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2000/03/23 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 財政・金融委員会 第7号
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2000/03/23 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 財政・金融委員会 第7号

#1
第147回国会 財政・金融委員会 第7号
平成十二年三月二十三日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月十七日
    辞任         補欠選任   
     世耕 弘成君     岡野  裕君
     中島 啓雄君     尾辻 秀久君
     日出 英輔君     脇  雅史君
 三月二十一日
    辞任         補欠選任   
     尾辻 秀久君     中島 啓雄君
     岡野  裕君     世耕 弘成君
     脇  雅史君     日出 英輔君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平田 健二君
    理 事
                中島 眞人君
                平田 耕一君
                寺崎 昭久君
                海野 義孝君
                池田 幹幸君
    委 員
                岩井 國臣君
                片山虎之助君
                河本 英典君
                世耕 弘成君
                中島 啓雄君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                伊藤 基隆君
                久保  亘君
                櫻井  充君
                浜田卓二郎君
                笠井  亮君
                三重野栄子君
                星野 朋市君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
       国務大臣
       (金融再生委員
       会委員長)    谷垣 禎一君
   政務次官
       大蔵政務次官   林  芳正君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       金融監督庁検査
       部長       五味 廣文君
       法務省民事局長  細川  清君
       大蔵省主税局長  尾原 榮夫君
       大蔵省金融企画
       局長       福田  誠君
       国税庁次長    大武健一郎君
       通商産業大臣官
       房審議官     林  洋和君
   参考人
       日本政策投資銀
       行総裁      小粥 正巳君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○租税特別措置法等の一部を改正する法律案(内
 閣提出、衆議院送付)
○法人税法の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
○関税定率法等の一部を改正する法律案(内閣提
 出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(平田健二君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に金融監督庁検査部長五味廣文君、法務省民事局長細川清君、大蔵省主税局長尾原榮夫君、大蔵省金融企画局長福田誠君、国税庁次長大武健一郎君及び通商産業大臣官房審議官林洋和君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平田健二君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に参考人として日本政策投資銀行総裁小粥正巳君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#6
○委員長(平田健二君) 租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#7
○寺崎昭久君 本日は、今回の租税特別措置法のうち、不動産の所有権移転に伴う登録免許税の引き上げを中心に質問させていただきたいと思います。
 改正内容に入る前に、まず登録免許税はどういうところに課税根拠があるのか、権能は何かということについてお尋ねさせていただきたいと思います。
 不動産の所有権を登記簿に掲載しようとした場合には、登録免許税を支払ってそれで必要な登記をすることになっております。この登録免許税を支払うというのが登記の大前提、これを納めないと受け付けないという仕組みになっております。それでは、それによって所有権が発生するのかといえば我が国の法制はそうなっておらず、双方の意思表示確認に基づいて所有権の移転というものが成り立つ、そういう法制度を建前にしていると思います。
 となりますと、この登録免許税というのはどこに課税根拠を求めているのか、登記するということはどういう意味合いがあるのか、これについての確認が必要だと思いますので、大蔵大臣にその辺の御所見ございましたら。
#8
○政府参考人(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 登録免許税の課税根拠についてのお尋ねがございました。
 登録免許税でございますが、登記等によりまして生ずる利益に着目いたしまして、その行為の背後にある担税力に応じた負担を求めるというのが登録免許税の課税根拠でございます。もう少し詳しく申し上げますと、不動産登記について申し上げれば、登記を受けることにより取引における第三者対抗要件を得て財産権の保全が図られるという利益に着目いたしまして、この登記に至ったその背後にある原因、例えば売買であれば売買ということになるわけでございますが、それに担税力、登記の背後にある担税力に負担を求める、こういう税だと承知しております。
#9
○寺崎昭久君 課税根拠は第三者対抗力を付与するということが第一で、金額については担税力に着目するということでありますけれども、普通担税力に着目するというのは所得税とか一定の利益を得るとかそういうところに課税するべきであって、権利創設に対して税額、税率の大小を決めるというのはちょっと筋違いではないかなと私は思うんです。
 この登録免許税というのは言うまでもなく国民の財産権を守るという基本的な部分でございます。したがって、一億円の不動産を守るのでも、百万円の不動産を守るのでも国民としてはひとしく守ってもらわなければならないということでありますから、その限りでは例えば一律一万円の登録免許税という考え方も成り立つと思うんです。その上に担税力というのは、ちょっと税の性格とは違うんじゃないかと。例えば登録免許税を百万円払えば大きい権利を上げますよ、十万円だったら十分の一ですよということではないと思うんですけれども、これは一律にするとおかしいですか。
#10
○政府参考人(尾原榮夫君) ただいま申し上げましたように、登記によって生ずる利益が出てまいりますが、それに着目いたしまして、それではどの程度の御負担をいただくかということになりますと、その背景にございます売買なら売買、つまり多額の土地の譲渡によってそれを登記する、そのような譲渡がなされる売買が原因としてあるわけでございますが、そういう多額の譲渡がなされることにはそれ相応の担税力があるだろう、こういう考え方に立っているわけでございまして、今、先生がおっしゃいましたように、登記の利益は同じではないかということでこの税が成り立っているわけではないということを御承知いただきたい、こういうふうに思っております。
#11
○寺崎昭久君 法務省にお尋ねしますが、所有権の認定をめぐるA、B両者間の係争問題を生じた場合に、例えばA、Bとも登記をしていないといった場合には係争問題については国の権力の関与するところではないから受け付けませんということを法務省は言うんでしょうか、裁判所は言うんでしょうか。
#12
○政府参考人(細川清君) ただいま御指摘の事例はいわゆる二重売買の事例ではないかと思いますが、その場合に民法上どちらに対抗力があるかは、先に登記の申請をして受理した者が対抗力を持つということが民法の基本的な考え方でございます。ですから、ただいまの事例でございますと、いずれの方が申請されましても登記所は受理するということになります。
#13
○寺崎昭久君 ということになりますと、結局残るのは担税力という問題で、それが妥当かどうかということになりますよね。権利創設税というのは私は少し違うのかなという気がしているものですから、この問題はもう少し研究課題にさせていただきたいと思っております。
 それから、土地建物の取引と密接な関係にある税の一つに印紙税というのがございます。少し調べてみましたら、この印紙税の根拠というのは商取引のあったときにそれを行う者がそれ相応の担税力があると、まさに担税力に着目した税のようでございまして、これは十七世紀にオランダで発明されたというようなことを文献が書いております。日本では明治六年にこの税制が導入されたということでありますが、当初は犯則者を告発したら賞金を出しますよとか、あるいは証紙がないと裁判でも証拠になりませんとかいうようなこともあったようでございますが、今日ではその点は相当変わってまいりまして、印紙が張ってあろうとなかろうとその証紙は裁判としての証拠能力を認めているというように聞いております。
 それで、その明治六年と違いまして、その後登録免許税が創設される、あるいは譲渡所得税が整備される、また不動産取得税もできた、建物については消費税も適用されるというようなことで、売買、流通に係る税というのは多重的になってきております。
 そういう中でこの印紙税というものを考えてみますと、既に役割は終わったと考えてもいいんじゃないか。この印紙税があるから不動産の売買、流通が活発にならないのだとまでは申しませんけれども、不動産を取得しようとする者にとっては相当高い税負担になっているということは確かだと思います。ということを考えますと、役割の終わった印紙税というのはこの際廃止の方向で検討されるのが妥当ではないか。ないしは、いろんな税目がございますけれども、もう少し簡素化するということで御検討された方がいいのではないかと思いますが、御所見を伺います。
#14
○政府参考人(尾原榮夫君) 印紙税についてのお尋ねでございました。この税でございますが、経済取引に伴い作成されます文書の背後にあります担税力、経済的利益とでも申しましょうか、これに着目して、広範な文書に対して軽度の負担を現在求めているわけでございます。
 それで、これは廃止したらどうかというお尋ねでございましたが、一つは、ただいまの流通税、資産税にカウントしておりますが、印紙税、登録免許税合わせまして一兆五千億円というような大変貴重な税収になっているわけでございます。
 それから、もう一点申し上げさせていただきますと、この税は大変歴史のある税ではございますが、御承知のように所得税、消費税、資産税というふうに課税ベースがございますが、それぞれの税は長所短所を持っているわけでございます。私どもといたしましては、これらのバランスをとりながら全体として公平公正な税制を築き上げていく必要があるというふうに考えておりまして、この印紙税、登録免許税はそれなりに大変存在意義の強い税制であろうというふうに思っておるわけでございます。
 なお、印紙税について申し上げますと、消費税導入の際にいささか不合理であった点は改善させていただいたということがございます。
 それからまた、不動産について特に税負担が重いのではないかというお話でございます。そのような御要請あるいは土地対策等の観点から、実は平成九年度におきまして、この不動産の譲渡契約書あるいは請負契約でございますが、従前に比較いたしまして一割から四分の一軽減するということを行っておりますし、また住宅につきましては同じ平成九年度に千分の六から一・五、あるいは譲渡の場合でございますと住宅については千分の五〇から三にするというような負担軽減措置を講じているわけでございまして、先生は廃止ということをおっしゃいましたが、実情にはそのような形でのできる限りの配慮がされているところでございまして、廃止というのはなかなか困難であるというふうに考えております。
#15
○寺崎昭久君 後ほどもう一度改めて問題提起をさせていただきますが、登録免許税をめぐって脱税まがいの行為が行われているということの一因に、少しこの不動産売買、取得に係る税金が高いではないか、負担が大き過ぎるんじゃないかということが背景になっているんではないかというように思うものですから、この際、印紙税を含めて全体を見直したらどうでしょうか、水準はこのままでいいんでしょうかという問題提起をさせていただいたような次第でございます。今後とも私も研究いたしたいと思います。
 ところで、今回の租税特別措置法の改正の中に、第八十四条の五関係というのがございます。これは土地の登記に係る登録免許税の課税標準の特例の適用を三年間延長するという内容でございます。
 この関係について少し過去にさかのぼってみましたら、平成六年の改正では固定資産課税台帳の価額について千分の四百に圧縮する特例をつくる、それから平成九年にはそれを若干延長する、平成十一年には千分の四百だったものを三分の一にすると。これはこの三月に切れるのでこの四月一日から三年間、三分の一という適用を延長するということだと思うんですが、この平成六年以降の課税標準を下げるという効果がどの程度あったと把握されているのか、認識されているのか。それから、この先三年間、三分の一という特例を設けることがどういう効果があると期待した結果なのか、それについてお尋ねします。
#16
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、先生からお話がございましたように、平成六年度に、現在の登録免許税の課税標準は固定資産税の評価額になっておりますが、これを四〇%部分、つまり六割部分を軽減する、こういう改正を行っております。また、今回の改正では、今これも先生からお話がございましたが、軽減割合を六割から三分の二に拡大する、つまり三三・三%、四割から三三・三%の課税標準にするということにいたしまして、三年間延長することにしているわけでございます。
 これは、平成六年に実は固定資産税の評価額が大幅に引き上げられることになったわけでございますが、固定資産税の関係で、そのまま放置すれば負担が大変過重なものになってまいりますので、バブル以前の税負担水準を勘案し、この軽減割合を三分の二にするという措置を設けたわけでございます。さらにその後、三分の二に軽減割合を拡大したわけでございますが、これは現下の経済情勢から見まして、土地なりの流通を活性化していく必要があるというような御要請もございまして、そういうことからさらにこの軽減割合を高くして三年間延長するということにしたわけでございます。
 どの程度の効果があったかというお尋ねがございましたが、私ども税収で見る限り、このような効果もあって登録免許税の都市部の税収が少し細ってまいってきているという傾向を見ておりまして、それなりに経済の活性化には役立っている、あるいは現実の実情に合った制度になっているのではないかというふうに思っております。
 それで、二番目のお尋ねといたしまして、この三年間延長は租税特別措置という形でやらせてもらっているわけでございますが、これは税制として本来このような状況を長く続けるということは必ずしもいいことだとは思っていないわけでございます。御承知のように、平成十二年度の固定資産税の評価がえではさらに固定資産税評価額が引き下げられるということもございますし、また土地をめぐる諸状況がどう変わっていくか。今、依然として低下傾向にございまして、本来的にこの税制がどうあるべきかということを考える状況にはまだ来ていないというふうに思っております。
 したがいまして、今回三年間の延長をお願いしてございますが、今のような経済状況等々から考えますと、現状においては適切な措置ではないか、こういうふうに考えているところでございます。
#17
○寺崎昭久君 課税標準に特例を設けることによって、土地や建物を取得する人の税負担を軽減するという効果は確かにあるんだろうと思います。しかし、逆に考えますと、それによって多少なりとも取引が活発になるとすれば、税金が少し高過ぎるということを意味しているんではないかというようにも思います。
 それからもう一つは、今特例をいつまでも続けていいかというお話もございましたが、それをおっしゃるのでしたら、登録免許税を土地と連動させていいかという問題にもなるんではないでしょうか。
 先ほど担税力ということをおっしゃいましたけれども、担税力に着目するから土地と連動させて登録免許税の水準を決めるというやり方はそれぞれ納税する人の立場は全く無視したことであって、例えばここで売り出せば利益が大きくなると思って売る人と、あるいは相続したけれども持ち切れないから売るというやむにやまれず売る人と、そういったことを全然度外視して、国から見ると税収が少しでも上がるように連動させるんだというのは、ちょっと税制のあり方としていかがなものかという気がいたします。
 それで、伺いたいのは、登録免許税を地価に連動させることの是非。それからもう一つは、登記原因別の税率格差というのがございます。例えば相続であれば千分の六、共有分割の場合であれば千分の六、売買であれば千分の五十ということになっておりますが、そういう税率格差を設けることの意味、妥当性ということについても伺いたいと思います。
#18
○政府参考人(尾原榮夫君) 今お話がございましたように、相続あるいは法人の合併の場合には千分の六、遺贈、贈与等の場合は千分の二十五、共有物の分割は千分の六、売買、交換の場合は千分の五十というふうに税率区分が設けてあるわけでございます。これは、同じ価額の不動産の所有権の移転登記でございましても、それぞれの対応、つまり無償で移転する場合、有償で移転する場合、あるいは人格を承継する場合等々でその登記の背後にございます担税力が異なってくるということに着目して、担税力に応じてその負担を求めるということを目的としているわけでございます。
 それで、さきの御質問の中で、不動産の価額等というお話もございましたけれども、不動産の価額というのは登記を受ける際の利益に着目する、あるいは担税力からいたしましてもそれなりに合理的なものではないかというふうに考えているわけでございます。
 なお、この登録免許税は一種の外形税といいましょうか形式でいただく税金になっております。それは納税者の便宜とか、いろんなことを考えているわけでございますが、いわば外形に着目した税といいますのは、所得課税と異なりまして、現実にどうであるかということに着目しないというよさもあるわけでございまして、先生のおっしゃいますように、実情に合っていないではないかというお話も出てくるんだろうと思います。ただ、先ほど申し上げましたように、実情を問わず形式的な売買であるとか相続であるとか、そういうことでいただくというところにまさにこの税のよさもあるということを御理解いただければというふうに思うわけでございます。
#19
○寺崎昭久君 登録免許税を決める際に、まず掛け算になる方の課税標準を上下させる、一方では登録原因別に税率を変えるということでは、やっぱり権利創設とは無関係に、取りやすいところから取りやすいように取るということが余りにも強過ぎるんじゃないですか。
 例えば税率の問題について言いますと、遺産相続をする人はむしろ担税力がある人じゃないですかね。ということだったら、売買と同じように、私はこうしてくださいと言っているんじゃないんですが、理屈で千分の五十を適用したって担税力だけだったらいいんじゃないかと思うわけであります。どうして片一方の遺産相続の場合に千分の六で、売買だと千分の五十で、その担税力はどう違うからそういう差をつけているのか。もう一回説明してもらえますか。
#20
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、相続税の場合なら担税力はもっとあるではないかというお尋ねでございました。
 先ほどちょっと申し上げましたが、相続とかあるいは合併と申しますのはいわば人格を承継する、それに伴って登記をしていただくという面がございまして、お考え方のように、相続をもっと高くすればとか、あるいはバランスがとれないというお話もございましょうが、現在の考え方としては、人格を承継する者については原則として千分の六という整理をしていることを御理解いただきたいと思っております。
#21
○寺崎昭久君 この問題は、余り繰り返しませんけれども、冒頭に申し上げたように、登録免許税というのが権利創設的なところにウエートを置いているのか、担税力に着目して税収をふやそうということにあるのか。それだったらそれで、きちんとほかの税制等も含めて整理する時期に来ているんではないかと思います。ぜひ御研究をいただきたいと思います。
 それでは次に、今回の租税特別措置法の八十四条の四、これは共有物分割による不動産の所有権の移転登記の税率の特例でございますが、これを新設する理由について伺いたいと思います。
 まず、その理由を伺いたいんですが、先般、会計検査院が発表した平成十年度決算検査報告によりますと、国が平成十年度中に受けつけた土地建物の登録申請のうち、共有物の分割を登記理由とした所有権の移転について二千百三十一件調べたと。これは三十二登記所を対象にしたそうでありますが、そのうちの六百五十五件が本来の共有物分割に相当するとはみなしがたい内容が含まれていたと。つまり、本当の目的は共有物の分割ではなくて売買であるので今の千分の六を掛けることについては問題ありという指摘をし、それによって得べかりし税収というのは十四億円強あったということでございます。
 二千百三十一件というのがこの共有物分割に係る登録の何%か私つまびらかではございませんけれども、こういうような脱税まがいの行為があったので今回の税制改正になったのかなという推測もしておりますけれども、この辺の経過について御説明いただけますか。
#22
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回、租税特別措置法八十四条の四というものの新設をお願いしていることはそのとおりでございます。
 それで、今、先生からお話がございましたように、昨年の十二月でございますか、会計検査院の平成十年度検査報告の特記事項といたしまして御指摘をいただいております。現在、共有物の分割の税率は千分の六になっているわけでございます。売買等は千分の五十でございます。
 そこで、実際は売買取引であるにもかかわらず、登記上、最初はごくわずかの持ち分について売買による移転登記を行いまして、その残りの持ち分については共有物分割による移転登記を行うという手法により登録免許税の負担の一部を免れている実態が散見されるということで、先ほどの件数、お話がございましたが、そのとおりの御指摘をいただいております。
 それで、会計検査院は、「適正公平な課税の実現が図られるよう、登録免許税の税額の認定及び納付の確認を行う法務省、租税に関する制度の調査、企画及び立案を所掌する大蔵省等において検討、協議を行い、本件事態の是正に向けた適切な措置が執られることが望まれる。」、私どももこのような実態を御指摘いただいたわけでございまして、まさに脱法的行為と認識しております。
 今回、改正を行いませんと、このような方法があるのだなということが広く認知されるものでございますから、今回、一番早い時期にその是正を図るための租税特別措置法改正をお願いしているところでございます。
#23
○寺崎昭久君 今回の改正の問題点については後で触れますけれども、その前に、共有物の分割を原因とする登記というのは年間どれぐらいあるんでしょうか。
#24
○政府参考人(細川清君) 大変恐縮ですが、ただいま資料を持っておりませんので、後ほどお届け申し上げたいと思います。
#25
○寺崎昭久君 それでは、全国に登記所というのは何カ所あるんですか。
#26
○政府参考人(細川清君) 登記所といたしましては、全国の法務局、地方法務局の本局、それからそれぞれの支局、出張所とございまして、全国で約八百でございます。
#27
○寺崎昭久君 八百のうち三十二カ所で調べた結果だから、その比率で共有物の分割登記があるとは思いませんけれども、相当な数がなされているんだろうと思います。
 この会計検査院の調査結果では、それのうちの三割は本当は商売目的の登記ではないかという疑いを持たれているわけですから、全国的に見るとこれの何倍とか何十倍に上るそういう取引が行われている可能性もあるのかなというように思われます。
 ところで、その問題に入る前にですが、この共有物の分割にはいろんな言い方がありまして、例えば現物分割あるいは補償分割、価額賠償分割、代償分割と、法律用語がどうも一定になっていないんでしょうか、地方によってもいろんな言い方をするんですけれども、この差というのはどういうふうに考えればいいんですか。
#28
○政府参考人(細川清君) 共有物分割ができることは民法で規定しておりますが、その方法については特別に規定していないわけでございます。ですから、さまざまな分割の仕方がございまして、例えば土地を二分の一ずつ共有しているという場合には現物で半分に分筆する場合もございますし、あるいは二分の一の持ち分に相当する金銭を他方の者が交付することによってその他方の人が全持ち分を取得するというやり方もあります。この後者の仕方は昔から裁判例でも認められている、最高裁の判例もございますが、認められているものでございまして、一般的には価額による補償、そういうようなことが言われております。
 したがって、学問的な用語といいますか、そういうものでございますので、厳密な定義はないわけでございます。
#29
○寺崎昭久君 ということは、共有物分割を大別すると、現物分割と、賠償分割というんでしょうか、価額の伴う分割の二種類ありますということですよね。
 今回の法改正というのは、現物分割には簡単に言うと千分の六、それ以外のものには千分の五十を適用しますというような内容になるわけでしょうか。
#30
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回の法律改正でございますが、千分の六が対象になりますのは、まさに現物分割というふうに申し上げましょうか、各所有者の共有物を所有者の持ち分に応じてそれぞれの共有者に分配してそれぞれの個人のものとするということを念頭にしてございますが、あくまでも分割ということを利用して実態は売買であるというものを是正するための措置でございますので、それ以外のというふうになってまいりますと、そこはいささか違う点も出てこようかというふうに思っております。
#31
○寺崎昭久君 私もこういう不動産取引には素人ですし、なかなか耳で聞いていても大変わかりづらいんですね、言葉のやりとりだけでは。
 それで、先ほど不正まがいとか脱税まがいとかいうお話をされましたが、さっき御説明がありましたが、こういうことになるんでしょうか。例えば百坪の土地を百万円で買ってこれを登記するとする、そうしますと普通は千分の五十が適用されますから五万円払わなければならないと。これはさておいて、百坪のうち一坪だけ売買をする、そうするとこれは一万円でやり、なおかつ取得した人は千分の五十、五百円を登記料として払うと。そうしまして、九十九坪と一坪というのは共有状態であるということにしているわけですね。それで、後日、一坪の人に九十九坪を共有物分割という格好で売り渡せば九十九坪分には千分の六しか課税されないと。これを避けよう、この峻別をしようというのが今回の法のねらいということですよね。
 なぜこの千分の六というのが設けられたのか、その辺について説明していただけますか。
#32
○政府参考人(尾原榮夫君) 共有物になる前にその原因はあるわけでございますけれども、今ある持ち分の割合に応じて筆を分けるということでございますので、それに着目すれば、売買等の千分の五十ではなしに、その担税力からして千分の六が妥当ではないかという考え方になっているわけでございます。
#33
○寺崎昭久君 今のは、重複した課税を避けると。既に売買登記とか最初の登記で千分の五十で登録免許税を払っておりますので、それを分割する場合には同じ税率ではなくて軽減した税率をかけるということですね。
#34
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、二重にかかるからというようにとられたといたしますと、そこのところはそうではございません。共有物分割にいたしましても、所有形態が変わったということで登記により公示されるわけでございますが、それによる利益は当然存在するわけでございます。
 他方、担税力という点で考えてみますと、これは前から持っておりました土地の一部を持ち分に応じて所有する、そういう意味で新たな土地の取得とは異なる面がある、こういうことから、売買による所有権の移転の登記に対する税率よりも低い税率にしているわけでございます。
#35
○寺崎昭久君 二重課税ではないけれども、既に登録免許税を一度払っている、その土地について分割をするということなので千分の六を適用しましたと、そういうことでございましょうか。
#36
○政府参考人(尾原榮夫君) もう一度申し上げますと、千分の六といいますのは、登記の利益は御説明申し上げましたが、今まで持っていた持ち分に応じて分割するということですから、担税力等の点で新たな土地の取得とは異なる、そういうことでございます。
 当初の原因が売買であるという場合でございますが、当初は千分の五十で後は千分の六ということでございまして、こういう言い方がいいのかどうか、二重に千分の五十はいただいていないという意味では先生の御指摘のとおりのような面があろうかと思います。
#37
○寺崎昭久君 脱税まがいの共有物分割が行われ登記されていると。全貌についてはまた後でお知らせいただければと思います。共有物分割がどれぐらいあるのか、全体の脱税まがいがどれぐらいあるのかというのは推定するしかないのかもしれません、現状は。
 ただ、会計検査院が行った調査によりますと、共有物分割を原因とする登記というのは全体の三〇%がちょっと怪しいよと。ということは、逆に言うと七〇%はちゃんとやられているということでしょうか、本来の共有物分割であるということでございましょうか。どうでしょう。
#38
○政府参考人(尾原榮夫君) 会計検査院からの数字は承知しておりますが、全体としてどのぐらいかというのはちょっと私ども把握していないということで、お許しいただきたいと思います。
#39
○寺崎昭久君 会計検査院も報告書で、大蔵省と法務省が協力をして、協議をして改善策を見出しなさいということも言っておりますので、この点についてはぜひ忘れずにやっていただきたいなと思っております。
 ところで、徴税に関して国税の皆さんが日夜努力されているということは承知しているつもりですし、敬意もあらわす次第でありますけれども、しかしながら会計検査院の調査によりますと、三〇%ぐらいが共有物分割に係る登記で少し疑義がある内容であるとすれば、残念ながら税の執行が適正に公平に行われていないんではないかということを疑わせる内容ですし、それをこれまでずっと放置してきたのかということにもなると思います。
 それから、この登録免許税に関していえば、法務局登記官が課税額を確定する、認定するということで自動的に納税がされるようになるわけです。つまり、税務署の立場からいうと、ほとんど手を下すことなく税金が入ってくる仕組みということになるわけでありますけれども、逆に言うと、国民の痛税感だとかそういったものが全く感じられない。国の仕組みとしては登記官が税額を確定するというのはわかっていますけれども、ただそういう仕組みでいいんだろうかという疑問もあるわけであります。税務署の職員が足を運ぶとか、疑義があった場合にはそれについて調査をするというようなことも今後必要ではないかと思います。
 国民の間には、おれは少し納め過ぎているんじゃないかということを言う人もおります。つまり、適用された税率というのが違うんじゃないかなということを言う人がおりますけれども、大方の場合には司法書士の先生がこうだと言うから、あるいはこれを納めないと法務省は受けつけてくれないと言うから黙っていると。確かに仕組みとしては不服を申し立てる制度、審査制度というのもありますけれども、実際には使われていないということが多いように聞いております。
 また、例えば登録免許税を納め過ぎだというようなことを登記官が発見したという場合には修正申告をすることになっていますね。それについても、税務署は、ああそうですかということで受け取るだけということで、この問題についてはほとんどノータッチなんです。そのことが今回の脱税まがいを生んだ素地にもなっている。一方は書面審査だけで税額の確定をする、税務署の方はその報告だけで処理をする、そういうことが不正の素地になっているんだと思います。
 このことについて、会計検査院は、先ほども言われましたけれども、適正公平な課税の実施が図られるように、登録免許税の税額の認定及び納付の確認を行う法務省、それと租税に関する制度の調査、企画及び立案を所掌する大蔵省等において、等というのは国税庁も入っているんだと思いますが、等において検討、協議を行い、本件事態の是正措置をとることを期待しているわけでございますと。
 途中ですけれども、大蔵大臣、何か御所見はございますか、今のやりとりはいろいろ技術的でございましたが。
#40
○国務大臣(宮澤喜一君) 今、共有の場合のケースについて詳しくお尋ねがありまして、これは確かに従来の税制の欠陥でありましたし、またそこを恐らく利用された方々が少なからずあるということ、会計検査院から指摘のあったことですが、それにつきまして、今回、租税特別措置法の改正をお願いいたしておるわけでございます。
 しかし、それだけでは実はいろいろ問題がありまして、不動産登記制度そのものが真実の登記原因をあらわすものかどうかといったようなもとにいろいろな問題がある。そういうことについて法務省と大蔵省は十分にさらに検討すべきであるという御指摘でございます。それはまことにごもっともな御指摘でございますから、両省においてさらに検討しなければならないと思います。
#41
○寺崎昭久君 法務省にもお尋ねしておきますけれども、今、実際の課税の確定というのは書面審査で行われているわけであります。昨今の状況からいいますと、いろんな商品がいわゆるネット取引とか相当形態が変わってきていますよね。決済の方法についても変わってきていますけれども、書面審査というようなやり方がこれからもずっとやれるんでしょうか。私は工夫というか検討、見直しをする内容を相当含んでいるように思うんです。
 というのは、取引を円滑に進めるということを軸にして考えますと、今の書面審査方式というのは相当スピードを落としたり効率を悪くしたりしているように思います。その辺について御見解を伺いたいと思います。
#42
○政府参考人(細川清君) 登記官が登記の申請があった場合には登記の申請に係る事項が適法に登記できるものかどうかということについて審査することになりますが、これにつきましては、権利に関する登記につきましては、ただいま御指摘がございましたように、いわゆる形式的審査主義というものが不動産登記法上採用されています。これは提出された申請書類と登記簿等の書面のみに基づいて実体法上及び手続法上の要件を審査するというものでございまして、この制度を採用しておりますのは、国民の不動産に対する権利の保全に重要な役割を担う登記申請事件を適正に処理する必要がある一方で、年間、昨年ですと千九百万件ということでございますが、こういった膨大な登記事件を迅速に処理する必要があるということから採用されているわけでございます。
 なお、ただいまネット取引等のことに御言及でございますが、昨年の臨時国会で電気通信回線による登記情報の提供に関する法律が成立いたしました。これはインターネットによりましてコンピューター化されている不動産登記簿等の閲覧をすることができるというものでございます。また、ミレニアムプロジェクトでは行政の情報化ということがうたわれておりますので、私どもといたしましても、今後、不動産の登記の申請等についてどこまでコンピューター化できるのかということを真剣に検討していかなければならないなというふうに考えているところでございます。
#43
○寺崎昭久君 それでは、租税特別措置法の八十四条の四の中身についてお尋ねします。
 今回の改正で共有物分割を原因とする所有権の移転登記については原則として千分の五十にしますよということを言った上で、ただしこういう条件を満たしている場合には千分の六にしますというただし書きが第二項にあると思いますが、この中身をなるべくわかりやすく説明してもらえますか。
#44
○政府参考人(尾原榮夫君) 今の八十四条の四の第二項の概要を御説明申し上げますと、まず共有物の分割をするためにはその従前の土地につきまして分筆による表示の変更登記が必要でございます。したがいまして、そのような変更登記がなされている場合で分筆後の他の土地について行われます共有物分割を原因とする登記と同時に申請されたものであるとき、つまりこちらの方、分筆いたしました場合、AとBと二つございますとBの方も一緒に分割してなされるという場合は、従前の土地に有していた持ち分の価額に対応する部分に限り登録免許税の税率を千分の六とするというふうにしてございます。
 これは会計検査院からいただきました一種の脱法的行為を防止するということを念頭に置いて定められているわけでございまして、法制的に申し上げますと、こういう場合は千分の六というふうに書いていくというやり方と今度のような法制の書き方と二つあるかと思いますけれども、実はポジ方式といいましょうか、それはありとあらゆる場合がございまして法律でどうしても書き切れない、したがいましてネガといいましょうか、まず五十として、それで千分の六というふうに書かせていただきました。
 なお、繰り返しになりますが、これは実態は売買であるのにというものに対する適正化措置でございますので、それ以外の場合について申し上げますれば登録税法全体の中で合目的的に解釈すべきものである、こういうふうに認識しているわけでございます。
#45
○寺崎昭久君 共有物分割についても中身で見るといろいろ違いがあるので、全貌について法律に書き込むことは難しいという事情はよくわかりますけれども、今回改正するに当たって司法書士会連合会の意見を聞かれたのかどうか。この改正案についてどういう意見だったのか、お聞かせください。
#46
○政府参考人(尾原榮夫君) 現在、税務の執行で申し上げますれば、例えば多額の現金納付や過誤納があった場合、税務署がそれを行う、後は登記所のまさに書面審査に基づいているということで、先生から御指摘がありましたように、その実態についてこれまで是正されてこなかったということはそういう事情もあり大変残念であったというふうに思っておりますが、そういうことで、この法律の改正をいたします場合、現場をよく御存じの法務省と相談しながら改正を行わせていただいたわけでございます。
#47
○政府参考人(細川清君) 不動産登記に係る登録免許税は登記の実務に大変影響がございますし、またひいては司法書士さんの業務にも影響がございますので、私どもとしては、今回の改正につきましても、大蔵省と協議している中で、日本司法書士会連合会の役員の皆さんにもこういう内容で検討が進んでいるということを、会計検査院の指摘も当然ですが、御説明申し上げております。特段、今回の改正について問題があるという御指摘はなかったというふうに聞いております。
#48
○寺崎昭久君 今、大蔵省から千分の六を適用する場合の原則というか、こういうケースは千分の六にしますというお話がありましたけれども、具体的に幾つか事例を伺っておきたいと思います。今の八十四条の四の第二項に関してです。
 お手元に二枚物のペーパーを用意させていただきました。説明するのがなかなか難しいのでこういうペーパーにしたわけでありますけれども、この法案では分筆登記が一つの条件になっております、分筆をするということが。この一枚目にあると思いますが、A、B、Cの土地について甲、乙二人の人がそれぞれ二分の一ずつ共有していたとします。これを二つに分けてそれぞれの占有に登録し直しましょうやといった場合には、この真ん中から例えば線を引く。真ん中の図になるわけですが、そうしますと、Bというのが半分に割られ、AとCは手つかずになるわけですね。そうすると、AとC地というのは分筆はもう既にされておりまして、これを改めてやるとかいうことにならないわけであります。こうした場合には千分の六は適用されないんですか。
#49
○政府参考人(尾原榮夫君) ただいまのケースでございますが、これで拝見いたしますと、B地をB―1とB―2に分けるところ、これは千分の六でございますが、このAとCのところはいわば交換に当たるというふうに思われますので、千分の五十になるのではないか。
 これは何も脱法という話じゃございませんので申し上げますと、仮にA、B、Cを一度合筆といいましょうか、一つの土地にして分けていただければ千分の六が全体に適用になってくると。法律的構成として申し上げますと、ここは交換に当たるのではないかというふうに思います。したがいまして、A、B、Cを合筆していただく、それでやっていただくというのが実態に即した姿になるんだろう、こういうふうに思います。
#50
○寺崎昭久君 それは役所の理屈、都合でして、一度やってからまた半分に分けてくださいというのは役所の都合で、既にこのA、B、Cと分かれているものをそうせずに、こういうケースはAについてもCについても千分の六を適用するというようにまず考えていただいて、その後、B地を半分にした場合にどうするかということになるんじゃないんですか。
#51
○政府参考人(尾原榮夫君) いささか法律的といいましょうか、形式的に、置きかえかもしれませんが、AとCも同時にまだ共有状況にあるわけでございますね。それをどちらかに片寄せするということになってくるわけでございます。
 今の例で申し上げますと、Cにも実は共有持ち分がある、Aにも共有持ち分があると。それをどちらかに片寄せするということにこの場合なってまいりますので、私どもはそこはいわば交換ということになるのではないかというふうに思います。そういうことで、この場合は、A、B、Cを分ける場合には合筆されてそれで分けていただくということかと思います。
#52
○寺崎昭久君 このケースは極めて単純なケースで書いておりますけれども、実際の取引の中には数筆の土地が一団として利用されている場合があるわけです。それが全体として分筆されることがあるわけですけれども、そうなったとしても、その際に実際には分筆されないような土地が出てくるわけですね。もしそういうのが出てきたら、もう何もかにも全部込み込みで一つにしてから分割し直しなさいというのはちょっと役所の都合過ぎるんではないですか。
#53
○政府参考人(尾原榮夫君) 先生のような御指摘をいただくわけでございますけれども、ただいまの例でございますと、ちょっと表現が悪いのでございますが、たまたま一団として利用されていたということでございまして、その場合を、一団として利用されていない場合、きちっと分けられている場合と区別して取り扱うという理由はなかなかないのではないかというふうに思っているわけでございます。
#54
○寺崎昭久君 土地の取引というのは、あるいは分筆というのはいろんな複雑な形態をやっているということを御認識して、この場合にはこの税率、この場合にはこういう税率というのをもう少し細かく指導というか基準を示すことが必要ではないか、そうじゃないと現場に混乱を生じさせるんではないかと思っております。
 それから、今回の第二項の条件の中に、同時に登記しなさいということが書いてあります。この図でいうと一番下の甲、乙、AとB―1、それからB―2とCと、この二つの登記をやるという場合なんですが、例えば甲はちょっと今手元不如意で登記はしたくない、所有権の移転はやりましょう、だけれども登記はもうちょっと秋になってからやりましょうといった場合に、乙の方はいや都合があって私は登記をしたいんだというと、この乙は千分の五十適用されるんですよね、同時に登記しないわけですから。同時にやらないと千分の六を適用されないわけです。だけれども、こういうケースというのはたくさんあるんじゃないですか。どうなんでしょうか。
#55
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、納税者の方のいろんな事情があるではないか、そういうところにも目配りをすべしということで、先生のおっしゃることはよく理解できるつもりでございます。
 ただ、今回のような一種の脱法的行為がなぜ起きたかといいますと、一緒にやらずに後で分割というのが出てくるということが一つの原因になっておりますので、ここは適正化ということでございますから、そこは同時に行っていただきませんとこの適正化というのができなくなるわけでございます。
 したがいまして、紛らわしい場合がいろいろ出てくる可能性がございます。その辺は今後、取扱通達なりできちっと明確にすべきものはしていく必要があろうか、こういうふうに思っております。
#56
○寺崎昭久君 脱税まがいの共有分割の登記をするというのを防ぐのはぜひやっていただきたいと思うんです。
 ただ、先ほど会計検査院の報告の中で御紹介したように、たまたまかもしれませんが、取引の三〇%が紛らわしい、疑わしいということであって、七〇%は普通の本来の目的に沿った共有物分割登記をやっているわけですね。だけれども、これを押さえるために七〇%の人が巻き込まれるというか、間違った本来あるべきじゃない税率を適用される可能性があるということを懸念しているわけであります。一律に網をかけようとすると、玉石混交というんですかね、もっとわかりやすく言えばいいんですけれども、そういう網のかけ方になるのでということを心配しております。
 それから、三つ目のケース、せっかく資料を用意したので、これはどうなりますかというのをお尋ねします。
 これはもともとA地を持っていた人が区画整理を行って、結果的にはA―1、A―2という形になり、A―2を売却したという場合の登録免許税はどうなりますかということを説明する内容でございます。
 区画整理による分割換地というのは、区画整理が始まりますともと私の土地だなんというのは全くわからなくなってしまうのが一般的だと思います、くいも抜いて全部整地しちゃうわけですから。したがって、分筆登記というのが現実にはできなくなると思います。それから、区画整理というのは往々にして五年とか十年とか長期間を要します。その間それでは売買が全くできないのかというと、もとの土地を念頭に置いた取引は認められている、現実に行われているということだと思います。
 仮に一筆の仮換地を複数の区画に分けて分譲するということを考えてみた場合、これはたまたま二つに分けてという例を出しているわけでありますが、どうなるかというと、その場合の登記というのは仮換地の面積を分母として分譲を受けた区画の面積を分子として持ち分登記をとりあえずするということになります。
 この図でいうと、甲はA地を所有したけれども、A―1、A―2に分割して仮換地の指定をしてもらう。仮換地の間は分筆ができないということなので、下のようにA―2について登記をすることはできませんから、その場合には持ち分登記を行うということだろうと思います。ですが、このとき乙は登記をするということですから登記料を払わなければなりません。当然このときは売買ということですから千分の五十が適用される。
 ですが、この状態というのは、甲、乙両方の共有地ということになりますよね。共有地になった後に、実際には土地の共有者は区画整理組合に分割換地をするように求める、すなわち一筆の従前地に対して複数の区画の換地をすることを求めるということになるんだと思います。それで、区画整理の最終段階で換地処分を行う、つまり本換地が行われるという、この右の下の方に書いている内容でございます。従前地に対する複数の分譲区画に応じた換地がなされて、それぞれが登記簿に登記される。その際に、分譲区画購入者はそれぞれ単有にするために持ち分のやりとりをし、それで自分のものに登記するわけでありますけれども、この際、登記簿にどういうふうに書かれるかと聞いてみましたら、土地区画整理法の換地処分、他の換地、何町何番の土地とあるだけで、分筆による表示の変更の登記ということがなされていないのが一般的だそうでございます。
 そうした場合に、乙の人は千分の五十を払うのか千分の六を払うのかというのが問題になるんですが、法律上は、現在の法律では千分の六が適用されますが、今回の改正によってどうなるのかというのは明示的ではございません。
 この図でもう一回説明しますと、上の方は登録免許税を二十万円払いました。それで、ここで共有状態になりました。その後、本換地になるとAは相手から持ち分をもらうわけですから、このもともとの土地の六百万円掛ける千分の四百、これに千分の六を掛けて登録免許税を算定するというのがこれまでのやり方です。ですが、今回もし千分の五十ということが適用されることになりますと十二万円、今までだと一万四千四百円だったのが十二万円払うということになるわけです。A―2を取得する方も同様でございます。
 なお、この図面の上の方が千二百で下が合計千平米になっているのは、これはいわゆる減歩でございますのでネグレクトしてあります。
 こういうような区画整理時の分割型換地の際は千分の六を適用されると考えていいのか、御答弁願います。
#57
○政府参考人(尾原榮夫君) ただいま先生からお話のございました例でございますが、これは登録免許税を不当に免れる、回避する意図でないことは明らかでございまして、またそのような換地が行われたということが登記簿上も明らかになるわけでございます。
 したがいまして、この下のケースでまいりますと、途中の考え方は、一言で言えば分筆が同時になされたと考えることができるというわけでございまして、本来の共有物分割の要件を満たしていると考えております。したがいまして、A―1、A―2地とも、改正で十二万円という高いのが書いてございますが、そうではなくて、従来どおり一万四千四百円の方が適用になる、こういうことでございます。
 お尋ねのような不分明な、なかなか納税者の方にはわかってもらえないようなケースがあろうかと思いますので、よく法務省と協議いたしまして、その取り扱いをきちっとさせていただきたいと思っております。
#58
○寺崎昭久君 具体例についてはこれ以上申し上げませんけれども、例えば今の図面の中でA―2地をさらに半分にして売るなんというケースもよくありまして、その場合にはどうなるんだと。もう切りのない問題ではございますけれども、現場が混乱しないようにお計らいいただきたいと思います。
 それから、遺産分割の場合の税率をどうするのかということについても確認しておきたいと思います。
 法定相続による相続登記がされた後に、遺産分割を原因として持ち分を移転するということがよくあると思います。その際に、登録免許税法別表第一の一「不動産の登記」というところですが、それには遺産分割を原因とする場合の税率についての記載がありません。従来は遺産分割を原因とする登記の税率は共有物分割の登録免許税に準じて千分の六にするということになっていたわけでありますが、今回の改正によってこれがどうなるのか、従前どおり千分の六を適用するというように考えていいのか、お尋ねします。
#59
○政府参考人(尾原榮夫君) 今お尋ねのケースでございますが、これはまさに遺産分割協議書あるいは遺産分割を原因とする登記であることが明らかになるわけでございますから、相続による移転の登記の千分の六になるというふうに考えております。
 従来、登記実務で千分の六ということで一緒であったということから、準じて取り扱われるということに起因する御懸念かと思いますが、これは相続を原因とする登記でございますので、この件につきましても、従来同様千分の六になるということを、法務省とよく相談いたしまして、その取り扱い実務できちっとわかるようにしていきたい、こう考えております。
#60
○寺崎昭久君 先ほど来、局長が、現場が混乱しないようにこういうケースについてはこの税率ですよという、そのもう少し詳細なものを、基準をつくられるというんでしょうか、そういったものを公表していただけると考えていいんでしょうか。政省令になるのか、スタンダードなんということになるんでしょうか、事例集というんでしょうか、そういったものを用意していただけるかどうか。
#61
○政府参考人(尾原榮夫君) 現実の取り扱いは登記所におきまして書面審査を行うということになっておりますので、これまでも相談してまいりましたが、法務省サイドの方の取り扱いできちっと明らかにしていただくよう、今お話を申し上げているところでございます。
#62
○政府参考人(細川清君) ただいま主税局長から御答弁があったとおりでございまして、私どもとしても、今回の改正の目的がどういうところにあったのかということを踏まえまして、ただいま取り上げられた細かい問題につきまして、取り扱いにそごがないように既に通達等を準備しているところでございますので、現場の取り扱いが混乱することのないよう十分配慮してまいりたいと思います。
#63
○寺崎昭久君 終わります。
#64
○委員長(平田健二君) 午前の質疑はこの程度とし、午後三時まで休憩いたします。
   午前十一時十九分休憩
     ─────・─────
   午後三時開会
#65
○委員長(平田健二君) ただいまから財政・金融委員会を再開いたします。
 租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題とし、休憩前に引き続き、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#66
○日出英輔君 自民党の日出でございます。
 私は、昨年も金田理事の後、関連質問で税の質問をさせていただいております。ことしは実は質問をする予定ではなかったようでございましたが、急遽登板をすることになりましたものですから、若干勉強不足が目立つかと思いますが、御容赦いただきたいと思っております。
 先ほど寺崎先生のお話を承っておりまして、大変しっかり勉強されて伺っておりまして、おまえは少し居眠りをしていたんじゃないかと言われますと困るのでありますが、大変いいお話を伺ったわけでございます。私はなかなかそういうわけにはまいりませんで、何か縁台将棋に永世名人と八段格の方をお呼びして質問するような形になりますものですからちょっと気が引けているわけでございますが、若干所信を述べながら、大蔵大臣、政務次官あるいは事務当局の方の御意見を承りたいと思っております。
 ことしの税制改正の関係の新聞を読みまして大変悔しい思いをしておるわけでありますが、なかなか点数が辛いというか評価が厳しいといいますか、そういうような感じが実はしておるわけでございます。
 税制改正の評価というのはなかなか難しいような気が私もしておるわけでありますが、昨年は国、地方合わせて九兆円を超す大型の所得税や法人税の減税をした、ことしは減税額が差し引き二千百五十億円にとどまるという、そういう量的な話だけでもないような感じも若干しているわけであります。
 税制の基本原則は、昨年もちょっと伺ったのでございますが、公平、中立、簡素というのが税の関係のいろんなものに出てまいるわけであります。特に公平というのが非常に大事だということを言っておるわけであります。玄人は、税制の議論に通じている方の議論はこれでいいのかもしれませんが、どうも一般国民が税制改正についての評価をしますときに、なかなかこういった公平、中立、簡素といったようなことで評価をしないのではないかという気も実はするわけであります。
 ちょっと素人っぽい話で恐縮でございますが、国民はもっと具体的に、例えば迫り来ます少子高齢化時代にどういうふうにこの改正が向き合っているんだろうかとか、あるいは国際化というものをどういうふうに認識しているんだろうかとか、あるいは現下の景気情勢なり国家財政の悪化状況ということをどういうふうに踏まえながら考えたんだろうかとか、こういったようなことを考えながら、さらには最近でございますと、特に民間活力をどう高めていくのかといったようなことも含めて税制を評価しているような感じがいたします。
 このような観点から見ますと、ことしの税制改正は、例えば住宅ローンの税額控除制度の延長、これも若干いろんな批判がありますけれども、こういう問題、あるいはパソコン税制といったような民間投資の促進の分野、あるいはエンジェル税制の抜本拡充といったような中小企業なりベンチャー企業の振興の議論、あるいは確定拠出年金税制といった年金税制の前進、あるいは相続税の延納の利子税の軽減とか固定資産税の軽減といったような現下の経済情勢への対応といった、かなり前進が見られるような気がしているのであります。
 ただ、新聞の社説を各社ずっと見てきたわけでありますが、なかなかそういうふうな評価もしてもらえない。税制の当局の方は特にそう思われましょうし、私も自民党の方の税調なんかにも顔を出させてもらいまして勉強もさせてもらったわけでありますが、少しもどかしい思いがいたしております。
 そこで、大蔵大臣、お疲れでございましょうけれども、冒頭伺いたいのでございますが、ことしの税制改正の評価ということについてどういうふうにお考えになっておられるのか、ぜひとも御所見を賜りたいと思います。
#67
○国務大臣(宮澤喜一君) おっしゃいましたように、昨年、所得税、法人税を中心に大きな税制改正をさせていただきました。これによりまして、所得税の最高税率もまずこれというところまで下がりましたし、法人税率も国際並みになったということでございますが、実はそれは最終的なものではなくて、もうよく御存じのように、将来ある時期には税制を含めて財政等々、地方も中央も全部パーマネントな制度をつくらなきゃならないということを頭に置きながら、それの邪魔にはならないようにというようなものでございますけれども、これはかなり大きな税制改正でございました。
 したがいまして、ことしお願いしておりますのは、そういうものの翌年でございますから、そういう所得税あるいは法人税等についての大きな改正ということではなく、御承知のように、我が国が不況を脱出する過程でどうしても大企業にも中小企業にも新しい体制に入ってもらわなければならないということがございますので、昨年は最初に銀行の再編に伴います大企業関係の合併とかいろいろなことにつきまして若干の税制をいじらせていただきましたし、それから昨年の中小企業国会で、ベンチャーでありますとかあるいはエンジェル税制でございますとか、そういう本当に強い日本をリードするような中小企業にこれから出てもらいたいということを志向しました税制改正をお願いいたしておるわけでございます。
 もっとも、その間に、やや散発的にと申すのは言葉が悪うございますが、十六歳未満の扶養控除とか、ああいう幾つかの政策目的が入っておりますけれども、基本的にはそういう流れであったと思うのでございます。
 それで、これでほぼ不況を脱出しまして、そして大、中、小の企業が新しい時代を進んでくれる、あるいは四〇一なんという制度もまた一つございますけれども、そういう新しい制度を少しずつ育てていく、そして経済が少しよくなりましたら、これはもう抜本的な財政改革、つまりそれは、税制も、中央、地方の問題も、願わくは社会保障の給付と負担の問題も全部くるめませんと、とても財政だけで改革ができるものじゃないという思いがございますから、いつでございますか、景気が回復するのを見ながらそれへつなげていく、こういうところに我々はいるんではないかと思っております。
#68
○日出英輔君 今回の税制につきましては、先ほど申し上げましたように、幾つかの点のほかに、さらに私は個人的に、SPCに係ります税制改正の問題とか青色申告の特別控除のあり方ですとか、例えば法人税におきます有価証券の評価方法、時価法の導入といったような問題等々、なかなか興味深い課題がございまして、実は一つ一つ伺いたかったのでございますが、時間の関係もございますので、少し議論を絞ってお伺いしたいと思っておるわけであります。
 先ほどの話に続きまして、ことしの税制改正について若干世間の期待と違ってしまった点の一つに相続税の問題があるように思います。さきの臨時国会が中小企業国会と言われまして、中小企業対策の目玉として相続税の減税が焦点になったというふうに承知しているわけでありますが、確かに物の本を見ますと必ず出てまいりますのが、日本の相続税の最高税率が高いという、七〇%というのがありまして、これに反対の局面でカナダとかオーストラリアとかニュージーランドは相続税がないんだという話があったり、あるいはアメリカは最高で五五%とかイギリスは四〇%とか、そういったような諸外国の例を引いておるわけであります。
 先般、ある雑誌を見ましたら、ある製薬会社の後継ぎの方でございましょうか、相続額が六百七十億円で、その半分をその方が相続されたと。ざっと三百四十億ぐらいでしょうか、三百三十五億でしょうか。ところが、この方は税金を三百億払ったという話でございまして、どうも人間はしょせんは欲の塊である、汗して働き得たものをすべて取り上げられてしまうと勤労意欲は確実に低下するので、これは長い目で見れば国家の損失だというようなことをお話しになっていたわけでございまして、これは一般的に前から言われている話だろうと思います。
 中小企業対策の問題で、雑誌に二通りの議論がございました。一つは、中小企業者がこんな高い相続税では子供に事業が継がせられないということとしてお話しになっているのと、もう一つは、冷静に、統計的にはこういった点は余りないんだと、希有な例であって、通常は中小企業者が事業承継しますときに相続税というのはそんなに影響ないんだというようなことを言っている方もおられます。
 実はこれは質問通告していなかったんですが、事務当局の方で見て、この種の話について、中小企業者の事業承継にとって相続税が一つの障壁になっている、障害になっているのかどうかについて、何か統計的にそういうデータ等がありましたら伺いたいと思います。
#69
○政府参考人(尾原榮夫君) お答えいたします。
 ことしの税制改正におきまして、中小企業の事業承継ということで株式評価の見直しを通達で行うほか、延納の利子率の引き下げをお願いしているわけでございますが、この議論に際しまして、その実態がどうなっているんだろうかということを私ども税務署を通じ調べさせていただきました。
 今、突然のお話なので手元にございませんが、後でお届けさせていただきたいと思いますが、それを拝見させていただきますと、今おっしゃいましたように、必ずしも事業承継が相続税のために大変になっているというような形でのデータは得られなかったわけでございます。
 なお、あわせて国民公庫が、これは個人の事業者を含めてでございますけれども、同じように事業承継がどうであるかと、そちらの方でもそのような姿は見られなかったようでございます。人それぞれかと思いますけれども、我々が調べている限りではそのようなものでございました。
 そのような実態を参考にしながら今回の株式評価の通達の改正ということを行っているわけでございます。
#70
○日出英輔君 私も国民公庫総裁のそういった発言が載っていた雑誌をちょっと拝見いたしまして、何かやや、常識というとなんでございますけれども、予想していたのと違ったことを書いておられましたので、あれっという感じもしたわけでありますが、多分、先ほど申し上げたような相続額が六百七十億の半分、三百三十五億の方というのはそうたくさんおられるわけではもちろんないだろうというふうに思います。
 そういう意味で、中小企業の事業承継の問題が今回問題になったわけでありますが、これは相続税そのものというよりは、今、主税局長がお話しになったような株式の評価の問題あるいは相続税の延納利子税率の引き下げの問題、こういったところで実質的に解決しているのではないかという気もしないではありません。
 ただ、私はここから実は混乱をしてくるのでありますが、先ほど申し上げましたように、この七〇%という世界に冠たる最高税率というのをいろんなところに書かれますと、一体これは何だという感じがいたしますし、一方で私のような資産の全くない者からしますと、相続税がかなり高いというのは、ある意味では機会均等というのをこの社会は保障しているんだという一つのイメージみたいなものでもあるような受けとめ方もしているわけであります。
 そういう意味でいいますと、この相続税の問題というのが、最初は中小企業の事業承継の話から出てきたように聞いていたのでありますが、一体この相続税の問題というのは、今後この議論を多分されるんだろうと思いますが、どういうふうな切り口でどういうふうな議論をしていくべきものなのか、これは林政務次官に承りたいと思っております。
#71
○政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。
 日出委員が今おっしゃったような経過を実は政府の税調でもいろいろ御議論いただいたところでございます。今、委員がおっしゃったように、最高税率がほかの国と比べて突出して高いのでこれはやっぱり下げた方がいいのではないかという御議論もございましたし、一方で、ほかの税率はずっと刻みで上がっていきますから、それとあわせて考えていくべきだ、こういうような御議論もいろいろあったわけでございます。特に最高税率に限っては当面の措置でもいいから下げたらどうかというかなり強い御意見もあったのでございます。
 いろんな議論がありまして、最終的にはやはり最高のところだけ引き下げてもほかとのバランスでいろいろあるだろうということで、所得課税の全体像にかかわってくることでございますので、これの抜本的見直しをするという中で、最高税率の引き下げを含む全体的な税率構造の見直しや課税ベースをどうするかということも含めまして今後検討していこうということになったわけでございまして、この趣旨に沿って我が方としても税調やまた与野党の先生方の御意見を賜りながら検討をさらに進めてまいりたいというのが今の見解でございます。
#72
○日出英輔君 特にこの延納の利子税率の引き下げの話は、延納件数が毎年一万件以上あるんですか、聞いてみましたら、これは非常に地味だけれどもなかなかいい制度改正ではないかということを関係する方が言っておられました。私は、そういう意味で中小企業の相続税の話としては一応の整理をしたのではないかという評価をしているわけであります。
 それから次に、これもことしの税制改正の評価に若干かかわるんだろうと思いますが、連結納税制度につきまして伺いたいわけでございます。
 この連結納税制度、特に会計基準の方につきましては、二〇〇〇年の三月期から連結決算会計が導入されるということで、この連結方式で企業財務を測定評価しまして海外の投資家に情報開示をするのが今日のグローバルスタンダードになっているんだと、そういうふうに物の本には書いてあるわけであります。
 ところが、私のような素人からいたしますと、この連結決算は前々から議論されていて、計画的にいろんな議論をしながらここに至ったので、一方で税制の方につきましてこの連結納税制度が同時に発足をしないというのはいかなることであろうかという気がしたわけでございます。民間企業はこれに対して辛口の批評をしておりまして、これは必ず税収減になるので大蔵省が導入に消極的になっているんだなどということを書いているような雑誌もございました。この辺が今回の税制改正の評価というか評判を少し厳しくしているのかなという気がしているわけでございます。
 この連結納税制度で申告ということになりますと、連結する会社の持ち株比率をどうするんだとか、あるいは租税回避に利用されないようにするような手続その他はどうしたらいいかとか、当然いろんな議論があるんだろうと思います。
 大蔵省のホームページを見せていただきましたら、連結納税制度と会社分割に係る税制につきましてなかなか大変だということが書いてございました。連結納税制度の導入は新たな法人税制をつくるようなものだと、こういうことがこの中に書いてあったわけでございます。
 私はちょっとこの辺が素人でわかりにくいのでありますが、この法人税の課税所得につきましては、商法なりあるいは今申し上げたような企業会計原則にどの程度のっとってやるのか、どこが離れるのか。課税という立場からいいますと、課税をする立場からしますと、当然商法の規定どおりとか企業会計の原則どおりというふうなわけにはいかないとは思うんですが、そうはいっても余り違っていたのではみんな迷惑してしまうだろうというような感じもいたしております。
 ちょっとふわっとした一般論で恐縮なんでございますけれども、この企業会計原則と税制の関係といいますか整合性といいますか、こういったものについてはどういう議論が行われているのか。政務次官、恐縮でございますけれども、ちょっと素人わかりのするような話で御意見を承りたいと思います。
#73
○政務次官(林芳正君) 私も全くの素人でございますからわかりやすく御説明できると思うんですが、まさに委員がおっしゃったように、会計というのは、ディスクロージャーをやって、株主や債権者、また将来株主になってくれるかもしれない証券市場を通じたそういう方に対して、私どもの企業は今こういう状態にございますということを開示するための情報を提供するという機能を有しておるわけでございます。一方、税というのは、まさにその企業に税金をお支払いいただくわけでございますから、負担がどれだけ公平なのか、また担税力をちゃんとお持ちになっているのかという目的がございまして、ここのところは全く一緒ではない。一番大きな違いはここであろうかなと、こういうふうに思っておるところでございます。
 例えば、今、委員がおっしゃったように、大体諸外国もいろんな制度を持っておりますが、連結のディスクロージャーの方の対象になるものと連結の納税の対象になるものは、大体連結の納税の対象になる方が真部分集合といいますか、すっぽり中に入る。まさにディスクロージャーの方が広い範囲をカバーして、その中の一部のものについては本当に課税の客体として一つであるから連結納税を導入する、こんなようなイメージになっておるわけでございます。
 例えば、アメリカですと連結の納税は八〇%以上資本関係がある。フランスは九五%以上、こういうことでございますが、一方、連結のディスクロの方は五〇%超とか、こういうふうにかなり広い範囲でディスクロの方は今カバーをしなければいけない、こういうところが実際に違ってきておるようでございます。
 そういう意味では、今、政府税調の法人課税小委員会というところで細かくいろんな論点を詰めておりますが、法人税の抜本的な改革の中のトッププライオリティーとしてこの連結納税についてはやってまいらなければならないというふうにしております。実は商法の改正がございまして、いろんな会社を分割したり合併したりというのが出てきたものですから、そちらの対応もこれありでございまして、これともあわせてパッケージで今からやっていこう、そういうふうになっておるところでございます。
#74
○日出英輔君 私も大蔵省のホームページを見せていただきまして、なかなか大変なことなんだなというのを初めて知ったわけであります。
 そこで、もう少し丁寧に主税局長に伺いたいのでありますが、新聞によりますと、当初、作業が大変だという言葉だけが出て、一体これは何かと私は思ったのでありますが、ホームページを見て、この検討作業が新しい法人税制をつくるような、もう先ほど申し上げたようなことまで書いておられて、確かに大変なような感じがいたします。
 この辺につきましてもう少しわかりやすくお話しいただきたいということと、それから、いずれは導入するということになると思いますが、どういうペースで検討をなさっていて、いつごろ導入できそうなのか、もしそういうお心持ちがあれば、これも含めて御説明いただきたいと思います。
#75
○政府参考人(尾原榮夫君) お答え申し上げます。
 作業が大変だということで、あたかも嫌々ながらやっているかのような印象を与えたとすれば、それはそうではございません。日本の経済構造改革に伴う税制改正といいますのは大変重要な課題だと私ども認識しておりまして、順次その実現に努めているところでございます。
 連結納税制度について一言言わせていただきますと、政府税制調査会を昨年の夏に再開させていただきまして、この連結納税制度と分割はあわせて組織再編に係る重要なパッケージであるという認識のもと、本格的な導入に向けての検討を進めているわけでございます。
 それで、連結納税制度につきまして、昨年の小委員会では、一つは、導入する場合、諸外国にいろんなタイプがございますが、アメリカ型の本格的なものが日本にとって望ましいということで、検討するタイプを米国型というふうにしてございます。
 では、それ以外に何を検討すべきか、何が問題点となるかということで、大項目八つ、中項目二十四、小項目五十九を挙げておりまして、この点につきまして一つ一つ着実に検討を進めていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
 もう少し具体的に申し上げますと、現在の法人税制といいますのは個々の法人ごとに課税をする、連結納税制度は企業集団を一つの課税単位とするわけでございまして、そもそも今の日本の税制と相当違った考え方をとらざるを得ないということになるわけでございます。そういたしますと、例えばそのグループ会社の納税義務者は一体だれなんだと。あるいは、先ほど先生からお話がございましたが、連結対象の子会社、外国では一〇〇%に近いものをしているわけですが、そういうような、これは連結固有の話でございますけれども、今ある個々の法人に対する課税体系、例えば中小法人の税率は違った形になっておりますけれども、では連結をした場合に税率は一体どうなるんだというようなことに当然なってくるわけでございまして、個々の法人に対する課税体系と今の集団に対する課税体系をどういうふうに整合性をとっていくんだろうかと。さらには、先ほどもお話がございましたが、租税回避の問題、あるいは当然税金でございますから税収減が生ずる場合どのように対処していくのかということについても検討する必要がございます。
 それで、連結納税制度は政策税制ではございませんで、全く新しい法人税体系をつくるものでございます。ホームページをごらんになっていただいてありがとうございますが、恐らくアメリカの連結納税制度に係る法律規則は七百ページぐらいあるわけでございまして、ちょうど日本も七百ページぐらい、今の法人税は。大体そのぐらいの問題点についてきちっと決めていかなきゃならぬと思っております。これは政策税制ではなしに二十一世紀の基盤となる、インフラとなる制度でございますので、しっかりした検討をしていく必要があると思っております。いたずらに時間を延ばすということはございませんが、それ相応のしっかりした制度にしていくということが何よりも大切かなということで、熱心に、積極的に検討してまいりたい、こう思っております。
#76
○日出英輔君 まだまだ伺いたいことがたくさんあるわけでありますが、実は大蔵大臣にちょっと伺いたいのでございますけれども、税制のあり方につきまして、衆議院の方では石原東京都知事の外形標準課税の話なんかも随分出たようでございます。冒頭申し上げましたように、公正、中立、簡素というような議論ではなくて、もう少し突っ込んだ議論をしなければならないというような気がするわけでありますが、そのときに、政府税調あるいは党税調の議論を聞いておりますと、私も少し勉強させていただいておるわけでありますが、何か税の中に入り過ぎているというとなんでありますけれども、国民は本当はそこに入らなくてもう少し判断をしたいという世界があるような気がするわけであります。
 例えば、納税義務と参政権という、ちょっと抽象的な言い方で恐縮でございますが、一方で課税限度額がどんどん上げられていく中で、サラリーマンの、三分の一まではないんでしょうけれども、かなりの人が税金を納めないような状況が出てくるといったようなことで、どうも外側から見たときに、政治に参画するということと納税をすることというのはパラレルに考えるべきだというような議論が一般的にもう少し出されてもいいんではないかとか、あるいは源泉徴収という制度自体、昨年も伺ったのでありますが、確かに取りやすいという意味では取りやすいのかもしれませんが、一方で、税の使い方、あるいは国家と国民との関係を考えますと、今のような源泉徴収のやり方というのは少し、私は確定申告制度をもっと広げるようなことが必要ではないかという感じがするわけであります。
 昨年、大蔵大臣に伺って、えっと言われたのがありました。サラリーマンの必要経費を認めた特定支出控除制度というのを私はちょっと伺ったんです。これは八七年に創設しまして、サラリーマンに例えば研修とか引っ越しとかそういうときの必要経費を認めてやろうということなんですが、これがなかなか要件が厳しくて、給与所得控除額を超えたときにその超えた部分についてということですから、通常は当たりません。ただ、これは国民に税の勉強をさせるまことに絶好な機会を逸したのではないか、あるいはこの機会を使わなかったんじゃないかという気がいたします。
 あるいは、国際化対応ということで先ほどちょっと伺ったんですが、これから先もどんどん電子取引とかいろんな議論が出てまいりますが、そういう具体的な、技術的な問題でない、入り口のところで国際化への対応をどういうふうに考えたらいいのかとか、税制を組み立てる基本的な考え方、中に入らない、技術論に入らない基本的な組み立て方についてもう少し日本国のいろんなところで議論が行われないと本格的な税制改正というのはなかなか難しいのではないかという感じを素人ですけれども思うわけでございます。
 何か突然、石原東京都知事の外形標準課税なんかがどんと出てきまして、精細巧緻な税制の議論をぼんと飛び越してしまった議論がむしろ国民に喝采を浴びるような話ではやっぱりおかしいのでありまして、そういう税制の中に入らない、もう入っているかもしれませんが、もう少し国民が税に対する基本的な認識を持つための議論を、今までのやり方と違った形で意思を結集するというかコンセンサスを得るというのが政治の役割でもあるような気が実はしているわけであります。
 これについて、大変素人っぽい話でまことに恐縮なのでございますが、宮澤大蔵大臣に、こういう議論を言う人間が少しふえているのではないかという気がいたしますので、御所見を賜りたいと思っております。
#77
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほどから伺っていまして大変私は共感するところがあるものですからというか、自分も思っている疑問を出していらっしゃるものですから、私は答えを伺いたい方であります。
 本当のところ、どこの党でもそうかもしれませんが、私どもの党は、殊に税制調査会というところはいわば何人かの主がおりまして、私はある意味で尊敬しているんですが、税というものが自分の一生のフィロソフィーになっている人が何人かおられるんですね。それはまた系列がありまして、役所でいうとそういう神様みたいな人がたくさんいて、その下あたりに尾原君なんかがいるような、主税局というのはそういうところがございまして、大変に哲学があって、さっきの公平、中立、簡素なんということは結局そういう人たちが一生税を考えあぐねて出てきた哲学なんだろうと思うので、なかなか門外漢にはわかりにくいんですね。
 そういうような世界なものですから、先ほどのサラリーマンの必要経費なんという話でも、こんな話を言うと笑われるんじゃないかなと思いますけれども、ありましたよね、そういう議論。ですから、勤労控除とかなんとかの中にコストが入っているんだとかなんとか、いろいろなことがあるらしい。私も聞きたいんですけれども恥ずかしくて聞けないところがあるし、とてもいろいろなことがあると思います。
 しかし、思いますのは、本当にこれから先財政改革を考えるとしますと、税制もどっちみちもとから考え直さなきゃならないということになるんだと思います。専門家は、いや、もとからやったって結局おれたちの思っているところへ来るんだと思っているのかもしれませんけれども。
 しかし、例えば先ほど課税最低限の話をなさった。日本はベースアップを景気よくずっと昭和三十年ぐらいからやりましたから、どんどん課税最低限を上げても税金は取れたんですね。気がついたら世界で一番高いところへ行ってしまって、おっしゃるように非常にたくさんの国民が直接税を払っていない、間接税は別でございますが。そういうときに、参政権というものとどうなっているんだという問題が、そういう哲学の問題としてもあるし、実は税収の問題としてもあるんじゃないか。もっと低い税率でいいから低い所得から所得税が取れないと、そうでないとたくさんの国民が税を払っていないということになっていって、それでは税収だってやっぱり、これは計算していないので申せないのですけれども、税収だってそうだと思いますね。
 ですから、おっしゃるようなことを今度本当に財政改革をやるときに一遍考えなきゃならない。そういうときは自民党もどこも、政府の税調も、そういう神様方も一遍今までの既成観念をちょっと離れて考えてみてもらえないものかなと、私も実は大変同感でございます。
#78
○日出英輔君 全くの新人議員でございますので、少し言葉が過ぎたように思いますが、私も大蔵大臣の今のお話に大変感銘をしたわけでございます。
 時間も余りありませんので、残るところで国税当局の方に少し伺いたいのでございますが、実は国税の滞納額が平成十年度末で約三兆円になんなんとするという話、あるいは消費税の滞納額が七千億だと聞きまして、私もこの辺の数字について余り見ていなかったものでございますから、ちょっとびっくりしたわけでございます。
 そこで伺いたいのでございますが、この消費税の滞納につきまして、どういう理由でこんなふうになっているのか、あるいはこれに対してはどういうふうに滞納を少なくしようとしているのか、この辺につきまして、簡単で結構でございますが、国税当局なりあるいは政務次官にお答えをいただきたいと思います。
#79
○政務次官(林芳正君) 今、委員から消費税の滞納について、十年度は七千二百五十億というような多額の滞納が発生しておるではないかという御指摘でございました。毎年の数字を見ますと、確かにこれはふえておるわけでございます。特に消費税でございますから預かり金的な性格もございまして、そういう意味で景気が低迷しておるという状況がまずあるのかなと思いますのと、それから消費税率が九年の四月から五%になっておりますので、同じ率で出てきますとその一・六倍ぐらいでございますか、三から五になったわけでございますから、そういうことの影響もあるのかなと、こういうふうに思っておるところでございます。
 それに対応していろんなことをやっておりまして、実はこれのほぼ過半数といいますか大半は整理をして、要するに徴収をできておるという状況もあるということもあわせて御答弁申し上げておきたいと思います。
#80
○日出英輔君 それから、国税滞納額が約三兆円だということなんですが、一方、平成十二年度予算で国税庁の定員が百八十四名純減するという話を伺っているわけであります。私もかつて役所で定員の関係をやったことがありますが、百八十四名というのは結構大きな数字だなという感じがいたします。そういう意味で、滞納はかなり大きく、定員は減る、こういうことになりますと大丈夫だろうかということでございます。
 そういう意味で、定員確保の問題あるいは機械化といったような問題、今IT革命なんという話をしておりますが、インターネットを使ったいろんな仕事の進め方等々、ホームページを見ておりますと国税庁でもかなり進んでいるように思いますけれども、こういった定員が純減するというところあたりは、大丈夫でしょうかと言うとちょっとなんでございますが、定員確保についてはぜひともきちんと努めていただかないと国家が破産してしまいますのでよろしくお願いしたいんですが、一言だけ政務次官に伺って、終わりにします。
#81
○政務次官(林芳正君) 時間も限られておりますので、簡潔に御答弁申し上げますけれども、委員御承知のとおり、平成十年から純増減で減り始めましてマイナス三、十一年がマイナス九十九、十二年はマイナス百八十四ということで、全体の定数削減というのが重くのしかかっている、このような現状でございます。
 一方で、納税者の数はふえておりますし、滞納も今御指摘があったようにふえております。また、犯罪の手口もいろいろ機械を使って質、量ともに厳しさが増大しておりますので、今おっしゃったようなコンピューターシステム、KSK、これは国税総合管理という、NHKみたいな略称でございますが、そういうシステムも次々に導入してやっておるところでございますし、またいろんな関係団体とも協調してなるべく効率的にやるということを努力しております。定員についても、引き続き先生方の御配慮も賜りまして努力してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
#82
○日出英輔君 ありがとうございました。終わります。
#83
○浜田卓二郎君 租税特別措置法の改正について若干質疑をさせていただきたいと思います。
 午前中、寺崎委員から大変詳細にわたって登録免許税についての御議論がございました。私も、現場の声といいますか、実務に携わっている皆さんの声をいろいろと聞かされておりまして、かなりの点が寺崎委員の質疑を通じて明らかになったというふうに思っておりますが、繰り返しになりますけれども、二、三確認的に質問をし、お答えをいただければと思います。
 第一点は、寺崎委員も御指摘をされておりましたが、不動産取引のコストが大変重くなっているというふうに私も感じます。これは建物がある場合の取引になりますけれども、消費税が五%、それに登録免許税が五%、売り買いをする側からすれば、そのほかに不動産屋さんにお支払いをする手数料が三%、これだけで一三%になるわけですね。それに加えて、不動産取得税がございます。それから、収入印紙の代金が必要なわけであります。さらに、利益が出れば譲渡所得課税という所得課税がついてくるわけであります。
 私も余り詳しく勉強しているわけじゃありませんが、ニューヨーク州の例をちょっと聞いてまいりました。州によって大分違うようですけれども、ニューヨーク州の場合には消費税はかかっていない、ゼロだと。それから、登録免許税に該当するのが不動産移転税と言うようでありまして、これが百万ドル以上の取引で一%、それから刻みがあって、一万ドル以下だと〇・四%ということでありますから、州段階で見る限り、負担の割合というかコストは安くなっているわけですね。そのほか、ニューヨーク州税があるようでありまして、これは五十万ドル以下は、五十万ドルから二万五千ドルまでの取引では一%、二万五千ドル以下の取引ではゼロだと。五十万ドルを超えると、マンハッタンとかああいうニューヨーク州独自の高い不動産の取引もあるようで、ここは四・二五%というふうになっているようですが、いずれにせよざっと比べてみて、国税段階でも非常に不動産取引には高い税を含めた高いコストがかかるということになっていると思います。
 多分、不動産の取引をするというのは担税力のある人々であろうから取れるところからできるだけ取ろうという、これも税の論理だろうと思うんですけれども、全体として見て、今、不動産取引というのが担税力のある取引だというふうには必ずしも言えなくなってきている。つまり、宮澤大臣のかつての御主張のように、だんだん人々の暮らしの質的な向上とか潤いとか美しさとかいうようなことに今の目標が移ってきているわけでありますから、一般の庶民、我々も含めて、かつてのように住宅の住みかえというのを大変に考えなくて、できるだけ質的な改善が図れるように、流動化ということも私は大事な政策目的になりつつあるような気がいたします。そういうことを考えれば、どうでしょうか、これは主税局長の御答弁で結構なんですが、これから登録免許税も含めて、不動産取引に対する課税というものを軽減していく方向で考えたらどうかというふうに思いますが、いかがでしょうか。
#84
○政府参考人(尾原榮夫君) ただいま日本の税体系は余りにも不動産に対する各種の税負担が重いのではないかというお話がございました。
 いわゆる流通税についてのお話があったわけでございますが、そのような御指摘にも配慮いたしまして、住宅等につきましては、きょうの午前中に申し上げましたように、建物は千分の五十を千分の六にするとか、あるいは先ほど土地の売買の登録免許税五%というふうにおっしゃいましたが、実は固定資産税の評価額を三分の二軽減しているということで、実質は恐らく一%内外のことかなということでございまして、それなりに局面局面に応じまして実態に応じた取り扱い、税制改正を行ってきているところでございます。失礼いたしました。千分の五十を千分の三でございました。
 ただ、もう一点この税について申し上げさせていただきますと、諸外国との比較を先生今なさいましたが、実は諸外国は歳出を税収でカバーしている割合が日本よりもはるかに高うございまして、日本の場合は残念ながら今景気回復第一ということでやるのが政策課題と考えておりますが、財政状況は大変厳しい状況にございます。大臣からお話がございましたように、まさに税制全体をどう考えていくか、そういう税体系全体の話として今後の一つの検討課題になってくるものというふうに思っております。
#85
○浜田卓二郎君 消費税が導入された後も、それとの関連での見直しということには至っていないわけでありますから、消費税の導入ということを前提にした流通全体に対する課税ということで少し体系的に見直す必要があるんじゃないか、そう思っておりますので申し上げておきます。
 第二点目は、先ほどの質疑の中で明らかにされましたけれども、八十四条の四のただし書きですか、このただし書きに形式的に該当しない場合であっても、その実質が例えば相続である、あるいはまたその実質が従来どおり千分の六を適用してもよろしいと考えるケースである、そういう場合には法務省とも相談をして実態に合うような対応をしたいという御答弁がございました。私もそれはぜひやってほしいと思いますが、それを通達なり、形式としても徹底してもらいたいと思うんです。
 私の感ずるところでは、役所というのはトップは物わかりがいいんです。特に大蔵大臣は物わかりがいいわけでありますけれども、だんだん窓口の方に行きますと、全然物わかりが悪くなりまして、何でこんな話が通用しないんだというふうに、もうあきれ果てる話が信じられないぐらいあるんですね。実際の納税者、実際の実務者も含めて申し上げますけれども、窓口と格闘しているわけですね。私はもう大変な官僚制国家だなと思うのは、窓口と接触しているときでありまして、局長はわかったと、法務省の幹部もわかったと言っても、末端がわかってくれていなければ国民にとっては何の役にも立たないわけですから、しっかりと、先ほど寺崎委員もおっしゃっていましたけれども、通達なりそういう形で、要するに窓口がきちんと対応できるようにしてほしいということですが、その点についてお答えいただきたいと思います。
#86
○政府参考人(尾原榮夫君) 今、先生からお話がございましたように、法律が改正されましても、執行がうまくいかず、国民にかえって御迷惑をおかけするということはあってはいけないというふうに考えておりまして、今回の件につきましても、登記の現場において混乱が生じないようにということが大切だと考えております。
 登録免許税の納付の確認の事務は登記所において行っていることでございますので、法務省にもお願いしておりましたところ、今回の改正の趣旨に沿った執行を行うことができるよう、解説書を送付することを初め、各法務局、登記所を適正に今もう既に指導しているということでございまして、なお先生からお話がございましたことをさらに法務省の方にも伝えさせていただきたい、こういうふうに思っております。
#87
○浜田卓二郎君 最後に、大蔵大臣に一言御答弁いただければと思いますが、先ほど来の御指摘のように、千分の六と千分の五十という税率の違いをうまく工夫して、実質脱税まがいの取引がかなりある、これが今回の改正の端緒になっているわけですが、そもそもそういうことが起きるというのは、裏を返して言えば、この税率区分を含めた税の体系が複雑過ぎるということに私はなるんだろうと思うんですね。
 それからもう一つ、実はこの租税特別措置法の別のところで、評価額を百分の四十にしました。実はこれはバブルのときの土地の高騰とかいろんな状況で、このまま評価額に税率をぶっかけたら大変なことになるよと、私はそういうことを衆議院のころですけれども申し上げてきた経緯があって、そんな経緯の中から百分の四十になったというふうに記憶をしているわけですけれども、これが今三分の一になっているわけで、おっしゃるように軽減がさらに図られている。
 しかし、この租税特別措置という特別な措置によって軽減せざるを得ないということは、もちろん本来の税率が高過ぎるということなんですね。だから、複雑過ぎる、高過ぎる、実態に合わないということが私は今の登録免許税について言わなきゃいけないと思うんですね。これはかなり古い沿革のある話なんでしょうけれども、先ほどの税のあり方についての御議論ではありませんけれども、このあたりでこの登録免許税というのはもっと実態に合うようにさらに単純化して、今の不動産取引に合うような税体系に変えていくべきである、私はそういう時期だというふうに思いますけれども、大蔵大臣、いかがでしょうか。
#88
○国務大臣(宮澤喜一君) けさほどのお話を伺っていて、実際そう思うんですが、しかしこれはだんだん複雑になるんでしょうね、実際。よくないことだと思いますね。しかし、理屈があるものだからだんだん複雑になって、通達なんか私は読んだこともありませんが、それはとても大変なものだろうと思いますので、どうかなればいいんですけれども。
 今度のことは、けさ寺崎委員のおっしゃっていたことはどうやらちゃんと通達か何かがきちんとできるようでございますのでいいんですが、しかしそもそもそんな難しい話なのかなというところは、どうすれば簡単になりますかね。私はそう思いながら、世の中はそっちの方向にどうも向かっていないような気がいたします。
#89
○浜田卓二郎君 これは大蔵大臣に伺ったのが間違いだったかもしれませんので、もう一度主税局長に御答弁いただきましょう。
#90
○政府参考人(尾原榮夫君) けさほど寺崎先生からお尋ねがあったわけでございますけれども、確かに今、固定資産税を課税標準にしながら、それを租税特別措置法で三分の一に軽減するというのは、私どもといたしましても、これで決して完全だと思っているものではございません。
 ただ、御承知のように、固定資産税の評価が上がる、また土地の価格全体がどういうふうに安定するかというのが見えない、こういうような状況の中で、実情に合った適正な課税、適正な御負担をお願いするにはどうしたらいいかということで、租税特別措置法でお願いしているわけでございます。いずれ、こういう日本経済の状況あるいは土地の価格の状況等が安定した段階におきまして、なるべく早くその機会が来ることを祈っておりますが、やはりもう一度今の課税標準なりの考え方、税率の考え方は検討していかなければならない課題の一つであろうという認識を持っております。
#91
○浜田卓二郎君 それでは質問を変えます。
 私は昨年の八月二日の産業活力再活性化法の質疑を行った本会議で質問させていただきまして、大蔵大臣から、エンジェル税制についてでありますけれども、今のエンジェル税制は思い切った税制にはできていない、ベンチャー企業に対する投資マインドが出てこなければいけないし、出てきたら、やっぱりそれにふさわしいぐらいなエンジェル税制みたいなものをもう少しアクセントをつけてやるべきではないか、そう考えるという大変踏み込んだ御答弁をちょうだいしたわけであります。
 どういうエンジェル税制が今回の改正で出てくるかなと私は大いなる期待をして見ておったわけでありますが、租税特別措置法の改正で今回出てまいりましたエンジェル税制の対象となる特定株式の譲渡益課税の特例、これは御説明に来られた課長さんのお話ですと、思い切って踏み込みましたと胸を張っておられたわけでありますけれども、どうして踏み込んだと言えるのか、それをひとつわかりやすく解説していただければと思います。
#92
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回、エンジェル税制につきまして譲渡益課税の特例を創設させていただきまして、いわゆるエンジェルからのベンチャー企業に対する投資資金が集まりやすくということを念頭に置いて制度をつくってございます。
 今までの制度で申し上げますと、これまでのいわゆるエンジェル税制といいますのは、損が生じた場合、いわばその後三年間で株式の譲渡益と損失をそういう特定株式は相殺できる、こういうものでございました。
 それで、それでは大変不十分なものであるという指摘をいろいろいただいてまいりました。その中でございましたのは、特にアメリカでありますように、それ以外の所得と損を通算できるようなことを考えてはどうかという御指摘をいただいたと思っております。
 ただ、アメリカの税制は総合課税、納税者番号制度が入って株式譲渡益課税も総合課税になっておりますが、日本の場合は源泉分離と申告分離というふうにいささか他国と違った形になっております。そういたしますと、例えば給与所得の方は総合課税で最高五〇%までまいるわけでございますが、株の場合でございますと源泉分離の場合は一・〇五、申告分離ですと地方税合わせて二六%でございますから、一方においてフラットなといいましょうか特異な税率と、累進を働かすその他の所得と通算するというのはどうしても税制上説明がつかないところでございます。
 したがいまして、では今回、我が国のような税体系の中でベンチャー企業に対する振興を図るにはどうしたらいいかということから、入り口段階といいましょうか、特定株式を取得いたしましてその企業が上場いたします場合に、譲渡益が四分の一になると、二六%掛ける四分の一の税率で税の軽減が行われるという形によりまして、今の段階でベンチャー企業にぜひ投資していただきたいというふうにさせていただいたわけでございます。四分の一というのは、我々は相当な措置だというふうに思っておりまして、ぜひ御評価いただければ幸いというふうに思っているわけでございます。
#93
○浜田卓二郎君 後半の部分はまだ質問していないところをお答えいただいたわけでありますけれども。
 そうなると、今、損失の通算を株式取引による損失と相殺していけるということに対して、アメリカの場合には他の所得も含めて通算できると。しかし、これはできないというお話ですね。その理屈は私もわかりますけれども、そうすると、今まではエンジェルがベンチャーに投資して損が出た場合には、三年間損益通算を認めると。今回は利益に着目をして、利益が出た場合でもその四分の一に課税を実質軽減しますというお話ですね。
 しかし、これは三年間所有していなきゃいかぬわけですね。この三年間というのが、このスピードの時代で十分な期間というか、どうしても必要な期間ということになるのでしょうか、その辺のお考えを伺います。
#94
○政府参考人(尾原榮夫君) お答えいたします。
 今の対象株式については、現在、改正前の特定株式が対象になるわけでございますが、要件として、今、先生がおっしゃいましたように、上場前に三年超所有するということ、それから上場後一年以内に譲渡するということで要件を考えております。
 この三年でございますが、これは上場するときも一定の期間を置くわけですが、上場がわかっていて、そこで株式を取得して、売って、売り抜けるといいましょうか、そのようなことがないように、つまりまだベンチャーというのが海のものとも山のものともといいましょうか、まさに経営者の努力と技術を見抜いて投資をしていただくということが大切でございまして、三年といいますのは、そういう意味で上場がまだ未確定といいましょうか、そういう段階で投資をしてほしいと、こういう気持ちで三年になっているわけでございます。
#95
○浜田卓二郎君 これでアメリカ並みになったと言えますか。
#96
○政府参考人(尾原榮夫君) 日本の税制のもとではアメリカ並みといいましょうか、それ以上に思い切った措置になっているというふうに確信しているわけでございます。
#97
○浜田卓二郎君 産業構造が変わっていくためには新しい企業が生まれていかなきゃいけないわけですから、ベンチャーに代表されますけれども、新しい企業が育ちやすいような税制上の対応というのは私は今の時代にまさに合った租税特別措置だと思っておりますので、ひとつ今後も大いに必要な措置をとれるように頑張っていただきたい思います。
 それでは次に、同じ本会議のやりとりで、大蔵大臣に、誕生した日本政策投資銀行、あの当時はまだ誕生しておりませんでしたけれども、そこの政策金融の柱にぜひ新しい起業、創業、それに対する政策融資というのを据えてほしい、かつての傾斜生産方式というような政策金融の大きな目的に匹敵するような融資目的というのが起業、創業のバックアップだと、そういうふうに考えるということを私は申し上げて、そのとおりだという御答弁をちょうだいしたわけであります。
 大蔵大臣の指導のもとで日本政策投資銀行は十月一日に発足をしているわけですが、この新銀行の政策目的に対する体制はどういうふうになっているか、それをお聞きしたいと思います。
#98
○参考人(小粥正巳君) お答えさせていただきます。
 日本政策投資銀行は昨年十月一日に発足をしたわけでございますけれども、ただいま御指摘の経済の活性化を進める中で、新しい産業育成の一つといたしまして、いわゆるベンチャー企業による新たな起業と申しますか創業、この支援が大変重要な政策課題の一つとなっておりまして、私どももそこは十分認識をしているつもりでございます。
 発足をいたしました現日本政策投資銀行におきますお尋ねのベンチャー企業への支援体制、これは大きく分けまして二つあると思っております。一つは、旧開銀時代から引き継いでおります融資の面でございます。それからもう一つは、昨年秋の経済新生対策の中で新たに認められました出資の面でございます。この二つを簡単に御説明させていただきます。
 まず、旧開銀では実は平成七年度から新規事業育成融資という新しい制度をつくりまして、成長途上にあるベンチャー企業への資金供給環境の整備を図ってまいりました。制度のお話を多少申し上げますと、その制度をつくりましたときにまず新規事業支援室というものを設けまして、翌年度からはベンチャー企業、それからそのほかに環境等新しい分野を担当する新規事業部というものをつくったわけでございます。
 御参考までに、その新規事業部は一番最近、統合の直前でございますけれども、十一年度の上期では二十五名という人数を担当させておりました。新銀行に移行いたしまして、新規事業部の中からこれまでその事業部の中で行っておりました環境対策を別途の部、環境エネルギー部に移しました。したがって、そこは四名人間が外へ出ております。しかし、十一年度の下半期、つまり政策投資銀行になりましてから四名減った分を合わせまして総計で二十五名から三十名、ネットでは九名の増という、かなり限られた人員の中でベンチャー企業向けの融資に特化してこの事業部を再編成いたしたわけでございます。
 それから、五年間ではございますけれども、開銀時代に私どももそれなりの経験を積みました。したがいまして、開銀時代に培われましたベンチャー企業への融資ノウハウを最大限に活用いたしまして、融資相談から審査、特に大事なのは事後のモニタリングでありますけれども、それまでを一貫して行う体制をさらに増強したところでございます。私ども新銀行といたしましても、御指摘のようにこれを新しい政策金融の分野として、現在のところはまだそれほど大きな規模ではございませんけれども、今後、実質的に増強を図っていきたいと考えております。これが第一でございます。
 それから第二番目は、冒頭ちょっと申し上げましたように、昨年秋の経済新生対策の中で新たに認められました政策でございますが、具体的に申し上げますと、大学とか民間企業等が有しております先端的かつ重要な産業分野、これは例えば情報通信でありますとかバイオ、環境等を例示として考えておりますけれども、そこの中にございますビジネスのシーズと申しますか新しいシーズの事業化を支援いたしますために、いわば政府系のベンチャーキャピタルと申してよろしいんですが、新規事業投資株式会社という会社がございますが、そこへ私ども政策銀行から出資をいたしまして、そして投資事業組合をつくります。これはインキュベーションファンドという表現をとっておりますけれども、そのファンドからベンチャー企業に対して民間とあわせて出資をする、そういう体制を現在つくりつつございます。
 具体的に申し上げますと、現在、情報通信、それからバイオ、この二つの分野のファンドというものに私どもがそれぞれ十億円、バイオでは二十億円、合計三十億円出資をいたしまして、現在、民間のベンチャーキャピタルと十分に連絡をとりながら、新しい技術を中心としますビジネスシーズの発掘、さらにその事業化、そこへ向けてのノウハウの提供を伴ったきめの細かいベンチャー支援を行う体制を現在つくりつつございます。
 したがいまして、平成七年度以来の融資の増強、一方では新たに認められましたインキュベーションファンドを通じての出資、これは私どもの経験では、ベンチャー企業で融資の対象になるものはやはりビジネスシーズが発掘されまして事業化がある程度進んだ段階でないとなかなか融資の対象になりにくい。ですから、その前に、むしろ立ち上がり段階に、先ほどエンジェルのお話もございましたけれども、なかなか日本ではエンジェルが育ちにくいというような見方もございます。したがいまして、昨年秋から新生対策の一環で設けられましたベンチャーへのいわば公共的な支援、特にスタートアップ段階での出資による支援というのはなかなか大事な意味を持っているかなと。
 ちなみに、先ほど十億ないし二十億と申し上げましたが、本行出資分は現在のところ合計で五十七億円と、このような規模でございます。
#99
○浜田卓二郎君 御努力はよくわかりました。
 でも、二十五名だったのが三十名になったという、スケールとしては私はまだまだ足らないと思わざるを得ないわけであります。まさに政策金融の中で一番大事な分野だという御認識のもとに、少し思い切った拡大をしていってほしいと思います。
 特に、政策投資銀行の融資の中で、特許権とかあるいは知的所有権、そういうものをできるだけ担保にして、物的担保がない場合でも融資をしようという、そういうチャレンジをされていることは私は評価しているわけですが、さらに言えば、何も特許がなくてもいろいろな形で企業を起こしていこうという意欲、これはいっぱいあるわけですから、それをうまく受けとめて育てていく。そのためには、その事業の将来性をそういう物的担保あるいは知的所有権も含めた、目に見えるというか形になった裏づけというものがなくても、いわば事業本位で判断していける、それが理想ですよね。それには相当多くの人員も必要とするし、しっかりした体制も必要とする。
 私は、国家百年の計ということでいえば、かつて開銀が果たしてこられたような役割を今の時代に移して考えれば、今の時代で何をやるべきか、そこはおのずから明らかになってくるはずだと思っておりますので、頑張っていただきたいと思います。御答弁は結構でございます。
 最後に、産業再活性化法、先ほど来まくら言葉で使わせてもらってきたわけですが、これが施行されて、こういうことをしっかりやって、これも今申し上げたことと同じですけれども、より新しい芽を育ててほしいということを申し上げてきたわけですが、しかし開業率というのはまだ非常に低い。
 これはちょっと古い数字で恐縮ですけれども、開業率が三・七%程度で、それに対して廃業率が三・八%。廃業率の方がまだ上回っている。しかも、開業率というのはどんどん落ちてきている、これが近年の傾向だと言われているわけであります。そこで再活性化法だというのがあのときの提案理由でもあったわけですけれども、この実施状況とか今後の展望について通産省の御説明を伺って、私の質問を終わります。
#100
○政府参考人(林洋和君) お答え申し上げます。
 昨年十月の施行以来、本年の三月二十二日時点で同法に基づく事業再構築計画は二十四件の認定でございます。中身を見ますと、経営資源を将来の成長分野に振り向けていくための分社化あるいは増資、営業譲渡、こういったものが中心となっております。
 また、国が民間企業等に委託をして行う研究開発の成果から生じた特許権等を受託企業等に帰属させることができるといたしましたいわゆる日本版バイ・ドール条項でございますが、本年二月末時点で九百六十七件、契約金額にいたしまして二千百五十億円が対象となっております。
 私どもといたしましては、この法律の制定によりまして、生産性の向上に向けた戦略的な事業の再構築が必要だという認識が広く産業界に共有されたのではないかと思っております。
 また、今回、広い意味での構造改革ということで、今申し上げました事業の再構築を機動的にしやすくなるような企業分割制度、これは私どもから法務省にお願いいたしまして、商法改正を今国会に出させていただいております。
 また、その競争力の源になります産業技術の低下が最近言われておりまして、私どもは大変心配しております。特に日本では大学発の技術が少ないということもございまして、例えば国立大学の教官などがみずからの研究成果を実用化するために民間企業の役員になれる等々の内容を盛り込んだ産業技術力強化法案というのも国会に出させていただいております。
#101
○池田幹幸君 日本共産党の池田幹幸でございます。
 租税特別措置法改正案について質問いたします。
 今回の改正による増収見込み額の最も大きいものを見ますと、年少扶養控除の廃止による二千三十億円ということになっております。これは児童手当の支給対象年齢を六歳未満まで引き上げるための財源措置としてとられたものであります。しかし、年少扶養控除は昨年子育て支援の恒久的減税として実施されたばかりでありまして、予算委員会におきましては、これは朝令暮改じゃないかという論議がなされております。
 これまでの論議で、この施策によって六歳以上十六歳未満の扶養親族のある人及び児童手当支給の所得制限を超える人は増税になる。それから、児童手当の新たな支給対象児童は三百九万人で、これに対して年少扶養控除の廃止による増税の対象となる児童は千九百万人、差し引き一千六百万人が増税になる。これも今までの論議で政府が答弁しておることでありますので、明らかになったことであります。
 六日の予算委員会におきまして、我が党の小池晃議員が、子供の多い家庭は昨年の税制改正で増税になった、その上にことしは年少扶養控除の廃止でまた増税になる、子供の数が多いほど増税となる、子育て支援どころか子育てに対する罰金じゃないかという質問をいたしました。これに対しまして、宮澤大蔵大臣はこのように答弁しておられます。子供の多いほどそういうふうになるケースはあるだろうと思います。「たくさんおられるとは思いませんが、それは理屈上どうしてもそういうケースがあるということは認めざるを得ないと思います。」と、こうおっしゃりながら、「そういうケースがあることは認めますけれども、そう大きな声で根本政策の御批判を受けるような問題ではないと思います。」と答弁しておられるわけです、これは小さな声で言っても同じだろうと思うんですけれども。
 この根本政策に触れないという御答弁、これの真意についてちょっと伺いたいと思うんです。これはやはり子育て支援という根本政策に逆行するものじゃないのかと思うんですが。
#102
○国務大臣(宮澤喜一君) その根本政策というのの前後を、どうしてそういう言葉を申し上げたのか、ちょっと私、今急に思い出しませんけれども、十一年にやったことと十二年にやったことはちょっと違うわけですから、この説明はなかなか容易ではない。
 結局、私がそういう言葉で申し上げたのは、児童手当というものは各国でいろんな意味でやり方がまちまちであって、アメリカのように控除で処理しているところ、イギリスは逆でございますか、それから両方やっているところ等々があって、我が国は両方のようなことでございますね。
 それで、これは一遍再検討しなければならないということがかなり広く言われておりますから、そういう声の中で、こっちからこっちへちょっと振りかえたということをしている気持ちの中に、やはりこのもとの問題を一遍議論しなければならない、根本に問題があるということを思いつつ申し上げたのかと思います。どうも余りいい御答弁ではないですが、多分そういう気持ちで申し上げたのかもしれません。
#103
○池田幹幸君 私は、その前に議論がありまして、その増税になるケースはあるにはあるけれども、そう多くないだろうという御答弁をなさっておられるので、そのことに触れてのことかなと思いまして、それで改めてきょうは表を持ってまいりました。
 お配りした資料なんですけれども、これは九八年から二〇〇〇年にかけての二年間の子育て減税で実際にどのような世帯が増税になるかということを、これは国税庁企画課が出しております「税務統計から見た民間給与の実態」というのがありますが、サラリーマンの家庭なんですけれども、その数字をもとにしまして、子供の数別、それから年収別にこれを見てみました。
 それを見ますと、ごらんのとおり、三百万円から七百万円までのすべての家庭、サラリーマン子育て世帯、そこで増税となっております。八百万円以上でも増税となる世帯があるわけです。増税とならないのは、もともと非課税となっております低所得世帯、これは年収二百万から三百万円でも子供の多い人は非課税となっております。それから、年収一千万円に近い比較的高い所得の世帯、そういったところでは減税になっております。それからもう一つ、最も増税額が大きくなりますのは、子供一人のところでは年収四百万円、それから子供二人のところでは年収五百万円、子供三人のところは年収六百万円、こういうふうになっております。こういう世帯というのはごく普通のサラリーマン世帯だと言えると思うんです。
 もう一つ、ちょっと表はつくってこなかったのですけれども、別途試算してみますと、増税になる子供の全体の子供数に占める割合を試算してみますと、全世帯で大体七五%ぐらいになるんです、七六%ぐらい。それを年収別、給与階級別に見てみますと、年収四百万円のところで八九%になります。年収五百万で九九%、年収六百万で九六%、年収七百万で九五%。低いところと高いところは低くなるわけで、平均して大体七六%ということになるんですけれども、そうしますと、年収四百万から七百万という世帯、それがぐんと増税になる子供を抱えておるということになりますと、増税となるサラリーマン世帯、これは大体この率でいくのじゃないか。大体これとかけ離れたことにはならないだろうと思うんですね。
 そこで、大蔵大臣がおっしゃったことについてなんですが、今回の増税のおもしは年収四百万から七百万のところへずしんと響いてくるということになるわけで、そうしますと、増税となるのは一部の世帯と言ったことについては、違うんじゃないか、むしろ逆じゃないかということで、ちょっとこの表をつくらせていただいたんですが、大蔵大臣、御見解を伺いたいと思います。
#104
○政府参考人(尾原榮夫君) 事実関係でございますので、簡単に御説明させていただきたいと思います。
 この先生のおつくりになった表は平成十年から十二年までの表になっているわけでございます。
 御承知のように、平成十年でございますが、定額減税というのを、つまり扶養者の数あるいは本人幾らという形の定額減税を景気対策の観点から二回、二兆円ずつ行わせていただきました。しかし、平成十一年の恒久的減税を考えるに当たりまして、この定額減税の結果、課税最低限が四百九十一万まで上がるという、税制としてはいささか、景気対策のためとはいえ大変な姿になったわけでございまして……
#105
○池田幹幸君 そのことはもう予算委員会で大蔵大臣が答えておられるんですよ。
#106
○政府参考人(尾原榮夫君) したがいまして、累進度を働かせるという意味から、十一年度から定率減税に変わったわけでございます。
 したがいまして、ここにございます増税の数字はその二つに分解されるわけでございまして、私どもは、数字を拝見する限り、前者、つまり定率減税への変更に係る数字の方が今の年少扶養親族に係る割り増しの特例の影響よりも特に大きいのではないかというふうに思っております。
#107
○池田幹幸君 そのとおりです。それはもう十分わかった上での質問で、予算委員会でそのことはもう終わっているんですよ。そんなことはだからもう伺う必要はないので、伺っていないんです。
 しかしながら、ここに書いてあるように、九八年から二〇〇〇年でこうなるじゃないかと、こういう点ではまれなケースじゃなしに増税になる世帯の方が多いということを私は申し上げているので、それについての御見解を伺っているわけです。
#108
○国務大臣(宮澤喜一君) もうその定額減税の話は済んだのだとおっしゃっていますし、そのとおりではあるんです。あるんですが、しかしこれがちょっと私どもに難しい課題を残しまして、いつまでもこんなことをやっていてはいかぬから、これじゃ累進が壊れてしまいますから、やっぱり定率にしなきゃいかぬというところで、それで減税といいながら実際はそうでない納税者がたくさん出た。それを何とか緩和できないかということを少しいろいろ考えたものですから、年少控除というものをやったわけでございます。その年少控除が今度はまた変わっちゃったと。
 どうも一貫した、ちゃんとした御説明をすることは実は非常に苦しいです。該当される数も、恐らく少なからず納税者に影響を及ぼしていると思いますから、数が少ないからいいやともなかなか言いにくい。大変に一貫した御説明を、この三年間ですか、二年間ですか、こういったことの説明がなかなか難しゅうございまして、やはり定額減税のところからあれを直そうと、直さなきゃならなかったんだと思いますが、あのときのことをいろいろ反省しております。
#109
○池田幹幸君 今おっしゃったように、九八年、昨年の税制改正、トータルで考えると大体こうなるわけです。そこへもってきて年少扶養控除、昨年ひどい目に遭った人をまたひどい目に遭わせるという形になっているじゃないか、しかもそれは少数ではないじゃないか、多数じゃないかということを私は申し上げているので、その点では否定なさらなかったと思うんです。
 そうしますと、私は、この今度の年少扶養控除が決められた過程を見ますと、到底国民にとって納得いくものじゃないというふうに思います。
 といいますのは、予算委員会での宮澤大蔵大臣の答弁を見せていただいたんですが、大分長い御答弁だったのでつづめて言いますとこういうことじゃないかと思うんです。児童手当をふやそうという話は予算編成の最終段階で政府、与党間で話し合われたことなんだと。しかし、児童手当を歳入でやるか歳出でやるか、このことについてはとても予算最終段階の二、三週間では片づかないし、根本的な問題なので片づかない。しかしながら、児童手当を提案した党が財源としては大きく控除を下げてもいいんだと主張していたこともあって年少扶養控除の廃止ということになったという御説明でした。
 そうしますと、時間切れ見切り発車という感じなんですけれども、しかしながらこれは一時的な措置ではなくて、年少扶養控除も廃止されるわけですからずっと恒久的にも続いていくわけで、昨年とった恒久的措置は廃止、今度からは増税の恒久的措置が続く、こういうことになるわけですね。
 ところが、そこには一部の人には恩恵があると。児童手当の拡充という恩恵がありますけれども、大部分の子育て世帯には増税になるということですから、そのことについてやはり十分な検討が、検討の形跡がなけりゃならないんだけれども、先ほど紹介した答弁にありますように、そのことについてはほとんど検討していないと言わざるを得ないわけですね。
 そうしますと、そういう議論はなかったということになってしまうのか、それともいやいや十分な検討はしなかった、しかし見ればわかるんだ、大体増税になる、増税になる人が多いということもわかっておった、しかし提案した党がいいと言っているんだからいいじゃないかということでやっちゃったということなのか。後者だとすれば余りにも政治的、自自公政権の党利党略的なやり方じゃないかというふうに私は思うんですが、これについてひとつ御見解を伺いたいと思います。
#110
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど私の答弁として御紹介いただきました部分、それはよく覚えております。また、事実をそのまま申し上げるよりほかはないものですから申し上げたわけでございますけれども、これで相当な損得が出るということは、恐らく専門家はそんなに苦労せずにわかっておるはずでございます。少数の人の話ではないと。
 実は児童手当案というものは当初提案されましたときに兆を超える大きな案でございました。予算の最終段階で到底それは何ともできない種類の話であって、それでいろいろ苦労したり御再考願ったりして、とどのつまり財源をそれじゃここへ求めようと。二千億余りであったと思いますが、そういう決着でありました。
 これは一種の妥協でございますから、ちゃんと整合的に説明することはなかなか難しい。しかし、そういうことで予算全体について国会で御審議をいただき、そして通していただかなければならないという実情から申しますと、政党間の折衝というものでそういう決定がなされたということは、おっしゃるように十分な説明というものはできないだろうとおっしゃれば、それは妥協でございますから、正直を申してやはり十分な説明というものはなかなか難しいということは、これはもう申し上げざるを得ないと思います。
#111
○池田幹幸君 それで増税になる国民はたまったものじゃないと思うんですが、そのことについて言いますと、こうもおっしゃっているんですね。増税を要するに年少扶養控除の廃止というところに求めたと。これは筋違いの、歳出と歳入を混同したやり方じゃないんだとおっしゃっているんですね。要するに、抜本的なところで時間がかかるからこうやっちゃったんだということなんです。そして、それ以外の方法によると公債発行になっちゃうんだと、それでやらなければいけないことになるからこういう措置をとったんだという説明もしておられるんです。
 これは大蔵大臣のお考えの中では筋違いでないということかもわからぬけれども、国民から見れば、年少扶養控除か児童手当かというところでてんびんにかけて、さあどっちだと言われれば、もうそれ以外方法はないのかと。そうじゃないと思うんですね。国民から見れば、税金全体の中で考えてくれればいいじゃないかと。公共事業に五千億円の予備費を積んでいるわけですから、ほんのちょっと削るだけで、これは二千億円ですから、当然できるわけで、そういったことについては考え及ばないということだと思うんですよ。それは非常におかしい話じゃないかと。
 私たちも児童手当の拡充には賛成なんです。しかし、それを同じ子育て家庭の増税で賄うということがだめなんで、なぜそこまで考えが及ばなかったのかと思うんですね。それはどうなんですか。
#112
○国務大臣(宮澤喜一君) 筋違い云々もどうも余りいい御説明ではありませんが、二千億余りの財源を控除の方から持ってきたということは、一種の児童扶養手当、あるいは育児、教育というようなことを目的とする類似の歳出でございますから、これとこれとを財源的に交換するということは全く異質なことを取りかえたということとは違いますでしょうと、こう申し上げようとしたのだと思います。
 それで、実際の話としまして、最後の段階で児童手当をふやすために公債発行をしたと、もうそこまで事は非常にはっきりしておりましたから、ということの説明はやはりなかなか難しいし、同種の目的を負う歳出であれば、この二つの間のスワップなら、これはまあまあ少しは説明ができるかなといったようなところでございました。
#113
○池田幹幸君 私は、そのスワップはそれこそ国民から見れば筋違いで、右のポケットから左のポケットへ移して、それで、おまえ、金をやったじゃないかと左のポケットに説明をする、そんなものはおかしいと思いますね。そのことを申し上げておきたいと思うんです。
 次の質問に移りたいと思います。
 租税特別措置法第八十条の登録免許税の軽減について伺います。
 これは昨年の国会で成立しました産業活力再生特別措置法に盛り込まれました会社設立や資本の増加に伴う登録免許税の半減措置です。これが大企業に節税効果をもたらしているわけなんですね。
 例えばGMの資本参加を受ける富士重工、これは報道によりますと第三者割り当て増資を予定しております。この際に、通常ならば〇・七%の登録免許税がかかるわけなんですけれども、再生法が適用されるということになりますと、富士重工は二億四千五百万円の税金をまけてもらうことになる、このように報道されています。
 今回の改正ではこれがさらに優遇されるんです。このような資本参加の増加や会社設立に伴う登録免許税、これは〇・三五%からさらに深掘りするというふうに言われておりますけれども、〇・一五%大幅に減額することになっています。
 これは通産省に伺いますけれども、再生法の際に半減したんですが、どうしてその上にさらに今回深掘りするのか、その経緯について伺いたいと思います。
#114
○政府参考人(林洋和君) お答え申し上げます。
 平成十二年度の税制改正におきまして、通産省として、企業の組織再編をさらに円滑化するため登録免許税の軽減を求めていたところでございまして、こういうような要求も踏まえて、税制改正プロセスにおいて事業再構築計画に基づく会社の設立等に適用される登録免許税がさらに軽減される旨決定されたものであると承知しております。
#115
○池田幹幸君 昨年、再生法で〇・三五%にしたと。さらに追っかけてさらに引き下げろという要求を出したんですか。では、何で再生法のときに一緒にやらなかったんですか。
#116
○政府参考人(林洋和君) お答え申し上げます。
 私どもの要求は企業組織再編に係る設立登記、資本増加登記の登録免許税の軽減措置を講ずるという要求でございまして、登録免許税の性格論についてはいろいろな御議論があろうと思いますけれども、私どもとしては、大競争、大合併の時代において下がることが望ましいというふうに考えておりました。
#117
○池田幹幸君 しかし、今度の法改正は再生法の認定を受けた企業に限るんでしょう。再生委員長、たしかそうですね。認定を受けた企業に限るわけですね。
#118
○政府参考人(尾原榮夫君) 先生から今お話がございましたように、今回、組織再編に係る登録免許税のさらに深掘りをやっておりますが、その場合、事業再構築計画の認定を受けることができる者につきましてこの適用が受けられるという形になっております。
#119
○池田幹幸君 認定を受けるということになるわけですけれども、先ほどの説明では、二十四社が既に申請しているということでした。金融関係ではどれぐらい申請がありますでしょうか。
#120
○政府参考人(林洋和君) お答え申し上げます。
 先ほど二十四件の認定があると申し上げましたけれども、この中にはまだ金融関係は入っておりません。
#121
○池田幹幸君 それは全業種をやったものですね。
 では伺いたいんですけれども、金融関係ではまだないと。それは合併もまだされておりませんからないだろうと思うんですけれども、しかしもう間もなく出てくるのはだれでも知っていることです。
 昨年秋に発表されましたみずほグループ、富士銀行、第一勧銀、日本興業銀行の統合による金融持ち株会社の設立ではもう巨額の減税になるはずなんです。どのくらいの減税になるのか。原則に比べて、産業再生法を適用した場合、それから今度の租税特別措置法適用でどうなるのか、そのことについて伺いたいと思うんですが、これは認定するのは監督庁でございますか。
#122
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回の登録免許税の軽減措置による減収額でございますが、全体として初年度八十億円、平年度減収として二十億円というふうに見込んでいるところでございます。
#123
○池田幹幸君 それはちょっと……。初年度ですから今年度ですか。それには銀行は入っておりませんよね、当然。それは今の二十四の申請でですか。
#124
○政府参考人(尾原榮夫君) ただいまの初年度八十億円といいますのは、この法律がお認めいただいたまさに来年度、四月から始まる年度でございます。したがいまして、八十億円を見込むに際しましては、来年中にどのようなものが出てくる可能性が高いかということを前提に見込ませていただいております。したがいまして、八十億円ということでございます。
#125
○池田幹幸君 それでは、富士銀行と第一勧業銀行、日本興業銀行の合併が言われておりますけれども、これはどの程度の登録免許税になりますか。今言ったように、原則でやった場合幾ら、再生法適用で幾ら、今度の租税特別措置法になったらどうだということはどの程度になりますか。
#126
○政府参考人(尾原榮夫君) まさに金融機関の方の計画が認定を受けるということが仮にあったとすればという前提でございますが、富士銀行等の今の先生の例でございますと二兆六千億円の資本金になるわけでございます。そういたしますと、本則でまいりますれば、掛け算いたしまして百八十億円。それから、昨年度改正をお願いした一回目の軽減でございますが、それが九十億円になり、今回の改正法では約四十億円ぐらいになるのではないかというふうに見込まれるところでございます。
#127
○池田幹幸君 ちょっと待ってください。原則が八十億ですか。原則でやると登録免許税は百七十五億になるでしょう。二兆五千億としてもそうなるんじゃないですか。──百八十億ですか。失礼しました。百が聞こえなかった。
 私が計算したら、大体百七十五億と、今度の改正で三十八億、大体そんな形になるわけです。大変な減税になるわけなんです。
 それでは、何でこんなに優遇しなければいけないのかということなんです。例えば昨年決めた再生法、既に一般の企業の場合二十四も申請が来ているということですね。これは半分にするだけでもそれだけなんです。さらに何でここまで、五分の一まで原則に比べて引き下げなければいかぬのか。その理由はどういうことでしょうか。
#128
○政府参考人(尾原榮夫君) 今回の措置でございますが、昨年お願いしたほかに深掘りがなされたわけですが、これはまさにその後の進展状況等を踏まえまして、日本経済にとって事業再構築がさらに円滑に進むことが必要であるという判断に基づきまして今回の措置をお願いしているわけでございます。
 ただ、この措置は業種や規模を限定しているわけではございません。一定の要件に従い計画を策定すれば全業種が認定を受けられるという仕組みになっておりまして、ただいま金融機関がどのような、認定を受けるのか受けないのか、私ども現段階でわかりませんけれども、仮に金融機関が認定を受けるということでございますると、登録免許税自体が資本金の大きさに比例しているわけでございますので、結果的に軽減額が大きくなるということだと思います。
 したがいまして、一部の業種を優遇するということには当たらない。全体の業種の事業再構築を進展させるということかと考えております。
#129
○池田幹幸君 いや、何でこんなに優遇するのかと私は聞いているんです、優遇に当たらないというんじゃなしに。百八十から三十八でしょう。物すごい優遇じゃないですか。何でこういうことをやるのかと聞いているんです。
#130
○政府参考人(尾原榮夫君) 租税特別措置法全体がそうでございますが、租税特別措置法自体一種の増税ということでお願いすることもまれにはございますが、ある一定の政策を実現するために、このようなことをやれば税負担が安くなるということでお願いするのが通例でございます。そういう意味では、税の公平を損なう点があることは事実でございますが、それにも増して税の政策目的、これに基づく政策誘導の重要性ということにかんがみまして今回の措置を御提案申し上げているわけでございまして、そういう意味では、今の優遇ということでございまするならば、特別措置全体に内在している話であろうと思っております。今回は緊急性、重要性が高いということで御理解いただきたいと思います。
#131
○政務次官(林芳正君) 今回の深掘りということの以前に、なぜそもそもこの優遇税制をするのかという御質問の趣旨であるとすれば、後から通産省からも御答弁をいただければと思いますが、今、経済がこういう非常事態で、自律的な回復を達成しなきゃいけない。予算委員会でも随分議論をいたしましたけれども、供給側の効率性の向上と競争力の強化、これはもう何としてもやってまいらなければいけない。そういう法律の目的でございまして、そういうことを何とか手助けをしようということでこの法律があって、その一つのツールとしてこういう優遇税制を使っておるということだと思います。
#132
○池田幹幸君 政策目的だということですね。そうしますと、どういう政策目的なのか。
 先ほどどういう認定がなされるかわからぬがというお話でしたけれども、再生委員長、認定をなさる立場におられる方ですから伺いますが、銀行が再生法の認定を受ける、適用を受けるということになりますと、その活性化の内容というのは人減らし、支店とかの店舗減らし、これ以外にないんじゃないですか。それ以外に何か認定のできるような活性化がありますか。
#133
○国務大臣(谷垣禎一君) 基本的には、私どもは健全化計画というものを各行に出していただいておりまして、その健全化計画とどういう整合性をとっていくかということが一番のポイントであろうと思います。
#134
○池田幹幸君 健全化計画と合併ということになるとちょっと違うかと思うんですけれども、これは登録税ですから。先ほど言いましたように、みずほグループとか、もう次が控えております。三和、あさひ、東海の統合とか、合併の時点で新しい持ち株会社をつくって登録して、その登録免許税の軽減ということなんですから、ちょっとそれは話が違うんじゃないですか。
#135
○国務大臣(谷垣禎一君) 委員のおっしゃっていることが私よく理解できないのかもしれませんが、合併と健全化計画を進めていくということにそんな矛盾があるんでしょうか。私はそんな矛盾があるようには思えないんですが。
#136
○池田幹幸君 いわゆる産業活力再生法の規定しているところですよ。その再生法に規定しておる認定基準の中で銀行を承認するとしたら、人減らしか店舗減らししかないじゃないかと私は申し上げているんです。その項目からしたら、どうですか、そこしかないでしょう。
#137
○政府参考人(林洋和君) お答え申し上げます。
 私どもは金融機関の所管ではございませんが、産業活力再生措置法の物の考え方というのは、基本的には選択と集中ということでございます。そういう意味で、金融機関においてもそれぞれリテール、ホールセール、インベストメントバンキング等々、いろいろな業務の中で自分が得意なところを伸ばしていく、そういうものが基本的には再生法に合致するものだというふうに一般的には申し上げられると思います。
#138
○池田幹幸君 突然の質問じゃなかったと思うんですけれども、一応事前に連絡しておいたはずなんですけれども。なかなかお答えになりにくいだろうと思うんですが、産業活力再生法は、もともとが余り金融機関を想定していなかったということもあるんでしょうけれども、その中に書かれておることをやりますと、金融機関でできることというのは大体人減らしか店舗減らししかない、これは間違いなく言えることだろうと私は思うんです。
 用意しておきました質問があと法人税法関係でもあるんですが、これについては一言申し上げておきたいと思ったんですが、減損処理基準についてはいろいろ問題があるなというように思っております。
 ただ、今回の法人税法改正につきましては、私どもは、その改正項目についてはほとんど当然なものが含まれておりますから、それは賛成ではあるんです。ただ、これに関しまして、時価評価ということが言われておるんですけれども、時価評価に関連しましては幾つか問題があると思っております。
 特に金融機関の場合、これは今、金融商品会計に関する実務指針というのが、公認会計士協会が中間報告という形で、これは最終報告に近い形なんでしょうが、出されております。それを見ますと、一般の金融機関以外の産業の場合には、いわゆる売買目的でない有価証券に適用して、時価が簿価を三割以上下回った場合は損切りルールに沿って損失を出させるということになっております。
 ところが、金融機関は例外規定がついて、それが五割ということになっておるんですね。これはもう明らかに銀行に対しては非常に甘い基準を設定しておるということであって、一体こういう銀行甘やかしを、大蔵省でも再生委員長でも結構ですけれども、やるおつもりなのか、伺いたいと思います。
#139
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、池田委員がおっしゃった日本公認会計士協会の金融商品に関する実務指針でございますが、中間報告という形なんですが、確かに委員のおっしゃるように、預金などを受け入れている金融機関とそのほかの金融機関、一般法人というものと扱いに若干違いがある内容になっております。
 それで、その根拠がどういうところにあるのかというのは実は私たちも十分に掌握しておりませんし、またその中に、今何割下がったというお話がございましたけれども、「企業が設けた合理的な基準に照らして「著しい下落した」ときに該当し、」というような文言がありますが、どの程度下落したらその企業の設けた合理的な基準に該当するのかというようなことも必ずしもはっきりしておりません。そこで、三月六日に、金融監督庁から公認会計士協会の方に文書により、その点をはっきりさせていただきたいという申し入れをしております。
 一般論として申し上げれば、合理的な理由がない限り、今、委員がおっしゃったように、預金を預け入れている金融機関とそのほかの金融機関、一般法人と区別するということは必ずしも適当とは思われない。しかし、今回、金融監督庁から日本公認会計士協会に出しました文書は、実務指針の内容について、一体その区別している根拠に合理的かつ明確な基準があるのか、理由があるのか、その辺を示していただくようにお願いした文書でして、必ずしも我々としてまだ見直しそのものを要求しているわけではありません。
#140
○池田幹幸君 時間が来ましたのでやむなく終わるんですが、何でこんなことをやったかよくわからないとおっしゃったんですが、新聞報道ではこんなふうに言われているんですね。要するに、全銀協の会長がことしの一月以来会計士協会に日参しまして、そこで言ったことは、こんな規定を導入したら、つまり銀行も一般企業も同じようにやったとしたら銀行は持ち合い株を売却します、だから株式市場がつぶれる、それでもいいのかというおどしをやって、その圧力をかけられた結果、公認会計士協会は例外規定を追加したと。もともと例外規定はなかった、脅されて追加したというのですが、大体、銀行も持ち合い株を売却するかどうかもわかりませんけれども、ほかの産業と同じように例外規定を設けないでやった場合、本当に株式市場はつぶれるのか。そんなばかなことはないですよ。そうでしょう。まさかつぶれるとは思わないと思うんですが、こういうことを言ってやったというんです。
 ですから、もしそうだとすれば、再生委員長、今調べておるとおっしゃったけれども、新聞にも出ているんだから、これは本当なのかと聞けばわかることですよね。こんな理由でやったんだとしたら、どうですか、認めますか。
#141
○国務大臣(谷垣禎一君) 公認会計士協会の実務指針は、公認会計士がどういう基準で仕事されるかという、あそこで自主的に御判断されるものでありますし、我々の検査は金融検査マニュアルというもので、やっぱり検査の基準というのは、これは実際は今まで同じになっているわけですけれども、我々で決めているわけでありますが、今いずれにせよどういう根拠で、合理的な根拠がなきゃ差別を設けるというのはおかしなわけですから、いかなる合理的な根拠があるのかということを公認会計士協会に申し入れている、伺いたいと文書で申し入れている、こういう段階でございます。
#142
○池田幹幸君 大体合理的な根拠というのは考えられないと私は思うんですね。銀行協会はこんなことをやったら株式市場がつぶれると言っているんですよ。そんなものに合理的な理由はないじゃないですか。
 私は、そういうふうなのはまことにおかしい、金融監督庁はきちんとそういうところはやっていただきたい、やるべきだということを申し上げて終わりたいと思います。
#143
○三重野栄子君 社民党の三重野栄子でございます。
 租税特別措置法等の一部改正の審議に当たりまして、命と暮らしを守る台所の声の中から三点ほど大蔵大臣にお尋ねいたしたいと思います。
 まず、住宅ローン減税の関係でございます。
 住宅投資額は平成九年度名目ベースで約二十三兆九千億円、GDPの約五%を占めておりまして、今回の住宅ローン減税は半年間の延長とはいえ民間投資促進のための経済対策としてはその効果は極めて大きいと思います。
 通産省によりますと、他産業部門を含めた住宅投資が誘発する生産誘発額は約四十四兆円にも及ぶということでございますが、今回の延長の効果をどの程度とお考えか、お伺いいたします。
#144
○国務大臣(宮澤喜一君) 主税局が言っておりますことは、今回の住宅ローン税額控除制度の拡充措置は恒久的な減税や住宅金融対策等の他の諸施策と相まって本格的な景気回復の実現等に資するものと考えているということでありますから、要するにこの入居基準まで延ばしたことによりましてネットどれだけの建設があるかということであると思いますけれども、これから先のことでございますので、恐らく当事者、公庫等々も定かには申し上げられないのではないかと思います。
#145
○三重野栄子君 そこで、一方では、近時、地価の下落傾向が続いているとはいいながら、国民一般にとりましては住宅購入というのはまだそう簡単なものではございません。住宅ローン減税は、政府の言うような景気対策という意味だけではなくて、国民の持ち家促進のための施策という観点が大きいのではないかと思うのでございます。その意味からは、恒久的対策も必要ではないかと思われます。
 このように申し上げますと、景気対策としての効果との関係で、恒常化しては効果が下がってくると言われることもわかりますけれども、今までも住宅ローン減税は毎年のように制度変更が行われておりますので、思い切って恒久的減税策に切りかえていくというお考えはいかがでしょうか。
#146
○国務大臣(宮澤喜一君) これはなかなか難しいところでありまして、税収の面でいいますと平成十一年度は五千五百億円と言っておるわけでございますから、それが恒久的なものになるといたしますと相当大きな税収のロスになるということ、そしてこの所得税控除は平均的なサラリーマンの負担する所得税額より多いわけでございますから、所得税としては極めて異例なことであろうと思います。
 それから、もう一つ理屈を言えば、持ち家のみが優遇されるかということなんでございます。つまり、所得税としては、これは人が衣食住と申します住に当たりますが、持ち家である住を欠いている者にはそういう優遇はない、あるいは食、住にそれが及ぶということは所得税の立場からいいますと実は非常にコアの部分に入っていくということでございますから、なかなかこれを恒久的な減税にするということには問題が多いのではないかと思います。
#147
○三重野栄子君 もう一つの視点から申しますと、インフラ整備としての住宅対策という点ではいかがかと思うのでございます。
 先日の委嘱審査におきまして、同僚議員からの質問に対して、大臣は、公共事業の景気対策、雇用対策としての効果は薄れつつあるものの、諸外国に比較しておくれているインフラ整備としての公共事業の意義は失われていないという御答弁をされておりました。
 国民のための住宅整備というのは最も基本的なインフラ整備であると思うのでございますが、そういった意味から、効果が薄れつつある景気対策としてそういう住宅整備を行うのではなくて、基本的なインフラの整備のための住宅建設促進という意味からも恒久的に対策を講じていくことが必要ではないかと思うのでございますけれども、住宅ローン控除制度の恒久化について、先日の御発言も踏まえまして、もう一度大臣の御見解を伺いたいと思います。
#148
○国務大臣(宮澤喜一君) それは、公共事業というものをこれから本当に質の違ったものにしていくという決定が仮にありまして、そしてその中で住宅は、殊に持ち家の場合には自分のものでございますから、それについてそういう意味での優遇を与えるということなら考えられなくはないと思います、政策としては。しかし、それだけのコストを税が負うかということになると、いろいろ問題がありそうに思います。
#149
○三重野栄子君 それは私どもも検討してまいりたいと思います。
 次に、グリーン税制関係についてお尋ねしたいと思います。
 昨年来、環境庁等から自動車重量税等に係るグリーン税制創設の税制改正の要望が出ていたと思います。最終的に平成十二年度税制改正には盛り込まれなかったのでございますけれども、その要望の具体的内容というのはどんなものがございましたのでしょうか。
#150
○政務次官(林芳正君) 今、運輸省、環境庁からいわゆるグリーン税制でどういう要望があったかということでございました。
 自動車重量税は国税でございますし、自動車税は地方税でございますが、燃費の基準というのがございまして、これに着目して、燃費のよい車については要するに税金を軽くする、燃費が悪い車については重課をする、こういう内容でございます。例えば、現行の燃費基準、二〇一〇年基準と申すようでございますが、これを達成しておると、まあいい車でございますね、これは六千三百円を五千三百円に年間安くしてはどうかと。それから、今度悪い方でございますが、二〇〇〇年の古い基準の方を二〇%下回る車については〇・五トン当たり六千三百円を七千三百円にふやしたらどうか、こういうような御提案があったと承知しております。
#151
○三重野栄子君 そこで、今回の税制改正要望の背景の一つに、一九九七年十二月の京都議定書によります温室効果ガスの排出削減目標設定があったと思います。これは二〇一〇年度前後の排出量を一九九〇年度に比較して、我が国の場合六%削減しようとするものでありましたけれども、この目標達成に向けてどのような取り組みがされているでしょうか。
#152
○政務次官(林芳正君) COP3のお話であろうと思いますが、その前に、先ほどの御提案は結局だめになっちゃったということでございまして、これはいろいろ御議論があったところでございますが、一つは、先ほど私、いいのと悪いのと申し上げましたけれども、御提案の案ですと、いい方は百万台ぐらいある、悪い方は三十五万台しかないということで、いろいろなところで議論はされておりますけれども、この環境問題については、環境に対する負荷をつくり出している人に負担を求めようというのが基本だろうという考え方から、むしろ軽くするよりも重くする方を基本として検討すべきだろう、こういうこともありまして今回は見送られたということでございます。
 今、委員がお話しされましたように、この京都議定書は議定書がまとまりましたので、これの発効に向けて今鋭意関係国で必要な交渉をやっておるところでございまして、まだいついつまでにやれという強制力を持った条約になっておらないという状況でございます。
 いずれにしましても、COP3以来、地球温暖化への取り組みは国民の皆さんの間でも大変に関心が高まっておりますので、この行方がどうなるのかということを見ながら、今申し上げましたように、環境に負荷をかけていらっしゃる方、原因をつくっている方に負担をしていただくという基本的な考え方を中心にして、幅広い観点から今後検討していかなければならない、こういうふうに思っているところでございます。
#153
○三重野栄子君 そういたしますと、外国ではもう非常に進んでいるようでございますけれども、二酸化炭素の排出削減に着目した場合に、自動車の燃費だけでは足りない部分もあるようでございます。
 二酸化炭素の排出を直接的に抑制するためには、北欧諸国等で導入されております環境税だとか二酸化炭素税について導入を検討する必要があるのではないかと思いますけれども、北欧諸国等で導入されている環境税につきまして、その実施状況あるいは問題点等につきまして把握されておりましたら伺います。
#154
○政務次官(林芳正君) いわゆる環境税の中の、CO2の排出量に注目して課税を行う炭素税というものでございますが、北欧諸国では一九九〇年代の初めに、いわゆる温暖化の問題が背景にありまして次々と導入しておるようでございまして、一九九〇年にフィンランドとオランダ、それから翌年の九一年にスウェーデンとノルウェー、九二年にデンマークと相次いでこの炭素税が導入をされておるようでございます。
 大体、従量税、要するに価格ではなくて量に対してかかる税でございまして、例えばオランダでありますと、ガソリン一立米当たり二十五・六三ギルダーとか、灯油一立米に対して二十八・〇八とか細かく決まっておるようでございます。デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランドにおいても大体ガソリン一立米当たり幾らということで税金をかけておるようでございまして、いずれも国税として税収の使途も一般の財源というようになっておるようでございます。
#155
○三重野栄子君 そういたしますと、環境基本法は、負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すための措置について、調査研究や実施する場合の国民の理解、協力を得るための努力義務が定められています。
 環境税はまさしく二酸化炭素を排出するという負荷活動を行う者に対し適正かつ公平な経済的な負担を課すための措置であり、単なる低燃費車の普及促進にとどまらないで、地球温暖化防止のための有効な施策ではないかと考えるところでございます。
 先ほど政務次官からもいろいろお話を伺いましたけれども、北欧の状況なり、それから低燃費の方、いいものが百万台で悪い方が三十五万というようなお話でございましたけれども、今までお話しいただきました中身を総合いたしまして、これからの問題につきまして大臣はどのようにお考えでしょうか。
#156
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど政務次官からもお話がありましたように、やはりポリューターズペイというのが基本の考え方だと思うのでございます。それである限り、いわば観念としての理解は恐らく国民が持ちやすいと思います。ですから、さっきの自動車のような話にはちょっとそこからはなかなか行きにくいわけでございますね。むしろ、今の石油製品課税みたいなものの方が本当なのかもしれません。ですが、この話はここまでいろいろに議論されておりますので、私はある程度時間がかかったら何かやっぱりできざるを得ないんだろうと思って見ております。このままほっておくというのはきっとできないんじゃないでしょうか。
 ですから、それは国民がなるほどと納得できるような形、税になるといたしますと、徴税のための方法等々がそう難しくないということは無論大事だと思いますが、抽象的に申し上げているようですけれども、何かそういうあたりがやっぱり落ちであって、そっちの方へ向かって我々は進んでおるんだろうと私は思っております。ですから、ある段階でまあまああの辺かなというものがどうも出てこなければならないところへ来ているような感じがいたしております。
#157
○三重野栄子君 なかなか難しい問題ではありますけれども、COP3の議長国でもございましたし、そういう意味ではできるだけ国民にも広めていくということをしながら、グリーン税制と申しましょうか、そういうことにつきましてもできるだけ早く実施をされればいいなと思いますので、よろしくお願いします。
 最後の課題として、消費税に関するものをお尋ねしたいと思います。
 我が国の少子化、高齢化の進展や近時の経済状況から見ますと、国民は将来の生活に大変不安を感じております。戦後最悪の財政赤字を抱える中で、政府に今後の財政再建のビジョンを明確にしてもらいたいと。国民は将来の増税、特に消費税率の引き上げを大変心配しております。
 大蔵大臣は所信表明のときに、我が国経済が本格的な回復軌道に乗ることを確認した上で、財政、税制の諸課題について抜本的な措置を講ずるとされておりましたけれども、この抜本的な措置はいかなるものか、消費税率も含まれているのかどうか、その点についてお伺いしたいと思います。
#158
○国務大臣(宮澤喜一君) 財政再建のことを申し上げるときに、今、三重野委員がおっしゃいましたように、歳出はもちろん、税制、中央、地方との関連、恐らく二十一世紀初頭の我が国の経済社会の持っているいろんな問題を全部並べて、そしてやっぱりモデルが要ると思いますが、その中で国民に選択をしてもらうということしか私はないだろうと思います。その中の一つは、やっぱり社会福祉につきましての給付と負担との関係というものがどうしても逃れられない問題でございます。また、そういう形でしかこの問題は国民的な選択ができないのかもしれないとも思いますが、今、三重野委員のおっしゃった問題はまさにそこの問題だというふうに私は考えております。
#159
○三重野栄子君 そこで、消費税の税率の引き上げの問題が出てくるわけでございますけれども、消費税率の引き上げというのはどうしても消費者の家計に直接的に影響を与えるものでございまして、安易に税率の引き上げが行われることは決して許されないと考えています。
 現状におきましても、消費税が食料品を初めとする生活必需品にも課税されているわけですから、低所得者層に対する逆進性緩和のための措置を早急に講ずる必要があると思いますけれども、これらの問題について伺いたいのです。
 私どもとしては、飲食料品の戻し金制度は消費税の持つ欠陥を是正しながら低所得者層に対する逆進性緩和に最大限の配慮をしていることによりまして、消費税率の安易な引き上げを行わないで、消費税を命の税化というとちょっとあれですけれども、そういう形で、しかしやっぱり消費税は必要なのかもわからない。そうするならば、実効性のある逆進性緩和策として飲食料品の戻し金制度の創設を提唱しているわけでございますけれども、納税者のみならず広く低所得者層を対象とする戻し金制度は消費税の逆進性緩和に最も効果的と考えますが、この点につきまして大蔵大臣の御見解を伺います。
#160
○国務大臣(宮澤喜一君) 私は今それにお答えするだけの知識もありませんし、またどういう背景の中からそういう問題が出てくるか、恐らく先ほど申し上げたような背景ではないかと勝手に想像しておりますけれども、一般的にもし国民的なコンセンサスがあって、そして消費税率というものがヨーロッパのある国々のように二けたになってくるということになりますと、ヨーロッパのそれらの国々がかなりやっているように、生活必需品というものとそうでないものが同じ税率なのかという問題はやっぱり何かの答えを出さなければならないのではないか。
 しかし、その場合には恐らくインボイスが入り用になるのではないか。これは、私は知識がありませんので、ぼんやりとしか問題がわかりませんが、少なくともそういう状況になればそういうことがいろいろに議論されるようになるのではないかという全く一種の想像で申し上げるんですが、ではなかろうかと思います。
#161
○三重野栄子君 私どもも消費税そのものについて賛成とかということでありませんで、この創設のときには大変反対をしていろいろと御検討いただいたわけでございます。今、大臣がおっしゃいましたように、一体どういうふうになっていくのかということを私どもも検討したいと思いますが、今どうしても必要とするならば一つの課題ではないかということで申し上げました。
 もう一つの問題といたしまして、戻し金制度につきまして昨年私は質問させていただきましたが、その際の大蔵大臣の趣旨は、考え方としてはわかるけれども、納税者番号制度がない状況を前提に行政としての対処が難しいということだったと思います。また、納税者番号制度については、昨年末の政府税調において、住民基本台帳法の改正をも踏まえ必要とされる付番のあり方について引き続き検討を進めていく必要があると答申をされておりまして、従来からいたしますと一歩踏み込んだ状況ではないかと思うわけでございます。
 ことしは政府税調の中期答申の年でもございますので、当然、少子高齢化を踏まえました消費課税のあり方あるいは納税者番号制度について議論がされていくであろうと考えているところです。
 単に消費税の問題のみでなく、税制のあり方全般を見渡しました場合に、公平な税制の確立、戻し金制度の創設というのは低所得者層に配慮した極めて有効な制度と考えております。中長期的な観点も含めまして、ぜひ私どもの考えにつきましていろいろと御検討いただきたいのでございますけれども、先ほどお話しいただきましたが、今申し上げました税調の動きもございますので、もう一度大臣の御見解を伺いまして、終わりにしたいと思います。
#162
○国務大臣(宮澤喜一君) 以前にもお尋ねがあり、申し上げましたけれども、税調でもこの問題は随分長いことかつ真剣に議論をしておられます。税調も何年間かで委員がかわっていかれますから、引き継ぎ引き継ぎ議論しておられるようでございますけれども、もう御存じのように、経済取引についてかなりの一つの、邪魔という言葉はよくありませんが、一つのハンディになるとか、行政あるいは経済のコストはどうだろうかとか、このごろはタックスの方はタックスコンプライアンスというようなこともまた申します、税というのはそういうものではないという。
 それより、何となく基調に、国民が背番号を持つということについて、これは戦後何度も何度もそれについての世論は微妙に変化をしているようでございます。微妙に変化をしておりまして、どうも最近は前よりも疑問を持つ人が多くなっているんでしょうか、よくわかりませんが、どうも一種のイデオロギー的な反対よりも、現実に自分が物を考えてみての反対みたいなものが大分あるようでございます。
 いずれにしても、税調はこの問題はずっと継続して検討しておられまして、恐らくやがて新しい税調が生まれるのかと思いますが、当然、問題は引き継いでいかれますので、議論は決して途絶えることはない、続いていろいろ議論をしていかれることになろうと思います。
#163
○三重野栄子君 これからの税制に向けて御検討いただきたいのでございますけれども、先ほど池田議員の御質問の中にもございました子育て増税というようなことになりませんように、ぜひとも広い立場で、国民が安心して暮らせるような税制になりますように、御活躍をいただきたいというふうに思います。
 終わります。
#164
○星野朋市君 私がきょうは最後でございます。けさからずっと税の話が続いておりますので、私はちょっと税から離れた問題で御質問させていただきます。
 まず、谷垣大臣にお尋ねをいたします。
 これは私が先日、例の銀行の健全化の問題で詳細にお尋ねをいたしました続編というか番外編という形でお尋ねをいたします。
 今から二年前の平成十年三月十二日に、私は予算委員会で松永大蔵大臣に銀行の相談役の問題について御質問したことがございます。時の事務次官小川さんが暗に銀行の相談役の問題について触れましたけれども、そのときはほとんどみんな居直った。私が三月十二日に、銀行の相談役、いわゆるバブル期にバブルを生じて、その後不良債権をつくった人間がそのまま相談役に残っているとは何事だということで御見解をただしましたところ、委員の提案についてはこれを胸にしまって、七人委員会、例の佐々波委員会に出ます、そうおっしゃったんです。
 このときは例の主要行各行に一千億を注入するという段階でございました。直ちに七行ほどが相談役制度をやめる、こういう結果になりまして、その後ほぼ一千億ずつ注入されて、その後、相談役制度がまた復活した銀行があったんです。名前を挙げますと、これは東海銀行、それからさくら銀行、この二行が復活したんです。それで、私は行革税制特別委員会で、松永大臣、どうだねと。非常に問題だ、いいところはないんじゃないか。貸すべきところに貸さないで公的な資金を注入された銀行がそういうことじゃ困ると。
 このことがNHKのニュースに取り上げられまして、NHKが東海銀行にこのことを尋ねたんです。そうしたら、東海銀行は何と言ったかというと、この二人の頭取の相談役就任は愛知万博のためにどうしても助言が必要なんだ、こういう答えだったんです。今、愛知万博はどうなっていますか、二年たって。開発計画そのものが崩れてしまっているじゃないですか。
 今度の公的資金の注入に関しましては、役員の問題までは触れているけれども、相談役の問題については恐らく触れていないと思うんです。そして、あたかも似た者同士だと言うんです、東海とさくらというのは、合併するわけですから。似た者同士が合併しちゃうんです。
 それで、この相談役に残っている理由は何だというと、これは後輩の頭取が自分を引き立ててくれて、実力というものじゃなくて、自分らをどうやって引き立ててくれるか。給料は出し、秘書はつけ、個室は与え、車をつける、これがまだ続いていると思うんです。
 それで、再生委員会はそこまでこの問題について触れているのか触れていないのか、それから谷垣大臣はその問題についてどうお考えか、お聞かせを願いたいと思います。
#165
○国務大臣(谷垣禎一君) 今、星野委員が御指摘になった相談役に触れておるのか、いないのかと。
 私が受けております報告は、経営健全化計画全体の中で役員の数をどう削減していくか、この点については報告を受けておりまして、その観点からまいりますと、昨年の九月期におけるリストラの状況というのは中間時点としては経営健全化計画どおり進んでいると。
 やや具体に申しますと、役員数については、十五行合計で、十一年三月末の実績が四百九十六人、それから十二年三月末の計画が三百九十五人であるけれども、十一年九月末で三百六十七人と目的を超えたところまで行っている。それから、役員の報酬、賞与につきましても、十五行平均で、十二年三月末の計画値が約六億六千万円であるところ、昨年の九月で約三億三千万円、これは計画を通り越している。こういうふうに経営健全化計画から見れば進んでいるという報告を受けているわけでございますが、個別のことについては実は報告を受けておりません。
 それからまた、個別のところでどうするかというのは、それぞれの経営判断もあろうかと思いましてコメントもしにくいというふうに実は思っておりますけれども、しかしここから先は言うと事務方が冷やっとするのかもしれませんが、いろいろ聞いておりますと、目に余るものと言ったら言葉が悪いかもしれませんが、いささかどうかというようなものはいろいろ、こういう行政の手法が果たしていいのかどうかも別でございますけれども、いろいろお話をして進捗を見たものもあるというふうに聞いております。
#166
○星野朋市君 一言だけ申し述べさせていただきますけれども、こういうことを考えたのは、住専の問題に端を発しているわけです。そのときに六千八百五十億という公的資金を注入して、このときはみんな大騒ぎしたわけですね。ところが、あれの附則に、母体行は七年間で経営努力を一生懸命して、一兆五千億の利益を生み出して五千億を税金で納めますと書いてあるんですね。ところが、そんなことをやった銀行は一つもないんですよ。その後、みんな不良債権の償却ということでやる。それはもうほとんどの人が忘れている。こういうことが私は問題だと思っているから申し上げたのでございまして、どうかその点についても十分目を光らせておいていただきたいと思います。
 質問が私はそれだけでございますので、どうぞ大臣、お引き取りいただいて結構でございます。
 それから、これは政務次官にお聞きしたいと思うんですけれども、いわゆる国の貸借対照表です。大蔵省は何か今進行中というふうにも聞いておりますけれども、どうしてそれをお尋ねするかというと、今マスコミとか一般的に言われるのは、国の借金が今度の新規国債を含めると国と地方合わせて六百四十五兆だと、これは大変だ大変だと、こういう議論になっちゃっているんですね。
 専門的なところでは、ちゃんと建設国債とそれから特例公債、赤字国債の区別はされていますけれども、今マスコミでもここはもう区別していないんです。そして、ほとんど三十二兆の新規国債と、こういう形で、あたかも国と地方合わせた六百四十五兆がもう大負債だというふうなことで、それをもとにして財政再建だという議論になっていると私は思うんです。
 そこで、一回これはやっぱり整理してみる必要があると思うんです。国の資産というのは、土地の評価であるとか、それから建設国債その他、財投によってできたいろいろなもの、これはなかなかすぐには出てこない問題だと思いますけれども、負債項目に載るものははっきりしていると思うんです。
 私の試算だと、国のいわゆる国債が約三百六十兆、厚生年金債務が七百二十兆、郵便貯金債務が二百五十兆、簡易保険債務が百十兆、公務員の退職引当金が約十兆、それから政府の短期資金が約四十兆ですか、大体千五百兆ぐらいがいわゆる負債項目に載る金額だと思っております。
 これに対して資産がどうなるかということは、これは今言ったように非常に難しい問題だし時間がかかると思うんですけれども、そういう目で物を見て、実はここにある負債によって資産がこういうふうに形成されているんだと。それから、厚生年金だとか郵便貯金は預かり金勘定ですから、項目はこうだけれどもこういう資産をそれに対して充てていると。これはやっぱりはっきりしておくべきだと思うんですが、いかがでございますか。
#167
○政務次官(林芳正君) お答え申し上げます。
 大変含蓄に富む御質問だと思って、私も興味深く拝聴させていただきました。と申し上げますのは、私はこの政務次官に来る前に実は党の行革本部でそれにかなり近いことをずっと検討しておったものですから、大変意義深い御質問だと思っております。
 そこで、いわゆる企業ではBSとPLというのがあって、PLがフローでBSがストックだと。これが両方そろって初めて姿がわかる。国の場合は予算書というのがPLの大福帳みたいなことになっておりますから、そういう意味では、委員が今おっしゃったように、全体のバランスシートを考えるということは大変に大事だと、こういうふうに思っております。
 今御指摘のあった国の長期債務残高というものを公表しておりますが、これには入っていないものがございます。郵貯、簡保、年金と、委員が今御指摘になったものは入っていないわけでございますが、これは一応言葉の整理として、将来直接税金で返すものとそうでないもの、こういうような区別をして、一応議論が余り複雑にならないようにということでやっているというふうに御理解いただければいいんじゃないかな、こういうふうに思っております。
 郵貯は郵貯で特別会計がございますので、この特別会計の方で、これは公表しておりますけれども、一応貸し方で通常郵便貯金、例えば二十八兆何千億と、こういうようなことを別建てで出しておるわけでございます。また、今御指摘のありました簡保についても、同じように特別会計の貸し方で出しております。
 それから、年金でございますが、これは厚生省等も出しております資料でございますけれども、過去期間に対応した給付債務、これは十一年の末で切った数字でございますが、七百二十兆円のうち、委員がおっしゃったように、厚生年金の二階部分で将来の保険料率の引き上げでやる分は大体三百三十兆円。
 これはもう全部表に出しておるわけでございますが、委員がおっしゃったように、これは全部ばらばらで出ておりますので、どうもフローの議論とストックの議論がぐちゃぐちゃになってもう本当に大変なんだというようなお話になっておると私も思っております。そこで、バランスシートをつくらなければ議論がちゃんと同じ土台でできないということで、実は大蔵省の方でも主計局の次長のもとで私的な勉強会をつくりまして今検討しておるところでございます。
 委員がまさに御指摘になったように、橋を幾らで見るかとか、道路を幾らで見るか、こういう大変難しいところがありまして、大変苦労しておるようでございます。また、出したときのインパクトというのもこれありでございまして、大変いろんなことを呻吟しながらやっております。各省庁にもいろいろお願いをして資料を集めておりますけれども、できればことしの夏ごろまでには試作品みたいなものはつくりたいというふうに考えて今頑張っておるところでございます。
#168
○星野朋市君 ぜひお願いをいたしたいと思います。
 最後に、税金の問題について全く触れないわけにいかないからちょっと触れますけれども、税金の方が主体ではございませんで、実はデリバティブの時価問題というのが今度の法人税の問題と絡んでまいりますが、このデリバティブの問題についてちょっとお伺いをいたします。
 今あれは三年ごとに公表されるんですか。そうすると、直近では一九九八年ですか、そのときに世界におけるデリバティブの総額は幾らで、日本が立てたデリバティブのあれは、これは円であらわすんですか、幾らであったか、ちょっとお聞かせを願いたい。
#169
○政府参考人(福田誠君) お答えいたします。
 店頭のデリバティブ取引の規模の数字がございまして、これは国際決済銀行、BISの取りまとめで、主要国の中央銀行が各国の主要金融機関等に対して調査を行っているわけでございます。
 お尋ねの直近の調査は昨年五月に公表されておりまして、一九九八年六月末の時価評価額の合計は、全世界で約二兆五千八百五十億ドル、うち日本分が約五千七百五十三億ドルでございます。そして、三年前の前回調査によりますと、九五年三月末のデリバティブ取引の時価評価額の合計が全世界で約二兆二千五十億ドル、日本で約六千二百十三億ドルということでございます。
#170
○星野朋市君 福田さん、ちょっとそれは違うんじゃないかな。私は一九九五年に予算委員会で聞いたことがあるんですよ。そのときに、今、約四十兆ドルぐらい、一九九五年ですよ、約四十兆ドルぐらいだろうと言ったら、大蔵省は、一九九二年の六月で十七兆ドルですと、こういうお答え、それで一九九五年に発表されたのは四十一兆ドルだったんですよ。一九九八年は恐らく六十兆ドルになっていると思いますが、どうですか。
#171
○政府参考人(福田誠君) 申しわけございませんでした。先ほど申し上げましたのは時価評価額でございまして、もう一つ計数としては想定元本がございます。これによりますと、同じように直近の先ほどの数字は、想定元本は七十二兆一千四百三十億ドルでございまして、三年前が四十七兆五千三百億ドル、日本分は直近で十四兆一千億ドル、前回が八兆三千二百六十六億ドルでございます。
 失礼しました。
#172
○星野朋市君 規模はそういうふうにして猛烈に膨らんでいきますね。
 それで、このデリバティブの実態というのは実はなかなかわからないわけです、為替だけでしたらわかるんですけれども。いろんなものの組み合わせがある。その中で時価というのはどういうふうに見るのか。これはなかなかわかりにくいので、もし実例があったら示していただくとありがたいんですが。これは余りにも専門的だから一般にはよくわからないんですが、次官、お答え願えますか。
#173
○政務次官(林芳正君) 私も専門家ではございませんが、昔、商社におりましたころに似たようなことをやっておりました。
 今、想定元本が大変大きいわけでございますが、百円で一ドル買っておったものが百二十円になっているとしますと、その時価というのは、二十円分もうかっているわけですから、この二十円が時価ということでございまして、それに対しまして想定元本というのはこの百二十円そのもの全体が想定元本ということでございますから、マーケットできちっと値段が出ていて、どこで入れてどこで出すということがわかっておればこの時価というのはきちっと評価をできる、こういうことであろうと思います。
#174
○星野朋市君 次官、ですけれども、いろんな、例えば為替と株式の組み合わせであるとか、そういうものででき上がっているファンドがあるわけです。そうすると、それはどの時点なのか。買ったときはわかりますね。だけれども、その時価というのはどうやって見るのかなんですよ。それが今おっしゃったような簡単なものじゃないはずなんです。
#175
○政務次官(林芳正君) これもバリュー・アト・リスクというモデル、よく委員の御存じのとおりのモデルがございまして、これを各国の当局でどうやるかなんていろんな議論になっておるようでございますが、分解しますと、為替の部分と金利の部分と、それぞれマーケットで値段がついているものをどうやって組み合わせるかによってこの複雑なデリバティブもなっておるようでございますから、この要素を全部分解してきちっとやりますと、全く鉛筆をなめてやっているというところはないわけでございまして、そうやって今のマーケットでそれぞれ出してくると、幾らになるかという計算は理論上可能であるということだと思います。
#176
○星野朋市君 終わります。
#177
○委員長(平田健二君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより両案について討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
#178
○笠井亮君 私は、日本共産党を代表して、租税特別措置法等の一部を改正する法律案に対し反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、本法案が、昨年の税制改正において子育て支援の名目で恒久的減税として創設した年少扶養控除をわずか一年で廃止するものだからであります。この措置が児童手当の支給対象の拡大と引きかえにとられることにより、差し引き一千六百万人もの児童を扶養する世帯には増税となるばかりでなく、子供の数が多ければ多いほど負担増をもたらすのであります。これが少子化対策にも逆行することは明らかであり、反対です。
 第二に、本法案では、大企業優遇の特権的減免税について、その一部を見直しただけで、ほとんどを温存していることであります。深刻な財政破綻のもとで歳入における税収確保が焦眉の課題となっている今日、不公平税制に抜本的なメスを入れ、とりわけ法人税関係の課税ベースこそ大幅に拡大すべきであります。
 さらに、登録免許税の一層の軽減措置も、特に大銀行には巨額の減税をもたらし、労働者切り捨てのリストラ推進税制となるものであり、認められません。
 本法案には、住宅ローン控除制度の延長など国民負担軽減に資する改正も含まれていますが、以上の理由から、全体として法案に反対の態度をとるものであります。
#179
○委員長(平田健二君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより順次両案の採決に入ります。
 まず、租税特別措置法等の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#180
○委員長(平田健二君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案について採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#181
○委員長(平田健二君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、寺崎君から発言を求められておりますので、これを許します。寺崎昭久君。
#182
○寺崎昭久君 私は、ただいま可決されました租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党・自由国民会議、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、社会民主党・護憲連合、自由党及び参議院の会の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
 一 中長期的な財政構造健全化の必要性にかんがみ、今後の経済動向にも留意しつつ、歳出の重点化・選別化に努めるとともに、税制に対する国民の理解と信頼を確保する観点から、少子・高齢化の進展、企業経営環境の変化等を踏まえた課税の在り方についての抜本的見直し等を含め、社会経済構造の変化に対応した税制の確立に努めること。
 一 国及び地方の財政が極めて厳しい状況になっていることに配意し、国と地方公共団体との役割分担を踏まえつつ、国と地方の税源配分の在り方について引き続き検討すること。
 一 租税特別措置については、その政策課題の緊急性、効果の有無、手段としての妥当性、利用の実態等を十分吟味し、今後とも徹底した整理合理化を推進すること。
 一 急速に進展する経済取引の広域化・複雑化及び電子化等に見られる納税環境の変化、更には滞納整理事務等を始めとする事務量の増大にかんがみ、今後とも国税職員の処遇の改善、定員の確保を行うとともに、事務に関する機構・職場環境の充実及び一層の機械化促進に特段の努力を払うこと。
  右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
#183
○委員長(平田健二君) ただいま寺崎君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#184
○委員長(平田健二君) 全会一致と認めます。よって、寺崎君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、宮澤大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。宮澤大蔵大臣。
#185
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても御趣旨に沿って配意してまいりたいと存じます。
#186
○委員長(平田健二君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#187
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#188
○委員長(平田健二君) 関税定率法等の一部を改正する法律案を議題といたします。
 政府から趣旨説明を聴取いたします。宮澤大蔵大臣。
#189
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました関税定率法等の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。
 政府は、最近における内外の経済情勢の変化に対応する等の見地から、関税率等の改正を行うとともに、納税申告の前に輸入貨物の引き取りを可能とする簡易申告制度を導入することとし、本法律案を提出した次第であります。
 以下、この法律案の内容につきまして御説明申し上げます。
 第一は、原油及び石油製品関税の改正であります。
 原油関税について、現行平成十三年度までの期限を平成十七年度まで延長するとともに、平成十四年度から税率を引き下げる等、原油及び石油製品関税の改正を行うこととしております。
 第二は、その他の関税率等の改正であります。
 粗糖の関税率の撤廃、精製糖等の関税率の引き下げ等を行うこととしております。
 第三は、戻し税制度等の改正であります。
 個人的な使用に供する一定の輸入貨物を返送する場合にその貨物について納付した関税を払い戻すことができることとする等、戻し税制度等の改正を行うこととしております。
 第四は、暫定税率及び関税の還付制度の適用期限の延長であります。
 平成十二年三月三十一日に適用期限の到来する暫定税率及び関税の還付制度について、その適用期限を一年間延長することとしております。
 第五は、簡易申告制度の導入であります。
 輸入者の利便性の向上等のため、法令遵守の確保を図りつつ、あらかじめ税関長の承認を受けている輸入者が、継続的に輸入しているものとして指定を受けた貨物について、納税申告の前にこれを引き取ることを可能とすることとしております。
 その他、覚せい剤、銃砲等の輸入禁制品を輸入した場合の罰金額を引き上げる等、所要の改正を行うこととしております。
 以上が関税定率法等の一部を改正する法律案の提案の理由及びその内容であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
#190
○委員長(平田健二君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 本案に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。
   午後五時五十六分散会
ソース: 国立国会図書館
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