くにさくロゴ
2000/05/18 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第21号
姉妹サイト
 
2000/05/18 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第21号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第21号
平成十二年五月十八日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                尾辻 秀久君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                松崎 俊久君
                柳田  稔君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇児童手当法の一部を改正する法律案(内閣提出
 、衆議院送付)
○政府参考人の出席要求に関する件
〇社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一
 部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送
 付)

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、児童手当法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案につきましては、去る十六日、質疑を終局いたしておりますので、これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#3
○勝木健司君 私は、民主党・新緑風会を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案について反対の立場から討論を行います。
 まず初めに、今回の政府の児童手当法改正案には基本的な欠陥があることを指摘いたします。
 今回の改正は、支給対象年齢を拡大することのみに固執する余り、扶養控除と児童手当の関係を明確にしないまま、昨年創設した年少扶養控除の特例を廃止するなどの朝令暮改の対応であります。子育て支援のために経済的負担を軽減するどころか、小中学校に通う児童のいる家庭では増税になるという国民に混乱を与えるだけの拙速で理念なき改正案であります。
 児童手当制度とは、法第一条の目的に明記されているように、児童を養育する家庭における生活の安定に寄与するものであります。ところが、今回の政府案では、確かに新たに三百万人の児童に児童手当が支給されることになりますが、一方で教育費などの負担の重い千六百万人の義務教育就学児童を抱える家庭にとっては増税になるという、いわば大多数の家庭においては子育て支援に逆行する内容となってしまっております。
 三百万人の利益に対し千六百万人の不利益という信じがたい改正案がなぜ提出されたのでありましょうか。
 この理由は二つあると思います。
 まず第一に、そもそもこの児童手当制度は、制度発足の昭和四十六年以来、その方向性が明示されず、支離滅裂の制度改正を繰り返してきているということであります。政府・自民党には、児童手当制度をどのようにしていくのかについて全く見識のないままに、政策にも一貫性が見られないのであります。今回の改正においても納得のいく改正理由は全く示されておりません。このような政府の無責任な対応の結果、制度創設以来三十年が経過している我が国の児童手当制度は、諸外国に比較しても全く貧弱なものとなっております。
 第二に、連立与党内においても、児童手当、ひいては社会保障についての政策が基本的に一致しておりません。その理念、方向性、費用負担の方式、重点の置き方、どれをとっても一致点がないと言わざるを得ません。今回の改正案は、児童手当のあり方という基本をきちんと議論することなく、単に財源がないということから、昨年、子育て減税と銘打って行ったばかりの年少扶養控除の特例を廃止することによって捻出される財源の規模に児童手当制度を合わせてしまったという安易なものになっているのであります。
 また、法案審議においても、厚生大臣は、今回の改正案は経過措置である、あるいは与党協議の結果であると繰り返すのみで、何ら責任ある答弁が示されませんでした。
 だれのために、何のために児童手当を支給するのかという児童手当の社会保障制度としての位置づけを明確にすることなく、小手先の拙速な改正を行うべきではありません。ましてや、選挙目当てのばらまきということであるならば、それは国民を愚弄するものであります。
 以下、個別項目について反対の理由を述べます。
 第一に、支給対象年齢についてであります。今回の改正案では小学校入学前の児童に範囲を拡大しておりますが、本来は十八歳未満の児童すべてに児童手当を支給することとすべきであります。仮に財源の制約から対象を絞らざるを得ないとすれば、教育費などの負担の重い学校に通っている児童を養育している家庭にこそ優先的に児童手当を支給すべきであり、政府案は、改正の重点、方向が間違っていると言わざるを得ません。
 反対理由の第二として、支給額について、今回の改正案では現行制度のままとなっておりますが、現在の支給水準では、子育て家庭に対する経済的支援としては、保育料等の負担だけを見ても、第一子及び第二子五千円、第三子以降一万円では不十分であると言わざるを得ません。せっかく貴重な財源を使うのに、支給額について、児童の置かれている経済環境についての基本的な調査も行わず、その場だけの改正ではまともな説明ができないわけであります。
 反対理由の第三は、今回新たに支給対象となる給付の財源を全額公費で負担することにより、三歳未満児に対する給付は従前どおり公費と事業主拠出金で賄われるのに対し、三歳以上就学前児童については全額公費で賄われているという、一つの制度の中で対象児童によって費用負担の主体がまちまちで、国の行う子育て支援策としての一貫した哲学のない制度となっております。しかも、サラリーマン世帯と自営業者世帯との間の所得制限額の格差について、他の社会保障、社会福祉制度ではサラリーマンであろうが自営業者であろうが同一の所得制限であるのに対し、なぜ児童手当にだけこのような所得制限の格差を設けるのか、これについても全く説明がないのであります。
 以上、政府案の問題点を指摘し、私の反対討論を終わります。
#4
○井上美代君 私は、日本共産党を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。
 国会審議を通して、厚生大臣が、今なお与党の中で十分な集約ができていないと答弁したように、内容においても経過においても全く道理がなく、継ぎはぎだらけであることが明確になりました。
 最大の問題は、児童手当の支給年齢の引き上げを子育て世代への二千三十億円の大増税と引きかえにしていることです。今年度においては新たな国庫負担は全くされていません。児童手当が拡充される三百万人に対し、増税は一千九百万児童に及び、一千六百万人以上の児童の世帯には負担増でしかありません。小中学生のいる家庭では、年収四百万、五百万の世帯でも九割以上が増税となるものです。
 大臣が、審議の最終段階において、税制と児童手当、賃金水準合わせても日本の子育てへの経済的支援が低いことを認めざるを得ない現状の中で、十六歳未満までを増税の対象としながら児童手当は就学前の六歳までにとどめたことは、整合性がなく、少子化対策からも逆行するものです。
 反対の第二は、我が国の児童手当が、その支給年齢や支給額において各国と比較して最低レベルであることです。創設当初は義務教育終了まで支給されていたものが、その後の経過の中で三歳未満まで切り下げられてきたもので、当然、義務教育終了まで引き上げることが求められていたものです。その点から見れば、今回の措置は全く不十分であります。
 反対の第三の理由は、児童手当制度にしかない被用者と非被用者の二重の所得制限の存在です。その結果、自営業者や厚生年金に加入できない中小零細で働く人や派遣労働者など、不安定で所得が低い人ほど支給されにくい不公平な構造となっているのです。参考人の四人に三人が所得制限を撤廃すべきと主張しました。所得制限は、大幅に緩和し、一本化すべきです。
 きょう、ここで採択されたとしても、審議を傍聴し続けた若い母親たち、全国の女性たち、父親たち、すべての国民が六月の来るべき総選挙で必ず正しい選択を下すでしょう。
 日本共産党は、児童手当の抜本的拡充、長時間労働をなくし、男女ともに家庭責任を果たせる労働条件、育児休業手当の増額、保育所の待機児童の解消など総合的な子育て政策を、国民とともに、どの子にも全面的な発達を保障できる社会づくりを目指して、実現していく決意を込めて、私の反対討論といたします。
#5
○清水澄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、児童手当法の一部を改正する法律案に対する反対の立場から討論を行います。
 我が国の児童手当法は、子どもの権利条約や社会保障の最低基準に関するILO百二号条約に照らして、残念なことに全く不十分な内容しか持ち合わせておりません。我が国の法制度においては、子供こそが権利の主体であるとの認識に欠け、児童手当が子供自身の成長、発達を支援する生活権の保障という普遍的な社会的責任の一環として理解されていないからであります。
 私が政府案に反対する理由の第一は、今回の改正案においても我が国の児童手当制度が持つ国際的な常識から見た不備は解消されておらず、政府が、子供の最善の利益のためではなく、少子化対策の一環として児童手当を支給しようとするなどという見当外れの対策をとろうとしていることです。こうした理念の貧しさと泥縄式の対応は、到底容認することができません。
 反対理由の第二は、今回の改正案が当分の間の措置とされているにもかかわらず、政府は児童手当法の抜本的改革のための方向性さえ示すことができずにいることです。児童手当を初めとする社会手当、家族手当制度は、先進諸国では広範に支持され、実施されているにもかかわらず、我が国ではいまだほとんど認知されていない状況にあります。政府においても、社会保障制度における社会手当、家族手当の適切な位置づけすらできていないのであります。このような状況で児童手当の抜本改革が実現できるのかどうか、私は危惧の念を禁じ得ません。
 反対理由の第三は、今回の改正案が年少扶養控除の特例廃止によって捻出される財源の枠内で児童手当の支給対象者の範囲を拡大するにすぎないことです。なぜ児童手当制度の拡充が年少扶養控除の特例を廃止することの枠内に限定される必要があるのでしょうか。政府は国民に対して説得力のある説明をできずにおりますが、そもそもこのような改正案を国会に提出すること自体、児童手当に関する政府の見識のなさを露呈しております。
 反対理由の第四は、改正案によっても支給対象児童が義務教育就学前の児童に限られるということです。しかも、親の所得によって支給が制限されるという問題は何ら改善されておりません。児童手当法が、おおむね児童とは十八歳未満をいうと定義しておきながら、支給対象者を制限しているのは矛盾以外の何ものでもありません。子どもの権利条約は、第一条で、子供を「十八歳未満のすべての者をいう。」と定義した後に、あらゆる差別を禁止しております。児童手当の支給年齢は、我が国においても少なくとも多くの諸国で採用されている十六歳もしくは十八歳まで引き上げるべきです。また、児童手当の支給に係る所得制限も、子供に対する普遍的な手当として撤廃する必要があると考えます。
 反対理由の第五は、児童手当の支給額が余りにも低過ぎることです。この問題も、今回の改正案ではおよそ解決されておりません。社会保障の最低基準に関するILO百二号条約の第四十四条には家族給付の給付総額に関する規定があり、これを我が国に当てはめると、現行の児童手当は八分の一程度の給付総額しかないことが知られています。我が国は、ILO百二号条約のうち、家族給付に関する部分の批准をしておりませんが、政府はこの百二号条約の完全批准に向けて精力的に取り組むべきです。児童手当の給付水準についても、児童養育費の実態調査を早急に行い、その改善を図るべきです。
 以上が今回の児童手当法改正案に反対する主な理由ですが、最後に、我が国では、男が稼いで女と子供を養い、女が家庭で子育てを担うという性別役割分担の固定観念が根強く残っており、この旧態依然とした価値観が我が国の福祉や社会保障制度を根底からゆがめております。我が国においても、かつてヨーロッパ諸国が行ったようにジェンダーの視点から社会の諸制度を見直し、福祉や社会保障の構造を抜本的に再構築する必要があることを強く訴えて、私の反対討論を終わります。
#6
○委員長(狩野安君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 児童手当法の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#7
○委員長(狩野安君) 可否同数と認めます。よって、国会法第五十条後段の規定に基づき、委員長において本案に対する可否を決します。
 本案については、委員長はこれを可決すべきものと決定いたします。
 この際、勝木君から発言を求められておりますので、これを許します。勝木健司君。
#8
○勝木健司君 私は、ただいま可決されました児童手当法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、社会民主党・護憲連合、参議院クラブ、二院クラブ、自由連合の各会派共同提出による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    児童手当法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、適切な措置を講ずるべきである。
 一 今後の少子化社会における児童手当制度の在り方については、子育てを行う家庭の経済的負担を軽減するとともに、児童の健全な発達を支援する観点から、児童養育費の実態と、主として女性が育児を担っている実態を踏まえつつ、雇用や賃金体系、扶養控除の見直し等の税制の在り方、保育、母子保健などの他の子育て支援策、社会や家庭における性別役割分業の解消策との関連等に十分留意し、可及的速やかに明確な基本方針を示し、国民的合意の形成を図ること。
 二 これを踏まえ、速やかに児童手当の支給対象児童の範囲、支給期間、支給額、所得制限、財源と費用負担等について抜本的に再検討し、制度の充実を図ること。
 三 今回の改正により支給対象者が拡大することにかんがみ、その実施に当たっては、新たな受給者が漏れなく手当の支給を受けられるよう、改正の趣旨及び内容の周知徹底を図ること。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#9
○委員長(狩野安君) ただいま勝木君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#10
○委員長(狩野安君) 全会一致と認めます。よって、勝木君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、丹羽厚生大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。丹羽厚生大臣。
#11
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいまの附帯決議につきましては、その御趣旨を十分尊重して努力いたします。
#12
○委員長(狩野安君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#13
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#14
○委員長(狩野安君) 次に、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君及び厚生省社会・援護局長炭谷茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#16
○委員長(狩野安君) 次に、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明及び衆議院における修正部分の説明を聴取いたします。丹羽厚生大臣。
#17
○国務大臣(丹羽雄哉君) ただいま議題となりました社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 社会福祉制度につきましては、少子高齢化、核家族化の進展等社会構造の変化に対応して、だれもが家庭や地域の中で自立し、尊厳を持った生活を送ることができる制度の構築が求められております。こうした状況を踏まえ、措置制度等、社会福祉の仕組み全般にわたって見直しを行うこととした次第であります。
 以下、この法律案の主な内容につきまして御説明申し上げます。
 第一に、利用者の立場に立った社会福祉制度の構築であります。身体障害者等の福祉サービスについて、行政が内容を決定する制度から利用者が選択して利用する制度へ改めるとともに、直接、利用者に対し支援費を支給する方式を導入することとしております。また、利用者が適切に福祉サービスを選択できるよう、利用者からの苦情を解決するための仕組みを導入する等、利用者保護のための規定を設けることとしております。
 第二に、社会福祉事業の充実及び活性化であります。福祉需要の多様化に対応し、福祉サービス利用援助事業、手話通訳事業、盲導犬訓練施設を経営する事業等の九事業を社会福祉事業として追加することとしております。また、地域におけるきめ細かな福祉活動を推進するため、政令で定める社会福祉事業について人数規模要件を緩和し、社会福祉法人の設立を容易にすることとしております。
 第三に、福祉サービスの質の向上と事業経営の透明性の確保であります。社会福祉事業の経営者は、福祉サービスの質の向上に努めなければならないこととするとともに、社会福祉法人の財務諸表等の開示義務、国、地方公共団体などによる福祉サービスに関する情報提供の責務等を定めることとしております。
 第四に、地域福祉の推進であります。市町村地域福祉計画の策定手続を整備するとともに、社会福祉協議会、共同募金会、民生委員及び児童委員について、機能の強化を図る等の改正を行うこととしております。
 このほか、社会福祉施設職員等退職手当共済制度を見直すとともに、関係法律についても所要の規定の整備を行うこととしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、衆議院におきまして、本法律案の施行日を、平成十二年四月一日から公布の日に改める旨の修正が行われております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容であります。
 何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決あらんことをお願い申し上げます。
#18
○委員長(狩野安君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#19
○入澤肇君 ただいま提案理由の御説明がございまして、社会福祉の基礎構造改革という言葉は使っていなかったんですが、私ども、当初説明を受けましたときには、この法案は社会福祉の基礎構造の改革を行うんだということで説明を受けたわけでございます。よくわからないので首をかしげました。
 基礎構造改革というのをいただきました資料で見てみますと、何が基礎構造なのかなと見ますと、社会福祉事業、それから社会福祉法人、措置制度、福祉事務所、地域福祉。これらはいずれも基礎構造という言葉で一くくりにされるんじゃなくて、むしろ社会福祉の枠組み、この文章にもありますが、「仕組み全般にわたって見直しを行う」、仕組みそのものなんですね。基礎構造という言葉を使うべきでないと思うんです。
 最近、景気回復か構造改革かということで、やたらに構造改革という言葉がはんらんしております。社会福祉についても、あるいは農政についても財政についても金融についても、構造改革という言葉はそれぞれ特別な意味合いがあります。この社会福祉について構造改革を行うということであれば、その前提について相当な吟味がなされなくちゃいけないと私は思うのであります。そうでないと、基礎構造改革といっても意味がわからない。
 例えば、社会福祉対策で構造改革と言う場合に、一つは、少子高齢化という人口構成の変化に対応してどのように社会福祉を見直すのか。それから二つ目には、社会福祉事業の対象者が介護保険制度が導入されまして非常に多様になっておりますし、また増大もしております。これに対してどう対応するのか。三つ目には、大変な分野で各般の技術開発がございます。技術の発展がございます。それに応じて福祉の事業内容が相当変化しております。これに対してどう対応するのか。それから四つ目には、これらの社会福祉事業を行うために必要不可欠である財政の問題、その財政構造も変化しております。これに対してどう対応するのか。
 そういう視点から社会福祉の構造改革を行うんだという説明であればわかるんですけれども、社会福祉の基礎構造の改革を行うためにこの法律を提案したのだというふうな説明であったものですからよくわからなかった。しかし、一生懸命読んでいきますと、これは慣習として厚生省内部でこういう言葉を使っておられたということなので、ああ、これは言葉の約束事の世界なのかなということで一応理解したわけであります。
 私は、きょうは基礎的な問題につきまして幾つか御質問したいと思います。
 今回の法律につきまして一番大きな問題は、福祉サービスにつきましていわゆる措置制度、措置という言葉も私は非常に違和感を覚える言葉なんですけれども、これも慣習として使われてきたということで、約束事の世界だということで理解できるわけでありまして、措置制度から利用制度への転換が行われる。それから、新しく盲導犬訓練施設を初めとする社会福祉事業を追加する。これは多様な要請に基づいて追加すると。これも理解ができます。それから、小規模作業所に係る法人設立要件の緩和。これも陳情がたくさん来ておりますけれども、非常に多くの方々から強い要望があります。こういうふうな多くの要望、それから事情の変化に対応して社会福祉事業関係の法律を改正するんだということでございます。
 この法律も関係する法律はかなり多岐にわたりまして、八本にも及んでおります。しかし、この八本から漏れた法律もあるわけですね。その漏れた法律の位置づけというのがどうなっているのかという点についてまた一つわからぬところがございます。
 きょうは時間が限られておりますので、まず第一に、一番大きな問題でありますこの法律の中心に位置づけられております措置から利用へということにつきましてお伺いしたいわけであります。
 措置制度というのは昭和二十年代に福祉制度に盛り込まれたものであります。その背景につきましてはそれなりに勉強してきましたのでわかるのですけれども、今回の法律でこの措置制度を利用制度に切りかえた理由、それから切りかえるに当たって契約という概念を全面に出しますといろんなことに留意しなくちゃいけない。その留意点についてはいかがでしょうか。
#20
○政府参考人(炭谷茂君) まず、措置制度から利用制度へ切りかえた理由でございます。
 先生既に御説明されましたように、昭和二十年代に措置制度というものが発足いたしたわけでございますけれども、措置制度の一番の問題点というのは、利用者がみずから自分の好むサービスの種類や事業者を選択できないといったところに一番の問題点があるわけでございます。今日、国民の間に自立意識というものも高まっておりますし、また福祉サービスは単なる生活困窮者という人だけに限られるものではなくて、国民全体が対象になってくるという状況がございます。
 そのような背景を踏まえまして、行政がサービスを決めるのではなくて、利用者がみずから自分の好むサービスの種類、事業者を選択するという形の利用制度に切りかえる必要がある。これによって、いわば個人の尊厳とか個人の自立、またノーマライゼーションといったような福祉の理念が確立される、向上されるというふうに考えているわけでございます。
 しかしながら、利用制度の基本になりますのは契約でございます。ともすれば、福祉サービスの利用者は知的障害者、痴呆性高齢者、また精神障害者のように自分でみずから福祉サービスの内容が判断できない、選択しようと思っても選択する能力にやや問題があるということがあるわけでございます。このような場合に、それを手助けする仕組みも用意しておかなければいけないだろうということで利用者を保護する制度、例えば権利擁護制度、また苦情がありましたときに苦情を解決する制度というものも一つ用意しております。
 二番目には、選択制度といってもサービスがないことには絵にかいたもちになるわけでございます。あわせてサービスの充実ということも行わなければいけないと思っております。
 それから、第三番目には利用者の負担でございます。この基本的な考え方は、現行の公的負担の水準を下げないという前提でこの制度を組み立てているわけでございます。
 このようなものを行うことによって利用制度が的確に運用されるのではないかというふうに考えているわけでございます。
#21
○入澤肇君 今の説明で沿革的な理由あるいは利用契約制度に切りかえる理由はわかったわけでございますけれども、一方で特養ホームの経営者等の話を聞きますと、この措置制度が利用契約制度に変わることによって非常に不安であるという言葉も聞かれます。きつい言葉で言いますと、ある意味では行政責任の放棄ではないかなんて言うことを言う人もおります。
 ただ、この措置制度というのは、いわば恩恵付与的に一方的に政府なり公的な機関が何らかの措置をするというふうな意味合いも含んでいるように見受けられまして、私はそういう時代は終わったんじゃないかと思う。むしろ、義務として国民の自立を前提として政府も一定の役割を果たすということであれば、この措置という言葉を利用契約制度に切りかえるというのは非常に意味がある。その場合において、しかし福祉の内容を後退させないという意味で、利用契約の中身につきましては任意契約ではなくて相当覊束裁量的な契約事項が盛り込まれるんではないかと思うんです。
 今回の利用制度というのは、そのような視点からどのような配慮がなされているかにつきましてお聞きしたいと思います。
#22
○政府参考人(炭谷茂君) 利用制度における契約におきましては、先生今御指摘されましたように、かなり公的な色彩の強い、公的な規制の強い契約になろうかと思っているわけでございます。いわば利用者と事業者が対等の関係になって契約を結んでいただくわけでございますけれども、なかんずく重要だと考えておりますのは、利用者から例えば契約の申し込みがあった場合、通常の契約であれば相手方は拒否することができるわけでございますけれども、この福祉制度の利用契約においてはそれは拒否できない。これは、いわば都道府県知事が事業者を指定する際の条件に入れることにするというような形での公的な規制を盛り込んだ、また利用者に配慮した契約というふうに考えているわけでございます。
#23
○入澤肇君 今の答弁の中で特に大事なことは、この利用制度が導入された場合に利用者とサービス提供者との対等の関係を構築するんだというふうな意味の答弁がございました。今日の措置制度から利用制度に転換したからといって、一方は弱者、一方はある意味では権力を持っているわけでございますから、対等な関係の構築というのはそう簡単ではない。
 そこで、対等な関係の構築のためには弱者の状態に十分配慮した制度的な仕組みが必要になるわけでございます。その制度的な仕組みについての配慮事項はどんなことでしょうか。
#24
○政府参考人(炭谷茂君) 利用者を保護する仕組みとして今回の法律の大きな柱にいたしておるわけでございます。そのために第一条の目的の中に利用者の保護という形の規定を入れております。
 また、具体的な項目といたしましては、法律の中で大きく二点入れているわけでございます。
 一つは、地域福祉権利擁護制度というふうに呼んでおりますけれども、これは痴呆性の高齢者とか知的障害者とか精神障害者の方々が福祉サービスを利用する際にそれを援助する制度、例えば一緒に福祉サービスの事業者に同行するとか、また利用料金を代行して支払うといったような制度、あわせて日常的な金銭管理を行うことも考えておりますが、このような地域福祉権利擁護制度というものが第一点でございます。
 第二点は、苦情解決の仕組みでございます。これは現行の福祉制度には一般的には設けられておらないわけでございますけれども、福祉サービスにおいてさまざまな苦情が生じます。これを的確に解決することは利用者にとってもよろしいことでございますし、事業者にとってもサービスの質の向上につながるというふうに考えておるわけでございますけれども、この苦情解決の仕組みを事業者段階また都道府県の社会福祉協議会段階というような形で苦情解決のシステムを整備するという規定を置いております。
 以上の二つが大きなところでございます。
 そのほか、契約の際の説明とかというような他の事項もございますけれども、大きな事項はこの二点でございます。
#25
○入澤肇君 今、利用者保護のための対応策として二つの新しい項目をつけ加えたんだという御説明がありました。
 それでは具体的にお聞きしますけれども、今御答弁の中にありました地域福祉権利擁護事業、これにつきましては既に社会福祉協議会を中心にしまして昨年の十月から試行的にサービスを実施しているというふうに言われております。この半年間の実績についてはいかがだったんでしょうか。
#26
○政府参考人(炭谷茂君) 昨年十月から本年四月末までの地域福祉権利擁護事業の実績でございます。利用者に関する相談がございましたのは全国で一万七千件に上っております。このうち利用決定を行ったもの、つまり契約を行ったもの、また準備中のものを含めまして現在六百二十件となっているわけでございます。かなり活用されつつあるだろうというふうに認識しております。
#27
○入澤肇君 今のような数字が挙げられているんですけれども、この地域福祉権利擁護事業は社会福祉協議会が中心となってというふうに言っていますけれども、独占的に行うのはおかしいじゃないかという意見もちまたにあります。このような考え方に対して政府としてはどのような考え方を持っているか、それから社会福祉協議会以外にどのような機関、団体が地域福祉権利擁護事業、このような特別な事業を行うにふさわしい主体として考えられるかにつきましてお聞きしたいと思います。
#28
○政府参考人(炭谷茂君) 地域福祉権利擁護事業につきまして都道府県の社会福祉協議会にお願いいたしましたのは、この制度自身は、やはり全国どこにいても利用できる、いわばあまねく利用者に提供したいという趣旨で、まず都道府県社会福祉協議会に行っていただきたいということで行ったわけでございます。しかしながら、この趣旨は都道府県社会福祉協議会だけが独占的に行うという趣旨ではございません。
 地域福祉権利擁護事業につきましては、社会福祉事業の第二種の事業として今回規定を入れておりますので、いわば社会福祉協議会以外の、例えば障害者の親の会とか、また障害者自身の会、障害者自身の自助グループの会とか、その他いろいろな団体があろうかと思います。このような団体が積極的に地域福祉権利擁護事業の実施主体になっていただくということを強く期待しているものでございます。
#29
○入澤肇君 この地域福祉権利擁護事業につきましては、もう一つ大きな制度と補完関係があるというふうに言われています。一つは、昨年秋の国会で成立し、去る四月から施行されております改正民法に基づく成年後見制度、これと互いに補完するものだというふうな説明を厚生省はしております。ただ、法律ができたばかりで普及が十分ではありませんから、そういう点は割り引かなくちゃいけないのですけれども、関係者に聞きますと、どうもこの二つの関係がよくわからない、どちらの制度を利用していいのかわからないという声も聞かれます。どのような場面を想定しているかについてお聞きしたいと思います。
#30
○政府参考人(炭谷茂君) 地域福祉権利擁護事業につきましては、先ほど来御説明いたしておるように、福祉サービスについて比較的簡便に利用していただく、できるだけたくさんの方に利用していただけるような制度ということで用意いたしているわけでございます。これに対しまして、昨年秋に成立いたしました民法の改正による成年後見制度は、家庭裁判所の関与のもと、財産管理とか多額な借金をするとか家財を売却するといったような重要な法律事項について代理するものでございます。
 したがいまして、例えば私どもが地域福祉権利擁護制度について相談を受けている際に、福祉サービスの利用だけではなくてもっと多額の、例えば一千万円とかいうような財産も管理してほしいというような相談があった場合は、これは成年後見制度の方につなげるという形でまず行う。それからまた、地域福祉権利擁護制度については相手方と契約を結ぶということになるわけでございますけれども、契約を結ぼうと思っても相手が契約締結能力がないといった場合は、まず成年後見人を選定していただいてからサービスに乗り出すという形になろうかと思います。
 このような形で両制度がお互いに補完し合うという形になり、また両者の連携というものが大変重要になってくると思いますので、そのような観点で私どもこの仕事を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#31
○入澤肇君 もう一つの苦情解決制度、これが今度の法律では制度化されました。その苦情内容も千差万別であると思います。特に、これは民事不介入みたいなことがこの福祉の世界でもありますと非常に対応が厄介じゃないかと思うんですけれども、この制度がきちんと機能するためにはどのようなことに留意しなくちゃいけないか、また制度を運営するための基本的な問題点についてどうお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#32
○政府参考人(炭谷茂君) 福祉サービスの苦情については、本当にたくさん日常生じております。
 大きく分類いたしまして、一つは、日常のサービスにおいて利用者個人の好みとか選好というようなものが反映する問題でございます。例えば、食事の内容がちょっと辛いんじゃないかとか、おふろの温度が熱いんじゃないかといったような個人の好みに属するような苦情。二番目には、例えばおむつ交換の頻度とか、また日常の洗髪とかつめ切りといったようなケアに属するような問題。三番目には、虐待とか金銭の寄附を強要されたといったような不当もしくは不法な行為といったような、大きく三つに分類されるのではないのかなというふうに思っております。その三つについて、それぞれ解決をしていかなければならないわけでございますけれども、私ども見聞するところによりますと、苦情は先ほどの一番目、二番目の問題が多いわけでございます。
 ですから、まず事業者段階で解決をしていただくということが重要ではないのかなと。ただ、事業者段階で解決するといっても、両者の話し合いということになりますと、透明性、公平性、公正性ということでいかがかということも生じますので、第三者が参加するという形の規定を今回この法律に盛り込んでいるわけでございます。
 第二段階といたしまして、都道府県の社会福祉協議会の中に苦情を解決する委員会、運営適正化委員会と称しておりますけれども、この中で解決をするということでございます。これは、いわば第一段階で解決できなかった問題、もしくは直接事業者に言うのが嫌だということで直接この委員会に言っていただいてももちろん結構でございますけれども、ここで解決をするというふうに考えております。ただ、この運営適正化委員会が都道府県社会福祉協議会に置くことの是非も問題になるわけでございますけれども、あくまで運営適正化委員会は中立公正な運営ということで、いろいろな手当てをしているわけでございます。
 第三番目の虐待が生じた、また不当な行為、不法な行為があったということについては、例えば先ほどの運営適正化委員会で発見されたという場合は直ちに都道府県に通報するという形の規定も入れておりますし、またその場合は都道府県が監査、指導、立入調査に基づきまして指導もしくは行政処分を行うという規定も今回の社会福祉事業法の中に既に入っておりますので、そのような規定の発動ということもあわせて行っていくということになろうかと思います。
#33
○入澤肇君 措置から利用への転換ということで、その利用契約を円滑にまた十分に実行させていくために幾つかの担保的な措置がこの制度の中に盛り込まれたわけであります。今答弁がありました利用者保護の仕組み、これがきちんと機能してこそ措置から利用への転換というのがスムーズにいくんじゃないかと思うんですけれども、制度の実施、運営に向けての厚生大臣の御決意をお伺いしたいと思います。
#34
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほどから入澤委員のお話をお聞きいたしておりまして、まさにこれが具体的に実効性のあるものとして働いていかなければならない、こういうような決意を新たにするものでございます。
 今回の法改正におきます利用者と事業者の対等な関係、こういうような理念をそれでは具体的に実効性のあるものにしていくためにはどうしたらいいか、こういった問題でございます。
 私といたしましては、今回制度化されました権利擁護事業と苦情解決のための仕組みが福祉の現場において十分機能しなければならないものとまず考えておるわけでございます。なるべく多くの方が権利擁護事業を受けられるように社会福祉事業の充実を図るとともに、積極的な取り組みを指導していかなければならない、こう考えているような次第でございます。
 それから、都道府県の社会福祉協議会に設置いたします運営適正化委員会に対しましても、私どもといたしましても財政支援を行うなどいたしまして、利用者保護の仕組みの円滑な運営、実施、このような観点から、これまではどちらかというと施し的な給付サービスが行われていた、こういう中において、いわゆる利用者のニーズに応じてこういったものをきちんと確保しなければならない、こういう観点から万全の措置を期していきたい、このように考えているような次第でございます。
#35
○入澤肇君 今回の制度改正のもう一つの大きなポイントは、自立という言葉がいろんなところで言われているわけであります。ただ、福祉の対象者が自立をするといっても、一体だれからの自立なのか、何からの自立なのか、この辺は非常にあいまいであります。ですから、どこまでを政府がやるのかということはこれから極めて大事な場面になってくると思います。
 中でも、障害者の自立の立場ということを考えますと、障害者が福祉サービスにつきましていろんな形でのサービスを選択する、そういう可能性を提示するということは極めて重要であると思うんですけれども、もう一つ、いろいろな形で社会参加できると。要するに、閉じ込めて福祉的なサービスを受けるだけではなくて、人間の尊厳を守るためにみずから社会参加をして誇りを持って生きてもらうというふうな仕組みも大事だと思うんです。
 障害者の社会参加の仕組みにつきましてどのようにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
#36
○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘のように、地域の中で障害の有無にかかわらずその人らしく自己実現をしていく、これがまさに福祉の一つの大きな原点になるのではないかと思います。ましてや、重度の障害を有していらっしゃる方にとっても、できるだけ本人の意向、選択というものが尊重できるようにというのが今回の改正の基本的な考え方であろうかと思っております。
 そこで、お尋ねの障害者の社会参加の仕組みあるいは現状でございますが、障害者が社会活動、経済活動、文化活動、あらゆる分野でその活動に参加できる、このような活動のためには、例えば就労あるいは町づくり、さまざまな分野でこれに取り組む必要がある。そういう意味では、政府全体で取り組まなければならない重要な課題だと、このように認識をいたしております。
 厚生省といたしましては、授産施設などでの就業に向けた訓練、あるいは手話通訳などを介しましてのコミュニケーション手段の確保、それから盲導犬の育成などによります移動の支援、さらにはスポーツ大会への参加、こういった場の提供を進めているところでございます。今回の法改正におきましても、手話通訳事業あるいは盲導犬訓練施設を経営する事業を法律上の事業として位置づけることにいたしまして障害者の社会参加促進のための推進を図りたい、かように考えている次第であります。
 これからは、障害者の社会参加の意欲を受けとめられる社会づくりがどうしても必要だと考えておりますし、そのためにもこのような環境整備を引き続き進めますとともに、障害のある人もない人もともに暮らせる社会の実現に向けまして国民の方々の理解と協力が得られるよう努めなければならない、このように考えている次第でございます。
#37
○入澤肇君 もう一問。今度の法律の中のもう一つのポイント的な制度としまして地域福祉計画というのが盛り込まれております。
 衆議院の審議の中で明らかになったんですけれども、約半数の市町村が障害者基本法に基づく障害者計画を策定していない。障害者に身近な市町村こそ障害者計画を策定すべきだと考えています。この法案で改めて市町村地域福祉計画の策定が設けられました。障害者基本法に基づく計画すらできていない状態の中で、老人保健福祉計画だとか障害者計画だとか子育て支援計画だとか、たくさんの地域福祉計画があると思うんですけれども、こういうものを本当に策定することができるんだろうか。行政の相当な努力が私は必要になると思うんです。しかも、この地域福祉計画というのは義務づけていないんです。義務規定じゃないんです。任意規定です。そうなりますと、ますます十分な運用が確保できないんじゃないかというふうにも思えるわけであります。
 最後に、時間が来ましたので大臣に。地域における計画的な取り組みの重要性、これは極めて重要だと思うんですけれども、この法案の一つのポイントでもありますので、これにつきまして大臣の御見解をお聞きして、質問を終わりたいと思います。
#38
○国務大臣(丹羽雄哉君) 昨年制定されました地方分権一括法の趣旨に基づきまして、国の地方自治体に対する関与についてはできるだけ必要最小限度のものにする、こういうことが求められていることは委員も十分御承知のことと思います。
 こういった観点に立ちまして、地域福祉計画の策定はあくまでも地方自治体の自主性及び自立性への配慮が必要だ、こういうような観点から、計画の策定というものを地方自治体に義務づけることはしない、こういうようなことを決めたわけでございますけれども、しかし私どもはこれを非常に願っておることには変わりはないわけでございます。
 一方で、地域福祉計画は地域福祉を推進する上で大変大きな柱になる、こう考えておるわけでございますが、法律上、住民参加の手続を明確にしなければならないとともに、厚生省といたしましては、計画を策定する地方公共団体に対する予算措置を行う、それからモデル計画の提示をお願いする、さらに計画策定状況の公表、こういったものを通じまして、義務づけてはおりませんけれども、地方自治体が積極的にこの問題について真摯に受けとめていただきまして、計画の策定というものが促進されるよう願っているところでございます。
#39
○山本保君 公明党・改革クラブの山本保です。
 今回の社会福祉事業法等の改正は、これまでの福祉観を変えるような大改革だというふうに思っており、私も高く評価したいと思います。
 今、お話にも出ましたように、福祉サービスを利用することは、これまで普通だれでも利用と言っていたわけですけれども、法制度でいいますと措置でありまして、これは行政処分である。どこか施設へ入った、おたくの子供さんが保育園へ入った、処分しましたよと。保育園についてはもう法律が先に変わっておりますけれども、こんなことを地域でよく私もお話ししまして、どうしてこれが福祉なんだというお話も伺っていたわけであります。
 今度の利用契約という形でございますけれども、考えてみますと、明治以来といいますか近代国家になりまして、福祉というのは慈善博愛なり宗教理念をもとにした宗教団体でありますとか地域の名望家、お金持ちが余力をもって、いわばお恵みのような形で福祉をするというような体制を変える、そういう効果があるというふうに期待しております。
 ただ、本会議のときにも質問がありましたように、議論がありましたように、そのためには、これまでそういう名望家もしくは宗教団体をもとにした大きな法人、社会福祉法人だけがサービスをしていたという体制のままでは利用もできない、利用といいますかそのための選択もできない、さまざまなニーズに応じた多様なサービスを行うこともできないというわけでありますから、私はまず最初に、これまで社会福祉法人は最低一億円の基金その他の資産がなくてはできないということについて、この法律には直接は関係しないわけですけれども、この辺の規制の緩和についてお伺いしたいと思っております。
 まず、私は、これは九八年でしたかの六月に、団体の方々と一緒に厚生省に、この辺を規制緩和、ぜひ小さな資金でできるように、今の私ども市民が非営利型の職業として福祉の仕事をすることができる制度をつくる、ボランティアとかそういうお金持ちの仕事というのではなくして、まさに近代的な市民の非営利型の職業としてできるようにすべきであるということで、何回も予算委員会等でもこの委員会でも申し上げましたが、昨年十二月ですか、厚生省の方から予算委員会で一億円を一千万円にしたいという数字が初めて明示されまして、そういうお答えを得ました。
 厚生大臣、この方針について、これは法律事項ではございませんけれども、この法律が本当にうまく動くためにはここは絶対必要だと私は思っておりますけれども、どういう決意をお持ちで実行されるのか、その辺についてお聞きしたいと思います。
#40
○国務大臣(丹羽雄哉君) 山本委員の方から参議院の予算委員会におきましてもこの点について御質問をいただいたところでございます。
 まず、厚生省といたしましては、地域におきます福祉サービスの基盤の充実が図られるということが何よりも大切なことである、このように考えているような次第でございます。
 そういう中におきまして、今回の法の改正案におきましては、障害者のための授産施設の利用人員というのをまず二十人以上から十人以上に引き下げまして社会福祉法人の設立要件の緩和を行う。それと同時に、御指摘のございました問題でございますけれども、これは法改正とあわせまして、法律の施行後速やかに小規模の授産施設あるいはホームヘルプ事業を運営する社会福祉法人の資産要件を一億円から一千万円程度まで大幅に引き下げる、こう考えているような次第でございます。さらに、小規模の授産施設の設立につきまして土地、建物の賃借を認めるという措置をとることにいたしておるわけでございます。
 こういうような措置をとることによりまして、より地域に密着した福祉サービスの充実が図られるもの、このように確信をいたしておるような次第でございます。
#41
○山本保君 大臣の方から必ず速やかにというお答えをいただきましたので、安心いたしました。
 それで、今、小規模の障害者のお話も出ましたので、そちらの方をまずお聞きしたいと思うんですが、その前に、ちょっとこれはどうかという気もしますが、実際、一千万円といいましてもなかなか大変なお金でして、社会福祉法人格を取りますと非常に寄附がやりやすくなってまいります。後で話します。しかし、その前はそれがありませんので、なかなか大変だという声も聞くんですね。
 例えば、これが法人になり、地域の皆様から支援をされれば明らかにお金は集まるというふうに思うわけですから、設立基金についても貸し出しをするというような、短期間のもので構わないと思いますけれども、こんな制度をつくるというのはどうかと思うんですが、いかがでございましょうか。
#42
○政府参考人(炭谷茂君) 社会福祉法人の基本財産に係る資産要件の考え方でございますけれども、これはやはり社会的な信用とか、また経営の安定性、継続性という観点からそれを求めているものでございます。そこで、その資金について融資を受けるということになりますと、ただいま申しましたような基本財産の考え方からして極めて難しい、なかなか難しいのではないのかなというふうに思っております。
 社会福祉法人として設立された後、その整備費または運営費等について社会福祉・医療事業団の融資というようなものはもちろん可能になろうかと思うんですけれども、基本財産に対しては融資という考え方というのはなかなか難しいのではないのかなというふうに考えております。
#43
○山本保君 もちろん、借用するというようなことで、社会的な信用があればということでございますから、各団体もそのために努力されていると思いますが、これは改めていろいろまた具体的にお聞きしたいと思っております。
 次に、今お話しございましたが、今回の改正といいますか、小さな法人を認めるというときに、三つの類型がございますけれども、障害者の小規模の作業所というんですか、法に定められていない授産施設ですか、こういう方々から私どもの方にも大変強い、早くこれを通して私どもの仕事についても公的な応援をいただきたいというお話が来ております。共同作業所全国連絡会や精神障害者の家族会の連合会とか、また地域生活支援の協議会というようなところから昨日もいろいろ強い御要望をいただきましたので、これについて少し具体的にお聞きしたいと思います。
 まず最初にお聞きしますのは、運営費の補助のことでございます。これは、いろんな施設によって、また地域によっても値段が違いますので、今、団体の方から持ってきていただいた一つのモデルとしてこういう比較をいただいております。
 例えば、現在、これは通所授産でございますが、法に定められた措置ということで、措置費が一人当たり一カ月に大体十八万九千七百三十円、こういうお金をいただいております。ところが、法に定められていない小さい、親御さんたちがみんなで頑張ってやっている小規模の作業所には国庫補助が年間でたしか百十万円と聞いておりますから、人数で割り戻しますと一人当たり大体三千六百六十七円というような数値をいただいております。これは同じようなサービス、まさに同じサービスだと思うんですが、を行っているのに、片方は十九万、片方は高々四千円も行かない。これは明らかに法の上の差別ではないかという気もするわけです。
 これまでの福祉というのは、まさに政府が認める、お上が認めるところでやっている仕事だから出すよ、そうでないのは勝手にやっているんだからと、こういうことであった。しかし、例えば介護保険というものが導入されて、ここではまさにどんな生活状況の方であれ、同じサービスを受ける方には同じように支援があるというものがもう動いているわけです。であるならば、ぜひこの分野についてもこの大きな格差というものは早急に解消すべきだと思いますけれども、この辺の運営費補助についてどういうお考えでございましょう。
#44
○政府参考人(今田寛睦君) 小規模通所授産施設が今度法定施設ということになるわけでありますので、そういたしますと建物の設備などについて一定の施設基準を設ける必要がございます。その際にどのような基準にするかということですが、現在、地域でそれぞれの創意工夫、あるいは大小いろんな形で活動を展開していらっしゃる、それがまた地域でのいい効果を生んでいるというふうに私どもは理解しております。したがって、そのような小規模作業所のよさを失うことなく、なおかつ法人に移行できる、こういうふうなことを考えますと、現行の通所授産施設に比べまして緩やかな施設基準を設ける必要があるのではないか、このように考えております。
 したがいまして、小規模授産施設に対する助成のあり方につきましても、このような特性というものを踏まえながら今後十分に検討していかなければならないと考えております。
#45
○山本保君 部長、今のお話はよくわかるんですけれども、運営費の補助というのは基本的に人件費ですね。ですから、人件費ということになれば全国に行きましてもほとんど同じ形だ。これはまさに国が基準を決めているからそうなってしまっている。それが地域のニーズに合っていないんじゃないか。おっしゃるとおりだと思いますので、そこをいろいろ弾力的もしくは多様にしていくということも、そして今までみんなで育ててきた長所というものを崩さないようにしたいというお考えもわかります。
 しかし、一つ欠けていますのは、やはりこういうところに専門家がきちんと配置される、もっと言えば、きょうは余り言いませんけれども、専門家の養成ということも大変おくれていると。また次の機会に言いたいと思いますけれども、この辺も含めましてぜひもう少し考えていただきたいと思っておりますので、時間もありませんから、お願いをします。
 次に、また団体の方から強く要望をいただいていますのは、確かに運営費というのは後々続きますし、今のようになかなか大変だ、簡単に出すわけにいかない、きちんとした基準をつくりたいと。まあわかります。施設、設備、こういうものについて大至急手を打つということが必要じゃないかと思うんです。
 国の方から出すような、またはいろんな民間のといいますか、国が補助金を出しておる団体からさまざまな形で融資とか一時金というのが出ていると思うんですけれども、今回法律改正をするということを一つ契機のにしまして、私は、冗談のようであれですが、丹羽大臣の名前をかぶせてでもいいですから、ぜひ各施設にまとまったお金で、その設備について改善できるようなものをお祝いを兼ねて出されたらいいじゃないかと思うんですけれども、部長、どうですか。
#46
○政府参考人(今田寛睦君) 先ほども申し上げましたように、この小規模通所授産施設はいろんなバリエーションがあろうかと思います。したがって、施設につきましてもいろんなレベル、いろんな規模、あるいはもっと工夫をして付加価値を高めていらっしゃる、そういったものも多分あると思います。
 そういう意味からいたしますと、私ども、先ほど申し上げましたように一定の基準を定めることになるわけですが、その際に、そういったことのよさを失うことがないという意味での一定の基準を設けることになりますが、そういう特性を踏まえた形で小規模通所授産施設の施設あるいは設備整備のあり方、これについても御指摘を踏まえて検討していきたいと考えております。
#47
○山本保君 ぜひこれは大至急、予算とかいろんなことがあると思いますけれども、国の予算は今から増すということは当然できませんが、さまざまな民間の助成団体というものについては、事実上、今年度についてはこれからいろいろ予算をつくるんじゃないかと思うんです。ですから、ぜひそこを優遇して、優先するようなことはやっていただきたいと思っておりますので、重ねて要望申し上げます。
 次に、この団体の方から実はこういうお話もあるんです。いわば職業的な自立のための言うならば職業訓練、こういうことをするのだというのが一つの建前というか、それが中核の仕事である。しかしながら、地域でそういうお仕事をしておれば、当然まだそこまで行かないが、これからの人生についていろんな相談をしたいとか、また場合によっては一日、二日ちょっと見ていただけないかというような話もあるわけでございます。
 私は、当然地域の福祉サービスとすれば、今までの役所の分類でこのサービスだけ、こういうのではなくして、それに付随するような地域型のサービスは、もちろんそれを専門にする施設とはそれは違うかもしれませんが、しかし今回の小規模作業所というようなものを中心にしましてさまざまなサービスができるようにすべきではないかと思うんですけれども、この辺はいかがでございましょうか。
#48
○政府参考人(炭谷茂君) 今回の社会福祉法人の設立要件の緩和については、いわゆる小規模作業所を想定しているものでございますが、今回新たに社会福祉事業として追加した障害者相談支援事業などのように、小規模通所授産施設と一体として行うことが障害者の福祉増進に資するような事業をもあわせて行える、このようなことがある意味では望ましい場合もあろうかというふうに考えておりますので、その実態を踏まえながら前向きに検討させていただきたいというふうに考えております。
#49
○山本保君 どうもそういうのは全然できないんだというようなお話がもう行っているようでありまして、これではというお話も聞いておりますので、今、局長のお話がありましたようにぜひこれは前向きに、そんな難しいことをやるというわけじゃないわけです。専門家もおり、そして場所もあり、机が一つあれば十分相談事業などはできるわけですから。
 先ほど一日、二日とかショートステイというようなことを申し上げまして、この辺になりますと保健上の問題とか職員の配置ということでなかなか大変かなとは思いますけれども、私はぜひこの辺も含めてだんだんと広げていっていただきたい。最初はおずおずとやっておられるとは思うんですが、広げていっていただきたいというふうに思います。
 それと少し関連しましてもう一つは、介護においては基本がまさに在宅サービスであると。ですから、ヘルパーさんということでその養成、そしてその配置、またヘルパー派遣の事業主の認定と、大変な状況でありますけれども、方針ははっきりしておりますし動いていると思うんですけれども、障害を持った方に対して在宅の支援、ヘルプというものについては、私は介護、老人の問題よりはどうもおくれているんではないかという気がいたします。この辺についてお伺いしたいんです。
 特に、精神障害者の方については、今までほかの障害と比べてどうも制度的にも壁があった、実際にも整備が進んでいないというふうに感ずるわけでございますけれども、この辺について今後どういう方針なのか、お聞きしたいと思います。
#50
○政府参考人(今田寛睦君) 障害者のホームヘルプサービス、御指摘のように家庭でお世話をいただいている皆さん、あるいは自立して生活しようとしていらっしゃる方々にとって、このホームヘルプサービスというのは大変重要な機能を持っているだろうと思います。そういうこともありまして、障害者プランに基づいて現在その整備を進めているわけでありますが、その進捗状況につきましてはおおむね順調というふうに認識をいたしておりますし、平成十四年の目標達成に向けまして今後も整備を進めていきたいと考えております。
 障害者のホームヘルパーの養成研修につきましても、従来、高齢者のホームヘルパーと一体で行われておりましたけれども、障害者固有のニーズというものがさらにあるだろうということもありまして、平成十二年度、今年度から障害者ホームヘルパーの養成研修を行うことといたしております。
 それから精神障害者のホームヘルプサービスでございますけれども、精神障害者に対しても、例えば生活習慣の乱れでありますとか服薬の中断、あるいは過度なストレスが発生するといったようなことに対して一定の役割を演じていただく必要があろうかと思います。それで、昨年、精神保健福祉法を改正いたしまして、このホームヘルプサービスを精神保健福祉法の上で法定化させていただきました。十四年度から本格実施をすることになっております。
 その主な理由は、従来の身体介護ということだけではなくて、先ほど申し上げました服薬の問題あるいはコミュニケーションの問題、そういったことについてヘルパーさん自身にもそういった意味で一定の理解を持っておいていただく必要があろうかということから、一定の準備期間を置いております。ただ、昨年度から精神障害者訪問介護試行的事業、いわばホームヘルプサービスでありますが、これを実施して、その試行結果を評価しつつ適切なホームヘルプサービスが精神障害者に対して提供できるように今後も検討を重ねていきたい、このように思っておるところであります。
#51
○山本保君 お聞きしますと一生懸命やっているということですが、まだ十四年からやるというような事業もあるようでありまして、これは地域型の福祉にしていくというのがひとつ大きな理念だと思いますので、それも含めまして、まずこういうことのあるべき姿を各団体やまた現場で頑張っている方を交えて、研究費を大至急国としては用意して、ぜひことしじゅうにでも研究をきちんと開始すべきじゃないかなという気もするんです。
 ちょっと細かい話になりますけれども、私は、各団体の方、地域の方が大変心配されておりますので、大丈夫だと、前向きにやっていくんだというためにも、まず大至急研究費をことしじゅうにとって研究開始すべきではないかと思います。具体的な提案ですが、いかがでございましょうか。
#52
○政府参考人(炭谷茂君) 今回の改正におきましては、小規模な通所授産施設の取り扱いなど、また地域福祉の推進というようなことを柱にいたしておるわけでございます。新しい地域型の福祉サービスをつくろうということにしておるわけでございます。何分にも新しい分野でございます。いろいろな地域の特性とか、また住民をどのように参加させるか、また経営をどのようにしたらいいか、新しいいろいろと研究しなければならない課題、開発していかなければならない課題というのは御指摘のようにたくさんあるだろう、そして本当にそのようなサービスを創造していくということが重要であろうと思っております。
 このような見地からこのような研究を深めていくということが望まれるわけでございますので、今、先生の御提案がありましたように、例えば現行の長寿社会福祉基金という制度もございますので、この研究費の活用ができないだろうかということについて検討させていただきたいというふうに思います。
#53
○山本保君 どうぞよろしくお願いします。
 では次に、今度は法人運営について二点ほど簡単にお聞きしたいと思っております。
 社会福祉というのは、先ほどから申し上げておりますように大変崇高な事業でもありますし、またこれからの二十一世紀の日本人の生き方として重要な位置を占めると思っておりますけれども、残念ながらこれまで本当にごく一部の団体などで不正があったりいたしました。厚生省としても襟を正した事例もあったわけであります。
 私は、こういうことで、やはり地域の人々の中には、法人というのは何かお金があってやっているんじゃないかというような、そういう感覚をお持ちの方もいないことはないと思うんです。私は、ぜひこういうことから施設や法人運営の透明性をきちんと担保する、そのためにも逆に役所が厳しい基準で決めていくんだと。役所はそういうふうに今まで言うわけですね、きちんとやっていましたと。やっていましたと言いながら押さえている役人が問題を起こしたなんてばかな話になるわけです。私は、地域の人が見る、そのためには今度は法人の方にも運営を非常に弾力的に、また自主的にやっていけるような会計基準などをつくらなくちゃいかぬのじゃないかなと思っております。
 今回、そういう意図があるのだというふうに聞いておりまして、各法人からもその辺、大至急成立させてほしいという声も聞いているわけでありますけれども、この辺はいかがでございましょうか。
#54
○政府参考人(炭谷茂君) 社会福祉法人の運営の適正化という観点では、今回、例えば情報公開を行ってもらうとか、苦情解決のシステムを入れてもらうというような形での担保を一方にしているわけでございます。そのようなことを踏まえながら、やはり社会福祉法人の運営というものについてより創意工夫を凝らした経営というものが望ましいわけでございます。そのようなことを実効あらしめるためには、先生御指摘されましたようないろいろな規制、例えば会計基準の問題とかというような問題についてできるだけ弾力化をして、社会福祉法人が運営しやすいようにということを行わなければいけない。そのようなことで私どもいろいろな、例えば会計基準の改正というものもあわせて行ってまいりたいというふうに思っております。
#55
○山本保君 ぜひここは、先般非常に残念な事例があったときに、国会でも国の監督が緩いんじゃないかというような議論がどうも主だったように思います。私は逆だと思います。それは、まさに国が基準でもって縛ってやっているやり方が実は不正を生んだのであって、その団体の方たちに自主的にどんどん努力していただく。ただし、それを今度は公開する、開示する、情報開示して地域の目で厳しく見ていく、こういう体制にすべきだというふうに思っておりますので、ぜひお願いしたいと思います。
 それでもう一つ、例えば私も一生懸命やってきましたが、今、NPOの団体などは税優遇で寄附金控除、その他もろもろの税の優遇措置が欲しいと言っておられるわけです。ところが、社会福祉法人といいますのは実はもう既にNPOとしては一番優遇されたような体制を持っている。しかし、残念ながら、結論だけ申し上げますが、一般の方も社会福祉法人に寄附をすれば確定申告で戻ってくるということを知っている方はまずほとんどいない。
 私は、これはこれまでの福祉の一つの特徴だったと思うわけでありますが、ぜひ今後は、特に地域での小さな法人となりますとみんなの目も届くわけですから、皆さんで寄附をしようではないですかと、会社の方も税金を持っていかれるよりはこういう団体に寄附しましょうというようなことを、これはいただく方の側が言いますと何かどうもあれですから、これはやはり役所がまず先頭に立ってぜひこういうPR活動というようなものをすべきじゃないかなと思うんですが、この辺はいかがでございましょうか。
#56
○政府参考人(炭谷茂君) 多分、二年前のこの委員会でございましたけれども、山本先生から御指摘をいただきまして、例えばアメリカと日本とを比較した場合、人口比を勘案しても著しい差があるわけでございます。特に、アメリカの場合は個人が大変多い、それに対して日本は企業が寄附の主体であるというような御指摘をいただいたわけでございます。
 私ども、やはり福祉というものを本当に住民に密着したサービスというような観点からしますと、やはり寄附というものも一つの例えばボランティア活動に類するような行為ではないのかなというふうに思っております。イギリスのような場合は、寄附というものを一つのボランティア活動という形で勘案しております。このような見地から、私ども行政としても、寄附について広く国民の間にいかにPRしていくかということについて、これから検討し、取り組んでまいりたいというふうに思っております。
#57
○山本保君 ちょっと時間が心配になってきましたので、ひとつ時間があればということで。
 社会福祉事業について、今回九分野の仕事を社会福祉事業というふうに新たに認めたということで大変結構だと思うんですが、しかしまだもっと広げていただきたいという声も私どもの方に来ているんです。
 例えば、無認可の保育園、保育所というもので、無認可といいながら基準があるというおもしろい世界でありますけれども、保育所の仕事でありますとか、それに関連する放課後の事業、いわゆる学童保育事業というようなものについて、またお年寄りを中心にしてひとり住まいの方に食事を持っていく配食サービスというのも全国的に展開されておりますね。それから、病院や生活に必要なときに自動車に乗せて送る移送サービスというようなものとか、また非常に人数の小さい形のデイサービス、いわゆる宅老所と言われるような事業でありますとか、またこれもこの委員会で私は前に取り上げましたけれども、途中で難聴になった方には手話通訳という、手話ということがなかなか難しい方がたくさんおられて、要約筆記というような形で急いでその内容を書くというようなことで一生懸命やっておられるボランティアの方の事業もあります。
 今いろいろ例を申し上げましたが、こういう事業についても社会福祉事業として認めて、法の枠の中でしっかり支援するべきではないかと思うんですけれども、いかがでございましょうか。
#58
○政府参考人(炭谷茂君) 社会福祉事業の範囲、概念にかかわることだろうと思いますけれども、現行の社会福祉事業につきましては、規制がある一方、助成があるというような規定になっているわけでございます。いわばこれによって社会福祉法人になれる。都道府県知事の監督を受けるというような規制もありますし、税制の優遇措置もあるというようなものでございます。
 このようなことからいたしますと、私ども、社会福祉事業に含めていく一つの基準といたしましては、例えばサービスの重要性、それから安定的な事業の普及や育成の必要性、それから利用者の危険性の回避の必要性はどうだろうか、また規制によって事業の健全な発展が阻害されることはないだろうか、また同種のサービスとの区分が明確にできるかどうかというような観点から検討する必要があるだろうというふうに考えているわけでございます。
 このような観点から今回九事業を追加させていただいたわけでございますけれども、先生御指摘されましたように、社会福祉サービスにはさまざまなたくさんの事業がございます。これらにつきましては、ただいま申しましたような観点から総合的に検討をいたしまして、それぞれの時代の状況において考えていかなければいけないだろうというふうに思っております。
#59
○山本保君 時間がないのでこれで終わりますが、ぜひ今のお話のように、役所が大事だから決めるというのから利用者がそれを選んでいくという制度にすれば、何もある事業は社会福祉だがそうではないのは違うなんということを言うことはないんじゃないかと思うんですよ。ですから、枠を広げるという考え方のほかに、考え方をもう一度改めて、つまり支援の形などが変わってくるわけですから、それでぜひ広げていただきたいと思います。
 最後に、大臣、時間がないんですが、簡単で結構ですけれども、この枠組みだけの改革ではだめなわけです。財政とか、権限のいろんな民間への移譲だとか、また専門家の配置でありますとか、こういうことも含めましてこの大改革への決意をお伺いしたいと思います。
#60
○国務大臣(丹羽雄哉君) もう今さら申し上げるまでもなく、これまでの社会福祉制度というものは、いわゆる戦後の復興期におけます貧困者あるいは身体障害者の方々、さらに戦災孤児などのいわば緊急対応が求められた時期に制度化されまして、行政の指導の画一的な施しといいますか、こういったような内容が中心となってきたわけでございます。
 今回の改正におきましては、利用者本位の社会福祉制度を確立するために、社会福祉事業、社会福祉法人など社会福祉基盤の整備について五十年ぶりに見直すものでございます。今後のよりよい社会福祉の実現に向けて、私どもは画期的な内容になっているものと考えておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、この法案がこの国会におきまして成立を賜りましたならば、この法案の適正な運用を通じまして、国民の皆様方が安心して自立した生活がお送りできるような社会の実現に向けて全力を尽くしていくことがまさに私どもに求められていることではないか、このように考えているような次第でございます。
#61
○委員長(狩野安君) 本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。
   午前十一時二十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト