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2000/05/30 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 総務委員会 第10号
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2000/05/30 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 総務委員会 第10号

#1
第147回国会 総務委員会 第10号
平成十二年五月三十日(火曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月二十五日
    辞任         補欠選任   
     角田 義一君     千葉 景子君
     本田 良一君     浅尾慶一郎君
     柳田  稔君     堀  利和君
     林  紀子君     吉川 春子君
     山本 正和君     谷本  巍君
 五月二十六日
    辞任         補欠選任   
     浅尾慶一郎君     松崎 俊久君
     木庭健太郎君     弘友 和夫君
     谷本  巍君     山本 正和君
 五月二十九日
    辞任         補欠選任   
     松崎 俊久君     本田 良一君
     弘友 和夫君     木庭健太郎君
 五月三十日
    辞任         補欠選任   
     本田 良一君     櫻井  充君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         小川 勝也君
    理 事
                海老原義彦君
                鴻池 祥肇君
                橋本 聖子君
                広中和歌子君
                高橋 令則君
    委 員
                石井 道子君
                泉  信也君
                長峯  基君
                西田 吉宏君
                松谷蒼一郎君
                森田 次夫君
                櫻井  充君
                千葉 景子君
                堀  利和君
                前川 忠夫君
                木庭健太郎君
                山下 栄一君
                阿部 幸代君
                吉川 春子君
                山本 正和君
   委員以外の議員
       発議者      竹村 泰子君
   衆議院議員
       発議者      虎島 和夫君
       発議者      河合 正智君
       発議者      加藤 六月君
   国務大臣
       国務大臣
       (内閣官房長官) 青木 幹雄君
   政務次官
       総理府政務次官  長峯  基君
   政府特別補佐人
       内閣法制局長官  津野  修君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        石田 祐幸君
   政府参考人
       内閣官房内閣外
       政審議室長    阿南 惟茂君
       外務大臣官房審
       議官       神余 隆博君
       外務省アジア局
       長        槙田 邦彦君
       厚生省社会・援
       護局長      炭谷  茂君
   参考人
       弁護士      金  敬得君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○参考人の出席要求に関する件
○平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対
 する弔慰金等の支給に関する法律案(衆議院提
 出)
○平和条約国籍離脱者等である戦傷病者等に対す
 る特別障害給付金等の支給に関する法律案(今
 井澄君外三名発議)

    ─────────────
#2
○委員長(小川勝也君) ただいまから総務委員会を開会いたします。
 まず、委員の異動について御報告いたします。
 去る二十五日、角田義一君、柳田稔君及び林紀子君が委員を辞任され、その補欠として千葉景子君、堀利和君及び吉川春子君が選任されました。
 また、本日、本田良一君が委員を辞任され、その補欠として櫻井充君が選任されました。
    ─────────────
#3
○委員長(小川勝也君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律案及び平和条約国籍離脱者等である戦傷病者等に対する特別障害給付金等の支給に関する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣官房内閣外政審議室長阿南惟茂君、外務大臣官房審議官神余隆博君、外務省アジア局長槙田邦彦君及び厚生省社会・援護局長炭谷茂君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○委員長(小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#5
○委員長(小川勝也君) 参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律案及び平和条約国籍離脱者等である戦傷病者等に対する特別障害給付金等の支給に関する法律案の審査のため、本日の委員会に弁護士金敬得君を参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
#7
○委員長(小川勝也君) 平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律案及び平和条約国籍離脱者等である戦傷病者等に対する特別障害給付金等の支給に関する法律案の両案を一括して議題といたします。
 両案につきましては既に趣旨説明を聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
#8
○森田次夫君 自由民主党の森田次夫でございます。
 虎島先生初め、提案者の先生方、大変御苦労さまでございます。
 私に与えられました時間はたったの二十分でございますので、早速質問に入らせていただきたいと思うわけでございますけれども、まず最初に、政府は、韓国人の旧日本軍人軍属等の方々に対する補償の問題につきましては、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によって法的には完全かつ最終的に解決済みと、そのような認識を再三示されているわけでございますけれども、具体的にどのような取り決めがなされたのか。これは外務省にお伺いさせていただきたいと思います。
#9
○政府参考人(槙田邦彦君) 昭和四十年に委員御指摘の日韓請求権・経済協力協定が結ばれたわけでございますが、その協定の第二条一項がございまして、そこにおきましては、日韓両国及びその国民の財産、権利及び利益並びに両国及びその国民の間の請求権に関する問題が完全かつ最終的に解決したということが規定されているわけでございます。また、同じ協定の第二条三項というのがございまして、ここにおきましては、一方の締約国及びその国民の財産、権利及び利益であって同協定の署名の日に他方の締約国の管轄のもとにあるものに対してとられる措置について今後いかなる主張もなされ得ないと規定しているわけでございます。このことは、言葉をかえて申し上げれば、この協定の対象となっているこれらの財産、権利及び利益につきまして具体的にどのような措置をとるかについては、他方の締約国、今のケースで申しますと、我が国日本の決定にゆだねられるということを意味するわけでございます。
 この規定を受けまして、我が国はこのような韓国及び韓国国民の係る財産、権利及び利益について国内法を制定しておりまして、この法律は一般に措置法と呼ばれておりますが、長い名称の法律でございます。財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定第二条の実施に伴う大韓民国等の財産権に対する措置に関する法律ということでございますが、この法律を制定いたしまして、このような韓国及び韓国民の係る財産、権利及び利益につきましては、これを消滅せしめる措置をとったというわけでございます。
#10
○森田次夫君 私の認識をちょっと確認させていただきたいと思うのでございます。
 朝鮮半島出身者の補償の問題でございますけれども、これは二国間の特別取り決めにゆだねられたというのが一つあろうかと思います。それから、国籍条項あるいは戸籍条項の問題でございますけれども、これが設けられたことにつきましては合理性がある。これは最高裁の平成四年だったですか、これの判決でも出ておるわけでございますし、それから韓国側から提出されました対日請求権要綱というのがございます。いわゆる八項目の内容でございますが、そういったことがあるわけでございますが、そうした中に戦争に対する被害の補償だとか、それから恩給の問題、こういったものもすべてその中に含まれておる、こういうふうに私は認識しておるわけです。そういったことで、協定でも完全かつ最終的に解決済みだと、こういうことが明記されておるわけでございまして、そうしたことでこの問題が今回の法案の一番のポイントかな、このように思うわけで、その辺もう一つ確認をさせていただきたいと思うのでございます。
#11
○政府参考人(槙田邦彦君) 韓国の対日請求要綱というのが、いわゆる八項目、今、委員も御指摘になりましたけれども、これがあるわけでございます。
 これは、日韓正常化の交渉をやっておりますときの会談で韓国側から提出された韓国の対日請求要綱というもの、いわゆる八項目でございますけれども、この八項目につきましてはこの協定に関する合意議事録というものがございまして、そこにはまさに完全かつ最終的に解決されたという、財産、権利及び利益、それから請求権に関する問題にはこの八項目の範囲に属するすべての請求が含まれておって、したがって、この八項目に関してはいかなる主張もなし得ないこととなることが確認されたというふうに書いてあるわけでございます。そのように合議をされておりますので、したがいまして、まさに法的には完全かつ最終的に解決されたというのが我々の認識でございます。
#12
○森田次夫君 法的に完全に解決されたという御答弁でございますので、それで結構でございます。
 次に、日韓協定に基づきまして、韓国の政府としては韓国人のいわゆる旧日本軍人軍属、こういった方々あるいは徴用者も含まれるかと思いますけれども、どのような措置をされておられるのかどうなのか。それと、あと在日の韓国人の方々でございます。これにつきましての補償はどうなっておるのか、この二点についてお伺いをさせていただきたいと思います。外務省、よろしくお願いします。
#13
○政府参考人(槙田邦彦君) 韓国政府は、この韓国人の旧日本軍人軍属あるいは被徴用者の問題につきまして政府の方でいろいろ御検討をされたわけでございまして、昭和四十六年一月には対日民間請求権申告に関する法律というものを制定しております。さらに、昭和四十九年十二月には対日民間請求権補償に関する法律というものを制定しておりまして、これらの法律に基づいて、日本国によって軍人軍属または労務者として召集または徴用され昭和二十年八月十五日以前に死亡した者について一人当たり三十万ウォン、これは当時のレートで申しますと約十九万円に相当するとのことでございますが、三十万ウォンの補償を行ったということがございます。
 他方、在日韓国人についてはこのような措置の対象外とされたというふうに承知しておりますので、したがいまして在日韓国人の方々はこういう補償を受け取っていないということになります。
#14
○森田次夫君 よくわかりました。
 在韓の戦没者の遺族に対しては三十万ウォンが出ておる、しかしながら在日の韓国人、台湾人も一部含まれるんじゃないかと思いますけれども、これにつきましては国籍条項なりあるいは戸籍条項、こういったことで適用外だ、こういうことだろうと思います。そうしたことでもって、在日韓国人の方につきましてはそのはざまでもって今日まで何の補償も受けていないということで、まことにお気の毒だろう、このように思うわけでございます。
 そこで、今回の措置につきまして韓国政府なりなんなりはどのような反応といいますか評価といいますかそういうことを示されておられるのかどうか、その辺わかりましたらひとつ教えていただきたいと思います。
#15
○政府参考人(槙田邦彦君) この御審議の法案につきましていろいろ先生方が御苦労なさっておる間に、私どももこの法律の考え方というふうなものにつきましてはいろいろな機会をとらえて韓国の政府であるとかあるいは在日韓国人の団体に説明をしてきておるわけでございます。この措置の性格であるとか内容あるいは進捗状況、そういうものを説明してきておるわけでございますけれども、これに対しましては韓国側からは幾つかの要望が出ておるわけでございます。
 それは、例えば亡くなられた方がたくさんおられるわけでございますけれども、他方、今なお生きておられる方がおられるわけでございますから、そういう生存者に対しましては何とか手厚い措置をしてほしいというふうな要望でありますとか、あるいは救済されるべき方々の対象範囲を広げてほしいとか、あるいは日本人と同等の措置をとってほしいというふうな要望があったわけでございます。
 こういうさまざまな要望につきましては、私どもといたしまして関係の議員の方々にもお伝えをしておりまして、そういう要望を踏まえた上で今回の法案も策定されているというふうに承知をしておるわけでございます。
 このような措置に対して、韓国政府と申しましょうか韓国側の反応がどういうものであるのかということにつきましては、もちろん私どもとして予断を持ってお答えするということは差し控えたいと思うのでございますが、いずれにしましてもこの法案が成立すれば、政府として我が国の立場であるとかこの措置の趣旨や内容等について韓国側に十分説明を続けまして、韓国側の理解を求めていくように努力を重ねていきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
#16
○森田次夫君 今回の措置がいわゆる戦後補償ではなく、関係者の高齢化等を踏まえた人道に基づく措置である、こういうことだろうというふうに思います。
 そうした中でもって、ただいま韓国からの要望の中で日本人と同等というようなお話等もございましたけれども、この民主党の対案を見ますと、いわゆる戦傷病者等に対して恩給法、援護法と同等の年金を支給すべきだ、こういうような対案が出ておるわけでございますけれども、人道的な精神に基づく措置という観点から、もう既にこの補償の問題というのは解決済みであるわけなんですね。
 そうした中からこういうことが出されるというのはどうかなというふうに思うわけでございますけれども、その辺提案者の方で、虎島先生なりなんなりからこの民主党の対案につきましてどのようにお考えになっておられるのか、ちょっとその辺をお聞かせいただければと思います。
#17
○衆議院議員(河合正智君) 森田委員にお答えさせていただきます。
 先生御承知のように、また先ほど来答弁の中で既に申し上げられているとおりでございますけれども、在日韓国人旧軍人軍属等の方々に対します補償の問題につきましては、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によりまして、法律的には日韓両国間で完全かつ最終的に解決済みというのが日本政府のとってまいりました基本的立場であると認識しております。
 この法案につきましては、以上のような戦後処理の法的枠組みを前提としつつも、日韓のはざまで関係者の高齢化が進展しています状況等にかんがみ、人道的精神に基づきまして、在日韓国人旧軍人軍属戦没者遺族等に対しまして弔慰の意等をあらわすための所要の措置を講じようとするものでございます。
 また、本法案に基づく各給付の水準につきましては、在韓の方、在台の方々にとられました措置との均衡や関係者の皆様の置かれました状況等を総合的に勘案いたしまして、人道的観点から我が国の誠意を示すという給付の性格からいたしまして最大限の配慮を行った結果決定したものでございます。
 なお、民主党案も人道的精神に基づいて立法作業が行われたものと承知いたしております。ただし、国家補償的性格を有するとされております戦傷病者戦没者遺族等援護法と同一の年金を支給するということにつきましては、我が国の戦後補償の法的枠組みとの関係で重大な問題を有するものと私たちは考えております。
 なお、与党案におきましても、重度戦傷病者等の方々に対しましては、高齢かつ重度障害という状況に着目いたしまして、今後の老後設計、生活設計の一助という観点から、老後生活設計支援特別給付金を見舞金に加えまして支給するという特段の配慮を行っているところでございます。御理解を賜りたいと存じます。
#18
○森田次夫君 よくわかりました。
 最後の質問になろうかと思いますけれども、在日韓国人等の方々は我が国に定住し納税の義務等も果たしておられるわけでございます。それとともに、住民の当然の権利として福祉など行政サービスも受けておるわけでございます。
 また、多くの行政サービスは所得だとか収入だとか納税額が基準になっておるだろうと思うのでございますけれども、保険料は本人の一部負担、あるいは給付されるサービスがこれで決まってくるのではないかなというふうに思うわけでございます。
 そこで、今回の弔慰金、見舞金の支給に伴いまして在日韓国人等の税の負担が増大するとか、それから福祉の措置が停止するとか削減されるとか、負担がふえるとすれば、人道的精神、そういうことでせっかくやっておるこの措置がその名のもとに背くのではないだろうか、こんなふうにも思うわけでございます。
 これは、衆議院の附帯決議の中にも付されておるわけでございますけれども、これらにつきまして具体的にどのような配慮をしていただけるのかどうなのか。そういったことについて、最後の質問になろうかと思いますけれども、ちょっとお教えいただければなと、このように思います。
#19
○衆議院議員(虎島和夫君) こういう機会を与えていただきまして心から感謝を申し上げます。
 ただいまの御質問でありますけれども、私どもこの点については特に配慮をしなければならぬという認識のもとに、在日外国人特別永住者等が受けております各種社会保障制度、つまり障害者福祉制度、老人福祉制度、介護保険制度あるいは年金制度、生活保護制度等々があるわけでありますけれども、これらのことが一時所得という形で減殺されるということになっては本法の趣旨に合わないということで、政府の方に見解を求めました。政府は、これは法律で制定しなくても行政措置としてやるという政府側の答弁もありましたけれども、なお我々院としては、このような附帯決議をし、このことに対する政府の見解を求めて、御趣旨のとおり実行したいという担保をとっておることをつけ加えて御説明させていただきます。
 以上であります。
#20
○森田次夫君 終わります。
#21
○山下栄一君 今回の議員立法の措置につきましては、これは基本的人権の保障を前進させるという大変大きな意義があると私は評価させていただきたいと思います。
 その上で、まず最初に発議者にお聞きしたいと思いますけれども、先ほどから質問ございましたように、この法案の趣旨、弔慰金等の支給対象者を在日韓国人等の旧日本軍軍人軍属、戦傷病者、そして戦没者遺族等と、このようになっておるわけでございますけれども、この問題について解決済みということで今まで長い間放置されてきたと。この問題を昨年ぐらいからだったと思いますけれども、やはりこの中間に埋もれてしまっている人を何とか救おうという、そういう動きが出始めたわけですけれども、これには関係者のさまざまな努力があったというふうに思うわけです。
 特に、きょう出席されております発議者である河合議員は、この問題を去年ぐらいからですか国会でも質問されましたし、またきょうの金弁護士、参考人の資料にもございますが、昨年の大阪高裁判決の原告でございます姜富中さん、またおととしの東京高裁の判決原告である石成基さんに直接、河合議員は出向かれてさまざまの無念の思いといいますか、それをお聞きされたというふうにも聞いておるわけでございます。
 そういうさまざまな努力に対しまして本当に敬意を表しますが、発議者の今回の法案提出への思い、また本法律案の制定の意義につきましてお聞きしたいと思います。
#22
○衆議院議員(虎島和夫君) 最近のことについては今、委員の方から経過の説明がございました。
 しかしながら、これは実は私どもが自社さ連合政権をつくっておりましたときに、戦後五十年問題プロジェクトチームというのができまして、私もその座長を仰せつかっておったわけでありますが、その際にも実はこのことについて深く論議をしたわけでありますが、成案を得ることができなかった。したがって、このことは当時のプロジェクトチームの懸案事項として明記して、そしてなるべく早く解決が望まれるという結論であのプロジェクトチームを解散した経緯があるわけであります。したがって私も、あるいは恐らく当時かかわっておった先生方も、政治家としてこのことは懸案という御認識のもとに今日まで来られたと思うんです。
 その間の経緯として、衆議院の方におきましては内閣委員会の方でそれぞれ各党の先生方からも当時の官房長官に対して御質疑があり、あるいは御要望等がありました。これに対しては、当時の野中官房長官からも、やはり懸案事項である、二十世紀に起こったことは二十世紀中に片づけたいという実は意向の表明等々がありました。これは現官房長官の答弁にも引き継がれてまいりました経緯があるわけであります。
 それらから一気に、今回も私どもだけでなくて、これは自自公時代から実は論議がまた始まってまいりました。そして、今日では自公保という枠組みの中でこのような成案を最終的に得るようになったわけであります。経過の御説明を若干申し上げまして、問題の所在についての回答にかえさせていただきたいと思います。
 以上であります。
#23
○山下栄一君 今回の弔慰金等の支給対象者ですけれども、在日の韓国籍の方々、もちろんそれにとどまらず在日の北朝鮮の方々、そして台湾出身の方々と、このようにしておりますけれども、既に日本に帰化された方も含める、こういうふうに書かれております。
 さらに重度戦傷病者である本人に対しては見舞金二百万円に加えてさらに二百万円の、先ほどもお話しございましたけれども、生活支援の特別給付金が同時に支給される点等、我が党の主張が大きく反映されたと、こういうふうに聞いておるわけでございます。過去の我が国における同種同様の措置や諸外国に比べまして、私は遜色のない一歩前進の措置だと考えるわけですけれども、対象者の範囲、それから弔慰金等の金額について、これは民主党案と若干違う金額になっておるわけですけれども、重度戦傷病者の障害の程度についてどのようなお考えでこういう内容になったのか、そういう経緯を含めて河合発議者にお聞きしたい。先ほどちょっと触れましたけれども、ここにかけてきた河合議員の思いも含めてお答えいただきたいと思います。
#24
○衆議院議員(河合正智君) 山下委員にお答えさせていただきます。少し長くなりますけれども、お許しいただきたいと思います。
 本件措置の対象者のまず基本的な要件でございますが、サンフランシスコ平和条約により日本の国籍を離脱した者であって、引き続き日本に在留している方々でございます。これは朝鮮半島及び台湾出身者及び帰化された方も含むことは委員御指摘のとおりでございます。
 さらに、戦傷病者戦没者遺族等援護法上の軍人軍属、準軍属の戦没者遺族、並びに重度戦傷病者及びその遺族としております。なお、重度戦傷病者の障害の程度につきましては、恩給法別表第一款症以上となっております。これはちなみに旧第七項症以上に相当するものでございます。
 遺族の範囲につきましては、死亡者の死亡の当時におきます配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹及び死亡者と生計関係のあった三親等内の親族としておるところでございます。
 なお、この対象者の範囲につきましては、基本的には台湾特定弔慰金の対象者の範囲を参考としておりますけれども、重度戦傷病者の障害の範囲につきましては、高齢化の進展など在日の戦傷病者の方々の置かれた特別の状況等にかんがみまして、恩給法の体系、増加恩給の有無などでございますけれども、を踏まえまして、第一款症までを対象としたものでございます。ちなみに台湾特定弔慰金につきましては第四項症までとなっておりました。
 さらに、給付の水準につきましては、弔慰金が死亡した者一人につき二百六十万円、見舞金が重度戦傷病者一人につき二百万円、重度戦傷病者老後生活設計支援特別給付金が重度戦傷病者一人につき二百万円とすることといたしました。
 なお、この弔慰金二百六十万円につきましては、在台の方々に対しまして講じられた措置、二百万円でございましたが、その後の社会状況等を勘案してございます。ちなみに、台湾弔慰金における二百万円に平成十二年度までの恩給改定率を乗じますと二百五十一万円となるところでございます。
 さらに、見舞金二百万円及び老後生活設計支援特別給付金二百万円というのは、長年の御労苦をねぎらいますとともに、高齢かつ重度障害であるという対象者の皆様の老後設計の一助という性格を勘案してございます。
 特に、山下委員御指摘のように、私ども公明党といたしまして、対象者に帰化された方も含むように、また給付の内容で重度戦傷病者老後生活設計支援特別給付金二百万円を見舞金二百万円と合わせて支給するということにつきましては、公明党側から自民党の虎島小委員会に強く要望していたところでございますけれども、これが実現されたということにつきましては、私たちは感謝にたえない思いでございます。在日の皆様がこの日本で日本人と同じように生活されて、しかも高齢化されているという現実に対しまして、我が国としてなし得る最大の気持ちを込めた真心をあらわすものと私どもは考えているところでございます。
#25
○山下栄一君 この法律の施行期日ですけれども、「平成十三年一月六日から起算して三月を超えない範囲内において政令で定める日」と、このように書いてありますが、これは対象者が極めて高齢であるということ、先ほどから何遍も言われておりますけれども、少しでもやっぱり早く施行すべきだと思いますし、と同時に、こういう制度ができるということを速やかに周知徹底することが求められるというふうに思います。
 こうした課題に政府がどのように取り組まれるか、お聞きしたいと思います。
#26
○政務次官(長峯基君) お答えいたします。
 先生御承知のとおり、本法案の施行時期は中央省庁再編直後でございまして、日程的に相当厳しいものがあると理解をいたしております。しかしながら、御指摘のように関係者の高齢化が進展いたしておりますので、関係省庁や地方自治体の協力を得て諸準備を急ぎ、制度の広報、相談などを可能な限り早期に行えるように努力いたしたい、そのように思っております。
#27
○山下栄一君 努力をもっとしっかりと、体制を整えて、お願い申し上げたいと思います。
 それと、先ほど森田委員も最後におっしゃっておりましたさまざまな福祉措置への影響、今回の一時金の支給によって福祉措置が停止されたりまた削減されたりすることになりますとこれは何のために支給するのかという、本来の意義が損なわれるというふうに思うわけでございます。
 そこで、ちょっと政府にお聞きしたいんですけれども、厚生省でしょうか、ほかのさまざまな福祉措置というのは、先ほど虎島議員からも少しお話がございましたけれども、これは相当たくさんあるんじゃないかなと思うんですね。それを一々挙げてもらう時間がございませんけれども、どういうふうな制度があるのかということを、所得制限等への影響にかかわるそういう制度がどれぐらいあるのかということを明確にして御報告いただきたいというふうに思います。と同時に、今回の支給措置によって影響されることがないということを、先ほど虎島議員も担保しておるとおっしゃっておりましたけれども、政府の方からもこの点明確にお答えいただきたいと思います。
#28
○政府参考人(炭谷茂君) 在日韓国人の方々につきまして、いろいろな福祉サービスを現在受けていらっしゃるわけでございます。
 今回の措置によって影響を受けるかもしれないというものを私どもなりに想定いたしますと、一番大きいものは、まず生活保護制度、それから社会福祉施設への入所、また介護保険、医療保険などの保険料へのはね返りというようなものが考えられるわけでございます。これらにつきましては、例えば生活保護については対象となる方の収入によって実施の可否が決まったり、福祉施設への入所、社会保険については利用者の負担額が変わるなど、収入によって取り扱いが異なってくる場合が多いわけでございます。
 しかしながら、ただいま先生がおっしゃられましたように、今回の措置が実って、このような福祉措置への影響がないようにするというようなことを私どもとして行わなければならないということは、衆議院の内閣委員会の附帯決議などにも出ているわけでございます。
 このため、私どもといたしましては、具体的には、例えば生活保護制度につきましては、本法律案に基づく弔慰金等を受給したことをもって生活保護が廃止または減額されることのないよう、弔慰金等が収入認定の対象とならないように配慮することとしております。
 また、介護保険や国民保険の保険料などにつきましては、この法律において、十七条でございますけれども、弔慰金等は非課税とするという旨の規定がございます。保険料は課税対象額を主に対象にして計算いたしておりますので、この規定に基づきまして負担額が増加するような不利益は生じないというふうに考えております。
#29
○山下栄一君 終わります。
#30
○千葉景子君 本日は、与党の発議者の皆様も、そして民主党提案者の竹村先生も、そして金弁護士も、本当にありがとうございます。このような審議がこの場で行われますことに、私も改めて心から皆さんにも敬意を表させていただきたいというふうに思っております。
 本来であれば、どういう問題が今問われているのかということを、当事者の皆さんに来ていただいてその生の声をお聞かせいただくことが私は本当はよかったのではないかというふうには考えております。残念ながらそういうことができませんので、若干私の方から、一体今どういう問題があるのだということを、昨年の十一月二十日に在日の姜富中さんが小渕前総理に出された文書、そしてきょう金先生の参考人の資料としてお出しいただいておりますやはり姜富中さんの思い、私の方で若干、せっかくの機会でございますので引用させていただきたいというふうに思っております。姜富中さん。
  私は韓国農家の次男として生まれ、十四歳の頃一人で日本に渡り、一九四二年、「呉海軍」に徴用工として連行されました。数日後、総員集会があり、上官は「諸君たちは只今から大日本帝国の皇国臣民である。立派な呉海軍軍属である。二年間働いてくれ。給料は各自の家へ送金する。また生命保険も掛けてあるから安心してくれ」と言われ、第十九設営隊に配属されました。同年十二月、皇軍兵士としてソロモン群島、ラバウル、ムンダ、コロンバンガラ島、ブイン、ブカ、ポニスの各地に連行され、知らぬうちに海岸警備隊員にされ、敵の昼夜を問わない空爆、艦砲射撃を受ける最前線で、恩賜の煙草三本を貰い、皇国臣民として天皇のため、一億国民のため立派に任務を遂行せよとの命令を受け、伝馬船で爆弾を輸送中に敵の戦闘機の機銃掃射を受け「右手」「右目」を失ったのです。
「私は日本人と同等の補償と、謝罪を求めています。このことなくしては、私の戦争は終わりません。」「国会議員の皆さん、日本が民主主義の国として、差別をなくし、欧米諸国のようにきちんとした戦争責任を果たすよう、強く要望します。私は補償だけを、目的にしておりません。日本政府の戦争責任が正しく実現されることが、これからの世代の人たちに国境を超えた真の信頼と友好を、生み出してくれると信じております。」。
 大変私も、心を本当に動かされる言葉でもございます。こういう皆さんの問題が今この場で審議をされるということでございますが、金先生にきょうはわざわざお越しをいただきました。この間、裁判などにも携われ、一体今、日本の国会は裁判所からどんなことを求められているんだろうか。それから、この参考資料にもございますように、韓国の側でもやはり憲法裁判所の判断が出て、韓国としてのある意味では考え方も示されているのではないかというふうに思います。
 そんな点を先生の方から、大変短い時間で恐縮とは存じますけれども、お話しいただければ大変ありがたく思います。
#31
○参考人(金敬得君) 当事者にかわりまして若干の意見を述べさせていただきます。きょうはお招きいただきましてありがとうございました。
 私は約十年ぐらい前に、今、横浜の病院におられます石成基さん、きょう皆様に資料をお渡ししておりますが、という方に初めて出会いました。マーシャル群島で爆撃を受けて右腕を切断した方でございます。今、第三項症ということでございまして、もしこの方が日本国籍を有しておるならば現在まで受領できた年金額は八千万円に達する人でございます。しかし、韓国人であるがゆえに全く補償を受けられずに現在まで至っておる人でございます。
 この方が、今病院に伏せっておりますが、よく言われる言葉の中に、私どもはぬれぞうきんだと。戦前は天皇の赤子だということでおだてられて、戦争が終わればぽいと捨てられたと、よくこういう言葉を口に出します。五二年に援護法ができまして国籍条項が設けられるわけですが、同じ日本帝国臣民として戦争に従事しながら、戦争が終わったら国籍がないという形で切り捨てられるということは納得できないということで、政府、各官庁に何度も請願に足を運んでおります。しかし、そのときの言葉は、日韓請求権協定ができればこれはあなた方の問題も解決されるから、それまで待てというのが一つの回答でございました、日本政府の。
 しかし、一九六五年の、先ほどのアジア局長の答弁にもありましたが、六五年に日韓請求権協定が成立するのでございますが、この日韓請求権協定に関しましては、日本側政府の考えは先ほどアジア局長が答えたとおりでございますが、韓国側はこれとは全く逆の立場をとっております。韓国在住の韓国人に対しては日本政府の解釈と一致しておりますが、在日韓国人の財産、権利、利益に関しては、これは日韓請求権協定第二条において協定の対象外となっておるということで、したがって韓国が国内法でつくられた法律の中からも協定の対象外である在日韓国人は除外されたわけでございます。
 言ってみれば、韓国政府に対して要求すればそれは日本政府が責任を負うべきである、また日本政府に対して要求をすればそれは韓国政府が責任を負うべきであると、こういう状況で、言ってみればキャッチボールのような形で実は現在まで至ったということでございます。
 韓国政府の答弁は一貫しております。これは皆様のお手元の資料に、ことしの三月三十日の憲法裁判所、石成基さん等日本で訴訟を提起しております方々が、九八年に韓国の憲法裁判所に、日本の政府に対して韓国政府の側から仲裁委員会の開催要請をしてほしいと、これは日韓請求権協定の第三条で定められた条約上の権利でございますので、それを何とか行使してもらえないかということを憲法裁判所に訴え出たものでございます。
 しかし、これは、そういう高度の政治問題は政府の裁量であるので、中身としては、韓国政府は日韓請求権協定で解決しておらないというふうな解釈をとっておるけれども、それを仲裁という申し入れをするところまでは日韓の外交上のさまざまな問題を考慮してするところではないと、現状では、そういう答弁になっておりますが、しかしその中身については終始一貫したものがあるわけでございます。
 もう一人、東京高裁の判決の原告であります陳石一さん、九四年に亡くなりましたが、この方はボルネオ沖で爆撃を受けまして左足を切断した方でございます。この方と私はお会いして、よく言った言葉が、切断されてなくなった左足の足の裏がかゆくて仕方がないと。神経があるわけですね、その足をかきたいんだけれどもかけない。これは、彼が日韓の間に、石成基さんと同じように日韓両政府に何度も何度も訴えるわけですが、隔靴掻痒の感があって、何度もどちらに言っても答えが出ないという、彼のこの間の苦しみをそういう自分の足のかゆみに比喩して言った言葉だと思います。
 とにもかくにも、非常に議員の方々の御苦労、そういう日韓の間で非常に意見の一致がないままに今回法案が提出されておる御苦労はわかるわけでございますが、東京高等裁判所の九八年の判決は、これは日本の司法消極主義といいますか、高度の政治問題であるので日韓の請求権協定の解釈自体は回避いたしました、日本の東京高等裁判所は。しかし、日本に住んでいる在日韓国人は日本国民に準じて処理するのが事案にふさわしいという付言を出しております。今回提出されたその法案が、果たしてこの付言に十分こたえ得るものになっておるのかどうなのかということをよく御審議いただきたいと思います。
 それから、先ほど帰化をした方も今回この中に含まれておるという河合議員のお答えがございましたが、実は日本の援護行政は、日韓請求権協定までに帰化をすれば在日韓国人、台湾人、朝鮮人は援護法の適用を受けられるという措置を長らくとってきていました。
 私が存じております、これは訴訟はしておりませんが、大阪に在住しておりますある在日韓国人の婦人は、夫がフィリピン戦線で戦死した方でございます。この方は実は帰化をしたのでございます。帰化をしたんですが、帰化の許可が一九六六年、日韓請求権協定の一年後でございました。帰化をすれば年金がもらえると思って帰化をするんですが、帰化をした時期が日韓請求権協定後であったがゆえに何らの補償を受けられずにいる。
 こういう方々に対しては、日本の遺族会の方が寄附をもらいに来るらしいです。あるいは近所の人々が、戦死した人の遺族だという話を聞いて、いいね、年金たくさんもらえてと言うらしいのです。しかし、彼女は日本の戦後社会の中で帰化をしたということを伏せて、そういう声も出せずに、一体自分の夫の戦死は何であったんだろうか、日本における戦後というのは何であったんだろうかと、いつも私どもとお会いしたらそういう発言をいたします。
 そういう在日韓国人の心情からいきますと、今回出ております与党案と野党案、何とか一本にして合体して法案がつくれないものだろうかというのは希望でございますが、先ほど千葉景子議員の御発言がありました姜富中さんは、こういうことも言っております。なぜ私どもがこういう補償を求めるか、これは補償だけを目的としているのではありません。「日本政府の戦争責任が正しく実現されることが、これからの世代の人たちに国境を超えた真の信頼と友好を、生み出してくれると信じております。」と言っております。
 陳石一さん、きょうはその御子息の方が傍聴に見えておりますけれども、陳石一さんはいつもこういうことを言っておりました。「私にとって日本という国は何だったのか、また、日本にとって私は何だったのか」と。実は、この陳石一さんの疑問は、日本で生まれ育った私どもは二世になりますが、在日韓国人、一世も含めて、いつもそれを考えながら戦後生きてきた人間でございます。大日本帝国憲法下、日本帝国臣民として日本に来た人々でございます。
 しかし、戦後、日本国憲法のもとで、日本国憲法は主権在民、基本的人権の尊重、恒久平和主義が三権確立されておりますが、我々在日韓国人は、主権在民の民と日本の社会でいつそういう認識を日本の社会に持ってもらえて、それから基本的人権の主体となり得るか。
 なぜそれを求めるかといいますと、まさに我々こそ植民地支配あるいはそういう侵略主義の犠牲であって日本に住むことになった、国籍と居住は分かれておりますが。いかなる人間も民族や国籍を選んでこの地に生まれることができません。しかし、この二十一世紀を目前にするこの現状にありまして、在日韓国人はそういう侵略主義、植民地主義の犠牲であるけれども、何とか日韓の溝、間隙を埋めることによって、それはみずからの日本における人権を確立することによって、本当の日本の平和の使者として、アジアにおける平和の使者として日韓のかけ橋の役割をしていきたい、そういう願いがあるから実はこういう運動をしておるわけでございます。
 今回の法案が提出された御苦労は非常に理解いたしますが、しかし日本と韓国の日韓請求権協定に関する見解の不一致がこのような状態のままでこのような法案がつくられざるを得ないということに対して、やはり若干の在日韓国人としての懸念といいますか、今後ますます日韓の見解が縮まるような御努力もしていただくということをお願いして、簡単でございますが、終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
#32
○千葉景子君 ありがとうございました。
 今、金参考人からのお話がございましたが、与党の提案者の皆さんにも本当に御苦労をいただいたことに私も敬意を表させていただく次第でございます。ただ、裁判などでも憲法十四条あるいは自由権規約二十六条に違反をしているのではないかという付言があるなど、与党の皆さんの案で本当に十分だろうかという若干そういう気がいたします。
 いかがでしょうか。多分この案をまとめられたきっかけというのは、いろいろな関連の訴訟の判決というのも一つの大きなきっかけではなかったかと思うんですけれども、この判決をどう受けとめられ、そしてこの立法がそれに即したものかどうか、どういう御見解、御認識をお持ちなのか、お聞かせいただければと思います。
#33
○衆議院議員(加藤六月君) 冒頭、ただいま参考人の金敬得さんのお話、皆さん方と同じように熱い思いをしながら承りました。
 ただいま千葉委員の御質問でございますが、援護法や恩給法に国籍要件が設けられているのは、朝鮮半島などの分離独立地域に属する人々の補償、すなわち財産請求権等でありますが、の問題は、昭和二十七年のサンフランシスコ平和条約において、それぞれの二国間の外交交渉により解決することと、こうされていることが一番大きな問題でございます。それからその次は、先ほど来もう既に外務省からも答弁がありましたが、その中で韓国との関係につきましては、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によって在日韓国人の問題を含めて法的には完全かつ最終的に解決済みとなっておるわけでございます。
 したがいまして、国籍要件は憲法や国際人権規約に違反するものでないと考えております。御指摘の東京高裁、大阪高裁の判決でも、判決そのものは以上申し上げましたような国側のこれまでの主張が基本的に認められて国勝訴となっておると考えておるところでございます。
 しかしながら、韓国政府が昭和四十九年に講じた措置においても在日韓国人の方々は対象外とされ、結果的にこれらの方々に対しては日韓いずれの国からも措置が講じられていない現状にあることは裁判所の指摘を待つまでもないことでございます。このことが私たちが人道的精神に基づいて所要の措置を講じようとする本法律案を提案した趣旨でございますので、よろしく御理解のほど、お願い申し上げる次第でございます。
#34
○千葉景子君 実は、戦後のさまざまな課題というのは政府で積極的に本来もっと取り組むべきものではなかったかというふうに思っています。まだまだ戦後処理問題としても、慰安婦問題あるいは軍票問題、強制連行問題あるいは捕虜の問題、BC級戦犯の問題等々、裁判になったりしている問題が本当に数多くございます。
 野中前官房長官は、今世紀中の問題は今世紀中に解決をして次世紀には持ち込さない、こういう決意も示されました。また、サミットの構成国、もうじき開催をされますけれども、戦後処理というのが適切に行われて、我が国が一番おくれているという指摘もございます。ドイツでは百億マルクの基金を設けて戦後処理をきちっとしようという動きが出ております。
 こういうことを考えますと、この戦後補償問題について、政府として本当にもうあと残された期間もわずかです。きょうお話がございましたように、当事者に当たる皆さんも本当に高齢になっている。こういうことも含めまして積極的な取り組みが求められているのではないかと思いますが、官房長官にその決意をお尋ねして、私の部分は終わらせていただきたいと思います。
#35
○国務大臣(青木幹雄君) ただいま加藤議員の方から、法的な問題については今までこういう経過を経てきっちり処理はされておりますというお話がございました。また、裁判においてもそういう処理がなされております。
 しかしながら、私どもは、今おっしゃいましたような、二十世紀、ことしで終わりでございます。二十一世紀にかけて、やはり二十世紀に起きたいろいろな不幸なことは法的な問題を離れて人道的な立場でできる限りのことはしなければいけないということで、努力を今後とも続けていく覚悟でございます。
 そういう観点に立って恐らく議員立法として今回の法案が提出されたものと私は理解をいたしておりまして、今後とも人道的な立場に立って、政府としても、法の問題だけじゃなくてそれを離れた時点でもできる限りの努力は今後とも一生懸命続けていく覚悟でございます。
#36
○櫻井充君 民主党・新緑風会の櫻井充です。
 民主党の提案者の方にまず御質問させていただきますが、今回の法案で民主党案と与党案の大きな違いというのはどういうところにあるんでしょうか。
#37
○委員以外の議員(竹村泰子君) 民主党案と与党案の大きな違いというのは幾つかございますけれども、最も大きな違いは与党案が弔慰金という名の一時金を支給するということでございます。これは、弔慰金、見舞金という性格であるのに対しまして、私どもの案は平和条約による国籍離脱者である旧軍人軍属等であった方々及び遺族に対して特別障害給付金または特別遺族給付金を支給しようとするものでございます。戦傷病者に対しましては、日本国籍の人々と同じ年金支給とし、遺族の方々にはその障害が重度であった方々に三百万円の支給をするというものでございます。
 その理由につきましては、また別途述べさせていただきます。
#38
○櫻井充君 今ちょうどそこを聞こうと思っていたところでございますが、そうしますと、与党案では一時金であるけれども民主党案では障害年金であると。まず、この理由についてお話しいただければと思います。
#39
○委員以外の議員(竹村泰子君) その御質問でございますが、先ほどの金弁護士の参考資料にもありましたけれども、被害者の旧日本軍軍人軍属の方々は、八月十五日の日本の敗戦前に日本軍に徴用され軍属として従事中負傷した朝鮮、韓国の方々であり、現在日本に居住している方々でございます。援護法は、国籍条項によってこれらの元日本国軍属を同法の適用対象から外しております。
 その後、日韓請求権協定が締結をされ、在日の人々は日本及び母国韓国どちらからも、先ほど金弁護士のお話にもありましたとおり、どちらの国からも補償を受けられなくなりました。
 在日の方々は、日本に居住し、納税の義務を果たし、日本人と苦楽をともにした人々でございます。にもかかわらず、日本人の旧軍人軍属と比べて、先ほど金額が、恐らく日本人であったら八千万円以上の既に支給を受けている方たちだというお話がございましたけれども、日本人と比べて著しい不利益を長年にわたりこうむってこられました。
 大阪高裁は、一九九九年十月、国籍で差別するのは憲法十四条、国際人権B規約二十六条に違反すると、姜富中さんの判決で違憲判断も示しております。
 八二年、外務省調査で明らかになっておりますけれども、米、英、仏、伊、西独が、いずれも外国人元兵士に自国民と同様の一時金または年金を支給しております。
 したがいまして、人道的な立場から、特別障害給付金や特別遺族給付金を日本人と同じ形で支給すること、非常にそういった法律が急務であると考えたからでございます。
#40
○櫻井充君 それに対して、今度は、遺族の方に対しては年金ではなくて一時金ということになっておりますが、その理由はどうしてでございましょうか。
#41
○委員以外の議員(竹村泰子君) 援護法等あるいは恩給法等における遺族という定義がいろいろとございますが、それはちょっと時間の都合で省かせていただきますけれども、基本的には政策判断の問題でございますが、遺族については一時金の支給としたことの理由は次のような二点が挙げられます。
 戦傷病者本人に対する特別措置は、現在も障害に苦しむ、そして将来にわたってハンディを負って生活していかざるを得ない戦傷病者本人に対して政治的、政策的な配慮から社会保障的な支援を行おうとするものでございます。このような趣旨からすれば、遺族につきましては、肉親を失ったり、肉親が重度戦傷病者となったことによりさまざまな困難に直面してきたことは考慮されるべきといたしましても、継続的な支援の必要性が認められる戦傷病者本人とは少し事情が異なるのかなと言えると思います。
 遺族につきましても、戦傷病者本人と同様に、援護法の例にすることといたしますと、配偶者以外の遺族に対する遺族年金の支給要件がかなり限定されておりますため、多くの遺族は遺族年金の支給要件に該当しなくなってしまいまして、五万円の弔慰金を支給されるだけにとどまる可能性も高く、必ずしも遺族の方々の利益にかなうものとはならないように思われます。
 したがいまして、遺族に対しては、その労苦等に対し慰藉の念をあらわすため、一時金の支給を行うのが妥当ではないかと考えました。
#42
○櫻井充君 それでは次に、官房長官にお伺いいたします。
 日本は戦時中、戦時に約四十五万人の韓国・朝鮮人の方、そして台湾人の方を軍人軍属として服務させておりました。そのうち約五万人の方々が亡くなっているということでございますが、傷病者数については公表されておりませんが、およそどのぐらいだとお考えでございましょうか。
#43
○国務大臣(青木幹雄君) 朝鮮半島及び台湾出身の軍人軍属のうち、戦傷病者については、資料の制約等もあり、政府として現在正確なものは把握をいたしておりません。
 したがって、本法案の対象となる在日の戦傷病者数についても、施行後における申請を待たないと把握困難な状態でございますが、今までの全体の給付件数約三万件のうちの重度戦傷病者は約二百人等から考えますと、百人は超えることはないであろうと、そういうふうに考えております。
#44
○櫻井充君 それでは、ちょっと別の質問をさせていただきます。
 臨時代理に官房長官が就任されました。医師団から発表があってから、どうも私、医者の立場からして若干納得のいかない点がございますので、その点についてまず質問させていただきます。
 今回、その臨時代理につかれたというのは、内閣法九条に基づいてだと思います。今回の小渕前総理の場合というのは、「事故のあるとき」あるいは「欠けたとき」のどちらに該当すると判断されたのでしょうか。
#45
○国務大臣(青木幹雄君) 私は、四月二日の午後七時ごろ、病院で小渕総理と直接お会いをいたしました。そのときに、何かあればひとつ万事よろしく頼むということでございましたので、私は、それはいわゆる内閣法、万一があった場合には内閣法の九条に匹敵すると、そういう判断のもとで臨時代理に就任をしたわけでございます。
#46
○櫻井充君 私がお伺いしているのは、その内閣法の中で、「欠けたとき」に当たるのか、それとも「事故のあるとき」のどちらに当たるという判断をされたかでございます。
#47
○国務大臣(青木幹雄君) 「事故のあるとき」というのは、一般的には総理として職務を全般的に行うことができない状況が一時的に生じたとき、すなわち病気であるとか海外出張であるとか、そういうときを事故あるときというように私は解釈をいたしております。
#48
○櫻井充君 そうしますと、事故あるときということなんだと思いますが、今お話がございましたように、病気入院されたときには事故あるときと判断すると、これは四月十八日の衆議院の法務委員会で民主党の枝野委員の質問に対してお答えになっておるところでございますけれども。
 そうしますと、ちょっと法制局にお伺いしたいんですが、少なくとも、今、青木長官は午後七時とおっしゃいましたが、四月の二日の一時過ぎに、MRIの検査で脳梗塞の疑いが濃厚であるということが医師団から説明がございます。
 そうしますと、七時まで待たないでもうこの時点で、入院されたときには内閣法九条の事故あるときに当たるのではないかと思いますが、いかがでございましょうか。
#49
○政府特別補佐人(津野修君) お答えいたします。
 ただいま官房長官の方からお答えがございましたように、内閣法九条の「事故のあるとき」と申しますのは、今、官房長官から申し上げましたとおり、一般的には内閣総理大臣が総理としての職務を全般的に行うことができないようなそういうような状態が一時的に生じたときを指すというふうに考えておりまして、例えば海外出張や病気などがこれに当たるわけでございます。
 そこで、内閣総理大臣が総理としての職務を全般的に行うことができないような状態が一時的に生じたときに当たるかどうかということにつきましては、これは当然それについての判断が要るわけでございまして、その判断に従いまして臨時代理が指定されていくと。臨時代理としての指定された、あらかじめ指定された後で、臨時代理としての職務を行っていくということになるわけでございます。
#50
○櫻井充君 そんなことを聞いていないんですよ。
 要するに、もう一時の段階で、入院して、そしてMRIで脳梗塞の疑いであると、そういう診断が下されているわけですから、もうこの時点で内閣法九条の事故あるときに当たるんじゃないかと、そう聞いているわけです。その点についてだけ答えてください。
#51
○政府特別補佐人(津野修君) 内閣総理大臣が総理としての職務を全般的に行うことができない状態に当たるかどうかということについての判断をしなければいけないわけでございますから、そういう状況を見た上での判断になると思います。
#52
○櫻井充君 それじゃ、少なくともですよ、二時ごろにはもう脳梗塞が確実になると医師団が説明しているわけです。脳梗塞が確実になって、少なくとも左の手足も動かないような状況、そういう状況であったとすれば、もう事故あるときに当然当たるんじゃないですか。そのように法律は判断できないんでしょうか。法律上の解釈を聞いているんです。
#53
○政府特別補佐人(津野修君) 内閣総理大臣としての職務を全般的に行うことができないかどうかということにつきましては、それは全般的なその病状とかそういうものを踏まえて判断するわけでございますから、どの時点で、例えばまだいろいろな判断をすることもできる状況にあるとするならば、何もその時点で事故が発生してしまって臨時代理としての職務を行わなければいけないというような状況になっているとは考えられないという状況もあるわけでございます。
#54
○櫻井充君 医師団は小渕前総理の病状を逐一報告していたとございます。青木長官は、二時ごろ脳梗塞が確実になったと、多分これも報告があったかと思いますけれども、この時点で総理の執務といいますか仕事がきちんとできると御判断されたんですか。
#55
○国務大臣(青木幹雄君) 私自身が素人でございますので、そういう正確な判断は私自身ができる立場ではありません。ただ、私が初めて病院へ行ったのが七時ごろでございまして、私はそのときに総理とお会いをしていろいろ何かあればよろしく頼むと言われたこと、それを前提として、内閣法の九条に相当する事態が生じた場合には、私はそれを受けて臨時代理に就任をしたわけでございまして、七時までの時点の詳しい病状、そういうものについては、私は専門家でありませんので一々この場でお答えするような立場にはありません。
#56
○櫻井充君 しかし、医師の診断書が必要じゃないかということをこの間金融特のときに法制局の長官にお伺いしたところ、臨時代理がきちんと話を聞いて、そしてそれを皆さんに伝えるから大丈夫なんだと。今の答弁ですと、私は素人だからその辺の判断ができないということは、非常に答弁としておかしいような感じがいたします。
 では、少なくとも、それでは四月二日の午後七時に長官が小渕総理と面会されたときに、医師団の発表はジャパン・コーマ・スケール、いわゆるJCSの二から三であったということでございます。我々医療の現場でJCSの二というのはまず失見当識でございまして、要するにきょうが何月か、自分がどこにいるのか、また周りの人間が判断できないという場合をJCSの二と定めております。JCSの三というのは、これは自分の名前または生年月日が言えない、こういう状況でございます。このような状況でお会いされて、まず果たして小渕前総理は青木長官ときちんと認識されていたのでございましょうか。
#57
○国務大臣(青木幹雄君) 私が直接お会いしたときには、小渕総理は相手が私であるということは十分それは認識して話をいたしました。
#58
○櫻井充君 その青木長官が言った内容もきちんと理解できるレベルだったのでございましょうか。このJCSの二から三というのは、それは基本的には、医療の一般的な現場でいえばとても理解できない状況にあると我々は思うんですが、それはいかがでございましょうか。
#59
○国務大臣(青木幹雄君) それはいろいろな見解があろうと思いますけれども、医師団も記者会見において、意識もはっきりしておったし言葉が通じる状態にあったということもおっしゃっております。私自身が直接会ったんですから、私は直接総理と話をした結果をもとにして、内閣法九条に従って万一のときにはということで私は臨時代理に就任をしたわけでございます。
 ただ、申し上げておきますが、私はそんな話していないことをもとにして臨時代理に就任しなきゃいかぬ立場にも何もございませんでした。私自身がいろんなことを曲げてうそをついて何で臨時代理なんかに就任しなきゃいかぬのでしょうか。だから、その辺から基本的に考えていただかないと、何か臨時代理に就任をしたくていろんなうそをついているというような前提で物をお考えになると、これはいろんな問題が間違った解釈になろうと思います。私は、総理と官房長官という間で意思の疎通は十分できたと考えておりますから、いわゆる九条に従ったそういう処置をとったわけでございます。
#60
○櫻井充君 我々はどういう観点でそれをお伺いしているのかといいますと、本来危機管理という点でいえばもうちょっと早い段階で臨時代理につかれるべきではなかったのか、そしてもう少し皆さんがきちんとわかるような、つまり今だって世論調査によれば八割の方々がちょっとおかしいんじゃないかという疑問を持たれているわけです。そういう疑問を持たれているような政治をされているということがいわば政治家不信を招いているんじゃないか。だから、あえていろいろお伺いしているわけでございます。
 つまり、もう一つ危機管理という点でいえば、この時点で、先ほども言いましたが、事故あるときという判断が早ければ、もしこのときに、有珠山とかいろんなことが何も起こらなかったからよかったですが、もし万が一起こっていたときの対応は一体どうなっていたのかと、その辺のところを考えたときに、やはりもっと早い時点で事故あるときというふうに規定されて、そしてその時点では、まだ七時の前ではあらかじめ臨時代理と指定されておりませんから、本来であれば、衆議院の法務委員会でも阪田参考人が申しておりますように、そういう場合には総理大臣以外の閣僚が協議した上で臨時代理を決めるというほかに方法がないだろうと。
 つまり、くどいようですが、その入院された時点が私の法律の解釈上は事故あるときに当たり、そしてこのときはまだあらかじめ臨時代理として指定されていないわけですから、本来であればその時点で閣僚が協議した上で臨時代理を決める、そういう手続を踏めば総理が長く欠けた状態がなくて済んだんじゃないか、そういう意味で質問させていただいているのであります。
 そしてもう一つは、今回の件に関して言いますと、法律上不備な点があったと思うんですね。その点について法制局の長官にお伺いしましたが、イエスもノーも言っていただけませんでしたけれども、つまり今回のこういうことがあったことを踏まえて、今後きちんとした法整備も行っていかなきゃいけないんじゃないだろうか、そういう思いで質問させていただいているわけでございます。
#61
○国務大臣(青木幹雄君) そういう趣旨はよくわかりました。
 ただ、皆さんいろんな結果がすべて終わってからいろんな批判や議論がありますから、私はこれは少し間違いだと思います。入院をされた時点、私が七時に会った時点、その時点でもまだこれは何日かすればもとの体に回復していわゆる総理としての職務ができるんじゃないかという望みを持って私は話しておりますし、家族も医師団も恐らくそうだったと思います。ですから、その時点で、その時点の前で直ちに事故あるとき、いわゆる総理としての職務が遂行できないという判断をした方がよかったんじゃないかと言われても、その現状においてはそういう空気でもないし、そういう判断もすべきではありませんでした。
 私はあくまでも総理が回復してもう一度総理としてきっちり職務が遂行できることを七時に会った時点でも願っておったわけですから、結果を見ていろいろ御判断、いろいろな御批判はあろうと思いますけれども、私の気持ちはそういう気持ちでありました。
#62
○櫻井充君 時間が過ぎていますが、我々は情報をいただいておりませんでした。その情報は青木長官が一手にあったわけであって、我々はその結果結果を後から教えていただいて、ですからその時点でしか判断できなかったんです。
 それからもう一つは、回復を願っておる、それは我々も同じでございました。ここの中の「事故のあるとき」というのは、ここに説明がございますが、「状態が一時的に生じたときを指す」と、これが事故あるときでございます。「欠けたとき」というのは、その地位がもうずっと……
#63
○委員長(小川勝也君) まとめてください。
#64
○櫻井充君 ごめんなさい。
 永遠に職務を執行できないということであって、一時的に回復する状態であれば、これは事故あるときと判断して構わないんです。それが法律上の解釈だと思います。
 終わります。
#65
○阿部幸代君 日本共産党の阿部幸代でございます。
 私は、与党案の弔慰金等支給法案、それから民主党案の給付金等支給法案、いずれにしても大事なことはどういう歴史認識を踏まえての提案かということだというふうに考えます。
 この点に関して、九五年の当時の村山総理大臣の談話、いわゆる村山談話を思い起こすんですけれども、どういうことを言っていたかといいますと、「わが国は、遠くない過去の一時期、国策を誤り、戦争への道を歩んで国民を存亡の危機に陥れ、植民地支配と侵略によって、多くの国々、とりわけアジア諸国の人々に対して多大の損害と苦痛を与えました。私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、疑うべくもないこの歴史の事実を謙虚に受け止め、ここにあらためて痛切な反省の意を表し、心からのお詫びの気持ちを表明いたします。」、こういうふうに述べているんです。
 少なくとも、この村山談話に込められている日本の植民地支配と侵略戦争に対する反省とおわび、償いの気持ちが込められた法案なのかどうか、そのことをまず伺いたいと思います。
#66
○衆議院議員(虎島和夫君) 村山談話は、もちろん私どもが政権に参画しておったときの総理の御発言であります。我々は、このことを基本にしながら今日も国政の場に当たっておることは当然であります。
 もう一つ、衆議院におきましては国会決議というのがございました。これもやはり国会の決定でありますから、私どもは、村山談話以上と申しますか、そのような重みというものを感じながら、日常、特にアジアの国々とは接しておるつもりでございます。
 大きく広く言えば、そのようなことのかかわりの中にこの問題も存在する。したがって、我々は、先ほど申しましたように自社さ連合政権時代にこのことに何とかして決着をつけたいという思いをしたけれども、当時の状況からこのような法案をつくったり、措置を決定することができなかった。したがって、このことについては、在日韓国等の方々、戦傷病者、戦死者の御遺族に対しては何らかの措置をすべきであるということを懸案事項として記録にとどめて今日に至っておるわけであります。
 ただ、アジアの国々との間の問題は、村山談話あるいは国会決議、当然これは厳として存在するわけでありますが、それ以上に私どもは近隣諸国でありますから、やはり新しい二十一世紀を見据えながら日本の外交というものは進めなきゃならぬ。アジアについては、場合によっては村山談話あるいは国会決議を超えた何かをやりたいという思いを持っていることは御承知おきいただきたいと思います。
 そういう中で、この問題を今回、それぞれ政党の枠組みの中で進められてきて成案を得、御提案申し上げることは大変に私はよかったことだというふうにみずからにも言い聞かせておるような次第であります。
#67
○委員以外の議員(竹村泰子君) 歴史認識、植民地支配への反省等、大変私たちにとって重い課題でございます。結論からいいますと、お尋ねの過去における植民地支配と侵略、村山談話と同様の認識に立つものであるということは言うまでもございません。
 有名なドイツのワイツゼッカー大統領の演説、罪の有無、老幼いずれを問わず我々全員が過去を引き受けねばなりません。問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり、起こらなかったりすることにするわけにはまいりません。しかし、過去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となりますという、長い演説のほんのさわりの一部分でありますけれども、一国の代表たる大統領や総理の歴史認識がいかに大切かということを物語っている名演説であるというふうに思います。
 国連の規約人権委員会も、フランスが旧植民地のセネガル人兵士の年金を途中から据え置いたことに対しまして、国籍による差別だと判定いたしました。判定した理由は、セネガル人もフランス人も提供した軍務は同じであるとのことで、フランスは、この決定に従い、その後是正措置をとりました。
 現在、国籍条項の廃止を求めて訴訟中の在日韓国人と援護法の対象となっている日本人との間に軍務提供における差異があったのかどうか、そういうことを考えますと、私たちはもちろん深い反省を持つわけでございます。
 村山元総理の謝罪談話あるいは河野元官房長官の従軍慰安婦問題に対する国の責任答弁などを踏まえたものであり、戦後五十五年積み残された課題が非常に多い中で、私たちは一つ一つ未処理の課題を解決していきたいと長い間願ってきた結果、このたび法案にしたものでございます。
#68
○阿部幸代君 両案とも人道的精神、人道的な立場が提案理由とされているんですけれども、今お話しにありましたとおり、やはり単にどこからもお金がもらえなくてかわいそうだからという、その程度の認識ではない、重要な戦後処理問題の一つとしてあるということを私も確認したいというふうに思います。
 ここで問題になるのが、日本の植民地支配と侵略戦争に対する反省とおわび、償いとしての重要な戦後処理の一つがなぜおくれにおくれたのかということです。
 振り返ってみますと、一九五二年に戦傷病者戦没者遺族等援護法が制定されてから十年後の一九六二年に、政府は日本に帰化した朝鮮出身者等に対して遺族等援護法を適用するという通知を出しています。帰化して日本国籍を取得し、戸籍法の適用を受けることとなった場合、援護法を適用するという通知です。その際、わざわざ問答集までつくって、在日朝鮮出身者等の場合、サンフランシスコ平和条約の発効によって個人の意思に関係なく国籍を変更させられたのであるから、援護法が適用されること、しかし日本に帰化して日本の戸籍法の適用を受けなければならないこととしていました。なぜ、このような通知を出したのでしょうか。これは政府に。
#69
○政府参考人(炭谷茂君) ただいま先生が引用されました昭和三十七年の通知についてでございますけれども、援護法には、日本国籍を失ったときは受給権が消滅する旨の規定がされておりますが、この規定は個人の意思に基づいて国籍を失った場合のみ適用されるものであり、サンフランシスコ平和条約による国籍喪失は個人の意思に基づくものでないので、援護法の国籍喪失に当たらない、当時このような解釈をとって通知を出したものでございます。
 その上で、朝鮮半島出身者等はサンフランシスコ平和条約によっても受給権は消滅していないので、その後帰化して戸籍法の適用を受けるようになれば、援護法が適用されて援護年金等が支給されるとの整理を行った、当時そのような趣旨で通知を出しております。
#70
○阿部幸代君 その後、政府は一九六六年に戦傷病者戦没者遺族等援護法の運用について見解を発表して、昭和四十年六月二十二日に署名されたいわゆる日韓協定の趣旨からは、同日以後、韓国籍の者が日本に帰化し、戸籍法の適用を受けることとなっても、法の適用を受けることはできないとしました。
 特に、九三年には、六二年の通知等を廃止して、戦傷病者戦没者遺族等援護法に定める遺族年金等の失権事由たる国籍喪失取り扱いについて、個人の意思に基づく帰化等の方法によって国籍を失った場合にのみ適用されると解釈することには無理があるとして、五二年のサンフランシスコ平和条約で一たん国籍を喪失した場合、その後日本に帰化しても援護法は適用されないと見解を大きく変えました。なぜ、このような見解の変更をしたのでしょうか。
#71
○政府参考人(炭谷茂君) 先生が御指摘されました平成五年における通知の変更でございます。
 この帰化者の取り扱いにつきましては、国会におきまして相当の議論がございました。平成四年から五年にかけての議論でございます。この国会での議論を踏まえまして検討を行った結果、昭和三十七年通知で示した解釈には法制的に無理があるとの結論に達し、昭和三十七年及び先生も御引用された昭和四十一年の通知を廃止したものでございます。
 これは、援護法では日本国籍の喪失について、単に日本国籍を失った者または失ったときと規定しているのみでございます。これをあえて昭和三十七年の当時のように、国籍の喪失は個人の意思に基づいて国籍を失った場合に限られるというような解釈をとることは法制的に無理であるということで、平成五年に先ほどの通知を廃止したわけでございます。
#72
○阿部幸代君 私は、反省とおわび、償いの気持ちを込めて歴史を振り返るという作業を今ちょっとしているんですけれども、六二年の措置、つまり帰化をして日本国籍を取得すれば援護法が適用される、これは単に法律の適用要件なんだと思うんですね。問題は、日本の植民地支配と侵略戦争の被害者である旧日本軍軍人軍属であった在日韓国人等にとって、このことがどういう問題としてあったかということだと思うんです。
 まず、国籍問題です。居住権と別の国籍問題です。
 五二年のサンフランシスコ平和条約で独立を実現した在日韓国人等にとって、帰化をして日本国籍を取得するということはなかなか容認できないことではなかったかと私は想像できます。
 ですから、今にして思えば、援護法適用問題とは切り離して、国籍問題の解決が植民地出身者である在日韓国人等の納得のいくような形で進められるべきではなかったのかと思うのですが、どのように考えますか。これは官房長官。
#73
○国務大臣(青木幹雄君) 我が国は、サンフランシスコ平和条約によって朝鮮に対する領土主権とともに朝鮮に属すべき人に対する主権をも放棄したため、これらの人が日本国籍を喪失することになったのが経緯であります。
 そのため、在日韓国・朝鮮人の方が日本国籍を取得しようとする場合には帰化によることになりましたが、その歴史的経緯、日本に生活の基盤を持ち、永住しているといった事情を十分考慮し、その帰化申請があった場合には国籍法に定める帰化条件を満たしている限りそれを許可するという方針で今日まで臨んでおります。
#74
○阿部幸代君 旧植民地出身者の国籍をどうするかについては、第二次世界大戦後、各国で問題になったそうです。
 ドイツの場合、一九五六年に国籍問題規制法を制定してオーストリア人の処遇を決め、併合により付与されたドイツ国籍はオーストリア独立の前日にすべて消滅すると定めると同時に、ドイツ国内に居住するオーストリア人は意思表示によりドイツ国籍を回復する権利を持つとされたそうです。つまり、国籍選択権が認められたのです。
 永住を希望する一般の人たちのための帰化という道を、しかも援護法適用問題と結びつけて国籍選択肢として示したとしたら、そういう日本のやり方はやはり旧植民地出身者に対する配慮のないやり方だったと私は思わざるを得ません。
 次に、補償問題です。
 今にして思えば、なぜ日本国籍であろうと韓国籍であろうと国籍にかかわりなく援護法の適用対象にする道、これをつくらなかったのか、そこが大いに疑問です。
 西欧諸国では外国人の元兵士をどのように扱っていますか。これは外務省。
#75
○政府参考人(神余隆博君) お答え申し上げます。
 ドイツ、イギリス、フランスの三カ国を例にとりましても、かつて自国の軍隊で勤務中に負傷したりあるいは疾病を得ました場合には、外国人あるいは戦死したその外国人の遺族等に対しまして年金または一時金を支給しているというふうに承知をしております。
 具体的に申しますと、ドイツ及びフランスでは、外国人の元兵士等に対しまして支給しております年金等の金額、種類につきましては、自国民に対して支給しているものよりも少なく、取り扱い上若干差異がございます。イギリスにつきましては、イギリス軍に従事したことがあれば年金等は支給されます。英国籍は支給の要件ではございません。そして、支給額についても影響がないというふうに言われております。
 これら三カ国ともに、受給者の認定につきましては、基本的には各国の所管官庁あるいは在外公館が外国人の兵士等の提出しました書面を厳格に審査いたしまして行っております。ただしドイツは、ベルギーとの条約に基づきまして、給付金を一括してベルギーに交付して、ベルギーは受給者を認定の上、毎年給付金を配分しているというふうに承知しております。
 年金等の支給方法につきましては、ドイツがベルギーについて行った例を除きまして、これらの三カ国の主管官庁または在外公館が外国人の兵士等に対しまして小切手を送付するないしは銀行口座に振り込んで行っております。
 これらの三カ国におきます措置は基本的には国内立法によるものでありますけれども、ドイツは先ほど申しましたようにベルギーなどと四カ国の間で外国人の元兵士等に関する条約を締結しております。
 以上でございます。
#76
○阿部幸代君 アメリカなどでも、米軍の構成員であった場合には国籍のいかんを問わず遺族年金、障害年金等を支給しているんですね。
 日本では、一九六五年の日韓請求権・経済協力協定によって、それ以前は帰化によって日本国籍を取得すれば援護法が適用されるとした道も完全に閉ざされました。その根拠となっているのが、援護法適用の請求権など、いわゆる補償請求権が法律上の根拠に基づいて財産的価値が認められる実体的権利ではないから、日韓協定第二条の二(a)に言う協定の影響が及ばない、つまり保護されるべき在日韓国人等の財産、権利及び利益には該当しないというものです。
 私は、ここで問題なのは、やっぱり今にして思えば、納得のいく国籍選択のチャンスも与えられず、また国籍にかかわりなく援護法の適用がされるべきところをそうはされずに、いわば国籍による差別とも言うべきことが行われてきた経緯の中で実体的な権利を得ることができなかった人たちを放置しておいてよいのかどうか、このことだと思います。
 つまり、在日韓国人旧日本軍軍人軍属等の方々に対する補償の問題は、完全かつ最終的に解決どころか実体的には未解決だということではなかったでしょうか。官房長官。
#77
○国務大臣(青木幹雄君) 本件につきましては、現在の恩給法、援護法等の範囲を超えた問題であり、また韓国の方々に係る財産請求権の問題につきましては、委員今おっしゃいましたように、昭和四十年の日韓請求権・経済協力協定によって在日韓国人の方々に係るものを含めて、日韓両国間では法的には完全、最終的に解決済みであるということは御承知のとおりであります。
 しかしながら、本件は、係属中の訴訟も含め、種々の経過が今日までありましたので、法的には極めて難しい問題であるとは認識いたしておりますが、与党の皆さん初め、人道的観点から検討が今日まで鋭意進められてまいりました経過は議員御承知のとおりであります。そういう中で議員立法が今日こうして提出されているというように私は理解をいたしております。当然ここに至りますまでには、立法機関の対応を促した東京、大阪両高等裁判所の意も十分に踏んだ上の今回の措置であろう、そういうふうに考えております。
#78
○阿部幸代君 私自身は戦後生まれなんです。でも、戦後生まれといっても若さの象徴みたいに言えなくなりまして、もう五十一になったんですけれども。
 子供のころ、白い服を着て兵隊さんの帽子をかぶってアコーディオンを弾いたりしながら道を行く人たちに善意のお金を求めている人たちがいたのを覚えています。若い人たちはもうそういうのは知らないと思うんですけれども、私は覚えているんです。今にして思えば、そういう人たちは全部在日韓国人だったんです。そういう人たちの人生が本当に翻弄されてきたんだなということを深く認識しているところです。
 六五年までは、結局帰化をすればよいではないか、それが嫌なら韓国に帰ればいいじゃないかと言わんばかり。六五年以降は韓国政府に要求すればいいじゃないかと言わんばかりの、こういう日本政府の対応というのは、私はやっぱり植民地支配と侵略戦争の当時の抑圧思想といいますか、それを引きずった対応だったなというふうに率直に思うんです。
 今回法案が出されて、これは予算措置を伴いますから、与党案も、それから民主党案も積算が大変だったのではないかと思うんです。先ほど説明がありましたけれども、大ざっぱな数しかわかりませんね。一人一人の人間の人生が翻弄されて、数としては掌握されていない。私は本当に日本政府の責任は大きいと思います。
 植民地支配と侵略戦争の被害者であったことに加えて、国連人権B規約違反の疑いや憲法第十四条違反の疑いが一連の裁判で示されています。政府の一刻も早い対応が求められています。反省とおわび、償いをするのが当然だと思うのですが、官房長官の決意を伺って、私の質問を終わります。
#79
○国務大臣(青木幹雄君) 今お答えいたしましたように、既に法的には解決した問題でありますけれども、いろいろな今までの経過、今、議員がおっしゃいましたようないろんな不幸な出来事、そういうことを私どもは素直に受けとめて、人道的な見地から今後ともできる限りのことはやっていかなきゃいけない、そういう気持ちでおります。
#80
○阿部幸代君 終わります。
#81
○山本正和君 きょうの法案に関連して、ちょっと違うことも質問いたしますが、初めに与党並びに民主党の提案者の皆さん、本当に御苦労いただきまして、私も心からお取り組みに感謝したいと思います。
 先ほど、与党の方から自社さ政権以来の経過もお話がございました。私もこのことをいろいろ聞いておりまして、本当によく自公保でまとまったものだと正直言って感心いたしました。大変な御苦労があっただろうと思います。また、与党内でも、特に自民党の中では随分激しい御議論もあったようにも伺っておりますし、よくまとめられた、こう思います。
 民主党案はもちろん私どもが主張しているのと大分近い案でございますから私も賛成でありますが、きょうは私は、実は社民党は衆議院では反対したようですが参議院では賛成しようかと、こう思っております。本当に、特にこれは公明党さんによく与党内で頑張っていただいた、こう思います。
 そういう気持ちを込めまして申し上げますが、まず冒頭、これは官房長官に、こういう長い経過を含めてやっぱり日本の戦後処理はまだ本当に終わっていない、取り組まなきゃいけない課題がたくさんある、したがって政府としても戦後処理問題を十分抜本的に見直して取り組んでいくべきだ、こういうふうに今の政府の責任者としてお考えかどうか。戦後処理問題をこれからも我が国は政府として真剣に取り組んでいかなきゃいけない、こういう御決意がおありになるか、この点だけまず御意見をお伺いしたい。
#82
○国務大臣(青木幹雄君) 戦後処理の中でも法的に解決された問題、されない問題、いろいろあろうと思いますけれども、私はそういう問題を離れて、議員が今おっしゃいますように人道的な見地から、それから戦争によって被害を受けられた、いわゆる中国にしても朝鮮にしても、いろんな隣の国の人々の苦しいそういう思いを、やはり我々は、これは法的な解決が済んだからそれでいいというふうな気持ちじゃなくて、前向きに最後まで取り組んでいかなきゃいけない問題だ、そういうふうに考えております。
#83
○山本正和君 特に、在日韓国人、あるいは台湾の、在日じゃない台湾に帰っておられる方もおりますけれども、戦犯で厳しく追及された方々もお見えになります。また、シベリア抑留の皆さん方も実際はいろんな思いを込めた中でまだまだ解決されない課題も残っている。それから、アジアに国策として国内から派遣された日本同胞の問題もたくさん残っている、こういうふうに思うんです。
 そういうことを含めて、やっぱりもう一遍、五十年たったわけですから、いろんな意味で日本の国がこれから本当に平和な国を目指して進んでいくについては取り組まなきゃいけない課題がたくさんあるだろうと。そういうものを、これは私もきょう聞いておりまして、特に最後の阿部委員のお話等も聞いていながらいろんな思いを込めたんですけれども、やっぱり取り組まなきゃいけない課題が私たち政治家にあるだろうと。
 要するに、現行法の中では、あるいは現行条約の中ではどうにもならない問題がたくさんあるだろうと。しかし、それを変えるのはやっぱり政治なんですから何とか取り組んでいきたい、こういう思いを申し上げておきたいと思います。
 そこで、この前から官房長官に私が申し上げたことの一つに、ちょうど昭和十二、三年ぐらいから始まりました旧満州開拓団の問題。開拓団にまず若い青年が派遣されて、それから大陸の花嫁といって特に農村から女性が行って、そこで子供が生まれた。恐らく一番大きい子がちょうど森さんぐらいですか、もうちょっと上の子もおるかもしれません。森総理ぐらいのいわゆる大陸の開拓団の子供たちがおった。その人たちが全部、戦争が終わったときに、本来からいえば国と国の戦争ですから、女子や老人や子供には及ばないようにすることを普通は考えるんですけれども、戦争中はそんな問題じゃないので、年寄りも女も子供もへったくれもないんです。みんな殺しちゃう。むちゃくちゃです。
 そういう中で、中国から帰ってこようにも帰ってこられなくて子供が放棄されて、その子供たちが長い間中国におって、しかも中国でほうられた日本人の子供、赤ちゃんだとかあるいは小学校の子供だとかいうその子たちを中国の人たちが養ってくれたんです。そして当時、中国は日本人というのを「リーべンクイツ」と言ったんです。日本の鬼というのは「リーべンクイ」ですね、「トンヤンクイ」、「リーべンクイ」と言ったんです。その日本の鬼の子供をおまえは中国人のくせになぜ養うんだ、こう言われながら子供たちをずっと養ってきた、今のいわゆる残留孤児で帰ってきた人たちのお父さん、お母さんが中国におるんです。みんなもう八十歳、九十歳です。
 そして日本政府が、帰ってくるに当たってその子供たちが長い間お世話になりましたといってせめてものお礼ということをしようというので、厚生省がいろいろ苦労して考えてくれた。何かそうしたら十三万円だったか十七万円だったかをお父さん、お母さんに、お礼ですよ、戦争に負けてずっと長い間養ってもらって大きくなって、今ごろ森さんぐらいの人もおるんです。その人たちを養ってくれたお礼に十三万円渡すだけですよ、お父さん、お母さんに。これは法律でやるんだけれども、人間としてどうも私は恥ずかしい思いがいっぱいいたします。
 それから、中国におったわけですから、五十年間近くおると言葉はもちろんわからない。それでも祖国日本に帰りたいとやっとの思いで帰ってきた。その帰ってきた人たちは、今度は国民はすべて平等である、したがって食べたければ生活保護を受けなさいと。生活保護を受けるというのは物すごい厳しい認定があるんです。
 要するに、そうやって国の命令で青春を送らせた人たちが日本に帰ってきた。国の命令で向こうへ行って向こうで日本人の子供が生まれた。やっと日本の国に帰ってきた。その人たちに対してもこの国は物すごく冷たいんです。こういう情けない状況がたくさんあります。それぐらい戦争というものは大変なものを人に与える。
 そういう思いを込めてこの前から官房長官に、私は残留孤児問題全国協議会の会長をしているものだから特にお願いしているんですけれども、これは党派を超えて、大先輩の前の農林大臣をされた兵庫の先生も会長をされておられたし、それから参議院の会の松岡さんも入っています。みんな入っているんですけれども、そういう思いを込めて官房長官、きょうはぜひお答えをいただきたいのは、残留孤児問題の現状を改善するために政府としてもこれから取り組みたいということを官房長官からお聞かせいただいて、先ほどの戦後処理問題も含めてひとつ政府としての決意をお伺いしておきたいと思うんです。
#84
○国務大臣(青木幹雄君) 私も議員からはいろいろな機会にこのお話を聞いておりまして、全く同感に思っております。
 中国で生まれた子供、そしてそれを非常に苦しい、鬼と言われるようないろんな環境の中で育てられた中国の親、そういう人を遇するのに、一体、法的な問題、金だけで済むのかということであろうと思います。
 私どもも、当然そのことについては今後とも法や金の問題を超越した中で、やはりそういう方々が安心して日本にも来、また向こうへも行き来することができるような環境づくりのためには、今後とも一生懸命どういう方法があるのかということも含めて検討していきたいと考えております。
#85
○山本正和君 もう一言、ちょっと今の何かまだ青木官房長官の人柄がにじむような答弁じゃないような気がするもので、もうちょっとひとつ前向きに検討します、前向きにひとつ政府として取り組みますというようなお言葉をいただけませんか。
#86
○国務大臣(青木幹雄君) 法的にどういうことができるのか、法を離れて人道的に今のお話のことをよく考えてどういうことができるのか、当然前向きに検討していくつもりでございます。
#87
○高橋令則君 参議院クラブの高橋でございます。
 この法案、二つでございますけれども、在日旧軍人軍属等に対しまして何らかの給付等の措置をしなければならないという気持ち、特に過去の反省のもとに誠意ある対応が必要ではないかという気持ちは私も大変持っております。それと同時に、このような措置をするためにはやはり国民の理解とまた税負担になるわけでございますので、きちっとした検討も必要ではないかというふうに思っております。
 だんだん審議の中で、皆様方から説明もあり、また質問もあったわけでございますけれども、私は改めて事務当局から国内法そしてまた国際法を含んでトータルとしての全体的な説明を聞きたいわけです。事務当局から聞きたいんですが、説明をしていただけませんか。
#88
○政府参考人(阿南惟茂君) 法的な整合性いかんという御質問だと理解をさせていただきますが、本法案は、我が国の戦後処理の法的枠組み、すなわち対外面ではサンフランシスコ平和条約及び日韓請求権・経済協力協定でございます。また、国内法の面では恩給法、援護法の基本的枠組み、こういうものを前提としつつ人道的観点に立って検討を進められてきた結果というふうに承知をしておりまして、そういう点から法的整合性という点では何ら問題はないというふうに考えております。
 ちなみに、以前にも、昭和六十二年でございますが、台湾在住の旧軍人軍属の方々に対して、本法案と同様に人道的観点から弔慰金支給法が制定されて施行された前例もございます。
 以上でございます。
#89
○高橋令則君 今、阿部委員からもちょっと話があったわけですけれども、国際的な問題についての観点ではどうですか、もう一遍説明してくれませんか。
#90
○政府参考人(阿南惟茂君) 国際法上の問題という点は今申し上げました、この件に関して関係のある国際法はサンフランシスコ平和条約及び日韓間の請求権及び経済協力協定でございますが、サンフランシスコ平和条約において、長い御説明は省略いたしますが、日本に賠償請求制度というような規定の中で、日本から分離した地域についてはそこの政府と特別取り決めを決めなさいという規定がございまして、これに従って、長いことかかったわけでございますが、日韓の基本条約、請求権・経済協力協定ができまして、その中で、先ほど来官房長官からも御答弁がございましたが、法的には完全かつ最終的に解決をしている、こういうことでございまして、日本政府の立場はそういう立場をとっているわけでございます。
#91
○高橋令則君 外務省を中心とする法的な処理についての説明はお聞きしたわけです。私が聞きたかったのは、官房長官、これは野中官房長官のときだったと思うんですけれども、これだけではとどまらない、やっぱり検討しなければならない、それが外政審議室で検討させるという話があったものですから、その中身はどうなったのか、踏み込んだ話はなかったのかなと。厚生省なりあるいは外務省で検討した経過だけではなくて、踏み込んだこれまでの経過というのはなかったのかなということで申し上げたわけです。
#92
○国務大臣(青木幹雄君) 今お答えいたしましたように、法的には完全かつ最終的に解決済みの問題であります。しかしながら、野中前官房長官の指示もありまして、関係省庁の協力も得て内閣外政審議室においていろいろこの問題を検討してきたところであります。
 それからもう一つは、本件についてはいわゆる種々の経過もあり、法的には極めて難しい問題であるという認識は当然持っておりますけれども、そういう中で、与党においても人道的な観点から検討が今日まで議員御承知のとおり進められてまいりまして、そして議員立法として今日こういう形で提出されるに至ったわけでございます。
 その中では、立法機関のそういう議員立法であれ対応を促したのも、やはり東京、大阪の両高等裁判所の意も酌まれたものであろうと、そのように考えておりまして、私は、法的な問題は解決しておるけれども、やはり人道的に考えていかなきゃならない問題として議員立法として処理されたものと考えております。
#93
○高橋令則君 発議者に御質問させていただきたいと思うんですが、こういうふうな議員立法の経過を考えますと、できれば各党一致して対応できればいいなという気持ちがしみじみあるんですけれども、それぞれ発議者の皆様方のまとめる努力と申しますか、経過と申しますか、そういうことについての御意見をお聞きしたいと思います。
#94
○衆議院議員(虎島和夫君) お説のように事柄が人道的なことから出発しましたので、そのようなことを私どもも最後まで実は望みを捨てないでやってきたわけであります。ただ、今論議の過程で明らかになっておりますように、具体的な中身につきましては一致点を見出せなかったんですけれども、理念において私はかなり近いものがあると思っております。
 そこで、経過としては、先ほども若干申し上げましたけれども、自民、自由、公明間での協議とか、あるいは自由党さんがまた保守党として参加されましてから一緒にこの法案づくりには実際に汗をかいてやってきたわけであります。
 その中で特に私どもが知恵を絞ったのは、いわゆる重度の戦傷病者の生活設計、生活支援の給付のことでございました。いろいろ年金制度等のことについても検討は確かにいたしたんです。しかしながら、対象になる方々が高齢者であるということ等を考えますと、これは金額的に十分かどうかは別として、やはり一括して一時金として差し上げた方が望ましいというふうに私ども与党の方の見解が一致しまして実はこのようなことになっておるわけでございます。そのようなことで、この人方を、重度障害の方々を支えてこられた関係者の方々、御家族の方々の心情を思えば、一日も早くこういうものをまとめてさしあげたいというようなことで論議したわけです。
 したがって、このことについては民主党の皆さんからも、実際に私どものところに訪ねてこられまして、民主党案はこれでありますという実は説明を受けました。あるいはまた、私どもも先ほどの政党間の正式協議はまた別としまして、私もたまたま内閣の与党筆頭理事をいたしておりますので、野党筆頭理事の民主党の山元議員を通じまして、実は私どもはこういう考えを持っているということで、民主党の法案作成にかかわられた国会議員にも接触をいたしまして、御検討をお願いした経緯もあるわけであります。
 いずれにしても、ドイツの話も出ましたけれども、ドイツはやっぱりドイツのやり方があって、あそこは国家間の賠償を御承知のようにやっていない、日本は国家間の賠償額からまずこのことが始まってきたというようなこともありますので、それらを総合勘案した上で、ぜひこのような案をまとめた私どもに御賛同賜るとありがたいということを思っておるわけです。
 一致できなかったことについては思いが残りますけれども、ぜひ御採択いただくとありがたいという思いをいたしておることをつけ加えておきたいと思います。
 以上であります。
#95
○委員以外の議員(竹村泰子君) 先ほど虎島先生の方から冒頭お話がございましたように、自社さ政権のときに敗戦後五十年を迎えまして、虎島先生とも私も五十年プロジェクトの中でさまざまな戦後補償問題を取り上げ、議論し、本当に激論を闘わせた仲でございまして、本当にできれば今回、私の知る限り法律として戦後補償問題が委員会で審議されるのは初めてのことであるというふうに非常に重要に考えます。ですから、何とか御一緒にいい案をつくってというふうに考えましたけれども、しかしこれはやはり当事者であります被害を受けておられる方たちが望まれない方法で支給を決めてもこれは仕方がないことであろうというふうに思います。
 きょうは金先生もおいでくださっておりますし、被害者の御遺族の方もお見えになっております。そういう中での審議でありますけれども、被害を受けられた当事者、それから支援をしてこられた運動体の方たち、そして弁護団の方たち、みんなそろってやはり日本人と同じ扱いをしてほしいと。今まで長い間苦しみを味わってきて、一時金で、しかもその額も十分でない一時金で、こういう形でというのはやはり望まないという強い御意思を私たちは知っておりましたので、やはりそこのところは日本人と同じ扱いで、つまり戦傷病者十四法による年金という形をとりたいと強く思いましたので、御一緒に最終的にすることができませんでした。
 以上でございます。
#96
○委員長(小川勝也君) 他に御発言もないようですから、衆議院提出の平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律案の質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。
 平和条約国籍離脱者等である戦没者遺族等に対する弔慰金等の支給に関する法律案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
#97
○委員長(小川勝也君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#98
○委員長(小川勝也君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後零時五分散会
ソース: 国立国会図書館
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