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1950/12/04 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 建設委員会 第3号
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1950/12/04 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 建設委員会 第3号

#1
第009回国会 建設委員会 第3号
昭和二十五年十二月四日(月曜日)
   午後一時三十分開会
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○松江国際文化観光都市建設法案(衆
 議院提出)
  ―――――――――――――
#2
○委員長(小林英三君) 只今より委員会を開会いたします。本委員会に付託になりました松江國際文化観光都市建設法案を議題に供します。先ず本法案に対する発議者の御説明を願います。
#3
○衆議院議員(山本利壽君) 今回松江國際文化観光都市建設法案を提出いたしまして、皆様の御審議を頂きますに当り、その提出理由について、いささか申述べさせて頂きたいと存じます。
 日本文化の発祥の地として典型的な日本美を有する松江市は、自然美と文化資源によつて独自な雰囲気を有し、失われざる日本の美しさを遺憾なく具現しており、幽靜な自然の環境と素朴な地方性は、國際國家としての、日本の再出発に当りまして、内外文化人に日本美を再発見せしめるのに十分であります。
 先ず松江の位置についてでありますが、東には出雲富士として有名な國立公園伯耆大山を控え、西には今回毎日新聞選定の百景の一つとなりました三瓶山を持ち、その中間の平野にあるスイスのニユーシヤテル湖そのままと言われる美しい宍道湖と中の海との連なるところに位置する松平氏十八万六千石の城下町であります。
 御承知のごとく出雲は天孫降臨以前から繁栄した日本文化発祥の地でありまして、現に松江市及びその近郊には、古代文化の遺跡並びに國宝松江城、菅田庵茶室等、その他國宝に指定されたる貴重なる文化財五十余、重要美術品に指定されたるもの十数点、史跡名勝天然記念物に指定を受けた場所は八十ヶ所になんなんとしておりまして、市街を囲繞する観光地は、勝れたる山岳、海岸美を有し、いずれも日本の代表的観光美の象徴であります。又世界的文豪ラフカデイオ・ハーンがこの地に住み、ここで日本人の妻をめとり、代表的名著グリンプセス・オブ・アンフアミリア・ジヤパン即ち知られざる日本の面影という著書においてその流麗なる筆致によつて松江一帯の自然美と人情の美を知らしめたことによりまして、松江市は國際的にその名が知れ渡つております。而も日本に来る國際観光客は大抵インテリでありますから、ハーンの遺跡訪問を希望する瀞が非常に多いのでありまして、この点から言つても國際観光都市として発展し得る可能性を持つているのであります。かの世界文化研究に造詣の深いノツシング女史は松江の印象を「松江市は地理的に最も恵まれた位置にあり、ここにある一切は美しい風景を造り上げている。丘も森も河も鳥も、又湖水も、宍道湖はスイスのニユーシヤテル湖を彷彿せしめる」と言い、更に松江は單に風光の美のみならず、日本文化の中心地の一つである。と述べております。又我が國言論界の長老伊藤正徳氏は中央公論誌上において「日本一と書いたら方々から苦情が来るかも知れないが敢てそれらの苦情を正面から引受けて辞しない絶讃を私は松江市郊外嵩山に感じたのである。嵩山から見た景色は、本当に筆紙に尽し得ない。それは日本庭園の真髄を理想的に拡大したものに他ならない。逆に言えば平安朝以後の我が代表庭園はこの嵩山の風光を一万分の一に縮写したものと言つていい。」と述べております。現に、あらゆる内外文化人の松江を訪れる者は、その自然美と温和な人情風俗に接して讃嘆せざる者はないのでありまして、一九五〇年ラフカデイオ・ハーン生誕百年の記念すべき年に当りまして、松江市において開催された國際的記念祭を契機として、國際的都市としての輿論は澎湃として高まりつつあり「ハーンの街」と世界に喧伝されまして、最近松江市を訪問する外國人は日ごとにその数を増しつつあります。かかるが故に最も日本的な都市松江市は國際的交遊の頻度増進により、東洋における國際親善の交歓場として勝れた自然と文化を有しておりまして、國際文化観光都市として建設することは世界恒久平知り理想達成に貢献し我が國の経済復興に寄与するゆえんと存ずる次第であります。今日松江市の有する文化財を保護し、未発見のものを発見研究して社会に送り、観光設備を整えて外客を誘致し経済的にも日本繁栄の一助となるためには國家の援助を必要とし、法律の力を待たねばなりません。日本國家が法律を以てこの運動を助けるとなれば外人の協力もますます盛んとなり、外國における募金も容易となる次第であります。このことは外人のサジエスチヨンによるものであり、今回法案提出についての司令部のOKも曾てなき迅速ぶりでありました。願わくば委員諸氏の良識によりまして、愼重御審議の結果可決して頂きますやうお願い申上げる次第であります。これを以て本法案の提出理由の説明を終ります。
#4
○委員長(小林英三君) 速記を止めて下さい。
   午後一時四十分速記中止
   ―――――・―――――
   午後二時五十四分速記開始
#5
○委員長(小林英三君) それでは速記を始めて下さい。
#6
○小川久義君 松江國際文化観光都市建設法案に対しましては懇談中質疑も尽きたように思いますので、討論を省略して直ちに採決をして頂きたいという動議を提出いたします。
#7
○委員長(小林英三君) 只今小川委員からいたしまして、質疑を打切り、討論を省略して直ちに採決に入る動議が出ましたが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○委員長(小林英三君) それでは松江國際文化観光都市建設法案、この原案に賛成の諸君の起立を求めます。
   〔総員起立〕
#9
○委員長(小林英三君) 全員であります。よつて本案は可決決定いたしました。
#10
○衆議院議員(山本利壽君) 本日は非常に熱心な御討議を頂きまして、本案の提出者といたしましても感激に堪えません。殊に結論におきまして満場一致、委員会において可決して頂きましたことに対しまして厚くお礼を申上げます。今後とも松江育成のために御協力頂きますようにお願いいたします。
#11
○委員長(小林英三君) 尚本会議におきまする委員長の口頭報告の内容は、本院規則第百四條によりまして予め多数意見者の承認を経なければならないことに相成つておりまするから、これは委員長におきまして本案の内容、委員会における質疑応答の要旨、討論の要旨及び表決の結果を報告することといたしまして、御承認を願うことに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#12
○委員長(小林英三君) 御異議ないものと認めます。
 それから本院規則第七十三條によりまして、委員長が議院に提出する報告書には多数意見者の署名を附することに相成つておりまするから、本案を可とされた方々は順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
    東   隆  田中  一
    江田 三郎  岩崎正三郎
    石川 榮一  深水 六郎
    田方  進  島津 忠彦
    徳川 宗敬  小川 久義
#13
○委員長(小林英三君) 御署名漏れはございませんか……。なしと認めます。速記を止めて下さい。
   午後二時五十八分速記中止
   ―――――・―――――
   午後四時十分速記開始
#14
○委員長(小林英三君) 速記を始めて下さい。では質疑も尽きたようですから、本日はこの程度にして散会いたします。
   午後四時十一分散会
ソース: 国立国会図書館
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