くにさくロゴ
2000/03/28 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 文教・科学委員会 第9号
姉妹サイト
 
2000/03/28 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 文教・科学委員会 第9号

#1
第147回国会 文教・科学委員会 第9号
平成十二年三月二十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月二十三日
    辞任         補欠選任
     佐藤 泰介君     江本 孟紀君
 三月二十八日
    辞任         補欠選任
     長谷川道郎君     斉藤 滋宣君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 泰三君
    理 事
                岩瀬 良三君
                橋本 聖子君
                石田 美栄君
                松 あきら君
               日下部禧代子君
    委 員
                阿南 一成君
                有馬 朗人君
                井上  裕君
                亀井 郁夫君
                斉藤 滋宣君
                仲道 俊哉君
                長谷川道郎君
                江本 孟紀君
                小宮山洋子君
                本岡 昭次君
                福本 潤一君
                畑野 君枝君
                林  紀子君
                扇  千景君
                田名部匡省君
   国務大臣
       文部大臣     中曽根弘文君
   政務次官
       文部政務次官   河村 建夫君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        巻端 俊兒君
   政府参考人
       文部大臣官房長  小野 元之君
       文部大臣官房総
       務審議官     本間 政雄君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       文部省教育助成
       局長       矢野 重典君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○教育職員免許法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(佐藤泰三君) ただいまから文教・科学委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る二十三日、佐藤泰介君が委員を辞任され、その補欠として江本孟紀君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(佐藤泰三君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 教育職員免許法等の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に文部大臣官房長小野元之君、文部大臣官房総務審議官本間政雄君、文部省初等中等教育局長御手洗康君及び文部省教育助成局長矢野重典君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(佐藤泰三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(佐藤泰三君) 教育職員免許法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○仲道俊哉君 自由民主党の仲道でございます。
 小渕総理は、施政方針演説において教育立国を宣言し、教育改革の一環として教育改革国民会議を発足させ、早速、昨日第一回目の会合があったようであります。今教育の問題が大きく取り上げられている中で、総理みずから教育の改革に取り組む姿勢を国民に示したことは、大変高く評価されるべきことであると思います。
 ただし、これまで文部省では、教育研究推進のために中教審を初め多くの審議会を設置され検討してきた経緯がありますし、今後もその方向で進むと思いますので、今回設置された教育改革国民会議をどのように評価され、文部省にある審議会との整合性をどのように考えておるのか、御所見をお伺いいたしたいと思います。
 あわせまして、現在文部省にあります審議会というのは幾つあるんだろうかなというのをちょっと疑問に思ったものですから、この機会にお知らせいただければというふうに思います。
 以上です。
#7
○国務大臣(中曽根弘文君) 昨日、教育改革国民会議の第一回会合が総理官邸で行われまして、私も出席をいたしました。
 初回ということもありまして、出席委員全員から自己紹介と、それから教育改革に関しての委員それぞれのお考え、御意見の表明がありまして、大変に興味深く伺った次第でございます。どの委員からも教育に対する危機感のようなものの表明あるいは熱意等のお話がありまして、大変に実のある会議であったと思っております。
 今後は、この設立の目的でもあります戦後の教育の総点検、あるいはまた教育の根本にまでさかのぼった幅広い議論をしていただけるものと期待をしているところでございます。
 なお、審議会の数等については政府参考人から御答弁させていただきたいと思いますけれども、中央教育審議会との関係についてちょっと申し上げますと、こちらの方は文部大臣の審議会でございまして、従来から審議を行っているわけですが、現在、少子化と教育というテーマで審議をいただいております。教育改革国民会議との関係を申しますと、国民会議の御審議の方向がどういうことになるのか、きのう第一回が始まったばかりでまだわかりませんけれども、こちらの審議の状況を、動向を勘案しながら中教審での今後の審議方向も決定していくことになると思いますし、また、仮にでございますけれども、今、臨教審以来この教育改革がずっと進められているわけでありますが、それについての検証、評価あるいはフォローアップ等を行うことも重要であると思っておりまして、そういうものも一例として今後の審議の事項としては考えられるわけでございます。
 それから、教育改革国民会議で議論されて、この具体化の検討を早くやるべきだというようなものがありましたらば、また中教審でそういうものについて検討、議論をするということも考えられるわけでありますが、私どもといたしましては、従来の教育改革の路線に沿ってこれらを着実に実行していくということが大切と、そういうふうに思っております。
#8
○政府参考人(小野元之君) 文部省に置かれております審議会でございますが、現在、中央教育審議会、生涯学習審議会、教育職員養成審議会、大学審議会、学術審議会など、実質的に十六の審議会がございます。なお、これら十六の文部省関係審議会と科技庁に置かれております六つの審議会がございますけれども、これは合わせまして二十二になるんですが、これを中央省庁改革に伴いまして八つの審議会に整理合理化するということを考えているところでございます。
#9
○仲道俊哉君 教育改革国民会議との関連につきましては、今後たびたびこの委員会でまたいろいろとこの整合性については意見が出ると思いますから、今、大臣のきのうの会議に出てからの所感をお聞きいたしまして大変参考になりました。
 今回の法律改正では、特に何かとその閉鎖性が指摘されております学校に外部の風を吹き込み、活性化を図ることは重要な課題の一つであります。
 そこで、特別免許状の運用状況なのですが、これまでの授与件数は四十二件、これは平成十年までの累計ですが、極めて少ないわけです。なぜこのように少ないのか、その理由についてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
#10
○政府参考人(矢野重典君) 委員御指摘のように、特別免許状の授与件数が十年間で四十二件と大変少ない状況にあるわけでございますが、この少ない理由といたしましては、一つには教員の採用が全国的に厳しい状況が続いているということがございます。また、特別免許状には最大で十年の期限が付されておりまして、授与を受ける側に身分の安定という面で不安を抱かせかねないということがございます。さらに、我が国では終身雇用が前提となっておりまして、転職が余り一般化していないということもございます。等々、さまざまな要因が関係しているものと考えられるところでございます。
 学校教育における社会人活用につきましては一層推進することが望ましいわけでございまして、平成十年の免許法の改正におきまして、特別免許状制度につきまして対象教科の拡大、また有効期間の延長を行ったところでございます。
 また、今回の改正案におきましては、特別免許状から普通免許状への上進制度を創設いたしまして、特別免許状所有者の身分の安定が図られるよう配慮をいたしたところでございまして、こうした措置によりまして今後一層その活用が進むものと私どもとしては期待をいたしているところでございます。
#11
○仲道俊哉君 今の過去の経緯から少ない理由が大体わかったんですが、今回、普通免許への道を開く本改正によって、私はこれが大いに利用される可能性を含めているなという感じを持ったんですが、特別免許状をそういうふうに授与された者のこれから給与等の処遇はどうなるのか、また普通免許状を持つ者との処遇の差はどうなるのか、その点について、ちょっと細かい話ですが、お伺いいたしたいと思います。
#12
○政府参考人(矢野重典君) 特別免許状と普通免許状は、これはいずれも教諭の免許状でございまして、免許状の種類の違いにより、俸給表の適用でございますとかあるいは教授できる範囲等、教諭としての職務には差はございません。
 また、民間企業等の社会経験を有する者が公務員に中途採用されました場合には、その当該者の勤務経験を考慮いたしまして俸給表を適用することとしておりまして、同程度の勤務経験を有する者と比べましてバランスを欠くことのないよう取り扱いがなされているところでございます。
#13
○仲道俊哉君 一流企業のリストラや最近の倒産によって優秀な人材が失業者としてちまたにあふれている一方で、教師の不祥事が頻発する昨今の社会情勢を考えますと、今こそ特別免許状制度のより一層の活用によって学校現場に新しい血を移入できる好機とも言えると思います。
 そういう関係から、ハローワーク等との連携によって特別免許状の取得の促進を図るべきであるというふうに思いますが、そういう国民に対しましての周知徹底をどのようにするのか、その点についてお伺いをいたしたいというふうに思います。
#14
○政府参考人(矢野重典君) すぐれた知識や技術を持っております社会人を学校教育において活用することは、学校教育の多様化や活性化を図る上で極めて有効であるわけでございます。
 このような観点から、御指摘の特別免許状制度、あるいは免許状を持たない者でございましても非常勤講師として採用することができる特別非常勤講師制度を設けているところでございまして、これらの制度を積極的に活用することによりまして、失業されている方で優秀な人材を学校教育に活用していくことも重要と考えているところでございます。
 文部省といたしましては、今回の特別免許状制度の改善とあわせまして、さまざまな形で制度の周知徹底を図ることによりまして、社会人活用の促進を図ってまいる考えでございます。
#15
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、政府参考人から御答弁申し上げたとおりでありますけれども、企業の経営が悪化するなどによって失業された方々の中にも、非常に教育に熱心であり、あるいは専門的知識や技術を持っている方が大勢おられるわけでありまして、ぜひそういう方々のお力をおかりしたい、また活用していくべきだと思っております。
 今、話にありました特別非常勤講師制度についてちょっと申し上げますと、特定の領域について、専門の方がこれを生かして学校で教えていただける制度でありまして、例えば小学校の体育の授業の中に、日本舞踊ということで、先生が御専門の日本舞踊なども学校に行って特別非常勤講師としてやっていただけるとか、演劇の中でも演劇の講師とか、保健では救急法とか専門の方にやっていただける制度があるわけでございますので、どんどんこういうものも、今、周知徹底とおっしゃいましたけれども、広く国民の皆さんにも、またそういう方々にも参加していただけるような努力をしていきたいと思っております。
#16
○仲道俊哉君 ありがとうございました。私の名前まで出していただきまして恐縮でございます。
 ミレニアムプロジェクト「教育の情報化」によりますと、平成十三年度末時点において、コンピューターを操作できる教員の割合を一〇〇%、指導できる教員の割合を五〇%にそれぞれするのが目標となっておりますが、これもコンピューターに熟練した民間人を活用するのが大変手っ取り早いのではないかと思いますが、これについての御所見をお願いいたします。
#17
○政務次官(河村建夫君) 仲道委員御指摘のとおりでございまして、まだ教育現場でコンピューターの専門家はなかなか育ちにくいという現状もございます。民間で活躍されている方々、また非常に経験を持っておられる方々に入っていただいて指導していただく、特に情報処理技術者、システムエンジニアでございます、そういう方々に授業にチームティーチングで一緒に入っていただくとか、教員研修の講師になっていただくとか、そういうことでコンピューターの専門家に入っていただく。先ほど話がありました特別非常勤講師制度もございます。それで教壇にも立っていただく、そういうことで積極的に活用させていただきたい、こう思いまして、学校現場の情報化にさらに努めてまいりたい、このように思っております。
#18
○仲道俊哉君 次に、校長、教頭の件ですが、求められるのは、教育技術じゃなくて幅広い人材や社会的知識を動員して学校を活性化させる力であるというように思いますが、その意味において、今回の省令の改正によって、校長、教頭の任用に関し、教員免許状のない民間人に門戸を開いたことは達見だというふうに私は言えると思います。しかし一面、既に免許を取得している者に対して言えば、既得権の侵害に当たる側面もあって、現職教員たちの強い反発が予想されるのじゃないかというふうに思います。実際、実情はどうだろうかというふうにちょっと心配をいたすわけでございます。
 また、これまでの特別免許状の授与件数から推測して、校長、教頭の門戸開放が果たして学校の活性化にどれほどつながるんだろうかというような心配もありますし、疑問もあります。
 そういうことから、候補者のリストアップ等、実際の運用に関してどういう手法を描いているのか、そのお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
#19
○政務次官(河村建夫君) 委員御指摘のように、校長あるいは教頭もそうでございましょうが、そういう管理者というのは当然教員免許状を持っているんだ、資格要件も五年以上教育に関する職についた者、こうなっておりますから、これがこれまでの教育界といいますか、世間の常識的な考え方にあります。
 御指摘のように、教員免許状を持たない者が教育現場に入ってくるということに対する違和感といいますか、そういうものがあるんではないかという御懸念は我々の方も十分抱いておるところでございますが、今の教育の現状を見たときに、やっぱりいろんな幅広い考え方が教育現場にも要るであろうということで、既に私学等ではそういうことをやって成功した例もあるわけでございます。
 そういうことで、任命権者の方がそういう必要性を感じて、地域によっていろいろな事情も違いますから、各地域の状況とか、この教育現場にはそういう方が必要ではないかという判断、そういうものが出てくるであろうと思います。地域と学校の実情において、もちろん校長になる候補者の方々の能力とかいろんな経験、そういうものがその現場に適する、その辺の判断というものは非常に重要になってくると思いますが、その方にその権限を与えて学校の活性化をやっていただくということをお願いするということになろうと思います。
 東京都あたりで今新設校なんかがあるわけで、そういう場合には一つのチャンスだということで、新設校にはそういう新しい機運もございますから、そういうところへそういう社会体験を持った、免許状は持たないけれども、管理者として能力の高い方、また教育に対しても見識を持っておられる方、そういう方々を任命して校長あるいは教頭になっていただくという形で考えております。
 そういうものがこれから今回の法改正によって全国的に広まっていって、教育現場が活性化されることを期待しておるわけでございます。
#20
○仲道俊哉君 私も実際に現場にいた経験からいたしまして、大変だろうなという、まずそういう意味では教員の意識改革といいますか、学校というのが今までは象牙の塔にこもっていた、そういう閉鎖性のところもあるわけですから、これを実行するために一番大事なことは教員の意識改革ではないかなというように思っておりますが、この点についてはまたいつかもう少し具体的な質問をいたしたいというふうに思います。
 時間が二十一分までで終われということで、早く終わればみんなから喜ばれるよというような理事の話もございましたが、最後にちょっと一つ。現職教員の研修ですね、これについて実際の実施状況はどうなっておるのか。それとあわせて、校内研修というものに対して、私は主任制というのが非常に大事な要素を占めておると思うんですが、その点についての取り組みについて最後にお聞きをいたしたいと思います。
#21
○政府参考人(矢野重典君) 教員の研修でございますが、研修につきましては、平成元年の初任者研修の導入以降、その体系化が進みまして、各都道府県、指定都市におきましては、初任者研修を初めといたしまして、五年目、十年目といった教職の節目ごとに全教員を対象とする研修機会が設けられているほか、情報教育あるいはカウンセリングなど、喫緊の教育課題にかかわります各種の専門的な研修が行われているところでございます。
 文部省といたしましては、今後ともこれら職務研修の内容の充実を図りますとともに、民間企業等で行う教員の長期社会体験研修の充実を図りますなど、適切な予算措置を通じまして教員研修の一層の充実に努めてまいりたいと考えているところでございます。
 それから、校内研修における主任の役割についてでございますけれども、御案内のように、校内研修の具体的な内容や方法は、これは校長がその権限と責任において決定するわけでございますけれども、委員御指摘のとおり、校内研修の充実を図りますためには、校長の方針のもとで主任がその経験や識見を生かしてリーダーシップを発揮して、全教職員が一致協力して実施することが私どもとしては重要であると考えているところでございます。
#22
○本岡昭次君 教育職員免許法等の一部改正の今審議をするわけですが、民主党としては賛成法案ですので、今後この運用に伴って起こることは、その都度またただしていきたいと考えています。
 そこで、二十分という時間をいただいておりますから、その間、この教育職員免許法と関係が非常に深い校長、教頭の任用資格の問題について質問をいたします。
 まず校長の任用資格ですが、学校教育法の八条には以下のように書いてあります。校長及び教員の資格に関する事項は、別に法律で定めるもののほか、文部大臣がこれを定める、こう書いてございます。
 そこで、教員については今議論になっております教育職員免許法でその資格が定められ、今次改正もそうしたことの内容がかかわっております。ところが、校長の資格は文部大臣がこれを定めるということで、法律事項でなく学校教育法施行規則で定めるということになっているのですが、これはなぜ、教員のことは事細かく法律で定めながら、校長の任用資格というものについて施行規則で、省令でもって出せばいいというふうになっているんですか。文部大臣がお定めになったんですから、文部大臣の方からわかりやすく説明してください。
#23
○国務大臣(中曽根弘文君) 今、委員からお話しありましたように、教員につきましては教育職員免許法によりまして「免許状を有する者でなければならない。」とされているわけでありますが、これは、教員が学校の教育活動の直接の担い手として子供の人格形成に大きな影響を与える、そういうことから、専門性の担保というものを任命権者の裁量にゆだねるのではなくて免許により厳格に担保をし、そして学校教育の目的を達成しようとするものでございますし、また、国公立の大学の学長の選考は、これは大学の自治の原則に基づいて各大学で自主的に行うことが適切であるわけでございますが、一般公務員に対する特例といたしまして教育公務員特例法に規定されているところでありますけれども、具体的な学長の選考は各大学の管理機関の定める基準にゆだねられているわけであります。
 お話しの校長、教頭につきましては、これは機関の管理運営者またはその補佐職として、教頭の場合は補佐職として組織における管理職としての性質を有するものでもあるわけです。いわばマネジメント能力が必要とされるわけでございまして、そういうところから、任命権者が広く人材を登用し得る道を開く方が適切である、そういう考えに基づいて、校長、教頭の資格は学校教育法により文部大臣が定めることとしているところでございます。
#24
○本岡昭次君 今説明がありましたように、大学の学長は、教育公務員特例法の中で法律事項として資格というものが文章で書かれてあるんです。小中高の公立学校だけの校長、教頭にはそれがない。今おっしゃったように、直接の担い手は教員である、校長とか教頭はマネジメントをするんだからその必要はないというお話でしたが、私はそれには賛成できません。
 それで、この教育職員免許法の制定の際の趣旨説明、昭和二十四年にこの法律が制定されて、当時、高瀬莊太郎文部大臣という方がおられたようでありますが、この当時の会議録を見てみますと、そのときの教育職員免許法の趣旨説明の中に、「校長及び教員の免許状その他資格に関することは、極めて重要な事項でありますから民主主義立法の精神にのつとつて、その基本的事項は、法律をもつて制定すべきであるとの趣旨により、昭和二十三年の教育委員会法及び教育公務員特例法の制定に当りましては、これらの事項は法律で定めるとの原則を規定したのであります。」ということで、昭和二十四年に定められたこの教育職員免許法には、校長免許状、教育長免許状というふうなものが免許法の中にあって、それが、ある時代に削除されていたという経緯があるんですね。
 私は、その削除された経緯、それはそれなりにあったと思うんですが、その出発当時、やはり教員と同様に校長の資格も免許として法律で規定されたというこの厳格であったというもの、そのことが教育にとっていかなる弊害をもたらすのかということがわからないわけで、むしろ免許というものを除外した形でマネジメントとして校長を登用していることの方が、プラスの面もあるかもしれませんが、弊害の面も多いのではないか、こう思うんです。
 そこで、校長の資格はそもそも出発のときは法律事項であったということからすれば、やはり法律事項というふうなものに、教育が大事であればあるほどすべきではないかと私は思いますが、文部大臣いかがですか。
#25
○国務大臣(中曽根弘文君) 昭和二十九年に校長及び教育長の免許制度を廃止したわけでございますが、この校長とか教育長の職というのは教員とまた異なりまして、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、管理職的な色彩がある。元来行政職でもあるわけでありますから、免許制度を廃止しまして、これを任用資格として必要最小限の資格要件を規定するにとどめて、そして任命権者が広く社会の人材を登用し得る道を開く方が妥当である、そういう考えからこのときに廃止されたわけでございます。
 そういう理由でございまして、先ほど申し上げましたように、学校教育法によって文部大臣が定めるということにしているわけでございます。
#26
○本岡昭次君 抽象論はそのぐらいにして具体論に入ります。
 そこで、一月二十一日に学校教育法施行規則等の一部を改正する省令が出されたんです。そして、それが校長、教頭の資格要件の緩和、そして、新聞等では校長、教頭へのいわゆる民間人登用というふうに報道されていきました。この、校長に民間人の登用というのは、省令の改正条文の九条の二に当たると私は考えるんですが、それでいいんですか。
#27
○国務大臣(中曽根弘文君) 九条の二でございます。
#28
○本岡昭次君 九条の二は、第八条各号に掲げる資格を有する者と同等の資質を有すると認める者を校長に任命、採用できる、とあります。そして、第八条に掲げる者としては、教員免許を有し、一条校及び専修学校の校長、一条校の教員及び専修学校の教員、一条校の事務職員、実習助手、寮母、学校栄養職員、文部大臣が認定した在外教育施設の教職員、外国の学校の教職員、少年院、児童自立支援施設で教育を担当する者、教育事務または教育を担当する公務員、外国の官公庁における教育事務または教育を担当する者として五年以上その職にあった者、あるいは、免許を持たなくとも十年以上そのような職にあった者というのが八条にあって、これと「同等の資質を有すると認める者」という場合に、一体どういう物差しでもって同等であるかないかということを認めていこうとするのですか。
#29
○国務大臣(中曽根弘文君) 今回の改正は、学校におきまして、児童生徒の実態とか地域の実情に応じた個性ある、また特色ある教育活動を展開するために、学校の運営上特に必要がある場合に、学校の管理運営についてその権限と責任を有する校長につきまして、その職責にかんがみて資格要件を緩和しよう、そういうものでございます。
 このため、今、委員おっしゃいました同等の資質を有する者につきましては、人物それから識見、経験等を総合的に勘案しつつ、学校の管理運営の最高責任者としての職責を全うできるかどうか、そういう観点に立ちまして、基本的には、任命権者である教育委員会において、今回の学校教育法施行規則の改正の趣旨にのっとりまして適切に選考を行うこととなる、そういうふうに考えております。
#30
○本岡昭次君 それで、文部大臣としては、今抽象的におっしゃったことを、例えばこういう人らを文部省としては求めるんだと、具体的に言ってください。
#31
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほども総括政務次官からちょっと御答弁ありましたけれども、高校が統廃合されたりあるいは新設される、そういうときに特色ある学校づくりをされるということがあるわけでございまして、そういう場合に校長に就任してもらう人には、その特色に適したといいますか、例えば国際的な学校をつくる場合は海外での経験の豊かな方とか、あるいは情報の関係の学校でしたらば情報分野での経験がある方とか、そういうようなことが考えられるわけでありまして、社会から幅広く人材を活用しようというものでございます。今のは一例でございます。
#32
○本岡昭次君 高校の一例はイメージとしてわかりました。
 小中だったらどうなりますか。
#33
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほど申し上げましたけれども、校長、教頭はある意味では行政職、管理職、マネジメントと申し上げまして、マネジメントがすべてというわけではありませんけれども、そういうような仕事も行うという意味で申し上げたんですけれども、理科とか国語とか算数とか、そういうものを単に教えるだけじゃなくて学校全体の運営を行う、あるいは全体の指導方針を決めていくということでございますから、そういう意味での識見を有する方あるいは情熱を持っている方等々、適切な人が社会には随分おられるんじゃないか、私はそういうふうに思います。
#34
○本岡昭次君 そんな簡単に随分おられるんじゃないかなんて言ってもらっては困るわけで、そして、今おっしゃったように、「学校の運営上特に必要がある場合」というこの認定も非常に難しい。例えば、学校が荒れてとにかく学校運営ができなくなってしまったというときに、それでは少年院とか子供の自立を支援する施設にいてやっていた人を持ってきてやったらうまくおさまるのではないかというふうな、そういうことに今の話では横に来るんですが、私はそんな簡単なものじゃないと思うんです。
 「学校の運営上特に必要がある場合」と。前任者がいて、前任者をかえて新しい校長を入れるときに民間人が入って、その人が特に必要のある場合として入っていって、そう簡単にその学校の問題に対応できるのかという心配がありますが、この「特に必要がある場合」の「特」というのは、どういうことをこれまた想定されておられるのですか。
#35
○国務大臣(中曽根弘文君) 「特に必要がある場合」というのは、これはもう任命権者がその権限と責任において判断をするわけでございますが、先ほど申し上げましたような特色ある学校づくりのときも一つの例ではないかと思います。また、そういう学校の校長に必要とされる能力とか経験、そういうものを考慮したときに、免許状や教育に関する職の経験を持たない人の中からの方がよりふさわしい人材が得られる場合なども考えられるのではないか、そういうふうに思います。
 具体的に東京都の教育委員会の例を申し上げますと、弾力的で特色ある教育を実践する新しいタイプの高校の学校経営に、民間で培った経営能力などを最大限生かしてもらうために、そういうような人材を登用するというようなことも検討していると聞いております。
#36
○本岡昭次君 これは規制緩和だと。今までは、校長、教頭はこういう人たちを選ぶべし、こういう一つの規制があった、それを緩和するんだ、こういう発想のようで、規制を緩和すると。
 だから、都道府県あるいは市町村の教育委員会がそういう観点に立てば、この任用問題についてはこの幅の中で、うちの教育行政上、免許状を持った校長、教頭がやっぱり必要だという判断に立てば、校長、教頭は全部、免許状を持った校長、教頭がなってもいいし、また逆に、私は大体そんな免許状みたいなもの信用しておらぬ、そういう必要はないんだといって校長も教頭も免許状抜きの民間人からの登用という、民間といっても公務員から来る方もあろうと思いますが、要するに免許状を持たない人たちが校長、教頭にすべてなってもいいと。
 極端な例を言っているんですが、規制緩和といったらそんなものだ、こういうように思うんですが、そこのところはあくまで規制緩和であって、それは、地方の教育委員会がその任用に当たって文部省が広げた幅の中でどういう決め方をしてもいい、こういうことだというふうに私は判断しておるんですが、それでいいならそれでいいとおっしゃってください。違うんなら違うとおっしゃってください。
#37
○国務大臣(中曽根弘文君) 任命権者が判断するということでございますから、委員のお話で結構でございます。
#38
○本岡昭次君 そこまで言っていただければ、後は文部大臣にあれこれ聞く必要はないわけで、これは地方の都道府県あるいは市町村の教育委員会が自分たちの判断で文字どおり教育の分権という枠の中でやっていけばいい、こう思います。
 そこで一つお聞きしておきたいのは、学校で教頭も校長も教員の免許状を持たない管理職として配置されるということが好ましいと思うか思わないか。やっぱりどっちか一人は免許状を持った人が管理職としては要るんではないか、こういう一つの判断等も、いかに規制緩和とはいえ教育現場の問題としてあってもいいように思うんですが、文部大臣はどう考えますか。
#39
○国務大臣(中曽根弘文君) 要はその人材によるのではないかと思います。任命権者が判断すると申し上げましたけれども、その判断をする際には、そういう持たない人を登用するということについては慎重に考えられると思いますし、また具体的な人選に当たりましても、校長としての適格性、リーダーシップあるいは判断力等々総合的に勘案されることと思いますので、それはケースによりますけれども、適切な人材が登用されることになると思います。
 免許を持っている、持っていないは重要なことでもありますけれども、基本的には免許を有する方であり、先ほど申し上げましたような、そういう特別な事情の場合ということでございますから、みんながみんなそういうふうになるわけではありませんので、地域地域の実情に応じて弾力的にやっていただければと思います。
#40
○本岡昭次君 最後に一問。よく例示されるのは、私たちが三十人以下学級、できるだけ学級数は小規模の方がいいという問題を出したときに必ず出されるのは、教員一人当たり何人の子供を教えているかということが出てくるんです。そうすると、日本は余り差はないじゃないかと。そのときに教頭、校長もその中に入っておるんですよね、文部省のは。子供を教えるというところに校長、教頭も入れて出すんです。諸外国の場合は、これは教える教員だけだと思うんです、実数として。今のような形になってくれば、マネジメントをするという立場の人を教えるというところに入れることになると、これは全然違ってくるわけです。
 今だったら、校長も教頭も、教員が急に授業を持てないときがあったらかわってみんなを教えるとかというようなことはしばしば行われております。校長も、新卒の先生の教え方がまずいと思ったら乗り込んでいって、ちょっと待て、こういうふうに教えるものだといって、校長は自分の経験でもって、後ろで見ておれといって、私も初めはやられました、おお、なるほどと。
 そういうこともやってきたんだけれども、今度は免許状を持たない校長、教頭は教壇に立って子供を教えることはできないということになってくるんですよ、してはならないんですよ。というふうになるということを覚悟しておかなきゃいかぬということと、それから、教員一人当たりという場合に、校長、教頭も外して実際教えられる教員の数だけでやらなければ、日本は結構でございますといって、管理職の校長、教頭をいっぱいふやしてやられたのではどうにもならない。そこはどうですか。
#41
○国務大臣(中曽根弘文君) 校長、教頭の仕事は非常に多岐にわたると思います。
 理科とか国語とかの教科を教える教員がおるわけでありますけれども、全体の高い立場から学校運営を行うということや、あるいは朝礼とか学校の行事等に児童生徒に対してお話をするとか、教育者としての役割も私は大変大きいと思いますので、先ほどマネジメントということで私が申し上げたことから、多少経営に専念するような印象を与えてしまったかもしれませんけれども、教育者でもあるわけでありまして、教室で授業をするというお話がありましたけれども、教科等を教えることはできないと思いますけれども、校長としての職務を果たす上ででしたらば、教室に入ってそれなりのお話をすることができるのではないかと思います。
#42
○本岡昭次君 また改めて議論をさせていただきます。
#43
○福本潤一君 公明党・改革クラブの福本でございます。
 今回、免許法の一部改正ということで、何本か柱がございます。
 その中で、高等学校に「福祉」と「情報」の教科を新設されるということで、学校にも使いやすいコンピューターがかなりそろってきておりますし、ハード面では充実してきておると思いますけれども、教員の今後の養成計画、さらには現職の教員でそういう免許を付加して取る人もおられると思いまして、講習会とかまたそれに対する予算措置、どういうふうになっておるかお伺いしたいと思います。
#44
○政府参考人(矢野重典君) お尋ねの「情報」、「福祉」を担当する教員の養成確保でございますけれども、平成十五年四月からの新しい教育課程の実施に必要な教員の確保につきましては、改正法の施行後速やかに文部大臣によります大学の課程認定を行いまして、平成十三年四月から大学における教員養成を開始することといたしているところでございます。
 しかし、委員御指摘のように、大学における教員養成では平成十五年四月までに間に合わないわけでございますから、平成十五年三月までの経過的な措置といたしまして、文部省におきまして、「情報」に関しましては工業等の、また「福祉」に関しましては看護等の一定の免許状を持っております現職教員を対象といたしまして十五日間の講習会を実施いたし、その修了者に「情報」、「福祉」の免許状を授与することといたしているところでございます。この講習会の実施によりまして、それぞれ向こう三年計画で、「情報」につきましては九千人、「福祉」につきましては一千二百人以上の教員を確保する予定でございます。
 このため、平成十二年度予算におきましては、「情報」につきましては三千人、「福祉」につきましては四百人程度の現職教員を対象といたします講習会を実施するために必要な経費といたしまして約五千百万円を計上いたしているところでございます。
#45
○福本潤一君 三年間で九千人、「情報」だけでも新しく資格取得者をつくろうとされているということでございますが、中学で「技術・家庭」というのでかなり情報を中学生で進めておりますし、新設になったのは時代の趨勢でございましょうけれども、今までは情報とか福祉をどういった分野でやっておられたのかということ。
 さらに、高等学校はさまざまございます。一般の普通高校と、あと工業高校、また商業高校、農業高校とかさまざまな専門学校がございます。普通科とは違って大学へ行くことを主目的にはしていない職業教育というものが若干希望者が少なくなりつつあるということですので、そういう職業教育のあり方に関してどういうふうにお考えか、この点をお伺いしたいと思います。
#46
○政府参考人(御手洗康君) 情報につきましては、今御指摘ございましたように、これまで中学校で技術・家庭科の中の領域として選択ということにしておったわけでございますけれども、平成十四年度から始まります新しい学習指導要領ではこれを必修ということで、すべての中学生が必ず情報について学ぶということにしておりまして、その上に立ちまして、高等学校におきましては普通科目といたしまして、これは普通科の生徒であろうとあるいは農業、工業に進む分野の生徒であろうと必ず「情報」という必修科目を二単位必修で学習するということにしてあるわけでございます。
 その上で、従来、工業の分野におきます専門教科といたしましては、例えば情報学科等におきまして、工業各分野におきますコンピューターを利用した制御技術、あるいはプログラミング技術、さらには情報関連機器の製造や組み立て、修理、こういう工業生産の方式を情報化するための技術の習得を中心とする教育を行ってきたわけでございます。
 これに対しまして、新たに設けます専門教科としての「情報」につきましては、高度情報通信社会におきまして、特に情報全体のシステムの設計や管理運営、さらにはマルチメディアの作品制作、こういう情報技術者の育成を目的としたものでございまして、具体的には、企業内のLANなどの小規模なネットワークシステムの構築、さらにはマルチメディア技術を活用したホームページやアニメーション、あるいはインターネット広告の制作などに必要な知識や技術の習得を中心としているところでございます。
 このために、専門教科「情報」につきましては、「情報産業と社会」というような基礎的な科目とあわせまして、「ネットワークシステム」や「マルチメディア表現」などの十一科目を新たに用意させていただきました。
 それからまた、福祉の分野におきましては、これは特に中学校では家庭科を中心としてやってまいっておりますし、高等学校でも普通科目の家庭科とあわせまして専門科目の家庭科を中心にこれまでやってまいりまして、例えば介護福祉士とかホームヘルパー等の職業につくためには、これまで家庭科を中心にやってきたわけでございます。
 また、これの類似の職業資格を持つものといたしまして看護があるわけでございますけれども、これはもう御案内のとおり、高等学校におきましては准看護婦、さらに専攻科におきましては看護婦養成ということを、専門資格を直接得るということを目的として行っているわけでございます。
 これに対しまして教科の「福祉」も、新たにこういった家庭や看護の両方の分野からまとめまして、今後の高齢者や障害者へのよりきめ細かな介護サービスに対応できる専門的な知識や技術を有する人材育成ということで、先ほど申し上げましたけれども、具体的には、介護福祉士の受験資格を得させる、あるいはホームヘルパー等の職業資格を得るための教育内容を含めるというようなことを中心といたしまして、介護技術などに関する知識や技術をまとめて習得をするということを中心といたしているわけでございます。
 このために、教科の「福祉」におきましては、基礎的な科目でございます「社会福祉基礎」を含めまして、「基礎介護」あるいは「社会福祉援助技術」などの七科目を用意させていただいているところでございます。
#47
○福本潤一君 現状を言っていただいたわけですけれども、商業、工業、農業、専門高等学校がございますけれども、最近、例えば農業科でも、大学へ行くことも含めて総合科に変えたり、理数科というのが出てきたり、大学進学に向けての進め方をしているようでございます。こういう高校で職業専門知識を身につけようというような学校の今後のあり方、これはむしろ大臣に私としては聞かせていただければというふうに思いますので、大学へ進むのとは別個に、職業教育をどういうふうに考えておられるか、お伺いします。
#48
○国務大臣(中曽根弘文君) 高等学校における職業教育というのは、今お話ありました農業、工業、また商業あるいは水産、家庭、また看護、そういうような科目に関する学科を置く専門高校を中心に今行われておるわけでございまして、約九十六万人の生徒が学んでおります。これは全高等学校の生徒のうちの約二三%に当たります。これらの専門学校は、職業生活に必要な専門的な知識、また技術、技能の基礎基本を身につけさせることによりまして、我が国の産業経済の発展を担う人材として育成するとともに、また実習などを行うことにより、物づくりなどの実践を通して勤労観とか職業観、そういうものを養う、また豊かな感性とかあるいは創造性を養う、そういう人間教育の場としても大きな機能を果たしているわけでございます。
 平成十年七月の「今後の専門高校における教育の在り方等について」という理科教育及び産業教育審議会の答申では、今後の高等学校におけるこういう職業教育のあり方として幾つか提言がされているわけでありますが、主要なものをちょっと申し上げますと、技術、技能の高度化を踏まえて、その専門性、スペシャリスト、そういう基礎基本を重視するということ、それから、今御審議いただいています「情報」や「福祉」を創設するなどして、社会の変化や動向に的確に対応できる教育を展開していく、そして地域社会を担う人材の育成、またインターンシップの推進などを行うことにより、地域と産業界とのパートナーシップの確立、こういうことを提言しているわけであります。
 文部省といたしましても、これらの提言を踏まえまして、今この「情報」とか「福祉」の創設に向けて御議論をいただいているわけでありますけれども、高等学校教育における職業教育の充実に努めているところでございます。
#49
○福本潤一君 当初は就職する目的で高校に入った方もかなり推薦入試で大学へ入ってこられているという現実がございます。職業教育のあり方の位置づけも、文部省としては今以上に、「福祉」、「情報」が今回入ったことに伴いまして、また充実させていただければと思います。
 現在、少子化ということで教員の新規採用が非常に減っている中で、年齢構成もこのまま行くと徐々に不均衡になるんじゃないかと。新しく教員になりたいが現実にはなかなかなりにくいということがございますので、こういう若手教員が大いに職場に入れるような環境づくりが必要だと思いますけれども、そういう現状に対してどう思われるか、文部大臣にお伺いしたいと思います。
#50
○国務大臣(中曽根弘文君) 現在、教員の年齢構成につきましては、今、少子化のお話ございましたけれども、二十歳代の教員の数が非常に少のうございます。四十歳前後の教員が多くなっております。全体の中で二十代が一一・四%、三十代が三三・三%、四十代が三五・四%という比率になっておるわけでございますが、これは、第二次ベビーブーム、この世代の子供たちが学齢に達した際に採用した教員が今四十歳前後となっている、そういうことが考えられます。
 各都道府県の教育委員会などにおきましては、こういう年齢構成の現状というものを踏まえまして、また今後の児童生徒数の変動状況を予測しながら、年齢構成が全体として過度なアンバランスにならないように、そういうような配慮をして適切な採用管理とか昇進管理、また退職管理を行う必要があると考えております。
 しかし、教員全体の年齢構成がどのようなものかということもさることながら、同時に、各学校が一つの組織体として有機的にまた機能的に運営されるように教員一人一人の資質の向上を図ることも重要であります。また、適性や能力に留意した適切な人事管理を行うことも重要であると考えておりまして、文部省といたしましては、こういう観点から各県が、それぞれの状況を踏まえて、また中長期的な視野に立って採用計画を策定するなど適切な人事管理を行うよう、必要な情報提供とかまた指導、助言等に努めていきたい、そういうふうに思っております。
#51
○福本潤一君 そういう意味では、生徒にとって先生というのは最大の教育環境とも言えるぐらい大きな要因でございます。いろいろな問題が起こっている中で教員のなり手も少なくなっているのかどうかわかりませんけれども、具体的に、今まで教育学部の卒業生が案外先生になれないで、工学部また理学部とかで理科の先生とかになったりする現状がございますけれども、それを修正しようと思われたのかどうか、最近、教員養成カリキュラムの改正で一般の大学、学部から教員になりにくくなったという現状がございます。これの現状についてまた見解をお伺いしたいと思います。
#52
○国務大臣(中曽根弘文君) 平成十年に免許法を改正いたしました。このときは、当時の社会的な要請を踏まえまして、現場の課題に適切に対応できる力量ある教員を養成する観点から、学校教育活動の遂行に直接資する教職に関する科目、これを充実するなどの措置を講じたわけでございます。
 教職に関する科目は、従来、中学校では十九単位、高等学校でも十九単位でございましたけれども、これを改正いたしまして、中学校で三十一単位、高等学校で二十三単位とふやしたわけでございます。しかし、教員免許状の取得に必要な単位数の総枠については変更しておらずに、また、この教職に関する科目を卒業要件の百二十四単位の中に含めることができるようにするなどの配慮も行っているわけでございます。また、小規模な私立大学等にも配慮いたしまして、単位の互換による他大学の開設科目の使用を認める、また専任教員の基準の緩和なども行ったところでございます。
 この新しい教員養成のカリキュラムは平成十二年度の大学入学生から全面的に適用することになっておりまして、約八百の大学、短大において養成が行われる予定であります。
 文部省といたしましては、先ほど申し上げた所要の措置を講じたところでありますが、特に問題なく新しい教員養成のカリキュラムが実施されるものと、そういうふうに考えております。
#53
○畑野君枝君 日本共産党の畑野君枝でございます。
 三月十五日の当委員会で私が横浜市教育委員会の対応シートの問題について質問をいたしました翌日に、横浜市議会で市の教育長は初めて、シートは職員会議で扱う範疇ではないというふうに明言をされました。そして、職員会議では賛成、反対、いろいろな意見があることは承知しており、それを規制するものではないと、現場ではいろいろな意見が出ることを認めておられます。
 中曽根大臣、職員会議で賛成、反対、いろいろな意見が出るということはお認めになりますよね。
#54
○国務大臣(中曽根弘文君) 活発な意見が出ることは結構なことだと思っております。
#55
○畑野君枝君 そうであれば、職員会議について私はこの間質問させていただいたんですが、反対をするということがあれば教員として適格ではないんじゃないかというふうにおっしゃいましたけれども、そうなりますと、思想、信条の自由の侵害にかかわるということにもなりますから、また大臣がおっしゃった自由な討論にならないということで、適格かどうかという問題ではないというふうに受けとめてよろしいですね。
#56
○国務大臣(中曽根弘文君) ここに議事録ありませんが、私が前回答弁申し上げたときは、学習指導要領でこう指導すると書いてあることに反対をするということがあるとすれば、それは教員として的確ではないのではないかと思うと。適格性の適格ではなくて、委員のおっしゃる適格とちょっと違う方の的確を申し上げたつもりなんですけれども。
#57
○畑野君枝君 では、資格があるかないかという問題ではないということで受けとめてよろしいですね。漢字が違うということですね。
#58
○国務大臣(中曽根弘文君) もうちょっと正確に申し上げますけれども、背景から申し上げますが、やはり教員は地方公務員法等の関係法令とか上司の職務上の命令に従って教育指導を行わなければならない、これが大前提であります。そして、学校においては法規としての性格を有する学習指導要領、これを基準として校長が教育課程を編成し、教員はこれに基づいて教育指導を行う職務上の責務を負うものと思っております。
 前回の私の発言は、教員が学習指導要領において指導することとされている内容について、校長の指導や指示等にもかかわらずこれを否定するような意思表示を行うことは、このような教員の職責にかんがみれば、教員として適切ではないとの趣旨で述べたものであります。
 職員会議についての今の私の発言は、教員が職員会議において意思疎通とか共通の理解を図ることは大事なことでありますけれども、最終的には学校運営の責任者である校長の決定に従う、そういう趣旨で述べたものでございます。
#59
○畑野君枝君 大臣もおっしゃったように、自由な発言、それはお認めになるということですから、事実的には、この間言われたのは大臣の意に沿ったあれではないというふうに受けとめておきたいと私は思います。
 次に進みます。もう時間がありませんので、いいです。
#60
○国務大臣(中曽根弘文君) 今私が御答弁申し上げたことで御理解いただきたいと思います。
#61
○畑野君枝君 わかりました。
 それで、今回の教育職員免許法等の一部改正案についてですけれども、大きな改正点の一つは、特別免許状を持っている人にきちんと単位を取ってもらって普通免許状を交付する、また、五年先十年先の身分の保障がない不安定な状態を解決する、そういう趣旨の改正であると理解をして、私たちは今回の改正を賛成できるものというふうに考えております。
 そこで、少人数学級、三十人学級の問題について伺いたいんですが、G8教育大臣会合が始まります。G8では、一学級の児童生徒は各国何人かということと、あわせまして、今、日本では協力者会議が開かれておりますが、実践的研究を行っていないという答弁なんですが、これは一体どういうふうになっているのかというのを伺いたいと思います。
#62
○政府参考人(矢野重典君) お尋ねの諸外国の一学級当たりの児童生徒数につきましては、現在必ずしもすべての状況について私ども承知しているわけではございませんけれども、欧米における実際の一学級当たりの児童生徒数につきましては、各国が公表しております直近のデータによれば次のとおりでございます。
 イギリスは初等学校二十七・八人、中等学校二十一・九人、またフランスは初等学校二十二・三人、中等学校二十五・二人、ドイツは初等学校二十二・七人、中等学校二十四・六人となっているわけでございます。なお、我が国におきます全国平均の一学級当たりの児童生徒数は、小学校では二十七・二人、中学校では三十二・四人となっているところでございます。
 また、現在行っております協力者会議の状況でございますけれども、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議におきましては、教職員配置及び定数のあり方、また学級規模及び学習集団等に関する諸問題について調査研究を行いますために、教育行政の立場にある方や学校現場の代表及び学識経験者から成る方々に調査研究をしていただいているところでございます。
 この協力者会議におきましては、現在、中教審答申の提言内容を基本とし、また諸外国の実態も踏まえながら、さらには欧米や我が国におきます学級編制の規模と教育上の効果についての実践的研究も含めたさまざまな学術研究も参考といたしながら、鋭意検討を進めていただいているところでございます。
#63
○畑野君枝君 本当に急いで進めないと、第七次計画のことも含めて概算要求の問題に入っていきますので、例えば、文部省の科研費補助金の基盤研究Aということで、「学校・学級の適正編制に関する総合的研究」というのを私も見せていただいております。それから、京都では政令市で初めて一億円かけて研究にこの春から入るわけです。本当にそういう点で強めていただかなくてはいけないというふうに思うんです。
 それで、中曽根大臣が、三十人学級実現に向けて、公立小中で教員十二万人増、国と地方の財源負担九千八百億円と答弁されたんですが、その算定の根拠を伺いたいと思います。
#64
○政府参考人(矢野重典君) 三十人学級を実施した場合に必要となります教員の増員数につきましては、今後の児童生徒数及び学級数の正確な把握が難しゅうございますことから、幾つかの推計方法が考えられるわけでございます。また、どのような実施方法を採用するかによりましても結果が異なってまいりますために、必要な教員数を特定することは難しいわけでございます。その点はまず御理解をいただきたいわけでございますが、仮に、直ちに三十人学級を実施する場合を一つの試算として行いますと、教員の数でございますが約十二万人、経費にいたしまして九千八百億円が必要と見込まれるわけでございます。
 この試算は、現在小中学校に在籍しております児童生徒数を基礎といたしまして、各学校ごとに同一学年の児童生徒数を三十人で除して算定される学級数と、四十人学級で編制されている現在の学級数の差を見ますると、約九万学級の増加が見込まれるわけでございます。そしてその上に、この増加学級数をもとにいたしまして、現行の教員配置基準を前提にして算定したものでございます。そういう試算として約十二万人、約九千八百億円が必要と見込まれるわけでございます。
#65
○畑野君枝君 時間がありませんので、次に進ませていただきます。
 一方、地方自治体は独自に努力を始めております。
 群馬県でもさくらプランというのが始まりまして、一九九九年度には全県の小学校一年生で三十六人を超える学級に非常勤講師を配置する、二〇〇〇年度からは、三十四人を超える一年生の全学級に二百三十九名非常勤講師を配置する計画だということです。
 やはり、小集団から大集団に入ることで意思表示をちゅうちょしがちになり、心が不安定になるとか学力格差が低学年から生じるということで、人数が多い学級の問題点ということを教育委員会として調べて具体化を進めておりますし、また千葉県の浦安市でも、二十五人学級検討委員会というのが報告書を出しまして、小学校の低中高に各一名、中学校の各学年に一名の合計六十名の非常勤を配置するということをこの四月からやるということでございます。
 そういう点では、私の住んでいる神奈川県議会でも、三十人学級の陳情というのは十二月議会に八十八万三千七百二十筆寄せられているんです。
 ここで、こうした要望、意見書は幾つの自治体から国に寄せられているのか、なぜ実現してほしいのかということを聞かれているか、伺います。
#66
○政府参考人(矢野重典君) 少人数学級、それから三十人学級の実現につきまして地方公共団体から文部省に寄せられております要望のございました件数は、平成十二年一月十七日現在でございますが、およそ九百四十件になっております。これらにつきましては、教育条件の改善に関する各地域の住民の関心の高さのあらわれであるというふうに私どもとしては受けとめているところでございます。
#67
○畑野君枝君 三月時点で一千四百八十八自治体という数値も私は聞いております。
 そういう点では、調査研究も本当に進めなくちゃいけないし、自治体からの要望も本当に多い。大臣の地元の群馬県でもこういう努力を、さくらプランということで一年生から始められていると。そういう点では、今こそこの少人数学級あるいは三十人学級に向けて国が動いていくべきときではないか、概算要求にも間に合わないのではないか。
 こういう点で中曽根文部大臣に伺いたいんですが、政治家としての御決断を国民が見守っているという状況だと思うんですが、いかがですか。
#68
○国務大臣(中曽根弘文君) 三十人以下学級、民主党さんも法案を提出しておられますけれども、学級編制の規模については一般的に少人数の方が、その規模が小さい方が児童生徒一人一人の特性などに応じた指導ができるものと、そういうふうに考えられます。
 これは私もそういうふうに思っておりますけれども、委員御案内のとおり、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議、これにおきまして今検討していただいているところでございます。それから、今、局長からも答弁申し上げましたように、全国一律に三十人以下学級を実施するとすれば、国、地方を通じて相当の財政負担が必要となるわけで、この点を無視するわけにはいきません。十分慎重な検討が必要であるということでございます。
 私どもとしては、来年度、平成十三年度から新たな施策に着手できるように、この協力者会議における検討も踏まえて今後準備を進めていきたい、そういうふうに思っています。
#69
○畑野君枝君 本当に急がないと大変な時期だと思うんです。
 私は、河村政務次官に伺いたいんですけれども、国会の答弁の中で、先生を減らさない方向でいけば三十人学級に向けて展望が開けるんじゃないか、第七次改善計画への観点をこれまで述べられておりますけれども、いかがですか。
#70
○政務次官(河村建夫君) 国民の皆さんから今の教育現場に対してそういう強い気持ちがあることは、私も承知をしております。
 そこで、教員養成現場の方からも、このままいきますと子供の数が減るから、それに応じて先生の数を減らしていくというような考え方では教員養成もできないということで、それを踏まえて、教員の確保という問題もございますから、今の教育現場を維持していくということは、文部省としては当然考えるべき方向であろう、私はこう思っております。今、大臣も慎重にいろいろ検討されておりますから、前向きに考えてまいりたい、こういうふうに思っております。
#71
○畑野君枝君 国民が求めているときに、国会でも真剣に論議をするというのが議員の役割だというふうに思います。四十人学級実施のときには、文教委員会の中に小委員会も設けて審査、調査をしたわけで、文部省だけに、しかも助成局長さんの私的諮問機関の結果が出てからということではなくて、大臣もこの間おっしゃったように、一兆円規模の事業だということであれば、本当に国会として責任を持って、小委員会をつくることなど含めて調査、審査を急ぐべきだと、委員長にもぜひそのことを要望して、私の質問を終わります。
    ─────────────
#72
○委員長(佐藤泰三君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、長谷川道郎君が委員を辞任され、その補欠として斉藤滋宣君が選任されました。
    ─────────────
#73
○日下部禧代子君 社会民主党の日下部禧代子でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 平成九年七月の第一次、平成十年十月の第二次、そして平成十一年十二月の第三次の教育職員養成審議会答申に基づきまして、現在、教員養成カリキュラムの改善あるいは教育職員免許法の改正が行われているわけでございますが、この三次にわたる教養審の答申で、民間人の採用と並んで強調されておりますのが修士課程の活用ということでございます。
 まず大臣にお聞きしたいのでございますが、この修士課程の活用というのはどのような考え方、どのような背景に基づいているのでございましょうか。まずその点をお聞きしたいと存じます。
#74
○国務大臣(中曽根弘文君) 現在の大学院におきましては、各教科に関する高度な教育研究のみならず、カウンセリングとかあるいは学校経営、また情報教育などの今日的な課題に対応する非常に高度で多様な教育研究が行われておりまして、現職の教員が御自分の課題意識等に応じまして大学院の修士過程において専門的に、また体系的に学習をするということはさまざまな教育の現場の課題の解決を図る上でも極めて有効である、そういうふうに思います。
 また、このような学習を通じて専門とか得意分野を身につけた教員がそれぞれの分野においてリーダーシップを発揮することによりまして、学校という組織全体で充実した学校教育を行うことが可能となるわけであります。
 このため、今後、修士課程で学習した教員の割合を高めていくことが必要である、そういうふうに考えております。
#75
○日下部禧代子君 今、修士課程の教員の割合を高めていくというふうにおっしゃいましたが、それは一体どのくらいまで高めようというふうなお考えでいらっしゃるのか。それとあわせまして、いわゆる学部レベルでの教員養成との整合性というのをどのようにお考えでいらっしゃいましょうか。あわせてお尋ねいたします。
#76
○国務大臣(中曽根弘文君) どの程度までという御質問でございますけれども、できるだけ多くの教員にこの修士課程に進んでいただきたい、そういうふうには思っておりますけれども、当面は年間千人から二千人程度と推測をしております。
 数字について今申し上げたようなことでございますけれども、学部レベルでの教員養成におきましては、現在、教科の指導あるいは生徒指導等に関する教員に最小限必要な資質能力、これを身につけることを主な目的として教員養成が行われているわけであります。一方、修士課程レベルの教員養成におきましては、大学・学部レベルで身につけたその最小限必要な資質能力に加えまして、各教科や、また今日的な教育課題に対応するための高度な専門・得意分野を身につけることを目的としているわけでございます。
 文部省といたしましては、学部レベルで身につけるべき教科指導等に係る最低限必要な資質能力を基盤といたしまして、さらに修士課程で学習を積み、高度な専門また得意分野を身につけた教員の割合を高めていくことが必要である、そういうふうに考えております。
#77
○日下部禧代子君 今、最低限というふうにおっしゃいましたけれども、そうしますと、望まれるのは全部の教員が修士課程で学ぶということになりませんか。最低限ということになりますと、学部だけの卒業の教員はどのように考えればよろしいのでしょうか。
#78
○国務大臣(中曽根弘文君) 今私が申し上げましたような観点から申し上げれば、最終的には全員がこういうような修士課程に進んでいただければと思いますけれども、しかしこれには時間とまた費用もかかるわけでありまして、当面は二人に一人ぐらいがそういうような修士課程を学習してもらえればと、そういうふうに思っております。
#79
○日下部禧代子君 それは、さまざまな高度な知識、専門的な知識を備えていらっしゃる教員がふえるというのは望ましいことではございますけれども、しかしながら、学部卒業者でもそういう能力も持っていらっしゃる方が非常に多い、ほとんどだろうと私は思っております。
 今の御発言ですと、今学部だけの卒業で教員をしていらっしゃる方は何か引け目を感じちゃうんじゃないかというふうな気さえするわけでございます。私は大臣に改めてお聞きしたいのでございますが、大臣がお考えになる教師像というのは、やはり大学院を出ていなきゃいけないのでしょうか。
#80
○国務大臣(中曽根弘文君) 大学院を出ていなければいけないということではございません。学部を卒業して教員の資格を取るにも十分な勉強をしなければなりませんし、そして今立派な先生が大勢おられるわけでありますが、より専門的な能力といいますか、そういうものを身につけてもらって、さらに教員としての資質を高めてもらうという観点から申し上げているわけでありまして、徐々にそういうような教員がふえてもらえればと、そういうことでございます。
#81
○日下部禧代子君 今、学部卒の教員とそれから大学院卒の教員とでは給与の差というのはかなりございますか。
#82
○政府参考人(矢野重典君) 学部卒と大学院卒とは、大体三号俸ほどの給与の差がございます。
#83
○日下部禧代子君 具体的に。三号といっても専門用語ですから。
#84
○政府参考人(矢野重典君) 失礼しました。
 良好な成績で勤務をいたしますと、一年間で定期昇給という形で一号俸上がるわけでございますので、三号俸となりますと、いわば三年分の実績の差という感じでございます。
#85
○日下部禧代子君 ということは、そういう財政面での配慮も当然なされるということを意味するわけですね、大学院卒を二人に一人にしたいというふうな御計画を今文部省お持ちでいらっしゃるということは。
#86
○政府参考人(矢野重典君) そういう処遇面の対応も含めての計画でございます。
#87
○日下部禧代子君 私は、民間人の活用ということは非常にいいことだというふうに、そのような傾向を喜ぶべきことだというふうにとらえております。
 その理由の一つというのは、やはり学歴主義を排する道にもつながると。今まで日本というのは、戦後、非常に学歴主義の弊害というのを、特に最近でございますが、みんなが悩んできた。それを排しようという方向であるということから、私は民間人の活用、教員に採用するということは非常にうれしいことだというふうに思ってきたわけでございますけれども、その教員にそういうふうな学歴というのが一体どの程度、理想とすべき教員像に必要とされるのでしょうか。
#88
○政府参考人(矢野重典君) 先ほどの私の説明は少し誤解を与えるような説明になっておりまして、訂正させていただきたいのでございますが、大学院修士を出てそのまま新たに教員になった場合と、それから学部卒で教員になった場合の差が約三号俸の差になるわけでございますが、現職の教員が現職の教員のまま大学院修士の資格を取ったといたしましても、それでもって大学院修士の資格がその当該教員の処遇に直接響くものではないわけでございます。
#89
○日下部禧代子君 そうすると、なおさらおかしいことになりませんか。大学院に行ったからといって給与に関係はないということだったならば、これは本当にただ意欲のある人のみが行くということになって精神主義みたいなものでありまして、非常にやはりおかしなことになると思いますが、いかがでしょうか。
#90
○政府参考人(矢野重典君) 今回の趣旨は、基本的には教員の資質能力の向上を図るということが今回の改正の趣旨でございますけれども、今御指摘のように、大学院で学んだ者についてそのキャリアを処遇面で配慮すべきではないかという御指摘があるのは私どもも承知しているわけでございますが、現段階では、今直ちに処遇面で配慮することは難しゅうございますので、将来の課題として対応させていただきたい、検討させていただきたいと考えておるわけでございます。
#91
○日下部禧代子君 その辺、答申が出てきたからそれをぱっととるということじゃなくて、やはり文部省としてきちっとした考え方、きちっとしたいわゆるあるべき教師像というようなもの、それに学歴というのはどのような意味を持つのかというようなきちんとした御見解をお持ちになって政策というものをつくっていただかなきゃいけないというふうに思うのでございますが、大臣、いかがでございましょうか。
#92
○国務大臣(中曽根弘文君) 先ほどから申し上げておりますけれども、この制度は、教員みずからがさらに自己の課題意識といいますか、自己啓発意識といいますか、そういうものに基づいて大学院での勉強を行う、そういうことを可能にするものでございまして、そういう意味で、まず御本人にそういう意識を持ってもらうということが大切だろう、そういうふうに思っております。
 教員の教師像といいますか、そういうものはいろいろあろうかと思いますけれども、私自身は、専門性ももちろん大切でありますけれども、高い倫理観とか課題探求能力とか、あるいは教育者としての使命感とか、また児童生徒を育てるという愛情、思いやりの心とか、さまざまあろうかと思います。
 現在の教員の方々がそういうものに欠けているとか、あるいは専門性に欠けているとか能力が少ない、そういうふうに申しているわけじゃありません。これからの国際的な中で豊かな人間性を持った子供たちを育成していく、あるいは生徒を育てていく上には、教員もみずからそのような自己啓発といいますか、資質の豊かな方であっていただきたいということからこういう制度を設け、また、どんどんこのような資格を取っていただきたいと思っているところでございます。
#93
○日下部禧代子君 次に、今回の法改正というのは、平成十一年三月に告示されました学習指導要領の変更に基づくものであるわけでございますが、この学習指導要領の改正というのはいわゆる省令事項でございますね。今、私どもが国会でやっているのは、これは法律、法体系でございます。
 そういたしますと、国会で今我々がやっていることは、省令事項の追認あるいは承認をやっているというようなことになるわけでございますが、この点は何か順序が逆さまのような気がするわけでございます。御説明を文部省からいただきたいと思います。
#94
○政府参考人(矢野重典君) 教員免許状は学校教育を遂行するために必要な免許状でございますことから、事柄の性格上、免許状の種類等は、先ほど御指摘がございましたように教育課程の内容に影響されるものでございます。
 また、学習指導要領の改訂により必ず免許法の改正が行われるというものではなく、改正の必要性を判断した上で法律の改正を行うことになるものでございまして、今回の改正につきましては、教科「情報」及び教科「福祉」を実施するために専門の知識、技術を要する教員を確保することが必要である、そういう判断に基づいて改正案を提案させていただいているものでございます。
#95
○日下部禧代子君 もう少し納得がいく御説明をいただきたいのでございますが、次回に譲らせていただきます。
 時間が参りました。終わります。
#96
○委員長(佐藤泰三君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#97
○委員長(佐藤泰三君) 御異議ないと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 教育職員免許法等の一部を改正する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#98
○委員長(佐藤泰三君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#99
○委員長(佐藤泰三君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時三十分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト