くにさくロゴ
2000/04/21 第147回国会 参議院 参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第19号
姉妹サイト
 
2000/04/21 第147回国会 参議院

参議院会議録情報 第147回国会 本会議 第19号

#1
第147回国会 本会議 第19号
平成十二年四月二十一日(金曜日)
   午前十時一分開議
    ━━━━━━━━━━━━━
#2
○議事日程 第十九号
  平成十二年四月二十一日
   午前十時開議
 第一 社会保障に関する日本国とグレート・ブ
  リテン及び北部アイルランド連合王国との間
  の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例
  等に関する法律案(内閣提出)
 第二 教育公務員特例法等の一部を改正する法
  律案(内閣提出、衆議院送付)
 第三 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提
  出)
 第四 河川法の一部を改正する法律案(内閣提
  出、衆議院送付)
 第五 民事法律扶助法案(内閣提出、衆議院送
  付)
    ━━━━━━━━━━━━━
○本日の会議に付した案件
 一、新議員の紹介
 一、請暇の件
 一、預金保険法等の一部を改正する法律案及び
  保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等
  に関する法律の一部を改正する法律案(趣旨
  説明)
 以下 議事日程のとおり
     ─────・─────
#3
○議長(斎藤十朗君) これより会議を開きます。
 この際、新たに議席に着かれました議員を御紹介いたします。
 議席第百五十九番、選挙区選出議員、熊本県選出、魚住汎英君。
   〔魚住汎英君起立、拍手〕
#4
○議長(斎藤十朗君) 議長は、本院規則第三十条の規定により、魚住汎英君を労働・社会政策委員に指名いたします。
     ─────・─────
#5
○議長(斎藤十朗君) この際、お諮りいたします。
 有馬朗人君から海外渡航のため来る二十四日から八日間の請暇の申し出がございました。
 これを許可することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。
 よって、許可することに決しました。
     ─────・─────
#7
○議長(斎藤十朗君) この際、日程に追加して、
 預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について、提出者の趣旨説明を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#8
○議長(斎藤十朗君) 御異議ないと認めます。宮澤大蔵大臣。
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#9
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま議題となりました預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 この二つの法案は、金融システムの一層の安定化と利用者の保護を図るため、国民の基本的な貯蓄であり生活保障の手段でもある預金及び保険について、ともに、破綻処理制度の拡充、セーフティーネットの財源の充実及び経営基盤の強化手段の整備を行うものであります。
 まず、預金保険法等の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の金融システムは、預金保険法、金融機能再生法及び金融機能早期健全化法の枠組みを用いて官民一体となって不良債権の処理や金融機関の再編、整理等に集中的に取り組んだ結果、安定化してきております。
 このような状況のもと、金融機関の破綻処理のための恒久的な制度を整備するとともに、交付国債の増額及び預金等全額保護の特例措置の一年延長等を行うことに加え、当該特例措置終了に向けての環境整備の一環として協同組織金融機関の経営基盤の強化のための措置をあわせて講ずることにより、我が国の金融の機能の一層の安定化及び破綻金融機関の的確な処理を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、平成十三年四月以降の金融機関の破綻処理制度として、破綻処理の迅速化、多様化を図るため、破綻金融機関に係る合併等に対する資金援助の適用範囲を拡大するとともに、破綻金融機関に対する金融整理管財人による管理、破綻金融機関の業務承継、金融危機に対応するための措置等の制度を設けることとしております。また、金融機関について民事再生手続の特例等を設けることとしております。
 第二に、預金保険機構に交付する国債を、既に交付している七兆円に追加して六兆円増額するほか、平成十三年三月末までとなっている預金等全額保護の特例措置を一年延長し、平成十四年三月末までとするとともに、流動性預金については、当該特例措置終了後も、平成十五年三月末までの一年間、全額保護することとしております。
 第三に、協同組織金融機関の経営基盤の強化を図るため、個別の協同組織金融機関による優先出資の発行を可能とし、これらの金融機関について、金融機能早期健全化法に基づく資本増強の適用要件を見直した上で、その適用期限を一年延長するとともに、平成八年の預金保険法改正前の破綻処理に伴う債権回収事務を整理回収機構に円滑に一元化するための措置を講ずることとしております。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして御説明申し上げます。
 我が国の保険業を取り巻く環境は厳しいものとなっており、各保険会社にあっては、競争力の強化、事業の効率化と同時に、一層の経営の健全化の確保が必要な状況にあります。
 このような状況のもと、相互会社から株式会社への組織変更に関する規定の見直しを行うほか、保険契約者等を保護するための特別の措置等を整備するとともに、相互会社の更生手続の特例等を設け、さらに、生命保険契約者保護機構の借り入れに対する政府保証を可能とする措置の恒久化を図ること等により、保険会社の経営基盤の強化及び破綻保険会社の的確な処理を図るため、この法律案を提出することとした次第であります。
 以下、その大要を申し上げます。
 第一に、保険相互会社について自己資本の充実、再編等が円滑に行われ得るよう、相互会社から株式会社への組織変更に関する規定を見直し、端株の一括売却制度の導入により売却代金の交付による社員への補償を可能とすることとしております。また、組織変更と同時の株式発行等による資本増強を可能とすることとしております。
 第二に、破綻処理の迅速化、多様化を図るため、保険契約者保護機構の子会社である承継保険会社による保険契約の承継等を可能とすることとしております。また、株式会社のみを対象としている更生手続について相互会社への適用を可能とするとともに、保険会社の更生手続の特例として、監督庁による更生手続開始の申し立て等を可能とすることとしております。
 第三に、これまでの破綻処理により基盤の揺らいだ生命保険契約者保護機構のセーフティーネットとしての機能の維持を図るため、生命保険会社各社の負担能力を超える等の場合には、平成十五年三月末までに破綻した生命保険会社の破綻処理費用について政府による補助を可能とするとともに、生命保険契約者保護機構の借り入れに対する政府保証を可能とする措置の恒久化を図ることとしております。
 以上、預金保険法等の一部を改正する法律案及び保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その趣旨を御説明申し上げた次第であります。(拍手)
    ─────────────
#10
○議長(斎藤十朗君) ただいまの趣旨説明に対し、質疑の通告がございます。順次発言を許します。簗瀬進君。
   〔簗瀬進君登壇、拍手〕
#11
○簗瀬進君 私は、民主党・新緑風会を代表して、預金保険法等の一部を改正する法律案、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案について、森総理及び関係大臣に対し質問をいたします。誠実な御答弁をどうぞよろしくお願い申し上げます。
 まず、現在、世界で起こっている急激な金融システムの大変動について総理の認識をお伺いいたします。
 八〇年代後半に米国で始まった金融再編の流れは、欧州の金融業界を巻き込み、世界に波及しました。
 最近では、ドイチェバンクが米国八位のバンカーズ・トラストを買収、その内容を発表いたしましたが、これが実現するとなれば、ドイチェバンクはUBSやシティグループを抜いて世界最大の銀行となります。
 こうしたハイスピードかつスケールの大きい流れに対し、我が国の金融業界も、グループの垣根を越えた大手銀行同士の合併や統合に取り組み始めているのは御案内のとおりであります。現在、大手銀行は都銀五グループを軸に集約化されつつあり、金融再編が急速に進んでおります。
 まずは総理にお尋ねしますが、二十一世紀の世界と日本の金融業界が一体どのような姿になるとお考えか、さらに、現在のこの急激な世界的な金融再編の原因がどこにあると考えるのか、総理の認識をお伺いいたします。
 さて、私なりにこの世界的な金融システムの大変動の要因を考えますと、それはIT革命の金融業界への反映であると考えます。
 例えば、一九八〇年代において、アメリカの工学部を出たエリートたちはその主な就職先を軍需産業に求めていました。しかし、九〇年代になりまして彼らの就職先は一変してまいります。米ソ冷戦構造の終えんによる軍需産業の長期的な低落化、これを見越した彼らは、その関心を徐々に金融業、ウォール街に向けていきます。コンピューターの大量処理能力と経済学、これが一体となった新たな金融テクノクラートがここにおいて誕生いたします。まさにIT革命の旗手として彼らはウォール街を濶歩するようになりました。そして、それは世界の金融の姿を革命的に現在に至るまで変え続けています。
 一方、我が国はどうだったでしょうか。
 八〇年代のたまさかの成功に浮かれ、IT革命の金融にもたらす本質的な変化をとらえることができなかったのではないでしょうか。コンピューターの生み出す金融新商品の開発力は今もって低レベルにあります。さらに九〇年代は、不良債権処理というバブル崩壊の後始末に忙殺されることになりました。その結果、我が国の金融業界は欧米の一流銀行に比較してあらゆる面で大きく立ちおくれることになってしまったのです。
 例えば、その顕著な例を挙げますと、金融ビジネス特許における日米間の圧倒的な格差にそれを求めることができると思います。
 米国の金融業界は、コンピューターを駆使し、例えばデリバティブあるいはセキュリタイゼーションと言われる証券化の技術、さらには担保つき金融新商品の開発など多くの特許を生み出しています。
 これに対し我が国はどうでありましょうか。
 我が国の金融業界では、セキュリタイゼーションについてもまたデリバティブについても、今もって特許の出願さえない状況であります。
 国民の旺盛な貯蓄性向に支えられた、あるいは救われている巨額な預金のみを誇っても、金融のグローバル化の荒波に打ち勝つための新しい武器は実は我が国にはありません。そして、このような我が国の金融業界のいびつな後進性をつくった最大の背景は、まさに政官業癒着の構造であり、護送船団主義であったことは言うまでもありません。にもかかわらず、政府はペイオフの先送りを再びしようといたしております。歴史の教訓を一切学ぼうとしないその姿勢にはまさに絶望をすら感じます。
 そこで、お聞きしたい。
 このような現状をどのように受けとめ、我が国はそれにどう対応していくべきなのか、大蔵大臣にお考えがあればお聞かせいただきたいと思います。
 さて、このような金融改革のおくれをさらに助長してきたのは、与党自民党と金融業界の癒着にあったことは言うまでもありません。
 まず、癒着のケーススタディーの第一。
 昨年暮れ、私は信じられない報道を聞きました。何と、自民党が大手銀行十行に政治献金を要請しようとしているとの報道であります。
 言うまでもなく、それらの銀行には公的資金がたっぷりと投入されています。これがもし現実のものとなれば、国民の税金の上前をはねるのと変わりないじゃありませんか。最終的にこのことは断念されたようでありますが、一昨年春、大手銀行に対し何ら責任を問うこともなく一兆八千億円もの公的資金を投入したのも、自民党が銀行業界に手心を加えたものではないかと大いなる世論の批判を浴びたところであります。
 まず、この問題について、当時自民党の幹事長であった総理から真偽のほどをお答え願います。
 次に、癒着のケーススタディー第二であります。
 ことしになって、いわゆる越智前金融再生委員長の金融検査に絡むいわゆる手心発言が問題になりました。そのとき幹事長であった総理は何とおっしゃったか。この発言について、そんなに間違った発言だとは受けとめられないなどと述べたと伝えられております。
 越智氏の手心発言は、何よりも透明性が求められる金融行政の信頼性を大きく失墜させることになる、さらには金融再生委員長の職務の本質を全く理解していない完全に間違った発言であることは言うまでもありません。このような重大な発言について、それほど間違っていないなどという認識を現在も総理がお持ち続けであるとするならば、これは到底看過できない問題であります。今でもその考えに変わりはないのか、お尋ねをいたします。
 最後に、癒着のケーススタディーの第三を挙げてみます。
 先週末のニューヨーク株式市場の株価暴落に端を発し、東京市場でも株価が暴落をいたしました。あろうことか、この事態に慌てた与党の政策責任者は、郵便貯金や簡易保険などの公的資金を使った一兆円規模の株価操作、言うならばプライス・キーピング・オペレーションをすべきだと言い出したではありませんか。
 公的資金を投入して人為的に株式市場に介入するなどといったアナクロニズム、こんな手法は、市場原理を全く無視したものであるどころか、さらに一切効果がないということはもう実証済みであります。今回の騒ぎが単なる口先介入なのか、それとも場合によっては実行することもあり得るのか、総理のお考えを明確にお聞かせいただきたいと思います。
 さて、今回の東京市場での株価暴落は、単にニューヨーク市場での株価暴落を受けた一時的なものではありません。まさに構造改革を先送りしてきたツケが回ってきたものではないでしょうか。そしてこの先送りを象徴するものが今回提出された預金保険法の改正案であります。
 一昨年の金融国会において民主党は、いわゆるペイオフの凍結が解除される二〇〇一年の三月末までに不良債権処理を完了させる、そして金融不安を一掃させ、日本の金融システムに対する諸外国の信頼を回復する、それを主張いたしました。何よりも改革のスピードが要求されます。六十兆円という巨額の公的資金の投入を我が党が認めたのも、まさにこのスピードに期待をしたからであります。
 しかしながら、政府は、国際的にも公約したはずのペイオフの凍結解除を、与党内の選挙目当ての声に押されて、一年間先送りしようとしている。総理は、所信表明演説で構造改革を強力に推進するとおっしゃったはずであります。とするなら、ペイオフ凍結解除の一年先送りについて、まだまだ遅くはありません、撤回なさったらどうですか。お尋ねさせていただきます。
 また、ペイオフの凍結解除は予定どおり実施すると公言していた大蔵大臣にお尋ねいたします。
 みずから約束された公約は一体どこに行ったのでしょうか。また、なぜ国際公約を破ってまでペイオフ凍結解除を一年先送りにしなければならなかったのか、国民に納得のいく御説明をしっかりといただきたいと思います。
 ところで、政界との癒着も取りざたされたイ・アイ・イ・グループが関与した東京協和信組と安全信組を含む三信組の破綻処理に伴う損失は一千億円にも上ると聞いております。その処理策について、監督官庁である東京都との間で長らく処理策が協議されてきましたが、東京都が最終的に負担を拒否したことから、今回の法改正によって国がすべての責任を負うという結末となってしまうのであります。十分な論議もなく、地域的な金融機関の処理コストを全国民に押しつけるのは全く筋違いであります。
 東京都との協議の経緯とこのような結論に至った理由について、大蔵大臣あるいは金融再生委員長から明確な御説明をお願いしたい。あわせて、東京協和、安全二信組の破綻の原因となったイ・アイ・イ・グループに対する刑事・民事上の責任追及の経緯についても御説明をお願いいたします。
 さて、長銀の処理についてもさまざまな問題点が見えてまいりました。
 最近、大手流通会社のそごうが総額六千三百九十億円もの債務免除を銀行団に対し要請したと報道されております。グループ全体で一兆七千百四十二億円に上る借入金のうち、特別公的管理が終了した長銀からの借入金は二千五十億円の巨額に上ると言われています。
 ところで、ニュー・LTCB・パートナーズに売却後のいわゆる新生長銀との契約には、貸出関連資産の瑕疵担保特約なるものがあると聞いています。これは、貸出関連資産に三年以内に二割以上の価値の減少が認められた場合は、新生長銀は当該資産の譲り受けを解除できるという特約であります。つまり、新生長銀が譲り受けたそごうグループに対する貸出金二千五十億円について四百十億円以上の減価、いわゆる損失発生が見込まれる場合は、新生長銀は、そごうグループに対する貸し金債権を国に買い戻すように求めることができることになるはずであります。
 そこで、金融再生委員長にお伺いしますが、新生長銀からそごうに対する貸し金債権の買い戻しを求められた場合、どのような対応をなされるお考えなのか。
 さて、今回の預金保険法の改正の内容を見ると、金融業界への幾つかの重大な手心が加えられています。
 まず第一の手心は、ディスクロージャーの弱体化であります。
 金融再生法には、金融機関の財務内容の透明性を確保するため、厳格な資産査定とその公表義務を課しております。しかしながら、金融再生法の金融整理管財人制度、あるいはいわゆるブリッジバンク制度、あるいは特別公的管理銀行制度が預金保険法に移行されるに当たって、実はこれらの規定は跡形もなく消えてしまいました。まさに業界に優しい手心を加えているのではないでしょうか。
 ペイオフが預金者に厳しい自己責任を求めるという意味合いを持つものであることを考えれば、金融機関にディスクロージャーを徹底させることは当然のことではありませんか。これをいたずらに弱めようとする。なぜこの規定が抜け落ちたのか、大蔵大臣の釈明を求めます。
 第二の手心は、公的資金投入の歯どめが弱体化していることであります。
 例えば、いわゆるシステミックリスク、システムの危機が予想される場合の例外的措置として、早期健全化法に基づく資本増強、あるいは二〇〇二年三月末までの時限措置となっているペイオフコストを超える特別資金援助、あるいは金融再生法の特別公的管理銀行制度に相当する特別危機管理銀行制度が預金保険法に移行されることとなっております。しかし、このシステミックリスクの定義があいまいにされているのが問題です。
 すなわち、金融再生法では他の金融機関の連鎖的な破綻を発生させるおそれ等の具体的な規定を置いておりますけれども、預金保険法ではこれを極めて抽象化、簡素化しております。そして裁量の余地を大きく残している。ペイオフコストを超える特別資金援助も、もしシステミックリスクのおそれがあるときは可能だ、あるいはそしてシステミックリスクの認定が極めて裁量的だということになると、永遠にペイオフを実施しない、永遠に金融システムの改革の先送りが可能となるのではないでしょうか。まさにこれは、ペイオフ制度そのものが換骨奪胎されたと言うほかありません。
 しかも、預金保険料だけで危機対応業務に係る費用を賄えない場合、政府は財政措置を講ずることができるとされた結果、国民負担は際限なく増加するおそれがあります。
 そこで、本法案で想定しているシステミックリスクとはどのような事態を指すのか、また国民負担の際限のない増加につながるおそれはないのか、大蔵大臣にお尋ねをいたします。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律の一部を改正する法律案についてお尋ねいたします。
 まず、問題の背景となっている政府の異常なゼロ金利政策についてお尋ねいたします。
 生命保険各社は、現在業界全体で何と一兆六千億円もの逆ざやに苦しんでいると聞いております。政府が銀行救済のためにとった超低金利政策が、実は生命保険業界の経営悪化の重要な一因となっていることがこれによって明らかとなるでありましょう。
 ところで、ゼロ金利政策が直撃しているのは生保業界だけではありません。預金者、とりわけ高齢者の生活を苦しめていることは言うまでもありません。超低金利政策がどれだけ家計から利子所得を奪い取ったか。一九九一年度の家計の利子所得は三十二兆円もありました。しかし、六年後の一九九七年度にはこれが十九兆円にまで激減しております。その間、銀行の業務純利益は三兆円から六兆円に倍増している。まさに超低金利政策は、多くの預金者の犠牲の上で金融業界を救済しているといった構図が明らかとなっております。
 先週、日銀の速水総裁はゼロ金利政策の解除に言及しました。G7などで批判が相次ぎ、結局はゼロ金利政策の継続を国際的に約束させられたと報道されています。
 これについてはきょうの新聞でも話題になっておりました。何と、選挙目前の株価のために、このゼロ金利政策に対する日銀の自律的な変更というようなものに自民党がさお差そうとしている、こういうふうな状況が今あらわれているわけであります。
 さて、このようなゼロ金利政策の継続を国際的に約束させられたといった報道、その間の経緯について宮澤大蔵大臣から御説明願いたい。
 また、総理にお聞きしますが、ゼロ金利政策という史上例のない金融政策をいつまでお続けになる考えなのか、お答え願います。
 さて、今回の改正の最も重要な点は、生命保険会社の破綻処理費用として四千億円もの公的資金を投入することであります。しかし、これは先ほども申し上げたとおり、超低金利政策という銀行救済のツケが保険業界に回って、さらに最後にそのツケが国民に回っているということと同じではありませんか。
 そこで、公的資金を投入する理由について総理から国民に対しきちんとした説明をすべきであると考えますが、いかがでありましょうか。
 さらに、これだけの公的資金投入の前提として、生命保険会社の経営の実態について国民に正確な情報の開示が必要と考えます。金融再生委員長から御説明をお願いしたい。
 最後に、衆議院において、民主党は日本版ペコラ委員会ともいうべき金融問題監視院の設置を主張いたしました。
 言うまでもなく、ペコラ委員会は、一九三〇年代、米国で金融犯罪の解明を目的として設置されたものであります。そして、米国においては大変な大きな成果を上げたと言われておる。
 我が国の九〇年代を暗く惨めなものにおとしめたバブル崩壊という歴史に残る大失敗を二度と繰り返さないためにも、この間の金融行政の総括は必要不可欠であると考えます。
 総理の御見解をお聞きいたしまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#12
○国務大臣(森喜朗君) 二十一世紀の金融業界の姿についてのお尋ねがございました。
 現在、世界的に金融再編が進んでおりまして、我が国におきましても、金融システムについて抜本的な自由化を図るとともに、持ち株会社の活用等、組織再編も含めた経営戦略を行うための枠組みを整備しているところであります。こうした枠組みのもとで、昨年より、大手金融機関の統合等が相次いで行われております。
 二十一世紀におきましても金融再編の動きはさらに加速すると考えられ、各金融機関がみずからの判断に基づき、経営の効率化や組織再編など創意工夫を発揮し、利用者のニーズに応じた特色ある経営を行っていくことを期待いたしております。
 公的資金投入銀行に対して自民党が献金要請を行ったとの報道についてお尋ねがございました。
 私は、昨年暮れ、そのような報道があった際、自民党幹事長の立場にございましたが、自民党では平成十年十月から公的資金投入銀行からの一切の寄附を自粛しており、報道のように自民党が公的資金の投入を受けた銀行に対し献金の要請を行ったという事実は全くありません。
 越智前金融再生委員会委員長の発言に関してのお尋ねですが、前委員長の発言に対する私の発言の趣旨は、金融行政を進めていくに当たって、一般論として、金融機関や地域の実情について耳を傾け、行政側として独善に陥らないように常に心がけるべきであるという考えによるものであります。そうした実情を把握しつつ、公正なルールに基づいて透明な行政を行っていかなければならないということは当然のことと考えております。
 郵便貯金等の公的資金を使った株価維持策についてのお尋ねがありました。
 郵便貯金等の運用については、それぞれの資金の有利運用等の観点から運用先の判断が行われるべきであると認識いたしております。
 ペイオフ凍結解除の一年先送りを見直す考えはないかとのお尋ねでありますが、ペイオフの解禁時期の問題につきましては、与党間における真摯な議論の末、昨年末、一年延期することが適当である旨の合意がなされたところであります。
 我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすること等により、より強固な金融システムの構築を図る必要があります。
 こうした観点から、政府といたしましても、与党間の合意も踏まえ、ペイオフ解禁の一年延長の措置をとることが適当と判断したところであります。したがいまして、ペイオフ解禁の一年延長を見直す考えはありません。
 平成十四年三月末までの間に、与えられた枠組みを活用して、さらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要であると考えております。
 いわゆるゼロ金利政策についてのお尋ねでありますが、低金利により金利収入が減るなどの影響を受けておられる方々がいることは承知いたしております。
 他方、我が国経済は、民需の動向が依然として弱い状況にあり、金利の低下が企業や家計の借り入れ負担の減少等を通じて、設備投資や住宅投資、ひいては雇用等の面で景気の下支えに貢献していることも否定できないと考えております。
 いずれにしましても、金融市場調節方針の決定等の金融政策は、日本銀行の所管事項であり、日銀政策委員会金融政策決定会合において、現在の景気や金融市場の動向等を総合的に勘案しつつ、適切な対応がなされているものと考えております。
 生命保険会社の破綻処理費用として公的資金を投入する理由についてのお尋ねがありました。
 今回の生命保険契約者保護機構の財源対策は、今後、仮に生命保険会社の負担能力を超える破綻が生じた場合には、その破綻処理費用について時限的に政府による補助を可能とすることにより、保険契約者の保護及び生命保険に対する信頼の確保及び金融市場の不測の混乱の防止を図ろうとするものであります。
 金融行政の総括についてのお尋ねでありますが、バブルの崩壊の過程の中で、長期化する景気の停滞とも相まって、体力が弱まった金融機関が相次いで破綻するという事態が生じました。
 このような金融の危機的状況にあって、行政としての対応を行っていく中で、従来のいわゆる護送船団行政と言われる金融行政の姿勢が、今日振り返ってみた場合、必ずしも妥当ではなかったという御指摘については重く受けとめているところであります。
 このような経験や御批判を踏まえ、自己責任原則の徹底と市場規律を基軸とした透明かつ公正な金融行政への転換を図り、揺らぐことのない強い競争力を持った金融システムの構築へ向けて全力を挙げて取り組んでいるところであります。
 残余の質問については、関係大臣から答弁をさせます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#13
○国務大臣(宮澤喜一君) 欧米に比べまして我が国の金融業界が立ちおくれているということについて御指摘がございまして、残念ながらまことにそのとおりであると思っております。
 米国等では、金融あるいは情報分野でいろいろ技術革新がございまして、商品で申しますとデリバティブでございますとか、あるいは金融ビジネスについてのたくさんの特許を実はとっております。
 我が国でも、何とか金融システムの改革あるいは商品の自由化を図ろうとしておりまして、最近、入金照合サービスに関する特許というのを日本の銀行が取ったということはございますけれども、やはり極めて例外的でございまして、大変おくれております。それをよく自覚しながら環境整備をしなければならない、随分おくれておりますので非常な努力を必要とすると思っておりますが、そのような実情でございます。
 それから、ペイオフの解除につきましてお尋ねがございまして、これは以前に一度申し上げたことがあるかと存じますけれども、結局決定は昨年の暮れにいたしました。そのときに、全国の金融機関で信用組合が御承知のように残っておりまして、全国に三百ぐらいまだあるわけでございますけれども、これは従来都道府県の検査を受けておりましたので、国の検査を受けていない。
 それがこの四月から初めて国の検査に入るという、そういう問題がございまして、今まで検査をしておりませんでしたので、実は信用組合というのはある意味で国の金融の中のちょっと端の方にあったという感じでございましたが、ここで本当に検査を受けるということになれば、思い切って国の金融機関の中に検査をした後組み入れて、そして退場してもらうものは退場してもらう、あるいは早期是正をする、資金援助も必要なものがあるかもしれない、そういうことで思い切って、地方では一つの存在ですが、国からいえば今まで信用組合というのはあれが及んでおりませんでしたので、入れようということの決心をいたしました。いたしましたが、検査が四月から始まるということは実際は六月でございましょうから、来年の三月までにそれをやり切って改善措置を求める、あるいは処理をするということは事実上難しいと考えましたので、それならばそこを一年延ばそうと、信用組合だけを延ばすわけにいきませんからみんなを延ばしたわけでございます。
 このことは、去年の暮れにかなり短い時間で決まりましたものですから十分御理解を得られなかったのかもしれませんが、私としては、これによって別段失うところはないと考えておりました。何か国際的な信用がなくなるんではないかというおそれも報道されましたが、そういうこともなく、一年間で改めて信用組合を末端ではあるが国の信用のもとに置くということは将来に向かっていいことであろう、このような決断をいたした次第でございまして、御了解をいただきたいと思います。
 それから、金融機関のディスクロージャーについてのお尋ねがございましたけれども、ディスクロージャーは当然金融機関の経営自身のために必要でございますし、また自由化された預金者としての責任原則にも必要なものでございますから、今年四月から全金融機関で業務及び財産の状況を連結決算ベースで開示することにいたしまして、これには罰則がついております。
 なお、お尋ねの金融再生法における資産査定等々の規定につきましては、この部分は時限法でございません。永久立法になっておりますので、したがいまして現行法としてそのまま適用されることになります。
 それから、システミックリスクについてお尋ねがございまして、法文をお読みいただきますと、簗瀬議員には当然おわかりいただいていると思いますが、これは一種の非常事態についての規定でありまして、この措置が講じられなければ我が国または当該金融機関が業務を行っている地域の信用秩序の維持に極めて重大な支障がある場合に、例外的に金融危機対応会議、これは今後行政改革後に設けられる総理大臣の下の会議でございますが、金融危機対応会議の議を経た上で総理大臣が判断をし、その結果は国会に報告すると、重い規定の置いてございます一種の非常事態的な規定でございますので、その対応をそれ以上具体的に法文に書くということがなかなか難しゅうございましたので、そういう重い判断にかからせたわけでございます。
 めったにこういうことがあってはならないと考えられる種類の規定でございますけれども、何もないということはしかしやはり問題があろうと思いまして、このようにいたしました。
 それから、最後の方で、G7において、我が国の金利政策に関してのお尋ねがございました。
 これは、いろいろ報道等もあったわけでございますが、これはもとより日本銀行の決定するところでありますが、四月十日の日本銀行の政策委員会においてゼロ金利政策は当分続けるという正式な決定がなされております。その後で日本銀行総裁が、市場とのコミュニケーションが将来とも必要だという立場から今はそういう決定をした、しかし日本経済が回復の軌道に乗っていけばやがてこれは改めるときも来るであろう、そういう趣旨のことを言われたことが、多少誤解を国内に受けたと思われます。
 ただ、ワシントンのG7におきましては、したがいまして総裁は四月十日の決定だけを述べられまして、そのあとの部分は別段述べられておりませんので、したがいまして、それが話題になり、あるいは政策の変更を迫られたというようなことは実際上ございませんでした。
 以上であります。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
#14
○国務大臣(谷垣禎一君) 簗瀬議員にお答えをいたします。
 過去の破綻信用組合処理の問題をめぐる東京都との協議と結論についてのお尋ねでございますが、金融当局といたしましては、信用組合の中央組織であるいわゆる全信組連の機能を強化していかなければならない、こういう観点から、東京都に対しまして、この問題については先送りすることなく基本的な解決を図る方針であることを説明いたしまして、東京都にも御協力を求めてきたところでございますが、引き続き協議は続けてまいります。
 なお、今回の法案の処理スキームにおきます損失補てんでございますが、これは交付国債を財源として用いるものではございませんで、金融機関からの保険料を用いてこれを行うこととしております。
 それから次に、イ・アイ・イ・グループに対する刑事・民事上の責任追及についてのお尋ねでございますが、東京協和、安全のいわゆる二信組の破綻に関連する刑事責任の追及に関しましては、両信組の当時の理事長を初め、これまでに延べ十名が背任罪で起訴をされて、うち三名について現在までに有罪判決が確定している、こういうふうに承知しております。
 また、民事上の責任追及につきましては、両信組の受け皿となりました東京共同銀行を引き継いだ整理回収機構、これによりますと、東京共同銀行によりまして両信組の当時の理事長を初めとする三名に対して損害賠償を求める訴訟が提起され、判決和解に至っている、こういうふうに承知をいたしております。
 それから、個別企業に係る債権放棄の要請と、それから瑕疵担保条項の適用の有無、これのお尋ねでございますが、個別企業にかかわる事柄については当該企業の利害にかかわる問題でございますので答弁は差し控えさせていただきたいと存じますが、この瑕疵担保条項について一般的に申し上げますと、新生長銀が継続保有する貸出関連資産について瑕疵があった場合、そしてかつ引き当て控除後のベースで比較して当初価値より二割以上の減価が認められたときには、当該資産の譲渡を債務者ごとに解除することができると、こういう規定になっております。
 債権放棄の要請があったことによって長銀が解除権を行使し得るかどうかについては、一般論ですけれども、金融再生委員会がこれは適とした債務者が債権放棄の要請を行うような状況に立ち至った場合には、これは瑕疵に該当するというふうに考えられるわけですが、当該債権放棄要請を受けて二割以上の減価が生じているかどうか、これは個別債務者の状況によって異なってくると、こういうふうに考えております。
 それから最後に、生命保険会社の経営状況についてのお尋ねでございますが、生命保険会社につきましては有価証券含み損益の改善も見られているわけですが、引き続き保有契約高の減少やあるいは運用利回りの低下などに見られますように厳しい経営環境にある、こういうふうに認識しております。
 こういう中で、各社におかれては経営効率化の推進や自己資本の充実など経営基盤の強化、資産構成の組みかえ等に努めているところと、こういうふうに聞いております。(拍手)
    ─────────────
#15
○議長(斎藤十朗君) 池田幹幸君。
   〔池田幹幸君登壇、拍手〕
#16
○池田幹幸君 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました二法案について、総理並びに大蔵大臣に質問します。
 本題に入る前に、重大な問題となっている株価維持操作、PKOについて伺います。
 十七日の株価下落に対し、与党三党政策責任者は一兆円の公的資金による株式市場介入の方針を打ち出し、政府に申し入れました。総理はこれを重く受けとめると述べたと伝えられておりますが、これはその実施を検討するという意味ですか。そうであるならば事は余りにも重大であります。
 株の買い支えに公的資金を使うなど、あなた方の言う自由で透明な株価形成から見ても許されないことではありませんか。かつて年金福祉事業団が年金積立金を株式市場に投資し、一兆八千億円もの欠損を出したことは周知のことであります。国民の財産に大穴をあけることになれば、一体だれが責任をとるのですか。このようなことになりかねないPKOはいわば国民の税金による損失補てんであり、絶対に許されません。総理の明確な見解を求めるものであります。
 預金保険法等の一部改正案について質問します。
 本法案は、ペイオフ凍結の一年延長を口実にして十兆円の公的資金枠の拡大を図った上に、二〇〇一年四月以降も金融危機への対応として公的資金による資本の増強と破綻処理を行えるように恒久的な措置をしようとするものであります。
 政府は、一九九六年の預金保険法改正で金融機関の破綻処理に公的資金投入の道をつけて以来、金融システムの安定を理由に大銀行への過保護きわまる支援を積み上げ、九八年にはその枠組みを六十兆円にまで拡大してきました。
 ところが、本法案では預金保険機構に措置されている交付国債を六兆円上積みすることとなっております。これは従来の七兆円枠が長銀、日債銀などの破綻処理で底をつくことがはっきりしたことによるものですが、これでは不足すればまた交付国債を追加するということになるではありませんか。宮澤大蔵大臣は、三月八日の本院予算委員会での私の質問に対し、「これだけの準備をしておきますと不足を生ずることはまずない」と今後の追加負担はない旨答弁されました。政府は、七兆円枠を創設したときにも七兆円が底をつくことはまずないと答弁していたのであります。
 森総理、このことは、一たん財政によって銀行支援の蛇口を開けば果てしない税金投入につながることを証明しているのではありませんか。そうはならないというなら明確な理由を述べていただきたい。
 森総理、あなたは、十二日の本会議場において「金融システムは安定化してきている」と答弁しています。そういう認識ならば、なぜ二〇〇一年三月以降もペイオフコストを超える特別資金援助や預金保険機構による資本増強、そして特別危機管理を恒久的措置として財政支援を可能にするような公的資金投入の仕組みをつくるのですか。明確にお答えいただきたい。
 法案は、公的資金の投入について、「金融機関の財務の状況を著しく悪化させ、我が国の信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれがあると認められるとき」に限るとしています。ところが、「重大な支障が生ずるおそれ」については何の具体的な基準も設けられていません。これでは、公的資金投入は政府の恣意的な判断に任せられることになるではありませんか。
 結局、金融危機が去ろうとどうしようと、銀行甘やかし、銀行支援先にありきといった対応を繰り返す仕組みを恒久化することになるではありませんか。これでは、総理自身が目指すという自己責任原則と市場規律に立脚した金融システムの確立の方向とは逆行するではありませんか。不況、リストラによる国民の苦しみを顧みず、銀行を優遇支援するこんな仕組みはやめるべきです。答弁を求めます。
 危機が去ったというなら、なおさらのこと本来の原則、自己責任の原則に戻すべきであります。破綻処理に必要な資金は、銀行業界の責任で借り入れるなど調達する仕組みをつくるべきであります。公的資金の投入まずありきではなく、銀行業界の自助努力、自己責任こそ求めるべきではありませんか。総理と大蔵大臣の答弁を求めます。
 先週、衆議院における審議で、公的資金の注入を受けた多くの大手銀行が、中小企業向け貸し出しの実績を不当にかさ上げして報告していたことが暴露されました。その手口は、銀行自身の子会社や関連会社に何十億円もの単位で貸し出し、これを中小企業向けとして算入する、銀行と関係の深い優良中小企業に必要がないのに一時的に残高を積み増す、大企業に貸し出す際、一時的にその子会社に振りかえるなど、極めて悪質なものであります。国民の税金で救済されながら、約束を破って中小企業への貸し渋りを強め、その上水増し報告でごまかす。このような銀行の行為は絶対に許せないではありませんか。
 政府は、厳格な調査を行うとともに、業務改善命令など厳しい措置をとるべきであります。総理の答弁を求めます。
 今、甘やかし政策のもとで、大銀行は相次ぐ合併でひたすら体力をつけ、収益を上げています。アメリカでは、金融機関の合併や金融持ち株会社の設立、銀行から保険など他業界への進出の際には、地域再投資法によって低所得者や中小企業向け貸し出しなどが良好以上の格付を受けなければ認められません。銀行がどんなに貸し渋りをしていようと、自由勝手に統合や金融持ち株会社の設立が進められる日本とは余りにも違います。
 総理、あなたは銀行がどんなに貸し渋りをしてもそれが健全な銀行だと言うのですか。水増し報告までして貸し渋りの実態をごまかそうとする銀行の合併や統合を厳しく規制すべきではありませんか。
 さらに重大なのは、信用金庫、信用組合など協同組織金融機関の問題であります。
 協同組織金融機関は、会員、組合員の相互扶助の精神で、銀行が相手にしてくれない中小零細企業などへの融資を中心に行ってきた地域密着型の金融機関であります。いわば、地域から預金を集め、地域に貸し出し、地域の多数者の支持のもとで活動している、地域経済にとって重要な存在であります。ところが、これらの金融機関が目の前から消えていくという事態が進行しております。例えば、信用金庫はこの十年間に合併、再編などで六十以上が消滅、信用組合は百以上の組合がなくなり、三百以上の店舗が消滅しました。
 本法案は、信金、信組などやその連合会に個々の金融機関が破綻した場合の受け皿になる機能を持たせ、信金、信組などの再編を円滑に進める体制をつくろうとするものでありますが、これでは今の信金、信組の消滅を促進することになるではありませんか。それが地域経済にどれだけ重大な打撃を与えることになるか総理は考えたことがあるのですか。答弁を求めます。
 次に、保険業法及び金融機関等の更生手続の特例等に関する法律案について質問します。
 今、多くの生命保険会社が予定利率を上回る資金運用ができず、多額の不良債権を抱えておりますが、その多くはバブル期の無謀な経営に起因しているのであり、経営者みずからが招いた結果であります。責任は当然経営者、生命保険業界が負うべきものであり、その後始末を国民に押しつけるなど決してあってはならないことであります。
 ところが本法案は、破綻した生命保険会社の処理のため、時限的な措置であった生命保険契約者保護機構の借り入れに対する政府保証を恒久化するものであります。そして政府は、政府補助として四千億円の支援措置をとろうとしているのでありますが、総理、この公的資金投入は絶対に許されるものではありません。答弁を求めます。
 バブルに踊った銀行の責任は不問に付した上、さらなる支援を上積みする一方で、中小企業や国民には大銀行の貸し渋りの放置、ゼロ金利の続行など新たな犠牲を強いる、こういったやり方は直ちにやめるよう強く求め、質問を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#17
○国務大臣(森喜朗君) 先般の株価下落に対する与党三党の申し入れについてお尋ねがありました。
 与党三党の申し入れにつきましては、我が国市場の動向はもちろん、ニューヨーク市場の動向や米国当局の対応ぶり等を十分に見きわめながら、引き続き対応を検討してまいりたいと考えております。
 また、株のPKOに関するお尋ねでありますが、郵便貯金等の運用については、それぞれの資金の有利運用等の観点から運用先の判断が行われるべきものと認識をいたしております。
 交付国債のさらなる追加についてのお尋ねがありました。
 今回、預金保険機構に交付する国債を六兆円増額することとしておりますが、これは、平成十年二月に交付国債を七兆円としたときには想定していなかった特別公的管理銀行制度による長銀、日債銀の処理に要する金額の見込みが六兆円台であること等を勘案して決定したものであります。したがって、長銀、日債銀の処理を除けば現行の七兆円枠で十分であり、預金保険機構に交付する国債をさらに追加することは考えておりません。
 システミックリスクに関する規定について幾つかのお尋ねがございました。
 我が国の金融システムは、預金保険法、金融再生法、早期健全化法の枠組みを用いることにより、官民一体となって不良債権処理や金融機関の再編、整理等に集中的に取り組んだ結果、安定してきている状況にありますが、今後、将来にわたって危機的な事態が起こる可能性を否定することはできません。
 この場合には、通常の破綻処理の枠組みでは対応できないことも想定されることから、万が一に備え、例外的な措置が可能となるようにしておく必要があると考えております。これをもって自己責任原則と市場規律に立脚した金融システムの確立の方向とは逆行するのではないかということの御指摘は当たらないものと考えます。
 また、実際に例外的措置を発動するか否かについては、個々のケースごとに金融危機対応会議の議を経た上で内閣総理大臣が判断するという厳格な手続を踏むことといたしておりまして、例外的措置が安易に発動されることはないと考えております。さらに、例外的措置の発動に係る費用については、金融機関の負担金で賄うことが原則であり、財政措置を講ずる場合は極めて限定されているところであります。
 資本注入行の中小企業向け貸し出しの報告内容を調査すべきではないかとの御指摘がございました。
 先般、全銀協から十二年三月期の見込みの計数が国会に報告されていますが、今後、決算作業を経て確定する計数については、金融再生委員会が早期健全化法に基づき報告を求め、公表することとなっております。その際、中小企業向け貸し出しの増加要因等についても同委員会においてヒアリングを行うなど適切な対応がとられるものと考えております。
 貸し渋りをするような銀行の合併等を厳しく規制すべきではないかとのお尋ねがございました。
 各金融機関は、中小企業への融資を初め地域経済の発展のためにさまざまな貢献をするという役割を担っているものと考えております。ただし、金融機関の個々の融資については、基本的には各金融機関の自主的な判断により行われるものであり、融資のあり方等を理由に合併等について厳しく規制することについては慎重に考えるべきものと考えております。
 信用金庫等の連合会を預金保険の対象とする点についてのお尋ねがありました。
 信用金庫等の連合会を預金保険の対象といたしましたのは、信用金庫等が破綻に至った場合に、受け皿金融機関があらわれず地域経済等に重大な影響を及ぼすといった事態が生じることのないようにするためであり、地域経済に大きな役割を担う信用金庫等の消滅の促進を意図したものではありません。
 生命保険会社の破綻処理への公的資金投入はやめるべきではないかとのお尋ねがありました。
 今回の生命保険契約者保護機構の財源対策は、経営に失敗した個別の生命保険会社の救済のために行うものではなく、あくまでも保険契約者の保護、生命保険に対する信頼の確保及び金融市場の不測の混乱の防止を目的として行うものであることを御理解願いたいと考えております。
 残余の質問につきましては、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#18
○国務大臣(宮澤喜一君) 大部分総理へのお尋ねと重なっておりますので、補足をして申し上げます。
 株価維持につきましてのいろいろな郵便貯金あるいは簡易保険、厚生年金などの金を使うという指定単のお話でございますけれども、もちろんこういう資金は、その運用は預金者や加入者の利益という観点から行うべきものでありまして、株価の操作を目的に株式を購入するということは考えられていないと思います。
 また、一般的に政府が市場に大々的に介入するということはこのような自由経済では簡単にできませんし、またそういうことは好ましいことではないというふうに考えております。
 それから次に、システミックリスクの規定につきまして、これはごらんいただきますと、一種の非常事態の規定でございます。我が国には戒厳とか緊急勅令とかいうものがございませんから、大きな金融危機が発生いたしましたときにどうするかということを、恒久立法でございますから、その中へ書き込みました。
 たまたま我が国では最近にそういう事態があって公的資金の投入等をいたしましたので、そういう連想を持たれる方があるかもしれませんが、これはそういうことを申しておるのではありませんで、そうしょっちゅう起こってはならない事態についての規定でございます。
 したがって、そのときには金融危機対応会議、総理大臣のもとにあります会議を開いて、そして総理大臣の決定を待って発動する、またその結果を国会に御報告するということでございますから、そうそうめったに発動される規定ではございません。
 したがって、その場合にそのコストというのは銀行から保険料を取って賄うべきではないかということにつきましては、通常の事態でございませんので、信用秩序の維持に極めて重大な事態であるということでありますので、これは銀行からその保険料をそのために徴収するということは恐らく適当ではないのではないかというふうに考えております。
 それから最後に、アメリカの地域再投資法のように我が国の金融機関がもっと地方の利益のために奉仕すべきだということは、一般論としては私は言われるとおりだと思います。ただ、現在、金融監督庁が非常に詳細に各金融機関の把握をしておられますし、また検査はもとより、監督是正命令等々ができるようになっておりますので、現在目立つようなそういう弊害はないのではないかというふうに考えております。(拍手)
    ─────────────
#19
○議長(斎藤十朗君) 三重野栄子君。
   〔三重野栄子君登壇、拍手〕
#20
○三重野栄子君 社民党・護憲連合の三重野栄子でございます。
 私は、社民党・護憲連合を代表いたしまして、ただいま議題となりました預金保険法等の一部を改正する法律案につきまして、総理並びに関係大臣にお尋ねをいたします。
 政府案では、ペイオフ解禁の一年延期により、地銀、生保など機関投資家が買った金融債や銀行間取引も全額保護になります。このように、本来自己責任が問われるべき金融のプロによる取引までもが国民負担で守られる状態が一年余計に続くことになります。
 この預金等全額保護の特例措置のために、ペイオフコスト、すなわち一人一千万円を上回る分を負担する特例業務勘定が預金保険機構に設けられております。この勘定に既に交付されている七兆円の交付国債に、本年度六兆円がさらに増額されます。六兆円の交付国債を償還する原資は、四・五兆円の赤字国債の発行とNTT株式の売り払い収入一・四兆円であります。
 このうち、四・五兆円の赤字国債の発行は、平成十二年度予算で新規に発行される赤字国債二十三兆円の約二〇%に当たるとともに、公債依存度を過去最大の三八・四%まで押し上げる結果を生じ、将来の国民負担に直結しております。
 また、預金口座の九九%は一千万円未満となっております。予定どおり凍結解除が行われたとしましても、ほとんどの口座は全額保護されるというのが現実です。口座数の残り一%が預金総額の五〇%を占めており、一千万円以上の預金も保護するという少数の富裕層やプロを守る措置のために国民大衆は税金を搾り取られるという容認しがたい結末が用意されていると厳しく批判せざるを得ません。
 ペイオフ解禁に係る凍結部分を撤回し、速やかに少額預金者の保護という預金保険制度の原点に立ち返るべきであると考えますが、総理並びに大蔵大臣の御所見を伺います。
 今回の六兆円の増額は、七兆円の枠組みの想定外であった長銀の破綻処理で現金化された約三・二兆円、日債銀の破綻処理で現金化を要すると見込まれる約三兆円を勘案した金額との説明がなされております。既に七兆円の枠組みにおいては、長銀、拓銀などの破綻処理のために約四・八兆円が現金化され、国民負担が確定しています。
 本年度及び延長される一年の間に総額十三兆円となった交付国債の全額をすべて現金化して国民負担を求めるおつもりか、特に延長期間に生ずる支出に関しては一切国民に負担を求めるべきではないと考えますが、総理並びに大蔵大臣の明確な答弁を求めます。
 また、特例業務勘定には三・五兆円の政府保証付借り入れがありますが、延長後の特例措置が終了し勘定を廃止する際、この借り入れの返済のために交付国債を現金化した財源を充て、よもや国民負担を増大させることがないようあわせて確認いたします。
 そもそも預金保険制度の財源は、金融機関の保険料によって賄われるべきものであります。現在の預金保険料は、平成八年に従前の七倍に引き上げたと説明されております。この水準は、平成四年から七年までに生じた金融機関の破綻における損失額約二・五兆円を基礎に、平成十三年三月末までの五年間に同程度の破綻が生じた場合にも対処し得るように決められました。しかし、平成八年以降現在までの金融機関の破綻における損失額は実際幾らだったのか、お答え願います。
 現在、金融機関が納める預金保険料は、ペイオフコストを負担する一般保険料とペイオフコストを上回る分を負担する特別保険料は、四対三に配分されています。
 この配分も平成四年から七年までの破綻実績におけるペイオフコストとそれを上回る費用を勘案して決められておりましたが、実際この五年間で破綻処理に要した経費のうちペイオフコスト分を四とすれば、ペイオフコストを上回る分は十となっています。十と三の差額すべてを一般納税者に求める国民負担とするのではなく、金融機関あるいは間接的に預金者が負担する預金保険料の引き上げを行うべきであります。
 また、銀行の業務純益等に占める預金保険料の割合が現在六%を超え、これ以上引き上げることは難しいとの説明もされております。しかし、米国の預金保険料の業務純益等に占める負担割合は一九九一年に最高八・三二%、一九九三年の保険料率は現在の日本の水準の約三倍となっておりました。
 さらに、今回の法改正では、保険料の算定基礎が対象預金の年度末残高から年度中の平均残高に改められております。これは一部の金融機関に保険料の算定基礎となる預金等の残高を操作するかのような動きが見られたことによるものと聞いております。
 このような金融機関の行動ともあわせて考えますと、国民負担を軽減するために預金保険料の引き上げ、あるいは今回の法改正で制度的に可能となった金融機関の業務の健全性に応じて保険料率を定める可変保険料率の実施を真剣に検討するべきでありますが、大蔵大臣、金融再生委員長の答弁を求めます。
 次に、信用組合など協同組織金融機関の経営の健全性確保について、大蔵大臣と金融再生委員長にお尋ねいたします。
 改正案では、協同組織金融機関の自己資本の充実を図り経営基盤を強化するため、個別の信用組合、信用金庫なども優先出資証券を発行できることになります。また、来年三月末までの時限措置である早期健全化法による資本増強を、協同組織金融機関に限り一年延長し、公的資金による資本注入を可能にしています。
 しかし、体力が尽きかけた金融機関を延命させることには意味がなく、不健全な機関には早急に退場を促して健全な金融機関に営業を引き継がせることが必要であります。このためには、退場させるべき金融機関を見きわめるための基準の整備が不可欠です。
 金融審議会答申でも述べられているように、問題のある金融機関の早期発見、早期是正については、金融機関における公認会計士による監査機能の充実強化及びディスクロージャーの充実を図り、市場規律によるモニタリングが有効に機能することが求められます。
 現在、協同組織金融機関のうち、預金量二千億円以上、組合員以外の員外預金比率一五%以上など、一定規模以上の一部のものについてのみ、会計士による外部監査制の導入、組合員以外の員外監事の登用が義務づけられております。
 市場規律を活用しながら退場させるべき金融機関を見きわめるためには、協同組織金融機関を含め、公的資金が使われる可能性のあるすべての金融機関について外部監査制の導入、員外監事の登用を義務づけることが必要であると考えますが、両大臣の御所見を伺います。
 次に、早期健全化法に基づく資本増強の状況に関する情報公開について、総理にお伺いいたします。
 公的資金を投入されながら破綻に至った場合、長銀、日債銀に対する資本注入を審査したのは、金融安定化法に基づき設置された金融危機管理審査委員会でありました。しかし、この通称佐々波委員会の審査について批判が高まったことから、金融安定化法は廃止となり、早期健全化法に基づき金融再生委員会が審査する資本増強の枠組みへと変わりました。
 ただし、金融安定化法には、資本注入を決定したときは、速やかに審査委員会の議事の概要を公表し、相当期間経過後に議事録を公表しなければならないという規定があり、既に百ページほどの議事要旨が公表され、資本注入から三年後に当たる来年三月末には議事録が公表されることになっております。早期健全化法にはこのような規定はなく、現在までに一部簡単な議事の概要のみが公表されております。
 早期健全化法による資本増強のためには、既に約八兆円もの政府保証付の借り入れによる公的資金が投入されていることから、再生委員会における審査の詳細な要旨については速やかに、議事録については遅くとも三年後までに公表されるべきであると考えます。
 公的資金投入に関して、国民に対する説明責任を果たすためにも総理のリーダーシップによる情報公開が求められますが、御所見を伺います。
 最後に、ペイオフ解禁後の例外的措置について伺います。
 ペイオフ解禁後であっても、金融危機が起こりかねない緊急時には、金融危機対応会議の議を経て、金融機関への資本増強、預金の全額保護、一時国有化の特例を復活できる例外的措置が用意されております。金融危機対応会議は、中央省庁再編後の財務大臣、金融庁担当大臣、日銀総裁などで構成されますが、金融危機への対応方針を審議するその責務は極めて大きいものであります。
 私は、金融危機対応会議への諮問を経て総理が認定する例外的措置の発動に関しては、国民の評価を仰ぐ必要があると考えます。なぜなら、例外的措置は、安易な救済策に利用されるおそれがあるだけでなく、最悪の場合は財政資金をつぎ込まざるを得ないということにもなります。その発動基準は、「信用秩序の維持に極めて重大な支障が生ずるおそれ」と極めてあいまいであるからであります。
 法案では、例外的措置を認定した場合は、その認定の内容のみを国会に報告しなければならないとなっております。国民的新任を得るための説明責任を果たすためには、金融危機対応会議における議事についても可能な限り国会報告に含めるとともに、遅くとも三年後には金融危機対応会議の議事録を公表すべきであります。
 大蔵大臣、金融再生委員長の御所見を伺いまして、私の質疑を終わります。(拍手)
   〔国務大臣森喜朗君登壇、拍手〕
#21
○国務大臣(森喜朗君) ペイオフ解禁に係る凍結部分を撤回せよとのお尋ねでありますが、ペイオフの解禁時期の問題につきましては、与党間におきます真摯な議論の末、昨年末、一年延長することが適当である旨の合意がなされたところでございます。
 我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためには、一部の中小金融機関について経営の一層の実態把握を図り、その改善を確実なものとすること等により、より強固な金融システムの構築を図る必要がございます。
 こうした観点から、政府といたしましても、与党間の合意も踏まえ、ペイオフ解禁の一年延長の措置をとることが適当であると判断したところであります。したがいまして、ペイオフ解禁の一年延期を見直す考えはございません。
 平成十四年三月までの間に、与えられた枠組みを活用してさらに強固な金融システムの構築を図るべく最大限の努力を行うことが重要であると考えております。
 十三兆円の交付国債をすべて現金化するのかとのお尋ねがございました。
 交付国債の償還額につきましては、今後の金融機関の破綻の発生状況や破綻金融機関の資産劣化の状況等が現時点において不確定でありますことから、確たることは申し上げられないことを御理解いただきたいと考えます。
 また、延長期間に生ずる支出に関しましては、一切国民に負担を求めるべきではないのではないかとのお尋ねがありました。
 ペイオフ解禁の一年延長は、我が国の経済を確実な安定軌道に乗せるためのものであり、国民に不安を生じさせることのないように、預金等の全額保護に係る特例業務を円滑に実施するために必要な場合には交付国債の償還が行われることは延長期間中においても同様でございます。
 さらに、預金保険機構の特例業務勘定が廃止される際の交付国債の使用についてのお尋ねでありますが、特例業務勘定は平成十四年度末に廃止されることになっておりますが、その際、累積欠損金があれば、法律の定めに従って、交付国債をその処理に使用することができることとなっております。
 早期健全化法に基づく資本増強に係る情報公開についてのお尋ねでありますが、金融再生委員会においては、議決の内容をすべて新聞発表やホームページへの掲載等の手段により速やかに公表いたしております。
 また、議事の概要につきましても、昨年三月に実施した大手十五行への資本増強については既に昨年四月二十七日に公表いたしておりまして、議事録については、会議から三年を経過した後に原則として公表することとしておるなど、適切な情報公開にも努めているところでございます。
 残余の質問については、関係大臣から答弁させます。(拍手)
   〔国務大臣宮澤喜一君登壇、拍手〕
#22
○国務大臣(宮澤喜一君) ペイオフの問題につきましては、先ほど解禁を一年延期しましたことについて申し上げましたが、三百余りの信用組合がございますので、この四月から制度としては国の検査に移管されました。
 恐らく一、二カ月、書類の整備にかかるのかと思いますが、もう既に検査の準備等々は整っておりまして、その結果、破綻処理を要するものあるいは早期是正措置を打つもの、場合によって公的資金の援助と、大体年間に二十ぐらい従来整理されておりますのですが、残りました三百足らずのものがどういう状況になっておりますかわかりませんので正確に申し上げることができませんが、ここから一年余りの時間でそういう処理を完結できるだろうと考えております。したがいまして、それ以上の時間を必要とすることは一切ございませんので、さらに延期をするということをもとより考えておりません。
 なお、その間も金融システム安定化のための取り組みあるいは金融システムの安定性等につきましては、最大限の努力を続けていくことはもちろんでございます。
 それから、十三兆円の交付公債のことについてお尋ねがありました。
 金融システム安定化、預金者保護というために、かつて七兆円をお願いいたしまして、今回六兆円増額をいたしました。そして、その償還財源を十二年度国債整理基金に積んでおる、いつでも現金ができる状態にしてございます。どのぐらい最終的にこの金が要るかということは正確には申し上げられない現状でありますけれども、これだけ金額をちょうだいしておりますので、これで今後の事態は十分に対応できるというふうに思っております。
 それから、こういうことを一年延長したときに本来特別保険料を取るべきではないか、また特別保険料というものも、もともと金融機関によって状況が違うわけでございますから可変保険料であるのが本当ではないかというのは、一種の原則論としては私はそういう考え方があると思います。
 ただ、この数年間の非常事態で普通より七倍も高い保険料を取っておりますこと、それから保険機構にもかなりの借金があるというようなこともございまして、制度としては可変保険料ができるということにこのたび改正をさせていただきますが、各行の様子を見ておりますと、結局貧しいところに大きな負担がかかるということになってしまいますので、その実際の実現にはかなり慎重にしなければいけないだろうというふうに実は思っております。
 それから、特例業務勘定は、これは御存じのように一種のペイオフ以上、対象とならない預金を保護するために設けられたものでございますから、それのために特別保険料と交付公債を積んでおるということでございます。なお、特例業務勘定がいわゆる長銀とか日債銀とかいうことの以前に何年か前から仕事をしておりますから、その辺のところから何か欠損が将来出るといたしますと、これは交付公債をその処理に使うことができることになっております。
 それから、可変保険料につきましては先ほどお答えを申し上げました。現在の保険料が平成七年以前の七倍になっておりますので、どうもこれを引き上げるということになかなか問題がありますが、しかし、預金保険機構がもう借金をしょっておりますから、これは将来返さなきゃならない。したがって、これを下げるというわけにもまいらないのが実情だと思います。今、預金保険機構の借金は一兆三千億でございますが、可変保険料の問題は、したがって将来の問題として制度改正をさせていただくというふうに御理解いただきたいと思います。
 それから、金融機関の監査でございますが、現在すべての銀行で外部監査が義務づけられております。協同組織金融機関については預金総額や員外貯金が一定率以上のところを監査しておりますが、これは、実はその規模をもっと大幅に引き下げる必要があるんではないかとおっしゃることは、私どももそう思っておりまして、できるだけその限度を引き下げてまいりたい、監査の対象にいたしたいと思っております。
 それから、金融危機対応会議、これは御理解いただいておりますようにめったに起こらない、我が国では戒厳令とか緊急勅令とかいうものがございませんので、そういうことのためにいわば置いてある規定でございますから、それは相当な重大事件でなければなりません。したがって、その対応会議の議事録というものは、これは何もまだ会議ができておりませんので決めてございませんが、私は当然公表されるべきものだろう、これを国民に知らせないでおくということはあり得ないと思いますが、ただ、出来事が信用秩序とかだれからの利益という問題にかかわることはあり得ますので、そういう意味でそのタイミングなり方法に多少の工夫を加えることはあるかもしれません。しかし、基本的にこれは公表すべきものであると考えております。(拍手)
   〔国務大臣谷垣禎一君登壇、拍手〕
#23
○国務大臣(谷垣禎一君) 三重野議員にお答えいたします。
 まず、平成八年度以降の金融機関の破綻における損失額のお尋ねがございました。
 この平成八年に御指摘の預金保険料率の引き上げを含む制度改正が行われたわけでありますが、その後、本日までに預金保険機構により決定された金銭贈与の総額は八兆八千二百七十七億円でございます。なお、このうち保険料収入によって賄われる金額以外の公的資金、つまり交付国債の使用額は四兆七千九百一億円でございます。
 それから次に、預金保険料の引き上げあるいは可変保険料率の実施の是非については、大蔵大臣から御答弁がございました。
 それから、金融機関における外部監査制度の導入あるいは員外監事登用の義務化につきましても、今、大蔵大臣から御答弁がございましたとおり、現在、協同組織金融機関の外部監査等の対象の拡大につきまして、金融審議会答申の趣旨を踏まえて検討を行っているところでございますが、当局としましては、こうした外部監査等の対象となっていない金融機関も含めて、引き続き、検査や日常のモニタリングを通じて状況を的確に把握していきたいと考えております。
 それから、金融危機対応会議について、その議事録の公開等、情報公開のあり方についても宮澤大蔵大臣から御答弁があったとおりでございます。(拍手)
#24
○議長(斎藤十朗君) これにて質疑は終了いたしました。
     ─────・─────
#25
○議長(斎藤十朗君) 日程第一 社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国民福祉委員長狩野安君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔狩野安君登壇、拍手〕
#26
○狩野安君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国民福祉委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、我が国と英国との間で発生する公的年金制度への二重加入の問題の解決を図るために締結された社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定を実施するため、我が国及び英国の両国において就労する者等に関する年金制度について、国民年金法、厚生年金保険法、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法、私立学校教職員共済法及び農林漁業団体職員共済組合法の特例その他必要な事項を定めようとするものであります。
 委員会におきましては、通算措置の早期実現と諸外国との協定締結を促進する必要性等の諸問題について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#27
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#28
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#29
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#30
○議長(斎藤十朗君) 日程第二 教育公務員特例法等の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。文教・科学委員長佐藤泰三君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔佐藤泰三君登壇、拍手〕
#31
○佐藤泰三君 ただいま議題となりました法律案につきまして、文教・科学委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、教員の専修免許状の取得を促進し、その資質の向上を図るため、国公立の小学校等の教員が職務に従事せず国内外の大学院の課程等に長期にわたり在学し、その課程を履修することができる大学院修学休業制度を設けようとするものであります。
 委員会におきましては、教育公務員と一般の公務員の長期派遣研修制度の違い、大学院修学休業中の教員への経済的支援策の充実等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知願いたいと存じます。
 質疑を終局し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#32
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#33
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#34
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十八  
  賛成           二百二十八  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#35
○議長(斎藤十朗君) 日程第三 漁港法の一部を改正する法律案(内閣提出)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。農林水産委員長若林正俊君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔若林正俊君登壇、拍手〕
#36
○若林正俊君 ただいま議題となりました法律案につきまして、委員会における審査の経過と結果を御報告いたします。
 本法律案は、地方分権を推進し、地方公共団体による主体的かつ効率的な漁港の整備及び維持管理を可能とするため、漁港の指定権限の一部を農林水産大臣から市町村長及び都道府県知事へ委譲する等の措置を講ずるほか、全国的に増加している船舶等の無秩序な放置に対処するため、漁港の区域内における船舶の放置等を規制するとともに、放置された船舶等の所有者を確知できない場合であっても、当該船舶等の処分を行うことができる制度を設けようとするものであります。
 委員会におきましては、指定権限の委譲と漁港の整備及び管理のあり方、放置艇の現状と処理経費の負担方策、小型プレジャーボートの管理体制の確立、沿岸漁業資源の適正管理とその維持増大、自然環境の保全と漁港の整備、漁村集落の環境整備の促進等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録によって御承知を願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#37
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#38
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#39
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#40
○議長(斎藤十朗君) 日程第四 河川法の一部を改正する法律案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。国土・環境委員長石渡清元君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔石渡清元君登壇、拍手〕
#41
○石渡清元君 ただいま議題となりました法律案につきまして、国土・環境委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、地域の実情に応じた河川の管理を推進するため、指定都市の長が指定区間内の一級河川及び二級河川のうち一定の区間の管理を行うことができることとするとともに、市町村長が指定区間外の一級河川について河川工事または河川の維持を行うことができることとする等、所要の措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、河川管理権限の委譲と管理責任の移転、河川管理における市町村の自主性の尊重と市民の役割、水辺空間、河川環境の保全、国の技術的・財政的支援の必要性等について質疑を行いましたが、その詳細は会議録によって御承知願います。
 質疑を終了し、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議が付されております。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#42
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#43
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#44
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
     ─────・─────
#45
○議長(斎藤十朗君) 日程第五 民事法律扶助法案(内閣提出、衆議院送付)を議題といたします。
 まず、委員長の報告を求めます。法務委員長風間昶君。
    ─────────────
   〔審査報告書及び議案は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
   〔風間昶君登壇、拍手〕
#46
○風間昶君 ただいま議題となりました民事法律扶助法案につきまして、法務委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。
 本法律案は、民事法律扶助事業が司法制度の充実に寄与する公共性の高いものであることにかんがみ、国民がより利用しやすい司法制度の実現に資することを目的として、民事法律扶助事業の整備及び発展を図るために必要な制度を創設するための措置を講じようとするものであります。
 委員会におきましては、参考人から意見を聴取するとともに、法律扶助の現状と問題点、扶助の要件と対象者の範囲、扶助対象外国人を適法在留者に限った理由、法律扶助事業に係る補助金の増額等について質疑が行われましたが、その詳細は会議録により御承知願います。
 質疑を終わり、採決の結果、本法律案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 なお、本法律案に対して附帯決議を行いました。
 以上、御報告申し上げます。(拍手)
    ─────────────
#47
○議長(斎藤十朗君) これより採決をいたします。
 本案の賛否について、投票ボタンをお押し願います。
   〔投票開始〕
#48
○議長(斎藤十朗君) 間もなく投票を終了いたします。──これにて投票を終了いたします。
   〔投票終了〕
#49
○議長(斎藤十朗君) 投票の結果を報告いたします。
  投票総数         二百二十九  
  賛成           二百二十九  
  反対               〇  
 よって、本案は全会一致をもって可決されました。(拍手)
    ─────────────
   〔投票者氏名は本号末尾に掲載〕
    ─────────────
#50
○議長(斎藤十朗君) 本日はこれにて散会いたします。
   午前十一時四十七分散会
     ─────・─────
ソース: 国立国会図書館
姉妹サイト