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2000/05/25 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第23号
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2000/05/25 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 国民福祉委員会 第23号

#1
第147回国会 国民福祉委員会 第23号
平成十二年五月二十五日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十三日
    辞任         補欠選任   
     堀  利和君     柳田  稔君
 五月二十四日
    辞任         補欠選任   
     石田 美栄君     佐藤 泰介君
     柳田  稔君     堀  利和君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         狩野  安君
    理 事
                田浦  直君
                山崎 正昭君
                勝木 健司君
                山本  保君
                小池  晃君
    委 員
                入澤  肇君
                久野 恒一君
                中原  爽君
                南野知惠子君
                水島  裕君
                今井  澄君
                佐藤 泰介君
                堀  利和君
                松崎 俊久君
                沢 たまき君
                井上 美代君
                清水 澄子君
                堂本 暁子君
                西川きよし君
   国務大臣
       厚生大臣     丹羽 雄哉君
   政務次官
       厚生政務次官   大野由利子君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        大貫 延朗君
   政府参考人
       厚生大臣官房障
       害保健福祉部長  今田 寛睦君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
       厚生省老人保健
       福祉局長     大塚 義治君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
       社会保険庁運営
       部長       小島比登志君
   参考人
       財団法人中部盲
       導犬協会常務理
       事
       盲導犬総合訓練
       センター所長   河西  光君
       社会福祉法人横
       須賀基督教社会
       館館長      阿部 志郎君
       全国福祉保育労
       働組合書記長   桑本 文幸君
       大阪府箕面市議
       会議員
       豊能障害者労働
       センター職員   八幡 隆司君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
〇社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一
 部を改正する等の法律案(内閣提出、衆議院送
 付)
○政府参考人の出席要求に関する件

    ─────────────
#2
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 昨二十四日、石田美栄さんが委員を辞任され、その補欠として佐藤泰介君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(狩野安君) 次に、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 本日は、本案について四名の参考人の方々から意見を聴取することといたしております。
 参考人の方々を御紹介いたします。
 財団法人中部盲導犬協会常務理事・盲導犬総合訓練センター所長河西光君、社会福祉法人横須賀基督教社会館館長阿部志郎君、全国福祉保育労働組合書記長桑本文幸君、大阪府箕面市議会議員・豊能障害者労働センター職員八幡隆司君、以上の方々でございます。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多忙中のところ、当委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。
 参考人の皆様には忌憚のない御意見をお述べいただきまして、本案の審査の参考にさせていただきたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
 次に、議事の進め方でございますが、まず参考人の皆様からお一人十分で順次御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、意見の陳述、委員の質疑及び参考人の答弁とも発言は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず河西参考人から御意見をお述べいただきます。河西参考人。
#4
○参考人(河西光君) ただいま紹介いただきました中部盲導犬協会の河西でございます。本日はよろしくお願いいたします。
 それでは、福祉事業法の一部改正についての参考意見を述べさせていただきます。
 盲導犬事業が社会福祉事業法の一部改正案に追加されることは、盲導犬の運動が始まった当初からの念願でありましたので、盲導犬関係者にとってこの上ない喜びであります。
 この法律の改正に当たり、御尽力いただきました参議院国民福祉委員会、厚生省を初め関係各位に深く感謝を申し上げます。
 私どもは、盲導犬八施設が加盟しています日本盲人社会福祉協議会の盲導犬委員会において、盲導犬訓練施設の設置運営基準を策定して、盲導犬訓練施設が社会福祉事業法に追加されることを願って協議を重ねた経過があり、非常に感慨深いものがあります。
 盲導犬訓練施設が社会福祉事業法の中に追加されることは、盲導犬の普及と盲導犬を伴う視覚障害者の皆さんの社会参加の促進が図られるものと大いに期待をしています。特に、盲導犬が法律に追加されることは、国の事業として認められるので、盲導犬訓練施設の社会的な認知と信用が増し、社会の理解と協力が期待されます。
 また、都道府県が盲導犬の普及に取り組むことにより、盲導犬貸与の促進が図られるものと思っています。そして、視覚障害者の方々が盲導犬により安全に行動ができるので、社会参加活動がより促進されるものと思います。
 そして、盲導犬訓練士の社会的な認知と地位の向上が図られることにより、訓練士は誇りと自信を持って盲導犬の訓練に励むことができるので、これまで以上にすぐれた盲導犬が多く育成されるものと確信をしています。同時に、盲導犬を受け入れる社会の理解と協力が深まり、盲導犬受け入れの環境改善が図られるものと期待をしています。
 以上の理由から、一部改正法案が早期に成立されますようによろしくお願いいたします。
 さて、日本財団が平成十年度に全国の盲導犬育成施設や視覚障害者を対象とした盲導犬の実態調査によりますと、盲導犬を今すぐに希望する視覚障害者は四千八百人、将来盲導犬を希望する潜在者が七千八百人となっています。
 一方、現在活躍中の盲導犬は八百五十三頭であります。盲導犬を希望する視覚障害者の要望にこたえられない現状となっています。盲導犬事業の充実と活性化を図り、視覚障害者の要望にこたえるためには、訓練士の養成などに予算の裏づけが必要です。予算化の実現により、盲導犬育成の促進が図られるものと期待しています。
 盲導犬の育成は、繁殖から子犬の出産、育成、訓練終了まで約二年の期間がかかりますが、盲導犬を訓練しても盲導犬の合格率は四割から五割です。非常に低い状況となっています。合格率を高めるためには、繁殖の研究と血統の確立が不可欠で、盲導犬の繁殖と研究に予算化の実現も望まれます。盲導犬に適した繁殖計画が確立すると、盲導犬の合格率は八割ぐらいまでは高まり、コストの削減と訓練の効率が図られるものと思っています。
 盲導犬の訓練に従事している者は、実習生、訓練士、盲導犬歩行指導員を含めて六十余名であります。優秀な盲導犬を育てるために、訓練士の養成と人材確保は盲導犬育成の根幹をなすもので、訓練士の養成のための予算化も図っていただきたいと願うものです。訓練士の養成により、盲導犬の作出頭数の増加が実現され、盲導犬の貸与を待ち望んでいる視覚障害者の要望にこたえられるものと考えています。
 また、視覚障害者が盲導犬との共同訓練を受ける際の費用を視覚障害者の職業訓練や日常生活訓練と同様に位置づけて、視覚障害者と盲導犬の共同訓練の費用の予算化についても考慮していただきたいと思います。このことにより、費用負担の心配がなく共同訓練が受けられ、盲導犬による視覚障害者の自立が大幅に前進するものと思います。
 また、盲導犬を利用する視覚障害者の社会参加活動において、盲導犬の入場や利用を断られるケースが多くありますので、盲導犬を伴う視覚障害者の生活と権利を守る盲導犬のバリアフリーの立法化を切に願っています。盲導犬のバリアフリーの立法化の実現により、盲導犬を伴う視覚障害者の社会的受け入れの促進が図られ、視覚障害者の行動の拡大と社会参加と盲導犬の普及が図られるものと確信しています。
 重ねて、社会福祉事業法の一部改正の早期成立と盲導犬にかかわる予算化の実現につきまして、参議院国民福祉委員会の諸先生と厚生省に格別の御理解と御支援をよろしくお願いし、参考意見といたします。
 ありがとうございました。
#5
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、阿部参考人にお願いいたします。阿部参考人。
#6
○参考人(阿部志郎君) 阿部でございます。資料がないのは私だけのようでございますが、失礼をいたします。
 あるJRの大きな駅で、障害者が十四時間エレベーターに缶詰になる事件が起こりましたのは御記憶に新たかと思います。障害者がエレベーターに乗った。しかし、車いすからボタンに手が届かない。そのまま十四時間閉じ込められたのであります。JRの駅で障害者が乗れるエレベーターがついているのはまだごくわずかでございます。そこには最新式の設備が整っておりましたが、どんな設備をいたしましてもそこに何らかの形で人がかかわらなければ機能いたしません。
 この人と人のかかわりが福祉の命です。この人と人のかかわり方をどうするかということが今回の法改正につながっていくのかと思います。
 今まで、委託措置という制度のもとで、福祉は国家責任と強調してまいりまして、次第に措置が充実をし、また私どももそれに頼ってまいりました。初めのころは必要とする人を探しに行き、またそのための金を集めたものでありますけれども、措置費が潤沢になりましてから金の苦労がなくなりました。そして、人も金も施設に送られてまいりまして経営は安定いたしました。私どもは、それに安住をしてまいりました。
 そこにおける人と人のかかわりは一方的でありまして、選択をする自由権はございませんし、また利用者に拒否権もございませんでした。今回の法改正は、それを変えようという意図であろうかと思います。
 私どもは、公的責任のもとで決められたことだけをしてまいりました。枠から外に出ようとしない、いわば受け身の形で仕事をしてきたというのが私自身、民間の施設で長く働いておりましての反省でございます。今回それを、利用する人とサービスを供給する者との関係を対等にしようということでございまして、そこで措置から契約ということに変わり、また利用者中心にしていくというねらいがあろうかと思います。
 経済成長期には、バスに乗りおくれるなという合い言葉がございました。先を争って人を押し分けてバスに乗るという競争社会でございましたが、このとき、バスに乗れない人がいる、走れない人がいるということは念頭にございませんでした。そのバスに乗りはぐれた人々だけが福祉の保護の対象でございました。
 しかし、今や少子高齢化になり、核家族化され、都市化されてまいりまして、目に見えないニードも含めまして、ニードが広がってまいりました。ついこの間、先生方が成立をしてくださった児童虐待防止法もそうでございますし、老人の孤独というような問題でニードが多様化してまいりました。多様化したニードに対しては対応も多様化しなければならないわけでございまして、ここに民間業者が参入するという必要が起こってきたのかと思います。
 この福祉システムをどう変えるか。今までは命と生活の安全だけを願ってまいりました。しかし、今回の改正においては、安全かつ快適な生活を実現するということが目標であろうかと思います。年寄りや障害者、妊婦が快適に生活できる条件は健康な若者にとっても快適でございまして、そういう新しい社会づくりを私どもがしていかなければならないと思っております。
 そのためには、環境、条件整備を変えるということと同時に、人と人の協力関係をつくり上げていくということが不可欠であろうかと思います。一人の人の権利と人格の尊厳さをみんなで守ろうということでございまして、今まで公的責任に頼っておりましたものを市民一人一人が自分の問題として福祉に取り組み、それで解決できなければ助け合いをする、それで対応できなければ連帯を組む、それを支え、保障するのが公的責任という新しい考え方に立っているわけでございます。
 そのためには、第一に、市民参加のすそ野を広げなければなりません。阪神の地震のときには百四十万のボランティアが行き、有珠山には既に二千名近いボランティアが出かけております。しかも、航空会社が帰りの飛行機の運賃を無料にするという計らいもしてくれているわけでございます。今、福祉関係だけで把握しておりますボランティアは約七百万人ぐらいおります。そして、献血に参加をしている人はやはり六百万から六百五十万でございますし、郵便局のボランティア貯金には二千五百万件協力をするということでございまして、こうしたボランティアやNPOの可能性に私どもは希望を抱いております。
 第二は、そのために行政の姿勢を変えてもらわなければなりません。行政のみで仕事をしていたのを市民参加、NPOと協力をしていくという新しい体制を組んでもらわなければならないわけでございまして、これが新しい行政に望まれることでございまして、その役割と姿勢を転換してほしいということでございます。
 第三は、そのための仕組みを変える。今までの仕組みから変わりまして、生活の基盤である地域を土台にして新しい福祉を組み立てるということでございまして、そしてそれによって公私共同、住民参加によって新しい福祉の文化を築きたいという理想と願いが今回の法改正には込められていると私は理解をいたしまして、今回の法改正に心から期待を申し上げたいと存じます。
 以上です。
#7
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、桑本参考人にお願いいたします。桑本参考人。
#8
○参考人(桑本文幸君) 桑本でございます。
 社会福祉施設等で働いている労働者の立場から、今回の法改正について意見を申し述べたいと思います。
 全国福祉保育労働組合は、略称を福祉保育労と言いますが、乳児院、児童養護施設、保育所、障害者施設、老人福祉施設等、ほとんどの社会福祉施設はもとより、社会福祉協議会や社会福祉団体まで、あらゆる民間社会福祉労働者を対象とした我が国で唯一の全国的な労働組合です。
 言うまでもなく、国民への福祉サービスのほとんどは福祉労働者の手を通じて提供されるものであり、私たちは、福祉労働者の働く条件のよしあしが提供される福祉サービスの内容にも直接的に影響するというふうに考えております。
 この点については、九三年四月に告示された社会福祉事業に従事する者の確保を図るための措置に関する基本的な指針、いわゆる人材確保基本指針、この前文の中においても、社会福祉事業に従事する者の確保が国民が必要とする福祉サービスを適切に提供する上で欠かせない課題である、こういうふうに指摘されております。
 その視点に立って、審議中の本法案と、この法改正によって進められようとしているいわゆる社会福祉構造改革に対して意見を申し述べたいと考えております。
 初めに、我が国の社会福祉サービスの提供がいかに民間に依存して行われているか、そしてそこで働く労働者の状況がいかなるものであるのかについて申し上げます。
 ここで言う民間とは社会福祉法人が中心ですが、配付資料の一に示したように、平成九年度の状況では、公営の特別養護老人ホームは私営の一割にも満たず、重度の身体障害者の生活施設である療護施設は、私営の三百四施設に対して公営施設はわずか六施設しかありません。これは知的障害者施設でも同様であり、知的障害者援護施設の総数二千五百九十施設のうち公営施設はわずか二百一施設、知的障害者の授産施設は、入所と通所を合わせて八百四十五施設中、公営施設は一割に満たない七十四施設です。福祉工場に至っては公営施設ゼロという状況です。精神障害者社会復帰施設も、平成八年の法改正に伴って早急な整備が強く求められているにもかかわらず、公営施設をパイロット的に設置するという動きすら残念ながらうかがえません。
 これらは、いずれも障害者プランに盛り込まれた重点的な項目となっていますが、実態はこういう実態であるということをまずお話ししたいと思います。
 さらに、これら認可施設とは別に、御承知のように五千カ所を超える無認可の障害者共同作業所があり、そこでの多くは、職員が自分の休日も返上して、廃品回収やバザー、募金やチャリティー活動等に取り組むなど、まさに血のにじむ努力の中で経営と運営が維持されております。
 本法案や社会福祉基礎構造改革では、多様な事業主体の参入促進という方向での営利企業も含めた民間活力の活用が主張されていますが、以上、概観した状況は、これまでも十分過ぎるほど民活型であったと言えるものだと思います。
 もとより、こうした民間依存に対して、福祉サービスの提供にかかわる国と地方公共団体の責任を具現する制度として措置・措置費制度が役割を果たしてきたわけですが、次に述べるように、社会福祉法人等における職員の賃金等の実態は、この制度の硬直性を云々する以前の問題として、措置費の算定基準の引き上げなど、公的責任の抜本的な強化と改善こそを最優先すべきことを示していると思います。
 私たち福祉保育労が九八年に行った組合員の賃金水準を民間平均水準と比べてみると、配付資料の二、十二ページから十三ページをごらんいただきたいと思いますが、男女とも高学歴、高年齢になればなるほど格差が著しく広がるという顕著な実態が浮き彫りになっています。
 例えば、大学卒の男子では、年齢が四十五歳から四十九歳の職員は民間平均水準よりも月額で二十六万円強も下回り、最も数の多い短大卒女子でも、二十歳から二十四歳時の四千九百円の格差が五十歳から五十四歳になると三万四千七百円に拡大しています。ちなみに、この調査による単純平均賃金月額は、年齢が三十五・五歳、勤続が十一・七年の短大卒女子で諸手当等も含んだ基準内賃金で二十五万八千二百円です。
 以上は全国的な平均値ですが、島根県のある特別養護老人ホームの職員は、勤続十一年で手取り十七万円という水準であります。いわんや、年間一施設百十万円の補助金しかない無認可共同作業所職員の賃金実態はすさまじく劣悪です。
 一例を申し上げます。福岡市内の小規模無認可作業所十九カ所の昨年四月時点での職員の賃金水準は、パート職員も含めた全体平均で、五万円以下が二〇%、十万円以下が四〇%。常勤職員だけ見ても、何と二〇%が十万円以下という実態であります。この作業所では、経験年数三年未満が三分の二を占め、一年未満も三分の一という実態です。
 前後いたしますが、民間社会福祉労働者の全国的な平均勤続年数を社会福祉・医療事業団の退職手当共済事業にかかわる資料から若干引き出してみました。平成十一年度段階で六年十カ月というのが勤続年数の平均です。さらに、被共済職員の期間別内訳では、一年から三年が四七%と約半分を占めています。民間社会福祉施設職員の回転率も極めて高いことを御理解いただけると思います。
 その高さの要因に、幾つか申し上げた賃金実態とあわせ、社会福祉施設調査報告の平成九年度版によると、年間平均有給休暇取得日数七・二日という実態や、週単位の実労働時間で四十時間以上が依然として全体の半数近くを占めるという過酷な労働条件があることは明らかではないでしょうか。
 措置制度を廃止して契約利用制度を導入し、さらに措置費を支援費に変更するという本法案と基礎構造改革が、これらの民間社会福祉労働者の問題を改善し、安定した労働環境で十分な専門性を身につけた職員が利用者本位のより良質のサービスを提供することに果たして結びつくでしょうか。どうしてもそういうふうには考えることができません。
 その一つの根拠として、介護保険制度の実施により、特別養護老人ホーム等で広がっている賃金や労働条件の改悪、雇用不安という事態について申し上げておきます。
 というのも、本法案と基礎構造改革は、当面、制度が依拠する財源に、公費か保険財源かという違いはあるものの、新たな契約利用制度による福祉サービスの利用と供給の仕組みはほぼ介護保険制度と同じであると思っているからであります。
 三月二十六日の北海道新聞は、道内の特別養護老人ホームで月六万円から十万円の給与カット等々の動きがあり、それに反対して労働組合が活動を始めた、こういう報道をしています。
 また、四月十二日の朝日新聞では、東京の特養ホームで調理員九人を解雇し、食事の調理を民間会社に委託、残る職員もボーナスの四割をカット、五百万円ほどの年収が五十万円以上減る、こういう報道をしております。
 これらのマスコミ報道にとどまらず、私たちの労働組合との関係でも、主に、介護保険による収入の不安定化、将来的な経営不安等を理由にして、定期昇給の一年間延伸、約九%の給与削減、特別勤務手当の削減、人事考課の導入検討、給与規定から一時金の月数明記の削除等々、高齢者職場での賃金制度の改悪が全国的に広がっています。
 各地の自治体が社会福祉協議会に委託してきたホームヘルプサービスの委託打ち切り等々によって、例えば大阪では八百人を超えるヘルパーが深刻な雇用不安にさらされるという事態も広がっています。
 これらの見直し提案や改悪が、単なる経営者の姿勢によるものではなく、介護保険制度の実施が引き金になっていることは明らかではないでしょうか。
 支援費の基準や水準等は、一切が今後の検討課題とされていることも問題です。その一方で、新しく通知された社会福祉法人の新会計基準では、これまでなかった減価償却費の計上が認められていますが、減価償却の可能な価格設定であるかどうかもはっきりしない状況のもとで償却財源の確保を図ろうとすれば、必然的に人件費の削減に傾斜するものと思われます。
 これらの問題への十分な対策も具体化されないまま本法案の成立が強行されれば、二〇〇三年を待たずして、特養ホーム等の介護保険分野で起きている労働者の賃下げや労働条件改悪を民間社会福祉の全領域に広げることになりかねません。
 福祉人材の育成と確保が福祉サービス供給にとって重要課題であることは、政府の各種審議会の報告や政策提言の中でも共通の指摘事項であります。それらの指摘に沿う上でも、重ねて徹底した審議をお願いして、私の意見といたします。
#9
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 次に、八幡参考人にお願いいたします。八幡参考人。
#10
○参考人(八幡隆司君) 本日は貴重なお時間をいただき、私たちの箕面市の取り組みを初め、障害者団体の活動を報告させていただくことを非常にありがたいと思っています。
 私は、大阪の北の人口十二万という箕面市の議員をしておりますが、議員というよりはむしろ福祉現場の職員として全国のいろんな方々とかかわりを持っております。その中で体験をしてきたこと、実感をしてきたことを中心に今回の福祉事業法の一部改正について私なりの見解を述べさせていただきたいと思います。
 まずその前に、箕面市というところは皆さん余り御存じないとは思うんですけれども、障害者雇用を中心とした取り組みが盛んということで関係者の間では広まっております。その理由は、一九九〇年に財団法人箕面市障害者事業団というものを市民と行政の一体化した取り組みの中で進めており、障害者の雇用を中心にさまざまな取り組みをしていかないと、入所施設の場合はどうしても、通所施設であっても入り口あって出口なしという状況になってしまう、その施設の状況打開のためにはぜひとも雇用という問題を外すことはできないということで箕面市が取り組んだからであります。
 実際には、雇用というものは国の施策でありまして、市町村が取り組む課題ではないんですけれども、そのことを中心に据えることによって生活やさまざまなプランをつくることが非常に明確になってきたと思います。実際に、箕面市では既にNプランを一九九六年に完成し、ことしの三月、Nプランの後期推進に向けた提言書もまとまっております。
 その上、障害者の雇用制度についての検討でありますとか、あるいは作業所や施設の今後のあり方なども一九八八年にまとめられ、地域としてどのようなサービスを幅広く提供し、それぞれの作業所あるいは施設がどのように役割を分担していくかということで、障害者団体あるいは関係団体、そして行政が一体となった障害者市民施策推進協議会というものを常設し、さまざまな話し合いを行っているところでありまして、私たちも今回の社会福祉事業法の改正には非常に大きな興味を持っております。
 具体的に私が、社会福祉事業法の一部改正について重要な視点というか、ここは一体どうなんだろうという疑問を持っておりますのが十点ございます。レジュメの中の三ページで一部gがダブっておりますので、そちらの訂正をお願いし、g、h、iを順次繰り下げていただきたいと思います。
 一つは、私どもが一番大切にしているのは、障害当事者の権利を守るというか主体を守っていくという原則が本当にどこまでこの法律で守られていくのだろうかということです。
 この身体障害者福祉法の十七条の五の二に「当該身体障害者の介護を行う者の状況」というものが介護を支給決定するときの基準となっておりますけれども、やはり家族と同居しているということで本人の社会参加が非常に制限されるといいますか、成人になってさまざまなところへ出かけるときにガイドヘルプ、あるいはそういう介助者がいなければ外へ出られないということで、親が肩がわりするということだけではだめですので、そういう部分のことをどういうふうに考えていくのかということや、またそのときの自己負担におきましても、家族の世帯収入でということで、どうしても障害者が一人前に見られず、扶養家族のような形で障害者本人を見ていくことがどうかというふうなことを考えております。
 私たちは、障害者が実際にどれだけのニーズを持っているかということに関しては、その障害者がどれだけの社会性を持っているかということが非常に大きく影響していると思います。ですから、単に障害の程度、種類ということではなくて、その方が非常に積極的に社会参加をしたいと考えておりましたら、その人のガイドヘルプなどのニーズは上がっていきますし、家の中で閉じこもっているだけならばそんなに介護は要らないということもあると思います。
 そういうふうなところを主体として考えていくのと同時に、第二点目には、総合的なサービスの供給というのが箕面市でも非常によく考えられて、論議がありました。
 総合的なサービスの供給というのは、一人の障害者が仕事に通い、またホームヘルプサービスやガイドヘルプサービスを受け、さらに文化的、創造的な役割の場所に通い、地域とつながり、さまざまな場所に参加する、あるいは子育てをしていくとか、そういう非常にいろいろな場面がございまして、その障害者のさまざまな場面に合わせて、どう総合的にそのニーズを満たすようにいろいろなサービスを複合しながら一人の障害者に提供していくのかということが非常に問題になっております。幸い、箕面市においてはそういう基盤がある程度はできていますけれども、全国ではほとんどそういうのはできていないというのが実態で、今後の役割分担ということは非常に問題になるかと思います。
 さらに三つ目には、多様な事業体、市民活動の参入保障ということでありまして、先ほどの参考人さんのお話にもありましたけれども、現在の福祉サービスには非常に民間の活力というのが、法人を持たないところが活動しております。
 ただ社会福祉法人を持たないということだけでグループホームの経営ができなかったり、さまざまな事業が制限されてしまう。それだけの力量を持った団体が全国にたくさんございますけれども、法律の枠の中で、できる実力があっても実際にはやることができないという制限を受けていることに関して、もっともっと幅広い団体に認可を与えていかなければならないと思います。
 また、今回も一種、二種事業という形でNPO団体と社会福祉法人との事業内容に分け隔てがございますので、こういうことに関してもNPOであっても授産事業のような施設、現在、障害者の授産事業というのは作業所が行っておりますので、福祉法人でなくともNPOでもそういうことができればというふうに考えております。
 さらに、行政責任の明確化ということでもう一つの視点を言っておきたいと思います。
 措置から契約に移るということは、その場合に責任が一体だれになるんだろうかと。実際にそのサービスを受けられなかった、サービスの苦情をどこに言っていくんだろうかというときに、やっぱり障害を持っている人の場合は一番身近な相談窓口というのは大切でございます。遠いところに出かけることもなかなか難しいですし、言語障害の人の場合、本当になれ親しんだ人を通じてでないとそのことをなかなか言えないという状況がございますので、その中で障害者の当事者グループを中心とした団体があれば、そういうところを通じてきっちりと行政の方にその苦情、相談に行ける、また行政が責任を持ってそのことの解決に当たるということが非常に重要であると思っています。
 まだ私の言い足りない部分についてはさまざまな資料ということで、大変小さな字で読みにくいかと思いますが、十点について私が特に強調したい部分を話させていただき、私の意見とします。
 以上です。
#11
○委員長(狩野安君) ありがとうございました。
 以上で参考人の方々からの意見の聴取は終わりました。
 これより参考人に対する質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#12
○入澤肇君 保守党の入澤でございますが、与党三党を代表いたしまして御質問いたしたいと思います。
 大変貴重な御意見をありがとうございました。
 まず最初に、河西参考人にお聞きしたいんです。
 私も知らない事実をたくさんお教えいただきまして非常に感銘を受けましたけれども、盲導犬を育成していくには一頭当たりどのくらいかかるのかということが一つ、もう一つは、盲導犬の育成につきまして厚生省、それから動物一般については農林省がかなり補助金を出して、繁殖の研究から育種改良、それから獣医さんの養成とかやっていますけれども、厚生省、農林省の行政の対応は十分かどうかということにつきましてお聞きしたいんです。
#13
○参考人(河西光君) ただいま盲導犬が一頭当たりどれぐらいかかるかということなんですが、全国の盲導犬協会自体の経営実態もありますので、それぞれ違いはありますが、中部盲導犬協会では二百五十万ぐらいと言っていますが、東京都なんかでは三百万ぐらいはかかるのではないかと思います。一頭当たりはそれくらいかかると思います。
 厚生省の方としては、前年度までは「障害者の明るいくらし」、今年度からまた新しくなったということですが、その中で、一頭当たりの育成を百五十万と見て、その半額を国が負担するということになっておりますが、現状としては二百七十頭の予算を厚生省は組んでおりますが、実際に自治体が盲導犬に取り組んでおるのは、十年度が八十八頭、それから十一年度が八十四頭だったと思います。一、二頭の誤差はあるかもしれませんが、それぐらいが実際に今、自治体というか厚生省自体の予算も含めていただいている状況です。
#14
○入澤肇君 もう一つ、今、一頭当たり二百五十万円くらいかかる、しかし実際の予算単価は百五十万円だという話がございましたけれども、この二百五十万円は、えさ代とか何かはどのくらいこの中に含まれているんですか。
#15
○参考人(河西光君) えさ代、それから医療費とか人件費とかいろいろあるわけですが、えさ代ですと大体月一万二千円ぐらいと考えております。
#16
○入澤肇君 育種とか、あるいは優秀な、合格率は八割というふうな数字が出ていましたけれども、これを高めていく、さらに能力の高い盲導犬を育成するために特別な研究はやっておられますか。
#17
○参考人(河西光君) 先ほど八割と言いましたが、研究をされれば将来的に八割ぐらいになるだろうということで、今、全国的には四割から五割、訓練をしても盲導犬になれる犬の確率は約半分ぐらいです。そのためには盲導犬の血統的な確立をしなきゃいけませんが、これは非常に予算的、人員的な問題と時間的な問題と経費の問題があって、実際の日本ではまだこれからの状況です。
 あわせて説明させていただければ、イギリスでは八割以上の合格率があります。
#18
○入澤肇君 日本の行政組織というのは、どの分野にも各省がみんな網を張って取り上げることになっているんですね。例えば、私も若いときにハトのえさはどこで所管するかと、農林省でハトのえさのトウモロコシを割り当てたことがあるんです。それで、ハトはどうかというと、これは鳥獣保護業務室の対象で、今は環境庁に移っていますけれども、しかし食用のハトそのものは畜産局が担当している。
 盲導犬は畜産の対象にはならないと思うんですけれども、しかし動物検疫所を所管している農林省はそれなりの研究をやる必要があると思うんです。ぜひ、厚生省から予算をいただくだけでなくて、各地にある農林省の試験研究機関に育種改良についての要請を行って充実強化することが必要だと思うんですけれども、御意思はございますか。
#19
○参考人(河西光君) 貴重な参考意見で、可能であればその方向で一度相談をしてみたいと思います。ありがとうございます。
#20
○入澤肇君 次に、今回の社会福祉事業法の基本問題について参考人の御意見をちょっとお聞きしたいと思っています。
 今回の社会福祉事業法の改正というのは基礎構造という言葉を使っていましたけれども、私は前回、この委員会で基礎構造という言葉は適切でないんじゃないかと。確かに提案理由説明ではそういう言葉は使っておりませんでした。しかし、厚生省の審議の中では基礎構造という言葉を使う。構造という言葉はめったに使うものではないと私は思っていますのでそのように申し上げたんですけれども、しかし基本的な仕組みを改正するという意味では極めて重要な法改正であると私は思っています。
 ただ、私のところへたくさんの陳情書が来ていまして、同文の陳情書なものですから、どこかから指令して出しているのかなと思ってしまうのですけれども、今回の重要な改正事項の一つとして、措置制度が利用契約制度へ移行するということでございます。これに伴って、いわゆる自己責任原則が貫かれることになって十分な弱者救済ができなくなるのではないかという心配、あるいは政府の公的な助成も、負担金という言葉が補助金という言葉に変わって十分な予算措置がなされなくなるんじゃないかという心配、それから利用契約方式に変わるということで、恩恵付与的な措置から対等の当事者による利用契約方式に変わるのではないか、これはサービスを提供する側の逆選択になるんではないかと、そういう心配があるということがどの陳述書にも書かれているわけであります。
 私は、これは杞憂にすぎないと言うとちょっと言い過ぎですけれども、これから厚生省の行政に対する要請、期待を大きくすることによりましてかなりの程度是正されるし、また今回の法律改正を契機に、社会福祉事業そのものがよき方向へ改革されていくんじゃないかというふうに思っているわけであります。
 一つ一つ言いますと、まず補助金については、これは負担金から補助金へ変わるといっても我が国の国庫補助金の体系の中では補助金も負担金も補助金適正化法の対象になっておりまして、手続的には会計検査の中できちんと同一に扱われている。私も何度も負担金、補助金の予算要求をしたことがありますけれども、負担金と補助金については法律の目的そのものから名称を変えますけれども、その差についてそんなに深刻に区別したことはございません。なぜならば、この社会福祉事業につきましてはほとんどが法律補助なんですね、一部予算補助もございますけれども、法律補助であります。この法律補助というのは、法律できちんと補助することが義務づけられておりますし、それからその時々の情勢に応じて補助額、補助単価が変わってきております。
 さっき桑本参考人から社会施設で働く低賃金の状況につきましても御説明がございましたけれども、これも決して固定的なものではなくて、そういう実態を踏まえて予算措置を講ずることも可能であります。
 それから二番目には、契約に移行するから不安だという意見がございましたけれども、契約内容の基本的な枠組みもきちんと新しい原則を政府は示すはずであります。なぜならば、福祉というのは憲法で認められた国民の権利でございますし、また国の責務であります。そういう意味では、これを充実させるためには一定の枠組みがなくちゃいけない。任意契約、契約でやるからといって勝手にどんな内容で利用契約を結んでもいいというのじゃなくて、これは法的にきちんとした基準が政省令なり通達等で示されていくはずでございまして、ある意味では覊束裁量行為に属する契約じゃないかと思っております。
 それから公の立場が、措置制度から利用契約に変わることによって弱められるんじゃないかというふうな御心配もありますけれども、私は逆に、先ほども阿部参考人が、今まで枠の中に閉じこもっていてむしろ受け身の形でこの福祉事業を受けとめていたと、しかしこの法律を契機にして積極的に受けとめることができるんじゃないかというふうなことが陳述としてありましたけれども、私も官の硬直性に対して今こそ民の柔軟性、創意工夫が期待される時代じゃないかと思っているわけであります。そういう意味で、措置から契約に変わるからといって必ずしも制度全体が弱められるというふうに思っていないわけであります。
 私は今、このように総括的に今回の社会福祉の基礎的な仕組みについての改正に対する私の個人的な見解を申し述べたんですけれども、これに対する御意見がございましたら、阿部参考人、八幡参考人、ちょっとお聞かせ願いたいんですけれども。
#21
○参考人(阿部志郎君) 今、御指摘くださいました措置から契約へという移行に際して自己責任原則が強調されないかと、これを防ぐために権利擁護ということが今回新しく登場してきたというふうに私は考えております。そして、私は契約という法的概念はよく存じませんけれども、利用者と事業者が契約をする場合の契約書のモデルは既に示されておりまして、私どもは、当然それに基づき、参考にしながら契約をこれから結んでいくということかと思います。
 契約によって行政の責任の後退が起こるのではないかと、これはだれしも心配しているところでございます。後退していただいては困るわけでございまして、私は後退は当然あり得ない、既にそういう確認を厚生省もしておられるところでございまして、むしろ行政が積極的にこれからの民間事業をサポートするということで了解をしております。
 契約によって対等の関係をつくるということは、これはいわば人格対人格という人間関係が基本であるというふうに考えているわけでございます。今回の法改正が基礎構造改革と名づけられておりまして、大変私もかたい言葉だと思いますけれども、戦後五十年、私も福祉を見て、またその中で働いてまいりました者としては、これほど大きな改革は今回初めての経験でございます。当事者としては大変ですけれども、大変そこはいい時代にめぐり会ったといういわば幸せを感じている方が強いのでございまして、これは基本的システムの転換でございまして、いわば福祉にとってのビッグバンだ、ここで切りかえなければ二十一世紀に新しく踏み出すことはできないだろうと、そういう思いを持っております。
 以上でございます。
#22
○参考人(八幡隆司君) 実は、私の母は介護度五の認定を受けておりまして、いろんな福祉サービス、介護保険サービスをこの四月から受けております。
 措置から利用契約制度へというときに、具体的に実感として何が変わるのかというのは、実は僕は余り変わりがないんではないかというふうに感じております。
 と申しますのは、障害者の世界におきましても、措置だからといってすべてのことがうまくいったのかといえば、実際には権利保障がされていない部分もたくさんあるわけで、それが契約なり利用ということになって非常にマイナス面を受けるというところは、実態としてはほとんどないというふうに思っております。
 ただ最終的には、そのことがうまくいかない場合に責任をどこが持つかという責任の所在を明らかにすることが大事でして、介護保険でいいますと、私のおります箕面市では、介護保険総合条例というところでその責任のことを明記しておりますし、保険で足らない部分についても市町村が責任を持って、はみ出た部分についても九割は市町村の独自の財源を使って保障するということを現実に行っております。
 これから分権という時代ですから、余り国が大きなことをすべて担ってしまわないで、さまざま自由に市町村に権限移譲できるような形、あるいは民間が、いろんな団体が、NPO団体なども含めまして、そういうところに参入ができるという方がありがたいとは思っております。
 以上です。
#23
○入澤肇君 桑本参考人に少し具体的なことでお聞きしたいと思います。
 先ほどの説明資料も、一つの立場からいいますと、事実として非常によくわかります。
 そこで、ひとつ具体的に、今回の法改正で営利目的の民間会社が参入するということに対して非常に不安がある、それは先ほどの説明資料の中でも幾つかうかがわれるんですけれども、しかしこれを全面的に否定するというわけにはいかないんじゃないか。むしろ、営利目的の民間会社が参入することに対してどのような指導指針なり基本的な考え方を持ったらいいかとか、前向きに考えてみた場合にどのようなお考えがあるか、お聞きしたいと思います。
#24
○参考人(桑本文幸君) 簡単に申し上げますと、社会福祉がそもそも営利追求のこの目的にそぐうものなのかどうなのかという点が一つあると思います。そういう点でいうと、いわばより弱い者をより優先的に救済するというのが普遍的な意味での社会福祉の役割ですから、営利企業がより弱い者をより優先的に救済するという立場に立ち切れるものかどうかということで考えれば、これは全く違うだろうというふうに思うんです。
 したがって、ある意味で営利企業の物差しは、より利潤が上がるものをどうやって利用者として迎え入れるかという、ここが具体的な物差しになっていくわけで、そもそも福祉とはなじまないと。
 ただし、資本主義社会ですから、企業がいろいろな活動をするということについては当然あり得るわけで、既に在宅福祉サービス等々では営利企業も含めた委託という形が行われているわけですから、そういう点でいえば、そこに対してどういう規制を持ち込むかというのは当然今の時点においても必要だと思うんです。
 御存じのように、私の意見の中でも申し述べましたが、福祉サービスは圧倒的に人手を通じて行うものであって、企業が企業活動を展開する場合においても、その費用のかなりの部分は人件費という形で使われることはもう避けられないことだと思うんです。
 したがって、そういう活動を社会的にどういう水準で規制をしていくかという点で考えれば、少なくとも福祉サービスを展開する企業、これは企業であろうと民間の社会福祉法人であろうと、労働者をこの水準以下で使ってはならないという、これが一つの指標として具体的に打ち出されるということは、サービスの内容を規制するという点、サービスの内容を人手を通じて良質なものにしていくという点を考えた上でも一つの大きな課題じゃないだろうかというふうに思っているところです。
#25
○入澤肇君 私は、この福祉事業のかなりの部分が公の部分に属するということはそのとおりだと思うんです。ただ、その実施主体について、民間会社だから危ないとか、あるいは不適切だという考え方にはくみしない立場であります。
 公と民の中間的な法人というのはたくさんあるわけですね。営利を目的として事業収益を上げるような会社であっても、しかしそれなりの規制を受けている法人はたくさんあります。いろんな仕組みもございます。例えば、農業でいえば農業生産法人について、これは今度は株式会社がある程度参入することになりますけれども、株式の公開はだめだとか、それから新聞社もそうですね。
 社会福祉法人等について、私は民間企業が積極的に参加してやった場合においてもスタンダード、きちんとした基準さえ明確になって、それに対する行政当局の監督責任が明確であれば、その点の不安はなくなるんじゃないかと思っております。
 時間ですので、意見だけ申し上げて終わります。
 ありがとうございました。
#26
○堀利和君 本日は、お忙しいところ、参考人の皆さん本当にありがとうございます。心から御礼を申し上げたいと思います。大変貴重な御意見を伺いながら、幾つか質問をさせていただきたいと思います。
 まず、阿部参考人にお伺いしたいと思うんですけれども、特に地域社会、地域福祉についての御専門でもありますので、そこらのところからお伺いしたいんですが、その前に、私の問題意識を申し上げますと、八〇年代は日本型福祉論ということで家族見直しということもありましたが、ただあそこで提起されたのはいわゆる後ろ向きでありまして、女は家庭にといいますか、子育てなり親の介護なりは家族、家庭が責任を持ってやるというようなものだったというふうに私は理解しまして、それが結局社会の進展の中で立ち行かなくなって、基本的には当然社会的な、あるいは公における支援というのが必要だと思うんですね。それでもって初めて家族がそれなりに成り立つのだろうというふうに私は理解しているわけでして、そういう意味で、個人の自立を前提にした基礎的集団としての家族というものをまずどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思うんです。
#27
○参考人(阿部志郎君) なぜ地域福祉かということから言わせていただきますと、私は三つあると思っております。
 第一は、今までの福祉の制度は分野と対象を分けてまいりました。年寄り、子供、障害者というふうに、あるいは母子というふうに対象を分け、そして医療、保険、福祉というふうに分野を分けて、一人の住民のニードを分断するという形で福祉の解決を図ってまいりましたが、私ども地域の住民というのは、地域の中にいろんな人がいるわけでございまして、そのいろんな人の問題を分けないで総合的に対応していく、領域を超えてアプローチをするというのが地域福祉の一つの課題だというふうに思います。
 第二は、今御指摘の内容にかかわりますけれども、地域というのは、ともに住むだけでなく、ともに生きなければなりません。共存をするということでございまして、共存をするためには助け合いが必要でございます。今おっしゃられましたとおり、家族が核家族化され、そして家族機能が次第に外部化されてまいりました。今の家族は大変もろい。けれども、家族というのは私どもの生活における中心でございますから、この家族を中心に据えながら一体これをどう広げていくかというのが地域福祉の課題ではなかろうかと思います。
 私は、そういう意味で、少し古くさい言葉でございますけれども、地域における家族、親族、あるいは地域の互酬性を大事にしたい。お互いに助け合い、見返りがあるわけでございますけれども、葬式には香典を持っていくといったようなこの互酬は私は大事にしなければならないのではないかと。ただ、宿題は、その互酬を家族、仲間の中にとどめないで、いかに普遍化していくかということではなかろうかと思っております。
 第三は、その地域の中で私どもは日常性を持っております。例えば、仏壇がある。この仏壇を老人ホームに持ってこられては今の老人ホームは困るのでございまして、それが現在の老人ホームの制約でございます。しかし、そうした仏壇に代表されるような日常性を継続していく、それが私ども地域に暮らしている者の願いでございまして、その日常性を全体的にとらえ継続させていく、すなわち在宅サービスというものをこれからは大切にしなければならないのではないかと。私は、その基本というのは、いかに崩壊しようとも家族というものを避けては通れないと考えております。
#28
○堀利和君 ありがとうございます。
 今回の法改正で、社会福祉の基礎構造ということで、初めて耳にしたときにはこれは何ぞやということで大変驚きもしたんですが、福祉法人なり、そういう形で概念化されているわけですけれども、阿部参考人の言われていることは私も同感です。
 そうなりますと、地域福祉、地域社会という言葉はもう花盛りなんですが、それでは地域福祉の基礎構造とは何ぞやと。つまり、阿部参考人が言われましたように、私もNPOなりボランティアグループなり、あるいは住民自身の、当事者といいますか、福祉でいえば利用者と言ってもいいと思うんですけれども、そういう集団、地域福祉の基礎的なものというのは人と人との関係だというふうに言われましたけれども、まさにそういう意味では、基本的には家族の一員であり近所の方々であり地域社会に暮らす人々であり、そういう人と人との関係がNPOという形で表現されたりボランティアグループで表現されたり、さまざまだと思うんですね。地域福祉、地域社会を活性化する上で、そこのところがどうもまだ漠然としているように私には思えてならないんです。
 そのことと、福祉国家から福祉社会へという流れが久しく提起されているわけですが、そうしますと、地域福祉、地域社会の中で行政と住民といいますか、言いかえれば公的な部面と民の部面ですね、この関係というのもやはりきちっとしていかなければならないと思うんですが、そういう点について改めてどういうふうにお考えか、お伺いしたいと思います。
#29
○参考人(阿部志郎君) 地域というのにはいろいろな考え方があると思いますけれども、生活圏というふうに一応ここでは規定をさせていただきますと、この生活圏の中で私ども住民は一人の人間でございます。一人です。しかし、同時に周りにたくさんの人がいるわけでございまして、その一番近いのが家族だと思います。一人ということと集団、みんなという違いがございます。異質でございます、一人とみんなというのは。この一人とみんなの関係をどうするかということが第一。
 第二は、私どもは同じという部面を持っております。家族というのは全く同質のものでございますし、あるいは同級生とか仲間というのがいるわけでございますけれども、しかしそこに外国人が入ってまいりますとそれは全く違うわけでございます。あるいは障害者、やはり違いを感ずる。年寄りに対しても違いを感ずる。その同じということと違うということをどうするか。一人とみんな、同じと違いというこの異質性の均衡を図っていく、できればそれを統合していくということを重層的に築き上げるのが私は地域福祉だろうと思っております。
 その地域にこれから行政は、行政主導ではなくて参加をしていただきたいのでございます。地域というのは自治でございますから、そこに行政が参加をする。行政にはしなければならないことと同時に、してはならないことがあるわけでございますし、また地域の民間の私どもにはできることとできないことがございます。それを区分しながら行政がそこに新しく参加をしていくということを求めたい、こういうことでございます。
#30
○堀利和君 そうしますと、地方分権ということで、介護保険も地方分権を進めていく上で大変重要な制度だと私は理解しているんですが、地方分権ということについて、そういう点では大変重要なキーワードだと思うんですが、その点についてはどういうようにお考えでしょうか。十分進んでいるかどうかという意味も含めて、進め方も。
#31
○参考人(阿部志郎君) 分権というのは、ちょっとおこがましい言い方をさせていただきますと、集権、セントラルな考え方からそれを分権化する、これをリセントラルと言うのかと思います。リという言葉は、離れるという言葉と同時に、そこには共同するという意味があるわけでございまして、分権化されて、そこで自治、参加ということと結ばれるわけでございますけれども、しかしそれは集権という構造と切り離すこともできない。この集権と分権とのバランスをどう図っていくか。その中において分権というのは住民の自治をやはり促進し、そこに市民参加を求め、NPOと協力しながら新しい自治をつくっていかなければならないのではないかと思います。
#32
○堀利和君 ありがとうございました。
 次に、桑本参考人にお伺いしたいんですけれども、私も以前は何でもかんでも公がやるべきだというふうに考えておりましたが、最近はどうもそれだけではなくて、本当に地域社会なり福祉社会をつくるのはまた違った展開も必要になるんだろうかというふうに考え始めているわけです。
 そういう意味で、施設の運営がなぜ公でなければならないのか、公がふえていかなきゃならないのか、なぜ民間では不十分なのか、この辺をお伺いしたいと思うんです。設置基準なり運営基準なり、利用者が不利益にならない、また提供する側で働いている方々の労働条件が下がらない、これはもう当然なんですね。公だから一定の水準、民になったら下がってしまう。これは、公か民かという論理よりも、そこの基準の厳格さ、あるいは情報公開、こういうことをきちっとすることで私はある程度その問題は解決できるのではないだろうかと思っています。
 もちろん、福祉の場合には、先ほどのお話のように労働集約型ですから、福祉を通してべらぼうにもうけるというのは不可能なはずなんですね。そういう意味では、保険点数でいえば保険点数を引き上げる中でヘルパーさんもゆとりを持って働けるようにする、こういうことだと思うんですが、その点についてお伺いしたいと思うんです。
 つまり、私は公的独占というものと公的責任というものは少し違うのではないだろうかということも考えているんですが、どうでしょうか。
#33
○参考人(桑本文幸君) 先生おっしゃるように、公的責任と公的独占は確かに私も違うと思います。
 私どもが申し上げている公の責任というのは、例えば社会福祉法人を全部なくして、これはある意味では民ですから、これを全部公にすれば公的責任が果たせるということを申し上げているわけではなくて、それまで民が携わっている部分に対する公的な責任の果たし方の問題として、措置制度という大変すぐれた制度が今までの社会福祉制度を全体として支えてきたと思っているんですね。
 これは、当然のことながら、先生おっしゃるように、職員の配置基準とか、あるいは職員に対してどれくらいの賃金水準を想定して財源を交付するとかというふうなことが措置費制度という財源支弁方式の中で細かく決められてきた。
 ところが、今問題になっているのは、そういう財源支弁の方式も含めて公的責任をどれだけ果たし切るか、高めていくかということではなくて、どれだけ安上がりに済ませるかというところでさまざまな問題が議論されているからこそ問題が生じていると思っているわけです。
 だから、冒頭に申し上げましたように、公の部分の責任の果たし方として、例えば、公の部分が行った場合と同様の水準を民間に対して保障し、さらにその中で民間の自主性を生かしていくような制度的な枠組みがつくられていくとすれば、民間こそある意味ではもっと自由濶達なさまざまなサービスの展開を行うことができる立場にあるのではないかと思っています。
 民間福祉労働者の賃金水準がどれだけ低劣かということは申し上げたわけですが、例えば東京都においては、一時期百九十億円ぐらいの東京都独自の人件費の加算制度を持っていたわけですね。これは、必然的に公務員並みの賃金を、同じサービスをしているんだから民間の福祉労働者にも保障しようとした場合に、国が保障している財源だけではそれだけの不足分があるんだ、したがってこれは東京都の責任で加算をしましょうという制度なわけです。要するに、国が行ってきた措置費の中での水準は、それだけ公務員並みの労働条件、賃金水準を保障しながら民間としてのサービスを自由に行っていただく、濶達に行っていくという枠組みを設定した場合、国の基準の中ではそれができないから自治体が加算せざるを得ないという仕組みになっていたわけですね。
 これこそが大きな問題ではないだろうか。この問題を棚に上げたまま措置制度をなくして措置費を支援費に変えるということでは、問題の十分な解決に私は至らないというふうに思っています。
#34
○堀利和君 時間がありませんので簡単にお答えをお願いしたいんですけれども、八幡参考人にお聞きします。
 現行制度の中で箕面市のいろいろな進んだものをお聞かせいただきましたけれども、その理由といいますか、こういう進み方ができた、可能になった理由、原因といいますかをお聞きしたいと思います。
 もう一つ、今回の改正は不十分な点は当然あろうと思うんですが、改正することでこれはちょっと妨げになるな、今後箕面市のさまざまな進んだものをやっていこうとするときに妨げになるなというのをお聞きしたいと思います。
 時間があったら簡単にお願いしたいんですけれども、河西参考人なんですが、盲導犬も当然生き物ですから病気もします。都道府県などでもあるいは獣医師会の方でもいろいろな御援助、補助があるんですが、盲導犬を使用している者にとって今非常に大変なのは盲導犬の医療費、これについてはどういうふうにお考えになるのかお聞きしたいと思います。
#35
○参考人(河西光君) 盲導犬の医療費の件ですが、今、多くは本人負担になっております。獣医師会で一部は技術料をサービスするというような形で協力をいただいているところでもありますが、全国的には本人負担ということに今のところなっております。
#36
○参考人(八幡隆司君) 箕面市の制度が一定程度進んできた理由ということですけれども、その第一は、市内の障害者団体とか関係団体が常設で常に会議を持ち、一つ一つの政策について将来的なテーマを持って話し合っている回数が非常に多いということです。この五年、十年の中で研究誌みたいなものが何冊も出ておりまして、そのことを見てまた各団体に浸透していくといういい意味での循環があるのではないかというふうに考えます。
 それともう一点、今の法律改正が妨げになるかどうかということにおきましては、その中で、私どもは授産施設を実は生活支援に変えようじゃないかというふうなことを考えているんですけれども、当然、法の趣旨からいいますと授産事業ということではありませんので、こういったものをどうするかとか、作業所であるものをどういうふうに移行していくかとかいうことで、まだ妨げというよりは不明瞭な部分が非常に多うございますので、その点で、今後の改正からのいろんな細かな政令、省令の判断を待ちたいと思っていることがたくさんございます。
 以上です。
#37
○堀利和君 ありがとうございました。
 盲導犬の医療費は確かに自己責任で使用者が支払っているんですが、これを何らかの形で、保険制度のようなといいますか、あるいは自治体なりの補助がと、もっと言ってしまえば何とか国の方で、厚生省で見てもらえないだろうかという意見もあるんですが、その辺の解決についてどういうふうにお考えでしょうか。
#38
○参考人(河西光君) 先生おっしゃられたように、今、保険料の問題も検討したり、また一部、一般の会社で保険があったりするんですが、それには非常に条件が厳しくてなかなか保険の中ではうまくいかないという部分があるんです。
 それで、狂犬病の予防注射等は、例えば愛知県の場合で、名古屋市の場合ですと、獣医師会と、また行政で免除になっているということがあるんですが、そういう高額な医療費や狂犬病予防ワクチンなどについてそういった公的な助成が得られれば、盲導犬を持った方たちにとっては大変盲導犬は使いやすくなるというふうに考えております。
#39
○堀利和君 ありがとうございました。
#40
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 四人の参考人の方、それぞれ大変貴重な御意見を聞かせていただいてありがとうございました。時間の関係ですべての参考人の方に御質問できないかと思いますけれども、あらかじめ御容赦いただきたいというふうに思います。
 まず、桑本参考人にお伺いしたいんですけれども、参考人のお話で、国民の福祉サービスを支えている福祉労働者の労働条件の向上というのが大変重要である、にもかかわらず、福祉分野で働く労働者の労働条件、とりわけ賃金水準が非常に深刻だという実態がよくわかりました。
 さらにお伺いしたいのは、今回のこの社会福祉事業法の改正が利用者の側にどういう影響を与えるかということであります。特に、措置制度から利用契約制度への変更で、今後障害者の経済的な負担が重くなるんじゃないかという声が上がっておるわけであります。障害者の皆さんが大変心配をされている点です。この点について、最も障害者の皆さんに近い立場にいる働く立場からどうお考えか、お聞かせ願いたいというふうに思います。
#41
○参考人(桑本文幸君) 介護保険制度の問題をちょっと例に出して御説明したいと思うんですが、介護保険制度は、御存じのように介護度の一から五、これに基づいてサービスの中身が決められているわけですね。我々は、これをパック化というふうな表現をしているんです。いわばいろんな大きさの牛乳パックなり、あるいはサービスのパッケージがあると。障害者現場の中で、今この基礎構造改革等々とかかわっていろいろと話題になっているのは、では障害者に対するサービスについても同じようにパック化されることになるんではないだろうかと。
 例えば、支援費の水準についても、今は措置費はそれぞれの障害の種類ごとには一律なんですが、これが支援費というふうな形態になった場合には、同じ重度の身体障害者でも重度性が一、二、三というふうに分けられて、それに基づいて支援費が支給されるということになると、当然のことながら、その重度の度合いに応じたサービスのパッケージ化ということがセットされるわけですね。となれば、具体的な施設の中、職場の中でケアを展開する場合に、そのパック化されたサービスを飛び越えたもの、含まれないサービスについては障害者に対する自己負担ということが強制されることになるんではないか、支援費はその部分しか含んでいないわけですから。そういうふうな危惧が一つあるわけですね。
 それから、もう一つ申し上げるとすれば、既にこれはそういうふうな動きが始まっていますが、私が聞いているところによると、北海道とか大阪では、今後のことを考えると、いわば費用徴収が直接徴収をするという形になりますから、利用料を。障害者の年金等々については施設で管理をさせていただくということが、こういう表現が妥当かどうかわかりませんが、取りっぱぐれを少なくするという点においては必要だと。これは大変なことだというふうなことが施設の職員の中でも言われている状況です。
#42
○小池晃君 介護保険の実態を見ると、政府は利用者負担を重くする改正じゃないんだというふうに言うわけですが、何の保証もないわけで、支援費算定の根拠も示されていないわけですから、全くの空手形だと私も思うんです。
 さらに、これは八幡参考人と桑本参考人にお伺いしたいと思っているんですが、私は前回の質疑で基盤整備の問題を取り上げました。非常に基盤整備がおくれている。障害者プランがあるわけですが、これ自体大変低い目標であり、また達成の見込みもない分野も数多くある。緊急整備計画をつくれというふうに要求したんですが、厚生大臣は現行の障害者プランの達成に努めるということを言うだけでした。
 心配なのは、こういう今の非常におくれた基盤整備のもとで措置制度から利用契約制度に移行すれば、いわゆる逆選択、施設が利用者を選択するという事態が起こるのではないかと。この問題で厚生省、厚生大臣に言うと、正当な理由がなければサービスを拒否できないというわけです。その正当な理由は何かというふうに質問すると、定員がいっぱいで入所できない場合、あるいは施設目的、機能が利用者のニーズに合致しない場合、こういうふうに答えたわけですが、これはもう幾らでも拡大解釈が可能なのではないだろうかというふうに思うわけであります。
 お伺いしたいのは、今、実態として必要なサービスが障害者分野で非常におくれている、基盤整備がおくれている中で契約制度に移行した場合に、弱い立場の障害者、障害の重い人あるいは負担能力のない人、こういった人たちが契約制度から切り捨てられてしまう逆選択が起こるんじゃないか、こういう心配が現場にあるんじゃないかと思うんですが、現場の実態としてこの辺をどうお考えになるか、八幡参考人と、それから続けて桑本参考人にお伺いしたいと思います。
#43
○参考人(八幡隆司君) 基盤整備がおくれているというときに、僕も確かにそのことは考えておりますが、何の基盤整備がおくれているかという内容を考えることが大事だと思います。
 介護保険のときに随分と特別養護老人ホームが足らないというお話がありましたけれども、在宅福祉を進める上では、そういう意味ではなくて、もっと在宅を支えるサービスが必要なんだろうと僕は考えていました。
 現在も、例えば私の町でもそうですけれども、いろんな都市に多くの作業所がありますが、同じような機能を持ったものがたくさんありまして、そこに障害者が固定化されてしまう、このことが問題なのではないか。つまり、施設に障害者を固定化してしまうのではなくて、いろんな機能を持った施設を障害者が期間に応じて、どんなサービスの内容を、いつ、どのくらいの期間受けるのかということを明らかにしながら、そのサービスを利用するということが前提でございまして、今の独占的な形で施設を障害者が利用すると当然基盤整備がおくれてしまうということになります。
 私は、ガイドヘルパーや、それから今後障害者の生活を支援するコーディネーターのような方たちを人材的な部分でもっともっとふやすべきだというふうには考えてございますけれども、厚生省が考えるような施設基盤の整備ということには若干反対をしております。そういう意味で、障害者が何を望んでいるか、どんなサービスをいつまで利用するかということを、もっともっと福祉システムとして明確にしていかなければならないのではないかなと考えております。
#44
○参考人(桑本文幸君) 基盤整備の問題は選択のいわば前提条件であって、基盤整備が進まない限り、利用者が選択しようにも選択するサービスがない、これはもう当たり前のことなので、これは最前提の話です。では、選択できるだけの基盤整備が進んだら逆選択というふうな状況はなくなるだろうかということを考えてみても、それだけでは私は問題は解決しないだろうというふうに思っています。
 たとえ基盤整備が進んだもとにあっても、一つの例を挙げますけれども、今度四月一日から、先ほども触れた新会計基準というのを厚生省が発表したんですが、その中で、新しい勘定科目、会計科目に徴収不能引当金という科目の設置が認められたんです。徴収不能引当金というのは、利用料等が焦げついた場合に、別の勘定からそこに引き当ててくるというふうな科目が加えられたわけです。要するに、焦げつく利用料があるということを想定しているわけです。
 となると、利用者を選ぶ際において、契約を結ぶ際において、この利用者の利用料が焦げつくか焦げつかないかということが、契約の一方の当事者である経営者、事業者の側にとっては非常に大きな問題になるわけです。となると、これまでと利用料の制度が変わってくるわけですから、切り離して自治体が徴収をしていた利用料が、契約の当事者ということで直接利用料を徴収せざるを得ないという形になった場合、できるだけ焦げつかないような利用者を選択する、事業者の方が選択をして契約をするということは、十分可能性としてはあると思います。
   〔委員長退席、理事山崎正昭君着席〕
 現に私どもと厚生省との話し合いの中でも、正当な理由の中で先生は二つだけおっしゃっていましたが、こういうふうな問題は正当な理由になるのかというふうな話し合いの中では、そういうことも考え方としてはあり得るだろうというふうな厚生省の事務当局からの返事は伺っております。
#45
○小池晃君 八幡参考人に支援費支給制度についてちょっとお伺いをしたいんですけれども、レジュメの中で言われているように、箕面市では、障害者のホームヘルパー派遣は、障害者本人のみの所得を基準にしている、扶養義務者は入っていないと。しかし、今回の法改正の考え方は違うわけであります。ここについてちょっと御意見をお聞かせ願いたいと思うんです。
#46
○参考人(八幡隆司君) 支援費については、御指摘のとおり今回の法改正は我が市の条例と逆行をしております。また、その支援費の決定額がどの程度になるかということについて、既に介護保険で、例えば私の母親は、この四月にケア計画をつくりましたら介護度五の範囲をオーバーしてしまいましたし、恐らく支援費の決定の段階によっては、また非常に市町村の自己財源が強いられるという条項はあると思います。
 以上です。
#47
○小池晃君 阿部参考人にちょっと一言お伺いしたいんですけれども、今まで、契約制度になった場合の危険性、利用料の問題やあるいは逆選択の問題をちょっと議論させていただいたんですけれども、先ほど参考人は、契約になっても国の責任の後退というのはあり得ない、国がそう言っているからだというふうにおっしゃったんですけれども、その根拠は、国が言っているということ以外に何かおっしゃられた根拠というのはおありになるんでしょうか。
#48
○参考人(阿部志郎君) 私は国のおっしゃったことを信用しておりますので、ぜひ先生方のバックアップをお願い申し上げたいと存じます。
#49
○小池晃君 私は、この法案の全体像を見る中で、そのことについて国の言うことを到底信用するわけにいかないなというふうに思っておりまして、制度的に国の責任が後退する、後退を防ぐという仕組みにはなっていないというふうに思うんです。法の条文そのものから、基本条項から基盤整備の責任ということを削除したわけですから、そこに明らかなんじゃないだろうかというふうに思っております。
 最後に、附帯決議の問題について若干御意見をお伺いしたいというふうに思っているんです。
 というのは、この社会福祉事業法の制定の準備段階からの議論を通じて、当初は応益負担というような話もあった。ところが、そうすると利用料負担が増大するということがあって、結局、利用者の負担増を伴わない応能負担で行くんだというようなことになってきたという経過があると思うんです。
 ところが、衆議院の附帯決議では何と言っているかというと、「利用者負担については、介護保険との関係を整理した上で、応益負担を加味した制度への移行も含め、その基本的在り方の検討を行うこと。」と、こういう項目が入ったわけであります。これは私、これまでの議論の経過から見ると、こういう附帯決議になってきたということについて非常に不可思議な印象を受けておるんです。利用者の負担増を今回の法案では伴わないというのであれば、やはりこういう中身があっていいんだろうかということに疑問を持つわけです。実際、低所得者にとって負担の拡大に通じる応益負担への移行を含めた検討ということを求めた附帯決議に対しては、多くの団体、障害者の皆さんから疑問の声が上がっております。
 この問題について、この附帯決議の応益負担を加味した制度への移行も含めて検討するという中身についてどういうふうにお考えになるか、ちょっと率直な御意見をお聞かせ願いたいと思うんです。八幡参考人、桑本参考人の順番でお聞きしたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
#50
○参考人(八幡隆司君) つまり、障害が重度、重度という言い方も最近はいろんな言い方がありますので、介護を多く必要とすることが、そのことが非常に個人の負担を高くしてしまうというのは、介護の社会化をするという意味では非常に間違いだと思っております。
 現実問題として、負担能力の問題というのは、これまでみたいな一定額ということになりますと、負担の高い方、負担というか税金をたくさん払っておられる方がいるんだからそのことで還元されるべき問題もありますし、結局は非常に自己負担が高いということで、私の相談のところにも、介護保険で既に利用をとめているとか少なくされている方もいらっしゃいますので重大な問題だと思いますから、利用しやすいサービス料の設定ということは議論されるべきことだと思います。
 以上です。
#51
○参考人(桑本文幸君) 今の制度の中での徴収額の比率は措置費総額の八%ぐらいではないかというふうに伺っているんですが、仮に新しい利用料制度を介護保険制度と同様の支援費の一割というふうな形で設定した場合には、これはもう明らかに相対として二%上がるわけですね。
 あわせて、応益負担ということになれば、先ほどの八幡参考人と同じ私は意見を持つわけですけれども、障害が重度になればなるほど社会的な介護、社会的なケアが必要であるにもかかわらず、そういう重度の障害を持っていれば持っているほど個人負担は、益に応じて払うということになれば高くなる、これでは一体社会福祉なのかどうなのかわからない、まさにそういうふうな状況に陥るんではないだろうか。そういう危険性を先般の附帯決議を見た段階においてはっきりと感じました。
 より弱い者により優先的な救済を、優先的なサービスを提供するという、これがやはり社会福祉の原理原則であって、そういうふうな立場を外れるような制度を絶対に持ち込むべきではないというふうに私は考えています。
#52
○小池晃君 済みません、時間がちょっとありますので、今の同じ問題について、阿部参考人、河西参考人にも御意見を一言ずつお聞かせ願いたいと思うんですが、いかがでしょうか。
#53
○参考人(阿部志郎君) 私は、応益負担は近代化の原則だと思います。ただ、それによってニードを持つ人が解決を阻害されるということがあってはならない。それは何らかの手だてを立てなければならないだろう、こう思いますのが一つと、もう一つは、応益負担はサービスの公正、公平ということとセットでなければならないのではないかと思います。
#54
○参考人(河西光君) 社会福祉法人としての施設を運営している体験がないものですから、そのことに関しては、今お話しの中では桑本参考人と同じ考えを持ちます。
 以上です。
#55
○小池晃君 ありがとうございました。
 全体として私たちは、この社会福祉事業法の今回の法改正については、福祉サービスの国の責任の後退につながるし、ましてや応益負担というような方向で負担増につながり、あるいは障害者サービスが受けられないというような事態が介護保険で今実際に起きているんですけれども、そういう事態が障害者福祉全体に広がってくるということは、やはり断じてあってはならないのではないかというふうに思っておりまして、思いを同じくしているなという感想を最後に述べさせていただきたいというふうに思います。
 ありがとうございました。
#56
○清水澄子君 社民党の清水です。
 四人の参考人の皆さん、いろいろ問題提起ありがとうございました。
 まず、阿部参考人にお伺いしたいんですけれども、私も阿部参考人がおっしゃった地域福祉論、それから福祉の文化という点においては、今後の二十一世紀の福祉のあり方という点では全く共感をしております。
 ただし、現実の問題として、その理念を具体化していくいわゆる基盤といいましょうか、そういう点についてはさっき、行政は参加をしていく立場だと。これはサポートするという意味もあるんでしょうけれども、しかし私はもう一つ、やはり行政が社会福祉に担うべき公的責任という面もすごく強いと思うんです。
 特に日本の場合は、福祉というのは個人の自立ということが余り評価されないで今日まで来ましたから、非常に家族への負担というのが多くて、そういう点で、意識の改革とあわせて基盤整備というのはとてもおくれていると思っているわけですけれども、そういう中で、やはり行政がやってはならないことと、それから行政がやらなければならないこと、そういう点についての公的責任というのは、当面何を最もやるべきかという点についてはどのように考えていらっしゃるでしょうか。
#57
○参考人(阿部志郎君) 地域福祉をこれから進めてまいりますのに、地域というのは住民の集合体ですから、住民が自分でつくり上げていかなければなりません。それに対して行政が果たす役割は大きく言って二つございまして、一つは今回の法に規定されている計画の策定ということだと思います。それも市民参加を得た上での計画の策定をするということと、もう一つは地域あるいは民間の活動、NPOに対する支援をする、その二つではないかと思っております。
#58
○清水澄子君 財政的支援というのはとても大きいんじゃないでしょうか、公的責任の中で。民主的なこれからの住民参加、住民主体、利用者本位の福祉という側面は非常に私は賛成なんですけれども、今、基盤整備というときに財政的支援というのがないと、もちろん自治体の内容を変えていくのは自治の運動がなきゃいけないと思いますけれども、しかしこれからのまだまだ不足している福祉を本当に住民自治につくりかえていくにも、経済的・財政的支援、基盤づくりというのはとても私は当面必要であると思っているんです。
 その点についてもう一度阿部参考人の御意見を伺いたい。そして、桑本参考人、八幡参考人が今当面している急がなきゃならない基盤整備というのは何なのかということについて、お考えを聞かせてください。
#59
○参考人(阿部志郎君) ただいまの御意見、私も同感でございます。
 基盤整備はおくれていると思います。例えば在宅サービス、施設を考えましても、北欧のように施設が整った後に在宅サービスが展開されたという歴史から照らしますと、私どもの場合には施設も不十分、しかし在宅サービスをせざるを得ない、ここに私どもの悩みがあるわけでございまして、基盤整備というのは急がれると思います。
 そして、財政的な支援ということは必要だと思います。ただ、財政支援をしていただきますのに、民間の側としては、民間の持つ自主性が損なわれない範囲でということでございまして、ここには行政として財政支援をするという一つの条件と制約がございますし、民間側には民間側の受け方があると思いますけれども、この調整ということが今後の課題ではなかろうかと存じます。
#60
○参考人(桑本文幸君) 緊急に必要な基盤整備という点でいうと、私は二点あると思っています。
 御存じのように、障害者共同作業所、全国で五千カ所を超えているわけですが、これはほとんどが零細な補助金で、極めて厳しい運営を強いられている。これをどう具体的な、法内の施設というんですか、認められた施設として引き上げていくか、これは緊急にやらなければいけないことの一つだと思っています。
 そういうこととあわせて、今まで、とりわけ障害者施設は非常に細分化された縦割りで施設の体系が組み立てられてきたわけですけれども、これをできるだけ総合化していくというんですか、そういう意味での多様なサービスが必要とされているとすれば、それにふさわしい体系に改めていくような施設基盤の整備、これも当然必要なことだと思っています。
 これはハードな部分なんですが、もう一つの問題は、サービスを提供する上での具体的な人手という点での基盤整備を確立、確保していかない限り、建物だけ、ハード部分だけを整備して、具体的な血の通ったサービスを提供するということには必ずしもならない。
 そういう点でいうと、もう一つの基盤整備の人材確保という点を焦点として進めていく場合に、例えば職員配置基準の引き上げの問題とか、あるいは職員一人一人に対する人件費単価の保障の問題とか、少なくとも教育労働者、教育施設と同じぐらいの単価の設定が、今後の福祉サービスの多様な展開を期待するとするならばどうしても必要であろうというふうに思っています。
   〔理事山崎正昭君退席、委員長着席〕
 そういう意味で、福祉サービスをそれぞれが展開していく上で、国や自治体からの財政支援は最も不可欠な要素、大前提の要素であろうと。自主性が損なわれない範囲というよりも、いわば金は出すけれども口を出さないという、こういう点を行政の姿勢として徹底すれば自主性は一切損なわれないわけですから、そういう意味での財政的な支援が求められているというふうに私は思っています。
#61
○参考人(八幡隆司君) 私は、グループホームとか障害者の住宅関係が本当に今現在なくて、とにかく家を出て生活しようというときに家がないために、結局、家にそのまま残っている、またそのために、成人した女性が父子家庭のために父親からの風呂介護を受けなければいけないとか、そういうさまざまな異性介護というか、そういう家族への負担が重くのしかかっている事実があると思うので、何とか住宅を確保して、そこに介助者がきちんと行けるような状態をどんどんつくっていかなければならないと思います。
 その場合に、現在、高齢者の二級ヘルパーという方はたくさんいらっしゃるんですけれども、知的障害者であるとか、例えば全身性の脳性麻痺の介助をできる方、そういう力を持っている方は非常に少ないんですね。ヘルパーという資格を持った人は多いけれども、具体的に障害者の介護をできる人材が足りないと。そういうふうな面もございますので、そういうふうな人材育成も非常にこれから大事になってくると思います。
 ただ一点、先ほどからの話で気になりますのは、財政支援というときに、大阪では一時期、作業所に対する補助金を二倍ほどに上げていただいたことがあるんですけれども、その結果が障害者の方にほとんど反映されなかったと。私は、財政的な基盤整備というのは全く必要だ、同感だとは思っているんですけれども、そのときに、そのサービスを受けている障害者なり利用者がこういうふうにサービスの内容が上がりますよという前提がなければ、そこへつぎ込まれたお金がすべて結局は健常者の側に回ることでしかなかったというふうなことを恐れていますので、現在のサービスをチェックするという、そういうふうな基準づくりとかサービス内容のチェックを行っていくというふうな機関なりが、これもまた現在の基盤整備の中で足らないだろうというふうに感じております。
 以上です。
#62
○清水澄子君 いろんな視点でありがとうございました。
 八幡参考人にちょっとお伺いしたいんですが、書いていらっしゃるこの資料の中で、社会福祉協議会の役割について非常に不適切、社協というのは中立的立場ではないと、この利用者援助ではそういう面で書いておられるんですが、これらについて、どうあったらいいのか、またはどういう点が一番問題かということについて、ぜひまた皆さん全員に一言ずつお聞かせいただきたいと思います。
 まず八幡さんから。
#63
○参考人(八幡隆司君) 私は、ちょっと誤解を生むような言い方で、社協自体を否定しているのではございません。ただ、地区福祉会とかさまざまな地域基盤というところを社会福祉協議会が担っていることを、非常にその点は尊重しつつも、障害者のことをどれだけわかっているかというと、社会福祉協議会の方もほとんど御存じないような地域が多いのではないか。そのために、例えばNPOのような地域で活動されている障害者団体があっても、そこにいろんな相談とかのサービスを市町村が委託するのではなくて、法人格である、地域の主体であるというその一点でサービスの内容とか相談の業務が社会福祉協議会へ行くということが、障害者の団体の中でどうかという疑問が非常に出ているということであります。
 さらに、地域間格差というのがございまして、以前は福祉公社というのがたくさんできた時代がございますけれども、そのときも、社会福祉協議会が本当に事業を担えるような形で機能しているところとそうでないところの格差が激しかったというふうな背景があったと思います。地区の役員というか、まだまだ機能的な意味ではなくて名誉職的な役員がいらっしゃるような社協も中にはございますので、その辺も含めて、社会福祉協議会の実態を踏まえた委任の仕方、あるいは社会福祉協議会以外の選択肢というものができるような形を法律でとっておくべきではないかと考えております。
 以上です。
#64
○参考人(桑本文幸君) 本来、社会福祉協議会というのは、住民の福祉活動の支援、あるいは住民間の、あるいはその社会福祉事業に携わっている者等のさまざまな問題の調整、さらにはそれらの団体間あるいは個人間での問題のコーディネート、また場合によっては要望を取りまとめて行政に要求を出す、要望をするというふうなことが本来の役割としてこの社協自体は出発したのではないかと私は思うんですね。随分そういう点ではさま変わりしつつあるなというふうな印象を持っているわけです。
 こういう、地域の中での住民のさまざまな福祉活動、福祉にかかわる要望の取りまとめ等々の役割というのは、今後ますます増大することはあったとしても減少はしないと思うんですね。という点でいえば、日常的な福祉活動に対して社協がどうサポート、支援する立場に立っていくのか。決して社会福祉施設と社協というのは上下の関係にあるわけではないわけですから、対等、平等の立場で社会福祉間のさまざまな問題を取りまとめて調整を行っていく、これが求められていると思うんですね。
 ところが、今回の改革の中においては、あたかもその一段上のところに立って社会福祉協議会が地域の施設等々をまとめ、社会福祉法人等々をまとめ上げていくという、指導と被指導というんですか、そういうふうな関係がともすると強調をされているような気配を感じざるを得ないんですね。これはやはり、今後の地域福祉活動を考えてみた場合に大きな問題になる可能性があるというふうに思っています。
 あわせて、権利擁護の問題等々についても、本当はこれは、行政が無償で何の分け隔てもなく行うべき活動として権利擁護活動というのはあるべきであるし、それが社協にゆだねられるということ自体にも一つの大きな問題を感じているところです。
#65
○参考人(阿部志郎君) 社会福祉協議会は文字どおり何よりも協議体でございます。ですから、連絡調整をしながら協議を進めるというのが基本だと思います。ニードを調査する、そしてそれについて研究を深めるということも社会福祉協議会の機能でございますし、それに基づいて企画をする、計画を立てる、そしてそれを広報し、情報を流すということが必要になってまいります。
 近ごろの社会福祉協議会には事業が課せられておりまして、在宅サービスもしておりますし、今度新しく権利擁護の事業を実施する仕事が入ってまいりました。しかし、社会福祉協議会に期待をしたいのは運動体としての社協でございまして、運動体ということは、一つは問題を提起していく。もう一つは、その問題に対して、人々や団体、施設の持つ資源をまとめて、それを方向づけしていくということであろうかと思います。
#66
○参考人(河西光君) 愛知県とか名古屋市の社会福祉協議会では、これは特に盲導犬についてですが、最近、盲導犬のことを地域の人たちに知らせようというようなことで、学校や各地域に盲導犬についての情報を積極的に知らせていただいています。
 しかし、今おっしゃられたような苦情処理等も今度は社会福祉協議会の役割になるかと思うんですが、そういった中では、やはりその苦情処理に十分対応できるような、各施設の実態を把握するというようなことを十分に行っていただきたいと思います。
 以上です。
#67
○清水澄子君 それでは、今回のこの法律の改正の中で、障害者の認定といいますか、どういうサービスを受けるかというとき、介護保険より非常に複雑だと思うんですね。
 ですから、そういう場合に、さっき八幡参考人もおっしゃったんですけれども、今後、自治体が各自治体の間でも差はあるでしょうが、福祉を社会福祉法人に限定しているのを外していくというとき、これをどのようにしていったらいいのか。これは利用者や現場の自治体職員の皆さんは非常に迷われると思うんですけれども、これらについては、本当はこれは政府に聞くことなのかもしれないんですけれども、どのように考えたらいいか。障害者の場合は生活面とかいろんなものを持っていますね、一つの基準で決められないでしょう、福祉というとき。そういう点について皆さんが考えていらっしゃる、どういうものをこの法律によってつくり出していくべきか、それから何が障害になると思うかという点について、一言ずつお聞かせください。
#68
○参考人(八幡隆司君) 私は、割と全国のあちこちの作業所なり集会も回ることがあるんですけれども、今回の法律改正で一番困っているのが社会福祉法人というか、施設なのかデイなのかという、居宅と施設の違いというものをそれぞれの作業所がきちんと分化できるんだろうかということを非常に心配しております。
 現在の作業所の実態が、あるときは仕事をし、あるときは文化活動をし、それも、一日のプログラムの中でも非常にそれが混合していることがございます。ですから、そのことによって、居宅か施設かと言われても、現実にはそのことを分けられないというのが実態であります。私としては、障害者がその障害者の利用施設からサービスを受けたときに一日当たり幾らというふうな実態があって、計画として一カ月にこのサービスを何日利用しますよ、そのサービスを利用した結果、それに対して施設の方にお金が行くということでなければ、障害者自身がデイなのか施設なのか、授産施設なのかという選択を迫られても、サービスを提供する側も利用する側も本当に困ってしまうのではないかと思っております。
 以上です。
#69
○参考人(桑本文幸君) 支援費の中身につながる障害の認定をどういうふうにするかという先生の御質問の趣旨だと理解をしてお答えしたいと思うんですが、今でも一級、二級、三級と、身体障害でいえばそういうふうな障害の認定の度合いはあるわけですね。ただこれは、一級の障害者に対してはこれだけのサービス、二級の障害者に対してはこれだけのサービスということが別に事細かく決められているわけではなくて、例えば施設に受けとめてサービスを提供する場合は、あくまでも全体としてはその人の発達をどう保障していくのか、生活をどうケアしていくのか、そういう点では極めてトータルにこの問題に対応していくということが行われているわけですね。
 そういう点でいうと、私は、仮に支援費というふうな問題を持ち込むにしても、これを障害の程度に応じて、それに伴うサービスの中身はこれだけだということで一つ一つ細分化をしていくようなやり方は、障害者に対する福祉サービスの場合には絶対避けるべきだろうというふうに思っています。
 そういう点でいうと、介護保険制度の中で認定の度合いを分けたことによって生じている問題等も、これからの問題では十分教訓化されて対応がされるべきだというふうに考えています。
#70
○参考人(阿部志郎君) 申しわけございません、一般論でございますが、障害という言葉にあらわされるように、一般の社会で障害者に対する違和感、強く言えば偏見は拭えないと思います。これをどう乗り越えるか、これからの福祉にとって私は大きな問題だと思っております。
 もう一点は、四十年前に今日のような高齢社会が到来するということを予測できた人はおりませんでした。あれよあれよという間に高齢化いたしまして、年寄りの数がふえ、問題が深刻化いたしまして老人問題として火を吹きました。そして、今その対応に大わらわということではなかろうかと思います。ゴールドプランをつくり、介護保険になりました。今は大きなエネルギーを年寄りのために割いておりますけれども、これからはやはり障害者福祉、子供の福祉に向けなければならないのではないか、そのことがまさに基盤整備であろうと思っております。
#71
○参考人(河西光君) 盲導犬の方のことでお話をさせていただきたいと思います。
 今、基盤整備というお話もありましたが、盲導犬が社会福祉の方に入ることはとても歓迎をしております。しかし、今の基盤整備という中で、盲導犬を本当に今すぐにでも欲しいという四千八百人に、今は全体的に五百八十頭が活動しています、そういった中では早急に盲導犬の貸与ということで解決しなきゃいけませんが、それには訓練士の養成とかそういう部分が十分でなく、そういう意味の受け入れ、要は盲導犬施設の受け入れというのは非常に貧弱なもので、実際に今六十人ぐらいが訓練の方に携わっていますが、四十人ぐらいが本当の資格を持った者ということで、あとの二十人は勉強中です。
 今は年間に平均百三十頭ぐらいが、盲導犬を八施設で出せる頭数です。しかし、今の四千八百人に何年先に貸与できるかという部分も含めて、人材の確保または視覚障害者が伴う盲導犬の社会の受け入れ、そういったものも十分に整備されないと法律の趣旨が生かされないというふうに思います。
 以上です。
#72
○堂本暁子君 堂本暁子でございます。
 河西参考人に盲導犬のことで伺います。盲導犬を訓練したりいい種をつくっていくための力がいかに足りないかということはよくわかったんですが、外国なんかへ行くと、目の見えない方に限らず犬をいろんなところへ連れ込んでいるんですが、盲導犬が入れなくて困ることは、電車は入れるようですが、それ以外に日本の社会で、こういうところには盲導犬と一緒に入りたいのに入れてもらえないというところはありますでしょうか。
#73
○参考人(河西光君) 先ほど五百八十頭が現在活躍中ということだったんですが、八百五十頭と訂正させていただきます。
 それから、先生の今の御質問ですが、盲導犬も約四十年になりますが、今、全体的にはいろんな社会で御理解をいただけるような方向になってきております。これは大変ありがたいんですが、しかし現実的には、やはりあらゆる部門で断られるということは多いと思います。
 例えばホテルでも、オーケーというところも非常に多いんですが、社員教育がされていないために、電話に出た方が、盲導犬というふうに電話をしますと断るわけです。実際にはそのホテルは受け入れているわけです。それは、雑誌とかホテル関係のところにも盲導犬を受け入れますと。これは大丈夫ですねということで電話しますと、その係の方はそれを御存じないということで断られてしまう場合もあります。タクシーなんかの場合には犬が、または動物が嫌いということで断られる場合もあるんでしょうが、タクシーでの乗車拒否とか、それ以外あらゆるところで入場または利用を断られるということは非常に多いと思います。
#74
○堂本暁子君 阿部参考人と八幡参考人と、きょう大変前向きの姿勢でお話しいただきまして、桑本参考人は福祉労働者の賃金の低さを御指摘いただいたんですが、桑本参考人がおっしゃった賃金の低さ、そしてしかも休暇がとれない、そのために勤続年数が六年十カ月で終わっているというような実態を今、民間の実情として御報告いただいたんですが、阿部さんのところではそういう状況の中で困っておられないのか、そちらの施設では実際いかがなのかということを伺いたい。それから箕面の方の状況もぜひ伺わせていただきたいと思います。
#75
○参考人(阿部志郎君) 私は古い世代でございまして、桑本さんと少し年代が違っております。給料がほどほど、というよりは、もらえるかもらえないかわからないというのを承知の上で福祉の世界に入った人間でございまして、少し感覚が違うかと思います。けれども、福祉で働くから賃金が低くてよいということはあってはならないと思います。むしろ高くありたい。しかし、現実にそれができない。今精いっぱいなのは、私のところでは、国家公務員給与に準ずる、そのための努力を続けているところでございます。
 しかし、現に私は四十三年施設の仕事をしておりますけれども、国の共済制度に入っておりません。入れないからです。それは、私のところは隣保事業という事業でございまして、措置施設ではございませんので国の退職共済に入れない、私にはだから退職金がない、こういうことでございますが、それは十分踏まえた上で働いているわけでございます。しかし、今後は、桑本さんおっしゃるように、低賃金というのはやはり克服すべき大事な問題だと考えております。
#76
○堂本暁子君 八幡参考人にお願いいたします。
#77
○参考人(八幡隆司君) まず、国や自治体の方には、財政支援というか、労働者としての最低保障というのはお願いしたいと思いますけれども、私自身は、福祉従事者がそのことに甘えてはいけないという面はたくさん持っております。
 といいますのが、先日、台湾でも大震災が起きましたけれども、あちらの方の障害者団体を訪ねたり、またヨーロッパのいろんな障害者の活動団体を見てみますと、やっぱり三割から五割の自主財源というのを持っておられる。それに引きかえ日本の福祉の運動というのは、社会福祉法人化をして十割すべてを財源として活動していこうという方向がちょっとあり過ぎるのではないかと。
 自分たちとしてはどのような形で財源というものを確保しながら、それは地域と一体になるバザーもそうですけれども、さまざま社会貢献をしようというふうな企業はありますけれども、私たち自身がそちらの方の企業に働きかけが随分少ないのではないかとか、そういうふうなことをもとに、基本的な財源は上げてほしいけれども、その基本的な財源にプラスアルファする財源というものも掘り起こしていく必要があるかというふうに考えております。
#78
○堂本暁子君 その場合は、基本的な財源はあくまでも企業の社会貢献的なものを期待していらっしゃるのか、それとも事業収入のような形で上げることと、どちらに重点を置かれますか。
#79
○参考人(八幡隆司君) 非常に難しい問題です。
 一例を言いますと、私どもは障害者二十人が働いていますけれども、予算でいいますと、一億のうち四千万ぐらいが補助金、あとの六千万は自主財源ということで、障害者自身にも最低九万円を保障しております。
 ただ、今のところは市民の一人一人のお力ということが非常に強うございまして、まだまだ企業へというところには行ってございませんので、それがどのようになるかというのは、まだイメージが実はできていないんです。
 問題としては、一つの団体が企業へということではなくて、もっと全国の作業所なりそういうところがネットワークを組みながら、企業とどういうふうなことができるのかという懇談会とかそういうものが今後必要になってくるかなということで、今具体的なイメージがあるわけではございませんので、その点御了承をお願いいたします。
#80
○堂本暁子君 次に、権利擁護について伺いたいんですが、今度、措置ではなくなった場合に、身体の障害者の場合もあるでしょうし、高齢者の場合もあるでしょうし、知恵おくれのような場合もあるかもしれませんが、今度できる生活支援員がどうしたら本当に機能するのか、ネガティブな形よりは、利用する方がそういう方たちをどう積極的に活用できるのか。また、その利用費というような費用を必要とするようですけれども、その辺についてのお考えを阿部さんと桑本さんに伺わせてください。
#81
○参考人(阿部志郎君) 権利擁護をしてまいるのには、一つは苦情処理をしなければなりませんし、財産管理も必要でございますし、処遇に対するさまざまの監視も必要になってまいります。これにはやはり、専門職を何とか育てなければならないだろうと思っておりますのが一点。
 第二点は、専門機関だけでなしに、オンブズマン的な第三者の機関といいますか、組織が必要なのではないか。これは例えば、アメリカあたりではオンブズマンになるのに数十時間の研修を課している州が大変今多うございますが、こうしたことも私どもは参考にしたいと思います。
 もう一点は、苦情が出るということはやはり専門の機関なりあるいは利用する施設に問題があるわけでございまして、受ける側、施設側がこれからどう対応するかということを思いますと、どうしても求められるのは評価ということでございまして、それはまず自己評価、自己点検、そして利用者が評価し、さらに第三者評価にたえなければこれからの施設は成立し得ないだろうと。
 この両者のいわば調和において人権の擁護ということが守られなければならないのではないでしょうか。
#82
○参考人(桑本文幸君) 権利擁護の問題、これは、措置制度であろうとなかろうと権利擁護は今まで余りにも軽く見られていたという点において、本来的には重視をすべき課題だと私は思っているんです。
 ただ、今回出されている権利擁護委員会等の問題、この問題は措置制度の廃止と裏腹の関係で提起をされているというところに大きな問題があるのではないかと思います。いわばこういうふうな形が提起をされているんではないかと思うんですが、これまで措置制度の中で行政が直接、いいか悪いかは別にしてもサービスの中身に責任を負ってきた、これが措置制度を廃止することによって外される、その責任が外されるから、それを第三者機関でカバーするようなシステムとして提起をされている。この発想自体がいかがなものかなというふうな気がしているところなんです。
 措置制度を外すことによって行政の責任が軽くなるから権利擁護機関ということになると、結果的には、今度の改革は行政責任を軽くするということに傾斜することになるんではないだろうか。となれば、先ほど阿部先生がおっしゃられたんですけれども、国の方に期待をしたいということが、期待だけの空手形になってしまう可能性は十分、この権利擁護機関の設置の仕方を見てみると私は感じてならないところなんです。
 あわせて、そういう中において利用者の、あるいは住民の権利擁護をどう確保していくか、進めていくかという点においては、例えば市民オンブズマン制度をきちんと法制化するとかいうふうなことも当然必要であろうし、住民からの、あるいは内部の職員等も含めた監視体制を常にきちんとしいていくということ、これは当然また必要なことだと思うんです。
 あわせて、具体的な利用にかかわる権利擁護のシステムという点においては少なくとも、そういう権利擁護機関を置くとすれば、先ほども申し上げたように、その権利擁護機関を利用するのに利用料が必要だという、こんなばかな話はないだろうというふうに思っています。平等にそれが利用されるためには、当然のことながらこれは無料であってしかるべきだし、基本的な権利を金で買うというふうな発想自体は、どうしても私たちの立場からしては納得できないというふうに考えています。
#83
○堂本暁子君 先ほど八幡参考人は総合的な福祉のあり方とおっしゃいましたし、阿部参考人も、子供や高齢者や障害者、今は縦割りだけれどもそれを総合化していく、福祉を分けないのがいわゆる地域福祉であるというふうにおっしゃったんですが、もう一歩進んで、その総合をどう考えていらっしゃるのか、八幡参考人に伺いたいんです。あわせて、もし今の生活支援員について積極的な御意見がおありになれば伺わせてください。お二人に伺います。
#84
○参考人(八幡隆司君) 総合的にどうするかというときに一番大事な視点は、障害当事者の声を聞くということであると思っています。また、その障害当事者自身も、例えば、小中と普通校へ行くんじゃなくて養護学校で高校まで出ているということになりますと、なかなか社会的にどのように考えていいのかわからないという場合もあります。だからその点を、もっともっと障害者の社会参加を促すような形で、障害者自身が意見を言える仕組みを気長に行政が責任を持ってつくる必要があるのではないかというふうに考えています。
 その点で箕面市の場合は、一例で言いますと、先ほど何回も申しましたが、箕面市の障害者施策推進協議会というのがありまして、そこで毎月障害当事者を交えた話し合いを重ねながら一つ一つ、ここまで来るのに本当に十年二十年かかっているわけですけれども、そういうふうな形でやらなければいけないし、自分自身も授産施設の指導員を三年やっていたんですけれども、そのときの感覚と、障害者自身とともにという感覚が実は随分ずれがございまして、権利擁護というときにもやっぱり障害者自身がどう感じるかということを中心に置きながらやっていかないと、どうしても健常者のひとりよがりの判断になってしまうということが多いのではないかと考えています。
 だからこれから、一朝一夕にはできないと思いますけれども、その総合的な考え方であるとか具体的な障害者の権利というのをもう少し深く研究して、福祉システムがどうあるべきかというのをきちんと整理しておかないと、新しい考え方と古い考え方がどうも今入りまじっているような法律になっているというのが今回の法律ではないかなというふうにちょっと実感する部分がございます。
 以上です。
#85
○堂本暁子君 阿部さん、お願いいたします。総合的ということです。
#86
○参考人(阿部志郎君) 縦割りというのが現在の機構だと思います。縦割りというのは長い行政の知恵と経験を積み重ねているわけでございまして、これにかわるべきものが見当たりません。今までの中では、例えば企画調整とかアドホックコミッティーをつくるというようなことを各行政はしたわけでございますけれども、根本的に縦割りを変えるという代案を今私どもは持っていないと思います。ですから、上からの改革というのはとても望めない。
 しかし、私どもの地域社会というのは十人十色で生活をしておりまして、それぞれ人々の持っている問題も異なっております。それに対して、個別的な対応ではなく、できる限り全人的な対応をしたいというのが今の福祉のねらいでございまして、それを今回の地域福祉で何とか見つけ出すことができないだろうかという願いを持っております。
#87
○堂本暁子君 今、阿部さんがおっしゃったのは、一人の人に対しての、例えば高齢者であって同時に障害者であるとか、一人の人でもいろんな要素を重ね持つことはありますね。
 ただ、私がもっと伺いたいのは、さっきおっしゃったとき、子供とか高齢者というふうにおっしゃったものですからあえて伺うんですけれども、福祉の素人ですけれども、ヨーロッパとか北欧へ行きますと、私が見た施設は例えば、重症の心身障害者の施設と耳の聞こえない方たちの施設とが一緒にあって、食事や給食や何かだけをシェアしているとか、そういう形で非常に有機的にやっていたんです。
 それから、最近日本でも少しふえてはきましたけれども、高齢者と幼稚園や保育園を併設しているとか、小さい町や村へ行くともう非常に包括的に総合的にやっている。お互いに機能をシェアし合って、障害者の方にとってもそれが大変いいし、働いている側の方にとってもその方が効率がいいというような意味で今伺ったんですが、もう一度そこで何かおっしゃることがございますか。
#88
○参考人(阿部志郎君) 私の働いている施設のことを申し上げて失礼でございますけれども、私のおります施設は、乳幼児の保育、学童の保育、そして虚弱性のお年寄りのデイサービス、痴呆性のお年寄りのデイサービス、身体障害者のデイサービス、知的障害者の活動センター、そして支援センター、リハビリ診療所、実は全部一つの建物で営んでおります。
 そこで例えば、痴呆性のお年寄りが小学生の子供にお手玉を教えるということが起こります。教えられます。あるいは知的障害者の人が虚弱性の御老人の食事の配膳を毎日しております。そして、そのお年寄りに頼まれて町に知的障害の人が買い物に行くという、こういう交流がそこに図られておりまして、私はそういう姿が一つの地域社会コミュニティーだろう、こう思っております。
 こういうコミュニティーあるいは市民社会を形成するために、これからの福祉をどう組織づけ、どう全体の姿に変えていくか、そこがこれからの宿題でございまして、私は、草の根から縦割りを何とか超える新しいいわば文化をつくれないものだろうか、そう思って働いておるものでございます。
#89
○堂本暁子君 今のと同じ質問ですけれども、八幡参考人と桑本さんもうなずいていらしたので、さっき八幡さんは伺ったから、では桑本さんに伺わせていただけますか。
#90
○参考人(桑本文幸君) 先ほど総合化は必要な課題だということは申し上げたんですけれども、縦割りになぜなっているかという点においては、非常に管理がしやすいというのが一番大きな背景としてあるのではないかと思うんです。管理しやすいと、職員配置にしたって何にしたって、いわばそんなに厚くしなくても運営ができるという、こういうふうな問題が常に裏表につきまとっているような形で今の状況というのがあるのではないかというふうに思っています。
 総合化という問題については、これ自体が、阿部先生のところのように子供からお年寄りまで障害者も含めてすべて総合化をしていくというのはそう簡単なことではないんですが、少なくとも障害者分野においては、例えば重度の身体障害者と中軽度の身体障害者とお互い支え合って、お互いがその中で集団を構成しながら発達を保障し合っていくようなシステム、あるいは知的障害者と身体障害者が、これはそれ自体がケアについての十分な検討が必要なんですけれども、総合的に集団的な生活を営んでいくような取り組み、その垣根を取り外していくような行政的な措置が必要ではないだろうかというふうに考えているところです。
#91
○堂本暁子君 ありがとうございました。
#92
○西川きよし君 西川でございます。本日は大変御苦労さまでございます。私がラストバッターでございますので、よろしくお願いを申し上げます。
 まず、阿部先生にお伺いをいたします。
 本当に福祉というのは、いつでもどこでもだれでも、朝でも昼でも夜でも夜中でも、大人はもちろんですけれども、子供さん、お年寄り、皆さん方がいつでも支え合っていただけるような地域福祉というようなものが本当に完成すればこんなすばらしいことはないんですけれども、先生のいろいろお書きになったものを、お調べになったものを読ませていただきました。
 そして、構造改革分科会の中間のまとめですけれども、社会福祉の理念の一つとして、先ほどお話も出たんですが、もう一度お伺いしたいんですけれども、個人が人としての尊厳を持って、家庭や地域の中でその人らしい自立した生活が送れるように支える、言葉では簡単でございますけれども、こんなに難しいことはないと思います。
 先生は、二十一世紀は心に優しさを持つ人によって担っていってもらいたい、こういうふうにおっしゃっておられますし、そしてまた、心は温かく、されど頭は冷ややかに、二十世紀から二十一世紀に向かってはこういう方々に福祉を支えていただきたいというふうにおっしゃっておられます。このことと、そしてまた先ほどのあの仏壇のお話等々、みんなと一人、再度申し上げますけれども、自立した生活が送れるように、トータルでお答えをいただければと思います。
#93
○参考人(阿部志郎君) 福祉の出発点というのは、私どもは現在、自分のことでいっぱいです、人のことまで考えられない、マイホームの中にどっぷりつかって人との交流を図らない、自分のことで頭がいっぱいというのが私どもの現実ではないかと思います。こういう中で、人とのかかわりを持つということは非常に難しい状況にあると思います。
 そうした中で、しかし福祉の本質というのは、中国の言葉に「意中人あり」とございます。意中とは意味の意でございますけれども、心でございます。心の中に人を住まわせる、それが一番の根本ではないか、自分の中に人が存在することによって、人とともに生きるというその可能性と意思とが与えられるのではなかろうか、こう思っておりまして、私ども、それは一人一人の人生の課題である、こう考えております。
#94
○西川きよし君 ありがとうございます。
 大変難しいお答えをいただいて、かえって今、次に何を質問させていただこうかなと。
 自分の中にもう一人の人間を存在させるという人間哲学的なお答えをいただきまして、それができたら本当に最高だと思います。我々も日々、一歩でもそういうふうに近づいていければ幸せだなと。先生の体験、沖縄でのチムグリサというあの部分も読ませていただきましたけれども、本当にそういう意味では、まさしく福祉に五十年間御苦労さまですと、ここで申し上げたいと思います。
 介護を必要とするお年寄りはもちろんですけれども、障害を持つ方々にとって、その家族とともに、また地域の中で生活を送ることが当たり前であるんですけれども、そのために、人と人とがいかに支え合っていくか、その仕組みづくりが今回のこの構造改革ではないか、こういうふうに思うわけです。
 そのように思っているわけですが、これは私はつい先日お伺いした話ですけれども、ある団地で二、三人の小学生、一年生と二年生の子供さんだそうですけれども、遊んでいたそうです。そして、そこに体の大きい高校生ぐらいのお兄さんが一人、遊ぼうと言って入ってこられたそうです。そして一緒に遊んでいたそうですけれども、そのことを子供さんが帰っておうちでお母さんにお話をしたそうでございます。最近はいろいろと事件や事故が報道されておりまして、お母さんもびっくりいたしまして、知らない人と遊んではいけませんよということで注意をしたそうです。ところが、また次の日に一緒に遊んでいたのを見かけて、今度はその子供さんのお父さんがその光景を見て、子供のところに参りましてじっとお話をお伺いしておりますと、そのお兄さんは知的障害を持った方だったということでございます。
 日々の生活の中の一こまを今御紹介させていただいたわけですけれども、そういう意味では日本の場合は、教育制度等々の問題もあるでしょうけれども、障害者に対する理解不足というものが現実に根強くまだまだあると思います。そういう意味でのいわゆる心のバリアを解消していくには、地域社会には何が一体求められているのか。何十年たちましてもこういう部分が見えてこない、解決しないというのがやっぱり現実の中に多々ございます。再度阿部先生にお伺いしたいと思うんです。
#95
○参考人(阿部志郎君) ある団地で、その棟で皆さんが話し合いをして防犯ベルをつけました。ある晩、防犯ベルが鳴った。鳴らしたことがわかったわけでございます。近所の人がそこに駆けつけた。そうしたら、御主人が出張でいない。小さな子供を抱えて奥さんが産気づいてどうにもならない。それを見た団地の周りの人々がすぐに手配をした。このお子さんは私がうちで引き取ります、車を呼びましょう、私が運転していってもいいです、心配しないで行ってらっしゃいとみんなで励まして奥さんを病院に送った。こういうことは日常の生活の中で起こり得るわけでございます。
 ただ、私どもはふだん大変引っ込み思案でございまして、出しゃばりをしたくない、そういう気持ちがありますのでなかなか外へ出ていくことができないわけでございますけれども、私どもには何らかのやはりきっかけが必要だろうと思います。きっかけさえ得れば、潜在をしている温かい思いがそこに噴き出すわけでございまして、そのきっかけと、それをどう組織化するかということがこれからの一つの大きな果たさなければならない仕事だろうと思います。
 特に、私ども日本人というのは、災害に対しては非常に同情もします。先ほど申し上げたように、神戸の震災に百四十万、百五十万のボランティアが駆けつけた。ほとんどは若者でございました。北海道の奥尻の災害のときに全国から義援金が集まりました。阪神の災害に対して北海道の共同募金が募金をいたしました。例年、共同募金の募金額の目標が八億円でございましたけれども、阪神の震災に対しては、奥尻の災害に対する援助にこたえるために道民が出した金が二十四億円と、三倍の金を出しております。
 こうした心というのは、あるいは態度というものはみんなどこかに持っているわけでございますので、それをどう掘り起こしてどう組織化するか、それを私も今後の自分の仕事にし、課題にしたいと願っております。
#96
○西川きよし君 そこで、今度は桑本参考人にお伺いをしたいんですけれども、昭和四十九年に障害児保育事業がスタートいたしまして、今日では障害のある子供たちと障害のない子供たちの統合保育が行われているわけです。ともに一緒に生活をする中で、子供たちの中に自然な関係、いい関係が生まれるといういい意味での効果もございますし、またその一方では、障害のある子供に対して必ずしも適切な保育が達成されていないのではないかというような御意見も現実にございますけれども、この統合保育についてぜひ実態をお伺いできればと思います。
#97
○参考人(桑本文幸君) 障害児と普通の子供、健常児というふうな表現をしますが、健常児と一緒に保育をすること、これはある意味では当たり前の話だと私は思っています。
 残念ながら、私は実際そういうふうな保育に携わっておるわけではないので、具体的にそういう現場においてどういう成果が上がっているかというふうなことをつまびらかにすることはできないんですが、いろいろと聞くところによると、健常児と障害児が一緒に保育を受けることによって、例えば子供たちの障害者に対する見方、目、これが大きく変わってくるということをいろんな場面で、いろんな形で伝え聞いているところなんですね。
 私ごとで申しわけないんですが、私の女房も保育を一時やっていまして、保母をやっていまして障害児を担当していたんですね。障害児を担当して、その障害児がほかの子供と交わることによって、交流をすることによって、その障害児の日常的な目の輝きが変わってくるというふうなこと、よくわからないんですけれども聞いたことがあるんですね。
 そういう点でいうと、そういう日常的な障害児と健常児との交流ができるような形をつくるというのは、これからの福祉サービスを考えていく上においては非常に重要なことであろうし、それから、これは余分なことかもしれませんが、先ほど先生がおっしゃられた、なかなか障害者に対する偏見を乗り越えることができないというふうな問題についても、そういう点で子供のころからのいろんな形での交流で培われていくという、このことは一つ重要であると同時に、障害者の完全参加をどういう形でかち取っていくかということが、偏見を取り除いていく上においての非常に大きな要素になるのではないかと思っています。
 例えば労働の現場の問題を考えれば、障害者が一緒に労働するというふうな形が我が国の社会の中では十分まだ徹底をしていない。また、障害者を抱えた中での労働の労働環境、労働条件をどう整えていくかという点でのそんなに主体的な努力が、企業の側においても、あるいは周りの労働者の側においても十分展開をされていない。
 そういう一つ一つの壁を塗りかえながら、障害者がいろんな社会活動、いろんな仕事の場面に参加するということが、いわゆるノーマライゼーションを実践し、具体化していく上において今極めて重要なことではないかと思っています。その点での行政的な支援がどうあるべきかということも、ぜひこれから議論が必要になってくるんではないかというふうに感じています。
#98
○西川きよし君 ありがとうございます。
 私のという部分のお話もお伺いをいたしまして、今のような御質問をさせていただきながら、では自分自身が十分そんなことができているのかなという疑問もやっぱり感じております。
 障害も、知的の障害の方、身体の障害の方、そして心に障害を持っているという意味では、これも今、桑本参考人がおっしゃっていただきましたので僕もお話をさせていただきたいと思いますが、それこそ私ごとですけれども、うちの家内なんかも、心の障害というんでしょうか、お父さんがアメリカでお母さんが日本の京都の方ですけれども、昭和二十一年生まれで、物心がついたころには、バスや電車の中でお母さんと一緒に手をつないでいましても、火がついたように泣くけれどもお母さんはわからない。でも、バスや電車からおりれば体じゅう傷だらけ。ちゃんと物の分別はつくが、戦後のそういう時代ですからいろいろ時代の背景というものがありましても、いわゆる青ずんだり、血がにじんだりということで、しばらく全く他人を受け付けないという、そういう心の障害があった。そういう話を聞きまして、自分は随分そういう意味ではいろいろ大変勉強になりました。
 ですから、今、先生のお話をお伺いいたしまして大変勉強になりましたし、先ほどの阿部先生のお話ですけれども、施設の中でいろんなことを一緒にやる、併設をするというようなことの大切さも聞かせていただいて、これからのまた委員会等々にもプラスにさせていただきたいと思います。
 次に、八幡参考人にお伺いしたいんですけれども、地元の箕面市ということで、ごぶさたをいたしております。それこそ私ごとですが、僕は最初の選挙のときには事務所の方に応援にも行かせていただきまして、しばらくここのところごぶさたをいたしておりますけれども、御質問をさせていただきたいと思います。
 障害を持つ方が安定した地域の生活を送るという点では、生活の支援と就業の支援、この一体的な支援が本当に必要だと思うんです。これも口で言うのは簡単ですけれどもなかなか難しいことですし、一度施設の方にも、パンを焼いているところにもお連れいただきまして、バター等々もいろいろ勉強させていただきましたけれども、そういう地域に密着をした支援体制、今までのお話で箕面市では整備をされておりますけれども、地域福祉をこれから推進していく中で、生活の支援と就業の支援のあり方、これを八幡参考人に、その実体験からぜひきょうはお伺いさせていただきたいと思います。
#99
○参考人(八幡隆司君) 実際に私が就業支援をしていきたいというふうに感じたのは、授産施設時代に、就職をしていった知的障害者の目の輝きがもう全く変わっていくんですね。つまり、一般社会に出ていったということが、施設で私たちが優しくは接しているつもりはあるけれども、それとはもう全然違うと。その一人前になったという感覚を持っていただくということの大切さというのは、イミテーションの世界と言うのは変ですけれども、施設ではできないので、できるだけ一般社会の中でいろんな、時々嫌な体験もするでしょうけれども、そのことも含めて障害者自身がどんどん社会へ出ていくことというのが大切なんじゃないだろうかと考えております。
 ただ、今回の法律を見ましても、実際雇用というか、福祉工場というのもほとんど進んでおりませんし、雇用の問題に触れられておりません。来年、労働省との合体ということもありますけれども、果たしてそれがどこまで進むのかというのが非常に今後の課題になっていると思います。
 そのことをさらに例えれば、私と同じような活動をしているメンバーの中で出産をすると。ふだんのことは一人でできるんですけれども、出産でヘルパーを欲しいと言いましたら、その基準が本人の自立度になっていると。でも、私は子育てとしておっぱいをあげたりそういうことができないからその補助を頼むと言っても、現在は、本人の、トイレに行けるとかそういう自立能力のためにヘルパー派遣があって、子育てヘルパーというのは実際には派遣されないとかいうこともございまして、生活のサイクルに応じた、いろんな場面状況に応じたヘルパー派遣というふうにはなっていないんですね。まして労働をしていると、あなたは労働できる能力があるからヘルパー派遣は要らないんでしょうとか、そんなこともございますので、ぜひとも総合的な支援の中で支えていただくということが必要だと思います。
#100
○西川きよし君 そこで、最後の質問をさせていただきたいんですけれども、苦情解決の仕組みです。
 この仕組みの中で、事業者において第三者委員の設置が必要なわけですけれども、第三者について、例えばその第三者の権限はどの程度なのか、また経営者と第三者はどういった関係なのか、中立の立場で冷静な判断をするという点においても、その選び方というのが大変難しいと思いますし、重要であると思います。いろいろな方がいろんな御意見を出しておられるんですけれども、苦情解決の仕組み、この第三者委員についてはどういう御見解をお持ちでしょうか。八幡参考人にお伺いします。
#101
○参考人(八幡隆司君) 私は、苦情解決は当然、いろんな障害の方がございますけれども、知的障害とか身体障害でも視覚とかいろいろございますが、そういう方々がきちんと代表者として入っているということがまず第一に重要なことであり、例えば社協の場合ですと、今、事業体という話になっていますので、そこへ事業者と苦情処理という形で重なりますと、当然、利害が一つの団体の中にございますので、そこから完全に外した形で、市が責任を持って組織するというふうな仕組みの中でいろんな方を入れるということが必要だと思います。
#102
○西川きよし君 私、あと残りが一分でございますので、桑本参考人、四十一分で終えていただきたいと思いますが。
#103
○参考人(桑本文幸君) これは利害当事者ではないということが最前提の選出の基準ではないかというふうに思っています。それをどう公平に判断をするかという点でこれから慎重な検討が必要ではないかと思います。
#104
○西川きよし君 終わります。ありがとうございました。
#105
○委員長(狩野安君) 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。
 参考人の方々には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして御礼を申し上げます。
 午後一時四十分まで休憩いたします。
   午後零時四十一分休憩
     ─────・─────
   午後一時四十三分開会
#106
○委員長(狩野安君) ただいまから国民福祉委員会を再開いたします。
 まず、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案の審査のため、本日の委員会に厚生大臣官房障害保健福祉部長今田寛睦君、厚生省社会・援護局長炭谷茂君、厚生省老人保健福祉局長大塚義治君、厚生省児童家庭局長真野章君及び社会保険庁運営部長小島比登志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#107
○委員長(狩野安君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#108
○委員長(狩野安君) 休憩前に引き続き、社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#109
○佐藤泰介君 民主党の佐藤泰介です。よろしくお願い申し上げます。
 本法案の改正は、社会福祉、地域福祉の一層の推進を目標としている、このように考えております。そのためには、現制度の問題点にも検討を加える必要があるであろうというふうに思います。
 過日、五月九日の衝撃的な少年犯罪の問題に関する私の質問に対して、大臣は幾つかの答弁をされた中で、児童相談所の役割の再検討あるいは幼少期の健全育成の重要さを述べられました。
 そこで、これらの答弁に関連して質問をさせていただきますけれども、大臣が述べられた点と合致するものの一つとして、乳児院が私は挙げられるのではないかというふうに思います。そこで、全国における乳児院の私立、公立の施設数、さらにその施設に措置入院している乳児数は何人か説明していただくとともに、今回のこの改正に当たって、乳児院について何か見直し、検討を加えられたのかどうか、この点についてまずお伺いをさせていただきます。
#110
○国務大臣(丹羽雄哉君) 厚生省の報告例によりますと、平成十一年十二月一日現在の乳児院の施設数は、私立が九十五カ所、公立が十九カ所でございます。入院児童数は、私立が二千四百五十四人、公立が三百五十七人でございます。
 この乳児院に対します国の取り組みといたしましては、御案内のように児童福祉法に基づきまして、児童の入院に要する費用といたしまして地方公共団体が支出する額の二分の一の国庫負担を行っているところでございます。平成十二年度の予算におきましても、予算額は八十八億二千百万円余を計上いたしておるわけでございます。私も昨年の十一月中ごろでございますけれども、乳児院を視察いたしました。
 いずれにいたしましても、委員が御指摘のように、長年にわたりまして、出生後間もないゼロ歳児など小さな乳幼児を預かりまして育ててまいりました乳児院の役割の大きさというものを改めて認識を新たにしたような次第でございます。
#111
○佐藤泰介君 今、予算面と役割の重要さについては御説明があったんですけれども、この構造改革という立場から乳児院について何かそういう新たな検討が加えられたのか。予算額と、非常に重要だという話は今御答弁があったわけですけれども、この法案の提出に当たって何か検討が加えられたのかどうかという点、恐縮ですけれども、重ねてお伺いします。
#112
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の法改正を通じまして、この乳児院の問題につきまして委員が御指摘のような検討は特別加えておりません。
#113
○佐藤泰介君 またこれは後でお聞きをいたしたいと思いますが、過日、私は乳児院の現状について非常に深刻な状況を報告している報道を見たわけです。
 そこでお尋ねをしますけれども、乳児院の職員の定数関係でございますけれども、午前中の参考人質疑でも人が非常に大事だ、人と人のつながりだというような参考人の皆さんからの御意見も多々あったように私は思います。
 そこで、乳児院の職員の定数について、規模によって異なってくるだろうと思います。わかりやすい規模、平均的なもので結構でございますので、乳児院の法定職員数といいますか、あわせて保育園の職員数と比較してどのような職員の配置状況になっているのか、その点について御説明をいただければと思います。
#114
○国務大臣(丹羽雄哉君) 乳児院につきましては、児童福祉法上、乳児及びおおむね二歳未満の幼児が入院できることとされておりますが、その職員の定数は、直接保護に当たる職員である看護婦、保育士、児童指導員は、児童福祉施設最低基準によりまして、乳児院入院児童一・七人当たり一人となっておるわけでございます。なお、そのほかの職員につきましては、予算によりまして、施設長一人、栄養士一人、事務員一人、調理員など、児童定員三十人未満の場合は四人となっておるような次第でございます。
 もう一つお尋ねでございました保育所でございますけれども、ゼロ歳児は三人に一人でございますし、それから一歳、二歳につきましては六人に一人、こういうような基準となっておるような次第でございます。
#115
○佐藤泰介君 今の御説明をお聞きしますと、一・七人に一人が乳児院で、三人に一人が保育園、保育所。これだけ聞くとかなり手厚い職員配置のように思いますけれども、ちょっと自分自身わかりやすくするために、例えば十七人の乳児院においては十人の職員数になるわけですね、一・七人で一人だとすれば。しかし、直接その乳児院の保育あるいはそれに当たる人は、施設長だとか看護婦さんとかいうのを除けば八名になるんではないかというふうに思うんです。とすると、私は保育園の職員数より非常に少ないんではないかというふうに思います。一・七人に一人、三人に一人という比べ方をすれば多いように聞こえますけれども、施設長とか直接保育に当たる方でいうと大変少ないんではないかというふうに思うんですけれども、どうでしょうか。
#116
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私も現場にお邪魔をいたしまして、さまざまな御意見なりお考え方をお聞きしてまいった次第でございます。
 確かに、夜間における対応が必要な入所施設である、こういうことで乳児院の方が手厚い配置基準となっておるわけでございますけれども、委員のようなお考え方もございます。いずれにいたしましても、乳児院に対します今後のニーズ、役割それから要望、こういうものを十分にお聞きしながら、当然のことながらほかの施設とのバランスも十分に踏まえる必要があるのではないか、こういったような観点からこういった問題については今後の検討課題の一つではないか、このように認識をいたしておるような次第であります。
#117
○佐藤泰介君 ちょっと私と意見が違うんですけれども、大変手厚い配置になっているということを重ねて今答弁されました。私が考えていることが違っておったら指摘をしていただければ結構なんですけれども、看護婦さんは専門職だから私は保育には余り携わらぬのではないかというような気もします。
 それから、今、大臣も言われましたように、二十四時間体制ですから、仮に三交代のシフト制をとった場合には、十人で十七人を見るということですよね。その中には看護婦さんも含まれるから、児童相談員とか保育士さんというのは八名になると私は思うんです。そうすると、三交代で二十四時間見るとなると、三人で十七人を見なきゃいかぬということになるんじゃないでしょうか。そうすると、非常に保育園より手厚い定数配置には私はなっていないんではないかなと、こう思うんです。保育園と乳児院の違いというのはやっぱり二十四時間体制でしょう。そこから仮に三交代としてもそういう計算にならざるを得ないと私は思うので、冒頭申し上げたように、幼少期の健全育成の重要さを考えると、乳児院の職員の配置は保育園よりも少ないんではないかと、私の計算上ではそうなるんです。
 大臣は今、保育園より手厚い定数配置がされているということですが、私が申し上げた点で、そこはここが違うからそうなるんだということがあったら御説明をお願いしたいと思います。
#118
○国務大臣(丹羽雄哉君) 委員の御指摘もこれも一面があることを私は否定するものではございません。ただ、私が申し上げましたことは、一般的な問題として保育園との比較においてただいまのような数字を申し上げたわけでございますし、乳児院につきましては、先ほど申し上げましたように、入院児童一・七人当たりにつきまして一人の看護婦や保育士などを配置いたしておるわけでございます。
 また近年は、いわゆる育児放棄であるとかさらに虐待などによりまして家族との調整が必要な場合に対応するために乳児院に家庭支援専門相談員、こういう者を十一年度から配置いたしておるような形でございまして、単純にこの基準そのものをもってして乳児院の方が配置基準がおくれているのではないかということにつきましてはさまざまな議論があることではないかと、このように考えております。
#119
○佐藤泰介君 若干私とは考え方が違う。私はやっぱりまだまだ乳児院の方の職員配置というのは手薄だなという意見、考え方を持っております。そのことを申し上げておきたいと思います。
 先ほど申し上げましたように、現状はまだ深刻だと指摘する報道が過日ありました。この内容を若干紹介させていただきますと、乳児院に収容されている乳児が保母さんなどの人手不足による劣悪な環境に置かれているというもので、院内の育児体制は、この報道では、幼児八人から十人に対して保母一人の割合で、夜間は二十名に保母一人の割合の体制で運営されていると。特定の場所かもしれませんけれども、そんな報道もあり、しかし法的な職員定員数はクリアをしていると。二十四時間を院内で生活している乳児を対象としている乳児院が、保育園の乳児保育の定数より多い人数の幼児を担当する、こういう実態について報道があったわけでございますけれども、大臣はそんな報道に対して何か感想がありましたらお聞かせください。
#120
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先日、乳児院におきます虐待の事例が報道されたということは私も承知いたしております。ただ、取材先がまだ明らかでないということでもございまして、現在のところ事実関係については把握をしておらないところでございます。もし報道の内容が事実だとすれば大変遺憾なことでございます。まずは事実関係の確認に努めてまいりたいと、このように考えております。
 いずれにいたしましても、大変重要な時期にあります乳幼児につきまして、職員の方々が愛情を持ってきめの細かな養育を行うことが大変重要であると。現場でそのような対応が行われますよう、私どもといたしましても指導、努力をしていく決意でございます。
#121
○佐藤泰介君 その報道に関して、今、大臣からそんな御意見をいただいたわけですけれども、仮にそれがそういう状況だとするならば、乳児院では乳児の急な発熱や発病による夜間診療を受ける際、救急車で移動する際、保母が同行することが必要で、その間もっと多くの乳児を保母さんは担当しなければならないという現実もあるわけでございます。
 したがって、食事に関しても、ミルクを寝かせたまま飲ませることや、離乳食時期の乳児に対しても、先ほど申し上げたように八人を担当する場合には食事作業とも言えるようになってしまうと。食事のときに人間的なコミュニケーションの感性を育てる大切さや、離乳食のころの子供の会話は人間形成について非常に重要な時期だと言えると私は思います。そのことは、大臣も前の私の質問のときに答弁をされたというふうに思います。報道先もわからないということでございますけれども、私が見た報道の表現をかりれば、ブロイラーのような食事風景とも言えるというような言葉も使われておりました。
 したがって、今、大臣の事実関係をはっきりさせたいという答弁がございましたので、これらの事実について実態調査をきっちりとされるおつもりはあるのでしょうか。そして、実態調査を何かの機会に御報告いただきたいと思いますが、そうした実態調査、そしてその報告がいただけるかどうか。また、事実だとするならば、乳児院の職員の定数について今後検討する余地はあるのかどうか。その三点ばかりお伺いしたいと思います。
#122
○国務大臣(丹羽雄哉君) これはあくまでも報道の自由というものがございまして、当然のことながら私どもがこの問題について実態を把握しにくいわけでございますけれども、事実関係についてできるだけの努力をしていきたい、こう考えているような次第でございます。
 それと、今、委員が御指摘になりましたような、いわゆる虐待の問題と乳児院の職員の数というものをそのまま直接的に結びつけることが適当かどうか、こういうことではないかと思っております。
 一昨日も西川委員の質問の中で虐待の例を引用されて御質問なされたわけでございますけれども、私はそのとき、そういうことを行うような方はそもそもこういう仕事に当たること自身が誤っているのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。人間でございますので、さまざまな過酷なスケジュールの中でそういったような問題というものもややもすれば起きると思いますけれども、やはりこういったような福祉に携わる者につきましては十分に心してこういった問題の対応に当たっていただきたい、このように私どもは願っておるわけでございます。そういうものにつきましては、研修等の指導を通じまして、今後そのようなことが起きないように十分努めていく決意でございます。
#123
○佐藤泰介君 直接その報道のところを調べるということではなくて、これを機会に一度そんな調査をしていただきたい。私がさっき申し上げたように、私もまだその現場を直接見ていないので一度見てみなきゃならぬと思っていますけれども、どういう体制がしかれているのか、勤務体制がしかれているのかということによっても変わってくるんだろうと思いますので、そういった点を私自身も一度地元で調査したいと思っておりますので、またの機会にその調査の結果を報告しながら、この問題についてはまたお尋ねをしたいというふうに思います。
 次に、乳児院とのかかわりでもう一つ大臣が答弁されましたのは児童相談所の役割の再検討。本当に児童相談所が十分に機能しているのかどうかというようなことを検討したいということを過日の私の質問のときにお答えになられたというふうに思います。しかし、児童相談所の専門職の不足、相談員の頻繁な転勤等で一貫した対応ができていないのではないかという不信感を時折聞きます。
 近々の資料で結構ですので、乳児の措置を決定する際、里親制度を活用した件数、里親の希望待機者数、また保護受託者委託、つまり乳児院送付の措置を決定した件数、ちょっと数字で恐縮ですけれども、その辺を説明していただければと思います。
#124
○国務大臣(丹羽雄哉君) 里親及び乳児院につきましてでございますけれども、直近の調査でお答えを申し上げますと、まず里親につきましては、平成十年度末現在で委託されております乳児の数は六十二人ということで報告されております。また、乳児院につきましては、乳児及び保健上特に必要のある場合などでおおむね二歳未満の幼児を入院させる施設とされておりますが、平成十年十月一日現在では、措置されている乳児の数は八百七十三人と報告をされておるような次第でございます。
 それから、里親についてでございますが、平成十年度末で里親になることを希望して都道府県知事によって認定されている登録里親数でございますが、これは七千四百九十人でございます。このうち、児童が委託されております里親は千六百九十七人でございますので、登録していて児童が委託されていない、いわゆる待機里親の数は残りの五千七百九十三人、このように報告を受けておるような次第であります。
#125
○佐藤泰介君 大臣、恐縮でした、細かな数字を聞きまして。
 私はその数字からすると、里親の登録が七千四百九十、現実には六十二人という非常な差があるような気がするんですけれども、その原因について私もはっきりとした考えを持っていないわけですけれども、その決定をする際に無難な決断をしているんではなかろうかなというような気もしないでもありません。
 ちょっと乳児院送付の措置を決定する場合が多いように思うんですけれども、子供の一生を変えるとも言える措置をするわけですから、里親のもとでもあるいは乳児院においても、良好な環境を選択し決断することの必要性は当然だと思いますけれども、かなり今の数字でいいますと開きがある感じを受けるわけです。これは、乳児院の収容人員とのかかわりなのか、あるいは里親との条件が合わないのか、乳児院が安易な決定をするのか、これは言い過ぎかもしれません。あるいは乳児院、冒頭の質問で二千八百四十六人だと言われました。この数字はここ十年、十五年、余り変わっていないような気が私はするわけです。里親の希望待機者数が七千幾つありながら六十二人というのはちょっと開きがあり過ぎるのかなということを思うんですけれども、私自身その原因を十分につかんでいるわけではないので、大臣はその辺はどんなお考えなんでしょうか、お伺いをしたいと思います。
#126
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私の方としては、まずこの実態を御報告させていただいたわけでございます。今、委員が御指摘なさいましたような分析につきましてはまだ十分に検証いたしておりませんので、また機会がございましたら十分によく分析をしながら、今言ったような問題点についてお答えをさせていただきたいと、このように考えております。
#127
○佐藤泰介君 ありがとうございます。ぜひ分析をしていただいて、余りにもちょっと開きがあり過ぎるなという感じを私は持っておりますので、また分析をして資料等をお示しいただければありがたいというふうに思います。
 次に、身体、知的、精神障害者の三障害者の福祉施設について伺いたいと思います。
 重度の重複障害者などがサービスを受ける場合は、これまでの障害の分類で一緒に受け入れられなかったものが受け入れられるようになる、このことは私は前進だと思いますが、ここで三障害の福祉施設に格差があっては整合性がつかないと、このように思うわけです。特に、各障害者間に対する施策や予算などどのように是正をしていくのか。とりわけ、私は精神障害者に対する施策等が大変立ちおくれているではないかというふうに思っておりますので、その辺の整合性をつけていくために、今後この改正を機にどのような対策あるいは予算措置を講じられていくのか、そのあたりについてお伺いしたいと思います。
#128
○国務大臣(丹羽雄哉君) 身体障害者さらに知的障害者に対する福祉施策につきましては、御案内のように昭和二十年代より関係の法律を整備いたしましてその推進を図ってきたところでございますが、精神障害者につきましてはそれより大分おくれまして、昭和六十二年の法改正によりまして福祉施策が法律上位置づけられるまで医療中心の施策を講じてきたところでございます。
 それぞれの障害者施策につきましてはそれぞれの障害の特性に応じまして実施しておるわけでございます。その沿革も異なっておりますので一概に比較するということは大変難しいことではございますが、あえて申し上げさせていただきますならば、精神障害者に対する福祉施策につきましてはほかの障害種別に比べまして取り組みの歴史がまだまだ浅い、こういうことから今後強力に推進をしていくことが必要であると、このように考えているような次第でございます。
#129
○佐藤泰介君 冒頭申し上げたように、三障害の施策が整合性がとれるように、今、大臣の御答弁を十分に理解させていただきますので、これからの御努力をいただきたいというふうに思います。
 では、次の質問に移りますけれども、社会福祉事業として新たに九項目が追加されたことは大変評価を私もしたいと思います。
 しかし、今の問題とのかかわりで、社会就労センターや精神障害者授産施設など精神障害者にかかわる施設や施策のみが第二種事業になっていると、こう私は理解しているわけですけれども、障害の種別を超えた事業を展開する方向にある今回の改正案の趣旨からは、精神障害者の事業のみを二種にとどめておくことは整合性矛盾になってしまうのではないかと、このように思います。今後、第一種事業への位置づけを検討すべきではないかと私は思いますけれども、この点についてはどんなお考えでございましょうか。
#130
○国務大臣(丹羽雄哉君) 精神障害者の方々が就労を通じて社会活動にかかわっていくことが何よりもまず大変重要なことであると考えております。こうした考え方に立ちまして、厚生省といたしましては、精神障害者の方々が自活のための作業訓練を行って社会復帰と自立を目指すための施設であります精神障害者授産施設の整備であるとか、あるいはその運営を支援しているところでございます。
 これらの施設につきましては、平成十四年度を目標とする障害者プランに基づきまして着実に進めているところでございますが、特に今年度におきましては運営費補助単価を一挙に一・五倍に引き上げまして、その目標の達成に向けてさらに整備の促進を図ることにいたしております。
 以上でございます。
#131
○佐藤泰介君 ぜひ今の御答弁にあったような方向での取り組みを強力に進めていただきたいと思います。
 答弁の中にもありましたが、精神障害者の社会復帰を促進するためには、精神障害者生活訓練施設あるいは精神科デイケア施設、社会適応訓練事業、それらのものが今実施されているというふうに思いますけれども、その多くの施設が精神病院の施設内に設置されていると、このように聞いております。地域における障害者の、今、大臣も答弁されました自立あるいは社会復帰を目指していくとするならば、さまざまな地域にそのような施設があることがむしろ私は望ましいのではないかと。現在のような施設の設置は何か病院の中に囲い込むような気が私はするわけですけれども、大臣、どんなお考えでございましょうか。
#132
○国務大臣(丹羽雄哉君) 精神障害者の方々の社会復帰と自立を促進するために、地域において精神障害者を支援していく体制を整備することが何よりも重要であると思います。地域の住民の皆さん方の温かい御理解をいただかなければならないと、このように考えているような次第でございます。
 厚生省といたしましては、現在、障害者プランに基づきましてこれらの施設、事業の着実な整備を進めておるわけでございます。平成十年度の予算に比べまして精神障害者生活訓練施設は一〇四%などと順調に進捗をいたしているところでございますが、今後とも平成十四年度の目標達成に向けて全力で取り組んでまいる、こういう決意でございます。
#133
○佐藤泰介君 私に与えられたのはあと一分ですので、私が申し上げたかったのは、そういう施設が病院と併設していることに問題があるのではないか、病院の中に囲い込んじゃうんじゃないかということを申し上げたかったわけです。そういう施設ができて訓練していくということは重要なことですけれども、病院の施設内のみにそういうものがどんどんつくられていくということは、病院の中に囲い込んじゃうんじゃないかと。諸外国においてはさまざまな形でそういう施設や事業が病院以外のところで実施をされている、このように私は聞いております。
 そうすると、知的障害とか身体障害というのは社会復帰をするときに中間の施設がありますね、知的なら学校でも何か中間のものがあって社会復帰、身体もリハビリなどがあってこうと。しかし、精神障害の場合は病院の中に全部囲い込んで、そこから直ちに社会復帰というのは不可能ではないかということを一番申し上げたいわけです。精神障害は、社会復帰あるいは自立していくときの中間的な受け皿が今はないのではないかと私は思うわけです。したがって、中間的な受け皿をぜひこれから検討していただきたいということを一番申し上げたかったわけです。
 これは、バスのときにもそうですよ。なぜ精神病院から出したんだと。しかし、ちょっと病院で落ちついたときに、中間のものがないわけですから、家庭に帰すかあるいはずっとその病院に置いておくかになっちゃうわけでしょう。そうすると、中間的なものが精神障害の方々にはないことが私は問題ではないかと。何%何ができてという答弁でしたけれども、私はそのことを申し上げたかったわけでございます。
 この点について何か御所見があればお伺いして、私の質問を終わります。
#134
○国務大臣(丹羽雄哉君) 前の答弁の前半で答弁をさせていただいたつもりでございますが、確かに委員が御指摘のように、いわゆる障害者の施設と一般の社会で生活をするまでの間の中間的な施設の役割は大変重要であるということは十分に認識いたしております。
 この問題が社会的に取り上げられましてから相当長い時間がたっておるわけでございますけれども、現実問題といたしまして、なかなか地域の住民の皆様方の御理解等が得られにくい、そこが先ほど申し上げた問題でございます。
 いわゆる精神障害者の方々を含めたそういったような障害を持っている方々の施設のまさに中間的なものの重要性というものをさらに広めていくとともに、やはりそこにおきます地域住民の皆さん方のそれに対する偏見であるとか、そういうものを是正して、御理解をいただいて、そしてそういう方々を一日も早く一般の社会の中で自活していけるような方向に導いていくことが何よりも大切である、このように認識をいたしておるような次第でございます。
#135
○堀利和君 今回の法改正では、地域福祉というのは大変重要なテーマであろうと思います。ただ、私が若干そこで懸念しますところがありますのでお伺いしたいんです。
 八〇年代、日本型福祉論ということで家族重視、こういうことが提案されたわけです。女は家庭に、家族に戻れというような風潮を生み出すようなそんな考え方でした、子育て、親の介護も女にというような。行財政改革ということでやむを得なかったにしても、そのことが何か今ツケになってきてしまったような、少子化の原因というのはたくさんあるわけですけれども、その辺のところも一つあるのかなと思っているんです。
 そういう点で、地域福祉というテーマが、行政を含めた公的なところの公的責任の撤退で埋めようとするという意味で持ち出されているのであれば大変なことなので、地域福祉ということについてどのようにお考えか、まずお伺いしたいと思います。
#136
○政府参考人(炭谷茂君) まず、なぜ地域福祉が必要になってきているかという認識でございますけれども、これまでの我が国の戦後の社会福祉の歴史と申しますと、やはり中央集権的でかついろいろな国が定めた法律に基づいて社会福祉サービスが提供されてきたという歴史ではなかったのかなというふうに思っております。
 しかし、福祉サービスというのは、本来、住民の一番密着した地域、市町村で展開されるのが望ましいわけでございます。そこで、総合的な福祉が必要だろうということで、地域福祉という概念が大変重要になってきているんじゃないのかなというふうに思っております。
 今回の改正におきましても、法第一条におきまして地域福祉の推進を掲げ、また基本理念、また新たな章、これは第十章でございますけれども、「地域福祉の推進」という項目を掲げているわけでございます。
 あえてここで地域福祉の概念ということについて御説明させていただければ、大体三つの要素があるのではないのかなというふうに私自身理解しております。
 第一点は、地域の特性を生かして、地域に密着しているというのが第一の要素だろうと思います。第二の要素といたしまして、そこで展開されるサービスは、地方公共団体、社会福祉法人はもとより、住民、ボランティア、住民参加団体など多様な団体がそれぞれ協力し合ってサービスを展開するというのが第二の要素だろう。第三の要素といたしましては、そこでは縦割りではなくて総合的な住民サイドに立ったサービスが展開されるという三つの要素が重要だろうというふうに思っております。
 この三つの要素に基づく地域福祉が、いわばその地域地域で本当に工夫され、高まっていくということになり、その次の世代にまた再び引き継がれていく。そこにまた福祉文化というものの形成ができればいいなというふうに思っているわけでございます。
#137
○堀利和君 私もそう思うわけです。決して公的責任の手抜き論であってはならないと思うんです。地域社会、福祉社会をつくるのは全員参加だと、まさにそう思うわけです。
 そうしますと、やはり私は地域社会の中で重要なのは、もちろん社会福祉法人もそうなんでしょうけれども、特にNPOとか民間のボランティア団体とか、あるいはサービス利用者、障害者も含めたそういう住民、当事者みずからの課題としてつくっていく、こういうことだろうと思うんです。
 そういう点で住民参加型のサービス提供の基盤づくりというのは極めて重要で、これを今申し上げたような方々に全部任せるといってもこれは難しいですから、こういう基盤づくりに対して、まさにここで公的責任をどうするんだということをお伺いしたいと思うんです。
#138
○政府参考人(炭谷茂君) 地域福祉の推進におきましては、先生ただいま御指摘されましたようなNPO、ボランティア、住民参加型の団体等の活躍というものが大変期待されるわけでございます。
 今回の法改正におきまして、これらに対するいわば基盤整備的なことといたしましては、第一点は市町村の社会福祉協議会におけるメンバーとして、これらの団体の方、また個人の方が積極的に会員として入っていただくということも一つ掲げております。
 また第二番目に、市町村地域福祉計画というものを作成していただくわけでございますけれども、この作成に当たりましては、先ほどのような団体の方々の意見も十分反映するということが法律上明記されておりますし、また市町村の地域福祉計画の今回の大きな眼目の中にはこのようなインフォーマルな団体と公的な組織とのいわば連携関係、どのように協力し合うかということを一つの大きな盛り込まなければいけない事項として法律上明記しているところでございます。
#139
○堀利和君 そのことが本当にきちっとできるかどうか、五年後あるいは十年後、厚生省はそこを逃げたのか逃げないのか証明できますので、ここはきちっとやっていただきたいと思います。
 今回の利用制度、選択型の制度になるわけですけれども、これを順調に進めるには、供給量が一つには問題になると思います。同時に、質の向上、質の確保をどうするんだと。さらには、情報提供ということが重要になるわけです。
 そこで、まず質の向上、質の確保ということについてお伺いしたいと思いますが、さまざまな手だてはあろうと思います。しかし、やはり何といってもサービスを直接利用している方の意見といいますか、評価というのが私は結果として質の向上、質の確保を高めるものとして重要なものだと思うんですけれども、この利用者の評価をどういうふうにしたらいいのか、仕組んだらいいのか、この辺についてはどのようにお考えでしょうか。
#140
○政府参考人(炭谷茂君) サービスの質の向上のためには、先生が御指摘のようにサービスの質をいかにこれから評価していくかということが重要かと存じます。
 一つは、このために事業者自身に自己評価をしていただく、また第三者、これは主に公的な団体を考えておりますけれども、第三者がこれを公正に評価していくという二つのシステムによって評価をしていくということになろうかと思います。
 問題は、この評価をどのように行うか、評価の基準、また実施方法ということでございます。これにつきましては、昨年来、学識経験者の方々に集まっていただきまして現在検討をしているわけでございますけれども、この質の評価に当たりましては、やはり公正なものであるためには客観化したものでなければならないだろうというふうなことが指摘されております。
 したがいまして、例えばサービスの内容の評価ということになりますと、分けて考えますと、一つはサービスを提供する体制、もう一つはサービスの実施方法の評価、その二つに分かれるんじゃないかと思いますけれども、それらの場面においていかにサービスの利用者の意見を取り入れているか、声を反映しているか、また評価をどのように反映しているかというような利用者の声の配慮度を評価するという形で考えているわけでございます。本来、福祉サービスというのは利用者のケアを行い、そしてADLを向上したり、また利用者の満足度を高めるということでございますので、利用者の満足度というのは大変重要なことだろうと、また利用者自身の評価というものが重要だろうと思います。
 ただ、これをいかに客観化してとらえるかということについて、これからもっと工夫していきたいというふうに思っております。
#141
○堀利和君 そこは十分よろしくお願いしたいと思います。
 次に、やはり選択型といいますか利用型になりますから、選択を広げていくためには当然それなりの情報提供が重要であるわけです。情報量の差が結局制度を上手に使えるか使えないかという、ここの格差につながるわけですから、私は情報提供というのをしっかりやっていただきたいと思います。
 私自身、視覚障害者でありますから、情報障害と厚生省も行政用語的に使っておられますけれども、情報障害は視覚障害者にとって非常に心配なんですね。本当に情報が得られるのだろうかという意味で、情報提供についてどのようにお考えか、またお伺いしたいと思います。
#142
○政府参考人(炭谷茂君) 今回の改正におきましては、利用者がサービスを円滑に選択していただけるためにいろいろな情報の提供を行うシステムを入れているわけでございます。例えば、事業者がサービスに関する的確な情報を提供するように努めるとか、また誤った情報がはんらんすることのないよう事業者に対して誇大広告を禁止するとか、また国、地方公共団体に対し情報提供体制の整備について必要な措置を講ずるよう努める義務規定を課しているわけでございます。
 ただ、それで問題なのは、先生御指摘のように、いわば情報を得ることが難しい、具体的にいえば視覚障害者の方々でございます。この点につきましては、例えば点字や音声による提供をするなど、視覚障害者の方々が情報入手に支障の生じないように努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
 また、現在私ども、社会福祉・医療事業団の中でWAMNETという組織を持っております。これはパソコンで出すわけでございますのでどうしても映像になってしまうわけでございますけれども、何とかこれを映像だけではなくて音声でも提供できる方法はないのかなということについて、私ども、一つの研究課題として今取り組んでおるところでございます。そういうふうになれば、視覚障害の方々もWAMNETを十分御活用できるようになるんじゃないのかなと。いろいろなメーカー等に聞きますと、技術的には十分可能であるというようなお話もいただいておりますので検討をしてまいりたいというふうにも思っている次第でございます。
#143
○堀利和君 ぜひその辺の研究を十分されて、そこの不安のないようにお願いしておきたいと思います。
 次に、また視覚障害者のことになりますけれども、確認させていただきます。
 当然今度は利用制度ですから事業者と利用する視覚障害者とが契約するわけですけれども、契約する際、契約書を、書面を取り交わすと思うんですが、これは点字で可能なのか。点字で書くしかないわけです。厚生省が実態調査されているのを見ましても、点字が十分読み書きできるというのは一割程度なんですね。そういう意味も含めて、点字でできるのか、点字の読み書きができない者にとってはどんなふうな契約書を交わすのか、この辺はどんなふうにするおつもりでしょうか。
#144
○政府参考人(今田寛睦君) 利用制度のもとで、特に視覚障害者の方々が福祉サービスを利用する際には、市町村や事業者、それから今回新たに法定化をすることにしております相談支援事業、こういった事業を実施する者から十分な情報提供を行った上で事業者との間で契約を結ぶことが必要かと思います。
 そのためには、点字の読み書きができる視覚障害者の方につきましては、今回新たに法定化をいたしました点訳を行う者の派遣業務、これを視聴覚障害者情報提供施設から点訳をしていただける人を派遣していただいて、そこで契約内容を点訳してもらう、このような方法も考えられると思います。また、点字の読み書きができない場合もございますが、そのような場合に、市町村障害者生活支援事業によりまして市町村から代筆あるいは代読などのサービスを受けて契約を結ぶ、こういった方法も考えられるかと思います。
 いずれにいたしましても、視覚障害者の方々がそういうサービスを利用する場合に円滑に契約が結べるということのためには、今申し上げましたような方法も含めて今後、視覚障害者の方の御意見を十分に伺って適切な対応がとれるように検討していきたいと考えております。
#145
○堀利和君 次に、現行の社会福祉事業法の第一条には、生活保護法と福祉五法及び社会福祉を目的とする他の法律と相まって社会福祉の増進に資するというふうに規定されておるわけですけれども、今度の改正法案ではそれが生活保護法なり五法が削除されまして「社会福祉を目的とする他の法律と相まつて、」というように記されている。なぜこういうふうに省かれたのかをお聞きしたいと思います。むしろ私は、保健医療とのかかわりはあるにしても、今後のことを考えたときには精神保健福祉法をつけ加えるくらいのことが必要だったんではないかと思うんですけれども、これについての御所見はどうでしょうか。
#146
○政府参考人(炭谷茂君) まず、現行法の目的規定には、いわゆる古典的に言われております福祉六法を列挙しているわけでございます。しかし、その後いろいろな福祉関係の法律が制定され、整備されてきたわけでございます。その中には、先生ただいま御紹介されました精神保健精神障害者福祉法もございますし、介護保険法もございます。また、福祉人材に関する法律として、社会福祉施設職員等退職手当共済法も新たに制定され、その後、社会福祉士法、介護福祉士法、また精神保健福祉法といったような専門資格に関する法律も制定され、福祉六法の時代から本当にたくさんの法律が整備される時代になってきたわけでございます。
 そのような状態にかんがみまして、改正後の社会福祉法の目的規定については、「社会福祉を目的とする他の法律と相まつて、」という形で端的な表現としたものでございます。
#147
○堀利和君 そういうことであるから、もともと入っていない精神保健福祉法にもテーブルの上に乗っかってこないわけでしょうけれども、私は、先ほど佐藤委員が取り上げましたけれども、精神障害者の施策というのは大変おくれているわけなんですね。そういう点ではどんどん福祉の方に引き込むといいますか、そういう施策を進めることが重要だということを指摘しておきたいと思います。
 それで、精神障害者の福祉施策の充実、障害者プランの中でも地域にどう復帰していくかということも含めてプランの数値前倒しをお聞きしたいと思うんですけれども、大体お答えもわかりますので、お願いだけまずしておきたいと思います。積極的にやってください。
 次に、精神障害者の社会復帰施設などの新設に際して、設置者に地域住民、地元の方々の同意を求めるというようにこれまでなっておりまして、こういう国庫補助の条件として厚生省は同意書を課していたんですけれども、それを撤廃したというふうに聞いております。
 これは私は、確かにこれまでの偏見も含めて、身体がまずそうでした。知的障害、精神障害という、非常に地域住民を含めた理解が乏しいために、偏見があるためにそういった意味で拒否反応というのがあるんですけれども、同意をなくしたということは、私はある意味で積極的になったのかな、厚生省はそういういい意味で一時同意は要らないよというふうになったのかどうだかわかりませんけれども、その辺のいきさつをちょっとお聞かせください。
#148
○政府参考人(今田寛睦君) 精神障害者社会復帰施設の施設整備に係ります国庫補助金の交付申請に当たりまして、その計画の進捗状況を把握するということから、整備計画書の様式の中に地域住民の同意の欄を設けておりました。そういう意味では、同意があるということはまさにその計画がスムーズに進むのだろうということを把握する手段としておったわけであります。
 しかし、このことがかえって、国庫補助を交付する要件だと、つまりそれがなければつくれないんだというような、実はそういった解釈にとられてしまう、いわば誤解を招いてしまったという点において、私どもも反省しなければならない点があったのではないかと思います。
 御指摘のように、精神障害者に対する社会的理解というものをもちろんこれからも進めていかなければならないわけでありますが、住民の同意ということを、あえて状況の把握という観点からこの欄を設けたということがそういう誤解を生むようであれば、かえってせっかくこれまでの皆さん方の努力には報いることができないということから、十二年度の事業計画書の様式の中で地域住民の同意の欄を削除させていただいた、こういう経緯でございます。
#149
○堀利和君 私もそれは賛成いたしたいと思うんです。ただ、理解は求めるべきだと思うんです。つまり、反対があるということはそれだけ偏見があるということですから、やっぱり偏見をなくしていくということの努力はぜひ今後もお続け願いたいと思います。
 次に、試行的に行われておりました地域福祉権利擁護事業の実施状況、そしてその結果についてどのような評価をしていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
 また、権利擁護となりますと、精神障害者の場合には今のお話のように、言うなれば身体障害者以上に厳しいものがございます。そういう意味で、専門員としての精神保健福祉士の配置も不十分ですから、ぜひこの配置も十分しながら精神障害者に対しては権利擁護を十分やっていただきたいと思いますけれども、その辺はどうでしょうか。
#150
○政府参考人(炭谷茂君) 地域福祉権利擁護事業の実施状況につきましては、昨年の十月の試行的な事業開始から四月末までの調査をいたしてみますと、利用に関する相談件数は一万七千件に上っております。このうち、利用の決定もしくは契約の準備中のものを含めますと現在六百二十件になっております。一定程度の活用が図られつつあるというふうに考えております。私どもといたしましては、さらにその普及を図ってまいりたいというふうに思っております。
 また、この地域福祉権利擁護事業の中心になっていただく専門員の方につきましては、例えば精神保健の分野におきましても、その専門的な知識というものがあることが望ましいわけで、必要なことだろうというふうに思っております。先生が御指摘されました精神保健福祉士さんもぜひこのような仕事に携わっていただくということは望ましいわけでございますし、現実にも専門員の方々の中に精神保健福祉士の資格を持って活躍していただいている方も既にいらっしゃるわけでございます。このようなことで、私どもとしてこの事業がさらに円滑に実施できるよう努力してまいりたいというふうに思っております。
#151
○堀利和君 精神障害者の施策については、これまでは医療中心でしたから、福祉の分野では人材も含めて不足しているというのが現状だと思うんですね。そういう点ではぜひ力を入れて精神保健福祉士、恐らくまだまだ足りないと思いますので、その辺の養成もお願いしておきたいと思います。
 次に、同じく精神障害者の施策についてお伺いしますけれども、医療中心の施策がとられてきたわけですけれども、これから福祉施策となりますと、どうしても市町村が中心になって行っていくわけでございます。平成十四年の四月からは窓口が今後市町村に移っていく。そうなりますと精神保健福祉法自体が保健医療と福祉という両方を兼ね備えた施策になっているわけですから、言うなれば福祉は市町村、保健医療は都道府県ということになるわけでございます。
 そうしますと、やはり今以上に実際に福祉ということで市町村が担うものも出てくるわけですので、福祉と医療、それから市町村と都道府県、この辺の協力関係、調整、福祉事務所と保健所、こういうことが極めて重要になろうと思いますけれども、この辺の調整機能、連携、これは十分準備されていらっしゃるんでしょうか。
#152
○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘のように、昨年の精神保健福祉法の改正によりまして、これまで精神障害者施策というのが基本的には都道府県で実施しておりましたものを、これから福祉の重視という視点から、市町村も大いにこれに参画いただこうという考え方から幾つかの改正をさせていただきました。
 まず一つは、市町村が精神障害者福祉サービスの利用に関しまして相談助言を行う役割、それから施設あるいはホームヘルプサービスの利用のあっせん調整、こういったことを行う機関として位置づけたところであります。また、そうなった場合に都道府県との関係になりますが、基本的には精神保健福祉センターあるいは保健所になろうかと思いますが、都道府県が市町村に対しまして専門的、広域的な支援を行い、また市町村相互の連絡調整を行う仕組みとして改正を行ったところであります。
 一方、精神障害者の医療でありますが、これは都道府県において事務を行うわけでありますけれども、福祉サービスと医療サービスの連携をとらなければならないということから、ことしの三月三十一日付で御通知申し上げましたが、保健所及び市町村における精神保健福祉業務運営要綱を定めることといたしました。市町村、保健所、福祉事務所、児童相談所、社会福祉協議会、職業安定所、教育委員会などの関係機関の間で連絡会議を持つなどしてこの連携に努めるようお願いをしているところであります。
 また、十四年からまさに市町村の皆さんが精神障害者福祉のサービスに深くかかわっていただくことになります。これまで経験したことのなかった業務でもありますので、市町村の職員に対しまして、本年度から各都道府県において研修を実施することとしておりまして、その際、保健所、福祉事務所との連携についても十分に配慮していきたいと考えております。
#153
○堀利和君 九〇年でしたか、福祉八法の大改正のときに、身体障害者の方は窓口措置が市町村に移ったときに、早く知的障害者も精神障害者も同様に市町村でやるようにと私はあの当時取り上げたんです。そうはいっても実際なかなか難しいと思いますけれども、ぜひその辺のところはうまく進むように調整も含めてお願いしたいと思います。
 次に、いわゆる親亡き後ということで、知的障害者の生活の問題なんですが、親御さんたちにしてみれば自分が死んだ後どうするんだと本当に不安だと思うんですね。これは厚生省の方でも十分その声は聞いているかと思うんですけれども、障害者プランを含めて、施設は若干これまでどおり進んできたとしても、本当に知的障害者の方々が地域で生活に足る支援体制があるかというと、率直に言ってないんですね。
 そこで、その辺の状況もお聞きしたいし、ノーマライゼーションという用語はもう大分広がりつつもあるし、厚生省を含め行政も当然使っているんですが、ノーマライゼーションというこの理念、そしてこの用語、言葉が生まれてきたその背景を御説明いただきながら、親亡き後の知的障害者の生活支援をどうするんだということをお伺いしたいと思います。
#154
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、お尋ねのノーマライゼーションの理念でございますが、これは一九五〇年代の初め、デンマークにおきまして、知的障害者を大きな施設から地域に帰し、ほかの市民の方々と同じような普通の生活、すなわちノーマルな生活を地域社会で実現することを目指した知的障害者の親の会の運動の中から生まれたものと承知をいたしておるような次第でございます。
 御質問の親亡き後の知的障害者の生活支援につきまして、私もさまざまな形で、親の方々、保護者の方々からその苦悩、それから不安のお気持ちを切々とお聞かせをいただいた機会もございますけれども、この親亡き後の知的障害者の生活支援につきましても、このようなノーマライゼーションの理念に基づきまして、親が亡き後はすぐに施設入所というような選択肢しかないと、こういうことではなくて、例えばグループホームであるとか、あるいはホームヘルパーであるとかデイサービスなどのいわゆる在宅サービスを利用して、知的障害者の方々が地域で安心して生活できるような体制づくりに努めていくことが何よりも大切だと、このように考えているような次第でございます。
 なお、ちょっと蛇足でございますけれども知的障害者の高齢化の問題、この問題は、昨日、私も答弁の中で指摘をさせていただいたわけでございますけれども、この高齢化にどう対応していくかという問題につきましては、学識経験者から成る検討会を設けまして現在検討を進めているところでございまして、六月中にも検討の結果を取りまとめて、それを踏まえまして必要な対策を図っていきたいと、このように考えているような次第でございます。
#155
○堀利和君 ノーマライゼーションという文言を使うときは、まさに大臣が今言われましたようなことをきちっと頭に置いていただきたいんです。ここの、まさに理念なり言葉が生まれてくることをわからずにノーマライゼーションという言葉を使って、そして知的障害者は地域生活が無理だから施設にやるしかないんだと。地域生活支援のことが十分できていない。私は、まさにノーマライゼーションという言葉を使う価値があるかどうかは、まずはそこにかかると思うんです。そういう意味で、親亡き後、親がおりましても親から離れて自立して地域で暮らせる、そういう生活支援体制をぜひやっていただきたい、そう申し上げておきたいと思います。
 最後に、今回、大変期待も多い、十九名から十名の新たな社会福祉法人としてのミニ授産といいますか、そういうことがスタートするわけですけれども、これについて厚生省としては、五千を超えるいわゆる小規模作業所がある中で、どの程度の箇所数がこの法人格を取っていくのかの見通しをどういうふうに見ているのかが一つと、伺いたいのは、そうなった場合、現在一カ所年間百十万の補助金が出ているわけですけれども、仮に今受けている小規模作業所が法人格を取って移っていった場合に、その後この百十万円の補助金の施策、支給はどうなるんだろうかと思うんですけれども、これはどういうふうにするつもりなんでしょうか。
#156
○政府参考人(今田寛睦君) まず最初に、今存在します小規模作業所でありますが、関係団体の調査によりますと、全国で約五千二百カ所あると言われております。このうち定員が十名以上の施設が約七五%だと聞いております。ただ、この七五%のうちでどれくらいの数が社会福祉法人に移行するかにつきましては、それぞれの作業所の方々の意向等もあるので現時点で明確に移行数を見込むことは甚だ困難と考えております。
 厚生省といたしましては、そういう法人格をお取りになられた小規模作業所につきましては、小規模作業所の持つよさというものを失うことなく移行できるように資産要件などを緩和しますとともに、施設基準についても緩やかな基準を定めることとしておりまして、できるだけ多くの施設が法人に移行できるように期待をいたしております。
 法定された施設の方に移行された場合の補助につきましては、その実態を十分把握しながら今後検討していきたいと考えておりますし、それから従来の小規模作業所のままで、つまり法定化にはしないあるいはなれないといった、従来の小規模作業所のままで維持していただく施設の場合も当然あろうかと思いますが、こういった場合に、その活動を支援するための現行の国庫補助については引き続き継続したいと考えております。
#157
○堀利和君 簡単に言ってしまいますと、十人から十九人の新たな社会福祉法人の法人格が取れるということへの期待、法案には本音ではちょっと賛成もできないんだけれども、この法人格が欲しいんだという、そのために早く法律を通してという意見があるぐらいですので、ぜひそういった方向の御意見を受けとめながら、しかもそれができたら今の百十万の補助金がなくなるんじゃないかという心配もあります。それもないように皆さんに十分お知らせいただきたいことをお願い申し上げて、終わりたいと思います。
 以上です。
#158
○今井澄君 残されたわずかの時間にちょっと確認的な質問をさせていただきたいと思いますが、今の堀委員の質問に引き続いてひとつお願いがあるんです。今度小規模作業所が法人格を取れるわけですが、それはその小規模のよさもあるわけですが、やがてそういうところがいろいろな複合的な事業をやっていくということもあるわけですので、そういう意味でもこの法人格の今後の発展の糸口になるような、そういうことも考えておいていただきたいと思います。
 さて、私が確認したいのは、もう何人もから出ましたし、私も質問しましたが、やっぱり今度の法改正で一番心配なのは負担の問題なんですね。お金が減らされるんじゃないか、公的責任が後退するんじゃないかと、ここです。
 そこでお尋ねしますが、サービス利用者の間で、新たな利用制度移行後の負担が増大するのではないかと、こういう不安がある。それから、負担が引き上げられるのではないかという心配がある。また、新たな制度への移行に伴って公費負担の水準が後退するんではないか、こういう心配があるが、いかがでしょうか。大臣、そういうことはないと。
#159
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の改正の趣旨は、利用者がサービスを選択できる制度にするなど利用者本位の社会福祉制度を確立することによりまして、今回の改正に伴いまして公的な責任が後退するようなことがあってはならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
 このため、今回新しく導入される利用制度のもとでの自己負担につきましては、だれもが安心してサービスを利用できるようにするとの観点から、従来と同様所得水準に応じた負担、いわゆる応能負担の考え方によることといたしておるわけで、利用者負担の水準を引き上げないようにいたしたいと思います。また、国及び地方公共団体におきましても公費負担の後退を招かないようにいたしたいと思います。
#160
○今井澄君 つまり、今の御答弁は、午前中の参考人質疑の中にもありましたが、現在、措置費総体の中での利用料は七、八%の水準だと聞いておりますが、今後とも利用制度に移っても支援費はそういう水準で推移すると、そういうことですね。
#161
○国務大臣(丹羽雄哉君) そのように御理解を賜りたいと思います。
#162
○今井澄君 それではもう一点お尋ねいたしますが、やはり社協についていろいろな心配が出ております。そこで、都道府県社会福祉協議会に設置される運営適正化委員会について、その中立性や公正性をどのように担保していくのかということについてお答えを願います。
#163
○国務大臣(丹羽雄哉君) 都道府県の社会福祉協議会に置かれます運営適正化委員会につきましては、その業務の中立性や公平性を担保するため、政令や省令の中で、一つは運営適正化委員会の委員を選考する組織として選考委員に関する規定を設けることにいたしております。そして、選考委員会の委員につきましては、当事者を含む関係者の意見を広く聞いた上で、福祉サービスの利用者を初めとする多様な分野から選ばれるものといたしております。
 それから、運営適正化委員会の委員の選任に当たりましては、選考委員会の同意を必要とすることといたしており、運営適正化委員会の委員が幅広い関係者の意見を反映した形で選ばれるようにすることなどを定めるとともに、運営適正化委員会の事務局につきましては、社会福祉協議会の指示を受けることなく社会福祉協議会から独立した運営を行ういわゆる第三者機関である旨の規定を設けることにいたしております。
 それから、運営適正化委員会は、毎年少なくとも一回、その業務の状況及びその成果について報告書を作成し、これを公表しなければならない旨の規定を設けることなどを行うことにいたしております。
 運営適正化委員会は、権利擁護システムや苦情解決システムの柱となる仕組みでございます。その業務が公正中立に行われなければならないことは当然のことと考えているわけでございます。今申し上げましたような政令や省令の規定の整備に加えまして、社会福祉協議会に対する適切な指導を十分に行うなど全力を挙げて取り組んでいきたい、こう考えておるような次第でございます。
#164
○山本保君 公明党・改革クラブの山本保です。
 最初に、私は五分間だけの限られた時間ですが、与党三党を代表しまして三点ほど確認的な御質問をさせていただきますので、簡潔にお答えいただきたいと思っております。
 まず第一ですが、今回の法改正の本旨は、これまでもお話ございましたように利用者本位の社会福祉制度を実現させようということであって、利用者と事業者との間で対等な関係を実効あるようにするために、事業者による情報提供でありますとか、利用契約の申し込み時の説明、また、契約成立時の書面交付、地域福祉権利擁護事業、苦情解決の仕組み等のきめ細かな利用者保護の規定が整備されているわけであります。
 これをよく読んでみますと、条文から見ましても、このうち、利用契約の申し込み時の説明とか契約成立時の書面交付については、特に障害保健福祉において利用制度に移行する福祉サービスだけが対象になっているというふうに条文から読めるわけですけれども、これ以外の申し上げたようなことについては、当然それ以外の、例えば児童福祉施設などについて措置制度で入所するとか、また保育所等におきますように行政との契約で入るというようなさまざまな入り方があるわけですが、こういうさまざまな利用の仕方も全部含めて利用者サービスというふうに読むべきであると私は思うんですが、これでよろしいか、お聞きしたいんです。
 なぜそうお聞きするかという蛇足ですけれども、これまで児童福祉などについて私は専門でやっておりましたが、親の意に反しなければいいのだという解釈から、反対がなければいい、反対がなければ説明も適当にやっていけばいいとか、または親権者がいなければ反対ができないんだから親権者を捜さなくてもいいというようなことが一部にありました。これは、まさにこんなことではおかしいわけでして、積極的なインフォームド・コンセントという立場から当然説明をきちっとして了解をとる、同意をとるべきであるというふうに実は指導を役所としてもやってきたわけです。
 しかし、今回の条文をこのまま誤って読みますと、契約のときだけがそういうことであって、今までのような形で措置になった場合には入らなくていいんだというような解釈がもし出てくるとこれは大変なことであって、この法律の意味とずれてくると思うわけでありまして、お聞きしたいわけであります。
#165
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生が御指摘されましたように、今回の法改正は、利用制度化される福祉サービスだけではなくて、すべての福祉サービスに対して適用されるものと考えております。法律の第一条の目的、また基本的な理念、そのほか今、先生の御指摘された地域福祉権利擁護事業、苦情解決その他もろもろのこと、すべての福祉サービスに適用される規定である、また精神であるというふうに考えております。
#166
○山本保君 では、次に今度は細かい各論でございますが、手話通訳事業についてお聞きしたいんです。
 手話通訳事業が今度社会福祉事業に含まれる。身体障害者福祉法を見ますと、それは意思疎通を仲介するサービスである、こういうふうに書かれております。
 そうしますと、私はこれまで委員会でも言ってまいりましたが、特に人生の途中の段階で耳が聞こえなくなったというような方にとっては、手話というのはなかなか難しくて、要約筆記というような形のサービスが大変重要である。しかしながら、このようなサービスについての社会的認識が非常に低いものですから、予算化されていないとか専門性が低く見られているというようなものがあるわけでありますが、今回、手話通訳事業というときに、この要約筆記事業は「手話通訳等」という中に含まれると解してよろしいのかどうか、お聞きします。
#167
○政府参考人(今田寛睦君) 委員御指摘の要約筆記につきましては、今回法定化いたします手話通訳事業に含まれるものでございます。具体的には厚生省令で規定することといたしております。
#168
○山本保君 最後にもう一つお聞きします。
 今回の改正の趣旨からいいまして、多様な主体によって利用者本位のサービスをふやそうというわけであります。
 本年三月末に既に保育所関係の規制緩和があった。これは、最低基準をきちんとクリアしておれば、第一に設置主体は限定しない、第二に定員は大都市部においては二十人以上でよろしい、第三は建物なども賃借でもよろしい、こういうのが出されたと聞いております。
 まだ都道府県では実際なかなか進んでいないようでありますけれども、厚生省、国としては今回の新しい社会福祉法の理念に基づきまして、質の高いサービスを提供できる認可外の、いわゆる無認可、認可外の保育施設については認可保育所に移行させていこうという基本方針であるというふうに理解しておりますが、それでよろしいでしょうか。
#169
○政府参考人(真野章君) 保育所を認可いたします具体的な認可は都道府県知事が行うことになっておりますが、厚生省といたしましては、先生御指摘のとおり、認可保育所が保育サービスの提供の基本であるというふうに考えております。
#170
○山本保君 ありがとうございました。
#171
○沢たまき君 同じく公明党の沢たまきでございます。
 時間がありませんので単刀直入に聞かせていただきますが、障害保健福祉総合研究事業として音楽療法の臨床的意義とその効用に関する研究が進められております。昨年の三月に中間報告が厚生省に提出されておりますが、この報告書に対する厚生省の御感想をまず承りたいと思います。
#172
○政府参考人(今田寛睦君) 御指摘の研究の中間報告でございますが、障害者の施設あるいは医療機関におきまして音楽活動に取り組んでいる者など千八百十人を対象としたその実態についてアンケート調査等を行った報告でございます。
 この調査には、六百十五名、約三割の方から御回答をいただいておりますが、活動しておられる障害者の施設や医療施設において、レクリエーション活動あるいは生活訓練などの一環として音楽活動が取り入れられているということが報告されております。
 本研究におきましては、いろいろな施設で老人あるいは障害者等に対して音楽活動が取り入れられ、また不眠や不安などに対する有効性も指摘されているところであります。しかしながら、音楽療法を一つの体系的な技法として確立するためには、その定義、対象あるいは効果等について医学的あるいは科学的な検証方法を吟味する必要があるのではないかと考えておりまして、さらに研究を進めることが必要かと存じております。
#173
○沢たまき君 この報告書のアンケートによりますと、福祉とか教育の領域では約九〇%が音楽療法を既に取り入れております。それからまた、高齢者関連の施設とか病院等、あるいはホスピスなどでは約八六%が音楽療法を取り入れたいと回答しております。しかし、その内容は、今、局長がおっしゃったように、そういう音楽療法という意識はなく、レクリエーションだとかまたは行事の折々にそういう音楽をやるという、サークルの活動みたいに音楽が活用されているにすぎないんです。
 しかし、この報告書によりますと、音楽という情緒的な部分のものでありますので、精神科医、心療内科等々、あるいは障害のある方の治療に大変効果が上がっているとここには書いてあります。障害児の心の状況に応じて音楽を変化していく必要がある、そういうような技法であると書いてあります。それなので、私は福祉事業における音楽活動について音楽の技能とか医学等の専門性が必要だと思いますが、厚生省はどう受けとめていらっしゃいますか。
#174
○政府参考人(今田寛睦君) 音楽につきましては、もちろんいろいろな分野でいろいろな役割を演じていただいておると思いますが、福祉施設におきましても音楽活動が非常に幅広く取り組まれている、そして利用者のQOL、生活の質の向上にも大いに役立っている、このように承知をいたしております。
 先ほども若干触れましたように、音楽療法について、どのような障害、どのような疾病にどのような音楽活動が有効であるのかといった意味では、現在、研究段階ではなかろうかと思っております。
 福祉事業におきます音楽活動の専門性の確立につきましては、こういった音楽療法の定義でありますとか、あるいは有用性についてさらに医学的、科学的な証明が行われる、これを前提として今後考えていく必要があるのではないか、このように思っております。
#175
○沢たまき君 通常、健常者であれば単に音楽を鑑賞するというだけで足りるわけですけれども、対象が障害者とか痴呆症、知的障害者、自閉症、各種の障害があります場合は、単なるレクリエーション的な対応ではなくて、高度な音楽の技能、あるいは外国あるいは日本でも民間で認知しております音楽療法士という資格のある方々が、医学的見地あるいは心のケアの専門性が大変必要になってくることは当然だと思います。この点で、この報告書の主任でいらっしゃいます日野原先生は、日本は五十年おくれていると指摘されているわけです。
 日本は精神障害者に対しても薬漬けにしておりますし、何でも薬という風潮があるような気がいたします。障害者に対してもっと心のケアを科学的あるいは医学的に研究していくべきだとここではおっしゃっているんです。まさに、質の向上という意味で、厚生省は心のケアについてもっと積極的に取り組むべきではないかなと思うんですが、いかがでございましょうか。
#176
○政府参考人(今田寛睦君) 精神医療においても同様の指摘がございまして、薬に頼ったケアがいいのか、さらに心理的、精神的治療というものをもっと重視しなくてはならないのではないか、そういった御指摘は私どももるるいただいているわけでございます。したがいまして、例えば医療分野でもそういうことがあると同じように、福祉の分野でもそういう精神、心理的な側面からのアプローチ、これを重視すべきということは委員御指摘のとおりかと思います。
 現在、指導員が、利用者の心のケアの相談を受けたりあるいはそういったことを解決する手段として、音楽でありますとか運動でありますとかさまざまな活動を工夫していらっしゃるかと思います。このように、福祉関係者の中においても、心のケア、精神的なアプローチというものが大変大事だという点につきましては、今後、福祉関係者の中における研修、情報交換、さまざまな自己研さんの中で連携して強化する必要があると、私どももそのように考えております。
#177
○沢たまき君 その他、虐待を受けた児童なんかにもこういう療法を施しておりますので、ぜひそのようにしていただきたいと思います。
 大臣にちょっとお伺いいたしますが、最終報告に向けて研究が進められております。社会福祉事業の分野においても音楽療法の持つ役割について注目していくべきだと思っているんですが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
#178
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今さら申し上げるまでもなく、人間生活にとって音楽というのは今も昔も心を豊かにして和ませていただける。かつて委員もジャズ歌手として大変御活躍をいただいて、私どもに感動を与えてくれたわけでございます。
 私もさまざまな施設を視察させていただく中で特に印象に残っておりますのが、平塚にございます、日野原先生などが中心になっておりますホスピスでピースハウスというのがございます、ごらんになったかどうかわかりませんけれども。非常にこれは音楽療法を中心にして、残された人生を幾らかでも和やかに、そして力強く音楽を通して生かしていくというようなことで、私もそれを拝見させていただきまして大変感動をいたしたわけでございます。
 今後、音楽療法につきましては、当然、厚生省といたしましても厚生科学研究におきましてさらに研究を深めまして、福祉施設における音楽療法の役割につきまして十分にその成果を踏まえて検討していく必要があるものと考えているような次第であります。
#179
○沢たまき君 大変ありがとうございます。人間の生命は本当に不思議なものでございますから、薬だけではなくてこういうものでも治るということがございますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。
 次に、盲導犬と介助犬についてお伺いいたします。
 今回の改正で盲導犬訓練施設が新たな事業として認められたことはもう本当にうれしくて、大きな期待を寄せております。
 現在、先ほどの参考人もおっしゃっておりましたけれども、こちらのきょうの中部盲導犬協会の方は、希望する方が、今すぐ欲しいという方が四千八百人、潜在的に盲導犬を希望している方が七千八百人ということでございますが、供給できるのが年間百三十頭にすぎないと言われております。事業認定をしたことで今後の供給体制の見通しについて伺わせていただきたいと思います。
#180
○政府参考人(今田寛睦君) 盲導犬が次第に社会に認知をされまして、いろいろなところで活動といいますか受け入れも進んできたように私どもも思っております。ただ、その育成に対しましては、非常に時間がかかること、あるいは利用者との関係といいますか、人と動物との心の触れ合いといったものもあわせて訓練をされるということから長期間にわたって訓練が必要だということなどもあって、御指摘のように必ずしも十分に行き渡るという状況にないのは、私どももそのように感じております。
 今、日本財団の方で調査されました中では、現在希望する方が御指摘のように四千七百人程度と、このように推計をした結果を私ども承知しているわけでございますが、そういう意味からしますと、すべての方々に盲導犬が提供されているという状況にはまだまだ遠いというふうに思います。
 今回、法人化をしたということによりまして、一つは盲導犬に係ります訓練に取り組んでいただく、それに参入していただく方々の一つの力添えにもなろうかと思いますし、また社会的な評価というものもそれによって深まっていくのではないかということを期待しているわけでございます。
 いずれにいたしましても、育成にかなりの時間を要するということから、必ずしも一気に供給力を増すということにはならないかとも思いますけれども、現在、平成十年度末で八百五十頭が稼働しておりますけれども、十二年度には新たに二百七十頭を育成するための予算を確保したところでございます。
 いずれにいたしましても、法定施設になったことでより理解と供給力の推進が深まるように、引き続いて普及促進を図っていきたいと思っております。
#181
○沢たまき君 はい、わかりました。
 では次に、介助犬についてお伺いしたいんですが、介助犬についてはまだ公的に認定されておりません。欧米では有効性が証明されて既に五千頭が活躍しておりますが、我が国における介助犬に対する取り組みが大変おくれていると思っております。
 大野政務次官は、この介助犬については早くから取り組まれて、厚生省に対し公的認定等普及の促進についてもかなり前に質問主意書も提出されております。我が国も本格的に取り組む必要があると思いますが、いかがでしょうか。政務次官にお伺いいたします。
#182
○政務次官(大野由利子君) 介助犬は、肢体不自由者の方の日常生活を支えるために、障害によって失われた四肢の機能を代行するように訓練された犬と理解しております。私も、介助者の奥さんが留守のときでも介助犬に助けられて自宅で明るく仕事をしていらっしゃる、そういう姿を視察させていただいた経験がございます。でも、今おっしゃったように、欧米に比べて日本は大変まだ歴史が浅くて、平成二年ごろから育成が始まって、全国八カ所の育成団体でこれまで十頭程度が育成されている、こういう状況です。
 盲導犬は視覚障害者の方のための特定の役割を果たすことが期待されているわけですが、介助犬の場合はどうしても肢体不自由者、障害の程度もさまざまですし、ニーズも多様化しているものですから、その辺が盲導犬に比べてなかなか難しいところがあるのかな、このように思っておりますが、平成十年度より三年計画で厚生科学研究費補助金によって介助犬に関する基礎的調査研究を実施しておりまして、先ごろこの二年間の結果が中間的な報告として取りまとめられたところでございます。
 厚生省でも、こうした状況を踏まえまして、障害者の自立や社会参加を促進する観点から、介助犬の有用性、社会的受け入れのための条件整備など、当面する課題について関係者の意見を幅広く聞くために、介助犬に関する検討会を五月中にも厚生省に設置をいたしまして、平成十二年度中を目途に報告書を取りまとめる方向で現在準備を進めている状況でございます。
#183
○委員長(狩野安君) 時間です。
#184
○沢たまき君 はい。
 だれでも生きている間には生きててよかったと思いたいものでございますから、盲導犬に続いて介助犬も何とぞよろしくお願いを申し上げます。
 最後に、厚生大臣に私のお願いでございます。
 本当に全部というわけにいかないでしょうけれども、今申し上げたように生きているものはすべて幸福を享受する権利がありますので、どうかよろしくお願いを申し上げて、質問を終わらせていただきます。
#185
○小池晃君 日本共産党の小池晃です。
 本法案の措置から利用契約制度への変更が議論になってきておるわけであります。この変更で逆選択が生まれるんじゃないかということを前回議論いたしました。
 きょうは、利用者の権利が事業者と対等のものになるというんですけれども、果たして本当にそうなんだろうかということについて議論をさせていただきたいと思うんです。
 利用契約制度について、先月から始まった介護保険制度の実態からまず議論をしたいというふうに思うんです。介護保険でそれまで措置制度のもとで特別養護老人ホームに入所していた人が介護保険制度で事業者との契約制度になる。この場合の契約が一体どうなっているのかということであります。
 昨年九月十七日の介護保険の担当課長会議、ここではどう言っていたかというと、こう言っているんですね。「特別養護老人ホームの入所の措置は、施行日において当然に効力を失うことになるため、旧措置入所者は、当該特別養護老人ホームの設置者と入所に係る契約を締結することになる。」、こう書かれていた。多くの施設は当然効力を失うから契約を締結するんだと言われたんですから、これはもう不眠不休で契約の手続の準備をしていたわけであります。
 ところが、これは介護保険のスタートのまさに直前、三月二十八日に厚生省が新しい文書を出した。ファクスで送られたと。多くのところは三月三十日あたりに施設には届いているんです。
 それを見ると何と書いてあるかというと、「判断能力が不十分な者を含め、旧措置入所者については、改正前の老人福祉法に基づく入所の措置は、介護保険法の施行日において当然に効力を失い、」、ここから先なんですけれども、「法施行をもって法律上当然に入所に係る契約関係に移行することから、改めて契約を締結する必要はない。」、こうなったんですね。
 これは、多くの特養ホームの関係者がこの文書を見て、唖然とした、愕然としたという声が寄せられておる。契約を締結することになる、当然、措置が切れるんだからそこから先は契約を締結することになるという方針が、措置が切れるのだからその後は自動的に契約になるので契約を締結する必要はないと。これは全く百八十度異なる方針じゃないかと。これはまさに朝令暮改というんじゃないかと思うんですが、いかがですか。
#186
○政府参考人(大塚義治君) ただいまお話ございましたように、介護保険制度の施行時点の取り扱いにつきましてさまざまな問題があるうちの一つの御指摘でございます。
 私どもは、改めて申すまでもございませんけれども、現にサービスを受けておられる方が継続してサービスを受けられるようにする必要がございますので、施行法におきまして、引き続き四月一日時点で特養に入所をされておられます方はそのまま、たとえ自立であれ要支援であれ、継続して入所できるという法律上の手当てをいたしました。
 そこで、お話の点でございますけれども、措置制度が切れましていわば契約関係に移行するわけでございますが、これを法律で担保してあると、こういう仕組みでございます。
 お話の九月の時点で確かに「契約を締結する」という表現がございました。したがいまして、その後の変更というように受けとめられてもやむを得ないわけでございますけれども、考え方といたしましては、入所者のサービスが途切れないようにするために当然に契約関係に移行するということを考え方としてはずっと持っておったわけでございます。
 ただ、九月の会議のお示しもございまして、さまざまなお尋ねもございました。お尋ねもございましたので、あるいはある意味では混乱もあったのかもしれませんので個別には疑義照会に対しましてお答えしてまいりましたけれども、最終段階でQアンドAという形で整理をいたして各都道府県、市町村にお示しをした、こういう経緯でございます。
#187
○小池晃君 もともとそういうつもりだったというふうに言うんですけれども、これはどう読んだって最初の文書は改めて契約を締結しなさいというふうにしか読めないじゃないですか。これは全く同じ意味だというふうにおっしゃるんですか。もう一回聞きたいと思います。
#188
○政府参考人(大塚義治君) そこはおっしゃいますように「契約を締結することになる。」という表現でございますから、二段目にお示しをしました文章と素直に読みますと相矛盾するかのように受けとめられてもそれはやむを得ないと思います。
 したがって、その過程で、九月から三月の間にさまざまな御指摘、御照会あるいは御疑問も寄せられましたので、逐次、ただいま申しましたように基本的な考え方は法律上で手当てしてあるということを申し上げ、それに加えて、最終的に整理をして文章化してお流しをした、こういう経緯でございます。重ねて御答弁を申し上げます。
#189
○小池晃君 非常に苦しい答弁だと思います。
 契約の必要なし、自動的に契約になるということですが、旧措置入所者は、これは痴呆で意思能力がなく、かつ代理人がいない場合、あるいは家族の虐待を受けているようなケース、こういう場合も含めてすべて無条件で契約に移行するということなんですね。
#190
○政府参考人(大塚義治君) 特段の反対の意思表示あるいは御異存がなければ当然に移行するという法律上の整理でございます。
#191
○小池晃君 これは大変なことだと私は思うんです。今まで措置で入所をしていた人は介護保険になったらどんな人でも全部自動的に契約になるんだと、全く意思能力がない人も、代理人がいなくても。いわゆるやむを得ない事由で新規の場合は、措置になるような場合もすべて自動的に契約になっちゃうと。契約書を取り交わすことも契約を締結する必要も、説明すらも必要ないというふうに文書には書いてあるんですね。今おっしゃったように、自発的に反対の意思が示されない限り自動的に契約になると。
 これは、介護保険になると新しい問題がいっぱい発生するわけです。病気で入院した場合どうするのか、あるいは介護保険の利用料の支払いをどうするのかという金銭上の問題を初めとして新たに生じた問題がたくさんあるわけであります。ところが、これらは皆本当は重大で切実な契約上の問題なのに改めて契約を締結する必要ないと。自動的に結ばれる契約の内容というのは一体何なんですか。これは一体だれとだれの契約が自動的に結ばれることになるんですか。そもそもこういうのを契約というふうに呼ぶんでしょうか。お答えいただきたいと思います。
#192
○政府参考人(大塚義治君) 先ほど申し上げましたように、実質的に担保すべきは、現に入所されておられる方が継続してサービスを受けられるということを担保しつつ、基本的に今回の制度で移行いたします当事者の合意というものを極力生かそうということでございます。
 したがいまして、制度移行時、四月一日時点では当然に契約関係に移行いたしますけれども、その後、当事者の合意で契約を再締結するということも、もちろん別にそれは禁止されているわけじゃございませんし、あり得ますし、今、例でお示しされましたように、例えば病院に長期に入院されて、施設を一たん実質上離れるというようなケース、再入所する際に契約を結び直す、もちろんこういうケースもあり得ると思います。
 ただ、繰り返しになりますが、四月一日というある一時点にスムーズに移行するためには、基本的には法律上で裏打ちをいたしまして、混乱なく従来のサービスが継続されるようにというのがあくまでも今回の一連の法律あるいはそれに基づきます法令の趣旨でございまして、そのために私どもこういう手当てをしておるということでございます。
#193
○小池晃君 実際に特養ホームの現場で何が起きているか。旧措置入所者が入院をしてしまった、保証人をどうするのか、延命治療にかかわる判断をどうするのかと。実際にもう亡くなった方も出ていて、その場合どうするのかという深刻な事態が発生しているんですね。
 大臣、今までの議論を聞いていていただいて、これは余りに御都合主義的じゃないか、いいかげんじゃないかと思われませんか。
 あなた方は、契約になると利用者の権利は保障されるんだというふうに言ってきたんだけれども、措置が自動的に契約になるというような程度のものであれば、契約制度になったって権利性の保障なんというのは果たしてされるんでしょうか。今までとどこが変わるのか。
 さらに突っ込んで言えば、今、局長は、措置のままでいかないと入所者の権利が守れないという可能性すら示唆したわけでありまして、それは契約にすると権利性が向上するんじゃなくて、逆に権利が侵される危険があるということじゃないですか。これは全くおかしな話だと私は思うんですよ。
 契約というものをこんなとらえ方でやっていて、果たして今まであなた方が言われていたような利用者の権利というのは向上するというふうにお考えなのかどうか、これはぜひお答えいただきたいと思います。
#194
○国務大臣(丹羽雄哉君) 先ほど来、大塚局長から答弁を申し上げておるわけでございますが、基本的にこれまでの措置制度から利用契約制度に移行したわけでございます。ただ、私どもが一番懸念をいたしましたことは、現にその施設に入居している方々に混乱を起こさせてはいけない、特にお年寄りの方であるとか痴呆症の方であるとか、さまざまな複雑な手続等を強いることによって現場にあらぬ混乱を起こしてはならない、こういうような観点から今のような措置をとらせていただいたような次第でございます。あくまでも利用者本位にこのような措置をとらせていただいたということで御理解をいただきたいと思っております。
 それから、当然のことながら新たに入居していただく方に関しましては新たに契約を結んでいただいて、そしてやっていくということでありまして、御理解をいただきたいのは、あくまでも現に入所している方に対するこれまでのサービスを継続していくという、要するに心配を解消するための措置である、このように御理解を賜りたいと思っております。
#195
○小池晃君 だから、私が言っているように、あなたがおっしゃったことは、契約をすると現に入所している方の権利が守られないおそれがあるということじゃないですか、措置制度から契約になるということでね。それを危惧して、そのまま措置は自動的に契約になる仕組みにしたということをおっしゃっていることじゃないですか。
 これはまさにあなた方が今まで言われていた、契約によって利用者が保護される、事業者と利用者が対等の立場になるんだと言っていた議論というのがいかにいいかげんなものかと。今回の経過を見て、厚生省が契約というものをいかに軽んじているか、この程度のものしか考えていないんだということが非常によくわかる話だと私は思うんです。どうですか、そう思われませんか。そう言われても仕方がないと思うんですけれども、いかがですか。
#196
○政府参考人(大塚義治君) 経過的に四月一日をまたぐ日、一日に関しまして、仮に契約を別途結ぶことが前提だといたしますと、当然のことながら契約がないと入所サービスが場合によりましては当事者のお話によっては一たん打ち切られる、打ち切られるといいましょうか、ゼロの時点に戻りまして、新しい契約を四月一日というその日に、一日のために結び直さなければならないということを強いることになります。
 これは現実的に考えますと、基本的な契約、すなわち従来のサービスを継続するということが基本でございますから、それは一般的に施行法によって手当てすることによって従来のサービスを引き続き継続するということをいわば擬制しても不合理ではございませんし、むしろ実態に合うもの、そういう考え方でございまして、決して契約することがむしろ権利の侵害ないしは軽視に当たるということでは毛頭ございませんので、その点は重ねて御説明を申し上げたいと存じます。
#197
○小池晃君 私は、侵害すると言っているんじゃなくて、契約になれば権利性が向上すると言ったことを自分たち自身で否定していることじゃないかと言っているんです。
 さらに、利用者の権利が守られるのかという問題についてですが、この問題で議論していくと皆さんが唯一の切り札として示されるのが地域福祉権利擁護事業であります。これがいわば権利擁護のにしきの御旗になっている。しかし、これが本当にそういう機能を発揮できるのか、この問題をちょっと議論したいと思うんです。
 まず初めに、この地域福祉権利擁護事業、先ほども議論ありましたけれども、どういう利用状況になっているのか。そして、そのうち知的障害者、精神障害者の利用状況を示していただきたいと思います。
#198
○政府参考人(炭谷茂君) まず、地域福祉権利擁護事業の利用状況でございますけれども、平成十二年四月末現在、契約締結件数は準備中のものも含めまして全国で約六百二十件となっております。
 また、そのうち対象者別でございますけれども、すべての県が統計をとっているわけではありませんので、対象者別の統計をとっているものが約三百七十件ございます。その内訳は、痴呆性高齢者が二百八十件、知的障害者が約六十件、精神障害者が約三十件となっております。
#199
○小池晃君 精神障害者は全国で二百十七万人。約三十件とおっしゃったけれども、私が計算したら二十八人です。たった二十八人の利用。これは地域差も極めて激しくて、締結ゼロの県が十一県あります。締結と締結準備をしているというのを合わせて一けたの県が二十八県。これは率直に言って普及はおくれていると。この事実はお認めになりますか。
#200
○政府参考人(炭谷茂君) 権利擁護制度は昨年の十月から試行的にやっているわけでございます。四月末までに利用に関する相談がございましたのは約一万七千件に上っているわけでございます。そのうち、契約、また準備中のものも含めまして六百二十件というふうになっているわけでございますけれども、相談等が多いということから見ますと一定の利用が図られつつあるのではないのかなというふうに思っております。
 ただ、都道府県別に見ますと確かに差があるわけでございます。これについては、それぞれの県においての努力ということについて、私どもとしてそれについての指導というものも深めていきたいというふうに考えているわけでございます。
#201
○小池晃君 決して十分じゃないですよ、この到達は。何でその利用が進まないのか、問題はその原因だと思うんです。
 この権利擁護事業に対して国はどういう財政負担を行っているか、説明をしていただきたいと思います。
#202
○政府参考人(炭谷茂君) まず、基本的な考え方を申し述べますと、地域福祉権利擁護事業の一連の作業の流れがございます。そのうち、わかりやすく申しますと、実際に支援員の方々がサービスを実施する、例えば利用についての援助を行うとか一緒に代行してあげるというような実際にサービスを要する部分については利用者の自己負担でお願いいたしますけれども、他の部分、例えば実際の相談、またそれらの契約の申し込み、またそれらについての委員会での監視というような他の部分については公費負担で行っておるわけでございます。
 ちなみに、十二年度における事業費は三十七億四千万円を計上しているわけでございます。
#203
○小池晃君 これは財政負担、専門員一人当たりにすると四百八万円の委託費ですね。人件費分にも相当しない。実際に仕事に当たる支援員一人当たりに一応換算してみると、年額約二十万円程度です。全く不十分だと思うんです。
 今御説明があったように、実際のサービスにかかる費用というのは全部利用者の負担だと。
 利用料の実態をいろんなところへ電話して調べてみました。東京都では一時間で千円、北海道は一時間で千二百円、埼玉県では基本料金が四百円にプラスして一時間当たり八百円。これは基本的な利用料で、そのほかに交通費それから通帳などの預かり料というのは別途大体取っていると。こういう利用料負担が利用を阻んでいる。これは否定できないと思うんですね。
 措置から利用契約制度になってもこういう権利擁護の制度があるから大丈夫だというふうにおっしゃるのであれば、これがそれほど重要な制度だというのであれば、私は利用料は公費負担でやるのが筋じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#204
○政府参考人(炭谷茂君) この事業につきましては、例えば福祉サービスの利用援助や日常的な金銭管理等をお願いするものでございまして、本来利用者の利益のために行われるものでございますから、サービスを実際実施するに当たっての費用につきましては自己負担の原則をとっているわけでございます。
 しかしながら、低所得者の方々につきましては利用料を減免するなど、それぞれの工夫をお願いしているわけでございます。また、生活保護世帯につきましては公費で、国、県の補助金で賄うという仕組みを導入しているわけでございます。
#205
○小池晃君 利用者の利益のためにやるとおっしゃいましたけれども、これは権利を守るためにやるんじゃないのですか。全くおかしい議論ですよ、今のは。権利擁護のための制度なんでしょう。利用者の利益のためだから利用料は本人から取るなんというのは全く私はふざけた議論だと思いますよ。
 さらにお伺いしたいけれども、この地域福祉権利擁護事業の対象となるのはどういう障害者ですか。
#206
○政府参考人(炭谷茂君) 権利擁護事業は、判断能力が不十分な方々、つまり具体的に申しますと痴呆性高齢者の方や知的障害者、精神障害者などの対象を予定しているところでございます。
#207
○小池晃君 痴呆性高齢者、知的障害者、精神障害者が対象だと。利用者の選択の権利を保障するのがこの目的のはずであります。その点で、ハンディを持っているのは決して知的障害者、精神障害者、痴呆性高齢者だけじゃないはずです。
 例えば、最重度で全く動けない寝たきりの障害者、ひとり暮らしをしているような人、こういう人たちというのは自分で事業者を選択したり契約を結んだりということは当然一人じゃできない。あるいは聴覚障害者はどうか、視覚障害者はどうか、みんなハンディを持っているわけであります。
 権利擁護というのであれば当然その必要なすべての障害者に対して広げるべきじゃないんですか。何で痴呆性高齢者と知的障害者と精神障害者の三者に限定をするんでしょうか。
#208
○政府参考人(炭谷茂君) 権利擁護事業は、判断能力が不十分な方々が、援助なくしては合理的な意思決定が困難である、その結果福祉サービスを適切に利用できないなど、安心して生活を送ることができない場合が多いことを踏まえ、本人の立場に立って自己決定の支援をすることにより、地域でできる限り自立した生活が送れるよう支援する事業として考えているわけでございます。
 したがいまして、今御指摘の、例えば寝たきり老人の方々についてとか、また身体障害を有している方々について、判断能力が不十分と認められる場合にはもちろん対象になるわけでございますが、判断能力を有している方々についてはいろいろな他の既存の制度で対応していただくということになろうかと思います。
#209
○小池晃君 いろんな制度で対応していただくといういろんな制度というのは一体何ですか。
#210
○政府参考人(炭谷茂君) これはまさに、例えば地域福祉という観点から申しますと、民生委員の方々の援助とか、またこれから望ましい市町村社会福祉協議会の見守り、または住民参加の援助というようないろいろなもの、お互いに助け合っていくということが組み合わされていくものというふうに考えているわけでございます。
#211
○小池晃君 一般的なことを言っているんじゃなくて、利用契約制度に移行する、権利擁護のシステムをつくった、それで地域福祉権利擁護制度は判断能力のない人だと。今回の法案にかかわって新しく、ではそれ以外の障害者の権利をどうやって見守るのかという仕組みはあるんですかと聞いているんです。
#212
○政府参考人(炭谷茂君) 今回、私どもが地域福祉権利擁護事業を構成いたしましたのは、いわが利用制度に伴うということでございます。利用制度に伴いまして契約を結ばなければいけない、契約を結ぶに当たってその判断能力というものが問われるわけでございます。それの援助を行うというような観点でこの地域福祉権利擁護事業を構成したものでございまして、単なるいわば、一つの例を出しますとホームヘルプサービスのように、もちろん身体的かつ家事的な援助という分野とはやはり一線を画す制度でございます。
 昨年の秋に成立いたしました成年後見制度というものもございます。これもいわば似たような制度でございまして、契約の補助もしくは代理を行うというような制度でございますが、それを補完し合う制度というふうな御理解をいただければよろしいのではないかというふうに思います。
#213
○小池晃君 要するに、いろいろおっしゃったけれども、利用契約制度に移行するときの権利擁護のシステムとしては判断能力のない人の部分しか用意していないということなんです。
 さらに、全国の痴呆性高齢者は百五十六万人、知的障害者四十一万人、精神障害者二百十七万人、これだけいるわけで、一体厚生省はこの中でどれほどの障害者がこの地域福祉権利擁護事業を利用すると想定されているんでしょうか。
#214
○政府参考人(炭谷茂君) まことに申しわけございませんが、現在のところ具体的な利用の見込み数についての推計は大変困難ではなかろうかというふうに考えております。
#215
○小池晃君 どれほど使うかは想定していないんですから、決意のほどがうかがわれるというものじゃないでしょうか。
 そうした中で、支え手の問題であります。専門員は全国で三百四十七人、生活支援員は登録で六千三百九十三人。この数だけ見ると結構多いのかなという印象も受けるんですが、果たしてこの人たちが本当にこの事業に実際にかかわれるのかということでいえば大変疑問なわけであります。
 これは社協の事業としてやるわけですけれども、法人格を持つ三千三百四十二の市町村社協の大半がもう実施主体として日々仕事に追いまくられている。常勤、非常勤合わせて社協の職員は七万五千五百九十人いるわけですが、現在障害者の生活支援事業と精神障害者の生活支援事業にかかわっている常勤職員というのは六十三人、全国で。非常勤を加えて二百十六人。
 今まで大変忙しく、自分の仕事を抱えている上に新しい事業として生まれるわけでありまして、果たしてこの三つの障害者だけでも全国で四百万人を超える数のニーズにこたえるマンパワーを確保できると、そういうふうにおっしゃれるんですか。どうですか。
#216
○政府参考人(炭谷茂君) 現在、地域福祉権利擁護制度における国庫補助という形で、まず県社協の本部に専属の職員として三人、これは主に事務を扱うという形になろうかと思います。それから、専門員として三百六十人程度を国庫補助で用意いたしまして、さらに五月現在、生活支援員として新規に全国で六千四百名の方々が確保されておりますので、当面はこの人数で十分対応できるのではないかというふうに考えております。
#217
○小池晃君 私はその数は言ったので、それが実際できるのかと言ったのに、一切それには答えていないじゃないですか。
 さらに、この権利擁護サービスには対象外となっているサービスがいっぱいあるんですね。調べてみると、福祉就労に関する援助、居宅家屋の賃貸、健康診断とか医療機関の利用援助、病院に行って利用援助するなんかは大切な仕事だと思うんです。それから、文化・レクリエーションに関するサービス、こういったものは全部対象外だと。
 障害のある人が地域で普通に生活できる権利を守る制度であるならば、こういう大切な基本的な権利を対象外にする道理が一体どこにあるんでしょうか。
#218
○政府参考人(炭谷茂君) まず、地域福祉権利擁護事業の本来の目的は、あくまで福祉サービスの利用について援助をしようということで制度が中核として成り立っているわけでございます。もちろん、今、先生のおっしゃられました医療機関へ行くとか、またレクリエーション活動、福祉就労、そのようなものはもちろん障害者の方々にとって重要でございますけれども、この地域福祉権利擁護事業の本質、最も基本的な仕事は、先ほど申しましたような福祉サービスの利用をどのように進めるか、契約を行うとかまたサービスをどのように選ぶかというものを援助するものでございます。
 したがいまして、先ほどのようなケースにつきましては、この制度の本来の仕事にはなっておらないわけでございます。
#219
○小池晃君 大変不十分だというふうに思うんですね。
 大臣にお聞きしたいんですけれども、マンパワーもこれは大変不足している、対象となるサービスも対象となる障害者もこれは限定つきだ、そして利用料については利用者の利益だから利用者に負担してもらうんだと、そうまでおっしゃる。これで本当に障害者の権利を守る事業として機能すると大臣はお考えでしょうか。これは絵にかいたもちじゃないかという批判が障害者団体からも上がっていますけれども、大臣、この疑問にどうお答えになりますか。
#220
○国務大臣(丹羽雄哉君) 新しい措置制度から選択、そして契約を結ばれる中において利用者の皆さん方の権利を擁護するということが何よりも大切である、こういったような観点から、御案内のような権利擁護事業というものを全国で普及するためにマンパワーを確保したわけでございます。
 委員からは、これではとても人数が足りないのではないかとか、そのほかの業務に抹殺されて忙しくてできないのではないか、こういうような御指摘がございましたけれども、私ども、今回の法改正を通じまして、まさに利用者の権利というものをきちんと守るということが今回の法改正の最大の目的でございます。一部においてはまだまだ不足地域も見られるわけでございますけれども、こういった地域を十分に指導する中において、質の高い権利擁護事業が行われるように今後とも努力をしていく決意でございます。
#221
○小池晃君 大臣、これで十分な制度だと、機能するというふうにお考えなのかどうか。イエスかノーかお答えいただきたい。
#222
○国務大臣(丹羽雄哉君) イエスかとかノーかとかいうよりも、まず私どもは今申し上げたような利用者の権利擁護のために全力を尽くさなければならない、そういう決意を新たに申し上げさせていただいている次第であります。
#223
○小池晃君 成年後見制度の話も先ほど出ましたけれども、これもかなりの費用がかかる、福祉の実情に見合っていないという声が強いわけであります。利用者の権利を守る仕組みが大変貧弱だということがきょうの議論で私はある程度明らかになったんじゃないかと思うんですよ。こういう中で利用契約制度に移行したならば、本当に障害者の権利を守れるのか、不安の声が上がるのは私は当然のことじゃないかというふうに思うわけであります。
 さらに引き続いて、障害者の所得保障の問題についてお聞きしたいんですが、最初に障害年金の問題であります。
 さきの年金審議では無年金障害者の深刻な実態が出されましたが、年金を受けている障害者の生活実態も深刻であります。そこで、現在の障害基礎年金の受給月額の平均、一級、二級、総数でそれぞれ幾らか、お答えいただきたいと思います。
#224
○政府参考人(小島比登志君) 障害基礎年金の平均年金月額でございますが、平成十年度末におきます額ですと、一級が八万四千二百五円、二級が六万八千二百三十円、全体で見ますと七万六千六百四十九円となっております。
#225
○小池晃君 では、厚生省社会・援護局が設定している最低生活保障水準の具体的事例で、重度障害者を抱える二人世帯に対する最低水準の生活保護費は障害者加算を含めて幾らに設定されているか、一番多い地域と少ない地域で。
#226
○政府参考人(炭谷茂君) 生活保護制度における障害者世帯の最低生活費については、人数、年齢構成等によって異なるわけでございますが、標準的なもので御説明させていただきますと、二十五歳の障害者と六十五歳の者により構成される世帯の場合については、一番高い東京都区部などの一級地の一と定めている地域においては十九万四千二百円、一番低い三級地の二と定めている地域においては十五万六千八百十円となっております。
#227
○小池晃君 生活保護基準を大幅に下回るのが障害基礎年金の額であります。さらに、障害厚生年金の受給月額の平均は全体で十万四千三百六十円というふうに聞いています。厚生年金まで受け取るようになって初めて受給が十万円を超えると。これでも生活保護水準に比べれば大きな開きがある。
 問題は、どれだけの障害者が厚生年金を受給できているか。障害基礎年金の受給者数と、そのうち障害厚生年金を受給できている人の数を答えていただきたいと思います。
#228
○政府参考人(小島比登志君) これも平成十年度末の数字でございますが、障害基礎年金の受給者数は百十四万三千人となっております。そのうち、新法障害厚生年金も受給している者は十万人となってございます。
#229
○小池晃君 非常に少ないわけであります。八割の年金受給者は六万円から八万円の基礎年金だけで生活するか、それに授産施設や福祉工場の工賃を加えて生活している。
 福祉施設の支払う給料、工賃がどういう水準なのか。全社協の調査によれば、直近の調査で、法定施設全体で二万八千六百九十円、身体の授産施設で二万六千四百三十円、知的の通所授産施設で一万六千八十円、精神の入所授産施設で九千六百五十円という実態があります。共同作業所全国連絡会の調査では、小規模作業所の平均工賃は四千七百四十二円。障害年金の平均月額を受給して授産施設でその工賃平均額を受け取っても、合計額は十万円前後なんですよ。日本障害者協議会の障害者に関する総合計画提言では、自立を求めて授産している障害者が生活保護以下の所得しか持てない現状、これを批判しています。そして、障害者の所得保障について政府の取り組みを求めています。
 大臣にお伺いしたいんですが、障害年金の大幅増額を中心とした抜本的な所得保障がどうしても必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#230
○国務大臣(丹羽雄哉君) 障害者の方々に対する障害年金の給付によりまして、もう委員に申し上げるまでもなく、障害により十分な所得を得られない面を補うとともに、特に重度の障害のある方に対しましては、障害によって生ずるさらなる負担を軽減するために特別障害者手当というものを給付いたしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、給付も消費水準などに見合って引き上げたところでございますし、私どもとしては最善の努力をさせていただいているところでございます。
#231
○小池晃君 現状の障害者に対する所得保障は不十分だというふうにお考えなのかどうか、お答えいただきたいと思う。
#232
○国務大臣(丹羽雄哉君) 最大限努力をさせていただいておると、このように考えております。
#233
○小池晃君 最大限努力するということは、要するに現状はまだ満足すべき段階に到達していないということでよろしいですね。
#234
○国務大臣(丹羽雄哉君) 何をもって満足すべきか、何をもって果たして、これは障害者の方だけではなくて、十分な生活を保障できるかということにつきましては議論があるわけでございますけれども、限られた財源の中で私どもとしては精いっぱいの努力をさせていただいておるということを申し上げているところでございます。
#235
○小池晃君 これは率直に言って所得保障が大変不十分だと。そういう中で、利用料による負担がもし増額されれば大変心配の声が上がるのは当然だと思うんです。
 大臣は、おとといの質疑で、今回の法案は正直に言って介護保険の後追いだというふうにおっしゃった。今後の負担増を心配する声が出るのは私は当然じゃないかと思うんですが、その声にどうおこたえになりますか。
#236
○国務大臣(丹羽雄哉君) これはまさに今、総理大臣のもとで、これまでどちらかというと年金は年金、医療は医療、介護は介護と縦割り行政の中でこういったような政策の議論がなされてきた嫌いがなきにしもあらず、要するに社会保障全体の中でどうあるべきかと、こういうような考え方のもとに今後のいわゆる老後におきます問題、そして障害者の問題、こういったものをすべて一つの問題として道筋を示すべきだということで鋭意検討中でございます。
 その中で私が申し上げましたことは、やはり年金という問題が大変お年寄りの中においては依存する割合が高まっているということを返す返す申し上げたような次第でございます。
#237
○小池晃君 余り私の言ったことにお答えになっていないなと思うんですが、先ほど今回の一連の経過の中で利用料負担はふやさないとおっしゃいました。これは将来とも介護保険のような応益負担にはしない、現行の応能負担でいく、障害者の負担を増加させることは将来ともないんだという趣旨と受け取ってよろしいんですか。そういうことをおっしゃったんですか。
#238
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私は、障害者という所得が得られにくい方々に対する措置としてこれまでと同じような応能負担を維持していると、こういうことでございますけれども、基本的な考え方としては、これまでの措置制度から選択、そして契約、こういう流れの中において、利用者の皆さん方が、特に弱者の皆さん方が生活に困らないということも十分に配慮しながらこういった問題について議論をさらに深めていくべきだと、こう考えております。
#239
○小池晃君 今のは非常にあいまいですよ。私が聞いたのは、将来とも応益負担にはしないんですねと、そういうことを胸を張っておっしゃるんですねというふうに確認しているんです。はっきり答えていただきたい。
#240
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今後、この新しい社会福祉法がもし御理解をいただければスタートするわけでございます。介護保険制度において既に先取りされている面もあるということを率直に申し上げたわけでございますけれども、そういった議論の中において、よりよい福祉の向上充実のためにはどうあるべきかということの観点から考えるべきであって、今この段階において応能負担か応益負担かということを断定するような段階ではないと考えております。
#241
○小池晃君 将来、応益負担にするという可能性について否定されなかった。これは、やはりこれだけ所得保障が不十分な中で今回の法案がこういう危険性を持つものだということが私ははっきりしたと思うんです。
 こういう中で今回のような法改定をやれば、ただでさえ非常に弱い立場にある障害者の皆さんの本当に不安の声が全国から上がっているのは当然だと。まだまだ審議不十分であり、これは徹底的に議論をしてこの中身を明らかにしていきたいというふうに申し上げて、私の質問は終わります。
#242
○清水澄子君 社会民主党の清水です。
 まず、大臣にお伺いいたします。
 私は、一昨日の五月二十三日、この委員会で、夫からの暴力を受けた成人の女性が児童福祉法の適用を受けて保護されている、こういう状況というのは非常に問題があるんじゃないかということを指摘したわけですが、大臣は何かそのとき初めて知ったような状況でしたけれども、大臣はこの状況はこのままでいいとお考えでしょうか。
#243
○国務大臣(丹羽雄哉君) どういうことで児童福祉法で処置されているかということについて率直に申し上げて不勉強だったものですから、後で事務局の方から説明を求めたところでありますが、これはやはり母子の子、子供ということに着目して児童福祉法を適用したと、こういうふうにお聞きをいたしたわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういう現行法の枠組みの中で対応することが果たして適当なのかどうか。それから、新たな法制度をつくって、委員が御指摘のような女性に対する暴力そのものの施策をもっとしっかりと柱立てをするべきだと、こういうようなさまざまな御意見もあると思います。いずれにいたしましても、新たな制度づくりの御要望につきましては、政府全体として受けとめて総合的な取り組みを行う必要が何よりも大切だと、こう認識をいたしているような次第であります。
 現に、総理府を中心にいたしましてこうした問題の検討が行われておるわけでございます。厚生省といたしましても、この委員会におきます十分な御議論というものを受けまして積極的に協力をいたしまして、この問題についてなるべく早く対応を図っていくことが大切であると、このように考えているような次第であります。
#244
○清水澄子君 大変積極的な御答弁ありがとうございます。
 そこで、実はこれは児童福祉法の対象を問題にしているのとあわせて、やはりそのときも申し上げたんですけれども、現在、実際に暴力から救いを求めている女性の緊急一時保護というのは、一方では児童福祉法でやりながら、その一方では婦人保護事業という二つの法律にまたがっていて、同じ被害者でありながら違った法律の中で、母子寮で保護される場合は社会福祉事業法になりますし、同じ被害者でも福祉の保護を受けられないというんですか、たらい回しにされる、非常に複雑な手続が要る。これは人権問題だと思います。でも、今、総合的に検討したいとおっしゃってくださった。私は、福祉サービスを受ける権利というのは、被害を受けた人はどの人も同じだと思いますから、ぜひその点をひとつ御検討いただきたいと思うんです。
 そういう中で、私は実は社会福祉事業法の今回の改正案の提案理由を伺っていたときもすごく感じていたんですけれども、ここでも、社会福祉制度については少子高齢化と核家族化の進展など社会構造の変化に対応してとしかなっていないんです。
 そこで、私ども女性議員がよく主張するのは、それも一つの大きな社会構造の変化なんですけれども、やっぱり男女の役割意識、その価値観でつくられてきた社会福祉というものが非常に今日不備であるし使いにくいし、実態に合っていない。ですから、本当はここにもう一本、そういう性別役割分業の価値観に基づいてつくられてきた社会福祉制度を見直す必要があるとなっていたらすごく進んでいるのになと思ったんですけれども、この提案理由の中にも全然それは入っていないんです。
 そして、「だれもが家庭や地域の中で自立し、尊厳を持った生活を送ることができる制度の構築が求められております」と言われるんですが、その「だれもが」の中に結局女性は入っていないということになるわけなんです。といいますのは、女性が社会福祉を受ける権利の主体として扱われていないという問題が今日まで放置されてきて、子供に従属した、附属した女性の位置づけで行われてきた。あるいは、家族の中に女性は矮小化されてきた。一人の人間として福祉を受ける場合の制度がほとんど整備されていないわけです。
 そこで、もう一つきちんとしていただきたいのは福祉制度ですね。社会福祉の中には、男女共通で扱われていい政策が当然あります。しかし、その中で、女性特有といいますか女性独自の抱えている問題をちゃんと見きわめないと、法的整備が私はそこでまた欠落していくと思うんです。
 例えば、きょうの午前中の参考人の話でもありました。女性障害者が出産をするとき、その出産を介助してもらえるヘルパーがいないと。出産とか妊娠というのは女性が抱える問題です。ですから、同じ障害者でもそういう問題の場合の訓練がヘルパーにされているかといったら、やはり私は少ないだろうと。
 今回のDVの被害者の場合も、一番みんなが困っているのは妊婦を受け入れるところがない。今、全国で、慈愛寮とか二カ所ぐらいしかないんです。今はその人たちは措置になるんでしょうけれども、今後、利用者の選択制というけれども、選択するにも何も制度そのものができていない。そういう中で非常に不備な点は、そういう妊産婦の場合だと福祉事務所も受け入れないわけです。
 今、一つの例で、私は時間が少ないので余り言えないんですけれども、児童福祉法のもとでいきますと、子供と母親と別々に引き裂かれるんです。ですから、本当に女性自身の立場とか女性を対象にした場合の福祉のあり方というものをやはり早急に検討していただきたいと思うんです。
 そういう意味では、ぜひこれは、特に政務次官は女性なので、この点は本当に真剣に検討すると私はお約束いただきたいと思います。どうぞよろしく。
#245
○政務次官(大野由利子君) 委員の御指摘、まさにそのような状況があるのではないかと思っております。
 先ほど大臣の答弁にもありましたように、厚生省だけではできないこともあって、今、総理府で検討中ということでもございますし、厚生省としても積極的に対応をしてまいりたいと思います。
#246
○清水澄子君 厚生行政、社会保障制度全般をやはり見直してみてください。
 そこで、今度は民生委員の制度についてなんですが、これは通告してありませんでしたけれども、特に地域福祉とか福祉文化という形で今回の改正の求めている理念というのをおっしゃるわけですけれども、そういう場合に民生委員制度のあり方というのはこのままでいいのか、名称も含めてもっと抜本的にこれは検討し直すべきじゃないかと思います。
 その場合も、今日、DVの問題とか子供の虐待の問題とか障害者への配慮とか、さまざまな人権に対応することができる非常に専門的な人が必要にもなってきていると思うんですけれども、そういう具体的な問題についてもっと専門性を持つ委員とか、そういう人たちが研修したり、あるいは訓練を受ける機関が必要になってきているんじゃないかと思いますが、その点についてどなたかお答えください。
#247
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま御指摘されましたように、現在、数だけは二十一万人という多くの方々が活躍していただいているわけでございますが、ただ、だんだん民生委員の業務も難しいものもふえてまいりました。戦争直後は主に生活保護を中心にし、その後は子供の問題、そして最近は高齢者の問題という形になり、また最近直近の例では児童の虐待また家庭問題という形のものもふえてきているわけでございます。
 その間、私どもといたしましては、例えば民生委員と児童委員というもう一つの制度をつくるというような対応をしてきたわけでございますけれども、何分にもこのような複雑な対応をしなければいけないということで、現在、研修制度というものをさらに充実していかなければいけないのかなというふうに思っておりますし、またそれぞれの民生委員の中に専門性を果たしてどの程度期待したらいいのか、それはまたこれから検討をし、それから一人だけの、民生委員が独立的に行うという、やはりいろいろな方の、民生委員同士のネットワークをつくってやるというような新しい試みもまた必要ではないのかなと。
 ですから、今日の時代に合ったような民生委員の活動のあり方、またはそれに対する研修、情報提供のあり方というものをこれから検討し、本当の意味の民生委員の活用、活動していただくというものを求めていきたいなというふうに思っております。
#248
○清水澄子君 非常に利用者本位ということをおっしゃるんですけれども、では、本当に今度の改正が利用者本位になっているのかどうか。
 例えば、障害者の介護認定をどのように行っていくのか。身体障害者福祉法で例を挙げますと、第十七条の五の二に「当該身体障害者の介護を行う者の状況」というのが入っているわけです。「介護を行う者の状況」というのは、これは家族と同居していることによって、家族がやっているということで認定度が下がるということを意味しないのか。そういう意味でも、当初案では、市町村の福祉サービスの整備状況も文案に入っていたはずですけれども、これが今回取り除かれていて、介護保険と同様に区分支給限度額、ヘルパーやデイサービスなどの居宅支援の種類ごとにこの限度を設定する方法を設けるということでこれは不要になったと考えられるわけですが、家族とか市町村の都合で受けたいサービスが値切られていく、そういうことはあり得ないんでしょうか。
#249
○政府参考人(今田寛睦君) 介護保険との関連で、このたびの支援費の決定についての家族等の位置づけの御質問かと思います。
 今回、措置制度から利用制度に移行するわけでありますけれども、介護保険は、保険制度の中で一定の限度額をその障害の程度に応じて総額を定めてその範囲内において利用される、こういう仕組みでありますけれども、この支援費制度によりましては、必要なサービスを現実に利用した時点で、利用したということにおいて、税を基本としてこれを賄うという仕組みから申し上げまして、従来の措置制度と同様に、家庭、同一家計の全体を把握するという観点から、公平性を確保するという意味で、必要なサービス量の決定に当たりましては本人の障害の種類や程度だけではなくて、家庭内における介護を行う者の状況など、その障害者のさまざまな事情も考慮して判断することが適当ではないかと考えております。
#250
○清水澄子君 結局、自治体の福祉事務所が今後どういうふうに何を基準に認定を行うのか非常に心配なんですけれども、それは行政がどれだけのサービスを認めるかというのではなくて、障害者本人がどれだけのサービスを望んでいるかということを中心にやっぱり派遣を認めるべきだと思うのですね。そういう場合に、NPO法人とか、そういう人たちと基準認定を決めていく場が必要だと思います。
 それからもう一つは、障害者自身が非常に社会参加を求める、そしてそれは必要だと思うんですが、社会参加が大きいほど介護ヘルパーは多くなりますね。ですから、そういう障害者の障害程度よりも生活様式、活動様式によってヘルパーの必要性が変わる、その点もこれは考慮をしていくということでしょうか。
#251
○政府参考人(今田寛睦君) いわゆる障害者の方々は、単に介護を受ける立場というだけではなくて、御指摘のように社会に参加し、しかもその参加の仕方も非常に幅広いバリエーションを持って活動されるだろうと思います。したがいまして、私ども、そういった意味では、単に障害の種類とか程度ということではなくて、本人の社会参加活動のニーズ、状況、あるいはその活動をするために必要なサービス、こういったものを総合的に考慮して判断することにしたいと考えております。
 したがって、御指摘のように社会参加のニーズも当然踏まえた形で支援費の決定をすべきと、このように考えております。
#252
○清水澄子君 そうしますと、まずこの法律を本当に徹底するということになれば、自由な契約による利用制度になるというのであれば、利用者がそれを利用できるに足りるサービスとか施設が提供されなければならない、供給されなければならないと思いますね。同時に、それを利用できる所得保障政策もこれは行う必要があると思うのです。
 その点で私は一昨日も、国及び地方自治体の公的責任はそれに対してどういう責任を負おうとしているのか、そして負っていくということをはっきり約束できるかということを伺ってきたんですが、これはどうでしょうか。これは大臣にお答えいただかないと困るんです。ぜひこの基盤整備について、特に国ですね、大臣から責任を果たしていくという決意を述べてください。
#253
○国務大臣(丹羽雄哉君) 平成十五年度からの新たな利用制度のもとで、サービスを必要とする障害者の方々にサービスがきちんと提供されるような基盤整備を推進するということは大変重要な課題であると、まず考えております。
 厚生省といたしましては、現在、障害者プランに基づきまして障害者福祉の基盤整備を進めているところでございます。障害者の相談支援事業など一部の事業を除きまして、在宅福祉サービスそれから施設サービスともおおむねこの障害者プランの予定どおりの整備が進んでおるわけでございますが、今後とも事業実施に向けて市町村や都道府県の取り組みを御支援申し上げて、まずは平成十四年度の目標達成に向けて努力をしていく、こういうような決意でございます。
#254
○清水澄子君 だけれども、本当に利用制度移行の二〇〇三年までに障害者プランの、私は目標だけでも足りないと思っているんですが、しかし今の目標を達成できるとここで約束できるでしょうか。それは、中には、幾つかの項目は達成可能というところはあるんですけれども、現在のペースでも目標に届かない例がありますね。それはデイサービスとか重症心身障害児等の通園事業などは、達成目標に今のままでは二年やっても届きません、七二%にしかならない。そういう面で、やはりまず一つは、市町村計画が七年たってもまだ半数しか策定されていないわけですけれども、本当にそれが二〇〇三年までに達成できるという確信があるのかどうか。
 それからもう一つは、あと二年間の予算措置がそれをきちんと後押しする、そういうことをここできちんと大臣はお約束できるのかどうか。その二点についてお伺いいたします。
#255
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは、例えばお年寄りのための新ゴールドプランにおきましても、達成した部分と実際問題としてまだ不十分な部分と開きがあるわけでございますし、どこに原因があるのかと、さまざまな要因があるわけでございますが、と同時に、この障害者のプランについても同じような実情というものがあるのではないかと思います。
 いずれにいたしましても、障害者の方々の給付サービスにおいて欠かすことができない分野と、すべてがそうでございますけれども、どうしても優先的に取り組まなければならない分野、こういったような問題につきましては全面的に私どもといたしましては支援をしていきたいと、こう考えております。
 例えばホームヘルパーなども、御案内のように介護保険の導入を契機にいたしましてこれまでの目標の十七万人ではとても足りないということで二倍にいたしまして急遽三十五万人にしたと、こういうことでございまして、あくまでも利用者の皆さん方のニーズに応じて、優先度もございますので、そういった形の中で今申し上げたような障害者プランの達成に全力を挙げていきたいと、このように考えているような次第でございます。
#256
○清水澄子君 余り時間がありませんのでもう一つになると思いますけれども、福祉という場合にはどういう質の福祉を提供できるのか、それからまた利用者本位という場合に利用者がその福祉を受けることによって本当に人間の尊厳的価値とか、それが自立を助けていくものになるかどうかというのは、そこにどういう働く人々がいるかという、そしてその人たちが本当に安定した仕事ができるのかどうか、これは車の両輪であると思います。
 そういう中で、特にこの小規模作業所の財政運営や労働条件を一度お調べになったんでしょうか。
 現在、法外援助という不安定な形で支援を受けているこの共同作業所というのは全国で約四千五百カ所、平均十四人と。そして東京都の場合だと区部で百五十五カ所、多摩地区で九十あるわけですね。しかし規模がいずれも二十人程度なんですが、補助金とかいうものを国、都道府県、市町村から合わせても千七百三十万円程度なんです。利用者一人当たりにすると年額八十七万円にしかならない。月額七万円なんですね。これで、その作業所の家賃とか利用者の処遇とか職員の給与もすべてこの補助金で賄っていると。利用者負担は昼食代一食四百五十円だけを負担しているという、これは一つこの東京都のところを調べてみたんですけれども、そこで働いている職員の給与というのは、所長さんで二十一万円、常勤で十四万円という低賃金なんです。その労働の量と障害者の心身を預かる責任の大きさという両面から見て、これほど劣悪な労働条件は、待遇はないだろうと思うわけです。これでは専門性を持った、どんなに熱意を持っていてもなかなか福祉の現場で働く人たちが定着をしにくい。
 ですから、職員の労働条件については本当にいろんなグループ等の調査があるわけですけれども、厚生年金にも加入していないという人たちが非常に多いわけです。健康保険にも加入できない。そういう状況の中で、こういう人たちの労働条件をどのように引き上げていくのか。
 今回の法改正は、ですから小規模作業所にとっては余りうれしい改正とは受け取られていないんです。特に、法人化による経営の安定とか利用者の福祉の向上を求めていくならば、やっぱり今までとはもっと違って、さらにこの実態を調査して、そして働いている人たちの労働条件をどう改善していくか、そしてもっと補助金を引き上げるということをこの法改正と同時に考えていただきたい。このことをぜひ大臣にひとつお答えいただいて、終わりたいと思います。
#257
○国務大臣(丹羽雄哉君) 多岐にわたる御質問でございますが、まず小規模作業所でございます。
 今回この要件を大幅に緩和させていただきましたのは、地域におきます密着した福祉サービスの充実を図る上において小規模作業所の果たしておる役割というのは大変大きいものがある、こういうような認識に立ちまして今回の改正におきまして、障害者の通所授産施設などにつきまして、先ほど来御審議をいただいているような大幅な緩和、引き下げを行ったような次第でございます。
 そこで、第二点目の問題でございます。現に福祉の現場において働いている方の待遇なり処遇というものが十分になされているかという問題でございます。
 そういうことも踏まえまして、政府といたしましては、福祉俸給表というのがありまして、いわゆる一般の公務員の方々はどちらかというと年功序列型である。しかし、福祉で奉職している方々については、ある程度福祉に従事してそれなりの技術を持った方については、当初から高いレベルにおいて待遇をしていこうじゃないかと。しかし、年数がたったからといってどんどん伸びていくということじゃなくて、そういうような観点から福祉の待遇、こういう問題についても私どもは政府としてこういうような方針を示させていただいたような次第でございます。
 いずれにいたしましても、私もこういう福祉の現場で働いていらっしゃる皆さん方とお目にかかる機会が多いわけでございます。大変誇りを持って働いていらっしゃるわけでございますが、当然私どもといたしましては、そういった方々が安心して働くことができるような環境づくりのためにさらなる努力をしていく決意でございます。
#258
○清水澄子君 終わります。
#259
○堂本暁子君 前回も申し上げましたが、私は、措置から利用へ、あるいは契約へということは時代の要請として必要なことだと思っているんですけれども、けさの参考人の御意見とか質疑のプロセスで、その移行の仕方に対していささか不安を持たないわけではございません。
 保育園のことで再度厚生大臣に伺いたいんですが、この前もベビーホテルの急激な増加の実態について、民間の業者の参入によってその最低基準がだんだん認可保育所から無認可の保育園がふえる方へという形で流れていくのではないかという不安を申し上げました。大臣もいろいろ検討してみる、研究してみるとおっしゃってくださいましたけれども、認可保育所のあり方、認可保育所の最低基準というのは私はやはり日本の保育制度を守ってきたものだというふうに思っています。
 ですから、措置から契約へと移行したとしても、そこで最低基準が守られていないと子供たちにとっては大変危険な状態になるのではないかと思いますが、この点を再度確認させていただけますでしょうか。
#260
○国務大臣(丹羽雄哉君) ベビーホテルの問題でございますが、昭和五十六年の堂本記者のキャンペーンを契機にいたしまして、大変社会的にも関心を呼んでおるところでございます。
 厚生省といたしましては、認可外保育施設に対する当面の基準による指導の実施、さらに夜間保育所であるとか延長保育の拡充、こういった両面から取り組んでまいったような次第でございます。こういうような努力によりまして、昭和六十三年ごろまでには認可外保育施設の数は若干減少してまいりました。しかし、近年、女性の社会進出の本格化などを背景にいたしましてまた再び増加の傾向になってきている、こういうところでございます。
 そこで、私といたしましては、大臣に就任をいたしまして以来、きちんとした良好な状態の中で保育サービスが行われなければならない、こういうことで、保育サービスの一層の充実のために新エンゼルプランというものを策定し、それから二歳児まででございますが、低年齢児の待機児童の解消のための受け入れ枠の十万人増や延長保育の拡充を図るとともに、さらに規制緩和を図る中において、ベビーホテルなどの認可外保育施設につきましては、委員の御指摘も十分に踏まえましてマルトリートメントを防止するための指導監督を強化して、より的確な実態把握が可能になるよう現在鋭意検討を進めているところでございます。
 いずれにいたしましても、我が国の社会において子供たちに良好な保育サービスが提供されますよう幅広い観点から今後とも総合的に検討していかなければならない、このように考えているような次第でございます。
#261
○堂本暁子君 おっしゃるとおり、エンゼルプランなどによってベビーホテルのようなものがなくなっていけば理想的なんですね。ところが、逆にふえている。これは、こういう子供の、預かり業とあえてその当時は申しましたけれども、保育事業を始めることに対しての規制がないので、だれでもが始められてしまうわけです。そのことが民間が保育園の事業に参入するということと、それはあくまでも基準を守ってのことですが、それと規制が一切ないからだれでも保育事業が始められるということの結果だろうというふうに私は思っています。
 ですから、今度民間の参入というのを規制緩和なさっても、まだ一つしか認可保育所はふえていないわけです、そういう形で。逆にベビーホテルがふえている。これは何らかの形で、そういう最低基準を満たさないような形で子供を預かるということに対してのもう少し強い規制と申しますか制限を加える必要はないでしょうか。
#262
○国務大臣(丹羽雄哉君) いわゆる乳幼児を預かる形として、例えば保育園の拡充によって待機児童を少なくしていくとか、それから最近盛んに注目されておりますことは、保育ママということがあって、むしろお宅に子供さんを連れていって預かっていただくということで、いわゆる営利というよりは半分ボランティア的な色彩の中で行われていくとか、さまざまな形でこういったような問題について取り組みが行われておるわけでございまして、大変結構なことではないかと思います。
 ただ、規制を緩めることによって劣悪な状況になるのではないか、こういうような御懸念であったと思いますけれども、私どもはそういったような規制を緩めておるわけではありません。
 私どもがさまざまな形で規制を緩めているというのは、例えば幼保の連携にいたしましても、これまでは幼稚園においては社会福祉法人の進出というものが排除されてきたわけでございます。しかし、場所によっては幼稚園と保育園というものが非常に偏在しているところも少なくない。そういう中において、この幼稚園と保育園を連携することによってお互いに補っていく。こういう形で、さまざまな形でやっていかなければならないと思っているわけでございますし、現に規制そのものを緩めることによって乳幼児に対する劣悪な環境を招いているということはあり得ない、こう考えております。
#263
○堂本暁子君 私が伺ったのは、規制を緩めた結果出てくるということではなくて、だれでもできる、言ってみれば保育事業をだれでも始められるというのでよろしいんでしょうかという質問です。
#264
○国務大臣(丹羽雄哉君) これは一般論で言えば職業選択の自由でございますから、当然のことながらそういうような保育事業にかける情熱を持った方々がその要件に合っていれば当然満たされるものと、このように考えております。
#265
○堂本暁子君 その場合、前回も伺ったことですが、月に二万二千円というような形でゼロ歳児を預かるというようなことだと、実際問題としてはきちっとした保育はできないわけですね。でも、そういう形でゼロ歳児を預かってもいいものでしょうか。
#266
○国務大臣(丹羽雄哉君) ゼロ歳児を預かるというのは何ですか。恐縮です。
#267
○堂本暁子君 ゼロ歳児を月二万二千円で預かると。国の基準では十五万円ですし、東京都の場合だったら五十万円ぐらい月にかかるわけですが、二万二千円でゼロ歳児を預かるというと、必然的に相当劣悪にならざるを得ない。今フランチャイズでどんどんそういうのがふえているから八百というような形になってくるわけなんですけれども、そういうものを野放しにしておいていいものかどうかということなんですが。
#268
○国務大臣(丹羽雄哉君) 当然のことながら、きちんとしたサービスを享受するためには必要最小限度のコストといいますか費用がかかるということは言うまでもないわけでございまして、これは何も保育サービスに限らず、すべての分野においてそういうことが言えるわけでございます。
 たまたま本日の国土・環境委員会におきまして御審議を賜りました廃棄物処理法の中においても、いわゆる排出者責任という中において、想像以上の安いことでごみを引き取っていただいて、それで処理をしていただくという問題については、これは当然のことながら排出者責任というものがあるんじゃないかと、こういうような議論がなされ……
#269
○堂本暁子君 何ですか。
#270
○国務大臣(丹羽雄哉君) 排出者責任。排出者の責任。
#271
○堂本暁子君 それはごみですね。
#272
○国務大臣(丹羽雄哉君) ごみの場合も同じような話があって、私が申し上げたいのは、やはりそれ相応の一般的な常識の中で御負担をしていただかなければ劣悪な保育サービスがなされるということは、当然のことながら私どもとしては厳にそういった点を指導していかなければならないと思っております。
#273
○堂本暁子君 今の例で申しますと、国の基準が十五万円ですけれども、当然その程度のことをかけない限り保母さんがゼロ歳児を扱うことはできないわけですね。だから、二万二千円ということは、例えば三十人のゼロ歳児に保母が一人しかいないというような形でやらない限り面倒が見られない。ですから、それぐらい極端に、その基準を満たしていない場合はおかしいというふうなお考えですか。
#274
○国務大臣(丹羽雄哉君) これはなかなか難しい問題だと思います。
 ベビーホテルを含む認可外の保育施設におきます料金の設定につきましては、それぞれいろいろな事情がありまして単純に比較はできないと思いますが、認可保育所の場合には、確かに委員が先ほどから御指摘になっていらっしゃるように、保育単価よりは全般的に低くなっておるわけでございます。
 しかしながら、認可外保育施設に対しましては、児童の安全をまず確保する、こういうような観点、それから良質なサービスを受ける、こういったような点から考えていくべきであって、幾らだからけしからぬ、幾らだからどうのこうのということを今この場において申し上げることは適当ではないと。人によっては、どちらかというとボランティア的な方でやっていらっしゃる方もないとは言い切れないわけでございます。ただ、今申し上げたような劣悪な認可外のこういう保育施設はあってはならない、そういうことで、当面の指導基準というものを定めて、都道府県であるとか政令都市が立入調査を行っていると。そこを今後とも私どもはしっかりやっていただくように御指導を申し上げたいと、こういうことでございます。
#275
○堂本暁子君 しっかりやるというのは、一日だけ、一年に一回ぐらいの立入調査なんですね。それではわかるはずがないですね。
 前回も申し上げましたけれども、そういう野放しにしておいて、一回だけ地方自治体が行って、こんにちはといって中を見たって、そこでどういうものを食べさせていてということは全然わかりません。認可保育所の場合だったらきちっと公的なお金が入っているわけですから、それに対しての報告もあれば、保母の数も決まっているわけなんですけれども、そういったことが一切見えない世界で、何が行われているかわからない。ですから、これからそういったことで、認可の保母さんたちがおっしゃっているように、情緒不安定であったり、それから運動神経が発達していなかったり、言葉がおくれているというような子供たちが三歳になって認可の保育所へ入ってくるということの報告がもう出ているわけなんです。
 乳幼児、ゼロ歳は私はとても大事だと思っています。ゼロ歳のときに大体その人間の基本的なことは決まってしまう。そういった時期にそういうことになっては大変問題だというふうに思っておりますが、このことはどうも、大臣にあえて伺ったんですけれども、やっぱり厚生省としては非常にあいまいなお返事しかいただけていない。
 二十年たっちゃったわけです。これは解消するとおっしゃってから二十年の歳月がたって、ふえてきているということは、そこにやはり目を向けておられないというふうに思いますので、また次の機会にそのことは聞かせていただきます。
 社会福祉事業法の地域福祉権利擁護事業について伺いますけれども、きょう参考人の方が見えて、生活支援員は専門家であるべきだというふうにおっしゃいました。そして、利用者の手伝いや手続だけではなくてオンブズマン的な役割も必要だというふうにおっしゃったんですね。ところが、きょうの御答弁だと、どうもそうではなくて、全く先ほどの局長のおっしゃり方だと、利用者の利益のためと。だけれども、ここに権利擁護と書いてあるからには、やはり利益だけではなくて権利の擁護も必要なんではないかというふうに思うんです。
 それから、苦情の解決というようなこともあるわけですね。そういうようなことを考えたときに、今のままで果たして本当にそれだけの仕事ができるのかという危惧を抱きますが、先ほどの小池議員の質問といささかダブりますけれども、痴呆性高齢者、あるいは知的障害者、精神障害者以外にもっともっと権利のことについて相談する障害者はいると思うんですね。そういった場合、十分にその機能が果たせるのかどうか、その点について質問をしたいと思います。
 人権を擁護するからにはよほどの専門性、それから福祉に関しての十分な知識も必要だと思います。日本は大変人権意識が低いと言われていますし、今求められている対等な関係、あるいは人間の尊厳ということの視点に立って、果たしてこの生活支援員が仕事ができるのかどうか、その辺はいかがなものでしょうか。
#276
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、先ほどの局長の答弁の中で、利用者の利益ということを何か誤解していらっしゃるように私は受け取りました。利用者の利益ということはつまり権利を擁護する、こういうことでございまして、そこのところはひとつ御理解を賜りたいと思っておるわけでございます。まずその点が第一点であります。
 それから第二点目でございますけれども、今回の法改正を通じまして、きちんと利用者の権利擁護をすることができるかどうか、こういったことに尽きるのではないかと思っておるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、都道府県社会福祉協議会におきまして、権利擁護をする者の実態の把握や支援計画の策定を行う専門員として三百五十人を新たに確保いたしましたし、それから権利擁護を実施する生活支援員として六千名、これらの方々を確保いたしました。問題は、これらの職員については十分な研修を行って、そして質の高い権利擁護の事業を現場で実際に行っている方に努めていただく、このことが何よりも大切なことではないか、こう考えているような次第でございます。
 それからもう一点、苦情解決に当たります運営適正化委員会につきましては、その委員を選考委員会の同意を得て選任するとともに、事務局は社会福祉協議会の指示を受けない、こういうことで独立しておるわけでございまして、運営の中立、公平を担保しておる、こういう中において私どもは今御懸念のようなことが生じないように努力をしていきたい、こういうことでございます。
#277
○堂本暁子君 今までにお答えいただいた御答弁と同じなので、もうあえてその先を申しませんが、私はどうしても生活支援員にどのような料金をどういう形で払うかということも気になりますし、幾ら払うのかということも気になります。
 それから、その専門性を本当に担保するのであれば、今年度の地域福祉権利擁護事業への予算は十八億七千二百万円ということですが、これではとても足りないんじゃないかというふうに思いますけれども、また同じ御答弁になると思うので、あえてそのことはもう伺うことをやめます。
 前回、民生委員のことを伺いました。民生委員は活動費六万円程度だそうですが、個人には渡されないという訴えだったんですけれども、ほかの市町村も、幾つか聞いたところによりますと、やはり民生委員個人に渡されないで協議会にすべて預ける形をとっているというところが多いようです。全部を調べたわけではありませんが、幾つかのところがそのようです。
 そうすると、民生委員がいろいろそういう相談の役を果たすときに、研修をするのにもそのお金が使えないという実態があるんですが、これに対しては厚生省が対応していただく必要があると思いますけれども、いかがでしょうか。
#278
○国務大臣(丹羽雄哉君) 全国で二十一万おります民生委員でございます。それぞれの地域において活動をしていただいておるわけでございますが、活動のための実費を賄う趣旨によりまして、地方交付税によって計上されているものでございます。したがいまして、その使い道はそれぞれの地域の実情によって決めていただくことになっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、さまざまな形でこれが使われているのではないかと。一昨日の質疑の中では、委員の方から、手当が慰安旅行などに利用されていて民生委員の資質の向上につながっていないんじゃないか、こういうような御指摘をいただいたわけでございますけれども、私どもはあくまでもこういった問題は研修を通じて資質の向上に使っていただくように今後指導していきたい、こう思っております。
#279
○堂本暁子君 あれ以後、実際に聞いてみたわけです。でも、聞いた先も、民生委員個人には研修に行くための経費が渡されていない。全部協議会預かりだということのようです。今、指導していきたいとおっしゃいましたけれども、具体的に何か通知を出すとか、どういう方法をとってくださいますでしょうか。
#280
○国務大臣(丹羽雄哉君) これはあくまでもそれぞれの地域の実情がございますので、機会を見まして、当然のことながら私どもの民生委員のあり方そのものも問われておるわけでございますので、そういう全体の中でこういった問題についても検討していきたい、こう考えております。
#281
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 先日は、知的障害者施設の虐待の事例を踏まえまして、いろいろと情報のあり方などを御質問させていただきました。本日はまた、参考人の皆さん方にもお越しいただきまして、いろいろと参考になる意見を拝聴いたしました。
 そこで、私は苦情解決の仕組みについてさらに詳しくお尋ねを申し上げたいと思います。
 今回の改正案では、措置制度から契約制度に移行する事業と、措置制度のまま運用される事業がございますけれども、そのどちらの事業であっても利用者の権利を守る、このことが大きな柱になっているところですけれども、その中におきまして苦情解決の仕組みはどのような役割を担うのか、改めてお伺いを申し上げます。
#282
○国務大臣(丹羽雄哉君) これまでの福祉サービスの利用者からの苦情につきましては、ともすれば施設の中で、いわば密室で処理されていた、こういうような傾向がなきにしもあらずであります。今回の法案の目指しますところは、利用者本位の社会福祉制度の確立、こういう観点からこのような状態は好ましくない、すべての福祉サービスを対象といたしまして、事業者段階と都道府県段階のそれぞれに外部の第三者を交えました苦情解決の仕組みを整備する、こういうことにした次第でございます。これによりまして、福祉サービス利用者の権利が保護されるとともに、事業者の提供するサービスの質の向上に資するものと考えているような次第でございます。
#283
○西川きよし君 介護保険制度は四月からスタートいたしました。苦情の件数が注目を集めたわけですけれども、大阪が一番多かったということでございます。
 これまでは、福祉サービスの利用者の立場から苦情を言っても提供者側がそれに対応していただくということがなかなか難しかったわけですけれども、そういう意味では、さすれば苦情は多い方がいいのかなというふうにも思いますが、少しこれも変だなというふうに思うわけです。少なくとも、利用する側が苦情を申し出て、提供者側も話し合う場を持ちまして、そして一つ一つ対応していく、そうした環境が整備されることは大変意義のあることだと思うわけです。
 そこで、今回出されておりますこのシステムの中には、事業者段階と都道府県段階と、それぞれの段階において苦情の申し出ができることとなっておりますけれども、それぞれの役割、位置づけというものを御答弁いただきたいと思います。
#284
○政府参考人(炭谷茂君) 福祉サービスに関する苦情につきましてはさまざまなものがございます。大きく分けて三つの種類があるんじゃないのかなというふうに思っております。
 一つは、利用者個人の趣味、嗜好、選好にかかわるような問題でございます。例えば、食事の味つけとか、またレクリエーションの内容とかいったような個人的な問題。二つ目には、例えば、おむつの交換の問題、つめ切りとか洗髪の問題、そのようなケアの内容。三番目には、一昨日、西川先生から御指摘されたような虐待や、例えばお金を強要するとかいったような不法、不当な問題という三種類の問題があるんじゃないのかなというふうに思っています。
 このような種々多様な苦情が出てくるわけでございますけれども、このような問題については、第一義的にはまず事業者の段階で解決していただくというのが望ましいのじゃないかなと。これは事業者自身のサービスの質の向上にもつながるだろうというふうにも考えているわけでございますけれども、ただ、事業者の段階で利用者と向き合って話しただけでは公正な解決というのはなかなかいかないだろうということで、外部の第三者を交えた仕組みというものを今回導入したわけでございます。この仕組みによりまして、先ほど申しました第一の範疇の問題、つまり個人の趣味、嗜好に属するような問題というものは、大半はこの段階で解決するのではないのかなというふうに考えております。
 第二番目の都道府県段階の役割でございますけれども、これは、事業者段階で解決できなかったような問題、もしくは事業者に直接言うのは何か嫌だといったような問題については、都道府県社会福祉協議会の中に設置いたします運営適正化委員会の中で対応していただくと。これによって、例えば先ほどの第二の範疇のような問題、ケアに属するような問題がかなり解決できるのではないのかなというふうに考えているわけでございます。
 ただ、このような段階で出てきて、先ほど申しました第三の範疇、例えば不法、不当な問題につきましては直ちに公的な関与が必要でございますから、これは発見次第、都道府県社会福祉協議会が都道府県知事に通報して、しかるべく行政処分をとるというような役割分担というふうに考えているわけでございます。
#285
○西川きよし君 ありがとうございます。
 せんだっての御答弁は大変真心いっぱいに御答弁いただきましてありがとうございました。
 そこで、このシステムの中に設けられている第三者委員のあり方についてですけれども、この委員となる方には、当然のことですけれども、中立の立場、冷静な判断、そして助言が求められているわけですけれども、中立でなければならないという委員を事業者側が選任するという点につきまして、仮に、施設の責任者や理事長に対して頭の上がらない人、自分の意見を一〇〇%発言できない遠慮する方、こういう方が委員に選任されるような場合が往々にしてあるというような心配もあるわけですけれども、こういった場合、このシステムそのものが機能しないのではないかなというふうにやっぱり心配をいたします。
 午前中の参考人の皆さん方の御意見も拝聴いたしまして、現場の皆さん方は本当に大変だと思います。そういったことで、この第三者委員の選任のあり方についていかがでございましょうか。
#286
○政府参考人(炭谷茂君) この第三者委員につきましては、公正中立な立場で利用者からの苦情を解決していただく人になっていただくということが必要なわけでございます。
 第三者委員には、民生委員、児童委員、また大学の先生とか弁護士とかといったような世間からの信頼性を有する人を選任していただく。また、選任の際は、社会福祉法人の評議委員会への諮問や、利用者からの意見聴取を行うなどの指針を都道府県を通じて事業者に伝えていくことといたしております。
#287
○西川きよし君 この第三者委員は、今も少し答弁がありましたけれども、どのような方の中から選任されるか。
 また、この報酬について、お金のことですけれども、報酬についての議論がこれまでの検討過程の中ででも行われているわけです。例えば、中立性を確保するためには無報酬にするべきであるという御意見もございますし、一方では、第三者委員となる方については相当な時間を必要とすることですから、それに対して無報酬というのは、これは少し考えなければいけない、それこそ名誉職ということにもなりかねない、こういった意見がいろいろあるわけですけれども、こうした点につきましてどのようなお考えを持っておられるのか、御答弁をいただきたいと思います。
#288
○政府参考人(炭谷茂君) 現在の私どもの考えといたしましては、第三者委員につきましては、事業者からの中立性また公正性の確保から、交通費等の実費弁償を除きまして無報酬とすることが望ましいと考えております。
 しかし、先進事例で、例えば神奈川県にございますけれども、湘南福祉ネットワークのような場合、これは複数の法人、六つか七つぐらいの法人が集まってつくっているものでございますけれども、広域に活動されているような場合がございます。このような場合は、それぞれの法人からある程度独立しているというような形で中立性、公正性が確保されているという場合があろうかと思います。このような場合は報酬を出すことも差し支えないのではないのかなというふうに考えております。
#289
○西川きよし君 大変に難しい問題であると思いますけれども、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 次に、先ほど今井先生からも少し触れられたようですけれども、運営適正化委員会についてお伺いをしたいと思います。
 この委員会の設置につきましては都道府県に一カ所ということでお伺いをしているわけですけれども、この点で、例えば政令市についても設置をされないとなりますと、人口の差の問題等々、地域差がかなり出るのではないかなというふうに思うわけです。この点で、下部組織なり小委員会の設置の必要性もあるのではないかと、いろんな方々から御意見も出ておるわけですけれども、この小委員会の設置の必要性もぜひお考えをいただきたいと思います。この点についてはどうお考えであるか。
 そしてまた、お金の問題ですけれども、事務局に対する厚生省の予算では、十二年度で一カ所当たり約一千百万円、これではスタッフ一人の予算にしかならないのではないかな、こういう体制で果たして対応していけるのか、そうした不安の声もたくさん聞かれるわけですけれども、こうした点についてはどういうふうにこれから御指導されていかれるお考えであるのか、ぜひお聞かせいただきたいと思います。
#290
○政府参考人(炭谷茂君) 都道府県社会福祉協議会につくられます運営適正化委員会は、いわば第一段階での、事業者段階で解決の困難だったケースというものが上がってくるというふうに一応想定しているわけでございます。したがいまして、ある程度広域的また中核的ということで都道府県に一カ所ということで今回行うものでございます。
 予算措置につきましては、一県当たり一千百万円というものでございまして、人員にいたしましてソーシャルワーカー一名、これは常勤でございますが、そのほか非常勤一名という体制で臨むわけでございます。
 何分にもこれから始める事業でございます。これからの事業をまず円滑に進めようというふうに考えておりますけれども、この実施状況を踏まえまして、実際に運営に携わられる都道府県の社協の方々の御意見、また実施状況というものを見て今後の対応、また改善の余地があれば改善してまいりたいというふうに思っております。
#291
○西川きよし君 よろしくお願いいたします。
 そして、この苦情の申し出を行う利用者の中には子供さんもいる。当然のことですけれども、特に子供さん、このところ児童福祉施設におきまして虐待などの人権を侵害する事件が少なくないわけでありますから、そうした中で利用者が子供である場合に、サービスに対する不満や苦情を訴えることができるのか、そういった環境を本当に考えてあげなければならないと思うわけです。
 また、そうした子供さんに対して、このような権利があるんだというようなことをどのようにして理解していただくかというのは大変に難しい問題だと思います。そういう意味では、苦情を申し出やすいような環境づくり、どのように整備をしていかれるのか、本当に難しい問題ではあると思うんですけれども、御答弁をいただきたいと思います。
#292
○政府参考人(真野章君) 先ほど来社会・援護局長が御答弁いただいております仕組みは、児童福祉施設にも当然適用されることになります。さらに、先生御指摘のとおり、児童を入所させる施設ということで、子供の苦情というものをどういうふうに酌み取れるかということもございまして、私ども、今年度十カ所で児童福祉施設入所児童支援事業というものを試行的に実施いたしました。
 子供さん方が相談しやすい仕組みというものをどういうふうに構築するかということを検討してまいりたいというふうに考えておりますし、また、今、都道府県におきましては、入所中の児童に対しまして「児童の権利ノート」というようなものをお渡しして、これは特に虐待の問題のときなんかでございますが、どういうところに相談すればいいかということを入所するときに説明しているというようなこともございますので、そういうものを活用したいと思います。また、児童施設は措置施設として残るのが多うございますので、措置をいたしました児童相談所では、定期的に施設を訪問いたしまして児童と面接をするということは当然の責務でございますので、そういう児童相談所に対しまして、施設へ入所した児童のいわばフォローアップというものをきちんとするように指導したいというふうに考えております。
#293
○西川きよし君 ぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。
 次に、この仕組みにおける申し立ての内容とその処理の結果の公表のあり方についてお伺いをしたいと思います。
 一昨日の質問でもプライバシーの保護と情報の公開ということでお伺いをしたんですけれども、この件につきましても、やはりこのシステムに対する信頼性の確保ということからも積極的に公表することも必要であると思います。また、悪質な事業者に対してはペナルティー的な公表ということも考えていかなければならないと思います。
 このシステムにおける情報公開のあり方、御答弁いただきたいと思います。
#294
○政府参考人(炭谷茂君) 今回整備いたします苦情解決の仕組みについては、利用者からの信頼性の確保が不可欠でございます。したがいまして、御指摘のとおり、解決の結果について積極的な公開が必要であると考えております。
 具体的には、事業者において事業報告書や広報誌等に解決結果を掲載し公表するとともに、都道府県社会福祉協議会に設置します運営適正化委員会においては、少なくとも年一回、業務の状況等について報告書を作成し、これを公表することといたしたいと思います。その際には、個人のプライバシーにも配慮することが必要であろうと考えているところでございます。また、厚生省では、全国の苦情解決の事例を取りまとめ、それを事業者にフィードバックし、事業者がみずから提供するサービスに生かすことにより、福祉サービスの質の向上につなげてまいりたいと考えております。
#295
○西川きよし君 この質問で最後にしたいと思いますけれども、これはぜひ大臣にお伺いをいたします。
 この改正審議の最後の質問といたしまして決意を改めてお伺いしたいわけですけれども、今回掲げられておりますこの地域福祉の推進を図るために、あるいは利用者本位の社会福祉制度を実現するためには、今後、基盤整備を初め、人材の養成等々一層の拡充が必要であると思うわけです。本当に各先生方からいろいろな御質問も出ましたけれども、改めて厚生大臣のお考えをお聞かせいただきまして、質問を終わりたいと思います。
#296
○国務大臣(丹羽雄哉君) 今回の法改正の趣旨でございます、委員御指摘の、利用者本位の社会福祉制度の確立であるとか地域福祉の推進のためには、御指摘のとおり、権利擁護の制度であるとか苦情解決などの新しい仕組みの普及を図るとともに、社会福祉施設などの基盤整備や福祉人材の養成、さらに育成確保など福祉サービスの提供体制の整備が何よりも重要であると、このように考えているような次第でございます。
 委員におかれましては、一昨日、知的障害者の福祉について虐待の事例を御紹介いただき、また福祉施設の体験入所の重要性について思いを一緒にさせていただいた次第でございますけれども、今回の法改正の基本的な理念でございます、まず利用者本位の福祉の確立のため、それから権利擁護の苦情解決のため利用者の利益保護の仕組みの制度化をする、さらに利用者とサービス提供者が対等の関係に立つ、措置から利用制度への変更、こういったような高邁な理念を、単なる表題にとどまらず、実際に福祉に携わる方々に十分に御理解をいただいて、そして真にすべての方々がともに尊厳を持って暮らせるような福祉社会の実現を目指すことが私どもの最大の使命であり、役割であると、このように認識をいたしておるような次第でございます。
#297
○西川きよし君 少し時間が余っているようですので、済みません。
 いろいろな先生方の御質問もお伺いいたしまして、自分自身もいろんな角度から御質問をさせていただきました。そしてお答えをいただきまして、全部が全部、不安が払拭されたわけではございませんけれども、どうぞよりよい方向によろしくお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
#298
○委員長(狩野安君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後五時十七分散会
ソース: 国立国会図書館
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