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1950/11/29 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 大蔵委員会 第4号
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1950/11/29 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 大蔵委員会 第4号

#1
第009回国会 大蔵委員会 第4号
  公聴会
――――――――――――――――
昭和二十五年十一月二十九日(水曜
日)
   午後一時三十二分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○所得税法臨時特例法案(内閣送付)
○酒税法の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○砂糖消費税法の一部を改正する法律
 案(内閣送付)
○揮発油税法の一部を改正する法律案
 (内閣送付)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小串清一君) これより大蔵委員会の公聽会を開会いたします。
 公述人のかたがたは、本日特にお忙しいところをお出ましを願いまして、誠に御苦労さまでございます。本日御公述を願います案件は、所得税法臨時特例法案、酒税法の一部を改正する法律案、砂糖消費税法の一部を改正する法律案及び揮発油税法の一部を改正する法律案等についてでございますが、発言時間はお一人三十分以内ということに御了解を頂きたいと思います。そうしてその後十分以内において委員との間の質疑応答の時間に用いたいと存じます。どうかさよう御承知を願いたいと思います。それでは最初に、経済団体連合会理事内山徳治君の御公述をお願いいたします。
#3
○公述人(内山徳治君) 私経済団体連合会の理事の内山でございます。
 前年度から引続きまして、減税の方向に向つておりますことにつきましては、現在国民の租税の負担が非常に重過ぎるということは、これはもう改めて述べる必要のない事実でありますことと、又補給金の廃止に伴う直接の歳出の減少も相当多額に上つておる際でもあり、又統制の廃止等に伴いまして行政費の縮減ということも可能になつておる現在でございますから当然のことではございまするが、誠に喜ぶべきことだというように考えておる次第であります従いまして只今この臨時国会提出されております四つの法案につきましても、そのうち酒税の方は税率を軽減するということであつて歳入の減少にはならない。むしろ歳入は増加を見込まれておるようでございますが、いずれにいたしましても減税の法案でございまするので、経済界といたしましはむろ全面的に、原則的には賛成するものであります。ただ問題になりますのは、結局減税の程度がこの程度で妥当であるかどうかという問題と、それから減税の範囲をどういうふうにするかということと、更に詳しくは特に減税の方法について問題がないかどうかという点に主としてなつて来ると思うのであります。併しそれにつきましても今回提出されております法案に関する限りは、特に我々として強い希望なり、或いは修正の要望といつたようなものはございません。大体において全部原案に賛成することができると思うのであります。ただ併し、この減税の方向は二十五年度だけに勿論とどめる問題でございませんで、二十六毎度以後に亘る問題でございますので、この機会に一応租税の軽減のやり方につきましての大体の考え方を申上げてみたいと思うのであります。
 先ず、減税の程度に関連した問題でございますが、これは勿論歳出の要求と、それから歳入の全体としての状況から割出される問題でございますので、現在與えられております結論に対して特に強くどうということはございませすが、ただ、今伝えられておりますところで、二十六年度には、二十五年度の補正予算もそうでございますが、二十六年度にも引続きまして一般会計からの外為特別会計に対するインベントリー・ファイナンスの繰入等の問題が引続いて行わはれることになつております。これに対しましては、経済界としてば一応かねてからもはやそういうやり方はやめてよろしいのではないかということを申しておりますので、この点に関する限りではそういう見解を持つております。それから将来の問題といたしましては、行政の整理、経費の縮減ということは引続いて相当にその余地があると考えられでおりますので、引続いてこういう面から歳出の節減を図りまして減税を計つて頂きたい。
 それから次に二十六年度の予算はまだ分つておりませんが、今年度の補正予算についてもそうでございますが、只今案として出ておりますだけの減税をいたしますために、一面において減收の自然増收が見込まれておる次第でございまして、これも当然或る程度までは自然増收があるに違いないと存じておりますが、ただこれにつきまして希望といたしまして、非常に古い税金についての徴收については、一応税法があることでございますから、その法規を曲げてまでも手加減するということはできないことでございましようけれども、前年度以前につきましては相当無理な重い課税になつておる点もございますから、余り無理にならないように税務行政上特に注意をして頂きたい、こう思うのであります。なお、今年度或いは来年度の徴税につきましても、一面において減税ということの建前を通すために、余り徴税のほうに無理なことが起るということがあつてはならないということでございますので、只今のところ具体的にはつきりした事例ということではございませんが、注意して頂きたいということを要望いたす次第であります。
 それから次に減税の範囲でございまするが、今度の補正予算におきましては、所得税の減額と、それから酒税、砂糖消費税、揮発油税というものが問題になつておるわけでございます。大体においてこの減税の順序は極めて妥当であると私どもも考えておりますが、ただここでやや根本問題になりますが一つ問題にしていいことではないかと思いますことは、どうもシヤウプ勧告以来消費税というものに対する考え方が非常に何といいますか、消費税を減らす傾向が強く現われております。併し全体の租税の体系或いは徴税の状況等から勘案いたしますと、日本の実情といたしましては消費税系統の税をもう少し重く見るほうが妥当なのではなかろらうかと、こう思うのであります。申上げるまでもなく租税につきましては、直接税と間接税との二つの大きな体系がございまするが、今度の改革によりまして、地方税のほうで固定資産税、附加価値税という二つの大きな一種の間接税が設けられたわけでございます。これを間接税として計算をいたしますると、必ずしも中央地方を通じて見ますると、非常に間接税が軽くなつておるとはいえないと思うのでありまするけれども、併し固定資産税につきましても附加価値税につきましても、非常にこれは問題の多い税でございまするので、附加価値税というのは間接税でございますが、いわば資産税のようなものだと思うのであります。固定資産税はこれも間接税と見るべきではございましようが、これもやはり資産税でございまして、消費税とは全く性質が違うのであります。それでありますから、大体贅沢品に属する部分に対する課税ということになると思うのでありますが、消費税ということをもう少し重く考えて適当な消費税は残して行く、或いは政策上も適当にこれを運用して行くことが必要なのじやないか、こういうふうな感じがいたしております。そういう根本問題から出発いたしますと、砂糖消費税、揮発油税というようなものについても考えようによつては若干の問題があるかも知れませんが、現在のところといたしましては、我々もそういう根本的な方針を具体的にはつきり案を持つところまでは至つておりませんので、揮発油税のほうは輸入関税との関係もあると存じまするから、軽減するのは妥当であると存じます。又は砂糖につきましても、これら砂糖の販売が極めて自由であつて相当浪費が起るというような状態であれば、消費税をかけるのがむしろ至当だと思いまするけれども、現在の状態においてはそういうことではないのでありまするから、軽減を図るのは至当であると思うのであります。その他物品税が今度の臨時国会には種々の関係で出なかつたようでございますが、これにつきましても軽減を図るべきものは当然あると存じます。併し消費税については、全体としてそういう根本問題を考えておるということだけを申上げて置きたいと思うのであります。
 それから本日は国税に関する問題でございまするけれども、租税の負掛という面から考えますると、どうしても全体としてはやはり地方税を併せまして、中央地方を通じて租税の全体の体系から負担の状況というものを考えて行く必要がございますので、そういう意味において現在の地方税の状況を簡單に考えて見ますると、これは非常に問題が多いと思うのであります。やや根本問題になりまするけれども、恐らく来年度以後につきまして、地方税、或いは遡つては地方行政、或いは地方財政の全体に亘りまして相当考え直さなければならない問題があると私どもは存じておりまするので、国税につきましても、その地方税をどうするかということが一つの根本問題として関連をいたしておりまして、その関連の下に国税の軽減を如何なる方向で行なつて行くかということをきめなければならない関係にあると、こういうふうに思つております。それから次に大きな方向として、減税を図つて行きます場合に、どういうふうな方針でこれを序つて行くかということでありますが、その場合にこの際是非一番重きを置いて考えなければならんと思いますことは、資本の蓄積を奨励する方向において税制の改正を図る必要があるだろうということであります。この点は非常に問題が大きうございますので、あとでもう一度その内容を申上げることにしたいと思いますが、尚その外物価政策との関係、或いは減税との関係、その他租税はただ單に歳入を確保するというだけでなしに、当然これは万般の経済政策と関連を持たせて考える必要があるわけでございまして、只今の所得税の軽減にいたしましても、米価の引上げ等に深い関係を持つておるわけでございまするが、そういう点を考えて進んで頂く必要があるわけでございまして、大体論といたしまして私どもは補給金の撤廃、これに基く当然或る程度の物価騰貴を予想しなければなりませんが、そういう方向は基本的な方向としては当然行わなければならない点であり、いつかは補給金は全部廃止するのが本当でございまするけれども、併しその順序については余程注意をする必要がある。又世界的な経済情勢全体を睨みまして余りそういう基本方針であるからといつて無理な補給金の撤廃にならないようにということを望んでおるわけでございますが、併し米につきましては麦との関係もあり、又国際価格との関係もございまするので、漸次に国内の価格を引上げるような方向へ導くのは当然でありますから、それと関連をさせて所得税の軽減を図るということは、これは当然時期としても妥当な措置であるというふうに考えておる次第であります。
 尚その他今後の税制の改正の問題につきましては、実は経済団体連合会といたしましては租税対策委員会がございまして、そのほうで今案を取りまとめることを準備中でございます。先般十五日から十七日に亘りまして日本租税研究協会の大会が開かれまして、ここで各方面からいろいろな報告が行われました。今後の具体的な施策の発展をせしむべき問題もこの中に相当含まれております。更に二十一日と二十二日に大阪でやはり大会を開きまして、これもいろいろな報告がございましたので、そういうものを整理いたしまして国税と地方税とに分けまして、一応経済団体連合会としてどういう程度のことを要望するかということをまとめるつもりでございまするので、それができましたならば、直ちに皆様にも御連絡申上げまして御盡力をお願い申上げたいと存じておりまするが、本日はまだまとめるところまで参つておりませんので、大体の問題の点だけを申上げておる次第でございまするが、それらの中で特に重要な問題は資本蓄積の奨励という観点から税の軽減を図つて頂きたいという問題でございます。この点につきまし窓は、先般ドツジさんに出しました意見の中にも極く簡單に触れたのでございますが、今問題になつております点だけをちよつと簡單に申述べたいと存じます。
 資本の蓄積と一口に申しましても、大きく分けますと、個人の貯蓄に関する問題と、それから企業の内部蓄積に関する問題と、こう二つになると思うのでありますが、そのいずれにつきましても、資金の蓄積をもつと将励して行くという点から税制上考えて頂きたい問題がなかなか少くないのでございます。先ず個人の貯蓄の問題でございますが、これにつきましては所得税を軽減するということがその一つの基本的な問題でございまして、ただ所得税を軽減いたしましても、それが全部貯蓄になるかどうかということには実は相当な問題があると存じます。所得税だけをとつて考えますれば、全部が貯蓄になることは困難であろうということは当然考えられるのでございますが、ただこれも全体の経済政策といたしましては、その結果購買力が殖え、経済の復興が早められるというふうなことになつて参りますれば、むしろ所得税を軽減することによつて、貯蓄は所得税を軽減した以上に殖えることが可能なんだという議論もできるわけでありましてその意味においても所得税の軽減は極めて好ましいと思うのでございますが、その外貯蓄ということと直接関連いたしておる問題といたしまして、銀行の預金の取扱いに関する問題がございます。これにつきましては、すでに銀行協会の方から要望が出ておりまするが、預金の利子に対する課税を源泉選択もできるようにして貰いたい。これは私共も妥当な意見であり、是非実現を計りたいと存じておる一つの点でございます。
 それから次に証券の讓渡所得税の問題でございますが、これにつきましては、昨年以来名義書換の強制問題というふうな形で非常に問題になつているのでありますが、どうもいろいろあれこれと考えて見ましても、結局証券の非常な短期間に行われます売買についてのその讓渡所得というものを完全に捉えて、これに課税するということ自体が非常に無理なんだと、こういうふうに結論せざるを得ないのであります。そこでこれにつきましては、多少論理上おかしいところがありましても、又公平上多少不公平になると思われる点がありましても、むしろ証券の短期売買に関する讓渡所得については無理に捕捉するという考え方を止めてしまうほうがよろしいのではなかろうかというふうに考えております。この点につきましても、もう少し委員会等で研究いたしました上で結論を出したいと思つておりまするが、大体まあ昨年以来私どもの方で研究して参りました結論といたしましては、そのように考えられるのであります。
 それから次に個人の問題で、もう一つ大きな問題は、相続税の問題でございます。相続税につきましていろいろな問題がございますが、なかんずく最も顯著な例といたしまして、山林に対する相続税の問題が現在非常に困る事態を生じつつあるということをいろいろな方面から訴えて参つておられまして、これは是非一つの問題として取上げなければならないと考えております。御承知のように日本には山林資源というものが必らずしも豊宮ではないのでありまして、朝鮮事変後、特に伐採がひどく行われでおりまするが、その後に植林をし、造林をするということを相当に努力して参りませんと、遠からずして日本の山の大部が禿山になつてしまうという危險が非常に大きいのであります、そこで個人の持ち山につきましても、或いは会社等法人の持つておる山につきましても、或いは又公共団体の持つておる山にいたしましても、植林、造林ということには特に力を入れる必要があると思うのでありますが、個人の持ち山につきまして、木を伐りましたあと、植林をして手を入れて、これを立派な林に育て上げて行こうということになりますと、少くとも五十年、六十年の歳月が必要なのであります。そういたしますと、その間に少くも一回以上は必ず相続税の問題が起つて来ることを考えなければならないわけであります。ところが現在の相続税によりますと、最高九〇%までは税に、取られてしまう可能性がある。そう上ますと、今非常に骨を折つて植林をし、造林をいたしましても、それが実を結ぶ前に九割は国家に奉納しなければならない形になる。これでは本当に植林をし、造林をする気持がどうしても起らないのでございます。実際問題としてそういう余裕がないということが非常に問題になつておるのであります。この点は是非山林のようなものについてだけでも考え直して頂きませんと、植林、造林ということも一つの蓄積なのでございますから、是非この点は訂正をする必要があるだろうと思つております。尚山林につきましては、会社等が持つておる山につきましても、五十年、六十年後に実を結ぶ植林、造林計画を本当に行うということは、会社の経理に非常な余裕がある場合にはできまするけれども、普通の場合にはなかなかそういうことは行われにくいのでありまして、いろいろの方法で植林の奨励策を講じなければならぬと思いますが、そういういろいろな政策の一つとしてやはり税制の面からもこれを考えて行くことがどうしても必要だ、こういうふうに考えられるのであります。その他いろいろな問題がございましようが、今考えている主な問題としましては、個人については大体以上のようでございます。
 次に、企業の内部蓄積をもう少し奨励するという問題についても相当問題がたくさんございまいす。これもいろいろ順序もございましようし、全部が一ぺんに実現する、させるということは困難かも知れませんが、第一は、固定資産の耐用年数の改訂を行い、まあこれも必ずしも短くして償却を多くするだけでいいとは限らない場合がありまするけれども、とにかく現在の耐用年数というものは相当戦時及び戦後に改訂をして来ておりますけれども、十分に実情に合うところまで直つておりませんので、これを是非改訂する必要があるという問題が一つございます。これは法律の問題ではなく、運用の問題でございまして、大蔵省も今折角努力中でございますから、近く実現すると思いますけれども、是非これは合理化する必要がある。それに関連して修繕費の問題等も当然起つて来るわけでございます。
 それから次に固定資産の再評価でございますが、先般行われました再評価はどうも十分でなかつた、足りなかつたということは、これはもう争うことのできない結論であると思うのであります。なぜそうなつたかということにつきましては、いろいろな事情がございますけれども、私どもは第一にはやはり再評価税というものが高過ぎたために、再評価を行うことの魅力が十分でなかつたために、多少無理をしてでも再評価をしようというようなことは全然なかつた、むしろ再評価が非常に控え目になつたと思うのであります。第二には、実施の時期が大体朝鮮事変前でございますから、計画を立てましたのは……。従いまして将来の收益の見通しが非常に不明確でありましたために若干控え目にしたところが非常に多い。それから第三には、大企業の方には十分認識が徹底しておつたのでありますが、中小企業の方面におきましては、あのむづかしい資産再評価法というものに対する理解がなかなか容易でなかつた。殊に再評価法が国会を通過したのが三月の末で、そうしてそれに基いて再評価の申告をする最終の締切期限が八月末であつた。大企業については若干特例がございますが、一般には八月末が最終締切りであつた。それまでの間にどういう再評価をするかという非常にむずかしいいろいろの計算をし、見込を立ててやらなければならない。この再評価をそれだけの期間で実行させるということには相当の無理があつたと思うのであります。今後は固定資産税との関係その他がございまして、どうしてもそれ以上に期限を延ばすことができない事情があつたことは十分了承されるのでありますけれども、このことは事実でございますから、そこでもう一度この再評価をやり直して頂きたい。もう一度やり直すといたしますれば、これの認識は相当時間が経つておりますから、相当徹底しでおります。若干の期間を置いてやれば必ずできると思います。それから朝鮮動乱以後よほど情勢も変つておりますから、その面からもう少し評価を殖やしたいというところが事実相当あるのであります。それから又再評価税につきましては、これは前の六%ではどうしてもうまく行きませんから、軽減する必要がありませんが、これを軽減して行けば必ず相当の再評価が出て来ると思うのであります。それからこの再評価ができますとそれに従つて減価償却が多くできるということもございますので、その外固定資産税の課税標準などを決める場合も再評価がちやんとできておりますと、非常に都合がいいのでありまして、殊に再評価では、再評価が足りないので、固定資産の課税標準の決め方に非常に苦労しておるという状況なのでございますから、これは二、三年後においてというゆつくりしたことを言つておらないで、来年の春か憂くらいまでにやつてしまつて貰いたいというふうに現在のところ私どもは考えておるのであります。
 それから次に商用年数の改正、或いは修繕費支出の取扱いの問題とも関連があるのでありますが、修繕費については年々平均的に修繕が起る業種によつてはそういう場合もありますが、業種によりましてはそうでなしに三年目とか四年目とかに周期的に相当大修理の行われる場合がございますので、これに対しては何らかの形における引当金のような制度を設けまして、そうして、修繕費の少い年には利益をその方に繰入れて、実際に修繕が起つたときにその中から支出する、こういうふうな制度を是非設けて貰いたいという御意向が産業界殆んど各方面一致した要望に現在なつております。こういうことも実現いたしますれば、或る程度企業の内部蓄積を殖やす一つの原因にもなりますから、そういうことも実現を図つて参りたいと思うのであります。
 それから従業員の退職積立金でございますが、これは現在の制度は会社が任意に行なつておるだけで、十分明確な積立金になつておらないのでありますが、こういうものも日本の実情といたしましては、どうしても必ず必要なものなのでありますからして、積立が十分に行われ、それの用途も十分に規制すると同時に、税法上もこういうものは課税上ない、その積立金に対しては一応課税を免除するというような、免除と申しますか、くずすときには結局同じことになりますので、延ばすだけのことでありますが、そういうふうな制度もやはり考えていいのではないか。
 それから又朝鮮動乱以後特に物価の変動が相当強うございまして、国際的な商品などは相当値上りのものもございますが、これも将来いつ下落するか分らないというような不安もまだ相当大きいのであります。会社の経営の上から見ましても、手持の商品の価格が一割か二割も下りますと、もう資本金が全部飛んでしまうというような関係になつておるところもございます。それでありまするから物価が上りましたときには、棚卸資産評価益という相当多額の評価益が出るわけでございますが、これをその期の利益として課税をするという現在の建前をやめまして、そうしてやはり何らかの形でこれも物価変動の調整の準備金といつたような形のものを作りまして、そういうもので調整して参る、物価が下落したときにはそれで損失をカバーすることができるような制度、どれも相当いろいろな方面から希望がございます。商品だけでなしに証券につきましてもこういう意味の準備金の必要を保險会社その他では非常に強く感ぜられております。こういうものも是非考えて行かなければならない一つの問題だと思います。
 それから貸倒準備金というものが今度できまして実施いたされておりますが、これにつきましても、実施の経験その他に鑑みまして改正を要する点がいろいろあるようであります。
 その他いろいろ問題がございますが、やや具体的に拾いますと、以上のような工合にいたしまして企業の利益の平準化を一面において図りますと同時に、そういうような意味合で内部保留をいたしましたときには、一応課税対象外に置くというふうな考え方をできるだけ広くとつて頂きたいと考えるのであります。
 更にその考え方をもう一歩進めますと、企業の上げた利益のうち、社外に分配するものと社内に保留するものとを分けまして在内に保留するものに対しては多少税を軽減するというような考え方も、一歩を進めて資本の蓄積の奨励という見地からいえば考えてもいい問題かも知れないと思います。これは御承知のように日本でも戦時中にはそういう制度をとつた過去の実例もあるのでありますが、そういうようなことも考えられる。又そこまで参りますると、現在積立金その他の留保所得に対しましては、二%の利子課税が課せられておりますが、こういうものも軽減するなり或いは廃止するなりというような方法が考えられて然るべきではなかろうか。要するに資本の蓄積ということは現在の日本では極めて重要な、すべての力をそこに集中するというと、少し大袈裟でございまするけれども、それくらいに考えてもいい問題ではないかと思われまするので、税法の上におきましても、この観点から相当思い切つた政策をとつて頂きたいというようなことが現在経済界としての一つの大きな要望点になつております。
 大体以上簡單で、そのために相当抽象的になつたところもございましたが、私の陳述を終りまして尚御質問等頂きますれば、お答えできるところはお答えいたしたいと存じます。
#4
○委員長(小串清一君) 内山公述人に対する御質疑はありませんか。
#5
○油井賢太郎君 内山さんにちよつとこういうことを研究なすつているかどうか、お聞きしたいのですが、さつきの貸倒準備金ですね、それを課税外とするというようなことと、それからまあ大蔵省あたりで実際その企業の経営体が殆んど機能がストツプした場合なかなか貸倒金を認めて呉れなくて、債権者の立場にあるその取引先が非常に困つているというようなことが多いのですが、これはあなた方の御研究ではどんな状態になつていますか。そういう例はありませんか。
#6
○公述人(内山徳治君) 貸倒として認めて呉れないために困つている……。
#7
○油井賢太郎君 要するにもう取れそうもない貸金が相当あるんですね。それにもかかわらず国税庁関係の大蔵当局は、正式の破産か何かにならないと、その損失金を認めないんです。そのために名目上は別にその取引先の破綻によつて企業体が欠損となつていなくても、実際上においては非常な欠損になつておる。だから反対からいえば欠損しているにもかかわらず税金を取られる。こういうことが多いんですね。それをあなた方のほうの研究ではどんな程度なんですか。
#8
○公述人(内山徳治君) 大体おつしやるような意味の難点が非常に従来ございまして、それでそういう意味で貸倒準備金を是非置いて貰いたいということを、これはシヤウプさんが昨年参りましたときに産業界からも相当要望いたしました。それから金融界のほうは、勿論これは重大な問題でございますから強く要望いたしました結果、現在の貸倒準備金制度が認められておつたのですが、勧告の貸倒準備金の制度は丁度只今お話の、これはもう大体取れないことの方がむしろ確実だという状態になつた債権に対する貸倒引当金というような意味、そういう意味のものにはまだなつておらないのであります。御承知と思いますが、そういうようなものになつておらないで、むしろ貸出の総額を一つは基準にし、それと利益の何%というふうなものを基準にして準備金が年々積立てられて行く制度になつておる。それは長期も短期も一緒くたにしてやつておるわけです。そこら辺にまだ相当問題がありはしないか、それから実際の経理の上から申しますと、今お話のように非常に不確実になつた債権というものを或る程度区別して、それに対する準備金を考えるというような考え方も非常に必要ではないかと思うのでありますが、いろいろこれについては、私今実は余り詳しいことは頭に持つておらないんですけれども、この間の租税研究協会の大会でも、これは千代田銀行の人が相当詳しい研究を報告されまして、いろいろ問題があるようでございます。
#9
○委員長(小串清一君) 別段ありませんか。……それではどうも……。
 では次に日本中小企業連盟常務理事の稻川宮雄さんにお願いします。
#10
○公述人(稻川宮雄君) 日本中小企業連盟の稻川でございます。今般の補正予算に伴う税制改正に関しまして、中小企業の立場から意見並びに希望を申述べたいと存じます。
 問題になつております今般の税法中、揮発油税及び砂糖消費税につきましては、その税率が引下げられまして価格がそれだけ低下するという点で、大いに賛意を表するという以外に特に申上げるべき意見を持つておりませんので、この点につきましてはそれだけに止めたいと存じます。
 そこで第一に、所得税の関係でございますが、そのうちで基礎控除が従来の年二万五千円から三万円に引上げるという案は結構でございまするが、中小企業の立場から考えますると、なをこれでは低きに過ぎるのではないかというように考えておるわけでございます。将来更に控除額を増額して頂きたいということが中小企業界の希望でございまするし、又私どもの連盟においてもそういう決議案を持つているわけでございます。戦前、昭和初期におきましての基礎控除は、たしか年千二百円であつたと記憶いたしておりますが、当時の対米為替は一ドルが二円でございまして、現在の一ドル三百六十円に換算いたしますると、当時の控除は二十一万六千円に相当している。又物価が当時に比較いたしまして仮に二百倍に上つているといたしますると、その当時の基礎控除は今日においては二十四万円に相当するということになります。勿論各般の事情によりまして、当時の基礎控除をそのまま物価に引直しして今日に当てはめることのできないことは勿論でございましようけれども、そういうような点から考えましても今日の基礎控除が非常に低きに過ぎる。そういうふうに考えますので、少くとも私どもといたしましては年六万円程度までは基礎控除を上げて頂きたいという希望を持つているわけでございます。
 次に、扶養控除の点でございますが、従来一万二千円でありましたものを年一万五千円に引上げる、こういう案でございまして、勿論扶養控除を多くして頂くのでありますから、趣旨につきましては賛成でございますが、やはり中小企業の立場から申しますると、これでは低きに過ぎるように考えまするので、これをできるだけ将来増額して頂きたい。大体年額にいたしまして二万円から二万五千円程度まで引上げて頂きたいということが私どもの要望に相成つております。
 次に税率の関係でございますが、税率が若干引下げられるという案であるごと、並びに最高が従来五十万円超でありましたものを百万円超にするということにつきまして、私ども従来これを主張して参りました点が容れられたのでありまするので、これも結構に存じますが、それにいたしましても、やはり前申しましたことを同様に、税率はなお全体として高きに失するというふうに考えておりますので、勿論財政とか予算の関係がございましようけれども、将来財政の許す限りこの下の方につきましては、今度の改正案の大体半額程度の税率にして頂きたいということが我々の要望でございます。
 それから第四点といたしまして、所得税の申告納税に関し、確定申告書の提出期限及び納付期限を一ケ月延長いたしまして、二月末日にするということも、これは誠に実情に副つた改正案であると存じております。
 以上今回の所得税に関する改正案についての意見でございますが、なおこの機会にこれに関連しまして、所得税一般について中小企業側からの希望を申述べることをお許し願いたいと存じます。その第一は、先般発表に相成りました第三次シヤウプ勧告によりますると、農民及び漁民が純所得の一割の勤労控除を與えられるべきことを勧告する、とこう言つておる点でございます。若し将来この勧告が実現されるということでありまするならば、同様の特点が中小企業にも與えられて然るべきではないかというふうに考える次第であります。元来今まで勤労控除が給與所得だけについて存在しておつたということに対しまして、中小企業方面においては甚だ不可解に感じておるのでございます。中小企業、殊にこの零細な企業につきましては、殆んどその所得というものが勤労から生じておるということは言うまでもないことであります。例えば大工や左官のような土建関係であるとか、或いは修理業といつたようなもの、或いは中には殆んど資本らしい資本を持たないでてんぴん棒一本を資本にいたしまして、朝早くから夜遅くまで勤労によつて所得を得ておるというものが相当にあるわけでございますが、それが中小企業であり、商工業であるが故に特に勤労控除の特典がない。然るに自家用車に乗廻しておるような高給所得者でありましても、それが給與所得者である場合には勤労控除が受けられるというようなことは甚だ矛盾であると考えておる次第でございます。何故に今回このシヤウプ勧告におきまして、農漁民が勤労控除を受けるような勧告案であるにかかわらず中小企業にそういうことが特に謳われていないかということについて推測いたしまするのに、中小企業におきましては、給與所得者のような源泉徴收ということが行われない、いわゆる申告納税の成績がよろしくない、或いは又滞納が相当に多いということが原因ではないかと思うのでございます。又遺憾ながらこれは或る程度事実であるということを私どもも認めざるを得ないのでございます。併しながら何故に申告成績が悪いか、又なぜ滞納が多いかということは、二面から考えますれば、中小企業の税負担が非常に過重であるという結果であるということも言い得るのでございます。それ故にこそ中小企業に対しましては特にそういつた控除を認められたいというふうに考えるのであります。中小企業は地方税の関係におきましても、他の産業に比較いたしまして、非常に不利益な課税を受けておることは御承知の通りでございまして、例えば事業税、或いは将来の附加価値税というものをとつてみましても、農林、畜産業につきましてはこれが除外されておる。都道府県の地方税というものは殆んど商工業者の課税からその收入がなつておるということが現状でございまするが、同じ産業でありましても、特に商工業だけが事業税を負担しなければならないということについて、我々は非常に理解に苦しむのでございまするが、今回のシヤウプ勧告が若しそのまま実現するといたしました場合に、国税の面におきまして更に中小企業だけが不公平な取扱いを受けるという結果に相成るのでございます。中小企業が我が国の産業の上におきましてどういう地位を占めておるかということは、ここで私から贅言を申上げるまでもないことだと存じます。生産の増強の上におきましても、或いは輸出貿易の伸張の上におきましても、或いは民生安定におきましても非常に重要な地位を占めておりまして、我が国産業の根幹をなすと言つても決して過言でないというように考えるのでございます。幸いに最近におきましてはこの中小企業に対する認識が各方面において深まつて参りまして、いろいろその振興とか発展の方策が論ぜられておるのでございまするが、併しながら口でいろいろ中小企業に対しまして有難いことを言つて頂きましても、現実の面におきましては、金融の面でも、或いは課税の面におきましても、中小企業は非常に不公平なる取扱を受けておると言わざるを得ないのであります。我々は中小企業だけが特に優遇されたいという考えを持つておりませんけれども、中小企業の振興を説くならば、少くとも平等の立場、公平な取扱をお願いいたしたいということを特にお願い申上げる次第でございます。
 それから次に所得税の関係につきまして、只今もそれに関連するお話がございましたが、税の徴收が権利の発生主義になつておりまして、未だその回收などのつかないものに対しましても権利があればこれに課税される。然るに実際には殆んど回收不可能というような場合が相当にある。そのために中小企業は非常な損失を蒙るにかかわらず、それに対してもなを課税が行われるということがございますので、これはできるならば権利発生主義から現金主義に切替えて頂きたい。最近月賦販売なども相当に行われるようになつて来ましたけれども、こういう場合につきましても問題が起つて来るのではないかとこういうふうに考えております。
 更に所得税関係につきましてもう一点申上げたいことは、春色申告に関する問題でございます。青色申告の制度を普及いたしまするためには、先般のシヤウプ勧告にもありましたように、どうしても帳簿組織を簡易なものにして頂くということが必要ではないかと思うのであります。伝票その他原始記録、或いは簡單な計表式な帳簿というようなものを認めて頂くことがこの青色申告制度を普及する上において必要ではないかと考えるのでございます。青色申告は個人におきまして七%、法人におきまして四七%しか行なつていない。而もその個人の七%は青色申告をするという意思を発表しただけでありまして、果してそのうちでどれだけのものが該当するか。相当脱落するものもあろうと思いまするので、実際の面におきましては非常に不成績であるといわざるを得ないのでありまするが、これは帳簿組織が複雑である。中小企業にとりましては非常に負担が重いということから来る結果が多いと思いまするので、できるだけ簡易な帳簿を以て当て得るようにお願いをいたしたいのであります。
 更に青色申告を普及する上におきまして、国税庁とか、国税局等は別でありまするが、末端の税務署、末端と申しますると語弊があるかも知れませんが、いわゆる第一線の税務当局が中には非常に無理解なところがありまして、青色申告制度を採用しようと思うがどうであろうかというような相談をいたしましても、非常に否定的な態度を以て臨まれるためにそれを行わないというような点もございますので、第一線の税務担当方面にこれを普及するような措置をお願いいたしたいのであります。
 更にもう一点、青色申告の普及につきましてお願いいたしたいことは、青色申告をいたしました場合には消極的な特典は二、三與えられておりまするけれども、積極的な特典というものがない。例えばその帳簿を見た上でなければ更正決定ができないというようなことがございますけれども、積極的な特典がございませんので、青色申告によつてまじめに納税をするというようなものに対しましては、例えば天引課税をするというような思い切つた奨励の方策を講じて頂きたいのであります。これは極めて突飛な意見のようでございますけれども、併しながらまじめに皆が青色申告によつて納税をするということになつて参りますならば、仮に若干の税の軽減を認めましても全体の税收入といたしましては決して減るものではないというふうに考えまするし、又そういうふうになつて参りまするならば、税務当局の経費も非常に節減されるのではないかというふうに考えまするので、この際積極的な特典を認めて青色申告を普及するということが中小企業の課税を適正にし、又納税を容易ならしめる上におきまして極めて必要であろうというふうに考えるのでございます。
 なを中小企業の課税の問題につきましては、税制そのものを変えて頂くということも極めて必要な問題であること、これは勿論でございまするが、單に税制のみが改正されただけでは中小企業に対する公正なる課税というものが必ずしも行われないということを特に申上げたいのであります。それは末端の税務当局の主観と申しますか、手心、或いはその査定というものによりまして、どういうふうにでも左右される余地が残つておりまするために、仮に税制が改革せられましても、中小企業に対して末端の税務当局が理解がないという場合には、結局税率が減りましても課税は減らないというような現実の面が現われて参りますので、税制の改革と同時に税務行政の面におきましても、例えば税務官吏の素質の向上とか、或いは中小企業に対する理解というような面につきましての改善をお願いいたしたいのであります。例えば最近零細な中小企業者は企業組合というものを結成いたしまして、これによつて経営の合理化を図ろうといたしておりまするが、税務当局におきまして、企業組合というものはあたかも脱税組合であるかのことく極めて冷い目を以て見られますために、自分の営業を廃止いたしまして企業組合で合同してやろうというようなものに対しましても、その意欲を非常に減殺するというような問題があるのであります。この点につきましては幸い最近におきまして、国税庁方面から企業組合に対する課税方針が通達されましたけれども、併しながらその通達を見ましても、逆にその嚴格な点を取つて参りますと、企業組合のために非常に不利益な結果になるような点もありまして、如何に制度を作つて頂きましても、行政を担当する方面に理解がありませんと、逆の結果を来すというようなこともございまするので、税制の改革と共に税務行政の面におきましても、特に零細な中小企業、又それが持つておりまする使命に鑑みまして、温かい気持を以て指導に当られんことを希望する次第であります。
 それから次は物品税の関係でございまするが、今般この物品税は御提案になりますのかどうか、つまびらかにいたしませんが、大体物品税は従来から業界におきましては、いわゆる悪税といいまして非常にその全廃を希望いたして参つたのであります。間接税でありまして大衆課税になるというようなことであるとか、或いは転嫁し得る性質のものでありますけれども、結局中小企業がそれを負つて行かなければならないとか、或いは派生的な問題といたしまして、正直者が馬鹿をみるというような結果を生ずるというような点におきまして、その全廃を希望して来たのであります。併しながら直ちにそれが全廃できないといたしましても、当分それが全廃が不可能でありまするならば、これを漸次軽減し、将来は撤廃に導かれるようにお願いをしたいのでございます。先ず税率の引下げ、最高少くとも三割程度の税率にして頂きたいということでございます。それから物品税が止むを得ず行われる場合におきましても、取締の徹底ということがございませんと、正直者が馬鹿をみる。相当税率が高いために、まじめに税を拂う者と税を免れる者との間に非常なる差違を生じまするので、まじめな者がやり切れないという結果を招来して参りまするから、行う以上は取締を嚴重にしなければならないと考えるのであります。それから奢侈品とか、贅沢品につきましては税率が重いのでありまするが、その奢侈品とか贅沢品というものの観念が戦時中の観念がなを残つておるものがあるように考えられるのであります。これは漸次修正されて参つてはおりますけれども、なをそういつた観念がございまして例えば化粧品のごときにつきましても、戦時中ならばそういうものを用いるのはいわゆる不急不用であろうと思いますけれども、今日の場合化粧品を使わないということは考えることができないような段階になつておりますので、そういう点につきましても整理を行う必要があるのではないかというようなことを考えております。
 それから物品税の納期の問題でありますが、最初は庫出後一カ月日に納めたのでありますが、改正になりまして一カ月目に納めると、こういうことになつたのであります。併しながら庫出をいたしまして代金が回收されるまでには少くとも三カ月の期間を要しまするので、物品税の納期は庫出後三カ月ということに改正をお願いいたしたいのであります。又その納税につきまして、従来の酒税にありましたように、或いは今度の改正における揮発独税、砂糖消費税にありますように、国債が非常に拂底いたしておりまするので、その供託によつて延納する場合には地方債とか社債等に拡張して頂くという措置を是非ともお願いいたしたいのでございます。
 酒税につきましては、今度の改正案は誠に結構であるというふうに考えておりまするが、併しながら更に税率を下げて頂きましても、全体の税收入というものは決して減らないという考え方を持つておりまするので、更にこの税率を減らして頂くことがいわゆる密造をなくする上において適当ではないかというふうに考えておる次第でございます。酒税につきましてはその程度に止めます。
 以上今回の改正案につきましての極めて大まかな考えでございますが、申上げる次第でございます。
#11
○委員長(小串清一君) 御質問ございませんか。
#12
○松永義雄君 ちよつと外のことですけれども、合理化資金というものの融通が行われておるようですが、その成績はどうですか。
#13
○公述人(稻川宮雄君) 見返資金によるものでございますね。見返貸金によりまして中小企業に対して従来月平均一億、今度三億まで増額され、更に又最近多くなるようでございますが、この設備の補修、改良に対する資金として市中銀行との協調融資で出ておりますが、これは非常に結構だと思うのですが、なお金額が私ども少いと思つておりますのと、あれが法人を原則にしておりまして、個人に及んでいないというような点でなお改正して頂きたいと思う点があるのでございます。
#14
○清澤俊英君 今税率を真中から徹底的に下げて貰いたいという話がありましたね。真中というのはどの程度を指しておるのですか。
#15
○公述人(稻川宮雄君) 極めて漠然としたことを申上げて恐縮でございますが、百万円超五五%というようなところはこの程度でいいと思いますが、十万円以下、或いは三十万円以下の程度の辺は全部値下して、最低百分の五くらいまでは下げて頂きたいくらいに思つております。
#16
○委員長(小串清一君) それではこの程度で一つ……、御苦労様でした。
 次に日本労働組合総同盟出版部長の高戸義太郎君に公述を願います。
#17
○公述人(高戸義太郎君) 私総同盟から来ました高戸であります。こちらの事務当局の方からは、高野総主事に是非出席されたいということでございましたが、丁度年度大会を明日に控えまして多忙でございますので、私が代つて参りましたような次第でございます。
 そこで高野総主事にこちらに何かお伝えすることがあるかと申しましたところ、別に何もないということでございましたので、そこで私組織の中におる者でございますからして、組織の機関で決定したことをお話するのが妥当だと思うのでございますが、これについては三月頃に総同盟の中央委員会で税制改革について一定の方針を決定しております。ところがこれはこの前の春のこの委員会で清水調査部長が参りましてすでに申上げておりますからして、重複して申上げる必要はないと思うのでございます。
 今年の地方税については大変やかましく論議されまして、総同盟としても全国各地で以て始終軽減運動を行いまして、相当の効果を挙げております。国税については機関として正式にこれを取上げておりませんで、三月の改正以外には今のところないわけでございます。それでその後三月以降の推移がありましたものですから、その変更について多少申上げてみたいと思います。
 先ず第一に、所得税の基礎控除について申上げます。昨日の読売新聞を御覧になつた方は御存じかと思いまするが、一面に最低賃金制の方向というのが載つております。その中に最低賃金に関して労働省或いは総同盟、炭鉱の場合のそれぞれの考え方が載つております。総同盟としての最低賃金の考え方は実態生計費によりまして、理論生計費でなくて東京都の飲食物費によつて国民の一般的平均的生活水準を労働者に保障するという建前でやつております。これによつて東京都で計算しますと、十八歳乃至二十三歳の單身者の生計費は飲食物費が二千六百六十円、被服費が七百六十九円、光熱費が二百七十一円、住居費が三百四十五円、雑費が千百十六円で、合計五千百六十一円となります。これに現行の所得税六百三円、健康保險の掛金の百六十五円、厚生年金保險の掛金の九十円、失業保險の掛金の五十九円、このような控除金の合計が九百十七円であります。これを生計費五千百六十円に比べますと、六千七十八円という数字が出て参ります。これは東京都のものでございますから、全国的なものに直すのには昭和二十四年五月度の特別CPSを使つて直したわけであります。それで各府県の最低指数の町の平均は、八二・二%でございますから、その生計費は四千二百三十二円となります。これに控除金を加えて最低賃金が四千九百八円としたのでございます。最低賃金の基礎についての考え方もいろいろありまして、なかなかその程度を決めることは困難かと思いますが、一応この最低賃金案によりますと、最低賃金の生計費は四千円程度と見ますので、この線まで免税する、つまり基礎控除をここまで引上げるめどにしたいと思います。
 次に、四千円程度に基礎控除の引上げ方を従来の政府のやり方をみておりますと、大体公定物価を引上げてそれをカバーすることを名目にして引上げて来たように見受けられます。これは千八百円ベースであります。二千九百円ベースのとき、三千七百円ベースのときにもそうだつたと思います。従つて建前としては物価を追いかけておりますから、生活を楽にするよりも苦しくなるのを防ぐというような消極的なものだと考えております。今度も政府の説明を新聞で見ますと、月給一万二千五百円の妻と子供の二人の場合は、税は二百七十円減り、家計費は二・三八%プラスになり、お米の値上りが一・四六%響いても一%程度生計費は楽になるとあります。併しこれはお米だけのものであつて、その他のものの値上りには触れておりません。併し他方酒税とか物品税の軽減、或いはピースとか、ひかりが値下りになるということを伺つておりますからして、来年度これらのプラス、マイナスが生計費にどのように響いて来るかという計算は細かくまだできておりません。ただ六月の朝鮮の動乱以後の物価の動きを見ますと、先程申上げました東京都の最低生活費の各項目別に、六月以降八月までの期間について日銀の小売物価の上昇率を掛け、住居費が二・五倍の値上りとして計算いたしますと、約二千円ほど増加し、パーセンテージにして四〇%程度になつております。それでこれを大体の基礎にいたしまして東京地方の総同盟傘下の労働組合におつては賃金値上を要求いたしております。それは大体八千円ベースのところで三割乃至二割というものでございまして、大体二割程度を獲得いたしております。これは経営者側もこの程度のものを認めておるということの客観的な証明になるのではないかとこう考えております。少く見積つても一割五分程度の物価上昇として、これに伴つて賃金が上昇するのに対して勤労控除が従来通りといたしますとすれば、どうしても税負担が担税能力と比べて過重となりますから、従つて生計指数の上昇に応じて基礎控除をスライドする必要があると思います。労働者の生活の様子を聞いて見ましても、高いのは一万七、八千円ベースのところもあります。少いところでは七千円べースのところもありまして、まちまちでありまして、どこをとつたらいいかということは見当が付きませんので、全国的に見れば、やはりCPSで行くことになります。それと労働省発表の毎月の勤労統計と比較しまして、実質賃金の動きを見ると、生活は確かに楽になつて来ております。例えば主食に従来「じやがいも」や「さつまいも」を取つておつたのがメリケン粉を食べるようになつたとか、或いは、うどんに何んにも入れなかつたのに小間切れを入れて食べるようになつたという程度に多少はよくなつております。特に今年の七月は、これはボーナスの月でございますからも実質賃金指数が一番ピークになつております。其の後多少下りまして大体一、二月頃の程度のところにとどまつておるようでございます。併しこのようになつたと申しましても、労働者の生活はまだ戦前に比べて七〇%のところにしか回復しておりませんからして、この程度の回復では十分だとは申せません。それから最近は労働生産性がずつと伸びて来ておりますからして、それに対して生活が逆に下るというようなことでございましては矛盾が生じますし、労働者の労に報いるということにならないと思います。従つて基礎控除の引上げが生活費の増加を軽減するという消極的な建前であるといたしましても、働く者の生活を守るという意味からいえば、今後の物価の動向をより正確に把握して、その上に立つて労働者の生計費負担増加をカバーする程度に基礎控除を引上げるべきである。従つて基礎控除を生計費にスライドさせて引上げて来れば、今日のような労働者側の負担過重というようなことはなかつたと考えます。そうして総同盟の案による最低生活費四千円としてこれを免税する。改正案によると四千円月收で單身者は百八十三円の負担となります。今度が三〇%の軽減でありますから、あと七〇%軽減すれば四千円が免税となります。改正案によると、三万円で月に二千五百円、これで勤労控除を入れますと、二千九百四十円程度がまあ免税になりまするから、もう千円ほど増して頂きたい。
 次に扶養控除ですが、これを基礎控除の半分にしたのは、生計費から見て妥当だと思います。これは我々の主張が通つたのではないかと思います。そして扶養控除も基礎控除の半額、二千円程度にしたいと思います。
 次に勤労控除ですが、今度の改正ではこれについては触れておらないようでございます。勤労所得というものの性格を考慮し、現行の一五%をもとの二五%に引上げるようにして頂きたいと思います。で労働組合でも組合費の集りが悪いので組合費を高くしてはどうか。それからそういう意見に対して納入の歩合が悪いのだから、完全徴收の方が先だ。そうすると納入成績のいいほうはそれでは損をするというのでございます。従つてこの要綱にありますように、昭和二十五年度の租税及び印紙收入補正予算について見ましても、所得税のうち源泉の分は当初予算額が九百八十三億で、現行法による場合の收入見込額千二百三十九億で五十六億円減税しても、尚千百八十三億円となり、見込より二百億の増加であり、その大部分が勤労所得税であると思われます。然るに申告の分は千五百三億の見込が千百七十一億に減つております。このように源泉課税の方はきちんと取られる上に増加しており、他方申告の方は申告漏れがあるとされ、国民所得推計についても、ヒユーバー博士が個人業主所得の見積りが少いとされていることなども考え合せましまして、もつと正確に把握する必要があり、その上で勤労者と中小業者の負担の均衡を計るべきものであり、それらを考えても勤労控除を更に一〇%程度引上げる必要があると思います。
 それから税率につきましては、二〇%に引上げる前には一八%であつたと思います。それで戦前千二百円までは免税であつたことを考えれば、この最低の線をもつと下げてもよいのではないかと思います。それからこれと関連しまして、戦前の千二百円は、物価が二百五十倍とすれば、三十万円となりますからして、年收三十万円までは勤労控除をすべきであると思います。つまり最高三万七千五百円までに引上げてはどうかと思います。
 それから酒と砂糖は双方甘党と辛党と両方に恨まれないように軽減したことはよいと思いますが、ここで希望したいことは、従来の労務者用物資というものは統制が外れて来て、余り効果が少くなつて来たようではありまするが、勤労者用のサービスを特に考慮して頂きたいと思います。
 それから物品税については、奢侈品には高く、日用品等の必需品については軽く、或いはなくする方針をとるべきだと思います。
 それから国税と地方税との双方を睨み合せて考えて、一方で軽くし、一方で高くするというようなことのないようにして頂きたい。
 それから労働組合、協同組合、それから最近始まりました労働銀行というようなところには免税し、或いは軽減するというような特別の措置を講じて頂きたい。税制は取る方楯の半面でありますが、一方使うといいますか、出す方の分とマツチしないといけないと思います。労働組合でも組合費が少いからサービスができない。いやサービスしないから会費を出さないというようなことが言われますが、サービスすればやはり組合費も多くなると思います。これも当然国家のことにも当てはまるわけでありますが、最近は資本蓄積、資本蓄積ということが大分いわれ、これが神聖不可侵のようなことになつておりますが、併しこれを俗な言葉でいえば、金を蓄めるとか残すとかいうことでございます。そうして最近の景気で思わぬ儲けをしたり、投機的な利益を上げたりする向きには、悪銭身に付かずと申しますからして、これは超過利得税のようなものを設けて、社会保障制度の実施とか、或いは減税に充てたらどうかと思います。そうしてドツジ・ライン以後、実際に国の財政とか会社の会計は黒字になつて来ておりますが、働くものの家計は依然として赤字があります。まして賃金把握とか、失業者の生活は悲惨なものです。これは社会不安の根因でありますからして、この不安の根因をなくなすため、社会保障制度の実施表十分にいたして頂きたいと思います。で福祉国家の実現こそ民主国家、平和国家の建設だと思います。従つて命を取るほうにも、出すほうにもそのような精神というか、魂を入れて、つまり財政を国民所得の再分配の挺子にするように望みます。
 それから最後に勤労所得税の場合は天引ですが、地方税の場合には天引でないので、労働組合では税金引当の預金をしたり、納税組合を作つたり、組合で組合員の分を一括して手数料を貰うというようなことをいたしまして、納税に協力して貰う。従つて各人の分は天引だからというようなことでまあイージー・ゴーイングなことをせずに、地方自治体で税金のゆくえとか、いろいろなパンフレツトを出して親切に説明しておりますから、政府でもこのように金の出入りについてもつと親切に国民に納得の行くような説明をすることが必要であると思います。
#18
○委員長(小串清一君) 何かお尋ねになることがございますか……。それではこれで……有難うございました。
 次に東京新聞論説委員の福良俊之さん。
#19
○公述人(福良俊之君) 私は簡單に意見を申上げます。
 現在税金が重いということは国民一般の声であります。そうして我々の生活実感といたしましても、税金が非常に重いという感じを持つております。従つてこの際に一銭でも一厘でも減税されるということは誠に結構なことでありまして、その意味で私は今回の減税案に対しては賛成をいたしますが、国税が軽減されましても先程もお話のありましたように、地方税の部面で相当の増徴が行われるのでありまして、国民個々の懐ろから申しますと、減税の恩恵を受ける人もある半面に、逆に税負担全体としては重くなる人も相当に出ておるように思われるのであります。従つて今度の所得税の軽減につきましても、それと同じように地方税との関連を十分に検討して頂きたいと思うのであります。と申しますのは現在行われております地方住民税は、大体二十五年度におきましては、前年度の所得税額の一八%という税率が適用されておりますけれども、先程のシヤウプ勧告によりますと、地方税法に規定されておるように課税総所得、或いは総所得額を住民税の基本にするようにということが勧告されておるようでありますが、若し今の勧告の通りに総所得額を基準にいたしまして住民税が課税されるということになりますと、今回の税法改正によりまして所得税において基礎控除が引上げられ、扶養控除が増額されましても、これらの人々は地方税の住民税においては何ら恩恵を受けないという結果が出ないとも限らないのであります。従つて所得税において軽減する場合に、この軽減が地方税にも及ぶように十分の御配慮を願いたいと思うのであります。
 次に酒税でありますが、酒税の軽減はこれは結構なことだと思います。税金が高いために密造酒が町に流れ込む。或いは税金を逃れるための各種の脱法行為が行われる。そのために国民の保健衛生の上にも害毒を流しておる事実があることはもう明らかに皆さんが御承知のことなのであります。従いまして、この際酒税について今まで一般の物価に比較しましても相当に高い価格になつておる酒の価格を酒税の軽減によて引下げることができますならば、誠に結構なことだと思います。お酒のことにつきまして私は素人なのでありますけれども、この際一つ酒税の確保という意味から考えていいのではないかという知慧を授かりましたので、それを御披露いたしますが、現在の一級酒、二級酒の区別というものは大体任意格付によつて行われておるということであります。併し一級酒になれば税金が高いのであります。二級酒になれば一級酒に比較して税金が安い。そのことと一般の購買力とを睨み合せて、実際にはいい酒を一級酒に格付をしないで二級酒として売られておる例が非常に多いとこう聞いておるのであります。勿論いいお酒が安く一般消費者に渡るということは結構なことでありますけれども、酒税を確保するという建前から申しますならば、当然一級酒であるものが二級酒ということで売られるということは、国の税收を確保する面からいつたならば、必ずしも好ましいことではないと思うのであります。そこで酒の格付について或る程度の考え方を変えて行かれたならば、一方で酒税を確保すると同時に、更に現在でも高い酒税を更に軽減することができるのではないかと思うのであります。それは單なる参考意見であります。
 最後に物品税の軽減でありますが、先程も御指摘になりましたように、現在物品税が相当高率のものがある。従つてこの率をできるだけ下げる。そうして一般消費者が安い価格で取得できるということになるならば誠に結構なことであると思います。併しこの際に私どもが考えてみたいのは、この物品税の軽減、或いは改廃というものがどういう見地から考えられたかということであります。先般も物品税の一部改正が行なわれましたが、その際の考え方は少くとも物品税を改廃することによつて消費者の負担する価格を軽減する、そうして購買力の不振から売行の減少を見ておる産業に対して或る程度の刺戟を與えるということが物品税軽減の一つの考え方の根拠になつておつたように思うのであります。併しその当時から見ますると、最近の経済事情というものは可なり変化を来たしておるように思うのであります。物品税を軽減すること自体は誠に結構なのでありますけれども、軽減された物品税がその分だけ消費者が安く物品を入手することができるのでなく、むしろ価格の部面においては物品税の軽減されただけが生産者の利潤を増加するという方向に向わないとも限らないのでありまして、それらの点を十分に考慮することが必要だと思うのであります。
 簡單でありますけれども私の考えておることを申述べました次第であります。
#20
○委員長(小串清一君) 御質問はありませんか。……それでは御苦労さんでありました。公聽会は本日この程度で終りたいと存じます。
   午後三時七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長     小串 清一君
   理事
           大矢半次郎君
           木内 四郎君
   委員
           愛知 揆一君
           岡崎 真一君
           九鬼紋十郎君
           黒田 英雄君
           清澤 俊英君
           松永 義雄君
           小林 政夫君
           小宮山常吉君
           高橋龍太郎君
           油井賢太郎君
  公述人
   経済団体連合会
   理事      内山 徳治君
   日本中小企業連
   盟常務理事   稻川 宮雄君
   日本労働組合総 
   同盟出版部長  高戸義太郎君
   東京新聞論説委
   員       福良 俊之君
ソース: 国立国会図書館
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