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2000/04/13 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 外交・防衛委員会 第9号
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2000/04/13 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 外交・防衛委員会 第9号

#1
第147回国会 外交・防衛委員会 第9号
平成十二年四月十三日(木曜日)
   午前十時二分開会
    ─────────────
   委員の異動
 三月三十日
    辞任         補欠選任   
     堀  利和君     本田 良一君
 四月十一日
    辞任         補欠選任   
     本田 良一君     海野  徹君
 四月十二日
    辞任         補欠選任   
     森山  裕君     久野 恒一君
     立木  洋君     笠井  亮君
 四月十三日
    辞任         補欠選任   
     依田 智治君     岸  宏一君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         矢野 哲朗君
    理 事
                鈴木 正孝君
                武見 敬三君
                小山 峰男君
                益田 洋介君
                小泉 親司君
    委 員
                岸  宏一君
                久野 恒一君
                佐々木知子君
                村上 正邦君
                山崎  力君
                山本 一太君
                吉村剛太郎君
                浅尾慶一郎君
                海野  徹君
                松前 達郎君
                荒木 清寛君
                笠井  亮君
                田  英夫君
                田村 秀昭君
                佐藤 道夫君
   国務大臣
       外務大臣     河野 洋平君
   政務次官
       外務政務次官   江崎 鐵磨君
       外務政務次官   山本 一太君
       防衛政務次官   西川太一郎君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        櫻川 明巧君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○外交、防衛等に関する調査
 (ペルー国軍人による日本人学生殺害事件に関
 する件)
〇社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン
 及び北部アイルランド連合王国との間の協定の
 締結について承認を求めるの件(内閣提出)

    ─────────────
#2
○委員長(矢野哲朗君) ただいまから外交・防衛委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る三月三十日、堀利和君が委員を辞任され、その補欠として本田良一君が選任されました。
 また、去る十一日、本田良一君が委員を辞任され、その補欠として海野徹君が選任されました。
 また、昨日、森山裕君が委員を辞任され、その補欠として久野恒一君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(矢野哲朗君) この際、江崎外務政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。江崎外務政務次官。
#4
○政務次官(江崎鐵磨君) おはようございます。
 このたび外務総括政務次官に就任いたしました江崎でございます。
 矢野委員長を初め、委員各位に謹んでごあいさつさせていただきます。
 グローバリゼーションという言葉に象徴されるように、二十一世紀に向け、国際社会は相互依存関係をますます強めています。その中で、世界各地で後を絶たない地域紛争、大量破壊兵器の拡散、環境、人口などの地球規模の問題、世界経済の円滑な運営、貧困撲滅を含む途上国の支援など、国際社会は数多くの課題に直面しています。
 世界の安定と繁栄に多くを依存している我が国が、みずからの安全と繁栄を確保し、国民の豊かで安全な生活を実現していくためには、米国及び近隣諸国を初め各国との関係の維持発展に努めるとともに、こうした課題に積極的に取り組み、我が国が国際社会から求められている責任、役割を果たさなければなりません。
 このような観点に立つとき、本年我が国が議長を務める九州・沖縄サミットは、日本外交にとって極めて重要な意味を有しています。G8首脳が国際社会の直面する重要課題について率直な議論を行い、実り多きサミットとなるよう、自分としても全力を挙げて取り組む所存であります。同時に、サミットの成功のために、沖縄県や名護市を初めとする各自治体と密接に連携してまいります。
 外交と内政は今や一体であります。したがって、我が国が強力な外交を展開していくためには、国民各界各層そして御臨席の委員各位の御理解と御支援が必要不可欠であります。私は、山本政務次官とともに河野大臣を補佐し、外務総括政務次官としての使命を全力で果たす決意であります。
 本委員会の皆様の御指導、御協力のほどを心からお願い申し上げ、私の就任のごあいさつといたします。
 よろしくお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#5
○委員長(矢野哲朗君) 外交、防衛等に関する調査を議題といたします。
 ペルー国軍人による日本人学生殺害事件について、外務大臣から報告を聴取いたします。河野外務大臣。
#6
○国務大臣(河野洋平君) 昨年十二月、当委員会にて御決議のありましたペルー国軍人による日本人学生殺害事件につき御報告を申し上げます。
 本件につきましては、過般、両遺族とペルー政府との間で円満裏に和解が図られ、御遺族に対し相応の慰藉の措置が講じられました。
 この間、政府としましては、当委員会の御決議の趣旨を体し、御遺族の方々の御意思を踏まえ、またペルーとの二国間関係にも配慮しつつ、当事者の話し合いへ陪席の上、適宜助言する等の支援を行い、本件の円満かつ迅速な解決に向け努力をしてまいりました。
 本件和解に至るまでの当委員会の御支援と御理解に心から感謝を申し上げます。まことにありがとうございました。
#7
○委員長(矢野哲朗君) ただいまの外務大臣報告に際しまして、外交・防衛委員長として一言申し上げます。
 本事件は平成九年十月に発生したものでありますが、翌平成十年四月八日に佐藤道夫委員が当委員会で取り上げて以来、在外邦人保護の観点から、本委員会は特に強い関心を持って政府の対応を注視してきたところであります。
 昨年十二月十四日には、委員会決議をもって、「外交上の適切な措置を講じ、ペルー国政府による相応の慰藉の措置が遺族に対し速やかになされるよう最善を尽くすべきである。」と日本政府に強く要請したことは周知のとおりであります。
 このたび、この決議の趣旨を的確にとらえていただき、河野外務大臣のイニシアチブのもと、関係各位の御尽力により、ペルー国政府と学生の御遺族との間で和解が成立したことは、まことに喜ばしい限りであります。
 確かに決着まで時間はかかりましたが、このたびの和解成立は立法府と行政府が一体となって本問題に真剣に取り組んだ外交上の成果であり、河野外務大臣がモットーとされる国民とともによりよき未来を開く外交の一つの具体化であろうと思うのであります。
 今般得られましたこの成果を大切にし、さらに他の方面にも拡充発展させていくべく、私は決意も新たに、本委員会における充実した質疑及び決議等を通じて、立法府として我が国の外交・防衛等の諸政策に国民の意思を健全に反映させるよう努力してまいりたいと考えております。
 この機に当たり、私は、本委員会の理事、委員の皆様を初め、関係各位の御協力、御尽力に改めて感謝申し上げますとともに、今後なお一層の御協力を賜りますよう、お願い申し上げる次第であります。
    ─────────────
#8
○委員長(矢野哲朗君) 次に、社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。
 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河野外務大臣。
#9
○国務大臣(河野洋平君) ただいま議題となりました社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。
 政府は、従来から英国との間で両国間の人的交流に伴って発生する両国の公的年金制度への二重加入等の問題の解決を図るための協議を行ってきましたが、この問題の解決を図ることを目的とする協定を締結することで英国側と一致し、平成十年十一月以来このための政府間交渉を行ってきたところ、平成十二年二月二十九日に東京において、先方ゴマソール駐日大使との間でこの協定に署名を行った次第であります。
 この協定は、両国の年金制度への二重加入等の問題の解決を図ることを目的として、両国の年金制度への強制加入に関する法令の適用の調整を行うことを定めるものであります。
 具体的には、就労が行われる締約国の強制加入に関する法令のみを適用することを原則としつつ、一時的に相手国に派遣される被用者の場合には、原則として五年まではその派遣の期間について自国の法令のみを適用するほか、一時的に相手国でのみ自営活動をする者についてもこれと同様の取り扱いとするものであります。さらに、同一の期間に両国で別個の就労を行う被用者または自営業者の場合には、通常居住する締約国の法令のみを適用する等の特例的な取り扱いを行うこと等を定めております。
 この協定の締結により、両国間で年金制度への二重加入等の問題の解決が図られ、保険料負担が軽減されること等により、両国間の人的交流が円滑化され、ひいては経済交流を含めた両国間の関係がより一層緊密化されることが期待されます。
 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。
 何とぞ、御審議の上、本件につき速やかに御承認いただきますようお願い申し上げます。
#10
○委員長(矢野哲朗君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#11
○松前達郎君 日英社会保障協定に関連してきょうは質問をさせていただきたいのでありますけれども、まず、我が国の協定締結の取り組み、これは条約ですとか協定、今まで全部とは言いませんがおくれぎみなんですね。立ちおくれが目立っているような気がします。
 先進国の例ですと、こういった年金の調整を行う二国間協定、これについては一般的にはもう結ばれているのではないかと思うんですが、例えば、G7の六カ国、我が国を除いて六カ国の年金協定の締結状況を調べましても、それぞれ既に数十カ国との間で協定が結ばれていると思うんですけれども、その先進六カ国相互の間においてすべての二国間で今、協定が締結されていると、そういう状況であると思うんですね。
 我が国はどうかといいますと、やっとこの二月にドイツとの協定が発効したと。ですから、今回、英国との協定、これが発効するとすれば二件目だということになるわけであります。
 この我が国の年金協定の締結について、他の先進諸国と比べましても立ちおくれているという感じがするわけでありますが、その端的な理由をひとつお伺いしたい。
#12
○国務大臣(河野洋平君) 幾つか理由があると思います。
 我が国の経済発展のスピードを考えてみますと、一九六〇年代になって急激に海外との関係、取引というものが急増いたしまして、海外在留邦人の数が急激に増加したということがございます。そのあたりからこの問題は非常に強い要請があったわけでございます。ということで、まず、今、議員おっしゃいました先進国に比べるとやはりスタートの時点でかなりおくれていたということが一つあると思います。
 それからもう一つは、我が国の年金制度が相当に大規模な変更が何度かございまして、そうしたことがやはり外国との間のこうした制度をつくる上に若干問題があったということなどがあると思っております。
 いずれにいたしましても、この問題はやはり積極的に取り組んで早くつくっていくことが重要と私は考えておりまして、今、議員がお話しになりましたように、ドイツとの間の協定がことしの二月一日に効力が発生をいたしまして、今回、英国との間でこうした取り決めができるところまで参りました。これから先、さらにこうしたネットワークを広げていく努力はしていかなければならないものと考えております。
#13
○松前達郎君 今ドイツの協定の話が出ているわけですが、本協定に関してこの内容をちょっと見てみたんですが、ドイツとの協定の例では、保険期間の通算、すなわち受給権の規定というのがあったと思うんですね。英国との協定にはどうも見当たらないようなんですが、この点について今後の協定に盛り込むか、あるいは新たな協定を締結するか、その対応をどういうふうにされようとしているのか、これについてお願いしたい。
#14
○国務大臣(河野洋平君) 議員御指摘のように、各国との間の話し合いにつきましては、それぞれの国にそれぞれの仕組みがございます。そうしたそれぞれの国の仕組みと合わせまして我が方との協定を結ばなければならないわけで、それぞれの国の事情等もよく考えて行わなければならないと思います。
 いろいろと問題があれば、それらについては見直す必要もあろうかと思いますし、検討をする必要もあろうかと思いますが、英国との間におきまして十分な話し合いの上、両国間で合意を見た本協定でございますので、今回のものについてはぜひこの協定を御承認いただきたいと思うわけでございます。
#15
○松前達郎君 今申し上げたことはいずれまた課題になってくるはずですから、ひとつ御努力いただきたい、こう思います。
 次は、アメリカとの協定です。これも米国在住の日本人といいますか邦人が多いですから、当然これは問題になってくるわけなので、最優先の課題じゃないかと私は思うんですけれども、このアメリカとの協定についてはもう既に恐らく情報交換とかあるいは協議が随時行われているんじゃないか、こういうふうに伺っております。
 これが今までまとまらなかった理由ですね、これはいろいろあると思うんですね。さっきの保険の仕組みが非常にややこしいということもあると思いますが。この交渉の経緯と今後の見通しを伺いたいのと、それからもう一つは、時間がないもので二つ重ねて伺いますけれども、適用免除期間の根拠ですね。これは五年という数字が出ております、それで必要に応じて三年追加できると、こういうふうになっていますが、これの根拠というのはどこにあるのか。あるいは労働、労働といいますか、滞在時間の日数の問題なのか年間の問題なのか、その辺の問題があると思うんですけれども、これについてお伺いいたしたい。
#16
○政務次官(江崎鐵磨君) 松前先生にお答え申し上げます。
 お話しのように、日米間では昭和四十年代に関係当局者間で両国の年金制度の適用の調整に関する協定の必要性につき意見交換が行われていました。昭和五十四年より両国の年金制度加入期間の通算を含む社会保障協定に関する関係当局者の事務レベルでの協議が数度にわたり行われてまいりました。
 しかしながら、昭和五十八年になり、米側より本件協定の締結により保険料収入の減少に伴う米国財政上の問題があるとして協定締結に難色が示され、残念ながらそれまで続けられてきた本件協定締結への動きが一時的に中断するという経緯がございました。
 その後、平成七年になり、米側よりそうした財政上の問題が解消されたため、できる限り早期の協定締結に向けた協議を再開したいとの意向が示され、平成八年より日米の関係当局者間で予備的協議が開始されました。
 双方でそれぞれ相手国の年金制度等に関する詳細な調査が進められてまいりましたが、現在、双方の国内制度を踏まえつつ、協定締結のための交渉の開始に向け協定草案の作成等の準備が鋭意進められているところであります。今後、かかる作業を経た後に、できる限り早期に協定締結のための日米間の交渉を開始したいと考えております。
#17
○政務次官(山本一太君) 松前先生の二つ目の御質問ですけれども、法令の適用免除期間の根拠のお話だったと思います。
 なぜ五年なのかということで、ちょっとデータを持ってきたんですが、先ほどもありましたけれども、この協定の交渉というものは、我が国から英国に一時的に派遣される被用者が英国に支払う保険料が掛け捨てにならないようにと、ここをどうやって回避するかということから始まったものでして、先ほどの案の内容にもありましたけれども、英国での通常の派遣就労または自営活動の期間をおおむねカバーし得ると考えられる期間について英国法令の適用免除を求める、これが主要点だと思います。
 そこで、ここにちょっとデータがあるんですけれども、日本から英国への一時派遣被用者の派遣期間の実態に関する調査というのがございまして、これによると、その期間を五年以下というふうにした場合には大体七〇%ぐらいの方がカバーをされるということになります。そして、三年間の延長もできるという今回合意をしたわけなんですけれども、この三年間の延長が認められると大体九六%ぐらいの方々まではカバーできると、調査の結果こういう結果が出まして、これを踏まえて交渉したということでございます。
 なお、個々の事案で最大三年までの延長を可能にする、こういうことにつきましては、これまでの交渉で日英間で大体の合意ができてまいりまして、今後関係当局の合意に基づいて取り決めを作成しますので、その旨この中で規定をする、こういうことになると思います。
#18
○松前達郎君 今の期間の問題は、恐らくこれがスタンダードになっていくんじゃないかと。ドイツの場合もそうだったと思うんです。ですから、今おっしゃったようなことであれば、それが一番適当だろうと、こう思います。
 あともう一つだけ要望しておきたいのは、これはPRをしておきませんと、大体文章というのは割とかたく書いてありますからなかなかわからない。一般の企業の人がわかるように、広報をひとつよろしくお願いいたしたいと思います。
 以上で終わります。
#19
○益田洋介君 まず、外務大臣にお伺いしたいと思いますが、この一両日、メディアを通じて話題となっております石原都知事の三国人発言、これについて、やはり政治家というのは信念を大切にするということは、我々が政治家になったときの第一歩として、教訓として教えられているわけでございますが、信念を、他者に対する痛みに関する想像力とかあるいは歴史への洞察という考え方を度外視して自分の信念だけを訴えるということは、かなり政治家としてはひとりよがりの部分が出てきているんじゃないかというふうに思うわけです。
 特に、東京というのは、地方と言いますけれども、やはり世界に非常に密着した緊密な関係を持っているそういった代表的な都市でございますから、その顔といいますかトップが発言する場合にはやっぱり国際感覚というものを備えた発言をしていただきたい。そういう意味からすると、あるいは石原知事というのは東京都のトップとして適格性を疑われるのではないか、そうした意見もございます。
 それからまた、さらに続けて、三国人が、不法入国した人たちは大きな災害が起きた場合には騒擾事件すら起こすことが想定されると。自衛隊に関しては国家の軍隊であるとまでおっしゃっている。その自衛隊が、そうした騒擾事件が起きた場合には治安出動する必要があるとまでおっしゃっている。そういう発言をしたことについて質問をされたある記者に対してのお答えは、そうした発言をすること自体が抑止力になるんだと、そこまで踏み込んで確信を持って発言をされている。
 こういうふうな地方の政治家の代表がいらっしゃる。公益を代表する立場にあるトップとして果たしてこういう発言が外交上、かなり外国からも批判が出ているようでございますが、許されるのかどうか、率直に外務大臣の御意見をお伺いしたいと思います。
#20
○国務大臣(河野洋平君) 都知事は都民の直接選挙によって選ばれたわけで、その都知事の職にあることがいいかどうかということを私が申し上げることはできないと思います。
 しかし、外務大臣として非常に率直に申し上げれば、この発言は国際的に見て非常に強い批判を受けることは間違いないというふうに私は思います。日本の国にとって忘れるほどの昔でない過去において、こうした文言といいますか、こうした言葉がどういう意味を持っていたかということは我々はよく知っています。六十代の人なら知らないはずはないと思います。そうした意味というものを承知しながらこういう言葉を使われたということは、やはり相当厳しい批判を浴びるということはやむを得ないことではないかというふうに思います。
 私は、外務大臣として、まことに残念なことだというふうに申し上げる以外にはございません。
#21
○益田洋介君 それでは、たびたび本会議の代表質問でも話題に上っております小渕前総理の沖縄サミットに対する心構えといいますか肝いりの様子が、昨日も参議院の本会議で森新総理から、大変に学生時代から力を入れて沖縄の問題を見守ってこられた前総理の大望であったサミットを何とか成功させたいと。これは新総理また外務大臣もそのようにおっしゃっておりましたが、もう日本の国民も総じてこれは何とかして成功させようという願望が日増しに強くなっている、そういうふうな私は国民の念願ということが沖縄サミットに集中してきているというふうに感じております。私たち国会議員としても、やはり真剣にあらゆる角度から、あらゆる観点から力を、心血を注いでいかなきゃいけないテーマであろうと思います。
 そこで一つ、昨年六月のケルン・サミットでも話題になりました、最貧国という言葉、表現は正しいのかどうかわかりませんが、債務救済について、恐らくことし七月の沖縄でも重要テーマの一つになるというふうに考えます。
 我が国の姿勢が先進国の中で一つはっきりしない部分が今までございました。以前にも私はこのことを話題にしたわけでございますが、やはり議長国であります我が国としては、この問題が提示されると同時にしっかりとした意思の表示ということをするべく議論をもう収れんしてこなきゃいけない時期に立ち至っているのではないかというふうに考えますが、この点は外務大臣、いかがでしょうか。
#22
○国務大臣(河野洋平君) 我が国の立場は、過日、四月十日に政府の姿勢は発表させていただきましたので議員御承知のことかと存じます。
 サミットにおきます議論につきましては、やはり先進国の中にも若干の議論が残っておるというふうに聞いております。
 最貧国に対します債務の切り捨てについては、貧困の克服という視点に立てばこれは思い切ってやるべきだという主張と同時に、ここで切り捨ててもまた、つまり構造が変わっていなければまた新たな債務がそこからスタートしてしまうではないかと。思い切った債務の切り捨てをやる以上は構造的な思い切った変更といいますか、あるいはそれ以外に今貧困を克服するためのノウハウといいますか、そういうものを投入をする、そういうものが受け入れられるということが必要ではないかと。そういうものなしに、ただ単にこれまでの債務を切り捨てるというだけで十分かといったような角度からの議論も一方あるわけでございまして、こうした議論について、今、議員御指摘のように、サミットを前にしてあるいはサミットにおきまして、この議論は相当に煮詰めて収れんをしたものをサミットにおいて合意ができれば大変いいというふうに私も考えております。
#23
○益田洋介君 それでは、前回、また前々回、当委員会で外務大臣に対して御質問を続けてまいりました中国、対中円借款、ODAでございますが、これは国民の皆さんの税金を原資として出資されているものでございますので、報告義務というのは当然ありますし、透明性を増さなきゃいけないということをたびたび申し上げてまいりました。
 三月三十日、当委員会で資料の請求をいたしましたが、まだ一つも出ておらないわけでございます。これは、ぜひ委員長、理事会で議論を願いたいと思いますが、既に二週間余たちますが、その真摯な、透明性を増そうという姿勢が外務省の皆さんから見受けられないのは非常に残念でございます。こういう公の場で申し上げるのはいかがかなと思いましたが、待つのもやはり限度がございますので、特に外交問題というのは時々刻々変遷をするわけでございまして、逆に言うならばその対応も、やはり時間のエレメントというのは非常に大事な問題でございますので、これを提出いたしますので、ぜひ御検討願いたいと思います。
#24
○委員長(矢野哲朗君) 後日、理事会で協議をさせていただきます。
#25
○益田洋介君 ありがとうございます。
 さらに一点だけ。報じられたところによりますと、北京の空港ターミナル、これもODA、我が国からのODAで建設されたものでございますが、ここの飛行場のターミナルビルの中に初めてパネルが掲示されまして、日本政府はこのターミナルの建設の一部に円借款を提供したと、このように中国語で書かれている。
 これは初めてのことではありますが、費用は全部日本から出ている、約二十一万円。何でこういうものに日本がまた費用を出さなきゃいけないのか。感謝の念があるんであれば、これは一政治家としてよりも一国民としてどうも納得がいかない。こういうふうな表示の中に、要するに日本側は費用を出し、作成したものを中国の空港担当者が承認して提示をさせていただいている。そのパネルの中には感謝の意味を込めた文字は一つもない。この辺がどうも納得いかない。
 先日来申し上げているように、本年度も二千億を超える援助をすることが決定している。その相当な部分が軍事目的に使われるような、高速道路であるとか、あるいは水力発電所であるとか港湾設備の拡充であるとか、そういうことに使われようとしている。しかし一方で、感情的な問題といいますか、先ほど冒頭申し上げました、もうやめろということなのでやめますが、石原知事のところまではいかないにしても感情の問題は国民として残るんではないか、そのように私は考えておりますが、一言だけ御所見をお願いしたいと思います。
#26
○国務大臣(河野洋平君) 中国側が日本からの援助について感謝の気持ちをあらわしていないではないかという議員からの累次にわたるお尋ねでございます。
 しかし、私どもといたしましては、中国の江沢民主席が日本訪問の折に、日中共同宣言の中で我が国のこれまでの経済協力に対し感謝の意を表明している。やはり中国の最高指導者がこうしたことを、感謝の意を表明されているということは重要なことだと思いますし、さらに、北京の地下鉄の開通式あるいは上海空港の竣工式、こうした場面でも感謝の意の表明があるわけでございます。本来は、それが報道その他を通じて国民に伝えられればもう少し国民の感情というものは納得ができるということになったかもわかりませんが、そうした点が我々の努力も不十分であったかと思いますが、十分いっていないことをまことに申しわけなく思います。
 それから、空港のパネルにつきましては、私も、議員からの御指摘もあって、よく話を聞いてみました。空港のパネルは、空港の中で、広告を出すスペースですね、それが幾つかあって、その広告を出すスペースの一つを日本側に提供して、そしてそこにこの空港は日本の資金が使われていますよということを書いたということで、言ってみれば、中国側にしてみれば得べかりし広告料というものを向こうは提供したということに少し、こういうところまで言っていいかどうかわかりませんが、そんな感じがしないでもないわけでございまして、これは、中国側がスペースを提供し、日本側がそこに文言を書き入れたと。
 その文言は、もう議員も御承知のとおりでございますが、手を携えて協力し、ともに未来を創造しよう、日本政府はこのターミナルの建設に一部資金を提供しておりますよという文言がここに入っている。そして、そのパネルは日本国際協力銀行という名前を入れてパネルがそこに出されているということでございまして、このやり方がいいかどうかということについてはいろいろ評価もあるだろうと思いますが、議員のお気持ちは私よく理解をいたしましたので、こうしたことにも十分これから留意してまいりたいというふうに思います。
#27
○益田洋介君 終わります。
#28
○小泉親司君 初めに、日英の社会保障の協定について質問いたしますが、私たちはこれに賛成をしておりますので、一問だけ質問させていただきます。
 先ほど松前委員からも質問があったので、重複をしないように質問させていただきますが、例えばG7の関係諸国を見ますと、それぞれ多くの国とこの協定を結んでいるわけです。例えば日本の場合ですと、ドイツ、今度はイギリスということで、二カ国である。外務省の資料を見ますと、それぞれ各国から要請がいろんな形で来ている。例えば、アメリカの場合などは昭和四十年代から要請が来ている、つまり一九六五年。もう既に三十五年近くたっているのにいまだにこの協定ができないという、そういう問題であるわけです。米国の締結状況を見ますと、G7のうち、していない国は日本だけと、こういうふうな状況なわけです。
 一九六五年から三十五年もたつのに、要請から三十五年もたつのに、なぜアメリカとの関係がそういうふうにできなかったのか。経済発展のスピードというだけで、先ほどお話がありましたけれども、それだけでは片づかない問題があるような気がするんですね。ですので、その点は一体現状がどうなっていて、どういう方向にあるのか、まずそのことだけお尋ねをさせていただきます。
#29
○国務大臣(河野洋平君) これは先ほど山本政務次官からも御答弁をさせていただきましたが、日米間でこの問題について議論をして締結をしようではないかという話があったことは、事実議員御指摘のとおりでございます。
 ただ、この締結によってそれぞれの国は保険料収入がそれだけ減るという事態になるわけでございまして、当時アメリカの財政状況が非常に悪くて、そういうことも理由の一つになってアメリカは余り熱意を持たなかったということがございます。近年、アメリカは財政状況が非常にいいものですから、恐らくそれも理由の一つであって現在はアメリカは非常に積極的にやろうということになってきております。
 これはそれぞれ、日英間でもこの問題を締結することによって国の収入は相当程度減るわけでございますから、それなりにそれぞれの国は考える部分もあるんだろう、そういう面もあるんだろうというふうに思っております。
 しかし、日米関係を考えればこうしたことは当然やらなければいけない最も、駐在員の数からいいましても両国の交流の度合いから考えても、重要なものだというふうには考えております。
#30
○小泉親司君 先ほども同僚委員からお話がありましたが、突然の質問なんですが、河野外務大臣ですからお答えが十分できるということを確信いたしまして質問をいたしますけれども、石原都知事の発言、マスコミの報道を見ますと、外務大臣は適切ではないとおっしゃった。先ほども御答弁でそうおっしゃいました。私はこの問題については、やっぱり三国人というのは歴史的に見ても台湾の方々や朝鮮の方々に対して大変差別的な用語として使われていたということ、それについて大規模な騒擾事件が起きた場合に自衛隊の治安出動を求めるというような、それをしかも自衛隊の式典の場で発言されるという点が私は非常に重大な問題なんじゃないかと思うんですが、大臣はその適切ではないというのはどこが適切ではないというふうにお考えになっておられるんですか。
#31
○国務大臣(河野洋平君) 繰り返して申し上げますけれども、私は都知事というのは都民の直接の選挙によって選ばれたわけでございますから、その都知事が都知事としてふさわしいかどうかということを私は申し上げる立場ではございません。
 ただしかし、外務大臣として国際的な関係を考えれば、三国人という言葉は、今、議員もおっしゃったように、かつて昭和二十年代といっていいんでしょうか、とりわけ昭和二十年代に多く使われて、その当時決して相手を尊敬する言葉ではなかったし、それから普通の呼び方ではなかったというふうに私は承知をいたしております。そうしたことを考えれば、ああした言葉を今使うということは適切だとは私は決して思わないということを申し上げたわけでございます。
#32
○小泉親司君 この問題とも若干関係はしておりますけれども、私は在日外国人の地方参政権の問題についても一言ちょっと外務大臣にお尋ねしたいんですが、三月の日韓外相会談でこの問題が取り上げられた。外務省のインターネットの資料を見ますと、韓国の外務大臣からこの点が強く要望されて、河野外務大臣のお答えは韓国の重大な関心事だということはよく承知しておるという御発言をされておられます。
 問題は、政府としてこの問題についてはどういうふうに重く受けとめて、大きなでしたか、韓国の大きな関心事項であるというふうなことをおっしゃっておられれば、政府としてどう具体的にこの点での対策をとろうとするおつもりなのか、その点をまずお尋ねします。
#33
○国務大臣(河野洋平君) 在日の方々の参政権問題は、例えば日韓議員連盟でしたか、においても大変重要な問題だというふうに韓国側から指摘があって、それにこたえて日本側の議員の方々もそれは十分承知をしているというやりとりがたしかあったというふうに記憶をいたしております、ちょっと正確にいつだったか覚えておりませんが。
 そうしたことを幾つか踏まえて、日韓閣僚懇談会におきましても、あるいはかつて日韓首脳会談においてもこの問題は取り上げられて、その都度日本側の閣僚あるいは日本側の首脳はこの問題の重要性、この問題に対する韓国側の関心の強さというものは十分わかったということを答えておられるわけです。
 そうしたことを踏まえて、自自公連立当時、三党連立の中にもこの問題が書き込まれて、三党連立の中でこの問題は話し合われております。現在は自公保ということになりまして、その問題が引き継がれているというふうに私は思っておりますけれども、とりわけ公明党が非常に強い関心を持っておられて、この問題をできるだけ早く処理しようというお話が累次にわたって私どもにもございます。
 私は、議院内閣制という現在の状況、日本の制度から考えて、連立与党がこの問題について合意をされるということがやはり必要だ、しかも参政権というこの種のものは立法府における立法府の皆さんの合意というものが非常に重要だということを考えてこの問題を見守るという立場でございますけれども、私としても少なくとも日韓閣僚懇談会で話があり、首脳会談でもこの手の問題について話があった事柄でございますから、この問題が少しでも前進をして具体化されることは望ましいことだというふうに思って、そういう方向で何かお尋ねがあれば申し上げているという状況でございます。
#34
○小泉親司君 もう時間が参りましたので最後でありますけれども、私どももこの問題については地方参政権ということで、選挙権、被選挙権両方含めた法案も国会へ提出しておりますし、先ほど外務大臣も言われましたように、昨年十月の自自公で合意されたときにもこれは討議されているというんじゃなくて、私持ってきておりますから正確に言いますと、この法案を成立させると書いてあるんです。つまり、成立させるんです、この法案を。
 そういう与党の合意も現実にあるし、その意味では政府としてもっと積極的にやはりこの問題については対応する必要があるということを私はきちんと要求させていただいて、一つだけお答えいただければそれで質問を終わります。
#35
○委員長(矢野哲朗君) 河野外務大臣、簡潔に願います。
#36
○国務大臣(河野洋平君) はい。自自公の合意でこの法案を成立させると書いてございますが、この法案というものがまだない、つまり三党共同提案なる法案というものがまだないわけでございます。その法案をまずおつくりいただくということが重要だと思います。私の立場は先ほど申し上げたとおりでございます。
#37
○小泉親司君 終わります。
#38
○田英夫君 本日の議題になっております英国との社会保障協定については、先ほどからも話が出ておりますように、もっと速やかにアメリカを初め多くの国と結ぶように私からも要求をしておきたいと思います。
 私も実は石原東京都知事の発言について取り上げざるを得ないのでありますが、外交・防衛委員会というこの場で、外交の責任者である河野さんから既に先ほども適切でないという御答弁がありましたけれども、既に中国やあるいは韓国、北朝鮮という近隣諸国から厳しい反応が出ているわけでありまして、まことに外交上も重要な無視できない問題だと思うんですが、改めて外務大臣から、適切でないと言うだけでいいのかどうか。私は日本の外交にとって非常にマイナスだと思わざるを得ないんですが、いかがでしょうか。
#39
○国務大臣(河野洋平君) 非常に残念だと思いますことは、我が国は近隣諸国の方々との間には非常に友好的な対応ができていると思うんです。日本に来ておられる近隣諸国の方々は、そのほとんどが非常に誠実に日本の法律を守り、あるいは日本の国内でともに積極的によき地域社会をつくるために努力をしておられる。我々もまたそうした方々に対してできる限りのよき対応を現実にしているわけです。そういう状況の中でこうした発言があって、そうした努力というものが、逆にそうした国々に誤解をされるおそれがあるということが極めて残念だと申し上げたいわけでございます。
 ぜひこの点は、近隣諸国におかれても、あるいは日本におられるそうした方々も、日本の国がそういう国でないということを十分正しく理解していただきたいというふうに思います。
#40
○田英夫君 石原都知事はかつて参議院に在籍されましたから私も同僚議員としてよく知っておりますし、私自身は実は東京都選出議員でありますから、この問題については重大な関心を持たざるを得ない、こういうことであります。
 第三国人あるいは三国人という言葉は、先ほども外務大臣言われたように、私自身昭和二十年代に新聞記者をしていて、この言葉について、実際に差別用語であるということで新聞に書くことはできない、使いようによってはこれは大変なことになるという体験をしておりますから、私よりはずっとお若いけれども、石原さんがこれを御存じないはずはないのでありまして、意図的に使われたとすればなおさらまことに残念だ、かつての同僚としても本当に残念だと思います。
 もう一つ問題は、九月三日ですか、東京都と自衛隊、陸海空の三自衛隊との防災のための共同訓練ということが計画されているようでありますが、これは東京都からの要請でやるのか、どういう形でおやりになるのか、防衛政務次官わざわざおいでいただきました、どういうことになっているんでしょうか。
#41
○政務次官(西川太一郎君) 端的にお答えを申し上げれば、東京都からの御依頼を受けて、都のみならず防衛庁及び関係機関が一体となって行う、こういうことでございます。
#42
○田英夫君 九月といえば九月一日の関東大震災、震災の日でありますから、私はその年に実は生まれておりますから知っているわけはないんですけれども、そのときにまさしく、朝鮮の人たちが襲ってくるといういわゆる流言飛語が飛んで大勢の朝鮮の人が殺されたという、そういう日になるわけです。そういうところになるわけです。防災のための訓練をおやりになるということは私も賛成であります。しかし、東京都の要請、このような発言をされた都知事を先頭とした東京都の要請によって自衛隊が防災訓練をされるということ、私はいささかそれでいいんだろうかと。
 この発言を取り消されるというようなことがあれば別として、このままの状態で、治安出動の要請まで発言をされている、そういう状況の中で自衛隊が東京都と一緒になって訓練をされるということをそのまま計画どおりやられていいんだろうかという疑問を実は持たざるを得ないんですけれども、防衛庁としてはどうお考えになりますか。
#43
○政務次官(西川太一郎君) 防衛庁といたしましては、昨年九月に、これ指揮所演習でございますけれども、幕僚会議の、いわゆる陸海空三自衛隊の大震災等に対する演練を重ねておるわけでございますけれども、特に阪神大震災の教訓等を踏まえまして、やはりこういう純粋なと申しますか、治安出動ではない、いわゆる震災に対する、災害に対する出動に対して実態的な訓練というものを積む機会がございません。また、直下型の大きな震災が大都市において大変切迫しているというような予見もあるわけでございまして、私どもとしてはこれはぜひ、ただいまの石原知事の御発言とはかかわりなく、純粋に都民の生命をお守りするという立場から、防衛庁の欠かせない職務でございます災害出動の訓練としてはぜひやらせていただきたい、こんなふうに思っているところでございます。
#44
○田英夫君 私はやはり、今の御答弁にもかかわらず非常に疑問を呈さざるを得ない。やはり、それ相応の石原都知事に対して対応をしていただく中で、訓練をおやりになることは私も賛成でありますから、やっていただきたいということを要望して終わります。
 ありがとうございました。
    ─────────────
#45
○委員長(矢野哲朗君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 昨日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として笠井亮君が選任されました。
 また、本日、依田智治君が委員を辞任され、その補欠として岸宏一君が選任されました。
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#46
○佐藤道夫君 まず、年金協定の関係につきましては、先ほどの松前委員、または田委員と同じく、アメリカその他主要国について速やかな協定の締結を希望する、大いに努力してほしいということを要望しておきます。
 私もまた、石原発言を取り上げたいと思います。
 先ほど外務大臣は、何しろ知事というのは選挙民が選ぶので、政府として適任である、ないということを言う立場にはないんだと。何か聞いておりますと、若干客観的な腰が引けたような言い方のように聞こえたのであります。これは重大な外交上の問題だと私は考えておりますよ。
 その理由を、ちょっと具体的な例を挙げて申し上げますけれども、例えばアメリカのニューヨーク市長が日本人をつかまえてジャップ、ジャップという言い方を使う、する。ロンドン市長がまた日本人に対してイエローモンキーというふうな言い方をする。これ絶対国として放置しておくべき問題ではないと思います。日本政府として厳重にアメリカ政府、イギリス政府に抗議を申し入れる。その際に、アメリカ政府、イギリス政府が、何しろ自治体の首長が言っていることで仕方ないんですよ、そんな返事は絶対しないと思います。責任を持って対応して、きちっとした返事を回答してよこす、それが外交上の処理であり、また国際礼儀にもかなうゆえんだろうと思います。仕方ないですよということで済む問題なんでしょうか。いかがでしょうか、大臣。
#47
○国務大臣(河野洋平君) ちょっと私の発言ぶりが議員に正確に受け取っていただけなかったかと思いますが、私はけさの新聞あたりを見ると、辞職を勧告するとか辞任すべきだというような記事が出ておりましたが、私の立場は都知事に辞職を勧告するとか都知事は辞任すべきであるとかということを申し上げる立場にはありませんと。都知事は都民の直接の選挙によって選ばれた人ですから、その立場についてとやかく言えることではありませんと、しかし、発言については、私は不適切であると思うし、極めて残念であるということを申し上げているわけでございます。
#48
○佐藤道夫君 外務大臣として、なぜ石原知事を呼びつけまして、まことに不見識である、これは外交上の重大な問題であると言って撤回と謝罪を要求する、当たり前のことでしょう。辞職するかどうかということは、それは石原知事個人の考えなんですから、それはそれでいいんですけれども、政府としてこれを放置しておくのか。やはり直接石原知事に対して申し入れるべきでありましょう。そのことを私言っているのであります。いかがでしょうか。
#49
○国務大臣(河野洋平君) 考えさせていただきます。
#50
○佐藤道夫君 たまたま私は石原氏と同年輩なんでよくわかっておるんですけれども、子供のころは、ここだけの、ここだけの言い方はおかしいな、朝鮮の方々がいっぱいおりましたので、朝鮮人朝鮮人と子供たちがやゆする、これはもう侮べつ的な表現で、まことにもってけしからぬと言われればそのとおりでありました。それが戦後ある時期から突然、大人たちが第三国人という言い方をし始めたんですね。あっ三国人が来るぞと。子供たちは何のことかわけわからぬままに、三国人三国人とまことに侮べつ的な意味でこれを使っておった、やあやあはやし立てたりもした。
 石原氏も私と同年輩ですから、こういう体験は必ずあるはずです。そういうことを抜きにして彼は、いや一般外国人を表現する言葉として第三国人と言ったんだと。これは明らかにうそですよ。A国とB国が紛争状態にある、その周辺国や関係国は第三国と、これは紛争当事国が言うわけですね、ああ第三国の人たちよと、こういうふうに言うわけで、今、日本は何もそんな紛争状態にないわけですから、この日本で第三国人、第三国という言葉が使われること自身が大変おかしいわけですよ。明らかに朝鮮の人たち、台湾の人たちに対して三国人と、こう言っていることは間違いないわけです。彼の頭の中にはもう侮べつ以外の何物もない、それしか言いようがないんですね。大変不思議なことです。
 しかし、彼はどこが悪いんだと居直ってもおるようでありますけれども、これ、すべてを知っておって居直っておるから私は悪質であると、こう思うわけです。何も知らなくて、本当に、第三国というのは純然たる日本語の言葉であって、関係の、紛争当事国以外の国々を指しているんだ、こういう意味で使ったとすれば理解はできましょうけれども、しかしそんな頭の悪い人が知事になれっこないですから、どう考えても彼は全部を知っておってああいう言葉を使っておる。
 いずれにいたしましても、彼を呼びつけて一体どういうことなんだ、こういうことを追及するのは私、日本政府の責任だと思うんですけれども、いかがなんでしょうか。
#51
○国務大臣(河野洋平君) 先ほど申し上げましたように、これを推測だけで論ずるというのは余りいいやり方ではないと思います。したがって、私申し上げましたのは、もう少し直接、何を考えておっしゃったのかということが知りたいというふうに思っているわけです。
 その知るための方法はいろいろな方法があるだろうと思います。累次にわたる記者会見をもっと詳細に点検するということも一つの方法だと思いますし、その方法についてはいろいろあろうかと思いますので、考えさせていただきたいと申し上げました。
#52
○佐藤道夫君 推測であれこれ言ってほしくない、それは当たり前なことなのでありまして、やっぱりこういう問題については発言者である当事者に来ていただきまして、一体どういう趣旨でこういう言葉をお使いになったのか、これが侮べつ的な意味でないとすれば一体どういうことで三国人なんという言い方を使ったのか。この問題を発言するについて三国人なんという言葉を使う必要は全くないわけですからね。そういうことを戦時中、戦後に子供時代を送られたあなたが知らないわけはないでしょうということで追及するのか、あるいはお聞きいただくのか、そこから問題は発展していくんじゃないか、こう思いますので、ぜひとも、重大な外交上の問題である、日本政府自体の問題であるということでこの問題の解決に御努力いただければということを要望いたしまして質問を終わります。
#53
○委員長(矢野哲朗君) 他に御発言もないようですから、本件の質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の締結について承認を求めるの件の採決を行います。
 本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#54
○委員長(矢野哲朗君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。
 なお、本件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#55
○委員長(矢野哲朗君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時六分散会
ソース: 国立国会図書館
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