くにさくロゴ
2000/02/24 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第5号
姉妹サイト
 
2000/02/24 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第5号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第5号
平成十二年二月二十四日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十二日
    辞任         補欠選任   
     中島 啓雄君     尾辻 秀久君
 二月二十三日
    辞任         補欠選任   
     尾辻 秀久君     亀井 郁夫君
     野間  赳君     山崎 正昭君
 二月二十四日
    辞任         補欠選任   
     亀井 郁夫君     脇  雅史君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                亀井 郁夫君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                脇  雅史君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     長谷川真一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○理事補欠選任の件
〇政府参考人の出席要求に関する件
〇国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四
 十五回国会内閣提出、第百四十六回国会衆議院
 送付)(継続案件)
〇年金資金運用基金法案(第百四十五回国会内閣
 提出、第百四十六回国会衆議院送付)(継続案
 件)
〇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十二日、中島啓雄君が委員を辞任され、その補欠として尾辻秀久君が選任されました。
 また、昨二十三日、野間赳君及び尾辻秀久君が委員を辞任され、その補欠として山崎正昭君及び亀井郁夫君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 次に、理事の補欠選任についてお諮りいたします。
 委員の異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。
 理事の選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。
 それでは、理事に山崎正昭君を指名いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に文部省初等中等教育局長御手洗康君、厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省年金局長矢野朝水君、社会保険庁運営部長小島比登志君及び労働省職業安定局高齢・障害者対策部長長谷川真一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(狩野安君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○久野恒一君 自由民主党の久野恒一でございます。
 時間がないもので、早速質疑に移らせていただきます。私の持ち時間が二十五分ということでございますので、お答えの方もなるべく簡潔によろしくお願いいたしたいと思います。
 景気の回復は幾らか明るさを増してきたという御意見でございますけれども、失業率はまだ悪化の傾向でございます。まだまだ予断を許さない状況ではないかと私は思っております。企業の倒産もまだ多く、その生き残り策として企業はリストラにより人件費の抑制を図るという傾向は依然として続いていると思います。結局、国民は将来の不安から貯蓄に走り、消費控えは改善されず、その結果、商品が売れ残り、そのために何とか企業は生き残ろうとして安売りをしたりリストラをする、そういう悪循環が続いているのが現状ではないかというふうに思っております。
 このような悪循環とともに、社会保障制度の全体像が国民の前に必ずしも明確に示されていないと私は思います。国民貯蓄が千二百兆円もあるといっても、諸外国に比べて遜色のない豊かさを享受している国民のはずなんですけれども、将来の不安をぬぐい切れず貯蓄に走るということは、その原因の一つとして社会保障制度が明確に国民に示されていない、そういうふうに思うわけでございます。
 まさに、このような環境の中で今回の年金改革法案が提出されたわけでございます。老後の安定というものは、年金が最も重要な柱でございます。この年金法の改正案をどのような理念で御提案なさったのか、まず厚生大臣にお伺いいたします。
#9
○国務大臣(丹羽雄哉君) お許しをいただきまして、座らせていただきます。
 今、国民の間には老後に対する漠然とした不安があるわけでございます。中でも最大の関心は、私は前回の一般質疑の中でも再三にわたりまして申し上げましたけれども年金ではないか、こういうような認識に立っております。特に若年世代におきましては、自分たちが将来年金をもらえるのかどうか、こういうような不安を持つ方々も少なくないのも現実でございます。国民の老後を支える年金制度につきましては、将来にわたって安心して信頼できるようにまずしていかなければならない。このために、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するという考え方に立って今回の改正案を提出した次第でございます。
 具体的には、高齢化のピーク時においても保険料を二割程度と無理のない負担に抑えるということ。それから、厚生年金の給付水準の見直しでございますが、将来の少子高齢化の進展や経済の低成長ということも十分に見通しながら、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、現役世代の手取り年収のおおむね六割程度の給付水準を確保することができる、このように考えているような次第であります。
 いずれにいたしましても、今回の改正を行うことによって年金に対する国民の信頼を揺るぎないものにしていかなければならない、こう確信をいたしておるような次第でございます。
#10
○久野恒一君 ただいまの大臣の御説明によりまして、私は若年層の方を少し突っ込もうと思ったんですけれども、先にお答えになられて、六割程度が支給されると、そういうお約束をいただいたわけでございます。当然であろうと思います。したがって、第二問目を省略させていただいて、三問目に入らせていただきたいと思います。
 今回の年金法改正は、私自身は賛成でございます。と申しますのは、何事も一気にドラスチックに変えるというのではなくて、徐々に変えて、手順を踏んで国民に納得されるような改革の仕方をしていくのが筋道ではなかろうかなというふうに思うわけでございます。したがいまして、今まで年金を掛けていた、これからは例えば税でやりますよと言って無料にする、年金を掛けないで済む、そういうようなものではなかろう、だんだんに変えていくものであろう。そういう意味で、やっぱり段階を踏んで改革をしていく、そういうふうな気持ちで賛成の立場をとらさせていただくわけでございます。
 そこで、国民年金基金の、国民年金の方です、基礎年金ですね、第一号被保険者は、総数でもって千九百三十二万人のうち未加入者が平成十年で九十九万三千人、五・一四%が加入していない現状でございます。実に憂うべき事態だと思うわけでございます。
 特に学生を初めとする若人たちが、今、大臣の説明にもございましたように国民年金に入らない、そういうような現状でございますが、この第一号被保険者、学生以外に、若年層以外に入らない、そういう現状をどのような理由ととらえておられるのか、若年層ばかりじゃなくて中高年層の第一号被保険者がどういう意向なのか、その辺のところをちょっと知りたいと思いますので御質問申し上げます。年金局長で結構でございます。
#11
○政府参考人(小島比登志君) 国民年金の一号被保険者の未加入の理由でございますが、平成十年十月に公的年金加入状況等調査というのを行いました。そこで未加入の理由についてアンケート調査をしているわけでございます。
 まず、理由といたしまして、届け出の必要性や仕組みを知らなかった、あるいは忘れていたという方々が約四〇%、それから加入したくないという方が六割ぐらいあったわけでございます。その理由は大きいのが二つございまして、一つは保険料が高くて家計的に苦しいという理由、それから年金制度の将来の不安という、この二つが最も大きい理由というふうな結果が出ております。
#12
○久野恒一君 ただいま家計が苦しいとか、あるいは将来が不透明だとかということでございますけれども、そういうものを徹底して年金を納めていただくにはどういうような方法でもってお伝えになっているのか。現状で五%強が年金を納めていないわけですから、そういう人たちこそ本当に年金が必要だと私は思うんですけれども、そういう点を、どういうような方法があるのか、ちょっとお教え願いたいと思います。
#13
○政府参考人(小島比登志君) まず、未加入者対策といたしましては、平成七年度より、二十に到達した者のうち国民年金の加入届が未届けである方に対しまして、行政サイドの方から年金手帳を送付して加入を促しております。それから、国民健康保険に加入しながら国民年金には加入していないという方々に対しても鋭意勧奨をするというふうな事業を平成七年度から全市町村において実施しているところでございます。
 その結果、同じく平成十年十月に行われました公的年金加入状況等調査によりますと、未加入者の方は、平成七年の調査時点では百五十八万人でございましたが、平成十年の調査では九十九万三千人ということで、五十八万七千人の減少ということになってございます。
 国民年金におきましては、まず加入していただくわけですが、やはり保険料を実際に納めていただくことが非常に重要でございまして、いわゆる未納対策につきましては、国民年金についての正しい知識と理解のための普及啓発活動あるいは口座振替の促進等の納付しやすい環境づくり等々、未納対策に努めているという状況でございます。
#14
○久野恒一君 冒頭に大臣から六割程度をということでございましたけれども、実際には質問の四でございますけれども、二十数歳の人が、学生さんが四十年間納めて、それでこれだけの、六割程度といいましてもそのときの、四十年後の経済というのは大体どういう程度にあるのかわからないわけでございまして、そういう意味では大体六割ということでもって基準を決められたんだと思いますけれども、今回の改定において基礎年金の水準は老後生活において必要な生活費のどの程度を満たすことができるのか、またどのように設計されているのか、それをお伺いすることと、なお物価スライド制を維持するということは、現在の水準を、例えば今二十歳の人も四十五年後にはその水準に見合って保障するものであるという理解でよろしいのか、その点をお伺いいたします。
#15
○政府参考人(矢野朝水君) 年金の水準でございますけれども、厚生年金につきましては、先ほど大臣も答弁いたしましたように、現役世代の手取り年収のおおむね六割程度を確保する、こういう考え方でございます。それから、基礎年金につきましては、高齢者世帯の生活の衣食住といった基礎的な部分を賄える水準、こういうことで今回月額約六万七千円ということで設定をいたしておるわけでございます。こういった年金は当然物価が上がりますと物価に応じて改定をする、こういうことになっているわけでございます。
 したがいまして、これから四十年後といったような長期にわたります場合も、そういった物価変動等に応じて生活できる年金を支給する、こういう考え方には変わりないということでございます。
#16
○久野恒一君 引き続いて基礎年金についてお尋ねいたしますけれども、昭和六十一年までは第一号被保険者というのは単独で零細企業とか農業とか中小企業、そういうところに適用されておった、その前までは厚生年金あるいは共済年金、そのところは単独で立ち上がっておったわけでございます。六十一年の改正以降は、第一号の基礎年金というのはあまねく全国民に広げられたわけでございます。
 そういう意味におきまして、この一階部分と、共済あるいは厚生は二階部分に当たるんだろうと思いますけれども、厚生年金、共済年金の二階部分、これは共済年金支払い者あるいは厚生年金支払い者、これが基礎年金をどの割合でもってお払いになっているのか、その計算の内訳、またその額は大体どのくらいなのか。各制度における保険料に具体的にどれだけ影響があるのか、共済年金、厚生年金がですね、一階部分を納めることによって本来の第一号被保険者にどのくらいの影響があるのか。その辺のところをお伺いいたしたいと思います。
 国では、今三分の一ですけれども、二分の一を負担すると言っておりますけれども、その二分の一というのはあまねく補助するのかどうか、その辺をお尋ねいたします。
#17
○政府参考人(矢野朝水君) ただいま御指摘のありましたように、六十一年の四月から国民年金、これは国民共通の基礎的な年金ということで、二十歳から六十歳までの方はすべて基礎年金の対象になる、こういう仕組みに改められたわけでございます。それで、厚生年金とか共済年金はその基礎年金の上の二階部分の報酬比例年金、こういう位置づけをされたわけでございます。
 ただ、保険料につきましては、例えば厚生年金は現在月収の一七・三五%でございますけれども、これは一階部分、二階部分をひっくるめてトータルとして徴収をする、こういうことになっております。共済も同じでございます。一階部分はこれだけ、二階部分はこれだけというような区別をいたしているわけではございません。そういうことで、これは強いて計算をいたしますと、一階がこれぐらい、二階がこれぐらいに相当するという計算はできないことはないんですけれども、そもそも制度運営上はそういった区別をしておらないということでございます。
 それから、基礎年金の国庫負担、現在三分の一でございますけれども、これは今回法律によりまして二〇〇四年までに二分の一に引き上げる、こういう規定が設けられております。その前提として安定した財源を確保するということでございますけれども、その場合に、基礎年金部分につきまして、給付費の現在は三分の一、これが二分の一になりますと、二分の一について国庫負担なり都道府県等の公的な負担が行われる、こういうことでございます。しかも、これは毎年の必要額を各制度から持ち寄り、しかもその三分の一なり二分の一なりの公費をそれにつぎ込む、こういう仕組みでございまして、言ってみますと賦課方式で運営されている、こういうことでございます。
#18
○久野恒一君 厚生年金の方は一七・三五%だと、それには境はないと。パーセントですから、その割合でいっているんだろうと思いますけれども、それなりに何となく理解できるような気がします。
 そこで、年金というのはやはり社会保障の一つでございますので、社会保障と絡めてちょっと質問をさせていただきます。
 我が国の社会保障制度は、年金、医療、福祉であったはずでございます。その三本柱でやっておったわけでございますが、ことしの四月から介護保険が導入されます。介護保険が導入されると、この社会保障制度というのは年金、医療、福祉、介護となると思いますけれども、その介護保険が年金から天引きされるということはやはり高齢社会において、これからこの次にも高齢者医療というのが出てくるんだろうと思いますけれども、高齢者の収入というのは年金しかございません。したがいまして、そこからどんどん介護保険だとか医療費だとかなんとかいろいろと差っ引かれていきますと、実際に入院したときに一割負担、あるいは施設に入ったときに一割負担。やっていけるのかどうか、私はその辺が心配なのでございますけれども、どういうふうにお考えなのか、ちょっとお尋ねいたします。
#19
○政府参考人(矢野朝水君) 医療とか介護、福祉、こういった分野におきまして一部負担なり保険料負担、こういう制度がございますけれども、これも被保険者の負担能力に応じまして適正な自己負担とか保険料負担が求められておる、こう考えております。その場合に、収入は確かに年金が多いわけでございますけれども、大体高齢者世帯の五割から六割ぐらいがトータルで見ますと年金が占める比率でございますが、それ以外の所得あるいは資産もあるわけでございます。そういった年金以外の収入、資産、こういったものをトータルとしてとらえまして、今申し上げたような保険料負担なり自己負担の水準が議論されておる、こういう理解をしております。
 したがいまして、医療とか福祉の分野での保険料負担、自己負担がふえたから即それが年金水準の引き上げにつながる、こういうことではないのではないか、こう考えております。
#20
○久野恒一君 やはり私の心配しているのは基礎年金です。農業とか中小企業の人はそれしかないんです。そこから差っ引かれるということは、厚生年金、共済年金をもらっている人は二階建てがありますから何とかやっていけると思いますけれども、基礎年金だけの人はなかなか生活が苦しくなるんじゃないか、そういう意味でお尋ねしたわけでございます。もし追加することがありましたら、教えていただければありがたいと思います。
#21
○政府参考人(矢野朝水君) 今申し上げましたように、年金以外の収入あるいは資産、こういったものをトータルとしてとらえて一部負担なり保険料負担の水準が決められておる、こう思っておりますし、また所得の低い方につきましては、これは介護の制度もそうですけれども、医療保険等いろいろな分野で、そういう所得の低い人に配慮をした減免措置ですとかいろんな措置が講じられておるわけでございます。したがいまして、これは年金だけじゃなくて、そういうトータルの視点に立って保険料負担とか一部負担というのは議論すべきじゃなかろうか、こう思っておるわけでございます。
 それから、ちなみにこれは衆議院におきます修正でございまして、基礎年金のあり方につきましては給付水準それから財政方式、そういったものを含めてこれから検討していく。そういう中で、当面、平成十六年までに国庫負担を二分の一に引き上げる、安定した財源を確保するというのが前提でございますけれども、そういう修正が行われました。したがって、基礎年金のあり方の一環として、特に国庫負担割合を引き上げる、こういう際には給付水準につきましても検討課題になる、そういう認識をいたしております。(「局長が政治家みたいな答弁するな」と呼ぶ者あり)
#22
○久野恒一君 どうもありがとうございました。
 いずれにいたしましても、これから基礎年金者というのは相当苦しい立場に追いやられるんではないかなというふうに感じるわけでございます。そういう人たちに温かい目を向けてあげていただきたい、そういうふうに御祈念申し上げるわけでございます。
 さて、先ほどもちょっと触れましたけれども、これから高齢者医療制度の中で、国が九割、本人が一割、まだ出ておりませんけれども、将来は医療費についても一割の負担が入るということになりますと、基礎年金をもらう人たちは、今、年金局長がそれなりの配慮をするということを言っていただいたので何とかありがたいとは思いますけれども、もう時間もございませんので、この七問の回答は結構でございますが、ぜひとも基礎年金受給者に対しては十分な配慮をお願いいたしたい。
 最後に、大臣にお尋ね申し上げます。
 いろいろ申し上げてきましたけれども、私は、今後の年金制度は、介護を含め医療、福祉の各分野と一体にとらえて考えていかなければならない問題だと思っております。その中でも特に財源問題は重要な課題であると思います。財源問題を含めた今後の社会保障全体像について大臣のお考えをお伺いして、終わらせていただきたいと思います。
#23
○国務大臣(丹羽雄哉君) まさに社会保障制度の改革に当たりましては、委員御指摘のとおり、年金制度は医療、介護、福祉と一体的に検討することがまず必要である、このように考えているような次第でございます。
 そういう中で、現在の社会保障制度におきましては、保険料、公費の負担、自己負担、この三つで賄われているわけでございますけれども、今後、この厳しい財政状況の中でどこまでいわゆる公的制度で賄うべきか、こういう問題、それから財源のあり方も含めまして率直に議論をするべきではないか、こう考えているような次第であります。
 保険料でございますけれども、特にこれは社会的連帯、こういうことでなされてきておるわけでございますけれども、若い方々の間では、もしも自分たちが年をとったときに十分な給付が受けられるのかどうか、こういうような疑問点があるわけでございまして、これに対するいわゆる認識というものがだんだん率直に申し上げて希薄になってきているのではないかな、こういう感じがしないでもありません。
 そうすると、どこにこれを求めていくかということでございますが、私はやはりこれからの傾向としては、保険料をある程度抑えても、一回一回サービスを受ける方が負担を、つまり受益者負担ということを国民の皆さん方の御理解を得ながら進めていく方向にある程度流れていかざるを得ないのではないかな、こういう感じを持っております。これはあくまでも個人的考え方であります。
 それから、一方で社会保険方式か。日本の場合には公費が入っておるわけでございますので、厳密な意味で社会保険方式ではありません。ドイツの介護保険におきましても公費は一切入っておりません。つまり、所得の一・七%に対して保険料を取るというだけであって、その中で賄っておりまして、それ以上の給付はもうできない、こういう状態でありまして、なかなかシビアにやっているなという印象を持ってきたわけでございますけれども、日本の場合は……
#24
○久野恒一君 大臣、余り詳しくなくて結構でございますので。
#25
○国務大臣(丹羽雄哉君) そうですか。
 それから、問題点として、要するに社会保険方式のあり方あるいは税方式のあり方、こういう議論が進められているわけでございます。
 いずれにいたしましても、昨日も実は総理官邸で二十一世紀の社会保障制度のあり方につきまして有識者会議があったわけでございますけれども、できるだけ早いときにきちんとした青写真を示して、国民の皆さん方の御理解を得なければならない、こう考えているような次第です。
#26
○久野恒一君 結構でございます。どうもありがとうございました。
#27
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 一昨日の一般質疑に引き続き、本日からの年金審議、まず総論的なことをお尋ねさせていただきたいと思います。
 厚生大臣、お答えの方、座ってということですので私も座ってさせていただきますが、その前に、大臣、先ほどの、これは質疑者が政府参考人を指名されたのならそれはいたし方ないことかもしれませんけれども、基本的な方針、政策にかかわるようなことは大臣みずから御答弁をされた方が私はいいんじゃないかと思うんですよ。先ほど、私、やじを飛ばしましたけれども、このことだけちょっと立って言わせていただきます。
 それは、確かに私も厚生省の官僚の皆さんと長いおつき合いです、医者の時代から。ある意味でいったら、議員という立場では何かこっちが上みたいで、厚生省の皆さんへりくだっておられますが、私は現場の医者として厚生省の皆さん方には本当に、毎月一回お伺いしては、それこそ極端に言えばもみ手すり足でお願いする、そういうことでもう二十年来のおつき合いを願ってきまして、官僚の皆さんが非常に熱意を持っている、国民のことを考えて仕事をやっているのはよく私もわかっているんですよ、個人的にも。
 だけれども、これはやっぱり過ぎてはいけないわけですね、皆さんの熱意はわかるけれども。まさに縦割り行政の弊害の中で何が生み出されているかということを考えると、今、やはり政治に主導権を渡すべきだと思うんです。そういう意味からいえば、やっぱり政策にかかわる、考え方にかかわることは、私は、他人の質疑のことを言っては申しわけないんですが、お答えいただきたかったという意味も含めてちょっとさっきやじを飛ばさせていただいたんです。
 さてそこで、今、大臣の久野先生に対する御答弁の中にもちょっとお話があったんですが、私もけさの新聞を拝見しまして、これは質問事項にはなかったんですが、きのう有識者会議があったということで、きょう第一問は社会保障。
 おとといも私は資料を示してお考えをお聞きして、大体共通する認識だなと思ったわけですが、年金が基本になって、その上に保険制度での医療や介護があるんじゃないかということで、そのことから質問をきょうはお願いしてあったわけです。
 まず、それにも関連して、新聞記事を見ますと、きのうの有識者会議で何が議論されたかということがほんのちょっとしか書いてないし、新聞によってちょっと違うんです。聞くところによりますと、一つは、高齢者の所得というのは非常に格差があるんだと。だから、高齢者というのを一概に扱えないので、所得格差に注目しなければならないということがかなり皆さんの共通の認識として議論されていたように思いますが、そういうことはあったんでしょうか。
#28
○国務大臣(丹羽雄哉君) ございました。
 要するに、高齢者というのは二極に分かれていて、自分で商売をやっていらっしゃる、七十歳を過ぎてやっていらっしゃる方であるとか会社の役員なんかは所得は大変高いけれども、その一方で、わずかな国民年金に頼って生活していかざるを得ない人、こういうことを十分に踏まえるべきだと、こういう意見がありました。
#29
○今井澄君 それから、例の国民負担率ですけれども、国民負担率というのはもう卒業すべきじゃないかと、この前、私は申し上げたんですが、そういう御意見を出された方もいたとお聞きしたんですが。
#30
○国務大臣(丹羽雄哉君) それは実は私でございます。
#31
○今井澄君 ああ、そうなんですか。
#32
○国務大臣(丹羽雄哉君) 実は、私は政府側でございまして、私がああいうところで申し上げることはどうかと思いましたけれども、せっかくあそこで御意見を交わしていただいたものですから、私の方から紹介するという形で、国会で毎日御議論をいただいておりますけれども、こういうような議論が出ております。
 つまり、国民負担率、租税と社会保険料が国民のいわゆる家計に与える影響というところを考えると必ずしも正確ではないんじゃないか、その点も踏まえてやっていくべきだという意見がありまして、多くの委員の方々はうなずいておりました。
#33
○今井澄君 そうですか。それはどうも大変ありがとうございました。
 それで、実はその所得の格差のことなんですが、この年金白書ですけれども、「年金を「選択」する」という方ですが、この中には、所得の格差を考える場合、まずどのぐらいの年金をもらっているか、それがどういうふうに格差があるかということをとらえるのが一つ非常に大事だと思っているんですが、この白書はちょっと問題があると思うんですね。「年金を「構築」する」の方です。間違えました。
 この年金白書の四十二ページ、四十三ページには、男女に分けて、厚生年金をもらっている人たちについて、一体幾らもらっている人がどういうふうに分布しているのかという月額の階級別の分布がきちっとグラフに出ているわけです。
 これを拝見しますと、とにかく女性の場合には五万円から十万円が半分以上だということで、非常に低い方に偏っているということが端的に出ているわけですが、では国民年金基礎年金の方はどうかと。ここにグラフ出ていないんですね。それで、後ろの方に、確かに二百七十六ページに資料編というところで細かい数字はあります。私はそれを、しようがないからまた自分でグラフに直して見ているわけですけれども、こういう白書のつくり方自身が私は非常に問題があると思うんですね。
 というのは、この白書はまさに、今の改正案がそうであるように二階部分の問題であって、先ほど久野先生の質問にも出てきました、基礎年金しかもらっていない人がいるわけです、あるいはこの基礎年金の水準がどうかということが、先ほど局長の御答弁のように、衆議院で修正案もつくられて、今後問題にされようとしているわけですね。
 そうだとすると、この白書には、厚生年金の男女別、ここまで詳しく出していくのも必要だと思うんですよ。だったら、国民年金の方もグラフで分布を出すべきだと思うんです。これは私の意見です。
#34
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私も、この「二十一世紀の年金を「構築」する」という白書のようなものがどういう経緯でできたかわかりませんけれども、そういう自分、自分たちということもないんですけれども、何か都合のいい部分だけを取り出して、余りお見せしない方がよろしいんじゃないかというものが後ろの方にあるとか隠されているということは、そういうことはないと思いますけれども、私は行政の姿勢として間違えていて、これは率直にすべて情報公開した中で国民の皆さん方に現状というものを訴えて、その中でどうやっていくかと、こういうことがこれからの政治、行政のあり方でございます。
 そういう点につきましては、私は大臣としてリーダーシップを発揮して、そういうことがないように常に正直に、正直にといいますか、これは不正直ということじゃないんですけれども、そういうような何か疑いの目で見られることがないように、きちんとした資料をそろえて国民の皆さん方に材料をお与えして、そしてその中で議論をしていただいて、どういうような判断をしていっていただくかと、これが本来のあるべき姿と考えています。
#35
○今井澄君 そうだと思うんですよね。
 これはある意味では、悪意じゃないとは思うんですけれども、その二階部分の厚生年金の今度の改正案がまさにそうなんですが、そこに意識が集中している余り、基礎年金のことがすっかり飛んでしまったという典型的なこの白書の構成だと私は思っております。
 実はそこで、私は、一昨日もちょっと時間がなくて質問できなかったことなんですが、この年金とのかかわりでも、高齢者の低所得者というのがどこにどのように存在してどういうふうに生活に困っておられるのか、また介護の保険料自己負担あるいは医療の自己負担等でどう困っておられるのか、このことが実はこれからの社会保障制度全体を再構築していく上でも非常に大事なんだという問題意識を持って、かねがねこの委員会でも質疑を行っているところです。
 これまでの低所得者の定義というのは、まず老齢福祉年金受給者、それから住民税非課税世帯があって、その次に個人というのがあるわけです。大体こういうふうな定義でやっているわけです。ところが、老齢福祉年金受給者というのは、実際にはもう今八十五歳以上の方しかおられないわけです。国民皆年金になったときに、今さら保険料を掛けても年限が足りなくて年金がもらえないという人はもう掛けなくていいですからこれは福祉年金として差し上げましょうと、基本的にこういう考え方でやってきたと思う。そういう方は、その後、時間がたっていますからどんどん高齢化して今八十五歳以上しかいない。ほとんど、もう九九%八十五歳だと思うんですね。
 そうしますと、八十五歳以下の、例えば六十五歳以上あるいは七十歳以上で低所得の方というのは、この老齢福祉年金受給者というところですぽんと線を引かれちゃうと、一番の低所得者ではないということになっちゃっているんですね。今、そういう低所得者の定義があるというのは非常に問題だと思うんです。
 私は、これは何回も申し上げましたし、特に介護保険の保険料を五段階に設定するときの第一段階は老齢福祉年金受給者であってと、まずそこで縛りが来るんですね。もちろんもう一つ生活保護の方もおられますが、生活保護は別に保険料分をその分として給付されますから、本人は入って出ていくだけですからこれは構わないんです。そうすると、まず第一段階、五割引きの保険料というところですぽんと八十五歳で切られているのが現実だと思うんです。
 それで、もっと実態を把握すべきではないかと繰り返し申し上げたんですが、厚生省として、もうここ数十年にわたるこの定義を脱して、数十年ではないですね、老齢福祉年金は国民皆保険になってからの定義になりますが、新しい時代にあって、真の手を差し伸べるべき低所得者がどこにいるのか、それはどういう定義で、概念でとらえ直したらいいのか、こういうことをやらなきゃいけないと思うんです。去年の夏ごろからそろそろそういうことに着手したとお聞きしているんですが、何か研究班ができたとかあるいは研究に予算がついたとか、そういうことはございますでしょうか。
#36
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘のいわゆる低所得者の判断基準につきましては、専門の研究者の方々に調査研究を依頼しているところでございます。
 これは実はきのうの衆議院予算委員会でも議論が出たところでございますけれども、やはり税制との絡みをどういうふうに見ていくかという問題、課税最低限の問題、それから生活保護との均衡をどうするかという問題がございます。
 それから、福祉の分野に限りましても、そもそもまず低所得者だけではなくて高齢者の定義というものがはっきりしておらないというのが現実であります。例えば、老齢年金は六十歳から、それから介護保険がこの四月からスタートしますが六十五歳から、それから老人医療というのは七十歳からということで、ちょっと話が外れて恐縮でございますけれども、私の地元の茨城県でも、町によっては敬老会の対象者が、ある町においては六十五歳、ある町においては七十歳、ある町においては七十五歳ということで、これは我々がとやかく言うことじゃないかもしれませんけれども、やはり先生がおっしゃるように、これは法律のいろいろな誕生した経緯でこういうふうになってきておるわけでございますけれども、やっぱりこの辺で私は整理をして、できるだけ整合性のとれたものにしなければならないかなと、こう考えております。
#37
○今井澄君 これは私の意見ですけれども、生活保護というのはいわゆるミーンズテスト、所得、資産まで含めたテストといいますか調査をしまして、財産を持っていてはだめだとかいうことで、よく車を持っているとだめだとかいろいろあるわけですね。それはそれで完全に生活丸ごと面倒を見てあげなければならない。
 例えば、資産を持っていてもフローの方の所得が全くないために困っていると。それで資産を売りたくても、例えば私の地元なんかですと、山の中の大きな一軒家に住んでいるひとり暮らしのおばあさんなんというのを見てみますと、畑や田んぼや山は持っているんですけれども、売ろうったってだれも買ってくれる人がいないんですよね。そして、年金というのはわずか三万とか四万ということになると、そういう場合にはそういう場合の、今の生活保護と違った何らかの生活扶助というのが私は多分これから二段階必要になってくると思うんですが、それはそれで生活を維持するということの視点からだと思うんです。
 もう一つは、保険料を負担し、あるいは利用料の一部を自己負担するということになってきますと、そういう最低限の生活をどうするかというのとはまた別の視点をも考えなければならないから、常に生活保護なりそういうものを持ってきてこの基準とどうかというのは、どうもいきなりやらない方がいいと、私は個人的にはそういうふうに思っているんですがね。それで、先ほどもちょっと局長のお話、私は矛盾していたと思うんです。
 私の資料をお配りいただきましたでしょうか。これは二枚ありますが、今の所得とか年金とか低所得、生活費の関係ですけれども、そのグラフの書いてある方、これは厚生白書の中の百二十ページと百二十一ページのグラフを二つ一枚の紙にさせていただきました。
 黄色く塗ったところが上のグラフでは年金で、経時推移を見てみますと、これだけずっとふえてきているのに、高齢世帯というのは稼働所得はふえていないんですね。これは高齢者の就労が進んでいないのか賃金が全然上がらないのか知りませんけれども、これだけ経済成長がずっとあるのに稼働所得がふえていない。ふえているのは年金だと。
 こうやって年金をふやしてきた結果、今の高齢者は、前回御紹介しました経企庁の生活選好度調査でも比較的将来について若者に比べれば安心感を持っているという、ある程度の年金を保障されて、それが収入の大部分になっているんではないだろうかと思います。
 そういう収入をもとにして、今度はどういう支出、生活構造になっているかというのが下のグラフで、これは総務庁の調査です。それを見ますと、先ほど衣食住のために基礎年金がと言われたけれども、そんなことは全然、これを見たら衣食住だけで半分じゃないですか。だから、衣食住のために基礎年金と言うのは、これは事実に反するということはおわかりだと思うんです。ここでも実収入が二十五万を超えているわけですけれども、これはかなりいい高齢夫婦の世帯だと思いますが、衣食住で半分は行っているわけですね。
 それで、もう一つ注目しなければならないのは、この下の方のグラフで保健医療という、これが六番目の項目で、ずっとこの間、毎年総務庁の家計調査で調査されてきているわけですね。その保健医療費にどのぐらいの支出を家計の中でしているかということ。昔から衣食住と言われてきて、そこから外されてランクが低いわけですが、それがもう一つの方の数字のグラフの方であります。
 それを見ていただくと、大変こちらの方は、総務庁から何年にもわたる資料を取り寄せまして、こういう家計調査年報というのが出ているわけでありますけれども、この中から高齢世帯のものを拾ってみました。もちろん、年によってちょっと統計のとり方が違いますので、六十五歳以上の世帯主というのが昔のとり方で、最近は高齢夫婦無職世帯という項目がこの十年ほど出てきているわけであります。
 そのグラフを見ていただきますとおわかりだと思いますが、消費支出のうちの保健医療支出の占める比率が、昭和四十五年、一九七〇年には三・六三%だったのが、ちょっと波はあっても、ただひたすら上がり続けて、最近では五・四二%になっていると。厚生白書ではその前の年、平成十年の五・二%ですけれども、こういうふうにこの部分がふえてきているんですね。
 それが、例えば昔は保健医療費という項目でしたが、最近では保健医療支出という項目の中が四つに分かれていまして、一つは売薬、それから健康食品といいますか健康増進のためのもの、それから医療健康器具、そして保健医療サービスとなっているんです。恐らく、この保健医療サービスというのが、医療機関にかかった場合の自己負担とか、そういう保健医療に係る支出だと思うんです。
 では、それがふえてきたのかと見ますと、それもふえているんですが、保健医療支出のうちの保健医療サービスの比率は一貫して五、六割ということです。しかも、この間、一九七三年には老人医療が無料化されてお年寄りが医者にどっとかかるようになった、その十年後には今度は老人保健制度ができて有料になってちょっとかかりにくくなった、こういう経緯がありますけれども、余りその変化がこの中ではわかりません。
 しかし、いずれにしても消費支出の中で保健医療に係る支出がふえてきている。しかも、それは個人の売薬を買ったりドリンク剤を買ったり健康器具を買ったりするだけではなく、やはり医療機関にかかったときの自己負担もふえてきて、こういうふうにふえているということになるわけですね。そうしますと、年金で保障すべきものというのは、現に衣食住だけではなくなって、医療費の自己負担分というのが非常に大きくなっているというのがわかると思うんです。
 もう一方で、介護保険はもろに年金から差っ引いちゃうわけです。衣食住のための基礎年金だったらそこから介護保険料を差っ引くなんというのは、これは不当なはずなわけです。ところが、わずか年金一万五千円の人まで差っ引いちゃうわけですね。
 そうなりますと、一昨日も「社会保障の樹」という漫画をお示しして御意見を伺ったわけですが、介護や医療、あるいは今後その他の福祉サービスについても保険料とか自己負担とか利用者負担とかいうのが出てくるとすると、この年金の水準をどうしたらいいのか、これをどの程度守っていったらいいのかということが非常に大事だと思うんです。たしか大臣、先ほどの御答弁でもそれをお考えのようでしたが、改めてもう一度ちょっとそんなことについてのお考えをお願いしたいと思います。
#38
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今、今井委員の御指摘の問題は、要するに年金でどこまで賄えるのか、こういう問題だと思います。
 現在の統計学的には、例えば夫と妻の、それに夫の厚生年金が十万円ちょっともらえるという前提に立ちまして、モデル年金でございますが二十三万七千円。こういう中で、食料、住居、被服としては大体十二万一千円、それから今この先生の表にあります医療の分野が年々ふえてきておるわけでございますけれども、私どもの資料ではこの食料、住居、被服などを合わせて十三万四千円と、こういうことでありまして、一応これを入れるか入れないかという御議論は別として、要するにこの中で十分に賄っていけるよと、こういうような認識に立っております。
#39
○今井澄君 私は、年金でどこまで賄うか、これも大事な議論だと思うんですけれども、そういうふうにするといろいろ考え方もありますし、一方で年金ですべてあるいは基礎的なことも賄うということになると、これはまた年金制度自身にかなりの重荷を負わせるのではないかと思いますので、私は必ずしも、例えば基礎年金の額が衣食住も賄わなきゃならないとか、あるいは基礎的な生活、これがあれば最低限生きていけるものでなければならないとは必ずしも考えないんです。というのは、そのためには非常に膨大な財源を必要とするわけですから、それはむしろ現実的に対応すべきだというふうに考えているわけです。
 しかし、どうも私さっき五割なんとお話ししましたが、五・二%か五・四%の間違いでしたが、このように昔は基礎的な生活として衣食住と言ってきたのが、老後どうしても必要である医療だとか介護だとか、そういうものについての保険料や自己負担まで現実には年金に絡んでくるとなると、今、年金制度だけで考えちゃいけないんじゃないか、社会保障制度全般を今改革しようとしているんだから。
 そこで、私は一昨日も申し上げたことなんですが、今、総理のところで社会保障ビジョンを出そうと。それはもうじっくり時間をかけて十分なものを出すことは必要なんですけれども、秋では遅過ぎる、もっと早くすべきだということを申し上げました。大臣が最初に考えられたように、骨格だけでもこの春のうちに出すべきだというふうに私は思うんです。そして、急いで出しながら、それを出すまでは今のここに出ている法案は私は凍結すべきだと思うんです。
 というのは、今度のこの法案は、六十五歳に延ばしますよ、年金の水準は二〇%カットしますよと。結果的にそうなるかどうかそれは議論してみなきゃわかりませんよ。私どもは反対していますが、何が何でもすべて見直しに反対と言っているわけじゃないんです。問題なのは、下げることばかり、減らすことばかりやっていて、それで全体のビジョンが見えないから問題なんだということで、私はこの案を凍結して、まず先に急いで総合的な社会保障ビジョン、年金の位置づけをはっきりさせたものを出すべきだと、こう思いますが、大臣いかがでしょうか。
#40
○国務大臣(丹羽雄哉君) 二十一世紀の社会保障制度につきまして、昨日の夜、二時間かけましてやりました。この種のたぐいの審議会で二時間かけるというのは大変異例だと思いますが、各委員の方々、大変御熱心にこの問題について御意見をそれぞれ申されて、大変参考になるような御意見もございました。これからも精力的に、今度はレポーターを立てて議論をしていって、そして、ことしの秋ごろというのは私の一つの期待でございますが、もっと遅くという話もあるんです、実は。要するに、秋ごろまでに一つの方向性というものをきちんとまとめなければならないと私自身思っておるわけでございます。
 それまでの間、要するに年金法の改正というのは待った方がいいんじゃないか、こういうような御意見のように承ったわけでございますけれども、今回の年金制度というのは、率直に申し上げて、これは何度も申し上げておるわけでございますけれども、とにかく大変な少子高齢化社会の中において、いわゆる若い人たちの間で年金離れというのが大変進んできておるということも残念ながら紛れもない事実でございます。
 そういう中で、いわゆる学生の任意制であるとか、これまでは強制でございましたけれども猶予を与えるとか、こういうような問題を織り込んでおるわけでございますし、確かにある意味においては、あめかむちかというと、むちの部分かもしれませんけれども、いわゆる二階建て部分の厚生年金を将来は、これは二〇一三年からでございますけれども、引き上げていかざるを得ない。こういうことも率直に国民の皆さん方に早くお示しすれば、私は年金に対する国民の皆さん方の不安であるとか信頼感というものが、隠していて後で時間がたって示す、もっとひどいじゃないのと、こういうことよりは、私は早くお示しするということの方が先決なのではないか。
 そういう意味において、私どもは年金法の改正案を提出させていただいて御審議をいただいておるわけでございますけれども、私どもの立場としてはとにかく一日も早く示して、この四月からスタートするわけでございますので、この問題について国民の皆さん方に新しい姿を示すことが私どもに課せられた使命と心得ております。
#41
○今井澄君 とりあえず凍結して、半年以内あるいは二、三カ月以内に急いで社会保障ビジョンを出してもらう。それが私は先だと思うんですけれども、それは社会保障ビジョンがすぐ出ないからとりあえず年金の方をということですか。
#42
○国務大臣(丹羽雄哉君) 社会保障ビジョンというのは何も年金だけじゃありません。これは、私の感想を申し上げますと、あれだけ大勢の委員がいて、いろんなことをおっしゃって、まとめるのはなかなか大変だなと、こういう感じを正直言って申し上げています。しかし、基本的な方向というのはまとめなくちゃいけない。まだ全然、ことしになってから始めて二回目でございますし、そういう段階でどこまで年金についてまとめられるかというと、例えば方向性が示されたとしても、この新しい審議会のもとで年金の具体的な問題について御議論をいただいて、そしてこの国会の場において御議論をしていただく、こういうような手続になるんじゃないかなと、こう思っております。
#43
○今井澄君 どうもちょっと話が拡散するんですが、私が前回の質疑以来申し上げているのは、社会保障制度のビジョンというのは大変なことです、いろんな内容があるから。だけれども、骨格として縦割りで全部それは、場合によっては細かいところはそれぞれの制度ごとにやらなきゃならないですよ。だけれども、全体像をまずはっきりさせることが必要なんじゃないか。それはそんなに時間をかけなくてもできるはずでしょうと。私どもも急いでおりますと、大臣も急ぐおつもりだったけれども、総理に取り上げられて先延ばしになっちゃっている。これは大変問題だと。だから、早くその骨格だけ出すということでこの前漫画をお示ししたわけですが、年金制度がどうしても根幹になりますよという認識を共通できるかどうか。それが共有化できれば、年金に関してはただ減らしますよという議論だけだと問題だということになるわけですよ。
 そこで、それは見直さなきゃならないにしても、いい面もありますよ、学生の十年間追納とか、この法案全部が悪いなんて私ども言っているわけじゃないんですから。だけれども、この法案の一番の問題点は、国民に不安を与える法案だから問題だと私たちは反対しているわけですよ。
 だから、そういう意味でとりあえず凍結して、年金というのが医療や介護やほかのものとの関係でもこれをしっかりさせなきゃならないという、まずそこの認識の統一をするまで凍結したらどうかと私は言っているんですよ。
#44
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今井委員のそういうような一つの考え方でございますが、私どもは早くこれをお示ししないことが逆に不安を与えることになるんじゃないか、こういうことでございまして、その認識の違いがあるなと、こう感じております。
#45
○今井澄君 そこで、この年金に対する不安とか不信とかが広がっているんですね。これは本当に恐るべきものだと思います。その原因がどこにあるかということをこれから少し議論させていただきたいと思います。
 さっきも国民年金、基礎年金の未加入者や何かの話、久野先生の質疑で、百万人近くいるうちの六割が年金を将来もらえるかどうかわからないから払わないという、これは恐るべきことだと思うんですね。
 だけれども、これだってちょっと情報公開といえば単純ですよね。例えば、今だと月に一万三千三百円払って、高いかもしれないけれども、月六万七千円もらえますよと。掛けるのは四十年、もらうのは六十五歳からもらって、八十五まで生きたとして二十年、早死にすると十五年ぐらい。そうすると、引き合うか引き合わないか、これは単純なそろばんでもある程度わかるわけで、これはもらえないことはない。
 そこで、大事なのは、六万七千円は保障しますよということを国が言えるか言えないかというのが一番問題だと思うんですよ。それを言えさえすれば、百万人のうちの六割を占める、知ってはいるけれども払いたくない、払ってももらえるかどうかわからない、そんなことはないんですということを言えるわけでしょう。だから、年金はちゃんと払います、額はこのぐらいですよということをこちらが言えるかどうかなんです。そのときに、今の法案は厚生年金のことを言っているわけですよ、基礎年金のことを差しおいて、そこに一つ問題があると思うんです。
 そして、これは連合の試算によりますと、年金をもらう総額が千二百万円減る案だというわけです。そうだとすると、やっぱり国民は不安になりますよね。今までと同じ掛金よりもっと高い掛金に上げておいて、もらう額が少なくなるのかと。だからますます今の法律をごり押しすると私は不安は広がると思うんです。
 さてそこで、こういう不安や不信が広がっている原因については、大臣としては幾つぐらいのことをお考えになっておりますか。原因は一つじゃないと思うんですが。
#46
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、やはり今井委員が御指摘になったことに関連があるわけでございますが、国民の一部に、特に若年世代、現在年金をもらっている方々は、いろいろ御不満もあるかもしれませんけれども、率直に言わせていただければ大変結構なんですが、これから二十年後、三十年後あるいは四十年後、つまり今の若い方々に、自分たちは将来年金がもらえなくなるのではないか、こういうような不安があるのではないか、こういうことが第一点であります。
 それから第二点でございますが、五年ごとに財政再計算をやっているということでございます。これも正直に言わせていただきますならば、この前提となります将来の人口推計というものが今までちょっと甘過ぎたんじゃないか、こういう感じがします。そのために、要するに五年ごとの財政再計算における保険料率であるとか、それに伴って給付というものを変更せざるを得ない、こういうことであります。例えば、将来人口推計というのは社会保障・人口問題研究所という専門家のやっているところを使っておるわけでございます。ですから、それを上回る勢いで少子高齢化が進んでおるんだということでありまして、これをこのまま放置しておくわけにいかないんだ、こういうようなことがやはり国民の間で年金に対するいわゆる今御指摘のような不安や不信につながってきているのではないかと思います。
#47
○今井澄君 私は、確かにこの原因は何かというのは非常に難しいので、社会全体の少子高齢化というのは何か暗い世の中のような受けとめ方がされている、あるいはそういう宣伝がされている、そういうことが大きな背景に一つあるんだろうと思いますけれども、私は、事年金制度に限って見ると、これは説明をするという意味でも四つに分けて考えたらいいんじゃないかと思うんです。
 一つは、年金が三階建ての構造になっていますね、現在。例えば、一階の部分、基礎年金が先ほどのお話のように空洞化していると。それでこれはマスコミがどんどん宣伝するわけですよ。ああ、空洞化しているのかと。空洞化というのは、要するにもう基礎年金なんというのは掛けたってもらえないんだなというふうに思うわけですよ。それが一つ私はあるんじゃないかと思うんです。
 それから二番目には、二階部分ですけれども、今、大臣がちょっと言われた五年ごとの財政再計算。
 この五年ごとの財政再計算についてちょっとお尋ねいたしますが、これは国民年金法を読んでみました。国民年金法の第八十七条の三項というところですね。そこに何と書いてあるかというと、「少なくとも五年ごとに、この基準に従つて再計算され、その結果に基づいて所要の調整が加えられるべきものとする。」と、こう書いてあるわけですね。この基準に従ってというのが第八十七条の保険料の規定だと思います。
 そうすると、これを読むと、五年ごとに年金制度を見直すんだとは書いてないわけですね。五年ごとに財政再計算をしてみたら、ちょっと金が足りなくなったから保険料を上げなきゃならないけれども幾ら上げるとか、あるいは場合によっては給付水準をこのまま続けるとちょっとまずいから、じゃ給付の方を少し減らすかとか、そういう金目の計算を五年ごとにやって調整をするというのが趣旨であって、五年ごとに制度そのものを見直すということはここに書いてないと思うんですよ。だから、今出ているこの法案も、前回五年前に出た改正法案も、この法律の五年ごとの財政再計算とはある意味では関係ない。抜本改革を五年ごとに何かやってきているということになっていると思うんですね、五年ごとの財政再計算を一つの理由にして。
 世界の国を見てみると、年金制度というのは非常に長いものですよね。医療制度とか介護制度というのはもう単年度主義です。保険料を払ってその年その年で締めていくわけですが、年金というのは四十年掛けなきゃならない非常に長いもので、制度を変えたって四十年かかるわけですよね、完全に新制度に切りかわるのに。そういう意味では、これは非常に長いのに、その制度の見直しを五年ごとにやってきているというのは私は非常に問題だと思うんです。世界のどの国を見ても短くても十年あるいは二十年でやっているんですね。今、世界各国、例えばスウェーデンも今度は違った制度にする。だけどそれは長い時間をかけて議論をして、またそれもかなり何年後かからやるということなんです。五年ごとにやってきているというのは私は非常に問題だと思うんですよ。
 特に、五年ごとに給付水準は下げられる、もらえる年齢は六十が六十五になり、基礎年金が六十五になり、そして定額部分が六十五になり、そして今度は報酬比例部分も六十五になるという、言ってみれば逃げ水ですよね。掛けているんだけれども、五年ごと五年ごとに見直しと称してもらえる年齢は先延ばしされる、もらえる額は減らされる。これじゃやっぱり不信が募ると思うんですね。これが二点目だと思うんです。
 それで、三点目は三階部分についての、これはやっぱりマスコミの責任というのも非常に大きいと思うんですけれども、いわゆる企業年金、厚生年金基金です。これが積み立て不足で解散するところが続々出てきたという話がどんどん出る。これは自営業者に一切関係ない話なんです。サラリーマンだって、これに関係するのはある意味で恵まれたサラリーマンだけなんです。それがマスコミなんかの報道でも、年金制度の根幹であるかのように、ぼんと一面トップかなんかで何とか基金が解散したなんて出るわけでしょう。そうすると、ああ、年金はだめなのかなと。一万三千三百円も払って、もらえないんじゃないかと。三階と一階とを結びつけて考えるということがあると思うんです。私は、報道の仕方にも問題があるし、そういうことをきちっと説明しない厚生省にも問題があると思うんです。
 確かに、年金のことでも広報をやっておられるでしょうけれども、私は今度の介護はすごい広報活動をやっていると思うんです。この前、さるところへ行ったら、新幹線の駅のところに介護保険が始まりますと大きな看板が出ていたり、介護保険をまだ知らないという人が五割いる、四割いると言われますけれども、全く新しい制度で、こんなに二年か三年で導入しようとする制度を五割を超える人が今一応知るようになったというのは、これは大変な努力の結果だったと思うんです。市町村にも御努力いただきました。
 ところが、この年金の問題でこれだけ不安が広がっているのに、例えば厚生年金基金の積み立て不足、解散と基礎年金は関係ありませんよというようなことを、そういう報道が出るたびに何でいち早く厚生省はやらないのか。こういう努力を欠いたまま、今度の法案のようにもう二階部分だけに、それこそ馬車馬のようにそこのところに視点を絞って強引にやろうとするから、ますます不安が広がると思うんです。
 私は、高山先生が最近出された本、これは非常にいいことというか示唆に富むことが書いてあると思うんです。「年金の教室」という最近出た新書です。この二十四ページに「経済オンチの年金官僚」と書いてあるんです。「厚生省の年金改革チームが危機感をバネにして年金改革を成しとげようとしたことは、だれも責めることができないだろう。」と。
 そうだと思うんです。皆さん方は、年金を預かる立場として、このままいったら崩壊してしまう、公的年金を守らなきゃならぬと必死のあれで五つの選択肢を出し、そして計算をしてみたら、保険料を三十何%に上げるわけにいかないから、給付水準も下げましょう、六十五歳にもしましょうと一生懸命になってやったんだと思うんです。
 「だれも責めることができないだろう。ただし「過ぎたるはなお及ばざるが如し」という。危機感に訴えるのであれば、なにをやってもよいというわけではない。年金不安をしずめ年金不信を払拭して年金行政への信頼をとりもどすことも重要な課題であったはずである。」と。
 去年のいわゆる年金白書、「二十一世紀の年金を「選択」する」、これは五つの選択肢を示しました。私は、これは厚生官僚として、年金官僚として一歩大きな前進だと思うんです。こうやって情報公開をして、この場合はこうなる、この場合はこうなると五つの選択肢を示して、さあどうしましょうと、こういう問題の投げかけ方は私は評価します。だけれども、これに決定的に欠けていることがあるんです。何で保険料が三四・五%になるんですか。
 基礎年金を税方式にするという有力な意見、しかもこれは決して少数意見じゃありません。これは年金局の中では少数かもしれない、あるいは自民党さんの中では少数かもしれないけれども、与党の中にだって強力なそういう意見があるわけです。学者の中にも多いわけです。そうすると、もし基礎年金を税方式にすれば、例えばこれは高山先生もそういうことを書いておられますけれども、一挙に例えば消費税を上げられるかどうかは別としまして、これだって説明すればそうですけれども、保険料が四%ぐらい下がるんです。そうすると、将来三〇%を超えるなんてことはあり得ないという計算をちゃんと出しているんです。学者でもむしろ今は少数派じゃないですよ、こういうのは。
 そうすると、この去年の年金白書の間違いは、二階部分だけ見たらいいでしょう、五つの選択肢。だけれども、大事な大事な一階部分、これに手をつければ、しかも税方式にすれば、未加入者だとか未納者だとか、そういうものはなくなるわけです。無年金者もなくなる。そういうことを検討した上での五つの選択肢じゃないんです。そういうものを全部無視した五つの選択肢、ここに先走りがあり、高山先生の言う「過ぎたるはなお及ばざるが如し」、その結果、不安を広げて消費も冷え込んでいる。だから「経済オンチ」と言うんです。年金に熱心な余り、日本経済は大変問題だと思うんです。
 それからもう一つの問題は世代間の問題。掛けただけもらえなくなる。これは年金白書にありますが、昔は何倍ももらえたんですね、掛けた額の。これからはどう見たって二倍なんてもらえない。事業主の掛けてくれた分も含めればそれ以下の年金しかもらえなくなりますよ、今のままでは。そういうことが書いてあるんです。ただ、この計算が本当に正しいのかどうか、私は信じ切れないところがあるんですが、自分の掛けた年金よりはもらえるんですよ、必ず、今のままでいったとしても。例えばそういうことも広報としては大事だと思うんです。
 だから、そういうことについて、大臣、いかがでしょうか。
#48
○国務大臣(丹羽雄哉君) 幾つかの盛りだくさんの御提起を今井委員の方から御主張いただきました。
 まず、私どもの方からぜひとも御理解いただきたいと思いますのは、確かに国民年金の未加入、未納というように空洞化というのは広がっています。ただし、必ずその中に加わるのがいわゆる保険料の免除者、つまり所得によって免除になると、これも入れて三人に一人ということなんですが、実は、私は、正確に言うならば未加入者と未納者だけであって、免除者というのは別に扱うべきものではないか、まずこの点でぜひとも御理解をいただきたいと思っております。
 これは、要するに国の方の施策によって免除するということでございますし、自分の意思による未加入、未納と、何か空洞化がいかにもさらに広がっているようなことであって、今後ぜひともこの委員会においては未納・未加入者については、例えば具体的数字を申しますと、第一号の場合には未加入者が九十九万、未納者が百七十二万、それで一番多いのは実は今申し上げた所得が低いためなどで払わなくていいという層が四百万なんです。それを入れてやると国民の皆さん方に先ほど今井先生も御懸念しておりますところのあらぬ不安感を与えることになるということでありまして、この点はひとつぜひとも意思の統一を図っていかなければならない問題ではないかなと、こう思っています。
#49
○今井澄君 ちょっと今のことでよろしいですか。
 今の数字ですが、今、大臣が言われたのは、未加入が九十九万、未納が百七十二万、それでいわゆる低所得者が四百万ぐらいと言われましたけれども、最近社会保険庁から発表された業務報告によると、検認率が七六・六%ということは、加入者のうちで未払いの率ですね、検認率ですから、これは二三・四%ということになるんです。これは人数換算すると四百七十八万人になるんですよ。恐らく百七十二万人というのは平成七年、前回の調査の数字だと思うんです。
 前回、平成七年から今回の間に、先ほどの答弁にありましたように、未加入を減らそうと保険証を強制的に送りつけちゃったんでしょう。その結果、六十万人ぐらいがとにかく加入にはなったんですよ。だけれども、未納が逆にふえているんじゃないですか、前回の百七十二万人から。実数ではうんとふえていると思うんです。単純に検認率から計算すると、二三・四%に二千万人の数を掛けると四百七十八万人が未納ということになりますけれども。
#50
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私が御理解をいただきたいのは、これは平成十年です。その辺の今井委員の御指摘になった数字との関係につきましてはちょっと私の方で今現在まだよく掌握しておりませんけれども、私が申し上げたいのは、要するに免除者と未加入者とを一緒にしないでいただきたいということでございます。保険料の免除者と未加入あるいは未納者とは別のものじゃないかということです。
#51
○今井澄君 私は、そこのところはまた日を改めて、基礎年金の問題についてはほかの委員が御質問いたしますけれども。
 それはそういう考え方もあるでしょう。だけれども、実態としては低所得であるがゆえに免除された結果、六万七千円をもらえないわけです。三分の一国庫負担分しかもらえないわけです。これは年金と言えますか。満額六万七千円と言う以上、払わなくてもいいですよという制度の結果、そうなるというのが問題なんです。
 それとか、今度は学生の場合、届けてさえおけば十年間納めなくても追納ができるということで、障害無年金の人は減ってくるとは思いますけれども、それでもやっぱり手続を知らなかったとかなんとかという人がかなりいるというさっきの話でしょう。そうしますと、こういう不幸な、手続をしなかったばかりに、ちょっとお金を払いそびれたばかりに無年金の障害者になるような、交通事故に遭って障害になったときに、気がついてみたら納めていなかった、年金がもらえないということをなくすことも実は国民皆年金の重要な目的であり、趣旨、理念だと思うんです。
 そうすると、確かにこの数字をただ足して三人に一人と騒ぐのも問題があるという御指摘もわかりますけれども、でも国民皆年金という考え方からいえば一緒にしてもいいと私は思うんです。そういう考え方もある。
#52
○国務大臣(丹羽雄哉君) 幾つか御指摘のあった問題でございますが、ちょっと財政再計算のことでよろしゅうございますか。
 五年ごとの財政再計算の見直しでございますが、これは要するに社会経済情勢が激しく変動しておるわけでございます。そういう中で長期間放置しておきますと、実際新しいデータというのが収集できない。例えば平均寿命、出生率、こういうものもきちんとできるだけ新しいものを入れたい。十年も二十年もそういうような古いデータを入れるよりは、私どもは新しいデータを入れて、そしてより正確を期したい。それでもなかなか甘いと、さっき私の方でみずから認めておるわけでございますけれども、こういったようなことでございます。
 それから、正直申し上げて、私もこの問題に携わってきて長いんですが、十年前はとてもこれは、この問題はなかなか難しいなというのが、だんだん国民の皆さん方の間で御理解いただける。介護保険というのが一番象徴的なものだと思うんですが、そういうことで、やっぱり私たち政治家というのは、行政ベースではただ数字の上で並べてきたり、そういうような制度的に並べてきているようですけれども、やっぱり国民が何を求めているのか、現実的にどういうことができるのかということを御議論していただくのがまさに国会の役割ではないか。そういう点も十分に考えていかなければならない。
 そういうことを踏まえますと、これを放置しておくのではなくて、やはり五年に一遍ぐらいこの問題について議論をして、そして国民の皆さん方の理解を得ながら、正すべき点は正していく、直すべき点は直していく、こういうことが私は必要なのではないかと思います。
 それからもう一点でございますが、五つの選択肢の問題、けしからぬということでございますが、これは実は初めての試みであります。これまでこういうことはなかったんです。一方的に押しつけてきただけなんです。これは、見る方によっては、今井先生のお言葉をかりれば脅迫的ということでありますが、そういうことではなくて、それだけ厳しいんだということを国民の皆さん方に御理解いただきたい。これはあくまでも新たな人口推計や経済見通しの上に立ちまして、A案、B案、C案、D案、E案と。
 例えばB案の場合には、厚生年金の保険料を月収の三〇%以内にとどめる場合においては、平成三十七年度時点で支出総額を一割程度適正化することが必要でありますよとか、それから厚生年金の保険料率を仮に現状程度に維持する場合には、平成三十七年、二〇二五年の段階で支出総額を四割程度適正化せざるを得ませんよと、こういう一つの参考資料として国民の皆さん方の御理解をいただきたい。
 それだけ実は、率直に申し上げて、この少子高齢化社会の中において年金財政のあり方というものは大変厳しいということを私どもは国民の皆さん方に御理解をいただくためにお示しした、こういうことでございます。
#53
○今井澄君 幾つか今のことについて議論をさせていただきたいんですが、一番最後の問題です。
 私が先ほど申し上げましたように、選択肢を出したというのはまさに厚生省あるいは年金局としての初めての試みで、それ自身は評価する。だけれども、その中に出てきた保険料が三四・五%になりますよとか、これがおどしだと言うんです。二階部分だけの財政再計算すればそうなるでしょう。だけれども、一階部分を税方式にしたらどうですか。
 例えば、大臣もこの「美しく老いるために」の中で、やっぱり基礎年金は二分の一は税にすべきなんだ、今、三分の一だけれども二分の一まで持っていくべきだと。そして、大臣は非常に長いスパンで、国庫負担の比率を毎年一%ずつ上げながら、十七年かければ二分の一になる、そうすればそのほかの分の負担が少なくて済む。しかも、これは消費税で御理解いただけるだろうということを書いているんです。年金というのはやればそのぐらい、十何年という長い話ですから。それも一つの方法だと私は思うんです。
 だから、そういうことを踏まえれば、二階部分だけを計算して三四・五%になりますよ、ただしこれは二階だけの話で、もっとほかにもこういう話がありますよという選択肢が五つのほかにあればいいんですけれども、そんなものはないですよ。二階だけの話で三四・五になると言われれば、これはおどしじゃないですか。国民はだってその範囲内で考えてしまう。そんなに保険料を取られたら大変だ、だったらこの中で一番いいのを選ぶしかないなと。
 私は、これは間違っている、これは脅迫の文章だ、最初の考えはよかったけれども結果は間違っている、こう思うんですけれども、どうですかね。
#54
○国務大臣(丹羽雄哉君) 脅迫というか、非常に誘導的だというようなことをおっしゃりたいんだと思いますが、そういうようなことは私ども率直に申し上げて、これを提出した時点におきましては私はまだこういう立場ではございませんでしたけれども、あってはならないことだと思いますし、今後の教訓にしたい、こう思っております。
 それから、私は、これもまた率直に申し上げて、かねてから国庫負担三分の一では、このままでは年金はだめになりますよということを常に警鐘いたしておりまして、もう五年前、十年前から実は、その本が出たのも六、七年前ですから、言っておるんですが、その当時はだれも歯牙にかけてくれない。国会議員の人も、何をおまえはわけのわからないことを言っているんだ、こういうことでございましたけれども、前回の改正でようやく、私も一生懸命やって、国会の附帯決議で二分の一にしていただいて、そして今度は附則の中で二分の一にしていただいたということで、党内でも正直なところそれを主張する人はだれもいなかったということでありまして、私としては、今回、附則でございますが、それが盛り込まれたということは感慨深いものがあります。
 ただ、申し上げたいことは、それと税方式とは違うんだと。私は、かねがね社会保険方式における国庫負担、公費の負担のあり方というのはどの程度が適正かという中において、やはり半分がぎりぎりの範囲かな、こういうようなことから二分の一というのを申し上げた。
 そういう中で、これは全くだれもいませんけれども、とにかく私の考えは二分の一にすることが大切なんだ、そのためには段階的にでもやったらどうかということでありますが、今そういう段階的議論なんというのは全然出ておりませんし、やるときは、二兆二千億かかるわけですから、一気にやるかやらないか。その場合は消費税なのか消費税じゃないのかということで、もう少し現実的なことを、私見でありますが、私はそういうようなことで、安定財源を確保しつつということになっておりますけれども、やはりそれができるまでいつまでも放置しておいてもいいという話でもありません。何をもってまた安定財源かということも、これも国民の皆さん方の合意を、そしてまたこの国会の場において十分な議論をしていただかなければならない、こういうような思いがいたしております。
 とにかくも、できるだけ速やかに二分の一にして、若年世代に対して、国もここまでやります、ですから将来において、二分の一だと私の計算ですといわゆる逆ざや現象というのはなくなるんです、はっきり申し上げて、事業主を含めて。そういうこともありますし、とにかく二分の一にする。そのために、これはどうのこうのと、私も大変いろいろな議論をさせていただいておりますけれども、消費税なのかどうなのかということじゃなくて、これはやっぱりみんなで知恵を出し合いながら早くやっていくということが何よりも国民年金の安定化につながっていく、こう考えております。
#55
○今井澄君 税方式かどうかはともかくとして、基礎年金の国庫負担率を上げることによって国民皆年金の実を実現しようというのは、自民党さんの中でそういう意見が少なかったとすれば大変不幸なことでありまして、私どもの党は、過去にいろいろな党がありましたけれども、それぞれそのどこでもそういう議論はずっとしてきているんです、この間。それに、今、与党を組んでいる自由党さんももう完全税方式を出しておられますし、こういう議論というのは随分進んでいるんです。大与党自民党の中でこういうことが進んでいなかったということは非常に不幸なことだと思うんです。
 これも、歴代の厚生大臣の御答弁などは書かれたものを棒読みする答弁が多くて、税を入れるということはミーンズテストがどうのこうのという全く時代おくれの答弁を繰り返しておられたんですね。やっぱりそこに今の日本の政治のあり方の、政治家が本当に国民のためを考えてやらないで書かれたものを読む、そういう政治の欠点が出てきていると思うんですが、せっかくこれは国庫負担をふやすということになったわけだし、これをやることが国民のために今一番大事だと思うんです。
 だとすれば、そのことも含めて、早急に年金を安心してもらうことをやるためにも、ちょっと間違った経過で出てきてしまった今の二階部分だけの給付の削減と先延ばしはとりあえず凍結するというふうに言った方が、国民は、ああ、政治家は考えてくれているんだな、国会もみんなの不安、不信に対してこたえようと考えてくれているんだなと、私はそうなると思うんです。例えば三カ月凍結して、この間にではさかのぼって議論しましょうと。私はそれが今の政治のあるべき姿だと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。
#56
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、誤解がないように申し上げますが、五年前、六年前、七年前の話でありまして、現在においては自民党内においても二分の一論というものがもう主流を占めておりますということです。あの当時、何党が何ということじゃなくて、余りそのことについて強い議論が交わされた記憶がないんです、正直申し上げて。ちょっと手前みそで恐縮でございますが、そのときにずっと主張をさせていただいていたということで、経緯としてはそういうことであります。
 問題は、今、委員御指摘の、ではそれまで待ったらどうか、こういうことでございますけれども、やはり私は、今回このような姿を国民の皆さん方にお示しをして、そして次の課題として国庫負担の引き上げの問題というものをできるだけ速やかに解決していくことが先決ではないか。つまり、手順を追って一つ一つやっていく、こういう考え方に立つものであります。
#57
○今井澄君 しつこいようですけれども、私は手順が逆だと思うんです。
 要するに、今度の改正案、政府案のもとは、この五つの選択肢の中で、このままいくと保険料が三四・五%にもなっちゃいますよ、これじゃ大変でしょう。そこまでいかないためには、給付水準は下げざるを得ない、支給開始年齢も延ばさざるを得ないという五つの中から選ぶ、そこに帰着しているわけです。
 だけれども、もし基礎年金の国庫負担を三分の一から二分の一にできるだけでも一%は下がるんです、保険料率は。これは大きなことですよ。国民基礎年金の一万三千三百円というのは三千円下げて一万三百円に下げられるわけです。これができるかできないかという議論を今まで本気でどこでもやっていないんです、政府の中では。
 やらないままに出てきているんですから、せめてこの国会で、じゃ二カ月でもいいですよ、三カ月でもいいですよ、あるいは一カ月でもいいからとにかくこの議論をするのにとりあえず凍結しましょう。そしてやってみて、だめだったら、じゃこの案を審議し直しましょうとか、私はそのぐらいきちっとやるべきだと思うんですけれども、いかがでしょうか。手順というのはそっちだと思うんですよ。
#58
○国務大臣(丹羽雄哉君) せっかくの御提案でございますが、私どもとしては、各種の審議会で了承を得て、そして政府の責任において提出させていただいておるわけでございますし、今ここで先送りをするとかえって国民の皆さん方が不安と不信感を持つことになりかねない、こういう観点から、ちょっとそのことにつきましては残念ながら賛同しかねます。
#59
○今井澄君 いや、そうは言われましても、私どもは何も先送りしようと言っているんじゃないんです。見直しは必要だろうということを申し上げているんです。このままではいけないと。確かに、このままいったらこの五つの選択肢のどれかをとるしかないんですよ、このままいったら。
 ですから、そこのところを、一年というのはちょっと長過ぎるかもしれません。私どももちょっと対案でも提出しようかと思って一年間ちょっと協議をしようなんということを考えてみたけれども、これじゃちょっと出せないかなと思いまして、例えばそれは三カ月でもいいわけです。現に、この法案は昨年の通常国会冒頭に提出予定が会期末になっちゃっているんです。これは、与党の中で自由党さんと財源方式や二分の一問題をめぐっての議論があって、それでとうとう通常国会末まで提出できなかったわけです。もう既にそれだけおくれているわけです。これだけでも大変なことなんですよ。大変だ大変だ、これは一刻も猶予できないといって出されてきた法律ですから。それがここまで来ちゃったんです。
 どうせここまで来たんですから、あと二カ月や三カ月、これだけの議論が進めば、やっぱり凍結をして議論をしましょうというのが、ある意味でいったら私は見識のある良識の府の参議院の責務でもないかと思うし、そのことがまた逆に国民に、ああ、ごり押しでただ下げるだけじゃないんだな、真剣に議論しているんだなということで安心感を与えるきっかけにもなるんじゃないか、私はそういう気がするので、ぜひ政府の方にそういう意味では協力をお願いしたいんですけれども。
#60
○国務大臣(丹羽雄哉君) 連立を組んでおります自由党さんとの間で、税方式かあるいは社会保険方式かをめぐりましてかなり激しい議論のやりとりがあったことは事実であります。この問題につきましては、いずれにいたしましても大変重要な検討課題として今後検討を引き続き進めていく、こういうことになっておるわけでございます。
 それで、それだけもうおくれちゃいまして年金審議に入れなかったということも紛れもない事実でございますので、そのおくれを取り戻す意味においても、そしてとにかく四月から予定をしております、先ほども申し上げましたような、今井先生も大変これはいいことだとおっしゃった学生の免除の問題であるとかそれから半額制度、要するに空洞化を少しでもなくしていこうじゃないかというような半額制度、こういうものも四月から予定をさせていただいておるわけでございますので、そういう意味からも一日も早く御審議をいただいて日の目を見させていただければ大変ありがたいと、こう思っております。
#61
○今井澄君 私も学生の問題とか半額制度は、それは一日も早くやってあげた方がいいと思う。それは切り離して、部分的に早く四月一日から実施できるようにして、例えば六十五歳の支給開始だって、世界の国を見てみると六十歳というより六十五歳とか六十七歳という国まであるんです。これもどうしても考えなきゃならないんですが、今、時期が悪いんですよ、非常に。高齢者の雇用がうまくない。例えば、求職をして実際につける率が〇・六%とかいう話もあります。しかも、今度雇用保険法の改正案というのがこの国会に提出されるわけですね。それは、要するに六十歳以上でしたか、あれは今までは三百何日もらえたのを、今度はもらえる日数を減らすというんですから、やっぱりこういうときにはちょっと時期が悪いんで、これはそちらの審議も見ながら、例えばその部分は三カ月切り離すということも私はあり得ると思うんです。
 やっぱり国民に安心を与えるような政治、そのための議論をする、メッセージを発する、そのことが私は大事だと思うので、例えば四月一日からやった方がいいことは切り離してすぐに法案を成立させる、衆議院にも戻してそこは成立させていただく。残りの部分は、基礎年金部分というところが大事だということですから、それも込みでの議論というのを時間を限ってやるとか区切ってやるとか、私はそういうことは大いにあると思うんです。繰り返しの質問ですから、もうお答えは求めませんけれども。
 もう一つ、先ほどの五年ごとの財政再計算は、先ほど言いましたように、法律を読んでみると、計算をし直して保険料率とかそういうものを調整するというのが趣旨で、ただ、五年ごとに制度改正を提案せざるを得なかったという理由も私もわからないわけではないんです。日本は少子高齢化が余りに急速に進んでいる、だから悠長に構えていられない。計算するたびに抜本改革にまで手をつけざるを得なかったというのはわかるにしても、そのことが不安を国民に与えてしまったということをやっぱり反省して、長期的な視点でやっていかなければならないだろうと思っています。
 ところで、もう一つ国民の中に非常に不安があるのは、けさの新聞にも出ておりましたが、社会保障制度審議会が日本版四〇一k、まあ一応いいでしょうということで答申が出たようであります。ただ、社会保障制度審議会自身も問題点を指摘していると。自己責任ということでひょっとすると元も子もなくなってしまうようなこういう制度を果たして日本にすぐ導入できるのかどうか、いろいろ問題もあるということで答申の中に書いてあるようであります。
 そこで、私は一昨日の審議でも申し上げましたが、年金制度というのは、公的年金、これは国として最後に残る大事な国の責務だろう、国民が国に期待することだろうと。アメリカのように医療保険が完備していない国でも公的年金だけはちゃんとある。そういう意味でいうと公的年金制度を維持するのは非常に大事だと思うんですが、これを公的年金は基礎年金だけにして二階部分は民営化してしまえという経済戦略会議の御意見なんかもあるわけです。
 私は、今度の日本型四〇一kというのは、三階の今の私的年金の部分、企業年金のところにこういう選択肢もあるというのはいいと思うんですけれども、これがもし二階部分をこういうふうにしようとすれば、これはもう大変なことだと思うんです。一応、今、日本で圧倒的に多いのがサラリーマンです。このサラリーマンが安心して仕事につき、安心して退職をし、安心して老後を送れる、これが基本になって、自営業者の人は二階部分がないんでちょっとお気の毒で、これも将来考えなければならないと思いますが、とりあえずこの厚生年金を公的年金として維持することが国民の安心のためにも大事だと思うんです。
 大臣は、きのうの社会保障制度審議会の答申、経済戦略会議の提案、提言を踏まえて、二階部分の民営化について、あるいは四〇一k型についてどうお考えでしょうか。
#62
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、順序が逆になるかもしれませんけれども、経済戦略会議の御提案でございます。
 一つの貴重な御意見として私も読ませていただきましたけれども、公的年金を基礎年金だけにして報酬比例部分を民営化するということでございますが、私はこれは企業年金のない中小企業などに勤めるサラリーマンのお年寄りの方々の所得保障が基礎年金のみになりかねない、こういう心配があります。それから、将来、インフレが発生した場合にはどういうふうに対応していくのかということ。それから、現実問題として、賦課方式をとっておるわけでございますので、移行時には二重の巨額な負担という問題が発生してくる。こういう点から、私はやはり今井委員と全く同感でありまして、公的年金制度の中で報酬比例部分というのをきちんと運営していくべきじゃないかと、こう考えております。
 それから、もう一点のいわゆる確定拠出型年金制度でございます。
 これまでの確定給付型でございますが、現在ありますのは、これはいわゆる中小企業であるとか自営業者にいま一つ反映しておらないということで、どちらかといえば、さっきの新聞の見出しの話もありましたけれども、大企業が中心になっている。それから、労働力の流動化が進む中で、転職の際の年金資産の移換の問題、ポータビリティーが十分に確保されないのではないか、こういうことに対する対応が不十分じゃないか、こういうことが指摘されておりまして、これらの問題に柔軟に対応できるような新たな選択肢として確定拠出型年金というものを導入することになったんですが、これはあくまでも三階建て部分でございます。御承知だと思います。三階建て部分でございまして、現にそれぞれの企業がやっていらっしゃる企業年金であるとか、さまざまな形のそれに上乗せしている部分の中の選択肢の一つであって、しかもこの導入に当たってはあくまでも労使の合意が前提になる、こういうことでございます。
#63
○今井澄君 やっぱり二階部分を公的年金としてきちっとやっていこうという、そういう政府の態度、ぜひそれは守っていただきたいと思いますし、大事なことだと思っているんです。
 自営業者の方々には二階建ての部分、公的部分がないということも、これは果たしていいのかなということもあるだろうと思いますけれども、スウェーデンでは今度新しい制度ということで、自営業者もサラリーマンも通した所得比例年金で、掛けた掛金に応じて年金をもらえると。ただし、一定の低所得者は低い額しか掛けていないので、そこのところは最低保障年金というのを乗せるという制度になるようです。
 日本でもそういう案を提案している人がおられまして、昨年の暮れに出ました「「福祉政府」への提言」という、神野さん、金子さんが書かれたものがスウェーデン型のような、これはサラリーマンとか何かに関係なく、所得捕捉に関係なく、とにかくその人が掛けた保険料に比例して年金が払われる。これは大変いいシステムだと思うんです、負担と給付がはっきりしていますし。そして、だけれども、掛けたくても保険料を掛けられない低所得者の場合には年金を出すときに上乗せして税からプラスするというなかなかおもしろい、将来はこういう方向の改革も日本でもあり得るのかなと思います。
 それはそれとして、ともかく今の段階では、私は、もらえなくなることはあり得ないのにもらえなくなるかのような、そういう不信感が広がっていって制度が崩壊していく、これは一番ばかげたことだと思うんです。何といっても、崩壊することはない、国としては守るんだということ、それで決して掛けたお金より少なくしか戻ってこないということはないんだ、必ず少しでもふえて戻ってくるんだと、しかもそのときの物価に見合って戻ってくるんだと、このことを徹底的に広報するとともに、やはり保険料を上げない努力をする必要があると思うんです。その意味では、繰り返し繰り返し申し上げておりますように、二階部分だけの議論ではなくて、一階部分の議論をきちっとしなきゃならない。
 ということで、柳田先生の質問時間にかなり食い込んで申しわけないんですが、最後に質問したいのは、民主党が去年の八月に年金制度の改革案を中間報告としてまとめております。その前に私どもは通常国会に対案も提出しております。基本的には同じものでありますし、今もまた同じ流れの中で、場合によってはと思って対案を準備してはいるんですけれども、やはり基礎年金のところに重点を置いた再構築と信頼回復の方法です。
 民主党案について大臣の御見解をお伺いしたいと思うんですが。評価。
#64
○国務大臣(丹羽雄哉君) 民主党さんがまとめられました年金制度改革案でございますが、将来世代に過重な負担を押しつけることのないような給付と負担の水準の設定が必要だ、こういった基本的な視点というのは私どもと同じ認識に立っている、こう受けとめております。
 問題は国民基本年金制度でございますが、これにつきましては、基礎年金部分については税財源によって全国民に一定額の年金を支給するという部分が中心になると、こう受けとめておりますが、給付水準であるとか、これに充てるその財源だとか、こういうような問題、それから先ほどから申し上げておりますような負担と給付の関係、この辺がどういうふうになっていくのかなということがあります。
 いずれにいたしましても、まだ中間的なまとめとお伺いしておりますので、またでき上がりましたらひとつ教えていただければと思っております。
#65
○今井澄君 実は、これはいろんなことが書いてありまして、どうですかとお聞きするのも大変失礼な質問かと思ったんですが、私どもの考え方の基本は、国民基本年金というのは、あえて何で国民年金とか基礎年金という名前を変えて国民基本年金ということで基礎年金の変革を提案しているかといいますと、先ほどの久野先生の御質問に対するお答えにもあったように、今、国民年金、基礎年金で一階部分は共通だというけれども、実態は違うんですよね。サラリーマンにとってみると、基礎年金部分の保険料は幾らで、その分のお金はどこにたまっているかなんというのは全然わからないんですよ。要するに、老人医療制度と同じ財政調整にすぎないということが実は一番の問題だと思うんです。
 ここでいわゆる第三号被保険者、サラリーマンの妻の問題も出てきているわけじゃないですか。結局、この人たちは保険料も払わないでもらっている、いや、亭主が払っている、亭主が払っているというんだったら、では共稼ぎで払っている女性の保険料は専業主婦の保険料の一部負担しているんじゃないかとか、いろんなことも含めて、とにかくごちゃごちゃの議論になっているわけですね。
 今は国民年金、基礎年金、一階部分は共通ですよといいながら、財布の中身はわからないし、支払い者側に言わせてみれば、基礎年金部分の積立金が四十兆あるといったって、そんなのないよ、あれは全部含めて厚生年金の積立金ですよと、こう言うわけですよ。もうそこでも意識が全然違うんですね、サラリーマンの方と。
 だから、そういう意味で私は税方式にすることも含めて、これは大臣は二分の一までというお考えですけれども、そういうことも含めて、本当にこれが基本年金だということで、単なる財政調整をやっているにすぎないのを何か制度的に一本だと言い逃れているわけですけれども、そうじゃなくて、本当に一本にするということを私ども民主党は提案しているんですよ。単に税方式にするとか名前を変えるというだけじゃない。そこを御理解いただきたい。
 もう一つ、これが実現できるかどうかが非常に難しいんですが、報酬比例部分、二階部分ですね、これをネットネット方式でやっていきたいというのが理念なんですよね。ただ、これは実際問題として、賃金とか雇用とか経済情勢とかいろいろ考えて、また保険料をどこまで、一方で税方式にすればかなり下げられますけれども、保険料をどこまで負担していただけるかということで難しいんですけれども、理想的には働く人々が税とか保険料とかを納める。そうすると可処分所得が残る。その可処分所得に対して、高齢者もこれからは保険料は納める、自己負担は払うということですから、そういうものを除いた可処分所得、この比率はある程度一定にできないだろうかということが私どもの基本的な考え方で、今の水準より余り下がらない程度の水準でどうだろうかというのが私どもの考え方なんです。
 だから、保険料をこのままほっておくと三四・五になるから、これを二〇%台に抑えるためには給付をとにかく、掛け率をあれして五%削り、賃金スライドは削り、六十五歳に延長し、こういう財政再計算、冷たい数字、数学の世界じゃなくて、本当に国民が安心してもらえるような年金制度全体、これを議論していきたいというのが私どもの提案でありますので、ぜひよろしく御理解をいただきたいと思います。
 そんなことで、また私ども中間報告から対案を含めて具体的な提案をさせていただきたいと思いますので、こういう議論を今後とも続けさせていただきたいと思います。
 大幅に時間を食い込みましたが、あと同僚の柳田委員の方に質疑を移したいと思います。どうもありがとうございました。
#66
○柳田稔君 大臣に質問するのは久々でございまして、僕もこの世界に入って十年たちます。十年前にほかのハウスの厚生委員会で大分お世話になりまして、いろいろとこの年金の経過についても私なりに勉強はさせてもらったつもりなんですが、それはそれとして、まず冒頭聞きたいのは、この通常国会の予算委員会、また昨日のクエスチョンタイム、いろいろ質疑を聞きながら、今、政治がやるべき最も重要な課題というのは一体何なのだろうかと、今ですよ。総理初め与党さんの考えなんですけれども、これは一体何なのか、ちょっとお尋ねしたいんです。
#67
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、小渕内閣の誕生の経緯をちょっと、党内事情なんかもございますけれども、小渕内閣が発足いたしましたのは、前内閣のいわゆる行財政路線というものが非常にタイミングが悪かった、方向性は私は間違っているとは思わなかったんですが、それが要するに与党にとって大敗北につながったと、参議院選挙でございますが。こういうことでございまして、そしてそういう中で小渕内閣が発足をいたしまして、私は党の方の政調会長の一端を担ったわけでございますけれども、とにかく二年連続の経済成長、マイナス成長の中にあってプラス経済成長にしようじゃないかということを至上命題といたしました。
 私自身、ちょうど一昨年の夏はもう毎日毎日徹夜徹夜で、しかも金融の問題で最後に私もこの問題を担当させていただいたわけでございますが、とにかく金融の安定化をしないと日本発の世界恐慌が起きるんじゃないか、こういうことが毎日のように報道機関から流れるというような大変な状態でございまして、要するにタイタニック号のように日本という国はもう経済的に立ち直れないのではないか、こういうことが大変指摘されたわけであります。
 そういう中で金融の安定化対策というものをやりまして、その後、十七兆円に及ぶ大型の補正予算ということで、いわゆる景気のかじ取りを百八十度変えました。平成十二年度の一般会計は前年に比べまして三・八%でございます。十一年度が五・四%、それで十二年度が三・八と。その前は〇・四%増ですから、〇・四から五・四というふうに非常に大きく変えたわけでございまして、我が国の将来に対して、一部には午後の三時であるとか午後の四時ではないか、こういうような御主張をなさる方もいらっしゃって、このまま沈んでいってしまうのではないか、こういうことが懸念されておったわけでございます。
 いろいろな御批判はありますけれども、強力な財政出動を行いまして、とにもかくにも、ことしはプラス〇・六と言われておりますが、プラス成長が期待できるというところまで来たわけでございまして、私ども最大のまず優先課題はやはり景気の回復をなし遂げていかなければならないということでございますが、厚生行政を預かる私の立場としては、今、豊かさの中の不安の時代、こういう中で、老後などへの不安というものが個人消費を冷やしているのではないか、こういうような御指摘もあるわけでございます。
 これを重く受けとめまして、将来において長期的、安定的な社会保障制度の拡充に努めていくということが私は同時に大切だと。そのためにも、景気がよくならなければ保険料も取れませんですから、今凍結にしておるというのはそういうことでありまして、これも実は私が、本来こういうような社会保障の、保険料云々というものは景気に左右されるものではないと思いますが、あれは私の政治判断で、もうそんなことを言ってはおれないというちょうど二年前の状態でありまして、そういう中で保険料の凍結が決まったという経緯があるわけでございます。
 とにもかくにも社会保障を安定的なものにするためにも景気をよくしていかなければならぬ、こういう観点に立つものであります。
#68
○柳田稔君 景気対策が一番の課題だということですよね。景気対策が最優先事項であると。
 きのう、クエスチョンタイムを聞いていましたら、総理は、景気対策が一番である、財政再建は後回しです、財政再建の計画の骨格を示すというのは今時期ではありません、今は一も景気対策、二も景気対策、三も景気対策ですというふうな感じで我々は受け取ったんですね。野党である我々も景気対策が今一番必要であろう、そう思っています。
 そこで、今、国の借金は幾らなんでしょうか。もう本予算も衆議院では二十九日に通るとかいう話にもなっていますし、参議院も来月下旬には通るだろうと言っています。そうすると、この本予算が通った後で国の借金は一体幾らぐらいなのかなと。そして、国というのは、政府ですね、地方自治体も合わせた全体の国の借金は幾らなのか。大体でいいですよ、大臣。
#69
○国務大臣(丹羽雄哉君) 正確に申し上げておきますと、平成十二年度で国債残高が国が三百六十四兆円、国と地方を合わせまして六百四十五兆円であります。
#70
○柳田稔君 橋本政権のときに国、地方を合わせた額が四百五十兆円ぐらいでしたね。当時は、国の財政はこのままではだめになる、国がおかしくなる、よってやらなきゃならない、そう言っていましたよね。今や、それから比べると二百兆円近く膨らんでいるわけでしょう。もっとひどくなっているんですよね。
 これをこの年金と比べて考えてみますと、財政再建というのは、今、厚生省がお示しになっている分ですよ。収支が合いません。将来の若年の負担、それを考えたときに大変ですから、お金が足りませんので、今その将来も見越して財政再計算をさせてほしいと言っているんですよね。そうですよね。どうでしょうか。
#71
○国務大臣(丹羽雄哉君) 最後の財政再建の何ですか。ちょっと済みません。
#72
○柳田稔君 だから、国は小渕総理を初め、我々も景気対策優先だと考えている。ただ、その後が違うのは、我々はただここまで膨れ上がった六百五十兆円という借金のことを考えると、その財政再計算の骨格ぐらいは示すべきではないかと我々は思っているんですけれども、でも自民党を初め自自公さんはそんなことは要らない、やらなくていいと、今は。一も景気対策、二も景気対策、三、四がなくて五も景気対策でしょう。自自公の方針がそうなんですよ、基本方針は。これはわかりますよね。
 これと今度は年金財政を比べたときに、年金財政が大変だというのはよくわかるんです、私はずっとかかわってきましたから。だけれども、今議論している内容というのは将来大変だからと言っているわけでしょう。さっきからの大臣の答弁を聞いていますと、将来が大変なんです、若年世代が大変なんです、よってお年寄りの皆さんにもそれなりの負担はお願いします、将来が大変だから支給は減らしてほしい、そう言っているわけですよね。ということは、国が今、総理初め言っておる景気対策と財政再計算ですね。そうすると、財政再計算の方を年金の方はやらせてほしいと言っているのと同じじゃないですかと言いたいんです。
#73
○国務大臣(丹羽雄哉君) なかなか難解な、何かくせ球のような感じがしないでもないんですが、私の考えは景気対策が最優先であるということには変わりはありません。いわゆる景気対策の中でむだがないだろうかとか、あるいは要するに費用対効果、こういう観点からどうかとか、そういうことは当然のことながらチェックをしておりますし、今後ともより厳しく進めていかなければならない、こういう考え方に立っておるわけでありまして、何か景気対策が必要だということがばらまき的なような印象をお持ちになっていらっしゃるとすればそれは大変残念な御理解である、こうまず考えております。
 要するに、今、柳田委員のおっしゃっていることは、片一方でこれだけ金を出しているんだから先のことは後でもいいんじゃないか、こういうふうに、私なりの理解が間違っていればまたすぐ直しますけれども、聞こえたんですが、これは要するに今、年金の財政が置かれている段階、そして現に年金の保険料をいただいている現役の若年世代の年金に対する不信感であるとか不安感を解消するためにもこの問題は先送りできないということであります。
 だからといって、話が行ったり来たりで恐縮でございますが、財政再建をやらなくていいなんて思っている人は一人もおらないわけでございますし、子々孫々に残す問題でございます。私が常々申し上げておることは、要するに子々孫々にそのような借金を残すというようなことは厳に戒めていかなければならない。そのために年金改革もあり医療改革もあるんだと、こういうようなスタンスをとっておるような次第であります。
#74
○柳田稔君 では、議論を次に進めていきますけれども、今回の年金改正というのは基本的に国民の多くが将来に対する不安を逆に大きくしているんじゃないかと私は思うんですよ。要するに、六十から六十五までなったときに一体どうして食べていこう。その解決策は何も示さない。あなたたちが勝手にやれと言っているようなものですよね。そうはいいつつも、話を順番に進めていきたいと思うんですけれども、景気対策が最優先なんで、私はその中の大きな要因として年金も考えている。
 日本のGDPというのは、個人消費が約六割ぐらいですね。それで、設備投資が大体二割弱ぐらいですね。公共投資、自民党さんが一生懸命やっている公共投資というのは約一割ぐらいですよね、GDPの大体占める割合というのは。そういうふうに認識しているんですけれども、大臣はこの割合についてはこれぐらいだろうかというふうに思われますか。
#75
○国務大臣(丹羽雄哉君) その割合は、今、委員の御指摘のどういう計算方法をとるかによりますが、私もそのような認識に立っております。
#76
○柳田稔君 そこで、予算委員会等の審議を聞いていますと、公共投資、去年の初めはよかったですね、大分効きました。それ以降振るいませんね。あれだけ補正をつくって、あれだけ金をばらまいても余り効かなくなりました。なぜなんでしょうね。これは厚生行政とは違うかもしれませんけれども、先ほど大臣は、自民党の政審会長代理でしたか、そういう立場でこの年金のことも推し進めたんで、ちょっと触れてみたいんですけれども、なぜなんでしょうかね。
#77
○国務大臣(丹羽雄哉君) ちょうど今、我が国の産業構造というのは大きな変革期に来ているんではないかな、こういう感じを持っております。
 IT革命という言葉があります。それで、要するにそういう中において情報分野などは大変な勢いで今その飛躍というものが期待されているわけでございますが、その一方で、柳田委員の御出身の鉄鋼メーカーの会長、社長にも一昨日ちょっと話を聞いてくれということでお会いしたことがあるんですが、なかなか厳しい状況だということで、やっぱり産業構造が少しずつ変革しているのではないか。そういう中でこれまでのような、委員がおっしゃりたいのは従来型の公共投資をいつまで続けていっても景気に効果は出てきませんよと、こういうことだと私は思うんです。
 確かに、この公共事業というものは費用対効果ということにおいてなかなか検証しにくい面があるわけでございますけれども、よく新聞などで紹介されるような、港が釣り堀になっているとか、私は実態はよくわからないんですけれども、それから山の上の方へ行ったら大変な弾丸道路ができているとか、いろいろ過疎地、特に地方においてそういうような傾向があるわけでございます。そういうことは私どもは率直に申し上げて、いろいろな理由もあると思いますけれども、現にこういうものは財政再建以前の問題でありますから、とにかくこのニーズがあって、そして直接経済に効果があるものを最優先として取り組んでいかなければならない、こう考えています。
#78
○柳田稔君 要するに何を言いたいかというと、今まで一生懸命一年半かけて、また今度の本予算も公共投資に大変重きを置かれてやられていますよね。しかし、そう芳しい答えは出なくなってきたし、マイナスとは言いませんけれども、その面については少しプラスかもわかりませんけれども、GDPの一割ですからね、それは。とすると、公共投資、今まで頑張ってきた、しかし全体に響くプラス材料というのはそう大きくもない。としたら、個人消費、ここに重きを置く必要があるのではないか、そういう時期ではないのかと私は思うんです。
 私も、今、大臣おっしゃいまして、前に鉄鋼メーカーにおりましていろいろな勉強をしましたけれども、まず改革するときは一番大きなシェアといいますか、割合を占めているところに手をつけなさいと。だから、今のGDPでいうと、まず個人消費について大きく考えなさい。その次に大きいのは設備投資、だからそれについて考えなさい。最後に、公共投資が一割であればそれを考えなさい。そして、やる順番はその順番でやりなさいというふうに教えられた、サラリーマンとしては。多分これはどこの世界に行っても一緒なんだろうなと思うんです。
 この個人消費ですよ。予算委員会で大臣の派閥の会長の宮澤大蔵大臣が個人消費は思わしくありませんとおっしゃる。理由はと聞いたら、個人の所得が伸び悩んでおりますというお答えでした。なぜ伸びないんでしょうね、個人消費が。
#79
○国務大臣(丹羽雄哉君) 消費者マインドというのは非常に常に個人消費が伸び悩むときに分析されて、これといった決め手はなかなかないんですが、恐らく宮澤大蔵大臣がおっしゃったのは、昨年の暮れのボーナスがカットされているとか、給料そのものが減ってきているとか、あるいは合理化、リストラ、こういうような中で将来に対する、将来までいかなくても、今の不安というものが増大しているということに対して消費が冷え込んでいるという分析をなさったのではないかな、こう思っています。
#80
○柳田稔君 ことしは衆議院選挙があります。二〇〇〇年最初の選挙で、二十一世紀の前半といいますか初めの方向性を決める選挙ですから大変重要な選挙だと思いまして、私もいろいろと歩き回っているんです。いろいろな人の話を聞いたり、サラリーマンの人、お年寄り、女性、いろいろ話を聞いているんですけれども、皆さんになぜ個人消費が伸びないのかと聞いてもちょっと難し過ぎるので、なぜ皆さんはお金をお使いにならないんですかと聞くんですよ、わざと。なぜお金を使わずに貯金ばかりするんですかと。
 そうしたら、どういう答えが返ってきたかというと、小さな中小企業です、うちの会社はいつまであるかわからぬのじゃと言うんですよ。大きな企業でも、いつ合理化されるかわからぬのじゃと言うんですよ。これはちょっと広島弁かもしれませんが。いつまで私はこの仕事を続けていられるんだろうかわかりません、再就職はままなりませんと。とすると、雇用保険についても先ほど今井先生の方から、私にとっては逆の方向の改革を出しているなとは思うんですよ、今の時期からいうと。それはおいておきますけれども、要するに雇用に対する不安が一番大きいんですと言うんです。
 その次に、年金が六十から六十五歳に引き上げられたときに、六十代前半にどうして食べていけばいいのと言われるんですよ。だから、皆さんのお答えは、働いている現役世代のお答えは、もしもの場合に備えて貯金をします、そして六十代前半を食べていくために貯金をせざるを得ないんです、よってむだな消費はしません、使えるものは壊れるまで使いますとおっしゃるんですよ。
 民間サラリーマン、公務員含めて、第二号被保険者というのが四千万弱いるわけでしょう。その家族を含めるともう日本の人口の半分以上ですね。この人たちがそういった雇用に対する不安、年金に対する先々の不安、だから個人消費が私は伸びないと思うんですけれども、大臣、どう思われますか。
#81
○国務大臣(丹羽雄哉君) 確かに最近大変厳しい合理化、リストラが行われて、その犠牲でやめた方々の話も何人か聞いております。
 それで、率直に申し上げて、どこまで深刻かどうかという話になりますと、私もまだまだ話としては甘い話も聞いたりさまざまでございますけれども、要は、私はこの消費者マインドというか、これは私見として聞いていただいてよろしいですか。
#82
○柳田稔君 いや、政治家丹羽雄哉先生として言ってください。
#83
○国務大臣(丹羽雄哉君) 日本の賃金体系というのは大体年功序列型、率直に申し上げて、二十代、三十代はあれも買いたい、これも食べたい、四十代、五十代は子供のローンもある、住宅もある、六十代、七十代はもうしつこい脂っこいものはだめ、簡単なもの、お茶漬けとそれこそ酒のさかなでもあればいい、私はまだ五十代なんですが、どっちかというとそちらの方なんですが。
 ということで、年功序列型賃金の中でだんだん給料が上がって、やめた時点で退職金がある。この人たちは、実は一般的なことで大変苦労している方もいらっしゃるものですから、その辺のところはちょっと私の印象として申し上げるんですが、たくさん持っているんですね。
 ところが、だんだん年をとってくると消費意欲がなくなってきます。要するに、洋服を買いたいとか何とかをしたいとか、だんだんそういうようなあれがなくなってくる。そこにそもそもの私は何か日本における消費活動というものがもう一つ活性化しない。アメリカは御案内のように貯蓄率ゼロです。日本は貯蓄率二〇%です。その違いはどこにあるのか。
 私は、これからの時代は、これもまた極端な、一政治家丹羽雄哉の私見でありますけれども、昔の私どものじいさん、ばあさんは、おい、雄哉、お前たち孫のために美田を残すのが我々の役割だということで、本当につめに火をともすようにして何か残していただいて、大変ありがたいことなんですが、私、茨城にも三反五畝の田んぼがあるんですけれども、何も使っていない、貸しておりますが、要するにそういう時代を昔の人たちはずっと送ってきた。
 私は、これからは変わってくるんじゃないか。つまり、自分の代で働いて自分の代で使い切る。つまり、残さず、そのかわり余り子供さんにも頼らない、こういう時代になってきている。要するに、核家族が進んでいて、皆さんの中にたくさんそういう御経験があると思いますが、どこか北海道へ帰って親の面倒を見たくても、どうも親は嫌だとか、そういう話だと思います。そういうような残さず、頼らず、こういうことにだんだん変わりつつあるのではないか。そういうような何か、今までのことが悪いとかいいとかということじゃなくて、さまざまな意見がありますが、そういうことを全く度外視して消費というものは変わらない。
 すべてとは申しませんけれども、私もこういう仕事柄、特別養護老人ホームなんかを見てくれなんてよく言われるんですが、一番大変なのは何かというと、施設長さんが言うのは預金の管理だというんです。これがもう大変な管理で、お金をもらって預金の管理というのならいいんだけれども、大体平均で五百万ぐらい、この間、大体五十床ですけれども、あると言っていました。預金の管理が、神経は使うし一番大変だと。中には、ベッドの下に隠しておいて、よくある話ですが、亡くなったら余り近くないような親戚が来るんだというようなことであって、その辺のところをどうやって御理解いただいていくのかということが私はこれからの課題ではないかと思います。
 きのうも私は申し上げたんですが、読売の社長が盛んにこれからは年寄りを使え、年寄りを使えと言うけれども、現役世代の負担ということ、私どもはそれを言っているんだと。しかし、何かあればマスコミはお年寄りへのしわ寄せと、こういうふうに書きますよ。ちょっとその辺矛盾しているんじゃないですかと言ったら、苦笑いしておりましたけれども。
 やっぱりその辺の社会保障という問題は非常にしんどいです。私なんか本当にもう厚生大臣をやったおかげで票が何票減っているかわからないです、はっきり言って。それは冗談ですけれども。今のはなかったことにしてください。
 そのぐらい私はやっぱり地元に行っても、介護保険の重要性、当然負担が伴います。それから、丹羽さんが厚生大臣になるから我々の年金を上げてくれるんでしょうと、こういう質問をされる。いや、そうじゃないんです。今度は皆さん方は下がるんです。しかし、皆さん方が下がるというよりは、皆さん方は下がらないにしても、将来のことを考えると、これから新しくもらっていく、要するに年金をもらう方は下げていかざるを得ない。そうじゃないと、皆さん方の子供さんやお孫さんに、それこそ一番最初のお話になりますけれども、莫大な借金をさらに上乗せすることになるんです。だから、私はよく言うんです、敬老会で冗談で。
 要するに、皆さん方はお孫さんに小遣いはもう上げる心配しなくて結構です、そのかわり借金は残さないでください、こういうことを申し上げるんですけれども、なかなか御理解いただけなくて、大変私は地元では不人気であります。
 ちょっと変なところに入りまして恐縮です。
#84
○柳田稔君 私見はお聞きしましたけれども、すべて忘れておきます。
 大臣にお聞きします。
 雇用に対する不安、将来の年金に対する不安、よって個人消費が伸びない、このことについて大臣としてはどうお考えですか。
#85
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから申し上げておりますように、まず景気を回復させる、そして今、私は日本の土壌の一端を御紹介申し上げさせていただいたわけでございますけれども、要するに社会保障、豊かな老後を過ごせるような体制、しかも率直に、先ほど今井委員の御質問にも申し上げましたけれども、きちんと国民の皆さん方にデータをお示しして、そして国でどこまでやれるのか、あるいは公的保険制度の中でどこまでするのかということをきちんと明確にしていくことが何よりも大切だと、こう考えております。
#86
○柳田稔君 個人消費が伸びない理由について、将来の年金に対する不安、それは六十から六十五まで食べるためにどうすればいいか、それに対する将来の不安、このことが個人消費の伸びの足を引っ張っているんではないですかと私は考えますけれども、大臣はこのことについてどう考えますか。
#87
○国務大臣(丹羽雄哉君) それぞれの考え方、感じ方でございますので、私が今、柳田委員の御指摘に直ちに反論なり何か申し上げることはないんですが、私は、今回この法案を成立させずして、そして将来の設計図を示さなければますます年金に対する不安、不信が増幅してくるのではないか、こういうふうに考えております。
#88
○柳田稔君 まだ質問も三分の一ぐらいしかやっていないんですけれども、大臣、いいですか、今、大臣はおっしゃいましたよね、将来に対する設計を国民に示すことが必要だとおっしゃったんですよ。
 議論を一番最初に戻します。六百五十兆も借金をしているこの国が、だれがどう考えたって不安ですよ。一億二千万で割ってみてください、一人五百万超えるんですよ。四人家族で二千万ですよ、もう借金が。将来に対するこの借金をどう返していくかというビジョンを示すことが必要だと大臣はおっしゃっているんですよ、今、一生懸命。政府の方針と反しませんか。小渕総理は何と言っているんですか。そんなことをするよりは景気対策が先だと言っているんですよ。僕らは、骨格ぐらい示したらと言っても、そんなのも要らないと言っているんですよ、今は要らないと。何か自民党総裁・総理を初め皆さんが一生懸命やっていることと全然逆のことをやっていませんか。最初にそれを言いたかったんですけれども。
#89
○国務大臣(丹羽雄哉君) 景気回復と社会保障制度の安定という問題を同じ次元で考えることができるのかどうか、その辺のところは何とも私も今ここで整理ができないところでございますが、要するに景気がよくならなければ、現に今、保険料も凍結している状態でありますし、私はやはり正常な形にして国庫負担を二分の一にするということが望ましい、こう考えておりますし、それは相反するようなものではなくて、とにかく景気回復するまで社会保障の姿を示さないという考え方はいかがかな、こう思っております。
#90
○柳田稔君 話としての次元は違うかもしれませんけれども、なぜ年金の将来設計を示した方がいいか、その理由は不安を取り除くためと大臣はおっしゃったんですよ。年金に対する不安を取り除くためにこれを導入した方が国民は安心しますと大臣はおっしゃったんですね。同じじゃないですか、不安を取り除くということについては。一人頭五百万強、四人家族で二千万でしょう、一億二千万で割ったらですよ。莫大な借金がありますよ、この借金はこうして返します、だから大丈夫です、御安心ください。同じでしょう、理屈は、不安を取り除くについては。だけれども、総理初め内閣は、そんなことはまだ後回しだ、一にも二にも景気対策だと言っているわけですよ。不安を取り除くという点については逆行していませんか。おかしいんじゃありませんか。逆に、心配してくださりますな、何でもやって年金の掛金はそう上げません、何でもやって支給額は下げません、そうやっている方が景気対策じゃないんですか。違いますか。
 だから、僕はどう考えても、今回、年金のこの自民党さん初めのやり方は基本から全然外れて逆行している、百八十度違うことをやっていると言うしかないんですよ。まあ時間だからやめなきゃならないのかもしれませんけれども。
 大臣、橋本政権の財政再建は方向性としてはよかった、しかしタイミングが悪かったと大臣はおっしゃった。そのことは認めたんですよ。今回の年金改正はどう考えても国民にとっては痛いですよ。だけれども、しなくちゃならない、よくわかっています、我々も。タイミングが悪いんですよ。
 それで、衆議院で年金の採決を強行されました。参議院は一生懸命審議をしていいものをつくろうと与野党とも努力されると思うんです。ですから、答えはいつ出るかわかりません、たくさん課題がありますから。しかし、ここで強行したら必ず国民は怒りますよ。いろんなところで聞いてみても、今度の改正はないよと、大臣がおっしゃったようにタイミングが悪いと言う人も多いんですよ、言っておきますけれども。しようがないけれども今やってくれるな、おれたちは不安なんだ、その不安の中でさらにこんなことをやられたらどうするんだと言われている。僕は、多分こういう人たちが一番多いと思うんです。だから、今井先生は社会保障の制度の面から今は凍結したらとおっしゃった。
 私は、景気対策とおっしゃる、国民の不安を取り除くとおっしゃるんだったら、今はこんな年金改正なんか凍結したらどうかと。やっていいものはありますよ、それは。学生に対するいろんなもの、ああ、これはいいな、これはいいなというのはある。それは認めますよ。しかし、不安をあおるような改正はやめた方がいい、凍結した方がいい。それが個人消費を伸ばす一つの大きな要因だと思うんです。
 私は自民党じゃないからこんなことを言っては変ですけれども、与党の方針がそうであるんだったら、そうされたらどうなんですか。
#91
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから今井委員そして柳田委員と、引き続き同じ御主張を拝聴させていただいております。
 一つの御意見ではないかということで承らせていただきます。
#92
○柳田稔君 終わります。
#93
○委員長(狩野安君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時三十四分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
#94
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、亀井郁夫君が委員を辞任され、その補欠として脇雅史君が選任されました。
    ─────────────
#95
○委員長(狩野安君) 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#96
○山本保君 公明党・改革クラブの山本保です。座って質問させていただきます。
 最初に、厚生大臣にお伺いしたいと思っております。
 一昨日、政務次官にお聞きしたこととダブるのでございますけれども、ちょうどきのうですか、総理の有識者会議が開かれたというお話も出ております。自分自身も福祉行政には携わってまいりましたので、これまで福祉というのは現状に対して対症療法的なことしかなかったのじゃないかと思っておるんです。特に介護保険等を見ましても、これから二十年先にはどれぐらいお年寄りがふえ、そしてその中で寝たきりの方が何百万人になる、また痴呆の方がどれだけだと、こういう形。
 しかし、これはそういうふうにこれまでの福祉や医療がつくり出してきたという面が非常に強いわけでして、実際には私どもがみんなで頑張って努力をすれば当然その数字というのはもっと少なくできるはずでありますけれども、これまで福祉行政というのはそういう考え方をほとんどしませんでした。
 今度発表になった、年末に出ましたゴールドプラン21をこの前少し議論したわけですけれども、その中にはヤング・オールドという名前で、自立のお年寄りを九割にしよう、こういうことが出されております。私は、これまでこういう考え方というのはほとんどなかったのじゃないかなということで大変高く評価しているわけなんです。
 こうなりますと、まさにこのきょうの議論であります年金にしましても、元気で働いているお年寄りがどれぐらいいるのか、また働くだけではない、趣味でありますとか学習とか社会参加、社会貢献活動というような、お年寄り全体の像といいますか姿を、まず目標を持って見て、そしてその目標にどう持っていくのかという形でプランを練っていく必要があると思っているわけですが、これまでそういう考え方は私はなかったと思っておるんです、今回初めて厚生省が九割の方が自立、元気なお年寄りだと、こういう目標を出されたわけですから。
 最初にお聞きしたいことは、昨日も議論があったようでございますけれども、私は、ぜひ初めて厚生省として打ち出した、いわゆる目標値を示されたものをより具体的に年金、福祉、介護また医療、こういうところに波及させ、それからまたほかの省庁の住宅政策でありますとかバリアフリーの関係でありますとか、または大学、高等教育機関というようなものも全部含めて、もってこの数字を基盤として計画をしていくべきではないかと思っておるんです。
 ぜひ厚生大臣にはそのリーダーシップをとっていただきたいと考えているわけでございますけれども、この辺について大臣のまずお考えをお聞きしたいと思います。
#97
○国務大臣(丹羽雄哉君) 二十一世紀を明るく活力ある社会とするために、高齢者の方々もそれぞれの持てる力を発揮して、地域社会を支える役割を担うことが大変重要である、こう考えております。このために、御指摘のヤング・オールド作戦におきましては、健康づくりや介護予防事業を進めるとともに、生きがいづくりや社会参加を積極的に支援していく決意でございます。
#98
○山本保君 繰り返しになりますけれども、これまで福祉行政をやってまいりまして、その辺が一番私も不満といいますか物足りなさを感じていたわけなんですね。何万人いるからヘルパーが何万人要るとか、こういうこと。
 ところが、実際にはそのもともとの予見自体が我々の力で変えていけたし、もっとはっきり言えば、これまでの行政というのはそういうところに手をつけていなかったわけですから、大変大きな形で変化を生み出すことができるというふうに、方向転換をされたわけですから、仮置きの九割という数字に私は特に意味はないと思っておりますけれども、ここをもっと緻密な推計を出されまして、そしてそれを単に介護というような問題だけではない、すべてのお年寄りの全体像にぜひ迫っていけるような議論をしていただきたいと思っておりますので、繰り返しますけれども、よろしくお願いいたします。
 それでは、年金関係でございますが、時間も余りありませんので、具体的な問題について幾つかお聞きいたします。
 きょうも議論になったわけでございますけれども、二〇一三年からですか、老齢厚生年金の支給開始年齢が引き上げられるというわけでございます。きょうも、また先日も、例えばその分で五年間一千二百万円なくなるというようなお話もあったかと思います。
 そこだけとりますと確かに何か支給額が減って大変ではないかと思いますが、しかし大きな目で見ますと、その分、高齢化が進み、平均寿命が延び、元気なお年寄りが長生きされておって、そこで実は年金をたくさんいただいているわけでありまして、前にいただくものを後ろへ持ってきただけというふうにも考えられるわけでございます。しかしながら、実際に六十歳の定年というような制度があって、これが改善されなければお年寄りが六十歳で仕事をやめ六十五歳までどうするんだ、これはもうだれが考えても大変な問題ではないかと思うわけでありますけれども、この辺についてどういう手を打たれるのか。
 先日、大臣も、たしか努力しますというお言葉をお聞きした記憶があるのでございますけれども、厚生省また労働省の方から、どういう対応をしていこうと考えられているのか、この十年間ですね、その辺についてお聞きしたいと思います。
#99
○政府参考人(長谷川真一君) 労働省でございますが、先生御指摘のとおり、少子高齢化が進展してまいりまして、我が国において働く人の中で占める高齢者の割合というのが急速に高まってまいります。五年後の二〇〇五年からは若年労働者の減少も相まって、労働力供給の絶対数が減少に転ずるという我が国が初めて直面する事態になるというふうな状態でございます。
 このために、高齢者雇用の促進を図るということが、高齢者の生活の安定という面のみならず、我が国が今後とも活力ある経済社会を築いていく上で大変重要な課題というふうに認識をいたしております。
 現在、電機、鉄鋼、繊維などの産業におきまして、賃金その他の処遇の見直し問題もあわせ、労使間で雇用延長などの議論が行われておるところであります。民間におきますこうした努力の積み重ねによって高齢者雇用の進展が図られることを期待しておるところであります。
 労働省としては、当面、六十五歳現役社会の実現を目指して施策を展開しているところでありまして、高齢者の知識、経験が生かせる同一企業、同一企業グループでの雇用の継続というのを柱といたしまして、再就職する場合の速やかな労働移動や多様な働き方としてのシルバー人材センター事業などの整備を行っておるわけでございます。
 先生御指摘のような高齢者雇用対策の今後の充実を図るため、今国会には高齢者雇用安定法の改正案も提出させていただいております。この中で、従来からの再雇用等による六十五歳までの継続雇用の努力に加えまして、定年の引き上げ等を努力義務といたします新しい規定を設ける、あるいは離職、再就職せざるを得ない高齢者については在職中からの事業主の再就職支援の努力義務規定を設けるといったことを考えております。
 こういった施策によりまして高齢者雇用の促進に努めてまいりたいと考えております。
#100
○山本保君 どうもありがとうございます。
 おっしゃることはわかりますけれども、ここで今回の保険法改正、年金法改正ということになります。そうすると、言うなら目標値も十年後ということに設定されるわけですから、いろんな資料もいただきました、やっておられることはわかるんですけれども、やはりきょう午前中もいろんなお話がありましたように、ここの不安感というのがあるわけです。
 もちろん、すべての方が六十五まで働かなければならないというものではないと思います。しかし、働きたい方、一般的にいろんな識者が指摘されておりますように、日本の高齢者というのは大変能力も高いし、また就労意欲も高いと聞いているわけです。それがただ単に働かなければ食っていけないので働くという、私はそういう悲観的な意味じゃないと思っておりますので、ぜひ今の施策を年次計画のようなものを立てて持っていっていただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
#101
○政府参考人(長谷川真一君) 高年齢者雇用安定法の中に、高年齢者基本方針と申しまして、計画的、段階的に高齢者雇用を進めるという基本方針をつくって進めていかなければならないという規定もあるわけでございまして、いろいろな高齢化の状況あるいは進展の状況も踏まえ、先生の御指摘のような計画的な高齢者雇用の進展について努力してまいりたいというふうに考えます。
#102
○山本保君 どうもありがとうございました。よろしくお願いいたします。労働省は結構でございます。
 次に、実は午前中にもいろいろ、特に今井先生の方から具体的な御指摘があったことについて私も全く同感なことがあります。というのは、若者の年金に対する不安の問題であります。
 私も、きのう実は偶然テレビを夜見ておりましたら、名前は言いませんが、非常によく見られている報道番組といいますかの中に出てきた評論家という方が、話の言うなら枕のところで九分九厘もらえなくなる年金という言い方をされまして、私はびっくりしてしまったわけであります。それをきちんと論ずるのではなくて、当然のことでしょうという顔をして話をされていたんですね。こういうことは、ぜひ厚生省は、きょう今井先生からもありましたようにきちんと反論をされるべきだと思っているわけなんです。
 そこで、一つ具体的にお聞きしたいんですけれども、私は、やはり年金制度について中学生や高校生にきちんとその理解を、正しい認識を持っていただく。もちろん強制加入という意味ではないんでしょうからそこにはいろんな考え方があるにしても、しかし今の年金制度、また現状などについて正しい認識を持っていただくということは重要だと思うわけですけれども、年金教育というんでしょうか、これについてどのような手を打たれているんでしょうか。まず社会保険庁の方にお聞きしたいと思います。
#103
○政府参考人(小島比登志君) ただいま先生御指摘のように、公的年金制度の運営につきましては、保険料を御負担いただく現役の方々に年金制度の意義あるいは仕組みに対して十分御理解をいただくということが極めて重要であると考えております。
 このため、社会保険庁におきましては、テレビや新聞、ポスターなどを活用いたしまして、年金制度の意義、仕組みなどについての広報を実施するとともに、平成五年度から中学生、高校生を対象に、学校教育の場等で利用できる年金制度に関する副読本というものを作成いたしまして、それを配付しているところでございます。
 平成十年度におきまして、中学生用といたしまして二十五万部、高校生用として四十万部この副読本を配付しておりまして、こうした副読本を利用いたしまして、年金教育事業として、教員を対象とした年金セミナーを四十四県で、生徒を対象とした年金セミナーを二十五県で実施したところでございます。
 今後とも、さまざまな機会をとらえまして、年金制度の正しい理解のためにより効果的な広報の実施に努めてまいりたい、このように考えているわけでございます。
#104
○山本保君 今お聞きした、中学生向けが二十五万部と。中学生はたしか一学年百数十万いると思うんですよ。そうしますと、五分の一というようなことだと思うんですけれども、私は全員にこういうことを進めるべきではないかと思うんですが、それはどう思いますか。
#105
○政府参考人(小島比登志君) 十年度におきまして中学校の生徒が全学年で四百三十八万人ということなんですが、この中学生二十五万部という数は、各県がいろいろ各学校と相談して御苦労されていまして、要望に基づいてそれを配付しているということでございますから、これがもっとはけますよう私どもも地方庁とよく相談してこの事業を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
#106
○山本保君 文部省からもきょう来ていただいているわけですが、今、厚生省の方の考え方が出ましたけれども、ぜひこれは御協力いただきたいと思うわけですけれども、いかがでございましょうか。
#107
○政府参考人(御手洗康君) 中学校におきましては、年金問題を含めまして、社会保障全般につきまして基本的な仕組みを全員に教えるということにしてあるわけでございます。
 その中で具体的に教科書以外にどういう教材を使っていくかということにつきましては、それぞれの現場で御指摘のようなパンフレットなども工夫しながら使っていくということになろうかと思いますので、全員が必ず持つ必要があるのか、あるいは図書館等に一クラス分ぐらいあればそれを授業のときに使っていく、あるいはまた教師がそれを全体のさまざまな教材の中で提示していく、さまざまな使い方もあろうかと思いますので、十分協力をしながら、子供たちがしっかりとした年金についての理解が深まるよう文部省としても努力をしてまいりたいと思います。
#108
○山本保君 よろしくお願いしたいと思います。
 確かに教育の仕方というか指導の仕方というのはいろんな形が考えられると思いますけれども、例えば今新しい子供さんが生まれたときの養育関係の手帳とかメモですか、あんなものはすべての方に出すような形で文部省は進めているはずですから、私は、きょうのいろんな議論、繰り返しませんけれども、非常に重要な、国民として一番大事な制度ではないかと思うんですよ。ぜひやっていただきたい。
 それで、小島部長、ここにちょうどいただいたものですから、中学生、高校生向けの、こういうものです、これ。(資料を示す)ちょっと読ませていただいたんです。ところが、ちょっとだけ御注文申し上げますと、例えば、きょう今井先生も言われたような、今一番トピカルで知りたい問題であるとか、または中学生、高校生という思春期の子供たち、または社会参加意欲というのが非常に高い子供たちにとって、残念ながら、私も教育をやった者の一人として見ますとそうなっていないと思うんです。
 これはまさに制度の説明でして、今、実際一番知りたい年金は大丈夫か、または自分がもうこれから就職するかもしれない、そのときにはどういう手続をとっていくのかとか、それからもし交通事故、バイクに乗っていてけがなどしたら、そのときに年金をつけていないとどうなるのかとか、そういう子供たちがなるほどと思うようなことになっていないんですよ。もうこれは、まさに大人向けの教科書をただ絵をつけて数字を易しくしたというふうにしか私には見えませんので、ここはちょっと御注文申し上げます。少し検討をしていただきたいと思いますが、どうでしょうか。
#109
○政府参考人(小島比登志君) 確かに先生御指摘の面も否めないと思いますので、いろいろ御指導いただきながら検討してよりよいものにしていきたいというふうに思います。
#110
○山本保君 もう一つ、部長、ひとつお願いしたいんです。
 それは、私もサラリーマン、公務員をやめまして国民年金を今、議員と同じようにやっているわけですが、区役所からいただく書類が小さなものでして非常に難しい。そして、それを持っていかなくちゃいけない。この辺の手続というものをもっと便利にすべきだと思うんです。
 一つ具体的に言いますと、最近コンビニなどで保険料だとか水道料金でありますとか入れるようになっていますね。そんなようなことは年金についても考えていいんじゃないかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#111
○政府参考人(小島比登志君) 保険料の納付に際しましては、被保険者の利便を図る観点ということで、納付しやすい環境づくりを進めておりまして、主に、口座振替の促進、郵便局利用の推進、集合徴収の実施等でありますが、実際には、口座振替の促進は平成九年度で利用率約四〇%、それから郵便局につきましては平成九年度で全市町村の四六・四%が郵便局を指定していただいているという状況です。
 しかしながら、平成十四年四月からこの保険料納付のシステムがかなり変わりまして、これは、昨年七月に成立いたしました地方分権一括法におきまして、従来市町村で行っていただきました印紙納付方式が廃止されまして、直接国が金融機関を通じて徴収、確保するということになっておるわけでございます。これに伴いまして、すべての日銀歳入代理店たる金融機関、すべての郵便局で保険料を納付することが可能となりまして、金融機関の窓口が拡大するということになっております。
 また、日銀歳入代理店となっていない農協、あるいは国民年金基金に加入されている方々が保険料を納めていらっしゃいます国民年金基金、あるいは連合会、ここにおいても保険料の納付ができるように納付委託制度というのが法律上求められたところでございまして、こういった措置によりまして、平成十四年四月からでございますが、被保険者の利便性は一層向上するのではないかというふうに考えているわけでございます。
#112
○山本保君 その辺について、もっと使いやすい、振り込みしやすいというか、字なども大きくしてわかりやすくしていただきたいと思います。読んでいまして、これはそういう文章になれている人でないとなかなかわからないような文章、払ったのか払っていないのかさえよく読まないとわからない、判こが押してあれば払ってあるので、そうでなければ払っていないとか、何だか事務的には便利なのかもしれませんけれども、どうかなという気もいたします。よろしくお願いします。
 次に、年金局長にお聞きしたいんですが、今度、十年間の学生納付特例、いわゆる出世払いというような制度ができる。きょう午前中にもそんなお話もあったわけですけれども、このことによって例えば学生さんの中で未加入者の問題、きょうは未納者がございましたけれども、どれぐらい改善されるというか解消されるというような観測といいますか希望を持っておられるんでしょうか。
#113
○政府参考人(矢野朝水君) 現在、学生の中で未加入者というのがまだ結構いらっしゃるわけです、十万程度と見ておりますけれども。今回こういう新たな措置を講ずることによりまして、手続さえきちんととっていただければ保険料は直ちに納めなくてもいいということですので、非常に加入がしやすくなるということで未加入者が減るんじゃないか。その結果、生涯無年金になる方も大幅に減少するんじゃないか、こう思っております。
 それから、何よりも、現在はほとんどの方が親御さんが年金を払っているわけでございまして、子供の年金のためになぜ親が払わなきゃいけないんだ、こういう不満が非常に強いわけでございます。こういう不満は解消できると思っております。
#114
○山本保君 担当の方にお聞きしましたら、未納という方が二十万人以上おられるのではないか、また今お話がありましたように、未加入の方が十万人以上おられるというふうに聞いております。ぜひ、これを機会にPRを非常に強くされまして、意識的に私は絶対入りませんよという方はともかくとしまして、きょうお話もあったように、うっかりしていたとかまたは住所変更がそのままになって途切れてしまったというふうな方には、必ず年金の方から後からちゃんと追っていくというふうなことをお願いしたいと思っております。
 それからもう一つ、最後に、今度は年金福祉事業団の問題であります。さまざまな問題がありますが、一つだけちょっとお聞きします。
 小さな話かもしれませんけれども、こういういわゆる法人がなくなるわけでございますけれども、働いておられる方がいると思うんです。こういう方がリストラされてしまうんじゃないかというようなおそれも感ずるんですけれども、この辺は、現状はどれぐらいでどういう対応をされるのか、お願いしたいと思います。
#115
○政府参考人(矢野朝水君) 今回、年金福祉事業団は解散になるわけでございますけれども、その事業につきましては、適切な経過措置を講ずるということでそれぞれ対応措置を講じまして、急激な変化によりまして被保険者あるいは地域住民あるいは働いている方の雇用に問題がないようにということでいろいろ配慮しているわけでございます。
 特に、今回一番問題になるのはグリーンピアだと思っております。グリーンピアにつきましては、一千人近い従業員の方がいらっしゃるわけでございますけれども、このグリーンピアについては撤退ということが決まりました。私どもとしましては、これは地元自治体でぜひ引き取って活用していただきたいということで話を進めておるわけでございまして、その中でも働いている方の雇用問題というのは非常に大事でございますので、雇用に問題が生じないようにということで地元と引き続き御相談をしていきたいと思っております。
#116
○山本保君 どうもありがとうございます。それではよろしくお願いします。
 終わります。
#117
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 年金というのは国民の現在と将来に深く影響を与える大変な法案であります。この審議に日本じゅうが今注目しているというふうに言ってもいいと思います。私の議員会館の事務所にも百通をはるかに超えるファクスや電報が寄せられています。全国の千二百七十三地方議会で年金改悪反対の決議が上げられております。
 今、国民の将来不安の中心というのは社会保障である。そしてさらにその第一が年金ではないか。どうしたら国民の不安にこたえることができるのか、徹底的な審議を行うということをまず強く主張したいというふうに思っております。
 私は、きょうは第一回の審議ということですので、法案の中心部分に関する、すなわち厚生年金の給付削減の問題、ここにちょっと絞って徹底的に議論をさせていただきたいというふうに考えております。
 まず、高齢者の深刻な雇用不安、雇用の危機の問題であります。
 現在、定年制が六十五歳以上の企業は全体の六・六%、大企業では労働者の四三%が定年前に退職しております。求人年齢の上限の平均は三十七・三歳、そして六十歳代前半の有効求人倍率、これはいろんな場所で言われておりますが、〇・〇六、十六人に一人という数字であります。
 厚生大臣にまずお伺いをしたい。
 高齢者をめぐる雇用環境は依然として大変厳しいと思うんです。政府は、六十歳代前半の雇用確保が支給開始年齢繰り延べの前提だというふうに今までも言われてまいりました。しかし、その前提自体が崩れているんじゃないか。このことにまずお答えいただきたい。
#118
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、近年の雇用関係でございます。
 六十歳代前半でも働いて収入を得ている方は平成十年で五七%に達しております。着実に方向としてはふえてきておるわけであります。それから、定年制を設けている企業は既に六十歳定年制が定着いたしておりますし、今後、定年年齢が引き上げられる傾向にあるわけでございます。
 ことしの春闘におきましてもこの問題が大変大きなテーマになっておるようでございますし、それぞれの労使間で定年制を延長する方向で自主的にお決めになっているところがふえ、特に、例えば電機労連なんかはそういうような傾向にあると聞いておるような次第でございます。いずれにいたしましても、高齢化社会を迎えて、定年制を含めて何らかの形で六十歳代前半の働く方々は着実に今後ふえていくのではないかと思っています。
 ただ、最近のいわゆるリストラ、合理化、こういう問題が大変深刻なことも事実でございますし、これは一時的なものであるというふうに私どもは考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても、働く意欲のある健康な六十歳代前半の皆さん方が働けるような職場の確保のためにも、今後、労働省とも十分に連携を図りながらその充実に努力をしてまいる決意でございます。
#119
○小池晃君 今のお話を聞くと、現時点での高齢者雇用の深刻さは一時的なものであるというような認識をお持ちのようなんですが、例えばかつてバブルの絶頂期、日本経済が絶好調の時期と言われていた時期であっても、六十代前半の有効求人倍率というのは〇・二であったと。これは、衆議院の参考人質疑の中で一橋大学の高山教授から紹介をされておる。景気が回復すれば六十代前半の雇用環境がきっとよくなるに違いないという想定は、少なくとも過去の実績からすると、信じることができないというふうにおっしゃっているわけです。これは決して一時的な状況ではないと。
 繰り延べの前提だと言うのなら、それを保障するべきだ、保障されなければいけない。努力したけれどもその時点ではだめだったということでは済まされないと思うんです。これはできるんですか、保障を。六十五歳支給繰り延べを提起している中で、六十歳代前半の雇用を確保するんだということを厚生大臣として責任を持って国民に対して約束できるんですか。
#120
○国務大臣(丹羽雄哉君) 雇用と年金との連動が望ましいことは言うまでもありません。基礎年金の一階部分の導入を決めた時点においても、大変この問題についても大きな焦点の一つとして議論をしていたことを承知いたしておるわけでございます。
 あの当時は、定年制は大体五十五歳でございました。それから大体五十七、八になって、今や六十になってきている。これは、当然のことながら、いわゆる高齢化の波が欧米に比べまして三倍ないし四倍のスピードで押し寄せていく中において、いわゆる六十代前半の方々の労働力に依存するところも少なくないわけでございます。私どもは、引き続きそういった方向で努力をさせていただきたい、このように考えているような次第であります。
#121
○小池晃君 幾ら努力をするというふうに言われても、一方でリストラを推進しているような政府が、近未来に六十代前半の雇用が確保されるなどと言って一体だれが信じるかということを申し上げたい。この問題は最後にもう一回立ち返って私は議論をしたいというふうに思います。その上で、雇用の危機というのは高年齢層だけの問題なのか、決してそうではないんじゃないかということを議論したい。
 ことし一月に社会保険庁が発表した「平成十年度社会保険事業の概況」、「平成十年公的年金加入状況等調査」、この二つの報告に基づいて厚生年金制度の現状について質問したいと思います。
 「社会保険事業の概況」には、不況とリストラによる雇用破壊が年金に大変な影響を与えているということが鮮明に数字としてあらわれております。厚生年金の被保険者は前年度に比べて何人減ったか、実に五十一万人であります。男子三十三万人、女子十八万人。そして、その多くはリストラによって職を失った労働者であります。製造業二十七万人、建設業十二万人、卸売・小売業十二万人、金融・保険業六万人、明らかにこの間リストラを進めている業種が中心となっています。
 そこでお聞きしますが、このように厚生年金の被保険者数、加入者数が減るのは一体何年ぶりでしょうか。
#122
○政府参考人(小島比登志君) 厚生年金の被保険者数は三千二百九十六万人でございまして、今御指摘のように前年度末に比べまして五十一万人減少しております。これは、昭和五十年度末に一万七千人減少して以来のことでございます。
#123
○小池晃君 昭和五十年度の減少というのは、オイルショックのときであります。このときの減少は一万七千人、今回の減少は五十一万人、つまり三十倍であります。過去最大規模の加入者の減少、そういう事態になっているわけであります。
 「社会保険事業の概況」によれば、厚生年金の加入事業所数は一万カ所減少している。企業合併なども反映している部分もあるでしょうが、多くは倒産であります。もう一度お聞きしますが、厚生年金の加入事業所数の減少というのは何年ぶりのことでしょうか。
#124
○政府参考人(小島比登志君) 適用事業所数の減少でございますが、これは昭和二十年度末に三万五千事業所が減少して以来のことでございます。
#125
○小池晃君 今のお聞きいただけたと思うんです。これまで加入事業所数というのは、戦後のどんな不況の時期にも決して減ることはなかったんです。一貫してふえ続けてきたんです。それが減ったのは、大空襲や原爆投下で日本じゅうが破壊され、敗戦を迎えた昭和二十年だ。そのとき以来のことだ。文字どおり戦後初めての事態が今訪れているわけです。
 さらにお聞きします。
 賃金カットの影響で、標準報酬月額、サラリーマン、厚生年金加入者の給与所得は全体で〇・二%減少しています。男子が〇・五%ダウンであります。標準報酬月額が減ったのは何年ぶりでしょうか。
#126
○政府参考人(小島比登志君) 厚生年金制度始まって以来のことであります。
#127
○小池晃君 昭和十七年制度発足以来初めてであります。
 我が党の市田議員も代表質問で取り上げましたが、被保険者数が減り、加入事業所数も減り、標準報酬月額も減った。そのもとで、ついに保険料収入も前年比でマイナスになった。これは何年ぶりですか。
#128
○政府参考人(小島比登志君) これも制度始まって以来のことでございます。
#129
○小池晃君 以上の議論を踏まえて、私は厚生大臣にお聞きしたい。
 これから少子高齢化の時代が来るから年金は大変なんだ、そういうふうにおっしゃってきた。それで年金制度が危機なんだと言われてきた。しかし、どうでしょうか、厚生年金の加入者数が減る、事業所数が減る、平均報酬月額が減る、そして保険料が減る。これは、厚生省すら予想しなかった事態が今まさに起こってきているわけです。深刻な事態が進行している。
 少子高齢化の進展云々を言う前に、まず今、現局面での深刻な事態を一体どうするのか。このことに対する緊急な対策こそが求められているんじゃないですか。いかがですか。
#130
○国務大臣(丹羽雄哉君) 近年の雇用情勢の変化でございますが、これは御案内のようにバブルが崩壊をいたしまして、各企業ができるだけ身軽にしていこうではないか、あるいは不採算部門については切り捨てて、そして収益率の高い部門を中心にしてこれからは会社経営を行っていこうではないかということを大体方向として求めつつある中で起きたものでございます。
 私は、率直に申し上げて、ちょうど今産業構造そのものが大きく変動している中において、短期的なものではないか、こう認識をいたしておるような次第でございます。この期間をできるだけ短くして、そして新たな業種のもとにまた新たな労働力というものが吸収される、そうなっていかなければならない、こう考えているような次第でございます。
 その一方で、年金制度というのはあくまでも長期的な傾向を見て行うものでございます。先ほど来申し上げておりますように、あくまでも将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するという考え方に立って御提案を申し上げておるわけでございますので、その辺のところにつきまして私どもの考え方を御理解賜ればと思っております。
#131
○小池晃君 今の戦後初めて、制度発足以来初めてという事態、これを一時的、短期的な現象だなどというような見方でいたのでは、現在の局面を打開して国民に展望を示す、方向を示すことはできないというふうに私は言わざるを得ないと思うんです。
 先ほど柳田議員から指摘があったように、現在の局面の中で年金制度の給付の削減を示すことが景気の足を引っ張るんじゃないか、そのことをどうするのかということのまじめな検討なしに国民に信頼も安心も与えることはできない。今のような認識では、とても年金制度の未来を示すことはできません。
 私も別の観点から聞きたいと思いますが、この厚生年金を取り巻く状況を一体どう見るのかということであります。まさに雇用の危機が社会保障制度の基盤を崩しているということなんじゃないだろうか、そういう認識をお持ちかどうかということであります。そういう認識をもしお持ちなのであれば、抜本的な手だてを打つことなしに年金制度の財政収支の帳じりを合わせることだけを考えていても、まさにこれは袋小路に陥るだけではないかというふうに思うわけであります。その辺の認識を示していただきたい。
#132
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、雇用の創出につきましては、今御審議いただいております十二年度の予算案の中にもさまざまな形で雇用の創出のために、いわゆる高齢者に対する奨励金を助成するとか、また高齢者の再訓練、ミスマッチの解消であるとか、そういうようなことを通じまして私どもは高齢者のいわゆる雇用状況の改善に今後とも懸命な努力をいたしていく決意でございます。
 先ほどから申し上げておりますように、これを短期的に見るのか長期的に見るかということが一番の問題でございますが、私は率直に申し上げて、今極めて厳しい状況でございますけれども、全体的にやや明かりが見え始めてきたところでございますし、今が最もピークである、こういう認識に立つものでございます。
 いずれにいたしましても、高齢者の雇用問題につきましては、今後とも私どもは、何らかの形で六十歳代前半の方々が働く機会を持てるような環境づくりのために、労働省とも十分に連携をとりながら進めていく一方で、そしてさらに先ほど来申し上げておりますような若年世代の負担の軽減ということを考えていかなければならないと思います。
 それと同時に、まず今回のいわゆる例えば二階部分の支給開始年齢を引き上げることでございますが、我が国の平均寿命が男性で七七・一九歳、女性で八三・八二歳と世界で今や最も長寿の進んだ国でございますし、さらに欧米などを見ましても六十五歳以上の支給が一般的でありますし、また一部には、さらにまたこれを引き上げようという動きがあることも委員御承知のことだと存じます。そういう中で、私どもは、将来世代の過重な負担を防ぐとともに確実な給付を約束するために必要である、このように考えております。
#133
○小池晃君 今日のこの深刻な厚生年金を取り巻く状況を短期的、一時的な事態だということで、これに対して何ら手を打つことなく、将来の給付削減を今この場で提起するということがいかに景気を冷え込ませ、国民の将来不安をあおるものであるか、そういう認識が全くないということが今の答弁で私ははっきりわかると思うんです。
 さらに、加入者数の問題について質問を続けたいんですが、厚生年金からはじき出された被保険者は一体どうなっているのか。「概況」の国民年金被保険者の推移を見ますと、厚生年金の被保険者が五十一万人減った、このことに連動して国民年金の第二号、サラリーマンですね、これは五十五万人減少している。さらに、第三号被保険者も十三万人減少しておりますが、これはどういう原因によるものですか、社会保険庁。
#134
○政府参考人(小島比登志君) 今御指摘のように、国民年金の第二号被保険者は三千八百二十六万人でございまして、共済の方を含めまして五十五万人、全体を含めますと五十五万人の減少ということになっております。
 それから、三号被保険者が十三万人の減少ということですが、一号被保険者は二千四十三万人で八十四万人の増加ということになっております。この理由でございますが、平成十年当時の経済・雇用情勢ということの変化によりまして、二号被保険者及びその被扶養者であります三号被保険者と第一号被保険者との間で移動が起こったということが一つ。それから、私どもは平成七年から二十歳到達者に対する年金手帳の送付などで未加入対策を進めておりまして、そういったものの効果がありまして、第一号被保険者数が増加したものと考えているところでございます。
#135
○小池晃君 要するに、リストラで夫が職を失った。そうすると厚生年金からはじき出される。そうすると妻も厚生年金から締め出される。三号被保険者から夫も妻も一号被保険者に移っていっているんだ。その結果、今回八十四万人第一号被保険者が急増しているんだ。まさに二号、三号からはじき出された労働者とその妻が一号に流れ込んできているということなわけです。
 職を奪われた労働者夫婦が一号被保険者となると一体どうなるか。月額夫婦二人で二万六千六百円という保険料負担を全額自己負担することになるわけであります。そして、給付は極めて低く抑えられてしまう。まさにこれは将来不安を高めざるを得ないことじゃないか。
 先ほどから議論しているように、今のこの厚生年金制度の加入者数の推移などを見ると、本当にやはり国民生活の状態悪化というのが背景にあるんだ。低賃金とリストラによって国民生活が状態悪化している。ここを改善せずに展望が切り開けるのかということであります。これは、年金制度だけではなくて、今もう医療保険も雇用保険も労災保険も同様の危機に瀕しております。保険の支え手が大変弱っている。
 ところが、政府がとっている政策はどうかというと、こういう事態は短期的、一時的な現象でありますということで、それに対して何ら抜本的な手を打つことなく、給付を削減する、あるいは負担を強化するという形でこの危機を乗り切ろうとしている。こんなことをすれば悪循環に陥ることはだれの目から見てもはっきりしていると思うんです。
 今回の年金改悪というのは、まさにその典型的なやり方というふうに言っていいんじゃないだろうか。
 以下、その内容に即して私は質問をしたいというふうに思います。
 今度の改悪法案によりまして二〇二五年での年金水準は一体どうなっていくかということです。これは、実は昨年三月の国民年金保険料凍結の議論をした当委員会で私が質問いたしました。二〇二五年時点で新規裁定、新しく年金をもらい始める、そういう夫婦の場合、非常に大ざっぱな計算だというただし書きでしたが、平均的な夫婦が生涯に受け取る年金の総額というのは五千三百万円から四千三百万円へ一千万円ダウンするんだという試算を厚生省は示された。しかし、これは極めて大ざっぱな計算で、遺族年金の分なども含めて計算したものではございません。
 今回、計算をするように要求をしておりますので示していただきたいんですが、この年金改悪法案を通じて、遺族年金を含んで平均的な厚生年金の生涯の受給額、これはどのくらい影響を受けるのか、お示しいただきたいと思います。
#136
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の制度改正で厚生年金の生涯受給年金額はどのくらい変化するのかということでございますけれども、これは給付と負担両面で見る必要があると思っております。
 それで、モデルでございますけれども、これは給付と負担両面において制度改革が完了いたす時点をとって考えてみたわけでございます。より細かく言いますと、二〇〇九年生まれということでございますから、これから十年後に生まれてくる方を前提にいたしますと、まず現行制度では六千一百万の生涯給付でございます。これが改正案によりますと、四千九百万と見込んでおります。
 この差額でございますけれども、各改正項目別に見ますと、既裁定年金については物価スライドだけにする、これによりまして約四百万円減、七%の減ということでございます。それから、支給開始年齢を将来的には六十五歳に引き上げるということでございまして、これによる減が六百万円で、一一%の減ということでございます。それから報酬比例部分の五%適正化による分は百万円でございまして、二%の減でございます。
 一方、保険料負担につきましては、現行制度によりますと四千二百万円のところ、改正案では三千四百万円ということでございまして、二一%の減になるものと見込んでおります。
#137
○小池晃君 今の御答弁でも出ましたように、六千百万円の生涯受給年金総額が四千九百万円、一千二百万円の減少ということになるわけです。
 その内訳を見ると、やっぱり六十五歳支給繰り延べの影響が大変大きい。全体の約半分、六百万円がこの六十五歳支給繰り延べによる影響であると。それから次に賃金スライドの凍結で四百万円、報酬比例部分の五%カットで約百万円だと。これは、二〇〇九年という数字も示されましたけれども、六十五歳の支給繰り延べが完成する二〇二五年以降に新規裁定される年金受給者というのは大体こういう年金額の減少の被害が出るんだろうというふうに思うわけです。
 大臣にお聞きしたいと思うんですが、先ほど議論したような厚生年金制度の危機というのがあるわけです。大変深刻な加入者の減少あるいは標準報酬月額の減少、こういった事態の中で全体で一千二百万円もの年金額が減少するという給付の抑制を今の時点で打ち出すということがどれほどの将来不安を引き起こすものなのか、そういう御認識をお持ちなのかどうかお伺いしたい。
#138
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから繰り返し申し上げさせていただいておるわけでございますけれども、このいわゆる給付と負担をどの辺に求めていくかということが、行き着くところ、この年金制度の最大のポイントではないか。
 そういう中で、いわゆる現役世代の方々が将来においても確実に給付を受けることができる、こういったビジョンをお示しすることが年金制度に対する不安、不信を解消することだ、こういう観点に立ちまして、今、私どもはこのような法案を提出させていただいておるわけでございますし、これをさらに先延ばしをして、そして後になって、とてもそれだけ給付はできません、場合によってはさらに負担をしていただかなければなりませんということは、かえって私は不信感を増幅させるだけではないか。こういう観点から、私どもは今御審議をお願い申し上げているところであります。
#139
○小池晃君 給付の削減をしないと保険料負担が将来世代の負担になるんだというふうにおっしゃいますけれども、国庫負担を二分の一に引き上げることすら、五年前に約束したことすらやっていないわけですね。そういう責任を果たさないでおきながら保険料負担を云々する資格はない。
 先ほどモデル計算で示されましたけれども、保険料負担は減るんだとおっしゃいますけれども、国庫負担はどういう想定になっているんですか。
#140
○政府参考人(矢野朝水君) 今申し上げましたのは国庫負担三分の一のケースでございます。
#141
○小池晃君 国庫負担三分の一のまま二〇〇九年までずっと行くんだと、そういう想定のもとで出した保険料負担の数字を示して保険料負担が軽減するんだというようなことが何で言えるんですか。全くペテン的なやり方ですよ。国庫負担を引き上げるということを全体で合意しているじゃないですか。そういう方向で少なくともやろうとしているわけでしょう。そういったことをあいまいにして、それで保険料負担が減るからというようなことを言っても、全く説得力がないということを申し上げたいというふうに思うんです。
 さらに、今まで受給総額の減少ということで議論してまいりましたけれども、毎月の年金額というのはどのように変化していくのか。今回の法案による年金の改悪によって新しくもらい始める時点での年金額というのは一体どうなるんでしょうか、何%減少するということになるんでしょうか。
#142
○政府参考人(矢野朝水君) 新規裁定者がもらい始める時点での今回改正案の将来への影響ということでございますけれども、これは報酬比例部分の五%適正化した場合を考えているわけでございまして、この場合には、厚生年金の場合は一階の基礎年金がございますので、年金額全体の影響は約二%ということになります。しかし、物価の伸びに応じた増額が行われるわけでございますので、年金額自体が減少するわけではない。従来ベースと比べて二%の減になるということでございます。
#143
○小池晃君 実額でふえる減るという話をしているんじゃないですよ。年金というのはそういうものじゃないです。物価が上がれば年金額が上がってくるのは当然であります。現在の価値に置き直すことで、その年金でどういう生活が保障されるのかということが国民に示されなければ、実額でふえるんだからいいでしょうと、そういう議論は年金で通用しないのはわかっているでしょう、あなたも。
 今、厚生省が示した二%の新規裁定時点での減、これは厚生省がパンフレットでも今度の改悪で年金の給付というのは約二%減るんですという表を示しているわけです。これだけ見ると、このくらいなら大したことはないというふうに思われる方もいるかもしれない。しかし、これは大変なごまかしなんだということをきょうは議論したいと思うんです。なぜなら、これはもらい始める裁定時の話だけですから、この後、年金額は賃金スライドの凍結によって着実に目減りをしていくわけであります。
 大臣にお聞きしたいと思うんですが、賃金スライド制度を凍結する、これは年金の考え方を大きく変えるということだと思うんです。今までは、裁定時はもちろん、その後も再計算の時に現役世代との賃金の代替率をちゃんと維持していく。そのために賃金スライドをやってきたわけです。ところが、これからは新規裁定時は賃金スライドをするけれどもその後は物価スライドだけですよということは、現役世代の賃金との代替率というのはそれから後は保障しませんよということになる。
 こういう、考え方を変えるということははっきり認めていただけますね。
#144
○国務大臣(丹羽雄哉君) そのとおりでございます。
#145
○小池晃君 そういうことなんですよ。これは大変な改悪なんです。年金制度の考え方そのものが大きく変わるということなんです。
 実際これがどういうふうに変わっていくのか。厚生省は今回の再計算に当たって、賃金上昇率二・五%、物価上昇率一・五%という数字を再計算の基礎としております。これは単純に目の子で計算すれば、賃金スライドを凍結した場合は、賃金上昇分と物価上昇率との差が一%でありますから、およそこの一%ずつの乖離というのが年数がたつにつれてかかってくるんだと。だから、賃金スライドを続けた場合とそうでなかった場合、既裁定年金を物価スライドでやった場合は、五年たてば五%乖離するし、十年たてば一〇%乖離するし、十五年たてば一五%乖離していくんだ、およそこのような考え方で間違いないですね。
#146
○政府参考人(矢野朝水君) 間違いございません。そういうことでございます。
#147
○小池晃君 そういうことであります。
 ということは、先ほどお話があったように、スタート時点で報酬比例部分の五%カットがある、二%ダウンというのが裁定時にあるわけです。その二%ダウンから五年たつごとに約五%ずつ年金の目減りというのが生じていくんだと。その当時の価値に置きかえてくれば、五年たてば七%減、十年後は一二%減、そして十五年後は約一七%減になっていく。二〇%、三〇%というふうに下がっていくんだということになるわけですね。
#148
○政府参考人(矢野朝水君) この報酬比例部分の五%適正化、それと六十五歳以降は物価スライドだけで伸ばします、賃金スライドは停止いたします、こういう二つの措置を講じた場合に、将来的には六十五歳以降二十数年たちますと、賃金スライドも実施した、五%適正化もやらない、こういった場合との格差というのが二二%程度になる、こういうこともあり得ると思います。
#149
○小池晃君 重ねてお伺いしますけれども、この影響というのは、将来世代の問題ということだけではなくて、既に年金を受けている方、それから来年、再来年から年金生活に入っていく方にもすべて当てはまる議論になるわけですね。
#150
○政府参考人(矢野朝水君) 年金を受給されている方についても、これまでですと五年ごとに賃金スライドがあったわけですけれども、これがなくなるということでございますので影響がございます。
#151
○小池晃君 大臣にお聞きしたいと思うんです。
 この制度は、大変私は年金制度の精神が大きく変わる改悪だというふうに思うんです。長生きすればするほど年金額はどんどん目減りをしていくわけです。これではまさに長生きに対する罰則ではないかというふうに言っても過言ではないのではないかと思うんです。このような制度改悪というのは、まさに高齢者の生きていく希望を奪うものになるのではないか、そう考えるんですけれども、いかがですか。
#152
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の改正は、六十五歳以降の年金額は、先ほどから御指摘のように物価スライドのみになるわけでございます。これは、あくまでも将来世代の負担を過重なものにしない、この方策の一つとして導入をさせていただくわけでございまして、少子高齢化が進み、現役世代の負担が重くなっていく中で、現役世代の賃金の上昇にあわせて高齢者の年金額を引き上げるような状況にはないものと考えられることが第一点でございます。
 それから、第二点といたしましては、物価スライドなどは行いますので年金の価値が実質的に目減りしないということで、私は年金の基本的な役割は果たせるものと考えております。
#153
○小池晃君 物価分は見るけれども賃金分は見ない、現役労働者の生活の実態を保障していくという年金の考え方を変えるんだということを率直に認められたと思うんです。
 重ねてお聞きしますけれども、こうした改悪が現実の年金生活者の生活実態を直撃するんだと。これはまさにこの四月から始まるわけですね。介護保険の保険料負担が加わってくる、高齢者医療保険制度の定率負担の改悪もある、そういう負担がのしかかってくる中で、さらにこういう賃金スライド凍結、五%カットが現実の年金生活者にかかってくることの影響を、大臣はどのように考えていらっしゃるんですか。
#154
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金制度というのは、繰り返しお話を申し上げておるわけでございますけれども、やはり賦課方式に基づきまして現在のいわゆる給付というものを保険料によって賄われているわけでございますので、後代の現役世代の方々に対してもやはりきちんとした給付というものを保障しないと、この年金制度そのものが崩壊をしかねない、こういうような実態の中でこのようなやむを得ない措置をとっている次第でございます。
#155
○小池晃君 先ほどから何度も言っているように、それを言うのであれば国庫負担二分の一というのを直ちにやるべきだ、積立金は五・五年分も積み立てている、そういったことを放置しておいていいのかということなんですよ。そういうことに手を打たずして、給付の削減によって現在の状況を切り抜けようというのは、まさに国民生活、今の消費不況に拍車をかけるし、将来展望を奪うものなんだということを申し上げているわけです。
 一点確認したいんですが、厚生省は、賃金スライドを凍結した場合、現役世代との賃金の乖離が二〇%までは賃金スライドを停止するが、二〇%になったときには再検討するというようなことをおっしゃっています。二〇%の乖離、現役世代の賃金と二割乖離するのに必要な年数というのは何年なんですか。
#156
○政府参考人(矢野朝水君) これは複利計算をいたしますと、今回の経済前提、つまり物価が一・五、賃金上昇が二・五、こういった前提でやりますと二十三年でございます。
#157
○小池晃君 二十三年間なんです。六十五歳から年金をもらい始めて二十三年といったら八十八歳です。そこまで賃金スライドしないということなんです。これは凍結とはいっても事実上の廃止です。そういう中身なんだということも指摘したい。
 そこで、実際の金額に当てはめて、国民に一体これがどういう年金になるのかということを示す責任があると思うんです。実際の金額に当てはめて、厚生年金の新規裁定の平均支給月額というのは九八年度でどれだけになっていますか。
#158
○政府参考人(小島比登志君) 厚生年金保険の老齢年金の新規裁定受給権者の平均年金月額ということでございますが、平成十年度十七万三千三百六十二円ということでございます。
#159
○小池晃君 これに当てはめて先ほどの七%、一二%、一七%減ということが一体どうなっていくのか。極めて単純に当てはめてみると、五年後には七%減で十六万一千円、十年後には一二%減で十五万三千円、十五年後には一七%減で約十四万四千円。そして、二〇%乖離するまで是正しないとすれば、報酬比例二%ダウンと合わせて二二%ということで十三万五千円であります。
 五年間支給繰り延べされて六十五歳まで年金を受け取れなくなった上に、平均的な労働者の受け取る年金額というのが、現在価格に置きかえると、今の購買力水準、賃金水準に引き合わせて考えてみれば平均十四万円台まで下がっていく、そういう生活水準しか保障しない年金になっていく。これは大変な給付減じゃないですか。
 厚生年金の支給額がこれほど低下する、これで不安なく暮らせる額だというふうに大臣はお考えなのか。こうした改定というのは本当に将来への不安を高めるものになるんじゃないかという声に大臣はどうお答えになるのか、お伺いしたい。
#160
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから繰り返し御答弁を申し上げておるわけでございますが、私どもは将来世代の過重な負担を防ぐために、年金を受け取る時点において現役世代の手取り年収のおおむね六割程度の給付水準を確保することを期待し、そしていわゆる保険料におきましては、総報酬の二割という中において長期的、安定的な年金制度の確立を図ることが、ひいてはこの年金制度の不安、不信の解消につながると思っております。
 それから、先ほどから委員御指摘の、国庫負担の三分の一から二分の一につきましては、御案内のように今回の法案の中で初めて附則ではございますけれども明記されました。五年前は、これはあくまでも各委員会におきます決議であったというふうに受けとめておるわけでございます。
 そういう意味におきまして、その重みというものを受けとめまして、安定した財源を確保した上で、できるだけ速やかに二分の一に引き上げていくことがまさに年金に対する国民の皆さん方の不信、不安感を解消するものと考えているような次第でございます。
#161
○小池晃君 今、大臣がおっしゃいました五年前の改正時の附則と附帯決議の関係について一言言えば、前回の改正時も附則にちゃんと書いてあるんです。「平成七年以降において初めて行われる財政再計算の時期を目途として、」「必要な措置を講ずるものとする。」というふうに附則に書いてあるんです。そして、附帯決議では「二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」というふうになっているんです。だから、附則に書いてあったんですよ。附則にこの趣旨は表現されているんです。それを、また附則に書いたからといって信用できないという声が衆議院の公聴会で上がったわけです。そのことをきちっと御理解いただきたい。
 大臣は先ほどから同じことしかおっしゃらないけれども、私が申し上げたいのは、これは将来世代の問題だけじゃないんだと。将来世代は大変な負担があるけれども、まさに今の年金生活者を直撃するんだ、このことをどう考えるんだということにまともにお答えになっていない。
 それから、将来世代の負担を言うのであれば、国庫負担二分の一を直ちにやるべきだ。それから、全額国と大企業負担、最低保障年金を我々は主張しておりますけれども、そういう制度への展望を示すべきだ。この不必要に膨大な積立金をどうするのか、このことも国民に示すべきだと。そのことなしに将来不安が解消できないと言っても何の説得力もないということを申し上げたい。
 その上で、厚生年金の支給の削減の問題でありますけれども、年金の改悪で、来年度の予算ベースで厚生年金の報酬比例部分だけで支給総額がどれだけ減るか、お示しいただきたいと思います。
#162
○政府参考人(矢野朝水君) 約四千億円でございます。
#163
○小池晃君 今までの議論、また繰り返しになりますが、全体として四千億円の支給減だと。これに、今のは基礎年金部分は入っていませんから、そういう負担もあるわけであります。本当に景気の回復にブレーキをかける大改悪だということを改めて指摘をしたい。
 さらに、本日、資料を配付させていただいております。この八五年の年金改定以降の流れも含めて最後に議論をさせていただきたい。
 年金の新規裁定額というのが最近非常に停滞をしているという問題であります。この五年間で停滞ないし減少をしている。社会保険庁にお示しいただきたいんですが、厚生年金の新規裁定の平均受給月額、九八年度と五年前と十年前で一体どういう数字になっているのか、お示しいただきたい。
#164
○政府参考人(小島比登志君) お尋ねの平均年金月額の推移でございますが、昭和六十三年度は十三万九千九百七十九円、それから五年後の平成五年度が十七万一千八百二十五円、平成十年度が十七万三千三百六十二円と、こうなっております。
#165
○小池晃君 配付したグラフを見ていただきたいんです。
 今お話があったように、五年前、十年前、十年前から五年前まで四万円ぐらい上がっているんです。しかし五年前からもう全く伸びていない。グラフを見ると明らかです。この五年間ぐらいで完全な頭打ちになっている。女性がふえているからということかと思ったんですが、男子の受給額でもやっぱり頭打ちなんです。男子の新規裁定額だけ見ても、九五年度は二十万三千二百六十六円、九六年度は十九万八千五百三十九円、九七年度は十九万六千百五十六円、九八年度は十九万七千九百六十六円、むしろ減少してきている。何でこんなことになっているんでしょうか。年金局長、お願いします。
#166
○政府参考人(矢野朝水君) これは、一番大きいのは昭和六十年改正の影響によると思われます。
 つまり、六十年改正のときに、制度を放置しておきますと加入期間がどんどん延びていく、そういう中で給付が過大になる。こういうことから、生年月日に応じまして定額部分の単価ですとか報酬比例部分の単価を二十年かけて逓減する、こういう措置を講じたわけでございます。
 従来、千分の十というのが給付乗率でございましたけれども、二十年かけてこれを七・五に下げるということで給付乗率の変更をしたということが一番大きいと思います。反面、加入期間あるいは賃金水準、こういったものがそんなに大きく伸びてない、こういうことから給付乗率が減った分、年金総額も足踏みをしている、こういうことが言えると思います。
#167
○小池晃君 今お話があったように、この影響というのはまさに八五年年金改悪の影響なんですよ。
 八五年年金改悪というのは一体何だったのか。これはこの当時の国会の議論を見ると大変な議論がされています。八六年時点では平均の加入年数が三十二年だと。このままほっておくと大変なことになるんだという議論をされているんです。この制度をそのままにしておくと厚生年金の加入年数がどんどんふえてしまう。三十五年、四十年になってしまう。そうすると年金額が莫大になるんだという議論がされているんです。
 そして、この八五年改悪の制度設計と考え方というのはどういう考え方でやられたかというと、八六年時点で、三十二年加入した人の受給額と二十年後の二〇〇六年に四十年加入した人の受給額が同じになるように制度設計されたわけです。要するに、今後、厚生年金の加入年数が四十年まで延びるという前提で給付の抑制をしたと。
 実際どうだったですか。現時点での厚生年金の男子の平均加入年数を示していただきたい。
#168
○政府参考人(小島比登志君) 老齢厚生年金の平成十年度新規裁定男子の平均被保険者期間は四百十五月、三十四・六年となっております。
#169
○小池晃君 三十二年だったんですよ、八六年。今、三十四年ですよ。二年しかふえていないんです。こういう現実があるわけです。四十年になっちゃうから大変だということで制度改悪した。実際は二年間しか加入年数はふえていないんですよ。
 では、二〇〇六年の時点で加入年数四十年、達成する見込みはあるんでしょうか。年金局長、お答えいただきたい。
#170
○政府参考人(矢野朝水君) 老齢厚生年金の平均的な被保険者期間を、男女合計でございますけれども、被保険者期間二十年以上の新規裁定者、こういった方について見た場合には、昭和六十年度以降十三年間で六年間延びているわけでございます。
 今後の見通しでございますけれども、制度の成熟化に伴いまして平均加入年数も引き続き延びると考えられますので、将来的には四十年間程度制度に加入することが一般的になるんじゃないか、そう予測いたしております。
#171
○小池晃君 二十年後に四十年に達するというふうに言ったのは達成できるのかと聞いているんです。二〇〇六年の時点で四十年、達成できるんですか。
#172
○政府参考人(矢野朝水君) 将来的には四十年加入が一般的になるものと予測しております。
#173
○小池晃君 これは、達成できる見込みなんて示せないんですよ。財界のシンクタンクだってそういう計算をしているんです。富士銀行のシンクタンクですけれども、富士総合研究所経済調査室渥美氏の試算によりますと、二〇〇六年の予測は三十七年です。二〇一五年になっても加入年数四十年なんか達成できないという予想を出しているんです。これが今度の改悪にも私は通じる中身だと思うんです。
 八五年の改悪のときには、これから加入年数はふえるんだ、四十年になるんだと。そうすると年金額が莫大になるから手を打たなきゃいけないということで乗率を下げた。
 実際どうですか。高齢者の雇用が全然進んでいない中で加入年数は全然ふえていないんです。さっき男女を合わせるととおっしゃいましたけれども、この八五年の年金改悪の議論のときは男性の話で議論をしているんです。そういうごまかしをしちゃいけませんよ。それで、男性だけ見て、全く四十年達成するような展望がないわけであります。
 まさに、今回はどうかというと、六十歳から六十五歳までの雇用が確保できるのか。そんな見通しも全く示さない中で六十五歳支給繰り延べの改悪がやられようとしている。年金の支え手をどうふやすのかということについてのまともな議論や検討や対策を打つことなく、ただ単に年金財政の収支、帳じりを合わせることだけ考えてやってきた結果がこの事態なんじゃないですか。
 八五年の改悪で四十年達成できるというふうにおっしゃった。全くそのめどもない。このことの責任をどうお考えですか。厚生大臣にお答えいただきたい。
#174
○国務大臣(丹羽雄哉君) 昭和六十年の改正は、二十一世紀に向けて長期的、安定的な制度運営の基盤を確保するという、こういう観点から、基礎年金制度の導入であるとか、今議論をいたしております加入期間の延びに伴う給付水準の適正化、こういうものを行ったものでございます。
 今後は、六十歳を超えて働く期間も長くなるわけでございます。多くの方々が四十年以上の加入を持つようになる、こういう観点が十分に予想されておりますし、高齢化社会においては、先ほどから申し上げておりますように六十代前半まで働いていただく、こういうような雇用形態になるわけでございます。そういう観点から、昭和六十年度の適正化の措置は大きな流れに外れたものでない、こう確信しております。
#175
○小池晃君 あいまいにされているんですけれども、八五年改定の前提は崩れている、このことはお認めになるんですか、ならないんですか。
#176
○国務大臣(丹羽雄哉君) 認識が異なっております。
#177
○小池晃君 何とおっしゃったんですか。
#178
○国務大臣(丹羽雄哉君) 認識が異なっております。
#179
○小池晃君 認識が異なっているというのはどういうことですか。だって、厚生省は二〇〇六年の時点で加入年数四十年ということを制度設計の根拠にされたんですよ。それが崩れているんじゃないですかということについて認識も何もないでしょう。これは事実の問題ですよ。
#180
○国務大臣(丹羽雄哉君) ですから、申し上げましたようないわゆるバブルによる影響であるとか、今日の大変深刻な雇用状況は私自身も十分に承知をいたしておりますけれども、全体的に高齢化社会が進む中において、そして先ほどから申し上げておりますが、現に定年制の延長もかつての五十五歳から五十七歳、そして六十歳になってきておるわけでございますし、何らかの形で働く六十歳代前半の数もほぼ半分近くまで来ておるわけでございます。
 そういう中において、私が申し上げてきているのは、大きな傾向は、流れというものはそう変わっておらないということにおいて認識が異なっている、こう申し上げたわけでございます。
#181
○小池晃君 全く答弁になっていないですね、率直に申し上げて。
 八五年改定というのはどういう改定だったのか。今回の厚生年金の改悪というのは八五年の改悪に引き続く内容なんですよ。そういう中身であるにもかかわらず、八五年の改悪の前提それ自体が崩れているんですよ。その前提の上に今度のこの改悪の議論なんかできるわけないじゃないですか。
 八五年改悪の見通しを誤った、そのことの原因と責任をまず明らかにすべきなんですよ。そうでなければ、次の改定を幾ら示されてもまた同じことの繰り返しじゃないですか。その責任を明らかにするべきだと。そういう認識が違うということだけでごまかして、その原因と責任を全く明らかにしないというような議論の上に今回の改悪の議論、そもそも前提としてもうここで議論に入ることはできないということを私は申し上げたいと思うんですが、大臣、いかがですか。
#182
○国務大臣(丹羽雄哉君) 小池委員とは予算委員会におきましてもしばしば御議論をさせていただきました。そして、私との違いは、いわゆる現在年金を既にもらっている方々や直近に年金をいただく方々の給付を適正化すべきでないという考え方、私は、そうはいっても、この今の少子高齢化社会の賦課方式のもとにおいては、将来の若年世代の皆さん方が一番この年金の問題についてとにもかくにも不安と不信を持っているからそこのところをしっかりしなくちゃならぬ、こういう考え方の違いがあるわけでございます。
 そこについて、小池委員は、若年世代の負担と給付についてどういうようなお考え方を持って、どういう財源をもってやっていくかについて、もしお示しいただければ幸いと思います。
#183
○小池晃君 それは先ほどからの議論の中で明確に示しているじゃないですか。国庫負担を直ちに二分の一に引き上げる約束だったからやりなさいと言っているじゃないですか。最低保障年金制度をつくったらいいじゃないですか。そして、五・五年分も積立金が何で必要なんですか。そこにメスを入れる必要があるじゃないですか。そして、年金制度の支え手をふやすまともな対策をとるべきじゃないか。女性の働き手をふやす、高齢者の雇用機会をふやす、そういったことをやらずして何が展望かと私は再三申し上げています。このことは改めて議論したいと思います。
 ただ、きょうは厚生年金の給付減の実態、このことが大変まだまだ明らかになっていないということで、私はいろんな角度から質問いたしました。きょうの議論を通じてかなり厚生年金の給付減というのがどういう実態を持つものなのか明らかになったんじゃないかというふうに思っているんです。
 これはきょうに終わりませんから、何度となく議論をさせていただいて、ぜひ今後の年金のあり方をどうするのかということも時間もかけて徹底的に、大臣からも御提案あったことですし、議論を積み重ねていきたい、そのことを申し上げて私の質問を終わります。
#184
○清水澄子君 社民党の清水澄子です。
 私は、まず最初に、政府・与党、委員長に対しまして、年金法案の審議に対して徹底した慎重な審議を要求したいと思っております。この法律案は衆議院では十分な審議が尽くされることなくして参議院に送付されてまいりました。与党は、数に物を言わせた横暴な国会運営によって衆議院議長の裁定を仰がなければならないという異常な事態を招いたということを十分に反省していただきたいと思います。
 年金制度の改革というのは、きょうも随分審議をされているわけですけれども、国民生活に直結する問題でありますし、非常に国民の多くの皆さんが関心を集めている法案でございます。ですから、参議院の国民福祉委員会では法案審査のために十分な日程を確保していただきたい、そして参考人からの意見聴取とか公聴会の開催を含めた慎重な審議を行うべきものだと私は申し上げておきたいと思います。
 二月十日の参議院の本会議におきましても、我が党の山本正和議員が総理に対して参議院の使命をどう考えるかということを質問いたしましたとき、小渕総理は、参議院は民意をより正しく反映させて、そして議事の公正を期し、衆議院に対して抑制、均衡、補完の役割を果たすものであると答弁をされているわけでございます。ですから、議事の公正を期して、衆議院に対して抑制の役割を果たすべく、参議院においては私は決して衆議院のような採決強行の愚を繰り返してはならないと思います。
 まず、このことを私は参議院の同僚議員である与党の理事及び委員の先生方にも強く申し上げておきたいし、そして公正中立であるべき委員長には特に強行採決の手段はとらないということをお約束いただきたいと思います。
 そして、こうして今、私たちはよりよい年金改革を実現したいという立場から国会が国民の負託にこたえるべく審議を努力しているわけでございますので、私は、厚生省にも立場をわきまえていただきたい、当面の法案の施行日にこだわることなく本院の慎重審議に誠心誠意協力をしていただきたいと思います。
 そこで、厚生大臣に対しては、やはり政府が国会の運営に介入することがないように、議事の公正を妨げることを画策しないよう強く自制を求めておきたいと思います。そういう立場に立って質問をしたいと思います。
 まず、基礎年金の月額六万七千円が満額支給されるのは国民年金に四十年フル加入した場合でありますけれども、老齢年金受給者の平均年金月額は約四万七千円となっているわけです。そこで、満額の基礎年金を支給されている高齢者はこの全老齢基礎年金受給者のうちどのくらいの割合を占めているのでしょうか。そしてまた、現に老齢基礎年金を受給している男子の平均年金月額と女子の平均年金月額をお示しいただきたいと思います。
#185
○政府参考人(小島比登志君) 老齢基礎年金の額でございますが、満額受給している者の割合については統計上把握をしておらないわけでございますが、平成十年度末現在におきます老齢基礎年金受給権者九百三十六万三千人のうち、年金月額が六万円以上の受給権者は四百六十一万九千人でありまして、その割合は四九・三%ということになっております。
 次に、平成十年度末における老齢基礎年金受給者の男女別の平均年金月額でございますが、男子が五万九千九百二十八円、女子が四万九千百二十二円、男女合わせますと五万四千八十七円ということになっております。
#186
○清水澄子君 次に、基礎年金の給付水準、これは昭和六十年に、老後生活の基礎的部分を保障するものだということで、高齢者の生計費等を総合的に勘案した額というふうに説明されてきました。当時は、単身無業者の基礎的消費支出に物価変動を加味した額とされていたわけですが、現在は平成六年の改正で全世帯の消費水準の伸び等を考慮した額となっております。
 現在の基礎年金の給付水準については、夫婦のみの高齢者世帯の基礎的消費支出、これは午前中も今井議員から発言がありましたけれども、現在の場合は食料と住居と被服と保健医療の支出の合計十三万四千円程度をカバーしていると説明をされているわけですけれども、実際に夫婦で十三万四千円の基礎年金を受給しているのは夫婦のみの高齢者世帯のうちどのくらいあるんでしょうか。
#187
○政府参考人(小島比登志君) 今御指摘になりました数字は承知しておりません。
#188
○清水澄子君 私もきのう聞いたんですが、厚生省は年金を支給することはしますけれども、年金を受給する人の統計はないとおっしゃったんです。ですから、もらっている人の実態は別のところで調べないとほとんどわからないんですよね。またこれは後ほど資料請求したいと思います。
 そこで、ひとり暮らし老人、つまり単身者世帯が非常にこれからも急速に増大すると思うわけですけれども、この単身者世帯の場合の基礎的消費支出というのは一体どのくらいを考えていらっしゃるんでしょうか。一人当たりの満額基礎年金月額というのは六万七千円ですね。それはひとり暮らしの基礎的消費支出をカバーできる水準だとお考えでしょうか。
#189
○政府参考人(矢野朝水君) 六十五歳以上、単身で無業の方の基礎的消費支出、これは平均値で見ますと月額七万五千円程度になっております。夫婦世帯の基礎的消費支出は十二万一千円ということでございまして、一人で見ますと六万一千円でございますので、単身の場合は当然、夫婦の場合を上回っている、こういう状況でございます。
#190
○清水澄子君 そうしますと、一人だったら二人の半分あればいいわけではなくて、むしろ一人の方が消費支出は高くなるわけですね。そういう場合に、単身世帯の基礎年金の給付水準のあり方というのは、夫婦二人での金額だけで換算すると非常に現実と合わなくなってくるのじゃないかと思います。
 そういうことも含めて厚生大臣にお答えいただきたいのですけれども、特に女性は老後長く生きますから、女性のひとり暮らし、いわゆる単身者世帯が特にふえてまいります。そのときに老齢基礎年金を受給している女子の平均年金月額というのは非常に低いわけですね。そして、基礎的な消費支出も賄い切れない、こういう実態があるわけです。そういう意味でも、基礎年金の給付水準というのをもっと家族形態の実態に合わせてといいますか、高齢化と多様化の実態に合わせたものに改めるべきではないでしょうか。特に、単身世帯の基礎年金が夫婦世帯の基礎年金合計額の半額という、そういう乱暴な決め方ではなくて、やはりこれは単身者の基礎年金の給付水準というのを一度見直すということをぜひ私は厚生大臣にここで御確約願いたいのですが、いかがでしょうか。
#191
○国務大臣(丹羽雄哉君) 女性の基礎年金の問題でございますけれども、これは六十年改正からスタートいたしまして、その導入当時は御案内のように五万円からスタートし、その後、消費の伸びであるとかあるいは物価上昇などを踏まえまして、今日では月額六万七千十七円、こういうふうになっているところでございます。
 基本的には、先ほどから御指摘がございますけれども、基礎年金の水準というのはあくまでも衣食住など老後生活の基礎的な部分を賄っていく、こういう考え方に立っておるわけでございます。今御指摘の問題は、いわゆる単身者と夫婦との間では、要するに二人で生活すればそれほど金がかからないというか、消費が少なくなるけれども、一人だとどうしてもお金が余計かかるからもうちょっと引き上げたらどうかということでございますが、率直に申し上げて、単身者と夫婦の間の問題のことまで、公平性ということを考えますと、社会保障制度の中で対応することが果たして適当なのかどうかということで、もう一つ合点がいきません。
#192
○清水澄子君 適当でございます。
 それは、例えばスウェーデンなんかでも最近、年金改革がありまして、やはり年金基礎額の中で単身者の場合は何%、夫婦の場合は何%というふうな計数を掛けて基礎年金を支給しているわけですので、そういうものもぜひ参考にしていただきたい。そして、年をとればとるほど単身者の方が多いわけです。ですから、そういう点の実態に即した年金の給付水準にするという意味では改善を考えていただきたいと思います。
 次に、今審議しております法案は衆議院で修正をされて参議院に来ているわけですが、衆議院の修正の趣旨説明では、平成十二年度から介護保険制度で高齢者は保険料や利用者負担が求められている、それから医療保険でも高齢者の負担を求めている、これらを考慮したナショナルミニマムとしての基礎年金の適切な給付水準を維持することは、高齢者の生活を安定させ、年金制度に対する信頼感を損なわないためには不可欠であると、こういうふうに述べておるわけです。
 そうした修正の趣旨を見ましても、私は、やはり現在の高齢者の基礎的消費支出というところに、介護保険料もこれから負担するわけですし、先ほど今井議員も統計数字を出していましたが、非常に保健医療サービス支出がふえているとか、こういう現実に即した基礎的消費支出の見方というものについて、給付水準の基本をもう少し検討し直すということで、衆議院の修正の説明のとおりの事態が起きているわけですから、そういう意味でも私は、今後、高齢者の給付水準、基礎的消費支出には個人差があるとおっしゃるので、それはそうでしょうけれども、平均的な部分として必要な分というのは高齢者のミニマムとして算入すべきではないかと思いますが、大臣のお考えを聞かせてください。
#193
○国務大臣(丹羽雄哉君) 修正の部分につきましてはそれぞれの受けとめ方がありますけれども、今、先生が御指摘いただいたような部分も当然その対象になり得るのではないか、こう考えています。
#194
○清水澄子君 ぜひ検討をお願いいたします。
 次に、一九九四年の国会で年金の空洞化が非常に大きな議論になりました。それを心配して、この現状を打開すべきだという目的で、基礎年金の国庫負担率の三分の一を二分の一にすべきだという附帯決議等、附則への修正とか、そういうものが決議され、採択されてきたわけでございますけれども、大臣は、この国庫負担率二分の一への引き上げについては、安定した財源を確保した上で平成十六年までの間にというふうに答弁をされているわけでございますが、このときの国会決議の趣旨とか考え方というのは景気によって左右してよろしいというふうになっておらないわけです。今、そういうふうに財政が安定したらということになると、年金というのは景気が悪くなれば再びまた国庫負担率を落とすということになってしまいますね。
 そういう意味で、大臣は附帯決議の考え方というものをどのように認識されているか。同時に、安定した財源の確保とおっしゃるとこれは何を指していらっしゃるんでしょうか。増税を考えていらっしゃるんでしょうか。
#195
○国務大臣(丹羽雄哉君) 国庫負担の引き上げにつきましては、各委員とも共通した認識で、できるだけ早く三分の一から二分の一に引き上げていかなければならない。しかし、現実問題として、現在でも二・二兆円の財源が必要になる、しかもこれが恒常的になってくるわけでございますし、年々膨れ上がってくるわけでございますので、これをどうやって財源を確保するかということが大変大きなテーマでございます。
 基本的には、やはり景気がよくならない段階においてこの問題は現実問題としてなかなか難しいと思います。だからといって、いつまでもほうっておくわけにもいかないという一面もあるわけでございます。「安定した財源」という定義をどうとらえるかということでございますけれども、やはり景気が安定軌道に乗るということは最低限必要なことではないか、こう思っておるわけでございます。
 しかし、私どもはこれを何も引き延ばそうとかそういうことではございませんし、さまざまな御提案も出ておるようでございますので、やはり総合的に勘案してこの問題に対処しなければならない。私は、基本的には保険料率の凍結の解除とそれから国庫負担の二分の一というものを同時にできるだけ早くやっていくことが望ましいと考えております。
#196
○清水澄子君 やはり、これも全部皆さん、どの委員も大体共通した意見を提起していると思うんです。それは、基礎年金の現実が非常に空洞化しているという、現実は空洞化じゃないとおっしゃっていますけれども、やはり現実はそこが崩れると年金の財政もすべて崩れますね、制度が。ですから、非常にこの辺はみんなが共通の心配をしている。そういう中で、やはり基礎年金だけは税で保障すべきだという考え方が非常に今、私どもはそういう認識をしているわけです。
 しかし、かといってそれが増税をしてやってもいいとは思っていないんですけれども、それだけにこれがどんどん先送りされる。そして、景気上の話だけでやるといえば、年金というのは景気のよしあしでいつでもよくなったり悪くなったりと。年金、社会保障制度というのはそういうものじゃないと思いますから、それが国民が不安を持つもとになると思いますので、その点についてはやはり社会保障の年金というのはきちんと政府が責任を持つという、そういう考え方を示していただきたいと思うわけです。
 現に、二月三日のこの福祉委員会におきましても、与党の方からも、基礎年金の国庫負担率の二分の一の即時実施が可能であると発言をされておられるわけです。私もそれはまさに同感でございまして、ぜひこの国会で二分の一を実施することを私は強く求めますけれども、今、大臣はお答えになりましたけれども、もう一度大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
#197
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の年金法の改正案におきまして「当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るもの」という附則が設けられておるわけでございます。できるだけ速やかに実施しなければならないという熱意は持っておるわけでございますが、では今直ちに上げるかというと、額が額でございますのでそう簡単にいかないし、私も委員と同じように、では今、このために消費税を引き上げられるような環境にあるかというと、そういう状況にはないわけでございますので、そういった現実を踏まえながらどういう方向でこの問題を解決していくかということではないか、こう思っております。
#198
○清水澄子君 次に、年金受給の四十年モデルと現実の差なんですけれども、年金受給のモデルとして四十年加入が採用されているわけですね。現実に四十年間掛金を掛けて満期を迎えられる人というのは一体どのくらいいるのか、またどういう属性の人たちなのかということをお答えください。
#199
○政府参考人(小島比登志君) 平成十年度末における厚生年金老齢年金受給権者について、四十年以上加入している受給権者の数ということでございますが、まず男子が百三十万四千人、これは男子の受給権者五百六十万九千人の二三・二%ということでございます。それから、女子は五万一千人、二百六十万八千人の一・九%ということでございまして、男女合わせて受給権者全体が八百二十一万七千人でございますから、四十年以上加入の受給権者は百三十五万四千人ということで一六・五%、こういう数字になっております。
#200
○清水澄子君 四十年加入をしている、保険料を掛けている人は男女合わせて一六・五%なんですね。政府からいただいた資料でも、六十歳というもうすぐ年金をもらう直前に近づいている人でも一八・九%しか四十年掛けている人はいないんです。ですから、このモデル年金というのが本当に該当する人というのは非常に少ないと思います。まして、女性の場合は非常に低いわけです。同じあれで、女子で六十歳ですと四・八%の人しか四十年掛けていません。
 ですから、四十年掛け続けた人というのはどちらかといえば、ずっとこれまでは終身雇用がありましたから、ですから主に男性ですね。そして、それも中途で退職とか解雇などによる中断がない人というのはやっぱり男性の方に多かったと思いますし、それから大企業、そういう人たちが四十年以上になる。それでも、現在六十歳以上の男性でも一八・九%にしかすぎないという意味では、この四十年モデルというのはいかにも何かみんな自分たちがこれで四十年掛けているとこの年金が自分のものになるように思う。数字のマジックだと思うんですけれども、該当者は非常に現実には少ないと思うんです。
 しかし、厚生省の考えは、将来はそれは長くなりますというわけですけれども、例えば五年後に六十歳になる男性でも三十五年以上掛けた人というのは四二・四%にとどまっているわけなんです。ですから、私はこういうのが唯一のモデルとなるのは非常に実態に反しているんじゃないか、このように考えるんですけれども、この点について大臣、どのようにお考えになりますか。
#201
○国務大臣(丹羽雄哉君) 老齢年金の新規裁定者の被保険者期間でございますが、基礎年金制度の発足以降を見まして、まず順調に延びてきておる、そして今後さらに延び続けていくのではないか、こう見込んでおるような次第でございます。
 確かに、すべての被保険者が四十年間の被保険者期間を満たすということは現実には考えにくいということは率直に言って認めるわけでございますが、将来におきましては、かなりの方々が四十年近く、平均寿命も延びておるわけでございますし、また先ほど来問題となっております雇用期間の延長ということもありまして、四十年近く制度に加入することになるということは確実でございまして、私は、国民に最もわかりやすい年金の水準を示すものとして、この四十年間の加入で、要するに二十歳から六十歳まで年金を払っていただくモデル年金というのは適当な姿ではないか、こう思っております。
#202
○清水澄子君 私はまた、五年前、十年前のときの趣旨説明が全然現実とは離れている部分があるように、今回の場合の見通しというのは私は非常に甘いんじゃないかと思います。
 というのは、今御説明のように、これから長期にはこういう受給者、加入期間が長い、四十年の人がふえてくるというんですけれども、現実は厳しいと私は思います。特に、リストラとか解雇によって職を奪われた人たちというのは自分の責任では負い切れない事情で掛金を払える身分とか立場を失うわけです。そういう人たちが今後絶対出ないというんじゃなくて、むしろ今非常にふえていて、そして保険料を払えない期間が出てくるわけです。こういう人たちは前は想定できなかったと思うんです、一定の職場に勤めている人には。
 ですから、当面の短期的なことだけで終わればいいんですが、それを終わらせる努力は必要ですけれども、現実はやっぱり年金の立場から見ますとなかなかそういう状況はそう簡単になくならない。低成長が続けば中長期的にこうした層がかなり一般的に出てくるのではないか、こういうことを私は想定されると思うんです。そういうときに、厚生省は非常に楽観的なんですけれども、四十年加入より短いモデルのことは考えていない。そうなると、モデルというのか、四十年より加入できない人たちのことをどうするんだ。それは非常に低い金額になってきますね。そういう人たちのことはどんなふうに考えているのか、お尋ねします。
#203
○政府参考人(矢野朝水君) モデルというのはあくまで一般的、抽象的なものですから、年金額は個人個人すべてもう千差万別で皆さん全部違っているわけです。つまり、加入期間と在職中の給料が幾らであったか、これによって大きく影響されますし、さらに女性の場合は、夫がいるかいないか、あるいは離婚するかしないかというようなことで非常に違いが出てまいります。ですから、これまでの私どももワンパターンでのモデルを示すというのは、女性のライフスタイルが大きく変化している今日、これは適切ではないと思いまして、年金白書などでは幾つかのケースも分けてお示ししております。ただ、そういう点ではこれからもモデル設定というのはいろんな形のものをお示ししていく必要があると、こう思っているわけです。
 ただ、四十年加入の問題につきましては、今、年金を受給されている方というのは昭和三十年代とか四十年代に農村から出てきて働き始めた方とか、それから女性の場合は、若いころ働いて、子供ができたらしばらく専業主婦で休んで、また働き始めたというような形で、どうしても加入期間が短い方が多いわけです。これからはそういう点はもう四十年に近づいていくのではないかと見ております。
#204
○清水澄子君 それでは、今、女性の年金の話もありましたけれども、ちょっと時間がないので簡単にお伺いいたしますが、女性の場合はさらに多くの問題点があるわけです。
 これは、年金審議会でもほとんど問題はもう出尽くしていると私は思います。もちろん、女性の年金は男性の半額であるという統計だって全部厚生省が出していらっしゃるくらい、これは雇用上における男女賃金格差の問題とか、それから雇用条件がパート労働に限定されていくとか、百三十万円の壁という税制の問題とか、それから専業主婦の場合でもサラリーマンの妻であるか自営業者であるかによって違いますし、女性の働き方やら結婚の相手の違いとか、共働きと専業主婦の間の問題とか、年金上における女性の立場の格差というのは非常に多いわけです。
 こういう問題で、きょうは私は時間がありませんからケースごとに言いませんけれども、それでも、ではずっと結婚も何もしない、やめることも中断することもなくて女性が四十年間単身で二十歳から六十歳まで働いたとしても、例えばパートタイムを除いた労働省の平均賃金というのはずるいんですね、ほとんどパートが多いのにパートを除いた平均賃金は労働省が出しているんですが、二十二万円。それで計算をしても十二万九千円なんですよね、女性の受け取る年金というのは。これは厚生省が出している数字であり、労働省の平均賃金を基礎にしても。
 ですから、いかに女性の年金というのは、いわゆる四十年モデルとか夫婦単位のモデルという形ではその枠にはまらない。特にこの場合、終身雇用で正規従業員とその妻のカップルをモデルにしているという、こういう実態と合わない。そういう意味でも、この四十年のモデルというのは女性を全く考えていないと私は非常に批判をしたいわけです。
 ですから、こういうモデルというのは、社会福祉のあり方としても根本的にやはりこれは見直す必要があると思うんです。そして、だれでもそれぞれ働いたら同じ年金上の権利が持てるように早急に私は改善をすべきだと。特に、女性が老後の生活の安定を受けられない、安心感を持てないという状況から一日も早く脱皮をしたいと思いますし、させるべきだと思いますので、詳しいことはまたいずれ質問しますけれども、大臣のお考えを伺いたいと思います。
#205
○国務大臣(丹羽雄哉君) 女性の年金の問題につきましては、いわゆる第三号被保険者制度の問題であるとか、それから遺族年金の選択制の問題であるとか、さらに離婚の場合どうやって取り扱うかとか、あるいは年金制度そのもののいわゆる個人単位などについてさまざまな議論があるわけでございまして、これはもう本当に早く方向性を出さなければならない問題ではあると、こう思っておるわけでございますが、率直に申し上げて、現実問題としてなかなかこれは、単に年金だけではなく、さまざまな社会実態というものもこれもまた十分に視野に入れながら考えていかなければならない、こう思っているような次第であります。
 いずれにいたしましても、古くて新しい問題でございますので、一つ一つ確実にそういった問題の解決に臨んでいきたいと思っております。
#206
○清水澄子君 次のときにまた質問しますけれども、厚生大臣、そんな答弁をしておられると日本の女性を全部敵にしたことになって今度選挙が大変ですよ。また次に質問します。
 最後に、まだ一分ありますので、一つだけ。
 年金福祉事業団の解散及び業務の継承に当たっては、現在、同事業団で雇用されている、働いている人たちについては当然これまでの労使合意事項というのがあるんですが、それはぜひ継承していただきたいし、そして現在の労使合意のもとでの勤務条件で全員雇用が継続されるというふうに考えて、これは前もお約束いただいているんですけれども、もう一度私はここで大臣のお考えを確認させていただきたいと思います。
#207
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年福事業団の解散、事業からの撤退に伴います職員の身分の保障の件でございますが、年福事業団の解散と整理に当たりましては大変重要な問題であると考えております。
 平成七年の閣議決定であるとか平成九年の与党の特殊法人改革協議会におきましても、特殊法人の整理合理化の際の雇用確保が指摘されておるわけでございますし、雇用不安を招来することがないように新たな年金資金運用基金も発足いたしますので、事業団の職員の方々もそこで能力を生かしてもらうなど十分配慮しながら対応してまいりたい、このように考えております。
#208
○清水澄子君 ありがとうございました。
 終わります。
#209
○委員長(狩野安君) ここで七分程度休憩することとし、午後三時四十分に再開いたします。
   午後三時三十二分休憩
     ─────・─────
   午後三時四十一分開会
#210
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#211
○入澤肇君 私は、二月三日の最初の委員会におきまして、政府の年金改革案の考え方を明らかにするためにあえて、対極とは言いませんけれども、一つの試案として出されております連合の考え方につきまして、政府はどういうふうに認識をしているのかということを給付、負担両面からお聞きして、この難しい制度について少しでも理解を深めようとしたわけでございます。
 きょうも今井委員、小池委員、清水委員等々から非常に有益な示唆に富んだ御質問がございました。
 今回の改革にもかかわらず、多くの問題がこの年金制度に内在することは事実であります。非常に難しい問題であります。しかし、国全体の財政状況であるとか諸般の情勢を見ますと、ここでやはり改革案を仕上げておいて、これを一歩前進と評価して、それを前提としてさらなる改革に歩みを進めることが私は建設的な考え方じゃないかというふうに考えているわけでございます。
 しかし、この制度を考えるに当たって頭の中を整理するという意味では、特に基礎年金についての問題と報酬比例部分についての問題というのは区別しなくちゃいけないということが一つ。それから、年金というのはいろんな複雑な要素を一つの制度に仕組み上げるためにモデルを設計しなくちゃいけません。その設計図の問題と具体的な運用のギャップの問題、これは十分認識しなくちゃいけない。そこで、設計図と具体的な運用の問題の中で多くの矛盾を抱えている場合には、それを大胆に改革していくことが必要じゃないかというふうに思うわけであります。
 例えば、午前中から議論になっていますけれども、未納、未加入の問題あるいは基礎年金の定額制、これが逆進的なものになるんじゃないかという問題、その他、例えばほかの徴税コストなんかに比べますと、保険料の徴収コストというのは非常に高い。千円徴収するのに百円近くかかっているんじゃないかというふうな試算もございます。
 こういうふうに制度に内在するいろんな問題を一挙に解決するためには、少なくとも基礎年金ぐらいは、財源の問題はあるかもしれませんけれども、いずれの日か税方式にして、そして国民皆年金の実を実現するということが私は必要になってくるんじゃないかなと思います。これはこれから与党三党においても議論いたしますし、また全党挙げて議論をすべき課題であるというふうに考えております。
 そこで、きょうは幾つかの具体的な問題につきまして御質問をしたいと思います。
 まず、保険料未納・未加入者が一号保険者の四〇%を超えているというふうに言われています。年金局長は御自分の講演か何かで、そんなに多くないんだ、五%ぐらいだなどということを言っていますが、分母としてサラリーマン等の二号被保険者等を含めて計算しているために低い数字が出ているんだと思いますけれども、私はそれは間違いであって、やはり給与から自動的に天引きされる集団を分母に加えて未納・未加入者のパーセンテージを計算するのはいかがなものかなというふうに思っております。
 この未納、未加入の問題で一番大きな理由として指摘されているのが年金制度に内在する世代間の不公平の問題、これがまず第一にあると思います。これについてまず御質問をしたいと思うんです。
 フェアな保険制度というのは、支払う保険料と受け取る保険料、要するに負担と給付、この予想額が等しくなるように設計するということがフェアな保険制度であると私は思うんですが、これはモデル的ですから、モデルはそうであるべきだと思うんです。
 現在の厚生年金の実態を見ますと、一九六二年以前に生まれた世代、これは受け取る給付が支払う保険料を上回る、これは年金制度で得をする世代ですね。さかのぼって年をとればとるほどこの割合が高くなる。例えば、一九三五年生まれの世代では生涯賃金の二六・二%にも受け取る額が上ると。一九三五年生まれとこれから生まれてくる二〇一〇年生まれの生涯賃金を両者とも二億円としますと、両者の受け取る保険料は八千万の差があるというふうな試算もございます。
 今度の改革によって何年生まれを境に得する世代と損する世代が生ずるのか、それからどのくらいの差が開くのか、これについてまずお聞きしたいと思います。
#212
○政府参考人(矢野朝水君) この損得論がよく言われますけれども、公的年金制度、これは助け合いの制度でございますから、本来、損得論はなじまないんじゃないかと思います。
 それからまた、前提の置き方によっても非常に異なってくるということでございますけれども、非常に大ざっぱな前提を置いてあえて損得論ということで御説明申し上げますと、一つは本人負担分でございますけれども、給付よりも本人負担分が多いということはございませんで、いかなる世代であっても本人負担分以上のものは必ずもらえるということでございます。
 それから、事業主負担分を含んだ保険料負担総額で見た場合には、今回の改正によりましても、平成十一年で四十歳、現在四十歳である一九五九年あたり以降では年金給付額がトータルの保険料負担を下回る、若い人、四十歳以下の人については給付額が下回ると、こういうことがございます。
 それから、世代ごとの給付と負担の関係で見ますと、平成十一年で七十歳であります一九二九年生まれの方、それとこれはちょっと先ですけれども今から十年後に生まれる二〇〇九年生まれの方、こういった両極端を比較いたしますと、年金給付は六千八百万円が四千九百万になりまして、一千八百万の減。一方、負担につきましては、これは段階的に引き上げていくということになっておりまして、高齢の方は六百万で済んだんですけれども、若い方は三千四百万ということで、二千七百万円の増と、こういうことになります。
 人口の少子高齢化が進む中で、負担の公平というのはなかなか難しい問題でございますけれども、これ以上不公平が拡大するようなことは避けるべきだと、こう思っているわけでございます。
#213
○入澤肇君 今お答えがありましたように、かなりの差がある。しかも、不公平を拡大させちゃいけないという考え方が示されたわけでありますけれども、これをどのように改善していくかということについてやはり真剣な検討がなされるべきだと思います。
 午前中、今井委員からもスウェーデンの改革の話がございました。このスウェーデンの改革の話というのは、二階建て部分につきまして民営化をどうするかという議論に絡めて改革が行われたというふうに聞いているんですけれども、例えば公的年金の保険料を今後長期間にわたって一定に保つ保険料長期凍結、あるいはみなし運用利回りという考え方を導入いたしまして賃金上昇率だとか経済成長率に等しく設定し、こういう方式のもとで拠出と給付の関係を原則として一対一に保つ。これによりますと、負担をめぐる世代間の不公平の問題も生じないというふうなことなんですけれども。
 今、不公平を拡大させないことが必要だというふうに局長が言われましたけれども、例えばどんな方法を検討課題として持っているかということについてお聞きしたいと思います。
#214
○政府参考人(矢野朝水君) この不公平の一番の原因といいますのは、これまで保険料を段階的に引き上げてきましたし、これからも段階的に引き上げていく、こういう段階保険料方式をとっておるということが一番大きい理由になっておるわけです。年輩の方というのは低い保険料で一生涯を終えられた、これから生まれてくる方は最初からかなり高い保険料を負担しなければいけないということで、そこで格差が生じるわけでございます。
 これは理屈だけの世界でございますけれども、理屈だけ言いますと、できるだけ保険料を早く引き上げていって今の中高年の方にもかなり高い保険料を負担していただく、それでなるべくフラットな保険料でやっていく、こういうことが実は理屈の上からは世代間の不公平を縮小する一番いい方法ですけれども、急に保険料を上げるというようなことは現在の経済環境から見てなかなか難しいことでございますので、理屈と現実はやはりおのずから違うということでございます。
#215
○入澤肇君 冒頭、税方式化について検討すべきだということを申しましたけれども、フェアな保険制度ということで常に負担と給付の明確化ということが言われております。
 二号被保険者の場合、払った保険料のどれだけが基礎年金に回ってどれだけが報酬比例部分に回るか、私どもの目には見えないわけであります。午前中、今井委員からも若干の指摘がございましたけれども、実態はどうなっているかということについてお聞かせ願いたいと思います。
#216
○政府参考人(矢野朝水君) 基礎年金は三号被保険者分も含めて二号の各制度が頭割りで毎年毎年必要な額を負担する、こういう完全な賦課方式のやり方でやっておりまして、そのために必要なお金というのは全体の保険料の中で賄うということで、その年々で制度として保険料を基礎年金のために幾ら支出したか、こういうトータルの額は情報開示をしておりますけれども、保険料のうち、例えば厚生年金ですと、一七・三五%のうち基礎年金が幾ら、上乗せ部分が幾ら、そもそもそういうことで徴収しているわけでもございませんので、そういうことは明確にしておらないということでございます。
#217
○入澤肇君 冒頭申しましたけれども、年金制度を考える場合に、基礎年金の部分と二階、三階の部分、報酬比例部分あるいは企業年金の部分というのは一応整理して考えないと議論が非常に混乱してしまう。そういう意味では、私は、今のところは一七・三五%のどのくらいの部分が基礎年金に相当する部分かということは、開示していないといっても、大体の割合ぐらいは示すべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#218
○政府参考人(矢野朝水君) 御指摘の点は十分検討したいと思います。
#219
○入澤肇君 次に、本会議でも御質問申し上げたんですけれども、約千二百万人近くに上る三号被保険者の問題をどう考えるかについてお聞きしたいと思います。
 専業主婦でも夫が一号の被保険者の場合には国民年金保険料を支払わなくちゃいけない。年収が百三十万円未満のパートの主婦でも夫が一号の場合は国民年金保険料を支払わなくちゃいけない。それから、三号被保険者は保険料を支払わなくても払った人と同じだけ基礎年金を受け取ることができる。つまり、三号の場合には夫ではなく二号の男女が支払う仕組みになっている。
 それから、実は三号の特典が主婦、パートタイマーの年収を抑制する一つの要因になっているというふうなことが指摘されているんです。現に、いろんな話を聞きますと、二号として厚生年金に加入できれば老後に給付できる年金として基礎年金に加えて報酬比例の部分がプラスされるんだけれども、パートへ出て使用者が保険料負担を嫌って厚生年金加入に難色を示す場合が少なくないという事例が報告されております。
 まず、このような実態をつかんでいるかどうか。この年金制度の三号被保険者の問題に絡んで、パートの年収が百三十万に抑制されているという事実についてどうお考えですか。
#220
○政府参考人(矢野朝水君) 第三号被保険者制度があるために就労を抑制しているという意見がございますけれども、私どもが既存のいろいろな資料で見ました場合に、被扶養配偶者の取り扱い、百三万でございますけれども、税の配偶者の取り扱い、ここのところでは確かに大きな格差が出ております。しかし、百三十万のところではそう目立った格差はデータとしては出ておりません。
 ただ、百三十万の壁ということが言われておりまして、これを乗り越えると結局トータルとしては国民年金の保険料を負担しなきゃいけないので損だということで就労をあきらめている、調整している、そういう声はいろいろ聞いておりますし、個別に見ますとそういう実態はかなりの程度あるんじゃないかと思います。
#221
○入澤肇君 しかし、きょうも非常に厳しい質問を小池委員がやっていましたけれども、雇用問題で、リストラでパート職員にならなくちゃいけない、そのときに、パート職員等を雇う小規模の事業者が、厚生年金の問題があってできるだけ事業者が百三十円万以上にしないようにするというふうなことがいろんなところで聞かれるわけですね。そういう実態についてどう考えるかということです。
#222
○政府参考人(矢野朝水君) 三号制度のよしあしというのはいろいろな観点から考えなきゃいけないと思いますし、一つはそういう点で就労抑制になっているかどうか。これからできるだけ女性の生き方はこういった制度によって左右されない、そういう中立的な仕組みにすべきだ、こういう御意見も強いわけでございますので、こういった点は三号制度を考える上での一つの大事なポイントだと思っております。
#223
○入澤肇君 次に、またこれは一つの大きな問題なんですけれども、減額率についてちょっとお聞きしたいと思います。
 六十五歳を起点にして繰り上げ支給、繰り下げ支給する場合、例えば六十歳で受給開始がある場合には四二%という減額率、これは新聞にも出ていましたけれども、大変懲罰的だというような意見が出ているわけですね。六十歳以上の何歳から年金を受給しても損も得もない減額率、これははじいておりますか。
#224
○政府参考人(矢野朝水君) 現在、六十歳から基礎年金を受給しますと減額率が四二%でございますけれども、これは非常に古い生命表を使っております。昭和三十年当時の生命表ということでございまして、これを直近の生命表に置きかえたらどのくらいになるかということについてはいろいろ検討はしております。
#225
○入澤肇君 ぜひ検討した数字を後でいいですから教えていただきたいと思うんです。この点は非常に重要な問題になると思います。
 それから、時間がございませんので、最後に年金改革の方向につきまして幾つかお話を聞きたいと思います。
 要するに、公的年金と私的年金の役割分担、この問題は今後大きな問題になるんじゃないかと思うんです。経済戦略会議などは二階部分を全部民営化しろと。これは二重負担の問題だとか多くの問題を抱えて必ずしも現時点においては適切でないと。これは先ほども厚生大臣がお答えになったとおりでございます。
 公的年金は賦課方式による運営に純化する、すなわち公的年金の積立金を、先ほども五・五年分持っているというお話がございましたけれども、今後ふやすということは原則としてしない、積み立ての要素を強める場合には私的年金の分野で行うというふうな役割分担関係、公的年金と私的年金の役割分担関係、こういう考え方についてはどうお考えになりますか。
#226
○政府参考人(矢野朝水君) 公的年金は賦課方式に徹すべきだ、こういう御意見があることは承知いたしております。
 ただ、具体的に賦課方式にした場合どういうことになるかといいますと、積立金も取り崩して保険料は当面安くしろ、こういうことになるわけでございます。その分、将来、少子高齢化がさらに進んだ場合、将来の世代はもっともっと高い保険料を払わなきゃいけない、こういうことになるわけでございまして、先ほど申し上げました世代間の不公平がさらに拡大してしまう、こういうことになるわけでございます。
 私どもとしましては、公的年金でありましてもこういった世代間の不公平をこれ以上ふやさない、大きくしない、できるだけ縮小する、こういう観点からは、積立金の運用収益でもって将来の保険料を少しでも下げる、こういった制度運営が必要だと、こう考えておるわけでございます。
#227
○入澤肇君 その次に、国民負担率の問題があって、そういう概念はもう用いるべきじゃないんじゃないかと、ちょっと聞き違ったら申しわけないんですけれども、先ほどそのようなニュアンスの発言がございました。大臣からもそういうふうな御答弁がございました。
 しかし、私は、国民負担率というのは国全体の収支あるいはマクロ経済における国民の負担がどのくらいかということを示す極めて有力な物差しじゃないかと思っているんです。特に、国際比較をする場合に私はこれは避けて通れない物差しであるというふうに思っております。
 特に基礎年金について、例えば税方式を導入するような場合に何がメルクマールになるかといいますと、国全体の国税収入はどのくらいか、あるいは社会保険料収入はどのくらいか、社会保険の中で年金保険料、医療保険料はどのくらいかとか、あるいは国税収入の中でも所得税と消費税、これはどのくらいかというふうなことを一々検討することが私は必要だと思うんです。
 例えば一九九九年度の数字で申しますと、国税収入は四十七兆一千億円、社会保険料収入はそれを上回る五十四兆五千億円、社会保険料収入の中でも年金の保険料は二十九・九兆円、医療保険料は十七・四兆円であります。この年金保険料の二十九・九兆円、医療保険料十七・四兆円に対応する所得税、これは十五・七兆円、それから消費税は十・四兆円。この保険料そのものは人頭税的な意味合いがある、色彩を持っている、あるいは性格を持っているというふうに言われておりますけれども、やはり国民負担率、GDPに占める公租公課の全体の姿というのは捨て去るべきではなくて、これは今後とも年金制度、社会保障制度を考える上においては重要なメルクマールとして持っておくべきだと私は思っております。
 ぜひ、基礎年金の部分について税方式化について一層の検討を進めるということで、最後に大臣のお考えを聞いて、質問を終わりたいと思います。
#228
○国務大臣(丹羽雄哉君) 社会保険方式か税方式かということにつきましては、御党との間でかなり議論をもうかれこれ一年近くやっておるところでございます。
 今さら私から申し上げるまでもないわけでございますが、附則の中で「財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るもの」と、こういうような附則が設けられているところでございます。私は一つの有力な御意見として承って、そして、いずれにいたしましても連立政権の中でどういうような決着をつけるか、この問題につきましていずれ近い将来に決着をつけなければならない問題と考えておるような次第でございます。
#229
○入澤肇君 終わります。
#230
○堂本暁子君 最後から二番目でございます。よろしくお願いいたします。
   〔委員長退席、理事山崎正昭君着席〕
 余り細かいことは伺おうと思っておりませんが、さっき清水澄子先生が女性と年金の問題に触れられました。私はきょうはそこに集中して伺いたいというふうに思っています。
 と申しますのは、前回も引用させていただいたんですが、「「福祉政府」への提言」という本の中で神野直彦教授は、脈絡のないパッチワーク的な進め方を日本の社会保障制度はしている、医療は医療、介護は介護、失業対策、そして年金は年金と大変縦割りになっているんだということをおっしゃっていまして、もっとそれは相互の関連性がなければいけない、包括的な社会保障制度の改革が必要なんだということを主張していらっしゃるわけです、さっきたしかスウェーデンの形で引用された同じ本ですけれども。
 問題は、このパッチワークがつながっていればいいんですが、私は、きれときれとの間にすき間がある、そのすき間にまさにおっこちているのが、例えば離婚した女性の年金であったり、学生無年金障害者の問題であったり、それから雇用と年金との間にいる六十代前半の方たちだったんだろうというふうに思います。
 きょうは女性の問題に絞って伺わせていただきますけれども、去年、男女共同参画社会基本法が施行されたばかりで、この法律は、地域ですとか家庭ですとか職場、あらゆる分野での活動に男女がともに参画する、そしてそれぞれが個性と能力を発揮するような社会にしていくのだということが基本的な概念になっています。もちろん厚生省も、すべて各省庁はこの政策に基づいて、ジェンダーの視点から見直しをしていくことになると思います。
 きょうは、そういった男女共生の時代になったということ、別の言い方をすれば、ライフスタイルにしろそれから年金であれ、個人の選択の自由が保障される、そういった時代になったんだという視点から女性の年金についてちょっと考えてみたい、そして厚生大臣の御意見を伺ってみたいというふうに思っております。
 前回の質問で、厚生大臣は、国民全体としてこれから社会保障をどう考えていくか冷静に真剣に考えるときが来たというふうにお答えになったし、それから社会保障というのは、私どもが国民の皆さんに施すのではなくて、お互いが社会連帯のもとに一人一人がどのような人生設計をつくるかであって、それを公的なサービスとしてどう支援していくか、これは丹羽厚生大臣のおっしゃったとおりの文言なんですが、そうおっしゃった。私もまさにそのとおりだと思うんです。
 個人がどのような人生設計をしていくかということが先にあるような、行政なり制度なりがパターンをつくってしまうんではなくて、やはり個人が自由に自分のライフスタイルを選択できる、そういったあり方がこれからの時代だろうというふうに思っています。特に、人口の半分は女性なんですから、女性も当然自分の生き方を選択していいはずだというふうに思います。ところが、この年金のことで申しますと、女性に自由がない、選択権がないというふうに私は言わざるを得ないと思っています。
 女性に三つの種類があるわけですね。八百屋さんなり魚屋さんのおかみさんたちがやっている自営業、それからフリーライターやデザイナーの人たちといった自由業の女性たち、そういった人たちはみずから国民年金を払っているいわゆる一号被保険者。それから二番目は、会社であれ役所であれ、もう男性と同格に勤めている、独身であろうが共働きの奥さんたちもいらっしゃるでしょうけれども、二号被保険者ですね。問題は最後の三番目、サラリーマンである夫の収入で生活している専業主婦たち、パート収入がある場合でも年収を百三十万未満に抑える、これがやはり三号被保険者と呼ばれる方たちだというふうに思います。
 年金白書を読みましても、八五年の大改革で、無年金者を少なくする、三割の専業主婦が年金を納めていなかった、だから主婦の年金権を確立するために三号被保険者の制度を確立したのだと。それは一つの側面であると思います。すべての女性に年金権が確立されたというプラスの面がなかったというわけではありません。しかし、余りにも夫の職業や夫婦の性による役割分担によって物すごく左右される、しかもこれは付随的な年金の制度になってしまっている。
 例えば、具体的に言いますと、最近でいえば夫がリストラされたらたちまち一号被保険者になる。それじゃ自分が働かなければならないということで勤め始めると、今度は二号被保険者になる。夫がまた仕事を見つけたけれども、東京ではなくて北海道だった、そこへ行ったときにまた三号被保険者になる。だけれども、給与が少ないのでパートに出て百三十万以上の収入を得ると今度はまた二号被保険者になる。
 これが例えばリストラなんかがあった場合はもう三カ月とか六カ月ぐらいの単位でそういった生活がその夫婦を襲うというか、そういう境遇に置かれるだろうと思うんです。そういうときに、くるくる変わる、そして全く自分の主体性ではなくて夫の仕事の都合によって一号、二号、三号とぐるぐる動くような、これは何とも主体性がない立場に女性が置かれている。夫の職業の変更によって左右されてしまう、そういう意味では、女性に年金権が与えられたというふうにおっしゃっていますけれども、この年金権そのものが果たして固有の年金権が保障されているのかどうかというところが問題だろうと思います。
 大阪府立大学の本澤巳代子さんという教授の方が書いていらっしゃる論文を読んだんですが、八五年の改革のときに、従前の制度における任意加入者であった妻、つまり国民年金に自分で払っていたその奥さんたちが今度は三号被保険者になった場合に、その年金権の法的な性質と新しい制度の被保険者の年金権の法的な性質が全く同じなのかどうか。だから、自分で払っていたときと自動的に夫の年金の中に組み込まれた、これは企業が払うというのではなくて夫の年金として拠出されるものの一部に妻の分も入ってしまっているようですけれども、そういったときに法律的に果たして同じ性質のものなのかどうか、このことについて議論が十分なされなかったんじゃないか、この八五年の段階で。それから、両者の権利性あるいは同一性で、今申し上げた一、二、三というふうに変わっていく場合ですが、そういったときの権利性の法的な連続性についても果たして議論があったのかどうか、これはわからないのではないかと。
 これは大変的確な指摘だと思います。というのは、そういうふうにくるくる変わっている中で、非常に付随的な時期と、それから非常に自立している時期とがまざり合っていく。これはやはり制度として整合性がないというふうに、非常に理屈っぽい部分ですけれども、やはり私はこういったところがあいまいであるということは余りよくないというふうに思います。
   〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕
 それだけではなくて、例えば離婚の場合なんかでも基礎年金のところしか残らない。カナダでは一年以上結婚していると離婚のときに所得比例で分けていく。それから、ドイツでも同じように、専業主婦でも離婚すると年金分割が行われる。こういう意味では、年金という世界で見ると、女性の問題はイコール年金の制度全体の矛盾とか問題をそこに凝縮していると言っても過言ではないんじゃないかというふうに私は思うんです。
 ジェンダー、そういった女性の問題としてこの年金の制度を切っていくと、今回るるいろいろな方たちから質問が出ましたけれども、この年金の制度、そして今度改革されるという制度の中で残された大きな整合性のなさとか不平等とか、そういったものが浮き上がってくるように思います。そしてなおかつ、大改革から十五年たった現在、女性と年金は後に残されたわけですが、大変本質的なところをどうして残すのか。女性たちは待っていられないというのが本音だろうと思うんです。
 二号被保険者がどんどん今ふえています。一千万、一千万、一千万というふうに、大体三分の一ずつ一号、二号、三号と。厳密には二号が一千二百三十一万五千人、そして三号被保険者が一千百九十万というふうに、もう追い越しているわけです。こういうふうに、女性たちがどんどん社会進出をすればするほどその矛盾というのが拡大されていくというふうに私は思います。
 まず伺いたいのは、女性のこういった二号被保険者、これがこれからどういう推移をたどっていくというふうに大臣は考えておられるでしょうか。
#231
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、女性の厚生年金の被保険者数でございますが、平成十年度の一千百万人から、平成三十七年度には一千万人になる見通しでございます。これは生産年齢人口、すなわち二十歳から六十四歳までの人口自体が減少していくということを反映したものでございますが、女性の生産年齢人口に占める割合で見ますと、ざっと一・五倍になる見通しとなっております。このような割合が上昇していくのは、財政再計算において女性の社会参加に伴う労働力率が上昇していくということを織り込んでおります。
#232
○堂本暁子君 ありがとうございました。
 衆議院の厚生委員会で去年の十一月二十五日に行われた公聴会に出席された武蔵大学の国広陽子さんがこの三号を分析してこうおっしゃっているんです。今まさにおっしゃった二号の方、どんどん女性たちが働き始めている、ところが二十歳から二十四歳の女性では三号はほとんどいない、そして自分で働いて自分で保険料を納めている人がほとんど。ところが、三十から三十四歳になると、今度はみんな二号ではなくて、どんどん減っていって、三号被保険者になってしまう。そして、今度、五十歳以上になると三号被保険者が減って一号被保険者がどんどんふえていく。これは夫が定年になったりするからだということで、妻はそうやって働く能力がありながら、結局、今ふえていくだろうとおっしゃいましたけれども、その途中の二十四歳以降、そこのところで三号になっていくということの数字が、年齢によってどんどん山が変わっていく、移行していくという、非常に日本としては特徴的な、こういう制度があるからそういうことになるんだろうと思うんですけれども、そういうふうになっていってしまう。
 少なくともパートタイムの仕事に出ていく場合にでも、三号である場合には百三十万円を超えるとやっぱり損だ、だから得な働き方ということで百三十万円を超えないようにしている。その人の個性とか能力があっても働かない、その後はテニスをしていようとか昼寝をしていようとか。これは今労働力が減っていくようなときに大変な損失なんです。
 だけれども、こういう制度がある以上、だれだって働いてより多くお金を出すよりはそこにとどめておこうというのは余りにも当たり前過ぎるほど当たり前。だから、こういう制度があることがそういった能力のある女性たちの生き生きとした労働を抑制してしまっているというふうに思います。
 女性の社会進出とか就労を促進するということをこの制度が阻害してしまっている、大局的にごらんになったときそういうふうにはお思いにならないでしょうか。
#233
○国務大臣(丹羽雄哉君) 第三号被保険者の問題は女性の中でも意見がかなり割れている問題でございます。
 確かに、働いていらっしゃる女性の皆さん方からは、働かないで年金を確保しているのはけしからぬ、こういうような意見もございますし、その一方で、現実問題として出産、育児、介護といったようなことで自分たちも生活の中で大きな役割を果たしているのだから第三号被保険者制度というものは当然である、こういったような意見がありまして、意見が分かれております。現実問題として、一千二百万人を超える女性の第三号被保険者の皆さん方を、いきなりこれを全部取っ払って第二号なり第一号に持っていくということはなかなか難しい問題もございます。
 いずれにしても、何らかの形で保険料を取るということに対しても現実問題としてはなかなか難しい問題がある。そういう中において、税制上の百三十万円の課税の問題にぶち当たってくるわけでございますし、現に私の周辺におきましてもよく聞かされている大変悩ましい問題でございまして、先ほどから清水委員にも歯切れが悪いということでおしかりを受けておるわけでございますが、まだまだ全体的に国民の中での集約ができていないのではないかな、こういう感じを持っています。
 ただ、一言申し上げさせていただきますならば、基本的には、私自身の考えでは、個人単位の年金権を確立していくためにどういうようなアプローチの仕方があるのかな、こういうような観点からこの問題の解決に臨んでいくべきだと、こう考えています。
#234
○堂本暁子君 何も私がずっと働いてきたから専業主婦を批判するということではなくて、今は構造的な問題としてこれはおかしいのではないか、それから先ほど申し上げた、法律的に果たして同一の年金権と考えていいのかというような、もう少し深いところで考えています。でも、非常に安直な物の言い方をすれば、私ももし働かなくても同じだけの年金なり遺族年金なりがもらえるんだったらやはりテニスして昼寝して、その方が楽でいい、こう思わないわけでもないかもしれません。
 ただ、問題は、率直な言い方をさせていただければ、一度そういう権利というか立場に立ってしまったら、だれだってそれはその方が楽ですから。それはそうですよ、百三十万までパートタイムして、あとはのんびりと映画でも見ていた方がいい、そういった形のことだってあるかもしれない。
 清水さんはアンペイドワークの専門家ですけれども、だからアンペイドワークをどういうふうに評価するかということはこれはまた全く別の問題として、夫のところにいれば漠然と年金がもらえるということはアンペイドワークを解決することではないと思いませんか。多分私はそうじゃないと思うんです。問題は、だからはっきり申し上げれば、やっぱり一九八五年のこの改正は間違ったんだろうというふうに思います。
 この年は男女雇用機会均等法が成立して、労働政策としては働く女性をバックアップする法律ができた年なんです。にもかかわらず、社会保障の方でいえば逆に専業主婦、被扶養の妻の保護の方に強化していった。これは学者はいろんなことを言っていらっしゃいます。
 例えば、東大の大澤眞理さんも、六〇年代、七〇年代の高度成長期に、成長よりも福祉をという世論に押されて、一九七三年には当時の田中角栄内閣のもとで一連の立法の決意をしたにもかかわらず、福祉を優先しようとしたけれども、そのときに何が起こったかといったら、第一次石油危機に見舞われた。そして、福祉の見直しの合い言葉になっていた、模範だった、まさに先ほどから出ているスウェーデンとか西欧型の福祉国家は避けるべきだ、これは悪い手本なのだということで、むしろ家族頼み、男性本位、大企業本位の三位一体的な特徴の日本型福祉国家社会が提唱されて、これが八〇年代の特徴をつけてしまったと。
 そのことは別に大澤さんの本の理屈を読まないまでも、厚生白書で「少子社会を考える」、これに私は歴然と書いてあると思うんです。というのは、ここにどういうことが書いてあるかといいますと、役割分業型の家庭の内側で女性に漠たる不満が生じてきた、ずっとそこに縛られることに対して。ところが、税金もそうですけれども、こういった社会保障の制度もそういった制度になっているわけです。子育てが家庭で母親だけが担うべきものとなっていったということで、そこで孤独感、負担感が生まれてきた。もし仕事をすれば、共稼ぎになればまさにそうですけれども、共稼ぎじゃない専業主婦の場合もそうです。
 その後が、私は大変にこの白書は正直に書いていると思いますけれども、だんだん結婚を選ぼうとすることがなくなって晩婚化につながっていった、それが少子化につながっていった。だから、これを解決することが少子化を解決することだということをこの白書は書いているわけです。ですから、私は、年金白書もありますけれども、平成十年版厚生白書「少子社会を考える」がはっきりと、まさにそのとおりだろうと思うんです。
 いろんな数字の分析を明快に駆使した大変すぐれた白書だと思っていますけれども、ここの最後の結論的に白書が書いていることは、夫は仕事、妻は家事、育児という役割分担意識が女性が社会に進出してもずっと引き継がれていったと。だから、その結果、家事、育児の責任は夫や父親が分担しないでひたすら母親が分担するようになった。その負担感から、過重な負担が女性の方に来たということで、それがまさに少子化につながった。
 今まさに厚生省は一生懸命少子化対策をやっていらっしゃいますけれども、私は、どんなに何十、何百の、この間ベビーホテルの質問もさせていただきましたけれども、保育行政にも大変関心は持っております。保育行政が充実すればそれはそれにこしたことない。確かに少子化への一つの施策であろうというふうに思いますけれども、もっともっと根っこの部分、本質の部分でいえば、この厚生白書が書いているとおりに、まさに女性たちがそういった制度の中で、無意識に一方では百三十万よりも少しと言いながら、そういったフルタイムの仕事につかない、つけない、仕事がない。
 大澤さんの分析だと、その方が企業にとっても都合がよかった、一たんみんな子育てをした女の人たちが非常に低賃金で雇用できる、したがってそういった男は仕事、女は家庭という構造が日本でできてしまったのだと。あげくは男はエコノミックアニマルとか今や過労死とか、それから五十代の男性の自殺の増加とか。
 これは結局、女性の問題ではなくて、男性、女性と関係ない、日本の二十一世紀における社会のありよう、まさに大臣がさっきおっしゃったことを私はきょう繰り返して申し上げましたが、そういった自分のライフスタイル、みずから自分の人生設計をすることに対してのかせになってしまっている。ふだんは多分みんな余り意識しないんですが、社会の制度というのはしみ込むように、空気のようにその人の生活を規定していってしまいます。
 こういった制度に一人一人の主婦が、あと一時間働くと百三十万を超えちゃうからやめるわという、こういう意識と、それは根っこの方ではそこまで制度のことなんて考えてそんなことを思っていないです、一千二百万の主婦たちは。でも、結局はそういったものが全部集結していったときにこういった社会のひずみになって出てきているのではないかというふうに思うものですから。
 私は、今回、女性の問題というよりはジェンダーの視点から今の年金の制度を見たときに、それは女性だけの問題ではない、男性、女性全部を合わせてそういったひずみが十五年の間に増幅してきている、その結果こういうことが大きく矛盾を生み出しているのではないかと思いますが、大臣はいかがお考えでいらっしゃいましょうか。
#235
○国務大臣(丹羽雄哉君) 第三号被保険者制度そのものが過ちだったのではないかとおっしゃると、いや、それはそうじゃないですと申し上げざるを得ないんです。これは専業主婦の方々にもみずからの基礎年金を保障するために六十年の改正で導入されたわけでございます。それまでは国民年金制度への任意加入、三割の方が加入をせず無年金であったという実態でございます。
 ただ、堂本委員の御指摘のような面が、今、社会の中における女性の社会進出とともに、さまざまな女性の役割であるとか、あるいは制度における女性のハンディであるとか、これはある意味でいうと得をするという面もなきにしもあらずなんですが、そういうものが現存しているということは紛れもない事実であります。
 それでは、一気に千二百万人の方々から保険料を取れるかというと、それもなかなか難しいなという感じであります。パートの方もいらっしゃれば収入のない方もいらっしゃるし、その辺のところが非常に、決して私どもはこの問題を放置しておくとかそういうつもりは全くないんですが、ただ年金制度の中だけでは解決できない問題でございますし、なかなかもう一つ意見として集約できないということでございます。
 いずれにいたしましても、引き続き真剣に勉強していく問題だと、こう考えているような次第でございます。
#236
○堂本暁子君 間違ったと申し上げたのは、女性が年金権を持てるということはもちろんいいと思うんです。三〇%の女性が無年金のままでいるのは決していいとは思いません。ただ、方法論だと思うんです。夫の年金に完全に付随してしまっている形をとっている。だから、そうではない、もっと違った独立した年金権。きょう、るる出ていました基礎年金とそれからいわゆる二階部分と言われるところですが、そこをどういうふうにこれから担保していくのか。
 そして、日本だけではなく外国でも女性の方が賃金は低いですから、常に年金は低くなってしまって、それで夫婦でそこのところを年金分割というような考え方がヨーロッパやカナダでもあるように、必ずしも前の任意加入の国民年金だけがいいというふうには思いませんけれども、今の制度は余りにもそこに安住してしまう場所をつくってしまった。安住だけではなくて、先ほど申し上げたように、それが晩婚化に、それだけではないですが、今おっしゃったように税金ですとかあらゆる制度全体の中ですけれども、その一つの要因として非常に大きく社会保障の問題があるということもこれからぜひ検討していただきたい。
 審議会でも女性と年金の問題をやるということでちゃんと意見書が出ていますけれども、これが改正されてからということのようです。私は、そんな早く簡単に結論の出ることではないんですから、どうしてもっと早く着手しないのかなというふうに思っています。別に法律の成立をまつまでもなく、やっぱり女性の方としても一刻も早くきちっとして、ちゃんとした形で年金が欲しいわけですから、制度が欲しいし自分の生き方も担保されたいとだれもが思っているわけですから、女性の年金問題について誠意を持って早くやっていただきたい。
 その場合にお願いしたいのは、やはり半分ぐらいは女性の委員を入れていただきたいし、それからおっしゃったように両論が物すごくあると思います。沸騰させればさせるほどいいと思うんです。介護保険もあれだけ大問題になったおかげで世の中じゅうが知ってしまったという非常に皮肉なことがありましたけれども、この問題も特に女性たちがそういう議論が起きているんだということを長いこと知れば知るほどいいと思うんです。対立すればするほどむしろ知られていく、自分の問題としてそれぞれ考えるようになるわけですから。
 ぜひ一刻も早く、これは厚生省にもお願いいたしますけれども、大臣にもぜひ、何で今までやらないのか私にはわからない。これは今の審議と並行して忙しいからできないということなんでしょうか、わかりませんけれども、もう一刻も早くやっていただかなければいけないことであろうというふうに思います。
 これは申し上げるまでもなく大臣はやってくださると思いますので、それをお願いして、そして最後の質問に入りたいと思います。
 今、グリーンピアをどう使うかという大規模年金保養基地の譲渡の問題が出ています。先ほど、山本委員でしたか、保養所として使ったらどうかというふうにおっしゃっていましたけれども、私は、厚生省が健康日本21というのをやっていらっしゃるので、それだけ大きいいい施設があるのであれば、ぜひともこれは地域の健康づくりの拠点として活用する、そういった基地にするというのがこれからの使い方としては一番いいのではないかと思うんです。自治体へ譲渡なさるときに、ぜひともこれから老若男女、年寄りであれ若者であれ、男であれ女であれ、子供たちであれ障害者であれ、自分たちの健康づくりの拠点として使えるようにしたらいいのではないか。これは一つの提案でございますけれども、いかがでしょうか。
#237
○国務大臣(丹羽雄哉君) グリーンピアの譲渡に関しましては、現在、地元自治体であるとかあるいは教育福祉団体など、住民の皆さん方、国民の皆さん方から納得していただけるようなところと今売却、譲渡をめぐっていろいろ各地区において話を進めているようなところでございます。
 いずれにいたしましても、地域にとりまして大変かけがえのない、大変すばらしい保養基地でございますので、それが有効に生かされますように最大限の努力をさせていただきたいと思います。
#238
○堂本暁子君 ありがとうございます。
 女性のこともやっていただけますね、女性と年金。
#239
○国務大臣(丹羽雄哉君) それはもう法案を通していただいたらすぐにやりますから。
#240
○堂本暁子君 すぐにやってくださると。必ずお願いいたします。
 ありがとうございます。
#241
○西川きよし君 私で最後になりました。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 諸先生方からあらゆる角度からの質問が出まして、私の方は障害年金の問題について本日はお伺いしたいと思います。とりわけこの無年金の障害者問題ですけれども、衆議院における審議、そしてまた年金審議会の中でもたびたび出ておるわけですけれども、各審議会、委員会におきましてのこの問題に対しての指摘、そしていろいろな問題点、まず政府の見解をお伺いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
#242
○政府参考人(矢野朝水君) 無年金障害者の問題につきまして、年金審議会あるいは衆議院でいろんな角度から議論が行われたわけでございます。
 まず、年金審議会でございますけれども、これは認定の基準につきましてもっと明確化を図るべきである、あるいは難民条約批准前に障害者となった在日外国人の方、こういった無年金の方に年金を支給すべきだ、こういった御意見などをちょうだいしたわけでございます。ただ、最終的には、その意見書におきまして「年金制度に加入していなかったり、保険料を納付していないことによる無年金障害者の問題については、社会保険方式をとる現行の年金制度では、年金給付を行うことは困難である。」と、こういうふうにまとめられたわけでございます。
 それから、衆議院でございますけれども、これは平成六年改正におきます附帯決議を踏まえまして、こういった障害無年金の方に年金を支給すべきであるといった御意見、あるいは学生が任意加入であった間に障害者になった、こういった方に年金を支給すべきだと、こういった御指摘をいただいたわけでございます。
 こういった点は、解決に向けてなお難しい論点が残されておりますけれども、幅広い観点から検討を行っていく必要があると考えております。
#243
○西川きよし君 議事録等々いろいろ目を通させていただいたんですけれども、何らかの理由で年金制度に加入をしていなかったためにこの障害年金を受けることができない、つまり受給のための要件が満たされていないためにこの年金を受けることができない、ここが一番の大きな問題だと思うんですけれども、そうした中で、例えば知的障害、精神に障害を持つ方々の中には、仮に受給要件が満たされているにしても障害年金を受給していない、できないという方々もたくさんいらっしゃるわけでございます。
 ですから、きょうは本当にそういった観点から精神障害者それから知的障害者と年金の問題、詳しくお伺いしたいと思うんですけれども、精神障害者、知的障害者が自立生活を考えるときにこの障害年金の受給はもう不可欠な要件であると思うわけですけれども、この障害者の自立生活に向けての所得保障としての障害年金の役割、この部分はぜひ厚生大臣にお答えをいただきたいと思います。
#244
○国務大臣(丹羽雄哉君) 障害のある方が自立した社会人として障害のない方と平等に社会に参加する、それを支援するということは、私は障害者対策の基本的な目標であると考えております。
 また、障害年金は、障害のため十分な所得を得られない面を補うとともに、健常の方と比べて特に要する費用を補う機能を果たしておりまして、社会で連帯して障害者の生活の保障を行う、こういうような重要な役割を担っている次第でございます。
 精神障害者や知的障害者の方には、障害が認定された時点から、その障害の程度がより重い一級の方で月額八万三千七百七十五円、二級の方で月額六万七千十七円の障害基礎年金が支給され、厚生年金加入の方にはこれに障害年金の報酬比例部分が上乗せされておることは十分に委員も御承知のことと思います。
 なお、西川議員におかれましては、長年障害者やあるいは高齢者の施設への慰問をお続けになっていらっしゃるということで、心から敬意を表したいと思います。
 蛇足でございますが、先日、女優の浜木綿子さんが長年にわたって障害者の方々を自分のお芝居に呼んでいるということで、もう七千人だということでございまして、私自身も障害者の方々とあるいは一緒に来た盲導犬とともに芝居を見させていただきまして、手話でごあいさつもさせていただきました。その後、これは二月十一日でございます、まだ最近でございますけれども、大変感動いたしまして、実は厚生大臣として感謝状を差し上げさせていただきました。
#245
○西川きよし君 忙しいスケジュールの中でそうしてお顔出しされるということは、僕は本当にありがたいことだと思いますし、なるべくそういう方々に少しでもお触れいただきますように、今いいお答えをいただいてありがとうございます。
 その精神障害者などの障害年金ですけれども、その障害の程度の評価の尺度そして基準の具体的な内容、お一人の方に複数の障害がある場合の評価方法、そして障害評価の認定機関の問題等々、いろいろ専門家の方々からも御指摘もあるわけですけれども、障害者御本人あるいは御家族、その自分の障害をどのように受けとめるかという精神的な葛藤と申しますか、年金制度そのものの理解、そしてまた実務面での困難さ、年金受給までには多くの壁があるわけですけれども、こういった声、そして精神障害者、知的障害者の障害年金受給のただいまの実情を御答弁いただきたいと思います。
#246
○政府参考人(小島比登志君) 精神障害者、知的障害者の障害年金の受給の状況を御説明申し上げます。
 平成九年度末現在、厚生年金、国民年金の障害年金受給権者、この数は百六十三万一千人でございます。そのうち、精神障害、知的障害を事由としている方が五十八万四千人、約三六%でございます。一級の方が二十六万九千人、二級の方が二十六万八千人、三級の方が四万七千人というふうになっているわけでございますが、新規裁定の状況は、精神障害者、知的障害者の方がもう既に四〇%を超えておりまして、この比率は年々高まる傾向にあるというのが実情でございます。
#247
○西川きよし君 こちらの方に冊子が一つございます。「役所へ行こう」というのをきょうは持ってまいりましたのですけれども、障害基礎年金を取るための実はこれは手引書なんですけれども、知的障害を持つ方々が御自身でその障害年金の申請をして受給するまでの体験をもとにつくられたものです。少し読ませていただきたいと思います。この冊子の初めに「はじめに」とありまして、
  私たちは「障害基礎年金」のことを知り、自分たちで申請していこうと決めました。そのために、年金をもらってない人が集まって勉強会をすることになり、できたのが「エールの会」です。
  これまで「エールの会」では、九人のメンバーが障害基礎年金を申請し、九人全員がもらえるようになりました。この本を作るきっかけは、「会」のメンバーの提案で、これから障害基礎年金を取りたいと思う人が、一人でも多くもらえるようになることを願ったからです。
  この本には、「エールの会」のメンバーが、年金を取るために実際に足を動かす中で、困ったことや悩んだことが書かれてあります。それが「エール」からのアドバイスです。また、いっしょに障害基礎年金の申請に関わった援助者からの一言もあります。これから障害基礎年金を申請しようとする人や、申請の途中の人が同じ問題にぶつかった時に、この本を見てもらえれば、と思います。
ということでございます。
 今、こう書かれていたわけですけれども、この方々が年金を受給するまでに、その最初の壁になるというのが、まず申請に必要な診断書の作成ということでございます。ここで大変なことは、精神科のお医者さんを探すことだそうでございます。つまり、知的障害者の方々の場合に、それまでに精神科にかかったことのあるという人はもうほとんどいないわけですね。精神科にかかりつけの医師がいないケースがほとんどである、そういう実情であります。そういたしますと、精神科の医師が障害者本人についての理解が不足する場合がこれはもう現場では多々あるということでございます。この問題をお伺いしたいと思います。
#248
○政府参考人(小島比登志君) 障害年金の認定におきましては、一般的に初診日がいつであるかということと、もう一つ、障害の程度、これが非常に重要な要素なわけでございますが、知的障害者の方の障害の程度につきましては、例えばIQの数値のみでは日常生活上の支障がどの程度かということは必ずしもはっきりしない。むしろ数値のみで認定を行うことが不利益になり不当な場合もありますので、その障害が日常生活に及ぼす程度、これを個人の方々について医学的評価に基づいて専門的判定をする必要があるということで、精神保健指定医または精神科を標榜する医師に診断書を作成していただいているということでございます。
 確かに、御指摘のように、知的障害者の方は、二十前に障害による受給者になるという方も非常に多くて、なおかつ症状が安定しますと、御指摘のようにかかりつけ医もいないという場合も多くあると思います。その場合には、私ども社会保険の立場で言いますと、市町村の国民年金担当窓口あるいは社会保険事務所でも相談を受け付けておりますし、精神保健関係の医療あるいは福祉のサイドでも各種相談事業をやっておりますので、ぜひ積極的に御利用いただきたいと思います。
 私どもといたしましても、知的障害者の方々の生活実態に即しまして、障害年金の申請に支障が生じないよう関係部局との連携をさらに密にしていきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
#249
○西川きよし君 ぜひ本当によろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、障害状態要件についてお伺いしたいと思うんですけれども、この障害状態の要件の問題につきましては、年金審議会の中で委員の方々から指摘されておりますけれども、この障害の程度の評価基準、現状ではどういう内容になっておりますか、これをお伺いしたいと思います。
#250
○政府参考人(小島比登志君) 障害年金の支給要件に該当するかどうかの障害状態の基準でございますが、日常生活が当該障害によりどの程度制限を受けるかということに着目いたしまして、障害の状態が「日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度」の障害、これを一級としまして、障害の程度が「日常生活が著しい制限を受けるか、又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度」の障害、これを二級としているところであります。これは、国民年金における扱いであります。
 なお、厚生年金におきましては、これらに該当しない場合であっても、「労働が著しい制限を受けるか、又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度の障害」であれば、厚生年金から三級の障害年金が支給をされるという基準になっております。
#251
○西川きよし君 そこで、年金審議会の委員の先生方の指摘もございますけれども、この問題の一つには、日常生活能力の概念の内容が非常にわかりづらい、我々素人にとりましても本当に難しいんですけれども、勉強すればするほど難しいわけですけれども、所得保障の必要性と日常生活能力、この日常生活能力の関係が不明であるのではないか、あるいは厚生年金加入中の、先ほども出ましたが、初診の場合は一級、二級は日常生活能力で、三級の場合は労働能力で測定されることになっているというこの点についてですけれども、一つのものをはかる途中で例えばその物差しを変更するということなどは不可能なことではないか、こういう問題の指摘もあるわけですけれども、こういった点については厚生省としてはどういうふうにお考えでございましょうか。
#252
○政府参考人(矢野朝水君) この診断基準につきましては、一般的、抽象的といいますか、そういった面では基準はしっかり、はっきりしているわけでございます。
 歴史的に見ますと、昭和六十年までは国民年金と厚生年金、これは別々の制度でございました。それで、国民年金につきましては日常生活能力に着目して認定基準がつくられておりまして、厚生年金はサラリーマンでございますので、労働能力に着目して基準がつくられておったわけでございます。
 六十年改正におきまして、その国民年金を日本国民全体の一階部分の制度として再編成するということになったわけでございまして、そのとき、その認定基準につきましても統一が図られたわけでございます。そのときは、日常生活能力の制限の程度に応じて国民年金は基準がつくられておりましたので、これを基本にいたしまして一級と二級は決められたわけでございます。基準は一緒にされたということです。
 ただ、厚生年金につきましてはサラリーマンでございますので、日常生活については大した支障はない、しかし労働能力には支障があると、こういった障害を有する方につきまして、三級の厚生年金だけの障害年金の制度ができたということでございます。
#253
○西川きよし君 そこで、次に移らせていただきますが、複数の障害がある場合ですけれども、複数の障害がある場合の認定方法ですけれども、まずは、複数の障害がある場合は現在どのような認定が行われているのかというところからお伺いしたいと思います。
#254
○政府参考人(小島比登志君) 複数の障害がある場合の障害認定でございますが、それにつきましては国民年金・厚生年金保険障害認定基準というのを定めておりまして、それぞれの障害の程度を併合した障害の程度を、認定基準の併合認定表というのがございまして、これに当てはめて認定をしているということでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば右手の親指と人さし指と中指と薬指、この四本が用をなさないとなった方、そうすると、この方はこれだけですと大体厚生年金の三級相当でございます。それから両眼の障害、視力が〇・一になってしまった場合、これはこの方も障害年金は厚生年金の三級相当ということになっているんですが、その両方の障害があったという場合には、この表ができていまして、それを合算しまして、この方は併合認定により三級ではなくて二級の障害年金が支給されるというふうな仕組みをとっているわけでございます。
 しかし、内科的疾患が併存している場合、例えば腎障害と肝障害、こういう場合の方もいらっしゃるわけですが、こうした場合には症状や検査数値をそれぞれの疾患別に分離することもなかなかできないということから、この併合認定を行いませんで、障害の程度を総合的に判断して認定をするということで、いわゆる総合判定ということで障害年金の認定をさせていただいているというふうな状況でございます。
#255
○西川きよし君 ありがとうございます。
 それもずっと勉強させていただいたんですけれども、なかなか難しい問題でありまして、見た目にわかる障害と内部とというのは本当に大変なことですけれども、いろいろ専門家の御意見の中にも、複数の障害がある場合の障害程度の評価は低過ぎるのではないかと。
 また、今いろいろ御説明いただいたんですけれども、一番の問題は、複数の障害がある場合に併合認定や総合認定が具体的にどのように行われているのか。そういった点が、今説明していただいたわけですけれども、国民側には、我々側にはなかなか難しい。
 そういった意味で、簡単に、例えばだれにでも判断ができるような複数障害の評価ルールが必要ではないかなというようなお声もたくさんいただいているわけですけれども、そういった点ではいかがでしょうか。
#256
○政府参考人(小島比登志君) ただいま御説明申し上げましたように、複数の障害の場合には障害の程度の認定は原則として併合認定を行うということにしているわけでございまして、その併合認定も、目が見えない方、耳が聞こえない方、そういうふうにだれでもわかる場合には比較的その表で認定がわかるんじゃないかと思っているわけでございますが、やはり問題となりますのは、内科的疾患が絡む場合ということがなかなか併合認定にはなじまないという面がございまして、先ほども申し上げましたように、症状や検査数値をそれぞれの疾患に分離することはできませんし、例えば慢性腎不全だけで日常生活の支障はこれだけ、あるいは肝臓障害で日常生活の支障はこれだけというふうになかなか評価もできない。しかも、そういう評価をしていいのかどうかということも実は問題がありまして、むしろトータルでその方の生活状態を見るというのがいいのかもしれません。
 しかし、御指摘のように、こういうふうに難しい問題もあるんですが、確かに現在抽象的な基準しかございませんで、個々の障害者の方あるいは診断される医師の方に非常にわかりにくいという声も強いということも確かでございますので、私どもといたしましても、複数内部障害の場合の認定基準の内容及び表現につきましてはできるだけ具体化し、よりわかりやすくするように努めてまいりたい、このように思います。
#257
○西川きよし君 ありがとうございます。
 内部障害が併存している場合には、併合認定表を使わずに障害を総合的に判断して総合認定をするというこの認定のあり方というのを、あわせて皆さんが疑問に思っていらっしゃる部分も、どうぞひとつまたよろしくお願い申し上げたいと思います。
 最後の質問にさせていただきたいと思います。
 次に、無年金障害者の問題につきましては、保険料の納付要件の問題だけではなく、よくお話にも出るんですけれども、二十前の発症である場合、あるいは年金加入中である場合であったとしても制度が複雑で申請をすることが困難なために権利をなかなか行使できない、そういう障害者も現実にはたくさんいらっしゃるわけです。
 知的障害、精神障害を持つ方々が地域において自立、ここを強くお願い申し上げたいんですけれども、本当に自立生活を送るためには年金の役割は大変大きなものでありますし、こうした方々が当然の権利として障害年金の申請が行えて、そして受給ができるというためには新たに、私は思うんですけれども、相談援助機関の例えば整備だとか認定基準の明確化、いろいろな問題がありますけれども、そういうことを整備していただく。そして、今後こうした点につきまして政府としてどういうふうに考えていただけるのか、最後に厚生大臣のお答えをいただいて、質問を終わりたいと思います。
#258
○国務大臣(丹羽雄哉君) 一般に年金受給のための相談につきましては、市町村の国民年金の窓口、社会保険事務所の窓口で年金相談を行っております。精神障害者の方や知的障害者の方々からの相談につきましてもこれらの窓口で相談を行う体制をとっております。さらに、社会保険事務所においては移動年金相談なども実施しておるわけでございます。また、精神障害者や知的障害者の方々が身近なところで年金のことも含む生活上のさまざまな相談をすることができるように、精神障害者地域生活支援センターの整備であるとか知的障害者に対する相談事業の充実を図っておるような次第であります。
 しかし、実際問題としては、年金についての情報は親の会、もう先生十分御承知のことと存じますけれども、などによって提供されていると聞いておりますけれども、御指摘の点もあると思いますので、これらの方々が年金受給に御不便を感じないように最大限今後対応に努めていきたいと思います。
#259
○西川きよし君 ひとつよろしくお願いいたします。
 ありがとうございました。
#260
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後五時四分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト