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2000/04/27 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第17号
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2000/04/27 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第17号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第17号
平成十二年四月二十七日(木曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月二十日
    辞任         補欠選任   
     井上 美代君     筆坂 秀世君
 四月二十一日
    辞任         補欠選任   
     筆坂 秀世君     井上 美代君
 四月二十六日
    辞任         補欠選任   
     佐藤 泰介君     小宮山洋子君
     沢 たまき君     山下 栄一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                今井  澄君
                小宮山洋子君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                山下 栄一君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生大臣官房総
       務審議官     宮島  彰君
       厚生省医薬安全
       局長       丸田 和夫君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○社会保障等に関する調査
 (母体保護法の一部を改正する法律案に関する
 件)
 (女性の生涯を通じた健康の推進に関する決議
 の件)
〇児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十六日、沢たまき君及び佐藤泰介君が委員を辞任され、その補欠として山下栄一君及び小宮山洋子君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会保障等に関する調査のため、本日の委員会に厚生大臣官房総務審議官宮島彰君、厚生省医薬安全局長丸田和夫君及び厚生省児童家庭局長真野章君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(狩野安君) 次に、社会保障等に関する調査のうち、母体保護法の一部を改正する法律案に関する件を議題といたします。
 本件につきましては、南野知惠子君から委員長の手元に母体保護法の一部を改正する法律案の草案が提出されております。内容はお手元に配付のとおりでございます。
 この際、まず提案者から草案の趣旨について説明を聴取いたします。南野知惠子君。
#6
○南野知惠子君 ただいま議題となりました母体保護法の一部を改正する法律案の草案につきまして、その内容を御説明申し上げます。
 現行の母体保護法では、都道府県知事の指定を受けまして受胎調節の実地指導を行う者が受胎調節のために必要な医薬品を販売することができる期限が本年七月三十一日までとなっております。
 本案は、この期限を平成十七年七月三十一日まで五年間延長しようとするものでございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
#7
○委員長(狩野安君) 本草案に対し、質疑、御意見等がございましたら御発言を願います。
#8
○小宮山洋子君 きょうは、母体保護法の時限の期限を更新するということですけれども、せっかくの機会ですので、母体保護法とかリプロダクティブヘルス・ライツなどにつきまして、持ち時間十五分ほどですが、私は大野次官とお話をしたいと思っておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 といいますのは、予算委員会などでの大野次官の御答弁でリプロダクティブヘルス・ライツを進めていくために非常に大事な御発言があったと思っておりますので、ぜひそういう形でお話をしたいというふうに思っております。
 まず、一九九四年にカイロで開かれました国際人口・開発会議で合意されまして、その後、一九九五年、北京での第四回世界女性会議で採択されました行動綱領にも盛り込まれておりますリプロダクティブヘルス・ライツ、舌をかみそうですし、日本語にしますと性と生殖に関する健康・権利といってますますわかりにくくなっているんですけれども、言いかえれば生涯を通した女性の健康、それを守る権利と言ってもいいかと思いますが、まだまだ日本では浸透していないと思うんですね。
 政府がつくられましたプランの中でも「リプロダクティブ・ヘルス/ライツに関する意識を広く社会に浸透させ、女性の生涯を通じた健康を支援するための取組の重要性についての認識を高めるという観点から、これらの問題について男女が共に高い関心を持ち、正しい知識・情報を得、認識を深めるための施策を推進する。」とあるんですが、まだまだ十分に行われていないように思うのです。
 こうした認識、それからいろいろな施策の一層の充実について次官はどのようにお考えでしょうか。
#9
○政務次官(大野由利子君) 委員が御指摘のように、リプロダクティブヘルス・ライツの概念が国際人口・開発会議の行動計画とか世界女性会議の行動綱領に盛り込まれたということを承知しておりますし、大変重要な概念ではなかろうかと思っております。
 厚生省といたしましても、この概念に沿いまして、妊娠、出産や更年期等の女性特有の問題を踏まえまして、女性の生涯を通じた健康支援を推進していくことが重要である、このように認識をしております。
 このため、従来から思春期、妊娠・出産期など女性の年齢に応じた健康診査、保健指導の充実とか、乳がん、骨粗鬆症等の女性に特有の疾病に着目した健康診査とか保健指導の充実、また生涯を通じた女性の健康づくりに関する研究の実施などに力を入れてまいりました。これからもこうしたことに力を入れてまいりたい。
 平成十二年度の予算におきましては、生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会の報告、昨年七月に報告を取りまとめていただきましたけれども、この報告を踏まえまして、一つとして保健婦などに対するリプロダクティブヘルスなどの研修の実施、二つに女性特有の健康状態に応じた相談や情報提供、不妊の相談、情報提供の充実、三つとして周産期医療ネットワークの整備、四つとして乳幼児健康支援一時預かり事業におきまして、産後で体調がすぐれない、そういうお母さんの家庭に新たにヘルパーを派遣する、こうしたことを盛り込んだところでございます。
 今後とも生涯を通じた女性の健康支援のための施策に力を入れてまいりたいと思います。
#10
○小宮山洋子君 今伺いましても、厚生省の取り組みは、母子というんでしょうか母親に対するところの部分がどうも大き過ぎるように思うんですね。リプロダクティブヘルス・ライツのそもそもの考え方からいきますと、それこそ小学校ぐらいからの性教育から始まって更年期まで、産む産まないというところだけではなくて、生涯を通してという部分がどうしてもまだまだ足りないように思います。
 こうした認識をきちんとするためには、特に若い人たちなども含めた情報提供の場、あるいは相談所といったものがやはり不可欠だと思うんですけれども、そこがまだまだ十分ではないのではないか。昨年認可されましたピルの情報なども含めて、そうした情報提供の場、相談所などについての政府の取り組みはどのようになっているでしょうか。
#11
○政務次官(大野由利子君) 健康教育とか健康相談が大変重要になってくる、こういう委員の御指摘かと思いますが、厚生省といたしましては、保健所とか大学病院、公立病院等におきまして、婦人科的疾患や更年期障害、出産の悩みなどの女性特有の健康状態に応じました健康教育、健康相談等を行う生涯を通じた女性の健康支援事業を平成八年度から実施しておりまして、平成十二年度におきまして全国二十四カ所で実施ができるよう一億二千万の予算を計上したところでございます。
 また、女性が主体的に利用できる避妊方法を初めとしたいろいろな避妊の方法につきまして、市町村保健センターや保健所、受胎調節実地指導員などを通じて情報提供を行ってまいりたいと、このように思います。
 学校教育を含めまして、こうしたリプロダクティブヘルス・ライツという考え方を子供のころからしっかりと普及させていくということは非常に重要なことではなかろうかと思っております。
#12
○小宮山洋子君 今回、時限立法が更新されます受胎調節指導員ですけれども、その役割もやはり時代の中でかなり変わってきているんじゃないでしょうか。そのあたりの受胎調節指導員の役割についての研修を含めて、それは先ほども申し上げました昨年のピル解禁などのことも含んだ形でどのように行われているか、そしてこれからどういうふうに進めていかれるか、伺いたいと思います。
#13
○政務次官(大野由利子君) 人工妊娠中絶は全体的には随分減っております。しかし、二十歳未満の中絶は逆にふえているという傾向がございますので、十代の若者の間に適切な避妊方法とか、また中絶が母体に及ぼす影響などについてもっともっと知識を普及させていくということが重要であろう、このように考えておりますので、受胎調節に関する専門家である受胎調節実地指導員の積極的な活用というものを今後図っていく必要がある、このように思っております。
 女性主体の避妊を普及する観点から、受胎調節実地指導員が指導できる避妊用器具というものに対する女性用コンドームを追加するための告示改正を予定しておりますし、委員が御指摘のピルも含めて、こうした知識の普及指導に今後しっかり力を入れてまいりたいと思います。
#14
○小宮山洋子君 私は、少子化対策として避妊、中絶、不妊治療などが決して論じられてはならないと考えております。産む産まないの自己決定、これは非常に大切だと思うんです。それがリプロダクティブヘルス・ライツの一つの中心にあると言ってもいいと思うんですが、どうも一般的に、男性と言っては申しわけないかもしれませんが、この日本を依然として動かしておいでの年輩の男性の皆さんの中には特に強くそのあたりについて私が心配をするような点があるように思いますけれども、こういう点についてはどういうふうに次官はお考えになっていますか。
#15
○政務次官(大野由利子君) 結婚とか出産というものは当事者の自由な選択にゆだねられるべきものでございまして、子供を何人産むかとか、いつ産むかとか、産む産まないも含めて、こうしたことは当事者の決定にゆだねる必要がある。ただ、子供を産みたくてもなかなか産めないというような阻害要因というようなものを取り除いていくということは必要でございますし、子供を安心して産み育てることができる環境整備を進めていかなければならない、このように思っております。
 こうした基本的な考え方を踏まえまして、安心して妊娠や出産ができるための環境整備という観点で、不妊に悩む方への相談体制の整備とか、思春期における健康教育だとかというものを少子化対策基本方針の中に盛り込んだところでございます。
#16
○小宮山洋子君 そもそもこの母体保護法ができたときに、優生保護法を改正してこういうふうになったわけです。優生思想を廃したというのはもちろんいいことなんですが、そのときにこの母体保護法自体のあり方についても本当は論議をされるべきところだったのが、全く審議なしに中絶を許可する部分だけがこの母体保護法に残っている。そういうことからしましても、刑法に堕胎罪があるのをこの母体保護法で可能にしている。そこに、今認められている条件を狭めようという動きが一部にございますけれども、これは私はリプロダクティブヘルス・ライツの精神には反することだというふうに思います。
 そういう意味からしまして、こういう考え方を守るための新たな法律が私は必要なのではないかと思うんですけれども、次官はどのようにお考えでしょうか。
#17
○政務次官(大野由利子君) 確かにいろいろなお考えがございまして、私も委員が御指摘のリプロダクティブヘルス・ライツはあくまで当事者に決定がゆだねられるものである、そういう意味ではまさに委員の御指摘に個人的には大変共感をしているところでございます。しかし、いろいろ多様な考え方がございまして、胎児の生命の尊重は一体どうなっているのかというような御意見をおっしゃる方もいらっしゃいます。国民個々の倫理観とか道徳観とか宗教観とか、そういうものにも非常に深く関係をしている問題でございますので、国民各層における議論の深まりというものが非常に大事かなと。その状況を慎重に注視しながら今後検討すべき重要な課題であろう、このように思っております。
#18
○小宮山洋子君 個人的にはとおっしゃいましたけれども、次官でいらっしゃるんですから、ぜひそのあたりをリードしていただきたいというふうに思います。
 確かにいろんな考え方があることはわかっておりますが、やはり国際的にもこれは合意して、日本政府もちゃんと進めるという約束をカイロでも北京でもしているわけですから、それはそういう形でなるべく一人でも多くの方が認識されるように、ぜひ厚生省としては率先して努力をしていただきたいというふうにお願いを申し上げたいと思います。
 最初のリプロへの取り組みの御説明の中でも申し上げましたように、まだまだ厚生省の場合は母子保健ということで子と一緒に母だけは大事にしようということがどうも見えてきてしまうのですけれども。
 来年、省庁の再編がございますね。その中で、例えば母子保健課ではなくて女性健康課をつくるとか、せっかく省庁を再編されるわけですから、その中でそうした考え方をとられるおつもりがあるかどうかを伺いたいと思います。
#19
○政務次官(大野由利子君) 来年一月の厚生労働省の創設後におきましても、現在の児童家庭局の母子保健課が雇用均等・児童家庭局母子保健課に引き継がれる、こういうふうになっております。母子保健事業につきましては、以前から母子保健法に基づきまして、妊娠から出産、育児まで一貫した体系の中で子供と母性の保健施策を効果的に推進してまいりました。
 委員が御指摘のように、女性健康課でしょうか、女性の健康を一生の間というような観点でとらえる、こういう見方というのも一つの見方かとは思いますけれども、しかし例えば乳がんとか子宮がんというような問題につきましては、乳がんと子宮がんは女性特有の病気ではございますが、がん対策の一環としてこれはとらえて、がん対策の一環として対策を講じた方がいいということもございますし、また性感染症については感染症対策としてとらえた方がいい、こういうふうなこともございます。
 そういった意味では、母子保健課というのは、大体、妊娠、出産、そして子供が乳幼児のころまでの母子というものを対象として、そしてその後は各部局でやっています健康対策というものと連携を深くとって総合的に施策を推進していくということも非常に重要じゃなかろうか。女性健康課ができると、では男性健康課もつくれというようなことにもなってくるかと思いますし、委員の一つの御指摘だとは思いますが、今こういう立場で厚生省としてはやっていることを御報告したいと思います。
#20
○小宮山洋子君 そろそろ時間でございますけれども、ずっと申し上げたように、やはりリプロダクティブヘルス・ライツを守る法律というのが私はぜひ必要だと思っておりますので、NGOの方々の意見も受けて、こういうのは超党派で、できれば女性議員の側から提起もしたいと思いますので、ぜひ厚生省としても前向きに取り組んでいただきたいことをお願いしまして、私の質問を終わります。
#21
○井上美代君 日本共産党の井上美代でございます。
 私は、まず最初に、今も小宮山議員が触れられましたけれども、まず妊娠、出産というのは本来やはり女性の体の中に起こることであるというふうに思います。だから、女性の自己決定権が保障されるのは当然であるというふうに思います。
 日本政府も批准をしております七九年の国連で採択された女性の差別撤廃条約第十六条の(e)ですけれども、ここには女性が子供の数及び出産の間隔を自由にかつ責任を持って決定する権利並びにその権利を行使するための情報、教育、手段を享受する権利を持つということが明記されております。そして、九四年のカイロの会議においても体と性に関する女性の権利、いわゆる自己決定権ですけれどもこの問題が論議され、六月にはニューヨークで女性二〇〇〇年会議も行われますけれども、今や世界の国際的な流れになってきているというふうに思っております。
 女性の一生を通じての健康を考えるとき、また自分の体や人生を他者に管理され、侵害されることがなく、そして自分自身で決められるということ、これが基本的な人権であるという見地です。この見地をやはりこれからの日本の中でもっと国民の認識としてやっていかなければいけないというふうに思っております。
 政府・厚生省は、この性と生殖に関する健康についての女性の自己決定権について具体的にどのような取り組みをこれまでやられているのか。厚生白書などにも活字は出てまいりますけれども、どんな具体的な取り組みがやられているのか。私は、やはり法制化が必要というふうに思っておりますので、そういう点で今後どのように女性の自己決定権を据えていくのかということを御答弁願いたいと思います。政府参考人、お願いします。
#22
○政府参考人(真野章君) 女性の健康に関する施策に関しましては、従来から思春期、妊娠・出産期など女性の年齢に応じました健康診査、保健指導の充実、それから乳がん、骨粗鬆症などの女性に特有の疾病に着目した健康診査、保健指導の充実、それから生涯を通じました女性の健康づくりに関する研究の実施などの施策の充実に努めてきたところでございます。
 先ほど来、政務次官が御答弁いたしております平成十年に設置をいたしました生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会、ここで昨年の七月に報告書を取りまとめていただきました。この報告書におきましては、今後十年間の目標といたしまして、全国民にリプロダクティブヘルス・ライツの意識の浸透を図ること、人工妊娠中絶を半減させること、特に十代の人工妊娠中絶を減少傾向に転じさせること、それから妊産婦死亡率を半減させることというような提言が行われております。この提言を受けまして、私ども、さらに充実を図ってまいりたいというふうに考えております。
#23
○井上美代君 ぜひ積極的に、しかも先になりませんように実施をお願いしたいと思います。
 次に、二月一日に参議院の本会議におきまして、与党の代表から母体保護法について、中絶の理由として経済的理由を削除する旨の発言がありました。刑法の堕胎罪があり、これは廃止しかないと私は思っておりますけれども、内容は一方的に女性のみが罰せられることになっております。そうした中で、母体保護法が女性の苦悩を合法的に救出をしているというふうに思っております。しかし、中絶ができるからといって、だれ一人として好んで中絶をやっている人はいないわけです。女性はみずからの体と心を傷つけながらやむを得ず中絶を選択しているわけなんです。
 先日、日本母性保護産婦人科医会も、経済的条項をなくすという中絶の理由を狭める方向での提言を出されました。このような動きに対してどのように厚生省は認識しておられるのか。きょうは大臣にお聞きしたいと思ったんですけれども、参考人にお聞きします。どのようにその辺のことを認識されておるのか。そして、与党と日母のこの要請を受けて世界に逆行する法改正を検討するおつもりなのかどうかというところをお聞きしたいと思います。
#24
○政府参考人(真野章君) 人工妊娠中絶の問題につきましては、二月一日の参議院本会議でも総理から御答弁がございましたように、胎児の生命尊重、女性の自己決定についての考え方などをめぐりまして国民各層に多様な意見がある、そしてまた国際的にも対応が分かれていると。そういう状況で、またこの問題が国民個々人の倫理観、道徳観、宗教観とも深く関係をしておって、国民各層における議論の深まりが重要だということを御答弁されておりまして、私どももそういうふうに考えております。
 また、専門団体からそういう提言が出されたというふうに承知はいたしておりますが、まさにそういうことも踏まえまして、国民各層における議論の深まりを期待しているというところでございます。
#25
○井上美代君 ぜひ国民の間で討論も深め、歴史が逆行しないようにしていかなければいけないというふうに思います。
 次に、働く労働者の女性の問題をお聞きしたいと思います。もちろん厚生省の立場で御答弁願いたいんですけれども。
 九七年に労働基準法の女子保護規定の撤廃が行われました。時間外労働について見るときに、ヨーロッパ並みの本当に厳しい残業規制が今求められている現状があるというふうに思っております。この間、働く女性の長時間過密労働が大変進んでおりまして、私は手元に全労連の女性労働者の健康・労働・生活実態及び妊娠・出産状況に関する調査というものを持っております。
 これによりますと、月々三十時間以上の残業をしている女性は一五%を超えております。女性たちの四割がサービス残業を行っており、残業で遅くなったときでも夕食や家事は結局自分がやっております、こういう女性が三五・八%いるわけです。仕事も家事も育児も女性が負担しているというのが今日の現状です。
 休みたくても休めない状況のもとで、女性労働者たちは、鎮痛剤の常用が一一%ということ、異常出産が三割というふうになっております。残業が多い人ほどつわりはひどいという結果が出ておりまして、女性の保護撤廃の新たな労働環境のもとで働く女性の健康がどうなっているのか。今後、女性の職場進出が広がっていく状況の中で、働く女性の母性と健康を守るということは当然今強く求められているわけです。
 厚生省として、女性のこうした妊娠や出産への援助、特に来年から厚生労働省というふうになりますけれども、こうした問題についても研究の予算化などぜひやってもらいたいというふうに思っておりますが、その点、厚生省としてはどのようなことを考えておられるでしょうか。
#26
○政府参考人(真野章君) 先生御指摘の働く女性の増加、それに対して健康の確保ということは厚生省としても大変重要だと考えております。これまでも、労働省との関係で申し上げますと、私ども、母子健康手帳を交付しておるわけでございますが、その手帳の中にも労働基準法等の規定の周知を図っておりますし、また、これは労働省がおやりになっていることでございますが、母性健康管理指導事項連絡カード、健康診査を行いました医師が事業主に連絡をする連絡カード、これを私どもが配付いたしております母子健康手帳の副読本に掲載するというようなことで、いわば労働省と連携して、働く妊産婦の健康の確保を図るという努力をしてきたというふうに考えております。
 先ほどの生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会の報告書におきましても「適切な保健指導や医療を提供できるよう、労働が妊娠・出産に与える影響に関する研究を推進する。」ことという御提言をいただいております。
 来年の一月から厚生労働省ということで、厚生省の母子保健対策という観点と労働省がこれまでやってこられました母性健康管理対策というものが一つの局になるわけでございますので、私ども、こういう提言も踏まえまして、今後の働く女性の健康支援のためのこうした研究につきまして前向きに検討してまいりたいというふうに考えております。
#27
○井上美代君 ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 次に、母体保護法の三十九条ですけれども、ここに受胎調節指導のために必要な医薬品の条文があります。厚生大臣が指定する者が受胎調節に必要な医薬品を販売することになっております。それで、アメリカにおくれること四十年、こういうふうに言われておりますが、ようやく昨年解禁されたピルが、その指定された方が医薬品として販売することができないというふうに今なっております。この扱えないことが今女性たちの間で話題にもなっておりますし、要求にもなっておりますし、話し合われているところなんですね。
 それで、女性がやはり主体的に避妊できるというのは、これはコンドームではなくピルだと思うんですね。しかしながら、十分まだ活用されていないという現状がある中で、何らかの方法をとることができないかというのが私の質問です。
 認可されて短いのですけれども、海外では助産婦に処方できる権限があるというふうに聞いておりますし、ピルが扱える国があるということですので、私は、今後、厚生大臣が告示で指定する医薬品にピルをぜひ入れてほしいというふうに思っているんですけれども、この辺はどうでしょうか。
#28
○政府参考人(丸田和夫君) 昨年六月に承認いたしました低用量ピルにつきましては、卵胞ホルモンの誘導体を含有する製剤であるということから、薬事法に基づきます要指示医薬品に該当するものでありまして、医師の処方せんに基づきまして個々の患者さんの状況に応じて調剤されるものに限りまして販売などを行うことが認められたところでございます。
 母体保護法第三十九条第一項につきましては薬事法の販売の特例を認めたものでございまして、薬剤師法に基づきます薬剤師でなければできない調剤についてまで特例を認めたものではございません。そういったことから、受胎調節実地指導員の方につきまして低用量ピルの調剤、販売は行うことができないものとなっております。
 また、低用量ピルにつきましてはいろいろ議論があったところではございますが、通常の医薬品と異なりまして健康な方が服用するものであるということから、その販売に際しましては特に副作用の発生に留意するなど適正使用が図られるよう慎重な対応が必要でありまして、中央薬事審議会におきましても、医師の処方せんの交付を受けた薬局においてのみ販売などができるものとすべきとの確認がなされております。そういったことで承認されたものでございます。
#29
○井上美代君 法律上はできないということは承知しておりまして、それをやはり女性がもっとピルが使えて主体的に避妊ができるように、そういう意味でぜひ検討をお願いしたいというふうに思うわけなんです。ぜひ今後、法律がありますけれども、その方向で厚生省としても検討していただきたいというふうに思います。
 最後に、私は男女の性意識の格差について御意見をお聞きして、終わりにしたいというふうに思います。
#30
○委員長(狩野安君) 時間ですので、短くお願いします。
#31
○井上美代君 はい、短くやります。
 最近、NHKで性に関する実態調査についての放送がありました。皆さんも見られたかというふうに思いますけれども、いろんな意味で男女の性意識の格差が非常に大きいということが明らかです。そういう点で、この性意識の違い、妊娠、出産のステージにおいて女性にやはり自己決定権が欠けている問題もそこでは指摘されているわけです。
 この意識のギャップをどう厚生省が考えられているのか、そしてまた女性の自己決定権の問題で厚生省としてはどのような努力をされようとしているのかということをお聞きして、終わりにしたいと思います。
#32
○政府参考人(真野章君) 意識の問題でございますのでなかなか難しゅうございますし、また厚生省だけでこの問題に取り組むというのはなかなか難しいと思います。
 私どもで持っている手段といたしましては、現在、健全母性育成事業等による思春期を対象とした性に関する指導というようなことでございますが、そういう場も活用しながら、御指摘の点も踏まえまして、文部省とも連携して対応したいというふうに考えております。
#33
○井上美代君 終わります。
#34
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず、政務次官にお尋ねいたします。
 四月十七日の新聞に、十五歳の少女が自宅で出産をした、それでその父親に当たる十七歳の少年は少女から新生児を受け取って山林に子供を捨てて殺したと。それで、この少年は十七歳で殺人と死体遺棄の疑いで緊急逮捕されているわけですね。私は、これは非常に痛ましい事件として受けとめました。二人は、妊娠がわかり中絶を考えたが、二人ともお金がないのでそれができなかったということを言っておりますけれども、やはり妊娠、出産について少女が非常に無知であったということ、また父親になる少年のこれらについての無知さがこういう事件、いわゆる殺人などという犯罪を犯してしまうということになっていると思います。
 政務次官は、この母体保護法と関連してこの事件をどのように受けとめられるのか、お聞きいたします。
#35
○政務次官(大野由利子君) 委員が御指摘のように、十代の若者の望まない妊娠、意図しない妊娠が大変痛ましい事件を引き起こした、このように思っております。
 こうした事件の詳しい背景はよくわからないところがあるわけでございますが、現在、母体保護統計によりますと、二十歳未満の中絶は増加傾向にございます。全体的には減ってきておりますが、二十歳未満に限定をいたしますと増加をしてきております。その理由についてはいろいろな御議論があるところでございますが、十代の若者の間に適切な避妊方法等についての知識が普及をしていない、また女性が主体的に利用できる避妊方法が今までほとんどなくて適切かつ継続的な避妊が行われていない、こういうことが原因として考えられるのではないか。
 いずれにいたしましても、今後、厚生省といたしましては、避妊の方法、避妊の相談とか情報について提供を行う体制を充実してまいりたい、このように思っております。
#36
○清水澄子君 今おっしゃったように、しかしそれは一般状況じゃなくて、私は母体保護法との関連でお聞きしましたけれども、母体保護法は人工妊娠中絶と不妊手術の許可条件について定めてある法律でありまして、望まぬ妊娠を防止するための避妊については明示されていない。唯一きょうの一部改正案のところに助産婦さんによる受胎調節の実地指導というものがあるのみなんです。しかも、人工妊娠中絶も不妊手術も必要かどうかは医師が認定する。先ほどから問題になっている女性の体を通して起きてくる問題、それは女性自身が自分の体に対する自己決定権というのを持っていることが法的に日本では保障されていないわけです。
 ですから、あくまで私たちは、自己決定権というのは女性の体を通して起きることは女性自身が決定できる、これは基本的人権だ、それがリプロダクティブヘルス・ライツの非常に重要な考え方であるし、これは世界的に認知されている問題だと思うんです。ですから、産むか産まないか、何人産むか、いつ産むかということはカップルが、そして最終的には女性が決めるというこの性と生殖についての自己決定権は女性の人権であるという、この考え方が母体保護法にはないわけでありまして、それを保障する法律は日本にないんです。それがない中でいろいろやっていらっしゃるので、先ほどからいろいろお答えになっているのは随分筋違いのことをおっしゃっているので非常に気になるわけですが、きょうは時間が短いのですが、こういう討議ができただけでも私たちはよかったと思っているわけです。
 この少女と少年の間に起きた問題も、もし少女に避妊や出産についての知識が十分に行われていたならば、殺人というところまでいかなくて済んだと思うわけです。そしてまた、自分たちでもっと妊娠や出産についての自分自身の責任ということについても考えただろう。それにはやはりそれらを考えるだけの十分な情報とか相談とか、飛び込んでいって処置してもらう、相談に乗ってもらう、そういうサービスの相談所というものがもっと地域にたくさん必要なんだと思うんです。
 ですから、自己決定権というのは法律上だけにあってもだめなんで、自己決定権を行使できる政策がどう一体になって行われているかということが大事なんですけれども、それが日本ではこの母体保護法のみに人工妊娠中絶と不妊手術だけがあって、避妊について避けられ、相談事業についての法的な措置がなされていない、このことが私は一番大きな問題だと思うんです。
 そこで、それでも国際的にもこのリプロダクティブヘルス・ライツの理念というのは避けられない、これは政策上重要な課題になっていますから、厚生省もいろいろ、平成八年度から各都道府県とか指定都市、中核市に対して生涯を通じた女性の健康支援事業の実施という通達を出されたり、そういうことをなさっているんですけれども、さっきお話しになった健康センターがあるからいい、全国に二十四カ所あるからそれで済むなんという、そういう問題ではないと思います。
 そういう点で、最も重要なリプロダクティブヘルスについて行政がどう相談とか指導を行っていくか、そして女性自身の権利をきちんと支援していくか、そういう内容を今後どのようにしたいとお考えでしょうか、簡潔に述べてください。政務次官お答えください。
#37
○政府参考人(真野章君) 先生御指摘の生涯を通じた女性の健康支援事業でございますが、平成八年度から都道府県、指定都市、中核市を実施主体といたしまして事業を行っております。
 予算上は二十四カ所ということでございますが、実績はなかなかそこまで実は追いついていない状況でございまして、私ども、とにかくこの事業をそれぞれの自治体で実施していただくということについてさらに努力をしたいというふうに考えております。
#38
○清水澄子君 予算上不足しているという問題は現実にあるでしょう。その前に、今私どもが主張している理念、考え方がまずあって、その考え方のもとにその政策を実行していくことだと思う。それが明確に法的にも日本にはない。性と生殖にかかわる問題というのは、日本では非常に国際的にも政策上も法律上もおくれていると思うわけです。
 そこで、平成十一年に母子保健課は生涯を通じた女性の健康施策に関する研究会というのをやられて、その報告を発表しておられます。その報告を見ますと、中高校生の性交経験率の上昇、その情報源はアダルトビデオとかポルノ雑誌というようにはっきり数字が出ております。そこからほとんど情報を得ている。非常に不正確かつ人権を尊重しない情報によって性意識、性行動が決定されていく、そういう傾向がはっきりここで指摘をされているわけです。
 この点について、厚生省は文部省、労働省とも連携しなきゃいけないんでしょうけれども、今後どう実効を上げようとしているのかということについてお答えください。
#39
○政府参考人(真野章君) 先生御指摘のとおりでございまして、私どもも従来から市町村保健センターなどにおきまして性や避妊についての健康教育や情報提供を行っているわけでございます。今年度の予算におきまして、母子保健強化推進特別事業に新たに思春期保健対策というものを盛り込みまして、地域の実情に応じた情報提供を図る、具体的には女性健康手帳というようなものを、いわば思春期、出産可能期、閉経期以降といった各ステージごとの健康問題に関する情報を掲載した手帳というものを考えてみたらどうかということで、それに関する検討会を開催いたしまして検討を始めているところでございます。
 今後とも、文部省、労働省とも連携しながら、思春期を対象とした性に関する情報提供というものに努力をしたいと考えております。
#40
○清水澄子君 まず情報提供と教育は大事なんですが、そのためにはそれを実施していく人間がいますか。きちんとそういう指導をする、相談業務を実行できる相談員の養成ということがまず要ると思います。それから、大学医学部でも本当にリプロの理念をきちっと勉強する、そういう施策はとっておられるでしょうか。
#41
○政府参考人(真野章君) 大学における医学教育でどういうところまでというのは、にわかの御質問でございまして、今、的確なお答えができる状況ではございませんが、当然そういう議論というのは大学の中で行われてしかるべきだとは思っております。
#42
○清水澄子君 厚生省が出している、さっきの生涯を通じた女性の健康支援事業も、中身は全然リプロの精神、理念をきちんと認識したものでないんですね。
 それから、その中の「健やか親子21」と二十一世紀の母子保健の主たる課題というふうなものもあるんですけれども、そこには何か思春期の保健対策とかはちりばめてはあるんですが、一貫したリプロの政策はございません。先ほども説明しておられましたけれども、人工妊娠中絶数を二分の一に減少させることを目標とした国民運動を展開するとか、そういう粗っぽいやり方が私はまず非常に大きな問題だと思います。
 例えば、避妊の指導員というのは教育と実地指導が必要なんです。トレーニングを受けた人が性と生殖に関する健康と権利ということをしっかり認識した、そういう経験と熱意のある人たちがこれを実行しないとやれない。助産婦さん、保健婦さん、看護婦さんたち、こういう人たちは非常にそういう資源なんですね。特に助産婦さんはそれを実際やっていらっしゃるわけですから、こういう人たちを指導員としてもっといろんな地域に活用していく、そういうできることからやっていただきたい。そして、情報とか教育とかカウンセリングやサービスを提供する体と性の相談所というのをいろんな地域にもっと、気楽に若い人たちもそこへ相談に行けるところが必要だと思うんです。
 その点について、それをやっていきたいというふうにひとつお答えいただけませんか、政務次官。政務次官、やりましょうと言いなさいよ。
#43
○政府参考人(真野章君) 助産婦さんを初め皆さん方にそういう活動をぜひやっていただきたいと私どもも思っておりますし、またそういう身近な場所での相談システム、保健所だけではなくて市町村保健センターでそういうことをやっているのもそういう趣旨でありますけれども、正直申し上げまして、なかなかその取り組みをしていただいている自治体の数も少ないということから考えますと、私ども、やはりぜひそういう意味でそれぞれの自治体でそういう取り組みをしていただけるように努力をしたいというふうに思っております。
#44
○清水澄子君 きょうは大臣に聞いていただくことになっていて、そして政務次官が答えてくださるというので一生懸命、特に女性同士だから、大いに今の現状を何とか本来のものにしたいと思って努力しているんです。ですから本当にお答えいただきたいんですが。
 そこで次に、性の問題をやはり道徳問題としてとらえていくというだけではこれは非常に問題なんです。日本ではすぐそういう状況になります。これを人権としてとらえ直すということが非常に重要だと思うんです。健康というのはやはり人権と不可分のテーマでございますし、そして厚生行政というのは健康と一体のものとして、女性の性の人権を尊重するためにはやはりもっと、この母体保護法の立場からでは難しいと思いますね。
 ですから、行政指導による手直し的な問題解決ではこれはできないということを私たちは、この母体保護法の一部を改正するところは賛成なんですが、母体保護法そのものには本当に意見があるんです、女性の人権を尊重していないという点で。ですから、きょうこの後にこの委員会の総意で決議がされますけれども、将来のあるべき理想というもの、こういうリプロダクティブヘルス・ライツの理念に基づく新たな法体系を創設していくということが非常に重要になっております。
 これは今日の日本社会に緊急な課題であるわけですので、私はこれを申し上げて、大臣には今まで私どもの主張を聞いてくださったわけですから、感想をひとつお述べいただきたいと思います。
#45
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどからカイロ会議におきます行動計画で定められましたリプロダクティブヘルス・ライツの概念につきましてさまざまな議論がなされておるわけでございます。いずれにいたしましても、この概念というものは広く女性の皆さん方の生涯にわたる健康というものの確立を目指す、このように私は承知をいたしておるような次第でございます。
 この問題につきましては何回かこの委員会で既に御議論をいただいておるわけでございますけれども、いずれにいたしましても厚生省といたしましてはこの概念を、私どもも参加をしたわけでございますけれども、そのまま、何といいますか、ただ会議にそれに参加したということではなく、具体的にそれでは女性の例えば健康診査であるとか保健指導であるとか、それから女性の特有の例えば骨粗鬆症の問題であるとか、こういったような疾病対策、それからさらに女性の健康についての研究というものをいかにして厚生省として全面的にこれを推進していくか、こういうことが大変重要ではないか、このように認識しております。
 この問題につきましては、既にさまざまな形で厚生省において実施をいたしておりますけれども、全体的なまとまりというものがまだないわけでございますし、さまざまな局にまたがっている問題もございます。そういったものの中において、これから今後私どもがこういったようなカイロ会議の行動計画の中で定められました問題についてどういった点を重点的に取り上げていくか。
 それから、先ほど委員が御指摘になりました神奈川県の大変痛ましい事件につきましては、これも何か女性の決定の問題だけで済むのかどうかということにつきましては、私もいろいろな考え方を持っております。単に健康だけではなく、教育の問題、さまざまな問題があるわけでございます。
 最近私が感じますことは、委員の質問の中にもございましたけれども、例えば週刊誌なんかでとても私どもが目を覆いたくなるようなものが売らんがためになされている。こういう問題について、これはあくまでも表現の自由かもしれませんけれども、やっぱり国民の意識の中において、真の意味でああいうものがはんらんをしているということは大変ゆゆしき状態であって、一方においては、この委員会において女性のいわゆる自己決定というものを大事にして、尊厳等そういうものを守っていこうという一方でそういうものが非常にはんらんしている。こういうものも含めて社会全体で取り組むべき問題ではないか、このように認識をいたしているような次第でございます。
#46
○堂本暁子君 堂本暁子です。
 私は、女の政務次官なので、きょうあえて政務次官のお答えでいいと思ったんですが、今までの御答弁には大変不満です。
 まず、政務次官に伺いたいんですが、政務次官は人工妊娠中絶を減らすことが大事だと思っていらっしゃるかいらっしゃらないか、そのことだけ端的にお答えください。
#47
○政務次官(大野由利子君) 私の個人的な見解でございますが、中絶というのはやはり母体に与える影響も大きなものがあるわけですから、中絶は、できれば中絶という方法によらないで、事前の……
#48
○堂本暁子君 お答えだけ、お答えだけ。中絶はない方がいいかあった方がいいか、どっちを考えていらっしゃるんですか。
#49
○政務次官(大野由利子君) 一概にお答えするのは難しいんですが、中絶によらない、望まない妊娠を予防するという、そういう方法を用いた方がいい、それがベストだと、このように思っております。
#50
○堂本暁子君 今までるる同僚議員が質問してきたのは、そのことを充実していただきたいということの質問なんです。だけれども、それに対しての政務次官の答弁は、胎児の生命とかいろいろな考え方があるので一概に答えられませんと。参考人も同じなんです。
 私たちが大変不満に思うのは、リプロダクティブヘルス・ライツという言葉が大変日本語に訳しにくい。だから、確かに国際的にも国内的にもそういったプロチョイス、プロライフと言われるようなことの対立があります。そのことと、今、政務次官がおっしゃったことは別の次元のことなんです。それを一緒くたにして論じているところが日本の厚生省の決定的な欠点だということをきょう知りました。さっきおっしゃった多様な考え方があるからといって、そういった中絶を減らすための政策を推進して悪いということはどこにもないはずです。だから日本の少子化は進むんです。私はそう思います。
 今、大臣が清水先生にお答えになった内容ですけれども、厚生省の決定的な間違いは、今まで同僚議員が全部質問してきたことは、何もプロチョイスとプロライフ、考え方の二つの多様なものがあるからそれでできないということで、そして必要な政策をカイロ以後ずっとやってこなかったということなんです。
 ですから、私の質問の中に厚生省は今度の国連の会議に何日参加しましたかというのがありますが、これはもう答えていただく必要はない。大臣、厚生省は何日行ったか御存じですか。このことが討議された会議に厚生省から一人行った。木曜日に着いて、金曜日一日ですよ。これはほかの省庁からも女性たちからも批判を浴びています。あと土、日はいらして日本へ帰ってきた。こういう形で私は局長に国際的にも国内的にもなんて言ってほしくないです。
 やはり担当の部署から、それだけの真剣さで国際的にどういう議論が展開しているかということを、きちっとそこに厚生省として参加しないからこんな乱暴な前時代的な、もし、ここの審議を翻訳して世界じゅうにばらまいたら、日本はまだそんなめちゃくちゃな議論をしているのかということになります。そんな議論の展開ですよ、きょうの答えは。胎児の生命と多様な意見があるからなかなかそのことは進みませんと。ずっと終始一貫。
 私が議員になってからちょうど十年です。五年前のこの法改正にも参加しました。十年前は委員ではありませんでしたが、附帯決議はつくらせていただきました。この十年間、全く判で押したような同じ答弁。これでは日本の少子化が進むのは当然でございます。
 本会議で、少子化対策として女性の健康についてどう考えるかということを大臣に伺いました。総合的に推進しますというお答えでした。ですけれども、きょうのお二人の答えは、もう全くそれとは正反対のものです。母子保健の予算は幾らですか。政務次官、お答えください。──私が答えます。四十四億円です。その中の一億二千万、余りにも少ないじゃないですか。
 それでは、中絶は今何件ですか。政務次官、お答えください。──それでは政務次官、次に伺います。中絶は戦後どれぐらい減りましたか。さっき思春期の中絶はふえているとおっしゃいました。どのぐらいのパーセンテージでふえていますか。答えられますか。──だめです、そんなことでは。せめて政務次官で、女の政務次官なんでしょう。その数字すら知らないで、役所の書いた答弁をこうやって読んでいるだけでは本当の答弁ではないです。
 中絶は三分の一に減っています。そして、今七・九%ぐらいのパーセンテージで思春期の中絶はふえています。これは何を意味するのか。
 前にも大臣には申し上げたことがありますけれども、テレクラだ何だといって若い子供たちの妊娠はどんどんふえています。そして、そこに対しての政策がないんですよ、日本は。今まで小宮山さんも井上さんも清水さんも全部おっしゃったでしょう。ちゃんと日本じゅうのところにきちんと、受胎調節指導員の方かどうか知らないけれども、そういった方たちがきちんと政策を展開できる、助産婦でも看護婦でも保健婦でもいい、そういった人たちが指導をして、そういった子供たちに対応できるような教育の場もと。そういったことを私は口を酸っぱくして十年間言い続けてきた。なのに何ですか、この答えは、十年にして。
 国際的にだって恥ずかしいです。国際的にというだけではなくて、プランの中にでも、これは二〇〇〇年じゅうに厚生省がやるべきこととして国家として決めていることですけれども、ライフサイクルを通じて女性の健康を保障する観点から、女性の健康をめぐる現行の関連法令、関連制度について、リプロダクティブヘルスの保障のための法整備を含め、総合的に今後のあり方を検討すべきであると。これは内閣が決めたビジョンですよ、北京を受けて。そこにきちっと書いてあるでしょう。何一つ厚生省はそれに対して対応していないじゃないですか。どういう理由で対応していないのか。
 多様な御意見がございますからと十年言い続けてきた。これでは少子化はどんどん進みます。女はどんどんストライキをします。そして、若い子供たちは一回そういう性のために非常に不幸な中絶をやって、二度と妊娠したくないと思うかもしれない。健康な性生活が持てないかもしれない。それからもっとひどいことには、間違った中絶の仕方によって、親に隠れて翌日学校で体操したら不妊の体になるんです。そういったことをきちっと予防することこそが本当の意味での少子化対策だと私は思います。
 そして、前にも申し上げましたけれども、日本の女性たちは中絶でどれだけ苦しんできたか。世界で最初に優生保護法が施行されたのは我が日本国です。昭和二十三年でございます。寿事件だとかいろいろあって、子供を母親が殺すというような悲惨な事件がありました。私は保健婦さんにさんざん聞いたんです。それまで中絶は禁止されていました。堕胎罪があります、日本には。だから禁止されていた。ドクターたちだって中絶の技術すら持っていなかった。だから、そのために自分でホオズキを使って中絶しようとして命を落とした。そのころは人口が多かったから、嫁は死んでもいい、子供さえ残れば、そういう考え方でした。真っ青な顔をして大勢の女たちが死んでいったという話を当時の保健婦さんたちから聞きました。そういった法律です。
 優生保護法という法律から母体保護法に変わったときに厚生大臣は謝りましたか、菅さんですが。ハンセン氏病についてはわざわざ謝った。しかし、どれだけの女が苦しみ、悩み、そして死んでいったか。法律の名前を変えるときに厚生大臣に私たちは言いましたよ、なぜ厚生省は謝らないんですかと。どれだけの女がこれで苦しんだかわからないのに一言もごめんなさいとおっしゃらないじゃないですか。そして今、丹羽厚生大臣ですけれども、それは一人一人の女にとって毎月毎月大変なことなんです。樋口恵子さんが言った、五十歳になったときやっと私は解放されたと思ったわと。そういうことは男の人にわかりにくいかもしれない。だけれども、やはり望むときに望む子供を産むということがリプロダクティブヘルスなんです。健康に産むということがリプロダクティブヘルスなんです。何も胎児の生命と対抗概念じゃないんです。
 今、国連で議論されていることは、セクシュアル・アンド・リプロダクティブヘルスのそのセクシュアルというところを入れるか入れないかというようなことの議論がなされている。もう先へ進んでいるわけです。男女のということを言い出しているわけです。男女の性的な健康というようなことも言っているわけです。だから、そんな国際的にもなんという乱暴な意見をどうやって局長が口にできるのか、もう本当に信じられない。こういうことを書いている若い役人たちが出張してニューヨークまで行っているのは、これは税金のむだ遣いだとしか思いようがないですね、そういうやり方は。
 本当にこれはきちっと一度私はお話し申し上げたい。前の大臣たちのところには女性議員で何度も陳情に行きました。そういえば、私たち、丹羽大臣のところへは行っていないということにきょう気がついた。
 それと、私がもっと残念だと思うのは、大野さん、あなたです。女でしょう。これは女の政策なんですよ、産む産まないというのは。男に子供を産めと言ったって産めっこない。女の政務次官なんだから、それで母体保護法というのは中絶を決めている法律で、そこにあなたが座っていらっしゃるのだとしたら、日本の中絶件数とか、そのぐらいは政務次官として知っていることは当然じゃないですか。
 そしてそのことが、これからもし少子化対策をしていくのであれば、望まない妊娠は避けなければいけない。それは児童虐待の原因だというふうに多くのドクターたちが言っています。そして、実際に児童虐待を受けた子供たちがまた女性に対しての虐待、男に対しての虐待だってあるかもしれない。それが今や女性に対しての暴力とか女性に対しての性犯罪。ストーカーで殺された女の子がいる。そういうことが今や社会問題になってきているんです。
 その根っこはどこにあるかといえば、結局もとを正せば、よその国でやっているようにちゃんとどこでも、学校でも地域でもきちっとしたそういった政策をとって、どこへでも飛び込んでいって、私、困っちゃった、月のものがないんだけれどもどうしようといって相談できるところが日本にはないんです。ドクターたちだって、中絶をやって、それからあなたたちこうしなさいというきちんとした指導が出産した後ですらないと言われています、日本は。こういったことを充実しないで少子化を防ごうといったってこれは無理です。
 一番肝心かなめのことをやっていない。生まれてから保育園も大事でしょう。学童保育も大事でしょう。だけれども、生まれる前に女性たちが産むことを嫌だと思ったらもう産まないです。死んでも産まないです、女は。だから、そういうところに対して、産む前にきちっとした政策をやっていないこの国の弱さ、これはもう日本の人口の半分の女性の不幸だと思います。
 生涯に対しての健康ということについてはるる同僚議員がおっしゃった。だけれども、私は一点申し上げたい。きちっとそこのところをやる。そしてもう一つ、法的なことでいえば、カイロ文書、北京文書もちゃんと採択して合意している日本が、今、母体保護法ですが、かつての優生保護法からたった一言も変えないで「本人及び配偶者の同意を得て、」と。これでは時期をおくらせて、結局中絶ができなくなる。早い時期に中絶することが必要です。
 それから、今は緊急ピルというようなものもありまして、強姦とか望まない形での強引な妊娠をさせられたとき、家庭内強姦というのもあるわけですから、そういった強姦などに遭った場合には緊急ピルをそれこそ助産婦さんなんかに使ってほしい、保健婦さんなんかに使ってほしいというふうに思います。
 ですから、そういったところで、きょうはお二人の答弁を伺いながら、五年前、十年前よりももっと保守的になった、もっとおくれてしまったということを私は大変残念に思っています。
 きょうは私はもうお答えをいただく気持ちにもならない。どうせ同じお答えだと思うから、そういうお答えは要らないです。大野さん、あなた政務次官なんですよ。(「責任を感じなきゃいかぬ。責任者だから」と呼ぶ者あり)だから、私も責任を感じます、与党だったときにこの母体保護法の改正があったんですから。それは、自民党でいえば森山先生だの私たちだのどれだけこれに対して抵抗したかわからない、本当に。
 最後に、私は大臣に感想を伺いたい。
 これだったら少子化はとまらないというかどんどん進みます。そうでしょう、産みやすい状況がつくられていないんですから。望まれて生まれてきてこそ子供は幸福なんです。両親も幸福なんです。望まない……
#51
○委員長(狩野安君) 時間が過ぎていますのでまとめていただけますか。
#52
○堂本暁子君 望まない妊娠はできるだけ避けた方がいい、そのための方策をとっていただきたい、そう思います。
#53
○国務大臣(丹羽雄哉君) 総括政務次官の名誉のために申し上げさせていただきますならば、総括政務次官はこの問題につきまして大変これまで御熱心に取り組んでいらっしゃいます。
 ただ、率直に申し上げて、さまざまな意見があるということも先生に十分に御理解をいただかないと、現実問題としてなかなか難しい問題というものはあります。率直に申し上げて、党内でいろんな議論がなされております。私はほぼ先生と同じ認識に立つものでございますけれども、あるいは宗教上の問題であるとかさまざまな問題で、強く私に対して、あるいは厚生省に対しましてもこの問題についてさまざまな意見があるということも現実の問題として御理解をいただきたい。
 こういう中において、私どもは基本的に、先ほどから申し上げておりますように、このリプロダクティブヘルス・ライツという概念をいかにして生かしていくのか、こういう観点に立って、これから何をしていくべきか、そしてこれまで何をしてきたかということを十分に整理しながらさらに前進をしていくことが重要ではないか、こう思っております。
 それともう一つ、私なりの考え方を申し上げさせていただきますならば、少子化対策という問題とこの問題というのは、結果的に確かに結びつくかもしれませんけれども、少子化対策というものは、あくまでもこれは個人の自由でございます。産むか産まないかは自由であります。ただ、私どもが力を入れていかなければならないのは、子供を産むような環境にないんだと。こういうことについては私どもなりのさまざまな手当てで、女性の社会進出に伴いまして確かにいろいろな点で非常に子供が産みにくいような状況にある、そういうものを解消していくということがまさに重要なことではないか、こう思っておるような次第であります。
 そこで、繰り返しになって恐縮でございますけれども、女性に関するさまざまな、私は男性でございますけれども、私の場合は大体、私的なことでございますが、決定権はすべて私の妻が持っておるわけでございます。私は家内とは申しません、あえて妻と申します、夫と妻でございますから。そういう認識が正直申し上げて国民全般の中においてまだ十分に醸成されていないということもこの背景にあるのではないか。
 さっき申し上げたような、確かにこの委員会において先生からもいろいろ勉強させられたことが多いわけでございますけれども、その一方において、最近のこういうような風俗的なものに対する、これは男性の方のそういったことは当然のことながら許されることではありませんけれども、またその一方においてそういうような傾向があるんだということも、これをどういうふうにして考えていくかということで、一厚生省の問題ではなく、政府だけの問題ではなく、社会全体の中で考えていかなければならない問題である。
 しかし、私どもとして、当然のことながら行政を預かる者として、今申し上げたようなカイロの行動計画の中で決められたことにつきましては十分に……
#54
○堂本暁子君 それは日本のプランです。
#55
○国務大臣(丹羽雄哉君) ですから、これはこれからさらに積極的に推進していく決意であるということにはいささかも変わりがない、こういうことでございます。
#56
○堂本暁子君 時間だからやめますけれども、いろいろな考えとか意見とかと別次元のことだということを申し上げたわけです。
 終わります。ありがとうございました。
#57
○西川きよし君 どうぞよろしくお願い申し上げます。
 女性議員の皆さん方からいろんな角度から御質問が出まして、本日、男性の議員としては私一人が御質問をさせていただくわけです。これは私の個人的な感想ですけれども、本当に女性の皆さん方は大変だなと。地球上に六十億もの人間が今生活しておるわけですけれども、すべては女性の方々の子供です。みんなここにいらっしゃる方も、大臣もそうですし、私も三人の子供がいるんですけれども、家内、娘、そして二人の母親と今一緒に生活をしておるわけですけれども、これは本当に大変なことだと思います。
 どうしても家内に、勝つとか負けるということではないんですけれども、どうしてもこの立場ではまさることができないなというのは、やっぱり妊娠をいたしまして十月十日間のあの一体感というんですか、何かあるときには子供たちはみんな、僕も含めてですけれども、母親、女性のところに、特に一生の問題、これから自分はどう突き進もうかというような、悩んだり苦しんだりするときはどうしても父親より母親というようなことになるんです。
 今、諸先生方からいろいろな角度から御質問が出ましたが、私は私なりに、五年前は地方行政委員会にお世話になっておりましたので、新たな気持ちで御質問を申し上げたいと思います。
 この今回の規定は昭和三十年と申しますから私はまだ九歳のころでしたけれども、議員立法で設けられたわけです。いろいろ会議録も読ませていただきました。そして、当時の時代背景と今日の状況では随分と大きな変化があるわけですけれども、改めてそういう実感を、御質問もお伺いいたしまして本当に痛切に感じました。
 その創設当時、今日と随分変わっているわけですけれども、当時の提案者の議事録を読ませていただきたいと思うんです。
 「実地指導員というのは、実は御承知のように、ただいま人口問題がやかましく言われ、しかも過剰人口に対する対策という面から、産児制限のうちでも、受胎調節を大いに徹底させなければならぬというような関係からいたしまして、受胎調節が問題になっておるのでありますが、ただいまのところでは、多分十五年から二十年もいたしますと、情勢はかなり変ってくるというふうに存じております。」というふうに、昭和三十年当時の議事録にもこうして記録されております。
 一方で、今日の置かれている状況、御質問にもありましたけれども、性行動の低年齢化に対する対応、あるいは小児、子供たちに対する虐待を防ぐという意味合いにおきましても今回の規定を必要とすることであると思うわけですけれども、昭和三十年当時と今日とを比べまして、この規定の担う役割、このあたりからまず僕は御質問をしたいと思います。
 ぜひ提案者にお伺いしたいと思います。
#58
○南野知惠子君 ありがとうございました。
 いろいろと御質問をいただけると思っておりますが、受胎調節実地指導員、昭和三十年と現状との間にどう変わったかといいますと、一番に言えるのは、やはり若年者の性行動が大きく激変したことだろうというふうに思っております。
 そのような社会風潮の中から、今、委員の先生方がるるお述べになられた悲しい高校生の出来事もございます。また、その一方では、高校生のいわゆる性行為、性体験というものが我々の目の届くところで本当に活発化してきている、その状況をどうとらえなければならないのかということもございます。
 さらにまた、リプロダクティブヘルス・ライツという性と生殖に関する健康という問題につきまして、女性の自立ということが一番叫ばれているわけでございますが、女性のカイロ会議以降、これも国際的な問題として大きな流れを持ってきております。
 望まない妊娠というものをどのように避けていくのか、女性の幸せ、男性の幸せをどう守っていくのか、それは個人の幸せでなく家族の幸せである、それをどう守っていくのかというのは我々の大きな関心事であり、受胎調節実地指導員であればそれを心に決めて活動してきていたというのは、昔も今も変わっていないというふうに思っております。
 このような規定のいわゆる創設当初というものからは産児制限ということが、今、先生のお言葉から出ました、そのような意味合いを持っていたわけでございますけれども、今いろいろと申し上げましたことの中から、ただ避妊薬の販売ということだけではおさまらないだろうというふうには思っております。若者に対して、性や避妊、生命の尊厳といったものを我々の指導という問題の中に取り入れていきたいというふうに思っております。さらに、そこら辺に重要性があるだろうと私は確信いたしております。さらに、女性、若者たちが心身のバランスをとりながら大人へ成長していくその過程を我々は援助しなければならないというふうに思います。
 そういう観点からも、受胎調節実地指導員の役割はさらに活性化し、ニーズが高まっていくものと思っております。
#59
○西川きよし君 ありがとうございました。
 では、次に期限の問題についてお伺いしたいと思うわけですけれども、今回の期限の規定につきましても最初の提案では「当分の間」、こういうふうになっております。審議の中で期限が修正をされまして五年とされておるわけですけれども、この期限のあり方ですけれども、昭和三十年の御議論では、当時の高田薬務局長さんですか、これも議事録で勉強させていただいた中ですけれども、「この御提案の趣旨は、あくまでも今先生の御質問のように、必要やむを得ざるに出た措置だ、こういうふうに私も了承いたしております。さような観点からいたしますと、結局問題は、受胎調節を受ける人たちが避妊薬を薬局等に買いに行くのに、非常に今の空気では、農村等においては買いに行きにくいという点が、問題のポイントだろう」というふうに御答弁をされておられます。
 厚生省といたしまして、ここで言われているこのポイントという部分ですけれども、今日の経緯の中でどのような変化をしてきたか、この部分について御答弁をお願いいたします。
#60
○政府参考人(真野章君) 先生今御指摘のポイントの部分でございますが、意識の面もございますので、どういうふうに変わったかということを明確にお答えしにくい部分もございますが、やはりまだ購入の状況としてなかなか難しい状況もあるのではないかというふうに考えております。
 ただ、今回の販売特例の規定は、今のポイントの部分もあわせまして、さらにやはり受胎調節実地指導員が受胎調節のいわば実際の実地指導と一体的に避妊薬を販売する、そういうことによって効果的な受胎調節を実施できるという観点から考えられてそういう形になっているんではないかというふうに思っております。
#61
○西川きよし君 次に、今御答弁にもありました指導等々ですけれども、この業務監督、当時の論点の一つにも、厚生省といたしましては監督が非常に難しいのではないかという懸念を強くお持ちであったように思います。答弁の中でもそういうふうに感じます。この点について、長年の経緯の中で今日までどのように対応されてきたのかというところを引き続き御答弁いただきます。
#62
○政府参考人(真野章君) 当時、そういう御議論がありましたことは私どもも承知をいたしておりますが、母体保護法三十九条第二項におきまして、厚生大臣が指定する医薬品以外の医薬品を販売した場合などは受胎調節実地指導員の指定を取り消すことができるという監督規定が設けられております。
 また、実際に実地指導員の医薬品販売に関しましては、販売することができる医薬品の範囲や、それから先ほど申し上げましたように受胎調節の実地指導と相まって行う必要性があるということなど、販売の方法につきまして、都道府県が行います講習などの機会を通じて指導し、適切な運用を図ろうとしております。
 先ほど申し上げました三十九条二項の規定によりまして指定を取り消された事例については現在までございません。それはやはり受胎実地指導員の基礎的な資格といたしまして、保健婦、助産婦、看護婦さんである、そしてさらに都道府県の講習を受けていただく、いわばそういう基礎的な資格、専門家としての職業倫理というものに裏づけられたそういうものがあるのではないかということで、現在そういう形で監督ということを行っているわけでございます。
#63
○西川きよし君 ありがとうございます。
 きょう、女性議員の先生方の御質問を聞かせていただきまして改めて自分で感じたのは、先ほども申しましたけれども男性議員として発言をさせていただきますのは私一人でございますけれども、本当に男性の立場、いわゆる母体保護、受胎調節においては言うまでもなく男性の責任というものも大変大きいわけですし、本当にしっかりとした考えでもって、そして正しい知識を持って自覚せねばならない。特に、低年齢化の中で若い男性にもしっかりとこの知識と自覚を持っていただく。先生方からも出たわけですけれども、どういうふうにしていただければいいのか、このような実地指導あるいは学校教育においても十分な指導が大切であるというふうに本当に感じました。
 こういった部分を特に提案者の南野先生に、もう時間が参りましたので最後の質問にさせていただきますけれども、こういった大切な部分をどういうふうに考え、そしてこれから若い人たちにどういうふうに指導されていかれるのかということを御答弁いただいて、質問を終わりたいと思います。
#64
○南野知惠子君 ありがとうございます。
 今いろいろとお話が進んでおりますリプロダクティブヘルス・ライツ、そういった観点からは、やはり女性の自立というものが、避妊、不妊、中絶、それらに関しても必要なことであるとは思っておりますが、その目的につきまして、今、我が国では、今度産むというために女性が自立できないコンドームしか手に入れることができないという選択肢という問題もございます。一方、今、西川議員がおっしゃいましたように、男性も性や避妊、中絶、そういった問題の正しい知識を学んでいただきたいというふうに思い、適切に避妊を実施することが一番重要であろうというふうに思っております。
 このために、学校のことについてのお尋ねでございました。保健指導、そういった施策をするためには、私も常々申し上げているところでございますが、学校教育の中で今、心と体に直接指導ができる、タッチができるのは養護教諭の立場であろうかと思っております。そういう意味では、養護教諭を複数化していただき、子供たちとより接近することの中で性教育、思春期指導というものが展開されていけばもっといいのではないかなというふうに思っております。さらに、地域の助産婦たちをもっともっと活用していただきながら今の避妊などについても活用していただきたい、相談窓口としていただきたい。
 さらにもう一つ思いますことは、中心的な役割をする、女性だけが女性に対する自立というものを求めるのではなく、男女共同参画社会の中で男性と共生していこうということであれば、やはりそういう業務、受胎調節実地指導員の業務の中に男性の参入というのも必要ではなかろうかなと思います。そういう意味では、こういう助産業務の中にも男性の参入をいただきまして、人間としての大人への成長ということを、私は二十一世紀に向けた家族の形というものをつくっていきたいというふうにも思っております。
 以上でございます。
#65
○西川きよし君 済みません。先生にテンポよく御答弁いただきましたので、まだ二分ほど残りました。せっかくの機会ですので、もったいのうございますので、通告はいたしておりませんが、きょうは男性議員としては私一人が御質問させていただいておりますので、最後にぜひ大臣に御質問をさせていただきたいと思うんですけれども、大臣、よろしゅうございましょうか。
 いわゆる低年齢、子供のころからこういう実地指導というものを文部省等とも御連絡をとっていただいて、ぜひこういう指導をしていただきたいというふうにきょうは痛切に感じたわけですけれども、大臣に最後に御答弁をいただいて、本当に今度は終わりたいと思います。
#66
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほども申し上げましたけれども、こういう女性の自己の決定権に伴いますさまざまな生涯を通じた健康の問題というものは、当然、私ども健康を預かるいわゆる役所といたしましてこれからさらにその推進に向かって努力をしなければならないわけでございますけれども、先ほど来問題となっておりますような問題というのは、まさに性教育の問題等を含めましてさまざまな問題があると思います。
 そして、私は決して行政側としての責任を逃れるというわけではございませんけれども、社会全体の流れの中において最近はんらんするさまざまな、これは一つの表現の自由かどうかわかりませんけれども、こういったものの影響というものも非常に大きいものである。これを私は取り締まれということではありません。ただ、やはり女性を軽視するようなものが堂々と出ていることについてどうかなという問題も含めて国民全体の中で十分に議論を尽くしながら進めていくことがより有効的な施策ではないかな、こう思っているような次第でございます。
#67
○西川きよし君 ありがとうございました。
#68
○委員長(狩野安君) 他に御発言もないようですから、本草案を母体保護法の一部を改正する法律案として本委員会から提出することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#69
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定いたします。
 なお、本会議における趣旨説明の内容につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#70
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#71
○委員長(狩野安君) この際、勝木健司君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
#72
○勝木健司君 私は、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、日本共産党、社会民主党・護憲連合、参議院クラブ、二院クラブ・自由連合の各会派共同提案による女性の生涯を通じた健康の推進に関する決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    女性の生涯を通じた健康の推進に関する決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
 一、国連の国際人口・開発会議で採択された行動計画及び第四回世界女性会議で採択された行動綱領を踏まえつつ、男女共同参画社会基本法による男女共同参画社会の実現に向け、リプロダクティブ・ヘルス/ライツ(性と生殖に関する健康・権利)の観点から、女性の生涯を通じた身体的、精神的及び社会的な健康にかかわる総合的な施策を展開すること。
 二、リプロダクティブ・ヘルス/ライツについて、正しい知識の普及に特に努めるとともに、きめ細かな相談・指導体制の整備を図ること。
 三、女性の主体的な避妊を図る観点から、技術の進歩など情勢の変化も踏まえつつ、受胎調節実地指導員の養成・活用について検討を進めること。
 四、高齢社会を迎えるに当たり、高齢女性の健康に特別に配慮した施策を推進するとともに、そのための調査・研究を促進すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ、委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#73
○委員長(狩野安君) ただいまの勝木健司君提出の決議案の採決を行います。
 本決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#74
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、本決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。丹羽厚生大臣。
#75
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいまの決議につきましては、その御趣旨を十分に尊重して努力をいたします。
    ─────────────
#76
○委員長(狩野安君) 次に、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
#77
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま議題となりました児童手当法の一部を改正する法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国の合計特殊出生率は一・三八と過去最低の水準となっており、このような少子化の傾向は我が国にとって大きな社会問題になりつつあります。
 このため、政府といたしましては、少子化への対応として、仕事と子育ての両立の負担感などを緩和し、安心して子育てができるような環境の整備を進める観点に立って、昨年末、少子化対策推進基本方針や新エンゼルプランを策定し、幅広い分野にわたる施策を推進しております。
 今回の改正は、こうした総合的な少子化対策を推進する一環として行うものであります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、当分の間、三歳以上義務教育就学前の児童を養育する父母などに対し、現行制度の給付に相当する給付を行うこととしております。
 第二に、三歳以上義務教育就学前の児童に対する給付の額及び所得制限などは、現行制度と同様としております。
 第三に、三歳以上義務教育就学前の児童に対する給付の費用負担は、被用者及び自営業者などにつきましては、国が六分の四、都道府県が六分の一、市町村が六分の一を負担することとし、公務員につきましては所属庁が全額を負担することとしております。
 最後に、この法律の施行期日は、平成十二年六月一日としております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#78
○委員長(狩野安君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十八分散会
ソース: 国立国会図書館
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