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2000/02/28 第147回国会 衆議院 衆議院会議録情報 第147回国会 予算委員会第三分科会 第2号
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2000/02/28 第147回国会 衆議院

衆議院会議録情報 第147回国会 予算委員会第三分科会 第2号

#1
第147回国会 予算委員会第三分科会 第2号
平成十二年二月二十八日(月曜日)
    午前十時一分開議
 出席分科員
   主査 桝屋 敬悟君
      滝   実君    末松 義規君
      石田 勝之君
   兼務 大畠 章宏君 兼務 桑原  豊君
   兼務 松崎 公昭君 兼務 近江巳記夫君
   兼務 久保 哲司君 兼務 児玉 健次君
   兼務 藤木 洋子君
    …………………………………
   文部大臣
   国務大臣
   (科学技術庁長官)    中曽根弘文君
   自治大臣         保利 耕輔君
   科学技術政務次官     斉藤 鉄夫君
   文部政務次官       河村 建夫君
   文部政務次官       小此木八郎君
   自治政務次官       平林 鴻三君
   政府参考人
   (文部省初等中等教育局長
   )            御手洗 康君
   政府参考人
   (文部省教育助成局長)  矢野 重典君
   政府参考人
   (文化庁次長)      近藤 信司君
   政府参考人
   (消防庁長官)      鈴木 正明君
   地方行政委員会専門員   蓼沼 朗寿君
   文教委員会専門員     岡村  豊君
   科学技術委員会専門員   宮武 太郎君
   予算委員会専門員     大西  勉君
    ―――――――――――――
分科員の異動
二月二十八日
 辞任         補欠選任
  中川 昭一君     滝   実君
  古賀 一成君     末松 義規君
  石田 勝之君     上田  勇君
同日
 辞任         補欠選任
  滝   実君     中川 昭一君
  末松 義規君     山本 譲司君
  上田  勇君     遠藤 乙彦君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 譲司君     古賀 一成君
  遠藤 乙彦君     石井 啓一君
同日
 辞任         補欠選任
  石井 啓一君     若松 謙維君
同日
 辞任         補欠選任
  若松 謙維君     石田 勝之君
同日
 第二分科員児玉健次君、藤木洋子君、第四分科員大畠章宏君、第五分科員松崎公昭君、第六分科員久保哲司君、第八分科員桑原豊君及び近江巳記夫君が本分科兼務となった。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 平成十二年度一般会計予算
 平成十二年度特別会計予算
 平成十二年度政府関係機関予算
 〔総理府(科学技術庁)、文部省及び自治省所管〕

    午前十時一分開議
     ――――◇―――――
#2
○桝屋主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。
 平成十二年度一般会計予算、平成十二年度特別会計予算及び平成十二年度政府関係機関予算中自治省所管について審査を進めます。
 政府から説明を聴取いたします。保利自治大臣。
#3
○保利国務大臣 平成十二年度の自治省関係予算につきまして、概要を御説明申し上げます。
 まず、平成十二年度一般会計予算でありますが、中央省庁等改革に伴う新体制移行を反映させたものとなっており、自治省所管に計上いたしました予算額は、十四兆九十二億五千八百万円でありまして、新体制移行後は、総務省所管の予算として所要の予算額を計上しております。
 以下、主要な事項の説明につきましては、委員各位のお許しを得まして、これを省略させていただきたいと存じます。
 よろしくお願い申し上げます。
 以上でございます。
#4
○桝屋主査 この際、お諮りいたします。
 ただいま自治大臣から申し出がありました自治省所管関係予算の概要につきましては、その詳細は説明を省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
#5
○桝屋主査 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
#6
○桝屋主査 以上をもちまして自治省所管につきましての説明は終わりました。
    ―――――――――――――
#7
○桝屋主査 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。末松義規君。
#8
○末松分科員 民主党の末松義規でございます。
 きょうは、自治省関係のうち、地元の消防団に関する質問をさせていただきたいと思います。
 私も、出初め式等、いつも毎年出させていただいているわけですけれども、消防の方々とお話をしていて、非常に不安に思っておられる方がいる。消防団というのは、本当に地元中の地元の方々が地域に貢献されてきた非常にとうとい歴史を持っておられますから、この方々が今後とも不安なく、使命感、ある意味で充実感を持って地元の方々の敬意そして感謝の中でやっていかれることが一番ベストであろうと思っているわけであります。
 その観点から御質問させていただきますが、特に去年は、大災害があるんじゃないかということで、地震とかいろいろと心配をされました。日本にはそれほど大きなものはなかった。ただ、トルコ、台湾、そういったところに大きな地震も起きておりますし、関東大震災がまた再来するんじゃないかというようなこともよく言われております。
 そういった中で、消防団の活動で、何ら不安なく業務に専念していただくということから、公務で災害が発生した場合の補償、これを本当にきちんとしているんだろうかということに私も非常に関心を持っているわけでありますが、団員の方々がそういった消防活動あるいは災害の復旧等をしておられて、そこでけがをしたとか亡くなったとか、そういった場合の補償について、まず仕組みとその程度をお伺いしたいと思います。
#9
○保利国務大臣 今委員御指摘のとおり、消防団員の皆さんは、暑いときも寒いときも、どういう事態があっても、住民の生命財産を守るために努力をしておられる。位置づけといたしましては、非常勤の地方公務員という形で位置づけられていまして、地域における消防防災の中核としていろいろな災害に相対しておるわけであります。
 委員御指摘のとおり、ある意味では危険に面する場合がありますから、平成十年度におきましても亡くなられた方が十名いらっしゃいますし、また負傷を負われた方が九百三十五名という統計が出ております。そんな形で、大変危険とも相対しておられる消防団員の皆さんがこれから安心して活動ができますように、公務災害補償の面におきましても、常勤の地方公務員に準じた公務災害補償制度を設けておるところであります。
 具体的な補償内容といたしましては、団員が負傷した場合には療養補償、休業補償、障害補償、また不幸にしてお亡くなりになった場合には遺族補償、葬祭補償などが、階級や勤務年数、遺族の状況等に応じまして市町村から支給されるという形になっております。これによりまして、消防団員本人または遺族の方々が相当な補償を受けられるものと思っている次第であります。
#10
○末松分科員 もう少し具体的に、例えば金額なども含めてわかりやすい形の、別に大臣からでなくても結構ですから、その辺についてもう少しお伺いしたいと思います。
#11
○平林政務次官 消防団員の遺族補償の場合でございますけれども、今大臣が申し上げましたように、市町村が遺族補償と葬祭補償並びに福祉事業を実施するということになっております。それで、遺族補償と葬祭補償に関しましては、殉職消防団員の階級、経験年数、遺族構成等に応じて支給額が決定されます。福祉事業につきましては、これらの支給額の割り増し及び一時金の追加支給が行われます。
 具体的な支給額を班長歴五年で家族が妻と子二人の場合で計算してみますと、一時金で約一千八百九十万円、年金で約四百四十万円。それから、分団長歴五年で家族構成が妻のみという計算をしてみますと、一時金で約一千八百九十万円、年金で約三百二十万円であります。
 このほかに、国、都道府県及び市町村からの賞じゅつ金というものがございまして、これが殉職者の功労に応じて最大九千万円支給するということが行われております。
#12
○末松分科員 そうしますと、例えば遺族補償について、これは市町村からまず一時金として一千八百九十万ですか、それで年金が、例えば班長歴五年の方で妻とお子さん二人で四百四十万、年金というのは毎年毎年支払われるわけですね、その額で。
 最後に述べられた最大で九千万円というのは、大体平均しますと、一般的な形といいますと、約二千万円弱に上乗せで、それに数千万また加わると見ていてよろしいのでしょうか。上の方だけが九千万円ということなんですか。その辺のイメージとして、もうちょっと詳しく一言お願いしたいと思います。
#13
○平林政務次官 賞じゅつ金の制度というのは、国で昭和三十七年に制定されました消防表彰規程というもので定められております。市町村におきましては、昭和二十八年に各市町村で消防賞じゅつ金及び殉職者特別賞じゅつ金条例というようなことで定められていくというような経過が今日までございます。
 それで、消防賞じゅつ金は、一身上の危険を顧みることなく職務を遂行して傷害を受け、そのために死亡した消防吏員及び消防団員に対して支給するということになっております。
 それで、功労の程度が大体四段階に分類されておりまして、「特に抜群の功労があり他の模範となると認められる者」、これが二千五百二十万円、それから、四段階の一番金額の低い基準でいきますと、「多大な功労があると認められる者」、四百九十万円というようなところで大体この基準が決まっております。
 そこで、殉職者の特別賞じゅつ金というのがございまして、災害に際して、特に生命の危険が予想される現場に出動し、生命の危険を顧みることなくその職務を遂行して傷害を受け、そのため死亡した消防吏員または消防団員が、その功労により特別功労章を授与されたときは、消防庁長官は、三千万円の殉職者特別賞じゅつ金を支給することができるということになっております。
 さようなことで、そういうものをずっと足し合わせていきますと、最高でさっき申し上げた金額があるということでございます。
#14
○末松分科員 例えば消防団員の今後を見てみますと、今、数が平成十一年で九十五万人、そういう話をお聞きしましたけれども、例えば昭和四十年で見てみますと百三十三万人いた、それが昭和五十年で百十二万人に二十万近く減った。昭和六十年で今度は百三万人ということでさらに十万人近く減っている、平成十一年で九十五万人ということでさらに十万近く減ってきている。どんどんこれは減ってきている。
 なぜこんなに減ってきているかといいますと、例えば私の多摩の地域なんかを見ますと、地元中の地の方がだんだん人口移動をしていって、いろいろなところに、各地に行かれるということによって、そういった地の方の人数も減ってきているということもあるでしょうし、それから、要はやはり魅力がないのじゃないか。
 月に大体三回から五回ぐらい訓練があったり、あるいは設備の点検があったりするということで、時間はとられる、そしてさらに報奨金みたいな形のものは非常に少ない。むしろ、消防団の方々は基本的にはボランティアでやっておられる、非常に崇高な精神でやっておられますから、そういったことを考えれば、なかなかそれを責任感を持ってやっていかれるという方の総数がやはり減ってきている。これは時代の風潮ということも多分あるんだろうと思うのです。
 そういったことを考えて、さらに将来、例えば少子化ということで当然また少なくなってきますね。そうすると、防災に関する大きな役割は変わらないにもかかわらず、消防庁の職員の方が急激にそれは数が伸びていけばまた別ではありますけれども、ただ、この消防団に変わり得るような補助的なものを探そうと思ったって、それはできない。
 したがって、これから、九十五万人があと十年あるいは二十年たったら、例えばこれからまた十万人、二十万人減っていくんじゃないか。どんどん減っていって、昭和四十年から考えてももう三割減っているわけですから、さらに二、三割減っていくという話になれば、これは消防体制あるいは災害の体制についても、我が国としては非常に大きな問題になってくるのだろうと思うのです。
 その意味で、消防団の方々が、例えばそれに見合うコストあるいは給付金みたいのを、もっとくれとは私は聞いておりませんが、しかし、そういったことをやはりきちんと国としても面倒を見ていかないと、この減少に歯どめがかからないのじゃないかと思うわけです。
 ですから、ぜひここは、年間七、八万円というそういったお金を支給されているというお話は聞きますけれども、そんなものじゃなくて、もっと魅力あるものにしていかなければならないと思いますが、その点について、大臣あるいは政務次官のお考えをお聞きしたいと思います。
#15
○平林政務次官 実は、消防体制ということに関しまして、消防団員の減少が続いていくということは私どもも非常に憂慮しておる問題でございます。
 社会の実態が、消防団に参加していただける住民の方々が非常に多様化いたしまして、昔なら、例えば農村に行きますと、一日じゅう家か家の近所におられる方が消防団で活躍しておられたのですが、そういう方はどんどん減りまして、よその地域に通勤される。委員がおっしゃるような状況がふえてまいりますと、どうしても消防団の活動が手薄になってまいります。
 したがって、今、女性の方の消防団というようなものも各地域において、いわば男が外に出て働いておるときに在宅の女性の方で補っていくというような、昔から多少ございましたけれども、そういうところも見られます。それから、消防団でなくても、お互いに火事が出たときに、本当の消防団員でない人で消火活動をやれるような組織も考えてみるというような、そんな場所もございます。
 さまざまでございますが、最近は、一番主力になりますのは、常備消防、消防署がやっております。ああいうところに主力が全国的に移ってきて、昔は常備消防がなかったところに常備消防が広域的につくられるというような現象で、消防団員と相まって災害のときの活動をやっておるというのが実情であろうと私は思っております。
 ただし、今申しましたように、消防団というのはやはりボランティアの主力でございますから、これを何とかこれからも確保して、できればふやしていただきたいというのが我々の願いでございまして、今若干委員がおっしゃった待遇面のことでありますとか、あるいは災害補償のことでありますとか、いろいろな面で消防団の活動が強化されるような、そういう手当てをしていきたいということでございます。
 具体的には、地方交付税の基準財政需要額にそういう関係の経費を算入いたしまして、市町村に財源措置をすることで消防団の強化の努力をお願いするというようなことも含めまして、やっておるようなことでございます。
#16
○末松分科員 その御発言、高く評価しますので、それを本当に実現していただきたいと思います。
 今、女性とかあるいは非団員によるそういう消防の活動についても考えていかれるというお話がございましたけれども、ちょっと制度のことで、消防団員じゃなければ、例えば、消防活動に当たったときにけがをした、死亡したという話、これまた公務補償という話にもなってくるわけです。そういう点についても、要するに、消防団員じゃないから出さないよというような話になっては、また困りますね。
 だから、そういうふうなことについてもちょっと御検討をいただくように、私からお願いしたいと思います。
#17
○平林政務次官 公務に従事した場合の災害の補償というのは、これはもちろん、一般的な協力援助した人に対する補償というのは、制度的にはございます。けれども、今おっしゃいますように、消防の活動に参加してというようなことで、別の協力援助者に対する補償規程というようなものは、余り整備されていないように思います。
 そこらのところは、これからの社会の変化に応じまして、やはりおっしゃいますようなことを十分考えていかなきゃいかぬ、私自身はさように思っております。
#18
○末松分科員 待遇ということも、ちょっと私も強調したんですけれども、一番重要なのは、そういったボランティア精神、これがもっと称揚されて、一言で言えば、もっと褒められる、あるいは称賛されるというような社会じゃないと日本はこれから困ると思いますので、そういった称賛をされるということですね。
 出初め式でも、あれは一つの社会の称賛する、地元の名士の方々が集まってやられるいい制度だと思いますけれども、そういった、日本のために役立っている方々をもっと褒めていくという制度を充実していっていただきたいと思います。これは強く私からお願い申し上げます。
 そういった中で、消防団におきましても、私、地元の消防団長を長く務められた方からお聞きしたんですけれども、四国に繁藤事件というのがございまして、私も、事前にお話をしているかと思いますが、ここでがけ崩れが起こったときに、消防団長の方が団員に対して指揮をした。それがどうも適切な指揮じゃなかったんじゃないかということで、その団員の方が死亡か何かをされたんですかね、それで大変な事件となって、これが裁判ざたになって、一審では国家賠償法の対象になったり、あるいは二審では逆転判決が出たり、また最高裁でようやく和解をしたりと。
 そういう形になったときに、消防団の方も、セミプロといいますか、本当のプロじゃない。その現場の判断が、例えば消防庁の方が来られていればそれはいいんですけれども、そうでないときに、実際に急場のときにいろいろな指揮をしなきゃいけない、そのための訓練を日々行っておられるんだろうとは思いますけれども、そこを余りに厳しく裁いてしまいますと、なかなか実際に、部下に対して行けとか、あるいは今火の中にどうしろとかいうことが言えなくなってしまう。みんな腰が引けて、消防そのものの活動が阻害されはしないか、そういったところで大きな被害がまた生じるんじゃないか、そういう懸念があるんですけれども、その辺について、御認識をお願いしたいと思います。
#19
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
 繁藤事件をお挙げいただいて御質問でございますが、まず、消防団員のケースについてお話しさせていただきたいと思います。
 消防団員が公務によって負傷されたり、あるいは死亡されたりという場合には、一般的には、その事実によりまして、遺族補償を初め、公務災害として満額が補償されるという仕組みになっております。
 それで、お尋ねのように、団長あるいは同僚の方の行為によりまして、過失などがありまして消防団員の方が公務災害を受けた場合にも、それは補償されるという考え方になっております。
 また、その場合に、では、同僚の方あるいは団長の責任はどうなのかということにつきましては、一般的に、第三者求償ということがあり得るわけですが、要するに、団員の方の持っている同僚職員に対する請求権を、市町村がかわって求償するという仕組みがございますが、公務災害の制度の中では、そういう求償をすることができるということとはされておりませんので、求償されるということはないというふうに御理解いただいていいかと思います。
 それで、お話のこの判決につきましては、一般住民の方が巻き込まれたケースでございまして、その方々は、先ほどお話にありました協力者とかという立場でなかったものですから、国家賠償法の適用の議論になりまして、公務災害の議論とはちょっと違うものですから、ああいう経過をたどったのではないかと思っております。
 いずれにいたしましても、団長を初め消防団員の方が、やはり練度を上げていただいて、適切に職務を執行されるということについては、私どもも最大限努力をしてまいりたいと考えております。
#20
○末松分科員 それから、これもちょっとまた地元の方からお話があったんですが、台風時に、台風というのはいついつ何時ぐらいに来る、それはいろいろと進路にも、途中いろいろと変なところがあるかもしれませんけれども、大体予測が可能というところもあって、例えば住民の方々にみだりに出歩かないように、これは報道なんかもいろいろと言っているんでしょうけれども、また消防や災害の防止の活動の妨げということにもなりますから、交通規制なんかをすべきじゃないか、こういう御意見があったんですけれども、これについても、ちょっとお答えいただけますでしょうか。
#21
○鈴木政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、消防団員は、台風等の災害時におきましては、事前の見回り、危険箇所の警戒監視活動とか、住民の避難誘導とか、人命救助活動など、いろいろな業務を行うわけでございます。それらの災害応急対策が円滑に行われるためには、やはり、交通規制というのが極めて重要であると私どもも考えております。
 それで、災害時の交通規制につきましては、都道府県の公安委員会により実施されるということでございまして、通行禁止区域の設定などが行われるわけです。それで、消防サイドは、通行禁止区域などで、車両の移動命令、どかすとかという場合に、警察官がいない場合などには、これは消防吏員ですが、消防団員ではありませんが、消防吏員がこれを行うことができるという仕組みになっておりまして、いずれにいたしましても、災害時において関係機関の連携がとれるように、私どもも努力をしてまいりたいと考えております。
#22
○末松分科員 よろしくお願い申し上げます。
 最後になりましたけれども、大臣の方に、ちょっと最後に御認識を伺いたいんですが、今のような議論を聞いて、これから阪神大震災のような地震がある、今度は関東であるということもよく言われますけれども、そういったときに、消防団員の方というのは、多分自分の御家族の安否も非常に気になる、しかし地域のことにいろいろとまた活動しなければいけない。そういった意味で、また大きな精神的な負担にもなるんだろうと思うのですけれども、中央防災会議なんかで、いろいろとこれから、大きな議論として震災対策をやられているかもしれません、やられているんだろうと思うのですけれども、そこで、消防団員の方々との連携、その辺についても怠りなくやっていただくのと同時に、消防団員の方々が、そういった非常に心理的な負担あるいは物理的な危険、この辺について、ぜひ大臣としても今後御努力いただきたいと思いますが、大臣、いかがですか。
#23
○保利国務大臣 御指摘の点は大変ごもっともだと思います。それで、私も、就任いたしましたときに、今後の消防庁の活動というのは新しい災害にも備えなければいけないということを申したわけでありますけれども、市町村の機関が持っております、消防士を抱える正式の消防活動をやっているグループ、それからボランティアでやっていただいている消防団、ここが一体になっていろいろ研究をし、また御指導もいただきながらいろいろ今後の災害についてしっかり取り組んでいく、そういうことを私どもは消防庁を通じて全国の消防団の皆様方あるいは消防の関係者に徹底をしていきたい、こういうふうに思っております。また、その御労苦に報いるためには、人事院勧告、そのほか制度の意を体しまして、今後ともそうしたいろいろな災害の補償その他について改善を図るように、今までもやってきておりますが、今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
 とりわけ、消防意識の高揚ということが大事でございますので、私どもの地元なんかでは、例えば、幼稚園のときから消防意識を高揚させるように子供の消防グループをつくっておりますし、婦人につきましては、漁村を抱えておりますから、婦人が本格的な活動もしておりますが、同時に、だんな様が海の上にいらっしゃるときは手の出しようがありませんから、そういう意味で、婦人に力を大分かしていただいているということもあります。
 そうしたことも、いろいろなことをやはり今後総合的に考えながら、新しい大災害等が起こったときの対応についてふだんからの研究をしていただくように、私からも消防庁を通じて要請をしてまいりたいと思います。
#24
○末松分科員 どうもありがとうございました。質問を終わります。
#25
○桝屋主査 これにて末松義規君の質疑は終了いたしました。
 次に、桑原豊君。
#26
○桑原分科員 民主党の桑原でございます。
 私は、まず地方財政の問題で、真正面切ってなかなか議論の課題にはなっておりませんけれども、先般、新聞でも報道されておりましたが、いわゆる土地開発公社、地方自治体にたくさんあるわけでございますけれども、土地開発公社の九八年度末の塩漬けになった土地が、塩漬けというのは、土地を購入してそれを利用することがないままに保有をしている、そういう土地でございますけれども、五年以上保有している土地が三七%で、簿価にして三兆八千五百億円だというようなまとめを自治省がされたそうでございます。その五年以上の中に、さらに十年以上のものが一兆五百二十六億円もある。
 こういうようなことで、要するに、バブル期といいますか、公共事業用のさまざまなものを行うために先行取得したそういう土地が、バブルがはじけて利用できないというような形でたまりにたまっている状態だというふうに思うのですけれども、大変な財政の圧迫要因になっている、こういうようなことでございました。
 この現状をどういうふうに見ておられるのか、また、そういうふうな状況に至った原因をどういうふうに把握されているのか、その点についてまずお聞きをしたいというふうに思います。
#27
○保利国務大臣 御指摘の、土地開発公社の保有しております土地は、先ほど委員が御指摘のとおりの数字でありますが、全体といたしましては八兆七千八百五十四億円、三万四千四百七十六ヘクタールとなっておるわけでありまして、これは大変大きな数字だなという印象を持っております。
 この土地開発公社が保有している数字というのは、大半が土地開発公社の設立団体であります地方公共団体の御依頼に基づいて土地の先行取得をしたものでございまして、将来の土地利用計画あるいは必要性等に基づくものでございますが、その後、事業計画を見直しましたり、あるいは財政事情の変化などで公社が長期にわたって保有してきた結果がこのような数字になっているのではないかと思います。
 自治省におきましては、これまでも地方公共団体に対して、保有土地について、最終的な利用に供するまでの間も積極的な活用を図るように、また、取得後の事情変更等によって当初計画の再取得が困難となっている場合には、その利用目的を見直して処分の促進に努めていただきたいというようなお願いをずっとしてまいったわけであります。いろいろ通知等も出しております。
 今後とも、引き続いてこの処分促進等についての、あるいは利用の促進等についての指導をしてまいりたい、このように思っております。
#28
○桑原分科員 自治省が現在そういうふうに指導をされておるということはわかるわけでございますけれども、もともと、自治体の土地の先行取得というのは、ある意味では景気浮揚の対策という色合いもあって、国が中心になって地方をいろいろ誘導していった、恐らくこういう経緯もあるというふうに思います。
 そういう意味では、地方の責任において処理をしていくということももちろん当然のことなんですけれども、そういった国の政策の一つの結果として、自治省として、その点にある意味の責任もあるというふうに私は思うわけでして、ぜひ強力に指導していただきたいと同時に、国として、自治省としてどういうふうな責任を考えておられるのかということもあわせてお聞きをしたいと思います。
#29
○平林政務次官 土地開発公社に限って申しますと、今、全国には千五百九十七もある、こういう状態でございます。
 土地開発公社が制度的にできましたころから、いろいろ経済状態が変動をいたしておりまして、今大臣が申しましたように、あるいは委員がおっしゃったような経営状態、あるいは土地が塩漬けになっておるというようなことが、今日、いわば各地方団体において相当な悩みになっていることは事実でございます。
 でありますから、これをどのように処理していくかということにつきましては、自治省も注目をして、適切な措置を指導すべきであると思っております。
 先行取得しました土地の若干のものにつきまして、利子補給的な措置を地方交付税の基準財政需要額に入れるとか、そういうようなこともございますけれども、根本的にはやはり、従来取得いたした土地をどうやって処分していくかというようなことを各地方団体で適切にやっていただかなきゃいかぬ、そういうことでありまして、最終的な責任はどっちにあるかと申せば、もちろん設立団体側にあるわけでございますけれども、そこら辺のところは、お互いに知恵を出し合って適切な方法を考え出していくということに落ちつこうかと思っております。
#30
○桑原分科員 一部の土地は、既に道路であるとか公共用の施設であるとか、そういったものに利用されていながら、依然として公社が保有したままの形になっている。自治体の方も、本来それを買い取るべきなんでしょうけれども、なかなか財政的に難しいというようなこともあって、そういう不正常な状態のままにあるところもあるということでございますから、そういうことなども含めて、ぜひ適切な、強力な指導方をしていただくと同時に、自治体がそういう形になるようにやはり支援策を講じていただくということも大切ではないかなというふうに思いますので、御要望しておきたいと思います。
 それから、私の地元なんかでも悩ましい問題としてあるのは、いわゆる第三セクターの経営ですね。例えば私の地元なんかでは、JRの鉄道が廃止になって、それを三セクで引き受けていろいろ経営をしてきたわけですけれども、大変厳しい状態の中で、もうどうしようもない状態に至っている。そういうふうな第三セクターの経営破綻というのも、これはやはりいろいろな調査があるようですけれども、帝国データバンクの調査では、そのうちのごく一部分の、かなり地方の出資比率が高いところを中心にやられたようですけれども、そういった調査でも、六割近くがもう債務超過に陥っているとか、あるいはその直前の状態であるというようなことのようでございます。
 そういった三セクの経営状態についてどういうふうに把握をされているのか、その点まずお聞きしたいと思います。
#31
○保利国務大臣 第三セクターの問題につきましては、昨今の経済状態を反映して、経営状況については非常に厳しいものがあるという認識をいたしております。
 昨年の十二月、ついこの間でありますが、取りまとめた結果によりますると、商法法人の形態をとっております第三セクターにつきましては、約四割に当たります千四百三十六法人が直近の決算において経常赤字になっております。
 それから、民法法人の形をとっております第三セクターの約四分の一に当たります千二百十九法人が、直近の決算において、当期の資産を減らしたり、あるいは負債をふやしたりする形で正味の財産が減少をするという形になっております。
 これらの第三セクターの経営状態が深刻でありますので、あるいはこれから地方公共団体の財政に悪影響を及ぼすことがあるということを考えまして、第三セクターあるいは地方公共団体ごとに事情がいろいろまた異なりますので、一概には申し上げられないのでありますが、第三セクターの状況というのが、あるいは環境というのが非常に厳しいということを私ども認識をしております。
 自治省といたしましては、今後、第三セクターに関する指針というのが平成十一年の五月に自治省から出ておりますけれども、その方針に沿って各地方公共団体において第三セクターの経営状態の点検、評価を行うとともに、積極的に経営改善を促し、当該地方公共団体の財政運営に影響が及ぶことのないように、指導監督等に努められるように期待をいたしておるところであります。
#32
○桑原分科員 第三セクターでもいろいろなものがあって、かかわりの濃いものと薄いものといろいろあると思いますけれども、特に私は、自治体が半分以上出資をして、その命運が自治体の命運と直結をする、そういうものについては、特段、その財政状況、経営状況、そういったものをやはり注意をして取り組んでいく必要があるんではないかというふうに思うんです。
 現在、三セクというのはどれぐらいあって、どういう赤字額になっているのかということはおわかりでしょうか。
#33
○平林政務次官 これは、第三セクターというのを全部合わせますと、八千三百九十五という法人の数が一応出ております。そのうち、商法法人、株式会社または有限会社でやっておりますのが三千四百七十五、それから民法法人、民法に基づき設立された社団または財団、これは四千九百二十法人ございます。平成十一年の一月一日現在で調べたものでございます。
#34
○桑原分科員 大変な数に上っておるということでございます。
 地方財政の赤字が今問題になっておりますけれども、恐らく、この三セクの赤字というのは、金額にすれば、地方財政の膨大な債務に比べればそんなに大したものではなかろうとは思いますけれども、しかし、地方財政の限界にまで達しておる自治体がたくさんあるという前提の上に立てば、この三セクの赤字というものが最後の引き金になって自治体の破綻につながっていく、そんなことだってやはり十分考えられるわけですから、金額の多少ではなく、やはり地方財政に与える問題の重要性というのを考えていただいて、積極的に対応をしていただきたいと思います。
 もう一点お聞きしたいと思うんですが、地方公務員の勧奨年齢の問題でございます。
 実は、昨年の六月の行政改革特別委員会、ここで我が党の岩國議員が質問をいたしまして、これは私の出身県の、石川県の鳥屋町という町の職員の勧奨年齢の問題なんですけれども、男女差が、男性が五十八歳で女性が四十八歳というふうに十歳の勧奨年齢の差があるんだ、この時代にこんな差があるというのは非常に問題だ、自治省として今まで何にも指導してこなかったんじゃないかというようなことで、ぜひこの問題について自治省は指導をしていただきたい、こういうような質問をされて、当時の野田大臣の方から、まさに問題点としてはそのとおりだと、この点については姿勢を正して取り組んでいかなければならぬ課題だと考えているということで、いずれにしても、その実態把握も従来以上に的確に行えるように工夫してみたい、そういうようなことで、自治省がその後どんなふうに取り組みをされたのかということをまずお聞きしたいと思います。
#35
○保利国務大臣 この問題は、御指摘のとおり、事実関係におきましては、石川県の鳥屋町、現在もまだ鳥屋町職員退職勧奨制度実施要綱というのが残っておりまして、男子五十八歳、女子四十八歳という規定がございますし、そのほかの規定も若干、もう一つぐらい差がついているのがございます。
 そうしたことについては、町村を指導する立場にあります県を通じましていろいろ御要請を申し上げてきたところでございますが、残念ながら、現在まで是正措置が講じられていないというふうに承知をいたしておりまして、引き続いて、県の協力を得ながら是正措置を講ずるように要請をしてまいりたいと思っております。
 もとより、地方公務員法の十三条の規定というのを我々としては守っていかなければならないという立場にある、そういう観点から今後対処してまいりたいと思っております。
 なお、詳細につきましては、政務次官ないし係から説明をさせます。
#36
○桑原分科員 余り話が進展していないようなお話でございますけれども、実態を申しますと、恐らく、石川県に限らずいろいろな県でも多少のこういう問題があるのだろうと思うのですが、私の県では、四十一市町村のうち勧奨制度をとっているのは三十八ございます。男女差があるのは、そのうちの三十の市町村でございます。そして、男性に勧奨年齢が明記をされているのが二十五、女性は三十八ございます。
 そこで、男女の年齢差は、この鳥屋町のように十歳もあるというのはここだけなんですけれども、大体四歳から五歳、六歳、こういう年齢差がございまして、我が石川県の方も決して手をこまねいているわけではございませんで、強力にそれなりの指導をしておられると思います。既に解消したところもございますし、段階的に解消していくというふうに約束しているところもあるし、それから昨年なども、幾つかのところは改善をした、一歳引き上げた、こういうことなんですけれども、なかなか遅々として進まないわけですね。
 このペースでいきますと、これはもう相当、何十年という年月がかかるのではないかというくらいに大変ペースは遅いわけでございまして、国会にまで出てきてこんな話をしなければならぬというのもなかなかあれなんですけれども、国の場でこういうことが話題になっておるということもあるわけですから、ぜひ自治省も力を入れて、恐らく石川県だけではないと思うのですよ。いろいろなところにいろいろなケースがあると思うので、そういうことをぜひお調べになって、男女共同参画とまで言われる時代になって、私は、いろいろな地域的な事情もありますから、歴史もありますから、わからないこともない、理解できないこともない点もあるわけですけれども、しかし、やはり極端なこういう年齢差というものは、ぜひ早急に解消するような手だてをとっていただきたいというふうに思うのです。
 特に、鳥屋町で今、実は訴訟が行われております。この鳥屋町の勧奨を受けた女性がそれを拒否いたしました。ところが、その後、女性は昇給が停止をされたわけですね。これは女性の方からすれば、私が勧奨を拒否したということに伴う不利益だ、損害の賠償を請求するということで訴訟を提起した。町の方は、いや、それはそんなことではないんだ、あなたの勤務態度が悪いんであれなんだということで、それを争っておるわけですけれども、ついに、この問題が一つ絡まって訴訟にまでなったということでもございます。
 特に、田舎のそういう町ですから、そういったことを訴訟で争うというようなことはやはり大変なことでして、そういう意味では、いろいろな意味で孤立する中でそういう訴訟が行われているわけです。そういったことにも私は非常に心を痛めるわけですけれども、ぜひそういった点、自治省としても力を入れていただきたいなというふうに思っております。
 訴訟に先立って、公平委員会にもかかったのですけれども、その公平委員会の決定は、町の言い分が通って、大体町の言い分で決定をされたわけですけれども、その決定書が、その訴訟が提起をされた段階で町の職員に回覧をされるというようなことなどもあって、これが今度はプライバシーの問題になったりして、ともかく、いろいろと問題が起きておるわけでございます。
 私も、幾ら何でも、やはり十年という格差というのはとても常識的ではない、こういうふうに思いますので、ぜひそういったことなども含めて、自治省とすれば全国的な取り組みということになろうかと思いますけれども、調査をされて、こういった問題にしっかりと対応していただきたいなというふうに思っております。
 その点についてお聞きをしたいと思うのですけれども、どうでしょうか。
#37
○平林政務次官 今桑原委員がおっしゃいました具体の事件でございますけれども、伺っておりますと、十年も勧奨年齢の差がある、そして事件として訴訟問題があるというような御指摘でございます。
 大臣が申しましたように、石川県が、県内の市町村のことに関しましては、さような問題の指導的な助言とかそういうものをする立場にあるわけでございます。したがいまして、私どもは、石川県を通じていろいろな情報を聞いたり、あるいは意見を言ったりというようなことになろうかと思います。
 今の、昇給停止に係ります不利益処分の訴訟というようなことはともかくといたしまして、委員がおっしゃいますように、均等法とかあるいは共同参画法とか、そういうことで男女の平等ということが時代としてはさらに進んだ段階に来ておりますが、地域的には、その時代とのずれがあちこちにまだ残っておるといいますか、そういうようなことでありますので、自治省といたしましても、時代認識を改めて新しい考え方で公務員制度の運用に当たるように、そういうような注意は今後も十分に促してまいりたい、さように考えております。
#38
○桑原分科員 地方の分権の時代で、それぞれの役場、役所では、女性の方が半分以上もいて、女性の果たす役割というのも地方の場合は大変大きなものがあるというふうに思いますし、それから男女共同参画ということで、雇用機会均等法も制定をされてまだ日も浅いわけですけれども、そういったものをどう実現していくかという意味では、地方の公務員の果たす役割というのも私は大変大事だというふうに思います。そういう大前提になる人たちの問題ですから、そこはよほど、やはり民間の皆さんと対応していくときにもしっかりしていかなきゃいかぬ部分だと私は思います。
 特に、この鳥屋町の勧奨制度実施要綱の中では、もし退職願を提出しなかったときには任命権者は特別の措置を講ずることができるというような規定まであって、できるという規定ですから、しないこともできるわけですけれども、しかし、特別の措置を講ずることができるなどという、そういうことまで要綱にちゃんと書いてやっているというのは、勧奨というのは強制に及んではいけないと私は思うわけでして、そういう意味では、非常に行き過ぎの面があるのではないかな、そんな気もいたします。
 恐らく、ここだけの例ではないと思いますので、重ねて申し上げますけれども、ひとつ全国的なそういうものを調べていただいて、やはり各県を通じて強力に、そういったことのないように指導していただくようにお願いを申し上げて、終わりたいと思います。
#39
○平林政務次官 先ほどお答え申しましたように、社会が変わってきておる、時代の変化についていかない、ずれが生じておるというような感じを私も持っておりますので、これからの地方自治の重要な点として、よく注意をしていきたいと思っております。
#40
○桑原分科員 どうもありがとうございました。
#41
○桝屋主査 これにて桑原豊君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして自治省所管の質疑は終了いたしました。
 午後一時から再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
#42
○石田(勝)主査代理 休憩前に引き続き会議を開きます。
 総理府所管中科学技術庁について、前回に引き続き審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近江巳記夫君。
#43
○近江分科員 私は、宇宙開発の問題から御質問をしたい、このように思っております。
 二十三日朝、スペースシャトル・エンデバーが無事着陸をいたしました。テレビをごらんになった人、私もそうでございますけれども、胸の高まりを抑えることができませんでした。HIIの問題あるいはまた宇宙研のMロケットの問題等もありましたから、やはりそこには不安というものがあったわけでございまして、ほっとした感があるわけでございます。
 実に多くの仕事をされたと思います。地球上の陸地の七〇%以上の立体図を作成するための基礎データの収集、あるいはまたハイビジョンの撮影、また青少年への教育プログラム等、十一日間の搭乗ではございましたけれども、大きく国民に夢と希望をまた与えていただいた、心から御努力に敬意を表したいと思うわけでございます。
 大臣は毛利さんの今回の成功につきましてどういう感想をお持ちか、まずお伺いしたいと思います。
#44
○中曽根国務大臣 スペースシャトル・エンデバーの無事帰還、そして毛利宇宙飛行士の活躍について委員からお話ございました。
 私も全く同様の感想を持っておりまして、毛利宇宙飛行士にとりましては二度目の宇宙飛行でございますけれども、打ち上げがたびたび延期されて、さぞ精神的にも肉体的にも大変だったと私は思いますが、そういう中で、無事に、地球地図の作成を初めとする任務を遂行されて、また無事帰還されたということを本当に喜ばしく思っております。
 私も総理官邸で、飛行中の毛利さんと、総理とともに交信をさせていただきました。その中でも、地球環境の大切さ、これを保持することの大切さ等のお話もありました。宇宙開発、またこの事業というのは、大変にリスクも伴いますし、また多額の資金も要するわけでありますが、これからの世界の繁栄、発展に大きく貢献するものと思いますし、何よりも世界の子供たちにも大きな夢を与えるものでありまして、そういうことからも、今回の成功を喜ぶとともに、今後、宇宙開発を世界が協力して進めていかなければならないと思ったところでございます。
#45
○近江分科員 伊能忠敬さんという人が、高齢になってから日本国土全部を測量された。長期間かかったわけでございますが、この毛利さん、地球の七割以上の正確なデータを収集された、まさに現代における伊能忠敬さんではないか、このように思うわけでございます。
 考えてみれば、毛利さんも、最初の搭乗が九二年ですね。そして、九六年にさらに搭乗技術者を目指して挑戦をされた。それで九八年、二年間かかってその資格をお取りになって、さらにまた訓練に入り、二年間の厳しいトレーニングをされ、そして今回搭乗されたのですね。この御努力というもの、先般向井さんと一緒に搭乗されましたグレン飛行士とあわせて見て、多くの人にまた大きな感動を与えたのではないか、このように思うわけでございます。
 それで、私ごとで恐縮でございますが、私は、ことしの一月十二日から十七日まで、政府から任命を受けまして、グアテマラ大統領就任式特派大使として現地へ参りました。ちょうどヒューストン経由で行ったものでございますから、短時間でございましたが、ジョンソン宇宙センターへ参りました。私が在任中一度御訪問しなければいけないと思っておったものが果たせなかったということもございまして、アビー所長にもごあいさつを申し上げました。
 ちょうど毛利さんが打ち上げの直前でケネディ基地の方に行っておられまして、あと四人、向井飛行士、それから土井飛行士、若田飛行士、野口飛行士、四人の方にも、お忙しい中でございましたが、お会いすることができました。皆さん使命感に満ちて、私も、そのさわやかさ、すばらしい飛行士の皆さんと話し合いをさせていただいて感動したような次第でございました。
 考えてみますと、私も長年、科学技術の委員会に所属もさせていただいて、宇宙飛行士の方々が任命になったときからよく知っております。毛利さん、向井さん、そして土井さんと。一九八五年でございました。そしてその翌年、一九八六年一月、チャレンジャーの事故がございまして、七名の宇宙飛行士が散華されたわけであります。テレビを通じて大きな衝撃が走ったわけであります。そのときに、当時のレーガン大統領が、くじけることなく前に向かって挑戦しようと、またアメリカ国民もそれにこたえたわけであります。そして今日のアメリカの宇宙開発への姿があるのではないか、このようにも思うわけでございます。
 八五年に宇宙飛行士の方々が任命され、そして第一回の搭乗が、毛利さんの九二年でございました。九四年に向井千秋さんが乗りました。そして、しばらくあきまして、九六年に若田光一さん、九七年に土井隆雄さん、そして九八年、向井千秋さんが二度目、そして二〇〇〇年に入って毛利さんが二度目の搭乗、こういうことでございます。
 長官もおっしゃいましたように、宇宙開発というものは人類に大きな夢と希望を与えておるわけでございます。宇宙開発にどういうメリットがあるのか、いろいろなことが論議されておりますが、私はいろいろ考えておりますけれども、衛星通信・放送、GPSによる船舶、自動車等のナビゲーション、気象衛星を用いた天気予報、これなどは既に人々の生活に不可欠なものとなっておるわけでございます。さらにまた、地球科学の推進と地球環境の保全、これを考えていきますと、気象、海洋、地表の変化、地球の温暖化、緑の減少と砂漠化の進行、オゾン層の状況、災害の発生状況等を定期的かつ高精度で観測する。
 また、宇宙環境を利用した新しい科学技術や文化の創造に大きく寄与するということです。特に、新しい産業の創出、宇宙技術を開発いたしまして、高度化していくたゆまない努力というものは、材料、コンピューター、ロボット、エレクトロニクス、通信、情報処理等のさまざまな分野の新技術の創出に貢献するとともに、これらの技術を利用した付加価値の高い新しい産業を創出することに貢献すると思うわけでございます。また、微小重力等の宇宙空間の特徴を利用した新しい材料、医薬品等の開発等、さまざまなものが考えられるわけであります。
 それからさらにまた、青少年に夢と希望を与える。未知なる宇宙というものは、次世代の青少年にとりまして最大の挑戦の一つであります。宇宙開発を通じまして宇宙への夢とチャレンジ精神を青少年に引き継いでいくということは、もうこれは科学技術のみならず、幅広い分野にわたりまして将来の人材の養成を促して人類の経済社会の活力の維持に貢献する。いろいろなことがあろうかと思うわけでございます。
 そういう点で、宇宙飛行士の方々が任命になりましてことしの八月で十五年になるんですね。早いものだと思います。この間、使命感に燃えて頑張ってこられた宇宙飛行士の方々、また関係者の皆さんに心から敬意を表したいと思うわけでございます。
 冒頭、長官には毛利さんのことについて感想をお伺いしたわけでございますが、この宇宙飛行士の方々、また関係者の皆さんの御努力に対しまして長官としてはどういう御感想をお持ちか、お伺いしたいと思います。
#46
○中曽根国務大臣 先ほども申し上げました、また委員からも御発言がありましたように、この宇宙開発事業の果たす役割というのは、人類の繁栄、平和に大変大きい貢献をするわけでございます。また、青少年に対する教育的な面、夢を与え、またチャレンジ精神を養っていくというお話もございまして、全くそのとおりであろうと思っております。
 こういう事業を行うには、国を挙げて、また国際的な協力のもとでなければできないわけでありますが、アメリカのこの事業につきましてもそういう形で実施をされております。特に宇宙飛行士の皆さん方につきましては、お話ありましたけれども、大変な御苦労、御努力をされながら宇宙飛行士としての任務を全うしていただいているわけでありまして、心から敬意を表する次第でございます。
 我が国も、宇宙開発につきましては、国民の皆さんの御理解をいただきながら着々とやっておるわけでありますけれども、そういう今後の人類の繁栄に大きく役立つということを十分に認識しながら、またさらに御理解をいただきながら、また技術開発を行いながら進めていければ、そういうふうに思っているところでございます。
#47
○近江分科員 昨年の十一月十五日、HIIの失敗がございました。それから、ことしに入りまして二月の十日、宇宙研Mロケットの失敗と、二回これは続いたわけでございますけれども、その前の東海村のジェー・シー・オーのこともございましたし、そしてまた新幹線のトンネル内の崩落事故等、日本の科学技術に対する信頼というものにつきまして、非常に危惧するそういう空気が漂ってきております。
 御承知のように、平成十二年度の予算案審議に当たりまして、総理の施政方針演説におきましても、教育立国と並んで科学技術創造立国をうたわれたわけでございます。これはもう私どもも同じ立場で、また決意で向かっていこうと思っておるわけでございます。そういう点で、こういう日本の科学技術の信頼というものがやはり揺らいでおる。この信頼を取り戻さなきゃならないわけでございます。
 これには原因はいろいろあろうかと思うわけでございます。一つは、要素技術を統括管理していく技術、こういう点がやはり不備な点があるんじゃないか、また、その任に当たる人材のやはり不足もあるんじゃないか、当然いろいろ検討されておると思うわけでございますけれども、今回、一つは文部省所管ということでございます、一つは科学技術庁所管ということでございますが、大臣は、兼任されて大変日々、御多忙と思うわけでございますけれども、今回続きましたこのことにつきましてどういう感想をお持ちか、また、今後、原因究明をされ、信頼回復のためにどういう努力をされていくのか、お伺いしたいと思います。
#48
○中曽根国務大臣 委員御指摘のように、昨年の十一月のHIIロケット八号機の打ち上げ失敗に続きまして、ことしの二月には、宇宙科学研究所が打ち上げましたミューVロケット四号機、これも失敗をいたしました。御期待をいただいていた国民の皆様方にも大変申しわけなく思いますとともに、大変厳しく受けとめているところでございます。
 現在は、両事業とも原因をとにかく早急に徹底的に解明するということが第一である、そういうふうに考えておりまして、原因の究明中でございますが、我が国の宇宙開発の体制を立て直しまして、そして、信頼性を高めるためにさらに必要な対策をこれから講じていかなければならないと考えております。
 HIIロケットにつきましては、事故直後から宇宙開発委員会の技術評価部会において原因究明が行われております。また、この委員会の特別会合におきましては、宇宙開発体制の立て直しに向けて、産業界の製造現場における品質保証、検査等のあり方にも踏み込んで、信頼性確保のための対応策が精力的に検討されているところでございます。
 さらに、二月のミューVロケットの打ち上げ失敗につきましても、同様に今、技術評価部会におきまして原因究明を開始したところでございます。
 来年の一月には文部省と科学技術庁が一体となるわけでございますけれども、再編後は文部科学省のもとで宇宙関係の科学研究、技術開発をともに進めることになるわけでございまして、そういうことから、関係する機関の技術それから経験等を共有することによりまして、より効率的かつ効果的な宇宙開発が行えるよう、事業の連携協力を一層強化していく必要がある、そういうふうに思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、この事業の重要性というものを十分に認識し、再発防止、そして次の成功に向けて全力で取り組んでいきたいと思っております。
#49
○近江分科員 宇宙開発につきましては、NASDA、それから文部省の宇宙研、それから科学技術庁の航空宇宙技術研究所等があるわけですね。この辺の持っておられる知識、ノウハウ、すべてこれを生かしていかなきゃいけないと思うんですね。その辺の連携といいますか、それはどういうようになっておりますか。
#50
○中曽根国務大臣 今委員がおっしゃいました三機関、これは、宇宙科学研究所とそれから航空宇宙技術研究所、それから宇宙開発事業団でございますけれども、この中核三機関が行う事業につきましては、もう従来からも連携協力は行ってまいりました。しかし、より一層の連携協力が必要であろうと私も考えておるわけでございます。
 そういうことから、また、先ほど申し上げましたように、来年にはこの両省庁が統合されるということからも、さらなる協力を強化すべきという考え方から、委員御案内かと思いますけれども、先週、この三組織の協議会というものを設置いたしまして、第一回の会合を開催したところでございます。この協議を通じまして、我が国の宇宙開発体制をより効率的かつ効果的で確固たるものにしたいと考えているところでございます。
#51
○近江分科員 この研究開発というものにつきましては、これは、一〇〇%すべてが順調にいけばこれほど幸せなことはないわけですけれども、やはりどの研究分野におきましても、試行錯誤、さまざまな苦難を乗り越えて今日の姿が花が咲くと思うのですね。
 この宇宙開発につきましても、世界各国の打ち上げ状況を私も調査いたしまして、私の資料では、過去十年間、九一年から見てみますと、例えばフランスのアリアン、これが九四年に二回失敗ですね。九六年に一回失敗しておる。
 それから、アメリカにおきましては、アトラス・セントールは、九一年一回失敗、九二年一回失敗、九三年一回失敗、その後は順調に来ております。デルタII、IIIにつきましては、九五年に一回失敗、九七年失敗、九八年、九九年と続いて失敗しておる。タイタンII、IVにつきましては、九三年に一回失敗しておる。九八年に一回失敗、九九年には二度続きで失敗です。
 中国の長征II、III、IVにつきましては、九一年失敗、九二年失敗、九五年失敗、九六年に二回失敗しており、その後は順調に来ております。
 ロシアのプロトンにつきましては、九三年に失敗、九六年には二度失敗、九七年失敗、九九年には二度失敗しておる。
 当然、皆さんの手元にはもっと詳しい、いろいろなデータをお持ちであろうかと思いますが、そういう困難を乗り越えて今日の発展があるわけです。
 そういうことで、今回我が国で起きましたこの二つの失敗というものをこれまた肝に銘じて、そしてやはり国民の負託にこたえて真剣な取り組みをしていただき、信頼性の向上にひとつ努力をしていただきたい、このように思うわけでございます。
 それで、先ほど効率化ということ、このHIIからHIIAに今度また移行をされるということでございます。製作費用もほぼ半減するというようなことでございますが、そのとおりにうまく成功してくれれば、これはもう言うことはないわけですけれども、そこにはやはり懸念といいますか、いろいろなことが言われています。
 これは、例えば朝日新聞のことしの二月二十二日夕刊に、前間孝則さん、ノンフィクション作家となっておりますが、この人は、石川島播磨重工業でジェットエンジンの設計に従事して、八八年に退社されているのですね。この人は、今回のHII、MVの打ち上げ失敗等は、一つは、効率に揺れる先端技術ということで書かれておるんです。
 宇宙開発事業団は、確かに予算こそここ十年で五割増しになっているけれども、抱えているプロジェクトも多岐にわたってきている、職員数は千人に据え置かれておる、足りない分は結局、民間企業からの出向者等で賄ってきておる、そのためにやはり権限や責任の所在があいまいになるんじゃないかというようなことだとか、この人が何を言わんとしておるかといいますと、いわゆる効率、効率ということを追っていって、果たしてそれで本当のそういう信頼性の向上、また成功に完結するのかという心配をされておるんですね。
 ですから、この研究開発の途上におきましては、さまざまな試行錯誤があるわけでございますから、十分ひとつその点も考える必要があるのではないかと思うわけでございます。この点につきましては、長官としてはどのようにお考えでございましょうか。
#52
○中曽根国務大臣 この宇宙開発事業は、国の機関によって今実施されておるわけでありまして、国民の貴重な税金から打ち上げをしているわけでありまして、そういう意味では、当然のことながら、経費の削減も目指さなければならない、また効率化も行っていかなければならないことは当然でございます。
 しかしながら、何よりも安全性を第一に考えて、成功させるにはどうしたらいいか、信頼を回復するにはどうしたらいいかということがそれより先になる、私はそういうふうに思っておりまして、その中でいかに効率化を図っていくかということではないかと思っております。
 効率化第一のためにいろいろな安全面等で支障が決してあってはならない、そういうふうに思っておりまして、今後も、信頼性の確保、向上のために努めていきたいと思っております。
#53
○近江分科員 もう時間が参りましたので終わりたいと思いますが、ことしはまた、宇宙ステーションの組み立て、これで若田飛行士が搭乗されるという予定と聞いておるわけでございます。そういうことで、この二十一世紀、まさに宇宙開発研究というものは、今後さらに力を入れていかなければならない大事な部門であると私は思います。
 そういうことで、今そういう非常に厳しい目も向けられておるわけでございますけれども、しっかりとひとつまた国民の信頼におこたえいただいて、今後の宇宙開発への着実な前進をぜひしていただきたい、このように思うわけでございます。
 最後に、全体として、宇宙開発に対する長官の決意をお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。
#54
○中曽根国務大臣 委員には長年にわたりましてこの宇宙開発事業に深い御理解をいただき、また御支援をいただいておりますことを、本当に心から感謝をいたしております。
 お話ありましたように、昨年からことしにかけまして二つのロケット打ち上げが失敗いたしましたことは、大変残念に思いますとともに、本当に厳しく受けとめておるところでございます。現在、原因究明に全力で取り組んでおりますけれども、原因を一日も早く究明し、再発防止策を行いまして、次のロケットの打ち上げの成功につなげていきたい、そういうふうに思っておるところでございます。
 今後も引き続いて御指導いただきますようお願い申し上げます。
#55
○近江分科員 では、終わります。
#56
○石田(勝)主査代理 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、大畠章宏君。
#57
○大畠分科員 民主党の大畠でございます。
 私は、ジェー・シー・オー事故に関する質問と、それに付随して、教育問題についても質問させていただきたいと思います。
 二月二十一日の日に、私は東海村に入りまして、いろいろと地域のお話を伺ってまいりました。目的は、いわゆるジェー・シー・オー事故後の東海村の現状についてお話を伺って、必要であればその対策をさらにとらなければならないという思いで、その後の状況について調査をさせていただいたところであります。
 そのときに何点か、現地の方の御意見がありましたので、それを御披露申し上げますが、村上村長からは、住民の健康への不安、将来への不安が大きく、このための対策、対応を充実してほしいという意見。あるいは、農産物、食堂などで風評の被害が出ており、対策がさらに求められるということ、原子力安全規制委員会など規制強化をさらに充実してほしいという意見。さらには、高レベル液体廃棄物四百八十立米が液体のままになっていることを、何とか固化する対策を早急にとってほしいという意見等々が、村長からはありました。
 さらに、農家の方々からは、農家は東海村から逃げられない、その後の風評被害等についてもさらに国として十分取り組んでほしい、農作物の段ボール箱から東海という文字が消え始めている、特に東北市場での回復が遅いのが非常に痛いという話。補償問題についても、もっとしっかりと取り組んでほしいという御意見がありました。
 さらに、農家の方々から、白菜は平成十年度一箱千円だったんだけれども、十一年度は、事故後二百九十五円まで下げて非常に困っているという話等々もございました。
 さらに、三百五十メーター以内に住む方々との話し合いの中では、健康診断の体制をもっと充実させてほしい、一年とか二年とか切らずに、例えば東海村をその人が仕事の都合で出たとしても、健康診断を続けられるようにしてほしいという話。
 あるいは、自分の息子は二十一ミリシーベルト浴びてしまったんだけれども、体にどうなんだろうかという心配。あるいは、三人ぐらいの子供さんを連れてみえたお母さんは、自分の子供たちは将来とも大丈夫なんだろうか、見るところ二歳とか四歳とか六歳、そのくらい小さなお子さんでありますが、そういう心配を述べておられました。
 精神的なショックを受けておられるということで、あの事故後二週間ぐらい病院に入院してしまったという奥様もおられましたけれども、今は何とか外を歩けるようになりましたという話もいただきました。
 この調査を踏まえて、何点かお伺いをしたいと思います。
 まず最初に、村上村長が御指摘されました東海村の中にある四百八十立方メートルの高レベル液体廃棄物、これの固化計画については現在どうなっておられるのか、まずその点をお伺いしたいと思います。
#58
○中曽根国務大臣 サイクル機構の東海再処理施設で発生いたしました高レベル放射性廃液につきましては、再処理施設に隣接しておりますガラス固化技術開発施設においてガラス固化することとしております。
 このガラス固化技術開発施設は、再処理施設と一体として運転をし、プラント規模でガラス固化の運転技術、保守技術等の開発を行う施設でありまして、再処理施設と一体として設置承認を受けているものでございます。
 この施設は、平成七年よりこれまでにガラス固化体六十二体分の処理を行ってまいりましたけれども、平成九年三月のアスファルト固化処理施設火災爆発事故以来、運転を行っていない状況でございます。
 今後、東海再処理施設が運転を開始すれば、ガラス固化技術開発施設におきましても、プラント技術の改良等を行いつつ、当面は年間約四十体分ずつのガラス固化処理を行う計画でございます。
 なお、ガラス固化処理を行うまでの間、高レベル廃液は再処理施設内の廃液貯槽において安全に管理をされております。
 現在、ガラス固化技術開発施設を含めた再処理施設につきましては、安全の確保を大前提に、地元の理解と協力を得て運転を再開すべく努力をしているところでございます。
#59
○大畠分科員 今、年間四十体という話がありましたけれども、そうすると、この四百八十立米をガラス固化するのには何年かかることになるんでしょうか。
#60
○斉藤政務次官 固化体一体が大体廃液の〇・七立米に相当いたします。そういたしますと、四十体ということですと、四、七、二十八立米、年間二十八立米の高レベル廃液が処理をされていくということでございます。
 処理能力はもっとたくさんございますけれども、先ほど長官から申し上げましたように、あくまでもこれは研究開発のための施設でございまして、研究開発をいろいろ行いながら余裕のある運転ということで、そのような計画を立てております。
#61
○大畠分科員 いずれにしても、現地の方では、やはり液体のままちゃっぽん、ちゃっぽんと高レベル廃棄物があると心配だという声が出ておりまして、早く固めてもらいたい。それは、今東海村の村民に広がっている心配を一つ一つ解消していくベースになると思うんですね。
 したがって、今長官からもお話がありましたけれども、ぜひ現地の方と話し合って、液体高レベル廃棄物を固化するということがスムーズにできるように、そしてできるだけ早くこういうものが固化されるように、さらに努力していただきたいということを申し上げておきたいと思います。
 二点目に、特に三百五十メーター以内に住んでおられた住民の方々に対する精神的相談業務というのが大変重要だと思います。住民の健康不安が大変大きいということでありますので、今後とも、将来を含めた健康診断といいますか、あるいは精神的な不安を持つ方々への相談窓口とか、一つ一つ不安を取り除いていくといいますか、それに対応していくということが大変重要だと思うんですね。そういう対策をさらに強化していただきたいという住民からの要望があるわけですが、これについての御答弁をいただきたいと思います。
#62
○中曽根国務大臣 ジェー・シー・オーの臨界事故に対しましては、まず原因究明を徹底的に早期にやるということ、それからもう一つは、周辺住民の方々への対応をきちっとやるということ、この二つを中心に考え、今までも対応をとってきたところでございます。
 委員お話しの周辺住民の皆さんに対する健康管理につきましては、原子力安全委員会の健康管理検討委員会におきまして、精神医学の専門家も含めた委員により基本方針が検討されてきております。
 ことしの一月二十五日の健康管理検討委員会の中間取りまとめでは、推定線量が一ミリシーベルトを超える方または避難要請区域内の周辺住民の方々のうち、希望者に対しては、一般的な健康診断の項目について年一回実施する機会を設けることが適当であること、また、広く住民一般の希望者を対象に健康相談を行うことが適当であって、心のケアも含めて、相談窓口を設けて対応することが必要であるとの提言がなされているところでございます。
 当庁といたしましては、この提言に従いまして、茨城県とも調整の上、周辺住民等の健康管理に取り組んでいくこととしております。
 今御指摘の精神的な相談であります心のケアにつきましては、茨城県の協力によりまして、電話窓口相談等を進めてきているところであります。
 今後とも、医師や保健婦による訪問指導、それからカウンセリングの充実などによりまして、一層きめ細かな対応を図っていきたい、そういうふうに考えております。
#63
○大畠分科員 今大臣がおっしゃいましたけれども、何に心配されていますかと住民の方の意見を聞いて、その一つ一つを本当に真剣に受けとめて対応することが、結局、信頼の回復というところまでいくかどうかはわかりませんけれども、とにかく、そういうことを一つ一つ積み重ねていくことが大変重要だと私は思うんですね。
 したがって、今お話がありましたが、どうもまだ、住民の方々のお話を聞くと、何か相談に行くと大丈夫です、大丈夫ですというふうに言われるんだけれども本当に大丈夫なんですか、そういう心配がまた起きてしまうということで、これは、放射線の専門知識を持つ方とかということも非常に重要でしょうけれども、それ以上に、いわゆるセラピストといいますか、精神的に苦痛を負った方の痛みを少しずつ和らげていくというか、そういう対応が求められているような感じがしますので、今大臣からもお話がありましたが、さらに一層そういう施策を充実していただきますようお願いしたいと思います。
 それからもう一つ、こういうことはやっていなかったのかなと思ったんですが、ジェー・シー・オーの施設がありまして、そこに金網が、境界のところにさくがあったんですね。その境界の外側に接している家があるんですね。それはもう普通の家ですが、東海村の方は結構広いものですから、自宅の菜園というのをつくっていて、そこで自分のところで食べる白菜ですとかそういうものをつくっているんですね。春になってきたんでそろそろ種をまきたいというわけですよ。ところが、その土壌に種をまいていいんでしょうかという質問が私に来たんです。
 これは、土壌の検査をしてもらいたい。要するに、その土壌のところに種をまいて白菜ができて、それを食べても大丈夫ですよという、土壌の安全性といいますか、健全性を検査してもらいたいということだとも思うんですが、大きな農家についてはやっていますが、私みたいな小さな家の家庭菜園みたいなところはやってくれてないんですと言うのです。
 ここら辺は、大臣、そういうところが重要だと思うのですね。三百五十メーター以内、また五百メーター以内の人で非常に心配をされている住民の方のそういう問題に、細かな問題ですが、対応するというのが重要ですが、これは対応していただけるんでしょうか、どうなんでしょうか。
#64
○中曽根国務大臣 まず、先ほど委員の御発言、大変私は大事だと思っておりまして、私の方も相談窓口のお話とか申し上げましたけれども、要は、住民の皆さんのお気持ちになって対策をとっていくということが一番大切ではないかと思っております。
 お話の土壌の調査等のことでございますけれども、今回の事故では、放射性のガス状物質が施設から放出されたと考えられますけれども、事故に起因して検出された土壌など環境試料中の放射性物質のレベルは十分に低く、住民の健康に影響を及ぼすものではないと判断をされております。
 土壌などの採取、分析のデータは茨城県公害技術センターが管理をしておりまして、県民の個別の相談にも応じていただけるものと考えております。
 当庁といたしましては、今後とも、周辺住民の方々が不安を持たれないように、その声に真摯に耳を傾けまして、対応に万全を期すことが重要と認識をしております。したがいまして、この土壌の調査等につきましては、その御要望を県に適切に伝えていきたい、そういうふうに思っております。
#65
○大畠分科員 今三つについて大臣からお話をいただきましたが、こういうときには、とにかく誠意を持ってやるしかないんですね、一つ一つの問題を。ぜひお願いしたいと思うんです。
 住民の方の意見を一つ抜かしてしまいましたが、先ほどの、自分の息子さんが二十一ミリシーベルトを浴びてしまった、自分の息子は将来とも大丈夫なんでしょうかという心配をしているお父さんの話でありますが、その当時、科技庁長官の、科学技術庁には責任はありませんという報道がありまして、本当に科学技術庁というのは責任ないんですかと。長官は責任はないとおっしゃいましたけれども、では住民が死んでも何でも余り科技庁というのは責任ないんですかという、そこまで厳しい発言があったことを長官に直接お伝えしておきたいと思うんです。
 私も調査に入りまして、ああ、この東海村の住民の方々の傷は本当にまだまだ深いところがあるな、この方々の信頼を回復しない限り原子力政策というのはもう進むことはなかなか難しいのではないか、そんな感じも持ったところでありますが、改めて長官に、これらの今申し上げました三点を含めて、村長あるいは住民の方々の要請にこたえて誠心誠意取り組んでいただきたいと思うんですが、そのことについての長官の御発言をもう一度お願いしたいと思います。
#66
○中曽根国務大臣 先ほどの健康の問題あるいは土壌の問題等々、私どもといたしましても一応対応をとっておるわけでございますけれども、住民の皆さんのお気持ちになって、まさに委員おっしゃいましたように、誠心誠意取り組むことが最も大切、そういうふうに思っておりまして、今後取り組み方についてもいろいろと検討していきたい、そういうふうに思っております。できるだけ御期待におこたえできるようにしていきたいと思っております。
 それから、私が発言をいたしました、責任はないということについてでございますが、予算委員会の一般質疑の中でも、行政責任はあるのかないのか、そういう御質問もございました。
 私が申し上げましたのは、科学技術庁といたしましては決められた法律の中で、その手続の中でやらなければならないことはやっておりましたということであり、また直接の原因は、現場で違法な作業を行ったということが直接で第一の原因であろうと思いますということで、そういう意味での、行政責任の定義がはっきりいたしておりませんが、責任はないと思いますと申し上げたわけでありまして、私ども、この事の重大性、国民の皆さんに与えた大きな影響、また特に住民の皆さんへの御不安や御迷惑あるいは被害等々いろいろ考えまして、大変に厳しく受けとめているわけであります。また、法の不備等もあればこれを正さなければということで、昨年は臨時国会で法案の改正や成立もお願いしたところございまして、責任は全然ない、そういう気持ちで申し上げたわけではありません。
 ぜひ、その点は御理解いただきたいと思いますし、重ねて申し上げますが、再発防止と、住民の皆さんの一日も早い、もとの生活に戻れるようにということを、最善を尽くしていきたいと思っております。
#67
○大畠分科員 大臣、私も製造現場で仕事をしてきた男ですが、三現主義という言葉があるのですね。現場、現実、現象、これをしっかり見ないと判断を誤るということでありますが、大臣もいろいろ忙しいとは思うのですが、再度東海村に行って、そういう住民の声をじかに聞いてみようという気はありますか。さらには、機会があったらまた東海村に行って、村長とか住民の意見やそういうものを聞くべきだと私は思うのですが、これらについての大臣の御意見をいただきたいと思います。
#68
○中曽根国務大臣 私も石油化学会社で勤務を十五年いたしておりまして、コンビナートのプラントで安全靴を履いてヘルメットをかぶって、三交代勤務等いたしました。ですから、違法な作業をすればコンビナート全体の大爆発につながるようなこともあるわけでありまして、そういうような経験から、今回のジェー・シー・オーの事故も、私の経験といいますか、そういう立場からの見方もしていたことは事実でございます。
 現場が大切だというのは、私はいつもそういうふうに思っておりまして、今回も東海村を訪問したいということで、いつでしたか、もう大分前、一月ぐらい前になりますか、東海村にもその旨申し上げたら、国会の都合もありまして、平日昼間、ぽっと行くわけにはいきませんので日程調整しました。たまたま、村長さんほか皆さん方が、冠婚葬祭とかいろいろ御用がおありで日時が合わなかったということがありますが、私はぜひ行きたいという気持ちを持っております。
#69
○大畠分科員 ぜひ現地を見ていただいて、実際に住民の意見を聞いてやっていただきたいと思います。
 先ほどお話がありましたが、やはり私は科学技術庁の責任は重大だと思っています。そのことだけ申し上げて、今後また機会をとらえて科技庁の方には対応していただきたいと思います。
 さて、実は中曽根大臣が文部省管轄でもあるというので、ちょっと大変恐縮でありますが、教育問題について二点ほどお伺いしたいと思うのです。
 まず、さまざまな社会現象が起きておりますけれども、私は、やはり日本の教育が何かおかしくなってきたと。その大もとはどうも大学の入試につながって、ずっとピラミッドになっていますが、いわゆるお受験殺人事件というのが起こって、ああいうことがあり得るのかと私は思ったこともありました。
 また、最近のさまざまな社会現象を見るにつけ、日本人というのは、これで将来どうなってしまうのだろうかという非常に危惧をしているところでありまして、現実的には、とにかく文部省でできることは、少人数教育を実施する。小さくすればいいというのではないんだというのですが、私は、やはり三十人学級というのをまずは当面の学校教育の中でやって、先生方が本当に少ないといいますか、子供さんの対応をして、一人一人の個性を伸ばせるような教育環境をまずつくるのが第一番目だと思っています。このことについて、改めて三十人学級についての御意見をいただきたいというのが一つ。
 それからもう一つは、大学入試というものの位置づけについてお伺いしたいと思うのです。
 きょうは小此木政務次官もおいででありますから、大臣か小此木政務次官、どちらでも結構でありますが、大学入試というのは、私なりに考えますと、昔は、通学をして教室に入らないと先生の話を聞けませんでした。だから、学校がある程度の人数しか入れないというので、だれを入学させようかというので学力試験をやったという経緯がありますが、今では、情報通信の社会ですから、例えば今、ある予備校の著名な先生の授業風景なんかもテレビで見られるんですね。そうなってきますと、何のために制限するのか。入り口を制限して出口は放題という、いわゆる大学がレジャーランド化しているという現象を何とかしなければと思うんですね。大学入試を改革すれば、幼稚園までつながったさまざまな学校弊害というのをかなり改善することができるんじゃないかと私は思うんです。
 したがって、私は、そろそろ大学入試を撤廃して、進級試験とか卒業試験とか、そこを厳しくしたらどうですか。あるいは、東北大学の著名な教授の話を東京大学の学生が教室で聞いてもいいし、九州大学の方に優秀な先生がいたら、その人の話や授業を東京にいる、あるいは東北にいる、北海道にいる人が授業を聞きたい、それも一つの単位になるとか、そういう大学間の競争なんかも情報通信というものを使って非常に活発にすべきじゃないかという感じがするんです。
 当面する三十人学級ですとか大学の入試制度を変えるという意味で、情報通信というものを取り入れた入試の改革、あるいは進級試験、卒業試験というのを厳しくして、いわゆるレジャーランド化した大学というのをもうちょっと変えて、日本の国のためになる、あるいは新しい発明とかそういうものをベースとして社会に還元するとか、そういう生きた大学に改革するために情報通信というものを入れるべきだと私は思うのでありますが、このことについての文部省の見解をお伺いしたいと思います。
#70
○小此木政務次官 科学技術庁長官を兼ねておられる文部大臣がいらっしゃいますが、せっかくでありますので、私、小此木から答弁をさせていただきたいと思います。
 まずは三十人学級のことについてでありますけれども、今後の学級編制や教職員配置のあり方については、現在、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議において、中教審の答申の提言、この内容を基本として、また諸外国の実態も参考としつつ、教職員配置と定数のあり方、あるいは学級規模及び学習集団のあり方について検討を進めているところでありますが、いまだ結論には至っていないということであります。
 また、仮に全国で三十人学級というものを一律に実施したときに、やはりこれは国、地方を通じて相当の財政負担というのは、委員御承知のようでありますが、こういったことも十分慎重に検討してまいらなければならないというふうに思います。
 そして、私も文部省の政務次官に今役職をいただいておるわけでありますが、その後、全国の学校の現場を数校、先ほど現場主義の話をおっしゃいましたけれども、確かに現場を知るということは最も大切なことでありまして、たびたび報道がされるように、もちろん問題校はございますけれども、三十人を超える学級を擁している学校もすばらしい教育をされているところも見てまいりました。
 三年ほど前はもう大変な話だったんですよ、小此木さん、と言われながら、しかしながら、そこの校長先生の指導によって、そこの学校は教職員が全部で四十人いらっしゃいましたが、四十人の先生方が見事に、チームワークといいましょうか、本当に裸になって生徒たちに接することができた、その交流の中できちっとした教育ができた。まさに、その学校では、学校は教員が主人公でありますというふうに自信を持っておっしゃっていたところがありまして、そういうよい高校をもっともっと全国的に宣伝をするというか、いいところはどんどんわかっていただきたいというような措置といいますか、我々もそういう環境づくりのために努めてまいりたいということを一つ思いました。
 先生のおっしゃる、すべてを一律に三十人以下にするということを、今後の検討も踏まえつつ、私が申し上げた点からも環境を整えてまいりたい、このように思っております。
 また、二問目のお話でありますが、委員が御指摘になるとおり、これだけ情報通信の豊かな時代になってきた、これには光の部分と、もちろん影の部分もございますが、現在では文部省で、テレビ、ラジオを活用して大学教育を提供する放送大学、これを昭和六十年あたりから設置しておりまして、国民の大学教育レベルの学習機会の拡充に努めてきたところでもあります。
 平成十年度には、放送の全国化に伴って全都道府県に学習センターが設置されたことから、全国津々浦々の自宅で授業を視聴できるようになるとともに、全国各地から卒業を目指した学生の受け入れができるようにしたところであります。また、単位互換制度の活用によりまして、ほかの大学の学生が放送大学の授業を受け、単位認定ができるように努めているところであり、既に百九十五の大学と単位互換制度の協定を締結しているところであります。
 まだまだたくさんございますけれども、こんなところが進めておるところでありますので、御理解いただきたいと思います。
#71
○大畠分科員 今、小此木政務次官から、三十人学級の問題あるいは大学の問題について御答弁をいただきましたが、結局、スピードと決断というのが今日の社会の一つのキーワードになっていると思うんです。
 いろいろ検討された上で決断されると思うんですが、三十人学級問題についても、確かに四十人ぐらいでも一生懸命やっているところがあるんですが、全国一律に見ますと、やはり先生方がかなり忙しくて、先生方のそういういろいろな問題もあるのかもしれませんが、あるいは学校は学校の一つのものがあるのかもしれませんが、日本という国は、十年たてば十年だけみんな年をとるんですね。二十年たてば小此木政務次官も多分五十歳を超えて、三十年たてば六十歳を超えて、四十年たてば七十を超える、これは当たり前なんですね。そうすると、必ず子供たちが上がってくるんですね。
 そんなことを考えますと、子供の教育というのは本当に重要なんですね。ですから、お金が多分七千億とか八千億かかるんでしょう、三十人学級にしますと。それはわかるんですが、それを投資しても、日本の将来を考えたら、私は、やるべきものはやった方がいいと思うんですね。道路をつくったりダムをつくったりということも重要かもしれませんが、やはりそういう教育に投資するというのは私は大変重要だと思います。
 時間が来てしまいましたので、あと留学生問題等々についてもお伺いしたいと思いましたけれども、留学生十万人計画というのがあるんです。二十一世紀初頭までに十万人を達成することでやっていますが、現在六万人ということで、これもなかなか難しいんじゃないか。国際化の時代を考えますと、留学生というのは、大変大きな、日本にとって重要な位置づけを持っていると思います。
 したがって、ぜひこの十万人計画が達成するように、文部省としても省を挙げて努力をしていただきたいということを申し上げまして、小此木政務次官、また中曽根大臣もいろいろ御答弁いただきまして、ありがとうございました。ぜひ文部省も科技庁も一生懸命頑張っていただきますようにお願いをして、質問を終わります。
 ありがとうございました。
#72
○石田(勝)主査代理 これにて大畠章宏君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして総理府所管中科学技術庁につきましての質疑は終了いたしました。
    ―――――――――――――
#73
○石田(勝)主査代理 次に、文部省所管について、前回に引き続き審査を進めます。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。滝実君。
#74
○滝分科員 自由民主党の滝実でございます。
 文部省の所管の関係で、三点ばかりお尋ねをさせていただきたいと思います。
 まず第一点は、いわゆる古都保存法の運用に関しまして、御意見をお聞きすると同時にお願いを申し上げたいと思うのでございます。
 古都における歴史的風土の保存に関する特別措置法、これは制定以来三十年を経ておりますので、法律の制度はそれなりに定着をいたしておりますし、運用についてもそれなりの実績を重ねてきたわけでございますので、この問題を改めて持ち出すようなことはどうだろうか、こういうようなはばかりもあるのでございますけれども、考えてみますと、この法律をつくったときには、歴史的な風土というものをとにかく残そう、開発の波から守るためにとにかく残しておこう、こういうような機運の時代にでき上がってきたそれなりの意義というものは、この三十年間の間に示されてきていると思うのでございます。
 ところが、何でもかんでも残そう、こういうようなことが先行いたしておりますものですから、この地域の整備と申しますか、国民が利用するという面がやや欠落しているところがあるのではなかろうかな、こういう感じがいたすわけでございます。とにかくこういうところは、ごく一部の研究者とか、ごく一部のこの地域を理解する人間が、足で歩いて、細々と、とにかく今までの風土を残しておいてもらいたいというような考え方がどうも基本にあるように思うのです。
 したがって、法律を見てまいりますと、保存地域として指定された地域、あるいはその中でも特に重要な地域については特別保存地区、こういうふうになっているのでございますけれども、一木一草に至るまでとにかく動かすことは相ならぬ、土砂を右から左へ動かすことも相ならぬ、こういうような条文のように読み取れるわけでございます。
 ところが、実際問題として、そうしますと、国民が、そこに一般の方々が出入りするのに大変不便をこうむる。そこへ行ってみたいという人が不便をこうむると同時に、その周辺の地域の人々が不便をこうむる、こういう事態が現在随所に出てきております。
 例えば、最近は奈良県でも、奈良盆地の南の方でいろいろ古墳群が次々と発掘をされていまして、歴史的な発見が次々と出てきております。そして、例えば古墳ではなくても、飛鳥の村の中でも、ちょっと発掘すると今まで考えてもみなかったことが次々と出てくる。そうしますと、そのたびに実は東京からも大勢の人がそこを見学に来るのです。特に、これから五月の連休になってまいりますと観光バスまでやってくる。こういうことが随所に出てくるのでございます。ところが、国民の皆さん方はそういう地域を一目見ようという、本物志向というものが根強くなってきておりますから、そういうことで現場へおいでになるのでございますけれども、一つには、周辺の人たちはたまったものではないですね。とにかく、自動車を狭いところにメジロ押しに駐車をされる。そして、トイレがないものですから、民家に駆け込んで、トイレを貸せという話になってくる。これは地元としては、何とかしなければいかぬということがそのたびに実は起きてくるわけでございます。
 そこで、前置きが長くなりましたけれども、こういった点については、現在の、定着したと思われているこの古都保存法の運用の仕方についても、やはり緩和すべきものは緩和する、そういう姿勢があってもいいのではなかろうかな。
 具体的に言いますと、例えば駐車場ということ一点に絞って考えてまいりますと、駐車場は、観光バスが駐車しますとその下の遺跡がそれなりの影響を受けることはあるのだろうと思うのでございますけれども、こういった点については、あの古都保存法の条文を厳格に解釈すると、なかなか、駐車場一つも整備できないことになるのだろうと思うのでございます。しかし、大規模な建物をつくるということとは事情が違うわけでございます。表土を少し形状を変える、多少樹木も伐採しなければならぬこともあるかもしれません、しかし基本的な、例えば埋蔵物に対する配慮だとすれば、そういうものについてはどうなのかな。それほどの影響なしでいけるようなところは、一木一草たりとも動かしてはならぬということの意味をもう一遍検討し直して、全体を整備するという感覚が必要ではないかなと思うのでございます。
 この点については、河村総括政務次官は文化財の保存に関しては長年御自身でいろいろ御苦労されてきていらっしゃいますので、この辺の趣旨のことはおわかりいただけると思うのでございますけれども、ひとつ御意見を承りたいと思うのです。
#75
○河村政務次官 文化財保護法という法律がありまして、文部省の管轄からいけば、そっちの方から文化財の保護に努めておるわけでありますが、今御指摘の古都保存法は、これは今でいえば総務庁の方になりますか、そっちから出てきたものでありまして、私もかねがね、文化行政を一本化していく必要があるのではないか。
 ただ、あれは五十年代の乱開発を防ぎたいということで大網をかけたわけですね。それが、今御指摘のような問題が起きているということがございましたものですから、これはやはり、いわゆる開発する部分と保存する部分との仕分けというものも考えていかなければいけませんし、私の萩あたりも伝統的建造物の保存地区があるわけでありますから、これによって、住民にもかなりいろいろな負担がかかる。それに対しては見合うものを何か考える、いろいろな税法上の特典を考えるとか、そこで努力はされておるわけでありますが、やはりそういう観点に立ち直って、今御指摘の古都保存法についても見直すことがあれば見直す時期に来ているのではないか。今御指摘を受けまして、改めてそういうふうに感じておるわけでございますので、その検討に入ったらどうであろうかというふうに思います。
#76
○滝分科員 おっしゃるように、古都保存法というのが一つの表面的な法律でございますけれども、その根幹には、文化財保護法の文化財、特に埋蔵文化財の保存ということが根っこにありまして、そっちの方に引っ張られて運用がされているというのが実態なわけでございます。そういう意味で、古都保存法を考える場合には、埋蔵文化財の立場からの意見というものが主流をなすものですから、ひとつこの問題については、文化庁におかれましても、時代の流れというか、一般にこういうものを、むしろ国民に広く公開していく、国民がアプローチしやすいような地域の整備を図っていくという立場からお考えをいただきたい、こう思うわけでございます。
 今の河村政務次官のおっしゃる点からいたしますと、具体的な話を文化庁にお持ちする際には、ひとつそういう観点から御判断をいただきますようにお願いを申し上げたいと思うのでございますけれども、いかがなものでしょうか。
#77
○河村政務次官 地方自治体の御意見というものもあろうと思いますし、今、滝先生から御指摘ありましたように、そういうことを具体的に、どの点が問題になっているのだというようなことも御指摘をいただきながら検討をさせていただいたらどうであろうか、このように思いますので、こちらこそひとつよろしくお願いしたいと思います。
#78
○滝分科員 ひとつそういうことで、具体的な計画を作成する段階ではよろしく御配慮をお願い申し上げたいと思います。
 次に、これも古くて新しい問題でございますけれども、社会教育法に言うところの公民館の運用に関して御意見を承りたいと思うのでございます。
 公民館の建設は、もう二、三十年来、次々と新しい建物に切りかわってまいっているわけでございます。特に最近は、木造よりも、耐久性を重んじて、鉄筋コンクリートの公民館もかなりあちこち整備されてきているところでございますけれども、住民の方々のレベルが大分上がってまいりまして、昔風の公民館ではもう満足できない、こういうようなことがあちらこちらで起こってきているわけですね。
 公民館活動の中身については社会教育法で定められているわけでございますけれども、いろいろな、自分の趣味として、あるいは生活を豊かにするという格好で取り組んできたことを、発表会一つとりましても、従来の小さな集会室のようなところではどうも物足りない。やはり固定席があって、多少なりともステージがあってというところで踊りの発表もやらなければいけませんし、歌の発表もやらなければいかぬ、こういうことになってまいりますと、従来の、車座になって話し合いをするのだとか、そういうようなことをベースにした公民館ではなかなか満足がいかない。
 そうなりますと、今度はその横にホールつきの施設を増築するとか、こういうようなことになってくるわけでございます。しかし、土地が狭い。大体公民館をつくるようなところは、便利がいいということで、結果的には、その周辺がかなり宅地化されているところが二十年、三十年たつと出てくるものですから、新しくしようと思っても敷地がなかなか広げられない。そうすると、勢い公民館をもう一遍建て直す、こういうことが出てくるのでございます。
 そこで出てくる問題は、今度は何が出てくるかというと、単純にそういうレベルのグレードを上げた建物だけじゃなくて、運用自体にも、多少最近の動向を加味したような施設にしていきたいという意向が出てまいります。
 具体的に言いますと、公民館でございますと、例えば喫茶店を設けるとか、あるいは簡単な軽食堂を設けるとか、そういうことがなかなかできにくいというふうに受け取られているわけでございます。実際の運用はいろいろなことがあるのだろうと思うのでございますけれども、なかなか、そこでもって飲食を提供するような施設は、いわゆる昔からの公民館にはなじまない、こういうことになってまいりますね。
 そうすると、グレードアップしたいけれども、今度そういうものを加味した施設に建てかえるとなってきますと、そこで問題になってまいりますのは、会計検査の関係で、昔いただいた補助金は返さなければいかぬとか、こういうような問題になってくる。片方では、新しく建て直してやるとお金がかかるのでございますけれども、お金がかかる一方では、昔の補助金を返さなければいかぬ。こういうことになってまいりますと、金額の多い、少ないとは別に、何となくしっくりしない。同じような機能を持つ建物をむしろグレードアップしてつくるのに、補助金を返さなければいかぬ、こういうようなことに相なるわけでございます。
 そこで、具体的にはどうしたらいいんだろうか、こういうことになるんですね。文部省の生涯学習局においては、こういうような例が最近あるものですから、とにかくいろいろな基準をおつくりになって、こういった旧補助金の取り扱いの問題、それから新しい施設の運用の問題について、いろいろと細かい検討がされておりますし、それなりの指針が示されていると思うのでございますけれども、具体的に、どういうような基本的な考え方で文部省が臨まれているのか、まずその辺のところからお聞きをしたいと思うのです。
#79
○河村政務次官 公民館が生涯学習の中で果たしてきた役割は大きいものがございますし、これからも、生涯学習を進めていく上で、公民館の活用ということは非常に重要なことだというふうに考えておるところでございます。ただ、公民館につきましては、大体全国的に一通りの整備は終わったのではないかということで、今おっしゃるように、また今度は新しい機能というふうになってまいりました。
 そこで、これまで文部省は補助金を出しておったのでありますが、御案内のように、その補助金制度についてのいろいろな改正もございまして、地方分権の観点からいっても、地方財政措置で、いわゆる交付税措置の方向に転換したらどうかという指摘もあって、その方向へ補助金の制度については移していく。そのかわり、今後、むしろハード的なものよりソフト的なものへ補助の観点を考える、推進の観点を考えていったらどうだろうかということで、今進めておるわけでございます。
 ただ、今おっしゃったように、建てかえ等の問題が起きております。これは滝委員の方が詳しいと思うのですが、補助金に係る予算の執行の適正化の法律では、とにかく承認を得なければいかぬようになっておりますが、十年以上たっていて建てかえるという場合で、しかも今まで行われている社会教育のレベルが下がらないという前提に立てば、それは地方の要請を受けて認めるといいますか、大いにやってもらいたいという方向で今進めてもらっておるようなわけでございます。
 ただ、これからかなり予算的に大きなもの、大がかりなものになっていく場合にどうしたらいいかということでありますが、これについては、今、補助制度そのものはなくしておりますから、別の交付税措置の形に転換をしておりますので、そこのところは地方自治体の方でいろいろお考えをいただいて、地方の要請、ニーズに合ったものにつくっていっていただく、むしろ地方の特性をそういうもので発揮していただくという方向に行くのが一つの流れではないかな、こう思っておるところでございます。
#80
○滝分科員 そこで、次に問題になりますのは、適化法の関係がありますから、従来の公民館の能力というものを維持する部分というのは、新しい施設にも持ち込めば、当然、その部分は、適化法に基づいても旧来の補助金を返還しなくても済む、こうなるわけですね。ところが、新しくつけ足す部分において、それがどうも公民館と認定されにくいような施設を設ける。例えば、先ほど申しました飲食の提供施設を設けるとか、あるいはホールについては、例えば固定席、ステージつきのホールをつくる場合には、そのホールに限っては、社会教育として、公民館活動としては前提としていないような、例えば政党の後援会をそこで弾力的に扱うとか、宗教的な集会も時には認めるとか、そういうことになってまいりますと、これは公民館の制限範囲を超えるものですから、そういうようなものを付加してくるとなると、その部分は公民館じゃありません、こういうことになるわけですね。
 そうすると、その辺のところの仕分けは、要するに、そこの部分だけは公民館じゃありませんという格好にすれば、旧来の補助金は返さなくても済む、こういうような理解でよろしいのでしょうか。
#81
○河村政務次官 社会教育関係施設というのは一つの、これをどう認めるかというのは法律事項の中の範疇に入っておりますから、完全にそれを逸脱するということになりますと、これは何か別のメニューで考えるとか、そういう知恵を働かせないとうまくいかないのではないかと思います。
 ただ、最近は非常に複合施設というものが盛んになってまいりました。むしろ、一つだけじゃなくていろいろな施設をそこへくっつけてやるというやり方もありますので、別のことから考えれば、私は、社会福祉施設もあるし、あるいは庁舎等の公的施設、そういうものの考え方をそれへ取り入れていけば、可能なことになってくるのではないか、このように思っております。
#82
○滝分科員 これも、そういう御答弁をいただきましたので、事務的に協議をするというか、詰める話でございますけれども、具体的な計画の段階ではひとつよろしく御協議をいただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。
 次に、三点目でございますけれども、私の地元に奈良先端科学技術大学院大学という大学、そういう、いわば学部を持たない大学院の大学があるわけでございます。これが京都、大阪、奈良にまたがる京阪奈文化学術研究都市のいわば中核的な存在であることは申すまでもないのでございますけれども、この施設が、余りにもレベルが高過ぎる、そして学部を持たないということのために、せっかく地元にありながら、この大学の研究の成果を地元が恩恵にあずかるというチャンスが極めて少ないのですね。
 そこで、どうしたものだろうか、こういうようなことをつくづく考えてまいりますと、大学における技術の研究成果というものを民間事業者に移転させる、そういうような特別法があるわけでございます。大学等における技術に関する研究成果の民間事業者への移転の促進に関する法律というのですか、そういう法律があって、特定の研究成果については技術移転が可能だ、こういうことを法律的に保障しているのでございますけれども、これは、専門家を大勢抱えている大企業なんかはこういう法律に飛びつきやすい、それなりのノウハウを持っているわけでございますけれども、問題になりますのは、そういうような基礎的な技術経験のない地元の中小企業者から見ると、こういう移転促進の法律があっても、これは何にもならないのですよね。
 そもそも特定研究成果というのは一体どういう研究成果があるのか自体も、一般の中小企業ではもちろんわからない。そうかといって、どうアプローチしていいかわからない、大学院大学ですから卒業生も極めて少ないものですから。そうすると、その大学で一体どういう先生が何を専門としているかということすら地元では全くわからない、こういう状況でございます。したがって、こういう研究成果の技術移転の促進に関する法律があっても、なかなか地元では、だからといってそういうものの恩恵にあずかれないという問題があるわけでございます。
 もちろん、地元の市長さんなんかは大学側と定例的な懇談会を設けておりますので、その中で大学が今どういう方向に行くとか、どうだこうだということは、市長さんはそれなりの大枠の動きは何となく雑談的におわかりいただいているものですから、今回、平成十二年度から市の職員を大学院大学の研修生として、バイオの関係ですけれども、一人採ってもらうというところまで来ております。それからもう一つは、この大学は情報学科でロボットをやっておりますので、ロボットの成果を市民に啓蒙するという意味で、公民館でロボットの定例講座を平成十二年度から何回かに分けて大学側がやってくれる、こういうようなことに、実は平成十二年度からなったわけでございます。
 これは専ら市長さんが中に入って、そういう懇談会に出ているものですから、その成果として、とにかくよくわからないからそこから始めようかということでやっているわけでございますけれども、一歩進めて、もう少し地元の産業発展に結びつくような大学側の恩典といいますか、そういうものをやるには、もうちょっと何か別の仕掛けが要るのではなかろうかな、こういうふうに思うのでございます。文部省におかれては、そういった点についての今までの蓄積がおありになると思いますので、ひとつお聞かせをいただきたいと思うのです。
#83
○河村政務次官 滝先生御指摘の点でございますが、奈良先端科学技術大学院大学は、まさに高度な研究を進めながら、まず最先端を行ってもらわなきゃ困るということもございまして、世界へ発信するという大きな役割を持っています。しかし一方で、やはり産学の連携というものもうたってあるわけでございまして、その目的の中にあるわけでございまして、ある意味では非常に研究が進んできた、しかし、御指摘のように、もうちょっと情報公開してもらわないと、地元では何をやっているかわからないという問題があろうと思います。
 ただ、大学側もいろいろ努力をしておりまして、市民を対象にした公開キャンパスをやるとか、かなりの方々に出ていただいておりますし、また連携して講座を持つ、公開講座等も持っておりまして、そういうものにも呼びかけ等々も行っておるわけでありますが、そういうことをもっとPRする必要があるのであろうというふうに思います。
 と同時に、今御指摘のTLO、いわゆる技術移転促進の法律がいよいよ本格的になってまいりまして、実は関西ティー・エル・オー株式会社というのがございまして、これは京都大学を初め大阪大学、神戸大学等主要大学もずっと入ってきておるわけでありますが、その中に奈良先端科学技術大学院大学も御加入をいただいておりまして、そうした一般の技術を民間に移転するということもやっていただいておるわけであります。
 ただ、バイオとかそういうのがありますので、どうしても大企業が非常に目をつけてくると思いますが、やはりそうした大企業の底辺を支える中小企業あたりにもこういう情報を公開して、もっと参加していただく必要がございます。
 実は、「バイオと産業」分科会というのがこの大学院の中にもございまして、これには奈良県の商工労働部や奈良県の公設試験研究機関とか奈良工業会、中小企業の皆さんのお集まりでありますが、そういう方々にも運営組織に入っていただきましてバイオの研究をしていただいておるということであります。
 大学側としても、大学だけが孤高にならぬように努力はいたしておりますが、今御指摘のような問題があるとすればもっと努力をしなきゃなりませんし、大学側に対して、また文部省としても、全国のTLO移管のいろいろな例もございますので、そういうものもお示しをしながら、ひとつ奈良の先端科学技術大学院大学が地方にも支えられる大学としてやっていけるように一層督励をしてまいりたい、このように思います。
#84
○滝分科員 奈良県は国立大学が理工学部を持たない、全国でも珍しい、いわば今唯一の県になっているわけです。理工学部を持っていないのですね。私立の学校も県立の大学も理工学部を持たない県なものですから、その中でこの先端科学技術大学院大学だけが突出しておりますと、なかなかすそ野が広がらない、そういうような嫌いがあるわけでございます。何といってもそういう特殊な県でございますだけに、その辺のところのPR方については大学も心がけていらっしゃると思いますけれども、大学が考えていることと一般の産業界というか、小さな中小企業の集まりが考えていることとは格段の差があるのですね。大学側からすれば常識と思っていることも、そんなことは全然わからないわけですから、すそ野では。だから、そこのところはもう少し積極的に役に立つような方策を表に出してもらうような、そういう仕掛けをつくってもらいたいものだな、こういうふうに思っているわけでございます。
 もともとこの大学は、設立するときに、金沢の先端科学技術大学院大学も一緒でございますけれども、民間でもって後援組織としての振興財団を初めからつくっているわけでございますけれども、そういう財団はやはりそれなりの大企業がその恩恵にあずかるというようなことにどうしてもなりがちでございますので、大学側がむしろ積極的に門戸を開放するというか、情報を提供してくれるような、そういうような仕掛けをぜひともお願い申し上げておきたいと思います。
 時間が参りましたのでこれで終わらせていただきますけれども、いずれも細かい問題でございますけれども、地元にとってはそれなりの問題がございます。特に、最後の先端技術の問題は、地元としては何とかせっかくのものを果実として収穫していきたいということが基本的な姿勢だろうと思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 ありがとうございました。
#85
○石田(勝)主査代理 これにて滝実君の質疑は終了いたしました。
 次に、児玉健次君。
#86
○児玉分科員 日本共産党の児玉健次です。
 教職員定数、配置に関する次期の改善計画において、養護教員の定数と、それから現在三十学級以上の学校に複数を配置する、この配置基準の改善は今どのように文部省で検討されているか、文部大臣からお答えをいただきたいと思います。
#87
○中曽根国務大臣 平成五年度から実施をしております第六次公立義務教育諸学校教職員配置改善計画におきましては、個に応じた多様な教育を展開することができるよう、総数三万四百人の改善を図ることとし、また同様に平成五年度から実施しております第五次公立高等学校学級編制及び教職員配置改善計画におきましては、普通科等四十人学級の実施と個に応じた多様な高校教育の展開ができるよう、総数二万三千七百人の教職員定数の改善を図ることとして、毎年度、計画的に推進をしてきたところでございます。
 これらの改善計画は、厳しい財政状況のもと、平成十年十二月に成立いたしました財政構造改革の推進に関する特別措置法によりまして、当初計画を二年延長し、平成十二年度に完成することとしたところでございます。
 平成十二年度におきましては、義務教育諸学校については改善残数の千二百人、公立高等学校につきましては四百五十四人をそれぞれ改善し、計画の完成を図ることといたしております。
#88
○児玉分科員 教職員定数改善の全体像は最後にお聞きをしたいので、私が先ほど伺ったのは、次期改善計画の中で養護教員の定数と配置基準についてはどのように検討なさっているか、お答えいただきます。
#89
○中曽根国務大臣 大変失礼いたしました。
 養護教諭につきましては、第六次教職員配置改善計画において、三学級規模の学校の全校に配置するのに必要な定数を措置できるよう、計画的に改善を進めてきたところでございます。
 標準法により算定される教職員定数は都道府県の総定数でありまして、各学校への配置については各都道府県の裁量にゆだねられております。したがいまして、養護教諭を含めた教職員の配置については、都道府県が各学校の実態等に応じて適切な対応をしているものと承知をしております。
#90
○児玉分科員 大臣、ぜひ話を直接かみ合わせたいのです。
 おととし、町村さんとこの議論をしました。そのとき、今のお話の六次計画で三学級以上の全校配置、これは既に答弁をいただいた。それはもう一〇〇%やっていただきたい。それから、三十学級以上の部分について複数の配置、これも既に決まったことです。それは、これまた全面的に明年度にかけてやっていただきたい。
 私が伺っているのは、次期計画で、ここまでの若干の努力を基礎にして、さらにどのように配置基準を改善しようとなさっているか。その検討の中身を伺いたいのです。
#91
○中曽根国務大臣 第六次教職員配置改善計画におきましては、養護教諭につきましては、極めて小規模な学校を除き、ほぼ全校配置できる配置改善を行うとともに、三十学級以上の学校には複数配置できるよう改善を行っているところでございます。
 養護教諭につきましては、救急措置、保健指導などの従来の保健室における職務や、児童生徒の心身の健康問題や相談活動等にも適切な役割を期待されております。このことも踏まえながら、現在、協力者会議において検討を進めているところでございます。
#92
○児玉分科員 率直に申しますが、まず一つ、ちょうど大臣が、私がお聞きしていない第六次と第五次、これはもう実施するということを私は前提にしてきょうは来ているので、そのことについて改めてお聞きするつもりはないのですが、まだ未実施の部分、三学級以上のところと、三十学級以上でなおかつ複数配置されていないところ、これについてはこの計画の中で完全に実施していただきたい。いかがですか。
#93
○矢野政府参考人 先生の御指摘の点につきましては、先ほど大臣が申し上げましたとおり協力者会議において検討中でございまして、その養護教諭の配置のあり方も含めて現在検討中というふうに御理解をいただきたく存じます。
#94
○児玉分科員 どうも日本語が通じないみたいで、私が言っているのは、皆さんが一九九〇年から、財革法もこれあり、二年延びて二〇〇〇年の三月三十一日までの計画、皆さん自身が立てた計画、三学級以上については全校配置、そして三十学級については複数配置、これを来年度中に実施していただきたい。そういう立場で今まで進めてきたはずですから。イエスかノーか、答えてください。
#95
○矢野政府参考人 先生御指摘のように、第六次の配置改善計画では、養護教諭につきましては……(児玉分科員「過去のことはいいのです」と呼ぶ)はい。そういうことで算定されているわけでございますが、この標準法によって算定される教職員定数は、これは御案内のように各都道府県の総定数でございまして、どの学校へどういう形で配置するかにつきましては、これは各都道府県の裁量にゆだねられているわけでございます。
#96
○児玉分科員 政府参考人というのは、事前に私は注文をつけているけれども、事実について明らかにしていただければいいのです。
 それで、要するに、大臣、私が言いたいのは、どのように配置するかということについて、都道府県が実情に応じて柔軟な努力をするのは当然だと私は思う。そのことについても、おととし議論をした。要は、この定数改善計画で皆さんが既にお示しになっている、三学級以上については全校配置、それから三十学級以上については複数配置、それを実施し得る数を明年度中に実施していただきますねとお聞きしておるのです。
#97
○矢野政府参考人 第六次の配置改善計画におきまして、養護教員の改善数は一千百八十四人でございまして、十一年度までに一千百五十一人でございますので、あと残りの三十三人を平成十二年度予算で措置すれば、計画どおり措置することになるわけでございます。
 ただ、繰り返して恐縮でございますけれども、どの学校にどういう形で配置するかというのは、これは各都道府県の裁量にゆだねられている事柄でございます。
#98
○児玉分科員 さて、そこで、やっと次に入れます。この後の計画です。
 中曽根大臣、この問題は随分繰り返し議論をしてきました。一昨年の議論の中で、当時の町村信孝大臣は私との議論の中で、養護教員がどのような状況にあるのか、「保健室が忙しいという状況でないことを望みつつも、現実は今委員が御指摘のとおりの状況でございます。」委員というのは私です、「したがいまして、養護教諭のあり方について、」いろいろ言っていますけれども、「平成十二年までということは前提にしながらも、その後のことについては当然保体審の答申も念頭に置きながら考えていかなければならない課題である、」こういうふうに明言していますね。
 そこのところを私は、もう明年、二〇〇一年の四月から始まるわけですから、皆さんがどういう立場で文部省として今検討なさっているのか、そこを、おととしの答弁より一歩踏み込んでお答えいただきたいと思います。
#99
○中曽根国務大臣 養護教諭につきましては、第六次教職員配置改善計画において、三学級規模の……(児玉分科員「もうそれはわかっています」と呼ぶ)失礼しました。
 第六次配置改善計画において、養護教諭につきましては、極めて小規模な学校を除き、ほぼ全校配置できる配置改善を行うとともに、三十学級以上の学校には複数配置できるよう改善を行っているところでございます。
 養護教諭につきましては、救急措置、保健指導などの従来の保健室における職務や児童生徒の心身の健康問題や、それから相談活動等にも適切な役割を期待されております。このことも踏まえながら、現在、協力者会議において検討を進めているところでございます。
#100
○児玉分科員 大臣、それでは、政治家である中曽根文部大臣と、そしてこの問題を一貫して取り上げてきた私、児玉との率直な議論をしたいと思うのです。
 大臣、この言葉を聞いてください、官僚が出すメモではなく。これは、昨年の十月の段階で、埼玉県のある県立工業高校で懸命に努力をされている一人の養護教諭の方の述懐です。
  学校に保健室があり、そこに養護教諭がいることで、子どもたちはどのように感じているのでしょうか。ある子は「保健室の匂いが好き」、「ここに来るとほっとするんだよね」と言います。そこに、「どうしたの」と聞いてくれる養護教諭がいることで、子どもたちは教室とは違った雰囲気と安らぎを感じているのではないでしょうか。
この述懐について、文部大臣、どんな感想をお持ちでしょうか。
#101
○中曽根国務大臣 今まさに委員が御発言されたとおりだと思います。保健室の果たす役割というものは子供さんにとっても大変に重要なもの、そういうふうに思っております。
#102
○児玉分科員 委員長、お許しをいただいて、資料を皆さんにお配りいただきたいと思います。
 これは、北海道の全日制普通課程の公立高校です。複数配置がされていますから、そのことを頭に置いて見ていただきたい。
 昨年の六月三十日水曜の記録で、一学期の期末試験の二日前だと。皆さんの努力や、多くの関係者そして教職員組合などの積年の努力が実現して、ともあれ、非常に限定的だけれども、複数配置が実現をした。そのある一日の記録です。
 大臣、まず私が注意を喚起したいのは、K先生、出勤なさったのは七時五十分です、そして退勤されたのは十八時十分ですね。
 そして、二人がいるということのすばらしさをこれは示しているのです。九時三十五分のところを見てください。二年生の女子が来室。来室二女と書いているのは二年生の女子です。風邪、情緒不安定、そしてベッドで横たわってもらった。四人目だから静養4としてあります。そして、そのK先生は九時五十五分に職員室に行って、この二年生の女子の問題について担任の教師と話をした。そして、十時三十五分に保健室に帰って、子供の状態を見て、担任との協議の上、教室に戻らせた。もしこれを一人でやっていたら、この間保健室が留守になりますから、二人いることの非常に大きなメリットです。
 もう一人のN先生を見てください。十二時四十五分、体調不良で休息をとる。そして十三時四十分、保健室に戻るが回復せず、すぐに退勤する。御承知のように、今、全国で養護の先生たちが、教育の困難に直面しつつ献身的な努力をなさっている。そういう中で、在職中の死亡や燃え尽き症候群というのが問題になっている。二人いるおかげで、このN先生は休息をとり、そして回復しないので退勤することができた。これも複数配置のすばらしい前進面ですね。お一人いなくなったら後はどうなるかというのが、十三時四十五分からの過密日程です。ごらんのとおりです。
 こういう形で現在、複数配置が非常に有効な役割を果たしている。
 保体審、平成九年九月二十二日の保健体育審議会、そこでいろいろ述べておりますが、最後のところで、「養護教諭の複数配置について一層の促進を図ることが必要である。」こういうふうに明言をしております。おわかりですね。それで、町村大臣と私との間はここを一つの出発点にして、さらに前進的な検討をするということで一昨年議論をいたしました。
 私は、今見ていただいた二人がいることの持っているメリット、教育的な前進面、そこのところを大臣として率直に評価していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#103
○中曽根国務大臣 今この「保健室の一日」という、養護教諭の一日の日誌ですか、見せていただきまして、大変なことだな、そういうふうに率直に感じた次第でございます。
 この日、二人おられるということで、またお一人が体調が悪くなりましたけれども、そういう中で、児童生徒のケアをしていただいているわけでありまして、そういう意味では複数配置の意味というものがよく理解できたわけでございます。
#104
○児玉分科員 私はこの質問を突然やる機会ができましたので、先週、私の国会の部屋に、東京と埼玉で大変御苦労なさっている養護の現場の先生がおいでになりました。私は、この問題は一九九〇年から十年間、断続的に取り組んできました。前の計画のときからですね。そういう中で、先生方のお話を聞いて痛感しますが、残念ながら学校の状況が年々厳しくなっている。
 例えば埼玉からおいでになった先生たちのお話によれば、公立高校の入試制度が今いろいろと変わりつつある、そういう中でどんな学校生活を送っているか。クラブ活動の問題からボランティアの問題からその他、さまざまなことが入試において学校から報告される。保健室に来た中学生が、先生、きょう僕がここに来てどんな話をしたかを担任の先生に紙に書かないでほしい、こういうふうに言うと。わかったよと言ったらやっと心を開いて話ができる、こういう状況ですね。
 そういう中で、今までは保健室登校、そのことの積極性を文部省は認めていらっしゃる。それは私は一歩前進だと思うのですが、これまで学校教育の中でささやかに安全弁の役割を果たしてきたこの保健室が、今ではその役割もかなり困難になっている。この点が一つ、私は、次期改善計画に向けて文部省で押さえていただきたい、踏まえていただきたいことです。
 二点目は何かというと、三十学級規模を超える学校の複数配置というのでは、現在の学校教育の状況から到底、現場の求めにも父母の求めにも応じられません。その理由は、三十学級といったら大体、高校です。その高校が児童生徒数の減少で二十七学級、二十四学級。一学年十でなくて九になると二十七学級、八になると二十四です。北海道も、一時はたしか三十近くあったんだけれども今は二十七学級で、相当、数が減じてきています。そうなっていくと、この三十学級以上の規模というのでは、せっかくの国民の努力、善意が実りにくくなっている。これが一つ。
 もう一つ。例えば埼玉県の例です。二十四学級から二十九学級の小中学校が、実に九十七校あります。ところが、これらの学校の複数配置はゼロです。大阪府は同じく九十七校あって、二十四から二十九、三十学級に至っていないから、これまた配置されていません。そういう部分に養護教諭を配置するように配置基準を進めていく、そのことが保体審の言う一層進めるということではないのかと私は考えますが、大臣のお考えを聞きたい。
#105
○中曽根国務大臣 養護教諭につきましては、先ほど見せていただきましたけれども、救急措置とか保健指導などの従来の保健室における職務や、それから児童生徒の心身の健康問題あるいは相談活動において大変大きな役割を果たしているわけであります。
 今、三十学級等のお話がありましたけれども、そういう重要な役割を果たしているということも踏まえながら、協力者会議においても現在検討を進めているところでありまして、私どもも十分そういう点を認識しながら今後議論をしていきたい、そういうふうに思っております。
#106
○児玉分科員 もう一度念を押しますけれども、大体私は大臣に御理解いただけたと思うので、今までの状況を維持するのでなく、一歩進めるという立場でぜひ検討をしていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
#107
○河村政務次官 教職員の定数改善計画につきましては、次の第七次の計画を立てなければいけないときに今来ておるわけであります。先ほど大臣お話しのように、協力者会議等のいろいろな話を聞きながら進めておるわけでありますが、当然、大臣と話しておりますのは、今の教育改革を進めなければいけない現状の中で、思い切った定数改善をやらなければいけないだろうということで一致をいたしておりますので、今御指摘のように、一歩進んだ形で改善計画を考えていかなければいけないときである、このように認識しております。
#108
○児玉分科員 そのようにしてください。
 次の問題です。保健室の改善です。これまた学校教育において非常に重要な役割をしている。
 文部省が一九九二年の三月に出された施設整備指針、そこの一部に、「必要に応じ養護教諭がカウンセリングを行うことのできる空間を保健室に隣接した位置又は保健室内に確保することも有効であること。」こうありますね。学校では、そのためには大体一教室ないしは一教室半、好ましくは二教室が必要だというふうに皆さん言ってらっしゃる。
 保健室の中に、または保健室の近くにカウンセリングの部屋、それらがある。実態がどうなっているか、文部省は調査していらっしゃるでしょうか。これは政府参考人から答えていただいて結構です。調査しているかどうか。
#109
○矢野政府参考人 調査はいたしておりません。
#110
○児玉分科員 これはやはり調査していただかなければいけない。
 全日本教職員組合、全教が九八年の八月、九月、十月に行った調査です。二十三都道府県、そこで小学校、中学校、高校、養護学校、私立、三千百三十七校ですから相当大規模な調査です。それによれば、相談室が保健室内部にあるのがわずか三・八%です。わずか三・八%。そして、仕切りではないけれども、相談コーナーという形で存在しているのが一三・一%。保健室の近くにあるのが七・一%。私はこれの改善も非常に急がれると思います。
 大臣、多分御承知だと思うのですけれども、このことをいろいろ調べてみますと、太平洋戦争の初期、極めて困難だったあの時期、一九四一年の三月二十六日ですか、当時は保健室と言わず衛生室と言っていた。その当時にあって、「学校ニハ学校ニ於ケル衛生養護ヲ適切ナラシムルタメ衛生室ヲ設クルコト」こう明言しまして、「衛生室ハ之ヲ分チテ医務室、休養室トシ夫々別室トスルコト」そう述べて、三のところでは、「医務室ノ広サハ概ネ普通教室ノ広サトシ、」ちょっと略しますが、「休養室ノ広サハ概ネ普通教室ノ二分ノ一ノ広サトスルコト、」当時ですらこういう基準を提起していたのですね。
 今、この点で今後の小学校、中学校、高校などのことを考えるときに、速やかに改造し、特に新築、改築時には十分な保健室のスペースを確保することが求められていると考えますが、大臣の答弁を求めます。
#111
○中曽根国務大臣 今、戦前の衛生室のお話がございました。保健室でございますけれども、その目的からいたしまして、十分な整備、体制をとることが大事と思っております。
 学校の保健室につきましては、学校施設整備指針において、適正な面積、それから配置等を計画すること及びカウンセリングを行うことのできる空間を確保するなど、学校施設の計画、設計上の留意点を示しておるわけです。
 文部省では、従来から、公立学校施設整備費補助金において保健室の整備を補助の対象としておりますけれども、特に平成十年度からは、カウンセリング機能を強化するための心の教室整備事業によりまして、保健室の整備充実に努めているところでございます。
 今後も、保健室を含め学校施設の整備が適切に進められるよう指導していきたいと思っております。
#112
○児玉分科員 そのための財政的な支えも含めて検討していただきたい、このことを私は要望します。
 最後に、時間もなくなりましたが、次期教職員定数の改善計画についてです。
 いろいろな議論があります。そして、今日の学校教育の困難の中で、教職員をどのように配置するか、配分するかも重要ですけれども、その前に文部省に考えていただきたいことは、教職員全体の定数を大幅にふやすことです。その点で、あえて私は、アメリカのクリントン大統領が九八年一月二十七日に行った一般教書演説、これに文部省は学ぶべきだと思う。
 クリントン氏はそこで何と言ったか。アメリカの父母、国民の希望にこたえて、いい教育をつくりたい。いい教育をつくるかぎは何かといって、彼はこう言いました。グッド・ティーチャーズ・アンド・スモール・クラシーズ、すばらしい先生たちと小さな学級だ。そして、明年のうちにアメリカの全土で小学校一年、二年、三学年は十八人学級にする、こういうふうに約束をして、それに伴って生まれるべき教職員の雇用増を含めて彼は国民に約束しました。
 私は、アメリカから学ぶべきところは大いに学ばなければいけないと思っている。次期改善計画に当たって、このような大胆さと率直さが今求められていると思う。そして、この点では完全に国民の合意が可能ですから、文部大臣の大胆なイニシアチブを私は求めたいと思う。いかがでしょうか。
#113
○中曽根国務大臣 今後の学級編制や教職員配置のあり方につきましては、委員御承知と思いますが、現在、教職員配置の在り方等に関する調査研究協力者会議において、中教審の答申の提言内容を基本として、また、今アメリカのお話がありましたけれども、諸外国の実態も参考としつつ、教職員配置と定数のあり方や学級規模、それから学習集団のあり方について検討を進めているところでございます。
 文部省といたしましては、平成十三年度から新たな施策に着手できるように、協力者会議における検討も踏まえまして準備を進めていきたいと考えております。
#114
○児玉分科員 終わります。
#115
○石田(勝)主査代理 これにて児玉健次君の質疑は終了いたしました。
    〔石田(勝)主査代理退席、主査着席〕
#116
○桝屋主査 次に、松崎公昭君。
#117
○松崎分科員 民主党の松崎公昭でございます。
 きょう初めて文部行政について質問をさせていただきます。大臣とも初の顔合わせでございますので、よろしくお願いいたします。
 きょうは、私は、主に教科書問題に関しましてお尋ねをしようと思っております。これは、私は国会議員になる前から、やはり今の子供たちのありさま、そして今までの五十年間の日本の教育のあり方、そういうことで、個人的にも大変興味を持ち、関心を持っていた。そういう観点から、私は、きょうは個人的な立場を中心としながら質問をさせていただきますので、よろしくお願いしたいと思います。
 戦後のさまざまな問題の中でも、やはりこの教科書問題というのは、いわゆる歴史教育を含めまして大きな日本の中の争点、さまざまなこの五十年間の、特に冷戦構造が終わるまでのイデオロギーの対決、そういったところでの大きな争点の一つでありました。
 私も、昭和二十年代に小学校の教育を受けておりますので、しっかりといわゆる日教組の歴史観、そういうものを教え込まれまして今日まで来ておりますものですから、今問題になっております歴史教育の教科書でのさまざまな問題点に関しましては、なかなかこれを一概にどうこうと言うことができない。それだけ我々の、特に今の日本の壮年層に及ぼす影響、そして今の子供たちにも影響を与えているわけでありますけれども、そういう観点でいきますと、この教科書の問題というのは非常に重いものがある。
 ですから、余り政党の考え方とかそういったものからいきますと非常にやりにくい点もありますけれども、私の個人の考え方でやってみたい、そのように思っております。
 私どものときは無償配付ではございませんでした。昭和の三十八年から教科書が無償配付になっておりますが、まず冒頭、その基礎的なことをお聞きしたいと思っております。
 十二年度の予算で、教科書に関係します支出の総額、それから児童生徒一人当たり幾らになるか、また、三十八年から三十五年間たっておりますが、この中での支出の総額、今後の見通し、児童数を含めまして、予算の問題に絡めましてお尋ねを申し上げたいと思います。
#118
○御手洗政府参考人 十二年度予算案におきましては、義務教育の教科書の購入費につきましては四百二十六億二千七百万円を計上させていただいております。これは、来年度配付予定の児童生徒一人当たりに換算いたしますと、小学校では三千百十七円、中学校では四千五百六十円になるわけでございます。
 大変恐縮でございますけれども、三十八年からのこの総額の積み上げ、直ちにちょっとお答えできませんので、後ほど、お許しいただきたいと思います。
#119
○松崎分科員 かなりの数字で位置を占めているわけであります。
 ここに、補助教材というのがあると思うのですが、補助教材がどのくらいかかっておるか、その辺をちょっとお聞きしたいと思います。
#120
○御手洗政府参考人 文部省が調査しております、保護者が支出した経費の中で、先生御指摘のように、教科書以外に各科の授業のために必要な必須の図書の購入費、あるいは学用品や個別に子供たちが使います楽器、そういったいわゆる補助教材と言われるものがあるわけでございますけれども、これにつきましては、平成十年度の調査が一番新しいわけでございますが、小学校では年間二万一千二百二十八円、中学校では年間三万一千七百九十一円というような数字がサンプリング調査で出ているところでございます。
#121
○松崎分科員 教科書の無償配付、これが大変低いわけですね。一人頭にいたしまして、補助教材と比べますと大変な差が出ているわけでありますけれども、この辺は、憲法二十六条との絡みで、「義務教育は、これを無償とする。」この範囲かどうかわかりませんけれども、これだけ差があって、親の負担が多いということに関しましては、今まではこの教科書無償という考え方の中でどのように処理をされてきたのか、お尋ねいたします。
#122
○中曽根国務大臣 憲法の第二十六条は、義務教育を無償とすることを定めているわけでございます。この規定に基づきまして、教育基本法第四条第二項におきましては、国公立学校における義務教育については授業料を徴収しないこととされております。このように、憲法第二十六条の義務教育の無償は、直接には授業料の不徴収を意味するものでございます。
 義務教育教科書については、昭和三十八年度以来無償措置が講じられているところでありますが、これは、義務教育無償の精神をより広く実現するとともに、我が国の児童生徒の国民的自覚を促すなどの教育的意義が大きいものと認識をしております。
 なお、義務教育諸学校における教科書以外の教材費につきましては、実験用の材料など各児童生徒を通じて共通に使用されるものは公費によって負担されておりますけれども、児童生徒が各個人で所持し、専ら自分の専用として使用する辞書やノート類、文房具、あるいは笛、ハーモニカ等の楽器、製図・裁縫用具等については私費で負担をしているところでございます。
#123
○松崎分科員 確かに、法律なりでいくとそういうことになると思いますけれども、これだけの父兄の負担というものに関しましては、やはり何らかの形で検討する必要もあるという考え方と同時に、無償配付ということは、例えば私なんかも子供四人おりましたけれども、残念ながら子供の教科書を見たことがなかったという、大変不謹慎な話かもしれませんけれども、やはり私どもが小さいころは、自分でお金を出して買った覚えがありました。そうなりますと、やはり非常に父兄でも自覚が出てくる、そんな意見もありますけれども、これは義務教育の法律のとおりでいいという考え方で今のところは私も通しておりますけれども、しかし、一方ではそういう考え方もあるということを述べておきたいと思います。
 また、この教科書そのものがどういう選ばれ方をするか、もちろん、検定あるいは採択という方法をとって無償の教科書が子供たちの手に渡るわけでありますが、どうも、この検定そのものの内容よりも、検定の方法、それから検定に参加する業者の数、あるいは採択の方法、これらになかなか問題があるのかなという感じが私はしております。
 さてそこで、今この検定に合格している会社、それから採択をされている社、この辺は何社ぐらい小中であるのでしょうか。
#124
○御手洗政府参考人 直近の平成十年度に行われました小学校用の教科書につきましては、国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、家庭、体育、各教科ございますけれども、通じまして十六社が発行しておるわけでございます。申請を行った教科書につきましてすべてが合格されておりまして、採択部数の差はございますけれども、すべての教科書が何らかの学校で採択されているところでございます。
 中学校用の教科書につきましては、直近の検定は平成七年度でございまして、発行者は全体で十八社でございますけれども、これにつきましても、申請、合格、採択の状況につきましては、小学校と同様、申請された教科書がすべて合格し、いずれかの学校で使用されているという状況になってございます。
#125
○松崎分科員 私も門外漢でありますので、今いろいろ勉強していたのですけれども、普通でいきますと、申請の発行者数と検定の合格者数、これは一緒。そして、もちろん採択も全部、ほとんどじゃなくて全部一緒ですね、平成十年度の小学校、中学校。この教科書の検定制度、採択制度でいきますと、なかなか自由競争のシステムが働かないのかもしれませんけれども、これはいわゆる公共工事の入札とは違うかもしれませんけれども、申請者数がもっと多くてもいいんじゃないか。そして、申請する人がある程度たくさんいて、その中で合格者が何人か決まる、その合格の中で採択されるのが、ほとんど皆採択されるということはあってもいいと思うのですけれども。
 文部省の、教科書という特殊性からいくとこれでいいのだという答えなんでしょうけれども、我々常識人からいくと、検定に至るまでの教科書づくりが大変だとかお金がかかるとか、いろいろなことを私も見聞きしておりますけれども、どう考えてもこれはおかしいんじゃないか、常識的に。申請者数がぴたっと同じで、ぴたっと入ってくる、これはどう考えてもおかしいなということなんですけれども、この辺、ちょっと説明してください。
#126
○御手洗政府参考人 御指摘のように、国語とか算数というような教科書につきましては、小中学校、やや発行者数が近年少なくなってきている状況がございますけれども、高等学校等はむしろふえているという状況がございます。
 それから、小学校につきましても、例えば平成四年度は保健の教科書あるいは理科、生活科、平成八年度も小学校の生活科ということで、今まで全く教科書を発行していない会社が、とりわけ新規の教科書が入ってくるというようなところに参入してきている例もございます。また、従来はほかの教科書は発行しておりましたけれども今申し上げました生活科とか保健というような教科書を発行していなかった会社が、例えば平成四年度では生活や保健等を発行するとかいうようなことで、少しずつ、従来教科書を発行していなかった会社、あるいは、従来別の教科書を発行していたけれども新しい教科書を発行する会社というようなことで、少しずつ出入りはあるわけでございます。
 御指摘のとおり、教科書発行につきましては、これは通常の書物のように簡単な書物でありますと、その年のうちに編集、発行して回収できるというような状況でございますけれども、編集を始めて教科書の検定を行って、そして採択をするということで、どうしても三年から四年、元手を回収するのに非常に時間がかかります。
 それから、例えば小学校ですと、今、国語六社、それから社会科五社、算数六社、理科五社とございますけれども、いずれも長い間、戦後何十年も経験がございまして、相当のスタッフと長い間の経験と執筆者とを抱えておりますので、一般の小さな本屋さんがここに入っていくということは――私ども、決して特段の大きな制約があるとは思っておりません。教科書発行者の条件は、一、二規制がございますけれども、いずれも資本金的なもの、それから教科書の編集に経験があるスタッフを抱えているというような程度のものでございまして、だれでも自由に参入できるようになっているわけでございますけれども、現実には、そういった教科書という一般の書物とは違った特別の編集、発行というような状況の中で、このような、余り大きな出入りがない状況になっているのではないかな、これは私ども推測をしているところでございます。
#127
○松崎分科員 先ほど私が言ったように、確かにそういう見方はあるかもしれませんけれども、いわゆる競争の原理、大変な金額ですよね。教科書代だけでも四百二十六億ですよ。そういう金額の中で、結局独占状態というのが随分続いているというふうに書いてありますね。ある書籍会社が十年間同じ県でずっとだとか、それから天下りが書籍会社に出てきたり、これはどの業界でもこの二、三年問題になっている天下りの問題も、地方かもしれませんけれども、そういう問題が出てきているということは、やはりこの競争の余りない、そういう状態に問題があるんではないか、私はそのように指摘をさせていただいておきます。
 さて、そういう状況の書籍業界の問題の中で、採択の問題でありますけれども、これがどうも、法律にのっとっているように、採択が、教育委員会が自主的にその責務をちゃんとやっているかどうか、そういう指摘が最近随分言われております。東京も特別なやり方をやるとか、いろいろな方法が全国であるようでありますけれども、本来教育委員会がその採択の最終責任をしっかり負うんだ、また教育委員が負うんだ、そういうことは今どのようになっておりますか。
#128
○御手洗政府参考人 教科書の採択は、学校を設置する教育委員会が採択権を持つということになってございます。
 小中学校につきましては、原則的に市町村の教育委員会ということになるわけでございますけれども、現行法制上は、都道府県の教育委員会が市または郡の単位を一つの単位として、最低限の単位として採択地区を定める。したがいまして、複数の市町村が同じ採択地区という形で都道府県教育委員会が決めました際には、複数のその採択地区に該当します市町村の教育委員会が、いわば共同してこれを採択するという形になろうかと思いますが、県立学校の場合につきましては、最終的には、学校から上がってきたものを都道府県の教育委員会が決めるというような形になっているところでございます。
#129
○松崎分科員 今の質問に答えていないじゃないですか。教育委員会がやることになっているといったって、実際はそうじゃないということが多いんじゃないですか。それを聞いているのですよ。
#130
○御手洗政府参考人 失礼いたしました。
 市町村教育委員会が実際に採択地区の中で具体的にどういった形で採択するか、手続を決めているかということにつきましては、これは基本的には、採択地区の教育委員会が共同いたしましてどういった手続をとるかは決めていただくということでございますので、文部省としても、全国何百もあります採択地区につきまして、逐一の状況をつぶさには承知をいたしておりませんが、一般的には、都道府県の教育委員会が教科用図書の選定審議会をつくりまして、ここで選定の観点等を採択地区にお示しをするということに法律上なってございます。
 これも踏まえまして、各採択地区におきましては、各教科ごとに専門の調査員等をお願いいたしまして、その調査員の資料等が各採択地区の教科書の選定審議会に上がってくるというような形が一般的であろうかと思います。
 選定審議会のメンバー等も、基本的には各市町村の教育委員会が決めることになるわけでございますけれども、ここで一ないし複数の各教科ごとに教科書が選定をされまして、最終的には、その選定審議会の報告をもとに、各市町村の教育委員会が共同して各教科、各学年ごとに一種の教科書を採択していくというような仕組みになっているところでございます。
#131
○松崎分科員 もちろん、今局長のお立場では、法的な形で一応こうなっておりますという答えになっていると思いますけれども、最近、自民党さんの方でも中曽根大臣に要望を若い方々が出された、そんなこともありました。それから、各県でも大分その辺の、教育委員会の主体的な、あるいは教育委員の主体的な教科書に対する採択の関与といいましょうか、最終責任をしっかり、文字どおりやれという傾向が出ておりますね。
 例えば東京都の問題なんかは、これはあれですか、学校一票制だとか、そういうようなことをどこまで調査されているのですか。
#132
○御手洗政府参考人 御指摘のように、東京都の場合は、各学校ごとに一種類の教科書が推薦をされて、それを全体として集計をしていくというような形で審議の材料になっているということは承知をしておりますが、必ずしもすべての採択地区がそういった各学校ごとの希望というものを審議にしているというわけでもございませんが、何分にも、先ほど申し上げましたように、各市町村の教育委員会が責任を持って手続を決めているところでございますので、個々のすべての採択地区についてどの程度そういった実態があるかということについては、大変申しわけございませんけれども、手元に調査した資料はございませんので、お許しをいただきたいと存じます。
#133
○松崎分科員 予算を出しているから云々とは言いませんけれども、やはりこの辺に今までの、戦後五十年間の中の、歴史教育も含めて教育の内容そのものに大変に、今日の日本の青少年を含めて、ゆがんでいる形をつくってしまった原因の一つに教科書そのものの問題があるのだ。それをチェックする文部省も、これだけ問題がある採択の問題に関して調査していない。これは、まことにお粗末といいましょうか、大臣、こんなことでよろしいのですか。そちらへ自民党さんの若手も要望を出していますよね、突然の質問ですけれども。
#134
○中曽根国務大臣 先ほど局長から答弁いたしましたとおり、教科書採択につきましては、東京の場合でありますと、都の教育委員会から各区の教育委員会に権限が移されておるわけでございまして、私どもといたしましては、教科書の採択が適切に行われるように、専門的な教科書研究を充実したり、あるいは適正かつ公正な採択の確保、また開かれた採択の推進等について指導に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
#135
○松崎分科員 もっと時間をかけてこの問題はやらなければならないと思いますけれども、それぞれの現場で特別な方々がある程度選んで、それを学校の決定ということで上げていって、最終的には、教育委員会は形だけで認めていくというようなことが各県にもあるわけですね。私の住んでおります千葉県は、市の教育委員会がしっかりやっているようでありますけれども、ぜひこの辺はこれからメスを入れていただきたいな。
 なぜこの問題をお話ししますかといいますと、やはりそういう採択に関係して、もちろん教科書の選び方という問題で、イデオロギー対決の長い、今まで昭和の五十年間の中で、やはり一つの流れができてきていたというふうに私は思うわけであります。
 ですから、その辺の採択に絡んで、今日の教科書のさまざまな問題、特に自虐的な史観に立ったものでありますとか、私も一時、小学生時代にしっかり唯物史観等を教え込まれまして、そういう考え方も持っておりました。しかし今は、もっと大局的に、イデオロギー対決の時代から、もっと本当に、世界の中の日本がどうなんだ、そして戦争なら戦争を起こす背景はどうであったか、それによって起こした問題は、それはそれで、まずいところはまずい、しかし、その背景もしっかりと教え込んでいく。こういう中立性といいましょうか、客観的真実というのはありませんけれども、それに近いものを求めていく。そういう教育の姿勢でないと、私はまずいのではないか。
 そんなところで、特に最近新聞をにぎわせております、小学校、中学校の歴史教科書で従軍慰安婦の問題とか強制連行、これはちょっと余りにも刺激的過ぎる内容で、果たしてこれが義務教育の教科書に適切であるかどうかという問題もあったわけでありますけれども、これがいつごろから記載されて、その背景は、どうしてこういう激しい内容になってしまったのか、お尋ねをいたします。
#136
○御手洗政府参考人 御指摘ございました従軍慰安婦につきまして、特に中学校の社会科の教科書におきましては、平成七年度に検定申請された教科書、すなわち平成九年度から使用された教科書からこういった記述が出てまいっております。
 個々の発行者がなぜこの問題を取り上げたかということについて、正確にお答えする資料を持っておりませんけれども、現時点で考えますと、当時、平成三年ぐらいから、かつて慰安婦であった方々から訴訟が起きるというような社会的な事件等が報道されまして、その後、この問題についてのマスコミ報道等がありまして、社会的な関心が高まったということは一つあったかと存じます。それからまた、そのような背景をもとに、平成五年八月に政府から慰安婦関係調査の結果が発表され、一応の慰安婦関係の事実関係について政府としての見解が出されたというようなことが背景にあったものと考えているところでございます。
#137
○松崎分科員 この問題も、かなり時間をかけなければいけない問題であります。きょうは時間がありませんけれども。
 これはもちろん、最初はもう本当に一社の誤報から始まってしまった、五十七年ですね。そこから宮澤官房長官の談話になり、これがまた、今の訴訟もあったのでしょう、いろいろ今のような、教科書にまで書くようになった。特に河野官房長官のときの平成五年から出たのですね。
 この辺は、やはりもともとが誤報から出発している。もちろん、その背景はありますよ。中国にしても韓国にしましても、もちろんずっと背景はあったわけでありますけれども、教科書にまで入ってきたということは、これはかなり、政治の誤りみたいなものが今日まで来てしまったということがあったわけですね。近隣諸国の条項でありますとか官房長官の談話、こういったものが一つの大きな引き金になって今日まで来た。
 ところで、昨年の十一月に二つの会社から、「従軍」の字句を削除した、これはどういう理由で、またどういう背景で急にそうなったのでしょうか。
#138
○御手洗政府参考人 昨年の九月から十一月にかけまして、三つの中学校の社会科の発行者から、御指摘の慰安婦に関する記述の訂正について、教科書検定規則に基づきまして申請がございました。
 これにつきましては、訂正理由といたしましては、いずれも、実際に教科書を使用したことによりまして、学習を進める上で支障があるというような理由がついておるわけでございます。具体的には、一つは、従軍慰安婦の「従軍」を改めるということ、それから、強制的に戦場に送り出されたという記述を、意思に反して戦地にと。こういった従軍という記述と強制的に戦場にという、この記述が訂正されたということでございます。
#139
○松崎分科員 時間でございまして、これはまた続いて、今度文教委員会等で私もしっかりやりたいと思いますけれども、どちらにいたしましても、今の教科書にまつわるさまざまな問題が余りにも多過ぎる。これを国会でしっかり、もうそろそろ審議をする時期だろう。憲法問題もはっきりさせて、調査会も動いてきたわけでありますので、そのことをこれからの課題として申し上げさせていただいて、終わりにいたします。
 ありがとうございました。
#140
○桝屋主査 これにて松崎公昭君の質疑は終了いたしました。
 次に、久保哲司君。
#141
○久保分科員 公明党の久保哲司でございます。
 きょうは、大臣、次官、御苦労さまでございます。ちょうど今スケジュール表を見ていたら、大臣、文部省に関しては六人質問されて、私が四番目、ちょうど折り返し地点のようでございますので、後半、よろしくお願いをしたいと思います。
 きょうは、地元で、実は、御承知かと思いますけれども、大阪なものですから、しかも、昔の四天王寺から大和朝廷に通じるそのあたりに私は住んでいまして、そこあたりが地元なものですから、いわゆる古墳といいますか文化財、これがめちゃめちゃ多い地域であります。どこをさわっても、どこを掘っても出てくる、こういったところなんですけれども、せんだって地元に戻りましたときに、地元の市長さんから、久保さん、ぜひ聞いてくれということで陳情、要望を受けました。そのことを受けて、きょう、大臣並びに文化庁の方にお尋ねをしたいと思っておるんですが、せっかくの機会ですので、冒頭、ちょっと角度の違う話で恐縮でございますけれども、一点、まず大臣にお尋ねをしたいんです。
 実は、先日、地元で事務所におったときに電話がかかってきまして、この方が、子供さんがようやく一生懸命頑張ってこの春大学へ通った。ところが、残念ながら、気の毒にといいますか、お父さんが身体障害者で働くことができない。お母さんが建物を借りて喫茶店を経営して、必死になって子供さんを何とか高校に通わせて、その子供さんも、家庭の状況から、頑張ってとにかく親を楽させるような、そういう力をつけたいというので、大学受験を一生懸命やられて通った。
 通ってから後のことは、奨学金等をいただく段取りをなさっておられるようなんですけれども、早速にも入学金が要るということで、先日、わらをもつかむような思いで国民金融公庫の教育ローンの融資を申し込んだ。申し込んだところが、翌日、ほんまに書類を見てくれたんかいなと思うほどに素早く、ええ返事が来たらええねんけれども、あかんと、こんな返事が来た。何でやと聞いても一向に返事をしてくれない。
 それで、いろいろ経験者その他に聞いてみると、大変なぎりぎりの生活をなさっておられたものですから、時にはいわゆる公共料金も滞りがち、払わないというわけじゃないんですけれども、期日に振り込めなかったようなことが過去何度かあったらしいんです。そういう状況の人間が二百万も借りて返せるんか、こういう判断であったのではなかろうかというのがこの方の、自分の推測の御判断なんですけれども、そうなったら、もう何とも言えず、悲しく、つらい、そんな思いの中で私に話をされた。
 こういう事例というのは全国にどのぐらいあるのかわかりませんけれども、例えば、ことし、厚生省の関係では、国民年金、大学生、二十から掛けぬといかぬというもの、ただし、学生は金がない、それは卒業してから払うてええよ、こういう改正が今行われております。例えば、あるとき払いの催促なしなんというのはどうしようもないですけれども、大学を卒業すればそれなりに生業について働かれるという前提で、その方に働くことを担保にお金を融資するとか、そういったことを含め、また、奨学金制度も十一年度から大幅に拡充されたわけですけれども、この奨学金制度の中にも、例えば入学金に対してもそういう措置ができるような措置を講じていただくとか、今後少子化がどんどん進んでいる状況の中でありますけれども、やはりそうやって地域のため、また自分の家族、家庭の将来のために頑張ろうとしておられる方を支援していただけるような、そんな方策を何かお考えいただければありがたいなと思うんです。
 これは今すぐに、これあるでという、そんなええ答えはないかもわかりませんが、こういう問題、またこういう課題に、教育に携わる大臣としての御所見、また御所感をお聞かせいただければ、このように思う次第であります。
#142
○中曽根国務大臣 大学の入学金につきましての公的制度としては、今委員からもお話ありましたように、国民生活金融公庫の教育ローン制度は昭和五十三年度から実施されておりまして、学生生徒一人につき最高二百万円まで融資を受けることができ、また、貸与基準は年収千二百十万円以下の者とされていると承知をしております。
 御指摘の事例につきましては、国民生活金融公庫における取り扱いの問題である、そういうふうに考えておりますが、学ぶ意欲がある学生が経済的理由によって学業に支障を来すことがないよう、今後研究をしていきたいと思っております。
 また、奨学金制度の中で入学金の貸与を行うことができないかということでもございますが、国民生活金融公庫における教育ローン制度との整理が必要でございますので、こういう点、研究していきたいと思っております。
#143
○久保分科員 一方で、景気、経済との絡みでこういう状況にやむを得ず追い込まれている御子息も多々あるやに思いますので、確かに大臣、今おっしゃったように、まさに国民金融公庫そのものの仕組み、システムの問題ということは私も重々承知をしておるんですけれども、できますれば、そういう場合にある種特例といいますか、一般的な事業の貸し付けというのではなくて、そのようなことを文部省としてもし今後関係者に働きかけをしていただければなおありがたい、このことを要望させていただきたいと思います。
 続きまして、冒頭申し上げました本題、きょうお尋ねしたかったことに入らせていただきたいと思うんですけれども、ここのところ、相次いで重要な遺跡といいますか文化財が、発見あるいは発掘されています。もう重々御承知のように、まず、秩父の小鹿坂遺跡から約五十万年前の原人の遺跡というようなものが出てきたり、あるいは、私の住んでいる大阪の隣、奈良の明日香村では流水遺構が出てきたとか、新聞で、一面トップでどっと扱われるような、ある意味ですばらしいといいますか、ある意味ですごい遺跡等が発掘されておるわけであります。
 文化財といっても実にさまざまありまして、そうやって新聞の一面をにぎわすような遺跡というのは、これはある意味で、当該市町村にとっても、観光資源になる部分も含めて、また国もそうなればいろいろな手当てが必要というような部分が、また府県もそうなるんだろうと思うんですけれども、そこまでは至らぬまでも、地域にとって、あるいはまた、国が指定すべきような規模あるいは内容によって、そのようなものが多々ございます。
 いずれにしろ、いわば先ほどの問題とも重なるんですけれども、それらが景気、経済によって府県の予算がなくなった、あるいは国においてもそういう予算がどんどん絞られていっておるということによって、その時々の時代、景気、経済の動向によって、文化的、学問的には同じようなレベルであるにもかかわらず、なされる手当てが違うということになってくると、これは本当の意味で文化財というのをどない考えてんねん、こんな部分も一部出てくるやに思うんです。
 しかし、いずれにしろ、これからまた人類の歴史、千年、二千年後に今の時代がどういうふうに再現されるのかというのもございますけれども、文化財の保護、あるいは文化財を今後、日本の国として、政府として、また文化庁を含む文部省として、どのような方針でもって保護していこうと考えておられるのか。そういったところの基本的な御認識を、まず大臣にちょっとお伺いをしたいと思います。
#144
○中曽根国務大臣 文化財は、我が国の歴史とか文化を正しく理解するためには欠くことのできないものでありますが、同時に、文化の向上発展の基礎をなすものでありまして、その適切な保存、それから活用を図ることは非常に重要なことでございます。このため、文化財保護法に基づきまして、文化財について指定等を行うほか、文化財の保存、活用に対し助成措置を講じているところでございます。
 文部省といたしましては、今後とも、文化財の保護、保存、活用に関する施策の推進に努めてまいりたいと思っております。
#145
○久保分科員 今まさにおっしゃいましたように、ある意味で人間のベースにあるような部分、それについては十分に留意をして、保存、保護をお願いしたいと思うのです。
 そこで、ここから後、ちょっと具体的な話になりますので、文化庁の方にお尋ねをしたいと思っておるのです。
 御承知だと思いますが、大阪の藤井寺市での出来事なんですけれども、約七、八年ぐらい前ですかね、はざみ山古墳というのがありまして、そこが、地元の開発業者が今にもブルドーザーを持ち込んで破壊しかねぬような状況になった。そのときに、市議会でもかなりけんけんがくがくの議論があったようでございますが、とりあえずそれを公的なものとしてまず押さえておかなかったら、貴重なはざみ山古墳そのものが破壊されてしまいかねないというので、当時、市としては議会での議論を経て、ただ残念ながらそのときはまだ国の指定を受けていませんでした。受けていない段階だったものですから、なおのこと、議会の中で、そんなところにそんな金かけてええのかということも含めて、かなり強烈な議論があったようでありますが、そのときに、土地開発公社にまずは押さえてもらおうではないかということで、土地開発公社がその用地を一時買い上げました。その後、国の指定がなされて、平成八年以降、順次、市がそれを買い上げる、その市の買い上げに対して国の方から十分の八補助ということで補助をいただいておるということなんです。
 実は、ここで十分の八というのは、開発公社に一気にどんと土地を押さえさせたものですから、その当時の単価で買っておるわけですね。ところが、御承知のように、土地の値段は今どんどこ下がっておる。おおよそ大体、粗っぽく言うて、土地の値段が半分ぐらいになってしまっておる、現時点にあっては。そうすると、百で買ったものが今五十の値打ちになっておる。ところが、文化庁の補助要綱によれば、補助基準は、買い取り時の、市が買い上げるときの値段やと、こんなことのようでございまして、今言いましたように、百が五十になって、五十の八割となると、四十になってしまう。市は、え、ちょっと待ってくれ、これどうなっとるねんと、こんなことで。そうかというて、公社にずっと抱かしておくわけにもいかぬものですから、一方で、国の方にもお願いを、また府の方にもお願いをされながら、一方で、市としては毎年予算議会で、あのときあんなあほなことをするからやとかいうことも含めて議論をしながら、何とか買い取っていっておる。
 ところが、その買い取っておる金、一般的に言えば超過負担に当たる部分というのは、まさに市の税金、市の一般的な歳入をそこに充てておるわけです。これがまた、何百万人という市民がおるような大きい自治体であればそういったことも多少は消えていくのでしょうけれども、藤井寺市あたりなんというのは人口七万おらぬような市でありますので、この負担たるや、かなり他の一般行政にも影響を与えておるという状況であります。
 ここらあたりを、何かええ方法はないのやろかと。聞くところによりますと、一括して買い上げるときに、それが起債で買った場合には、起債の償還に対しては八割出ると。その後、土地の値段が下がっていようが、下がっていなかろうが、それだけの金を出しておるからということで、八割見ていただけると。ところが、いわゆる年度年度で買っていくときには、そのときの時価になるという。ここのところ、正直申し上げて、どないかならぬものなんですかね、ちょっと文化庁の方。
#146
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 委員御指摘の史跡はざみ山古墳の公有化の問題でございますが、史跡を保存する上で重要な事業であると認識をしておりまして、文化庁といたしましては、これを平成八年の三月に国の史跡として指定をし、その指定直後の平成八年度から、史跡等購入費国庫補助金で助成をしておる。これもまた、委員御指摘のように、国庫補助率八割というかなり高率の補助率でございますが、この史跡の公有化事業の遂行に当たりましては、やはり国庫補助事業という性格上、予算の執行、補助金交付の決定の適正化を図る必要がございまして、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱、これは閣議決定でございますが、これに則し適正な実行に努めているわけでございます。
 お尋ねのこの事例におきましても、地方公共団体、本件は藤井寺市でございますが、市の土地開発公社から再取得する時点におきます取引価格によることが適正とされているということを、御理解を賜りたいと思うわけでございます。
#147
○久保分科員 一つ、今御答弁いただいた中で、僕の聞き間違いでなかったら、土地開発公社から再取得するときの価格という表現をなさったと思うのですが、例えば、土地開発公社が百で買ってあるからといって、市が無条件で百で買い取るということは認められるのですか。それはやはり、先ほどおっしゃった閣議に基づいて、そのときそのときの時価ということになるのですか。
#148
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 私どもの国庫補助金の仕組みは、あくまでも史跡に指定されましたその土地を購入をする、それに対する補助でございますから、この場合には、先に土地開発公社が購入しているわけでございますので、藤井寺市が土地開発公社から購入をする、それをそのときに時価でもって価格評価をしていただきまして、その価格に対しまして八割の助成を行う、こういう仕掛けでございます。
#149
○久保分科員 ということは、要するに先ほど私が冒頭ずっと申し上げたような、市にとってはいわゆる超過負担が生じることは間々あり得るということですね。
 それと、あともう一つ。藤井寺の場合も、そうやって土地開発公社によって先に荒らされぬようにということで押さえた後、国の指定をいただいたわけでありますけれども、この国の指定というのは、地元なりが何かやって出てきた、これはどうも大切そうやというのは、どういう手続になるのかわかりませんが、一般的に国の方から指定をいただくまでの所要期間といいますか年月といいますか、これはどのぐらいの期間を要するものなんですか。
#150
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 史跡に指定をするためには、当然その遺跡の範囲でありますとかその遺跡の性格を確認するために調査を行うわけでございますし、また、指定地域の確定でありますとか、地元の地権者等の理解、御協力を得ることが必要でございます。その史跡を保存をし、整備、活用してまいりますためには、どうしてもやはり地元の関係者のいろいろな方々の御理解、御協力が必要であろう。
 こういうことから、こういった手続のためにはどうしても一定の期間が必要となるわけでございまして、標準的な期間と申しますのは、それは地権者の数でありますとか遺跡の範囲等によりますから、一概に何カ月とかと申し上げることは難しいわけでありますが、御指摘のはざみ山古墳の場合におきましては、指定地の過半を占めます共有地の地権者の協力を得ることなどに時間を要した、このように地元からは聞いております。
#151
○久保分科員 何でそんなことをしつこく聞いているかといいますと、確かに先ほどおっしゃった閣議決定におけるそのときそのときの用地取得の仕組みというのがありますから、これが時価やということについては僕も一定の理解ができます。それを何かせいなんと言う気はないんです。
 逆に、指定するための作業といいますか、今まさに次長がおっしゃったように、範囲であるとか性格であるとかあるいは関係地権者との調整とか、こういうことが始まったと。それで、例えば一年かかる、あるいは二年かかる、物によっては三年かかる、二年半かかるという、さまざまあるんでしょうけれども、その一番始まったときにこれだけの値段だったものが、終わり時分に、この間バブルがはじけて以降の土地の値下がりというのは非常にひどいわけですけれども、その間に値段がここまで下がってきている。それで、そこから初めて指定を受けて国の補助金を受け始めることができるというときに、この間の下がりぐあいというのは、これはまさに何かしてやることができぬのかなと。考える余地はありませんかね。
 そこから先は、これは、先ほどあったように持っておられる制度で、それやったら起債でやっておいてもろうたらそうならなんだやないかとかいうことはある、選択の幅はあるのです。そのときそのとき買うという方法をとるか、起債を起こして一括して買っておくという方法をとるか、これは市側にチョイスの幅があるわけですけれども、その指定を受ける間の動きというのは、これは市にとってもある種不可抗力の話なわけですから。ここのところというのはどうにかならぬのかという、次長、いかがですか。
#152
○近藤政府参考人 大変難しい御質問をいただいているわけでございますが、私もつらつら考えてみたのですが、なかなかいい知恵はないのであります。
 おっしゃるように、史跡の範囲を画定するのにどうしてもある程度時間がかかります。史跡に指定をいたしますと、当然そこは現状変更の規制でございますとかいろいろなことがございますので、やはり明確に史跡の指定地域を確定しなければいけない。あるいは、そういった関係者の御理解、御協力、御同意を得る、どうしてもそういうことで一定の期間がかかるということは御理解をいただきたいわけでございます。
 また、これは補助事業という性格上、先ほど来繰り返しになって恐縮でございますが、予算の執行あるいは補助金交付決定の適正化を図る、こういう観点に立ちますならば、やはりああいった取り扱いをせざるを得ないのかな、こんなふうに考えておるところでございます。
 御理解をいただきたいと思います。
#153
○久保分科員 別にけんかするつもりはありません、理解は十分しておるつもりなんですが。
 先ほど申し上げたのは、市がみずから年々買い取っていこうという方法を選ぶか、あるいは、最初に起債でどんと買い取って、そこから後、地価が上がるか下がるか知りませんが、それは起債に対する償還に対して八割補助をいただこうという、その選択の幅というのはあるわけですから、これは自治体が選べばいい話。だけれども、その指定を受ける、補助金を受ける資格を得るまでの間にがたがたっと下がってしまう、こういう部分というのは一定の考慮をしていただきたい。今後こんなバブルがはじけたような状況がそんなに簡単に起こってもらったら困るわけですけれども、そのそんなに簡単に起こってもらったら困ることが起こったことによって、今自治体が、特にそういう文化財等々を多数抱えている地域にあっては非常にお悩みになっているというのが実情でございますので。
 これはもうお答えは要りません。国においても財政が決して豊かでないときに恐縮でございますけれども、何か一遍いい知恵をひねっていただきたい。理解していなくて言っているつもりじゃございませんので、よろしくお願いをしたいと思います。
 次に、同じように文化財に絡む話なんですけれども、出土品、いろいろな、瓦のあれであるとか食器であるとか、そういったものが出てくる場合がございます。それらは、最初見たときには別に本当に重要なものかどうかようわからぬ。わからぬから、まず一般的には、袋に入れて持って帰って、管理する場所に置いてそこで広げてみて、それをゆっくり、ちゃんと洗って、それからまたそれなりのしかるべき人に見ていただいて、それで、もう後はごみと一緒にほうっていいものかどうかという仕分けがなされていくわけでありますけれども、この春、四月から施行される地方分権法の中で、実は、出土した文化財は今後は所有権は基本的には都道府県になるという話になっております。
 それで、都道府県になるから、したがってそれの管理も都道府県でやりなさい、権限移譲しますよという話になっておるわけであります。だから、国は所有権がないから、そういう意味では、指定はするけれども、極端な話責任ないんだと。だから、出てきたものを直す入れ物といいますか埋蔵文化財センター、今までいろいろな名称でいろいろな事業をやってきていただいておりますけれども、そういったものについても基本的にはだんだん、お聞きするところによりますと、自治体がやるものを何で文化庁がいつまでも補助金を出さぬとあかんねんというようなことを大蔵省さんが言うてはるとか言うてはらへんとかいう話もお聞きをしました。
 だけれども、これもまた、やはり自治体にあって出土品を管理するための建物をその都度建ててやっていくというのは、これは結構大変なんですね。しかも、お聞きするところによりますと、これはやはり重たいものですから、縦に細長く建ててそれを持って上がるというわけにもなかなかいかない。それを持って上げようと思ったら、結構大きなエレベーターあたりを設置しないといかぬ。そうすると、結構単価的には高い建物についてしまう、どうしても平べたな状態にならざるを得ない、こんなことをいろいろお聞きしています。
 そんな中で、今国の方で何とか頑張っていただいてお持ちをいただいている補助金の内容は、埋蔵文化財センターということで補助率五〇%だと。小さいもので七百五十平米以上要るよ、大きいものは千五百平米以上やってくださいね、それでもって五〇%で、小さいもので五千二百五十万が補助限度ですよ、こういうことになっておるわけでありますけれども、小さい自治体にあっては、七百五十平米、周りの車をとめたりするところを含めたら昔でいえばほぼ一反要るわけで、埋蔵文化財センターが半分補助金をいただけるとはいうものの、これを自治体が建てるというのは、これはちょっと生半可な話じゃない。
 かといって、私が今お聞きをしてきました藤井寺あたりでは、高速道路の高架下を道路公団と話をしてお借りして、そこにプレハブ小屋を建てて保管をしてみたり、あるいは民間の空き倉庫を借りて保管をしてみたり、あるいは、最近子供さんが減っていますから、教育委員会と話をして学校の空き教室を利用してみたりとかいう苦肉の策で、乗り越え乗り越えやっておられるのです。
 それでも、それなりに指定された重要なものが出てきた、あるいはそれなりのものがあるというときには、やはり永久保存みたいな格好で、また、市民、府民の皆さんが見たいとおっしゃるときに見ていただけるような多少の展示的な機能を備えたものをつくろうとすれば、先ほどのものに乗っからぬといかぬ話になるのかと思うのですけれども、もうちょっと簡易なといいますか小ぶりな形ででも補助をできるような仕組みというのは、今の流れの中ではやはり困難ですかね。どんなものですか。
#154
○近藤政府参考人 お答えをいたします。
 先生御指摘になりましたように、発掘調査によりまして出土した遺物の保管でございますが、暫定的な施設でありますとか簡便な施設の利用など、各地方公共団体におきましていろいろな工夫をしていただいておるわけでございます。
 私どもが補助をいたしております埋蔵文化財センター建設費の補助の制度でございますが、これは、埋蔵文化財の調査でありますとか出土品の整理、収蔵、展示等のいわば拠点施設の建設に対して国として補助をしている、こういうものでございます。
 また、全国的に見ましても、現状の基準での各地方公共団体からの要望も多いというようなこともございまして、この基準を緩和するというのはなかなか難しい問題があるのかな、そんなことで、慎重に検討しているところでございます。
#155
○久保分科員 時間がなくなってきましたので、しまいにかかりたいと思います。
 地元議会の粗っぽい議論などを聞いていますと、おまえ、それはまあ文化財も大事かもしらぬけれども、市民の生活の方がもっと大事やないか、もうブルドーザーで壊してしまった方がよっぽど楽になるのと違うのか、こんな話まで出てみたりする部分があります。
 とはいえ、やはり市としては、この地域というのはいわゆる古市古墳群と言われる膨大な古墳が山ほどあるところで、今はっきりわかっているだけで九つほどの古墳がある。既に指定を受けたものもありますけれども、まだ指定を受けていない部分もある。地域としては、やはり何とかしてそれらを文化財として保護していきたい、だから早急に指定をしていただきたい、こういう熱意も持っていただいているわけです。
 だからこそ逆に、先ほど申し上げたような具体的なこともございますけれども、国家国民の財産とも言える文化財を必死に守ろうとしている、そういう自治体の努力を、頑張っておるやつを、ちょっと支えてやったらもうちょっと頑張ろうかという気になるものを、ちょっと削りにかかったら、ええかげんにせい、こうなるわけです。
 だから、そこらあたりの感情、感覚も含めて、そういうところで頑張っておられる方がさらに頑張っていただけるような、と同時に、市長も強くおっしゃっておられたのは、久保さん、何やかや言うてもあそこの市にはほとんど文化財出てきまへんねん、うちの市は山ほどありまんねん、ところがこういう先ほど申し上げたような状態になると、そこに市民の税金を全部つぎ込まぬとあかん話になるんですと。
 だから、これはやはりそういう根本的なところでのもうちょっと心温まる手当てをしていただけぬものやろうかということを、強く強く市長からも訴えかけられて、きょうこういう機会をいただいたので、文部大臣にお聞きをいただきながら、また、次官にもお聞きをいただきながら文化庁次長に御質問させていただきました。趣旨を御理解の上、ぜひ善処、対処方をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
#156
○桝屋主査 これにて久保哲司君の質疑は終了いたしました。
 次に、近江巳記夫君。
#157
○近江分科員 私は、まず最初に、専門高校の問題についてお伺いしたいと思います。
 私ども、国会におきまして、百五十五名から衆参国会議員が超党派で加盟いたしております科学技術と政策の会というのを持っております。私、私事でございますけれども幹事長を仰せつかっておりまして、先般二十三日の日に、評価会議、仮称ですね、その設立をめぐりましてシンポジウムを開催させていただきました。そのときには中曽根長官にも御出席いただきまして、ごあいさつどうもありがとうございました。
 それで、基調講演を有馬前文部大臣にお願いしたわけでございます。有馬先生がどういう基調講演をしていただいたか。冒頭に取り上げられましたのが、この専門高校の問題でございました。日本の今後の人材を育成していく上において専門高校に対してどれだけ力を入れていくか、非常に大事なことである、私は感銘したわけでございます。
 と申しますのは、私はかねてこの問題を国会でずっと取り上げてまいりまして、平成六年にこの「スペシャリストへの道」、有馬先生が当時座長をされておりまして、中間答申をお出しになりました。そして、平成七年の三月に正式な答申をお出しになったわけでございます。その有馬先生の答申はすばらしいパンフレットにもなりまして、日本の専門高校、それまでは職業高校と言っておりましたけれども、大変大きな波紋を投げかけたわけであります。
 それで、課題として四つの課題を挙げておられます。広い意味での職業教育の充実のために、二つ目には、急速な社会の変化に対応するために、三つ目には、地域社会に開かれたものにするために、四つ目には、卒業後の多様な進路を確保するために。
 きょうは、時間もそうございませんので絞って御質問したいと思いますが、特にこの専門高校の特別選抜あるいは推薦入学、これによりまして多くのそういう青少年がまた進学をし、大変研さんに励んでおる、こういうことで、進路調査等を文部省でされておりますが、専門高校から行った人たちは非常に優秀である、上位にいておる、こういう調査結果が出ておるわけでございます。そういうことで、私はこの問題を毎年取り上げ、その推進方を要望してきた次第でございますが、正式には平成八年からスタートしておる、こういう状況でございます。
 現時点におきます特別選抜あるいは推薦入学の現状につきまして、まずお伺いしたいと思います。
#158
○中曽根国務大臣 専門高校の生徒が、高校での学習を踏まえまして、さらに大学で学習を続けることを希望する場合に、大学進学の道を開くことは非常に重要であると考えておりまして、入学者選抜における工夫を各大学に対し指導をしているところでございます。
 平成十一年度の専門高校、総合学科の卒業生を対象とした入学者選抜は、特別選抜につきましては、国公私立大学合わせて三十八大学四十九学部で実施され、合計四百十一名が入学をいたしました。また、推薦入学につきましては、国公私立大学合わせて百五十六大学二百六十八学部で実施されまして、五千九百七十九名が入学をしたところでございます。
 また、平成十二年度入学者選抜におきまして、専門高校等の卒業生に対する特別選抜の実施は、国立大学で一大学一学部増加し、推薦入学の実施は、国立大学で六学部、公立大学で二大学二学部が増加したところでございます。
#159
○近江分科員 私も、文部省からデータをいただいておるわけでございますが、平成七年、八年、九年、十年とそこそこの推移をいたしておると思います。
 しかし、ただいま大臣から御報告がございましたように、平成十二年度におきましては何か足踏みしている感があるんですね。足踏み状況。この足踏み状況、推進していただいておることはわかりますが、足踏み状況というその認識に立たれておるのかどうか、これでいいのかどうか。大臣でなくても、担当局長でも結構ですが、どういう認識をされておりますか。
#160
○中曽根国務大臣 確かに、委員御指摘のとおり、平成十一年度から十二年度にかけましては、新規実施大学が減少傾向に、いわゆる伸びが鈍ってきていると思います。
 私どもといたしましては、卒業生に対する特別選抜やそれから推薦入学等入学者選抜における、先ほど申し上げましたけれども、工夫を行うよう国公私立大学の入試担当者の会議等を通じて各大学に対して指導をしてきたところでございます。今後も引き続いてそのような指導をしていきたいと思っております。
#161
○近江分科員 大臣から御答弁ございましたように、国立大学におきましては、十五大学から十六大学、一大学ふえ、学部も十七から十八にふえた、そういう状況ですね、特別選抜につきまして。公立大学につきましては、平成十一年度一大学三学部が一大学三学部、何の変更もないわけです。特に公立大学のそういう特別選抜の状況というのは、これは何の前進もない。
 それで、推薦入学の方に切りかえをしよるという報告もいただいておるわけでございますが、推薦入学につきましても、国立大学におきましては、平成十一年度五十一大学百二学部から五十一大学百八学部、大学数はふえておりません。公立大学につきましては、推薦入学について、平成十一年度二十大学二十七学部から二十二大学二十九学部と、そういう若干の伸びは見られます。
 そこで、特にこの平成十一年度から十二年度、足踏み状態ということを私は申し上げましたが、その前の年度につきましても、この答申が出されて各大学が実施するということでスタートしたわけですが、いまだに全然実施しようとしない大学がある。そういう大学につきましては、どういう考えで臨むのか。政府が、文部省がぜひともプッシュをお願いしたい。
 青少年が未来に向かって希望を持って前進できるように、そういう答申をお出しになり、政府としてぜひ力を入れましょう、こういう呼びかけをしておるにもかかわらず、特に旧帝大系につきましてはなぜそれを実行しないか。その辺の各大学につきまして文部省としてどういうアタックをされておるのか、その点についてお伺いしたいと思います。
#162
○中曽根国務大臣 高等学校の教育内容の多様化に伴いまして、専門高校だけでなくて、高等学校全体においてさまざまな能力、学習歴を有する卒業生が今後一層増加してくるものと思われます。
 今後、大学におきましては、このような多様な生徒を学力に偏らず能力、適性を多面的に評価して大学に受け入れていくことが必要であると考えております。また、受け入れた学生に対しましては、入学後の教育をしっかり行うための体制を整えるなど、きめ細やかな工夫や配慮が必要であると考えております。
 今委員が御説明いただきましたけれども、専門高校、総合学科卒業生選抜を行う大学あるいは学部の増加数は御説明のとおりであります。
 専門高校、総合学科を持つ高等学校の学校長の協会が平成十一年に行いました、当該学科等の卒業生の大学進学後の状況に関する調査におきましても、専門高校それから総合学科卒業生は、はっきりとした目的意識を持っていて、そして学習意欲が非常に高い学生が多い、そういうような結果も出ているわけでございます。私どもといたしましては、こういう結果を各大学に送付いたしまして、取り組みをお願いしているところでございます。
#163
○近江分科員 推薦入学を受け入れるということにつきましては、各大学は徐々にそういう門戸を開いてきておりますが、特別選抜につきましては、国立九十九大学の中で、いまだに、平成十二年度で三十九大学がやっていない。公立大学では、六十六大学の中で四十三大学がやっていないわけです。
 有馬先生がそのように答申を出されて、そして、最もこれは大事な問題であると基調講演のトップでこの問題を挙げられている。ですから、これはあらゆる機会に、まず国公立の大学からしっかりと門戸を開けてもらいたいと思うんですね。この姿勢がないと、私立におきましてもやはりそれは準じていくわけですから。その点について、これは時間がありませんから、時間があったらもっと細かいことをやるんですけれども、再度、今後の取り組みをお伺いしたいと思うんですね。
 いろいろな集まる機会とか、あらゆるチャンスがあると思うんですよ。国立大学、公立大学、あるいは私立大学等々、今後どういう推進をされるのか。こんな足踏み状態から脱却しなきゃいかぬと思うんです。今後どういう動きをされるのか、お伺いしたいと思います。
#164
○中曽根国務大臣 御指摘のとおり、専門高校の入試に関しまして特別枠を設けていない大学は、平成十二年度におきまして、委員御説明いただきましたけれども、国立で三十九大学、公立で四十三大学、合わせて八十二大学ございます。
 専門高校の生徒に対する入学者選抜における工夫につきましては、私どもも、会議等を通じまして各大学に対して引き続いて指導をしていくとともに、推薦入学の拡大やそれからAO入試の促進など、受験生の多様な能力、適性の多面的な評価のための入試改善を進めていきたい、そういうふうに思っております。
#165
○近江分科員 では、その点はひとつまた引き続いて努力をしていただくよう、重ねて要望しておきたいと思います。
 それで、この「スペシャリストへの道」で出された四つのテーマを私は冒頭に申し上げたわけでございますが、急速な社会の変化に対応するために、例えば高校テクノセンターを設置する。
 ところが、沖縄と東京は早くこれを着手されたわけですが、その後、各都道府県、財政難であるということで、どこもできていないんです。政府がこのように対応するためのということで課題をちゃんと答申でお出しになっておる、財政が厳しい、そういう状況はわかりますよ。じゃ、教育に手を抜いていいのかということです。
 だから、テクノセンターが非常に無理であるならば、それじゃ、どういう形でその対応をするために対処しよるのかということになるわけですね。この問題については、今どういうようにやっているんですか。――それじゃ、後でまた報告していただいたらいいですけれども、今これは一つの例題として私は示したわけですが、そのように方針だけを出して事足れりという姿勢ではよくないと思うんです。
 もっと専門高校にしっかりと目を向けて、有馬先生も人材の宝庫であるとおっしゃっているわけです。今、大学に入っても、入ってから何をしていいのかわからない、学部をぼんぼんかわってみたり、いろいろな生徒がたくさんおるんでしょう。専門高校から行った子供は、しっかりとそこで優秀な成績で、自分の目的をしっかり持って、そしてさらに大学院にも進み、そういう有能なスペシャリストとして成長を今やっているわけですよ。
 ですから、そういう、テクノセンター設置については、今申し上げた地方財政が厳しいということで設置が進んでいないという状況を十分ひとつ踏まえていただきまして、それなら、社会は変化しているんですから、どう対応するかということをぜひひとつ考えていただきまして、またそのことについて今後前進を図っていただきたい。どうぞ、大臣。
#166
○中曽根国務大臣 引き続きまして、専門高校の充実と、また委員が御指摘になりました課題があるわけでありまして、これは最終報告をいただいているわけでありますけれども、大いに参考にしながら努力をしていきたいと思っております。
#167
○近江分科員 次に、大臣も御承知かと思いますが、日本学術会議が勧告をしているんですね。現在の国立学校施設の老朽化、狭隘化は深刻な問題である、こういうことで勧告を出されたことは御承知のとおりです。昨年の十月二十七日の日本学術会議総会において、「我が国の大学等における研究環境の改善について」として勧告を出しているわけですよね。
 御承知のように、科学技術基本法を我々議員立法で制定して、そして基本計画が翌年策定され、そして五年間で十七兆円を準備しましょうと。そして今日までやってまいりました。
 しかしながら、大学のそういう研究施設というものは、もうどこの大学もほとんどそうですね、狭い、そして、整理する場所がないから乱雑になっておるとか、研究者がそこで集中できないというような状況になってきておる。これは大変な問題だと思うんですね。
 勧告におきます重点項目として、大学における学生人員の増加の前提として、土地の手当てを含め思い切った先行投資が建物建設には必要であるとか、二番目には、安全でゆとりある研究環境を実現するために、次期の科学技術基本計画では、合理的な中長期整備計画を練り、十分な予算の手当てが大学等の建物建設と土地取得のための先行投資に対して優先的、集中的に行われることが必要である。三つ目には、現在の劣悪な研究環境を改善し、欧米並みの水準に近づけるため、自然科学系の研究室においては、最低二倍程度の建物面積が必要である、教育研究に対して重要な役割を果たしている私立、公立大学に対しても適切な助成が必要である。四つ目には、大学に十分な資本投下を行い、その能力を十分に発揮させることこそ長期的、継続的に果実をもたらし続ける新社会資本の整備と言えるというような、もう御承知のとおりですけれども。
 今、この現状はどうなっているのですか。
#168
○中曽根国務大臣 現在、国立学校が保有しております全建物面積は約二千二百七十万平米でございまして、このうち建築後二十年以上経過し、一般的に大規模な改修等が必要な建物は約八百六十万平方メートルで、全体の三八%を占めるなど、施設の老朽また狭隘化が進んでおり、その対応が大きな課題となっているところでございます。
 このため、平成十二年度予算におきましては、施設の老朽、狭隘化の改善整備を図ることとして、事業量十九万平方メートル、事業費八百二十六億円を計上したところでございます。
 平成八年度から平成十二年度までの五カ年でいえば、数次にわたる補正予算も含めて、施設の老朽、狭隘化の改善整備や大学改革への対応整備等として、事業量約三百万平方メートル、事業費約一兆七百億円を確保するなど、国立学校の教育研究環境の改善整備に最大限の努力を図ってきたところでございます。
 文部省といたしましては、今後とも、厳しい財政状況のもとではありますが、国立学校施設の老朽化、狭隘化の改善に努めてまいりたいと思っております。
 委員からも学術会議の勧告についての御紹介がございました。科学技術の健全な発展のためには、やはり研究の環境の改善が重要と私も認識しておりまして、今後も努力をしていきたいと思っております。
#169
○近江分科員 きょうは科学技術庁斉藤総括政務次官にもお越しいただいておりますが、これはもう御承知のように、科学技術基本法、基本計画の中で非常に重点項目としてこの項目が挙げられておるわけですね。
 平成十二年度予算案、これが可決になりますと、参議院でもちろんまた御審議いただくわけでございますけれども、十七兆一千七百億と、一応十七兆をクリアしたということが言えると思うのですね。しかし、本予算ではない、今日まで補正予算で相当積み上げを図り、ようやく達した感があるわけでございます。しかし、そこまで来ておりながら、この研究施設の整備等につきましては、いまだにこういう悲惨な、悲惨という言葉を私は使ってもいいと思うのですね、そういう状況がある。
 こういうことから考えますと、明年からいわゆる第二次五カ年計画、これがスタートする。特に、明年からは、省庁再編によりまして文部科学省というのがスタートするわけですね。内閣府におきましても、総合科学技術会議が設定される。内閣挙げて取り組むということでございます。今度の施政方針演説におきましても、小渕総理は、教育立国、科学技術創造立国ということを冒頭に掲げて、我が国の立つべき、今後の進むべき道というものを高らかにうたっておられるわけでございます。
 そういうことを考えますと、この第二次基本計画というものは相当やはり綿密に、現状を踏まえてやっていかなきゃいけない、このように思うわけですね。第一次五カ年計画がそういう形で前進であったことは、それはそこそこの結果を出してきておりますから評価されると思いますけれども、しかしながら、なかなか、私は当初描いておったところまでいっていないと思うのですね。
 特に、科学技術基本法をつくりました。十七兆の基本計画での算出根拠、これは平成四年度が基準になっているのです。平成四年度のときには二兆一千三百四十七億、これをいわゆる倍増を早くしましょうという計画で、十七兆という一つのめどが、目標ができたわけですね。そういう点からいきますと、二兆一千三百四十七億円、これを倍増しますと四兆二千六百九十四億円になってもらわなければならぬ。ところが、この平成十二年度の、十七兆に達したとはいいながら、三兆二千八百三十八億、これでは一兆円足らぬわけでしょう。
 そういう点からいきますと、第二次基本計画につきましては、相当な努力をしてもらわなければならないということが言えると思うのです。この基本計画につきましては、斉藤総括政務次官から、第一次基本計画の評価、簡潔に。そして、第二次基本計画については、政府として、科学技術庁が中心になってやるわけですが、それは文部省にも深い関係があるわけですから、どういう基本姿勢で臨まれるのか、それについてお伺いしたいと思います。
#170
○斉藤政務次官 平成七年におきまして、近江委員が中心になられまして、この科学技術基本法、議員立法で成立をしていただきました。そのおかげをもちまして、基本計画、五カ年計画がスタートをし、今年度四年度目、来年度が最終年度になるわけでございます。その結果、非常に研究現場の第一線は活性化をしてきた、こういう評価をいただいているところでございます。
 しかしながら、先ほど近江委員御指摘のように、研究施設、特に大学の老朽化、狭隘化についてはまだまだ改善されていない、競争的資金については拡充されたけれども、施設の面で拡充されていない。これは、第一次基本計画のフォローアップ、反省点でも出てきているところでございます。
 この反省点を踏まえまして、二〇〇一年度から始まります第二次基本計画におきましては、研究環境の整備を促進するということ、科学技術会議の政策委員会、これは第一次基本計画の中間フォローアップでございますが、このように提言をされているところでございまして、委員の御指摘を受けながら全力を挙げて研究環境の整備に取り組んでいきたい、このように決意をしております。
 また、当初予算においてまだまだ、科学技術基本法をつくったときの目標、つまり全体の研究開発投資の四割を公的部門で受け持つ、それはまだ達成されていないではないか、こういう御指摘でございました。この点につきましても、科学技術庁、まあ来年一月から文部科学省となりますけれども、全力を挙げて、科学技術基本法をつくっていただいた当初の精神を実現するべく頑張っていきたい、このように考えております。
#171
○近江分科員 文部省の科研費等もございます。そういう点で、政府負担研究費、これを見ますと、一番新しい白書から引きましても、我が国の場合は、主要国におきます研究費の政府負担割合、日本が二〇・四です。イギリスが三〇・八、米国が三一・〇、ドイツが三六・二、フランスが四三・一。まだこういう状況なんです。対GDP比で見ますと、政府負担研究費、日本が〇・六三、米国が〇・八〇、ドイツが〇・八三、フランスが〇・九七、こういう状況です。
 あらゆる角度からいきまして、これからの第二次計画においては、しっかり、二十一世紀科学技術創造立国を標榜しているわけですから、腰を据えて、政府一体となった取り組みが必要であろうか、このように思うわけでございます。
 総合会議が明年から設置もされるわけでございますが、何といいましても、今年その助走期間として最も大事なときに今いておるのですね。明年になってから走り出そう、そうじゃないのです。今なのです。やはりその中心になって、日本の科学技術政策、そしてまた人材育成の文教政策の中心になっておられるのはやはり文部大臣であり、また科学技術庁長官を兼任もされておるわけですから、最後に長官の御決意をお伺いいたしまして終わりたいと思います。
#172
○中曽根国務大臣 委員が御指摘されましたように、研究開発費の政府負担額、これは欧米諸国に比べまして確かにまだ低いレベルでございます。私どもといたしましては、この科学技術の重要性はもちろん十分認識しているわけでありますし、現場の研究環境の老朽化とか狭隘化とか、そういう現実の問題もあります。今後、現行の基本計画に沿って一層の科学技術の振興に努力をしていくとともに、科学技術会議における御提言、検討を次の基本計画の策定に生かしていきたい、そういうふうに思っております。
#173
○近江分科員 終わります。ありがとうございました。
#174
○桝屋主査 これにて近江巳記夫君の質疑は終了いたしました。
 次に、藤木洋子君。
#175
○藤木分科員 日本共産党の藤木洋子でございます。よろしくお願いをいたします。
 きょうは、公立学校施設整備での大規模改造事業についてお伺いをしたいというふうに思っております。
 この事業の趣旨は、大規模改造を推進することによって教育現場の改善を図り、もって学校教育の円滑な実施に資するものであるということになっております。
 そこで、私は、耐震補強の重要性というのは十分認識しておりますけれども、問題なのは、大規模改造事業には耐震補強が前提になっているということで、実際には大規模改造事業が抑制されている、そういう状況があるのではないかという懸念でございます。
 そこで、大臣はこのことについてどのように御認識されていらっしゃるのか、まず最初にお伺いをしたいと思っております。
#176
○中曽根国務大臣 公立学校の施設につきましては、非常災害時における児童生徒の安全の確保を図るとともに、地域住民の応急避難所としての役割を果たすことも必要でありまして、耐震性の向上を図っていくことは重要なわけでございます。
 文部省といたしましては、大規模改造事業の実施に当たりましては、建物の安全確保の観点から、新耐震基準、これは昭和五十六年に施行されたものでございますが、この新耐震基準以前に建築された建物につきましては、耐震診断の結果に基づき必要な補強工事をあわせて行うこととしているところでございます。
 このことによりまして大規模改造事業の実施が抑制されているとは私どもは考えておらず、今後とも学校施設の耐震性の向上等、安全確保に努めてまいりたい、そういうふうに思っております。
#177
○藤木分科員 それでは、私の地元の問題で具体的にお伺いをしたいと思うのですけれども、まず最初に、兵庫県尼崎市立小田北中学校の問題です。
 これは、一九七三年に山陽新幹線の建設に伴いまして体育館を移設したわけです。一階をピロティー型、二階を体育館、こういう建物ができたわけですけれども、その際、新幹線の騒音対策措置ということで空調設備を設置しております。
 ところが、アスベストを使用して工事を行ったわけで、その後で対応が必要になってまいりました。そこで、八二年に機械室のアスベスト固化処理というのを行いまして、八七年には体育館のアスベストの固化処理を完成するということで、これは完了したわけですけれども、それをやったために風孔がふさがれてしまいまして、空調が全く使えないという状況になりました。そこで、十八機の換気扇を設置しているわけですけれども、全く効果が低くて、夏場はもう蒸しぶろ同然の高温になりまして、過酷な条件で体育授業を余儀なくされているという実態にあるわけです。
 ですから、現場の学校長と担当部局は、子供たちの学校生活を第一に考えて、一日も早く新しい空調設備にかえて授業環境を改善したい、こう言っているわけです。現場にとってここまで切実な問題でありながら、アスベスト除去費用で五千万円、空調の設備の改修を行えば、これが四千万から五千万、概算で総額一億円の大規模改造が必要になってくるわけですが、さらに柱の二十一本を耐震補強を行うとするならば、これもまた四千万から五千万円の経費が必要ということになるわけです。そこで、アスベストの除去が困難になっているという状況があるんですね。
 耐震補強とアスベスト除去というのを計画上は一体のものとしてつくりながら、とりあえずアスベストの除去と空調の取りかえという緊急の問題を行う場合は補助の対象とすべきではないか、このように思うのですけれども、文部省、その点はいかがでしょうか。
#178
○矢野政府参考人 現在、尼崎市内にアスベストが残されている学校は、お尋ねの小田北中学校のほかに八校ございまして、すべて封じ込めによりまして措置されておりまして、また代替措置として換気扇で対応できておりますことから、人体への影響等については特段の支障はない、こういう状況にございます。
 そこで、大規模改造事業の国庫補助についてでございますが、国庫補助に当たりましては、基本的に文部省といたしましては、学校施設の安全性ということを第一に考えまして、耐震診断の結果補強工事を必要といたします学校施設につきましては、原則として耐震補強工事をあわせて行うこととしているところでありますけれども、アスベスト除去工事等の緊急的な特定課題に対応する大規模改造事業につきましては、耐震補強を前提としない事業として認めているところでございます。
 したがって、お尋ねの当該校は、過去に補助を受けてアスベスト対策工事を実施しているわけでございますけれども、アスベストそのものが撤去されたわけではございませんので、今後尼崎市におきましてアスベストを撤去するための工事を行うというのでございますれば、耐震補強工事とは別に、アスベスト対策事業といたしまして国庫補助の対象とすることが可能でございます。
#179
○藤木分科員 ちょっと誤解をしていらっしゃるんじゃないかと思うのですけれども、アスベストは今固化されているわけですね。だから、それをさわらなきゃならないということじゃないんです。アスベスト対応をしたために空調が使えなくなった、だから空調を取りかえたいわけですよ。空調を取りかえようと思いますと、今度はアスベストを除去しないと取りかえられないわけですから、そういう意味でこれはどうしてもアスベスト対応を行っていただきたい。この場合だったらどうなんですか。
#180
○矢野政府参考人 その場合でも、アスベスト対策の一環として空調を取りかえる事業は、国庫補助の対象となり得ます。
#181
○藤木分科員 なり得るということでございます。
 それではもう一つ、尼崎の市立立花小学校というのがあるのですが、ここの問題の場合は、航空機騒音の対策措置として各教室に運輸省の補助金で設置をしました空調用ダクトがございます。設置後、関西国際空港が建設されましたので、国際線の大方は移転をいたしまして、騒音が減少したわけです。そこで、今では空調は全く使用していないわけです。
 使用しないでおりますその空調が、年を経るにつれて外部のダクトの腐食が進んでおりまして、雨水の浸透が起こり、その結果、天井に傷みを来しておりますし、廊下に水たまりができる、こういう状況になっているわけですね。また、既設校への空調設備を行ったわけですから、天井が低くなって、採光が悪く教室が暗い、子供に圧迫感を与える、こういった学習条件を著しく悪化させているという点がございます。
 そこで、ダクトの撤去及び天井などの補修それから吸気口跡の封鎖と補強でやりかえたいと思っているわけですけれども、そのようにいたしますと、一校あたり約一億円かかるという見積もりになっているわけですね。耐震補強を加えますと、ここの場合はピロティーとかいうことじゃありませんので、十億円にもなろうということでございます。ここでも耐震補強が前提となっておりまして、大規模改造ができないという状況で悩んでおります。
 このような状況を放置してよいのかということを思うわけですね。早急に対策を講じるべきだと考えますけれども、この事業においても、耐震補強とダクトの除去というのを計画上は一体のものとしながら、とりあえず耐震補強に先行してダクトの除去を行ったという場合は、やはり補助の対象とすべきだと思うのですが、こちらはいかがですか。
#182
○矢野政府参考人 先ほど申し上げましたように、大規模改造事業の国庫補助に当たりましては、原則として、安全性を第一に考えまして、耐震補強工事と一体となって行うこととしているところでございまして、アスベスト対策のような特別なものにつきましては例外的に単独での国庫補助になるわけでございますが、今お問い合わせにありました立花小学校の空調ダクトの撤去工事につきましては、例外的な扱いをすることはできないわけでございます。尼崎市がみずからの判断で適時適切に実施していただくべき問題であると考えているところでございますが、私どもお聞きしておるところによりますれば、尼崎におかれましては、平成十二年度に市の単独の事業として改修を行う予定というふうにお聞きしているところでございます。
#183
○藤木分科員 平成十二年度といいますと、この四月からの年度ですね。単独事業でやれるほど単純な事業ではないのですね。恐らく何かのお聞き間違いではなかろうかと思うのですけれども、この点はきちんとお調べをいただきたいというふうに思います。
 確かに、これはアスベスト対応にはならないでしょうけれども、大規模改造には違いない、その点はいかがですか。
#184
○矢野政府参考人 失礼しました。おっしゃるとおりでございます。大規模改造事業でございます。
#185
○藤木分科員 現場は結局、財政難から大規模改造のための予算措置ができない、まして、それに耐震補強が前提ということになると、さらに困難だ、こういうふうに言っているわけですね。
 ですから、市当局は、耐震補強が前提になっているためにアスベスト除去や老朽化などの対象事業の補助が受けられないのだ、こう思い込んでいるわけなんですね。当然、兵庫県からも、耐震性の確保が前提だ、こう言われているわけですし、とりわけ九九年度から文部省が耐震補強を前提とすることを都道府県に指示してこられましたね。そのことがありまして、なおさらそんなふうに思い込んでおるわけです。
 しかし、大規模改造事業というのは、対象事業が独立して行えるというようになっておりますね。ですから、耐震補強を前提とすることを絶対視するということではなくて、やむを得ない場合は独自に補助するということを明確にしていただきたいというふうに思うのですけれども、いかがですか。
#186
○矢野政府参考人 すべての大規模改造事業について耐震補強工事を一体とするということではございませんで、当該施設が、耐震診断の結果、耐震補強を必要とする、こういう施設について大規模改造をやる場合については耐震補強事業と一体となってやっていただきたい、こういう趣旨でございます。
#187
○藤木分科員 そこが歯切れが悪いのですよ。耐震補強が前提。安全性、確かにそのとおりですよ。しかし、それを待っている間に老朽化がどんどん進みますと、屋根が落ちかねない、そういう危険だってあるわけですよ。ですから、どちらが緊急かということになれば、それははかりがたいでしょうけれども、今現場が一番必要としているということに対しては、絶対に一体としてやらなければならないんだということではないわけでしょう。
 その点はどうなんですか。絶対にそうでなければならない、必ず前提にしなければならないということなんですか。
#188
○矢野政府参考人 今申し上げましたように、耐震診断の結果、耐震補強をしなきゃならない、そういう老朽施設については、私どもの国庫補助のあり方としては、耐震補強工事と一体となって大規模改造事業をやっていただくという方針でございます。
#189
○藤木分科員 そうすると、やはりその前提ということで、尼崎がちゅうちょしておられるように、その前提条件があるために改造の計画が立てられなくてもよいというお考えですか。
#190
○矢野政府参考人 国庫補助のあり方は先ほど申し上げたとおりでございますけれども、国庫補助以外のそういう施設につきましては、設置者あるいは市町村で適時適切に御判断をいただいて、必要な計画を立て、また必要な予算措置をしていただいて、安全性を確保するための御努力をいただく必要があろうかと思っております。
#191
○藤木分科員 それでは、結局、単独でできるところは市単でできる、あるいは県がやってくれるかどうかわかりませんけれども、国が手を出さなくてもできるという地域に限っては可能かもわかりませんけれども、まずそんなことは考えられませんね。
 そこで、私、尼崎の二つの事例を今申し上げたわけですけれども、現場の学校長と担当部局は早急の対策というのを強く望んでおられるわけです。
 また、双方とも国の公共事業の推進の中で起きた問題なんですよ。片一方は、新幹線が通るということで、移設に伴って、運輸省がお金を出して空調設備をつけるという事業を行いました。もう一つの方は、大阪空港の騒音が非常にすさまじいものですから、そのための空調設備というのをやはり補助事業でやったわけです。しかし、それが条件が変わってきたということでありますから、これは全く、そこにいる子供たちには何の責任もないことは明らかです。ですから、一日も早く子供たちが安全で快適な学校生活を送れるように、最大限の努力をする必要があるというふうに思うわけです。
 このように、公共事業に由来して何らかの措置をとらなければならないという場合には、尼崎からもし要望があれば、国はこれに対して優先的に対象とするというお考えをお持ちではないでしょうか。
#192
○矢野政府参考人 私どもの国庫補助事業の対応についての考え方を申し上げますと、基本的には、まず、公立学校施設整備費予算につきまして、毎年度、全国の各市町村の事業計画を勘案いたしまして、何よりもまず必要な事業量の確保に努めているところでございます。
 また、それぞれの地方公共団体におきましては、その地域の実情あるいは事業の緊急性を踏まえまして国庫補助申請が行われているところでございまして、文部省といたしましては、今後とも、事業の緊急性等を勘案しながら、それぞれの市町村の事業計画に支障が生じないように、国の予算におきまして必要な事業量の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。
#193
○藤木分科員 今のお話では、尼崎からの要望、今申し上げましたことというのは、必要な事業量の確保の中にも入らないし、緊急性にも入らないかのような印象を受けるわけですけれども、それでは困るのですね。
 震災被災地の尼崎で一九九六年度から一九九八年度の決算を見てみますと、尼崎市の財政力指数というのは、九六年には〇・九一三、九七年は〇・九〇九と落ちておりまして、九八年にはさらに落ちて〇・九〇三、今では非常事態宣言をせざるを得ないというような財政状況にございます。その中で、市の学校校舎の耐震診断というのをやっておりますけれども、その結果、全校の九二%に耐震補強を施す必要がある、こういう結果が出ているわけです。
 耐震補強には、ざっと計算して総額六百七十億円に相当するだろう、こう言っております。もちろん二分の一補助ですから、その半分として、三百三十五億円尼崎市の負担ということでございましょうけれども、しかし、体育館の場合は三分の一補助しか出ませんね。そうしますと、尼崎市の負担というのはもっと大きくなるわけですね。こういうような財政事情の中で、これを全部やるのにどれだけ時間がかかるのか、本当に気が遠くなるようなことになるわけです、このとおりでいきますと。
 ですから、財政力指数が極めて小さくて、緊急性、優先性の高い、そういう事業に対しては、特別の支援策を講じて進捗を早めるべきではないでしょうか。これは大臣にお答えをいただきたいと思います。
#194
○中曽根国務大臣 公立学校の施設につきましては、平成十二年度予算におきまして、改築それから地震補強事業を中心に千六百十億円を計上いたしまして、市町村の整備計画に支障のないよう措置するとともに、今後の改築それから改修事業につきましては、中長期的な観点から整備を進めるよう指導しているところでございます。
 また、特に緊急性の高い補強事業につきましては、平成八年度から、地震防災緊急事業五カ年計画に基づき、補助率を引き上げ、推進を図っているところでございます。
 このような措置により、各市町村の改築、改修の計画が支障なく進められるものと考えており、今後とも各市町村の事業計画に支障のないよう努めてまいりたいと思っております。
 なお、学校施設整備につきましては、安全性の確保を第一に考え、また国と地方の役割分担の観点に立って国庫補助を行っているところであり、国庫補助対象以外の事業については、各地方公共団体の判断で適時適切に実施していただくことが必要であると考えております。
#195
○藤木分科員 支障なく進むと、大臣、もしそのように御認識でしたら、それは現場の状況をほとんど御存じないというふうに申し上げなければならないと思うのですね。今お話しさせていただいたことは、支障が出ているんですよ。単独事業だったら、国の補助がなくてもできるというのであれば、悩まないのです。そうではないから、そういったところに対する特別の措置が必要だと。しかし、この問題はぜひ今後の検討課題として御検討いただきたいということを申し上げたいと思います。
 今大臣からもお話がございましたけれども、公立学校施設整備予算というのは、一九九六年度及び二〇〇〇年度、この間を、私、五年間にわたる経年変化の中で見せていただきましたけれども、二千九十二億円から今言われた千六百十億円というふうに、実は四百八十二億円も減額しているわけですね。また、その内訳で見ますと、大規模改造事業の予算というのが減額をされていて、補強事業の予算が伸びております。五年間の経年変化を見ますと、大規模改造事業費の減り方とそれから補強事業の伸び額、これが示しているのは、大規模改造事業が結局抑制をされているということではないかと思うのですね。つまり、財政悪化のもとで教育施設にかかわる予算が削られ、子供たちの学校生活に結局はしわ寄せをされている、こういうことではないかと思います。
 私は、公立学校施設整備と大規模改造事業の予算枠そのものを拡大して、実態に見合った大規模事業が行えるようにすべきだ、このように考えますが、大臣、いかがでしょうか。
#196
○中曽根国務大臣 平成十二年度の予算につきましては、学校施設の安全性を確保する上で最も緊要な課題である校舎等の耐震性能の向上を図るため、市町村の整備計画を勘案し、改築、改造、地震補強事業など、必要事業量の確保を図ったところでございます。
 したがいまして、このたびの平成十二年度公立学校施設整備費予算及び大規模改造事業費予算につきましては、地域の実態と要望に十分こたえられるものと考えております。
 なお、文部省といたしましては、今後とも、各市町村の事業計画に支障の生ずることのないよう、必要事業量の確保に努めてまいりたいと考えております。
#197
○藤木分科員 市町村の計画に支障がないようにとおっしゃいますが、計画以前の問題を申し上げているんです。計画さえ立てられないという状況なんですね。そこをぜひ御理解をいただかなければなりません。
 耐震補強は二分の一が有利だということで、それにシフトして大規模改修をやるといった事例もあるようですけれども、しかし、実際には大規模改修が後方に追いやられている状況は否めないというふうに思うわけです。
 それと、先ほど大臣たしかおっしゃいましたね、安全性というのは、学校の子供たちが学ぶ場所だということでの安全性も確かに大事だけれども、避難所にもなるんだと言われましたね。それなら体育館も二分の一にしていただきたい。避難所になるのは体育館なんです。校舎が生きていれば、子供たちは勉強しながら、避難生活を送る人をも体育館で避難してもらうことができるというシステムになっているんですよ。ところが、体育館の場合は三分の一しか補助がないというのも矛盾しているわけです。その辺もぜひ再検討をしていただきたいということを申し上げたいと思います。
 それから、地震防災対策特別措置法、今おっしゃいましたけれども、これに基づく五カ年計画で九千校を目標というふうにしておられますね。ところが、登録数は九八年度までで四千二百校、このように伺っております。全国の学校の数は三万五千校でございますけれども、五カ年計画の最終年度を来年度に控えた現在、約二一%弱の登録数というのが実態ではないでしょうか。ですから、力を入れていらっしゃるという割には、耐震補強が遅々として進んでいないと言わざるを得ないと思うのです。
 これは尼崎市のように、耐震診断はやったけれども、それに基づく補強計画の策定がおくれているという側面があるのは事実でしょう。しかし同時に、先ほど言われた八〇年以前に、前耐震基準のままの学校というものが随分あるわけで、補強が必要になっている前基準の学校というのは全体の六九%に及んでいるわけですから、財政上の困難が結局は登録をおくらせているのではないか、このように私は思っております。
 ですから、地震防災対策特別措置法は延長を図っていただいて、次年度の計画というのを策定していただかなければ、これはとても前に進まない事業ではないかというふうに思うのですが、大臣、いかがですか。
#198
○中曽根国務大臣 地震防災対策特別措置法に基づく平成八年度を初年度とする地震防災緊急事業五カ年計画につきましては、平成十年度までの計画校数四千二百六十一校のうち、耐震診断の結果、補強工事が不要となった学校八百二十四校を除き、二千八百四十九校が既に補強等を実施済みであり、進捗率は八三%となっております。
 文部省といたしましては、現行の五カ年計画を着実に推進していくことが最重要課題と考えておりまして、現行計画の終了後の取り扱いにつきましては、現行計画全体の今後の進捗状況等を勘案し、国土庁を中心として、文部省も含めた関係省庁において検討していくこととなると考えております。
#199
○藤木分科員 今おっしゃった八〇%を超える進捗というのは、登録校に対してのお話ではないのですか。いかがですか。
#200
○矢野政府参考人 この登録校といいますのは、昭和五十六年の新しい耐震基準ができたそれ以前につくられた学校について、一応耐震補強が必要と考えられるものとして、五カ年で、先生お話しのように約九千校登録して、そのうち、八年から十年までの登録校が四千二百六十一校あって、その四千二百六十一校について耐震診断をした結果、約八百校余りが補強が必要ないということになって、残りの三千四百三十七校のうち、この十年度までに二千八百四十九校、補強工事が終わったものでございますから、そういう意味で、工事を必要とする学校について約八三%が進捗している、こういう状況でございます。
#201
○藤木分科員 ですから、結局、目標に掲げた九千校には及びもつかないわけですよ。そういう目標をどうやって達成するのか。あと一年しかないわけでしょう。こんなことで進むのか、目標がそれで達成しますかということを私は問題にしているわけです。ですから、今のお答えでは本当にお答えにならないわけでして、国は公立学校施設整備事業の予算そのものをやはり引き上げていただかなければだめだということを申し上げたいと思います。
 地震防災対策特別措置法の期間延長を行わなければ、これはとてもじゃないけれども、これでおしまいだということになりましたら、そこまで安全が大事だから一体のものとしてやれ、これが前提になるんだ、大規模改造をやるときには耐震補強をやらなければならないんだ、そう力説していらっしゃる御自身のおっしゃっていることが矛盾しますよね。そのまま積み残しになるという事態を起こしてしまいます。ですから、財政難を抱えている自治体に対しては、特別の支援策を講じるということを強く要望して、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
#202
○桝屋主査 これにて藤木洋子君の質疑は終了いたしました。
 以上をもちまして文部省所管についての質疑は終了いたしました。
 これにて本分科会の審査はすべて終了いたしました。
 この際、一言ごあいさつを申し上げます。
 分科員各位の御協力によりまして、本分科会の議事を終了することができました。ここに厚く御礼を申し上げます。
 これにて散会いたします。
    午後五時一分散会

ソース: 国立国会図書館
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