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2000/03/14 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 文教・科学委員会 第3号
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2000/03/14 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 文教・科学委員会 第3号

#1
第147回国会 文教・科学委員会 第3号
平成十二年三月十四日(火曜日)
   午前十時四分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十日
    辞任         補欠選任
     佐藤 雄平君     江本 孟紀君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 泰三君
    理 事
                岩瀬 良三君
                橋本 聖子君
                石田 美栄君
                松 あきら君
               日下部禧代子君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                亀井 郁夫君
                長谷川道郎君
                江本 孟紀君
                小宮山洋子君
                本岡 昭次君
                福本 潤一君
                畑野 君枝君
                林  紀子君
                扇  千景君
                田名部匡省君
   国務大臣
       文部大臣
       国務大臣
       (科学技術庁長
       官)       中曽根弘文君
   政務次官
       文部政務次官   河村 建夫君
       科学技術政務次
       官        斉藤 鉄夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       警察庁生活安全
       局長       黒澤 正和君
       科学技術庁長官
       官房長      大熊 健司君
       科学技術庁研究
       開発局長     池田  要君
       科学技術庁原子
       力局長      興  直孝君
       法務大臣官房審
       議官       小池 信行君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       文部省高等教育
       局長       佐々木正峰君
       文部省学術国際
       局長       工藤 智規君
       文部省体育局長  遠藤 昭雄君
       厚生省児童家庭
       局長       真野  章君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育、文化、学術及び科学技術に関する調査
 (文教行政の基本施策に関する件)
 (科学技術振興のための基本施策に関する件)
○著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作
 権法の特例に関する法律の一部を改正する法律
 案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(佐藤泰三君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十日、佐藤雄平君が委員を辞任され、その補欠として江本孟紀君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤泰三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育、文化、学術及び科学技術に関する調査のため、本日の委員会に警察庁生活安全局長黒澤正和君、科学技術庁長官官房長大熊健司君、科学技術庁研究開発局長池田要君、科学技術庁原子力局長興直孝君、法務大臣官房審議官小池信行君、法務省民事局長細川清君、文部省初等中等教育局長御手洗康君、文部省高等教育局長佐々木正峰君、文部省学術国際局長工藤智規君、文部省体育局長遠藤昭雄君及び厚生省児童家庭局長真野章君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤泰三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(佐藤泰三君) 教育、文化、学術及び科学技術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件及び科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○阿南一成君 自由民主党の阿南一成であります。
 今国会の冒頭に当たりまして、私はまず、中曽根大臣が戦後の日本の教育についてどのように考えておられるか、その基本的なお考えをお伺いし、またあわせて私の考えもお示しをしながら、現在国民の大きな関心事となっておりますこれからの日本の教育をどのようにするのかについて今後とも議論を重ねてまいりたいと思っておったのでありますが、どうしても大臣が当委員会、私の時間帯は御出席を賜らないということでありました。私も与党の一員でありますので、理解をいたしました。
 ただし、きょうは大臣の所信表明に対する冒頭の質問でもございますので、質問通告も詳細にさせていただきました。したがいまして、十分に中曽根大臣とお打ち合わせができておるという前提のもとに、大臣のお考えを酌み入れていただきながら、河村政務次官にお答えをいただければ結構でございます。
 なお、以下、私が大臣と言って質問しておることについてはすべて政務次官殿がお答えいただければ結構だと思います。
 まず基本的に、最初に申し上げたいことでありますが、教育基本法の改正問題についてお尋ねをいたします。
 今国会において両院に憲法調査会が設けられました。中央省庁の大改革を初め、地方分権の推進、それから戦後制度の金属疲労への対応がなされております。教育の世界においても教育基本法の改正がここのところやっと議論の俎上に上りつつあると感じております。戦後五十年経過をいたしまして、いわゆるいろんなところで制度疲労が起こっておるのであろうかと考えるところであります。
 そこで、何点かお伺いをしてみたいと思うんですが、今の我が国の教育の現状を私なりに分析してみますと、地域社会それから家庭の教育力の低下、国家全体としての倫理規範意識の弱まりなど、これらの多くが戦後の教育に何らかの原因を求められるのではないかというふうに考えております。国家の根幹を形成し、日本国民の心の基盤の根底をなすものは教育によって培われると私は信じております。そうであるとするならば、戦後の新憲法のもとに行われた今日までの教育、よい面も多々あるのではありますけれども、今、もう一度原点に返って検討してみてもいい時期が来たのではないかというふうに考えております。
 私は今回、百四十七回国会の文教・科学委員会の冒頭で質問をさせていただくに当たりまして、中曽根大臣のこれまでの国会の各委員会における教育行政に関する諸質疑について勉強をさせていただきました。
 そこで、第一点目の教育基本法についてでありますが、中曽根大臣は、一度国民の中で騒然たる教育議論を起こしてもよい時期が来ているという立場であろうかと推察をするものであります。そこで、大臣が今ここに議論をしたらいいと考えておられるのは、教育基本法の精神自体に問題があると考えておられるのであるか、あるいはまた法に盛り込まれるべき内容に欠けたるものがあると考えておられるのか、あるいはその両者であるか。要は、大臣としてこの基本法のどこに問題意識を持っておられるのかを知りたいわけであります。教育問題をライフワークとして取り組んでこられた中曽根大臣の率直な御見識をまず最初にお伺いしておきたいと思うところであります。
 二点目ですが、私自身の認識といたしましては、戦後の教育は機会均等を図ったという点では実に見るべきものがあったと思います。ただ同時に、何事につけても平等主義を前面に打ち出し過ぎたこと、それも行き過ぎと思われるくらいまで徹底したことにもまた問題があるというふうに考えておりますが、大臣としてはどうお考えでしょうか。
 三点目でありますが、これも私の認識を申し上げれば、今、学校で問題となっているいじめや教師に対する暴力などは、日本の歴史、伝統、道徳教育に重きを置かなかった戦後の教育のひずみが具体的にあらわれたのではないかというふうに考えています。大臣の御見解を承りたいと思います。
 以上三点、教育問題を政治家としてのライフワークとして取り組んでこられ、そして今その教育行政の頂点に立たれた大臣の、文部官僚がモディファイした答弁でない率直な御見識をぜひ伺いたいのであります。
#7
○政務次官(河村建夫君) おはようございます。
 阿南委員の御理解をいただきまして、総括政務次官でございますが、大臣と御協議をさせていただいたその意を受けて、管掌大臣ではございませんので十分でないところもあろうかと思いますが、できるだけ大臣に成りかわりまして、大臣の気持ちを体して御答弁をさせていただきたいと存じます。
 御指摘の教育基本法につきましては、委員御案内のとおりでございまして、この教育基本法というものが戦後の我が国の教育理念の中心的存在といいますか基幹部分であったわけでありまして、他の教育法令のまさに基本になってきて今日の教育がある。教育基本法に示されております個人の尊厳、そしてまた第一条にあります「人格の完成」といった基本的な考え方は、今後とも非常に重要な基本概念として持っていくべきものである、このことについては中曽根大臣みずからも高く評価をされておるところでございます。
 ただ、教育基本法につきましては、制定に当たってもいろんな議論がありました。また、その後もいろんな議論があったわけでございます。例えば、日本の歴史、伝統、あるいは道徳教育、そうしたものについて全く触れていないということ、あるいは今当然のことのように受けとめられております男女共学の規定がきちっと残っておるというようなこと、それは今あったって別におかしいことじゃありませんが、当時はそういうことが真剣に考えられたということのあらわれだと思いますが、また生涯学習についても触れられてはいないというような問題点が指摘をされ、今いろんな議論になっておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、教育基本法につきましては制定以来既に五十年余りを経ておるわけでございまして、教育全般について事実さまざまな問題が生じておるわけでございますので、今、日本の国づくりを基本から見直そうということの中で、例えば中小企業基本法あるいは農業基本法、こういうものも今改正がされておるわけでございます。さらに、国会におきましても、憲法調査会において憲法についても議論が進められておるところでございますから、そういうことを考えますと、この教育基本法についても、これをタブー視するという形ではなくて、この時代に合った、あるいは日本人のための教育基本法であるか、こういうことも踏まえて見直しについて幅広くひとつ議論をいただくことが重要である、このように考えておるところでございます。
 そして、今委員の方からさらに、戦後の教育、教育基本法のあり方について二点ほど御指摘がございましたが、その平等主義の問題でございます。
 確かに戦後の教育は、教育の機会均等ということを大きくうたって教育の拡大を図ってきた。その成果といたしまして、御案内のとおり、高等学校の進学率も九六・九%、もう九七%、一〇〇%に近い状況にあるということ、また大学の進学率も短大も含めますと五〇%に近づいておる、四九・八%というようなことでございます。まさに教育の機会均等の理念が実現をされている。そういう意味では、世界に冠たる教育制度を持った国、こう言われるような現状になってまいりましたし、今日の日本の経済的な、社会的な発展、これの大きな基盤としての役割を果たしてきたことは紛れもない事実であろう、このように思っております。
 しかし一方では、平等性を重視する余りに、一人一人の多様な個性や能力の伸長ということについての十分な配慮がされてきたろうか。あるいは学校を中心とした、俗に偏差値教育と言われておりますが、知識を一方的に教え込む教育に堕したのではないかという指摘。そのために、みずから学びみずから考える力の育成が必ずしも十分でなかったということも問題点として挙げられているわけであります。要するに、傑出した能力、表現がややもすると尊重されない、あるいは脱落者が置いていかれるというような安易な悪しき平等主義の実践に教育が堕したのではないかという指摘もあながち否定できない面が現実のいろんな諸問題から考えられるわけでございます。
 今後、これを是正していくということが一つの大きな課題でありまして、子供たちがその個性や能力に応じて多様な選択ができるような学校制度をつくっていくということ。そしてまた、改めて子供たちにゆとりを持たせて、生きる力をはぐくむという表現を使っておりますが、いわゆる心の教育といいますか、そういうことにもっと重点を置いた教育を、学校だけではなく、家庭それから地域社会、そして学校というものが一体となって進めていく必要がある、これが教育改革のこれからの大きな視点になっていかなきゃならぬということでございます。今御指摘をいただいた平等主義の問題は、委員の御指摘を受けとめて、それをいかにして改めていくかということに努めていかなきゃいかぬ、このように考えておるわけでございます。
 もう一方、今学校で起きている諸問題、いじめあるいは暴力、こうしたような問題については、日本の歴史、伝統、道徳とか、そういうことに重点を置いていなかったのではないかという御指摘でございます。まさに今日本が知識偏重で、そして経済的豊かさの中で物で栄えて心で滅びるという指摘を受けております。
 そのような指摘に対して教育の反省をいたしますと、いじめ、暴力行為など児童生徒の問題行動に対処するためには、人としてやってはいけない善悪の判断とか正義感とか、目上の人への尊敬とか感謝の念、こういうものをやっぱり教育の中にきちっと植えつけておかなければならない、当然きちっと指導していかなきゃならぬ、これが極めて重要なことであります。そうした中でこれが教育の一番基本にならなきゃいかぬということは御指摘のとおりだと思います。
 また、学校教育においても、我が国の歴史と伝統、文化を大事にしていく、そしてこれらを愛する心を育てる、そして個性豊かな文化の創造とか国家の発展に努めて国際社会に貢献をしていくんだ、このような日本人を育成していくということは、やはり日本の伝統や文化に培われた道徳性というものが身についていなきゃいかぬということになる、御指摘のとおりそのように感じておるわけでございます。
 そのようなことをどうやって子供たちに身につけさせていくかということの中で、学校とか家庭とか地域、その三者一体の綿密な連携の中で、ボランティア活動であるとか自然体験活動であるとか、いわゆる郷土の伝統芸術、工芸、そうしたものを体験させながら、郷土愛あるいは道徳教育、そういうものの充実を図っていくということが必要になってきたということを考えておるわけでございます。
 今委員御指摘の点は非常に重要な御指摘でありまして、そうしたものをこれから是正していくということがこれからの教育改革の一つの大きな課題になってきた、このように認識をいたしております。
#8
○阿南一成君 大変丁寧に御答弁いただいてありがとうございました。
 本日は、教育基本法の問題はこの程度でおかせていただきますが、今日的に極めて重要な問題でありますので、今後とも引き続き当委員会で議論を重ねていきたいというふうに考えております。
 次に、教育への取り組みの姿勢の問題についてお伺いをいたします。
 ことしのクリントン・アメリカ大統領の一般教書演説を見て気がつきますのは、二十一世紀のアメリカへの誓いとして、すべての子供が学ぶ用意を整えて学校に入学し、社会に出てから成功する用意を整えて卒業できるように必ずすると力強くうたっております。厳しい人種問題を抱えるアメリカにありまして、クリントン大統領のこの教育超大国を目指した呼びかけは、アメリカが現在の超大国の地位を今後も維持していく上で、次の世代を担う子供たちを激変する世界に十分に対応できる活力ある人材に育てていかなければならないというビジョンに基づいているものと思っております。
 その具体的な施策として、優秀な教員の全学級配置、それから全員の大学進学実現等を掲げております。これは過去、クリントン政権が、機会を提供するとともに責任を求める、あるいは投資をふやすが見返りの要求もふやすという方針で学校改革に臨み、成果を上げていることへの自信のあらわれであろうかと思うのであります。
 財政面でいえば、連邦政府は全米の学校に百五十億ドルの投資を毎年してきたと言われております。このようなアメリカの実情を知るにつけまして、日本国家及び日本国民の将来の命運を握る我が国の教育に対する投資、言い方をかえるならば、予算のつけ方には国民への訴えかけが具体的に見えてこないのであります。
 そこで、何点かお尋ねいたします。
 今審議されております平成十二年度の予算は中曽根大臣が大臣就任後初めての予算でありますが、大臣自身、この予算に満足しておられるのか。また、これは大臣でなくてもよろしいですが、十二年度の文教予算の特徴、あるいは誇るべき点は何か、お聞きしたいと思います。
 二点目は、アメリカの教育改革はクリントン政権の、アメリカの未来を託した教育改革であると思うのでありますが、この改革に対して百五十億ドルの予算をつぎ込んでおります。それに比べて我が国の予算の伸びを見ますと、平成十二年度の一般会計の伸びはわずか〇・二%であります。小渕総理が政権の命運をかけて教育改革をその政策の中心に置くというのであるとするならば、予算の伸びだけを見てもいかにも少ないという気が私にはしてならないのであります。十二年度予算についての大臣の率直な感想をお聞かせいただきたいと思います。
 第三点目ですが、私がここで言いたいのは、次世代を担う子供たちへの我々大人の真剣な期待があるのであれば、それ相応にお金をかけなければいけないということであります。しかも、アメリカではお金を出せば要求もふやすということであります。そのためにはまず、政府の方針を国民の前に明確にし、何を教育に求めようとしているのかにつき国民の間で騒然たる教育論議を起こし、その中から出た結論を実行に移す努力をするということが必要であろうと思います。
 最初に質問をいたしました教育基本法改正論議とも関連するのでありますが、いま一度、国民の中で広く教育論を戦わせてもらい、戦後の教育に一つの節目をつける時期でもあると私は思うのであります。大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
 あわせて、教育に対する投資をもう少しドラスチックにふやしていかねばならぬという私の主張についても、大臣の率直なお考えをお聞かせ願いたい。
 なお、いつも私の質問では科学技術庁が時間切れでなくなるわけでありますが、大変御丁寧な答弁は極めてありがたいのでありますけれども、時間の調整等もお考えいただいて、よろしくお願いいたしたいと思います。
#9
○政務次官(河村建夫君) 今御提出申し上げております平成十二年度予算につきましては、文部省としては精いっぱい欲張ったつもりでございますが、しかし大臣としては、これでよしとする予算と言えるかと言われるとまだまだ切りはないわけでございまして、さらにどうやったら予算が伸ばせるかということについてさらに力を尽くしていきたいというのが率直な気持ちでございますが、新規政策等は六十件持っておりますし、ぎりぎりの線で、そして今の教育の程度を絶対下げないようにする今はぎりぎりの予算だと、こう思っておりまして、これで十分だと胸を張って言えるかと言われますとまだ努力は要る、このように考えておるのが率直な大臣との意見交換の中で出てきたものでございます。
 さらに、この文教予算につきましては、先ほど御説明申し上げました、特に心の教育をいかに重視するか、あるいは大学改革の問題もございます。ことしがまさに教育改革元年になるという観点に立って進めておるわけでございまして、いわゆる教育改革元年だ、そして科学技術創造立国だ、こういうことに視点が置かれて予算を組んでおるわけでございます。
 特に心の教育については、当面、学校の現場で起きておる学級崩壊と言われるようなことに対してもっと教育の現場が力を入れなきゃいかぬということで、学級運営の改善のための非常勤講師を配置する、二千校でございますが、それに特別に経験豊かなOB、卒業された先生方にもう一度教育現場に帰っていただいて指導に当たっていただく、若い先生方を指導していただく、一緒になって教室の運営について協力をいただくというようなことを思い切ってやりました。
 さらにまた、英語教育の問題も課題になっておりますので、これから小学校にも英語を入れていくという方向で進むわけでありますが、その前として、生涯教育の中で地域がもっと子供たちと一緒になって外国語ということについて関心を持っていただこう。地域で進める子供外国語学習をやるとか、あるいは子供たちにもっともっと体験をしていただく、体験学習というものが子供たちの道徳心とか正義感を高める上で大きな意義があるというような統計も出ておりますので、そういうものを進めていくというようなことに力を入れた予算であると。
 また、大学改革につきましては、今法案を提出させていただいておりますが、大学に対する、特に国立大学に対する第三者評価機関をつくっていく、あるいは新しい企業創造のための大学院大学をつくるというような、専門大学院をつくるというような、そういう形で大学改革を進めている。そういうようなものが文教予算の特徴であるというふうに思っております。
 それから、文教予算の伸び率の問題については、委員御存じのように、六兆近い予算の中で人件費が大きなウエートを占めております、八割になんなんとする。その人件費は、御案内のように人件費は人事院の指定を受けておりますから伸びが低いことは御存じのとおりで、それが全体の予算で大きなウエートを占めるものでありますから、わずか〇・二%でありますが、中をごらんいただきますと、実際の政策費といいますか、物件費、これも決して大きくはございませんが全体として二%、特に科学技術関係の予算は八%ということでございます。
 また、国の全体の予算も、ほとんどの省庁がマイナス予算が多い中で、国の予算は二・六の伸びでありますが、社会保障関係が四・一、これが大きなウエートを占めておるわけでございます。中小企業対策費といえども一%でありますから、物件費は二%、政策費が二%ということは、その中で科学技術費が八%の伸びを見せているということは、文部省予算としては精いっぱいの努力をしたと評価をいただきたい、このように思っておるわけであります。
 それから、委員御指摘のように、全く私も同感でございますが、これから日本の教育をどうするかということは広く国民の議論を必要といたします。教育基本法も含めて、また国民会議の話もございますが、そういうところで広く議論をしていただく。そして、御指摘のように思い切ったドラスチックな予算編成をやらなきゃいけませんから、少なくとも教育費にはシーリングをかけるとかそういう考え方は排していただく。これは文部省の切なる思いでございまして、そういう論議がこれから国民的議論として積極的になされるということ、これは文部省はもちろんでございますが、政治のレベルでもぜひやっていただかなきゃいけない問題だと、このように考えておりますので、今委員御指摘のことはぜひひとつ力をおかしいただきたいとこちらからもお願いしたい気持ちでございます。よろしくお願いしたいと思います。
#10
○阿南一成君 ありがとうございました。
 次に、昨年のケルン・サミットにおきまして教育が初めて主要議題として取り上げられました。いわゆるケルン憲章が採択をされたところであります。今や教育は先進国共通の政策課題となってきておるわけであります。
 小渕総理は、本年の九州・沖縄サミットでも教育問題を取り上げる意向を持っておられるとの報道も見受けました。このような中で、四月初めにサミット参加国による初めてのG8教育大臣会合が日本で開かれることになっております。大臣はこの重要な会議の議長を務められるわけでもありますが、どのようなかじ取りをされるおつもりか、そのお心のうちと抱負を伺っておきたいと思います。
#11
○政務次官(河村建夫君) 今、委員御指摘いただきましたとおり、昨年のケルン・サミットで初めて教育ということが重要課題になってまいりまして、各国とも教育を最重要課題に位置づけようというふうにされてきたと認識をいたしております。そして、ケルン・サミットのその意を受けてフォローアップといいますか、それを受けてG8教育大臣会合をやろうということになって、まず日本がそれをお引き受けするということになったわけであります。そして、テーマを「変容する社会における教育」にするということが決まっておるわけでございまして、そうしたテーマのもとで、各国が直面する教育課題あるいは今後取り組むべき課題、教育政策を幅広くひとつ議論していくというのが今回のねらいでございます。
 これは初めてのことでもございますし、中曽根大臣が議長を務めるわけでございまして、幅広い議論の中で各国が抱えている問題を持ち出してきて、それぞれ先進国として教育がいかにあるべきかというようなことが当然議論される、そして世界全体の教育を引き上げていくということにも貢献をしなきゃならぬ、そうしたことを議論して、そしてそれを今度、後で行われる沖縄サミットに反映をしたいという思いが大臣にもあるわけでございまして、そういう意味で非常に重要な会議と位置づけて、文部省も挙げて、もちろん議長国でありますから大臣がイニシアチブを発揮して成果を上げる、それに全力を尽くすということで今張り切っておるところでございます。
#12
○阿南一成君 次に、教育改革国民会議についてお伺いをしておきたいと思います。
 大臣所信の冒頭に、教育立国の政策を推進するため、国民的な議論を盛り上げ、国民の声を反映させる教育改革国民会議を発足させることを明らかにしておられます。家庭、地域、学校における具体的な行動を起こすこととしておられるのであります。現在の教育の現状を見ますと、この教育改革はまさに国民的課題であり、国民運動として盛り上げなくてはならない緊急、重要な問題でありまして、教育改革プログラムは時宜に即したものと私も思うところでございます。
 大臣が指摘しておりましたように、子供の教育の基本はまさに家庭にあり、地域の人々の協力と相まって学校教育を充実させることが基本であろうかと思います。しかし、今まで、教育の重要性あるいは教育改革ということは、歴代の内閣においても必ずと言ってよいくらい取り上げられております。そして、中央教育審議会を初め、有識者を含めたいろいろな会議の場で論議され、数多くの貴重な答申、提言もなされ、新しい時代に対応した改革、改善の取り組みがなされてきたはずであります。
 しかしながら、そうした努力にもかかわらず、教育の問題が年を経るごとに深刻化し、現状を打破しなければ伝統的な文化も将来を担う人の育成も行き詰まり、国の将来を大きく左右しかねない状態になってくる、その結果、我が国が国際社会における名誉ある地位を確保することすら難しくなるというのが現状であろうと思います。
 私は、なぜこうした努力が実を結ばず、会議は踊り、答申は紙くず同然のペーパーとなっていったのか、その理由をしっかりと分析しておられるのかどうか。そして、今度の教育改革国民会議の答申結果を実効あらしめるためにどのような方策を考えておられるのかをお聞かせ願いたいのであります。
 さらに、この教育改革国民会議と既存の中央教育審議会を初めとする教育問題を専門的に検討協議してきた文部省における各種委員会との関係がどうなるのか、いま一つ私には明瞭に見えてきません。さらに言わせていただけるならば、日本の教育の将来について、議院内閣制の中にあってその責務を受託されていると私は思っておりますが、この文教・科学委員会がないがしろにされることのないように十分な配慮を賜りたいというふうに思う次第であります。
#13
○政務次官(河村建夫君) 委員御指摘の点、拳々服膺しなきゃいかぬと思ってお聞きをいたしていたわけでございますが、教育効果というものが、きょう決めますとあす効果が出るというものではございません。そういう点で、かなり前に議論されたことがどのような成果になったかということはなかなか国民に見えにくい点があろうかと、こういうふうに思いますが、御指摘のように、臨時教育審議会あるいは中央教育審議会でいろんな議論をし、それを法制化し、そしてやってきたわけでございまして、私は、その教育改革プログラムというものはそれなりの成果は出てきたというふうに思っておりまして、紙くず同然と言われると若干その反論を申し上げなきゃいかぬ、こう思うのでございますが、ただしかし、御指摘のように、今現実にいろんな問題が起きておるわけでありますから、当面の緊急的なそういう対応もしなきゃいかぬ事態になっていることも事実でございます。
 しかし、臨時教育審議会で議論をされたことが今現実に、例えば中高一貫教育あるいは学校五日制の問題、これは臨時教育審議会等で答申をされたことが今実行に移されつつあるわけでございまして、これが今からどのような成果を上げていくかというのはこれからの結果にまたなきゃならぬわけでございます。
 そういう意味で、見えにくい点はございますが、確かにスピードがちょっとのろいのではないかという御指摘もございます。政策を実行に移すことについてはもっとスピード化ということは考えなきゃいかぬわけでございますが、大学にもっと公開講座を開いてもっと一般の国民をそれに参加させろというような意見もあった。これも、当時二十万ぐらいの公開講座が今や三倍にもなっているとか、それから家庭教育の問題についてももっと文部省が家庭教育に入っていけと、こういうのが臨教審でありました。それを受けて、文部省も家庭教育についていろんな、教育手帳をつくるとかノートをつくるとかということでかなり家庭教育についても踏み込んでまいりました。
 そのようなことで、対策は今進んでおるわけでございます。それがこれからどのような成果を生むか。チームティーチングもそうでありまして、これも中教審等々で御指摘があったものを今現実に実行に移しているということでございます。なかなかその成果が上がっていないという点が今のような御指摘を受けたと思うわけでございますが、必ずその成果は出てくるというふうに思っておるわけでございます。
 そして、教育改革国民会議でございますが、これはこれから総理のもとに置かれて本格的な国民議論をしていただくわけでございます。これではまさに、先ほどもちょっと触れさせていただいた、また委員も御指摘あった、今の教育の現場にいろんな問題が起きている、これは一体何に起因するのかということについて議論をしていただく。したがって、教育の基本に関しても幅広い議論をしていただいて、その議論の成果というのを踏まえながら文部省としても教育改革に取り組んでいく、こういう構えでおるわけでございます。
 そして、最後にお触れになりましたように、この教育改革国民会議でどういう議論をされたかということについては、これから当然その議論は公開をしていただくことになるであろう、こう思っております。もちろん、それを踏まえて当委員会におきましても濶達な御議論をいただくということは当然のことであろうと思っておりまして、委員会をないがしろにするどころか、むしろ委員会がそれをもってさらに大所高所からの御意見で教育界、教育行政についてリードをしていただくことを期待いたしておるわけでございまして、よろしくひとつお願いしたいと思います。
#14
○阿南一成君 次に移ります。
 大臣所信の中でも明らかなように、最近、社会一般のモラルの低下は目に余るものがあります。これを反映して、学校現場においても不登校が多発しているのを初め、学級崩壊、対教師暴力、いじめ、自殺、薬など、教育の現場は悪化の一途をたどっておるのが現状であります。また、それが年を追うごとに低年齢化しておるということであります。
 また、テレビや週刊誌による児童に悪い影響を与える報道、有害図書等、表現の自由に名をかりた児童生徒にとって劣悪な環境もこれからますます増加をしていくものと思います。また、通勤電車等の中ではエロ・グロ雑誌の中づり広告がはんらんをしておる、また、えげつない性描写の漫画、劇画を中学、高校生などが通学車両の中でむさぼり読んでおるという光景も散見されるところであります。またさらに、インターネットでうまくアクセスをしさえすれば、極端なポルノなども容易に青少年の目に触れることができるというのが現状であろうかと思います。
 こうした現象はやがて、それが引き金となりまして暴力行為や性犯罪へと走る児童生徒を生み、教育の問題へとはね返ってくることは必至であります。また、児童虐待とドメスティック・バイオレンスも深く静かに進行しているのではないかと思うのであります。虐待を受けた児童が、その後大きな犯罪を犯すこともあるのが現状であります。
 私は、もちろん家庭の問題に行政は入りにくいと思いますが、すべての児童が学校に来るわけであります。あるいは来なくなる。ドメスティック・バイオレンスに対する端緒は、教育の現場である程度把握できるのではなかろうかというふうに考えておる次第です。
 そこでお伺いしたいのは、今、教育の現場で問題となっております学級崩壊、対教師暴力、薬、いじめの問題等々、この教育の負の部分について文部省は本当に真剣に真正面から取り組む気持ちはあるのか。国際交流等、重要な問題はあります。しかしながら、この教育の負の部分に対してしっかりと真正面から取り組むことがなければ、教育改革の実も上がらないだろうと私は考える次第です。
 もし文部省当局が本当に真剣に真正面から取り組む気持ちがあるというのであるならば、どのような予算を組み、どのような対策を平成十二年度の予算で立てているのか、御説明をいただきたい。
 また私は、教室で生徒が先生の言うことを聞かないということであれば、そのこと自体で、その時点でそもそも教育は成り立たないと考える者の一人であります。
 御答弁は当局でも政務次官でも結構であります。
#15
○政務次官(河村建夫君) 御指摘の学校現場においてのさまざまな諸問題、それは文部省としても、まさに教育を預かっている省といたしまして一つの大きな課題だという認識に立っております。
 今回の予算におきましても、それに対して、いわゆる生徒指導関連の予算ということで、スクールカウンセラーをもっとたくさん配置するとか相談員をふやす、例えば心の教室相談員の配置ということにつきましても約四十億近い予算を組んでおります。それから、生徒指導総合連携推進事業で、各県にそれぞれそうした問題を相談し合って協議する機関をつくっていただいて、そこでそうした会議費もとっていただいてやっていただくとか、それから学級運営の調査費等も、学級運営等が実際どうなっているかということを調査する調査費をつけまして、さらに先ほどちょっと触れましたように、非常勤講師の形でありますが、複数の教員をそういうところに、ベテランの先生方にもう一度教育現場へ帰っていただくとか、まさに今、降りかかっている火の粉を払うために全力を尽くしているわけでございます。
 さらに、もう昨年から、ゼロ歳児から六歳児までの未就学児を持つ親に対しては、家庭教育手帳という小冊子をごらんになったことがあろうと思うんですが、子供のしつけとか、悪いことは悪いとはっきり教えるような問題について書いたノートを全家庭にお配りする。それから、いわゆる就学児から中学校までについてはまた別にもう一つ家庭教育ノートというのをつくりまして、これに対しても十億以上の予算を使っておりまして、これから新しく子供をお持ちになる方にもどんどんその手帳を読んでいただく。これは配るだけでは意味はないわけで、しっかりこれが読まれて、そして成果が上がっているかどうか、この評価も必要であろうと思います。
 そういうことを重点的に今やっておるわけでございまして、御指摘のような学級崩壊、あるいは教師に対して暴力を振るうとか、薬物が学校の中にも入ってきた、これはまさに学校現場だけの問題ではなくて、まず家庭教育、そして地域社会が一緒になってこの対策はつくっていかなきゃいけないだろうと思います。
 特に、授業において子供が立ち回ることがあって学校教育が成り立たないようなことが起きるということは、他人に迷惑をかけないということが家庭教育の中できちっとできていない、こういうところにも大きな原因があろうと思いますので、家庭教育でももっとそういうことに注意をする、関心を持ってもらうということに文部省も力を注がざるを得ない状況に今はなっていることも事実でございます。
 そういうことで、向き合う気持ちがあるかとおっしゃいますが、向き合う気持ちどころじゃなくて、必死の思いで向き合っておるのが現状でございますので、その点については御理解を賜りたいというふうに思うわけでございます。
#16
○阿南一成君 コンピューター教育の質問通告をしておりましたが、時間調整の意味もあり、大変大きな問題でありますので、また別の機会に譲りたいと思います。
 次に、若干重たい質問に移りたいと思います。
 昨年の通常国会において国会法が改正をされ、衆参両院に憲法調査会が設置されました。本年一月、参議院においても調査会が発足をいたしております。既に数回の会議も行われたところであります。私も調査会の一員としてこれから、日本国憲法の成立、それから改正の是非等を含めた憲法のあり方について少なからず勉強していきたいと思っておるところであります。
 最初に申し上げておきますが、私は、この場で大臣に憲法改正について閣僚としての見解を求めるつもりはありません。しかし、大臣は、現行憲法のもとで教育行政に携わる立場から見て、現に行われておる行政と憲法の規定との関係についてはいろいろと意見を持っておられることを、各種委員会の大臣のこれまでの発言で勉強させていただきました。特に、憲法第二十六条、基本的人権ですね、教育を受ける権利が規定されています。また、国や地方自治体はこれを保障する立法措置や制度の整備をすることが求められております。現に、教育基本法などの一連の立法措置がなされ、制度も確立されて今日に至っておるのであります。
 しかし、私立学校につきましては、学校教育法、私立学校法及び私立学校振興助成法などを根拠に、国または地方公共団体が私学に対して補助金や助成金を出すことは憲法八十九条に違反しているのではないかということが長年この国会において論議をされております。
 この問題は、既に憲法学者の間の議論とともに、国会における答弁でもしばしば取り上げられています。内閣法制局が、昭和五十四年三月十三日、参議院の予算委員会において、私の先輩、自由民主党の秦野章議員の質問に対しまして、
 八十九条と私学に対する助成との関係は、それは憲法八十九条に言っている公の支配の公のその中にどの程度であれば公の支配と言えるかというまた解釈の幅があって、その解釈の幅といたしまして、いまの学校の閉鎖命令とか、学校法人に対する解散命令とか、あるいは助成を受けた場合の特別の監督とか、それを総合すれば現行の法令体系は八十九条に言う公の支配という憲法の要請を満たしているというふうに解釈されると、こういう意味でございます。
と答弁をしております。そして、今この考え方が定着をしておるというのが現状であろうかと思います。
 しかし、この答弁の中でも明らかなように、合憲とする根拠は、解釈として成り立つものであり、明快に私学に対する助成も公の支配の範疇に属するという規定の仕方にはなっていないのであります。私は、この解釈について、曲学阿世の徒とまでは言いませんけれども、かなり無理がある、甚だ疑問であるというふうに常々考えておる者の一人であります。
 そこで、大臣にお尋ねをしたいんですが、国の将来に重大なる影響がある教育改革の問題が今、国の重要施策として取り上げられ、教育立国の確立を目指す以上、行政の衝にある大臣としては、こうした問題は憲法上の明文の規定として置かれることの方がベターなのか、それとも解釈論として成り立つのでその必要はないと思いますか。率直な御意見をこの際、承っておきたいというふうに思うのであります。
#17
○政務次官(河村建夫君) 私立学校が日本の教育の中で非常に大きなウエートを占めておる、特に大学では八割、七割と言われておりますが、こうした大きな役割を果たしているこれからの私立学校をいかに展開していくかという上で、今御指摘の憲法第八十九条の問題でさまざまな議論がされてきて、今、委員御指摘があった法制局の公式見解も出ております。
 大臣ともこの問題について議論を交わしたのでありますが、今、私立学校については、いわゆる私立学校法あるいは学校教育法、さらに私立学校振興助成法によりまして各種の監督規定が設けられておる。そういう観点から憲法第八十九条の公の支配に属しているという考え方に立っておるわけでございまして、そういう考え方に立って今私学助成というものを進めさせていただいておるわけでございます。
 したがいまして、憲法上問題ないという形でおるわけでございますが、しかし憲法調査会におきましても、今御指摘のような議論を受けてこの第八十九条について議論されると伺っておりますので、この議論がどのような形になっていくかということを文部省としては重大な関心を持って見守っておるというのが現状でございます。
 もちろん、大臣また私も含めての個人的な見解とすれば、そういうことが明確になればさらに私学助成を進める上で追い風になるのではないか、そういう期待感を持っていることは事実でございます。
#18
○阿南一成君 質問通告をしておりましたロケットの打ち上げ失敗につきましては、科技庁が十分に対策も練られ、反省もしておられるということをよく理解いたしました。したがいまして、この席では問いません。
 次に、科学技術創造立国と言われて久しいわけでありますが、技術あるいは国際協力で高い評価を受けておりました我が国が、ジェー・シー・オーの臨界事故それからロケットの打ち上げ失敗、トンネル内のコンクリート落下の続発、医療ミス等、内外の信頼を失墜させる事故が続発いたしました。ロケットの打ち上げ失敗を受けて、科学技術庁及び文部省では、宇宙開発事業団と宇宙科学研究所を含めた協議会を設立するとのことであります。今後どのような検討を進めていくのか、いま少し具体的に明らかにしていただきたいと思います。
 それから、先日の毛利さんの宇宙飛行が国民に大きな勇気と希望を与えたことからわかりますように、宇宙開発は我が国として欠かせない分野であります。宇宙開発事業団あるいは宇宙科学研究所と失敗が続いたのはまことに残念でありますけれども、徹底した原因究明をされて、両機関とも今後は同じ文部科学省の傘下に入るわけでありますから、両者の連携は自然にさらによくなるであろうと思います。また、よくならなければならないと思うのであります。そして、省庁再編をよい機会としてとらえ、宇宙開発体制の立て直しをぜひ図ってもらいたいと思います。
 ところで、私が省庁再編で心配なのは原子力行政であります。
 平成十三年一月からは、科学技術庁の原子力安全規制の部局が文部科学省、経済産業省そして内閣府に分割をされます。人員が分かれるのでありますから当然体制の弱体化は避けられないと考えております。このような中で、多数の専門家を抱え、原子力安全規制のかなめとなる原子力安全委員会の体制をどうするのかが大きなポイントの一つであろうかと思います。
 大臣の所信では、平成十二年度当初から原子力安全委員会を強化するとのことでありますが、科学技術庁は、省庁再編後の姿も踏まえ、原子力安全委員会の事務や体制をどのように強化していかれるのか。特に、人員とか予算も含め、目に見える形でどのように強化されるのかを明らかにされたいのであります。
 今回のジェー・シー・オーの臨界事故によって、原子力に対する信頼は地に落ちております。原子力の必要性は理解できるものの、今回のように法律違反のようなことが起きたり、さらに業界の閉鎖性も加わりまして、国民の中に不信感が増幅されているのであります。つい先日も、三重県知事が芦浜地区の原子力発電所立地計画の白紙撤回を宣言したりしております。このことに見られるように、発電所の立地は非常に厳しい現状であると私は認識をしております。
 政府の計画では、今後二十基を増設するということですが、実現の可能性は厳しいのではないかというふうに私は思います。しかしながら、国の存立はやはりエネルギー、食料、情報と決まっております。エネルギー政策は大変重要であります。
 今後の原子力の開発利用に関する長期計画を検討していくとのことですが、私としては、現実を直視した計画が必要であり、エネルギーの問題をどのように考えていくのか、事実を包み隠さずに国民の前に明らかにして国民の選択を問うべき時期が来ておると思います。今後どのような検討を進めていくのか、考え方を確認しておきたいと思います。
#19
○政務次官(斉藤鉄夫君) まず最初の御指摘の、ロケットの打ち上げ失敗を受けて、宇宙開発事業団と文部省の宇宙科学研究所、この二者、そして科学技術庁の傘下に航空宇宙技術研究所がございます。この三者が協議機関を設けたという話を聞いたけれども今後どうなっていくのかという御質問についてでございますが、御指摘ありましたように、このロケットの失敗を受けて、これまである意味で科技庁傘下また文部省傘下ということで別個に進めておりました研究を、この三者が協議機関を持つことによって今後の打ち上げについてより信頼性を上げよう、また具体的な研究協力についてあり方を考えていこうということで協議体を持ちました。これには文部省、科学技術庁も加わりまして、五者で協議をさせていただくことになっております。
 来年一月からは、文部科学省として一つの局の中にこの三つの研究所が入るわけでございますので、より一層協力関係は進んでいくかと思いますけれども、それに先立って宇宙開発の信頼性を向上させていくために協議を進めていきたい、このように考えておりますし、科技庁といたしましても指導監督をしていきたいと考えております。
 それから二番目の御指摘でございます、省庁再編に伴って原子力行政の弱体化が起きるのではないか、また原子力安全委員会についてどのように考えているのかという御質問でございますが、弱体化は起きない、むしろジェー・シー・オーの事故の反省を踏まえまして強化をさせていく、そういう決意でございます。
 経済産業省に原子力保安員というものを設けて、これまで科技庁が見ておりましたウランの加工また再処理等につきましても、その新しい保安員の方で規制行政を行っていくということで、より現実に即した形になっておりますので、弱体化という御指摘は当たらない、あるいはより強化させていきたいと思っております。
 また、原子力安全委員会につきましても、この四月一日から、ジェー・シー・オー事故の反省を踏まえまして独立性を強化しようということで総理府に移管をいたします。また、来年一月からは内閣府に移管をするわけでございますけれども、予算、人員、どのような強化をするのかということでございますが、この四月から総理府に移管いたしますけれども、これまでは専任者が約二十名でございましたけれども、この四月一日からはその専門的スタッフを四十名に倍増いたします。また事務局を四十名に倍増いたしまして、専門的スタッフも含めまして約九十名とする予定にしております。また、来年の一月からは内閣府の中に置くわけでございますけれども、事務局の人員も百名という形でより一層充実をさせていきたいと思っております。
 原子力安全委員会の予算につきましては、平成十一年度は三億円でございましたが、先ほど申し上げましたような体制を強化するために、十二年度予算案は十七億円ということで提出をさせていただいているところでございます。
 原子力について、国民的議論を踏まえて包み隠さず議論をし、そして国民の理解を得ていくべきではないかという御指摘につきましては、現在、原子力委員会におきまして原子力長期計画を策定しておりますけれども、その前提となります国民的議論、円卓会議、これは中川長官のときに設けさせていただいたものでございますが、この中にはいわゆる反対派と言われる御意見の方々にも入っていただきまして、鋭意議論を進めてきたところでございます。
 そういう国民的議論を踏まえながら、現在、原子力長期計画を策定しておりますけれども、この中では、もう原子力ありきということではなくて、現実に今の日本のエネルギー需要がどうなっているのか、また新エネルギー、自然エネルギーというものをこれから導入していかなくてはならない、省エネルギーも導入していかなくてはならないわけですが、これが技術的にどういう今状況にあるのか、その現実の姿もよく見ていただいて御議論をしていただいたところでございまして、それを踏まえて、現在、原子力長期計画を立てております。
 科学技術庁といたしましては、自然エネルギー、省エネルギーの導入に全力を尽くすわけでございますが、しかし、だからといって原子力の重要性が否定されるものではございません。そういう意味でも、原子力エネルギーの必要性について今後国民の皆様に御理解いただけるように、しっかり事実を踏まえた議論をさせていただくという努力をしていきたいと思っております。
#20
○阿南一成君 ありがとうございました。
 私は、この国会に入って最初に疑問に感じて、今疑問が若干解消したのでありますが、いろいろと原子力の事故が起こったときに、衆議院では科学技術委員会が担当しておるんだけれども、我が参議院では経済・産業委員会だということで、じゃ文教・科学委員会ではその任にたえないのかと言って怒っておったんですが、これはどうも議運のマターだということでございまして、そうかなと、こう思っておるところであります。この答弁は必要ありません。
 原子力の重要性、非常に私は重視をしておるんですが、さらに科技庁としては、これからの戦略分野となるライフサイエンス、情報、環境などの分野にももっと投資をすべきではないかというふうに考えております。したがって、この点についての科技庁の予算がどうなっておるかを、事務方で結構ですから御説明をいただきたい。
 さらに、研究開発も重要でありますが、今求められているのはその成果をいかにして実用化していくかということであります。この点で日本は、研究成果は時々新聞紙面等にも出るのでありますが、米国と違って実用化されたり製品につながったという話がなかなか聞こえてこないのであります。この点について、どういうことが一体原因になっておるのか、その辺の対策をどう考えておるのかということもお尋ねしたい。
 さらに、平成十二年度の予算は、科技庁だけではなく政府全体としての節目となっておるということはよくわかります。政府はこれまで、科学技術基本法、それから科学技術基本計画の目標であった五年間十七兆円という目標を達成されたわけであります。この十七兆円で政府研究開発投資は欧米並みになったのかどうか、お尋ねをいたしたい。
 それから、研究開発の現場が活性化されたことは評価できますけれども、大学、国立試験研究機関等の施設設備の老朽化や情報通信基盤の整備が不十分である等の問題点が依然として残っておると私は見ております。ライフサイエンス、情報通信等、今後の成長分野では米国との格差がむしろ拡大するおそれがあります。ぜひここにも目配りをしてほしい。
 さらに、総理の施政方針演説にもありましたが、科学技術は一国の発展の原動力となるものであります。現在の米国の繁栄は、八〇年代における科学技術をベースとした国家戦略を着々と進めたことによるものであります。日本を追い上げる立場のアジア諸国、中でもシンガポールは知的ベースの経済国家を国家戦略としてやっております。我が国も科学技術を使ってどういう国づくりを目指すのか、その構想を国民の前に明確に提示することが必要であります。
 政府資金による研究も、必ずしも全分野をカバーするのではなく、予算の重点化、効率化が必要であります。そのために、例えば高齢者が安全な生活を送れる国づくりというように、国家目標のイメージを明らかにした上で戦略的取り組みをすることも考えていただければと思うのであります。
 以上、いろいろ申し上げましたが、総括して御答弁を賜れば結構であります。
#21
○政務次官(斉藤鉄夫君) 最初の御質問と最後の御質問、同じ答えになろうかと思いますので答えさせていただきますと、平成十二年度科学技術庁の予算の特徴といいますと、大きく言って二つあるかと思うんです。一つは、一般会計の伸びの平均を大きく上回る四%の伸びということ。それから、いわゆる競争的資金や基礎的・独創的研究の予算が大幅にふえた。これまで科学技術庁の予算は伝統的に原子力、宇宙というものが多かったんですけれども、この競争的資金、独創的研究の比重がふえて四割を超したと。この二つが大きな特徴ではないかと思っております。そういう意味で、最初の先生の御指摘に沿った予算になるよう努力をした結果がここにあらわれていると考えております。
 また、その中で当然予算をふやすわけでございますので、重点的な取り組みということが重要になってまいります。科学技術会議の提言を受けまして、ゲノム等生命科学に四百八十二億円、また地球環境等に百三十五億円ということで重点的な投資をしているところでございますが、今後は、来年一月から内閣府に総合科学技術会議、ここで国家戦略を立てることになっております。その国家戦略にのっとって戦略的な投資をしていきたい、このように考えております。
 それから二番目の御質問の科学技術基本計画、第一期計画がこの十二年度で終わるわけです。そうして二十一世紀から第二期計画が始まるわけでございますが、その中でどういう国家目標を、どういう姿を目指して科学技術政策を遂行していくか、その姿を示しているのかという御質問でございますけれども、現在、この第一次基本計画につきまして、フォローアップまた問題点の把握等を行っております。中間報告が出てまいりましたけれども、今後の課題として、やはり国家目標がないとか、国家目標をもう少しわかりやすく設定すべきでありますとか、基礎研究を推進しなくてはならない、また世界水準の科学技術を目指した環境づくりをしなくてはならない、また評価システムを十分につくらなくてはならない、こういう指摘がなされているところでございまして、こういう指摘を十分踏まえながら、この第二次基本計画におきまして私たちが目指す科学技術立国像を明らかにしていきたいと考えております。
 それから、日本の場合、大学の研究成果等が実質的な実用化になかなか結びつかないけれどもどうかという御指摘でございます。
 この点につきましても、まさにそのとおりでございまして、例えば特許等、大学から出てくるものがアメリカに比べて二けたも少ないというふうな指摘もされているわけでございます。今後、この点につきましては、文部省と協力しながら、知的財産権確保に対する研究者の意識の醸成、そして特許化支援、それから民間企業にとって使いやすい研究成果の形に変えていく、そういう使いやすい情報に加工していくというふうなことも進めていきたいと思っております。また、大学や国立研究機関の研究成果の育成、企業化及びベンチャー起業促進、これも予算化をして取り組んでいきたい、このように考えております。よろしくお願いいたします。
#22
○阿南一成君 終わります。
#23
○岩瀬良三君 自民党の岩瀬でございます。
 私からは、教育改革国民会議、また科学技術立国、この二点についてそれぞれお聞きしてまいりたいというふうに思うわけでございます。
 小渕首相におきましても、「二十一世紀日本の構想」懇談会の報告書が小渕首相に提出されたところでございまして、首相の施政方針演説にもこういう考え方が基本として入っておるわけでございますし、文部大臣、また科学技術庁長官のそれぞれの所信表明の中にもそれぞれ力説されておるところでございます。
 それで、私からは端的にお聞きしたいと思っておるわけでございますけれども、文部省について先ほども話が出ておりましたけれども、各審議会での答申をもとに教育改革プログラムを作成して実施しておるところであるわけでございます。私は思うんですけれども、各省の中でもこの教育改革プログラムでの実施というのは着実に進展しているんじゃないか、各省の中でも一番着実な進展を見せているんじゃないか、そんなふうに評価しておるところでございますし、また非常にわかりやすい形でこのプログラムができておるということも言えて、地方でもいろいろ皆さんこれをよく読んでおるというのが実態だろうというふうに思うわけでございます。
 しかし、そうはいいながらも、中教審は「文部大臣の諮問に応じて教育に関する基本的な制度その他教育、学術又は文化に関する基本的な重要施策について調査審議し、」というような役目を持っておるわけでございまして、そういう中で、この教育改革国民会議と中央教育審議会、そしてこの教育改革プログラムの役割分担というのですか、こういうのを少し明確にしておかないとごちゃごちゃになってしまうんじゃないかというふうに思うわけでございますので、その点、どういう役割分担で話し合いがなされて進んでいくのか、お答えいただきたいと存じます。
#24
○政務次官(河村建夫君) 委員御指摘のように、教育改革国民会議がいよいよ設置されて、ここにおいては教育の根本にまでさかのぼって幅広い議論をいただくということで、これから設置をされることになるわけでございます。
 一方、中央教育審議会におきましても、これまでも教育についてさまざまな提言がなされ、答申を受け、これを教育改革プログラムにのせて実行に移してきておるわけでございますが、あわせて、今度新たに教育改革国民会議というものができてまいりまして、そこでいろんな議論がされる。それはしっかり見守っていかなきゃならぬわけでありまして、端的に申し上げるなら、教育改革国民会議で議論されていることと同じことをまた中央教育審議会でやるということは避けなければならないことではないか、こう思っておるわけでございます。
 したがいまして、中教審がこれまでやってまいりました教育改革プログラム、これは文部省としてもこれを受けてきちっと対応していかなきゃなりませんし、そして着実にこれを実行していかなきゃならぬ、こう思っておりますし、これからもその改革の進度等々によって中央教育審議会でさらに御議論をいただくことが出てまいるでありましょう。それはそれとして文部省で受けていくという形で、役割分担はきちっとできておるというふうに考えておるところであります。
#25
○岩瀬良三君 また、教育改革というのは、これは二十一世紀を目指してかなり基本的な作業になるかというふうに思うわけでございます。十五期の中教審等でも行われましたけれども、今、生きる力、それから豊かな心、こういうようなのが主命題としてなされているわけでございます。ただ、人間として生きる力というのは、これは基本的には必要でありますけれども、どういう人材をつくっていくんだという点では、そのときの社会情勢が背景にあるわけですけれども、なかなかこれでは見えないというふうに思うわけでございます。そういう中で、どういう人材をこれからつくっていくか、こういうような議論が大事になっていくんじゃないかと思うわけでございますが、こういう形のものが明確になるような御審議をしていかなきゃいけない。
 そういうわけで、その中でどういうことを考えておられるのか、そういう明確な教育目標と申しましょうか人材目標と申しましょうか、そういう点ではいかがでございましょうか。
#26
○政務次官(河村建夫君) 御指摘の、これからの教育論議または教育改革の観点に、どのような日本人をつくっていくか、どのような人材をつくっていくかということが私は大きな視点になるべきであろう、こう思っておりまして、これから大競争時代と言われております日本の生き残りをかけた課題になっていくというふうに思っております。これは一義的には、これから設置される教育改革国民会議の中で教育の根本にさかのぼった議論をいただく中で、当然そうしたテーマが出てくるんではないかということも期待をいたしておるわけでございます。
 大臣ともお話し申し上げておるわけでございますが、これからやっぱり基礎学力というものをきちっとつけていただく、その上に一つの創造性を持った、まさに創造的で革新的な人材をつくっていくという視点がまず第一に要るんではないか、こういうふうに考えておりますし、また、今国民のモラルハザードが問われておりますが、善悪をきちっとわきまえた、人間性の豊かなといいますか、倫理観の高い、道徳観の高い人材をどういうふうにつくっていくかということもぜひひとつ課題になっていかなきゃいかぬ。そういう人材をつくっていくことも問われておるというふうに思いますし、あわせて、これから国際社会への貢献も問われるわけでありますが、人類が地球とともに共存をしていくという高い観点に立った、またそういうことが非常に大事であるということを理解するような人材をつくっていく、そして世界的視野を持った人間をどうやってつくっていくか、そういう日本人をどうやってつくっていくか、そのような視点に立った人材育成の観点からの議論が期待をされておるというふうに考えておるところでございます。
#27
○岩瀬良三君 それから、二十一世紀の懇談会では総理と文部大臣の連名でいろいろな方に御意見を伺っているというようなことも報じられております。それから、いろんな方の御意見がホームページ等でも寄せられておるというようなことでございます。これらは非常に有益な御意見が寄せられるんだろうというふうに思うわけでございますが、これらの意見というのはある時点でまとめて発表するようなことになるのかどうか。もちろんそれをもとにいろんな懇談会がなされるんですが、それとともに国民もまた知りたいんじゃないかと思うんですが、そういうことになるのかどうか、そういう点はどうでしょうか。
#28
○政務次官(河村建夫君) 委員御指摘のとおり、総理大臣と文部大臣連名におきまして有識者にお手紙を差し上げて、教育改革に対する御意見を伺いました。今その意見が寄せられておるところでございます。
 と同時に、国民に対しても官邸のインターネットをオープンにいたしまして、あるいはファクス、既に四千通を超える御意見が寄せられております。今その分析といいますか整理をいたしておるところでございまして、これを全部公開というわけにはいかぬだろうと思うんですね。しかし、これを整理することによってこれから国民会議のテーマもおのずから決まっていくであろう、こう思っておりますので、そうしたものを公開して皆さんに、これからこういう議論をされる、または皆さんからこういう議論を受けたということは、ある程度まとめた時点で公表することになるのではないか、またすべきであろう、このように考えておるところであります。
#29
○岩瀬良三君 今のお話はぜひそうしていただきたいと思うわけでございます。
 それから、さきの二十一世紀の懇談会で報告が小渕首相になされたんですけれども、私も拾い読みですけれども読ませていただいたんですが、非常に新しいと申しましょうか、先を進んだ考え方と申しましょうか、出されておるわけでございます。これは実施面ということよりも、皆さんにいろいろな議論を巻き起こしてその種にしていただくんだよというのが趣旨のようでございますけれども、しかし話としては非常におもしろい話も多々あるわけでございます。
 教育の方でいえば、週三日制というような、義務教育の持っている時間の短縮化の問題だとか、英語は今非常に議論されておりますけれども、第二公用語というような非常に新しい考えを提案、しかも大胆に提案しておるわけでございまして、これらは今後議論されていくんだろうと思うんですけれども、河村政務次官のこれらに対する所感というものをちょっとお聞かせいただければと思います。
#30
○政務次官(河村建夫君) 「日本のフロンティアは日本の中にある」という報告を受けた二十一世紀日本の構想について、私も大変示唆に富むものだと興味深く受けとめさせていただきました。今、委員御指摘のように、その中に、義務教育は三日でもういいんじゃないかというような意見、あるいは英語を第二公用語にしたらどうかという大胆な発想がございます。これがたたき台になって国民的議論が広く巻き起こる、そのことを願うんだというのが報告書でございました。
 文部省といたしましては、このこれからの国民的な議論、特に教育改革国民会議等でこうしたものが恐らく一つの課題として議論をされるでありましょう。その動きというものを見守りながら対応していくというのが基本的な姿勢でございますが、思い切ったやっぱりドラスチックな改革をやっていこうということでありますから、そういうものは私は重視する姿勢が必要ではないかというふうに感じております。
#31
○岩瀬良三君 その第二公用語の英語のことでございますけれども、今非常に文部省の方も力を入れていただいて、会話能力ということが非常に言われておるわけでございます。学校の教室でもこういう会話の授業と申しましょうか、そういうのが行われておるわけでございますけれども、一つちょっと心配な点は、小学校の方でやる場合には、当然何にも使わずに会話だけでやっておるわけでございます。小学生でございますので、それが非常に興味本位の方に流れているということも言えるだろうと思うわけでございます。非常におもしろいといいますか、そういう興味を持たせるような形で授業が進められておるというようなことも言われております。
 そうした場合に、今度中学へ行きまして英語の授業ということになると、余り関連性がないんじゃないか、こういうことを私は聞いたわけでございますけれども、せっかくそういう形で英語の会話能力を伸ばしておるわけなので、そこら辺の関連性、こういうものをどう考えて指導しているのか。これは局長さんの方がよろしいかと思いますので、その辺のところをおっしゃっていただきたいと思います。
#32
○政府参考人(御手洗康君) お答え申し上げます。
 中学校、高等学校におきます英語教育は、特に聞く、話すということを中心にいたしまして、基礎的、実践的なコミュニケーション能力を育成するということを重視しているところでございます。
 これに対しまして、この平成十二年度から新設をされます小学校の総合的な学習の時間におきましては、今御指摘がございましたように、児童生徒が国際理解教育の一環として外国語に触れたり、あるいは外国の生活や文化などになれ親しんだりする、こういった小学校段階にふさわしい体験的な学習の活動を中心としながら勉強していくということでございますので、今後、この小学校における総合的な学習の時間における英会話等の学習と、中学校、高等学校におきます英語の学習をどう関連づけていくかということは極めて重要な課題であると私どもは思っておるところでございます。
 現在、今後のこのような英語教育の指導方法をより一層改善するという観点から、文部省におきまして英語指導方法等のあり方についての検討をする懇談会を設けたところでございまして、ここでは、コミュニケーション能力をしっかり身につけさせるために、これまでの中高等学校におきます英語教育のあり方がこれでいいのか、あるいは入試におきます英語のあり方がこれでいいのかというようなこともあわせまして、小中高等学校、さらには大学まで含めまして、そういった一貫性のある実践的なコミュニケーションを行うための指導のあり方、あるいは今後の体制のあり方ということについても検討課題としているところでございますので、今後、小学校におきます今年度からの実践の事例等も十分見きわめながら研究を進めてまいりたいと考えております。
#33
○岩瀬良三君 次に、科学技術立国関係の方へ入らせていただきたいと思いますけれども、これは大変重要な事柄であるわけでございます。
 ただ、今次官からのいろいろなお話もありますように、先端分野、研究開発分野の充実、こういうことも非常に大事でございますが、若い人にも科学技術への興味を持ってもらう、底辺を広げていくということも非常に大事であろうかと思うわけでございます。
 そういう中で、昨年の二月ですか、国際教育到達度評価学会が三十八カ国・地域の中学二年生を対象に実施した国際数学・理科教育調査の国内結果の速報値が発表されたわけでございますけれども、これを見ますと、どうも以前よりみんな下がってきておる。数学、理科の学力そのものは、これは四年前の調査なんだそうですけれども、同水準で、余り低下が見られないということでございますけれども、数学、これに対して嫌い、大嫌いというのが前のときよりも五%上がって五二%だとか、退屈だというのが七%上がって四二%になるとか、理科も同様に、この嫌いだとか退屈だとかというのが数字が上がっておるわけで、数学、理科離れが起こっておるような状況じゃないかと思うわけでございます。
 それからまた、この間の新聞に報道してちょっと驚いたのですけれども、京都大学の西村教授のグループが中国と日本との大学生の数学の正解率を比較したらしいんですけれども、この正解率で見ますと、北京大学では正解率が九五・六五%、東大が四五%、京大が二三%、慶応、早稲田がもっと低い、こういうようなショッキングな数字が報じられておるわけでございます。こういう点で、小さいときからやはり科学技術への興味を持ってもらうことが必要だろうと思うんですけれども、この科学技術への興味を持ってもらう指導、こういうことについて大臣が非常に努力していただかなければと思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
#34
○政務次官(河村建夫君) 児童生徒の科学技術に対する関心をもっと高める、勉強をしっかりしていただくということは、科学技術創造立国を目指す日本としては大きな課題でございますが、今御指摘のように、確かに理科離れ、数学離れという指摘がございます。成績が悪いという指摘がございましたが、子供の理科の成績等はまだハイレベルにあるんだけれども、理科は好きかと言われると、非常に低いという、非常にということはないんですが、かなり日本は世界のレベルからも低いという統計も実は出ておるわけでございます。
 そこで、いかにしてその子供たちの知的創造力を高めていこうかということがこれからの理科教育にとって重要な課題でございまして、理科を好きになっていただくような授業をしていかなきゃいかぬわけでございますが、新たに今度総合的な学習の時間というのを設けまして、その中で観察とか実験とか自然体験とか、そういうことをしっかりやって、テーマを与えて、そしてそれの回答を見つけるような学習を積極的に進めていこう、こうしておるわけでございまして、知的創造力をかき立てるような授業をやることによって大いに関心を持っていただく、その方へ進んでいこうという生徒ができるだけふえていくように理科教育の充実にさらに努めていかなきゃいかぬ、こういう認識でおるところでございます。
#35
○岩瀬良三君 ぜひお願いしたいと思っております。
 それから、教育の方なんですが、先ほども御指摘がありましたけれども、どうも今までの教育は平等を重視する余りの教育じゃないかということが皆さんから指摘されておりまして、子供の才能の芽を平等を重視する余り摘んでしまっているんじゃないか、こういうような指摘もなされておるわけでございますし、もっとひどい話になりますと、文部省が求めた個性的な人材は学力の低下と引きかえじゃないか、こういうふうな辛らつな話もあるわけでございます。
 そんなことはないわけで、みんなそれぞれ優秀になるようにということで努力しているわけでございますけれども、優秀な日本の将来を支える人材というのはやはり伸ばしていく工夫をしなきゃいけないんじゃないか、そう思うわけでございますが、この点でいかがでございましょうか。
#36
○政務次官(河村建夫君) 画一的教育といいますか、英才教育、エリート教育をやるというと、何か別なことをやっている、差別教育をやっているんじゃないかとか、国民にそんな気持ちが今まだ残っておる。
 しかし、本当に能力を伸ばさなきゃいけないという人はどんどん伸ばしていただくような選択性の大きい広い幅を持った教育をしっかりやっていくということが必要で、特にその人の個性とか能力、人間には必ずいいところは絶対あるわけでありますから、それをしっかり伸ばす教育をやろうということで、みずから考え、主体的に判断して問題解決に当たる、みずからの考え方で進んでいく。みんな同じ答えをというのではなくて一人一人違う答えを求めるような、そうした生きる力とでも申しますか、そういう個性を伸ばすような教育の充実を図っていくということは当然大事なことであろうというふうに思っておるわけでございまして、今特に中学校、高校では、そういうことにどういう関心があるかということを進路指導においてしっかり希望を聞いて、そして選択できると。学習に幅をできるだけ持たせていって、中学校においても選択教科をもっとふやしていく。いろんな幅を持たして、いろんなところへ自分の希望に応じて選択ができるように伸ばしていく。
 また、高等学校においても、必修科目のむしろ単位というのを減らして選択科目をふやして、できるだけ広い幅で自分の希望といいますか、自分のこういうことをやりたいということが選べるようにしていくということが配慮をされているわけでございます。
 また、能力を伸ばしていくという面では、先生、教諭が学生を見たときに、この子はもっとどんどん勉強させたらいいというような子には、場所、環境にもよりますが、大学に行って物理なんかを一緒に大学生と学んでくる。それで、その成果は学校の単位にも認めましょうと。飛び級のことが言われておりますが、その一つの前段階的に大学で授業を受けてきなさいと。あなたはもうそこまでやれるんだと。そういう人にはそういうところへ行っていただいて、それをもう高等学校でやったと同じだけの資格、単位と見ましょうということで、すぐれた能力を持っている人はどんどん勉強していただくようなことも今進めておるようなわけでございます。
 個別指導とかあるいはグループ別指導であるとか習熟度別授業であるとか、そういうことに配慮して、その能力をしっかり伸ばせる人は伸ばしていただく道をとっていくというのがこれからの教育の重要な視点であろうと思っておりまして、文部省としてもさらにそういうことを進めてまいりたいというふうに思っております。
#37
○岩瀬良三君 それから、あと時間がなくなってまいりましたけれども、先週でしたか、環境科学技術研究所の実験装置の事故というのが新聞で報じられました。青森県の六ケ所村という場所が場所でございますし、名前もまたそういうのに関係するような感じでございますので、時間がありませんので、簡単にこの事故の状況、それから事故の原因と申しますか、そういう点をちょっとお知らせいただいて、放射能と関係があるのかどうか、そういう点だけお話しいただきたいと思います。
#38
○政務次官(斉藤鉄夫君) 放射能とは全く関係ございません。
 この環境科学技術研究所は、平成二年に当科学技術庁が設立を許可した財団法人の研究所でございます。
 そして、その事故の概要でございますが、湿式酸化実験装置、これは稲、わらなどの有機物を酸化分解して無機物にして植物の肥料にする、その試験装置だそうでございますが、その気密性確認のテストを行っていたところ、実験装置から出火をして付近にいた五名がやけどを負いました。実験装置に破裂、亀裂、また周囲の建物躯体や他の設備機器への損傷はなかったということでございます。
 放射性物質の取り扱いは行っておりませんので、放射性物質に関係した事故ではございません。
#39
○岩瀬良三君 あと、斉藤次官に科学技術基本計画についてお話をお聞きしたかったんですけれども、今後の計画に、研究活動だけでなくて、技術の熟練と申しましょうか、日本で熟練工がだんだんいなくなってくるんじゃないか、ところがこれが大事だということが再認識されておるわけでございまして、また物によってはいろんな広い科学的知識を持った方でないとそういうふうになれない分野もあるんだろうと思うんですけれども、こういう分野の方々を大事にする、またそれを育てていくというようなことで、この科学技術基本計画にひとつそういうこともぜひお含みおきいただきたい。研究だけじゃないということをお願い申し上げまして、終わりにいたします。
#40
○政務次官(斉藤鉄夫君) 岩瀬委員がおっしゃった問題意識を我々も非常に深く持っております。科学技術の現場に日の当たる科学技術政策をという心づもりで今鋭意努力しているところでございます。
 例えば、今回の国会に技術士法の改正案を提案させていただきました。現場で働く技術者が社会的誇りを持って働ける、そういう制度をつくろうというものでございます。
 また、この一月から、大臣の発案によりまして、二十一世紀の科学技術に関する懇談会というものを、私的諮問機関でございますが、開催させていただいておりますが、これは科学技術の現場に光を当てて、現場の技術者に来ていただいて、現場の技術者だけでありませんが、各界の有識者でございますが、現場の技術者にも来ていただいて、二十一世紀の日本、科学技術の現場、物づくりの現場に日の当たる政策をどのように立てていくか、今鋭意検討しているところでございます。
 よろしくお願いいたします。
#41
○委員長(佐藤泰三君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後零時五十分まで休憩いたします。
   午前十一時三十七分休憩
     ─────・─────
   午後零時五十四分開会
#42
○委員長(佐藤泰三君) ただいまから文教・科学委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、教育、文化、学術及び科学技術に関する調査のうち、文教行政の基本施策に関する件及び科学技術振興のための基本施策に関する件を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#43
○松あきら君 国際連合で一九九〇年九月、子供のための世界サミットが開かれまして、参加した七十一カ国の元首、首脳たちが子供を政治の最優先にと誓い合って十年がたちました。広い地球的観点からこれを見れば、貧しさのゆえに子供の人権がないがしろにされ、また子供たちが最大の犠牲者となる地域紛争が残念ながら今もまだ続いております。先進国でも、物の豊かさに心の成長が追いつかずに、日本におきましても校内暴力、いじめ、衝動的行動、薬物汚染など子供たちの悲惨な事件が相次いでいるわけでございます。こうした子供たちの渇いた心に潤いを取り戻すことは本当に差し迫った課題だというふうに思います。
 その第一歩としまして、世界に先駆けて、平成十二年、西暦二〇〇〇年のこどもの日、五月五日に、質も量も世界最大の蔵書と読書環境を整え、内外の情報を収集と発信のできる国際子ども図書館が上野に開館されます。読書は、子供たちの言葉、感性、情緒、表現力、想像力を啓発するとともに、人としてよりよく生きる力をはぐくみ、人生を味わい深い豊かなものとしていくために欠かせないものでございます。
 昨年八月に、衆参本会議で、西暦二〇〇〇年を子ども読書年とする決議とともに、国を挙げて子供の読書活動を支援する施策を集中的かつ総合的に講ずることが採択をされました。
 四月二日はアンデルセンの日で、これは世界的にも子どもの本の日とされております。日本でも、もちろんこの日が本の日ということで採択されておりますけれども、このようにかわいらしい切手が発行されます。(資料を示す)実は四月二日、子どもの本の日に出してくれるはずでございましたが、四月二日は残念ながら日曜日ということで、三月三十一日にこの切手が発行されます。私はこの切手の発行を推進した者の一人といたしまして、読書運動がこの切手の発行でより進んでほしい、そういうふうに思いまして紹介をさせていただきます。そして、大人が子供によりよい本を積極的に与えていくという風潮をぜひつくっていただきたいというふうに思うわけでございます。
 そこで、子供たちが、例えば絵本を読みたい、あるいは本を読みたいと思いましても、現実は、地域に子供たちが集まれる、通える図書館の整備が大変におくれているわけでございます。全国の子供の読書環境はまだまだ未整備といったところで、全国三千二百六十一自治体の公共図書館の設置率は四九%ということで、半分に満たないような状況でございます。公立図書館が設置されていない市町村への支援もとても大事だというふうに思うわけでございます。
 保育園、幼稚園、学校図書館、公共図書館などを含む総合的な読書環境基準をつくるべきと思いますけれども、文部政務次官の御見解をお伺いしたいというふうに思います。
#44
○政務次官(河村建夫君) 松委員御指摘のとおり、子供たちにとって読書というものが、子供の豊かな感性とか情緒、情操教育、そういう観点からも大きな意味を持っておりますし、読書を通じていたわりの心がはぐくまれる、こういうこともあるわけでございまして、できるだけ図書館を整備していくことは文部行政の中でも重要な課題の一つであろうと思っております。
 今、図書館の整備について基準をつくるのはいかがかというお話でございます。幼稚園については今特にまだ設けられていない。それから学校図書館については、平成五年の三月に学校図書館図書標準が設定をされておりますし、そしてそれに基づきまして、平成五年から九年までの間の五年間を通じて学校図書館図書整備新五カ年計画ということで、これは交付税措置でございますが、総額五百億円の措置がなされました。さらに、引き続いて平成十年度、十一年度、また十二年度もその方向で毎年約百億円整備をして、学校図書館の整備が今進められておるところでございます。
 さらに、公立図書館についてでございますが、地方分権の推進の一環として、国庫補助を受ける図書館の最低基準を、昨年の法改正によりまして、これは地方がそれぞれの地域に合わせた形で自由にやったらどうであろうかということで、今基準が一度廃止されたような形になっておりますが、しかしこれは、公立図書館を整備する上で望ましいあり方はどうあるべきかということについて、現在、生涯学習審議会で検討されております。
 地域全体として総合的な読書環境基準をつくることについては、各地域ごとに状況が異なりますので、規制緩和、地方分権という大きな流れの中で数的な基準を一律に定めることは難しいんではないか、こう言われておりますが、今、生涯学習審議会で検討されておりまして、それを踏まえながら、またさらに、まだできておりません幼稚園の図書館の整備についても、文部省としても、交付税の措置のこともございますが、そうした関係省庁とも十分連携をとりながら学校図書館の整備に努めてまいりたい、このように思っております。
#45
○松あきら君 地方分権、規制緩和、これらも大事でございますけれども、今、文部政務次官のおっしゃったように、どうぞよろしくお願いいたします。
 一冊の本との出会いは、子供たちの視野を広めて、また豊かな思考へとつながって、これからの人間形成の上で力強い心の糧になっていくわけでございます。私も当委員会で何度か過去に質問いたしましたけれども、朝の十分間読書運動を始めてから学級崩壊がなくなった、あるいはその後の授業が非常にスムーズにいくという声も随分報告をされております。
 この、朝の十分間読書運動が全国的に広がり始めているというふうに伺っておりますけれども、どのように各学校に推進をされているのか、また現在どんな状況か、お聞かせいただきたいと思います。
#46
○政務次官(河村建夫君) 御指摘のとおり、子供たちが読書を実践するということが非常に大事なことでありますし、効果が上がっているということで、今、学校が始まる前に朝の十分間読書をまずやって、そして授業に入るという運動が行われておりまして、全国で小中学校、高等学校まで含めて行われているところでございます。
 これを今、統計的に文部省の方として調査をしておりませんが、朝の読書推進協議会という民間団体が今調べておりまして、それに基づきますと、小学校で二千三百十三校、中学校で九百七校、高校で二百四校、計三千四百二十四校で実施されていると伺っておるところでございます。ややもすると読書離れというような話もございまして、そういうものを払拭するためにも、このような取り組みは大事なことでございます。
 また、お母さん、PTAもボランティアになって入って進めておられるところもあるようでございますから、文部省としても、その動きを見ながらこの運動をさらに推進する役に回りたい、このように思っております。
#47
○松あきら君 まだ数を伺うと少ないようでございまして、またこれからもぜひこれを推進していただきたいというふうに思います。
 家庭では何といっても、子供がお母さんのひざの上で、お母さんの声で絵本を読んでもらう、これが非常に子供たちはうれしいわけです。私も実は、小さいころから母に寝る前に本を毎日毎晩読んでもらっていたんです。多分、小学校三年生ぐらいまで私は母にやってもらっていたというふうに思うんです。私は非常に本好きの子供でして、学校の勉強はしていないから怒りたいんだけれども、世界少年少女文学全集とかそういう本を読んでいるので母が怒れなかったとよく言われました。
 本好きというのは、小さいときに母にそうやって読み聞かせてもらった、これが非常に大きな要因じゃないかなというふうに思うんです。ですから私は、子供が本好きになるのは、自分を愛してくれる人が楽しみながら本を読んでくれる、自分もそれを聞かせてもらって日常とはまた違った本の世界を共有する、共感する、これが非常に大事じゃないかなというふうに思うわけでございます。
 この、家庭での読み聞かせの大切さを広く認識してもらいたいと思うわけでございますけれども、保健所あるいは保育園や幼稚園などに働きかけて、例えば妊産婦の時期あるいは乳幼児健診などのときに絵本を楽しむ時間を組み込むよう、そういった協力を求めていくといったこともぜひしていただきたいというふうに思うわけです。
 そして、これはちょっとアイデアなんですけれども、あるお母さんがそういうアイデアを私に話してくれたんです。例えば、一歳児健診のときに絵本読書券なんかをくれると非常にうれしいというような声もあります。例えば千円でもいいですから絵本読書券を差し上げる。
 こういうことを通して小さいときから読書に親しむようにしてあげるべきというふうに思いますけれども、こういった観点での文部省の取り組みをぜひお伺いしたいというふうに思います。
#48
○政務次官(河村建夫君) 松先生は大変立派な教育環境のもとにお生まれになって、大変結構なことだと思います。
 子供のころから本に親しむ、御指摘のとおり大事なことでございまして、これをさらに進めていこうということであります。今、その一つとしてアイデアをいただきました。
 一律に図書券ということもアイデアとしてあろうかと存じますが、やっぱりこういうことは家庭教育の中で自発的に行われるべきものかなという感じがいたしておりまして、実際にそういう形で図書券として出していくというやり方については慎重に考えていかなきゃいかぬだろうと思いますが、いろんな形で子供に本を読む機会をつくっていくということは大事なことでございます。
 文部省としても、ゼロ歳から乳幼児や小中学生を持つ親に、家庭教育手帳というのがございます、何度かこれ出てまいりました。この中にも幼時には親が本を読んで聞かせると決めようということがございまして、一番すてきな本はお父さん、お母さんの声で読む本だと、こういうことが漫画と一緒にわかりやすく書いてございます。
 そういうことで、積極的にそういうことを進めておるようなところでございまして、幼稚園、保育園、公共図書館と連携を深めながら、子供たちや市民グループで読書の機会をつくっていく、読書活動をしていくというようなこともやっておりますし、子ども読書年ということも決議をいただきました。松先生にもいろいろ側面から頑張っていただいてこれができたわけでございます。そういうようなことも踏まえながら、文部省としても、特にことしを期してそうした読書環境を深めようといたしております。
 先ほど図書券の話がございました。これは私は、できたら家庭のお年玉の中に図書券を加えていただいたらどうかな、こんなふうにも思っておるわけでございますが、御指摘は御指摘として大事なことであろうというふうに感じております。
#49
○松あきら君 ありがとうございます。
 今の政務次官がお見せになったピンクの本、それはブルーの表紙の本もございまして、とてもいいんですね。漫画もかいてあって非常にわかりやすい。そういう非常によきものがあるんですから、皆さんにぜひ宣伝、PRもしていただきたいな、たくさんの方にこれを読んでいただいて活用してもらったらいいんじゃないかと個人的に思うんです。ぜひ皆様も一度読んでみていただいたらいいというふうに思います。
 今、私たちを取り巻く時代の事情が大きく変わってしまいました。まず、就職の事情でございます。今までは、中学、高校を経て大学を卒業すれば、ある意味では社会が就職先を用意してくれた。今では大卒でもなかなか難しい。まして中学、高校卒業で就職となると、もっともっと難しい。そしてまた、女子学生はさらに厳しいというような状況でございます。
 そしてまた、学校の事情もいろいろ変わってまいりました。週五日制の土日は自分が選んだものを自分で学習する日というふうになったわけでございます。社会の事情も変わりました。インターネットも、ある意味ではもう言葉となったというような気がいたします。
 そこで、家庭という分野には政治は本来、口を挟むべきではないというふうに思うんですけれども、最近の事件を見ていますと、家庭を取り巻く環境、特に、教育行政はもちろん、行政のかかわり方などを検討せざるを得ないような事件も後を絶ちません。
 家庭の事情も本当に大きく変わってきております。家庭内の重要決定は父親がすべきだという、これは厚生省の全国家庭調査でアンケートをとりましたら、そういう考えに賛成三一%、どちらかといえば賛成五〇%、合わせて八割の人が重大な決定は父親がすべきだ、こういうふうに言っているわけです。しかし、実際の決定になりますと、車とかそういう高価なものは父親、夫がほとんど決めますけれども、事教育になると妻が五四%、夫が一%、こういう数字になってあらわれてくるんですね。また、育児になると八〇%以上が妻任せということになってくるわけでございます。
 今の家庭は母親と子供がパックのように一つの世界に閉じ込もって社会から孤立した状況にあるという分析もあるわけでございます。夫は妻の悩みが理解できなくて、妻が助けを求めても振り向こうとしなくなり、だれにも相談できず思い詰めた妻が子供と心中するなどの悲劇も起こるわけです。ちょっと内容は異なりますけれども、音羽の事件などでも夫婦間の心の通い合いがなかったというふうに言われております。こういった家庭の事情といじめ、学級崩壊などの学校現場の問題は相互に密接な関係があるというふうに思うわけです。
 この間もアルコール依存症の母親を兄弟が殺してしまったという事件がありました。これは悲惨な事件なんですけれども、これをよく聞きますと、この兄弟はとても親孝行でいい兄弟だったそうです。アルコール依存症のお母さん、お父さんは事情でいないんですけれども、に一生懸命家庭の手伝いをしたんだけれども、そのアルコール依存症が治らないと。そして、学校の先生も実はお母さんがアルコール依存症で大変だという事情をよく御存じだったそうです。そしてお母さんとも話し合ったりもしていたそうなんです。だけれども、結果的には酒乱のような形になってしまって、殺人という悲しい結果になったわけです。
 こういうときは先生は、そこまでは新聞等には書いてなかったんですけれども、こういう事情を知っていて、児童相談所あるいは民生委員の方に相談をなさったのかなと、私は実はその辺もちょっと思ったわけでございます。
 このあたりの、学校とそして家庭のかかわりについての限界というものをどのようにお考えでしょうか、お伺いしたいと思います。
#50
○政務次官(河村建夫君) 御指摘があったようなああいう例を私は寡聞にして直接よく承知いたしておりませんが、文部省としても、学校を取り巻くいろんな状況を見ているときにやっぱり家庭教育が非常に大事だと。今まで文部省はそこまで立ち入らないということでございましたが、先ほどの家庭教育手帳等を配ってもっと家庭教育でしっかりやっていただく、そのことを一緒になってやっていかなきゃいかぬだろうと。これまでも、家庭訪問をやるとか、あるいは親子を入れて先生と三者懇談をやるとか、いろいろなことを進めてきているわけでございます。
 ただ、その中にどの程度入っていくかということは、これは教師が自分で判断をしながら対応していかなきゃならぬわけでございます。心の教室相談員、そういうものを文部省としてもふやしていく、あるいはスクールカウンセラーをふやしていく、そして相談に乗っていくという形になろうかと思いますが、どうしても教師が家庭にずっとついているというわけにいかぬ現状がございますから、その辺の判断というのは、教師間のお互いの連携の中で、どの程度入っていったらいいかということは考えていなきゃならぬ。しかし、一定の助言ができる先生もつくっていかなきゃいかぬだろう、こう思います。
 最近の若い先生の中には、なかなかそういう相談に入っていけない先生もあるような指摘も受けております。そういうものをしっかり研修する、あるいは社会体験をもうちょっと積ませてくる、研修の中で。そういうことも言われておりますが、そういうことを踏まえて、そうした家庭の問題について先生も相談に乗れる立場をつくり上げていく必要もあろうというふうに感じております。
#51
○松あきら君 大変難しい問題だというふうに思います。
 この前とんでもない先生がおりました、ストーカーになった先生が。両親の離婚を相談に来たら、じゃちょっと僕の家へいらっしゃいみたいなことで、とんでもないことを三カ月もしてしまったと。本当にああいうこともあるので一概にはなかなか難しいと思いますけれども、先生御自身も、例えばスクールカウンセラーにこういうことを相談できるようなことも必要じゃないかなというふうにも思うわけでございます。
 生徒に元気がなかったり、例えば荒れたりしたときに家庭の中で何かが起こっている、そういう可能性があるわけです。例えばあざをつけて登校した場合、どこかで児童虐待が起こっているんじゃないかな、こういうふうに気づく先生もいらっしゃると思うんです。こういったときに児童相談所などに学校は通告するのでしょうか。
#52
○政務次官(河村建夫君) 児童福祉法によりましたら、そういう現状を見た人はそれを通告する義務を負っておるわけでございます。したがいまして、明らかに児童虐待の可能性があると知った場合には児童相談所に通告をする建前になっておりますが、学校現場としては、まずやっぱり親御さんの相談に乗れるような立場をとる。何はさておきそっちに行くというよりも、まずは学校が相談に乗っていって、場合によっては警察とも相談しなきゃいけない課題もあるかもしれませんが、その役割分担はきちっとしていかなきゃならぬ、こう思っております。
 したがいまして、今後、児童虐待の問題についても法案化の方向になっておりますが、先生方もそれについて研修等を受けながらもっと深い知識を持っていただく必要があります。そのことは十分文部省としても踏まえていかなきゃいかぬ課題だ、こういうふうに思っております。
#53
○松あきら君 児童福祉法二十五条に通告の義務が規定されております。せっかく厚生省もお呼びしているので一問ぐらい聞かないといけないんですが、学校から通報があった場合、どのような手順で対応がとられるのでしょうか。手短にちょっとお願いいたします。
#54
○政府参考人(真野章君) 学校から児童相談所に対しまして要保護児童の通告がございました場合には、まず、受けつけました相談につきまして、主に児童福祉司、相談員などによりまして児童や家庭の状況について調査を行う。そして、調査の後、緊急の場合には一時保護を行うということもございますが、通常は先ほどの調査に基づきます社会診断、それから心理判定員などによります心理診断、医師によります医学診断、それから一時保護部門からの行動診断ということで、関係者が集まりまして総合診断をしてどういう措置をするかということを決めるということでございます。
#55
○松あきら君 親には、民法第八百二十二条に懲戒権というのがあります。親権者による子の監護、教育上から見て子の非行、過誤を矯正、善導するために、その身体または精神に苦痛を加える制裁であり、一種の私的な懲罰手段であるということですが、この懲戒権とはどういうものなのでしょうか。また、これは日本だけの規定なのでしょうか。外国はどうなっているんでしょうか。法務省に伺いたいと思います。
#56
○政府参考人(小池信行君) 御指摘のように、民法八百二十二条におきましては、親権者は必要な範囲内でみずからその子を懲戒することができるというふうにしております。
 これは、先ほど先生もおっしゃったように、親権者が、子の監護上、子の非行や過誤を矯正し、それを善導するために必要かつ相当な範囲内で子に対して制裁を加えることを認めたものでございます。
 この懲戒には体罰も含まれるわけでございますが、それが子の監護上必要かつ相当なものとされるかどうかは、その社会とその時代の健全な常識によって判断をされるものというふうに考えております。この観点から許容されます体罰の程度は、懲戒を受けます子の性格、あるいは親権者が矯正しようとする子の非行の種類、性質、程度等により定まるというふうに考えておりますし、現に裁判例におきましても、体罰として許容される程度、手段は具体的事実に即して判断されるべきものであるというふうにされております。申すまでもなく、子を死に至らしめたり、障害を負わせるような体罰が許されないことは言うまでもございません。
 外国の例でございますが、私どもが調査した範囲で申し上げますと、我が国と同じような規定を持っておりますのは韓国民法でございます。さらに、イタリアの民法でございますが、これは親権者に子の非行を制御する権利があるということを前提といたしまして、裁判所の許可のもとに子を矯正施設に入れることができるという規定がございます。さらに、ドイツ法におきましては、親の懲罰に関しまして親権者による破廉恥な教育措置は許されないという規定が設けられております。破廉恥な教育措置というのはなかなか解釈が難しいのでありますが、不適切な身体的な懲罰あるいは精神的苦痛を与えることなどがこの中に含まれるというふうに解釈されているところでございます。
#57
○松あきら君 この懲戒権というのは非常に難しい問題で、実は児童相談所などもこれがあるがために踏み込めない、ここから先は入れない。あるいは親御さんに、これはうちのしつけですからと、懲戒権という言葉は知らなくてもそういうことを言われてしまうとなかなか難しいと。
 これはどういうふうに考えるかということなんですけれども、これが日本独自とは申しませんけれども、この辺ももう一度時代に即して考え直してもいい時期に来ているんじゃないかなというふうに、個人的な見解としてそういうふうに思うわけでございます。
 夜遅い時間に新宿、渋谷といった繁華街に集まる少年少女たち。あのお化粧、ガングロというそうです。ガングロ、ヤマンバというそうです。すごい頭して、高い靴を履いて、私はそれを美しいとはちっとも思わないわけでございますけれども、当然、こういう子供たちの補導はあると思います。しかし、子供だけでなく、補導した場合、やはり放任しているわけですから、親に対しても何らかの指導があるべきと私は思うんです。
 これも警察庁、手短に、どうなっているかお答えいただきたいと思います。親御さんに対しては何か指導があるんでしょうか。
#58
○政府参考人(黒澤正和君) 最近の少年非行でございますけれども、深夜徘回でありますとか家出、無断外泊等の不良行為、こういった不良行為を繰り返すうちに重大な非行に走るという特徴が見られるところでございまして、重大な非行の前兆となり得る不良行為の段階で少年に対して適切な補導活動を行うことが重要であることはもちろんでございますが、やはり少年非行の問題の背景には、いろいろございますけれども、家庭の問題というのが一つの大きな要因でございます。
 こうした観点から、少年の両親に対する適切な助言や指導は極めて重要であると考えておりまして、警察におきましては、少年や家庭に対する補導でありますとか指導活動を強化するということをねらいといたしまして、専門的な知識、経験を有する少年補導職員等で構成する少年サポートセンターというものを全国に設置いたしまして、少年サポートセンターを中核といたしまして、不良行為を行っている少年の両親に対しましても必要に応じ助言や指導を行い、また場合によっては継続的な指導等にも力を注いでいるところでございます。
#59
○松あきら君 よろしくお願いいたします。
 それでは、科学技術の方に参りたいと思います。
 昨年発生しましたジェー・シー・オーの事故は、従業員の方が亡くなられる結果となりまして、大変残念なことでございました。ジェー・シー・オーは事業許可取り消しを受け入れたようでございます。しかし、事後処理に万全を尽くしてほしいというふうに思うわけでございます。
 この事故で明らかになったのは、従業員の方々が核燃料物質に対して十分な知識を持っていなかったということであり、これが今回の事故の最大の原因の一つとなっているわけでございます。安全対策を図る上で核燃料取扱主任者という資格がございますけれども、これは試験がとても難しいそうでございます。しかし、ジェー・シー・オーでも手当をつけているということもなかったそうです。いろんな状況の中で責任感が薄れていく状況にあったのではないかなというふうに思います。
 この際、核燃料取扱主任者などの責任者だけが免許を取っていればよいというのではなくて、例えばフグ料理をするのにはその免許が要るわけで、トラックの運転の方は大型の免許が要るように、やっぱり実際に作業に当たる従業員の一人一人が責任を持って作業ができるように、例えば免許制度を確立するといったようなことも考えなくてはいけないんじゃないかというふうに思います。
 従業員に対する安全教育について今後どのように取り組むのか、お伺いしたいというふうに思います。
#60
○政務次官(斉藤鉄夫君) 昨年の事故調査委員会の報告書にも、今、松委員と同じ問題意識で提言がされております。ちょっとこれを読みますと、「現場の作業従事者の意欲を高め、安全を含めた知識への関心を惹起させるため、知識検定制度の実施は有効と考える。」「このような検定システムが、事業者や産業レベルでの共通の努力として計画・実施されることが望まれる。」、こういう事故報告書が出てまいりました。
 したがいまして、現在のところ国家資格というところまでは考えておりませんけれども、会社レベル、産業レベルでぜひそういう制度を設けてほしいというふうに指導しているところでございます。
 それから、安全教育はどうなっているかということでございますが、昨年通していただきました原子炉等規制法の改正におきまして、保安教育を法律で義務づけました。この保安教育の徹底を図って資質の向上、緊張感の維持を図りたい、このように考えております。
#61
○松あきら君 原子力利用については、ウランという一つの元素を破壊してエネルギーを取り出すということでございますけれども、現代の人間にとって果たしてそれがよいのかどうか。遠い将来、人類にとってウラン元素が本当に必要になるときが来るのではないかという話を伺ったことがあります。このためにも、限られたウラン資源は温存して、その分、自然エネルギーなどの代替エネルギーの研究開発を進めるべきと考えますが、最後に科学技術庁の考えを伺いたいというふうに思います。
#62
○政務次官(斉藤鉄夫君) 自然エネルギー、そして燃料電池などの代替エネルギー開発については、科学技術庁としても最大限の努力をしているところでございます。平成七年にエネルギー研究開発基本計画をつくりまして、その基本計画で自然エネルギーの研究開発を今進めているところでございまして、予算的にもヨーロッパ諸国と比較して決して遜色のない予算をつけております。特に、科学技術庁においては、波力エネルギー、マイティーホエールでございますが、波力エネルギーの利用技術等に関して今一生懸命研究をしております。
 ウランを将来の人類のためにとっておくべきではないかという大変貴重な御提言でございます。しかし、自然エネルギー、新エネルギー研究開発を最大限進めていくとしても、やはり現在のエネルギー需要から原子力も必要でございまして、原子力につきましてウランを使っていくということも現実問題としていたし方ないこと、この点につきましてもぜひ御理解をいただきたいと思います。
#63
○小宮山洋子君 民主党の小宮山洋子でございます。
 中曽根大臣にせっかくおいでいただきましたので、できましたらいろいろなことについて率直に大臣のお考えを伺いたいと思っておりますので、余り用意されたものにとらわれることなく、御自身のお考えをできれば伺いたいというふうに思います。
 まず初めに、所信の最初のところでも、教育改革は今や内閣の最重要課題である、特にいじめ、不登校、暴力行為などへの対応に重点を置いて取り組む必要があるというふうに述べていらっしゃいますけれども、文部大臣の役割は重要だと思うんですが、特に具体的にはどういうところに力点を置いて教育改革を進めようとお考えになっているでしょうか。
#64
○国務大臣(中曽根弘文君) 我が国の未来を展望するときに、総理がおっしゃっていますけれども、富国有徳、すなわち心豊かな人づくり、活力あふれる国づくり、これが大変大事だと思っております。そして、活力ある国家として発展し、また世界からも尊敬され、また世界の指導国の一つとして世界の発展、繁栄に貢献していくためには、あらゆる社会システムの基盤であります教育について不断の改革を行っていくということが大変重要だ、そういうふうに思っております。
 そのために教育改革国民会議を設置することといたしておりまして、今、総理を中心にこの設置に向けての準備が行われているわけでありますが、戦後五十数年たちまして、日本の教育水準も世界的なトップレベルになりましたけれども、今、委員がおっしゃいましたようなさまざまな教育上の問題が起きております。いじめとか校内暴力とか不登校とか学級崩壊とか、いろいろあるわけでございまして、そういうことも考えますと、この時代が大きく変わる今、戦後の教育というものを振り返って総点検し、そしてこれからの日本の教育はどうあるべきかというような一つの基本理念、あるいはどういう日本人をつくっていったらいいのか、そういうような基本的な方向を検討すること、またそれに基づいた教育改革を行っていくということ、さらに現場での、先ほど申し上げましたいろいろな問題に的確に対応して、そして子供さんたちが健全に発展するような施策をとらなくてはならない、そういうふうに思っております。
#65
○小宮山洋子君 中で道徳教育にも触れられていますけれども、私ちょっと心配しますのは、以前の教育勅語のような、また昔に戻るのではないかという危惧を持つ人もありますが、私はやはり、今の時代に合った人間として社会で生きていくルール、そういうものを教えるということではないかと思うのですが、いかがでしょうか。
#66
○国務大臣(中曽根弘文君) 道徳教育、いわゆる徳育は大変重要なことでございます。戦後の教育も、その果たしてきた役割は大変に大きいわけでありますが、私の個人的な感想でありますけれども、道徳的な面で少し力が弱かったのではないかという気もしております。なぜかと申しますと、子供たちのいろいろな不祥事が起きておる、あるいは大人の世界においても社会でさまざまな不祥事が起きておる、モラルの問題があります。これらはすべて教育に行き着くことでありますし、また道徳ということになるのではないか、そういうことから申し上げたわけであります。
 以前のようなということを御懸念されておられるわけでありますが、親に孝行し、兄弟仲よく、友達を大切にし、人をいたわる、あるいは正義感、倫理観、そういう気持ちを持つということはまさに基本的なことでありまして、私はこういう点の指導に力を入れていかなければならないと思っております。
 そういう意味では、これからの施策の一つとしては、自然体験とか体験学習を子供さんたちにどんどんさせるということが道徳心の向上に非常にいいのではないかと。実は、先週の土曜日は多摩動物公園へ行きまして子供さんたちといろいろな体験を私も一緒にして、私自身も楽しい一日でありました。
 統計的に、自然体験とか福祉の体験とか、あるいはお手伝いをする子供の道徳心というのは、余りしない子供さんたちより高いというデータも出ておりまして、学校教育の場においてもあるいは地域社会においても、今後そういうような機会をふやしていったらいいのではないか、そういうふうに思っております。
#67
○小宮山洋子君 あと、健全育成という言葉がよく使われますが、ちょっと辞書で引いてみますと、健全というのは心身ともに健やかで異常のないこととあるんです。今、何が正常で何が異常かということがわからなくなっているんじゃないか。これはどうしても大人の側からの、何かこういう形に仕立てたいというような感じを私はどうも持ってしまいますので、なるべく一人一人の個性を伸ばしていく、新しい学習指導要領の中でも力点が置かれていると思いますが、そういう方向にぜひ重点を置いてやっていただきたいというふうに思っております。
 それで、あと具体的個別の問題を幾つか伺っていきたいと思うんですけれども、一つは、各学校が特色ある教育、学校づくりをするためには、やはりもっと地方分権をしまして、地域に開かれた、コミュニティーの意思が反映されるような形にしていく学校運営のあり方が必要ではないかというふうに思います。中央で決めるのは年齢ごとの最低基準とか基本方針などで、そのほかの権限はできれば市町村が持つ、それぐらいの改革がないと私はいけないのではないかと思いますが、そういう考え方についてはどういうふうにお考えでしょうか。
#68
○国務大臣(中曽根弘文君) 行政全般について地方分権の時代でありますけれども、教育につきましては、特に地方の自治体、それから教育委員会、学校等が自主的に取り組んでいくということが私は好ましい、そういうふうに思っております。
 地方分権法の成立、昨年の通常国会で制度改正が行われたわけですけれども、この一月には学校の方の関係で学校評議員制度、これの導入などによりまして学校の自主性、自律性もさらに促進されているわけでございます。
 この制度、委員御承知のとおりでありますけれども、学校を開かれたものとするために、校長先生が、地域の住民の皆さん、御父兄の皆さん方に評議員になっていただいて、学校側からも学校の現状等をよく御説明する。今、説明責任ということがよく言われておりますけれども、学校の状況も御説明する。そして、地域の皆さんの御要望も、評議員制度という形でそれを学校側も受けとめて、学校運営をよりよいものにしていく。そういうようなことが今進められているわけでありまして、おっしゃいましたような地方分権、これからどんどん進めていったらいいのではないかと私は思っております。
#69
○小宮山洋子君 そうですね。先ほど地方自治体、教育委員会というお話がございまして、お話の中で住民ということも出てまいりましたけれども、やはり学校の中の教職員だけではなくて、保護者、子供たち、それに地域の住民も加えるような形で、新しい発想でやっていただかないとなかなか教育改革といっても絵にかいたもちになってしまうのではないか、そんなふうに思います。
 それともう一つ、仕組みの点で伺いたいのは、やはり一人一人に目配りをきちんとした教育をするためには、学級の規模ですとか教職員の配置ということを考えることが大事なのではないかと思います。
 民主党では、三十人以下の規模の学級にする法案を提出しております。また、教職員の配置につきましても、忙し過ぎて一生懸命にやる余りに精神を病む、中には過労死をするケースが多い職種に教職員が挙がっているというようなこともございます。配置をふやして持ち時間を減らすこと、それから、私も成果が上がっているのを見た経験もありますが、チームティーチングなどをふやすこと、そうしたような学級の規模や教職員の配置についてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。
#70
○国務大臣(中曽根弘文君) 今後の学級編制、また教職員配置のあり方につきましては、現在、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議、ここにおきまして中央教育審議会答申の提言内容を踏まえまして、それを基本として、また海外の実態等も参考にして今検討が行われているところでございます。その中では、教職員配置と定数のあり方、また学級規模と学習集団のあり方等について検討が行われているわけでございますが、まだ一定の結論を得るには至っておりません。できるだけ早く結論を出していただきたい、そういうふうに思っているところでございます。
 一般に、学級の一クラスの児童生徒数が少ないほど確かに指導はやりやすくなるんではないか、そういうふうに思っておりますが、全国一律に、仮に三十人以下の学級ということにいたしますと、これは大変な財政的なまた負担もあるわけでございます。今、委員もおっしゃいましたように、チームティーチングとかあるいは小規模のグループづくりをして、その科目や学科に応じた弾力的な授業を行うとかいろいろな方法も考えられますし、現在、既にそういうやり方でもやっていただいて効果が出ているところも、そういう報告もございます。
 今後、この協力者会議における検討も踏まえまして、私ども、新たな施策に来年度から着手できるように進めていきたい、そういうふうに思っております。
#71
○小宮山洋子君 今、検討中ということですが、私も以前に審議会とか検討会に入れていただいていたことがありますが、どうも時間がかかり過ぎる。急がれる問題についてはスピードアップをして、ぜひそういう体制を一刻も早く整えていただきたいというふうに思います。そうした仕組みとか組織を変えることと並行しまして、あるいはそれ以上に重要なのが、意識とか考え方を変えるということなのではないかと思っております。
 そうした観点から、子どもの権利条約、文部省の方では児童の権利条約とおっしゃっていますが、私は、児童福祉法では十八歳未満を児童と申しますけれども、文教行政の中では児童といいますとどうしても小学生を思い浮かべます、また労働基準法では十五歳以下を言いますので、これは子供と言った方がいいのではないかと思っておりますけれども、この子どもの権利条約についての大臣の御認識を伺わせていただきたいと思います。
#72
○国務大臣(中曽根弘文君) 平成元年に国連総会で採択をされまして、平成六年に我が国が批准をいたしました児童の権利に関する条約、これは、世界の多くの児童が今日なお飢えや貧困等の困難な状況に置かれている、そういう現実にかんがみまして、広く国際的な協力によって児童の権利保障を推進することを目指したものと認識しております。
 もとより、学校現場におきましては、児童生徒の人権に十分配慮して、そして一人一人を大切にした教育が行われなければならないのは当然でありますが、今後とも適切な教育の指導、また学校の運営が行われますように一層の指導に努めることが大変重要である、そういうふうに思っております。
 実は、委員の広報のパンフレットを読ませていただいておりますけれども、子供の権利についても述べておられまして、日ごろからこの問題に大変真剣に取り組んでいただいていることに心から敬意を表する次第でございます。
#73
○小宮山洋子君 今、大臣おっしゃいましたように、一九八九年、国連で採択されまして、世界の百九十一カ国が守るという約束、批准をしている。国連の条約の中では一番批准国の多い条約なんです。おっしゃいましたように、日本が批准をして間もなく六年になります。
 今、貧困、飢えとおっしゃいましたけれども、そういう途上国の子供だけではなくて、先進国の子供もみんな含めて子供にとって最善の利益になること。すなわち、子供が一番幸せな状態であることを最優先の課題にしようという精神からできていて、四十二条の中にはこの条約を大人にも子供にも知らせるという広報義務も入っております。
 ところが、批准をしたときに、日本政府はこのための予算は特につけないとおっしゃいまして、たしか小学校から高校まで各学級一枚ずつのポスターだけを外務省と文部省でおつくりになって、私は大変そのあたりは不十分ではないかという解説をいたしました。
 ここにスウェーデンのNGOがつくった絵本、小学生向き、中高校生向きにつくった日本語に訳されたものがございます。その小学校低学年向けを見ますと、地球の周りに各国の男の子、女の子、絵本ですので立っておりまして、ここに「こどもはみんなだいじ。わたしもだいじ。ぼくもだいじ。」と書いてあるんです。
 これは当たり前と言われるかもしれませんけれども、一人一人の子供がそのままで大事なんだというメッセージがきちんと届いていないことが、私は今、子供の問題の大きなもとにあるのではないかとずっと考えてまいりました。
 国連の子どもの権利委員会で、九八年に日本の第一回報告、締約国には報告義務があるわけですけれども、それに対する勧告がございました。その中で、子供の権利を、特に家庭、学校などで保障するための立法的なものを含め追加的措置を導入することを勧告する。あるいは、子供が高度に競争的な教育制度のストレスを受け、またその結果として余暇、運動、休息の時間が欠如していること、さらに不登校がかなりの数に上ることへの懸念を挙げまして、過度なストレスなどを予防する措置をとることを勧告する。
 そのほか多くの勧告がなされておりますが、大臣はこの勧告を御存じでしょうか。そして、それに対してどういうふうな対策をとろうとお考えになっているかを伺わせてください。
#74
○国務大臣(中曽根弘文君) 平成十年六月に、児童の権利に関する委員会が我が国の第一回政府報告に対する最終の見解を採択されました。提案及び勧告を含む最終見解が採択されたわけでございます。
 この最終見解の中で、この委員会からの提案及び勧告といたしましては、学校における体罰、いじめの防止、それから登校拒否に対する措置、それから青少年の自殺やエイズ防止などが含まれているわけでございます。
 文部省といたしましては、この指摘をまつまでもなく、児童の権利に関する条約につきましての事務次官通知も含めまして、従来から児童生徒の人権に配慮した各種の施策を実施しているところでありまして、今後もこの充実に努めていきたい、そういうふうに思っております。
#75
○小宮山洋子君 今ちょっと触れられましたけれども、勧告の中には、学校での体罰やいじめをなくすため、学校での暴力防止のための包括的なプログラムが考案され、その実施が綿密に監視されるよう勧告するということもございます。
 現に、学校での体罰、新聞記事で最近のものを拾ってみただけでも、九九年に苫小牧市の中学で、教諭の体罰で柔道わざをかけられて中学二年の生徒が重傷を負った。あるいは北海道名寄で、体罰の翌日に高校二年生の生徒が自殺をした。東福岡のソフトテニス部で、試合に敗れ、監督教諭が体罰を行った。町田で、小学校六年の子供の顔にマッチなどを担任が近づけて体罰を加えたなど、取り上げられているのは氷山の一角だと思うんですけれども、こうした体罰が後を絶たない。このことに対してはどういうふうな対応をおとりになっているんでしょうか。
#76
○国務大臣(中曽根弘文君) 学校における体罰は、学校教育法の第十一条によりまして厳に禁止されておるわけでございます。これまでも通知等によりまして、学校や教育委員会等に対しましてその周知を図ってきたところでございます。
 また、児童の権利条約の批准を受けました平成六年五月の事務次官通知におきましても体罰の禁止の徹底を求めるとともに、平成十年六月の先ほど申し上げましたこの最終見解における体罰除去の勧告を受けまして、研修会等を通じてその趣旨のさらなる徹底を図ったところでございます。
 各都道府県とか市町村の教育委員会におきましては、これらを踏まえて、教員等を対象といたしました初任者研修や、それから各種の研修会等の場でその趣旨の徹底を図っているところでございます。
#77
○小宮山洋子君 何となくそのあたりが本当に本気でやろうとしているとどうも私には思えないところがございますので、ぜひそのあたりは、もうこれは一番基本的なところだと思うんですね、力を入れてお願いしたいと思います。
 そして、先ほどから子供の権利を守るとおっしゃっているんですけれども、例えば私が以前に取材をした中でも、北海道の中学校で十年ぐらいかけて、生徒が主人公の学校を目指して、六十数項目あった校則を、生徒と先生、保護者が話し合うことで、校則という形はやめて子供たちが主体的に動くようにして、十年かけてそういう学校に変えたという例が実際にあるんです。始業、終業のチャイムも廃止してしまった。だけれども、みんな自分たちで、授業は必要だと思って、時計を見て始業時間になるとちゃんと集まる。それから、体育祭、文化祭、修学旅行なども、なぜそれが必要かというところから生徒たちと一緒に話をして、生徒とそれから学校の共催で行うというような形でやっていまして、そういうふうにできるところもあるんですよ。私は、これこそ子どもの権利条約で言っているような学校のあり方じゃないかなという実感を持ちました。そして、そこで生徒たちが言っていた言葉の中で、先生に民主主義を教えてもらったとさらっと子供が言ったんですね。すごく私はそれに感動した覚えがございます。
 こういうような学校も、子供たちというのはすごく伸びる力、やる力を持っているので、上手に引き出していけばできるのではないか。ぜひこのような例も全国的にいろいろ御紹介いただく中で、どうやったら本当に子供たちにとって楽しく行ける、主体的に行ける学校ができるのか、そういう取り組みがやはり不登校とかいじめをなくすことに私はつながるのではないかと思いますので、御検討をいただければと思います。
 そして、この子どもの権利条約に関することの最後に、意見表明権とのかかわりですが、国旗・国歌の問題が私はやはり気がかりです。口を開いて無理に歌わせるようなことはしないと法案審議の過程で政府は答弁されましたけれども、各地で、自治体とか学校、それから先生の処分の問題などがいろいろ出てまいりますけれども、子供たちに無理にさせることはないということをもう一度ここで確認をさせていただきたいと思います。
#78
○国務大臣(中曽根弘文君) 児童の権利に関する条約の十二条一項では、児童個人に関する事項につきまして児童がみずからの意見を述べることができることとされております。学校におきましては、例えば、先ほど委員もおっしゃいましたけれども、校則等の制定とかあるいは見直しに当たって、児童生徒がみずからの課題としてこれらの問題を学級やまた生徒会の活動などを通じて討議する場を設けるなど、必要に応じて児童生徒の意見が反映されるよう考慮されているところでございます。
 お尋ねの国旗と国歌の指導でございますけれども、これは、児童生徒に我が国の国旗と国歌の意義を理解させて、これをまた尊重させる、そういう態度を育てるとともに、諸外国の国旗・国歌も同様に尊重してもらう、そういう態度を育てるために行われるものでありまして、従来どおりこの国旗・国歌の指導につきましては学習指導要領に基づいて適切に指導が行われるべきだ、そういうふうに思っております。
#79
○小宮山洋子君 重ねてもう一言伺いますが、学習指導要領にのっとって適切にということは、子供たちの中にも宗教とかいろいろなことが違うケースがございますね、無理に歌わせることはしないということだけ、もう一度確認をさせてください。
#80
○国務大臣(中曽根弘文君) 歌う、歌わないは個人のまさに権利といいますか判断ということになるのではないかと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、日本の自分の国の国旗と国歌というものを十分理解してもらって、これを尊重させる、また外国の国旗・国歌についても同様に敬意を払う、そういう気持ち、心を養うということは大変重要なことでございます。そういう意味で、学校においても学習指導要領において適切に指導することとするとしているわけでありまして、音楽の時間等におきましても、そういうところから君が代について指導しているところでございます。十分に子供さんたちにも理解してもらう。
 そして、例えばこれからワールドカップも韓国と共催で二〇〇二年に行われますけれども、また、児童生徒もどんどん海外へ出ていく、あるいは海外からもいろいろな人が見えていろいろな国際的な大会等も開かれる。そういう中で日本人の子供が立派な日本人として、そういう国際的な儀礼上も正しい行動といいますか、国際社会の中で生きていけるような行動をとってもらうことが好ましいわけで、そういう意味で学習指導要領で指導しているところでございます。
#81
○小宮山洋子君 この問題ばかりやるわけにいきませんので次へ行きたいと思いますけれども、昨年、御存じのように男女共同参画社会基本法が成立をいたしました。学校現場でもぜひ小さいころから、そういう女性だから男性だからということではなくて、個人個人の力がちゃんと認め合えて発揮できるような社会づくりのための教育をしていただきたいと思いますが、一つに、男女混合名簿の実施率がまだ低いということがございます。
 文部省の方では恐らく調べていらっしゃらないと、以前に私が伺ったときはそうおっしゃいました。日教組の調査ですと、全校で実施しているのが小学校で四〇%、中学校で二四%、高等学校で四二%。ふえてはきていますけれどもまだこのぐらいです。たかが名簿、されど名簿でありまして、先に男の子をずっと呼んで、その後、女の子をずっと呼ぶというような形のもので毎日毎日出席をとられますと、やっぱり男の子の方が先なんだという意識がもう私は日々すり込まれるというふうに思います。
 こうした男女混合名簿をやはり私は進めていただきたいと思いますけれども、その点はどういうふうにお考えでしょうか。
#82
○国務大臣(中曽根弘文君) まず、男女共同参画社会の実現というのは大変大事なことでございます。
 そして、お尋ねの出席簿の様式等につきましては、これは学校や教育委員会において学校運営上の必要等を考慮して作成されるものでございますが、これを男女別にするか、あるいは男女混合で作成するかなどは各学校で教育指導や学校運営上の実態に即して校長が判断しているところでございます。
 文部省といたしましては、委員が数値を今おっしゃいましたけれども、そのような調査は実施しておりませんけれども、男女混合名簿を実施できない主な理由といたしましては、健康診断、それから保健体育が別々になっていること、それから従来の慣行、また事務処理上の不便などが考えられるわけでございます。
 学校における各種の名簿というものは、その学校や教育委員会において学校運営上の必要等を考慮して作成されておるわけでございまして、どのように名簿を作成するかということにつきましては各学校や教育委員会が判断するということになっておるわけでございます。
#83
○小宮山洋子君 今のお話、健康診断とかそういうものの便宜上のことと子供たちの意識を育てることとどちらが重要かということで、私は今の御説明は納得するわけにまいりません。
 例えば大阪の堺市では、小学校から高校まで八年かけて全体で取り組みをして、その結果、そうした事務的な処理による不便さよりも、先生を含めた意識の変化で効果の方が上がった、そういう例もございますので、基本法をちゃんとわかっていただいていましたら、性に偏りのある制度を見直すということは政府の方針でございますので、ぜひまたこの点については改めて伺いたいというふうに思います。
 それからもう一点、やはりジェンダーに敏感な教育ということがまだまだ学校では行われていない。解説委員風に申し上げますと、社会的、文化的につくられた性差、これがジェンダーでございますけれども、つくられたということは、日々私たちがつくっているわけです。
 これにつきましては、教科書ではまだまだ行き届いていないと思いますが、例えば東京女性財団が「ジェンダーチェック」という副教材のようなものをつくっております。これは、小学生編、中学・高校生編、それから大人編、教師編といろいろつくっています。
 例えば教師編を見ますと、先生たちの意識というのが子供たちに大きな影響があるわけですけれども、「男子に「女に負けるなんてだらしがない」と言ったことは一度もない」かどうかとか、それから「保護者は父親だけを指すのではないことをきちんと生徒に伝えるようにしている」とかそういうようなことがございまして、点数が低いと、「あなたはまるで前世紀の遺物のよう。自己改造できないと二十一世紀の教師は務まりません。」というような評価が出てくるというような、結構楽しみながらできるようなものができています。各地で今こんなものもつくられていますので、ぜひこういうことも活用しながらやっていただきたいというふうに思います。
 先ほど大臣も、先日もですが、父兄という言葉をお使いになりました。これは、ジェンダーチェックはバツです。父はともかく、兄がどこにいますか。これはやはり家父長的な、父と兄が家を代表する時代の遺物でございますので、文部大臣としてはぜひ、父母、あるいは父親、母親でない場合もございますので、保護者と今言っておりますので、ぜひそのあたり……
#84
○国務大臣(中曽根弘文君) はい。
#85
○小宮山洋子君 はいといいお返事をなさいましたけれども、そうしたことも含めたジェンダー教育ということが必要だと思っておりますが、その点についてお答えいただきたいと思います。
#86
○国務大臣(中曽根弘文君) 実は、学校におけるジェンダー教育のことを今考えていたんですが、大人のジェンダー教育が大切だということを今痛感いたしまして、私自身もいろいろ反省をしております。
 大切なことは、小さいときから、幼少の時代から男女平等の理念に基づく教育を家庭でも、学校でも、地域社会でも行っていく、そういうことではないか、そういうふうに思っております。人間の尊厳とそれから平等、あるいは男女相互の理解と協力、あるいは職業生活や社会参加におきまして男女が対等な構成員であること、男女が協力して家庭を築くこと、そういういろいろな点について指導することとしておりまして、今後も男女平等を推進する教育の充実に努めていきたい、そういうふうに思っております。
#87
○小宮山洋子君 ぜひよろしくお願いいたします。
 もう一点、情報化への対応ということがございますけれども、インターネットなどの使える設備は整えましても教えられる先生が少ないのではないか。これについては、やはり外からできる方に随時来てもらって教えるというような仕組みが必要なのではないかということと、それからインターネットも含めまして実用にたえる英語教育、国際語としての英語教育が必要じゃないかと思いますけれども、あわせて、簡単でよろしいですのでお答えをいただければと思います。
#88
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員も御承知のことと思いますけれども、ミレニアムプロジェクトといたしまして、平成十三年にはすべての公立の学校がインターネットで接続されるように今準備をしております。そして、平成十七年にはすべての教室からあらゆる授業においてインターネットを使った授業ができるようにということで整備を行っているわけであります。
 そのためには、先生がコンピューターを操作できるということがまず大前提でありまして、十二年度、十三年度の二カ年で先生方に、教員の方々にコンピューターの操作についての勉強をしてもらうことになっております。また、大切なことは、それを授業に使うといいましても、どういうふうにして使ったらいいか先生方がわからないんでは困りますので、今そういう点についての研究も行い始めたところでございます。
 それから、英語教育についてのお話がありました。
 国際化の時代、ますます国際化になってまいりまして、英語、外国語の必要性というのが高まってまいりました。学習指導要領の改訂等におきまして中学校で英語も必修科目になってきたわけであります。また、総合的な学習の時間というものが設けられることによりまして、その時間に英語、英会話をやってもいいことになっております。
 時間をふやせば英語がマスターできる、あるいは低学年化していけば英語がマスターできるかというとそうでもないんではないかと思っておりまして、大事なことは、どういう英語の指導、勉強方法をするか、身につく英語の指導方法はどういうものかということもあるんではないかと思いまして、文部大臣の私的な懇談会として、一月に、そういうことを研究していただくための勉強会をいろいろな方に参加していただいてスタートしたところでございます。
 そういうことで、情報化の時代、それから国際化の時代に対応できる児童生徒の教育を行っていきたいと思っております。
#89
○小宮山洋子君 私の持ち時間はあと八分ほどなんですけれども、科学技術について一点伺いたいと思います。
 東海村のジェー・シー・オー事故のフォローアップなんですけれども、民主党では先月二十一日に再度現地調査をいたしました。村や住民、健康への不安、それから風評被害への対策、それから食べ物の安全性などについて大きな不安を持っています。
 健康につきましては、特に妊娠をしている人、また自分の子供について、国は一ミリシーベルトという基準を定めているのに息子は二十一ミリシーベルトを浴びてきている、それでも大丈夫だというのはちょっと納得ができないとか、それから精神的な被害への補償がないのはおかしいとか、また、周辺三百五十メートル以内だけではなくて五百メートルに健康診断の範囲を広げてほしい、あるいは希望者全員にしてほしいなどさまざまな声がありますが、こうした健康への不安につきまして、どのように住民の声を聞いてどのように対応なさっているんでしょうか。
#90
○国務大臣(中曽根弘文君) ジェー・シー・オーの臨界事故によりまして地域住民の皆様には大変な御迷惑、また御不安をおかけいたしました。事故原因の究明はもちろんでありますけれども、私どもは再発防止に全力で取り組まなければならないと思っておりますし、同時に、地域住民の皆様方が一日も早くもとの平和な安心した生活に戻れるようにということで、特に健康の問題、それから損害賠償の問題等には私どもも誠意を持って全力で取り組んできたところでございます。
 周辺住民の方々の健康管理につきましては、原子力安全委員会の健康管理検討委員会におきまして専門家による検討がなされ、そして一月二十五日にはこの委員会の中間取りまとめが行われました。
 それによりますと、周辺住民の方々への健康に対する不安に適切な対応をとることが必要であるとしておりまして、これは当然といえば当然のことでありますが、健康診断及び心のケアを含めた健康相談の実施が提言をされているところでございます。私どもといたしましては、この提言に従いまして周辺の住民の方々の健康管理に取り組んでおるわけでございますが、健康相談、それから心のケアにつきましては、地元の自治体の御協力もいただいて既に実施しているところでございます。
 それから、健康診断につきましては、ことしの四月の実施を目途に茨城県と今調整を進めているところでございまして、今後もこうした取り組みを行うことにより、住民の方々の健康不安が解消されるように努力をしていきたいと思っております。
#91
○小宮山洋子君 確かに検討委員会をおつくりになるのもいいんですけれども、住民の方は日々その心配の中で暮らしているわけですから、せめて希望者全員に健康診断をするぐらいは大臣がおっしゃってもいいんじゃないでしょうか。
 やはりこの健康の問題というのは十年二十年先まで、将来にわたってきめ細かいフォローアップがありませんと、幾ら机上で検討して中間まとめをまとめてもらっても住民は安心できないということではないかと思います。
#92
○国務大臣(中曽根弘文君) 私どもでは、ジェー・シー・オーから三百五十メーター以内の地域にお住まいの方々、また一ミリシーベルト以上の放射線を浴びた方に対しましては健康診断を行う、そういうことにしておるところでございます。
#93
○小宮山洋子君 重ねて、やはり希望者全員への健康診断ぐらいはしていただきたいということを要望しておきたいと思います。
 また、風評被害によりまして、野菜の段ボールから東海の文字を消したり、それでもやはり特産の干し芋はそうはいかない、半値近くに値下がりしているというような金銭的な補償の問題。それから、事故地点から二百メートルのところでは農薬がなくても白菜やネギに虫がつかなかったり、カラスの死骸が見つかったりしていて、家でつくっているものも安心して食べられないというような声も、現に私ども行った委員に対してそういう声も上がったわけです。
 ですから、安全性についてもやはりまだまだ住民の方たちは不安を持っていらっしゃると思いますので、これはお答えは結構ですが、ぜひそのあたりも心を込めて対応をしていただきたいと思います。
 最後に、科学技術立国と言われている日本ですけれども、いろいろな面でモラルが破壊しているとしか言いようがないと思います。ジェー・シー・オーの事故もそうですし、たび重なるロケット打ち上げの失敗ですとか新幹線のトンネルの壁の崩落事故など、挙げれば切りがないと思うんです。
 最初からずっと伺ってきた教育の問題とも関連をすると思いますが、こうしたモラルの問題がきちんとしていませんと、これから法案が出されますクローンの問題など心配なことがたくさんあるんですけれども、文部大臣、科学技術庁長官、両方兼ねていらっしゃいますので、そのあたりのお答えを最後にいただきたいというふうに思います。
#94
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、委員御指摘のとおり、ウラン加工施設の臨界事故、またロケットの打ち上げ失敗あるいは新幹線トンネルのコンクリートの落下等がありました。
 私は、これはマスコミが最初に三点セットで言い出したのかと思いますが、それぞれ原因も違えば、また状況、背景も違うわけでありますけれども、しかし行き着くところはやはりモラルあるいは教育の問題になるのではないか、先ほども申し上げましたけれども、そういうふうに思っております。
 そういう意味で、今後、国はもちろんでありますけれども、各地方公共団体あるいは各事業者、また国民一般の方々それぞれにおいて、安全を最優先にするという気風とか気質を創造する、いわゆる安全文化というものを創造していくということが大切であろう、そういうふうに思っておるところでございます。
#95
○小宮山洋子君 どういうふうに子供の時代から教育をしていくと、そういうモラルをきちんとわきまえた形で人間がつくられていくか。それは、先ほど来次官もいろいろおっしゃっていましたけれども、日本人をこれからどういう形で育てていくというか、つくっていくのかということにつながるのだと思いますけれども、今の学校、やはり楽しくないという子供が先進各国と比べても大変多いんです、日本の場合は。これはやはり、戦後ずっと画一的に偏差値のよい子を育ててきた教育の弊害なのではないか。科学に関するモラル破壊にしましても、マニュアルどおりにしかできない人間をつくってきてしまったのではないかという反省があるのじゃないかと思います。
 そういう意味で、一人一人の個性を生かした教育がどうしたらできていくのか、私どもももちろん考えてまいりますけれども、責任者としてぜひ文部大臣にはしっかりやっていただきたいと思っております。
 これで終わります。
#96
○江本孟紀君 民主党の江本でございます。
 小宮山議員の質問に関連いたしまして、中曽根文部大臣にスポーツに関する分野で若干御質問をさせていただきます。
 大臣は、慶応大学時代にグラウンドホッケー部で活躍をされたということで、スポーツに非常に関心があると。それから、時々私もスポーツクラブ等でお会いしたこともございますが、私もそういう意味では、大臣のスポーツに対する関心ということでいえば非常に期待をしております。
 そこで、大臣には、スポーツ行政について取り組む決意というものをもう一度お聞かせいただいて、そして、所信の中で大臣が触れられております、サッカーくじの活用ということが書かれておりましたけれども、今後のサッカーくじの展望と、もう一つは、スポーツ投票制度というふうに所信表明の中には書かれておりましたけれども、サッカーくじの名称はどうされるのかちょっとお聞きしたいんです。呼び方は、私は通常あれはトトカルチョと言った方が正しいと思うんですが、お考えを言っていただくだけで結構でございますので、よろしくお願いします。
#97
○国務大臣(中曽根弘文君) 江本先生は、野球の分野を初めとして、もう頂点をきわめられた方でございますが、私は学生時代、高等学校と大学でいわゆる陸上ホッケーの選手でありまして、スポーツは大好きでありますし、またスポーツを学生時代にやってよかったなといつも思っております。おかげで健康な体でこうして仕事もできるわけです。
 学校教育においてスポーツを児童生徒に奨励して、そして心身ともに健全な子供さんを育成していくということは大変重要でありますが、同時に、これは大人社会においてもあるいはお年寄りの方々に対しても、スポーツをやっていただくことによって健康な体を持ち、そして、お元気であるということによってまた生きがいもあり、楽しい人生が送れるという意味でスポーツの果たす役割というのは大変大きい、私はそういうふうに思っておるところでございます。
 そういう意味で、所信表明での記述が余りないというようなおしかりもいただいているようでございますけれども、今後この教育行政の中で、知・徳・体とよく言いますけれども、私は体・徳・知という順番で言ってもいいんではないかと思っているぐらいでございまして、スポーツの振興、これは先ほどの体力のみならず、健全な精神、あるいはスポーツを通じたいろんな人との交流等々、大変道徳的教育上も大きな効果がありますので、これに力を入れていきたい、そういうふうに思っております。
 なお、投票制度につきましてのお尋ねでございますが、サッカーが対象となることからサッカーくじと言われてまいりましたけれども、現在、これの実施を控えまして、どういう愛称でこの制度を国民の皆様に広めていったらいいかということを検討中でございまして、またいい御意見があればいただきたい、そういうふうに思っております。
#98
○江本孟紀君 私は、最近では珍しくスポーツのわかる大臣ということで大変期待をしておりますので、ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 大臣所信の冒頭に、心豊かな人づくり、それから活力ある国づくりということは、やはり私はスポーツが果たす役割は非常に大きいんじゃないかというふうに思っておりますので、ぜひともスポーツ振興にお力をいただきたいと思います。
 次に、ことしはシドニー・オリンピックが開かれます。今、橋本聖子さんもいらっしゃいますけれども、オリンピックが果たす役割というのも大変大きくて、多くのスポーツ選手がいろんな形で貢献したと私は思います。
 そういう意味で、今度のシドニー・オリンピックも日本の選手たちの活躍を期待するわけですけれども、ちょっと最近気になることが雑誌に出ておりまして、それは日本オリンピック委員会、JOC、先ほどはジェー・シー・オーでしたけれども、JOCがちょっと中でもめごとがあるんじゃないかというようなことが出ておりました。その中に理事さんの問題があって、理事さんを解任して、そしてそのことで一応決着はしたとはいうんですけれども、その背景には補助金の不正受給というのがあったそうであります。これは報道もされておりました。
 そういうことで、昨年十月に文部省体育局はJOCに対して補助金の適正な執行を勧告したということであります。そして、このような問題に対して、文部省はオリンピックを控えて一件落着したと言っておりますけれども、これは体制的には大丈夫なのかどうか、お聞きしたいと思います。
#99
○国務大臣(中曽根弘文君) オリンピックへの出場というのは、スポーツを行う方々は一度は夢を見るというか、自分もオリンピックに出れたらなという気持ちを持つのではないかと思っております。これは、立派な成績をとるということも一つの目標でありますけれども、同時に子供たちにも大きな夢を与えるものと、そういうふうにも思っております。
 JOCの内部のいろいろな問題につきましては、私詳しいことは承知いたしておりませんけれども、今申し上げましたようなスポーツの果たす役割、その一つのオリンピック競技という面での国を代表する組織であるJOCの内部にいろいろな問題があるということは、大変残念に思うところでございます。
 これは、内部でみずからそういうような問題は片づけていただくということになるわけでありますけれども、私たちも私たちの立場で、JOCの健全化といいますか、国民の皆さんやそういう方々から御批判をいただくことのないような健全な組織として今後も運営が行われるように我々の立場でまた対応していきたい、そういうふうに思っております。
#100
○江本孟紀君 オリンピックに行く最大の組織ですから、JOCがしっかりしていただいて、そしてオリンピックでいい成績を上げていただくということを期待したいと思います。
 次に、これは地方の話ですが、体協とちょっとかかわりがある話です。高知県の体育協会が、県選出の柔道選手が昨年の秋の熊本国体の試合において重度の障害が残る事故に遭ったという問題を討議しまして、補償問題が進展しない場合は富山国体をボイコットする決議をしたという報道がありました。その後、問題は片づいたということでボイコットはしないということなんですが、この背景には、現況のスポーツ安全保険三千万円、国体保険五百万の計三千五百万では、障害を伴う選手の生活保障がこの金額ではとても成り立たないというような理由があったようです。
 頸椎を負傷しまして下半身に障害が残ってしまった選手ですから、大変な今後の生活不安が残るわけですけれども、高知県体協と県柔道協会が支援する会の募金活動を提唱しまして支援しようということになりましたが、しかしこういう事故は、第三者の善意にゆだねる問題ではなくて、きちんとした補償体制を整備しなくてはならないのではないかなというふうに私は思いますが、文部大臣、いかがでございましょうか。
#101
○国務大臣(中曽根弘文君) 昨年の熊本国体の柔道競技におきまして、高知県の選手が負傷したということは極めて残念なことでございます。
 負傷した選手に対しましては、この選手が国体の主催者である日本体育協会の設ける、今委員もお話にありましたけれども、国民体育大会参加者障害補償制度、これは最大五百万円でございます。これと、スポーツ安全協会が設けるスポーツ安全保険、これが最大三千万円でございますが、これに加入をしているということから総額三千五百万円が支払われることとなっております。
 この件に関する補償のあり方をめぐりまして、高知県の体育協会が一時、高知県の対応に改善がなければことしの富山国体への高知県選手団の不参加も辞さないとの意向を示したものの、県との話し合いの結果、現在では富山国体に参加する意向である、そういうふうに承知をしております。
 日本体育協会では、従来から国体の参加選手がこの補償制度に加入するよう各都道府県に要請しておりますけれども、今回の事故を受けまして、この補償制度の給付金等の見直しの検討を予定している、そういうふうに伺っております。
 文部省といたしましても、日本体育協会の検討状況を踏まえて関係者に必要な指導を行うなど、国民がスポーツを安心してできるよう、そういう環境の整備に努めていきたいと思っております。
#102
○江本孟紀君 これは国体とかそういうことではなくて、今度シドニー・オリンピックでも当然けがをした人たちの補償問題というのは出てくると思うんですね。
 ことしのシドニー・オリンピックは、野球なんかはプロ野球の選手がオリンピックに参加するというようなことで、これは私は、ちょっとこれとは別ですけれども、プロ選手がオリンピックに参加するというのは余り賛成しないんです。この理由についてやっているとまた小一時間かかりそうなので、この理由はまたの機会にしたいと思います。
 例えば、プロ野球選手なんかは、一億だの二億だのという年俸を取っている選手が野球を中断してオリンピックに出て、もしもオリンピック期間中にけがをしたり故障したりまたは事故が起きた場合、こういった場合にはこれはどういうふうな補償になるのかというのは非常に不安なわけですね。その辺もきっちりしておかないと、また新たな、プロ野球選手のような人たちが出ていったときはどうなるかという大きな問題が出てくると思いますので、スポーツにかかわる補償問題というのをまた別の面で御検討いただきたいと思います。
 次に、間もなく春の選抜高校野球大会が開かれて、大臣も恐らく日程が合えば始球式に出られると思いますけれども、その選抜高校野球大会で必ずいつも起きる問題が、野球部員の不祥事件によって出場辞退とか停止とかというようなことで、出場する学校が出られないというような非常に残念な状態、こういう事件がよく起こるわけです。ことしも敦賀気比高校という高校のチームが、野球部員が飲酒、無免許運転で事故を起こしたということから結果的に学校が辞退したということになっております。
 昔は、高校野球というのは、事件を起こすと即刻高野連が厳しい処分をして出場停止、一切合切野球を奪ってしまうというような強硬な処分をしておったんですけれども、最近は高野連も非常に柔軟になって、極力、選手のために出場させてやろうじゃないか、少々の事故や事件が起きても出してやろうじゃないかということで、非常に柔軟になってすばらしい団体になってきたなというふうに私は思っておったんですね。
 今回も、この事件で警告ということで出場はさせたいなということだったんですが、どういうわけか、春の選抜の運営委員会なるものがあって、そこで検討した結果、どうもこれは悪質なんでよくないよということを学校側に伝えたんですね。そうすると、学校側はそういう勧告でちょっとびびったんでしょうね。これはもうやめておこうということで出場を辞退したわけです。
 この出場辞退というやり方が、これはプレッシャーをかけたとしたらちょっと問題が残るかもしれません。学校が自主的に辞退をするというんならいいかもしれませんけれども、しかし、そこで私は大きな問題があるのではないかと。最近は、連帯責任という責任のとらせ方が果たして本当に教育上いいやり方なのかどうか。
 私も高校生のときに、高校三年生の春の選抜大会で暴力事件を起こしまして出場辞退になった。一年間対外試合禁止という、全く野球を一年間奪われたというか、野球部も解散しましたから、全く私は実は高校三年生の一年間は野球をしていないんです。その当時の野球部員はみんなその処分に対して大変な憤りもありましたし、それからそのことがショックで野球をやめた連中もいっぱいいるんです。ぐれたやつもいますし、私のように中途半端になったのもいるし、いろんなのが出てくるわけです。必ずしもいい制裁の仕方ではないと思うんです。
 だから私は、これは関係者が決めることですけれども、高校野球も教育の一環としてやっておるのであれば、これは教育現場直接ではないですけれども、こういった連帯責任のとらせ方が果たして教育として妥当かどうかについて、最後に大臣に少しお聞きしたいと思います。
#103
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員の御自分の体験からのお話でもありました。
 今回の気比高校の事件というのは、現役の野球部員が先輩の部員二名とともに飲酒の上、深夜に自動車の無免許運転を行って交通事故を起こしたと聞いております。このため、選抜大会運営委員会においては、極めて深刻に受けとめるべき事件であり、選抜大会の出場校としては不適切ではないかとの意見が多数あったものと聞いております。最終的には、運営委員会よりこうした議論などを学校側に伝えましたところ、この気比高校においてみずから選抜大会への出場を辞退する旨の申し出があったものと伺っており、その結論は尊重すべきものと考えておるところでございます。
 連帯責任についてどうかというお尋ねでございますが、私自身もスポーツをやっておりまして、委員ほどではありませんけれども、連帯責任のようなものをとらされたこともあります。これは事件とかそういうものにもよるのではないかとは思いますけれども、私は、一つの練習の方法、訓練の方法、また教育の方法であろうかとも思っておりますが、それによりまして、まじめに真剣に打ち込んでいる選手に対してそういう一生悔やむような事態になるというものも、こういうことも十分に考えなければならないと思っております。
 ケース・バイ・ケースではありますけれども、要は、日ごろからそういうような不祥事が起こらないように、単にスポーツの指導ということだけでなくて、やはりそういう学生としての行動等についてもきちっと指導していくということが大切なのではないかと思っております。
#104
○江本孟紀君 ありがとうございました。
#105
○林紀子君 日本共産党の林紀子でございます。
 私も、まずモラルの問題から大臣に御質問したいと思います。
 大臣は所信表明で、「近年、いじめ、不登校、暴力行為など子供の問題行動が憂慮すべき状況となっておりますが、これらの背景には、子供たちを取り巻く環境の著しい変化や社会全体のモラルの低下があり、学校だけの力でこれを解決することは困難であります。」というふうにお述べになりました。本当にそのとおりだと思うわけです。ところが現実はどうかといいますと、まさにモラルの低下を絵にかいたような事態が進行しているということだと思うんです。
 新潟県警の問題ですけれども、小学校四年生のときに誘拐されて九年間も監禁されていた女性がようやく発見されたというときに、県警の本部長と関東管区警察局長が温泉で賭博マージャンをやっていた。それを隠すためにうそを重ねた。そして、その後の処分をめぐっては、国家公安委員長の説明でも次々とうそが発覚をいたしました。
 本当に倫理やモラルは一体どうなっているのか、こういう状況なわけですが、きのうNHKの世論調査というのが流されておりましたけれども、七六%の国民、四人に三人が、今までの警察への信頼が失われた、薄らいだ、こういうふうに答えているわけです。文部大臣といたしましても、小学校四年生の子供が誘拐されたということでは決して無関心ではいられない事件だと思いますけれども、このモラルのない警察の事態というのをどういうふうにお考えになっているか、まずお聞きいたします。
#106
○国務大臣(中曽根弘文君) 警察の不祥事のお話がありました。警察というのは、世の中のいろいろ犯罪を取り締まったり、また交通等においてもこれらの整理を行ったりといろいろな役目があるわけでありますが、住民が安心した生活ができるように設けられているものでありまして、そういう意味では、警察官一人一人が日ごろから襟を正して、みずからを律して社会の模範となるような行動をとることが大切だと、そういうふうに一般的には思っておるところでございます。
 四年生のお子さんが誘拐されて九年間も監禁されたというのは、本当に御本人や御家族のお気持ちを思うと慰めの言葉もないくらいでありまして、私どもの立場といたしましては、一日も早くいわゆる社会復帰と申しましょうか、そういうことができるように、我々のそういう範囲内で全力でまた対応していきたい、そういうふうに心から思っているところでございます。
#107
○林紀子君 学習指導要領の第一学年及び第二学年の道徳の項の(4)というところには、「うそをついたりごまかしをしたりしないで、素直に伸び伸びと生活する。」ということが書かれているわけですけれども、今世間では、うそつきは警官の始まりなどという言葉もはやっているということなんですけれども、今の状態、子供たちもテレビを通じたり、新聞を通じたり、週刊誌を見たりでいろいろ知っていると思うんですけれども、これはどういうことなのかと子供たちに聞かれたとき、この道徳の項目とを引き比べてどういうふうに答えたらいいものでしょうか。
#108
○国務大臣(中曽根弘文君) 御指摘のように、うそをついてはいけないということは社会生活上の最も基本的なルールである、そういうふうに思っております。
 大人、親、教師、社会全体、我々すべてが子供の手本となるような行動や態度をとるということは、子供たちにこのようなルールを大切なものとして守らせていく上で極めて重要なことだと思っております。
 児童生徒が人間としてのあり方を自覚して、人生をよりよく生きるために、その基盤となる道徳性を育成するために、学校におきましては道徳の時間というものを設けまして、そしていろいろ子供に対して指導しているわけでありますけれども、その中で、うそをついたりごまかしをしたりしないで、素直に伸び伸びと生活をするような、そして正しいと思うことは勇気を持って行動する、そういう人としての基本的な生き方、それから善悪の判断等をしっかりと指導していかなければと、そういうふうに思っておりまして、今後も道徳教育の一層の充実に努めていきたいと思っております。
#109
○林紀子君 小渕総理大臣も施政方針演説の中で、「子供は大人社会を見ながら育ちます。まず大人みずからが倫理やモラルにふだんから注意しなければなりません。」というふうにおっしゃっておりましたし、中曽根大臣御自身も、「大人自身が高い倫理観を持って子供と向かい合う」とおっしゃいました。そして、「それぞれの立場でできることから行動を起こしていくことを強く呼びかけたい」と。私はお聞きしながら、大変いいことをおっしゃると思って一生懸命線を引っ張って聞いておりましたけれども、この問題では、ですから、国家公安委員長を罷免してけじめをつける、政府として倫理やモラルの確立をはっきり国民に示すということがまず重要なんじゃないかというふうに思うわけです。NHKの世論調査でも、この処分は適切かというのに、甘いというのがやはり七四%、四人に三人はいるわけです。
 文部大臣は、教育に責任を持つ内閣の一員として、公安委員長の罷免をしてけじめをつけるということを閣内できちんと主張なさるということが重要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#110
○国務大臣(中曽根弘文君) 突然のお尋ねでございますけれども、先ほどから申し上げましたとおり、大人社会全体がそういう道徳的なものをきちっとしていくということが子供の教育にとっても大切なわけであります。今お話しになりました警察の件につきましては、公安委員会委員長、また警察が現在真剣に対応しておるところでございますし、一人一人が真剣にこの問題を考えていただいて、国民の皆さんの不信を買うような、また信頼を失うようなことがないように、自浄作用と申しますか、そういうものを働かせて正しい方向に持っていっていただければと、そういうふうに思っているところでございます。
#111
○林紀子君 ですから、中曽根大臣がおっしゃった、それぞれの立場でできることから行動を起こしていく。大臣の立場としてはそれこそできることがあるというふうに今申し上げたわけなので、大臣のその言葉をきちんと守っていただくということがまた子供たちの見本になるし、言うことは大変すばらしい立派なことだけれども、それをきちんと行動で示さないということであれば、それはかえってマイナスの見本になるんじゃないかと思うんです。
 ですから、やはり閣内で、今一番問題になっているモラルの問題として大臣自身がきちんとけじめをつけるべきだ、罷免もきちんと行って、国民に、こういうことをやりましたよ、けじめですよということをきちんとおっしゃっていただきたいということを重ねてお願いをいたしまして、次の問題に移らせていただきますけれども、ぜひよろしくお願いしたいと思います。
 ことしの一月、小渕総理大臣の私的諮問機関であります「二十一世紀日本の構想」懇談会によって、「日本のフロンティアは日本の中にある」と題する報告書が出されましたが、この報告書を見ますと、今後の教育行政を左右するような重大な問題がたくさん述べられているわけですね。総理大臣は施政方針演説で、この報告書を「まさに私の思いと一致する」と述べていらっしゃいますし、抜本的な教育改革を行うとおっしゃっております。
 それでは、文部大臣はこの報告書をどういうふうに扱われるのか、そのことをお聞きしたいと思います。
#112
○国務大臣(中曽根弘文君) 「二十一世紀日本の構想」懇談会ではいろいろな提案をされております。私ども教育行政に携わる者に直接関係するものもたくさんあるわけでございますけれども、私どもといたしましては、従来から進めてまいりました教育改革のいろいろなプログラムに沿いましていろいろな制度の改革を行っていきたいと思っておりますし、同時に、教育改革国民会議というものを設置するわけでございますから、先ほども小宮山委員に答弁申し上げましたけれども、日本の教育のさまざまな問題点、それから戦後の教育の振り返って根本にまでさかのぼった議論、あるいは今後の日本の教育はどうあるべきか、そういうような議論を行っていただいて、そこでの結論をまた実行に移していく、それが私たちのまた仕事であろう、そういうふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、この日本の構想では大変参考になる提言もしていただいております。十分これらを参考にしながら今後の教育行政をやっていきたいと思っております。
#113
○林紀子君 そこで確認をしておきたいんですけれども、「二十一世紀日本の構想」懇談会、これは法律にのっとって設置された審議会とは違いますよね。小渕総理大臣の私的諮問機関だということですね。
 私的諮問機関と国家行政組織法に言う審議会との違いについて行政管理庁行政管理局が示した文書、随分昔にこれは示した文書だと思うんですけれども、審議会は合議機関そのものの意思が公の権威をもって表示される、これに反して懇談会というのは、合議機関としての意思が表明されることはなく、出席者の意思が表明されるにとどまる、個人個人の意見が表明されるんだ、その性格は単純な行政運営上の会議会合にすぎないというふうに書かれているわけです。
 ですから、この二十一世紀懇談会はそういう性格のものだ、個人個人の意思が表明されたけれども、合議体として意思を表明しているものではないし、公の権威というものではないんだと。ですから、この報告書そのものも、法的には何ら拘束力のあるものではないというふうに理解をしていいわけですね。
#114
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員がおっしゃいましたように、それぞれの懇談会の中のメンバーの委員の方が自由な意見を述べていただいて、それを取りまとめたということではないかと思っております。したがいまして、法的なとおっしゃいましたか、拘束力はないと私は思っております。
#115
○林紀子君 中身を見ますと、それぞれが、思いついたと言っては失礼ですけれども、思ったことを自由に発言をしているということで非常に大胆な、というのは、実行不可能じゃないかと思われるようなことが縦横無尽に語られているということなんだと思うんです。
 具体的にお聞きしたいんですけれども、これもマスコミで大きく報道されまして、初め見たとき、えっと思ったわけですが、教科内容を五分の三に圧縮して、義務教育は週三日にしようということが言われているわけですけれども、新学習指導要領に基づいて週五日制というのが二〇〇二年から始まるところなわけですね。この報告書は、週三日制を二〇一〇年から実施したらどうだ、こういうふうに期限を切って提案をしている。
 そうしますと、今大臣がおっしゃいました、いろいろなプログラムに沿って改革をやっていくという文部省自身のプログラムというのと整合性がなくなってくるところがあるんじゃないかと思いますけれども、これについてはどんな御見解でしょうか。
#116
○国務大臣(中曽根弘文君) この「二十一世紀日本の構想」懇談会の報告書では、今委員が御指摘のように、十年間の検討時期と、それから必要な経過措置を置いて教科内容を現在の五分の三に圧縮をし、そして義務教育を週三日制とすることを提案しておりますけれども、このような考え方について直ちに国民の多数の理解を得ることは難しいのではないか、そういうふうに思っております。文部省といたしましては、現在、月二回の学校五日制を平成十四年度から完全学校週五日制とすることとしているわけでありまして、今はその円滑な実施に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 なお、この報告書では、すべての子供が義務として学ぶ内容は大幅に削減をし、それらを子供たちが確実に身につけるようにするとともに、他方で子供たちにゆとりを与え、興味、関心等に応じた多様な学習が行われるようにするために義務教育を週三日制にすることを提案しているということでございます。このような、教育内容を基礎的、基本的な事項に厳選する、そして選択の幅を拡大して子供の個性を生かす教育を推進する、そういう方向は現在の私ども文部省で進めている教育改革の方向と基本的に同じもの、そういうふうに考えております。
 我々も、週五日制にして、また授業の内容を厳選してそして三割程度少なくするわけでありますけれども、少なくするというか厳選するわけでありますけれども、そこでは基礎、基本をしっかり教えると。そして、従来は余りにもたくさんのことを、詰め込みといいますか、子供たちに教え込もうとしていたというところが、多少そういう傾向があることから、子供たちも多分パンク状態といいますか、子供によって違うんでしょうけれども、勉強することの楽しさとか、あるいは達成感とか満足感とかおもしろさとか、そういうものが少なかったのではないかと。そういう反省に立って、基礎、基本はしっかりやってもらおう、そして達成感を味わってもらおうという考えでおるわけでございまして、この懇談会の方向も大筋においては私どもの考えと同じもの、そういうふうに思っております。
#117
○林紀子君 確かに、基礎的な学習というのを精選するということは大変必要なことだと思いますけれども、五日制に移るに当たって果たしてゆとりができるのか、厳選されたものが本当に身についていくのか、実になっていくのか、内容、教え方の問題も含めましてですけれども、五日制というところでも果たしてこれで大丈夫なのかということが現場の先生の中では言われているということもあるわけです。ですから、三日制にするということで、精選が非常に難しい、学力向上が本当にできるのかというのが心配なわけです。
 先ほど岩瀬委員の方からも引用されましたが、第三回国際数学・理科教育調査報告書、一九九七年のものによると、数学と理科の学力が世界第三位とされているけれども、好きか嫌いかというのを尋ねると、四十一カ国中、理科では嫌いな生徒がどの国よりも多いというのが現状だということです。ですからこれは、子供たちに暗記式、暗記ということで繰り返し学習をさせる、本当に学習する意味とか喜びとか楽しみとか、そういうことがちゃんと身についていない、伝わっていない、今までそういうことがやられていなかったその結果、嫌いというのはそういうことなんじゃないかなというふうに思うわけです。
 ですから、五日制でもなかなかこれから大変なのに、三日制なんというのは、わあ、どうなるんだろうということで、しかもこの三日制の理由を説明するその根拠は何もないんだというようなことまで書いているわけですから、これはとてもちょっと無責任な言い分じゃないかなというふうに思うわけです。
 それからもう一つ、子供たちに学校生活で楽しいことは何だという問いをしたところ、これは東京都の社会福祉基礎調査というものによるものですが、これもやはり九七年の調査です。友達とおしゃべりしたり遊んだりすること、こういうふうに答えた子供が小学校五年生で九四・三%、中学校二年生で九一%に上ったというんです。私は、今までもいろいろ御論議ありましたけれども、不登校とかいじめとか学級崩壊、こういう大変な状況にあるけれども、本当に大多数の子供たちは健全な感覚を持っているんだと。九割以上が学校に行ってお友達としゃべったり遊んだりするのが楽しいんだというこの数字を見まして、何だか本当にほっとしたのと同時に、何だかじいんと感動してしまった、そういう数字なわけです。それがもし三日制というようなことになったら、子供たちのこの願いというのは奪われてしまうんじゃないか、大切な学校の機能というのが切り捨てられるんじゃないかというふうに思うんです。
 そういう意味でも、三日制というのは余りにおかしいんじゃないかという見解もはっきり、文部省としてはというのでお出しになった方がいいんじゃないかなというふうにも思うんですが、いかがでしょうか。
#118
○国務大臣(中曽根弘文君) 私は、この週三日制導入の提言が行われる各先生方の議論というものの詳細を存じておりませんので、どういう御議論があったかということはわかりません。ただ、先ほど申し上げましたように、私どもも週五日制というものに向かっているわけでありまして、子供たちにやはりゆとりを持ってもらって、そして基礎、基本はしっかり勉強してもらって、楽しく、また達成感を味わってもらおうというのが基本的な考えであります。
 三日というのは、先ほども申し上げましたように、直ちに国民の大多数の賛同を得られるものではない、そういうふうにも思いますけれども、時代も大きく変わっていっていますし、これはまた先のお話でもありますし、頭からこれはよくないとまた否定するものでもないんではないか、そういうふうにも思っております。
 それから、委員から理科とかそういうものに対する子供さんたちの好き嫌いのお話がありました。
 先ほども申し上げましたけれども、私は土曜日、多摩動物公園に行きまして、子供さんたちと沼から水をとってきて、そこの中の虫をピンセットで、こんな小さい目に見えないのをとって顕微鏡で見て、それが本当に動いているのを子供さんたちと一緒に見て、お弁当を食べたりいろいろしました。子供たちにお弁当を食べながら聞いて、何が好きと言ったら理科が好きとみんな言ってくれたんです。それと、学校を皆さん大好きなんですね。まさに委員がおっしゃったのと同じで、いろいろ学級崩壊とかと言われているけれども、本当に健全な子供たちもたくさんいるんだなと思いましたし、そういう子供たちの才能とか興味がどんどん伸びるような指導を我々もしていかなければならない、そういうふうに思った次第でございます。
#119
○林紀子君 三日制というのは、国民のまだ大多数の賛同は得られないだろうというお話なんですけれども、こういうふうにこの報告書で書かれておりますので、問題点といいますか、そういうところもちょっと三日制に関してまだあるわけです。三日出てあとの二日はどうするかというところもこれには言及されているわけですけれども、補習授業か、または民間の教育機関が受け持つサービスの行政と位置づけられた専門的学業、芸術、スポーツ、専門的職業教育を教育クーポン券を使用して子供たちは受ける、こういう構想なんです。今挙げられているようなものをサービスの行政と位置づけることがそもそも間違ってはいないかなというふうに思うんです。
 教育には、知育だけではなくて徳育、情操教育、体育、これが同時に必要だというふうに思うわけですけれども、文化、体育などは学校での教育は保障しなくてもいいものなのだというふうには絶対言えないと思いますが、いかがでしょうか。
#120
○国務大臣(中曽根弘文君) 義務教育のこの教育内容を五分の三に圧縮いたしまして、そして学術、芸術、スポーツなどの教養とか専門的な職業教育などについては、今お話がありましたように、クーポンで学校や民間の機関で履修できるようにすることを提言しているわけでありますけれども、義務教育におきましては、児童生徒の人間としての調和のとれた育成、これを目指すわけでありまして、そういうことから、芸術とか体育を含めまして、先ほど私は体・徳・知と申し上げましたけれども、バランスのとれた教育を行うということが重要ではないか、そういうふうに思っております。
#121
○林紀子君 先ほど来、大臣はスポーツに強い大臣だというお話もございました。小渕総理大臣の施政方針演説の中にも、科学が進歩し続ければし続けるほど、科学をしっかりコントロールできるような確かな心が必要になり、知識と心の均整のとれた教育が求められると。それは私、本当に確かなことだなと思いますし、また中曽根大臣も、学校教育において生涯にわたりスポーツに親しむための資質、能力を育成する重要性というのを述べられておりますので、その辺は切り捨てるということには絶対ならないだろうと安心をしておりますけれども、もう一つ、こういうふうな形で教育に市場原理を導入するということになりますと、小学校の段階から受けられる教育の質、量ともに、経済的理由で差別をされていくということになるんじゃないかというふうに思うわけです。
 教育基本法の第三条には、「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず、経済的理由によつて修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない。」、この考え方と、クーポン券を持って、クーポン全部使い切って終わりだよ、それからそれ以上に上乗せしてもっと質も量も豊富なものを受けられるんだよという、それはやっぱりおかしいと思いますので、その中身と同時に、教育の機会均等という意味でも、このクーポン制というのはおかしいなと思うんですけれども、どうでしょうか。
#122
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたように、義務教育においては、児童生徒の人間としての調和のとれた、そういう育成を目指しているわけでありまして、学校においては、もちろんスポーツもやってもらう、それからいろいろな学科の勉強もしてもらう、あるいは芸術とか文化にも親しんでもらうということが大事でありまして、クーポン券等で、よそでそれについて学ぶというようなことは、私どもは今すぐそれに賛成できるものではないものでございます。
 機会均等のお話がありましたけれども、憲法第二十六条第一項で、すべて国民は、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有すると定めてありますけれども、子供たちがそういう憲法の精神に基づいて、クーポン券がなくなってもう授業が受けられないというようなことのないように私たちも学校教育をしっかりと充実させていきたい、そういうふうに思っております。
#123
○林紀子君 今、大臣が憲法二十六条のお話を出されましたので、そこに関してもお伺いしたいんですけれども、この「二十一世紀日本の構想」懇談会の報告書には、義務教育は、「納税や遵法の義務と並んで、国民が一定の認識能力を身につけることが国家への義務であるということにほかならない。」というふうに書いてありまして、必要最小限度の義務教育については、「国家はこれを本来の統治行為として自覚し、厳正かつ強力に行わなければならない。」というふうに書いているわけですね。
 ですから、今大臣のおっしゃいました、教育は国民の権利であるというのとこれは全く考え方が違うわけですので、今お話しくださいましたのでそういうことだと思いますけれども、もう一度確認をさせてください。
#124
○国務大臣(中曽根弘文君) 義務としての教育は最小限のものとして厳正かつ強力に行うものとの考えがこの「二十一世紀日本の構想」懇談会の報告書においても示されているわけでございます。
 私といたしましては、先ほど申し上げましたけれども、知・徳・体の調和のとれた児童生徒の育成を目指して、人間として、また家族の一員として、社会の一員として、また国民として共通に身につけるべき基礎、基本を習得させることが必要である、そういうふうに考えているわけであります。
#125
○林紀子君 憲法と教育基本法にのっとった教育というのを今後もぜひ進めていただきたいというふうに思うわけです。
 この問題の最後に、これはまた確認ですけれども、教育改革国民会議、これも現在は小渕総理大臣の私的諮問機関になっているわけですね。設置形態というのを大臣にお聞きするのが適切なのかどうかちょっとわかりませんけれども、総理大臣と御一緒に有識者にお手紙を出したというお話もございますのでお聞きしたいんですけれども、この設置形態というのは、教育改革国民会議の方ですね、今後どうしていくのか。審議会として法定化していくのか、それとも私的諮問機関という形でずっといくのか。そして、私的諮問機関ということであれば、最初にお尋ねいたしましたけれども、この「二十一世紀日本の構想」懇談会と同じ性格のもののわけですから、議論はするが法的な拘束力はないということは同じなんですね。そのことを確認させてください。
#126
○国務大臣(中曽根弘文君) 近く発足する予定であります教育改革国民会議については、先ほども申し上げましたけれども、幅広く国民各界各層の方の御意見を伺いながら、また教育の根本にまでさかのぼった議論を行って、今後の日本の教育のあるべき姿等議論していただくことになろうかと思いますが、御案内のとおり、先日、この会議の座長として江崎玲於奈氏が起用されることが決定したところでございます。現在、座長以外のメンバーとか、あるいは委員が今お話の設置形態、そういうことにつきましては総理を中心に検討が進められているところでございます。まだどういう形になるかは決定をしておりません。
#127
○林紀子君 それでは、中曽根大臣の方ではなくて総理の方にお伺いしないとわからない、検討中ということなんですね。
#128
○国務大臣(中曽根弘文君) 委員も御案内のとおり、これは文部省がつくります機関ではございません。総理の懇談会的なものとなろうかと。設置形態についてはまだ検討中と申し上げているわけでありまして、そういう意味で、私ももちろん関係ないというわけじゃなくて、その折々でいろいろ御相談にもあずかり、また私も意見を述べさせていただいておりますが、現在まだ検討中という段階でございます。
#129
○林紀子君 まだたくさん御質問したいことがあったんですが、残り時間がわずかになってしまいましたけれども、一点だけお聞きしたいことがありますのでお聞きしたいと思います。
 それは不登校、高校中退の問題にかかわってなんですけれども、現在、不登校の生徒は中学生だけで十万人に上ると。文部省でも、不登校はどの子にも起こり得るとして、小中学生の不登校児童に対して適応指導教室というような対策をとり始めているということは聞いております。
 しかし、多くの子供たちは引きこもったまま中学卒業を迎えて、そして高校受験の季節になると自分の進路についてどうしようと悩み始める、考え始める。しかし、長期欠席のために内申書はオール一ということになってしまいますために、高校受験というのが非常に不利になっている。
 それで、多くの不登校の子供たちは通信制高校というのに行くということなんですが、この通信制高校というのも、二百四十回に及ぶレポートを出し、年間二十日のスクーリングがあり、各教科の試験などがあって、一人ではするのが無理だというのでサポート校というのに通う生徒が今十六万人ぐらいになっているというお話なんですが、このサポート校は、それこそいいところも悪いところもというか、いろんなところがあるわけですね。入った途端に閉鎖をされてしまって今まで納めたお金は全然返ってこないとか、そういうこともありますので、ぜひ文部省としてこの実情を把握して、せっかく不登校の子供たちが、高校中退の子供たちがまた新たに踏み出そうとしたときに大変悲しい目に遭うようなことがないように、まず実態の調査からでも始めていただきたいということを思うんですが、いかがでしょうか。
#130
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、委員がおっしゃいましたいわゆるサポート校は、通信制の高等学校に在籍している生徒を対象に、毎日通学をし、普通の学校のように授業を行うものから、通学する日数や時間帯が生徒の自由に任されているものまでさまざまな形態で、高等学校に提出するレポートの作成などの手助けを行っているものでございます。
 このようなサポート校の実態につきましては、文部省といたしましては、民間教育事業に関する情報誌やまた関係団体等から情報を入手することなどによりましてその概略についての状況を把握しているところでありますが、詳細な実態については把握をしておりません。
 通信制高等学校の生徒がスクーリングのある日以外にどのような形で学習を進めるかにつきましては、基本的には生徒の主体的な判断に任されているものでありまして、このような生徒の学習を支援する民間の教育機関について、現在のところ文部省として詳細な調査を行うことは考えていないところでございます。
#131
○林紀子君 いろいろな問題が山積しておりますけれども、本当に足元から子供たちの困難を解決するために一緒に努力をする、私たちもその決意でやっていきますけれども、ぜひこの不登校、中退の子供たちを助けるために、調査をする予定はありませんと切っちゃわないで、何とかそれにも着手をしていただきたいということをお願いして質問を終わります。
#132
○日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 総理及び科学技術庁長官は、所信表明におかれまして、二十一世紀に向かって我が国の重要な目標の一つとして科学技術創造立国の実現を掲げていらっしゃいます。
 ところで、中央省庁再編に伴いまして、現在科技庁に事務局を置きます科学技術会議が廃止となりまして、二〇〇一年から新たに総合科学技術会議が内閣府に設置されることになっております。
   〔委員長退席、理事岩瀬良三君着席〕
 そこで、まず新体制の概要につきまして、現在の科学技術会議との比較におきましてその概要を説明していただきたいと存じます。
#133
○国務大臣(中曽根弘文君) 中央省庁改革の一環といたしまして、科学技術の総合的かつ計画的な振興に関する基本的な施策等について審議を行うために、総合科学技術会議を内閣総理大臣及び内閣を補佐する知恵の場として位置づけて、平成十三年、来年の一月より内閣府に設置することとされております。
 その任務は、科学技術の総合的かつ計画的な振興を図るための基本的な政策、それから科学技術に関する予算や人材その他の科学技術の振興に必要な資源の配分の方針、そして科学技術に関する大規模な研究開発その他の国家的に重要な研究開発について評価するとされているところでございます。
 特に、従来の科学技術会議の活動に加えまして、社会とのかかわり等科学技術分野以外の視点、他の政策との連携を十分に考慮した上で具体的な総合戦略を策定すること、それから科学技術に関する予算、人材等のより効率的、弾力的な資源配分を積極的に実現していくこと、そして研究開発目標を積極的に実現していくことなどの機能を総合科学技術会議において実現し、国家的、社会的課題に対応した科学技術の振興をより一層機動的、戦略的にリードすることが必要と考えております。
#134
○日下部禧代子君 今の御説明をもう少し具体的に、そしてさらにもう少し、どこが最も現在の科学技術会議と違うのか、そこにポイントを置いたお答えをいただきたいと存じます。
#135
○国務大臣(中曽根弘文君) 失礼いたしました。
 現在あります科学技術会議は国家行政組織法第八条に基づく審議会でありますけれども、今度設置いたします総合科学技術会議は、科学技術政策の重要性にかんがみまして、これは内閣府に置かれる重要政策に関する会議の一つとして位置づけられております。
 また、その構成につきましては、科学技術会議が内閣総理大臣のほか十名の議員から成っているのに対しまして、総合科学技術会議は内閣総理大臣のほか十四名を議員と擁することとしておりまして、そのうち常勤議員につきましては現行の二名から四名に強化されることとしております。
 さらに、科学技術会議が内閣総理大臣の諮問を受けて答申することを任務としているのに対しまして、この総合科学技術会議は、科学技術に関する総合的かつ計画的な振興を図るための基本的な政策、予算の配分の基本方針等について調査審議し、内閣総理大臣または関係大臣に対し、諮問を待たずにみずから意見を述べることができることとするなど、会議の自主性やそれから機能の強化が図られるところでございます。
   〔理事岩瀬良三君退席、委員長着席〕
#136
○日下部禧代子君 今、機能の強化も図られる、そして人員構成というのも現在よりも充実するというお答えをいただいたわけでございます。
 ところで、現在の科学技術会議の開催というのは、これはさまざまな小委員会もございましょうが、まず大臣、御就任になられましてからこの会議に何回御出席になりましたでしょうか。そして、大臣が御出席になる回数は今度新体制になりますともう少しふえるのでございましょうか。その点を含めて違いをお知らせください。
#137
○国務大臣(中曽根弘文君) 私が科学技術庁長官に就任いたしましてからまだ本会議は一度も開かれておらず、近く、十七日ですか、開かれる予定でございまして、それの出席が初めてでございます。
 また、年にどれぐらい本会議が開催されるかということでございますが、近年の例では毎年一、二回開催されているところでございます。
#138
○日下部禧代子君 非常に多いと思われるのか少ないと思われるのか、これは価値観の違いかもわかりませんが、私は、さまざまな委員会があるとは申せ、やはり本会議というのはもう少し頻繁に開かれていると多くの方々が思っていらっしゃると思うのです。私はもう存じ上げておりましたので、ああ二回ですねというふうに申し上げますけれども、一般的にはもう少し頻繁に開かれているだろうというふうに思います。
 今度新しい体制になりますと、その本会議はもう少し頻繁に開かれるということになるのでしょうか。今、私はそれを重ねて御質問させていただきましたが、お答えがございませんでした。
#139
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたけれども、現在の科学技術会議は内閣総理大臣の諮問を受けて答申することを任務としておるということから、年の開催は一、二回ということになっているわけでございます。
 なお、会議でございますが、この本会議以外にも、政策委員会、部会、これも総合計画部会、振興部会、研究目標部会、エネルギー科学技術部会、ライフサイエンス部会等でも審議が行われておりますし、さらに小委員会や分科会等も精力的に行われておりまして、平成十一年の会議開催実績を見てみますと、本会議は一回、政策委員会は二十三回、部会は五回、小委員会、分科会等は八十六回、科学技術会議内の種々の会議を合計いたしますと百十五回開催されているわけです。ちなみに平成十年は百三十五回開催されております。
#140
○日下部禧代子君 今度、諮問を受けなくても自発的にさまざまな会合も開けますし、また意見具申をすることもできるというふうに変わるわけでございますから、したがいまして、大臣が御出席になる本会議というのももっと頻繁に開かれるというふうに私は解釈をしております。そうなるべきだというふうに思うわけでございます。
 これまでの科学技術会議が果たしてきた役割というのがなかなか一般には見えないのであります。大臣が御出席になるのが年二回ということもございましょうが、今、さまざまな委員会を含めますと百十五回、百三十五回と開かれておりますけれども、この成果が日本の科学技術のさまざまな政策をつくり出していく上での下支えをしているというふうに私は信じていたいのでございますけれども、そのあたりのことにつきまして、どのような反省が行われた上で新しい体制に移ろうとしていらしたのでございましょうか。
#141
○政務次官(斉藤鉄夫君) 現行の科学技術会議の反省でございますけれども、例えば、これまでは自然科学のみを対象としておりましたけれども、やはり社会との関係性の上で人文・社会科学との連携も考えなくてはいけない、人文・社会科学についても議論の対象にしなくてはいけない、こういうふうになったわけでございます。
 また、所掌事務につきましても、これまでは基本的な政策について調査審議するということでございましたが、これからは、研究開発の評価、また自発的な意見具申ということも加わりまして、対象とする分野の拡大、所掌事務の拡大ということで大変大きな役割を担うことになりました。
 そういう意味で、ちょっと御質問に対して裏側から答えているような回答になりましたけれども、そこにこれまでの反省が込められているというふうに考えていただければよろしいかと思います。
#142
○日下部禧代子君 ただいまの人文科学もいわゆる総合ということで含められたということをお答えくださいましたけれども、これは私がかねがね申し上げていたことでございまして、科学というのは一般的にヒューマンサイエンスも含むというふうに言われているのにもかかわらず、この会議には入っていないということを非常に不思議に思っておりました。今回それが加えられるということは非常に私としても喜ばしいことだというふうに思います。
 ところで、この総合科学技術会議が積極的に機能を果たすということのためには、今申し上げました文科系から理科系まで横断的に第一線の研究者を束ねている日本学術会議との連携というのは、これはかなり重要なことではないかというふうに思うわけでございますが、現在の科学技術会議におきます場合、日本学術会議との関係というのはどのようになっておりますでしょうか。
#143
○国務大臣(中曽根弘文君) 科学技術会議は、先ほど申し上げましたとおり内閣総理大臣の諮問機関として、総理の諮問に応じまして科学技術の一般に関する基本的かつ総合的な政策の樹立に関すること等のほか、日本学術会議への諮問及び日本学術会議の答申または勧告に関することのうち、重要なものについても審議することとなっております。また、部会の一つとして、日本学術会議会長を部会長とする日本学術会議連絡部会が設けられておりまして、日本学術会議の勧告等の報告を受け、審議等に反映させることとなっております。
 一方、内閣府設置法上は総合科学技術会議と日本学術会議との関係は明記されてはいませんけれども、中央省庁等改革基本法におきましては、この日本学術会議については総合科学技術会議においてそのあり方を検討することとなっておりまして、総合科学技術会議と日本学術会議との連携方策も含め、総合科学技術会議の発足後に検討がなされるものと、そういうふうに思っております。
#144
○日下部禧代子君 今、大臣お答えいただきましたように、総合科学技術会議が発足してから日本学術会議の位置づけについて議論がなされるということでございますけれども、その日本学術会議は現在総理府に属しておりますね。そして来年一月から総務省の所管になるというふうにされております。
 そこで、日本学術会議は昨年の十月二十七日に日本学術会議の位置づけに関する見解というものを発表しております。そこにおきまして、総合科学技術会議と同じく日本学術会議も内閣府に置かれるべきである、そういう見解を述べております。その理由といたしまして、内閣府に置くことによって学術を重視する国の姿勢を示すことになり、また総合科学技術会議のあるべき姿を実現するためにも内閣府に置くべきであるというふうにその見解において述べているわけでございますが、国務大臣としてお考えをいただきたいというふうに思うわけでございます。
#145
○国務大臣(中曽根弘文君) 日本学術会議は、その設立以来、内閣総理大臣の所管のもとに活動を行ってまいりました。文部省それから科学技術庁等の学術、それから科学技術行政に関係する省庁の施策と相まって日本の学術の発展に多大な貢献をしてきた、またかかわってきたところでございます。中央省庁改革につきまして、我が国の第一線の研究者も参加して検討を行いました行政改革会議の結論を受けた中央省庁等改革基本法では、この日本学術会議は総務省に置き、そのあり方につきましては総合科学技術会議において検討することと規定をされているところでございます。
 改めて申すまでもなく、科学技術創造立国の実現に向けまして、関係する諸機関がさらに密接に連携協力していくことが大変重要であるわけでございます。
 この日本学術会議のあり方につきましては、このような観点も考慮しつつ、設立の趣旨やこれまでの活動等を踏まえ総合科学技術会議において検討されるものと考えておりまして、文部省といたしましては、その検討結果を待つこととしたいと思っております。
#146
○日下部禧代子君 そうではございますが、どのようなお考えかということを私は承りたかったのでございますが、どうもそのお答えはなかなか出てきそうもございません。時間の関係がございますので、非常に残念ではございます。
 今この委員会の中に、学術会議会員でいらっしゃいました前文部大臣、そして科学技術庁長官がいらっしゃいますので、もし委員同士の質疑ができるということでございましたら、そこまで国会が活性化されておりましたら、御意見を承り、私の意見も申し上げたいところでございますが、まだそこまで国会活性化はされておりませんので、非常に残念でございますが、御意見を承ることができません。
 この日本学術会議の問題というのは、第一線の学者を束ねていると先ほど申し上げましたけれども、約七十万人の科学者の中から会員が選出されるわけでございますが、二百十人でございます。七十万人の中から二百十人、これは多いか少ないか、またこれはよくわかりませんけれども、その中で私は一つ問題にしたいのは、現在、男女共同参画社会を目指す日本といたしまして、この第一線の科学者、研究者が七十万人参加している中から選出される二百十人の中に女性が何人今現在選出されているのか。大臣はもちろん御存じでいらっしゃいますね。そして、そのことに関してどのような御感想をお持ちでいらっしゃいましょうか。
#147
○国務大臣(中曽根弘文君) 学術会議の会員は確かに二百十名でございます。そのうち女性会員は二名と伺っております。
 この会員につきましては、学術会議に登録された学術研究団体、それぞれの研究団体からの推薦に基づいて任命されることとされておりまして、こういう仕組みは、昭和五十八年に国会の御審議を経て法律が改正されて導入されたものでありまして、私どもといたしまして会員の任命方式についてコメントすることは適当ではない、そういうふうに思っております。
 すぐれた研究業績を上げた科学者が推薦、任命されるという基本的な仕組みの中ではありますけれども、近年、女性の科学者の活躍が大変盛んになっていることでもありまして、今後、この会議の女性会員がふえていくことを私も期待しているところでございます。
#148
○日下部禧代子君 今、大臣御指摘になりましたように、これは一九四九年に創立されたわけでございますが、昨年、五十周年を迎えております。当初は、一九八三年まで研究者の郵送による直接選挙だったわけでございます。したがって、研究者の国会というふうにも言われていたわけでございます。ところが、今大臣おっしゃいましたように、それぞれの学会の推薦による、そして首相任命制というものに、一九八三年に日本学術会議法が改正されましてからそういうふうに選出方法も変わったわけでございます。そうなりますと、所属する研究者の多い学会、また女性の多いあるいは少ない学会、さまざまございます。その中からの推薦というシステムそのものにもやはり問題があるかもわかりません。
 しかしながら、それにしてもまことにこれは、科学技術創造立国そして男女共同参画社会を目指す我が国としてはお恥ずかしい次第でございます。今の我が国の国会の中で女性議員は必ずしも多くございません、この委員会は特別でございます、別格でございます。しかしながら、国会全体から見まして、日本の女性議員の割合というのは世界の中で百何番目とかというふうに言われております。ですから、科学者、研究者の国会と言われている日本学術会議でわずか二名ということは、いわゆる先進国として非常にこれは恥ずべきことで、笑っている場合ではないというふうに思うわけでございます。
 今回、七月二十二日に新たな会員が任命されるわけでございますね。だから、第十八期の会員の選出日程の中では既にもう二月二十一日に推薦人の届け出が締め切られてしまっております。したがいまして、私がきょうここで申し上げていることが今回の第十八期の会員選出には間に合わないかもわかりません。ふたをあけてみて七月二十二日に二名よりもふえていれば、これは非常にうれしいことではございますが、現在、原ひろ子さんと島田淳子さん、原さんは文化人類学、民族学でございますね、島田さんは家政学でいらっしゃいます。そのお二人だけでございます。このお二人以外に日本の女性の研究者、科学者、本当にすばらしい方々を私は個人的にもいっぱい存じております。何とかしてそういう方々が日本を代表する科学者のお一人として日本学術会議の中で活躍をして日本を代表していただきたいという思いを込めて、今質問をさせていただいたわけでございます。
 ぜひとも、大臣初めここにいらっしゃる皆様方、そういう方向に向けてさまざまなところでアピールをしていただきたいということをお願いいたしまして、次の質問に移りたいと思います。
 遺伝子解析についてでございます。
 ヒトゲノム研究などの遺伝子解析というのは二十一世紀の医療を革命的に変えるというふうに期待されているところでございます。この遺伝子解析をめぐりまして、国立循環器病センター、九州大学、東北大学が健康診断受診者の遺伝子の無断解析を行っていたという事態が発生しております。
 遺伝子情報というのは、申すまでもなく個人の最大のプライバシーであります。その情報が漏れることによりまして、差別あるいは人権侵害にもつながってまいるわけでございます。就職とか保険加入の場合に遺伝子差別が行われる可能性というのは十分に予想されるわけでございます。したがいまして、アメリカではクリントン大統領が、連邦職員の採用あるいは昇進に当たりまして遺伝子情報の利用を禁止するという大統領令に署名をしているわけでございます。
 しかしながら、このようなアメリカと比較して、我が国の場合はどうも遺伝子情報に対する認識というものが、研究者内で、あるいは政府にも、一言で言えば非常に甘いというふうな状況ではないかというふうに思います。論が深まるどころか、まだ始まってもいないというふうな状態であるように私は考えるわけでございます。
 そこでお伺いいたします。
 遺伝子情報の保護、遺伝的特徴に基づく差別禁止、あるいはインフォームド・コンセントの徹底等を目的とする研究指針、あるいは倫理指針は既に用意されているのでございましょうか。その点につきましてお答えいただきたいと存じます。
#149
○国務大臣(中曽根弘文君) 人の遺伝子の研究が進んでまいりますと、個人の遺伝子情報によりまして病気のかかりやすさの解析などが可能となると予想されております。こういう個人の遺伝子情報の取り扱いにつきましては、御指摘のような観点から十分に配慮をする必要があるわけでございますが、ヒトゲノム研究小委員会におきましてこのような観点も含めて審議を行っていただく必要があると私は考えております。
 個人の遺伝子情報が明らかになることによりまして生じる差別などの社会問題につきましては、ヒトゲノム研究の進みぐあい及びその成果の社会的活用等の状況を踏まえ、政府として改めて検討すべき課題である、そういうふうに考えております。
#150
○日下部禧代子君 今のお話ですとこれから御準備をなさるように私は受けとめたのでございますが、それではツーレート過ぎます。
#151
○国務大臣(中曽根弘文君) このヒトゲノム研究の進展にかんがみまして、科学技術会議では昨年の十二月、生命倫理委員会に自然科学から人文・社会科学にわたる各方面の有識者の方々の参加をいただいてヒトゲノム研究小委員会を設置いたしまして、我が国において個人の遺伝子情報を取り扱う研究全般に関して守るべき基本原則について検討を進めております。
 具体的には、個人情報の保護やそれからインフォームド・コンセントの取得などについて公開のもとに鋭意審議が行われているところでございまして、今後、広く一般の方からの意見公募も行い、その結果も反映して基本原則が取りまとめられる予定となっております。
#152
○日下部禧代子君 ということは、まだ基本原則が取りまとめられていないということでございますよね。ヒトゲノム研究小委員会の設置は昨年十二月二十一日にされておりますけれども、今のお言葉のとおり、まだ原則そのものを発表する段階には至っていないという御回答を今いただいたわけでございます。
 それでは、一体これはいつまでにその指針をまとめるという御計画でございますか。具体的にお示しください。
#153
○国務大臣(中曽根弘文君) この件に関する課題が顕在化しておりますところから、早期に結論を得ることが大切と考えておりまして、四月末ごろを目途に取りまとめていただきたいと考えております。
#154
○日下部禧代子君 厚生省関係でございますと、平成十一年度厚生科学研究費補助金厚生科学特別研究事業といたしまして、遺伝子解析による疾病対策・創薬等に関する研究における生命倫理問題に関する調査研究の中間報告書が出されております。しかしながら、必要とされるのは、厚生省の場合にはある部門に対応するものでございます。やはり全体に対応するもの、そういったものの指針案が出ていないからこそ、私が先ほど述べましたような問題が発生してしまっているのではないかというふうに思うわけですね。
 ですから、この遺伝子の研究、または遺伝子解析ということは現実にさまざまなところでもう実際に行われているわけです。ですから、本当にこういうことが後追いになってしまうと非常にいろいろな問題が出てくる、先ほど申し上げたような問題が出てくる危険性をはらんでいるわけでございます。
 国立循環器病センターでもこの問題が起きたと今申し上げたのですけれども、その研究所長は今申し上げました厚生省の委員会にも、そしてまた大臣がおっしゃいました科学技術会議のヒトゲノム研究小委員会の委員でもいらっしゃるわけですね。そこのおひざ元でこういう問題が起きたということは、私はもう残念至極でございます。これは厚生省の管轄だからということでお答えにならないかもわかりませんので、文部省の管轄でございます東北大学、九州大学でも同じ問題が起きております。
 この遺伝子の無断解析につきまして、どのような対応をなさり、またどのような対応をなさろうとしていらっしゃるのか、お答えいただきたいと存じます。
#155
○国務大臣(中曽根弘文君) 遺伝子機能を解明することによりまして、疾病の予防とか早期発見、それから早期診断、あるいは薬剤の開発等、医療や人々の生活に非常に大きく貢献することが期待されているわけであります。しかしながら、この遺伝子解析研究につきましては、個人のプライバシー等、倫理的、社会的問題を生ずる可能性があることから、研究に当たりましてはこの試料の提供者等の人権及び利益の保護について十分配慮されるべきものと、そういうふうに思っております。
 このたび東北大学、九州大学からの報告によりますと、研究目的とはいえ住民の同意を十分得ないまま遺伝子解析を行ったということが明らかになりました。このため両大学では、それぞれ医学部倫理委員会において改めて厳正な審査を実施するとともに、今後は両大学とも試料提供者の同意を改めて得た上で遺伝子解析を行うこととしたと聞いております。
 文部省では、この事の重要性にかんがみまして、二月二十九日に開催の国立大学医学部長、歯学部長及び病院長会議、この会議におきまして、関連資料を配付して、理解を求めつつ注意を喚起したところでございまして、今後とも、専門家の方々の御意見を伺うとともに、科学技術庁、厚生省等の関係省庁と連絡をとりながら適切な対応に努めていきたい、そういうふうに思っております。
#156
○日下部禧代子君 どうも今のお答えは私は歯がゆい思いがいたします。このヒトゲノムの問題あるいは遺伝子解析ということは、非常に今や花形でございます。したがいまして、こういう問題が起きるであろうことを国としてはきちっと予想をするということが当たり前ではないかと思うわけです。
 今お話を伺えば伺うほど、まだそれに対して指針さえも策定されていないという現状がはっきりしてしまったわけでございます。非常にこれは日本のプライバシーの認識がないという、我が国のいつも問題とされるそのことがやはりここでも、やはり日本はまだプライバシーということに関してその感覚というものがきちんと社会の中で認識されていないなと。社会の中で認識されていないということだけではなく、この専門の研究者そしてまた政府においても認識されていないなと、非常に私は今残念な思いをして、お答えを伺って、また質問をさせていただいているわけでございます。
 これから二〇〇〇年度から五カ年計画でもって厚生、通産、科技庁など五省庁が関係する遺伝子関連研究、ミレニアム計画というふうに称しておりますね、その計画、来年度だけで約六百億円の予算を取っております。そのような予算が計上される大きな計画もございます。そういう中で、その遺伝子研究の倫理的、法的あるいは社会的問題についてほとんど検討されていない状況というのは、非常に私は恐ろしい気がするわけでございます。国といたしまして、生命科学全般について包括的な議論を深めていただきまして、その必要な対策が早急に講じられなければならないと強く強くきょうは感じたわけでございますが、この点に関しましての御決意をいただきたいと存じます。
#157
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほども申し上げましたけれども、この問題につきましては、各方面の有識者の方々に参加をいただきまして、ヒトゲノム研究小委員会を設置して、個人の遺伝子情報を取り扱う研究全般に関して守るべき基本原則について検討を進めているところでございます。できるだけ早くこの結果を出すことが大事と考えておるわけでございますが、四月末ごろを目途に取りまとめていただきたいと考えておるわけでございます。
#158
○田名部匡省君 もう最後ですから、もうちょっとおつき合いをいただきたいと思います。
 私は、十数年前でしょうか、日本の教育というのは世界に冠たる教育だといって、諸外国は日本に教育を学べといって一生懸命だったんですね、あのころ。一体どうしてこんなになったんだろうなというふうに思うんです。私は通告していませんので、いつもそうなんですけれども、思ったことをやっぱり言い合う、議論し合うということが本当に国会議員として私は大事だと思うんですね、それぞれに考えを持っているわけですから。最近の学校を見ると、いじめ、不登校、暴力行為、こういうものが憂慮すべき状況だと。大臣、端的にどうしてこんなになったとお考えか、まずそこをお答えいただきたい。自分で思っていることで結構ですから。
#159
○国務大臣(中曽根弘文君) 今委員が御指摘のいじめとか不登校とかさまざまな問題、これは大変重要な問題だと私ももちろん思っております。
 この原因は何かということでございますが、これもいろいろあろうかと思います。社会も大きく変わってまいりましたし、特に子供を取り巻く環境というのはこの何年間か著しく変わってまいりました。それから少子化、核家族化ということも大きく影響しているんではないかと思いますし、また、情報化によりまして、テレビあるいはコンピューターを通じて子供にいろいろな情報が直接入ってくる。また、そういうようなパソコンあるいはファミコン等で遊んだりまた勉強することによりまして、家族との触れ合いや友達との触れ合いもなくなってきたということでございまして、こういう問題はある種の、これは正しい言い方かどうかわかりませんが、文明病的なところもあるんではないかと、そういうふうに思っているところでございます。
#160
○田名部匡省君 私もそのとおりだと思うんですね。豊かになってきた、少子化になってきた。子供たちは自分で何かをして遊ぼうというよりも遊びを与えられている。もう皆テレビゲームで一人で遊んでいたり、人とつき合わなくなってきた。一方、こんなに豊かになって親の方も相当変わってきたと思うんですね。
 青少年の健全育成というのは、これに書いてありますけれども、私たち大人一人一人が真剣に取り組むような機運を醸成していく。教育の基本は家庭にあると。大人自身が高い倫理観を持つべきだと。じゃ今の大人が高い倫理観というのを持っているんだろうか、子供ばかり見ておって、子供は親の姿を見て育つわけですから。毎日、新聞見てごらんなさい、まあとにかく、だれかが何かをやったというのばかりでしょう。警察といえばあのとおりだし、防衛庁の調達本部というとああしたこうした、学校の先生が教え子にどうしたとか。だから、おかしなことをおかしいと思わない国だからおかしくなってきたと私は思うんです。
 だとすれば、教育改革国民会議、この種の会議とか委員会とか審議会というのはどれだけあるかわかりませんが、きのうも新潟県警の問題で中坊さんたちにお願いして何かつくると。私は言ったんですよ、一番わかっている警察庁がこういうふうに変えますというのがなぜないんですかと。
 私は、教育もそうですが国民運動を徹底することだと思うんですね。教育委員会が、文部省が一番わかっているんです。学校が親とも接しているし、どういうふうに考えているのか、問題点を文部省がもう全国に、ちょっと親とみんなやってみてくれと。これがすべて理解されるようになってこないと、上意下達だけではなかなかうまくいかない。やることが理解できない。しかも、いろんな人をお願いして、国家公安委員の皆さんは週一回出てきて二時間で二千六百万ももらうんだ、その割にはさっぱり機能していないというので批判されることはあっても、そういう人たちにお願いしてもいいですが、親たちもみずから自分のこととして真剣に議論するということがなければならない、こう私は思うんです。
 ですから、いろんなのをつくることも結構ですし、国会議員もみずからこう思っておるわけですから、どうすればいいのかということを私はもっと真剣にやるべきだと。余りもうお年寄りの年輩の方々に委嘱してやってもらっても、本当に孫みたいな人たちの考え方をどれだけ理解しているかというのは、私は疑問なんです。
 どうぞ、ここまでについてまたお答えいただきたい。
#161
○国務大臣(中曽根弘文君) 青少年の健全育成の問題につきましては、私も委員と同じような考え方でございます。家庭がまず第一でありますし、学校も大事でありますが、それと同時に社会、それから大人全体が自分自身を見詰め直して、そして、果たして自分はこの青少年の健全育成や教育の問題、しつけの問題等について大人としての、社会人としての務めを果たしているかというところから私はスタートしなければいけないと思っております。もちろん、家庭のお父さん、お母さんがまず一番だとは思っておりますけれども、地域社会、学校全体が連携してやることであります。
 実は私は、文部大臣といたしまして、昨年の十月でしたか、経済団体、各団体を訪問して、高校、大学をこの春卒業する予定の学生さんたちの就職内定率が非常に悪いということで、ぜひこの雇用の拡大をお願いしたいということで各団体を回りました。
 それから、依然としてこの状況が年が明けてもよくなっておりませんのでお手紙でまたお願いをしたんですが、そういう一連の経済界との接触の中で、経済界の皆さん方は教育についても委員会等を設けていろいろいい提言もしていただいている、しかしテレビや雑誌や青少年の健全育成に非常に害のある番組やそういうものが大変多いと。そういうことでございますので、片方でいい提言をしていただきながら、ナイフで人を刺したり、あるいは性風俗を扱うような番組のスポンサーになっているのはどういうことなんですかということで、ぜひそういう有害な番組のスポンサーにはならないでくださいと。本来は、テレビ局とか雑誌社がつくらないということなんでしょうけれども、そういうようなお願いもこのところずっとさせていただいているところでございます。
 やはり一人一人が、例えばテレビ番組をつくる人でしたら、自分がつくる番組が本当に自分の娘と、中学生、小学生の娘と一緒に見れるかどうか。あるいは、自分が出版社の方でしたら、その週刊誌を家に持って帰れるかどうか。そういう本当に自分の回りから振り返ってもらって、教育の問題について考えてもらう必要があるんじゃないか。まさに委員がおっしゃいますように国民運動的なものにいたしませんと、これは国民皆さんが心配され、皆さんがいろいろ御意見があることでありますが、なかなか成果が出てこないと思っておりまして、私も私の立場で、これからお父さん、お母さんやまた社会に対してそういうような語りかけをしていきたいと、そういうふうに思っております。
#162
○田名部匡省君 家庭の責任、親の責任、どこからどこまで親が責任を持って、先生方がどこまでの責任かというのは、全く私は前からおかしいと思っているんです。大体、就職の世話から、夜繁華街へ行って生徒が出ているか、遊んでいるかという、そこまで学校の先生の責任でしょうか。アメリカなんというのは、学校ではたばこを吸わせないけれども、門から出たらもう一切家庭の責任ですよ。そこまで先生に求めるというのも大変ですし。だから、家庭が一体どこまで責任を持つのか、学校の先生の責任というのはどこまでなのか、こういうことだってはっきりしていない。
 そういうことをやるから、ああ、何かしてくれるんだと。これは日本の一番悪いところですよ。困れば国が何とかしてくれる。自分で何かやろうという気は全然ないでしょう、国民に。だから、もう少しそういうことも親にきちっとして、そうか、学校の門を出たら私の責任だなというぐらいのことをやっぱりやっていかないともう大変でしょう。
 そして、こんな事件がどんどん起きてくると先生がノイローゼになっちゃう。私は昔、文教におきまして、学校の先生でノイローゼが何千人おります、今はどのぐらいおるかわかりませんけれども、ノイローゼの先生から教わった子供は一体どうなるのかと、前の有馬大臣のときも私はこういう議論を言ったんです。ですから、インターンのように、三年ぐらいは試験受かったら先生だなんて言わせないで、本当にこの先生は三年後に先生として大丈夫だというところから正式の先生にするとか、いろんなことをもっともっと議論して、本当に子供たちもたくましく育つような、そんな仕組みというものを考えていかないと、会をいっぱいつくったって、これをつくればよくなるんだったら、この間の東海村の事故だってそれは大丈夫ですよ。大体あれは、あんな事故が起きるという想定が全然してなかったんですから、普通の原子力発電所と違って、中性子なんというのは。だから、起きたから今度はびっくりしちゃった。
 私は、よく責任問題を言うんです。今度のロケットでも何でもそうですよ。なれてくると事故というのは起きるんですよ。最初のころは慎重にやる。だから、原発だって何だって、事故が起きるときというのはもうなれて、自動車の運転もそうですよ。取ったばかりは慎重になっている。なれてくると片手で運転して事故を起こすというようなものだと思うんですね。
 しかも、あの事故が起きたときに、何かバケツを使ってどうのこうのという、下の人だけの責任になっちゃっているでしょう。そういうシステムをつくった責任、事故が起きたらどうするかという責任は一体どこへいったのかわからぬ。
 しかも、何時間にもなって、夕方になってから退避命令が出たと。その間にもう相当の人が、亡くなった人もおるし、汚染された人たちもおるんでしょう。そういうのをずっとさかのぼっていったら、一体だれの責任だったのか、これは。しかも学術会議やいろんな会議があっていながら、さっと行かない。そんなことなら、現場に一人常駐して、事故が起きたらとりあえず避難させるとか、屋外だとか、いろんなことをそこでぱっとやるようにしなきゃ。総理官邸まで来て、そこで会議やって何かやっている間にどれだけ汚染されるか。
 会社は責任があるのは当然ですよ。しかし、従業員までの責任を問われたって、あの人たちはそんな知識も何もなくてやっておったのかどうかわかりませんからね。ですから、そういういろんなことを考えると、責任というものをやっぱり明確にする、これがなかったら何かうやむやになると思うんですね。新潟県警を見ても、だれの責任だったのか、もう全然うやむやになって終わっちゃった、こう思います。
 特に、六ケ所村でまた爆発事故が起きたと。人体に多少影響があった程度ですけれども、いずれにしても、会をつくったら、会にもう少し責任があるんだというのでなければ私はだめだと思うんですね。もう時間のようですから、これはまことに残念ですが。
 きょうは体育局長にも。冬季アジア大会以来ごたごたもめていまして、東京オリンピック以来、いろんなオリンピックや国際大会やったけれども、初めてあんなにもめておって、私は、大阪のオリンピック誘致に影響を与えちゃいかぬとか、いろんなこと考えるんです。
 一つだけお伺いしますが、最初は八億円でやれると、それが五十六億になったからけしからぬとやっているようですけれども、こんなのでもめた国際大会というのはありますか、国内で。
#163
○政府参考人(遠藤昭雄君) 私も精査はしておりませんが、私の知っている限りでは、こういった形というのは初めてではないかというふうに承知しております。
#164
○田名部匡省君 最後で終わりますけれども、いずれにしても、全国にも迷惑をかけるし、これは国際的な恥にもなるし、最初から長野オリンピックだって大阪オリンピックだって幾ら以上かかったらやらないとかで誘致したわけじゃないんです。やろうとしたら、もう徹底的に誘致してオリンピックやる、アジア大会やるというのが、これが私は本当だと思うんです。それを金額が多くなったからとかなんとかといってもめている。ではやめるのかというと、やめると言ってもいない。そして、四カ月間ですよ、もめているのは。あなたの責任ではないけれども、どういう文部省として考えを持っているのか、もう少し時間があれば後でまたお話を伺いたいと思います。
 きょうはどうも大変ありがとうございました。
#165
○委員長(佐藤泰三君) 本日の調査はこの程度といたします。
    ─────────────
#166
○委員長(佐藤泰三君) 著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根文部大臣。
#167
○国務大臣(中曽根弘文君) このたび、政府から提出いたしました著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の特例に関する法律の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。
 我が国の著作権制度につきましては、これまでも逐次改正をお願いし、その充実を図ってまいりましたが、近年、情報技術の発達普及に伴い、さまざまな形態での著作物等の利用が可能となっているとともに、著作権等の侵害の可能性も高まってきているところであります。
 このたびの改正は、このような利用動向の変化を踏まえ、著作物の公正な利用とのバランスにも留意しつつ著作権制度のさらなる充実を図るため、所要の措置を講ずるとともに、世界知的所有権機関、いわゆるWIPOにおいて、平成八年十二月に採択された著作権に関する世界知的所有権機関条約の締結に伴い必要となる国内法の整備を図ることを目的とするものであります。
 次に、この法律案の概要について申し上げます。
 第一は、情報伝達手段の発達により可能となった視聴覚障害者のための著作物の利用について、著作権者の許諾を得ずに自由に行うことができるよう定めるものであります。視聴覚障害者の福祉の増進の観点から、コンピューターを用いた点訳や、放送番組等の音声内容をコンピューターを用いて字幕化し、ネットワークを通じて送信することを自由に行い得ることとするものであります。
 第二は、民事上の救済規定及び罰則規定の整備を行うことであります。著作権の実効的な保護をより一層充実するため、著作権等の侵害行為を立証するために必要な文書提出命令の範囲を拡充する等の民事上の救済規定を充実するとともに、侵害に対する抑止力を高めるため、法人に対する罰金額の上限を引き上げることとするものであります。
 第三は、著作権に関する世界知的所有権機関条約の締結に伴い、同条約締約国の著作物に対する著作権法等の適用関係を明確にするための規定の整備を行うものであります。
 最後に、施行期日についてであります。
 この法律は、著作権に関する世界知的所有権機関条約に係る部分については、同条約が日本において効力を生ずる日から、その他の部分については平成十三年一月一日から施行することとしております。
 以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。
 何とぞ、十分御審議の上、速やかに御賛成くださいますようお願いいたします。
#168
○委員長(佐藤泰三君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後三時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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