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2000/04/17 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第17号
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2000/04/17 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第17号

#1
第147回国会 本会議 第17号
平成十二年四月十七日(月曜日)
   午後零時三十一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十七号
    ─────────────
  平成十二年四月十七日
   午後零時三十分 本会議
    ─────────────
 第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案及
  び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の
  一部を改正する法律案(趣旨説明)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 議事日程のとおり
     ─────────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 日程第一 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨説明)
 両案について提出者の趣旨説明を求めます。牧野労働大臣。
   〔国務大臣牧野隆守君登壇、拍手〕
#4
○国務大臣(牧野隆守君) 雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 まず、雇用保険法等の一部を改正する法律案について、その趣旨を御説明申し上げます。
 現在、我が国では厳しい雇用失業情勢が続いていることに加え、産業構造の変化等に伴う雇用慣行の変化、労働移動の増加、就業形態の多様化や少子高齢化の進展等の構造的な変化が見られるところであります。
 このような中で、社会経済の諸情勢の変化等に的確に対応した雇用保険制度のあり方につきましては、中央職業安定審議会の雇用保険部会において検討が行われ、昨年十二月、早期再就職を促進するため高年齢者雇用対策その他の施策との有機的な連携を図りつつ給付体系を整備すること及び雇用保険制度の安定的運営を確保すること等について報告をいただいております。
 政府といたしましては、この報告を踏まえつつ、本法律案を作成し、関係審議会の全会一致の答申をいただき、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一は、雇用保険法の一部改正であります。
 その一として、現行の所定給付日数を見直し、一般の離職者に対する給付日数を全体として圧縮することとする一方で、中高年齢層を中心に倒産、解雇等による離職者に対しては給付の重点化を図ること等を行うことといたしております。
 その二としまして、少子高齢化社会の進展に対応し、育児休業給付及び介護休業給付の給付率を賃金日額の百分の二十五から百分の四十へと引き上げること等を行うことといたしております。
 その三として、雇用安定事業として、中高年齢者である在職求職者に対し再就職の援助等を行う事業主に対し必要な助成及び援助を行うことができるものとすることといたしております。
 その四として、失業等給付に係る国庫負担の割合を改正し、国庫が原則としてその四分の一を負担することといたしております。
 第二は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部改正であり、雇用保険の保険料率について、失業等給付に係る保険料率を賃金総額の千分の十二とする等の改正を行うことといたしております。
 第三は、船員保険法の一部改正であり、雇用保険法と同様の趣旨から改正を行うことといたしております。
 なお、この法律は、雇用安定事業に係る部分については平成十二年十月一日から、育児休業給付及び介護休業給付の給付率の引き上げに係る部分については平成十三年一月一日から、その他の部分については原則として平成十三年四月一日から施行することとしております。
 次に、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現在、我が国においては、人口の急速な高齢化が進展しており、労働力人口の年齢構成も急速に高齢化していくことが見込まれております。
 このため、今後は、意欲と能力がある限り年齢にかかわりなく働き続けることができる社会の実現に向け、定年の引き上げや継続雇用制度の導入等により何らかの形で六十五歳まで働き続けることができることを確保していくこと、中高年齢者に対する再就職支援の強化、さらに、高年齢者の多様な雇用就業機会の確保が重要な課題となっております。
 このため、政府としましては、昨年十二月に出された中央職業安定審議会の建議に沿って本法律案を作成し、同審議会の全会一致の答申をいただき、ここに提出した次第であります。
 次に、この法律案の内容の概要を御説明申し上げます。
 第一に、六十五歳までの安定した雇用の確保を図るための定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等の措置に関する事業主の努力義務を定めるとともに、これらの措置に対して、その適切かつ有効な実施を図るために必要な指針となるべき事項等を高年齢者等職業安定対策基本方針において定めることといたしております。
 第二に、定年、解雇等により離職する中高年齢者について、再就職援助計画制度の充実、再就職援助を行う事業主に対する助成金の創設等、再就職の促進、援助の措置を強化することといたしております。
 第三に、シルバー人材センターが高年齢退職者に提供する就業の範囲を拡大し、臨時的かつ短期的な就業及びその他の軽易な業務に係る就業とすることといたしております。
 なお、この法律は、本年十月一日から施行することといたしております。
 以上が雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#5
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。川橋幸子君。
   〔川橋幸子君登壇、拍手〕
#6
○川橋幸子君 私は、民主党・新緑風会を代表して、ただいま提案されました雇用保険法等の一部を改正する法律案並びに高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、森総理及び関係大臣に対して質問をいたします。
 まず、本案の質問に先立ち、石原都知事の三国人発言について、総理及び法務大臣の見解をお伺いいたします。
 三国人の言葉は、朝鮮、台湾など旧植民地の人々を指す差別的な表現であります。関東大地震のときの襲撃事件を、私と同世代の森総理はよく御存じのことと存じます。石原都知事の方も、お年からいってもさらに十分に御存じなはずであります。
 この発言について、外国のメディアが大きく報道し、アメリカのフォーリー駐日大使も不快感を示されたと伝えられております。また国内では、在日韓国・朝鮮の人々を初め一般の外国人の人々の心を傷つけたことに対して、多くの市民団体及び一般市民からの抗議が寄せられております。
 総理、沖縄サミットを前にして、日本が人権問題に無神経な国だと受け取られてしまうことが国際的にどれだけ大きなダメージを受けることになるのか、お考えいただきたいと思います。
 そこで、改めてこの発言についての総理の御見解をお伺いいたします。
 また、この問題に関連し、待っていてもなかなか閣法として提案されない外国人地方参政権法案についても総理の見解をお聞かせください。
 次いで、人権啓発を担当する法務大臣からも、都知事の発言についての御見解及びこれに関連して法務省としての人権行政への取り組みについてお伺いいたします。
 次に、今回提案された二法案について、以下の三点に絞って質問をいたします。
 まず第一点目は、今日の雇用失業情勢についての森内閣の認識であります。
 ことし二月の失業率は、史上最悪の四・九%、男性の場合は五・一%の大台を記録しております。去る十二日の本会議においても、総理は、我が党の直嶋議員の質問に対しまして、何度も、万全を期す、全力を尽くすと繰り返し答弁されておりましたが、同時に、これまで四度にわたって講じられた雇用対策が雇用失業情勢に一定の下支えを発揮しているという認識も述べられました。効果があったからこの程度で済んだ、本当はもっと悪かったのだということなのでしょうか。
 百万人の雇用創出、七十万人の雇用就業機会の増大など、それらが文字どおり効果を上げていれば事態はもっと改善されているはずでございます。かけ声倒れの雇用対策であり、深刻な雇用失業情勢についての認識に真剣さが感じられません。
 そこで、改めて総理御自身の言葉で雇用対策についての取り組みの決意を述べていただきたいと存じます。
 次いで労働大臣に、企業が国際競争力をつけて利潤を確保するには非自発的離職者の増加もある程度やむを得ない面があると労働大臣が高失業を容認されるような発言をされたことについて、御説明をいただきたいと存じます。
 さらに経済企画庁長官には、三月末には新たに新卒者が加わるので五%台に乗る可能性がかなりあるとの見通しを述べておられますが、今後の予測についてお聞きいたします。
 今回の法案は、今後の失業率の動向や経済成長率の見通しの上に立って雇用保険財政の見通しを立て、提案されているものであります。賃金水準が前年割れを示し、家計が苦しい中での保険料の引き上げを国民に求めているわけですから、総理御自身の公約として、この法案改正が雇用不安を払拭することに値するものであることを確信を持って約束していただきたいのであります。
 第二点目として、年金と雇用の接続について質問いたします。
 さきに年金法の改正が、年金財政がもたないという財政の論理のみで十分な審議もないままに強行採決されてしまいました。またもや保険料の引き上げと給付の切り下げを繰り返すだけの実に知恵のない改正だったと思います。とりわけ、年金の支給開始年齢が基礎年金に引き続き比例報酬部分についても段階的に引き上げられ、将来は六十五歳まで無年金になってしまうことになりました。これでは、国民の将来不安を解消するどころか、かえって不安をあおるばかりでございます。
 そして今度は、雇用保険もまた保険料の引き上げと給付の切り下げ、特に六十歳以降の定年退職者に対する給付日数を大幅に切り下げるというのが今回の提案の内容であります。
 ことしから基礎年金は六十一歳へと引き上げられます。一方、六十―六十四歳の男性の完全失業率は一〇・四%、有効求人倍率は〇・〇七、求職者の就職率はわずか一・六%でございます。すなわち、六十代前半の日本の男性は十人に一人が失業しており、職を求めても求人は百人に七社しかなく、就職できるのは千人のうち十六人しかいないというのが実態でございます。自殺者が三万人を超え、特に五十代男性の自殺が一・五倍にふえたということも、こうした雇用失業情勢とは無縁ではございません。
 そこで、厚生大臣にお伺いいたします。
 サラリーマン経験がおありだと伺っておりますので、サラリーマン人生の現実をよく御承知だと思います。まず、これまで何度も人口推計が大きく狂い、そのため少子高齢社会への対応がおくれ、年金財政の推計を誤ってきた責任を厚生省はどう感じておられるのでしょうか。
 今回の改正の中で、六十五歳の支給開始年齢以前に年金をもらう場合、その減額率が現行の四二%から今後は三〇%へと大幅に改善されることになったことは評価いたしますが、今後とも、年金のあり方については、財源問題を含め大胆な改革案を示さない限り、年金に対する国民の信頼は取り戻せないことが明らかになっております。
 大胆な改革とは、個人が何歳までどのような働き方を選び、幾つになったら引退するといった、個人の自由な就業と引退の選択を保障するように制度設計をデザインし直すことであります。同時に、現行の制度では、単身者や共働きの女性の負担が不合理に扱われていること、また夫と死別した妻の遺族年金や離別した場合の婚姻期間に比例する遺族年金の受給が不利に扱われていることなど、これらの諸点も解決されなければなりません。
 こうした年金制度の抜本改革について、引き続きどのように取り組んでいかれるのか。総理には内閣の最重要課題としての取り組み姿勢について、また厚生大臣には以上述べました年金改革のポイントについてどう検討していかれるのか、それぞれ見解をお尋ねいたします。
 年金と雇用の接続には労働政策も努力しなければならないことは言うまでもありません。六十歳を過ぎると、個人の健康状態や資産の状況により、就業に対する個人の選択が多様に変化してまいります。すべての人がフルタイムで働き続けることを望んでいるわけではありません。引退を希望したり、生きがい就労や社会参加を求める人も多くなります。しかしながら、労働政策においては、働き続けたいと思う人すべてに対して、六十五歳定年制を含め、六十五歳までの何らかの雇用機会の確保を保障することが必要であります。
 今回の高年齢者雇用安定法の改正は、企業の努力義務を給付金や助成金によって誘導していくというものであり、六十五歳時点における年金と雇用の接続を法律上の制度として確立するまでには至っておりません。今回の法改正は過渡的なものであり、将来そうした法整備を行うべきであると考えますが、総理及び労働大臣の明確な答弁を求めます。
 次に、経済企画庁長官にNPOの役割と税制上の優遇措置の必要性についてお伺いいたします。
 今回の法案では、シルバー人材センターを拡充するとともに、予算上の措置としてNPOを多様な社会参加の受け皿としてとらえております。しかしながら、現状ではNPOの財政基盤は弱く、そうしたNPOの役割を期待することは困難であります。NPOに対する公的な支援が不可欠となっております。
 NPOに対する優遇税制について、これまでも何回かお尋ねさせていただきましたが、今回は、多様な社会参加の機会を増加し、失業を抑制するという視点を含めて、個人の少額の寄附について優遇税制を講じることが一体望ましいのか望ましくないのか、純粋にエコノミストの立場からの簡潔な御答弁をお願いいたします。
 第三点目は、雇用保険の三事業、雇用安定、能力開発、雇用福祉のあり方についてであります。
 今日の雇用政策は、一方で雇用の流動化を進めつつ、他方では企業に助成金等を支給し、失業の予防を図っております。また、働く人々が自己の努力によって職業能力を高め、いわゆるエンプロイアビリティー、雇用される能力を維持向上することができるよう、職業能力開発等を行っております。これらの雇用政策が雇用保険三事業の役割とされておりまして、その費用は事業主負担によって賄われております。
 しかしながら、本来こうした雇用政策は国の責任であり、その費用は一般会計によって賄われるべきものであると私は考えます。労働省予算六兆二千億円余のうち、一般会計予算はわずか七%にすぎず、政策目的に使える予算はこのうちさらに限られた額になっております。
 ナショナルミニマムとして国が果たすべき雇用政策が、事業主の負担による保険事業の中で実施されているために、さまざまな無理が生じております。すなわち、国の雇用政策が現に保険に加入している労働者にしか及ばない。本当に必要な層は保険に加入していないパートタイマーなど非正規社員であることが多いにもかかわらず、そうした恵まれない層には国の雇用政策が行き届かないといった問題が生じております。また、事業主負担で賄われる保険事業だというので、個々の労働者に対して直接に必要な施策が実施されず、企業を通して間接的に、しかも企業が申請した場合にしか労働者には届かないといった問題も生じております。
 繰り返し申し上げますが、私は国として行う雇用政策は税によって賄われるべきだと考えます。もし今後とも事業主負担による保険事業の中に国の雇用政策を位置づけるのであれば、雇用保険事業のあり方について、保険料の性格を雇用税等の目的税に変え、非正規社員等を含めた支払い賃金総額に比例して保険料を納付するなど、抜本的な改革が必要なのではないでしょうか。この点について、総理の大所高所からの御見解を伺いたいと存じます。
 雇用保険三事業は、従来、時々の景気対策や雇用対策に応じて、企業の雇用管理上の配慮を求める形で数多くの助成金等のメニューを設けてまいりました。そのことによって、かえって複雑でわかりにくい、あるいは使いにくい、関係者でさえも助成金の名前を覚え切れないといった笑えない状況になっております。中には、見せ金、見せ物ではありません、見せ金といったポーズに終わり、非常に消化率の低いものも見受けられます。助成金の支給が真に効果的なものとなりますよう、労働大臣から、複雑化した三事業の助成金等のメニューを整理合理化することについて御答弁をお願いいたします。
 最後に、イギリスのブレア首相は、来月予定される四人目のお子さんの誕生について、産休をとることを宣言されたのだそうです。海外では政治のトップリーダーの年齢が若くなっていること、また、首相といえども家庭への男女共同参画を実施しようとし、社会もまたそれを求めているということに対しまして、私は今さらのように新鮮な驚きを感じます。
 申し上げたいのは、年金と雇用の接続とは、仕事と家庭という二つの生活領域を密接にリンクさせることだということであります。それが所得と生活の安心を保ち、森総理のおっしゃる「安心して夢を持って暮らせる国家」の実現につながるわけでございます。内閣全体の課題として雇用対策を国政全体の中で整合性あるものとして推進されますよう、総理の御決意をお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#7
○国務大臣(森喜朗君) 冒頭、都知事の発言に関しまして御質問がございました。
 私は、都知事の発言につきまして、その文脈については必ずしも十分承知はいたしておりませんし、また、一地方自治体の長の発言でありますので、このような場所で総理としてコメントすべき立場ではないと考えております。
 また、永住外国人に対する地方選挙権付与の問題につきましては、現在、自民党内において真摯な検討が進められているところでございまして、この議論の行方を見きわめたい、このように考えております。
 雇用情勢の認識と雇用対策の決意についてのお尋ねがございました。
 現下の雇用失業情勢については、これまで大胆かつ迅速に取り組んできた経済対策や雇用対策の効果もあり、所定外労働時間や有効求人倍率など一部に上向きの指標が見られますが、二月の完全失業率が過去最高水準となるなど、依然として厳しい状況にあるものと認識いたしております。
 こうした厳しい雇用失業情勢を改善するため、今後とも、政府全体で緊急雇用対策や経済新生対策等を積極的に推進することにより、雇用の創出・安定が図れるように取り組んでまいりたいと思います。
 雇用保険法の改正についてのお尋ねですが、今般の見直しは、現下の厳しい雇用失業情勢及び雇用を取り巻く構造変化に的確に対応し、雇用保険が雇用不安に対するセーフティーネットの中核としての役割を果たしていく上で必要不可欠なものであると考えており、今後ともその安定的運営の確保に万全を期してまいりたいと考えております。
 年金制度の抜本改革への取り組み姿勢についてのお尋ねでございましたが、国民の老後を支える年金制度につきましては、将来の少子高齢化の進行や経済基調の変化を踏まえながら、将来にわたって安心して信頼できるものにしていかなければならないと考えております。このため、将来世代の過重な負担を防ぐとともに、適正な水準の給付をお約束するとの考え方に立って年金法改正を行ったものであり、これにより、制度に対する国民の信頼を揺るぎないものとすることができるものと考えております。今後とも信頼できる年金制度の確立のため努力してまいります。
 高齢者の雇用の安定のための法整備についてのお尋ねがございました。
 政府としては、当面対応すべき課題として、六十五歳まで働き続けることができる雇用機会の確保を図るべく、高年齢者雇用安定法の改正法案の御審議をお願いしている次第であります。今後におきましても、さらなる高齢化の進展に的確に対応した高齢者雇用対策の推進に努めてまいります。
 国の雇用対策の財源に関するお尋ねでありますが、雇用保険三事業については、失業を予防するため事業主の共同連帯の事業として実施しているものであり、引き続き現行制度の枠組みを維持することが適当と考えております。今後とも、一般会計による施策と雇用保険三事業による施策を総合的かつ効果的に実施することにより、雇用対策の充実に努めてまいります。
 整合性のある雇用対策についてのお尋ねでありますが、急速に高齢化が進展していく中で、雇用分野や社会保障分野を初め、経済社会の諸制度を高齢化社会に対応したものへと見直していくことが急務であると考えます。今後とも、雇用と年金の連携を十分に図っていくなど、政府全体の施策の整合性を図りつつ、高齢者等に対する雇用対策の充実強化に努めてまいります。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣牧野隆守君登壇、拍手〕
#8
○国務大臣(牧野隆守君) 最初に、私の発言についてのお尋ねでございますが、私は、景気の回復に対し一般的に雇用の改善はおくれる傾向にあるという趣旨で申し上げたものでございます。
 我が国企業におきましては、これまでもリストラ計画が雇用調整を伴う場合であっても、自然減や配置転換、出向等を行うことにより雇用の安定を図ってきておりまして、今後とも企業はこうした社会的責務を果たしていくことが重要である、このように考えている次第であります。
 次に、高齢者の雇用の安定のための法整備についてのお尋ねでございますが、急速な高齢化の進展の中で、将来にわたって我が国の経済の活力を維持していくためには、雇用分野や社会保障分野を初め、経済社会の諸制度を高齢社会に対応したものへと見直していくことが急務であります。この際には、特に雇用と年金の連携を十二分に図っていくことが重要であると考えております。
 このため、今回の法改正において、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等を事業主の努力義務とし、助成措置の拡充等により六十五歳までの安定した雇用の確保を図ることとしているところでありまして、今後とも高齢化の進展の状況や高齢者雇用対策の実施状況を踏まえつつ、さらなる施策の充実強化に努めてまいりたいと考えております。
 次に、保険三事業に基づく助成金等の整理合理化についてのお尋ねでございますが、助成金は数も多く複雑化していることから、その実効性を十二分に見定めた上で、平成十三年度予算での措置も視野に入れながら必要な整理合理化を図ることといたしております。(拍手)
   〔国務大臣臼井日出男君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(臼井日出男君) 川橋議員の御質問にお答えいたします。
 東京都知事の発言問題に関して御質問がございました。
 石原東京都知事の御発言につきましては、総理からも御答弁がございましたが、私も直接これに対して法務大臣として申し上げることは差し控えたいと存じます。
 しかしながら、一般的に申し上げれば、しかるべき立場にある者が、外国人の方々に対する偏見を助長すると受け取られかねないような言葉を用いることにつきましては注意深くあるべきと考えております。
 人権擁護行政を所管する法務省は、外国人に対するいわれのない差別をなくし、その基本的人権が尊重されるよう積極的に啓発活動を行うなどの取り組みをこれまでもいたしてまいりましたし、今後ともこれを推進してまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#10
○国務大臣(堺屋太一君) 雇用失業情勢の今後の予測についてお尋ねがございました。
 現在の雇用情勢は、二月の失業率が四・九%と最高水準になるなど、厳しい情勢にあります。また、年度末から年度初めにかけまして雇用失業情勢は、例年のことでございますけれども、新規学卒者が労働市場に参入することなどから、失業率がさらに上昇する可能性も否定するわけにはいきません。しかし、他の雇用指数を見ますと、残業時間の増加、求人数の増加など、明るい動きも見られます。また、派遣業の一部では、一部の職種につきまして人手不足もあり、友人紹介運動なども行われていると聞いております。
 雇用は景気におくれて回復する傾向があるので、今後、景気が本格的回復軌道に乗れば雇用失業情勢も改善の方向に向かうものと期待しております。
 また、NPOに対する優遇税制に関するお尋ねがございました。
 NPOに対する優遇税制に関しましては、特定非営利活動法人制度を定めた議員立法の可決に際して、国会の附帯決議として、特定非営利活動法人の実態を見ながら税制を含め制度の見直しを法施行後二年以内に検討する、そして結論を得るという附帯決議がつけられております。したがいまして、税制上の優遇措置などの制度のあり方は、今後NPOの活動の実態等に応じて、立法府を中心に検討されるものと考えており、NPO議員連盟等で検討が始まっているものと承知しております。
 経済企画庁においては、平成十一年四月より国民生活審議会において、我が国の経済社会におけるNPOの位置づけと役割、NPO法の施行状況と問題点、税制等を含めたNPOに対する政策対応のあり方などについて調査研究を行っているところでございます。(拍手)
   〔国務大臣丹羽雄哉君登壇、拍手〕
#11
○国務大臣(丹羽雄哉君) 私に対しましては、まず年金の財政再計算で用いる人口推計についてのお尋ねでございますが、厚生年金及び国民年金の財政再計算を行うに当たりましては、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計を前提としてきたところでございます。この推計は直近の実績値やそれまでの傾向を踏まえた出生率などに基づくものでございますが、結果として、御指摘のとおりこれまでの予想を上回る少子高齢化が進行してまいりました。
 今回の財政再計算で前提といたしました平成九年の推計は、急激な少子高齢化社会を見据えながら、これまでの反省の上に立ちまして十分な検討を重ね、厳しい推計に立ったものでございます。
 それから次に、年金制度の改革についてお尋ねがございました。
 年金制度につきましては、今回の年金法改正により将来にわたる制度の長期的な安定を図ったところでございますが、将来にわたってさらに年金制度を揺るぎないものにしていくためには、御指摘の財源や女性の年金問題について引き続き検討を続けていく考えでございます。
 具体的には、女性の年金については、就労状況など女性が置かれている社会実態を踏まえながら、単に年金制度の分野だけにとどまらず、関連する諸制度を含めて幅広く検討していくべきだと考えております。
 また、財源問題でございますけれども、この問題につきましては、基礎年金については当面平成十六年までの間に安定した財源を確保し、国庫負担の二分の一への引き上げを図るものとすることとされており、できるだけ早くその実現を図るように努めていく決意でございます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#12
○議長(斎藤十朗君) 八田ひろ子君。
   〔八田ひろ子君登壇、拍手〕
#13
○八田ひろ子君 私は、日本共産党を代表して、雇用保険法等の一部を改正する法律案並びに高年齢者雇用安定法の一部を改正する法律案について、総理並びに労働大臣にお尋ねいたします。
 まず最初に、現在の雇用情勢についての総理の認識と対策についてであります。
 先日発表された二月の完全失業率は四・九%、男性の失業率は五・一%と統計をとり始めて以来最悪の数字となりました。この四月からは、政府の経済失政により就職できなかった高校、大学の新卒者が失業統計にあらわれてきます。
 総理は、この結果、四月の完全失業率をどれほど押し上げるとお考えですか。
 堺屋経済企画庁長官は、新卒未就職者がカウントされる四月以降はさらに高くなるだろうとの見通しを述べられましたが、総理は、さらに深刻になる事態を具体的にどう認識しておられますか。
 一方で政府は、設備投資の改善をもって今後の経済見通しがさも明るいものであるかのように言っています。しかし、この見解は、完全失業率が上昇している数字からも、GDPで設備投資の四倍を占める個人消費の冷え込みを見ても、雇用と勤労者の所得を犠牲にした設備投資の拡大にほかならず、国民にとっての景気回復とは無縁のものです。
 総理、雇用保険法の意義について、政府の見解は、従来、失業による遊休労働者の存在とその技能の低下は国の生産資源の損失を意味するものであり、加えて失業の発生による購買力の低下はその国の生産物に対する国内需要の減少をもたらし、ひいては生産及び雇用がさらに縮小するといった波及的効果を招く原因と述べてきました。この見解は今でも変わっていないと思いますが、いかがですか。
 変わらないとするなら、今必要なことは、現在働いている人の雇用を何としても守り、サービス残業の根絶など雇用をつくり出すためのあらゆる努力をする中で新卒者の職を確保し、不幸にして失業した労働者にはその生活の維持と新しいよりよい職場を確保するために手厚い失業対策を講じることであります。
 しかし、政府はそのいずれの施策もとろうとはしません。それどころか、本法案が予定する二〇〇五年度までの見通しでは、完全失業率をさらに悪化させ、五・四%に設定しています。そのために、増大する失業給付を抑えようと労働者の最後のよりどころである失業手当を削るという、おぼれる者をむち打つような仕打ちであります。これではまさに本末転倒も甚だしいではありませんか。答弁を求めて、以下、さらに具体的にお尋ねいたします。
 第一は、いわゆる失業手当の支給期間の短縮です。例えば、リストラの最大の標的とされている四十五歳から六十歳までの人で二十年以上働き続けてきた人の失業手当を十カ月から六カ月に短縮するというものです。
 労働大臣は、失業者の苦しみと厳しい生活の実態についてどう認識しておられるのでしょうか。
 日本労働研究機構の調査では、求人する企業の八割が年齢制限を設けており、その上限の平均は三十七・三歳でした。ほとんど求人がないというのが現状ではありませんか。だからこそ、大多数の受給者が限度いっぱいの給付を現在受けているのです。それとも、職がないのは求職者の責任だとでも言うのですか。
 政府の統計では、直近の完全失業者は三百二十七万人もいます。そのうち、失業給付を受けているのは百万人程度にすぎません。残りの二百万人は、未就職学生のように雇用保険制度から締め出されているか、給付期間が終わってしまった人たちです。セーフティーネットといいながら、本法案では失業手当を受けられない失業者をさらにつくり出すのは目に見えているではありませんか。
 そうでないと言えますか。総理、これは明らかに国民の生存権保障と政府の責任を定めた憲法の理念を踏みにじるものです。明確にお答えください。
 労働大臣は、解雇など特別の理由による失業者に給付を重点化したと言うのかもしれません。確かに、最長で一カ月間支給期間が長くなっています。しかし、これと引きかえに、就職が困難な失業者に適用されてきた最長二カ月の個別延長給付の制度を廃止することにしているのです。今でも全受給者の八・二%が二カ月の延長措置を受けていますが、この法案では、こうした人たちは、逆に失業手当を受け取る期間を一カ月短縮されるというのが真実ではありませんか。
 さらに過酷な扱いをされているのが六十歳以上の高齢者であります。ただでさえ大幅に給付期間が短縮された上に、政府の言う特別な理由で失業しても、六十歳以上の高齢者にはこれまでより二カ月から三カ月も給付期間を短縮するというものであります。
 総理、あなた方は、年金の支給開始年齢を六十五歳にして、六十歳からの五年間も働き続けなければ生きていけない仕組みをつくっておきながら、その同じ政府がその間の失業給付期間は短縮する。余りといえば余りではありませんか。
 労働大臣は、高年齢者雇用安定法の改正で六十五歳までの定年延長がすぐにでも定着するとお考えなのですか、それとも、六十歳代の高齢労働者は高度成長期の若者のように引く手あまたとでも言うのでしょうか。答弁を求めます。
 総理、本来、失業保険制度とは憲法二十七条で保障された勤労権の裏づけとして発足したものであります。したがって、失業者が、その労働力を提供する意思と労働する能力とさらにその労働力を提供する機会を常に求めていれば、その生活を保障し、安心して求職活動ができるように、国の責任において手当が支給されるべき性格のものです。その給付期間もまた、この理念の上に立って、再就職が困難な者に長い給付期間が保障されてきたのです。これは政府もお認めになりますか。
 にもかかわらず、離職の理由によって給付期間に差を設けることは、憲法二十七条のみならず、法のもとの平等という憲法で保障された基本的理念を根本から覆し、多くの労働者により低い労働条件を強制することになると思いますが、いかがですか。
 第二は、保険料や国庫負担など雇用保険財政についてであります。
 本法案は、最近の失業率の高まりによる雇用保険財政の悪化が提出の理由とされています。政府の試算では今年度末の積立金残高が二千六百九十三億円になるといいますが、ここまで財政を逼迫させたのは、政府の経済失政による失業増にとどまらず、何よりも国庫負担の削減を続けてきたところに重大な原因があります。
 本来、国庫負担は給付費の二五%と法律で定められています。それを九三年度からは二〇%に、九八年度からは一四%に出し渋り、その累計は労働省の試算でも一兆二千六十億円にもなります。この埋め合わせをしないまま、このたびもとの二五%に戻すと言われても国民は到底納得できないのは当然ではありませんか。どう責任をとるおつもりですか。
 総理、一般に失業という現象は、個々の使用者または個々の労働者の責任の範囲を超えた政治的、経済的、社会的な要因によって起こると説明されてきました。だからこそ、国の責任としての雇用保険制度が必要となっているのであります。
 ところが、最近では、個々の使用者の責任による失業が多発しています。大企業のリストラがそれであります。本法案は、失業者にはあたかも個々の責任であるかのごとく自己責任を求めていますが、個々の使用者の責任については何ら触れていません。大リストラを強行し、労働者を失業の憂き目に遭わせながら業績を上げていく、現下の設備投資の回復はまさにその結果でありますが、こうした企業にこそ、保険事故の発生原因者としての負担を求めるべきは当然ではありませんか。
 雇用保険財政の逼迫を言うなら、その根本的解決のためには、国庫負担の増額と並んでこの問題をこそ解決すべきことを提案して、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(森喜朗君) 今後の雇用失業情勢の認識についてのお尋ねでありますが、雇用は景気におくれて回復する傾向があること、平成十二年三月新規学卒予定者の就職内定率がこれまでになく低い水準で推移していることなどから、雇用失業情勢は当面厳しい状況が続くものと考えております。
 政府といたしましては、こうした厳しい雇用失業情勢を改善するため、政府全体で学卒未就職者や中高年の非自発的失業者を重点にした緊急雇用対策等を積極的に推進することにより、雇用の創出・安定が図られるよう全力で取り組んでまいります。
 雇用保険法制定の背景等に関するお尋ねでありますが、失業は労働者の生活を脅かすものであるとともに、国民経済全体にとっても悪影響をもたらすものであるという見解には変わりはございません。
 失業給付の削減に関するお尋ねですが、今般、給付日数の体系を見直し、倒産、解雇等により離職を余儀なくされた者等、真に必要のある者に対しては十分な給付日数を確保することといたしております。
 もとより政府としては、新規雇用の創出対策、中高年非自発的失業者や学卒未就職者の就職支援対策等に積極的に取り組んでいるところであり、今後も雇用の安定に万全を期してまいります。
 雇用保険法改正により失業給付を受けられない失業者がさらに増大するのではないかとのお尋ねがありました。
 給付日数を圧縮するのは離職前からあらかじめ再就職の準備ができる者であり、倒産、解雇等により離職を余儀なくされた者については十分な給付日数を確保することとしておりますので、御指摘のような問題はないものと考えております。
 高年齢者の給付期間の短縮は問題とのお尋ねですが、今般、給付体系の見直しとあわせ、高年齢者雇用安定法の改正を含め必要な対策を講じることにより高齢者の雇用の安定を図ることとしており、これらにより高齢者の雇用不安が生じないように努めてまいります。
 離職理由により給付日数に差を設けることが低い労働条件での就業を強制することになるのではないかとのお尋ねがございました。
 先ほども申し上げましたとおり、給付日数を圧縮するのは離職前からあらかじめ再就職の準備ができる者であり、倒産、解雇等により離職を余儀なくされた者については再就職が困難と考えられることから十分な給付日数を確保しておりますので、低い労働条件での就業を強制されることになるとは考えておりません。
 雇用保険財政の国庫負担に関するお尋ねでありますが、厳しい財政状況に直面している要因は、根源的には雇用を取り巻く状況の構造的な変化にあると認識いたしております。
 今般の改正は、このような変化に的確に対応して、給付面での必要な見直しを行う一方、国庫負担率については二五%に引き上げることとするものであります。
 保険料の企業負担のあり方についてのお尋ねでありますが、雇用保険は当事者である労使及び国の共同連帯によって当面する雇用情勢に適切に対処することをその役割といたしております。
 今般の雇用保険制度の見直しは、中高年リストラ層等に対する給付の重点化を図る一方、負担面においては、国庫の負担率を引き上げ、労使にも必要な負担増をお願いするものであり、妥当なものと考えております。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣牧野隆守君登壇、拍手〕
#15
○国務大臣(牧野隆守君) 最初に、いわゆる中高年齢リストラ層に対する給付についてのお尋ねでございますが、四十五歳以上六十歳未満の者で、被保険者として雇用された期間が二十年以上であった者で、倒産、解雇等により離職した者については三百三十日と、従来を上回る十分な給付日数が確保されるよう給付体系を再構築いたしております。
 次に、個別延長給付の廃止により、延長給付後の日数よりも改正後の日数が減少することについてのお尋ねでございます。
 現在の個別延長給付は、離職を余儀なくされた者のうち、年齢、地域等一定の要件を満たす者を対象といたしております。一方、今般の改正では、給付の基準を抜本的に変更し、再就職の準備を行う時間的余裕なく離職を余儀なくされた者を給付の重点化の対象とすることにいたしております。このように給付の体系を抜本的に変更したことから、単純に新旧の日数を比較することは適切ではないものと、このように考えております。
 次に、六十歳代の高齢労働者に対する雇用対策についてのお尋ねでございますが、急速な少子高齢化の進展の中で、我が国経済社会の活力を維持していくためには、高齢者が長年培ってきた知識や経験を生かし、経済社会の担い手として活躍していただくことが重要であります。このため、今回の改正案では、定年の引き上げ、継続雇用制度の導入等を事業主の努力義務とするとともに、中高年齢者に対する再就職の援助対策を強化することとしており、これにより六十五歳までの安定した雇用機会の確保が図られるよう対策の充実に努めてまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
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#16
○議長(斎藤十朗君) 大脇雅子君。
   〔大脇雅子君登壇、拍手〕
#17
○大脇雅子君 私は、雇用保険法等の一部を改正する法律案及び高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案について、社会民主党・護憲連合を代表して質問いたします。
 両法案改正の意義及び内容について検討する場合には、長引く深刻な不況のもとで就業の確保と家族の生活を支えて必死に頑張っている労働者の置かれた状況を正確に把握し、その上で、この間とられてきた雇用対策の全体と両法案との有機的関連と各施策の実効性を確認することが重要であると考えます。
 この観点から、まずこの三年間の雇用と失業の特徴的な変化と労働者と家族の置かれた状況について、森総理大臣はどのように認識され、いかなる見解をお持ちか、お尋ねをいたします。
 深刻な雇用労働情勢が長引く中で、完全失業率は四%台後半で推移し、とりわけ二月の男性の完全失業率は全国で五・一%に達したと伝えられています。これは、地域的な構造不況に加えて、雇用の創出が有効になされていないことに起因していると考えます。これまで小渕内閣のもとで推進されてきた雇用政策が有効に働いているとは言えないのではないでしょうか。
 例えば、平成十一年三月三十一日現在、緊急地域特別交付金は、予算額二千億円に対して執行率一〇〇%ですが、創業、異業種への進出を行う中小企業が労働者を雇い入れる際の助成金は、予算額四百十三億七千六百万円に対し執行率約一二・三三%、中高年の非自発的失業者を雇い入れた事業者に対する緊急雇用創出特別奨励金は、予算額六百億円に対してわずか執行率〇・六三%、新規・成長分野雇用創出特別奨励金は、予算額九百億円に対し執行率約〇・七七%、労働者の出向や再就職のための人材移動特別助成金は、予算額四百一億一千百万円に対し執行率三・二%にすぎないからです。
 拡大の一途をたどってきた雇用調整助成金の給付についても、平成十年度で五百四十二億五千九百万円の予算に対し実績額二百八十六億九千三百万円となっており、これでどれだけの労働者の雇用の維持がされたのでしょうか。これらの検証はなされているのでしょうか。この状況を見ると、むしろ労働省型雇用維持政策や失業なき労働移動政策はもはや限界にあると言えるのではないでしょうか。総理と労働大臣の御見解を伺います。
 次に、雇用保険制度の仕組みは、雇用三事業を除き、基本的に保険料を労使折半として、加えての国庫負担とから成っています。失業保険法の改正として昭和四十八年に成立した現行雇用保険法の骨格は、経済の安定成長路線のもとで雇用三事業を整備して、失業給付は高齢者や低所得者層に厚くするセーフティーネットの機能を充実させたものでした。二五%より減少を続けた国庫負担は、平成十年度に改正された際、暫定措置に係る附則第二十三条が改正されて、「当分の間」が「百分の五十六」とされました。今回提出の改正法案ではこれが削除され、一般求職者には本来の四分の一の国庫負担、わずか〇・五から〇・七兆円負担となっています。
 しかし、政府管掌の保険内で、労働省が限られた財源枠の範囲内でどのように合理的に制度設計をしても、雇用労働情勢の改善、安定が実現しなければ、労使連帯の保険制度の仕組みを根幹とする限り、労使の保険料負担が増大することは明らかであります。
 保険事故である失業については、政府の経済政策、雇用政策ともかかわりがあり、政府がその責任の一端を担うべきであり、セーフティーネットとして機能させるために確固とした国庫負担が制度的に仕組まれる必要があります。国庫負担率の引き上げもまた検討すべき課題であります。
 総理大臣は、雇用保険法のあり方と国庫負担についてどのような御見解なのか、お尋ねいたします。
 また、今回の改正では、定年を迎えた高年齢求職者に対する基本手当の給付日数を三百日から百八十日へと削減することが、最も大きく、かつ四十五歳以上の人々の支給日数にも大きな影響を与えます。
 現在の不況のもとで、特に中小企業に働いてきた労働者にとって、定年後の生活設計に深刻な影響が不可避であります。効率化、合理化の名のもとに、うば捨て山の制度化ではないでしょうか。今回の雇用保険法改正は、再就職の受け皿が十分でないままに、余りにも急激な制度的な変更であり、何らかの激変緩和措置がぜひとも必要であると考えます。
 激変緩和措置として、例えば、日数、支給額の逓減措置をとるべきと考えます。加えて、他の制度の有効活用等によって、具体的な緩和措置となる代替的効果的施策を行うべきだと考えます。
 例えば、これまでの雇用創出政策の予算枠と実績の程度からすれば、政策判断として国庫が負担して、激変緩和措置は十分に講じられ、また積極的に講ずるべきと思うのですが、総理大臣、いかがでしょうか。
 また、企業倒産、リストラ・解雇等、意に反する離職を余儀なくされる労働者に対して最長三百三十日とすることは、なるほど中高年労働者に対して確かにセーフネットを一部強化した意義を持っていると思います。しかし、諸外国に比べて十分とは言えませんし、該当者は約三分の一と推定されます。
 この制度見直しとの関連で、高年齢者等の雇用の安定等に関する法律の一部を改正する法律案で提起されている中高年齢労働者に対する再就職援助制度は、在職中の四十五歳以上の中高年齢労働者について求職活動に対して企業が援助する場合に助成する制度となっていますが、この制度は、見方を変えれば、在職中の労働者に対して不要のレッテルを張り、当該労働者の雇用を危うくすることにつながるおそれがないのか大変危惧いたします。制度の適正な運用で十分なのか、どのような歯どめがかかっているのか、労働大臣にお尋ねいたします。
 また、この際、ILOの雇用の促進及び失業に対する保護に関する百六十八号条約の批准については、今回の雇用保険法改正とあわせて早急に批准すべき重大な条約であると考えますが、今回同時に提出されていない理由はどこにあるのでしょうか。さらに、今後早急に批准するためにはどのようなスケジュールをお考えか、総理大臣にお尋ねいたします。
 最後に、中高年齢者に対する雇用の創出の基本的かつ有効な政策は、アメリカ、イギリスやドイツに見られるような年齢差別の禁止と、残業を規制したワークシェアリングの制度を導入することであると思います。もちろん、ワークシェアリングの基本には、雇用形態による差別的取り扱いを是正し、パートタイム労働者、派遣労働者等の労働条件の均等処遇の原則を確立する立法こそ必要であります。二十一世紀に向けての骨太の労働政策、その骨格はどのようなものと考えておられるのか、総理大臣にお伺いして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(森喜朗君) ここ三年間の雇用失業の特徴的な変化と労働者、家族の状況についてのお尋ねでございますが、非自発的失業者の増加などにより、完全失業率が平成九年二月の三・四%から大きく上昇し、本年二月には四・九%となっております。また、世帯主の失業率も上昇し、本年二月には過去最高の三・六%となっているなど、労働者とその家族の置かれた状況はここ三年間で厳しくなっていると認識をいたしております。
 現在、景気は緩やかな改善が続いており、残業時間や求人が増加傾向にあるものの、完全失業率が過去最高水準となるなど、雇用失業情勢は依然として厳しいものであると認識をいたしております。
 雇用対策の効果についてのお尋ねでありますが、政府は一昨年四月以来四度にわたる雇用対策を講じ、これらの対策が雇用失業情勢に一定の下支え効果を発揮しているものと認識しております。
 今後とも、これらの対策の効果を十分把握するとともに、政府全体で緊急雇用対策や経済新生対策等を積極的に推進することにより、雇用の創出・安定が図られるように取り組んでまいりたいと存じます。
 雇用保険のあり方と国庫負担についてのお尋ねでありますが、雇用保険は、当事者である労使及び国の共同連帯によって雇用情勢に適切に対処することをその役割といたしております。
 今般の改正によって国庫負担率を本来の四分の一に引き上げることとしておりますが、今後とも労使による保険料と国庫からの負担によって制度の安定的運営を図るとともに、雇用失業情勢の変化に機動的に対応した雇用対策の実施に努めてまいります。
 激変緩和措置についてのお尋ねでありますが、雇用保険については厳しい財政状況に直面しており、雇用を取り巻く状況の構造的変化に的確に対応するためには、その早急な見直しが必要であります。こうした中で、関係審議会における公労使三者の合意のもと、求職者給付の重点化等を行うこととしたところであり、御指摘のような激変緩和措置をとることは考えておりません。
 高齢者雇用の促進等現下の雇用情勢への対応については、今般、高年齢者雇用安定法の改正もあわせてお願いいたしておるところでありまして、各般の施策に総力を挙げ取り組むことにより雇用の安定に努めてまいります。
 ILO雇用の促進及び失業に対する保護に関する百六十八号条約を早期に批准すべきではないかとの御指摘につきましては、この条約の内容は我が国においておおむね実施されているところでありますが、なお問題点もあると考えております。今後ともこの条約と国内法制との整合性につきさらに検討を加えることといたしたいと考えております。
 今後の労働政策の骨格についてのお尋ねでありますが、御指摘の年齢差別の禁止やワークシェアリングについては現在さまざまな御議論があるところであり、今後の検討課題であると考えます。
 いずれにしましても、急速な少子高齢化の進展の中で、将来にわたって我が国経済の活力を維持していくためには、中高年齢者や女性を初めとしてすべての労働者が、その意欲と能力に応じて生涯働くことができる社会を実現していくことが重要であり、そのために全力を傾注してまいります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁いたさせます。(拍手)
   〔国務大臣牧野隆守君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(牧野隆守君) 雇用対策の効果についてのお尋ねでございますが、中小企業の雇用創出の支援、地方における臨時的な雇用就業機会の創出、企業の雇用の維持の取り組みの支援、障害者、高齢者等の雇い入れの助成などにより、雇用の創出・安定に一定の効果が上がっている、このように考えているところであります。
 他方、御指摘の緊急雇用創出特別奨励金と新規・成長分野雇用創出特別奨励金の二つの奨励金につきましては、企業の雇用意欲が乏しかったこともあり、その活用が不十分な面があります。このため、利用者への周知等を強力に推進しているところでありますが、最近、情報通信や介護関連分野等において求人が大幅に増加していることから、今後これらの奨励金の活用が大幅に進むものと考えております。
 労働省としましては、今後ともこれら各種施策を積極的に推進することにより雇用の創出・安定に全力で取り組んでまいります。
 再就職援助計画制度についてのお尋ねでございますが、同計画は、定年、解雇等により離職する中高年齢者ができる限り失業を経ないで再就職することができるようにするため、在職中からの求職活動を行うことを支援するためのものであります。
 この計画は、離職することが決まった後に作成、交付されるものであり、御指摘のように、雇用を危うくするようなものではないと考えております。再就職援助計画の作成に当たりましては、あらかじめ労使間で十分な協議が行われるよう関係手続の明確化を図ってまいる所存でございます。(拍手)
#20
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時四十七分散会
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ソース: 国立国会図書館
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