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2000/03/16 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 財政・金融委員会 第5号
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2000/03/16 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 財政・金融委員会 第5号

#1
第147回国会 財政・金融委員会 第5号
平成十二年三月十六日(木曜日)
   午前九時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平田 健二君
    理 事
                中島 眞人君
                平田 耕一君
                寺崎 昭久君
                海野 義孝君
                池田 幹幸君
    委 員
                岩井 國臣君
                片山虎之助君
                河本 英典君
                世耕 弘成君
                中島 啓雄君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                久保  亘君
                櫻井  充君
                浜田卓二郎君
                笠井  亮君
                三重野栄子君
                星野 朋市君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
   政務次官
       大蔵政務次官   林  芳正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       警察庁刑事局捜
       査第二課長    井上 美昭君
       金融監督庁監督
       部長       乾  文男君
       経済企画庁総合
       計画局長     牛嶋俊一郎君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十二年度における公債の発行の特例に関す
 る法律案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(平田健二君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案の審査のため、本日の委員会に警察庁刑事局捜査第二課長井上美昭君、金融監督庁監督部長乾文男君及び経済企画庁総合計画局長牛嶋俊一郎君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平田健二君) 平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案を議題といたします。
 本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○中島啓雄君 おはようございます。
 自由民主党の中島啓雄でございます。
 本日は早朝から大蔵大臣初め政府関係者の皆様に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。
 公債発行特例法案について若干の質疑をさせていただきます。
 特例公債の発行というのは昭和四十年に最初にございまして、これは単年度で終わりましたが、昭和五十年以来かなり連続して行われている。昭和四十年、五十年の発行時には相当これの可否について議論がございました。後世代負担になるのではないかとか、インフレの懸念はないかとか、あるいは戦時財政の悪夢が再現するのではないかとか、いろいろな議論がございまして、かなり慎重な取り扱いをされてきたと思います。
 昭和五十一年から平成元年までかなりの発行がございましたが、その後、中休みをいたしまして、平成六年から現在に至っているということで、平成六年から現在までは毎年毎年著しく増加をしておる。最初は平成六年、三兆一千億ぐらいからどんどんとふえまして、平成十二年度は二十三兆四千六百億ということでございまして、建設国債の発行額をも上回っているというような計画になっております。
 これは財政上の必要性から生じたものでございまして、景気対策の上から、小渕総理も常々申しておられるように二兎を追う者は一兎をも得ずということで、当面の緊急対策としてという議論は極めてよくわかるわけでございますが、かといって国債依存度一〇〇%というわけにもいかないということで、短期的な見方と中長期的な見方とあると思いますが、特例公債の発行限度についてどういうお考えであるか、その歯どめといったようなことをどう考えておられるか。
 平成九年の財政構造改革法では、これは平成十年に凍結はされましたけれども、平成十五年、五年後には特例公債をゼロにするという目標を掲げておられましたが、年次の話は別として、同様に考えておられるのかどうか。特に今、財政破綻とか、もう破綻しているのではないかというような議論が一部にございますが、そうした財政破綻のシナリオというのはぜひ避けねばなりませんし、そこに至らないための条件というのをどういうふうに整備していったらいいかという問題があると思います。
 財政学の分野ではドーマーの定理というのがあって、利子率が名目GNP成長率を下回る限りは国債残高の対GNP比は一定値に収れんするから大丈夫なんだ、逆に利子率が名目GNP成長率を上回るような事態になると、歳出のすべてが利払い費となって歳入の国債依存度は最終的には一〇〇%となり、公債残高の対GNP比率は無限大に発散をするというようなことが言われております。現在ゼロ金利時代ということで、マイナス成長では困るんですが、プラス成長であればこの定理に何とか入っているのかなと思いますが、いずれにしても常識的には長期的に債務残高の伸びがGNPの伸びを上回らないといったようなことが必要かと思います。
 そういった面で、発行限度といいますか、歯どめについて大蔵大臣のお考えを承りたいと思います。
#6
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま特例公債の発行の歴史についてお触れになりまして、今それを伺っておりながら、現在私どものやっておりますことは、このごろはやりの言葉で申せば、まさに言語道断と申し上げなければならないような状況でございます、正直を申しまして。
 今度の不況というものが、財政の需要と税収との差額が大きいこと、パブリックファイナンスにおける状況に加えまして、民間の経済にどれだけ不良債務があるかということがわからないほど大きな状況になりましたので、その両方を合わせまして、小渕内閣が発足をして私はこの仕事を仰せつかったわけですが、どれだけ需給ギャップがあるかということが実はわかりませんで、これはついにわからないのかもしれませんが、深さが全くわからない状況でございましたために、どれだけ国債を出せばおさまるかということも全くわからないままにこの二年ぐらい仕事をいたしてきたわけでございます、今ようやく底が見えた思いはございますけれども。したがいまして、とにかくこの状況を脱出できるだけのデフィシットファイナンスをせざるを得ないだろう、そういう気持ちでいたしてまいりました。
 したがいまして、今のようなお尋ねは全くごもっともであって、どれだけ赤字国債を出せばいいのか、どれだけなら大丈夫なのかというめどを言えとおっしゃいましても、そういうことが申し上げられないままにやってきたというのが正直な申し上げようだと思います。
 それで、今になって思いまして、ここまで参りましたら、一般会計の国債依存度がこれ以上ふえてはならないという思いは非常に痛切でございますが、そのためには十二年度で大きな補正予算をもしいたしますと、それでまた上がってしまうという状況でございましょうから、何とかそれを防ぎたい、そこを防げれば次の年度のめどはつくというふうに思います。
 そういう思いをいたしておりまして、経済運営が多少好転をしておることもございますから、何とかそれを当面の目標にいたしたいと思っております。そうしますと、平成十三年度のめどは多少ついてくると思うのでございますが、ただそれはまさに当面のことでございまして、先々はどうするのかということになれば、これは財政の基本的な改革を、これは財政にとどまらないことは以前から申し上げておりますが、そこへつなげていかなければ御納得のいけるような御説明はとてもできる状況ではないということだと思います。
#7
○中島啓雄君 大臣から大変現状に即した、苦渋に満ちたと言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、御丁寧なお話が伺えまして、ありがとうございました。
 そういうことでなかなかはっきりした見通しは言えないということでございますが、中期財政試算というのを大蔵省でお出しになっておられます。これは名目成長率三・五%と一・七五%という、ある一つの仮定を置いた話でございますので、現実どうしていくかということとは別と思いますが、その絵を見ますと、名目成長率が三・五%で一般歳出の伸び率がゼロ%という一番楽観的な仮定でも、今後五年間、平成十七年度の公債金収入は三十二・九兆円ということで、現在から全然減らないということで、やはり抜本的な対策が必要だろうということであると思います。公債依存度は御承知のとおり三八・四%になるということでございますので、そういった不安感、不透明感、閉塞感というのが現在の景気がなかなか立ち上がらない、特に個人消費が盛り上がらないというようなことにつながっているのではないかと思います。
 そういう意味で、むしろそうした不安感とか閉塞感を解消する意味からも思い切って幾つかの現実的な選択肢を示すと。例えば高負担高福祉の政府を選ぶのか、あるいは低負担低福祉、低福祉と言うとちょっと問題がございますが、最小限の福祉の政府を選ぶのかといったような幾つかの選択肢を示して国民に積極的に今後の姿の選択を求める、そういうことによって十年後なりあるいは二十年後なりの明るい展望というのを厳しいけれども切り開いていこうじゃないかというようなことも必要ではないかと思います。
 その辺の議論は予算委員会でもさんざんあった議論かと思いますが、大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。
#8
○国務大臣(宮澤喜一君) 中期展望にお触れになりましたが、これは御存じのように一種の機械的計算でございます。しかし、それはそうとして、あれが言っておりますことは二、三ございまして、一つは、成長が高くなっても金利が上がるので国債の負担というものは今のような安いものではないということ。それから、成長がポジティブになりましても、仮に税制の弾性値が一・一であるとすれば、これには多少すればという部分がございますけれども、五十兆の税収であっても三%成長しても一兆何千億しか税収の増はないということ。それからもう一つは、いかに一般歳出を抑えたとしても、例えば社会保障のようなものは、今の日本の人口の動態から申しても、これはどうしても思い切ったことをしなければふえ続ける。その三つぐらいのことをあそこから読み取っていただけると思います。
 それで、今まさにおっしゃいますように、問題は最後の点であると思います。国民の福祉の水準、給付の水準と、それをどれだけ国民が負担する意思があるかというまさに給付と負担の関係、それについての選択肢と言われましたが、まさに選択肢という言葉が当たると思います。
 私が当委員会でせんだってから、財政の改革、抜本検討をしようとすればどうしてもほかの問題に問題は及ばざるを得なくて、そういう意味ではマクロモデルでいろいろな選択を発見せざるを得ないだろうと申しましたのも、大きなもう一つの問題はやはり福祉の水準ということであると思います。高福祉高負担なのかそうでないのか、その中ぐらいなのかといったあたりの選択肢を国民にその中から選んでいただきませんと、どういう財政の形になるかということも決まらない。
 同じ問題は福祉だけでなくいろいろな政策についてございますから、そういう意味での歳出の水準というものは国民の選択によって決まる部分が多い、それによってまた歳入の水準を考えなければならない、どうしてもそういう問題にならざるを得ない。それを我々は一、二年先にはかなり具体的に詰めなければならない、それが財政改革というものであろうというふうに、まさにおっしゃいますように考えております。
#9
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 一、二年先に考えなければならないというお話でございましたが、私としてはなるべく早く長期の見通しを立てていただければありがたいと思っております。
 では、次に企画庁にお伺いいたしますが、こうした二十三兆というような特例公債発行ということによる景気浮揚効果といいますか経済浮揚効果、当然これだけの特例公債を発行するからにはそれだけの効果がなければいけないということだと思いますので、それだけ抜き出して議論するのはやや難しいかもしれませんが、その辺はどういうふうに考えておられるのか。
 最近、政策評価ということが盛んに言われておりまして、あらゆる政府プロジェクトについて評価をしていこうというムードになっておりますけれども、私は、これは情報公開という意味でも、国民に政府の施策に対する効果を理解していただく意味でも非常に重要だと思います。コストベネフィットアナリシスとかパフォーマンスメジャーメントとかバリュー・フォー・マネーとか、いろんな手法があると思いますが、ぜひそうした方面に向かっていただきたいということも含めて、効果についてどのように考えておられるか、お伺いしたいと思います。
#10
○政府参考人(牛嶋俊一郎君) お答えいたします。
 政府といたしましては、平成十二年度の経済運営におきまして民需主導の本格的な景気回復を実現して、知恵の時代にふさわしい経済社会の構築を目指す構造改革を定着させることを目標といたしてございます。
 こうした観点で、平成十二年度の予算におきましては、前年度当初予算と同程度の公共事業の規模を確保する、あるいは金融システムの安定化を図る、あるいは住宅ローン減税等で民間投資促進策を講ずる等の経済運営に万全を期すということといたしてございます。この結果、先生御指摘のとおり、平成十二年度予算案におきましては、二十三兆円強の特例公債を含めまして三十二兆六千百億円の国債発行が計上されているところでございます。
 御指摘の特例公債発行の経済効果ということでございますが、これを特定することは非常に困難でございます。ただ、こうした来年度予算等によって裏づけられた諸施策を全体として推進することによりまして、公需から民需への円滑なバトンタッチが図られるというふうに考えてございます。我が国の経済は来年度後半以降に民需中心の本格的な回復軌道に乗るものというふうに考えておるところでございます。
#11
○中島啓雄君 経済効果の場合、乗数効果というようなことが言われておりますが、政府支出乗数といいますか、そういったものは今どのぐらいになっているのでございましょうか、もしわかりましたらお願いします。
#12
○政府参考人(牛嶋俊一郎君) 乗数効果はいろいろなものがございますが、私ども経済企画庁の方で短期のマクロ経済モデルというものを使って分析等いたしておるところでございますが、それによりますと、例えば公共投資の乗数効果、この場合には、名目公共投資につきまして一年目で一・三一、二年目で一・六五というふうな乗数効果を得ているところでございます。
#13
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 今、特例公債初め財政が大変な状況であるということでございますが、私は必ずしも悲観をする必要はないと。アメリカの例を見ますと、一九八〇年代に双子の赤字ということで、非常に財政も悪い、国際収支も悪いということで苦労をされまして、八〇年代以降ずっと財政赤字が続いておったわけでございますが、一九九八年ぐらいから黒字になった、政府債務も減り出した。クリントン政権の言い方によりますと、二〇一三年には政府債務はゼロにするんだというようなことを言われております。
 そういった点で、アメリカ財政の八〇年代以降の推移と最近の好転の要因がどういうところにあるのか、そこから我が国の財政問題あるいはその債務問題という点でどういう学ぶべき点があるのか、その辺について見解をお聞かせいただければと思います。
#14
○政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。
 アメリカの例をお引きになって、そうくよくよすることもないと。大変共感する御質問でございましたが、御存じのように、きのうも世耕委員の御質問に関していろんな議論があったところでございます。
 八〇年代半ばにアメリカも、その前のレーガノミックスということもございまして、大変に大きな赤字に直面しておりました。委員御指摘のように、これは双子の赤字で、財政赤字と経常収支と両方赤字であったわけでございます。
 九〇年以降、OBRAというものを初めとして、歳入と歳出両面でいろんな努力をいたしました。一方で、これは多分、八〇年代以降のレーガノミックスの成果もございまして、いろんな経済自体が強くなった。特にITを初めとする分野が非常に強くなりまして、これが非常に強い民需主導の経済成長となった。この両方が相まって、委員御指摘のように、九三年度以降、財政赤字の縮小が進んだということでございまして、九八年度に財政黒字に転じたわけでございます、これは単年度でございますが。
 それで、その前の九二年度が一番悪いときだったわけでございますが、このときが、GDP比で申し上げますと、歳入が一七・八%、歳出が二二・五%でございましたので、財政収支としてはGDP比で四・七%の赤字でございます。実額で二千九百四億ドル。このときが底でございまして、その後だんだん改善してきまして、九八年度には〇・八%のプラスに転じた。六百九十二億ドルでございますから、六年間の間に歳入の方は二・七%ふえまして歳出の方が二・八%削って五・六ということになって、大体半分半分で財政の黒字に転じたと、こういうことでございます。
 それで、歳出の方でございますが、いわゆるピースディビデンド、平和の配当と言いますが、国防費がアメリカは大変多いものですから、冷戦の終結によりましてこれが随分削減できた。これが大体六割ぐらいだというふうに言われております。
 それからもう一つは、先ほど大きな政府か小さな政府かという御議論がございましたけれども、もともと大きな政府を言っておりました民主党の政権に、クリントンになりましてから、中道ということであったのでございましょうけれども、いわゆる所得保障のむだな部分をカットしたということがございまして、これが一割ぐらいのカットでございまして、この二つが大変大きな歳出の努力をしたところであろうというふうに言われておるところでございます。
 歳入におきましては、九〇年のOBRA、OBRA1でございますが、ここにおきまして所得税の最高税率を引き上げた。それから、所得税のいろんな控除を整理して、五年間で見ますと千五百億ドルぐらいの増収になっておるようでございます。それから、九三年のOBRAにおきましては、再び所得税の最高税率を上げました。それから、法人税の引き上げを行いまして、こちらの方は二千四百億ドルぐらい五年間で増収というようなことでございまして、歳入と歳出両方でかなり努力をしておるということでございます。
 こういうアメリカの景気につきましては、我が国に振り返ってみますと、まず民需主導のITを中心とした経済成長があったと。その部分がまだ残念ながら我が国の今の状況と比べましてはなかなか違うということと、それから歳入歳出構造は、先ほど申しましたように、国防費を削るというようなことは余り我が国では想定し得ないようなところでございますし、そういうところには留意をしなければいかぬ、こういうふうに思いますが、何度も申し上げますように、民需中心で景気が回復をしていく、ここがやっぱり一番のポイントかなと。まずこれをやらないと、卵を生むガチョウを殺してしまってはどうしようもないわけでございますから、そこが一番の学ぶべき点であろうと私は思っております。
 いろんなことをレーガノミックスからやっておりました。例えば、大統領候補になりましたけれども残念ながら敗れましたドールというのが上院議員のときにバイ・ドール法というのをつくって、これがいわゆる産学連携のもとになった。国のお金でいろんな研究をして、その成果として特許が生まれたら、これを国有にしないで使わせてやろうというような法律でございましたが、こういうことをいろいろやりまして、いわゆるIT等が産学連携、スタンフォード大学とシリコンバレーというようなところからいろんなことが生まれる結果になったというふうに理解をしております。
 そういうことを考えながら、何をやったら経済が本当に民需主導の回復に乗るのかということを財政、税制の面からもいろんな点で配慮をしてやっていくということが我々に対する教訓ではないか、こういうふうに考えておるところでございます。
#15
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 大変詳しいお話を伺いましたが、やはり民需中心の景気回復が肝要であるということで、その意味で構造改革というのを果敢に進めなければならないということだろうと思いますので、政府におかれましてもぜひ御努力をいただければと思います。
 次に、平成十二年度の国債消化の見通しでございますが、新規の財源債として三十二兆六千億のほかに借換債が五十三兆二千億ということで、合計して八十五兆八千億の国債を発行しなければならないと。
 これは十一年度の補正後に比べても七兆一千億ぐらいふえるということで、現在のような資金情勢、資金需給がタイトであるのか緩んでいるのか、その辺の見方はいろいろあろうかと思いますが、民間資金需要などをクラウドアウトさせるようなおそれがないのかどうか。財投改革で資金運用部資金がなくなるとか、あるいは郵貯の大量償還とか、いろいろな要因がございますが、その辺も含めて御見解を伺いたいと思います。
#16
○政務次官(林芳正君) 委員が御質問なさったお言葉の中にもう答えが大分含まれておるようなことでございますけれども、まさにおっしゃるように、今のところは設備投資に対する割と長い資金需要というのが余りない。これは一方で大変残念なことであるわけでございますが、そういうこともございまして、国債がたくさん出てくることによってすぐ金利が上がっていわゆるクラウディングアウト、民間がとりたいところまで全部とってしまうというようなことがすぐ起こるような状況にない。これはまあ一方で、国債を消化していただく立場からすれば大変ありがたいことでありますが、元気がないという意味では大変悲しむべきことでもあるわけでございまして、そういうふうな状況であるという認識はしております。将来的にもクラウディングアウトが起こらないということは大変大事なことでありますから、市場の反応を見ながら運営をしていかなければならない、こういうふうに思っておるところでございます。
 今からの資金の流れについても、今、委員が御指摘になったように、郵貯の問題、それから財投の改革は来年の四月からでございますから、いろんなことがございまして、政府の方でいろんな国債を持つ場がありますけれども、そこを十二年度予算ではかなり少なく、ゼロのところもございますが、そういうふうに見積もっておりますので、その辺の取り手とのバランスというのも出てくるわけでございます。
 ですから、国債の発行につきましては、今度はデット・マネジメント・ポリシーということでなるべくきれいなフラットカーブをそれぞれの年限でつながるようにしていく、これが一番大事なことでございまして、ことしの発行計画におきましても、これはきのう発表させていただきましたけれども、十五年の変動利付債を導入するとか三年の割引債を導入するというようなことで多様化をして、なるべくフラットできれいなカーブをつくっていこうというような努力をしております。
 いずれにしましても、これは市場が相手でございますから、そういうような兆候を敏感に察知して、確実に円滑に消化をしていくという目的も同時に果たしていきたい、こう思っているところでございます。
#17
○中島啓雄君 ありがとうございました。
 次に、償還計画について伺いますが、時間もございませんので簡単で結構ですが、この法律の二条四項に「政府は、第一項の規定により発行した公債については、その速やかな減債に努めるものとする。」という条項がございますが、現実は六十年償還でやむを得ないということになっていると思います。
 昭和六十年までは特例国債については十年償還であったと聞いておりますが、そういう意味から、今後の問題として、やはり建設国債とは別の償還、もっと早く償還するという考え方を打ち出すべきではないかと思いますが、その辺について伺えればと思います。
#18
○政務次官(林芳正君) これも委員御指摘のとおりでございまして、時間もありませんから余り長々と申し上げませんが、御指摘のあった六十年の前はこれを行わないというようなことになっておりまして、六十年からはできる限り行わないように努める、そして平成六年度からは速やかな減債に努めると、ちょっと後退をしてきたような歴史が委員御承知のとおりございまして、そういう状況に今あるわけでございます。
 御指摘のように、特例公債と建設国債の違いというのは見合いの資産があるかないかということでございますが、建設国債にしましてもやむを得ず出す、それでも足りない分を特例国債と、やむを得ずが二回入ってくるわけでございまして、まさにそういうことをきちっとしようよというのが二条四項の趣旨でございます。
 一方で、今の財政事情を前提にしますと、では六十年を三十年にしますとその分新しくまた出さなければいけない、こういうことでございまして、結局、財政事情をさらに悪化させるようなことにもなるわけでもございますので、やむを得ない選択ということで今建設国債と同様なルールでやっておるという状況でございまして、これは先ほどの御質問に返るわけでございますが、もとを早くよくして、出す方を少なくして、なるべくこれを少なくしていくということが肝要であるというふうに考えているところでございます。
#19
○中島啓雄君 ありがとうございました。
#20
○久保亘君 私は、財政法が制定されました戦後間もないころから、この財政法の考え方を含めて、戦後史の生き証人でもあられる宮澤大蔵大臣に改めてこの財政法の精神を公債の発行という問題の立場からぜひ伺っておきたい、こう思います。
#21
○国務大臣(宮澤喜一君) これは久保委員御自身も御体験されましてよく御存じのことでございますけれども、財政法が生まれました背景は、もとより戦争中における我が国の体験、敗戦に終わりました体験に基づくものであると考えております。
 当時、占領に遭いました。占領軍はもとより、我が国も、大東亜戦争に、その前からでございますけれども、入り、そして昭和二十年に至る経緯を当然知っておりますから、赤字がこの戦争をファイナンスしたというふうに考えております。したがって、そういう観点から、日本が再度戦争に入らないための財政的なディシプリンというものを占領軍として考えていたこともまた当然でございますし、我々自身にも同じような痛切な経験がございましたから、いわゆる赤字ファイナンスというものはしてはならないという思想で財政法というものが書かれたというふうに考えております。
 その後、我が国が再建を進めるに従いまして、再建に役立つようなデフィシットファイナンスであればその限りにおいて四条公債のようなものもやむを得ないというところへ転換をしてまいりますけれども、それはそういう本来の意味であって、これで何でもかんでも財政は赤字公債を出してもいいということは財政法は言っておりません。一切そういう特例というものについては言っておらないわけでございますから、特例公債そのものはまさに財政法の精神から申しますとその精神とは基本的には合致していない便法である、正直に申し上げますとそう申し上げるべきものであろうかと思います。
#22
○久保亘君 この道の権威でもあられる宮澤大蔵大臣のお言葉ですから、非常に重みのあるものだと私は今伺いました。
 そもそもこの特例公債の発行を財政法に違反する法律を別につくって執行するということは、法の制定や運用の立場からいった場合にいささか反則に属するものではないかという気がいたしますが、私は、今、特例公債が発行されていることを全面的に否定するという立場ではなくて、その物の考え方の基本というものはどこにあるのかというのをきちんとしておかなければ、先ほど政府が今やっていることは言語道断なことではないかとおっしゃいましたけれども、結局、歯どめが何もなくなるということになるのではないか。
 国会が議決すればという条件でまいりますと、結局、政権を持つ勢力の側が予算を編成し、その予算が国会を通過すればその範囲で公債の発行は自由である、そういうことになりますと、事実上、財政法の定めているところはもう全く無視されるということにならないだろうかという気がするのでありますが、いかがでしょうか。
#23
○国務大臣(宮澤喜一君) それは私は久保委員のおっしゃるとおりであると思います。
 したがいまして、今、政府のいたしておりますことは、特例公債を出さざるを得ないときには国会のお許しを得ると。ただいま御審議いただいております法律案はそうでございますが、そういうことで、行政府が勝手に借金をしてはならないということで国会の御審議を経ておるわけでございますが、これはまさしく財政法がこういうことを想定しておらない、一切そういうことはだめだとすら言っていないわけでございまして、当然そういうことは考えていないという財政法でございますから、したがいまして法律をもって国会の御審議を経るということをしておるわけでございます。
 今おっしゃっていらっしゃることはそのとおりでございまして、私もかつてうかつに、財政法そのものに特例として特例公債が出せる、それは法律をもってしなければならないと書いてあるかと思った時代がございますが、そういうことは一切書いてございません。したがって、財政法の世界からいえば、特例公債というものは想定していなかった、またいないということ、結局、久保委員のおっしゃるような論理であろうと思います。
#24
○久保亘君 私もきょう大臣にいろいろお伺いする機会を得たものですから、財政法を丹念に読み返してみました。そうすると、むしろ財政法に言う特例公債というのは、公共事業費や出資金、貸付金に充当する財源が得られない場合にこれが特例公債として認められているんじゃないか、こう思っておりまして、特例公債を別法をもってやるというのはやはり問題がある。
 私は、今はどうしても戦後とは違うんだ、今の時代に日本の財政運営上必要な場合にはいわゆる特例公債が必要になってくるんだという論理に立つならば、財政法そのものを検討し直すということが必要なんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
#25
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆる公共事業等々について、国会の議決を経てその範囲で借入金を政府はすることができるということは財政法四条に書いてあるわけでございますが、これはただし書きとして書いてございます。ですから、四条というものは、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」というのが四条の趣旨でございます。
 その次に「但し」と書いてございますから、財政法の考えておった「但し」はまさに委員が今おっしゃいますようにいわゆる四条公債であって、特例というものはここからは出てこないというのが財政法の考え方と思います。
#26
○久保亘君 しかも、この財政法というのは、財政法に言う特例的な公債の発行について制限をつけているだけではなく、条件を幾つかつけておりますね。その条件の第一に来ているのが国会の議決。国会の議決がなければいわゆる特例公債の発行はできない。しかし、予算は特例公債の発行を前提にして組まれている。国会は議決していない。この矛盾はどうなるんでしょうか。
#27
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、特例公債と言われましたのは今我々が呼んでおる特例公債というふうに承りますが、そのことは予算が可決せられましても今御審議のこの法律が可決されなければ予算のその部分は現実には執行できない、国はその公債を発行することができないということになると思います。
#28
○久保亘君 それから、もう一つの制約が加えられておりますのは、「償還の計画を国会に提出しなければならない。」ということになっておりますが、この償還計画というのは、発行する債券の種類をもって計算すれば出てくることだということなんでしょうか。この特例公債に関する法律を提案されるに当たって、どうしてこれに償還計画がつけられていないのでしょうか。それは財政法の考え方からすれば私は法に反するのではないかと思うんですが、いかがですか。
#29
○国務大臣(宮澤喜一君) いろいろ御存じの上でお尋ねでございますけれども、財政法四条二項の「償還の計画を国会に提出しなければならない。」ということは、当時の立法者の意思で申しますと、恐らく償還計画、何年までにこう償還いたしますと、その財源というものを厳密に申しましたら御説明しておくべきものだろうと思っております。
 今、国会で御審議の立場から、それは償還するのだから財源はあるのだろう、こういうふうにおとりいただいておるかと思いますが、実はその財源を示してみろと言われますと、それは十年先のこういう財源がございます、税収はこのぐらいでございますからというようなことを申し上げることになるんだと思いますけれども、十年先の財源が示せるのなら本当はそういう国債は出さなくてもいいような話かもしれませんので、どうもそこは大変に矛盾したところが政府側にあるのではないか。
 恐らく四条二項の趣旨というものは、きちんと財源がございますから発行させていただきますと。その財源がきちんとしているということを挙証するのは当然政府側でなければなりませんから、そこのところは今きちんとそういうふうに資料をそろえ、信憑性のある御説明ができておるかどうか。実際には借りかえになるといったようなことをずっとやっておるわけでございますから、そこまでお話しになりますと、その辺には恐らく財政法の当初考えられました趣旨は厳格には実行されていないと申し上げざるを得ないのかもしれません。
#30
○久保亘君 先ほど中島さんの御質問に、今やっていることはということで非常に政府の苦衷をあらわす御発言でございましたから、ここはこれ以上聞いてはいけないのかなという思いもいたしたけれども、私は財政法と特例公債の問題については前から法体系上の問題としても非常に問題があるのではないかということを感じておりましたものですから、お尋ねしているわけでございます。
 三つ目の問題は、先ほどもお話がございましたように、特例公債を、財政法に言う特例公債というのは公共事業費等のことでありますが、これを発行する場合には減債の努力ということが法に明文化されております。そして、償還計画を同時に提出しなければならなくなっておるんです。こういうものを総合的にやりますと非常に厳しい制約下にある。つまり、財政法というのは、国の一般財源を充当するために公債を発行してはなりませんぞ、それから借金をしてもいけませんよ、こういうことを財政法は明記したものであると私は思うんです。そういう立場からいたしますと、この法律のもとに特例公債が発行されているということは、これはどうしてもすっきりしないのであります。
 それで、やはり問題は、もし財政運営上現状に合わない法律として財政法が存在すると考えられるならばその問題を論議すべきであり、そして財政法が存在する以上これに対抗する法律をつくって財政法の規定を無視するということはやってはならないことだという、そこのジレンマはどうしようもないんですが、これは先ほどから宮澤さんもこの問題については非常に心を痛めておられる御答弁をいただいておりますから、これ以上この問題をお聞きしてはいけないのかなと思いながら、どうしてもまだ私自身としてはすかっと、ああ、そういうことだったかというふうにならないものですから、もう一遍お考えがございましたら伺いたいと思います。
#31
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政法は昭和二十二年に制定されまして、かれこれ五十年余りでございますか、その後の我が国のいろんな変化にもかかわらずそのまま今日まで改正されずにおります。したがいまして、今、久保委員の言われましたようなお尋ねがそこのところから出ておることは私は間違いないところだろうと思います。
 私は法律家ではございませんので、法律家じゃない者の発言としてお聞き取りいただくしかありませんが、この昭和二十二年の財政法というものがございますから、そしてそれはこの四条を見ましても、今おっしゃる特例公債というものを全く想定していない、気持ちの中では排除しておると思います。しかるがゆえに、毎年法律をもちまして国会の御審議を経て特例国債を出しておる論理は、恐らく後法優位という概念の中であろうか、財政法の規定にかかわらずという気持ちでございますかどうか、そこはちょっと法律的に素人で申し上げかねますが、こういう考え方が基本でございますと。
 しかし、その特例としてこういうことをお許しいただきたいというときに、法律的には後法が優位であるという解釈なのであろうか。本来なら特例を設けるときは、基本原則を変えましてそれでお願いしますというのが素直なことであろうと思いますけれども、多分、法律的には後で出た法律がそういう意味で特例として成立するという解釈ではなかろうか。これはきちんと法制局からお答えをすべきことでございますが、私の素人考えではそんなことででもあろうかと。後の段階で、後日に国会でお認めいただければ、それは基本法にかかわらずそれとして成立するということではなかろうかと思いますが、これは法律家の見解とは申し上げかねます。
#32
○久保亘君 今の問題は私も断定的に物を申すことが非常に難しいことでございます。これは行政府の責任というよりは、その法律を議決してきた国会の側の責任かもしれません。その問題についてはまた改めていろいろお伺いをする機会を得たいと思っております。
 今度はもっと現実の問題としてお尋ねしたいと思うんですが、この平成十二年度予算を見てまいりますと、公債依存率が歳入全体の三八・四%になっておりますが、それはそれとして、この三八・四%のうち四条債が一〇・八%、そして特例公債が二七・六%になっておるんです。これは長い我が国の財政史上突出する状況であります。いわゆる四条債の発行の三倍に近い特例債が出ているということは、これはもはや特例ではない。特例というのはどうしても決められた枠の中にはまらぬ部分を仕方がないから特例でやるのであって、もとの三倍もあるような特例債の発行というのは異常なことだと思うんですが、どうお考えになっておりますか。
#33
○国務大臣(宮澤喜一君) 異常なことでございます。それに違いございません。
 そこで、これはちょっと余計な議論かもしれませんが、特例債というのは私は財政法四条の特例ということではないかと。つまり、その場合の財政法四条は、「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない。」、その次にただし書きがあるわけでございますが、ただし書きの特例ではなくて、その本文の前文の方の特例ではなかろうかと考えております。
 おっしゃるように、ただし書き以下の金額よりその前段の方の金額が何倍にもなるのは甚だおかしいではないかというのはそのとおりと私は思っていますが、ただし書きの特例ではなくて、本文の特例ではなかろうかと考えております、文脈だけから申せば。
#34
○久保亘君 お言葉ですが、それは私が申しているのとは違うんじゃないでしょうか。四条債というのは財政法四条で特例的に認めた公債の発行ですね。それが四条債で、この平成十二年度の予算でいいますと、総予算の歳入総額の一〇・八%になっているということなんです。つまり、九兆程度のものですね。それで、いわゆる法律をもって特例公債を発行しようとする方が二七・六なんではないですか。私が言っていることは間違いですか。
#35
○国務大臣(宮澤喜一君) いえ、おっしゃっていることは少しも間違っておりません。そのとおりであるし、四条のただし書きで出していいはずの公債よりも何倍ものものが違うところで出ているではないかということもそのとおりでございます。
 少し細かいことを申し上げ過ぎたかもしれませんが、そのことはまさにおっしゃるとおりなんでございますけれども、昔の法律であるからかもしれませんが、第四条そのものの主文は、一切してはならぬぞと言っておりまして、行も変えずに「但し」と言って、四条債のことがその後で述べられております。ですから、例外であるという意味では、ただし書き以下の例外ではなくて、本文の方の例外として特例債とお願いしているんではなかろうかと。これはつまらぬことでございますので、ちょっと申し上げただけのことでございます。
 おっしゃることは、まあ、いかぬぞと、しかしこういう場合はいいよと、それでもないものの子供の方がずっと大きくなっちゃっているという意味ではもうおっしゃるとおりでございます。
#36
○久保亘君 小渕首相が政府を組織されたころ、四条債と特例債の比率はほぼ互角です。それがこの二年の間にさっき申し上げましたような状況に変化しているわけです。
 これはやはり非常に問題があるのではないかと思いますのは、大蔵大臣が財政演説で明快におっしゃっているように、今の我が国の財政は危機的状況にあると。危機的状況というのは一体何を指すか。先ほどの御質問にもございましたが、今のような四条債と特例債が大幅に逆転している状況というのは、これはまさに財政危機的状況を生み出す主たる要因となっていると私は思います。
 そういうことを考えてまいりますと、先ほどはどこを基準に財政の危機と考えるかということについてどうも宮澤大蔵大臣のお答えははっきりとお示しにならなかった。これは言ったらまずいことになるというのは私もよくわかっておりますが、それでも聞かなければならぬのです。
 というのは、わかりやすい数字で言いますと、GDPに対する公債の比率というのがどこまで来れば財政運営上問題だとするのか。あるいは、予算の中の公債依存率というのが今どんどん青天井で上がっていっていますが、これがどこまで来たら財政を担当する政府の責任においてストップをかけなければならないというふうに考えておられるのか。これは二兎を追うとか一兎を追うとかいうような問題じゃなくて、一企業であったら明らかに大問題となって議論されなければならない、再建策を講じなければならない状況なんですが、国家というのは破綻状況にはなっても国家そのものが破綻することはないと考えられるので、そこがそういう国家の持つ特別な権能の上にあれば無制限でいいというようなことにはならぬと私は思うんです。
 したがって、危機的状況と診断をするならば、危機的状況というものはどういう段階からそうとらえるのか、その辺のところについてひとつ大臣の御見識を伺わせていただければ幸いであります。
#37
○国務大臣(宮澤喜一君) そのお尋ねになりますと、私の申し上げることが余りお気に入らないかと憂えますけれども、大変な危機的状況にはございます。
 いつの日にかこういう国債が問題なくみんな償還されてしまう、ふえないといったようなことはいつかというようなことについてはきちんとお答えできないわけでございますから、やはり危機的状況と思いますが、そう申し上げておいて、他方で、私としては、この国債というものが国民の間に、あるいは国際的に信頼を受けて十分に金融商品として流通しているという状況、これが何より大切だと思っております。
 次に余り高いクーポンレートで国際水準を外れたようなレートで発行されなければならないということでありますれば、これはいわゆるジャパン・プレミアムと同じことでございますから、それは余り大きな顔はできない。幸い、今そういうことはございませんので、日本の国債は国内外でかなりクーポンレートも実際の金利も低く取引されております。ということは、内外の信用を失墜してはいないということであろうと思います。
 それからもう一つ、実際にはほとんど国内で保有されておって外国に対する債務になっていない、しかも国内には相当大きな貯蓄があるといったようなこともこの信頼をバックアップしているものだというふうに思っておりますので、そういう意味でならば、そういう状況を危うくするようなことをしてはならないともちろん思っておりますけれども、日本の国債というものは一金融商品として十分高い評価を受けている、こう思っております。
 ただ、これは久保委員もそういう立場を御経験になっておられますが、国が一般会計で払います国債費、それは利子と償還分でございますが、国債費が公債金収入を超えたという場合には借金を払うためにだけ借金をしているのかねという状況になりますので、これは何とかいたしませんと国民に対する説明としては非常に苦しくなるという問題はもう明らかにあると思っております。
 ただでさえ歳入の二割余りはもう国債費だ、八割しか使えないんですかという問題は、大蔵大臣としては御経験のようにあるわけでございますけれども、逆に公債費の方が公債金収入より多くなっているという状況は非常に説明しにくい状況だということは常に思っております。
 それからもう一つ、今これだけの公債依存率になっておりますから、これは先ほど中島委員にも申し上げましたが、これをもうこれ以上にしたくない、GDP比率も同じことでございますが、GDPが伸びていく問題はございますけれども、これだけの公債依存度というのはこれ以上大きくしたくない。そういう意味では、さしずめ平成十二年度の秋口に大きな補正を組まなければならないとしますとこの公債依存度はさらにふえることにならざるを得ませんから、そこのところから、もうそういうことはこれで大体終了するんだということにさしずめ、これは本当のさしずめでございまして、久保委員のおっしゃいますような遠くまでごらんになった議論とはちょっと次元が違って申しわけありませんが、さしずめとしてはそこで財政のせめてものディシプリンをこの際示したいということを考えております。
#38
○久保亘君 財政運営の基本的な立場とか財政哲学みたいなものをどうも私どもは戦後の歴代の政府の財政運営の現実から酌み取ることが非常に難しいのでありますが、首相も経験された宮澤さんがあえてこの時期に大蔵大臣を引き受けておられるのは、これはどういう哲学といいますかお考えをお持ちになってのことなのでしょうか。
#39
○国務大臣(宮澤喜一君) 広い意味での政治の立場から申しましたら、やはり雇用でございます。政治の一番の目標は、働きたい人が働けるという状況でなければなりませんが、そのことが我が国の場合危うくなりそうだという、この点が一番の関心事でございます。財政的には、経済的には、ともかくすべてのことがプラス成長に戻らなければ解決できない、こう考えておるからでございます。
#40
○久保亘君 では次に、もっと現実的な問題でお尋ねいたします。
 財政法第五条に公債の発行と日本銀行との関係について記述されておりますが、日本銀行が政府の発行する債券を引き受けてはならないということが規定されておりますのはどういう考え方からでしょうか。
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) これもよく御承知のことでございますけれども、戦前、戦争中、国債が日銀引き受けによって大変に発行され、それが発行を可能にしたわけでございましたから、そういう形での信用創造で戦争が行われたことについて、我々も考えましたし、また占領軍も考えた、そういうことが発想の根本であろうと思います。
 やはり戦争に戻っていく話でございますけれども、しかしこれはそうばかりでなく、それによって戦後我が国のインフレというものが進行した。これはいろんな理由があったと思いますが、少なくとも信用創造によって、戦争というものがなくなったとしてもインフレというものは非常に進行し得る危険がございますから、それとの関連であろうとも思います。
#42
○久保亘君 実際には日銀はかなり多量の国債を保有しておりますでしょう。今、日銀が現有いたしております国債は、大まかでよろしいんですが、どれぐらいになりますでしょうか。
#43
○政務次官(林芳正君) 数字でございますので、私からお答えさせていただきます。
 これはストック、残高で、よく言われている数字でございますが、合計が二百九十五兆二千四百九十一億円で、そのうち日本銀行は三十一兆四千四百五億円、率にいたしまして一〇・六%でございます。
#44
○久保亘君 ところが、直接発行された国債を引き受けるということをしていなくても、日銀が現に保有されている、全国債の一割を持っているということになると、これはどういうふうに理解すればいいんでしょうか。
#45
○国務大臣(宮澤喜一君) いわゆるオペレーションとして国債を買い入れるということはございますので、長期保有、永久保有という意味でなく、オペレーションとして持っておるというふうに考えております。
#46
○久保亘君 オペレーションとして日銀が現在国債の一割を保有しているということならば、制限を設けて引き受けさせた方が、政府としては、国家としてはその方がいいんじゃないでしょうか。そこはどういうふうに考えたらいいんですか。
#47
○国務大臣(宮澤喜一君) つまり、財産として日本銀行が保有しているのではなくて、金融の立場から市中で売ったり買ったりしておる、そういうオペレーションとしての保有であるというふうに承知をいたしております。
#48
○久保亘君 政府・与党の中でもひところ日銀に国債を引き受けさせるということについて論議があったように思いますが、政府としては財政法五条に定めることはきちっと遵守されなければならないというお立場と理解してよろしゅうございますか。
#49
○国務大臣(宮澤喜一君) そのとおりでございます。
#50
○久保亘君 もう一つ、日銀の問題を今お話しになりました中で、聞いておりますと、国有、国営の金融機関についてはほぼ似たような考え方で見ればよろしいんですか。
#51
○国務大臣(宮澤喜一君) 日銀が保有しておりますのはオペレーションの対象としての国債でございますから、今、国有、国営の金融機関でオペレーションを、つまりマネー操作のできるところはほかにはない。今のお尋ねそのものでしたら、国有、国営の金融機関でマネーオペレーションをしているところはございませんから、そういうものは私はないと思います。
#52
○久保亘君 そうすると、国が管理いたしました長期信用銀行などは本年度の発行国債の引き受けの対象にはなっておりますか、おりませんか。
#53
○国務大臣(宮澤喜一君) 国有、国営の金融機関というものはマネーオペレーションをほかにしておりませんが、なるほど長銀がいっとき国有化した場合のケースでございますね。少なくともあれは国の管理で、資金のオペレーションをする役目ではございませんでしたから、多分私は長銀は国債を持っておったと思います、破綻いたしますまで。その証券は恐らく長銀としては持っておると思いますけれども、それは普通の銀行が国債を持っておるのと同じ意味以外にはなかろうと思います。
#54
○久保亘君 大蔵省が出されました資料の中で、長銀は国債の引受銀行になっているんじゃないでしょうか。
#55
○国務大臣(宮澤喜一君) かつて長期信用銀行も日債銀も、健在でありましたときには市中のいわゆるシンジケート団に銀行として入っておりました。国有化の期間、わずかの期間がどうであったか定かでございませんが、今また恐らくシンジケート団の中に入っておると思います。それはいわゆる市中銀行としての機能ということであると思います。
#56
○久保亘君 いや、大蔵省の出された資料の中で、十一年度の十二月までの、去年のうちの国債引受先の引受高の資料を見てまいりますと、長期信用銀行は利付十年債の欄で三・一%の引き受けということが出ておりますが、政府が破綻銀行に対してお金を出して、そのお金で国債を買うということになっていたんでしょうか。
#57
○国務大臣(宮澤喜一君) そのことを不注意で気がつきませんでしたが、なるほど健全であった時代の長銀はシンジケート団に入っておりました。それは最後までそうであったと思います。その後に国有になりました何カ月かの期間、やはりシンジケート団から別に抜けたわけではなくて、シンジケート団の一員として国債を買っておったのではないか。私はそのことに全く気がつきませんでしたが、なるほどそういうことはあったかもしれない。そしてまた、今新しい新生銀行になった場合もきっとシンジケート団に入るのかな、そのままいるのかなと思いますが、そういう国有化の何カ月かの時代の長銀のそういう資金運用あるいは資金管理というものが適当であったかどうかということになってまいると思いますから、その点は金融監督庁に事情を聞きまして、調べまして申し上げなければならないと思います。
#58
○久保亘君 素朴な質問を最後にいたしますが、長銀の保有した国債というのは、売却されるときにどこへ行ったんでしょうかね。
#59
○国務大臣(宮澤喜一君) これはちょっと私どもの方でその事情を知っている者がおりませんが、基本原則は、長銀の持っておりました株式のかなりの部分は預金保険機構が目下持っております。それは適、つまりいい資産でございます。それから、不適、だめな資産は整理回収銀行が買いました。安く買ったわけでございます。
 ですから、今の国債はだめな資産ではないと思いますから、ちょっと今の部分は取り消させていただきますが、そういう分類からいきますと最もいい資産でございますから、新生銀行が長銀から受け継ぎましたか、あるいはその他の株式がいろいろな持ち株関係の考慮からいっとき預金保険機構が、二年でございますか、預かる、その中に入っておりますか、どちらか。いい資産としての扱いを受けておるはずでございますけれども、委員長、これはちょっと私どもでわかりかねますので、金融再生委員会に調べまして御報告いたします。
#60
○久保亘君 終わります。
#61
○海野義孝君 公明党の海野でございます。公明党・改革クラブを代表して御質問させていただきます。
 昨日から本日にかけまして、予算の問題を初めとしまして、あるいは財政問題等についていろいろ質疑がございました。
 昨日も出ておりましたけれども、宮澤大蔵大臣は、昨年の予算編成に当たりまして、ハマの大魔神が最後の締めの登板でなくて最初から登板をするというようなまさに背水の陣での予算の編成であったと、こういうようにおっしゃいました。きょうのお話ですと、平成十二年度の予算につきましてもまさに言語道断のそういった財政的な措置を講じなくてはならない、こういうことに相なったとおっしゃっておりまして、今の国の置かれている厳しい状況というものが予算の面あるいは財政運営の面にも、累年のそういったものが今年にも集中されているという感がするわけでございます。
 平成十二年度の一般会計約八十五兆円、そういった中で公債の発行額が三十二兆六千百億円の予定と。その中で建設国債が九兆一千五百億に対して特例公債が二十三兆四千六百億ということで、トータルした公債発行予定額の対一般会計比は三八・四%ということでございまして、平成十一年度の当初の公債依存度三七・九%を上回る。もっとも、平成十一年度の場合は第二次補正後ですと公債依存度は四三・四ということでございますから、そういう意味では、平成十二年度当初予算の公債依存度は三八・四ということで、十一年度の当初より上回るけれども二次補正後に比べれば下回るということでございます。
 さっきもお話が出ておりましたように、建設国債九兆一千五百億に対して特例公債二十三兆四千六百億と、三倍近いというようなことでございますが、一般会計三・八%増の中で、景気浮揚の正念場である平成十二年の中で、この特例公債の経済効果をどのように考えていらっしゃるか、また特例公債を約二十三兆円余組まれる予定というのはこの予算の中でどういうような意味合いがあるか、その辺について御説明いただければと思います。
#62
○国務大臣(宮澤喜一君) 大変詳しく予算をごらんいただいておりますのでよく御存じのことでございますけれども、基本的には、公共事業を中心にいたしまして、公共事業等予備費を含めまして前年度を下回らない額を確保いたしました。それは前年度と同じように景気刺激的という意味でございます。
 それから、金融安定化、金融システムの秩序回復につきましては新たに六兆円の公債を投入いたしまして、その償還資金は国債整理基金特別会計に置いてございます。税金としては四兆五千億円、NTTの売上代金と予定されるものがほぼ一兆五千億円、計六兆円出しております。これはこういう問題の処理をこの際最終的にいたしたいと考えたからでございますが、その他大きな費目といたしましては、地方財政がもう非常な危機にございまして、前年度に続きまして地方財政に対しましては特段の措置を地方交付税等々でいたしております。
 あとは、大きなものでいえば、だんだん国債費が大きくなっておりますけれども、押しなべましていわゆる政府投資の効果、先ほど経済企画庁から初年度一・二と言われましたか、次年度一・六と言われましたか、ある程度乗数効果を持つものと考えますので、住宅等を含めまして景気回復に資したい、こう考えたわけでございます。
#63
○海野義孝君 昨日来、大蔵大臣は景況の判断につきましては、この一―三から経済は民間の設備投資がどうやら底入れして上向いてきたというようなことで、これが秋口にかけて民間需要を全体的に押し上げていくような方向へという期待を込めながら、そういった中で補正予算を編成する必要はないだろうと。これはないように私も願望します。
 そのような景況の好転を期待するわけでありますけれども、三月で終わる平成十一年度の場合も、当初は建設国債九兆三千四百億円ということでございましたが、これが二次補正後では十三兆一千六百億強ということで、五割とはいきませんけれども、公共事業等が中心でございますが、これも相当増額せざるを得なかったということでございます。これに対しまして、平成十二年度の場合は、建設国債は当初比でいいますと九兆三千四百億に対して九兆一千五百億ということで、当初から控え目な予算の編成をされておるわけでございます。
 この辺については、平成十二年度の公共事業等については十分に精査した上で政策効果等を織り込んで見積もったものであるということで、当初比では若干少ないわけですけれども、これはこれで大丈夫というような見方で編成なさっているのか、その点。
#64
○国務大臣(宮澤喜一君) 先般、十一年度の補正をお願いいたしました意味は、ちょうどこの年初から年度初め、一月から五、六月まで、御審議いただいております今の予算がフルに動き出しますまでの間の端境期がございますから、これを補正でかなりカバーいたしておりまして、それから後、本予算がフルに動き出す。その内容は前年度の本予算と同額及び五千億の予備費を中に盛っておりますことも同額でございますから、そういうことで、前年度の最後の補正と今御審議いただいております十二年度の当初予算とでずっと渡っていける、こう考えておるわけでございます。
 そこで、今のお尋ねのまさに焦点は、昨年は秋になりまして補正をいたしております。私は十二年度はこういう状況で補正をしないで済むのではないかというふうに考えておりますから、前年度補正があって加わった分、つまり平成十三年の、今からちょうど一年後ぐらいの今ごろということになったときに、公共事業の執行がどうなるか、こういうお尋ねをなさっていらっしゃることと思いますが、そこは、申しましたように、その前の年の秋ごろには民間経済活動に火がついて、前年と同じようなことはやらなくて済むのではないかと思っておりますということを申し上げておるわけでございます。
#65
○海野義孝君 昨日の質疑の際にもございましたけれども、けさの新聞でもちょっと出ておりましたが、大蔵大臣といたしましては、この夏から平成十三年度予算の概算要求が始まるわけでございますけれども、平成十三年度には財政再建への緒につくというような御期待というかお考えをお持ちのように私は受けとめているわけでございます。平成十二年度をもって経済面は大体落ちつくだろうということで前向きに物事をこれから考える、そういう手だては平成十二年度までに財政的にも予算措置の面でやれる、これが効果をあらわしていって、十三年度からはいよいよ中断されている財政再建、中立というところで当面いくかわかりませんけれども、財政再建への考え方ができるんじゃないかというようなニュアンスで私は受けとめているわけでございます。
 そこで、橋本前総理の時代に財政構造を改革しなくちゃいけないということに取り組まれてきましたけれども、我が国の置かれている状況というのは予想以上に厳しかったし、あるいはアジアを初めとした内外状況等の影響も殊さら大きかったということもございまして、これは一たんとんざしたという状況でございます。先般の経済戦略会議の答申なんかにもありますように、また小渕総理もおっしゃっているように、この二兎の問題については、当面、景気であるということでございますけれども、いずれ財政再建にも着手しなくてはいけない、こういうふうに思うんです。
 その点で、これは一昨年の十二月ですか、財政構造改革停止法案が出まして、財政構造改革を一たん停止されている、凍結中でありますけれども、今の我が国の置かれている状況、財政の危機的な状況等、あるいは財政の我が国経済に対する必要度合い等々から考えますと、この財政構造改革法というものがそのまままた凍結解除後に使えるものかどうかという点では私は大変疑問に思うわけでございますけれども、将来、財政構造改革法について、これをどういうふうに復活させていくか、そういったことについてのお考えはもうある程度お持ちになっていらっしゃいますでしょうか。
#66
○国務大臣(宮澤喜一君) まず、お話の中にもございましたように、ことしの秋ごろになりまして民間経済活動が比較的活発になりまして、新しい財政刺激は必要でないという判断が仮に常識的になりました場合、しかも十二年度の税収がほぼ達成できるという見込みが立ちました場合、その場合には新しい公債発行は要らないということになるはずでございます。
 そういう状況になってまいりましたら、ちょうど来年の一月には省庁再編もございますから、そういう新しく再編されました省庁の課題として、二十一世紀初頭における我が国の経済社会はどのようなものであるべきか、その間に財政はどういう役割を果たすべきかという、けさほど中島委員のおっしゃいましたような選択を国民にお願いするための大きな作業が必要になるのではないかと考えております。このことは以前にも申し上げました。
 そこで、その中から財政のあり方というものが決まってまいると思いますが、そういう状況の中で、先般棚上げをいたしました橋本内閣当時の財政改革、考え方は具体的にきちんと入り用なことを述べておられますけれども、あの中では実は経済のフレームは当然のことですが余り触れられておりません。成長率等々については触れられておりませんから、あそこに出ております数字はいわばマクロ計算の数字ではない。ただ、財政の手法としてやるべきことがいろいろ、これは結局はそういうことにかなりの部分なるのでございましょうから、歳出についてはそういうことは当然参考になるわけでございます。
 しかし、恐らく今度の時点における財政再建というのはもう少し大きな経済社会全体との関連、国民の選択などともあわせまして、そういう大きな作業にきっとならざるを得ないと思っておりますものですから、あの部分は最後の財政のツールの問題としては出てくるかもしれませんが、もう少し大きな作業にならざるを得ないだろう。そうでありませんと、なかなか国民のコンセンサスを、それでも得にくいと思いますが、得にくいんじゃないかということを思っております。
#67
○海野義孝君 大変重要な点についてお考えをお述べになった、このように承知させていただきます。
 その辺、ちょっと私も御質問しようとした部分であったんですが、財政構造改革というところにつきましては、一つは歳出をできるだけ政策効果というか行政評価といったことによって絞り込んでいくという部分がありますけれども、一方では、国民の負担増というようなことに絡んで、先には増税ということがあるんじゃないかというようなことを国民は考えているんじゃないかと思います。
 そこで、今お話しになったような総合的な大きな作業をやった中で国民の理解を得ていくということが重要であろう、私もこういうふうに思うわけです。単なる赤字削減ということでなくて、やっぱり支出構造の改革というようなことをやるべきじゃないか。この点を強く大蔵大臣はお考えでしょうか。支出構造改革の問題です。
#68
○国務大臣(宮澤喜一君) その点を強く考えております。
 一つの例は社会保障でございますが、いわゆる高福祉高負担と言われるような、あるいはそうでなくて中であるとか、いろいろなことにつきまして、これは財政に非常に関係をいたしますが、そこらの間のどういう選択を二十一世紀の最初の三十年ぐらいで国民がされるかということは非常に大事なことで、これは社会福祉に限りませんが、これが一番わかりやすい例でございますので申し上げておりますけれども、その辺が非常に大事なところだと思っております。
#69
○海野義孝君 次に、経済戦略会議の答申の中にもありましたけれども、九九年度と二〇〇〇年度は景気刺激型、二〇〇一年度から二年間は財政中立型、二〇〇三年度から六年間かけてプライマリーバランスをとる、そういう財政運営の道筋が示されているわけでございます。一方では、先ほど中島委員からも御質問がございましたけれども、財政の中期展望の資料を拝見しますと、歳出項目を精査した上で、平成十二年度における制度、予算を前提として二〇〇三年までの試算を発表されているわけですが、この試算の根拠となる考え方について御説明をいただきたいと思うわけでございます。
 この財政の中期展望というのは戦略会議の財政運営の道筋を反映したものであるのか、あるいは反映していないのか、実際の歳出規模の展望というのはどのように変化するか、そういった点について、簡単で結構ですが、お聞きしたいと思います。
#70
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政の中期展望は戦略会議のリコメンデーションと全く関係がございません。昭和五十年代から衆議院の予算委員会のお求めで提出し続けておりまして、海野委員のお立場からすれば、ふっとごらんになればすぐおわかりになる種類の資料でございます。一種のプロジェクションでございますし、成長が三・五%とかいうような話も今の話でないことは明らかです。
 ただ、そこで言っておりますことは、一つは、経済成長が大きくなっても金利が高くなるから、したがって国債費といったようなものは減らないということ、それから税金は弾性値が一・一とかいうことである限り大して大きくない、五十兆でも、三%としましても三・三ですから、一兆何千億だということ、それから一般歳出をゼロにするといっても、社会保障のようなものでは到底ゼロではおさまらないからというようなこと。つまり、政策努力をしなければこういうことだということを言っておるわけでございますから、そういう意味では戦略会議の言っておられることと一緒ではございません。
 戦略会議の言っておられる中で、恐らく二年間ぐらいは一種の中立的な予算という御意見は私もわかりますが、それはすぐに締めてはいけないよということと、それからいいかげんにもう景気刺激はやめろよということのちょうど足して二で割ったところがその二年ぐらいのお話になっているのだと思います。私は、作業が随分長く一年ぐらいかかると思いますから、そういうことになるのか、あるいはそうまでいかなくてもいいのか、早く決心はしなきゃいけないなと思っております。
 いずれにしても、そういう大きな作業をする、それは新しい省庁再編ができましたら、状況がそういうふうに展開しておりましたら、その内閣はなるべく早くそういう仕事をされるべきではないかと考えております。
#71
○海野義孝君 さっきもちょっと申し上げましたけれども、プライマリーバランスの問題でございます。
 平成十二年度もやっぱり十一兆円ぐらいの逆バランスになる。なかなかこれは均衡しないという状況ですね。おっしゃるように、国債費ももう既に四分の一、二五、六%ぐらいになっています。金利がこれから、今は一番低水準ですけれども、これ以上下がるということはあり得ない、むしろ上がっていくということになれば、将来の新発債あるいは借換債等に対する負担というのは、コストがどんどん上がっていくというように考えますと、傾向的にずっと上がっているんですね、この国債費は。
 公債発行については、ある時期中断されたとか、そういう結構な時期もありましたけれども、今は大変ふえている。これは今後ある程度のところで、高水準でもうそれ以上ふえない、あるいは多少は減っていくという方向を期待しますけれども、どうもこの国債費の方はこれからどんどんふえていくというようなことになると、少なくとも財政健全化といいますか財政硬直化を脱していくためにも、プライマリーバランスという問題、つまり公債発行、国債費を除いた面でいう予算というものがイコールになっていくというようなことにならないといかぬ、これがまず当面の財政再建のための道筋をつける上で考えるべきことだと思うんです。
 そのためには、いろいろなことをさっきお触れになりましたけれども、特に重要と思われている点をちょっとお聞きできればと思います、プライマリーバランスへの道筋ですが。
#72
○国務大臣(宮澤喜一君) 今のプライマリーバランスのことをお答えするのを忘れましたが、どうもあの部分は私は余りシミュレーションをされた結果のお話ではないように思いました。言ってみれば、財政再建というロードマップの一里塚みたいにおっしゃったんだと思いますから、その意味はわかっておりますけれども、大きな作業をしていった結果どうなりますか。一つの比較的わかりやすい目標としておっしゃったのであろうというふうに受けとめております。
#73
○海野義孝君 もう時間も参りますので、もう一問だけお聞きしたいと思います。
 いわゆる第二の予算と言われる財政投融資の問題でございます。
 これまでややもすると公共事業絡み等につきましても財政投融資関係で相当特殊法人等に資金が使われたということでございますけれども、この財政投融資制度につきましては、金融改革、そして財政制度の硬直化が進んでいる中で、二〇〇〇年度には大きな転換期を迎えることになるわけでございます。郵便貯金とか年金あるいは簡易保険を原資としまして財政主導型の金融政策、閉鎖的な金融市場を前提とした財政投融資制度から、いわゆる市場原理といいますかマーケットメカニズムをより多く取り込むことを目的として来年の四月から新しい制度になる。郵貯の運用の自由化等もあるわけです。
 しかしながら、今年夏に予定されております二〇〇一年度の予算概算要求におきましては、新しい財政投融資制度を前提として実施されるわけでございます。したがいまして、新しい制度は実質的にはこの二〇〇〇年度からスタートを切る、このように考えてもいいんじゃないかと思うわけでございますけれども、こういう税収の低迷、財政赤字の膨張の中で、財政投融資資金に依存した景気対策が、大臣は大丈夫とおっしゃっていますが、私はやっぱり心配なわけでございます。第二の予算をどういうふうにされるかという問題が気になるわけでして、そういう意味で、制度の改革だけではなくて、新たな制度が実質上いかに運営されるかということが重要な課題になろうと思うわけでございます。
 金融市場の金利の動向等に加えて、行財政側での環境の整備ということが急務なわけでありますけれども、大蔵大臣といたしましては新しい制度への移行にどのように取り組まれるか、あるいはどういったようにすべきかということについての御所見をお聞きしたいと思います。
#74
○国務大臣(宮澤喜一君) その問題につきましては、たまたま郵便の定額貯金百兆分が平成十二年、十三年ではがれるという問題がございまして、そのことは資金運用部にいち早く資金関係で影響を及ぼしますので、その点は郵政大臣にもいろいろ御依頼をいたしまして何とかやっていけるようにいたそうとしておりますが、それはたまたまこの時期にそれが起こったということでございまして、財政投融資は平成十三年からは新しい体制にならなきゃなりません。
 それで、おっしゃいますように、昨日の委嘱審査のときに、関係の総裁、副総裁等に、おのおのの銀行でいわゆる財投機関債、自前で金がつくれるかというこの委員会のお尋ねがありまして、やや消極的に参考人として答えておられたようでございます。
 実はそこのところはまだよく私どもの内部の準備ができておりませんで、ここへ見えました銀行なんかはなかなか優良銀行でございますから、自分で金をつくってもらわなきゃ困るなと思ってお尋ねを聞いておったのでございますけれども、まだ実は本格的にそこのところを私どもの内部で、今までに比べますとすっと金が来るのではなくなりますので、そういう気持ちでまた運営もしてもらわなきゃならないと思っていました。
 もう少し内部で、まさにおっしゃいますように、予算が仮に成立いたしましたらその後はそういうような問題を来年に向かって考えなければならない。今のところ、何となく制度はこう変わりますと言うだけで、その金をどこで見つけるのかというところは手がしっかりついておりません。これはお互いにすぐに検討を開始したいと思います。
#75
○海野義孝君 大変ありがとうございました。
 以上で終わります。
#76
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 法案の審議に入ります前に、緊急の対応を必要とされている問題について伺いたいと思います。
 一昨日、関東財務局は南証券を告発されたわけですが、この事件の概要並びに金融監督庁はどういう対応をしてこられたのか、簡潔にお話しください。
#77
○政府参考人(乾文男君) お答えいたします。
 平成十一年十一月二十三日に、お尋ねのありました南証券が、北海道全域で高利回り、元本保証をうたい文句に、私募債と称してミナミ・ハイイールド・ボンドなるものの募集を行う旨の新聞広告を行ったわけでございます。これは関東財務局所管の業者でございますけれども、私どもは、この私募債と称するものの内容が実は公募に該当するのではないか、広く募集する公募に該当するのではないかということから、いろいろ事情聴取、報告徴求をいたしました結果、十二月十四日に至りまして、当該債券は私募債と称しておりますけれども、その実体は公募に該当すると認められる、したがって公募に該当するものは有価証券届け出書が提出されるまでの間はこれを販売してはならないという証取法四条に違反をするということでもって、十二月十四日に勧誘行為の禁止の命令を出したわけでございます。
 その後、いろいろ注視してまいりましたけれども、なおこれを販売しているのではないかといううわさがありましたことから、関東財務局におきまして二月二十一日に検査に着手をいたしました。検査に着手をいたしましたところ、南証券が今申し上げました命令に反しまして当該債券の販売を行っていたことが認められましたことから、同社に対しまして、販売を行っていました札幌支店の営業の全部停止三カ月及び全店における同債券の販売停止三カ月の行政命令を出したわけでございます。
 さらに、三月六日に、これは金融監督庁から、同証券会社の財務内容が債務超過であることが判明いたしましたので、金融機関等の更生手続の特例等に関する法律に基づきまして東京地方裁判所に破産の申し立てを行うとともに、関東財務局が分別管理違反等を理由に同社の全店の業務停止六カ月を行ったところでございます。
 それから、今御指摘がありましたように、平成十二年三月十四日に関東財務局が警視庁に告発状を提出したわけでございます。さらに、三月十五日、証券取引等監視委員会から、本件につきまして、これは有価証券の募集のための偽計を用いる行為に該当するとして行政処分を求める勧告が出されているわけでございます。
 私ども監督庁、関東財務局といたしまして、この南証券の行為に対しまして機動的に厳格な態度で対応してきたわけでございまして、今申しました経緯をたどっているわけでございますけれども、こうした監督当局の再三の命令にもかかわらず違反行為が行われていたことは遺憾でございまして、今後、同社に対しまして厳正な態度でもって断固たる措置を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
#78
○池田幹幸君 言うことを全然聞かなかった会社なんですけれども、この社長が、平田浩一という人物ですが、これは今までも問題のある金融商品を販売しておったということですね。この社長が顧客の有価証券三十億円、これを含む四十一億円を持ち逃げした、今も行方不明となっておるわけですね。
 この問題になったミナミ・ハイイールド・ボンドなる社債の広告を北海道全域で新聞折り込みしたのが今話しました十一月二十三日。テレビでもコマーシャルが放映されました。
 金融監督庁がこの問題金融商品が実際に販売されているのを知ったのは、販売停止命令を命じたのは十二月ですね、いつ知ったのですか。
#79
○政府参考人(乾文男君) 同社が新聞に掲載いたしましたのが十一年十一月二十三日でございまして、関東財務局からの報告によりまして、翌十一月二十四日にそうした新聞広告が出たということを監督庁として把握いたしております。
#80
○池田幹幸君 十二月十四日に販売停止命令をしたのだけれども、しかし言うことを聞かなかったと。それ以後、実際に年末までに約五十人の投資家に二億円分を販売しておったということなんですが、この五十人の投資家に販売しておることを知ったのはいつですか。
#81
○政府参考人(乾文男君) 先ほど申しましたように、二月二十一日に検査に着手をいたしまして、その検査の過程の中で命令にもかかわらず当該債券の販売を行っていたことを把握いたしまして、二月二十八日に全店の業務停止をかけたわけでございますけれども、今おっしゃいました五十一名の顧客に対します御指摘の金額の数字を正確に把握いたしましたのは並行して行っておりました証券取引等監視委員会の監視部門の検査の中ででございまして、昨日の勧告を受けていわばその正確な数字を知ったということでございます。
#82
○池田幹幸君 販売停止命令を破って二カ月もどんどん売っておったのですけれども、結局、命令は出したきりでチェックしていなかったということですね。
 二月二十一日の検査をやるに至ってやっとわかったということなんですが、そうしますと分別管理すべき顧客からの預かり資産がなくなっているということに気づいたのは二月二十一日の検査のときですか。
#83
○政府参考人(乾文男君) 同社は、先ほど申しましたように十二月十四日に命令を出しまして、その後、命令以外にもいろいろな報告徴求をしておりまして、例えば十二月二十日に出てきた報告徴求の中でも、当局の御指摘を受けて一切いたしませんというふうなことをいわば誓約的に出してきておりましたし、その後いろいろな機会にやっていないだろうなということも言っておったわけでございますけれども、そうした当局及び顧客をいわば欺罔したといいますか、そうしたことは遺憾と申しますか、全くけしからぬことだというふうに私どもは考えているわけでございます。
 今お尋ねのありました分別管理をしていなかったことを把握いたしましたのは御指摘のように二月二十一日からの検査でございまして、それを把握した後、直ちに二月二十八日に先ほどの業務停止命令を発したということでございます。
#84
○池田幹幸君 しかし、監督庁が破産と破産の保全処分の申し立てをやったのは、これは先ほども報告があったように三月六日ですね。三月六日までやらなかった。このことによって顧客の資産がわずか数日のうちに消えていったわけなんです。これは御存じのとおりなんです。この点について見ますと、監督庁の責任は非常に重大だというふうに私は指摘せざるを得ないんです。
 さらに、これに続いて不始末が続くわけなんですけれども、この三月六日に平田氏は預かり証券を持ち出して、翌日に姿をくらますわけですが、これはちょっと警察庁に伺いたいんですけれども、平田社長は六日に社員の制止を振り切って、なおかつ特別監査、これは証券業協会がやっておるわけですが、特別監査で封印された金庫をあけて、封印を破って東京支店から三十億の有価証券を持ち出した。そのことを翌日の朝、東京支店長が愛宕警察署に告訴したところ、警察署は調査、捜査はしないと受け取りを拒否された。
 警察庁、この事実を確認してください。
#85
○政府参考人(井上美昭君) お尋ねの件に関しましては、現時点で把握している内容といたしまして、三月七日に警視庁愛宕警察署に対しまして南証券の関係者から相談がありました。同署では、組織的な検討の上、早急に事実関係の解明を図るため、相談者に対しまして必要な資料等の提出を要請したとの報告を受けております。
 なお、警視庁本部におきましては、同日の相前後する時期におきまして金融監督庁から同内容の通報を受けまして、同庁と緊密な連携をとりつつ、株券の所在を含めまして、早急な事実関係の解明を図るべく関係者から直ちに事情を聞くなどの所要の措置をとっております。
 さらに、警察庁といたしましても、即日、関係道府県警察に対しまして必要な手配を行うなど、関心を持って対処しているところであります。
#86
○池田幹幸君 いろいろ言われたけれども、結局告訴を受けつけなかったんですよね、七日の午前中に。これははっきりしているでしょう。そして、その日の午後は東京地裁で審尋が行われた。そのときに当の平田社長はその審尋の場に出ているんです。そして、有価証券などは私が持っていますと言っているんです。
 もしこの七日の午前中に警察署がきちっと動いておれば今のような非常な事態は起きていなかったということが想定されるわけなんですよ。いかに初動のおくれが致命的だったかということをここにはっきり示しておると思うんです。この支店長は大矢さんとおっしゃるんだけれども、この人は愛宕警察署で告訴を拒否された、そういうことで顧客の前で無念だと言って涙を流して訴えておられるんです。そういう事態が今起こっている。
 これは結局この警察、きょうも捜査第二課長に来ていただいたのは、いろいろと今警察庁はあちこちに引っ張りだこで呼ばれておる状況、それも不祥事でそういう状況になっているわけですが、全く新潟や桶川の事件と同じじゃありませんか。結局、保全管理人が窃盗罪で告訴しておる。監督庁が証券取引法違反で告発したわけですけれども、これが一昨日、十四日。結局このために被害を受けた人は非常に多いわけなんです。このことを非常に重大な問題として監督庁と警察庁は受けとめてもらわなければならない、その責任は重大だということを申し上げたいと思うんです。
 まじめな投資家がこのことによって被害を受けるわけで、そのことについてちょっと伺いたいんです。一般投資家の保護についてなんですが、昨年四月一日に新法が施行された、いわゆる金融ビッグバンですけれども、そのもとでさまざまな問題が起きてきたんですが、今回の南証券の破産というのは、金融ビッグバン、このもとで起きるべくして起きた事件じゃないかというふうに私は考えます。
 山一とか三洋証券の場合と違って、今度の場合は破産の申し立てと同時に六カ月の業務停止命令が出されたということで、三月六日の時点で信用取引がとまっています。ストップしているんです。そうしますと、この中で、一般の投資家については変更の説明もないし、新しい約諾書を交わしていない方もいるんです。こういった方は一体救済されるのかどうか。当然されるべきだと考えるんですけれども、どうですか。
#87
○政務次官(林芳正君) この問題に関してということでございましたが、まず一般論といたしまして、投資者保護基金というものがございまして、証券会社が破綻したときに一般の顧客、これは金融機関等の機関投資家を除くということでございますが、これに返却をされない顧客資産についてはここが補償するという仕組みになっているのは委員御承知のとおりでございますが、具体的には証券会社に預けている顧客資産として、例えば金銭や株券、国債等の債券や投資信託の受益証券等の有価証券が補償の対象となっておりまして、通常の顧客資産はここですべてカバーされる、これは一般論でございます。
 そして、今回の件でございますが、この条件といたしまして、短く申し上げますと、まず債務の円滑な履行、返すということをその当事者に求めまして、これが履行が困難であるということ、それからもう一つは先ほど申し上げましたいわゆる顧客資産ということの対象になるか、この二つが要件になっているということでございまして、その二つの要件に該当するかをそれぞれ照らし合わせて、その結果補償をされる、こういう制度になっておるところでございます。
#88
○池田幹幸君 いろいろ問い合わせも来ていますので、具体的に二点だけ伺いたいんですが、建て玉の問題なんですけれども、これは今どうなっているかということなんです。一括して手じまいされた場合、多額の損失をこうむるようなことになると思うんですけれども、どうなのかということです。この場合、投資家の負担を最小限にして円滑にほかの証券会社に引き継ぐということが可能なんでしょうか、これが第一点です。
#89
○政務次官(林芳正君) 今、一般の制度を御説明しましたが、この顧客資産に何が当たるかと。今、委員がおっしゃったようなケースがここに定めます顧客資産ということに認定されるかどうかというのは、投資者保護基金の方で事案に照らして検討されるべきものでございまして、それに当たるかどうか、個別の事案に関してこれが当たる当たらないというのはなかなかここで申し上げられないということを御理解賜りたいと思います。
#90
○池田幹幸君 そうしますと、場合によっては他の証券会社に引き継がれていく可能性も多い、こういうことですね、そういうこともできるということですねというふうに伺っておきたいと思うんです。
 ちょっと時間の関係もありまして、もう一点、手じまいの際のことなんですけれども、一人の投資家でも幾つかの銘柄を売買しています。利益の出ている銘柄もあれば、損の出ている銘柄もあると思うんです。その場合、利益の出ているものについては政府が没収しちゃうと、損失している分については本人がその損失をこうむれというようなことになっていると訴えてきている人もいるんですけれども、これはいかにもおかしいんじゃないか、これは相殺できるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
#91
○政務次官(林芳正君) ちょっと個別の案件でございますが、一般論にも通じるところでございますので、今御質問いただきましたので、検討いたしまして、後でお答えをさせていただきたいと思います。
#92
○池田幹幸君 それでは、特例公債法案に入りたいと思います。
 宮澤大蔵大臣が一昨日、十四日のこの委員会で、私の質問に対して、日本の財政をどう表現するかということで、少しでも翌年の国債を減らしたいせっぱ詰まった状態であるというふうにおっしゃったわけです。そうならば、今度の予算案にそういった気持ちが、その努力の跡が見えていなければならないというふうに思うんですけれども、事実、実際は何もない。むしろ、先ほどるるここで審議されておりますように、三十二兆六千億の国債発行ということで、これは戦後といいますか、史上最高、最大規模の国債発行になっているということになっているわけなんで、一昨日も論議しましたけれども、これでは長期金利ももう上昇してまいりますでしょうし、景気対策としても非常にマイナス効果が働くんじゃないかということを考えるんです。
 そこで伺いたいのは、まず二〇〇〇年度は資金運用部の引き受けがなくなります、昨年はたしか二兆八千億ほど引き受けているようですけれども。こういった分が市中消化として増加すると思うんです。そうしますと、膨大な国債、これを債券市場でスムーズに引き受けてもらえるというふうな見通しを持っておられるのかどうか、その辺のところについて伺いたいと思います。
#93
○国務大臣(宮澤喜一君) 前段でございますが、少しでも公債を減らしたい、そういうふうに思っておりますけれども、この御審議いただいております予算は、前から申し上げておりますとおり、これをもって不況対策あるいは金融秩序安定のための最後の予算といたしたいという気持ちでございますから、ここにはある意味でやむを得ないものは公債を出して、これで最後の処理をする、こういう気持ちでございます。
 私が申しておりますのは、これをもって最終としたい、大きな補正はもとより、十三年度になればもうこういう景気刺激的な予算は要らない、こういうことを申し上げておるわけでございます。
 その次に、しかし相当大きな公債が発行されることでございますから極めて注意をしなければなりません。公債の期間の問題、あるいはその都度その都度の発行条件の問題は、シンジケート団の話もよく聞きながら、高い金利になりませんように、またなるべく個人にも買っていただけるようにいろいろ大変に工夫の要るところでございます。
 おっしゃいますように、郵便貯金の定額貯金が十二年、十三年度で満期になりますので、これによりまして資金運用部の本来原資になるべき部分がかなり大きく落ちるということも考えておかなければなりません。それらを総合いたしまして、郵政当局の応援も得ながら、何とか国債市場、国債が滞りなく消化されていくように努力をいたさなければなりません。これは非常に大変な努力でございますけれども、ただいままでのところその条件はまずまずかなえられております。
 ただ、一昨日のQEにもございましたように、設備投資がプラスになってまいりますと資金需要が出てくるということを考えておかなければなりませんから、今年、スムーズに公債を発行していくということは非常に注意を要する、また非常な努力を要することでございます。
#94
○池田幹幸君 大蔵省も長期国債を抑えて短期国債をふやすという形で、国債多様化という形でできるだけ金利が上がらないようにという工夫はしておられるようなんですけれども、それは一時的にはそれなりの効果をあらわすかもしれませんが、しかしそれは抜本的な問題じゃないわけで、抜本的にはもう言うまでもなく公債発行を減らしていくということがなければいけないわけなんですね。
 その際に、私、もう一度、一昨日お示しした配付資料でちょっと考えてみたいんですけれども、ここではっきりあらわれておりますのは、二〇一〇年まで中期展望、試算を引き延ばしたグラフを示しました。そこで見ますと、成長率三・五%の場合でも、税収の伸びと国債費の伸びを比べてみますと、税収の伸びが国債費の伸びに追いついていかないんです。一・七五%ということになりますと、その格差はどんどん開いていくんです。これはもう間違いないところなんです。
 こういう状況だと暗たんたる事態だというふうに言わざるを得ないと思うんですが、結局この状態を解決していこうとすれば、公債を減らすとすれば歳出削減か増税かということになってくると思うんですけれども、歳出削減のことでいえば論議を大分しました。
 その中で、どうも大蔵大臣がおっしゃっているのは、私に聞こえるのは、歳出削減よりも増税のことを中心に考えておられるんじゃないかというふうな気がするんです。歳出削減についていえば、私たちは公共事業を減らせということを主張したんですが、大蔵大臣の答弁の中ではどうもインフラが大事だからということで公共事業の削減はやらない。そうすると、一体歳出削減をどこでやるのか。公共事業で大幅に減らしていかないとすると、もろに国民生活分野に絡んでくるということになるんじゃないですか。
#95
○国務大臣(宮澤喜一君) 歳出削減には聖域はございません。あらゆるものを、削減できるものは経済が正常軌道に乗りましたら削減していきたいとは思っておりますが、何も公共事業が悪だというようなことを私は考えていないことはせんだって以来申し上げてございまして、十分注意はいたしますし、新しい重点化も御承知のようにやっておりますが、悪だというふうには考えていない。ただ、今の公共事業は確かに景気刺激のために相当大きくしておりますから、これはこんなペースである必要はないと思っております。
 やはりその他では社会保障になるかと思います。それは結局、国民がどういう選択をされるかということでございますので、高福祉であれば高負担は免れませんし、そうでなければそうでない選択がある。問題がたくさんございます中で、これから一つの難しい問題であろうというふうに思っております。
#96
○池田幹幸君 先ほどの久保委員の質問に、大蔵大臣は、雇用の問題、国民生活の問題が非常に重大だということで大蔵大臣を引き受けたんだとおっしゃいました。とすれば、政治の責任というのは、ともかく国民生活の安寧のためにあるんだ、今でいえば雇用不安、それから社会保障不安、これが起きないようにするということが非常に大事だと思うんです。
 そうしますと、歳出の削減にしても、国民生活に大きく切り込んでいくような形の歳出削減をやるのであれば、これはもう財政が国民生活のためにあるんじゃなしに、国民生活が財政のためにあるような変なことになってしまいます。だから、財政再建という場合には、やはり国民生活をどうやって守るのかということを最重点としたものにしなければならないんだと私は思うんです。
 そのことについては前からの論議がありますのでそれはおきますが、結局、歳入増というのは税収増に頼らないといけないんだけれども、今のままだと先ほど示したように税収増を期待できない、そうすると増税しないといけないということに論理的にまたなってくると思うんです。
 それで気になりますのは、政府税調から昨年十二月に答申が出されましたけれども、これの中に、我が国の税財政にとってますます重要な役割を果たすべき基幹税として消費税を位置づける、消費税の充実が必要だというふうに言っておるんです。ここですぐさま消費税を増税とは書いてはいないんですけれども、大蔵大臣、それから小渕内閣の中には近い将来の消費税増税ということを念頭に置いておられるというふうに解していいんですか。
#97
○国務大臣(宮澤喜一君) そういう問題があり、また先ほど申しましたような社会保障等の問題があり、従来から申し上げておりますように、財政再建というのは大蔵省だけが何かの税金を上げましょうとかなんとかいうような問題をはるかに超えまして、二十一世紀の最初の二十年か三十年の我が国経済社会の全部のあり方に関係いたしますから、そういう意味でマクロモデルでもつくっていろいろな可能性の中から国民に選択をしていただくというしか方法がないのではないか。
 問題は非常に難しい問題だし、どの選択をしても楽な選択というのはあり得ないと思いますから、そういう意味では、池田委員のおっしゃいますように、いろいろ苦労なことがあるだろうと予測はいたします。しかし、その中から国民に選択していただくための準備はかなり、それこそマクロモデル等々の方法でいたしました上で国民のあるいは国会の御選択を願うということにならざるを得ないだろう。そのときに消費税とか所得税の課税最低限とかいろんな問題がまた出てまいりましょうけれども、それはそういう背景、それとつながる支出、歳出等の関連においての選択になってくるだろうと思います。
#98
○池田幹幸君 三月七日の読売新聞の記者会見で、加藤税調会長、政府税調の会長ですが、この方が、減税がこれまでに十兆円されている、したがってこの減税分だけ消費税を上げるという提案ができるんだということで、今度、六月ですけれども、六月にもそういった消費税増税、しかもそれを明確に一〇%にする、五%上げて一〇%に引き上げる必要があるとまでおっしゃっているんです。これが政府の中で今検討されている方向じゃないのか。もしそうであるとすれば、これは非常にゆゆしき事態だというふうに私は考えます。
 この消費税の増税がいかに日本経済に大きな打撃を与えたかというのは、九七年のことですからだれも忘れていないと思うんです。にもかかわらずこういった方向が出される。私は、絶対に消費税増税、こんなことはやってはならない。むしろ、私たちは今消費税減税をしなければならないときだということをずっと訴えてまいりました。多くのアンケートを見てみましても、多くの国民が消費税の減税を望んでおる。これはただ単に景気対策としてだけじゃなしに、税制のあり方として、消費税に頼る、そういったあり方は悪いんだという意見だというふうに私は受けとめております。
 時間がなくなりましたのできょうはこれでやめますけれども、この政府税調の方向、今の大蔵大臣の答弁だとまさかことし消費税増税を打ち出すというふうな方向ではないと伺ったんですけれども、そのことを一言だけお伺いして、質問を終わりたいと思います。
#99
○国務大臣(宮澤喜一君) 御承知でもございますけれども、税調というのは必ずしも目先の問題をやっておられませんで、かなり中長期のことをいろいろ議論しておられる場合が多うございますので、それはそういうものとして私どもも承ってまいります。急に何かをというようなことを考えておるわけではございません。
#100
○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。
 五点ほどお尋ねいたします。
 まず、日本財政の中期的見通しのことでございますが、三月十四日の当委員会の審議におきまして、大蔵大臣は、衆議院予算委員会に提出している財政の中期展望は単なるプロジェクションにすぎず、今後の財政を中期的に展望するためには、国と地方、社会保障などの動きと整合性をとった経済のマクロモデルをつくらなければならないという趣旨の御発言をされました。一昨日の日経新聞でも、大蔵大臣は堺屋経済企画庁長官と税制のほか地方分権、社会保障の抜本改革など日本経済の変化もとらえたマクロモデルを作成することで合意したと報道されております。
 ところで、マクロモデルは二〇〇一年初の省庁再編で内閣府に発足します経済財政諮問会議での発足を目指すとされておりますが、経済企画庁が内閣府に移ることから、経済企画庁の後継となるセクションが当該マクロモデルの主たる所管になると思うのでございます。したがいまして、大蔵省の後継である財務省はこのマクロモデルに直接関与することにならないようにも思うんですけれども、そのあたりのところを確認させてください。
#101
○国務大臣(宮澤喜一君) このことについて申し上げますときに私はいつも私見でございますがというふうに申し上げておりますのは、いずれにしてもこの内閣での出来事、この内閣という意味は、衆議院の解散というものが年内にございますから、のことではない、そしてそれは新しく改編された省庁のことであるということで、私は常に私見としてと申し上げております。
 しかし、どう考えてもこの作業の大きさ、二十一世紀の経済社会を展望しなければならないということから、何かそういう大きな作業が全体として頭にかぶりませんと本当に国民の納得されるような、これは各方面、財政に限りませんが、進路が見つからないのではないかということは思っておりまして、それで私見ではと申し上げております。
 新しい行政機構がどう動きますかわかりませんが、これは恐らく全省庁挙げての、新しい機構になります中央官庁、地方も含みますかもしれません、挙げての大きな作業になるであろう。どこでどういうことをいたしますか、私は余りそういうことまで考えたことはございませんが、いずれにしても今の内閣、今の行政機構のことではないと思います。
#102
○三重野栄子君 そうでございますが、経済企画庁には中期モデル等のマクロモデルがあると承知しておりますが、それらのモデルとの関係はどのようになるのだろうかというのが第一点でございます。
 また、今後の国と地方の関係あるいは社会保障のあり方と関連してマクロモデルを構築する必要があると大臣は述べられておるんですけれども、国と地方、社会保障の最終的な姿を決めること自体が大問題であり、相当時間がかかると予想されるのでございます。そうなりますと、マクロモデルの構築といいましても二、三年でできるようなものではないと思いますが、大臣の御感想をお伺いいたします。
#103
○国務大臣(宮澤喜一君) 経済企画庁は何十年の間に何本かのモデルをつくっておりますし、その中でなお使えるものもございます。しかし、今お話しの二十一世紀に関係するものは、恐らくはバックデータがもう全部違っておると思いますから、何本かのモデルをつくっていかなければならないだろう。その結果が必ずしも将来を正確に言い当てるわけではないでしょうけれども、少なくともそれだけの作業がなければ国民あるいは関係方面がみんななるほどと一応納得されるような作業はできないのだろうと思います。
 おっしゃいますように、片方でいわゆる政策関係省庁間の、あるいは審議会等を含めましていろいろの問題についての答申あるいは御意見が出るんでしょうが、モデルは一遍それと関係なくはじくことができますし、それしか方法がありません。
 確かに正確にやりますと一年ではできないかもしれないと私も思うんですが、しかしそんなにかけるというわけにはいきませんので、やっぱりある程度何本かのモデルを関係者につくっていただいて、その中から、片っ方で関係の審議会とかなんとかのいろいろな御意見が出てきますから、両方を調整するというような作業が必要になるんじゃないかと思います。
#104
○三重野栄子君 次に、第二次財政構造改革についてお尋ねいたします。
 橋本内閣はアメリカの包括財政調整法をモデルにして財政構造改革法を国会に提出されました。ただ、この提出時期は、我が国の金融危機、さらにはアジアの金融危機などを原因とする景気後退のときだったため凍結を余儀なくされたと思います。当時の凍結法の審議の中で、宮澤大蔵大臣は、法律は凍結されてもその精神は残ると答弁されたと記憶しているのでございます。
 最近の景気回復基調を受けまして財政再建と景気回復の議論が論議をされておりますが、小渕首相は、衆議院予算委員会の審議におきまして、早々に財政構造改革法を再び国会に提出するのは困難だけれども、できる限り財政全体の改革ができる抜本的な法律を提出できるように最善の努力をしたいと、第二次財政構造改革法の再構築に言及されたと思いますが、大蔵大臣はこの点についてどのようにお考えなのでしょうか。
 包括財政調整法が採用しております弾力条項を財革法が採用していたならば凍結する必要はなかったという意見もあるわけでございますけれども、日本のような予算制度においてはこのような仕組みを設けることは困難であるのでしょうか。そのあたりの御見解をお伺いいたします。
#105
○国務大臣(宮澤喜一君) あの財政改革法は、御記憶のように、先ほどからお話しいただいておりますモデルをバックにしてつくったものではございません。そういう意味でのフレームワークというものが存在しなかったわけです。しかし、あの場合にフレームワークをにわかにつくるわけにはいきませんし、問題は焦眉の急でございましたから、とるべき財政の手段をある意味では具体的なものとマクロ的なものと両方掲げた。それは私は今後も非常に参考になることであると思っています。
 ただ、来るべき作業は、もう少し全体の大きなフレームをつくった中でいきませんと、財政だけの問題にとどまらないと思いますから、それでそのようなことを申し上げております。
#106
○三重野栄子君 次に、隠れ借金のことでお尋ねしたいと思います。
 一般会計の隠れ借金のことでございますが、一般会計に係る繰り入れ特例等と言われておりますけれども、現在この隠れ借金の残高はどのくらいになっているでしょうか。また、昨年度の第二次補正予算で、従来隠れ借金とされておりました厚生保険特別会計に四千百八十三億円の繰り入れを行っておりますけれども、その理由はどういうものであるのか。他の隠れ借金については返済する予定はあるのか。それぞれについてお尋ねいたします。
#107
○政務次官(林芳正君) 隠れ借金というお言葉でございましたが、多分、政管健保を主にお聞きになっているというふうに思います。それともう一つは、厚生年金の方もございますので、後ほどお答え申し上げます。
 政管健保の国庫負担の繰り延べということでございますが、昭和六十年度から元年の間、また平成五、六と一般会計の方が非常に厳しい状況でございましたので、政管健保の方の懐ぐあいも多少は一般会計よりはよろしかったということもありまして、政管健保の運営に支障が生じない範囲で政管健保の方に国庫から負担します繰り入れを特例的に減額いたしました。要するに、借金をそこでしたということでございます。
 この法は、委員が今御指摘になりましたように、後ほどというか、「後日」というふうに法律には書いてございますが、その減額に相当する額、借金でいいますと元本でございますが、及びその運用益に相当する額を繰り戻す、要するに利子をつけて返せ、こういうことになってございます。
 この元本につきましては、今まさに先生がおっしゃったように平成十一年度までに返したということでございまして、この利息の部分が残っておる。大体二千九百億円ぐらいかなということでございますが、これも後日ということでございますけれども、今度は政管健保もなかなかお借りしたときのように状況がいいわけでもございませんので、一般会計と政管健保の方の時々の財政状況を見きわめながらなるべく早く返済していきたい、こういうふうに思っているところでございます。
 それから、ちょっと技術的になりますが、厚生年金の方も、平成七年から十年度の中で一般会計が非常に苦しかったものですから、厚生年金の方は御存じのように積み立てもしておりということもございまして運営に支障がない範囲で借金をしております。こちらの方は具体的には今まだ元本、金利とも残っておるわけでございますが、こちらもなるべく国の財政状況を見ながら早目にお返しをしていきたいと考えておるところでございます。
#108
○三重野栄子君 次に、国債格付の低下についてお尋ねいたします。
 アメリカの格付機関ムーディーズは、日本の国債の格付を昨年トリプルAランクから下げましてダブルAとしました。本年度においてもさらに格付をもう一ランク下げるような動きが出ているようでございます。ただ、ムーディーズと並ぶ有力格付機関スタンダード・アンド・プアーズは依然日本の国債を最高の格付に据え置いているようでございます。
 富田俊基野村総研理事は景気が回復しても国債発行額が減らない水準まで悪化している日本の財政は持続の可能性を失いかねないという警告だと述べておられますけれども、この点につきまして大臣のお考えがあればお伺いしたいと思います。
#109
○国務大臣(宮澤喜一君) ムーディーズのそういう報道がありまして感想を聞かれましたので、私は別に気にしていないということを申しまして、今も同じことでございます。スタンダード・アンド・プアーズはそう考えなかったということで、あの人たちもそういう仕事でございますから、いろんな御見解があるんだろう程度に思っております。
#110
○三重野栄子君 財政赤字の弊害の問題につきまして、一昨日の審議の中で、大臣は、十―十二月期のQEを見ますと消費の伸びが悪いけれども設備投資に回復の兆しが出てきていると御答弁をされました。ただ、このように民間の資金需要が出てきますと、これまで国債に回っていた資金が民間の資金需要に充てられることになるため長期金利が上昇する、あるいは民間資金が国債の大量発行に伴って十分な資金調達ができなくなるという、まさに財政赤字の弊害が現実のものになってくるように思うわけでございます。この点を回避できる名案がございましたらばちょっと伺いたいと思います。
#111
○国務大臣(宮澤喜一君) よくG7なんかの会合がございまして、日本の十年物の国債のクーポンレートというのは一・七とか八のときもありますし、もっと低いときもあるので、みんな信じられないわけです、そんなことがあるかねと。というのは、一般的に、十年とは限りませんが、五%ぐらいの話が相場でございますから、一というのは何かなということでございますので、国債にとってはこういう天国のようなことは長く続くことはないのが普通と思います。
 おっしゃいますように、設備投資が出てくれば資金需要が出てくる、これはもう当然のことで、それをまた期待しているというか、民間の活動を期待しているわけですから、そうなれば、シェーマでいえば、それができればこっちはもう要らなくなると。しかし、実際はそうはいきませんで、並行しなきゃならぬことがございますから影響を受けることはある。ですから、それは今から発行の条件を変えましたりいろいろして、そういうことあるべしという気持ちでは考えております。民間の経済活動が活発になるためにこうやってやっていることでございますから、ある程度のことはやむを得ないだろうと思っております。
#112
○三重野栄子君 終わります。
 ありがとうございました。
#113
○椎名素夫君 椎名でございます。
 この赤字財政、特に特例公債のことについては一体どういうふうに考えればいいのかなということをずっと二十年近く考えてきましたけれども、いまだに自分の胸にすとんと落ちる結論みたいなものは全然浮かんでこない。きょうのやりとり、その中での財政法にまつわるお話とか、あるいは今の状況に対して宮澤大臣が言うならば言語道断であるというようなことまでおっしゃった率直なやりとりを聞いて、ますます混乱をしているというのが実は現状であります。
 この間のお話では、別の話でしたけれども、プラザ合意までさかのぼりましたが、きょうはもっともっとさかのぼって、実は私は昭和五十四年に代議士になりまして、五十五年の大蔵委員会でこの特例法の審議に参加しておりました。それをもう一回読み返してみたんです。このときはおもしろいねと思ったんですが、大蔵省からいただいた「財政の歩み」というグラフがありまして、昭和五十五年は「財政再建の第一歩」と書いてあるんですね。なるほどそうだったのかなと思っておりますけれども、実際、特例公債が少しふえて、これは大変だという、それこそ危機感が昭和五十五年ごろはあった。それで、赤字公債を出しますがひとつお認めを願いたいというのが恒例になった特例公債の審議であります。
 ただ、このときにはまだ相当恥じらいがございまして、この趣旨説明で、これは竹下大臣だったんですが、「特例公債の発行によらざるを得ない状況にあります。しかし、このような措置はあくまで特例的な措置であり、特例公債に依存する財政からできるだけ速やかに脱却することが財政運営の要諦であることは申すまでもありません。」ということが趣旨説明に入っておりました。
 結構皆さん真剣にこのときはやったように私は代議士になった初めですから思って、私もいろいろ質問したりしたんですが、ことしまた恒例となった特例公債の趣旨説明を拝見すると、非常に機械的であって、今の情勢の中でいろいろと支出を考えないといけない、そこで、「公債につきましては、財政法の規定により発行する公債のほか、二十三兆四千六百億円に上る多額の特例公債を発行せざるを得ない状況にあります。」、それしか書いていないですね。
 書いても意味のないことはしようがないということなんでしょうが、お金が要ります、だけれども足りません、だから出しますという格好で、何年前ですか、昭和五十五年あたりのためらい、恥じらいのようなものはどうも感じられない。これはやっぱり問題だと思うんです。
 しかし、宮澤大臣のお話を聞いていると、私はこの間も申し上げましたけれども、いろんなことからよくわかっておられると、物事は。だからしようがないかと。例えば、先ほどおっしゃったけれども、この需給ギャップの深さというのもわからないし、いつこういうことをやらないで済むようになるか率直に言ってわからぬとおっしゃった。わかったようなことを言う人は信用できないんですが、どうも全体やっていることは言語道断であるけれども、そこに物のわかった大蔵大臣がおられるというのは非常に困惑するんですね、ただただやっつけようといういう気にもならないし。
 そこで、私は思うんですが、おとといの話を思い出しますと、この後、財政だけじゃなしに経済全体にわたってのパラダイムの変化は起こり始めているし、また起こるだろうと。それを考えながら、大臣のおっしゃる大きな作業ですか、このモデルをつくっていくという仕事があって初めて先に進むことができるんじゃないかとおっしゃる。私も全くそう思いますし、恐らく政務次官なんかも全く同一だろうと思うんです。
 ところが、そういうことには二段階あって、物事は、変わってきたらそのパラダイムを後から追っかけるということもあるかもしれないけれども、それをどういう方向に進めるかというプロセスが一つその前にある。これは言ってみれば、こちら側ではブレーキをかけて、こちら側ではブレーキをリリースするというようなことがあって初めていいバランスに持っていけるのだろうと思うんです。改革という言葉をよく使われますが、改革というのは前の古臭いものをぶっ壊せというのがまず先に立ちますね、どんとブレーキをかけてしまえと。私は気になるんですけれども、ブレーキを一体どういうふうにかけるかということです。
 大分前ですが、原子力船「むつ」というのがありまして、これはみんなの厄介者で、これをどうしようかということで、おまえが始末をつけろと言われて実はやったことがあるんです。おしまいに極めてうまく実験までやって往生しまして、そして今は原子炉を抜いて海洋観測船に生まれ変わっておりますけれども、そのときにジャーナリズムの諸君が私のやったのを見ておって、随分手ぬるいなと言ったんです。それで私は言ったんですが、とにかく六十キロ、七十キロで走っている車をとめようと思ったら、その場でとめろといったらコンクリートの壁にでもどんとぶつける以外にない、やっぱり制動距離というものが要るんだということを言ったんです。
 よくこのごろ諮問委員会とかなんとかおつくりになるのがお好きですが、ああいうところに集める人たちはそれを余り考えない人が多いんですね。とめてしまえというようなことで、何でもいいからその場でとめろと。制動距離というもののはかり方がわからない人がいて、それが二十一世紀のパラダイムはこうだというようなことを割に勝手におっしゃったりする方々がおられると私は思っております。
 一方、制動距離というのは十分とっておかないと、五十メートルでとまるでしょうけれども、そこでとまらなかったらどうするんですか、やっぱり百メートルはとっておかなきゃという方々もおられて、これは言っちゃ悪いけれども、官僚の諸君などはどうもそういう気になる傾向が多い。
 その両方をうまくバランスをとりながら、いかに速いスピードでいい格好に持っていくかというのが政治であろうと私は思っておりますけれども、そこの場所にきちっと制動距離もわかりパラダイムもわかる人がいるかどうかということは非常に大事だと思うんです。たまたまそういう大臣がおられるということは、私の考えにとって非常に混乱を与えるところであります。
 ただ、気になりますのは、先ほど言いましたような趣旨説明のところでの違いです。この気分ですと、要る金はみんな借金して持ってきてしまおうというような、どうも今の内閣の方々を見ていても、多数はこういうことをやっていることについて余り心の痛みがない、それがとても気になるんです。私は、国会、もちろん内閣などをやっておられる方は、十分にそういうことを考えながら、一文でも落ちているわけじゃないんだから、十円でも何でも大切にするという気分をきちっと持っていただくということは非常に大事であるし、また我々国会議員としても、これは大変なことなんだということ、先ほどの財政法をどうするかということもその中にある大きな問題かと思いますが、そういうことを考えながら常に暮らしていないと、後世、二〇〇〇年に内閣や国会をやっていた連中は一体何をやっていたんだということになりはせぬかということを大変に恐れております。
 質問じゃないみたいなことでございまして、これで演説は終わりますが、御感想があればぜひおっしゃっていただきたい。
#114
○国務大臣(宮澤喜一君) 特例公債をお願いいたす身といたしまして、昔はいろいろ恥じらいがあったということは本当に身にこたえるお話であります。きょうも実は決して勇み立ってお願いをしているわけではないのですが、毎年毎年お願いして、恐らく来年もまたお願いする公算は大きゅうございますから、どうも仏の顔も三度みたいに、ちょっとこちら側に何とも恥ずかしい思いがございますので、もとより堂々とというような気持ではおりません。お話は、財政をいたします者、私ども十分戒心をいたして、公債だからむだ遣いしてもいいというようなことがないように戒めなきゃならぬ点がございます。
 私としては、できますならば、もうことしは大きな補正を組まず、来年ももはや景気刺激的な予算を組まないで済むとすれば、少なくともお願いする公債の額は少しでも減らしていきたい、もうこれ以上はふえないんだということがせいぜい今自分にできることかと思っておりまして、先を思いますといろいろ道遠き感がございますけれども、ともかく、とりあえずもうこれ以上特例公債がふえないような努力をし、経済運営をいたさなければならないというふうに思っております。
#115
○椎名素夫君 ありがとうございました。
 終わります。
#116
○委員長(平田健二君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
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