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1950/12/09 第9回国会 参議院 参議院会議録情報 第009回国会 決算委員会 第3号
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1950/12/09 第9回国会 参議院

参議院会議録情報 第009回国会 決算委員会 第3号

#1
第009回国会 決算委員会 第3号
昭和二十五年十二月九日(土曜日)
   午後三時四十四分開会
  ―――――――――――――
  委員の異動
十二月五日委員小泉秀吉君辞任につ
き、その補欠として三輪貞治君を議長
において指名した。
十二月六日委員三輪貞治君及び矢嶋三
義君辞任につき、その補欠として小泉
秀吉君及び森八三一君を議長において
指名した。
十二月七日委員杉山昌作君辞任した。
  ―――――――――――――
  本日の会議に付した事件
○理事補欠選任の件
○小委員長の報告
○特別会計、政府関係機関及び終戦処
 理費の経理に関する調査の件
  ―――――――――――――
#2
○委員長(前之園喜一郎君) 只今から決算委員会を開会いたします。
 先ず最初に理事の補欠互選を行いたいと思いますが、御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#3
○委員長(前之園喜一郎君) その方法は如何いたしましようか、お諮りいたします。
#4
○カニエ邦彦君 理事の補欠互選は成規の手続を省略し、委員長において御指名あらんことの動議を提出いたします。
   〔「賛成」と呼ぶ者あり〕
#5
○委員長(前之園喜一郎君) 只今のカニエ君の動議に御異議はございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#6
○委員長(前之園喜一郎君) それでは私から指名いたします。仁田竹一君にお願いいたします。
#7
○委員長(前之園喜一郎君) 次に公団等の経理に関する小委員会小委員長棚橋小虎君から、特別会計政府関係機関及び終戦処理費の経理に関する調査の結果の御報告を願います。
#8
○棚橋小虎君 小委員会における審査の経過を御報告申上げます。
 長いものでこれを朗読いたしますから、失礼ですが坐つておつてやらして頂きます。
 本小委員会は、国政調査の承認を得ました特別会計、政府機関及び終戦処理費の経理状況について審査するために設けられたものでありますが、今臨時国会は会期が極めて短い点を考慮に入れまして、先ず終戦処理費の問題を審査することにいたしました。会計検査院が昭和二十三年度決算検査報告におきまして、終戦処理費に関する不当事項として掲げておりますものは八十五件に達しておりますが、その所管官庁である特別調達庁について、中央経済調査庁が目下その機構と運営につき調査を進めておりますので、先ず中央経済調査庁から、その調査の結果を聴取いたしましたところ、特別調達庁の運営には幾多の問題が存在していることの感じを深めた次第であります。そこでこれが審査に当りましては、二十三年度決算検査報告の批難事項中の数個について、特に掘下げて徹底的に内容を審査することが必要であると認めまして、最近世上の話題に上つております二重煙突事件、即ち右決算検査報告批難事項第三九七号につきまして、第一に審査をいたしました。本件は、特別調達庁の前身、戦災復興院が昭和二十一年十二月足利板金工業組合(後に足利工業株式会社)との間にガス排気筒二十五万フイート購入の契約をしたことに関連するものでありまして、納入が著しく遅れており、そのうち連合国から契約解除の指令が出たにもかかわらず、なお引続き納入させておりましたが、使用実績は極めて少量であつたばかりでなく、本品の検収に当り、処置首を得なかつたがために、不足数量があつて約二千二百余万円の過払を生じ、現在においてなお約千六百余万円が回収されていないものであります。右の過払未回金につきましては、本年十月二十三日收附で当事者間に和解が成立しております。本件につきましては、問題も多く、又世上とかくの噂もありますので、会計検査院、特別調達庁、警視庁、法務府、通商産業省の関係官から説明を聞きましたのみならず、証人として大橋武夫、特別調達庁長官根道廣吉、足利工業株式会社社長田中平吉、及び同会社元専務高橋正吉の四名を喚問して、その証言を求めるなどいたしまして、慎重に審議し、事実の究明に努力いたしました。
 本件につきまして、今日までに明らかとなつた事実等につき、概略御報告いたします。第一は、契約に関する問題でありまして、会計検査院の報告によれば、本件契約は昭和二十一年から二十三年に亙つているものと思われますが、当初から一本の契約をしたものか、年度ごと或いは納入ごとの契約であるか、従つて契約単価は全体を通じて同一であるか、年度ごと或いは納入ごとに異なるものであるかについては、これを明確にする必要があります。決算検査報告における在庫品単価と過払分単価との間にかなりの開きがあるごとから察しますと、契約単価は一つではないように思われますし、物価変動の甚だしかつた当時における契約価格が適正であつたか否かを審査するためであります。併しまだ調査するに至つておりません。
 第二は、契約の相手方に関するものでありますが、田中証人の証言に上りますと、自分は全く製造方面のみに没頭し、会社の経営、帳簿整理等は高橋に一任していたとのことであり、他方高橋の証言に上りますと、会社組織となるまでは全く大福帳式の経理を行なつていたが、会社となつた後も貸借対照表等はいい加減のものであつたと述べております。従つて商法上の会社としての帳簿整理は不完全なものであつて、田中、高橋の両人が自由に会社の金を出し入れしていたものと認められます。このような経理の乱脈状態によりまして、会社の挙げた利益が個人的に任意に費消せられた結果、その利益に基く会社の所得や、田中、高橋個人の所得が表面に現われておらず、いずれも実質的脱税が行われていたものと推測いたされます。
 第三は、検収の問題についてでありますが、根道長官の説明では、当時は検収は政府の官吏によつて行われず、納入代行者たる太平商工常務、山口総男名義によつて行われ、その実務担当者は同社社員小島、藤原の両名であつたとのことであります。この点については高橋証人もこれを認めております。又高橋証人は、自分は検收に立会したことはなく、検収はすべて書類の上のみで行われたと証言しております。更に又根道証人は、納入代行者の過失で検收を過まつたことは申訳がないと言つております。
 第四は、支払代金に関するものでありまして、二重煙突の納入代金として特調から九千九百余万円が二十三年三月から同年十二月までの間に八回に亙つて支払われており、高橋証人もこの事実を肯定しております。右納入代金は、足利工業東京事務所が受領しておりますが、田中の一証言によりますと、東京事務所から足利本社への送金は、約七千四百余万円であり、この金額については高橋証人も大体においてこれを肯定しております。この差額約二千五百万円については、田中証人は、高橋証人が東京において勝手に費消したものであると言うており、高橋証人は、その大部分はこれを事務所の借入れ、寮の購入、給料の支払、その他の会社経費及び原材料の購入代金に充当したものであつて、自己の生活費、遊興費等に使用したものは約三百万円であると証言しております。
 第五は、過払金返納に関する問題であります。本件過払が特調において発見されましたのは、二十四年一月頃でありまして、大橋証人の証言によりますと、同年二月頃、特調三浦監事、川田経理局次長から、過払金回牧について盡力方の依頼があり、大橋証人の幹旋によりまして、返還に関しては会社財産のみならず、田中、高橋の両人が個人保証をする覚書が作成されております。かくて二十四年四月から二十五年二月までの間に、六百余万円が十一回に亘つて納入され、残額が一千六百余万円となり、これが最後の焦付となつたものであります。これより先、二十四年十月に、特調は法務府に対して強制執行を依頼いたしましたところ、和解が得策であるとの法務府の意見に従つて、その手続進行のために、十一月にこの回収事務は経理局から苦情処理課に移管されております。而して二十五年十月に至つて、漸く和解が成立いたしました。右の和解調書及び返納計画書の内容を見ますと、次のような疑問が生じます。その一は、返納金額の半額以上が事業利益金から生み出されることになつておりますが、果してこの会社にその事業能力があるか。その二は、貸付金、未収金等の回収の確実性はあるか。その三は、高橋証人の証言によれば、自動車及び株式等はすでに売却済であるが、それと返納計画書中は記載されている「自動車売却代金」及び「株式」との関係は如何であるか。以上のように多くの疑問を孕む返納計画書及び和解調書の内容については、更に一層吟味をなすべきでありますが、未だこれをなすに至つておりません。
 第六は、官吏の責任と処分に関するものであります。連合国の契約解除令にもかかわらず、本件に対して契約解除がなされていないことは、相手方と情実関係の有無について調査の必要がありますが、未だ審査するに至つておりません。又過拡金取立は緩慢であり、債権保全については適当な措置がとられていない感がいたしますが、この点につきましては調査が未完了であります。更に又本件に関し、十名前後の責任者に対する行政処分が行われましたが、その処分の内容が適正であるか否かの点につき調査が必要であると思われます。
 第七は、大橋証人に関するものであります。二十四年一月頃、特調の関係官吏から本件過払金返済に関し盡力を依頼されましたが、大橋証人の証言によりますと、自動車売却代金約百万円のうち、三十万円を特調に返納し、残額は高橋に事業資金として運用せしめるため、これを銀行預金としており、全部を特調に納入すべきこの金銭に対して、このような処置を講じた理由は、事業資金に利用させるほうが過払金全額の完済に一層適合すると考え、特調関係者とも相談の結果であるというのであります。これに対し高橋証人は、自動車の売却代金百三十万円のうち、三十万円は特調に返納し、六十万円は自分が費消し、残額四十二万円と東武鉄道株式三万五千株の売却代金の一部五十万円及び他の二万円の合計九十四万円を、大橋証人の指図によつて山下茂に渡したが、山下はこの金銭を自己の事業運転資金として使用しておること、及びたびたびその返還を要求したが、大橋証人は今日に至るまでなお返還しないことを証言しております。両証人の証言に基く金額の内容の不一致に対しても審査の必要がありますが、この金銭を特調に納入しない事情については了解に苦しむ点がありますのみならず、その管理については甚だ明朗を欠き、疑惑を差挾む余地があるように思われます。
 次に、右証人と足利工業株式会社との関係は昭和二十三年春頃から二十四年春まで約十ヶ月間同社の顧問であります。次に、右証人と特調幹部との人的関係を申上げますと、特調の三浦元監事とは戦災復興院時代の同僚であり、元契約局長伊藤清とは、内務省における先輩後輩関係であり、元経理局経理第二課長横田廣吉とは上司下僚の関係でありまして、同証人が特調との関係で演じた役割は、足利工業の依頼によつて代金支払の促進を特調に依頼したことと、特調の依頼によつて過払金の回収について盡力したことであります。なお証人に対する質問応答の際、同証人は、足利工業から、高橋証人の証言によれば、月三万円の割で一括して三十万円の車賃を受領し、又二十四年一月、選挙に当り高橋証人から個人的に二十万円を受領しておりながら、これがいずれも所定の申告がなされていないことが派生的に明らかとなりました。
 第八は、足利工業元専務高橋正吉に関するものでありますが、本件に関し、高橋は主要人物であると認められるのでありまして、本件に関連する各不始末は、同人の悪意の作為に基く感が極めて濃く、今日までの審査では、この疑いを解消するの域に達しておりません。同人に関する審査は本件の結論に重大な関係を及ぼすものと思われます。
 以上申述べました通り小委員会におきましては、熱心に審査いたしましたにもかかわらず、会期の関係上審査を完了するに至りませんことは、遺憾と存じます。今後この審査を継続し、更に証人喚問等の処置を講じて、本件の内容を明確にする必要があると認めます。なお審査の必要上左記資料の提出を要求して置きました。
 一、特別調達庁の処分調書
 一、足利板金工業組合、同工業所び同会社の定款、貸借対照表及び損益計算書、前記会社等の納税実績(査定の明細書)前記会社の設立、解散、その他の登記、田中、高橋寸両氏の個人所得及び所得税関係
 一、大橋氏の所得税申告関係
 証人に対する質問応答の詳細につきましては、速記録によつて御承知を願いたいと存じます。以上述べましたように、本小委員会は審査を結了するに至らず、更に継続して審査する必要があると認めますが、今日までの審査経過の概要を中間報告いたした次第であります。
#9
○委員長(前之園喜一郎君) 只今の小委員長報告に対しまして、御質疑及び御意見がございましたら、御発言をお願いいたします。
#10
○廣瀬與兵衞君 高橋正吉ですか、証人が社長の田中が二千万円と四百万円の特殊預金か何かで隠しておるというようなことを言つておりましたが、これは確かであるか、何か確かめる必要はないでしようか。
#11
○棚橋小虎君 高橋はそういうふうに証言しておるのであります。それからなお大橋証人も大体その証言を裏書きするように申しておるのでありますが、なおそれらの詳細につきましては、銀行預金帳等を銀行についてなお一応調べることが必要かと思つております。
#12
○小林亦治君 只今の報告書が小委員会における昨日までの調査なんです。末項の読上げの通り、未だ調査すべきにかかわらず、時間の関係上到底できないというのが約八項ございます。而も漸やく昨日の後半に至りまして、取調べるべき事項が明らかになつたのでございますから、会期の関係上、すべて私ども小委員も非常に残念に思うのでございます。つきましては、来国会におきまして、再度今回同様の小委員会を持つことの希望を持ちながら、本決算委員会の継続審査をお願いいたしたいと思います。それを條件に只今の小委員長の報告を承認したいと存じます。
#13
○委員長(前之園喜一郎君) 他に御発言ございませんか。
#14
○カニエ邦彦君 今廣瀬委員から申された通り、本社のほうの経理、銀行の預金等も一応明らかに調査する必要がなおありますし、それから本件に関しましては、銀行が余りにも取引が複雑で多いということで、そういつたような関係からしまして、今度の会期がなかつたという点を考慮に入れて、今小林君からも意見があつたようにですね、是非やはり継続審査をして明らかにせなければならないと、こう思いますので、是非そういうことを御決定あらんことをお願いするわけであります。
#15
○委員長(前之園喜一郎君) ほかに御発言でございませんか。
#16
○千田正君 只今小委員長の御報告を承わつておるというと、その証人の中におきましては、現吉田内閣の閣僚であるところの法務総裁大橋武夫君の名前が出ております。又疑惑の焦点がその中にもあるようであります。若し仮にそういう疑惑があるとするならば、むしろ大橋法務総裁の立場から言つても、却つて明確にその責任が現われて、何らの疑惑のないように釈明ができるような方向になることが大橋君のためにもなると思いますので、むしろこれは継続審査してはつきりしたほうがいいのではないかと私は思いますが、今の提案に対しましては賛成いたします。
#17
○委員長(前之園喜一郎君) 只今小林、カニエ、千田委員から継続審査を行いたいということを條件にして、小委員長の報告を承認したい。こういう御発言がございましたが、取扱いといたしましては、通常国会に入りまして、議長の調査承認を求めるという手続になるわけであります。そういう意味の御発言と思いますが、その通りですね。
#18
○小林亦治君 その通りです。念のために無論これは繼續審査を願いたいのでありますが、その根底に、来国会に改めて今回私どもが形成したような小委員会を持つように、この希望を含めながら、繼續審査をお願いしたいと、こう申上げたのであります。
#19
○委員長(前之園喜一郎君) わかりました。只今三委員の御発言のようなことを内容といたしまして、小委員長の報告を承認することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#20
○委員長(前之園喜一郎君) 御異議ないと認めます。それでは特別会計、政府関係機関及び終戦処理費の経理に関する調査に関しましては、小委員長報告を本委員会の決定といたしたいと思いますが、賛成の諸君は御挙手を願います。
   〔挙手者多数〕
#21
○委員長(前之園喜一郎君) 多数と認めます。それではそのように決定いたしました。それでは只今の決定に御賛成のかたは順次御署名をお願いいたします。
  多数意見者署名
   谷口弥三郎   栗山 良夫
   鬼丸 義齊   溝口 三郎
   小林 亦治   カニエ邦彦
   千田  正   棚橋 小虎
   村尾 重雄   山崎  恒
#22
○委員長(前之園喜一郎君) 署名洩れはございませんか……。ないと認めます。
#23
○カニエ邦彦君 なお本件に関しまして、参議院規則第百八十一條によりまして、高橋正義名義になつておりますところの三和銀行日比谷支店の口座の写を、これを資料として要求を議長に求めて頂きたいと思うのであります。なおそれに附加えまして、もう一つは東京銀行銀座支店でありますが、同じくここには高橋正吉、それから正義、なおその他の名義を以て高橋の預金をしておつたのでありますから、この銀行に対しましても、同様に高橋正吉が取引いたしましてから、今日までの間の口座の写、但しこれは特別当座も、
 口座も或いは無記名定期、記名定期といろいろあろうと思いますから、その点は一括いたしまして同行に来てなくとも、如何なる名義にせよ、高橋正吉の預金に関する写を要求されるようにお願いしたいと思います。
#24
○栗山良夫君 過日二日間の証人喚問を行いましたうちで、一番はつきりいたしましたことは、足利板金工業の経営実態が極めて不可解であるということでありまして、私はこの経理内審、経営内容を徹底的に洗うことによつて、いろいろな更に明瞭を欠くところの問題が明らかになるものと大体信じ得ると思うのであります。例えば例を申上げまするならば、單に金銭上の問題だけではなくして、当時終戰直後のことでありますが、国民が鉄板のことは渇望しておつたのでありますが、そういうものが多量に足利板金工業に当時の商工省から割当配給をせられておるわけであります。そのものが果して全部二重煙突の製作に廻されておるのか、或いはそのうちの若干が横流しをせられておるのか、この点も私は重大な問題であろうと思うのであります。こういう点も徹底的に調査をする必要があろうかと思います。又調査をして頂きたいと思うのであります。そこで私のお願い申上げたいのは、こういうことに関連をいたしまして、この小委員会なり或いは決算委員会で、こういう問題を調査いたすにいたしましても、院内の調査だけでは完璧を期するわけに参らない。又証人の証言だけを下にいたしましても、これも完璧を期するわけには参らない。結局相当な費用と人とを投じまして、あらゆる方面に調査をやらなければならないと思うのであります。今度の証人喚問に当りましては、カニエ君が相当克明に各方面に亘りまして調査に努力をしておるのでありますが、こういうものは国費で行うべきものであると思うのであります。聞くところによりますと、国会においては適当な費用の捻出の方法がないというので、かようなことがなかなかむずかしいようでありますけれども、私はこの二重煙突事件のようなものは、他に同じような例を持つたものが会計検査院の報告の中にだけでもたくさんあるわけであります。そういうものを全部徹底的に調査するのが望ましいのでありますけれども、なかなか不可能なことでありますが、少くとも明らかになつた問題につきましては、これは徹底的に調査をして、そうすることによりまして、国費の冗漫な使用方法を改めて行くことにしなければならん。従つて中途半端にすることのないようにいたしまして、そうしてそれによつて将来国費の濫費を防ぐということになりますならば、この際相当な国費を投じましても決して無駄ではないと思うのであります。こういう意味におきまして、幸い先ほどの御発議によりまして、次の国会におきましては、本問題を引続いて調査し審査をするということに相成りましたが、どうか委員長のほうにおきましては、必要なる経費をとられまして、そうして必要なる人員を配置せられまして、この種の問題の徹底的な国民に納得のし得るような調査ができまするように御努力を願いたいと思うのであります。希望を申上げて置きます。
#25
○委員長(前之園喜一郎君) カニエ委員の先ほどの御発言になりました御要求は了承いたしました。それぞれ所定の手続を絡まして要求いたします。
#26
○カニエ邦彦君 それは私の只今要求は、栗山君の今発言がありましたが、この委員会にお諮りを願つて御決定をして頂きたいと、こういうことで申上げておるのでありますから、一応私の意見に対してお諮りを願いたいと思います。
#27
○委員長(前之園喜一郎君) それでは只今カニエ君から調査資料の提出要求の御意見の御発表がありましたが、これに対してお諮りをいたします。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#28
○委員長(前之園喜一郎君) では御異議ないものと認めまして、成規の手続をいたすことにいたします。さよう御承知願います。
 なお栗山委員にお答え申上げますが、実はこの調査には相当に費用の要ることを私どもも考えまして、専門員の波江野さんと一緒に事務総長のほうに費用の要求に行つたのであります。ところが事務総長のお答えでは、予算がないので如何ともすることができないと、こういうような御返事であつたのであります。それでは非常に困る、こういうような非常に重大な調査であるので、院外における調査もしなければならないし、考慮して興れということは言うてあります。只今強い御要求もありましたので、重ねて理事のかたとも御相談申上げまして、要求することにいたします。さよう御承知を願いまする。
#29
○栗山良夫君 それはあとで申上げる必要はありませんが、会計検査院があれだけ勇気を持つて不正事実を批難事項として挙げたのであります。而もこれを取上げるのは国会よりないわけです。その国会が費用の制約を受けて徹底的な調査ができないということは、これはますますこうい悪徳を跳梁させることになる。従いまして取上げました以上は徹底的にやらなければならん。で、委員長なり理事のお骨折りによりまして、なお且つ費用が出ないことになりまするならば、これは議院の問題としても大きく取上げて費用の捻出をしなければならんと思うのでありますが、過日衆議院の考査委員会に日発のスキヤンダル事件のために相当莫大な金を投じたのであります。併し結果は何も出ないようでありますが、併しあの問題にしても、取上げました以上は徹底的に調査をする必要があるのであります衆議院であれだけの費用が出まして、参議院が出ないということは何としても了解ができないのであります。これは衆議院の例とも併せ考えまして、御努力願いたいと思うのであります。それから私の先ほど引例の中に申しました通り、商工省と足利板金との所要資材の配給並びにそれが足利工業において果して全額が製作されておるか、これは一つ徹底的に御調査を願いたいと思い許す。
#30
○千田正君 およつとお伺いいたしますが、僕は小委員会には参加しておりませんし、内容は今日小委員長からの報告で伺つたのでありまするが、どうもその経緯から見ると、これは頗る重大な問題のように考えられるのであります。というのは、小委員会で召喚した証人の中には先ほども申上げました通り、現在日本政府の閣僚、而も法務総裁という顕職にあるかたがおられるとするならば、事はこれは相当重大な問題だと思いますが、これは単なる決算委員会だけでこの問題がとどまつて考えておるようでありまするが、法的の問題であつて、法務委員会その他においては、この問題について何か或いは調査或いは法務総裁を呼んで、その間の事情を聽取したというような事実がありますかどうか、委員長に若しその点についてお気付きの点があるならば御発表を願いたい。
#31
○委員長(前之園喜一郎君) 千田委員にお答えいたしますが、委員長のほうではまだ何も承わつておりません。幸い法務委員長が御列席でありますからして、若し何かございましたら、一つお示しを願いたいと思います。
#32
○北村一男君 法務委員会におきましては、別段取立てて大橋法務総裁を証人又は本問題で調査をしたことはございません。従つて大橋法務総裁に尋ねたこともございません。
#33
○カニエ邦彦君 その問題に関連いたしまして、私は甚だ遺憾に思うのは、僅かなその端緒によつてでも、聞込み等に対してでも調査をするところの警視庁なり或いは検察当局が、これに対して今日まで調査を絶対していないということを過日の委員会におきまして、その当時は速記がなかつたのでありますが、そういうことを述べておるのであります。この点が我々委員がちよつと会計検査院の批難事項を眺めただけでも調査の必要があるという感じを持つて、今日まで調査を進めて参つたのであります。従つてそれを専門にやつておるところの機関である警察或いは検察庁がこれほど新聞や或いは雑誌、ラジオ等でやかましく言われ、而も国民から大きな疑惑を向けられておる事件にかかわらず、なお今日までこれの究明に乗り出さないということは甚だ遺憾に思うのであります。従いまして、こういう点を併せて一つ委員会或いは委員長から適当に調査取調べかたをするような希望を申述べて頂けば非常に幸いであると思います。この点希望を申上げて置きます。
#34
○栗山良夫君 先ほど千田君から大橋法務総裁のことが言及されましたが、私は全く同感でございます。特に過日二日間の証言の中で、極めて明瞭になりましたことは、大橋総裁が足利工業から受けられました約五十万円の金に対しましては、何ら所定の納税の手続が終つていないようであります。これは一国の法務総裁が、法の秩序を守るために責任を持つておられる法務総裁が、少くとも法の命ずるところの税金が納められていないということは、これはこの一事だけを以てしても法務総裁を弾劾すべきであると思うのであります。特に申告をしていないということははつきりと証言をされたのでありますので、これを放置することはできないと思うのであります。特に足利工業が正常な会社でありましてかような金銭の出入りが極めて明白に会計整理せられておりますならば止むを得ないのでありますが、足利工業は御承知の通りにその取引先は国であります。従つて国民の税金を以て收入とし、そして支出いたしましたものが極めて乱脈を極めておることは先ほどの報告書にあつた通りであります。法人としての納税すらも欠くるところがあるようでありますし、又役員も極めて杜撰な納税をしておるわけであります。そうしてそういうような会社から適当な金をとられて、特にその御本人もなお且つそういうことをやつておられるということになりますと、これは極めて国民に納得し得ないところであろうと思うのであります。その他大橋法務総裁の問題につきましては、或るときには足利工業の顧問となり、或いは時には特調の取立の代理のようなことをやられまして、こういうような債券者側、債務者側に立ちまして斡旋をするというようなことができるかどうか、特に戦災復興院の次長から民間へ一度下りまして、更に法務総裁の地位につかれたわけでありますが、こういうような長い間の関係は、明らかに特別調達庁内部において相当に政治的成いは行政的な影響力を持つておられたが故に関知されたと思いますが、そのために今日過払千六百万円ばかりが国庫に納められないというような状態になつておるということは、これも更に掘下げて風なければなりませんが、とにかく相当な不明朗な事件を起しておる。最も明らかになりましたこの一点だけでも私は弾劾をすべきであると思いますが、本委員会の主体とするところは飽くまでも過払の調査であります。従いまして、そういうところまでこの委員会が行くべきであるかどうかということにも多々御疑念もあろうと思いますけれども私は少くともこの証人の喚問調査に当りました一人といたしまして、信念的にさようなことを考えておるのであります。この点も皆様がたにお諮りを願いまして、如何ように処置をするか御決定を頂きたいと思います。
#35
○委員長(前之園喜一郎君) 只今栗山委員から大橋法務総裁の問題について御発言がございましたが、本国会は本日を以て終了するわけでありますから、明日更に委員会を開きまして、そうして継続審査の要求を出しまして、新たにこれは承認の要求をとらなければならんと思います。そうして改めてこの問題等について研究すると、こういうようなふうに進むのが順当じやないかと思うのですが、栗山委員如何でしようか。そういうことで一応本日は御意見を承わつて置くということで御了承願つて新らしく発足いたしまして、更に調査研究を進めて行くというふうに進みたいと思いますが、さよう御承知を願いたいと思います。
#36
○栗山良夫君 まあ大体それで私いいと思いますけれども、少くとも今私が具体的に申上げましたことだけは、これは明瞭になつておるわけです。いささかの疑念を差挾む余地もない。これは大蔵当局の説明も聞いたわけであります。御本人の説明も聞きまして、極めて明瞭になつておる問題でありまするから、こういうものだけは、この過払の調査の本流から離れた問題であります。でありますけれども、少くとも政治的に申しまして一国の法務総裁が、法律の擁護のために、法律の権威を高めるために立つておられる法務総裁が、そういう不明瞭な財源から金をとられ、それで而もなお且つ自分が国の定める法律の通りに納税義務を履行せられなかつたというところに問題があるわけでありますから、法務総裁の弾劾を私は要求するということを申上げておるのであります。
#37
○委員長(前之園喜一郎君) 栗山委員の御発言は相当重大と思いまするが、これがそこまで本決算委員会の使命が行くべきものであるかどうかということについて、委員各位も相当に御研究になるべき問題であろうと考えるのであります。今の栗山委員の御発言もよく一つ各委員御研究を下さいまして、次の国会の委員会において御研究を願いたいと思います。
#38
○小林亦治君 只今委員長の御意見なのでありますが、栗山君の申されるように、大橋君個人を弾劾するとか、その地位をどうするということに相成りますれば本委員会の使命外でございましよう。併しながら事は国費の使用に関してたまたま派生的に出たことなのでございまするが、本件に関しましては、先頃から新聞成いは雑誌によつてただならぬ疑惑を国民が抱いておる事実なのでございます。そういうものが小委員会並びに委員会におきまして明らかとなつたならば、結局国民のそうした非難的な輿論に応えるだけの姿を先ずえぐり出すことが必要ではないか、そういう使命を国会が担つておる。新らしい憲法下におきまするところの国会の仕組が、いろいろな証人の喚問なり或いは文書の取寄せなり、対外的な干渉権をも持ち得るようになつたのは、その使命のためなのでございます。決してその点は御心配ないと存ずるのであります。更にカニエ君も縷縷申上げておつたようでありまするが、もう一つ奇怪なのは検察当局なのであります。御承知の通りに犯罪について捜査権が発動される。その捜査の端緒となるのは、まあ卑近な例を申上げますれば、小さな窃盗から百姓が濁酒を作つたことから、ちよつとした聞き込みによつて捜査権が直ちに発動される。ところが本件が国を挙げてと言つては言い過ぎでございましようが、大変な話題になつた事件なのでございまするが、これにつきまして捜査当局が一顧もせす、客観的な行動を国民に表示しなかつた、こういうことなのでございまして、従つてそれらを本来なすべき捜査当局が怠慢にしておつた、そのために本委員会もいい苦労を重ねて今日に至つたような次第なのでありますから、それら検察当局、関係官庁の穴を埋めるためにも我々は活動をしなければならない。以てそれらの機関に対して国会の権威ある刺戟を與えることが必要なのでございますから、権限がどうであるというようなお上品な御心配を抜きにして、これをどう判断するかということは、これは国会全体で決定することでございますから、どうか一つ率直な我々の感覚をそのまま表現できるような結論に達し得るように行動してもらいたいと思います。継続せられる以上は、かれこれ只今申上げる必要がないかも知れませんが、先ほど栗山君からも註文があつたようでございまするが、それに附加えしまして同様な註文が私のほうにございます。それは特調のたしか川田という次長なのでございますが、この先生が過払の弁償として受取つたところの数百万に相当する株券を大橋らの斡旋によつて、それを提供したところの高橋事務でございます。この者にまんまと取上げられたという事実がございます。これは立派な詐欺なんでございます。詐欺にかかつておりながら、それの返還に努力する。被害の弁償に努力するというような自責の念が更にないのであります。全く私ども個人間における友人同志が、本当に極く親しい友人同志が、たまたま時借りでもしたような状態において、この数百万に及ぶところの国家の保管物件が市場に転々として、その結果その利得はことごとく主犯者であるところの高橋専務の手に帰しておる、高橋専務は如何にそれを処分したかというと、大部分は大橋が個人の資格において保管しておるという事実が、これはもうはつきりしておるのです。而も三人の証人によつてこれは紛れもない事実になつておるのであります。こういうこともございますから、是非とも川田次長も次回にはこれは喚問願わなければならんと思うのであります。千田君は大橋法務総裁の個人のためとおつしやいましたが、これも私は賛成なんであります。同時にこれはただに大橋のためばかりじやないのであります。国のためにも、国民のためにも、綱紀粛正のためにも、これは是非とも徹底的に洗う必要があるのであります。本問題が行くところまで、究明する段階までには、なお相当な我々の努力が必要だろうと思うのであります。私は身を挺してこれにあたりたいと考えるものであります。小委員会又は委員会がそこまではとおつしやるならば、私個人の名において、これは断乎司法当局に対して告発しよう。こういうふうな熱意を持つておるのであります。
#39
○溝口三郎君 先ほど小委員長から御報告がありました通り、この問題は非常に重大な問題と考えるのでございます。小委員会で調査したときにおきまして、まだ最終の結論までには至りませんでしたが、殊に私は終戦処理費の経理上の問題におきまして、まだ契約当時の事情から過払いになつた事情等について、終戦処理費の経理等については未だ非常に調査を重ねるところが多いことと考えるものでございます。そこへたまたま派生的な、只今栗山さんや小林さんからのお話がありました通り、大橋総裁の問題が出て参りました。これらの問題についても、これは徹底して究明する必要があると思いまするので、いろいろ問題が複雑しておるのですが、これをどういう方向に将来調査を進めて行くかというようなことについて、私といたしましては、是非ともこの終戦処理費の経理上の問題については、できるだけ早く結論を出せるように、区分をして、審議を進めて頂くようにお願いいたしたいと思います。第十国会において、若し小委員会等を作つて審議をする場合がありましたならば、そういう点についても委員長においてお取計らいをお願いいたしたいと思います。
#40
○千田正君 先ほど栗山小林委員から大橋総裁の弾劾云々の言葉がありましたが、決算委員会は飽くまでも国の経理という純粋なる立場に立つて今までやつて来ております。今後もそう続けられることを望んでおりますが、同時に小委員会或いはその他において結論が出て、これが当然大橋法務総裁を弾劾すべきものと決算委員会において認めた場合においては、その方向に行くのは止むを得ないでしようが、取りあえずのところは現在の小委員会の調査を順調に続けることと、それから行政官庁或いはその他の銀行或いはいろいろな関係に対して飽くまでも国の、国会の力において協力をさせる。途中において埋滅したり或いは非協力のような態度があつた場合には、国会の立場から十分に嚴粛な方法を講じて頂きたいということをお願いして、継続は賛成です。この点であとは散会の動議を提出いたします。
#41
○小林亦治君 只今溝口さん、千田さんから、私とほぼ同様な御意見があつたようであります。いずれも委員長に対する希望であろうと存じます。御採決の必要はないと思いますから、どうか委員長におかれましては、この空気をよくおつかみ願つて、来国会におけるところの本委員会で、これが究明に当られますように、私からまとめて希望を申上げて置きます。
#42
○委員長(前之園喜一郎君) 各委員の御意見はよくわかりました。それで先ほど来申上げましたように、第十国会において更に引続いて調査をするという意味において、改めて議長に対して調査承認要求書を出す必要がありますので、明日午前十時から決算委員会を開催いたしまして、正式に調査承認要求の手続きをしたいと思いますが、如何でございましようか。御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶものあり〕
#43
○委員長(前之園喜一郎君) それでは明日午前十時に決算委員会を開催いたしまして、調査承認要求その他に関する手続について御協議をお願い申上げます。本日はこれを以て散会いたします。
   午後四時三十七分散会
 出席者は左の通り。
   委員長    前之園喜一郎君
   理事
           岡崎 真一君
           仁田 竹一君
           棚橋 小虎君
           溝口 三郎君
   委員
           北村 一男君
           西山 龜七君
           廣瀬與兵衞君
           カニエ邦彦君
           栗山 良夫君
           小林 亦治君
           村尾 重雄君
           山崎  恒君
           鬼丸 義齊君
           谷口弥三郎君
           千田  正君
ソース: 国立国会図書館
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