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2000/04/19 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第18号
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2000/04/19 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第18号

#1
第147回国会 本会議 第18号
平成十二年四月十九日(水曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十八号
  平成十二年四月十九日
   午前十時開議
 第一 土砂災害警戒区域等における土砂災害防
  止対策の推進に関する法律案(内閣提出)
 第二 技術士法の一部を改正する法律案(内閣
  提出、衆議院送付)
 第三 食品流通構造改善促進法の一部を改正す
  る法律案(内閣提出)
 第四 運輸施設整備事業団法の一部を改正する
  法律案(内閣提出、衆議院送付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、裁判官訴追委員予備員辞任の件
 一、裁判官訴追委員予備員等各種委員の選挙
 一、消費者契約法案(閣法第五六号)(趣旨説
  明)
 一、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利
  用した移動の円滑化の促進に関する法律案(
  趣旨説明)
 以下 議事日程のとおり


     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、お諮りいたします。
 月原茂皓君及び福島瑞穂君から裁判官訴追委員予備員をそれぞれ辞任いたしたいとの申し出がございました。
 いずれも許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、いずれも許可することに決しました。
     ─────・─────
#5
○議長(斎藤十朗君) この際、欠員となりました
 裁判官訴追委員予備員二名、またあわせて
 皇室会議予備議員一名の選挙
を行います。
 つきましては、これら各種委員の選挙は、いずれもその手続を省略し、議長において指名することとし、また、裁判官訴追委員予備員、皇室会議予備議員の職務を行う順序は、これを議長に一任せられたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、議長は、
 裁判官訴追委員予備員に泉信也君及び堂本暁子君を、
 皇室会議予備議員に椎名素夫君を、
それぞれ指名いたします。
 なお、裁判官訴追委員予備員の職務を行う順序は、泉信也君を第三順位とし、第三順位の阿部幸代君を第四順位に、堂本暁子君を第五順位といたします。
 また、皇室会議予備議員の職務を行う順序は、椎名素夫君を第二順位といたします。
     ─────・─────
#7
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 消費者契約法案(閣法第五六号)について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。国務大臣堺屋経済企画庁長官。
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(堺屋太一君) 消費者契約法案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 現在、我が国では、国民の自由な選択を基礎とした公正で自由な競争が行われる市場メカニズム重視の社会の実現を目指して構造改革が推進されています。こうした中で、政策の基本原則を行政による事前規制から市場参加者が遵守すべき市場ルールの整備へと転換することが求められており、消費者のための新たなシステムづくりが大きな課題となっております。
 その一方で、構造改革の進展に伴う商品・サービスの多様化の一層の進展による消費者の選択の自由が拡大する反面、消費者と事業者との間にある情報、交渉力の格差を背景に、消費者が事業者との間で締結する契約、いわゆる消費者契約に係るトラブルが増加しております。
 こうした認識のもとに、政府といたしましては、これまで国民生活審議会及び幅広い関係各方面との協議を重ねてまいりましたが、昨年末の国民生活審議会の報告の趣旨に沿い、公正で予見可能性の高い新たな民事ルールを整備すべきとの結論が得られましたので、本法案を提出することといたした次第であります。
 この法律の制定により、消費者利益が擁護されるとともに、消費者、事業者双方の契約当事者としての自己責任に基づく行動が促されることによって、消費者と事業者との信頼感が増し、新たな経済活動や業態の創造が容易となり、活発化するものと確信しております。
 次に、この法案の趣旨を御説明申し上げます。
 この法案は、消費者が事業者との間で締結する契約に係る紛争を公正かつ円滑に解決するため、次の二点について定めることとしております。
 第一は、消費者契約の締結について勧誘をする際に、重要事項について事実と異なることを告げたり、事業者に対し消費者がその住居等から退去すべき旨を意思表示したにもかかわらず退去しないなど、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、または困惑した場合について、契約の申し込みまたはその承諾の意思表示を取り消すことができることとしております。
 第二は、事業者の損害賠償の責任を免除する条項、消費者が支払う損害賠償の額の予定または違約金が一定の限度を超えることになる条項のほか、消費者の利益を一方的に害する条項について、その全部または一部を無効にすることとしております。
 そのほか、法の目的、消費者契約の範囲、事業者及び消費者の努力規定、取り消し権の行使期間等、所要の規定を置くこととしております。
 以上、消費者契約法案について、その趣旨を御説明申し上げた次第でございます。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。円より子君。
   〔円より子君登壇、拍手〕
#11
○円より子君 民主党・新緑風会の円より子です。
 質問に先立ちまして、北海道有珠山噴火により、いまだ仮の避難所で不安におびえ、疲労とストレスの多い生活を送られている七千人余りの方々が一日も早くもとの生活に復帰できるような対策がとられること、そして噴火が沈静化し被害が最小で済むよう祈念いたします。
 また、突然お倒れになり、今も危険な状態が続いておられると伝えられております小渕前総理の御回復をお祈りするものです。
 さて、私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました消費者契約法案について質問いたします。
 まず、消費者行政の目標と消費者の権利についてお尋ねします。
 我が国の国民は今、公正で自由な競争が行われる市場メカニズム重視の社会を目指して規制緩和・撤廃を中心とする構造改革の真っただ中に生きております。また、グローバル化、情報化に伴いまして、商品・サービスの多様化、複雑化が加速する中、私たち消費者にとって契約の重みは一段と増しております。しかし、ここで大事なことは、情報量でも交渉力でも事業者に劣る消費者は、自己責任ということを問われる前に不当な契約から守られる必要があるということです。
 先週の参議院本会議では、金融・証券三法の趣旨説明と代表質問が行われました。この金融サービス法は、御存じのとおり、金融商品が多様化、高度化する中で、悪質な販売、勧誘から顧客を守ることを目的としております。物の取引と違って、将来の収益を対象とした複雑で特殊な取引である金融取引に対象を絞った特例法と位置づけられております。
 さらに、来年の通常国会には、通産省がインターネット取引の返品、契約トラブルを防ぐ法案を出す予定と聞いております。この電子商取引は、お互い顔が見えず、形のない情報をやりとりするため、通常の取引にはないトラブルが多発します。本人の知らないうちに契約が成立したり、詐欺的商法や違法な薬物売買業者の横行も問題視されております。
 このように、私たち消費者を取り巻く状況は一時代前に比べ急速に変化しており、消費者政策、消費者行政はますます重要になってまいりました。
 海外に目を転じてみますと、EUの行政執行機関、欧州委員会の打ち出す消費者政策は、遺伝子組みかえ食品の表示義務づけ、インターネット上の個人情報の悪用規制といったぐあいに、次々とグローバルスタンダードになりつつあります。
 この欧州委員会では、二十一世紀に向けたアクションプランの中で、向こう三年間を消費者利益や市民のための消費者政策の時代と位置づけております。これについて大臣はどうお考えになられるか、大臣もまた消費者政策の時代との認識をお持ちかどうか、お尋ねいたします。
 ちなみに、欧州委員会の消費者政策担当者は、消費者行政の目標とは、企業と消費者を対等のパートナーとして扱い、企業の成功と消費者の満足とを両立させることであると明言しておられるそうですが、これについてもどう思われるか。私は、日本の消費者行政もこうあるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。
 一九六二年、アメリカのケネディ大統領が特別教書で、安全である権利、知る権利、選ぶ権利、意見を反映させる権利とうたい、国際消費者機構は、この四つに加え、新たに次の四つの権利、生活の基本的ニーズが保障される権利、消費者被害者救済の権利、消費者教育を受ける権利、健全な環境の権利を唱えております。
 ケネディから四十年近くたった現在の日本で、この権利が守られているか、国際消費者機構の四つの権利が守られているか、堺屋大臣は胸を張ってイエスとお答えになることができるでしょうか。ぜひ、長官の考える消費者の権利とは何か、そして政府は消費者行政に今後どのように取り組まれるつもりか、御見解を伺いたいと思います。
 次に、法案を修正し、よりよいものにするお気持ちがあるかどうか、お伺いいたします。
 今回の消費者契約法ですが、残念ながら妥協の産物だと言われております。それは、首相の諮問機関である国民生活審議会が九四年四月に検討を開始してから約六年間、消費者保護の行き過ぎを懸念する業者側と広範な消費者保護を訴える消費者団体側のせめぎ合いが続いたからです。
 せめぎ合いの中で、事業者と消費者のバランスをとることに経済企画庁は腐心したと推測いたしますが、法律の目的はどちらにも当たりさわりのない内容にすることではなくて、これによりいかに現在起きている消費者トラブルの解決促進に役立てるかではないでしょうか。業界が受け入れやすい法案で妥協することではないはずです。
 大臣もそのことをわかっておられ、表向きは世界にも類を見ないほどの充実した法律と自賛なさっておられるようですが、事業者、消費者双方から批判を浴びて、結果的には中庸をとったと漏らされているとも聞いております。
 今からでも遅くありません。ぜひとも修正への努力をお願いしたいと思いますが、それについての御所見を伺います。
 次は、法律の内容についてです。
 まず、目的です。
 昨年十二月十日、民主党は政府案に先駆け、議員立法で消費者契約法を提出いたしました。民主党案は、事業者と消費者の間にある情報の質及び量と交渉力の格差解消を法律の目的としておりますが、政府案では格差のあることを認めているだけです。
 なぜ目的に格差の解消をうたわなかったのか。政府案の掲げるこの法律の目的についてまず伺います。
 さらに、修正なしのままこの法案が成立した場合に、消費者契約に関するトラブルは減少すると言えるのでしょうか。そのことについても大臣に伺います。
 次に、困惑または威迫等による取り消しについて伺います。
 政府案では、不退去監禁による取り消しについて、退去すべき旨の意思を示すことが必要だとありますが、そのようなことを消費者の側から言えない状況も多いのではないかと思います。民主党案では、「消費者の私生活又は業務の平穏を害し困惑させることその他消費者が合理的に判断することを妨げること。」も取り消し要件にしております。
 消費者の側も契約に対して意識改革を行うこと、言ってみればノーと言える消費者になることも当然必要だと思いますが、現時点ではまだ残念ながらそのような土壌は育っておりません。また、事業者側は、法のすき間を縫って消費者が退去の意思を表明できないような販売方法も考え出すことが予想されます。
 消費者を困惑または威迫させる行為に対して政府はどのような救済策をお考えになっているのでしょうか。
 次に、情報不提供による取り消しについて伺います。
 民主党案では、重要な事項について、正当な理由がある場合を除き、消費者が理解できる程度に情報を提供しない場合、取り消しできるとして立証責任を事業者の側に置いています。政府案では、重要事項につき消費者の利益となる旨を告げ、かつ不利益事実を故意に告げなかったことにより消費者が誤認した場合、取り消しできるとしてありますが、この立証責任は消費者にあります。
 大臣は、消費者にとって立証責任は著しく困難ではないと衆議院本会議で答弁なさっておられますが、情報の質量、交渉力に格差がある消費者が故意かどうかを立証するのは決して容易ではありません。本当は故意であるのに、うっかり説明し忘れたとする事業者に対し、消費者は故意であることをどのように立証できるのか、大臣のさらなる見解を伺います。
 次に、不意打ち条項について伺います。
 民主党案では、契約条項のうち、その類型、交渉の経緯が社会通念上異常であるため、その存在を一般消費者が予測できないと認められる場合は無効としておりますが、政府案にはその規定がありません。
 例えば、膨大な分量の契約書に小さな字で書かれていたことが契約の重要事項で、事業者がうっかり説明し忘れたとします。このようなケースでも、契約書を端から端まできちんと読まなかった消費者に責任があるのでしょうか。そうであれば、悪意の事業者は今後そのような契約の方法をどんどんとっていくのではないでしょうか。
 読売新聞がことし二月十九、二十日に実施した消費者問題に関する世論調査では、契約内容をすべて読む人は二四・四%となっております。これは消費者の側の問題でもありますが、詳細な契約条項をすべてきちんと読んで理解することを消費者に求めることは酷な話です。また、苦情を全く申し出ない人も一七%に上り、それは申し出ても解決しないと思っているなど、権利の主張に消極的な姿勢があらわれています。
 政府自身が業者に甘く、消費者の権利に厳しいと言われる現状では、人々の意識も低くとどまるのかもしれません。これについては子供のうちからきちんとした消費者教育が必要だと思いますが、政府として今どのように取り組まれているか、今後の取り組みも含めて文部大臣に伺います。
 次は、取り消し権の行使期間の制限についてです。
 政府案では、追認時から六カ月、契約締結時から五年を取り消し権の行使期間としておりますが、実際に被害を受けた人は、それに気づいてから迷った末にようやく相談に行くケースが多いのが実情です。相談に行くまでに六カ月が過ぎてしまうことも少なくないでしょう。民主党案では追認時から三年、契約締結時から十年と規定しております。大臣は民法の考え方をそのまま採用したとおっしゃっていますが、民法が規定された百二年前と現在とでは状況が大きく異なるのではないでしょうか。改めて根拠を伺いたいと思います。
 次は、見直し条項についてです。
 消費者をめぐるこれまでのトラブルを振り返りますと、訪問販売法や割賦販売法など個別の法律ができても、必ず法のすき間を縫って悪徳商法をしかける事業者が後を絶ちません。今回の消費者契約法も、これまで指摘した点も含め、近い将来必ず見直す必要があると考えます。
 長官は、経済社会の変化に応じて法律の見直しを行うのは当然で、あえて見直し規定を置く必要はないと衆議院本会議で答えていらっしゃいますが、見直しを行うのが当然とおっしゃるなら、消費者団体や消費者の実態について実際の相談を通じて最もよく知っている人々の要望どおり、この法案が消費者の権利保護として機能するよう見直し条項を入れるべきだと思いますが、重ねて御所見を伺います。
 さて、実効性確保のための施策についても伺います。
 この法律を実際に新しいルールとして確立するには、法律の趣旨と具体的な適用事例の徹底が必要です。消費生活センター、国民生活センターの相談件数は毎年増大しており、九八年度で約四十一万件、うち八割の約三十三万件が販売方法、契約・解約に関するトラブルだと言われております。しかし、被害に遭った人の大半がセンターを利用していないのが実情ですし、この法律とセンターのPRがぜひとも必要です。それについてもお答えください。
 一つ提案ですが、この法案のPRをし、相談窓口のあることが一般にたとえ知れ渡ったとしても、被害に遭った人が地域の消費生活センターなどに相談をしたとき、今回の消費者契約法で救われるような仕組みがきちんと整っていなければ意味を持ちません。
 現在、国民生活センター等では苦情・相談の分類が細かく分かれておりません。今回の消費者契約法の体系と合致しておりません。契約の申し込み、締結、取り消しなど、トラブルの発生段階に応じた苦情処理を行い、どのようなケースのトラブルがこの法案で救われるか、インターネット等を通じて気軽に確認できるような仕組みをつくるべきではないか。センターの項目類型と消費者が情報をすぐ得られるような開示システムの見直しについて、お考えをお聞かせください。
 次に、消費生活センターの拡充についてです。
 消費生活センターについては、自治体の予算削減で、特に都道府県レベルで縮小・廃止の方向にございます。せっかく法律ができても、その運用を行う現場の体制が充実していないと実効性が担保されません。消費生活センター等に対し経済企画庁としてどのような施策を講ずるおつもりでしょうか。
 以上、政府案の問題点を中心に質問いたしましたが、そうはいっても、今回すべての業種を対象に、適用除外を設けなかったこと、不当条項に一般条項が入ったこの法律は高く評価できるものと思います。それだけに運用に当たっては、各地の消費生活センターの拡充を行った上で、レビューをしっかりと行っていただきたいと思っております。
 消費者契約法の目指す趣旨が生かされることを心から祈り、私の質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(堺屋太一君) 円より子議員にお答え申し上げます。
 まず、消費者政策の時代の認識についてのお尋ねがございました。
 消費者行政におきましては、従来までの事前規制による消費者の保護から、消費者と事業者との間にある情報力や交渉力の構造的な格差を考慮いたしまして、消費者、事業者に自己責任に基づいた行動を求められるような消費者のためのシステムを構築することが必要になっております。この意味で、これから御審議いただきます消費者契約法案もその重要な柱になるものだと考えております。
 また、これからは消費者行政がますます重要になる時代であると認識しておりまして、来年初めの中央省庁再編成後は消費者行政は内閣府の国民生活局に移ることになっておりますが、従来以上にその役割を存分に果たしていきたいと考えております。
 また、欧州委員会の消費者行政の見解についてお尋ねがございました。
 我が国の消費者政策の重要な柱となる消費者契約法は、消費者の利益の擁護とともに、予見可能性の高いルールができることによって消費者と事業者との間の信頼関係が増し、新たな経済活動や業態の創造が容易となり、活発化するための制度としてとらえております。このように、この法案の立法を含め、我が国の消費者政策は企業の成功と消費者の満足を両立させるものとして考えております。
 次に、アメリカのケネディ大統領の四つの権利に関するお尋ねがございました。
 これにつきましては、我が国において毎年行われております内閣総理大臣を会長とする消費者保護会議で決定される各般の施策を通じ、これまで実現されてきたものだと認識しております。
 また、消費者の権利とは、さまざまなものが挙げられますが、私は自由な選択が行われることが重要になってきていると考えております。こうした考え方に沿い、今回の消費者契約法案は、我が国では初めて消費者を定義し、消費者に具体的、実体的な権利を与える画期的なものであると思っております。
 消費者行政につきましては、今後とも消費者と事業者との間にある情報力、交渉力の格差を踏まえた上で、事業者、消費者に自己責任に基づいた行動を求め得るような消費者のためのシステムづくりに一層積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 また、法案修正に対する考えについてのお尋ねがございました。
 本法案は、御指摘のごとく、六年間にわたりまして幅広い関係者に御参加いただいた国民生活審議会において御議論の上、得られましたコンセンサスを条文化したものでございますが、本院においても十分な御審議と御理解をお願いしたいと考えている次第でございます。
 本法の目的についてのお尋ねがございました。
 法案の目的は、消費者と事業者との間に存在する取引に関する構造的な情報の質及び量並びに交渉力の格差に着目し、消費者に自己責任を求めることが適切でない場合のうち、消費者が契約の全部または一部の効力を否定することができるようにする場合を新たに法律で定めることにより、消費者の利益の擁護を図ることとしております。したがいまして、政府案と民主党案とは、その趣旨におきましても、目的におきましても、大差ないものだと考えております。
 また、本法案によりトラブルが減少するのかということについてお尋ねがございましたが、本法と同様の民事ルールである製造物責任法の施行後の状況をかんがみますとき、本法が施行されれば消費者トラブルが顕在化すること等により、消費生活センター等に寄せられている苦情・相談件数の一時的に増加することはあり得ると考えております。しかし他方で、消費者契約にかかわるトラブルについて公正かつ円滑な解決が図られるであろうと考えています。
 事業者の消費者を困惑または威迫させる行為についてお尋ねがございましたが、政府案においては、これらの行為は契約取り消しの対象となっておりませんが、民法の強迫や訪問販売法等に関する法律のクーリングオフの規定などにより消費者が救済される場合もあると考えております。
 政府案第四条第二項の「故意」の立証についてのお尋ねがございました。これは民法の詐欺における相手方を欺こうとする意思よりも程度の弱いものであり、間接事実の積み上げなどによって立証することが考えられると思っております。
 いわゆる不意打ち条項についてもお尋ねがございました。議員御指摘のような場面につきましては、本法案第二章における誤認類型や第三章の規定により相当程度カバーできるものと考えております。また、契約条項に関して法律行為の要素に消費者の錯誤があった場合には、民法第九十五条の錯誤の規定により意思表示は無効になります。こうしたことから、我が国の取引やトラブルの実態に照らして、不意打ち条項を規定する実益は乏しいものだと考えております。
 消費者の取り消し権の行使期間につきましてのお尋ねもございました。
 本法では、追認できる状態になってから六カ月間に取り消しの意思を通知すればよいということになっておりますが、具体的にこの期間をどの程度にするかにつきましては、国民生活審議会において検討が行われまして、学識経験者、消費者、種々の業種の産業界の代表など幅広い関係者の間で得られたコンセンサスどおり、「追認をすることができる時から六箇月間」「当該消費者契約の締結の時から五年」と規定したものであります。
 見直し規定についてのお尋ねもございましたが、経済社会の変化に応じて法律の内容を見直すことは当然のことであるため、見直しを法律上規定する特段の必要性はないと考えております。また、あえて見直し規定を置きますれば、現段階においても法律の内容が不適切であるとの印象を国民に与えかねず、適切ではないのではないかと考えております。
 最後に、本法案と国民生活センターや消費生活センターのPRについてのお尋ねがございました。
 消費者契約法の周知については、消費者契約法の逐条解説書、いわゆるコンメンタールを作成し、説明会の実施、さまざまな関係各界との連携体制の充実で、法の成立後できるだけ速やかにPRを行っていきたいと考えております。また、国民生活センター及び消費生活センターの周知については、五月の消費者月間を通じて積極的に広報活動を行うとともに、さまざまな出版物やインターネット上での情報提供等を利用し、両センターの周知に努めてまいりたいと考えております。
 国民生活センターの苦情・相談の項目類型についてお尋ねがありましたが、国民生活センターが有する苦情・相談情報、とりわけ契約に係るトラブルの情報について、一般消費者の参考に資するような公表方式等を検討してまいりたいと思っております。
 また、消費者が情報をすぐ得られるような情報開示システムの見直しについてのお尋ねもございましたが、現在、経済企画庁で運営しておりますホームページ「消費者の窓」を充実することにより、消費者が必要な情報をすぐ得られるような体制整備を図ってまいる予定でございます。
 消費生活センターについてのお尋ねもございました。
 都道府県の消費生活センターのあり方については、各都道府県において自主的に御判断いただくことでございますが、経済企画庁といたしましては、こうした消費生活センター縮小の動きが適切な苦情処理を妨げることがないように地方自治体に要請を行うとともに、今後とも国民生活センターによる研修、情報提供等による支援に努めてまいりたいと考えております。
 こうした点で、法律施行の段階で、さまざまな支援、レビュー等をしっかりとやっていきたいと考えている次第でございます。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(中曽根弘文君) 円より子議員にお答えをいたします。
 消費者教育についてのお尋ねでありますが、消費者として正しい態度や知識を身につけることは、学校教育における重要な課題でございます。
 このため、従来から、小中高等学校を通じ、社会科や家庭科などにおいて児童生徒の発達段階に応じた適切な指導が行われております。
 さらに、新しい学習指導要領におきましては、例えば、中学校では、技術・家庭科において販売方法の特徴と消費者保護について知り、生活に必要な物質、サービスの適切な選択、購入また活用ができるようにすること。また、高等学校では、家庭科におきまして問題の発生しやすい販売方法などを具体的に扱い、消費者の権利と責任について理解し、消費者として主体的に判断できるようにすることなどについて指導するよう充実を図ったところであります。
 今後とも消費者教育が各学校において適切に行われるよう努めてまいります。(拍手)
    ─────────────
#14
○議長(斎藤十朗君) 西山登紀子君。
   〔西山登紀子君登壇、拍手〕
#15
○西山登紀子君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました消費者契約法案について、経済企画庁長官に質問いたします。
 我が国の消費者をめぐるトラブルは多発しております。国民生活センターに寄せられた九八年の苦情・相談件数は約六十三万件で、八〇年当時の三・二倍に増加し、その九三%が消費者契約のトラブルで占められています。しかも、消費生活センターに相談するのはトラブルに遭った人の二%程度と言われており、実際の被害はもっと膨大です。これは、従来の政府の消費者行政ではもはや対応できなくなっていることを示しています。
 こうしたもとで、日本共産党は、事業者と消費者の間で情報や交渉力などで歴然とした格差があることを踏まえ、消費者の利益を守り、安心して消費生活が営めるルールを確立することは、今日、重要な課題になっていると考えます。
 同時に、そのことは、リストラ、下請いじめなど大企業の身勝手な活動から、労働者の生活と権利、中小企業を守るルールの確立とともに、日本経済の民主的発展にとって不可欠な課題であります。
 以下、このような立場から本法案の内容についてお尋ねいたします。
 まず第一に、事業者の情報提供義務についてです。
 本法案は、目的に、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、消費者の利益の擁護を図るとしています。ところが、事業者には単なる努力規定だけで、情報提供義務が明記されておりません。消費者と事業者の間に格差を認めているのですから、事業者にその情報提供を義務とするのは当然ではありませんか。
 情報提供の大切さは、四月からスタートした介護保険の場合を例にとればはっきりします。
 今まで行政サービスで行われていた介護サービスの一つ一つに事業者との契約が必要になってきます。介護を受ける側に親切でわかりやすい説明と契約どおりのサービスの提供が行われないと、お年寄りもその家族も安心して事業者を選ぶことができません。もしトラブルが発生したとき、御本人はもとより、お年寄りを抱えた家族がその紛争を解決するための裁判を起こすのは大変です。また、契約を取り消し、別の事業者に依頼できるまで待っている余裕もありません。
 このように、消費者が契約するには情報の提供は重要なことであり、それを裏切らない事業者になってこそ、健全な取引ルールと言えるのではないでしょうか。
 フランス、ドイツ、イギリス、米国等においては、それぞれの国の事情に違いはありますが、法律で事業者の情報提供義務が消費者契約ルールとして確立しています。日本の事業者にもこうした情報提供に対する責任を明確にするべきではありませんか。世界のこのような流れがあるのに、なぜ本法案では義務としなかったのでしょうか。明快な答弁を求めます。
 さらに、法案が、事業者の情報提供義務は免除する一方で、消費者には提供された情報を理解せよとしていることは本末転倒ではありませんか。消費者の理解の努力を求めるこのような規定は削除すべきと考えます。答弁を求めます。
 第二に、消費者が契約を取り消すことができる場合についてです。
 本法案では、事業者が消費者に対して事実と違うことを告げた場合、またこの絵は必ず値が上がりますなど将来に対する断定的な判断をした場合、また消費者に不利益な事実を提供しなかった場合の三つの場合について契約を取り消すことができると決めています。
 しかし、問題は、その対象を商品・サービスの内容と契約条件に限定していることです。なぜ限定する必要があるのでしょうか。これでは、例えば事業者が水道水を検査し、お宅の水道水は発がん性があるとうそをついて浄水器を売りつけたケースなどは対象となりません。
 このように、消費者が契約を決める決定的な要因となった事柄であっても、それが商品の内容や取引条件でない場合は取り消しの対象とならないのは問題です。こうした点も含め、取り消しの要件は実際の消費者契約の実態に合った広いものにすべきと考えます。答弁を求めます。
 さらに問題は、政府案では、不利益なことを告げなかった場合の取り消しは故意に限定していることです。故意かどうか消費者が立証することは困難であり、この規定は削除するべきです。
 また、事業者に禁止される不当な勧誘行為が、帰ってほしいと言ったのに帰らない不退去と、帰らせてほしいと意思表示したのに帰らせてくれない監禁の二つに限定されているのも問題です。どうして消費者を戸惑わせるその他の行為は含まれないのでしょうか。これでは、目的を隠して接近し親しくなって商品を買わせる恋人商法や、職場に長電話をかけて困らせるなどの行為は対象とならないではありませんか。
 第三に、無効となる契約の条項についてお尋ねいたします。
 本法案は、契約書の中に事業者の損害賠償責任の免除、不当な違約金や超過利息を求める条項が含まれる場合にはその条項が無効になることを定めています。加えて、それ以外にも、消費者の利益を一方的に害する条項を広く取り消しの対象にしています。これは、消費者団体、弁護士の皆さんが強く期待していたもので、積極的な規定と言えます。
 しかし、相談員の方からは、どういう条項がそれに該当するのかすぐにわかるよう法律に列挙してほしいとの強い要望が上がっています。日弁連が提案しているように、ブラックリストとグレーリストとして示すべきではありませんか。
 第四に取り消しの時効についてです。
 契約の取り消し権が行使できるのは、不当な勧誘を受けたと気づいたときから六カ月となっています。日弁連の最新の一一〇番調査からも、相談に来たときには既に六カ月を超え、一年以上が多いというのが実情です。取引の安定性を考慮したとしても、せめて三年とすることが妥当と考えます。答弁を求めます。
 第五に、消費者団体による約款の差しとめ請求についてお尋ねいたします。
 無効となることを判断された不当な契約条項が、別の地域や、また別の事業者によって使用されていたのでは消費者被害の広がりをとめることはできません。消費者の権利擁護のために日夜奮闘されている消費者団体に不当約款に差しとめ請求権を認めることは、この法の目的からも必要と考えます。大臣のお考えを伺います。
 最後に、消費者契約法が実効性を持つためには、国民生活センター、消費生活センターを初め、裁判外紛争処理機関の体制強化が必要であります。
 悪質な事業者に対抗するには個人では限界があります。いつでも相談できる窓口が近くにあることは、消費者の利益を守る上で大変重要です。しかし、地域の相談員は臨時や期間採用の待遇が多く、相談窓口も毎日開設している行政はわずかです。ボランティアで日曜電話相談などを開設して消費者の相談を受けているのが実態です。このような状態を改善し、政府として責任の持てる体制を確保することが重要と考えます。大臣の見解を求めます。
 我が党は、消費者の皆さんの期待にこたえ、消費者の権利の確立という立場から、消費者契約法がただいま提起したことを含む実効性のある法律となるよう、他会派の皆さんとも共同して取り組むことを述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#16
○国務大臣(堺屋太一君) 西山登紀子議員にお答えいたします。
 事業者の情報提供についてお尋ねがございました。
 消費者契約法のようなあらゆる事業分野を対象とする包括的な民事ルールにおいて、情報提供を義務として情報の不提供に取り消し等の私法的な効果を発生させた場合には、個別事業分野にとっては抽象度が高いために、事業者にとって予見可能性を欠き、健全なビジネスの発展を阻害しかねない結果になりかねません。
 なお、外国の消費者契約法制度等を見ましても、情報の不提供の場合に契約の取り消しを法律として定めている例があることは承知しておりません。
 次に、消費者の努力義務についてのお尋ねがございました。
 事業者と消費者との間には情報格差あるいは交渉力の格差がございますが、事業者に情報提供努力を求める反面、消費者にも事業者から提供された情報を活用し、その契約内容を理解する努力をしていただきたい。このことによって消費者の十分に合理的な意思決定を可能とし、もって消費者契約における消費者の利益の擁護を図るものであり、これは必要な規定だと考えております。
 重要事項の内容を検討したことについてのお尋ねがございましたが、これは法的安定性、予見可能性を高め、また本法律案の重要事項が取り消しという強い効果を与える要件であることとのバランスをとるという観点から適切な内容のものと考えております。
 第四条第二項の「故意」についてのお尋ねもございましたが、これは民法の詐欺における相手方をだまそうとする意思よりも程度の弱いものでございますので、消費者にとってこれを立証することは民法の詐欺に比べると容易であると考えております。
 また、重要事項は実態に合ったものにすべきではないかとのお尋ねがございましたが、先ほども述べましたように、これは法的安定性、予見可能性を高め、また本法律案の重要事項が取り消しという強い効果を与える要件であることとのバランスを考えますと、適切な内容になっていると考えております。
 なお、点検商法などについては、訪問販売等に関する法律のクーリングオフや民法の詐欺の規定などにより消費者が救済される場合もあると考えております。
 威迫、困惑など消費者を戸惑わせるその他の行為についてのお尋ねがございましたが、これらの行為の意義が必ずしも明確でないことなどから、これらの行為を契約取り消しの対象とすることは取引の安全の確保等にかんがみ適切ではないと考えております。
 無効とすべき契約条項についてのお尋ねがございました。
 これについては、トラブルの実態を踏まえ、国民生活審議会で検討を行って得られたコンセンサスに基づいて規定したものでございます。
 また、第十条の規定により、任意規定に反し、信義則に反する程度に消費者の利益を一方的に害する条項は広く無効とするため、無効とすべき契約条項は本法第八条から第十条までに定める規定で十分であると考えております。
 取り消し権の行使期間についてのお尋ねがございました。これは具体的にどの程度にすべきかにつきましては、国民生活審議会において検討を行い、学識経験者、消費者、さまざまな業種の産業界の代表など幅広い関係者の間で得られたコンセンサスでございまして、追認することができるときから六カ月と規定しております。取り消し権の行使期間としてはこれで適切なものと考えております。
 消費者団体による差しとめ請求権についてのお尋ねがございました。
 消費者団体による差しとめ請求権につきましては、今後、我が国の司法制度改革の流れを踏まえた上で十分な検討を行う必要があると考えております。
 最後に、事業者への行政指導の強化についてお尋ねがございました。
 現在、政府は公正かつ自由な経済社会を実現するために市場メカニズムを積極的に活用するとの観点から広範な分野で規制緩和を推進しており、これに伴って行政の基本が事前規制型から市場ルールに基づく事後チェック型へと転換が求められております。したがって、消費者政策においてもこれと整合的な施策の実施が求められており、御指摘のように行政指導の強化はなじまないものと考えております。
 裁判外紛争処理機関の体制強化充実についてのお尋ねがございましたが、各都道府県の消費生活センター等の裁判外紛争処理機関に対しましては、国民生活センターを通じた情報提供や消費生活相談員に対する研修等により、その体制の強化充実を支援していきたいと考えております。
 また、平成十二年度の予算におきまして、消費生活センターや弁護士会等との消費者契約被害救済のための連携費用をお認めいただいたところであり、この体制の構築に取り組んでまいりたいと考えております。(拍手)
    ─────────────
#17
○議長(斎藤十朗君) 福島瑞穂君。
   〔福島瑞穂君登壇、拍手〕
#18
○福島瑞穂君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました消費者契約法について質問いたします。
 民法が制定されて百年以上経過をしました。民法が前提としている対等な個人間の契約の前提となっている環境も一部において激変しました。情報を持つ事業者と情報を持たない圧倒的に多くの消費者に二分されるという事態が出現しております。商品やサービスについての情報を独占し流通過程にアクセスすることのできる事業者と一個人としての消費者とでは、契約の段階において情報力や交渉力において極めて大きな格差があります。
 民法のみでは消費者は救済されないという事態が生じています。民法の特別法である消費者契約法の成立が待たれたゆえんです。その意味で、消費者契約法案の上程を歓迎するものです。
 ただし、法案の多くの内容についてはさまざまな疑問があり、質問をいたします。すべて経済企画庁長官にお尋ねします。
 第一に、この消費者契約法案と最近提出された金融商品の販売等に関する法律案との関係はどうなるのでしょうか。郵貯や簡保、そしてリスクの大きい先物取引はなぜか消費者契約法の対象となり、共済は金融商品の販売等に関する法律の対象となるとされています。
 ところで、消費者契約法とは、消費者が契約の全部または一部の効力を否定することができるようにする場合を新たに法律で定めるものであるのに対し、金融商品の販売等に関する法律は、契約の効力を否定せず説明義務違反に対する損害賠償責任を課すもので、法律の効果が全く異なります。
 しかるに、一般の消費者にとって自分のケースが果たしてどちらの法律によるのか、なかなか判断できないと考えます。
 行政縦割りの中でこのように全く異なる法律が二つ出たのではないでしょうか。しかし、これでは国民には難し過ぎて混乱するのではないでしょうか。
 第二に、説明義務について質問します。
 第三条一項の事業者の説明義務について、これは事業者への法的義務ではないと経済企画庁長官は答えていますが、これまで裁判で認められてきた水準をいささかでも軽減するものではないと言えるでしょうか。消費者契約法制定の背景にある情報力の格差を考えれば、事業者の説明義務は法的義務とすべきではないでしょうか。
 事業者の情報提供努力義務と消費者の理解努力の間には程度の差があるのですか。対等なのでしょうか。もし、この二つの努力義務が対等であるとすれば、消費者契約法案が事業者と消費者の構造的な格差ゆえに提案されたことと矛盾しないでしょうか。
 第三に、四条二項に、事業者が重要事項または重要事項に関連する事項について、消費者の利益になる旨を告げ、かつ消費者の不利益となる事実を故意に告げずとありますが、故意を消費者が立証することは著しく困難と考えます。立証責任の軽減の方法、転換など何か考えていますか。
 第四に、第四条三項では、退去すべき旨の意思を示したにもかかわらず退去しない、退去したい旨の意思を示したにもかかわらず退去させないことだけになっています。被害が多くある電話での執拗な勧誘や、家族や本人に対する心身の不安をあおったような行為などは救済されるのでしょうか。
 第五に、表示をしただけでは勧誘行為がないのでしょうか。勧誘行為がない場合は消費者契約法の対象にならないと長官は回答していますが、勧誘行為は不可欠の要件でしょうか。インターネットを通じた取引は消費者契約法の対象になるのでしょうか。
 第六に、本法の施行状況がどのようになっているかや、電子商取引など新しい商品・サービスの参入等を考えると、施行状況を検証し、施行後も発生している消費者被害の防止の観点から、法案の将来的な見直しが必要だと考えますが、どうでしょうか。
 先ほど長官は、見直し規定を置くと国民はこの法律に欠陥があると考えるのではないかとおっしゃいました。しかし、変化の激しい契約の世界において見直しは必要であり、見直し規定の存在はこの法律の価値をいささかも減ずるものではないと考えます。
 第七に、実効性の確保の観点からすると、消費生活センター、国民生活センターの強化充実は欠かせないと考えますが、センターの縮小が言われている中で、実効化策を具体的に検討していますか。
 最後に、契約によって三万円、五万円、十万円、二十万円という貴重なお金を失ったとしても、個人で裁判費用や弁護士費用を払って裁判に訴えようとする人は少ないと思います。割に合わないからです。訴えられないことを見越して、数多くの人をだまし暴利をむさぼっている悪質な業者もいます。だからこそ、消費者団体に団体訴権を付与することが必要だと考えますが、いかがでしょうか。諸外国には例もありますし、要件を絞ればそれは可能です。また、消費者被害の未然防止などの観点から、消費者団体に差しとめ請求権の付与を検討するお考えはありますか。
 以上、お尋ねいたします。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#19
○国務大臣(堺屋太一君) 福島瑞穂議員にお答えいたします。
 まず最初に、金融商品取引等に関する法律と本法との関係についての御質問がございました。
 金融商品取引等に関する法律は極めて限られた範囲を対象としておりますのに対して、本法は労働契約を除いてすべてに例外なくかかっております。そういうことから、当然にその仕組みに違いがあり、程度にも違いがあるのは当然だと考えております。今後も、特定の問題があらわれましたときには、特別法が提案されることはあり得ると考えております。
 次に、事業者の情報提供についてのお尋ねがございました。
 第三条第一項に規定する努力を果たさなかったとしても何らの私法的な効果も発生しないので、情報提供義務違反を理由とする損害賠償請求など、これまで裁判で認められていた事業者の説明義務の水準をいささかも軽減するものではございません。これは、提供義務を書いてございますが、従来のものを軽減するわけではございません。
 また、消費者契約法のような、あらゆる事業分野を対象とする包括的な民事ルールにおきましては、情報提供を義務とし、情報の不提供に対して私法的な効果を発生させた場合、個別事業分野にとって抽象度が高いために、事業者にとって予見可能性を欠き、健全なビジネスの発展を阻害する結果になりかねないと考えております。
 次に、事業者及び消費者に求められる努力義務の程度についてのお尋ねがございました。
 本法案の第三条は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差にかんがみ、事業者には情報を提供する努力を求める一方で、消費者には事業者から提供された情報を理解する努力を求めるのみにとどめており、努力の内容に差を設けているものであります。
 また、事業者の努力については「努めなければならない。」と規定しているのに対し、消費者の努力については、努力するものとすると規定することによって、求める努力の程度に、若干消費者の方を弱めているところでございます。
 第四条第二項の「故意」についてお尋ねがございましたが、これは民法の詐欺における相手方を欺こうとする意思よりも程度の弱いものであるため、消費者の立証負担が軽減されるものであって、消費者にとってこれを立証することは民法の詐欺に比べると容易になっていると考えております。
 事業者の電話による執拗な勧誘や、家族や本人に対する心身の不安をあおるような行為についてお尋ねがありました。
 これらの行為については、消費者は必ずしも政府案の規定により救済されることはありませんが、訪問販売等に関する法律のクーリングオフや、民法の強迫・不法行為の規定などにより救済される場合もあると考えております。
 第四条の「勧誘」についてお尋ねがございましたが、これは取引の安全の確保にかんがみ要件化したものであります。単なる表示は勧誘に当たりませんが、一方、インターネット取引において、例えば消費者からメールによる問い合わせを受けた事業者が回答の中で不実告知を行った場合には、本法案の規定による取り消しの対象となり得るものと考えております。
 本法の施行状況の検証及び法案の将来的な見直しについてお尋ねがございました。
 これらにつきましては、地方の消費生活センターや国民生活センターを結ぶオンラインネットワークシステム、いわゆるPIO―NETの活用を通じて情報を正確に収集整理し、こうして得られた情報に基づき適切に対処してまいりたいと考えております。
 国民生活センター、消費生活センターについてのお尋ねがありました。
 地方自治体の消費生活センターのあり方については、各自治体において自主的に判断されるべき事項でありますが、経済企画庁といたしましては、こうした消費生活センター縮小の動きが適切な苦情処理を妨げることがないように地方自治体に要請を行うとともに、今後とも国民生活センターによる研修、情報提供等を充実させ、支援に努めてまいりたいと考えております。
 最後に、消費者団体による差しとめ請求権についてお尋ねがございましたが、これはドイツなど一部の国には認められておりますが、今後、日本の司法制度の流れを踏まえまして、十分な検討を行う必要がある事項だと考えております。(拍手)
    ─────────────
#20
○議長(斎藤十朗君) 水野誠一君。
   〔水野誠一君登壇、拍手〕
#21
○水野誠一君 参議院クラブを代表しまして、今議題となっております消費者契約法案について質問をさせていただきます。
 繰り返しになりますが、国民生活センターや全国の消費生活センターに寄せられた苦情・相談件数は、平成十年度において約四十一万件とこの十年で三倍に増加し、そのうち約八割を占める三十二万件が販売方法、契約、解約に関するもので占められていると聞いております。さらに、こうした数字も実際のトラブル件数に比べればわずか数%にすぎず、まさに氷山の一角であると説明されております。まことに憂慮すべき事態を示すデータであると言わざるを得ません。
 国民の生活様式が多様化し、また産業構造やコミュニケーション手段がますます高度化、複雑化する中で、経済取引をめぐる消費者の置かれた環境は刻々と変化を遂げております。
 時代のニーズに応じてさまざまな商品やサービスが市場に登場し、消費者はみずからの賢明な選択を通じてそれらの価値を享受するわけですが、その供給される価値が多様化し、消費者にとって選択の自由が拡大すること自体はまさに喜ばしい経済社会の発展過程であると考えます。
 しかし一方で、そうした商品やサービスの価値多様化の進展は、ある意味では必然的に情報について詳しい者とそうでない者、すなわち情報の偏在や偏りを生み出しました。その結果として顕在化したのが本法案の提案理由にある消費者と事業者の間の情報力や交渉力の圧倒的格差と申せましょう。
 消費者契約法の制定そのものに対する慎重論の中には、規制緩和の流れに逆行する、適正な活動をしている多くの事業者を萎縮させるといった指摘もございました。しかし、公正なルールの確立、消費者、事業者双方の自己責任を問い得る環境整備といった法案の趣旨が貫かれさえすれば、それが即、規制緩和の流れに逆行し、事業者の萎縮などを招くものにはならないと考えます。
 さらに、現状を放置することによって、一部の悪徳事業者のために多くの良心的事業者がこうむる経済的デメリットや、新事業、新業態を創造し経済を活性化させるための環境整備の必要性を考え合わせれば、きちんとした手続で契約が結ばれるようにするための一般ルールを定める本法案の意義は極めて重大なものであると考えます。
 そこで、まず重要になることは、何をもって公正なルールとするかを明確に認識しておくことではないかと考えます。契約行為における公正とは、お互いが十分な情報を持ち、お互いが自由な判断を許されることではないか。そして、さらに重要なのは、当事者それぞれがその情報と判断にはっきりと責任を持つことではないかと考えますが、まずは経済企画庁長官にこの点についての御認識を伺いたいと思います。
 次に、消費者の啓蒙と教育のあり方に関して伺います。
 規制緩和が進み、個人の判断が尊重される世の中において、契約の持つ意味はますます増大していくものと考えます。
 過去にも、マルチまがい商法や安易なクレジットカード利用による多重債務者の急増などといった問題が取りざたされるたびに消費者教育の重要性がうたわれてきました。しかし、我が国の消費者教育政策はいまだ道半ばといった印象を否めません。
 さらに、今後はインターネットの普及などによってこれまで存在しなかった全く新しい流通が始まります。流通の経路はますます多様化し複雑化することが予想されます。その中で、広い意味での情報の偏在は今後も存在し続けるであろうというのが私の率直な見解であり、そうであればこそ、消費者一人一人に対する啓蒙教育の重要性は今後ますます増大していくものと考えます。
 教育政策全般にも言えることでありますが、消費者教育の難しさの一つには、その到達点をいかなるところに設定するかという問題があると思います。この点につき長官の御所見を伺いたいと思います。
 関連して、高齢者への対応について伺います。
 消費者契約法制定の背景には、もう一つ、金融ビッグバンなどの規制緩和、介護保険の導入などにより、高齢者がサービスを購買する機会が広がるという社会情勢があります。
 九二年に経済企画庁が行った高齢化に伴う消費問題の総合調査では、高齢者のみで暮らす世帯がふえる中で、新たなシルバー向け製品やサービスが増加している一方、高齢者を対象とした悪質商法がますます巧妙化する傾向が明らかにされています。
 当時のアンケートでは、回答した全国の消費生活センターのうち三六%が過去五年間に高齢者からの苦情がふえたと回答しており、高齢者の判断力の低下、孤独感、健康不安をねらった商法に絡むトラブルの相談が大半を占めていたと言われております。
 以降、有料老人ホームをめぐる契約トラブルの問題や、あり得ない高配当をうたって老後の蓄えから貴重なとらの子をだまし取るといった事件も後を絶たず、そのたびに高齢者向けの情報提供、消費者教育の重要性が指摘されてきたところであります。
 消費者契約法の意義は大変重要であると考えますが、これをもって高齢者を取り巻くトラブルに歯どめがかかると考えるのは余りにも非現実的と言わざるを得ません。殊に、高齢者にとっては法律の意義や効果を啓蒙するチャネルが限られることも念頭に置かなければいけません。
 高齢化社会に向かう中で、本法案をまさに実効あるものとするためには、特に高齢者に対するきめ細かい消費者啓蒙、情報提供のための施策が車の両輪として講じられるべきだと考えますが、この点につき経済企画庁長官の御所見を伺いたいと思います。
 最後に、今後の消費者行政のあり方について伺います。
 消費者契約法の民法や個別業法との関係については、従来、事業者と消費者との間のトラブルが宅建業法や訪問販売法といった個別の業法で調整されていたのに対し、消費者契約法はどの事業にも適用できる共通ルールであり、既に施行されている製造物責任法と並ぶ消費者保護法の車の両輪として、基本法である民法と個別業法の中間に位置づけられるものと説明されております。
 もともと消費者契約法には、規制緩和後の消費者と事業者との公正なルールをつくるという目標がございました。経済取引に関しては規制をなるべく取り払い、事業者や消費者の自由な決定に任せる、問題が起きた場合には明確なルールに従って解決するという流れをさらに推し進める法案であると理解をしております。
 つまり、我が国の消費者行政が、行政による事前規制から司法などによる事後監視・救済型、ルール重視型行政へと移行することを示すものであると考えますが、今後の消費者行政における政府の役割について、長官の御所見を伺いたいと思います。
 また、本法案は、およそ六年間という長い真剣な議論が重ねられた末に実を結ぼうとしている重要法案であります。その過程では、有識者、弁護士会、消費者団体などからも、これからの消費者行政のあり方を正面から見据えた数多くの貴重な提案が積み重ねられました。政府においては、その一つ一つを柔軟かつ真摯に受けとめ、法律の実効性を確かなものとしていくことが当然の責務であると考えます。
 さらに、民主党から修正案も提起されている中、さらなる議論とブラッシュアップの可能性などの点についても長官の姿勢をお示しいただくことをお願いしまして、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣堺屋太一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(堺屋太一君) 水野誠一議員にお答えいたします。
 まず、何をもって公正なルールとするかとのお尋ねがございました。
 近年、規制が緩和されるに伴い、消費者の選択の自由が拡大する反面、消費者、事業者の自己責任もまた重みを増しております。しかしながら、消費者と事業者との間には、契約の締結、取引に関する情報の量及び質並びに交渉力に格差が存在するため、消費者に自己責任を求めることが適切でないという場合もございます。公正なルールには、このような場合に対等な当事者のルールである現行の民法に特例を設け、消費者が契約による拘束からの離脱を可能にする救済の手段を与えるものと考えております。本法案は、このような意味で公正なルールの策定をねらいとしたものと言えるでありましょう。
 情報の偏在が進むという認識から、消費者教育政策の到達点についてのお尋ねがございました。
 現在の日本の経済は、規制緩和や情報化の進展に伴いまして、商品や販売方法の多様化、複雑化が進んでいることは御指摘のとおりでございます。このため、消費者一人一人が豊かな生活を実現していくためには、早い段階から消費者としての基本的な知識を身につけるとともに、自己責任の意識を持ちつつ、主体的に行動し得る能力を培うように消費者教育に取り組んでいく必要があると考えております。
 こうした認識のもとに、消費者契約の分野については、消費者取引に係る諸制度に関する基本的な知識、判断能力、あるいは契約上のトラブル解決能力を段階的、体系的に身につけるように消費者教育の体制の構築に努めてまいりたいと考えております。
 高齢者に対する啓発についてのお尋ねがございました。
 御指摘のとおり、現在我が国は、高齢化が急速に進展する一方で、介護保険制度の導入等に伴う新しいサービスもふえており、高齢者も契約を締結する機会がますますふえていくものと考えております。
 このため、高齢者が安心して適切な選択ができるように、高齢者にも消費者契約法を含めた契約に関する適切な知識や消費者としての役割の理解を深めていただく観点から、いろんな媒体を通じて、できるだけわかりやすい方法を工夫しながら、適切な啓蒙活動に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後の消費者行政における政府の役割についてお尋ねがございました。
 昨年七月八日に閣議決定いたしました「経済社会のあるべき姿と経済新生の政策方針」の中で示されているように、これからの政府の役割は、各人が好みによって製品やサービスを選べるように経済社会のルールを定め、これが守られるように監視し、生じた事故、紛争を適切迅速に処理することにあると考えております。
 消費者行政におきましても、従来までの事前規制による消費者保護から、消費者と事業者との間にある情報力、交渉力の構造的な格差を踏まえた上で、事業者、消費者に自己責任に基づいた行動を求めるような消費者のためのシステムの構築が求められております。すなわち、従来からなされていた個別の財・サービスの特性に即したトラブルの防止策に加えて、包括的な民事ルールの制定が必要になっております。
 こうした観点から、消費者安全の分野においては平成六年に製造物責任法が制定されたところであり、これに続いて消費者取引の分野において消費者契約法が立法されますれば、消費者安全と消費者取引におけるいわば車の両輪をなすことによって、総合的な消費者被害の防止・救済策の確立に資するものと考えております。
 最後に、法律の実効性の確保についてのお尋ねがございましたが、消費者契約法案が成立いたしますれば、国会における御審議を踏まえつつ、消費者契約法の逐条解説、いわゆるコンメンタールの作成、有識者、弁護士会、消費者団体等と連絡体制を十分にとりまして、説明会の実施、消費者相談に携わる方々への研修の実施等によって、法律の実効性を確保するための各般の施策に努力したいと思っております。
 また、さらなる改善の余地についてお尋ねがございましたが、本法案は、六年間にわたって幅広い関係者等に御参加いただきまして、国民生活審議会において議論していただいた上でのコンセンサスを条文化したものでございます。さらに、さきに出されました民主党案のすぐれたところも既に十分反映されているものと考えております。こうした経緯を踏まえまして、本院においても十分な御審議と御理解をお願いしたいと考えております。(拍手)
#23
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#24
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#25
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。二階運輸大臣。
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#26
○国務大臣(二階俊博君) 高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、諸外国に例を見ないほど急速に高齢化が進展し、平成二十七年には国民の四人に一人が六十五歳以上の高齢者となる本格的な高齢社会が到来すると予測されていること、身体障害者が社会のさまざまな活動に参加する機会を確保することが求められていること等から、高齢者、身体障害者等が自立した日常生活及び社会生活を営むことができる環境を整備することが急務となっております。そのためには、公共交通機関を利用した移動の果たす役割が極めて大きいことから、その移動について、所要設備の整備等により身体の負担を軽減し、その利便性及び安全性の向上を促進することが不可欠となっております。
 このような状況を踏まえ、高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化を促進するための各般の施策を総合的に講じることが必要であるため、この法律案を提案することとした次第であります。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、主務大臣は、移動円滑化を総合的かつ計画的に推進するため、移動円滑化の促進に関する基本方針を定めることとしております。
 第二に、公共交通事業者は、旅客施設の新設や大改良あるいは車両等の導入を行うときは、これらを移動円滑化のために必要な一定の基準に適合させなければならないこととするとともに、既にその事業の用に供している旅客施設及び車両等についても、当該基準に適合させるために必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。
 第三に、市町村は、多数の旅客が利用する鉄道駅等の旅客施設を中心とした地区について、基本方針に基づき、移動円滑化のための事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本構想を作成することができることとし、基本構想が作成されたときは、関係する公共交通事業者、道路管理者及び都道府県公安委員会は、これに即して事業を実施するための計画をそれぞれ作成し、これに基づいて当該事業を実施することとしております。また、国及び地方公共団体は、基本構想に定められた駅前広場、通路等の一般交通用施設や駐車場、公園等の公共用施設の整備等、必要な措置を講ずるよう努めなければならないこととしております。さらに、基本構想に定められた事業を促進するため、土地区画整理事業の換地計画において定める保留地の特例措置、また、主務大臣の認定を受けた計画に基づく公共交通事業者による事業に関する助成を地方公共団体が行う場合の地方債の特例措置を講ずることとしております。
 第四に、主務大臣は、公共交通事業者による移動円滑化のための事業の実施に関する情報の収集、提供等を行う法人を指定することができることとしております。
 その他、移動円滑化を促進するに当たっての国、地方公共団体及び国民の責務を定めるとともに、運輸施設整備事業団が移動円滑化のための事業を実施する公共交通事業者に対して補助金を交付することができることとしております。
 政府といたしましては、以上を内容とする法律案を提出した次第でありますが、本法律案につきましては、衆議院におきまして、本法の施行後五年を経過した場合においてこの法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることとする修正が行われております。
 以上が高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案の趣旨でございます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。堀利和君。
   〔堀利和君登壇、拍手〕
#28
○堀利和君 私は、民主党・新緑風会を代表し、ただいま議題となりました法律案につきまして、関係大臣に質問を行いたいと思います。
 我が国では、一九七三年が福祉元年と言われております。同様に、私は一九九四年を国における福祉の町づくり元年と呼ばせていただいております。国における福祉の町づくりは、厚生省の身体障害者福祉モデル都市事業が七三年にスタートし、以降、関係事業が推進されてきました。当時のこうした施策は福祉施策として認識され、運輸省や建設省に働きかけても、それは厚生省の問題と突き放されてしまいました。
 八一年、国際障害者年で高らかにうたわれた完全参加と平等やノーマライゼーションの理念は着実に私たちの社会へ浸透してきました。また、八〇年代後半には「電車に乗せろ」と障害者による行動も始まり、運輸省と直接話し合いを持つこととなりました。さらには、地方自治体が先駆的に取り組んできた福祉の町づくり条例制定の動きも全国に広がってきたのです。
 これらの大きな流れを受けて、国もようやく動き出しました。九四年には、建設省で生活福祉空間づくり大綱の策定、ハートビル法の制定、運輸省では交通施設利用円滑化対策費補助金の創設及び財団法人交通アメニティ推進機構、現在の交通エコロジー・モビリティ財団の創設、厚生省もそれまでの事業を障害者や高齢者にやさしいまちづくり推進事業に改め、大幅に拡充してまいりました。九四年がまさに国における福祉元年となったわけでございます。
 そこで、まず建設大臣と運輸大臣にお聞きいたします。
 今日でも福祉の町づくりやバリアフリー施策が高齢者や障害者のための福祉施策であり、厚生省が所管すべきとお考えではないと思いますが、こうした施策の意義と政策目標についてその御所見をお聞きしたいと思います。
 九四年の国における福祉の町づくり元年に先立ち、九三年には運輸省において交通バリアフリー法の制定に向けた合意がおおむねでき上がりつつあり、そのことが運輸委員であった私のところに伝えられました。ちょうどそのころ私どもも法案大綱を準備していたところであり、この運輸省の決断には大変感激いたしました。ところが、その後運輸省からJRが反対しこの話はなくなりましたと報告を受けたのです。私のそのときの落胆がどれほどのものかお察しいただけると思います。それでも、運輸省がこうしたバリアフリーの施策に一般予算を初めてつけたことは極めて高く評価できます。
 ところで、運輸大臣、これまで紆余曲折はあったものの、二十一世紀を直前に交通バリアフリー法が制定されるに至ったことは、超高齢社会を迎える我が国にとって至って意義深いものであると考えます。
 そこで、お伺いいたします。
 この間、予算措置及びモビリティ財団を通じて出された補助金等の施策において、その成果と限界はどのようなものでしたか。また、JRを初めとする交通事業者の対応はいかがであったでしょうか。お聞きしたいと思います。
 さて、今回の交通バリアフリー法案をめぐっては、本法案と私ども民主党の高齢者、障害者等の移動の自由を確保するための法律案の両案が衆議院で審議され、よりよい法律を目指して切磋琢磨してまいりました。法律の題名からもわかりますように、本法案は移動の円滑化の促進として設備整備法の内容になっており、一方、民主党案は移動の自由を確保するとして、どちらかといえば権利性を強く意識したものになっております。
 そこで、運輸大臣にお伺いしたいと思います。
 フランスでは、交通基本法において国民に交通権を認めているところです。また、アメリカやイギリスでは、個別法での交通権を定めた法律はないものの、障害者関係の法律において権利性を明確にした上で差別禁止をうたっております。我が国でも、障害者基本法の第三条「基本的理念」において権利性を明記しております。運輸大臣は、このような権利性についてどのようにお考えか。また、本法案にそれを反映させるつもりはなかったのでしょうか。お伺いしたいと思います。
 次に、法案の対象者についてお伺いします。
 本法案においては、その対象の定義は高齢者、身体障害者等となっております。民主党案では、高齢者、障害者等としながらも、その対象をより広い概念で移動制約者としていたところでありました。
 私は、九二年の運輸委員会において、交通弱者という文言ではなく、また障害者と対象を限定するのでもなく、モビリティーハンディキャップ、すなわち移動制約者との概念でとらえるべきと指摘いたしました。その後、運輸省内においても行政上移動制約者という文言が使われ、そのような認識に立ってこられたと思います。
 なぜ本法案ではこの移動制約者という概念を盛り込まなかったのか、運輸大臣にその理由を伺いたいと思います。
 私は、本法案の対象を移動制約者とすることは極めて重要だと考えています。
 一つには、高齢者、身体障害者と限定することで、多額の予算や事業者負担が特定の者のためだけに使われてよいのかという批判の声が上がらないとも限らず、それは高齢者、障害者が社会のお荷物として認識され、大変生きにくい環境をつくってしまうおそれがあるからにほかなりません。
 二つには、移動制約者の中には妊産婦、バギーを引いた親子連れ、大きな旅行かばんを持った頑強な若者も含まれていることです。いわば、すべての国民に開かれた普遍的な概念であるからです。私はこの視点が最も大切であると思います。
 バリアフリーと並んでユニバーサルデザインとかユニバーサルサービスという概念があります。これは、バリアフリーよりももっと根源的であり、わかりやすく言いますと、設計の段階からすべての人が同等に利用できるものにするという概念であります。
 運輸大臣並びに建設大臣はこの視点をどのようにお考えか、お示しいただきたいと思います。
 これも、私が運輸委員会に所属していた九一年、新潟県のJR越後線小針駅で車いす生活の方が定期券の販売を拒否された事件のことでした。この小針駅は駅員一人で、改札口の前には十数段の階段がある駅舎でした。JR東日本の説明では、駅員一人で毎日の利用に対応できないというものです。しかし、幸いなことに、反対側のホームはその外を通っている道と段差がなく、そこのさくに出入りできる扉をつけて、駅員一人でも対応できるように改善されました。
 私は、この経験から、一つ一つの駅についても利用者や事業者、自治体関係者で協議し、知恵を出し合えば不可能が可能となることもあり得ると確信いたしました。
 また、先般公表された交通エコロジー・モビリティ財団の鉄道ターミナルのバリアフリー度調査報告でも、視覚障害者用点字ブロックが誤った方法で敷設されていたり不十分であったことが明らかになりました。
 そこで、運輸大臣にお伺いしたいのですが、本法案に定められた国の基本方針や市町村の基本構想に利用者の声をどう反映させるか、お聞きしたいと思います。
 視覚障害者は、交通機関を何とか利用できます。しかし、ホームからの転落事故は後を絶ちません。ここ十年間でも死亡事故は十五件に上っているわけです。常に生命の危険にさらされています。
 例えば、ドイツでは駅などに常駐して移動制約者のサポートをする交通ボランティアがあります。日本でもこうしたシステムを検討すべきと思いますが、運輸大臣はいかがお考えでしょうか。
 いよいよ介護保険制度がスタートし、高齢者の通院や日常生活支援の移送サービスも今後ますます期待されます。そこで、ドア・ツー・ドアのスペシャル・トランスポート・サービス、STSの充実が不可欠と思われますが、残念なことに本法案にこのことが全く言及されていません。運輸大臣、STSについてどのようにお考えか、その御所見をお聞かせください。
 最後に、民主党・新緑風会も私も、だれでも、いつでも、安全に利用できる公共交通システムを一日も早く確立することをお誓い申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#29
○国務大臣(二階俊博君) 堀議員にお答えを申し上げます。
 堀議員が今日まで障害者の皆さんの常に先頭に立って福祉政策に、バリアフリーの社会を築くために御尽力をいただいてまいりましたことに、まずもって心から敬意を表したいと存じます。(拍手)
 交通バリアフリー施策の意義と目標についてでありますが、交通のバリアフリー化により高齢者、身体障害者の方々が移動する際の身体の負担を軽減し、その利便性、安全性を向上することが不可欠であります。そして、これは交通に責任を有する運輸省、建設省、警察庁、自治省の各省庁がみずからの問題として取り組むべき重要な意義を有すると考えております。今回の法案は、まさにこのような考えに基づいて四省庁で連携して提案申し上げているものであります。
 このため、本法案では、高齢者、身体障害者等の方々がみずからの意思に基づいて生活をし、あらゆる分野の活動に積極的に参加できるような交通体系の形成に寄与することを目標としております。
 次に、交通エコロジー・モビリティ財団につきまして、この補助制度の限界、新たな補助制度の成果についてお答えを申し上げます。
 平成十年度まで交通エコロジー・モビリティ財団を通じましてエレベーター、エスカレーターの整備に対し一〇%を限度とする国庫補助を行っていたところであり、その額は年間一億円程度でありました。
 この制度を利用して施設整備が行われる駅は年間十数駅にとどまり、本格的な高齢社会の到来を目前に控え、バリアフリー化が十分に進んでいるとはとても言えないような状態でありました。このため、平成十年度第三次補正予算において、補助率を国、地方合わせて三分の二とし、さらに予算額も五十億円を確保するなど、大幅な拡充を実施したところであります。
 また、本法案を提出するに際しましても、物理的な制約や交通事業者の投資余力の限界といった要因もありましたが、JRを初めとする交通事業者は、旅客施設、車両等のバリアフリー化を進めるという基本的な考え方に賛同し、前向きな意向を示しているものと考えております。
 次に、交通権についてでありますが、交通権については、憲法上いまだ明示されているものではなく、学説、判例においても確定されたものではないと承知をいたしております。
 また、仮に交通権に関する新たな立法措置を講ずるといたしましても、法律として規定するためには、その内容を明確化する必要があると考えます。いかなる交通サービス水準を享受することが権利であるかという点につきまして、社会的合意が形成されておらず、内容が明確になっていないことから、権利として本法案に規定することは適当ではないのではないかと考えております。
 次に、移動制約者という概念を盛り込まなかった理由についてお尋ねがございました。
 本法案では、具体的に講ずべき施策の対象として、「日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者」と規定しております。一方、民主党案では、「「移動制約者」とは、主として身体的理由により移動に関し制約を受ける者をいう。」と規定されております。私は、本法案と民主党案との間には大きな差はないと考えております。
 次に、ユニバーサルデザインについてでありますが、本法案に基づき、身体の負担を軽減する施設等が整備されれば、その効果は、高齢者、身体障害者といった方々だけではなく、健常者を含むすべての人に及ぶものと考えております。
 なお、御指摘のとおり、バリアフリー基準を作成する際には、ユニバーサルデザインの考え方を十分踏まえながら検討してまいる所存でございます。
 次に、基本方針や基本構想等に利用者の声がどのように反映されるのかというお尋ねがございました。
 私はかねてから、利用者のニーズ、地域の実情等に対応して、交通のバリアフリー化を進めることが重要であると考えてまいりました。したがいまして、国の基本方針の策定に当たりましては、閣議決定したパブリックコメント手続を活用することにより、高齢者、身体障害者等にとどまらず、広く多くの国民の皆さんの意見をお伺いすることといたしております。また、基本構想や特定事業計画につきましても、必要とあらば、国が定める基本方針の中で高齢者、身体障害者等の意見把握の措置について規定することを考えております。
 次に、ボランティア制度の導入についてのお尋ねがございました。
 バリアフリー化の推進に当たっては、ハード面の整備のみならず、現場の第一線で働く駅職員や利用客等が高齢者や身体障害者の皆さんのニーズをよく理解し、お互いに温かいサポートをすることが極めて重要であると認識しております。
 御指摘のようなボランティア制度を浸透させるためには国民の理解と協力が不可欠であることから、本法案では国民の協力についての努力義務も定めていることでありますが、これを第一歩として、今後、ボランティア制度の導入等について真剣に考えてまいりたいと思っております。
 また、現在、交通エコロジー・モビリティ財団では、交通ボランティア体験講座の開催や交通ボランティアネットワークの構築についての検討を行っております。運輸省としましても、こうした取り組みを積極的に支援し、人的なサポートの強化を図ってまいりたいと考えております。
 最後に、スペシャル・トランスポート・サービスにつきましてのお尋ねでありますが、このような輸送サービスの重要性は今後ますます高まるものと考えておりますので、促進方策などの検討を進めていく所存でございます。(拍手)
   〔国務大臣中山正暉君登壇、拍手〕
#30
○国務大臣(中山正暉君) 堀利和先生に御答弁申し上げたいと思います。
 視覚障害者として草の根障害運動から国政にお出ましいただいて、そして障害者の声を国政に反映させるために御活躍をなさっておられることに心からまずもって敬意を表したいと思います。
 八代英太議員が参議院に御登場になられて、この国会議事堂も改造されましたし、それからまた、今、車いすの郵政大臣として大変御活躍でございますし、それによって首相官邸にもバリアフリー化が最近取り入れられたこと、これも私は障害者の方々にとりましてそういう意味での国政に対する反映が御同慶の至りと、かように考えております。
 福祉の町づくりやバリアフリー施策の意義と、そしてその政策目標についてのお尋ねでございました。
 町づくりを進めていくに当たりましては、高齢者、身体障害者を含むすべての人が安心して生き生きと暮らすことのできる生活空間を創造することが極めて重要であると考えておりまして、その実現に向けて、建設省におきましては、歩道等の歩行空間のバリアフリー化、それからハートビル法に基づく建築物のバリアフリー化、市街地再開発事業等市街地整備と一体となったバリアフリー化、それから公共賃貸住宅等住宅のバリアフリー化などに積極的に取り組んでいるところでございます。
 今後とも、関係省庁と連携をしつつ、本法案に基づく旅客施設及び周辺のエリアの一体的なバリアフリー化を含め、生活空間のバリアフリー化を総合的に推進し、高齢者、身体障害者等に対しまして優しい町づくりを一層進めてまいりたいと考えております。
 それから、ユニバーサルデザイン、ユニバーサルサービスという視点についてのお尋ねがございました。
 ユニバーサルデザインというのは、あらゆる環境において多様な考察により人間をとらえ、きめ細かく設計することで、すべての人々に対しても適合するデザインを提供すること。アメリカの建築家で工業デザイナーのロン・メイス氏が提唱して始まったわけでございます。
 いわゆるユニバーサルサービスにつきましても、これはすべての地域におけるすべての利用者に対し利用しやすい料金で一定の品質を持ったサービスを提供すること。これは欧米で主に電話それからまた郵便分野に関して発達した概念でございます。
 ユニバーサルデザイン、ユニバーサルサービスとは、すべての人が利用しやすいデザインを提供する、またすべての人に一定水準のサービスを提供するという考え方であると理解をいたしております。
 福祉社会の実現に当たりましては、高齢者それから身体障害者等を含むすべての人が安心して日常生活を営み、積極的に社会参加ができる環境を整備することが重要であると考えておりまして、本法案に基づく鉄道駅等の旅客施設の周辺の重点的かつ一体的なバリアフリー化の実施に際しましても、こうした考え方を十分に踏まえて取り組んでまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#31
○議長(斎藤十朗君) 弘友和夫君。
   〔弘友和夫君登壇、拍手〕
#32
○弘友和夫君 私は、公明党・改革クラブを代表いたしまして、ただいま趣旨説明のありました法律案につきまして、運輸大臣を初め、関係大臣に質問いたします。
 去る四月五日、森首相を中心とする新たな自民、公明、保守の三党による新連立政権がスタートいたしました。今、小渕前内閣に引き続いて森内閣に託された課題の一つは、二十一世紀の日本のあるべき姿を真剣に考え、議論し、そしてその日本の新しい国の形を政策課題の中心に据える必要があると考えます。
 私ども公明党は、二十一世紀に生きる日本は、ヒューマニズムの精神あふれる人権国家、人権大国でなければならないと考えていますし、時代はまさにその方向に動いていると思うのであります。イデオロギーや国家や体制的価値などではなく、どこまでも人間尊重、生命尊厳、人権のとうとさを第一とする方向、つまり中道主義、人間主義こそが二十一世紀をリードする普遍的価値であると考えます。
 そうした意味で、本法案のバリアフリーという考え方は、障害者や高齢者など一部の限られた人のための特別な配慮という福祉的な発想にとどまるのではなく、人間の多様性を認め合う社会のあり方という普遍的な課題を含んでいるのであります。その第一歩として、すべての人が公共交通機関を利用して自然かつ安全に行動できる交通バリアフリー化推進のための本法案は、まことに時宜を得たものであります。
 私たち公明党は、これまでバリアフリー化の推進を党の重点政策の一つとして掲げてまいりました。予算編成に対する要望、国会審議等を通じ、交通機関等についてバリアフリー化を一貫して訴えてまいりました。さらに、地方議会においても取り上げ、議員や党員みずから車いすに乗り、歩道と車道の段差や歩道の障害物の実態調査、また通学路総点検にも努めてまいりました。
 こうした我が党の活動を初めとする国民の強い要望もあって、近年、政府もバリアフリー化の推進に本格的に取り組み、昨年度の第二次補正予算においては公共施設周辺の歩道整備等の支援策が盛り込まれました。さらに今年度予算においては、鉄道駅のバリアフリー化設備、ノンステップバス、低床型路面電車、旅客船ターミナル等の整備等に百億を超えるバリアフリー化推進のための補助の大幅な拡充がなされました。これはまさに公共事業の質的変化を示す格好の事例でもあります。私は、これらの予算措置とあわせ、本法案の一刻も早い成立が一層のバリアフリー化の推進につながるものと信じております。
 また、本法案は、縦割り行政を超えた四省庁共管のものであり、かつその基本構想の作成が市町村にゆだねられている、いわば地方分権の端緒となるという画期的なもので、評価の高いものであります。
 そこで、運輸大臣並びに自治大臣にお伺いいたします。
 今回の法案では、国がバリアフリー化を促進するために必要な資金の確保等の措置を講じなければならないことと、地方公共団体が国の施策に準じてバリアフリー化を促進するために必要な措置を講じなければならないことが明文化されております。これは、今後、公共交通機関のバリアフリー化は交通事業者だけの責務ではなく、国及び地方公共団体の責務であるということを内外に明らかにしたものであると理解してよろしいのでありましょうかお尋ねいたします。
 バリアフリー化の推進に際して、実際に日ごろ不自由さを感じておられる高齢者や身体障害者を初めとして、さまざまな方々から意見を聴取することが非常に大切であると考えます。また、パブリックコメント手続を実施するなど、広く国民各層の意見を聴取すべきであります。
 そこで、お伺いしますけれども、本法案において国の定める基本方針や移動円滑化基準、市町村の定める基本構想の作成に際して、当事者のみならず国民各層の意見をどのように聴取し、それらをどう生かしていくお考えなのか、運輸大臣にお尋ねいたします。
   〔議長退席、副議長着席〕
 我が国が、二〇一五年には国民の四人に一人が六十五歳以上になるという、世界でも類例のない急速なスピードで高齢社会を迎えることは周知のことであります。そのため、バリアフリー化の推進は一刻を争う緊急の課題であり、効率的に進める必要があると考えますが、鉄道駅のエレベーター設置、低床バスの導入等のバリアフリー化について、政府の目標をお聞かせ願います。
 同時に、本法案は既存の旅客施設についてはバリアフリー化を努力義務としていますけれども、実際に多くの方々が利用されている施設の改善を現実的にいかに進め、政策的インセンティブを与えていくおつもりなのか、運輸大臣の御見解を伺います。
 次に、法案には、重点整備地区における一体的なバリアフリー化の推進を図るために、市町村が定める基本構想に基づいて道路管理者が特定事業を行うことや、都道府県公安委員会が交通安全特定事業を行う内容が盛り込まれています。
 道路のバリアフリー化の目標及び今後の見通しについては建設大臣に、また、都道府県公安委員会が行うバリアフリー化のための事業の今後の見通しについては国家公安委員長にお伺いいたします。
 あわせて、各事業のバリアフリー化についての目標設定のために今後どのくらいの費用がかかると政府はお考えなのか、現時点での概算でお聞かせ願います。
 欧米先進国に比べ十年おくれていると言われる我が国のバリアフリー化の推進のためには、相当な覚悟と努力が必要になると思われますが、これらの財源措置について運輸大臣、建設大臣、自治大臣そして国家公安委員長のお考えをお聞かせ願います。
 ところで、今回の法案には、タクシーのバリアフリー化推進や、スペシャル・トランスポート・サービス、いわゆるSTSの導入は対象となっておりません。しかしながら、これらは実際には高齢者や身体障害者の方々の移動に関して利用頻度が高く、ニーズも高いものであります。
 そこで、お尋ねいたしますが、政府はタクシーについて今後どのようにバリアフリー化を推進していくお考えなのか、またSTSについてはどのように導入推進を図っていく所存なのか、運輸大臣の御見解をお伺いいたします。
 本格的高齢社会の到来を間近に控え、本法案の内容とする公共交通機関のバリアフリー化の実現は一刻を争う喫緊の課題であります。野党の皆様方もその必要性については同意見であると存じます。
 アメリカのADA、いわゆるアメリカ障害者法には学ぶべきことが多いのでありますけれども、そこでは概要、障害を持つ人を不公正な構造に放置しておくことは国家に損失を与えていると明言されています。障害者に対しての不平等、不公正はまさに国家の損失であるとの認識に立つこの覚悟こそ、人権国家への道を歩む第一歩と思うものであります。
 本法案の早期成立を強く要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#33
○国務大臣(二階俊博君) 弘友議員にお答え申し上げます。
 まず、公共交通機関のバリアフリー化の責務についてでありますが、交通のバリアフリー化は、国、地方公共団体、交通事業者等の関係者それぞれの責務に対する自覚と協力により促進を図っていくべきものと考えております。
 まず、国は、全国的に統一的に一定水準の施設整備を確保するものであります。次に、地方公共団体は、地域住民の円滑な移動を確保するものであります。一方、交通事業者は、利用者利便を増進する役割を担うことになっております。
 本法案におきましては、この三者がそれぞれの役割を果たすとともに、連帯して交通のバリアフリー化を進めていく枠組みを設けているところであります。
 次に、本法案の施行に当たっての国民の意見の反映についてでありますが、交通のバリアフリー化は地域の実情、利用者のニーズ等に対応して進めることが重要であると考えております。したがいまして、基本方針及びバリアフリー基準の策定に当たりましては、閣議決定をいたしておりますパブリックコメント手続を実施いたしたいと考えております。また、基本構想及び公共交通特定事業計画につきましても、必要とあらば国が定める基本方針の中で高齢者、身体障害者等の意見把握の措置について規定することを考えております。
 このような措置を講ずることにより、高齢者、身体障害者のみならず、広く多くの国民各層の御意見を十分に反映させることが可能になるものと考えております。
 次に、バリアフリー化施策の具体的な目標についてでありますが、鉄道駅につきましては、一つの考え方といたしまして、二〇一〇年までに一日当たり乗降客数が五千人以上である旅客施設等のバリアフリー化を実現することが考えられ、これが達成できれば延べ利用者数の九割強をカバーすることができる、旅客施設のバリアフリー化が進むことになります。
 また、バス車両につきましては、新規導入の際にはバリアフリー化を義務づけることにしております。おおむね十年から十五年で低床化されたバスに代替されるものと考えております。
 これらにより、陸上交通の重要な部分のバリアフリー化が実現できるものと考えております。
 次に、既存の旅客施設について施設の改善をいかに進めるかということでありますが、交通事業者が単独でバリアフリー化を行う場合には努力義務にとどめているものの、市町村が中心となって重点整備地区のバリアフリー化を行う場合には事業者に対する責務を強めております。
 また、予算によるインセンティブについては、十一年度当初予算額は約二十億円でありました。弘友議員がお述べになりましたとおり、十二年度当初予算におきましては大幅な増額をし、約百億円の補助金を計上し、補助制度の内容も充実したものであります。
 税制につきましては、十二年度から鉄道駅のバリアフリー化に対する不動産取得税、固定資産税等の軽減措置を新たに設けるなど、その特例を拡充しているところであります。
 次に、バリアフリー化の目標達成のために必要な費用についてお尋ねがありました。
 駅等の旅客施設が個々の施設ごとに構造等が異なることから、目標達成のために必要なバリアフリー化のための事業に係る投資額を算定することはなかなか困難であります。あえて申し上げれば、一日の乗降客数が五千人以上である既存の駅約二千七百駅のうち、段差が解消されていない約千八百駅がございます。これらが投資の対象となるものと考えております。
 いずれにいたしましても、交通のバリアフリー化推進のために、必要な予算の確保については懸命に努めてまいる所存であります。
 最後に、タクシーのバリアフリー化等についてのお尋ねでありました。
 車いすのまま乗車できるいわゆるリフト付タクシー等の導入拡大等を今後図ってまいりたいと考えております。
 また、スペシャル・トランスポート・サービスにつきましても、それを必要とする時代であるという認識を持っております。今後、促進方策などにつきまして検討を積極的に進めてまいりたいと考えております。(拍手)
   〔国務大臣保利耕輔君登壇、拍手〕
#34
○国務大臣(保利耕輔君) 御質問のございました順序にのっとりましてお答えを申し上げたいと思います。
 まず最初に、公共交通機関のバリアフリー化における地方公共団体の責務について自治大臣へのお尋ねでございます。
 バリアフリー化につきましては、かねてより住民に身近な地方公共団体が住民の声を聞きながら先導的な施策を講じてきたものでありますが、本法案におきましても、公共交通機関のバリアフリー化について、基本構想の作成を初めとして重要な役割を担うこととされておるものでございます。
 次に、都道府県公安委員会が行う移動円滑化のための事業の見通しについて、国家公安委員長にお尋ねがございました。
 本法におきましては、警察では交通安全特定事業を実施することとしておりまして、この事業は大きく二つに分かれます。
 まず最初に、交通安全施設の整備事業であります。高齢者、身体障害者の方々による道路の横断の安全を確保するために、歩行者青時間を延長するなど高度な機能を持つ信号機等の整備を図るものであります。次に、歩行者の妨害となる違法駐車を防止するために、こうした違法駐車行為に係る自転車その他の車両の取り締まりの強化、違法駐車行為の防止についての広報活動及び啓発活動の事業でございます。
 これらの交通安全特定事業につきましては、本法施行後に市町村が作成をいたします基本構想に即して都道府県公安委員会により積極的に推進されるものと存じます。
 次に、財源措置についてのお尋ねがございました。
 まず、バリアフリー化の推進のための財源措置についての自治大臣へのお尋ねでございます。
 自治省におきましては、地方公共団体が行うバリアフリー化のための公共施設の整備、交通事業者に対する鉄道駅のバリアフリー施設の整備経費やノンステップバスの購入経費の補助に対し、地方債及び地方交付税措置により支援してまいりました。今後とも、地方公共団体に対する財政措置を講ずることにより、地方公共団体の取り組みを一層支援してまいりたいと思います。
 次に、国家公安委員長に対するお尋ねでございます。
 目標達成のための財源措置についてでございますが、警察が実施いたします交通安全特定事業につきましては、市町村が作成いたします基本構想により定められる重点整備地区等の決定を踏まえまして具体化してまいる所存でございます。
 警察庁におきましては、平成十二年度において、高齢者、身体障害者の方々の道路の横断の安全を確保するために、信号機の高度化事業のために事業費で約十一億円の予算を認められたところでございます。また、各都道府県公安委員会におきましても、道路標識等の整備、違法駐車行為の防止のための活動に係る予算について所要の措置が講ぜられているものと承知をいたしております。
 今後とも、本法の趣旨にのっとり、高齢者、身体障害者の方々の移動の円滑化に資するため、交通安全特定事業が積極的に推進されるよう警察庁を督励してまいる所存でございます。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中山正暉君登壇、拍手〕
#35
○国務大臣(中山正暉君) 弘友和夫先生に御答弁申し上げたいと思います。
 まず一点が、道路のバリアフリー化の目標及び今後の見通しについてのお尋ねでございましたが、だれもが安全に安心して活動し社会参加ができるよう、生活環境のバリアフリー化の一環として、円滑に移動できる歩行空間の整備を図ることが重要と認識いたしております。
 このため、幅の広い歩道の設置、それから既設歩道の段差、傾斜、勾配の改善等により、バリアフリーの歩行空間のネットワークの形成を二十一世紀初頭までに約一万四千地区において整備を進めることを目標といたしているところでございます。このうち、駅周辺や、それから商店街、病院等が立地している地区など約三千二百地区において、平成十四年度までの新道路整備五カ年計画期間中に整備することといたしております。
 本法案に基づく公共交通機関の旅客施設を中心とする地域のバリアフリーの歩行空間ネットワークの整備についても、こうした取り組みの一環として積極的に推進してまいりたい、かように考えております。
 それから、二点目でございますが、道路のバリアフリー化の目標達成のための費用及び財源措置についてのお尋ねでございます。
 建設省におきましては、バリアフリーの歩行空間の整備をするため、従来より、道路整備特別会計において所要の予算額を確保してきたところでございますが、平成十二年度は約四千億円を確保して、歩行空間のバリアフリー化を推進することといたしております。
 本法案に基づく公共交通機関の旅客施設を中心とした地域におけるバリアフリーの歩行空間ネットワークの整備についても、道路特定財源による必要な予算の確保を図りまして積極的に推進してまいるところでございますが、どうぞ今後ともよろしくお願いを申し上げます。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#36
○副議長(菅野久光君) 宮本岳志君。
   〔宮本岳志君登壇、拍手〕
#37
○宮本岳志君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました高齢者、障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案について質問いたします。
 障害者や社会的弱者の権利の保障一般という意味でも、障害者を初めとする移動制約者の移動手段の保障という意味でも、我が国はまだまだ立ちおくれています。このもとで、おくればせながら交通バリアフリー化を総合的に推進することを目的とする本法案が国会に提出されたことは、障害者団体を初めとする関係者の方々の粘り強い努力が実を結んだものであり、歓迎いたします。
 しかしながら、これまで多くの国民の皆様とともに運動を積み重ねて実現を目指してきた方向から見れば、本法案にはまだまだ不十分な点が残されていると言わざるを得ません。
 そこで我が党は、多くの障害者や高齢者の方々の願いに正面からこたえられる法制度にするために、衆議院で修正案を提出してまいりました。
 以下、その立場で法案の具体的な内容についてお尋ねいたします。
 第一に法案の目的、理念についてです。
 まず法案の根本にかかわることとして、高齢者、障害者等すべての人の移動は基本的人権であることを法律に明記すべきであります。今日、フランスの国内交通基本法には基本的人権としての交通権が明記され、アメリカでは交通上の差別を禁止した一九九〇年アメリカ障害者法が制定されるなど、交通権の考え方は次第に世界の流れになりつつあります。
 ところが、運輸大臣は衆議院で、判例等が明確になっていないし社会的合意が形成されていないなどと、権利として明記することを認めようとしませんでした。しかし、運輸大臣、障害者にとって全面参加と平等の理念を実現するためには移動の権利を保障しなければならないことは明瞭ではありませんか。
 二階運輸大臣は、衆議院の答弁で、知的障害者や精神障害者の方々にとっての交通バリアフリー化は現状では十分とは考えないと明確に述べています。にもかかわらず、障害者一般でなく身体障害者に法律の対象を限定し、その理由は、どのような施設の整備により知的障害者や精神障害者が移動を円滑にできるようになるかが明らかでないからだと説明しています。
 しかし、衆議院の委員会審議でも指摘されたように、知的障害者が多く利用する駅に大きな平仮名の表示をすること、精神障害者や知的障害者の利用に配慮して人員の配置を厚くすることなど、できることは幾らでもあります。それを、必要な措置の全体像がいまだ明らかでないからといって精神障害者、知的障害者を法の対象や理念そのものから外さなければならない理由はないのではありませんか。
 九三年十一月に行われた身体障害者基本法の改正で、参議院厚生委員会は、全会一致で附帯決議を行い、精神障害者のための施策がその他の障害者と均衡を欠くことがないようにすることを求めました。
 すべての障害者の移動への制約をなくしていくことを政府も自治体も事業者もともに努力すべきとして、まず明確に位置づけてこそ、その実践の中で、知的障害者や精神障害者のために必要な措置の全体像も明らかになっていくのではないですか。答弁を求めます。
 第二に、基本方針と基本構想についてであります。
 個々の障害者にとっては移動ができるかできないのかが問題なのであり、新設、既設の区別や乗降客数の多少にかかわらず、すべての施設を対象とするものでなくてはなりません。ところが政府は、優先順位をつけて緊急に進める必要があるということを理由に、重点整備地区を定める理由にしています。私たちも、もちろん全駅を一度にできるなどとは考えておりません。しかし、全体を対象とすることと当面の優先順位をつけて整備に取り組むことと、どこが矛盾するというのですか。政治の責任としてどうあるべきか、明確にお答えいただきたい。
 新設、既設についても、すべてを義務化した上で、すぐには駅舎の改造などが難しい状況があるならば、障害者の代表を含む関係者が協議し、段階的、計画的に整備すればよいと考えます。最初から法律の範囲を狭めてしまうことで、この法律が何を目指すのかの根本を不明確にしているのではありませんか。政府の見解を問うものです。
 第三に、公共交通事業者の責務についてであります。
 大量輸送機関を運営する事業者は、国民の生活に不可欠な輸送手段を担う立場から、運輸大臣の許可による独占的な地位を与えられています。このような立場にある交通事業者が、障害者や高齢者の移動の自由を保障する義務を負うのは当然であると考えます。ところが、これまでもJRなどは、エスカレーター、エレベーターの整備で自治体に五〇%、七〇%もの負担を求めたりする例すらありました。
 政府は、事業者の投資能力の制約を理由にこれを努力義務にとどめる態度をとっていますが、これでは、公共交通機関の事業者の多くがこれまで資金難を理由にバリアフリー化の努力を十分に行ってこなかったことを免罪することになりかねません。
 もちろん、事業者の現実の投資能力に制約があることを否定するものではありません。ですから、そうした実情をも踏まえて、障害者など交通機関の利用者、事業者、地方自治体の三者の話し合いで現実的な整備の計画を立てればよいのではありませんか。そして、その協議を本当に実りあるものにするためにも、内容のない単なる努力義務にとどめず、事業の直接の担い手である交通事業者の責任を明確にしておくことが必要なのではありませんか。答弁を求めます。
 第四に、道路の交通機関であるバス及びタクシーに対する対策についてです。
 駅や空港のバリアフリー化が進んでも、障害者がそこまで行くことが制約されていたのでは何にもなりません。バスやタクシーに対する対策も並行して実を結んでいくようにすることがぜひとも必要であります。
 そこで、伺います。
 運輸省は、一つの考え方として、おおむね十年から十五年で二〇から二五%をノンステップバスにするという数字を挙げています。これが現実になれば大きな前進であることは評価しますが、それでも、バス停で四台待ってやっと車いすで乗れるバスが来るという水準であります。この目標はさらに引き上げるべきだと考えますが、いかがですか。そして、この目標をクリアした後にはさらに一〇〇%を目指していくのかどうか。答弁を求めます。
 本法案には、タクシーへの対策は盛り込まれていません。これは、今回の法案が公共大量輸送機関に着目したものだからタクシーにはなじまない、今後の検討課題だと説明されています。
 運輸省は、タクシーについて、移動制約者の方の輸送にとって重要なものとしています。このように運輸省自身が重要性を認めている以上、いつまでも検討中では済まされません。タクシーのバリアフリー化の枠組みについても早急に検討を行い、必要ならば速やかに法的な措置を講ずるべきですが、この点についての運輸大臣の御決意を伺います。
 第五に、障害者、高齢者など利用者の意見を反映するためのシステムについてです。
 政府が移動円滑化基準を策定するに当たってパブリックコメント手続の実施を明らかにしたことは評価できる点です。しかし、この円滑化基準の策定にとって大切な障害者や高齢者などは、情報弱者となりやすい人々でもあります。したがって、パブリックコメントの実施に当たっては、一通りの手続をもって済ませるのではなく、多くの関係者へのわかりやすい説明と広報の特段の努力及び寄せられた意見に対してどのような検討を行ったのかということまで含めた公表が必要ではありませんか。また、関係者の意見を聞くための常設の機関、協議会や審議会の設置も必要であると考えますが、大臣の所見を求めるものであります。
 以上、五点についてお尋ねいたしました。
 私は、本法の成立を歓迎する多くの障害者や関係団体の方々と思いを同じくすると同時に、指摘したような不十分さがある以上、これをさらによい法制度としていくために引き続き関係者の皆さんと力を合わせて努力する決意を述べて、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#38
○国務大臣(二階俊博君) 宮本議員にお答えを申し上げます。
 まず、移動は権利であるとのお考えを示されました。
 これが基本的権利であることについては、憲法上明示されているものではなく、学説、判例においても確定されたものではないと承知をいたしております。
 また、仮に憲法の理念を踏まえて移動の権利に関する新たな立法措置を講ずるといたしましても、法律として規定するためにはその内容を明確化する必要があると考えます。しかしながら、いかなる交通サービス水準を享受することが権利であるかについて社会的合意は形成されておらず、その内容について明確になっていないことから、これを本法案に規定することは適当ではないのではないかと考えております。
 次に、障害者の移動の権利についての御質問でありますが、障害者基本法第二十二条の二においては、交通施設について障害者の円滑な利用に関する国、地方公共団体の配慮、交通事業者の努力義務が規定されており、権利について規定されているものではないと考えております。したがいまして、この規定の趣旨にかんがみれば、権利についての社会的合意がまだ形成されていないと考えるものであります。
 次に、本法案について障害者一般を対象とすべきとの御質問でありますが、知的障害者や精神障害者の方々にとって交通バリアフリー化の現状は十分ではない、仰せのとおり私はそう考えております。
 しかしながら、バリアフリー施設の整備については、どのような内容がこれらの方々の移動を円滑化する上で効果的なものなのか、あるいは人的介助をもって対応すべきなのか、必ずしも明らかになっておりません。したがって、本法案の対象を高齢者、身体障害者あるいは妊産婦等に規定をしたところであります。知的障害者、精神障害者の方々に対するバリアフリー化の施策につきましては、今後とも幅広い検討を加え、その方策が明らかになった段階でこれを推進していくことにしたいと考えております。
 次に、必要な措置が明らかにならないことが本法案の対象から精神障害者等を外す理由になるのかとのお尋ねがございましたが、御承知のとおり、国連が一九八二年の総会で決議した「障害者に関する世界行動計画」によれば、障害はおのおの異なる方法で克服されなければならないとされております。
 知的障害者や精神障害者の方々については、施設整備によるのか、施設整備以外の手段によるべきなのか。施設整備によるとした場合、何が効果的なのか、現時点では障害を克服する方法が必ずしも明らかでないため、本法案の対象とはしていないところであります。
 次に、すべての障害者の移動の制約をなくすことを明確に位置づけるべきとの御指摘がございました。
 運輸省としましては、さまざまな障害を克服するための具体的方策が明らかになった段階で法律上の措置を講ずることが望ましいと考えております。
 次に、まずすべての旅客施設のバリアフリー化を目標とすべきではないかとの御意見でありますが、本法案においては、新設の旅客施設についてはバリアフリー化基準への適合義務を課し、既存の旅客施設についても努力義務を課すことにより、すべての旅客施設についてバリアフリー化の対象としているところであります。その上で、一定の基準を満たす施設につきましては、市町村の作成する基本構想の対象として優先的に整備をすることを規定しているものであります。
 次に、既設の施設についてもすべてバリアフリー化を義務づけるべきではないかとの御意見がございました。
 すべての旅客施設につきましてバリアフリー化されることは確かに理想的ではありますが、国及び地方公共団体の予算にも、また交通事業者の投資余力にも限りがあります。したがいまして、現段階においてすべての施設についてバリアフリー化を強制することを前提とした法制度を構築することは困難であると考えております。
 次に、バリアフリー化の対象を狭めているとの御意見がございました。
 本法案については、バリアフリー化の基準を設け、新設の施設については基準に適合する義務、既存の施設については基準にできるだけ近づけるような努力義務を課しているものであります。したがいまして、対象範囲を狭めているという御指摘は当たらないものと考えております。
 次に、既設の旅客施設に対するバリアフリー化の努力義務化は、これまでの交通事業者の努力不足を免罪することになるとの御指摘でありましたが、交通事業者はこれまでもバリアフリー化に取り組んできたところであり、必ずしも努力不足とは考えておりません。
 バリアフリー関係の施設整備の進捗状況は十分でなかったことは事実でありますが、これは助成制度が確立していなかったことも一因であると考えております。
 したがいまして、平成十一年度以降の新しい補助制度の導入後は、交通事業者は積極的に施設整備を進めており、この実績によれば十分努力しているものと評価をいたしております。
 次に、関係者の話し合いで現実的な整備計画を立てるべきだとのお尋ねがございました。
 本法案では、既存の旅客施設であっても、市町村が、関係交通事業者等の関係者と合意の上、地域のバリアフリー化の基本構想を作成した場合は、それに即して交通事業者はバリアフリー化事業を実施しなければならないこととなっております。
 このように、本法案では既設の旅客施設のバリアフリー化の実効性を確保するための仕組みを設けているところであります。
 次に、交通事業者の責任の明確化の必要性についてお尋ねがありました。
 本法案では、交通事業者に対し、交通施設を新たに整備、導入する場合はバリアフリー化を義務づけるとともに、既存の交通施設については努力義務を課し、交通事業者の責務を明確化しているところであります。
 次に、ノンステップバスの導入目標についてのお尋ねでありますが、ノンステップバスについては、まだ通常のバスより価格が高いことから、当面は、おおむね十年から十五年で全乗り合いバス車両の二〇%から二五%に相当する導入を目指すこととしているわけでありますが、将来的には価格の低減を図り、可能な限り導入割合をふやしてまいりたいと考えております。
 次に、タクシーのバリアフリー化の枠組みについてのお尋ねがございました。
 タクシーのような個別のニーズに対応する輸送機関については、バリアフリー化の内容についてもさまざまな御希望があることから、一律に基準を定め、法律により義務づけることは困難でありますが、最近盛んになってまいりました福祉タクシー等の導入を初め、その活用については積極的に推進してまいりたいと考えております。
 次に、パブリックコメントの実施についてのお尋ねがございました。
 パブリックコメントに関する閣議決定においては、その公表方法として、ホームページへの掲載、窓口での配布、プレスへの広報等を活用することとされております。さらに、提出された意見・情報の処理方法としては、これに対する行政機関の考え方を取りまとめ、公表することとされています。
 このように、パブリックコメント手続を実施する場合には、この閣議決定に基づき適切に対処してまいりたいと考えております。
 高齢者、身体障害者等の意見を聞くための協議会や審議会の設置についてでありますが、基本構想、バリアフリー基準、基本構想、公共交通特定事業計画といった各段階において、関係者の御意見を聞く方法といたしましては、一、協議会等を設ける、二、パブリックコメント手続による、三、計画等の作成主体が個別に関係者と意見を交換する等、種々の方法があると考えます。どの方法をとるかは、それぞれの段階で市町村及び事業者等の関係者が事情に応じて決めるべきものであると考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#39
○副議長(菅野久光君) 清水澄子君。
   〔清水澄子君登壇、拍手〕
#40
○清水澄子君 私は、社会民主党・護憲連合を代表して、ただいま議題となりました高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案につきまして、運輸大臣並びに関係大臣に質問いたします。
 完全参加と平等を掲げた一九八一年の国際障害者年以来二十年、そして障害を持つ方々の誰もが使える交通機関を求める全国大行動が始まってから十年が過ぎ、さまざまな運動の皆さんの御努力の積み重ねに心から敬意を表したいと思います。
 社会民主党も、モビリティーハンディキャップの解消に向けた取り組み、当事者参加の政策づくりとして障害当事者の議員連絡会を発足し、運輸省に移動制約者の交通条件改善に向けた要請行動を続け、党を挙げて積極的に移動制約者の解消に取り組んでまいりました。政府もようやくここまで来たのかという思いがいたします。
 さて、法案を見ますと、その対象が高齢者と身体障害者のみに偏っております。視覚・聴覚障害者はもとより、知的障害者や精神障害者など、移動制約を受けているあらゆる人々を対象とすべきではないでしょうか。
 また、法案の目的は、「移動の利便性及び安全性の向上の促進」にとどまっており、移動の権利や交通権を直接保障したものとはなっておりません。私は、だれもがいつでもどこへでも、安全、自由、平等、快適に移動できる権利、新しい人権としての交通権の発想に立つべきではないかと考えます。交通権についての運輸大臣の御見解を伺います。
 次に、法案では、新設や大規模改造の施設、車両のみに義務づけとなっており、既存の駅のバリアフリー化は努力目標にとどまっております。これでは移動を制約されている人々の権利の確保は困難であります。したがって、市町村の基本構想の策定に当たっては、既存の施設、車両についての公共交通事業者の努力義務についてしっかりと話し合い、数値目標等の改善計画を策定するなど積極的な努力が必要だと考えます。
 また、自宅と整備された駅や施設をコミュニティーバスや介護タクシーで結ぶとか、パーク・アンド・ライドを活用するなどのさまざまな工夫を凝らしていく必要があると考えます。運輸大臣の御所見はいかがでございましょうか。
 また、駅周辺だけでなく、駅やバス停までの歩道の整備や歩行の安全の確保に建設省は積極的に取り組むべきと考えますが、建設大臣のお考えを伺います。
 続いて、肝心の当事者である高齢者や障害者の参画についてお尋ねいたします。
 点字のわからない人が設置したために、せっかく置かれた点字の案内盤の上下が逆になっていたり、駅のエレベーターが不便なところに設置されていたり、駅員を呼ばないと使えなかったりという声が聞こえてきます。これについての運輸大臣の御見解を伺います。
 また、市町村が移動円滑化基本構想をつくる際、なぜ利用者である障害当事者や高齢者の参画を法案に盛り込まなかったのでしょうか。
 私は、法はできても魂が入らないバリアフリーにならないためにも、また地方分権の趣旨からも、各市町村が独自に当事者の声を反映させる仕組みや当事者によるチェック機関を設けることは可能であると考えますが、自治大臣の御見解を伺います。
 私は、アクセス可能な公共交通機関を整備することによって、高齢者、障害者の自由な移動が可能になり、社会全体の便益が増すものと考えます。また、ノンステップバスや車いす利用者に対応するタクシー車両の開発普及の促進を強力に支援することによって、コストも下がり、事業者の導入意欲も増すと思います。バリアフリー化をコスト増ととらえるのではなく、バリアフリー化を経済活性化の起爆剤と位置づけるべきではないでしょうか。運輸大臣のお考えをお聞かせください。
 さらには、都市部だけでなく、車いすや電動三輪車がスムーズに乗り込むことができるノンステップ気動車の推進によって、高齢者や障害者の観光や買い物ニーズをふやすことを通じて、ローカル線活性化対策にもつながるのではないでしょうか。
 イギリスで生まれたクロス・セクター・ベネフィット、つまり複数セクター間の財源の効率運用が可能になるという考え方を学び、行政費用の節約のためにも、公共交通予算、バリアフリー予算の抜本的拡充に取り組んではいかがでしょうか。運輸大臣の御決意を伺いたいと思います。
 イギリスでは、自治体が予算を出し、障害者、高齢者を対象として運賃の割引を行う特別割引運賃制度、コンセッションがあります。私は、シルバーパスの充実や障害者割引に対する公費負担制度の創設など、ソフト面で生活交通をだれもが利用しやすくすべきであると考えますが、運輸大臣の御決意をお伺いいたします。
 また、国際化社会と言われて久しい今日、英語表記や知的障害者や高齢者のために絵文字表記を進めるべきではないでしょうか。全国老人クラブ連合会の調査でも、鉄道を利用する人の八割が駅の乗車券の券売機を不自由に感じております。利用者の利便性を高めるためにも、職員の配置の充実を進めるべきです。視覚障害者の三分の二はホームから転落した経験を持つと言われております。視覚障害者を初め、高齢者や幼児のプラットホームからの転落事故を防ぐためにも、ホームドア、ホームさくの設置を進めていくことが必要であります。車両とホームの段差の解消、あるいは鉄道とバスの異なる事業者間の乗りかえの円滑化も進めていかなければなりません。これらの課題についての運輸大臣の御所見をお尋ねいたします。
 最後に、お年寄りや障害者に優しい公共交通はすべての人々に優しい交通機関であります。豊かな交通とは、単に物理的な移動手段が快適になるだけでなく、すべての人が社会の活動に十分参加する機会を保障する、いわゆる基本的人権の保障の問題であります。今回の法案を第一歩として、さらに未来につなげていかなければなりません。公共交通のバリアフリー化についての期間と効果をどのように展望されておられるのかを運輸大臣にお伺いをして、私の質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#41
○国務大臣(二階俊博君) 清水議員にお答え申し上げます。
 視覚・聴覚障害者や知的・精神障害者も含め、あらゆる人々を対象とすべきではないかとのお尋ねでございました。
 本法案の直接の対象は、「日常生活又は社会生活に身体の機能上の制限を受ける者」としており、具体的には、高齢者や車いす使用者、視覚障害者、聴覚障害者等の身体障害者のほか、妊産婦やけが人などを想定しているものであります。知的障害者や精神障害者の方々につきましては、本法案により推進しようとしている施設整備について、これらの皆さんが円滑に移動するためには何が効果的か現時点では必ずしも明らかになっておりません。したがって、本法案の対象とはなっていないものであります。
 新しい人権としての交通権を直接保障すべきだとのお尋ねでございますが、交通権といった権利については、憲法上明示されているものではなく、学説、判例におきましても確定されたものではないと承知をいたしております。仮に交通権に関する新たな立法措置を講ずるとしましても、その内容を明確化する必要があると考えます。
 しかしながら、いかなる交通サービス水準の提供を受けることが交通権であるかについて社会的合意は形成されておらず、その内容について明確になっていないことから、交通権を本法案に規定することは適当ではないと考えております。
 既存の施設の整備について積極的な努力が必要ではないかとの御意見でございました。
 すべての既存施設について整備を行うことが望ましいのは当然のことであります。しかし、国及び地方公共団体の予算、交通事業者の投資余力にはおのずから限りがあることでありますから、すべての既存施設についてその整備を義務化することは困難であると考えております。
 したがいまして、既存の旅客施設のバリアフリー化について努力義務としております。しかしながら、既存の旅客施設であっても、地域のバリアフリー化に関する基本構想を関係者が合意した場合は、それに即して交通事業者はバリアフリー化事業を実施しなければならないことといたしております。
 次に、自宅と駅や施設を結ぶための交通手段の整備についてのお尋ねでありますが、本法案に基づき市町村が策定する基本構想等により、低床バスの導入やパーク・アンド・ライドに必要な施設の整備を進めるとともに、福祉タクシー等の活用についても今後積極的に推進していく所存であります。
 市町村の基本構想作成に当たっては、当事者参画についてでありますが、基本構想については、作成主体である市町村が、住民の福祉を実現する主体として、当然、高齢者、身体障害者等の意見を十分聴取するものと考えております。したがいまして、法律上にはあえて規定していないところであります。必要があれば、高齢者、身体障害者等の意見を把握する仕組みを設けるように、国が定める基本方針の中で基本構想の指針として記載することを考えております。
 バリアフリー化は経済活性化の起爆剤ではないかとの御意見でありますが、従来、バリアフリー化施設整備に関する投資に関して、それに見合う需要増をもたらすものではないと考えるのが主流であったと考えております。しかしながら、経済企画庁とバリアフリー化の効果について研究したところ、次のような経済的な効果が考えられます。
 一つ、高齢者、身体障害者等による移動の活発化に伴う消費支出の増加であります。また、高齢者、身体障害者等による旅行等の観光活動の増加であります。さらに、高齢者、身体障害者等の就業機会の拡大であります。
 このように、バリアフリー化は、経済活性化の起爆剤か否かは別といたしまして、かなりの経済効果があるものと考えております。
 また、高齢者、身体障害者等の方々の行動範囲の拡大は、その他の需要を喚起することにもつながることが考えられます。御指摘のとおり、バリアフリー化の推進がローカル線の活性化につながる可能性はあるものと考えております。
 次に、公共交通予算、バリアフリー予算の抜本的拡充に取り組むべきだという御意見でございます。
 公共交通機関のバリアフリー化の効果は、間接的な効果も含めれば広範囲に及ぶものであり、その社会的便益は極めて大きいものと考えております。このため、十二年度当初予算においては、十一年度当初予算の約二十億円に比べ大幅な増額となる約百億円の補助金を計上し、補助制度の内容も手厚いものとしております。引き続き、交通のバリアフリー化の推進や公共交通予算の確保に積極的に努めてまいる決意であります。
 次に、公費負担制度の創設など運賃等の施策についてでありますが、現在の高齢者、身体障害者等に対する運賃割引は、交通事業者の自主的な判断に基づき、基本的には一般的な割引による減収を他の利用者の負担によって賄うことにより実施されているものであります。
 御指摘の英国のように、我が国においても地方公共団体によっては運賃割引に対し公費負担しているケースがあることは承知をいたしておりますが、現在の厳しい財政状況のもとではこのような公費負担の制度を新たに設けることは極めて困難なものと考えております。
 次に、英語表記や絵文字による表記についてでありますが、絵文字は、外国人を初め、高齢者、身体障害者、障害を持たない方々にとっても、その表現内容を一見して理解できる意味で英語表記よりもすぐれた情報伝達手段であります。さらに、知的障害者にとっても有効な場合があるとの意見もあります。
 この絵文字は、各交通事業者がばらばらに整備を進めており、利用者にとってややわかりづらいという問題があります。このため、運輸省では、その標準化を図るべく、昨年四月、検討委員会を設置し勉強を進めておるところでありますが、今後、絵文字の整備を推進してまいる考えであります。
 次に、駅職員の配置を充実すべきだとのお尋ねであります。
 駅員等の職員が高齢者等のニーズを理解し、的確な援助をするといったソフト面の対応は極めて重要であります。本法案におきましても、鉄道事業者に対し職員の教育訓練を実施するようにと定めているところであります。また、去る三月三十日、運輸省におきまして、緊急鉄道・軌道主任技術者会議におきましても、鉄道事業者に対しその旨指導をしたところであります。
 駅職員の配置の充実につきましては、基本的には鉄道事業者が適切な対応をすべきものとは思いますが、運輸省としても、鉄道事業者による個々の対応を補完する意味で、広報等を通じ、広く国民の皆さんの理解を深め、利用者全体の協力を呼びかけることにより、駅構内における人的なサポートの強化等に努めてまいる所存であります。
 次に、転落防止対策としてのホームドア、ホームさくの設置についての御意見であります。
 いわゆる固定式ホームさくにつきましては、一定の転落防止効果は期待できるものでありますが、列車発車時の車掌による安全確認への影響などの課題が指摘されております。可動式ホームさくやホームドアは、新交通システムや地下鉄の一部で採用された例がありますが、扉の開閉に一定の時間を要するため、通勤客の多い混雑した路線には不適切であるとの課題があります。
 いずれにしましても、今後、これらの転落防止策につきましては、駅の構造、路線の利用状況等を個別に勘案して検討していくべき課題だと認識をいたしております。
 次に、鉄道における車両とホームの段差の解消についてでありますが、現在、鉄道事業者においては、たわみ量の少ない空気ばねを使用して、床面をホームの高さに近づけた車両の導入に努めているところでありますが、駅ホームにおける車両との段差解消のためのスロープの設置等の試みも始められております。
 運輸省としましては、こうした動向を踏まえ、少しでも段差を小さくできるように適切に対応してまいりたいと考えております。
 次に、鉄道とバスの異なる事業者間の乗りかえの円滑化についてお尋ねがありました。
 鉄道とバスの乗りかえについても、移動の円滑化を図ることが重要であると考えております。
 本法案におきましては、地域の実情に最も詳しい市町村が、鉄道とバスとの乗りかえ部分も含め、鉄道駅、その周辺道路等の一体的施設整備を推進するための基本構想を作成することができることとしております。基本構想が関係者の合意を得て作成された場合には、当然、交通事業者、道路管理者及び都道府県公安委員会は、この構想に即してバリアフリー事業を実施しなければならないことになっております。
 最後に、バリアフリー化の目標についてでありますが、現時点で確定したことは申し上げる段階ではありませんが、旅客施設については、例えば二〇一〇年までに、一日当たりの乗降客数が五千人以上である旅客施設や、周辺に病院や福祉施設などの高齢者、身体障害者等の利用が多い施設がある旅客施設についてはバリアフリー化を実現することを目標と考えております。また、バス車両につきましてはおおむね十年から十五年で低床化されたバスに代替できると考えております。
 これらにより、二十一世紀初頭までに陸上交通の重要な部分のバリアフリー化が実現できるものと考えております。(拍手)
   〔国務大臣中山正暉君登壇、拍手〕
#42
○国務大臣(中山正暉君) 清水澄子議員にお答えを申し上げます。
 駅周辺だけでなく、その他の歩道の整備や歩行の安全の確保に建設省は積極的に取り組むべきであるとのお尋ねでございましたが、だれもが安全に安心して活動し、社会参加ができるよう、生活環境のバリアフリー化の一環として、円滑に移動できる歩行空間の整備を図ることが重要と認識をいたしております。
 このため、建設省では、昨年九月、歩道における平たん部の連続的な確保、急勾配の緩和などを目的とした新しい歩道の構造基準を策定し、これに基づき、道路の新設、改築において、だれもが安全かつ円滑に通行できるバリアフリーな構造による歩道等の整備を推進しているところでございます。
 また、駅周辺だけでなく、商店街の地域、公共施設等が多く立地している地域などの道路について、幅の広い歩道の設置、既設歩道の段差、傾斜、勾配の改善等を行うことにより、バリアフリーの歩行空間のネットワークの形成を推進しているところであります。
 今後こうした取り組みを積極的に進めてまいる所存でございますので、よろしくお願いをいたします。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣保利耕輔君登壇、拍手〕
#43
○国務大臣(保利耕輔君) 清水議員にお答えを申し上げます。
 市町村におきます当事者の声を反映させる仕組みについてのお尋ねでございますが、バリアフリー化に関しましては、かねてから地方公共団体が積極的に推進をしてきたところでございまして、具体的な取り組みに当たっては、これまでも高齢者、身体障害者の方々の御意見を反映しながら進められてきたところでございます。
 今回の法案に基づく基本構想の作成に当たりましても、これらの方々の声を反映させる仕組みを設けることは可能でございまして、かつまた、そのような手順を踏んで実施されるものと考えております。
 以上でございます。(拍手)
    ─────────────
#44
○副議長(菅野久光君) 堂本暁子君。
   〔堂本暁子君登壇、拍手〕
#45
○堂本暁子君 私は、参議院クラブを代表して、ただいま議題となりました高齢者、身体障害者等の公共交通機関を利用した移動の円滑化の促進に関する法律案、いわゆるバリアフリー法について質問いたします。
 小渕前総理は、ことしの施政方針演説で、「あすの日本は、個人が組織や集団の中に埋没する社会ではなく、個人が輝き、個人の力がみなぎってくるような社会でなければなりません。」と述べられました。つまり、高齢者も子供たちも、障害者も病人も、男も女も、外国人も、日本に暮らすすべての人々が個性を発揮できる生き方、つまりバリアフリー社会を奨励されたのだと私は受けとめております。
 それは、個人が豊かさとゆとりを実感できるような国づくりを目指すことでもありましょう。こうした認識に立ってきょうは質問させていただきます。
 まず、建設大臣に伺います。
 日常生活の中でだれにとっても最も身近なのは道路です。しかし、今までの道路行政は明らかに車優先、車がいかに速く走れるかという視点で建設されてきました。高齢者や障害者、妊産婦や子供など、だれもが不便をしない、生活者優先の道路づくりへの抜本的な転換を図るべきではないかと考えます。
 私の祖母は九十歳で家の前でトラックにはねられ、背骨を折りました。それでも気丈に九十七歳まで生きたのですが、つくづく高齢者が安心して歩けるところがないと実感いたしました。祖母は別に車いすに乗っていたわけではありません。自由に歩けたのですが、若者ほど機敏にトラックを避けることができなかったのです。
 年をとるとだれでも多かれ少なかれ身体機能の制限を受けます。したがって、特に障害者や高齢者という以上に、すべての人にとって安全な道路政策、生活者の視点からの道路政策への転換が求められていると考えます。
 大臣の所見を伺いたいと思います。
 次に、アメリカやドイツに行くと、高速道路や幹線道路の横に自転車道路があり、さらにその横に歩行者道路があります。そこをジョギングする人がいたりベビーカーを押して歩く若いカップルがいて、いつもとてもうらやましいと思っています。横断歩道などで段差をなくして、車いすやベビーカーがスムーズに移動できるようにもなっています。道路のバリアフリー化を早急に進めていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
 次に、運輸大臣に伺います。
 私は二年ほど前に足を痛めました。車いすに乗ったり松葉づえをついたので、障害者の方たちの不便を身をもって半年間経験いたしました。
 大臣は、東京駅から新幹線に乗るのに、車いすだと前日に予約しなければならないことを御存じでしょうか。そして、ごみを運んだりしている地下室を通るわけなんですが、駅員さんが大変丁寧に手伝ってはくださいます。しかし、その後は、今度はかぎのかかっている業務用のエレベーターのかぎをあけて乗せてもらって、やっと新幹線のホームに出るわけです。東京駅は古い建物で仕方がないところもあるのですけれども、常日ごろは全く通ることのないルートです。私のように一時的に車いすに乗っている者はともかくとして、日々車いすで生活している方々はいかばかり不便なことかと思わざるを得ませんでした。
 もう一つ私が経験したことですが、高齢者や足の悪い人は下りの方がつらいのです。しかし、上るエスカレーターはあっても下るエスカレーターのない駅が何と多いことでしょう。このように、経験してみないとわからないことが多々ありました。こうした具体的な不便を行政の設計者やあるいは駅員さんがどれだけ知っているかということです。
 重要なのは、市町村の担当者や駅の職員などが、それぞれの地域に住む障害者や高齢者、そういった方たちに具体的に不便をどういうところで感じているかについて十分に聞くことではないでしょうか。どこに手すりをつけてほしいのか、いつもどこを危ないと感じているかということを聞くことです。そしてさらに、車いすや高齢者の身体機能の疑似体験を義務づけるぐらいのことをしたらどうでしょうか。そのぐらいの徹底した取り組みをしていただきたいと思います。
 大臣はどのようにお考えでしょうか。今後の方針を伺いたいと存じます。
 次に、再度、建設大臣に伺いますが、新しくつくる駅あるいは既にある古い駅、そして住宅を問わず、どうも日本のデザイナーは階段や段差が好きなようです。私の友達は車いすに乗っているのですが、住むマンションを探すのに大変な思いをいたしました。段差のないマンションというのがほとんど見つからないというほど段差が多いということを発見した次第です。
 二十一世紀の建設のありようは、あるいは建築のありようは、バリアフリーを超えてユニバーサルデザインが主流になると言われています。ユニバーサルデザインとは、だれでも公平に使え、しかも自由度が高く、そして必要な情報がわかりやすい形で表示されて、だれにとっても使いやすいデザインのことです。
 平均寿命が八十歳を超えた時代には、まさにこのようなユニバーサルデザインの視点での町づくり、国づくりが行われるべきでありましょう。今後どのような規制、誘導策を講じる計画がおありになるのか、具体的な取り組みを建設大臣に伺いとう存じます。
 最後に、文部大臣に伺います。
 ところで、今回の法案は、駅や道路、車両などハード面のバリアフリー化が主な内容です。しかし、ハードの改善のみに頼っていては不十分だと私は思っております。古い建物の改築は、恐らく十年たっても全部終わることはないでありましょう。そうした中で、障害者や高齢者などが本当の意味で自由に移動できるようにするためには、この国に住むすべての人々の心のバリアフリー化が必要です。つまり、障害者や高齢者や外国人などを差別しない社会です。
 アメリカやヨーロッパはもちろん、アジアの国々においても、困っている人に駆けつけて助ける姿をよく見ます。しかし、悲しく、そして残念なことですが、日本では無視あるいは無関心を装って、助ける人が少ないのが現実です。
 そこで、文部大臣に伺います。
 小中高の学校、幼稚園や大学教育あるいは地域、家庭それぞれの場で、生まれたときから生涯にわたって相手の立場に立って思いやるということ、つまり心のバリアフリー教育を行うことが大事だと思います。森総理も、四月七日の施政方針演説で、思いやりの心を育てることの重要性を指摘されております。
 この法案に文部省が共管していないのは大変残念ですが、共管四省庁と密接に連携協力して、この法案の理念を実現し、実効あらしめるために文部省としても鋭意努力していただきたいと考えております。大臣の御所見を伺いたいと存じます。
 十年近く前になりますが、ノルウェーのオスロの町でだれでもが参加するマラソンにちょうど出会いました。車いすに乗った障害者、ベビーカーを押す若いカップル、お年寄りが、健康な若者が、そして子供たちがみんな一緒に走っていました。オスロの町のありよう、ハードとソフトの両面のバリアフリー社会を象徴するような光景でした。私は、同じような光景が日本の至るところで見られる日が一日も早く来たらいいなとそのときに思ったのを思い出しております。
 これで質問を終わらせていただきます。(拍手)
   〔国務大臣二階俊博君登壇、拍手〕
#46
○国務大臣(二階俊博君) 堂本議員にお答え申し上げます。
 ただいま御経験に基づいた重要な視点からの御指摘がございましたが、交通のバリアフリー化を推進するためには、高齢者、身体障害者等の方々の視点に立った心の通うサービスを提供することを常に私どもは心がけてまいらなくてはならないと考えております。
 このため、本法案では、交通事業者がその職員に対しバリアフリー化のために必要な教育訓練を行うことの規定を設けております。したがいまして、その規定に基づき、交通事業者が職員に対し教育訓練を行う際には、このような点に十分配慮するよう指導してまいりたいと考えております。
 また、職員に対する疑似体験ということでございましたが、貴重な御提言として受けとめ、交通事業者に検討するよう促してまいりたいと考えております。
 なお、市町村の担当者につきましては、地方分権の観点から、国が指導することは適当ではないと考えておりますが、地域に密着した行政を実施する立場から、当然、高齢者、身体障害者等の意見を十分お伺いすることを計画を策定する場合に期待しているわけでありますが、この点につきましても十分配慮をしてまいりたいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
   〔国務大臣中山正暉君登壇、拍手〕
#47
○国務大臣(中山正暉君) 堂本暁子議員にお答えを申し上げます。
 三点御質問ございました。
 車優先の道路づくりから生活者優先の道路づくりへの転換ということでございましたが、これまでも、国土構造の骨格をなす高規格幹線道路から日常生活の基盤としての市町村道に至るまで鋭意整備を進めてきたところでございますが、今後、高齢者、障害者を初め、だれもが安心して社会参加ができまして、そしてまた安全で快適に暮らせる生活環境を確保するため、幅の広い歩道の整備やそれから電線類の地中化による歩行空間の確保など、日常生活を支える道路整備を一層重点に置いて取り組んでまいりたい、かように思っております。
 それから二番目は、道路のバリアフリー化についてのお尋ねでございますが、だれもが安全に安心して活動し、社会参加できるよう、生活環境のバリアフリー化の一環として、円滑に移動できる歩行空間の整備を図ること、そのために、今申し上げました幅の広い歩道の設置、既設歩道の段差、傾斜、勾配、そういうものを改善いたしまして、バリアフリーの歩行空間のネットワークの形成を二十一世紀の初頭までに一万四千地区整備し、そしてまた駅周辺や商店街、病院等が立地しております地区など三千二百カ所において、平成十四年度までに、新道路整備五カ年計画期間中に整備することといたしております。
 今後ともこうした取り組みを積極的に進めてまいりたいと思います。
 三点目は、先ほども御答弁申しましたが、ユニバーサルデザインの視点から町づくりを行うための規格、規制それから誘導策についてのお尋ねでございますが、町づくりの推進に当たりましては、高齢者、身体障害者を含むすべての人が安心して生き生きと暮らすことのできる生活空間の実現が重要な課題であると考えておりまして、このため、建設省におきましては、道路、駅前広場等の歩行空間のバリアフリー化の、高齢者、身体障害者等も利用しやすい公園の整備などを積極的に推進しているところでございます。
 また、不特定多数の人が利用する民間建築物についても、ハートビル法に基づく補助、融資それから税制等を活用して、高齢者や身体障害者等の人々も円滑に利用できるような質の向上を図るとともに、住宅につきましてもバリアフリー化を促進しているところでございます。
 今後とも、ユニバーサルデザインの視点も踏まえつつ、本法案に基づく旅客施設及び周辺のエリアの一体的なバリアフリー化を含め、だれもが安全で快適に暮らすことのできるような日本の基盤、生活空間のバリアフリー化を総合的に推進してまいりたい、かように考えております。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣中曽根弘文君登壇、拍手〕
#48
○国務大臣(中曽根弘文君) 堂本議員にお答えをいたします。
 高齢者や障害者に対する思いやりの心の教育、心のバリアフリー教育についてのお尋ねでございますけれども、社会の高齢化やバリアフリー化が進み、高齢者や障害者の活動の範囲が拡大している中で、福祉についての正しい理解を深め、思いやりの心を育てることは極めて重要でございます。
 このため、学校教育におきましては、社会科や家庭科などの教科や道徳、特別活動において、福祉の重要性について理解させるとともに、思いやりの心を育てることとしております。
 平成十四年度から実施される新しい学習指導要領におきましては、実際に高齢者や障害のある人と交流し触れ合う体験的活動やボランティア活動の充実を図るとともに、新たに創設した総合的な学習の時間においても、体験的な活動を通して福祉に関する学習を深めるようにしているところであります。また、大学におきましても、ボランティア活動や介護・福祉体験活動を取り入れた授業科目が開設されているところであります。
 さらに、他人に対する思いやりや社会的マナーなどの基礎を育成していく上で、家庭の果たす役割は極めて重要でございます。このため、乳幼児や小中学生を持つ親に配付している家庭教育手帳等におきましても、思いやりを育てることの重要性について呼びかけているところでございます。
 今後とも高齢者や障害者に対する思いやりの心を育てる教育の充実に努めてまいります。(拍手)
#49
○副議長(菅野久光君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#50
○副議長(菅野久光君) 日程第一 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。災害対策特別委員長但馬久美君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔但馬久美君登壇、拍手〕
#51
○但馬久美君 ただいま議題となりました法律案につきまして、災害対策特別委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、土砂災害から国民の生命及び身体を保護するため、土砂災害が発生するおそれがある土地の区域を明らかにし、当該区域における警戒避難体制の整備を図るとともに、著しい土砂災害が発生するおそれがある土地の区域において一定の開発行為を制限する等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、土砂災害の現状と新法制定の必要性、土砂災害防止対策に必要な基礎調査の促進方策、警戒区域指定の効果と影響、災害弱者関連施設の安全対策等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#52
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#53
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#54
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#55
○副議長(菅野久光君) 日程第二 技術士法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教・科学委員長佐藤泰三君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔佐藤泰三君登壇、拍手〕
#56
○佐藤泰三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教・科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、技術士の制度についての国際的な整合性の確保を図るため、技術士と同等以上の外国の資格を有する者についての技術士の資格に関する特例を設けるとともに、良質な技術士の一層の育成を図るため、第二次試験の受験資格の改善を図るほか、技術士等が技術に携わる者として果たすべき責務を定める等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、外国との技術者資格の相互承認の必要性、技術士活用のための方策、技術士等の職業倫理及び継続教育の重要性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#57
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#58
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#59
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#60
○副議長(菅野久光君) 日程第三 食品流通構造改善促進法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長若林正俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔若林正俊君登壇、拍手〕
#61
○若林正俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、最近における食品の流通をめぐる諸情勢の変化にかんがみ、食品産業と農林漁業との連携の強化、卸売市場の活性化及び食品産業の技術開発力の強化を図るため、食品流通に関する構造改善事業の範囲を拡充し、新たな事業を追加するとともに、これらの事業を円滑に実施するため、農林漁業金融公庫からの資金の貸し付けその他の支援措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、構造改善事業の実施状況と評価、新たに追加・拡充される事業に対する需要の見込み、食料自給率向上に向けての食品産業と農林漁業との連携の強化、食品取引の情報化への対応と卸売市場の活性化、食品産業分野の研究開発の促進等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#62
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#63
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#64
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#65
○副議長(菅野久光君) 日程第四 運輸施設整備事業団法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。交通・情報通信委員長齋藤勁君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔齋藤勁君登壇、拍手〕
#66
○齋藤勁君 ただいま議題となりました法律案につきまして、交通・情報通信委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、特殊法人等の整理合理化を推進するため、造船業基盤整備事業協会を解散し、その業務の一部を運輸施設整備事業団に移管させるとともに、高度船舶技術を用いた船舶等の実用化を図るため、当該船舶等の製造に必要な資金の借り入れに対する債務保証業務を同事業団に新たに実施させる等の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、運輸技術開発の活性化と実用化方策、運輸施設整備事業団の業務増加と特殊法人のスリム化、運輸施設整備事業団への統合に伴う造船業基盤整備事業協会職員の雇用確保、テクノスーパーライナーによる新サービスの創造と雇用創出、テクノスーパーライナーの建造・運航への中小事業者の参加可能性等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、討論に入りましたところ、日本共産党宮本委員より本法律案に反対の意見が述べられ、採決の結果、本法律案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#67
○副議長(菅野久光君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#68
○副議長(菅野久光君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#69
○副議長(菅野久光君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成             二百七  
  反対             二十一  
 よって、本案は可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#70
○副議長(菅野久光君) 本日はこれにて散会いたします。
   午後一時三十六分散会
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ソース: 国立国会図書館
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