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2000/04/20 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第16号
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2000/04/20 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第16号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第16号
平成十二年四月二十日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任   
     千葉 景子君     佐藤 泰介君
     柳田  稔君     吉田 之久君
 四月十九日
    辞任         補欠選任   
     尾辻 秀久君     平田 耕一君
     吉田 之久君     柳田  稔君
 四月二十日
    辞任         補欠選任   
     平田 耕一君     尾辻 秀久君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省年金局長  矢野 朝水君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
〇社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン
 及び北部アイルランド連合王国との間の協定の
 実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する
 法律案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、千葉景子君が委員を辞任され、その補欠として佐藤泰介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省年金局長矢野朝水君及び社会保険庁運営部長小島比登志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(狩野安君) 次に、社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案を議題といたします。
 本案につきましては既に趣旨説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○今井澄君 民主党・新緑風会の今井澄でございます。
 本日議題になっております法律案につきましては、大変いいことであり、遅きに失したということもないんですけれども、速やかに成立させて、年金の二重払いがなくなる、こういうふうにしていくことは大変いいことだと思っているわけです。
 ところが、日本はようやくことしドイツとの協定が発効したわけですね。これは二年前に協定を結んで、これで二カ国目だと。調べてみますと、諸外国、特に欧米諸国は一番少ないアメリカでも十七カ国と結んでいて、そのほかでは二十カ国とか三十カ国とか、フランスなどは四十六カ国と結んでいる、そういう状況にあるわけです。
 日本がこういうふうに年金協定を結ぶのが欧米諸国に比べて著しくおくれている原因をどうお考えになるのか、また今後の見通しについてどういうふうに考えておられるのかをお尋ねしたいと思います。
#7
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、ドイツでございますけれども一九六〇年代の後半から、さらにアメリカにつきましては一九七〇年代の後半から、年金当局間において意見の交換を断続的に行ってきたところでございます。
 なぜ諸外国との年金協定が少ないのか、こういうような御指摘でございますけれども、率直に申し上げまして私ども日本側の体制が必ずしも十分でなかったこと、またアメリカにつきましてはかつて先方から交渉中断の申し出があったことなどによりまして、各国との調整に時間を要しまして、一昨年の四月に我が国として初めてドイツとの間で協定の署名に至ったところでございます。
 これまでドイツ、アメリカ、イギリス以外にも八カ国から協定交渉開始の申し出が現になされているところでございます。厚生省といたしましては、今御指摘のようなことも十分に踏まえまして、二年前に国際年金企画室を設置いたしまして、現在、専任のスタッフも八人の配置に至っております。
 こういうように十分に対応できるようなさまざまな体制を整えておりますので、今後は相手国との人的交流状況であるとか、相手国の年金制度の仕組みなどを総合的に十分に検討の上、優先度の高いものから順次対応をし、できるだけ早く協定の締結を目指していきたい、このように考えているような次第でございます。
#8
○今井澄君 私は、日本が諸外国との年金協定で大変おくれているということを単に責めているわけではないんです。欧米諸国はそれなりに昔から地理的にも、地理的に近いということは非常に大事なことですし、文化的にも風土的にも言語的にも近いと。特に、こういう社会保障制度はヨーロッパを中心に始まったわけですから、そういう国の間でどんどん進んでいるということはこれは当然のことだと思います。先ほど例に挙げましたフランスが四十六カ国とも結んでいるというのは、これは旧植民地との間で片っ端から結んだということもあってこういう数になっているわけですから、数だけで私は日本が少ないということを責めているつもりは全くないんです。
 むしろ、今度のこの協定のことを勉強してみますと、今の大臣の御答弁にもあったように、ドイツとはもう三十年かけてやってきて、やっと二年前に結んだという御苦労もわかりますし、アメリカの場合も一九六五年に向こうから申し出があったんですか、もう三十数年前に向こうから申し出があって、交渉をしながら、途中アメリカがいわゆる双子の赤字ということで苦しんでいる時期に逆に向こうから中断の申し出があったと、こういう経過があったということもわかるわけであります。
 私は、これは非常に大変なことだと思うんです。特に日本はヨーロッパとも遠いし、アメリカとも遠いし、飛行機で行くだけでも大変な時間と体力を消耗するし、今度は何かお聞きしますと国家公務員の飛行機のランクが下がるという法律もありまして、幾ら若いとはいっても現地に行かれる担当者の皆さん、私は大変御苦労なことだと思っているんです。ですから、そういうことについても、ある意味では国民の前にこういう大変なことをやっているんだということをはっきりさせるべきだと思うんです。
 そういう意味からいうと、私は、大臣、この年金白書はけしからぬと思うんです。極端に言うと、うそとは申しませんけれども情報開示がされていない。昨年つくられた「二十一世紀の年金を「構築」する」という、過日この改正法案が強行採決されましたけれども、それを主体とするものの中にも、ちゃんと「年金の国際化」というのを一項目設けて、四ページにわたって書いてあります。二百四十ページからです。
 ここで私は、うそとは申しませんが情報開示がされていない、こういうことをやってはいけない、インチキだということを申し上げたい点が、二百四十一ページの表の下、これはドイツとの協定のことで、「この協定は、平成七(一九九五)年九月に政府間の協議を開始し」と書いてあるんです。確かに政府間の協議が正式に始まったのはこの年でしょう。だけれども、実は三十年前から開始されて、長い経過の後、やっと政府間のきちっとした協議に平成七年、一九九五年にたどりついて、そして一九九八年に承認をされた、こういうふうに書くべきじゃないですか。私は、これこそ情報公開だと思うんですね。
 もう一つ、アメリカもそうですよ。二百四十三ページの上から四行目、(3)アメリカ、「アメリカとの間では、平成八(一九九六)年五月に準備会合を開催し、」、まるでここから始めたみたいじゃないですか。
 こういう表現というのを大臣はどう思いますか、情報開示の観点から。悪意とは思いませんけれども、これはまさに国民をだますことになっているんじゃないですか。
#9
○国務大臣(丹羽雄哉君) この表現につきましては、私、実は初めて拝見するものでございまして、もしお許しいただければ、厚生省の局長もいらっしゃいますものですからちょっと答弁させていただいて、真実を明らかにした方がより情報公開といいますか国民の前に明らかになると思いますのでひとつお許しいただきたいと。協議いただきたいと思います。
#10
○今井澄君 私は政府参考人には答弁を求めておりませんので、ではそれは後刻調査の上、御報告を願いたいと思います。
 私はそういうふうに思いますよ。こういう表現をするところにある意味でいったら今の役人の皆さんの、悪意ではないにしても、国民に知らせないで、自分たちに任せておけと、やっているからいいという思い上がりがある意味ではあると思うんですよ。こんな苦労をしているということをざっくばらんに見せる中で、国際協定は非常に結ぶのが難しい、やっとここまで来たことを褒めてくださいぐらい言ったって私はいいと思うんですね。そういう点をどうしても申し上げておきたいと思います。
 それから、今後の見通しをお聞きしたんですが、アメリカとは精力的にやっていただく。これは最大の日本人の行っている国ですから大事なことだと思いますし、フランスとも協議が続いているのはいいんですが、韓国の名前を聞かないんですね。今度結んだイギリスは韓国とも最近結んだようですし、韓国からも最近申し出があるんです。やっぱりこの近い韓国との協定についても、これは一昨年ですか金大中大統領も見えて国会で演説されて非常に我々に感銘を与えてくれましたし、この国とはできるだけきちっとやった方がいいと思いますので、私の方から要望しておきたいと思います。
 そこで次の質問に行きますが、こうやって見ますと二国間協定にならざるを得ないというのは私はわかるような気がするんです。年金制度はそれぞれの国によって随分制度が違う。そうすると、何か国際協定をつくっていきなりぽんと結んでしまえば全部できるというわけにもいかないということはわかるんですが、それにしても余りにも大変ですね。一国一国、こうやって行っては会議を重ね、しかもこれは公式に政府間協議とか何かのほかに随分現場の皆さんが、電話だけではらちが明かない、書類だけではらちが明かないというので、場合によっては行き来しているんじゃないかと推測をするんですけれども、大変なことだと思います。
 国家公務員の削減などという、これが私は必ずしもいいと思わないんですけれども、そういう中で、少ないスタッフでやるというのは非常に大変だと思いますので、もし大枠や基本を国際協定でやって、そしてあとは詰めていくということになると非常にやりやすいんじゃないだろうか。外交について私は必ずしもプロではありませんが、素人判断ながらそう思うわけです。
 そこで、一九九六年に当時の橋本総理がリヨン・サミットで世界福祉イニシアチブというのを提唱されたわけです。橋本元総理は、厚生関係、社会保障の御専門であったということがあって、もっと国際的に社会保障の分野で連携していこうじゃないかと。年金という言葉もリヨンでの橋本元総理の会見の中にはあるわけなんですが、その後、進んでいるのを見ますと、後進国支援と、あとは先進国間の老人医療をどうするとか高齢者問題をどうするということになっているようですが、この辺はどうなんでしょうか。せっかく橋本元総理がこういうことを提唱されて、翌年のデンバー・サミットでもそれが合意書にもなったわけで、そこにも年金という言葉は入っているんですね。
 丹羽厚生大臣としては、こういう大きな枠組みの中で、例えば年金協定の問題とかあるいはその他にもいろいろあると思うんですね、国際交流が激しくなってきていますから。そういうことについての提案とか前向きに進めるとか、そういうことのお考えはないでしょうか。
#11
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、委員の御指摘の前に、先ほどの取り扱いでございます。
 これは、私どもが国会運営について口を挟むべき立場でないことは十分承知いたしておりますけれども、当然のことながら、今、委員の方からこういう御指摘を受けたことに対して、私どもは厚生行政を推進する立場の者として、非は非として認め、是は是とするというふうに認めると。後でいい、我々は認めないと、こういうことでございますが、私は、本来の国会というのは、やっぱりそういういろいろな問題について議論をすることがあれば、これをすべてしゃくし定規に考えるということは、私個人の意見でございますが、いかがかなと。
 こういう点につきまして、後でと言われていましても、どういう機会が担保されるかわかりませんので、そういう場合については十分に、私個人のあくまでも希望でございますけれども、なかなか私自身がすべて掌握できない部分もございますので、そういった部分について何か発言をする機会をぜひとも検討していただければ幸いだと思っております。
 それから続きまして橋本総理の構想、いわゆる橋本構想でございますが、社会保障につきましては、開発途上国に我が国のこれまでの経験を伝え、国づくりを支援するなどを目的としたものでございまして、二国間の年金協定の推進といった個別分野の課題を扱うものではございませんけれども、いわゆる二国間の年金協定の締結を促進するためにはその原則などを定めました多数国間の基本協定を締結すると、こういうような御提案については私は十分に傾聴すべき意見だと考えております。
 この点につきましては、既に一九八二年に社会保障制度の二重適用の防止、さらに加入期間の通算措置を含んだ二国間協定の締結協力を加盟国に義務づけるILO百五十七号条約が採択されておるわけでございます。十八年が経過をした現在でも締約国はわずか三国にとどまっており、我が国を含めました多くの国は批准していないというのが現状でございます。
 委員も御指摘になりましたけれども、その背景には、社会保障制度は国ごとの制度の違いも大きいために時間がかかっても粘り強く二国間での実質的な交渉を行うということが避けられないこと、さらに既に先進国の多くは社会保障協定を数多く締結しているために多数国条約のインセンティブがないといったような実情が挙げられるような次第でございます。
 いずれにいたしましても、我が国といたしましては当面は二国間で個別に対応していかざるを得ないと、このように考えているような次第でございます。
#12
○今井澄君 最初に大臣が言われたことについては、私も個人としてはこういう法案とか政策の審議というのはいろんなレベルがあるだろうと思っているんです。ですから、政策判断の問題、あるべき方向の問題の審議だけではなく、私なども例えば介護保険法の見直しで半年間保険料を取らないことができるなんというのはどう見てもあの条文から読めないものですから、今、これは介護保険法の逐条審議をやって、立法趣旨もきちんと押さえておけばよかったなと後悔しているところですので、逐条審議とかそういうことも今後随時取り入れるべきだと思っているんです。
 ですから、そういう場合は何も大臣にこだわらずに政府参考人とか何かに答えてもらうのも私は必要だと思います、現にこの年金白書を執筆されたのは厚生省のお役人だということはわかっているわけですから。私はそういう気持ちはあるんですよ。あるんですけれども、今、国会改革が始まったばかりのところなんですね。ですから、私どももちょっとかたくなかもしれませんけれども、そういう趣旨です。私どもも党内ではそういうふうにやろうという提案をしておりますのでいずれ、いつまでもこういうことでいくというわけではありませんので。
 ちょっと言い過ぎたかもしれませんけれども、私などはそういう点は積極的に提案している方ですので、御理解をいただきたいと思います。
 さて、今、大臣から御紹介いただきましたILO条約第百五十七号、私もきょうの質疑の前に厚生省の方からこのことの御説明をいただきました。私もこの間、ネクスト・キャビネットの方で、実は厚生省と労働省も担当させていただいて、労働行政も勉強させていただいたんですが、意外とこの社会保障の問題の国際的な枠組みについてはILOがよくやっているんです。そういう意味では、今度厚生労働省となる。何でこういう省になるのかなと私は疑問に思っていたんですが、フランスも雇用・連帯省ということで一緒になっていますし、ILOなどのこういう活動を見ますとむしろ積極的に厚生省と労働省が連携しながらやっていくことが必要かなという感じがいたします。
 ただ、先ほど大臣も御答弁のように、これには三カ国しか入っていないと。批准した国が最も進んでいる国の一つのスウェーデン、そういってはなんですけれども社会保障が未成熟な国が一方に入っているということで、なかなかこれだけではうまくいかないかなと。
 しかし、一方ではILO条約第百五十七号があって、もう一方に橋本元総理が提唱された世界福祉イニシアチブというのがあるわけですから、この際、厚生大臣としてもぜひそういう国際的な視野でのそういう枠組みづくり、これはさほど効果が上がらないのかもしれない。特に年金というのは非常に細かい実務的なことがありますので、多国間条約、国際協定で解決するとは私も絶対思いませんけれども、やはりこういう点、各国が不都合を抱えている、あるいは特に発展途上国が急速に年金制度その他社会保障制度が成熟してくるという過程で、ただ教えてあげるとか、失敗の経験を伝えるとかいうだけじゃなくて、やっぱりこういうことの努力をしていただきたいと思います。
 さてそこで、ドイツとの間では二重払いを避けるということだけではなく、年金保険料の払込期間の通算協定も結んだわけですね。この二つがやっぱり国際協定を結ぶ二つの軸だと思うんですが、今度のイギリスとの間では通算ができなかった。これはやっぱりかなり決定的な問題だと思うんです。
 お聞きしますと、これは相手国の都合があって、イギリスが最近結んだ韓国とかカナダとかとは通算しなかったからということのようです。だけれども、イギリスではそれ以前に二十何カ国ですか結んでいるところの中では、大部分通算協定を結んでいると聞いているんですけれども、今後もイギリスとの間で通算協定を結んでいく、あるいは今交渉中のアメリカやさらにフランス、先ほどお願いしました韓国などとも通算協定を含めて結んでいく方向で、イギリス等も含めてそういうふうにおやりになるお気持ちがあるか、またそういうことを、ILOのこれにもあるわけですから、そういうことでも国際的に提案されていくおつもりがあるかどうか、お答えいただきたい。
#13
○国務大臣(丹羽雄哉君) 日本とイギリスの年金制度の二重加入を防止するとともに、両国制度に加入いたしました方の年金の加入期間を通算し、年金の受給権を確保することは大変重要な課題である、このようにまず認識をいたしておるような次第でございます。
 しかしながら、イギリスにおきましては、近年、今、委員からも御指摘がございましたように、新たに締結する協定は二重加入の防止に限定した内容とする、こういう方針をとっており、残念ながら日本との間においても年金加入期間の通算措置を今回の協定の対象に含めることはできない、こういう立場を貫いてきたところでございます。年金加入期間の通算の問題につきましては、日英両国とも今後さらに検討していくことで合意はいたしております。
 今回、二重適用防止に限定いたしましたイギリス側の考え方に立てば、今ございましたようにほかの諸国ともそういうことをやっているようでございますので直ちに実現可能とは言いがたい状況にございますが、日本側としては、本協定の締結後、時期を見て意見交換を行っていきたいと考えておりますし、そのほかの国につきましては当然のことながら二重加入の防止といわゆる年金期間の通算の両方で臨んでいきたい、こういうことでございます。
#14
○今井澄君 ぜひそういう方向で、通算協定も結べる方向で、イギリスともまた一定期間を置いた後、再交渉をお願いしたいと思いますし、それを原則として今後努力をお願いしたいと思います。また、そういうことを世界的なみんなの共通の認識というか方向として、繰り返し申し上げておりますが、世界的な枠組みとしてやられる方向でイニシアチブを発揮していただくことを期待します。
 ところで、先ほどからの話の中で、この年金協定を結ぶ上では各国の年金制度の間の違いということが非常に問題になってくるわけです。それぞれの歴史があって制度は違うわけですが、私はこれは年金法改正案の質疑の中でも問題点として取り上げましたが、我が国の年金制度が欧米の年金制度と比べて著しく違っている点の特徴の一つが今度のこの通算の問題でもあるわけですね。それは、我が国では年金を受給できる資格要件が二十五年加入と極めて長いわけです。欧米諸国を見てみると、一番短いイギリスでも、男子の場合、フルの四十四年の四分の一納めればいい。十一年納めれば受給資格が発生するわけです。受給資格が発生してももらえる年金額は当然少ないわけですよ、短くしか納めていないから。だけれども、年金がもらえないということはないということがあるんです。
 それで、世界の各国を見てみますと、居住しているだけでもらえるとか、ドイツなんかは五年ですか、あと三年とか、イギリスが一番長くて十一年、あとは十年以下ですね。日本だけが二十五年と極端に長い。私は、これは非常に問題だと思うんです。
 実は、年金法審議のときにも何人かがお取り上げになった、私のところにも手紙をいただきました大阪のさる方の問題というのは、単に最近の一、二年納めていなかったから生涯無年金になったというだけじゃなくて、長い期間の中に納めていない期間が積み重なって二十五年に達しないからということがあったわけです。私は、これは日本の年金制度の根本的な欠陥だと思うんです。なぜ年金制度にみんな不信を持つかという一つには、長年かかって掛けたり掛けなかったり、それは本人が悪いのかもしれないけれども、結局あんたは無資格だと言われてもらえないというところに非常に問題があると思うんです。
 今、こういう時代ですね。例えば、居住していれば年金の資格はある、額はわずかだが。ある国なんというのは一年でももらえるけれども、わずか二%だけれども年金が出るという。私は、どっちをとるかという問題だと思うんです。無年金が生ずるというのは、国民皆保険を標榜している我が国にとっての根本的な問題。だから、私どもは基礎年金は税方式にして無年金をなくしなさいということを主張してきたわけです。
 そこでまずお尋ねしたいのは、大臣、この長い加入期間をやっぱり国際標準に合わせて短縮すべきだと思うんですが、いかがですか。
#15
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御案内のように、我が国で国民年金制度が導入されましたのが昭和三十六年でございます。それ以降、受給するためには最低二十五年間は保険料を拠出していただいておる。公的年金は、言うまでもないことでございますが、自分の納めた保険料に利子がついて戻ってくるという性格のものではなくて、国民の皆様方お一人お一人が長期間保険料を支払ってそしてお互いに支え合う、その結果老後の生活の安定を目指す、こういうことでございまして、若干諸外国の年金と我が国の年金制度の性格が異なっているのではないか。
 私どもは、そういう意味におきまして、この委員会におきましてもしばしば御議論があったところでございますが、やはりきちんと長期間にわたって年金保険料をお支払いいただいて、そして老後は生活の支える部分を年金生活、あるいは働ける方については働いていただくということが望ましい姿ではないか、このように考えているのでございます。
 それから、現行制度におきましても、例えば収入が低い場合の免除制度であるとか、あるいは保険料の納付期間が不足している方に対しましては六十歳以降の任意加入制度を設けるなど、二十五年間という拠出要件を満たすことができるように最大限の配慮を図っているところでございまして、その点につきましては今井委員に十分に御理解を賜りたいと思っております。
#16
○今井澄君 私が大臣としか質疑をしないという趣旨は、先ほども申し上げましたが、国会改革の中で政治家同士の討論をやろうということからなんです。大臣、そうやって官僚の書かれた答弁を読まれるんだったら、質問の意味はないですよ。
 それは、そういう理屈で日本はやってきているんです。これまでの長い年金審議の中で繰り返し申し上げましたように、まさに日本は厚生省年金局の皆さんがこれは一生懸命やっているんでしょう。だけれども、諸外国との違いがあっても日本の年金はこうだとしか考えない。それに固執して変えない。ここに問題があるんですよ、今、世の中が大きく変わっているときに。
 しかも、介護保険では保険料の自己負担もしていただく。医療費だってそうでしょう。今度の健康保険法、自民党さんは遠慮したのかびびったのか審議をおやりにならないようですが、あれだって抜本改革の一歩と高らかに宣言しておられる老人の一割負担を持ち込もうとしているわけでしょう。そういうときに年金の位置が変わってきているということなんです。
 だから、大臣、官僚の書いた答弁なんか読むのはやめてください。大臣自身がどうお考えなのかということなんです。国民皆保険と言いながら、一方で無年金者が生じちゃっている今の制度。基礎年金のことは言いません。今、加入期間の問題だけです。あるいは国際的に十一年が最長、そういうのが常識な中で日本だけが二十五年と。おかしくないですか、考える余地はないですかということをお聞きしたんですよ。どうですか。大臣自身の言葉で。
#17
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私の名誉のために申し上げておきますが、私は官僚の言いなりになって読み上げているわけではありません。
#18
○今井澄君 だって、読んでいたじゃないですか。
#19
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私の趣旨を書かせただけです。そういうことでありますから、その点は誤解のないようにお願いします。
 私は、常に皆様方の御質問に対しまして自分の言葉で国民の皆様方に理解していただけるように、同じ読み上げるにしても自分の意思というものを十分に生かしながらやっているということであって、そこの点は十分に御理解をいただきたい。これは私の考え方に基づくものであって、これをたまたまただ読み上げているからどうのこうのとかそういうことではなくて、やはり年金というのは長期的に安定しなければならないものだと。五年や十年でくるくる変わるというものになれば、いわゆる民間の商品との違いをどこに求めていくのか。その辺の議論を十分にしないで、いや、向こうは五年だ十年だからすぐにというような、私はそういうような議論にはくみしない、こういう立場で私はこのような答弁をさせていただいたと、こういうことでございます。
#20
○今井澄君 そうすると、日本で国民皆保険が昭和三十六年に施行されて、これだけたっているわけですが、まだ欠点とは考えない、変える必要はないと、こう考えているということですね。わかりました。大臣がそういうお考えなら結構です。
 大臣、では引き続いて今の問題について。この年金白書はもう一カ所問題点があるんですよ。これも情報開示の意味から、私はあえてうそと言いたいぐらいです。
 この二百四十ページ、「8 年金の国際化」というこの四ページものの最初のところです。「年金制度の国際化への対応の必要性」、なぜ必要なのかという理由を二つ書いてあるんです、四角の中に。
 まず、「二カ国の年金制度への二重加入」。二重に保険料を払わなきゃならない、これを防止したいということが書いてある。結構でしょう。もう一つが、先ほどからも言っておりますように「年金を受けるために必要な加入期間の不足」。向こうで払っている期間、こっちで払っている期間を足す、それぞればらばらに計算されたんじゃ大変だ、両方足すのがいいでしょうと、こう書いてあるんですね。全くそのとおりです。
 ところが、その二番目のところに何と書いてあるか。加入期間の方の「問題点」、「外国の年金制度への加入期間が短いと、外国の制度からの年金が受けられない。」と、これだけしか書いていないんですよ。これはインチキだと思いませんか。
 確かに、日本人が外国に行っている期間は短いでしょう。だから、それを通算してもらえないと、例えば三年しかいなかった、ドイツの場合は五年必要ですから、ドイツで掛けたんだから、ドイツのわずか三年分でも年金をもらえるようにしてあげたいという趣旨です。だけれども、実はこの裏に書かれていない大事なことは何かというと、日本が二十五年と長過ぎるから、外国に行って外国で掛けていた間が抜けちゃって日本の年金ももらえないと。そっちの方が大事じゃないですか。何でこういう大事なことを書かないんですか。まさにこれは厚生官僚のおごりというか情報開示をしない、大事なことを言っていないということですよ。
 現に、この前のドイツとの年金協定の通算のときに我々にこういう資料が配られているじゃないですか。ドイツとの協定の特例法が施行される前に、例えばドイツで十五年入っていた、日本で厚生年金に七年入っていた、ドイツで今度八年入った、そうすると日本では七年しか入っていないから二十五年に達しなくて年金がもらえないと書いてあるでしょう。ところが、この法が改正されれば、七年と十五年と八年と足せば三十年だから、二十五年より長くなって支給される。
 二十五年というのは日本のことじゃないですか。何が外国に行っている間の年金はもらえないですか。外国に行っている間、前提としてもしわずかな間しか行っていないんだとすれば、額としてもわずかですよ。その年金がもらえないことが大事なんじゃなくて、行っている間、日本の二十五年に達しなくなるから問題なんでしょう。どうですか、大臣、こういうインチキな書き方は。
#21
○国務大臣(丹羽雄哉君) ちょっと時間を下さい。インチキかどうか、ちょっとよくわからないから。
#22
○今井澄君 はい。それも調査してください。これは徹底的に調査して、こういうインチキな白書を、しかも閣議決定している。これは大臣、大いに責任を感じてください。
 時間の関係もありますので、最後の質問にします。
 この間、基礎年金のことでも随分申し上げてきました。特に学生が年金保険料を払わないために無年金障害者になっちゃったりする、そういうことがこの年金制度で非常に大事な問題だとわかっているわけです。
 今度の協定では、日本から行っているサラリーマンや研究者や大学からの派遣とかそれから公団の職員とか、公務員はもともといいわけですけれども、こういう人たちが二重払いをしなくて済むようになるわけですというふうに聞きました。そして、そういう人たちの九八%が今度の協定、五年あるいは延長しても八年の間は二重払いしなくても済むという制度の適用になって問題が解決する、それで企業負担も軽くなるというお話を聞いたんですが、では学生はどうなのかと聞いてみたら、どうも学生はこの協定でも一切関係ないんです。相変わらず学生の問題は解決されていないんですよ、イギリスに留学している学生は。
 当然、今の制度だと学生は第一号被保険者、国内にいれば強制加入ですね。だけれども、これを払わない人がいて、障害者になれば無年金障害者になる。国外に出たら、これは強制加入じゃなくて任意加入なわけです。払っても払わなくてもいいわけです。その人が外国でもし障害を負って帰ってきたら、これは無年金障害者です。そうでしょう。この問題は今度の協定でも一切解決されていないんです。厚生省は九八%の人がこれでカバーされると言ったけれども、これはサラリーマンとか、まともに日本で身分を持っていて日本で年金に入っている人が向こうに行ったときの話なんです。
 大臣、この問題はどうなんですか。外国に行く学生に対して、あなた方は任意加入なんだからぜひ納めてくださいよ、障害無年金になりたくなかったらと。そういう広報はしているんでしょうか。国としての海外に行っている学生に対する責任、あるいは海外にしばらく行っているうちに年金の加入期間が足りなくなっちゃって、帰ってきて掛けても年金がもらえない、あるいはごくわずかしかもらえなくなるようなことについて、きちっと海外留学生にそういう広報活動をやったりしていますか。あるいはこういう人を何とかするための手当てを考える気はないですか。
#23
○国務大臣(丹羽雄哉君) いろいろ委員から年金白書の責任を問われたり、ぼんぼん言われちゃっているものですから、私もちょっと感度が鈍いものですからついていけなくて申しわけございません。何から答えていいのかなと。
#24
○今井澄君 年金白書の問題は結構ですから、学生の問題を。
#25
○国務大臣(丹羽雄哉君) いや、昨年つくったことであります。ちょっと余りあれしないでください。
 ただ、私のことは、何度も申し上げますが、やっぱり一方的にどうのこうのと言うときは、当然答弁を求めて、それで非があれば非があると言うことが民主的なルールではないかなということでございます。大変僣越な言い方でございますが、これは私が大臣じゃないかということではありますけれども、何か急に持ち出されてどうのこうのと言われても、私も非常に戸惑っておるということも、どちらの話を聞いていいものやらということでございまして、ひとつ御理解を賜りたい。今井先生のような聡明な方で、頭の回転の速い方はよろしいのでございますが、私の場合はちょっとそこまで行かないものでございますから、お含みをいただきたいと思っております。
 御質問の、学生はどのようになるか、こういう問題でございますけれども、今回の協定でございますが、両国の公的年金制度への強制加入に関する法令の二重適用を回避するためのものでございまして、例えばイギリスに留学している学生については両国の年金制度に強制加入することになっておらないわけでございます。国民年金の任意加入の対象になっていると。そこで御心配のようなことが、御指摘のようなことがあるわけでございますけれども、このような学生に関する取り扱いは協定締結後も変更はしておらないわけでございます。
 いずれにいたしましても、学生に対しましては十分にこういったようなことで、海外に留学している学生の無年金障害者を防ぐためにも、いわゆる在外邦人に対する国民年金の任意加入制度の周知、広報、こういうものを今後さらに一層徹底していきたい、このように考えているところでございます。
#26
○今井澄君 最後に要望しておきたいんですが、きょうの質疑の前にも厚生省と何回かお話をしまして、例えばイギリスの場合には在英の日本人はこういう人が何人いるということなんですが、これはあくまでも外務省の統計に依存していまして、留学生、研究者、教師が一万八千五十二人、その中で研究者、教師はもともと年金の対象になっているからいいんですが、留学生の場合は今のことなんですね。そうすると、ではこの数は何人ですかと聞いたらわからないと。日本の国民の年金に責任を持つ厚生省として、在外に行っている学生の中で任意加入している人がどのぐらいいるのか、年金の点ではどうなのか、私はこの数字を出してもらいたいと思うんです。
 委員長、後ほど資料要求を出したいと思います。厚生省に何らかの形で在外の留学生の数と、その中で任意加入をしている人の数、これをぜひ要求したいと思います。
 以上をもって質疑を終わります。
#27
○清水澄子君 日英年金協定国内法については賛成の立場でございますけれども、今も今井議員がいろいろ質問しておりましたけれども、外務省の資料に基づいてしか状況がわからないというのは問題だと思います。
 英国に在留する邦人で三カ月以上在留している人は四万七千五百人余となっているわけですけれども、今日のように国際化の進展に伴ってこのように在外邦人に日本の法を適用するケースは今後もふえてくる状況、またふえていかなきゃいけないんだと思います。その場合に、この四万七千五百人余の英国在住の人たちは、我が国の厚生年金、国民年金の制度で見た場合に、一号、二号、三号受給者の大体どこに該当する人たちがいるのかということについては、これは答えられないんですよね、今お聞きしても。どうなんでしょうか。
#28
○政府参考人(矢野朝水君) 結論から申し上げますと、私どもでは詳しい数字は把握しておりません。ただ、総数で四万七千五百三十余名、これは外務省の平成十年十月一日現在での調査でございますけれども、この中で民間企業関係者が九千百一人、報道関係者が百八十八人、政府関係職員が三百五十二人、こういうことでございますので、こういった方は我が国の年金制度上は二号ということになるわけでございます。ただ、この中にはイギリスで現地採用された方も含まれておると考えられますので正確な数字はわからないということでございます。
 それ以外に、自営業関係者が四百五十人、留学生、研究者、教師が一万八千五十二人、その他が千二百三十一人、同居家族が一万八千百六十人となっておりますけれども、この中では第一号被保険者と第三号被保険者があるわけでございますけれども、詳細につきましては把握しておりません。
#29
○清水澄子君 非常に限定されたこのぐらいの人数でも、基礎的なそういう年金該当の、どの種類に入るかという数字がわからないのでは、年金に限らず福祉のさまざまな分野で今後国際化に対応していくとき、非常にこれは事務的にも実際の政策上もおくれていると思います。在外邦人や在日外国人の福祉に必要なデータを今後厚生省は充実していくように私は要請をしておきたいと思います。
 次に、厚生省が考えている今後の年金交渉の優先順位というのは、その国にどういう年金制度ができているかということと関係があると思いますけれども、それは欧米中心になっていると思うんです。アジア諸国に日本人は非常に多く暮らしておりますし、人的交流は非常に大きいわけですけれども、その人的交流の大きさの順位とは一致をしていないわけですね。特に在留邦人の多い中国とかシンガポール、タイ、オーストラリアとか、また中国や韓国などの在日の外国人も非常に多いわけですけれども、そういう日本と親しい関係にあるアジア諸国との年金交渉については今後どのような方針で臨もうと考えておられるでしょうか。
#30
○国務大臣(丹羽雄哉君) 我が国の年金制度が国際化時代に対応するためには、当然のことながら今後優先度の高い国から順次年金協定の締結に向けた取り組みを進めていく必要がある、こう考えているような次第でございます。当面、アメリカとの間で政府間交渉を開始して、次いでフランスと年内に情報交換を開始すると、こういうことで調整を進めていきたいと思っております。
 委員御指摘のアジア諸国につきましては、確かに人的交流は盛んに行われていますけれども、率直に申し上げて年金制度そのものが確立されているのが先ほど来御指摘のあった韓国であるとかシンガポールであるとかまだ限られていて、非常に少ないというのが実態でございます。その国の整備状況、例えば役人だけを対象にするとかいろいろでございまして、一概に論ずることは難しいと思いますけれども、こういった問題につきましても、相手国とのいわゆる人的な交流の状況であるとか相手国の年金制度の仕組みなどを十分総合的に勘案して、外務省とも相談をしながら対応を検討していきたい、このように考えているような次第でございます。
#31
○清水澄子君 相手国の事情はあるわけですけれども、今後特にアジア諸国との関係についてもいろいろ検討を進めていただくように、これも一つ要望をしておきたいと思います。
 次に、ちょっとこの問題とは外れるわけですけれども、企業の厚生年金からの脱退という問題が最近新聞に出ておったわけです。今回の年金法改正が成立をするとき、私どもはこれは決して勤労者にプラスにならないということでいろんな意見を申し上げましたけれども、現実にいろんなマイナスが生じてくる、そして老後の不安も増しているという現実があると思うんです。
 そういう中で、特に審議の中でもたびたび私どもが指摘しましたのは、年金の空洞化をどうするのかということであったと思うんですね。さまざまな無資格者を発生させていかないためにもこの空洞化を防止することが非常に大事だということの中で、きょうは女性の年金権は言いませんが、そういうものも非常に真剣に考えるべきだということを指摘してきました。
 これとは逆に、四月十六日の朝日新聞に企業が不況を理由に厚生年金から脱退をしていく、そういう事例が非常に多く書かれていました。
 まず、そこで最初にお伺いしたいのは、強制加入にこの法律はなっているはずなんですけれども、強制加入すべきなのに加入していない事業所について今後これをどのようにしていくのか。ここの新聞の推計によると、推計加入率というのは法定企業の六七%だと。企業数は全体で二百五十一万法人あって、厚生年金に加入している事業所は百六十九万事業所、つまり八十二万事業所が未加入と出しているわけですね。これを厚生省はどう考えているのかということをお聞きしたいと思うんです。
 未加入の事業所への加入勧奨業務はどのようにされてきているか。これまでもいろんなそういう問題提起がなされてきたはずなので、その経緯とか成果、反省があれば御説明いただきたいと思います。
#32
○政府参考人(小島比登志君) ただいま委員御指摘の新聞記事におきまして、国税庁の実施いたしました会社標本調査に基づく推計法人数、これが二百五十一万法人、それから厚生年金適用事業所数が百六十九万事業所ということで、八十二万という数が厚生年金の未加入ではないかという推計がその新聞記事でされていたわけでございます。
 しかしながら、厚生年金の加入事業所は常時従業員を雇用している法人事業所を対象としているのに対しまして、国税庁の調査は必ずしも常時従業員を雇用していないため厚生年金に加入する必要のない法人も対象といたしているわけでございます。このため、両者の比較により未適用事業者所を推計することはできないというふうに考えているところでございます。
 また、社会保険事務所が企業の脱退を黙認しているのではないかという報道がたびたびなされておりますが、厚生年金法におきましては、常時従業員を雇用する法人事業所は強制適用でございまして、当然任意脱退もできません。にもかかわらずこうした報道がなされることは、厳しい経済環境の中で保険料を納めていただいている事業主の方々に与える影響を考えますと、まことに遺憾であると考えております。
 もちろん、社会保険事務所長にも任意脱退を認める権限はございません。このことから、昨年の四月には社会保険事務所に対しまして、任意脱退があたかも社会保険事務所長の裁量により認められるような誤解を事業主に招くことのないよう通達をしたところでございます。
 この四月から社会保険事務所はいわゆる地方事務官制度が廃止になりまして社会保険庁直轄の地方機関となりますが、あらゆる機会をとらまえまして引き続きこうした指導を徹底してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
#33
○清水澄子君 今、国税庁の資料では、必ずしもそこに雇用があるかどうか、法人企業といってもその資料では推計できないというようなことをおっしゃったんですが、では独自に何かちゃんと調査をされておられるのかどうか。
 これは、昨年、連合が社会保険庁長官に要請していますけれども、そのときに、何らかの対策を講じることができないか、関係省庁と相談をして真剣に取り組んでいきたい、社会保険事務所を通じて状況を調べますと言っていますけれども、どういうことをお調べになって、どういう実態が明らかになったか、お答えください。
#34
○政府参考人(小島比登志君) 実際の厚生年金の未加入事業所をどういうふうに適用していくかということでございますが、これは、まず法人でございますと法人登記簿というのがございます。これを社会保険事務所におきまして定期的な閲覧等々によりまして未届け事業所を把握し、引き続きパンフレット等によりまして広報活動や事業主に対する巡回個別相談を実施するということで、事業主の理解を得ながら適用の推進に努めておるところでございます。
 これは、全国の社会保険事務所で実情に応じてやっているわけですが、網羅的、全国的に時期を区切ってどのくらいの未加入状況かというのはなかなか把握が困難でございます。また、各社会保険事務所もこうした状況でなかなか人数的な余裕もないということで、どうしたら実態的な把握がより的確にできるかということを現在まだ検討しているというところでございます。
#35
○清水澄子君 大臣にお伺いしたいんですけれども、さきの年金改正の審議の中で私どもはたびたび年金財政の安定とかそれから負担と給付の均衡という答弁を聞いているわけです。そのためには、加入とか納付の義務のあるもの、すなわちすべての法人企業とその労働者を加入させていくのが厚生省の責務だと思います。
 今の数字は実態をあらわしていないといっても、未加入法人が約八十万事業所、それを一カ所たった三人しかいないとしても、十五人も二十人もいるところがありますが、例えば三人としても二百四十万人の労働者が未加入ということになりますね、推計してみても。そうすると、その人たちは将来の年金権を奪われていることなんですけれども、年金財政から見てもこういうことをさきの審議の中で年金再計算ではどのように扱っていたのか、この点についてお聞かせください。
#36
○政府参考人(矢野朝水君) これは厚生年金の将来の推計でございますけれども、その場合、被保険者数につきましては、実は将来人口に基づきまして将来の労働力人口がどうなるかというのを推計するわけでございます。その労働力人口の中で民間のサラリーマンがどのくらい占めるか、こういった比率を将来推計いたしまして、それで将来の厚生年金の被保険者数を推計する、こういうプロセスで推計をいたしております。したがいまして、未加入事業者のサラリーマンの方がどれぐらいいらっしゃるか、そういったことは直接的には推計の対象にはしておらないということでございます。
#37
○清水澄子君 ちょっと済みません、もう一言だけ言わせてください。大臣、答えてください。
 その言いわけを今聞きたいのでないんですね。これは、この対象になった、現実にそういう脱退をされたりということで、そういうところで働いていた人が、いつの間にか本人の意思に関係なく年金から外れている、そういう実態も出ているわけです。そういう人たちの、会社の都合で、それも理由は経営不振と一言あればいいんだという状況で年金権を奪われていっているその事実ですね。それを防いでいくということは非常に大事なんで、そのために労働者が事業主負担までも負担して自分の年金を維持しようとしている人たちもいるわけですから、このような実態をやはり大臣はもっと、空洞化をどう解消するのか、年金制度の現実にあらわれている問題について、やはりこの勤労者の年金権を保障していくという、そういう真剣な立場に立っていただきたい。
 今後、これらの問題についてどういう対応をしていくのかということについての御決意を伺いたいと思います。
#38
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから政府参考人の方から御答弁を申し上げておりますけれども、当然のことながら事業を継続している以上は厚生年金制度に必ず加入していただかなければならない、こういうことでございます。その辺のところが十分に御理解いただけないのか、あるいは長引く不況によって経営の悪化が余儀なくされているというようなことがあるのかどうか、その辺のところを十分に調査しなければならないところでございますが、私どもといたしましては、やはり勤労者の年金権というものをきちっと守っていくんだと、こういう基本的な立場に立ちまして、この制度の趣旨を事業主に十分に理解していただくようにすることがまず何よりも大切なことだ、このように考えているような次第でございます。
 先ほども申し上げましたけれども、制度上は厚生年金に加入しなければならないことは言うまでもないことでございますが、そういうような実態として加入していないという、一部にあるというような委員からの御指摘がございました。こういうことでございますので、実態を早急に把握して、ではそういう中においてどういうことを含めたならこういうようなことが起きないで済むかというような観点からひとつ弾力的に指導してまいりたい、このように考えているような次第でございます。
#39
○清水澄子君 脱退の場合もよろしくお願いします。
 終わります。
#40
○井上美代君 日本共産党の井上美代です。
 私は、日英社会保障協定実施特例法案の質問から入りたいと思います。
 この法案は、相手国に一時的に派遣されるサラリーマンや自営業者が年金保険料の二重払いを義務づけられ、多くの場合、一方の保険料は掛け捨てになっている実態を解消するためのものであるということで、両国民と事業者の保険料負担を解消する点で合理的なものであり、日英の交流の発展に資するものと考え、共産党としては賛成の立場です。
 ただし、一昨年ドイツとの間に結ばれました社会保障協定と違って、受給資格を獲得する際の加入期間を算定する際の通算協定がない。したがって、例えば相手国に八年以上滞在をすることになって、かつその国の受給資格を得るだけの加入期間に至らなかった場合には、その期間の保険料は掛け捨てになってしまっているわけです。イギリス側の事情があって通算協定は実現しなかったわけですけれども、そこのところの問題というのは今後の課題として残っていると思います。
 通算協定の実現というのは、日英の国民の老後にかかわる重要な問題だと思います。政府としては、この問題の解決のために今後また努力をしていただかなければいけないわけですけれども、どのような外交的な努力をしようと考えておられるのか、まずは大臣にお聞きしたいと思います。
#41
○国務大臣(丹羽雄哉君) 日本とイギリスの年金制度への二重加入を防止するとともに、両国制度に加入した者の年金加入を通算して年金の受給権を確保するということが大変重要なことである、こういうことで委員からも御賛意をいただいておるわけでございますが、先ほど来御指摘もございましたけれども、イギリス側は近年新たに締結する協定は二重加入の防止に限定した内容にするという方針をとっておるわけでございます。日本との間におきましても、年金加入期間の通算措置を今回の協定の対象に含めることはできない、こういうような立場をとってきておるわけでございます。
 こういうような状況のもとで、イギリスにいらっしゃる邦人の方々からは、年金保険料の二重負担の解消のみであっても早期に実現してほしいとの強い要望が寄せられてきたわけでございます。年金加入期間の通算措置の問題はとりあえず将来の問題として、とにかく当面は二重加入の防止に限った協定の締結をいただく、こういうような経緯があったわけでございます。
 そこで、年金加入期間の通算の問題につきましては、日英両国とも将来においてその可能性を探っていくということについては既に合意をいたしておるわけでございます。今回、二重適用防止に限定したイギリス側の判断の背景を考えれば、直ちに今実現可能とはなかなか難しいところがございますけれども、本協定が締結しました後も時期を見ましてこの点につきまして私どもの要望というものを強く伝えていきたい、このように考えているような次第でございます。
#42
○井上美代君 今御答弁くださいましたけれども、やはりこの通算協定というのは非常に重要だというふうに思います。将来ということで約束はできているようですけれども、とりあえずは二重加入の防止のみということでやられたのだと思うんですけれども、何としてもこの通算協定をできるだけ早く実現してほしいということを申し上げまして、次に移りたいと思います。
 私は、大事なこの時間を介護保険の問題で御質問させていただきます。
 介護保険制度のサービスが四月から開始をされて、きょうで二十日間が経過したわけです。介護保険は介護の現場に大変な混乱をもたらし、国民生活を不安に陥れ、緊急に解決しなければならない問題が本当に山積しているというふうに思います。
 この問題について質問したいと思いますが、何よりも重大なのは、やはり介護の基盤整備がおくれているという問題であるというふうに思っております。大幅な負担増の問題も特に低所得者にとっては本当に大きな悩みになっておりまして、そういう点でもこの大幅な負担増という問題も重要であるというふうに思います。
 このところいろいろ出ておりますが、三月十四日の日経新聞に全国の千八百余りの自治体のアンケート調査が出ました。在宅サービスの整備は利用希望者の七割にとどまっているというふうに言われております。また、東京都内の調査もありますけれども、デイサービスは年単位で待たなければならない、そしてまたショートステイは二カ月先まで埋まっているという、こういう東京の状況が出ております。また、従来のサービスを受けようとすると負担がゼロから一気に三十万円以上の負担になる、こういう例まで出てきておりまして、経済的負担は本当に深刻であるということがはっきりいたします。
 負担を少しでも軽くしようとなりますと、これはサービスを減らしていくというふうになるわけです。今、自分のプランからサービスをどう減らしていくかということで必死になっている、こういうことでは本来あるべきこととは逆になっているということが言えるんじゃないかなというふうに思います。
 国基準ではとても負担に耐えられないので、保険料、利用料や支給限度額を超えた部分についての援助を決めたという自治体も出てきております。また、制度の実施を急いだためにケアマネジャー不足、そしてケアプランのおくれ、厚生省がスタート直前の土壇場で運用変更をされたとか、従来の主張を転換する通知を矢継ぎ早に出されまして、そして自治体としては、通知がどんどん出てくるけれども業務に追われていて全部熟読できない、こういう状況も出てきているということは厚生省もつかんでおられるというふうに思います。
 現場がこういうことで大混乱をしているという訴えが私どものところにも多く寄せられております。三月二十八日の朝日新聞の世論調査でも、国や自治体から必要な説明を受けているとは思わないという人が八三%もいらっしゃるということもその現状を伝えているというふうに思います。
 森総理は、こうした介護保険の現状に対して、本会議の答弁では、大きな混乱もなく制度をスタートできたと、こういうふうにおっしゃっておりました。しかし、この発言というのは国民生活の実態、そしてまた国民の感情と余りにもかけ離れている。御苦労はいろいろあるわけですけれども、しかしながら私は国民の今日の叫びからすればかけ離れているというふうに思うわけです。
 まず、この点の基本的な認識について、私は厚生大臣に御答弁をお願いしたいというふうに思います。
#43
○国務大臣(丹羽雄哉君) これまでの介護保険の施行状況を申し上げれば、私どもがぎりぎりまで心配していましたのは、これまで受けていたサービスが途切れるのではないかと、この点が一番心配でございまして、そういう中で、いわゆるケアマネジャーさんに大変な御足労をおかけし、そしてとにかく市町村の窓口に駆け込んでくださいと、そういう中において簡便なケアプランもおつくりになってもうやってくださいと、こういうことを心がけてまいったわけでございます。
 本当に全国の市町村の関係者の皆さん方が不眠不休で御努力をいただきまして、またケアマネジャーを初め関係者の皆さん方の御努力によりまして、これまでのサービスが途切れるといった大きなトラブルの報告も今のところまず少ないわけでございますし、おおむね順調に進んでいるのではないか、このように考えているような次第でございます。
 ただ、これまで寄せられました苦情を拝見してみますと、まだケアプランという新しい方法に十分なれていないことなどから利用者と事業者との間に行き違いが起きてしまう、こういうような事例も見られていることも事実でございます。しかし、制度が定着をいたしまして、ケアマネジャー、利用者、事業者の方々が制度になれていただければ、こうしたような問題も徐々に減ってくるのではないかと、このように考えているような次第でございます。
 これは前から申し上げておりますように、この制度というのは世紀の大事業でございます。そして、それぞれの市町村の皆さん方が大変な御努力をなさってここまでこぎつけてくださったことに対しまして心から敬意を表したいと思いますけれども、今のところおおむね順調だからといってこれで何か胸をなでておると、こういう状況ではございません。
 今後とも、その実施状況を注意深く見守るとともに、国民の皆さん方の御意見であるとか御心配というものを謙虚に受けとめまして、課題があれば常に柔軟に対応していくことによりまして、とにかくこの介護保険制度というものを国民の皆さん方に御理解をいただいて、そして定着をしていく、よりよい介護制度に育てていくことが私どもの責務であると、このように考えているような次第でございます。
#44
○井上美代君 サービスの途切れがないということは、それはもう本当に大変な命がかかっているようなサービスがいっぱいありますので大変ですけれども、やはり私は、さらに細かいいろんな問題、矛盾が起きておりますので、そこを直視しながら対応してほしいというふうに思います。
 それで、その一つでもありますけれども、ショートステイの弾力化と償還払いの問題について質問をしたいというふうに思います。
 介護保険のショートステイは、当初、利用期限の上限が余りにも低かったということで、これはまた一つの大きな混乱になったわけですけれども、従来から利用されていた人たちにとってはもう青くなってしまったというふうに言われているわけですね。
 ことしの二月にこの委員会で小池議員がこの問題を取り上げて、三月の半ばに厚生省は改善措置をとられました。不十分ではありますけれども、家庭で介護をしている方からは、介護者の眠りが保証されましたということで大変歓迎の声が届いていることはうれしいことです。
 しかしながら、けさの朝日新聞の調査でも出ておりますように自治体も悩ませまして、「上乗せではショートステイの利用日数の拡大」というのが書いてありますように、やはり自治体も相当苦悩していると思います。しかしながら、一定の改善がやられましたけれども、この改善の中身をもっとやはり国民の間に伝えていかなきゃいけないと思います。
 時間もたくさんありませんので、簡単に概要を説明してほしいというふうに思います。参考人の方、お願いいたします。
#45
○政府参考人(大塚義治君) ショートステイの利用につきましては、原則的には訪問通所サービスと別にカウントするというのが基本的な枠組みでございました。さまざまな御意見がございましたのでその弾力化措置を講ずるということにいたしたわけでございますが、次のような考え方で弾力化措置を講じました。
 一つには、地域の事情もございますので、ショートステイの利用状況から見てある程度ショートステイの利用にゆとりがある市町村ということが必要でございます。
 それから、当然のことではございますけれども、そうした利用限度日数を拡大してショートステイを受ける必要がある、そうした必要な方に限る。
 三つ目に、利用限度日数を超えた場合に、全体としての訪問通所サービスの支給限度額の未利用分と申しましょうか使い残し分と申しましょうか、その分をいわば振りかえ利用できるようにすると。原則としてその範囲で可能でございますけれども、本来の利用限度日数も含めて一月当たり十四日、約半月でございますけれども、これを限度とする、このような弾力措置を講じたところでございます。
#46
○井上美代君 今言われましたいわゆるホームヘルプやデイサービスの分を利用者の希望に応じてショートステイに振りかえられるという措置、この振りかえられるということは非常に前進だったというふうに思っております。しかしながら、ここで問題があるわけですね。それは、この振りかえ部分については償還払いになるというところです。これがやはり非常に困るわけなんです。つまり、一時的に利用者が全額自己負担をしなければいけないというのが償還払いであるわけです。
 参考人にお聞きしたいんですが、これはどうしてそうなったのか、理由を述べていただきたい。そして、いつどのように改善していくのかということを簡単に述べてほしいと思います。
#47
○政府参考人(大塚義治君) ただいまお話にもございましたように、制度開始を控えた比較的間近な時期に、現場の声を尊重し、またもっともな御意見でもございましたので、言ってみればやむを得ない緊急的な措置として改善をしたという経過がございます。
 私どもとしては、できる限りの工夫を行ったわけでございますが、仮にこの仕組みを現物給付という形にいたしますと支払いの関係が出てまいります。現在の現物給付の基本的な仕組みは、保険者であります市町村が所要の経費を国民健康保険団体連合会に支払い、ここから直接事業者に支払う、御案内のようにこういう仕組みでございますが、この仕組みに乗せるためのシステム、言ってみればそうした準備がとてもできません。そうした事情もございますので、緊急やむを得ない措置ということで現在の弾力化措置を講じたわけでございます。
 今後どのように取り扱っていくか、これはこの制度の実施状況を見守りながら検討をしてまいりたいと考えております。
#48
○井上美代君 これは一割の負担だけでも実際には非常に大変なんですね。サービスを削らなきゃいけないという現状があるわけで、一時的にせよ全額を負担するということは、例えばショートステイの一日当たりの介護費用というのは要支援の場合で九千五百円余り、要介護五になりますと一万二千円弱です。全額自己負担になると一日当たり一万円前後のお金がかかってしまう。だから、一週間になりますと七万円というお金を持っていなければかかれないということになるわけです。だから、そういう意味でもこの償還払いというのは何とか国として責任を持ってやっていかなければいけないというふうに思うんです。
 医療保険ですけれども、これは高額療養費の受領委任払いという仕組みがつくられておる自治体があります。こうすれば利用者が償還払いで全額自己負担をしなくて済むという問題があるわけなんです。自治体レベルでこのような仕組みをつくることが介護保険において制度的に可能なのかどうかということをお聞きしたいわけです。また、そういう仕組みをつくっている自治体があるのかどうなのか、厚生省がつかんでおられたらその自治体も挙げてほしいんですけれども、よろしくお願いします。参考人にお願いします。
#49
○政府参考人(大塚義治君) いわゆる受領委任方式と言われる方式、便宜的な方式で、自主的にサービス利用時の利用者負担が一割、所定の負担で済むようにするというような市町村独自の工夫をしておられる、あるいはしようとしておられる市町村があるということは私どもも聞いております。正確に全国でどのくらいの市町村かというのは把握しておりませんが、例えば私どもの承知しておる範囲では、既にそういう方式でやろうと意思決定をされた市の例として申し上げれば、大阪市がそういう方針だと聞いております。そのほかにもその方向で作業を進めている、検討しているところが幾つかあるようでございますが、全国的な正確な状況は把握しておりません。
 それから、そうした方式が認められるかどうかということでございますが、市町村の工夫による便宜的な方式ではございますけれども、私どもが制度的にこれを適当でないということを申し上げる立場にはない、市町村の御判断でございますので、それは市町村の御判断にお任せをするということだろうと考えております。
#50
○井上美代君 それでは、市町村でやる分については国としては構わないということでよろしいですね。
#51
○政府参考人(大塚義治君) そのように考えております。
#52
○井上美代君 この償還払いについては、やはり医療保険のように救済を大いにしていかないと、低所得者というのはこれだけのショートステイの使用料はとても払えないというふうに思いますので、私は償還払いはどうしても国の責任でやってほしいというふうに思っているわけです。
 先ほど御答弁の中ではシステムが複雑であるということを言われましたけれども、そもそもが一割を負担してもらうのが約束だったと思うんです。そして、介護保険は始まっているというふうに思うんです。だから、一〇〇%まずは払ってくださいと。それは当初だけかもしれないけれども、お金が回転していけばまた違ってくるかもしれないけれども、私はこの償還払いについては何としても国の責任で、政府の責任と負担で解決をしていくべきだというふうに思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。
#53
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど局長の方から御答弁を申し上げたところでございますけれども、いわゆるショートステイの利用枠の弾力化措置によって振りかえ利用を認めた部分について、自治体であるとかあるいは利用者の方々の要望を踏まえまして施行直前に導入した、こういう経緯がございます。国保連などの審査支払いシステムなどを即座に組みかえるということは大変難しいと、こういうふうに聞いておるわけでございまして、償還払いになってしまうことはやむを得ないものと考えております。
 ただ、このような償還払いになってしまう場合には、いろいろな貸付制度の御活用によって御負担を軽減していただく、こういうことが考えられます。例えば、低所得者世帯または高齢者世帯につきましては、生活福祉資金の療養・介護資金の貸し付けを迅速な手続によって受けることができるように十分に配慮をいたしておるところでございますが、先ほど来委員が御指摘になっておりました償還払いにつきましては、できるだけそういうことにならないような方向で検討課題として受けとめていきたい、このように考えている次第であります。
#54
○委員長(狩野安君) 時間です。
#55
○井上美代君 それでは、もう時間になって、まだあと何秒かありますね。
 この制度は国がやろうというのでやられているわけですから、償還払いを自治体に任せるというのでは無責任だと思うんです。だから、そういう意味でぜひ私はこれを実現させてほしいというふうに思いますが、もう一度大臣の御答弁を、先じゃ困るんです、今困っているんですから。その御答弁を求めて、もう一つ私は質問がありましたけれども、御答弁の用意がきっとあったんじゃないかと思いますが、これで終わりたいと思います。大臣、よろしくお願いします。
#56
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたけれども、御負担にならないようなさまざまな措置が講じてあることも紛れもない事実でございます。貸付制度であるとか、こういうようなものを迅速に行うことによりまして負担にならないような措置は講じておりますが、それはそれとして、やはり基本的にはできるだけ償還払いにならないように努力していくということが私どもの基本的な考え方でございます。
 何せ施行の直前に住民の皆さん方また委員からも御指摘がございましたようなことを踏まえて行ったことでございますので、そういったことを含めてしばらく時間をいただいて検討課題にさせていただきたいと思っています。
#57
○井上美代君 よろしくお願いいたします。
 それでは終わります。
#58
○堂本暁子君 前に質問された方とのダブりの部分は避けたいと思っております。
 最近、アメリカ大使館に勤めている日本人職員四百人の総額七十億円に及ぶ申告漏れが判明しました。実際に日本の駐在員も外国で徴税当局に対して過少所得申告をしているということもあるようですけれども、その背景には二重の社会保険料を払わなければならないという矛盾があるのではないかというふうに考えます。
 そういったような観点から、今回こういった協定が結ばれることは大変評価すべきだと思うのですが、いささか遅いのではないか。フランスが四十六カ国、イギリスが三十カ国とも協定を結んでいるのに日本はドイツ一カ国としか結んでいないというのはいささか遅くて、もうこれだけグローバル化した時代に、世界じゅうに日本の人たちが仕事を展開しているときに遅い。経済大国と言われながら、これではやはり社会福祉小国と言わざるを得ないというふうに思いますので、このおくれを一刻も早く解消していただきたいというふうに思います。
 ダブったところはそういうお願いだけをさせていただいて、次に行きたいんですけれども、イギリスに駐在している企業の多くは大企業あるいはその傘下の企業グループが多いのではないかと思うんです。ところが、そこで不況にあえぐような中小企業、そういった従業員への施策が十分に届いているのかどうか、これから届くのかどうか、その点について質問させてください。
#59
○政府参考人(矢野朝水君) まず、こういう年金協定の締結が非常におくれた、遅いという御指摘でございますけれども、こういう御批判は甘んじて受けなければいけないと反省しております。
 これは二つ理由がありまして、一つは私どもの体制が不十分であったということでございます。これにつきましては、国際年金企画室を設けてスタッフの充実を図りまして、対応できるような体制にしたわけでございます。
 それからもう一つは、各国の年金制度は非常に違うということでございまして……
#60
○堂本暁子君 局長、それを伺っているのではなくて、大企業ではなくて中小企業などそういった企業が問題になるのではないかということの質問です。
#61
○政府参考人(矢野朝水君) 失礼しました。
 年金制度上は、大企業とか中小企業とかそういった企業の規模を問わず同じ料率の保険料、それから給付につきましても拠出に見合った保険料という形で給付が設定されておるわけでございます。
 大企業と中小企業、いろいろな違いはございますけれども、例えば保険料を別々にするというようなことになりますと、これは公平性の点で問題がございますし、あるいは保険料負担が少なければ給付も少なくなる、こういうことになりますと、老後の所得保障が大企業と中小企業のサラリーマンによって差が出てきてしまう。こういったところからそういった区別を設けることについては問題がある、こういう認識をいたしております。
#62
○堂本暁子君 この問題については三月三十日にも質問させていただいたんですが、零細企業で厚生年金から脱退する企業がふえている。それで、途方に暮れている方が多い。しかも、夫が厚生年金から外れると、今の三号被保険者の問題からいえば、妻もそういったときにまた新たに国民年金に入り直さなきゃならないというような事態になるわけです。
 その後、朝日新聞が未加入事業所は約八十二万という報道をしました。その数字がどうであるかということは別としても、国税庁の調査に基づく九八年末で二百五十一万というこの数字と、それから厚生年金で今入っている百六十九万という数字で見ますと、その差を見ると大体三分の一が未加入ということになっちゃうんですね。これは女性の年金権の問題以上に大変な問題だろうというふうに私は思います。今、局長が答弁されたように日本では強制加入のはずなんです。強制加入でありながら、実態としてはそういった零細なところが厚生年金から脱退してしまっている。
 これは大臣に伺いたいんですが、大きい話になりますけれども、やはり法律あるいは制度と現実との間に矛盾があるのではないか。そして法律、制度と現実との間の谷間に落ちている人がいるのではないか。強制加入と言いながら、実際には大変今ふえていると言われている未加入についてはどうお思いになりますでしょうか。これは大臣に伺いたいと思います。
#63
○国務大臣(丹羽雄哉君) 厚生年金につきましては御案内のように強制加入という立場をとっておるわけでございまして、先ほども御質問がなされたわけでございますけれども、いわゆる勤労者の年金権を確保する、こういう観点からこういうことが起きないように、要するに事業を継続している以上は厚生年金に御加入していただいて、そしてその事業主は一七・三五でございますか、その半分をきちんと支払うという義務があるんだということを周知徹底しなければならない。
 しかし、現実問題としてそういうところがもしあるというような御指摘があるならば、早急にその実態というものを把握し、そして、いずれにいたしましてもそのようなことが起こらない方向において、より弾力的な方策によって、そういったような本来あってはならないものを防ぐような方向で努力をしていきたいと、このように考えているような次第でございます。
#64
○堂本暁子君 前回、三月三十日にもこのことは伺ったんですけれども、それに対しての御答弁も、保険料の滞納、未納、零細法人や個人事業所に特定した状況は、どういう方法にせよ実態を何らかの形で把握し、真摯に受けとめなければならないというのが大臣の前回の御答弁です。今も同じようにおっしゃるんですけれども、先ほど社会保険庁の方に伺っても、やはり数字がつかめないということですね。非常に巧妙にそこのところをすり抜けるというような、性善説に立つのか性悪説に立つのかですけれども、そういう実態がつかめない。
 ですけれども、その具体的な方法としては、毎年の国税庁調査、国税庁が法人税の申告を受けているわけですから、その調査でふえる減る、その実態がありますね。それから、厚生年金加入事業者の増減と比較するというようなこともできるんじゃないかと思うんです。
 これは質問通告はしていないんですが、そういうことはやっていらっしゃいますでしょうか。それとも、これからそこのところはやれるんじゃないでしょうか。
#65
○政府参考人(小島比登志君) さきのこの委員会でもいろいろ御議論いただきましたので、どういう方法があるのか、私どもとしても今鋭意検討をしているところでございます。何度も申し上げますように、網羅的、全体的に一時期をとらえるというのはなかなか難しい。要するに、社会保険庁といたしましては、とにかく未適用でほっておくということは許されないわけでございまして、あらゆる努力を傾注して未加入をなくしていく努力をしなきゃいかぬということであるというふうに考えているわけでございます。
#66
○堂本暁子君 難しいでは済まないと思うんですよ。強制加入と言われて、この朝日新聞に出たケースなんて非常にしんどいケースですね。十八年間払い続けてきて、会社の分もその方は払って、ところが会社はそれを社会保険庁に持っていかなかった。それで、結局最後の十一カ月ですか払っていない。それまで、二十年の特例の部分だそうですけれども、そこのわずかなところで厚生年金を受給できなくて国民年金に入る。そうすると七年間納めなきゃならない。しかも先送りされると。本当にこういうのは路頭に迷うと思うんです。
 かといって、こういうケースの場合にはリストラされているわけじゃない。まだ働き続けていながら、年金を会社が払わないという決定をしてしまう。そういう場合の年金権というのは本当に保障されないと思うんですね。かといって、首になるのを恐れたらなかなか申し出ることもできない。私はここに大きな矛盾があると思うんです。強制加入とおっしゃりながら自己申告を求めている。
 脱退の実態とか、そういうことを保険庁としてはきちっとそのときに調査していらっしゃるんでしょうか。
#67
○政府参考人(小島比登志君) 企業が厚生年金から脱退しようという場合には、事業を廃止すればこれは脱退になるわけですが、場合によっては、経営の悪化により保険料の納付が困難だというふうな理由から脱退届が社会保険事務所に提出されるということがございます。こうした事業所に対しては、社会保険事務所といたしましては、事業主との面談によりまして、未納原因の確認あるいは保険料の分割納付等について個別に、個別の事業所の実情に応じた相談に乗りまして、適切な指導を行っておるということでございます。
#68
○堂本暁子君 私の聞いた限りでは、税理士さんとかそういったところへの相談が一番多いのはこういうケースだそうです。だから、適切な指導をしていながら、実態は非常に違うのではないかというふうに思います。
 収納率が大変高いと言われているんですけれども、そもそもどうやって収納率を出すのかといえば、加入者が納めるべき保険料を分母にして九八%という数字を出していらっしゃるわけですが、実際問題としては、こういった滞納する会社が脱退してしまえば収納率はどんどん上がっていくわけですね。ですから、そこのところは陰の存在になってしまう。だけれども、実際には年金において不公正な経験をするとか、あるいは無年金になるとか、それからずっと納めてきても国民年金の範囲にとどまらなければならないというようなケースとか、そういったところが大変ふえてしまうと思うんです。
 収納率を向上するとしただけで制度の安定運営ということは全くできない。指導しておりますとおっしゃるが、八十二万という数字はこれからとても研究しなきゃいけない数字だと思います。一つの会社が事業所を三つ四つ持っていることもあるし、二十、三十持っている場合もある。それと、取締役社長がいれば一人でも納税義務があるということから考えれば当然保険の方の義務もあるはずです。そういった事態を考えますと、この八十二万という数字は必ずしも架空の数字とばかりは言えないんじゃないか。
 その実態をきちっと調べて、そして制度の谷間に落ちてしまっている人たちを救済するということが私は国としての義務だろうと思うんですが、この点は現場の御答弁をいただいた上で大臣に最後に伺わせていただきたいと思います。
#69
○政府参考人(小島比登志君) 八十万事業所という数字につきましては、先ほど御説明申し上げましたようにちょっと統計の内容が違うということで、必ずしも未加入の事業所の数をそのまま反映したものではないというふうに考えているわけでございます。
 私どもといたしましては、ただいま委員の方から御指摘がございましたように、年金権の確保という観点からも収納率の向上は確かに重要でございますが、それだけでは確かに不十分であるということは認識しておりまして、未加入事業所をなくしていく、あるいは不当な脱退を防止していくというために精いっぱいの努力をしていきたいというふうに思いますし、また許す限り実情をいろんな観点から把握してまいりたいというふうに思っております。
#70
○国務大臣(丹羽雄哉君) 御指摘のような事実がもしあるとすれば、現在の長引く不況によりまして経営の悪化を余儀なくされている事業所が増加している、こういうふうに考えられるわけでございます。しかしながら、事業を継続する以上は厚生年金制度には必ず加入していただかねばならない、こういうことでございます。
 先ほど来政府参考人の方からも御答弁申し上げておりますが、適用すべき全事業所を網羅的に把握できるような適切な方法がないために実態把握にはなかなか難しい問題がございますが、これはできるだけ広く把握できるように努めていきたいと思っておるような次第でございます。
 いずれにいたしましても、いわゆる加入すべき方が加入していないということは制度の根幹にかかわる問題でございます。委員の御指摘を真摯に受けとめまして勤労者の年金権を確保する、こういう観点から引き続き努力をしていく決意でございます。
#71
○委員長(狩野安君) 堂本暁子さん、時間です。
#72
○堂本暁子君 終わりますけれども、社会保険庁がこの八十二万という数字は統計上ずれているというふうにおっしゃるのであれば、とることが難しいかもしれませんけれども、ぜひ国会の方に、この委員会にその資料をできるだけ早く、どういう形の計算ができるかということだけでも結構ですから、これが間違っているという根拠、こういうふうにすれば正しいのだという根拠を示していただけたらうれしいと思います。そして、大臣もおっしゃったように根幹にかかわる問題なので、私はここはぜひともきちっと大臣に見据えていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
#73
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 私の方からは、まず本日は今回のこの協定締結によります財政面の部分からお伺いをしてまいりたいと思います。
 この財政面への影響でありますけれども、三年間でおよそ五十億円の事業主負担が軽減されるということでございますけれども、一方で日本側の年金財政、こちらにおいてはいかがでございましょうか。
#74
○政府参考人(矢野朝水君) 今、日本にいらっしゃるイギリス人の方というのは約一万人ちょっとでございます。
 具体的にどれぐらい保険料を納めていらっしゃるかというのは私ども正確な数字は把握しておりませんけれども、厚生年金の被保険者は御案内のとおり三千三百万人、国民年金ですと七千百万人の方が加入されておるということでございまして、今回イギリス人で日本にいらっしゃる方が二重加入しなくてもよいと。その分保険料が少なくて済む、減るわけでございますけれども、全体に与える影響といたしましては微々たるものでございましてほとんど影響はない、こう考えております。
#75
○西川きよし君 重複するところがあるかと思いますけれども、時間も短うございますので、この二番のところは他の先生方からも御質問が出ましたので割愛させていただきまして、三番目に移りたいと思います。
 今回の協定によりまして日本の厚生年金が適用されないケースの方が出てくるわけですけれども、この場合に、その奥さんで第三号の対象となっていた方の中には国民年金に任意加入するという方もたくさんいらっしゃるんではないかなと、こういうふうに思うわけです。その意味では、海外の居住者の国民年金の加入の手続あるいは相談機関等々についてはどのように配慮していただいているのかという部分もぜひお伺いしておきたいと思います。
#76
○政府参考人(小島比登志君) 御指摘の日本国籍を有する二十歳以上六十五歳未満の方で海外に居住する方は国民年金に任意加入することができると、昭和六十一年に制度ができました。その場合には、任意加入する被保険者、すなわち海外に移住される方の最後の住所地に居住する親族等の協力者がその市町村で手続を行う方法と、それから社団法人日本国民年金協会に手続を委任する方法の二通りの手段がございます。例えば、もう海外に移住されるんですが日本国内にいわゆる協力者といったような親族がおられない方はおおむね社団法人日本国民年金協会に委任されることになると思いますが、どちらの手続をおとりになっても実際は自由だということでございます。
 ちなみに、今回の協定につきましては、厚生年金保険適用事業所にチラシ等の配布を行いますほか、社団法人日本在外企業協会を通じまして海外進出企業担当者を集めた説明会の開催等を行うことにしておりまして、その際、あわせて任意加入制度についても周知を図ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
#77
○西川きよし君 よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、先ほど来今井先生の方からも御質問がありましたけれども、留学生の取り扱いについてお伺いしたいと思うわけです。
 イギリスの方には、私がお伺いいたしますと、約四千人ぐらいの若い方々が留学をされておられるということでございます。今回、学生さんの特例制度が創設をされましたけれども、こうした方々については、もちろん国内に住所を有しないということでございますので第一号被保険者にはなりません。これはもう当然のことですけれども、もちろん制度の対象にはならないわけですけれども、こうしたお子さんをお持ちの親御さんですね、お父様やお母様は、国内で学校に通っていらっしゃるのではないわけですから、海外でということですからそれ以上に大変心配なことだと思うわけです。こうした方々の公的年金のあり方、これをぜひもう一度きっちりとお伺いしておきたいと思います。
#78
○政府参考人(矢野朝水君) 海外にいらっしゃる方は、学生も含めて国民年金が強制適用にはならないわけで、任意加入ということになっておるわけでございます。
 今回学生につきまして特例制度が設けられたわけでございますけれども、これはあくまで国内にいらっしゃって強制加入になる、したがって実際はその親御さんが年金保険料を払っていらっしゃる、こういったいろいろな問題点がございまして出世払い制度を設けたわけでございますけれども、海外にいらっしゃる方につきましては今申し上げたように強制適用になっておりませんので、こういう特例の対象とはならないということでございます。
 それから、先ほど今井委員の方から、年金白書の記述に関連いたしまして、日本人の方で海外で生活している方、これは日本の年金制度に二十五年加入できなかった場合には、通算協定がなければ無年金者になるのではないかと、こういう御指摘がございました。この点につきましては、日本人の海外在住期間というのは御案内のとおり空期間ということでございまして、二十五年の資格期間に算入されるわけでございます。したがって、海外の在住期間と保険料を納めた期間、これを合わせまして二十五年あれば年金が受給できるということでございます。したがいまして、通算協定がなくても日本人につきましては無年金者となることはないというのが現在の仕組みでございます。
#79
○西川きよし君 先日も私の方からお伺いをさせていただいたんですけれども、学生さんの特例制度ですけれども、周知徹底をしてもらいたい、PRをよろしくお願いいたしますということで、四月に入りましてきょうで二十日が、介護保険と同じでございますけれども、経過いたしております。
 若干気になりますので、本日この機会に再度確認をしておきたいと思うわけですけれども、実は社会保険業務センターが年金電話番というサービスを行っているわけですけれども、きょうはこちらの方に持ってまいりました。我々は質問させていただいて、あれをお願いする、これをやれというようなことでございますけれども、実に細やかにいろいろと頑張っていただいている部分もございまして、いろいろお伺いいたしますと、これを活用させていただいて本当に便利でわかりやすくて大変助かるということでございますけれども、ぜひPRのほどをよろしくお願い申し上げたいわけです。
 実は、そういう意味で学生さんの特例のことも入っているのかなということで確かめさせていただいたんですけれども、きのう現在では対応がございませんでしたので、何とぞ早く活用のPRをしていただきたい。社会保険庁といたしましては、今どのような準備をしておられるのかというのをぜひお伺いしたいと思います。
#80
○政府参考人(小島比登志君) 学生の保険料納付特例制度につきましては、学生本人あるいは両親の御理解をいただくことが大変重要でございまして、既にポスターの掲示やチラシの配布等を大学等に行ったわけでございますが、委員御指摘の年金電話番サービス、それから社会保険庁の年金ホームページにつきましては、今月中には保険料納付特例制度についてのあれを組み込みまして周知を図ってまいりたいというふうに考えております。
#81
○西川きよし君 ありがとうございます。
 今回で最後の質問になるわけですけれども、これは大臣に、重複するかもわかりませんが、ぜひお答えをいただきたいと思います。
 ドイツ、イギリス二カ国との協定の締結が行われたわけですけれども、今後、アメリカ初めいろいろとお話も出ておりましたけれども、年内にはフランスともというような先ほどの御答弁もお伺いをいたしました。そしてまた「週刊社会保障」というものにも目を通させていただいたんですけれども、たくさんの方々が外国の方にもお出かけして、イギリスはもちろんのことですけれども、今回もいろいろ大変な御苦労をなさっているというようなこともちゃんと読ませていただきました。
 そういう意味で、今後諸外国に対してどういうふうな取り組みをされていかれるのか、先ほどのフランスのお話等々も、そしてまた本日は大臣、十分な御発言というんですか、何か少しストレスがたまっているんではないかなというふうな感じも受けましたので、総括といいましょうか、思いのうちを、最後のこの質問三分ほどございますので、御答弁いただけたらと思います。よろしくお願い申し上げます。
#82
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員におかれましては、いろいろ御配慮賜りまして恐縮でございます。
 まず、我が国の年金制度を国際化時代に対応したものにするために、先ほど来申し上げておりますけれども、今後順次各国と年金協定の締結に向けた取り組みを進めていく必要があると思っております。
 具体的には、御指摘がございましたように、これまで予備的な協議を行ってきました経緯から、また永住者を除く海外在留邦人の四割を占めておりますアメリカとの間で政府間交渉を開始したい、こう考えているような次第でございまして、現在その準備に向けて作業を進めているところでございます。
 そして、フランスでございますが、昨年十二月の日仏首脳会議におきまして予備的な協議を開始することで既に合意をいたしております。年内には日仏両国で情報交換を開始する、こういうことで調整を行っておるような次第でございます。このほか、七カ国から協定締結交渉の申し入れを受けております。先ほど、率直に申し上げまして私どもの受け入れの体制も必ずしも十分でなかったということでございましたけれども、現在、八人のスタッフをそろえまして、それを中心にいたしましてこの作業を行っておるわけでございます。
 今後、外務省とも相談をいたしまして、優先度の高いものから順次取り組みまして、できるだけ早く、そして条件が合いますならば数多くの国々と協定の締結を目指していきたい、このように考えているような次第でございます。
#83
○西川きよし君 ありがとうございました。
#84
○委員長(狩野安君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#85
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#86
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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