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2000/03/15 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第3号
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2000/03/15 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第3号

#1
第147回国会 法務委員会 第3号
平成十二年三月十五日(水曜日)
   午前十時開会
   ─────────────
   委員の異動
 三月十五日
    辞任         補欠選任
     谷林 正昭君     小川 敏夫君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         風間  昶君
    理 事
                北岡 秀二君
                塩崎 恭久君
                竹村 泰子君
                魚住裕一郎君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                岡野  裕君
                竹山  裕君
                服部三男雄君
                松田 岩夫君
                吉川 芳男君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                谷林 正昭君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       法務大臣     臼井日出男君
   政務次官
       法務政務次官   山本 有二君
       運輸政務次官   鈴木 政二君
   最高裁判所長官代理者
       最高裁判所事務
       総局人事局長   金築 誠志君
       最高裁判所事務
       総局経理局長   竹崎 博允君
       最高裁判所事務
       総局刑事局長   白木  勇君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       内閣官房内閣内
       政審議室内閣審
       議官       石井 隆之君
       警察庁長官官房
       総務審議官    吉村 博人君
       警察庁長官官房
       犯罪被害者対策
       室長       太田 裕之君
       警察庁刑事局刑
       事企画課長    縄田  修君
       法務大臣官房長  但木 敬一君
       法務省民事局長  細川  清君
       法務省刑事局長  古田 佑紀君
       法務省入国管理
       局長       町田 幸雄君
       公安調査庁長官  木藤 繁夫君
       文部省初等中等
       教育局長     御手洗 康君
       厚生省保健医療
       局地域保健・健
       康増進栄養課長  佐柳  進君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○平成十二年度一般会計予算(内閣提出、衆議院
 送付)、平成十二年度特別会計予算(内閣提出
 、衆議院送付)、平成十二年度政府関係機関予
 算(内閣提出、衆議院送付)について
 (裁判所所管、法務省所管、運輸省所管(海難
 審判庁)及び国土交通省所管(海難審判庁))

    ─────────────
#2
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 昨十四日、予算委員会から、本日三月十五日の一日間、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管、法務省所管、運輸省所管のうちの海難審判庁及び国土交通省所管のうちの海難審判庁について審査の委嘱がありました。
 本件を議題といたします。
    ─────────────
#3
○委員長(風間昶君) この際、政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 委嘱審査のため、本日の委員会に、内閣官房内閣内政審議室内閣審議官石井隆之君、警察庁長官官房総務審議官吉村博人君、警察庁長官官房犯罪被害者対策室長太田裕之君、警察庁刑事局刑事企画課長縄田修君、文部省初等中等教育局長御手洗康君及び厚生省保健医療局地域保健・健康増進栄養課長佐柳進君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(風間昶君) 平成十二年度裁判所、法務省及び海難審判庁関係予算につきましては、去る九日に説明を聴取しておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○北岡秀二君 おはようございます。
 私、さきの予算委員会で一連の警察問題について質問をさせていただきました。そのときに、民事不介入の問題について国家公安委員長の方からいろいろな御答弁をいただいたわけでございます。
 あらかたの趣旨は、例の新潟の事件、いろいろな角度から警察問題について議論をされているわけでございますが、いま一つの問題点として、例の新潟の事件の経過の中で、犯人の母親が四年ほど前に警察に相談に行っておった。そのときに十分な対応ができておればひょっとしたらこの事件も四年前に解決できたんじゃなかろうか。
 さらにもう一点が、例の犯人検挙された当日、保健所からの通報が数回あった。その前段の段階では十分に警察が対応できなかった、しなかった。そのかくまわれている少女が行方不明の少女であるということがわかったときに初めて警察が本格的に動き出したというような経過をいろいろ説明を申し上げまして、このあたりの流れの中に、従来、警察あるいは捜査機関がいろいろ犯罪に対応するときに、一つの習慣というか慣例というか、民事不介入という一つの大きな壁がある。これを多少なりとも、いろんな部分から最近の犯罪情勢、社会情勢等々を見ましたときに、ちょっと見直すというか、民事不介入の原則は私は貫かなきゃならぬだろうと思うんですが、余りにも犯罪情勢が変わっておる、社会情勢が変わっておる中で、ここに大きな捜査機関自体の社会に合わない壁ができているんじゃなかろうかというような質問をさせていただいたわけでございます。
 これは、もう私も今まで地方議会を経験しております。地方議会を経験しておる中で、特に地方議会に関連して、行政にまつわる恐喝事件というのはたくさんあるわけです。私もいろんなところで、警察の方々とも、県議会時代の話なんですが相談をさせていただいた。それは北岡さん、告訴をしていただかなければなかなか動けないんですとか、あるいは確固たる証拠がないとこれは民事上の問題だからなかなか入りづらいんですというような話も、もうたびたび経験をさせていただきました。
 実態は、その流れというのは、そういう私自身が経験しておるいろんな大変な出来事というのも、明らかに犯罪である、明らかに重大な社会的に大きな事件であるにもかかわらず、これはもう非常に斜めの見方でございますが、警察自身が民事不介入というのを盾に逆に動こうとしない一つの実態もあるのではないかというような私は感想を非常に強く持っておって、このたびの事件でもそういう一つの一端が、一端がというかマイナスの部分が出てきたんじゃなかろうかなということが、このたびの一連の警察の事件というか不祥事の流れの中で問題としてあるんじゃないかなというふうに私は感じておるわけでございます。
 この前の予算委員会でも取り上げましたが、例の桶川のストーカー事件に関しても、やや似たような経過の中で、そのあたりの言葉のやりとりとして、民事問題だから云々というような発言もあったようにお聞きをするわけでございます。
 最近の社会情勢等々を考えてみると、そのあたりも私は犯罪捜査ということからすると見直していく時期に来ておるのではないのかなというような印象を非常に強く持っておるものでございます。
 特にこの新潟での少女監禁事件あるいは桶川の事件等々の問題で、この事件に対する警察の対応について、そしてまた、警察から事件送致を受けてその刑事処分を行う職責を有する検察庁を所管する法務大臣として、このあたりの所感、どういうふうにお考えになっておるかお伺いを申し上げたいと思います。
#7
○政務次官(山本有二君) 検察は、警察から事件送致を受けた場合は、さらに捜査を遂げて、起訴、不起訴の処分を決定し、起訴した事件につきましてはその公訴の維持に十全を期して、適正な科刑の実現を図る職責を有しているものでございます。この過程におきまして、検察は警察と相互に協力すべき関係にございますが、犯人の検挙自体は警察がその権限と責任において行っておるものでございます。
 お尋ねにつきましては、法務省の立場から警察を云々するということは大変申し上げにくいわけでございます。しかし、一般論で申し上げれば、刑罰法令に触れる行為を行った者の迅速適正な処罰を実現することは刑事司法全体の使命であると考えております。その上に立って考えれば、民事不介入という建前が単なる言いわけにならないように肝に銘じて対応していきたいと存じております。
#8
○北岡秀二君 この民事不介入の問題というのは、以前からいろんな角度から議論をされ、いい意味での批判、悪い意味での批判、いろいろあるわけでございます。これも私、予算委員会の中で、それこそ象徴的な言葉として、殴られなければ警察に取り上げられない、死ななければ捜査はしてもらえないというようなちまたの批判もあることも事実だろうと思うんです。
 捜査機関の民事不介入の原則については本当に法務省も御承知だろうと思うんですが、昔からの功罪、さまざま議論されている。現実として捜査機関の一つの壁となっているのはもう私が先ほどから申し上げておるとおりの現実だろうと思うんですが、民事不介入の理念について、犯罪捜査の一般的なあり方の観点からどのように、今の答弁にも多少ございましたが御認識をされていらっしゃるのか、御答弁をお願い申し上げたいと思います。
#9
○政務次官(山本有二君) 強力な捜査権限を持つ捜査機関が民事的な紛争にとどまるものに介入することは慎むべきであるという大原則がございます。
 しかしながら、刑罰法令に触れる事実があるにもかかわらず、民事紛争の側面があるという理由だけでこれを放置するということはあってはならないことは言うまでもありません。そこで、検察におきましては、不偏不党、厳正公平な立場から警察と連携して適宜適切に事件の捜査処理を行うものと考えておる次第でございます。
#10
○北岡秀二君 私は前段に申し上げました、最近の犯罪情勢あるいは社会情勢というのを見てみますと、過去の、過去というか大昔の犯罪というのは、ある意味で申し上げると、暴力団が絡んでの犯罪であったり、あるいは切った張ったの領域の中で明らかに、非常に表現は難しいんですが、まさに悪いことをしそうな領域の中から犯罪が起こっている。そういう比較的社会自体がまだ未発達の状況の中ではっきりとした犯罪が結構多かっただろうと思うんです。
 ところが、最近、一連の事件もそうでございますし、最近の犯罪情勢を考えてみるときに、ごく普通の領域の中から、そしてまたなおかつ、ある意味で申し上げますと、民事の領域の中からいろんなこじれが起こって大変な犯罪が起こってくる。最近の金融関連の犯罪もそうでございますし、詐欺事件あるいは背任、横領等々も含めてでございますが、最近では家庭のバイオレンスの問題も出てきておりますし、なおかつインターネット犯罪もそうだろうと思うんです。ともすると、民事事件と刑事事件のすき間があるとすれば、そのグレーゾーンの中で非常に大きな社会不安あるいは社会犯罪というのが私は起こってきておるように感じるわけでございます。
 そういう状況から申し上げると、法をつかさどる法務省としては、そのあたりの領域の中に対応する法整備も当然必要になってくるだろうし、捜査に対する物事の考え方もいろいろと多様化している中で対応を急がなければならないところというのもたくさんあるように感じるわけでございます。
 そういう点からすると、もう既に国民の皆さん方もあるいは私どももそうでございますが、最近の犯罪の傾向を見てみると、びっくりするようなところでびっくりするような事件が起こってくる。そしてまた、思わぬところで思わぬ犯罪が起こる。なおかつ、それに誘引されて社会的な混乱あるいは社会的な不安というのがますます、これから将来のことを考えてみますときに非常に広がってくることが想像される。こういうような状況の中で、いろんな部分に対応した法整備というのは必要になってくるだろうと思うんですが、どうでしょうか、そのあたり、直接担当の刑事局長、そういうような状況でどういうふうなお考えがあるか、お聞かせいただきたいんです。
#11
○政府参考人(古田佑紀君) ただいま委員御指摘のような状況というのは、まことにそのとおりであろうと私も考えております。
 今御指摘の中にありましたような民事的な問題あるいは家庭内の問題、こういうふうなことが背景あるいは原因となって起こってくる犯罪、これは率直に申し上げまして過去から存在していたことは事実でございます。しかしながら、そういう事案につきまして、民事的な対応もなかなか難しい、さればといって現在の刑事法制の中で対応するということもなかなか難しい、そういうような分野の問題が出てきているということは事実であろうと考えているわけでございます。その意味におきまして、そういうふうな問題に今後どう対応していくかということについては、大きな課題だと考えております。
 ただ、問題といたしましては、刑事という面だけで申し上げますと、御存じのとおり、刑事は人を犯罪をしたということで処罰するという最も強い国家権力の行使ということになるわけで、どこまでが処罰される範囲なのかとかそういう問題がきっちり明らかになっておりませんと、これまた非常に大きな問題が起きる。
 そこで、そういうふうな要請とただいま御指摘のありましたような現実の問題、これをどう調整するかということが非常に大きな問題で、私どもも常々いろんな問題につきましてそこらあたりを検討しているところでございます。
#12
○北岡秀二君 大臣、どうでしょう、このあたり、民事不介入にまつわる、まつわると言ったらおかしいんですが、これに関連していろんな最近の犯罪情勢の中で大変なすき間と申しますか、十分に対応し切れない一つの現実がある。そしてまたなおかつそのあたり、これからさらに将来的にグレーゾーンと申しますか、広がっていく可能性もありますし、我々が想像つかないところでどんどん犯罪も起こってくる状況も想定される。それに対して今一連の流れのトータルの大臣自身の御所見というか御決意をお伺いしたいんですが、いかがでございましょうか。
#13
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま刑事局長から御報告いたしましたとおり、なかなか現実難しい部分というのがあるということは事実でございます。近時社会的な問題となっております、先ほど委員が御指摘をいただきましたドメスティックバイオレンスあるいはインターネット犯罪あるいはストーカー、こういった問題につきましては、今お話にございましたとおり、必ずしもその範囲というものは明確でないということも事実でございます。
 いずれにいたしましても、これらの問題につきましては刑法上の傷害罪とか暴行罪でありますとか脅迫罪、業務妨害罪あるいは軽犯罪法違反の罪が成立する場合が多いと考えられるのでございまして、現行罰則というものを厳正に適用していくことが肝要であると思われます。
 これらに関する新たな立法の必要性につきましては、事案自体についても調査、分析をしっかりと行いまして、諸外国の例も参考にしながらその要否や現行法との整合性の観点等も含めさまざまな角度から検討すべき問題だ、このように考えております。
#14
○北岡秀二君 従来法で対応できる部分もたくさんあるだろうと思います。しかし、社会不安、今の社会あるいは治安ということを考えてみますときに、私が先ほどから取り上げておる民事、ともすると民事に見えがちな領域の中で非常に大変な犯罪が起こっておって、それが今の現実社会の中での不安感を呼び起こしておる。そしてまたなおかつ、将来、その不安感もさらに増大する傾向がある。これはいろいろな犯罪捜査あるいは治安ということを考えてみたときに、それに的確に対応する。なおかつ、そういう領域の今の現実ということを考えてみたときに、従来法で十分対応し切れないというような現実もあろうかと思うわけでございます。
 何回も申し上げますが、旧来からの単純な犯罪というのは比較的もう減少傾向にある。ともすると複雑巧妙に、そしてまたなおかつ思わぬところに犯罪が広がりつつあるような傾向の中で、それに十分にこれから対応していく、そしてまた法整備もどんどん積極的にやっていくというのが法務省の役割ではないかというような感じがしておりますので、どうか今後、最近の社会情勢あるいは犯罪情勢を十分に分析をしていただいて、十分な対応をしていただきたいと思う次第でございます。
 それではもう一つ、入国管理の問題に移らせていただきたいと思います。
 一番直近の数字で結構なんですが、一年間にどのぐらいの外国人が日本へ来られておるか、そしてまた長期滞在者はどのぐらいであるか、あるいは不法滞在者はどのぐらいであるか等の、その重立った出入国管理にまつわる統計数字をちょっとお教えいただきたいんです。
#15
○政府参考人(町田幸雄君) 平成十年の記録によりますと、我が国の新規入国者数は三百六十六万人、再入国を含めますと四百五十万人ぐらいでございます。それから、不法残留者の数は、平成十一年七月の数字ですが二十六万八千人余りでございます。それから、長期滞在という概念があれなので、ちなみに外国人登録の数で申し上げますと平成十年は百五十一万人でございます。
#16
○北岡秀二君 非常に大勢の方々が何らかの形で日本に来られておると。このあたりの数字はどうなんですか、増加傾向、減少傾向、そのあたりの特別な傾向というのはどういうような状況になっておりますか。
#17
○政府参考人(町田幸雄君) 年によって若干のでこぼこはあるわけですが、入国者の数、これは基本的には増加傾向、それから不法残留者の数は最近少し減少傾向、それから外国人登録者数は増加傾向、このように見ていいかと思います。
#18
○北岡秀二君 このような中で、法務省では第二次出入国管理基本計画を作成中であるというようなこととなっております。外国人のことについてはいろんな角度から議論をされていらっしゃる。
 私も長い間文教におりましたから、文教委員会では留学生の問題、これも非常に大きな問題でございまして、これから将来の日本の役割ということを考えてみると、発展途上国からもっともっと留学生に来ていただかなければならないというような大きな議論もございます。果たして、今の留学生の受け入れ状況というか進出状況というか、これが日本の国際的な役割を果たしていくという観点から妥当な状況なのであるかどうか、まだまだふやしていかなければならないというような議論もございます。
 そしてまた、なおかつ最近の少子高齢化社会ということに関連して、外国人労働者をいろんな意味でどんどん受け入れなければならないのではないか。最近、経済情勢が悪いものですから国内の雇用問題というのが非常にクローズアップされておりますので、そのあたりも一段落はしておりますが、将来的に少子高齢化社会ということを考えてみたときに、外国人労働者の受け入れというのは一つの思想を持ってこれから計画的にというか戦略的にやっていかなければならない事態も発生してこようかと思うわけでございます。
 それに関連して、必ずついて回るのが移民を受け入れるかどうかというような話にもなってこようかと思うんですが、さらに先ほどの留学生の話でも、逆に今の日本が、アメリカとか一部ヨーロッパもそうでございますが、どんどん頭脳流出をしておる部分もまだ依然としてある。それを逆の状況で、日本自体もいろんな体制を整備することによって、逆に優秀な頭脳も多少日本の中に入ってきていただかなければならない現実もあるというような、外国人にまつわる議論というのは、これから日本の将来の国際貢献ということも含めて、非常に大きな私は入国管理行政というのは施策の一つだろうと思うんです。
 片や、先ほどの犯罪の話ではございませんが、不法滞在者がすべてそういう状況であるとは申し上げませんが、外国人による国内での犯罪もどんどんふえてきておる。不法滞在者をどういうふうに処遇していくかというような、これまた非常に大きな問題もあるということを考えてみますときに、先ほど申し上げました、この第二次出入国管理基本計画というのが非常に大きな意味を持つ計画になってこようかと私は考えるものでございます。
 この基本計画の法的根拠及び基本計画で何を定めることになっているのかをまずお尋ねしたいと思います。また、この基本計画を定めることになった趣旨を御説明いただきます。
#19
○政府参考人(町田幸雄君) 出入国管理基本計画につきましては、平成元年の入管法の改正で取り入れられたものでございますが、出入国管理及び難民認定法六十一条の九におきまして、法務大臣が策定し、その内容としては、一つは我が国に入国、在留する外国人の状況、二つ目は外国人の入国、在留の管理の指針及びその他の施策を定めることとなっています。
 これは、今日、我が国に入国、在留する外国人が大幅に増加してその活動も多様化し、我が国社会に与える影響が大きくなってきておりまして、しかも入管行政がほかのいろいろな行政とオーバーラップする点が非常に大きくなってきておりますことから、法務大臣が他の行政庁の長の意見を聞いた上で、外国人の入国、在留を管理する出入国管理行政の指針等を総合的かつ計画的に立案、実施することによって、現場におきます出入国管理を的確ならしめるとともに、この指針等を国民の皆様に明らかにし、透明性の高い行政を遂行することが必要であるとの見地から、出入国管理政策について基本計画として定め公表することにいたしたものでございます。
#20
○北岡秀二君 この基本計画は、政府の重要な課題である外国人の受け入れについての指針となるということでございますが、閣議決定なされた上で行われるものであるか、またこれは第二次ということでございますが、どの程度の頻度で策定がなされているものであるか、お伺いをしたいと思います。
#21
○政府参考人(町田幸雄君) 閣議決定はされませんが、先ほど申しましたように、入管法の規定によりまして関係省庁との協議を経た上で定めるものでありまして、その意味では政府全体としての出入国管理政策のあり方を示すものと考えております。
 作成する頻度につきましては規定はございませんで、社会情勢の変化を見て必要に応じて策定するということになっております。現行の第一次の基本計画は平成四年に定めたものでありまして、今年、八年ぶりの策定を行っているものでございます。
#22
○北岡秀二君 策定中、これから策定されるということも含めて、具体的にどのような形でどなたが策定をされるのか。特にこの施策に関心を持っておる国民あるいは外国人が増加しているというふうに私は感じるんですが、国民等の意見は反映されてつくられるのか、お伺いします。
#23
○政府参考人(町田幸雄君) 当委員会を含めまして国会等における諸先生方のお話、あるいは日々入管局に寄せられる御意見に加えまして、法務大臣が設置いたしました出入国管理政策懇談会、あるいは地方入国管理局が主催いたします出入国管理行政関係意見聴取会において表明された御意見等をも参考にして、入国管理局が原案を作成し、これを関係省庁と協議し、関係の行政分野における施策との整合性を図った上で策定するわけでございます。
 また、新しい基本計画をどのようなものにするかについては、インターネットやファクスで御意見をいただくパブリックコメントの手続をとり、広く国民、外国人の方々の意見を承り、参考にいたした次第でございます。
#24
○北岡秀二君 そのあたり、私前段に申し上げましたとおり、外国人をどのような形で受け入れ、そしてまたなおかつ留学生等も含めていろんな形で交流をしていただけるかということは、これから我が国が国際社会の中で生きていく過程の中で非常に大きな私は大事な施策であるという認識を持っておるわけでございます。
 そういう観点からすると、今の作成過程の話の状況、状況というか計画をお伺いしましたが、ある意味でいうと、日本の国、国際社会の中でこれからどうしていくんだという哲学もなければならないだろうし、一つの大きな戦略もなければならないだろうと思うんです。今のお話でちょっと私、果たして十分にしっかりとした一つの柱というのが立てられるのかなという心配を持つんですが、そのあたりはどうでしょうか。
#25
○政府参考人(町田幸雄君) 私どもといたしましては、今お答えいたしましたほかにも、今大きな時代の変化に直面しているわけでございまして、その中でいろいろな懇談会とかいろいろな方々が長期的な展望に立った我が国の進むべき道というものについての提言等がたくさんございます。そういったものも含めまして、私どもといたしましては十分検討した上で考えているわけでございます。
 また、この関係につきましては、先ほど申しましたとおり、関係の省庁はもちろんのこと多数の国会の先生方からも意見を伺っておりまして、そういう意味では、私どもとしてはある程度自信を持って考えている次第でございます。
#26
○北岡秀二君 たちまちにもう二十数万人おる不法滞在者をこれからどう扱っていくのかというのも非常に大きな問題でございますし、今の入国管理行政の領域の中で、これはひょっとすると言い過ぎかもわかりませんがお手上げ状態、そのあたりの対応がし切れない状況にある。これもいつまで野放しにするか、あるいは野放しという言葉が適切でないかもわかりませんが、現実をどういうふうにして受け入れていくのか、そしてまたなおかつそれをどういうふうな形で解決するのか、非常にこれも大きな課題だろうと思いますし、なおかつ開かれた国にするためには、私は非常にこれまた大事な一つの柱というのがなければ、国際交流をどんどん促進していくということからすると、そう簡単に物事がどんどん解決していくものではないというように感じるわけでございますので、ぜひともしっかりとそのあたりの哲学、戦略というのをお考えいただきたいなと。
 これは第二次ということでございますので、今まで第一次でそのあたりの施策、管理をやっていらっしゃったということでございますが、現在に至るまで第一次の計画というのは何が中心でポイントがどういうふうなことになっておったか、そしてまたそれに従ってこれまでどのような行政を展開してきたのかというのはどういうふうになっておったでしょうか。
#27
○政府参考人(町田幸雄君) 平成四年につくりました第一次基本計画におきましては、円滑な外国人の受け入れと好ましくない外国人の排除との両施策を通じまして、出入国管理行政は我が国社会の健全な発展と国際協調の進展に貢献すべきものとの考え方に立ちまして、円滑な人的交流の促進や不法就労外国人問題への対応を主たる課題といたしました。
 この計画では、このような考え方に基づきまして、法務大臣が外国人の出入国を公正に管理するように努めるべきこととされておりまして、実際の行政の運営においても、同計画に定められました指針に基づき、技能実習制度の創設とか不法滞在者の取り締まりのための入管法改正等さまざまな施策を実施してきたところであります。
#28
○北岡秀二君 それと、このたび第二次の計画の策定に着手したというようなことでございますが、新たな基本計画に着手した大きなきっかけというのはどういうことで着手されるようになったのか、そしてまた、今後の新しくつくられる基本計画の中心的なポイントというのはどこに置かれることが想定できるのか、お伺いしたいと思います。
#29
○政府参考人(町田幸雄君) 第二次の出入国管理基本計画をつくるきっかけといいましょうか、今御質問の点につきましては、今日、日本の国際化が非常に進展しているということ、それから少子高齢化時代が到来する、そうしますと人口が減少する、そういうような社会情勢の変化が目前に迫っている。それからもう一つは、外国人による犯罪の多発、あるいは不法滞在者問題に対する取り組みが一層必要だなと、そういうような必要の高まり、そういう社会情勢の変化を私ども受けとめまして、そして今申しましたような諸情勢の変化の中から国民の間でいろんなニーズが出てきている、そういうことを感じまして、今後の出入国管理行政がどうあるべきかを示すために、第二次の出入国管理基本計画をつくるべきだと考えたわけでございます。
 内容的には、国際化と社会のニーズにこたえる外国人の受け入れの円滑な実現と不法滞在者への現実的かつ効果的な対応が中心になるわけでございますが、私どもといたしましては、その第二次出入国管理基本計画に定める諸施策を実施することを通じまして、社会の安全と秩序を維持しながら、人権尊重の理念のもとで社会のニーズにこたえる外国人の受け入れを推進することによりまして、二十一世紀に向けての社会のあるべき姿の実現に貢献、または外国人と日本人が心地よく共生できる社会をつくる、そういうことを目指して考えているところでございます。
#30
○北岡秀二君 先ほどからいろいろ申し上げておりますとおり、これは私は非常に大事なことだろうと思いますので、将来的に本当に今の日本の国内にある、いい意味も悪い意味も含めてでございますが、外国人問題がこのたびの計画によって何とか明かりがともせるようなしっかりとした計画をお組みいただきたいなというふうに感じるわけでございます。
 なおかつ、これからの将来の社会を考えていったときに、外国人との結びつきというのはよきにつけあしきにつけどんどんかかわりが深くなってくる、またなおかつ、日本がこれから生きていく上でもどんどんかかわりを深く持っていかなければならないという大前提があるわけでございますので、ぜひともしっかりとしたものをおつくりいただきたい。
 これに関連して、もしその計画が策定されたときに、いろんな意味で関係の方々、そしてまたなおかつ国民等の周知徹底というのも必要になってこようかと思うんですが、そのあたりをどのようにお考えになっておるのかお伺いして、質問を終わらせていただきます。
#31
○政府参考人(町田幸雄君) 基本計画が作成できましたときには、法務大臣告示によりまして官報に掲載いたしますほかに、わかりやすいパンフレットを作成する等いたしまして、広くその内容につきまして広報する予定にいたしております。
#32
○竹村泰子君 おはようございます。
 予告いたしました質問で少し急だったものですから、大臣所信に関しまして、質問に入ります前にちょっとお伺いをしたいと思います。
 先日の大臣所信の中にいろいろと気になることがございまして、今の北岡先生の御質問に何か私は続いてさせていただくような形になっておりますけれども、第七番目の「出入国管理行政の充実強化についてであります。」というくだりで、大臣は、「国際協調、国際交流の進展への寄与、我が国社会の健全な発展の確保を理念とし、」というところで、その後で「社会に歓迎される外国人の円滑な受け入れ」という言葉を使っておられます。
 これはどういう意味でしょうか。
#33
○国務大臣(臼井日出男君) 我が国社会は大変激しい国際化の進展の中にあるわけでございますが、そうした中で我が国の社会の安全と秩序を維持しながら社会経済その他の各般にわたる活動を活性化していく、また繁栄を図っていくという我が国の社会のニーズにこたえ得る専門家でありますとか技術的分野などの外国人、そうした方々を意味しているわけでございまして、正規の査証を持って日本に入ってこられて、そうした中で我が国の法秩序というものをしっかり守って国民と共生をしていただけるような、そうした外国人ということを意味していると考えております。
#34
○竹村泰子君 歓迎されるあるいは歓迎するというのはこちらの非常に一方的な形でありまして、今も御答弁にありましたとおり、外国人の方たちがたくさん日本へおいでになると、そういう中で不法滞在者の数も必然的にふえていっているわけで、確かにこれは日本の社会の中でどのように共生していくべきか、大きな課題であるとは思いますけれども、日本の社会が歓迎しない外国人というのもこれもまた嫌でも存在してしまうわけですよね。
 つまり、最初の目的はきちんと日本の中で働こうと思っておいでになった方でも、国に帰ることが許されない事情が生じたり、あるいは病気とかいろいろなことで日本の国に期限を過ぎても滞在して生きていかなければならなくなったり、あるいは、入国管理局長もいらっしゃいますからよくおわかりのとおり、帰ったらこの人は逮捕されあるいは処刑されるかもしれない、いわゆる難民、難民条約に当てはまるケースですよね。私たちもそういったケースをたくさんお聞きし、そしてこの人は国に帰ったら危険だから難民条約によってきちんと日本が認定をしてほしいというお訴えを何回もしたことがございますし、現在も弁護士さんや支援団体の皆さんと一緒にそういういろんな活動をしている場合もあります。
 帰りたくても帰れない外国人というのもたくさんいらっしゃるわけでして、大臣がこの所信表明の中で「社会に歓迎される」、つまり日本の国のいわばこちら側の理屈でもって社会にきちんと受け入れられ、正当な理由でもって、しかもただ受け入れられるじゃなくて「歓迎される」と言っていらっしゃる意味が、私はこのように言ってしまっていいものでしょうかと。歓迎されざる外国人の方たち、そして日本の国にやっぱり住みたいと思っておられるこういう方たち、それは帰化すれば簡単なことだとか、そういう理屈はあるかもしれませんが、そういう問題ではなくて、やっぱりここに生きていかなければならない人たち、こういう人たちをこれは歓迎されざる外国人として排除する論理なのでしょうか。
#35
○国務大臣(臼井日出男君) もちろん、社会に歓迎される外国人というものがある以上、されざる外国人という概念もあるということはそのとおりでございます。
 かねてから私ども申し上げておりますとおり、ただいま委員が御指摘をいただきました帰りたくても帰れない方々あるいは万やむを得ず諸般の事情でもって日本に滞在をしている方々、そういう方々に対する対応というのは特別在留許可等でもってできることになっておりまして、私どもも、そうした御家庭の状況、あるいはどうしてその方が日本にとどまりたいと考えておられるか、そのほかにも日本における平生の素行でありますとか、あるいは社会情勢、お帰りになる国の状況、本人の立場、そういったものももろもろ勘案していたしているところでございまして、そうした方々が今委員から御指摘をいただきました歓迎されざる外国人に当たるかどうかということは言えないと思うのでございます。
#36
○竹村泰子君 そうお答えにならざるを得ないんだと思いますけれども、国際化国際化ということがよく言われます。それから、共生社会ということもよく言われます。日本は確かに先進国の仲間として国際的にも認められているわけでありますけれども、御存じのとおり日本の人権状況、そして難民認定というのは本当に少なくて、諸外国に比べれば本当に日本は何て冷たい仕打ちをする国なんだろうということが、そういった帰るに帰れないたくさんの理由を持った人たちからはいつも私たちは責められるわけです。
 これは入国管理行政ですから、入国管理局長にも一言お伺いしたいと思います。どうですか。
#37
○政府参考人(町田幸雄君) 先ほど大臣が御答弁になりました、また日ごろから私ども大臣からいろいろ御指導いただいているわけですが、その基本は、法に従いまして、しかも人道的観点も忘れずに適切に対処する、そういうことでございます。
 今、委員から御質問のありました難民認定率が低いのではないかということでございますが、私どもの認識では、率で申しますと、先進国と難民認定者の日本の認定率はその差がないと考えております。
#38
○竹村泰子君 ちょっとこれは通告していなかったのであれですが、数字がわかりますか。比較というか、少なくないとおっしゃいましたが。
#39
○政府参考人(町田幸雄君) 数字はたしか、ちょっと余りはっきりしないんですが、十数%だったんじゃないかなと思いますが、率そのものでいいますとそんなに差がないはずでございます。ただ、あちらの国は全体として申請者の数がすごく多いわけです、日本と比較しますと。ですから、全体の数でいけば大分違いがあると思います。しかし、申請者の中でどのくらいの率で認定されているかという見方をすればそんなに差がない、私はそのように認識しております。
#40
○竹村泰子君 今、十数%とおっしゃったのは、難民認定申請をしている人の中で認定された人が十数%ということですか。そんな多くないでしょう。
#41
○政府参考人(町田幸雄君) ちょっと率直に申し上げて、質問されると思っていませんでしたので正確なパーセンテージは申し上げられないわけですが、私、日ごろから一応関心を持って点検しておりますが、私の記憶では率では余り差がなかった、そういう記憶を持っております。
 ちなみに今数字を見ますと、我が国の処理状況では、十一年末までの処理状況というのがありますが、これはパーセンテージが書いてありませんが、申請数千九百六十三件中認定数が二百四十三件、そうなっております。
#42
○竹村泰子君 ちょっと通告していなかったので申しわけないですが、しかしあなたは出入国管理の総元締めでいらっしゃるわけですから、そのくらいはわかっていていただかないと困ります。大変困ると思います。
 国際的に日本は本当にお金持ちの国なのに、どうしてそんなに難民認定あるいは外国人労働者を受け入れられないのだというふうなことはよく聞かれることでして、最初に申しましたように、大臣、こういう「社会に歓迎される外国人の円滑な受け入れ」という言い方は、やっぱりこういったことを総合的に見た場合に、私これを聞いたときにびくっといたしました。ちょっと無神経な言い方ではないのかなと思いますが、もう一度御答弁お願いします。
#43
○国務大臣(臼井日出男君) 私どもとしては、日本の社会の中でもって外国の方々もともどもに安全な社会生活を営みながら共生をしていただくという概念から、どうしても歓迎される外国人と残念ながらそうでない外国人、日本の法を犯しておられる方もかなりおられるわけでございまして、そういう区別をせざるを得ない。そうした中でもって、いいものはいい、悪いものは悪い、その線をはっきり峻別しながら、外国人の方々にも日本における生活というものをしっかり享受していただくということが大切だと思っております。
#44
○竹村泰子君 ここでいろいろ議論をしておりますと、それこそ時間が何時間もかかってしまいそうですので、質問に移らせていただきますけれども、私は、大臣がこういう言葉をお使いになったことに対して、確かに日本の国の中で犯罪は起こしてほしくないし、そういう犯罪を犯す可能性のある方たちには大変気をつけてほしいと思います。しかし、その犯罪も日本の国の中で温かく受け入れてもらえなかったために生活苦からというような場合もあるわけでありまして、こういう峻別を大臣が所信の中でおっしゃるということについては、私はちょっと異議を申し立てておきます。
 そこで、今も話がございましたが、日本と外国との経済格差の拡大で非常に入国者がふえている。日本へ行けば何とかなるだろうということで大変ふえている。その数は、さっきもちょっとお話がございましたけれども、入国者の中で犯罪を犯す人、犯罪白書の中からどういうふうになっているでしょうか。
#45
○政務次官(山本有二君) 平成六年に一万二千八百七十九人でございます。これは、自動車等による業務上過失致死傷及び道路交通法違反事件を除いておりますが、平成十年には一万六千四十九人と極めて増加傾向にございます。
#46
○竹村泰子君 そのように非常に多くなってきておりまして、これはいわゆる出稼ぎ労働者、そして外国人犯罪の統計から見ても出入国管理及び難民認定法違反で逮捕されるケースが非常に多くて、外国人で非合法に入国してこられる方の五三%を占めている、そんな数字もございます。これは決して喜ぶべきことではないのは確かなんですけれども、しかしそこで、この方たちが犯罪を犯されると裁判にかけられるわけであります。
 きょう御質問いたしますのは、いわゆる通訳サービスについてでありますけれども、いわゆる通訳サービス、法廷通訳それから司法通訳というふうな区分けが少しあるようでありますけれども、日本も批准しております国際人権B規約、これでは刑事上の罪の決定に当たって「裁判所において使用される言語を理解すること又は話すことができない場合には、無料で通訳の援助を受けること。」、これを被告の権利としております。これは法廷の法の公平性を維持するために非常に重要なことだというふうに思います。
 確かに、質の高い通訳がついていれば、言葉や日本の裁判システムにも不案内な被告の不安は相当抑えることが可能でありますけれども、通訳がなくては裁判が進まないのも事実で、通訳はそもそも法廷の効率を上げるためにつけざるを得ないものなのではないでしょうか。その意味では、裁判段階における法廷通訳というか、被疑者、被告にとってはそれ以上の重要性を持つのは取り調べ段階、つまり捜査段階の捜査通訳と言われる場合、取り調べに言葉が通じ合わないということで、してもいないことをイエスと言ってしまったり、いろんなことが出てくるわけで、弁護士との協議段階のときの通訳、それから被疑者、被告の権利擁護のためには非常に保障の確立が重要であるというふうに考えます。
 確かに、外国人犯罪の急増に対応して通訳センターを開設している警察もあるやに聞いておりますけれども、今通訳センターというのは全国でどことどこにあるのでしょうか。
#47
○政府参考人(古田佑紀君) 警察御当局におきます通訳センターというお尋ねでございますが、私、現在その点について正確な知識は持ち合わせておりません。
 しかしながら、委員御指摘のように、捜査段階でのいろんな取り調べ等を通じての通訳、これは大変大事なことでございますので、検察庁におきましては、全国的に各種言語につきましての通訳人データベース等を整備して、その把握に努めているところでございます。
#48
○竹村泰子君 通訳センターのある警察本部が私の知っている限りでは全国で二十八都道府県、八十言語というふうに聞いておりますけれども、それはちょっと調べて後で教えてください。
 犯罪白書によりますと、さっきもちょっと触れましたが、外国人犯罪の送致件数あるいは人員、犯罪の急増あるいは多国籍化、それらの内訳がわかったら教えてください。
#49
○政務次官(山本有二君) 高検管内別在日外国人被疑事件の通常受理人員数の推移について御説明いたします。
 総数で考えますと、平成六年で一万二千八百七十九件、平成七年で一万二千五百三十件、平成八年で一万三千三百七十四件、平成九年で一万六千百六件、平成十年で一万六千四十九件となっております。その詳しい内訳につきましては、ほとんど大多数が東京高検管内でございまして、約七割ぐらいのシェアを占めておるところでございます。
#50
○竹村泰子君 非常に数が多いんですけれども、例えば入管法違反が六千八百三十五人、前年比五二・二%、次いで覚せい剤が四・一%増とかいうふうな数字が出ております。これら外国人犯罪の検挙、送致、公判などでの被疑者、被告人の話す言語、これは今のところどんなふうにつかんでおられますか。つまり、何カ国語とか、何語と何語とか、そういうのはおわかりでしょうか。
#51
○政務次官(山本有二君) 平成十年十二月末現在で、大体通訳人の実数は三千四百二十六人でございますが、言語の数でいうと七十三言語。
 それで内訳は、北京語が八百三十五人、英語が五百七十三人、韓国語が三百九十五人、スペイン語が三百八十人、タイ語が二百八十六人、ペルシャ語が二百二十人、タガログ語が百九十一人、ポルトガル語が百八十三人、ベトナム語が百五十人、ウルドゥー語が百十三人、広東語が百八人、中国語が百三人、ベンガル語が八十七人、インドネシア語が七十一人、シンハリ語が四十八人、ミャンマー語が四十六人、ロシア語が四十一人、フッケン語が三十七人、トルコ語が三十七人、パンジャビ語が三十人、台湾語が二十五人、ドイツ語が十八人となっております。
#52
○竹村泰子君 本当に多様な言語が必要とされているわけでありまして、法廷における通訳体制の整備もそれなりに進んできているとお考えでしょうか。
#53
○政務次官(山本有二君) いまだ十分ではございませんが、この通訳の体制整備につきましては、特に法務当局も懸命な努力をしておるつもりでございまして、通訳人名簿のデータベース化あるいは有能な通訳人の確保に努めるとともに、全国規模で実施している通訳人セミナー等々、種々の機会をとらえまして、供述内容を正確に通訳すること、中立公正を保つこと、通訳等の過程で知った捜査などに関する秘密を守らなければならないことなどの重要性についての理解を得るよう努めているところでございます。
 以上のように努力をしておりますけれども、今後さらに先生の御指摘をいただきながら、努力を重ねていきたいと存じておる次第でございます。
#54
○竹村泰子君 最高裁にお聞きしますが、最高裁が作成する各高裁に名前が登載されている法廷通訳人、ここ十年ぐらいでどのように変わってきておりますでしょうか。
#55
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 最高裁判所で取りまとめて作成しております通訳人候補者名簿によりますと、平成十一年の四月現在、全国で二千六百三十人の通訳人候補者が登載されておりまして、対応可能な言語数は四十一言語となっております。
 言語別の内訳を申し上げますと、中国語が九百三十五人、英語が四百七十五人、スペイン語が二百十八人、韓国、朝鮮語が二百十六人、タイ語が百四人、フィリピノ語、タガログ語とも言いますが九十人、ペルシャ語が六十五人、ポルトガル語が六十六人、ベトナム語が五十九人、ウルドゥー語が五十三人、フランス語が五十人、ドイツ語が四十二人、ロシア語が三十九人、インドネシア語が三十八人、ベンガル語が三十四人などとなっております。この数字は、年々必要な通訳人をふやしてきておりますので、徐々にふえてきております。
#56
○竹村泰子君 それぞれの法廷通訳人、通訳ですから言語ができれば、日常会話ができればいいというわけではなくて、やっぱり法律用語もかなりわからなければならないし、それぞれの法廷通訳人がその業務を完遂しやすいように最高裁は法廷通訳人パンフレットだとか特殊刑事裁判の基礎知識といったような参考書を作成しておられます。
 そして、大臣、法務省は今年度初めて予算に司法通訳制度の調査研究費として、私は大変これでいいのかなと思うのですけれども、四百五十万円おとりになっていらっしゃいます。これで十分とお思いでしょうか。
#57
○政務次官(山本有二君) 通訳の必要性についてはつとに認識をしておるつもりでございますが、なお、先生御指摘のように、十分な予算を確保するために努力をしてまいりたいと考えております。
 しかしながら、通訳人セミナー開催経費は八百万円、通訳人執務環境整備費等五百万円など、今後も一層の努力を重ねていくつもりでございますので、よろしくお願いします。
#58
○竹村泰子君 私は、四百五十万円が十分かどうか、大臣にお聞きしたんです。これで今のところはいいでしょうとお思いになるのか、それとも、いや、こういった背景を踏まえたら非常に少ないとお思いになるのか、それをお聞きしております。
#59
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま申し上げたのは、約四百五十万円というのは調査の経費でございまして、いわゆる全体の経費からすると極めて少ないわけでございますが、詳細につきましては政務次官の方から御報告させていただきます。
#60
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘の四百五十万円はアメリカにおける資格認定制度というものについての調査予算に項目を限っておりますので、このことの御理解をちょうだいしたいと思います。
#61
○竹村泰子君 そうすると、調査研究費というのは、アメリカにおける通訳人制度の研究をまずやる、旅費とか滞在費とか、それだけしか考えていないわけですね。あとはまだということなんですね。
#62
○政務次官(山本有二君) 昨日、魚住先生の御指摘のございましたアメリカにおける資格制度等、こういったものを日本の通訳制度にも導入してみてはというような御意見もございました。そういうような御意見を体しての、特に米国における資格認定制度の調査でございますので、旅費、滞在費等だけとも言えないと思いますが、調査研究費でございますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
#63
○竹村泰子君 それは、そんなに胸を張って言えることではなくて、調査を始める、ようやくスタートについたということであって、決して法廷通訳人や捜査段階での通訳人に対して処遇をよくするとか、きちんと資格をとっていただくようにするとか、そういう費用ではないのですね。よくわかりました。
 私は、日本の法制度は長い間専ら日本国民を、当たり前だと言われるかもしれないけれども、日本国民を対象としてきたと思いますけれども、そのため、外国人の住民、特にアジア系外国人労働者など、今、日本の社会はまさにこういった労働者の力をかりないと動かなくなっているということは御存じのとおりだと思いますけれども、こういう労働者たちが引き起こす問題に対して、かなり一時よりはよくなってきたというものの、まだまだ十分な対応策が準備されているとは言いがたいと思います。
 そのために、外国人の被疑者、被告人はさまざまな摩擦を引き起こしております。アジア系の外国人被疑者、被告人の人権が不当に侵害された事例をよく聞きます。特に、刑事裁判については、微罪逮捕、微罪起訴勾留中の各種のいじめ、弁護士の選任の困難さなどから行刑、退去強制の関係まで、多くの問題が生じておりますし、私どものところにもいろんな駆け込みがございます。
 彼ら、彼女らの最大の問題は日本語の理解が十分ではないということで、このハンディキャップを抱えているがゆえの問題だと私は理解しておりますけれども、捜査段階と公判廷での通訳が適切に行われないと、彼ら、彼女らの眼前で進行している事態の意味が正確に理解できないということ、みずからの防御のチャンスを失うということになります。
 今、初めて四百五十万円をおとりになったことで、これから調査研究とお答えになるかもしれませんけれども、さっき申し上げましたように、二千人を超える法廷通訳人の名簿が既に最高裁には用意されており、実際の公判において、一九九七年で八六%ぐらいの被告人に法廷通訳人がついている。その現状において、法廷通訳人の立場、役割、身分、そして法廷通訳人としての職業倫理について、現状をどうお考えでしょうか。
#64
○政務次官(山本有二君) 御質問の前に、平成十二年度予算では、法務省としましては、通訳関係の予算としましては五億五千六百万円でございまして、そのうちの米国の資格調査が四百五十万円ということになっていることをぜひ御理解いただきたいと思います。
 そして、通訳の人たちのこれからの質の向上や、あるいは逆に受け入れの立場ということに対しましては、適正公正な捜査、裁判を実現するため、正確で中立公正な通訳をなすことが求められておりまして、公判におきましては、証人と同様、宣誓が求められる重要な立場にあるものでございます。
 現在、通訳人の資格には法令上制限はなく、認定資格制度は存在しないものの、このような通訳人の役割、立場の重要性にかんがみ、法務省におきましては、通訳人名簿のデータベース化等により有能な通訳人の確保に努めることとともに、全国規模で実施している通訳人セミナー等々の機会をとらえて、御理解を賜っておるところでございます。
 報酬につきましても、事案によって異なるものではございますが、通訳に要した時間、対象言語などを総合的に考慮して、相当と認められる報酬を支払うことに努めておるところでございます。
#65
○竹村泰子君 今、高裁に登録されている法廷通訳人の数は二千六百三十人というふうにお聞きしましたけれども、法務省としては、現状としての法廷通訳人の数の目標はあるのでしょうか。
 もちろん、人員の数だけではなくて、現状で四十一言語となっている言語との兼ね合いもあると思いますけれども、アジアだけでも二十数言語、とりあえず差し当たりの目標として、どの言語、何人ぐらいの法廷通訳人が必要と考えておられるのでしょうか。
#66
○国務大臣(臼井日出男君) 来日外国人による犯罪の増加とその国籍の多様化を背景といたしまして、通訳人を必要とする事案が増加し、その使用言語も多様化しておりまして、特に、いわゆる少数言語の通訳人でございますとか、地方都市における通訳人の確保に困難を来しているというのは事実でございます。
 私といたしましては、有能な通訳人の絶対数を確保するとともに、いわゆる少数言語にも対応し得るような対応言語数の拡大に努めることが必要と考えておりまして、法務省におきましても、従来から全国版の通訳人名簿を作成、配付などして、このような問題に対処してまいってきたところでございますけれども、今後とも、少数言語の通訳人を含め、有能な通訳人の確保に努めてまいりたいと思います。
#67
○竹村泰子君 現状、このような法廷通訳人はどのようにして確保しておられるのでしょうか。その法廷通訳人の質の向上というか、研修制度みたいなもの、またあるいは全国一律の基準みたいなものがあるんでしょうか。
#68
○政務次官(山本有二君) まず、研修制度でございますが、通訳人に対する研修につきましては全国規模で通訳人セミナーを実施し、通訳人に刑事手続や中立公正な通訳を行う上で留意すべき事項等に関する理解を一層深めてもらうよう努めております。
 また、各地検単位でも通訳人との協議会を開催し、検察官との率直な意見交換を行って、正確で中立公正な通訳の実現に努めているところであり、今後とも通訳人の研修の充実を図っていきたいと考えております。
 通訳人の募集につきましては、刑事局長から御説明申し上げます。
#69
○政府参考人(古田佑紀君) 通訳人の方をどういうふうに確保するか、どのような方にお願いするかという点でございますけれども、現時点でいわばシステマチックに行うという仕組みはなかなか難しゅうございます。
 そこで、実際にどういうふうなぐあいに行っているかと申しますと、ある特定の言語について知識を持っておられる方、そういう方々がどういう方がいるかということを、例えば大学でありますとかあるいは地域社会からのいろんなお話などを伺う、そしてそういう方々にお願いをして、さらにその方々からの御推薦などをいただいていくというような形で順次拡大を図っているわけでございます。
#70
○竹村泰子君 大臣御承知のように、アメリカでは一九七八年に連邦裁判所通訳人法が制定されております。一九八〇年にはスペイン語の法廷通訳認定試験が初めて実施され、現在連邦としてはアメリカ原住民語など計三語で法廷通訳認定試験が実施されております。
 この連邦裁判所通訳人法によってアメリカ連邦裁判所での法廷通訳人の名簿の管理、報酬などが確立されております。そして、正式な公式法廷通訳人としての資格認定試験制度が設立されたのであるということは御存じのとおりであります。
 このような認定試験制度によって法廷における通訳人の言語能力の一定レベルのアップが図られ、そして法廷通訳人という専門職としての身分保障が確立されました。
 日本では、この法廷通訳人という仕事は職業欄にないんですね。通訳サービスという仕事もありません。翻訳業とか通訳とかいうお仕事はあるけれども、こういう司法あるいは法廷通訳という仕事は職業欄にも掲載されておりません。
 この試験に合格をした通訳人にはアメリカ連邦裁判所通訳人職業倫理規程というものの遵守が義務づけられているというふうに、通訳人の身分、立場、そして倫理基準がはっきりしているわけであります。
 もちろん、アメリカと日本と、その必要とされる言語の問題や特定の言語が占める割合など単純に比較することはできないと思いますけれども、カナダ、オーストラリア、ドイツ、フランスなどでも法廷通訳人制度が確立されているというふうに聞いておりますが、その点どうでしょうか。
#71
○政府参考人(古田佑紀君) 何分にも外国のことでございますので詳細は承知しておりませんが、ドイツでは各州ごとに独自の通訳人制度を採用しており、統一した司法通訳資格制度というものは存在しないように承知しております。そして、州によりいろいろございますようですが、法律分野を含む幾つかの専門分野ごとに実施されている国家通訳人試験の合格者が裁判所の通訳人リストに登載されて通訳人として選任される場合があるというふうに聞いております。
 次に、フランスにおきましては、公的な通訳資格制度は存在しませんが、最終審でございます破棄院及び第二審を管轄する控訴院におきまして鑑定人の登録制度がとられており、その鑑定人の一種として通訳人リストが作成されて、原則としてそのリストに基づき、捜査、公判段階における通訳人の選任が行われていると聞いております。
 カナダ、オーストラリアについては、現時点では現状を把握しておりません。
#72
○竹村泰子君 ちょっと急でしたけれども、きのう言ってありますから、そのくらいは調べてきてくださってもよかったのではないかと思います。
 そういった意味で、認定試験制度の開発に向かって世界が動いている、こういうことも言われています。日本はアメリカよりも三十年おくれていると言っても過言ではないと。経済大国としては追い抜いたのかもしれないけれども、しかし特に国際化の波は確実にアメリカの後を追っかけている。
 歴史的な意味でも、移民が急激にふえたアメリカ、わっと十八世紀から十九世紀にかけていろんな方たちが入ってこられてというふうな歴史がありますから、私はこの違いは大いにあると思うんですけれども、日本はとにかく視野を狭く考える癖があるといいますか、難民認定の問題もそうですけれども、あるいは外国人労働者の受け入れもそうですけれども、一たん堰を切ってしまうと、もうそれこそどっと押し寄せてこられて収拾がつかなくなるとか、いつもそういう理屈でもって外国人との共生を阻んでいく癖があると言うと言い過ぎでしょうか。そういうところが私はこういったところへもいろいろと出てきているのではないかというふうに思うんです。
 我が国も、この法廷通訳の認定試験制度、さっき人権の問題にもお触れになりましたけれども、これはまさに言葉の通じない人が、例えば私たちが外国に行って犯罪に巻き込まれて、そしてそこで言葉が通じない国で裁判にかけられるというような、取り調べを受けるというようなことに置きかえてみるとすぐわかるんですよね。国際化国際化と言うならば、やはりこういった陰で働いてくださっている方たちの身分保障、そして十分に学んでいただいて、そして倫理規程もきちんとして、そして職業欄にもちゃんと司法通訳あるいは法廷通訳というようなことが書けるような、そういう社会にならなければ真の国際化というのはないんじゃないかというふうに思いますが、最後に大臣の御所見を伺って、質問を終わります。
#73
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきましたような法廷通訳人の地位の確立、そのことは今後の課題として大変重要なことのように思います。公正適正な捜査、裁判を実現するためには、刑事手続において有能な通訳人というものを確保いたしまして、正確で中立公正な通訳がなされることは大変重要なことでございます。
 先ほど申し上げましたように、今期の予算では海外にもそうした検討をするために派遣も計画をいたしておりまして、今後そうしたことを通じましてこうした点についてもしっかりと考えてまいりたいと思います。
#74
○委員長(風間昶君) 竹村泰子君の質問に対して、法務省町田入国管理局長から補足追加答弁がございます。
#75
○政府参考人(町田幸雄君) 先ほどの難民認定の比率の関係について補足させていただきます。
 昭和五十七年から平成十二年の二月までの比率でいきますと、日本は一六%でございます。これは計算の方法は、認定者と不認定者、その数全体の中で認定者がどのくらいかと。申請数と先ほど申しましたが、申請数は未裁が入っておりますので、これを除いた数でございます、既裁になった方。
 それから、一九九六年の調査でございますが、単年度の調査でございますが、ドイツでは認定比率が一六%と聞いております。それからフランスが一九%、イギリスが六・七%、それから米国が四〇%と聞いております。
 以上のとおりでございます。
#76
○竹村泰子君 最後と申し上げましたが、大臣に。
 今のお答えですけれども、やっぱり何か情熱が感じられないといいますか非常にわかりにくい御答弁だったというふうに思うんですけれども、こういった私がきょう質問いたしました法廷通訳、あるいは言葉の壁に阻まれて悩む外国人の方たち、非常に困窮して帰るに帰る国もない、困った人たちというような方たちのためにきちんとした権利を確立するために、捜査の段階からの通訳制度、これをきちんと確立するようにしていただけますでしょうか。
#77
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほどお答えを申し上げましたとおり、大変重要な問題だと考えておりまして、これからもしっかりと研究いたしてまいりたいと考えます。
#78
○委員長(風間昶君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時二十六分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
#79
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を再開いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 本日、谷林正昭君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君が選任されました。
    ─────────────
#80
○委員長(風間昶君) 休憩前に引き続き、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管、法務省所管、運輸省所管のうちの海難審判庁及び国土交通省所管のうちの海難審判庁を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#81
○魚住裕一郎君 公明党・改革クラブの魚住裕一郎でございます。何点か御質問をさせていただきたいと思います。
 最近、被害者支援といいますか救済といいますか、非常に注目をされているところでございまして、法務省の方からも被害者支援員というんですか、その制度がスタートしたというふうに伺っておるところでございますが、その制度の目的といいますか、概要を簡略にお示しください。
#82
○政務次官(山本有二君) この制度は、犯罪被害者保護の一環としまして、各地方検察庁に被害者支援員を配置し、被害者等からの相談対応、来庁した被害者等の対応、法廷への被害者等の案内、付き添い、被害者等通知制度に基づく通知業務の補助、被害者支援機関・団体との連絡調整等の各種支援業務に従事させることにより、被害者等に対しよりきめ細かな配慮を行うことを目的とするものでございます。
 なお、被害者支援員の配置状況につきましては、現時点におきまして、東京、千葉、大阪、名古屋、福岡の各地方検察庁など二十五の地方検察庁に合計四十三名の被害者支援員が配置されております。今後、早急に全地方検察庁に配置すべく準備を進めているところでございます。
#83
○魚住裕一郎君 どういう人が当たるかというと、定年退職した副検事さんや検察事務官というようなことのようでございますが、これは何か見方によっては、ある意味じゃ定年退職後の職場というような、そんなふうに見えるところがございまして、この報酬といいますか、どういうようなシステムになっているんでしょうか。
#84
○政務次官(山本有二君) 被害者支援員に対しましては、非常勤の職員として日当を支給しております。また、被害者支援員制度は、犯罪被害者に対するきめ細かい配慮を行うために導入したものでございまして、検察庁退職者の救済策として発足しているものではございません。
 現在各庁に配置されている被害者支援員はいずれも検察庁退職者でございますが、それは、被害者支援員として犯罪被害者の方々に対し犯罪被害に関する相談の対応、捜査、公判に関する各種情報の提供等のきめ細かい配慮を行うためには検察の業務に精通した者である必要があり、その点で検察庁退職者が被害者支援員に最も適任であるからでございます。
 また、私が実際に耳にするところでは、検察庁退職者も極めて希望者が少なく、当局の方から強く懇請して御就任いただいているという実情がございますので、御了解いただければと思います。
#85
○魚住裕一郎君 きめ細かな対応ということで、検察活動あるいは法廷活動にも詳しいという方が当たられる。非常に被害者の立場からすれば心強いというふうに思うところでございますが、ただ、刑事手続や証人尋問等の説明を行うとか、あるいは法廷等への案内、付き添いを行うとか、法廷傍聴プログラム等検察広報活動を補助するというふうになっておりますが、見方によっては、例えば弁護人からしてみると、被害者の方、大事な証拠方法でもあるわけでありまして、被害者と接触をする機会ももしかしたら奪われるかもしれないというようなことがございまして、弁護権の侵害にならないようにということで御配慮はされているんでしょうか。
#86
○政務次官(山本有二君) 被害者支援員は、被害者等からの相談に対し、その内容が法律解釈の教示等の法的判断を伴うような場合にはみずからこれを取り扱うことをせず、検察官に取り次ぐこととしておりまして、法律事務を取り扱うことがございません。したがって、弁護士が行うべき業務を行うというようなこともございませんし、当事者として働くということもないと心得ております。
#87
○魚住裕一郎君 つまり、法廷で被害者が証人として行く場合に、やはり事前に弁護人の方から事情を聞きたいというようなこともあると思うんですね。ところが、事前にいろいろ支援員の方でやっている場合に、そちらの方に相談に行くのかなと。そうやっている場合に、変な形で証言内容等を含めて誘導されると非常に変な話になってくるなと懸念されるところなんですが、その点はどうですか。
#88
○政務次官(山本有二君) そういったことのないように研修等きちっとした教育、指導をし、かつまた、そのようなケースが今後あるようでございましたら鋭意是正していく所存で臨んでおるところでございます。
#89
○魚住裕一郎君 この支援員制度の中で、被害者のメンタルな部分、これについてはどういうような対応になっているんでしょうか。特にその辺のケアまではないということですか。
#90
○政府参考人(古田佑紀君) 被害者等の方々に対するメンタルなケアと申しますのは、いろんな意味での精神的なカウンセリングのようなことになろうかと思うわけですが、ここでの私どもが考えております支援員と申しますのは、いろいろな手続その他について戸惑うことも多い場合がある、あるいは例えば公判期日等についての情報提供、こういうふうなことについてどこに問い合わせればいいかというふうな問題もある。そういうようなことなどからこういう支援制度を考えたものでございます。
 したがいまして、メンタルなケアのようなものが仮に必要だということになりますれば、これはそれにふさわしいところに御紹介するなり、どういうところに行けばよろしいかというようなことを教えてさしあげるというふうなことになって、みずからがそういったようなことをやる場合は恐らくないであろうと考えております。
#91
○魚住裕一郎君 せっかくいい制度がスタートしましたので、しっかりやっていただきたいと思います。
 さて、昨年の十一月十一日ですか、内閣官房に犯罪被害者対策関係省庁連絡会議なるものが設置されたというふうに伺っております。この概要といいますか、そしていつごろこの犯罪被害者対策の取りまとめというか、どういう方向性で今議論されているか、概要をお示しください。
#92
○政務次官(山本有二君) 犯罪被害者の保護という問題に関しましては、検討すべき点が多々あると認識しており、犯罪被害者が刑事手続におきまして、その心情、名誉について適切な配慮を受け、かつこれを尊重されるべき立場にあることを前提として、今後とも種々の点につきまして検討を行い、議論が熟したものから適切に対応してまいりたいと考えております。
 法務省における主な検討の状況を申し上げますと、まず刑事手続における犯罪被害者対策に関するものについてですが、今国会に刑事手続における犯罪被害者保護のための法案の提出を予定しているところでございます。また、検察庁におきまして、被害者等通知制度を実施したり、被害者支援員の配置等を進めております。そのほか、いわゆる出所情報等につきまして検討を進めているところでございます。
 次に、犯罪被害者の回復方策に関するものについてでございますが、既に述べました刑事手続における犯罪被害者保護のための法案の中で、民事上の争いにつきましての刑事訴訟手続における和解の制度等を考えているところでございます。さらに、没収・追徴制度を利用した被害回復制度など、犯罪被害者の被害回復をより容易にする方策につきまして検討を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
 以上でございます。
#93
○魚住裕一郎君 今、法務省の立場で連絡会議のお話をいただいたところでございますが、内閣官房としては、例えば犯罪被害者救済の基本法というような総合的な保護策といいますか、そういうようなものまで含めてお考えなんでしょうか。その概要を含めて御答弁いただきたいと思います。
#94
○政府参考人(石井隆之君) 犯罪被害者対策関係省庁連絡会議は、犯罪被害者の問題に対する国民の関心の高まりを受けまして、昨年十一月、古川官房副長官を議長に、関係省庁の局長級を構成員として内閣官房に設置したものであり、犯罪被害者の保護、救済、支援のための対策、すなわちいわゆる犯罪被害者対策に関係省庁が連携して取り組むことを決め、課長級の幹事会において具体的な検討を行うこととしたわけでございます。現在まで幹事会は三回開催しております。
 その中で、犯罪被害者の支援団体や自助グループの代表、学識経験者等から犯罪被害者の実情や政府に対する意見、要望等に関するヒアリングを行っており、現在、その結果を踏まえまして関係省庁でどのような施策を行うことができるか検討しているところでございますが、その主なものとしましては、刑事手続における犯罪被害者対策に関するもの、犯罪被害に対する経済的支援に関するもの、犯罪被害者に対する精神的な支援に関するもの、犯罪被害の回復方策に関するものなどでございます。
 今後、犯罪被害者対策関係省庁連絡会議としましては、今月末ごろをめどに関係省庁が実施する犯罪被害者対策の取りまとめを行うことといたしております。
 以上でございます。
#95
○魚住裕一郎君 犯罪被害者対策ということで、古く東京西新宿のバスの放火事件というのがあって、我が公明党が提唱して犯罪被害給付制度というのをつくっていただいたというふうに記憶をしているところでございますが、今、現時点の犯罪被害者というと、どうしても新潟のあの監禁された女性の被害救済というのが本当に、警察の問題とは別に、皆心を痛めているところではないかというふうに思うところであります。
 九年二カ月間ですか、ずっと小学校四年から監禁されていて、その事実だけをもってしても、小学校を卒業していないな、中学校を卒業していないなというのがすぐわかるわけで、義務教育との関係ではどのようになっているでしょうか。文部省、お願いします。
#96
○政府参考人(御手洗康君) お答え申し上げます。
 新潟で監禁被害に遭われました女性の方につきましては、御指摘ございましたように小学校四年生以降、一切の教育を受けておりません。現在十九歳という年齢に達しておりますので、法律上は、小学校、中学校に就学しなければならない年齢を既に超過しておりますので、小学校、中学校に就学する義務というものは既になくなっているわけでございます。
 したがいまして、このままではこの女性は中学校を卒業したという資格もございませんので、今後高等学校等の上級の学年に進学したり、あるいはさまざまな資格を得ようとする場合にはその問題が非常に大きな障害になろうかと思います。
 現在、この女性につきまして、病院に入院中ということを伺っておりますので、今後円滑に社会復帰を果たして、その上で健全な社会生活を将来送っていくためにどういう教育上の支援が必要かということにつきましては、本人や保護者の御希望というものをまず十分お聞きする、その上で必要な支援を新潟県教育委員会を中心にしながら行っていくということが考えられますので、今後もうしばらくいたしました上で、そういった御本人の希望を踏まえた上で、例えば考えられます方法といたしましては、中卒認定試験というような試験を受けていく、そのための支援をしていくということも考えられますので、いずれにいたしましても、御本人の希望を踏まえた上で、今後検討課題ということにさせていただきたいと思います。
#97
○魚住裕一郎君 確かに高校に入る資格がないとかそういう問題にもなりますけれども、要するに彼女の教育を受ける権利というものが犯罪行為によって侵害されたわけです。小学校もしっかり教育を受けたいというふうに、こういう希望があるかもしれませんし、そういう観点からぜひいろいろ御配慮をいただきたいというふうに思います。
 さて、今度、経済的な支援ということも先ほど内閣官房の方からございましたが、この女性に関連して、三条市の教育委員会ですか、募金活動を始めたというようなことがニュースで出ております。三条市という地方自治体が主体となって市民に呼びかけてお金を集めるということでございますが、窓口が教育委員会になっているようでございます。
 この女性の場合を考えた場合に、犯罪被害者ですから、犯罪被害給付制度というのがあると思いますが、これともう一つ、これ学校の多分下校時だと思うんですが、日本体育・学校健康センターがやっている災害共済給付制度というのがあるようでございますが、これとの関連はどういうふうになるでしょうか。
#98
○政府参考人(御手洗康君) 御指摘ございました日本体育・学校健康センターにおきまして、犯罪被害という観点ではございませんけれども、学校管理下におきます事故に対しまして災害の共済給付の制度がございまして、これにつきましては既に二月十六日付で同センターにおきまして災害共済給付の対象となるということを決定いたしまして県教育委員会へ通知したところでございます。
#99
○魚住裕一郎君 この場合は大体幾らぐらい出るものなんですか。
#100
○政府参考人(御手洗康君) 具体的な額につきましてはこれから算定される、手続が行われるということになろうかと思いますけれども、具体的にはまず当面医療費にかかった自己負担分、それを補償すること、それから障害等が残るといったようなことになりますと、それに対する障害見舞金というような形での給付がございますので、現在この災害の範囲となる給付額につきまして県教育委員会等の方で算定をして、具体的な申請手続が今後とられるということになろうかと存じております。
#101
○魚住裕一郎君 警察の方見えておられますか。
 この犯罪被害給付制度と今のこのセンターの支払いとの関係はどうなりますか。
#102
○政府参考人(太田裕之君) 重障害を受けた方に支給する障害給付金、犯給法に基づきます障害給付金につきましては、その症状が固定をした時点で医師の診断等に基づき裁定するものでありまして、新潟県における監禁事件の被害者の方につきましては、現在も治療中でありますことから、現時点において給付金の対象となるか否かについては判断をいたしかねる状況でございます。
 ただ、将来、給付金の申請がなされれば、新潟県公安委員会においてこれらの状況等を踏まえながら適切に対応するものと承知しておりますが、先ほど文部省の方から答弁がございましたとおり、日本体育・学校健康センター法に基づく災害給付の対象となり得るものであるということでございますので、このように他の公的補償制度により救済がなされる場合には、仮に犯罪被害者等給付金が支給できると判断された場合におきましても、これに相当する金額の限度で給付金が調整されるということになります。
#103
○魚住裕一郎君 それは引かれるということだろうというふうに思うんですね。
 新聞を見ていましたら、政府の答弁書が出たということで、国家賠償法上の責任については、事実関係の詳細を踏まえ、同法の規定に照らし適切に判断していくというような答弁書の趣旨のようでありますし、また保利国家公安委員長も、明らかな捜査ミスによるものであれば国家賠償法の対象になるというようなことで、一般的にどういう形で適用されるのか今後検討した上で、心からお見舞いしないといけないという気持ちを持って対処をしていきたい、このように保利公安委員長はお述べになっているようでございます。
 ただ、国との国家賠償事件というのは大体は裁判上行使されるのが私は普通だと思います。財政当局からやはり裁判所のお墨つきみたいなものが要求されるのであって、行政法の論点の一つとしてこの国家賠償責任が和解できるのかというようなことも昔勉強した記憶がございます。
 その辺の理論的可能性、それから実際上の可能性、そしてこの女性の問題につきまして、わざわざ訴訟までやらないと国の和解とかできないのかというような諸点をめぐりまして法務省当局の御見解をお尋ねいたします。
#104
○政府参考人(細川清君) 裁判外の和解ということになりますと、民法上の和解ということになりますので、これはそういう訴訟外での和解ができることは、国であれ公共団体であれそれは理論的にはできることには問題ない、私どもはそう理解しております。
 ただ、現実にそういうことをしているかどうかという御質問でございますと、国の場合には、大抵訴訟が起こった場合で客観的に裁判所から和解としてはこの額が相当だというふうに御指摘があった場合、それを受けて和解をするというのが一般的なやり方でございまして、訴訟外で和解をしたという例は、私もかつて担当したことがございますが、私の経験ではないわけでございます。
#105
○魚住裕一郎君 そうなると、事実上とにかく裁判所に持ち出してくれないと困るよということになるわけですね、それは。そうすると、委員長が心からお見舞いするという部分で、悪いけれどもそっちで訴訟を起こしてちょうだいよ、訴訟の印紙を張ってちょうだいよということを言っていることなんでしょうか。
#106
○政府参考人(細川清君) 私が申し上げましたのは、過去に余り例がないというふうに申し上げただけでございまして、訴訟が起きなければ和解ができないということではございませんし、もし客観的に何かで手続が必要であるとすれば、いわゆる起訴前の和解ですね、即決和解でも可能だろうと思っております。ですから、理論的にはできることは間違いないというふうに思っております。
#107
○魚住裕一郎君 ということは、即決和解でも裁判所の手続にのっとってやれという話なんですよね。では、その即決和解、国の方から持ち出すわけですか。
#108
○政府参考人(細川清君) 私は担当の責任のある立場ではございませんので、どういうことになるかというのは現時点では確定的なことは申し上げられませんが、一般論として申し上げますと、先ほど申し上げましたように訴訟外でも和解をすることは可能であるということでございます。
#109
○魚住裕一郎君 結局、財政当局をぜひ説得していただいて、国民的関心があることでもございますし、全くお気の毒な事案でもございますので、どうか裁判外でもできるような方向性でお願いしたいなというふうに思うところであります。
 この国家賠償法の賠償が出た場合は給付金制度の関係ではどうなりますか。
#110
○政府参考人(太田裕之君) 公的給付との調整という規定がございますので、その範囲において調整されるものと承知しております。
#111
○魚住裕一郎君 結局、補完するというか、そういうような制度になっているんだろうと思います。ただ、これ、そこまで、裁判上やるかやらないかまで、やってみないとわからないというような形になりますと非常に使いづらい制度ではないかなというふうに思うところでありまして、この給付金制度の額の引き上げと、また使いやすい制度に何とか改善をしていきたいなというふうに思うところであります。
 この女性の場合、かなり精神的なダメージも大きいと思うところでございますが、厚生省としてこの犯罪被害者一般に対する精神的支援の対応策、そしてまたこの新潟の監禁された女性に対してどのような対応を考えているか、お示しをいただきたいと思います。
#112
○政府参考人(佐柳進君) 不幸にいたしまして犯罪に巻き込まれるようになった被害者に対しまして、その心のケアということでは、全国に精神保健福祉センターというのがございます。また、保健所という大きなネットワークがございまして、そこで心の健康相談などの相談事業が実施されてございます。また、児童という場合には、児童相談所などにおきまして心理判定員だとか医師などによりまして心理療法だとかカウンセリングを実施している、こういうことがございます。
 そのほか、厚生省といたしましては、特に最近非常に問題になっております心的外傷後ストレス障害、これにつきまして、これでいろいろ悩んでおられる方々に対しましては、適切な相談のあり方ということを研究するために、今、厚生科学研究費を用いましてその研究の推進を図っているという状況でございます。
 お尋ねの新潟県のケースにつきましてですけれども、このケースにつきましても、やはり精神保健福祉センターだとか保健所におきます心の健康相談、これにかかわりまして、この新潟県の事件についてもまたこの事業としての対象でございます。
 それと、このケースの場合、特に厚生省としても新潟県からいろいろと情報をいただいてございますけれども、それによりますと、被害者は医療機関で入院治療を受けているけれども、新潟県として医師、臨床心理士などで編成される医療チームの設置について、女性やあるいは御両親の御要望があれば直ちに派遣できるよう準備を進めている、こういうふうなことを聞いてございます。
 そういう意味で、厚生省といたしましても、どういう支援ができるかということを含めまして新潟県と十分に連携を密にしてまいりたい、このように思っております。
#113
○魚住裕一郎君 もう時間がなくなってきましたけれども、法務大臣、各省庁がいろんな対応策をお考えでございますし、また今、内閣官房の方で連絡会議というのをやっておられるようですが、結局、被害者からしてみれば助けてくれということなんですね。例えば交通事故の場合だって、事故が起きたらどうなるかといえば、刑事処分があり、民事上の損害賠償もあり、また警察の方で免許の関係で行政処分があろうかと思うんですね。
 きょう午前中、北岡先生の方からも、民事不介入だと、これはちょっと問題があるのではないかというような趣旨で、場面によってはそういうことがあると。だけれども、被害者という立場からしてみれば、刑事はどんどん進む、民事はほっておかれるというようなそんな感じになってきて、ようやく今回のこの被害者にも配慮した法案が出るようでございますけれども、やはりもう一度、そういう被害者救済という立場からして、民事と刑事のリンクみたいな部分も考えていく時代に入ってきたんではないかというふうに思うんですが、ちょっと事前に通告してありませんけれども、政治家としての御所見をいただければと思います。
#114
○国務大臣(臼井日出男君) 委員が今いろいろ御指摘をいただきました点は大変大切な点のように思います。特に、各制度間のいろいろ調整というのは、特に被害者という立場を考えますと大変重要な問題のように思っております。
 したがいまして、今後、そうした点につきましては、ただいま委員も御指摘をいただきました犯罪被害者対策関係省庁連絡会議における御議論等も踏まえつつ、総合的な見地から国としてその必要性を検討する必要がある、このように考えております。
#115
○魚住裕一郎君 終わります。
#116
○橋本敦君 最高裁判所の方にお伺いをいたしたいと思います。
 裁判所の二〇〇〇年度予算の問題ですが、総額が三千百八十六億円余り、対前年度比で〇・一%増とはなっていますが、人件費の問題です。この人件費が史上初めて前年比で減額されたということになりました。これはそのとおり間違いございませんか。
#117
○最高裁判所長官代理者(竹崎博允君) 過去のいきさつを正確に調べておるわけではございませんけれども、人件費については減になっておることは間違いございません。
#118
○橋本敦君 間違いないんですよね。
 そうなったのは、裁判官についても、昨年委員会で問題になりましたが、人勧を受けて期末手当を減額したということが大きな理由になっている。
 その期末手当というのは裁判官の給与、つまり報酬の一部ですから、その問題は、裁判官の独立、司法の独立を保障するという理念から生まれた憲法の規定からして、憲法七十九条、八十条等は、在任中、裁判官の報酬はこれを減額できない、こうはっきりと定めているわけですから、それは憲法違反ですよということを厳しく私も指摘したところであります。これで裁判官の年間給与が約十億円も減額になっているという大変なことになっているわけです。
 そういう意味で、この裁判官の報酬の減額、こういったことを、たとえ期末手当であろうとも今後はそういうことをやってはならないと私は思うんですが、それについて最高裁の御意見をまず伺いたいと思います。
#119
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 昨年の報酬法の御審議の際にそういうふうな御指摘をいただいたと思っております。
 裁判官の報酬につきましては裁判官の独立にかかわる非常に重要な問題であるということは認識しておりますが、昨年も申し上げましたように、手当の関係につきましては、これは憲法上の問題は起こらないというふうに現在考えておる次第でございます。
#120
○橋本敦君 その見解の相違は去年も議論したからわかりましたが、私どもは、数々の労働判例等から見ても、こういった期末手当は給与の一部だという判例もあるんですから、裁判所みずから下された裁判もあるんですから、今後はこのようなことが起こらないように予算の上でも最高裁としても努力をしてもらいたい、私はこう言っているんですよ。そのことのお答えをいただきたい。
#121
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) ただいま申し上げましたように、裁判官の報酬というのは憲法上にも規定がある裁判官の独立に関係がある非常に重要なことでございますので、当国会を初め各方面の御理解を得て、十分裁判官の独立が全うされるような形で報酬が定められていくように我々としても努力したいと思っております。
#122
○橋本敦君 裁判官というのは責任のある立場ですし、それだけに裁判官の判決に書かれる判決内容についても慎重な責任ある配慮が必要だと思うんです。
 そこでお伺いしたいのは、刑事犯罪を犯したタクシー運転手に対する損害賠償訴訟の判決文で、京都地裁の山本和人裁判官が、タクシーの運転手、乗務員、この皆さんに対して雲助まがいの発言をされたということが問題になりました。
 具体的に判決文でどのような判示をされていたんですか。
#123
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 御指摘の京都地裁の判決によりますと、事件は、タクシー会社が運転手に対する監督を尽くしていたかどうかということで会社に対する請求が成り立つかどうかの点の争点に関して述べているところでございますが、「一般論でいえばタクシー乗務員の中には雲助(蜘蛛助)まがいの者や賭事等で借財を抱えた者がまま見受けられること(顕著な事実といってよいかと思われる。)」というふうなことを述べた上で、会社の免責を認めることはできないというふうに判示しております。
#124
○橋本敦君 具体的にその人が雲助だと言ったわけじゃないんですが、一般論としてタクシー乗務員には雲助まがいの者やかけごとなどで借財を抱えた者が間々見受けられる。一般論としてとおっしゃっているから、判決文でそう書くとタクシー乗務員全体が雲助まがいかと言われかねない、見られかねない、そういう侮辱的な発言ととられかねない重大な判決文だと思うんですね。
 これについて、例えば東京高裁判事を前になさっていました駿河大の山下薫教授は、裁判官は独立が保障されているからといってどんな表現も許されるというものではない、今回の表現は判決文としての品位や良識を欠いたものと言わざるを得ない、こういうようにおっしゃっております。さらにまた、現職裁判官らで構成されている日本裁判官ネットワーク、そのメンバーの皆さんは、報道によりますと、犯罪にかかわっていない多くのタクシー運転手、一般論ですから、運転手がこの判決を見聞きしたらどんな気持ちになるかという配慮に欠けた判決だとおっしゃっていることも報道されているんです。私は確かにそうだと思うんですね。
 雲助というのは一体何だろうか、俗語でよく言いますけれども。人事局長、雲助というのはよく御存じですか。どういうものですか。
#125
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 辞書等で正確にどういうふうに意味の注釈をしていたか、今手元にございませんで正確にはちょっとあれですが、かつてそういうかごをかついでいたりしていた人をそういうふうに呼んでいたというふうに私は理解しております。
#126
○橋本敦君 私は字引を引いてみたんです、広辞苑。今おっしゃったような単純なものではなくて、大変なものです。広辞苑にこう書いていますよ。「雲助・蜘蛛助 (住所不定で浮き雲のように定めないからとも、また、立場にいて往来の人に駕籠をすすめることが、蜘蛛が巣を張って虫を捕えるのに似ているからともいう)江戸中期以後に、宿駅・渡し場・街道で駕籠舁・荷運びなどに従った住所不定の人足。」、字引にこう書いてあるんです。それで、「雲助根性」というのがありまして、「人の弱みにつけ入ってゆすりを働く下劣な根性。」と広辞苑に書いているんです。
 ですから、この雲助まがい判決文というのは、タクシーで働く労働者の皆さんの名誉と人権にかかわる重大な問題だと思うんですね。
 私も、ここにいらっしゃるすべての皆さんも、司法権の独立や裁判の独立はこれはかたく保障しなきゃならない、守られなきゃならないという気持ちはいっぱいですよ。憲法でも「裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。」、こうはっきり書いていますから、この理念も守らなきゃならない。だから、そういう意味からいって問題にするのはなかなか慎重でなくちゃならぬのだけれども、この表現は余りにも非常識と言わざるを得ない、そういう意見が新聞を初め各界から出ているわけですね。
 最高裁としてはこの表現をどのように、これでよい、妥当だとおっしゃるのか、この点は問題だというようにお考えなのか、いかがなのか、はっきりお答えいただけますか。
#127
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) この京都地裁の判決の表現の問題につきましては、京都地裁所長がこの件の判決の後に、問題になった表現はタクシー運転手にとって差別的と受け取られる不適切な表現であって、判決中の表記に対する配慮を欠き、ひいては裁判所に対する国民の信用を傷つける行為であるということから、口頭で注意をいたしました。
 最高裁としても、そういう措置は適当であったというふうに考えております。
#128
○橋本敦君 その口頭注意処分は九九年十一月四日に行われておりますが、これは法律上、分限といった処分に該当するんですか。法律上の処分には該当しないけれども注意処分ということでおっしゃっておるのですか。
#129
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) これは裁判官分限法に基づく分限処分ではございませんが、下級裁判所事務処理規則の二十一条に、地裁の所長等が所属の職員に対して注意ができるという規定がございまして、そういう規則に基づくものでございますので、広い意味では法令上の根拠に基づく注意でございます。
#130
○橋本敦君 最高裁は各裁判官の裁判権の独立をお守りになるという立場でお仕事をなさっているのはもちろんでありますが、そういう立場から見ても、この判決で記載されたこういった表現については、これは京都地裁所長が注意処分をなさったのは妥当である、やむを得ない、こういうように判断されたということは今御答弁あったとおりですが、間違いないですね。
#131
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) そのとおりでございます。
#132
○橋本敦君 この問題で、なぜこういうことが起こるのかということで、今新潟県警問題でキャリアシステムの問題が問題になっておりますが、裁判官がやっぱりそういうキャリアシステムの中で育てられ、ある新聞によりますと、「迫られる司法改革」、「人間知らぬ裸の王様」、「「雲助判決」世間とずれ」という表現もありますが、裁判官に対する養成教育、いろいろな御指導、そういった問題もありますけれども、司法改革の中で、裁判官の市民社会における市民生活上の自由と権利をもっと保障しなくちゃいかぬのじゃないかとか、あるいは法曹一元を実現して社会的経験を踏んだ弁護士の中から任用するのがいいのではないかとか、いろんな意見が言われているわけですが、個人の問題というより裁判所全体として、裁判官のあるべき姿として最高裁としては今後どのようにお考えでしょうか。
#133
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) この件に関しては遺憾なことであったと思っておりますが、裁判官といたしましては、今後こういう点について十分配慮しつつ仕事を進めていく必要があるというふうに考えております。
#134
○橋本敦君 今もお話しのように、十分今後も注意していただくのは当然ですし、まことに遺憾であったというお話もそのとおりだと私は思います。
 それで、どうして判決文なんかで雲助呼ばわりするような感覚が出てくるのかと私も本当に疑ったぐらいなんですが、判決でタクシーで働くすべての皆さんを侮辱するかのごとき、一般論ではあっても、あるいはまた一般論だからこそ余計にタクシーで働く皆さんが抗議をし、裁判まで起こされるというのも当然なんですが、こういうような判決文に雲助まがいというようなことが出てきたという問題、今私は指摘したんですが、法務大臣は直接の御関係でありませんけれども、今私が指摘したこういう雲助まがい判決文というものがあったということについて御感想をいただけますか。
#135
○国務大臣(臼井日出男君) 裁判所の個々の判決については言及を差し控えさせていただきますが、一般的に申し上げて、特定の職業の貴賤とかあるいは特定の職業の方々が引け目を感ずるようなそういった表現というものは当然のことながら避けなければならないものと考えておりまして、今後ともそういった点にはさらに注意をしていく必要があると思います。
#136
○橋本敦君 この問題はこれで終わります。
 もう時間がありませんので、次に法務省の方に伺ってまいります。予算の関係です。
 法務省の予算で、今度は百五十五人という大幅な人員の純減になったということですが、これは間違いありませんか。
#137
○国務大臣(臼井日出男君) 平成十二年度におきましては、政府の厳しい定員削減の方針のもとで、法務省におきましても、公安調査庁のスリム化への取り組みなどもございまして、全体として定員の純減を行わざるを得ない状況になっておりますのは仰せのとおりでございます。
 しかし、検事につきましてはプラス四十一名、入国管理等業務につきましてはプラス十名であるとか、あるいは人権擁護関係でプラス十名でございますとか、そうした緊急性の高い部門におきましては増員が認められているわけでございまして、また全般的に組織、機構の見直しや各種業務の一層の合理化、効率化を図ることによりまして業務に支障のないように万全を期したいと考えておるものでございます。
 また、現在、司法制度改革審議会におきまして司法の人的基盤の整備につきまして御審議を賜っているところでございますが、同審議会の審議結果も踏まえまして必要な体制整備に努めてまいりたいと思います。
#138
○橋本敦君 御趣旨は御趣旨として承りますが、私はこの問題で今おっしゃいましたことに関連をしてさらに聞きますと、検察官はなるほど四十一人大幅増になる。これは社会の秩序を維持するという上からの国民的ニーズもあるでしょう。ところが、そのあおりで検察事務官はどうなったか。五十人大幅に減員されているんじゃありませんか。事実、どうですか。
#139
○政府参考人(但木敬一君) その数字に間違いはございません。
#140
○橋本敦君 検察官がその職務を行われるについて検察事務官は重要な補助役をなさっておられまして、今までの慣例あるいは実態からいきますと一人の検察官に大体三人ぐらいの検察事務官がおつきいただくということで、そういう補助を含めて検察官が十分に仕事を遂行される、そういうことが可能だというように私も実態から見て理解をしておるんですが、検察官をこれだけ四十一人ふやす、ところが検察事務官は五十人減らすということで、検察事務全体の総体の仕事の運用ということについて言えば、大臣がおっしゃったように支障がないと単純に言い切れるだろうか。これはやっぱりそういう意味では問題だというように私は思わざるを得ないんです。
 これ以外に特に問題なのは、矯正関係で二十六人、登記特別会計の方で八十二人の純減になっている。ここも私は大事な仕事だと思うんです。大臣は全体として法務行政に支障がないようにということをおっしゃいますけれども、矯正関係については、私ども委員派遣も参りまして、刑務所の中での、矯正施設の中での御苦労はよくわかります。本当に大変な勤務ですよね。そこのところが、もっと増員してあげなければ年休も十分にとれない、休憩もとれないという心配もあるなと思っているんですが、矯正関係で二十六人減らされる。
 では、登記関係でどうかといいますと、この登記法務局職員というのは、これはこれまでも法務省の中では人員が大変足りないということをかねてから言ってこられた部分で、今度はその法務局関係で登記部門で八十二人の減というかつてない大きな減になるわけです。
 これは、やっぱり私はこういうことはもう今年ストップして、来年度以降の予算についてはこういう問題は是正していく方向で積極的に検討していただく必要があるというように今年度予算を見て思っておりますが、大臣の御見解はいかがですか。
#141
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど申し上げましたとおり、政府の定員削減の厳しい方針がございます。これは御承知のとおり十年間でもって郵政関係を除きましても一割の公務員削減ということもございまして、私どもも、ただいま御指摘をいただきました矯正関係の事務の削減等につきまして将来展望の中で大変危機感を抱いております。そうした意味で、先般、昨年の末でございますが、司法制度改革審議会から私どもに意見聴取があった場合にも、私どもから将来における人的基盤の重要性というものについても御発言をさせていただいたところでございます。
 一律削減という厳しい枠がございますが、私どもといたしましては、必要なところには必要な人材を配置していただけるようなそうした政府の方針というものを期待いたしまして、今後とも努力をいたしてまいりたいと思います。
#142
○橋本敦君 それで大臣、もう最後ですが言いたいのは、そういう人員削減、合理化が全省庁で進んでいる中で、法務省関係の仕事の実態を深く踏まえた上で、衆参両院で与野党一致して、法務局、入国管理官署、更生保護官署等の職員の増員という請願を、これもう二十年ずっと全会一致で採択してきている。法務大臣は、その請願の趣旨については努力しますということのお約束を委員会でなさってきたものです。
 だから、こういう国会の請願が全会派一致で採択をされたという国会の意思から見ても、今年度のこの予算というのは、三年間減ってきたんですが、私はこの国会における国会の請願を採択した意思との関係から見ても、もっと責任を持ってこういうことが起こらないように請願の趣旨にこたえてもらいたい。国会に対してそういう意味で責任を持って予算の問題も来年度に向けて、今おっしゃいましたけれども、国会の請願採択の趣旨を本当に生かしていただきたい。こういう国会に対する責任をぜひ果たしていただくことをお願いして、大臣の所見を伺って、時間が来ましたから終わりたいと思います。
#143
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘をいただきました議会における請願の採択の重要性というものを私どもはしっかりと認識しなければならない、こう考えておりまして、先ほど申し上げましたとおり政府の厳しい削減の方針でございますが、引き続き努力をいたしてまいりたいと思います。
#144
○橋本敦君 終わります。
#145
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。きょうの質問に入る前に、きのうの質問について一点だけ補充をさせてください。
 きのう、再審請求中の死刑執行についてお聞きをいたしました。大臣は、棄却が予想される場合には執行ができるというふうにおっしゃいました。裁判所が棄却するかどうかを判断するにもかかわらず、なぜ行政が棄却を予想される場合には死刑の執行ができるということになるのでしょうか。
#146
○政務次官(山本有二君) 大臣が昨日お答え申し上げましたその死刑執行の要件の中に必ずしも、棄却するしない、他の支障事由は書かれていないというような意味を申し上げようとしたところでございまして、裁判所で判断するべきものを大臣が検討したという趣旨ではございませんので、御了解いただきたいと思います。
#147
○福島瑞穂君 再審請求は何度も行われることがあります。それから、小野照男さんは今まで御本人が再審請求していたのが初めて弁護士に頼み、弁護士が初めて再審請求書を出したという変わった事情があります。にもかかわらず、弁護士が再審請求書を提出した直後に処刑されるということが起きていますが、いかがですか、大臣。
#148
○国務大臣(臼井日出男君) 個別の問題についてお答えは差し控えさせていただきますが、昨日もお答えをいたしましたけれども、その再審請求というものがたびたび行われて、しかも内容が同一であり棄却をされる内容である、こういうものについては、そうした場合にも執行されるということがあり得るものと私は考えております。
#149
○福島瑞穂君 事実は一つですから、再審請求の理由がふえたり新たな分析が入るにしても、同じ事案について繰り返し行うということが再審請求だと思います。再審請求の結果、何度もやった結果、無罪になったケースはかつてたくさんあるわけですから、再審請求中の死刑執行はなさらないよう強く抗議をしたいというふうに思います。
 では、きょうの質問に移ります。
 予算の関連でいえば、盗聴法の件についてお聞きします。
 警察庁、法務省は、予算として組織犯罪捜査用記録装置について請求をされております。警察庁は盗聴捜査関連予算として四億六千二百万円で購入する、一セット七百万円相当のDVD―RAM記録装置六十二セット余りの購入に充てるというふうにしております。
 ところで、長いこと審議が行われましたが、法務委員会においてDVD―RAMを使うという説明など一切ありませんでした。私たちはカセットテープということで聞いて、それを前提に話を聞いておりました。だとすれば、カセットテープでやるべきだと考えますが、いかがですか。
#150
○委員長(風間昶君) 質疑者はどなたを指名ですか。
#151
○福島瑞穂君 では、警察庁、お願いします。
#152
○政府参考人(縄田修君) 警察庁といたしましては、先ほど委員御指摘の点につきまして調達の準備を今いたしております。
 仕様書を見ていただければおわかりでございますけれども、私どもとしては、カセットテープというよりも、光ディスクとかDATあるいはDVD―RAM等、非常に感度のいいといいますか録音、画質のいいものを採用したいというふうに考えておりまして、何種類か仕様書の中にそれを提示してございます。
 カセットテープということになりますと、非常に微細な、特にファクス通信等におきましてはなかなか解析する部分につきましてうまくいかないということもございまして、どうしてもデジタルを基本にしながらいい画質のものでやっていきたい、こういうふうに考えておるところでございます。
#153
○福島瑞穂君 残念ながら、問いと答えがずれております。
 私の質問は、国会でカセットテープということを繰り返し言ったのであるからカセットテープでやるべきであって、デジタルの採用をやめていただきたいということです。したがって予算は認められないのではないかという点です。
 例えば、一九九九年五月十九日、衆議院法務委員会、これは木島委員が何時間連続して録音可能なのかということを聞いております。参議院でも問題になりましたが、それに対して、例えば松尾刑事局長は、「テープの種類によりましてもいろいろございますし、最近は、長時間録音可能なテープというものも開発されておりますので、例えば三時間、六時間とか、そんなスケールでありましたら、同一のテープで連続録音可能だというふうに考えております。」というふうに言っております。同じように、五月十九日、衆議院法務委員会、犯罪と無関係な会話であればテープはとまります。五月二十一日、衆議院法務委員会、聞いた通話は一本のテープに全部入れます。テープが終わりますと封印され、裁判官が保管します。五月二十七日、衆議院法務委員会、電話傍受でございますから、テープが終わると交換したりいろいろします。封印という重要な役割は、NTT職員など立会人が担っておりますと、テープを前提に発言しておられます。
 ところが、今回の予算の請求になっておりますDVD―RAMは、CD―ROMと同じ大きさの光磁気ディスクに片面二・六ギガバイト、CD―ROM四枚以上、フロッピーディスク二千枚弱、ディスクへの記憶と読み出しが自由にできるというものです。
 また、そのように非常に容量が大きい、今後も非常に容量が大きいものが出てくる可能性があります。十日間ぶっ続けで一枚のCD―ROMで可能ということになります。これは、衆参あわせた法務委員会で前提になっておりません。どうでしょうか。
#154
○政府参考人(但木敬一君) これは、私の記憶でありますが、必ずしもテープに限っていると、テープに限りますという答弁はしておらないと思います。DVDについても触れた答弁があったものと記憶しております。
#155
○福島瑞穂君 ほとんどの会話はカセットテープを前提にしております。つまり、法務委員会での審議は、どれぐらいの長時間できるかどうかということも非常に関心事だった、例えば編集ができるのかということも関心事だったと思います。
 次に、最高裁に聞きます。
 最高裁は、この盗聴法に基づいて規則をつくられることになっておりますが、例えば法律の二十条、「記録媒体については、傍受の実施を中断し又は終了したときは、速やかに、立会人にその封印を求めなければならない。」。つまり、私たちが法務委員会で思ったのは、例えばイギリスは捜査段階でテープの録音をします。その場合に、例えば百二十分たちますと封印をする、外部の人間があけたらすぐわかるように封印をきちっとして、署名押印して、そこで捏造などが絶対起きないように確保するわけです。ところが、今回のですと十日間とかぶっ続けで可能です。
 最高裁にお聞きします。そうしますと、立会人は、十日間聞いた最後の立会人が封印について意見を陳述するということになるのではないですか。
#156
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) その点は、法律の解釈の問題でございますので、私どもがお答えするのは適当ではないのではないかと存じます。
#157
○福島瑞穂君 では、警察あるいは法務省、いかがでしょうか。ちゃんと答えてください。(「答えなさいよ、答えるべきですよ、質問しているのに」「答えなくていい」と呼ぶ者あり)
#158
○政府参考人(但木敬一君) まことに失礼ですが、質問通告が法務省の方にまいっておりませんで、担当局が現在来ておりません。しばらくお待ちください。(「休憩しろ」「何で休憩するんだよ」と呼ぶ者あり)
#159
○委員長(風間昶君) 静粛に願います。
#160
○政府参考人(縄田修君) 記録媒体を交換する場合にはその場に立ち会った立会人が封印することになります。意見陳述につきましては、本件の傍受全般に立ち会った立会人がそれぞれ意見を述べることは何ら差し支えないものと、こういうふうに考えております。
#161
○福島瑞穂君 立会人、すべて立ち会った立会人は意見を陳述するわけですね。
#162
○政府参考人(縄田修君) それは、具体的事案に応じて必要があれば何ら問題はないというふうに申し上げてございます。
#163
○福島瑞穂君 条文の解釈でいきますと、二十条は「立会人にその封印を求めなければならない。」としておりまして、その解釈は分かれるかもしれませんが、この解釈を見たときに、立会人が封印をする必要があるのは、例えば裁判所が十日間盗聴ができるというふうにしましたら、今のCD―ROMですと十日間一個だけで可能です。そうすると、立会人は最後だけしか封印をしません。
 それから、CD―ROMの問題点はほかにもあります。例えば、テープですとやっている最中に改ざんはできませんけれども、デジタルですとその捜査現場で例えばパソコンを打ったり、改ざんが可能である、そういう問題もあります。
 これは、委員会の中では全く議論が出ていないんですけれども、警察庁、このCD―ROMを使うについての問題点についてどう思われますか。
#164
○政府参考人(縄田修君) 傍受法におきましては、立会人を常時立ち会わせなければならないこと、あるいは傍受をした通信につきましてはすべて録音等により記録しなければならないことになっておりますし、記録媒体につきましては、立会人による封印を受けた後、裁判官に提出をしなければならない、こんなふうに規定されております。
 私どもといたしましても、国家公安委員会規則等によりまして、傍受記録の厳重な保管については詳細を定める予定でありますが、記録装置の仕様に傍受をした通信のすべてを記録すること、それから捜査員の作業状況を立会人によくわかるように表示ができるような仕組みを考えております。
 それから、記録媒体の記録の消去等を行った事実の履歴が、これは同じ記録媒体の中にログを入れまして、その媒体の消去等を行った履歴が残るような形で仕様書を組んでございます。それによって明らかになりますし、そのような中で改ざんというのは容易に行われるものではないというふうに考えております。
#165
○福島瑞穂君 私は、CD―ROM導入に反対で、こういう予算を認めるべきではないということを改めて申し上げたいと思います。
 というのは、コピーが容易であって捜査機関内部でさまざまに利用される可能性がある。万が一不当な証拠の使い回しをしたとして、それをチェックすることが極めて困難であるということがあります。また、証拠の改ざんが行われた場合に、その痕跡が残らないということもあります。また、容易に膨大な情報を蓄積できるために、盗聴捜査の範囲が不当に拡大する危険性がある、そういうこともあります。
 そういう意味で、再度質問に端的に答えていただきたいんですが、法務委員会でこの法案を議論するときに、こういう容量のこういう形のものであるということは一切説明がなく、多額の予算をこういう形で請求をされているということについていかがでしょうか。
#166
○政府参考人(但木敬一君) 記録方法といたしまして、テープ録音による場合について説明している答弁もございますが、平成十一年七月九日の衆議院法務委員会において、記録媒体として、DVD―RAMを含む光ディスクも想定している旨説明してございます。
#167
○福島瑞穂君 私の見たところでは、それ一カ所だけで、しかもそれについては、こういうものもあるという中の説明です。ほとんどカセットテープということで説明がありますし、参議院の中では一切それだけの容量のものについてやるという説明はありません。
 ですから、そういうことを説明する時間もあったと思いますし、そういうことを前提にはこの盗聴法の審議はやっておりません。(発言する者あり)
#168
○委員長(風間昶君) 静粛に願います。
#169
○福島瑞穂君 では次に、通信傍受法用記録等装置仕様書というものを警察庁はつくっていらっしゃいます。
 この九ページ、記録用ソフトウエアの機能というところなんですが、ここに、捜査官あるいは立会人の名前を書くということがありません。これはきちっと記録がされるのでしょうか。(「ちゃんと質疑通告あるのか、質疑通告」と呼ぶ者あり)
 あります。
#170
○政府参考人(縄田修君) 機械にはその氏名等が入力されるものではありませんけれども、一連の傍受の流れにつきましては、私ども、公安委員会規則あるいは通達で十分考えたいと思いますけれども、そこら辺の流れにつきましては、当然のことながら記録として残しておくという形になろうかと思います。
#171
○福島瑞穂君 では、この一ページ目の通信傍受法用記録装置は数量が二、接続装置が一となっております。記録装置はなぜ二つ必要なんでしょうか。
#172
○政府参考人(縄田修君) これは、実際に傍受をいたします事業所等の施設内で使うものが一つございますが、捜査のためにはそれを法令に基づきまして編集あるいは管理をしなきゃいかぬ分がございます。そういった意味で、それをもう一つの機械の方で再生していくということで、本体の部分につきましては二つがどうしても必要である。接続装置につきましては、これは当然一つでよろしゅうございます、こういうことでございます。
#173
○福島瑞穂君 では、七ページ目の入力回線の種類なんですが、MDFの方と、それから試験モニター装置から分岐すると、二つ挙げていらっしゃいます。
 この試験モニター装置のことについてちょっと説明してください。
#174
○政府参考人(縄田修君) 私ども、なかなか技術的に細かく解明できる能力がないかもしれませんけれども、この試験モニター装置につきましては、これはいろいろな通信事業を行う上で、通信が本当に的確に行われているかどうか等々を十分検証するということで、通信事業者の方で設けられた仕組みである、このように理解をいたしております。
#175
○福島瑞穂君 この試験モニター装置というのは、現在のPTT、TWS、そういうものでしょうか。
#176
○政府参考人(縄田修君) 今おっしゃられましたPTTにつきましては、この試験モニター装置に当たるものではございません。先ほどおっしゃられましたTWSと言われる部分がここに記載のある試験モニター装置に該当しようかと、こういうふうに思います。
#177
○福島瑞穂君 アメリカのワイヤタップレポートでは、令状を発付した裁判官もすべて報告することになっております。
 最高裁にお聞きします。令状発付裁判官の氏名などを公表する予定はあるでしょうか。
#178
○最高裁判所長官代理者(白木勇君) 法律でそのような規定が設けられておりませんので、最高裁としてそのようなことは現在考えておりません。
#179
○福島瑞穂君 仕様書などを見ますといろいろたくさんの疑問点があるんですが、きょう一番申し上げたいのは、委員会で前提としたような記録装置でないことがたくさん出てきて、しかも多額の費用が請求されているということです。デジタル化という点についての予算請求は認められないのではないか。
 今、警察の不祥事が本当に問題になっておりますけれども、この盗聴法の議論をしたときは、このCD―ROMを初め警察の不祥事はこれほど問題になっておりませんでした。警察の信頼回復ということが先決ではないか、見直すべきだということを強く申し上げたいと思います。
 次に、ちょっとテーマを変えて、民法改正についてお聞きをいたします。
 法制審議会が法務省に答申を出してちょうど丸四年になります。法務省は、この四年間、具体的に何をしてこられたか。現在、具体的にどういう努力をされていらっしゃるのか、ぜひ教えてください。
#180
○政務次官(山本有二君) 選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする民法の改正につきましては、平成八年二月に法制審議会から民法の一部を改正する法律案要綱の答申がございましたが、答申に基づく改正法案が政府から国会に提出されることのないまま今日に至っているところでございます。
 これは、答申の内容、特に選択的夫婦別氏制度の導入等につきまして、さきに申し上げたとおり、なお国民各層や関係各方面にさまざまな御議論があり、国民の皆様の御意見が分かれている状況にあることによるものでございます。
 選択的夫婦別氏制度の導入に関する法改正は、社会や家族のあり方に重要な影響を及ぼすものであり、その取り扱いにつきましては国民の意見に十分配慮する必要があると考えております。
 そこで、法務省といたしましては、これまで法制審議会の答申をわかりやすく解説したパンフレットを作成して配布するなど、答申の内容を広く国民に公開したほか、世論調査の結果を公開するなどしてきたところでございます。
#181
○福島瑞穂君 今、具体的にどういうことをされていらっしゃるんでしょうか。
#182
○政務次官(山本有二君) 国民の意見が大きく分かれている問題でございますから、法務省といたしましては、国民各界各層や関係方面で御議論が深まることを期待いたしたいと考えているところでございまして、選択的夫婦別氏制度につきましては、さきの国会に引き続き、今国会におきましてもその導入等を内容とする民法改正案が議員提案されておりますので、今後の国会での御議論の動向を注視するのが適当であると考えておる次第でございます。
#183
○福島瑞穂君 世論を変えることこそ国の役割ではないかと規約人権委員会からも言われております。
 盗聴法の審議のときは、法務省は各メディアに対して、盗聴法と呼ばないでほしいという行脚をなさるなど極めて精力的に活動をされたと思います。この民法につきましても、ぜひ精力的に各界にもっともっと働きかけてくださるように、メディアも含めてお願いしたいと思います。
 現在、通称使用で本当に困っている、あるいは結婚届を出すことができないといった手紙はたくさん来ております。
 例えば、「現在、事実婚状態にある者です。本当は、こういうつもりではなかったのですが。九月には披露宴も済ませてあるのに。実は二人で話し合って、夫婦別姓が施行されるまでこのままでいこうと決めています。」「夫婦別姓が通らないと私たちは困ってしまいます。」というような手紙はたくさんもらっております。
 また、御存じ、通称使用も非常に困難です。これを踏まえて、法務省としての御決意をお願いします。
#184
○政務次官(山本有二君) 先生御指摘のとおり、国際人権B規約に基づく日本政府第四回報告に対する規約人権委員会の最終見解におきまして、委員会は、人権の保障と人権の基準は世論調査によって決定されないことを強調する等の記述があるものと承知しております。
 そして、法務省といたしましては、先ほど申し上げたとおり、国民が議論をする上で参考になると思われる情報を鋭意国民に提供する努力をたゆまずやっていきたい、こう考えておりますし、さらに世論を喚起、どこまでできるかわかりませんけれども、選択的夫婦別氏制度の導入等を内容とする平成八年の法制審議会の答申等を広く国民になお公開する努力をしていきたいと存じます。
 ともかく、この議論がさらにさらに深まり、各界各層がこの扱いをどうするということをこの国会の中に集約できる形まで我々は努力を惜しまない所存でございますので、なお御指導をよろしくお願いします。
#185
○福島瑞穂君 法務省は大変わかりやすいパンフレットをつくっていらっしゃいますが、余り行き渡っていないような気もいたします。ぜひ、幅広く配布、啓発をよろしくお願いします。
 最後に、最高裁にお聞きします。
 先ほど橋本委員の方から、人権教育の必要性についても要望、質問があったと思います。インドで最高裁長官までされたバグワティさんは規約人権委員会のメンバーでもありますが、日本に来られた、日本の国際会議の中で、金築さんと人権教育について、裁判官の人権教育について話をされたというふうに聞いております。バグワティさんは、世界の裁判官の人権教育の組織化をされておられます。どういう話があったか教えてください。
#186
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 最高裁へバグワティ判事が来られまして、いろいろな人権教育の状況等についてお話がありまして、承りました。
#187
○福島瑞穂君 ちょっと中身が。話をしたということは聞いていたんですが、その中身です。ちょっと時間がないので。
 私が聞いたところによりますと、もう少し日本の裁判官も国際機関、裁判官の研修のようなものにもっと出てきてほしい、あるいは国際機関へもっと裁判官を派遣して人権教育の勉強をしてほしい、人権教育の進展が欲しいという要望があったやに聞いておりますが、いかがでしょうか。
#188
○最高裁判所長官代理者(金築誠志君) 裁判官に対する人権教育の必要性についていろいろ企画のお話をされたということは、事実でございます。
#189
○福島瑞穂君 では、以上で終わります。
#190
○平野貞夫君 昨日、私は、牛久市で発生しました岡崎少年傷害致死事件について警察庁にお尋ねし、また自分の意見を申し上げたんですが、党幹部から、与党であることを忘れないでくれ、野党の立場じゃないからという御注意を受けたんですが、この問題は与野党関係のない私は人間党という立場で申し上げておりますので、これは警察の問題だけじゃなくて検察あるいは裁判所のあり方そのもの、こういう本質的な問題というふうに位置づけておりますので、きょうも昨日のペースでちょっと質問させていただきます。
 法務大臣もそれから山本政務次官も刑事局長も一通りきのうの私の話を聞いていただいたと思いますが、昨年の三月十五日、陣内法務大臣から、この事件について「事案の真相の解明に努めるなど適正に対処」するという発言をちょうだいしております。そういう角度から見まして、私はこの水戸地検土浦支部にも問題が多々あった、こういうふうに思っております。
 そこで、最初に刑事局長から、刑事局長の立場でどのような所見、あるいは全体的に私の説明をお聞きになってどのような感想を持たれたか、御答弁いただきたいと思います。
#191
○政府参考人(古田佑紀君) お尋ねの事件につきましては、家庭裁判所において確定した具体的な少年審判の事件の捜査に関するものであり、また一方で、御遺族の方が警察官、検察官の行為に関連いたしまして国家賠償請求訴訟を提起したというふうにも伺っておりますので、御指摘のあった個々の事柄についてはお答えするのを差し控えさせていただきたいと存じます。
 しかしながら、お話を承っておりまして感じたことを申し上げますと、少年事件におきまして、遺族の方々の心情にも配慮した徹底した捜査や審判手続における的確な事実認定の必要性が大変痛感された次第でございます。
 少年事件につきましては、特に家庭裁判所に送致以後は、その後の状況は検察官としてもなかなか把握が困難な問題もございまして、そういう点から、後にいろんな補充捜査をするにしても若干の限界もあることも事実でございますが、とにかくやはり少年事件につきましていろんな角度からきちっとした捜査を必要に応じ適時適切にやらなければならないということを感じた次第でございます。
#192
○平野貞夫君 刑事局長、少年法の限界というのはあると思います。私はあえて今、国会に出されている少年法については触れませんが、現行の少年法の中でもこの事件については十分なことがなされていない、そういう認識を私はしておるわけなんです。
 そこで、事実認定について警察あるいは検察側はこの事件でやはり問題があったという認識ですか。
#193
○政府参考人(古田佑紀君) 先ほどもお答え申しましたとおり、国賠訴訟等も起こされているというようなお話もございますので、具体的にこれこれということを申し上げるのは差し控えさせていただきたいと存じますが、やはり捜査の徹底というのが必要であったということを感じているということを申し上げたいと思います。
#194
○平野貞夫君 わかりました。
 この事件について捜査の徹底ということが必要である、こういう認識を持っておるというふうに私受けとめます。
 三月十日に茨城県議会で茨城県警が、下着についた、私たちは血尿という認識なんですが、それは治療中についた血液だということを県警が県議会で発表した。だから、私はちょっと高揚してきのう申し上げたわけでございます。私は、これは県警は明らかに虚偽の説明をした、こういうことをきのう申し上げたわけでございます。きょうは法務委員会の委嘱審査でございますから警察庁のことを余り言うわけにはいきませんが、私も公の場でいろいろな方の御協力によっていただいた公文書のコピー等を提示して茨城県警のその説明はうそであるということを言った以上、私ももしそれが、万が一私の言うことが事実でなければそれなりの責任をとる覚悟で申し上げたわけでございます。
 したがいまして、これからこの問題というのは民事訴訟の方に移っていくと思います。そして、その中での鑑定ということになると思います。しかし、民事訴訟ということになりますと、なかなかこれ時間もかかるしややこしいという状況でございます。もちろんこういう民事訴訟に法務大臣が再々鑑定をやれなんということを言う権限はないということも私も承知しておりますが、余りにもこの事件というのは、一見民主主義国家のような日本の中で理不尽な、余りにも理不尽な、司法制度の信頼の根幹を揺るがせるような問題であるというふうに私は思っておるわけでございます。
 率直に言いまして、この百二十年ぐらいの日本の近代化の中で、立法府と行政府は、私も国会議員ですが、そんなのは自慢できないんですよ、いいかげんなところが多うございましたよ、国民からそんなに信頼されていないんですよ。しかし、司法制度、司法権だけは、これは難しい試験を通ってそれぞれ役についている方たちの御努力もあって、これはやっぱり国民に何といっても一番信頼あったんですよ。しかし、警察も含め、最近そういう人たちの意識といいますか人間観といいますか、あるいは国家社会観といいますか、どうもそういうものが揺らいできている。もちろん一生懸命に頑張られている方もおるわけですが、そういう問題にもつながることだと思います。
 そこで、ひとつ法務大臣、総括的にどういう私の話の中で御印象を持たれたかを言っていただきたいと思います。
 なお、家庭裁判所の問題につきましては、来週あたり裁判所定員法を審議するときにまた取り上げたいと思いますが、法務大臣の今の段階での感想を聞かせていただきたいと思います。
#195
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど刑事局長が申し上げましたが、大変恐縮でございますが、個々の事案については答弁は差し控えさせていただきたいと思っておりますが、委員の昨日そしてきょうのお話をよく伺った次第でございます。
 私どもといたしましては、御遺族の皆様方の心情というのは極めて大切にしなければならない、こういうふうに思っておりまして、その御遺族の皆様方の御心情を察した徹底した捜査、あるいは審判手続における的確な事実認定の必要性が痛感されたわけでございまして、そうした点につきましても、今回提出をさせていただきます被害者対策の法案におきましてもいろいろ配慮されているところでございます。
 今後ともこうした点についてはしっかりと心して取り組んでまいりたい、このように考えます。
#196
○平野貞夫君 それでは、きのうの続きの話は一応ここで私切りまして、次の問題に移りたいと思います。
 昨日、魚住先生が、オウム教団関連の企業が官公庁あるいは一流企業のパソコンのソフトウエア、ハードウエアの下請あるいは孫請になったという事実が判明して、いわゆる税金、公金が結果としてオウム教団に流れた、こういうことを御指摘になったわけです。
 実は、私、昨年の十一月に当委員会でたしかオウム新法を審議したときに、高知県の池川町の地域情報化ネットワークの事業に補助金いわゆる公金が使われて、それがオウム関連企業、そしてオウムへ流れたと。それを紹介したのが高知県知事の橋本大二郎氏だということで、税金、公金がオウム関連企業、オウムに流れたのは僕は高知県の池川町だけだと思っていたんです。ところが、最近になって大変な、警察庁に至るまで、あるいは防衛庁に至るまでオウム関連企業がかかわっていたということを聞いたんです。
 そこで、公安調査庁にお聞きしますが、オウム関連企業がパソコンのソフト、ハードを中心にした企業の中でどのぐらいの売り上げがあったというふうに大体推定されていますか。
#197
○政府参考人(木藤繁夫君) オウム真理教は、パソコン販売による、それで得た収益が最近三年間で約十六億円であったというふうに発表しているところでございますが、公安調査庁といたしましては、オウム真理教のコンピューターの販売事業におきまして、平成十年度一年間のパソコン機器の販売だけで七十億円以上の総売り上げがあったものと見ておるところでございます。
 また、ソフト開発などに関しましても平成八年以降、相当額の利潤を上げているものと見られますけれども、その詳細につきましてはいまだ判然としないところが多く、現在、鋭意調査中でございます。
#198
○平野貞夫君 平成十年度だけで七十億円の売り上げというのは、これ大企業ですよ。
 去年は大分無理してオウム新法をつくりまして、私はかなりあれはむちゃくちゃな法律だと思うんです。与党でございますけれども、私は破防法を適用しろということを一番最初に国会で言った人間なものですから、私もじくじたる心境であのオウム新法の成立に協力をしたんですが。
 片一方であれだけの法律をつくっておいて、片一方で平成十年度だけで七十億円と公安調査庁が推定されるオウムのパソコン関係の売り上げ、これはそれ以前それ以後を含めるともっと金額がふえると思いますが、こんなばかなことが、官公庁、いわゆる税金がこの中のどのぐらいかというのはわかりませんが、こんな片一方で締めつけていて、片一方でたるの底が抜けたことをやっていて、一体それが政府というものか、行政というものかということを非常に私は驚くわけでございます。
 基準になる数字は、どういう数字でもいいんですが、例えば十年度の七十億の中で官公庁の仕事だったと推定される金額はどのぐらいでございましょうか。
#199
○政府参考人(木藤繁夫君) 御指摘の官公庁関係の売り上げにつきましても現在調査中でございまして、現時点におきましては詳細が判明しておりません。
 委員御指摘のとおり、公安調査庁といたしまして、オウム真理教によるパソコン関連事業の実態の把握に努めて、鋭意これから調査をしてまいる所存でございます。
#200
○平野貞夫君 なかなか難しい作業があると思いますので、私直ちに答弁を求めませんが、公安調査庁としても、可能な限りどのぐらいの税金がオウムに流れたかということを掌握する私は責任があると思います。
 そこで、できるだけ早くそこのところを、一定の期間内だけでも、わかるだけでも結構ですので調査して、ぜひ報告をしていただきたいと思います。いかがでございましょうか。
#201
○政府参考人(木藤繁夫君) なかなかパソコン関係の販売とかソフト開発などにつきましては、特にソフト開発におきましては事業者名がたびたび変更されるとか、あるいは信者個人の名前で行っているとか、実態の把握に難しい点があるわけでございますけれども、これから鋭意官公庁関係の受注につきましても調査してまいりたい。ある程度のことがつかめますれば、それは必要に応じて御答弁するというふうなことも努力してまいりたいと思いますが、どの程度現時点において把握できるかということは申し上げかねるところでございます。
#202
○平野貞夫君 できるだけ具体的な数字が出るようにお願いをしておきます。
 それからもう一つ、私が去年の十一月に高知県池川町のことを指摘して以来、十一月以降で結構でございますが、官公庁がオウム関連企業を下請あるいは孫請とするような形で契約した官公庁があるかどうか、これについても、今答弁できないと思いますので、ぜひ調べてひとつ報告をしていただきたいと思います。
 それから、この問題にかかわった省庁の関係者の話を聞きますと、非常に残念がっているわけです、官公庁がすぐオウムの関連企業を指定するわけじゃございませんから。そこで、彼らの言い分は、もうちょっと公安調査庁が事前に、こういうのがオウム関連企業だから、孫請にせよ下請にせよ、そういうことのないようにという情報を教えてくれたらこれほどのことはなかったのにということを私は聞かされております。
 そういう意味で、どうもオウム教団問題について、警察もそうだと思いますが、公安調査庁もちょっと情報を封じ過ぎるのではないかという傾向があるというふうに、私はそういうふうに感じておりますので、その辺ももうちょっと必要に応じて、それは秘密にせないかぬ部分もわかりますが、対応していただきたいと思います。
 そこで、そういう観点からちょっとお聞きしたいと思いますが、私は、地下鉄サリン事件が起こって、あれは平成七年の三月でございましたか、二月ぐらい、一月半ぐらい、ちょうど麻原が逮捕された直後だったと思いますが、参議院の本会議で緊急質問をやりまして、そのときに私が申し上げたのは、一つはやっぱり破防法適用を考えろということと、これはだめだったわけですが、もう一つはどうしても理解できなかったのは、オウムと北朝鮮の関係がどうもいろいろあるようだ、しかしそれがどうも明確にならぬという問題を指摘したわけでございます、オウムとロシアとの関係は非常に明確になっていたんですが。
 最近、ある報道によれば、地下鉄サリン事件直前、オウムがいろいろ公安、警察から責められて非常に困窮したころ、オウムの幹部と北朝鮮の工作員、社会安全部の人が接触して、何かあったときには北朝鮮に助けてくれということを条件に、サリンとかVXガスとか、それからボツリヌス菌とか炭疽菌、そういう生物兵器の製造方法とか実験データの書類を渡したという報道がたしかきのう出たサンデー毎日に報道されていますが、こういうことについて公安調査庁は情報としては把握されていますか。
#203
○政府参考人(木藤繁夫君) 委員御指摘の報道がなされたことについては承知しておるのでございますけれども、その報道の内容である北朝鮮とオウムとの具体的な関係というようなことにつきましては十分把握していないところでございます。
#204
○平野貞夫君 なかなかこれは難しいことですからそれ以上の答弁はできないと思います。わかりました。
 それと、現在、オウムの幹部で、たしか菊池直子、平田信、高橋克也ですか、この人たちが逃亡していると思いますが、この逃亡の状況というのはおわかり──わからぬですね。わかりました。
 そこで、オウムの幹部で捕まえた幹部もいるわけですね、捕まえて裁判した。大体どんな地域で捕まるケースが多いですか。あるいは、具体的にだれをどこで捕まえたということを言っていただければありがたいんですが。
#205
○政府参考人(木藤繁夫君) 北朝鮮との関係でその捕まった地域について関心をお持ちであろうと思うわけでございますけれども、北陸の方面で捕まった者としましては、かつてオウム真理教の幹部をしておりました林郁夫ら三名が石川県内で逮捕された、そういうケースはございます。
#206
○平野貞夫君 このサンデー毎日によりますと、平田信と高橋克也はもう北朝鮮に逃亡した可能性があるという記事が書いてあります。私も、その可能性も含めて、これから公安調査庁も我々もそういう認識で物事を見ていかなきゃだめかなと、こういう思いをしているわけでございます。
 そこで、実は北朝鮮への援助米十万トンが決まったわけでございます。私たち自由党では大もめにもめまして、国防部会では、二十五人ぐらい参加した会議で賛成する人は一人であとは皆反対でした。そのときに、平成七年から八年にかけての五十万トンの米の問題点、いろいろあったんですが、これが総括できていないんじゃないか、もちろん拉致事件との関係で反対する人もいたんですが、この総括がはっきりしなければ、やっぱりそれは何に使われるかもわからぬ、こういう意見が大勢だったわけでございます。
 そこで、五十万トンのときには、たしか北朝鮮の船が日本の三十二ぐらいの港に九十七回往復して五十万トンを運んだわけですが、その中には国産米もあって、その国産米が日本に返ってきて、それをやみで売って何か政治資金をつくったなんということも国会で議論されて大騒動になった事件なんですが、そのときにサリンの原料とかそれからウランの原料になるものを密輸出しているんですね、船が一緒に持っていっているんですね。そんなこともあった。
 それから、その後の北朝鮮からの覚せい剤の持ち込みが非常に多いわけですが、そういう港といういわば国境、言いかえれば軍事施設ですね、軍事と言うとちょっとまた角田先生に怒られるかもわかりませんが、そういう施設なんです、港とか空港というのは。ですから、今度の十万トンを、国連を通じて云々ということを聞いていますが、どういう運び方をするか。これは非常に大事だと思います。
 そこで、これは法務大臣にお願いをしたいんですが、治安、公安、秩序の責任者として、五十万トンを北朝鮮に持っていったときにはこういう問題があったぞ、今回もそういうようなことがないように、その米の搬出の方法については国家の危機管理、安全保障の観点から十分な配慮をしろということを、私は法務大臣として閣議とかそういうところで当然おっしゃるべきじゃないかと思うんです。
 私は、決して北朝鮮は今のままでいつまでもいいと思っていません。早く民主主義国家に、国交も回復して本当に友好的な国としてつき合える国にしなきゃいけないと思っておるんですが、今のままではやはりいろんな問題があるわけでございますので、法務大臣としてそういうアクションを起こされたいと要望するんですが、いかがでございましょうか。
#207
○国務大臣(臼井日出男君) 北朝鮮との物資往来等につきましては、情報収集等を行いまして、我が国の公共の安全を図る上でそういうことは非常に大切なことだと考えておりまして、特に委員今御指摘をいただきましたサリンあるいは覚せい剤等の違法物資につきましては、法秩序の維持の観点からも関係省庁の協力を得ましてその持ち出しや持ち込みというものを未然に防止すべきものと考えておりまして、委員の御指摘を受けましたので、しっかりとこの点で活動してまいりたいと思います。
#208
○委員長(風間昶君) 以上をもちまして、平成十二年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算中、裁判所所管、法務省所管、運輸省所管のうちの海難審判庁及び国土交通省所管のうちの海難審判庁についての委嘱審査は終了いたしました。
 なお、委嘱審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#209
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 暫時休憩いたします。
   午後二時四十七分休憩
   〔休憩後開会に至らなかった〕
ソース: 国立国会図書館
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