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2000/03/14 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第9号
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2000/03/14 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第9号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第9号
平成十二年三月十四日(火曜日)
   午前九時四十分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十三日
    辞任         補欠選任   
     佐藤 泰介君     直嶋 正行君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                今井  澄君
                直嶋 正行君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生省保険局長  近藤純五郎君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
       労働省職業安定
       局高齢・障害者
       対策部長     長谷川真一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇政府参考人の出席要求に関する件
〇国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四
 十五回国会内閣提出、第百四十六回国会衆議院
 送付)(継続案件)
〇年金資金運用基金法案(第百四十五回国会内閣
 提出、第百四十六回国会衆議院送付)(継続案
 件)
〇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨十三日、佐藤泰介君が委員を辞任され、その補欠として直嶋正行君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省保険局長近藤純五郎君、厚生省年金局長矢野朝水君、社会保険庁運営部長小島比登志君及び労働省職業安定局高齢・障害者対策部長長谷川真一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(狩野安君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今井澄君 おはようございます。民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 年金問題について、前々回に引き続き二回目の質疑をさせていただきます。自民党さんの御出席が余りよくないようですが、おいおい集まってまいりますかね。
 最近、新聞にもこの年金の問題、きょうも読売新聞に大きく二面にわたって「揺らぐ「国民皆年金」制度」ということで非常に大きなあれが出ていましたし、それから東京新聞では土曜日に「夫婦で一千万円も減る天下の悪法」という題で出ておりました。非常に国民が関心を寄せているものであって、これはきちっと審議しなければならないと思うんですが、貴重な時間の中で、年金の審議でありながら、きょうは最初に年金とは全く関係のない済生会中央病院の問題を一問だけ質問させていただきます。
 というのは、きょうは三月十四日です。年度末で人事異動など、あるいは退職とかがある時期で、実はここにまつわって人事上不透明な人事が行われるかもしれないということをお聞きしましたので、緊急にこれは国会でも注目する必要があるということで取り上げさせていただきたいと思います。
 そこで、厚生大臣にお伺いしたいわけですが、済生会中央病院、済生会といえば高松宮妃殿下が総裁の恩賜財団、非常に由緒ある財団の病院で、全国七十余りある病院の中央病院です。これは公的病院で、済生会と日赤と厚生連、農協の病院は税金を免除されているという非常に公的な性格の病院であります。
 ここで、私は直接当事者等からもお話をお聞きしたんですが、今から数年前ですか、株式投資を行って十億円の損失が出たという話がありまして、院内に早速調査委員会がつくられて調査をされた。ところが、調査の報告会のところで突然院長の方から、きょうの報告は中止ということになった。それを管理責任のある東京都が聞いて、その調査委員長と事務長さんに当たる方をお呼びしてお話を聞いた。そうしたら、病院のことをよそへ行って話をしてきたのはけしからぬということで処分をされた。解任あるいは解職され、それで裁判で地位保全などをやって、一応地位は保全されたというふうな経過がある。
 そうこうするうちに、一方で、この済生会中央病院の土地は国有財産で払い下げられたものなんですが、そのうちのかなりの部分が早い時期に民間の不動産会社に売却されてしまった。その結果、病院が非常に狭くなって、増改築も思うに任せない、出入りも大変困難であるというふうな状況がある。そして、今、移転の話があって、そうすると不動産会社が結局国有財産を何年がかりかで丸々手にすることができる。こういう話で、これは週刊誌にも取り上げられてしまったんですが、こういう経過について大臣はお聞きになっておられますか。
#7
○国務大臣(丹羽雄哉君) 東京都済生会中央病院に係る一連の問題につきましては、厚生省といたしましても、まず、当該病院におきまして定款に違反した有価証券の運用が行われていたこと、これにつきまして東京都の指示を受け当該病院としての是正の措置を講じたこと、二番目といたしまして職員の処遇に関する訴訟が起きていること、三番目といたしまして当該病院の建物またはその附帯施設につきまして建築基準法上の問題が一部の週刊誌で報道されていること、これらについては承知をいたしております。
 厚生省といたしましては、今、委員からも御指摘がございましたように、社会福祉法人でございますので、社会福祉法人を所管するという立場からこの問題の所在について報告を受けるなどこれまで必要な調査を行ってきておるわけでございますが、今後とも引き続き調査を続けていきたい、このように考えているような次第でございます。
#8
○今井澄君 今、警察問題でいろいろうみが吹き出しているわけですが、実は病院問題についても、最近またあり得べからざる医療事故の多発等が起こっていたり、いろいろ問題が出ているわけです。ですから、ましてこういう公的病院でそういう不祥事があるとしたらこれはゆゆしき問題だと思いますし、少ない職員の中で一生懸命頑張っている現場の職員の皆さん、そういう人たちの士気を阻喪させることのないように、ぜひ厚生省としてもきちっとやっていただきたいと思います。
 さてそこで、私はきょうは繰り上げ受給者の減額率の問題と雇用との接続の問題、それからもう一点は基礎年金のあり方について若干質疑をさせていただきます。
 お手元に資料を配らせていただきました。二枚ありまして、一枚は、前回ですか御答弁の中で、今の四二%というペナルティーのような非常に厳しい減額率は、実は昭和三十年、一九五五年の生命表をもとにつくったんだという政府側の答弁がありましたので、そのときから今日までの男女別の六十歳及び六十五歳の平均余命、あと何年年金をもらい続けることになるか。本人だけですけれども、家族の方はともかく、女性があれするとすれば、これを見ていただきますとかなり大幅な伸びを示していることがわかり、とても昭和三十年の生命表のままでいいということはないということは共通の認識ができると思います。
 さてそこで、厚生大臣は、昨年だったと思いますが、この減額率は見直すべきだ、三五%程度にしたいという発言をされたというふうにお聞きしておりますが、その根拠は何でしょうか。
 ついでに、資料の二枚目に、これは一橋大学の高山先生が共同研究者とともに随分厚生省の資料をもとに財政再計算をしておられるわけですけれども、その中で、昨年の七月の「経済研究」に載っていたものですけれども、減額率について、あとおくれてもらう場合の増額率、そういうものについての計算をいろいろされている。
 それを見ますと、上の方が賃金スライドがあった場合ですが、厚生省が財政再計算のもとにしている運用利回り、言ってみれば早めてもらえば割引になるわけですが、それを四%と見込むと男女単純平均で約二五%の減額率でいいんではないか。もし運用利回りが余り上がらない、率も低いということになれば二三・六%、二四%ぐらい。もし五・五という非常に高い率を見込んでも二八%ちょっとぐらいだろうと。賃金スライドを全く見ない場合、物価だけで見れば、下のように厚生省の基礎にしている四%というのは二七%、非常に高目に見積もっても三〇・八%という数字を出しているわけですね。
 こういう数字もあるわけですが、なぜ三五%ということを厚生大臣は言われたのか、その根拠、そしてその後、現在の時点でこの割引率についてもうちょっと違った数字のお考えがあれば、それも述べていただきたいと思います。
#9
○国務大臣(丹羽雄哉君) さきの臨時国会におきます衆議院の厚生委員会において私が申し上げましたのは、六十歳支給開始の場合の繰り上げ減額率は、現行が委員御指摘のように四二%になっておりますが、この率は昭和三十年の生命表に基づき設定されたものであります。
 その後、御案内のように平均余命が延びております。平成十年度で男性が七十七・一六歳、それから女性が八十四……
#10
○今井澄君 それは結構です、もうグラフを出してありますから。
#11
○国務大臣(丹羽雄哉君) 済みません。
 要するに、そういうような伸びを考慮いたしましてあらあら三五%前後になる、こういうことでございまして、これに基づきまして今後精査検討してまいりたい、こういうことでございます。
 なお、減額率の見直しに当たりましては、単純に緩和するということは、元気なお年寄りがなお現役として年金制度を支える側に立つことを妨げるおそれがあり、今後の少子高齢化の進行をにらむと不適切である、それから減額率の緩和は将来世代の負担をふやす結果になる、こういうことを考慮に入れる必要があると考えております。
 それから、高山教授のことを御引用なさいましたけれども、繰り上げ減額率の設定に当たりましては、平均寿命、利回り、スライド率のほか、早く受給することで確実に受給できるようになることなど、多くの要素を総合的に勘案する必要がございまして、さっき五%とかなんとかとおっしゃいましたけれども、一概に何%になると言うことはなかなかこれは難しい問題だと考えております。
#12
○今井澄君 極めて不誠実な答弁ですね。大体、これはバックにいる官僚が悪いんですよ。私はちゃんとこういう資料を示しているんですよ。だったら、こういう資料を示したらどうですか。
 ここには表8と書いて「年金数理的にみて中立的な年金の増減率」と。別に高山さんはだからこれにしろと言っているわけじゃなくて、政策的判断は我々のするところではない、年金数理的に中立的にやればこうなると。厚生省も白書の中で賃金上昇率は二・五%、物価上昇率は一・五%、運用利回りは四・〇%という、こういうことを計算のもとに使っているわけでしょう。出したらいいじゃないですか、こういうものを。出して説明したらいいじゃないですか。厚生大臣はそれを督励していないんですか。ないんですか、厚生省にはこの表は。
#13
○国務大臣(丹羽雄哉君) 後ほど検討させていただきます。
#14
○今井澄君 この前も言ったんですよ。情報公開をしていると。今度の年金改正に当たっては、「年金を「選択」する」と初めての白書を一昨年出して、五つの選択肢を出した。私も言いました、そのこと自体は前向きに評価すると。だけれども、すべての情報を出していないじゃないですか。この前も年金白書で、私は言いましたよ、厚生年金の男女別、年齢階級別の実際もらっている額は出ているけれども、国民年金は出していないじゃないか。大事な情報を隠している。これが年金官僚のやり方なんですよ。こういうものも出さないで、まともな議論もしないで、国会をばかにして、私はそういうことは絶対許せませんね。
 委員長、早急に厚生省が年金数理的に見て中立的な年金のこういう表を出してもらいたい。その上で、政策的に重くするのか軽くするのかは議論の問題だと思うんです。それを厚生省の年金官僚が決めて厚生大臣に入れ知恵をする、こういうことは許せない。そのことだけはっきり言っておきます。
 ところで、この減額率の問題というのは、実は前回、直嶋委員が質問をした六十五歳延長問題と絡むんですよね、これは大いに。雇用と年金とが接続できるかどうか、これは国民にとって極めて切実です。きのうもQEが発表になりまして、その中で消費は非常に冷え込んでいると。これはやっぱりボーナスを初め賃金が下がっているからだということがあったわけですが、今国民の心配は何が一番かということは、いろいろそれは難しい問題でしょうけれども、一貫して社会保障、老後の不安や病気の不安が大きな問題だったにもかかわらず、急速に収入の問題になってきているんですね。だから、年金が日々大きく取り上げられるわけです。
 そこで私はお聞きしたいのですが、白書の百九十九ページ、ここのところに「労働力率の見通し」ということで男女別に二〇二五年にはというので書いてあります。これはグラフですね、細かい数字は、数表は後ろの方にありますけれども。これで見ると、二〇二五年にはそんなに六十歳代後半の人が働くようになるという見通しを立てていないわけですよ、厚生省も労働省も。
 一つは、今度の法案にある六十歳支給を六十五歳支給にすると。これは働いていただきたいと、六十歳代前半は。年金をそういうふうに、支給開始年齢をおくらすことも関係するだろう。一方で、それとは別に高齢者の雇用政策を一生懸命やる、そうすると六十歳から六十四歳まで働いてもらえると。政府の説明は、繰り返し、二〇一三年から始めて三年ごとで、六十五歳になるのは二〇二五年ですよ、遠い先の話だから大丈夫ですよと。
 これは大丈夫ですか、大臣。どのぐらいこれでふえるんですか。実際に二〇二五年で六十五歳支給になったときに、六十歳から六十四歳まで年金をもらえない人の中でどのぐらいの人が働くようになるんですか、このグラフで。
#15
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の財政再計算では、労働省による労働力率の見通しを基礎といたしております。これは、平成六年改正における定額部分年金の支給開始年齢の引き上げの影響であるとか、高齢者の雇用政策の影響を加味したものとなっておるわけでございます。
 それでは、どのぐらい労働力率の見通しを見ているかということでございますが、男子の六十歳代前半の場合でございますが、二〇〇〇年で七七・〇%でございます。二〇二五年にはこれが八二・四%を見込んでおるような次第でございます。
 今回の改正案では、報酬比例部分の支給開始年齢を引き上げていくことにいたしておりますので、六十代前半の労働力率がさらに上昇する、こう見込んでおるわけでございますが、結果的に、男子の六十歳代前半の労働力率で見ますと、二〇二五年では先ほども申し上げましたように八二・四%であるところを、改正案では二、三%上昇し八五%になると、こう見込んでいるわけでございます。
 それから、全体の被保険者数でございますが、六十歳代後半の在職老齢年金制度の導入によります被保険者適用の拡大とあわせまして、二〇二五年では、現行制度で三千万人であるところを、改正案では百万人程度増加し三千百万人になる、こう見込んでいるところでございます。
#16
○今井澄君 被保険者が百万人しかふえないということは、やっぱり保険料を徴収できる対象はそんなにふえないということですよね、労働力率だけは上がるという計算が成り立つんでしょうけれども。ここはかなり問題だと思うんです。六十歳代でどういう働き方をするか、これは必ずしも収入に結びつかないということもあるわけですし、この前も直嶋委員が指摘しましたように、現在でもあるいは過去何年かにわたってほとんど六十歳代の雇用は伸びていないんですね。私はここのところが非常に問題だと思うんです。
 それで、今度の改正案が、六十五歳支給は世の中の流れだ、世界の流れだ、六十七歳のところもありますよという説明がされているんですけれども、世界の実態は実は違うんですね。アメリカは六十五歳支給になっていますけれども、ほとんどの人が六十二歳ぐらいで前倒ししてもらっているんですよ。六十二歳までどうしているかというと、例の四〇一kを初めとした企業年金というか、言ってみれば退職金みたいなものですが、それで食いつないで、退職金が底をつくころに年金を前倒ししてもらっている。だから、アメリカは六十五歳というが、実態は六十二歳なんです。ドイツなんかも有名ですね。ドイツは政策的にも減額率をうんと低く抑えた。年金をできるだけ前倒ししてもらってくださいと。なぜか。ドイツに限りませんが、ヨーロッパは若年の失業が多い。若年者に職を譲ってもらうために高齢者には早期に退職してもらう政策をとっているんじゃないですか。
 それで、年金をもらえるのは六十五でも、その前はどうするかというと、失業保険で食いつないでいるわけですね。だから、ヨーロッパは失業保険が非常に甘いわけですよ。それで、失業保険の方もどんどん給付がふえてくるから、そこで年金の方に切りかえてもらうのに減額率をうんと低く抑えて、日本とは逆に優遇して年金を前倒ししてもらって受給している。だから、実際に世界の国は六十五歳が支給開始年齢が常識だというのは、これは事実に反するわけです。建前がそうなっているだけじゃないですか。
 確かに、日本人の高齢者の労働力率というか、働く意欲というのは欧米に比べて高いんです。これは宗教上の問題もあるとも言われていますね。キリスト教の世界では働くことは苦役だからできるだけ早く引退したい。日本はむしろ労働にうんと価値を持っている。それはそういう民族の違いがあるかもしれませんが、聞いてみると必ずしもそうでもないんですね。できるならば楽をしたい、楽をした上でボランティア的に働きたいという人が多い。
 こういうことを考えると、先ほども言いましたように、厚生省がサボらないで、あるいはもしつくってあるならば隠さないで早くこれを出すこと。出した上で、政策的に日本では極めて重いペナルティーを前倒し支給には科しているけれども、いいのか悪いのか、この議論をやろうじゃないですか。こういう議論をやらなきゃ六十五歳がいいか悪いかという議論なんかできないわけですよ。
 例えば、年齢の問題ではおもしろい意見もありますよね、高山先生のように。年齢を延ばすんじゃなくてかける期間を延ばしたらどうかと、四十五年に。そうすれば保険料も安くて済むということもあるわけです。
 どうですか、そういうことで大臣、できるだけ早く資料を出して、そういう実際の形の上だけの開始年齢の問題だけじゃなくて、そういう世界の実情も踏まえてきちんと議論をすべきじゃないですか。お考えをお聞きしたい。
#17
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今井委員がお求めになっていらっしゃいます資料そのものの有無をまず確かめまして、そして、いずれにいたしましてもこの年金というのは開かれた形で議論されるべきがしかるべきでございますので、もしそのような資料が厚生省事務局にあればこれはきちんとお示しを申し上げて議論するべきものだと、このように考えております。
#18
○今井澄君 それでは、そういうことできちっとやはりこの委員会に資料を出してもらって審議をすべきだと思います。
 ところで、きょうの読売新聞に「揺らぐ「国民皆年金」制度 国民年金深刻な「空洞化」」ということで出ているんで、先ほども御紹介いたしましたが、まあ、こういう出し方自身がいいか悪いか、これはマスコミの責任も大きく、ただ報道すればいいというものではないということもこの前私は申し上げました。
 しかし、この空洞化の問題、極めて深刻なんですね。ところが、厚生省は深刻ではないかのように言っています、大変な問題ではありますがと。無視している。
 まず、この年金白書の四十一ページに「国民年金の未加入、未納等の状況」というのが書いてあって、第一号の未加入と未納を含めて四、五%程度と書いてあります。
 それから、大臣の後ろに座っている年金局長、雑誌の「年金と雇用」、去年の十一月ですかね、出して、そこにいろいろ「年金改正ざっくばらん」、この前、西川先生がこれを引用していろいろ質疑をされました。私もこれを読んでみましたが、本当にはらわたが煮えくり返るように腹が立ちましたね。いや、ざっくばらんに書くのはいいんですよ、それぞれ官僚の立場でも書いて。それはいいんです。だけれども、そこのところにこのことを何と書いてあるかですね。
 例えば、今、国民年金で未加入とか未納とか、免除者を含めてこれが三分の一をもう超えているということ、このままほっておいたら大変だというのが、別に危機をあおる意味じゃなくて多くの人の共通認識なんです。
 それに対して、何ですか。「これには数字のマジックがあり、実態を誇張しています。分母は、国民年金の一号被保険者を使い、分子には未加入者、及び未納者ばかりでなく、免除者まで含めているからです。」。国民年金は原則云々かんぬんで、全部で実は一、二、三号で七千万人もいて、免除者は含めるべきでない。何ですか、この言いぐさは。
 この前の質疑でも私は言ったはずです。要するに、国民皆年金という制度を日本は持っているんだと。そして、その一階部分に基礎年金があって、フルにもらえれば六万七千円、御夫婦合わせれば十三万四千円ですよと。これで生活が全部できるとは言わないけれども、基礎的な生活は何とかこれでやれるという、この誇るべき制度があるというのが私たちの共通の認識、あるいはこれを守っていこうとするのが共通の認識じゃないですか。
 免除者は低所得者であるがゆえに免除されています。それはいいかもしれないけれども、もらうときにも三分の一しかもらえないわけでしょう。それで何で国民皆保険、基礎年金なんですか。みんなが言っているのはそこなんですよ、空洞化と言っているのは。別にこの制度がつぶれるとかなんとか言っているんじゃないというのをこの前も言いました。国民皆年金、基礎年金と言いながら何にも国民皆年金にも基礎年金にもなっていないということを批判されている。それを何が数字のマジックなんですか。
 これは直ちに訂正しなさい。こういう情報公開が一番世論を惑わす、こういうことをやっている官僚はもう官僚の風上に置けない、私はこう思います。どうですか厚生大臣、その辺の数字の考え方は。
 そしてもう一つ、この前のとき未納者が百七十二万と答弁されました。私は、それは古い数字でしょう、平成七年の数字でしょうというふうにあれしたんですけれども、その他の数字は直近を使いながら、これは厚生官僚、何ですか。何で後ろから訂正して、直近の数字は百七十二万じゃありません、もう三百万を超えていますとか、二百五十万ですとか答えないんですか。検認率だけでいえば四百七十八万になると私はこの前言ったわけでしょう。なぜ訂正しないんですか。そのことも含めて厚生大臣に。
#19
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、未納、未加入の問題でございますが、今井委員からも御指摘のように、これは我が国の年金制度の信頼にかかわる大変大きな問題ではないか、こういうことで、今回の改正の中でもいわゆる保険料の支払い困難な方に対しましては保険料の免除を行うなど、また半額免除制度であるとか、学生さんに対しましては社会人になってから追納する、さまざまな仕組みを導入することにいたしております。
 今、先生が御指摘になりました問題でございますが、未加入といってもいろいろあるではないかということであって、年金局長の論文は、未加入の中のいわゆる低額による免除者と、それから実際に加わっていないということと、それから滞納とは性格がおのずと違うということを恐らく強調したかったのではないか、このように考えているような次第でございます。
#20
○今井澄君 厚生大臣はかばっておられますけれども、違いを言うこともそれはいいです。だけれども、この問題は大事な問題であるという認識があるかないかなんですよ。「勿論、未納・未加入問題が大したことではないと言っているのではありません。未納・未加入問題はしっかり取り組まなければならない重要課題です。」。これだけしか触れていないんです。要するに、大したことじゃないと言っているのと同じじゃないですか、それ以外のところは延々と書いておきながら。未加入問題を一体どうするんですか。
 ところが、今度、地方分権一括法でこの年金保険料徴収業務は社会保険庁の固有の仕事になるわけです。今までは市町村にお願いをしていた、市町村の職員に。そのための臨時採用の人をも含めて一万五千人ぐらいの人で一生懸命集めて歩いて、それでもこれだけの未納者や未加入者が出ている、全国三千余りの市区町村でやっていて。今度は三百の社会保険事務所になるわけです。私は大変なことだと思うんです。ますます検認率は下がると思います、はっきり言って。
 そのことを解決することを抜きにして、二階部分の数理計算だけで、まさに数字ばかというか数字オタクというか、数字の中だけで生きていて国民の気持ちも何もわからない、そういう人たちに任せておいて検認率が上がりますか。事務費もすごくかかっていると思うんです。大臣、その辺いかがですか。
#21
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、私も全く委員と同じ認識でございまして、この年金制度における未加入の問題というものが国民の年金制度に対する不安からこういうことになるのか、さまざまな要因があると思いますけれども、いずれにいたしましても、今後とも加入促進や保険料を納めやすい環境づくりに努力をしていかなければならない、こう思っておるような次第でございます。
 それから、同時に御指摘がございました今度のいわゆる国民年金の第一号被保険者の保険料徴収の問題でございますが、これにつきましてもいろいろな御指摘がございましたけれども、国民年金の保険料につきましては平成十二年度予算ベースで二兆一千九百億円、事務費につきましては平成十二年度予算ベースで一千七百億円になっております。保険料に対しましては七・六%でございます。
 この事務費は、国民年金の適用、徴収、給付に係る事務全体に要する費用と考えておりますけれども、今後さらに業務の効率化を進めてまいる中において事務費の適正化というものを図っていきたい、このように考えています。
#22
○今井澄君 私は、これはしっかりしないと国民皆年金の一番根幹の基礎年金が本当に空洞化、名前だけで意味のないものになると思う。こういうことになったら本当に浮かばれないと思うんです。大企業のサラリーマンはいいですよ、もともと給料も高いかもしれないし、ちゃんと企業年金まであるから。だけれども、国民みんな共通のこの基礎年金をどうするかということが本当に大事なんです。
 そこで、時間が来たからもうやめますけれども、この局長が書いたものを見て非常に問題なのは例えば税方式。税方式という議論は、私は、今はむしろ主流とは言わないけれども、大きな声になってきていると思うんです、それは思惑や立場はいろいろとしても。にもかかわらず、例えば「税方式は、老後は国が丸がかえする、大きな政府に通じる制度ですが、」なんて、こういう全く理屈にもならない理屈を書いているんです。世界の国をどうですか、見てみたら。税方式でやっている国が多いじゃないですか、基礎年金は。そういう事実も無視して「大きな政府」だなんという言葉を使えばみんなが納得してくれるかのような、全くこういう表現はおかしいですね。
 それから、税方式にすると、サラリーマンが割を食って、企業が得をして、政治家は消費税を引き上げることには腰が引けているし、国民だって「広く国民の間にそのような信念や覚悟があるとはとうてい思えません。」と。
 それはいいですよ、個人としての考えですと書いているんだから。私は、こういうことを書くなとは言わないけれども、こういう人が局長で、それでそれに踊らされている与党の先生方だって、これで今回の案は本当にいいんですかと。だから、基礎年金の問題の前、「その前に今やっておかなければならないことが多々あります。それが今回改正で提案している給付のスリム化です。」。全くこれは逆じゃないですか。
 この前、ある人が政治家には年金の専門家が少ないのが残念だと嘆いていました。医療とか介護とかは結構わかるんです。ところが、年金というのは率直に言って私も難しいと思う。医療や介護は制度を変えればまた来年から変わるんですけれども、年金は四十年です。その間にどうするかということですから、この前、神代先生も言われたように、いい案があるけれども、移行措置を示せと、あれは非常に厳しい意見だと思いますよ。そういう意味で難しい。
 結局政治家は年金のことがわかっていないんです。だから、厚生省にいいようにやられちゃうじゃないですか。厚生省も国民の立場を考えればいいけれども、さっきも言ったように、年金数理の、数字計算だけで考えている。そんな者に国民の幸せを任せられますか。厚生大臣、しっかりしてください、私どもも頑張りますから。こういう者に年金を任せておいたらだめだということを申し上げて、私は質疑を終わりたいと思います。
#23
○直嶋正行君 民主党の直嶋でございます。
 今井委員の怒りの声が委員会室に響きわたりましたが、私も今回の年金改定は大変大きな問題があるというふうに思います。
 先週の質疑で、一つの問題点として六十歳から六十五歳までの雇用の問題を議論させていただきました。私は、あのときも申し上げたんですが、今回の年金改定の最大の問題点はそこにあると思うんです。厚生大臣のお答えも年金と雇用との接続の必要性はお認めになったんですが、残念ながらそれをどう埋めていくかということについて明快な、明確なものはございませんでした。ですから、こういう状況下で六十五歳へと支給年齢をどんどん先送りしていくということは、今、今井委員のお話にもありましたけれども、国民の年金不安をあおっておる、私はこういうふうに思うわけであります。
 それで、きょうはそれとあわせまして、もう一つの問題でありますが、給付水準といいますか、可処分所得スライドの問題について質疑をさせていただきたいと思います。
 ちょうど五年前の改正で、いわゆる名目賃金スライドから可処分所得スライドに方式を変えたわけですけれども、この結果として年金財政への影響というのはどういうふうに算定されていたんですか。
#24
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回のいわゆる可処分所得スライドの財政影響でございますが、名目賃金スライドと比較をいたしまして、最終保険料でおよそ一・五%程度の軽減になると評価されております。
#25
○直嶋正行君 済みません。ちょっと数字がはっきり聞こえない。何%とおっしゃいましたか。
#26
○国務大臣(丹羽雄哉君) 一・五%程度でございます。
#27
○直嶋正行君 今、この保険料率の方でお話になったんですが、いわゆる給付水準、モデル年金の面でいいますとどんなぐあいに変化するんですか。
#28
○国務大臣(丹羽雄哉君) モデル年金で見ますと、平成十一年度の標準的な年金額は二十三万八千円でございますが、仮に報酬比例部分につきまして従来の名目賃金の伸びに合わせた年金額の改定を行った場合には二十三万九千円となるわけでございます。
 それから、平成三十七年度におきましては、可処分所得スライドによる年金額は四十一万八千円となりますが、報酬比例部分につきましては、名目賃金の伸びに合わせた年金額の改定を行った場合には四十二万七千円となるわけでございます。
#29
○直嶋正行君 今、大臣は平成十一年度価格と平成三十七年度の数字をおっしゃったんですが、五年前の前回改定で議論しましたときは平成六年度価格で議論しました。そのときに、厚生省の計算で可処分所得スライドにした場合は平成六年度で二十三万一千円と、こういう数字が出ていました。これは、今の十一年度価格に対応するものだと思うんです。それで、三十七年度というのは実は当時はなくて、二〇二五年か三〇年ぐらいの数字だったと思うんですが、二十一万円という数字が出ています。
 つまり、何を申し上げたいかといいますと、前回はこの可処分所得スライドを導入して年金の給付水準を将来的に、今数字を申し上げましたように、例えば平成六年度は二十三万だけれども、六年度価格で二〇二五年を見通すと約一割削減をされていくんだと、こういう議論をしたと思うんです。したがいまして、前回の改定で既に一割の給付水準のダウンを前提に議論をしてきたと思うわけでありますが、この点についてはいかがでしょうか。名目賃金から可処分所得に落とすことによって、現役世代の将来的な税金や社会保険料負担の増大を前提にしてこういう議論をしてきたと思うんです。これは厚生大臣、きちっと記憶されていますよね。
#30
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御指摘を私なりに理解させていただきますと、現役世代の名目賃金を固定して税や社会保険料負担のみがふえていくとした場合の年金額はどうかと、こういうことであると思います。
 仮に、今後賃金が全く伸びないといたします、しかも現役世代の税金や社会保険料負担のみがふえていく、こういうことの前提で計算した場合には、平成十一年度の標準的な年金額は二十三万八千円、それから平成三十七年度には平成十一年度価格で二十三万二千円程度になるものと試算されていますが、これは今後賃金が全く伸びないで現役世代の可処分所得が低下していくという前提に現実性がなく、不適当なものと、こう考えております。
#31
○直嶋正行君 今、厚生大臣が平成十一年度価格でおっしゃったこの金額は二十三万八千円が二十三万二千円になる、こういう説明なんですが、これはこの前の議論と私はかなり違うと思うんです。
 厚生省がお出しになった「年金を「選択」する」の百九十一ページに、賃金スライドから可処分所得スライドに変えたときにその場合の、今意味がないと厚生大臣はおっしゃったんですが、賃金を固定した状態で将来の社会保険料と税の負担を計算したものが記載されています。これは二十三万から二十一万に、つまり明らかに一割弱減少するんです。今、厚生大臣は六千円の減少とおっしゃったんですが、五年前にやってきた議論と、今回こういう数字を言われると、前提条件が全く変わってしまっているんじゃないか。厚生省がおっしゃるよりも実際には将来的には年金水準はもっと下がっていくんではないか、こういうふうに思うわけです。
 前回も議論があったんですが、今のはこれから現役世代の年金と税の負担が膨らんでいくから名目賃金スライドではなくて可処分所得スライドに変えましょう、こういう議論なんです。
 もう一つ私たちがきちっとしておかなければいけないのは、今度は年金生活者の側から見ますと、そのもらった年金から例えば介護保険料を払わなければいけない、あるいはこれから議論されますが医療保険料も払わなければいけない、それから年金税制についても今いろいろ議論があります。これはどうなるかわかりませんが、やっぱりこれは問題だという指摘がある。つまり、今度はもらった年金の側からも税、社会保険料部分がふえていくわけです。
 そうすると、もうおわかりだと思うんですが、そこをきちっと検証しておかないと、今、厚生省がおっしゃっているように、年金水準をただ切り下げるということでは私は年金生活者の生活というのは成り立っていかないんじゃないかと、こういうふうに思うんですけれども、この点の検証はされているんでしょうね。
#32
○国務大臣(丹羽雄哉君) 厚生年金の年金額でございますが、現役世代の手取り賃金の伸びに応じてこれまで決定をいたしておるところでございます。いま一方の委員の御指摘の問題は、年金受給者の税や社会保険料がさらにふえていくんではないか、こういうことでございます。
 負担の増加分を年金の増額で穴埋めをして手取り年金額を増加していくような年金改定方式、いわゆるネットネットスライドと言われておるわけでございますが、に改めるべきだという御指摘があることは十分に承知をいたしております。しかしながら、現時点におきましては、ネットネットスライドを導入することにつきましては、例えば高齢者にも応分の公的負担を求めていこうという流れがある中で、高齢者の負担がふえる分を常に年金の引き上げで補っていくとすれば、結局現役世代に一層の負担の増加をもたらし、現役世代との負担の公平が図られなくなるのではないか、こういう問題が第一点であります。
 それから第二点といたしましては、他制度において高齢者の負担増が必要と考えられたものを年金の増額が打ち消してしまうこと、こういう問題が指摘されておるわけでございますが、その一方で、衆議院段階においてはそうした問題についても幅広く検討していくというような修正が明記されておりますことも十分承知いたしております。
#33
○直嶋正行君 最後の大臣がおっしゃった部分で申し上げれば、私が言いたいのは、そういう議論をされるわけですから、この段階でなぜかというと、前回こういうふうなお話をしましたけれども、将来の負担もあいまいである。後で議論させていただきますが、いわゆる足元の問題がたくさんあるんですよ、今の日本の経済社会の足元の問題が。
 だから、結論だけ先に申し上げますと、こういう状況下で年金の財政収支を前提にして給付水準だけ切り下げに踏み切るというのは私は誤る可能性がある、こういうふうに思っているものですから今の問題を申し上げているわけです。
 それで、結局、五年前にも抜本改正と称して、さっきから申し上げていますように、雇用との接続の問題とか可処分所得スライドを取り入れたわけです。これについて十分な評価もないうちに今回またこれをやめよう、要するに賃金スライドをやめようと、こういうことをおっしゃられているわけですね。
 考えてみると、この可処分所得スライド制度というのは、さっき私が申し上げたように、年金生活者の負担の問題はこれからあると思いますが、基本的にはこれで世代間のバランスをとる制度だと思うんです。これの議論をきちっと十分にしないでなぜ今回変えてしまうのか、非常に私は疑問があるんです。
 五年前の提案の趣旨も私は確認しましたけれども、今回と同じことをおっしゃっています。どういうことか。現役世代の過重な負担を抑制し、世代間の給付と負担のバランスをとると。既に今回おっしゃっていることを五年前もおっしゃっている。だから可処分所得スライドを入れると、こういうふうにおっしゃっているんですよ。だから、やっぱりこれは早過ぎるんじゃないですかね、大臣、今回これをやめてしまうというのは。どうなんでしょうか。
#34
○国務大臣(丹羽雄哉君) 可処分所得スライドにつきましては、現役世代の手取り賃金の伸びに応じて年金額を改定するというものでございますが、委員御指摘のように前回の年金の改正時に導入されたものでございます。これによりますれば、現役世代の保険料負担が重くなれば、その分、年金額の伸びが抑えられると、こういう結果になるわけでございます。
 しかしながら、その一方で、可処分所得スライドを実施しましても、現行の給付水準を維持した場合には、将来の現役世代の保険料負担が現在の倍程度になるということが予想されており、将来世代に過重な負担を負わせることになると考えておる次第でございます。
 将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するという考え方に立って、今回、何度も繰り返し述べさせていただいておるわけでございますが、改正案を提出させていただいたような次第でございます。
#35
○直嶋正行君 それで、今、大臣はそういう御説明なんですが、この前のときもこの可処分所得スライドを入れると、二〇二五年を見通して、保険料は三〇%弱、従来の名目賃金スライドのままだと三四、五%になるんですけれども、可処分所得スライドを入れて、その他の改正もありましたが、とにかく三〇%を切るレベルまで落とすんだと、こういうことだったと思うんです。それを一つの世代間のバランスにしよう、こういう前提があったと思うんです。
 今、大臣おっしゃったように、今回何か現役の負担がどんどんふえてしまうと。何でこれはこういうふうに変わっていっちゃったんでしょう、五年間で。今、厚生省が言われている例えば今回の改正案を前提にした場合の保険料の負担は月々大体二七%ぐらいですか、将来的に。これと、前回議論した三〇%弱というのはどこがどういうふうに違うんでしょうか。ここがよくわからない。なぜ五年でこんなに計算が違っちゃったのか。しかも、三〇%を切るレベルというのと今回おっしゃっている二七%というのはどこがどう違うんですか。それがよくわからないんですよ。ここはどうなんでしょうか。
#36
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは、これまでも五年ごとに財政再計算を行っておるわけでございますが、私どもの予想を上回る少子高齢化の進展によるものでございます。
#37
○直嶋正行君 つまり計算が変わっていったということですね。
#38
○国務大臣(丹羽雄哉君) そういうことです。
#39
○直嶋正行君 五年たったらまた変わるんじゃないですか。今回は二〇五〇年までは計算されていますけれども、これは五年ごとに与件がめちゃくちゃ変わるんですよ。
 それで、私が申し上げたいことは、一つはこんなに五年で与件が変わることを、変わるたびに給付がどうだ、負担がどうだという議論をして考え方まで変えてしまう。本当にこういう行き方がいいんでしょうか、どうでしょうか。この点の大臣の御見解をまず聞きましょうか。
#40
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは、現在の年金制度そのものがいわゆる賦課方式によってなされておると、こういうことに起因するものでございます。あくまでも、これは年金だけではございませんけれども、我が国の社会保険方式は国民の社会的連帯によって賄われている。そういう中で、現実問題として少子高齢化社会を迎えまして大変大きな深刻な問題になっていると。
 そこで、今回の年金法改正案におきましては、今いわゆる変更と申しますか、一つの見方の修正につながります人口の今後の見通しについても、大変これまでの見方とは違って、これまでの見方よりもさらに厳しい前提に立ってこのようなことをさせていただいたような次第であります。
 いずれにしましても、私どもの予想を上回る少子高齢化社会によってこのような事態が起きるということは大変残念なことでもございますし、また同時に、私どもは、この少子高齢化社会をいかにして克服していくかという問題で、少子化対策の中においてさまざまな施策を講じておることは委員も十分に御承知のことだと存じます。
#41
○直嶋正行君 今のようなお話なんですが、五年前に決めて二〇二五年まで見通すと、一応こういうルールにしましょうと決めた。それが実はまだ五年しかたっていなくて、制度として成熟化するところまで行っていないんです、前回の議論が。
 だから、今、厚生大臣おっしゃるように、人口統計が思っていた以上に狂っちゃったというのは、それはそうかもしれませんが、そういう理由で、さっき申し上げたように、五年置きにこんなに変わったんでは、年金というのは一人の個人から見ると四十年掛けて二十年以上もらう制度なものですから、こんなに変わっちゃうとそれこそもう生活設計が立たないんですよ。だから、ここのところをどうしていくかということなんです。私はこれは性急だと思うんですよね、本当に。
 それで、ちょっと質問の申し上げた順番が違うかもしれませんが、実はこの議論の中で出てきたのが基礎年金の国庫負担二分の一の話です。今、厚生大臣言われたように、現役の負担の問題もあるし、年金水準は可処分所得で現役に対して六二%ですか、この水準を前提に考えると、やはり基礎年金の国庫負担を変えなきゃいけない。これは国会で決議されて、あのとき二国会にわたって、通常国会と臨時国会にかけてやったんですよね、私も記憶していますが。そのときの国会の結論が二分の一にしようということだったんです。だから、これを政府は放置している。それで、今回計算が変わったから給付水準を引き下げますと。これはやはり私は納得が得られないと思うんですね。どうなんでしょうか。
#42
○国務大臣(丹羽雄哉君) 基礎年金を二分の一にするという問題につきましては、かねがね私も強い関心を持っておりますし、先ほど来御議論が出ておりましたいわゆる年金制度への国民の信頼を回復するためには不可欠な前提条件の一つと、このように認識をいたしておるような次第でございます。これは、与党三党間の議論の中におきましてもしばしば御議論されたようでございます。
 いずれにいたしましても、安定した財源を確保しながら二分の一を目指していく、こういうことでございますが、現在の三分の一から二分の一に引き上げるのには二・二兆円、しかもこれから恒常的にこれがふえていく、こういうことでございますので、そういうことも当然視野に入れながら、だからといってもうしないという発想ではなくて、だからどうやったらいいのか、こういうような考え方に立って、さまざまな選択肢、場合によってはさまざまな組み合わせによってでも、私はできるだけ早い時期に二分の一にするということが国民の年金に対する不信にこたえる道だと、このように考えております。
#43
○直嶋正行君 厚生大臣のお考えはよくわかった。私は順番が逆だったと思うんです。確かにそれは二・二兆円要るかもしれない。しかし、御案内のように、あれだけ国会で議論をして、一致した意見として決議をされた。ですから、当然私たちも二分の一が前提になって今回の改定の議論が始まったと思う。ところが、残念ながらそうじゃなかった。ですから、結局将来世代の負担と、こういうふうにおっしゃっているんですが、そこのところを欠いたままの議論でありますから、必ずしも議論がぴちっとこない、こういうことだと思うんですよ。
 だから、大臣、特に賃金スライドとか年金給付の切り下げの部分というのは先送りしたらどうでしょうか。今回の改定で前へ進む部分もありますから、そういう部分はやって、こういう部分はもう少し議論したらどうなんでしょうか。それは難しい話なんでしょうか。
#44
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから申し上げておることでございますが、財政再計算というのは五年ごとに制度の見直しを行う、こういうことでございます。
 これに対して、先ほど委員からそのものが変わっていくじゃないか、こういうような厳しい御指摘を受けたことを私どもは甘受しながらも、社会経済情勢が大きく変化する中で、制度を長期間放置しておきますと急激な制度改正を行うことになりかねず、また国民の合意を得ながら五年ごとに制度を見直すことによってかえって弾力的に安定的な制度が可能になる、こういうことでございます。
 これほど年金に対して国民の皆さん方が御関心を持っていらっしゃる中において、今の段階で将来の姿というものをきちんと、つまり年報酬の二割程度の負担をお願いして、将来ともいわゆる六割前後を確実に給付するというお約束を申し上げることは、私は国民に対する政治家としての責務である、このように考えているような次第でございます。
#45
○直嶋正行君 今の議論は後ほどもう一度させていただきたいと思います。
 それで、年金水準の話でもう一点確認をしておきたいんですが、今回は賃金スライドをなくすということになりますと、新規裁定時、六十五歳段階では現役時代の賃金スライドは反映される、裁定時の年金水準は五九%、こういうふうにお聞きをしているんですが、そこから先が、この厚生省の計算でいきますと、賃金スライドがなくなりますと、五年、十年、十五年、二十年とだんだん現役の所得に対する代替率は下がってくるわけです。年数が経過するとともに下がってくる。これは厚生省で計算をして出した数字をちょうだいしたんですけれども、大体これでいくと、スタートが五九%ぐらいの所得代替率だったのが二十年たつと約五〇%になる、こういう計算をちょうだいしたんですけれども、こういう事実で間違いございませんね。
#46
○国務大臣(丹羽雄哉君) そのように承知いたしております。
#47
○直嶋正行君 もうちょっと詳しく言いますと、十年後が五四%ぐらい、大体五%落ちていく。
 そうすると、これもさっきの議論になるんですが、二つ問題がありまして、一つは前回の出だしのところで可処分所得のスライドの数字のとらえ方が違っていたんですけれども、例えば連合なんかが計算しますと、実はこれは年収代替率は五〇じゃなくて四八ぐらいになっちゃう。こういうふうに、実態は厚生省がおっしゃっているより下がりますよと、こういう話になる。
 私が問題にしたいのは、そのことよりも、そこまで落ちていきますと、さっき申し上げたように、将来的な介護だとかそういう問題、年金生活者の負担を考えると、実質所得水準はより下がってしまう。つまり、今のまま行っても代替率が二十年後に五〇になる、十年後には五四に落ちる、こういうことですから、まさに年齢を加えるに従って実質的な年金の価値が下がっていって国民生活は苦しくなる、こういうことになってくるんですけれども、この点はどうなんでしょうか。どういうふうにここはお考えになっているんでしょうか。
#48
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御質問の趣旨は、この賃金スライドを停止することによって新規裁定時の、今、先生がおっしゃった所得代替率五九%が年々下がって、そして先ほど五四という数字も出ましたけれども、今後どのぐらい下がっていくのか、こういうことと受けとめさせていただいてよろしゅうございますでしょうか。
#49
○直嶋正行君 ですから、これによって年金生活者の生活が年々苦しくなっていくのじゃないかと。
#50
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、ちょっと長くなって恐縮でございますが、今回の六十五歳以上の賃金スライドの停止というのは、一たん年金を受給し始めた以降は物価スライドによって年金の価値を実質的に維持することによって年金開始時の生活水準を確保する、こういう考え方に基づくものでございます。具体的には、年金を受け始めた時点では現役世代の年収のおおむね六割を確保する、その後につきましては年金給付の価値は物価スライドによって実質的に維持できる、こうなっております。
 そして、平成十年度におきます年金を受け始めた男子の平均額は二十万でございますけれども、これは男子一人分の年金額であり、夫婦年金の額であるモデル年金と比較することはちょっと不適当だと思いますが、実際に夫婦が受給されている年金額については、統計処理上算出することは非常に難しいものがございますが、モデル年金額が実際の年金額を下回っているという御指摘は一般的に当てはまらないものと考えています。いずれにいたしましても、今後はモデル年金のような年金額になることが一般的だと考えております。
 そして、問題は今回の改正によって先ほどから……
#51
○直嶋正行君 ちょっとそこまで私はまだ聞いていないです。今、モデルと平均の話を大臣はされたんですが、そこまで時間の関係で多分いかないと思いますので。
 私が今申し上げているのは、今回の改正で、厚生省は現役は年収の約二割の負担で六割の給付と、こういう説明をされているんですが、実は約六割の給付をもらえるのは六十五歳になって新規裁定を受けたときだけなんです。そこからは現役世代の賃金に比べるとどんどん下がっていくんですよ。二十年たつとそれが五〇%になります、こういうことなんですね。ですから、これはおっしゃっている説明と違うじゃないですか。
 もっと重要なことは、本当は年々生活水準が下がっていくということの問題が一つありますよと。それに、さっき申し上げたように、これから介護だとかいろんな年金生活者の負担が加わってくることを考えると、例えば所得代替率が十年後に五四%とか、二十年後に五割になるような給付水準で本当にいいんでしょうかと、このことを申し上げているんです。これは、ぜひ大臣にここら辺のところは御検証いただきたいと思うんです。さっき私はしれっと、見直したらどうですか、今回の給付の切り下げはお取りやめになったらどうですかと、こういうふうに申し上げましたけれども、本当に問題が多いんです。だから、もっと詰めていい制度にしましょうよ。
 このことを最後に申し上げて私の質問を終わります。大臣、何かコメントがあったらお願いします。
#52
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど来申し上げていることの繰り返しになりますが、今回の改正では、いわゆる受給開始後の給付を受ける方の実質的な価値は下がらないんだということがある、あくまでも若い現役に対する割合が下がるんだと、こういうことを今回の法改正の中で御理解いただくように努力しているところを、ぜひとも先生にも御理解賜りたいと思います。
#53
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 前回、二月二十四日の当委員会で今回の改悪の完成時、すべて完成した暁にはモデル世帯で厚生年金の生涯受給額がどれだけ減るかという私の質問に対して、千二百万円減少する、そういう答弁をされました。
 そこで、きょうお聞きをしたいんですけれども、今回の改悪が現在の世代にどのような影響を与えるのか。現在、夫が七十歳、六十歳、五十歳、四十歳、三十歳、二十歳、こういうモデル夫婦のケースで、それぞれ一世帯当たりどれだけ厚生年金の生涯受給額が影響を受けるのか、これを示していただきたい。
#54
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の改正によりまして、まず七十歳の方でございますけれども、現行制度で七千百万円のところを改正案では六千八百万円、約三百万円、四%の減でございます。六十歳の方は七千万円が六千五百万円ということで約五百万円、八%の減。五十歳の方は六千二百万円が五千七百万円となりまして約五百万円、九%の減でございます。四十歳の方につきましては六千百万円が五千百万円ということで約一千万円、一七%の減でございます。三十歳の方は六千百万円が五千万円ということで約一千二百万円、一九%の減。二十歳の方は六千二百万円が四千九百万円ということで約一千二百万円、一九%の減でございます。
 ただ、これは若い人の保険料負担もその分減少するわけでございまして、例えば三十歳の方は現行制度で、本人負担分でございますけれども、二千九百万が二千六百万ということで約二百万円、八%の減。二十歳の方は三千四百万が三千万ということで約五百万円、一四%の減。十歳の方は三千九百万が三千二百万ということでございまして約六百万、一七%の減ということでございます。
#55
○小池晃君 保険料負担が減るとも言われましたけれども、これは国庫負担三分の一で設定しているわけですから、国庫負担二分の一にすればそれだけでもう既に下がるんですよ。その議論は前回申し上げたわけで、保険料が減るからこういう給付がいいんだということは、これは全然正当化できない。
 配付資料をごらんいただきたいと思うんですが、これは、今、局長が答弁された中身を、きのう数字をいただいて表にしたものであります。これを見ると、今回の給付減の実態というのがリアルにわかると思うんです。
 まず第一に何が言えるか。この賃金スライドの凍結、既裁物スラというのが、これは直ちに現役の年金受給者に打撃になるということであります。保険料を既に払い終わった七十歳あるいは六十歳という世代ですら、七十歳で三百万円の減、六十歳で五百万円の減だということであります。
 第二に、四十歳以降になりますと、ここに支給開始年齢の引き上げの繰り延べの影響がかぶさってくる。途端にその減少額が大幅にふえるわけですね。一千万円を超える減少になってくる。
 さらにつけ加えて言えば、来年から定額部分の、この一階部分の支給開始年齢の繰り延べが来年から始まるわけであります。その改悪の影響で、これを見るとわかるんですが、六十歳の現行制度での支給額と四十歳以下の支給額というのは九百万円違う。これはまさに一階部分の支給開始年齢の繰り延べの影響であります。
 ですから、単純に今回の改悪の影響だけで見るのではなくて、現在の受給との関係で見れば、六十歳の現行制度で七千万円が、例えば二十歳でいえば四千九百万円、三十歳でいえば五千万円ということですから、現在の受給の額と比べれば二千万円を超える減少になるということなんです。今回の年金改悪というのが大変なものなんだということがこれでおわかりいただけると思う。これは、将来世代だけではなくて、現在の年金生活者あるいはことしから年金生活に入る、来年から年金生活に入るという方にも多大な影響を与えるものであるということがおわかりいただけるのじゃないだろうかというふうに思うんです。
 厚生大臣に、これを見ていただいてお聞きをしたいと思うんです。
 先日、この厚生年金の給付減の問題は大変だと。これは、現在の消費不況の足を引っ張るし、やはり将来世代の不安をかき立てるような大改悪じゃないかというふうに私は申し上げたんですが、大臣はこれは将来世代の過重な負担を避けるためやむを得ないと、こういう答弁を繰り返し繰り返しされたわけであります。
 きょう改めて、この現在世代のこれだけの給付減、この数字をごらんになってどうなのか。これは与党の議員の皆さんもそうですよ。こういうことがやられようとしているということを認識されているのかどうか、そういったことを踏まえて今回提起されて賛成されているのか、私は問いたい。
 そして、大臣にお聞きしたいのは、やはりこういった現在の年金生活者あるいはこれからすぐに年金生活に入る人も含めて大変な給付減になるというやり方が今の景気にとってどうなのか、あるいは将来不安をあおる、そういうことをどうお考えなのか、深刻な影響を与えるというふうにお考えにならないのかどうか、改めてお聞きしたい。
#56
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の改正案におきましては、将来世代の重い負担を防ぐという見地から将来の年金額の伸びを抑えよう、こういうことで法案を提出させていただいておるような次第でございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、年金を受け始めた時点で現役世代の手取りの大体六割の給付水準を確保することによって、その後は物価スライドを行うことによりまして実質的な価値というものは十分に維持することができると、こう考えております。
 年金制度に対する国民の信頼を揺るぎのないものにするということでございまして、今、小池委員がおっしゃったような、確かに将来にわたっていわゆる給付が削減されるということは紛れもない事実でございますが、これを先延ばしすることによって将来の姿をあいまいにしておくよりは、これをきちんとお示しして、その中においてそれぞれの生活設計を立てていただく、そのことが私は老後の不安を解消することができる、こう考えておるわけでございます。今回の年金法改正案が直ちに消費不況の足を引っ張ることと結びつけて考えることは、私はそういうことはあり得ないと考えております。
#57
○小池晃君 なぜ消費不況の足を引っ張るということはあり得ないと言えるのか。これはまさに今の年金生活者の生活を直撃するんですよ。そういう認識なくこういう大改悪を提起しているということだと思うんです。
 そこで、さらにお聞きをしていきたいと思うんですが、先ほど今井委員からも指摘のあった点について、重なる部分もあるかと思うんですが、お聞きしたい。
 六十五歳支給開始の繰り延べの影響であります。今回の財政再計算のベースとなった労働力率の見通し、これは労働省の職業安定局の九八年十月の推計であります。これはもちろん九八年十月の推計ですから、二〇〇一年からの定額部分の支給開始年齢の繰り延べ、この影響は見込んだものなんですね、織り込んである。ところが、今回の改悪で予定されている厚生年金の報酬比例部分の支給開始年齢の繰り延べの影響、これはもちろん九八年十月の推計ですから織り込まれていない。
 先ほどちょっと大臣から御答弁があったんですが、局長から詳しく説明していただきたいんですが、厚生省は報酬比例部分の繰り延べの影響をどう見込んでいるのか。財政再計算を行うに当たって、六十五歳までの報酬比例部分の繰り延べの影響を労働力率にどう反映させたのかお聞きしたい。
#58
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の財政再計算に当たりましては、ただいま引用されましたような労働省の九八年十月の労働力率の見通しを基礎にいたしておるわけでございます。
 これによりますと、二〇〇〇年の六十歳代前半の労働力率は七七・〇%でございますけれども、二〇二五年では八二・四%に上昇する、こういうことになっております。
 さらに、今回の改正では、報酬比例部分につきましても時間をかけて六十五歳支給に引き上げる、こういうことを予定しておりますので、その分、六十歳代前半の労働力率が高まると考えておりまして、二〇二五年で今申し上げました八二・四%が二、三%程度上昇いたしまして八五%程度になるものと見込んでおるわけでございます。
#59
○小池晃君 私、先日この問題を質問したときに、大臣は雇用と年金との連動が望ましいというふうにお述べになりました。しかし、実際はどうかというと、報酬比例部分の支給開始年齢の繰り延べで、六十歳から六十五歳までの支給というのは完全にこれはとまるわけです。その一方で雇用はどうかといえば、厚生省の見込みですら二、三%しか上がらない、この支給開始年齢の繰り延べによって。これはまさに、一方では年金は出ない、そして雇用は二、三%しか伸びませんよと。これでどうして連動するんですか。年金は出ない、仕事もない、これでどうやって生きていけばいいのか、これは国民の率直な声だと私は思います。これにどうお答えになるのか。厚生大臣、お答えいただきたい。
#60
○国務大臣(丹羽雄哉君) 二〇一三年から二〇二五年まで十二年間かけて行うものでございますし、これはこれとしても、少子高齢化社会が大変な勢いで進んでおるわけでございますので、私どもは、労働省を中心とする関係省庁とも十分に連絡をとりながら今後の高齢者の雇用のあり方について最大限努力をして、高齢者になられても働く意欲があってお元気な方には働いていただく、こういうような方向を求めていきたいと考えております。
#61
○小池晃君 決意は何度聞いたっていいんです。空手形だったんですよ、六十五歳までの雇用が伸びるなんというのは。厚生省自身の財政再計算の根拠で三%しか伸びないと言っているんです。このことをお認めになるのかどうか。そうじゃないですか。厚生省自身の計算でも三%しか伸びていない。ということは、今までいろいろと決意だというふうにおっしゃっていたけれども、実際は空手形だったということなんじゃないですか。どうですか、厚生大臣。
#62
○国務大臣(丹羽雄哉君) 一つの推計だと思いますが、私はそういうことであってはならないと思っております。
#63
○小池晃君 そういうことであってはならないといっても、厚生省の推計の数字が三%になっているんです。これは大変な問題だと思います。六十歳代前半の雇用環境がほとんど期待できない、これは学者の方も皆さんそうおっしゃっているんです。厚生省の見込みですら、財政再計算の計算でもこれは明らかだと。こうした中で、ただただ年金支給だけがとまっていく、このことがいかに国民の不安をかき立てるものであるのか、このことも重大な課題として指摘をしておきたい。
 さらにお聞きしたいのは、八五年改悪との関係で、前回議論したことの若干続きになることでありますけれども、お聞きをしたい。
 八五年の改悪で、厚生省は四十年加入というのを前提とした給付乗率の抑制をやっているんですね。これによって九〇年代に入ってからの年金支給額が顕著に抑制されている、頭打ちになっているという実態が前回の質疑を通じて明らかになった。しかし、実際は定額部分の上限、定額頭打ちという問題がある。定額部分については計算の月数に上限が設けられております。五年前の年金の改定時にはこのことは考慮されたわけですね、政府の側も。そして、定額部分の上限を段階的に延長して、今どうなっているかというと、四百四十四月、三十七年になっている。
 今回の改定では当然四十年加入が前提なわけですから、この四十年加入を前提とした上限の延長というのはやられるべきだったと思う。ところが、なぜかこれはやられていないわけです。その結果どうなっているかというと、今の上限は三十七年であります。ですから、四十年入っても三十七年分しか定額部分は反映されないことになるんです。
 昨年六十歳になった人からは既に三十七年という上限を超える人が出てきております。さらに、四四年の四月以降に生まれた方、この方からは、定額部分が老齢基礎年金の額を下回るという人が、四十年加入すればそういう人が出てくるという逆転現象があるんです。何でこういう事態を放置されるのか、今回の改定でなぜ上限額の延長をやらなかったのか、これは局長で結構です。
#64
○政府参考人(矢野朝水君) 定額部分の単価は生年月日に応じまして段階的に逓減しておるわけでございまして、昭和十九年生まれ以後の方につきましては、今御指摘にありましたように逆転現象が起きまして基礎年金の方が高くなる、こういうことが起こるわけでございます。
 しかし、支給開始年齢につきましては、定額部分の支給開始年齢の引き上げが前回改正で決まっておりまして、こういった方の今後支給が始まるのは平成十八年、つまり二〇〇六年から昭和十九年以後に生まれた方が支給開始年齢に達する、こういうことでございまして、まだ十分時間的なゆとりがあるということでございまして、今回三十年の頭打ちを延長する、こういう措置は講じなかったということでございます。
#65
○小池晃君 八五年改悪というのは四十年加入を前提としているんです。それなのに三十七年という上限があるというのは大変問題だと思うんです。基礎年金の額を下回る、そういう人が出てくることを放置するのは大変問題だと思う。
 今まだ時間的に間に合う、だから今回やらなかったんだというふうにおっしゃるけれども、それは男性の場合であって、女性の場合は定額部分の支給開始年齢の繰り延べというのは五年おくれですから、これはひっかかってくるんです。二〇〇四年の四月から受給する人は定額部分の金額は基礎年金を下回るんです。何でこれを放置しておいていいんですか。なぜ今回の改定でやらなかったのか。今回の改定でやらなきゃいけなかったことは明らかだと思うんですけれども、この点はどうなんですか。
#66
○政府参考人(矢野朝水君) 御指摘のように、昭和十九年生まれの女子につきましては逆転が生ずるわけでございますけれども、女子の場合は加入期間が一般的に男子と比べて非常に短いわけでございまして、三十七年を超えるような加入が一般的になる男子の場合で考えて判断をしたということでございます。
#67
○小池晃君 大変な矛盾なんですよ。四十年加入を前提として制度設計しておきながら、実態は四十年行っていないからということでやらなくていいんだということをお認めになる、これは大変な矛盾だと私は思います。
 さらに言えば、一般的でないと言うけれども、四十年を超える人が出るんですよ。そういう人が出てきたらどうするんですか。それは基礎年金の額を下回ってしまうんです、定額部分が。このことを放置している。これでいいのかと聞いているんですけれども、どうですか。これは大臣にお聞きしたいんですけれども、これを放置してよろしいんですか。
#68
○国務大臣(丹羽雄哉君) この定額部分の額が基礎年金の額を下回るのは平成十八年度以降でございます。六十五歳以上に支給されます基礎年金の額との均衡を考慮して今回の改正では定額部分の年数の上限を三十七年に据え置いたものでございますが、この上限の見直しにつきましては、次期財政再計算に向けて検討課題とすることが適当と考えております。
#69
○小池晃君 八五年改悪の問題は前回議論をいたしました。これは四十年加入を前提として制度改悪をやったんです。到底そこに至っていない雇用の状況がある、さらに制度でも三十七年を上限にしたままだと。そういうことであれば、三十七年ということで給付乗率を組みかえて、給付乗率の引き上げをやるべきですよ。それが筋の通ったやり方だと。そういったことすらしないで、ただただ先ほど言ったような給付の切り下げだけを国民に押しつける。こういうやり方が許されるのかということも私は指摘をしておきたいというふうに思うんです。
 さらにお聞きをしたいのが減額率の問題であります。先ほど今井委員も御質問をされました。
 来年から定額部分の支給開始年齢の繰り延べが開始をされることになります。繰り上げ支給の減額率の見直しですが、死亡率を直近の生命表に変更した場合の繰り上げ減額率、これは六十歳支給で三五%程度という厚生省の計算結果、前回、井上委員の質問に対してそういう御答弁をされたと思うんです。この計算の前提となっている運用利回りはどうなっているのか、お示しいただきたいと思います。
#70
○政府参考人(矢野朝水君) 運用利回りは五・五%を前提といたしております。
#71
○小池晃君 運用利回り五・五%というのは、一体どこの国のいつの時代の話なんですか。財政再計算は運用利回り四%でやっているじゃないですか。何で繰り上げ減額率の計算だけ五・五%でやったんですか。そのことを答えてください。
#72
○政府参考人(矢野朝水君) これは、衆議院の厚生委員会で厚生大臣の方から、生命表が非常に古い、昭和三十年のを使っている、これを直近に置きかえるとあらあら三五%程度になると、こういった答弁が行われたわけでございます。
 私どもは、それ以降、これを受けまして、予定利率の問題、あるいは先ほど今井委員からはスライド率の問題が提起されました。あるいは、早くもらえると確実にもらえるわけでございますから、大体自分は早く死ぬかどうかというのはある程度わかるわけでございまして、早くもらった方が確実性という点では一〇〇%もらえるわけですので、そういった問題とか、いろいろ事情はございますので、そういったものを踏まえて現在幅広く検討中ということでございます。
#73
○小池晃君 自分が早く死ぬかどうかわかるんですか。ちょっと異常な話だと思いますね、私は。
 これは大変な問題だと思いますよ。運用利回りを高く設定すれば減額率が高くなるのは当たり前なんですよ。今井委員のお配りになった資料でも、割引率が高くなればなるほど減額率も高くなっているじゃないですか。運用利回り五・五%なんという数字で設定して、それで計算された三五%という減額率に、どこに根拠があるのか。全くふざけた数字ですよ。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、運用利回り四%で計算したら六十歳の減額率がさらに下がることは明白だと思うんです。六十歳支給で三五%だというふうに答弁された減額率、これは不十分であるということをお認めになりますか。
#74
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私は、減額率の問題につきまして、三十六年当時の生命表が使われている。これはいかにも古過ぎるし、現在の生命表というのは、男は七十七歳、女性が八十四歳というところまで来ている。そういうことであらあら三五%と、こういうことを申し上げたわけでございますが、御指摘の点を踏まえまして十分今後精査していきたい、このように考えております。
#75
○小池晃君 三五%という数字がいかにいいかげんかということを大臣もお認めになった、これは検討が必要だと。当然四%という運用利回りで計算する、あるいは生命表だって新しくなるわけですから、これは三〇%を切って二〇%台という減額率がどうしても必要になってくるんじゃないですか。これはもう当然の前提として検討することを要求したい。
 さらにお聞きしたいのは、学生の保険料の追納制度の創設の問題であります。
 これが四月実施のために、これがあるから四月実施を何としてもしなくちゃいけないというふうに与党の議員の方はおっしゃる。ただ、この追納制度も、そう手放しにいいものかということではないような話なんじゃないかと思うんです。問題点が指摘をされております。
 そこで、今回提起をされている学生の保険料の追納制度と現行の申請免除制度というのは一体どこが違うのかということを御説明願いたい。
#76
○政府参考人(矢野朝水君) これは、現在の制度は親元世帯の所得で免除かどうかを決めているわけでございますけれども、今回の学生の特例制度は学生本人の所得で免除するかどうかを決めるということが一点でございます。
 それから、社会人になってから追納していただくということでございまして、追納が行われなければ老齢基礎年金の算定におきまして当該期間分は国庫負担がつかないということでございます。追納していただければ当然国庫負担はつくわけでございますけれども、そこが違います。
 それから、今回、こういう措置、手続をとっていただければ、特例期間中の障害事故につきましては満額の障害基礎年金が支給されるということでございます。
#77
○小池晃君 申請という手続が必要だということは今も同じであります。現行制度でも十年以内であれば追納できるわけですね、申請免除の場合も。親の所得で申請免除するんじゃなくて学生本人の所得で判断する、ここが違うんだということで、実質的に変わった点はそこだけだと思うんです。追納の申請手続というのをしなければこれからも無年金障害者のような事態というのは起こり得るわけですね。
 さらに問題なのは、今、局長も答弁の中で言われましたけれども、現在の申請免除の場合というのは、国庫負担分の三分の一というのは老齢年金額に反映されるわけであります、追納しなかった場合は。ところが、今回の制度で追納しなかった場合は、国庫負担の三分の一の分は老齢年金額には、期間には算入されるけれども額には反映されない。そういうことをいろいろ考えていくと、これは現行制度と比べてどうなのか。国庫負担三分の一の分がつかないというのは現行制度より後退なんじゃないですか。これはどうですか。
#78
○政府参考人(矢野朝水君) これは、現在、学生の保険料というのは大体親御さんがほとんど支払っておられるということで、親の非常に負担になっているわけでございます。しかも、なぜ子供の年金のために親が保険料を納めなきゃいかぬのか、ここの疑問も非常に大きなものがあるわけでございます。
 学生は、何しろ在学中は所得がありませんけれども、卒業して職につけば負担能力が出るわけですから、こういった学生の特性に着目して今回こういった特例制度を設けようとしたわけでございます。
#79
○小池晃君 私はそこを聞いているんじゃないんですよ。そこは認めたでしょう、そこは違うというのは。そうじゃなくて、国庫負担三分の一の分が追納されなかった場合に反映されないのは現行制度より後退じゃないですかと聞いているんです。大臣に。もう局長じゃ話にならない。
 これから国庫負担の割合というのは増加する方向でいくわけですね、いずれにしても。その場合、この問題というのは大きくなってくるんじゃないですか。これは老齢年金の額に国庫負担分というのが反映されるのが当然じゃないかと思うんですが、いかがですか。
#80
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御意見として承って、検討させていただきます。
#81
○小池晃君 この学生の保険料の追納制度というのも、そんな手放しでいいというものじゃないんだと。確かに当たり前の改革というか、親の所得じゃなくて学生の所得で見る、これは当たり前です。それはいいとして、こういう問題点があるんだ、このことを私は強く指摘をしておきたいと思います。
 最後に、現在十万人いる学生無年金障害者の問題についてお聞きをしたいと思います。
 東京練馬区に住んでいる岡村佳明さんという方の御家族にお話を私は聞きました。この方は大学四年のときに、八六年ですけれども、バスケットボールの試合をやっていて脳腫瘍が出血をして倒れられた。一年半植物状態が続いて、今は精神機能の低下、四肢の麻痺などで身障一級になっている、ずっと入院生活が続いているということです。この方は、障害者になってから初めて、学生も国民年金の加入義務があって加入していなかったこの方、佳明さんは障害基礎年金を受けられないということを知ったというんですね。
 実は、このお父さんは佳明さんが通っている東京学芸大学の教授なんです。息子さんはお父さんが教授をやっている大学に通われていたということなんです。大学の先生だったんだけど、そのお父さんは、当時、国民年金が任意加入だったと知らなかった、厚生省を通じての周知もそのときなかったと。実際、この佳明さんのケースの三年後を見ても、八九年でも任意加入の学生というのは一%しかいなかったです。今、障害のためにこの方は就職はどう考えても困難だと。親は年金生活だと。今後の医療費のことを考えただけでも障害基礎年金がどうしても必要だというふうにお聞きをしました。
 さらに、将来の老齢年金のために、今、国民年金に加入をして、親御さんが保険料を払っているんだと。障害者基礎年金に入っていればこういう必要なかったわけですね、これも。お父さんがおっしゃっていたのは、もし自分たちが死んだら、息子は収入もないし、老齢年金もこれは保険料を払えなくなったら受け取れなくなる、一体どうやって生きていけというのかというふうに、電話でしたけれどもおっしゃっておりました。二十一世紀に無年金障害者の問題を持ち越すなというのはもう切実な声だと思うんですね。この声に必ずこたえる必要がある。
 それで、私はお聞きしたいんですが、無年金障害者の問題は政府の責任で解消の措置を直ちにとるべきだと思うんですが、いかがでしょうか。
#82
○国務大臣(丹羽雄哉君) 無年金障害者の問題につきましては、かねてからさまざまな御意見を承っておるわけでございます。私どもといたしましては、そうした方々が発生しないように最大限努めてきたところでございます。当初は任意加入とされていた学生につきましても、御案内のように平成三年から強制加入とするなど、適用対象の拡大を図ってきたところでございます。
 しかしながら、無年金障害者について、年金制度において何らかの給付を行うことは、制度への加入と保険料の負担に応じて給付を行うという年金制度の根幹そのものに触れるものでございます。年金審議会においても、現在の年金制度においてはこうしたような負担と給付という関係を無視して給付を行うことは大変難しい、こういうようなことが審議会として出されておるわけでございます。ですから、この年金の世界とは別に、さまざまな形で大変お困りな方々に対する、どういうような手厚い救済策ができるかということを進めていくことが現実的ではないかと、このように考えている次第です。
#83
○小池晃君 私はそれはおかしいと思いますよ。そもそも二十前で障害を受けた方は無拠出で障害基礎年金を受給できるわけですね。さらに、今回、学生追納制度を創設して、学生時代に発生した障害に対しては保険料は払わなくても障害基礎年金は出るわけですね。だから、無拠出という形になったわけであります。追納制度の申請さえしておれば、これは障害基礎年金が無拠出で支給されるんです。ですから、保険料の負担に応じた給付という関係ではもはやないんですよ。だから、負担に応じた給付でないから、無年金障害者の救済を年金制度の枠内でできないという議論、私はその論拠は崩れていると思うんですけれども、いかがですか。
#84
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私どもは、決して委員の今御指摘のことに何かこだわってどうのこうのということでありません。現実問題として社会保険方式の中においてこれをきちんと確立しなければならない。しかし、個々のケースの場合において、どうしてもこれは知り得ないような場合だとか、加入できないような場合であるとか、そういうようなケースがあるのかないのか、そういうことを含めまして検討しなければならない問題だと、このように考えております。
#85
○小池晃君 保険料負担をしていないから年金給付ができないという論拠が崩れているということをお認めになりますか。
#86
○国務大臣(丹羽雄哉君) これはあくまでも保険料の負担に基づいて給付を行うということでありまして、この原則はきちんと守られておりますし、今後とも守っていかなければならない問題だと考えています。
#87
○小池晃君 ですから、現在もう保険料負担をしなくても給付を受けるというふうになっているじゃないですか、その論拠が既に崩れているんじゃないですかというふうにお聞きしているんです。大臣ちょっと答えてください。
#88
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから申し上げましたように、この基本は崩れていないと、こう考えています。
#89
○小池晃君 いや、おかしいと思いますね。私は今の答弁は全く納得できません。負担と給付との関係というのはもはや崩れているというふうに思うんです。このままで二〇〇二年、障害者プランの終了というのを迎えていいのかというふうに思うわけであります。これはまさに年金制度の中で解決することが最も筋の通った解決のやり方だというふうに私は思います。
 きょうの議論を通じて、まだまだ不十分な点がありますが、さまざまな問題点が私は明らかになったというふうに思うんです。年金積立金の問題あるいはその運用の問題、その点について議論もできなかったので、ぜひこれは徹底的に引き続き審議していくということがきょうの議論を通じても必要になったというふうに申し上げたい。そのことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
#90
○清水澄子君 社会民主党の清水澄子です。
 まず、在職老齢年金の一律二割カットについてお尋ねいたします。
 六十歳で退職して、そしてなかなか次の職業が見つからない、そうした場合に賃金と年金の併用によってこのすき間にある高齢者の生活を保障しようというのが在職老齢年金の本来の趣旨であったと思います。ところが、現在の在職老齢年金制度では、六十歳から六十五歳まで少しでも収入があると、最低でも一律に二割減額されるわけです。しかし、それは厚生年金の場合であって、その他の年金制度では収入がどれだけあっても満額支給される。これでは高齢になっても働き続けるという高齢社会の理想像に逆行してしまうだけではなくて、給与所得者に特に不利な制度になっており、年金の制度間の非常な不公平性というものがそのまま温存されていると思います。
 ですから、私はもう少しこれらのものを段階をつけて、二割カットは一定額の収入のある人以上というように改善すべきではないかと考えますけれども、厚生大臣のお答えをいただきたいと思います。
#91
○国務大臣(丹羽雄哉君) 六十歳代前半の在職老齢年金制度は、雇用と年金の連携に十分に配慮しながら、一方で雇用の促進を図りながら、年金が雇用の促進を妨げるものになってはならない、雇用の促進に役立つものでなければならない、こういう観点から、まず一律に年金の支給を停止した上で賃金の上昇に応じて年金と賃金の合計額が増加すると、こういう仕組みとして平成六年の改正で導入をお願いしたものでございます。
 お年寄りで勤労収入のある方につきましては、保険料を負担していただくとともに、働いていない方とのバランスを勘案して、平成六年以前の在職老齢年金と同様に二割支給停止を、これは実は四十年代からこういう形をとっておるようでございますが、行うものでございます。あくまでも若年世代の負担とのバランスを図るためにこのような措置をとらせていただいている、こういうことでございます。
#92
○清水澄子君 今回の改正案には、非常に現実と乖離した問題、現実を無視した状況が多いと思うわけです。
 例えば、何回も問題になっておるわけですけれども、六十歳から六十五歳への受給年齢の引き上げでございますけれども、この場合に六十歳から六十五歳までの年金と雇用の接続については、何らそこには明確な政府としての保障はないわけです。この六十歳から六十五歳までの間の雇用と年金との接続については今までも何度か議論があったわけでございますけれども、この改正案がそのまま通れば四月一日から実施ですから、その対象者は当面の最大の問題になると思います。
 実は、労働省も五年前に基礎年金の支給年齢の延長を決めたときに最大の根拠とされたのは、雇用が六十五歳まで延長されつつあるということを明確にここで答弁をされておりました。現在、平成六年と平成十一年との間で中高年の求人倍率とか失業率がどのように変化をしてきているか、どういう実態にあるかということをぜひ御説明いただきたいと思います。
#93
○政府参考人(長谷川真一君) 中高年の求人倍率、また失業率についてのお尋ねでございます。
 中高年の有効求人倍率につきまして、平成六年十月には、四十五から四十九歳が〇・六八倍、五十から五十四歳が〇・五一倍、五十五から五十九歳が〇・二四倍、六十から六十四歳が〇・〇八倍となっております。平成十一年十月には、四十五から四十九歳が〇・四二倍、五十から五十四歳が〇・二七倍、五十五から五十九歳が〇・一四倍、六十から六十四歳が〇・〇六倍となっております。
 また、中高年の完全失業率でございますが、男性につきましては、平成六年が、四十五から五十四歳が一・七%、五十五から六十四歳が四・六%、六十五歳以上が一・九%となっております。また、平成十一年は、四十五から五十四歳が三・二%、五十五から六十四歳が六・七%、六十五歳以上が二・九%となっております。
 女性につきましては、平成六年は、四十五から五十四歳が一・八%、五十五から六十四歳が一・九%、六十五歳以上が〇・六%となっており、平成十一年は、四十五から五十四歳が三・〇%、五十五から六十四歳が三・三%、六十五歳以上が〇・五%となっておるところでございます。
#94
○清水澄子君 説明をしてくださるときは、もう少しみんなにわかるように説明してほしいんです。例えば、五年前は求人倍率も五十歳から五十四歳は〇・五一あったけれども現在は〇・二七しかありませんとか、そう言わないと、五年前の数字だけ述べて、そしてことしだけ述べても、皆さん数字を見ていませんから非常にわかりにくい。それから、完全失業率も、例えば四十五歳から五十四歳は五年前では一・七%だったけれども現在三・二%ですとか、六十五歳以上では五年前には失業率一・九%だったが現在二・九%ですと。
 そういうふうに就業状況というのは非常に悪くなっているわけです。ですから、五年前に説明されていた状況とは全くさま変わりをしている。それは、不況だからということかもしれませんけれども、しかし今、不況から少し回復しつつあると言われても、全然回復いたしておりません。むしろ、不況を口実とした企業のリストラによって中高年勤労者の解雇とか失業が続いておるわけですね。ですから、五年前の年金改定のときよりも雇用状況、就労状況というのは非常に悪化をしていると思います。
 そこで、厚生大臣にお伺いしたいんですけれども、厚生大臣も厚生省も、五年前のときには、シルバーを含めた雇用の延長になっている、だから受給開始年齢はおくらせてもいいのだという答弁をされてきたわけですけれども、五年後の今日、これほど状況が悪化している、変化をしている状況でもなおかつそのままの既定方針でお進みなのでしょうか。そういう点について、厚生大臣は、この状況を見直し、そしてこういう現状にもっと沿った内容に改正する、変更するというお考えはないのでしょうか。お答えいただきたいと思います。
#95
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の支給年齢の引き上げは、先ほど来申し上げておりますように、我が国の平均寿命が世界で今や最も長寿化が進んだ国でございますし、さらに欧米などを見ましても六十五歳以上支給というのが一般的な傾向だとか、こういうことを十分に考慮しながら、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するためには必要な改正である、このように考えているような次第でございます。
 そこで、問題は雇用との関係でございます。かつては五十五歳で定年となっておりましたが、既に六十歳以上の企業が九九・二%ということでございまして、六十歳定年というものが定着いたしております。今後、定年年齢が引き上げられる傾向にあるわけでございます。また、六十歳代前半でも働く方は平成十年で五七%に達しており、六十歳代前半までの雇用は着実に進んでおるわけでございます。
 ことしの春闘におきましても、委員御案内のように雇用延長というのが大きなテーマとなっております。確かに、大企業ではございますけれども、幾つかの企業において既に定年をさらに延長する、こういう方向で労使の合意がなされていることは委員も十分御承知のことと思います。
 いずれにいたしましても、今回の厚生年金の支給開始年齢の引き上げは十分な準備期間をとって二〇一三年から行うものでございまして、今後とも労働省を初め関係省庁とも十分に連絡をとりながら、とにかく少子高齢化社会の中において、六十歳代の前半も働く意欲があって働くことができるような環境に恵まれている方については十分に雇用の確保に努めるように最善を尽くしていきたい、このように考えているような次第であります。
#96
○清水澄子君 私は、今後、仮に景気が回復して雇用が上向きになっても、女性の社会進出がふえ、また外国人雇用規制の緩和などもあって、中高年勤労者の定年延長というのはそんなに、今、大臣が楽観的におっしゃるような状況にはならないと思います。そうなりますと、現行でいう六十歳から六十五歳までの雇用もなく年金もない、そういう状態が私は非常に大きな社会問題になると思うわけです。
 それから、厚生省また大臣も今おっしゃったんですけれども、支給開始年齢を延長する理由の一つに欧米では六十五歳が主流だと、こういうことばかりおっしゃっているんですね、六十五歳の支給開始年齢というのが諸外国では一般的になっておりますと。こういうことを言っておられますけれども、これは制度上の最大上限という意味にしかすぎないのであって、アメリカでは高齢を理由とした解雇、つまり日本でいう定年制自体が就労の差別になるとして撤廃されておるわけでございますし、他方、実態としての引退というのは欧米では非常にもっと若くなっております。しかし、それはハッピーリタイアメントと呼んでいるように、引退を待ち望んでいるわけなんですね。早期退職はもっとハッピーと受けとめているようで、日本の考え方とは全然違います。日本はリストラとか解雇されるわけです。
 要するに、欧米の場合の一般論を日本の現実で、リストラ等で強制される退職、そういう第二の人生になかなか早く入れないという、ハッピーリタイアメントでない、そういう方たちの年金支給の状況を日本の実態と非常に乖離している欧米の実態で一緒に説明するというのは誤った見方になると思います。そういう意味でも、今回の支給開始年齢の引き延ばしについては私は撤回すべきだということを強く求めたいわけです。
 私、お伺いしたいんですけれども、大臣はこの制度は完璧なものと自信を持ってお答えになれるでしょうか。
#97
○国務大臣(丹羽雄哉君) 何をもって完璧なものということはなかなか、言うのは簡単でございますが、実際問題としてそこまで申し上げることが適当かどうかと思いますが、現時点におきましては最善のものと考えております。
#98
○清水澄子君 そこで、今度は雇用保険との関係をお聞きしたいと思います。
 雇用保険は労働省の問題とおっしゃらないで、前回の年金改正で雇用保険との併給が一律に禁止されました。そして、中高年の退職者にとっては非常に手取りが悪くなったわけです。今回、さらに雇用保険法の改正が提案をされておるわけです。
 この案では、リストラ解雇者への対策という面もあるわけですけれども、他方、それに押される形で定年退職者の失業給付が切り下げられようとしているわけです。例えば、最高三百日分支給されていたものが百八十日になるというような改正になるわけです。そうすると、一方で厚生省やら労働省は六十五歳現役時代というふうな、非常にこれもまた楽観的なスローガンを出しているわけですが、それとは裏腹に、このように中高年者の雇用が悪化している状況のもとで年金の支給開始年齢が六十五歳まで繰り延べられて、そして定年後に収入のない高齢者というのは二重の減給を受けることになります。
 厚生大臣、こういう意味でこの支給繰り延べ案というのは六十歳以上の皆さんたちにとれば非常に深刻な問題なんですけれども、もう一度この点についてもっと真剣にひとつお考えいただきたいと思います。今後の改善策について何らかの検討をしたいというお答えを私はいただきたいんですが、いかがでございますか。
#99
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御指摘の厚生年金の支給開始年齢の引き上げは、これは十分な時間をとりまして二〇一三年から行われるものでございます。今後、労働省と十分に連携をしなければならないわけでございます。
 また、今国会に提出中の雇用保険法改正案というものは、倒産、リストラなどではなくて、定年など普通に離職した場合の失業手当の給付日数を短く、三百日から百八十日までとしておるわけでございまして、高齢退職者に不利になったと指摘されておるわけでございます。
 こういうことを踏まえまして、いずれにいたしましても、労働省としても、定年退職者などの雇用問題については、定年延長や継続雇用の促進などの施策と当然のことながらセットで考えて対応していかなきゃならぬと、こういうふうに考えているような次第でございますし、こういう問題とあわせて御懸念の解消に取り組んでいきたい、このように考えております。
#100
○清水澄子君 では次に、年金の積立金そのものについてお尋ねをしたいと思います。
 百四十兆円の年金積立金を保有する国というのは、私は世界を見渡しても日本以外にはないのではないかと思います。これは国の予算の倍ぐらいになるような積立金です。米国の年金積立金は年間給付費の二年弱ですし、イギリスやドイツ、フランスではわずか数カ月分しか積立金を保有していないと聞いております。
 年金財政が厳しい中で、これほど巨額な年金積立金を保有する必要性、その根拠というのは何なのか、明確に御答弁ください。
#101
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金財政につきましては、将来世代の負担を過重なものにしないよう、今の世代の負担で積み立てました積立金が将来生み出す利子収入を活用することによって将来世代の保険料の負担を軽減する、こういう考え方で積立金を保有することにいたしております。
 仮に、積立金を取り崩すようなことをいたしますと、将来、当然のことながら積立金によります利子収入が減ることになるわけでございます。その分、保険料で負担する分がふえることになるわけでございます。このように将来世代に負担を先送りし過重なものにすることは、現役世代と将来世代の負担の公平を図るという観点から避けるべきだと考えておるような次第でございます。
 積立金の将来推計を見ますと、名目額としてはある程度の増加が見られるところでございますが、支出に対する割合で見ますと、例えば現在は五・五年分積立金がある、こう言われておりますけれども、私どもの調べでは、統計上の調べにおきますと二〇二五年にはこの五・五年分が三・八年分に低下するというふうに次第に低下していく、こういうような見通しでございます。
#102
○清水澄子君 私は、何でこんなにたくさんの積立金が必要かという点で、厚生大臣がすべてこれの裁量権を持つということは非常に問題だと思っております。
 特に、現在の年金積立金は百四十兆円という規模ですね。これは、銀行最大手の東京三菱銀行の資金量が五十兆円ということと比べましても、三倍近い巨額な資金規模であるわけです。ですから、この積立金をどのように私は被保険者に還元をするかということももっと真剣に考えられるべきだと思います。
 そしてまた一方、この積立金を市場で運用していくということらしいんですが、これらがどのように市場に、株価を乱高下させるなど非常に悪影響を与えるおそれもあると思いますが、こうした懸念を年金積立金の運用に当たっては、政府だけがこれを運用するというのではなくて、私はこの間も申し上げましたけれども、年金加入者がもっとこの運用プロセスを監視していく、または意見が十分に反映される、そして外部からもチェックできるという、そういうシステムが必要だと思うわけです。そういう意味で、九日のときに私はそのことも大臣に質問いたしましたけれども、大臣はそのときの答弁で、社会保障審議会の意見を聞きたいという答弁であるわけです。
 そのことも大切ですけれども、私が当日質問しましたのは、厚生省提案の中にある二つの機構について、そのあり方をより具体的にどういう運営をするのかということで申し上げました。
 第一は、運用のための委員会というのがあるわけですね。これは厚生省資料にある機構の名称であります。この委員会の構成とか運営をどのようにやっていくか、これに被保険者の声をどのように反映させるのかということで私はお伺いをしましたが、それに明確なお答えがありませんでした。
 そして、第二は、投資理事会という名称のものがあります。ここにも私は被保険者代表が参加をすべきだ、そしてもっと透明性を確保すべきだということを申し上げたわけです。むしろ、ここには投資の関係なので専門家をというお話でしたけれども、私は、専門家ばかりでやれるということではない、かえって専門家ばかりのときに問題が起きるということを申し上げたわけですけれども、この二つについてさらに明確に厚生大臣のお答えを伺いたいと思います。
#103
○国務大臣(丹羽雄哉君) 多岐にわたっておりますが、まず経緯からお話をさせていただきますならば、現在百四十兆円の年金の積立金がございます。全額資金運用部に預託されまして、財投の預託金利、これは大体十年国債の利率に〇・二%を上乗せした金利で運用されておりますけれども、これにつきましては、少子高齢化が進む中で財投による低金利の運用ではなく、年金積立金をより効率的に年金加入者の利益を求めて運用して、そして将来世代の負担の軽減を図っていく必要があると、こういうことが指摘されておるわけでございます。
 今回の年金積立金の自主運用に当たりましては、厚生大臣が運用の基本方針の中で資産構成割合などを定めることにしておりますが、国債などの債権を中心にして安全確実を基本としながらも効率的な運用を行うことにいたしており、例えば株式などの資産は限定的なものにされるなどと考えています。これは研究会の資料でございますけれども、例えば国債などの債権は七割から八割、それから国内株式は一割、国外株式は一割程度、こういうことが研究会の一つの方向として出されております。
 さらに、百四十兆円の積立金は、一定期間、十五年ぐらいかけまして徐々に市場運用に移行いたしますので、株式市場に与える影響はほとんどないと、こう考えているような次第でございます。
 ちなみに、株式市場は時価総額で現在四百六十兆円に達しておるわけでございます。大体株式は年間五千億円程度ずつ放出するというふうに考えております。
 それから、もう一問でございますが、この年金資金運用基金は、行政改革の趣旨に沿いまして理事の数などもできるだけ抑えることにいたしております。したがいまして、理事と御指摘の投資専門委員がその構成メンバーになる投資理事会に、これはもう専門家の集団でございますから、直接年金の加入者が加わっていただくことはなかなか現実問題として難しいと思いますが、運用の目標であるとか資産の構成割合など運用の最も重要な内容を決める運用の基本方針について、年金の加入者も加わっている審議会、社会保障審議会、この意見を十分に聞いて決めていきたいと思います。その審議会に運用実績を詳しく報告してチェックを受ける、こういうことによりまして自主運用事業全体につきまして年金加入者の声を十分に反映させるように努めていきたい、このように考えております。
#104
○堂本暁子君 今までずっと女性の問題で質問をさせていただいて、きょうはもうさんざんさせていただいたので別のことをと思っておりましたけれども、けさの新聞を見ましたところ、「厚生省は十三日までに、」、きのうまでに「年金制度の女性にかかわりの深い部分について、本格的に見直す方針を固めた。」という記事が出ています。
 どのような方針をお立てになったのか、まず伺います。
#105
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前回も私の方からこの委員会におきまして御答弁をさせていただきました。女性議員の方々からかわるがわるこの問題について御指摘をいただいている問題でございます。
 女性の年金問題で指摘されている事項はいろいろと相互に関連するものでございまして、部分的に一部分だけ問題を取り出すということは非常に難しいものがございます。私も早速いろいろな方にこの間の委員会の様子を申し上げましたら、だれとは申しませんけれども、皆様方にも比較的御理解があるんじゃないかなと思われる方も、これは難しいななんということを言っておりますし、要するに社会的な合意を得るためにはなお議論を集約していく必要があると、このように考えた次第でございます。
#106
○堂本暁子君 いつごろまでに結論をお出しいただけますでしょうか。
#107
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前回も申し上げましたけれども、この法案が決着した後、この問題について年金審議会の中で検討しなければならない。ただ、いつごろまでにすべて決着するかという問題は、今ここで私が確約を申し上げることはなかなか難しいなと、こう考えております。
#108
○堂本暁子君 八五年の改正以後、私はこの十五年の間に二つ大きく変わったことがあると思っています。
 一つは、この制度ができたがゆえに性役割分担、男は仕事、女は家庭という性役割分担が固定化したことです。
 今、パートで働いている女の人の中で、この制度を活用したいがゆえにパートに、要するに百三十万円の収入以下に甘んじているのだと答えている方が三五・一%です。三分の一ですね。ということは、そういう人たちがもっと能力があっても、実際に自分で被保険者になっていくというような、常勤になって二号になる、あるいはもっと大きい収入を得て一号になるというような選択をあえてしない、そういう社会をつくってしまった。
 その結果としてどういうことが起こっているか。それは、まず晩婚。これはこの間るる申し上げて、私が言っているだけではなくて、厚生白書の少子化の原因というところにそういうふうに書いてあります。これが少子化の遠因にもなっている。あえて少子化ということで申し上げればそうですけれども、女性のあらゆる意味での社会進出に大変マイナスの社会制度だというふうに思っています。
 二つ目の変化というのは、去年六月に男女共同参画社会基本法が成立いたしまして施行されておりますが、そこにきちっと書いてありますことは、二〇〇〇年度内に社会保障制度などの差別的な部分について見直しをするということですが、今いつになるかわからないと。新聞の記事では二〇〇四年というふうに書いてありますが、本来であれば二〇〇〇年度内にこれはやっていただくべきことだったわけです。ですから、そういった不公平をどこまでも継続していくということは大変よくないのではないかと思います。
 こういう制度が続く限りパートタイムに、女性はどうしてもそこに追い込まれていくような構造がありますし、そこでは大体男性の半分程度の賃金、賃金格差は世界的に見ても日本は非常に大きいのですが、そういった状況の中に女性が置かれるということ。
 八五年以降のプラス面を見れば、確かに女性が年金権を獲得したということかもしれませんが、厳密に言わせていただくと、それは結婚という形態をとっている女性だけです。もうるるけさからずっと未加入者そして未納者の、先ほどの御答弁では百七十二万人。もしこれが半分女性だとすれば八十六万人です。その審議会の中に果たしてこの八十六万人を代表するような女性が入っているのか、男性が入っているのか。そういった大きい組織の中で結婚した女性の利益代表はいるかもしれない。しかし、むしろ私が問題だと思うのは、こういった未加入、未納の、本当に今や保険料が払えないで年金権を持っていない女性は、男性も悲惨かもしれませんが、賃金が男性の半分しか得られないという状況の中でその人たちは一体どうなるのでしょう。
 この間ずっと私が話させていただいてきたプロセスの中でのお話は賛成と反対があります、そして千二百万人の三号被保険者からは反対があります。だれだって、本人は保険料を一銭も払わないで、そして年金も遺族年金もいただけるんだったら、それは権利主張をするに決まっています。
 ですけれども、行政がやるべきことは、そこで公平でなければいけないということです。結婚した女性だけが何でそういう利益を得るのか。その先には離婚の問題なんかもありますけれども、そういった三号被保険者の妻だけがまさにそういう利益を享受しているわけでありまして、そうじゃない女性は全くそこからは見放されている。
 反対と賛成があるとか、それから難しいというふうに大臣はおっしゃいますけれども、それはあくまでもその人たちの利益を代表する審議会の中の話でありまして、私が申し上げたいのは、一人一人全部の日本の中の女性が非常に不利益な状況に置かれていると。これは、今たまたま私は女性の視点から、そういった視座からこの年金のことを切って申し上げていますが、けさはずっとほかの同僚議員からも、女性の問題だけじゃなく、同じ視点でやはり問題を指摘されていた。男女の別はないと思いますけれども、やはり女性の賃金が男性の半分であるという国、この国での年金がどれだけ女にとって深刻なことか、これはもう本当にただならぬことだというふうに思っています。
 ですから、非常に難しいと言うのはあいまいで、まるで女性同士が、働いている女性と働いていない女性が対立しているような非常に雑駁なおっしゃり方なんですけれども、私はそうではないと思うんですね。働いているとか働いていないとか結婚しているとか結婚していないとか、そういったことで不公平さがあってはいけないんです。年金というのは、すべての人に対して平等でなければいけない。公正でなければいけない。
 ですから、その免除、例えば低所得であるがゆえの免除と、それから夫の収入が一千万であろうが二千万であろうが一億でも、妻は完全に免除されているんです、今。そして、実際に一万三千円払えない、収入が例えば月に十万円しかないというようなパートのおばさんやそういう人たちとその間の不公平さはどう考えてくださるのか、私には難しいという言葉で片づけられないものがあると思うのですが、いかがでしょうか。
#109
○国務大臣(丹羽雄哉君) 堂本委員のただいまのお考えに私が一つ一つ反論するような気持ちも持っておりませんし、また大きな流れというものはそういう方向に流れつつあるのかなと、こういう認識は持っておるわけでございます。これでまたおしかりを受けるかもしれませんけれども、現実問題として政治を進めていく場合には、えいっやあっですべて済むかどうかという問題もございますし、一つ一つ問題の解決に取り組んでいきたい。
 それから、六十年改正につきましていろいろな御見解を先日来お述べになっていらっしゃいますが、私はこれはあくまでもこれまで認められていなかった女性の年金権を確立したということに尽きるんではないかと。その結果、こういうことが出てくるということまでは私ども当然予想はしてはおりますけれども、そのことがまず何よりも女性の皆さん方のさまざまな形における、老後における安定という観点からよしとしてやったことだということは御理解いただきたいと思います。
#110
○堂本暁子君 それは確かに当時、八五年の改正のときに国民年金に加入していた女性は約七百万人です。それだけ多くの方が加入していらっしゃいました。一万三千円を払って加入していた、これは大変なことだと思うんですね。ですけれども、そのときに救われなかったのは、今のようなサラリーマンの妻はもちろんそうですが、例えば農業者年金の方とか全く未加入の方とかいろいろな人がいるわけです。だから、一部の人だけが年金権を得たということで女性を救ったというふうには言っていただきたくないわけですね。そこにはむしろ新しい不公平を生んだというふうに私は思います。
 先ほどからるる申し上げているように、経済社会構造の中で女性のパート化を促進してしまった。それから、やはりそれを見て単に結婚するだけに夢を描かなくなった若い女性がいるというのは、これは厚生白書から引用の内容ですけれども、厚生白書でさえそう認めている。これはほかの、例えば経企庁の国民生活に関しての報告でもそう言っていますし、いろいろなところでそう言っているわけです。ですから、そういった現実は率直にやはり認めていただきたいというふうに思います。
 もう一つの不公平は、先日同じことを申し上げましたけれども、今一兆六千万円が三号被保険者の年金として給付されているわけです。この一兆六千万円というのは、三千八百八十万人の二号被保険者で割りますと四万一千三百二十九円、これの半分を被保険者が、そして半分を事業所が負担していることになるわけです。ですから、独身の男性も、そして女性も、この二万円ちょっとのものを、何でよその一億円とっているかもしれない夫の妻にこれだけ出さなきゃならないのかと。ここにも不公平が、不条理があるわけですね。ここをいろいろきちっと論理的に詰めていけば何も難しいという問題ではない。税金とか社会保障というものはその国のあらゆる人に対して公平でなければいけない。それがやはり不公平になっているということ自体が私はおかしいと思います。
 けさ、年金官僚という言葉が今井先生の口から飛び出しましたけれども、やはり年金官僚にしかわからないような複雑な制度になっていること自体が私はおかしいんじゃないかと。私も、もしこの委員会に所属していなければこういった細かいところまではとてもとてもわからなかった。知れば知るほどそこの中に給付の不公正、それから負担の不公平の両方があるのだ、立場によって全く不公平だということがわかってきました。
 これは、年金全体に関して言えるのかもしれませんけれども、一つの女性という切り口からあえて切ってみた。それは、基本法が成立して、厚生省は二〇〇〇年度内に社会保障を本来なら見直さなければいけなかった。ですから、これからスタートするというのでは大変遅いんです。二〇〇四年などとおっしゃらないで、これはせめて今年度内、遅くとも来年度にできるところから着手していただきたいということをお願いして、次の問題に移りたいと思います。
 けさもるるお話が出たんですが、私も非常に未加入、未納入の方たちのことが気になります。実際にこの未加入、未納入の方に対してこれからどう対応なさるのか、もう一度伺いたい。
#111
○国務大臣(丹羽雄哉君) 未納、未加入の問題の解決でございますが、何よりも年金制度に対する国民の皆さん方の信頼を確保することが大変重要なことであると、このように考えております。そのためには、将来の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するという考え方に立って今回の改正を実現いたしまして、年金制度への国民の信頼を確保してまいりたいと考えております。
 先ほどからもう既に議論が出ておりますけれども、今回の改正案におきましては、保険料の半額を免除する制度であるとか、それから学生が社会人になってから保険料を追納できる仕組み、こういうことを導入しておりますし、また、懸案の国庫負担の二分の一、これも附則の部分に明記されておりますが、こういったものをいち早く実現することによって今申し上げたような未納、未加入の解消に私は十分に対応していけるようになっていくのではないかと、こう考えております。
#112
○堂本暁子君 二番目の質問は飛ばしまして三番目に参ります。
 先ほどの女性の問題でもそうですが、五年後、二〇〇四年とかそういう形でおっしゃられていますが、財政再計算を五年ごととおっしゃっている。それはどういう根拠によるんでしょうか。
#113
○国務大臣(丹羽雄哉君) 五年ごとの財政再計算につきましては、それぞれ国年法と厚生年金法によって定められておるわけでございますが、基礎年金の国庫負担の二分の一の引き上げの問題と保険料の凍結解除を行う時期、これは私はかねてから同時とすることを基本としたいと申しておるわけでございますが、こういうような問題をできるだけ速やかに実施する方向で検討しなければならないと思います。
 それから、先ほどから先生がおっしゃっております女性の年金など、今回の改正においては今後の検討課題とした問題につきましても、国民の皆さん方の納得がいただける方向で最善の努力を尽くしていきたい、このように考えております。
#114
○堂本暁子君 国民年金法とおっしゃったんですが、確かに八十七条に「財政の均衡を保つことができるものでなければならず、」ということで、「少なくとも五年ごとに、この基準に従つて再計算され、」とありますけれども、けさもさんざんお話が出ていたように随分と予測が狂ってくる。これは大変に時代がどんどん変わっているんだと思うんですね。
 それで、この法律はそれぞれ昭和三十四年あるいは昭和二十九年と半世紀前につくられている。そして、そのときに「五年ごとに」ということが決められた。しかも「少なくとも」と言っている以上、今のこの時代の急速な動き、そして特に経済的な状況、金融の状況、リストラの状況、労働環境、そういったものでいいますと、五年は長過ぎるのではないかというふうに思います。
 例えば、二年後、三年後に財政再計算を行うとか、そういった形でできるだけ近い将来、今回の改正はやらなければならないけれども、やはりつけ焼き刃というか、一番本質的な問題は先送りがされているというふうに思いますので、抜本的な改正に向けて、二年後、三年後という形でぜひとも財政の再計算をやっていただきたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
#115
○国務大臣(丹羽雄哉君) 一つの御意見として承っておきます。
#116
○堂本暁子君 お聞きくださったわけですけれども、実際に技術的にはそういうことは不可能なんでしょうか、二年とか三年で再計算をやることは。
#117
○国務大臣(丹羽雄哉君) これはあくまでも私の個人的な見解でありますが、別段これは途中何かし直すということが不可能なこととは思っておりません。
#118
○堂本暁子君 不可能ではないと。
#119
○国務大臣(丹羽雄哉君) 不可能ではないと思っております。
#120
○堂本暁子君 私が大事な問題が先送りされてしまったと思いますのは、財政的な理由で今回の改正というのはやらないわけにいかなかった、やらなければならないお立場なんだろうと思いますけれども、今の女性の問題に限らず、いろんなことが先送りされているというふうに思うんですね。ですから、そこのところはもう一回抜本的な改正が必要なのではないか。
 例えば、今までの制度というのが余りにも複雑になっているということを先ほどから申し上げておりますけれども、果たして本当に公平な形になっているのか。そして、その財源を例えば税方式にする場合でも、世代間に公平な税負担のあり方について、果たして本当にそういったことで公平性が確保できるとお考えですか。
#121
○国務大臣(丹羽雄哉君) これにつきましては、今回の改正案におきまして「基礎年金については、給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源」云々という中の、要するに幅広く検討すると、こういう中でこの附則が設けられておるわけでございます。
 年金制度の財源を税とした場合に、保険料負担の増加であるとか、あるいは確かに未納、未加入の問題は解消されますが、我が国の社会保障制度は、これは年金のみならず、医療にしても介護にしても、保険料のみを財源とした保険方式ではなく保険料と国庫負担から成り立っておるわけでございます。そのために高い水準を維持できているものでございます。
 また、現に年金制度の財源を税方式にするには大変巨額の財源が必要になってきます。よく言われておりますのが消費税でございますけれども、例えば基礎年金の給付に必要な費用は平成十一年度で十三・七兆円でございます。これを現在の国庫負担分も含めて全額消費税で賄った場合には、消費税の七・六%の引き上げが必要になります。将来、高齢化に伴います給付増に合わせてさらに税率の引き上げが必要になる、これを国民の皆さん方にどこまで御理解をいただけるかという問題がございます。
 それから第二点として考えられますことは、税方式になりますと社会保険方式と異なって所得や資産に応じた所得制限というものが避けがたいものになるのではないか、こういったような問題がございます。
 いずれにいたしましても、国民の皆さん方の理解が得られるか十分に検討する必要がある、このように考えています。
#122
○堂本暁子君 時間になったので終わりますけれども、今、最後に国民の理解がどこまで得られるかというふうに大臣はおっしゃいました。大勢傍聴の方もいらっしゃいますけれども、果たして私どもの議論が一つ一つわかっていただけるのかどうか。大変に難しくて、どこまで理解しているのか自分でもわからないところがあるし、一般の国民に余りにもわかりにくい。
 わかりにくいけれども、やはりもっと私は情報公開すべきだと思うんですね。国民的議論を広く巻き起こさない限り、年金に対して不信感を持たれてしまうと、納入しないというようなきょうの新聞の見出しのような書き方をされてしまう。ですから、わかりにくくてもここは役所にもっともっと情報公開を徹底していただきたい。わかりやすく国民にいろんな形で知らせる。あなたはこういう年金が受けられるし、今こうすれば何年後にはどういうふうに年金をもらえるんですよということを丁寧に周知徹底していただきたいということをお願いして、終わります。ありがとうございました。
 もし感想がおありになったら、お願いいたします。
#123
○委員長(狩野安君) 時間ですので手短に。
#124
○国務大臣(丹羽雄哉君) いずれにいたしましても、年金制度に対する国民の皆さん方の信頼を確保していくためには、年金についての情報をわかりやすい形で積極的に提供をして、そして国民の皆さん方の間で十分な議論を行っていただくことが重要であると考えています。
 今後とも、年金に関する情報公開を行いまして、国民的議論を十分に尽くし、そして合意を得ながら制度運営のかじ取りに取り組んでいきたい、こう考えております。
#125
○堂本暁子君 ありがとうございます。終わります。
#126
○西川きよし君 諸先生方がいろんな角度から御質問をされましたが、私は、本日は不服申し立ての制度についてお伺いをいたしたいと思います。
 まず、国民年金法第百一条、厚生年金保険法第九十条に規定されております不服申し立て、また社会保険審査会における再審査請求について、現行ではどのようにとり行われておられますか、御答弁をいただきたいと思います。
#127
○政府参考人(近藤純五郎君) お尋ねの国民年金とそれから厚生年金におきます保険給付等に関します処分でございますが、これに対して不服がある場合には、まず都道府県に設置されております社会保険審査官に対しまして審査請求を行っていただきまして、この社会保険審査官の決定に対して不服がある場合には、厚生省に設置されております社会保険審査会に対しまして再審査請求ができる、こういうふうになってございます。
#128
○西川きよし君 先日も委員会で御質問をさせていただいたんですけれども、障害年金、特に内部障害、精神障害者の場合は、障害程度の問題でありますとか、またどの時期を初診と判断するか、そして年金が受けられるのか受けられないのかということを御質問いたしました。この不服申し立て制度に対する信頼ですけれども、あるいは申請者に対して申し立てを行いやすい配慮というものが私は大変必要であると思います。
 そこで、まず、都道府県に置かれております社会保険審査官に対する不服申し立てですけれども、この場合、申し立て件数はどの程度あるのか、そのうち年金についてはどれぐらいなのか、御答弁いただきたいと思います。
#129
○政府参考人(近藤純五郎君) 十年度の数値でございますけれども、十年度におきまして都道府県の社会保険審査官に対します不服申し立ての総件数でございますが、総件数は一千百三件でございます。この大部分が年金の関係でございまして、八百十一件でございます。
#130
○西川きよし君 この年金のケースについてですけれども、容認率はどれぐらいでしょうか。
#131
○政府参考人(近藤純五郎君) 容認件数が十年度で百二十八件ございまして、率にいたしまして、年金関係でございますが、一五・八%でございます。
#132
○西川きよし君 次に、社会保険審査会におきます再審査請求についてですけれども、この場合の社会保険審査委員というのは内閣の任命で国会の承認も受けることというふうになっておるわけですけれども、この審査会の取り組み内容と、その中で年金に関する審査件数はどれぐらいでしょう。
#133
○政府参考人(近藤純五郎君) 社会保険審査会におきます審査手順について若干申し上げますと、再審査請求の受け付けをしました後、担当の委員を決めまして、この担当の委員が調査審理を進めるわけでございます。その後に社会保険審査会のほかの委員も加えまして、請求人、保険者、それから参与、こういう者が参加する形で公開の審理を行って審理をいたすわけでございまして、その後にその審査会で合議で決めるという形で、その中で棄却とかあるいは容認の裁決をする、こういうことでございます。
 十年度におきます審査件数でございますけれども、年金関係は百十五件ということになってございます。
#134
○西川きよし君 この再審査請求の場合の容認率はいかがでしょう。
#135
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど申し上げました中で年金関係は三十三件容認されておりまして、容認率といたしまして二八・七%でございます。
#136
○西川きよし君 御丁寧にありがとうございます。
 ただいまの数字をお伺いいたしまして、正直なところ、その高さに実はびっくりいたしました。この数字をお伺いいたしまして本当にびっくりいたしました。そもそもそうなりますと、原処分のあり方というんでしょうか、少なくてびっくりして、私も多分そういうことになるであろうというような勉強の仕方で質問をしたわけですけれども、多ければ多くなると、またどうしてなのだろうかと、こういうふうに思うわけです。この原処分のそもそものあり方というものに疑問を感じるわけですけれども、御答弁をお願いいたします。
#137
○政府参考人(近藤純五郎君) 都道府県における社会保険審査官の審査にいたしましても、それから社会保険審査会の審査にいたしましても、これはまさに原処分したものと離れた立場で中立公正に行う、こういうことと、それから請求人の申し立てというものを十分配慮した上で法令を適用する、こういうことでございますのでこういう結果になっているのであろう、こういうふうに推察をいたしております。
#138
○西川きよし君 ありがとうございます。
 そこで、これだけの容認率があるわけですけれども、この請求数はごくわずかということで、なおさら不服申し立ての制度を僕は身近なものにしていかなければならないというふうに強く強く思うわけです。実際にこの不服申し立て、ましてや再審査請求まで行う、ここまで行くということは、これは並大抵の努力ではないと思います。例えば、法律のプロに向かって本当に素人が議論を闘わさなければいけないわけですし、家族や御本人の申し立て、その前に、申し立てをした時点でも説得をされたり、あきらめなければいけない、またあきらめたというようなお話もよくお伺いするわけです。
 そうした中で、昨年の四月、山梨県の八十五歳の女性の方に対して約一千万円近くの年金が支給されている、これが大きく報道されたわけですけれども、この事例はどういった経緯があったのかをお伺いしたいと思います。
#139
○政府参考人(小島比登志君) お尋ねのケースでございますが、まず、この方は、最後に勤務されました会社を退職しました昭和五十年、被保険者期間が約五年ちょっとあったということで、脱退手当金の請求を行われまして、昭和五十年に支給決定が行われたということでございます。
 お尋ねの方につきましては、その前に過去二回ほど転職して厚生年金に入っておられました。しかしながら、転職の際に新しい勤務先へ年金手帳、当時は被保険者証でございましたが、それを提出する必要があったわけでございますが、それは提出されずに、転職の都度、年金手帳の交付を受けておられたために、それぞれの会社に勤務した期間が同一人の記録として管理されていなかったところであります。しかしながら、最後に勤務した会社は五年ちょっとおられたので脱退手当金をもらわれたと、こういうケースでございます。
 脱退手当金支給の翌年、昭和五十一年でございますが、それから四年後の昭和五十四年、この二度にわたりまして過去の被保険者期間が申し立てられ、手帳番号の重複取り消し処理が行われております。
 しかしながら、その後、脱退手当金支給の二十二年後の平成九年、この方から通算老齢年金の請求が行われたわけでございます。随分期間がたっているわけでございますが、社会保険庁といたしましては、昭和五十年十一月に脱退手当金を既に支給いたしまして、その期間につきましては被保険者期間に算定することができないということで、平成九年、通算老齢年金を支給しない処分を行ったところでございます。
 しかしながら、この方はその不支給処分につきまして審査請求を行われまして、その結果、この方が転職の際に新しい勤務先に年金手帳の提出を行い、正しく手続されていたならば、当時、脱退手当金は支給されなかっただろうと判断いたしまして、その脱退手当金の支給決定処分を取り消しまして、通算老齢年金を支給する決定を行ったわけであります。
 しかしながら、その支給額につきましては、通算老齢年金が請求された平成九年において時効消滅していない五年分、約三百六十万円でございますが、それについて支払いを行ったわけでございます。
 この方は、さらに平成四年五月以前分の支給も求めて社会保険審査会へ再審査請求を行われたということでございます。
 社会保険審査会は、この女性が通算老齢年金を昭和五十四年に請求したという申し立てを認めるとともに、社会保険庁が脱退手当金の取り消し処分を行うまでの間は通算老齢年金の請求を行っても受理されない状態にあったということで、時効は進行していないという裁決を行いまして、この裁決によりまして、未支給分であります平成四年五月以前の分、約八百万円の支払いを重ねて行ったというのが経緯でございます。
#140
○西川きよし君 ありがとうございます。長い御答弁を本当に御丁寧にいただきまして感謝をいたしております。
 今お伺いしますと、お話の内容ではほっといたしますし、でもこの方のここまでの努力たるや、それこそ、学校のときの社会の年表のような御説明を今いただいたわけですけれども、それは並大抵のことではなかったと思います。そして、この審査会の決定で、一たん五年間より前は時効とされながら、再審査によりまして女性側の主張をお認めになったわけですけれども、こういう個人個人の大変難しい問題がたくさんありますから本当に年金等々は難しいんですけれども、これなんかはいわばプロの方々が五人ぐらいいらっしゃるわけです。それだけのプロフェッショナルな方がいらっしゃるにもかかわらず最初からの御判断ができなかったということに、僕らは素人考えですけれども疑問を感じますけれども、その辺にはどんな背景があったのかというのをぜひきょうお伺いしてみたいなと思います。お願いいたします。
#141
○政府参考人(小島比登志君) 実はこのケースは通算老齢年金をいわゆる十八年前にさかのぼった昭和五十四年に請求されたかどうかという認定をどうするかということが争点になっていたわけですが、社会保険庁といたしましては、何分かなり前のことでありますし事実関係の確認ができないということで、私どもとしては時効消滅していない五年分ということの支払いを行ったわけでございます。
 審査会の方は、この方が通算老齢年金を昭和五十四年に請求したというところの申し立てを認めた、なおかつ時効中断も認めたということでございまして、その審査会の結果につきましては保険者は拘束をされるということで支払いを行ったということでございます。
 なお、五十四年当時は、社会保険事務所はまだ紙の台帳で被保険者の管理を行っておりました。ですから、申し立ての方の言い分を聞いて、それぞれの社会保険事務所の紙をめくって合算をしていたという時代でございました。しかしながら、昭和六十一年にオンラインシステムを導入いたしまして、現在では氏名、生年月日、性別、住所、この四項目で検索が可能でございます。ですから、こちらからも何年には厚生年金に加入されていますよというふうな照合ができるようなシステムになっていますが、当時はまだそういう状況ではなかったという事情も一つございます。
 ちなみに、昭和六十一年四月には制度改正がございまして、経過措置はありますが、脱退手当金は廃止をされているという状況でございます。
#142
○西川きよし君 ありがとうございます。この場合は、請求人は八十五歳の御高齢の方ということで、御家族や社会保険労務士のバックアップがもちろんあったわけですけれども、あきらめることなく権利を主張された、本当に御立派だと思います。まさしくお元気なお年寄り、これからの少子高齢化の中で本当に頑張っていただきたい代表するべきお一人だと思うわけです。
 その意味で、請求人、特に高齢者や障害者の権利擁護を十分なものにするという点では、この審査請求、再審査請求と請求者本人、そしてまた家族との距離を縮めていくというような対応も本当にこれから大切ではないかな、必要だと思います。
 そこで、具体的に何点かの問題について御質問したいんですけれども、原処分が最初に行われるわけですけれども、この原処分が行われたときの処分内容の理由がわからないという声もたくさんございます。例えば、障害程度が軽いと、不支給の決定が行われた場合に、「国民年金法施行令別表に該当しないため」と書かれてくるわけですけれども、今申し上げましたように、これでは具体的にどのような理由で、ましてや素人さんの場合には不支給になったのかわからないわけで、その不服申し立てをするにも反論すらしようがないということでございます。こういった声、現状ではどういうふうに御答弁なさるか、お伺いしたいと思います。
#143
○政府参考人(小島比登志君) 年金請求の不支給処分に当たりましては、社会保険事務所長から「国民年金・厚生年金保険 年金の不支給について」という文書を相手の方にお出ししております。そこには、不支給とする事由、例えば障害年金でありますと、保険料納付要件を満たしていない、あるいは障害の状態が年金を支給する程度に該当しないということなどを、事由に応じまして処分理由を記載の上、請求者に通知しているわけでございます。
 例えば、障害基礎年金について、障害の状態が不該当のため不支給処分する場合には、今おっしゃいましたように、「あなたの場合、傷病について障害認定日の状態が、国民年金法施行令別表(障害年金一、二級の障害の程度表)に定める程度に該当していません。」というふうに記載いたしましてお渡しをしているというのが実態でございます。
#144
○西川きよし君 ありがとうございます。
 自分も今御答弁いただきましたものをこちらの方にも持ってまいりました。この「理由」という欄があるわけですけれども、ぜひこういうことをわかりやすくはっきりと理由を書いていただきたいということなんですけれども、厚生大臣、御答弁をいただけないでしょうか。
#145
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今後、委員が御指摘のように、わかりやすくする努力が何よりも必要だと思います。そういう方向で努力をしていきたいと思います。
#146
○西川きよし君 ありがとうございます。ぜひよろしくお願い申し上げます。
 時間が迫ってまいりましたので、ちょっとテンポアップをさせていただきたいと思います。
 次に、社会保険審査官、社会保険審査会審査委員のあり方についてですけれども、まずこの社会保険審査会の審査委員について、二年ほど前からですけれども、民間出身者が起用されておりますが、この経緯を。
#147
○政府参考人(近藤純五郎君) 先ほど御説明申し上げましたように、社会保険審査会と申しますのは再審査などを行う審査機関でございますので、公正中立である必要があるわけでございますけれども、全員がOBでは不公平ではないか、こういう疑問が各方面で呈されたわけでございます。審査会の先生方はそれなりに一生懸命やっていただいたと思うわけでございますけれども、順次厚生省以外の民間出身者なども任命していく、こういう方針に切りかえまして、現在では六名の委員のうち三名が厚生省関係以外ということで、二名が民間の方でございまして、一名が元判事の方でございます。
#148
○西川きよし君 なるべく民間の方も順次ふやしていただくと我々も安心をいたしますし、この審査官、審査委員については、むしろ都道府県の審査官に対する問題指摘の方が多いというか、強くございます。
 これは朝日新聞ですけれども、
  もらえるはずの年金がもらえない。保険料が高すぎる。そんな年金や医療保険についての不満を訴えて審査してもらうのが、社会保険審査制度である。
  社会保険についての行政、健保組合などの裁定の誤りを正し、国民の権利擁護と被害救済を進める不服審査制度だ。
  制度は二審制。行政側などの決定がおかしいと考えた場合、まず都道府県庁の社会保険審査官に不服審査を請求する。その結論に納得がいかなければ、中央の社会保険審査会に再審査請求をする。
  ところが、地方の審査官はいずれも社会保険担当職員の中から選ばれ、医療保険や年金の担当課長の隣に席がある。よほどでないと、身内が行った決定を否定する判定は出しにくい。都道府県の審査結果は、行政側に有利な判定が圧倒的に多い、と関係者が認めている。
という記事がございます。
 実際にある都道府県の実情もお聞きしたわけですけれども、我々事務所の人間がまたいろいろと電話したりお便りをいただいたりという中で、この審査官について厚生大臣が命ずるというふうになっておりますけれども、この審査官の任命について、大臣にお願いいたします。
#149
○国務大臣(丹羽雄哉君) 社会保険審査会の委員につきましては、国会の両議院の同意を得まして内閣総理大臣が任命することとされておりますが、現在、委員のうち半数が省庁出身者以外の者で任命されております。
 社会保険審査官でございますが、保険者である行政庁が行った処分に関しまして行政庁みずからがその内容を審査するために専門に置かれております官職でございます。法律上、社会保険担当職員から厚生大臣が任命することになっています。
 しかしながら、社会保険審査官が審査を行うに当たりましては、当然、委員からも御指摘のように、中立的に審査を行うこととされておりますし、任命に当たりましても中立的かつ適正な判断を行うよう指導してまいりたいと思います。
 なお、社会保険審査官の審査に不服がある場合には社会保険審査会に再審査請求を行い、審査会の裁決に不服がある場合には裁判所に提起することになっているというようなわけでございます。
#150
○西川きよし君 ありがとうございます。
 最後に一つお願いがございまして、本当にきょう御質問させていただいた内容は切実な皆さん方の声ですけれども、この審査会の場合は東京にございまして、つまり自分自身の意見を述べるために全国から東京に出てこなければいけません。もちろん交通費もそしてまた日当も出るわけではありませんし、日当というのは厚かましい話でしょうけれども、特に障害を持つ方、お年寄りの方々が東京まで出てくるというのは、我々以前にも芸術祭に参加するのに、全国の方々が、目指す人が必ず東京まで出てこなければいけないという実情がありまして、お願いをいたしまして、関西でも参加ができるというふうに変えていただいた事例もございます。
 とにかく、厚生大臣にお願いをいたしまして、これだけ情報化社会、遠隔地にいらっしゃる、テレビ会議等々もいろんな形でございますし、できることならそういう方々のためにこれからこの不服申し立て制度に対して大臣に少しお考えをいただいて、よき答弁がいただければと思います。
 最後の質問にさせていただきたいと思います。
#151
○国務大臣(丹羽雄哉君) 社会保険審査会制度は、被保険者の方々の権利の救済を目的とした制度でございます。できる限り身近な、かつ利用しやすい運用を行っていく必要があるとまず考えておるような次第でございます。
 しかしながら、一方で、社会保険審査会は、毎年二百件から三百件近くの再審査請求事件を受け付けております。これを六人の委員が調査、審査しているところでございます。事実認定のための調査であるとか資料の閲読、さらに裁決書の作成などに要する時間を考えますと、個別の事件ごとに地方に出向いて公開審理を行うことは現実的にはなかなか困難ではないか、こう考えられます。請求人の方が審理にお越しになれない場合には、書面によって意見を提出することも認めておりますので、そうした方法もぜひとも活用していただきたい、こう考えております。
#152
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午後零時四十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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