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2000/04/27 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 労働・社会政策委員会 第9号
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2000/04/27 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 労働・社会政策委員会 第9号

#1
第147回国会 労働・社会政策委員会 第9号
平成十二年四月二十七日(木曜日)
   午前九時三十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十六日
    辞任         補欠選任
     脇  雅史君     溝手 顕正君
 四月二十七日
    辞任         補欠選任
     清水嘉与子君     森田 次夫君
     直嶋 正行君     吉田 之久君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         吉岡 吉典君
    理 事
                大島 慶久君
                大野つや子君
                小山 孝雄君
                川橋 幸子君
                長谷川 清君
    委 員
                上杉 光弘君
                斉藤 滋宣君
                常田 享詳君
                溝手 顕正君
                森田 次夫君
                笹野 貞子君
                高嶋 良充君
                直嶋 正行君
                吉田 之久君
                但馬 久美君
                浜四津敏子君
                八田ひろ子君
                大脇 雅子君
                高橋紀世子君
   国務大臣
       労働大臣     牧野 隆守君
   政務次官
       労働政務次官   長勢 甚遠君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        山岸 完治君
   政府参考人
       労働省職業安定
       局長       渡邊  信君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○雇用保険法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)
○高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部
 を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、脇雅史君が委員を辞任され、その補欠として溝手顕正君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(吉岡吉典君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に労働省職業安定局長渡邊信君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(吉岡吉典君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○高嶋良充君 民主党・新緑風会の高嶋良充でございます。
 私は、前回、先輩議員の長谷川議員の方から雇用保険を中心に質問をされましたので、きょうは、いただきました時間、高齢者雇用安定法に焦点を当てて質問をしてまいりたいというふうに思いますが、雇用保険にかかわる部分も若干出てくると思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず最初に、労働大臣に基本的な認識について伺っていきたいというふうに思うんです。
 きのうの読売新聞に雇用問題に対する調査の記事が出されました。
 国民の四人のうち三人までが雇用不安を感じている。とりわけ、三十代の皆さん方では八四%。八四%というと、もう五人のうち四人以上と、こういうことになるんですけれども、三十代の人で八四%も雇用に不安を持っているという調査結果があらわれているわけです。そういう雇用不安の問題が私は経済に対して非常に大きな影響を与えているんではないかというふうに思っているんです。
 この間のある雑誌に日経連の副会長であります山路敬三さんが、日本テトラパックの会長なんですけれども、この資料は大臣の方にもお渡しをしておきましたけれども、次のように言われているんです。混迷が続く日本経済の根本の原因を一言で言えば不安心理に伴う萎縮だというふうに言われています。その内容として、リストラによる雇用不安、それから再就職難による先行きの生活不安、そして年金制度崩壊に伴う老後の不安だと、数え上げれば切りがないほど国民は不安心理になっている、こういう言い方をされています。
 私は、この山路さんが言われている不安心理は現状を的確にとらえているんではないかというふうに思っています。
 その証拠に、二月の失業率は最悪の四・九%、三百二十七万人、新卒の就職浪人がこれまた出てくるわけですから、四月以降は当然のこととして五%を超えるんではないかというふうにこれまた言われているわけであります。それと同時に、この法律にもありますけれども、中高年齢者の再就職が非常に厳しい状態になっている、そこへ年金改革で追い打ちをかけた、こういうことでございます。
 そういう不安心理を払拭するということが今一番大切なんではないか、そのためのセーフティーネットを含めて経済をどう立て直していくかということが、これが非常に重要だというふうに思っているんです。
 そこで大臣にお伺いいたしますけれども、今回の雇用保険法の改正案と高齢者雇用安定法、この二つがその不安心理を払拭させるということにならなければならないというふうに思っているんですけれども、そういう不安心理を払拭できるんだというふうに確信をお持ちなのかどうか、その辺の基本認識についてお伺いしたいと思います。
#7
○国務大臣(牧野隆守君) 今、高嶋先生から雇用不安という一般の方々のお気持ちですが、いろんな要因が御承知のとおりふくそうしてそのような気持ちになられる、こういうことでございまして、私自身も先生と現状に対しては同じような気持ちでございます。
 そういう見地から、労働省といたしましても、労働省の施策で何ができるかということ、そして、一番最後におっしゃった、雇用不安をなくするために元気づけなければいけないんじゃないかというようなお気持ちの表明がございました。
 今回の改正をお願いいたしております雇用保険制度は、実は雇用不安に対するセーフティーネットの中核をなすものでございます。そういう気持ちから、今般の改正におきましては、倒産、解雇等により離職を余儀なくされた者に対しましては手厚い給付を行うと同時に国もそれ相当の責任を持つべきでありまして、国庫負担を本来の二五%、四分の一に戻しましてこれらに対処し、雇用保険制度の安定的な運営を確保いたしたい、こういうことで御審議をお願いしているわけであります。
 現在の情勢、刻々と変化いたしておりますが、実は失業の問題に関連いたしまして、新卒の採用内定がどうだろうか、まずこれが私どもの心配した一つの大きい問題点でございます。文部省も非常に協力を、特に都道府県の教育委員会、学校の就職担当の先生方、そして御父兄の方々、それを労働省の出先機関が事務局になって協力いたしまして、私は九割を割るのかなと思ったんですが、大体九二%近くまでは確保されたということで、一応就職状況は一つ一つ実は改善の方向に行っているわけでございます。他方、民間の情勢を見ますと、特にハイテク関係を中心にいたしました民間設備投資が急激に進んでおりまして、しばらくのうちにアメリカと同程度まで行くのではないかなと。
 このような諸般のデータを見ますと間違いないなという感じになってきておりまして、全体としては非常に不況であり雇用不安を招来いたしておりますが、何とか徐々に解決する方向に行くという、私、個人的には確信を持つに今行きつつあるというのが現状でございます。
 したがって、セーフティーネットとしての失業給付等を中心といたしまして本当にお困りの方を支持申し上げ、あわせて三事業の現在の制度をフルに活用いたしましてぜひ雇用不安を払拭する、こういう方向で諸先生方の御指示、御叱正をいただきながらベストを尽くさせていただきたい、このように考えております。
#8
○高嶋良充君 今の大臣の答弁を聞いていますと、私自身は雇用不安を払拭し切れたというふうに確信は持てないんですが、雇用保険の関係は別にして、高齢者の雇用安定法の方は、基本的には、今までから政府の政策で言われている失業なき労働移動という、そういう面で私は評価をしているんですけれども、その辺、まだまだ弱い面がございますから後でまた申し上げていきます。
 ただ問題は、今まで、この間の答弁でもずっと言っておられましたけれども、政府の雇用政策の基本というのは経済回復、景気が回復すれば雇用が安定するんだと、こういう言い方をされてきました。しかし現状は、この間マスコミも書いていましたけれども、今の景気回復、確かに景気回復はされてきているけれども雇用なき景気回復なんだ、だから、景気が若干上向いてきているけれども、それはリストラという人員削減によって経済を活性化させて景気を回復してきていると。そういう観点からいうと、今まで労働省がとってこられたような経済政策の、景気回復によって雇用の安定を図るということとは逆の流れに現実はなっているのではないか、その辺が非常に危惧するところなんです。
 政府の政策もそうですけれども、とりわけ最近の日本の企業経営というのは、企業は株主が支配するものであって、企業経営は株主の利益増大が大前提だという風潮がかなり強く打ち出されてきています。ですから、当然のこととして、株価さえ上がるのであれば従業員を切り捨ててでもという、そういう経営の風潮というのが顕著にあらわれてきているというふうに思うんです。そういう企業経営のもとでは、政府の方から言われている企業の構造改革と中高年齢者の雇用の確保の両立、失業なき労働移動というのは非常に難しいのではないか。そういうことについてどう考えられているのかというのが一つ。
 それと、今回のこの法改正によって、企業がそういう風潮を改めない限り逆にリストラを促進するのではないかという危惧もされている部分もありますから、その辺の危惧はないのかどうか、その辺をお聞きしたいと思います。
#9
○国務大臣(牧野隆守君) 先ほども申し上げましたとおり、先生の御懸念につきましては私も全く同じでございまして、行政を担当する責任者としてこの懸念をどう払拭するかということは、実は私にとりまして最大の任務であり責任であるわけでございます。
 そういう点で、御質疑の最初の今後雇用問題を前向きにどう処理するかということでございますが、特に中高年齢層に対する施策としましては、御承知のとおり、私自身は、実は日経連と連合の幹部の皆さんに企業の社会的責任ということで着任早々最初に訴えさせていただきました。法的責任というところまでは問いませんが、人様をお雇いするということは、これは極めて設備、金繰り等とは違いまして基本的な事項でございまして、そういう点の社会的責任を強く訴えたわけでございまして、一応この私の要請にこたえていただきました。
 それで、企業として具体的にどう行動するかという点について注目いたしているわけでございまして、これらを支える一つの大きな動きといたしまして、今回の春闘におきまして、特に六十から六十五歳までの継続雇用についてどうするかということが非常に大きな争点になりまして、企業サイドも基本的には同じような、具体的にいろいろ差はありますが、具体的にそういう方向で行っていることはもう先生も御承知のとおりだと思います。
 そういう観点から、私どもの政策といたしましては、例えば、六十五以降の雇用契約について最低八五%をアッパーリミットにしまして四分の一の賃金は保障させていただきますよ、あるいは積極的に教育訓練と申しますか技術向上と申しますか、これにベストを尽くしていただきたいと。こういう制度を確立いたしまして、今、企業関係の方々にもこういう制度を十二分に利用して雇用の確保に努力していただきたい、労働組合も幹部の皆さんもそういう感覚で経営陣と真摯に話をしていただきたい、このように実はお願いしているわけであります。
 私もいろんな形で調査いたしておりますが、いわゆる団塊の時代、これが六十歳に近づいてまいっているわけであります。本当に、若い人と比べて中高年齢層の方々の転職というのは現実に可能かということを関係者の皆さんにお伺いしているわけですが、アメリカとかヨーロッパと違いまして日本は高学歴社会でございまして、ホワイトカラーの皆さんは基本的な学力といいますか認識を持っておりまして、やりようによってはこういう産業構造の変化に転換しやすい。逆に言いますと、若い人よりも非常に勤労に対する考え方がまじめでございまして、そう心配する必要はありませんよ、どんどん適応しておられますという民間の有識者の方々の御意見をお伺いいたしておりまして、特に訓練、技能習得、新たな知識の習得、これにつきましては最大の努力をさせていただきたい。
 だから、これによって今先生御指摘の一つの雇用不安というのは、日本というのはどんどん伸びていきますよ、雇用の面においても、雇用される方々の立場を関係の皆さんが十二分に、これは一番大切なことだということの認識が非常に進んでおりますよと、こういう情勢に行きつつあるという情勢を見まして、私自身は、政府も施策を最大に駆使いたしましてこういう気持ちが確固たるものになるように努力をいたしたい、こう考えております。
#10
○高嶋良充君 非常に長い答弁で、御説明をいただいたんですが、ちょっとその中身もわからない部分があるんですけれども。
 私が言いたいのは、政府がとっておられる施策が基本的には失業なき労働移動という形で、この高齢者法も含めて、一たん失業しなくてもそのまま別のところの会社に移れるというような状況を含めたそういう労働移動という形でこの法律をつくられている部分というのは理解するんですよ。しかし、今の企業は、政府のほかの政策の関連を含めて、会社更生法、再生法の問題とか、あるいは今度出されて衆議院で今審議をされている会社分割の問題とかを含めて、一たん失業させて、それから雇用保険を使ってその後にまた雇用を確保するというような状況が生まれている。だから、一たん失業がふえて雇用保険がパンクして、それから雇用安定法が使われるというような状況が出てくるものですから、非常にそこが問題があるんではないか、そういうことを言いたかったわけです。
 そこで、先ほど言いました日経連の山路副会長がいろんなことをその中で言われているわけですけれども、私はやっぱり必要だなというふうに思ったのは、人を大切にする経営というのがこれからますます必要になってくるのではないかと。山路さんに言わせると、企業経営に必要な理念というのは人間尊重だというふうに言い切っておられますよね。そして、企業は設立するまでは株主のものだけれども、運営し始めれば顧客と従業員を優先すべきだということを強調されているわけです。
 さらに、これは四月二十三日の朝日新聞の社説なんですけれども、そこにも、アメリカのジョンソン・エンド・ジョンソン社も、会社にとっての優先順位というのは、まず第一に消費者だ、その次に社員だ、そして三番目に地域社会なんだ、そして四番目が株主なんだと、そういう信条をこの会社は半世紀以上も保持してきていると。だから、これからの会社経営というのはそういうふうにならなければならないし、政府の政策も、そういうところを支援し後押しするような政策というのが必要なのではないか。
 だから、この高齢者雇用安定法を生かすも殺すも人間尊重の理念というものが必要なんではないかというふうに思っているんですが、大臣として、最後に、その辺のことについて簡単に決意をお伺いしたいと思います。
#11
○国務大臣(牧野隆守君) 人間尊重主義、雇用の大切さ、認識は先生のお気持ちと私は全く同じでございます。
 そこで、じゃそれを具体的にどうするかという点につきまして、今先生が二、三御指摘になられたとおりでございますが、中高年齢者に対する再就職援助計画制度というものを、特にあらかじめ労働者御本人の希望を聴取できるように、十二分に尊重できるように関係手続の明確化を図りまして、労使間で十分協議していただく、こういう形で進めさせていただきたいと思いますし、今法律の、会社法と商法の一部改正等の御意見もございましたが、少なくともこういう制度の改革によって雇用者、労働者の皆さんが不利になるようなことだけは絶対にしてはいけない、こういう形で関係法案を提出させていただき、御審議をこれからしていただこう、こう考えているわけであります。
#12
○高嶋良充君 首になるようなことは避けたい、こういうことですから、失業なき労働移動というものについては構造改革のグローバル化の中では非常にやむを得ないというふうに思っていますから、その辺はやっぱりきちっとこの高齢者雇用安定法が生かされるような、そういう運用をぜひお願いしておきたいというふうに思っています。
 そこで、次官にお伺いをしたいんですが、各論に入っていきますけれども、定年引き上げの問題についてお伺いをいたします。
 年金が改革をされたということで、基本的には年金生活による空白の五年間というのが生まれるわけですし、それと同時に、将来、二〇一〇年以降か二〇〇五年以降になると思いますけれども、労働力が少子高齢化によって減少する、こういうことですから、基本的には労働省が出されたこの法案の趣旨は、六十五歳まで働けるように、六十五歳現役社会というのですか、六十五歳までの雇用確保と六十五歳現役社会を実現するんだ、こういうふうに私は理解をしているんです。
 今回の法改正の中で、第一条の目的に「定年の引上げ」ということを新たに加えられておりますけれども、これは、政府として最終的に六十五歳定年制を実現していくんだという、そういう意思表示として受けとめさせていただいていいのかどうか、お伺いしたいと思います。
#13
○政務次官(長勢甚遠君) 先生御指摘のとおり、今、六十五歳まで何としてでも雇用確保ができる、そういう社会の実現ということがこれからの我が国の大きな課題であるというふうな認識に立っております。
 その際、六十五歳までどうやって確保していくか。例えば、年齢差別の禁止とかいろんな考え方もございますが、従来の我が国の労働市場、労働慣行の中では定年制を六十五歳までということが一番はっきりしていると思いますし、同時に、今の現状の中では、それにあわせてその他の雇用継続制度も含めて六十五歳まできちんとした雇用確保の仕組みができるようにしたい、これが今回の改正の目的でございます。
#14
○高嶋良充君 前回参考人でお呼びをいたしました日経連の成瀬常務理事が言っておられますけれども、日経連としては、六十五歳定年制ということではなくて六十五歳までの雇用延長を目指すんだ、こういうことで定年制という部分ではかなり消極的な発言をされていました。それと、五十五歳から六十歳に定年延長したときでも、これは定着まで約三十年かかっているわけです。
 そういう観点からいくと、この定年制引き上げという部分について労働省として企業にどのように求めていくのか、その辺の具体的な施策について伺いたいと思います。
#15
○政務次官(長勢甚遠君) 定年ということになりますと、今御指摘もありますように、各企業で現実化をするにはいろんな条件整備が必要であろう、このように思っております。
 例えば、賃金、人事、処遇制度を初めとする雇用管理も、どうしていくかということを見直していかなきゃならないでしょうし、また、その職場の職務設計なり、その方々にどういう形で能力を発揮していただくかという点でも工夫が要ることだろうと思っております。これらの整備について、我々としても、実効ある指針を提示して、事業主の方々にその方向での取り組みを進めてまいりたい、こういう考え方でおりまして、今後、高齢者等職業安定対策基本方針においてこれらのことを定め、徹底してまいりたい、このように思っておりますし、そのような実施に当たっての助成、援助制度についても拡充を図っていくべきものと考えております。
 また、労使の中におきましても、今春闘でもよくその方向が明確になってきたと思いますが、大変な御努力もいただいておるわけでございまして、雇用確保をさらに進めていただくように我々も努力してまいりたい、このように思います。
#16
○高嶋良充君 言っておられることは非常に理解できるんですが、私が心配するのは、そういう措置だけで実効性が伴うのかどうかという部分を非常に心配しております。
 いろんな調査によると、雇用管理調査というのがあるんですけれども、そこでは、希望者全員を六十五歳まで雇用を確保する企業の割合というのは、平成十一年度で一八・一%、二割を切っているんですね。それと、さくら総研が昨年実施をしたアンケートでも、六割の企業が将来も高齢者の雇用環境は厳しいというふうに回答されているわけです。ということは、なかなかやっぱり実効性が伴っていかないのではないかというふうに思うんです。
 そこで、定年の引き上げという問題なり、あるいは希望する者全員を対象とする継続雇用制度の導入ということを目指しておられるわけですから、それをさらに実効性あるものにするために、今は努力義務ですけれども、それを義務化するというふうな考え方は、現時点では無理かと思いますけれども、将来どうなのか。これは、六十歳定年制にされるときも、最後の段階で、おととしですか、義務化をされているという部分もありますから、その辺の考え方についてお伺いしたいと思うんです。
#17
○政務次官(長勢甚遠君) 個人的なことでございますが、六十年法は私が課長として立案した制度でございます。そのときのことを思いますと、努力義務を書くことすら労使間で大変な議論があったことを覚えております。しかし、今日になりますと、高齢化が進む、また年金等の問題もある、高齢者の方々はますますお元気である、こういうような過程の中で、労使ともそういう方向に進めなければならない、こういう認識は相当程度に環境として進んでおる、このように思っております。
 そういう中でございますから、もちろん現状で義務化ということはなかなか、まだまだという時期ではありますけれども、私は、格段に労使間の話し合いも進むと思いますし、そういう自主的な努力がなければ法律をつくっても実効性は上がらないというのも実態だろうと思います。
 我々としても、先ほど申しましたことも含め、また助成、援助等々の制度も拡充して、その方向で進めていかなければならないと思いますし、私どもは格段に進むことができる、このように思っております。
 法制化という方向でございますが、これは私の個人的な見解かもしれませんけれども、みんながやれるようになれば法制、義務化をする必要は実態上はないのかもしれませんが、ただそういう中で、特段にさぼるようなことがあってはならないという意味での義務化が将来的には必要な時代も来るのかなと、このように思います。
#18
○高嶋良充君 いずれにしても、義務化は当面難しいにしても、定年の引き上げという問題と、とりわけ、希望する人全員が継続雇用されるというその状況というのは、年金との絡み、接続の問題からいえば非常に死活問題になってきておりますから、ぜひその辺については前向きに御検討いただきたいというふうに思います。
 時間がありませんから、次に移ります。
 能力開発の関係について一点質問しておきたいというふうに思います。
 先ほどの日経連副会長の山路さんの言葉を引用して申しわけないんですけれども、彼はその中でこの能力開発等のことについて次のような提案をしているんです。人員削減をせずとも企業の体質強化というのは可能だということを前提にして、「経営者は得られた利益をすべて自社に向けるのではなく、従業員の再教育に投資すべきだ。情報、介護、環境といった次の成長分野に適応できる再教育へ企業が支援し、力がついてきた人材は、場合によっては会社を移ってもらっても構わない。そうした生きがいを持って働ける地盤を企業が整える必要がある」というふうに提案をされているわけです。
 労働省の考え方もそういうことだというふうに思うんですけれども、労働者みずからの能力開発ということも必要だけれども、それ以上に企業自体が個々の高齢者の能力を最大限引き出せるような職場開発というのが必要なんではないかというふうに思っているんですけれども、そうした企業が行う職場開発促進に関して政府としてどのようなインセンティブを与えていくのか、お伺いしたいと思います。
#19
○政務次官(長勢甚遠君) 今お示しのこの論は大変すばらしい意見だと私も思っておりますし、労働省もその方向で考えてまいりたいと思います。
 企業内の職業能力開発は、企業内で活用するために行われる能力開発と、またそれが普遍的に、他産業に移ってでも、あるいは労働者の職業生涯の中で活用される能力開発と双方あると思いますけれども、ぜひ双方について、企業内で事業主の方々の協力を得てそういう仕組みが拡大していくということを我々としては期待しておるわけでございまして、そのために、企業内における事業主のそういう能力開発に対して職業能力開発給付金等の助成制度も設けておるわけでありますし、特に中高年齢者に関しては助成率も高くしておるわけであります。また、対外的に公共職業訓練その他いろいろな制度も整備をしておりますが、特に在職者の教育訓練給付制度等も含めて、今後ともその拡充を図ってまいりたい、このように思っておるところであります。
#20
○高嶋良充君 次に、中高年齢者の求人開拓の関係に絞って質問をさせていただきたいというふうに思うんです。
 これは十二月のマスコミの記事なんですけれども、東京都の職業相談部長が語っておられるんです。「年齢制限のない求人はほとんどない。四十五歳を境目に、求人数はガクンと落ちる」ということで、四十五歳以上というのは十人に一人しか仕事がない計算だ、こういうことが記事になっています。
 そこで、年齢制限の問題について考え方をお聞きしたいんですけれども、小渕前首相のもとでまとめられました「二十一世紀日本の構想」という中に次のように示されています。「転職が大きなハンディとならず、個人が企業間を自由に移動でき、個人も企業も流動的に持ち場を変え得る社会を構築することが必要」だという、そういう認識が示されているわけです。そういう社会が実現されれば、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることが可能だというふうに私も思うんですけれども、しかし現実にはまだそういう社会が実現をしていないという状況ですから、現実的には非常に転職というのがハンディであると同時に、先ほども申し上げましたけれども、四十五歳以上の求人倍率の低さということからいくと、年齢が再就職の大きな障害になっているというのはこれはもう否めないというふうに思っています。
 そういう意味で、求職活動時に能力や人柄だけではなくて年齢で既に選別をされてしまっているという中高年齢者、この皆さん方の求人開拓をどうするかという、そういうことも含めて、そのプロセスについてどのようにお考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。
#21
○政務次官(長勢甚遠君) おっしゃる問題は大変我々も気を使うというか、重点を置いて考えなければならない問題だと思っております。
 安定所というか、ハローワークにおきまして求人の受理をしておるわけでございますが、そのときに、求人条件、年齢制限について何とかして緩和を図ってもらいたいという最大限の努力をしてまいっております。また、民間の紹介事業者等に対しましてもこの面の指導もしておるわけであります。さらに、高年齢者雇用開発協会で高年齢者雇用アドバイザーというのを設置しておりますが、具体的に高齢者を雇う方策、仕組み、またそのためのやり方等々の指導も重点的に行ってきておるわけでございます。
 そういうときに、求人をなさる方々は、相当程度の幅をお持ちの方もおられるわけでございますけれども、書面で出すとなればどうしても低いところというか、都合のいいところで出したがるという点もあります。こういう点をどうやって具体的な求職者との関係で説得をするかということが実は安定所の窓口の腕でございまして、このノウハウをみんな苦労してつくり上げてきておるわけであります。
 これからも、求職者の方々の事情も十分つまびらかにしながら、求人者の方々に御理解いただくという努力を今後とも、大変苦労をかけておるわけでございますが、ハローワークの窓口、各民間職業紹介機関も含めて、頑張っていただくように我々も要請してまいりたいと思います。
#22
○高嶋良充君 御承知のように、アメリカでは年齢差別禁止法というのが導入をされておるわけです。しかし、日本の今までの年功的な雇用慣行という意味からいくと導入の難しさというのはあるのかなというふうに、これは理解できます。ただ、日経連の常務理事が参考人で来られたときに、もう既にそういう雇用慣行というのはかなり変革がされてきている、こういうことも言われていたんですが、そういう観点では、年齢制限を禁止するような政策というのはやっぱり必要になってきているのではないかなというふうに思っているんです。
 そういう年齢差別禁止法を導入しなくてもやり方はあるというふうに思うんです。一つは、年齢を理由として雇い入れの拒否をしてはならないというような制限とか、二つ目に、年齢を理由として職業紹介の拒否をしてはならないということとか、三つ目には、求人広告の募集等についてもそのようなことを禁止するというような、そういう政策の手だてもあるというふうに思うんです。
 いずれにしても、中高年齢者に他の労働者と均等の機会を与えるように努めなければならないということをきちっと政策的に打ち出せないものか、その辺の考え方についてどうでしょうか。
#23
○政務次官(長勢甚遠君) 御趣旨はよく理解できる部分もあるわけでございますが、制度的にこれを担保していこうということになりますと、果たして現状において社会的合意が得られるかどうかという点に若干私は危惧を感じております。
 同時に、これから高齢化が進む、労働力人口の中でも高齢者の割合が進んでいくわけでございますし、また産業構造もどんどん変わっていく。労働生涯というものも、六十五歳までというと、二十から勤めても四十五年間という大変長きにわたるわけでありますから、その間でどういう働き方をするか、企業としてはどういう使い方をするかということの生涯にわたる流れというものも、これから社会全体として、個人も会社も考えていかなきゃならない時代になってきておるのではないかなと。
 つまり、労働力の人口別の配置とか、そこの産業の活用の仕方とかということも見直していく中で、私は、今おっしゃったような方向も、制度化という形よりも実態としての労働事情としてつくり上げていくことが可能なのではないか、こういうことも考えておるわけでございまして、今後の大きな課題だろうと思っております。
#24
○高嶋良充君 法とか制度化というのは難しい部分もあるんですけれども、努力規定というか、そういう部分は非常に必要なのかなというふうに思っているんです。とりわけ、中職審の建議にも、募集時における年齢制限の緩和に向けた指導、啓発、このことが出されているわけです。
 中高年齢者の円滑な再就職に向けた労働市場をきちっと整備していくという、そういう観点から見ても、具体的に制度化でなくてもどのような施策を講じていかれるのか、その辺、もう少し突っ込んでお話をいただきたいと思います。
#25
○政務次官(長勢甚遠君) 先ほども若干申し上げた部分もありますけれども、ハローワークなり民間職業紹介機関において、いろんな職種事情によって幅があることが十分あるわけでありますから、その事情を十分把握できる仕組みをやっぱりもっともっとつくっていかなきゃならぬと思うんです。
 それがあれば、逆に求職側の状況もあるわけでありますから、こういう人なら例えば四十五歳まででなきゃ困るけれども、これだけやれるんだから六十でもいいじゃないかという方もおられるわけですし、またそれに対応できる求職者もおられるわけでありますから、ここら辺の具体的なノウハウを、ぜひ現場の皆さん方に御苦労いただかなきゃなりませんし、積み上げていくこの努力を、最大限の努力をしていきたい、このように思っております。
#26
○高嶋良充君 この法律の観念からいえば、そこが一番やっぱり求人開拓という部分も含めて非常に重要なところですから、幾ら法律をつくっても受け皿がなければ活用できない、こういうことですから、ぜひよろしくお願いをしておきたいというふうに思っております。
 そこで、再就職援助計画の関係について若干伺いたいというふうに思っています。
 中高年齢者の新規求人あるいは求職というのは非常に難しいということは、今までの答弁内容も含めて共通の認識になっているというふうに思うんですが、離職予定日が過ぎても再就職先が決まらないというケースがかなり出てくるのではないか。そういうことからいくと、この再就職援助計画が空手形になりはしないかというふうに非常に危惧するんです。そういう意味からいくと、在職中の求職活動期間というのをやっぱり十分に保障すべきではないかというふうに思うんですが、その点についてはどうでしょうか。
#27
○政務次官(長勢甚遠君) おっしゃるとおりだと思います。できる限り、再就職援助計画の作成も含めて、在職中から求職開拓といいますか、再就職のための活動ができるように、またハローワーク等も援助ができるように、そういう運用に努めてまいりたいと思います。
#28
○高嶋良充君 この問題についてはまた後で同僚議員の川橋議員の方からも出ますから、次に進みたいというふうに思います。
 もう一つは、再就職援助計画がリストラ促進になるのではないかという危惧がされているんです。計画作成との関連でいえば、労働組合のあるところは労組とか労働者代表という形で関与できる、こういうことになっているんですけれども、労組が組織されていない事業所が非常にたくさんあるわけですけれども、そういうところでこの再就職援助計画が肩たたきになりはしないかという、そういう危惧があるんです。そういう労組がないところの労働者の苦情への対処というのはどのようにお考えなのか、その辺の問題の解決をするためにどういう仕組みを考えておられるのか、お聞かせください。
#29
○政務次官(長勢甚遠君) この再就職援助計画が、御趣旨は御理解いただいていると思いますが、決して肩たたきの道具に使われてはならないことは言うまでもないことでございます。
 そういう観点から、これを作成する場合には、組合がない場合にも労働者の過半数を代表する者の意見を聞くということになっておるわけでございますし、またその作成に当たってはあらかじめ労働者本人の希望も聴取するようにその手続の明確化を図ってまいりたい、このように思っております。苦情があった場合には、当然、申し出があれば事業主に対しまして必要な指導をしていくという体制で進めさせていただきたいと思います。
#30
○高嶋良充君 では、次に職安の機能強化という観点で何点か質問をさせていただきたいんです。
 先ほどから言っていますように、厳しい状況にある中高年齢者の求人開拓というのは非常に職安の皆さん方も御苦労いただいているというふうに思うんですけれども、現在、高齢者の求人を専門に扱うために公共職業安定所に高年齢者雇用促進員というのがございますね。それから、市町村に高年齢者職業相談室というのがあって、そこに高年齢者職業相談員が置かれているというふうに思うんですけれども、そのそれぞれについて現在どのような配置体制になっているのか、説明をいただきたいと思います。
#31
○政務次官(長勢甚遠君) 高年齢者雇用促進員は、事業主を訪問する等して計画的、効果的に高齢者を対象とした求人の開拓を行う、こういうものでございまして、四十八名配置をいたしております。
 高年齢者職業相談室は、高年齢者の求職活動の便宜を図るために市町村の庁舎施設内等に設置をして、高齢者に対する職業相談、職業紹介、求人開拓等を行っておりますが、三百十四カ所設置をいたしております。そこには、高年齢者職業相談員として九百九十名配置をいたしております。
 先ほど来、中高年齢者の求人開拓、職業紹介というものは大変難しいと。そういう中で何とか年齢要件も緩和するという努力をしていかなきゃならぬわけでございますが、どうしても現場の方々の御苦労に負うところが多い。そのための要員あるいは時間というものをどうやって確保していくかということがこれからの課題だと思っております。
 現実に多数の求職者がお見えになるわけで、先ほど私が御説明いたしましたような丁寧な求人指導なり求職指導をするためには時間を要するわけですが、なかなかその時間が確保できない、十分な事情も聞けないとなれば問題の解決はおくれるわけでありますので、ぜひそういう要員の確保も含めて、しかもこれは職員でなければならないというだけではないと思うんです。地域社会にはいろんなノウハウを持った方々、あるいは俗に言えば顔の広い方もおられるわけですから、こういう方の活用とか、こういうことについてぜひ先生方にも御指導もいただき、また御支援もいただきたいなと、このように思っております。
#32
○高嶋良充君 促進員は全国で四十八人ということが言われました。職安の本所というのは全国で四百七十八ぐらいあるんですかね。それからいうと、職安十カ所に一人しか配置をされていないという割合ですね。
 それから、市町村に置かれている高年齢者職業相談室は三百十四カ所で、九百九十名だと、こう言われました。全国の市町村の数というのは約三千三百あるわけです。それからいうと、この三百十四という数も十分の一程度と、こういうことなんです。
 非常に経済が活況で失業者が平均的なレベルでというときだったらこれでいいと思うんですけれども、このような緊急に雇用失業対策をやらないかぬというような状況のときにこの配置数で高齢者の十分な求人開拓ができるのかどうか、その辺を非常に心配しているわけです。
 先ほど地域の皆さん方の活用というようなことも言われましたけれども、この増員の関係も含めて、その辺のことを労働省として考えられているのかどうか、お伺いしたいと思います。
#33
○政務次官(長勢甚遠君) 高年齢者職業相談室及びこの相談員の制度は比較的以前からつくってきた制度でございますが、こういう状況の中では、さらに求人開拓推進員とか協力員といったような制度も設けて緊急のこの求人開拓に努めておるところでございます。
 先ほど来申しましたように、いよいよ高齢者、中高年齢者の雇用情勢が厳しくなるという状況の中でございますから、きめ細かな職業相談、求人開拓ができるような体制の整備について、大臣からも強い御指示があるところでございますので、至急に検討させたいと思います。
#34
○高嶋良充君 最後に、大臣の方に決意も含めてお伺いをしたいんです。
 総論的な部分は先ほど聞きました。この公共職業安定所の機能強化という部分でお願いをしたいんですけれども、これは、私の関係する東京都の公共職業安定所の状況をちょっと調べさせていただきましたら、東京の場合は全国の一〇%、約一割をカバーしている、こういうことのようです。だから、東京の忙しさが全国共通ではないかなというように思うんです。
 十一年度の東京都の資料で見ると、職業紹介業務に携わっている職員が八百三十九名、そしてハローワークを訪れる求職者というのは月平均二十四万七千三百六十六人という、そういう数字になっています。単純に計算しても、一人の職員が月に約三百人の相談に乗る、こういうことのようです。
 そして、それ以外に、先ほどからも言っていますけれども、事業所を一軒ずつ回って求人開拓をやらなければならない。十一年度で十万五千百六十一人の求人開拓、これは新規ですよ、新規にプラスという意味で。それだけ新規に開拓をされているということで、非常に地道な活動をされておられまして、五十五歳以上の中高年齢者の新規開拓が十一年度では約三万三百九十人プラスをしたと、こういう調査が出されています。
 これは、東京都に限らずに全国でもほぼ同じようなことが職安でやられていて、まさに持てる能力を、フル活動というか、やっぱり一五〇も二〇〇%も出してやっておられるんではないかなというふうに思っているんです。そこへこの雇用不安の状況ですから、やっぱりここの部分をきちっと機能強化していくことが必要だというふうに思います。
 次官からも先ほど若干の具体策も出されましたけれども、そういう方向も含めて大臣として、公共職業安定所の役割が非常に大きいわけですから、その組織、機能を一層拡充するという、そういう決意を示していただきたいというふうに思います。
#35
○国務大臣(牧野隆守君) 先生御指摘のとおりでございまして、ただいまハローワークの職員はてんてこ舞いと言うと語弊があるわけですが、そういう状況にございまして、私も現場を見させていただきまして、何とかこれを解決しなきゃいけないなと。
 忙しいさなかで非常に難しい問題は、いわゆるラインにつく方々の就職あっせん等は、今まで長年の経験を持っておりますから、ある程度自分はこういうことをしておりましたと、こういう関係のこの仕事を中心にしてというときは非常にアドバイスもしやすい。しかし、普通のサラリーマン、いわゆるホワイトカラーの皆さんにつきましては、御相談に応じようといたしましても非常に難しい点があるわけでございまして、私自身も、関係の皆さんから、こういう点は労働省はもうちょっとこの人員の質的な向上を図るべきだという苦情とアドバイスを非常にいただいているわけでございます。
 そういう点で、例の人材銀行だとか、それから民間の有識者、経験者の方々にいわゆる相談員、指導員という形で、特にホワイトカラーの、今大きな変動をしておるわけですから、こういう状態に適合できるように、実はきょうも朝幹部会で、その辺の再検討をする、ぜひ具体的な対策を出すようにということを指示させていただいたわけでありますが、私自身も半分隔靴掻痒の感を感じているわけでございまして、何とかこのミスマッチをなくするためにハローワークにおいてもいろんな方に御協力をいただいてと、このように決意をいたしておりまして、今申しましたとおり、具体的な実行方法について実は指示いたしたところでございます。
#36
○高嶋良充君 ありがとうございました。
#37
○川橋幸子君 それでは引き続き、民主党・新緑風会、川橋幸子でございますけれども、質問させていただきます。
 本日、高嶋委員の方から高齢者雇用法の関係について中心に質問し、あるいはさきの質疑のときには長谷川委員の方から雇用保険法の関係の質問をさせていただいております。
 それらの質問を踏まえまして、確認答弁という、そういうやり方をこの委員会では持っておりますので、両法案につきましての確認答弁を大臣からちょうだいしたいと思います。確認答弁の言葉が非常にわかりにくい言葉になっておりますので、私なりにどういう問題点かをあらかじめお話しした上で確認答弁の質問の言葉を述べさせていただいて、大臣からお答えいただきたい、このような作業をやらせていただきたいと思います。
 本日、高嶋委員の方からも、質問の第一歩は雇用不安心理をどうやって払拭するか、これが労働政策、雇用保険の役割としては非常に大きいわけでございます。さきの委員会でも、与野党を問わず本委員会の委員の先生方から出た話は、雇用保険が出番だと、雇用不安を払拭するためには今が雇用保険の出番だというときに保険料の負担増と給付の減、こういう事態になってしまったことは残念だという声が聞かれたわけでございます。それで、今後とも不安心理を払拭できるようにするためには雇用保険制度の財政を含めた安定運営が必要になるわけでございます。
 そこで、お尋ねさせていただきます。
 問いの一つは、セーフティーネットとしての雇用保険制度について、関係労使の参画を促しつつ、しっかりとした将来見通しに立って今後ともその安定的運営が確保されるよう万全を期す必要があると考えるが、いかがでしょうか。
 そのためにも一般会計、この一般会計の活用が委員会の中ではたびたび指摘されたわけでございますが、一般会計を積極的に活用した効果的な雇用対策を講じるべきではないか、このような問いでございます。
#38
○国務大臣(牧野隆守君) 雇用保険事業の運営につきましては、その重要事項の決定に際し、公労使から成る中央職業安定審議会の意見を聞かなければならないこととされております。
 今後とも、このような場を十分に活用しつつ、雇用保険制度の安定的な運営の確保に万全を期するとともに、雇用失業情勢の変化に機動的に対応して、一般会計も活用した雇用施策の効果的な実施に努めてまいりたいと考えております。
#39
○川橋幸子君 次は、訓練延長給付の質問でございます。
 長谷川委員の質問で、今回この訓練延長給付についてはお尋ねさせていただいているわけでございますけれども、過日行われました参考人の意見聴取の中では、大沢参考人の方から、日本の雇用保険の特徴といいますか、OECD加盟国の中で日本は最低の手厚さという、こんな表現をされておりました。
 それはどういうところから来るか、失業給付の給付期間が短いというのが日本の制度の特徴といいますか、やっぱりデメリット、それがセーフティーネットとしての安心感につながらないということかと思います。
 そこで、第二問としましてお尋ねさせていただきます。
 厳しい雇用環境にある中高年齢者等の生活の安定を図りつつ再就職促進を図るため、民間教育訓練機関への委託訓練を含め、訓練延長給付を有効に活用した職業能力開発の促進が重要であると考えるが、いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(牧野隆守君) 厳しい雇用環境に置かれている中高年齢離職者等の再就職促進を図る上で、訓練延長給付を有効に活用しつつ職業能力開発を積極的に促進することは極めて重要な課題であると考えております。
 このため、職業能力開発施設における訓練の充実に加え、民間教育訓練機関に対する委託訓練を積極的に活用し、多様なニーズに対応した教育訓練機会が十分に確保されるよう努力してまいります。
#41
○川橋幸子君 問いの三は、離職理由の認定基準についてでございます。
 衆議院の審議の段階でもあるいはこの委員会の段階でも、今回の雇用保険の改正が失業理由によりまして給付が重点化されている、その部分につきまして端的に申し上げますと、自発的な失業なのか非自発的な失業を余儀なくされるような失業であったのか、この認定基準が議論されたわけでございます。
 理屈といたしましては、自発的失業、つまり自分が決定するそういう失業、自己決定ということは理屈としてはわかるわけでございます。それが給付日数に反映されることはわかるわけでございますけれども、さまざまなグレーゾーンがございました。希望退職ですとか早期優遇退職制度ですとか、故意、いじめあるいはセクハラによる離職ですとか、これらのあたりについては大体委員会質問中にも確認されまして、余儀なくされた失業というこういう認定が行われる、実態把握の上ですが、そういうことになるであろうという、そういうお答えがあったわけでございますが、グレーゾーンのところでもう一つ、家族的責任の問題があったかと思います。
 家族の責任は労使関係ではないというようなことから、それは自発的失業ととられるようなことが多い、そのようなニュアンスの御答弁があったわけですが、ここで、それほど簡単なものではないと思いますので、問い三といたしましては、そうした離職理由についての認定についてお尋ねさせていただきたいと思います。
 離職理由の認定基準については、労使の雇用契約に起因するものが基本となると考えられるが、例えば家庭的な事情に起因するものであっても離職の実態はさまざまでございまして、倒産、解雇等により離職した者として取り扱う場合も大いにあり得ると考えられますが、いかがでしょうか。
#42
○国務大臣(牧野隆守君) 一般的には、労使の雇用契約に起因して時間的余裕がなく離職した場合が倒産、解雇等により離職した者に該当することになると考えられますが、御指摘のような場合も含め、さまざまな離職の実態を十分に踏まえまして、今後関係審議会において議論していただく所存でございます。
#43
○川橋幸子君 審議会の中ではしっかりと御議論いただきたいと思います。
 問いの四は、リストラ促進の歯どめについて伺いたいと思います。
 今回の高齢法の改正とも絡まるわけでございますけれども、給付の関係でも、労働力の流動化を促進する、あるいは企業の中の雇用機会を確保する、相矛盾するものがあるわけでございます。
 そこで、お尋ねさせていただきます。
 今般の改正により、解雇等により離職した者にはある程度手厚い重点給付が行われることとなりますが、これがかえってリストラ促進につながらないように歯どめをきちんとしておくべきだと考えますが、いかがでしょうか。
#44
○国務大臣(牧野隆守君) 御指摘のような事態が生ずることのないよう、今後、解雇等による離職者を一定数以上生じさせた事業主に対しては、労働者を雇い入れる場合に賃金の一部を補助する特定求職者雇用開発助成金等の助成対象から外す、このようなことも検討してまいりたい、こう考えております。
#45
○川橋幸子君 五番目の問いは、パートタイム労働者ですとか派遣労働者などのいわゆる非正規労働者と言われる方々への雇用保険の適用拡大ないしは事業主の側から見れば加入促進の問いでございます。
 雇用が不安な層の人たちにこそ雇用保険の機能が行き渡ってほしいと思うわけでございますが、お尋ねいたします。
 雇用就業形態が多様化する中で、パートタイム労働者や登録型派遣労働者などの増加が見込まれております。これらの人々に対する雇用保険の適用拡大や加入促進を積極的に図っていくべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#46
○国務大臣(牧野隆守君) 雇用就業形態の多様化が進展する中で、パートタイム労働者や登録型派遣労働者につきましては今後ますます重要な労働力となる、このように見込まれるものであります。
 今般の雇用保険制度の見直しにおいて、これらの者について年収要件に係る基準を廃止するとともに、登録型派遣労働者については労働者派遣法の改正を踏まえ、短期の派遣就業を繰り返すような場合についても適用対象となることを明確化することにいたしております。また、これらの改正を契機に、マスコミを初め事業主団体、労働保険事務組合等を活用し、労働者及び事業主に対する制度の周知徹底を図り、加入促進に積極的に努めてまいる考えでございます。
#47
○川橋幸子君 次は、仕事と子育ての両立支援についての質問でございます。
 今回、育児休業期間中あるいは介護休業期間中の所得が二五%から四割へと引き上げられたことは評価するものでございますけれども、逆に児童手当の問題とか介護保険の問題とか、政府全体のさまざまな施策の中でこうした休業制度というものの意味が、俗論では、かえってそれは児童手当でやればいいじゃないかとか、介護保険が施行されたらもう休まなくてもいいんではないかというような、そういう俗論が出てきているわけでございます。
 ここは、介護の話はちょっとわきに置きまして、特に子育て支援の問題が少子化対策との関係で大きくなっておりますので、そうした総合的な施策が必要だという見地からお尋ねさせていただきます。
 今回引き上げられました育児休業給付が効果的に使われるようにするためにも、するためにもというのは行政側の視点だと思いますが、日本の女性たちが、男性もです、仕事も家庭も両立させて人生を送っていけるようにするためには、もっと総合的な、抜本的な両立支援対策というものが必要で、その検討を急ぐべきではないかと考えます。
#48
○国務大臣(牧野隆守君) 少子高齢化が進行する中で、労働者が仕事と子育てを容易に両立させ、生涯を通じて充実した職業生活を送ることができるようにするということは御指摘のとおり極めて大きな課題でございます。
 このため、仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備に向け、昨年末に策定しました少子化対策推進基本方針等に基づき、関係者の御意見を伺いつつ法的整備も含め幅広い観点から検討を行いまして、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとしてまいりたい、このように考えております。
#49
○川橋幸子君 それでは、雇用保険法関係の最後の七番目の質問といたしまして、教育訓練給付の指定基準の問題についてお尋ねさせていただきます。
 冒頭、高嶋委員の方から、今や雇用不安は若者にも広がっていて五人中四人と、そんなお話が紹介されたわけでございます。
 若者の能力開発、これは大変重要なことでございますが、メディアなどでは、有効に使われているのであろうか、カルチャーセンターに雇用保険のお金が流れるだけではないかといった、こんなことも聞かれるわけでございます。能力開発というのは職務評価とかキャリア評価と一体となって、これから真に能力開発が職業人としての成長に役立っていかなければいけないと私は考えております。
 そこで、問いは、教育訓練給付の支給限度額が二十万から三十万に引き上げられましたが、真に労働者のエンプロイアビリティーの向上が図られるようその指定基準を明確化し、本給付の対象となる講座指定を適切に行うべきではないか。
#50
○国務大臣(牧野隆守君) 教育訓練給付制度における対象講座につきましては、職業に関する教育訓練であって、雇用の安定及び就職の促進を図るために必要な教育訓練と認められるものを指定することといたしております。このため、講座指定に当たりましては、趣味的、教養的なもの、あるいは入門的、基礎的水準のものを除くほか、講座の期間、指導者等適正なものについて指定を行っております。
 今後とも、適切な講座指定を行い、本給付が労働者のエンプロイアビリティーの向上に資するものとして一層効果的な活用が図られるよう努めてまいりたいと考えております。
#51
○川橋幸子君 ありがとうございました。
 それでは、高年齢者雇用安定法の改正、こちらの法案についての確認答弁を幾つか求めさせていただきたいと思います。
 今回の改正によりまして、在職中から求職活動が円滑にできて失業なき労働移動ができるようにと、そのようなことから再就職援助計画を作成、交付することが新たに盛られているわけでございます。これは何回もほかの委員からも指摘されたように、リストラ促進になるという非常に半面の危うさを持っていると私も思いますが、しかし、やむなく離職、あるいはやむなく企業の労働者構成、事業内容が変わって離職が出る場合には、逆に言えば企業がアウトソーシングに責任を持つ、こういうことも私は考えられてよいと思っております。
 そこで、再就職援助計画の作成につきまして三問お尋ねさせていただきますが、第一問は、定年、解雇等による離職予定者に対する十分な再就職援助が行われるためには、再就職援助計画の作成、交付は離職予定日の相当期間前に行われる必要があると思いますが、再就職援助計画を作成、交付すべき時期についてどのように考えていらっしゃるか伺いたい。
#52
○国務大臣(牧野隆守君) 再就職援助計画は、在職中からの求職活動を効果的なものとし、できる限り失業を経ずに早期に再就職ができるようにするために作成、交付されるものであります。
 計画の実効性を確保するため、解雇等の場合には離職することが決まった時点で速やかに、また定年の場合には離職予定日の少なくとも半年程度前には作成、交付するよう事業主に要請してまいりたい、こう考えております。
#53
○川橋幸子君 同じくこの計画作成について二点目の質問でございますが、この計画作成が効果的に行われるには、かなり職業安定所の方が作成を要請するなどイニシアチブをとられることが必要かと思います。
 そこで、お尋ねいたします。再就職援助計画は公共職業安定所長の要請に基づいて作成することとなっているが、作成要請の対象となる離職予定者を公共職業安定所においてどのように把握し、作成を要請していこうとしているのか、お伺いいたします。
#54
○国務大臣(牧野隆守君) 定年、解雇等による離職予定者につきましては、高年齢者雇用安定法により事業主に義務づけられている高年齢者雇用状況報告や多数離職届により迅速的確な把握を行い、これに基づき事業主に対する再就職援助計画の作成要請を行ってまいりたいと考えております。
 また、事業主から雇用調整の実施に関する相談や離職予定者御自身からの再就職に関する相談など、公共職業安定所の業務を通じた離職予定者の把握にも努めるとともに、再就職援助計画の作成が円滑な再就職に資すると認められる場合には計画の作成要請を積極的に行ってまいりたいと、このように考えております。
#55
○川橋幸子君 もう一問、この計画についてお尋ねさせていただきます。
 先ほど私は、再就職についても企業の側の責任があるのではないか、再就職口が見つかるようにすべきではないかという、そういう責任を申し上げたところでございますが、事業主の方の努力も必要かと存じます。
 そこで、再就職援助計画は、公共職業安定所の要請がなくても、定年、解雇等による離職が決まった労働者に対して事業主が自主的に作成、交付することを促進し、失業のない労働移動に向けた十分な支援を行うことが必要と考えますが、いかがでしょうか。
#56
○国務大臣(牧野隆守君) 高年齢者雇用安定法におきましては、定年、解雇等により離職する労働者に対して事業主が再就職援助措置を講ずる努力義務が規定されております。
 この規定の趣旨を踏まえれば、再就職援助計画の作成に関する公共職業安定所長の要請の有無にかかわらず、事業主が自主的かつ計画的な再就職援助措置を講ずることを促進していくことが重要と考えられることから、高年齢者等職業安定対策基本方針にその旨を明記した上で、事業主に対する啓発、指導を積極的に行ってまいりたいと考えております。
#57
○川橋幸子君 最後に、シルバー人材センターの業務の拡大についてお尋ねさせていただきます。
 我が会派の長谷川委員からも紹介されましたが、シルバー人材センターの生みの親というのは大河内先生であったと。そのころからシルバー人材センターの努力が進んでいるわけでございますが、なかなかこの機能の強化というものが図られてこなかったうらみがあるかと思います。
 そこで、今回シルバー人材センターについては法案の中に盛られているわけでございますが、お尋ねいたします。
 今後の急速な高齢化の進展を踏まえると、高齢者の就業ニーズは一段と多様化していくものと考えられる。シルバー人材センターについても、こうしたニーズの多様化に十分対応できるよう業務の拡充強化が図られる必要があると思います。今回の法改正では、従来の臨時的、短期的な就業に加え、労働大臣が定める軽易な業務を取扱対象とされることとなっておりますが、どのような業務を具体的に定めようとしているのでしょうか、お伺いしたいんです。
#58
○国務大臣(牧野隆守君) 高齢法第四十六条の改正案におきましては、労働大臣の定める業務については、当該業務に係る労働力の需給の状況や処理の実情等を考慮して定めることとされております。
 現段階では、例えば子守、子供の送迎、老人の話し相手、軽易な介護、ペットの管理など家庭におけるサービス業務や、また大型車による幼稚園の送迎、各種講師等の知識や技能を用いる業務等を想定しているところでございます。
#59
○川橋幸子君 過日の質問の中では、事務を望む会員が多いけれどもなかなかそういう仕事が見つからないという、そういうお話もございましたので、確認答弁の中にはありませんが、私から要望させていただきたいことは、会員のニーズに沿った仕事の開拓にも御努力いただきたいということが一つでございます。
 それから、なかなか今の答弁ではその具体的なイメージというのははっきりしないような気が個人的にはいたします。正直に申しまして、そういたします。子守というよりもやっぱりこれは子供の世話とか、少し労働省の方の書きぶりも今風の言葉に変えてもらいたいと思いますけれども、世代間の交流を図るとか、あるいは社会的な生きがいにつながるような貢献活動になるという、こういう部分について、これは生きがい労働という観点から、そういう業務をうまく社会の中にシステム化するようなところにもシルバー人材センターの役割を進めていただきたいというのが私の希望でございます。答弁は結構でございます。
 ちょっと時間が残りましたので、あとは総括政務次官と二問ばかりやりとりさせていただきたいと思います。
 一問は、失業率が非常に高かったので、緊急雇用対策において自治体を通じて二千億の交付金を支給されたわけでございます。これは緊急に、出ている失業者を一人でも二人でもいいから、それも積もれば山となるから失業者を吸収するということでこの二千億は使われたわけでございますが、それでもこの交付金の目的には自治体の創意工夫をできるだけ発揮してもらうんだということがあった。これは私、このポイントは大切なことではないかと思うわけでございます。
 今度、地方労働局というのができまして、私もOBでございますからわかるのですけれども、組織の防衛というのが図られたのかなというふうに思いますが、でも国民のためになることが労働省の役割であるとすると、地域の中で雇用創出していくのはとても大事なことではないかと思います。
 緊急雇用対策の政策評価をしっかりとやられた上で、緊急というよりも、むしろ地域で雇用をつくり出していく、創出していく、こういうプロジェクトにつなげていく必要があると思いますが、こういう地域における雇用創出についてお伺いしたいと思います。
#60
○政務次官(長勢甚遠君) 緊急地域雇用特別交付金の制度は、非常に厳しい失業情勢に緊急に対処をするために、当然、産業政策等を通じた雇用の場の拡大ということがそれなりに成果を見るまでの間のつなぎの雇用創出という観点から設けました制度でございます。したがいまして、長期間というよりも短期間の間に雇用が確保できるように、その知恵は各都道府県であるいは市町村でノウハウをお持ちになるという観点から、創意工夫に期待をしてつくった制度でございます。
 現在、二千億円を配付いたしておりまして、十一年度分だけの集計を見ましても、現実に二百五十億円が使われ、五万人の雇用の場が創出されたということでございまして、それなりに当初の予想いたしております効果が上がっておるものと思っておりますし、今後、十三年度末までに約三十万人の雇用の創出が予想どおり実行できるものと思っておるところでございます。
 この問題だけではなくて、今後、地域における雇用開発ということは大変重要な問題でございますが、地方においてもいろんな産業政策その他を含めて御努力をいただかなきゃなりませんし、それと国の各般の政策が連携をとって進められなければうまくいかないというのもお説のとおりでございますから、こういう観点からの雇用創出策について今後とも連携を進めて、国としてのありようも進めてまいりたいと思います。
#61
○川橋幸子君 ぜひ、地域における雇用創出について、今回のフォローアップも含めて御検討いただきたいと思います。
 最後に、非常に単純な割り切り方の質問をさせていただきたいと思いますが、何が問題かというと、失業対策事業のあり方についてお尋ねさせていただきます。
 先般、参考人の意見聴取で、日経連の成瀬さんの方も、セーフティーネットというのは失業手当を給付することよりもむしろ働く場の確保が必要だ、こうおっしゃいました。それと非常に似たような発想で、中央大学の大須教授が、失対事業を何で日本はやめてしまったんだろうか、やっぱり必要ではないか、このようなことを言われたのでございます。
 かつて、日本の失対事業、中高年の方々、中高年どころかかなり老年になって社会政策の範疇のことをやっていた感じが確かに事実あったと思いますけれども、今の若年失業を考えますと、若いうちに働くということの価値とか精神的な人間形成とかということを考えますと、若年失業者に対してこそさまざま失業対策事業というものが新たに考えられるべきではないかというのが私の持論なんですけれども、簡単な答弁で結構ですのでお答えいただきたいと思います。
#62
○政務次官(長勢甚遠君) 失業対策事業という意義といいますかイメージは、先生と私と若干違うかもしれませんが、我が国が経験をいたしました失業対策事業のイメージだけで考えますと、若い方々にああいう政策をとっていくということがベストかなという思いは私は正直言って思います。むしろ、若い方々が職業意欲を持って新たな場に挑戦できるような仕組み、そういう職業に具体的に入っていく意欲を持てるような講習なりあるいはインターンシップなりこういう仕組みをつくって、安心して次の場に挑戦できるような社会をつくっていくことがより大事ですし、それはこれから十分可能なことだろう、このように思っております。
#63
○川橋幸子君 内容を考えていただければ、かつてのものをまた若い人たちにさせるなんて、これは大変ナンセンスな話でございます。訓練という失業対策事業もあるわけですし、あるいは海外ボランティアという対策事業もあるかと思いますので、要望でございますが、御検討いただきたいということで、終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#64
○八田ひろ子君 日本共産党の八田ひろ子でございます。
 前回に引き続いて、雇用保険法について質問をしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 前回の質疑の中で、失業給付の支給総額というのが五千億円減額になるということを明らかにしていただきました。また、給付期間を減らされるのは解雇、倒産等の以外の約七割、これは減らされるわけですけれども、倒産、解雇等で離職した人の中でも減らされる、こういう方があるというのをお示しいただきましたが、それではその解雇、倒産等で離職した人の中で減らされる方、これは何割の方が給付を減らされるのか、お示しください。
#65
○政府参考人(渡邊信君) 解雇、倒産等で給付削減になる方の数でございますけれども、試算によりますと、解雇、倒産だけでなくて全体で試算しておりますけれども、全体では三五%程度の方が給付削減の対象になるというふうに見ております。
#66
○八田ひろ子君 三〇%ぐらい。
 そうすると、解雇、倒産以外の方の中で手厚くされると。だけれども、手厚くされるという分類に入る中でも三割以上の方が減額になる。そういうふうに見ていいんですか。
#67
○政府参考人(渡邊信君) ただいま申し上げました数字は、解雇、倒産等で減額になる方、それからそれ以外の理由で減額になる方の総合で三五%ぐらいの方が現行と比べると給付の削減になるという数字でございます。解雇、倒産等以外の方で削減になる方は三割程度、やはり三割程度ではないかというふうに思います。
#68
○八田ひろ子君 給付の重点化というふうにおっしゃいますけれども、結局たくさんの失業者の方の給付を減らすという、こういうことが今の数字の中でも、重点化してもその方たちがふえるんじゃなくて、減る部分があるということですね。だから、全体が五千億円減るということだというふうに思うんです。
 そこで、ちょっと御質問したいんですけれども、今回の政府案というのは個別延長給付というのは全廃になっています。しかし、全国延長給付というのは残してあるんですけれども、この全国延長給付というのはどういうものなのか、その意義についてお示しください。
#69
○政府参考人(渡邊信君) 雇用保険の制度には今御指摘の全国延長給付という制度がございますが、これは雇用保険の被保険者と実際に雇用保険の給付を受けている方、これでもって実際に給付を受けている方の割合を見たときに、その割合が大変高くて、失業情勢も大変厳しいというふうなときに一律に給付を九十日分延長しようというものでございまして、先ほど申しました率は四%、四カ月間四%以上の数字が続く、こういったときには全国延長給付の制度を発動するということにしております。
#70
○八田ひろ子君 雇用失業情勢が著しく悪化をして再就職が極めて困難ということだということですが、私、いろいろ基準があって、それは実際には条件が厳し過ぎるというふうに思いますし、これブロック別に発動要件を変えるべきだ、そういう検討もこれからしていただきたいというふうに思うんですが、きょうは、そのやりとりではなくて、今回のさっきお示しいただいた給付削減、それとこの発動要件の問題について伺いたいと思います。
 例えばことしの一月の受給者数は百三万四千人になっております。今回の給付削減の結果、これが何人に減るというふうに予想されるのか、これは試算で結構ですから、お示しください。
#71
○政府参考人(渡邊信君) 先ほど御指摘ありました今回の給付の見直しで、約五千億円、現行と比べて給付は削減するという見通しでございまして、これは給付費の約二割程度になるかというふうに見ておりますが、この試算をいたしました際には、今お話のありました百三万四千人という毎月ごとの受給者の実人員、これで推計をしたというよりは、失業して初めて給付をもらわれる方、初回受給者と言っておりますが、初回受給者の方がどの程度あり、その方たちがどういう分布になっていて、どのくらいの日数給付を受けられるだろうか、そういったことをもとにいたしましてあらあら推計したものでございます。
 そういった推計によって約五千億円程度給付が削減になるのではないかというふうに試算をしておりまして、もともとが完全に正確な推計ということはなかなか難しいことでありまして、それをもとにしてさらに毎月の給付実人員がどのくらい減るだろうかというところまでの推計はしていないというところであります。
 ただ、先ほどの数字に基づきます試算によりましても、給付人員というものは、受給者の実人員というものは減少するというふうに見ております。
#72
○八田ひろ子君 試算は数字としてはしっかり出ないけれども、人員は減るということですね。
 試算ですから、私は一定のものをお示しいただけるかなというふうに思ったんですけれども、今の御説明では、給付額が五千億円削減をする。これは御説明の中で明らかになったことなんですけれども、現行に比べて約二割減るのは、初回の人を対象にしているからよくわからないというふうにおっしゃるんですけれども、実際には、失業給付の受給者も減る、それから基本手当の受給率も減る、こういうふうに考えているわけですから、約二割というふうにおっしゃっているんですから、それと非常に離れているというふうにお考えなんですか。
#73
○政府参考人(渡邊信君) 給付の額で約二割、五千億円程度削減されると見込んでおりますが、この給付の縮減につきましては、例えば高齢者の場合は給付額が高いということもありますし、若い人はそれに比して少ないということがあります。ということで、給付の額と人員というのは正確に、パラレルに比較ができるというものではないと思います。
 したがって、給付額で二割のカットが人員でも二割のカット、イコールということにはならないかと思いますが、これとまたまるで離れた数字にももちろんならないというふうに思います。
#74
○八田ひろ子君 そういうことだと私も思います。
 そうなりますと、今御説明をいただいた全国延長給付発動のための条件というのが私は重大な問題じゃないかなと思うんです。
 先ほど、ことし一月の失業手当の受給者数が百三万四千人というふうに教えていただいたんですけれども、このとき、全国延長給付の発動をできる基本手当の受給率が四%になるというふうにすると何人かと計算をしますと、百三十九万九千人の受給者が生まれるようなときに発動されるということです。今の現行です。
 ところが、今回の給付削減によって、先ほどそれほど離れることはないだろうと言われた二割というふうに下がった、こういうふうに給付だとか基本手当の受給率が下がったというふうに計算しますと、百三十九万九千人が百六十七万八千人の受給者が生まれるような事態にならないと発動をしない。さっき、意義としては、もう本当に大変だ、雇用失業情勢が大変だと、そういうときに発動するんだというものなんですけれども、百三十九万九千人から突然百六十七万八千人ということになるわけです。
 そうすると、全国延長給付の発動というのは緊急事態発令だと私たちは思うんですが、そのときに、今度の改悪になると、まるで逃げ水のように先へ行っちゃうわけです。それで、四%の基準がそのままだからということなんですけれども、これは検討される必要があるんじゃないでしょうか。
#75
○政府参考人(渡邊信君) この全国延長給付の制度は、雇用者の被保険者数と実際に保険を受給している方との割合、こういったもので見て四%という数字にしておるわけですが、これを失業率との換算で見ますと、もちろん正確な比例関係はございませんけれども、現行の制度で四%の受給率というものは失業率に換算しますと五%の後半、約六%ぐらいの失業率でこれが発動されることになるのではないかというふうに、これもあらあらの試算をしているわけでありまして、私どもとしましては、むしろそういった六%近い失業率などという事態が招来されないように政策努力をまず行うということが大前提であろうかというふうに思います。
 それから、今御指摘の逃げ水のように先へ先へと行くのではないかというお話ですが、先ほど申しましたように、今般の給付の削減で実際にどの程度正確に受給者の実人員というふうなものが減っていくのかどうかということについては、やはり今後の制度の運用というものを見ることが必要であろうかと思いますし、全国発動要件の見直し、検討というふうなことについては、そういったものを見ながら今後十分に慎重に検討する必要があるのではないかというふうに現在は考えております。
#76
○八田ひろ子君 これまで基本手当の受給率を四%、それが失業率とリンクしているわけではないというのは私もそうだというふうに思いますけれども、これを決めたときというのは大体二%ぐらいだったというふうにも聞いていますけれども、先ほど例を挙げましたように、考え方は全然変えませんよね、雇用失業情勢が著しく悪化している、大変だ、そういうときに全国一律にふやすんだということですね。セーフティーネットをぱっと広げるということになるわけですから。ところが、その認識は変わっていないのに五千億減らすということ、二割減らすということになったらやっぱり逃げ水になっちゃうんじゃないでしょうか。
 だから、認識を勝手に変えるのか、それともそういうふうにどんどん逃げ水にしていくのか、私はそれはどっちにしても最初の提案理由とは全然違うものですからおかしいと思います。もしそうだったら、四%の水準そのものを引き下げなかったら皆さんが、今まで労働省が御説明しているのと違ってくるというふうに思うんですけれども、いかがなんでしょう。
#77
○政府参考人(渡邊信君) 今回の雇用保険制度のいわば抜本見直しというものが、これは現下の大変厳しい経済状況を反映した点も大きいわけでありますが、やはり根本的な原因といいますのは経済社会情勢の大きい変化といいますか、こういったものを背景にして今般の改正を行わざるを得なかったというふうに考えておりますし、そういった議論を随分させていただいたわけでございます。
 例えば、若い人の離職率というのは非常に高くなって、現在は十五歳から二十四歳でいいますと一〇%近い失業率、十人に一人は失業状態にあるというふうなことになってまいりまして、いわゆるバブルの時期におきましても五十万人しか自発転職がなかったものが、この再就職の厳しい時期で自発転職が百万人に二倍、五十万人もふえているというふうに、労働移動というふうなものが大変多くなってきている。こういったことが我が国の失業率を押し上げているという状況もあるわけでありまして、そういった方にそれでは従来どおりの給付を行うかどうかというふうなことも大きい検討課題になったわけでありますから、単純に受給率、失業率だけを見て全国延長給付に踏み切るのがいいのかどうかということは、やはりこういった大きな社会情勢の変化を見ながらさらに検討する課題ではないかというふうに思いまして、今般受給者数が減るのではないかということを前提にして、直ちに全国発動の要件を引き下げるとか見直すかということではないというふうに思いまして、先ほど申し上げましたように今後の制度の運用を見て慎重に検討する課題であるというふうに思っております。
#78
○八田ひろ子君 局長は今、今までの本会議の答弁とかこの委員会での大臣の答弁と違うことをおっしゃったんですよね。
 大臣に伺いますけれども、今失業率が高い、とりわけ、今局長は、若年層の失業率が高い、だからそれに合うように変えていくんだと。違うんじゃないですか。労働省の役割というのは、失業率がどんどん上がったら、その上がったのに合わせて給付をどんどん下げていくという、そういうのが労働省の役割なんですか。最初に労働大臣が提案をされたときに、提案説明の中には私はそういうふうには聞いていません。
 こんな異常な失業率、この失業率でもう大変だという、そういう認識で私はこの法案の審議に臨んでいるんですけれども、大臣はどうお考えなんですか。
#79
○国務大臣(牧野隆守君) 先生のお気持ちは、また先生の御意見は私といたしましても非常に大切な御意見だ、こういうように承っております。
 実はいろんな御意見があるわけでございまして、私どもとしては、審議会の公労使三者の皆さんに全体を見ていただいて御審議いただいたということでございまして、その中で今回は特に解雇をなされた方々に対して一番重要な助成措置を考えられるということを中心にして一つの結論を、公労使三者の皆さんいろんな御意見があるところをおまとめいただいた結論でございまして、そういう点で先生今おっしゃったような御意見は貴重な御意見として承っておりますが、私としましては三者の公平な皆さんの立場を考えて出した結論ということで、これに基づきまして法律案を出させていただいた、このようにひとつ御承知を賜りたいと思います。
#80
○八田ひろ子君 私がお伺いをしましたのは、ゆゆしき事態、史上最悪のこの失業率、こういうものを、少しでも失業率が高くならないようにいろんな手だてを政府挙げて打っているときじゃないですか、今は。そういうふうに私は聞いています。実効が上がっているか上がっていないか、実際に失業率が上がっているかどうかというのは、それは問いませんけれども、政府挙げて失業率を上げないように、こんな史上最悪になっているんだから、それをとめる、失業でなくて雇用をふやすという、そういうことを政府挙げてやっていらっしゃる。
 とりわけ労働省は、失業率がどんどん上がったらその後追いで、上がったように合わせて給付を下げていこうという、そういうスタンスなんですか。それをお伺いしているんです。
#81
○国務大臣(牧野隆守君) 昨年、大体平均的に四・六%、四・七%という失業率でございまして、先月から四・九%、今月もどうも非常に高い水準で失業率が出てくるというような情勢と見込んでおります。
 したがいまして、今政府におきましていろんな景気対策を講じておりますが、私ども労働省といたしましては、これを少しでも下げるべく今行っている諸政策を見直しておりまして、しかるべき措置を早急に講じなければならない、早く四・九%なんという高い失業率はぜひ引き下げるように確信を持って政策の見直しをしなければなと、こう考えております。
#82
○八田ひろ子君 大臣のおっしゃるとおりに、雇用不安、失業不安というのが今、日本の中で最も大きな困難だと思いますので、それは本当に政府の責任だと思います。
 次に時間がありませんので移りますが、前回の委員会で私は、政府案が離職理由によって給付を差別化したこと、年齢要件を求職困難さのメルクマールとして給付水準に反映させることを原則やめたことを失業保険制度の歴史上初めての大改悪であるというふうに指摘をしてまいりましたけれども、これに対して大臣もそれから局長もあらかじめ再就職の準備ができるかできないかを判断の基準としたと、あらかじめあらかじめというふうに繰り返し述べておられました。
 そこで私は労働省に、離職理由によって再就職期間にはっきり差がついているという、こういう調査を数字としてあるんだったら持ってきてほしい、こういうふうに言いましたら、結論だけ持ってきまして、それを見ましてもだれが聞いても納得できる客観的なものではありませんでした。
 先日の参考人の方も指摘されていましたけれども、離職の理由によって別々の労働市場があるわけじゃないんだと。だから、倒産、解雇以外の理由で退職する人がすべてあらかじめ再就職の準備をしているはずだ、そういう仮定そのものが極めて観念的なんだと言われても仕方ないというふうに思うんですけれども、そういう御意見に対して局長どうでしょうか。
#83
○政府参考人(渡邊信君) 確かに今までは離職理由によって給付に差をつけるということではございませんでしたから、なかなか統計データもそういった観点からのものは大変少ないと思いますが、研究調査によれば離職理由別に再就職までの期間が違うという調査結果はもちろんあるわけでございます。
 やはり離職をするというときに、解雇、倒産でいきなりいわば路頭に迷うという方と、自分の決意でもってどうも今の職場では能力が発揮されないからこういったところに行こうというふうにあらかじめ再就職も探し、そういった勉強もし、準備もしているという方とは再就職に対する期間あるいは心構えというものは違うのではないかというふうに思っておりまして、今般公労使でそういう議論を十分されて、今般のような給付基準の見直しというふうに至ったものだというふうに理解をしております。
#84
○八田ひろ子君 局長も数字を挙げられずに局長が個人的に思っているというふうにおっしゃいまして、私は幾つかのハローワーク、職安の相談員の方とか窓口の方にもいろいろと伺いましたけれども、感覚としては差がないと皆さんおっしゃいました、現場の方は。今の局長の思うというのとはちょっと違う、要するにあいまいだということなんですね。
 そこで、具体的に伺いますけれども、故意の排斥によって退職に追い込まれた方というのは全部解雇、倒産等手厚くしたという、そういうところに入るんですか。
#85
○政府参考人(渡邊信君) 故意の排斥ということがはっきりすれば、そういった範疇に入ると思います。
#86
○八田ひろ子君 そこが私は聞きたいところなんです。はっきりすればというのはどういうことでしょうか。
 事業主が故意に排斥をしたんじゃない、そういうことはあり得ないというふうに言うんだけれども、労働者の方は故意に排斥されたんだと訴えた場合はどうなるんでしょうか。
#87
○政府参考人(渡邊信君) この点も今までの議論でいろいろと指摘がなされたかと思いますが、事業主の方としてはもちろん認めたくないというふうなことだと思います。
 そこで、判定に当たりましては、事業主だけの主張を聞いて判定するということはもちろんしないということにしておりまして、できるだけ客観的な資料を集める、あるいは労働者の方の申し立てが十分尊重される、こういった手続を考えたいというふうに思っております。
#88
○八田ひろ子君 故意の排斥というものの証明というのが大変難しいと思うんです。客観的な資料を集めるというふうにおっしゃるんですけれども、それを伺いたいんです。
 どうしてかといいますと、この労働委員会でもあるいはこの国会の中いろいろな場で、例えば私は日本IBMの問題を取り上げて伺いました。あるいはセガなどの隔離部屋とかいろんな企業による故意の排斥というのがあります。でも、そういったいじめ問題について、企業は、それは隔離部屋に隔離して、企業の中で働いている人はみんな見せしめだというふうに思っているんだけれども、実際にはそれは業務上だというふうに言い張っているわけです。
 これをいろんなところで訴えられた方は、今おっしゃったみたいに客観的ないろんなことがあるかもしれませんが、訴えなくてやめてしまう人というのは実際にあるわけです。また、そういったマスコミとかいろんなところで問題になった企業だけがそういうのが起こっているかといえば、実はそうじゃありませんので、そういう場合には客観的とおっしゃってもどういうふうなものを頼りに労働者は訴えることができるんでしょうか。
#89
○政府参考人(渡邊信君) ただいまのような具体的な例で申しますと、例えば同僚の証言といったふうなものは尊重されるというふうに思います。
#90
○八田ひろ子君 私が今例に挙げました企業とかなんかでは同僚の証言は得られないんです。証言をするとその人も隔離部屋に入れられるかもしれないという不安があるんです。そういう企業の場合だったら同僚の証言は得られないんじゃないでしょうか。
 そういうことを証言する人がまた同じような目に遭うという、そういうのが実際に労働現場では起こっているわけですね。だから、そういうのをどうされるのかと聞いているんです。
#91
○政府参考人(渡邊信君) ただいま議論されております問題は、解雇、倒産等にどういった事由がそれ以外のものが含まれるかという基準づくりではないかというふうに思います。
 これは、受給者の権利とか利益とかに重大なかかわりがある問題ですから、まずもってその基準が客観的に具体的に明確であるということが一番大切なことであろうというふうに思いますし、その点については、解雇、倒産以外どういったケースがあるかについては、関係審議会の意見を十分聞きながら省令でもってまず定めるということを考えておりますし、その省令につきましてもさらに通達等で具体的な例についてこれを例を示すということは必要であろうと思いますし、さらに運用の中で疑義に対して答えるという形でその適用のケースというものが明確になっていく、こういったことになろうかというふうに思っております。
 今、個別の問題といいますか例でお話がありますが、そういったものを含めて以上のような手続で具体的、客観的な基準をつくるというふうに努力をしてまいります。
#92
○八田ひろ子君 今法案を審議して、特に最初に申しましたように、あらかじめ再就職の準備のできる人はこの給付内容に差をつけるというので線を引くものですから、私は国会で法案審議をしているときにその考え方の方向をお示しいただかないと、あらかじめというのがわからないというふうに思うわけなんです。
 再就職が可能かどうかという区分けにそもそも私は無理があると思うんです。無理がないんだよというふうにおっしゃるんだったらきちんとそれを方向づけだけでもお示しいただかないと、どういうふうに判断したらいいのかわからないじゃありませんか。
 では、例えばセクハラで退職した場合はどうなんですか。
#93
○政府参考人(渡邊信君) これも故意の排斥の一つの例であろうというふうに思いますから、そういったことも含めて先ほど申しましたように基準づくりを進めていきたい。
 これは、関係審議会で十分公労使のいろんな事例を出しながら検討していただく事項であると思っておりまして、今この場で具体的にこのケースはどうだと確定的なことを申し上げるのは大変難しいかと思いますし、先ほども例えば同僚の証言は得られないんだとおっしゃいますが、得られる場合もあるかもしれません。そういったいろんなケースについて、それではどう対応するのかということが十分議論されるべき問題ではないかというふうに考えております。
#94
○八田ひろ子君 同僚の証言が得られる場合はそれは客観的なものがあっていいと思います。
 それは、私ども人権侵害の問題を労働問題としてずっとかかわってきますと、本当に困難な問題がたくさんあるんですよ。だから、そこに線を引くとおっしゃるから、私はどんな線を引くのかと。今のセクハラの場合でも、セクハラをみずから言い出しにくいというのは、今の社会風土の中あるいは会社のいろんな中では、言える方というのはそれはもう結構なんですけれども、言えない方の方が多いという問題があるわけです。これは人権侵害、セクハラも人権侵害ですけれども、人権にかかわることというのは本当にせつなくて物が言えなくなってしまうというのがあるんです。そこに線を引くとおっしゃるから、私は聞いているんですよ。
 じゃ、そういうのをこれからいろいろ決めるんだと言うけれども、実際にはどのように、だれが現場で判定をして、どういう事務になるんですか。
#95
○政府参考人(渡邊信君) まず初めの方のことについて若干お話しさせていただきたいと思いますが、例えばセクハラにつきましても、従来はこれはなかなか表に出なかったわけですが、均等法の改正によりましてセクハラについても十分対応するということになったことを一つの契機にして、委員も御案内だと思いますが、現在では何千件という相談が実際に女性少年室に寄せられているというふうな状況で、やはり社会環境も大きく変化をしているというふうに思います。労働者は弱い存在だというばかりではないのではないかというふうに思っておるところでございます。
 それから、判定の現場の事務でございますが、これは各公共職業安定所において判定をするということになりますので、まずは先ほど申しましたように、判断の前提となる基準というものが具体的に、客観的に明らかにされている、こういったことを前提として安定所の職員が個別の事案について判断をするということになります。
#96
○八田ひろ子君 二つのことをちょっと伺いたいんですけれども、今、労働者は弱いばかりではないというふうにおっしゃいました。確かにそうです。でも、強い労働者、しっかりと主張できる労働者というのはどの時代にもあります。しかし、その中で言えない労働者、なかなかそういう強く持てない労働者もいるわけです。そういう方たちはやむなく離職をせざるを得ないところに追い込まれる。だけれども、そういう人たちが追い込まれて最後の最後にとうとうやめるというときに、どうやってあらかじめ再就職のための活動ができるというふうに判断できるんですか。私、それを局長に聞きたいです。
#97
○政府参考人(渡邊信君) なかなかすべての細部について今想定するということは難しいと思いますが、労働者の権利の保護というものが侵されることのないように、今まで議論されました点を十分踏まえて審議会で議論していただきたいと思っております。
#98
○八田ひろ子君 大変実のないお答えですね。そういうふうな抽象的な、観念的なお言葉で線を引く。
 今までは一定期間のものがあって、もらえる内容そのものは変わりませんでした。だけれども、今度はそうじゃありませんでしょう。線を引かれましたら給付内容が変わるんです。使用者にとってはどちらでもいいのかもしれませんけれども、働く人、失業をした人にとってはそれはもう死活的な大問題だと思うんですよ。それを、法律を変えるときに、後でちゃんと論議しますよという、そういう中身では私はとても納得できないんです。そんないいかげんなことで、あいまいなことでいいのかという思いがあります。
#99
○政府参考人(渡邊信君) 今般、給付基準そのものの見直しは初めてですけれども、現在におきましても待期期間のケースというものがありまして、三カ月例えば待つということは労働者にとっては大変な損失であるわけでありますが、その線引きの作業はかれこれ十五年近く安定所の現場においてやってきておるわけでありまして、全くの初めての経験ということではないというふうに思っております。
 そういった、従来の待期期間と内容は異なりますけれども、認定をして待期をかけるかどうかというそういった事務、基本的なところでは相似ておるところもあるわけでありまして、そういった経験を踏まえながら今般対応するということですから、何か全く新しいものが出て現場が大混乱するというふうなものではないというふうに考えます。
#100
○八田ひろ子君 前回も局長はそうおっしゃいましたけれども、給付内容が変わるというのは初めてじゃないですか。今までは一カ月とか待っていればきちんと給付内容があって、無論その間は大変です、死活的に大変です、しかし給付内容は変わらなかったじゃないですか。
 今度はこの線を引くということですから、どうやって線を引くのか。その死活的な問題について、新しい問題だから私は聞いているんですよ。今までとそんなに変わらないという問題では全然ないです、失業者にとっては。
 それと、もう一つなんですけれども、さっき牧野労働大臣もおっしゃいました、ハローワークは今てんてこ舞いです、現状でもと。確かにそうです。私も相談員の方に伺いましたし、私のおります愛知でも幾つか見せていただきましたけれども、本当に御苦労されているというふうに思います。その職業安定所で、今おっしゃったように、的確に客観的に迅速に正しい判断をできる体制的な保障というのは、現状どおりでできるとお思いなんですか、局長。
#101
○政府参考人(渡邊信君) そういったことのためにも、判断でいろいろと時間がかかる、困難だということを避けるために、基準というものがやはり客観的、具体的なものであるということは必要だと思いますし、運用の中で、個別のケースについて疑義にこたえるという形の中でこれは全国に広められるということもあると思いますから、まずは具体的、客観的な基準の確定というものが必要であろうかというふうに思います。
 それから、安定所の体制も、私どもは、この失業率の中で本当に多忙であって、なかなか職業相談にも応じにくいという面があるということは十分承知をしております。そういった意味では、一線の安定所の機能の強化、体制の強化ということが大変大きい課題であるというふうに思っております。
 ただ、それは職員の増というだけでやることもなかなか現下の情勢では難しいわけでありますから、思い切った業務の見直しとか効率とか、そういったこともいろいろかみ合わせながら総合的に体制の強化をしていくことが重要であろうかというふうに思っておりまして、やはりこれからは、今般改正をお認めいただければ、安定所の体制の整備あるいは強化ということについて、これは大きい課題ではないかというふうに考えているところであります。
#102
○八田ひろ子君 安定所の職員の皆さんの御苦労とか、本当に大変だと思いますし、今局長がおっしゃった職業相談ですね、それがその人の人生そのものを決めるということが実際には起こってくるわけですから、そういった部分で手厚くされるのは当然なんですけれども、今でも労働大臣がハローワークはてんてこ舞いだと、特にホワイトカラーの問題、職業相談が大変だということをおっしゃったんだと思いますけれども、そこにあらかじめ再就職のための準備ができるかどうかというあいまいな観念を持ち込んで判断をしろという、こういうのは私は本当に実際にできないんではないかと。ですから、この法が非常におかしいというふうに思うんです。
 私の時間はもう余りございませんので次に移りますけれども、具体的にあらかじめの問題でちょっと伺うんですけれども、それでは、故意の排斥とは別の話なんですけれども、これもあらかじめ再就職というそのことで伺うんですが、ある事業所で十五年働いていた労働者がいらっしゃる。リストラで解雇をされました。直ちに、非常に幸運なのか再就職をされたということです。ところが、一カ月勤務をしたんだけれども、折り合いが悪いからということでもうここにはおれぬということで退職をされました。
 現行では、先ほど局長が何度も繰り返しておいでになる一カ月の給付制限が行われている例ですけれども、今回の場合、こういう例は倒産、解雇等に当たるわけですか。
#103
○政府参考人(渡邊信君) 十五年勤めた職場をリストラで解雇されて、次の職場は自発的に離職をされたということで、かつ次の職場において最低六カ月の被保険者期間がないということになりますと、もとに戻りまして、リストラで解雇をされたというときのケースになりますから、これはいわゆる予見ができないケースということに該当すると思います。
#104
○八田ひろ子君 それは、実際には倒産、解雇に当たるので非常に手厚い方に入ると、今回の場合は。
 もしそうでしたら、それでは離職の理由が反対だったらどうか。十五年働いた事業所を何らかの理由によって自己都合で離職をせざるを得ない。そして、すぐに次の職場に就職をされました。ところが、その職場が一カ月後に倒産をしてしまったわけです。こういう場合はどうなるんでしょうか。
#105
○政府参考人(渡邊信君) 先ほどと考え方は同じでございまして、十五年勤めた職場を自発的離職、その後の職場は一カ月で倒産ということになれば、十五年勤められた自発的離職という方のケースになるということでございます。
#106
○八田ひろ子君 この場合は自己都合ということで手厚くないというふうに理解していいわけですね。
 私はどうしてこういう例を伺っているかといいますと、先ほどから御説明があるように、今回の支給削減の提案なんですけれども、退職の理由を問題にされているわけですよね。それで、自己都合、自発的な退職だったらあらかじめ再就職の準備ができるから線を引くんだというふうにさっきからおっしゃっていますよね。
 ところが、今例を挙げた方は職場が倒産してしまったんですよね。だから、この方は元気に希望を持って働き始めた、そしたら職場が倒産してしまった、そういうときにどうしてあらかじめ再就職の準備ができるんでしょうか。倒産、解雇等に入れるべきだというふうに今までの局長の御説明では思えるんですが、どういうことでしょうか。
#107
○政府参考人(渡邊信君) 企業に勤めておられまして、その企業が倒産をした、あるいは解雇されたということですべての労働者が保険を受給できるわけではもちろんございませんで、保険制度におきましては、最低六カ月勤務をしていただくというか、被保険者になっていないと保険の給付はいたしません。これは条約でもそういうことになっているわけでありまして、これは保険財政上、例えば一カ月二カ月勤めた人が離職をして保険をもらえるということはとても財政上耐えられないわけでありまして、今般もそこのところは改正していないわけでありますから、六カ月未満の方が倒産で離職をしたというときには保険は一切支給されないということでございます。
 したがいまして、今のケース、例えば一カ月勤めたところが倒産で離職せざるを得ないというところは、そもそも受給資格が発生していないわけでありますから大変やむを得ないケースだと思いますが、その際、それでは保険はこういうケースは一切支給されないかと申しますと、前の職場を離職後一年以内であれば、前職に基づいて、被保険者資格があったというところに基づいて保険が支給されるということであります。大変レアケースであろうかというふうに思います。
#108
○八田ひろ子君 何度も、あらかじめ再就職をする準備ができる方については給付削減をするんだという、そういう御説明があるものですから、私は、実際に失業になった方、倒産に遭って失業せざるを得ないという方にはそれは例外的に当てはまらないということで、非常におかしいと思うんです。
 給付は保険原理でとおっしゃっておりながら、給付内容については保険原理とは関係のない離職理由で差をつけようと、そういうふうになさっているから矛盾が生じる、理屈が合わぬわけですよ。これまで給付までに一定期間待期させるだけで、給付内容というのには差はなかった。だから、今までも多少の矛盾はあったとしても、こうした深刻な矛盾というのは起きなかったわけです。根本的に違うんじゃない。少し、一カ月ずれるとか、それでも大変ですよ。しかし、今回のような深刻な矛盾というのは実際には起きなかったんですよ。
 だから、あらかじめ再就職先を準備ができるという理由をつけて、給付水準、給付の内容に差を設けるということに私は無理があると思うんですよ。削減するためにどうしたらいいのかと。だから、後で線を引くための理屈をつける。だけれども、それは観念的なものだものですから、こういうような矛盾が非常に大きくなってくるというのは私は非常におかしいと思います。
 今回のこの法の改悪というのはこの問題だけではありませんけれども、失業の理由によって給付内容に差を持ち込むことは、参考人も、失業者の生活を安定させるどころか不安定なものにさせる、法の本来の趣旨からいってもおかしいんだというふうに指摘されていますけれども、私も本当にそのとおりだというふうに思います。きょうはもう時間がありませんのでこの問題ができませんけれども、本当にゆゆしき問題です。
 あと二分ぐらいありますので、最後に一つだけやっぱり再就職準備ということでお伺いしますけれども、もともと特に中高年労働者にとって転職先を考えながら仕事を続けることができるかというと、現在の雇用環境というのはそんなに甘くないですね。よほど再就職準備のための環境がないとできないというふうに思います。
 そこで伺いたいんですけれども、そういう就職準備制度を持っている企業はどれぐらいあるのか。労働省は九七年の雇用管理調査で退職管理について調査をされていますけれども、その中で再就職準備のための制度かなというふうに思える転職援助あっせん制度、それから独立開業支援制度、こういう制度を持っている企業はどれぐらいありますか。
#109
○政府参考人(渡邊信君) 恐縮ですが、初めの点ですけれども、現行の制度におきましても、被保険者期間が六カ月未満という方については一切保険は支給されておりませんので、念のため申し上げたいと思います。
 それから、今お尋ねの退職者に対する転職あっせん制度を採用している企業は、規模計で全体の一・一%でございますが、これを規模別に見ますと、五千人以上では二三・七%、例えば百人から二百九十九人では〇・八%というふうな状況でございます。
#110
○八田ひろ子君 二つ聞きましたけれども、転職援助あっせん制度と、それをお答えになった、独立開業支援制度、全体と規模別を言ってください。
#111
○政府参考人(渡邊信君) 大変恐縮ですが、独立開業支援制度というのはちょっと手元に資料がございませんが、先ほどの転職あっせん制度は、全体で一・一%。規模別で申しますと、五千人以上では二三・七、千から四千九百九十九人で六・七、三百から九百九十九で一・五、百から二百九十九で〇・八、三十人から九十九人規模で〇・九%というふうになっております。
#112
○八田ひろ子君 再就職準備のための制度というのが労働省もいろいろと援助もしていらっしゃるというふうに思うんですが、今の挙げられたものでありますと、そういう制度があったとしてもほとんど大企業に集中をしているわけですね、実際には。大企業の中でも全体には、一・一%というものだものですから、非常に少ない。先ほどの独立開業支援制度というのも一・三%というので、少ないわけです。
 今度、再就職援助のために有給休暇をとった労働者の賃金の一部を事業主に補助する制度をつくることにしていますけれども、こういう現状から見ますと、結局、こういうのを利用することができるのは大企業だけですね。そういう制度はすべての労働者の九割を占める中小企業では使えないんだと。そういうことをやる、だから全体の制度としてフォローするというふうにおっしゃいますけれども、結局は形を変えた大企業の補助金にならないとも限らない。
 結局、今度の改悪では、まさに働く人が失業したときに救うという、こういうことはどうにもならない、これを指摘して私の時間が来ましたので質問を終わります。
#113
○大脇雅子君 前回私の方は今回の法改正に伴って激変緩和措置を強く求めてまいりましたが、困難であるということの回答でありました。しかし、現下の深刻な失業状態の中で、年齢別有効求人倍率を見ますと、五十五歳以上は平成十一年一月あるいは平成十二年一月の段階で、いずれも〇・一〇。特に、その内訳で、六十歳から六十四歳までは〇・〇六。これが〇・〇七とわずかに上がってきてはいますけれども、企業がより若く、より安い労働力を求める傾向をあわせますと、やはり定年後あるいは再就職が非常に難しい年齢に対して給付期間が制限されるということの効果というのは非常に大きいと思うわけです。
 それに対して、職業訓練の手当てをもって充てるという御回答があったわけですけれども、延長給付制度についても見てみますと、失業多発地である場合の対策としてそれぞれ個別延長給付、訓練延長給付、広域延長給付、全国延長給付というものが定められていますが、これまで個別延長給付は平成十年度で約十八万三千人、総額六百九十億円というのが支給されておって、それなりの効果を発揮したというふうに思うわけですが、個別延長給付制度が廃止されるということになりますと、いわゆる延長給付制度の改正内容についてやはり考えていかなければならないのではないかというふうに思うわけです。
 その給付期間が短くなったのに対するいわば下支えの制度として今まで議論されておりますのは、職業訓練給付の拡大それから民間委託の推進というようなことが言われたわけですが、もう少し具体的に、この職業訓練給付は将来どのような形で展開していかれるのか、それから民間へ職業訓練を委託されるということについてどのような具体的な施策をお持ちなのか、この二点についてお尋ねをいたします。
#114
○政府参考人(渡邊信君) 今般、個別延長給付はほとんど新しい給付体系の中に吸収するということにいたしましたが、訓練延長給付は依然として重要な役割をもちろん担っていると思っているところでありまして、今後、この再就職困難者についての訓練ということは大変重要な課題というふうに思っています。
 そこで、例えば訓練期間について、従来短いものも多かったわけですが、訓練を受ければきちんと再就職できるというふうな、本当の意味での実力をつけていただくために訓練期間もある程度まとまった延長をする必要があるのじゃないか。制度的には、二年以内であれば訓練延長給付、訓練の受講指示をすることができるようになっているわけでありまして、それほど長いものが直ちに必要かどうかは別ですが、もう少し訓練期間も長くして実のあるものにするというふうなことを考えたいと思いますし、それから公的な訓練機関というのはやはり収容人員といいますか訓練人員も制限されているわけでありますから、全国に大変たくさんあります専修学校、専門学校、こういったものへの委託を大いに進めながら、この訓練給付というものが本当に役に立つような制度にしていくというふうなことを考えているわけであります。
#115
○大脇雅子君 基本的には今までいろいろと議論されましたように高齢者雇用の確保ということが一番大切になってくるわけですけれども、雇用保険三事業の見直しが必要だと言われるのも、やはり高齢者の雇用の確保が困難だということで執行率が非常に私は低いのではないかと。
 それに対しては、年齢制限ということは非常に大きな意味を持ってきている。これはさまざまな議論が今までされてきたわけですが、私は労働大臣に特にお尋ねしたいわけですが、高齢者雇用の確保と年齢制限というものの課題について、将来労働大臣はどのようにお考えになっているのか、御意見を率直にお聞かせいただきたいと思います。
#116
○国務大臣(牧野隆守君) 高齢者の皆さんに再就職できるようにという、この場合の採用される方々の立場から見ますといろんな条件があるわけですが、今いろいろ報告を見ておりますと、やはり新しい技能というものを実は設けている方が非常に多うございまして、したがってそういう技能に欠けるということ、それが高年齢者というものと重なり合いましてなかなか再就職というのは難しい、こういう状況にあると、こう思っております。
 したがって、この辺の条件を、どうやっていわゆるミスマッチを直すかということは非常に難しい問題であるわけですが、私どもとしましては、もう一回勉強し直してほしいということはなかなか難しいんですが、こういう変化する時代に、例えばパソコンぐらいはちゃんとコントロールできるようにできませんでしょうかと。実際に聞いてみますと、相当高学歴の方が多うございまして、一カ月間来ていただければ相当こなせますよ、しかも社会になれておりますから、私どもとしては若い方よりもそういう中高年齢者の方がいいという方、安心して雇用できるんですよという方も実は非常に多いわけでございまして、そういう点でそういう技能研修というのは一つの大きい手段かなと、こう考えております。
 それからもう一つは、六十で定年を迎えられた方が一年でも二年でも継続して就職していただく、こういうときに例の八五%を限度としての四分の一の給与の補助制度がありますので、これも実は年金だとかいろんなお金等計算しますと企業の負担分というのはそれほど多くないということでございまして、今大手企業の間でその辺のやり方をどうするかということをいろんな方法で検討し、方向が出ているような気がいたしておりますが、そういう形をとっていただければ継続的に雇用していただける、こういう雰囲気は必ず出てくるのではないかなと。
 私どもの方、労働省として、では具体的にどういう制度で一人一人のミスマッチを埋めるかという点につきましては、基本的には今はその二つで対処させていただきたいと、こう考えております。
#117
○大脇雅子君 確かに高齢者の雇用の維持については大臣の言われたことが重要であろうかと思います。
 高齢者雇用のいわば求人面について、いろんな年齢制限があるというところが非常に大きなネックになっているのではないか。例えば高齢者に対する社会のイメージが、非常に効率が悪いとか、あるいは頑固だとか時代おくれだとか、若い人に対して清潔でないとか、さまざまな雇用の側の偏見といいますか、それがあると思うんです。それをやはり私は直していかないといけないのではないかと。
 したがって、年齢制限に対して私は何らかの形で労働省がその撤廃に向けて積極的な姿勢を出すことが高齢者雇用を確保する一番大きな機動力になるのではないかというふうに思っているものですから、積極的にその点に対する切り込みを労働大臣にぜひお願いしたいと思っているところですが、御意見いかがでしょうか。
#118
○国務大臣(牧野隆守君) 今おっしゃったように、どうも私自身は偏見が非常に多いという感じがいたしております。
 しかし、中には、先ほど申しましたとおり、いや若い人よりもいいんですよという、そういう方々があちこちに出てきておるということは非常に心強いわけでございまして、ちょっとしたパソコンを利用できれば、いや実は牧野さん、安心してお雇いすることができるんですよ、どんどんそういうことをPRされたらと、このようなアドバイスまでちょうだいいたしているわけで、私どもとしては、職業安定所、ハローワークを通じまして積極的にそういうPRといいますか周知徹底方に全力を尽くさせていただきたい。
 また、民間の連合にしましても日経連にしましても、少なくともこういう雇用関係に携わる機関のリーダーの皆さんにはそういう変化があるということをよく認識していただいて、そういう立場からも年齢制限についての偏見を排除するというようにお願いをさせていただきたいと思います。
#119
○大脇雅子君 私もハローワークへ行きまして、求人求職のいろんなアクセスをする場合でも、年齢が上ですとほとんど余り有効な求人がないという状況ですので、私は、何らかの形でそういう求人に対して年齢制限をつけるという使用者の態度というものについて、労働省が先駆的に、そういう年齢制限というのは、本来は技能とかその人の能力であって年齢ではないんだというようなことを積極的に施策として将来取り上げていただきたい。そうすることが高齢化社会における高齢者の雇用を高めるということになるんだというふうに思うんですが、さらにちょっと踏み込んで、年齢制限について御意見を承りたいと思います。
#120
○国務大臣(牧野隆守君) 御指摘のとおり、年齢に関係なしに、年寄りでも私は働きたいというはっきりした意思をお持ちの方につきましては、きちっと適正な働く場所が与えられるべきであるという、この信念には私は変わりございません。
 ですが、具体的に、例えば職業安定所でこういう求人が来たというときには、やっぱり高年齢者にその能力に適合する職業というものをある程度見きわめましてそれで紹介する。こういうように、求人者に対しても年齢その他の求人の条件について指導しなきゃならないなと。いや、指導ということ、安定所の職員がそんなおこがましいことができるかどうか、それは相手方お一人お一人に対する対応の仕方によってその辺はぜひ解決できるように私どもは指導をしなきゃいけませんし、年齢に関係なしにこの人はこういう能力があるんですよと、そこまで高年齢者の立場を十二分に了解して求人者に対して説得する、ぜひそういうようにやらせていただきたい、こう考えております。
#121
○大脇雅子君 ぜひ窓口の対応から私はそれが変わっていくことを期待したいと思います。
 さて、先回はパートについてお聞きいたしましたが、今回の法改正では派遣労働者も年収要件を削除することによって雇用保険に加入をしていくということになったわけですが、派遣労働者について、今派遣元事業主から保険料を徴収している実績というのはどのようなものであるでしょうか。これから派遣労働者として加入していく、多分このくらい加入するんじゃないかという何か見込み数はあるでしょうか。
#122
○政府参考人(渡邊信君) 現在、登録型の労働者派遣で行っている事業所数は四千三百七十二所ということですが、このうち派遣労働者で雇用保険の被保険者となっている方は、平成十年度の数字ですが、約十八万一千人ということでございます。
 これから派遣労働者につきましても制度に加入しやすくなるようにということで、例えば年収要件等を撤廃しようということで考えておりますが、こういったことを措置しますと、新たに二十万人ぐらいの方は雇用保険に加入されるということになろうかというふうに見ております。
#123
○大脇雅子君 そうしますと、これは十八万一千人だと、大体事業所数はわかりますか、どのくらい入っているか。
#124
○政府参考人(渡邊信君) 失礼しました。
 先ほど冒頭申し上げました事業所の四千三百七十二というのは、現在、保険に加入している事業所の数でございます。
#125
○大脇雅子君 はい、わかりました。
 そうしますと、これから派遣労働の分野で現在未加入の事業主への対策と周知徹底ということが大変重要であると思いますが、具体的、効果的な政策をどのように展開するというふうにお考えでしょうか。
#126
○国務大臣(牧野隆守君) 御指摘のように、派遣事業というのは、一つの雇用のミスマッチをなくする非常に大切な機能を持っている組織でございまして、しかも勤務年限が一年を原則とするような、こういう状況にございますから、ここでレジスターされる人について雇用保険の対象になるように、これには私どもとしても最大の努力をしなければなりません。
 今回の法改正を機にいたしまして年収要件をまず廃止させていただきまして、事業主に対して説明会の開催だとかあるいは労働保険事務組合の活用だとか、あるいは事業所調査等を通じまして加入促進に私どもとしてはベストを尽くさせていただきたい、こう考えています。
#127
○大脇雅子君 先回、関根参考人が意見陳述をいたしましたときに、継続的な就業が期待されていてなおかつ困難な労働者について、一応労働者派遣終了証明書というのが一カ月の猶予期間を置くということになって、実際上は一カ月の給付制限期間がその加算の役割をしているのではないかと。したがって、派遣ネットワークなどの労働組合などに寄せられている相談事例では、労働者派遣終了証明書が出されるまでには、例えば一カ月に近い時間的経過を恒常的に派遣の繰り返しが多いということで出されているわけです。
 この労働者派遣終了証明書というものに対する基本的な取り扱いについて、なぜ正規労働者と違うのか。そして、このことが通常の正規労働者との雇用保険の適用について差別をもたらすような取り扱いになっているんじゃないかということについてどのようにお考えでしょうか。
#128
○政府参考人(渡邊信君) 登録型派遣労働者につきましては、ある事業所で一定期間働いて、その派遣が終わったときにまた次の事業所へ派遣されるというふうなことを繰り返すというのが一般的形態でありますので、派遣先で一カ所切れた時点で直ちに被保険者資格を失うといいますか被保険者でなくなるという取り扱いは、その就労の実態から見てそぐわないのではないかというふうなことで、一カ月程度くらいは間にその間隔をあけましても被保険者期間を通算している、こういった取り扱いで一カ月程度の期間は見るということにしておるわけで、むしろ派遣労働者が雇用保険の適用を受けやすい仕組みだというふうに思います。仮に派遣労働者の方で、派遣が終わったときに、もう自分は次の派遣先に行かないという意思をはっきりされれば、その時点で離職というふうに取り扱っております。
#129
○大脇雅子君 そうすると、これで労働者派遣を終わるということになれば、証明書は直ちに離職証明という形で出るわけですか。
 じゃ、その点を確認させていただいて、さらにちょっとお尋ねしたいんですが、この一カ月の登録待機期間の雇用保険期間としての取り扱いというのはどうなるんでしょうか。これ、今通算するとおっしゃったわけですよね。保険料などはどうなるんでしょうか。
#130
○政府参考人(渡邊信君) 保険料につきましては、年度当初に総賃金の幾らということで納付をいただいておりますので、その間に対応する保険料を取るというふうな仕組みにはなっておりません。
#131
○大脇雅子君 先回、パートについてお尋ねしたのですが、派遣労働者などを含む有期契約者が期間満了をする場合、更新予定の労働者について拒絶のあったときというのは、これは非自発的な理由に該当すると考えられますが、その点についていかがでございましょうか。
#132
○政務次官(長勢甚遠君) 有期の雇用契約が反復更新されることによって期間の定めのない雇用契約になったとみなし得る場合に、契約の更新を拒否するということが解雇に当たるという判例法理があるところでございます。
 したがいまして、御指摘のようなケースの取り扱いにつきましては、この判例法理を踏まえまして、今後関係審議会で議論するということになるわけでございますが、そういうケースであれば非自発ということになる可能性が高いのではないかと思います。
#133
○大脇雅子君 何回も、前もお伺いしたかと思いますが、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部改正で、中高年労働者に対する再就職援助制度が、在職中の四十五歳以上の高年労働者について求職活動に対する企業の援助というのがなされるわけですが、それがリストラの推進につながるおそれはないのか、歯どめはあるのかということが議論されてきたわけですが、その歯どめ策についてさらにお尋ねをしたいと思いますが、いかがでしょうか。
#134
○国務大臣(牧野隆守君) 再就職援助計画制度は、定年、解雇等により離職する中高年齢者ができる限り失業を経ないで再就職することができるようにするため、事業主や公共職業安定所による支援等が的確に実施されるようにするための制度であります。この計画については、労働省令で定めるところによりまして作成することになりますが、計画の実効性が上がるような内容にしていただきたいと、こう考えております。
 また、離職することが決まった後に作成、交付されるものであり、御指摘のようなリストラ推進にはつながらないものだと、こういうように考えておりまして、事業主が講ずる再就職援助措置のうち、労働者に共通する基本的な事項について労使間で十分な協議が行われるよう、また再就職援助計画の作成に当たってはあらかじめ労働者本人の希望を聴取するよう、関係手続の明確化を図ってまいりたいと、こう考えております。
#135
○大脇雅子君 一定程度中高年齢者をリストラしたような場合には雇用調整金をストップさせていくという、そういう一つの歯どめ策について先ほどお述べになったと思うのですが、それは、大体一定数以上そうしたものを生じさせた場合に雇用調整金助成を外していきたいというところで根底的なリストラと助成金とのバランスをとられるわけですが、この一定数以上というのは一体どの程度だと理解したらよろしいのでしょうか。
#136
○政府参考人(渡邊信君) 企業が多数の高齢者の離職者を発生させたというときには今御指摘のような対応措置も検討すべきであろうというふうに思っておりますが、企業の事情によってもいろいろな場合があり得ると思いますので、この点についてはケースに即してさらに審議会で議論を詰めていただきたいと思います。
#137
○大脇雅子君 この点はぜひ厳格にやっていただきたいと思います。
 最後に、雇用保険三事業の見直しについて、先回、雇用保険三事業の資金の言ってみれば弾力化とか柔軟化というか、流動化というのは妨げないという御答弁があったと思うんですが、どういう形で将来これを見直していかれるのか。より効果的、効率的な運営というのを図っていく必要があるとされているわけです、これは中央職業安定審議会専門調査委員雇用保険部会の報告でございますけれども。これに対しては労働省はどのように対応していかれるのか、あるいは対応しておられるのか、最後にお尋ねをしたいと思います。
#138
○政務次官(長勢甚遠君) 雇用失業情勢が大変厳しい中で、労働省といたしましては、各般の施策を今積み上げてきたといいますか、重ねてきたところでございます。その結果といたしまして、現在のいろんな給付金等もつくっておりますけれども、まず何よりも大変数も多くなって、要件等々も複雑になっておる。通常時に使われるもの、緊急時に使われるもの、特定の業種その他に使われるもの、いろいろ起こっておるわけでございます。今後、少子高齢化も進みますし、また労働移動も増加をする等々の雇用環境も変わる中で、このような三事業の果たしておる役割、またそれの具体的な助成金等々というものをより効率的に事態に合うようにつくり直すべきではないかという観点が中職審からも部会からも御指摘をいただいているわけでございまして、私どもも早急にこの検討を進めなければならないと、こう思っておるわけでございます。
 当然、各種給付金の見直しについては不断に行っておるわけでございますが、ここ最近大変緊急の事態が続いておるものですから、この際改めてそういう目できちんとした見直しをするように大臣からも指示をいただいておりますので、早急に進めたいと思っております。
#139
○大脇雅子君 それでは、最後に労働大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、定年の引き上げとか継続雇用の導入とか、さまざまな努力が行われる中で、やはり定年後もあるいは定年をまたいで生き生きと働けるような社会の実現に向けての施策というものについてどんな夢があるのか、労働大臣にお尋ねをいたしたいと思います。
#140
○国務大臣(牧野隆守君) 御承知のとおり、急速な高齢化が進展している現状におきまして、将来にわたって我が国経済の活力を維持していくためには、雇用分野や社会保障分野を初め、経済社会の諸制度を高齢社会に対応したものへと基本的には見直していかなきゃならないと、こういうように考えております。
 改正法案におきましても、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等による六十五歳までの安定した雇用の確保を図るための事業主の努力義務を定めるとともに、これに関する指針を私どもとしては策定いたしまして、全面的に事業主に努力をしていただきたいと、こう考えております。
 今後、関係審議会の意見等も十分聴取しなければなりませんが、指針においても事業主が定年の引き上げ等に積極的に取り組むための実効ある内容にぜひしていただきたい、しなきゃならないと、こう考えておりますし、その周知に努めるとともに、継続雇用制度の導入、改善を図る事業主に対する助成制度をさらに充実させていただきたいと、こう考えております。
#141
○大脇雅子君 終わります。
#142
○委員長(吉岡吉典君) 他に御発言もなければ、両案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#143
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。
 午前の審査はこの程度にとどめ、午後三時まで休憩いたします。
   午後零時二十分休憩
     ─────・─────
   午後三時開会
#144
○委員長(吉岡吉典君) ただいまから労働・社会政策委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、直嶋正行君及び清水嘉与子君が委員を辞任され、その補欠として吉田之久君及び森田次夫君がそれぞれ選任されました。
    ─────────────
#145
○委員長(吉岡吉典君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#146
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。
 反対理由の第一は、失業手当の給付日数が大幅に削減されることであります。
 今日の雇用失業情勢は、これまでの政府の失政と大企業のリストラの強行によって、完全失業率は戦後最悪の四・九%、失業者数は三百万人を大きく超えるに至っています。しかも、再就職までの失業期間はますます長期化しており、一年以上も失業しているという方が総務庁の調査でもこの一年余りで二十万人もふえています。
 このような状況であることを知りながら、金額にして五千億円、給付日数を最高四カ月も削るということは、到底認めることはできません。これは、本法第一条でうたわれた、労働者が失業した場合に必要な給付を行うことにより労働者の生活の安定を図るという本法の目的にも著しく反するものと言わなければなりません。
 反対理由の第二は、就職困難度に応じて給付日数を定めるとした原則から、年齢要件を基本的に外したことであります。政府の統計によっても、中高年齢者に対する求人がほとんどないというのは厳然たる事実であります。にもかかわらず、この要件を外すことは現実を無視した暴挙と言うべきであります。
 反対理由の第三は、失業の理由によって給付内容に差別を持ち込んでいることであります。
 今日の失業情勢のもとでは、倒産や解雇による失業であろうとそのほかの事情による失業であろうと、再就職の困難さに違いはありません。あらかじめ再就職の準備ができているからと言いますが、それで再就職に結びつかないことは一年以上の失業者がふえていることからも明らかであります。しかも、給付日数を切り下げられる方に入るか入らないかは失業者にとって死活的な問題であるにもかかわらず、その基準は審議の経過でも極めてあいまいであることが明らかになりました。
 高年者雇用安定法による三十日分の再就職支援措置を創設したと言いますが、こうした制度を利用できる労働者は極めて限られた少数であり、到底代替措置にはなり得ないことも指摘しておくものであります。
 反対理由の第四は、保険料の引き上げであります。
 バブル崩壊後、失業者が増加していたにもかかわらず、財政改革法によって雇用保険会計への国庫からの繰り入れをそれまでの二五%から一四%までに引き下げたのは政府であります。今日の雇用保険会計の窮迫はまさに政府の責任そのものであります。その政府責任を棚に上げ、労働者には五千億円の給付削減に加え、四千億円もの負担増を強いることは到底認められるものではありません。
 以上、述べましたように、今回の法改悪は、給付の大幅削減と保険料の引き上げという労働者へのしわ寄せを行うことによって、雇用保険財政の再建を行おうとするものであります。
 今必要なことは、給付期間の延長であり、また、これ以上失業者をふやさないために解雇規制法の制定、そして雇用を拡大するためサービス残業を根絶することであります。
 以上指摘して、反対討論を終わります。
#147
○大脇雅子君 私は、雇用保険法等の一部を改正する法律案に反対する立場で討論を行います。
 提出された法案は、労使の保険料負担率を引き上げ、国庫負担の本則へ戻すことによる収入の改善と、求職者給付体系の見直しに係る支出の切り下げを行うことによって、当面の均衡が保たれる内容であります。
 改正内容の中には、育児・介護休業給付の給付率の引き上げによる雇用継続給付の改善やパート・派遣労働者の加入の促進、雇用安定事業の見直しなど、評価すべき点もありますが、抜本的見直しにおいて大きな問題があります。
 その第一は、求職者給付体系について、基本手当の給付日数をこれまでの保険への被保険者期間及び年齢による支給の原則から、自己都合、定年等の一般の離職者への給付日数を被保険者期間のみによる給付日数とすることによる全体的かつ大幅な切り下げを行い、その反面、厳しい中高年齢労働者のリストラ・解雇等による離職者に対して給付日数を上積みして重点化し、その結果として、当面の財政均衡を図る仕組みになっています。
 しかし、この見直しは、雇用保険の財政難の枠内での割り振りを合理化した意味を持つとはいえ、雇用保険制度本来の離職・失業者のセーフティーネットの中核として果たすべき役割から見て、十分な給付日数への組みかえになっているかを考えるとき、決して失業状態にある労働者とその家族の生活を支え、かつ求職活動を支援する仕組みになっているとは評価できません。
 とりわけ、中小零細企業で定年を迎えた高年齢求職者にとっては、給付日数の削減と、年齢別有効求人倍率が五十五歳以上について〇・一〇という昨今の非常に厳しい求職難の状況とが相まって、定年後の生活設計に深刻な事態が法改正によって突如生ずることになることを否定できません。
 これを防ぐためには、激変緩和措置がぜひとも講じられなければならないはずですが、この措置がとられなかったのは大きな問題であると思います。
 第二の理由は、今般の改正により、離職理由による給付日数が大きく変わる制度になっていますが、労働者の意に反する離職であるのに、労働者の主張と事業主の主張が異なる場合、立証が困難な労働者への配慮について明確な法的保障が欠如していることです。雇用の流動化が急速に進んでいる実態において、離職した労働者への負担がより重いのではないかと思われます。
 第三に、離職理由による制度的取り扱いの中で、リストラ・解雇等の場合の手厚い給付措置がかえって企業のリストラ促進策に活用されるおそれが十分あります。しかし、その歯どめ策が改正法に伴う規則政令の運用に任せるのでは、法的にいまだ不十分だと思われます。
 第四に、現下の雇用情勢を見れば、国庫負担のあり方と基本手当の給付日数の水準等に関する今回の改正枠組みで果たして十分に対処し得るのかが懸念されるところであり、施行後の事態に機敏に対処するための見直し規定に欠けていることも指摘しておきたいと思います。
#148
○委員長(吉岡吉典君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#149
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認めます。
 これより採決に入ります。
 雇用保険法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#150
○委員長(吉岡吉典君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、川橋幸子君から発言を求められておりますので、これを許します。川橋君。
#151
○川橋幸子君 私は、ただいま可決されました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、今回の法改正が一般の離職者に対する求職者給付の給付日数の圧縮等、雇用労働者に重大な影響を及ぼす内容を含むものであること等にかんがみ、次の事項について、適切な措置を講ずるよう努めるべきである。
 一、今後とも、保険当事者の参画を促進しつつ、セーフティネットとしての雇用保険の健全運営の確保に万全を期するとともに、雇用失業情勢の変化に機動的に対応し、一般会計も活用した雇用対策の充実強化を図ること。
 二、倒産、解雇等による離職者として手厚い所定給付日数の対象となる者の具体的範囲を定めるに当たっては、離職の実態を十分踏まえつつ、中央職業安定審議会の意見に基づく明確な判断基準を示し、その周知徹底を図ること。また、その運用に当たっても客観的事実と離職者本人の申立に基づき、明確かつ合理的に実施すること。
 三、雇用就業形態の多様化に対応するため、パート、派遣労働者について年収要件等に係る適用基準を見直すなどし、その周知徹底を図るとともに、労働保険事務組合等を活用しつつ、一層の加入促進を図ること。
 四、離職を余儀なくされた中高年齢者を中心に民間教育訓練機関への委託を含め多様な教育訓練機会を提供するとともに、その効果的な活用が図られるよう教育訓練給付制度の充実や訓練延長給付制度の訓練内容の充実等を図ること。
 五、今般の給付体系の見直しに関連し、六十五歳までの安定した雇用の確保、中高年齢者の再就職の援助・促進等が着実に図られるよう万全の配慮を行うこと。
 六、雇用保険三事業の各種給付金等について、その実効性を検証の上、政策目的の重点化を図りつつ、整理合理化を進めること。
 七、保育に関する施策と十分連携を図りつつ、仕事と子育ての両立のための雇用環境の整備に向け、法的整備も含め、幅広い観点から検討を行い、その結果に基づいて必要な措置を講ずること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#152
○委員長(吉岡吉典君) ただいま川橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#153
○委員長(吉岡吉典君) 多数と認めます。よって、川橋君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、牧野労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。牧野労働大臣。
#154
○国務大臣(牧野隆守君) ただいま御決議のありました雇用保険法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#155
○委員長(吉岡吉典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#156
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#157
○委員長(吉岡吉典君) 次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案に対する質疑は既に終局しておりますので、これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#158
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、川橋幸子君から発言を求められておりますので、これを許します。川橋君。
#159
○川橋幸子君 私はただいま可決されました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、日本共産党及び社会民主党・護憲連合の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、急激な高齢化の進展に対応し、高年齢者等の雇用・就業機会の確保を図ることが極めて重要であることにかんがみ、次の事項について適切な措置を講ずるよう努めるべきである。
 一、高年齢者等職業安定対策基本方針の策定に当たっては、雇用と年金との接続の確保を特に考慮し、企業における六十五歳までの安定した雇用の機会の確保を保障するための制度の整備、定年・解雇等により離職する中高年齢者の円滑な再就職の実現等の内容の具体化について鋭意努力すること。
 二、企業において、高齢化や年金制度の状況等を踏まえ、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、職域開発及び再就職援助等が促進されるよう、高年齢者等職業安定対策基本方針について、その周知徹底を図ること。
 三、高年齢者の雇用の実情について、毎年度定期的な把握を行うとともに、これを踏まえ、六十五歳までの雇用の安定の確保に資するため、事業主への援助の強化を図るとともに、助成金制度等の見直しについても必要な検討を行うこと。
 四、中高年齢者に対する求人の増加を図るため、求人に係る年齢制限については民間の職業紹介事業者の協力も得つつ、その緩和についての指導を強化すること。
 五、中高年齢者の雇用の安定の確保に資するため、在職中の労働者に対する相談活動についての機能強化を含め、職業指導、事業主指導に必要な公共職業安定所の組織、機能について一層の拡充強化を図ること。
 六、シルバー人材センターが、高年齢者の多様な就業ニーズに的確に対応した就業機会の確保のために十分な役割を果たすよう、その運営に対する支援の強化を図ること。
 七、高齢期における就業意欲等の多様化に対応するため、地方公共団体との十分な連携の下に地域社会に密着した雇用・就業機会の確保を図るとともに、活力ある高齢化の実現の観点から、高年齢者がその知識や経験をいかしたNPOへの参加やボランティア活動等の社会活動を行っていくことを促進すること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ御賛同いただきますようお願いいたします。
#160
○委員長(吉岡吉典君) ただいま川橋君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#161
○委員長(吉岡吉典君) 全会一致と認めます。よって、川橋君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、牧野労働大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。牧野労働大臣。
#162
○国務大臣(牧野隆守君) ただいま御決議のありました高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重し、努力してまいる所存であります。
#163
○委員長(吉岡吉典君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#164
○委員長(吉岡吉典君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時二十分散会
ソース: 国立国会図書館
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