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2000/02/10 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第5号
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2000/02/10 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第5号

#1
第147回国会 本会議 第5号
平成十二年二月十日(木曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第五号
    ─────────────
  平成十二年二月十日
   午前十時 本会議
    ─────────────
 第一 平成十一年度の緊急生産調整推進対策水
  田営農確立助成補助金等についての所得税及
  び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院
  提出)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、平成十二年度における公債の発行の特例に
  関する法律案、租税特別措置法等の一部を改
  正する法律案及び法人税法の一部を改正する
  法律案(趣旨説明)
 一、国務大臣の報告に関する件(平成十二年度
  地方財政計画について)
 一、地方税法等の一部を改正する法律案及び地
  方交付税法等の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、日程に追加して、
 平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明並びに平成十二年度地方財政計画についての国務大臣の報告及び地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を順次求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案の趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案につきまして御説明申し上げます。
 平成十二年度予算につきましては、我が国経済が厳しい状況をなお脱していないものの緩やかな改善を続けている中にあって、これを本格的な回復軌道につなげていくため、経済運営に万全を期すとの観点に立って編成したところであります。この結果、一般歳出の規模は前年度当初予算に対して二・六%増の四十八兆九百十四億円となり、一般会計予算規模では八十四兆九千八百七十一億円、前年度当初予算に対して三・八%の増加となっております。
 こうした中で、公債につきましては、財政法の規定により発行する公債のほか、二十三兆四千六百億円に上る多額の特例公債を発行せざるを得ない状況にございます。
 本法律案は、こうした厳しい財政事情のもと、平成十二年度の財政運営を適切に行うため、同年度における公債の発行の特例に関する措置を定めるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十二年度の一般会計の歳出の財源に充てるため、財政法第四条第一項ただし書きの規定による公債のほか、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で公債を発行することができることとしております。
 第二に、租税収入等の実績に応じて、特例公債の発行額をできる限り縮減するため、平成十三年六月三十日まで特例公債の発行を行うことができることとし、あわせて、同年四月一日以後発行される特例公債に係る収入は、平成十二年度所属の歳入とすること等としております。
 次に、租税特別措置法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、最近の経済情勢等を踏まえ、本格的な景気回復に資する等の観点から、民間投資等の促進及び中小企業、ベンチャー企業の振興を図るための措置を講ずるとともに、社会経済情勢の変化等に対応するため所要の措置を講ずるものであります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、民間投資等の促進を図るため、住宅ローン税額控除制度、特定情報通信機器の即時償却制度の適用期限の延長等を行うこととしております。
 第二に、中小企業、ベンチャー企業の振興を図るため、エンジェル税制の対象株式に係る譲渡益課税の特例及び同族会社の留保金課税の特例の創設等を行うこととしております。
 第三に、社会経済情勢の変化に対応するため、年齢十六歳未満の扶養親族に係る扶養控除の加算措置の廃止、相続税の延納の利子税の軽減等の措置を講ずることとしております。
 その他、特別国際金融取引勘定に係る利子の非課税制度、土地の登記に係る登録免許税の課税標準の特例、被災代替資産等の特別償却制度などについての期限延長、既存の特別措置の整理合理化等を行うこととしております。
 次に、法人税法の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 本法律案は、商法及び企業会計における金融商品の評価に係る時価法の導入を踏まえ、法人税における有価証券の評価方法について、売買目的の有価証券については時価により事業年度末の評価を行うこととする等の改正を行うほか、所要の整備を行うものであります。
 以上、平成十二年度における公債の発行の特例に関する法律案、租税特別措置法等の一部を改正する法律案及び法人税法の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#6
○議長(斎藤十朗君) 保利自治大臣。
   〔国務大臣保利耕輔君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(保利耕輔君) 平成十二年度地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨について御説明申し上げます。
 まず、平成十二年度の地方財政計画の策定方針について御説明申し上げます。
 平成十二年度においては、依然として極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえて、歳出面においては、経費全般について徹底した節減合理化を推進する一方、経済新生への対応、地域福祉施策の充実等当面の重要政策課題に対処し、歳入面においては、地方税負担の公平適正化の推進と地方交付税の所要額の確保を図ることを基本といたしております。
 具体的には、地方税については、個人住民税の最高税率の引き下げ及び定率減税並びに法人事業税の税率の引き下げ等の恒久的な減税を引き続き実施するとともに、平成十二年度の固定資産税の評価がえに伴う土地に係る固定資産税の税負担の調整措置等の所要の措置を講ずることとしております。
 また、地方財政の運営に支障が生じることのないようにするため、通常収支における地方財源不足見込み額については、地方交付税の増額及び建設地方債の発行等により補てんするとともに、恒久的な減税に伴う影響額については、国と地方のたばこ税の税率変更、法人税の地方交付税率の引き上げ、地方特例交付金及び減税補てん債の発行等により補てんすることとしております。
 さらに、地域経済の振興や雇用の安定を図りつつ、自主的、主体的な活力ある地域づくり、住民に身近な社会資本の整備、災害に強い安全な町づくり、総合的な地域福祉施策の充実、農山漁村地域の活性化等を図るため、地方単独事業費の確保等、所要の措置を講ずることとしております。
 以上の方針のもとに平成十二年度の地方財政計画を策定しました結果、歳入歳出の規模は八十八兆九千三百億円、前年度に比べ三千九百八十四億円、〇・五%の増となっております。
 次に、地方税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 平成十二年度の地方税制改正に当たりましては、最近における社会経済情勢等にかんがみ、地方税負担の軽減及び合理化等を図るため、平成十二年度の固定資産税の評価がえに伴う土地に係る固定資産税及び都市計画税の税負担の調整措置、宅地等に係る不動産取得税の課税標準の特例措置等を講ずるほか、非課税等特別措置の整理合理化を行う等、所要の改正を行うこととしております。
 次に、地方交付税法等の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、平成十二年度分の地方交付税の総額につきましては、一般会計から交付税特別会計への繰り入れ、同特別会計における借り入れ等の特例措置を講ずることにより、二十一兆四千百七億円を確保することとしております。
 また、単位費用につきまして、所要の改定を行うとともに、合併市町村の建設のための特例地方債の償還に要する経費を算入することとし、また、地方分権推進計画に沿って、交付税の算定方法の簡明化の一環として、一部の経費について新たに単位費用を設定することとしております。
 以上が地方財政計画の概要並びに地方税法等の一部を改正する法律案及び地方交付税法等の一部を改正する法律案の趣旨であります。(拍手)
    ─────────────
#8
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明及び報告に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。本岡昭次君。
   〔本岡昭次君登壇、拍手〕
#9
○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表して、小渕総理の施政方針演説に対し、総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 この百四十七通常国会は、人類の歴史の転換期である二十一世紀を目前にし、その二十一世紀への確かな方向を創造していかなければならない極めて重要な国会であります。しかしながら、政府・与党は衆議院定数削減法案の国会冒頭成立にこだわり、自由党の政権離脱か自自合流かという政治ゲームに狂奔し、国会を機能麻痺に陥れたのであります。
 法案が送付されてきた参議院においても、与党はまさに問答無用と、付託された委員会での審議どころか、法案の趣旨説明もないまま二月二日の本会議に中間報告を求めて与党のみで強行採決し、参議院の自殺行為を行ったのであります。
 一方、総理の施政方針演説、代表質問、予算委員会も出席者は与党だけという前代未聞の国会運営を行いました。これは、自自公という巨大与党をつくり上げた自民党の数のおごりと数の暴力であります。
 さらに看過することができないのは、国会に対する政府の有無を言わさぬ介入であります。
 参議院での採決についても、斎藤議長が異常な形で議事を進めざるを得なかったことはまことに遺憾であり、参議院の独自性を守れなかったことについて、自分の力不足を痛感していると、今回の採決を先例としないという反省を込めての発言もあるように、政府の介入は異常なものでありました。
 青木官房長官が二月二日採決の強い圧力を参議院与党に加えたことは否定できない事実であります。
 憲法第四十一条に明記されているように、国権の最高機関であり国の唯一の立法機関である国会を内閣が支配するような言動は、国会と議会制民主主義を破壊させるファッショ政治そのものであります。政権維持しか眼中にない総理や与党の姿勢こそが国会を機能麻痺させたのであります。小渕総理の政治責任はまことに重大であります。
 かつて細川政権時代、私が政治改革特別委員長として細川総理と官邸でお会いしたこの事実だけをもって、自民党は厳しく責め立て、委員会で私に謝罪を求めた。私は、議会と政府との関係というのはこれほど厳しいものであるということをそのとき痛感しました。しかし、今回のこの政府の国会に対する議会介入、これは何としても私は許すことができないのであります。小渕総理並びに青木官房長官に猛省を促すとともに、その責任をどのように感じておられるのかお聞きしたい。
 またいま一つ、民主主義を危機に陥れようとした二月二日採決とは一体何であったのですか。二月二日以降の採決であればどのような重大な問題がこの国に起こったのでありますか。小渕総理と陣頭指揮された青木官房長官、国民が理解できるように、ここのところを御解明願いたい。
 さらに、総理の施政方針演説も、確固たる理念の裏打ちがなく、単に言葉の遊びと羅列にすぎず、この二〇〇〇年冒頭の改革と創造の歴史的な国会に臨む決意がほとんど伝わってきません。
 今回のたび重なる与党のみのこの単独審議、単独議決の強行によりはっきりしたことは、自自公連立政権は、政策の是非でなく党利党略で動いているということがはっきりしたということであります。
 もともと小渕自自公内閣は一度も選挙の洗礼を受けていないいわば潜り政権と言われても仕方がないのであります。小渕総理は一日も早い解散・総選挙によって国民の信を問うべきであります。総理、堂々と国民に信を問い、そして沖縄サミットの議長をお務めになったらいかがでありますか。
 ところで、小渕総理は一九九八年十月に古川秘書官のドコモ株の取得経緯について国会で追及をされておられます。二百万円であったそのドコモ株が時価二十五億円に大化けしたのであります。小渕総理はそのドコモ株取得について関知、関与していないのか。本当の所有者は総理自身ではないのかと国民は思っております。古川秘書官が名誉毀損で週刊誌を告訴しても、総理の疑惑問題は解決するものではありません。逆に疑惑はますます深くなっていると感じます。国民に明快に説明する義務があります。総理に説明を求めます。
 さて、二十一世紀は解体から創造への新しい世紀だと言われています。
 情報技術革命によって世界が一つになり、個人が大変な力を発揮できる時代がやってくるのであります。グローバリゼーションの大波が押し寄せ、これまで想像できなかった新しい世界が生まれようとしています。日本も個人の能力を最大限に生かす社会への転換が迫られています。そのためには、リスクをとることを恐れずチャレンジし、苦しいことに耐える勇気を持ち、お互いに助け合う共生の社会をつくり上げ、真の能力主義、真の公平を推進していかねばなりません。同時に、あらゆる意味で差別をなくし、教育、雇用、福祉、環境など基本的なものにセーフティーネットを張りめぐらすことが極めて重要な課題となってきました。
 まず、こうした新しい時代への転換について小渕総理の認識を聞いておきたいのであります。
 私は、新しい時代へ転換する力は教育にあると考えています。小渕総理も、国家の基本は人であり、教育は国家百年の大計の礎を築くものと教育改革を重要課題とするお気持ちのようであります。しかし、総理は、施政方針演説の中で教育立国を表明されただけで、それを実現していく教育改革の具体的施策は何もなく、例によって総理お得意の諮問機関、教育改革国民会議へ丸投げであります。このような問題の先送りをしていく小渕総理のもとでは真の教育改革は期待できません。
 私は、一九八六年、通常国会の代表質問で当時の中曽根総理に、いじめ、高校中退などの教育荒廃問題を取り上げ、政治が教育を大切にしないと未来から報復をされますよと訴えたことを思い起こします。今日までのこの十五年間、国の教育政策の無為無策が残念でなりません。
 この四月に東京と沖縄で開催されるG8教育大臣会合のねらいは何でございますか。開催国日本の総理として、教育立国を実現していく教育改革の具体的な施策が提示できないようでは恥ずかしいではありませんか。ぜひとも教育改革の具体策を示し、その教育改革を実現していく決意を披瀝してください。
 私は、新しい時代を担う世代のために、子供、青少年の課題を見据えた教育改革について総理と議論をしたいと思います。総理に教育を政治の最優先課題とする決意がおありなのでしょうか。まずお伺いしたいと思うんです。
 さて、総理も御存じのとおり、昨年のドイツのケルン・サミットにおいて「生涯学習の目的と希望」というケルン憲章が出されました。サミット構成国は、日本を除き、ほぼ共通して教育を国家政策の最優先事項としているようでありますが、その実情を総理にお伺いしたいのであります。
 このケルン憲章の前文には、すべての国が直面する課題は、学習する社会となる来世紀に必要とされる知識、技術、資格を市民が身につけることをどのようにして確保するかである。経済や社会はますます知識に基づくものとなっている。教育と技能は経済的成功、社会における責任、社会的一体感を実現する上で不可欠である。また、来世紀は柔軟性と変化の世紀と定義されるであろう。今日、パスポートとチケットにより人々は世界じゅうどこへでも旅することができる。将来は、流動性へのパスポートは教育と生涯学習となるであろう。この流動性のためのパスポートはすべての人々に提供されなければならない、このように述べているのであります。
 さらに、基本原則には、人々への投資に対する見返りはこれまでになく大きいものであり、また、その必要性はこれまでになく高くなっている。それは、雇用、経済成長、社会的・地域的不平等の縮小のかぎである。来世紀に移行するにつれて、知識へのアクセスは収入と生活の質の決定要因として最も重要なものの一つとなるであろうとしています。
 総理、このケルン憲章は、来るべきグローバリゼーションの時代を私たち日本がどのように生き抜いていくべきかという課題に対し、実に示唆に富んだ提案をしていると私は思います。教育への投資は、雇用、経済成長、社会的・地域的不平等の縮小のかぎと位置づけ、教育こそが社会を改革する力の源泉であり、変化の激しい流動的な社会を切り開く力であるとしているのであります。
 総理、このケルン憲章に対する認識と評価について率直な考えをお聞かせください。
 教育改革の論議は、子供や教育現場が直面している喫緊の課題を十分に認識していなければなりません。復古調の愛国心等を求める与党の短絡的な教育基本法改正などは教育改革にとって有害無益であります。総理の見解を求めます。
 そこで、総理、総理は我が国の子供や青年の四人に一人が無業、不明、中退と推計されることを御存じでしょうか。
 文部省の学校基本調査をもとにした推計によると、一九九〇年三月の中学校卒業生百九十八万人余を一九九七年三月の四年制大学卒業時点まで進学、就職、中退、無業、不明について追跡をしていきますと、無業、不明、中退は百九十八万人中五十四万人と推計されるのであります。簡単に言えば、四人に一人のドロップアウトが生じているということなのであります。これは我が国にとって極めて重大な問題であります。
 就職難の今日でも、比較的求人の高い東京、神奈川でも、高校を卒業して就職する生徒よりも無業者が上回っております。また近年では、若者の自発的失業が増加していることも大きな課題として報告されております。
 我が国が未曾有の超高齢化社会に入りつつある今日、ただでさえ少ない将来を支える子供たちの四人に一人がドロップアウトするとすれば、この国の将来はどうなっていくのか。多くの若年失業者を抱えていた欧米の国々において、教育こそが政治の最優先事項であるとの合意に達したのは、教育こそが社会的セーフティーネットの最も主要なものであるという認識に達したからであります。
 私は、若者の四人に一人がドロップアウトしているかもしれないという我が国社会の大変な現実を直視し、今こそケルン憲章を踏まえ、教育を社会的セーフティーネットとして政治の最優先課題にすべきであります。総理の御所見をお聞かせください。
 問題は、なぜこのようなことになってしまったのかということであります。多くの要因があるでしょう。私は、ここで学びに関する子供の受けとめ方を考えてみたいと思います。
 一九九五年と九九年に我が国も参加した国際教育到達度評価学会の数学・理科教育調査が行われております。我が国は、テストの成績において小中学校ではトップクラスを占めたものの、数学や理科が嫌いと答えた子供の数は最も多く、数学や理科の学習が生活にとって大切であるとか、将来そのような職業につきたいと考えている子供の数も極めて少ないことが明らかになっております。
 日教組の小学校調査でも、四割を超える小学生が算数を嫌いと答えたようであります。また、中学二年生の自宅学習時間は小学生よりも少ないという生活調査もあります。私には、学ぶ意欲が見られない、みずから打ち込んでいかないという教育現場の悲鳴が伝わってきます。受験競争や受験準備教育がもたらした弊害であります。
 確かに、まだ日本が高度経済成長を達成していく途上にあっては、受験というハードルは学びにもインセンティブを与え得たでありましょう。テストの結果がよければいい大学にも入れたし、いい企業にも就職できた。そうすれば生涯豊かで安定した生活が得られた。親がたとえ義務教育だけであっても、子供が受験競争に勝ち残れば上位の所得階層に移ることが可能であった。勉強すれば何とかなるという社会がそこには存在していたのであります。そしてまた、その結果として、学校教育を中心として、受験準備教育が主流をなす世界がつくられていったのであります。
 しかし、現在の子供や青年が直面している社会は違います。親が大企業の幹部であってもリストラのあらしから逃げることはできません。社会的に安定していた米屋、酒屋、本屋といった小売店、中小企業も流通経済の革新の中で倒産していきます。安定したものが揺れ動き、あっという間に奈落の底に落ち込んでいきかねない社会です。年金だって自分たちの世代ではどうなるかわからないといった気持ちも持っております。
 しかし、学校教育の今日の姿は、依然として受験準備教育、それが、お受験と言われるように幼児教育にまで浸透してしまっています。私には、すべての子供や青年が学びからの逃避や職業への忌避を始めているように思えるんです。私が危惧する学びからの逃避や職業への忌避が子供や青年に存在し、それがドロップアウトを加速させているとすれば、日本社会の将来に展望は生まれてきません。高齢化社会を支える力も社会的な合意も形成できません。
 この子供や青年たちについて、総理はどのようにお考えになっているでしょうか。私は、早急に大規模な実態調査を実施すべきだと思います。同時に、ドロップアウトしている子供や青年がその後どのような進路をたどっているのかということも追跡調査をしていくことが極めて重要であると考えます。総理、中曽根文部大臣の所見をお聞かせください。
 これまで日本の学校教育と職業教育のシステムは、学校で基礎、基本を身につけ、実際の職業訓練は企業内教育でというものでした。そのシステムが機能していた時代ではそれでよかった。一九八〇年代に生涯教育が声高に叫ばれても、なお学校教育と職業能力の問題は分離したままであります。
 総理、そして各大臣、先ほど紹介したケルン憲章をどうかじっくりと読んでください。これからの新しい世紀の社会では、知識と技能が重要となり、しかもそれは不断に革新される課題であるとしています。その知識、技能を身につける不断の努力を支援することにより、雇用、経済成長、社会的・地域的不平等を縮小していくことができるというこの明確なる認識が大事なのであります。
 既に欧米諸国では、初等教育の段階から独創性、創造性を重視する教育が実施され、小中高校生を対象としたベンチャー企業家教育も推進されています。日本の政治は、こうした社会的セーフティーネットワークとしての教育の重要性や、学校教育と職業との接続の課題をどのように認識しているのでしょうか。総理、文部大臣の率直な御所見をお聞かせください。
 総理、結局この日本社会は今まで子供たちを大切にしてこなかったのではないでしょうか。
 また、ケルン憲章には、すべての子供にとって、読み、書き、算数、情報通信技術の十分な能力を達成するとともに、社会的技能の発展を可能とする初等教育とその重要性が掲げられています。この質の高い初等教育を担保するのがまさに子供を大切にする社会の存在であり、子供が存在する地域社会づくりであります。
 また、子供が学ぶ学校の施設設備の高度化であります。これから七〇%近い学校が大規模改造ないしは改築に入ってきます。学校を地域の文化の拠点としての複合施設として整備をしていくことも含め、今後の公共事業の重点とすべきであると私は考えます。子供が大切にされる町づくり、学校の高度化について、総理、文部大臣の認識を聞かせてください。
 さらに、質の高い教育実現に不可欠なものに教職員定数改善と三十人以下の小規模学級編制の実施があります。総理も日教組の教育評論に次のような文章を載せております。日教組の教育評論に出されたんです。現行の教職員配置改善計画を完成させ、今後の学級編制や教職員配置のあり方について、二〇〇一年度から新たな施策に着手できるよう検討を進める、このように述べておられます。民主党は既に昨年の通常国会より法案を参議院に提出しています。
 政府は、二〇〇一年四月より新しい教職員定数大幅増員と学級編制基準を三十人以下とする教職員定数法改正法案の今国会提出に踏み切るべきです。そして第七次改善計画を実施することは、総理の熱望する教育改革の絶対条件であります。総理並びに文部大臣の大英断を求めます。
 さらに、受験という鉄鎖から子供を解放し、一人一人の子供が自分の学びの目的をつくり上げることです。民主党は、この問題についても、すべての学校を中高一貫学校にして高校入試を廃止すべきであると主張し、法案を衆議院に提出しております。受験という鉄鎖から子供を解放する中高一貫教育について、総理並びに文部大臣の所見をお聞かせください。
 総理、ケルン憲章は決して難しいことを言っていません。総理の教育立国という国家像実現も、要は政治がいかに教育を大切にするか、未来を担う世代を私たちがいかに大事にしようとするかということで決まると私は考えます。政治の役割は、子供や青年が本当の学びをつくり出すために可能な限りの社会的資源を振り向けることではありませんか。総理の明快な御認識を披露いただきたいと思います。
 さて、二〇〇〇年度の政府予算案は、二十一世紀を目前にし、未来への確かな方向を創造していく予算案とは到底言えないのであります。景気回復を大義名分にした前年度当初比三・八%増、八十四兆九千八百七十一億円で、従来型の公共事業重視の大型予算であります。
 今必要な予算案は、混迷を深める我が国経済社会において、財政規律に十分留意しつつ、産業経済の構造改革を促進するとともに、国民の生活、雇用の安心感を高めるものでなくてはなりません。
 景気回復のための財政刺激策の重点は、政府の従来型の公共投資から民間主導の情報関連などの新規投資の支援や国民の生活水準向上、リストラのセーフティーネットとなる雇用促進に転換していく予算に改めるべきであります。総理の答弁を求めます。
 さらに、この無軌道なばらまき予算案の結果、我が国の財政赤字は悲劇的な域に達しつつあります。戦後最高の総額三十二兆六千百億円の国債発行で、国債依存度は実に三八・四%に達し、国債発行残高は三百六十四兆円となります。
 いかに景気対策優先といっても、小渕政権発足以来、八十三兆五千五百十億円に上る国債の発行に、小渕総理は世界一の借金王になったと自認されております。しかし、国民は、小渕総理は孫のキャッシュカードを使いまくっていると経済危機を心配し、本気に怒っているんです。
 小渕総理にお聞きしたい。このままいけば、二〇〇一年度には国の国債発行残高が四百兆円に達すると言われています。この借金をどのようにして返すのでありますか。
 また、総理は、二〇〇〇年度を循環型社会元年と位置づけ、循環型社会の構築に取り組むと明言されています。
 これまでも、廃棄物処理とリサイクルの間で整合性のない施策が省庁縦割りの権限争いの中で進められ、廃棄物・リサイクル行政は混迷をきわめております。このような場当たり的な対応では循環型社会は実現できません。このままでは、将来の世代に有害廃棄物の山を残すことになり、環境悪化は避けられません。実際の各地で起こっている紛争は、廃棄物の定義を変えるとかリサイクル施設に対する環境関係の規制の強化などの具体的措置を盛り込まない限り解決できません。
 民主党は、廃棄物処理法と再生利用促進法を統合した本格的で総合的な法制度の法案化を検討しております。
 政府は、今回の法改正でどのように具体的な問題解決を目指すのか、答弁を求めます。
 また、農水省は昨年末、農業構造改善事業や山村振興事業などの実施をめぐる接待疑惑で十八人を処分しました。しかし、新たな接待疑惑が発覚して、一月十一日には追加処分を行うという醜態をさらけ出しています。今もなお、その過剰接待が明るみに出ております。調査委員長が構造改善局長という身内の調査ですから、もともとやる気があるとは思えません。
 さらに、構造改善局所管三公益法人に、三十三人を関連企業二十三社が仕事をもらうためと無報酬で出向をさせてもいたのであります。職務に関係する組織的な業者との癒着が否定できない以上、捜査当局に解明をゆだねるべきではなかったか。農家に背を向けた土木傾斜の農業補助金行政が巨額なむだや不正を生み出しているとも言われております。
 農業構造改善局の不祥事により、深刻かつ構造的な汚職体質が露呈した以上、内部調査による内部処分で幕引きはできません。大蔵省の接待汚職では、当時の大蔵大臣、事務次官の辞任にまで発展しております。これは農水大臣の責任が問われる構造改善局の底なし疑惑ではありませんか。また、補助金行政を大幅に圧縮、整理しなければ癒着の根は断ち切れません。総理の見解を求めます。
 次に、茨城県東海村のジェー・シー・オーの臨界事故は原子力安全委員会の限界を明らかにいたしました。国民は、原子力安全行政の抜本的見直しを求めています。しかし、政府の見直しは、原子力安全委員会の事務局を今の科学技術庁から総理府に移し、形の上で独立させて事務局員を増員するという極めて不十分なものです。しかも、安全行政を実質的に担っていくのは、依然として科学技術庁であり通産省の規制部門であるのであります。
 今通常国会に法案提出を決めています民主党案は、原子力安全委員会を今の国家行政組織法八条に基づく諮問機関から三条二項に基づく規制機関に改組して、原子力安全規制委員会とすることにしております。あわせて、科学技術庁と通産省にある規制部門を両省庁から切り離して規制委員会の下に置くことにしています。さらに、総理府の外局として行政庁から独立した委員会にします。
 小渕総理に、原子力安全行政の抜本的な見直しについての所見と、あわせて民主党案に対する見解を伺いたいのであります。
 最後に、多発する自然災害に対する国の責務についてお伺いします。
 我が国は、自然災害列島と言われ、毎年のように台風、大雨を初め地震、噴火などの自然災害により大きな被害を、そして損害を受けております。災害対策特別委員会の大臣所信は、いつも国の責務は災害から国民の生命、財産を守ることというところから始まるのであります。
 しかしながら、国の責務としての被災者への公的支援制度は全く不十分であります。一昨年成立し、画期的と評価される被災者生活再建支援法も、政府提案でなく参議院提案の議員立法であったのであります。災害死亡者への弔慰金法も参議院提案の議員立法であります。このように、政府は、絶えず被災者に対する国の責務を回避してきたのであります。
 去る一月十七日、神戸市で開かれた阪神・淡路大震災五周年犠牲者追悼式典に、小渕総理、斎藤議長が参列されて追悼の辞を述べられました。被災者支援の課題について、総理は必要な施策を継続して講じる決意の披瀝があり、斎藤議長も参議院としての責務に触れられ、私は、地元被災地出身議員としてまことに意を強くした次第であります。
 総理、改めて一・一七犠牲者追悼式典に参加されての御感想をお聞かせください。
 さて、阪神・淡路大震災被災者の実情や、加えて近年、災害救助法適用の大雨や台風による災害が各地で発生している現状から、被災者の住宅再建の公的支援制度や被災者生活再建支援法の見直しを求める国民の願いは切実なものとなっております。
 まず、住宅再建の公的支援制度の法制化であります。
 被災者生活再建支援法の附則第二条には、住宅再建支援のあり方の検討が明記されています。民主党は、この附則第二条に基づき、自然災害による住宅の損失の程度に応じて、国の公的資金と個人の掛金により住宅再建を可能にする新しい支援制度を立法化し、今国会に提案したいと考えております。
 さらに、阪神・淡路大震災の被災者が住宅再建において深刻な負担となっているのが住宅建設資金の二重ローンです。ある民間調査によると、自宅再建者の約四〇%が二重ローンを抱えているとの結果が出ております。二重になるローン返済の負担を減免するための公的措置が何としても必要だと考えます。
 また、被災者生活再建支援法の抜本的な改正であります。
 一九九九年四月から本格的な法律の適用による支援が始まりました。これまで、岩手県、愛知県、広島県、山口県、福岡県、熊本県等、各県七十一市町村の被災世帯が支援金の支給対象となったのであります。しかし、年収制限などで、住宅が全壊した世帯であっても、その四〇%が支給対象から除外されるという不公平な結果も生じております。
 民主党は、支給対象を全壊、半壊と範囲を広め、年収制限も一千万円と拡大する、支援金も最高五百万円とする、財源を国庫負担とするということなどを中心に、今国会で被災者生活再建支援法の抜本改正を行うべきであると考えております。こうした二重ローン問題、住宅再建の公的支援、被災者生活再建支援法の見直し等について、総理並びに国土庁長官の御認識を伺いたいのであります。
 次に、災害危機管理機構の整備強化であります。
 自然災害に対する内閣機能強化を図るために大胆な組織改編を進め、アメリカの連邦緊急事態管理庁、FEMAのように、内閣総理大臣の権限を強化し、緊急即応組織の整備が緊要の課題であります。災害情報危機管理室等を設置し、情報・危機管理に関する機能と権限を集中させ、情報収集・処理並びに緊急災害支援の対応に必要な予算を確保し、危機管理能力を飛躍的に高める必要があります。国民の求める安心システムである危機管理体制の確立について、総理の見解を求めます。
 最後に、阪神・淡路大震災に係る特例措置の継続であります。
 二月二十三日で阪神・淡路大震災復興対策本部が解散します。しかしながら、被災地には継続を必要とする多くの課題が残されています。
 まず、子供の心のケアの問題であります。
 震災が原因で心的外傷後ストレス障害という重い心の傷を負っている児童生徒は、今も四千百人と依然として減少していません。こうした児童生徒の心のケアを担当し、大きな成果を上げている復興担当教員配置の継続が必要であります。
 次に、家賃減免の問題であります。やっと仮設住宅が解消しましたが、復興住宅入居者の六〇%が政令月収二万円以下という低所得で、家賃の七〇%減免を受けております。しかも、世帯主の年齢は六十歳以上が五八%を占め、この家賃減免の国の補助制度の打ち切りは深刻な事態をもたらします。
 さらに、災害援護資金の償還期限の問題もあります。
 兵庫県内の災害援護資金の貸し付けは約千三百億円です。約五万七千人が一人平均約二百三十万円借りています。この財源の三分の二は国の負担であります。ことしから返済が始まります。しかし、自宅や仕事を失い、生活保護世帯が急増しています。生活に窮している年金生活者が目立っている。こうした実情から、何らかの対策を必要とするのではないでしょうか。
 また、被災者向けの災害復興公営住宅では大変な高齢化が進んでいます。兵庫県営でも三六・九%、神戸市営三一・九%、西宮市営四四・二%、芦屋市営五四・七%といった実態で、十六自治体のうち一自治体を除いて三〇%を上回っています。しかも、四世帯に一世帯はひとり暮らしの高齢者です。この高齢者の生活支援として、高齢世帯支援制度による支援員や健康相談に当たる健康アドバイザーなどがつくられております。しかし、これも国の補助金の減額や打ち切りといった見直しの中で重要な問題が起ころうとしております。
 私は、被災者の生活再建と被災地復興に大きな役割を果たしている数々の特例措置の期間延長による継続について、総理並びに青木官房長官、中山国土庁長官、文部大臣より政府の基本的な方針と具体的な対応を示していただきたいのであります。
 震災はだれが起こしたものでもありません。その苦しみをより多く味わわねばならなかったのは高齢者の人々でした。若いころのように働けず、身体も傷み、伴侶と死に別れて、子供も遠くに住む高齢者のことを、あすは我が身のことだと想像できないようであれば、私たちは一体あの大震災から何を学んだと言えるのでありましょうか。
 一・一七阪神・淡路大震災追悼式における小渕総理の追悼の辞は、式典用のその場限りのものであってはなりません。被災者の最後の一人まで政府が支援し、心の復興とあわせて政治の信頼を復興させるのであります。政治の信頼の復興であります。
 小渕総理の答弁を求めて、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(小渕恵三君) 本岡昭次議員にお答え申し上げます。
 冒頭、議員から、定数削減法案の処理と国会の状況についての御指摘がございました。この場で改めて私の考えを申し述べさせていただきます。
 定数削減法案につきましては、国家公務員の削減、地方議会の定数削減、民間の経営合理化への取り組みなどを踏まえ、また国民世論の声を十分勘案して、国会においてまず改革を進めることが大切であると考えます。
 衆議院議員の任期が本年十月に迫っており、国民への周知、政党や候補者の準備などを考えると、本法案は喫緊の課題であり、先般、国会においてこの問題に対処されたことは大変意義深いと考えます。
 そもそも、衆議院議員の比例定数の削減は、昨年六月に自自両党から法案が提出されて以来、三回の国会にわたって各党間で議論されてきた課題であります。今国会におきまして、予算案の国会提出がおくれざるを得ない中で、国会を早期に開会し、定数削減法案の審議に全力を注がれ、また衆議院議長の累次の御努力などもあったと承知しております。
 本法案について、こうした経緯を経て、衆参両院において正規のルールに従って手続が進められ、処理されてきたものと承知をいたしております。したがって、暴挙との御指摘は全く当たらないと考えます。
 また、官房長官についての御指摘がありましたが、政府として参議院議長などに対し圧力をかけるようなことはあり得ないものと考えております。念のため官房長官に確認したところ、そのようなことは一切ないということでありました。
 解散・総選挙についてお触れになりました。
 日本経済は、これまでの各般の諸施策により、最悪期を脱し緩やかな改善を続けているとはいえ、自律的な景気回復に至っておりません。本格的な景気回復のためには、そのかぎを握る平成十二年度予算の早期成立が何よりも必要であります。
 他方、衆議院の解散は、実際上内閣総理大臣に与えられた大権でもあります。あくまでも国民そして国家を判断の基準に据えつつ、解散して国民の信を問うべき事態に立ち至ったと考えられるときには、これをちゅうちょすることなく断行すべきものであると考えております。
 私の秘書官の株式取得についてのお尋ねがありました。
 お尋ねの件は、週刊誌の記事に掲載されているが、秘書官本人からは、その記事は全く事実無根であり、一日も早く真相を明らかにするべく、二月三日、名誉毀損罪として週刊誌の編集人と執筆者を刑事告訴した旨報告を受けているところであります。
 本件株式の取得の経緯につきまして、既に一昨年の衆議院予算委員会等において答弁いたしておりますが、昭和六十三年に、現在の会社の前身のまたその前身に当たる会社の株式を、当時同社の役員をしていた方から頼まれ秘書官本人がもとより正当な手続を経て譲り受けたものであり、何ら不適切なことはなかったと承知をしております。
 したがって、この株式取得について私は全く関知いたしておりません。権威ある国会の場において、何ら根拠を示すこともなく、あたかも私自身が関与しているがごとく質問されたことは、まことに遺憾であります。
 新しい時代への転換の認識についてお尋ねがありました。
 現在、先進諸国を初めとする多くの国々が、グローバル化や情報技術革命のうねりの中にあります。我が国は、これまで追いつき追い越せを目標に努力を重ねてまいりましたが、もはや世界には目標となるモデルはありません。日本人は、日本のフロンティアをみずから探さなければなりません。
 こうした時代には、あすの日本は、個人が組織や集団の中に埋没する社会ではなく、個人が輝き、個人の力がみなぎってくるような社会を築き、日本及び日本人の潜在力を引き出すことが大事と考えます。
 そうした自立した個人が能力を十二分に発揮し、そのことが国家や社会を品格あるものにする、そのように国民と国家の関係を変えていく必要があります。ここでは、失敗しても再挑戦が可能な寛容さを社会が持つとともに、社会のセーフティーネットが有効に機能することが必要であると考えます。
 教育改革につきまして、本岡議員、力を込めて多くのお尋ねがございました。
 まず、御指摘のG8教育大臣会合では、ケルン・サミットを受けまして、教育に係る各国の直面する問題について幅広く議論していただき、政策提言をいただきたいと考えております。
 御承知のように、欧米主要国におきましても、教育を重要課題の一つと位置づけていると認識しております。これらの背景にあるものは、いずれの国も教育こそが社会の繁栄と国民生活の向上の基盤であるという観点から、積極的に取り組んでいると認識しております。
 私といたしましても、施政方針演説において述べましたように、我が国の教育改革を進めるに当たりましては、創造性の高い人材を育成することが大きな目標でなければならないと考えております。
 具体的には、例えば、文化と伝統の礎である美しい日本語を身につけると同時に、国際共通語である英語で意思疎通ができ、インターネットを通じて国際社会の中に自在に入っていけるようにすることであると考えております。
 社会のあり方まで含めた抜本的な教育改革が求められる中、現在、与党三党派間の合意による教育改革国民会議をスタートすべく、広く国民各界各層の意見を伺いつつ、準備をいたしており、教育改革を内閣の最重要課題として全力を挙げて取り組む所存でございます。
 ケルン憲章についてお尋ねがございました。
 御承知のように、ケルン憲章は、私も出席をしましたケルン・サミットにおきまして、生涯学習社会を構築するための基本的な原則や具体的な施策を提起したものであり、我が国の教育改革が目指すべき方向と軌を一にするものであります。
 このケルン憲章では、種々示唆に富む提言がなされており、例えば、先生御指摘のように、「教育と技能は、経済的成功、社会における責任、社会的一体感を実現する上で不可欠である。」という点なども含めまして、これからの国際社会の中における我が国のあり方にとって有意義なものと理解をいたしております。
 教育基本法についてのお尋ねがございました。
 昭和二十二年に制定されました同法の作成過程につきましては、私も、NHKのテレビのドキュメンタリー番組等を通じて、教育刷新委員会での御議論など、その経緯をよく承知いたしております。
 教育基本法については、制定以来五十年余りを経ており、教育全般について種々の問題が生じている今日、これらについて大いに議論する中で、家族、地域社会、個人と公、さらには生涯学習の観点も含め、幅広く議論を積み重ねていくことが重要であると考えております。
 若者の実情に関し、我が国の社会の現実を直視すべきではないかとのお尋ねがありました。
 ある学者の分析として御指摘のような推計があることは承知をいたしておりますが、いずれにしても、学校に適応できない若者やいわゆる自発的失業者、就職後早期に離職する者の増加などの状況があることについては、解決すべき喫緊の課題であると考えます。
 このような問題意識に立ち、御指摘の、「将来には、流動性へのパスポートは、教育と生涯学習となるであろう。この流動性のためのパスポートは、すべての人々に提供されなければならない。」というケルン憲章の考え方も含めつつ、教育改革に取り組んでまいりたいと思います。
 将来の日本社会を支える子供たちの実態についてのお尋ねがありました。
 二十一世紀を担う子供たちがみずから学び、みずから考える力をはぐくむとともに、みずからのあり方、生き方を考え、望ましい職業観や勤労観を身につけていくことは、極めて重要であると考えます。
 今後とも、子供たちの実態を適切に把握し、将来の我が国を支え、地域を支える人材の育成に努めてまいります。
 社会的セーフティーネットとしての教育の重要性や、学校教育と職業との接続についてのお尋ねがありました。
 創造性に富み、チャレンジ精神を持って主体的に生きていく人材を育成することや、望ましい職業観、勤労観を育成し、円滑に職業生活に移行できるようにすることは、重要な課題であると私も考えます。
 このため、知識詰め込み型の教育から脱却し、みずから学び、みずから考え、行動し、問題を解決する力など、生きる力を育成する教育を推進し、職業教育や進路指導の改善充実に努めてまいります。
 子供が大切にされる町づくり、学校の高度化についてのお尋ねがありました。
 充実した学校教育の展開のためには、校舎等の教育環境の整備充実が重要であり、地域コミュニティーの拠点としての学校づくりや教育の情報化等、新しい課題にこたえることができる施設整備に努めてまいります。
 今後の学級編制についてのお尋ねでありますが、現在、文部省におきまして、今後の教育のあり方等を視野に入れて鋭意検討いたしておるところであります。学級規模及び学習集団のあり方等につきましては、教育水準の維持向上という観点から、財政負担も十分考慮しつつ、今後とも適切に判断していく必要があると考えております。
 中高一貫校についてお尋ねがありました。
 中高一貫教育は、これまでの中学校、高等学校に加え、六年間の一貫した学習環境のもとで特色ある教育活動を幅広く展開できるものであり、中高一貫教育校の整備を積極的に促進してまいります。
 未来を担う世代に対する思いについてでありますが、私は、あすの時代を担う子供たちのために何ができるのか、何をしなければならないのかを一人の政治家としてまず第一に考えなければならないと思います。
 この子供たちにどのような日本を引き継いでいくかという観点に立ちまして、施政方針演説におきまして教育立国を掲げたとおり、教育改革を内閣の最重要課題として位置づけ、子供たちの育成に全力で取り組んでいく所存でございます。
 十二年度予算につきまして、従来の公共投資からの転換を図るべきではないかというお尋ねでありました。
 そもそも、何をもって御指摘のような従来型と言うのかは明らかではありませんが、十二年度における公共事業予算においては、新たな発展基盤の構築を目指し、物流効率化による経済構造改革の推進、環境対策、少子高齢化対応、情報通信の高度化といった直面する政策課題に対応する分野に重点化を図っておるところであります。
 また、公共事業以外につきましても、総額二千五百億円の経済新生特別枠におきまして、申し上げました情報化、高齢化、環境に対応したミレニアム・プロジェクトに特段の予算配分を行うとともに、経済新生対策の一環として実施をされます雇用対策におきましても、中小企業の創業支援等による雇用創出、安定対策等の措置を行っておるところであります。
 このように、十二年度予算におきまして、経済運営に万全を期するとともに、二十一世紀に真に必要となる施策に重点的・効率的配分を行っており、こうした施策を通じ公需から民需への転換を図り、我が国経済を民需中心の自律的景気回復を実現させてまいりたいと考えております。
 今後の財政再建への取り組みについてのお尋ねがございました。
 私は、十二年度末に公債残高が約三百六十四兆に達するなど、我が国財政が極めて厳しい状況にあることは、これを重く受けとめており、財政構造改革という重要な課題を忘れたことは片時もありません。
 しかしながら、私は、今、景気の本格的な回復と財政再建という課題の双方を同時に追い求めることはできない、二兎を追う者は一兎をも得ずとなってはならないと考えております。我が国経済がようやく最悪期を脱し緩やかな改善を続けている中にあって、私は、ここで景気の足元を固めることなく財政再建に取りかかるという過ちを犯すべきではないと考えます。むしろ、今重要なことは、せっかく上向きにかかってまいりましたこの景気を本格的な回復軌道に乗せることであると考えます。
 我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政・税制上の諸課題について将来世代のことも展望した議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という大きな課題に立ち向かってまいりたいと考えております。
 廃棄物・リサイクル対策の推進は我が国における喫緊の課題であります。このため、私は、平成十二年度を循環型社会元年と位置づけ、そのための基本的な枠組みとなる法案を国会に提出するとともに、あわせて廃棄物処理法、再生資源利用促進法等の廃棄物・リサイクル関係法律の整備を図ることにより、実効ある対策を推進してまいりたいと考えております。
 農林水産省構造改善局の問題についてのお尋ねがありました。
 この問題につきましては、農林水産省として最大限自浄努力を尽くすという観点から、大臣訓令に基づく調査を踏まえ、職員の厳正な処分と事業実施手続の透明化を行ったところであります。今後、綱紀の厳正な保持を図るとともに、さらに事業の実施の改善に取り組んでまいります。
 原子力安全行政についてお尋ねでありましたが、我が国におきましては、原子力安全委員会を三条機関化するよりも、行政庁が法令に基づき安全審査を行い、さらに原子力安全委員会が独自の立場からダブルチェックを行うという現在の方法が、安全規制の実効性を高める上で有効なものと認識しております。
 昨年の臨界事故を契機として、原子炉等規制法の改正等により安全規制の強化を図るとともに、行政庁の規制体制のさらなる拡充を行うことといたしております。また、原子力安全委員会についても、本年四月に事務局機能を総理府に移し、その独立性と機能の一層の強化を図ることといたしております。
 去る一月十七日、神戸市内で行われました阪神・淡路大震災五周年犠牲者追悼式典に参加しての感想についてお尋ねがありました。
 同式典には内閣総理大臣として出席し、追悼の辞を述べさせていただきました。
 式典におきましては、皇太子殿下のお言葉を賜り、また、兵庫県知事の追悼式辞や御遺族の代表の方々のお言葉等を拝聴させていただきながら、被災者の皆さん方が、震災直後のあの極限状態の中で冷静かつ適切に対応されてきたこと、これまで深い悲しみを乗り越え力を合わせて懸命に復旧・復興のための努力を積み重ねてこられたこと、震災の経験を後世への貴重な財産とすべくかたい決意を誓われていることに深い感銘を受けました。
 また、式典における一・一七宣言に込められた被災者の皆様方の復興・再生への前向きの姿勢、温かい支援の手を差し伸べていただいた世界じゅうの皆様への感謝の気持ちには改めて強く心を打たれました。そして、このような被災者の方々の思いにしっかりとこたえていくことこそ、犠牲となられた方々の無念にも報いることになると強く感じた次第であります。
 二重ローンの問題についてのお尋ねでありましたが、民間金融機関は、被災者に対し、住宅資金等新規の貸し付けについて低利融資制度の創設を行ったり、既往貸し出しについても、金融機関の自主的な経営判断により、被災者の個々の事情を踏まえ、条件変更等の御相談に応じているものと理解しております。また、住宅金融公庫におきましても、災害復興住宅融資や既存債務の返済条件の緩和につきまして特別措置を講じているところであります。
 次に、住宅再建の公的支援についてのお尋ねでありましたが、政府といたしましては、現在、国土庁に設置されました有識者で構成する検討委員会におきまして、本年夏ごろを目途に結論を得るべく、被災者の住宅再建の状況の把握や各種の支援策の評価などを行い、今後の住宅再建支援のあり方について総合的な見地から御検討いただいておるところであります。
 さらに、被災者生活再建支援法の見直しについてのお尋ねでありましたが、被災者生活再建支援法は平成十年五月に成立し、昨年四月から支援金支給制度の運用を開始したところであります。また、これに先立ち、法の公布日から適用日までの間に発生する自然災害に対して本制度と同様の措置を講じ、この間に発生いたしました福島県及び栃木県の豪雨災害等の被災者に対して適用いたしました。これらは被災者支援にも大変効果があったものと認識をいたしております。
 御指摘の支援金支給額の増額等につきましては、制度の趣旨、財源の確保等の問題もあり、まずは現行制度を円滑かつ適切に運用し、実績を積み重ねることが重要であると考えております。
 災害時の危機管理体制の確立についてのお尋ねがありました。
 政府といたしましては、阪神・淡路大震災から得られた貴重な教訓に基づき、災害対策基本法の改正により緊急災害対策本部設置時における本部長たる内閣総理大臣の権限を強化するなどしたほか、内閣法等を改正し、内閣危機管理監の設置等により危機管理体制の強化を図り、内閣総理大臣のリーダーシップのもと、内閣危機管理監が中心となりまして関係省庁間の緊密な連携を確保し、迅速かつ的確な対処に努めてきたところであります。
 しかしながら、災害対策を初めとする危機管理には終わりはなく、国民に安心感を与える対応の実現を図るべく、諸外国における災害への対応のあり方や仕組みについて絶えず調査研究を行うなどして、さらなる体制の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 また、阪神・淡路地域における各種特例措置についてのお尋ねがございました。
 これらにつきましては、引き続き平成十二年度予算におきまして所要の措置が施されているところでありますが、平成十三年度以降における取り扱いにつきましては、関係省庁及び地方公共団体におきまして、地元の状況等も踏まえ、延長の必要性等が検討されるものと考えております。
 さて、阪神・淡路大震災から五年が経過し、この間、政府、地元地方公共団体、地元住民の方々の一体となった取り組みにより、ピーク時には約四万八千世帯の方々が入居されておられました応急仮設住宅がすべて解消されるなど、被災地の復興は着実に進展してまいりました。
 しかしながら、その一方で、恒久住宅での新たな生活になじめない方々がおられること、また、最近では明るい兆しが見られるものの、地域の雇用・経済状況が依然として厳しい状況であることなど、残された課題が存在することも御指摘のとおり事実であります。
 政府といたしましては、これまで復旧・復興に向けた地元地方公共団体の取り組みを最大限支援してまいりましたが、今後とも、支援を必要とされる被災者の方々に対するきめ細やかなケア、安定した雇用確保を可能とする産業の一層の復興、安全な市街地の整備などに引き続き取り組んでまいりたいと存じます。
 以上、お答えを申し上げましたが、残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣青木幹雄君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(青木幹雄君) 本岡議員にお答えをいたします。
 議員からは、定数削減法案の処理に関連をして、私の議会介入、二月二日の採決に関し御指摘がございました。
 御指摘の点に関しましては、ただいま総理よりお答えをしたとおりでございますが、本法案は、国民世論の声、衆議院議員の任期が迫っていること等に照らし喫緊の課題であり、これまで三回の国会にわたり議論されてきた経緯を踏まえ、正規のルールに従って処理されたものであり、何ら問題があったとは考えておりません。
 また、私が参議院に対し議会介入を行ったとの一部新聞の報道に基づいて御指摘されているようでございますが、斎藤参議院議長は私にとり長年御指導いただき尊敬申し上げておる先輩であります。そのような斎藤議長に対し、私が採決を迫ったり強要したという事実は一切ございません。
 次に、阪神・淡路地域における特例措置の延長についてお尋ねでございますが、まず、カウンセリング担当教員につきましては、本年度二百七名を配置しており、平成十二年度においても適切に対応をしてまいります。
 次に、災害復興公営住宅における特別家賃低減対策につきましては、被災者の方々の生活再建の促進のため、入居後五年間について措置しているものであり、平成十二年度予算案においても所要額が計上されておるところであります。
 さらに、災害援助資金につきましては、措置期間が最大五年と定められておりますが、やむを得ない理由があった場合には市町村の判断でさらに猶予できることとなっております。
 最後に、災害復興公営住宅にお住まいの高齢者の安否の確認などを行う高齢世帯支援者に対する神戸市の制度につきましては、引き続き平成十二年度においても政府として支援を行ってまいりたいと考えております。
 これらの措置を含め、阪神・淡路地域における特例措置の平成十三年度以降における取り扱いにつきましては、関係省庁及び地方公共団体において、地元の状況等も踏まえつつ検討されることになると私は確認いたしております。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(中曽根弘文君) 私に対しましては六問お尋ねがございました。
 まず最初は、子供たちの進路の実態等について調査をすべきとのお尋ねでございますけれども、子供たちがこれからの変化の激しい時代においてみずから学び、みずから考え、そして課題を発見し解決していく力を身につけることは極めて重要でございます。こうした力が身につかず、学業の途中で中退したり、卒業しても進学も就職もしない者につきましては、その原因、その後の進路等を把握することが、今後指導の改善を図っていくために必要なことと考えております。
 今後とも、高校卒業後の無業者の実態調査を行うなど実態の把握に努めるとともに、生徒が意欲を持って学び、また卒業後円滑に職業生活に入っていくことができるよう、学校における学習指導や進路指導の改善充実に努めてまいります。
 次に、社会的セーフティーネットとしての教育の重要性や、学校教育と職業の接続についてのお尋ねでございました。
 創造性に富みチャレンジ精神を持って主体的に生きていく人材を育成することは、我が国の経済発展を支える上で極めて重要な課題と考えております。このため、新しい学習指導要領では、新たに創設した総合的な学習の時間におきまして体験的な学習や問題解決的な学習を重視するなど、生徒の個性や創造性を育てる教育の充実を図ることとしております。
 また、学校教育と職業との接続に関しましては、昨年十二月の中央教育審議会の答申において、小学校から発達段階に応じて勤労観を育て、将来の職業選択について考えさせるキャリア教育の充実を図ることや、職業生活に結びつく学習の重視、企業等の採用における個人の能力、知識、技能の重視などについて御提言いただいたところであり、この提言を踏まえまして、今後とも学校から職業生活に円滑な接続が図られるよう、一層努力してまいる所存でございます。
 次に、子供が大切にされる町づくり、学校の高度化についてのお尋ねでございましたけれども、今後多くの学校が校舎の改築等の時期を迎えることを踏まえまして、安全で個性と特色を持った学校施設として整備していくことが重要であると考えております。
 その際、学校施設の複合化を含めまして、地域コミュニティーの拠点としての開かれた学校づくりや校内LANの整備等、教育の情報化に対応した施設整備が重要と考えており、文部省といたしましては、このような取り組みを支援してまいります。
 今後の学級編制及び教職員配置についてのお尋ねでございますが、今後の学級編制や教職員配置のあり方につきましては、現在、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議、ここにおきまして、中央教育審議会答申の提言内容を基本として、また諸外国の実態等を参考としつつ、教職員配置と定数のあり方や学級規模及び学習集団のあり方について検討を進めているところでございます。また、仮に全国一律に三十人以下学級を実施すれば、国、地方を通じ相当の財政負担が必要となり、この点についても十分慎重な検討が必要でございます。
 文部省といたしましては、今後新たな施策に着手できるよう、協力者会議における検討も踏まえ、適切に対応してまいりたいと思っております。
 中高一貫校についてのお尋ねでございますけれども、高等学校の入学者選抜につきましては、選抜方法の多様化などの改善を進めてきたところであり、特にことしの四月に入学する生徒の選抜からは、特別の事情のある場合には調査書や学力検査の成績を用いずに、例えば面接や作文などの方法により行うことができるようにしたところでございます。
 お尋ねの中高一貫教育は、ゆとりを持って学校生活を送ることができるようにするため、入学者選抜を行わずに高等学校に進学できるようにするなど、中学校と高等学校の垣根を低くすることを目的とした制度であります。当面、全国に五百程度ある高等学校の通学区域に一校整備されることを目標に、中高一貫教育校の整備を積極的に促進してまいりたいと考えております。
 最後に、復興担当教員配置の継続についてのお尋ねでございますが、先ほど官房長官からも御答弁ございましたが、震災に遭った児童生徒の心のケアは非常に重要なことでございます。阪神・淡路大震災による児童生徒への影響を踏まえまして、震災直後の平成七年度から兵庫県に対し、通常の定数措置に加えましてカウンセリング担当教員を配置しているところであります。平成十一年度におきましても、兵庫県の実情や御要望を踏まえまして、児童生徒の心の健康に関する相談等に適切に対応できるよう、二百七人の教員の定数加配を行いました。
 平成十二年度の取り扱いにつきましては、兵庫県からの具体的要望や実態調査等を踏まえながら適切に対応してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山正暉君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中山正暉君) 本岡議員にお答えを申し上げたいと存じます。
 先般、五年目を迎えました阪神・淡路大震災、しめやかに追悼式が、先ほど総理からお話がありましたように、皇太子殿下をお迎え申し上げ、そしてまた総理、参議院議長お出ましのしめやかな追悼会が行われました。その前日もこの阪神・淡路大震災を総括するシンポジウムが行われまして、私もお招きをいただきましたが、皇太子殿下も御出席で、終始熱心にその総括を御聴取されておられました。
 特に、震災後その震災関連の事故で九百十名の方が亡くなられておられますが、統べて六千四百三十二名の大変とうとい犠牲が出たわけでございます。心から改めて哀悼の意を表しますとともに、自然災害に備える心構えをますます固めてまいらなければならない、かように考えております。
 総理、官房長官からもお答えがございましたので重複を避けたいと存じますが、二重ローンの問題でございますが、住宅金融公庫におきましても、災害復興低利住宅融資、それから既存債務の返済条件の緩和につきまして特別措置を講じているところでございまして、今まで貸付条件変更を利用された方々が三千八百九十件、これは十二年一月現在でございますが、そういう形になっております。
 それから、兵庫県の方でも復興基金による利子補給等の措置も講じられております。
 住宅再建の公的支援につきましては、地震や風水害で住宅を失った被災者の方々にとってその再建は切実な問題であると認識しておりますので、私どもも考えておりますが、民主党におかれましても、国の公的支援と住宅所有者の掛金による新しい支援制度の検討を行っておられるということでございます。
 政府においても、現在、国土庁に設置された有識者で構成する検討委員会、これは被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会、十一年の二月八日から始まっておりまして、今まで九回、十一年の十二月三日に行いましたが、次回は十二年の二月二十二日を予定いたしておりまして、総理からも御答弁がありました本年夏ごろに結論を出したい、かように考えております。
 とにかく被災者の住宅再建の状況の把握、各種支援策の評価などを行いまして、今後の住宅再建支援のあり方について総合的な見地から検討をいただいておりますことに敬意を表したいと存じます。
 そして、被災者生活再建支援法でございます。
 これは平成十年の五月二十二日に参議院の御努力で成立をいたしております。十一年の四月五日からこの制度がスタートいたしておりますが、今までに広島県、それからまた福島、そしてまた栃木県の豪雨災害等にも被災者に対して適用をいたしております。さらに、阪神・淡路大震災の被災者に対しましては、本法成立時の衆参の附帯決議を踏まえまして、本法と同程度の支援措置を復興基金事業として実施いたしたいと考えております。
 民主党の御提案でございますが、支給対象者や給付額等を拡大させることとされておられます。
 現在の支援法は、自助努力によって自立することの困難な方々に対して生活の再建を支援することといたしておりますので、法の趣旨にかんがみますと慎重な検討が必要だ、かように考えております。また、財政難の折でございますので、財源の確保をどうするかという問題があると考えております。
 いずれにいたしましても、現行制度は運用開始から一年にも満たず、当面現行法で円滑かつ適切に運用をいたしまして、見直しを施行後五年を目途ということになっておりますので、総合的な検討をすることを附帯決議に従いまして、災害等の特別委員会の附帯決議がございますので、実績を積み重ねることが重要である、かように考えております。
 それから、二つ目の御質問でございますが、阪神・淡路復興対策本部の設置期間満了の問題でございます。
 これから各省庁の局長クラスから成る連絡会議を設置いたしたい。二月二十二日に次回の復興本部会議が行われる予定になっておりますが、関係省庁の担当局長クラス、そして内閣の内政審議室長が議長となる形式で実施をいたしたいと考えております。
 どうぞよろしくお願いいたします。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(斎藤十朗君) 朝日俊弘君。
   〔朝日俊弘君登壇、拍手〕
#15
○朝日俊弘君 私は、同僚の本岡議員の質問に引き続きまして、民主党・新緑風会を代表し、過日行われました小渕総理の施政方針演説に対し、特に社会保障制度にかかわる課題に絞って、総理及び関係大臣に質問させていただきます。
 まず冒頭に、社会保障制度改革に関する総理の基本的な認識について改めて問い直しておかねばなりません。
 といいますのは、総理は施政方針演説の中で、「皆健康で豊かで安心して生活できる社会をつくるために、」「安心への挑戦に取り組みます。」と、それなりに決意を述べておられます。しかし、その現状認識の部分について見ますと、「世界に例を見ない少子高齢化が進行する中で、国民の間には社会保障制度の将来に不安を感じる声も出ております。」と述べられているにすぎません。率直に申し上げて、総理の御認識はこの程度のものなのでしょうか。私に言わせれば、この問題に関して国民の皆さんは、政府・厚生省がいつまでたっても抜本的な改革の道筋を示すことができないため、もはや不安とか不信とかいうレベルを通り越して、いら立ちとある種のあきらめさえ感じているというのが実感なのではないでしょうか。
 しかも、この間、小渕内閣は、例えば基礎年金の抜本的な見直しあるいは医療保険制度の抜本改革など、基本的な改革、構造的な改革はことごとく先送りする一方で、介護保険の保険料徴収を半年間だけ凍結してみたり、あるいは老人の薬剤費一部自己負担を免除してみたり、いわばその場しのぎ的、場当たり的そして人気取り的な制度いじりを繰り返してきたにすぎないのではないでしょうか。しかも、こうしたやり方は社会保障制度そのものの本来のあり方をゆがめます。国民にとってますますわかりにくい制度になっていきます。その結果、社会保障制度への信頼感をかえって失わせるものと言うほかありません。
 これからの諸改革を進めていくに当たって、総理には最低限今申し上げたような問題意識と自覚を持って取り組んでいただかなければいけないと思うのですが、改めて社会保障制度改革に向けての総理の基本認識をお伺いしたいと思います。
 次に、社会保障制度改革の各論に入って、現在、本院で継続審議となっております年金制度改正の中身について幾つかお尋ねをしておきたいと思います。
 つい先月、社会保険庁が発表した九八年度の事業概況によりますと、国民年金の保険料未納者は二三・四%と過去最悪の数字を示しております。これに加えて保険料免除者が一九・九%ありますから、そのこととあわせて考えれば、これまでにも再三指摘されてきたことではありますが、国民年金制度の空洞化はここにきわまれりという状況になっていると言わざるを得ません。
 もはや制度の抜本的な見直しを先延ばしすることは許されません。私ども民主党は既に一年前、昨年の通常国会において提案をさせていただいておりますが、今こそ基礎年金に対する国庫負担を現行の三分の一から二分の一に引き上げるとともに、保険料は凍結するのではなくてむしろ相応する額を引き下げること。あわせて、次期財政再計算までのできる限り早い時期に全額税方式に転換を図ること。そして、そのための道筋を明らかに示すことが何よりも必要であります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 このように、プラス方向への制度改革の道筋を明確に示すことによって、初めて国民年金制度そのものに対する国民の不安感あるいは不信感を多少なりとも和らげることができるのではないでしょうか。この点に関する総理のお考えをお聞かせください。
 さて、今回の改正案は、前回、基礎年金の改正に続いて厚生年金部分についても支給開始年齢を段階的に引き上げるとしております。一体、今日のような雇用情勢の中にあって何ゆえ支給開始年齢を強引に引き上げようとなさるのか、私には全く理解できません。
 この点について、総理御自身の委嘱を受けて本年一月にまとめられた「二十一世紀日本の構想」の中でも次のように指摘をされております。高齢者の雇用と無関係に年金支給開始年齢だけを引き上げるのでは、ただでさえ老後の不安を感じている中高年齢層の不安を増幅させ、彼らを生活防衛貯蓄の増強に追い立てるばかりであると明確に述べられており、私もそのとおりだと思います。
 改めて指摘するまでもなく、我が国の失業率は多少持ち直したとはいえ四・五%前後と相変わらず高く、その中でも年齢階層別の有効求人倍率を見ますと、例えば三十五歳から四十四歳が〇・八九であるのに比べて、五十五歳から五十九歳では〇・一四と極端に低くなっています。こうした数字は中高年の雇用状況がいかに厳しいかを物語っていると思います。
 このような現実があるにもかかわらず、それでもなお総理は厚生年金の支給開始年齢を引き上げるおつもりなのでしょうか。それは、リストラされて再就職もままならない中高年の皆さんの不安感を一層募らせることになり、ひいては不幸にして自殺に追い込まれる人々をさらに増加させることになりはしませんか。それとも、総理には中高年者の雇用情勢を一気に改善させることができる何らかの秘策がおありなのでしょうか。中高年者の雇用確保対策のあり方を含めて、総理のお考えをお伺いしたいと思います。
 次に、年金の給付水準のあり方に関してお尋ねをいたします。
 今回の改正案では、現行制度の枠組みをそのまま維持した上で、給付と負担の関係だけを見て可能な限り給付水準の引き下げを図ろうという内容になっていると断ぜざるを得ません。
 このような考え方にとらわれて給付水準を設定していこうとすれば、これまでもそうであったように、財政再計算のたびに、負担は可能な限り引き上げよう、給付は可能な限り引き下げようということになり、皮肉なことに制度改正のたびに年金制度に対する信頼を損なうということになりかねません。いや、既にそうなっているのではないかと私には思えてなりません。
 しかし、これから本格的な高齢社会を迎えて、高齢者の皆さんにも例えば医療保険、介護保険の保険料を納めていただく、さらにサービスを利用した皆さんには一定の利用者負担をしていただく必要がある。とすれば、高齢者にとって主要な所得保障の柱である年金の給付水準はそのような費用を負担できるような水準でなければなりません。
 言いかえれば、そうした保険料等を差し引いた残りが現実的な手取りの年金額となるわけであります。こうした考え方を基本に据えながら必要な給付水準の確保を図るべきではないかと思います。そうした観点から考えて、給付水準を物価にスライドさせ、そして賃金水準にも実質的にスライドさせていく手法は今後も維持していくべきと考えますが、この点については担当の厚生大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
 次に、社会保障制度改革のもう一つの大きな課題であります医療制度及び医療保険制度改革についてお尋ねしたいと思います。
 まず初めに、つい先日、医療保険制度の改正について取りまとめられた社会保障制度審議会の答申に関連してお伺いしたいと思います。
 同審議会の答申は、冒頭で、「今回も抜本改革が先送りされたのは遺憾というほかない。」と、極めて厳しい調子の書き出しとなっており、続いて、「医療保険制度の抜本改革は、もはや一刻も猶予すべきではない。」と断言をしております。
 その上で、これまでと同様、関係者間において意見の対立が解消されず、改革内容の取りまとめとその実現がおくれるようでは大変問題であるとの認識のもとに、特別の法律に基づいて、独立かつ中立の立場から抜本改革案を作成する臨時医療制度改革調査会(仮称)、略して医療臨調の設置を求めていることについて、ここはぜひ総理並びに厚生大臣のお考えをお聞きしておきたいと思います。
 ちなみに、私は、この間の経緯を振り返る中で、この答申にも的確に述べられていますように、医療制度及び医療保険制度の抜本改革を阻害してきたのは、従来の利害調整型の政策合意形成プロセスが有効に機能し得なくなったこと、その上、そのような状況にありながら政治の側が適切なリーダーシップを発揮できず、逆に、一たんまとまりかけたものを白紙撤回させるなど、かえって事態を混乱させたことが決定的な要因であったと受けとめております。その意味で、この制度審の意見に私は全面的に賛成であることを申し添えておきたいと思います。
 ところで、改めて総理の施政方針演説を読み返してみますと、総理はこの医療改革の問題についてはたった一言、ある文章の中で、「また、医療制度改革を進めるとともに、」と、たったこれだけしか触れられていません。文字数にしてわずか十数文字であります。なぜなのでしょうか。何ゆえ総理は施政方針演説の中で医療制度改革の問題について、たったこれだけしか触れられないのでしょうか。しかも、ここで述べられている医療制度改革の中身は一体何を指して言っておられるのか、さっぱりわかりません。
 改めて申し上げるまでもなく、今春に予定をされております診療報酬改定をめぐって、診療側と支払い側の対立は、昨年来極めて厳しい状況が続いております。それだけに、来年度予算編成とも密接に絡んだ形で、この医療制度改革は今国会における当面の最重要課題の一つだというふうに私は考えます。総理のお考えである医療制度改革の中身について、改めてお答えをいただきたいと思います。
 さて、本年四月には介護保険制度の実施を迎えており、その時期に合わせて介護保険制度と老人保健制度、両制度間の整合性を保つための法改正は必須の作業であったと思いますし、少なくともある時期までは、そのような観点から、関係する審議会において検討作業が進められていたというふうに私は理解をしております。
 ところが、最近になって政府・厚生省は、医療保険制度改革は二年間先送りするという決定をしたと報じられています。これでは明らかに政府の約束違反だと思いませんか。思い起こしていただきたい。平成九年度の健康保険法の改正のとき、二年後には医療制度及び医療保険制度の抜本改革を必ず行うと約束をされ、いわばこれは政府の公約となっていたはずであります。
 平成九年度改正の中身は、御承知のとおり、専ら保険料の引き上げと患者自己負担の増に終始した内容となっており、そのときは、健康保険財政を支えるために緊急避難的に負担をお願いせざるを得ないけれども、ことしは平成十二年、平成十二年までには薬価制度や診療報酬のあり方、医療提供体制及び高齢者医療保険制度等にかかわる抜本改革を行う、だから平成九年度改正は何とか御理解をいただきたいという説明が何度も行われたわけであります。
 さて、今回提案されようとしている健康保険法等の改正案の中身は、実はそのような抜本的な改革の中身は一切入っておりません。抜本改革の部分は先送りした上で、またしても専ら自己負担増を求める内容となっており、私は到底容認できるものではないと思います。一体、これまでの約束はどうなっていたのですか。医療保険制度改革の二年間先送りということは本当ですか。この点については、厚生大臣の明確な答弁を求めておきたいと思います。
 最後に、今通常国会は与党三党がみずから描いたシナリオどおりの会議日程を強引に進めると、まことに異例ずくめの国会運営の中でありました。その中で、本院で継続審議となっていました年金関連法案についても、国民福祉委員会でのいささか一方的な審議が進められているやに聞き及んでおります。
 しかし、今回提案されている年金関連法案の中身は、はっきり申し上げて二十一世紀の社会保障制度改革の第一歩としての改革案には到底値しないものと断ぜざるを得ません。したがって、私は、現在提出されている関連法案のすべてを廃案とし、一日も早く新しい国会で新しい年金制度改革を提出して改めて審議をやり直す、このことを強く求めて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(小渕恵三君) 朝日俊弘議員にお答え申し上げます。
 社会保障制度改革についてお尋ねでありました。
 社会保障制度につきましては、国民の新しいニーズにも的確に対応しつつ、経済との調和がとれ、将来世代の負担を過重なものにならないようにしていくことが必要でありまして、このため、逐次、年金、医療などの改革に取り組んでいるところであります。
 今般、私は、いわゆる団塊の世代の人々がやがて高齢世代の仲間入りすることを考え、最後の検討機会との思いで、社会保障構造のあり方について、有識者会議において総合的な観点から検討をお願いしているところでありまして、将来にわたり安定的で効率的な社会保障制度の構築に全力を挙げてまいります。
 基礎年金の国庫負担の引き上げと税方式化についてのお尋ねがありました。
 今回の年金改革は、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、確実な給付を約束するとの考え方に立つものであり、この改革を実現することにより、年金制度を将来にわたって安心して信頼できるものとすることができると考えております。
 基礎年金の国庫負担割合を二分の一に引き上げることにつきましては、莫大な財源を必要とすることから、現下の厳しい財政状況などをかんがみ、今回の年金改正で実施することは困難であると考えております。
 今回の年金改正法案については、「基礎年金については、給付水準及び財政方式を含めてその在り方を幅広く検討し、当面平成十六年までの間に、安定した財源を確保し、国庫負担の割合の二分の一への引上げを図るものとする。」との附則が設けられたところであり、国庫負担割合の引き上げについては、安定した財源確保のための具体的な方法と一体として検討する必要があると考えております。
 なお、基礎年金につきましては、多くの検討事項が指摘されておりますが、その一つとして負担のあり方の問題もあるものと認識しており、そうした問題も含め基礎年金のあり方について幅広く検討してまいらなければならないと考えております。
 厚生年金の支給開始年齢の引き上げと中高年者の雇用確保対策のあり方についてのお尋ねがありました。
 厚生年金保険の支給開始年齢の引き上げにつきましては、今回の改正におきまして十分な準備期間をとって二〇一三年から段階的に引き上げるものであり、将来の保険料負担の増大を抑えるため必要な措置であると考えております。
 また、高齢者の雇用については、これまで六十歳代前半層の多様な雇用就業ニーズに対応した高齢者雇用対策の進捗に努めてきたところであります。今後におきましても、高齢者が意欲と能力に応じ、年齢にかかわりなく働き続けられる社会の実現を目指しつつ、当面対応すべき課題として六十五歳まで働き続けることができる雇用機会の確保を図るため、所要の法改正を含め高齢者雇用対策の充実に努めてまいります。
 社会保障制度審議会の御答申についてお尋ねがありました。
 御答申にございました臨時医療制度改革調査会につきましては、関係審議会もあることから、現時点では新たな組織の設置については慎重に考えなければならないと思います。
 なお、社会保障制度全体について、社会保障構造の在り方について考える有識者会議を設置し、医療、年金、介護などの制度ごとに、縦割りでなく総合的な観点から検討をお願いいたしておるところであります。
 医療制度の改革についてお尋ねがありました。
 世界に例を見ない少子高齢化の急速な進行により医療費が増加していく中で、医療制度の改革は大変重要な課題であると認識しており、これまでも医療保険と医療供給の両面にわたり総合的な検討を進めてきているところであります。
 平成十二年度においては、薬価差の縮小とあわせ、医療の質の向上を図る観点から、薬価と診療報酬の改定を行うとともに、老人の患者負担について月額上限つきの定率一割負担制を導入するなど、抜本改革に向けて第一歩を踏み出したと考えており、今後とも改革の実現に向け着実に取り組んでまいります。
 現在提出されている年金改正関連法案についてお尋ねがありました。
 今回の法案は、将来の少子高齢化の進行や経済情勢の変化を踏まえながら、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、適正な水準の給付を約束するとの考え方に立つものであり、制度に対する国民の信頼を揺るぎないものにするため、一日も早い法案の成立をお願いいたしたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣丹羽雄哉君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(丹羽雄哉君) まず、私に対しましては、年金改正についてのお尋ねでございます。
 今回の改正案は、将来世代の過重な負担を防ぐという見地から、制度全般にわたる見直しを行い、将来とも年収の二割程度に抑えることにしたものでございます。
 一方、給付につきましても、確実な給付を約束するとの考え方に立って、改正後も現役世代の手取り年収のおおむね六割の年金水準を確保することができるものにしております。
 この改正を通じまして、現役世代の方々の年金に対する不安を解消し、老後を安心して暮らせる年金制度を確立することができるものと確信をいたしておるような次第であります。
 次に、社会保障制度審議会の御提言についてのお尋ねでございますが、関係者の代表の方々には御遠慮をいただいて御議論をいただく、こういう考え方も一つの考え方であるということは私も理解いたしておりますが、現実的には、施策を実行に移す場合には、先生も十分御承知だと思いますけれども、関係者の理解と協力が必要なことは何よりも大切なことであります。
 現に、厚生省におきまして関係審議会が設置されていることもあり、現時点においては新たな組織の設置については慎重な考えでなければならないと思います。要は、今、医療の抜本改革を国民及び関係者の御理解を得ながら一歩一歩粘り強く実現していくことである、このように心得ているような次第でございます。
 それから、最後の質問でございます。医療制度の抜本改革についてのお尋ねでございますが、今後の急速な高齢化などによる医療費の増加を考えますと、医療制度の抜本改革は当然避けて通れないわけでございます。平成十二年度におきましては、長年の懸案でございました薬価差の縮小とあわせ、薬価と診療報酬の見直しを行うとともに、老人一部負担について現行制度の負担水準とほぼ見合うものになるように配慮しながら、月額上限つきの定率一割負担制を導入することなど、抜本改革に向けて第一歩を踏み出すことができた、このように考えているような次第であります。
 また、高齢者の医療制度の見直しについては、先生が御指摘のようなことではなくて、むしろ関係者間の利害が対立するということではなくて、十分に御承知だと思いますが、現時点においてまだまだ考え方が一つに集約されておらないというのが現実でございまして、医療保険制度全体のあり方を視野に含めながら、改革の具体的な措置について平成十四年度を目途にいたしまして精力的に検討を進めてまいりたいと考えております。
 いずれにいたしましても、御承知のように、我が国のこの世界に冠たる皆保険制度は昭和三十六年度からスタートいたしておるわけでございます。そして、今や我が国は世界で平均寿命が一番延びてナンバーワンであります。良質な医療とこの皆保険制度を維持していくということが我々の最大の課題でございますし、国民の皆さん方及び関係者の皆さん方の理解を得ながら、今後とも医療制度の改革の実現に向けて一歩一歩着実に努力していく決意でございます。
 以上でございます。(拍手)
#18
○副議長(菅野久光君) これにて午後一時十五分まで休憩いたします。
   午後零時四分休憩
     ─────・─────
   午後一時十六分開議
#19
○副議長(菅野久光君) 休憩前に引き続き、会議を開きます。
 趣旨説明及び国務大臣の報告に対する質疑を続けます。市田忠義君。
   〔市田忠義君登壇、拍手〕
#20
○市田忠義君 私は、日本共産党を代表して、小渕総理並びに関係大臣に質問をいたします。
 まず、最初にただしたいことは、議会制度の根幹である選挙制度の改悪を、国民の意見も聞かず、各党の協議や国会での十分な審議も尽くさず、施政方針演説や予算案審議よりも前に与党だけで冒頭処理を強行したこと、また、国民の暮らしに直接かかわる予算や年金改悪法案の審議も与党だけで強行したことなど、その議会制民主主義破壊の異常な事態についてであります。
 この異常事態をつくり出した原因と責任が与党にあることは明白であります。
 第一。政府・与党は、会期が六月十七日まであるのに、議長裁定を無視してまで定数削減の冒頭処理にあくまでこだわりました。
 本来なら、通常国会では予算案審議を何よりも急ぐのが政府・与党としての態度であるはずです。にもかかわらず予算案より定数削減の方を急いだのは、その方が重要だと考えたからなのか。そうではないというなら、なぜ冒頭処理にこだわったのですか。政権離脱をちらつかせた自由党との約束を守るためというのであれば、政権の延命を最優先した党利党略のために国会のルールを踏みにじったと批判されても仕方がないではありませんか。
 第二。政府・与党は、定数削減を国会議員も身を削るという言い分で合理化しようとしました。
 しかし、国会議員の削減で削られるのは、国民の声であり、国民の参政権です。身を削るというのなら、我が党が受け取りを拒否し、その廃止を一貫して主張してきた、年間三百億円を超える政党助成金こそきっぱりと廃止すべきではありませんか。
 第三。重大なことは、冒頭処理によって国会法も参議院規則も無残にじゅうりんされたことであります。
 参議院では、定数削減法案が付託された地方行政・警察委員会で審議は一切行われませんでした。議題にすらなっていません。もちろん趣旨説明も質疑も全く行われていません。ところが、審査中の案件の中間報告ということでいきなり本会議にかけられ、自自公三党によって採決なるものが強行されたのであります。趣旨説明すらされていない法案について、どんな審査の中間があるというのですか。国会法違反、参議院規則違反は明白であります。これでも総理は正規のルールどおりと言い張るのですか。
 このような中間報告の動議を認め、参議院規則をみずからの手で踏みにじった斎藤議長の責任は、我が党を初め野党各党がそろって厳しく指摘したとおり、極めて重大であります。参議院改革というなら、こういう不見識こそ一掃すべきであります。
 加えて見過ごすことができないのは、青木官房長官が、二月二日までの強行処理を斎藤議長に迫ったということが毎日新聞に生々しく報じられていることであります。これほど具体的でリアルな報道を、官房長官はあくまでうそだと言って否定し続けるのですか。事は憲法の根本にかかわる大問題であります。行政府が立法府に対して圧力をかけるこのような行為は、三権分立の原則に照らしても断じて許されないことであり、今回の暴挙の要因をつくった重大問題と言わなければなりません。
 以上の点について、総理、官房長官の答弁を求めます。
 二十一世紀を前にして、自民党政治の行き詰まりと危機はあらゆる分野でいよいよ極限に達しています。最近の世論調査でも、自自公連立政治を不満とする人が実に七五%、政治が変わってほしいと願う人が八二%に達しています。
 自民党政治の行き詰まりと破綻の象徴が、深刻な財政危機であります。
 日本の財政がどんなに深刻でひどい状況に陥っているか。既に四年前、当時の国と地方の借金残高が四百十兆円だったときに、大蔵大臣の諮問機関である財政制度審議会は、日本の財政を近い将来において破綻することが予想される大きな時限爆弾を抱えた状態だと警告を発しました。小渕首相は就任後わずか一年半で百一兆円もの借金をふやし、二〇〇〇年末で借金総額は六百四十五兆円、国民一人当たり五百十万円、四人家族で実に二千四十万円という驚くべき金額となるのであります。
 来年度予算案の総額は八十五兆円ですが、歳入に占める借金の比率は三八・四%、国の予算は初めからその約四割を借金で賄うという異常さであります。
 小渕総理は昨年十二月、松山市で開かれたシンポジウムで、「世界一の借金王にとうとうなってしまいました。」と、まるで人ごとのように平然と述べました。この無責任な放言に多くの国民が唖然としたのは当然であります。
 総理、あなたは口を開けば二兎を追う者は一兎をも得ずと言いますが、サミット参加国の中で、累積債務すなわち借金残高が国内総生産、GDPの一二九・三%、単年度の赤字が一〇%にもなっている国が一つでもありますか。日本の財政史を振り返ってみても、借金残高がGDPの一三〇%を超えたのは、国民を侵略戦争に動員した軍国主義下の一九四三年度と四四年度の戦争末期だけであります。平時の現在が、敗戦直前の戦時に匹敵するまさに破局的な事態です。それでも財政再建は考えずに先送りするというのですか。それでも考えないというのであれば、小渕総理には政権を担い続ける資格はないと言わざるを得ません。答弁を求めます。
 なぜこんなに借金が膨らんだのか、答えは明瞭であります。
 この十三年間で六百三十兆円という公共投資基本計画がつくられ、ともかく六百三十兆円を使い切るため、目的を考えない、経済効果を考えない、採算性も考えない、環境が破壊されることも考えない、ないない尽くしのむだな公共事業に毎年五十兆円も投資してきたからであります。
 関空や本四架橋など、採算性が大きく狂い、毎年莫大な赤字をふやし続けている空港や巨大な橋、船が入らず釣り堀化した港などがそのことをはっきりと示しているではありませんか。
 圧倒的多数の市民がノーの審判を下した吉野川可動堰の是非を問う住民投票の結果について、ある新聞の社説は、日本の公共事業の進め方全体が審判を受けたと指摘をいたしました。さらに、国際博覧会事務局、BIEは、自然との共生を唱える愛知万博について、国際博覧会を利用した土地開発事業、山を切り崩し、木を切り倒し、団地を建てる計画こそ二十世紀型の開発至上主義の産物と厳しく批判をいたしました。
 このように、大型公共事業優先の開発至上主義は、地元の住民からも世界の目からも厳しい批判を受けているのであります。それでも総理はこれらの計画はやめない、あくまでも強行するというのですか。明確な答弁を求めます。
 小渕政権に、むだはなくそう、税金は大切に使おうという気が少しでもあるのなら、公共事業のあり方について、少なくとも次の三点は直ちに改革、改善に着手すべきであります。
 第一に、完成したものは、建設費や採算性、需要予測が当初見通しとどのように乖離しているか徹底的に調査し、その結果を国会と国民に報告すること。
 第二に、事業途中や着手前のものについては、目的、経済効果、採算性、環境などの角度から徹底的に見直しを図ること。
 第三に、初めに六百三十兆円ありきの総額使い切り方式をきっぱりやめ、必要な事業を住民参加のもとで積み上げていく方式に公共事業のあり方を転換すること。
 以上の点について総理の答弁を求めます。
 二兎を追う者は一兎をも得ずとして、野方図な財政運営を続ける総理の立場は、実は二兎、すなわち景気回復も、いわんや財政再建もともにとり逃がす誤った道だということも強く警告しなければなりません。
 危機的な財政破綻は、景気回復にとっても大きな桎梏とならざるを得ないからであります。このことは、第一に、財政危機は国民に対する負担増や増税などの将来不安を引き起こし消費を冷え込ませます。第二に、来年度予算が、その二五・八%、二十一兆九千六百五十三億円を元利返済に充てるため、国民の暮らしや経済、社会保障のために予算を使う余地を著しく狭めること、すなわち財政の硬直化をもたらすこと、この二つの点を見ただけでも明瞭でしょう。
 小渕内閣がまじめに景気対策を考えるというのであれば、公共事業最優先の財政運営のあり方を改め、予算の主役を暮らしや社会保障に転換する、この方向に大胆にかじ取りを改め、財政再建にも真剣に取り組むべきです。
 もちろん、ここまで借金が膨れ上がった以上、見通しを持った段階的、計画的な取り組みが必要であります。その際、まず単年度赤字をどう減らすかが大切であります。
 こういう目標を見据えた上で、第一に、大型公共事業や銀行支援、軍事費など、むだと浪費の構造に思い切ったメスを入れる歳出改革を行うこと。第二に、消費税増税など、個人消費にブレーキをかける増税ではなく、不公平な税制を是正し、歳入改革を行うこと。第三に、予算を暮らしと福祉、真に経済発展に役立つ分野に効果的、重点的に配分することであります。これらについて総理の見解を問うものであります。
 次に、ますます深刻さを増す雇用と暮らしの問題に進みます。
 雇用情勢の悪化は依然として深刻であります。労働省の調査でも、わずか四十一社で今後十四万人の人員削減計画があることが明らかになっています。その後、さらに日産やNTTの二万一千人、三菱自動車の八千人と相次いで巨大リストラの計画が発表されています。第一生命経済研究所の試算では、リストラや賃下げによってこの一年余りで五兆円もの人件費削減が行われました。実に消費税値上げ分二%に匹敵する所得がなくなったのですから、消費が回復するわけはありません。
 さらに重大なことは、雇用の減少が雇用保険や年金などの社会保険の財政基盤を掘り崩していることであります。既に労災保険は、雇用者数の減少と賃下げで来年度の収入はマイナスとなります。厚生年金も被保険者数、適用企業数、標準報酬月額とも減り、保険料収入は制度発足以来初めてマイナスとなりました。雇用破壊がついに社会保障制度の基盤そのものを掘り崩し始めたと言っても過言ではありません。あなたはこの事態をどう認識されているのですか。
 目先の利益だけに目を奪われたリストラ至上主義の横行は、大規模な雇用破壊を起こし、経済の原動力である個人消費と設備投資を一層減退させ、日本経済全体に大きな打撃を与えます。リストラの放置は、国民の暮らしはもちろん、日本経済や物づくりの基盤そのものも大もとから崩すことになるのであります。だから、経済界からも、このままでは経済の土台が崩れる、企業の未来もなくなるなどの声が沸き起こっているのであります。
 総理は、さきの国会や昨日の答弁でも、解雇については労使の話し合いによって解決すべきであって、一律に法律で規制すべきではない、労働時間の短縮についても労使の話し合いを見守ると述べて、雇用危機打開のためにまともに立ち向かおうとしませんでした。それでは深刻な事態の解決はできません。今こそ政治の力が要るのです。
 そこで、改めてお聞きいたします。
 労働省が編さんした解説書でも、労使の話し合いだけに任せていては、今の社会では労働者の生存そのものが脅かされる、だから法律でルールを定めて労働者の権利を守るというのが憲法と労働法の精神だと明記されています。総理も当然同じ見解だとは思いますが、いかがですか。
 解雇の法的規制は、全労連や連合など多くの労働組合の共通した要求であります。アメリカには雇用者年齢差別禁止法という事実上の解雇規制法があり、ヨーロッパでも解雇の法的規制は既に常識になっています。なぜ日本だけがいつまでも解雇を野放しにするのですか。
 日本共産党は改めて法案を提出いたしますが、企業の勝手な解雇の法的規制について総理の見解を求めるものであります。
 いわゆるサービス残業は、その残業に対する賃金を払っていないのですから、労働基準法違反、つまり明白な犯罪行為であります。ところが、労働基準法が施行されて五十年、第一線の労働基準監督官が懸命の努力をしてきたにもかかわらず、いまだに犯罪行為が蔓延しています。総理はその責任をどう考えているのか、今までどおりのやり方でいいと考えておられるのですか。
 社会経済生産性本部の調査では、サービス残業の禁止により九十万人の雇用が可能としています。雇用対策としても即効性のあるサービス残業根絶のために、あなたはどんな法的措置を講じられたのですか。明確な答弁を求めます。
 私たち日本共産党は、そのための措置として、労働基準法で使用者に労働時間管理の義務を明確に負わせること、そうした努力なしにサービス残業をやらせた場合には、通常の割り増し賃金を上回る制裁を科すことなどを内容としたサービス残業規制法案を提案する予定であります。そうした検討をこそ進めるべきではありませんか。あわせて答弁を求めます。
 続いて、社会保障制度の現状と今後の展望について議論を進めたいと思います。
 雇用不安や高齢化による健康への心配、老後の生活など、国民の不安が高まれば高まるほど、社会保障制度は国民生活のよりどころとして信頼されるものでなければなりません。ところがそれに反して、国民は現在の社会保障制度に大変な心配を持っています。厚生白書でさえ、社会保障制度の将来に対する不安を大いに感じると答えた人が全体の五六・二%、少し感じるが三八・七%、合わせて九四・九%にも達したという調査結果を紹介いたしました。なぜ国民の九割以上が不安を感じているのか、総理の認識を伺いたい。
 私は、八〇年代の臨調・行革以来の政府の社会保障切り捨て、特に国庫負担の切り下げという国の責任の回避が一番の原因だと考えます。一九七九年度に国の負担割合は二九・九%でした。それが九七年度には一九・〇%と、実に一一%も切り下げられたのであります。九七年度の総財源は約九十兆円でしたから、社会保障に対する国の負担をこの間に十兆円も減らしたことになります。これでは社会保障制度の財政基盤の根幹がぐらつくのも当然であります。
 国の負担削減計画を改めること、公共事業には手厚く、社会保障には薄くという世界で例のない逆立ち財政にメスを入れることがかぎであります。それを放置したままでは、結局、給付の削減と負担の増加をもたらすのみで、いよいよ社会保障制度の実体を失うことになるのではありませんか。総理の認識を問うものであります。
 次に、農業・食料問題についてお尋ねをいたします。
 農水省の発表によると、サミット諸国の中で日本を除くすべての国が一九七〇年から一九九七年の二十七年間で食料自給率を引き上げました。イギリス、フランスは、一九七〇年当時、日本より自給率が低かったにもかかわらず、今では日本を大きく上回っています。逆に日本は年々自給率が低下し、今日では六割を輸入に頼るまでになっています。つまり、一億二千六百万人の国民のうち、およそ七千六百万人分の食料は外国に依存しているということではありませんか。
 農地面積はどうでしょうか。八〇年から九九年にかけての減少率は、ドイツ四%、フランス、イギリス二%、アメリカ六%に対して、日本は何と一〇%であります。農業基本法成立の一九六一年から九八年に減少した日本の農地面積は北海道の全耕地面積に匹敵します。
 総理、なぜ他のサミット参加諸国と比べてこのような異常な事態に陥ったのか、その原因はどこにあると考えているのか、どのような対策を講じるつもりか、はっきりとお答えください。
 農業の再建と食料の自給率向上に本格的に取り組むことは広範な日本国民の願いであります。同時に、二十一世紀は世界的に食料難の時代と言われるもとで、国際的な責任でもあります。
 食料自給率を引き上げてきたイギリスなどの試され済みのやり方である農産物価格を保障して農業生産が持続できるようにすること、そのために農業予算を公共事業優先から価格保障、所得保障優先に転換すること、農産物総自由化、国内保護の削減を一律にうたったWTO協定の改定を主権国家として堂々と主張すること、この方向こそ国際的な流れに合致した日本農業再建の道ではありませんか。総理の答弁を求めます。
 最後に、外交問題についてお聞きします。
 アジアには今、紛争の話し合いによる解決、非核兵器、非軍事同盟という新しい流れが広がりつつあります。この七月、沖縄サミットが開かれます。総理がアジアを重視するというなら、この流れをこそサミットに反映すべきではありませんか。以上の立場から、次の二つの点についてただしたい。
 第一は、名護市への新しい米軍基地の建設計画をきっぱりとやめることであります。
 いわゆる使用期限十五年問題は、自由民主党と県知事の県民と国民に対する公約でした。沖縄の地元紙は「あきれ果てた政府の弱腰」と書きましたが、この問題をただ伝達するだけで、なぜ協議を求めることすらしないのですか。なぜこんな卑屈な態度をとるのですか。国際情勢の予測が困難だからだと言いますが、この弁明ほど自民党外交、自自公外交の主体性のなさを暴露するものはありません。
 米軍の最新鋭基地の建設は、周辺国に脅威を与え、情勢を不安定化させる最大の元凶です。普天間の返還と最新鋭基地は許さないという明確な態度こそ、アジアへの力強い平和のメッセージとなり、国際情勢を主体的に切り開くことになるのではありませんか。
 少女暴行事件後の県民大会で高校生はこう訴えました。基地が沖縄にできてからずっと犯罪は繰り返されてきました。基地あるがゆえの苦悩から、早く私たちを解放してください。いつまでも米兵におびえ、事故におびえ、危機にさらされながら生活を続けていくのは私は嫌です。未来の子供たちにもこんな生活はさせたくありません。これこそ沖縄県民の実感であります。
 そもそも米軍が住民を鉄条網の中に閉じ込めて、出されたときには村は基地になっていました。そして銃剣とブルドーザーで土地を奪われました。こんな例が世界にありますか。今、政府がなすべきことは、基地に苦しむ県民に基地のたらい回しを押しつけるのではなく、アメリカ政府にきっぱり撤去を求めることではありませんか。
 第二は、米軍基地国家を支えている思いやり予算を徹底的に見直して廃止することであります。
 国民の税金で米海兵隊の主力機オスプレーを配置できる最新鋭の米軍施設をつくった上、条約や協定上も出す必要のない思いやり予算で、家賃はただ、ゲームセンターなど遊ぶ場所まで至れり尽くせり、こんな居心地のいい国が世界のどこにありますか。総理、あなたは思いやる方向が間違っているとは思わないのですか。
 かつて米統合参謀本部長も、日本に軍隊を置くことは米国に置くよりはるかに安くつくと言いました。これでは米軍が出ていくわけがありません。しかも、軍事費も大幅に削って財政危機を脱したアメリカに、世界一の借金国日本がなぜお金を出さなければならないのですか。余りにも屈辱的だとは思わないのですか。来年三月に期限が切れる特別協定は継続せず、今こそ思いやり予算を見直し、なくす方向へと踏み出すべきではありませんか。
 二十一世紀は目前であります。いつまでもアメリカに物も言えない日本であっていいのでしょうか。ことしは六〇年安保から四十年、しみついたこの体質そのものが鋭く問われています。
 世界はどうでしょう。ニューズウイークは、「世界に広がる「嫌米」の渦、アメリカに異議」という特集を組みました。パナマ運河からすべての米軍が撤退し、ヨーロッパでも米軍兵力は大幅削減されています。こうした流れに照らしても、日本の基地国家の現状を二十一世紀のはるか先まで固定化し強化することは許されません。
 日本共産党は、新しい世紀を、主権・独立の精神を欠いたアメリカの基地国家・属国としてではなく、外国の軍事基地も軍事同盟もない非核・非同盟、自主独立の国家として迎えるために全力を尽くすものであります。
 同時に、安保条約廃棄以前にも、緊急の課題として、第一に、紛争を解決する際には軍事優先ではなく話し合いによる平和解決を最優先させる。第二に、アメリカ外交偏重、サミット外交偏重のあり方を正し、アジア外交を日本の中心に据える。第三に、どんな大国であれ日本国民の立場に立ち、道理によって世界に働きかける自主独立の外交を築く。こうした日本外交の三つの転換を政府に要求するとともに、我が党自身の外交活動をこの方向で引き続き積極的に展開することを表明するものであります。
 以上、幾つかの問題について我々の積極的提案を行いながら質問をいたしました。これらはいずれも来るべき総選挙での大きな争点となる問題ばかりであります。一日も早い解散・総選挙で国民の審判を仰ぐことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(小渕恵三君) 市田忠義議員にお答え申し上げます。
 まず、定数削減法案の処理と国会の状況について御指摘がございました。
 定数削減の意義、緊急性、国民の期待につきましては既に申し上げたところであります。
 繰り返しになりますが、衆議院議員の比例定数の削減は、昨年六月に自自両党からの法案が提出されまして以来、三回の国会にわたって各党間で議論されてきた課題であります。今国会におきましては、予算案の国会提出がおくれざるを得ない中で、国会を早期に開会し定数削減法案の審議に全力を注がれ、また、衆議院議長の累次の御努力などもあったと承知しております。本法案につきまして、こうした経緯を経て、衆参両院において正規のルールに従って手続を進められ、処理されてきたものと承知をしております。
 衆議院議員の任期が本年十月に差し迫っており、国民への周知、政党や候補者の準備などを考えると、先般国会においてこの問題に対処されたことは大変意義深いと考えます。国会のルールを踏みにじったとの御指摘は全く当たらないと考えられます。
 定数削減の意義と政党助成金の廃止についての御指摘がありました。
 これまで、国会議員の定数はおおむね増員の歴史を歩んでおります。国家公務員の削減、地方議会の定数削減、民間の経営合理化への取り組みなどが進められる中で、今回、国会においてみずからの改革の姿勢が示されたことは、単に金銭面でのコストの削減の効果を超えて、大変意義深いと考えます。
 政党助成金は、議会制民主主義政治における政党の機能の重要性にかんがみ、政治資金の調達を政党中心とするという政治資金制度の改革と軌を一にして、国が政党に対する助成を行うことにより政党の政治活動の健全な発達を促進し、民主政治の健全な発展に寄与することを目的として創設されたものであり、定数削減とは問題を異にすると考えます。
 今後の財政再建への取り組みについてのお尋ねでありました。
 私は、我が国財政が主要先進国の中でも極めて厳しい状況にあることを重く受けとめ、財政構造改革という重要な課題を忘れたことは片時もありません。しかしながら、私は今、景気の本格的な回復と財政構造改革という課題の双方を同時に追い求めることはできない、二兎を追う者は一兎をも得ずとなってはならないと考えております。
 我が国経済がようやく最悪期を脱し緩やかな改善を続けている中で、私はここで景気の足元を固めることなく財政再建に取りかかるという過ちを犯すべきではないと考えます。むしろ、今重要なことは、せっかく上向きになってきた景気を本格的な回復軌道に乗せることであります。我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政・税制上の諸課題について将来世代のことも展望した議論に取り組む環境を整え、その上で財政構造改革という大きな課題に立ち向かってまいりたいと考えております。
 吉野川第十堰についてお尋ねがありました。
 第十堰の事業は、一徳島市のみならず、吉野川流域全体の方々にとって重要な施策であると考えております。事業を進めるに当たりましては、地域全体でよく話し合うことが重要であり、その具体的な進め方につきましては、治水を担当いたします建設大臣が責任を持って対処いたします。
 二〇〇五年日本国際博覧会についてお尋ねでありますが、昨年十一月に博覧会国際事務局の議長等が来日をされました際、博覧会会場の跡地利用のあり方について広く内外の理解を得ていかなければならないなどの指摘があり、現在、愛知県において、地元を初め関係者の意見の集約を図りながら跡地利用のあり方について検討が進められていると聞いております。
 政府といたしましては、愛知県の検討等を踏まえながら、内外に幅広く理解と賛同を得て、自然の叡智という二十一世紀にふさわしいテーマを体現した博覧会を開催できるよう全力を尽くす考えであります。
 公共事業のあり方についてのお尋ねがありました。
 公共事業の効率性、透明性の一層の向上を図ることは極めて重要と考えております。このため、すべての公共事業において新規事業採択時の評価や実施中の事業の再評価を行うほか、今年度からは一部の事業を対象にした事後評価の試行に着手することとしており、これらにより事業の効果等について各段階で確認し、結果を公表することといたしております。
 公共事業については、二十一世紀を展望し、我が国経済の発展、国民生活の向上に不可欠な分野について計画的かつ戦略的、重点的な投資を行っております。
 十二年度の公共事業関係予算につきましては、物流効率化による経済構造改革の推進、環境対策、少子高齢化対応、情報通信の高度化といった我が国が直面する政策課題に対応した重点化を図りつつ所要額を計上しておるところであります。
 財政再建の進め方についてお尋ねがありましたが、極めて厳しい財政状況を重く受けとめており、財政構造改革という重要な課題を忘れたことは片時もありません。
 十二度予算におきまして、本格的な回復軌道につなげていくために、経済運営に万全を期すとの観点に立って編成しておりますが、例えば御指摘の公共事業予算におきまして、物流効率化による経済構造改革の推進、環境対策、少子高齢化対応、情報通信の高度化といった直面する政策課題に対応した重点化を図っているのを初めといたしまして、二十一世紀に向けて真に必要な施策に限られた財源で重点的、効率的に配分を行っております。
 また、税制面につきまして御指摘がありましたが、税制のあり方につきましては、租税の基本原則等に基づきながら、今後の少子高齢化の進展など経済社会の構造変化や財政状況等を踏まえ、国民的な議論によって検討されるべき課題であると考えております。
 いずれにせよ、財政構造改革につきましては、我が国経済が低迷を脱し、名実ともに国力の回復が図られ、それにより財政・税制上の諸課題について将来世代のことも展望した議論に取り組む環境を整え、その上でこの大きな課題に立ち向かってまいりたいと考えております。
 雇用情勢と社会保障の財政基盤の認識についてお尋ねがありましたが、現下の雇用失業情勢につきましては、十二月の完全失業率が四・六%と高水準で推移しており、雇用失業情勢は依然として厳しい状況にあるものと認識をしております。
 厳しい雇用失業情勢に伴い失業者が増加し、賃金が減少する中で、受給者数の増加等による雇用保険収支の悪化、労災保険料収入、厚生年金保険料収入の減少が生じているものと認識しております。
 労働基準法の考え方及び解雇規制についてお尋ねがありました。
 労働基準法は、憲法第二十七条第二項に基づき、労働条件について契約自由の原則を修正し、賃金、労働時間その他の労働条件に関する一定の基準を定めたものであると考えております。
 また、解雇につきましては、解雇の理由、態様等は多様であることから、いわゆる整理解雇の四要件や合理的な理由を必要とするという判例の考え方も踏まえ、具体的な事情に応じ、労使間で十分話し合われるべきものと考えておりまして、法律をもって一律に解雇を規制することは適当でないと考えております。
 サービス残業の解消についてお尋ねでありました。
 政府としては、サービス残業の解消に向け、労働基準法の趣旨を踏まえ適正な労働時間管理を行うよう、企業はもとより、経済団体に対しても指導等を行ってきたところであります。今後とも、時間外労働の限度基準の遵守、割り増し賃金の適正な支払い等について的確な監督指導を実施し、労働基準法違反の是正に努めてまいります。
 社会保障についてのお尋ねがありました。
 社会保障制度については、少子高齢化が進行するもとで、国民の間にその将来に不安を感じる声も出ている中、国民の新たなニーズにも的確に対応しつつ、経済との調和がとれ、将来世代の負担を過重なものにならないようにしていくことが必要であり、これまでも必要な財源の確保を図ってきたところであります。
 今後とも、真に必要な給付は確保するとともに、制度の効率化、合理化を図り、将来にわたり安定的な社会保障制度の構築に努めてまいります。
 食料自給率低下と農地面積減少の原因並びに今後の対策についてでありますが、食料自給率の低下と農地面積の減少の要因は、食生活の大きな変化と担い手の減少による耕作放棄等が考えられます。このため、食料・農業・農村基本法に基づき策定される食料・農業・農村基本計画において食料自給率の目標を定め、その達成に向けた生産、消費両面にわたる取り組みを通じ、食料の安定供給の確保と耕作放棄の防止等を図ってまいります。
 次に、農業予算とWTO協定についてでありますが、農業予算に関しましては、生産性の高い経営体の育成に必要な条件整備を行う公共事業の効率的な推進とともに、価格・経営安定対策等の総合的な実施が必要と考えられます。
 また、今後のWTO農業交渉におきましては、農業の多面的機能や食糧安全保障の重要性への配慮、輸出国と輸入国の権利義務のバランスの回復が確保された貿易ルールの確立を積極的に主張していきたいと考えております。
 次に、普天間飛行場の代替施設の建設をやめるべきとの御指摘がありました。
 普天間飛行場の移設・返還を含むSACO最終報告は、日米安保条約に基づく在日米軍の存在が、我が国の安全のみならずアジア太平洋地域の平和と安定のために不可欠であるとの認識のもと、在日米軍の能力及び即応態勢を維持しつつ、県民の方々の御負担を軽減するため日米両国政府が取りまとめたものでありまして、政府といたしましては、これを着実に実施していくことが重要であると考えております。
 また、普天間飛行場の移設につきましては、政府としては、稲嶺沖縄県知事の移設候補地の表明や岸本名護市長の受け入れ表明等の経緯を踏まえ、昨年末、所要の閣議決定を行ったところであり、今後、同閣議決定に基づき、住民生活や自然環境への特段の配慮を行う中で本件に取り組んでまいりたいと考えております。
 普天間飛行場の移設に係る使用期限についてのお尋ねがありました。
 代替施設の使用期限につきましては、政府としては、閣議決定にもありますとおり、国際情勢もあり厳しい問題であるとの認識を有しておりますが、沖縄県知事及び名護市長から要請がなされたことを重く受けとめ、先般これを瓦防衛庁長官がコーエン国防長官に対し取り上げたことに引き続き、河野外務大臣からフォーリー駐日米大使に対し取り上げたところであります。
 政府としては、閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事体制につき、米国政府と協議していきたいと考えております。
 また、政府としては、あわせて国際情勢が肯定的に変化していくよう、外交努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
 在日米軍駐留経費負担についてのお尋ねですが、在日米軍駐留経費負担は、日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保のため重要な意義を有してきたところであります。
 政府としては、今後とも厳しい財政状況にも十分配慮しつつ、日米安保体制の円滑で効果的な運用の確保のため、在日米軍駐留経費について適切に対応していく考えであります。
 最後に、解散・総選挙についてお尋ねがありましたが、日本経済は、これまで各般の諸施策により最悪期を脱し緩やかな改善を続けているとはいえ、自律的な景気回復に至っておりません。本格的な景気回復のため、そのかぎを握る平成十二年度予算の早期成立が何よりも必要であると考えております。
 他方、衆議院の解散は、実際上内閣総理大臣に与えられた大権であります。あくまでも国民そして国家、このことを判断の基準に据えつつ、解散して国民の信を問うべき事態に立ち至ったと考えられるときには、これをちゅうちょすることなく断行するべきものであると考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣青木幹雄君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(青木幹雄君) 市田議員にお答えをいたします。
 定数削減法案の処理に関連し、二月二日の採決に関し御指摘がございました。
 御指摘の件に関しましては、ただいま総理からお答えをしたとおりでございます。
 また、午前中の本岡議員の御質問にもお答えをいたしましたが、一部新聞の報道に基づいて指摘をされております私が参議院議長に対し採決を迫り強要したという事実は、一切ございません。(拍手)
    ─────────────
#23
○副議長(菅野久光君) 山本正和君。
   〔山本正和君登壇、拍手〕
#24
○山本正和君 社会民主党・護憲連合を代表して、小渕内閣総理大臣及び関係閣僚に対して質問をいたします。
 一昨年、小渕内閣発足の初の所信表明演説の中で、総理は、我が国経済の置かれているこの厳しい状況克服のために総力を尽くすと、こういう演説をされました。私はその演説に対して、我が国の持っている力、根源的な力は必ずこの困難を克服し得る、総理は十分にその力を尽くしてほしいという旨を申しました。また、その中で、野党との話し合いを謙虚に行い、少なくともこの困難を克服するための合意を得るように努力されたい、このことも申し上げました。
 小渕内閣は、野党の提案を大きく受け入れて経済改革への道に出発したのでありました。修正案が成立いたしました。そして、発足当初はまさに謙虚で、人柄の小渕と、こういうふうな話も出たわけであります。
 しかし、今日どうでありましょうか。自自連立から自自公連立へと、衆議院において七割を超える圧倒的多数の与党を背景に小渕内閣がさまざまな取り組みをしておりますが、その状況は、本当に議会というものを大事にしながら、民主主義を大事にしながら運営している姿と言えるのでありましょうか。小渕内閣発足当初のあの謙虚さはどこに消えたのか、この危惧を私は抱いているわけであります。
 特に、今国会において、我が参議院における冒頭の審議を見たとき、この戦後五十年間の中でいまだかつてない事態が起こったのであります。それは、与党のみの席で趣旨説明をして、与党のみで採決をしたということが行われたのであります。
 戦後、片山内閣のときに、当時、浅沼稲次郎議運委員長が中間報告を求めるという動議を行いました。時の自民党は野党でありました。まさに暴挙であるという厳しい指摘を浅沼議運委員長に対して行ったのであります。
 しかし、そういうことの反省に立って長い間に、特に我が参議院は良識の府としての議会運営のさまざまなルールをつくってきたのでありました。しかし、今国会におけるような、野党が全く出席しない状況のままで説明を行い、動議をそのまま可決してしまう、こういう事態はいまだかつてないのであります。
 私は、参議院というものが何をしなきゃいけないか、二院制度の中で参議院はどういう使命を持っているのか、このことについての長い先人の苦労、さまざまな歴代の私どもの先輩の苦労というものがどこかに消えていったような気がしてならないのであります。
 私は、そういうことから、特に質問に先立ちまして、総理並びに特に参議院出身の官房長官のお二人に、参議院というものは本来この日本国憲法の中でどういう役割を果たさなきゃいけないのか、どうお考えなのか、そのことについてお二人の見解をまず聞いておきたいと思うのであります。
 さて、総理の今国会における所信についてただします。
 富国有徳という文字、あるいは教育立国、科学技術立国、さらには五つの挑戦、さまざまないい言葉が、フレーズがちりばめてあります。その演説について本当にいろいろと質問したいのでありますけれども、私に与えられている時間はわずかあと十数分しかありません。
 まず、エネルギー政策についての質問からいたします。
 アジアにおける経済大国日本、しかし、世界の経済大国と言われており、資源も経済力も非常に強いアメリカ、そのアメリカのクリントン大統領は、昨年八月、大統領令一三一〇一を公布いたしました。その中で、次のようにクリントンさんは言ったのであります。
 バイオ製品とバイオエネルギーに関する現在の技術は、再生可能な農林資源を、アメリカも農業国であります、電力、燃料、化学製品、薬品などに変換し得る豊かな可能性を秘めている。
   〔副議長退席、議長着席〕
これらの分野での技術進歩は、アメリカ農村部の農民、林業者、牧場主に対して新たなビジネスと雇用の機会を広げる。つまり、農林業の廃棄物に新しい市場が生まれて、未利用地に活用の道が開かれ、高付加価値の新たなビジネスができる。外国産の石油への過度の依存をなくし、大気汚染、水質の改善、洪水防止に役立つ。さらには、温室効果ガスの排出削減に寄与する。この観点から、バイオ製品とバイオエネルギーの国内における市場、国際市場におけるさまざまな活力を増すために、政府は全力を挙げて研究開発、民間部門下のインセンティブに関して国家戦略を策定する。
 こういう大統領令を発したのであります。
 しかも、クリントンさんは、その後のさまざまの場所でこういうことを言っている。
 この取り組みは、地球温暖化の防止や発展途上国をバイオエネルギーの面から支援し、地球環境の改善と同時に、これらの、発展途上国であります、これらの国々の経済社会の安定に役立つことができる新たなアメリカからの提案である。しかも、アメリカの国民並びに二十一世紀の人類に対してクリーンなエネルギー以上にすばらしいプレゼントは、贈り物はないんですと、こういうことをクリントンさんが言っているのであります。
 私は、クリントン大統領の政策をすべて支持する立場には立ちません。しかし、この大統領令に見られるように、政府の首脳が国民に対して極めてわかりやすく未来を明示して、しかも人類生存の問題にまでかかわってはっきりと明言する。この姿勢は、何といっても私は強い感銘を受けたのであります。
 エネルギー問題というのは、今日我が国は、皆さん御承知のように、その九〇%が石油であります。外国から持ってこなければどうにもならない。この電気も消えてしまう。一番大変な問題なんです。
 人類がこれからどうなるかという問題、それに対してアメリカは、大統領令をもってこれを出し、関係省庁を全部統合させ協議機関を配置する、強力な集中した力をもって二十一世紀のエネルギー問題に立ち向かおうとしているわけであります。
 我が国は一体どうでありましょうか。この観点から私は、私見も交えながら小渕さんに質問をしてまいりたいと思います。
 総理の所信表明の中にも地球環境への挑戦という部分があります。また、その他のところにも指摘があります。しかし、いずれも抽象的な言葉にとどまり、エネルギー政策への具体的な目標や展望は何ら提示されていないのであります。
 さきの原子力防災法の改正の際に、原子力長期計画等の根本的な見直しと自然エネルギーの導入の促進に向けて早急に具体的な措置を講ずることという附帯決議がされました。一体、政府は、この附帯決議を受けて、その後どのような取り組みをしたのでありましょうか。これをぜひ総理から聞かせていただきたいのであります。
 また一方、国会においては自然エネルギー促進議員連盟が現在結成されております。二百五十五名の党派を超えた議員の皆さんが参加をしているわけであります。愛知和男さんが会長です。加藤さんが事務局長であります。そして、この我が国のエネルギーは今のままではどうにもならない、そういう立場に立った勉強会をどんどんやっているわけであります。こういう状況も受けて、政府は今こそ大胆に政策を示すべきであります。日本のエネルギー問題に対する政府の見解が明示されなければならないと私は思うのであります。
 我が国のエネルギー政策は、しかしながら原子力発電が大きく位置づけられている。しかし、先般来の事故の続出や、廃棄物処理の困難さ等さまざまな多くの問題が出てきております。プルサーマルについてもさまざまな問題があるわけであります。
 私は、原子力発電を直ちにやめよという立場じゃありません。しかし、アメリカやヨーロッパでは原子力発電の新増設は全くないと言ってもいいのであります。逆に、現在ある原子力発電所を廃棄していこうという動きが行われている。そういう中で、我が国は原子力政策の中に、今から新しく二十基の原子力発電所をつくろう、こういう政策になっている。こんなことで果たしていいのでありましょうか。
 これを見直して、既存原発はとにかく安全性の確保のために総力を挙げる、廃棄物の処理のために我が国はあらゆる技術を投入する、そして新しいクリーンなエネルギー、自然エネルギーの開発導入へ我が国も総力を挙げる、クリントンさんに負けぬぐらい小渕さんが総力を挙げると言えば、私もまた小渕内閣に対する見方が変わるかもしれません。
 自然エネルギーの導入は、地球温暖化防止、大気、水、山林等の地球環境の維持、エネルギー安全保障、地球活性化、雇用拡大など多面的な価値があります。そして、欧州連合、EUでは二〇一〇年倍増計画を既に定めている。ヨーロッパもアメリカも、ともに高い政治目標を掲げて取り組もうとしているんです。
 我が国は一体どうなのでありましょうか。この目標たるや、本年度予算に附属した資料で示されておりますけれども、まことに情けない限りの目標が出ている。自然エネルギー導入目標は、一次エネルギーに占める比率を二〇一〇年にはせめて一〇%にしよう、これぐらいの提案はされるべきだと思うのであります。こういうことについて、総理大臣、また通産大臣、そして環境に大きく影響するこの自然エネルギーという問題につきまして環境庁長官の見解を伺いたいのであります。
 自然エネルギーの中で、バイオマスはアメリカ、風力はヨーロッパが大変進んでおります。しかし、我が国は太陽光、燃料電池の研究では世界の中でトップ水準にある、研究は。実用化のために総力を挙げれば必ずやれるのであります。そのことを指摘しておきたい。
 過去三十年間に原子力発電の増設あるいは維持のために使われてきている予算は数十兆円を超えておる。我が国がもしこの自然エネルギー問題に年間一兆円の予算をほうり込めば、まさに世界のエネルギー需給に対して大きな革命を起こすことができる、世界に誇れる日本になると私は思うのであります。人類が今後二十一世紀に共存し生きていくために、我が国がこのことに力を挙げて取り組む、国策として高らかに宣言する、こういう政治意思の表明をぜひともやっていただきたい、こういうことを思うのであります。
 憲法前文で言う国際社会において名誉ある地位を占めたい。我が国は立派な国だということを言いたい。ならば、せめてまずこの問題から取り組んでいただきたいと思うのであります。
 時間が迫ってまいりましたが、教育について総理の見解をちょっとただしておきたい。また、文部大臣にもお伺いしたいのであります。
 施政方針演説の中で総理は、二十一世紀を担う人々はすべて美しい日本語を身につけると同時に、英語で意思疎通ができ、インターネットを通じて国際社会の中に入っていけるようにする、こういうことを言っておられる。また、教育改革国民会議をつくる、さらには先生や親や子供の姿にまで触れて重要性を強調しておられるのであります。しかし、私は、今日の教育現場の置かれている実態、家庭での子供の状況から、どうしてもこの所信表明演説の文章がそらぞらしく読まれてならなかったのであります。
 それはなぜか。政治の場が教育を語るとき、大変私は恐ろしい気がするんです。総理の表明演説の中にもあります。子供は大人社会を見ながら育つものである、こう言っておられる。政治の場にある者が子供たちに示すべきものは何でありましょうか。まず、みずからが政治家として真に国家国民のために尽くすその姿を示すことだと私は思うのであります。説教には子供はついてこない。
 子供たちが将来何になりたいかと子供に聞いたところ、将来大人になったら政治家になりたい、こういう子供がほとんどいないのであります、今。この現実を私たちは振り返らなきゃいけない。二十一世紀に生きる子供に示すべきことは、政治家が常に自戒し、正しい政治の確立にまず努めることであります。それが何よりも子供たちに対する教育の指導であります。
 そして、政府にやっていただきたいことは、教育条件の整備、三十人学級をやっているような、OECD各国にはないのです。そして、子供たちが本当に学校で学びながら未来が見据えられるような条件の整備、例えばIT革命時代と言われております、それにふさわしいような学校の設備になっておりますか。また、地球環境の問題がひしひしと感じるようなそういうものが学校に置かれていますか。
 今、文部省でも、エコスクール等の増設に取り組んでおられる。そういうものにこそ一生懸命に予算を入れて、そして子供たちに夢を与えてやっていただきたい。総理並びに文部大臣に、まさに教育環境の整備についての見解を伺っておきたいと思います。
 次に、対米関係についてただしておきます。
 日米関係は、戦後五十年間、我が国外交の基軸であります。そして、その友好関係は今後も一層重要だと私は思います。しかし、国民の間にもありますし、私どもが一番心配しているのは、日本政府はアメリカとの間で堂々と我が国の主張、我が国の立場、国民の考え方をぶつけているのだろうか、これに対する懸念であります。ただすべきことをただしていないのではないか、我が国の主張をしっかりしていないのではないかという懸念がしてならないのであります。
 それは、一九八〇年代からの経済問題、貿易摩擦、特許権問題、ダンピング、この前の金融、ハイジャックです、あれはまさに。そういうことに対して我が日本はどのような立場をとってアメリカに物を言ったのか、このことであります。
 そして、一番象徴的にあらわされているのが今国会で昨日の衆議院、本日の参議院ともにありました沖縄問題です。依然としてまだ我が国はアメリカ軍占領下にあるという印象しかない。この状況の解決のために、私はまさに国を挙げて、国民のすべてがこれはおかしいと思っている。なぜこれをしなきゃいけないか、その問題についてアメリカ政府にきちっと主張すべきことを主張しているのかどうか、明確なひとつ総理の見解を、また外務大臣からの見解も伺っておきたいと思います。
 また、アジア外交についても、この所信表明の中で私は評価したい部分がありました。それは、中国、韓国との三国首脳会談の記述でありますし、日朝間の対話促進による前向きの対応であります。こういうことを触れられた総理の演説は今までの歴代総理の中でなかったように私は思います。その面はひとつ一層取り組みを強化されて頑張っていただきたい、こう思います。
 しかし、国民の間にある最大の関心事、北東アジアにおける平和の問題の最大の関心は、中国と台湾との台湾海峡の問題です。このときに我が国はどう対応するのか、これに対する国民の不安がある、私はこう思うんです。
 我が国が第二次世界大戦で敗れて帰ってくるときに、ソ連は戦争が終わってから樺太を占領した。しかも、若い青年を、五十万という兵隊をシベリアへ連れていって労働にさらした。しかし中国は、毛沢東の軍政下にあったところも蒋介石の軍政下にあったところも、すべての日本人に対して、恨みに報いるに徳をもってせよという布告を発して、私もその一人ですが、温かい、本当にあの敗戦で、苦しい中の中国です、それでも在留日本人と軍人をほとんど温かく帰してもらっている国なんです。
 こういう歴史の中で、私は一番心配なのは、もしも台湾海峡で有事があったときに、アメリカは条約を結んでいますから、言うことをやるでしょう。しかし、日本はそのことに対しては絶対に手を出しませんよということを私は言っていただきたいのです。アメリカが何をしようと、日本はそのことに対しては加わらないという決意を私は示していただきたい。それは、北東アジアの安定にとっても逆に極めて重要でありますし、アメリカの世界戦略に対しても我が国はきちっと物を申したことになると私は思うのであります。そういう意味から、総理のひとつ元気のあるこのことについての答弁を求めておきたい。
 なお、最後に一つ申し上げます。
 自民党とさきがけと社会党で連立内閣ができました。その連立内閣ができたときに、私は当時の村山総理に解散を進言したんです。しかし、解散をするということは逆に野党が反対した。改革つぶしかと、こう言って野党の追及も受ける中で解散ができなかった。
 本来選挙によって選ばれたそれぞれの政党の分野がある。そこで改めて内閣をつくるというときには、つくって解散して、わずか二十日あればできるんですね。その二十日間の猶予を国民からもらって、民意に基づいて内閣というものは責任を持ってやっていくべきだと私は思うのでありますが、そのことを一昨年も申し上げました。今日、私は再度小渕さんに申し上げたい。
 国民の間に深く横たわる政治不信の念を払拭し、議会政治への信頼を回復するために、一日も早い解散を決断されることを求めまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣小渕恵三君登壇、拍手〕
#25
○国務大臣(小渕恵三君) 山本正和議員にお答え申し上げます。
 冒頭、定数削減法案の処理について御指摘された上で、参議院の使命についてのお尋ねもございました。
 定数削減の意義、その緊急性、国民の期待については既に申し上げたところでございます。昨年来の問題の経過につきましても、先ほど御説明いたしたとおりでございますが、今国会におきまして予算案の提出がおくれざるを得ない中で、国会を早期に開会し、定数削減法案の審議に努力が重ねられながら、衆参両院において正規のルールに従って手続を進められ、処理されてきたものと承知をいたしております。
 先般、国会においてこの問題に対処されたことは、衆議院の任期が本年十月に迫っており、国民への周知、政党への候補者の準備などを考えますと、大変意義深いと考えております。
 参議院の使命につきましては、民意をより正しく反映させ、議事の公正を期するとともに、衆議院に対して抑制、均衡、補完の役割を果たしていくものと考えております。
 原子力発電についてお尋ねでしたが、我が国がエネルギーの安定供給の確保、環境保全及び経済成長の同時達成を図り、特にCOP3の二酸化炭素排出削減目標を達成するためにも、原子力発電所の新増設が必要であります。
 原子力委員会では、幅広く国民の意見を伺いながら原子力長期計画を策定することとしており、今後とも安全の確保を大前提とし原子力利用を進めてまいります。
 自然エネルギーについてお尋ねでございましたが、自然エネルギーの中で太陽光発電やバイオエネルギーなどの新エネルギーにつきましては、地球環境問題への対応やエネルギー安定供給の確保、また新規産業創造や雇用創出の観点から、その開発、導入を積極的に推進することが重要と考えております。
 二〇一〇年において、新エネルギーの導入量を現在の約三倍、一次エネルギー総供給の約三%にするという高い目標を設定しており、現時点では、経済性、安定性や自然条件による立地可能性など難しい課題も伴いますが、まずその目標の実現に向けて最大限の努力を行ってまいります。
 新エネルギーにつきまして、山本議員もこの問題に大変熱心でございますが、この問題については、さきに申し上げましたように高い導入目標に加えまして、平成九年、新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法を制定するとともに、平成十年に地球温暖化対策推進大綱を決定し、政府全体でその加速的導入が図られるよう最大限の取り組みを行うこととし、その支援策の充実と強化に努めてきております。
 今後とも、引き続き、新エネルギーの開発と導入の促進に全力を挙げて取り組むとともに、本分野において積極的に国際協力を推進してまいります。
 将来政治家になろうとする子供たちの少ない現実についての御指摘がありました。
 子供たちは大人社会を見ながら育ちます。まず、大人みずからが倫理やモラルにふだんから注意しなければなりません。また、一人一人の大人が社会における役割をしっかりと果たしていくことが大切だと考えます。政治家自身も、国民そして国家を第一に考え、信念に基づいて取り組み、子供たちが政治の大切さ、社会に貢献することのすばらしさを学べるようになることが大事であると考えます。
 さらに、平成九年に行われました子ども国会を初めとして、子供たちに対する政治を身近に感じてもらうためのさまざまな取り組みも行われております。
 私自身も直接子供たちと会い、話を聞く機会を多く持つよう心がけているところであり、政治に携わる者がともに取り組んでまいっていくべきものと考えます。
 教育条件の充実整備についてお尋ねでありましたが、次代を担う子供たちがたくましく心豊かに成長することは、二十一世紀を確固たるものとするための基本だと考えます。
 このため、児童生徒に対するきめ細かな指導を実現するための第六次教職員配置改善計画の推進、またミレニアム・プロジェクトの教育の情報化による教育コンピューターや校内LANの整備促進、地球環境保全に配慮したエコスクールなど、時代の要請にも対応して、教育条件の整備に十分意を用いてまいりたいと考えます。
 次に、対米交渉の方針についてお尋ねがありました。
 日米両国は、双方の関係者が主張すべきことは主張し、忌憚のない意見交換を行うことにより、さまざまな課題に協調して取り組んでおります。
 沖縄の米軍基地についての御指摘がありましたが、政府といたしましては、在日米軍の能力及び即応態勢を維持しつつ、沖縄県の方々の負担を可能な限り軽減するため、沖縄県の要望を踏まえて米国と交渉した結果取りまとめましたSACOの最終報告を着実に実施することにより、沖縄県における米軍施設・区域の整理、統合、縮小を図ることが重要であると考えております。
 中国と台湾との関係について我が国の立場についてお尋ねがございました。
 我が国としては、台湾をめぐる問題が関係当事者間の話し合いにより平和的に解決されることを強く希望いたしております。このような我が国の立場について、これまでも繰り返し明らかにしてきておるところでございまして、変更するものではありません。
 最後に、解散・総選挙についてお尋ねがございました。
 これも申し上げておりますように、現在、日本経済が各般の施策により最悪期を脱し緩やかな改善を続けておるとはいえ、自律的な景気回復に至っておりません。そういう意味で、本格的な景気回復のためにそのかぎを握る平成十二年度予算の早期成立が何より必要であり、御協力をお願い申し上げる次第でありますが、他方、衆議院の解散は、内閣総理大臣に与えられた実際上大権であります。あくまでも国民そして国家を判断の基準に据えつつ、解散して国民の信を問うべき事態に立ち至ったと考えられるとき、これをちゅうちょすることなく断行すべきものであると考えておるところでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣青木幹雄君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(青木幹雄君) 山本議員にお答えをいたします。
 参議院の使命についてのお尋ねでありますが、現行憲法が二院制を採用した趣旨は、民意をより正しく反映させ、議事の公平と慎重を期するとともに、第一院が活動不能となった場合にも、できるだけ民主的に国務を処理するという実際的な必要にこたえることであると考えております。
 我が国の参議院も、このような機能を果たすべきものとして設けられているものと解されており、衆議院に対する抑制、均衡、補完の機能が期待されているものと考えております。
 また、定数削減法案の二月二日の採決に関しましては、ただいま総理よりお答えをしたとおりであります。正規のルールに従って処理されたものであり、何ら問題はなかったと考えております。(拍手)
   〔国務大臣深谷隆司君登壇、拍手〕
#27
○国務大臣(深谷隆司君) 山本議員の私に対する質問は三問あると思います。
 一つは、欧米では原子力発電所の新設を考えていないのに、ほとんどないという状態なのに、日本は何で二十基も計画をしておるのか、その計画を見直して、むしろ既存の原子力発電所の安全に全力を尽くせということでございます。
 申し上げるまでもなく、それぞれの国のエネルギー政策は、その国の置かれている環境だとか条件に合わせて独自に計画を立てていくべきものだと私は思います。日本の場合のように全く油がない状態の中でどうやってエネルギーを供給するか、大変苦労が多いところであります。
 我々のエネルギー政策は、安定供給、それから環境保全の確保あるいは経済成長、この三つを同時に達成していき、なおかつ地球の温暖化にどう対応するかということを考えてまいりますと、目下の状態の中では、原子力発電所、そして原子力エネルギーが最も適していると思わざるを得ない。私どもは粛々としてこの計画を進めていきたいと考えています。
 ただ、御指摘のように、原子力発電の安全性については、これは万全を期していくというのは全くそのとおりでございまして、昨年の十二月には小渕総理大臣は伊方原子力発電所を視察し、私も福島第二発電所を視察いたしまして、そこで大変な緊張感の中に真剣に取り組んでいる姿を見てまいりました。多重防護装置その他含めて安全であるという確信を持ったわけでありますが、一層これについては厳しく見詰めていきたいというふうに思っています。
 また、さきの臨界事故から得た教訓を、反省は反省として受けとめて、さきの臨時国会では原子力災害防止のための特別措置法だとか原子炉規制法の改正などを行ったわけでありますが、これに基づいて一層努力を尽くしていきたい。そのことによって国民の皆さんが安全性を確信せられ、そのことがさきに小渕総理も言われました京都の環境会議のCO2の排出削減につながっていくような、そういう政策を進めていきたいと考えます。
 第二の点は、自然エネルギーの問題でありますが、我が国も欧米のように自然エネルギー導入目標をさらに高めて、せめて一次エネルギーに占める比率を二〇一〇年には一〇%として提示すべきだ、こういう御意見でございました。
 これも総理がお答えいたしましたけれども、我々は、二〇一〇年において新エネルギーはその導入量を現在の三倍にしよう。一次エネルギー供給量の三%を確保しよう。これは一見数字で見ると少ないようでございますが、例えば太陽光発電の場合でございますと、現在の実に九十倍、五百万キロワットにしようということでありますから、かなりの前進であると考えます。同時に、欧米の自然エネルギーというのは水力とか地熱の発電も計算に入れています。これを我が国の新エネルギー計画の中に加えますと、十年で七・五%でございますから、欧米に遜色ない前進ではないかというふうに考えております。
 新エネルギーは、例えばコストがまだ高いとか、自然に対応していかなきゃなりませんから、安定供給の面でそれぞれ問題点がありますけれども、議員御指摘のように、全力を挙げて新エネルギーを開発していくということは大事なことだと心得ております。
 第三点は、我が国の持てる経済力を、あるいは技術、国民の英知を結集して自然エネルギー開発に取り組むことによって新しい産業の発展、新雇用の創出、コスト削減と技術発展が保障される、それから国際社会における名誉ある地位を占めるためにも自然エネルギーの開発を国策とする日本の政治の意思を示せ、こういうことでございました。前半の御意見は全く同感でありますし、後半も示唆に富んだお話だというふうに受けとめています。
 先ほども申しましたように、新エネルギーは難点もございますけれども、これを進めるために全力を挙げたい。関係予算で申しますと、過去五年間で倍増しているということもお考えいただきたいと思います。
 また、太陽光発電については、九八年の数字でございますけれども、推計値で約十三万キロワットまで導入が進んでおります。これはアメリカを抜いて世界一でございます。このような目標に向かって全力を挙げてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣清水嘉与子君登壇、拍手〕
#28
○国務大臣(清水嘉与子君) 山本先生から自然エネルギーについてのお尋ねをちょうだいいたしました。
 既に総理並びに通産大臣からも御答弁があったところでございますけれども、現在、環境基本計画及び地球温暖化対策に関する基本方針のもとにおきまして、政府一体となりまして太陽光発電、風力発電、バイオマスエネルギー等の自然エネルギーの開発、導入を積極的に推進しているところでございます。
 環境庁におきましても、自然エネルギーの普及のため、従来から、モデル的な事業への補助など地方公共団体への支援を実施しているところでございます。
 今後とも、関係省庁と協力いたしまして、自然エネルギーの一層の普及に努めてまいるところでございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(中曽根弘文君) 教育条件の充実整備についてのお尋ねでございました。
 平成十二年度におきましては、第六次教職員配置改善計画の完成に向けまして、チームティーチングなどのよりきめ細かな指導等を行うための教職員配置の改善を図ることとしております。
 また、教育の情報化を進めるため、先ほど総理からも御答弁がございましたけれども、学校における校内LANの整備促進を図るとともに、教育用コンピューターの一層の整備を促進することとしております。
 さらに、地球環境保全に配慮し、学校施設における省エネルギー等を推進する観点から、エコスクールづくりを進めております。
 今後とも、新しい教育課程にふさわしい教育条件の整備に十分意を用いてまいりたいと思います。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(河野洋平君) 外交問題につきましてはもう総理御答弁のとおりでございますが、日米関係につきましては、基本的価値観を共有いたします両国でございます。安全保障問題とか国際経済問題など、広範な分野にわたりまして緊密に協議を行っております。協議を行う際には、お互いに主張すべきことはきちんと主張しつつ、さまざまな課題に協調しつつ取り組んでいるというのが現状でございます。
 沖縄の問題についてもお尋ねがございましたが、これも総理御答弁のとおりでございまして、私どもといたしましては、沖縄県から伺いました御要望を踏まえつつ、日米両政府が最大限の努力をして取りまとめましたSACO最終報告の今後とも引き続き着実な実施に最大限努力をしてまいりたいと考えております。
 もう一点、中国と台湾の問題についてお尋ねがございました。
 これも基本的姿勢につきましては総理御答弁のとおりでございますが、目下中断されております海峡両岸間の対話は現在再開に向けて動く状況ではございませんが、しかしこれが平和的に解決されることを強く希望いたしておりまして、こうした立場から、両岸間の対話がこれからも促進されることを期待しているところでございます。(拍手)
#31
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#32
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 平成十一年度の緊急生産調整推進対策水田営農確立助成補助金等についての所得税及び法人税の臨時特例に関する法律案(衆議院提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。財政・金融委員長平田健二君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔平田健二君登壇、拍手〕
#33
○平田健二君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、衆議院大蔵委員長提出によるものでありまして、平成十一年度に政府等から交付される緊急生産調整推進対策水田営農確立助成補助金等について、個人が交付を受けるものはこれを一時所得に係る収入金額とみなすとともに、転作に伴う特別支出費用等は一時所得の必要経費とみなし、また農業生産法人が交付を受けるものについては、交付を受けた後二年以内に事業の用に供する固定資産の取得または改良に充てる場合に圧縮記帳の特例を認めることにより、それぞれ税負担の軽減を図ろうとするものであります。
 委員会におきましては、提出者衆議院大蔵委員長代理、理事鴨下一郎君より趣旨説明を聴取した後、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#34
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#35
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#36
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十一  
  賛成           二百二十一  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#37
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後二時五十一分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
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