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2000/03/21 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第12号
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2000/03/21 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第12号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第12号
平成十二年三月二十一日(火曜日)
   午後三時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十一日
    辞任         補欠選任   
     浅尾慶一郎君     松崎 俊久君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                久野 恒一君
                斉藤 滋宣君
                中島 啓雄君
                南野知惠子君
                森下 博之君
                浅尾慶一郎君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                入澤  肇君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       文部大臣     中曽根弘文君
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
       農林水産大臣   玉沢徳一郎君
       自治大臣     保利 耕輔君
   政務次官
       大蔵政務次官   林  芳正君
       厚生政務次官   大野由利子君
       農林水産政務次
       官        金田 勝年君
       自治政務次官   橘 康太郎君
       金融再生政務次
       官        村井  仁君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
       農林水産省経済
       局長       石原  葵君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇政府参考人の出席要求に関する件
〇国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四
 十五回国会内閣提出、第百四十六回国会衆議院
 送付)(継続案件)
〇年金資金運用基金法案(第百四十五回国会内閣
 提出、第百四十六回国会衆議院送付)(継続案
 件)
〇年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)
〇国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律
 案(第百四十五回国会内閣提出、第百四十六回
 国会衆議院送付)(継続案件)
〇私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律
 案(第百四十五回国会内閣提出、第百四十六回
 国会衆議院送付)(継続案件)
〇農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正す
 る法律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四
 十六回国会衆議院送付)(継続案件)
〇地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法
 律案(第百四十五回国会内閣提出、第百四十六
 回国会衆議院送付)(継続案件)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省年金局長矢野朝水君、社会保険庁運営部長小島比登志君及び農林水産省経済局長石原葵君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(狩野安君) 次に、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案及び年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案を一括して議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 年金についていろいろ議論することがあるのできょうはあれですが、大臣、きょう発売の「週刊朝日」で福島県の病院との疑惑が取りざたされておりますし、「噂の真相」という雑誌の今発売されているものにも何かちょっと書かれているようですが、国民の安心を預かる厚生大臣にもしそういうことがあるとすれば大変問題だと思いますので、きょうは年金の質疑に集中したいと思いますし、これはいずれまた調査をして、必要があれば質疑をさせていただきたいと思います。
 さて、繰り上げ支給の減額率の件を前回も議論させていただきましたが、資料要求に対してけさほど厚生省から資料をいただきました。賃上げ率二・五%、物価上昇率一・五%で賃金スライドの場合、それから賃金スライドを入れた場合と入れない場合、そして予定利回りを三・五から五・五にした場合の一覧表をいただきました。これは先日私が参考資料として、きょうも公聴会で公述人としておいでいただいた一橋大学の高山教授が試算された表とほぼ一致するものだと思います。
 そこで、大臣にお尋ねしたいと思うんですが、これまでは四二%はひど過ぎるから三五%程度というお話でしたが、大臣として、その後どういうふうに検討されて、今どの程度お考えになっているか、お尋ねをしたいと思います。
#6
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、きょうの一部の雑誌のことでございますが、これは私自身全くあずかり知らないところで書かれたものでございます。元秘書が、私設秘書でございますけれども、知人から依頼されまして、字のうまい元事務員に書かせてお渡ししたようでございます。このような事実を知ったのは最近のことでございますが、私自身はその調剤薬局も紹介相手の病院も全く面識がありません。知りません。しかし、いずれにいたしましても、私の知らないところで書かれたものでございますが、軽率な行動であり、十分に監督が行き届かなかったことにつきましては遺憾に思っておるような次第であります。
 ただ、私の方で代理人として弁護士を三十分以上インタビューに応じさせたわけでございますが、一行もこのことが載っておらないわけでございまして、余りにも一方的な意図的な内容になっておるわけでございますので、今後、弁護士と相談いたしまして私の名誉回復のためにあらゆる必要な措置をとりたい、このように考えているような次第であります。
 本題の老齢基礎年金の繰り上げ減額率につきましては、さきの臨時国会の衆議院厚生委員会におきまして、老齢厚生年金の一階部分の支給開始年齢の引き上げにあわせて、新規裁定者につきましては平成十三年、つまり二〇〇一年度から見直す方向で早急に検討を進めると答弁をいたしておるところでございます。
 その際に、昭和三十六年当時から用いた生命表以降の平均余命の伸びを考慮すれば、繰り上げ減額率は、現在四二%のところが、あらあら三五%前後となる旨お答えしたところでございますが、御主張及び本委員会におきます御議論の経過を重く受けとめ、また繰り上げ減額を選択した方とそうでない方との公平、あるいはスライド率、死亡率なども総合的に勘案した上でさらに引き下げる方向で検討してみたいと、このように考えているような次第であります。
#7
○今井澄君 先ほど、「週刊朝日」のことはきょうはやらないというつもりで、ただいずれと申し上げただけなんですが、秘書がというのは、これはもう国民には全く通らない話なんですね。私も私の知らないことを秘書がやっていることだってありますけれども、それは全部やっぱり国会議員の責任になるというのは常識ですし、そこのところはちょっとあれだと思いますが、この問題、私どももきちっと調査を十分しまして、他の問題等も含めてまたやります。
 さて、今十分お考えいただくということで前向きの御答弁をいただいて、これは国民にとっても年金受給者にとっても大変喜ばしいことだと思いますが、その際、私の方としても少し考え方を注文をおつけして、ぜひその線でお願いしたいと思います。
 きょう御提出いただいた@、Aについては、これはどういう根拠で計算されたかよくわからないのであれですけれども、どういう学者がやってもある程度客観的にもし表をつくるとすればB、Cの表だろうと思います。
 その場合に、賃金スライドを入れて考えるか入れないで考えるかというのは一つの分かれ目だと思いますが、少なくとも賃金スライドについては、今、既裁定者について過去五年間の分の賃金スライドが約束されているわけですし、そういうものを全く無視していいかどうかというのは非常に大きな問題だと思いますし、私どもとしてはやはりそこのところを十分考慮すべきだということ。
 それから、運用利回りですけれども、五・五というのはこれはいかにも非常識だということはわかるわけでありまして、例えば年金福祉事業団が財投から借り出しての運用などが赤字になるのもそういうところにあるわけですし、今後の経済成長率をどう見込むか、平均二%と見るのかそれ以上と見るのか。それから利率なんかも、今、金利はゼロなわけですが、そこがどこまで上がることを見るのか。世の中には物騒な調整インフレ論なんかがありますけれども、やっぱりこれは国民にとっても非常に好ましくない、日本経済にとっても好ましくないわけで、そうなってきますと、おのずと五・五なんということはあり得ないわけで、多くても四、三・五とか、場合によっては低成長時代は三ということだってあり得ると思うんですね。
 その辺を十分お考えいただいて、この表のCの中での三・五とか四・〇%のところでぜひお考えいただきたいということを申し上げたいと思うんですが、何かお考えがあれば。
#8
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御意見として承っておきます。
#9
○今井澄君 それではもう一つ。実はきょうの公聴会の中でも大変強い意見が出されたわけですが、しかし財源問題ということからなかなか改革に手がついていない、それが国民年金、基礎年金の国庫負担の二分の一問題です。三分の一から二分の一に上げるという問題。
 これにつきましては、もう既に前回改正時に、平成六年、当時はまだ参議院厚生委員会という名前でしたけれども、そのときにも附帯決議がつき、それにせんだって衆議院の厚生委員会でも附帯決議がついて、「基礎年金の国庫負担の割合については、所要財源の確保を図りつつ、二分の一を目途に引き上げることを検討すること。」となっており、厚生大臣はそれに対してその方向で頑張るということをこの委員会でも言われたわけであります。
 その後、政府としては所要の財源を確保しつつということに対してどういう努力をしてこられたのか。それが今度提出されている法案、昨年出されたわけですけれども、附則第二条に「基礎年金については、財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、」ということが新たに加わったわけですが、「平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、」とあるわけですね。
 この安定した財源あるいは所要財源の確保ということについて、政府としてはこれまでどのようなことを検討し、どのような努力をされたのか、具体的にお答えをいただきたいと思います。
#10
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私はかねがね、委員も御案内のように、できるだけ早く二分の一に引き上げるべきだという考え方を持っておるわけでございます。ただ、国庫負担割合引き上げの財源確保につきましては、国の厳しい財政状況を踏まえながら検討する必要があると考えております。
 国庫負担割合の二分の一への引き上げには、現在でも二・二兆円、将来は高齢化の進行に伴いましてさらに巨額の財源が継続的に必要だと、こういうことでございます。その財源の捻出方法でございますけれども、新たに国民の皆さん方に負担を求めるという考え方もあれば、財源の再配分の中で見出すべきだという意見の方もある。いずれにいたしましても、さらに積立金のあり方などを含めて御議論をいただきまして、安定したものであるというような段階でできるだけ早く二分の一の実現を目指していきたい、このように考えているような次第であります。
#11
○今井澄君 ですから、私は具体的にと申し上げたんですけれども、新たに財源を確保すると。二・二兆円となれば、増税をするか他の歳出を削って回してくるかしかないわけですね。
 例えば、昨年、介護保険の見直しということで七千八百五十億円ですか、補正でも盛った。簡単に一兆円ぐらいの金を動かしているわけです。あるいは、昨年もことしも当初の補正予算の中で五千億という公共事業の予備費というのを、使途を定めずに盛っているわけですね。ですから、そういうことから考えれば、一兆円規模のお金を動かすことはできないはずはないんです。
 ただ、これは単年度ではありませんから、単年度ではないところが問題なんですけれども、ずっと要るということなんですが、しかしそこのところに手をつけることによって、例えば厚生年金の保険料率、サラリーマンの保険料率は一%下がるわけです。第一号被保険者の一万三千三百円は三百円下がるわけですね。そうすると、それだけでも大きな負担の軽減ですし、その上に再構築をするということは非常にやりやすいわけです。だから、そういう第一歩としてはこれは国民に安心してもらう意味で非常に大事なんですよ。
 そうしますと、単年度、単年度、ここのところでそうやって一兆円近くのお金を動かしてきているわけですから、もう少し努力すれば二兆二千億というお金は私は全然出てこない問題じゃないと思うんです。知恵の絞り方だと思うんですよ。
 それから、もう一つあると思うんです。後で浅尾委員の方から基金の問題を質疑いたしますが、百四十兆円あるいは百七十兆とも言われる基金の取り崩しです。その基金をとりあえず取り崩しながら抜本改革に向けて一歩前進するということは、これは国民を安心させる上では、安心してもらう意味、安心するというのは年金に対する信頼を回復するわけですからこれは非常に大きいわけですよ。その基金の問題も、これはとりあえず借りるのか、借りて当面のところの財源にする、する中で数年のうちに新しい財源を確保することもできるかもしれない。
 もう一つの問題は、私は基金を取り崩して、それをそのまま充てることも可能だと思うんですね。というのは、厚生省の財政再計算、二〇五〇年まで考えているわけでしょう。だけれども、二〇五〇年までなんか計画を立てられますか。ここのところも、五年前に計算したのが間違った、出生率が変わった、高齢化率が変わった、だから五年前の計算が合わないからというのでまたここで大々的に変えるわけですよ。そのぐらい予測が狂ってきているわけです。
 これだけ予測が狂っている中で、五十年後のことを考えて基金を大事に持っていて、持っているだけじゃないです、さらにふやそうとすることが果たして適当なのかということを考えたら、むしろ今の経済を考えても、国民の年金に対する信頼を回復することを考えても、この貴重な国民の財産である基金を取り崩して基礎年金の国庫負担分を二分の一に上げるということは、これは政策的にも極めて妥当であると私は考えるわけです。
 その辺はどうですか、大臣、基金を取り崩してでもとりあえずやることが大事だと思いませんか。
#12
○国務大臣(丹羽雄哉君) それも一つの御意見として出ておりますことを十分に承知いたしております。
 ただ、私どもは、若年世代の負担を軽減する、そういうことで少子高齢化社会に備えてできるだけ若い方々の負担を軽減するという立場からこの基金を積み立てている、こういう立場でございます。
#13
○今井澄君 そこで、基礎年金の問題で税方式のメリット、デメリット、実はこの議論をきちっとしていないんですね、この委員会でまだ。どうしても無年金者の問題だとか女性の問題であるとかいうことなんですが、幸いと申しますか、きょうの公聴会の中で、ある公述人から保険方式のメリットということでもって税方式にするデメリット、また別の公述人からも税というのはという話が出たわけであります。
 私はそのときにも申し上げたわけですけれども、税でやるということは生活保護と同じだ、これまでの救貧的な福祉施策と同じであるということで、例えば社会扶助方式と同じであるということが言われているけれども、私はそうではないと思うんです。というのは、例えば日本の社会保険方式は非常に特殊ですけれども、国民健康保険にしても今度の介護保険にしても半分税が入っているわけです。また、逆に言えば、保険方式といっても、これは税ほど罰則ははっきりしていないけれども、強制的に拠出していただくという意味では社会保障税のようなものなわけですね。
 そう考えますと、確かに五十年前、貧しい人が大変多かった、食べていけない人が多かった、あるいは病気になっても医者にかかれない人が多かった、そういう時代にとりあえず税を出してそういう人たちを何とか救ったという時代と今とは、もう税の出し方が違うわけです。
 よくミーンズテストということが言われます。ところが、世界の年金を見ても、基礎年金を税方式でやっているところが幾つもあるわけですが、資産、所得の調査までしっかりやって年金を出すか出さないか、ちょうど生活保護のようにやっているのはオーストラリアだけなんです。むしろほとんどのところはミーンズテストをやっていません。そういう意味からいうと、税方式にするデメリットはそういう旧来の救貧的なやり方に戻る、あるいはミーンズテストが必要だという理由は今成り立たないと思うんですが、大臣、いかがですか。
#14
○国務大臣(丹羽雄哉君) 全額税方式についての御質問でございますが、年金制度の財源を税方式にした場合に一つ考えられますことは、保険料負担の増加が抑えられるとともに、未納・未加入者は申すまでもなく解消されるわけでございますけれども、とにかく巨額な財源が必要になるわけでございます。すなわち、基礎年金の給付に必要な費用は平成十一年で十三兆七千億円でございます。これを現在の国庫負担分も含めて全額消費税で賄った場合には、消費税率は何と七・六%の引き上げが必要になるわけであります。これに対して国民の皆さん方が納得していただけるか、こういう問題がございます。
 それから、二番目の問題といたしましては、被用者については保険料の半分を事業主が負担しておるわけでございます。消費税を財源とする税方式にした場合には、当然のことながらいわゆる事業主負担がなくなるわけでございまして、この分、結果的に家計負担が増大することになる、こういうことが問題でございまして、この辺のことにつきましてどうやって解決していくかということが大変大きな問題ではないか、このように考えております。
#15
○今井澄君 その点はやっぱり目的消費税という形にすれば、消費税は年金のために払っているんだという意味では、負担と給付の関係は保険方式と同じぐらい明らかになり得ると思うんです。しかも、負担のことは多額の財源が必要ですけれども、大蔵省からいただいた資料によりますと、所得を十分位に分けて一番下の所得の階層の人をとってみれば、一カ月の家計の中の消費税の負担は七千百五十三円だというんです、これは平成九年の数字ですけれども。消費税五%になった年の家計の負担なんです。
 そうしますと、今一万三千三百円でしょう。家庭に二人いたら二万六千六百円ですよ。五%で七千百五十三円だとすれば、例えば七%になっても一万円いかないわけです。そういうことをきちっと説明すれば、国民に納得してもらえると私は思うんです。だから、やっぱり巨額だからということだけで逃げられては困ると思います。
 それで、最後に一つ。実は、厚生省の方は、基礎年金の第一号被保険者の未加入者、未納者、免除者の問題はほかの保険者の保険料に影響がないと繰り返し言っているんですけれども、私、どうも最近不思議な気がするんです。要するに、保険料を納めない人、未加入の人あるいは低所得ゆえに免除される人が出れば、それだけ支える全体の数が減っているわけです。全体の五%とはいうものの、七、八百万人の人がそういうふうになっているわけです。そうしますと、保険料負担は変わってくるはずだと思うんです、サラリーマンも。その辺について、現在のこういう未加入の状況で、もしこの人たちが全員入って全員満額払っていたら保険料はどうなるのか、そういう資料を出していただきたいと思います。また後ほど資料要求を文書で出しますので、よろしくお願いします。
 それでは、浅尾委員にかわります。
#16
○浅尾慶一郎君 同僚の今井委員に引き続きまして、私は主に積立金の問題について質問をさせていただきます。
 まず最初に、巨額な積立金があると言われておりますけれども、これは何のために必要なのかといったようなことについて大臣の御答弁をいただきたいと思います。
 過去は、例えば昭和四十八年、福祉元年と言われたときには、これは積立方式から賦課方式へ移行していくんだということで、ピーク時には一年分程度しかもたないんですよというふうに言っておられたのが、これが今ピークでも三、四年分は持つというようなことになっておりますが、何のためにそういうことをしておるのかということと、そしてまたその部分の説明はどのようにされておるのか、その点を簡単に御答弁いただきたいと思います。
#17
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどもちょっと御答弁を申し上げたわけでございますが、厚生年金で高齢化のピークを越えても将来にわたってある程度の積立金を持ち続けておりますのは、積立金の利子収入によりまして給付の一部を賄っておるわけでございます。その結果、保険料の負担を軽減し続ける、こういう趣旨からでございます。
 仮に、積立金を持たなければ、積立金による利子収入というものが減ることになるわけでございますので、将来、その分、保険料を上げざるを得ない、こういうことになりますので、私どもは高齢化のピークを越えても四年分程度の積立金を持っていることが必要であると考えておるような次第でございます。
#18
○浅尾慶一郎君 積立金の利子収入でもって将来負担を減らせられるという御答弁でございますけれども、利子収入を得るためにはいろいろな意味でのリスクがあるわけでございまして、リスクとリターンの関係というものがそこに当然あるのではないかなというふうに思います。
 今ありますこの百七十兆円を超える積立金は、申すまでもありませんけれども、五百兆円と言われております日本のGDPの、四割まではいきませんけれども非常に大きな割合であるということでありまして、これだけ巨額な積立金を、今はまだ年金福祉事業団が一部運用しているという状況でございますが、今後これを全額運用していくことになった場合に、リスクとリターンの関係を踏まえて、将来必ず積立金が果たして本当に必要なのか、それがなかった場合に必要とされる額を減らす役割を果たすのか、必ずその積立金が果実を生むのかどうか、その点はお約束ができるのでしょうか。
#19
○国務大臣(丹羽雄哉君) 積立金の推移でございますが、名目額といたしましてはある程度の増加が見られているところでございますけれども、受給者が大変な勢いでふえておるわけでございます。そういうことで、支出に対する割合で見ますと、現在は五・五年分でございますが、今がピークでございまして、将来は、先ほど四年弱というふうに申し上げましたけれども、三・八年ぐらいに次第に低下してくる、こういう見通しになっておるわけでございます。そういう観点から、先ほどから申し上げておりますように、いわゆる不足分を補っていくためにも積立金というものが必要だ、こういう認識に立つものでございます。
 いわゆる安全かどうかということでございますけれども、確かにこれは市場に任せるものでございますけれども、私どもはいわゆる債券を中心にしまして安全で確実なものを努力していきたい、このように考えているような次第でございます。
#20
○浅尾慶一郎君 経済状況が安定的である場合に例えば国債を買っておけば、それはほぼ国の成長率と同じぐらいの利回りで長期的には回るということになるんではないかと思います。例えば五十年ぐらいの長いスパンで考えた場合、積立金が二〇五〇年ということは今から見れば五十年の長いスパンで見ないといけないということになると思いますが、そのときに、その五十年間の間に急激なインフレが途中で起きるといったようなことは厚生省として想定はされておりますか。
#21
○国務大臣(丹羽雄哉君) インフレが起きるとか起きないとかということは、今私がここで軽々に申し上げる段階にはないわけでございますが、あくまでもこれは委員御案内のようにタームが非常に長くなっておるわけでございますので、いわゆる変動はあるわけでございます。
 それが証拠に、年福事業団の資金運用でございますが、昭和六十一年度から始まりまして、バブル崩壊後の大変厳しい金融経済状況の中ではほかの機関投資家と遜色のない運用成績を上げていたわけでございますが、財投への利払いが平成十年度の平均で四・四%ぐらい借り入れがあった、こういうことがございまして、大変全般的に苦しい状況が続きました。
 この結果、平成十年度末では時価ベースで一兆二千億円の累積赤字が生じていたことでございますが、今年度に入りましてから国内株式の収益が好転をいたしまして、赤字も解消に向かっておりますし、平成十一年度十二月末現在では七千五百億円の黒字となっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、貴重な年金でございますので安全に、そして確実に年金の支払い給付に役立つように私どもは最大限努力していきたい、このように考えております。
#22
○浅尾慶一郎君 年金の支払いの給付に役立つようにというのはもちろんそのとおりだと思いますが、私が申し上げたいのは、予想できないようなインフレに五十年という長いタームでは襲われる可能性があるのではないか。例えば、過去五十年さかのぼって見てみますと、五十年じゃないかもしれませんが、終戦時あるいは終戦後の日本の社会というのは大変なインフレに襲われたわけでありまして、同じようなインフレに仮に五十年以内の間に襲われた場合には、この百七十兆円を超える積立金も当然目減りをしてしまう。ですから、持っていてもその場合においては意味がないということを実は申し上げたかったというのが一点です。この部分を議論してもお答えいただけないかもしれませんが。
 そして、第二点でぜひ申し上げたかったのは、ここの部分はお答えいただきたいのですが、先ほど申し上げましたように、今、日本のGDPが五百兆円を割るぐらいの規模であります。五百兆円を割る規模のときに百七十兆円を超える積立金をこれから自主運用ということになった場合に、果たして本当に安全で有利な運用というのができるのかどうか。安全で有利だというのは、ある程度規模が小さくないと安全で有利なということはできなくて、余りにも規模が大きくなってしまいますと池の中の鯨になってしまうんじゃないかということを申し上げさせていただきたかったわけでありますが、その点いかがでございましょうか。
#23
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の年金の積立金の運用は、御案内のように資金運用部への預託から年金資金運用基金による自主運用に改正することになるわけでございます。
 この自主運用に当たりましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、国内債券を中心としながら、国内株式を一割程度考えております。それから国外株式、これも一割程度かなということであります、などを組み入れることにしておりまして、このような分散の投資を行うことによりまして、長期的に見ればより安全で有利な運用が可能になる、こう考えているような次第でございます。
 先ほど委員からお話がございましたけれども、株式は確かに短期的には乱高下があるわけでございます。短期的な売買を繰り返すのではなくて長期、二十年、三十年といった長期に保有して運用を行いますので、これは日本経済が成長する限り高い収益が上がる、こういうことでございます。
#24
○浅尾慶一郎君 どうも答弁がかみ合っていないのかなと思います。
 私が申し上げているのは、安定的に段階的に世の中が伸びていく限りにおいては多分大臣がおっしゃるとおりなんですが、超インフレというのはショックですから、それは予見できないのではないかということでありまして、それに対しては、多分積立金があっても対応がその場合にはできないのではないかなというふうに思います。
 先ほど、池の中の鯨という話をさせていただきましたけれども、別の観点からこのお話をさせていただきます。
 予算委員会の審議の中で、堺屋経済企画庁長官が、日本の一つの構造的な問題は過剰な貯蓄にあるというふうに御答弁をされておりまして、大臣はその場に多分おられたのではないかなと思いますけれども、この積立金そのものが実は過剰な貯蓄に当たるのではないかというふうに私は思うわけであります。諸外国の例をとりましても、日本以外は、きょうの午前中の公聴会でもお話がありましたけれども、最高で四年も持っているところはないわけでありまして、そもそも賦課方式であるとするならば、そんなに長い間持つ必要がないということなのではないかなというふうに思います。
 何を申し上げたいかといいますと、その予算委員会の審議の中では、日本の方がこれだけ多くの貯蓄を個人で、家庭で持つのは将来に対する不安があるからであるということだったわけでありますけれども、公的年金であります厚生年金が積立方式ということであれば、これははるかに今必要な額に足りないということはもう大臣御存じのとおりでありまして、積立方式をあきらめるということになるとするならば、何のために持つのかというのがいま一つ明らかではない。公的年金そのものが将来に対して不安を持っているから四年間持ってしまっているのじゃないかなというふうに思わざるを得ないわけでありまして、それは逆に言えば合成の誤謬ということにつながるのじゃないかと思いますが、もし御答弁いただけるのでありましたらお答えいただきたい。
#25
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の予算委員会での堺屋長官との議論を拝聴しておりました。
 確かに、日本の貯蓄率は、アメリカが〇%と言われるのに対しまして日本は二〇%と言われておりまして、非常に高いということが消費が伸びない原因であることは十分に私も認識いたしております。
 要するに、年金の積み立てというのは将来世代の負担を軽減する、こういう問題でございまして、むしろいわゆる将来に対する不安を解消していかなければならない。つまり、積立金を切り崩すと若い方の将来負担が重くなってくるんだ、ここの兼ね合いでございまして、ちょっと別の次元で考えていただければ幸いだと思っています。
#26
○浅尾慶一郎君 多分、堺屋さんの答弁は、ここで言ってもしようがないんですけれども、家計が思っているのは、将来に対する不安を個人的にやる。国がやるというのは、国が将来に対する不安のために国が積立金を持つということで、私はそこは同じなのではないかなと思います。
 話を変えまして、今度自主運用ということになりますが、果たして本当にその自主運用がうまくいくのかなという観点から質問をさせていただきます。
 金融機関の場合は、いろいろな運用をする場合に、最近は特に金融派生商品、デリバティブといったようなものを買うときに、その内部の統制が厳しくなっておると思いますが、簡潔で結構でございますけれども、村井総括政務次官、お答えいただきたいと思います。
#27
○政務次官(村井仁君) 浅尾先生、大変お詳しい御経験をお持ちでいらっしゃいますけれども、金融機関におけるリスク管理のありようというのは決して一様ではございませんで、それぞれいろいろな方針を持ってやっているのは御案内のとおりでございます。
 そういう意味で、私どもとして現在やっておりますのは、いわば一種の内部管理あるいは自己責任の徹底ということでございまして、そのプロセスをチェックするというところに重点を置いてチェックをしておる、これが金融監督庁の立場でございます。
 申しわけございませんが、もう少し申し上げさせていただきますと、債務者の信用リスクや市場リスク等を勘案した貸し付けあるいは有価証券の運用等に対する方針というものをそれぞれがつくりまして、それをどういうふうに守っているのか、その守り方をチェックする、こういうところで私どもやっております。
#28
○浅尾慶一郎君 今度、自主運用を開始されるに当たって、方針を策定するということは申されておりますけれども、その方針の具体的な内容と、それから今、金融機関の場合はそれを守っているかどうかというチェックを監督庁がされるわけでございますけれども、今度は年金の自主運用の場合は国民がチェックをしないといけないんだと思いますので、ぜひ大臣にその方針の具体的な中身を公表していただくのと同時に、守られているかどうかのコンプライアンスのチェックの機会を国民に与えていただけるという旨の答弁をお願いしたいんです。
#29
○政務次官(大野由利子君) 先ほど大臣の方からの答弁がございましたけれども、この運用に関しましては、まずポートフォリオと呼ばれておりますが、大臣が運用の基本方針を定めまして、法律上、内外の経済動向だとか、また市場や民間活動に及ぶ……
#30
○浅尾慶一郎君 中身は結構ですから。守っていただけるかどうか。
#31
○政務次官(大野由利子君) 大臣の決めました基本方針のもとで、またさらに細かい短期の一年ないし五年ぐらいの管理運用方針の策定をすることとしております。そして、投資ガイドラインの提示を行いまして、そして国民によるチェックは情報公開、また審議会に報告をいたしまして公表する、そして皆さんのチェックを受ける、そういうシステムになっております。
#32
○浅尾慶一郎君 年金福祉事業団はことし解消されると言われておりますけれども、過去の運用で累損を出しております。私は、運用責任者は運用の結果に対して当然責任を負わなければいけないというふうに思っておりますが、現在の年金福祉事業団の人事体系あるいは報酬体系は運用の結果に対して責任を負う体制になっておりますでしょうか。これが一点。
 それから、将来自主運用をされるようになった場合に、新しい体制のもとでその運用の結果に対して、例えば結果がよければ報酬が上がるというようなことを考えておられるか、あるいは結果が悪い場合には人事的な懲罰を受けるかどうか、そういうことを考えておられるかどうか、御答弁いただきたいと思います。
#33
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員、一番よく御案内だと思いますけれども、金融資産には市場の変動は必ず伴うものでございますし、結果に対して責任を負うということは市場運用になじまない難しい問題である、こう考えております。さらなる収益改善に向けて最大限努力をして、そして国民の皆さん方に不安を抱かせないようにすることが最も重大な責任である、このように考えているような次第でございます。
#34
○浅尾慶一郎君 私は、今の答弁は問題があるのではないかなと思います。なぜかといいますと、市場というものは公的機関以外のところは当然収益を求めて活動している人たちが入っておるわけでございます。そこに収益の結果に関係ない人が入って、それは市場に任せるんだといったら、通常考えればそこで損失が出るのではないかなというふうに思いますが、その点はいかが思われますか。
#35
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから申し上げておりますけれども、安全確実を基本として、債券を中心にして運用を行います。そういうことでありまして、御懸念のような事態が生じることはまずあり得ないと私は考えておりますけれども、もし仮にあった場合には、新しい仕組みのもとでは運用に伴う単年度の損失は年金資金運用基金の中の準備金を使って整理される、こういう仕組みになっています。
#36
○浅尾慶一郎君 時間が参りましたので終わりますが、私が申し上げたことをもう一回最後に申し上げますけれども、責任の所在が非常に不明確ではないかな、運用をするということに対して責任を今の制度のままでは負わなくてもいいのではないかな、今の御答弁だと負わなくてもいいのではないかということだけ申し上げさせていただきまして、時間が参りましたので終わります。
#37
○山本保君 公明党・改革クラブの山本保でございます。
 きょうは、大臣と久しぶりに顔を合わせ質問させていただきたい。
 考えますと、きょうで何か二十一時間だそうでございまして、二十一時間というと大したことありませんが、思い起こしますと、一月の下旬に国会が始まってからこの問題ばかりやっていたわけでございまして、二カ月間、大臣には何度も通告をさせていただいたのが、やっときょうかないましたので二点ほど、早く終われればいいと思っておりますが、お聞きしたいと思います。
 一つは、先ほど今井委員の方からもお話があった点の確認をさせていただきたいと思います。
 衆議院の審議の中で、我が党公明党の坂口政審会長の質問に対しまして大臣から、この老齢基礎年金の繰り上げ支給減額率がどうも高過ぎるのではないかということで三五%というような、たしかそんなことが出たのかなというふうに思っておるわけでございます。先ほど今井委員の質問に対しまして、さらに引き下げるように検討したいという大変具体的なお言葉が出たかと思いますが、この辺についてもう一度、これまで我が党も含めまして各党から問題が出ておるところでございますので、もう一度はっきり御返事いただきたいと思います。
#38
○国務大臣(丹羽雄哉君) 衆議院の厚生委員会で坂口委員から御質問がありました。その際、私が答弁を申し上げましたことは、昭和三十六年当時用いた生命表以降の平均余命の伸びを考慮すれば、繰り上げ減額率は、現在四二%のところがあらあら三五%前後になる旨お答えをしたところでございます。
 御主張、さらに本委員会におきます御議論の経過というものを重く受けとめまして、また繰り上げ減額を選択した方とそうでない方との公平、さらにスライド率、死亡率などを総合的に勘案の上、さらに引き下げる方向で検討をしてみたいと考えているような次第であります。
#39
○山本保君 局長もおいでですので、ちょっとその辺、専門的に教えていただきたいんですね。きょう厚生省の方からこれについての資料が出されまして、なかなか難しいものですから、ちょっと確認をしたい。局長大丈夫です、常識的に知っておられることだけお聞きしますから。
 この前、予算委員会の公聴会で連合の桝本局長がおいでになったときに、ほかの議員からこの問題について質問された。そうしましたら、桝本さんから、いや、こういう問題は政策的な議論が先に立つものであって、純粋の数理・中立的なものはないんだというようなことをおっしゃったものですから、私はその後、桝本さんにちょっとお聞きしまして、そうなんですかと、どういう考えですかというようなことを申し上げました。そうしましたら、きょうここにある、何か難しいんですけれども、単に生涯受給総額が等しくなるように数字だけで計算していくと、それは有利な人が出てきたりして総額が膨らむんだという御説明であります。
 例えば、こんなことでよろしいんでしょうか、局長。卑近な例えで、私は実はかけごとは余りやりませんのであれですが、例えば二十歳になって年金に入るときに、自分が六十歳でいただくとか六十何歳でいただくとか、こういうふうに先にそこで決めておけば、あとは確かにこの数理計算上にいくんだろう。しかし、考えてみますと、これは言うなら競馬などのゴール直前になってどの馬を選ぶかというようなものですから、当然そこで選び方によって差が出てくるので、これは一概に数式上だけではなかなか言えないんだと、こういうことなのかなという気もするんですが、御専門的なところ、簡単で結構ですが、コメントいただければと思います。
#40
○政府参考人(矢野朝水君) まず、減額率はどういう要素が関係しているか、こういうことでございます。一つは、予定利率をどう見るかということでございまして、予定利率が低ければ低いほど減額率は緩和される、こういう傾向になるわけでございます。それから、死亡率も非常に大きな要素でございまして、長生きするようになればなるほど減額率というのは緩和しなければいけない、そういう方向にも働くわけでございます。それから、スライドのあり方もこれは非常に影響してまいります。物価スライドもやり、さらに賃金スライドもやるということになって、スライドを手厚くすればするほど減額率は下げざるを得ない、下がってくる、そういうメカニズムになってくるわけでございます。
 ただ、それ以外の要素というのがいろいろございまして、今回、今井議員から資料要求もございまして提出させていただきましたけれども、減額年金を選ぶ方というのは自分の健康状況がわかりますから、やはり長生きできないなと、こういう方が減額年金を選んでいる傾向があると、こういうことでございまして、これは任意に選択できるわけでございますので、逆選択とかそういう場合もあると。そうなると、公平性上も単なる数理的な問題だけにとどまるものではない、いろいろな要素を総合的に加味しなければいけないと、こういうことでございます。
 それから、年金はやはり受給間近になって受給するかどうかを決めるわけでございますので、若いときはほとんど年金に関心がないというのが実態でございますので、それを若いころ選ばせるというのは現実的ではないんじゃないかと、こう思っております。
#41
○山本保君 局長は専門家ですから、もうお聞きすればするだけなかなかわかりにくい。しかし、大臣がさっき踏み込んだ答弁をされましたから、もし実現されるとき、その過程においては国民にわかりやすい御説明をぜひお願いしたいと思います。
 もう一つお聞きしたいんですが、それは懸案であります無年金障害者のことでございます。無年金障害の方と言われましても、いろんな分類といいますか理由でなられた方があるそうでございますので、きょうは私、その中で特に任意期間中に学生さんであった方で障害者になられ、今、無年金である、こういう方にちょっと絞ってお聞きしたいと思っております。
 私のようなところにもお手紙などがたくさん来まして、ちょうど手元にも、最近いただいたのですと三重県のある方ですが、四十六年に、学生だったけれども病気になられて、御両親も健在ですが国民年金だけで、障害年金も入らないし、入院費が四万円要る、この先真っ暗だというような、大変身につまされるお話を伺っているわけです。
 まず第一原則として、こういう方にどうして、保険だからだということなんですが、一体それはどういうわけでこういう方に保険が出されないのか。厚生省にどういう理由なのかということについて、簡単にまず原則を教えていただけますか。
#42
○政府参考人(矢野朝水君) 我が国の公的年金制度は、御案内のとおり社会保険方式でございます。したがって、その保険制度に加入をして保険料を納めるというのが受給する際の原則でございます。
 障害無年金の方、いろいろ御事情がございまして制度に加入されていなかったと、こういう方が多いわけでございまして、制度に加入していないにもかかわらず年金制度から支給をするということになりますと、これはもう年金制度の根幹に触れる問題でございまして、年金の安定的な運用に大変な影響を与えるわけでございます。そういうことで、制度の根本に触れる問題ですので、そういう方に年金を支給するのはなかなか難しいということでございます。
#43
○山本保君 そういう御説明を聞きますと、なるほどと。確かに我々の、例えば自動車の保険にしましても、事故を起こしてから入るからやってくれというのはだめだということは確かにそのとおりだとは思うんです。しかし、国が行っている社会保険としての年金制度でどうなのかなということで、ちょっと踏み込んでお聞きしたいんです。
 例えば昭和三十六年から平成三年までですか、その間は任意加入であったと言われるわけです。その間に入らなかった方は、今、局長が言われたみたいに、私は年金に入りませんという意思表示をしたんでしょうか。実は党内の同じような年、私もちょうどそのころ学生でしたから、私自身も実は入っておりませんでしたが、何人かに聞きましたけれども、全員入っておりませんでした。
 大臣、ちょっと突然で申しわけございませんが、大臣も政務次官も私のちょっと先輩になられると思うんですが、学生時代、任意加入されておられましたか。その答えだけちょっとお願いいたします。
#44
○国務大臣(丹羽雄哉君) 昭和三十九年のころでございまして、大学生でありましたが、正直申し上げてよく覚えておりません。記憶にございません。
#45
○政務次官(大野由利子君) 大学を卒業して勤めるようになって保険に入ったんだと思います、記憶は確かじゃございませんが。
#46
○山本保君 私は、そういう方がほとんどだったと思うんです。そうなりますと、今、局長が言われた年金制度に入らない方が、入らないと言って入らなかったわけではなかったんじゃないか。まさにあのとき障害になられた方と私たちというのは紙一重だったわけでありまして、本当に運よく私たちは障害にならなかった。そのとき障害になられた方、これは全くその運によって決まっただけであって、年金を払う払わないという意思表示によって決まったわけではないんじゃないかと私は思うんですよ。
 しかも、今回改正を考えられて、実際にお金を払わなくとも、払いますよという意思表示さえすればよろしいという制度になります。そういうことを考えますと、そのことだけで、あなたは入っていなかったんだからということは言えないんじゃないか。まさにこれは日本の国の強制的な年金制度のできるまでの言うならば厚生省の一つの、誤りとは言わないけれども、しかし歴史というものがつくってきたある過渡期だったわけでありまして、そのときの方を今の論理で、確かに私も強制年金であったときに、私は知らなかったからと言う方に、いや、それは知らなかったと言っても、もう二十歳にもなられて、社会人になられて法律を知らなかったではいけませんよということは言えるかもしれない。
 この問題、この期間中の学生さんに関して言えば、私どもがそうであったように、そんな意思表示をしておったのではないんじゃないか。厚生省はそれだけきちんと一生懸命入るように話したんだろうかという気がするわけなんです。こういう理論だけの話をしていますと、まさに理論の話というのはもうオール・オア・ナッシングでございまして、これ以上進みません。
 そこで、私は担当の方に、学生さんでこの約三十年間に年金に入っていなかったがゆえに障害年金をいただいていない方は一体どれぐらいおられるんでしょうかとお聞きしましたところ、年金に入っている方についての資料はあるけれども、入っていない方についての資料はないんだと。確かにそう言われてみればそうでして、だから一体何人いるかも実はわからないと、こう言われたわけでございます。
 それで、これでびっくりしたわけですが、そこでちょっと局長に、運営部長なのかもしれませんが、本当は三十年間の学生さんの割合とか障害の発生率とかいうのを掛け算すればよろしいんですが、大変煩瑣な計算になると思いましたから物すごく簡単にやってみようと思うんですが、例えば昨年というか直近で二十歳から二十四歳の障害年金の新規受給者というのは何人ぐらいおられるのでございましょうか。
#47
○政府参考人(小島比登志君) お尋ねの受給者数でございますが、平成十年度の二十歳から二十四歳の障害基礎年金の新規裁定受給権者数は一万七千二百四十一人でございます。このうち、二十歳前の国民年金加入前に障害となり障害年金受給者となった方は一万六千六百八人となっておりまして、この方を除いた新規裁定者は六百三十三人でございます。
 なお、この六百三十三人の中には、厚生年金保険から給付を受けられている方、学生ではなく自営業者の方あるいはサラリーマンの妻など、学生以外の方も含まれているということでございます。
#48
○山本保君 つまり、一年間に新しくなられた方は一万七千人ぐらいいるけれども、ほぼ大半の方は児童福祉の方からといいますか子供のときから障害を持ってこられた方で、新規で受けられた方は六百三十三人である、その割合についてはまだわからないとおっしゃいました。
 想像しますに、物すごく大ざっぱに考えれば、約半分が学生さんと考えても大体三百人ということになります。三百人強。そして、あの三十年間、大変大きな時代でありますけれども、人口は確かに前の方が多かった。けれども、学生の割合というのは逆に少なかったわけですから、物すごい目の子で計算しましても一年間三百人とすれば三十年間で合計で約一万人じゃないでしょうか。しかもこの一万人は絶対ふえるはずがない、その期間で終わりでございまして、もし運悪くお亡くなりになった方もおられるとすれば減っているんじゃないか。
 一万人ですと年間に大体幾らぐらい保険給付をされるんでしょうか。
#49
○政府参考人(小島比登志君) 単純に計算しますと、全員が二級の障害基礎年金を受けられるといたしますと約八十億円、それから一級ですとその二五%増しですから約百億円ということでございます。
#50
○山本保君 大体八十億円ぐらいであろうということであります。
 今、障害年金を受けておられる方は総額で幾らぐらいの年金額になっておりますでしょうか。
#51
○政府参考人(小島比登志君) これも平成十年度末の数字でございますが、国民年金の障害年金受給者数は百三十一万四千人、年金総額は一兆二千六十四億円となってございます。
#52
○山本保君 私もそういうふうに教えていただいて計算してみましたところ、一兆二千億のお金、そしてそのうち、もし私たちと同世代だった学生さんだったときに本当に運悪く障害を受けられてそのまま無年金になられた方に八十億円、単純に計算しましても〇・七%ちょっとでございます。もちろん全年金の給付額三十兆円に比べましても、もう〇・一コンマ下に下がる数字でございます。
 私は、これはもちろん最初に局長がおっしゃった原理論があるかとも思いますけれども、ちょうど今、学生さんで実際にはお金が入らない方には後でいいんですよという制度が始まるときでございます。ここで、この方たちに対してもっと温かい行政を行ってもいいんじゃないか。一度そういう議論を、今までそういう数字を挙げた議論がされていないと思うんです。それで、出している方に御了解をとられるような努力もされてよろしいのではないかという気もするわけであります。
 最後に、厚生大臣にお聞きしたいのでございますが、今いろいろ細かい数字にもなったわけでありますけれども、こういう方々に対してこれが改正になった後で大至急検討していただけないだろうか、もしくは最低限まず実態調査をきちんと行っていただいて、いわば理論と理論の話ではない、政治的なまさに判断をしていただきたいと思うわけでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
#53
○国務大臣(丹羽雄哉君) 無年金障害者の問題につきましては、しばしば当委員会におかれましても提起されているところでございます。
 当初は、私ども学生のころは古うございますので任意でございましたが、平成三年から強制加入とするなど、適用対象の拡大を図ってきたところでございます。しかしながら、この無年金障害者につきましては、年金制度において何らかの給付を行うことは、制度への加入と保険料の負担に応じて給付を行うという年金制度の根幹に触れると、こういうような指摘があるわけでございます。
 このような問題につきましては、いずれにいたしましても、解決に向けてなお難しい論点が残されていることも事実でございますが、真にやむを得ない理由によるものとして国民のだれしもが納得できるものがないかどうかを含めまして、今後とも関係方面の御意見も十分に伺いながら検討してまいりたいと、このように考えている次第でございます。
#54
○山本保君 学生さんでも未加入の方は十一万人とか、またきょうもいろいろ出ておりましたけれども、全体でも約百万人弱の方が年金制度に対しての認識がまだないというようなお話も伺っております。私は、こういうところにきちんと手を打たれることがこのことの効果として、年金というのは出せる出せないは別として、しかし国民としてはこれにちゃんと入っていくことが必要だということを訴える絶好の一つの、キャンペーンと言ったらおかしいですが、施策ではないかという気がしますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 終わります。
    ─────────────
#55
○委員長(狩野安君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、浅尾慶一郎君が委員を辞任され、その補欠として松崎俊久君が選任されました。
    ─────────────
#56
○小池晃君 今も御議論ありましたが、無年金障害者の問題について前回に引き続いて最初にお聞きしたいと思います。
 今、議論あったように、保険料の負担に応じた給付という関係ではなく、加入手続の有無ということで既に無年金障害者になられた方は門前払いされている、こういう状況は何としても解決する必要があるだろうというふうに私は考えるわけです。
 今も真にやむを得ない場合という御答弁がありました。それから前回、私の質問に対して、個々のケースの場合において、これは知り得ないような場合だとか加入できないような場合であるとか、そういうケースがあるのかないのか、そういうことを含めて検討しなければならない問題だというふうに御答弁がありました。こうしたケースについては年金制度の中での解決を図ることも含めて検討を進めると、こういう意味だというふうに受け取ってよろしいでしょうか。
#57
○国務大臣(丹羽雄哉君) この問題につきましては、当委員会におきまして各委員からしばしば指摘されておるわけでございます。年金制度のあり方そのものにかかわる問題ではありますけれども、先ほど申し上げましたように、真にやむを得ない理由によってこの場合はというようなことを少し勉強させていただけたらと、こういうことでございまして、小池委員に前回御答弁いたしましたようなケースを一つ一つ洗い直す必要もあるのではないか、こう考えております。
 いずれにいたしましても、今後、関係方面等の御意見も十分に伺いながら検討してまいりたいと思っております。
#58
○小池晃君 これはぜひ直ちに検討を進めていただきたいというふうに思います。
 さらにきょう議論したいのは、積立金の問題であります。この間の質疑を通じて、厚生年金の支給が一千万円減るんだ、大きく削られるんだということが明らかになりました。支給減のことを私たちが問題にしますと、これは将来世代の過重な負担を避けるためにやむを得ないんだという御答弁。しかし、負担の問題を言うのであれば、基礎年金に対する国庫負担を直ちに二分の一に引き上げる、そのことを棚上げにしている政府に負担軽減云々する資格は私はないんじゃないかと思うのです。同時に、きょうも議論ありましたが、膨大な年金積立金の問題、このことをきょうは議論したいというふうに思います。
 最初にお聞きしますけれども、年金積立金の総額であります。厚生年金、厚生年金基金の代行部分、それから国民年金それぞれについてと、合計は幾らになるのか、新しい数字を示していただきたいと思います。
#59
○政府参考人(矢野朝水君) この三者につきまして実績がそろっておりますのは平成九年度末の数字でございまして、国民年金が八・五兆円、厚生年金は百二十五・八兆円、基金の代行部分が二十六・九兆円ということでございまして、トータルで百六十一兆円に上っております。
#60
○小池晃君 九七年度末で百六十兆円を超える、そういう数字であります。これは、厚生年金基金の代行部分だけは九七年度末になっていまして、そのほかは九八年度末の数字があります。それを足し上げると百六十六兆七千億円になるわけです。そのほかに農林共済、私学共済、国公共済、それから地方公務員共済、この四共済を合わせて四十六兆七千億円。これらすべてを合計すると実に二百十三兆四千億円もの積立金を日本の公的年金制度は持っているということになるわけです。
 大臣にお聞きしたいんですが、なぜこのような莫大な積立金が必要なのか、御説明を願いたいと思います。
#61
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金の財政運営に当たりましては、現在のこともさることながら、将来世代の負担を過重なものにしないように、要するに今の世代の負担によって積み立てた積立金が将来生み出す利子収入を活用することによりまして将来世代の保険料の負担を軽減する、こういう考え方で積立金を保有しておるわけでございます。
 もし仮に積立金を取り崩すようなことになりますと、将来当然のことながら積立金による利子収入が減ることになるわけでございます。その分保険料で負担する分がふえる、こういうことでございまして、私どもは何もため込んでおるということではございませんで、私どもの想像を絶するような少子高齢化が大変な勢いで進行している中において、いわゆる現役世代と将来世代の負担の公平を図る、こういう観点から今積立金を実施いたしておるような次第でございます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、現在がピークでございまして、将来はだんだんこれが減っていく、こういうことになるわけでございます。
 いずれにいたしましても、先生のような御意見があることも十分に私も承知いたしております。
#62
○小池晃君 積立金は将来世代のためだと。確かに積立金が多ければ多いほどそれは将来の保険料率を引き下げる効果はある、それは確かです。ただ問題は、これだけの消費不況がある中で、今、積み立て度合いを増していくという政策方向が今の景気を温めるという政策方向と照らして一体どうなのかということだと思うんです。政府は財政再計算のたびに積立金の目標というのを膨張させてきているわけです。高齢化の一番ピークと今されているのが二〇五〇年であります。二〇五〇年の積み立て度合いはどうか。八九年の財政再計算のときには一・四年分という積み立てでした。九四年は二・四年分、今回は三・三年分というふうになっているわけです。
 このような消費が冷え込んでいる中で給付はどんどん削っていく、そういうことをやりながら一方でその年金積立金は積み増していく。今この時期になぜそういう政策方向をとるのか、そのことをお聞きしているんです。
#63
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今、豊かさの中の不安の時代という中で、一番国民の皆さん方が関心を持って不安に思っていらっしゃることの一つにやはり老後に対する不安というものがあるのではないか、こう考えているような次第でございます。そういう中において、やはりきちんと国民の皆様方に将来とも年金制度に対する信頼を揺るぎないものにする、そして老後の不安を解消できるような制度にする、こういうことが重要であると、こう認識いたしておるような次第であります。
 それと、先ほど委員から御指摘がございましたような国庫負担を引き上げるべきではないか、こういうような御指摘でございますが、私も全く同感でございまして、これは継続的な問題でございますが、安定した財源を確保して、できるだけ早く国庫負担を現在の三分の一から二分の一に引き上げる方向に努力をしていきたい、このように考えているような次第であります。
#64
○小池晃君 できるだけ早くじゃなくて、五年前の制度改正のときに五年後までにやると約束したわけですから、それを直ちにやるべきなんですよ。早くやるという決意を幾ら聞いてもこれは何の足しにもならない。
 私は、もう一つ別の角度からこの積立金の問題を聞きたいんですが、給付の五・五年分というような積立金を持つということは、これはグローバルスタンダードというところから見ても極めて異例のことではないかというふうに思うんです。
 アメリカは積立金を持っている。これはベビーブーマーの年金受給による一時的な給付の増加に備えるものだというふうに言われている。それでも一年分の積み立てであります。それから、スウェーデンは積立金の保有があります。しかし、スウェーデンは個人貯蓄率が非常に低い、日本の三分の一から四分の一だ、国家的にこの家計貯蓄の不足分を補う役割を持って積立金を持っているんだというような議論もあるわけであります。
 それに比べて日本はどうかというと、これは先ほども議論がありましたが、社会保障制度の不備から貯蓄率が非常に高いわけです。こういう国でどうして国家的な強制貯蓄とも言えるような年金積立金を五・五年分も保有する必要性があるんだろうか。貯蓄から消費へというのが今の政府の政策方向なわけであります。その政策方向と照らしても矛盾するんじゃないかというふうに私は思うんですけれども、これはどうお答えになりますか。
#65
○政府参考人(矢野朝水君) これは外国との比較でございますので、私の方から答えさせていただきます。
 諸外国と比べまして日本の積み立て度合いが非常に高い、これは異常じゃないか、おかしいじゃないかという御質問でございますけれども、諸外国と我が国とは高齢化率が違うわけです。今は我が国の方が高齢化率はまだ低いんですけれども、これからはヨーロッパ諸国が経験したことのないような超高齢化社会になる、しかもそのスピードが何倍も速いということでございまして、そういった超高齢化時代にどう備えるのか、その際には世代間の不公平を少しでも是正するということから積立金の活用ということが課題になってこざるを得ないということでございます。
 それからもう一つ、保険料でございます。ヨーロッパ諸国は、既に労使合わせて年収の二割がほとんどでございまして、我が国の場合は年収ベースで見ますとまだ一三・五%程度でございます。ヨーロッパ諸国と比べるとまだまだ保険料は非常に低い、しかし高齢化が急激にやってくるということでございまして、そのためにはやはり積立金をある程度持ってその運用収入で将来世代の保険料負担を軽減する、これが世代間の公平につながる道だということで、こういった財政計画を立てているということでございます。
#66
○小池晃君 高齢化率が違う、高い、それだったらなぜその高齢化のピークとされる時期に三・三年分もの積立金が必要なのかということになるんです。
 それから、日本の保険料率が低いんだ、低いから今のうちに取っておいて積み立てておいていいなんということを、日本の労働者はだれもそんなことは納得していませんよ。そんなことでいいと思って、積立金をためてくださいなんて頼んでいますか。そういうでたらめな議論をするんじゃありませんよ。
 貯蓄から消費へという政府の政策方向と今のこの積立金をさらに財政再計算のたびごとに積み増していくという方向は、これは明らかに矛盾しませんか。これは大臣、ぜひお答えいただきたい。
#67
○国務大臣(丹羽雄哉君) 確かに私どもはGDPの六割を占める消費というものが大変減退をしている、これがもう一つ景気回復が本腰にならない一つの要因であるということは十分認識いたしております。
 そういう中において、いかにして消費を拡大していくかということが、今後の経済運営におきまして大変重要な役割を占めるということも十分認識をしておるわけでございますが、先ほどから私どもが申し上げておりますことは、将来世代に対して保険料の軽減を図ることは、ひいては将来にわたる世代の消費意欲に貢献する、こういうふうに考えておるわけでございまして、今何よりも必要なことは、国民の年金に対する信頼を揺るぎないものにして老後の不安を解消できるようにする、将来現役の若い方々が、自分たちは年金の保険料を払っても実際に自分たちがもらう額が大変少ないんじゃないか、こういうようなことが大変懸念されておるわけでございますので、現在の私どもがいわゆる消費意欲の喚起と申し上げていることとこの年金の問題というのは別次元でお考えいただければ幸いだと思っています。
#68
○小池晃君 さらに、この莫大な積立金を運用するという問題についても議論したいと思うんです。
 年金積立金は大変莫大だ、厚生省の運用方針によって債券市場あるいは株式市場に大きな影響を与えることになるんじゃないか、これは政府による市場介入の可能性が排除されない仕組みである、これは大変問題じゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#69
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金積立金の自主運用に当たりまして、株式の運用につきましてはすべて民間の金融機関に委託をして行うとともに、この委託契約によりまして国あるいは年金資金運用基金が個別銘柄の指図を行うことはできない、こういうような仕組みになっておるわけでございます。
 また、年金積立金の自主運用は、専らこれは年金加入者の利益のために行われなければならないことを関係者の責務として明確化しておるわけでございます。アメリカでいろいろ御指摘されているような御懸念のことは、年金積立金を利用した株価の維持操作などいわゆる政治的な介入というのは制度的に排除される、こういうことでございます。
#70
○小池晃君 実際の運用は民間に委託するんだと。それにしても資金配分とか運用の評価というのはこれは国がやらざるを得ないわけですから、その際に国が介入する余地がないということは言えないと思うんです。
 さらに別の問題ですが、政府が個別企業の株式を保有する、これはコーポレートガバナンスの点から見てどうなのかという問題であります。議決権をもし持つとすれば企業への介入になる、議決権を持たないとすれば企業経営をチェックしない株主だということになるわけです。これは、いずれにしてもゆがみを生じることになるんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか。
#71
○政府参考人(矢野朝水君) アメリカでもそういう点が指摘されておるわけでございますけれども、日本ではそういった議論も参考にして今回の新しい仕組みを提案しているわけでございます。つまり、株式の運用に当たりましてはすべて民間金融機関に委託をするということでございまして、国は一切口出しはしない、こういう仕組みにいたしておるわけでございます。株主議決権の行使も、国とか年金資金運用基金が行うのではございません。これは民間の運用機関にやっていただくということでございます。
 ただ、その際には年金資金運用基金サイドでやはり株式の保有価値を高める、こういう必要があるわけでございますので、そういった観点からのガイドラインを策定したい、そのガイドラインに沿って個別の民間の運用機関が株主権を行使する、こういう形に持っていきたい、こう思っておるわけでございまして、御指摘のような御懸念は該当しないと考えております。
#72
○小池晃君 国が議決権を持たないということであれば、これはすなわち経営をチェックできないわけですね。すなわち、国が直接被保険者には責任を持たないということになりはしませんか。これは大変問題なんじゃないですか。どうですか。
#73
○政府参考人(矢野朝水君) これは民間運用機関が株主権は行使するわけでございます。その際の基本的な考え方につきましては、年金資金運用基金でガイドラインをつくってそれを指示する、その範囲内で民間金融機関が株主権を適切に行使していただく、こういうことを考えておるわけでございまして、御心配は当たらないと、こう思っております。
#74
○小池晃君 いや、大変心配です。非常にゆがんだ姿なんですよ、これは。
 次に、リスクをこうむったときの責任を一体だれがどのようにとるのかという問題であります。
 資料をお配りしていますが、年金福祉事業団の自主運用と同様に、資金運用部からの借り入れで運用している郵貯の金融自由化対策資金、これの成績をグラフにしてみました。この特別勘定は始まって以来毎年黒字であります。決算ベースで見ると、十年度では累計で三千五百九十七億円の収益となっている。年金自主運用の成績とまるで正反対の結果になっている。何でこういう違いが出ているんでしょうか。
#75
○政府参考人(矢野朝水君) これは両者の仕組みが相当違うわけでございます。あるいは運用評価の仕組みも異なります。郵政省の場合はほとんど、八三%が郵政省みずからの自家運用でやっております。私どもは、そういうノウハウがないということで、基本的には民間金融機関に委託をしているわけでございます。そういう中で、資産構成も大きく変わっておりまして、郵政省の場合は債券等の安全資産が八三%、私どもの場合はそれが五八・八%、こういった数字になっております。
 それから、非常に違うのは、私どもの場合はこれは時価評価をいたしております。郵政省の場合は簿価評価です。それから、郵政省も指定単で一部外部運用しておりますけれども、これにつきましては詳細がディスクロージャーされていない、こういう状況でございます。
 そういうことで、私どもは年金の本来のあるべき姿ということで分散投資を中心に、しかも時価評価で評価をしている、そういう中でほかの機関投資家なり民間運用機関と決して遜色のない運用成果を上げている、こう思っております。
 ただ、今の仕組みが資金運用部から金を借りてきて運用をするということで、長期固定金利で金を借りてきていますので、借り入れコストが高どまりをする、そういう中で制度上こういう逆ざやが生じておるということでございます。
#76
○小池晃君 これは簿価で両方とも比べてみたんですけれども、郵貯の場合は運用資産の割合というのが債券に八三%だと。指定単なんかもありますから手放しにいいというわけにいかないんですけれども、とはいっても安定した資産割合になっている。それに対して年金は外国株式を含めると株式が四一%、そういうリスク資産を中心に投資してきたことがこういう結果になっているんじゃないか。
 さらに、年金の株式への投資がどう行われてきたのか聞きたいんですが、九五年度から九八年度にかけて簿価での国内株式比率と国内株式での実現収益額の変化、この数字を出していただきたい。
#77
○政府参考人(矢野朝水君) 年金福祉事業団の株式運用の実績でございますけれども、まず国内株式の比率でございます。
 これは時価ベースで見まして平成七年度が一八・一八%、平成八年度が二二・七〇%。この間、平成八年度は五%弱ふえておりますけれども、これは実は生命保険会社の一般勘定が五兆円ほどあったんですけれども、これを解約していろんな資産に分散投資をしたということで、それまで一般勘定の中に隠れておった株式の比率が高まった、こういうことでございます。それから、平成九年度が二四・七二%、平成十年度が二七・四四%でございます。
 それから、実現収益率を簿価ベースで数字を示してほしい、こういうことでございますけれども、実は簿価ベースでの実現収益率は把握していないわけでございます。実現収益額はもちろん私ども把握しておりますけれども、収益率という尺度では見ていないということでございまして、これは時間加重収益率という尺度で見ますと、平成七年度が二六・五二%、平成八年度がマイナス一三・九〇%、平成九年度がマイナス六・八六%、平成十年度がプラス三・五七%でございます。
#78
○小池晃君 私は額で通告もしたし、聞いたんです。
 ちょっと時間がないのでこちらで言いますけれども、国内株式比率は簿価で一九%から二九%に急上昇している。その一方で、実現収益額は九五年度は四百二十七億黒なんだけれども、九六年度は千六百二十九億のマイナス、九七年度は二千三百六億のマイナス、九八年度は四千八百八億のマイナスになっているんです。
 要するに、国内株でつくった欠損がどんどん大きくなってきているのに、どんどん国内株式比率をふやしているんです。ギャンブルで負けが込んできて、苦しくなってまたどんどん投入していくようなやり方なんです。極めて危険な投資行動をこの間とられてきたんじゃないか。言ってみれば、郵貯とか簡保というのは任意貯蓄であります。それに比べて強制的な貯蓄であるというふうに言ってもいい年金積立金の運用で、何でこういうリスク運用をしてきたのか。
 大臣にお伺いしたいんですが、年金積立金、これが全額自主運用となったときにさらに大きな損失をつくるんじゃないかということを国民は心配しています。この国民の心配というのは私はもっともなんじゃないか、そういう危険が十分あるんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#79
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、今回は、年金の積立金の運用は資金運用部への預託から年金資金運用基金によります自主運用に改正することになっております。
 御懸念の自主運用に当たりましては、国債などの債券を七割から八割程度を中心にしながら、国内株式を一割程度、国外株式を一割程度など、一部を組み入れることによりまして分散投資を行いまして、長期的に見ればより安全で有利な運用が可能になると思っております。
 それから、年金積立金でございますが、一定期間かけまして徐々に、十五年ぐらいでございますが、市場での運用に移行いたします。そういうことでございますし、先ほどから申し上げておりますように、これがあくまでも分散投資することによってより安全で有利な運用が可能になる、こう考えておるわけでございます。
 また、御懸念のような国民の皆さん方の一部にもしそういうような御心配があれば、私どもは今回の自主運用に当たりましては、厚生大臣が決める基本指針というものをきちっと国民の皆様方にお示しして、そしてその中においてきちんと厚生省の運用関係の職員や年金資金運用基金の役職員に対しましても年金資金運用に関する忠実義務であるとかあるいは注意義務を課しまして、違反者に対しましては厳正な処分を行う、こういうことにいたしております。
 いずれにいたしましても、そのような御懸念がないように最善の努力をしたいと思っております。
#80
○小池晃君 分散投資で安全性が確保できるんだというふうにおっしゃいますが、厚生省の年金自主運用検討会の報告書でもこう書いてあるんです。分散投資をしても、債券だけで運用していた場合の水準を下回ることもあるんだと。運用期間を長期化すると収益率のぶれが累積されていく可能性があるため、将来における資産残高のばらつきの幅は運用期間の長期化に伴い大きくなっていく。長ければ長いほど予期せぬ事態が起きて、そして大きな穴をあけることがあるんだと。当然の話ですね。こういうことを指摘されているわけであります。
 分散投資だから必ず安全だということは私は言えないだろうと。結局、少なくとも今までは預託分については預託金利の分は確保されていた、これは確実に入った。しかし、これからはそれも含めてすべてマーケット次第ということになるんじゃないか、そういうふうに思うんですが、大臣、いかがですか。
#81
○国務大臣(丹羽雄哉君) マーケット次第ということでありますけれども、当然市場で運用するのでありますからまさにそのとおりでございますが、私どもはあくまでも、先ほどから申し上げておりますように、これは債券でも当然のことながらリスクを伴うわけでございますし、いろいろなものを組み合わせることによって市場における安全性というものをより追求していきたい、このように考えている次第でございます。
#82
○小池晃君 今まさにマーケット次第なんだということをお認めになった。これはやっぱりそうだと思うんです。
 だとすると、結果責任を問われる命がけの企業のファンドマネジャーと、結果責任すら問われない厚生省の自主運用とどちらが高い運用成績を出すか。これはだれが見たって明らかなんです。厚生省が莫大な年金積立金を持ってマーケットに入ってくるというのは、これはまさにカモがネギをしょって入ってくるようなものですよ。こんなことで国民の貴重な財産である積立金に穴をあけていいのか。私は、これは大変な問題だということを改めて指摘したい。
 今、大臣は、注意義務、忠実義務ということがあるから大丈夫なんだということをおっしゃいましたが、そもそも今までの年福事業団法にも注意義務、忠実義務という言葉は入っていないんですね。しかし、これは書いていなくても今までもそういう義務を負っているんだということを年金局長は答弁されました。法律に今まで書いてなかったけれども、そういう義務は守っていましたということであれば、これから新しい法律の中に忠実義務、注意義務というのが書き込まれていてもそれは何ら担保にならないんじゃないだろうかというふうに私は思うんです。
 昨年の時点では一兆円を超える欠損をつくっていたわけであります。それでも年金局長は答弁で、十分な忠実義務、注意義務を果たしていると胸を張っておっしゃった。これでは、マネーゲームに参加をして、失敗して幾ら積立金を失っても、結局だれも何の責任もとらないということになるじゃないですか。
 大臣にお聞きしたいと思います。
 国民からいわば強制的に集めた年金積立金、これは運用に失敗しても、忠実に注意をしてやって失敗したので厚生省には責任はないんだ、国民の皆さんが損失分は負担してくださいと、こういう議論ですね。こういう議論が果たして国民の納得を得られると大臣はお思いか、お答えいただきたいと思います。
#83
○国務大臣(丹羽雄哉君) 運用の責任ははっきりと定めておかなければなりませんけれども、私も委員の御指摘に対しまして金融資産には市場の変動が伴うものでありますと、こういうことを率直に申し上げました。それで、結果に対して責任を問うということは、私はこの問題になじまない難しい問題であると考えております。
 運用に当たりまして特に重要なのは、どの程度のリスクを負って、どの程度の利回りを目指すのかというような、いわゆる資産配分の決定ということでございます。これは運用の最高責任者であります厚生大臣が定めることになっておるわけでございますけれども、当然この決定は運用の最も重要な決定でございますので、年金制度を支える加入者であるとか金融の専門家の意見を聞くということが不可欠であると、こう考えておるような次第でございます。
 当然のことながら、新しく発足する基金におきましては、この方針をいかにして効率的に実施するかということが求められるわけでございます。特に、どの運用機関をどう選びどう評価するかということでありまして、どうやって配分額を決めるかなどのプロセスというものの情報公開を行いながら国民の皆さん方の信頼をかち得ていきたい、このように考えている次第でございます。
#84
○小池晃君 マーケットというのは変動がつきものなんだ、リスクはつきものだ、そして最終的にリスクを負う可能性がある、ただその場合も結果責任はなじまないんだ。そういうことであれば、注意したか忠実にやったかということを立証することが果たして合理的に可能なのか。これは極めて難しいと思いますよ、私は。
 本日の議論を通じて、この莫大な年金積立金を保有すること自体の問題点、それからこれを厚生省がマーケットで自主運用するということがいかに大きな問題をはらんだものであるかということが明らかになったのじゃないだろうかというふうに思います。
 私は、この年金改悪法案、給付の大幅な削減の問題をとってみても、この積立金を保有すること自体、そして積立金の市場運用ということを見ても、これは問題だらけだというふうに言わざるを得ない。きょうの公聴会でも意見が出ていましたが、やはりこれは廃案にするしかないんではないかということを私は審議を通じて強く感じております。
 きょう午前中、公聴会がありました。そこで出された意見も含めて、もう一度改めてこれは徹底的に議論をするということ、そしてさらに総理の質疑も含めて徹底的にこの問題を究明していくことに国会の責務はあるんじゃないか。ささやかれているような本日の議了、採決ということなどは国民を愚弄する暴挙であるというふうに私は思います。断じて許されるものではない、そのことを申し上げて、私の質問を終わります。
#85
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず最初に、障害者の無年金の問題で、先日も質問したんですが、これはすべての議員に手紙が来ているんじゃないかと思います。
 大阪のある方が、昨年の一月に過労のために転倒して頸椎損傷で四肢麻痺になった。そして、六月には一級の障害者手帳を受けた。ところが、そのときに収入が非常に落ち込んでいて保険料を納められなくて、それで早速納めたけれどももうそれは支給対象にはならないということで、わずか二カ月しか過ぎていないのに、年金も給料も保障もなく、自分は夫の介護のために働きにも出られない。蓄えも底をついた。上の子は高校一年、下は小学三年です。夫を通院させるために車は必要で、生活保護ももらえない。こういう状況の中で、滞納に気がつかなかったということは自分たちの手落ちだけれども、こういう人たちが全国で十万人おります、何とか今回の改正の中で我々を救ってくれという手紙を受け取っております。
 これは、けがをしてから保険料を払ってもそれはだめだというのが厚生省の方の御意見ですけれども、そういうことではなくて、こういう人たちはやっぱり知らない場合があります、年金の場合は。ですから、この方も自分は無知だったと言っていますけれども、やはりこういう人たちを弾力的に今回の改正の中で、余りにも非情なやり方は私は問題だと思いますから、ぜひ何らかの対策を立てるように検討していただきたいんですが、いかがでございますか。
#86
○国務大臣(丹羽雄哉君) まさに年金制度の根幹にかかわるわけでございます。年金というのは、御案内のように、結局そういうまさかのために年金を納めていただいて、老後の生活を支えるとか、それから障害者になった場合のためにそういうようなものを置くと。こういうことから考えますと、これは年金制度の根幹そのものに私は触れるものであると。
 個人的にそういうことについては私もいろいろな思いがいたしますけれども、私どもといたしましては、今後このような方が生じないように、保険料の納付に関しまして一層の広報や周知徹底というものに努めていかなければならないということがまず一番大切なことでございます。
 同時に、先ほども申し上げましたけれども、無年金障害者の問題につきましては、これまでいろいろ御指摘を受けておるわけでございます。真にやむを得ない理由によりまして、そして国民の皆さん方、またほかに入っていらっしゃる方もみんな含めまして納得ができるものでないかどうか、こういう点から考えていきたい、このように考えております。
#87
○清水澄子君 絶対私は救済することが必要だと思います。ぜひそのことをお願いしたいと思います。
 次に、今回の改正案では標準報酬月額の上限を五十九万円から六十二万円に改めているわけですけれども、これによって厚生年金の保険料の収入が幾らほどふえるんですか。それと、上限の該当者というのは何人、何%いるか、そもそも六十二万円とした根拠は何かということをお答えください。
#88
○政府参考人(矢野朝水君) 今回の改正案におきましては、標準報酬につきまして前回改正時からの賃金の動向を考慮して引き上げることといたしておるわけでございます。
 具体的に、上限につきましては、従来から男女の標準報酬月額の平均の倍を上限の基準といたしておりまして、これによりまして五十九万から六十二万に引き上げるということでございます。
 それから、どれぐらいの影響があるかということでございますけれども、平成十二年度予算におきましては約六百七十一億円程度の増収となるわけでございます。
 上限に該当している方は二百七十八万人、被保険者全体に占める比率は八・二%と見込んでおるところでございます。
#89
○清水澄子君 六十二万円といえば、年収は七百四十四万円ぐらいになりますね。もっとそれはボーナスやいろんな所得のある人がいるんでしょうけれども、そういう人たちよりももっと高い人も、これで上限ですから、結局すべて平等ではありませんよね。もっと高い所得の人も六十二万円までの人と同じになるわけですから、高額所得者はたとえどんなに人数が少なくても、やはりこの階層の保険料総額というのは大きくなる。もう少し多く負担をしてもらうということはやはり非常に大事なんじゃないかと思うんです。
 それは給付についても私は同じことが言えると思うんですね。他方で賃金スライドの停止を言っているわけですが、これについては五年ごとの再計算のときにまた検討するという答弁をこの間いただきましたけれども、その点は一歩私は進んだと評価したいと思います。
 しかし、賃金スライドの停止より前に標準報酬月額の上限額よりも高い収入のあった人、つまり平均より相当所得の高かった人については、報酬比例部分の支給を少し減額するという対策だってあり得るんじゃないか。そういうことで、特に高額の人たちとその六十二万円の人と同じに扱うというのではなくて、やっぱり所得段階的に制限をつくるとか、そういうことは考えられないわけでしょうか。
#90
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御指摘は、高額の所得者にさらなる負担を求めて年金額に上限を設ける、こういうことだと思います。
 現行の年金制度におきましては給付と負担がリンクする、こういう仕組みをとっておるわけでございます。新たに、賃金が高い者について給付に結びつかない保険料負担の制度を導入することについて、これをどう考えていくかという問題が一つの問題点だと思います。
 それからもう一つの問題点は、賃金が高い者については現行制度においても賃金が低い者に仕送りをする側に立っていただきたい、こういうことだと思いますが、これをどういうように評価するかということではないか、こう思っておるような次第でございまして、なかなかこれはいろいろな難しい問題がありますけれども、十分にこれから議論をする問題である、このように考えております。
#91
○清水澄子君 今回の改正案については、きょうの公聴会におきましても、これは大企業とか比較的安定したところに職業を持っている人たちにとってはまだ将来があるのかもわからないけれども、自営業とかパートとか非正規労働者とか、それから今後失業に追い込まれる人とか定年を迎える人たちにとっては全く希望の持てない年金であるという声も多かったわけです。
 そういう中で、私は女性の年金については毎度発言をしているわけですけれども、まず今回の年金制度改正案の「基本的な考え方」というところに、「公的年金制度を長期的に安定して運営していくためには、給付と負担の均衡を図ることが不可欠である。年金制度改正の枠組みを決めるためには、給付と負担をどのような水準で均衡させるかが非常に重要な課題である。」とうたっているわけですね。しかし、その基本的な枠組みの中には、人口の半数を占める女性の年金のあり方についてはこれは別になって、先送りになっています。そのことはまさに片肺の飛行機のようなものであって、年金制度の長期的な安定を描くことは私は決してできないと考えます。
 その上に現行の男女格差を前提としたままでの給付抑制策ですから、これがより女性に厳しい内容を押しつけてくるということになって、これは女性にとっても非常に問題が多くて、これだけでも今回の年金の改正案を通すというのは本当に私たちは許しがたいような思いがしております。
 特に、女性の年金制度の給付構造や拠出控除構造というのは非常に不公正なままでありまして、これらを抜本的になぜ改革しないか。それに取り組んでいくということが、これからの少子高齢化社会であればあるほどとても重要なことでございますので、この点についても何回も私たちは迫っていますけれども、早急に重要な問題として直ちに改革に取り上げるよう大臣にお願いしたいんですが、いかがですか。
#92
○国務大臣(丹羽雄哉君) 女性と年金の問題につきまして、この委員会で御指摘もございますし、各方面からこの問題につきましてさまざまな御意見がございますことも十分に承知はいたしております。
 女性と年金の問題の中で幾つかの問題点、例えば専業主婦の保険料の問題、一千二百万人のサラリーマンの専業主婦にもその負担を求めることが適当なのかどうか、それから遺族年金の廃止であるとか、給付水準の引き上げの制度の変更に伴う問題であるとか、それから年金制度にとどまらず、これはあくまでも民事法制における、例えば離婚時の財産分与のあり方、さらに税制における配偶者の取り扱い、こういうもろもろの社会保障など幅広く検討する必要があるのではないかと思っております。
 これは、私は早く検討しなければならないと思います。その認識は持っておりますが、いろいろこの委員会で特に女性の議員の皆さん方から御指摘を受けまして、いろいろな方にお聞きしますと、現状においても意見が、特に女性の中でも意見が分かれている。しかも、またサラリーマンであるとか労働組合なんかの方にもいろいろ聞いてみたんですが、なかなか意見が一本化しにくい面があるんじゃないかということを率直に認めざるを得ません。
 しかし、だからといって、いつまでもほっておいていいという考え方ではありませんし、基本的に、私は何度もここで申し上げておりますけれども、あくまでも女性の年金権というものを世帯単位ではなく個人単位として考えてどうやっていくかというような方向で、要するにできるものから何とか一つでも二つでも前進をしていきたい、こういう考え方を持っておるような次第でございます。
#93
○清水澄子君 時間が少なくて、具体的なことは今までも述べましたが、まだいっぱいあるんですけれども、女性の年金は集中審議してもいいくらい非常にたくさんの不公平な問題、矛盾の問題、いっぱいございます。そういう中で、一つは、どうしても女性自身が税や社会保障を負担する、担える女性になるような方向での政策にチェンジしていくということは非常に重要なことではないかと思います。
 そういう点で、難しいというんじゃなくて、実態をお調べになれば、どれならばできるということが一つずつあると思います。そういう実態の中で、例えば今、働く女性が非常にふえてきている。それから、就労形態も非常に変わってきていますし、婚姻関係も多様化しておりますね、離婚とか同棲とか単身とかシングルマザーとか。そして高齢人口は女性の方が多いわけです。それに沿った年金の内容にしなきゃいけない。
 ただ一つ申し上げておきたいのは、今、雇用労働人口の中で女性は二千百二十四万人働いているんです。しかし、その人たちの最近の傾向はもう半分以上がフルタイマーからパート、正規職員から非正規職員、派遣とかそういう労働、臨時とかにずっと切りかえられているから、ますます低賃金になっている。
 つい最近も聞いたんですが、女性は二つ仕事をする。夜の方が少し賃金が高いので、それで二つ仕事をかけ持ってやっている。そうすると、年間時間を調べたら、三千時間働いて年収三百万円だという、そういう母子家庭の実態も出ているわけです。これは私は特別なことを言っているんじゃないんです。そういう面で、非常に働く女性がふえるんだけれども、逆に低賃金の人がふえていく。非正規社員がふえている。これは労働問題だとおっしゃるかもしれないけれども。
 だから、年金の問題は総合的に早く検討しなきゃいけないことと、それからそういう非正規の人でも年金保険料を納める、厚生年金に加入できる、する道というものを開いていくことだと思うんです。それが年金財政への今後の影響ということについても大きな意味があるという面で、私はぜひパートタイマーや派遣労働の人などの非正規労働者が厚生年金に加入しなければならないような、そういう制度につくりかえていただきたい。それは法制度の上でもやっていただきたい。このことを強く要望しておきますが、大臣、これは約束をしてください。
#94
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今、委員御指摘のようなパートであるとか派遣労働者の非正規の就労者への厚生年金適用でございますが、現在でも労働時間が通常の労働者の四分の三以上の方につきましては、賃金の多寡にかかわらず厚生年金が適用される、こういうことになっておるわけでございます。常用雇用者をなるべく厚生年金の被保険者とする基本的な考え方に立ってさらに努力をしていきたい、こう考えているような次第でございます。
#95
○清水澄子君 きょうの公聴会でも問題になりましたが、厚生省の社会保険庁の資料によりましても年金の中で第一号被保険者の方が非常にふえていますね。これは、リストラやそういうことで国民年金に入る人たちの方が四・三ポイントも最近ふえているわけです。そして、その中で国民年金の免除を申請する人の数がふえてきている。それから未納者の数がふえてきている。そういう意味で、年金受給権なしの人たちの数とか、こういう今の年金状況の中で、今日の経済状況がこういう変化をあらわしているんですね。そういう中では、やっぱり基礎年金の二分の一を一日も早く実行するということが非常に重要だと思います。そのことが一つ。
 それからもう一つだけ、もう時間がないので続けて言います。
 今次の年金改正案というのは、非常に基本的な問題を先送りしている。これは、今も申し上げたように機械的に負担の見直しとか総報酬制の導入などの影響を計算している。それで、賃金上昇率は年二・五%だとか、物価上昇率は一・五%だとか、運用利回りは四%などとなって、そして国庫負担割合の問題とか第三号被保険者とか女性の問題とかパートの問題とか国民年金の加入、未加入の問題とか、そういう現状を改革しなければならないものをすべて先送りした中で、現行制度の財政面のみからの手直しとして出発している。こういう厚生省の論の立て方は、私は本当に転倒していると思います。ですから、今次の改正は私は経過措置的なものだというふうに思いますけれども、大臣はどのようにお考えになっていらっしゃいますか。
#96
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の年金法の改正は、大変深刻化する少子高齢化社会におきましていわゆる若年世代の負担を軽減する、それから将来とも確実な給付を行う、こういう観点に立って国民の皆さん方に御理解をいただきたい、こういう観点から今回の年金法の改正をお願いいたしておるわけでございます。
 同時に、先ほど来御議論になっております国庫負担の三分の一から二分の一ということでございますが、これにつきましては、私個人もかねてからそういうような主張を持っておりますし、今回の附則の中においても、安定した財源を確保してできるだけ早く二分の一に引き上げると、こういうことでございます。
 大変な巨額な財源を伴うわけでございますけれども、知恵を出して、そして国民の皆さん方の御理解を得ながらそうした方向で、いずれにいたしましても将来的に安定した我が国の年金制度を確立して、そして国民の皆さん方の不安を解消させることが最大の私どもの役割だと、このように考えているような次第でございます。
#97
○堂本暁子君 参議院の会の堂本暁子です。
 従来、年金の制度、今回四共済もありますけれども、そういった制度間の不平等、あるいは農業とか自営業とサラリーマンとの間の職種間の不平等が指摘されてきました。今回は、私は男女間の不平等に特に焦点を絞らせていただいたんですが、それでも本質は全部同じだというふうに思っています。
 前回、農林共済の問題を議題にして、そのときに農林共済のパートタイムの方は三万人という資料をいただきました。これは非常に少ないんではないか。ある広域合併した農協では六百人中二百人がパートだというのもあります。果たしてこれが実態に即しているのかどうか、非常に不思議です。年金白書によりますと、パートは、いわゆる短時間雇用者ですけれども、十年間で一・五倍にふえた、一千百十四万人中七百四十六万人が女性であるということで、大体七割が女性ですね。こういうふうに見ますと、その三万人というパートは農協では少ないんではないかと思いますが、これは三年前の資料なので、また委員会が終わったらぜひ一番直近の資料がいただければいただきたいと思います。
 先へ行かせていただきますが、パートが一カ月以上契約されていれば強制加入になっていると、農林年金では。そして、百三十万円以下でもパートとして強制加入される。近く厚生年金との統合ということが言われているわけですけれども、このように制度で全く違うパートタイム労働者は一体どのようにして扱われるのかということを伺いたいと思います。
#98
○国務大臣(丹羽雄哉君) 平成八年の閣議決定では、被用者年金制度の再編成を進めるに当たりまして、財政再計算時には将来の財政の見通しなどについて綿密な分析を行うと、こうなっておるわけでございます。このため、農林共済を含む各制度のあり方につきましても、まずそれぞれが財政再計算をしていただいて、それを踏まえて関係省庁や関係団体とも協議を行いながら具体的な検討に入りたいと思っております。
 それから、パート労働者の適用のあり方でございますが、制度間での取り扱いの違いにつきましては、共済年金制度の性格、そのほか従来の取り扱いの経緯などによるものでありますが、これらの相違をどのようにして取り扱っていくかにつきましては、今後、被用者年金制度の再編成を進めていく中で十分に検討を進めていきたい、このように考えておる次第でございます。
#99
○政府参考人(石原葵君) 総合農協の臨時職員の数でございますが、先ほど先生の方から三万人という数字をお挙げになりました。これは九年度の数字でございます。その後、まだ統計が整っておりませんで、ございませんが、九年度で九・六%ということになっておりまして、八年度が八・六%、前にさかのぼりますが七年度が八・三ということで、八・三、八・六、九・六とふえてきておりますので、恐らく十年度は九・六よりふえているものと考えております。
#100
○堂本暁子君 このように農林年金一つとりましても、百三十万以下の強制加入というのは私は存じませんでした。このようなことも、自分の入っている年金以外のところでそういうことになっているというのを全く知らないわけで、やはり余りにも複雑、余りにも情報が開かれていないというふうに思います。
 この際、前から私は言わせていただいていますけれども、制度というのはやはり単純化することが必要だ、もう日本人ならだれでも、どういう制度になっていて、いつから払えば幾らもらえるのかというようなことがはっきりわかるような情報公開を徹底的にすべきだというふうに思います。そういうような、これから完全にわかるような形にしていただけるのかどうか、その点を伺いたいのですが、いかがでしょうか。
#101
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金制度に対します国民の信頼を確保していくためには、当然のことながら年金に関する情報というものをわかりやすい形で積極的に提供して、今、委員が御指摘のように国民の間でも十分に議論を行っていく、これが何よりも大切である、こう考えているような次第でございます。
 こういう観点から、今回の改正では、現行制度の仕組みであるとか改正の考え方など、まだまだ難しいんですが、できるだけわかりやすく取りまとめた年金白書を発行するとともに、年金審議会の資料であるとか、あるいは議事録をホームページなどで公開することなどによって、国民に対し幅広く議論の素材を提供して国民的な議論の喚起に努めていきたい、こういうところでございます。
 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、今後とも、年金に関する情報公開を行いまして、国民的な議論を十分に尽くして、そして何よりも国民の皆さん方に御理解をいただかなければなりません、合意を得ながら制度の運営に取り組んでいきたい、このように考えているような次第でございます。
#102
○堂本暁子君 けさの公聴会で何人かの方の御意見の中でも、審議会の委員でいらっしゃる方でも、結構今度の改正については批判的な御意見が多いことに驚きました。
 例えば高山先生も、学生が、いわゆる収入のない人が年金に入る、そういう社会保障の制度に入るということは異常だということを何人かの方がおっしゃって、日本は非常に例外的な国であると。私もよそのことを知らなかったものですからそうかなと思って伺いました。実際に働き始めるのは、十八歳から大学院を出れば三十歳の人もいる、入り口がそういうふうにばらばらなのであれば出口もばらばらでもいいのではないかというふうにおっしゃったんですね。それを六十五歳で切ってしまうのは一体どういうことなのだろうか。そして、実際に六十歳から今度六十五歳に引き上げても、現時点では二%から三%、五万人程度である、そのことのために今景気が悪いときにむしろ労働意欲をそぐことになるのではないかということを高山先生はるるおっしゃったんです。私も本当にそこのところはそう思います。
 今回、財政的な理由からの改正というのは理解いたします。しかし、この間ずっと申し上げてきたように、今回の改正では不公正はどうも十分に是正されない。これは女性の問題だけではないです。いろんな是正が必要だと思う。
 例えば、きょうの公聴会でもう一つ印象に残ったのは零細企業。会社に勤めていても会社が厚生年金に入らないそういった零細企業では、夫と妻はともに一号の被保険者になる、そうすると同じ妻の立場にいてもむしろ収入が少なければ少ないほど二万六千円の保険料を払うわけです。それに対して、大企業だったら妻は免除されている。こういう不合理が実際に出てきているわけです。これは別に女性の問題ではなくて、やはり男性でも同じだと思います。厚生年金に入れなくて第一号の被保険者になるというようなことがあるということをきょうおっしゃいました。
 私がそこのところで、るる今までにも申し上げてきましたけれども、どうしても今回やればやるほどだんだん納得がいかなくなってきている最大の理由は、こういう保険制度を続けていると社会保障のあり方というのが、一号、二号、三号の間の不公平あるいは制度間の不公平、それから一番大きいのは職種間の不公平、そしてどう考えてもやはり貧しい人の方にしわ寄せが行くようなことに、この零細企業の場合をとっても間違いなくなっていると思います。実態を考えるとそうだと思うんです。それから、農村の女性の場合もそうだというふうに言えます。
 従来の制度というのは高度経済成長期に生産と企業に利するような形で寄与してきた、これは事実だろうというふうに思うんです。七五年の改正については、大臣は女性に年金権を与えた改正なのだと何度もおっしゃった。確かに年金権は与えられたかもしれない。しかし、その改正ゆえに性役割の分担、男は仕事、女は家庭という性役割が固定化したことが一つ。そして、そのために男性が会社人間化せざるを得なかった。だから、過労死とか五十歳の自殺なんというのは本当に苦しいことなんですが、それがそういう形で出てきた。女性の意見が分かれるとおっしゃいますけれども、女性の意見が分かれるという問題よりも、こういう制度のための社会構造がやはり晩婚化を生み、少子化を生んでいるということを一番最初のときに申し上げました。
 ついさっき見つけた資料なんですけれども、私がなぜこのことが今回の改正に入らないことに大変不満を抱いているかといいますと、社会保障制度審議会の九五年の準備作業として九四年九月に出された社会保障将来像委員会第二次報告というのがあります。
 その中でどう言っているかというと、妻は家庭内にとどまり夫に扶養されるのが一般であった家族の姿を前提とした社会保障、税制などの社会制度を見直し、主として常用の男子労働者を念頭に置いて構築されたこれまでの社会保障制度を再編し、世帯単位中心のものからできるものについては個人単位に切りかえることが必要である。
 これは九四年です。五年前に言われている。五年前に言われているにもかかわらず、今二〇〇〇年ですね、もう六年たっている。なのに、これはこれからの課題でございますというふうに厚生省も大臣もずっと答弁されている、これから審議会でやります、これは五月になったらやりますと。これは、女性の問題でも学生の問題でも何でもなくて、やはり日本の社会構造の問題だろうと思うんです。高度経済成長期の社会構造から低成長期の社会構造への転換をするために一体どうあるべきなのかということだと思うんです。
 私は、もうこのことで多くを述べるつもりはないんですけれども、やはり審議会のあり方自体も間違っていると思います。審議会の中にどういう方が入っていらっしゃるかというと、専ら学識経験者が七人、それから組合、労働界から四人。一号被保険者の妻の立場とか零細企業の事業主の方とかそういった方は、意見は聞くのかもしれませんが、審議会のメンバーには入っていない。だから、意見を聞き及んでそれで終わってしまう。農村の妻の立場で入っている方がおられるでしょうか。そういった方もおられない。
 これでは、私は、抜本的な改革をしない限り女性の問題だけに特化してもだめである、あくまでも抜本的な問題を解決しない限りこういった矛盾を次から次へとまた引きずって五年、十年とたっていったときに社会自体が非常に疲弊するというふうに考えますが、大臣がそこでいつも申していますけれども、これは意見が合う合わないの問題ではない、やはり大臣の決断だと思います。政治の決断が必要です。そうでない限りできないと思っておりますが、はっきりしたお返事をぜひともいただきたいと思います。
#103
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員からさまざまな問題点の御指摘がありました。
 一部の御意見については私もなるほどなという部分がないわけではございませんが、一部についてはそこまでお考えになるのもちょっとどうかなということが、率直な話、私なりに考えました。
 ただ、大切なことは、今いろいろな問題がありますけれども、将来にわたってこの年金制度というものをどうやって長期的に安定させていくかという問題でありますし、それから、委員からはたびたび指摘されておることは、女性のいわゆる社会進出というのが年々進む中において、自立して働く女性という視点で年金制度のあり方を考えて、年金制度というものを基本的に世帯単位中心から個人単位に組みかえていく、こういうようなこともあったわけでございます。
 私も基本的にその方向が望ましいということをこの場で申し上げました。そして、実際に個人単位化を進めた場合にはいろいろな、先ほどから申し上げておりますが、これを言うとまたおまえはぐずだと、こうおしかりを受けるようでございますけれども、率直に申し上げて、私は別段いろいろな御批判というものを一身に浴びることはやぶさかではないんですが、やっぱり国民の皆さん方の大勢の御意見といいますか、成熟していかないと実際問題なかなか難しい問題であると。
 何も選挙が怖いとか一部団体が怖いとか、そういうことではなくて、やっぱりまだまだ十分にこの問題について、例えば女性のさまざまな問題について御議論をいただきたいということであって、先ほどからずっと皆さん、私の方に注目していただいていますが、皆様方の御主張は御主張として私なりによく理解できます。しかし、まだまだ国民全体の中においてさまざまな意見があるということも、ぜひともこれも御理解をいただきたい。
 そういう意味において、ぜひともやっぱりこの問題を、この年金というものは大変大きな問題でございますし、女性のいわゆる就業の実態であるとか、あるいは社会におけるさまざまな問題というものをすべて年金に絡ませるという考え方にはいささか、ちょっと首をかしげるんですが、いずれにいたしましても、私どもと先ほど来委員あるいは女性委員の方々が指摘している方向性は変わらないわけでございますので、私も精いっぱい努力をしていきたい、このような決意でございます。
#104
○堂本暁子君 女性のことを言っていましたから女性のことでお答えくださったんですが、女性の問題だけではないと思います。
 私は、北海道から沖縄の先まで国民の方がよっぽど成熟していると思うんですよ。私が六十五歳になったときに、六万七千円しか年金が来ないのか、それとも二十万円一生来るのか、これはその人の人生にとって大変なことです。だから、そういった意味で、みんながわかっていない、まだ成熟していないというのは、それは違います。成熟しているからこそ今不安なんです。成熟しているからこんな複雑で何がどうなっているかわからないということが不安につながってきているわけなんです。だから、私は情報公開をもっとしてくださいと申し上げているわけです。
 この間たまたま子供の手記を読んでいたら、農村のことを読んでいたら、きょう局長いらしてくださったのであえて言わせていただきますけれども、小学生の子供です。母ちゃんの手はしわだらけだ、よく働いている。私は大きくなったら働かなきゃいけない、だけど母ちゃん見ていると嫌、絶対嫌と書いている子がいる。そういうものです。子供たちはみんな見ています。今の両親がどういう年金のもらい方ができるのか、おばあちゃん、おじいちゃんがどうなっていくのか、それを見ているわけです。
 だから、私は十分、成熟という言葉は当たらないかもしれないけれども、その一人一人にとって切実な問題だということだけは申し上げられる。だからこそみんな必死になって、私たちも必死になって申し上げるのは、何もこの制度が社会全体を変えるものではないというふうに今、大臣おっしゃいましたけれども、私は相当影響があると思いますね。
 この間会った女の人は、私は強制的に保険を払うことをとめられましたという言葉を使いました。一万三千円それまで払っていた、八五年から払うことをとめられた、私は従属的な立場に置かれたんですと。これはお金の計算ではないんです。夫に従属した立場に妻が置かれてしまった、それを国によって強制されたという意識を彼女は持った。
 これは別に女の問題だけではない、零細の方もそれから農村の女性たちも、そして学生も長いこと研究して働いていない人もいる。そういった人たち一人一人にとって、だれもが不公平ではない、きちんと保険料を払えばきちんといずれは年金が幾らもらえるんだということがわかるような単純な、私は税金方式には反対ですけれども、基礎年金も私は保険でやるべきだと思っていますが、少なくとも日本人だれもが平等だと感じる改正をこれから可及的速やかに、できるだけ早い時期にしていただきたいというお願いをして、もし御決意を伺えればあれですが、もう時間が来ていると思いますので、一言だけ伺って、やめさせていただきたいと思います。
#105
○国務大臣(丹羽雄哉君) 年金だけでなく、社会保障の中において全く矛盾点がないと言ったらうそです。正直申し上げて、今御指摘のいわゆる自営業者の問題も社会保障の中でいつも、これは医療においても同じことでございます、なかなか所得の把握がしにくいんじゃないかとか、あるいは税制上の問題であるとか、さまざまな問題点がありますけれども、私はやはり、委員が御指摘のように、国民の皆さん方だれしもが納得して社会保障、いわゆるお互いに支え合うということに協力していただけるような方向を目指してやっていかなければならない、こういうような決意を持って一歩一歩、なかなか厳しい道でございますが歩んでいく決意でございます。
#106
○西川きよし君 どうぞよろしくお願いいたします。
 私は、本日は、平成十年に出されました総務庁の行政監察に対する厚生省の回答を読ませていただいたんですけれども、その中から、いろいろ今回のこの改正案の中におきまして、例えば学生さんの保険料の納付のあり方、この行政監察の勧告に沿うような改善も盛り込まれております。そうした中で、二十五年という加入期間が不足するため基礎年金の受給権が発生しない、こういう方に対して特例的に減額年金を支給する制度の導入については盛り込まれておりません。
 この問題については、昨年も私は質問をさせていただき、たびたび諸先生方からも御指摘がございましたけれども、まずこの問題に対してどのような検討が行われたのか、お伺いしたいと思います。
#107
○政府参考人(矢野朝水君) 行政監察の指摘を受けましていろいろ内部で検討をいたしたわけでございます。
 ただ、この二十五年という資格期間を短縮するという問題につきましては、これは二十歳から六十歳の間の四十年間の中での二十五年ということでございまして、決して無理な期間ではないんじゃないか、あるいはまたこれを短縮いたしますとかえって未納・未加入者がふえるんじゃないか、あるいはまた年金財政にとりましても保険料収入が減って運営が厳しくなるんじゃないか、こういったいろいろな問題点がございまして、今回の改正では具体的にこの問題は取り上げなかったところでございます。
#108
○西川きよし君 私が質問させていただいたのは昨年の三月三十日でございました。その二カ月後の五月二十八日、神奈川県平塚市の年金担当者、五十九歳の男性の方ですけれども、新聞でも大きく報道されておりました、年金殺人事件というような報道がございました。大変お気の毒な事件でございましたけれども、この事件の背景には年金上どういう問題があったのか、御答弁いただきたいと思います。
#109
○政府参考人(小島比登志君) お尋ねの事件でございますが、被害者が二日後に死亡しているために詳細は不明なところが多いわけですが、お尋ねのように、昨年五月二十八日、この事件の加害者が神奈川県の平塚市役所に年金相談に訪れました。年金担当者はこの加害者に対しまして、六十歳まで保険料を支払っても年金を受給するために必要な資格期間を満たさないため年金受給に結びつかないということ、それからさらに六十五歳までの高齢任意加入によりまして年金を受給するために必要な資格期間を満たすことができる、その旨を説明いたしましたが、加害者は納得せず、これまでの支払い分を返すように主張したことからこの事件に至ったというふうに承知をしております。
#110
○西川きよし君 犯罪は犯罪として本当に厳正に裁かなくてはいけないと思うんですけれども、報道によりますと、この事件の背景には、ただいまの御答弁にもありましたように、二百五十一カ月分の保険料を払いながらも給付を受けることができなかった、つまり二十五年、三百カ月というようなことが達成されていなかったわけですけれども、この件に限らず改めて検討が必要ではないかというふうに思うわけです。
 この監察の報告書にもありますけれども、既に適用している被保険者の中にも、平成八年度以降の保険料を納付しても老齢基礎年金の受給資格が生じない者が何と三万九千人いるという、これは厚生省の調査でございますけれども、厚生省ではこの数字自体をどういうふうに受けとめていらっしゃるんでしょうか。
#111
○政府参考人(矢野朝水君) これまで二十五年の資格期間を満たせるようにということで、例えば最大七十歳まで任意加入できる、あるいは過去の海外在留期間をこの二十五年の期間に含める、あるいは第三号被保険者につきましては届け出を行えば過去にさかのぼって保険料納付期間に算入する、こういったいろいろな手を打ってきたわけでございますけれども、まだ四万人近くの方がいらっしゃる。こういう方は、過去の未納・未加入期間が長いために、障害年金とか遺族年金には結びつきますけれども自分の老齢年金には結びつかないということで、非常にお気の毒な方でございます。
 こういった方につきましては、なかなか難しいんですけれども、やはり本人に納得していただけるということが大事じゃないかと思っておりますし、それからまた、より根本的には、年金の広報といいますか、こういった問題にもっともっと取り組んでいかなきゃいけない、こういう認識をいたしておる次第でございます。
#112
○西川きよし君 今、矢野年金局長も御答弁いただきました障害基礎年金、遺族年金という部分の受給可能性はよくわかるんですけれども、それまでには本当に長年にわたり保険料を日々朝早くから夜遅くまで一生懸命働いてこつこつと納めたわけです。実際に多くの市町村の窓口では、こうした方々を適用するのはまことに困難であるということでございます。自分に責任があるといえばあるのかもしれませんけれども、そのあたりをよくお考えいただいて、過去はどうあれというのは言い過ぎかもわかりませんけれども、過去はどうあれ、まじめに保険料を支払っている人の努力が報われるように年金制度としてこたえてもらいたいというふうに我々は思うわけです。
 再検討の余地というのはいかがなものでしょうか。これは厚生大臣にお答えいただきたいと思います。
#113
○国務大臣(丹羽雄哉君) ぜひとも御理解をいただきたいのは、年金制度というのは、長い間保険料を納めていただいて、そしてそれに対して老後に給付を受ける、こういう仕組みである、こういうことでございます。本来、この公的年金は、二十から六十歳までの四十年間加入していただく、こういう上で受給していただくということでございますが、最低二十五年間は保険料を拠出していただくということは、先ほど局長からも答弁がございましたけれども、必ずしも長過ぎる期間ではない、こう考えております。
 ですから、私は委員の御指摘は、大変心の優しい委員でございますからこれはわかるんですが、やはり年金制度というのはそういう仕組みで、それがなければ年金制度というものは成り立たないんだということもぜひとも御理解を賜りたいと思っております。
#114
○西川きよし君 御丁寧な御答弁、ありがとうございます。僕も一生懸命日ごろ大臣の御答弁をお伺いしておりますけれども、何とかそのあたりを、一回と言わずに何回も何十回もこうして質問をさせていただいているわけでございますけれども、どうぞよりよい方向に向けていただければというふうに思います。
 次に、免除制度についてお伺いをしたいと思うんですけれども、半額免除制度、そして学生納付の特例制度がこの改正案に盛り込まれております。この点について、昨年の委員会で行政監察の勧告内容に沿って質問させていただいたわけですけれども、一つは生命保険料など支払い額を免除の可否の判断要素とする方式の見直し、そして二つ目は申請免除に係る審査、決定の厳格な実施についてという点でございますけれども、矢野局長の御答弁では抜本的に改善をするということでございましたけれども、いかがなものでございましょうか。
#115
○政府参考人(矢野朝水君) 先般の御質問を受けまして、抜本的に改善すべく見直しをやっておるわけでございます。特に、今回の改正で半額免除制度ですとか学生の納付特例制度、こういった制度が今回新たに設けられるわけでございます。したがいまして、こういった問題とあわせまして、免除をもっとわかりやすい基準にする、わかりやすい仕組みにする、簡潔な仕組みにするということで今検討を進めております。
#116
○西川きよし君 次に、法定免除についてお伺いしたいと思います。
 まず、この法定免除について御説明いただきたいと思います。
#117
○政府参考人(矢野朝水君) これは、国民年金が昭和三十六年に発足したわけでございますけれども、国民年金は自営業の方とか農家の方とか所得がある意味では非常に不安定な方、こういった方も多数含まれておるわけでございます。しかも四十年間加入しなきゃいけない、こういうことでございますので、そういった場合に保険料納付が所得が下がってできない、こういった方については免除制度というのを設けたわけでございます。その中でも、こういった方はもう保険料納付は非常に難しかろうということで、法定免除ということで、法律に該当すれば即自動的に免除を受けられる、こういう方が法定免除ということでございます。
 具体的に言いますと、障害年金の受給権者であること、それから生活保護法による生活扶助等を受けている、こういった方につきましては当然免除が受けられるということでございます。しかし、こういう方でも希望すれば納付するということは、これは自由でございます。
#118
○西川きよし君 最後の質問になりますが、厚生大臣に御答弁をいただきたいと思います。
 この法定免除の対象になっている、よく聞いていただきたいんですが、例えば障害年金の受給者、特に内部障害の方などは、障害の程度が軽くなって障害の状態ではなくなることがあるわけです。この場合は、当然ながら障害年金は打ち切られることになるわけですから、その後、高齢になったときにこの免除期間については三分の一の給付となってしまいます。この点で、幸いに障害が軽くなったものの、その後の生活状況を考えたときにはこれはまた大変老後が不安であるという声がたくさんございます。この法定免除期間につきましては、三分の一ではなく三分の三の保障をするべきではないかなと私も思いますし、意見もたくさんございます。なかなか満額をと申しましても、はい、そうですかというふうにはお答えはいただけないと思うんです。
 そこで、国庫負担が二分の一となりましたときにはこのようなケースにおいても二分の一は保障されると我々は理解してもよろしいんでしょうか。この御答弁を大臣にいただいて、質問を終わりたいと思います。
#119
○国務大臣(丹羽雄哉君) 保険料免除期間につきましては、この老齢基礎年金の算定に当たりまして国庫負担分に対応する三分の一の給付がなされていると。
 御質問の趣旨は、国庫負担を二分の一に引き上げた場合にはどうか、要するに免除期間の取り扱いはどうなるのか、こういうことだと思いますが、これはまだ実際問題としていつ、私は先ほどからできるだけ早く二分の一を実現しなければならないということを申し上げておりますけれども、仮定の話でございますけれども、国庫負担の引き上げの時点でこの取り扱いについては当然検討しなければならないと思います。私といたしましては、国庫負担の給付というのは、三分の一が二分の一になった場合には、やはり従来どおり二分の一で行われるというのが筋かなと、こういう気持ちを持っておるような次第でございます。
#120
○西川きよし君 ありがとうございました。
#121
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、十五分間休憩いたします。
   午後五時三十分休憩
     ─────・─────
   午後五時五十五分開会
#122
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。(発言する者多く、議場騒然)開会いたします。
 ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。……(議場騒然、聴取不能)……山崎さん……(議場騒然、聴取不能)
#123
○山崎正昭君 私は、国民年金法等の一部を改正する法律案、年金資金運用基金法案、年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案、国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案、私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案、農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案及び地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案を議題とし、七案の質疑を終局することの動議を提出いたします。(発言する者多く、議場騒然)
#124
○委員長(狩野安君) ……山崎さん……(議場騒然、聴取不能)……本……されました。……
#125
○山本保君 私は、……(議場騒然、聴取不能)平成十一年……どうぞ御賛同いただきたいと思います。
#126
○委員長(狩野安君) ……(議場騒然、聴取不能)
#127
○山崎正昭君 私は、七案並びに修正案についての討論を省略し、直ちに七案一括して採決に入ることの動議を提出いたします。
#128
○委員長(狩野安君) ……(「賛成、賛成」と呼ぶ者あり、その他発言する者多く、議場騒然、聴取不能)
   〔委員長退席〕
   午後六時
     ────・────
  本日の本委員会における再開後の議事経過は、次のとおりである。
  ○国民年金法等の一部を改正する法律案(第百四十五回国会閣法第一一八号)
  ○年金資金運用基金法案(第百四十五回国会閣法第一一九号)
  ○年金福祉事業団の解散及び業務の承継等に関する法律案(第百四十五回国会閣法第一二〇号)
  ○国家公務員共済組合法等の一部を改正する法律案(第百四十五回国会閣法第一二一号)
  ○私立学校教職員共済法等の一部を改正する法律案(第百四十五回国会閣法第一二二号)
  ○農林漁業団体職員共済組合法等の一部を改正する法律案(第百四十五回国会閣法第一二三号)
  ○地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律案(第百四十五回国会閣法第一二四号)
    右七案を議題とし、質疑を終局した後、いずれも修正議決すべきものと決定した。
ソース: 国立国会図書館
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