くにさくロゴ
2000/03/09 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 文教・科学委員会 第2号
姉妹サイト
 
2000/03/09 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 文教・科学委員会 第2号

#1
第147回国会 文教・科学委員会 第2号
平成十二年三月九日(木曜日)
   午後三時三分開会
    ─────────────
   委員の異動
 二月二十三日
    辞任         補欠選任
     亀井 郁夫君     尾辻 秀久君
 二月二十四日
    辞任         補欠選任
     尾辻 秀久君     岡  利定君
 二月二十五日
    辞任         補欠選任
     岡  利定君     亀井 郁夫君
 三月六日
    辞任         補欠選任
     小宮山洋子君     松崎 俊久君
 三月七日
    辞任         補欠選任
     松崎 俊久君     小宮山洋子君
 三月九日
    辞任         補欠選任
     江本 孟紀君     佐藤 雄平君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 泰三君
    理 事
                岩瀬 良三君
                橋本 聖子君
                石田 美栄君
                松 あきら君
               日下部禧代子君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                亀井 郁夫君
                仲道 俊哉君
                長谷川道郎君
                小宮山洋子君
                佐藤 雄平君
                本岡 昭次君
                福本 潤一君
                畑野 君枝君
                林  紀子君
                扇  千景君
   国務大臣
       文部大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       中曽根弘文君
   政務次官
       文部政務次官   河村 建夫君
       科学技術政務次
       官        斉藤 鉄夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○教育、文化、学術及び科学技術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
 (平成十二年度文部省関係予算に関する件)
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
 (平成十二年度科学技術庁関係予算に関する件
 )

    ─────────────
#2
○委員長(佐藤泰三君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、江本孟紀君が委員を辞任され、その補欠として佐藤雄平君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤泰三君) 教育、文化、学術及び科学技術に関する調査を議題といたします。
 まず、文教行政の基本施策について中曽根文部大臣から所信を聴取いたします。中曽根文部大臣。
#4
○国務大臣(中曽根弘文君) 第百四十七回国会におきまして、文教各般の問題を御審議いただくに当たり、私の所信を申し上げます。
 我が国の未来を展望するとき、私は、心豊かな人づくり、活力あふれる国づくりが重要だと考えており、我が国が活力ある国家として発展し、さらには他国から尊敬され、世界の繁栄に貢献できる国となることを目指していくためには、あらゆる社会システムの基盤となる教育について不断に改革を進めていくことが不可欠であると考えております。
 教育改革は、今や内閣の最重要課題であり、総理は施政方針演説において、教育立国を掲げられ、広く国民各界各層の意見を伺い、教育の根本にまでさかのぼった議論をするための教育改革国民会議を近く設けると述べられました。この教育改革国民会議を発足させるに当たっては、国民全体に広がりを持った御議論をいただきたいと考えており、各界の有識者の方々から御意見を伺うべく、総理と私の連名で依頼するとともに、あわせて広く国民の皆様からも御意見をいただくこととしたところであります。また、中央教育審議会においても、近いうちに必要な議論をお願いすることを考えております。
 既に文部省では教育改革プログラムを策定して諸施策を実施してきておりますが、私としては、当面、特に次のような課題に重点を置いて取り組む必要があると考えております。
 近年、いじめ、不登校、暴力行為など子供の問題行動が憂慮すべき状況となっておりますが、これらの背景には、子供たちを取り巻く環境の著しい変化や社会全体のモラルの低下があり、学校だけの力でこれを解決することは困難であります。このため、学校、家庭、地域の緊密な連携のもと、心の教育の一層の充実を図るとともに、我が国のあすを担う青少年の健全な育成に、私たち大人一人一人が真剣に取り組むような機運を醸成してまいります。
 まず、教育の基本は家庭にあることから、大人自身が高い倫理観を持って子供と向かい合うなど、各家庭での子育てのあり方をもう一度見詰め直すことが特に重要ではないかと考えます。私としては、この点を国民の皆様とともに真剣に考え、それぞれの立場でできることから行動を起こしていくことを強く呼びかけたいと考えております。
 次に、地域で子供たちを育てる環境を整備し、親と子供たちの活動を振興する体制を整備することを目指した全国子どもプラン(緊急三カ年戦略)に基づき、子どもセンターや子ども放送局の全国展開などの施策のさらなる充実に取り組んでまいります。
 さらに、学校におきましては、ボランティア活動や自然体験活動などの体験的、実践的な活動を積極的に取り入れた道徳教育を一層充実するとともに、スクールカウンセラー配置校の拡充等による教育相談体制の整備、開かれた学校づくりなどを推進してまいります。また、ゆとりを持ってわかる授業を行い、子供たちに達成感を味わってもらえるよう努めます。
 なお、少子化対策推進関係閣僚会議で策定された基本方針及び関係六大臣により合意された新エンゼルプランに基づき、幼児教育の充実、家庭教育の支援など少子化対策の推進に努めてまいります。現在、中央教育審議会においても少子化と教育について検討が行われているところです。
 また、社会教育及び学校教育を通じた人権教育の一層の推進、男女共同参画社会の形成に向けた施策の推進にも努めてまいります。
 これらの課題を中心に、教育改革の推進に全力で取り組んでまいる決意でありますが、以下、文教各般にわたる主要な課題について私の基本的な考え方を申し述べます。
 人々がいつでも自由に学ぶことができ、その学習の成果が適切に評価されるような生涯学習社会を築いていくため、通信制大学院の創設準備など放送大学の整備充実、大学への社会人受け入れの促進、専修学校教育の充実など、多様な学習機会の整備を図ってまいります。また、昨年十一月には、生涯学習審議会に対し、新しい情報通信を活用した生涯学習の推進方策について諮問したところであり、本年秋を目途に意見を取りまとめていただきたいと考えております。
 初等中等教育の教育内容については、完全学校週五日制のもとで、子供たちがゆとりの中で基礎基本をしっかりと身につけるとともに、みずから課題を見つけ、みずから考え、問題を解決していく力を養うことを重視して改善を図ったところであります。今後、平成十二年度から新幼稚園教育要領を実施するとともに、本年四月から小学校、中学校及び高等学校において新学習指導要領の移行措置を実施するなど、特殊教育諸学校を含め順次具体化を図ってまいります。また、児童生徒の学力の実態を把握するための調査研究を実施するとともに、新学習指導要領における学習の評価のあり方、全国的かつ総合的な学力調査のあり方などについて、昨年十二月に教育課程審議会に対して諮問したところであり、本年中を目途に取りまとめをお願いしております。
 中高一貫教育については、当面、高等学校の通学範囲に一校、全国で五百校程度の設置を目標に、その整備に積極的に取り組んでまいります。また、総合学科や単位制高等学校など特色ある高等学校の設置促進や、選抜方法の多様化や選抜尺度の多元化の観点からの高等学校入学者選抜の改善等を引き続き進めてまいります。
 情報化への対応については、ミレニアムプロジェクトにより、平成十三年度までにすべての公立学校からインターネットにアクセスでき、平成十七年度までにすべての学級のあらゆる授業においてコンピューター、インターネットを活用できる環境を整備するなど、諸施策を推進してまいります。国際化への対応についても、語学指導等を行う外国青年招致事業や外国語担当教員に対する研修の充実に努めるとともに、英語指導方法等のあり方を検討するなど、外国語教育の一層の充実に努めてまいります。また、環境教育の充実も図ってまいります。
 なお、いわゆる学級崩壊と言われる状況については、その実態等の把握をさらに進めていくとともに、非常勤講師の配置など必要な対応を図ってまいります。
 学校教育の直接の担い手となる教員の資質の向上は、教育改革の成否を左右する重要な課題です。地域社会の信頼にこたえ得る力量ある教員を養成するため、長期社会体験研修の充実を図るとともに、教員免許制度の一層の改善、新たな研修休業制度の創設、さらには教職員の研修を総合的、一元的に実施する体制の整備を図るため、関係法案の御審議を今国会でお願いするなど、教員の養成、採用、研修の各段階を通じ、教員の資質向上のための施策に全力で取り組んでまいります。
 また、各学校が、より自主性、自律性を持って、校長のリーダーシップのもと、組織的、機動的に運営され、子供の実態や地域の実情に応じた特色ある学校づくりを展開できるよう、学校評議員制度の導入、校長、教頭の資格要件の緩和、職員会議の位置づけの明確化を行うための制度改正を行ったところであり、本年四月から実施してまいります。
 教職員配置改善計画については、児童生徒一人一人に対応したきめ細かな指導を行うチームティーチングなどに配慮した現行計画の完成を図るとともに、今後新たな施策に着手できるように準備を進めてまいります。加えて、教育諸条件の整備のため、耐震性の向上や環境を考慮したエコスクールなど特色のある学校施設の整備充実を図るとともに、義務教育教科書無償給与制度を堅持してまいります。
 なお、本年は、衆参両院の御決議により子ども読書年とされておりますが、文部省といたしましては、関係各界の理解と協力を得つつ、読書に関する普及啓発活動などの取り組みを進めてまいります。
 人材養成と研究の両面で国際社会に通用する大学をつくり上げていく観点から、課題探求能力の育成を目指した教育研究の質の向上、教育研究システムの柔構造化による大学の自律性の確保、責任ある意思決定と実行を目指した組織運営体制の整備、第三者評価を含む多元的な評価システムの確立による大学の個性化と教育研究の不断の改善、の四つの基本理念に沿った改革をさらに推進するため、今国会に大学の第三者評価を行う大学評価・学位授与機構の創設等のための関係法律の改正をお願いするなど、抜本的で大胆な大学改革に全力で取り組んでまいります。
 また、昨年十一月には、大学審議会に対し、グローバル化時代に求められる高等教育のあり方について新たに諮問したところであり、国際的通用性、互換性を重視し、世界に開かれた大学づくりの推進、高等教育機関と社会との往復型による生涯学習の推進、高等教育における情報通信技術能力の育成と情報通信技術の活用による教育提供等の推進の三点について御審議いただき、本年秋を目途に意見を取りまとめていただきたいと考えております。
 なお、大学入学者選抜の改善については、昨年末の中央教育審議会答申を受けた大学審議会での検討を踏まえつつ、大学入試センター試験の改善等の必要な施策を講じてまいります。
 私立学校については、私立学校振興助成法の趣旨にのっとり、教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減などを図るため、教育改革の推進や学術研究基盤の強化に配慮しつつ、私学助成の充実に努めるほか、年金制度改革の一環としての私学共済制度改正にも取り組んでまいります。また、学生が自立して学べるよう育英奨学事業の充実を図るとともに、厳しい雇用情勢が続いている中、学生生徒の就職指導の充実に最大限努力してまいります。
 学術研究の振興は、人類の知的共有財産を生み出す未来への先行投資であり、特に、今後の社会経済の発展のためには、その基盤となる大学等の学術研究の振興は極めて重要であります。昨年六月の学術審議会答申や科学技術基本計画などを踏まえつつ、科学研究費補助金を初めとする競争的研究資金の拡充、老朽・狭隘化が指摘されている研究施設の改善充実、最先端設備の整備、若手研究者の養成確保、産学連携の推進など、さらなる施策の充実に努めてまいります。特に生命科学については、ミレニアムプロジェクトの一つとして、関係省庁とも連携協力し、研究推進体制の強化を図ってまいります。
 なお、先般、宇宙科学研究所の科学衛星打ち上げが失敗したことにつきましては、まことに残念に思っており、徹底的な原因究明により、今後の宇宙科学研究の遂行に万全を期してまいりたいと考えております。
 スポーツは、心と体の健全な発達を促すとともに、明るく豊かで活力に満ちた社会の形成に寄与するものです。また、心身ともに健康的な生活を送るためには、みずからの健康問題を認識し、健康の保持増進を図っていくことが不可欠であります。このため、学校教育において生涯にわたりスポーツに親しむための資質、能力を育成するとともに、総合型地域スポーツクラブの育成、定着などの環境整備を図ります。
 また、児童生徒の薬物乱用、生活習慣病の兆候などの新たな課題に適切に対応するため、健康教育の推進を図るとともに、学校給食における衛生管理等についても充実してまいります。
 我が国では、二〇〇二年ワールドカップサッカー大会の開催が予定されるとともに、大阪市が二〇〇八年夏季オリンピックの開催都市として立候補しており、こうした大会の招致、開催への可能な限りの支援を行うとともに、我が国の国際競技力の一層の向上を図ります。
 なお、スポーツ振興のための安定した財源の確保に資することを目的としたスポーツ振興投票制度が、明るく健全な制度として円滑に実施できるよう努力してまいります。
 今後、我が国が心豊かで活力ある社会を形成していくためには、文化を重視した国づくりを行い、文化立国を実現していくことが必要であります。このため、文化立国実現の基本的指針である文化振興マスタープランに基づき、文化行政機能をより充実させ、芸術創造活動の活性化、伝統文化の継承・発展、地域における子供の文化活動の推進、文化を支える人材の養成確保、文化発信のための基盤整備等に積極的に取り組み、文化の一層の振興を図ります。
 さらに、著作権制度については、急速な情報化の進展や国際的動向を踏まえつつ、著作権制度や権利処理体制の整備を進めてまいります。
 また、国民の美術品の鑑賞機会の拡充を図るための登録美術品制度の普及、活用に努めるとともに、宗教法人制度については、信教の自由に配慮し、今後とも円滑な宗務行政の実施に努めてまいります。
 国際化に対応し、各分野を通じた国際交流や国際貢献を積極的に進めてまいります。
 本年四月に東京、沖縄で開催するG8教育大臣会合及びフォーラムについては、議長国として成功に全力を尽くしてまいります。また、ユネスコやOECD等の国際機関を通じた交流など、多様な国際交流を一層進めるとともに、未来からの大使とも言われる留学生の方々の日本滞在が有意義なものとなるよう、諸施策を推進してまいります。
 さらに、海外子女教育、帰国子女教育や外国人子女教育の充実、日本語教育の振興、教職員・研究者交流や国際共同研究の充実、我が国のすぐれた文化の積極的な海外発信、海外の貴重な文化財の保存修復への国際協力などに努めてまいります。
 来年一月の文部科学省発足に向け、文部大臣と科学技術庁長官を兼務している立場から、所要の準備を進め、新省への円滑な移行を図ってまいります。
 以上、文教行政を担当する者として私の所信を申し述べました。
 さきにも申し上げましたとおり、国政の最重要課題である教育改革につきましては、私どもといたしましても最大限の努力を払ってまいりますが、委員各位におかれましても、一層の御理解と御協力を賜るようお願いいたします。
#5
○委員長(佐藤泰三君) 次に、平成十二年度文部省関係予算につきまして、河村文部政務次官から説明を聴取いたします。河村文部政務次官。
#6
○政務次官(河村建夫君) 平成十二年度文部省関係予算につきまして、その概要を御説明申し上げます。
 二十一世紀の到来を目前に控え、著しい社会変動の渦中にある今日、我が国が今後とも豊かで活力に富む国家として発展していくためには、我が国の発展基盤となる創造的な人材の育成や世界的水準の学術研究の振興などを重点的に推進していくことが不可欠であります。
 このため、平成十二年度予算の編成に当たりましては、厳しい財政状況のもとではありますが、心の教育の充実や、ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指した教育改革の推進、二十一世紀の我が国を担う人材の育成、未来を開く学術研究の振興、ゆとりある文化、スポーツの振興など、大きな時代の変化に柔軟かつ的確に対応する文教施策を積極的に推進することができる予算の確保に努めたところであります。
 平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、文部省所管に計上いたしました予算額は五兆一千七百八十四億六千四百万円でありまして、新体制移行後は文部科学省所管の予算として所要の予算額を計上しております。また、国立学校特別会計予算額は二兆七千二十八億四千百万円となっております。
 以下、平成十二年度予算における主な事項について御説明申し上げます。
 第一は、生涯学習の振興として、平成十四年度の完全学校週五日制の実施に向けて、子供の地域活動の振興や子育てに夢を持てる家庭教育の支援を図る全国子どもプランの計画的推進として約三十七億円を計上するほか、全国どこでも学べる放送大学の充実等を図ることといたしております。
 第二は、豊かな人間性や創造性をはぐくむための初等中等教育の充実についてであります。
 教職員配置改善計画の平成十二年度での完成や教員の資質向上を図りつつ、ゆとりの中で生きる力をはぐくむことを目指した新教育課程の円滑な実施を支援するとともに、体験的活動を重視した道徳教育の推進等、心の教育の充実を図ることとしております。
 子供たちの問題行動に適切に対処するためのスクールカウンセラーの拡充や心の教室相談員の配置、不登校児童生徒の適応指導のための調査研究など、生徒指導の充実として約八十八億円を計上しております。
 また、学級運営等のあり方についての調査研究や非常勤講師の配置など、学級運営等の改善充実に努めるとともに、特色ある学校づくりを推進するため、研究開発学校の拡充、中高一貫教育の推進を図るほか、幼児教育の充実等に積極的に取り組むこととしております。
 さらに、公立学校施設の耐震機能の充実強化等を行うこととして公立学校の施設整備について約一千六百十億円を計上するほか、学校における感染症対策、薬物乱用防止教育及び食生活に関する教育等を積極的に推進することとしております。
 第三は、私学助成について、教育研究条件の維持向上と修学上の経済的負担の軽減などを図るため、学術研究基盤の強化や教育改革の推進などに配慮しつつ、私立大学等経常費に対する補助については三千七十億五千万円を、私立高等学校等経常費助成費に対する補助については八百六十億五千万円を計上するなど、経常費補助を中心に引き続き充実を図ることとしております。
 第四は、大学改革の推進や高等教育の高度化等の要請にこたえるため、国立大学における組織運営体制の整備や大学院の教育研究の高度化、多様化の推進、並びに多元的な評価システムの確立を図ることとしております。
 また、育英奨学事業については、学生が自立し安心して学べるようにするため、四万六千人の貸与人員の増員を図るなど、引き続きその充実を図ることとしております。
 第五は、人類の知的共有財産を生み出し、社会発展の基盤を形成する学術の振興として、科学研究費補助金の拡充を図るため一千四百十九億円を計上するとともに、若手研究者の養成確保やバイオサイエンス、地球環境、さらには情報などの今日的な重要課題に関する研究の推進等に努めることとしております。
 第六は、ゆとりある質の高いスポーツの振興として、総合型地域スポーツクラブ育成モデル事業など、地域における生涯スポーツの推進を図るため約十九億円を計上するとともに、本年九月に開催されるシドニー・オリンピック競技大会など、国際競技大会において我が国の選手が優秀な成績をおさめるための競技力向上事業の充実等を図ることとしております。
 第七は、文化の振興について、文化立国の実現を目指し、アーツプラン21など芸術創造活動の推進として約百二十九億円を計上するほか、文化財の次世代への継承・発展、新たな文化拠点の整備など、文化振興のための基盤整備等を図ることとしております。
 第八は、国際交流、国際協力の推進についてであります。
 諸外国との間で留学生を初めとする人の交流として約五百四十九億円を計上するとともに、日中、日韓を初めとする国際文化交流など、教育、学術、文化、スポーツの各分野において国際交流、国際協力を推進するため各般の施策に取り組むこととしております。
 第九は、情報化への対応として、ミレニアムプロジェクト「教育の情報化」により校内LAN等の整備を図るなど、すべての学級のあらゆる授業においてコンピューター、インターネットを活用できることを目標として、環境の整備を推進することとしております。
 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
 なお、これらの具体の内容につきましては、お手元に資料をお配りいたしておりますので、説明を省略させていただきたいと存じます。
 以上であります。
#7
○委員長(佐藤泰三君) 次に、科学技術振興のための基本施策につきまして、中曽根科学技術庁長官から所信を聴取いたします。中曽根科学技術庁長官。
#8
○国務大臣(中曽根弘文君) 第百四十七回国会に当たり、私の所信を申し上げます。
 西暦二〇〇〇年という歴史の大きな節目を迎え、我が国もまた大きな転換点に差しかかろうとしています。我々は、グローバル化や少子高齢化、情報通信革命の大きなうねりの中にあります。このような中、来るべき二十一世紀、我が国にとって明るい展望が開けるよう、これまでの経済社会のシステムを新時代にふさわしいものに変革していかなければなりません。勇気を持って諸改革に取り組み、潤いある豊かな国民生活と活力ある経済社会の実現に努力する必要があります。
 さきの施政方針演説で、総理はこれからの日本のあるべき姿として、科学技術創造立国を目標の一つに掲げられました。このためには、我が国の貴重な資源である頭脳によって、多様な情報を積極的に利用し、新たな知識を創造し、これを大胆に活用する知恵を大いに蓄積していくことが極めて重要です。私は、この情報、知識、知恵を生み出す上で科学技術が大きな役割を果たすものと確信するものであります。
 科学技術創造立国とは、単に科学技術による利便性の向上だけを目指す国を意味するものではありません。高齢化社会を迎える中で、科学技術を生かし、人々が健康で活躍でき、しかも安心、安全で快適な生活ができる国、絶え間ない知の創造と技術革新により高い国際競争力を保持し、持続的な経済発展をなし得る国、そして、科学技術を自国の発展のみに用いるのではなく、それによって人類の未来に寄与できる、発信能力の高い知的存在感のある国のことであります。
 このような科学技術創造立国の実現に向けて、これまで科学技術基本法及び科学技術基本計画を着実に実行し、政府研究開発投資の拡充やさまざまな制度改革を実施した結果、我が国の研究開発の現場が大いに活性化いたしましたが、なお一層の努力が必要です。また、来年一月の省庁再編時に、科学技術庁と文部省との統合により文部科学省が発足するとともに、内閣府に総合科学技術会議が設けられ、我が国の科学技術行政が一段と強化されることとなります。
 このように、平成十二年度は科学技術行政において大きな節目となる年であります。私は、このような機会に臨み、明確な目標のもとに科学技術政策を機動的、戦略的かつ重点的に推進することにより、科学技術創造立国の実現への寄与をより確かなものにしてまいる所存です。
 一方、昨年は日本の科学技術に対する内外の信頼を揺るがす事故が発生いたしました。ウラン加工工場における臨界事故は、我が国の原子力開発利用の歴史の中で初めて放射線事故により従業員のとうとい命が失われるなど、痛恨の事故でありました。この事故の厳しい反省に立って、さきの臨時国会で成立した原子力災害対策特別措置法等関連二法を着実に執行し、原子力安全規制と原子力防災対策の抜本的強化を早急に図り、二度とこのような事故が起こることのないよう万全を期してまいります。また、HUロケット八号機の打ち上げ失敗につきましても、徹底的な原因究明に取り組むとともに、我が国の宇宙開発体制の立て直しに全力を挙げることとしております。
 以上のような認識のもと、科学技術庁といたしましては、平成十二年度には、以下に申し述べますような柱を中心として科学技術の振興施策を総合的に展開してまいります。
 第一に、二十一世紀に向けた我が国の経済新生を目指す施策を積極的に展開してまいります。
 現下の最重要課題である経済新生を実現しつつ、明るい二十一世紀を切り開いていくためには、いわゆるネットワーク社会を構築する情報通信技術の開発、活用を効果的に進めながら、高齢化社会、地球規模問題等の難問を重要な戦略課題ととらえ、新技術、新規事業の創出等を促進する施策を強力に推進していくことが極めて重要であります。
 このため、総理が提唱されたミレニアムプロジェクト等を積極的に推進いたします。
 具体的には、医療、環境、食料生産等に大きな技術革新をもたらし得るゲノムの構造と機能の解明及びその革新的応用を図る研究を推進してまいります。また、深海地球ドリリング計画、高度海洋監視システムの構築等を推進し、地球温暖化等の変動予測に資する全球的地球環境総合診断プロジェクトにも取り組んでまいります。さらに、大量生産・大量消費型社会から資源循環型社会への転換に資するため、有害物質の除去、削減などに資する環境に優しい材料の研究開発等を進めます。加えて、新たな試みとして、国民の皆様の英知を結集し、革新性の高い技術開発案件を発掘するため、提案公募による研究開発を実施するほか、柔軟な発想とチャレンジ精神を持った若手研究者による独創的な基礎研究を充実してまいります。
 経済新生のためには、研究開発の成果を着実に社会還元することもまた極めて重要です。そのため、産学官連携を軸として地域の持つ科学技術に関する能力を活用、発展させるとともに、大学、国立試験研究機関等の研究成果の戦略的な特許化、研究開発型ベンチャー等を活用した研究成果の育成、活用の促進等を図ってまいります。
 第二に、社会的、経済的ニーズに対応した先端的科学技術分野に取り組みます。
 科学技術は、社会経済の発展基盤となる情報、知識、知恵という知的資産の創製、蓄積、活用に大いに寄与するものであり、その推進に積極的に取り組んでまいります。
 まず、ライフサイエンスにつきまして、ゲノム関係の研究に加え、大きなフロンティアである脳科学研究等の一層の充実に努めてまいります。
 情報科学技術につきましては、地球環境の保全、改善を行うための基礎として、地球規模の気候変動等の解明に資する、現在の約一千倍の能力を持つスーパーコンピューターである地球シミュレーターの開発等を進めてまいります。
 宇宙の開発利用は、通信・放送、環境監視等さまざまな分野での可能性を持ち、将来の人類の平和と発展に不可欠なものであります。我が国は先進国の一員としてこの分野の進歩に努力すべきと考えます。既に述べましたように、HUロケットの打ち上げ失敗の原因究明等を急ぐとともに、我が国の宇宙開発体制を立て直し、今後は、特にHUAロケットの開発強化、国際宇宙ステーション計画の着実な推進等プロジェクトの重点化を図りつつ、その効率的かつ着実な推進に努めます。
 海洋科学技術につきましては、これまで開発を進めてまいりました深海調査技術により、一月には、HUロケットのエンジンを深度三千メートルの海底において発見、回収するということがありました。今後ともこれらの深海調査技術や海洋地球研究船「みらい」等を活用して、国内外の研究機関との協力のもとに、海洋観測研究開発などを総合的に推進してまいります。
 第三に、研究者の創造性を最大限に発揮できるような活力と魅力のある研究環境を具現化するため、これにふさわしい研究開発システムの構築と独創的な基礎研究の推進等を図ってまいります。
 このため、研究現場における研究支援者の確保、活用等を一層促進するとともに、平成十三年度からの国立試験研究機関の独立行政法人化に向けて、より柔軟で開かれた研究開発システムの構築が行われるよう諸施策を推進してまいります。あわせて、競争的資金による基礎研究を推進する各種制度を拡充するとともに、研究施設の整備、高度化等、研究開発基盤の一層の充実強化に取り組みます。
 また、アジア太平洋経済協力における技術者資格の相互承認に向けて、技術士制度を国際的に整合性のとれたものとすること等を目的として、技術士法の改正をお願いすることといたしております。
 次代を担う青少年の科学技術離れ等への対応も極めて重要です。先端科学技術の情報発信の総合拠点の整備、科学番組の家庭への提供を行うサイエンスチャンネルの試験的放送、ロボット創造国際競技大会の準備等を進め、青少年の科学技術に対する関心や創造性の涵養、国民の科学技術に対する理解の増進等を図ってまいります。
 第四に、安心して暮らせる潤いのある豊かな社会を築くため、防災・安全対策等の国民生活に密着した科学技術を推進してまいります。
 地震国の我が国にとって、地震災害に強い社会をつくることが必要であります。地震調査研究、地震防災研究を充実させ、その一環として実大三次元震動破壊実験施設の整備を行うとともに、地震に関する基盤的調査観測施設の整備、調査観測結果の流通等を推進いたします。
 また、内分泌攪乱物質、いわゆる環境ホルモンに関連する諸問題への対応を初めとして、廃棄物処理技術や医療技術等、生活者や地域社会のニーズに密接に関連した研究開発を総合的に推進するとともに、その実用化に向けた技術開発を促進してまいります。
 三年前の英国でのクローン羊ドリーの誕生以来、クローン技術に関する世界的な関心が高まっていますが、この分野での我が国の研究等について、生命倫理の観点から問題が生じないよう適切な規制を行うべく、所要の法律案について、国会の御審議がお願いできるよう鋭意検討中であります。なお、クローン技術だけではなく、最近のハッカーによる当庁ホームページの書きかえに見られるごとく、先端的な科学技術の開発利用にはそれに伴う負の側面があり得ることを常に意識して、適切に対処する必要があると考えます。
 第五に、ウラン加工工場での臨界事故の厳しい反省に立って、安全確保と国民の理解を大前提として原子力科学技術を推進してまいります。
 今日、原子力を取り巻く状況には大変厳しいものがありますが、原子力災害対策特別措置法等の執行に万全を期すとともに、原子力安全委員会について、来年一月の内閣府への移行を実質的に前倒しすることとし、平成十二年度当初より事務局機能を総理府本府に移し、職員数も大幅に拡充するなど、独立性と機能の抜本的強化をいたします。さらに、調査審議が進められつつある新たな原子力研究開発利用長期計画の策定等を通じて、二十一世紀の原子力の全体像と長期展望を明らかにし、国民に対する信頼回復に向けて最大限の努力をしてまいります。
 原子力分野の研究開発につきましては、ウラン資源の有効利用につながる核燃料サイクルの確立に向けて、高速増殖炉や高レベル放射性廃棄物処分等の研究開発を着実に推進してまいります。加速器、レーザー、放射線医学、核融合等の分野につきましては、物質やエネルギーの根源に対する新たな知識を創製するとともに、健康の増進や生活の質の向上に貢献するものであり、また先進的な研究開発を牽引する役割を果たすことから、総合科学技術としてとらえ、積極的に研究開発を推進してまいります。
 以上、私の所信を申し上げてまいりましたが、世界に類を見ない速度で高齢化社会を迎えると言われている我が国が健康で活力に満ちた豊かな二十一世紀を迎えるためには、科学技術創造立国の実現が不可欠です。
 現行科学技術基本計画は平成十二年度が最終年度となっております。このため、新たな政策展開を見据え、科学技術基本計画に関する検討が精力的に進められております。私自身も、さきのウラン加工工場事故等も踏まえ、一月から有識者にお集まりいただき、我が国の科学技術をいかに立て直すかについて、科学技術の現場を重視しつつ、広範かつ多様な視点から議論を始めたところです。
 私は、科学技術に課せられた重大な使命を全うすべく、科学技術行政の責任者として全力を尽くしてまいります。委員長を初め、委員各位の御指導、御協力を心よりお願い申し上げます。
#9
○委員長(佐藤泰三君) 次に、平成十二年度科学技術関係予算につきまして、斉藤科学技術政務次官から説明を聴取いたします。斉藤科学技術政務次官。
#10
○政務次官(斉藤鉄夫君) 平成十二年度科学技術庁関係予算の概要を御説明申し上げます。
 平成十二年度一般会計予算につきましては、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、科学技術庁に計上いたしました予算額は六千百九十四億三千万円でありまして、新体制移行後は、内閣府、文部科学省及び経済産業省のそれぞれの所管の予算として所要の額を計上しております。
 また、産業投資特別会計は三十七億円、電源開発促進対策特別会計は一千四百七十一億四千七百万円となっております。
 さらに、一般会計予算の予算総則において、原子力損害賠償補償契約に関する法律第八条の規定による国の契約の限度額を一兆四千八百六十億円とするとともに、核燃料サイクル開発機構法第三十五条の規定により、政府が保証する借り入れ等の債務の限度額を百三十四億九千四百万円といたしております。
 次に、主要な項目につきまして、その大略を御説明申し上げます。
 第一に、二十一世紀に向けた我が国の経済新生を目指す施策の積極的展開であります。新世紀における重要戦略分野の開拓として、ゲノム等最先端生命機能解明とその革新的応用の推進に四百八十二億四千四百万円を計上したほか、全球的地球環境総合診断プロジェクトや資源循環型社会を志向する環境低負荷型の新材料研究開発を推進することとしております。
 また、新たな科学技術の研究環境を整備するため、若手研究者の積極的な登用による独創的な基礎研究の推進に六十一億五千万円を計上したほか、独創的研究成果育成事業の拡充を初めとする研究開発成果の社会還元を目指す活動の展開、さらには地域における科学技術の振興を図ることとしております。
 さらに、国民参加のプロジェクトを形成するため、公募による革新的技術開発に関する研究の推進に三十億円を計上いたしました。
 第二に、社会的、経済的ニーズに対応した先端的科学技術分野への取り組みであります。
 社会経済の発展基盤となる先端的科学技術分野の研究開発を進めるため、ライフサイエンスの研究開発に七百九十七億六千三百万円を計上したほか、情報科学技術、地球環境科学技術、宇宙開発などの分野の研究開発を進めることとしております。
 特に、宇宙開発に関しては、HU八号機の打ち上げ失敗を踏まえたHUAロケットの開発強化に七十一億一千百万円を計上しております。
 第三に、新たな研究開発システムの構築、整備と独創的な基礎研究の推進であります。
 柔軟な研究開発システムの構築を目指して、国立試験研究機関の独立行政法人化を踏まえた施策などに三百八十七億一千四百万円を計上したほか、科学技術振興調整費や戦略的基礎研究推進事業等の競争的資金の拡充等によって基礎研究を推進することとしております。
 このほか、研究開発基盤の整備充実のため、研究開発に関する情報化の促進、大型放射光施設の整備等を進めるとともに、科学技術に関する国民の理解の増進や、平成十三年一月に発足する総合科学技術会議の調査審議体制の整備などを図ることとしております。
 第四に、国民生活に密着した科学技術の推進であります。
 実大三次元震動破壊実験施設の整備などの防災・安全対策の充実に百六十三億八千百万円を計上したほか、環境ホルモンに関連する研究等の身近な生活者ニーズへ対応した研究開発や、核融合等の未来エネルギーの研究開発を推進することとしております。
 第五に、安全確保と国民の理解を大前提とした原子力科学技術の推進であります。
 昨年のジェー・シー・オーの事故を踏まえ、原子力安全対策を推進するため、原子力安全規制行政及び原子力防災対策の充実強化等に合わせて四百九十七億八百万円を計上したほか、原子力に対する国民の理解の促進、先導的原子力科学技術の推進、核燃料サイクルの研究開発の着実な展開、バックエンド対策の推進などを図ることとしております。
 第六に、国際的な科学技術活動の積極的な展開であります。
 研究者の海外派遣や外国人研究者の受け入れ等の国際交流活動の推進に七十七億一千四百万円を計上したほか、国際宇宙ステーション計画等の国際協力プロジェクトを推進することとしております。
 以上、何とぞよろしく御審議くださいますようお願い申し上げます。
#11
○委員長(佐藤泰三君) 以上で所信及び予算の説明聴取は終わりました。
 本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十六分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト