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2000/04/18 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 財政・金融委員会 第10号
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2000/04/18 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 財政・金融委員会 第10号

#1
第147回国会 財政・金融委員会 第10号
平成十二年四月十八日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         平田 健二君
    理 事
                中島 眞人君
                海野 義孝君
                池田 幹幸君
    委 員
                岩井 國臣君
                世耕 弘成君
                中島 啓雄君
                林  芳正君
                日出 英輔君
                星野 朋市君
                伊藤 基隆君
                久保  亘君
                櫻井  充君
                浜田卓二郎君
                笠井  亮君
                三重野栄子君
                椎名 素夫君
   国務大臣
       大蔵大臣     宮澤 喜一君
   政務次官
       大蔵政務次官   林  芳正君
       通商産業政務次
       官        茂木 敏充君
       建設政務次官   岸田 文雄君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        吉田 成宣君
   政府参考人
       金融再生委員会
       事務局長     森  昭治君
       金融監督庁監督
       部長       乾  文男君
       国土庁土地局長  小林 新一君
       大蔵省金融企画
       局長       福田  誠君
       建設大臣官房総
       務審議官     林  桂一君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正す
 る法律案(内閣提出)
○特定目的会社による特定資産の流動化に関する
 法律等の一部を改正する法律案(内閣提出)
○金融商品の販売等に関する法律案(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(平田健二君) ただいまから財政・金融委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律案及び金融商品の販売等に関する法律案の審査のため、本日の委員会に金融再生委員会事務局長森昭治君、金融監督庁監督部長乾文男君、国土庁土地局長小林新一君、大蔵省金融企画局長福田誠君及び建設大臣官房総務審議官林桂一君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(平田健二君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#4
○委員長(平田健二君) 証券取引法及び金融先物取引法の一部を改正する法律案、特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律等の一部を改正する法律案及び金融商品の販売等に関する法律案、以上三案を一括して議題といたします。
 三案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#5
○岩井國臣君 去る三月三十一日に噴火いたしました有珠山の火山活動は既に三週間近くになろうとしております。
 まず、このたびの有珠山噴火で被災されました方々や避難生活を余儀なくされている方々に対しまして心からお見舞い申し上げる次第でございます。そして、その間、噴火後直ちに現地対策本部を設置するなど、まことに適切に対応されてきております政府に対しましても深甚なる敬意を表したいと思います。
 森総理も去る十五日に避難所などを視察されたところでございます。私ども自由民主党におきましても、三月三十一日、直ちに幹事長を本部長といたします有珠山噴火災害対策本部を設置し、関係各省庁とも協力いたしまして、迅速な対応を図ってきております。私も災害対策本部の事務局長といたしまして、噴火直後の四月一日に現地に赴きまして直接被災された方々の生の声を聞いてまいりました。
 現在の状況でございますけれども、四月十三日に、一部の地域でございますが、避難指示を一時的に解除されました。しかし、依然として避難生活を余儀なくされておる方々というのが約八千三百名もおられるんですね。大変なことだと思います。避難所での生活の御苦労を思いますと、まことに胸の痛む思いでございます。
 そこで、建設省にお伺いいたしますが、四月十三日に避難指示地区の一部が解除されましたけれども、解除された地区につきましては被災した公共土木施設の早期復旧を図るために応急復旧を進めるべきだと考えますが、その辺の取り組みというのは今どうなっておりますでしょうか。
#6
○政務次官(岸田文雄君) 有珠山噴火に伴います災害の早期復旧につきまして岩井先生の方から今お尋ねをいただきましたが、今回の噴火災害による公共土木施設における被害でありますけれども、現在、北海道等で鋭意調査中でございます。
 避難指示区域内については航空写真等を用いて推計を行う等調査中でありますが、少なくとも道路ですとか橋梁ですとか下水道ですとか公園、こういった施設につきまして被害が報告されているところでございます。
 今般の噴火災害につきまして災害復旧事業を早期に実施することは地元の方々、地域の方々の不安を除去するという意味からも大変重要なことだと認識して今取り組んでいるところでございます。そして、具体的には被災した公共土木施設の応急復旧について、既に四月十三日、先週の木曜日から道路の亀裂の修復や灰の除去、下水道の処理機能の確保などを進めているところでございまして、そして建設省本省としましても四月十四日に総括災害査定官を派遣いたしまして、現地におきまして応急復旧の技術的な指導を行っている、こういった対応をとっているところでございます。
 いずれにしましても、早期復旧の重要性を感じながら今努力をしているというところでございます。
#7
○岩井國臣君 応急復旧につきましては大蔵省と協議しながら、災害査定が終わらなくても適宜対応ができるということで今やっていただいておるわけでございますけれども、ひとつよろしくお願いをしたいと思います。
 問題は本復旧なんですけれども、被災いたしました公共土木施設の本復旧につきましても早期に実施を図る必要がある、そういうところが幾つかあると思うんですね。したがって、そのためにはどうしても災害査定をやらなきゃいかぬ。立ち入ることのできないところもあるわけですけれども、そういうところは別といたしまして、早急に災害査定できるところにつきましては災害査定を急いでいただきたい。とにかく時間を短縮してやっていただきたい。大幅に事務手続の簡素化を図る必要があるのではなかろうかと思うんです。
 すなわち、地方公共団体からの災害復旧事業の申請が上がってくるわけでございますけれども、阪神・淡路大震災のときにやっていただきました総合的な単価方式で、細かい積み上げじゃなくて総合的な単価方式を採用してとにかく簡略化していくというやり方、阪神・淡路でやっていただきましたようなあんなやり方でやっていただく必要があるのではなかろうかと思っておるのでございますけれども、いかがでしょうか。
#8
○政務次官(岸田文雄君) 本復旧の早期実施、特に災害査定の部分につきましての御質問でございますが、先生から御指摘をいただきましたように、被災しました公共土木施設の早期復旧のためには地方自治体からの災害復旧事業の早期申請と国による災害査定の迅速化、この両方が不可欠だというふうに考えております。
 御指摘の災害査定でございますが、通常、被災状況の確認が行われ、そして地方自治体から申請が行われて査定が行われる。その間、通常二カ月から三カ月かかると言われているわけでありますけれども、その中で最も時間を要するのが災害復旧事業の申請のために地方自治体が行います査定設計書の作成でございます。この査定設計書の作成の時間をいかに縮めるか、このあたりがポイントかと考えておりますが、阪神・淡路大震災等の例を参考にしまして、設計作業を簡略化する総合的な単価方式の採用、これはぜひ進めるべきだというふうに思っております。
 しかし、どの程度大づかみでこの方式を実施するのか、こういったこと等も含めまして、関係機関、これはもちろん財政当局、大蔵省も含まれるわけですが、こうした財政当局等の関係機関とも調整を図っていかなければいけない、そのように感じております。こうした調整を進めながら作業の短縮化を図っていく所存でございます。
 そして、自治体から申請が行われた後に建設省として直ちに災害査定を実施する、実施できるように努力する、これは当然のことだと考えております。
#9
○岩井國臣君 ひとつよろしくお願いしたいと思います。
 政務次官はお忙しいでしょうから、これで後は質問がございませんので、退席していただいて結構でございます。
 ありがとうございました。
 御案内のとおり、災害査定というのは、建設省の方で災害査定官を指名いたしまして、大蔵省の立会官と一緒にやるんですね。それで査定額を決めまして、後は大蔵省と協議をして災害復旧事業費を決めていくわけでございますけれども、そういう意味で、建設省と大蔵省が一体でないとこれはうまくいかないわけでございますので、ぜひとも有珠山の噴火の関係につきましては、ひとつ大蔵省の方もよろしくお願い申し上げたいと思います。
 先週末のアメリカにおきます株の急落の影響で東京株式市場も売り一辺倒の展開になりまして、平均株価が一時千八百円安になって、一万九千円を割ったというようなことでございます。アジア株も大幅安のようでございます。
 しかし、宮澤大蔵大臣は、記者団に対しまして、予想していたことだから特に驚いてはいない、日本経済の回復力はかなりはっきりしてきているので私は心配していない、そういう趣旨のことを述べられました。
 本当に日本経済の回復基調に深刻な影響を及ぼすというようなことがないのかどうか。これは質問を通告していなかったんですけれども、大蔵大臣の御見解をお聞かせいただければと思うわけでございます。
#10
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカの株高がかなり進行しておりまして、それは在来型の株式のみならず、ナスダックがむしろここで先行するようなことでありましたから、いずれこういうことはあるだろうという意味では、ああそれが来たという感じではあるが、しかしさすがに起こってみるとアメリカはかなり衝撃であったことはそうであったろうと思います。
 我が国でもあるいは東南アジアの地域でも、こういうことはいつかはあるだろうと思っていたわけでございますから、来たなということが月曜、昨日の市場であったと思います。
 これは金曜に起こったわけでございますが、予想していたことが起こってこれで終わりなのか、あるいはこれから何か新しいことが起こってくるんだろうかということは、月曜の市場を見ていないとわからないなというようなことを多くの人が、多くの人と申しましても私が会っている人たちですから、ある意味では専門家でございましょうけれども、そういう感想を持っていまして、しかも月曜は多少は戻すだろうなというようなことも何となく感じている人が多かった。
 ですから、問題はそれから後どういうふうになるのか。そこで金利政策なりなんなりいろいろ考えていかなきゃいけないという、まあまあそんなような受け取り方をしておったと思います。
 したがいまして、我が国も予想していたことが起こったなと。かなり激しく反応いたしましたが、アメリカの月曜が半戻しでもありませんがある程度戻したということに関係があるかもしれません。今日の我が国も多少戻しておるというようなことであると思います。
 私自身は、きのう申しましたことは、どっちみちこれは起こることであったろうと思う、そういう意味では大して驚くことではない。ただ、幅は少し予想より大きかったかもしれませんけれども、本質的にはそうだろうと。我が国の経済はもう確かに不況を脱出して回復期にございますので、そういう意味で、アメリカの市場がかなりピークにあったという感じとは何となく違うところもございますから、私は多少のことはあっても日本の景気の回復にひどく水を差すというようなことにはならないのではないかということを昨日申しております。
 ただいまもほぼそういう考え方に間違いはないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
#11
○岩井國臣君 先週はまことにそういう微妙な時期のG7であったわけでございますけれども、大蔵大臣も本当に御苦労さまでございました。
 そのワシントンで開かれましたG7、蔵相・中央銀行総裁会議の共同声明でございますけれども、共同声明では、日本はゼロ金利政策を当面維持するなど内需主導の成長をやるべきだと、そんなふうになっておったかと思います。
 そこで、宮澤大蔵大臣にお伺いさせていただきたいわけでございますが、世界経済の安定のために厳しい日程を割いて参加され、いろんな方とお会いになっていろんな話をされただろうと思いますけれども、今回のG7の成果とか意義というものをお伺いさせていただければと思うわけでございます。
#12
○国務大臣(宮澤喜一君) アメリカの株式市場でただいまお話しのようなことが、あるいは御説明申し上げましたようなことが起こりましたのは一種の、これは時期的にはハプニング、別に予想したことではなかったわけでございますから、それを除きまして申しますと、ほぼ世界経済はどこを見ましてもまあまあ比較的好調であると。
 その中で、日本の場合、いろいろいい兆候も見えておるけれども、これが民需主導の経済運営になっていくかどうかについては疑問を持っている方面もあるわけでございます。殊にIMF自身は経済見通しとしてはなおデフレ懸念があるというふうに言っておりますし、アメリカもそういう考え方に傾いていると思われます。
 それはやはり十―十二が非常に悪かったということが大きく影響しておりますし、一―三はいいだろうということはほぼみんなが予想しておりますけれども、それでもリストラの効果、あるいは失業率そのものが遅行指数であるかもしれませんがこれから多少悪くなるだろうといったようなことを総合して言いますと、仮に設備投資が出てきたとしても、それが家計の改善につながるかどうかということについては、確かにこれは一つの問題点で、我が国でも必ずそうだと言い切れる状況ではございませんので、そういうことが世界経済の中で今言ってみれば問題なのであろう、その他はまあ大体うまくいっているなというのがこのたびの会議の背景であったというふうに思っております。
 ただ、先ほどこの点は除外しましてと、一種の突然の出来事ですから除外しましてと申し上げたその部分がアメリカ経済にこれから影響を及ぼすといたしますと、それはまた新しいファクターになってくるんではないかと思いますが、そうでなければ大体申し上げたようなことでございます。
#13
○岩井國臣君 私自身は若干いろいろ心配に思う点もございますが、少し本論に入らせていただきたいと思います。
 金融関係の話というのはなかなか難しゅうございまして、少し初歩的な質問をさせてもらいますので、できるだけわかりやすく御答弁いただければと思う次第でございます。
 まず最初に、国土庁にお伺いしたいと思います。
 最近におきます地価の動向はどうなっておりますでしょうか。特に大都市について御説明ください。
#14
○政府参考人(小林新一君) お答え申し上げます。
 先月公表いたしました平成十二年の地価公示によりまして昨年一年間の全国の地価動向を概観いたしますと、地価は住宅地、商業地ともに下落が続いており、大都市圏で見ても住宅地は五・九%の下落、商業地は九・六%の下落となっております。
 このうち、大都市圏に見られる特徴といたしましては、前回の地価公示と異なりまして下落幅が縮小した地域が多く見られたというふうに考えております。大都市圏におきまして下落幅が縮小した地域につきましては、住宅地では一連の住宅需要の喚起策の効果によりましてマンションを中心に需要が顕在化したこと、商業地につきましては緩やかな景気の改善がオフィスの需要に反映していることなどがその要因であるというふうに考えております。
#15
○岩井國臣君 大都市におきまして確かに地価の下落幅というのは小さくなっておると思いますけれども、やはり地価の下落というものは続いておると思うんです。これはデフレが続いているということではないんでしょうか。私はデフレの懸念というものは払拭されていないというふうに考えますけれども、その辺、大蔵大臣、どんな御見解をお持ちでしょうか。
#16
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しましたIMFの専門家あるいはアメリカの人たちがまだデフレの懸念から完全には離脱していないと言っておることの中に、私は確かに岩井委員のおっしゃることがあるんだと思います。
 今お話しのように、地価がまだ安定していない、下がっているという傾向自身は、一種の担保価値としての下落でもございますけれども、住宅建設なりあるいは工場建設なり都市再開発なり、そういった観点から言いますと、土地そのものがなお下がり続けているということはそれを支えるだけの簡単に言えば需要がないということでございますので、そういう意味で、デフレの懸念から脱却したとは言えないという議論は私は理由のある議論だというふうに考えております。
#17
○岩井國臣君 小渕前総理が言っておられましたように、私も当面やはり景気回復に全神経を傾注すべきではないか、そんなふうに思うんです。二兎を追うのではなくて当面は一兎を追うべきではないか、そんなふうに思っております。
 景気回復の坂をとにかく、小渕さんはそう言っておられたんですけれども、もうちょいのところまで来た、だけれども上り切るまでは絶対気を緩めてはいけない、ブレーキを踏まない、そういう強い意思を持ち続ける必要があるのではなかろうか、こんなふうに思うわけでございます。小渕前総理も大体そんなお考えではなかったのかなと思います。
 土地という資産の価値が目減りしてきて、とにかく借金が大きくなってしまってどうしようもないというのが今回の金融危機の本質ではなかっただろうかと思うわけでございます。その辺の状況、危機的な状況というのは去ったかもわかりませんけれども、その辺の状況は脱し切れていないのではないか。あと一、二年は財政で景気を支え続けるという小渕前総理の積極財政政策というものをとり続けないといけないのではないか。そうでないと、平成九年、平成十年のように、一度よくなりかけた景気が再び失速するというふうな事態になりかねない、そんなふうにも思うわけでございます。
 そこで、資産デフレに関連して質問させていただきますが、昨年の春に公的資金の資本注入を受けた大手十五行でございますけれども、ことしの三月の決算で三兆円の不良債権を処理する見通しだというふうに報じられております。たしか昨年の資本注入七兆四千億で不良債権の処理というのはほぼ終わるということになっていたのではないか、こう思うんですが、その辺、金融再生委員会にお伺いしたい。
#18
○政府参考人(森昭治君) お答え申し上げます。
 岩井委員御指摘のとおり、昨年三月期に公的資金七兆四千五百億ほど注入いたしました。さらに、当該大手十五行は自己努力によっても資金を集めまして、そうした財務基盤の強化の上に立って、公的資金を注入いたしました十五行合計で約九兆三千億円の不良債権処理をいたしました。これは極めて厳しいグローバルスタンダード等に合った資産査定及び引き当て基準による不良債権処理でございまして、ここで一応バブルの後の不良債権処理としてはほぼ終了したというふうに考えております。
 その時点で、当該十五行は、今後一年間、すなわちことしの三月期までの不良債権処理の見込み額は約一兆二千億円で済むと、経営健全化計画でそのようなことを公表したわけでございます。
 ただ、事実は、昨年九月期、すなわち六カ月たった時点での不良債権処理額はちょうど同じ一兆二千億を処理しております。そして、その時点で通期の、すなわちことし三月期までの不良債権処理額の見通しを修正いたしまして約二兆二千億円になると、昨年の中間決算期後の経営健全化計画で各行は十五行合計でそのような数字を公表しております。
 その原因は、まさに岩井先生が御指摘のとおり、一つは債務者の業況悪化等による債務者区分の変更、そして地価の下落に伴う担保価値の減少、さらにバルクセール等による最終処理を推し進めたということでございまして、これはたまたま株式市場においてフォローの風が吹いていたのでそういうことを思い切ってやったということでございます。
 新聞報道は私も承知しておりますが、果たして二兆二千という見込みが三兆までいくのかどうか、そこは今の時点では何とも申し上げられませんが、いずれ決算の数字が出た後、その不良債権処理額は公表されることになると思います。
#19
○岩井國臣君 SPC法の関連の質問に入らせていただきますが、今までSPC法に基づき証券化された債権だとか不動産というものはどれぐらいあるんでしょうか、SPC法の実績というようなものをお伺いしたいと思います。また、そのうち不良債権を処理したものはどれぐらいあるのか、その辺をお伺いしたいと思うのでございます。
#20
○政府参考人(乾文男君) 特定目的会社による特定資産の流動化に関する法律、いわゆるSPC法でございますけれども、平成十年九月に施行されましてから一年半たったわけでございますが、これまで三十九社の登録がございます。
 それで、それらの社が提出してまいりました資産流動化計画、これは計画段階でございますけれども、計画で見ますと約二兆一千四百億円の資産対応証券が発行される予定となっておりまして、そのうちこれまでに約六千九百億円の証券の募集が実際に行われたという実情になってございます。
 また、SPCを用いました証券化の状況を見ますと、計画ベースでは不動産が三百三億円、それから不動産の信託受益権が五千四百七十三億円、指名金銭債権が四千八百億円、指名金銭債権の信託受益権が一兆八百五十億円となっているわけでございます。そのうち、これまでに実際に証券の募集が行われましたのは不動産で百九十七億円、不動産の信託受益権で千三百五十一億円、指名金銭債権で三千三百十五億円、指名金銭債権の信託受益権で二千五十七億円というふうになっております。
 ただ、不良債権がどの程度行われたかというお尋ねでございますけれども、SPC法上の資産流動化計画には当該資産が不良債権であったかどうかということを記載するようになっておりませんので、どの程度の処理がされたかにつきましては私どもでは把握できないということは御理解いただきたいと思います。
#21
○岩井國臣君 それでは次に、今回のSPC法改正の背景とねらいというふうなものを大蔵省に御説明いただきたいと思います。よろしくお願いします。
#22
○政務次官(林芳正君) 岩井委員から、もう大変な御専門でありますが、いろんなことを踏まえまして、この改正の背景とねらいの御説明をということでございました。
 いわゆるSPC法等の一部を改正する法律案を今回提出させていただいております。これはいわゆるSPC法と、それからもう一つ証券投資信託及び証券投資法人に関する法律、いわゆる投信法でございますが、この二つとも一緒に改正をさせていただくということでございます。
 これは委員もよく御承知のとおり、もうすぐ二十一世紀でございますから、金融サービスのインフラを整備していかなければならないということで、多数の投資者から資金を集めまして、市場でこれを専門家が管理運用していくという集団的な投資の仕組みについて、資金を調達する方の選択肢を拡大していき、投資者に対して多様な商品を提供できるようにしようという点で、今回、運用対象資産の拡大や適切な投資者保護の枠組みの整備等、必要な改正を行うことになったということでございます。
 このうち、先に申し上げましたまさにSPC法の方でございます。これは資産がもともとあってそれを流動化していくということでございますが、今るるやりとりがありましたように、十年九月の法施行以来、種々の改正法が出されておりましたことを踏まえまして、これまでは流動化してよいという資産が不動産と指名金銭債権とに限定をされておったわけでございますが、これを思い切って財産権一般、何でもよろしいということに拡大をいたしました。
 また、特定目的会社は今まで登録制だったわけでございますが、これを届け出制にしてより簡単に設立できるようにした。また、流動化の器として、今までは会社型でございましたが、信託という形も結構ですというふうにしまして、かなり思い切って使い勝手をよくしてございます。
 そういう意味で、本改正が成立した暁には、我が国のいろんな資産の流動化が一層進むものと期待をしておるところでございます。
#23
○岩井國臣君 大蔵省は都内の国有地につきましても証券化しようというふうにお考えのようでございますけれども、それはそれといたしまして、今回の改正によりまして民間の創意工夫によっていろんな商品開発が活発に行われるようになる、そういうただいまのお話でございましたし、私もそれは大変期待をしておるわけでございます。
 流動化対象資産が拡大されることによってどんな資産の流動化が進むのか、具体的に少しイメージがわくように教えていただければと思うのでございますけれども、いかがでしょうか。
#24
○政務次官(林芳正君) 今、委員が御指摘になられて私がお答え申し上げたように、財産権一般ということを申し上げたわけでございます。これは委員がまさに今おっしゃったように、民間の方がどういう創意工夫をされるかということにかかわるわけでございますが、例えば借地権、有価証券、それから著作権、こういうものも財産権としてこの流動化の対象になってくるということが可能になるというふうに考えておるところでございます。かなり創意工夫ができるなと。
 例えばCBO、コラテラライズド・ボンド・オブリゲーションという、中小企業の小規模な社債をまとめまして、一社ではなかなか社債を出せないようなところの社債をまとめましてやるというようなこともできるようになります。また、著作権ではデビッド・ボウイ・ボンドというのがあるそうでございまして、これは有名なデビッド・ボウイという音楽家のCDやレコードをつくる権限をSPCにしましてそれをまた流動化する、こういうようなものもあるようでございまして、いろんな知恵を出していただくことが可能になる、こういうふうに考えておるところでございます。
#25
○岩井國臣君 さて、次に移りますけれども、昨年の通常国会でいわゆるPFI推進法案が議員立法で成立いたしました。私はPFIにはいろんな意義があるのではなかろうかと思っておりますけれども、何といっても一番のねらいというものは財政構造改革にPFIが大きく寄与するのではないか、そんなところにあったんじゃないか、そういう期待があったんじゃないかと思うのでございます。自民党がこの問題に真剣に取り組んだのはそういう視点からであったと思います。私自身といたしましてもPFIに大変大きな期待をかけております。
 先般、PFIに係ります総理大臣の基本方針というものが出ました。出ましたけれども、私はこれからの問題として、イギリスがそうであるように、やっぱりPFIは大蔵省が積極的にならないと進んでいかないんじゃないか、そんな気もしておるわけでございます。
 そこで、まことに恐縮でございますけれども、PFIに関する大蔵大臣の認識とか、今後どのようにお考えになっておるのか、もし承ることができればと思いますので、よろしくお願いします。
#26
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般的にディレギュレーション、あるいは官から民へというようなことが言われておることの中で、このPFIというのは一つの大きな決め手になると申しますか、大きな方針、政策転換になる施策に違いないと思っております。何も公共のインフラであるから、あるいは公共的な使用目的であるからそれは政府が政府の金でしなければならないという理屈は別にないわけでありまして、民間の持つ力をかりるというよりは、むしろやってもらうということが考えてみれば当たり前じゃないかという、そういう哲学の転換が要る部分だと思っております。
 したがって、先進国でそれが、アメリカはもともと余り政府が出てこない国でございますけれども、それでも監獄まで民間に頼むかというぐらいの飛躍はあるわけでございますから、PFIの思想というのは確かに、しかもこれは政府がそういうふうに考えませんとなかなか民間にやってもらうためのいろいろな便利な、あるいは便宜を提供するということができません。政府がむしろその気になって、いろいろな制度を廃止したり、あるいはつくったりもあるかもしれないが、その上でひとつと言わないとなかなか民間側はやろうにもやれないわけでございます。
 今ちょうどお話のSPCについても同じことだと思いますので、PFIとSPCとを結びつけることはできるはずでありますから、そういったように道をあけて、そしてお願いしますという言葉もむしろ変なのでして、おやりになる民間の方がどんどん進んで出てくださるというようにするのが政府の務めだろうと。殊にそれは大蔵省においてそうではないかとおっしゃいますと、私もそう思います。
#27
○岩井國臣君 財政構造改革というのは、宮澤大蔵大臣もおっしゃっておられますように、財政と税制との関係、財政と福祉との関係を十分に考えて進めなければならない、そしてまた中央と地方の関係も関係してくるのは当然のことだろうと思います。そして、さきの森総理の所信表明演説でも触れておられましたけれども、経済社会との関係というものも十分考えて財政構造改革というものは進められなければならないのではないかと思うのでございます。
 第三の自由民主改革ということを言う人がふえてまいっておるかと思います。第三の自由民主改革という視点は森総理の所信表明演説の中でございました経済社会と財政構造改革との関係、そういうことになろうかと思うのでございますが、第三の自由民主改革ということを十分視野に入れて財政構造改革のあり方というものも考えなければならないのではないかというふうに思うのでございます。
 第三の自由民主改革と財政改革との関係を具体的に申し上げますと、いかに国民あるいは民間の自主性というものを尊重していくかということでございまして、私らが役人になりましたころは知らしむべからずよらしむべしというようなことを言われたんですけれども、もうそういう時代じゃない。そういう中央集権的な体質からどう脱却していくのかということが今求められているように思うんですね。
 これからの財政構造改革を考えたとき、国民の受益と負担のあり方というものが非常に重要になってくる。現在の親方日の丸的なものからもっと国民の自主性というものを尊重したものに変わっていく必要があるし、またグランドワークだとかPFIといったイギリスの政策を我が国もぼちぼち取り入れていく必要があるのではないかな、そんなふうに私は考えておるわけでございます。
 先ほど述べましたように、現在の改革を明治維新と戦後の改革に次ぐ第三の自由民主改革と言っておられる方も現在少なくないと思います。そういうふうな言い方がかなり定着しつつあるのではなかろうか。私も同様の感覚からトニー・ブレアの政策について注目しております。トニー・ブレアの政策は我が国の国土・環境行政におきましても大変参考になる点が多いのではないか、そんな気がしているんです。
 我が国はもう言うまでもなく近代史の中でイギリスと大変重要な関係を持ってまいりました。関係を持ってきたというよりも、それぞれ重要な場面場面でいろいろと支援をしてもらったり教えてもらったり、そういうふうにしてきたのではなかろうかと思うのでございます。だからこそ、イギリス大使館はあの皇居に面したところにあるんですね。もちろん我が国はイギリスだけじゃなくてアメリカ、ドイツ、中国、韓国、その他多くの国と歴史的にまことに重要な関係を持ってきたのでございますけれども、私たちはやはり歴史を生きる以上、イギリスとの関係というもの、その歴史を肝に銘じておかなければならないのではないかと思うわけでございます。
 ケインズ主義といいますか、公共事業を主体にした財政運営、そういった従前の政策に対しまして、御案内のとおりサッチャーは徹底的な市場原理の導入を図ったわけでございます。サッチャーの場合は徹底的な民営化を図りまして、先ほど大蔵大臣もおっしゃいました刑務所までPFIでやった。これはちょっと何ぼ何でも行き過ぎではないかなという気がせぬでもないのでございますけれども、やはりケインズ主義から脱却して、しかもサッチャーの市場原理万能主義でもない、そういった新しいものを今トニー・ブレアは目指しておられるのではなかろうかな、そんなふうに思うわけでございまして、そういう意味で私は、我が国の場合、トニー・ブレアのそういう政策からちょっと目が離せないのではないかな、そんな気がしておるわけでございます。
 そこで、建設省にお伺いさせていただきたいと思います。
 イギリスのグランドワークはサッチャー政権のときに制度化されたものでございますけれども、このほか、地域住民参加といいますか地域住民主導の公共事業の進め方という意味で、例えばフランスのエコミュージアムだとかドイツのクラインガルテン、そしてアメリカのサステーナブルコミュニティーなどといったものがあるわけですけれども、そういったものを参考にして、我が国における今後の新しい公共事業の進め方というものを研究していく必要があるのではなかろうか、そういう中で少しでも財政構造改革に役立つ部分があるのではないかな、そんな気がするんです。
 ですから、地域住民や民間企業でできるものはできるだけ地域主導あるいは民間主導でやるべきだと思うのでございますけれども、いかがでしょうか。建設省の見解をお伺いしたいと思います。
#28
○政府参考人(林桂一君) お答えいたします。
 先ほど先生から、現在の欧米諸国において取り組まれている事例なども引用されながら、環境と共生したいろいろなタイプの公共事業を地域主導あるいは民間主導のもとで進めることが必要ではないか、そういうことを研究してはどうかというお尋ねでございました。
 建設省としましても、公共事業を進めていく上で新たな課題ということで、貴重な御示唆をいただいたものと受けとめまして今後種々検討してまいりたいと存じますが、幾つかの点について申し上げたいと思います。
 まず第一に、言うまでもなく社会資本の整備は国民の多様なニーズに対応する、利用者の視点に立って行うというようなことが大変重要でございますが、特にこれからは国民の環境などに対する意識の高まり等がございますので、そういう意識の高まりにこたえて、自然環境とか景観とか歴史や文化、あるいはコミュニティーの一体感などを重視した、これらの質を高める社会資本の整備と運営というものが必要であると考えておりまして、これらをソフト、ハード一体となった総合的な施策により推進していく必要があるというふうに考えているところでございます。
 そのような事業を進めるに際しては、先生のおっしゃいますように、行政のみならず地域の住民あるいは民間企業の積極的な参加によりまして地域の自立性を高めながら、一方で行政サービスの効率化とかあるいは利用者の満足度の向上というものを図っていくことが望まれているわけでございます。
 このため、例えば御指摘もございました、昨年成立したPFI法によります事業の積極的な導入ということによりまして、民間の資金、ノウハウを活用して効率的あるいは効果的な社会資本の整備を推進することとしておりますし、また住民との関係におきましては、例えば計画段階から住民の参加を求めるPI方式、パブリックインボルブメント方式ということで言われておりますが、そういったものを積極的に採用する、あるいは地域住民が公共施設の管理の一部を行う里親制度というものが最近言われておりますが、こういったことなどの導入も推進いたしまして、社会資本の整備、管理、保全の各段階で住民参加を積極的に進めていくというようなことも必要であろうかなと考えております。
 いずれにしろ、行政と企業あるいは住民、NPOといった方々の力を合わせた共同作業によりまして効率、効果的な社会資本整備を進めていくというふうに考えておるところでございます。
#29
○岩井國臣君 ありがとうございました。
 ぜひ今お話しいただきましたようなことで、前向きにいろいろ新しい公共事業の進め方というものに挑戦していっていただきたいと強くお願いをしておきたいと思います。
 当面、不良債権が問題になっておるわけでございますが、一般的に言いますと、プロジェクトファイナンスが進められまして、その後証券化が進められるということが望ましいことだと思います。特にPFIの証券化が進むということになりますと、それは国民が気楽に公共事業に資本参加できるという意味で、さきに述べました第三の自由民主改革にかなっているのではないか、そんなふうに思うんです。
 第三の自由民主改革という観点から、SPC法を活用してこれから大いにPFIの証券化を進めるべきではないか、こんなふうに思うのでございますけれども、まだこれからの、かなり海のものとも山のものともわからないようなことでございますが、せっかくの機会でございますので、大蔵大臣のお考えをお聞かせいただければありがたいと思います。
#30
○国務大臣(宮澤喜一君) 先ほど申しかけましたPFIの展開のことについて、SPCというような手法はまさにここでも結びつけていろんなことが展開するはずだ、それについては大蔵省がかなり主導的に制度の整備等々を考えなければいかぬ、私はそう思っております。
 あわせまして、これは今建設省の、政府当局との質疑応答を伺っておりまして、お仲間同士ですと大変にお話はしやすいんだと思うんですが、外部者がいいことにしてつけ込みますとちょっとうまくいかないところも事柄の性質上ございます。したがいまして、官庁営繕というようなことを言うつもりはございませんが、やっぱりそういうところも今までのあれから変わっていくべきであろう。もとより、その制度の整備あるいは要らない規制の解除等々は政府全体として考えていくべきものだと思っております。
#31
○岩井國臣君 SPC法でございますけれども、ケイマン諸島は御案内のとおりイギリスの法規あるいは会計制度になっておるわけでございまして、我が国の制度と異なる面が多いというふうなことで、我が国の民間企業の場合、ケイマン諸島のSPC法はなかなか使い勝手が悪いと。しかし、イギリスのみならず、ヨーロッパでありますとかアメリカの法規、会計制度はイギリスのそれと似ておるところが非常に多いわけでございまして、そういう意味でヨーロッパとかアメリカの会社にとりましてはケイマン諸島のSPC制度は非常に使い勝手がよい、こういうふうに言われておるのではないかと思います。
 そこで質問でございますが、今回の改正で我が国のSPC法は相当使い勝手がよくなるんだというふうに私は聞いておるのでございますけれども、ケイマン諸島のそれに比べて遜色がないほどに使い勝手がよくなるのかどうか。これをもう最後にいたしますので、その辺の大蔵大臣の御見解をお聞かせいただければと思います。
#32
○国務大臣(宮澤喜一君) このたびの改正におきまして、先ほども林政務次官が言われましたが、流動化対象資産を拡大する、あるいは登録制から届け出制にする、信託も使えるというようなことを御説明いたしましたが、ケイマン諸島に設立されるSPCとの比較ということになりますと、今回の改正においては最低資本金を十万円に引き下げる、出資者による社員総会における議決権の行使を通じて不当な影響力の行使を防止するための措置を講じていること等により、組織面、コスト面とも遜色ないほどに使いやすくなったものと考えていると答弁資料に書いてございます。
 でございますから、ケイマン諸島並みになりましたと申し上げることは、ケイマン諸島というのは一般的にどういうふうに評価されておるかということがいろいろございますから、いい意味において大変に使いやすくいたしましたと申し上げるべきかと思います。
#33
○岩井國臣君 確かにいい面と悪い面があるようでございまして、マネーロンダリングとの関係でけしからぬという話もいろいろとあるようでございますけれども、とにかく使い勝手がいいというようなことでいろんな金融商品が出てくるということがこれからまことに大事なことだろうと思います。
 そんなことで、いろいろと聞かせていただきましてまことにありがとうございました。若干私自身の持ち時間を残しておりますけれども、あと日出先生が関連の質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
#34
○日出英輔君 若干の時間をおかりしまして、本日質疑の三法案のうちの金融商品販売法案と証取法等の一部改正、この二つにつきまして少々質疑をいたしたいというふうに思います。
 今、衆議院の方では消費者契約法案も審議しているというふうに聞いておりまして、こういった商品なりサービスについての紛争を回避する手段、これが金融商品販売法案と一緒に議論されていることは大変意義深いことだというふうに思っております。
 この法案は、いつも紛争が起こりやすい入り口段階で販売業者の説明義務を明確にするとか、説明義務違反に対する損害賠償責任を明確にするとか、あるいは販売業者の自主的努力、これが一番大事だと思いますが、自主的努力を内容とする勧誘の適正化といったことをきちんと進めようとしていること自体、私は大変大事なことだと思っております。こういった問題につきましては、行政当局の迅速適正な指導監督はもちろん大事でありますけれども、団体あるいは自分たちの、業界団体自身の自主的な活動がなければうまくいかないということは当然だろうというふうに思います。そういう意味で、この金融商品販売法案につきまして、私は大変注目している一人でございますし、時宜を得た法案だというふうに思っておるわけであります。
 ところで、先般、こちらの櫻井委員も本会議でお触れになりましたけれども、三月三十日の各紙に商品先物を金融商品販売法案の適用から除外するという方針につきまして、金融審議会第一部会の蝋山部会長が何か不満を述べているというのが載ったわけであります。私は三月三十日のこの新聞を見まして、岩井先生にお願いをして、少し時間を分けていただいてちょっと一言言いたいと、こういうことを言ったわけでございます。
 実はこの紙面は誤解を少し生んでいる面があるように思うわけであります。一つは商品先物取引がこの金融商品販売法案に入れるべき金融商品なのかどうかという議論、もう一つは商品取引所法で規制をされておりますが現在の規制が不十分なのかどうかという議論、こういった議論が分けられないままに議論をして、何か不満だと。こういうふうにしますと、この法律の体系がやっぱり変なのか、特に例外なき個人投資家の保護ルールをきちんと決めるというこの法案の目指した一つの大原則が骨抜きになったとまで書かれておりますが、そういうようなことなのか、あるいはこれを外したことによりまして金融商品トラブルというものがうまく退治できないということを言っているのか、この新聞だけでは非常にあいまいであります。
 さて、それに対して櫻井委員が本会議で御質問されて、これにつきまして宮澤大蔵大臣、通産大臣のお二人がお答えになっておるわけでありますが、かなり簡単にお答えになっておりまして、私は一応わかったのでございますが、少しわかりにくい点があったのではないかというふうに思っております。
 宮澤大蔵大臣は、「商品先物取引につきましては、元来、その性質は私ども、商品という実物、物の売買取引と理解しておりますから、本法案の適用対象にはならないものと考えております。」、こういう御答弁をされておるわけであります。それから、通産大臣は、「商品先物取引については、本法案が眼目としております説明不足によるトラブルとか訴訟の実態がほとんどないということ、また商品という実物、物の売買取引であるということからその対象とはならないということで整理されたものと承知しております。」、こういう御答弁でございます。紙で読みますとよくわかるのでありますが、御答弁を伺いましたときにちょっとそこがわかりにくかったわけでございます。
 私は商品先物取引について少し誤解があるんではないかというふうに思っておりました。この新聞を読みましたときにも思いましたが、沿革を言えば徳川吉宗時代の大阪の堂島の米相場でありますし、またそれを学んだと称するシカゴの商品取引所なんかでも取引所の前の碑に堂島の米取引所に学んだというようなことが書いてあります。
 こういったことからも明らかなように、物の売買に伴う、あるいは物の価格変動に伴いますリスクをどういうふうにヘッジするかというところから始まっていることは間違いない話だろうと思いますが、一部でこれは買うともうかりますよといった勧誘もあるというようなことで、何か金融商品ではないか、こういうふうに言われているようでもあります。
 私は、商品先物取引というのは、例えば最近入りました石油とか灯油とかいう工業品もありますし、それからかつてから長くやっておりますトウモロコシ、大豆、あるいは最近はブロイラーとかいろいろ入ってきておりますが、農産品といった、そういった実物の、物の売買に伴う話だというふうに理解をしておりまして、どうも金融商品プロパーの性格とは違うだろうという理解をしているわけであります。
 ただ、実態的には、決済をしますときに、要するに物の売買を伴う、物の所有権の移転を伴うというやり方もしますし、あるいはそれを伴わずに差額決済というか差金決済といいますか、そういう形でやる場合もありまして、一部に金融商品的性格がないと言うとうそにはなると思いますが、通常の金融商品ではありませんし、事柄の本質としますと物の売買に伴う話の方がやはり大きいんじゃないかというふうに思います。
 そこで、通産政務次官、おいでになりまして早々、大変恐縮でございますが、工業品、農産品、いろいろありますけれども、実態的に見まして、物の売買に伴うリスクヘッジということで、当業者といいますか、そういう方がやっているということなのか、実態的なものはどうなのかということを御答弁いただきたいと思います。
#35
○政務次官(茂木敏充君) 日出委員の方から金融商品と商品先物取引についての峻別につきまして御質問をいただきました。
 これの違いと申しますか、今この委員会で御議論をいただいております金融商品の販売等に関する法律案、これは一つの目的が、説明不足によるトラブルや訴訟が起こる、こういう実態は商品先物取引の場合はほとんどございません。また、商品先物取引の場合は商品という実物、物の売買取引であることから金融商品の販売等に関する法律案の対象とはならない、このような整理をさせていただいているわけであります。
 では実態としてどうなのか、こういう御質問でございますが、商品先物取引は投機手段として使われる面もございますけれども、製造業者や商社等によります価格変動に備えたヘッジや原材料の実物の手当て等の実需に基づいた売買の要素、これが主要な部分を占めておりまして、例えば貴金属市場におきましては取引の実に五割から六割が商社等の法人によります取引でございまして、その大部分が実需に基づく取引でございます。
 また、差金決済について御指摘をいただいたわけでございますが、この差金決済につきましては投機取引の一環として行われることもございますけれども、一般的に申し上げますと、実需に基づくヘッジ取引等におきまして市場の動向により受け渡し期限前に実物の手当てができる場合など、ヘッジ等が不要となるときに行われるものでございます。したがいまして、差金決済が行われるからといいましてヘッジ等の実需に基づく売買という商品先物取引の性格が変わるものではございません。
#36
○日出英輔君 実は私も似たような理解をしていたわけでございます。物の取引に加えて、さらに投資的といいますか投機的といいますか、そういう取引の性格を持つものとしては、例えばマンションの売買だとかゴルフ会員権とかリゾート会員権とか、こういったものがあります。こういったところまでいきますと、何か金融商品ではないという感じもするわけであります。
 そこで、大蔵政務次官に伺いたいのでありますが、こういう物の取引を伴わないといいますか純粋な金融商品ということで、本法、金融商品販売法案の対象にしないものというのはありますでしょうか。
#37
○政務次官(林芳正君) 結論からお答えいたしますと、ないということになるわけでございますが、せっかくのお尋ねでございます、金融商品の範囲ということになると思いますので、私も時々審議会に出ておりましたので、検討の段階であった御議論を紹介したいと思います。
 今やりとりがあったように、物やサービスそのものの取引ではなくて、金融商品というのはキャッシュフローの移転がある、これは資金の配分ということでございますが、もしくはリスク負担の変更がある、リスクの配分をする、こういうことが取引の内容になっているということが一応この判断の基準になるだろうと。
 そして、昨年の十二月に審議会の中間整理を、第二次でございますが、出したわけでございます。そういうメルクマールはあるけれども、なかなかこの世界は技術の進展も激しいものですから、一応、預金や保険や有価証券、今だれが考えてもわかるようなものをこの法案の二条一項に列挙してございますが、幅広く具体的に列挙した上で、今後新しい商品については政令で定めるということにしたわけでございます。
 そこで最初のお答えに戻るわけでございますが、現時点ではこの法案に列挙したもののほかに金融商品的な性格があって対象としているものはない、こういうことでございます。
#38
○日出英輔君 ありがとうございました。
 そこで、さらに茂木政務次官に伺いたいのでございますが、この金融商品の範囲に商品先物取引が入らないとしても、当然のこととして投資家保護といいますか、委託者保護を図る必要はありますね。聞くところによりますと、最近出てきている抵当証券とか何かについての話と同じレベルで商品先物取引についてもいろんな苦情があるということも事実だと私も聞いております。
 たしか二年前でしたか、商取法の改正を行いまして、けなげにも国際市場化を目指す商品取引ということを当時の方々が言っておったことを大変私は印象深く記憶しているのであります。当時、例えば契約当初、入り口段階での書面の交付でありますとか、あるいは第三者機関をつくって苦情をちゃんと受け付ける、あるいは紛争なりについてのあっせんなりなんなりをするといった、第三者機関をつくってまでということもたしか二年前の法案でそこに決着をつけて走り始めたというふうに実は伺っておったわけです。
 私は、冒頭申し上げましたように、蝋山部会長のお話について、実態的に見て今の商取法体系でこの金融商品販売法案で言っているぐらいの投資家保護というのは既に二年前に制度としては整備されていたんじゃないかというふうに実はこの新聞を見たときにそういう理解をしていたのでありますが、この辺については私の理解が違っているのかどうか、お答えをいただきたいと思います。
#39
○政務次官(茂木敏充君) 結論から申し上げますと、日出委員の御指摘というか御理解のとおりだと、そのように我々も理解をいたしております。
 一般投資家を保護する、こういう問題につきましては、金融商品に限らず商品先物取引におきましても大変重要な観点でございまして、これまでも、書面交付の義務づけであったりとか、勧誘時におきます断定的な判断の提供の禁止であったり、さらには迷惑勧誘の禁止などの厳しい規制もとってまいりました。
 さらに、委員から御指摘いただきましたように、先般の商品取引所法の改正におきましては、商品の取引員に対しまして、三つぐらいございますが、一つは顧客に対する誠実かつ公正な業務遂行の義務づけ、二つ目は顧客の知識、経験及び財産の状況に照らして不適当な勧誘をしてはいけない、そして三つ目に法令違反に対する罰則の強化、これを行うことにいたしました。さらに、自主規制の実効を高めるために、自主規制機関でございます日本商品先物取引協会、ここにつきまして、商品取引員の法令違反等に対する制裁措置の義務づけ、さらに紛争処理機能の法定化等々の規制の強化を図ってきたところでございます。
 このように、商品取引所法におきましてはこの金融商品販売法に盛り込まれております説明義務や勧誘方針の策定、公表以上に厳格な規制を既にとっている、このように御理解いただいて結構かと思います。
#40
○日出英輔君 この三月三十日の新聞を見て、私の友達が大変せつないと言っておりました。要するに、制度面では既に整備されているということは意外に知られていない。ただ、本人も言っておりますように、制度面では二年前に整備されているけれども、相変わらず苦情の申し出は多いんですね。特に、こういった第三者機関ができて苦情処理体制が整備されますと、手を挙げてくる方がより多くなるといいますか、どうも前の年よりも苦情の申し出が多かったという話も一部に聞いております。
 私は、こういった金融商品販売法案に入るか入らないかではなくて、そういう制度が整備されておれば実態面できちんとした苦情のないようなやり方をどんどん行政の方も、それから第三者機関といいますかこの協会の方もしっかりやっていきませんと、今の商品取引を見ますと、かなり前から預かり証拠金五千億、市場参加者十万人という壁が実はありまして、新規の商品が上場されてもなかなかこの壁は破られていないんですね。数年前までの知識ですが、たしかそういうことだったと思います。
 したがいまして、私は、この法律で除外されたから何か骨抜きになったというふうな評価はいたしませんが、ただ実態的にはそういった苦情処理に対して万般の体制をとらないと、せっかく先人が築いてきた商品取引についてもう一つ壁が破れないでいる、あるいは日本国民の中にリスクをとるという精神もなかなか養えないでいる、こういったところを大変残念に思います。これが私の意見であります。
 ぜひとも通産あるいは農林、通産大臣は前に本会議でお答えになりましたのできょうは通産政務次官だけおいでいただきましたけれども、両省相提携いたしまして適正な指導をよろしくお願いしたいと思っております。
 それから、大蔵大臣に、せっかく御出席でございますので一つだけ御質問したいのでございますが、先般の本会議で櫻井委員の御質問に対して、この法案で全部がカバーされているとは思わない、なお改善を要する余地が将来に向かってあるだろうというふうなことをちょっと意味ありげにおつけになっておられたように思います。
 これは例の第三者機関の話なんかも金融審議会の方でさらに検討するというような話もあったりしてそういうことを言っておられるのか、あるいはこの金融商品販売法案などは金融ビッグバンの中の改革の最後に位置づけられる法案だと思いますが、さらにいろんな議論があるということでおっしゃっておられたのか、この辺につきまして御答弁をお願い申し上げたいと思います。
#41
○国務大臣(宮澤喜一君) 櫻井委員が御質問をされましたときに、全部これでいいのかというお尋ねがありまして、私はたまたま、金融審議会で審議をしておられて、全部まとめ切れずに、しかし時間的にも急ぐということで、この法案になりました経緯を詳しくではありませんが承知しておりました。
 それで、例えば裁判外紛争処理制度等について結論を得るに至らなかった、したがって第二次の中間整理で結論の出なかった問題については引き続き審議をする、こういうことがございましたので、例えばそういうこともございますのでということを申し上げたつもりでございます。
#42
○日出英輔君 次に、証取法等の一部改正につきまして大蔵政務次官にちょっと伺いたいのでございます。
 この中で幾つかの論点がございますが、一つだけ、証券取引所の組織形態として株式会社を認めるという点でございます。
 私も余りこの世界を知らなかったのでありますが、既に世界各地の主要な証券取引所では株式会社化が進んでいるということでありますし、去年あたりからかなりピッチを上げてその傾向がさらに進んでいるんだという話を聞いて、実はびっくりしたといいますか、非常に新鮮な思いをしたのであります。
 ただ、私なんかの従来からのイメージでは、個々の証券会社もさることながら、こういった証券取引所についての運営の問題、あるいは公共性の確保と言った方がいいでしょうか、こういったことについて見ますと、株式会社化というのは少しぎょっとしたといいますか、あれっというような感じもしたわけであります。
 法案を見ましたら、五%条項でありますとか免許制をさらに維持するとか、こういうことをいろいろ書いてございます。例えば、新生長銀について○○バンクが御用銀行化するのではないかとか、まだああいう一つの銀行ですらそういう議論をしているさなかでございます。こういった株式会社化をしても、なおかつ証券取引所なり、あるいは商品取引所も出てくると思いますけれども、金融先物取引所なんかもそうなんだと思いますが、公共性を確保できるというのは何となく落ちつかないところがございます。
 この点について少し丁寧に、例えば五%条項の使い方、何人といえども五%以下でなきゃだめだというと、親子関係はどうだとか、親会社、子会社はどうだとか、兄弟はどうだとか、いろんなそういう関係、個人的な関係も出てまいりますし、こういった使い方あるいは免許制度の運用の仕方等々、相当工夫をしないと公共性の確保ということはなかなか難しいのではないかという気もいたします。その点についての御説明をお願いしたいと思います。
#43
○政務次官(林芳正君) お答えを申し上げます。
 委員がよく御承知のように、証券取引所は要するに市場でございますからちゃんと公正にやってもらわなきゃいけない。一方で、今、委員がおっしゃいましたように、株式会社化が世界でも進んでおりまして、これは迅速な意思決定を行ったり、それからまさにITの投資をかなりお金をかけてやるということで会員の外から資金を調達する道を開く、こういう方向が世界的にも進んでおるわけでございますが、一方で、まさに委員が御指摘のように公正性を担保しなきゃなりませんので、公共的機能を維持しながら株式会社に移行するという非常に難しい使命を課せられておるわけでございまして、そういう意味で、今回の法改正におきましてもいろんな今御指摘になったことを含めて条文に入っておるわけでございます。
 具体的には、少し細かくなりますが、まず法案の八十五条に、証券取引所の財務の健全性を確保するということで、資本の額が政令で定める金額以上でなければならないと。まあこれぐらいは最低資本金額を持ってくださいということを書いております。
 それから、八十七条の二でございますが、証券取引所の業務範囲を市場の開設及びこれに附帯する業務に限定するということを決めております。
 それから、百三条でございますが、今、委員から御指摘がありました五%のルールでございますけれども、今度は株式会社になった場合に取引所の経営が特定の少数の者にゆだねられますと、まさに御指摘のように公共性や中立性、また外から見たときの信頼性というものが損なわれるおそれが出てまいりますので、ここの百三条に何人も発行済み株式総数の五%を超える株式を保有してはならないというふうに書いてあるところでございます。
 そして、今御指摘がありましたが、この五%の株式保有制限については、親族関係等の特別な関係にある者が保有する株式等もみずから保有するものとみなすと。要するに、一緒にして、足して五%を超えてはならないということが百三条三項二号ということになっております。
 等という中には、株式の所有関係、いわゆる商法に定める親子会社で、これはたしか五〇%超だったと思いますが、そういうものもこの等の中に入ってまいりますので、かなり厳しくこの五%が適用されるということでございまして、そういう運用を通じて公正性の確保に努めてまいりたい、こういうふうに思っておるところでございます。
#44
○日出英輔君 間接金融のかなめの証券取引所の運営が特定の少数者の専横にゆだねられる話になりますと一大事だというふうに、ちょっと心配し過ぎかもしれませんけれども、そういうふうに思います。
 そういう意味では、ぜひともこの法案が通りました後の行政当局の指導監督をしっかりとよろしくお願いしたいということを申し上げまして、時間前でございますが、私の質問を終わります。
#45
○委員長(平田健二君) 三案に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午前十一時二十五分散会
ソース: 国立国会図書館
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