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2000/04/11 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第14号
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2000/04/11 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第14号

#1
第147回国会 本会議 第14号
平成十二年四月十一日(火曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十四号
  平成十二年四月十一日
   午前十時開議
 第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり


     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 国務大臣の演説に関する件(第二日)
 去る七日の国務大臣の演説に対し、これより順次質疑を許します。本岡昭次君。
   〔本岡昭次君登壇、拍手〕
#4
○本岡昭次君 私は、民主党・新緑風会を代表して、森総理の所信表明演説に対し、総理並びに関係閣僚に質問いたします。
 質問に先立って申し上げたいことがございます。
 昨日の衆議院の代表質問において、我が党の鳩山代表が小渕前総理の御病気にお見舞いを申し上げたところ、自民党野中幹事長が、鳩山代表のお見舞いに対し、心にもないことを言うなとばかり白々しいと切り捨てました。私は、一瞬唖然としました。許しがたい暴言であります。そして怒りが込み上げてきました。権謀術数に明け暮れる策士として人間的感性が麻痺してしまったおごる権力者野中幹事長の悲しい姿を見た思いがいたしました。
 私は、野中幹事長から白々しいことを言うなと言われようとも、突然の病に倒れられた小渕前総理をお見舞い申し上げ、一日も早い御回復をお祈り申し上げるものでございます。
 また、有珠山噴火により厳しい避難生活を強いられている被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げますとともに、地元関係者の懸命な救援活動に敬意を表するものでもあります。
 小渕前総理が突然の脳梗塞で倒れ、入院されてから四日目、森政権が発足しました。閣僚は、前内閣の閣僚を丸ごと引き継ぐという異例の陣容であります。しかも、総理候補選びに政策や理念が全く考慮されないというのは異常であります。
 経済再生と財政再建の両立という急を要する課題や七月の九州・沖縄サミットを初め、日本の政治が直面する内外の政策課題に対応していくのにだれが最もふさわしいかという観点からの検討がなされず、まさに自民党の派閥均衡と連立維持を最優先した政権交代劇でありました。
 この森新政権は、その成立過程と顔ぶれから、全く新鮮さのない小渕氏抜きの小渕亜流政権であります。森総理が所信表明で、私は本内閣を日本新生内閣とするといかに力まれても、実質は次の選挙までの暫定的な選挙管理内閣でしかあり得ません。
 この時代おくれの密室政治による総理交代と森新政権の性格について、総理の認識をお聞かせください。
 また、自自公連立から自由党との連立を解き、自由党から離脱した保守党を加えて、政権運営の重心を公明党に移した政権維持と選挙のためのいわゆる自公保連立政権が樹立されました。
 こうして森連立政権は、さきの衆議院や参議院の選挙に示された公約や民意との隔たりは許される限界をはるかに超え、政権の正統性が完全に失われた野合政権以外の何物でもありません。
 森総理、この連立政権の正統性を明らかにしていただきたいと思います。
 次に、青木官房長官の総理臨時代理就任と森政権の誕生について、危機管理の観点からお尋ねいたします。
 四月二日未明小渕前総理が入院されて以来政府がとった一連の措置は、危機管理の面から多くの国民が強い疑念を抱いています。
 昨日の鳩山代表の質問に対する青木官房長官の答弁ではこれまでの説明と食い違う内容もあり、許されぬ偽りの発表をしたのではないかという疑問はさらに深まったと考えます。正確な事実関係を述べてもらいたいものであります。
 まず第一に、小渕前総理の入院後青木官房長官の記者会見による発表までなぜ二十二時間もの長時間を要したのかという問題であります。
 第二に、青木官房長官は記者会見で、小渕前総理が昏睡状態に陥ったのは二日の午後八時過ぎと発表されました。その時点で総理の臨時代理を任命せずに、翌日三日の午前九時まで総理の臨時代理を置かなかったのはなぜか。
 第三に、憲法第七十条の趣旨から考えれば、小渕前総理が昏睡状態に陥られた時点で速やかに総理大臣臨時代理を任命すべきであります。この臨時代理選任までに生じた総理不在の事態はあってはならない政治の空白であります。一体どのような対応でこのような事態になったのか、事実関係を明白にしていただきたい。
 第四として、本日に至るまで、青木官房長官からの小渕前総理の病状報告はありますが、医師団の報告は全くありません。国民は公人としての一国の代表者であった前総理の病状を知る権利があると考えます。直ちに医師団から病状を明らかにするように求めます。
 最後に、青木官房長官は、二日の午後七時病院で小渕総理から指示を受け、総理臨時代理に就任されながら、国民の目から離れたところで後継総理の選出にかかわっておられました。この間、有珠山の状況は、幸い人命を失うような深刻な事態には至っていませんが、阪神・淡路大震災の教訓から見て、内閣の危機管理のあり方として非常に重要な問題を含んでいます。
 国政に空白を設けることは断じてあってはならず、青木長官の対応は万全であったとお考えでしょうか。お伺いします。
 次に、雇用問題についてであります。
 経済企画庁がこの二月にまとめた国民生活選好度調査によりますと、昨年五、六月の時点で十五歳以上の国民の五割近くが失業の不安を抱えながら生活しており、調査開始以来失業に対する不安が最高に高まっていることが明らかになっております。まことにゆゆしき事態であり、政府の責任は極めて重いと指摘せざるを得ません。
 総理の所信表明にある「雇用対策にも万全を期し、国民の雇用不安を払拭するよう努めてまいります。」の一言で片づくような事態ではありません。まず、総理に雇用対策への所信をお願いいたします。
 さて、先日発表されました三月の完全失業率は四・九%と過去最悪の水準に達しました。この四・九%という数字が今申し上げた国民の失業に対する不安を一層かき立てています。国民が安心して生活が送れるよう、実効ある施策を早急に実施する必要があります。長期の経済不況を招く結果となった政府の経済・財政運営の誤りはもとより、リストラを促進し離職者の増加を助長してきた産業政策、成果の上がらない雇用創出策が今日国民に大きな不安と失望を与えていることは否定できません。
 三月の日銀短観における企業の景況感改善の報道もあります。その一方で、賃金構造基本統計調査では五十五歳未満の男性の賃金が前年を下回るというかつてなかった現象もあらわれております。また、今春闘においては賃金引き上げ率は過去最低とも報じられています。たとえ企業の景況感が改善したことが事実であっても、このことは勤労者の犠牲のもとにもたらされたということであります。企業がリストラを進め、失業者を大量発生させている現実を見れば、真の改善と言うにはほど遠いものであると言わざるを得ません。
 総理は、これまでの経済対策、産業対策、雇用対策について万全であったと胸を張って言えますか。総理、お答えください。
 次に、政府の雇用対策の効果について伺います。
 政府は、昨年十一月に示した雇用活性化総合プランにおいても百万人規模の雇用創出・安定を目指すとのスローガンを掲げました。しかし、同時期、介護、福祉などの分野別の百万人の雇用創出を求めた連合と日経連による共同提言とは大きな異なりを示しております。最重点に置くべき雇用創出についても、経済効果を中心とした三十七万人を見込んでいたにすぎなかったのであります。
 このような中途半端な対策に終始したため、その後も次々と雇用対策を打ち出さざるを得なくなり、しかもその失業率の改善を見るどころか過去最悪の数字を塗りかえることになったのであります。この厳しい雇用失業情勢に対する政府の危機意識が余りにも希薄であり、その改善に向けて真剣に取り組んできたとはとても言えないのであります。
 百万人の雇用創出・安定についてどのようなフォローアップがされたのでしょうか。総理にお伺いします。
 失業率は過去最悪となりました。しかも、今なお企業のリストラの動きはやむことなく続いており、このままでは今後も雇用失業情勢はますます悪化することは必至であります。わけても中高年齢者の失業問題、また新規学卒者の未就職問題への対応が重要であり、かつ急務であります。
 まず、中高年齢者でありますが、その失業率が改善しない原因にミスマッチの存在があります。とりわけ、中高年齢者では仕事につけない最大の理由に年齢があります。学齢期の子供を抱え、生活費が他の世代に比べてより多くかかる中高年齢者の離職には心が痛みます。速やかな再就職に向けて、ミスマッチの解消も含めた新たな施策の充実強化が必要であります。総理のお考えを伺います。
 また、こうした中高年離職者の離職理由を見ますと、解雇、人員整理が最も多くなっております。商法改正などにより今後企業組織の再編がますます活発化し、それによる解雇が増加するのではないかとも心配されます。私どもは、労働者保護の観点から、企業再編を行う事業主に雇用される労働者の解雇制限などの必要性を求めていますが、総理の見解を伺います。
 次に、新規学卒者の就職問題でありますが、雇用失業情勢の厳しさは新規学卒者の就職状況にも大きな影響を与えています。三月の時点で新規学卒者の就職内定率も史上最悪と見られ、卒業を目前にしてなお十七万人の就職未定者が存在するとのことであります。新たな思いを胸に社会に羽ばたかんとする若者の、その翼を折るような就職難は見過ごすわけにはまいりません。
 現時点で新規学卒者の就職についてはどのような状況になっているのか、また、新規学卒未就職者に対しては、政府はどのような施策を講ずることによって就職に結びつけようとしているのか、総理に伺います。
 また、若年層の就職に関して、近年フリーターと称される定職につかない若者の増加も懸念されています。厳しい雇用失業情勢の中で、採用抑制の影響からこうした地位に甘んじざるを得ない若者が存在する一方、本人の自由意思によってフリーターを選択する場合もあると聞いております。年金制度や税制にも少なからず影響が出ることも考えられ、今後社会問題化しないとも限りません。
 今後、フリーターの増加によってどのような社会的、経済的、財政的影響が出ると考えられますか。総理の見解を求めます。
 こうした問題は、学校教育のあり方とも密接な関連があります。教育と職業生活とを円滑に接続させることが重要であり、そのために知識と技能を学習する学校教育改革と健全な勤労観、職業観を育てる生涯学習のシステムがぜひとも必要であると考えます。
 文部大臣も経験された総理は、教育改革に力を注ぐとのことでありますが、どのような認識をお持ちか、また、学校教育においてどのような施策を講じていくつもりか、お伺いいたします。
 続いて、教育問題に入ります。
 小渕前総理が提唱したG8教育大臣会合が、去る四月一日、二日東京で開催されました。
 このG8教育大臣会合のビジョンは、教育と生涯学習は、伝統的な工業化社会から顕在化しつつある知識社会への変容の中で柔軟性と変化に適応するために必要な流動性へのパスポートを個々人に付与するものということであります。
 G8教育大臣会合では、この工業化社会から知識社会への変容の中で、政府が有効な施策を推進せず手をこまねいていれば、知識格差は国内においても圧倒的なものとなり、社会は危機にさらされると指摘しています。
 既に我が国においても、保護者の学歴と子供の学歴の相関関係が強まっており、社会の階層分化が進み始めています。このような社会の持続的可能性を危うくする事態を直視し、日本社会が十分な資源を教育と生涯教育に配分し、本当に一人一人の子供を大切に育てていく社会や学校教育をつくり出していくことを施策の最優先課題とすべきであります。総理の見解を求めます。
 また、G8教育大臣会合が提唱する教育と生涯学習について総理はどのように受けとめられますか。総理の御認識も伺っておきます。
 我が国の教育にも、伝統的な工業化社会から知識社会へと変容していく二十一世紀を目前にして多くのゆがみが、特に初等中等教育に顕在化し始めました。
 その最も重大な問題は、小中学校の不登校が十二万七千六百九十四人、高校中退者が十一万千四百九十一人、いじめが三万六千三百九十六件、学校内暴力が二万九千六百三十五件などの数字に見られるように、多くの子供たちがなぜ学ぶのかという目的を失いつつあることです。さらには、学ぶことを拒否する学級崩壊と呼ばれる現象も広がっています。
 既に私は、こうした教育のゆがみについて十四年前指摘し、小中学校の不登校は三万百九十二人にも及び、この十年間で三・五倍と激増していますと当時の中曽根総理に問題解決を迫ったところです。しかし、その激増の勢いはとまらず、この十四年間で三万人が十二万七千人と四倍を上回る激増ぶりであります。
 このような教育のゆがみを増大する大きな理由は、一クラスの児童生徒の数をイギリスでは三十人以下に、アメリカでは小学校低学年を十八人以下にする政策が提唱されているのに比べ、我が国では二十年間も四十人学級に据え置き、教育職員の定数改善計画推進もおくれていることにあることは明らかであります。
 民主党は、既に昨年、本院に一クラスの子供の数を三十人以下の小規模にする法律案を提出しています。総理は、教育危機の象徴的事態である学級崩壊に直結するこの不登校問題をどのように解決されますか。具体的に示してください。
 また、総理は自民党の幹事長として、ことし一月末の衆議院の代表質問で教育基本法改正の重要性を強調されました。しかし、先ほど述べました学校と子供の危機的な状況をもたらしたのは教育基本法に原因があるとでもお考えなのでしょうか。総理の見解を伺います。
 次に、とまることを知らない一連の不祥事件とその対応についてお伺いします。
 今、毎日毎日、際限なく警察の不祥事が発覚しています。不祥事の内容は道徳や倫理上の問題にとどまらず、警察官や警察組織による犯罪及び犯罪隠しにまで及んでおり、国民の警察不信は増大し、今や絶望したという声まで聞かれます。こうした事態が犯罪を誘発し、社会の安全に深刻な影響を与えています。
 警察の監査官室が犯罪隠ぺいに加担した神奈川県警の覚せい剤事件、国家公安委員会が機能していないことを露呈させた新潟県警不祥事に対する責任を回避し、警察の改革に頑張ることが私の責任のとり方だとたんかを切られた保利国家公安委員長にお聞きしたい。
 全国規模で起こるこうした一連の警察不祥事は、警察官個人の倫理観、道徳観に帰するべき問題ではなく、構造的、組織的な問題であります。抜本的な制度改革が不可欠であります。政府が提出している警察法の一部改正案は全く不十分であり、こうした一連の警察不祥事件は解決いたしません。
 私は、保利国家公安委員長の責任のとり方を見詰めています。あなたが責任をとって辞任されることから今の警察の改革が始まるのではありませんか。納得のいく答弁を求めます。
 民主党は、警察改革のために、以下の提案をしております。第一に、国民の代表による統制機関としての公安委員会が十分に機能を発揮できるように、独立した事務局を有し、警察の内部監査とは別に独自の監察ができるようにすること、第二に、警察情報の公開を進めること、第三に、市民の苦情を受け付け、適正に処理する開かれたシステムをつくること、第四に、現場経験の少ないキャリアがスピード昇進する現在の任用・昇進システムを改革すること等であります。
 総理、かつての金融再生法案のように、政府がこの民主党案を丸のみされてはいかがでございますか。
 次は、自衛隊問題であります。
 陸上自衛隊幹部による銃刀法違反事件は、調達実施本部の事件、燃料談合事件、元防衛施設庁職員によるあっせん収賄事件などに引き続く事件であります。一連の不祥事において政府は厳正な綱紀粛正を繰り返し口にしてきましたが、とめどない不祥事によってその言が次々と裏切られ続けております。
 本来、国家の主権と国民の安全を守る重大任務に当たる自衛隊が身内の違法行為に対して適切な措置をとれず、さらにその不正を隠ぺいしようとすることは、自衛隊の組織管理能力及び任務遂行における規律と能力の欠如を露呈したものであると言わざるを得ません。我が国安全保障への国民の信頼を失墜させることにつながることを危惧いたします。
 さらに問題なのは、隊内の犯罪事実を取り締まる立場にあった警務隊も含め、当時の自衛隊の上層部がその事実を知りながら、信用失墜を恐れ組織的な隠ぺい工作を図っていたのではないかと言われていることであります。事実とすれば、組織内部にあって不祥事摘発の最後のとりでである警務隊が本来の任務を全うできなかったということであり、自衛隊の組織管理能力、任務遂行能力の欠如を如実に示すものであります。このような身内をかばう体質は、さきの神奈川県警を初めとする一連の公務員による不祥事隠しの構図と全く同じであります。
 また、今回の事案がみずからの調査に基づく公表でなく報道によって明らかになった事実についての責任はまことに重大であります。自衛隊の指揮官としての森総理、一連の不祥事に対する関係者の厳正な処分を含め断固たる方針を示していただきたい。
 次に、農林水産省であります。
 三月二日、農林水産省構造改善局の元課長補佐が収賄容疑で逮捕されました。そして、二十七日には北海道庁に出向中の農林水産省官僚と香川県大川農協組合長らが贈収賄容疑で逮捕されました。この一連の逮捕劇は、この間農林水産省が行ってきた内部調査がいかにずさんで身内に甘いものであったかを物語るものであります。そもそも、構造改善局自体が汚職の温床ではないかと世間で言われているのにもかかわらず、当の構造改善局長が調査委員会の委員長をやっていること自体が間違いであります。これでは、調査に手心を加えたと見られても仕方がありません。
 農林水産大臣、あなたはこの間の相次ぐ逮捕について責任を感じないのですか。ここまで不祥事が相次ぎ複数の逮捕者まで出した以上、農林水産大臣か、少なくとも何の事実関係も明らかにできなかった調査委員長たる構造改善局長は責任をとるべきではありませんか。玉沢農林水産大臣の見解を伺いたい。
 一連の背景には、天下り法人を通じた中央官僚による既得権益の確保と、それに伴う政官業の癒着という根深い構造的問題があります。しかし、今回逮捕者を出すに至ったいわゆる非公共事業は、この構造的問題の周辺部分にすぎないのであります。その中心は、あくまで年間予算一兆数千億円に上る農業土木の公共事業分野であります。このために、本問題の抜本改革のためには、土地改良事業などの農業土木をめぐる問題にまで踏み込み、政官業の癒着を断ち切らなければならないのであります。
 総理、あなたはここまで踏み込んで農林水産省改革を断行する御決意がありますか。明確な決断を求めます。
 次に、当面している外交問題について質問します。
 森総理は、来る四月二十八日から最初の外遊としてロシアを訪問され、プーチン次期大統領と首脳会談を行われると承知しております。プーチン氏がロシア国民の民意により大統領に選出されたことを評価する一方、ロシア・チェチェン共和国でロシア連邦軍が大量虐殺など重大な人権侵害を侵している疑いがあるとの報道もあり、対ロ政策は困難な交渉が予想されます。
 私が心配しますのは、ロシア情勢がいまだ不安定な状況にあって、膠着状態に陥ったままの北方領土問題をどう進めていくかについてであります。
 一九九七年十一月に発せられたクラスノヤルスク宣言で、ことしは当時の橋本総理とエリツィン大統領が合意した平和条約締結の目標年次に当たっていますが、改めて我が国固有の領土である北方領土が早期に返還されるよう、日ロ交渉を強力に推進させるべきであると考えます。
 総理は、どのような御決意で対ロ会談に臨まれるのか、御所見を伺います。
 日本と朝鮮民主主義人民共和国との国交正常化交渉が七年半ぶりに再開されました。民主党は、日朝間の政府間協議の再開を評価し、実りのある成果を期待していますが、二回の本会議では、過去の清算の問題を初めお互いに一歩も譲らぬ展開に終わったと新聞は報道しています。
 朝鮮半島並びに北東アジアの平和と安定のために、米国、韓国とも十分連携をとりつつ、拉致疑惑やミサイル問題等に深く配慮した交渉の進展を期待しています。
 我が国が朝鮮半島を約三十五年間植民地支配したのは歴史的事実であります。不幸な過去に早く決着をつけて、東アジアの安定と繁栄のために日本の役割を果たすべきであると考えます。
 この日朝交渉は、五月に日本で再開されるようですが、この交渉の再開をどのように対処していかれるのか、総理の御所見を伺いたいと思います。
 あわせて、質問には申し上げていませんでしたが、追加させていただきます。
 四月九日に、韓国と北朝鮮との首脳会談が六月に開催されるというビッグニュースが入ってまいりました。今後の展望について、あわせて総理の御見解を伺うことができれば幸いです。
 次に、沖縄普天間基地の移転問題について伺います。
 稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長が基地受け入れの条件として、十五年間の使用期限を要求しています。私は、朝鮮半島情勢も含めて、極東アジアの国際情勢も考慮しつつも、それが基地の固定化につながらないよう、この提案を重く受けとめ、具体的な基地の移転、縮小に努めるべきだと考えます。
 森総理は、この普天間基地問題解決に向けて、アメリカに対しどのような交渉を行うおつもりか、お聞かせください。
 過去の清算問題に関連し、いわゆる慰安婦問題の解決について質問します。
 政府は、一九九三年八月、この慰安婦問題について二年間の調査の後、慰安婦問題への軍の関与を認めて、おわびと反省の気持ちをあらわす河野官房長官談話を発表しました。続いて政府は、一九九五年七月に、民間団体として女性のためのアジア平和国民基金を設立し、国民の募金による見舞金を国にかわって償い金二百万円を支給することで慰安婦問題を解決しようといたしました。しかし、道義的責任でなく国の責任による謝罪と償いを求める元慰安婦の方々の反発により、償い金の支給を受けた方は対象者約三百人中百六十人と、やっと半数を上回る状態でございます。
 この償い金支給に際しては、小渕前総理は日本国内閣総理大臣の名前で、次のようなおわびの手紙を渡しておられます。
  いわゆる従軍慰安婦問題は、当時の軍の関与の下に、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題でございました。私は、日本国の内閣総理大臣として改めて、いわゆる従軍慰安婦として数多の苦痛を経験され、心身にわたり癒しがたい傷を負われたすべての方々に対し、心からおわびと反省の気持ちを申し上げます。
  我々は、過去の重みからも未来への責任からも逃げるわけにはまいりません。わが国としては、道義的な責任を痛感しつつ、おわびと反省の気持ちを踏まえ、過去の歴史を直視し、正しくこれを後世に伝えるとともに、いわれなき暴力など女性の名誉と尊厳に関わる諸問題にも積極的に取り組んでいかなければならないと考えております。
これが小渕前総理の署名入りのお手紙であります。
 なぜ、これほどの総理のお気持ちが受け入れられないのでしょうか。それは、国の責任を避け、道義的責任で解決しようとするからであります。国連人権委員会を初め国際人権諸団体も、道義的責任でなく国の法的責任による解決を求めて、勧告、要請を繰り返しております。
 国の責任を明確にし、国の責任において元慰安婦であった方々の名誉回復の措置を行うことが必要です。民主党は、国の責任で解決を促進する法案を参議院に提出しました。河野外務大臣が官房長官のときに初めて軍隊の関与を認め、謝罪と問題の解決が始まったのであります。アジアの関係諸国民と我が国との信頼関係の醸成及び我が国の国際社会における名誉ある地位が保持できるよう、賢明な政府の対応を期待します。
 所信表明において「世界から信頼される国家」を目指したいとする森総理と、河野外務大臣の答弁を求めます。
 最後に、有珠山噴火災害について質問します。
 三月三十一日に噴火を開始した有珠山では、その後も活発な火山活動が続いており、より大規模な噴火のおそれも指摘されています。このような状態のもとで、不自由な避難生活を余儀なくされている被災者の皆さんの避難生活も十日以上が過ぎ、被災者の皆さんは、疲労とともに、雇用を初め今後の生活に対して大きな不安を抱いておられます。また、周辺の観光事業や農林漁業に与える損失も膨大になることが予想されます。
 阪神・淡路大震災の教訓を生かして、被災地の復興、経済産業の復旧・復興、被災者の生活再建と住宅再建支援など、きめ細かく迅速に推進する必要があります。さらに、大規模噴火が万一発生した場合は、周辺住民の生命、財産の保全のため迅速な対応を総理に要請するものであります。
 以上、具体的な問題で政府をただしてまいりましたように、今や国民の政治不信は民主政治にとって危機的状況にあります。政治に対する国民の信頼の回復を図ることこそが森新政権に課せられた最大の課題であると考えます。
 したがいまして、森総理がまず決断すべきは、衆議院を解散し、総選挙で連立政権の信を国民に問うことであります。また、森総理自身も、日本のリーダーにふさわしい政治理念と政策を掲げて国民の審判を受けるべきであります。これが、私の森新総理に対する期待であります。一日も早く政治に対する国民の信頼を回復させることを強く要求して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#5
○国務大臣(森喜朗君) まず、本岡さんから小渕前総理に対します御丁重なお見舞いをいただきましたこと、心からお礼を申し上げる次第でございます。
 この内閣が選挙管理内閣ではないかとの御指摘がございました。
 私は、この内閣が選挙管理内閣であるとは考えておりません。私は、これまで与党の立場から小渕前総理の連立政権を支えてまいりました。小渕前総理が病に倒れられ、その後、後を受けて政権を担うこととなった私としましては、これまでの連立政権の成果を踏まえ、政策の継続性を念頭に置きつつ、日本経済の新生と大胆な構造改革に挑戦していくことが私に与えられた使命であると理解をいたしております。私は、この使命を果たすべく、内閣の全精力を傾注して国民の皆様の負託にこたえるよう最大の努力をしていきたいと考えております。
 また、私は四月五日の衆参本会議で内閣総理大臣に正統に指名されたものであり、密室政治による総理交代との指摘は全く不適当なものであります。
 自公保連立政権の正統性についても御指摘がございました。
 私は、国家国民のために実効ある政策を迅速かつ機動的に実現していくためには、安定した政権の枠組みが不可欠であると考えております。今般樹立した自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党による連立政権は、前政権の骨格を維持しつつ、その成果を踏まえて現下の重要課題に挑戦していくことをその使命として考えております。多くの国民は経済の新生と大胆な構造改革の実施を政府に期待しており、こうした民意に真っ正面からこたえ、成果を上げていくことで本連立政権の使命を果たしてまいりたいと考えております。
 小渕前総理の病状を医師団から明らかにすべきとの御指摘でありますが、青木官房長官が医師団と話し合ったところ、医師団としては、例えば、脳梗塞であるとか病名は発表できても、一刻一刻いろいろと変化する病状については家族の了解なしに発表できないとのことでございました。いずれ結果が出ていろいろな報告をする場合はあるにしても、現状においては御家族のお気持ちや医師団のお考えを尊重すべきであると考えます。
 臨時代理としての青木官房長官の対応についてのお尋ねがございました。
 小渕前総理が突然の病に倒れ、また、その前夜、自自公連立が事実上解消されたことを受け、その後の対応について自民党内において官房長官も含め協議が行われていたことは事実でございますが、後継総理の問題について話し合ったことはございません。青木官房長官は、その間、関係閣僚と連絡をとりつつ北海道有珠山噴火対策に万全を期すなど、臨時代理としての役割は十分に果たされたものと考えております。
 雇用対策への所信についてお尋ねですが、厳しい雇用情勢を改善し国民の雇用不安を払拭するため、今後とも政府全体で緊急雇用対策や経済新生対策等を積極的に推進し、雇用対策に万全を期してまいります。
 具体的には、厳しい雇用情勢の影響を強く受けている中高年の非自発的失業者や学卒未就職者を重点にした雇用対策、中小企業の創業支援や大規模なリストラの実施により大きな影響を受ける地域における雇用創出対策等を行うことにより、雇用の創出・安定、再就職の促進、能力開発に全力で取り組んでまいりたいと存じます。
 これまでの雇用対策等についてのお尋ねでありますが、政府は一昨年来、大胆かつ迅速な経済対策等により景気の本格的な回復の実現に全力を尽くすとともに、新規産業の育成、新規雇用の創出を図るなど、雇用問題を国政の最重要課題の一つとして取り組んできたところであります。こうした対策の効果もあって、我が国経済は、厳しい状況をなお脱していないものの、緩やかな改善を続けており、雇用情勢についても一定の下支えがなされているものと認識いたしております。
 今後とも、政府を挙げて雇用の創出・安定に万全を尽くしてまいります。
 百万人の雇用創出・安定対策のフォローアップについてのお尋ねでありますが、中小企業労働力確保法による雇用創出のための支援措置や雇用関係助成金による支援措置等の施策については、その実施状況を随時把握しつつ推進を図っております。政府といたしましては、これらの実施状況も踏まえ、さらに昨年六月には緊急雇用対策、十一月には経済新生対策を策定し、重ねて雇用情勢の改善のため施策の充実を図ってきたところであります。
 中高年齢者の再就職対策についてのお尋ねでありますが、公共職業安定所において、求人の年齢要件緩和の要請、雇い入れの際の賃金助成、職業訓練等による再就職支援に努めているほか、高年齢者雇用安定法の改正案において、在職中からの再就職援助の充実強化を図ることといたしております。
 また、解雇制限についてのお尋ねですが、企業組織の再編のみを理由とした解雇は判例法に照らして許されないと考えられ、今後ともその周知徹底等により労働者の保護に努めてまいります。
 新規学卒者の就職状況についてでありますが、その状況は厳しいものと受けとめております。未就職のまま卒業された方に対しては、短期間の職業講習や職業訓練等を実施し、職業能力の向上を一層図ること等により、できる限り早い就職が図られるように努めることとしております。
 また、フリーターの増加による年金制度や税制に対する影響についてのお尋ねでありますが、年金制度においては、国民年金のみの加入となる方がふえることが考えられることから、今後の就業構造の変化を注意深く見守る必要があるものと考えられます。
 なお、このような就業構造の変化と税制の関連について、今後の税制のあり方を検討する際、幅広い観点から議論する必要があると考えております。
 知識と技能を学習する学校教育と勤労観、職業観を育てる生涯学習のシステムについてのお尋ねがありました。
 円滑に職業生活に移行できるよう、必要な知識と技能や望ましい職業観、勤労観を身につける機会を充実することは非常に重要な課題であると考えております。
 このため、知識詰め込み型の教育から脱却し、みずから考え、行動し、問題を解決する力など、生きる力を育成する教育を推進し、職業教育や進路指導の改善の充実に努めるとともに、生涯学習社会の構築を推進してまいります。
 教育と生涯学習についてのお尋ねがございました。
 人々が生涯のいつでも自由に学習機会を選択して学ぶことができ、その成果が適切に評価されるような生涯学習社会を築いていくことは非常に重要な課題であると認識をいたしております。
 昨年のケルン・サミットにおいて発出されましたケルン憲章においても、流動性へのパスポートは教育と生涯学習であり、このパスポートはすべての人々に提供されなければならないと提言されており、去る四月一日、二日に開催されましたG8教育大臣会合におきましても、生涯学習が高い優先課題であることが再認識されたところであります。
 政府においては、これまでも子供たち一人一人の個性、能力を伸ばすような学校教育の推進を図るとともに、生涯にわたる多様な学習機会の提供に努めているところであり、今後とも生涯学習社会の構築に向けた取り組みを推進してまいります。
 不登校問題についてでございますが、今日、不登校児童生徒数は過去最多に上り、憂慮すべき状況にあります。
 この問題に対応するためには、家庭、学校、地域が連携して心の教育の充実を図ることが重要であります。このため、個性や創造性豊かな立派な人間を育てる教育を目指し、体験活動やボランティア活動などの教育活動の充実、学校の教育相談体制の整備などに取り組んでまいります。
 また、教育基本法についてもお尋ねがありましたが、私は、所信表明演説でも述べたように、戦後の我が国の教育を振り返れば、我が国経済の発展を支える人材の育成という観点からはすばらしい成果を上げてきた一方で、思いやりの心や奉仕の精神、日本の文化、伝統の尊重など日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむという観点からは必ずしも十分でなく、こうしたことが昨今の学級崩壊等の問題を引き起こしているのではないかと考えているところでございます。
 先般、教育改革国民会議が発足したところでありますが、教育基本法については制定以来五十年余りを経ており、教育全般についてさまざまな問題が生じている今日、これらについて議論する中で、教育基本法の見直しについても幅広く大いに議論し、検討していくことが必要であろうと考えております。
 警察の改革案について御提案をいただきました。
 警察行政の刷新改革につきましては、民主党のほか与野党各党からも御提案をいただいております。この問題につきましては、現在、警察刷新会議においても精力的に御議論されているところであり、政府といたしましても、これら各方面の御意見を伺いながら、国民の信頼を回復すべく適切に対処してまいる所存であります。
 防衛庁における不祥事についてのお尋ねがございました。
 防衛庁においてさまざまな不祥事件が発生していることはまことに遺憾であります。防衛庁・自衛隊は国民の平和と安全を守ることを使命としており、その任務は平素から国民の信頼なくしては達成し得ないものであります。したがって、陸上自衛隊による射撃事実を含め、不祥事が発生した際には事実関係を早急に解明し、厳正に対処することにより国民の信頼を回復することこそ重要であると考えます。
 次に、農林水産省に関するお尋ねであります。
 農水省の関連で不祥事が起こりましたことはまことに遺憾であり、残念に思っております。農業農村整備事業に当たっては、事業の事前及び事後評価を適正に実施することにより、事業計画の妥当性等の向上を図ることといたしております。さらに、工事の発注に当たっては、競争入札の導入、第三者から成る入札監視委員会による審議により、透明性、妥当性の確保を図ることといたしております。今後さらに、事業の透明性や客観性を一層確保してまいりたいと考えております。
 北方領土に関するお尋ねでありますが、日ロ間では、東京宣言及びクラスノヤルスク合意等の一連の合意及び宣言に基づき、二〇〇〇年までに四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結するべく交渉を継続することで一致いたしております。政府としては、これらの合意及び宣言に従って、文字どおり全力を尽くしてまいりたいと考えております。
 日朝関係についてのお尋ねでありますが、政府としては、韓米両国との緊密な連携のもと、北東アジアの平和と安定に資するような形で第二次大戦後の正常でない関係を正すよう努めていく方針であり、先週、ピョンヤンにおいて約七年半ぶりに再開した国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。その際、拉致容疑問題やミサイル問題等の諸懸案の解決に向けて全力を傾ける考えであります。
 なお、昨日、発表がございました南北首脳会談は、実現すれば史上初めてのことであり、画期的な意義を有するものと考えており、政府といたしましては、これを歓迎し、全面的に支持してまいりたいと思います。
 普天間飛行場の移設・返還問題についてのお尋ねでありますが、本岡議員御指摘の代替施設の使用期限につきましては、政府としては閣議決定にあるとおり、国際情勢もあり、厳しい問題があるとの認識を有しておりますが、稲嶺沖縄県知事及び岸本名護市長から要請がなされたことを重く受けとめて、これを河野外務大臣及び瓦防衛庁長官により米国政府関係者に対して取り上げたところであります。
 政府としては、閣議決定にあるとおり、今後、国際情勢の変化に対応して、本代替施設を含め、在沖縄米軍の兵力構成等の軍事態勢につき、米国政府と協議していく考えであります。
 また、政府としましては、あわせて、国際情勢が肯定的に変化していくよう外交努力を積み重ねてまいりたいと考えております。
 いわゆる従軍慰安婦の問題に対する政府の対応についてのお尋ねでありますが、この問題を含め、さきの大戦に係る賠償並びに財産及び請求権の問題については、政府としては、サンフランシスコ平和条約、二国間の平和条約及びその他関連する条約等に従って誠実に対応してきており、これらの条約等の当事国との間においては法的には解決済みであります。
 しかしながら、政府としては、本問題が多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけた問題であるとの認識から、これまでもおわびと反省の気持ちをさまざまな機会に表明してきております。また、元慰安婦の方々に国民的な償いをあらわす事業や、女性の名誉と尊厳にかかわる事業等を行う女性のためのアジア平和国民基金に対して最大限の協力を行ってきたところでございます。
 有珠山噴火対策についてお尋ねがございました。
 きょうまで噴火前の避難措置により人的な被害は生じておりませんが、地元では約一万三千人の方々が十日を超える避難生活を余儀なくされておられます。まずもって不自由な避難生活を余儀なくされている方々に対し心からお見舞いを申し上げます。
 政府としては、避難されている方々のニーズにきめ細かく、かつ迅速に対応することが必要であると考えており、これまでも、避難所における生活環境の改善、医療や心のケアの実施、応急仮設住宅の緊急整備への着手、生業資金の手当てなど各般の施策を講じてきております。
 今後とも、万全の警戒態勢をとりながら、地元地方公共団体と協力し、政府一丸となって全力を挙げて取り組んでまいる所存でございます。
 最後に、解散・総選挙についてお尋ねがございました。
 私としては、小渕前総理が全力を挙げて取り組んでこられた経済新生を実現することが現下の重大な責務であると考えております。まずは、予算の早期成立の効果を減殺しないよう、予算関連法案の早期成立に全力を尽くし、予算の速やかな執行に万全を期していくことが必要であります。また、北海道有珠山噴火対策について対応に遺漏なきを期することはもちろん、九州・沖縄サミットの成功に向け、議長国としての主体性が発揮できるよう万全を期すことも必要でございます。
 したがって、衆議院の解散は現時点では考えておりませんが、衆議院解散権は実際上内閣総理大臣に与えられた大権であります。国家国民の立場に立って、国民の信を問うべき事態になったと判断されれば、ちゅうちょなくこれを断行する考えでございます。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣青木幹雄君登壇、拍手〕
#6
○国務大臣(青木幹雄君) 本岡議員にお答えをいたします。
 その前に、小渕総理の緊急入院に際し、各党党首、国会議員の皆さんを初め、国民の多くの方々から温かいお見舞いの言葉や励ましの言葉をいただき、心よりお礼を申し上げます。皆様とともに小渕前総理の一日も早い回復をお祈りいたしております。
 以下、今回の経緯につき、私のとった三日間の対応について御説明を申し上げます。
 まず、私が小渕総理の入院の第一報を古川政務秘書官から受けたのは、四月二日午前二時ごろでありました。その報告内容は、過労のため入院、検査中です、心配するほどのことではありませんということでありました。
 その後、午前六時ごろ、主治医より私が直接報告を受けました。その内容は、検査の結果は、正式には本日、すなわち二日午後十一時ごろにはっきりしてくるものと思われますとのことでありました。正式に病状を見きわめてから発表すべきとの私の判断のもと、検査の結果が出るのを見守っていたところであります。
 率直に申し上げまして、一国の総理の病状の公表については、急いで対応する必要があると同時に、病状がわからない段階で混乱を招くことがないよう慎重に対応する必要もあると私は判断した次第であります。
 午後六時ごろ、古川政務秘書官より中間的な検査の様子をお伝えしたいとの連絡を受け、私は午後七時ごろ病院に参りました。そして、短時間総理とお会いをいたしました。その際、総理より、有珠山噴火の心配もあり、何かあれば万事よろしく頼む旨の指示を受けました。
 私が午後七時三十分ごろ病院を出た後、午後九時前、医師より、総理の病状に急激な変化が見られ、集中治療室に入られた旨連絡を受けました。そこで、明日から直ちに政務に復帰することが困難になった場合に備え、古川官房副長官に、法的にどのような形になるか念のため調べておくように指示をいたしました。
 なお、誤報がなされております宮澤大蔵大臣への電話は、午後十一時半の記者会見前にいたしました。総理大臣経験者の大先輩でありますので、総理が入院された旨と、小渕総理の指示を受けておりますので、私が必要に応じて臨時代理を務めさせていただく旨の報告をいたしました。それに対し大蔵大臣は、それは当然のことです、頑張ってくださいとおっしゃいました。
 午後十一時半、私は記者会見で小渕総理は四月二日午前一時ごろ過労のため順天堂病院に緊急入院された旨発表をいたしました。
 記者会見後、総理が午後十一時三十分ごろ昏睡状態となられた旨連絡がありました。私としては、四月二日午後七時に総理にお会いした時点で指令を受けておりますので、万一災害等の緊急事態が発生した場合には、その時点で直ちに臨時代理に就任をし、内閣の責任を果たす準備は整えておりました。発表の時間が翌朝になりましたのは、深夜でもあり、できるだけ混乱や誤解を招かないために、翌三日の午前十一時の定例記者会見でこれを行った次第であります。
 この会見で、総理が御心配されているように、有珠山噴火対策など一刻もゆるがせにできない諸問題に対応していく必要があることなどの状況を総合的に判断して、午前九時に臨時代理をお受けしたことを発表いたしました。さらに、総理の病状について、病名が脳梗塞である旨と現在集中治療室で治療を受けている旨、あわせて発表をいたしました。
 また、同日午後十二時四十分の臨時閣議で、総理の病状及び臨時代理指定の報告を行うとともに、衆参両院議長に対し通知をし、官報公告手続もあわせて行ったところであります。
 同日午後四時の記者会見において、医師団から聞いた病状、治療状況について、意識レベルは昏睡状態、人工呼吸器による呼吸管理等、詳細に御報告をいたした次第であります。
 翌日、すなわち四月四日になり、引き続き予断を許さない状態が続いていることから、同日午後二時半、最終的に政治的な判断をしなければならない責任を持っております私自身が順天堂病院に伺い、医師団から詳細に事情をお聞きいたしました。
 臨時代理の権限には限度があり、片時も政治に空白をつくらないためには、小渕総理の病状によっては一刻も早く本格的な内閣を発足させる必要があり、内閣総理大臣が欠けたときには内閣を総辞職しなければならないという憲法第七十条の規定の判断をする必要があったからであります。すなわち、小渕総理の病状がこの「内閣総理大臣が欠けたとき」に該当するか否かを確認する必要があったからであります。
 医師団から事情をお聞きした結果、現在、意識状態は昏睡状態、人工呼吸器による人工呼吸を継続しております、血圧、脈拍などは安定しておられますが、脳梗塞による脳障害のため、質問を理解したり、御自分の意思を表明されることは当分の間困難であるとの判断をせざるを得ないということでありました。医師団の報告に基づく小渕総理の病状は、憲法第七十条に言う「内閣総理大臣が欠けたとき」に該当するものと私は判断をいたした次第であります。
 こういった手続をきっちりととった上で、四日午後五時の記者会見でその病状を発表するとともに、いっときも政治の空白をつくることはできないとの観点から、同日午後七時に臨時閣議を開き、内閣総辞職をする決意を明らかにした次第であります。
 以上、私がとった四月二日、三日、四日、その三日間の対応のこれがすべてであります。私としては全力を挙げて取り組んだつもりではございますが、危機管理の問題、連絡、公表等の問題で御批判があれば、当然官房長官である私の責任であることは十分承知をいたしております。
 我が国の危機管理については、早急に検討しなければならない多くの問題があることをこのたび痛感いたしました。それだけに、この際、今後の危機管理について万全の体制をつくっていかなければならないと考えております。
 小渕前総理は今も重い病の床で病魔と闘っておられ、また医師団と御家族は全力を挙げて治療、介護に当たっておられます。でき得れば静かに見守っていただきたいと考えております。(拍手)
     ─────・─────
#7
○議長(斎藤十朗君) 御紹介いたします。
 国賓として来日されておられますハンガリー共和国大統領ゲンツ・アールパード閣下の御一行がただいま貴賓席にお見えになっております。
 ここに、諸君とともに心からなる歓迎の意を表します。
   〔総員起立、拍手〕
     ─────・─────
   〔国務大臣保利耕輔君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(保利耕輔君) 本岡議員にお答えいたします。
 今次、森内閣の発足に伴い、総理大臣から国家公安委員長に任命されました以上、神奈川、新潟などもろもろの不祥事案に対する反省の上に立ち、警察の規律を正すとともに、国会や各党、さらには警察刷新会議などにおける御論議や御提案を踏まえ、警察の制度や運営全般について見直しを図ることにより国民の信頼回復に努め、あわせて薬物対策、サイバーテロ対策、有珠山噴火対応、九州・沖縄サミット警備対策などに全力を挙げることが私に課せられた責任だと存じております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣玉沢徳一郎君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(玉沢徳一郎君) 本岡議員にお答えいたします。
 農業構造改善事業の問題につきましては、昨年一月に大臣訓令に基づき構造改善局長を委員長とする調査委員会を設置し、同調査委員会におきましては、いろいろな制約のある中で最大限の調査を行ったところであります。その調査に基づき、倫理規程に照らして処分すべきものは厳正に処分し、また事業の透明性を高めるとともに、倫理体制の強化を図ってきたところであります。
 今回、この調査の対象となっていなかった職員が収賄容疑で逮捕されましたことは、公務員の倫理が厳しく問われている中、まことに遺憾であり、残念に思っているところであります。
 今後、農林水産省の仕事のあり方全体を見直し、事業実施の適正化を図りますとともに、職員一人一人に公務員としての自覚を促し、国民の信頼を回復すべく全力を尽くすことが私どもに課せられた責務であると考えております。これに向けた取り組みを既に指示しているところであります。(拍手)
   〔国務大臣河野洋平君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(河野洋平君) いわゆる慰安婦の問題につきましては、先ほど総理大臣御答弁のとおりでございます。
 総理もおっしゃいましたように、この問題、大事なことは、多数の女性の名誉と尊厳を深く傷つけたという問題でございます。こうした認識を持ちまして、これまでもたびたび政府といたしましては機会をとらえておわびと反省の気持ちを表明をしているところでございます。
 私自身も九三年八月、官房長官としてこの問題について考え方を明らかにいたしておるところでございます。(拍手)
    ─────────────
#11
○議長(斎藤十朗君) 倉田寛之君。
   〔倉田寛之君登壇、拍手〕
#12
○倉田寛之君 私は、森総理の所信表明演説に対し、自由民主党・保守党を代表して質問をいたします。
 まず、質問に入ります前に、小渕前総理は御就任以来、我が国の浮沈をかけた難局にあって、景気回復を初め国家喫緊の諸課題に対し身を粉にしてひたむきに立ち向かっておられましたが、その激務ゆえの過労から病に倒れられたのでありました。
 そして、去る四日、小渕内閣が総辞職し、青木内閣官房長官は、記者会見の中で、沖縄サミットに対する小渕総理の思いに触れられて、一瞬、声を詰まらせました。その光景を見て、私も目頭を熱くし、涙いたしました。
 そのとき、三国志において語られている曹操の漢詩、「烈士暮年、壮心已まず」と詠んだ一節をしみじみ思い起こしました。病に倒れ、病床に伏すといえども、その志は今も千里のかなたを駆けめぐるという意味であります。これは病床の前総理の心情をそのままあらわしている、私にはそのように思われるのであります。
   〔議長退席、副議長着席〕
 また、我が党の村上正邦議員会長は、病床の小渕前総理に対する痛恨の思いを次の漢詩に託して詠まれたのであります。
 思いを陳ぶ
 桜花開んとして噴雷奔る
 福禍混じり来るは世運の典
 志を継ぎ衆を結ぶは此の秋に在り
 夢より醒め病に克ち痛恨を癒さん
 桜の花を楽しむ好季節に時ならぬ噴雷が走り抜けた。幸いと災いは入りまじって追ってくるのは人の世の常である。このときこそ志を継いで皆は結集しなくてはならない。早く昏睡よりさめ病に打ちかって、痛恨の思いをいやそう。有珠山の災害に思いをいたし、自自解消を憂い、サミットへの思いを込めた漢詩であろうかと存じます。
 今は小渕前総理の一日も早い御回復を心からお祈り申し上げる次第であります。
 今日まで小渕政権の一年八カ月、森総理は自民党の幹事長として小渕前総理と一体となって諸政策を推進してこられました。日米防衛協力のガイドライン、中央省庁改革、地方分権、情報公開、さらに通信傍受、国旗・国歌、年金等々、二十一世紀の国の骨格を形づくる重要な法案を数多く成立せしめ、かつ、平成十二年度予算を早期成立させるなど懸案を解決してまいりましたことは、御案内のとおりであります。
 そして、小渕政権の政策課題、有珠山噴火を初めとする危機管理、景気回復、サミット開催、教育改革等に早急に取り組む上で、また、三党連立のかなめとしての実績から見ても、森首班指名は当然であり、森内閣の誕生はまさに必然でありました。
 政府・与党は結束して政治空白が生じることのないよう、迅速な総理の指名へと最善を尽くしました。自民党総裁選においても、党則にのっとりその手続が整々と行われたことは言を待ちません。このことは国民の信頼と支持が得られるものと強く確信をいたしております。
 総理は、日本新生内閣をスタートされ、安心して夢を持って暮らせる国家、心の豊かな美しい国家、世界から信頼される国家の実現を目指すと強調されております。このような総理の国づくりへの強い意欲にこたえ、日本新生、新しい国家形成を目指し、二十一世紀の展望を切り開くために、我々は力を合わせて取り組んでいかねばなりません。
 そこで、森総理に新しい連立政権の抱負と決意についてお尋ねいたします。
 我が国は内政、外交ともにひとときの空白も許されない政治状況にありますが、秋の衆議院議員の任期満了を控え、野党各党のみならず、連立与党の幹部の中にも解散時期をめぐる発言が相次いでおります。また、マスコミも解散風をあおっているように見受けられます。
 しかし、平成十二年度予算は成立したものの、予算を執行するために欠かせない関連法案の国会での審議はこれからようやく本番を迎えます。景気の本格的な回復や国民生活の安定に向けて、いずれの法案も審議を尽くした上で、一日も早い成立を目指さなければなりません。
 一方で、政権と政局を安定させ喫緊の課題に迅速的確に対応するために、森政権が国民の信を問うことも必要です。
 解散権が総理お一人にあることは重々承知の上ですが、解散をめぐる今日の情勢にかんがみ、ここで総理が国民にわかりやすく説明することは大事なことだと思います。総理のお考えをお聞かせ願います。
 また、森総理のもとで自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党の三党連立政権が発足しました。私はこの連立に当然のことながらもろ手を挙げて賛成であります。しかし、自自公解消から自公保の連立に至った経緯を初め、新しい連立の理念や意義、その目的について国民への十分な説明が必要と考えます。
 参議院において各党とも単独で過半数の議席を確保できない以上、政権の安定と国会の円滑な運営において連立政権は必然であります。このことも含めて、自自公連立の総括と解消の理由、新しい連立の意義など、国民の目線でわかりやすく説明していただきたいのです。
 あわせて、自公保連立政権が国民の理解を得て、支持が一層広がるように取り組む決意を改めてお聞かせ願いたいと存じます。
 国民が安全で安心して暮らせる社会づくりは、国家の役割として最も重要なことであります。
 危機管理の中枢は、言うまでもなく内閣総理大臣であり、それを支える首相官邸であります。今回、総理の突然の入院をめぐって、危機管理上問題が生じたかのような論議が起こっております。言うまでもなく、一国を担う総理大臣の健康管理がいかに重要であるか、危機管理上の課題として真剣に受けとめなければなりません。ホワイトハウスにおいては、大統領の健康管理のための医療専門チームが同居しているようであり、我が国も今回の事態を反省し、首相官邸において医学的な体制について万全の措置を講ずべきと考えますが、総理、いかがでしょうか。
 さらに、今回の事例にかんがみ、総理が事故に遭った場合を想定しいかなる制度を整備されるおつもりか、あわせて伺います。
 次に、全国民が心配している有珠山の噴火について伺います。
 今のところ直接の人的な被害は生じてはおりませんが、多くの方々が不自由な避難生活を余儀なくされており、この機会をかりて心からお見舞いを申し上げます。
 最近はマグマの動きが活発になり、今後大爆発等の重大な事態の発生が大変憂慮されております。不測の事態に備えた住民の安全確保、長期化する一万三千人に上る避難生活者の援助、被害甚大な地域経済への支援等についていかなる措置を講じていかれるのか、伺います。
 危機管理上、我が国の安全保障の問題については、昨年、日米防衛協力ガイドラインに基づく周辺事態法が成立し、大きな前進がありましたが、国際平和への積極的な貢献を図り、我が国のすきのない防衛体制の整備のために、PKFの凍結解除や有事法制の整備が大きな課題として残っております。
 森総理は所信表明の中で、歴代内閣としては初めて有事法制に触れられましたが、これは国家国民の安全確保のための根本となる法制でありますので、ぜひとも積極的な取り組みをお願いしたいと存じます。御決意をお聞かせください。
 さらに、安心できる社会、安全な暮らしのためには、社会秩序、治安の維持を任務とする警察の信頼回復が待ったなしであります。目下、警察改革を議論するために設置された警察刷新会議で、情報公開や苦情処理等が取り上げられ、近く公安委員会制度もテーマになると伝えられています。数々の不祥事はまさに国民の信頼を根底から裏切るものであり、徹底的な体質改善が不可欠でありますが、現場の大部分の警察官は昼夜を分かたず体を張って真剣に事に当たっていることも忘れてはなりません。
 総理が目指される国民から信頼される政府にあっては、まず国民の警察への信頼を一日でも早く取り戻すことが緊要であります。このため、現場警察官の士気の向上にも十分配慮しつつ、警察法の改正初め警察行政の刷新に取り組む必要があると考えますが、森総理はどのように対処していかれるのか、方針をお伺いしたいと存じます。
 次に、九州・沖縄サミットについてお伺いします。
 小渕前総理の沖縄に対する熱い思いから実現の運びとなり、世界じゅうが注目している九州・沖縄サミットがいよいよ間近に迫ってまいりました。総理は、御就任以来、サミット前に沖縄を訪問されたいとの御意向をお持ちと伝えられており、総理のサミット成功を含む沖縄問題への熱心な姿勢がうかがえるところであります。
 そして、このサミットは、森総理が提唱された世界から信頼される国家をつくるための試金石であり、九州、沖縄は言うに及ばず、日本全体が総理のリーダーシップのもとで、警備を初め諸準備に万全を期し、議長国としての重大な責任を果たしていかなければなりません。また、沖縄からアジアの声、日本外交の方向を世界に向け発信できる最大の好機でもあり、二十世紀を総括した戦争終結、平和への決意を全世界に向け宣言されることを強く要望いたしたいと存じます。
 そこで、総理が提唱されておられる創造的外交をこのサミットにおいてどのように具体化し、宣言等に反映されていかれるのか、お考えをお聞かせ願います。
 さらに、サミットや今後の外交の展開のために主要国の首脳との緊密な信頼関係を築くことが大変重要であります。クリントン米国大統領、プーチン・ロシア次期大統領などとの会談がサミット前の外交日程に上っているようでありますが、その見通しと首脳会談に臨まれる心構えをお聞かせ願います。
 今月五日から日本と朝鮮民主主義人民共和国の第九回国交正常化交渉がピョンヤンで再開され、過去の清算や日本人拉致疑惑等について先行き容易ならぬ雲行きであります。拉致疑惑等は、我が国の主権や基本的な人権にかかわる問題であり、毅然とした姿勢を貫きつつ、粘り強い交渉を積み重ねることが何よりも肝要であります。この件に対する発想の転換、国際世論への喚起に新たな道を開くことも重要であります。
 森総理は平成九年に訪朝された御経験があり、それも生かされて日朝間に新たな局面を切り開いていただきたく、交渉の基本方針をお聞かせ願います。
 韓国の金大中大統領と朝鮮民主主義人民共和国の金正日労働党総書記が六月に首脳会談を行うことで合意したと報道されています。これについて総理は既に承知されていると思いますが、どのようにこのことを受けとめておられるか、伺います。
 次に、総理が言われる心の豊かな美しい国家を目指す上で重要な柱になっております教育改革の問題についてお伺いいたします。
 先日、名古屋市で耳を疑いたくなるような事件が起きました。複数の中学生が同級生の少年から七十回から八十回にわたって実に総額五千万円以上もの現金をおどし取っていたというのです。容疑者の少年たちは、おどし取った金を遊興費や名古屋から大阪に遊びに行くタクシー代に使っていました。
 犯罪はその時々の社会のゆがみや病巣を反映すると言われますが、事件の内容が明らかにされるにつれ、我が国の教育問題の根の深さに改めて驚愕したのは決して私一人ではないと存じます。家庭も学校も警察も地域も、なぜ大事に至る前に解決できなかったのか。被害者少年の尋常でない深刻な状態や加害者の中学生たちの不自然な浪費など、周囲の大人のアンテナはその異常さをキャッチしていたはずであります。
 なかんずく、義務教育の現場において、他人を思いやる心を初め倫理観や道徳心をはぐくむ取り組みはどうなっているのか。義務教育を終えて社会に巣立つ上で不可欠な、汗を流して働いたことへの対価としての収入という金銭感覚の基本さえしつけられていないのではないかと疑わざるを得ないのであります。この件は、ひとり子供のみならず、大人を含めた社会全体の問題としてとらえることが必要であります。
 今や教育改革は社会改革と同義語と言っても過言ではありません。このほど発足した教育改革国民会議においては、学校教育の分野にとどまらず、人格形成へのあり得べき姿を含め、幅広い議論がなされることを期待しています。
 国づくりは、まず人づくりからであります。知識の詰め込みではなく、どのような日本人を育てるかであります。二十一世紀の日本の発展はまさにこの一点にかかっていると私は考えます。
 文部大臣を経験され、日ごろより教育改革に熱意を示されておられる森総理の御決意を改めてお聞きいたします。
 また、森総理は所信表明の中で、戦後の教育の中では思いやりの心や奉仕の精神をはぐくむことや、日本の文化や伝統を尊重することが十分ではなかったと指摘しておられます。私も全く同じ認識を持っております。文武分かれずと言われますが、教育現場において道徳教育や武道をカリキュラムの中で定着させることが大事だと思っております。さらに、古事記や日本書紀といった日本民族の歴史の根幹をなす神話についてももっと光を当てるべきであります。
 本年は、子ども読書年として衆参の本会議で決議されております。子供たちの心豊かな成長を目指す上で、本に親しむことは欠かせません。年齢や発育に応じた神話の本をもっと整備して、子供たちに読んでもらうよう政府としても取り組むべきであると思います。
 来る五月五日のこどもの日に、東京の上野の杜に我が国では初めて国立国際子ども図書館が開館します。世界の国々にもそれぞれ固有の神話があります。国際子ども図書館に情報通信機能を整備し、日本の神話を世界に紹介したり、世界の神話を日本の子供たちが自由に読むことができるようにすることは、国際社会における相互理解を促進させる上からも大事なことだと思いますが、総理のお考えをお聞かせください。
 日本新生のために、このたびの三党合意に基づき、日本経済の新生と大胆な構造改革について全力で取り組むとともに、景気を本格的な回復軌道に乗せることが不可欠であり、これは国民が強く期待しているところであります。このことは、与党、野党の垣根を越えて、国民生活の向上を実現するためのまさに政治の責務であります。
 景気については、緊急経済、経済新生等切れ目ない対策の実施により、企業収益の改善、設備投資の上昇等大分明るさが出ておりますが、二月の完全失業率が四・九%と依然として非常に高く、まだ楽観できる状況ではありません。
 失業率が高くなっている要因の一つには中小企業の倒産が挙げられますが、全従業員数の七八%を雇用している中小企業への経営支援が雇用対策の面からも一層重要となっています。中小企業に対して、技術、商品開発、人材育成、経営革新等の活性化対策とあわせ、特別保証枠の追加等、セーフティーネットの整備がかなり手当てされておりますが、これらの対策の活用を一層促進する努力がまず必要と考えます。
 雇用は景気の遅行指標と一般に言われていますが、総理は、このような厳しい雇用情勢と現下の個人消費、ひいては景気回復との関係についてどのように認識されておられるのか、さらに今後、雇用改善、中小企業の支援にいかに対処されるか、伺いたいと存じます。
 次に、経済の構造改革の大きな柱として、新産業の育成を図り、産業競争力をいかに強化するかについてであります。
 国際経営開発研究所によりますと、日本の競争力は平成五年まで世界でアメリカと首位を競っていましたが、その後急低下し、昨年では第十六位に甘んじています。製造業の技術力が簡単に低下することは考えにくいわけですから、時期的なものを考えますと、やはり民間銀行の金融仲介機能の低下による企業活力の減退、企業経営者としての人材の育成体制の不備等々がその主な原因ではないかと見られます。
 金融健全化の措置が着々と進められる過程において、これから仲介機能も改善してくると期待されます。さらに、企業の構造改革を促進し、大学の優秀な学者の民間企業への有効登用の一層の促進など、競争力を高めるようなさまざまな政策が追加的に必要なことは言うまでもありません。
 中長期的に産業競争力を高め、経済活性化を図る観点からは、ベンチャー企業の育成が不可欠です。総理お得意のラグビーに例えますと、リスクをとるベンチャー魂を育成するキックオフ段階から始まり、金融、経営、技術などの総合支援と自助努力のスクラムをしっかり組んで、最後はトライ、ゴールしてひとり立ちしていくような総合的な企業育成支援策が必要であります。
 そこで総理には、新規産業の育成や産業競争力の強化についてどのようなビジョンをお持ちになり、そのビジョンの実現に向けてどういった具体的な対応をお考えなのか、お伺いいたします。
 次に、老後の安心を確保する社会保障改革について伺います。
 まず、この四月より始まった介護保険制度は、まさに世紀の大事業であります。各地域から御意見が寄せられていることは承知していますが、現場の声を早目にとらえ、運営の改善に努め、高齢化社会にあって円滑に機能する制度として国民生活に着実に根づかせるために、あらゆる努力を積み重ねられるべきであります。まず、このことをお願いしておきます。
 さて、社会保障全般に関してであります。
 今、国民の将来への不安は、医療、年金、福祉など社会保障システムが先行き不透明であることにあります。国民が抱く不安を解消するためには、国民負担率といった具体的な数値をもって国民に納得いくよう説明する必要があります。
 税金と社会保険料を合わせた国民負担率は現在三七%程度であり、欧州では六割、七割といった高負担率の国もあり、その状況と比較すると低いレベルにとどまっています。
 日本も今後、少子高齢化の進行を背景に、国民負担率が五〇%をかなり上回ってくるとの見方があります。社会保障改革は、社会保障構造の在り方について考える有識者会議の議論なども踏まえながら、給付と負担の適正化を旨に総合的、横断的に進められなければなりません。
 国民負担率が五〇%以下に抑制されることが明示されるなら、国民の社会保障改革に対する信頼と安心が生まれることになります。この点、総理はどのようにお考えか、お答え願います。
 日本新生のためには、二十一世紀を展望しつつ、新しい芽生えを一つ一つ丁寧に育て上げ、大きな実りとなし、青年たちや次の世代を担う子供たちにしっかりと手渡していかねばなりません。
 そのためには、長期的な視点に立って、食料、エネルギー供給の安定化や環境改善のための循環型社会の構築にも本格的に取り組んでいくことが必要であります。
 また、四月から始まった地方分権の体制を充実することが急がれており、地方から要請の強い自主財源の確保も大きな課題であります。
 このように国家の重大課題が山積する中で、時代の要請に適合していくためには、日本をどこに導いていこうとしているのか、国民に呼びかける政治理念を明確にすることが不可欠であります。
 森総理は、故人となられました福田元総理、安倍元外務大臣の薫陶を受けてこられました。私も、幸いにも御指導にあずかった一人であります。私は、かねてから森総理を最も信頼する先輩として、いずれ日本のリーダーとして責任を果たされることを願っておりました。
 今回、天命とも言うべき啓示のもとで総理に御就任され、まさに日本の命運を担われることになりました。
 森総理、覚えておられるでしょうか。福田元総理が墨痕鮮やかに揮毫された「持義不撓」の書の教え。これは「義を持してたゆまず」という意味であったと思います。また、安倍元外務大臣は「本立而道生」との言葉をよく口にされておられました。これは、根本理念をしっかり持つことの大切さを諭されたものであったと思います。
 これら先人の政治信条を踏まえて、総理は二十一世紀を見据える中で、日本新生に向け、いかなる政治理念によって国民に夢と希望を与え、活力あるエネルギーを結集されようとするのか、お考えをお聞かせ願います。
 締めくくりに当たり、新たな日本の発展、日本新生に不撓不屈の精神により果敢に挑戦され、全力を尽くされますよう、心から御期待申し上げ、参議院においても与党三党ががっちりとスクラムを組んでお支えしていくことをお約束し、私の質問を終わります。
 御清聴ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(森喜朗君) 冒頭、倉田議員から、小渕前総理の心情を思い、漢詩の御紹介がございました。けさの新聞にも、村上議員がお詠みになった漢詩を拝読しながら、大変感動をいたしました。
 小渕前総理は、二十一世紀の日本の骨格を形づくるような重要な政策を数多く推し進めてこられました。しかし、その成果を十分に見届けることなく、万感の思いを込めて開催を決定された九州・沖縄サミットを前に病に倒れられた小渕総理の心情を察すると、私といたしましても痛惜の念を禁じ得ないものがございます。
 ただいま倉田議員からお話ございましたように、三党の皆様方が協力をしながら私ども内閣の後押しをしてくださいますこと、このことは、まさに今病とともに闘っておられる小渕総理が身を挺して日本の新生のために、経済の新生のために命をかけられたこと、そのことについて皆さんとともに何としても実行していこう、そういう思いであろうと思います。心から御協力をお願い申し上げて、野党の皆様方にもぜひとも御協力を賜りますようにお願いを申し上げる次第でございます。(拍手)
 衆議院の解散についてでございますが、既に本岡議員に対してお答えしたところでありますが、私としては、まずは予算の早期成立の効果を減殺しないよう予算関連法案の早期成立に全力を尽くし、予算の速やかな執行に万全を期していくことがまず必要であろうと考えております。また、北海道有珠山噴火対策や九州・沖縄サミットの準備にも万全を期すことが必要でございます。したがって、衆議院の解散は現時点では全く考えておりませんが、国家国民の立場に立って、国民の信を問うべき事態になったと判断すれば、ちゅうちょなく断行する考えであります。
 次に、連立政権についての御質問がありました。
 一昨年の参議院選挙後、日本が危機的な状況に陥る中で、山積する課題に対応するためには政治の安定が何よりも求められておりました。前内閣は、安定した政権基盤のもとで速やかに意思決定を行うことが国家の発展と国民生活の安定を図る上で肝要だとの認識に立ち、広範な政策合意をもとにして連立政権のもとで政策を進めてまいりました。
 その結果、これまで、平成十一年度そして十二年度予算の早期成立、ガイドライン関連法、中央省庁等の改革法、地方分権一括法、国旗・国歌法など重要法案の成立のほか、国家基本政策委員会の設置、政府委員制度の廃止、副大臣制の導入や衆議院議員の比例定数二十削減などの大きな成果を上げてまいりました。
 しかしながら、先般、自民、自由、公明三党の党首会議において、今後の政権運営の基本的な考え方について意見の一致を見ることができず、三党間の信頼関係を維持することが困難なことが確認され、自民党と公明党は引き続き連立政権を維持する一方、自由党は連立から離脱されることになりました。
 今般樹立いたしました自由民主党、公明党・改革クラブ、保守党による連立政権は、これまでの成果を踏まえながら、強い信頼関係に立脚した安定した政局のもとで、二十一世紀への新しい日本の国づくりを目指した各般の政策を積極的に推進することを目的としておるものでございます。この連立の意味に賛同された保守党には、旧自由党の国会議員の半数以上が参加されたところであります。現下の重要課題は、経済の新生と大胆な構造改革に挑戦していくことにあります。三党の強い信頼関係を基礎に緊密な連携を図りつつ、三党一丸となって山積する課題に果敢に挑戦し、国民の皆様からの期待にこたえていく決意であります。
 医療は極めて個人のプライバシーにかかわるものであること、一般的に、総理は就任以前より健康管理等のためにかかりつけの主治医を有しており、治療上主治医にかかった方が適当な場合が多いこと、首相官邸の周辺には高次の救急医療の機能を有した医療機関が整備されていることから、首相官邸におきましてはこれまで特別な医療体制を組んではこなかったわけであります。
 ただいま倉田議員から首相官邸における医療体制についてのお尋ねでございます。今回の小渕前総理の入院という事態を踏まえ、御指摘の医療体制のあり方について、危機管理という観点から諸外国における対応も参考としながら検討してまいりたいと考えております。
 臨時代理の指定のあり方等についてのお尋ねでありますが、森内閣として、より一層の危機管理の徹底を図る観点から、現在、内閣総理大臣に事故あるときまたは欠けたときの対応につき、あらかじめ内閣総理大臣臨時代理を置くことを含め検討を指示しているところでありまして、可及的速やかにその結論を得て対処する方針であります。
 有珠山噴火対策についてのお尋ねでございました。
 政府といたしましては、避難されている方々のニーズにきめ細かく、かつ迅速に対応することが必要と考えており、これまでも、避難所における生活環境の改善、医療や心のケアの実施、応急仮設住宅の緊急整備への着手、農林水産業、観光業などの生業支援のための資金手当てなど各般の施策を講じてまいりました。
 今後とも、万全の警戒態勢をとりながら、地元地方公共団体と協力し、政府一丸となって全力を挙げて取り組んでまいる所存であります。
 有事法制に積極的に取り組むべき旨の御指摘がありました。
 小渕前総理は、有事法制に関し、我が国への武力攻撃などに際し、自衛隊が文民統制のもとで適切に対処し、国民の生命、財産を守るために必要であり、平時においてこそ備えておくべきものであるとの認識を示されておられました。
 私といたしましても、有事法制は自衛隊が文民統制のもとで国家国民の安全を確保するため、ぜひとも必要な法制であると考えており、かかる考えから、歴代総理として初めて所信表明演説において有事法制に言及いたしたところであります。
 本件につきましては、議員の御指摘も踏まえつつ、また法制化を目指した検討を開始するよう政府に要請するとの先般の与党の考え方をも十分に受けとめながら、今後、政府として対応を考えてまいります。
 倉田議員御自身の国家公安委員会委員長としての御経験を踏まえて、昼夜分かたず体を張って職務を遂行しておられる現場のまじめな警察官の士気の向上に十分配慮しつつ、警察行政の刷新を進めるべきとの御提言をいただきました。
 今回の一連の不祥事案を契機に、警察の制度及び運営全般についての見直しの必要性が指摘されているところでありますが、政府といたしましても、これを受けて発足した警察刷新会議における御議論を踏まえつつ、現場警察官の旺盛な士気を維持するとともに、失われた国民の信頼を回復し、国民から信頼される政府の実現を目指して、全力を挙げて警察行政の刷新改革に取り組んでまいりたいと存じます。
 創造的外交を九州・沖縄サミットにおいてどのように具体化し、宣言等に反映していくかとのお尋ねでありますが、私は、本年の最重要の外交課題である九州・沖縄サミットについて、創意を持って能動的に外交を展開し、二十一世紀がすべての人々にとってよりすばらしい時代になるという希望を世界の人々が抱けるような明るく力強いメッセージを具体的に発信すべく、議長国として宣言等の作成において積極的にイニシアチブを発揮していきたいと考えております。
 また、私といたしましても、サミット前に機会を見てできるだけ早い時期に沖縄を訪問したいと考えております。
 米国やロシア大統領との首脳会談についてのお尋ねでありますが、サミットの成功には万全を期す考えであり、サミット前に、G8各国首脳との会談を行うことを含め、緊密な信頼関係を築いてまいりたいと考えております。
 クリントン米国大統領との間では、できるだけ早い機会にお目にかかり、個人的な信頼関係を確立するとともに、これまでの日米間の緊密な協調関係を継続していくことを確認したいと考えております。
 また、プーチン・ロシア次期大統領との会談については、昨日行いました電話会談におきまして、今月二十八日より三十日の間にサンクトペテルブルグで会談することで一致をいたしました。この会談では、胸襟を開いた意見交換を行い、首脳間の信頼関係を築いてまいりたいと考えております。
 日朝関係についてのお尋ねでありますが、政府としては韓米両国との緊密な連携のもと、北東アジアの平和と安定に資するような形で、第二次大戦後の正常でない関係を正すよう努めていく方針であり、約七年半ぶりに再開した国交正常化交渉に粘り強く取り組んでまいります。私自身も平成九年に訪朝をし、問題の解決の重要性はよく理解をいたしており、交渉に際しては拉致容疑問題を初めとする日朝間の諸懸案の解決に向けて全力を傾ける考えであります。
 南北首脳会談についてお尋ねでありますが、この会談は実現すれば史上初めてのことであり、画期的な意義を有するものと考えております。政府としてはこれを歓迎し、全面的に支持いたします。南北首脳会談が予定どおり開催され、有意義な意見交換が行われることを希望するとともに、これを契機として今後南北対話がさらに進展し、朝鮮半島の緊張が緩和することを強く期待いたしております。
 教育改革についてのお尋ねでありますが、小渕前総理は教育改革を内閣の最重要課題として取り組まれてこられましたが、私としましても、所信表明演説で述べましたとおり、前総理と同じ思いで教育改革に取り組んでまいります。
 私自身、昭和四十四年初当選以来、一貫して教育問題に取り組んできたところであります。戦後の教育を振り返れば、我が国経済の発展を支える人材の育成ではすばらしい成果を上げてきたが、他方、日本人として持つべき豊かな心や倫理観、道徳心をはぐくむという点では必ずしも十分ではありませんでした。私は、教育の目標は学力だけがすぐれた人間を育てることではなくて、創造性豊かな体、徳、知のバランスのとれた立派な人間を育てることにあると考えております。
 このため、広く国民各界各層の御意見を伺って、社会のあり方まで含めた抜本的な教育改革について議論していただくために発足した教育改革国民会議において、ことしの夏ごろまでをめどに中間報告を出していただき、その後、広く国民の皆様の御意見を伺いながら、教育改革を推進し、国民的な運動につなげてまいりたいと考えております。
 神話の本を整備して子供たちに読んでもらうようにしてはどうかとのお尋ねでありますが、読書は伝統的な文化遺産を継承するとともに、子供にとって豊かな感性や情操、そして思いやりの心をはぐくむ上で大切な営みであります。
 また、子供が日本の歴史や神話になじむように、家庭や社会や学校現場でも努力することが肝要であると考えております。
 学校図書館等においては、我が国の神話や伝承など文化や伝統、歴史を含めた幅広い図書の整備にこれまでも努めてきているところであり、今後とも子供の読書活動の振興に努めてまいります。
 本年は、国立国会図書館国際子ども図書館の開館を記念し、衆参両院の御決議により子ども読書年とされており、政府としては、この子ども読書年が来るべき二十一世紀に世界に羽ばたく子供たちの健全な育成に向けて国民的努力の一層の契機となるように取り組んでまいります。
 この図書館につきましては、参議院の諸先生方が中心になって進めてこられたことをよく承知いたしておりまして、心から敬意を表するところでございます。
 雇用情勢と個人消費、ひいては景気回復との関係についてのお尋ねでありますが、雇用情勢は完全失業率が過去最高水準となるなど依然として厳しい状況にあります。現在、景気は緩やかな改善が続いておりますが、景気が本格的に回復するためには個人消費の改善傾向が定着することが重要と考えております。そのためには雇用不安を払拭していくことが必要と考えており、雇用の安定に全力で取り組んでまいります。
 雇用改善の取り組みや中小企業への経営支援についてのお尋ねでありますが、厳しい雇用情勢を改善するため、今後とも、政府全体で緊急雇用対策や経済新生対策等を積極的に推進することにより、雇用の創出・安定、再就職の促進、能力開発に全力で取り組んでまいります。また、中小企業への経営支援については、そのさまざまなニーズに合わせたきめ細やかな施策を実施し、中小企業の自助努力を支援してまいりたいと存じます。
 新規産業の育成や産業競争力の強化についてのお尋ねでありますが、我が国経済の新生を図り、自律的な成長軌道に乗せていくためには、経済の供給面の体質強化を図り、我が国産業の競争力強化を図っていくことが重要であります。
 こうした認識に基づいて、昨年六月に事業再構築のための環境整備、技術開発の活性化、中小企業・ベンチャー企業育成の三点を柱とする産業競争力強化対策を策定し、産業再生法の制定、中小企業基本法の抜本的な改正、ミレニアムプロジェクトの推進などの施策に全力で取り組んできたところであります。
 今後とも、生産性の向上、新規産業の創出、魅力ある事業環境の創出を通じて、我が国経済の新たな発展が図られるよう積極的に対応していく考えであります。
 国民負担率についてのお話もございました。国民負担率については、これまで公私の活動の適切な均衡を図る観点から、高齢化のピーク時においても五〇%以下が目安とされてきていたところであります。国民負担率は、今後の少子高齢化の進展に伴い、長期的にはある程度上昇していくことが避けられないと見込まれておりますが、経済社会の活力を損なわないよう、また、将来世代の負担が過重なものとならないよう、すべての公的支出の効率化、合理化により極力その上昇を抑制することが必要であると考えております。
 いずれにせよ、社会保障に関しては、生涯を安心して暮らせる社会を築くため、急速に少子高齢化が進む中で経済、財政との調和がとれ、持続的、安定的で効率的な制度を構築することが必要であり、引き続き社会保障構造改革を推進してまいります。
 最後に、倉田議員から、福田元総理、安倍元外務大臣の言葉を引かれながら、私の政治理念について御質問をいただきました。
 常に他人のことを思いやり、私心を捨てて公のために尽くす姿勢を貫いた私の父の姿を見て育った私は、滅私奉公を座右の銘にするようになりました。まず私のことを捨て、そして国家国民のことを第一に考えて努力することが政治家として最も大事なことであると考えております。
 私は、所信表明演説において、国民とともに歩み、国民から信頼される政府を信条として、現下の難局に全力で取り組む決意であることを申し上げました。人を先に、私は後にという、そういう気持ちを持って、国民の皆さんのために二十一世紀において夢と希望と活力にあふれる日本を築くべく、粉骨砕身努力していく考えであります。(拍手)
#14
○副議長(菅野久光君) 質疑はなおございますが、これを次会に譲りたいと存じます。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#15
○副議長(菅野久光君) 御異議ないと認めます。
 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時五十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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