くにさくロゴ
2000/04/20 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第10号
姉妹サイト
 
2000/04/20 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 法務委員会 第10号

#1
第147回国会 法務委員会 第10号
平成十二年四月二十日(木曜日)
   午後三時三十一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 四月十八日
    辞任         補欠選任
     佐々木知子君     岡野  裕君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         風間  昶君
    理 事
                北岡 秀二君
                塩崎 恭久君
                竹村 泰子君
                魚住裕一郎君
                平野 貞夫君
    委 員
                阿部 正俊君
                岩崎 純三君
                岡野  裕君
                竹山  裕君
                服部三男雄君
                松田 岩夫君
                吉川 芳男君
                江田 五月君
                小川 敏夫君
                角田 義一君
                橋本  敦君
                福島 瑞穂君
                中村 敦夫君
   国務大臣
       法務大臣     臼井日出男君
   政務次官
       法務政務次官   山本 有二君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        加藤 一宇君
   政府参考人
       警察庁長官官房
       総務審議官    吉村 博人君
       法務省人権擁護
       局長       横山 匡輝君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○民事法律扶助法案(内閣提出、衆議院送付)

    ─────────────
#2
○委員長(風間昶君) ただいまから法務委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 去る十八日、佐々木知子君が委員を辞任され、その補欠として岡野裕君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(風間昶君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 民事法律扶助法案の審査のため、本日の委員会に警察庁長官官房総務審議官吉村博人君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(風間昶君) 民事法律扶助法案を議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#6
○江田五月君 きょうは二番目に質疑に立つのかと思っておりましたら、本日のトップバッターということで、突然でいささか戸惑っております。だからというわけじゃありませんが、初めに質問通告をしていないことで、いささか不意打ち風になって恐縮なんですが、法務大臣に少年法改正問題についてちょっと伺っておきたいと思います。
 最近の新聞報道等によると、名古屋の中学生のいわゆる五千万円恐喝事件、これを契機に自民党幹部の方がにわかに少年法改正案を今国会中に成立させなければならないと言い出された。与党の中で従来慎重な意見であった公明党の皆さんの中にも、何点かの修正を前提にして今国会の成立に同意をしたという報道もあるし、どうもそうでもないような報道もあって、ちょっとよくわからないところがありますが、法務大臣、この間の経緯というのは御存じですか。
#7
○国務大臣(臼井日出男君) この少年法の一部改正は前々国会から既に御提案をし、できるだけ早い御審議をお願いしているものでございますが、私どもとしては一日も早い成立というものをお願いいたしているわけでございますが、現在新聞に報ぜられているようないろいろな動きについては、詳細については承知いたしておりません。
 しかしながら、できるだけ早い機会に成立をするように御協力をお願いいたしたいと思います。
#8
○江田五月君 お出しになった方としてはそういうことでしょうが、しかし国会でなかなか議論がスタートをしてこなかったというのはそれなりの事情があることであって、立法府としてのいろんな考慮もあったことだろうと。
 ただ問題は、いわゆる五千万円恐喝事件を契機にいろんな動きが起きてきたということが報道されているわけです。これは、そういう五千万円恐喝事件を契機に最近この数日のいろんな動きが起きてきているということについては、法務大臣としてはそういうことは承知をしておらないということでよろしいんですか。
#9
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま御指摘がございました五千万円問題に限らず、青少年問題というのは非常に大きくクローズアップされる事件が引き続いておりまして心を痛めているところでございまして、そうしたものについてもいろいろな会派間のお考えもあるのではないか、こういうふうに拝察をいたしております。
#10
○江田五月君 その五千万円恐喝事件と今回の少年法改正案の内容と、何かそれがつなげて議論されるような報道ぶりがあるんですが、どうも私はこれは全く何の関係もないと。
 今回提出されている少年法改正の例えば検察官の関与であるとか、五千万円恐喝事件がもし検察官が少年審判に関与すればこういうふうにうまく処理できるのであるとか、あるいは検察官関与の少年審判制度になっておれば五千万円恐喝事件がこういうふうに未然に防げたんだとか、そういうようなことは全くないんじゃないかという気がするんですが、法務大臣、その点はいかがですか。
#11
○国務大臣(臼井日出男君) いろいろ委員お話があったわけでございますが、ただいま御指摘をいただきました五千万円事件というのはまさに今捜査中でございまして、このことについてお話を申し上げることは避けたいと思うわけでございますが、いずれにいたしましても、教育問題と含めて少年の更生問題、このことは今まさに大変大きな社会的な問題になっているということは事実というふうに認識をいたしております。
#12
○江田五月君 私は、名古屋の五千万円の事件というのは、まだ今報道されているところまでしか私どもも知らないわけで、それについての証拠を見ているわけでもないわけです。
 しかし、報道されている限りで考えれば、学校や警察あるいは地域社会がこの種の問題についての対応能力を失っている、あるいは対応能力が非常に乏しくなっているということであって、まさにこの少年問題に対処する社会全体の体制、少年保護を取り扱う、少年保護というと何かかなり、その世界の言葉で保護というと加害少年を保護するという、そういう意味じゃなくて、道に迷った少年をどういうふうに立ち直らせていくか、そういう体制が社会的に非常に弱くなっているんじゃないかということを示すものだと。
 だから、この事件を契機に、むしろ少年法の理念と体系に基づいて、例えば家庭裁判所調査官を中心にした少年警察や学校や保護司や保護観察所あるいは児童福祉士、児童委員、自治体、各種団体、地域社会、その中には例えば補導委託先とかそういうものも入って、そういう少年問題対応能力を飛躍的に高める、そういうきっかけにすべきだと。
 そうした少年問題に対する対応能力を飛躍的に高め、充実強化する、それが急務だというふうに思うんですが、法務大臣、いかがお考えでしょうか。
#13
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただいたお考えと私は全く同感でございまして、こうした問題についてはやはり学校あるいは家庭、地域社会における青少年問題に対する対応のあり方、こういったものを基本的にさらに検討し、反省をしながら対応を強めていくということが大切のように思います。
#14
○江田五月君 ちなみに、私たち民主党は、日本の司法が長い間、少年審判というとどちらかというと軽視してきたと。
 戦後の司法制度の改革で家庭裁判所というものをスタートさせました。その家庭裁判所は、一般の裁判所は不告不理と、家庭裁判所も不告不理ではありますが、一般の裁判所はどちらかというと後ろに下がって、裁判所に来たものを処理する、そういう姿勢だったわけですが、家庭裁判所はどちらかといいますと社会的な裁判所として、家庭裁判所がかなめになって社会にいろんなネットワークを張って、そして少年、道に迷った者をもとへ、健全に育成していこうと。道に迷うこと自体がある意味で社会が抱えている問題に対して警鐘を鳴らしているというような面もあるわけですから、そういう観点から家庭裁判所が戦後生まれてきたと思うんです。
 私は、恐らく全国会議員の中でただ一人実際に少年審判に裁判官としてタッチをした経験を持っている人間なので、この問題は私が物を言わなきゃならぬという、そんな気持ちも持って関心を持っていきたいと思っております。
 そういう日本の司法が少年審判を軽視してきた、そのために少年審判体制というもの、家庭裁判所、特に少年の部門が弱体化してしまった。その少年法の理念と体制というものを充実強化させなきゃいけないのに、逆に政府の少年法改正案というのはむしろこういうものをさらに弱体化させる、そういう感じを持っておりまして反対をしているわけです。いずれにしても、反対賛成は別として、こういう今少年が置かれている状況、いろいろ報道される事態、こういうものに対して、少年をしっかり社会で支えていく、そのために何をしなきゃならぬか、これはやっぱり政治が問われているんだと思います。
 ひとつぜひ法務大臣にそのあたりのところをしっかり踏まえて、妙に選挙が近いからとかいうようなことじゃなくて、あんな事件が起きたから今こうやれば大向こうから拍手喝采とかいうことじゃなくて、少年の抱える問題と真っ正面から向き合いながら今大人ができることを考えていく、そういう姿勢をとっていただきたいと思います。
 きょうはその議論はそのくらいにして、本論の民事法律扶助について質問をいたします。
 まず、法務大臣、この法律扶助制度というのは、今回は民事法律扶助法案ということで、ここで想定されている指定法人というのはどの法人になるのかというのは、まだ法案も成立していないわけですからどの団体と決まっているというわけではないということでありますが、しかし、昭和二十七年以来、国庫補助もありましたが、日本弁護士連合会と各地の弁護士会の皆さんが大変な努力をして法律扶助協会というものでやってこられた、その事業そのものだと言っていいと思うんです。そこはよろしいですね。
 今、ここでつくろうとしている民事法律扶助事業を行う指定団体というのは、確かにまだ指定がないんですから、法律もできていないんだからどの団体だということは言えないが、しかしこれまでの経過で見ると、弁護士の皆さんがやってこられた法律扶助協会、これが想定されている、これはよろしいですね。
#15
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘のとおり、まだ法案も通っておりませんし、どのような団体に指定をするということはもちろん決まっておらないわけでございますが、先ほど来委員御指摘いただきましたように、我が国の民事法律扶助事業というものはこれまで財団法人法律扶助協会によって行われてきたものでございまして、同協会は、委員御指摘のとおり、日本弁護士連合会が主体となりまして昭和二十七年に設立されたものでございまして、以来、今日に至るまで、弁護士会や弁護士の方々が、法律扶助事件の相談、受任を通じて国民の皆様方に対する法的サービスを提供するとともに、人的、物的資源の提供、資金援助を行うなどをいたしまして、法律扶助事業の運営に積極的に関与していただきまして、その発展に多大な御貢献をしてきていただいたものと認識をいたしております。
 私といたしましても、弁護士会や弁護士の方々がこのような我が国の民事法律扶助事業に多大の御貢献をされてまいりましたことに対しまして心から深い敬意を表するとともに、今後とも我が国の司法制度の基盤をなす本事業に対しまして引き続き御尽力いただきますように、心から念願をいたしておる次第でございます。
#16
○江田五月君 衆議院の方の質疑を拝見しますと、公明党の冬柴さんがこれまでの弁護士会の努力に言及をされておられます。そして、かつて高辻法務大臣が、弁護士及び弁護士会に対して大変深い感謝の意を表したい、こう言われたというのを質問の中で引用されておられる。
 臼井法務大臣は、今敬意を表するということをおっしゃいました。同じ意味かと思いますが、弁護士と弁護士会の皆さんの努力に対してどう思われますか。
#17
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま私はいろいろ申し上げたわけでございますが、この民事法律扶助事業というものが昭和二十七年に……
#18
○江田五月君 感謝の言葉。
#19
○国務大臣(臼井日出男君) 同協会がつくられまして以来、弁護士連合会並びに弁護士会の皆様方に長い間御尽力をいただいておるわけでございまして、それに対して心から敬意と感謝を申し上げている次第でございます。
#20
○江田五月君 ありがとうございます。
 法務大臣はこれまでの審議の中で、本法案は、民事法律扶助事業が憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、憲法第三十二条に由来するものであるとの精神にのっとって構築されたものだと、こう述べておられますね。
 これは確認ですが、もうお話が出ていますが、本法案は憲法三十二条を根拠とする、憲法三十二条を実現させるものであると、これはこれでよろしいですね。
#21
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきましたとおり、この民事法律扶助制度というものは、民事紛争の当事者の裁判を受ける権利の実現を国が後押しをしようとする制度でございまして、資力に乏しい方々の弁護士費用等を立てかえてさしあげるものでございまして、憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ちまして、また憲法第三十二条に由来をするものであるというふうに考えておる次第でございます。
#22
○江田五月君 日本国憲法制定以来五十三年かかっています。
 今、憲法の議論がいろいろ出てきております。私ども民主党も、憲法について、もう絶対指一本触れないという前提でもなく、しかしもちろん、これはもう変えるんだという前提でもなく、大いに議論をしようということで議論をしていきたいと思っておりますが、しかし考えてみて、三十二条がやっと五十三年たってここまで来ているということですね。
 法務大臣として、国の法務行政を預かる最高責任者として、この五十三年かかってしまったということをどうお感じになっておられますか。
#23
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来申し上げておりますとおり、この民事法律扶助制度というものが、財団法人法律扶助協会等の非常な御努力によって今日まで至っているということは申すまでもございません。
 御関係者の皆様方によりまして、この制度が国民の裁判を受ける権利を実質的に保障するとの認識を持って頑張ってきたものでございまして、私ども国におきましても、補助金をお出しする等のことによりましてこれを支えてきたというふうに認識をいたしております。
 しかしながら、昨今の経済社会の実情をかんがみますと、例えば実際上いろんな地域間格差がございましたり、あるいは扶助の対象となる下から二割の所得層の方々の需要も十分に果たせない状況にあるということなどから、社会が今後法的なルールによって律せられる傾向が強まっていくこうした中で、その基本的枠組みを定める法律が緊急的に必要である。この認識に立ちまして、今国会に本法案を提出をさせていただいた次第でございます。
 この法案の重要性にかんがみまして、今後ともこの制度改革後におきましても、その成果というものを十分踏まえながら一層の整備及び発展に努めてまいりたい、このように考えております。
#24
○江田五月君 私の問題意識と同じ問題意識をお持ちいただいているのかどうかちょっとよくわからないんですが、私が言っているのは、もちろん憲法はこの三十二条だけじゃありませんから、議論しなきゃならぬ論点は多々あると思います。
 例えば、憲法と現実とが大きく食い違っているじゃないか、だから現実に憲法を合わせるように変えなきゃならぬじゃないかという議論があるんですが、例えばこの三十二条なんというのは、五十三年前に憲法の条文ができて、やっと今それを実質的に保障するためにこの三十二条に由来する制度ができようとしている。現実が随分おくれて、今やっと現実が憲法に追いつきつつあるという、このことだけで憲法全部を論じろと言っているんじゃないんです。だけれども、少なくともこれについてはそういう目が必要なんじゃないか、このことを伺っているんですが、いかがですか。
#25
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきましたが、今日に至るまで大変長い道のり、多くの皆様方の善意によって支えられてきているということを私も認識いたしております。
#26
○江田五月君 憲法は、特に憲法が与えている基本的人権は国民の不断の努力によって守っていかなきゃいけないんだということで、この五十三年、あるいは昭和二十七年以来、弁護士を中心にして裁判を受ける権利を実質的に保障しようと、そのいろんな努力があってやっと三十二条がここまで現実のものになってきた。そういう国民の不断の努力をやはり我々政治に携わる者、特に政府はこれは大いに応援をしなきゃいかぬ、支援をしなきゃいかぬ、そういう気持ちをぜひ持っていただきたいと思うんですが、この点はいかがですか。
#27
○国務大臣(臼井日出男君) 委員御指摘のとおりのように思います。
#28
○江田五月君 そういうわけで、この法律案、遅きに失したとはいえ大切な第一歩として私ども民主党ももちろん賛成の法律です。
 しかし、不十分なところもいろいろあると思います。幾つかただしてまいりたいと思います。
 その一つが第二条の「適法に在留する者」という要件なんです。不適法に在留する外国人については、その理由のいかんにかかわらず、勝訴の見込みどころかもう勝訴絶対確実というような場合でも、どんなに貧乏で、どんなに弁護士さんにお支払いするお金が財布を逆さにしても出てこないというような場合でも、どんなにかわいそうな場合でも、これは民事法律扶助事業の適用範囲に入れない。
 先日も私ども参考人の皆さんからのお話を伺いました。その中で、日本は今労働力が、これは雇用の問題はなかなかややこしいですが、労働力確保というような観点からも外国人の皆さんも入ってきておられる。そして、入ってきたときには適法であった、しかし何らかの事情でこれがオーバーステイになってしまった。オーバーステイになる前に例えばそれは交通事故に遭うかもしれません、あるいは労災に遭うかもしれません。どういう不幸が襲ってくるかもわかりません。オーバーステイになった後だってそれは起きるかもしれません。交通事故も労災もオーバーステイの者だけは逃げて通ってくれると、そう世の中うまくはいかないんでして、そのときにたまたまオーバーステイになっていたというだけでもう法律扶助は与えないんだという、そうまでぎちぎちに厳格に言わなきゃならぬものなんですか。
#29
○政府参考人(横山匡輝君) 御指摘のような事案の中には非常に気の毒な事態もあるかと思います。しかしながら、本事業はいわば社会福祉的側面を持っておりまして、限りある財源のもとで国民の理解を得て限りある国費を投入するものでありますので、このような観点から、本事業による援助は国民及び国民と同様の扱いをすべき者までを対象とするのが相当であると考えておりまして、不適法に我が国に在留する者までを対象とすることは相当でないと考えております。
 このぎちぎちではないかという点でございますけれども、一点そこについて説明させていただきますと、もっとも本法におきまして「適法に在留する者」とは、通常当局が我が国に在留することを認めている者のことを言いますが、当局に在留が認められなかった者でも、当局の在留資格に関する処分を争う取り消し訴訟において裁判所において適法に在留する者である旨判断された者は、当局が処分した時点において適法に在留する者に該当する者だったと考えられます。
 そこで、扶助の決定をする時点で当局から在留することが認められていなくとも、当該外国人が在留資格に関する当局の行政処分を争う訴訟を提起したならば、過去の裁判例等に照らして裁判所が当局の当該処分を否定し適法に在留資格がある旨を判示するものと認められるまでの高い可能性がある場合であれば、本法案においても適法に在留する者として扶助の対象となる場合がある、そのように考えております。
#30
○江田五月君 今の後半の方はわかりました。それはここで確認をさせていただきたいと思います。
 前半のところですが、局長と議論するよりも大臣と議論したいんですが、社会福祉だから、限られた財源でやるんだから、その財源の帰属先である国民あるいは適法に居住している外国人に限るんだと、だからというそのイコールのところがどうも私は納得できない。
 私は実はもう随分以前ですがイギリスに留学をしていたことがあります。家族と一緒に行っていました。もちろん適法にイギリスにいました。しかし、税金を払っていませんでした、全然。しかし、税金を払っていない者でも、例えば私の娘が医者へ行く、ちゃんと医療保険はある。私の娘がポリオのワクチンを飲む、ただで飲ませてくれる。それどころか、親も飲まなきゃだめよと言って親まで飲まされました。
 社会福祉というのはそういうものじゃないのか。医療の場合にその居住が適法であるか違法であるか、それでも病気はそんなことにかかわりなく襲ってくるわけですから。ですから、メディカルエード、メディカルケアというものはみんなに与えようと。同じように、法律的紛争を抱える、あるいは法律的な助けがなければ社会生活において困難に出会う、そういうときに法律家の助けを得るということは、これは病気になるときに医者の助けを得るのと同じことなんです。
 それはその地域に居住するあるいは存在するすべての人に与えられるということになれば、その国の社会福祉の資質がそこまで高まるということでして、そういうふうにしておれば、世界じゅうが、ああ、あの国はこういう国なんだ、いい国なんだ、あの国の品格というのはこんなに高いんだというふうに見てもらえるわけで、そうなりますと、限られた財源をそういうところにも使っているということで、その財源を拠出しているみんなもそれだけ世界から尊敬されるというとちょっと言葉は余り好きじゃありませんが、それなりの価値判断をしてもらえるということになるわけですから、ここは、今のイコールで結ぶということはぜひ、きょうのところ、すぐに改めろとは言いませんが、先々そのあたりのことは見直していただきたいと思いますが、法務大臣いかがですか。
#31
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員お話しをいただきましたようなお考えの方もおられるということもよく承知をいたしております。また、現実に大変お気の毒な方々もおられるということも事例等でよく承知をいたしているところでございますが、先ほど来政府参考人からお答えを申し上げておりますとおり、国民の下から二割の層、それもやっと充足できるかどうか、こういう環境にございまして、現在、不法在留罪まで設けて適正な出入国管理をしようとしている、こういう環境の中で考えてまいりますと、そうした問題については今後慎重に検討すべき事柄ではないか、このように理解いたしております。
#32
○江田五月君 今、入管行政のことを理由の一つにお挙げになる。そうすると、私なんかから見ると、そうですかと。法務省が入管行政も所管しているから、だから法律扶助制度についてはこうなんだと言われるんだったら、入管行政と法律扶助制度とをこれは別々の所管にしなきゃいけないと、こうなるかもしれませんが、きょうはそこまでにしておきましょう。
 もう一つ、これは貸与制で将来返してもらわなきゃならぬから、適法に居住していない人に貸したらどこへどうなるかわからぬからということもおっしゃいますが、貸与制でずっといくのか、もう貸与制しかこの法律扶助制度というものはないのか、給付ということは全く考えられないのかということもあるわけで、将来この制度が大きくもっと豊かになっていくということをひとつ頭のどこかに入れておいていただきたいと思うんです。
 時間もだんだん来ておりますので飛ばしますが、今の不適法居住ということについてですが、財団法人法律扶助協会は現在自主事業としていろんなこと、この民事法律扶助事業で想定されていること以外のことをいっぱいやっています。
 それで、財団法人法律扶助協会が指定団体になった場合に、その指定団体たる協会が民事法律扶助事業以外の自主事業として、例えば被疑者段階の弁護人に対する費用であるとかあるいは少年の付添人に対する費用であるとかそういうものとあわせて、居住が不適法になっている外国人に対する扶助というものをやることは構わないですよね、大臣。
#33
○国務大臣(臼井日出男君) そうした問題というのは事業主体の方が決まりました際には自主的にお考えをいただくことになろうかと思っておりますが、それらの自主事業を実施するということは私どもにとりましても望ましいことだと考えております。
#34
○江田五月君 指定法人だからもうさっきのぎりぎりに縛ってしまうじゃなくて、やっぱり指定法人がいろんなことを自主的にやることは、今、好ましいと言われたんですかね、(「望ましい」と呼ぶ者あり)望ましいか、望ましいことだという、そういう姿勢でぜひ扱っていただきたいと思います。
 もっとも、そのためには経理区分がしっかりしていなきゃいけないということはあるでしょうが、これはもう言うまでもないと思います。今、経理区分は大丈夫ですよね、これは局長かな。
#35
○政府参考人(横山匡輝君) 現行の民事法律扶助事業におきましても民事法律扶助事業と自主事業は経理区分されておりますし、また指定法人のもとにおきましても同様、経理区分というのが維持されることになっております。
#36
○江田五月君 この法案の第三条の二項に地方公共団体の規定がございます。これとは別に、地方公共団体が財団法人法律扶助協会の自主事業に補助金を出したりあるいは必要な協力をする、こういうことも実際に今やっておられます。
 そこで、この法律が成立して民事法律扶助事業を行う団体として財団法人法律扶助協会が指定をされた後も、地方公共団体が自主事業に補助金を出す、そしてその自主事業は不適法在留外国人への扶助も行う、これは自由にできると、こう考えてよろしいですね。
#37
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案のもとにおいて、指定法人に対し自主事業の分として給付をすることができるかと。これはまさに地方自治体の一般的寄附にかかわる規定に基づきまして、公益事業に該当するということであれば可能であると考えております。
#38
○江田五月君 何かもたもたしているのでもうちょっと突っ込みたい感じはしますが、まあいいでしょう。
 法律扶助事業をさらに拡充していくこと、これについて幾つか質問いたします。
 まず予算規模。大幅にふえたとはいえ、この制度の先進国であるイギリスと比べると国民一人当たりの国庫負担額で百倍ぐらいの差がある。私は、むだなダムの建設や干拓に使うよりも、そのことは余計なことかもしれませんが、司法制度の充実のため百億を二百億ぐらい使う。このことは有権者の皆さんに支持されると思いますが、将来はイギリス並みの予算規模にするべきだと思いますが、法務大臣、ひとつ大志を持ってお答えいただきたいと思います。
#39
○国務大臣(臼井日出男君) 先ほど来、二十七年に協会ができましてスタートして以来の経緯というものはお話を申し上げたわけでございますが、大変多くの方々の御好意の中でもって今日まで育ってきた、国もそれなりに努力を続けてきているわけでございまして、今後ともこれらの拡充についてはさらに私どもは努力をしていくことが大切だ、このように思います。
#40
○江田五月君 法務大臣が大きな志を持ちながら、しかしなかなか物が言えないつらいところを察してくれと、こういうことだろうと思いますので、ひとつこれは大いにこれからも制度の拡充のために努力をしていただきたいと思います。
 さて、衆議院の附帯決議もありますが、今は民事法律扶助ということでございますけれども、刑事の被疑者弁護とかあるいは少年事件の付添人とかあるいはADRとか、いろいろこれから先この制度がそういう方面にも、これは法律扶助の内包というよりもむしろ外延の話でありますが、ずっと広がっていくべきものだと思いますが、いかがお考えですか。
#41
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案は、緊急に充実を図る必要のある民事法律扶助事業についてその基本的枠組みを定めるものでありますことから一定の所要のものを規定しておりますけれども、ただいま委員御指摘のように、ADR全般、行政手続あるいは刑事被疑者事件あるいは少年保護事件等についての公的な支援のあり方につきましてはさらに検討をすべきであるとの御意見があることは、私どもも承知しております。
 これらの事項につきましては、それぞれの事項に係る関係諸制度のあり方、我が国の司法制度のあり方、国の財政事情等に深くかかわる問題でありまして、今後、司法制度改革審議会等におかれましても高い見地から幅広に御議論をいただくべき事柄と考えております。法務省といたしましても、そのような審議結果を踏まえ、今後とも法律扶助制度の充実に努めてまいりたいと考えております。
#42
○江田五月君 幅広に御議論をいただくべきことであるというところに込められた意味というものを正確に理解しておきたいと思います。
 特にADRですが、この民事訴訟の制度というのはなかなかいろんな制約があって使いにくい。それをいろいろ工夫して、今、民事訴訟が使いやすいようにという努力をしているわけですが、それでもやっぱり裁判所の手続となるとどうしてもいろんな限界があるかと思うんですね。
 今、一つ考えられる方法として、裁判所の厳格な手続による判決というものはある意味で指針を示すもので、裁判所がそういう指針を示したならば、同じような事件は裁判手続でなくてADR、オルタナティブ・ディスピュート・リゾリューションですか、裁判外の紛争解決手続の中でやればぐっと解決が早くなるじゃないかという提案も行われているわけですよね。
 ですから、そういうことが起きれば、この判決がある、その判決を参考にしながら、例えば弁護士会の仲裁センターなどでどんどん紛争を迅速に簡便に解決していくということができてくる。そんな意味でADRというのはこれから重視されてくるんだろうと思いますが、そういうときにADRは弁護士の手助けを法律扶助という制度によって行えないというんじゃ、これはやっぱりせっかくの司法、リーガルサービスというものの豊かさというものを失ってしまいますよね。ぜひそこは考えてほしい。
 所得階層二割層、これも今二割層で一万八千件というので、将来四万件ぐらいはニーズがあるんじゃないかというようなお話ですから、二割層ではいけない、四割層ぐらいまでは広げなきゃとか、あるいは例えば犯罪被害者なんかは、これは私たち、先日、四月六日に衆議院に犯罪被害者基本法を提出して、これは衆議院の本会議で趣旨説明が行われて、政府の方でお出しになっている二法とあわせて審議が進んでいると思いますが、犯罪被害者の皆さんの置かれている立場というものはこれではいけない、国連の宣言もあるわけですし、飛躍的な権利保護の拡充をしなきゃならぬと思います。犯罪被害者ぐらいは所得制限なしに法律扶助を行うというぐらいにすべきだと思いますが、いかがでしょうか。
#43
○政府参考人(横山匡輝君) 犯罪被害者やその遺族の方々につきましては、現在その保護を図るために種々の検討がされているところと十分承知しております。
 しかし、もともと民事法律扶助事業は資力に乏しい方々に弁護士費用の立てかえ等の援助を行う事業でありまして、現行の扶助事業のもとにおきましても、こういう下から二割の所得層の方々でさえもなかなかその需要にこたえ切れていない現状にあります。したがって、まずはこのような方々の需要にこたえるべきことが何よりも重要であると考えております。
 委員御指摘のように特別な類型の事件に限って資力要件を緩和する等の特段の便宜を図りますことは、他の類型の事件との公平等の観点から慎重な検討が必要であると考えております。
 もとより、犯罪被害者やその遺族で資力に乏しい方々につきましては民事法律扶助事業を大いに活用していただきたいと考えておりますので、今後、これらの方々にこの事業を十分知っていただけるような方策を講じてまいりたい、そのように考えております。
#44
○江田五月君 時間が来ておりますので、警察庁に来ていただいて伺いたかったんですが、済みません、ひとつお許しください。
 この民事法律扶助を含め今の日本の司法制度、これはいろんな面で改革をしていかなきゃいけない、あらゆる面で司法サービスが飛躍的に充実強化される必要がある、それが二十一世紀のこの国の形をどう構想するかという問題だと思っております。犯罪被害者給付金の制度もあるし、それから法務省の民事法律扶助あるいは裁判所の国選弁護制度、民訴法の八十二条に訴訟上の救助というものがありまして、これは勝訴の見込みがなきにしもあらずなら救助すると、しかも、救助して、とれたら後で返してもらうというような制度になっているわけで、そういうものも活用するとか、あるいはまた地方公共団体、NGO、NPOなどを含めた我が国のリーガルエードの体制をしっかりとつくっていく、その第一歩にぜひしていただきたいということを要請して、私の質問を終わります。
#45
○橋本敦君 人権擁護局長から御答弁をいただいて結構なんですが、国民の裁判を受ける権利を実質的に進めていくという上で全体の予算の増大が大事な課題であることは言うまでもありませんが、同時に扶助の要件が余り厳し過ぎますと、それ自体が裁判を受ける権利を十分保障できないということにもなりますので、この扶助の要件という問題についてお伺いをしたいと思います。
 まず第一に、この扶助の要件は研究会でもかなり議論されました。研究会の結論としてはどうなっておりますか。
#46
○政府参考人(横山匡輝君) 研究会の結論としましては、やはり資力要件につきましては、資力に乏しい方々を対象とする、それから勝訴見込みの要件に関しましては、勝訴の見込みがあるときというよりは、むしろ勝訴の見込みがないとはいえないとき、そういうふうに現行の運用を改めるべきではないかという意見でまとまっております。それから、あともう一つ、扶助の趣旨に適することというのが現行の扶助事業でも要件となっておりますが、これはやはりそのまま維持される方向で結論が出たというふうに承知しております。
#47
○橋本敦君 そのとおりですね。ですから、勝訴の見込みがあるときというんじゃなくて、勝訴の見込みがないとはいえませんよと、そういう判断をすれば扶助の要件としてそれは適合的に扶助の対象にするという方向が研究会で結論が出たわけですね。
 この法案の実際の運用についてもそういうことでよろしいと理解してよろしいわけですか。
#48
○政府参考人(横山匡輝君) 勝訴の見込みに関します要件は指定法人の業務規程に記載され、これを法務大臣が認可するという形になりますけれども、勝訴見込みの要件に関しましては、研究会の報告等でもそのように取りまとめられているというところなども踏まえまして、そういう勝訴の見込みがないとはいえないときという方向で今後の制度の運用が行われることになるのではないか、このように考えております。
#49
○橋本敦君 その点は非常に大事な御答弁で、法の第七条によりましても、業務規程というのを法人はつくって大臣の認可を受けなきゃなりませんね。その業務規程の中に今議論しております扶助の要件も規定することになると。その扶助の要件を指定法人が研究会の見解の結論を素直に受け取って、勝訴の見込みがあるときじゃなくて、勝訴の見込みがないとはいえないときということを扶助の要件として定めた場合に、当然それは、今の局長のお話からいえば、大臣の認可という問題で何の問題も生じない、認可の対象に当然できることだというように私は理解しておりますが、大臣、それはそれでよろしゅうございますか。
#50
○国務大臣(臼井日出男君) そのとおりでございます。
#51
○橋本敦君 それで、その点は一応前向きの解決ということで、私は法の実際の運用の面で進んでいくだろうということを期待いたします。
 その次は、原則的な問題もあるんですが、償還制にするのか給付を基本とする給付制にするのか、こういう問題も大いに議論をされました。研究会の結論はどうなっておりますか。
#52
○政府参考人(横山匡輝君) 原則償還制にするかあるいは原則給付制にするかにつきましては、研究会におきましては意見が分かれまして、両論併記となっておると承知しております。
#53
○橋本敦君 研究会では両論併記ということになりますから、今後の重要な検討課題になる、こういうことですね。その具体的な実際の問題として、どっちをとるかはこの法案ではどこでどう決めるんですか。
#54
○政府参考人(横山匡輝君) この法案におきましては、民事法律扶助事業の内容としまして、第二条におきまして、一号でも報酬あるいは実費の立てかえをすること、二号におきましても同様に報酬あるいは実費の立てかえをすることという規定、それからまた第七条の二項におきまして、償還に関する事項が業務規程の記載事項となっております。これらのことからもおわかりいただけるかと思いますけれども、原則償還制をとることとしております。
#55
○橋本敦君 法務省も入った研究会で両論併記になった。両論併記というのは、給付制にするか償還制にするか、どちらの意見もそれなりの理由があって、一方だけが多数で一方が少数だというんじゃなくて、きちっと両論併記しようというんですから、両方とも重いわけです。
 両論併記であったものを、一方の償還制を原則とするという方向だけをとって法案にしたというのは、それは一体どういうわけですか。ある意味では、研究会の検討を誠実に踏まえたものかどうかということも問われる問題なんですが、それはどういう経過ですか。
#56
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案におきまして、原則償還制をとりました理由について御説明いたしますと……
#57
○橋本敦君 簡単でいいですよ。
#58
○政府参考人(横山匡輝君) 我が国では、民事裁判等において必ず弁護士を選任すべきものとはされておらず、訴訟費用の中に弁護士費用、これは訴訟代理費用ですけれども、これを組み入れて敗訴者に負担させる制度を採用しておりませんので、弁護士費用については各当事者が負担することが原則とされております。
 このような我が国の訴訟制度のもとで給付を基本とする制度を採用しますことは、本来当事者が負担すべき弁護士費用を納税者たる国民が負担することを意味するものでありまして、国民の理解が得られるかどうかの問題があるものと考えられ、給付制は適当でないと考えております。
#59
○橋本敦君 そういう意見もあったけれども、両論併記になったんですよ。いいですか、初めてそういう意見が出たんじゃないんです。そういう意見もあったけれども、一方、原則給付制ということも、経済的困難な国民にとって裁判を受ける権利を保障する上で大事じゃないかという議論があったんです。そこのところの慎重な議論が私はまだ足らないと思うんです。
 私が言う給付制というのは、丸々全部給付してそれでいいというんじゃありません。経済的利益が訴訟の結果還元された場合、あるいは資力によってその後回復した場合、原則給付だけれども一部償還をするということも事情によってあり得るから、給付制というのは、全部給付制とは私は言いません。原則的に給付制にして、状況によっては償還させると。今の償還制度は原則償還で、事情によって一部償還を免除するということはあるわけですが、逆転をして、原則給付にして、そして償還が可能なときは償還させるということを積極的に検討してよかったのではないかと思うんですが、ここらあたりの判断については、大臣、もし御答弁いただければいただきたいんです。まず局長からでも構いません。そこらどう考えていますか。
 言いますけれども、私の原則給付制というのは、給付したら一切償還させないという意味じゃないですよ。
#60
○政府参考人(横山匡輝君) 原則給付制をとるかあるいは償還制をとるかにつきましては、給付制をとっても一定の場合に償還すればいいではないかというふうなことで、いわば経済的な側面から考えるという考え方もあるいはあるのかもしれませんけれども、やはり法制度として扶助事業を制度化しますときには、制度の理念というものが大事だと思っております。
 それで、扶助制度というのはまさしく訴訟制度と深いかかわりがあるわけでございまして、先ほど述べましたように、弁護士費用が訴訟費用の中に組み入れられていない。したがって、敗訴者負担制度が採用されていないもとにおいて原則給付制をとるということは、例えば原告に扶助をして原告が勝訴した、しかし財産的給付が得られなかったという場合には、完全にこれは国民の負担になる。一方、敗訴者である被告側は、その訴訟で争って敗訴していながら全くその弁護士費用は負担しない。こういうような問題が現実に起きてくるわけでありまして、このような場合に、一体国民の方々はどのようにお考えになるのか。そこら辺は、当然私どもとすると、なかなか国民の理解が得られるかどうか、非常に問題があるのではないか、このように考えておるところでございます。
#61
○橋本敦君 弁護士費用だけの問題に限定して議論するということは、この大事な制度の大きな枠組みや理念から見て余りにも近視眼的です。
 例えば、諸外国の法律扶助制度は今言った償還、原則給付、この問題でどうなっていますか、局長、知っているでしょう、イギリス、フランス、アメリカ、ドイツ、言ってごらん。
#62
○政府参考人(横山匡輝君) イギリス、フランス、ドイツあるいはスウェーデン、それから韓国、このあたりは弁護士費用を訴訟費用の中に入れて、敗訴者負担制度をとる、そういう制度のもとで給付制、一部負担金も課すということになっていますけれども、そういうつながりを持っている、そのように私ども承知しております。
#63
○橋本敦君 イギリスの場合は、これは生活保護世帯については無償、完全な給付です。資力に応じた負担金の支払いも、原則給付ですから資力がある場合は負担させる。弁護士費用の関係もそういった中で調整をする。フランスの場合は、最低賃金所得層は無償ですから、原則給付ということになっています。それから、ドイツの場合も資力に応じた負担の支払いはあるが、生活保護世帯層は無償で給付するというようになっている。
 だから、原則給付ということで安心して法律扶助を申し出、そして裁判を受ける権利を行使するという仕組みが諸外国では進んでいるし、予算の点でいえば、先ほど江田委員からもありましたけれども、本当に日本から比べれば大変な額の予算が組まれているわけでしょう。
 例えば、局長、イギリスの場合、扶助予算は日本と比べてどのぐらいの倍率になっていますか。
#64
○政府参考人(横山匡輝君) 何倍というよりも、実際の数字でいいまして、イギリスでは一千百億円台、我が国は、今回、本年度の予算規模で二十一億一千八百万円であります。
#65
○橋本敦君 その二十一億というのは管理費も含まれていますから、完全な扶助対象だけではない。一千億と二十一億ですから、大変な違いなんです。これはやっぱり長い市民社会の発展の中で、国民の裁判を受ける権利、リーガルエードということについて、ずっと市民社会発展の中で、法の支配、法により解決という民主社会の発展の中で蓄積されてきたもので、ようやく我が国はこれから進もうとしているんですが、余りにもその点は開きが大き過ぎるわけです。
 ですから、思い切って予算の増大をやっていただくという努力と同時に、システムとして原則給付制、状況によっては償還は当然ありますという方向に今後は検討を深めていくことが必要だ。研究会でも両論併記があったんですから、どちらが多数じゃないです、両論併記しているんです。
 だから、今後の課題として、扶助予算の増大ということもしきりに言われておりますが、同時にこうした原則給付か償還制が原則かというこの問題についても今後さらに検討を深めていく重要な課題であるというように私は思いますが、大臣、この点はお考えはいかがですか、今後の課題として。
#66
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま委員御指摘をいただきましたとおり、研究会では両論併記だったということでございますから、今、委員御指摘をいただきました形でございますと、結果的にはやや似たような結果になるんじゃないかというふうな感じもいたしますが、政府参考人からお話をいたしましたとおり、イギリスとかフランス、ドイツ等におきましては、弁護士費用等を敗者の方に請求できる、こういうことにもなっておりますので、国はその者に対して請求ができる、こういう結果にもなるわけでございます。日本の場合とかアメリカの場合というのは制度が違っておりまして、そうした立場から、私ども日本におきましては、原則償還制という形の中で、一定の方々については償還を求めないという形をとらせていただいているというふうに考えます。
 今後とも、これらにつきましてもさらにこの制度の発展のために努力をしていかなければならないと考えております。
#67
○橋本敦君 この制度、やっぱり実質的に国民の裁判を受ける権利を広く保障するという上では大事な今後の検討課題だというように私は思いますので、今の大臣の御答弁もありましたが、さらに検討を深めていただきたい、こう思います。
 例えば、その点は永盛参考人も衆議院の法務委員会で、この点については、「原則全額償還制を扶助制度の根本に据えることは、最も援助を要する人々に利用上の困難を与えることになり、大きな矛盾」であるということで、償還制がこれまでも重荷になってきたということを指摘されております。したがって、この点については、「事件の結果、経済的利益を手にした場合を除き、このような人々には負担を求めないということを原則にすべきであろう」と、原則給付制がいいのではないかという意見もありますから、今後の検討課題として、さらに私たちも議論をいたしますが、国としても積極的に検討していただきたいと思います。
 もう一つ、時間がなくなってきましたのでぜひお伺いしておきたいことは、指定法人にかかわる管理運営費なんです。この点について、国の補助もあるんですが、実際、今後全国的に法律扶助制度をひとしく実施していくという上では、これは大変な管理運営が費用としてもかかってくるだろうと思うんです。
 この間、この委員会にも来られた弁護士の小寺参考人も管理運営費について、現状、日弁連もあるいは一般の寄附も含めて大変な努力をしているが、もう限界に来ているというぐらいのお話もあったわけです。だから、したがって弁護士会、弁護士依存、一般の寄附依存というこの体質から抜け出して、国が責任を持ってこの制度を円滑に管理運営費も含めて進んでいくようにするためには、私はこの管理運営費の問題についても国としてもっと責任を持って体制を組む必要がある、こう思うんです。
 法務大臣として、これらについて御見解がございましたら御意見をいただきたいと思います。政務次官がまずお答えくださっても構いませんけれども、後で大臣の見解も聞きます。
#68
○政務次官(山本有二君) 先生おっしゃるように、大変この事業を進める上において必要な経費を十分満たしていきたいとは思いますが、まだまだ不足する予算でございます。今後、国の事務費の予算もさらにふやすよう努力させていただきたいというように思っております。
#69
○国務大臣(臼井日出男君) 今、総括政務次官の方からお答えをいただきましたが、先生のお話もいろいろいただいておりますが、今回の制度改正後におきましても、その成果等を踏まえつつ、さらに一層の整備及び発展を図ってまいりたい、このように考えております。
#70
○橋本敦君 私がそのことを特に大臣にお願いした趣旨は、この法案の第三条で明確に、国の責任として民事法律扶助事業の適正な運営を確保するということ、そしてそのために運営体制の統一的な整備と全国的に均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めると、こうあるんです。これはまさに、弁護士過疎の問題も出されましたが、それは弁護士会が努力すると、こう言っているんですけれども、国の責任として法律扶助は全国的、統一的に、しかも均質な遂行、あるところでは十分いけるがあるところでは全然体制も予算もないということがないように、均質な遂行のために必要な措置を講ずるよう努めるということを法三条は国の責任として決めているんです。
 だから、この国の責任を果たしていただくという上で、全体の予算の増額もさることながら、指定法人を含む管理運営費にも十分ケアをしていただいて努力していただきたいということをもう一度お願いして、大臣の御決意を伺って、質問を終わります。
#71
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員御指摘をいただきましたとおり、今回この法律で国の責務というものをしっかり定めさせていただきました。今後とも、その責任を十分果たすために一層の努力をいたしてまいりたいと考えております。
#72
○橋本敦君 終わります。
#73
○福島瑞穂君 社民党の福島瑞穂です。
 法の十一条、「国は、予算の範囲内において、指定法人に対し、民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができる。」とありますが、どうしてわざわざ「一部」と規定したのでしょうか。
#74
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案におきます民事法律扶助事業は、指定法人制度を採用することによりまして、民間活力を利用しつつその整備及び発展を図ろうとするものであり、指定法人は本事業を行うに際し国から費用の補助を受けることとなるほか、民間からの寄附金等の受け入れも予定しております。
 すなわち、指定法人が民事法律扶助事業を行う際の費用につきましては、立てかえた金額の償還金や民間からの寄附金等が期待できますので、それも考慮に入れた上で、事業の遂行に必要な範囲での国による補助が予定されておりますことから、本法案では費用の一部を補助することができるとしたものでございます。
#75
○福島瑞穂君 しかし、この法律にあるとおり、指定法人は民事法律扶助事業以外の事業を行う場合と、民事法律扶助事業を行う場合と二つあるわけですよね。少なくとも民事法律扶助事業に関しては、先ほどの橋本委員の質問にもありましたが、三条で国の責務というものがきちっと書いてあります。この民事法律扶助事業以外のものも指定法人がやるわけですから、せめて国は民事法律扶助事業に関して費用を補助するというふうにすればよかったのではないですか。
#76
○政府参考人(横山匡輝君) 民事法律扶助事業は、裁判を受ける権利を実質的に保障する意義を持ち、我が国の司法制度の充実に寄与する公共性の高いものでありますことから、ただいま委員御指摘のとおり、本法案第三条第一項におきまして国の責務について定めておりますが、このような責務を踏まえ、本法案第十一条において、指定法人が行う民事法律扶助事業に対する国の補助金の支出について法律に根拠を置くものとしたものであります。
 しかしながら、国の補助金の支出につきましては、国の財政状況その他諸般の事情によって政策合目的的に決定されるべきものでありまして、国の予算の範囲内で行われるものである。そしてまた、指定法人制度を採用している趣旨が民間活力をも利用しつつ民事法律扶助事業の整備発展を図るという趣旨からしますと、民間からの寄附金、これが自主事業に対してだけではなく民事法律扶助事業に対しても当然期待される。そういうことから、さらに予算の範囲内において民事法律扶助事業に要する費用の一部を補助することができることとしたものでございます。
#77
○福島瑞穂君 国の責務を三条できちっと規定しているわけですから、将来的にはこの部分のぜひ見直しをしていただきたいという要望を述べさせていただきます。特に、自治体などから補助を受けている、例えばシェルターなどもそうなんですが、予算に応じて、今予算カットが非常に進んでいて、そのため非常に苦しむということもありますので、この費用の一部という解釈が年度によって非常に変わるとか非常に下げられるということのないよう要望したいと思います。
 先ほど江田委員も質問しましたが、以前も質問しましたが、二条の「我が国に住所を有し適法に在留する者」に移ります。
 先ほどおっしゃいましたように、民事法律扶助事業に要する費用に関しては民間の寄附金も入っているわけです。ですから、ここを「我が国に住所を有し適法に在留する者」というふうに限定をすることは、費用の点からも説明がつかないと思います。
 法務省は、一貫して税金を使うのだからということをおっしゃいましたけれども、先ほどおっしゃったように民間活力と寄附ということを強調されましたから、それでしたら従来の扶助協会の運営を尊重して、「適法に在留する者」という部分を見直すということはできないのでしょうか。
#78
○政府参考人(横山匡輝君) 本法案に基づく指定法人制度におきまして、民間活力の利用を当然考慮に入れていると言いましたけれども、事業の実際から見ますと、現行の法律扶助事業について言いますと、法律扶助事業費のほとんどの部分が国からの補助金と、それをベースにした償還金で賄われておる。もちろん民間からの寄附も入っておるのもありますけれども。
 そういうことで、民間からの寄付金が一部入っているということから、先ほど来述べております扶助の対象となる外国人の方々について、「我が国に住所を有し適法に在留する者」と、そこの要件を云々するというのは適当でない、そのように考えております。
#79
○福島瑞穂君 日本は人種差別撤廃条約を批准しており、恐らく一年以内に人種差別撤廃委員会において日本政府の報告書が審理される予定と聞いております。人種差別撤廃禁止法をつくろうという動きも大変強いわけですが、石原都知事の三国人発言に見られるように、外国人に対するやはり管理あるいは排撃、差別という構造は日本の中にまだまだあると思います。これが二条において「適法に在留する者」とすることが、例えば石原都知事は、不法残留者が犯罪を非常に起こす可能性がある、犯罪がふえているということを言っておりますけれども、ここの二条の条文で、「我が国に住所を有し適法に在留する者」とすることが外国人の差別に結びつくのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
#80
○政府参考人(横山匡輝君) ただいま委員も国際人権B規約のことに触れられました……
#81
○福島瑞穂君 いや、人種差別撤廃条約です。
#82
○政府参考人(横山匡輝君) 失礼、人種差別撤廃条約について言っていましたけれども、これらにつきましては、私どもとしましては、まず法制度として、我が国に不適法に在留する外国人までを対象とすることは、本法案が念頭に置いている全世帯の下から二割の所得層ですら満足に扶助の事由を満たしていない現状において、果たして国民の理解を得ることができるのか、不法在留罪まで設けて適正な出入国管理を図ろうとしている入管法の趣旨を損なうおそれはないのか等の問題がありまして、不適法に我が国に在留する者までを対象とするのは相当でないと考えておりまして、それ自体は私どもは合理的な理由であると考えております。
 そして、あともう一つ、特定の人種等に限って差別をするとか、そういうものではもちろんございませんし、適法、不適法を理由に区別するということ自体は相当な理由がありまして、そういう意味では不合理ないわゆる差別には当たらないというふうに考えております。
#83
○福島瑞穂君 先ほど江田委員の質問に対しても答えられ、江田さんも質問されたんですが、入管行政とそれからこの民事法律扶助法のリンクを法務省は非常に主張されるわけです。民事法律扶助法の中でなぜここが、適法というのが入るのかというと、必ず答えは入管法というふうにおっしゃるわけですね。しかし、同じ役所だからといって入管法を理由に民事法律扶助法の説明をされるのはいかがなものかと。社会保障ということをずっと、社会福祉ということをずっと局長は答弁されていらっしゃいます。社会福祉は国民だけのものではないだろうというふうに思いますが、いかがですか。
#84
○政府参考人(横山匡輝君) 憲法二十五条のもとにおける社会福祉の制度、これが国民だけを対象にしているのか、外国人までも対象にしているのか、これはなかなか難しい問題があろうかと思います。
 これについて議論するのはいかがかと思いますけれども、やはり先ほど来繰り返しておりますけれども、不法滞在する外国人の方々を対象にしないということについては相当な理由があると考えているところでありまして、そういう中で入管行政のことを考えてというよりも、民事法律扶助事業を一つの国の法制度として考えるときは、やはり全体の法制度の整合性というのはもう当然考えなければならないわけでありまして、出入国管理の適正を図るという観点から、つい最近も不法滞在罪まで設けて出入国管理の適正を期すという法整備を図っているという中で、一方扶助の方ではそういうこととはかかわりなく不法に滞在している方々も、例えば資力要件あるいは勝訴要件さえあれば国費を投じて扶助していくということについて、果たして法制度としての整合性はいかがなものなのか。また、国民の方々のそこら辺の御理解も十分得られるのか。そのあたり、私どもとしましては慎重に検討する必要がある、このように考えておるところでございます。
#85
○福島瑞穂君 裁判を受ける権利は外国人に保障されていないのでしょうか。
#86
○政府参考人(横山匡輝君) 憲法三十二条の裁判を受ける権利は、条文に記載のとおり何人にも保障されていると考えております。
#87
○福島瑞穂君 入管行政とそれから何人も権利救済をされる権利があるということは、別のレベルの問題だと考えます。ここはぜひ将来、非常に問題がある条項だと思いますので、ぜひ見直しをしてくださるよう強く要望したいというふうに思います。
 次に、支払う能力がない、「支払により生活に著しい支障を生ずる国民」というのが二条にあります。実際的にどういう人がこれに当たるようになるのかということなんですが、これは世帯単位で考えるのでしょうか。それとも個人単位で考えるのでしょうか。専業主婦の人はどうなるのか、大学生はどうなるのかについて教えてください。
#88
○政府参考人(横山匡輝君) 扶助の対象となります方々は、先ほど来出ております全世帯の下からおよそ二割の所得層を対象としておりまして、標準的な金額といいますと、親子三人の家族の場合の資力基準は手取り月収二十七万二千円以下を基準額とし、あとは大都市かどうかとか、いろいろな数値でさらに柔軟性を持たせております。
 それで、ただいま委員御指摘の資力基準の認定に当たって世帯単位で判断するのかどうか等の点につきまして、まず現行の基準について申し上げますと、一つの世帯に所得を得ている方が二人以上いる場合は、それが申込者とその配偶者である場合には双方の所得を合算した額で資力を判定しておりますが、申込者との関係が配偶者以外の家族、親や子などの場合ですが、このような場合にはそれぞれ別個に資力を判定するのを基本としつつ、その家族の方が申込者の生計に貢献していることが明らかな場合には、その家族の方の収入を貢献している範囲で申込者の収入に加算することとされております。
 もっとも、申込者の配偶者、それ以外の家族のいずれの場合でありましても、そのような方々が申込事件における紛争の相手方である場合、こういう場合にはもちろんその収入は申込者の収入には加算しないこととしております。
 したがいまして、扶助の申込者が御指摘の専業主婦である場合の資力の認定は、夫婦合算を基本とし、離婚訴訟のように夫が紛争の相手方であれば妻のみの資力で判断することとなり、御指摘の大学生の場合には、当該大学生のみの資力を基本としつつ、その両親等が当該大学生の生計に貢献している場合には両親の資力も加算すべきこととなります。
 本法案におきましても、本法案のもとにおきます民事法律扶助事業におきましても、このような現行の実務の運用が参考にされるべきものと考えております。
#89
○福島瑞穂君 どうもありがとうございます。
 細かいことのようなんですが、例えば私は知り合いの中に、セクシュアルハラスメントの裁判を起こすのにお金がなくて、三十万円を友人、知り合いに借りてやっと裁判を起こしたという女性を知っています。初めに二十万でも十万でも三十万でもあれば裁判が起こせるんですが、そうでなければ裁判を起こせない。知り合いに頼んでお金を貸してもらったと。
 ケースによっては夫が提訴に反対をしていたり、いろんなケースがありますので、ここの支払う能力がない、あるいは「支払により生活に著しい支障を生ずる」というのはむしろ柔軟に、かなり個人単位に考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
#90
○政府参考人(横山匡輝君) 先ほど御説明しましたように、専業主婦の場合はやはり夫婦合算を基本としつつ、それぞれの事件の特殊性といいますか、事情等も考慮してそこは弾力的に判断するのが好ましい場合というのはあり得るのかなと思っております。
 ですから、本法案のもとにおける制度におきましても、そのようなところは当然配慮すべきことかなと、こういうふうに考えております。
#91
○福島瑞穂君 第一回目のときに、民事になぜ限ったのかという質問がいろんな委員から出たと思います。私も質問しましたけれども、それについては、少年法の改正で検察官関与の場合に付添人も必要的になるから、あるいは司法制度改革の議論があるからということがありましたけれども、小寺参考人の方からは、割と冒頭から法務省から民事に限るということが出されたということの説明がありました。
 ですから、再びお聞きします。なぜ、民事に限っているのでしょうか。
#92
○国務大臣(臼井日出男君) 今、委員から御指摘をいただきました民事に限定した理由ということにつきましては、この民事法律扶助制度につきましてはかねてからその立法化の御指摘がございまして、平成六年の法律扶助制度研究会の研究結果や昨年の司法制度改革審議会設置法案の御審議の際の衆参両院における法務委員会の附帯決議等を受けまして、その基本的な枠組みを定める法律が緊急に必要であるとの認識に立って今国会に提出させていただいたわけでございます。
 他方、刑事事件は、国家刑罰の実現として、国が本人の意思にかかわらず権限を行使して被疑者、被告人を刑事手続にのせるものでございますから、私的な紛争の解決を目的とする民事事件に比べて、より迅速、より確実な弁護人の選任等を行う必要がございます。
 また、既に被告人について国選弁護人制度があるわけでございまして、これと統一的、総合的に実施するということが望ましいと考えられるなど、民事事件と異なり必ずしも法律扶助になじむものではない、このような考えから区別をいたしているのでございます。
#93
○福島瑞穂君 いや、最終的に民事に限られたというのではなくて、冒頭から法務省と弁護士会などの話し合いの中で民事に限ってほしいというふうに法務省から言われたので、弁護士会としては刑事も入れてほしいという、非常に大激論があったというのが事実なんじゃないでしょうか。
 それで、お聞きします。
 今、司法制度改革審議会の中で、被疑者段階での国選弁護人制度の検討、少年の付き添いの問題、この点はどうなっているのでしょうか。
#94
○政府参考人(横山匡輝君) 今、委員御指摘の点につきましては、今後議論がされることになるのではないかと承知しております。
#95
○福島瑞穂君 具体的な議論はまだ何もないのでしょうか。
#96
○政府参考人(横山匡輝君) 司法制度改革審議会そのものにつきましては、まことに申しわけございませんが、私、所掌しているものではございませんで、そこのあたりについて具体的にどういう方向に今なるのか、そういう具体的なところまでは承知しておりませんので、御容赦いただきたいと思います。
#97
○福島瑞穂君 今回の法律から明らかに漏れた問題については、局長の方は把握されていないということなんですけれども、ぜひ司法制度改革審議会等できちっと議論がされることを、あるいは法務省がぜひそれをバックアップしてくださることを要望して、私の質問を終わります。
#98
○委員長(風間昶君) 他に御発言もないようですから、本案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 民事法律扶助法案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#99
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、竹村泰子君から発言を求められておりますので、これを許します。竹村泰子君。
#100
○竹村泰子君 私は、ただいま可決されました民事法律扶助法案に対し、自由民主党・保守党、民主党・新緑風会、公明党・改革クラブ、日本共産党、社会民主党・護憲連合及び参議院クラブの各派並びに各派に属さない議員中村敦夫君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    民事法律扶助法案に対する附帯決議(案)
  政府及び関係者は、次の諸点について格段の配慮をすべきである。
 一 民事法律扶助制度が憲法第三十二条の裁判を受ける権利を実質的に保障する制度であることにかんがみ、財政措置を含む民事法律扶助制度の拡充に努めること。
 二 扶助を必要とする者にできる限り民事法律扶助制度が利用されるよう、その趣旨及び内容について、周知徹底を図ること。
 三 民事法律扶助事業の運営については、生活保護受給者及びこれに準ずる者に対する償還免除の取扱いに十分配意するとともに、無料法律相談の実施等司法へのアクセスを容易にする体制を整備することに努め、同事業の統一的な運営体制の整備及び全国的に均質な運営が行われるよう努めること。
 四 指定法人が民事法律扶助事業以外の自主的な法律扶助事業を行う場合には、その自主事業に配意すること。
 五 法律相談については、国民等の利便性を確保する観点から、法律実務家を広く活用するための環境整備を図ること。
 六 国民に迅速かつ適正に法的サービスが提供されるよう、民事法律扶助事業の対象者・対象層の拡大、法人に対する法的支援制度、少年事件、被疑者段階における刑事弁護をも視野に入れた刑事に関する総合的な公的弁護制度の導入などについて、司法制度改革審議会の審議結果等を踏まえ、鋭意検討すること。
   右決議する。
 以上でございます。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
#101
○委員長(風間昶君) ただいま竹村君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#102
○委員長(風間昶君) 全会一致と認めます。よって、竹村君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、臼井法務大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。臼井法務大臣。
#103
○国務大臣(臼井日出男君) ただいま可決されました附帯決議につきましては、その趣旨を踏まえ、適切に対処してまいりたいと存じます。
#104
○委員長(風間昶君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#105
○委員長(風間昶君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後四時五十九分散会
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト