますので、法律改正を要することなくそういう状況が生じた場合には千分の十四まで引き上げることができることとしておりますので、今回の改正により失業率が五%台の半ばまでは雇用保険を安定的に運営することができる、このように考えております。
#29
○長谷川清君 五%半ば、よもやそこまではいかないと思いますが、いかないことを願いますが、大体そのぐらいまではこれで耐え得る、こういう解釈でございますね。はい、わかりました。
 それでは、もう時間もあれですから、しからば具体的な日数の問題等に質問を移らせてもらいます。
 具体的な給付日数を見てまいりますと、確かに四十五歳以上六十歳までのところについて給付日数が現行よりも引き上げられております。しかし、果たしてこれで十分であろうか、十分なものが確保できているかという点には私は不安を感じております。
 総務庁が平成十一年八月に行った労働力調査特別調査報告というものが出されております。失業期間が長期化をする傾向があらわれており、一年以上失業している者の割合が全体で二二%を超えるという状況になっております。これを年齢階層別に見ますると、二十五歳未満を除きますとすべての年齢階層において二〇%を超えておる。高齢層ほどその割合が高くなっている。特に、五十五歳以上では三〇%台に達している。したがいまして、多くの場合見直し後の給付日数をもってしても不足をするのではないかという思いがするわけでございます。大臣はこういう改正案の内容で本当に給付日数が十分であると考えておるかどうか、この点をお伺いします。
#30
○政務次官(長勢甚遠君) 今般の改正におきましては、御案内のとおり、公労使三者関係審議会における合意のもとに、再就職の準備を行う時間的余裕のない状況下で離職を余儀なくされた方々に対しては手厚い給付日数を確保するということを重点にして改正を行ったものでございます。
 給付日数の上限については、先生の御意見もございますが、中高年齢者の在職中からの再就職援助の充実、専修学校等の積極的な活用による離転職者訓練の拡充など、再就職を容易にするための施策の整備をこれからもどんどん進めていくということも踏まえまして、またさらに、雇用保険制度の安定的な運営にも配慮しながらこういう制度に今提案を申し上げておるわけでございまして、再就職の準備を行う時間的余裕のない状況下で離職を余儀なくされた方々に対しては従来よりも手厚い給付日数を確保していることでもございますし、この点で十分御心配のないようにできて、制度を運営していくことができるものと考えておる次第でございます。
#31
○長谷川清君 この失業期間で、一年以上給付を受けている失業者、これが平成十年、十一年、だんだん数がふえてきております。五十一万人、七十万人、七十一万人というふうにふえてきております。年齢階層別で見ると、失業期間一年以上、五十五歳以上の割合で見ると三〇・六%を占めている。だんだん高齢者の就職、再就職といったようなものは非常に厳しい状況のもとに今置かれているという状況だと思いますが、給付日数が最大で三百三十日となっております。これはがんじがらめで一切まかりならぬ、三百三十でというものなのか、運用によって、そこには実際的に効果的な運用が可能なものなのかどうなのか、その辺のところはいかがでしょうか。
#32
○政府参考人(渡邊信君) 今般の給付の改正案によりますと、先ほどから答弁しておりますように、あらかじめ離職というものが予定できるかどうかということを基準にいたしまして給付日数に差を設けるということにしておりまして、従来の例えば四十五歳から六十歳未満の方でありますと、最高給付日数が三百日ということでございましたが、これが倒産、解雇等による離職ということになりますと、今般、最高三百三十日というふうにしておるわけでありまして、これは離職理由によってこの給付表が適用されるということですから、原則はこの給付日数によることになるわけであります。
 ただ、訓練を受講するというふうに安定所長から訓練受講の指示がありますと、その間につきましては雇用保険の受給期間が延長されますので、そういったケースについてはこの期間が延長されるということはあり得ることでございます。
#33
○長谷川清君 訓練延長給付制度というものが別途にありますね。したがいまして、これと同質のものではありませんが、こういうものが人によっては、個体によっては重なっていくことによって、別の意味で実質的には延長があり得る、こういう解釈でよろしゅうございますね。はい、わかりました。
 そういうふうな部分がいろいろの制度を考えていけばあるということの運用を、本当にその人その人に温かみのある実感が、こうやってやればやり得るという余地のことは最大限にこの運用の中でそれは発揮をしていただきたいし、また訓練延長給付の制度を最大限に活用したり、あるいは民間教育訓練機関というものを積極的に活用していくといったようなことをいろいろ全部組み合わせていただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 それから、次に移りますが、厚生省が行いましたものの中にも生活保護給付者が非常にふえておりまして、百万人を突破したという状況にあります。ことしの一月調査でございます。
 こういうものの背景には、やはり就労が非常に厳しい高齢者や傷病関係、障害関係の方々というものがふえているということを裏書きしていると思いますし、特に勤労者世帯の中でこれがふえてきている。失業期間が非常に長期化をしておりまして、失業給付が切れる、切れると生活保護給付者に。これはまだデータが出ていないようですね。厚生省もわからない。だから、どのぐらいの数の人たちが給付が切れて生活保護を受けるランクに入っているのかわかりませんが、そちらの方は三百万ぐらいいるんでしょう、生活保護。これはきょうは厚生省がいないからわかりませんが、いずれにしても大勢生活保護を受けていらっしゃる方がある。給付が切れたらろくなことがないんですね。自殺をする人が今度はふえています。それから、路頭に迷っている人、せっかくうちを買ったのにローンが払えない、そしてホームレスになっちゃう。
 こういう状況等々の最後の出口を見ますると非常にこのことがある。なぜそうなったかというのは、いつも言うように、百歩譲ってここで何とかしようという気持ちでありますが、なぜそういうことになったのかというところにまた戻っちゃうんですけれども、だからこそ今後運用で、恐らく審議会でいろいろやるんでしょうけれども、審議会任せではなくて、大事なところはそれぞれ労働省の方からも我々議会としても、その個人のために、甘えの構造で言うんじゃなくて、本当に救えるものはできるだけ救っていけるようにひとつ基本としては構えておいていただきたいなということを申し上げておきたいと思います。
 いずれにしても、手厚くしたとされる給付日数についてもなおいろんな不十分な点が存在をしているし、まだまだ、ああもしてもらいたいこうもしてもらいたいというものが残されるわけでございます。したがいまして、この制度が発足をされますと、プラン・ドゥー・シーでいわゆるドゥーに入っていきますから、そういう構造の上に立ってあらゆることをひとつ調査していただいて、給付の日数というものが本当にそれで大丈夫か、場合によってはこういうケースも出てくるよというような実態というものを十分に踏んまえて、その把握されました結果というものを十分に今後、直ちにしかも給付日数について改善ができるようなそういう柔軟な運用という形をとってもらいたい、こうこの制度について思いますが、その点についてはいかがでしょうか。
#34
○国務大臣(牧野隆守君) 御承知のとおり、雇用保険制度は労働の意思及び能力を有する者を対象といたしているものでございまして、生活保護制度等他の社会保障制度とは一線を画するものでありますが、失業した者が生活保護に陥ることのないようにする必要があるとの認識は、先生のお気持ちと私自身一緒でございます。
 そういう意味におきまして、労働省としましては、失業給付の受給を終了した人の実態の把握に努めるとともに、できるだけ早期に就職できるよう各種施策の実施により最大限努力をいたしているところでございますが、例えば御承知のとおり、非自発的失業者を中心とする三事業の雇用の確保等の制度ができておりますが、必ずしもこれが十二分にワークしていない、こういう状況にございまして、今おっしゃったような、こういう失業給付を受け、その受給期間が終わった後もなおかつ失業状態にある方々、こういう方々について諸制度がうまく連携してワークできるようにさらに努めていきたい、こう考えております。
#35
○長谷川清君 その辺はひとつぜひよろしくお願いをしたいと思います。
 次に、離職理由の認定にかかわる件についてでございます。
 これがまた大事なことでございまして、政府として今回の法案の中で離職理由の認定の基準というものをどのように今つくろうとしておるか、またその実施体制について現下の状況を教えていただきたい。
#36
○政府参考人(渡邊信君) 今般の給付の見直しにおきまして、その支給基準といいますか、これは倒産、解雇等による離職者について手厚い給付をするということにしておるわけですが、その具体的な範囲についてはいろんなケースがあり得るかというふうに思っております。できるだけ客観的な基準といたしまして、受給者の権利、利益の保護を図る必要がありますし、例えば窓口でこれが的確に運営されるということも必要であろうというふうに思っております。その基準につきましては、雇用保険法の施行規則、省令において決めるということを考えておりますが、その規則の制定に当たりましては関係審議会で十分公労使における議論を詰めていただきたいというふうに考えております。
 また、この離職理由の判断は適切に行う必要がありますから、客観的資料が必要であるということはもちろんですが、労働者側の主張というものも十分に吟味されるような手続をとることが必要ではないかというふうに考えております。
#37
○長谷川清君 大きく分けまして五つのケースについてお伺いをするわけですが、一番、希望退職者、二番は早期退職優遇制度のあるところでの退職者、三番は家族的責任を果たすために現在の仕事を続けることが困難で退職をする者、四番目は企業による故意の排斥によって退職をする者、五番目は採用条件と異なるために退職をする者という、この五つに分類をした場合、これは私が衆議院における論議のやりとりを聞いておりまして、まず一番の希望退職、それから二番の早期退職優遇措置で退職する者、それから四番の企業による故意の排斥による者、この三つはまず今回の制度から見て大丈夫と、こう考えております、ここの点は、一番、二番、四番。そして、五番の採用条件と異なるための退職というもの、それから三番の家庭的責任を果たすために現在の仕事を続けることが困難だというケースで退職する場合、この二つについては多少コメントが必要だと、こういうふうに自分では勝手に判断しているんですが、そういう判断をまず前提としてよろしいでしょうか。
#38
○政府参考人(渡邊信君) 先ほど申し上げましたように、この離職理由の認定基準というものは、関係審議会の意見をお聞きいたしまして省令で定めるということにしておりますので、そういった前提で今幾つかのケースに出されたことについて当面の事務局の考え方を述べてみますと、まず希望退職につきましては、これは事業主側から退職を働きかけるわけでありますから、離職を余儀なくされたものというものに該当するのではないかというふうに考えております。
 また、早期退職優遇制度につきましては、これは恒久的な制度として通常は企業にあって、その制度を利用するかどうかというものは労働者側の判断にかかっているのが一般であると思われますので、この制度を利用して退職したことが離職を余儀なくされたということには一般的にはならないのではないかと思いますが、この運用によっては退職勧奨と同じような効果がある場合もあると思いますので、これは運用によって判断が分かれる場合があるのではないかというふうに考えております。
 それから、家族的責任を果たすための離職ですが、家族の方が倒れたので介護のために急に離職せざるを得ないというふうなことがいろいろと問題になろうかと思います。これはなかなか難しい問題だと思います。個人の労働者側の事情で退職をされるわけですから、一般的にこれをすべて離職を余儀なくされたケースというふうに言うのはなかなか難しいかと思いますが、この点についてはいろんなケースがあると思います。例えば、企業がどこか事業場を移転したためになかなか行けなかったというのが家族責任との関係で配転に応じられなかったというようなケースもあるかと思いますし、いろんなケースがあると思いますので、この点については十分さらに議論を尽くしていただく必要があるんじゃないかというふうに考えておるところであります。
 それから、企業による故意の排斥、いわゆるいじめ等につきましては、これは当然離職を余儀なくされたケースであろうかというふうに思っております。
 それから、採用条件と異なるというのは、これはどの程度本人が採用条件というものを認識していたかどうか、どの程度の期待を抱いていたかどうかというふうなこともあると思いますから、これも一概に採用条件と違ってやめたんだから離職を余儀なくされたと言えるかどうかというのはなかなか難しい問題で、もう少し客観的条件というか基準というか、あらかじめ明確に示されていたかどうかというようなことにもかかわると思いますので、この点についてもいろいろと実態に応じた判断ケース基準、基準をつくる必要があるというふうな問題ではないかというふうに現段階では思っております。
#39
○長谷川清君 ケースということではいろんなことが考えられると思います。
 雇用保険というものの資格が欲しいから、そのためにはあと六カ月、仕事は非常に劣悪で大変なんだが六カ月頑張って仕事をする、そして受給資格を得るというようなケースでやめていく、こういうケースにどうなのかとかいうこともあるでしょうし、契約ですから本来なら文書に残ってなきゃいかぬが口約束で、それがさっき言った五番目の中のケースとして、そういう場合に口約束ですから何にも立証しようがないとかというさまざまなことがありますね。
 それで、先ほど局長の方から例が挙がったようなセクハラがどうとかというような問題が起こったような場合でも、会社側の方からすればメンツがあるでしょうし、本人の側からすれば友達、友人でもなかなか立証しづらい、事実はどうかといったときにはなかなかそのことが立証できないといったようなさまざまなグレーゾーンのところは、私の気持ちからすればとにかくそれはその個人、その人の意思を尊重してもらえるようにしてもらえないか。
 家族的という部分の中、これは確かに家族が病気になっていて家族的要素かもしれませんが、そういう都合で職場を変わらざるを得ないといったようなことがいろいろ出てくるというのは、全部それは会社の都合じゃないかもしれません。がしかし、今までその人が何十年あるいは何年そこに勤続した人かわかりませんが、それも長期にずっと貢献してきた人かもしれませんし、そうでない場合もあるでしょうし、さまざまでございますから、よくそういう点については豆腐を切るようにぱちぱちとやらないで、ぜひ一つずつのケース・バイ・ケースの部分についてこの制度というものの、そうでなくたって今冷たい扱いをするんですから、そういうところで温かい実感がわくような運用というものをぜひできるようにしておいていただきたい、このように要望しておきたいと思います。
 それでは、雇用保険の問題についてもまだあるわけでございますが、残された時間が十五分ぐらいになってまいりましたので、高齢者のシルバー人材センターのことにつきまして少しく時間をとりたいと思います。
 高齢者全体の問題につきましては、冒頭申し上げたように、次回に高嶋先生の方で触れられると思いますから、時間があれば触れようと思いましたけれども、恐らく時間の関係ではシルバー人材センターぐらいのことしか触れられないと思います。
 シルバー人材センターは、このように高齢者事業団とかシルバー人材センターがないころから、大河内一男さんが発議して構想を練りまして、やがての高齢化社会に備えるためにと言って非常に熱意ある、それに私も同調いたしまして、当時、まず東京から始めるということで東京に高齢者事業団、東京都庁の方からは小山さんという方が、今は千葉に住んでおりますが、この三人でとにかく何もないところからまず立ち上げてそれであれやこれやを、そして四十八年、そういう準備をして、五十年に設立ができていった。全国の各ブロックにも私どもも飛んで、その必要性を訴えて、全国、市町村にもできるようにという形で、政府の方のいろんなお力添えもあって今日すくすくと伸びつつある。昭和五十五年には国庫の補助を受けられるようになったり、六十一年には今審議しようとするこの高齢法、高齢者の雇用安定促進の法律というものもできました。言うならば、シルバー人材センターが高齢法の生みの親でもあると言ってもいいぐらいに私はここには愛着を感じ、そして今日それなりの貢献を社会的に、まだまだだと思いますが。
 そういう意味において、高齢法の中で、四十六条の指定法人を受け、四十七条において求人を受け付けて無料でそれをあっせんしていく、中小零細の多くの人々、OBとなった人々が自分が長い間に培ってきた能力というものを家庭の中にも社会の中にも息づかせていって一定の手当もいただく、こういう仕組みで今日発展をしてきていると思います。現在まで、具体的には、発足をしました五十五年のときには四十二億ぐらいの契約金でございましたが、今、一千七百九十九億三十六万、会員数は四十七万六千名ぐらいになっておりますから、相当拡大をしてきております。
 いずれにしても、これをさらに私は健全にこれから労働省、今担当しておりますから、育てていただくと同時に、そこには幾つかの課題がございますので、四、五点についてここでお願いをしたいと思います。
 まず一つは、就業面の実態の中で今問題になっておりますのは、会員になる方は、従来の経験が事務系であった方が会員になってくださっている方が二〇・六%いらっしゃいますが、実際の就労をされているのは三・二%と、実績が非常に上がっていない。ここが際立って目につくところでございますから、特に今後もホワイトカラー等の会員というものが、どんどん事務職種の人々がふえてきております。そういうところについての仕事の面の供給の開拓が当面求められていると思います。これを一つお願いしておきたいと思います。
 それから二点目には、シルバー人材センターの決めといたしまして、臨時的かつ短期的な仕事に限定をするんだということになっておりますが、もうこうやって十年、二十年になってまいりますと、会員の中には既にもう十年以上そこに同じ仕事を携わって継続している方もいらっしゃるわけでございます。事業主との間においても指示、命令の関係が生じておる、そして普通の社員と同じように机を並べてそこで仕事をするという、そういう会員もいるわけでございまして、これはまさに事実上の雇用という姿にまで発展をしているという状況になっております。
 しかし、戸籍上はこれは雇用という扱いになっておりません。あくまでも短期的、臨時的と、そういう法律上の扱いになっていますから、これを法律の上においても結びつけていく必要が雇用としての関係にあるのではないでしょうか。
 一つには、今の状況でいきますと、仕事の途中で事故などが起こった場合の労災の認定というものを受ける場合においても安定しておらない。これは雇用の関係がないから労災適用は本来ないのは当然なんですけれども、それを今保険でつないでいるという状況でありますが、一応戸籍の上でこれを雇用と認めていけないかどうか。これは質問になりますが、現状では不適正労働という、こういう関係になってしまいますので、この辺を法律上整理をしていただきたい。これは質問でございます。
 それから、事業の地域的な、あるいは事業間の格差というものが目立ってきております。
 シルバー人材センターは今現在全国で千九百三十四市町村で事業がされておりますけれども、これは全国の五九%でございまして、あとの四〇%にはセンターが設置されておりません。多くの高齢者が希望しておりましても実現が不可能だという状況下にございます。
 そういうところから生ずる格差というものと、いま一つは、既に実施をしている地域の中でも低いところは一割ぐらい、高いところはもう九割利用しているというこの差が大きいわけでございますから、この点についてもこれはひとつ解決のための策を労働省で講じてほしいということについてこれをお答えをいただきたい。
 それから、もっと大事なことは今後の財政の問題についてでございます。
 財政問題は、これまでは国の一般会計からの補助と地方公共団体の運営費補助で今日発展をしてきた、成果を上げてきたわけでございますが、今後行政改革というものが一方において進んでまいります。そういうことを一つの名目にして、こういうところを、どんどん弱いところを切っちゃうというようなことがあってはならぬと思います。ますますこの分野においては、少子高齢化社会の中で私は非常に重要な分野を占めておると思いますから、むしろこれからさらなる拡大を図っていただきたい。減額をするなどはもってのほか、こう考えておりますが、これもひとつ大臣にお約束をいただきたい。
 そして、こういう会員になっていらっしゃる方々が、既に介護保険がスタートを切りましたので、お年寄りがお年寄りの介護をするという、そういうありようというものでシルバー人材センターが介護分野にも取り組んでいくということ。そのためにはちゃんとセンターの事務局に介護分野を担当するようなそういう担い手が不可欠でございますから、そういったようなことも含めた体制というもの。そして、介護保険の直接の対象という部分と、そうではない周辺サービスという部分、介護の、そういう分野がありますから、このシルバー人材センターが担うべき、関与をすべき分野というものは余地を残していると思いますので、そういう点についてタッチをしていただきたい。
 そして、こういう介護コーディネーターの育成とか、会員の教育や経験の交流会などを広くあまねく水平展開して、全国に紹介をして、そういうことがやっていける一連の体制というもの等々をぜひつくっていただきたい。
 そのように、シルバー人材センターについて今後四、五点の、私は要望と申し上げましたが、そうあってほしいなという部分について申し上げましたので、これをひとつぜひお答えを、簡単で結構ですから、いただいておきたいと思います。
#40
○政府参考人(渡邊信君) シルバーに対する財政的支援の大臣の御答弁の前に、幾つか御質問ありました点についてお答えをさせていただきますが、まず事務系職種の拡大については、シルバーも随分補講、塾をしてみるとか、あるいは英語の勉強会をしてみるとか、いろんなことで拡大には努めていますが、まだシルバーといいますとどうも屋外の軽易作業というイメージが大変強くあるかと思います。この辺については、事務的職種の開拓ということで協会の方も一生懸命取り組んでおりますので、今後事務系職種についてもここで仕事ができるというふうなことで努力を私どもとしてもしていきたいと思います。
 それから、雇用の実態にあるかどうかというような問題でございますが、委員もお触れになりましたように、シルバー人材センターは無料の職業紹介をすることができますので、そういった紹介機能を通じて事業場に就職をするという方については当然雇用の形態にあるわけでありますが、シルバー本体の仕事は請負なり委任なりということで、先ほどもお触れになりました自助、自立、共助というふうな精神で、お互いが共同して仕事をするというふうなことになっておりますので、いわゆる指揮命令関係にはない形態で仕事をするというのがシルバーのあるべき姿でありますから、そこのところは、委任、請負か雇用かというところはきちんと仕分けをして仕事をしていただくということをこれからも十分指導していきたいというふうに考えているところでありますし、雇用ということであれば当然労災保険等々の適用もあるということになるかというふうに思います。
 また、シルバー人材センターの地域間のバランスの問題でございますが、現在、都道府県単位の連合会がすべての都道府県に設置をされるということになりまして、連合会を通じて各県余りアンバランスを生じないようにいろいろと活動を進めていくという一応の体制は整ったというふうに思いますが、なお、シルバーの設置は八百余ということでございまして、全市町村のカバーにはまだまだほど遠い状況でございますから、できるだけこれが市町村単位で設置されるように、私どもとしても予算面も含めていろいろと努力をしていきたいというふうに考えております。
 それから、介護の問題ですけれども、現在シルバーは、大部分のシルバーにおきまして介護サービス、軽易なものが大部分ですが、例えばお年寄りの話し相手になるとか買い物のお手伝いをするとか、そういったものを含めまして、介護分野について活動を積極的に行っております。
 また、介護保険制度の対象になるような事業といたしましても、例えば指定居宅サービス事業として指定を受けているセンターが既に十四ありますし、申請を検討中のものが十八あるというふうに、これから介護保険制度に乗るような介護事業についてもシルバーの進出が期待されるというふうに見ているところでありまして、私どもとしても、このコーディネーターの配置について、これは予算の対象にしておりますので、そういった配置を積極的にするとか、あるいはそういった方に対する研修を行うとか、そういったことで介護について十分シルバーが担い手になっていけるような、そういう努力をこれからもしていきたいというふうに考えているところでございます。
#41
○長谷川清君 あと四分私の持ち時間がありますので、それでは最後に私は要望、お願いをしたいと思いますが、シルバー人材センターの場合には多少のそこにお金というものが、孫に小遣いを上げるぐらいのあれがありますが、これからにまた必要なことは、私はお年寄りと子供が接点の持てる場所を確保する、そして高齢者の社会参加というものを促していくということが非常に大事ではないか。
 この世界ではお金は関係がありませんで、NPOかボランティアとかそういう分野の話だと思いますが、それをどこの省庁でどこがやるといったって、今のところはやるところがないわけですね。私は、まずはそのためには場所の確保が必要だと思います。
 そういう意味で、まずは中央、地方を通じた公的な機関の出先にオープンスペースを提供してもらう、あるいは各JRや何か駅ですね、駅の一定のオープンスペースの提供、あるいは民間の企業のオープンスペースの社会的貢献を提供していただく、あるいはごく一般の普通の民家という、ありとあらゆる場所の提供、そういう中でお年寄りと子供とが接点に。今やだんだん男女共同社会という分野になってきておりますから、育児をやらない夫は意気地なしなんて言われる、そういう時代でございます。それで、学校でも教えない家庭でも教えない、子供たちに、そういう情操教育とか社会教育。やっぱりお年寄りと子供がそうやって交わって、いろいろと絵をかいたり折り紙を折ったり竹馬をやったりという、いろいろな遊びを通じながら、コミュニケーションを通じてそういうものが社会のあらゆる隅々から多くの効果というものを生んでくる。
 今、要介護の人になるのに、何というんでしょうか、すぐにはならないで介護の期間というものを短くする。やがては介護を受けなきゃならない要介護の人々の人口が健全に減っていく。今のシルバー人材センターでアンケートをとりますと、約四〇%の人々が、つまり心身ともに生きがいを感じている、だからやめない、だから入会しました、そういうデータが出ております。お年寄りがずっと家の中に閉じこもって、介護の時間が長くなる、そしてその介護の日数が長くなる。そして、子供たちはというと、家庭からほうり出されて、学校でも教えてもらえない、家庭でも教えてもらえない、それが犯罪に走るという、犯罪の全体の半分以上がもう十代の青少年だと。殺しまでが行われる。
 私はそういう意味において、高齢者に仕事をという分野、もちろん雇用という問題がありますと同時に、さらにそれをリタイアしたその先にある高齢者の人生の最後の一番とうとい時間、そういうものが子供たちにもたっとばれ、そしてどこから見ても社会の一員であることを、やがて一度は通る高齢の道ですから、ぜひそのためにはこのオープンスペースの確保というものを、それほど多くのお金や資金が必要なものではないと思いますので、そういう意味において、労働省だけの問題ではありませんが、閣僚である大臣がひとつぜひ音頭をとって、そういう形でもっといいものにこれを仕上げていただいてできないものか。
 以上、時間が参りましたので、一言だけ、もしコメントがあれば、なければ結構でございます。お願いしておきます。
#42
○国務大臣(牧野隆守君) シルバーセンター、先生御指摘のとおり、この発足の歴史的な意味と非常にありがたい制度をつくっていただいたわけでありまして、また実際に各地区へ行きますと、人材センターの評判が非常によろしゅうございまして、お年寄りは喜んでおられますし、また関係者もこの制度を拡充強化すべきだという意見が非常に多く実は私の耳にも入ってきております。
 現実に、今政府としましては八百十六団体を国庫補助の対象にいたしておりますが、実は自治省が交付金の対象にこの八百十六団体、政府が補助金を出すものについて交付金を出すという措置をとっております。
 ですから、私自身としては、政府が補助金を出す出さないにかかわらず、地域の一つのあり方として、ぜひ自治省による交付金の対象、交付金を交付する場合の計算対象にしていただきたいなと、そういうことを念頭に置きながら、当省としては具体的な活動に対して、具体的に例えば先ほど政府参考人が返事しましたとおり、介護関係の研修をするとか、そういう形で具体的な活動がしやすいような措置を講じなければならないなと、こう思っております。
 それから最後に、オープンスペースのことをおっしゃったわけですが、実は介護関係を含めまして、スペースが欲しいということで文部大臣に直接話をしまして、学校は余っておりませんかと聞きましたら、現在の教室数の実は一割近くが余っているという状況でございます。小学校、中学校というのは付近の人が皆さん子供が行きやすい場所でそう遠くない場所でございますから、こういうことも念頭に置きまして、文部省としてはもう貸し出し方、制度は全部決まっておりまして、福祉施設その他には自由にお貸ししますよ、こういうことになっておりますので、このことも念頭に置きながら、今先生がおっしゃったような、単に仕事を見つけるということじゃなくて、地域の住民との一つの融和のセンターになるというような方向にもぜひ行っていただきたいなと。そういう点では先生の御意向と同じでございまして、そういう点からもスペースの確保等、これも土地を買って、それから建物を建て、設備をするというそこまでの必要がないわけですから、そういうことも念頭に置きまして、非常に評判のいい人材センターの拡充強化に努めていきたいなと、こう考えております。
#43
○長谷川清君 どうもありがとうございました。
#44
○斉藤滋宣君 自由民主党の斉藤滋宣でございます。
 質問通告書は出してありますけれども、恐らく長谷川先生と大分ダブるところもありますので、なるべくダブらないようにしたいと思いますけれども、いつも我が党は一番最初に質問するものですから、二番手以降に質問する他党の先生の御苦労を今までは存じ上げておりませんでしたが、きょう、しみじみとその御苦労がわかりました。かなりダブっている部分もあろうかと思いますので、それを避けながら質問をさせていただきたいと思います。
 先ほど長谷川先生からもお話があったわけでありますけれども、これまで、詳しくは長谷川先生がお話しされましたから申し上げませんけれども、四度にわたる雇用対策をとってこられた。私は、労働省の御見解では、四度のその雇用対策をとったことがいわゆる雇用対策の下支え効果があったということをよくおっしゃるわけでありますけれども、例えば先ほどもお話があったとおり、雇用活性化総合プランでは百万人の雇用創出・安定を目指す、そしてまた緊急雇用対策では七十万人の雇用、そしてまた就業機会の拡大を図るということを言われたときに、我々もこの委員会に入ってこういう議論に参加しているから、百万人、七十万人という新聞発表があると、一概にそれを足した数字が雇用創出効果にあらわれてこないんだということは理解できるわけですけれども、ただ国民サイドからすれば、百万人の雇用がふえますよ、七十万人の雇用がふえますよと言うと、やはり百七十万人と行かなくても、かなり多くの雇用創出効果があるんだなと思うと思うんですね。
 しかし、現状はどうかというと、二月段階、先日の本会議でも質問がありましたけれども、完全失業率を見ると四・九%、男性においては五・一%という史上最悪の失業率になっている。例えば百七十万人とは言わないけれども、その規模の雇用創出効果があれば、二%や三%の完全失業率は下がるんではないかというそういう期待が大きいと思うんですね。そこへ、そういう期待しているところにこういう史上最悪の数字が出るということに対し、やはりかなり国民の立場からすると失望が大きいのではないのかな、そういう気がいたします。
 そこでお伺いしますけれども、今、現下の雇用情勢、大変厳しいものがありますけれども、新聞発表によると、労働省の見解では、ほかの調査の結果を見る限り厳しい雇用調整が最近実施されたとは考えにくい、雇用者が前年同月に比べて、企業規模五百人未満では減少しているが五百人以上では増加しているという見解を示されておりますけれども、この現下の雇用状況について労働省の見解をお伺いしたいということと、もう一つは、これから以降、いわゆる学卒未就職者それから定年退職者が出てくることを考えますと、今この史上最悪と言われている完全失業率がさらに上がるんではないかという懸念もあるわけですけれども、それに対する労働省のお考え方をお聞きしたいと思います。
#45
○国務大臣(牧野隆守君) ことしの新卒の就職率ですが、労働省挙げて、また文部省も大変な協力をしていただいて、学校当局も十二分の御協力をいただきまして、ただいまの私どもで集計した中間集計によりますと、三月末現在で大体高校生については九一・八%という数字が出てきております。大学等についてはまだわかりませんが、しかし相当皆さんの御努力によって、特に高校生の就職については相当の程度まで進んだなというのが実感でございます。
 ことしは非常に悪いのかなと、そうしますと失業率はさらに上がるのではないかと実は非常に心配をいたしておりましたが、もちろん新卒の未就職者が昨年以上に多いことだけはこれは間違いないわけでございまして、これについて何らかの具体的な対策は講じなきゃならない、こう考えております。
 それ以外に、大手企業によるリストラの具体的な実行、あるいは中小企業の倒産件数の動向等を見ますと、やはり簡単に失業率がよくなるなんということは現段階において想像できません。これ以上ひどくならなければいいがなという希望は持っておりますが、しかしそれが見込めるというような情勢判断はいたしておりません。
 そこで、今先生御指摘のように、それじゃ政府・労働省のとっている具体的な雇用政策の効果はどうかということでありますが、先ほどからも先生方から御質問ありますように、まずセーフティーネット、これをどうやって確立するか。ですから、失業保険を受けられる方が既に百万人をオーバーしているわけでありまして、こういう方々につきましては研修もしていただきたいし、そういう形で失業状態から労働市場に積極的に入っていただくこと。さらに、個々の雇用創出等の制度を設けているわけでございまして、例えば中小労確法に基づく申請は非常に多く出てきておりまして、具体的に実は八万人の雇用が確定いたしております。お金一つかんがみましても、これだけで約一千億円をオーバーするお金が確実に支出されるというような状況にございます。
 しかしながら、先ほどから御指摘をいただいている成長産業等々の制度については、こういうことをやりますよと申しておりますが、具体的な交付の条件にいろいろ難しいところがあるのではないかというような感じでございまして、そういう点に改革の余地ありということで見直しを実は検討させていただいている次第であります。
 しかしながら、景気回復がなされませんと、基本的に雇用が増加するということはございません。例えば、建設業、公共投資で十億円の投資をいたしますと、これによって百三十人の雇用が確保される、こういうことで、私どもとしては下支えということで、いろいろ御批判がございますが、公共投資の増額についても、実は雇用確保という観点から積極的に支持させていただいておったわけであります。
 いずれにしても、先生おっしゃったように、七十万、百万という数字が今まで出ておりますが、これは全体の景気対策等と関連いたしまして、一応の見込みという形で推定をさせていただいたわけでありますが、これとはほかに、労働省としては具体的な政策で、じゃどれだけ雇用が確保されるかさらに詰めていき、雇用不安をなくするために最大の努力をいたしたい、こう考えております。
#46
○斉藤滋宣君 私も、失業率が一たん上がるとなかなか下がらないという履歴現象があることもよく承知しておりますけれども、先ほど長谷川委員の方からもお話がありましたけれども、雇用対策について現場の声を聞いているかという御質問も先ほどありました。
 私は、せっかくこういう雇用対策をとるわけでありますから、やはりきちっと検証、精査する必要があるんではないか。今までどういう政策がとられ、その効果がどうであったか、どれだけの人が雇用されたか、実際に効果があったかなかったか、利用されたか利用されなかったか。やっぱりそういうデータというものをしっかりと公開した上で、学者の先生だとか、政労使が一体となってその政策評価をする場というものをつくって、本当に必要なもの、効果の上がるものはさらに充実、拡充していく。だけれども、効果の上がらないものはやめていく。そして、その浮いた分を本当に効果の上がるところに人もお金も回す。そして、実効のある雇用対策というものをする必要があるのではないか。そういう場をきちっと設けて精査してこなかったことが、私はちょっと問題があるのではないかと。そういう場を設けて、オープンな形で議論をし、この雇用対策に対する評価、精査というものをきちっとやっていっていただきたい。これは私の要望でありますけれども、もし労働省に御意見があればお聞きしたいと思います。
#47
○国務大臣(牧野隆守君) 私自身も、先生御指摘のことが念頭にございまして、そういう観点から現在各制度を精査いたしております。できれば、今先生がおっしゃったようなことで、堂々と効果を評価し、進めるべき政策は進め、撤退すべき政策は撤退する。そのような気持ちで現在執務させていただいておるところであります。
#48
○斉藤滋宣君 今回の法律案改正の問題に入りたいと思いますけれども、先ほども、ダブってしまって大変困っておるのですけれども、長谷川委員から御質問ありましたけれども、私が国会へ出てくる前の話なものですから、ちょっとお話をお聞きしたいと思うんです。
 先ほどの質問の中にもありましたけれども、いわゆる雇用保険における国庫負担率、平成十年に二〇%から一四%に引き下げた。先ほどの局長の答弁では財政改革の中の施策の一環という御説明であったわけでありますけれども、そこでお伺いしますが、この平成十年度、後から振り返れば、景気が大変悪くなるきっかけといいますか、一番波の高いところが始まった時期で、死んだ子の年を数えるようで、今振り返れば、ああすればよかったこうすればよかったということは幾らでも言えるということはあろうかと思いますけれども、それをあえて承知の上でお聞きしますけれども、この平成十年度に国庫負担率を下げたとき、この時点でいわゆる完全失業率をどの程度に想定され、そういう負担率を下げても大体どの程度の完全失業率まで雇用保険財政がもつというふうに判断しておられたのか、もしその数字があれば教えていただきたいと思います。
#49
○政府参考人(渡邊信君) 今御指摘ありましたように、平成十年度から雇用保険におきます国庫負担率を二〇%から一四%に引き下げたわけでありますが、これは財政構造改革の一環として雇用保険もその対象になるということでこういった引き下げが行われたわけでありますけれども、ただ、こういうことが議論されました平成九年度におきましては失業率はまだ三%台だったわけでありまして、平成十年四月に初めて我が国の失業率が四・〇ということで四%に乗ったということで、なかなか私どもも平成九年の段階でそういった見通しは難しかったわけであります。
 ただ、雇用保険の財政について見ますと、平成十年度の末におきます積立金の残高はなお二兆九千億ぐらいあるというふうに想定をしておりましたから、国庫の負担率は下げましたけれども、なお十年度末におきましても三兆円近い積み立てはある、このときの十年度の支出が一兆七千億ぐらいでありますから、それに対してまだ三兆円ぐらいの積立金はあったということもありました。こういったこともありまして財政構造改革の一環として負担率を下げたということでございまして、十年の四月からもうずっと四%台に失業率が高くなったということは大変残念ながら平成九年ぐらいの段階ではまだ見通すことはできなかったかというふうに思います。
#50
○斉藤滋宣君 そうしますと、今の御答弁ですと、じゃ完全失業率を想定しておったのは、三%の後半ぐらいを想定しておったということでありますか。
#51
○政府参考人(渡邊信君) 少なくとも私どもの意識でいきますと、我が国は四%失業率というのはかつて経験したことがないわけでありまして、四%台に乗るというふうなことは想定しておりませんでした。
#52
○斉藤滋宣君 ちょっときつい言い方になるかもしれませんが、また後でも質問しますけれども、かつてなかったから四%台を想定しなかったという今御答弁ですけれども、では、今議論になっている雇用保険財政、どこまでもつかというと、今までかつて想像したこともない五%台の後半まで想定して今回の改正を行っているわけですよね。ある意味では、一四%に引き下げるときでも、これからの完全失業率が大体どの辺でもって推移するかということが当然にあるからこの財政規模でもつんだ、この負担率で、保険料率でもつんだという議論が当然されているわけでありますから、四%台というのは今まで経験がないからそういう想定はなかったという議論には私はならないんじゃないか。
 後ほど聞きますけれども、じゃ、なぜ今回四%台後半から五%台後半まで想定してやったのかというそこのところと矛盾するんではないかと思いますが、局長の御意見はいかがでしょうか。
#53
○政府参考人(渡邊信君) この点は先ほど申し上げたところでございますが、この保険財政におきましては積立金というものが過去かなりありまして、先ほど申し上げましたように、十年度一兆七千億程度の支出を見込みましても、なお年度末、期末におきまして三兆円程度の余裕金が見込まれたところでございます。したがいまして、保険財政の約二兆円弱の支出から見て、なおかなりの余裕金もある、こういったことも判断材料にいたしまして国庫負担の減額というふうな措置も行われたものというふうに認識をしております。
#54
○斉藤滋宣君 まだ質問にお答えいただいていませんが、後でまた質問しますからいいんですけれども、確かに先ほど来お話のあるように、積立金残高が非常に高いということをおっしゃいますが、これは労働省からいただいた資料で先ほどから局長が御答弁されている中身でありますけれども、五年度から九年度まで失業率が一%上がったことによって積立金残高は一兆円減っています。それから、十年度に二〇%から一四%に国庫負担率を下げることによって負担額が六%下がっていくわけですね。
 そうしますと、いただいた資料、これ、国庫負担金そのものがその年度だけの負担金じゃありませんから単純に比較はできないにしても、これが一%下がることによってどの程度下がっていくかという単純な計算をやっていきますと、引き下げたことによって大体二千億から三千億ぐらいずつ国庫負担金が減っていく、そうすると四年間で一兆円は減るという計算ができたと思うんです。
 そこでまず一つは、これを引き下げたことによって四年間で積立金が一兆円減る、それから先ほども言ったように、これは議論のあるところでしょうけれども、この時点での三・五%、上を見て例えば四・五%程度、幅を持ってその程度でも耐えられるということを考えれば、一%完全失業率が上がれば一兆円の積立金が減るわけですから、そうするとこの時点から二、三年、四年ぐらいの間に二兆円ぐらいの積立金が減るということが想像できたんじゃないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
#55
○政府参考人(渡邊信君) 政府といたしましては、この間の景気後退に対して、まず景気の回復を行う、それから雇用の回復を行うということを最重点にしていたわけでありまして、そういった努力によって結果として雇用保険の財政の改善が図られる、そういう努力を続けていた、こういうことでございまして、このままどんどん失業率が上昇するんだという前提ではなくて、むしろ失業率を下げようという努力を、累次の、先ほどから申し上げておりますが、雇用対策を打つことによりましてむしろ雇用の安定を図る、その面に努力を傾注していたわけでございます。
#56
○斉藤滋宣君 それではお伺いしますけれども、例えば今回の改正で失業率を四%台半ば、最大五%台半ばとしておりますよね、その範囲に耐えられると。しかし、例えば雇用政策研究会の見通しを見てみますと、特に対策を講じなければ、経済成長率にもよるけれども、四%台前半から五%台前半になる。それから、第九次の雇用対策計画の一番最後に参考が載っていますけれども、あれは経企庁の試算だと思いますけれども、いろんな対策をした上で、できれば失業率二〇一〇年ごろには三%台後半から四%台前半。今これまさに局長がおっしゃっているように、雇用政策を進めていく上においては当然にいろんな対策をとっていくから今より失業率を下げたり、できれば現状を維持するような目標数値を持ってやっていくというのはこれは当然だと思うんです。
 でも、そういう中にあっても今回なぜ四%台半ばと五%台半ばということを設定したかというと、当然に雇用保険というのはセーフティーネットですから、高くなっても安全弁として働くような仕組みをつくるためにこういう数字にしたと思うんです。であれば、なぜ平成十年当時はそういう目標数値がこの雇用保険財政の完全失業率の見込みになって、今回は一%以上上回ったものを用いて財政計画を立てるのか、ここに私は矛盾を感じるんですが、いかがでしょうか。
#57
○政府参考人(渡邊信君) この雇用保険につきましては、もう少し早めに対策を打つべきではなかったかという御意見もありますし、私ども率直にその点については認めざるを得ないというふうに思っているわけでありますが、なお平成八年、九年、十年という推移を見ますと、積立金は減少はしておりましたけれども、なお支出に対しても相当のこれをオーバーするような積立金があったというふうな状況でございます。
 今般、四・五から五%の半ばを想定した制度設計にしておりますが、これは十二年度の政府経済見通しにおきましても年間平均失業率は四・五というふうなことを見込んでおりますし、なおこれが急激な改善というのはなかなか難しい面もあろうか、こういったことも想定いたしまして四・五あたりを千分の十二に対応する失業率として設計をしておりますが、なお、プラスマイナス二の弾力条項というものも設けておりますので、この発動によれば千分の二をプラスすれば五%の半ばまでは対応できる、これはあくまで仮定の話でありまして、千分の二というものはもちろん発動しないように努力をしなきゃいけないというふうに思っています。ただ、制度の余裕といいますか、そういった面では法律改正によらずに、上限には千分の二は改定できるということにしておるわけでございます。
#58
○斉藤滋宣君 大変申しわけないんですけれども、私は平成十年度において、そこにセーフティーネットとしての雇用保険というものを考えれば、当然に九年度における失業率に一%ぐらい上乗せしたものを考えて、今局長は四%台が今までなかったから想定していなかったと言いますけれども、そうではなくて、やはり四・五%ぐらいのものを想定した上で、それで財政計画というものを立てるべきだったと思うんです。今さら言ってもしようがないですけれども。
 だから、僕が言いたいのは、いわゆる財政構造改革という流れの中で恐らく労働省さんも大蔵とも非常に協議をやった結果だと思うんです。それこそ血を流し汗を流した結果だと思うけれども、でもこういう大事な問題は、たとえどれだけぶつかっても、財政構造改革という大きな命題があってもやはり労働者の、国民のセーフティーネットを守るということについてしっかりとした哲学を持って、けんかしてでも守っていくというような気概が必要だと思うのであえて今言っているわけであります。
 ですから、それに対する見解が違うことはこれは仕方ないですからいいですけれども、私はやっぱりこの平成十年度における完全失業率の設定の仕方、それから財政見込みがちょっと甘かったんではないのかな、先ほど来言うように、失業率が一%上がれば一兆円の積立金は減っていくし、それからこれだけ一四%に下げれば、四年間ぐらいの間にまた一兆円の積立金、要するに国庫負担金が減るわけですから、二兆円減るという計算になると思うんです、そのままでいっても。だから、私はそういう面では、今回の改正とまた後で連動して話をしますけれども、この時点での労働省の見込みはちょっと甘かったのかなという気がします。
 ですから、今局長の話もありましたけれども、その時点でそういう厳しい観測を持っていれば、これは十年度に一四%に下げてすぐにまた改正するというのは非常にやりづらかったとは思いますけれども、例えばこういう財政の悪化を見ているならば十一年度、十年度、十一年度でもいいんですけれども、そのときに今回のように本則に戻すようなことは考えられなかったのかな、そのように思うんですが、いかがでしょうか。
#59
○政府参考人(渡邊信君) 先ほど少し言葉が足りなかったかと思いますが、私ども、この一四%に下げざるを得ないという状況の中で雇用保険の財政が悪化するということを全く予知しなかったわけではもちろんありませんで、予算のセットの段階におきまして、当時の労働大臣から状況の変化によっては国庫負担の見直しがあり得るということを強く財政当局に申し入れておる、こういった事実がございますので、補足をさせていただきたいと思います。
 なお、保険制度の改正は、単に負担の改正というだけでなくて、給付と負担と両面にわたる改正というものをセットで恐らく議論していただく必要があろうと思います。そういったことで、この負担の見直しにつきましても今般のいわば抜本見直しの中で検討させていただいた、こういうことかと思います。
#60
○斉藤滋宣君 時間がありませんので余り議論はしませんけれども。本当に私自身いただいている資料も大した資料でもありませんし、単純にいただいた資料を計算してみますと、例えば十一年度、これはもう仮定で結構ですけれども、十一年度でそれぞれ例えば保険料収入、国庫負担率、本則に戻していければ、積立金残高で平成十一年度では二兆五千五百億円台、それから、平成十二年度は減っていきますけれども一兆八千億ぐらい。また、平成十二年度で本則に戻したとしても、平成十二年度の積立金は一兆円を超えるような積み立てができたんではないかと私は思っておるわけです。ですから、もっと早い時期にこの雇用保険財政の悪化ということをやっぱり考えられ、そして本則に戻すべきだったんではないのかな、そういう気がしてなりません。これは私の意見として申し上げておきます。
 ですから、このことをもっと早くにやっていれば、例えば今回の改正でもいいんですけれども、こういうことをもっと早くやっていると、ここまで雇用不安というのは増大しなかったんではないかと思うんです。私は、今回の改正というのは大変中身の議論としては評価する点多いわけです。だけれども、この対策のおくれというものが非常に致命的に感じてならないものですから、これをもっと早くやっておけば雇用不安をもう少し解消できたと思うんですが、局長、いかがでしょうか。
#61
○政府参考人(渡邊信君) そこのところはいろいろ議論があるところではないかというふうに思います。
 先ほどからも、これは繰り返しですが、平成十年度の余裕金が約三兆円、そのときの支出が一兆七千億ということでございますから、そのときに国庫負担を本則に戻す、あるいは保険料負担を労使の負担を千分の八から千分の十一にするということについて、果たして公労使の例えばコンセンサスを得られたかどうか、なかなかそういった問題もあるのではないかというふうに思います。ここのところは、今考えますともう少し早く手だてがあったかという気もいたしますが、そこのところは今申しましたような財政状況の中で、例えば平成十年度にそういうことを打ち出すということについてはなかなか困難さもあるということもまた御理解賜りたいと思います。
#62
○斉藤滋宣君 またもとに戻ってしまいましたけれども。私は公労使というのは大変大事な関係を持たなきゃいかぬと思いますが、少なくとも労働省というのはこの労働行政を一手に担う省庁だと思います。ですから、時には、大変言葉は悪いかもしれないけれども、国民の反発を受けても本当に労働省として国民の福祉を守るためにこの政策が必要だということをしっかり哲学を持っていれば、意見は対立しても通さなければならない意見というものは通していかなきゃいけない、ある意味では職を賭してそこまでやっぱり腹をくくってやる場面というのはあるんじゃないのかな、そういうふうに思います。
 そこで、先ほどちょっと話を戻すと言ったのは、大変失礼なんですけれども、九年度でそういう財政見込みをして十年度からこういう悪化になったということですけれども、やっぱりそのときの時点でも労働省としては四・五%ぐらいを見込む必要があっただろうと思うのと、それと、見込まなくても一四%に下げれば三、四年でもって一兆円ぐらい国庫負担率の額が下がるということがわかっているわけですから、だからそこのところでもう少しきちっと検討すべきではなかったのかなということを申し上げたいと思います。
 そこで、時間がありませんのでまた次の方に移りたいと思いますけれども、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、今回の改正案で、先ほどの質問の中にもありましたけれども、今回の改正された保険料率、国庫負担率でもってどのぐらいの完全失業率までもてるかという議論がありました。当然に、書いてありますから五%台半ば、これも弾力条項を使って千分の十四を使った場合に五%台半ばまでもつだろうと、そういう御答弁がありました。
 そこでお伺いしますけれども、ではこの五%台半ばまでもつという算出根拠をちょっと教えていただきたいと思います。
#63
○政府参考人(渡邊信君) ちょっと詳しい算出は手元にございませんけれども、これは給付の方はあくまで失業率に完全に連動しているわけではありませんで、その時々のどの層からどのくらい失業者が出たかということによって具体的には決まっていくわけでありますけれども、失業率ともちろんある程度の保険の受給者とは連動があるわけでありまして、そういったことを加味しながら考えてみますと、千分の十一では四%台半ばの失業率にはどうも耐えられない、千分の十二まで引き上げてちょうど四%台半ばになるのではないか、こういった試算でございます。
 なお、これに千分の二を加えて五%台半ばまでの負担に耐えられるであろうと。これは過去の失業の発生状況とそれに対します給付等、そういったものから見て推計をしているものでございます。
#64
○斉藤滋宣君 これもまた私の大変稚拙な資料の乏しい計算ですけれども、私は、弾力条項を使って千分の十四にしても、大体収支とんとんになるんでしょうけれども、若干支出が上回ってくるんではないのかなという感じがするんですが、いかがでしょうか。
#65
○政府参考人(渡邊信君) ここのところは、例えば高齢者対策をどういうふうに進めるかとか、いろんな要素はあるかと思いますが、私どもの現行の前提の推定では五%半ばまでというふうに推計をしております。
#66
○斉藤滋宣君 その五%台半ばまでというのは、弾力条項千分の十四を使って支出それから収入がとんとんという意味で考えてよろしいですか。
#67
○政府参考人(渡邊信君) そういう意味でございます。
#68
○斉藤滋宣君 それではお伺いしたいと思いますが、いわゆる積立金残高、この残高の適正規模は労働省はどのぐらいの額と考えておられるでしょうか。
#69
○政府参考人(渡邊信君) この点は法律に盛り込んであるわけでございますけれども、従来、積立金の適正規模につきましては、法律では、保険料の収入と対比をいたしまして、積立金が収入の二倍を超えるときには保険料率を下げ、それから積立金が収入の一倍を下回るときには保険料率を弾力条項によって上げる、こういう基準になっておりました。
 ただ、この基準でいきますと、収入の方は、例えば平成六年度の収入は一兆七千億で、十年度収入でも一兆七千億というふうに、この間かなり景気の変動がありましたけれども、大体このぐらいの水準で横ばいであります。したがって、収入というのはなかなか雇用保険の財政の状況というのを的確には表現しない面があろうかと思います。
 これに対しまして支出を見ますと、平成六年度が約一兆八千億の支出に対しまして、平成十年度は二兆七千億というふうに一兆円もふえているわけでありまして、景気変動の影響をもろに受けるのは支出の方であろうかというふうに思います。
 そういったことで、今般、収入と比較しますことをやめまして、支出の方と積立金を対比いたしまして、支出の額の二倍以上あれば保険料率を下げるし、一倍以下であれば保険料率を上げる、こういうことにしておりまして、私どもといたしましてもこの法律の条文どおり一倍ないし二倍ぐらいが積立金の適正規模ではないかというふうに考えております。
#70
○斉藤滋宣君 そうしますと、例えばこれはいただいた資料の十二年度予定ですけれども、今積立金残高は二千六百九十三億。今までの保険料収入で比較すると一兆二千七百八億ですから、一兆円ぐらい下回っている、それから今回改正される支出で見ると二兆円弱下回っていることになりますね。
 そうすると、今ここでもって保険料率を本則よりまだ一ポイント上げて設定し、国庫負担率を本則に戻す、このことによって失業率大体四%台半ばぐらいがとんとんだと。そして、もし五%台になれば千分の十四まで見て、それで大体とんとんというと、ではどこで今適正規模という積立金残高を積み上げていこうとするのか、ちょっと私には理解できないんですが、教えていただけますか。
#71
○政府参考人(渡邊信君) この積立金と申しますのは、収支とんとんでいくのが、安定的に推移するのがもちろん一番望ましい形でありますが、なかなか見通しがきかないところもありますから、この積立金の制度というものがあろうかというように思います。
 確かにおっしゃいますように、十二年度末では三千億弱の積立金しか残らないではないかという見通しでありますが、このほかに例えば予備費を約二千億ぐらい組んでおりますから、そういった意味では五千億ぐらいのまだ財政の余裕があるというふうなことでございまして、当面は少なくともこの改正をお願いする負担率によって運営をしていこうと考えております。
#72
○斉藤滋宣君 確かにおっしゃるように収支とんとんでいくことはいいことなのかもしれませんけれども、それこそ中央職業安定審議会の専門調査委員雇用保険部会の中間報告の中で、雇用保険の見直しに当たっての留意すべき点、今まさに局長がおっしゃったようにとんとんということが望ましい、だけれども、経済の好不況があるから積立金を積んでおきなさいよということを言っておるわけですね、全部読みませんけれども。
 であれば、今、予備費があるから五千億ぐらいの積立金があるとおっしゃるけれども、今回見直すことによって、支出との比較でもって適正規模を見る。今まで少なかった保険料収入で見てもかなりの額が下回っているわけですよね。であれば、今これから改正されるところでも収支とんとんということであれば、そういう適正規模を大幅に下回っているままで積立金残高を残しておいていいのかという疑問が私はあるんですけれども、いかがでしょうか。
#73
○政府参考人(渡邊信君) 現在、景気は緩やかな回復基調にあるということでありますし、私どもとしましても、景気回復によって失業者の発生そのものを抑えるということが先決であるというふうに思います。
 今般の改正で労使の負担も千分の八から千分の十二というふうに五割のアップということをお願いするわけでありますから、なお予備費も含めますと五千億程度の余裕金があるときに、こういう状況で直ちに弾力条項の発動をするという状況ではないのではなかろうかというように思っているところでございます。
#74
○斉藤滋宣君 それではお伺いしますが、この積立金の積み増しはしなくていいんでしょうか。
#75
○政府参考人(渡邊信君) この積立金の積み増しというのはあくまで結果として発生するわけでありまして、支出より収入が上回ったときにこれを積立金として積み立てておくという制度でございます。したがいまして、千分の十二ということでありますと、四%台半ばの失業率で収支ほぼ償うというところでございますから、これを積み増していく余裕というのは当面はなかなか難しいかと思います。
#76
○斉藤滋宣君 確かに状況は私も理解しているつもりであえて聞いているんですけれども、であれば、積立金を積み立てられないという格好で低いままにしておくということは、先ほども申し上げたように、要するに経済の好不況によってこの雇用保険の財政がかなり影響されるところがあるわけですから、それに耐えられるのかなという気がするんです、予備費を入れても。また、少なくとも今ここで改正をすれば、来年、再来年という近い時期に料率を上げたりなんなりはなかなかしづらいと思うんです。ですから、やっぱりここできちっと積み上げるものは積み上げたらどうなのかな、そういう気がいたします。
 例えば、先ほどもちょっと言いましたけれども、国庫負担率の例外措置、今まで適用してきていましたから、そのいわゆる四分の一の三分の一適用というのはできないことは承知していますけれども、でも積立金残高が適正規模に全然届いていないような状況を考えれば、ここでもって例えば、例外中の例外かもしれませんけれども、その四分の一の二五%ではなくして、ここで三分の一まで国が見て積立金を増したらどうなのかな、先ほど来言っているように、私の単純な計算では四千億ぐらい積み増しできるんじゃないのかなと思うんです。そうすれば、予備費の分と入れて、今残っている分を入れれば一兆円近い積立残高ができるわけですから。
 今回の、本則を超えてさらに一ポイント上げたことに対して、いわゆる経営者側、大変異論があった話も聞いておりますけれども、ここは痛みを分けるということをひとつ考えて、国が本則に戻したままだけであることに対して若干の批判もあるわけですから、ここで十二年度の分について、例外中の例外でもって四分の一の部分を三分の一まで見るような例外措置というのはできないのかなというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
#77
○政府参考人(渡邊信君) この国庫負担につきましては、今般四分の一の原則に戻すということで御提案をしているわけでございますけれども、これでもって労使の負担も五割もアップさせていただくということで、収支が相償うのではなかろうか。なお、予備費も入れますと五千億程度の積立金、余裕金もあるというふうな状況でございますから、こういった状況の中で積立金を積み増すためだけに国庫の負担をふやすということはなかなか難しい状況ではないかというふうに思いますし、まず私どもとしましては、月平均で今百万を超えている受給者、これを減らすことがまずもって最大の努力すべき点ではないかというふうに思いますし、弾力条項もあることでありますから、将来仮にこの支出がふえるということになれば、まずその発動というものを検討すべきではないかというふうに考えております。
#78
○斉藤滋宣君 そこが議論の分かれるところで、支出がふえたら弾力条項を使うということは、支出がふえるというのはただ単純に完全失業率が上がるということを指さないかもしれないけれども、でもいわゆる失業率が高まるから支出が多くなっていく、失業者が多くなるからそういう格好になるわけですから。そうすると、今予定しているのは、五%台半ばでもって弾力条項を使って収支がとんとんとなっているときに、収支がよくなるということは考えられないんじゃないかと思うんです。
 ですから、私は何回も言うように、一四%というのを、もうある意味では例外的に二五%を一四%にしてきているわけですから、その分、言ってみれば国はお金の節約になってきているわけですね。だったら、ここでもって積立金がこういう大変少ない状況にある中ですから、四分の一に戻すところにとどまらないで、いっそのこと十二年度にさかのぼって例外措置をとって、積立金を四千億ぐらい上乗せする。そうすることによって、予備費を使えば一兆円近い積立金残高になりますから、もっと雇用保険財政に余裕ができてくるのではないか。そのことによっていろんな、後ほど御質問しますけれども、中身の充実ということもできるのじゃないのかなというふうに思うんですが、もう一度御答弁をお願いします。
#79
○政府参考人(渡邊信君) 国の雇用対策といたしましては、四度にわたる雇用対策、特別の対策も組んできたわけでございますし、特に昨年におきましては二千億円の地方の交付金とか、そういったことで国としても積極的に雇用対策のための支出を現在行っているわけであります。
 この雇用保険につきましては、国庫負担を四分の一に戻す、あるいは労使の負担を五割アップするということで支出が賄える、こういう想定でございますから、それを超えてさらに国の負担によって積立金を積み増すということは、この厳しい国家財政の中ではなかなか理解の得られないことではないかというふうに思っております。
#80
○斉藤滋宣君 私は今局長の言わんとすることも理解できるんですけれども、ですから冒頭に聞いたのは、今までだって雇用対策、これ以上とれないという対策をとってきているにもかかわらず、完全失業率はどんどん上がってきているじゃないですか。これからも景気変動によってまたいろんな場面が想定されるかもしれませんけれども、いろんな対策をとってきても現実にこうやって完全失業率が上がってきて失業者数がふえている、そのことによって雇用保険の財政が逼迫してきている。
 だから、私が心配するのは、今ここで積立金残高を少ないままにしていけば、もし完全失業率が上がっていけば、いわゆる弾力条項を使ったってそれで収支がとんとんになるところしか見ていなければ、積立金も底をついてしまったときにまた料率を上げるという議論が出てくるんじゃないかということを心配するから、ここである程度先に手を打っておいて、それで雇用保険財政の中に余裕を持たせた議論をしていくべきだという論を張っているわけですけれども、いかがでしょうか。
#81
○国務大臣(牧野隆守君) 先生から貴重な御論議を賜って、私どもも今回の決定につきましてはいろんな仮定の状況について検討をいたしました。しかし、原則に戻ること、これによって当面解決できる、お金の支払いには困らない。それ以上に、御承知のとおりアメリカにおきましてもヨーロッパにおきましても高い失業率というのはこれはもう社会不安のもとでございまして、あらゆる手段を講じて失業率が上がらないようにするのが政府の役目でございます。
 そういう点で、今までも御説明いたしておりますが、今IT関連の投資が非常に伸びてきておりまして、しばらくは雇用はふえないかもしれませんが、アメリカの実例を参考にかんがみますと、日本の総設備投資に対するIT関連の投資が、去年の場合はまだアメリカより二年おくれ、おととしの場合は三年おくれ、その前の年はアメリカと比べて五年おくれでございました。IT投資の増大によってアメリカにおいて雇用が確保されていることは、私ども一つの貴重な参考意見として実は注目いたしているわけであります。
 そういう点で、今大変な構造改革が行われているわけでありますが、民間の設備投資がそういう方向に進んでおりますし、それが促進されるように私ども雇用対策の面から何らかの措置を講ずることができないかと。
 そしてもう一つは、新たないわゆる雇用の場を確立するということ。これは福祉関係でございまして、介護につきましてもあるいは保育関係につきましてもそういう需要がはっきり見えているわけでありますから、これが創造できるように私どもとしては労働省の立場からもそのような施策を推進させていただきたい。
 こういうことを実施することによって、これ以上失業率が上がらないようにはっきりした見通しを持たなければならないなと、こういうように今考えて具体的な施策の検討に入っていっておりまして、先ほど政府参考人が説明いたしましたように、一応原則に戻ることによってセーフティーネットとしては国民の皆さんには心配かけなくて済む、そこまで行かないように全精力を投入するということで、私どもとしては今政策を積極的に推進していく方向に全力を投球しているという実情を御了承賜りたいと思います。
#82
○斉藤滋宣君 大臣のおっしゃることもよくわかるんですけれども、私が言いたいのは、なぜ最初に平成十年度のときのいわゆる国庫負担率を一四%に下げたときの完全失業率にこだわるかというと、大変申しわけないですけれども、やはりあそこの時点における労働省の甘さみたいなのを私は感じたものですから、あえて冒頭に話をしたわけです。
 であれば、あのときの対策の経験則からのっとって、一つ私は逆に言えば労働省が考え方を変えていただいたのかなと思うのは、あの時点では、先ほど局長答弁にあったように、四%台という失業率がなかったから想定しなかった。だけれども結果として雇用保険財政が破綻してきた。だから今回は、五%というものを経験していないけれども、五%台半ばまで考えた財政構造をつくってみた。それは一つの経験則の中で得た知識、知恵と言ったら大変失礼かもしれないけれども、それでもってこういうところまでセーフティーネットを広げて考えていただいたと思うのです。
 でもやっぱり、私はもう少しあの平成九年度、十年度のときの経験を生かして、あれだけ積立金残高があっても今現在こういう厳しい保険財政になっているんだから、だからせめて、とんとんであれば積立金要りませんよと言うけれども、じゃ本当にとんとんでいくかといったら、私はちょっと厳しいんじゃないかなという気もするわけですよ。
 であれば、本当に一番上限でセットしているところでもって、積立金残高も適正な金額になる、それから収支もうまく回っていく。そこで何か経済変動等でもって失業者の数がふえて給付支出がふえたらそれに対応していく、そういうことをやっぱり僕はきちっとやるべきだと思うんです。
 だから、あえて言わせていただければ、確かに今回本則に戻した以上に保険料率を一ポイント上げたことによって大変な議論があったことは聞いております。
 だけれども、本当に必要なものだったら、これから五年、十年、二十年としてこの雇用保険財政というものをきっちり考えて、こうあるべきだと労働省が思うのであれば、一ポイント上げようと二ポイント上げようと三ポイント上げようと、私はやるべきだと思うんですよ。そのかわり、国もきちっと負担する。そのぐらいの腹構えでもって取り組まなければ、周りがこう言うから、そういうことで流される。反対があるからやめようではなくして、本当にこれからの国民の福祉の増進のためにこれが必要な制度で破綻させちゃいけないんだということをしっかりと考えるならば、そういう哲学を持って私はやるべきだと。
 だから、今回のせっかくの見直しのときに、ここまでいろんな議論をしてきたんだから、もっと議論を積み上げて、負担率が少し高くなってもやはり本当にみんなが安心して使える雇用保険財政というものをつくるという努力はなされなきゃならない。そのためには、国もそのかわり痛みを分け合う。だから、ここで適正規模の積立金残高を残すように頑張っていくというのが私は自然の姿じゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#83
○政府参考人(渡邊信君) 過去の経験から学んだ面もあるんじゃないかということでございますけれども、確かに、収支とんとんであれば、現在の状況で弾力条項を発動して、例えば千分の十に設定をしてプラス・マイナスの千分の二を使って千分の十二にするということも考えられなくはなかったと思うんですけれども、そういったことではなくて、やはり余裕を見て保険財政を運営する必要があるということで、千分の十二プラス・マイナス千分の二という弾力条項を設定しておるわけでありまして、こういったことによって五%半ばまでの失業率というものを想定したということでございます。
 ただ、これで対応できないという事態になりますと、六%に日本の失業率が近づくという事態でありますから、仮にそういうことになれば、これはもう単に雇用保険の問題ではなくて、もっと積極的に雇用の場をつくっていくというふうに国を挙げてのそういった面での雇用対策での対応というものがないと、これを幾ら積み増しても保険だけで対応することは不可能ではないかというふうに思います。
 私どもとしては、五%半ばの失業率というのは相当高い水準を想定しているものだというふうに思っておりますし、現在、景気も緩やかに回復しているということでございますから、残念ながら雇用の回復は景気の回復に一般的にはややおくれますけれども、こういったことで、むしろ月百万を超える受給者数を減じるということが目標であろうかというふうに思っておりまして、私どもとしましては、五%半ばはかなり高い水準を見ているというふうに現在は思っております。
#84
○斉藤滋宣君 ちょっと今のは納得できないんですけれども、時間ありませんので移りますけれども、僕はやっぱり非常に不安があるんですね。今回の改正についても、確かに今まで課題となっておったいわゆる高齢者給付についての見直しだとか、そういうところに、いわゆるリストラに遭った方たちに手厚くする。議論すれば、何かというとそこの部分ばかりスポットライトが当たって、手厚くなった手厚くなったと言うけれども、現実に失業者のうちの三分の二は自発的離職者ですから、その人たちの待遇は減っていっている、悪くなっている。であれば、今の雇用保険の収支に合わせて制度を見直しただけであって、本当に国民の雇用保険のあるべき姿としてどうあるべきかという議論があって、だからどれだけの費用が必要なのかという議論が逆さまになってしまったような気がするんですよね。
 だから、先ほど長谷川先生が言いましたけれども、今回のいわゆる自発的離職者の、みんな一律に見直して百八十日という日にち設定をした。先ほどの、私も調べてきましたけれども、総務庁の調査によれば、全体の四一・六%の方が六カ月以上の失業なんですよね。一年以上は先ほど先生がおっしゃった数字ですけれども。だったら、本当にこの百八十日で大丈夫なのかなという不安はあると思うんですよ。
 それから、非自発離職者にしても、先ほどの一年以上の離職の数、中高年でいえば二七・九%、足して平均するとそうなるんですね。それでも、一年間の給付日数がない。
 だけれども、今ここでみんながこの改正の中でも仕方ないなと思うのは、財政的な部分からいっても今これが限度だろうと。その財政に合わせて待遇を、仕組みをつくっているからそういう議論になるんであって、本当は、僕はもうこれはいい機会だから、本来失業者がそういう給付を受けて、あるべき姿というものをきちっと議論して、そうすると、こういうものをやるためにはこれだけの財源が要るというもう一つの対案が一方にあって、それを両方議論していく中で、じゃどういう雇用保険の姿がいいのかという議論が本来なされるべきではないのかなと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
#85
○国務大臣(牧野隆守君) 雇用保険の料率あるいは給付日数、これは雇用保険法の根幹でありますが、いろんな御意見が十人十色でございまして、したがって私どもとしては、中央安定審議会でいろんな御意見、御意向を賜って、いずれにしましても決定しなきゃならないわけでありますから、そういう議論をちょうだいいたしまして、御了承をちょうだいいたしたと、こういうことでございまして、今先生の御意見は一つの貴重な意見として承らせていただきたいと、こう思います。
#86
○斉藤滋宣君 ですから私は、何回も言いますけれども、平成九年度、十年度のときのその国庫負担率を下げたときの経緯というものをやっぱりいつまでもこれを一つの経験則とするために頭の中に生かしておいて、それで雇用対策というものを考えていただきたいな、そういうふうに思うんです。今の大臣の御意見は御意見で結構でございますけれども、少し中身の話に入りたいと思います。
 給付額の算定方法、先ほど日数等の問題は質疑がありましたけれども、要するに離職前六カ月の賃金を基準とすることによって、高齢者においては今年功序列型の賃金体系になっていますから非常に高くなってしまう。そうすると再就職したときの賃金より高いということがあって、なかなか就職促進につながらないんではないか、私はそのように思うわけです。
 ですから、そこの部分をやはりもう一回、例えばとる期間を長くするだとか定額方式にするだとか、そういったこともこれから議論していかなければならないんではないのかなと思うんですが、その辺はいかがでしょうか。
#87
○政府参考人(渡邊信君) この雇用保険の目的は、あくまで再就職までの就職促進とその間の生活保障ということでございますから、今おっしゃいましたように、余りに失業給付の額が例えば一〇〇%出るということになると就職意欲がわいてこないというようなことがあるわけで、そういったことから賃金の低い人につきましては前職賃金の八割、通常は六割で失業給付を行っているわけであります。
 ただ、おっしゃいましたように、高齢者になりますと再就職をすると賃金が非常にダウンするというのが一般的でありまして、これはこれとして大変問題なのですけれども、そういったことを考えますと、高齢者は離職前は賃金が高い、再就職後は賃金が極端に低くなるというようなことがあります。そういったことで、現行制度におきましても、六十歳以上の方につきましては一定の日額以上の方については五割給付というふうにしておりまして、現在既にそういうことを勘案した制度があるわけでありまして、今般の見直しではその点についてはこれを維持するというふうにされたところであります。
#88
○斉藤滋宣君 私は、最終的にはやっぱり就職してもらうというところにねらいがあるわけですから、要するに給付を受けているときの方が待遇がよければなかなか就職は進まないと思うんです。ですから、これからの検討課題としてその辺も検討していただきたいと思いますし、それから先ほどいわゆる非自発的離職の具体例を挙げて御質問がありましたけれども、私は今回のこの区別の中で、経営者サイドと労働者側が、本当は自発的な離職だけれども、失業給付をもらうために、高い失業給付をもらうために解雇ということにしてくださいよというような、そういうこともないことはないんではないのかなと思うんです。
 ですから、そういうモラルハザードに対する、抑制するためのような対策というものをとる必要があるんではないか。例えば余りにもそういう解雇を多く出したような事業主の保険料率を上げるだとか、ここのところの区別をきちっとできるように、そして、そういうモラルハザードをなくするための仕組みというものを一つつくっておかないと、先ほどの説明だけではなかなか自発、非自発という分け方が難しいんではないかと思うんです。ですから、そういう制度を一つ考えてはいかがかと思いますが、いかがでしょうか。
#89
○政府参考人(渡邊信君) 今おっしゃいましたように、一方で例えば解雇者をたくさん出して、一方で労働者を雇い入れて国の助成金をそれについて使うというふうなことがあっては大変不都合だと思いますので、そういったケースについては、離職者をたくさん出したようなところについては採用についての助成を行わない、例えばこういったことは検討していきたいというふうに思っております。
 それから、虚偽の理由によって雇用保険を不正に受給しますと倍額を返してもらうというような制度がありますから、こういった制度の運用をきちんとやっていきたいと思います。
#90
○斉藤滋宣君 それから、先ほどの再就職が究極の目的だという話の中から、私は気分的にちょっと割り切れないところもあるんですが、定年退職になった方が、本来定年退職になって働く意思がなければ失業給付をもらえないわけでありますけれども、働く意思がないのに例えば働く意思がありとして安定所に行って届けを出しておく、そして失業給付をもらうということもあると思うんです。ですから、そういうことというのは、ある意味では雇用保険というのは掛け捨て保険ですから、確かに私もずっと掛けておって一回も失業しなかったら少しもらいたいなという気持ちにはなるんですけれども、でもやはり掛け捨て保険ということを考えれば、そういう働く意思のない人たちが定年して退職金をもらって、さらに働く意思ありとして失業給付をもらうというのはちょっといかがなものかなと思うんです。
 ですから、そこのところの歯どめをかけるような意味で、例えば育児休業給付では職場復帰給付金のように事後処理でもって入ってくる制度がありますよね。ですから、そういう定年退職者については、大変厳しいかもしれないけれども、八割ぐらい給付しておるけれども、再就職したときに本当に働く意思ありとして二割を給付するとか、そういうような仕組みというものももう一つ設ける必要があるんではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。
#91
○政府参考人(渡邊信君) 先ほどの御質問にもありましたが、高齢者につきまして、六十歳以上の方については賃金日額の五割までの支給というふうな制度もあるわけでありまして、この雇用保険の制度はあくまで再就職までの生活保障ということでございますから、その間の給付は削減をして就職した後に出すというのもなかなかこれは制度の仕組みからいって難しいのではないかというふうに思っておりますが、今おっしゃいました再就職の意思の問題は、これは意思と能力のある方について雇用保険を出すということで、あくまでそういう制度でございますから、失業の認定のときにきちんとそれは対応しているということで、今般、大変厳しい中で負担のアップもお願いするわけですから、運用におきましてはその辺は厳正にやりたいと思います。
#92
○斉藤滋宣君 次に、教育訓練給付についてお伺いしたいと思うんですけれども、限度額が二十万から三十万に引き上げられた、大変いいことだと思っております。
 しかし、先日、ある新聞によりますと、今大体一万一千ぐらいの対象講座があるように聞いておりますけれども、その講座の中に教育訓練給付費対象外のものが、これだけ多くなってきたからなかなか目が行き届かないといえばそれまでですけれども、当然に労働省に対して書類申請をしてその対象講座の認定を受けるわけでしょうから、そういうものが入ってきているやに報道がありましたけれども、そういう厳格な運用というものがなされなければ、労働省に対する信用という問題にもかかわってくるんで、やはりそういうような対象外の講座というものをきちっと締め出す、審査の段階できちっとはじくというようなことを厳格にやる必要があると思いますが、いかがでしょうか。
#93
○政府参考人(渡邊信君) この教育訓練給付につきましては、各専門校等から申請のありました講座一つ一つについて、それが就職に役立つものかどうかという観点、あるいはそれが一定の資格に結びつくかどうかというような観点から国において審査をしております。今、年二回審査をいたしまして、その間、膨大な資料についてかなりの数について審査をしているわけでありますが、先般マスコミでもそういった報道もありました。今後ともこの点については厳正な運用を図っていくべきであろうというふうに思います。
#94
○斉藤滋宣君 何かすごい駆け足で申しわけございませんが、特に今の教育訓練給付の関係でいえば、これは雇用保険の枠内でやっていることですから、保険加入者にしか適用されないのは当然だと思います。
 しかし、今これだけ講座がふえて、いろんなところでそういう講座を受けられる。だから、私はそういう機会というものをひとつ保険加入者以外にも広げてみたらどうか。自営業者だとか長期失業者だとか新規学卒失業者なんかは雇用保険に入れないわけですから、こういう人たちにもこういう講座を受けられるようなことを考えてみてはどうか。例えば税制の優遇措置をとるだとか、それから奨学金をつくってみるだとか、これは労働省だけではできることじゃありませんけれども、こういうせっかくいい仕組みを労働省でつくって、一万一千という対象講座がふえてきている、そしてそれがまた受け入れられているという状況の中で、やっぱりもっと門戸を広げていく。それは保険加入していない人たちにやらせろということはなかなか言いづらいにしても、ほかの制度で救う、さっき言ったような形で救うということを労働省から働きかけする必要があるんではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#95
○政府参考人(渡邊信君) 被保険者以外の例えば学卒等の方に対する教育訓練給付的な給付の問題でございますが、現在も学卒の未就職者については一般会計によって訓練を行えるという制度を持っておりますが、これは永続する給付になるかどうか問題でありますけれども、今おっしゃいました税制も含めたこの問題については、検討していくことにしております。
#96
○斉藤滋宣君 大分きつい言い方をしまして大変失礼いたしましたけれども、これをもって質問を終わりたいと思います。
#97
○委員長(吉岡吉典君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後三時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十九分休憩
     ─────・─────
   午後三時三十分開会
#98
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#99
○但馬久美君 公明党・改革クラブの但馬久美でございます。
 大臣、大変お疲れさまでございます。またよろしくお願いいたします。
 まず初めに、私は有珠山の火山災害に伴っての労働対策について少しお尋ねいたします。
 三月三十一日に火山が爆発を起こしまして、有珠山の火山災害におきましても幸いにも人的な災害はありませんでした。でも、実は避難民の方々は、大変今数多くの方々が避難されております。最大で一万三千名に達しておりました。現在は小康状態のために避難解除された区域もありますけれども、それでもまだ現在では八千八十一人の方が避難されております。
 そういう中で、先ほども有珠山から帰ってこられた方にちょっとお伺いしたんですけれども、前回噴火したときには五千人いた人口が二千人に減ったと。そしてまた、今現在二千九百人にふえているんですけれども、今後の状況によりましてはどういう状況になるか、まだ大変厳しい、また非常に危ぶまれる状況にありますけれども、そういう中でも生命だけは第一に確保していきたい、そういう思いを願っております。
 そういう中で、現地におきましては、仕事が手につかない、また学校も休業しているところがあると伺っております。周辺の産業は完全にストップしているところもありますし、また多大な被害をこうむっているところもたくさんあります。交通規制もありますし、まだ交通の不通のところもあると伺っております。
 特に、労働、雇用面におきましては深刻な状態が続いているんですけれども、現在新卒者の就職内定の取り消しというのを伺っております。地元産業におきましても、商工業や観光業、また農林水産業など、休業のために新たな雇用の創出が要求されてきております。さらに、賃金の不払いなどの現象もあるというように伺っておりますけれども、こうした雇用対策においてどのような緊急対策をとり、雇用不安などの対応をされているのか、まずお聞きしたいと思います。
#100
○国務大臣(牧野隆守君) このたびの有珠山災害につきましては、私自身もぜひ現地にお伺いいたしましてお見舞いし御激励をさせていただきたい、このような気持ちでずっとおりましたが、今日までまだ現地に行く時間がないのを非常に残念に思っております。政府におきましても対策本部を設置し、それぞれ関係各省自分が持っている政策のすべてを適用して皆さんの事情に対処したい、こういう形で連携をとらせていただいておるわけです。
 労働省といたしましては、四点主たる点がございまして、一つは、被災事業所の労働者の雇用、生活の安定を図るために、ワンストップサービスという一カ所ですべての御事情、御要望をお伺いするということで、室蘭公共職業安定所の伊達分室に総合的な窓口を設置いたしまして、現にここの所員は三人でありますが、室蘭からも常に三人、四人の人を出向していただいておりまして、万全を期しております。
 それから二番目は、被災地域の事業所への雇用調整助成金の適用でございます。この内容については先生御承知のとおりでございます。
 次が、災害により休業を余儀なくされた事業所の労働者に対する雇用保険の特例支給、これを講じているところでございます。
 それから、非常に心配しておりました新規高校卒業者の採用時期の繰り下げが行われている、こういう事情にございますので、被災地域の採用内定企業に対しては、内定取り消しの回避と早期の採用を要請するとともに、内定中の新規学卒者を採用し直ちに休業させる場合も雇用調整助成金の支給対象といたしまして、内定者の雇用の安定を図っております。
 さらに、緊急地域雇用特別交付金事業を活用いたしまして、農漁業者等の自営業者や入職時期が繰り下げとなった学卒者等を含め、休業等を余儀なくされた被災者の臨時的な雇用就業の場を確保できるよう措置を講じているところであります。
 このほか、被災地域の事業主につきましては、労働保険料の申告納付期限を延長する等の措置を講じております。納付期限が五月二十二日であったわけですが、災害の状態の終了後二カ月以内で労働大臣が別途告示する、こういうことにいたしております。
 今後とも、避難されている方々のニーズにきめ細かく、かつ迅速に対応することが必要と考えておりまして、事態の長期化に伴う離職者の再就職の促進を図るための施策についても機動的に講じてまいりたい、このように考えております。
#101
○但馬久美君 いろいろ対応をしていただいていると伺っておりますけれども、今後とも雇用安定のためにぜひ手厚い対応を続けさまよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、雇用保険法の改正問題につきましてお伺いいたします。
 午前中も、長谷川委員そしてまた斉藤委員の方からいろいろと質疑がありましたけれども、私も重複する点が多々ありますが、じっくりやっていただきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 二〇〇〇年二月の完全失業率が四・九%と、昨年七月の四・八%を超えて史上最悪を更新いたしました。また、完全失業者も三百二十七万人と、前年同月の差で十四万人も増加しております。そのうち非自発的離職者、これが百十五万人と、前年同月の差が十九万人も増加している現況であります。
 こうした失業率の急速な高まりから、従来社会保障政策の中でも関心の薄かったこの雇用保険が一躍保険財政の大幅な悪化のためにクローズアップされたと言っても過言ではありません。七〇年代には豊かな財源を背景として拡大路線がとられておりまして、本来の機能である失業給付制度に加えて、失業を未然に防ぐ雇用安定事業や、また高年齢の在職者の給付金なども含む幅広い制度になっておりました。
 今回の財政的な問題に加えまして、雇用形態の多様化や高齢者雇用の増加など、既存の雇用の仕組みに矛盾が露呈してきたのではないか、このまま放置できない現況にあるということは先ほど朝の質疑の中でもいろいろありましたけれども、そこで何点かお伺いいたします。
 まず最初に、一昨年来の構造不況に対しましてさまざまな雇用対策を講じてきたわけですけれども、第一段階は、平成十年四月に総合経済対策の一環として策定されました緊急雇用開発プログラムで雇用調整助成金などの支給要件などを緩和いたしました。第二段目には、平成十年十一月の緊急経済対策の一環として雇用活性化総合プラン、これも百万人の雇用創出を目指したわけです。第三段が十一年の六月、緊急雇用対策及び産業競争力強化対策、これは七十万人の雇用創出をねらったものでありました。そして第四段目が平成十一年の十一月、経済新生対策等々、次々と雇用対策が打ち出されたわけですけれども、そうした対策がとられてはいるものの史上最悪の状況の更新が依然として続いているわけであります。
 これら四段にわたって、午前中も質問がありましたけれども、施策の実施状況並びにその成果についてどのように見ていらっしゃるのか、御見解をお伺いいたします。
#102
○国務大臣(牧野隆守君) ただいま先生御指摘のとおり、厳しい雇用失業情勢を改善し国民の雇用不安の払拭を図るため、政府は、一昨年四月以来、四度にわたり総合的な雇用対策を取りまとめ、これに基づきまして雇用の創出・安定、再就職の促進に全力で取り組んできているところであります。
 特に労働省といたしましては、雇用創出を図るため、創業、異業種進出を行う中小企業に対する雇い入れ助成を昨年一月より実施しており、これによる雇い入れ予定数は本年二月までに約八万人と、このように見込まれております。これは既に認定をいたしまして活動しているわけですから、一定期間後お金を払う、こういうことで八万人というのはもう実質雇用の状態にある人々であります。
 それから、地方における臨時応急の雇用就業機会の創出を図る緊急地域雇用特別交付金制度につきましては、既に二千億円全額の交付決定を終えまして、雇用創出見込み約三十万人となっております。
 これは、各都道府県におきまして都道府県が基金制度を設けまして、これに基づいて、地域に精通しているという見地から都道府県に任せているわけでありますが、この対象事業は万般にわたっておりまして、中にはもう短期間、三カ月で終わってしまうというものもありますし、またこれが根っこになって引き続き雇用が継続されるだろうと見込まれるもの等もありまして、一応私どもとしましては三十万人という計算、一つの根拠をもとにして大体三十万人ぐらいが雇用されるであろうと、こう見ております。しかし、今申しましたとおり短期雇用の場合もありまして、一時的であるということも考慮に入れなきゃいけませんが、一応この制度によって三十万人前後の人が仕事につくことができる、こういうように考えております。
 それから、雇用の維持安定のために障害者、高齢者等の雇い入れの助成である特定求職者雇用開発助成金制度につきましては、平成十年六月から本年二月までで対象となり得る方が約五十八万人おられます。
 次に、企業の雇用の維持の取り組みを支援する雇用調整助成金制度、これの支給見込み労働者数は本年二月に約十三万人に上っております。
 これらが労働省が直接補助だとかこういう形でやっている業務でありますが、まだこのほかに技術研修制度等をやっておりまして、この研修を終えた方々が具体的にそれぞれ企業のニーズに応じて就職されておられるわけでありまして、私どもとしてはこれで支えると、こういう制度でございまして、残念ながらこの方々のうちどれだけ新規に就職なさったかどうかという点につきましてはまだ統計ができ上がっておりません。
 労働省といたしましては、一昨年来の対策に盛り込まれた各種施策の活用により、少なくとも現在の厳しい雇用情勢のもとにおいて一定の下支え効果が発揮できたと、このように考えております。
 さらに、本年度、平成十二年度におきましても、雇用の維持安定や創出、能力開発の促進を図るため引き続き積極的に雇用対策を推進することとしており、ただいまも、これからの失業率の推移が非常に心配になっているものですから、現在の諸制度の運用について不十分なところがあるのではないか、こういうことで再検討を命じておりまして、何らかの対策がいずれ皆様にお知らせすることができるようになると、このように考えており、いずれにしましても国民の雇用不安が払拭されるよう全力で対処いたしたい、こう考えております。
#103
○但馬久美君 例えば、昨年六月の緊急雇用対策で打ち出されました新規・成長分野雇用創出特別奨励金制度、これは二〇〇二年三月までの二年半で十二万人の雇用創出の目標を掲げております。でも、今までのこの半年間で申請人数が千百十八にとどまっていると言われております。この制度は、情報通信やまた環境など成長分野で、三十歳から四十四歳までの非自発的失業者を雇い入れた企業に対して一人当たり四十万円、四十五歳以上では七十万円支給するということであります。
 この制度の周知徹底もおくれていると思いますけれども、企業側の求人条件と失業者の職業能力がかみ合わないミスマッチのためではないかという指摘もありますけれども、この点どういうふうに見ていらっしゃいますでしょうか。
#104
○政務次官(長勢甚遠君) 御指摘の新規・成長分野雇用創出特別奨励金制度の運用の実情につきましては、御指摘のとおりでございます。
 この周知徹底を一生懸命やっておるわけでございまして、新聞への広告掲載など各種広報も実施してまいったところでございますけれども、なお利用者に十分な浸透が図られているかどうか若干の問題もあったかと思います。また、それ以上に厳しい経済情勢でございましたものですから、なかなか新規・成長分野でも雇用に対する意欲というものがまだまだ不十分だったのかなというような気もいたしております。
 しかし、こういう厳しい状況でございますからぜひこの活用を図っていきたい、こういうように思っておりまして、二百万通ぐらいのダイレクトメールも活用するとか、また求人開拓、職業紹介時にこの制度の周知といいますか、これを活用した求人の開発ということにも鋭意努力をしておるところでございます。
 どうにか認定申請の件数も約四千件に上っておりまして、徐々に増加しつつあるわけでございますし、さらに情報通信とか介護の分野では求人が大幅に増大しつつございます。
 今、先生御指摘のように、これの求人に就職を結びつける、その過程でこの助成金が活用されることがこの制度の目的でございますので、そのミスマッチが起こる原因がどこにあるか、年齢の問題もあるでしょうし能力の問題もあるでしょうし、いろんなケースがあると思いますが、子細に分析をして、これが活用を図られ対策の充実に資するように、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、大臣からもよく研究をするようにと強い御指示もいただいておりますので、早急にこれを詰めて活用が図れるようにしていきたい、このように思っておる次第でございます。
#105
○但馬久美君 緊急雇用創出特別奨励金につきましても、政府は申請目標を二十万件と想定していらっしゃいます。ことしの三月三十一日現在では二千百四十五人。これは中高年の非自発的失業者を雇用した事業主の助成金制度でありますけれども、この申請手続が使い勝手が悪いんじゃないかなというようにも思うんですけれども、その点どういうふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
#106
○国務大臣(牧野隆守君) 先ほども申しておりますように、なぜこの制度が私どもが予定したとおり十二分に活用されていないかという点で、非自発的失業者の方々の雇用を前提にするということは考え方として当然でありますけれども、それじゃ新卒の人々をこういう制度で何とか対処できないか。
 例えば、今有珠山の噴火災害の場合には、新卒者、これはまだ雇用されていないわけで雇用保険の支払い対象になっていないわけですが、やはりエマージェンシーのときにはそのような方々もこの制度で就職活動ができないだろうか。あるいは、今一生懸命技術研修していらっしゃる方々、こういう方々についても、これだけの技術研修が行われたのだからこの制度の対象とならないだろうか等々、実は事務方で早急に検討をさせていただいております。
 このような戦後最高の失業の状態にありますから、私どもとしては制度を時には今までの考え方と違って少しはみ出してもいいんじゃないか、こういう考え方を入れまして、ただいま検討をさせていただいているところであります。これによって条件が緩和、特に対象の方々が拡大されるわけでありますから、新規学卒者につきましては私どもも企業経営者に訴えまして、何とかそういう方々を雇用していただきたい、こういうように最大の努力をいたしたい、ただいまそう考えているところであります。
#107
○但馬久美君 ぜひお互いのそういう情報の交流をしていただきたい、そういうふうに思います。
 次に、法案の中身に入りますけれども、保険財政についてでありますけれども、収支状況を見ますと、平成十二年度では収支の差額がマイナス約一兆四千八百億円で積立残高はわずか二千六百九十三億円しか残らないという、危機を通り越して失業保険制度の崩壊という事態に直面している現状である。なぜもっと早く手を打てなかったのかなという思いもいたします。既に平成八年の保険収支がマイナス二千九百四十五億円で、平成九年にはマイナス三千七百八十億円と、保険財政の将来の収支の危機がもう明らかに見えていたと思われます。
 この点、午前中もそういうお話がありましたけれども、改めてもう一度御見解をお伺いいたします。
#108
○国務大臣(牧野隆守君) 私が労働大臣に就任して以来、この保険会計のあり方については実は非常に気にいたしておりまして、何とか負担をふやさずに適正な運営ができないか、セーフティーネットとして従前同様関係の皆さんの御信頼を得られるかどうかということで、一番検討いたしましたのは、フローでどの程度の赤字になるかと。片方で、いざというときにはストックとして備えがありますから、暫定的にそれを利用することによってセーフティーネットとしての皆さんからいただいている確信を維持できるかということで、実は詳細検討させていただいたところでございます。
 ここで、フローとして赤字になってまいりましたのはちょうど一年半ぐらい前からでございまして、まだストックでしばらくは何とか大丈夫だなと。失業率がこのように大きくならないように片方で景気対策その他も努力いたしておるわけですから、おのずから失業率が想像以上にふえるということはあってはならないし、そのために政府は最大の努力をすべきだと。
 こういうことで、フローにおける赤字、それをストックでいつまで持ちこたえることができるか、こういうところを検討させていただきまして、安定審議会にもかけまして、もとの一番最初の制度に戻らせていただいて、それで当分の間大丈夫だなと、こういうような確信を持たせていただいてこの法律案を出させていただいた次第であります。
#109
○但馬久美君 この改正によりまして新たな保険財政のシステムの形成がされるわけなんですけれども、その新しいシステムが耐え得る失業率は最大どれぐらいか、お伺いしたいと思います。
 また、保険財政の悪化は依然として予断を許さない状況にあるんですけれども、その悪化に備えて機動的に仕組みの見直しができるシステムづくりが必要だと思われます。それをどのように考えておられるのか、お伺いいたします。
#110
○政務次官(長勢甚遠君) 今回の改正におきまして給付の重点化を図ったわけでございますが、あわせて負担につきましても国庫負担を本来の四分の一に戻すことにいたしております。これは、一応失業率としては四%台半ばの失業率を想定して保険料率も千分の十二に引き上げるということにしたわけでございます。これによりまして、収入は現行制度に比べまして七、八千億円増の二兆四千億円程度となりますし、支出は五千億円強減の二兆四千億円程度というふうに見込まれまして、ほぼ収支が均衡することになります。
 しかし、今御指摘のように大変に厳しい状況でございますが、弾力条項が法律上設けられておりますので、将来的にさらに収支がひどいということになった場合、それはあってはなりませんが、なった場合には保険料率を千分の十四に法律上引き上げることができることになっておりますので、その場合には失業率が五%半ば程度までは安定的に雇用保険制度を運用することができる、このように想定して御提案を申し上げております。
#111
○但馬久美君 午前中もそういうお話を伺いました。
 それでは、次に給付のあり方についてお伺いいたします。
 今回、解雇等の突発的な離職のために再就職が困難な者に給付を手厚くし、また定年退職者などあらかじめ退職が予定され再就職のための準備ができる者への給付が圧縮されております。いわゆる削減されるのでありますけれども、その妥当性が論議の対象になっております。
 そこで、何点かお伺いいたします。
 定年退職者でない高年齢者の給付日数も削減されると言われております。これはどうしてなのか。また、日本の給付日数や給付率について諸外国との比較で適切なのかどうかという意見もあります。モラルハザードという観点から、給付が削減されている面もあろうと思いますが、現下のように不況で再就職が困難をきわめるこの時点での給付の削減は離職者にとっては非常に痛手であります。特に、高年齢者に厳しくした理由について御見解をお伺いいたします。
#112
○国務大臣(牧野隆守君) 今回の改正は、既に御説明いたしておりますが、倒産、解雇等によって離職された高齢者につきましては手厚く失業保険金をお支払いする、準備のないまま解雇または強制的といいますか、そのような退職を強要されるということでありますから、そういう方々に給付日数を厚くして、定年退職等の方々についてはある程度我慢していただけるという、このような考え方で実は給付日数等の整理をさせていただいた次第であります。
 この点につきましては、安定審議会でもいろんな御意見がございました。しかしながら、結論を出さなきゃいけないわけですから、片方で就職についても、当然のことながら働く意思をお持ちの方々につきましては片方の面から再就職を積極的に促進するということもあわせ考えまして、そのような決定をさせていただいた次第でございます。
 中高年齢層、特に六十歳で定年になられた方も、例の社会保障制度が六十五歳までということで延長されたわけでありますから、この辺の調整も十二分に考えまして、そのような就職しやすいような、給与所得の一定限度の所得は確保できるという助成制度等もあわせて考えさせていただいた次第です。
#113
○但馬久美君 それでは、今度は離職理由の認定についてお伺いいたします。
 解雇や倒産による離職など、やむを得ない離職者に対しては給付が厚くされるのでありますけれども、その離職理由の認定が簡単に見分けがつくのかという思いがします。離職理由についてのきちっとした判定基準、これが必要ではないかと思いますけれども、この点はどのようにお考えでしょうか。
#114
○政務次官(長勢甚遠君) 今回の給付の重点化という法の趣旨を生かすためにも、判定基準が明確でかつ合理的なものでなければならないということが極めて重要なポイントであるということは御指摘のとおりだと思っております。
 長期の給付日数を設定することとしております倒産、解雇等による離職者の具体的範囲につきましては雇用保険法施行規則で規定をすることといたしておりますので、これについては今後、法案成立後速やかに関係審議会において、さまざまな実態がございますから、それを十分踏まえた中で御検討いただいて万全を期していきたい、このように思っております。
#115
○但馬久美君 ぜひよろしくお願いいたします。
 それでは、今度は非常用雇用労働者の保険加入についてお伺いいたします。
 パート労働者また派遣労働者、フリーワーカー、テレワーカーなど非常用雇用労働者については、多くの場合は被保険者としての資格を持てないということが問題になっております。
 常用雇用労働者以外の短時間労働者にもそれなりに配慮されてはいるものの、その場合でも、被保険者となるための条件として、今まで、一年以上の継続就業、また週二十時間以上の就労時間、年収が大体九十万円以上、この三要件がありました。今回、この改正で九十万円以上の要件は撤廃されましたけれども、保険財政の健全性を確保するためには、頻繁に離職する者を排除する方針は変わっていないと思います。
 最も雇用形態が不安定な労働者が失業給付の対象外になっていることが雇用保険制度の大きな課題であるとも思います。特に、常用雇用者は六カ月以上の被保険者期間を過ぎれば受給の権利を取得できます。また、季節労働者や日雇い労働者については別途失業給付に類した制度があります。しかし、派遣労働者等の場合は一年以上の就労が要件となって、逆に厳しくなっています。
 この社会的不公平をきちっと見直ししなければ、永久に派遣労働者は雇用保険の対象外ということになるというふうに思います。今後の改善が待たれますけれども、この点どのように考えていらっしゃるか、お聞かせください。
#116
○国務大臣(牧野隆守君) 先生御指摘のとおり、産業構造の変化という事態に対処いたしまして、雇用形態が、御指摘のとおりパートタイマーの方々の仕事の分野が非常にふえてきている、また派遣業法という形でそれぞれの需要に対して派遣という形で人をお集めになって仕事をあっせんする、この傾向は今後大きくなりこそすれ小さくなることはない、必然の方向だろう、こう思っております。
 こういう流動性、形態の多様化等を考えますと、当然雇用保険の適用についてもこの事態に対処しなきゃならないのは当然でございます。しかし、働かれる時間がもう千差万別でございますので、一応現在の基準の中で年収要件にかかわるものは廃止して、そして対処いたしたい、現在はそのように考えておりまして、時間だとか等々につきましてはさらに検討を進めたいなと、こう考えております。
 特に私が気にしておりますのは、いわゆる時間給の問題、これがほかの雇用形態の場合と比較して非常に低いという場合にはそれなりの対処をして、パートなり派遣される方々の所得水準というのはやはり十二分に検討して確保してあげなければならないな、これとあわせて雇用保険の対処の仕方についてさらに検討を進めたい、こう考えております。
#117
○但馬久美君 ぜひ前向きに考えていただきたいと思います。
 失業給付は最低生活の保障であるために課税対象にならないという利点はあるものの、過去に多くの保険料を払った者が多くの給付を得られるという報酬比例年金と同じ方式がとられております。
 しかし、先ほども言いましたけれども、大部分の短期就労者は被保険者としての権利を持っていなく、同じ失業者にも大きな格差があります。モラルハザードの防止のために被保険者期間と給付期間とのリンクはやむを得ないと思いますけれども、個人の生活を脅かす失業というリスク、これを社会全体で分散することを本来の使命とするのが雇用保険であるならば、年齢や勤続年数と給付期間とのリンクを極力断ち切って、例えば医療保険や労災保険のように掛け捨てで一律的な給付を受けられるように変革していくべきであるという意見もありますけれども、労働省はこの点についてどのようにお考えでしょうか。
#118
○政務次官(長勢甚遠君) 雇用保険制度は、本来短期的な失業の保護ということを目的とするものでございまして、失業という保険事故が生じた場合に給付を行う、そういう意味でいわゆる損害補償、損害保険と同じような一種の掛け捨て型の保険というのを基本的性格として持っておるということは御指摘のとおりだろうと思います。
 しかし、この制度の目的が失業者の生活保護と再就職の促進という政策目的をもあわせ持つものでございますから、その必要性に応じた部分を加味した制度でなければならないと思いますし、また給付と負担の公平という観点を考えますと、勤続年数というか被保険者期間というものを加味するのはやむを得ないことかなと思います。
 そういうことで今日まで制度ができ上がってきたと思いますが、今回の改正におきまして、給付の重点化という観点から年齢要件を緩和いたしまして、むしろ離職理由別に必要性に応じた体系に直させていただいておるわけでございまして、一律給付方式というわけにはいきませんけれども、先生の御方向にも沿った部分も含めて今回の改正を図ったところというふうに理解をしております。
#119
○但馬久美君 ありがとうございました。
 次に、高年齢者雇用安定法の改正につきまして何点かお伺いいたします。
 今回の改正は、法の第一条の「目的」にも定められておりますように、定年の引き上げ、そしてまた継続雇用制度の導入等による高年齢者等の雇用の安定をさらに確かなものにするために、従来は希望者に対してのみ雇用の継続あるいは再雇用制度導入の努力義務を企業に課してきましたが、今回からは総体的に、従業員の希望のあるなしに関係なく、企業は高年齢者等の雇用を確保するための措置をとるよう努力しなければならないと、企業に対して強い縛りをかけるものとなっております。高齢者の皆さんにとっては非常な味方となる法律案でありますけれども、私もこれはぜひ成立させなければいけないと思っております。
 この改正案の趣旨に沿って事業主が適切かつ有効に高齢者雇用措置をとれるように誘導しなければならないと思うんです。そのためには高齢者等の職業安定対策基本方針が定められていることでありますけれども、現下のように完全失業率が四・九%と戦後最悪の状況を更新中であります。さらに、この三月、四月の定年や新卒者の動向によりまして一段と失業率が向上すると予想されております。こうした中で、この法案が有効に実施できるのかという疑問の声もあります。
 労働省は、高年齢者等の雇用安定措置を具体的にどのようにとられようとしているのか、お伺いいたします。
#120
○国務大臣(牧野隆守君) 先生御指摘のとおり、高齢者の雇用を確保する、このためには高齢者が長年培った知識や経験を生かせるよう、これまで勤めてきた企業または企業グループでの継続雇用が望ましい、こう考えております。
 今回の安定法の改正案では、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等、六十五歳までの安定した雇用の確保を図るために必要な措置を講ずることを事業主の努力義務とするとともに、段階的に定年の引き上げを行う事業主に対する助成制度を設けることといたしております。
 御承知のとおり、ことしの春闘におきましてやはり一番大きい問題は、ベースアップをするとかそういうこととは別に、定年が来た後六十五歳までの雇用をどうするかということは非常に大きな実は春闘の論点でございました。一部の組合を除きまして、大方の組合はやはり六十五歳までは何とか雇うことができるようにという表明もあちこちでなされておりまして、私どもが今考えておりますこの促進制度はこういう考え方を下から支える大きな力になるものと、こう考えているわけです。
 例えば、六十歳定年で、じゃ六十一歳のときの給与は幾らかと。その八五%をマキシマムといたしまして給与の四分の一を補てんするという制度でありますから、雇用しようとする企業主サイドから見ましても費用の負担というのは非常に大きいウエートを占めておるということで、私自身は何とか円満に雇用が継続されるように最大の努力をいたしたい、こう考えています。
#121
○但馬久美君 六十五歳を定年とした場合、起こり得べき課題につきまして、仮に六十五歳定年制が実現されたと仮定しました場合、体力的な面、そしてまた能力的な面、あるいは賃金面、退職金など、さまざまな労働形態がありますけれども、企業内での労働システムの変更が余儀なくされると思います。そういう場合いろんな課題が起こり得ると考えられますけれども、その辺はどのように考えていらっしゃいますでしょうか。
#122
○国務大臣(牧野隆守君) 六十五歳定年制実施の問題点といたしましては、労働市場において高齢者に対する需要を大幅に高めていくことは重要課題でありまして、個々の企業においては賃金、人事処理制度の見直しや、高齢期にも十分能力を発揮できるための職業能力開発、雇用環境の整備など、諸条件の整備が必要でございます。また、労働者自身による高齢期前からの主体的な能力開発等が必要でございます。
 そういう点におきまして、私どもとしては、新たにそういう制度を検討する場合の費用等も一部助成するというようなことで、各企業がそれぞれの企業の特徴、情勢等を考慮して、具体的に定年を迎えた後の高齢者の雇い方、これは一社一社また地域によってもそれぞれ違うわけでありますから、こういうものも十二分に検討してほしい。これに対してもしかるべき助成もいたしますよと、こういう形で事業主の積極的な態度と申しますか、これを要請していきたい、こう考えています。
#123
○但馬久美君 あとまだ五、六問残っているんですけれども、時間が参りまして、あと私は年齢差別の禁止法の制定についてなども今回申し上げたかったんですけれども、労働大臣は年齢差別の禁止法の制定にはどのような御意見をお持ちかお伺いして、私の質問を終わらせていただきます。
#124
○国務大臣(牧野隆守君) 年齢差別禁止の考え方から見ますと、定年も禁止されることになるわけでありますが、我が国において年功を考慮した雇用管理が一般的であるほか、現下の厳しい雇用情勢のもとでは定年制の持つ雇用保障機能の役割も非常に大きいわけでございまして、年齢差別禁止法のための環境整備や社会的な合意がまだ十分にできているとは思えないわけであります。しかしながら、意欲と能力のある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会を実現するという観点からは、年齢差別禁止という考え方につきましては十二分に検討していく必要がある、こう考えております。
 中高年齢者の求人確保の観点から、公共職業安定機関等においても、この求人の年齢制限の緩和に向けた指導、啓発もあわせて努めてまいりたい、こう考えております。
#125
○但馬久美君 民間の高年齢者の研究所の提言もありますし、また仕事の能力は個人的なものでありまして、年齢で決めるものではないと思います。ぜひその辺を考えていただきたいと思います。
 以上でございます。ありがとうございました。
#126
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 ただいま提案されております雇用保険法についてお伺いをいたします。
 まず、全体の給付削減についてでありますが、今回の法改正で給付総額は金額としてはどれぐらい引き下げられるのか、お答えください。
#127
○政府参考人(渡邊信君) 給付の見直しによりまして約二割、五千億円程度の給付削減ということになります。
#128
○八田ひろ子君 五千億円ということなんですけれども、失業率がこれからどんどんと下がっていくから給付総額も下がっていくというなら、そうかなというふうにも思えるんですが、きょうも朝から御論議があるように、現在も史上最悪の失業率、そしてそれが上昇することが見込まれているわけです。現在の支給総額から五千億円少なくなるということになりますと、一兆八千億円程度の給付額というふうに考えていいと思うんですが、これは私の計算では九六年度とか九七年度の水準になると思いますけれども、そうでしょうか。そして、そのときには失業率というのはどうなっているのかお示しください。
#129
○政府参考人(渡邊信君) 一兆七、八千億というのは、平成六年度が約一兆八千億の給付でございました。失業率は三%台でございます。
#130
○八田ひろ子君 三%台が大体そういう支給給付額ということになるわけですね。午前中からのお話にもありましたけれども、完全失業率が五%になろうとしている。しかも、見込みも五%前半とか半ば過ぎとかいうお話があるんですけれども、失業率三%台の給付水準に落とすということが、私はどう考えてもこれは筋が通らないというふうに思うんですけれども、大臣はどうお考えなんでしょうか。
#131
○国務大臣(牧野隆守君) 今回の基本手当の給付日数の改正は、関係審議会における公労使三者の合意のもとに、離職の理由に着目して現行の給付日数の体系を見直しまして、倒産、解雇等による離職を余儀なくされた方々に対しては給付の重点化を図り、それ以外のところは少なくしたというのが実情でございます。
 この点につきましては、安定審議会でもいろんな意見が出まして、現状維持、さらに、特に解雇等を受けた方についてはふやすべきだとの御意見もありますし、千差万別の御意見をちょうだいいたしました。しかし、最終的には、今御提案させていただいているやり方で当面やってみようと、こういう結論をちょうだいいたしまして、それに基づいて法律案を出させていただいた次第です。
#132
○八田ひろ子君 大臣、私は今五千億下げられるというふうに伺ったものですから、五千億下げられるということになると、実際には一兆八千億程度の給付額になる。そうすると、それはいつごろ、どういうときですかと局長に聞いたら、局長は、それは失業率が三%程度のときだったというふうに言われるんですよね。
 だから、これから見通して三%程度になるというんだったら、ああそうか、五千億減らしてもいいのかなと思うんですけれども、これからそうでなくて五%になるというときに減らしちゃうのはおかしいんじゃないですか、大臣はどう思われますかと聞いたんです。
#133
○国務大臣(牧野隆守君) 私自身は、現在の四%の非常に高い率の失業率のときにどの程度の保険金が支払われなければならないかと、そういうトータルの観点から出させていただいたわけでございまして、私どもとしては、三%台の失業率でこれだけだということではなくて、現在、昨年一年間の保険料の出方を見ておりますと、失業率四%の後半で、その中で非自発的失業者の方々を中心としての総トータルの雇用保険料は幾らかという観点から算定させていただいているわけでございます。
 今回の改正案につきましても、弾力条項を含めまして、何とか想定される五%前後の失業率に対してはセーフティーネットとして皆さんに安心して見ていただけると、このように考えているわけです。
#134
○八田ひろ子君 安心できないじゃないですかね、実際には。
 私は、どうしてお金を給付で減らすのかというのを伺っているんですよ。
 どうしてかといいますと、きょう午前中からいろいろと皆さんが御追及になっているんですけれども、国の予算の使い方というのをもっと考えるべきだと思うんです。少なくとも、労働省でいえば、先ほどからお話しになっている緊急雇用創出、なかなか雇用創出ができないというお話なんですけれども、これ、予算額六百億円ですよね。これは現在、何人分で幾ら使われたんですか、局長。
#135
○政府参考人(渡邊信君) 緊急雇用創出特別奨励金の利用実績でございますけれども、これは発動されましたのが南関東、近畿、沖縄という限定した地域でございますが、本年四月十四日現在で、支給申請は二千二百六十六人、支給決定金額は約四億二千万円というふうになっております。
#136
○八田ひろ子君 じゃ、先ほどあった新規・成長分野雇用創出特別奨励金というのは、何人で幾ら使っていますか。
#137
○政府参考人(渡邊信君) 現在時点で、支給申請は二千二百九十五人でございますが、このうち審査を終えて支給済みのものは一千二百七十人分、約七億九千万円でございます。
#138
○八田ひろ子君 一千五百億ほどの予算を組みまして、実際には十一億ですか、ぐらいしか使っていない。一千四百億ぐらい使われないままなんですよね。そういうふうな予算は組みながら、失業者にはしわ寄せするという、私は、ここが従来の雇用保険制度の考え方からも逸脱だというふうに思って、大問題だというふうに思うんです。
 私、ちょっと労働省に伺いたいんですけれども、労働省の失業に対する見解、失業に対する国の責任についての見解、これをお示しください。
#139
○政府参考人(渡邊信君) 現行の労働省のいわゆる雇用保険に関します解説書といいますか、いわゆる雇用保険コンメンタールにおいて、失業保険制度について考え方を述べているところがございますので、それを読み上げさせていただきます。
 失業保険制度の基本的な目的については、まず、失業という現象が、個々の使用者または個々の労働者の責任の範囲を超えた政治的、経済的、社会的な、ある程度他動的な不可避な要因により発生するものであり、国家的課題として、労使と国がその連帯の力で解決すべきものであることを前提として、次のとおりとされている。すなわち、労働者が失業した場合において、その生活を保障するためにできる限りの努力を払うことは国の当然の責務であり、各種の雇用対策等を講ずるほか、勤労権の裏づけとして、失業中の労働者の再就職までの間の生活の保障を保険の形式によって行う制度として失業保険制度が設けられているものである。
 現行、こういうふうな説明をしております。
#140
○八田ひろ子君 根本的な考え方は変わっていないわけですよね。労働者の責任の範囲を超えて失業というのが不可避的な原因によって発生をしている。これは労働者のみの問題ではなく、高度の国家的な課題だ。だから、憲法二十七条の勤労権によって、労働者が失業した場合においてはその生活を保障するためにできる限りの努力を払うことは、法律論を離れ、むしろ国としての当然の責務であると。
 これが従来からの、そして今日も変わらない労働省の見解であり、今局長は重大なことを言われていると思います。
 私は、この考え方、基本というのは本当に大事で、けさからの論議でも、本当にそうだと思うんですよ。失業給付のあり方についても、こういう見解、この原則、これに立って考えていただきたいと思うんです。
 現行の雇用保険法の第一条の「目的」にも、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより労働者の生活の安定を図る。これが第一条ですね。一番最初に書いてあることです。
 今回、第一条の改正というのは無論ないですから、この点でも確認をしていいですね。
#141
○政府参考人(渡邊信君) 雇用保険法の一条に示された目的は、そのとおりでございます。
#142
○八田ひろ子君 理由によって、どういう理由で失業したか、そういうことは無論問題ではない。労働者が失業した場合には、必要な給付を行うことで労働者の生活の安定を図る、再就職までのですね。これが法律の目的だということは確認しました。
 そこで、私は伺いたいんですけれども、所定給付日数はこういう雇用保険制度の考え方に基づいて定められていますけれども、現行の所定給付日数というのは、一般被保険者であったか短時間被保険者であったかの被保険者の区分、それから年齢、被保険者であった期間に応じて定められていますけれども、年齢で区分してきた理由というのはどういうものでしょうか。
#143
○政府参考人(渡邊信君) 現行の雇用保険制度におきます給付の考え方は、今おっしゃいました被保険者の区分あるいは年齢等によって給付日数を定める、区分するということになっておりますが、年齢の要件を取り入れていますのは、再就職の難易度を考慮したものだというふうに理解をしております。
#144
○八田ひろ子君 そうですね。その者の再就職の難易度に応じて支給をする、これが年齢ですね。
 じゃ、加入期間を加味してきた理由はどういうことですか。
#145
○政府参考人(渡邊信君) 年齢と被保険者の区分、被保険者の区分と申しますのは一般被保険者かあるいは短時間勤務の被保険者であるかという区分ですが、そういったものだけでは給付と負担のバランス等に均衡を欠くような面がある、こういったことで、加入期間といいますか被保険者期間、こういったものも加味されているというふうに理解しております。
#146
○八田ひろ子君 再就職の困難さに応じて所定給付日数を定めてきたというのは、年齢や、今御説明があったように正社員かパートかで再就職のしやすさが違うというのが現実にあるものですから、私は一定の合理性があると思うんです。
 そこで伺いたいんですけれども、こうした今局長がお答えになった考え方、これは今回の改正にどういうふうに生かされているのか、御説明いただきたいんです。
#147
○政府参考人(渡邊信君) 雇用保険の目的は、今御議論ありますように、再就職の促進とその間における生活の保障を行うということでございますけれども、今般、給付の見直しにおきましては、再就職の促進というような点につきまして、あらかじめ離職が予知されたものであるかどうか、こういった基準を取り入れたことによりまして給付のあり方を抜本的に見直したということになっております。
 そういった観点から、定年退職であれ自己の意思による転職であれ、あらかじめ離職が予定されるものにつきましては、加入期間に応じて九十日から百八十日の給付をするということにしておりますけれども、倒産、解雇等によりますいわば突然の離職、こういったものにつきましては十分な給付をする、給付の重点化を行うということにしておりまして、その中でも、年齢によりまして、四十五歳から六十歳未満につきましては従来よりも給付を厚くするという措置をとっております。さらに、加入期間に応じても給付を区分するということで、解雇、倒産等による離職者につきましては、従来のように年齢による区分あるいは加入期間による区分というものを設けることにしておるところであります。
#148
○八田ひろ子君 前段に御説明になった部分なんですけれども、さっき年齢区分の御説明の中で、その者の再就職の難易度に応じて支給されるべきであるということで年齢の区分があるというふうに御説明になったわけなんですけれども、理念も、これまでのこれも変わらないということなんですけれども、年齢による就職困難という要因はなくなったということなんですか。
#149
○政府参考人(渡邊信君) 年齢による就職の困難度、難易度というものは当然依然としてあるというふうに見ておりますし、特に、安定所に出される求人を見ましても、高齢者に対する年齢制限といいますか一定の年齢のもとで求人を出すということはかなり多く現在でも見られているところであります。
 ただ、雇用保険の制度におきましては、あらかじめ離職が想定できるということであれば、それに対する十分な準備期間というものは自己の意思によって選択できるわけでございます。
 例えば、定年ということであれば、もう何年も前から定年ということはわかっておることでありますし、自発的に自己の意思によって転職するということであれば、再就職のある程度のめどを立てて転職をするということも可能であるわけでありまして、そういった方については年齢を問わず一律の給付にするということにしておるわけでございます。一律といいましても加入期間による差はございますけれども、そういった取り扱いをするということでございますが。
 先ほど申しましたように、倒産、解雇等でそういった余裕がなく突然離職に追い込まれるという方については、年齢による就職の難易度も十分加味をした給付表にしておるというところでございます。
#150
○八田ひろ子君 今のお答えの中で、矛盾があるんですよね。一定の年齢を決めていて求人しているというのは職安の窓口であるんだと、だけれども年齢を問わずだというのは私はおかしいと思うんですよね。
 今の一定の年齢というのは、職安の窓口でもそうですけれども、実際には昨年日本労働研究機構が実態調査をしていますね。それで、採用予定者の年齢の上限を定めている企業はどれだけで、上限の平均はどれだけかというのが出ているわけですよね。これは一体どういう数字になっているんですか。
#151
○政府参考人(渡邊信君) これは、日本労働研究機構の失業構造実態調査結果でございますけれども、未充足求人のあった企業におきまして年齢制限を設けているものの割合を調査しておりますが、これは八三・九%ということでありまして、その上限年齢は全職種の平均で三十七・三歳というふうになっております。
#152
○八田ひろ子君 今お示しいただいた数字だったら、四十歳以上の中高年労働者の就職というのは困難だというのが本当によくわかるんじゃないですか。
 労働省自身も転職者総合実態調査というのをお調べになっていて、平成十年分が昨年発表されているんですが、今後三年間の採用予定者、採用する予定の人、この年齢分布というのは労働省の調査ではどうなっていますか。
#153
○政府参考人(渡邊信君) 平成十年の労働省の転職者総合実態調査でありますけれども、今の数字につきましては、二十五から二十九歳の者の採用を予定する事業所の割合が最も高くて、これは六〇・一%となっております。以下、複数回答ですけれども、次いで二十から二十四歳が四九・五%、三十から三十四歳が四四・七%というふうになっておりまして、五十から五十四歳層では七・六、五十五から五十九では五・一%。こういうふうに年齢が高くなると採用したいところの割合も減ってきているというふうな傾向でございます。
#154
○八田ひろ子君 労働省の調査でも、それから労働省の外郭団体の調査でも、四十歳以上になりますと本当に就職が困難ですね。要するに採用しないというわけでしょう。採用する予定がないということですね、今の数字でも採用予定ですからね。四十歳以上だと採用しない、五十歳以上になるともっと大変なことになるわけなんですけれども。
 こういうふうに依然として四十歳以上の人、中高年労働者と言われる人たちの就職は極めて厳しいですよね。それなのに、年齢を理由とした区分をなくすということは一体どういうことなんでしょうか。
#155
○政府参考人(渡邊信君) 年齢に応じた区分をなくしてはおりませんで、先ほどから申しておりますように、倒産、解雇等による突然の離職ということにつきましては、年齢区分あるいは保険への加入期間、こういったもので支給額に区分を設けるということにしておりますし、さらに、その中でも比較的家庭的な責任の重い四十五から六十歳未満の解雇、倒産等による離職労働者につきましては従来よりも手厚い助成にしておるわけでありまして、決して年齢の要件を今般なくしているということではございません。
#156
○八田ひろ子君 正確に答弁してください。私が聞いているのは、今までカバーしていたのにそれを取り払うという理由を聞いているわけなんです。新しくあなた方は手厚くしたと言う。それはまた聞きますけれども、どうして今までカバーしていたのにそれを取り払うんですか。
 先ほど、最初に聞きましたよね、コンメンタールで再就職の難易度に応じて年齢区分があるんだということですよね。だから今までそこの部分がカバーされていた。だけれども、実際には今度は少なくなるわけですよね。だから、それをどうしてどういう理由でそういうふうになったのか。困難実態が変わっていない、再就職ができないという。四十歳以上の人たちがもう非常に求人が少ない。それは今労働省の調査でも、それから外郭団体の調査でも、局長がお示しになったとおりです。
 だから、四十歳以上の方が引く手あまたということになれば、今までカバーしていたのを取り払うというのはそれはいいですよ。だけれども、最高三百日というのを今度百八十日に、六カ月にするとか、そういうカバーしていたところを取り払うわけですから、それを私は聞いているんです。何でそういうふうにするんですかと聞いているんです。
#157
○政府参考人(渡邊信君) 今回の雇用保険制度の改正の大きい理由の一つは、確かに失業率が大変上昇している、景気が悪いということでございますが、根本的な理由、原因と申しますのは、この間における社会経済情勢の変化であろうというふうにとらえているわけでありますが、その中の大変大きい要素は自発的な理由によって転職をする方の割合が大変ふえてきたということでございます。
 例えば、バブルのときでも自発的離職というものは五十万人ぐらいでありましたが、この再就職の厳しい時代にあって自発的意思によって転職をする方は百万人というふうに倍になっております。非自発離職者はバブルのころの三十万人から現在百万人ということで約三倍になっておりますが、自発転職者も倍になっておるということで、やはり社会経済の大きな変動の中でみずからの意思で職を変わっていくという方の割合も随分ふえてきている、そういったことの中で、その過程で雇用保険の給付が相当の財政の圧迫要因になっているということも大きい理由になっている一つでございます。
 確かに、自分の意思で転職をする方は若年者に多いわけでありますが、仮に中高年でありましても、みずからの意思によって転職を決意して転職するという方については、やはりあらかじめ転職のための用意もできるわけでありますから、そういった方については従来よりも給付をカットし、本当に必要な層について給付を手厚くするという、いわばめり張りをつける、こういった観点から給付の見直しをしたというものでございます。
#158
○八田ひろ子君 一番最初にコンメンタールをお読みいただいたんですけれども、もし今の御説明だったら、これ全然最初におっしゃったことと違うんじゃないですか。
 転職できた方はいいですよ。転職できた方はいいんですけれども、失業した人のことを私は聞いているわけなんですよ。今まで失業した人で救われていた人が給付が少なくなるわけでしょう。だから、それの年齢要件を外したのはなぜかと聞いているのに、転職する人が多くなったからだ、非自発的も多いけれども自発的も多くなったんだというふうに言われるわけですよね。
 だけれども、最初に私聞きましたよね。そもそもこの失業というのは何か。それで、局長おっしゃいましたよね。労働者の責任の範囲を超えて不可避的な要因により発生をするんだ、失業は国家的な課題として考慮されるんだと。それで、憲法二十七条の勤労権のこともおっしゃいましたよね。労働者が失業した場合において、その生活を保障するためにできる限りの努力を払う、次の職ができるまで。これは法律論を離れ、むしろ国としての当然の責務であると、こういうふうに実際にこうちゃんと書いてあるわけですよね。
 だけれども、今おっしゃるのは、どんどんと多くなってきたんだ、だから非自発的のところに集中する。後でそれもおかしいということを言いますけれども、今までのセーフティーネットを何で縮めるのかというのは私はどうしてもわからないんです。
#159
○政府参考人(渡邊信君) これは限られた財源の中での給付の見直しということはやはり大きいテーマであったかというふうに思います。
 例えば、これはこれとして大変大きい問題だととらえておりますが、若い人が学校を卒業して就職した後に、例えば大卒でも三年以内に三割の方が転職をする、高卒ですと五割の方が転職をするというような実態の中で、そういった方にすべて従来どおりの給付をするかどうかというふうなことは、やはり財政との関係で大きい検討課題になったわけでございます。
 自発転職か非自発かという点につきましては、確かに区分の難しい問題はあろうかと思いますが、そこのところはまた別途手続等適正に行うことにいたしましても、仮に中高年でありましても、みずからの決意で展望を持って自分の意思で転職をするという方と、突然解雇、倒産で転職をする人との給付については区分があっていいのではないか、こういった観点から、財源のことも考えながら総合的に検討された結果、公労使の一致した意見として給付のメルクマールというものを、あらかじめ予定された離職かどうか、こういったところに置こうということで、これはやはり給付の抜本的見直しであると思いますけれども、そういったことで審議会における議論がまとまった、こういうふうに理解をしておるところであります。
#160
○八田ひろ子君 財源の問題だというふうに言われましたけれども、午前中も自民党の委員からも、国がきちんと責任を持つべきじゃないかというふうに言われているのに、本当におかしいですよ。最初にこの失業に対する責務、そしてこの失業保険、雇用保険になりましたけれども、これの根本的なことをきちんと言いながら、実際にはお金のことだと言ってどんどんと削っていってしまう。これじゃ全然セーフティーネットじゃないじゃないですか。私は、きょうはもうあと十五分しかありませんが、本当に全く根本的な問題をひっくり返すような今は答弁だというふうに思いますよ。
 それじゃ、さっきから何度もおっしゃっていますけれども、倒産、解雇に手厚くしたと、こういうふうにおっしゃるんですけれども、本当にそうかというのを私はどうしても明らかにしたいんですけれども、この倒産、解雇で手厚くした、こういうふうに恩恵にあずかるのは、従来と比べて何割ぐらいが恩恵にあずかるわけですか。
#161
○政府参考人(渡邊信君) 保険給付の受給者のうち、三分の一ぐらいの方はこの区分に入るかと思います。
#162
○八田ひろ子君 三分の一ぐらいは区分に入るわけですね。私が聞いたのは、恩恵にあずかるのはどれくらいかということです。この三割の人というのは全員が現行より給付期間が長くなるんですか。短くなる人もあるんじゃないですか。
 どれくらいの人が長くなるのか、あるいは同じになるのか、それから短くなる人はどうなのか、お示しください。
#163
○政府参考人(渡邊信君) 受給者のうち、三分の一くらいの解雇、倒産等による離職者のうちのさらに区分で、それぞれの一こま一こまにどのくらいの人が入るかというのはちょっと手元に数字もございませんけれども、区分として申し上げますと、従来に比して有利なといいますか多い給付額になりますのは、三十歳未満でいいますと、被保険者期間五年以上十年未満の方でありますし、それから特に重点化いたしました四十五歳から六十歳未満層について見ますと、被保険者期間五年以上から二十年以上につきましてはすべてのランクにおいて従来より手厚い給付になります。
#164
○八田ひろ子君 労働省からいただいた資料でグラフみたいにかいてありましたけれども、あれを見てもわからないから伺っているんですよ。
 今、三割が倒産、解雇で手厚くできるだろうと御答弁になりましたね。だけれども、その三割が全部現行よりも給付期間が延長できるかどうかということで今お答えになったんですが、それはどれくらいの割合なんですか。現行と同じ人はどれぐらいの割合で、短くなる人はどれぐらいの割合になるんですか、それを教えてください。
#165
○政府参考人(渡邊信君) 先ほど申し上げたところですが、そこまでは私どもも試算をしておりません。区分で申しますと、先ほど申しましたような区分が手厚くなっているわけでありまして、この考え方は、倒産、解雇による離職でありましてもやはり年齢層の高い部分、あるいは家族的責任の重い部分について真に緊急性があるのではないか、こういったことから年齢層の高い部分について手厚くなっているということであります。
#166
○八田ひろ子君 それじゃ、短くなる人は一人もいないわけですね。
#167
○政府参考人(渡邊信君) 先ほど申しましたような区分のところの方が手厚くなるわけでありまして、それ以外の方については短くなる方もございます。
#168
○八田ひろ子君 局長、倒産、解雇で手厚くした、その割合を三割だと言われたから、そのうちで、じゃ手厚くした手厚くしたとおっしゃるからどういうふうなのかと。そうすると、はっきりと数はわからないけれども、その三割の中でも短くなる人もいるわけでしょう。手厚くしたと言っても短くなる人もいるわけでしょう。そういうことをきちんと説明してほしいというふうに思うんです。重点化の対象になる人で手厚いといっても給付期間が短くなる人もいますよと、そういうことですよね、今の答弁は。だから、六十歳以上は完全にほとんど短くなるわけですけれども、年齢要件をなくすだけじゃなくて、六十歳以上だと重点化されてもなお短縮するわけです。
 それでは、重点化の対象以外の人、これはどうかということをちょっと聞きたいんですけれども、総務庁が調べました労働力調査特別調査、これで失業期間の完全失業者の推移、午前中にもお話があったんですが、六カ月以上の失業期間のある完全失業者を九八年二月の調査のときと九九年八月のとき、六カ月以上の人数、一年以上の人数、割合をお示しください。
#169
○政府参考人(渡邊信君) 総務庁の労働力調査特別調査でございますが、これによる六カ月以上の失業者数ですが、平成十一年二月の調査では百三十九万人、これは完全失業者の三百十三万人の四四%に当たっております。それから、同年八月の調査では百三十三万人で、これは失業者三百二十万人の四二%というふうになっております。
#170
○八田ひろ子君 完全失業者の半分ぐらいが六カ月以上失業状態が続いているということ、そしてこういう完全失業者の人、六カ月以上とかあるいは一年以上たってもまだ職が見つからない、こういう人たちが今深刻な雇用情勢のもとで、今の数字をお示しいただいた中でも急速にふえているわけですね。わずか一年余りで六カ月以上の人が十七万人もふえる、一年以上の人は二十万人もふえる。失業者の実態からすれば、六カ月以上職が見つからない、これからもますます見つからないだろうという可能性が高いんですから、給付期間の延長が今検討されるべきだというふうに思うんですけれども、大臣、どう思われますか。
#171
○国務大臣(牧野隆守君) 今般の求職者給付の見直しは、当面の厳しい雇用情勢に加え、勤労者意識の変化による労働移動の増加等、雇用保険制度を取り巻く状況が大きく変化していることや、再就職を容易にするための施策の整備が図られつつあることを踏まえつつ、倒産、解雇等による離職者に対しては給付日数を手厚くする、このように給付の重点化を図ったものでございまして、何回もお返事申し上げて恐縮ですが、いろんな意見のある中から公労使三者集まって安定審議会で十二分に審議されたものでありますから、いろいろ意見はございますが、私どもとしてはそれに従って法案化したと、こういうことでございます。
#172
○八田ひろ子君 労働大臣に私も何度も言って申しわけないんですけれども、先ほどから御説明いただいているように、失業というのは個々の労働者の責任の範囲を超えているんだというふうに労働省は言っていらっしゃるわけでしょう。失業の非自発的か自発的かということは問わずに、不可避的な要因で発生するんだから、国家的な課題としてこの失業問題を考慮するんだというふうにさっきからもお答えになっているわけですよね。
 再就職するまでに六カ月以上の人がふえているんですよ、それは非自発的であろうと。さっきのお答えは両方ですよね、非自発も自発も両方ですよね。だからふえているんだと。それなのに、倒産、解雇以外の人は一番長くても六カ月にしようという。これはお金も大変ですよね、毎日暮らしていくために。今まで三百日だったんです、十カ月。それを減らされてしまう。六カ月ですよ。これは失業者の実態に全く合わないと思うんです。
 先ほど私、わかり切ったことのようですけれども、雇用保険法一条でうたった失業中の生活保障というこの雇用保険法の目的は変わっていませんよねと聞いたのは、非自発の人は自発の人と比べて生活実態というのは違うんですか。私は同じだというふうに思うんですよ。だから、雇用保険法一条でそうやってうたっているんだったらそういうふうにしていただきたい。私は今の実情に合わせるんだったら、六カ月で切っちゃうんじゃなくて、非自発の人だって自発の人だって六カ月以上にすべきだと、それを大臣に聞いているんです。皆さんがお話しになったというんじゃなくて、労働大臣にお伺いしているんですけれども、どうなんですか。
#173
○国務大臣(牧野隆守君) 非自発的な方々に分厚く対策を考えるのはこれは当然だろうと思います。しかし、一般的に定年、六十になりました、それで私は仕事をする意思があるんですから一番最高の三百日の給付を欲しいと、この気持ちもわかり、いっぱいお金があるんならそういう方々にこたえてあげたいという気持はいっぱいでありますが、全体のバランスを考えた場合にそういうことが果たして許されるかどうか。
 いろんな御意見があるのは私よく承知しています。今までの分について引き下げては絶対いかぬ、これは期待感を持っておられる方もいっぱいあろうかと思いますが、客観的な情勢の変化に対応して、きちっと定年になられたわけですから、少し我慢していただけないかと。
 今おっしゃるように、お金がいっぱいあるのであれば非自発的失業の方についてはお気の毒だからもっと出しましょうと。定年で、今まで納めたから三百日分ぜひいただきたい、これは既得権限だからもう要求するのは当然だと、そのお気持ちはわかりますが、そこはやっぱり全体の資金量の問題とも関連して、全体を見てバランスがどうなんだろうかということを私自身としては考慮せざるを得ない、こう考えておるんです。
#174
○八田ひろ子君 国政全体の中でのバランスをぜひ考えていただきたいと私は思うんです。先ほど局長の答弁でも、私、定年後の話だけしているんじゃないんですよ。四十歳以上になると求人が本当にないんだと。だから先ほど二つの数字を挙げていただきましたよね、労働省のと外郭団体のと。それは企業に直接聞いたのと労働省の調査ですよ。それで、四十歳以上になったら非自発であろうと自発であろうと本当に再就職はできないじゃないですか。
 私、さっきコンメンタールを読んでいただいたのも、コンメンタールに書いてあるじゃないですか。失業の、「遊休労働力の存在とその技能の低下は、国の生産資源の損失を意味するものであり、加えて失業の発生による購買力の低下は、その国の生産物に対する国内需要の減少をもたらし、ひいては生産及び雇用がさらに縮小するといった波及的効果を招く原因となり、」「社会的にも大きな問題となるものである。」。これは労働省の見解じゃないんですか。
 そういう見解の中で、我慢してくださいじゃないでしょう。だって、年金なんか六十五歳になって、四十歳で失業した人は六十五歳までどうやって食っていったらいいんですか。
#175
○国務大臣(牧野隆守君) 今御指摘の中年齢層の皆様につきましては、働く意思をお持ちなんですから、諸般の制度によってほかの方と比較して再就職できるようにと、また研修等につきましてもいろんな実は配慮を講じているわけでありまして、そういうさなかでぜひ再就職できるように私どもも制度的に支援をいたしましょう、こういうことでございまして、先生の御意向に沿わないかもしれませんが、全体のバランスの中で実はそれぞれ対策をとっていると、こういうことであります。
#176
○八田ひろ子君 ですから、私は国政の全体のバランスの中で労働大臣としてお考えいただきたいと思うんです。
 何度も申し上げていますけれども、もともと離職理由によって今まで給付期間に差別を設けるなんということはありませんでしたでしょう。今回それを初めて離職理由によって持ち込んでくるということだものですから私は聞いているんです。
 じゃ、労働大臣は給付内容に差を設けるというのは、個々の労働者に失業の責任を問うというふうに思っていらっしゃるんですか。
#177
○政府参考人(渡邊信君) 事実の問題ですから先にお答えいたしますが、従来、離職理由によって給付にやはり差がありまして、内容ではございませんが、いわゆる自発的離職につきましては三カ月間の待期をかけるということで、既に雇用保険の制度においてそういった差は設けられておりました。
#178
○八田ひろ子君 私は給付の内容のことで聞いていますよ。期間があるとかそういうことじゃないでしょう。今度初めてでしょう、こういうのは。そのことを労働大臣に聞いているんです。そういうふうにするということは、個々の労働者に責任があるという、個々の労働者の責任を問うというそういう態度なんですか。
#179
○国務大臣(牧野隆守君) 退職の理由でありますが、自発的にやめられた方と、それからいわゆる非自発的な理由、会社の倒産だとか解雇、あるいは勧奨退職、こういうことによって本人の意思に反して職を離れざるを得なかったと、これを大切に十二分に配慮しようということはこれは当然のことでございまして、今、未就職の非自発的に仕事を追い出されたという方と、それから自発的に自分は今しばらく休もうと、こういう形で仕事を離れておられる方、これも働く意思があればということで失業者という形で同一に定義されているわけですから、だからそれを先生は一緒にしなければならないとおっしゃるのかどうなのか。
 私は、やはり非自発的な方については、できればもっともっとより大きな支援策を講じて差し上げることができればなというのが私の個人的な気持ちでございます。しかし、先ほどから何回も申し上げているとおり、そこには世の中おのずからバランスがあるということで、そのバランス感覚が安定審議会のいろんな御意見の中から出された結論だと、こう私は承知させていただいたわけです。
#180
○八田ひろ子君 非自発的、突然首を切られた人にセーフティーネットをかけるのは当たり前だと思うんですよ。ただ、私が質問をしているのは、先ほどから何度も労働省の立場として、失業した人を分けていないということ、根本的にその人の責任で失業したんじゃないんだということをきちんと明文化してあるんだから、実際には自発的失業といっても、きょうちょっと時間がありませんので次の機会にやりますけれども、その人は不本意ながらやめるというのがいっぱいあるじゃないですか。そういう問題もあるから、失業者に責任を問わないという立場で失業保険ができているわけですよね。
 今回のように年齢要件を外して、離職理由によって給付の内容に差をつける、こういうのは今までの失業保険史上始まって以来の大改悪です。だから、こういう本質的な、抜本的な、根本的な理念さえも、変えないと言いながら実際には変えるというのは絶対許せないですから、私は次のときにその具体的な問題を追及したいと思って、きょうのところは時間がございませんので、これで終わります。
#181
○大脇雅子君 失業者が増大して、雇用保険でそれを支えていくという基本的な枠組みで、雇用保険法というのはそういう意味で雇用政策の最も中核的な制度であると考えるわけです。
 今般、三百日が百八十日になるという激変が行われる場合に、こうした失業者が増大しつつある中で、激変緩和措置を全くとらないで制度改革を行っていくということに、私は起こるべき結果というものに対して非常に危惧をするわけです。
 激変緩和措置が財政的な中で、雇用保険制度の中だけでやっている場合にはなかなか難しいという御説明もわかるわけですけれども、やはり失業というのは経済政策及び雇用政策と連関しておりますし、政府が連帯をしていく制度だと森総理大臣は言われましたが、それならばやはり痛みというものをどう共有するのかということで、国庫負担が四分の一ということの原則にあれば、実際上は〇・五から〇・七兆円にすぎないわけであります。
 私は、お尋ねしたいのは、激変緩和措置がこれまで検討されたのかされなかったのか。とりわけ国庫負担について四分の一を一四%に変え、また百分の五十六に変え、さまざまな折衝の中で四分の一という国庫負担率がいわば固定化しているのかどうか。大蔵省との交渉というのは一体どのようになされたのかということについてお尋ねをしたいと思います。
#182
○政務次官(長勢甚遠君) 激変緩和措置が必要ではないかというお尋ねでございます。
 この点につきましては、この法案を審議いたしました安定審議会におきましてもいろいろ御議論があったと承知をいたしております。
 今回の改正の中で、いわゆる再就職を容易にするためのいろんな意味での施策の整備も図られつつあるという意味で、再就職の促進を別の意味で確保する手だても講じておるということ、また雇用保険制度の安定的な運用を図る上で早急な制度の再構築が必要であるということの観点から、公労使三者一致の意見として激変緩和措置を設けることはしないという結論に至ったというふうに承知をいたしておる次第でございます。
 国庫負担につきましては、四分の一という原則に戻すということでございますが、将来いわゆる給付と収入のバランスが大幅に変わった場合には弾力措置も法律上明定されておるわけでございますので、これをどうするというふうな議論は特になかったように承知をいたしております。
#183
○大脇雅子君 この点はやはり制度の仕組みとして私どもがどうしても納得できないということでありますので、将来に向かっても国庫負担率というものについては制度の中に組み込んでそれをふやす方向で検討すべきだと思いますが、この点、労働大臣、いかがでしょうか。
#184
○国務大臣(牧野隆守君) 今回の改正に当たりまして、本来の姿に戻るということでお願いをいたしているわけですが、私も着任いたしまして、本来のあの料率、国庫負担分それから労使双方の負担分、これはどういう論理的な根拠であの料率が決まったのか、随分実は調査をさせていただきました。
 しかし、やはりこういう場合は三者で負担するということでありますから、大体これくらいでお互いがそれぞれ負担しようと、どうも最終的にはそういう形で、政府が負担するのは四分の一がマキシマムでこれ以上は出す必要はない、そこまでの論理ででき上がったことではないようでございます。今回は、今までストックが随分ふえましたから、それでその料率をずっと段階的に下げてきて今日に至ったというのが実情でございます。
 今回も本来の姿に戻ればそれで給付は賄えるかと、弾力条項を入れましたけれども、それで何とかセーフティーネットとしては御心配かけなくて済む、こういうことで実は本来の姿に戻させていただいた。
 今の先生の御意見は、きょうの午前中の御意見にもございましたが、四分の一を三分の一にすべきだとか、いろんな意見がこれから出てくるだろうと思いますが、一応現段階では私どもとしては本来の姿に戻らせていただいて、何とかセーフティーネットとして皆さんに御迷惑をかけずにきちっと失業保険を払える、こういうことで、本来の姿と。
 一回話し合ってできておる姿ですから、これを、私のところはだめだ、あなたのところが余計出せという議論をやり始めますと、これはエンドレスでございまして、要するに一番最初スタートしたときにそう決めたじゃないですかと。これはやはり一応の結論を得る場合の考えられた一つの選択肢であったわけでありまして、それに戻った、こういうことでございます。
#185
○大脇雅子君 そういう選択肢の結果として給付日数が減ったということがあって、そこに激変緩和措置がしかれないということに対して危惧を表明するわけです。
 雇用三事業についての執行率の低さということについては、私もこれまで代表質問で取り上げさせていただきまして、きょうの大臣や担当の方の御説明によりますと、これから研究をしていくと。そして、衆議院の附帯決議によりますと、実効性を検証して政策目的の重点化も図ると。さらに、新卒者など、この奨励金の枠をはみ出す形での使いようも考えていくという、かなり踏み込んだ御答弁があったということを歓迎するものでございますが、先ほどの執行率でいろいろと残ったものを計算いたしますと、約二千百億という金額があるわけですが、やはりここの中から見えてくる事象というのは、緊急性の高い中高年の非自発的失業者の雇用確保というものができていないということで、そうした失業者を雇い入れた事業者がほとんどいないという深刻な状況を雄弁に物語っているのではないかというふうに思うわけです。
 ですから、現下の緊急対策として、私はこうしたものも激変緩和措置の財源というものに考えていったらどうか。特に、そうした給付に三事業を充てることについての制約が法的にあるのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。
#186
○政務次官(長勢甚遠君) 先生のお尋ねは、余り執行率がよくない制度をつくり直すということは可能かということでございますね。
 一つは、今回いろいろ手だてを講じております給付金の中には、労働省頑張りまして一般会計でとった給付金もございますので、これはちょっと別の問題だと思いますが、三事業の中の給付金は法改正を要するものもあるかもしれませんし、予算でできるものもあるかもしれませんが、工夫をすればそれなりに見直しは可能であるというふうに考えております。また、そういう方向で検討すべきものはしていくべきことだろうと思っております。
#187
○大脇雅子君 ぜひ、激変緩和措置に私はこだわり続けているわけですけれども、そういうことが可能ならばそれも検討の視野に入れて検討していただきたいというふうにお願いをいたします。
 それから、訓練延長給付制度を有効にこれから活用してセーフティーネットを検討するということが長谷川議員の御質問の中で出たわけですけれども、対象者が今のところ十四万と承知しているわけですが、こうした対象者の拡大の中でそれがどういうふうに検討されつつあるのかということと、とりわけ中小企業の離職者に非常に深刻な影響を与えるということがあるので、この訓練延長給付制度を言ってみれば優先的に活用する道があるのかどうかということについてお尋ねをいたします。
#188
○国務大臣(牧野隆守君) 訓練受講中について給付期間が延長される訓練延長給付制度を有効に活用しながら職業能力開発を促進するということは、これは一つの手段として非常に大切な課題だと、こう考えております。
 公共職業能力開発施設における訓練に加え、民間教育訓練機関に対する委託訓練、こういう制度も活用し、多様なニーズに対応した教育訓練機会の提供に、ぜひこういう時期であればこそフルにそれぞれ活用しなきゃいけない、こう考えております。
#189
○大脇雅子君 教育訓練の対象者を拡大していくということについてはいかがでしょうか、検討されているのでしょうか。
#190
○政府参考人(渡邊信君) この職業訓練の対象者も基本的には雇用保険の被保険者で再就職の難しい方ということでございますけれども、現在緊急の措置といたしまして、例えば学卒未就職、大卒、高卒等の方について一般会計による訓練を無料で行う等の措置もとっておりまして、こういった制度をこれからどうするかということは大きな検討課題ではないかと思います。
#191
○大脇雅子君 中小企業からのいわば離職者に対する対応というのはどのようにお考えでしょうか。
#192
○政務次官(長勢甚遠君) 中小企業に就職するとか雇用していただくという方については、大企業に比較して手厚くやっている制度もたくさんございますが、どの規模の企業から離職されたかによって区分をしておる制度はないと思っております。
#193
○大脇雅子君 そうしますと、ますます中小企業からの離職者が深刻な状況に陥るということが現出するのではないかというふうに私は危惧するわけであります。
 ちょっと時間がありませんので問題進みますが、制度の枠組みが自発的、非自発的という離職理由による給付体系への組みかえが行われたわけですけれども、この自発的か非自発的かということを認定するということについては全国の窓口での公平公正な法の適用と迅速な対応ということが必要になると思いますが、これに関してはいかなる具体的な方策を立てておられるのでしょうか。
#194
○政務次官(長勢甚遠君) 離職理由についての客観的かつ公正な基準をきちんとしていくということが極めて大事であるということは再々御答弁申し上げておるところでございます。
 これは、この法案が成立させた暁に労働省令で基準等を定めることにいたしておりますので、今後関係審議会におきまして、いろいろな実態もあるわけでございますので、それを踏まえて十分に検討いただいて、またそれの運用についても十分な指導をしていく、こういう体制を考えたいと思っております。
#195
○大脇雅子君 離職を余儀なくされた者の主な例示として、倒産、解雇の場合、あるいは人員整理のための退職者、それから採用条件と実際の労働条件が著しく相違したことによる退職者、それから企業による故意の排斥により退職した者ということになっておりますが、この企業による故意の排斥により退職した者というのは一体どのような事例を考えておられるのでしょうか。
#196
○政府参考人(渡邊信君) 典型的なものは、職場におけるいわば冷遇とか意図的な配転とか出向とかあると思いますが、セクハラなどもこれに含まれるのではないかと思います。
#197
○大脇雅子君 そうすると、いじめなどももちろん含むわけですよね。
 このような労働者については自己の申告を尊重していかなければならないということになるわけですが、例えば労働者が行政機関、例えば労働相談窓口などへ相談に行ったとかあるいは弁護士のところへ相談に行ったとか、あるいは医師の健康診断などがあったということがあれば、これはやはり企業による故意の排斥により退職した者というものの客観的な証明になるというふうに思うんですが、これの取り扱いはどのようにお考えでしょうか。
#198
○政務次官(長勢甚遠君) 先ほど申しましたように、判断の基準はこれから審議会で御議論いただくことになるのでありますけれども、当然御本人の事情を十分踏まえて、権利義務にかかわることでございますから、本人の申し立て、御事情も十分尊重する形で運用していかなければならないということは当然のことだと思っております。
 その際、今お話しのような弁護士さんですとか医師さんの相談なり受診なりということをどの程度活用するか、また必要な場合というのはどういう場合かというようなことも当然御議論いただいて、客観的な基準をつくっていただきたい、このように思っております。
#199
○大脇雅子君 先ほど、自発的な失業者に対する給付がカットされたということについて大変問題にされているわけですけれども、やはり私は、自発的な退職者といっても、退職をした主たる理由というので、会社の将来に不安を覚えたから退職をしたというのが一番多いわけで、みずから喜んで転職のために自発的に退職するというのはそんなに多くないのではないかということを感ずるわけです。
 そうすると、自発的か非自発的かというののグレーゾーンのところでの判定というのは非常に難しいと思うんです。だから、会社がリストラを慫慂して、希望退職とかそういう制度的なものを既にやればいいんですけれども、暗にそういう退職の勧奨などがあるような場合、これは一体どちらに入るのかということでありまして、自己申告を尊重するということに対しても、むしろ、主として自己申告を尊重すると同時に、やはり事業主に反証をさせるというような制度化が私は認定作業には必要だと思うんですが、いかがでしょうか。
#200
○政務次官(長勢甚遠君) 自発失業、自発的な離職だという中にはいろんなケースもあり得るだろうと思うんです。本来、解雇に近い形であったにもかかわらず自発的に離職票を書かせられたというようなケースも全くないとは言えないと思いますから、こういうものは当然離職者本人の自己申告というものも十分に尊重する手続にしなければならない、このように考えております。
 ただ、反証まで、反証ということになりますと、どういうやり方がいいのか、手続の問題もありますので、ここら辺も審議会等で御議論いただけるものと思っております。
 ただ、先生、個人的な話かもしれませんが、会社の将来に見込みがないからやめたというのは、やや比較的自発的というふうに近いのじゃないかと個人的には思うわけでございます。
#201
○大脇雅子君 それはだから非常に難しいと思うんです。制度として希望退職とかあるいは早期退職制度の優遇措置をしたということならいいんですけれども、例えば暗に退職勧奨を行って、それに応じようとしない労働者に対して自宅待機を命じてついに退職になったというようなこともあると思うんです。こういう場合なんかはやはり非自発的というところの網をかけないといけないだろうと思うんです。
 問題は、高齢者雇用安定法で四十五歳以上の在職中の求職活動を支援する事業主に助成制度が設けられましたが、この制度の対象となって離職した者というのは、そして失業者になった場合は、これはどちらに当たるのでございましょうか。
#202
○政府参考人(渡邊信君) 今般、高齢法の改正におきまして、在職中からの再就職の援助という規定を強化しておりますけれども、これはこの制度によって初めて離職に至るというものではなくて、解雇とか定年とか、既に決まった方について再就職の援助計画をつくっていただくということで、その再就職援助の先に離職とか解雇とかいう事由があるということですから、そこの時点で判断するということになるかと思います。
#203
○大脇雅子君 今回、パートと派遣労働者等についていわゆる年収制限を削除する形で雇用保険に入れるということが決まっているわけですが、パート労働者についてお尋ねしたいんですが、事業主から保険料の徴収をしているといういわば実績の推移というのをどのように把握されているのでしょうか。
 そして、今度は、現行の要件に合致し得ると考えられる労働者数及び実際にパート労働者として加入している被保険者数というものは、それぞれどんな数字が出ているでしょうか、お尋ねします。
#204
○政府参考人(渡邊信君) まず、短時間労働被保険者で実際に雇用保険に加入している方の数ですが、平成六年が四十五万九千五百人でございましたが、以下、平成七年、八年、九年で、五十二万八千人、六十一万一千人、七十万九千人ということで、平成十年は八十万三千四百五十五名の方がこの短時間労働被保険者として制度に加入されております。
 それから、雇用保険の被保険者となり得る方について見ますと、これは試算しますとおよそ百三十五万人程度ではないかと思います。
#205
○大脇雅子君 そうしますと、パートや派遣労働分野で現在未加入の事業主への対策と周知徹底が大変重要であると思うんです。パート労働者などが今でも加入の要件を満たしながらも未加入の状況にあるという場合があるわけですが、そうしたものの具体的、効果的な施策について労働大臣はどのようにお考えでしょうか、お尋ねをいたします。
#206
○国務大臣(牧野隆守君) パート労働者や派遣労働者について加入しやすくなるよう法改正にあわせ年収要件の廃止を行うこととした次第でありますが、雇用保険の被保険者となり得る者でありながら被保険者の届け出がなされていない者がいることも考えられる次第でございまして、今回の制度改正を契機に、マスコミ等を利用し、労働者及び事業主に対する制度の周知徹底を図ってまいりたいと思っています。
 特に、事業主に対しましては、事業主説明会の開催、労働保険事務組合の活用、事業所調査等を通じて、指導により、加入促進に十二分の努力をさせていただき、少しでも加入していただき安心していただこう、こう思っております。
#207
○大脇雅子君 ちょっと前問に戻りますけれども、九十万円の収入要件をカットした場合に、これはもう少しふえるんじゃないですか、実質的には。何かちょっと今のところの数字にはっきりしないのがあったので、確認します。
#208
○政府参考人(渡邊信君) 失礼しました。
 現在では年収が九十万円以上の方がこの保険の被保険者になり得るということにしていますが、この要件を今般撤廃することにいたしておりまして、これによりますと、雇用保険の被保険者となり得る方は約二百万人ぐらいになるかと思います。
#209
○大脇雅子君 そうすると、今現状で百三十五万人ですと、適用漏れが五十五万人。二百万人というのが適用対象者とすれば、現在入っている八十万を引きますと、約百二十万人を加入させていくということになるので、ぜひ今労働大臣が言われた具体的な施策の効果的な展開を期待したいと思います。
 最後に、ちょっと時間がありませんが、これまでの判例法理に照らしますと、反復更新によって期間の定めのない契約と実質的に異ならない雇用条件に至った有期契約者の場合は、有期契約の期間満了前に再締結を希望する労働者の意思が明確であるのに期間満了を理由に離職せざるを得ない場合には、これは非自発的離職と判断すべきではないかと思うのですが、この点どうでしょうか。
#210
○政務次官(長勢甚遠君) 有期の雇用契約が反復更新されておる場合に、それによって期間の定めのない契約というふうにみなし得る場合があるわけでございまして、そういう場合には契約の更新を拒否するということは解雇に当たるという判例もあるところでございます。
 したがいまして、今後、離職理由の判断に当たりまして関係審議会で御議論いただくわけでございますが、当然このような判例法理も踏まえて基準をつくっていただけると、このように思っております。
#211
○大脇雅子君 時間が参りましたので、三十二分までというので、もう一問させていただきます。
 育児・介護休業給付金の支給の引き上げが行われまして、これまで二〇%だったのがさらに引き上げられるということで、非常に歓迎すべきことだと思っています。私どもが育児・介護休業給付金についてこのパーセンテージを上げるのに大変いろいろ主張しながら困難だったわけですが、少子高齢化の社会というところでそうした取り扱いが可能になったというのは、喜びながらも複雑な心境でございます。
 現在、給付金を自主的に事業主が出している場合に、例えば、従来、毎月二〇%の給付金に上乗せする意味で六〇%の賃金支給をしていた事業主が、今回の改正で三〇%への引き上げを契機に差額分一〇%相当額をいわば原職復帰後に原職復帰奨励金として支給する取り扱いはこうした制度の趣旨にかなって有効と考えますが、支給がふえたという反面、今まで事業主が出していた分がカットされるということでは本末が転倒していくというふうに思いますが、こういったときについての処理についてはどうお考えでしょうか。
#212
○政務次官(長勢甚遠君) 先生御案内のとおり、育児休業期間中に支払われる育児休業給付金については、離職して基本手当を受給する者の給付率の上限が八割であるということとの均衡を考慮いたしまして、育児休業期間中に支払われた賃金月額との合計額が育児休業開始前の月平均賃金額の八割を超える部分については、その超える額を休業給付金から減額をするということにいたしておるわけでございます。
 したがって、御指摘のような奨励金が職場復帰後に支給する育児休業給付金と全く別のものとして支給されるものである場合には、これを禁止するというものではないというふうに考えております。
#213
○大脇雅子君 時間です。どうもありがとうございました。
#214
○委員長(吉岡吉典君) 両案に対する本日の質疑はこの程度といたします。
    ─────────────
#215
○委員長(吉岡吉典君) この際、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、来る二十五日午後一時に、参考人として日本経営者団体連盟常務理事成瀬健生君、東京大学社会科学研究所教授大沢真理君、中央大学経済学部教授大須真治君及び労働組合東京ユニオン書記長関根秀一郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#216
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時三十四分散会
ソース: 国立国会図書館
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